法制審議会戸籍法部会 第8回会議 議事録 第1 日 時  平成30年7月27日(金)    自 午後 1時30分                          至 午後 4時26分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  戸籍事務のマイナンバー制度導入のため更に検討を要する事項 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○窪田部会長 それでは,予定した時刻がまいりましたので,法制審議会戸籍法部会の第8回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中,御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。   本日の法制審議会ですが,手塚委員,須藤委員,岡田幹事,鷲崎幹事が御欠席と伺っております。また,石井幹事は遅れていらっしゃると伺っております。   それでは,本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局からお願いいたします。 ○杉浦幹事 お手元に配布資料目録,議事次第,配席図,委員等名簿を配布させていただいております。また,部会資料8,さらには参考資料につきましては,誤植等を修正したものをお手元にお配りしております。不足の資料等ございましたら,事務当局までお申し付けいただければと存じます。   配布資料の御説明は以上でございます。 ○窪田部会長 それでは,審議に入ります。   本日は,戸籍事務へのマイナンバー制度導入のため更に検討を要する事項について,御議論を頂きます。   まず,部会資料8の「第1 本籍地以外での戸籍謄本等の交付(いわゆる広域交付)について」,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○櫻庭関係官 それでは,部会資料8の「第1 本籍地以外での戸籍謄本等の交付(いわゆる広域交付)について」,御説明したいと思います。   「1 現状等」ということで(1)に現状がございます。この現状を説明するに当たりまして,まず,現在の戸籍謄本等の請求についての現行戸籍法の規律について御説明させていただきたいと思います。お配りしております戸籍六法の187ページの戸籍法の10条を御覧いただきたいと思います。   こちらにつきましては,近年の国民のプライバシー保護の高まりを受けまして,戸籍の公開制度としての戸籍謄本等の請求に関しまして平成19年に戸籍法改正が行われております。それまでは何人でも戸籍謄本等の交付請求ができるという規定であったのを改めまして,この10条の本人等請求と10条の2の本人等以外の第三者請求とに分けて規律するようになっております。   改めて10条を御覧いただきたいと思います。これは本人等請求と呼ばれているものでございます。第1項を御覧いただきますと,戸籍に記載されている者というのがありまして,その後,括弧が続きますけれども,又はその配偶者,直系尊属若しくは直系卑属は戸籍謄本等の交付の請求をすることができるということで,本人以外にも配偶者,直系尊属,直系卑属が戸籍謄本等の請求をできるというふうな形になっている類型でございます。括弧書きの方に記載されている内容につきましては,戸籍に記載されている者という文言についての注意書きのようなもので,市区町村の過誤によって戸籍に記載されている者は,たとえ記載されていたとしても,間違いであったわけですから,戸籍謄本等の請求はできませんよと,逆に,新しい戸籍を作ったり,ほかの戸籍に入籍したりしましてその戸籍から除かれた者は,元々正しく戸籍に記載されていたわけですから,戸籍謄本等の請求はできますよといったことが第1項の方で規定されてございます。   第2項の方を見ていただきますと,市区町村は前項の請求が不当な目的によることが明らかなときは,これを拒むことができるということを規定しておりまして,証明書の交付を拒むことができる場合を明記し,それ以外は,特に請求理由や利用目的を明示することなく請求できるといった類型になります。   続いて,戸籍六法の188ページの一番下の左の方に,第10条の2ということで,第三者による戸籍謄本等の交付請求という規定がございます。これは一般に第三者請求と呼ばれているものでございます。第1項につきましては,前条第1項に規定する者以外の者,つまり,本人等に該当する者以外の第三者一般について,各号に列記された場合に限定して,必要事項を明らかにして戸籍謄本等の請求ができるということを規定してございます。1号から3号がございます。具体的には,1号で,自己の権利を行使し,又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合,2号で,国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合,3号で,前2号に掲げる場合のほか,戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合が挙げられております。   第1号の具体例を申し上げますと,自己の権利を行使するという立場と,自己の義務を履行すると,こういった立場があるわけでございますけれども,前者の自己の権利を行使する場合の例で申し上げますと,債権者が貸金債権を行使するに当たりまして,死亡した債務者の相続人を特定するために,当該債務者が記載されている戸籍の記載事項を確認する必要がある場合ということが例として挙げられます。また,自己の義務を履行するためにという例でございますけれども,債務者としての生命保険会社が保険金を支払うに当たりまして,その受取人とされている法定相続人を特定するために戸籍の記載事項を確認する場合等が考えられております。   第2号ですけれども,国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合ということで,この場合,税務署だったり,家庭裁判所だったり,いろいろな役所に提出するということが想定されるわけですけれども,本人等以外ということで,例えば兄弟というふうな例で申し上げますと,乙という亡くなった方がいらっしゃいまして,その乙の兄の甲さんが死亡した乙の財産を相続によって取得して,その相続税の確定申告書の添付書類とされている亡くなった乙が記載されている戸籍謄本を税務署に提出する場合,又は同じように,亡くなった乙の兄である甲さんが死亡した乙の遺産について遺産分割の調定の申立てを家庭裁判所にする際の添付書類として,乙が記載されている戸籍謄本等を家庭裁判所に提出する必要がある場合,あるいは,債権者甲という方がいまして,貸金訴訟を提起するために,被告となる死亡した債務者乙の相続人を特定するために,死亡された乙が記載されている戸籍謄本等を裁判所に提出する必要がある場合等が挙げられます。   また,第3号ですけれども,これはバスケットクローズ的な条項となっておりますが,具体例としましては,成年後見人であった者が死亡した成年被後見人の遺品を相続人である親族に渡すために,当該成年被後見人が死亡したといった事実が記載されている戸籍の謄本等を請求する場合等が考えられておりますが,第3号につきましてはごく限られたものになると考えられます。   続いて,第2項を御覧いただきたいと思います。第2項につきましては,前項の規定にかかわらず,国又は地方公共団体の機関が請求できる場合でございますけれども,これにつきましては,法令上の事務を遂行するために法令上の根拠,利用目的を明らかにして戸籍謄本等の請求を行うという類型でございまして,いわゆる公用請求といわれているものでございます。例で言いますと,土地収用のために相続人等を調査するといった場合など,公共性がある事務について行われるのが一般的でありまして,請求を受けた市区町村は,法令上の根拠あるいは利用目的を審査するといったことになります。   続いて,第3項から第5項までまとめて御説明させていただきたいと思います。これらは一般に弁護士等請求と呼ばれている類型でございます。第3項につきましては,第1項の規定にかかわらずということで,弁護士,司法書士等,いわゆる士業者の方が掲げられてございますけれども,弁護士等の資格者代理人が受任している事件又は事務の業務遂行のために必要がある場合に,資格,業務の種類,依頼者の氏名,依頼者についての請求の依頼の詳細等を明らかにして戸籍謄本等を請求する類型になってございます。   第4項につきましては,第1項及び前項の規定にかかわらずということで,例外規定になってございますけれども,これは第3項と似ておりますが,第3項の例外規定ということになります。第1号を見ていただきますと,弁護士のことが書いてありまして,中身につきましては,裁判手続又は裁判外における民事上若しくは行政上の紛争処理手続についての代理業務と規定されております。受任事件について紛争性があるもので,この紛争処理の手続の代理業務を遂行するために戸籍謄本等を請求する類型というのが,この第4項になってございます。紛争性があって,そのために依頼者の氏名や請求の理由の詳細を市区町村の窓口で示すことは,依頼者との間で信頼性を損なうおそれもあるということで,第3項と異なる点につきましては,依頼者の氏名や,あるいは依頼についての請求依頼の詳細を明らかにしなくても請求できるという点でございます。   続きまして,第5項,こちらは戸籍六法の190ページに移っていただきますけれども,第5項では,第1項及び第3項の規定にかかわらずということで例外規定になっております。弁護士は,刑事に関する事件における弁護人としての業務とか,そういったことが例で挙げられておりますけれども,第5項は弁護士が行う業務であって,4項に類似する,性質上紛争性を有する事件に関する業務に基づいて行う請求についての規定になっております。具体的には,先ほど御説明しました第4項が民事や行政手続を扱うのに対しまして,こちらの第5項は刑事事件などを対象にしているものでございます。第4項との違いにつきましては,主体が弁護士のみであるということもありまして,第4項と別建てして規律されておりますが,第5項の類型につきましても,依頼者の氏名や,あるいは依頼者についての請求依頼の詳細を明らかにしなくても請求できるといった類型になってございます。   以上,本人等請求と異なる第三者請求の特徴としましては,請求事由や利用目的等を明らかにして請求することになりますので,市区町村側でそれぞれについて適切に審査する必要があるという点が挙げられます。   それでは,資料の1ページの方に戻っていただきたいと思います。現状の(1)のところですけれども,繰り返しになりますが,戸籍の謄本若しくは抄本,戸籍に記載した事項に関する証明書,こういったものを総称しまして戸籍謄本等と呼んでおりますけれども,こうした戸籍謄本等につきましては,本人と配偶者,そして直系尊属若しくは直系卑属ということで,本人等と呼ばせていただきますけれども,本人等として交付請求をすることができる,これが先ほど御説明した10条1項でございます。12条の2と書いているのは,除かれた戸籍,除籍の関係ですので,それは準用されているということでございます。第三者につきましても,一定の条件を満たす場合には本籍地の市区町村に対して交付の請求をすることができるということで,先ほど見ていただきました戸籍法10条の2というのが該当してございます。   他方,本籍地以外の市区町村長に対しましては,戸籍法上,戸籍謄本等の交付請求をすることが認められておりません。そのため,転籍を繰り返すなどして従前戸籍が複数の市区町村にある場合には,従前戸籍の謄本等を取得するために,それぞれの本籍地の市区町村に対して交付請求をする必要があります。このような現状にあることから,特に数次相続がある場合などには,複数の本籍地に係る戸籍を収集する必要がございまして,その収集に相当の時間と費用を要する状況となっております。   (2)ですけれども,調査結果でございます。これにつきましては,平成27年度に法務省が事業者の方に調査委託し,研究を行いまして,その結果がございます。戸籍謄本等の利用目的に係る調査としまして,戸籍謄本等の交付を行う市区町村への調査を行っております。これにつきましては,1ページおめくりいただきまして,2ページの方に図1,図2というふうに参考例といいますか,調査結果をお示ししていますので,それを御覧いただきたいと思います。   まず,図1の方でございますけれども,戸籍証明書の利用目的についてです。都内の1自治体を対象としました現地調査によりますと,どういう目的で戸籍証明書を取りましたかというふうな質問に対しましては,1位が相続関係手続,2位が年金・社会保険関係手続,3位が旅券関係手続,4位が戸籍届出というふうな形で,上位四つで53.3%,約半数以上がこれらの四つの目的のために交付請求をしているということが分かったわけでございます。   また,図2の方ですけれども,こちらは9,526人を対象にしましたウェブアンケートということで,こちらも複数選択可能ということで交付請求の目的を聞いてございます。ここでもパスポートの申請,婚姻届などの戸籍の届出,年金等の社会保障給付の受給,そして相続に関する手続といった形で,相続関係の手続についての請求というのも非常に多かったということが分かってございます。   2ページの方の上に戻っていただきまして,国民意識調査の結果でございますけれども,住所地と本籍地とが異なる割合というのが半数以上ございまして,戸籍謄本等の交付請求に際して郵送を利用した理由としましては,本籍地である市区町村が遠いという意見が多く出されております。また,戸籍謄本等の取得方法につきましては,現行のとおり,本籍地の市区町村窓口で取得するといった希望が一番多く,次いで,現行にはありませんけれども,最寄りの市区町村で取得できればいいといった意見が多く寄せられておりました。また,本年の5月から6月に掛けて行いました「戸籍法の改正に関する中間試案」についての意見募集の結果でございますけれども,意見照会の対象となっていないにもかかわらず,本籍地以外の市区町村でも戸籍証明書を交付してほしいという意見が最も多く,全体の20%ということで,5人に1人がこの広域交付についての要望を出していたといった結果になってございます。   3ページの方に目を移していただきまして,対応策ということでございます。我が国では少子高齢化が進行しておりまして,今後,いわゆる団塊の世代やその子の世代など,人口の多数を占める世代がほぼ時を同じくして相続手続を必要とする場面が生じることも想定されておるところでございます。また,近年,所有者不明土地問題に見られるように,長期にわたって相続手続が放置されている場面も多数見受けられてございます。このような事態に対応するため,より効率的に相続手続を行うことができる基盤を作るという観点から,一つの方策を提示してございます。これが,本籍地以外の市区町村長に対して,一定の場合には,戸籍謄本等の交付請求を認める,広域交付を認める規定を設けてはどうかというものでございます。   (4)ですけれども,その他ということで,効率的に相続手続を行うための取組について御紹介させていただきたいと思います。まずは,この資料の方で簡単に御説明しますけれども,相続人が被相続人の死亡後必要となる相続手続におきましては,被相続人に係る出生から死亡までの戸籍謄本等を収集いたしまして,現状では,相続人が誰かなどを確認するために,各種相続手続を行うたびにこの戸籍謄本等を収集し,そして行政機関等に提出する必要がございます。   そこで,登記所,法務局でございますけれども,平成29年5月から,相続人等が相続に必要な戸籍謄本あるいは被相続人に係る住民票の除票,法定相続関係を一覧にした法定相続情報一覧図,これを提出していただきますと,登記官がその一覧図と戸籍関係書類一式を読み解き,照合しまして,認証文を付して一覧図の写しを作成して,必要な枚数を一般行政証明として無料で交付する,いわゆる法定相続情報証明制度というものをスタートさせてございます。このように,各種相続手続において法定相続情報一覧図の写しを利用することで,複数の戸籍謄本等を提出する手間を省力化しまして,手続的な負担を軽減するといったことと,行政機関等におきましても,戸籍関係書類一式を読み解く時間が削減されるなどの社会全体の相続手続に要する時間とコストの削減が図られております。   これにつきまして資料を御用意いたしました。参考資料18,法定相続情報証明制度についての資料を御覧いただきたいと思います。若干,今の御説明の繰り返しになりますけれども,1ページを御覧いただきまして,法定相続証明制度についてといったポンチ絵の方を御覧いただきたいと思います。この制度創設の背景ですけれども,元々は不動産登記規則の改正で行ったということで,不動産の登記名義人が死亡した場合に所有権の移転の登記が行われますけれども,この相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加しているということで,いわゆる所有者不明土地問題や空き家問題の一因になっているというふうなことが指摘されておりました。そこで,相続登記を促進するために法定相続情報証明制度を新設したというのが背景でございます。   制度の概要としましては,真ん中に書いてありますけれども,相続人が登記所に対して,以下の書類を初めとする必要書類を提出するというふうなことになっております。1番で,被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類,そして,その相続関係を一覧にした法定相続情報一覧図,こういったものを提出していただくと。そうすると,登記官が内容を確認した上で,この中身が問題なければ,認証文付きの法定相続情報一覧図の写しを交付するといった仕組みでございます。   制度の狙いとしましては,先ほどと重複しますけれども,相続手続に係る相続人とか手続の担当部署,双方の負担を軽減させる,また,相続人に相続登記のメリットや放置することのデメリットを登記官が説明することなどを通じ,相続登記の必要性について意識を向上するといったことを狙いとしてございます。   手続のイメージというのが2ページの方に書かれてございます。申出ということで,戸籍の謄本あるいは除籍謄本等を収集します。これは複数にわたることが多いと考えられます。①-2で,法定相続情報一覧図というふうな形で関係を示した一覧を作成していただきまして,①-3で,申出書を記載して,その書類に,戸籍の謄抄本の,あるいはその束と,この法定相続情報の一覧図を添付して申出をします。②で,確認・交付ということで,登記官が中身を確認して,法定相続情報一覧図の保管をし,その写しの交付をして,戸籍の謄抄本自体はそのままお返しするといった形でございます。利用方法として,各種の相続手続への利用ということで,銀行の手続であったり,あるいは,今回この4月からいろいろ改正されて,相続税の手続だったり,そういったものに使われている実態がございます。   イメージとして,次のページに別紙1というのがございます。法定相続情報一覧図というのを御本人等が作成していただきまして,これに戸籍の謄抄本等を添付する。登記官が内容を確認させていただいて,問題がない場合には別紙2のような形で,登記所の方が地紋紙の方にこれを印字して,専用認証文を付けて証明書として交付すると,こういった仕組みになってございます。   最後の5ページのその他の御説明については,説明を省略させていただきたいと思います。   それでは,資料8の3ページの2の方に戻っていただきたいと思いますけれども,「2 広域交付を認めることとした場合の検討事項」というところを御覧いただきたいと思います。「広域交付を認めることとした場合には,以下の事項について検討する必要があると考えられるが,それぞれの事項についてどのように考えるか。また,そのほかに検討すべき事項はあるか」ということで,提案してございます。   (1)広域交付請求に係る戸籍謄本等の発行の仕組みでございます。まずは,発行主体をどうするか,広域交付を認めることとする場合,まず,どのような仕組みによって広域交付を行うかといったことが検討の課題に挙がるわけですけれども,この点に関しましては,既に広域交付ということで,住所地以外の市区町村でも住民票の写しを発行しています,この住民票の広域交付の制度が参考になるところでございます。   ここで,住基法の仕組みについて簡単に御説明させていただきたいと思います。同じく戸籍六法に住基法が書かれてございますけれども,戸籍六法の568ページを御覧いただきたいと思います。568ページでは12条という規定がございます。住基法の12条のこの規定,見出しの方に,「本人等の請求による住民票の写し等の交付」と書かれてございますけれども,12条の第1項におきましては,自己又は自己と同一の世帯に属する者に係る住民票の写し等の交付請求ができるということで,本人等の請求を認めております。これは,先ほど御説明しました戸籍法の10条に対応するものと考えられます。また,同じく住基法の12条の2では,「国又は地方公共団体の機関の請求による住民票の写し等の交付」の規定がございます。これは,国又は地方公共団体の機関による公用請求を認めておりまして,先ほど御説明した戸籍法でいいますと10条の2の第2項に対応するような規定になっていると考えられます。   また,12条の3ということで,569ページの方ですけれども,第三者,つまり,前2条の規定による者のほかということで,本人等以外の者の申出による,いわゆる第三者請求としての住民票の写し等の交付請求についての規定がございます。第1項につきましては,第1号から第3号ということで,先ほどの戸籍法の規定と類似しておりますけれども,自己の権利を行使したり,又は自己の義務を履行する場合であったりとか,又は国又は地方公共団体の機関に提出する場合とか,あるいは前2号に掲げる場合のほか,住民票の記載事項を利用する正当な理由がある者とか,そういった場合に第三者請求が認められるとしておりまして,戸籍法の10条の2の第1項にほぼ対応するようなものになっております。   また,戸籍法とは若干規定ぶりが異なっておりますけれども,第2項から第4項までが戸籍法10条の2の弁護士等請求に対応するというふうなものになってございます。具体的には,第4項の第5号というところで,特定事務受任者について,受任事件ですとか資格とか業務の種類,あるいは依頼者の氏名又は名称を明らかにする必要があるということが規定されている一方,括弧書きで,民事上若しくは行政上の紛争処理手続については,依頼者の氏名等については明らかにする必要がないというふうなことが規定されておりまして,戸籍法の10条の3項ですとか第4項に対応するような仕組みになっております。   また,住基法の逐条解説を見ますと,戸籍法10条の第5項で弁護士が業務として行う刑事事件に関するものというのが挙げられておりましたけれども,これは当該弁護士が第1項第3号の住民票の記載事項を利用する正当な理由がある者に該当すると解釈されると規定されておりまして,ここまでは戸籍法と類似の仕組みが採られていると考えられます。   最後に,戸籍六法571ページの12条の4でございますけれども,「本人等の請求に係る住民票の写しの交付の特例」といたしまして,住所地以外の市区町村で住民票の写しを交付する,いわゆる広域交付の規定が置かれております。具体的には,第1項で,本人等請求につきましては,住所地市区町村以外の市区町村に住民票の写しの交付請求ができるといった規定が置かれまして,第2項以下では,請求を受けた交付地市区町村長が住所地市区町村とやり取りをしながら,交付市区町村で住民票の写しを作成して交付するといったことが規定されてございます。   また,資料8の4ページの方に戻っていただきたいと思います。今御説明いたしましたように,住民票の写しの広域交付につきましては,交付市区町村を発行主体とし,同市区町村が費用を徴収する仕組みがとられております。広域交付をどのような仕組みで認めることとするかにつきましては,広域交付に係る戸籍謄本等の発行事務を行う行政主体がどこになるのかという点も影響するところ,広域交付に係る戸籍謄本等の発行事務につきましては,交付してほしいという交付請求を受けた市区町村の戸籍事務従事職員において本人確認等の審査を行って,戸籍情報連携システム(仮称)を通じて交付が可能だと判断すれば,戸籍謄本等を作成,交付するということが可能ではないかと考えられます。そこで,住民票の写しの広域交付と同様,広域交付に係る戸籍謄本等の発行事務の発行主体は広域交付の請求を受けた市区町村長とすることとしまして,本籍地以外の市区町村長が戸籍謄本等を発行するための権限に関する規定を設けることが考えられますが,これはどうかというふうなことを提案してございます。また,実際に事務処理を行うのが交付市区町村ということでございますので,こちらも現行の住民票の広域交付と同様,交付市区町村で費用を徴収するということが考えられますが,この点についても御意見を頂きたいと考えております。   続きまして,4ページの(2),一番下ですけれども,広域交付の請求権者という点について御説明差し上げたいと思います。これまでが発行主体ということですが,では,誰がこの広域交付の請求をすべきかといった点でございます。5ページの方を見ていただきまして,先ほど前記1の(1)で御説明したとおり,戸籍法では本人等請求と第三者請求という二つの類型の請求が認められております。この本人等のほかに,所定の要件を満たす第三者にも戸籍謄本等の交付請求が認められていますが,ここまで認めるかどうか,どこまで認めるかというのは一つの論点になるところでございます。   まず,戸籍に記載されている本人等に広域交付を認めるということが考えられますけれども,これは,広域交付を認める必要性が相続手続ということを考えますと,相続手続の効率化を図る点から考えると,本人の配偶者,直系尊属又は直系卑属についても広域交付を認める必要があると考えられます。また,第三者請求におきましては,交付請求に係る戸籍を管掌する市区町村以外の市区町村において,第三者請求を認めるための要件を判断するとするのが妥当であるのか,また,第三者請求を認めた場合ですけれども,厳格な審査が必要だということもありますが,特定の市区町村長に交付請求が集中しまして,当該市区町村が戸籍事務に支障を来すおそれがあるのではないかといった問題点も考えられるところでございます。したがいまして,第三者までに広域交付を認めることとするかどうかといった点につきましては様々な意見があると考えられます。   また,本人等のみ認めるとした場合,兄弟とかおいとかおじとかめいとか,そういった者の請求,傍系の請求というのは若干難しくなるわけでございますけれども,本籍地以外の市区町村で交付請求が受けられるといった場合に,兄弟姉妹等の第三者の戸籍謄本につきましては,例えば兄弟であれば親まで,おじとかおばというふうな形であれば,一旦,おじいさんまで遡っていただいて,そこで本人等請求で戸籍を請求していただきますと,戸籍を出ていった場合に,どこに出ていったかというふうな戸籍の本籍も分かるということもございます。したがって,広域交付請求によって取得できた戸籍謄本によって兄弟姉妹等の本籍が明らかになるということもありますので,現在,本籍地の方にいろいろ請求して,内容を確認して,また,転籍があった場合には,また元の本籍地に請求に行くというふうな,そういった行ったり来たりというふうなのがないことが想定され,現在よりも相続の場面での戸籍謄本等の取得の負担は減るのではないかと考えられるところでございます。   以上を踏まえまして,広域交付を認めるとした場合の交付請求権者についてどのように考えるか,これが一つの論点になると考えられます。   続きまして,(3)広域交付による戸籍謄本等の証明の範囲でございます。前記(1)で示しました仕組みを前提といたしますと,戸籍情報連携システム(仮称)の情報を参照して戸籍謄本等の発行をするこということになりますけれども,そういったことからしますと,電子情報として整備されていない戸籍につきましては審査を行うということもできませんので,広域交付による戸籍謄本等の証明の範囲としては電子化された情報の範囲に限るというふうなことが考えられますけれども,この点についても御意見を頂ければと考えております。   ページをめくっていただきまして,6ページ,その他でございます。広域交付に関連しましては,戸籍の謄抄本というふうな形で紙媒体の証明書を交付することが考えられますけれども,デジタル化社会を目指すという観点からは,可能な限りこうした証明書も電子的な証明書を交付して活用するといったことも考えられます。また,今後,親族的身分関係情報など,親子や夫婦の関係を示す電子情報が蓄積していった場合には,電子的な相続関係の一覧図を作成しまして,それを相続手続のために利用するといったことも考えられますが,必要に応じてこういった交付する仕組みも考えられるところをどうするかといったことが論点として考えられるというところでございます。   説明は以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,ただいま御説明を頂きました第1について議論を進めていきたいと思いますが,何かただいまの御説明について御質問等,ございますでしょうか。 ○磯谷委員 今の御説明で,もう少し確認をさせていただきたいのですけれども,広域交付をする場合に戸籍情報連携システム(仮称)を通じて交付をするというお話が出ておりますが,これはマイナンバーを使うわけではないという理解でよろしいのかというところが1点です。   それから,証明の基になるデータについてですが,確か戸籍情報連携システム(仮称)においては副本情報をベースにして連携のための情報をストックしておくというようなことを予定していたかと思いますけれども,そういたしますと副本情報に基づいてこの証明をすることになるのか,そうではなくて,何かほかの方法をお考えなのか,その辺りを少し補足していただければと思います。 ○窪田部会長 ただいま御質問いただきました2点については,いかがでしょうか。 ○櫻庭関係官 まず,第1点の関係でございますけれども,2ページの図1の方に戸籍証明書の利用目的というのがございまして,相続関係手続とか年金・社会保険関係手続,旅券手続,戸籍の届出というふうな形で多数の手続が挙げられているわけでございますけれども,マイナンバーを使ったネットワーク連携で今のところ予定しておりますのは,年金とか旅券ということで対応できるのかなと思っておりますし,戸籍の届出につきましてはマイナンバーを使わない戸籍事務内連携で対応できるのかなと思っておるところでございますけれども,相続関係につきましては,要望が多い割には対応しにくいということもございまして,今回,広域交付で対応できないかどうかというふうなことで御提案申し上げたものでございます。   2点目の方の,副本をベースにして証明書を出すかというふうな話でございますけれども,これにつきましては,そういった考え方もございますし,また,住民票の写しの広域交付のように,市区町村の方で生成した,そういった証明書を活用するというやり方もあると思いますけれども,具体的なやり方につきましては今後いろいろ検討してまいりたいと考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。マイナンバーを使うかという最初の御質問についてはいかがでしょうか。 ○櫻庭関係官 広域交付には,マイナンバーは使わないということです。 ○窪田部会長 使わないということでよろしいですね。磯谷委員,よろしいでしょうか。 ○三橋幹事 磯谷委員の御質問の中で,マイナンバーを使わないというお話,お答えだったと思うのですけれども,そもそもこのシステム自体がマイナンバー制度との連携という形で組み上げられているもので,確かに戸籍事務内連携においてもマイナンバーそのものをひも付けて使うわけではないとは思うのですけれども,そもそも私どもがこの部会の,法制審議会に入る前の戸籍制度に関する研究会でやっておりましたですよね。その研究会の中では広域交付についても議論をしたのですけれども,そこにおいては,国において整備する連携情報というのは飽くまでも連携の情報であって,正本の情報とは文字等,字形が異なることがあるなど,国の管理する連携情報から正本と異なる証明書を交付することの可否,その権限の在り方などについて検討が必要と,法定受託事務としての市区町村長を戸籍事務管掌者とする戸籍事務の在り方に大きな影響を及ぼすものであるため,なお十分な検討,整理が必要であるというふうな形で,慎重なまとめをされていたと思います。   私どももその前提で,マイナンバーとの連携の中でどういうシステムを作るかということで,一定の整理をして,連携情報という形で,機関別符号を使った連携ということをイメージしておるつもりだったのですが,今回こういうふうに広域交付という形で論点を提示されたのは,その背景なり理由なりというのを少し確認しないと,今まで整理してきたものから,やや唐突に広域交付という話が出てきていますし,戸籍事務内連携でマイナンバーを使わないと,それは前提となっていた話なので,それは答え方としては当たり前だと思うのですけれども,ただ,システム全体としては,おそらく,マイナンバー制度と密接に結び付いている情報として,副本データから構成したものを使って広域交付をするという御提案だと思いますので,まず,こういうふうに提案された,その背景を御質問したいということと,具体的にどんなシステムを考えて,どんなデータの持ち方を想定されているのかと。   私どもはこれを頂いて,どう見るべきかなということで悩んだ部分がたくさんあるのですけれども,やはりシステムやデータの持ち方が今までの議論ともし異なってくるのであるならば,やはりよくお聴きしなければいけないし,将来的に電子的な家系図まで作って証明書として交付するというようなことまで御提案されていると,どんなデータとして持とうとされているのかと。それはやはり一人一人のデータというのをマイナンバー制度と結び付けて,副本データから人間関係情報というものを結び付けていくということでの想定の仕組みだと思いますので,その辺りをはっきりさせていただければと思うというのが最初の質問です。 ○窪田部会長 今の点について,お答えいただけますか。 ○櫻庭関係官 まず,今回この広域交付について論点として打ち出した背景でございます。資料の2ページの方の繰り返しにもなるかもしれませんけれども,資料の2ページを見ていただきますと,戸籍証明書の利用目的としてどんなものが多いかといったときの上位四つで,相続関係や年金,旅券,戸籍の届出といったものが挙げられてございます。これにつきましては,先ほど磯谷委員の方に御説明したのと若干,繰り返しになりますけれども,年金ですとか旅券のパスポートにつきましてはマイナンバーを使ったネットワーク連携で対応できるのではないかと。また,戸籍届出につきましては戸籍事務内連携で対応できるのではないかと考えられたところですけれども,ニーズがある割には相続関係の手続がなかなか対応できないと。そして,今回の中間試案,5月から6月にかけて行いました中間試案のパブコメにつきましても,元々この戸籍の広域交付というのは俎上にも上げていなかったにもかかわらず,先ほど言いました20%,大体5人に1人が要望があるというふうなことでございましたので,今回,広域交付,統計情報もそうですけれども,このパブコメ意見の結果を踏まえまして,新たに検討の俎上にのせさせていただいたということで,この点につきましては各委員の御意見を賜りながら,要否を含めて検討を進めていきたいと考えております。   また,戸籍情報連携システム(仮称)におきましてどのようなデータを保有するのかとか,どういうふうな形でこの証明書を交付していくのかというふうな点につきましては,詳細,決まっていない部分もございますけれども,現時点では戸籍情報連携システム(仮称)につきましては,まずは届出を処理しなければいけないものですから,受理地,本籍地間でやり取りをするための届出書の情報ですとか,あるいは戸籍の副本,そして,戸籍の副本を基に,情報連携用に記号化された親子関係のデータとかを持たなければいけませんので,そういったものを保有して,戸籍情報連携システム(仮称)を動かしていきたいと考えております。   どのような形で証明書を交付するかという点でございますけれども,一つは副本を利用して証明書を発行するということも考えられますし,住民票の広域交付のように,市区町村の方で戸籍情報システムを持っておりますので,そこのシステムを使った証明書を通信でつなげて交付するとか,そういったことも考えられるところですけれども,具体的な詳細につきましては,今後少し詰めていきたいと考えてございます。 ○三橋幹事 具体的な詳細は今後詰めたいということではあると思うのですけれども,利用範囲について,このグラフを使って御説明されましたけれども,その辺りは逆に,検討会の中でも議論されてきた話だと思います。確かにパブコメでも広域交付の話というのはありましたので,検討すること自体を否定はしませんけれども,検討会の議論の中でも,例えば,正本情報の文字と副本は当然,字形が異なっていますよね,今まで議論していたみたいに,副本は飽くまでも副本なので,副本と正本は当然,文字もある程度,副本の方は文字を統一していこうと,それで個人情報を突合させていこうということだったと思うのですけれども,では,広域交付で証明される証明書は正本の文字なのか副本の文字なのかと,結構これは証明書を受け取る方としては重要なことではないかと思いますし,そうなってくると,交付主体は一体誰なのかと,交付先の請求を受けた方の主体なのか,それとも交付する元の方なのかとか,正本という位置付けは何なのかとか,あとシステムについても,データの持ち方というのは今後考えるというふうなお話でございましたけれども,これはマイナンバー制度と密接に関連している以上,しっかり,システムをよく聴かないと,我々もマイナンバー制度の方で法改正なり手当てが必要になってくるべき話なのかというのは判断が付かないというのが率直な意見です。今の感じだと,住基法を元にしたいろいろな規定ぶりという御提案のように見受けられたのですが,やはり元自体がマイナンバー制度とくっついてシステムを作っているものですから,我々の方の制度の中で手当てが必要なものかどうかとかも含めて,やはりシステムの具体的な姿というのをまず見せていただかないと,コメントのしようがないというか,判断のしようがないというふうな感じを持っております。 ○窪田部会長 事務当局からは何か御発言がありますか。 ○北村幹事 研究会の中でも様々御意見を頂いて議論をしてきた,そしてまた,パブコメの中でも今回このような意見が出たということで,検討の俎上に上げさせていただいている,その中でどういう仕組みを作っていくか,そして,システムあるいは情報の持ち方,研究会の中でも議論してきた論点というのは,当然この部会の中でも議論しなければいけないとは思っていますので,今御意見を頂いたところも踏まえて今後,御議論いただきたい。今日は,パブコメの中で御意見を頂いて,こちらの事務局の方として,まず論点の方を示させていただいて,広域交付についてどういうところを検討すべきなのか,その辺りについての御意見を率直なところを頂きたいという趣旨の資料になりますので,委員の方々からも率直に御意見を頂いて,今,三橋幹事から頂いた御意見も踏まえ,次回以降も更に検討していきたいと思います。 ○阿部幹事 今までの議論と重なるのですが,先ほど来,住基のシステムといつも参照されるので,まず,住基の方の仕組みを御説明した方がいいと思うのですけれども,ここの4ページのところにも,住基ネットを使って交付市区町村と住所地市区町村の間でのやり取りをして広域交付していると書いてある。住基ネットというときに,いろいろみんな混乱があるのですが,住基ネットってネットワークなので,要は全ての市区町村がつながれているというのがまずあって,併せて住基全国センターというところに,4情報だけです,氏名,住所,生年月日,性別だけが集まっているという状態になっています。   今回ここで書いている広域交付というのは横連携です。なぜならば,全国センターには4情報しかないので,例えば世帯とか,例えばお父さん,お母さんの関係とか,そういうものは実はありません。全くないので,それは横で連携して情報をやり取りしないと交付できないので,要は全国センターにあるものを取るのではなくて,元の住所地市区町村の方に情報を下さいとコールをして,それに対して返ってきたものを交付市区町村で出すということになっています。   先ほど御説明の中にあった,恐らくですよ,私の理解ですけれども,戸籍の情報連携システムを使うのか住基台帳的にやるのかという違いはありますが,という御説明が2回ぐらいあったのですが,おっしゃっているのは多分,我々がやっている横連携ということも視野に入れていますという御説明ではないかとは思いました。   ただ,繰り返しになりますけれども,我々としては,わざわざなぜそれを横連携しているかというのは,元々全国レベルで情報を余り集めるのが,プライバシーの観点から問題があろうかという観点ももちろんあったので,我々としてはそういうふうにしているということでありますので,その辺りは明確に論点化して議論をしていただいた方がいいのではないかと。先ほど,これについてはまだ引き続き御議論しますというお話を頂きましたので,そういうことかなと思いましたが,この辺り,これだけ見ますと,あたかも住基のシステムと同じようにやっています,みたいに見えるのですが,今申し上げたような結構大きな違いがあると思います。三橋幹事の方からもあった,では,これは誰のデータなのかということについても,恐らく整理が要るのだろうと思います。   ちなみにですけれども,住基ネット全国センターにある情報というのは,地方共同法人であるJ-LISというところが持っているという法律的な立て付けになっていますから,国が持っているわけではないと,地方が共同して持っているという立て付けになっていますので,その辺りも,では,その情報は誰がどういう責任で出すのか,万が一,ないのがいいわけですけれども,例えば,間違って情報を送ってしまったとかいうことになるときに,誰が責任をとるのかとかいう法的論点もあると思います。   それから,長くなって恐縮ですけれども,そういう意味で言いますと,少なくとも,広域交付をやるときに,交付市区町村が見られる情報,アクセスできる情報というのは,その人の住民票しかありません。一方で,今の話で,仮に戸籍情報連携システム(仮称)なるものを,先ほど来ずっと議論になっていますが,どういう情報を持つのですかという話が先ほど来,出ていますが,正にそこに関わると思うのですけれども,では,ここで言うところの交付市区町村の職員が,全国民のデータにアクセスできるのかというのはすごく大きな問題で,それについて整理がないまますることは大変危険ではないかと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   実質的にもいろいろな課題とかも提示していただいていますが,それ以外を含めて,御質問あるいは御意見,ございませんでしょうか。 ○浦郷委員 今回,戸籍事務へのマイナンバー制度導入により,市区町村同士のネットワークがつながるということで,国民が一番期待していることの一つが,この戸籍謄本のいわゆる広域交付だと思っています。中間試案についての意見募集でも,対象ではないのに意見が多かったということは,ニーズはあると思っております。戸籍謄本等まで取る機会というのは,婚姻とか離婚とか,パスポート申請とか相続とか,そう多いわけではないのですけれども,必要なときに,自分の戸籍の住所が遠いと本当に非常に不便でした。また,今後,相続に関して請求が増えると思われるので,そのときに効率的にきちんと手続が行われるように対策をしておくべきだと思います。   先ほどからいろいろ御意見が出て,私はシステム的なところとか法的なところは余り詳しくは分かりませんけれども,いろいろクリアしなければならないことがたくさんあると思いますが,どうすればクリアできるのかという方向で是非考えていただきたいと思います。インターネットが発達した今の時代,戸籍に関してもネットで交付を申請できてデータで取得できるというようになるのが理想かなと思います。そこまではすぐには無理だろうとは思いますが,その第一歩として,この広域交付というのは是非進めていただきたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○川島委員 ありがとうございます。先ほど,幾つかの意見の中で,なかなか技術的に難しい課題があるのだなというようには思いましたが,この広域交付というのは国民の利便性の観点から,非常に便利になったなということを感じてもらう,感じることができるという点でも非常に重要なものだと思っておりますので,まず,前向きに御検討いただきたいというように思っております。そうした立場,視点から,意見を二つ申し上げたいと思います。   1点目は,この資料の3ページ目の(3)の対応策に太字部分で記載されております1行目にありますが,「一定の場合には」ということの考え方についてであります。ここに例示がありますとおり,相続手続を行う場合と,本人が現在戸籍を取得する場合の2点を対象とするのが望ましいと考えます。   まず,相続手続については,今回のパブコメでも意見が寄せられておりますし,少子高齢化が進行していく中で手続件数が増加していくことからも,広域交付を認めていくことが妥当だと考えます。また,本人の現在戸籍については,住所地と本籍地とが異なる割合が半数を超えており,請求目的にかかわらず対象とすることが望ましいと考えます。なお,一部の市区町村では,本籍地に住民票がない人に対しても全国のコンビニで交付を受けることができるようになっています。したがって,現在あるコンビニ交付の仕組みを拡大していく場合との費用対効果なども比較した上で,検討を進めていくことが望ましいと考えます。   2点目は,3ページ目の2,広域交付を認めることとした場合の検討事項についてです。検討事項で示されている発行主体は,請求を受けた市区町村長とすること,請求権者は本人等に限ること,証明の範囲は電子化された情報の範囲に限るとしている方向性について,基本的に賛成いたします。ただし,他の戸籍事務と同様に,広域交付においても十分な不正参照防止策を講じることが導入の前提であると考えます。   また,5ページ目の(3)に太字で書いてある部分についてでありますが,証明の範囲を電子化された情報の範囲に限ることについては,改製不適合戸籍を電算化するインセンティブにつながることも期待できますので,これについても賛成を致します。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。ただいまも,基本的な方向として,やはり積極的に検討してみてはどうかという御意見,その上での検討事項について御意見を伺いましたが,それ以外にも,いかがでしょうか,事務当局からの提案,あるいは問題提起に対してもご意見を伺えればと思います。 ○大橋委員 新しい仕組みを作るに当たって,いろいろ比較検討をしてみるということは大事かと思います。今回は住基法との比較ということが出ているので,それを深めてやっていく必要はあるのかなという気がします。それで,住基法との関係で言いますと,住基法の仕組みには同じように乗っていくとしても,住基法の方は7条の5号とかで,戸籍の表示というようなものについてはセンシティブなものだということで,中に入れていないわけですね。今回は当然そういうものも入ってくるということになるので,そうすると,そこのところの違いはどういうふうに正当化できるのかという議論を一方でしておく必要はあるのかなと思います。例えば,これだけ相続ということについて利便性を求める意見が非常に強くあるということはきちんと言った上で,それに対するリスクの対策というようなものもこれだけとりましたという説明をして,後で出てくるのかもしれませんけれども,請求権者にいろいろ限定を付けていくのは,そういうところにつながってくる話なのかなという気がします。そういうものの総合的な評価として,今回それを認めるか,認めないかという判断だと思いますので,住基法の仕組みをベースにして議論するとしても,そういう違いはあるかなという気がします。   それと,先ほど出た,住基法の場合には地方共同法人で,ある意味,地方公共団体が一緒にやるというような作り方をしているのですけれども,今回の戸籍の場合には,法定受託事務だというような性格付けで,そういう前提に立って,確かに本籍地の市区町村長にそういう権限を今は与えているけれども,それ以外に補充的に,今回こういう広域交付のために権限規定を置いて,他の市区町村長にもそのような交付権限を与えるという仕組みを法定受託事務の下で作れるのか,作れないのかというようなことも,検討する必要はあるのかなという気がいたします。   他方で,3ページの(注2)辺りに出てきている事務委託でやれそうな雰囲気で少し書いてあるのですけれども,多分これは,契約的な協議をベースにして,それで権限を移すという法的な仕組みなのですけれども,これだけの広域交付を全国レベルで行うものになると,双方の同意なんていうことは言っていられないという事情もあります。他方で,事務委託については権限を失うという構成になるので,そこを嫌がることが今までも言われてきたので,そういう点からすると,なかなか事務委託の延長では制度を作れないので,それで,先ほどの住基法の仕組みにのっとったところでどうするか,けれども,その場合にも,やはり違う部分があり議論しなければいけない幾つかの問題がある,そういう整理かなと思います。   あと,相続のための一覧図を作るという,これは将来の夢のような話なのですけれども,これを実現していくのだとすれば,例えば今は不動産登記規則に根拠を置いていますが,この置く場所も違ってくるのかなという気がします。また,非常に細かい問題ですけれども,無料でやっているという,この無料というのは,どういうことで無料にするのか少し気になるところです。戸籍とかで十分取っているから,もう結構ですと,そういう意味なのか,そうではなくて,実は本人だけのためではなくて,役所もこれだけ楽できるので,だから無料ですというようなことなのか,それとも,今,社会問題として放置されたものがあるので,これをどうしても進めなければいけないというインセンティブというか,政策的な誘導の意図があって,あえて無料にしているのか,いろいろ説明も違うと思います。将来的には,これを有料にするという可能性もあるような気もしますので,そういうところも一緒に議論していく必要があるかなと思います。以上,思い付きです。 ○窪田部会長 ありがとうございました。広域交付についての検討の仕方についての御意見を伺うとともに,法定相続情報証明制度について,最後の無料でという部分については御質問の趣旨も含まれていたと思いますが,その点についてはいかがでしょうか。 ○杉浦幹事 法定相続情報一覧図を無料で交付しているということですけれども,これは元々の目的が相続登記を促進するということでして,法定相続情報証明書を取りに登記所の方に来ていただくときに,併せて相続登記の申請も促すというようなことで,登記所に来ていただくということが一番大きな狙いにあったものですから,そういったインセンティブとして無料で交付するという制度を去年から始めたということでございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。 ○三橋幹事 今の法定相続証明制度に関連して御質問したいのですけれども,これは何件ぐらい使われているのでしょうか。 ○北村幹事 交付件数としては1週間に大体2,000件程度の申出があって,月1万件程度出ているとは聞いております。 ○窪田部会長 そうすると,それなりに結構な数,今,使われているということでよろしいですね。念のために確認しておきたいのですが,法定相続情報証明制度の方は,戸籍謄本等を全部出した上で,その上でこれを作ってもらって,その後は,例えば銀行の手続などが楽になるということで,トータルでいろいろなことを進めていくことができるということだったかと思います。他方,広域交付の方は,むしろ大前提として,戸籍謄本等を比較的容易に取得できるようにしてということで,恐らく住み分けられて,最終的には相続に関する登記も進めていく,それを促すという仕組みであるということになるのかもしれませんが,そういう位置付けになるのかなと思います。   それ以外に,ご意見がありますでしょうか。 ○久保野幹事 既存の取組等と比較しつつ検討したいという趣旨から,重ねて,先ほどの住基ネットとの対比を深めるということに加えて,できればお願いしたいという点なのですけれども,先ほども指摘のありました3ページの(注2)のような形で,既に一定範囲でなされている括弧付きの交付請求というものや,コンビニエンスストアでのマルチコピー機からの交付といった実例について,4ページ以下で問題としているような諸点について,どのような考えからどのような整理,扱いがされているかということについて,次回以降,分かる範囲で教えていただきたいと思います。   加えて1点,初歩的なところで質問なのですけれども,発行主体という(1)の議論が少し気になっていて,分からないところがあるのですが,交付主体というと,紙を渡す人が誰かといったような印象になるのですけれども,戸籍に記載した事項に関する証明書を交付するということが中身だとしますと,戸籍の内容を証明する主体が誰かという議論をここでしていると考えてよろしいのかということを確認で,お願いします。 ○窪田部会長 最後の点は,発行主体ということの意味の質問だとも思いますが,いかがでしょうか。 ○北村幹事 正に証明書を交付する,そして交付の処分をする権限が誰にあるのかというところの議論であると認識しております。 ○窪田部会長 久保野幹事,よろしいでしょうか。 ○久保野幹事 結構です。 ○窪田部会長 先ほども事務当局からも御説明がございましたが,基本的に広域交付の話というのは,これまでの法制審議会の中では余り議論の対象となってきませんでしたが,パブリックコメントの中で積極的にそれを求めるという意見もあり,また,戸籍のシステムを電子データ化すると言った場合に,その分かりやすい形での成果という側面もあるということで,今回,問題として提起をしていただきました。まず最初に問題として提起していただいたということであり,これで方向を決めるという趣旨ではないと理解しております。むしろ,今日は,こういうふうにしたらということだけではなくて,久保野幹事からもありましたように,工程について検討してほしいとか,あるいは三橋幹事,阿部幹事からも御指摘がありましたが,住基ネット等の関係を含めて,もう少し掘り下げる部分があるのではないかという御指摘等ございましたが,そうした観点からも,是非こういう点を検討しておくべきだという点があれば,御指摘を頂ければと思います。いかがでしょうか。 ○落合幹事 広域交付ということになれば市区町村にも大きく関係をしてきますので,少しお話をさせていただきます。とはいえ,市区町村側でこの広域交付というものに対する捉え方ですね,賛否といいますか,賛成なのか,あるいは余り積極的でないであるとか,それは考え方もありますし,その市区町村の置かれている状況,人口ですとか本籍人口ですとか,そうしたことによるものと,あと,広域交付という内容について,こういうものを広域交付という,それが統一されていないというところによる,こういう広域交付だから賛成,反対という,それがこういうものというのが特定されていないというところがあると思うのですが,いずれにしても,住民の利便性を考えれば是非やるべきだという意見もあれば,余り効果がないのではないか,あるいは,特定の市区町村に負担が集中してしまうのではないか,そういう意見もあるというのが実情だと認識しております。  やはり特定の団体に集中をする,具体的には都市部であるとか利便性が高いところの団体に事務が集中をして,そこに戸籍の交付申請がまとまってきてしまうというようなことについて心配,懸念されている自治体がありますので,そこのところは,今回,第三者請求を認めないということが入っておりますが,よく検討した上で方向性を出していただきたいと思っております。   それから,やはり今のお話の中で,何のためにやるのかというようなお話があって,一つは相続対策,それから,本籍地以外の市区町村でも戸籍証明書を交付してほしい,こうした要望もあると,2点挙げられているということかと思います。   1点目の相続対策ということについては,必要なことであろうかと思いますので,では,相続対策に特化した制度ということは考えられないのだろうかと。除籍ですとか原戸籍だとか,そうしたものを取るための制度として,広域交付とは別の仕組みを新たに作るとか,それはどうなのだろうかということも,個人的な考えでございますけれども,少し考えました。それから,確かに本籍地以外でも取れないのかと,これは私ども市区町村の窓口でも大変よく,苦情といいますか言葉を頂くことになっております。本籍が置かれていないと取れないのですよというお話でお帰りいただくことが大変多いですから,そうしたところから,自治体によってはそうした声にこたえるべき利便性があるということで,やっていく方がいいのではないかというような意見はあるところなのですが,ただ,一方で確かに本籍地以外で取れないということは不便だということではありますけれども,では,自分の戸籍が北は北海道から南は九州,沖縄の全国の自治体で取れるということが,セキュリティーも含めて,本当に望ましいというか,望んでいることなのだろうかと考えるところがあります。利便性ということとセキュリティーということは,やはりバランスをとって考えていく。広域交付で取ったものについては,今,本人通知制度というのをやっている自治体もありますけれども,もしこれをやるのであれば,そうしたものもセットで考えて,広域交付で戸籍が本人以外から取られた場合には本人に通知する制度ということも,場合によっては必要なのかなと思っています。ただ,先ほど申し上げましたけれども,例えば北海道で,自分が行ったこともないところで自分の戸籍が取られたと言われたところで,どう対応していいかという話にはなりますけれども,ただ,そうしたセキュリティーという観点で,制度を整備していくことが必要なのではないかと。   この話を頂いて余り時間がなかったものですから,少しとりとめがないかもしれませんけれども,感じたところを申し上げました。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。特に自治体における自治体の状況という点も踏まえて,検討すべき課題というのを幾つか頂戴したものと思います。事務当局から何かございますか。よろしいですか。 ○北村幹事 今頂いた御意見の中で,特に本人通知等については,議論にあげるかどうかも含めて,なお慎重に検討したいと思いますが,前提として,仮に広域交付をやるのであれば,各市区町村において本人通知制度というものを導入されているところがあるということは承知しておりますので,少なくとも交付された自治体から本籍地の市区町村への通知等の必要性の有無については考えないといけないなとは思ってはおります。ただ,それも含めて,今回,様々な御意見を頂いていますので,各論点を検討しながら考えていきたいと思います。 ○磯谷委員 私もシステムが今一つよく飲み込めていないところがあるのですが,今回の資料を見る限りは,広域交付は戸籍情報連携システム(仮称)を通じてということになっているようですけれども,戸籍情報連携システム(仮称)は,私の記憶では,副本データ管理システムからマイナンバーを通じて提供する情報を蓄積しておくというところだったかと思っていまして,そうすると,広域交付をする場合に必要な情報という観点から,果たして,それらの情報で足りるのかというところがよく分からず,いや,足りないから戸籍情報連携システム(仮称)にもっとマイナンバーを通じて提供する情報以上に,様々な情報を入れるのだという話になると,やはり少し戸籍情報連携システム(仮称)の方のイメージも変わるかなという気もしています。   それで,お願いなのですけれども,戸籍情報連携システム(仮称)を使って何をやるのかということとか,その一歩手前の副本データ管理システム,確かこれが各自治体から見られるようになるんでしたでしょうか,あとは,先ほど,正本から基づいて証明というのもありましたので,その仕組みであるとか,いずれにしても,それぞれの在り方で,できることとできないこととか,課題が何なのかとか,その辺りを,以前,研究会のときに,AとかBとかでしたか,幾つかのパターンを作っていただいて,それぞれ一長一短を示していただいたようなことがあったと思いますけれども,そんな形で全体像を示していただけると,議論もしやすくなるかなと思いますので,お願いしたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございます。恐らく三橋幹事から御指摘があった点とも重なる部分があるかと思いますが,今日は,どの方式でというところまでは具体的には示されていないと思いますが,恐らく,どの方式を採った場合に具体的にどういうふうに届出を出して,あるいは,それを受け取った市区町村の側では一体どういうふうに対応するのか,そして何が出てくるのかという点をもう少し詰めていかないと,議論しにくいという御意見だったと思いますし,そのとおりだと思いますので,次回以降の中で,それについては是非,また準備をしていただければと思います。   ほかに何か検討しておくべき点等,ございませんでしょうか。 ○木村幹事 すみません,システムの話ではなくて,4ページの下から始まる請求権者について質問させていただきます。5ページの真ん中辺りにある第三者請求について,今回御提案いただいたところによると,兄弟姉妹という傍系の扱いについては,基本的に10条の本人等には当たらず,第三者として現在,扱われておりますが,実際,今回の広域交付の目的の一つが相続関係であるとすると,兄弟姉妹というカテゴリーについてどのように扱うのか,が問題になってくるかと思います。今日御提案いただいた内容によると,兄弟姉妹についても,広域交付によって得られる情報の幅,簡便性が広がるので,それを用いれば負担が大きく減ると書いてあります。この点について,まず質問なのですけれども,直接兄弟姉妹が法定相続人に当たったとしても,自分で請求できる範囲は限定されているという点について,抜本的に改正するのであれば,戸籍法の10条の規定はそのままいじらず,10条の2について特別規定を設けるような考え方であったり,また別途,10条の2に関して,相続についてだけ別途,何か新しい規定などを設けることも考えられると思うのですけれども,そういった点については全く検討しなくてよいのかということについて,教えていただけますでしょうか。 ○窪田部会長 その点についてはいかがでしょうか。 ○北村幹事 今回,10条と10条の2で分けて,まず論点としてお示しさせていただいた点については,やはり平成19年の法改正の際に,従来は原則公開であった戸籍を原則非公開とする,どこで線を引くかということについては,やはり本人,記載されている者と,あとはその直系尊属,卑属,そして配偶者というところで切り分けるのが相当であろうということ,そして,兄弟姉妹であっても,やはり簡単に戸籍が取れるというのは問題ではないかということで,10条と10条の2が分けられたという経緯がございますので,そこを踏まえての御提案ということになります。   その上で,相続ということであれば当然,兄弟姉妹というのは法定相続人に入ってくることが多いというのは理解をしてございます。例えば,法定相続情報証明制度についてという部会の参考資料18の3ページ,4ページを開いていただければ,相続関係の一覧図というものが通常あります。これは通常の1次相続ぐらいということで,お父さんがお亡くなりになって,お母さんが存命で,相続人,長男,長女,養子がいるというパターンになりまして,例えば法務一郎さんが,仮に10条に当たるので広域交付ができるとなれば,御自分の法務一郎さんの戸籍と,お父さんがお生まれになってからお亡くなりになるまでの戸籍を取ることができる。当然,御自分の法務一郎さんも本籍を変えていらっしゃる場合もありますので,それをまとめて取れる。そして,お父さんについても,生まれてから亡くなるまでということであれば,当然その間に本籍地が変わっていることもありますので,今の制度であれば,幾つかの自治体に一つずつ遡って取っていかなければならない。そこをまず簡便にしようと。そうしたところ,お父さんの生まれてから亡くなるまでの戸籍を確認することによって,どこかの時点で長女の相続促子さん,そして養子の登記進さんについては出てくることになります。その場合には,戸籍の請求先は分かりますので,従来のように一つずつ遡っていくことに比べればずっと楽になるのではないかということでお示ししたものになります。   ただ,相続に関して別の規定を設けるべきではないかという御提案というのは一つの考え方かなとは思っています。ただ,相続といっても,これだけの1次相続だけはなく,代襲相続もあり得,おじ,おばを経由してということになりますと,かなりの数になりますので,それを全て広域交付ということで,例えばこの法務一郎さんが取ることがよいのかどうかというのは慎重に考えないといけないということも考えられますし,争いのない事案に関して言えば,それぞれの相続人についての戸籍については,御本人から集めて出していただくということも通常は可能なのかなと。争いのある事案については,やはり従来どおりの取り方で,きちんと請求の理由を書いて取っていただくという方策の方がよいのかなということも含めて,今回は御提案をさせていただいたということになります。 ○木村幹事 相続に特化した規定を設けるのは実際的ではないとは思うのですけれども,そもそも10条について,実際に記載されている方と,直系か傍系かということだけで10条に該当するかどうかということを明確に分ける根拠がどこまで正当化できるのか。実際,兄弟姉妹とおじ,おばでも,同じ傍系といっても,全く親等が一緒なわけでもありませんし,第三者という形で傍系を完全に10条に当てはまらないとしていいのかという点が気になりました。もう一つ,住基法と比較してみますと,本人又は本人の同一世帯の者と第三者というかたちで住基法では分けられていますけれども,そこの分け方と,戸籍法の10条における本人と第三者の分け方というのは,必ずしも同じかたちではありませんので,このような比較もふまえて検討していただきたいと思った次第です。 ○窪田部会長 木村幹事の御質問あるいは御意見というのは,今回の広域交付についての話というだけではなくて,恐らく10条と10条の2の切り分け方が本当に,これはこれで個人情報を守るという観点から設定されたものだと思いますが,それで適切なのか,本人情報,本人と言いながら,直系尊属,直系卑属は特に制限なく全部入っていて,他方で兄弟姉妹というのは相続人にはなるのに,言わば第三者という形で,士業に関しての業務上の請求と同じ並びの中で規定されているということに対しての問題提起も含むものだと思いますので,その点もやはり検討課題として扱っていただければと思います。   最後に述べた点は,恐らく10条と10条の2を,裸でこれだけを見直すというのは難しい部分はあるのだろうと思いますが,広域交付との関係で見直すという枠組みの中で,10条,10条の2の切り分けはこれでいいのかということを検討する余地というのは,まだ可能性としてあるかと思いますので,その点も含めてということになります。   ほかに,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでしたら,この問題についてはまだ,改めてもう少し詰めながら検討していかなければいけないと思いますが,一旦ここで休憩を取らせていただいて,それでは,3時まで,10分間の休憩を頂戴したいと思います。           (休     憩) ○窪田部会長 それでは,時間になりましたので,再開させていただきたいと思います。   それでは,部会資料8の「第2 統計情報の活用について」,御説明をお願いいたします。 ○田中関係官 それでは,部会資料8の「第2 統計情報の活用について」,御説明いたします。   今回の中間試案に対する意見募集において寄せられました意見のうち,中間試案に提示された論点以外に関する戸籍事務に対する意見といたしまして,届書に記載された事項がデータ化された場合,このデータについて積極的に活用すべきではないか,具体的には,戸籍情報連携システム(仮称)を構築した場合,戸籍情報を匿名化した上で活用する,あるいは厚生労働省所管の人口動態統計を補うものとして活用することができるのではないかといった御意見がございました。そこで,戸籍に関する統計の実情を御説明した上で,今後の統計データの活用の可能性について御議論いただきたいと考えております。   まず,戸籍の届出に関して,現在公表されております主な統計といたしまして,法務省所管の戸籍事件表と厚生労働省所管の人口動態統計がございます。まず,この二つ,現状の方を御説明申し上げます。まず,法務省において取りまとめております戸籍事件表について御説明いたします。   「2 現状」の(1)の部分,戸籍事件表とございます。法務省民事局におきましては,全国における戸籍事務の現状と動向を把握するために,年に一度,法務局・地方法務局から,市区町村における戸籍事務について戸籍事件表の提出を求めて,集計を行っているところでございます。戸籍事件表は,全国の市区町村長が受理し,又は他の市区町村長から送付を受けて戸籍の処理をした各種の届出事件の件数のほかに,請求に基づいて交付した証明書の件数等を集計したものでございます。これらの件数につきましては毎年度,各市区町村長から管轄の法務局長に対して報告がされ,各法務局においては管内の市区町村分を集計した上で法務省民事局に報告することとされております。   お手元に参考資料19「戸籍事件表」として,現在,市区町村から法務局に対して報告がされている様式を御用意いたしました。3枚ございます。1枚目,戸籍事件表(その1)とございまして,届出事件の種類が左側に記載されております。出生あるいは婚姻,死亡といった種類,その右に届出件数の総数がございまして,右側に,届出が本籍人に関する届出なのか,本籍人でない方からの届出なのかの別,そして,他の市区町村において受理された届出が送付された件数について計上することとされております。このように,届出を受理した件数だけではなくて,他の市区町村から送付を受けた届出事件の件数を計上することによりまして,各市区町村において戸籍事務についてどの程度の事務負担が生じているかを確認することができるという趣旨でございます。   2枚目に移ります。戸籍事件表(その2)とございまして,上の段に第2表,処理事件数とございまして,新たに戸籍を作った件数,あるいは在籍する者全てを除いた件数などの件数を計上しております。その下,第3表,諸証明件数とありまして,証明書の種別ごとの件数,あるいは無料,有料の別,そして手数料の金額の総額を計上いたします。   続きまして,3枚目,戸籍事件表(その3)とございまして,上の段に第4表,本籍数,本籍人口数とございまして,その自治体に本籍を有する方がどれだけいらっしゃるかを計上いたします。真ん中の段に,戸籍事務を取り扱う市区町村数及び事務所数とございまして,支所あるいは出張所において戸籍事務を行っている場合に,そういった事務所の数を計上することとしております。一番下の段,第6表,職員数とございまして,戸籍事務の経験の年数別に,事務に従事している職員の数を計上することとしております。   これらの事件表のうち,その1につきましては,戸籍情報システムからある程度,自動集計が可能であるところですけれども,その2,その3といったところ,これは通常,手入力で行っているところになろうかと思います。   このような戸籍事件表が各市区町村から管轄の法務局に送付されまして,管轄の法務局においては,管内の市区町村のデータを取りまとめた上で法務省民事局に送付することとされております。この事務については,通達に基づき実施しているものでございます。   続きまして,戸籍の届出に関連する統計といたしまして,人口動態調査事務がございます。(2)人口動態調査事務とございますけれども,こちらは厚生労働省において所管する事務となりますけれども,人口動態調査令に基づいて実施されている事務でございます。人口を調べる統計といたしましては国勢調査がございますけれども,こちらはある一時点の数値を計上したもの,言い換えると静態統計というべきものでございますけれども,他方,人口動態調査事務については人口の動態,すなわちある一定の期間の動きを集計したものでございます。   主な集計項目につきましては,参考資料20,「戸籍届出に関連する統計について」でお示ししております。戸籍事件表と人口動態統計において集計している情報につきまして,それぞれ左に戸籍統計,右に人口動態統計でお示ししております。例えば,戸籍統計において届出事件数として出生届が何件提出されたかを集計している一方で,人口動態統計につきましては,一定期間に何人出生したかといったことが集計されているのが実情でございます。戸籍統計と人口動態統計の大きな違いは,戸籍統計は,届出がいつされたか,届出日ベースで集計を行っているのに対して,人口動態の統計につきましては,いつその事実が発生したか,発生日ベースで集計しているという主な違いがあるところでございます。   人口動態調査において利用する資料として,人口動態調査令の第2条に規定がございます。お手元の戸籍六法947ページに人口動態調査令がございます。人口動態調査令第2条において,人口動態調査資料は出生,死亡,死産,婚姻及び離婚について,その届出を受けた市区町村長が調査票を作成するということで集計を行っているものでございます。戸籍の届出がされた場合,具体的には出生,死亡,婚姻,離婚の届出が提出された場合に,市区町村において調査票を作成すると。もう一つ,死産の届出がございます。こちらの死産の場合には,これは戸籍に記載するものではないものですから,戸籍法に規定されている届出ではなく,死産の届出に関する規程という厚労省の省令に定められている届出となります。この届出があった場合に,市区町村において調査票を作成することとなります。   次に,人口動態事務のフローに関する資料として,参考資料21「人口動態調査体系図」を御用意いたしました。一番左側に届出義務者,届出人とございます。戸籍の届出,あるいは死産の届出は,市区町村に提出されます。提出された場合に,市区町村においては,調査票を作成,審査した上で保健所に送る,管轄の保健所に送付されたものについては,保健所において管轄分を取りまとめて,都道府県を経由して,最終的には厚生労働省に送付される流れとなっております。   資料の下の段に,法務省と記載されております。人口動態の事務については,先ほどから御案内のとおり,戸籍事務と密接に関連するものでございます。そこで,法務局の職員が市区町村に赴いて,戸籍事務が適正に処理されているかを確認する,私どもは現地指導,あるいは現地助言と呼んでおりますけれども,戸籍事務に関する業務監査を実施しております。この業務監査の際に戸籍事務の適正処理を確認するとともに,法務局の職員が人口動態事務の適正についても確認することとしております。このように,法務局の職員は人口動態事務の現地指導官として,人口動態事務についても助言を行っているのが実態でございます。   以上,少し前提が長くなりましたが,戸籍に関する統計の事務の実情を御説明いたしました。   以上を踏まえまして,「3 統計事務の合理化について」,御説明いたします。中間試案に対する意見において,国が戸籍情報連携システム(仮称)を構築した場合,これまで市区町村がそれぞれに集計していた情報について,法務省において情報を集計し,統計表の作成が可能となるのではないかといった御意見もございました。つまり,現行の戸籍事務において,統計表の作成あるいはデータの送付,集計などの作業を自動化することによって,効率的に戸籍事件表を作成することが可能となり,戸籍事務の事務改善が図られることが考えられるところです。そこで,次のような方策を講じることが考えられるがどうかというところで,戸籍情報連携システム(仮称)を活用して各市区町村において作成している戸籍に関する統計を省力化することを提案させていただいているところでございます。   考えられる事務の合理化のイメージについては,参考資料22「統計業務の合理化」をお配りしております。現在の事務のフローは,上の段となります。市区町村で作成された事件表について法務局に情報を送信する,これを管轄法務局において管轄分を集計して,法務省にデータを送信する,法務省においてこれを取りまとめて統計情報として公開しているところでございますけれども,このように多数の職員が作業に関わりますと,時間も労力も掛かっているのが実情でございます。   そこで,合理化の案として,下の段に記載しております合理化後の統計業務の流れとして,市区町村の戸籍情報システムに入力したデータについて,法務省が管理する戸籍情報連携システム(仮称)に情報が連携されて,法務省においては届出事件数等の事件表を自動的に作成することができることが考えられるところでございます。   一番下の段でございますけれども,戸籍証明書の統計についても記載しております。参考資料22と併せて,参考資料19の戸籍事件表の2枚目,その2がございます。こちらは先に御説明いたしましたとおり,証明書の集計でございますけれども,実際には手数料の計上とか,あるいは紙の謄抄本の請求などもございまして,必ずしも自動集計していないところでもございます。こうした戸籍証明書の発行件数については,現在,申請された方が提出された交付申請書をカウントしているところが通常なのだと思いますけれども,これをシステムで発行件数を集計して,発行履歴データを戸籍情報連携システム(仮称)に送信すると,これによって証明書に関する事件表についても法務省において自動的に作成することが可能となることが考えられるところでございます。   続きまして,「4 統計情報の拡充」に移ります。国が戸籍情報連携システム(仮称)を構築して,法務省において情報の集計が可能となった場合に,これまで手作業で集計しなければならなかった情報についても,集計作業を自動化することによって作成が可能となるものがあると考えております。参考資料20下の段に記載しております。現在,上の段の統計が集計されているものでございますけれども,2として,新たに実現できるような統計として何か考えられるかについて,現在集計されている出生,死亡,婚姻,離婚の届出以外のものについても,届書の情報や戸籍情報を基に,より詳細な情報の集計が可能となるのではないか,あるいは,戸籍事務にマイナンバー制度を導入することに伴って,新たに個人単位の情報を作成することとなりますけれども,この個人情報,当然,匿名化した上で,届出がされた都度に個人単位の情報を更新しなければ,情報連携できないことになるわけですけれども,この個人単位の情報を活用して,単に届出事件の単位で統計,今,できていないわけですけれども,そうしたある個人の身分変動の履歴情報を取得することができるのではないかと考えられるところでございます。また,こういった情報について,必要に応じて,情報を人口動態調査事務に提供することによって,人口動態調査の充実に資することも考えられるところでございます。   こういった統計情報の拡充の具体例につきましては,参考資料23を御用意しております。上の段,1でございますけれども,事件表の内容を詳細化することによって,集計が可能な情報の候補例を挙げております。現在,届出事件の種類ごとに件数,あるいは本籍を有する方の届出なのかといった情報を集計しておりますが,この集計を細分化することによって,例えば,現在,婚姻届が提出された場合に,夫の本籍地,妻の本籍地,又は婚姻によって新たに本籍を定める地のいずれの市区町村に提出しても,本籍人に関する届出という形でカウントをしているわけですけれども,いずれの本籍地に届出がされたのかという,本非区分の詳細化としておりますけれども,そういった集計も可能となるのではないか,あるいは,届出事件の細別の届出事件数とございますけれども,現在,普通養子縁組の届出と特別養子縁組の届出を分けることなく養子縁組として集計しているところですけれども,こういった区分についても詳細化できるのではないかとも考えられます。また,真ん中に共通の詳細化事項の候補例とございますけれども,現在おおむね都道府県単位で集計しているデータについて,都道府県内のある地域に絞った統計,あるいは年間ではなく月ごと,週ごとといった期間の統計をとることも可能となることも考えられます。   また,下の段,2として,新たに集計が可能となる情報として考えられる例として,幾つか挙げております。左側が届書の情報から取得することが考えられる情報の具体例でございまして,例えば死亡の届出として,届出を提出したのが親族だったのか,あるいは親族でない同居人だったのかといった届出人の種別ごとの割合,あるいは,外国人の方が当事者となる渉外関係の事件について,婚姻届のうち外国人の方が関係する届出はどの程度あったのか,あるいは,ある国籍の方と婚姻する届出がどの程度の割合であったのかといった集計が可能となることが考えられます。   また,右側に,親族的身分関係情報から取得する情報の具体例で挙げさせていただいておりまして,親族的身分関係情報,つまり個人単位の情報に関連付けることによって集計が可能となる情報の例を挙げております。夫婦関係に関する情報といたしまして,例えば,個人が生涯に結婚する回数,あるいは離婚する回数といった情報であったりとか,夫婦関係が何年継続しているのかといった情報,離婚して再婚するまでの期間を集計することが考えられることです。また,親子関係に関する情報として,個人が生涯に養子縁組を行う回数,あるいは養子縁組のときの状態として,養子となる方,あるいは養親となられる方が何歳であって,あるいは婚姻中なのかどうかといった状態を確認することができるのではないか。また,子に係る情報として,親権者が父なのか母なのか,共同親権なのかといった情報,あるいは,子の状態として,お子さんが何歳で,ほかの人と養子縁組しているのかといった情報についても集計が可能となることが考えられます。   これらについては現在,戸籍事務における統計事務について,実際に通達に基づき実施しておりまして,法律事項と考えているものではございませんが,今後,国において情報連携のためのシステムを構築するとした場合に様々な活用の方法があるのではないかといった観点から,飽くまで可能性としてお示ししているものでございます。   なお,ただいま例として挙げさせていただいております統計情報について,冒頭申し上げましたけれども,仮に実際に集計するとした場合には,当然,個人情報の取扱いに十分留意した上で,情報を匿名化することが大前提であることを申し添えます。   こちらからの説明は,以上でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。ただいま御説明いただきましたのは,「第2 統計情報の活用について」ということですが,中間試案に対する意見の中で,情報活用が,電子化した場合にはよりいろいろな形で活用できるのではないかという御意見もありましたので,それを踏まえた上で,可能性としてこういうものがあり得るということについての御説明だったかと思います。これについて何か御意見,御質問等,ありますでしょうか。 ○三橋幹事 統計の事務を省力化するということに対しては,恐らく誰も異論はないのだろうと思いますが,何度も言って恐縮ですが,どういうふうなシステムでこういうことをできるようにするのかというところが結構重要だと思っておりまして,今,匿名化が大前提だというふうなお話でございましたけれども,本文の方には匿名化というのはどこにも書いていないわけですね。補足説明ということで説明があっただけでございまして,私も非常に,これはどういうことなのかなというのを,資料を見て,思いましたけれども,匿名化が前提でありますよという説明はあったと。だったら,そういう前提であるということをしっかり法律に規定するなりしないと,単に統計といっても,切り口においては,例えば参考資料の20にあった,今までの戸籍統計だとか人口動態統計というのは正本を各市区町村が持っておったので,集計表だけを各自治体から国に提出している過程で当然,匿名化されているものだろうと思っていて,だからこそ統計令だったり,あるいは通知で集計できたものだと思うのですが,今回,その下に,匿名化統計情報で新たに実現できることというふうにこの資料上は書いてありますけれども,戸籍情報の連携システムというものまで,各自治体が正本として個人情報として持っていたものを一回,国の方に副本というものを,今でも国は持っておりますけれども,それを検索可能な形で集めるということになってきますので,それに対する扱いの規律というのをきちんと確立しておかないと,それこそある特定の個人を追及した情報の統計の取得というのはしないですよと,匿名化したから,しないですよと資料上は書いてありますけれども,正にそれをどう担保するのかというところが非常に,法制的には恐らく重要な論点なのではないかと気にしております。例えば,参考資料22においても,この表上は合理化後の統計事務の流れという形で,事件表というのを集計するのですよというようなイメージで,合理化後の統計業務の流れというのが書いてありますけれども,しかしながら,7ページの本文の3の統計事務の合理化の3行目の半ばからですけれども,法務省において情報の集計及び統計の作成が可能になるのではないかというものがあった,最後の太字のところで,戸籍情報連携システム(仮称)を活用して,各市区町村において作成している戸籍に関する統計を省力化することとする,この結論自体に誰も恐らく異論はないと思うのですけれども,それを安全なというか,個人を特定しない形でどうやって,マイナンバー制度の連携で作られていこうとされている戸籍情報連携システム(仮称)を使って,できるようにしていくかという,どういう規定を置くべきなのか,どういう規律の下に置くべきなのかというところをしっかり議論しないと,それこそ,各種,今までできなかった統計ができるようになりますよと参考資料23の方にも出てきていますけれども,例えば,全国で最も離婚回数の多い人は誰かとか,そういうことが集計できるようになってもおかしい話ですし,やはりそこら辺を統計情報として処理するということに対する必要な規律なり制度なりは何なのかというところを真正面から議論しないといけないのではないかと思いました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。それについては何か事務当局からございますか。ございませんか。   では,大事な御指摘を頂いたものと思いますので,それを踏まえて検討をお願いしたいと思いますが,ほか,いかがでしょうか。 ○大橋委員 今日の説明は,こういう可能性がありますという可能性を提示していただいたのですけれども,多分,制度にするときには,可能性を提示するというよりは,むしろ個別に,こういう利用の需要なり必要性がありますというのを言っていただいて,それを個別法などにきちんと理由付けて書いてもらって利用する,そういう順番になるのではないかなという感想をもちました。そこのところはいかがですか。 ○北村幹事 当然,今回は可能性ということで,我々の方で考えたものをお示しをさせていただいた,ただ,実際にこういう統計を使われるどういうニーズがあるのか,ニーズがあって,出してほしいと言われて,それが出せるのかどうか,そのときにどういう規律で置くのかというのは,大橋委員御指摘のように,規律を定めなければいけないとは思っているのですが,その前提として,どういう可能性があるのかというのをフラットな形で御議論していただきたいという意味での今回の資料の作りということになります。その上で,最終的に何が出せて,何が出せないのか,そのときにどういう点を留意しなければならないのかというのは,先ほどの三橋幹事の御指摘も踏まえながら,また,大橋委員の御指摘を踏まえながら,構築していくものなのかなとは思っております。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。この部分に関しては議論がしにくいというところもあるのだろうと思いますが,率直な感想でも,あるいは御質問でも,頂戴できればと思います。 ○阿部幹事 重なるのですけれども,先ほどの話からの続きみたいな話になるかと思います。要は,やはり戸籍情報連携システム(仮称)とはどういうものなのか,誰がそれを扱えるのかということについて御提示がないので,なかなかその部分についてどうなのかという判断が難しいということかと思います。元々が市区町村が持っていたもの,ですから当然,市区町村の範囲でしか見られないものということだと思います。今まで副本データシステムというのはあったと私なりには承知しておりますが,バックアップのためではないかと理解しているので,そうすると,それは飽くまでそのためだけにそこにたまっているものだということだと思うのですけれども,それが質的に変化しているのではないかというところが多分,論点になっていて,そのときに,それを誰がどういう範囲で使えるのかということについて,やはりしっかりと整理する必要があるということかと思います。 ○窪田部会長 どうもありがとうございます。三橋幹事からの御指摘の中にもありましたが,合理化するという一般論に関しては多分,誰も異論はないのだろうと思いますが,データをどうやって扱っていくのか,特に,特定の人にひも付けたデータを連続して使っていくという場合には,いろいろな形での慎重さが求められるということも踏まえて,当然に統計データとして使えたらいいよねという方向ではなくて,もう少し慎重に検討した方がいいのかなという御意見が多いのかと思いますが,これについては,よろしいでしょうか。   それでは,今の慎重な御意見も踏まえた上で,更に事務当局において検討をお願いしたいと思います。   それでは,続きまして,部会資料8の「第3 届書類の電子化について」ということで,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○田中関係官 続きまして,「第3 届書類の電子化について」,御説明いたします。   戸籍の届書類の取扱いといたしまして,本籍地以外の市区町村に提出されたものについて,本人の本籍地の市区町村に送付され,本籍地において戸籍の記載をする,戸籍の記載をした後に管轄法務局に送付するといった流れでございます。また,届出をした窓口が本籍地の市区町村でない場合,届書の情報のうち戸籍に記載すべき情報については受付をした市区町村において受付のデータを入力する,そして,届書につきましては本籍地に送付されて,本籍地において受付のデータを入力して戸籍の記載を行うといった流れとなってございます。   このように,届出を受理した市区町村と本籍地の市区町村において双方でシステムに入力をしているという事務の重複が生じているところでございます。現在の届書に関する事務のフローにつきましては,参考資料10として,「戸籍事務内連携における事務の効率化」と題する資料を御用意いたしております。こちらにつきましては,本年1月の戸籍法部会第3回会議において使用させていただきました資料をお手元にお配りしているものでございます。表の面に現在の戸籍事務のフローを記載しております。   現状の届書の保存の流れとして,本籍地ではない市区町村に婚姻届が提出された場合婚姻届が提出されたということで,市区町村においては戸籍情報システムに届書の受理の入力をして,この届書の謄本を作成した上で本籍地に送る作業を行う,併せて,受け取った届書については写しを受理をした市区町村において保管する,届書の原本につきましては,本籍地に送ります。夫の本籍地,あるいは新本籍地において戸籍情報システムに入力をする,入力をし終えた届書につきましては,市区町村の書庫において保管した上で1か月ごとに法務局に送付をする,管轄法務局において届書を保管するといった流れとなっております。   このような郵送あるいは送付といった事務の負担を軽減する目的から,中間試案におきましては,届書類を受け付けた市区町村において届書のデータをスキャナーで読み込んで電子化することによって,受理地の市区町村,本籍地の市区町村,あるいは管轄する法務局において届書類の情報の共有化を図ることができるとの方策が示されたところでございます。この届書類の電子化によって届書類の情報が共有化され,市区町村間で行われている届書の郵送のやり取り,あるいは本籍地の市区町村から管轄法務局に届書を持ち込む手続が不要となりまして,また,届出を受理した市区町村が入力したデータを本籍地の市区町村でも共有することができれば,現在重複している入力の事務負担も軽減することが考えられるところでございます。   参考資料10の裏面に,届書電子化後の届書保存の流れとして記載しております。表の面の左側に記載しておりました郵送,ポストのマークが消えております。表の面では,市区町村から管轄法務局に届書を送付することとなっておりましたけれども,これについても必要ないこととなっております。電子化によって郵送,送付といった手続が不要となる流れでございます。   そこで,届書類については,受理をした市区町村において内容を確認した上でスキャニングをして,国が構築する戸籍情報連携システム(仮称)に送信することで,現在行われている届書の送付事務を行わないとする試案については,おおむねこれに賛成する御意見を頂いたところでございます。   他方,戸籍の記載を要しない届書類,これは主に外国人のみを届出事件本人とする届書類が該当することとなりますけれども,現行制度においては,市区町村から管轄法務局に届書を送付する対象とはなっていないことなどから,現行の取扱いを当面,維持した上で,スキャニング,あるいは国が構築する戸籍情報連携システム(仮称)への届書データの送信は行わないとする中間試案を提示されたところでございますけれども,これに関しては,外国人に関する届書については,この記載事項証明書が日本に在留する外国人にとって親族的身分関係を証明する手段の一つになっていることなどを理由に,これに反対する御意見が寄せられたところでございます。   なお,この戸籍の記載を要しない届書は,外国人のみを届出事件本人とする届出のほかに,胎児認知届出等があるわけですけれども,本会議におきましては,中間試案に対して意見が多く寄せられました外国人に関する届書の取扱いについて御説明を致します。   資料の9ページ目の「2 外国人に関する届書の取扱い」の現状でございます。戸籍法は,日本に居住する外国人についても属地的効力によって適用されるところでございまして,外国人が日本国内で出生した,あるいは死亡したときには,届出人の所在地又は事件の発生した地で届出をすることが必要となっております。また,外国人同士が日本において婚姻あるいは養子縁組等の身分行為を成立させる場合については,戸籍法の規定に基づいて,所在地の市区町村長に届出をすることができることとされております。これらの届出がされた場合であっても,外国人の方については戸籍に記載しませんので,その届書類については,戸籍の記載を要しない届書類として,その届出を受理した市区町村長において保存するとされているところでございます。   この届書類については,その届出を受理したことについての証明書,あるいは,この届書の記載事項証明書として届出をした外国人の身分関係を公証するための機能を果たしているところでございます。受理証明書とは,届出をした届出人が請求できるものでございまして,その証明書の様式は,戸籍法施行規則の附録20号あるいは21号の書式により作成するものとされております。受理証明書の様式,戸籍六法の324ページにございます。附録20号書式,何月何日,受理したことを証明するという書式となっております。また,少し異なる様式で附録21号書式がございます。受理証明書が五つほど挙げられておりますけれども,婚姻届,離婚届,養子縁組,養子離縁,認知届の受理証明書,こちらは表彰状のような形式になっておりまして,体裁が立派なものになっております。これは,申請をされる方の御要望に基づいて,こういった受理証明書をお出しすることも可能であるとされております。   また,届書については原則,非公開とされているところでございますけれども,届書に記載されている事項に関する証明書については,利害関係人において特別な事由がある場合に限って請求することが可能とされておりまして,記載事項証明の書式は,戸籍六法の323ページ,附録17号書式として,「右の事項は届書に記載があることを証明する」という様式でございます。このような形式でも届書の記載事項証明の発行が可能なわけですけれども,実際には届書の全部を複写して届書の記載事項証明として交付することは差し支えないこととされておりまして,戸籍実務において届書の記載事項証明書といいますと,届書の写しの証明書を指すことが一般的となっております。   次に,届書類の公開について現状を御説明いたします。日本人の親族的身分関係につきましては,通常,戸籍の証明書によって証明がされますので,戸籍の記載の元となりました届書類については原則,公開しないこととされているところでございます。つまり,届書類を確認しなくても,戸籍を見れば身分関係を確認することができる,戸籍を確認することによって用が足りるところでございまして,届書については原則,開示する必要がないこととされているものでございます。   他方で,外国人については親族的身分関係を証明する場合,戸籍には当然,記載されていないわけですけれども,本来はその外国人の本国の政府の官憲によって証明されるべきであるところでございますけれども,そもそも本国政府への身分登録の前提として,本国から届書の記載事項証明書を提出するよう求められる場合もございまして,届書の記載事項証明書が外国人の親族的身分関係を証明する手段の一つとなっているのが現状でございます。   中間試案に対して寄せられた御意見といたしましては,日本に在留する外国人にとって,届書の記載事項証明書が親族的身分関係を公証する有力な手段となっていることから,外国人に関する届書の情報を戸籍情報連携システム(仮称)に送信して,外国人の住所地の市区町村において届書の記載事項証明書を請求することができるようにすべきではないかとするものがございました。   こういった制度を実現するためには,届書を受理した市区町村以外の市区町村において届書の情報を検索する必要が生じます。つまり,外国人の方が窓口にお越しになって,あのときこの市区町村ではない市区町村に提出した婚姻届について記載事項証明書がほしいと言われたときに,その申請があった市区町村の窓口でこの外国人の方の届書の情報が特定される,検索できる必要があります。   中間試案においては,電子化した届書類の情報につきましては,戸籍を記載する本籍地の市区町村,また受理地の市区町村に限って参照すれば足りるものと考えることで,届書類の情報を参照できるものといたしまして,届出事件の本人等の本籍地の市区町村の職員,あるいは届出を受理した市区町村の職員に限るとしたところでございます。   この趣旨によれば,仮に外国人に関する届書について,届出を受理した市区町村以外の市区町村において届書の情報を検索できるとした場合には,今申し上げましたような届書の情報を参照できる職員の範囲を制限している趣旨が没却されてしまう,つまり,届出を行った外国人が届出後,住所を移転される可能性がありまして,移転した先の市区町村で記載事項証明書の発行が認められるとする場合には,日本全国全ての市区町村で届書類の情報が検索できる必要があります。また,届書類の情報の参照については,日本人を当事者とする場合と外国人のみを当事者とする場合とで情報を参照できる職員の範囲を異にする理由も見いだし難いのではないかと考えております。   御説明の冒頭申し上げておりますとおり,外国人については戸籍に記載されるものではないことからも,届出を受理した市区町村の職員以外が情報を参照する必要性はないのではないかと考えられます。そこで,戸籍の記載を要しない届書類については,現行の事務同様,届書類を受理した市区町村において保管をして,届書類のスキャニングは行わないことを提案させていただいております。   次に,「4 届書類の保存」についてでございます。まず,届書類の保存の現状を申し上げます。戸籍の記載が終わりますと,月一度のペースで市区町村から管轄法務局に紙媒体の届書を持ち込んでいただいているところでございます。これは,戸籍の正本が滅失した場合に戸籍の正本を再製する資料として法務局でお預かりしている,あるいは民事訴訟,刑事訴訟などの証拠として利用される場合がある,ほかに,法務局において戸籍の副本と対照することによって戸籍の記載が適正に行われているかどうかを確認する,判断する資料として用いることがありますし,あるいは戸籍の記載に誤りが発見されたといった場合に,戸籍訂正の指示等を行う根拠の資料として利用されているところでございます。また,戸籍の記載を要しない事項についての届書類については,記載事項証明書をもって届出に係る身分行為,身分変動事実を公証される目的に利用されていることは先に申し上げたとおりでございます。   戸籍の記載を了した届書類のうち本籍人に関するものにつきましては,管轄法務局において27年間保存することが規定されておりますけれども,現在,戸籍事務は大半の市区町村においてコンピューター化されておりまして,戸籍の副本データが送信されている場合においては,副本データが送信されて5年間で届書類を廃棄することができることとされております。ですので,現在,戸籍事務をコンピューター処理している市区町村については,副本データが国のシステムに送信されてから5年間保存しているところでございます。また,非本籍人に関する届書類につきましては,届書を受理した市区町村において1年間保存することとされております。   戸籍の記載を要しない届書類については,届出を受理した市区町村において,婚姻,離婚といった創設的届出については50年間,出生,死亡といった報告的届出については10年間保存することとされておりまして,また,在日朝鮮人の方に関する届書類は当分の間,そのまま保存することとされております。   これらの届書類については,いずれも紙によって保存されているところでございますが,先に申し上げましたとおり,届書類をスキャニングして,その情報を国のシステムに送信することとした場合に,市区町村から管轄法務局に届書を送付して,管轄法務局において届書を保管する必要は必ずしもないのではないかと考えられる一方で,戸籍に受理記載がされ公証されていることからも,届出を受理した市区町村において保管することが合理的であろうと考えております。   もっとも,届書類のデータについては戸籍情報連携システム(仮称)で保管することとなっておりまして,戸籍情報が滅失した場合の再製資料として届書類を保管している現状を考慮しても,長期にわたって紙媒体の届書類を保管する意義は乏しいと考えられるところでございます。   一方,紙媒体の届書類については,裁判手続において証拠資料として利用される可能性があることも考慮する必要がございます。中間試案に対する御意見についても,日本弁護士連合会あるいは大阪弁護士会からも保存期間の短縮に消極的な御意見を頂いているところでございまして,また検察庁,警察庁からも短縮には消極の御意見を頂いているところではございます。   他方で,多くの市区町村において長期間にわたって紙の届書類を保管する場所を確保することについては,極めて困難であるのが実情かと考えられます。パブコメの意見においても,熊本市中央区から,届書の保存の在り方については,恐らくこれは管理に関する負担の観点からかと考えられますけれども,慎重な検討が必要であるとの御意見を頂いているところでございます。   そこで,こうした中間試案に対する御意見も踏まえて,紙媒体の届書類については届書を受理した市区町村において保管することを提案させていただいております。また,紙媒体の届書類の保存期間については現行,5年間がベースとなっておりますけれども,電子化したデータを国が保有している上に,更に長期間,紙媒体でも保管する必要があるのかについては,どのように考えるべきかを御議論いただきたいと考えております。   こちらからは以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。「第3 届書類の電子化について」は,基本的には外国人に関する届書の扱いの問題と,届書の保存に関する問題,大きな論点として二つあったかと思いますが,特に順番は決めませんので,自由に御質問,御意見を頂ければと思います。 ○大橋委員 外国人の取扱いのところについて,御説明を伺ってもしっくり来ないところがあるので,御説明いただきたいと思いました。というのは,外国人の方から見た場合に,現行の戸籍法がどういうことを要求しているのかという観点から見ると,届出はきちんと,先ほど属地的効力があるということで,してくださいということで,これで虚偽の届出をすれば罰則も受けるし,届出を怠れば外国人の方は罰則を受けるということなので,これは強制で届出をさせられています。それで,届出に基づいて出してきたものについては,役所はきちんと普通以上に長期間保存していて,その中身について外国人の方が受理証明なり証明をしてくださいと言えば証明書が出てくるし,その交付請求について不服があれば審査請求までできると,こういう仕組みになっています。ですから,普通の日本人の戸籍に関しての仕組みの横に,私から見ると,外国人の方についても公証の仕組みが法律に基づいてしっかりできているように見えるのです。   そうすると,素朴な疑問として,もし日本人の方について広域交付というようなことが可能であるとすれば,せっかく作った仕組みをどうして,ここまでやっている外国人についてやらないのでしょうかという疑問が出てくるのは,これは当然かなという気がします。多分,これがパブコメで出てきた背景かなと思うのです。そこについての説明としてはまだよく分からないところがあります。分かりにくいことの根幹は,日本人の場合には戸籍という帳簿があって,戸籍に対しての届出という二元主義になっているのですけれども,外国人の方の場合には,この戸籍にはあなたたちは書きませんということになっているので,公証の対象自体としての公簿に当たるものも届出と呼んで,それを出すときの附属資料も届出と呼んでということになるなど二重なので,届書の取扱いを議論していくと,日本人の場合の届出と外国人の方の場合の届出書類というのは,少しニュアンスが違うものまで含んでいるような気がします。多分そこのところが,もやもやしてすっきりしないところがあると思うので,そこについても説明というか,答えを用意する必要があるのかなというようなことを今日,考えながら,聞かせていただいたということです。 ○窪田部会長 事務当局から,何かございますでしょうか。   恐らく,御説明の中では,日本人の場合には届出書類の相互の参照はしていないということだったかと思います。ただ,戸籍に最後,記載されたものに関して言うと,電子データとして戸籍情報連携システム(仮称)の中に上がるのに,他方で戸籍という仕組みがないけれども届出については全部規律されていて,戸籍法の中でも規定されている外国人について,日本人に関して届出書類の相互参照がないから,届出書類しか手掛かりがないものについて,相互参照がなくても仕方がないでしょうという説明で十分なのかという御指摘を含んでいたのではないかと思うのですが,この辺りはいかがでしょうか。 ○北村幹事 そもそも前提として,外国人の身分関係が生じた場合,本来はそれは本国で証明されるべきものであろうと考えています。その前提の上で,日本国内にお住まいの方が何らかの身分関係が生じた場合には届けていただく,そして,その際にそれぞれの適用すべき法律を踏まえた上で受理できるとなった場合には,受理の証明書もお渡しして,それを前提に本国での登録をしていただくという,そちらで公証していただくというのが本来なのかなと。   なので,実際に外国人の方に対して届書が受理できたということでの証明書をお出ししている,あるいは過去に行った,あるいは親が行った親の身分行為について,証明するものが今ないのでということで,便宜,届書類の記載事項証明という形でお出しはしていますけれども,それは副次的なものなのかなとは思っております。そういう意味からして,戸籍に記載をしない外国人同士,記載する必要のない届書類について,そこまでの手当てをする必要がないというのと,新たに外国人についてまた別途,新たな帳簿等を作るのと同じような作業をするのも適切ではないと考えての,今回のお示しになります。そうだとしても,従来どおりの受理,不受理の証明書はその市区町村で出すことができますし,その市区町村で受理したところでは記載事項証明を出すことができるということですので,今より何か不利益になるということではないとは考えております。   実際のところなのですけれども,通常,身分関係の証明などにお使いになるとした場合には,御本人が届け出られて,その場で受理証明を受け取られて,それを持っていろいろなところに証明されるというのが通常で,届書類の記載事項証明が,本国に登録するというのはまた別かもしれませんけれども,日本国内で必要になってくる場面というのはそう多くない,むしろ親の関係とかを証明したいとかそういった場合に取られるというのが多いのかなと思っていまして,現行であれば,届け出られたときの受理証明というものが正しく出せれば,そこで対応可能なのかなとは思っております。 ○大橋委員 制度的には副次的なものだということなのですけれども,ただ,これだけ国際的な連携が行われていて,外国で特定の国が期待してこれだけの運用をしているということになると,本当にそういうことで大丈夫なのかなということです。やはり,当初のような説明の仕方をすると,理論的に外国人についてはあり得ないということのように私には聞こえたのですけれども,そうでもなくて,むしろ,今おっしゃったように,実際に必要性がここのところはないので,ここについての検討というのは後にしますという説明だったらまだ分かる気がします。ですけれども,本当にこれは理論的にないということを言ってしまうと,金輪際,検討の芽は除かれてしまうような気がするのです。けれども,私は本当にそうかなという気がしたことと,自治体の職員の方からしても,外国人の方が増えて,今も受理証明をやっている,こういう実態があったときに,新しい仕組みを使いたいとかというニーズはないということでいいのかです。私は現場経験がないのですが,むしろ載せてほしいというような意見というのはないのかなと考えながら聞いていたのです。そういうところも踏まえての政策判断ということであれば理解できますけれども,本当に理論的に説明がつくのかというところについては,まだよく分から部分が残ります。 ○窪田部会長 最後の点に関して言いますと,ここで振られても困るのではないかと思うのですが,市区町村の窓口という観点から言ったら,どうなのでしょうか。 ○落合幹事 今の制度で十分かどうかというのは,今後によるのでしょうけれども,ただ,一方では,電子化して相互に利用する,どこの自治体でも利用するということについては少し,いかがなのかなという,個人情報の兼ね合いですかね,そことのやはりバランスになってくるのかなとは思います。戸籍に当たるものができるということも考えにくいですので,何かいい仕組みがあればというようなレベルかなというように聞いておりました。 ○窪田部会長 その前に,大橋委員からの御指摘としては,説明の問題としても,本来,身分関係について公証するのは本国法であって,届書の内容についての証明というのは,ある意味では副次的なものにしかすぎない,あるいは,実際のニーズもそれほど大きくないのではないのかという説明であれば分かるけれども,ここに書かれているような形の,言わば理論的にないのではないかという説明だと少し,それでいいのだろうかという御指摘もあったと思いますので,その説明の仕方も含めて,もう少し検討いただければと思います。 ○久保野幹事 今のお話に重なってしまうので,申し訳ないのですけれども,現在やっていることについての確認ということになってしまいまして,改正に向けての課題というのではないという前置きも付けさせていただきますが,先ほど大橋委員の方から,属地的な効力があって,届出義務があって,罰則も受けるということだというお話があったのですけれども,9ページの2の説明ぶりでは,4行目までの出生,死亡については届出を要すると書いてありまして,5行目のところから,婚姻や養子縁組等については戸籍法の規定に基づいて届出をすることができるとなっていて,そして,規定というのが何かというのもよく分からないのですけれども,そのこととの関係で,例えば婚姻を例に挙げたときに,しなくてはならないのか,しなかったとして,罰則というようなことになるのか,したとして,この受理証明書の話につながっていくのだと思うのですけれども,先ほど御紹介がありました受理証明書の文言を見ますと,よってここに法律上,婚姻は成立したことになるという文言が入っていまして,この文言だけ見ますと,あたかも日本国がこの人たちの間に婚姻が成立したということを証明しているように,日本国になるのかどうか,細かいところは分かりませんけれども,そのような証明書に見えるということがどういうことなのかというのをまず確認したいというのが質問の趣旨です。   それに付随しまして,婚姻が成立したと証明するところまでの意味はないと仮にしましても,先ほど御説明の中で,受理の際に結局,その届けている方々にどこの国の法律が適用になるかといった問題があるところ,ある程度,その実体判断というか,そういうものをして,受理できると判断したら受理するという御説明があったと思うのですけれども,そういう意味では,受理の時点で,その方々に適用される法律によれば婚姻は成立しそうだから受理するというようなことを一定程度,判断はしているということでよろしいかという点についても,併せて教えていただければと思います。 ○窪田部会長 その点は,是非御説明をお願いできたらと思いますが。 ○田中関係官 出生,死亡のときに届出をしなければならないということについては,報告的届出と,事実が現に発生しておりますので,それについては届出をしなければならないというのが戸籍法の規定でございます。婚姻とか養子縁組については,したいと思う人が届出をするというところでございますので,こちらに書いております,外国人同士が日本において成立させる場合というのは,飽くまでも日本方式での成立のことでございまして,それは成立をさせようとする場合については届出をすることができるということでございます。日本方式によって身分関係が成立した場合ということにつきましては,正に久保野幹事からおっしゃったとおり,受理証明書ということで,法律上婚姻が成立したこととなるというようなところも,それは可能なのだろうというところでございます。 ○新谷委員 実務的な話で今,御質問があったのですが,私が捉えたのは,要するに,外国人が日本で婚姻を成立させるためにはどうかという話,形式的成立要件と実質的成立要件の問題ではないかと思うのですが,形式的成立要件については行為地の方式,日本法でいいという話になっているのが,法の適用に関する通則法の24条で,いわゆる渉外的な婚姻,外国人同士の婚姻については外国人の本国法によるということになりますので,その本国法の審査をするというのが条件ですね。それで,本国法の要件を審査する。そのためには,本国法が承知しなければいけないわけですけれども,それで,本国法で具体的にこういう,例えば婚姻年齢ですとか,婚姻禁止事項が何かとか,重婚は無効だとか,重婚は禁止だとか,いろいろな規定があります,それをクリアするために便宜的には要件具備証明書というものをその外国人の方から,本国官憲の証明するものを付けていただいて,それで判断をして,Aという国の者の甲さんと乙さんなのか,A国とB国の人だと,A国の本国法とB国の本国法でそれぞれ要件が具備されているから,これを認めましょう,それで,行為地法,日本法でということになりますので,それで成立をするという,法の適用に関する通則法に基づいて市区町村の窓口では具体的な審査をしていて,それでこういう証明書を出しているということだと思います。 ○久保野幹事 ありがとうございました,よく分かりました。その限りで判断をして,有効に成立したということを判断しましたということを正に証明しているということになるということで,理解いたしました。 ○窪田部会長 私も半ば分かったような気はするのですが,本国法が日本みたいな形の届出婚主義を採っていない場合,どうなるのかなとは,そもそも思ったのですが。 ○新谷委員 儀式婚の場合も当然ありますので,儀式婚であれば,例えば日本にある儀式婚の国の領事館なり大使館に行ってやってもらうとか,例えばイスラム寺院の中でイスラム教徒同士がそこで挙げると,それはイスラム方式で成立していますから,それは届出はないということになる。飽くまでも,外国人に関する届出で市区町村役場に出されるのは,先ほどおっしゃいました,日本の方式で婚姻が成立するときは日本法による。だから,外国人同士が,例えばA国とB国の外国人がA国の大使館で成立すれば,それはもう婚姻が成立したと認められれば,それは日本で関与するところではありませんので,それは届出はないということになります。飽くまでも,外国人に関する届出で,婚姻に関して言えば,日本法の,いわゆる行為地法でその外国人の本国法に基づいた婚姻要件が具備されている者同士の婚姻が成立したという証明書だという理解でよろしいのではないかと思いますけれども。 ○窪田部会長 分かりました。 ○久保野幹事 今の点との関係で,細かい話ですけれども,ここで身分関係を公証するという言葉が,日本人の例についての意味とは違う意味になるのではないかという気がしますので,その点についても説明を補っていただくといいのではないかと思います。 ○窪田部会長 少し国際私法の問題も多分,入ってくると思いますので,その点も確認しつつ,ここでいう確認の意味といいますか,公証するということの意味,久保野幹事からも御指摘があったとおり,少し言葉,あるいは内容についても検討いただければと思います。   ほかに,いかがでしょうか。 ○三橋幹事 外国人の話から少し離れますが,先ほどからしつこいようにシステムと規律の問題を申し上げているのですけれども,戸籍の事務の効率化ということで,届出の事務の効率化ということも恐らく誰も異論がないはずのもので,それをどういうふうにデータをやり取りをして,どの範囲で保管,保存,誰がそれをするのかとかということをきちんと制度化をどうするかということが,恐らくメーンの議論だろうとは思います。   私も,例えば参考資料10で示されました届書電子化後の届書保存の流れという形で,それまで市区町村が郵送とかでしておりました本籍地と届出地とのやり取りをこのシステムで省力化できますよという形で,内部事務を合理化するということは非常にいいことだと思いますが,その一方で,戸籍情報連携システム(仮称)というのは元々,マイナンバーとの連携のために,各市区町村が持っている正本が,副本として国が持っているものを情報を集めて作っているという性質のものであって,恐らくこのやり取りの中ではLGWANを介した届出のやり取りをしますけれども,マイナンバーそのものは使われていないとは理解をしておりますけれども,それに対応する内部管理番号なり住基コードなりという形で恐らくやり取りをするのであろうとは理解をしておりますが,その上で,届書を市区町村間で省力化するために戸籍情報連携システム(仮称)を媒介にしてやり取りをするという形で省力化するというイメージなのですが,今日の議論で拝見しますと,特に,戸籍に記載すべき事項について入力されたデータを共有するというふうな表現が出てきておりますし,届書の情報,副本を元々,基に作っているこのシステムであると思うのですけれども,これから日々生じていく届出情報を画像で保管をしていく,ためていくというふうなことをイメージされているように見受けられるのですが,それはどういう規律の下に置かれるのかというところに少し関心がありまして,そもそも届出書類を国に送るということ自体が,何か根拠が今あるのか,それともこれから根拠規定を作るのか,それから,画像データも含めてシステムで管理するということについての個人情報保護とか規律をどうするのかというところはどうお考えなのかということを確認をしたいと。   端的に言いますと,この届出情報で,例えば,怪しい届出がないかということで犯罪捜査とかに,ある期間からある期間にこの人の届出というのがどんなものなのかというような形で犯罪捜査とかに使われていく可能性があるのかとか,そういうことはどういうふうにお考えになっているのか,そういうことはしないというふうな規律なり制度化をするのか,どうするのかということを確認したいのですが。 ○窪田部会長 その点については,いかがでしょうか。 ○櫻庭関係官 今の点につきましては,届書自体は今まで市区町村の方でいろいろやり取りしていたわけですので,今回,戸籍情報連携システム(仮称)の方で管理することになると,根拠規定が要るだろうとは考えております。ですので,今後そういった届書を送信して戸籍の記載をするといった,この仕組みを作る上では,届書の管理についての根拠規定を置くと。   最後に,犯罪捜査に使われるかどうかというのは,どういう場面でそうなるのかというのは分かりませんけれども,実際,その届書のデータというのがもし必要であれば,それは届書のデータを活用するということは一つ,考えられるのかなと思います。具体的に余りイメージが付かないので,必要に応じて検討したいかなと思います。 ○北村幹事 届書自体を国に送る,それ自体は今も法的な根拠があって法務局に送られているものですが,それを電子的な形で管理するための根拠規定というものを設けようというものになります。もう1点,犯罪捜査に使うのかどうかと,我々はもちろんそれを犯罪捜査のために使うわけではない。仮に捜査機関がもしお使いになるということであれば,法的な根拠の下に,それは裁判所の令状等を取ってされるものであって,それはほかのデータとも変わらないものであろうと,それは法的な根拠の下にされるべきものであって,我々が何かそれで捜査をするというものではない,正に戸籍の事務に使うために,従来どおり,国,法務局に送ってもらって,それを市区町村の戸籍事務に活用するというものになると,そういう理解をしております。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。 ○三橋幹事 そういう意味では,犯罪捜査の場合は特別な規定が必要だということだと思うのですが,戸籍事務内連携で使うということを前提にして,恐らくこの仕組みというのは作られていると思いますので,それを越えてやはり使われるということになれば,確かに根拠規定がほかにあるのかもしれませんけれども,やはり利用の範囲なり活用の範囲というのは,ある意味,システムを作る側でも規律を定めておかないといけないのではないかというふうな気がしております。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。 ○阿部幹事 また同じ,関連だと思うのですけれども,単に頭の整理というか,私も聞いていて思ったということなのですが,やはり多分,データで送るので,データになっているというところでとまるので,多分,話がかみ合っていないというか,データで送るのですけれども,それを使った瞬間に,やはりそれは,要はどういう範囲で,つまり,例えば,今おっしゃっている戸籍事務内連携という名前なのですけれども,それが,送られた書類は電子的かもしれませんが,それが実際に外に対して情報として出ていくということになったときに,それは事実上,台帳があるのとある意味では同じということだと私は理解をしていて,そうすると,結局,先ほども犯罪捜査の話がありましたけれども,あるのだったら出せとなったときに,今までだったらなかったので,出せませんという話なのですけれども,恐らく,言われたときに出せという話になったときに,それは出さざるを得なくなるのかどうかですね,つまり,それは誰がどういう責任で出すことになるのか,元々は市区町村のものだけれども,それは法務局にも送っているので,法務局の責任で出すのか,誰がどういう責任で出すのかという辺りを多分,考えなければいけないということではないかと理解しました。 ○北村幹事 現在でも法務局に送られていますので,法務局にあれば,裁判所の捜索差押許可状,令状を取って,差押えがあればお出ししますし,裁判所からの調査嘱託があれば法務局の方からお出しをしている,その規律に乗っていくのかなとは思います。 ○三橋幹事 当然,令状があるというのはよく分かっているのですけれども,やはりデータで持つということの危険性というのは検索可能性が高まるということなのです。ですから,マイナンバー制度も非常に慎重に分散管理と利用範囲の制限というのを厳格に法律で書いてきているわけなので,ですから,当然この人に対する犯罪捜査の証拠として押さえたいというもので令状付きで入ってくるというのは,それはあると思います。それは恐らく,その規律の下に従うのだろうと。ただ,私たちが懸念しているのが,例えば,ある一定の範囲で怪しい人は誰か,みたいな検索というのが行われるのか,行われないのか。それって,例えば犯罪の防止とか予防とか,そういう形の中で,ややおかしな届出をしている人がどのくらいいるのかとか,いるのではないかとかというふうな形で析出されるというふうな懸念というのがないように,こういうものを作らなければいけないということを申し上げたかったということです。 ○窪田部会長 戸籍の事務内連携自体については,どういうふうな目的でデータを利用するのかということについては,当然,規定が置かれると理解していますが,それはそれでよろしいですね。 ○磯谷委員 今,三橋さんがおっしゃったところと重なるのですけれども,先ほどから事務当局の方は,法務局に送っているという話ですけれども,それは飽くまでもそれぞれの管轄法務局でばらばらで持っていた話だと思いますけれども,今回はそれが全て一か所に集積されるということなので,やはりかなりそこは違うのだろうとは思います。また,データの持ち方というのも,単に本当に画像だけなのか,そうでもないのかというところもよく分からないところがあって,今,OCRとかでも非常に,画像から文字情報にも容易に転換できるものですから,そういう意味では,その扱いについては慎重になる必要があるのだろうと思います。   以上は意見なのですけれども,これとは別に二つお願いがありまして,1点目は,戸籍情報連携システム(仮称)というものが,最初はマイナンバー連携のための情報を集めておいて,そこでマイナンバーを使って,結局は機関別符号ということになるのでしょうけれども,情報を取る,そういう窓口というイメージで来たわけですけれども,中間試案でもありましたが,届書もここに保存すると。そうすると,アクセスできる人も全く違うわけですよね。つまり,戸籍情報連携システム(仮称)という一つの名前を冠してはいますけれども,実は中は結構,全く別のものがあるのかなというイメージになってきていて,さらには,今日,広域交付のお話も出てきましたけれども,そこでも,決め打ちではないとは言いながら,戸籍情報連携システム(仮称)を使ってというふうなところもあって,そうすると,それもまた多分,性質が異なるものが入ってくる。だから,戸籍情報連携システム(仮称)というのが,実は結構,全体像を捉えにくくなっているような気がしているんです。ですから,次回で結構ですので,戸籍情報連携システム(仮称)というのが全体的にどういうふうな仕組みになっているのかというのを,どこかで少し整理をしていただく必要があるのではないかというのが1点目です。   それから,2点目は,すみません,少し話が変わりますけれども,届書類の保存期間の話で,先ほど日弁連の意見等につきましても御紹介いただきました。実務的に,私個人としては,この届書類の閲覧謄写を申請したという記憶は余りないのですけれども,周囲の弁護士でも余り,やはり多くはないようでありまして,ただ,あっても,調査嘱託とかその他の方法で写しを出していただくという程度で,原本をというのは現実には経験は余りないようなんです。これは研究会のときにも確か話が出ていましたけれども,やはり捜査当局が恐らく一番,例えば,使われているインクの質であるとか,あるいは指紋が付いているのか,付いていないのかとか,そういった原本を参照する必要性が高いのかと思うのですけれども,現実にどのぐらいの事件でこういったものの,特に原本を参照しているのかとか,それから,保存期間との関係からすれば,そういった原本を確認する必要性というのが比較的短期間のうちに生じているのか,あるいは必ずしも実はそうではないのかとか,その辺りの具体的なお話が出てくると,なお議論がしやすいと思うのです。やはり市区町村の方が膨大な届書類を保管し続けるというのは確かに結構大変なことでもあると思うので,その辺りのバランスを考える意味でも,是非,捜査当局の方の具体的なニーズというのを出していただけるとよろしいのではないかと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。ただいまのは,むしろ次回に向けての検討課題として取り扱わせて頂きたいと思います。具体的にお示しいただきましたので,是非それを踏まえて,どこまで具体的に明らかにできるか分からない部分も,特に2番目の点についてはあろうかと思いますが,事務当局の方で御検討いただければと思います。 ○北村幹事 2番目の点につきましては,我々の方もやはり関心が非常に高いところでありますので,お願いをしているところではあります。今日の御議論を踏まえて,今の御意見を踏まえまして,さらに関係各所にはお願いをしたいと思います。 ○窪田部会長 よろしくお願いいたします。 ○大橋委員 今のことについて,全く同じ問題意識でして,戸籍からしてみたら,やはり届出書類は戸籍記載するための資料で,その後,本当にこれでよかったかと見直す資料なので,そこから当然,保存期間というものがある程度要請されてきます。これが戸籍サイドの考え方です。それに対して,いや,もう少し持ってくださいという方がいるのであれば,それは,どういう必要があるからこれをもう少し持つのかを言っていただく必要は当然あると思うのです。ですけれども,裁判手続の利用とか,警察,検察での利用とかというのが本当にどれくらいのものなのかということがはっきり議論の中に出てきていなくて,他方で,全国の市区町村のスペース問題というのは極めてリアルに不利益が出てきている状況なので,ここは議論を本当にしにくいところなのです。そちらの方のデータも出していただいて判断いただく必要があるのかなと,私もずっと思っていた点です。 ○窪田部会長 その方向で,是非具体的な,やはり議論の手掛かりが得られればと思います。   ほか,いかがでしょうか。   それでは,以上,第1から第3まで御検討いただきまして,ありがとうございました。   それでは,次に,次回会議の日程等について事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 次回ですけれども,本年の9月28日金曜日,時間は13時30分からを予定しております。開催場所につきましては,また後日,メール等におきまして御連絡をさせていただきたいと思います。 ○窪田部会長 それでは,本部会の第8回会議は以上で閉会にさせていただきたいと思います。熱心な御審議を賜りまして,誠にありがとうございました。 ―了―