法制審議会戸籍法部会 第10回会議 議事録 第1 日 時  平成30年11月2日(金)    自 午後 1時30分                          至 午後 4時07分 第2 場 所  法務省第一会議室 第3 議 題  戸籍事務へのマイナンバー制度導入のため更に検討を要する事項について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○窪田部会長 それでは,予定した時刻がまいりましたので,法制審議会戸籍法部会の第10回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   本日は,大橋委員,須藤委員,衣斐幹事,澤村幹事が御欠席と,事前に伺っております。また,小野瀬局長が少し遅れて来られます。   それでは,本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。   事務当局からお願いをいたします。 ○杉浦幹事 お手元に配布資料目録,議事次第,配席図,委員等名簿を配布させていただいております。また,事前に,部会資料10と参考資料24をお送りさせていただいておりますが,そのほかに,席上配布資料としまして参考資料25,これは「コンビニ交付と広域交付との比較」というもの,さらには「戸籍情報連携システム(仮称)等のイメージ」と題する資料,「戸籍の届書類を刑事訴訟手続に用いる場合について」と称する資料,「広域交付の請求権者について」と題する資料について,お手元にお配りしております。不足の資料等ございましたら,事務当局までお申し付けいただければと思います。   配布資料の御説明は以上です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは,審議に入りたいと思います。   本日は,戸籍事務へのマイナンバー制度導入のため更に検討を要する事項について御議論を頂きます。   まず,部会資料10の「第1 本籍地以外での戸籍証明書の交付(いわゆる広域交付)について」,事務当局から御説明お願いいたします。 ○櫻庭関係官 それでは,戸籍法部会資料10「戸籍事務へのマイナンバー制度導入のため更に検討を要する事項(5)」という資料を御覧いただきたいと思います。   「第1 本籍地以外での戸籍証明書の交付(いわゆる広域交付)について」ということで,1の現状等の(1)の現状について御説明いたします。   現状につきましては,第8回部会でも御説明させていただきましたので,ポイントを絞って御説明したいと思います。   現状,戸籍証明書の交付請求につきましては,請求理由を明らかにする必要がなく,本人,配偶者,直系尊属,そして直系卑属という,いわゆる本人等が請求できる本人等による請求というものと,請求には各種の要件を満たす必要がある本人等以外の第三者による第三者による請求という,大きく二つの類型がございます。   戸籍証明書は,本籍地市区町村に対し交付請求することになっておりまして,本籍地以外,いわゆる非本籍地ですけれども,の市区町村に対して交付請求する仕組みはございません。このため,転籍等があった場合には,それぞれ本籍地の市区町村に対し交付請求をすることになっておりまして,従前戸籍や相続手続によって被相続人の戸籍証明書を収集する場合には,収集に相当の時間と費用を要しているという状況になってございます。   この点について,(注1)を御覧ください。   戸籍事務につきましては法定受託事務とされておりますけれども,戸籍法上,具体的な管轄規定は置かれておりません。戸籍の届出につきましては,本籍地市区町村はもちろん,本籍地市区町村でなくとも受理ができるとされておりまして,戸籍事務は本籍地市区町村以外でも広く行われていると言えます。もっとも,戸籍証明書の交付請求をするという仕組みにつきましては,現在の戸籍法の体系が紙の戸籍を前提とした帳簿である戸籍簿を念頭に構成されておりまして,物理的な戸籍簿がある本籍地市区町村に対してのみ請求できるという整理になっていると考えられます。   ここで,法務省が実施している事務として,独任官庁である各登記官に事務が分掌されています不動産登記事務がありますが,これについても若干御紹介させていただきたいと思います。   不動産登記簿につきましても,これは,平成16年の改正があったわけですけれども,それまでは,紙の登記簿を前提にしていたということで,そういった時代には不動産の所在地を管轄する登記所の登記官のみに請求することができるといったことが一般的であったわけですけれども,不動産登記事務のコンピュータ処理化が進みまして,登記簿が磁気ディスクをもって調整されまして,登記所間がネットワークで連携しているという現状では,登記官相互に事務を委任し合っているという考え方を採ったり,あるいはそのように擬制するといった規定を置いたりしなくても,請求に係る不動産の所在地を管轄する登記所以外の登記官に対して請求するということができるとされています。いわゆる,戸籍でいう広域交付みたいなものが,不動産登記の証明書については既に実現しているということでございます。   2ページでございますけれども,続きまして,2ページの(2)対応策について御説明いたします。   この点につきましても,第8回の戸籍法部会で御説明させていただいておりますので,ポイントのみ御説明させていただきます。   真ん中にゴシック体で記載されていますとおり,相続対策に資するという点でも,本籍地以外の市区町村において,一定の場合に戸籍証明書を交付する広域交付を認めてはどうかというのが御提案でございます。具体的には,現在市区町村が戸籍の正本を管理している戸籍情報システムにおきましては,市区町村間の連携ができないことから,国が現に全国の戸籍の副本を管理しております戸籍副本データ管理システムの仕組みを使って構築することを想定しております戸籍情報連携システム,仮称でございますけれども,この仕組みを活用してはどうかというのが提案の基礎になっております。   ここで,席上配布資料といたしまして,「戸籍情報連携システム(仮称)等のイメージ」という資料を御用意いたしましたので,こちらを御覧いただきながら全体の中身について御議論させていただきたいと思います。   これは,以前もこの戸籍法部会で説明の要望があったということでございますが,現在検討中というふうなことのイメージでございます。飽くまでも検討中のものですので,席上配布という形にさせていただきましたが,この場の委員限りのものとして御理解いただければと思っております。   それでは,この戸籍情報連携システム(仮称)の方でございますけれども,これは,国で管理する予定の戸籍情報連携システム(仮称)のイメージを示したものになっております。大きく分けまして,左側半分の緑色のパート,「①ネットワーク連携」と書いてございますが,そこのパートと,真ん中から下の方に「②戸籍事務内連携」と書いてございますが,この戸籍事務内連携,二つのパートに分かれていると考えられます。   それでは,まず,②の戸籍事務内連携の部分を御覧ください。   こちら,市区町村が二つございます。A市の方が非本籍地,B市の方が本籍地ということで,いずれも戸籍情報システムを使用して事務を行っております。便宜,現在の仕組みと法改正後の仕組みについて分けて御説明させていただきます。   まず,現在の運用のお話をさせていただきますと,各市区町村の戸籍情報システム,この場合でいいますとA市,B市ということでございますが,このシステムはスタンドアローンで運用しておりますので,現在はA市とB市とで戸籍事務がネットワーク化されておりません。したがいまして,非本籍地のA市で戸籍の届出が出されますと,A市は審査を行い,受理する場合には届書の情報などの情報を入力した上で,届書の紙媒体を本籍地のB市に送付いたしまして,B市は改めて審査を行った上で戸籍等の情報を入力いたしまして,B市が管理する戸籍情報システムにおきまして戸籍情報を記録するということになります。これで戸籍が出来上がるというふうなことでございます。   そして,本籍地のB市の方で管理されるわけですけれども,記録された戸籍情報につきましては,一つは正本データとしてB市で保存し,もう一つは,副本データを作って,国の戸籍副本データ管理システム,右の上の方に書いてございますけれども,この既設の戸籍副本データ管理システムに送信されるという仕組みになってございます。戸籍情報システムで管理する正本データにつきましては,こちら,「テ」,「画」と書いてございますが,テキストデータと画像データという意味でございます。同じく副本データ,右上の戸籍情報(副本)の所にも,「テ」,「画」とありますけれども,これも同じくテキストデータと画像データがあるという趣旨でございます。これが,正本の戸籍情報のテキストデータ,画像データが副本データ管理システムの方に行って管理されていると,ここまでが現行の仕組みという話でございます。   次に,今回の戸籍法改正によって,戸籍情報連携システム(仮称)を構築した場合に,この戸籍事務内連携をどうしたいかというふうな,そういった仕組みについて御説明いたしたいと思います。   まず,非本籍地のA市が届出を受理いたしますと,その届書をスキャナーで読み取りまして電子化いたしまして,この図の上の戸籍事務内連携サーバを通じまして,市区町村連携管理サーバを通りまして,真ん中の赤い枠で書いていますけれども,戸籍情報管理サーバ群と記載されているサーバ群の中の届書ファイルに保存するということになります。これを本籍地のB市が,戸籍事務内連携サーバを通じて参照することを可能にいたします。こうしたことで,現在は届書の郵送が必要ですけれども,郵送処理が不要になると考えてございます。   参考までに申し上げますと,今御説明しました市区町村連携管理サーバというのは,法務大臣の保有する連携情報,ここでいいますと戸籍情報管理サーバ群で保全しておりますけれども,これと副本データとの連携制御や,あるいは市区町村との情報連携制御を行うサーバになっております。また,戸籍事務内連携サーバというのは,市区町村の戸籍情報システムと連携を行うために,現在LGWANでいろいろやっているわけですけれども,そのLGWANに接続されるサーバというふうなことになります。機能面としましては,戸籍情報の連携に係る各種APIの提供,安全措置として戸籍事務を適正に行うための総合認証と,又は不正アクセスを制御すると,こういった機能などがございます。   非本籍地のA市の審査におきましては,本籍情報を確認するということで,この戸籍副本データ管理システム,既設ですけれども,の戸籍情報の副本を参照いたしまして,受否の決定をいたします。非本籍地のA市が入力作業を行った届書情報につきましても,テキスト情報として活用できるようにいたしますので,本籍地のB市では,戸籍を記録する前に一から届書情報を入力する必要はなくなりまして,A市が送信したこの届書のテキスト情報を使って戸籍を記録するということが可能になるなど,事務の省略化を図るということが期待されております。非本籍地のA市で受理されました届出につきましては,戸籍情報管理サーバ群の届書情報を市区町村連携管理サーバ及び戸籍事務内連携サーバを通じて参照し,本籍地B市においても審査を行いまして,B市の戸籍に記録されますと,これが戸籍副本データ管理システムに送信され,戸籍の副本情報が更新されるということになります。   以上が,戸籍事務内連携の説明ということになります。   続きまして,左側の緑色の方ですけれども,ネットワーク連携について御説明いたします。   緑色の下の方に,御覧いただきたいと思いますけれども,現在マイナンバーを使える事務として,社会保障,税と災害といった事務がございますけれども,この窓口におきまして,私人が申請等を行う場合,マイナンバーを提供いたしますと,戸籍証明書の添付が不要になると,こういったものでございます。   ネットワーク連携に必要な情報は,ネットワーク連携サーバ(中間サーバ相当)となっておりますが,ここのいわゆる中間サーバと言われる情報提供DBに格納されまして,総務大臣が管理します情報提供ネットワークシステム,これは情報提供NWSと書いておりますけれども,ネットワークシステムを通じて行政機関に提供されます。戸籍証明書の代わりになりますこの戸籍のデータにつきましては,戸籍情報連携システム(仮称)とこの情報提供ネットワークシステムを通じて,マイナンバー利用事務を行う行政機関に提供されるということになります。情報提供ネットワークシステムに提供される情報につきましては,基本4情報以外の情報となりますので,情報提供DBには,本人確認に必要な氏名,生年月日,性別,住所といった情報は含まれませんが,提供される戸籍情報は特定の個人の情報となりますので,ネットワーク連携側と個別の戸籍システム側の間には,強固なファイアウォールが必要であると考えられております。   この緑色の部分がマイナンバー制度の情報提供に関する仕組みということになると考えられます。   次に,マイナンバー利用事務を行う行政機関に提供される戸籍情報は,どのように生成されるのかという点について,順に御説明いたします。   戸籍情報につきましては,市区町村の戸籍情報システム,下の方ですけれども,を使って正本データと副本データを生成いたしますが,副本データは国に送信されます。これは,戸籍の再製等のためでありますが,東日本大震災の教訓を踏まえまして,現在,東と西にセンターを設けまして,国が戸籍副本データ管理システムというシステムを通じて管理しております。この既存の仕組みを使って,マイナンバー制度の下で行政機関に提供する個人単位の戸籍情報を生成するということを想定しております。   右上の戸籍副本データ管理システムに集められました戸籍情報につきましては,戸籍編製の単位としまして,1組の夫婦と氏を同じくする子単位に編製されておりますけれども,市区町村連携管理サーバというサーバを通じまして,個人ごとの情報に振り分ける作業が必要になります。個人単位に振り分けられました情報は,個人統合戸籍情報として管理されまして,ここから基本4情報以外の記号等でやり取りする情報提供ネットワークで情報連携ができるような親子関係記号ですとか夫婦関係記号といった,親族的身分関係情報を生成いたします。これが,ネットワーク連携側のデータを直接的に操作できない形でサーバを経由して,情報提供DBに送られまして,ネットワーク連携でマイナンバー利用事務を行う行政機関に提供されるということになります。図では,要所要所に各種のサーバが配置されておりますが,それぞれ直接アクセスによる不正なリクエストを防止するために設定されておりまして,赤色の二重線というのがセキュリティの境界になると想定しております。   これが,戸籍情報連携システム(仮称)等のイメージということになります。   本文の方に戻っていただきたいと思いますけれども,3ページの(注3)がございます。   こうした戸籍情報連携システム(仮称)を活用いたしまして,証明書を本籍地以外で発行すると,そういった広域交付をする場合の方法としましては,一つとしては,市区町村の戸籍情報システムの情報から出力する方法,正本データから印字する方法等ということと,もう一つは,市区町村が作成,送信した副本データで構成され,国が管理する戸籍情報連携システム(仮称)の情報から出力する方法,これは副本データから印字する方法が考えられるところです。   イメージ図の方に戻っていただきまして,イメージの方で申し上げますと,非本籍地であるA市に広域交付の請求がされた場合には,正本データを利用する場合には,B市の戸籍情報(正本)のデータを活用し,そのデータを元に印字するということが考えられます。副本データを利用する場合には,戸籍副本データ管理システムにある戸籍情報の副本のデータを元に印字するというふうなことが考えられます。   この点,紙の戸籍をつづった紙の帳簿である戸籍簿しかなかった時代には,その戸籍簿の写しとしての戸籍謄抄本が作成されておりましたところ,戸籍事務のコンピュータ処理化が進みまして,全国の99.79%の自治体が戸籍簿を磁気ディスクで管理している現在では,戸籍の内容はディスクに記録されています記録事項を証明する,いわゆる戸籍証明書によって証明することになっております。市区町村が管理している正本データも,市区町村が作成,送信した副本データも,デジタル情報としては価値が変わらないことから,それを利用した証明内容については差異がないものと考えられております。   なお,実際の実務におきましても,昭和37年の課長通知等に見られますように,市区町村が管理する戸籍の正本が滅失したため,戸籍の再製が必要な場合に,再製までの間,法務局がその管理している副本情報を確認して,戸籍に記載されている事項について証明を行っているというところでございます。   また,本文2ページに戻りまして,真ん中,なお書き以降について御説明いたします。   現在の戸籍事務におきましても,広域市区町村圏協議会の構成市区町村間であったり,ネットワーク化されました複数の政令都市間であったりするところでは,電子情報処理組織を利用して物理的な本籍地以外の市区町村で戸籍証明書を発行する取組が行われてきているところでございます。   この点につきましては,参考資料24を配布いたしましたので,こちらを御覧いただきたいと思います。横紙の「広域交付等に関する認容先例について」というものでございます。   こちらは,3つの事例が紹介されております。   まず,一番左でございますけれども,これは,平成16年の3市間における広域交付を認容した事例となります。主な論点に書かれてございますが,ここでは,①非本籍地であるほかの2市の戸籍事務の従事職員が,本籍地の市の戸籍に係る戸籍証明書を交付することができるのかという点と,②非本籍地の市の職員が,本籍地の市の管理している戸籍に直接アクセスできるのかといったことが,主な論点となりました。検討の結果としましては,考え方の欄に記載しておりますが,①につきましては,兼職規定を置くなど法令上の手当をすることで,②については,セキュリティに配意したシステム対応にすることによって,直接アクセスすることも可能ではないかという整理がされたところでございます。   次に真ん中,平成17年の広域連合区域内の自動交付機による戸籍証明書の発行につきまして,元の戸籍情報システムの原本データではなく,専用サーバ内の証明書用の戸籍データを使用することを認容した事例になります。ここでも,主な論点ということで御紹介いたしますけれども,専用サーバ内の証明書用の戸籍データを証明書として使用することの可否が論点となりました。検討の結果につきましては,考え方の欄に記載しておりますけれども,戸籍原本と専用サーバ内の証明書用のデータのネットワークに異常が発生した場合には,戸籍証明書の自動交付サービスが緊急停止するといったシステムとなっていれば,使用可能ではないかというふうな整理がされたところでございます。   最後に,一番右の方になりますけれども,これは,平成21年のLASDEC,現在のJ-LISに相当する機関と考えられますけれども,そうしたところの作成に係ります仕様に準拠した広域交付サーバを利用した自動交付機による戸籍証明書の広域交付を認容した事例でございます。ここでは,町外に広域サーバを設置いたしまして,自動交付機,住所地及び本籍地の戸籍サーバ間の電文の振り分けを行うといったネットワークを構成するということと,戸籍情報の送信にPDF化したデータを使用することの可否が論点となりました。また,さらに前者につきましては,そういったことが戸籍システムの技術的基準を充足するのか,戸籍情報が広域交付サーバを経由することに問題はないのか,広域交付サーバが町外になることにセキュリティ上問題がないのかといったことが論点になりました。検討の結果につきましては,考え方の欄に記載しておりますが,前者につきましては,戸籍情報システムに直接アクセスできる仕組みになっていないこと,専用線を使用するなど,戸籍情報の漏えいの可能性が極めて低いセキュリティが確保されていること,システム自体のセキュリティが確保され,障害発生時の迅速な対応が確保されていること等から,また,後者につきましては,戸籍法等におきましては証明書が付録様式等に従って字画明瞭に印字してあれば問題がないということから,PDF化したデータを使用することについても問題がないというふうな整理がされたところでございます。   このように,現在の戸籍実務におきましても,法令上の手当を置くとともに,セキュリティが確保されるなどの要件を満たすことで,広域交付等について認容してきたという実例があるところでございます。   以上のことに加えまして,前述の(注1)にありますとおり,戸籍証明書の交付請求先については明文で限定されていないこと,本籍地以外の市区町村長も,非本籍人について戸籍事務を処理することが戸籍法上前提とされていることからも,システム上の対応が可能であれば,広域交付を認めることとしても,現行の戸籍事務の管掌に関する考え方とそごを来すことはないと考えているところでございます。   続きまして,「2 広域交付を認めることとした場合の検討事項」についてでございます。   3ページ真ん中,広域交付を認めることとした場合の検討事項を御覧ください。   「(1)広域交付請求に係る戸籍証明書の発行・交付の流れ」について御説明いたします。   広域交付を認めることとする場合には,誰がどのように発行するのかを検討する必要があります。広域交付に係る戸籍証明書の発行事務を行う行政主体はどこになるのかという点については,広域交付に係る戸籍証明書の交付事務を誰が実施するのかということに影響しますところ,広域交付につきましては,交付請求を受けた市区町村の戸籍事務従事職員におきまして,本籍地以外の市区町村の戸籍情報を確認する必要があることから,本人確認等の審査を行い,本人等であるということが確認できれば,戸籍情報連携システム(仮称)を参照いたしまして,交付が可能かどうか判断を行い,交付が可能と判断すれば,戸籍証明書を作成,交付するということが可能になると考えられます。   そこで,広域交付に係る戸籍証明書の発行事務の主体としましては,広域交付の請求を受けた市区町村長とし,当該市区町村長が戸籍証明書を発行するための権限規定を設けてはどうかと考えられます。なお,発行主体につきましては,本籍地市区町村長とし,証明書の作成自体は本籍地市区町村長,そして交付の主体を交付市区町村長とすべきではないかという考え方もあるようでございますが,その点につきましても御意見を頂ければと思います。また,この場合,実際に手数を掛けるのは,事務処理を行う交付地の市区町村であることから,当該交付地の市区町村で費用を徴収するということが考えられます。   以上から,3ページの本文では,ゴシック体の提案をさせていただいているというところでございます。   次に,(注4)を御覧ください。   こちら,第8回の戸籍法部会の資料でも説明させていただきましたとおり,既に広域交付が認められております住民票の写しの制度について紹介しております。   住民票の写しにつきましては,広域交付の請求を受けた市区町村長が,住所地市区町村長に広域交付があった旨を通知し,住所地市区町村長は,当該通知に対して広域交付に係る住民票の写しに記載すべき事項を通知いたしまして,交付地市区町村長は,当該通知された情報に基づいて住民票の写しを交付するということとされております。この交付地市区町村長と住所地市区町村長間の通知につきましては,住基ネット回線を通じて行われるということになっておりまして,住民票の写しの広域交付につきましては,市区町村間のデータのやり取りという形で行われております。   続きまして4ページ,(2)でございます。広域交付の請求権者について御説明いたします。   まず,アの考え方について御説明いたします。   ここは,1ページの1の(1)で御説明いたしましたけれども,戸籍証明書の交付請求権者については,現行戸籍法では,本人等請求という類型と,所定の要件を満たすことで請求が認められる第三者請求という類型の大きく二つの類型が認められております。広域交付につきましては,戸籍情報の公開の在り方として,現在の戸籍証明書の交付請求と異ならないと考え,現在の2類型によってそれぞれについて広域交付を認めるかどうか検討するという考え方と,相続手続の効率化を図るなど,相続対策に資するものであると考え,兄弟姉妹など通常相続人となり得る者も加えた第3類型を新たに規定して,本人等,兄弟姉妹又はおい,めい,おじ,おばを含んだ兄弟姉妹等,又はそれら以外のその他の第三者のそれぞれについて,広域交付を認めるかを検討するという考え方があると考えられます。   ここで,イの現行の戸籍法の公開の在り方等ということで,現行の戸籍法の公開の在り方がどのように整理されたのかということを御説明したいと思います。   5ページを御覧ください。   現行の戸籍法の公開の在り方につきましては,平成19年の戸籍法改正によって整理されたものでございます。その際,戸籍は,原則公開というものから原則非公開に転換されましたが,本人等と第三者という区分けをすることとされました。この点,請求の理由を明らかにすることなく戸籍証明書の交付請求ができるものを当該戸籍に記載されている者に限るという提案もされましたが,限定しすぎるのも個別に代理請求をしなければならず,委任状を提出したり,確認したりする必要が生ずるなど,請求者や市区町村の窓口の担当者ともに不便ではないかということもありまして,戸籍に記載されている本人と同様に扱うことが社会通念上相当と見られました配偶者,直系尊属及び直系卑属も含めた本人等という類型が設けられ,本人等については請求の理由を明らかにすることなく,戸籍証明書の請求が認められるということになりました。この本人等に該当するかどうかは,請求者と請求に係る戸籍に記載されている者との関係については戸籍をたどる必要はあるものの,ある程度容易に判断できるのではないかと考えられるところでございます。   今回検討している広域交付が相続対策に資するということを考えますと,通常相続人となり得る兄弟姉妹等の戸籍証明書も,本人等請求と同様に交付請求を可能とするということも考えられるところでございます。しかし,次の四つの理由から,兄弟姉妹等の第3の類型を認めることは,平成19年の戸籍法改正の趣旨に反するものではないかとも考えられるところでございます。   まず,①でございますけれども,広域交付といっても,戸籍証明書の交付請求の一つでありまして,当該証明書を本籍地で交付するか,あるいは本籍地以外で交付するかの違いにすぎないということが挙げられます。   次に,本文では,②から④までの理由が記載されておりますが,分かりにくいと思いますので,具体的なイメージが沸くように席上配布資料として資料を用意いたしました。こちらの今日お配りしました「【参考】広域交付の請求権者について(第1の2(2)イ関係)」という,親子関係とかを書いたポンチ絵がありますので,こちらの方を参照していただきたいと思います。   この設例のイメージとしましては,右上の方に書いてございますけれども,父,母,姉,妹,弟という5人家族がございまして,現在,左端に姉,真ん中に妹,そして,弟は今,父,母と住んでおりますということで,独立して3世帯になっているというところ,父親が死亡して相続が発生しまして,真ん中の妹が相続手続のために姉の現在戸籍を請求するといった場面を想定しております。   姉は,右上の図のように,元々父の戸籍に入っておりました。元々は5人家族ということで,ちょっと灰色を背景にしておりますけれども,父,母,姉,妹,弟という,同一戸籍に入っていたということでございます。それが,婚姻によって父の戸籍を抜け,その後不動産を取得して,マンションとかを買ったりとかして転籍するなど,現在戸籍に至るまで2回以上新しい戸籍が編製されているといったイメージをしております。また,姉の戸籍を請求しようという真ん中の妹も,元々父の戸籍に入っておりましたが,婚姻により戸籍を抜けているという状況でございます。こうした場合,第三類型として請求の理由を明らかにすることなく兄弟姉妹からの交付請求を認めることができるか。具体的には,本件のように妹から姉の現在戸籍の交付請求を認めることができるかという点が問題になります。   この点,本文の②ではどのように記載されているかといいますと,同一戸籍にない兄弟姉妹が請求者となる場合,一旦対象者本人,請求者である兄弟姉妹がそれらの親,直系尊属と同籍している戸籍を確認した上で,更に請求者と対象者本人との親族関係を確認する必要があり,通常,直系尊属あるいは直系卑属であることの確認に比して複雑な確認が必要であると書いてございますが,これは,具体例で申し上げますと,姉の現在戸籍の交付請求をする場合には,姉妹関係を確認するために,姉が転籍婚姻する前に姉妹が同一戸籍に在籍した従前戸籍まで遡らなければならず,また,遡った上でも,現在の姉妹の氏が婚姻等によって変わっているような場合には特に問題になるわけでございますが,交付をする前にきちんと請求者である妹と対象者本人である姉が姉妹関係にあるのかというのを確認する必要があるということを述べております。   また,本文③の同一戸籍から除籍し,新戸籍を編製して,その配偶者とともに別の戸籍に記載されている兄弟姉妹については,社会通念上,直系尊属,卑属と同一とまでは言い難く,本人等と同様に請求理由を明らかにせずに交付請求を認めることについては,個人情報保護が求められている現状において,国民的コンセンサスを得られにくいこと(兄弟姉妹だけでなく更に代襲相続が生じている場合の甥,姪,叔父,叔母の関係についても同様)と記載されておりますが,その意味につきましては,妹が姉の現在戸籍の交付請求するのを,姉として当然に許容するというのは難しいのではないかといった趣旨のことを書いているということでございます。   また,本文④につきましては,広域交付の対象については相続対策に限られない上,相続対策として利用される場合でも,遺産分割協議において,ある人から見て兄弟姉妹の戸籍証明書が必要な場合,当該兄弟姉妹が本人等として自らの戸籍の証明書を収集して協議に臨むことが可能であるというのは,姉自身が収集した現在戸籍をもって遺産分割協議に臨めば対応可能ではないかといったことを述べておるということでございます。   続きまして,本文6ページ,ウの考慮要素を御覧ください。   考慮要素につきましては,広域交付の請求者についての考慮要素を記載しております。第三者請求につきましては,本籍地市区町村長以外の市区町村長において,第三者請求を認めるための各種の要件を判断しなければならないという負担があります。また,第三者請求のうち,兄弟姉妹等の場合には,先ほど説明したとおり請求人との関係を明らかにするために,相当程度戸籍を遡らなければならないということもあるほか,相続の場面であれば,当該兄弟姉妹が自ら戸籍を収集すれば通常は足りるといえ,兄弟姉妹等を含む第三者については,本籍地外の市区町村に請求する必要性が高いとまでは言えないと考えられるところでございます。   他方,第三者請求を認めることとした場合には,特に都市部の特定の市区町村に広域交付が集中し,当該市区町村長の戸籍事務に支障を来すのではないかといった問題点も挙げられるところです。特に,特定の市区町村に交付請求がどれくらい集中するか想定しにくい現状におきましては,本人等に加え,当初から第三者請求まで拡大することは相当ではないのではないかと考えられるところでございます。以上から,新たな取組である広域交付につきましては,本人等による交付請求のみを認めることとするということが考えられるところでございます。   なお,(注9)で記載したとおり,住民票の写しの広域交付につきましては,住所地市町村以外の市町村の事務処理の負担を考慮し,本人又は本人と同一世帯に属する者でない,いわゆる第三者による広域交付の請求は認められておりません。   続きまして,次に6ページ,(3)広域交付による戸籍証明書の範囲について御説明いたします。   前述のとおり,本籍地以外の戸籍情報につきましては,本籍地以外の市区町村で管理していないことから,戸籍情報連携システム(仮称)の情報を参照しまして,戸籍証明書の発行事務を行うこととなります。そのため,戸籍情報連携システム(仮称)において電子情報として整備されていない戸籍につきましては,本籍地以外の市区町村が情報を参照して審査をして広域交付をするといったことはできません。このため,広域交付による戸籍証明書の証明の範囲としましては,電算化された情報,具体的にはテキストデータ,画像データの範囲に限るものとすることが考えられるところでございます。この場合,交付請求を受けた市区町村の職員が,該当する他の市区町村の戸籍を参照することになることから,不正な情報参照等を防止するために,十分な対策を講じることとするということが考えられます。   続きまして,7ページ,(4)コンビニ交付との関係について御説明いたします。   戸籍証明書のコンビニ交付につきましては,当初は住所地と本籍地とが同一市区町村にある場合に限り,証明書の取得が可能でありましたけれども,平成28年5月から,特定の市区町村を本籍地とします証明書につきましては,(注10)のような制約はあるものの,マイナンバーカードを利用することにより,同一市区町村に限らず戸籍証明書のコンビニ交付が可能になりました。   コンビニ交付につきましては,現在戸籍の情報を簡易に提供できる点に利点があると考えられるところでございますけれども,この広域交付につきましては,現在戸籍の情報に限られず,市区町村の窓口職員が実際に除籍を含む従前戸籍の内容を確認しながら,請求者のニーズに適合する戸籍の情報,例えば相続手続に必要な出生から死亡までの戸籍情報全部といったものの提供をすることが可能であるという点が,大きく異なります。   コンビニ交付と広域交付の主な違いは,参考資料25にまとめたので御覧ください。   参考資料25ですけれども,左の方がコンビニ交付,右の方が広域交付と書いてございます。   まず,概要ですけれども,コンビニ交付の場合は,全国のコンビニで現在戸籍の証明書を取得し,取得した現在戸籍の証明書を行政機関等に提出するといった形になります。広域交付につきましては,全国の市区町村の役所又は役場等で,現在戸籍及び従前戸籍,この場合は除籍を含むわけでございますけれども,この証明書を取得しまして,行政機関等に当該証明書を提出するといったことになります。   交付者,交付地につきましては,コンビニ交付につきましては本籍地市区町村長,そして交付地はコンビニと,広域交付につきましては,交付請求地の市区町村長が交付者で,交付請求地の市区町村が交付地というところになります。対象となる情報,証明書の情報でございますけれども,コンビニ交付は現在戸籍の証明書のみ,広域交付につきましては,現在戸籍,従前戸籍等全ての証明書,電子化しているものに限るわけでございますが,そのような証明書といったことになります。   ターゲットとなる行政手続につきましては,コンビニ交付につきましては現在戸籍の証明書の提出で足りる行政手続,広域交付につきましては,相続手続を含む戸籍証明書が必要となる全ての行政手続ということが対象になります。   窓口対応につきましては,コンビニ交付の場合には,コンビニ店員が関与することなく自動で交付するということになりますし,広域交付の場合には,市区町村の職員に相談しながら行政機関等に提出するのに必要な証明書を取得するということになります。   請求者の条件,事前準備ですけれども,コンビニ交付の場合,マイナンバーカードを所持しているということ,また,本籍地市区町村での事前登録が必要,この場合は本籍地と住所地が異なる場合のみでございますが,そういった登録が必要ということになります。広域交付につきましては,市区町村に行くということで,特に事前の条件とか準備等はありません。   手数料につきましては,コンビニ交付につきましては,コンビニが手数料分を控除して,残りは交付した市区町村が領収すると。また,広域交付につきましては,交付した市区町村が領収するということになっております。   実施市区町村については御覧のとおりですということで,ちょっと御説明を省略させていただきたいと思います。   以上から,本文の方に戻りますけれども,現在戸籍の情報だけ必要な場合にはコンビニ交付を,相続手続等,従前戸籍の情報も含めた一連の戸籍情報が必要な場合には広域交付を利用することにより,国民がニーズに合ったきめ細かなサービスを享受することが可能になると考えられます。   次に,7ページ,(5)その他について御説明いたします。   広域交付に関連しましては,紙媒体の証明書を交付するということが考えられますが,デジタル・ガバメントを実現するという観点からは,可能な限り,電子的な証明書を交付し,それを活用するということも考えられるところでございます。また,今後,親族的身分関係情報など,親子や夫婦の関係を示す電子情報が蓄積していった場合には,電子的な相続関係一覧図を作成し,必要に応じてこれを証明書として交付する仕組みも将来的には考えられるというところでございます。   説明は以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,第1について検討に入りたいと思います。論点はたくさんあったかと思いますが,特に順番は絞らずに,自由に御質問,御意見を寄せていただければと思います。 ○久保野幹事 すみません,目的のところでちょっと確認をさせていただきたいんですけれども,目的といいますか,この広域交付の意義についてです。   2ページの説明のところで,効率的に相続手続を行うことができる基盤を作るという観点が示されており,その後の検討の中でも,そのような事例を念頭に置いての説明が多かったと思うのですけれども,もう少し単純な事例としまして,戸籍に記載されている本人の利便性が単純に増進されるということも含んでいるということを確認させていただきたいと思いました。   例えば,もう既にこの部会の中でも出てきた例ではあるとは思いますけれども,B市に本籍があり,そこで生まれ育った者がA市に転居し,そこに生活の基盤もでき,そのA市を本籍地として婚姻をしようといったようなときに,B市の本籍の自分の戸籍を取るときに,今までですと,郵便ですとか,あるいはコンビニ交付で(注10)ですとか参考資料25で説明があったような,やや複雑とも思える事前準備をした上で交付を受けるということが必要だったのに対して,今検討している広域交付が実現すれば,より簡便に取得することができるということが含まれているということを,確認させていただきたいと思います。 ○窪田部会長 今の点は,広域交付の問題と戸籍事務内連携でどこまでやるのかという問題がリンクしていると思うのですが,事務当局から少し御説明を頂けますでしょうか。 ○北村幹事 広域交付につきましては,今久保野幹事が御指摘いただきましたように,相続だけではなく,当然戸籍に記載されている方の戸籍の取得,戸籍証明書の取得が便利になるというのは,当然あると考えていますし,そこに多く寄与するものと考えております。戸籍に記載されている方であっても,当然除籍であるとか改製原戸籍を集めなければいけない,そして本籍と今の住所が離れている,あるいは幾つか転籍してしまっている場合には,それぞれの自治体の方に求めなければならないという現状からすると,そこは大きく改善するものと考えております。そういった意味でも,窓口でどこまで必要なのかというのを確認しながら,出す手段としては,この広域交付という手続が便利なのではないかと考えております。   なお,先ほど御指摘いただきました婚姻の場面につきましては,今回,この部会の中で御議論いただいておりますように,戸籍の事務内の連携におきまして,戸籍証明書の添付省略をしたいと考えておりまして,そちらの方も進めさせていただきたいということでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   最終的に取りまとめをしていく上では,多分,今の婚姻のケースはうまく別の対応ができると思うのですが,それ以外に,相続以外でも具体的に便利な場面があるというのがうまく示せると,より説得力が増すのかなと思います。御検討いただければと思います。   ほか,いかがでしょうか。 ○石井幹事 ありがとうございます。   戸籍情報連携システム(仮称)のイメージのところで質問させていただきたいことが2点,また,第1の広域交付のところで,意見を申し上げたいと思います。   まず,システムの図の方ですが,親族的身分関係情報が情報提供データベースの正本の位置付けということで,記号でその情報が記録されるという御説明があったかと思います。そこから情報提供データベースに流れていく,この過程の中で,要所要所にサーバが置かれるというような御説明だったかと思いますが,こちらのサーバというのは,情報がたまっていくものではなくて,情報を単に流していくだけのものですかというのが,1点目です。   次に,情報提供データベースのところで,氏名,生年月日,性別を含まないというご説明がありまして,実際に親族的身分関係情報の記号の情報が流れていくときに,その情報提供データベースにどういう情報がどういう形で記録されて,いつ消されていくのかということについて,こちらも確認ですが,教えていただきたいというのが2点目です。   第1の広域交付のところの意見ですけれども,参考資料の席上配布資料で御説明いただきましたような形で,少し遠い関係,だからこそ戸籍が欲しいというケースも相続の場面ではあるのかもしれません。ですので,現在は広域交付においては,本人等による請求を認めるということで異論はありませんが,7ページの最後の「その他」の「また,…」のところで,親族的身分関係情報が蓄積していったときに,相続関係一覧図を作成するというような形で,広めに捉えていただく方向性もあるかというように考えております。そのときに,戸籍情報連携システム(仮称)の中の戸籍情報管理サーバ群の親族的身分関係情報がどのような形で使われていくことになるのかなという点が,分からない点ではありました。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,ただいま2点,最初の点については二つあったと思いますが,それについて,事務当局から御説明お願いできますか。 ○櫻庭関係官 こちらの戸籍情報連携システム(仮称)のイメージ図に書いてありますように,この円柱といいますか,円柱を延ばしたような形のサーバ群にはデータが蓄積されますけれども,その他のサーバにつきましては,一応流していく等だけの,イメージで,今,考えてございます。   また,二つ目の御質問で,その情報提供DBにどんな情報が流れていって消されていくかとか,そういった御質問だったかと思いますけれども,情報提供DBにつきましては,ネットワーク連携でいろいろな機関が必要に応じて必要な情報を取得するということになってございますので,今,連携の候補先が幾つか挙がっておりますけれども,そうした連携の候補先が必要な情報を提供すると。この位置付けとしましては,右側,このファイアウォールで覆われた左側と右側が大きく別れるところでございますけれども,右側の戸籍情報管理サーバ群とかは戸籍側というところで,親族的身分関係情報,つまり親子関係記号とか,そういったものを生成いたしまして,それのある意味コピーみたいなものが情報提供DBの方に保存されるということで,今のところ,いつ消すかというのはちょっと考えていないんですけれども,ただ,もちろん除籍になったりとかすると必要なくなるということでありますけれども,そうした情報提供DBで必要な情報を,戸籍側でこしらえて提供するといったことを考えているということでございます。   最後,相続関係の一覧図というところでございますけれども,それにつきましては,基本的に親族的身分関係というのは,親子とか夫婦とか,そういったものが記号で作られるわけですけれども,それと個人の情報を,氏名とか本籍とか,個人が特定できる情報を連携することによって,家系図といいますか,何か親子関係とかというのを生成できるようになればいいかなというふうな,これは,飽くまでも将来的な構想ですので,今具体的なものが何かあるかというわけではないのですけれども,そういうのができたらいいのではないかなといったことでございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   それでは,ほかの方。 ○鷲﨑幹事 ちょうど今,戸籍情報連携システム(仮称)のイメージについての御議論がありましたので,併せてお伺いしたいんですけれども,非本籍地において届出が出されて,その後,サーバを経て,現状のイメージ図ですと,本籍地の方に一旦照会があって,そこで戸籍証明書の発行がなされるというようにも解釈できたんですけれども,しかし,システム上は,これは,既に戸籍情報の副本のデータ管理が既にサーバ上にあるわけですから,こちらの方で一元的に戸籍証明書は作成なり発行して,つまり,都度本籍地の方に照会なり発行を依頼するということではなくて,サーバの方で一元的に発行などをして,ただ,本籍地に対しては,そういった発行があったといった通知なり連絡をするというのが,先ほど注意事項でありましたけれども,それがなされていればよいのではないかと思いましたが,いかがでしょうか。 ○窪田部会長 今のは御意見ということであろうかと思いますけれども,特に何かございますか。 ○三橋幹事 事務局からの,御質問の答えにも関わるかなと思うので,私の方からも確認したいんですけれども,まず,このシステムの議論をする際に,第8回でしたでしょうか,そもそもマイナンバー制度と戸籍制度の連携ということを議論して,この検討というのがスタートしている中で,一度広域交付というのについては考えないという整理をした後で,第8回の議論で広域交付ということをしようとされたと理解をしております。   その際も,私,申し上げたんですが,やはり議論する以上は,システムの図を示したほうがよいのではないかということでお話をさせていただいたので,今日,調整中ということでございましたけれども,一応の図が出てきて,議論をしようということでされたんだと思っています。   その上でなんですけれども,やはりマイナンバー制度との連携のために,これだけの大きなシステムを作るということになっていきますので,慎重の上にも慎重を期して御検討を頂きたいと思いますし,また検討すべきだろうと思っています。   広域交付については,前回私も慎重な御意見を申し上げましたが,ニーズが多いということであるならば,このマイナンバー制度との連携を機に,ここでできる戸籍情報連携システム(仮称)を用いて広域的な交付ができるような仕組みをしようということ自体は,別に否定するものではなくて,恐らくニーズもあるでしょうし,今現在もコンビニ交付という形で様々な本籍地以外の市区町村でいろいろな交付を受けるニーズもあるし,交付もされるとなっていますので,方向性として否定するものではないのですけれども,問題は,どういうふうなシステムで,どういうふうな法的な仕組みの下にこの交付ということを位置付けていくかということが大事なのだろうと思います。   今御質問もございましたけれども,今回,マイナンバー制度の連携のために,戸籍情報連携システム(仮称)ということを作って,内部事務連携,あるいは既存の副本を管理するシステムを元に内部事務連携やネットワーク連携を作るための戸籍情報連携システム(仮称)を作るということになるので,それをある意味援用する形で広域交付をやるわけでございますけれども,確かにデータは,副本のシステムに正本と同じものがあるのではないかと,だから,それから出せばいいのではないかという,恐らくそういう御意見もあるのだと思いますけれども,そもそも出発点として,戸籍制度において,本籍地の市区町村が原本を管理して,正本はそこが持っているという法的な位置付けなりを,余りないがしろにしてはいけないのではないかと思っていまして,そこの部分は,非常に戸籍制度というのが機微情報であるということを前提にして,マイナンバー制度をいかに連携させていくかということで,議論を出発したときに,現在の市区町村が正本を管理しているという建前はやはり変えないでおこうという,多分議論を研究会のときからしていたと思います。その上で,どうやって広域的な交付というのをシステム的にも法的にも実現させていくかという,恐らくそういう観点での議論になるんであろうと思っています。   今日,櫻庭さんからの御説明もあったんですけれども,随所に市区町村の住民票の広域交付の例が出されておりますが,市区町村間での住民票の広域交付ですと,水平間でのやり取りをした上で,本来の住民票を持っている市区町村と実際に交付を行う市区町村との間の関係を法的にも規律しながら,そして,同じ内容の情報を交付市区町村で出していこうとデザインをされていると思います。   今回,確かにマイナンバー制度との連携上,副本を元にした戸籍情報連携システム(仮称)という,要はセンターシステムができるわけなんですが,では,今市区町村で原本を管理しているという位置付けというのが,余り曖昧になってもいけないと思っていまして,やはりその枠組みの中で,交付することとなる市区町村と本籍の市区町村との関係について,よく法的な整理をした上で,あとシステム的にどのようにデザインしていくかというところを十分考えておく必要があるのではないかなと。あたかも,何かセンターシステムができれば,もう副本,同じものがあるんだからとなりますと,どっちが正本なんだと,国が全部戸籍を管理していれば,それで出して,本籍市区町村は後でそれを知らせればいいではないかとは,恐らくそういうところまで,行く可能性もあります。そうしていくということで法務省さんが御決断されるということもあるのかもしれませんけれども,ただ,我々,やはりマイナンバー制度との連携ということを慎重に考えていく立場として,現在の戸籍法の基本的な考え方は維持した形で,制度設計なりシステム設計していくということなんだろうと思っております。   繰り返しになりますけれども,広域交付自体に反対しているわけではなくて,広域交付はしていくということはもちろんやっていくべきだと思いますし,私どもとしても,より便利に,電子的な交付なども含めて,より便利にもっともっと進めていくべきだろうと思っております。ただ,そのためには,セキュリティも確保しなければいけないし,本人確認の厳密性というのをどう確保していくか,そこをしっかりやっていかないと,突然現れた人が,自分は本人なので,自分の戸籍くださいと,沖縄の離島で,例えば三橋一彦と名乗る人間が現れて,私の戸籍くださいと言って,それでその市区町村の役場は対応しなければいけないのかというようなことに,なっていくんだと思いますので,そういうところを慎重に検討していく必要があるんだろうと思っております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   御意見の部分が主であったと思います。   ちょっと2点ほど教えていただけますでしょうか。   原本を本籍地の市区町村が管理するというのは,紙媒体を前提とすれば当然の司法の前提があったと思うのですが,電子データ化したときに,その概念,そういう理解を残すのだという考え方はあると思うのですが,それについては,ちょっと私自身がまだよく分からないので,何かお考えがあれば教えていただきたいなと思います。もう一つ,慎重に扱わなければいけないというのは,本当におっしゃるとおりで,戸籍情報は機微な情報ですから,本人だと言われたらどんどん出してしまうというのでは駄目だというのは分かるのですが,それは,戸籍副本データ管理システムからデータを持ってくる場合でも,本籍地の戸籍情報システムから持ってくる場合でも,実は同じ問題があるのではないかなと思いますので,その点はどうなのかという点について,ちょっと教えていただければと思ったのですが。 ○三橋幹事 後段のところは,それは,誰が窓口に来て,本人として名乗って,それをどうやって本人確認するかという点では一緒だと思います。ただ,なぜ私がそこの話をしたかというと,今日の参考資料25にありますとおり,コンビニ交付と広域交付の条件の比較があるんですが,例えば,請求者の条件として,コンビニ交付は必ずマイナンバーカードを所持していなければいけません。マイナンバーカードで本人確認をするということになっております。一方は,広域交付の方はどういうふうにされるのかということが,特に事前準備はないということになりますと,手ぶらで現れていいのかと。恐らくそうではなくて,多分何らかの形で本人確認をするんだろうと思います。それを,どのように厳密にしていくか。恐らく特になしでいいとはならず,何か身分証明書がないと恐らくいけないのだろうなと思いますけれども,そういう意味でいえば,窓口であれ,どの本籍地で持っていくものであれ,コンビニ交付であれ,そういう広域交付であれ,本人確認というのはしっかりしなければいけないというのは当然のことでございまして,そこは,マイナンバーの世界でいくと,マイナンバーカードで厳密にやっていくということでやっておりますので,広域交付を実施するに当たって,法務省さんがどうお考えになっているのかということは,私としては,むしろ問うてみたいというところでございます。   それから,前段の本籍地市区町村が管理しているという,紙を前提にしていた話ではないかということでございますけれども,確かに,それは紙を前提としていたのが今までの経緯かもしれませんが,私ども,逆に,研究会のときから,そこはこういうマイナンバー制度の連携をしてシステムを作っていくのだと,副本システムを作っていくのだという中で,本籍地の市区町村が管理するということも前提にしましょうねというのが,研究会のときからの一つの出発点だったと思うんですね。ですから,それを,今回広域交付する際の元々の情報を出している元データ自体が,本籍地市区町村の関与が,建前的にもシステム的にも何もなく,国が例えば副本を持っているから副本から出していきましょうという形でもし議論をされるんであるならば,それは真正面から本当は議論しなければいけない話であって,果たしてそういうふうに,国の方で副本と言いながらも,事実上そこが正本的な機能を果たしていくようなものを作っていくという判断をするのかどうかなのかと。そこは,法的な位置付け,あるいは市区町村が正本を管理している,原本を管理しているという位置付けとして,齟齬は来さないのか,あるいは戸籍という機微情報を扱う上でどういうふうに考えていくのかというところを,よくよく整理をしなければいけない,そういう問題意識としてお話ししているだけでありまして,別に私どもの方に,電子化されていたので,正本と副本がどうなのかということについて,こうこうしたいということではなくて,むしろ今までの研究会以降の整理からいう流れだと,本籍市区町村が管理しているという建前の中で,どういうふうに整理していくかということが大事ではないですかという論点の提示をしているというところでございます。 ○窪田部会長 それでは,まず事務当局から答えていただけますか。 ○北村幹事 まず,本人確認が重要であるというのは,御指摘のとおりかと思います。(注2)の中でも書かせていただいていますけれども,本人確認を厳格にする,今,写真付きの身分証明書ではなくても,戸籍の請求,交付請求はできるとなっておりますので,そこを厳格化するということは当然考えていかなければならないと。そこは,御指摘を踏まえて考えていかなければならないということと,システム上もいろいろ問題がないように,慎重に慎重を期してやらなければならないというのは,正に御指摘のとおりだと考えております。   正本と副本との関係,あるいは本籍地の関係,今御指摘も頂きましたが,研究会からこの法制審の中でもずっと議論させていただいてきたところでありますけれども,管掌概念は維持するという形。ただ,情報を出すには,本籍地のみでは調整できない情報ということで,幾つも戸籍を確認した上で親族的な身分関係情報を調整しなければならない。そのためには,副本データ管理システムというものがあるので,それを活用しようということで議論はさせていただいてきたところであります。   その中で,本籍地が全く関与がなくていいのか,それとも大きくそこの建付けが変わるのかという御指摘だったのかなとは思っております。もちろん,(注7)の中にも通知という仕組みは御提案させていただいているところですけれども,当然届出があって,発行ができない状態にするというのは,正に本籍地の方から,あるいは受理地の方でもそうですけれども,そういったものの制御をするということもあり得るでしょうし,問題ない形で本籍地は出してもいいという形にしているから出せるという整理もあり得るかもしれない。そこは,少し考えたいとは思っているところではあります。 ○三橋幹事 正に北村参事官がお答えいただいたような形なので,システム的にも制度的にもいろいろな選択肢はあると思うんですね。ですから,そこは,よく問題にならないような形で,マイナンバー制度のために作られたシステムで,何か日本の戸籍の管理の仕方が大きく変わっているというふうなことに,今の時点でなるのはどうかなという感じはしますので,その懸念を共有していただいて,制度設計をしていただければと思っております。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   実は,本日は御欠席されていますが,大橋先生から事前にメモを頂戴しております。最後に御紹介しようかなと思ったのですが,今の部分に係る部分もありますので,もうここで御紹介させていただければと思います。非常に短くまとめていただいておりますので,そのまま読み上げさせていただきたいと思います。   大橋先生から以下のメモを頂戴しております。   1ということで,広域交付に関しては,以下に挙げる3点の理由から,今回の改正で実現していただきたいと考えております。   第1に,新しい戸籍法で最も尊重すべき視点は,情報技術の進展に呼応して,国民の利便性を向上することだと思います。技術的にも財政的にも十分に実現可能な制度構築を通じて,広域交付による利便を国民が享受できることから,積極的に進めることを期待いたします。   第2は,比較法的な視点からも,広域交付を進めていただきたいと思います。今回の検討過程でも出てきましたように,既に隣国の韓国で電子化が数段進んでいることとの比較や,先進国の中でいつまでも紙媒体に依拠した仕組みを維持することの将来性などを考えますと,広域交付は行政の電子化が進展する現代において,現代行政の標準装備であるように考えております。   第3は,経験値の蓄積を図るといった観点です。新しい行政上の仕組みは,経験を重ねる中で,その実効性を段階的に高めることが期待できることから,そうした経験値を蓄積するといった観点からも,シンプルな仕組みであっても,始めてみることが大切だと考えています。今回先送りすることによって,数年では済まないほどの遅れを余儀なくされることを懸念しております。   2としまして,なお,前々回の議論を伺っていて気になった点ですが,国が新たに管理責任を負うデータ連携システムを法律に基づき構築し,それに依拠して各区市町村が公証行為を初めとする戸籍事務を実施する仕組みの下では,対市民との関係で,国のシステムで管理する情報と区市町村にある情報は等価であることが前提であって,それを踏まえて公証行為が市民に対してなされ得るものと理解しています。立法者が公証行為の基礎となる連携情報管理について,明文で国に責任を負わせ,それを前提に各区市町村に公証行為の実施を任せる新たな仕組みの下では,国の管理情報と地方公共団体の情報との間に差異はなく,前者を利用して区市町村が公証行為を行うことは制度が前提としていることであって,このことをもって問題があるとは言えないように思いますというメモを頂戴しております。以上,御紹介させていただきました。   それでは,どうぞ,質疑を続けていただければと思いますが。 ○阿部幹事 先ほどの議論の後段の部分って,座長さんがおっしゃっていたところなんですが,質問なんですけれども,参考資料25のコンビニ交付と広域交付の比較の中で,広域交付の方が対象となる証明書の中の情報ですけれども,現在戸籍,従前戸籍,全ての証明書,電子化しているものに限るとあるのですが,まず電子化されているものってどの程度なのかよく分からないんですけれども,要は,これ,全ての戸籍,過去のやつも含めて全部という理解でいいんでしょうか。 ○窪田部会長 事務局の方からお答え頂けますか。 ○櫻庭関係官 全部ではなくて,あるものだけなんですけれども,全体,戸籍の総数で見ますと,画像データが55%,テキストが31%,そういうものにされていない,本当に紙で残っているもので14%,委託研究の結果,それぐらいではないかと想定されております。 ○阿部幹事 この御質問をしたのは,もう一つの席上配布資料の戸籍情報連携システム(仮称)等のイメージという中で,丁寧に御説明いただいたんですけれども,実際に私が聞いていた,私が間違っていたら言ってほしいんですけれども,例えば,この例で言うと,A市で非本籍地ですから,ここにB市の本籍地の情報が欲しいよって行くわけですね,自分の。そのときには,実際には,今おっしゃっていたのは,この絵でいうと,どうとるんですかね,副本データベースを見に行くんだと理解をしたんですが,どういうふうに理解すればいいのでしょうか。 ○櫻庭関係官 届出も,今まで考えてきました普通の届出事件の処理につきましても,例えば,このA市が非本籍地であれば,戸籍情報というのはないもんですから,右上の戸籍副本データ管理システムにあるこの戸籍情報の副本というのを見に行って,戸籍のいろいろ確認,受理できるかどうかというのを確認すると。同じように,証明書を出すといったときにも,そういった本人等に対する請求を認めるというふうな形で限定した場合であったとしても,本籍情報というのが,非本籍であると分からないもんですから,同じように戸籍情報の副本を見て参照して判断して,それで証明書を出すかどうかというのを決めるという,同じ戸籍の届出と証明書の交付請求は全く同じような形で,副本データの方をまずは確認するのかなと考えております。 ○阿部幹事 すみません。そうだとすると,結局,私の理解が間違っていれば言ってほしいんですけれども,要は,過去の方も含めて,この戸籍副本データベースに全ての日本人の今までの戸籍がたまっていて,それを,全ての市区町村の職員が全て見に行ける状態になるという理解でよろしいんでしょうか。 ○櫻庭関係官 全て見に行けるといいますか,これも実証の委託研究の結果ですけれども,3情報がありまして,氏名とあと生年月日と性別,この3情報だけで,99.5%が基本的には全く同じ人がいないとなっておりまして,残り0.5%というふうな形になるわけですけれども,個人を特定する場合に,現在戸籍の場合であると,本籍と筆頭者というものを入れた上で対象としますので,間違った方が出てくるということはまずないということで,必要に応じて御本人から請求した場合には,きちんと特定された御本人の情報が特定されて見られるということになります。特に個人情報保護の観点から,不正利用の参照については,防止策というのは設けたいと思いますけれども,急に何か全員が見られるようになるという,そういった形ではないと考えております。 ○北村幹事 1点補足させていただきますと,今の御質問は,本籍地では見られない情報が,ここの副本データ管理システムの中にあって,非本籍地の方も,非本籍地なので,自分のところで管理していない戸籍情報にアクセスできると,それが,過去のものも含まれているのかという御質問も含まれていたかなと思います。届出の際の戸籍事務内連携でも申し上げましたけれども,確かに戸籍副本データ管理システムの方には,データ化されたもの,テキストデータになっているもの,そして画像になっているもの,市区町村おいて過去の除籍あるいは改製原戸籍といったものもイメージデータ,画像データとして持っているものについては,それをもって副本とするという形にされておりますので,それを保有しております。そこを確認して,必要な戸籍を取るということになります。ですので,戸籍事務内連携のときにも議論をさせていただいた,そこを参照してまず戸籍を特定していただくというのが,まず第1点なので,そこに当然戸籍事務内連携のときに御議論いただいたのと同じように,不正なアクセス,不正な参照というものをどうするのかといったこと,そういったものについては,十分この部会の中でも御議論いただいていますし,いろいろな御指摘を頂いているところだと思っていますので,そういったものを踏まえながら,システムの設計あるいは制度の設計が必要だと考えています。 ○阿部幹事 すみません。私ばかり話してあれなんですけれども,ちょっとこの中でも,前回もちょっと申し上げたんですけれども,住民基本台帳の方は成り立ちが違いますから,多分制度の仕組みが違うよというお話だと思っています。   ただ,前回の御紹介しました,この絵でいうと,例えば,イメージですけれども,例えば,A市が非住所地といいますか,非住所地だとして,B市が住所地だとすると,住基の場合は,このAからBに聞きに行って,Bから情報をもらうということになっているもんですから,そういう意味で,例の中では住基の例が引かれている感じもあるんですけれども,我々としては,今回,今日お示しいただいたので,仕組みは相当違うんだなということは認識させていただきました。   お話があったように,相当これ,方策が確定しているのかどうか,私,分かりませんが,相当市区町村の理解とか,要は,どうしてもそういう情報に触れ得るということについて,どこまで制御するのかということについて,やはり相当やらないと,いろいろ問題が起こるのではないかと危惧をしていますということが一つです。   すみません,長くなって,もう一つ。   もう一つ,法的なことを確認したいんですけれども,広域交付の例で挙がっている,この24ですか,戸籍法部会参考資料24にも関係しますし,今回出していただいた資料本体,資料10と書いてあるやつです。広域交付について,戸籍法上規定がないので,明文の規定がないので,本籍地市区町村でなくてもいいんだという御説明のように,私は,すみません,理解をしたのですが,お手元に配っていただいている8回の資料の中で,8という資料の中の1ページなんですけれども,真ん中ぐらいに他方って書いていまして,他方,本籍地以外の市区町村に対しては,戸籍法上,戸籍謄本等の交付を請求することは認められていないと書いています。今回見ると,何か明文に書いていないのでいいみたいな書き方になっているように読みましたが,併せて24を出したのは,24の例って,私の理解が間違っていれば言っていただきたいんですけれども,左端のやつというのは,これは,職員の併任か兼任かかけているので,そういう意味でいうと,全てが本籍地の職員になっちゃっているというか,変な何か言い方ですけれども,つまり,権限があってやっていらっしゃるという理解だと読みました。真ん中は,単純にデータとして使っていいよという例にすぎませんと。右端はPDFとかもいいよと書いていて,ただ,サーバの場所が本籍地以外にありますよという,機械が別の場所にありますよという例ではないかと読みました。   つまり,これらの例は,別に本籍地ではなくてもいいよというふうな例ではないと理解したのですが,つまり,飽くまで本籍地の方が,いかに出すために,特に左端なんかは,解釈とか運用で対応されてきたという事例だと理解をしていますけれども,いずれにしても,最後のところのこの表の下に正に書いているとおり,交付者は全部本籍地市区町村長となっているんだと理解をしていて,なので,本籍地市区町村を超えて出せますという例ではないのではないかと理解をしています。なので,ここはやはり法的な整理がいるのではないかと思っております。   意見といいますか,ちょっと,もし私の認識が間違っていれば,教えていただければと思います。 ○北村幹事 御指摘いただいたように,参考資料の24というものは,今明文の規定がない中で,どうやって対応するかというものを検討して,実務上の対応,あるいは解釈の中でできることとしてやったもので,交付権者は,いずれも一番下に書いておりますように,本籍地市区町村長という建前で出しているというものになります。   明文がないからいいと言っているわけではなくて,正にそこは,規定を設けるということでのこの議論かなと思っておりまして,明文がないから,今すぐできますという話ではなく,御議論いただいた結果を法律の中で規定して,その権限を与え,出していくということなのかなと思っております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   今,阿部幹事の方からいただいたこと,後半部分についてはもうお答えいただきましたし,前半部分の大変機微な情報について,過去まで遡ってというのは,交付の問題というよりは,むしろこのシステム一般で,受理のときにもやはりチェックしなければいけないということかと思います。少し特殊な例になるのかもしれないのですが,例えば,特別養子縁組をした場合には,実親子との身分関係というのは切れることになりますが,しかし,一方で,近親婚の禁止というのは存続するという形になっています。そのため,特別養子縁組が成立しますと,その子供については,いったん別の独立の戸籍に入って,それをまたすぐ除籍して,養親の方の戸籍に入るという形になります。そこでは,ある意味で,除籍されたものも含めて遡るという仕組みが必要なのだろうと思います。   その意味では,大変に機微な情報を扱うわけですし,広域交付に限らず,むしろ一般の扱いに関しても非常に慎重なやはり情報管理というのが必要なのだろうということとして,受け止めさせていただくのがいいのかなと思って伺っておりました。   ほか,いかがでしょうか。 ○鷲﨑幹事 私も,そういうセキュリティですとか,先ほど三橋幹事からありましたような本人確認ですとか,そういった厳重なセキュリティの確保の上で,その上で,先ほどそういう懸念のようなお話というのがやはりあるわけですけれども,やはり大切なことは,様々なこういったシステム化においては,アーキテクチャの形が,仕組みがあり得ますと。そういう様々ある中で,例えば,データ管理システムから一括して扱うなり,あるいは都度本籍地に問い合わせられる,そういった複数の方式において,それぞれにどういった利便性や経済性と,そしてセキュリティ等のリスクがあって,したがって,国民に対して説明のつく形で,最も合理的なのはこれであるという形で検討し,提示することが望ましいと思います次第です。   やはり,これは私自身,個人的にはそういう経済性,セキュリティの面がきちんとクリアされれば,やはり経済性や今後の将来的な拡張性,柔軟性などの観点からも,せっかくデータ管理サーバ電子化を進めるわけですので,一元管理した上で発行対応していくことが望ましいと思います次第ですが,そういった異なる方式の比較評価の上での議論がされることが望ましいと思います次第です。   ちょっと,すみません,意見になりますが。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほか,いかがでしょうか。 ○手塚委員 今の阿部さんからのお話で,副本のところに対してのアクセスコントロールをどういうふうにするのかという,ちょっと技術的な話も入ってくるんですけれども,実際に,この入力された方たち,この絵でいいますと,本籍地であろうと非本籍地もあるわけですけれども,今までですと,基本的な非本籍地と本籍地があった場合に,その間でのやり取りということは,データとしてはその間に閉じるわけですよね。それが,今度全体の戸籍情報という副本のところになると。そうすると,それは,誰でも許可がある人は入って,どこでも見えてしまうという,ここについては,やはりある程度アクセス権限を,このデータベースのところに,今まで運用で対応していた,それによって,データをある意味局所化できていた。それの状態をやはりある程度入れるような,そういうアーキテクチャーを考えていかないと,全体が見えてしまうというような,そういう懸念につながるのかなと思いますので,その辺は是非,今後対応していくときに御検討いただければと思います。 ○窪田部会長 今のアクセス制限であるとか,セキュリティの確保というのは,今回最終的な取りまとめをする中でも項目として挙げられていると思いますので,それが十分であるかどうか等についても,あと残り2回,まだ検討の機会がありますので,その中で検討していただければと思っております。また,御意見として受け止めました。   ほか,いかがでしょうか。 ○川島委員 ありがとうございます。   事務局提案につきましては特に異存ございませんし,また,今回,このコンビニ交付との違いについて整理いただきまして,ありがとうございました。こうした広域交付が国民の利便性の向上に資するものとして,議論が更に前へ進むことを期待しております。   また,資料の2ページ目の(2)対応策の中で,限定条件として付されています一定の場合については,(注2)として請求が不当な目的によることが明らかなときは請求を認めない,また本人確認方法を厳格にするなどの記載により,より明確化されたと受け止めております。今後,実務に照らして細部,詳細を詰めていただくようお願いをいたします。   その上で,1点確認なんですが,4ページ目の(注6)についてです。広域交付請求を受けた市区町村の負担が増加することも考えられるということで,ここでは,請求先を請求人がいずれかの時期に在籍していた本籍地市区町村に限定することも考えられるとの記述があります。一見したときに,相当広域交付の請求が限定されるのではないのかと危惧をいたしました。その一方で,6ページ目のところで,広域交付においては,本人等による交付請求のみを認めることとするとなっておりますので,こうした場合には,先ほどの(注6)での対応というものも,必要がなくなるのかなというように受け止めたんですけれども,その点の関係について,事務当局の方から御説明いただけたらと思います。 ○窪田部会長 お願いします。 ○北村幹事 そうですね。(注6)には記載してございますけれども,想定しているのは,どこの非本籍地でも取れるということを想定しております。ただ,自治体等の負担というのがどれぐらい出るのかということも,また御意見等いただければと思いますけれども,それを見ながら考えるということもあり得るかなと思っています。   さらに,例えば,将来的にオンラインとかを使う場合には,そのオンラインの請求先というのも,現在の本籍地,あるいはそこに在籍していたということも考えられるかなということで,(注6)では一つの方策としても挙げさせていただいた次第ではあります。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。 ○川島委員 はい。 ○窪田部会長 石井幹事,安達委員という形でお願いいたします。 ○石井幹事 ありがとうございます。   先ほどのセキュリティの関係ですけれども,中間試案の中で,不正な参照等を防止するための十分な方策を講じるということが記載されているかと思います。セキュリティが侵害される場合というのは,他人が請求した場合と,職員が権限外に戸籍情報を参照した場合の2通りがあると考えられます,後者の方については,各市区町村でログの監査や警告メッセージを発するといった措置は,全ての市区町村において担保されるという前提の上での広域交付の議論だという理解でよろしいのでしょうか。 ○北村幹事 当然,不正参照のところで議論させていただいていたものは,全国どの市区町村にも対応する,そこはしっかりと定めなければいけないし,どの市区町村においてもやっていただく,それは,この広域交付でも同じと考えております。 ○石井幹事 分かりました。   参照の範囲について,市区町村の職員の方の誰が見に行くことができるかということについては,規定上特に設けないという整理を維持されるのでしょうか。 ○北村幹事 そこは,その市区町村の中で誰に与えるかというところまでが法律事項なのかどうかということ,あるいは,こちらの方で通達等で定めて,それを守っていただく形にするのかというのは,アクセス権者として誰にアクセス権を与えるのかということについては,市区町村の御意見等も踏まえながら,また,不正アクセスの防止として,どういったものが必要なのか,他の法令等も見ながら,法制的に必要な措置は,他の法令等を参照しながらとっていくということになるかなと思います。 ○石井幹事 広域交付と比べると,恐らくセキュリティの侵害レベルが大分変わってくる,自分の本籍地とそうでないところまで見られるとなると,セキュリティの侵害レベルが変わってくるような気がしましたので,御検討いただければと思います。 ○窪田部会長 御検討いただければと思います。 ○安達委員 前に正本と副本という議論があったのですが,以前のいろいろな議論を振り返ってみますと,非常に特殊な漢字を名前に使いたいという人の気持ちを尊重して,正本で対応すると御説明があったかと思います。   それは,戸籍を取る国民に対する対応としてお考えだと思うのですが,この広域交付になった場合は,戸籍を受け取る側としては,例えば年金やパスポートの手続など,いろいろな手続において,正字でなくても原本であるといいましょうか,正しいものであるとして扱うという形で,全てのお役所等々のサービスが動くのかということについて,お考えを伺いたいと思います。もし極めて珍しい漢字を使い続けたいという人が将来も残るとしたら,そのような極少数の人のために,各自治体の戸籍事務で,そのような人に印刷した形で正字の戸籍を送らなければならないという手続が残るわけで,これから10年とか20年先を考えますと,そのような形の仕事が残ると社会システムを維持するのは,リーズナブルではなくなると懸念されます。   例えば,自治体ではもう郵送はなくすことができるようなシステムにしておくことがよろしいのではないかと思います。そのような面では,現状,漢字に対して皆さま,違った考え方を持っているので,それを尊重しながら電子化システムをデザインするのがよいのではないかと思いまして,質問は繰り返しになりますが,戸籍を受け取る側のお役所などでは,全て電子化された情報だけで正しいものだと認めるということで動くということが前提となっていると考えますが,そのとおりでしょうか。 ○窪田部会長 その点は,事務当局からお答えいただけますでしょうか。 ○北村幹事 まず,文字の点につきまして,この部会の中でも何度も御議論いただきました。   連携する情報につきましては,文字の同定作業を行うということを繰り返し述べてまいりました。その中で,同定された文字は,我々の方としては,これは同一の文字,デザイン差はあるけれども,同じ文字だと示させていただきたいと申し上げてきました。それを使って連携もしていきたい,また,あるいは,戸籍をつないでいくためには,その文字の同定作業が必要だということで,現在既に文字の収集等を始めさせていただいているところです。   仮に,副本の方から文字を出すということになると,同定された文字ということになろうかとは思いますけれども,そこは,統一された文字という形になるのかとは思っています。それが,市区町村と同じコードを持っていますので,そこに対応する市区町村のコードで出る文字ということになるのかなと思っています。そこを,受け取る側について,私どもの方で,そこは,仮にそういう形を使う,あるいは電子的なものを活用していただくということになるんであれば,十分御理解を得ながら進めていく必要があろうかと思ってはおります。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   安達委員からの御質問の中には二つの点があったのかと思います。一つは,届出をしたときに,これでいいかどうかというのを,本籍地のデータを使って確認をしていくという場合について,ここでは別に本来の特殊な文字というのではなくて,同定された文字というのを当然前提としてチェックをしていくということで,そこまでの点については多分了解を得られているのだろうと思います。   ただし,それは,届出をした人には直接見えるわけではないという場面でした。しかし,広域交付になったときにはプリントアウトされたものが渡されるわけですから,そのときに,それが私の登録した文字と違うということをどういうふうに考えるのか。多分,副本データを使うのだったらそういうものになるし,他方で,正本データというのを使って,なおかつこれ画像データか何かにして対応すれば可能なのかもしれませんが,それだけの負担というのを当然にしなければいけないものなのかという点は,恐らく制度設計の問題として,ここで議論していただくのが適当なのかなと思っております。 ○安達委員 私は,文字の数がこれ以上増えていくということは避けるべきだと思いますし,これから未来を考えたときには,そのことに関してはコンセンサスが得られるのではないかと強く期待して,紙をベースにしていたときの細かいところまで定めた古い行政サービスに残っている複雑なところをいたずらに残すというのは避けるべきだという考え方です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○鷲﨑幹事 今,安達委員からも,電子化された,要するに,最終的には情報のみで各機関であるとかが割ともう回っていけるという,文字の同定の上で回っていけるということであれば,7ページ目のその他にありましたような,紙の代わりに電子的な証明書を発行して,これを用いていくということは,現実的に検討し得ると思いました次第でして,せっかく今回,そういう電子化,システム化を進めるわけですから,それももう一つの,あるいは追加的な仕組みとして,私は検討に値し得ると思いました。   実際,事例としては,例えば,ほかの世界ですと,例えば,不動産等の登記の世界ですと,登記事項証明書を紙で添付する代わりに,最近では照会情報,言わば時限性のワンタイムパスワードでありますけれども,これを本人が取得して,これを機関に提供して,したがって紙の添付をなくすということが,今実際に事例としては起きていますので,そういった仕組みも検討し得ると思いますが,いかがでしょうか。 ○窪田部会長 ちょっと将来的な検討課題ということにはなると思いますが,事務当局から何かございますか。 ○杉浦幹事 先ほどの安達委員からの証明書をとって,それを役所に提出する際に,どういう文字でないといけないのかというようなお話とも関係すると思いますが,それは,恐らく提出する役所とか銀行とかがどういうふうに取り扱うのかというようなことだと思います。   今の鷲﨑幹事の方からお話がありました不動産とか商業法人の登記の情報につきましては,インターネット上で登記情報提供サービスというものを現在もう実施していまして,相当使われておりますけれども,そこでは,外字ではなくて,標準的な文字で提供していても,それはそれで不動産の情報は確認できるし,余りそれほど文字について,戸籍どおりかどうかというところにはこだわりがないということで使われていると思いますし,あるいは,提出する役所によっては,そういうのがあるのか分かりませんけれども,戸籍で使っている特殊な文字でないと駄目だというようなところであれば,そこはそういうもので出さないといけないというようなことにはなると思います。   先ほどのお話の中で,副本管理システムの方にテキストの情報だけではなくて,画像の情報もありますので,画像の情報から出すというようなこともあり得てといいますか,考え方としてあり得まして,その場合ですと,正本と同じ文字になりますし,それから,戸籍の正本の情報を持ってきて証明書にするというときも,やはり正本と同じ外字で印刷されるということになりますが,そこまでやる必要があるのかというようなお話だったと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほか,いかがでしょうか。 ○落合幹事 すみません。先ほど来,住民票の広域交付のお話が少し,総務省さん初め出ていましたので,現場というか実感としてちょっと申し上げておいたほうがいいかなと思いますので,少し住民票の広域交付と今回の広域交付について,感じるところを述べたいと思います。   今,住民票,確かに広域交付をしているんですけれども,我々の認識からすると,広域住民票というのはちょっと住民票とは別のものという認識です。これを同じものを考えてしまうと,例えば,本人確認も違いますし,広域住民票であれば,必ず写真付きの官公庁が発行した身分証明書がないと出せませんよと。なければ,出せませんと言ってお帰りいただく。住民票については,これは,必ずしも写真付きの身分証明書をお持ちではない方もいらっしゃいますので,これは2点確認というようなことで,例えば,年金手帳と保険証とか,官公庁が発行していないものでも,場合によっては,キャッシュカードですとかクレジットカードですとかで本人確認をしているということが違いますし,一番違うのは,例えば,本籍地の表示は広域住民票はどうしたって出せないと。一般の住民票であれば,本籍地を出してくださいと言えば出せるということになっていますので,これは違うものと考えて,我々は今事務を行っているのが実情です。   今回,戸籍について,広域の戸籍謄本という証明書にするのかというと,戸籍はちょっと特別に何かを出さないということはないんでしょうし,本人確認をどちらに寄せるのか。今現状として,戸籍についても基本的には官公庁が発行した証明書で本人確認しているんですけれども,なかなか難しければ,聞き取りなども補って,本人と確認できれば発行していると。   今回,広域についてどうするか,こちらは,必ず身分証明書で写真付きでないと駄目ということにするべきだとは思うんですけれども,そこの違いの部分ですね。住民票は自治体によって違うと思うんですけれども,私どものところでいえば,ほとんどの来庁者が住民の方で,例えば,勤務先が近いから私どもの区役所を利用されるということは非常に少ないので,要するに,広域住民票というのはほとんど出ないんですね。1日1件出るか出ないかというふうな感じも持つんですけれども,戸籍については,住所地と異なるところに置いている方がいらっしゃいますので,かなりの方が広域交付で戸籍を取るということが考えられます。そのときに,本人確認をどうするのかとか,ほかにも交付時間はどうするのかとか,今は土日開庁もありますし,違ってきますので,その辺,細かいところで今後ということになるのかと思いますけれども,少し感じるところは今の発行体制の利便性が損なわれないように,かつ,セキュリティもというようなことの折り合いというところですかね。   それから,前も申し上げたんですけれども,確かに本籍地でないと戸籍が取れないというのは不便だという声は聞くんですけれども,だから全国で取りたい,取れるようにしてほしいということなのかどうか,旅先でも戸籍が取れるようにしてほしいということなのか,何か住所地だけとか,あるいは今回の4ページの(注6)では,いずれかの時期に在籍していた本籍市区町村に限定することも考えられると。システム的に何か制限ができるのかどうかというところは,少し考えて,国民の方に全国で取ることがよいと思っているんですかと,問うというのもあれですけれども。そこを,利便性で言うのか,セキュリティからして自分の戸籍が,北は北海道から南は沖縄までどこでも取れるというようなことが望んでいることなのかなというのは,前と余り変わらず考えているところです。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,浦郷委員,久保野幹事という順番で,御発言お願いいたします。 ○浦郷委員 ありがとうございます。   私は,今回の事務局の提案には賛成です。   前々回のところでも,この広域交付については議論がありまして,そこでもちょっと申し上げたかと思うんですけれども,中間試案の意見募集のところで,試案以外の部分であったにもかかわらず,意見が多かったというところ,国民にとってみれば,遠くにある本籍地の戸籍の証明書を取るのに,自分の住所地のところの区役所なり市役所とか,そういう窓口で迅速に取れるというのは,やはり多くの国民が望んでいるところかと思います。   今お話にありましたように,全国どこでも取れるかというと,そこまでの望んでいるかどうかはあれなんですけれども,やはり自分の住んでいるところで取れるというのは,多く要望があるところだと思います。   それで,今回,この戸籍事務へのマイナンバー制度の導入というところで,マイナンバーの提供があれば,年金とかパスポートのところでは戸籍証明書が省略できるというところ,それとともに,この広域交付というのは,本当に国民にとって見える形でのメリットではないかと思っております。ただやはり,国民として心配なのは,個人情報が漏れたりとか,不正に取得されたりとかで,悪用されるというリスクがありますので,そこのところは,どういうシステムにするかというところはよく考えていただいて,しっかりとセキュリティをかけて,リスクがないようにしていただいて,国民が少しでもメリットが享受できるように進めていただきたいと思います。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   御意見として伺わせていただきたいと思います。 ○久保野幹事 私も,広域交付を認めること自体と,あと事務局御提案の範囲でということについて,これ以上広げないという意味で賛成を基本的にしておりますけれども,ちょっと気になっている点を質問させていただきたいと思います。利便性を高める一方で,指摘がありますとおり,機微情報を含んでいることや,平成19年改正で公開から非公開に原則を転換したこととの関係で,問題がないのかということについて慎重に見極めていくべきだということが議論されていると思っておりますけれども,その点についてちょっと,具体的な例で少しイメージを持てたらなと思います。先ほど部会長が特別養子の例をお出しになりまして,正にそのような例が機微情報の扱いという点で少し教えてほしいところでありまして,例えば,特別養子のAさんという方が死亡されて,その相続の手続のために,二つ例を分けまして,Aさんのお子さんがAさんの従前戸籍の情報を含めた一連の戸籍情報が欲しいと希望している場合,また,Aさんの兄弟に当たる方が,やはり同じように相続のために求めたいという場合に,先ほどの部会長がおっしゃった,一旦別戸籍を作って,もう一回戻すといったときの,除籍の間に入る戸籍ですか,それがどのように扱われるのかということ,具体的には,最終的にその請求した方に公開されるのかということと,あと,窓口の方というか,業務担当者がどこまでシステム上見えるかというのと,多分二つあるんだと思いますけれども,その辺りを教えていただけたらと思います。   なお,今お伺いしていることは,広域交付特有の問題ではない可能性があるとは思いますけれども,ただ,広域交付という形で公開を広げる方向での議論をする際に,公開するということがどういう意味合いをもつことになるのかということについての具体例としてお伺いする次第です。よろしくお願いします。 ○窪田部会長 少し具体的な問題ですから,今すぐ答えられるかどうか分かりませんが,これについてはどうなのでしょうか。 ○北村幹事 まず,Aさんという方が特別養子縁組をされたということで,その後,お子さんが生まれたという場合で,Aさんがお亡くなりになったということであれば,現在のまず枠組みでお話をしますと,お子さんからAさんの戸籍は取れるということになりますので,正に特別の理由がなく取れることにはなります。ですので,Aさんが亡くなったときの除籍は当然取れるということになります。     一方,養親との関係での兄弟ということであれば,そこは,そもそも兄弟については,先ほど申し上げましたように,同一の戸籍にない限りは第三者請求になります。そのときに,Aさんについて必要だということであれば,10条の2の要件をきちんと満たしていればその範囲で遡れるということになるかなと思います。 ○窪田部会長 そこはどうですか。よろしいですか。 ○久保野幹事 ちょっと,追加でいいですか。   すみません,今の最後の点なんですけれども,正に兄弟が請求できるとすれば,自分の相続資格があるかどうかを確認したいので,Aさんの一連の戸籍を取りたいということで,それが正当だと認められる場合なのかなという想像をしての御質問だったんですけれども,そこまで,まず間違っていないですか。 ○北村幹事 相続の関係ということになると,特別養子縁組になっていると,まず元の血族との関係は切れているので,そちらの関係とは基本的に相続関係に立たないと思われます。第三者請求ですと,相続のために必要ということなので,相続の関係で必要な範囲なのかなとは思います。 ○久保野幹事 ごめんなさい。特別養子なので,養親に子供が…… ○窪田部会長 縁組先の子供ですね。 ○久保野幹事 そうです。いると,法的に兄弟になると思うので,そこを確認するために,Aさんの戸籍を取りたいというときです。   それで,ごめんなさい,細かいことですが,一つ確認したかったことは,特別養子で一旦単独戸籍ができたときの戸籍というのは,先ほど部会長からあったように,近親婚を防止するという点では遡って見る必要はあるんだろうと思うんですけれども,相続人としての確認をするためには,恐らく必要ないのではないかという気がしていまして。 ○窪田部会長 私も,伺いながらそうなのかなとは思ってはいたんですが,ただ,10条の請求だと,理由なしでいけますが…… ○久保野幹事 なので,兄弟で質問していまして。 ○北村幹事 10条1項の請求にはならないので。 ○窪田部会長 子供の方だと全部,これは,もう制限なしでいける。ただ,兄弟の方だと理由が要るので,そこには行けないという説明になるのではないでしょうか。 ○久保野幹事 そこが正に質問のポイントでして,ごめんなさい,時間をとりまして。   相続目的だとすると,特別養子の間に入る戸籍は,目的との関係では不要な戸籍だってなりそうなんですけれども,そこまで請求理由と対応させて,その部分は外れて請求者には開示されないという細かい扱いがされるのかということと,あと,システム上,先ほどたしか氏名と生年月日と性別を入れると,100%近く同定されて,余計なものを見ることは,それによってかなり防がれるという御説明があったと思うんですけれども,Aさんまで特定した上で,窓口職員が見たときには,請求者には見せない,その間の戸籍が見えてしまうかという点,その2点がちょっと確認できたらと思った次第です。 ○北村幹事 10条の2の請求になりますので,正に自己の権利を行使し,また自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合に当たれば,そこの必要な範囲で戸籍が取れるということになります。   今の場合だと,養親との関係で兄弟関係にあるということになると,特別養子縁組をして,その亡くなった方が養親との間で養子縁組をしたという時点を確認するということになるのかなと思っております。 ○窪田部会長 恐らく,久保野幹事の御質問は,10条の2の第三者請求の場合だと,利害関係があるとか具体的な理由が必要だというのが,多分請求のときの要件にはなるだろうけれど,その後の参照範囲の制限までそれによってされるのかという御質問だったのだと思います。その点は確かに,規定を見てもよく分からない感じがしますが。 ○杉浦幹事 恐らくそれは,どういった用途に使うのかというところによるものだと思います。   ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ちょっと1点,私からもお願いがあります。事前に資料を頂戴したときには気付かないままでいたのですが,今日,席上配布資料を拝見していてちょっと気になりましたのは,これは,相続の問題といっても,実は,兄弟姉妹が共同相続人になっているというパターンですね。恐らくもう少し深刻な問題は,兄弟姉妹間の相続の問題なのだろうと思いますし,5ページに書いていただいていることも,ほとんどは説明としてはそのまま使えるのではないかなと思いますけれども,ただ,相続対策として,兄弟姉妹が共同相続人のときは,それぞれ取ればいいではないというのは,恐らく,共同相続人である場合の問題だけに当てはまることではないかと思いますので,ちょっとその点,もし今後も細く説明とかで出てくるんだとすると,うまく対応していただければと思います。   あと,ほか,よろしいでしょうか。 ○阿部幹事 すみません。先ほど落合幹事の方から,広域交付のもの,別物だという話で,住民票は別物なんだというお話があったので,あれは,要は,元々の住所地ではないところから出せるということになるので,そこの市区町村が出す,要は,住所地でないところの市区町村長がどういう情報を出すべきなのかとか,どういう審査をすべきなのか,何かあったとき,誰が責任取るんだという話が当然あって,そういう中で,今のような規定になっているというふう理解をしております。   つまり,我々からすると,やはり情報,個人情報保護の観点からは,ここまでは出せるとか出せないとかっていうことを考えた上で,そういう建付けにしているというのが,我々の理解です。その意味で,今日の,すみません,るるちょっとお話しさせていただいたこのシステムの話で,ちょっと疑問に思うのは,この絵でいうと,戸籍事務内連携サーバ,例のイメージですね。戸籍事務内連携サーバと各1,741市区町村はつながっているのだとすれば,別にそれぞれに聞きに行っても困らないのではないかと。つまり,システムの作り方としては,副本データベースに聞きに行くというシステムの作り方がもちろんあるというのは理解した上で申し上げているわけですけれども,よりプライバシーインパクトの関係から,大きなデータベースに当たらなくて,個別に当たりにいけばいいではないかという議論をしたときに,どういうお答えをお持ちなのかというのを聞かせていただきたいと。   先ほどちょっとお話出ていましたんで,そういうものを比較検討して,国民の皆様にも見せた上で議論するというやり方もあると思いますし,その辺り,ちょっとどういうふうにお考えか教えてもらえればと思います。 ○窪田部会長 どうでしょうか。 ○北村幹事 法制審が始まる前の研究会,あるいはシステムワーキンググループの中でも,同じような議論があったかと思います。   戸籍の場合は,今生きている者の戸籍だけでは足りないということもありますし,幾つかその方についても戸籍が転々としている可能性があって,一つずつ追っていかなければいけないということもある。そういった中でどこに,今おっしゃられたように,この戸籍事務内連携を使って,常にそれぞれ市区町村,1,800の市区町村同士でやり取りをするという方策も考えられるとした中で,やはりどこに聞きに行くのかがなかなか分からないということも踏まえ,まず1か所にあるところに確認するという議論をさせてきていただきました。   その上で,最終的に情報を出す先としては,先ほども(注3)のところでも記載したところなんですけれども,この国のところから,これを利用して出すのか,あるいは市区町村の情報を利用して出すのかというのは,(注3)で記載させていだいているとおり二つあり得るかなと。   ただ,その前提として,なかなか,どこに本籍を置かれているのかというのは分からない,従前の戸籍をたどっていかないと分からないということもあるので,こういうシステムが相当だろうということで,過去数年間議論させてきていただいているのかなとは思っております。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   それでは,非常に活発に御議論いただいてありがとうございました。   非常にたくさん御意見を伺いましたが,基本的には証明書の広域交付,それ自体を行うということについては,大きな枠組みについては,積極的にこれは駄目だという御意見はなかったのだろうと思います。ただ,その上で,どのデータを使うのか。どのデータを使うのかというのは,法的な意味でどこに所在するデータを使うのかという問題と,どの内容のデータを使うのかという問題があると思いますが,そうした問題をもう少し詰めてみる必要があるということだったと思いますし,さらには,やはり非常にたくさん御意見を頂いたのは,これ,広域交付の問題に限らないとは思いますが,やはりセキュリティの問題はかなり深刻な問題だし,きちんと対応しなければいけないということだったと思います。   恐らく,この問題に関して言うと,一般的な法制審と少し違うのかもしれませんが,最終的なシステムの作り方ということについては,法務省で単独で何かを決めるというわけにもいかないと思いますので,いろいろ協議していただいて進めていただくということになろうかと思います。   それでは,ここで少し,10分余りということで,後ろの時計で40分まで休憩を頂戴できればと思います。           (休     憩) ○窪田部会長 それでは,時間になりましたので議事を再開させていただきます。   続きまして,部会資料10の「第2 届書類の電子化について」,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○田中関係官 それでは,部会資料10,7ページでございますけれども,「第2 届書類の電子化について」というところでございます。   届書類の保存につきましては,第8回会議において論点とさせていただいたところでございますけれども,改めて,戸籍の記載を要しない届出に関してということで,外国人の届書類の取扱いについて。そして,届書類を電子媒体で保存することとした場合の紙媒体の保存について,論点として取り上げさせていただきました。   まず,「1 外国人に関する届書類の取扱い」について御説明いたします。   戸籍の届書類につきましては,日本人に関する届書に関しては毎月市区町村から法務局の方に送ると。これは,戸籍が滅失した場合の再製のための資料であったりとか,戸籍の届出が適正に処理されているかを管轄法務局でチェックするため等に用いられているところでございます。   一方,外国人のみを当事者とする戸籍の届出につきましては,その届出によって外国人について戸籍を編製したり,あるいは戸籍の記載をするといったことはございませんので,その届書類は戸籍の記載を要しない届書類として,その届出を受理した市区町村長において保存することとされております。   このような外国人のみを当事者とする届出に係る届書類は,届出をした外国人の身分関係を明らかにするための機能を果たしているところでございまして,届出の受理証明書や届書の記載事項証明書として証明されているというのが現状でございます。   このような証明に関しまして,日本人の親族的身分関係に関する証明というものは,通常,戸籍又は除籍の証明書によって,その目的を達することができることから,戸籍の記載の元となった届書類については原則として公開しないとされているところでございますけれども,他方で,外国人の親族的身分関係に関する証明につきましては,当該外国人の本国官憲が本来行うべきものではありますが,もっとも本国における身分登録のために,届書の記載事項証明書を本国政府から求められることがある。それで,届書の記載事項証明書が外国人の親族的身分関係を明らかにする手段の一つとなっておるというのは,以前も御説明差し上げたところでございます。   そこで,外国人に関する届書の情報について,国が構築する戸籍情報連携システム(仮称)に送信して,届出を受理した市区町村以外の市区町村,実際に想定されますのは,証明書を請求する時点における届出事件本人の住所地において,届書の記載事項証明を請求することができるようにするといった方策が考えられるところでございます。   これを実現するためには,当該届書を受理した市区町村以外の市区町村において,届書の情報を検索することができる必要があるというところでございます。   これは中間試案において,電子化した届書類の情報については,市区町村で戸籍を記載するために必要であるというものであるため,戸籍を記載する本籍地市区町村及び受理地の市区町村に限り参照すれば足りるというふうに考えられることから,届書類の情報の参照できる者は,届出事件本人等の本籍地の市区町村の職員及び届出を受理した市区町村の職員に限るとしたところでございます。   この趣旨によれば,仮に外国人に関する届書について,届出を受理した市区町村以外の市区町村において届書の情報を検索することができるとした場合には,結果的に日本全国全ての市区町村において,届書類の情報を検索することができる必要があるということとなりまして,これについては相当ではないと考えられます。   また,届書類の情報について,今申し上げましたとおりの日本人を届出事件本人とする届書類の場合というのと,参照できる職員の範囲を異にする合理的な理由も存しないものと考えておりますし,また,外国人に関する届出,説明申し上げましたとおり,戸籍に記載するといったこともございませんので,届出を受理した市区町村職員以外が情報を参照する必要性はないものと考えております。   前回,このことを御提案しましたときに,外国人について,親族的身分関係を明らかにするために,戸籍簿とは異なる別途の管理をすることについて御意見を頂いたところではございます。ただ,しかし,そのような制度の導入に当たっては,戸籍制度を抜本的に見直すことが必要であるとも考えられることから,慎重な検討が必要であると考えておるところでございます。   そこで,外国人に関する届書類については,現行の事務同様,届書類を受理した市区町村において保管するものとすることでいかがかという御提案をさせていただいておるところでございます。   次に,9ページ,「2 届書類の保存」について御説明いたします。   まず,(1)現状というところでございますけれども,戸籍の届書類は,戸籍の記載が終わった後,戸籍が滅失した際の再製資料,あるいは民事,刑事訴訟における証拠の資料,さらには法務局においての市区町村に対しての指示,助言等を行うための資料として利用されているところでございます。   戸籍の記載を完了した届書類につきまして,本籍人に関するものにつきましては,市区町村から管轄法務局に1か月ごとに送付されまして,管轄法務局において27年間保存するのが原則とされておりますけれども,戸籍事務,現在原則としてコンピュータ処理されておりますけれども,そうした場合に,管轄法務局の管理するコンピュータに副本情報の送信を受けますと,5年を経過した届書類については廃棄することができるとされておりまして,届書の保存期間は最短で5年間となります。   また,戸籍の記載を要しない届書類,外国人のみを届出事件本人とする届書類が該当いたしますけれども,これについては婚姻届,あるいは任意認知の届出等については50年間,出生届,死亡届等については10年間保存することとされております。これらについては,いずれも書面の状態での保存を前提としておるところでございます。   次に,(2)届書類の保存場所及び保存期間について御説明いたします。   届書類を電子化して,国が構築する戸籍情報連携システム(仮称)に送信することといたしますと,紙媒体の届書類,現在,市区町村から管轄法務局に送付した上で,管轄法務局において保管するところとしておりますけれども,この紙媒体の送付が必ずしも必要ないものと考えられる一方で,戸籍に受理者という者が記載されて,それが公証されていることからしても,受理地市区町村において保管することが合理的ではないかとも考えられるところです。   もっとも,届書類のデータについては,戸籍情報連携システム(仮称)で保管することとなることから,戸籍情報が滅失した場合の再製資料として届書類を保管しているという現状を考慮しても,長期間にわたって紙媒体の届書類を保管する意義というものは乏しいとも考えられるところでございます。   (注)書き,(注12)というところで記載しておりますけれども,戸籍の届出というのは,書面又は口頭によりすることができるとされておりまして,オンラインシステムを使用することによりできるということも,法制上できることとされておりまして,現行制度においても,書面によらない届出ができるということが予定されておるところでございます。現在,オンラインシステムを使用した戸籍の届出というのは行われていないわけですけれども,今後オンラインシステムを使用した届出というのが増加するのは時代の趨勢であろうとも考えられることから,将来的には紙の届出が少なくなっていくということも考えられますので,必ずしも紙媒体前提として長期間保存する仕組みを残す必要がないとも考えられるところでございます。   他方で,紙媒体の届書類については,裁判手続における証拠資料として利用される可能性があるということも考慮する必要がございます。第8回会議において,裁判等の手続で届書がどの程度手続に利用されているのかちょっと分からないので数字が欲しいと,捜査機関等がどのように使っているのかが分からないといった御意見がございましたので,この御意見を受けまして,捜査機関から資料の提供をお願いしたところでございまして,そこで席上配布資料といたしましてお手元にお配りしております,「戸籍の届書類を刑事訴訟手続に用いる場合について」と題する資料を御用意いたしましたので御覧ください。     (席上配布資料について説明)   このように,戸籍の届書は犯罪捜査の場面でも用いられるものでありまして,保存期間の検討に当たっては,このような用途にも配意する必要がございます。   部会資料10の方に戻っていただいて,もっとも,そのような用途もある一方で,現実問題で,多くの市区町村において長期間分の届書類の保管場所を確保するというのが極めて困難であると考えられることにも留意する必要がございまして,この問題についてどう考えるかということも検討する必要がございます。   そこで,御提案といたしましては,紙媒体の届書類については,届書類を受理した市区町村において保管するものとしてはどうかという御提案,それとその場合に,紙媒体の届書の保存期間としてどのように考えるべきかについては御議論を頂きたいというふうに考えております。   こちらの説明は以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,「第2 届書類の電子化について」ですが,2点,かなり性格の違う問題だろうと思いますので,区切って進めていきたいと思います。   7ページの「1 外国人に関する届書類の取扱い」に関しては,事務当局から御説明がありまして,パブコメの中では,これについての対応ということを求める意見もございましたけれども,最終的には外国人に関する届書類については,現行の事務と同様,届書類を受理した市区町村において保管するものとするという形の提案がなされておりますが,これについて御意見はありますでしょうか。   特にございませんでしょうか。   それでは,これについては事務当局の方から提案していただいた方向で取りまとめを行うということで御了解を頂けますでしょうか。   ありがとうございました。   それでは,もう一つ,9ページの「2 届書類の保存」ということで,保存に関する期間の問題,その届書類の実際の必要性ということも含めて,席上配布資料,刑事訴訟手続に用いる場合,どんな形で用いられているのかということについての資料を御説明も頂きました。   これについてはいかがでしょうか。 ○磯谷委員 まず1点目は,今回のこの資料によって,この公正証書原本不実記載等の実情については分かりましたが,実際に届書の原本がどのぐらい捜査に使われているのか,そのボリューム感といいますか,そういったところは必ずしも明らかではないのかなと思いますけれども,その辺りについて補足があれば教えていただきたいと思います。これが1点です。   それから2点目は,「届書類の保存」に関して場所的な問題,スペース的な問題が課題として挙がってございましたけれども,現状において,法務局においては基本5年間,保存をされているのですね。そうだとしますと,今後市区町村の責任において保存することとしたとしても,例えば法務局のスペースを利活用することとして,物理的には引き続き今と同様の取扱いをすることは可能なのではないかなと感じたのですけれども,この点はいかがでしょうか。 ○窪田部会長 それでは2点,いかがでしょうか。 ○北村幹事 まず1点目ですけれども,やはりそこは捜査の手法,あるいは具体的な内容に関わるということにもなりますので,何件,この原本を確認したかというものは,やはりそこは明らかにできないという形にはなろうかと思います。ただ,実際上,原本を使う例もあるということで,今回示していただいたというものになります。   2点目につきましては,この部会で繰り返し御説明させていただいているところではあるんですけれども,やはり戸籍の事務そのものの中では,ほぼ電子的なもので足りるだろうという中で,紙の届書類の保存をどうするのか。市区町村で保存していただくとなると,その負担の軽減というものは当然考えないといけない。その中で,今御提案のあったことも含め,市区町村の負担を軽減するというのはどういう策があるのか,あるいはそこは保存期間の問題として捉えるのかどうかということも含め,なお検討する必要があるのかなと思っております。   ただ,事務として今回,届書を電子化して送っていただくという事務を導入するのに加え,従来と同じ形で法務局に送っていただくという,仮にそれを,単に保管場所だけの問題かもしれないですけれども,同じような形で事務を残すとなると,また市区町村の負担というのも大きいのかなとは思っておりまして,その辺りをどういう形でやるのかというのは,御意見を頂きながら考えていきたいなと思います。 ○窪田部会長 今の点について,落合幹事,いかがでしょう。 ○落合幹事 事務の負担という話で北村幹事の方からありましたけれども,こちらには場所がないという中で,法務局さんには今あるということであれば,送るのが現状と変わらないのではと思います。ただ,では,それが責任なりあるいは法令上どうなのかというのはあるかもしれませんが,やはり5年分となると相当の届書類になりますので。   あともう一つ,ちょっと懸念というか,あれですけれども,記載事項証明書の発行に関して,電子化すればどちらでもということであればあれなんですが,原本はそちらにあるのでということになると,そこが少し負担であったり,あるいは,これは例えば,今言われたように,犯罪捜査に関わるようなことで,こちらの方に照会なりというようなことも,少し消極的な意見かもしれませんが,そちらの方の負担の方がきっと大きくて,毎月法務局に持って行くというのは,うちなんかでも車で行っていますけれども,そこよりは,そちらの負担の方が大きいかなという感じはいたします。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   今の問題に関して言うと,多分,電子データを送るというふうになった時点で,保管の問題に関しては法的にどちらが保管すべきかというのは,もう明確な基準は立たない問題になっているのではないかという気がいたします。ただ,その上で,いろいろな形で,今回の制度の改正によって,市区町村にとって単に負担が増えるという形の,やはり結論は避けるべきだろうと思いますので,これについては,むしろ当事者間でうまく相談していただくという形で解決を図るしかないのかなという気もしていますが,何かよいお知恵はございますでしょうか。   法的な問題としてこうすべきだというのが言えるといいんですが,多分そうではない種類の問題なのかなと思って伺っておりました。   これについては,場合によっては市区町村の御意見も伺いながら,最後,取りまとめの,実際これは法律でどこに書くのかということも問題になると思います。 ○北村幹事 恐らく保存期間の問題ということであれば,省令事項になるのかなとは思っております。それで市区町村の負担をどう考えるか,そこの軽減ということをよくよく検討すべしという御意見を頂いて,我々としては,なおそこは検討させていただくということになるのかなと思っています。 ○窪田部会長 では,その方向で,最終的な取りまとめに向けて進めていただければと思います。   ほかに御意見,御質問はありますでしょうか。   よろしいでしょうか。   それでは,あともう1点,期間についてということでしたが,期間については聞かれても,これは大変に答えにくい,私は3年がいいと思うとか5年がいいとか4年半がいいとか,そういうのは出にくいと思うのですが,何かありますでしょうか。    ちょっと今の期間の点も含めて,少し市区町村とも相談しながらということで,市区町村の御意見も伺いながら検討を進めていただくという方向で,基本的な枠組みとしては提案していただいた方向で取りまとめをしていくということで御了解いただけますでしょうか。   それでは,本日の予定していた事項というのは以上ということになります。   次回以降の会議の日程について,もうこの法制審議会も残りが少なくなってきましたので,最終的なところまで含めて,そのスケジュールを事務当局から御説明をお願いいたします。 ○杉浦幹事 次回の会議は,本年12月7日金曜日,時間は13時30分から17時30分までを予定しております。開催場所につきましては,法務省地下1階大会議室を予定してございます。   また,次の次の会議でございますが,1月18日を予定してございます。次回と次々回で要綱の取りまとめに向けて御審議を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは,残り2回ということになりましたが,どうぞよろしくお願いいたします。   本日の第10回会議はこれにて閉会にさせていただきます。大変に活発な御議論を頂きまして,ありがとうございました。  ―了―