法制審議会戸籍法部会 第11回会議 議事録 第1 日 時  平成30年12月7日(金)    自 午後 1時30分                          至 午後 3時24分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  戸籍法の改正に関する要綱案のたたき台について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○窪田部会長 それでは,時間がまいりましたので,法制審議会戸籍法部会の第11回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   本日ですが,須藤委員,手塚委員,阿部幹事,衣斐幹事,鷲﨑幹事は御欠席の予定と伺っております。   それでは,本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局からお願いをいたします。 ○杉浦幹事 お手元に,議事次第,配布資料目録,部会資料11,配席図,委員等名簿を配布させていただいております。また,席上配布資料として,資料は3点お配りしております。1点は「戸籍情報連携システム(仮称)等のイメージ」と題する資料,それから「戸籍訂正手続について」と題する資料,3点目が「戸籍訂正」と左上にある資料でございます。   不足の資料等ございましたら,事務当局までお申し付けいただければと存じます。   配布資料の御説明は以上でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは,審議に入りたいと思います。   本日は,戸籍法の改正に関する要綱案のたたき台について,議論をさせていただきます。   まず,部会資料11の「第1 法務大臣が戸籍情報連携システムを設置し,管理すること及び身分関係等情報を提供すること等について」,それから,あわせて,第2の「戸籍情報連携システムによる戸籍に関する事務の取扱い」について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○櫻庭関係官 それでは,戸籍法部会資料11「戸籍法の改正に関する要綱案のたたき台」と,あと,前回お配りしたものと同じですけれども,「戸籍情報連携システム(仮称)等のイメージ」というのを横に置きながら,お話を聞いていただければと思います。   まず,この要綱案のたたき台の構成ですけれども,ゴシック体で書かれているものが法律として規律しようとしている内容でございますが,要綱案に記載する幹の部分と考えていただければと思います。内閣法制局の条文の審査の過程で表現振りが変わってくるということもございますので,この点につき御了解いただければと思います。また,(注)と書いてございますものですが,これは,法律で規律するものではありませんが,省令等で規定するということを予定しているものも含めまして,ゴシック体の部分の説明として,重要と思われるものを記載してございます。また,補足説明につきましては,ゴシック体,注意書きを理解する上で,事務局として補足が必要であろうと考えたものについて記載しております。   それでは,「第1 法務大臣が戸籍情報連携システムを設置し,管理すること及び身分関係等情報を提供すること等について」,御説明いたします。   中間試案では,この前に電算化を原則とする規定振りへの変更についてという項目が挙がっていたところでございますけれども,全ての市区町村の電算化が完了していないこともあることから,現行法どおり紙戸籍による処理の規定を残すべきではないかとの議論もあったところでございまして,法制的な観点から引き続き検討を要する必要があるということで,今回のたたき台の案では,掲載を見送ることとしております。このため,戸籍情報連携システムの設置管理等の関係を第1とさせていただいております。   なお,まとめて御説明します第1と後述の第2の違いですけれども,大きく言いますと,第1では,戸籍情報連携システムを設置すること,それに伴って,戸籍事務とは別の事務を行っている行政機関に対し,マイナンバーに対応した戸籍情報の提供を行うことについて記述しております。第2では,この第1で構築しました戸籍情報連携システムを使って,戸籍事務の中では具体的にどのような事務を行うのか等について記載してございます。   第1の1にゴシック体で「法務大臣は,法務大臣及び市町村長の使用に係る電子計算機を相互に電気通信回線で接続した電子情報処理組織であって,戸籍の副本に記録されている情報,届書等情報,身分関係等情報その他法務省令で定める情報を蓄積し,及び管理するために,戸籍情報連携システムを設置し,及び管理するものとする。」と記載しております。行政手続におきまして,戸籍証明書の添付を省略するためには,行政機関の長との間で戸籍情報の連携をすることができるようにする必要があります。そして,戸籍情報の連携のためには,複数の戸籍にまたがっている個人の出生から死亡までの情報を符号化したものである身分関係等情報について,法務大臣が調整する必要があります。また,法務大臣において,身分関係等情報を調整するためには,戸籍の副本に記録されている情報,すなわち戸籍と同一の情報を法務大臣において収集管理する必要があることから,戸籍情報連携システムといったシステムが必要になるところでございます。   こうしたことから,補足説明では,「1 国(法務大臣)において,戸籍情報連携システムを構築するものとする。」,「2 法務大臣は,戸籍副本の情報を利用して,戸籍内の各人について戸籍により得られる情報によって作成される身分関係等情報を調製し,これを管理するものとする。」と記載しております。   1ページの真ん中,(1)ですけれども,「届書等情報とは,届書に記載すべき事項その他の戸籍の記録をするために必要な情報であって,戸籍法その他の法令の規定により市町村長に提供しなければならないものとして法務省令で定めるものをいうものとする。」と記載してございます。   補足説明1を御覧ください。市町村が受領した届書類の情報をスキャナーで読み込み電子化することによって,受理地及び本籍地の市町村や管轄法務局等におきまして,届書類の情報の共有化を図り,当該情報を戸籍事務において活用することにより,届出を受理した市町村から本人の本籍地の市町村への届書類の送付が不要になるとともに,本人の本籍地の市町村から管轄法務局等への送付も不要になるということを想定をしております。また,補足説明2のとおり,現在,戸籍の受理地及び本籍地双方で同じ情報を入力していたものにつきまして,入力に係る事務量を軽減するため,届書類の情報のうち,戸籍に記録すべき事項について,入力されたデータを共有することを可能とするということが考えられます。   ページをめくっていただき,2ページの補足説明3で,電子化する対象について触れておりますが,本籍地の市町村で戸籍の記録を行う際に,非本籍地の市町村で受理された届書の添付書類を改めて確認することもあり得るため,届書だけでなく,その添付書類についても電子化する必要があります。電子化する届出事件の範囲について,例えば,その市町村に本籍がない者の届出事件に限るとすると,保存方法及び期間の区分処理が必要となり煩雑な上,管轄法務局等への送付事務も引き続き発生することから,範囲を限定せずに一律に,受理地の市町村において戸籍に記録すべき者に係る全ての届書類を電子化することを想定しております。現行の取扱いとして,戸籍を記録する市町村が多数の場合,複数の謄本を作成,送付しているところ,謄写行為がスキャン行為に変わるものの,送付手続が簡略化できることから,事務の省力化が図られるものと考えてございます。   2ページの上,「(2)身分関係等情報とは,戸籍に記録されている者の身分関係その他当該戸籍に記録されている者に関する戸籍に記録されている情報であって,下記3により法務大臣が行政機関,地方公共団体,独立行政法人等その他の行政事務を処理する者に対して提供するものとして法務省令で定めるものをいうものとする。」と記載しております。補足説明ではいろいろ記載しておりますが,ポイントをお伝えいたします。   補足説明1ですが,身分関係等情報を整備するためには,個人について出生から死亡までの戸籍情報を統合する必要がありますが,市町村で管理している戸籍情報については,システムベンダーも複数あり,文字コードや字形が異なっているため,今のままでは戸籍情報を機械的に統合させることができません。このため,機械的に統合させるためには,各市町村で戸籍に記録されている文字情報について,共通のコードをひも付ける必要があります。これには,標準的な字形の文字に収れんする文字の同定作業が必要になります。この同定作業の結果,共通の文字情報基盤として標準化されているIPAの文字及びコードとひも付け,整備された文字を戸籍統一文字として公表することを想定しております。   補足説明2では,こうした文字の同定作業につきましては,文字の専門家の知見を活用して行うことを記載しております。   補足説明3では,文字に対する愛着が強く,コンピュータによる取扱いに適合しない戸籍,いわゆる改製不適合戸籍につきましては,平成6年の戸籍法改正以降,各市町村が戸籍事務のコンピュータ化を進めてきた際に,強制的にコンピュータ化戸籍に移行しなかった経緯を踏まえ,今回の戸籍法の改正におきましても,引き続きコンピュータによる取扱いに適合しない戸籍として取り扱うことを記載しております。   続きまして,3ページを御覧ください。   まず,2と3ですけれども,2につきましては,「法務大臣は,戸籍と同一の内容を証明するものとして,戸籍の副本に記録されている情報を利用して身分関係等情報に関するファイルを調製し,これを管理するものとする。」と記載してございます。また,3番では,「法務大臣は,行政機関の長等から法律の定める事務の処理に関し法律の規定による求めがあったときは,法務省令で定めるところにより,当該事務の遂行に必要な身分関係等情報ファイルに記録された情報を提供するものとする。」としております。これは,戸籍法に法務大臣として行政機関の長等に親子関係や夫婦関係等を符号化した身分関係等情報を提供することができることとするための規定を置くという趣旨でございます。注意書きにあるとおり,法務大臣が,番号利用法第19条7号の規定に基づきまして,情報提供ネットワークシステムを通じて身分関係等情報を提供することを想定しております。   次に,4と5でございます。4は,「上記3により身分関係等情報ファイルの提供を受けた者は,上記3により事務を取り扱う場合を除き,身分関係等情報ファイルに記録されている情報を自ら利用し,又は提供してはならないものとする。」,5につきましては,「法務大臣は,上記3による事務その他の戸籍に関する事務を取り扱う場合を除き,身分関係等情報ファイルに記録されている情報を自ら利用し,又は提供してはならないものとする。」と記載しております。これは,身分関係等情報を受領した行政機関の長等も,また法務大臣も,目的外利用ができないという趣旨でございます。   補足説明についてもポイントをお伝えいたします。   マイナンバーを活用した行政機関の長との連携につきましては,総務大臣が管理する情報提供ネットワークシステムを用いて戸籍情報を提供することを想定していますが,この情報提供ネットワークシステムでは,氏名,生年月日,性別及び住所の基本4情報は流せない取扱いになっていることから,戸籍情報そのものではなく,情報提供ネットワークシステムに流せる情報にして提供する必要があります。そのため,他の行政事務に対する情報提供に必要なものであって,情報提供ネットワークシステムに流せる情報を身分関係等情報と位置付け,これを提供することを想定しております。身分関係等情報につきましては,具体的には,親子関係や夫婦関係等の関係を記号で表したものを想定しておりまして,当該親子間,当該夫婦間でそれぞれ同一の記号を付し,これらの記号が一致することにより,親子,夫婦であることを確認することを予定しております。   以下,このように情報提供ネットワークシステムを用いて戸籍情報を提供する連携の方法を,ネットワーク連携と呼ぶことにいたしたいと思っております。   すみません,4番のところで,「身分関係等情報ファイルの提供」とあるのを「身分関係等情報ファイルに記録された情報の提供」というふうに,修正させていただきたいと思います。   次に,「第2 戸籍情報連携システムによる戸籍に関する事務の取扱い」について御説明いたします。   「1 戸籍に関する事務の取扱い」でございますけれども,「法務大臣及び市町村長は,法務省令の定めるところにより戸籍に関する事務の一部を戸籍情報連携システムによって取り扱うものとする。法務大臣及び市町村長は,戸籍に関する事務の一部を戸籍情報連携システムによって取り扱うことにより,戸籍の届出の受理等の審査に際し,戸籍証明書の添付省略を実現するとともに,届出を受理した市町村長から本籍地の市町村長への届書類の郵送等の事務を省略し,もって,国民の利便性の向上及び戸籍に関する事務の効率化を図るものとする。」と記載してございます。この趣旨としましては,先ほど申し上げましたネットワーク連携のためには,戸籍情報連携システムの設置管理が必要となりますところ,これを活用して,現在,市町村間で戸籍情報を確認するために行っている電話照会や公用請求をするという取扱いを改め,戸籍情報連携システムにある戸籍情報を参照することで,戸籍事務内においても戸籍謄本等を添付書面とすることを取りやめるとともに,届出等を送付する取扱いを改め,物理的な郵送処理の代わりにデータの送受信の処理をすることで,国民の利便性の向上と戸籍事務の効率化を図りたいというものでございます。こうしたネットワーク連携と対比される戸籍事務内での事務の効率化等の営みについては,便宜戸籍事務内連携と呼ばせていただくことにしたいと思います。   4ページの補足説明について,ポイントを御説明いたします。   補足説明1では,現状について記載してございます。具体的には,各市町村で管理している戸籍情報システム同士が独立しており,ネットワーク化していないことから,本籍地以外に届出がされる場合には,現状も戸籍法施行規則63条により戸籍謄本等の提出を求められることがあること,必要に応じて電話照会や公用請求により戸籍の記載,又は調査のために必要な情報を確認していること等を記載しております。   補足説明2では,参照できる戸籍情報の範囲については,事務に必要な範囲とした上で,不正な情報参照を防止する方策を適切に講ずることを記載しております。   続いて,(注2)では,「管轄法務局等の長は,市町村長が行う戸籍事務への指導,戸籍訂正の許可等の事務に当たって戸籍情報を確認する必要がある場合には,戸籍情報連携システムに記録されている情報を参照することができるものとする。」と記載しております。これに関する補足説明1では,市町村長が,管轄法務局長等に受理について助言を求める,いわゆる受理照会や戸籍訂正の許可等の事務に当たり,市町村同様管轄法務局長等も戸籍情報を参照する必要があることを記載しております。また,5ページ冒頭の補足説明2では,管轄法務局長等が参照する場合でも,不正な情報参照を防止する方策を適切に講ずることを記載しております。   次に,5ページの(注3)でございますけれども,届書類は電子化すること,電子化した届書類については,現行の紙の届書類の取扱いと同様,受理地と本籍地の職員のみが情報に接することができるようにすること,あと郵送処理を廃止する観点から,届出人等から提出された紙媒体の届書類は,受理地の市町村が保管することを原則とすることを記載しております。なお,届書については,スキャンをした場合でも,その内容が確認できるようにする必要があることから,届書の様式について電子化の障害とならないような規則等の見直しを行うことを記載しております。   5ページの真ん中の補足説明について,ポイントをお伝えいたします。   補足説明1は,電子化した届書類の情報については,正確な戸籍の記録のために必要となることから,受理地及び本籍地の市町村並びに管轄法務局等に限って参照すれば足りること,紙の書類は受理地の市町村が保管することを原則とするが,保管を行う負担の軽減策を検討することを記載しております。   補足説明2は,戸籍の記録を要しない外国人のみを届出事件の本人とする届出等については,当面現行の取扱いを維持すること,補足説明3は,現行の規則や通達において,届書の様式等の規律があるところ,電子化した届書を利用する場合に,事務に支障が生じないよう,届書様式について一定の制限を行うことを記載しております。   続いて,5ページの下,「2 不正を防止する方策について」,御説明いたします。   「(1)法務大臣及び市町村長は,戸籍情報連携システムに記録されている情報であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」,これを,以下「戸籍個人情報」と呼ばせていただきますけれども,これにつきまして,「その漏えい,滅失及び毀損の防止その他の適切な管理のために必要な措置を講じなければならないものとする。(2)戸籍に関する事務に従事する法務省の職員若しくは職員であった者又は市町村の職員若しくは職員であった者(市町村長から委託を受けて当該事務に従事している者又は従事していた者を含む。)は,上記1により戸籍に関する事務を取り扱う場合を除き,戸籍情報連携システムに記録されている情報を利用し,又は提供してはならないものとする。(3)戸籍に関する事務に従事する法務省の職員若しくは職員であった者又は市町村の職員若しくは職員であった者は,その事務に関して知り得た戸籍個人情報に関する秘密を漏らしてはならないものとする。(4)上記(3)に掲げる者が上記(3)に違反して戸籍個人情報に関する秘密を漏らした場合の罰則を設けるものとする。」と記載しております。   趣旨としましては,個人情報保護の観点から,戸籍情報連携システムに記録されている情報のうち,氏名,生年月日,その他の記述等により特定の個人を識別することができるコアの情報につきまして戸籍個人情報と位置付け,戸籍個人情報の保護をしっかりしていきましょうというものでございます。(3),(4)にありますとおり,このコアな戸籍個人情報については,漏えい防止を義務付けた上,漏えいした場合には罰則の対象とすることを記載しております。他方,戸籍情報連携システムに記録されている情報のうち,戸籍個人情報に該当しない情報についても,罰則規定は設けないものの,必要な範囲を超えて利用を提供することを禁止する観点から,(2)にありますとおり,目的外利用の禁止規定を置いてはどうかということを記載しております。   補足説明につきましては,1で戸籍情報連携システムを通じて戸籍情報を不正利用することを禁止する観点から,戸籍個人情報の安全確保措置,事務取扱者の目的外利用の制限,秘密保持義務,管理者や受領者の情報利用の制限及び秘密漏えいの場合の罰則を設けることを想定しているということを記載しております。なお,これらの措置につきましては,番号法や住民基本台帳法又はがん登録等推進法などの例を参考にしておるところでございます。   補足説明の2では,これまで議論したような不正な情報参照防止のための具体的な方策を,3では罰則を置く趣旨を記載しております。   6ページ下の「3 戸籍証明書の広域交付について」,御説明いたします。   (1)は,「法第10条第1項に規定する者は,法務省令で定める場合を除き,本籍地の市町村長以外の市町村長に対しても,戸籍証明書の交付(当該証明書に係る電磁的記録の提供を含む。)の請求をすることができるものとする。」,「(2)上記(1)の規定による請求をする場合においては,当該請求をする者は,法務省令で定める書類を提示してこれをしなければならないものとする。」,「(3)上記(1)の市町村長は,上記(1)の請求が不当な目的によることが明らかなときは,これを拒むことができるものとする。」と記載しております。趣旨としましては,本籍地市町村以外の市町村に対する戸籍証明書の交付請求を認め,国民の利便性の向上を図る一方で,本人確認を厳格にするほか,不当な目的であれば,これを拒否することができるということで,なりすましや不正請求を防止する措置を講じることを記載してございます。なお,本人確認を厳格にする方法として,(注2)にあるとおりマイナンバーカード,運転免許証,その他の写真付き身分証明書等に限るものとすることを想定しております。   補足説明の1では,広域交付を認める必要性や趣旨を,2では広域交付の請求権者については本人等に限定すること,3では,広域交付に係る戸籍証明書の交付は交付地市町村が費用を徴収して行うこと等を,4では,広域交付による戸籍証明書の範囲として,電子化された情報の範囲に限ること,及び戸籍の届出の受理に関する事務における参照と同様,戸籍の証明書の交付に関する事務についても,不正な情報参照を防止するための十分な方策を講じることを記載しております。   説明は以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,対象がかなり幅広く多岐にわたってはおりますけれども,特に順番は限定せずに,全体について議論していければと考えております。   まず,ただいまの事務当局からの御説明について,何か御質問等はございますでしょうか。 ○石井幹事 ご説明どうもありがとうございます。   2点,御質問と意見があります。   1点目は,戸籍情報連携システムという言葉が意味する範囲についてです。戸籍情報連携システムの1枚ものの席上配布資料を拝見しながら御質問させていただきますが,ネットワーク連携,戸籍事務内連携,戸籍情報管理サーバー群,副本データ管理システムのそれぞれの説明が1枚ものの中でなされています。ただ,法文上は,戸籍情報連携システムということで一つの言葉で全てカバーされるように読めるのですが,戸籍法の世界に関わる戸籍事務内連携とマイナンバーの世界に係るネットワーク連携というのが,いかに整理して法文化されるのかというところが,分かりにくかったところがあります。それについて,ネットワーク連携や事務内連携という言葉が,法文上どのように登場するのかどうかという点も含めて,お伺いしたいと思いました。   それからもう1点,不正を防止する対策ですけれども,6ページのところに,マイナンバー法を始めとする幾つかの法令を参照された上で,秘密を漏らしてはならないものについて罰則を設けるというように説明がありまして,補足説明の3のところで,プライバシー保護の観点というところが強調されている点です。情報の不正利用の仕方というのはいろいろな態様がありますので,漏らす行為だけに対して罰則を設けるというよりは,もう少し幅広く情報の不正利用に関する法律を見て御参照いただき,例えば,不正な利益を図る目的での提供や盗用,またプライバシー性が高いということであれば,その規制される行為の範囲を広げるといった点も御検討いただいて,文言を御検討いただければと思います。 ○窪田部会長 それでは,ただいま2点,1点は御意見ということではございましたけれども,それについて事務当局から御説明を頂けますでしょうか。 ○櫻庭関係官 まず,1点目の関係ですけれども,この戸籍情報連携システムというものにつきましては,この1ページの第1の1というところに書いてございますように,戸籍情報連携システムの内実といいますか,どういうものが戸籍情報連携システムに含まれるかというのを,法制上規律しようかなと考えております。現在考えておりますのは,この第1の1のところにありますように,戸籍の副本に記録されている情報ですとか,あるいは届書等情報,そして身分関係等情報,その他法務省令で定める情報ということで,この情報を挙げさせていただきまして,この戸籍情報連携システムにあるものにつきましては,きちんと保護措置といいますか,そういったものをきちんととっていくというふうな,そういうことを考えております。   具体的に,どの事務をどうするかとか,参照するとか,戸籍事務内連携のときにどういうふうに情報を参照するかというふうな,そういう細かいところにつきましては,法制的にそういう書き方をするわけではなくて,戸籍情報連携システムを使って事務の取扱いをするとか,そういう書きぶりになるのかなと考えておるところでございます。   ネットワーク連携と戸籍事務内連携の大きな違いということでございますけれども,戸籍事務内連携ではなくて,まずネットワーク連携につきましては,先ほどちょっと御説明いたしましたけれども,この絵を見ていただけますように,左の方にネットワーク連携というのが絵であるわけですけれども,この左の方に情報提供DBというのがございまして,こちらの方に情報をためて,この情報を,社会保障とか税とか災害事務等を行う行政機関等に対して,情報提供ネットワークシステムを通じて提供するということになりますので,この情報提供DBに保存する情報をこしらえなければいけないということで,その元になるものが,この絵では親族的身分関係情報と書いてございますけれども,ここの部分が提供する内容としてネットワーク連携に関係するものと考えております。   また,こちらの右の端の方に「戸籍副本データ管理システム(既設)」と書いてございますけれども,これを,全体を取り込んで戸籍情報連携システムというふうなものを構成する予定でございますので,そういう意味では,先ほど説明しました戸籍情報連携システムの大事な要素として,戸籍の副本に記録されている情報というものを予定しているということでございます。また,戸籍事務内連携で必要になりますのは,この戸籍の副本に記録されている情報を参照するということと,あとは,届書の情報をスキャナーで読み込んで,それで郵送処理を廃止するということもございますので,重要な要素として届書情報というものを掲げておりまして,これが主な構成要素ということで戸籍情報連携システムというのを考えておりまして,繰り返しになりますけれども,ここで持つものにつきましては,適切な個人情報保護の観点から適切な措置を講じたいと考えております。 ○窪田部会長 ただ今の最初の御質問は,具体的にどういうふうに情報が流れるのかということだけではなくて,戸籍情報連携システムという言葉は,今でもゴシック体になっていますので,形式的に法律の文言に入ってくるのかという御質問であったかと思います。 ○櫻庭関係官 そうです。その言葉として,ネットワーク連携ですとか,あるいは戸籍事務内連携という言葉は,法文上は出てくる予定にはしておりませんで,この戸籍法上,いずれにつきましても,戸籍情報連携システムを事務として取り扱うというふうな,そういう文言を今のところ想定しているということでございます。 ○窪田部会長 はい,結構です。 ○櫻庭関係官 質問といいますか,御意見の方でございますけれども,我々の方も,住基とかがん登録等推進法を参考にさせていただいているというところでございますけれども,頂いた御意見も踏まえまして,また,更に法制的にどういうふうなことができるかというのは,検討したいと思っております。 ○窪田部会長 石井幹事よろしいでしょうか。 ○石井幹事 ありがとうございました。   1点目の方ですけれども,情報がどこから発生して,どう流れていくかというところは,政省令のレベルでも書き込む必要はないというような理解になるのでしょうか。 ○北村幹事 その点ですけれども,まずシステムを設置しますという話が,1ページのところにあります。次に,3ページのところを見ていただければと思いますけれども,2のところ,その後,戸籍と同一の内容を証明するものとして,身分関係等情報を作って,それを管理するファイルを設けますと,まず規定をしたいと考えています。そのファイルを元に,そこから情報を提供するという規定を置き,番号法の方を改正いただいて,別表2に基づいて情報を提供するというのが,ネットワーク連携というのを現在想定しておるところでございます。   あと,戸籍事務内におきましては,3ページの第2ということで,戸籍に関する事務の取扱いということで,ここは戸籍の事務内の話ということで,このシステムを戸籍事務において取り扱うという形で規定をすると考えておるところでございます。 ○石井幹事 では,用語は使わないけれども,実質的に説明されるという,そういう理解でよろしいのですか。 ○北村幹事 そうですね。飽くまでもネットワーク連携であるとか戸籍事務内連携という言葉自体を,法律の中で書き込んでいるわけではございませんけれども,このネットワーク連携の部分,この3ページの3のところ,第1の3のところ,この法律の規定による求めということで,この法律というのは,現在存在しているもの,番号利用法のみと考えておりまして,我々もそちらを使って情報提供したいと考えておりますので,併せて法律の手当を一緒にお願いをしてやっているところでございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほかに,いかがでしょうか。 ○三橋幹事 今の石井先生の御意見に関連するんですけれども,罰則のところ,これから住基法とかいろいろな法律を参照して考えられるというところであったと思うんですけれども,あの御説明の中に,コアな情報とそうでない情報とというようになって,罰則について,戸籍個人情報に関する秘密を漏らしてはならないというふうなお話だったと思いますが,石井先生と同意見なんですけれども,やはりマイナンバー法の罰則規定を第1回のこの会でも御説明させていただいたと思いますけれども,やはりネットワーク業務自体で知り得た秘密,システム上の秘密というのも恐らくあると思いますし,それから,記録されたものの漏えいだけではなくて,例えば改ざんであるとか,利益目的による提供以外にも自分で使うとか,そういうことも含めて,きちんと保護措置というのを,どの範囲でどういうふうに保護していくのかと,そのための罰則をどう作っていくのかということを,是非十分に他法令を参照して作っていただければと思っております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   事務当局から何かございますか。 ○北村幹事 今の御意見等を踏まえて,さらに,そこは法制局とも相談しながら検討したいと思います。 ○窪田部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○大橋委員 6ページのところで,コアとコア以外という説明がありましたが,そのシステムに記録される戸籍に関する情報というのがあって,その中のもので,個人識別の戸籍個人情報があって,それについては罰則で担保するという,そういう御説明があったんですけれども,この最初のシステムに記録される戸籍に関する情報自体がかなり秘匿性が高いような気がして,この二つはもうほとんどイコールになるようなイメージを持ってしまっているんです。実際にこの二つで,どういうところで差異が出てくる,具体的にいうと,コア以外というものは,具体的にどんなものをお考えなんでしょうか,ちょっと具体的に教えていただけると有り難い,それが一つ目の質問です。   それで,二つ目は,7ページの補足説明の3のところで,発行抑止というシステムが出ていて,システムでいろいろな窓口を渡り歩くような人が出てきたときに,手続が錯綜すると困るので,ストップをかけるというような意味のものであれば,本籍地と受理地だけの問題に限らないような気がするんですけれども,本籍地があえて発行抑止をかけるというのは具体的にどういうことを想定されているのか,よく分からなかったんで,御説明いただけるとありがたいです。 ○窪田部会長 それでは,事務当局から御説明お願いいたします。 ○櫻庭関係官 大橋先生の御関心といいますのは,正に戸籍個人情報って定義したものは何で,そうではないものはどうかというところの区分けのところもあるのではないかと考えられます。我々の方で想定しております,この戸籍個人情報の定義でございますけれども,戸籍情報連携システムの全体がございまして,その中の情報のうち,情報に含まれる氏名,生年月日,その他の記述等により個人を識別できるものというふうなことを想定しておるんですけれども,例えば,具体的に言いますと,届書類を今回スキャナーで読み込んで送信するということでございますので,この届書等情報というのができるわけですけれども,この届書につきましては,氏名とか生年月日とか,そういった本人を特定できる情報がセットになっておりますので,例えば,それ以外に認知というふうな情報が記載されている場合には,その認知も含めて,本人が認知したということが分かりますので,そのデータ,その届書等情報そのものが戸籍個人情報になるのかなと考えられます。他方,その氏名とか個人を特定する情報と離れて,単にテキストデータとして認知情報が抜き出されると。そうすると,その認知情報だけだとすると,匿名性があって誰の情報か分かりませんので,その情報は戸籍個人情報には当たらないのではないかというふうな,そういう認識で,本当に本人が,認知したという本人が特定できる,そういった情報と一緒に,その認知情報とかも含めて確認できた場合には,それを漏らしたらいけませんよと。   他方,認知というそのものだけだと,誰の認知かも分からないですし,それ自体漏らすということはないのかもしれませんけれども,それについては,戸籍個人情報ではないので,誰のものか分からないということからいうと,そこは,仮に漏れたとしても,罰則まで対象にするというのはどうかなという,そういう思想でちょっと今考えさせていただいたというところでございます。   あと,質問の後段の7ページの方の発行抑止というところなんですけれども,基本的に,戸籍につきましては,最終的には本籍地の戸籍に記録されるということが最終ゴールでございますので,そこに記録された情報を,基本的に証明の対象になると考えますと,本籍地の方できちんと発行抑止,いわゆるロックと言っていますけれども,そこをかけることによって,不適切なといいますか,実態にそぐわない証明書を交付したりするということが避けられるのではないかと,そういった趣旨で,本籍地の市町村において発行抑止するというふうな使い方を,ちょっと今させていただいているところです。 ○窪田部会長 大橋委員,今の御説明でよろしいでしょうか。 ○大橋委員 システムの上で,ロックをかける,かけないとかという仕組みも用意されるという,そういうことなんでしょうか。 ○北村幹事 そうですね。そこは,システム上もするということで,戸籍,先ほど櫻庭関係官の方から申しましたように,元々本籍地で管理されている情報ですし,最終的に届出があって戸籍の記録が変わろうとしているときに,戸籍の情報証明書が出ていかないように,本籍地の方で対応できるようにしておくという必要があるだろうと考えていまして,そのようなシステムを設けるということになります。   先ほどの戸籍個人情報の話になりますけれども,繰り返しになります。氏名等で特定できない情報というのは,戸籍の中にも様々ありまして,先ほどの例以外にも送付を受けた日などといったような単純な,実態的な権利関係にも関わらない,そういった事務的な記載もありまして,そういったものだけを抜いたとしても,それに罰則をかけるというのはなかなか難しいかなと思っております。 ○大橋委員 分かりました。方針自体には異論はなくて,そういうことになるんだろうなと思いますけれども,その取扱いの結果が,罰則とか目的外利用とか,かなり厳しいところに響いていくので,ある程度定型的に,戸籍の事務の中で分かるものは明らかにするような形での運用を望みたいという意見です。 ○石井幹事 戸籍個人情報の範囲ですけれども,戸籍情報連携システムに記録されている情報であれば,個人に紐付けることができてしまって,かなりの場合,個人情報として扱われることになるのではないかと思いますが,そういう理解でよろしいでしょうか。 ○北村幹事 そこは,かなり広いとは考えています。飽くまでも戸籍の情報ですので,多くの情報が個人と結び付いていると考えております。 ○石井幹事 どこまで入るかというところが,落とし込むときには難しい論点として出てきそうな気がしますが。 ○久保野幹事 すみません。今の情報の区別について,基本的なところに戻ってしまうのかもしれないんですけれども,確認させていただきたいんですが,一方で,今個人情報の方の話がありましたけれども,他方で,3ページの第1の2,3,そうですね,3ページの真ん中辺りの補足説明のところでは,基本4情報を含まない情報であって,他の行政事務に対する情報提供に必要なものとして,身分関係等情報というのが挙げられていますけれども,それが中間サーバーに格納されて提供されていくことが想定されていると説明がありましたが,それは,イメージ図でいいますと,この真ん中,ちょうど真ん中辺りの赤い親族的身分関係情報というもので,左に出ていくのを想定している,これを指しているということでよろしいですかというのが,まず質問の1点目でして,それに関連して,ここに入るものは,個人を特定する情報を含まないということは,一つの大切なポイントなのかなと理解しているんですけれども,そこには,個人を特定する情報は含まないということになっているということについては,どこかで法律の,本文そのものではないとは思いますが,御説明の中で法務省令で定める情報というお話があった,その法務省令で,この辺りがしっかり定められるということでよろしいでしょうかというのが,二つ目の質問兼確認です。お願いします。 ○窪田部会長 この点はいかがでしょうか。 ○北村幹事 1点目の御質問についてはそのとおりでして,個人を特定する基本4情報を含まない情報であって,他の行政事務に対する情報提供に必要なものを,身分関係等情報と呼んでございまして,前回お配りしたものですと,この赤い親族的身分関係情報ということになります。こちらは,行政機関に対応する形で情報提供用データベースの方に格納するということになってございます。   ただ,飽くまでもこれは,基本4情報を含まない情報と記載をしてございます。他方,情報提供する以上,最終的には,この機関別符号と結び付ける形で出していくということになりますので,内部で管理している番号等も当然あり得て,それは,個人を特定するものと考えてございます。   さらに,身分関係等情報,法務省令で定めるということになっておりますけれども,御指摘のとおり,今考えておりますのは,この部会の中でも,親族的身分関係などという形でいろいろ言ってまいりました,親子関係符号であるとか夫婦関係記号といったもの,さらに,必要な行政機関が求める情報としてどういったものがあるかというものも,個別具体的に書いていくという予定をしてございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   その他,御質問,御意見等ございませんでしょうか。 ○三橋幹事 罰則については,先ほど申し上げたとおりでございますので,多分システム全体に係るものについても,他の法令を基に御検討いただけたらということの念押しでございますけれども。   それから,もう一つ,別の観点の,ちょっとこれは条文そのものというよりは,今後の運用の取扱いになるのかもしれませんが,2ページの下の方の補足説明の一番下の方にある部分でございますけれども,元々身分関係情報を副本から構成してネットワーク連携をさせるということで,実際の国民から見た効果としては,税や社会保障の手続の中で戸籍が求められるものにつきまして,マイナンバーを提供すれば戸籍を省略できますよということだと思うんですが,2ページの一番下の方にあります,正字で戸籍に記録されることを希望しない方々については,引き続きコンピュータによる取扱いに適合しない戸籍として取り扱うということで議論が進んできていると思いますが,そうしますと,恐らくネットワーク連携をしたとしても,マイナンバーを提示しても戸籍を省略できない方が出てくるという,そういう理解でよろしいですよね。   ですから,そこについては,恐らく電算化されていないのでそうなるんですよという,多分説明だと思うんですが,実際に恐らく影響を受けるのは,それぞれの税や社会保障の窓口の方々が多分,それを説明しなければいけなくなると思いますし,できれば,これは要望といいますか要請なんですけれども,恐らく文字にこだわりがあって,何か電算化される統一的な文字として扱われないという方々に対する証明書という世界と,そうは言っても,その方々が存在していて,戸籍情報としてはあるということの中で,何らかのネットワーク連携させていくような方法が,今すぐとは言いませんけれども,少し方法としては考えられなくもないのかなとは思っておりますので,これは,対象者としてもそれほど多くないかもしれませんけれども,せっかくこのマイナンバーで情報連携できて戸籍が省略できるはずだっていうことで提出されている方々も,文字にこだわりがあるがために,それの連携はできないというふうな方々が,できれば少しでも減らせるようなことが必要でしょうし,減らせないとするならば,その窓口に対する対応をどういうふうにするかということは,運用までに,考えておく必要があるのかなと,意見として申し上げておきます。 ○窪田部会長 御意見ということでしたが,事務当局から何かございますか。 ○北村幹事 御指摘のとおりかなとは思っておりまして,まず,せっかくこの制度をやっていくに当たっては,紙戸籍でいらっしゃる方については,できるだけコンピュータ戸籍に移行していただきたいということで,この部会でもいろいろ御議論いただいたところかと思います。ですので,そういった形で促して,まずはコンピュータ戸籍になっていただくというのをお願いをしたいとは考えております。   その後,情報連携,どうしても紙のままですと,適切に情報が更新できるのかという問題等ございますけれども,その方々に対して,どういう周知をすべきなのか,そこは我々としてもしっかり考え,情報の照会をしていただく府省の方とも十分協議しながら,そこは周知,対応を考えていきたいと思っております。 ○窪田部会長 その点について,省庁間でも検討をよろしくお願いしたいと思います。 ○落合幹事 ただいまの件なんですが,広域で応じる場合に,そもそもその方の戸籍がないのか,電子化されていないのかということがあって,まず改製不適合以外は電子化されているということでいいのかというのと,広域で応じるときに,そもそもそういう戸籍はないのか,それとも改製不適合で電子化されていないからないのか分からないというのは,窓口で対応が困ると思うんですが,どういう対応といいますか,考えになるのでしょうか。想定があれば伺いたいと思うんですが。 ○北村幹事 紙で残っているものというものであれば,今まだ電算化していない情報もございますし,改製不適合というところもございます。そこが分からないと,証明書の請求があったときに困るという事態がどれぐらいあるのかというのは,各市区町村の御意見等は今後も聞きながら,システム上,そこを対応できるのかどうかというのを考えたいとは思っております。 ○窪田部会長 うまくデータが出てこないときに,戸籍がそもそも不存在なのか,戸籍はあるんだけれどもデータ化されていないのかというのは,少なくとも分からないとやはり困るだろうということだろうと思います。その点については是非対応していただく必要があるのかなと,私も思います。 ○石井幹事 確認ですけれども,戸籍個人情報の概念自体は,亡くなった方も生存される方も両方含まれる形で,改正法にも,生存するという要件はつけずに書かれるということでよろしいですか。 ○北村幹事 その点も含め,法制局と相談しています。 ○窪田部会長 それ以外に,いかがでしょうか。 ○三橋幹事 先ほど広域交付の話が出ましたので,前回私もちょっと広域交付をいろいろ御意見申し上げたところの関係で申し上げます。   今回お配りしていただいているものについて,特に異論があるわけではございませんので,広域交付の仕組み自体に,私どもとしても別に反対はしているわけではございませんで,やることはいいことだと思っております。   ただ,あとの仕組みと法制的な部分ですね。誰の責任で発行しているのかという部分について,しっかり法制局等含めて整理をしていただければと思っているところでございます。 ○窪田部会長 御意見ということでよろしいでしょうか。   ほかいかがでしょうか。 ○落合幹事 あと,届書の電子化の関係で,5ページの辺りになると思うんですけれども,まず,届書の記載事項証明書の発行というのがあるんですが,これは今,市区町村と法務局,それぞれ役割分担に応じてやっているんですが,データを参照できるのは,本籍地の市区町村と受理地の市区町村,法務局さんも恐らくできるんだとは思うんですが,記載事項証明書の取扱いとしては,これは,今申し上げた二つの市区町村が対応することが原則というか,そういうことになるのかという想定をお伺いをしたいのと,あとは,データを送った後の届書を受理地の市区町村が保管するということで,負担の軽減ということは書いていただいていますが,軽減策の方向性などが,今想定があるのであれば,確認をしておきたいなということです。   あとは,先ほど少し話も出ましたけれども,戸籍というのは附票以外は住所が出ていないですが,こちらの届書には住所が出ていまして,住所が出てくると,どうしても私どもとしてはDV等の支援措置を申し出ていらっしゃる方のことが頭に浮かぶものですから,こうした場合の秘匿する対応ですね。電子化されて,単純にスキャニングしたものだけでは,それが秘匿情報なのかどうか分かりにくいというか,分からなくなってしまうと。届書の記載事項証明書を出す範囲は限定されたものだと思うんですが,その辺の住所等の秘匿を要望される方への対応について,現在の想定があればお伺いしたいと思います。 ○窪田部会長 それでは,3点御質問がございましたけれども,いかがでしょうか。 ○櫻庭関係官 まず,第1点目ですけれども,受理地と本籍地の市町村で記載事項証明書も発行するということを,今のところ考えております。法務局ですと,どうしてもお金を徴収するということもできないですし,ちょっとバランスとかも欠くのかなというところもありますし,実際,法務局の場合は,受理照会とか戸籍訂正とか,そういったものの許可で利用するということでございますので,基本的には,その窓口処理につきましては,記載事項証明書は市町村の方でやっていただくということを,今想定しております。   2点目の市町村の方で,原則その書類,届書類を保管するということについての軽減策ということですけれども,これにつきましては,いろいろこれから考えていきたいなということは思いますけれども,場合によっては,法務局の場所を利用するとか,そういったことも含めて幅広く検討していきたいと思います。   最後,届書の方に住所が書かれているということで,そこのDV被害の防止するための支援措置も,今いろいろやっているということだと思いますけれども,そういうのが証明書として発行するということをきちんと抑止できるような形で,システムの方をちょっと組んでいきたいな,それがきちんと分かるような形で,フラグを立てて対応するようなことを,今のところ考えているということでございます。 ○杉浦幹事 1点目の補足ですが,市町村で発行していただくということですけれども,現在も届書があるのは受理地とそれから本籍地ということですし,今回も受理地と本籍地の市町村以外の市町村はアクセスできないようにするということになりますので,そのアクセスできない市町村が発行するということにする必要はございませんので,記載事項証明書についても受理地と本籍地のみということで限られるということになるかと思います。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   それ以外いかがでしょうか。   それでは,ただいまの質疑の中でも幾つかのやはり要望も出されておりましたので,それを踏まえて,もう少しまた事務当局で検討していただければと思います。   それでは,引き続きまして第3から第6まで,これについて事務当局から御説明をお願いいたします。 ○遠藤関係官 それでは,第3から第6まで,続けて御説明を差し上げたいと思います。   第3は,「市町村長及び管轄法務局長等の調査権について」でございます。   「1 市町村長の調査権について」でございますけれども,ゴシックでお示ししているとおりでございまして,「市町村長は,届出の受理に際しこの法律の規定により届出人が明らかにしなければならない事項が明らかにされていないと認める場合その他の戸籍の記録のために必要がある場合は,届出人,届出事件の本人その他の関係者に対し,質問をし,又は必要な書類の提出を求めることができるものとする。」ということとしてございます。   補足説明でございますけれども,これまでの部会で調査審議いただいたとおり,市町村における質問調査の場面におきましては,国民に対し,出生や死亡などといった親族的身分関係に関する様々な質問,資料の提出を求めることになりますことから,戸籍事務を行うに当たって,このような調査の対象になる方に対して,その調査の目的を明らかにするという必要があろうかと思っております。そういった観点から,法律上の明確な根拠規定を設けることが相当であろうというところで,こういった提案をさせていただいているところでございます。   また,調査権の範囲につきましても,部会でも御議論いただいたところでございますけれども,基本的には,その調査によって遂行すべき行政事務との関係で必要最小限のものにとどまるということは,当然の原則であろうということでございます。そういった観点から,この市町村による調査が一体どういった目的を持ってなされるものかということに立ち返って検討したところ,戸籍の記録のために行われるものであるということが,一番のコアなところではないかと考えた次第でございます。こういったことを踏まえ,本文では,戸籍の記録のために必要と認める範囲で実施されるということを,明文化することとしたということでございます。   この点につきましては,第9回で御議論いただいた際にはこういった文言もございませんでしたけれども,改めて事務当局で検討した結果,こういった文言もつけさせていただいたということでございます。あわせて,本文では,こういった調査の対象となる方に対して,その目的を可能な限り明らかにするという観点から,その典型例として,届出の際に明らかにしなければならない事項が明らかにされていないと認める場合を,法文上で明らかにするということとしておるところでございます。   補足説明の2でございますけれども,こちらも,繰り返し御説明を差し上げているところでございますけれども,今般このような規律が設けられたことによって,これまでの調査権の在り方が変わるということではございませんで,基本的には,これまで行われてきたものの明文化という位置付けで考えております。   (注)のところでございますけれども,本文のような規律につきましては,戸籍法の117条で届出に関する規律の多くを戸籍訂正の申請に準用している条文がございます。今般のこの規律につきましても,同様に戸籍訂正の申請にも準用するということを想定をしております。   続きまして,2,こちらは「管轄法務局長等の調査権について」でございます。   ゴシックは,「管轄法務局長等は,市町村長から戸籍事務の取扱いに関する照会を受けた場合その他の法第3条第2項の助言等を行うに当たり必要がある場合においては,届出人,届出事件の本人その他の関係者に対し,質問し,又は必要な書類の提出を求めることができるものとする。」ということとさせていただいております。   補足説明につきましては,基本的に市町村で御説明を差し上げたところと同様でございます。異なるところとしましては,法務局の場合は,行政の目的という関係から申し上げますと,この法3条2項の助言等を行うというところがコアな部分に当たるであろうということで,その旨を法律上明示したと。あわせて,典型的なケースとして,法務局が市町村町から戸籍事務の取扱いに関する照会を受けた場合ということを,例示的にお示ししているという旨を説明しているところでございます。   続きまして,「第4 戸籍訂正について」でございます。   「1 家庭裁判所の許可を得て行う戸籍訂正手続」ということで,ゴシックにおいて,「法第114条において訂正許可審判の対象とされている「届出によって効力を生ずべき行為」から,法第60条(認知),第61条(胎児認知),第66条(養子縁組),第68条(代諾養子縁組),第70条(離縁),第71条(代諾離縁),第72条(死後離縁),第74条(婚姻)及び第76条(離婚)の各届出に係る行為を除外するものとする。」ということでお示しをしております。   補足説明でございます。まず,訂正許可審判による戸籍訂正手続につきましては,これまで113条,それから114条について,文言上どのような場合に訂正許可審判事件を申し立てることができるのかについての限定がされていないという問題意識から,これらの二つの条件を併せて検討をしてきたというところでございます。   検討の結果,基本的には,婚姻,養子縁組等の身分関係の有効・無効については,人事訴訟手続において扱われるべき事項であるということにつきましては,おおむねこの部会でも異論がなかったところかと思います。これを,この113,114条の中から除外するということにつきましては,まず,114条において,こういった届出に関する,これらの届出が無効な場合も,114条の範ちゅうに入っていると形式的には読めますので,そういったところを法律上明確に対象にならないということで,これらの各届出に係る行為を除外することとするということにしてございます。   他方で,113条につきましては,こちらも同様に人事訴訟手続において判断されるべき事項については対象からは除外すべきであるということで御議論されてきたところでございますけれども,基本的には114条でこういった典型例を対象から除外したことによりまして,113条で何か問題が起こる場合というのは,それほど多くないであろうと考えるに至ったところでございます。具体的な人事訴訟の対象となり得るものとしては,親子関係の存否確認というものがございまして,これらは,今回114条の列挙した中には対象としては入ってございません。親子関係に関する届出というのは,出生の届出ということで報告的届出になろうかと思いますけれども,そういったところにつきましては,なお明文化されていないではないかという御指摘もあろうかと思いますが,基本的にはこちらも現行法の解釈としては,人事訴訟の対象となるべきものと扱うべきと考えております。今般114条の規定につきまして,こういった形で明文を置きましたことに伴いまして,解釈が明確化されたということになろうかと思いますので,113条についても,そちらと平仄を合わせて,そういった解釈であるということを積極的に解説等でお示しをしていくということを考えておるところでございます。   また,10ページでございますけれども,以前の部会で,国籍確認の訴えについても同様の問題があるのではないかということで,問題提起をさせていただきましたけれども,こちらも,現在の状況としては,これが何か問題になって,116条の訴訟の中で本来国籍の地位確認の手続を行うべきものを,この113条で扱うというようなことが問題になった事例というのは見受けられませんでしたので,こちらもあえて法律上明確にするという形にするのではなく,解釈等でお示しをすれば,それほど混乱は生じないのではないかということで,113条については現状維持と考えるに至ったということで御説明を差し上げているところでございます。   本日お配りしました机上配布資料,「戸籍訂正手続について」というところでタイトルをつけているものを御覧いただければと思います。   こちらは,113条,114条の関係で,今回の改正によってどういった影響があるのかというところを,代表的な例をお示しして整理をしたというところでございます。   113条の①,②につきましては,後ほど市町村長の職権による戸籍訂正手続に関連するところでございますので,割愛させていただきますけれども,基本的には,こちらにお示ししているとおり,113条で現在行われているものとしては,こういった報告的届出について死亡者又は無資格者の届出による記載がされている場合であるだとか,事実と相違する出生年月日又は出生場所の記載,それから生存者についてされた死亡の記載というものは113条で行われておりまして,これは,改正された後も変更はございません。先ほど申し上げました親子関係の不存在確認訴訟で本来行われるべきものを,113条で扱われていたという古い先例等があるというところではございますけれども,そういったものはかなり古い先例でございまして,今この人事訴訟法,それから家事事件手続法が整備された今日におきましては,そういった例につきましては,適切に家裁の方で取り扱われていると考えておりますので,そういった通達の見直し,先例の見直し等も考えなければいけないかなと考えておるところでございます。   114条につきましては,こちらも,基本的には今現在におきましては,家裁で扱われるべきものは適切に家裁で扱われているという運用がされていると思いますけれども,②,③にありますような婚姻等について,当事者に人違いがあった場合,これは婚姻無効に関わるところになってこようかと思います。それから,婚姻等について,届出人が届出時に死亡していた場合,こちらも,婚姻無効が問題になろうかと思います。これらにつきましては,基本的には116条でやっていただくという整理になろうかなと思っておりまして,これを114条審判の対象とするということはしないといった解釈であるということを,明確にしたいと考えておるというところでございます。   また,注書きの※のところでございますけれども,訂正事由があることが,戸籍の記載又は届書類その他の書類から明らかであると認めることができる場合には,これらの家裁での手続とは別途,24条の適用があるかどうかということで検討されることになろうかと考えております。   資料の方に戻っていただきまして,10ページ,「2 市町村長の職権による戸籍訂正手続」でございます。   まず,ゴシック(1)でございますけれども,こちらは,通知に関するところでございます。「戸籍の記録が法律上許されないものであること又はその記録に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合には,市町村長は,遅滞なく届出人又は届出事件の本人にその旨を通知しなければならない旨の法第24条第1項本文の規律は維持するものとし,ただし,戸籍の記録,届書の記載その他の書類から訂正の趣旨及び事由が明らかであるときは,この限りではないものとする。」ということで,ただし書を改正するということをお示ししているものでございます。   (2)が,「法第24条第2項を改め,上記(1)ただし書の場合は,市町村長は,管轄法務局長等の許可を得て,戸籍の訂正をすることができるものとする。」ということとしてございます。   (3),「戸籍の訂正の内容が軽微なものであって,かつ,その訂正により戸籍に記録されている者の身分関係についての記録に影響を及ぼさない場合においては,上記(2)の許可を要しないものとする。」ということでございます。   (注1)でございますけれども,こちらは,本文(2)に関わるところでございます。現在の法24条第1項ただし書に規定する「錯誤又は遺漏が市町村長の過誤によるものであるとき」につきましては,本文(1)ただし書にいいます「戸籍の記録,届書の記載その他の書類から訂正の趣旨及び事由が明らかであるとき」に含まれると考えられますことから,現在法24条第2項の規定では,この現行法の24条1項のただし書に関する規律が設けられておりますけれども,本文(2)の規律が設けられることに伴いまして,こういった過誤による場合の訂正も,24条2項により対応することができますので,現在の24条第2項の後段は削除するということをお示ししております。   (注2)ですけれども,こちらは,「市町村長が職権により戸籍の訂正をするときは,その訂正により訂正すべき記録のある者がその旨を知ることができるよう,法務省令又は民事局長通達において所要の整備を行うこととする。」ということでお示しをしております。   補足説明でございますけれども,本文(1)は,現行の24条1項本文について実質改正を行わないとともに,ただし書を変更するということでございます。こちらにつきましては,これまでの部会でも何度か御議論を頂いたところでございますけれども,基本的な思想としましては,本文(2)におきまして,届出人等に対して裁判所における訂正許可審判手続を経て戸籍訂正の申請をするように促すことなく,管轄法務局長等の許可を得た上で,職権により戸籍訂正ができるようにするということにしますので,これに伴いまして,24条の1項の通知をすることは不要とするということにしてございます。   なお,このような考え方の整理につきましては,第9回の部会でも御説明,確認させていただきましたとおり,基本的には現行法下における戸籍実務を大きく変更するものではないということでございまして,訂正する事由につきましても,何らか訂正できる範囲が拡大するだとか,そういったことではないということを,注意的に説明させていただいております。   今回通知をなくしたというわけでございますけれども,こちらにつきましては,現在の24条1項の通知といいますのは,家裁での訂正許可審判事件の申立て等を促すためのものであるという位置付けになっておりますところ,今般市町村長の職権による戸籍訂正が可能となったということに平仄を合わせますと,24条1項の通知につきましては,法律上の位置付けというのがどういったものになるのかという,改めて検討する必要が出てくるということでございます。   まず,従来の家庭裁判所への手続を促す意味としての24条1項通知自体は必要がなくなるということになろうかと思います。さらに,届出人等に対する通知を市町村長に法律上義務付けるに当たっては,法律上の位置付け,法律上の効果等が明確になっていることが必要であると考えられますところ,家庭裁判所への手続を促す意味としての通知という位置付けが失われた場合に,それに代わるような位置付けを見いだすということは,なかなか困難であろうということで,事務当局内での検討がそういった結論に至ったということでございます。   最も,職権による戸籍訂正がされた場合に,訂正される戸籍に記録されている方に,そのことが一切分からないということが望ましくないということは,これまでの部会での議論でも繰り返し御指摘を頂いたところでございまして,事務当局としても,そこの点を軽視するということは考えておりません。これまでの戸籍実務におきましても,訂正事由が市町村において明らかになる場合としましては,戸籍謄本等の交付請求を受けた本人等が誤りを指摘する場合が多く,そういったケースでは,訂正された後の正しい戸籍謄本等の交付を受けるという場面におきまして,当然御本人も訂正された内容を知り得るということでございますので,そういったケースが多いという実情にあること,また,そうでない場合であっても,実務上,本人の身分関係に影響を及ぼすような事項につきましては,本人にその旨をお知らせするという対応が行われているというところでございます。   こういった実務の運用状況を踏まえまして,法律には通知を義務付けることとはしませんけれども,法務省令又は通達におきまして,こういった実務の運用を裏付けるような,あるいはこれを整理して適切な通知がされるような形で,何らかの措置を講じたいと考えておるところでございます。   (3)でございますけれども,ここの,「戸籍の記録,届書の記載その他の書類から」訂正の趣旨及び事由が明らかであるときという限定を付している理由でございます。これは,職権による戸籍訂正が可能な範囲につきまして,管轄法務局長等において,訂正事由があることについて判断が可能な事案に限定すべきという観点から,戸籍事務において,アクセスすることが可能な戸籍の記録,届書類,その他の書類から,訂正事由があることが明らかな場合に限定をするという趣旨でございます。ここでいう「その他の書類」には,受附帳等,戸籍の処理をする際に作成される書類のほか,法24条第3項に基づく官公署等からの通知であって,その通知によって訂正をすべきことが明らかなもの,例えば,婚姻届を偽装したとする公正証書原本不実記載罪についての有罪判決が確定し,同判決に基づく通知がされた場合を含み得ると考えてございます。   12ページの補足説明の2でございますけれども,こちらは,本文の(3)についての説明でございます。これは,現在の実務において行われている運用を法律上の根拠を与えるということで,軽微かつ身分関係に影響が及ばないものにつきましては,管轄法務局長等の許可を得ずに,市町村長限りでの職権訂正を行うことを認めるということでございます。   お配りしております机上配布資料,左肩に「戸籍訂正」というタイトルがついたものを御参照いただければと思います。   こちらは,戸籍訂正につきまして,市区町村長限りで訂正される事案と管轄法務局長の許可を得て訂正される事案に分けて,典型的な例をお示ししてイメージを共有するために準備したものでございます。これまでの部会でも議論のあったところでございますけれども,基本的には,市区町村長限りで訂正される事案というのは,ほとんどが市区町村長の過誤によるものというようなことが想定されるかと思います。他方,管轄法務局長の許可を得て訂正される事案としましては,一応今回の整理として,軽微でないもの,それから身分関係に影響があるものということで分けてございますけれども,実際の実務においては,こういった明確な線引きがあるかといいますと,個別の事案に応じて判断されているということになろうかと思います。   ただ,身分関係に影響があるというケースにつきましては,基本的には,それ自体をもって軽微ではないと言えるのではないかと考えております。また,軽微でないか,軽微なものかということにつきましての基準につきましては,概略として,届出又は申請に基づく戸籍の記載で,その記載の全部を移動しているような場合,それから事件本人の入籍すべき戸籍を誤っている場合,それから誤って事件本人以外の身分事項欄に記載している場合,職権により訂正した事項を再度訂正する場合,訂正すべき戸籍が複数の戸籍にわたり,その記載が複雑であると思われる場合,こういった点につきましては,軽微ではないと言えるのではないかということで考えておるところでございます。   続きまして,第5でございます。こちらは,「死亡届の届出資格者の拡大について」ということでございますけれども,こちらは,任意後見受任者(家庭裁判所に任意後見監督人が選定される前における任意後見契約の受任者をいう。)も,死亡の届出をすることができるものとするということでございます。   (注)書きでは,任意後見受任者であることを明らかにするために,通達において,任意後見契約の登記事項証明書等を添付させることとするということをお示ししております。   補足説明でございますけれども,任意後見人につきましては,現在の法87条2項に定められている死亡の届出資格者とされておりますけれども,任意後見契約を締結しているにとどまる任意後見受任者につきましては,届出の資格者には当たらないと。しかしながら,この任意後見人と任意後見受任者の違いとしましては,本人の事理弁識能力が十分でない状況となり,任意後見監督人が選任されることになったか否かの違いにすぎず,任意後見受任者であっても本人の戸籍を特定することも可能ですし,生死の状況を知ることができる関係を有する者であることにつきましては,違いがないと言えるところかと思います。   こういったところから,死亡の届出につきましては,迅速・的確な報告を法律上求めているというところもございますので,死亡届の届出資格者として任意後見受任者を追加するということも,相当ではないかということで説明を差し上げているというところでございます。   第6は,「その他所要の整備」として,形式的な字句修正等を行うということを注意的にお示ししているところでございます。   第3から第6までは以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   第3から第6までといいましても,実質的には第5までということで,これもかなり多岐にわたりますが,やはり順番は決めずに質疑を進めさせていただければと思います。   これについて何か,ただいまの事務当局からの御説明について,御質問等はございますでしょうか。 ○川島委員 ありがとうございます。   御説明いただいた内容について,特に異論がありませんで,1点だけ確認をさせていただきます。   10ページ目の2番目,市町村長の職権による戸籍訂正手続の(3)についてです。この(3)について,どのようなケースが想定されるかについて,例示として通達などで示すべきとの議論もこれまでありました。今日も資料で該当する例などをお示ししていただきましたが,今後,これらについてどのような取扱いになるのか,御説明いただけたらと思います。 ○窪田部会長 お願いいたします。 ○遠藤関係官 基本的には,今日お示しした資料につきましても,過去の先例等から代表的なものを選び出して掲げさせていただいたということでございまして,こういった規律を設けることによって,何か大きな変更があるだとかということを考えているわけではございません。飽くまで現在の実務で行われているものにつきまして,法律上の根拠を置いたという趣旨でございます。ただ,114条と24条につきまして,戸籍訂正に関する規律が改められることになりますので,それに伴いまして,これまでの実務運用と変わる点があれば,そういったところも説明を加えながら,何らかの形でお示しをするということをしなければならないであろうと考えておるところでございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。 ○川島委員 はい。 ○窪田部会長 それ以外,いかがでしょうか。 ○澤村幹事 114条についての御説明を頂いた部分です。資料の9ページの第4の1になりますけれども,先ほどの御説明では,114条に関しては,解釈を明確化するものであるとのことだったのですが,ここのゴシックの記載ですと,これこれに係る行為を除外するものとするとなってしまっていまして,これでは新たにそういうような規律を設けたという記載になっているようにも読めるように思われます。したがいまして,解釈の明確化ということが明らかになるような記載にしていただくことが,望まれるのではないかと思います。例えば,これこれに係る行為が除外されることを明示するとか,そのような書き方などが考えられるのではないかと思われるところです。   それと関連しまして,本日の席上配布資料の「戸籍訂正手続について」という表ですけれども,これの表の114条とあるところの②,③ですが,これが,現行条文では114条に当たるものとして記載されていますが,確かにこのようなものが114条の審判によって訂正されているという事例はあったとは思われますが,解釈上,これがそうでなければならなかったというものではないと認識しておりますので,この表の取扱いについても工夫をしていただければと思います。 ○新谷委員 関連でよろしいでしょうか。   すみません,関連で。   表で気がついたところなんですけれども,今,澤村幹事の方からも話がありましたが,表で,席上配布資料「戸籍訂正手続について」の今の114条の②と③のところの婚姻等について,届出人が届出時に死亡していた場合,これ116条が改正後だよという条文がありますけれども,もう一つ,3番目の資料の「戸籍訂正」の2の「(2)身分関係に影響がある」というところの②のところだと,協議離婚の届出に基づき戸籍の記載をした後,夫が離婚届出以前に死亡していることが,夫の死亡の届出によって明らかになっている場合,これは,管轄法務局長の許可を得てされる訂正というようになると,離婚等というのと協議離婚等というのと,同じでできるのではないかなという感じを受けたものですので,その辺のところはどうなのかなと。116条でやった場合は,当事者適格というか,被告適格の問題が出てきて,一方が亡くなっていると,確か人訴だと検察官を被告とするというような立て方になっているんで,その辺のところもちょっと整理していただいた方がいいのではないかなという感じで,ちょっと質問させていただきました。 ○窪田部会長 今のお二方からの御指摘についてはいかがでしょうか。 ○北村幹事 まず,澤村幹事の御意見,1点目につきましては,我々としても,新たに取扱いを変えるというものではなくて,解釈を明文化するものと考えておりますので,そこが分かるような工夫はしたいとは考えております。   2点目のところ,新谷委員の御指摘ともかぶるところではありますけれども,114条のところに挙げております②,③につきましては,これ,かなり古い時代の先例ということで,今の実務運用としては,基本的には114条でされてはいないだろうとは認識をしておるところでございます。その辺りは,飽くまでも今日は席上の配布の参考資料ということで御理解いただければということと,かなり古い先例に基づいて作らせていただいているというのを御理解いただければと思います。   新谷委員のおっしゃられたところもございまして,しかも,この114条の②,③,特に③につきましては,説明の際にもあったかと思いますけれども,基本的には戸籍面上明らかということであれば,24条の職権での訂正というのが可能になるものと考えておるところでございます。 ○窪田部会長 澤村幹事,新谷委員,よろしいでしょうか。   ほかにありますでしょうか。 ○磯谷委員 市町村長の職権による戸籍訂正手続の中の「通知」の話ですが,以前,今回もですけれども,事務当局は,法文上通知を明記することは難しいというお立場で,私も9月のときの部会においては,そうであれば,省令等で記載をするということもやむを得ないという趣旨の発言はいたしました。しかし,その後,日弁連のバックアップ会議の方でもいろいろ意見を募ったところ,やはり法律で書けない理由というのが,必ずしも明確ではないのではないかという指摘がございまして,個人情報の保護と,それから自分にとって重要な情報であるということから,法文上必ず通知しなければいけないという形にすることも,十分考えられるんではないかという意見がございましたので,その点については,そういった意見があったということをお話しさせていただきます。   仮に,法律に定めるのか,省令等で定めるのかはさておき,この10ページの(注2)の記載というのは,必ずしも明確ではないように受け止めてございます。やはり訂正をした以上,それは本人に通知するというのが原則であるということは,そういうことが分かるように記載すべきなのではないかと。確かに,明らかに本人が了解しているという場合に,通知しないという選択はあるのかもしれませんけれども,ただ,そういう場合であっても,例えば,本人として,本当に訂正されたのか,どう訂正されたのかということが,例えば,謄本をお金を払って取り寄せてみなければ分からないということでは,望ましくないんだろうということも思いますので,少なくとも原則通知をするという形での規定というのが望ましいのではないかと思います。   以上,意見でございます。 ○窪田部会長 ただいま,御意見ということでしたが,何かありますでしょうか。 ○遠藤関係官 (注2)に関する御指摘をいただきました。   確かに通知をするとはっきり,この注の中では書いてございませんけれども,眼目としましては,その訂正により訂正すべき記録のある者が,その旨を知ることができるというところに眼目があると,我々としては考えております。その手段としては,通知ということが考えられるということは,当然かと受け止めておりますので,ただ,どういった形で本人を知ることができるようにするのかということにつきましては,いろいろなケースが考えられるのかなということで,今回こういう書きぶりにさせていただいたところでございます。   今頂いた御意見も踏まえまして,何か今の御趣旨を酌めるような工夫が考えられないかということにつきましては,改めて事務当局の方でも検討させていただければと思います。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。 ○大橋委員 私も,この10ページの(注2)のところですけれども,ここで,法務省令又は民事局長通達という二つ選択肢が出ているので,法務省令は別にして,一般の役所にこういうことを言うと,大体手続要件の易しい通達の方を選ぶというのが,日本の官僚機構の一般的な行動様式なんです。けれども,今回実務でやっていた職権訂正というのを法律上に位置付けて,それを動かしましたということを相手に伝えるということだとすると,私は,やはり最低限,対市民との関係を意識した外部法の形式を使うというのが,やはりルールではないかなという気がするわけです。そうすると,法律でないにしても,やはり最低限,法務省令で,通知の部分については書くというのがいいんではないかと思います。   局長通達とかでやると,せっかく実務が一生懸命,実務として相手方に通知とかをやったにもかかわらず,それの法的評価というときに,外部法として評価されないことになるのは,非常に残念だなという気がします。今回法改正すれば,それほど頻繁に法改正にはならないと思いますので,やはり市民の考え方も段々,行政の中のことと対市民関係のことという区分についての意識というのは高まっていくと思いますので,先ほど出た職権訂正をどういう事項について行うかということの一覧表を作るというようなものについては,場合によったら,それは局長通達でもいいという考え方はあるかもしれませんけれども,通知を行うとかという,そういうところの対外的な基本ルールについては,私は法務省令で書くというような方向で,ここは二つ選択肢出ていますけれども,私の意見ですけれども,そういう形で進めていただければと思います。 ○窪田部会長 御意見ということでしたが,是非御検討いただければと思います。   それと,申し訳ございません。ちょっと私からも,先ほど澤村幹事と新谷委員から出た御質問で,私自身もまだ,実は十分に理解できていなかった点がありますので,もう一度御説明をしていただくためにお聞きしたいと思います。席上配付資料「戸籍訂正手続について」の114条の方に置かれた③,これは,116条の問題になるということでした。一方で,もう一つの席上配布資料「戸籍訂正」の方の黄色いほうで(2),その②では,離婚届出以前に死亡していたことが死亡届によって分かったという場合については,死亡届によって明らかになっている以上,もう届書から明らかなことだから,管轄法務局長の許可を得た職権訂正というのは可能だという御説明だったと思います。ちょっとよく分からなかったのは,部会資料の9ページで,第4の1のところで,法第114条において訂正許可審判の対象とされているこれこれから,以下のものを除外するとして,書き方の問題は工夫していただくとしても,その中で,第74条の婚姻も第76条の離婚も除外されています。ここで除外されているものであったとしても,しかし,客観的に明らかだ,届書から明らかであれば,管轄法務局長の許可を得て訂正が可能だということでよろしいわけですか。 ○遠藤関係官 今,部会長の方から御質問あったとおりの整理と考えておりまして,113条,114条は,家庭裁判所での手続を経るかどうかというところを問題にしておるところでございます。他方で,24条につきましては,今般の改正によりまして,管轄法務局長の許可を得て,市区町村長が職権で訂正を行う場面について規律しているというところでございますので,両者は,何といいますか,いわば併存して訂正の手続というのが規律されるということになりますので,重複している場合に,24条の適用があるようなケースであれば,そういった24条での対応ということも考えられるのではないかと考えておるところでございます。 ○窪田部会長 「戸籍訂正手続について」の方の席上配布資料の114条の③というのも,届出時に死亡していた場合ということが死亡届から明らかであれば,24条訂正が可能だという類型になるということでよろしいですか。 ○遠藤関係官 はい。 ○窪田部会長 はい,分かりました。   ほかの方から何か御質問等ございますでしょうか。 ○大橋委員 すみません,調査権のところで,確認なんですけれども,8ページのところに,市町村長の調査権と法務局長の調査権について説明があって,調査権の在り方を変えないという御説明で,それで,範囲を変えないという部分は,今回のこのペーパーに出ているんですけれども,前回までのペーパーですと,これは,罰則で担保するというようなこともしなくて,従来どおり任意調査で続けますということは毎回書かれていたんです。けれども,今回そこが落ちているというのは,ここのゴシックのところが法律にする要項案なんで,罰則規定のそれが用意されていないということは,罰則を設けないということで理解してくださいという,そういうことでよろしいんでしょうか。これが質問の1個目です。   それと,もう一つは,今日お配りいただいた机上配付資料の戸籍訂正の一覧表で,「戸籍訂正」って書いたほうの1の市区町村長限りの許可で訂正されるという部分ですが,今回は法務局長の許可はあっても,市区町村長の許可という手続は入らないのではないかと思うんですけれども,これは,職権限りということの意味ですねという確認の質問です。 ○遠藤関係官 まず,1点目でございますけれども,資料の説明が不十分,不足しておったところかと思います。もちろん,これまでの部会で御説明を差し上げてきましたとおり,何らか罰則を設けるだとか,そういったことは当然予定をしておりません。飽くまで,今の任意調査の範囲で行うことにつきましては,変更がないということでございます。   それから,2点目の御質問も,こちらも,申し訳ございません,こちらは単純な誤記でございます。こちらの不手際ということで,1につきましては,市区町村長限りで訂正される事案ということで,御説明をしようと思っていたところでございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。 ○畑委員 今の調査権のところについて,ちょっと中身を確認させていただきたいのですが,ゴシック体の法務局長等の調査権のところですが,「法第3条第2項の助言等」ということの,「等」というのが何についているかということなのですが,3条2項に書いてあることだけを意味しているということなのか,それとも3条2項のほかにもあるということなのかがちょっと分かりづらいのですが,補足説明の1だと,助言等(3条2項)と書いてあるので,3条2項で何かするときと限定されているように見えます。その理解でよろしいのでしょうか。 ○遠藤関係官 今御指摘あったとおりでございまして,このゴシックでの「助言等」といいますのは,3条2項に規定されております,各種の法務局が市町村長に対して行う行為を想定しているということでございます。 ○畑委員 分かりました。   それから,もう1点,これは,専ら法制的な問題だということだと思いますけれども,113条と114条の話で,内容的には恐らくおおむね,この部会においてもコンセンサスのようなものがあって,人訴事項については家裁の審判の方ではやらないということで,それを113条の方に書かずに終えてしまうというのは,ちょっと残念な感じがあります。るる御説明されているように,実際上問題は生じないと私も思いますが,債権法の改正などにおいても,みんなが分かっていることもできるだけ書こうというふうな話もしておりましたし,この場でコンセンサスがあり,恐らく一般的に理解されているところとも一致するのだとすれば,何とか書けないか。法制的に,国籍訴訟とかそういう例があるので,難しいということも理解しますが,何かしら書けないかなという感想は持つところでございます。 ○窪田部会長 ただいまの点については,何かありますでしょうか。   書けないという理由,あるいは書くのが難しいということについての理由を,改めて説明していただくということでもよろしいかと思います。 ○遠藤関係官 御指摘ありましたとおり,113,114につきまして,併せて検討してまいった経緯というものも,我々としては重く受け止めて検討を進めてきたところではございます。ただ,条文化をするに当たって,この戸籍訂正手続という審判で取り扱われるべき対象と,人事訴訟において取り扱われるべき訴訟物,訴訟の対象,目的というものが,やはりうまくつながっていないといいますか,厳密に法的に考えていきますと,その両者で扱われている対象事項というのはやはり別ものなのだろうというところ,そこからどういった形で条文に両者をブリッジしていくのかということを考えて,何か適切な表現がないかということを検討してまいったということでございますけれども,そこが,今の時点ではうまくつなげられていないというところでございます。   もう少し我々としても,引き続き法制的な観点から検討を続けてまいりたいとは思っておりますけれども,ちょっと現時点で要項案のたたき台としてお示しできるものとしては,113条につきましては,なかなか適切な案が現時点で用意できなかったということで,御理解を頂ければと思っております。 ○窪田部会長 畑委員,よろしいでしょうか。   ほか,いかでしょうか。 ○落合幹事 私も,市町村長限りの許可の件なんですが,これまでは,法令上は市町村限りで訂正ができるということはなかったわけなんですが,今回法令で定められると。そのときにできるものが,軽微というのと身分関係に影響がないということの2点の要件ということになっているんですが,軽微の範囲について,今でも法務局さんの方に照会を出して,軽微ということであれば市町村限りでやっている,あるいは先例等で明らかであればやってはいるんですが,今回新たに法令で定められるに当たって,この軽微の範囲を,これまでの運用先例や通達を踏まえて,新たに省令等で定めるということですけれども,今回出されたものを改めて見てみて,仮に軽微でないにしても,明らかに訂正すべき誤記である場合ですね。例えば,(2)の最後の生存者について誤って死亡の記載をした場合について,軽微ではないので,身分関係に影響があるので,やはり法務局長の許可が必要という整理になるのか,あるいは,確認できれば結果は動かないというようなことであれば,市町村限りで訂正ができるような仕組みというのは考えにくいのか。こういうことこそ,普通あり得ない,これは最近の事例は多分ないと思うんですけれども,こういうケースこそ,何で俺が死んでいることになっているんだというような話が窓口に来たときに,どうしても法務局の許可ということになると時間が掛かりますので,ここは早く法務局の方には許可を出していただくというような運用になるのか,あるいは明らかに誤りであることが分かった場合は,市町村限りでできるというような整理ができないのかどうかを伺いたいと思います。 ○窪田部会長 今の点については,いかがでしょうか。 ○北村幹事 生存者について,自分が生きているって来られたときに,それで実際には死亡の届出がされていて,戸籍に記載されている。そういう中で,明らかに間違いだと言える場面がどれぐらいあるのか,そこはやはり確認することが,本来望ましいのかなとは思っています。ただ,どういう場面が本当に明らかになる場面なのかというのは,ちょっと話をまた伺いながら,少し今後の運用等については整理をしたいと思っております。 ○窪田部会長 どうもありがとうございます。   ちょっと今の点についてですが,身分関係に影響があるといった形で,身分関係という言葉が,比較的よく使われるのですが,この身分関係については厳密な定義というのがあって使われているということになりますでしょうか。挙がっている例も,かなり性格の違う例で挙がっているかなと思ったものですから,御質問をさせていただきます。 ○遠藤関係官 そうですね。こちらは,基本的に過去の通達等で,こういった表現があるということで,そちらを参考にさせていただいたということでございます。一般的に身分関係といいますと,人事訴訟法等で身分関係という形で使われているということで,どちらかというと,民法の親族法で定められているような個人間の身分の関係という意味で使われているケースが多いかと思いますけれども,これまでの運用から見ますと,そこから確かに若干広い趣旨のものも含まれているということで,この戸籍法の世界の中では,そういったことを前提に,24条の3項につきましては,そういった過去の先例等も踏まえて,改めて整理をしていくということになるのかなとは思っております。 ○窪田部会長 分かりました。   お尋ねした趣旨は,学問的にどうだのということではなくて,例えば,戸籍の復籍ということで,4番の例,あるいは6番の死亡というのも,身分と言われたら,そう言えないわけではないのだろうとは思いますが,身分関係というものを基準として立てて,このケースに関してはこうなるというふうな判断基準としてうまく機能するのかなというのが,少しだけ気になったものですから,一度だけ御検討いただければと思います。   ほかいかがでしょうか。 ○川島委員 10ページ目の2の(注2)のところなんですけれども,先ほど磯谷委員の方から,通知をするというようにはっきりと書いたほうがいいのではないのかという御指摘がありました。私自身は11ページ目の(3)の上の文章にある「戸籍に記録されている者において戸籍訂正がされたことを適切に把握することができることとなるよう」,「所要の整備を行うこととすることが相当である。」という文章の意味合いを,訂正した後に,そのことを本人に伝えることだと受け止めていたんです。そう思っていたんですが,改めて(注2)を読み返してみると,「戸籍の訂正をするときは」ということで,事前にそのことを通知するような意味合いにも読み取れるというように思ったということと,その後の,「その訂正により訂正すべき記録のある者がその旨を知ることができるよう」という,文章そのものが何を意味しているのかということが,少し分かりづらいのかなというように思いました。申し上げたいのは,この(注2)の文章は,これまでの議論の結果として,こういうことをやるようにしましょうといった内容が,分かりやすく伝わるように,読み取れるように,更に検討いただけたらというように思います。 ○窪田部会長 ただいまの点はいかがですか。 ○遠藤関係官 これまでの議論を踏まえて,こういった注を書かせていただいたということにつきましては,今御指摘のあったとおりでございます。この表現ぶりが余り分かりがよくないという御指摘,今日複数の意見いただきましたので,それを踏まえて検討したいと思います。   基本的には,実務の運用としまして,身分関係に影響を及ぼすようなケースにつきましては,適切に事前の通知なり,本人が申し出た場合というのはまた別途でしょうけれども,本人が申し出ていない場合で,何らか身分関係に影響を及ぼすような訂正をされる場合には,事前に通知をされるということが原則的な運用だと承知をしておりますので,そういったことも含めて,何か適切な表現ができるかどうかということも,ちょっと検討させていただければと思います。 ○窪田部会長 この注は,今の御説明だと,「職権により戸籍の訂正をしたときは」では駄目だということですね。むしろ,原則としては,事前通知が必要なんだ。後ろの多分,補足説明との整合性ということなのだろうと思いますが,後ろだけを見ていると,むしろ「戸籍の訂正をしたときは,その訂正により訂正された記録のある者が」と書いても,多分意味は通じるのかなという御指摘だったのではないかなと思いますが。 ○遠藤関係官 事前の通知も含めて,適切な形で,適宜の方法で本人等にお知らせするということが相当であろうという,問題意識で記載をさせていただいております。確かにちょっと,補足説明のところの表現ぶりが,余り適切ではなかったのかもしれませんけれども,趣旨としては,そういった,今のようなケースも含めて,適切に知ることができるようにするということかなと思っております。 ○窪田部会長 今直ちにお答えいただく必要はないのだろうと思いますが,事前の通知と多分事後の通知は性格が全然違うと思いますので,何となく両方ともいろいろあったらいいよねという話では恐らくないだろうと思いますので,ちょっとその点詰めていただければと思います。   ほかいかがでしょうか。 ○大橋委員 今の点ですが,私も全く同じ意見で,この11ページにあるように,された場合に通知が必要だという議論に対し,する場合に通知しましょうというのは適正手続の話だと思うんですね。した後の通知は,その活動についての形式要件のような話になってくるので,よりそちらの方が,私は問題が重いと思っていて,そちらのことを書かれているのかなと思ったんです。やはり二つ区別して,最低限,したときの通知ということについては,重く受け止める必要があるという印象です。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   ほかいかがでしょうか。   よろしいでしょうか。   それでは,非常に活発な形で御議論を頂きまして,誠にありがとうございました。   それでは,以上とさせていただきまして,次回会議の日程等につきまして,事務当局から御説明お願いいたします。 ○杉浦幹事 次回会議は,要綱案の取りまとめをしていただければと考えておりますが,明年1月18日金曜日,時間は13時30分から17時30分までを予定しております。開催場所につきましては,法務省20階第1会議室を予定しております。 ○窪田部会長 結構長丁場の法制審議会といいますか,戸籍の検討でしたけれども,次回で一応取りまとめ,順調にいけば取りまとめということになりますので,どうぞよろしくお願いしたいと思います。   それでは,本部会の第11回会議はこれにて閉会させていただきます。活発な議論いただきまして,どうもありがとうございました。 ―了―