法制審議会戸籍法部会 第12回会議 議事録 第1 日 時  平成31年2月1日(金)     自 午後 3時01分                          至 午後 5時05分 第2 場 所  東京地方検察庁総務部会議室 第3 議 題  戸籍法の改正に関する要綱案について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○窪田部会長 それでは,予定した時間がまいりましたので,法制審議会戸籍法部会第12回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中,御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。   本日ですが,石川委員,大橋委員,筒井委員,石井幹事,澤村幹事は御欠席と伺っております。また,須藤委員が遅れて来られると伺っております。   それでは,本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局からお願いいたします。 ○杉浦幹事 お手元に議事次第,配布資料目録,部会資料12,配席図,委員等名簿を配布させていただいております。また,席上配布資料としまして「新たに講ずる個人情報保護措置等に関する規定の整理表」と題する資料をお配りさせていただいております。   不足の資料等ございましたら,事務当局までお申し付けいただければと存じます。   配布資料の御説明は以上でございます。 ○窪田部会長 それでは,これより審議に入ります。   本日は,戸籍法の改正に関する要綱案について御議論を頂きます。   まず,部会資料12の「第1 法務大臣が番号利用法に基づき戸籍関係情報を提供すること等について」の部分について,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 それでは,第1について御説明いたします。   まず,この要綱案全体ですけれども,前回部会で御議論いただきました要綱案のたたき台から変わっているところを中心に御説明させていただきたいと思います。   そして,構成ですけれども,前回のたたき台でも申し上げましたけれども,基本的にゴシックの部分が法律になることを想定して書いております。そして,今回,要綱案ということですので,法制審の慣例といたしまして,できるだけ法文に近い形,法文がイメージできる形で書くということで,書かせていただいているところでございます。   なお,全体について申し上げますと,要綱案を取りまとめいただき,法制審議会の総会で要綱として答申いただいた後,法制局での審査を受け,法案となっていきますので,その過程で文言であるとか表現が変わり得るということをまず前提に御承知おきいただければと思います。   それでは,第1について御説明いたします。   「法務大臣が番号利用法に基づき戸籍関係情報を提供すること等について」ということで,こちらにつきましては従前より,いわゆるネットワーク連携と申しまして,マイナンバー法,この資料では番号利用法と略させていただいておりますけれども,番号利用法の規定に基づいて必要な情報を法務大臣が作成し,提供するということについての規律を定めるものでございます。   まず,第1の2の方から見ていただければと思いますけれども,従前,親族的身分関係情報という形で申し上げてきたもの,現在,文言等を整理いたしまして,戸籍関係情報というふうに現時点で置かせていただきました。   内容につきましては,従前,御説明させていただいたものと変わりございませんけれども,戸籍に記録されている者とほかの者との親子関係の存否,婚姻関係の存否といった親子関係符号,あるいは婚姻関係記号といったもの,そういったものであるとか,戸籍に記録されている者の身分関係の異動に関する情報ということで,婚姻日であるとか離婚日とか,そういった情報,その他の戸籍に記録されている者に関する情報ということで,未成年後見であるとか国籍に関する事項とかも入ってまいりますけれども,そういった関係の情報,今まで部会の中で必要なものとして番号利用法の規定に基づいて提供する,そのために作り上げる情報というものを,このような形で戸籍関係情報としてまとめさせていただきました。それを番号利用法第19条第7号,あるいは第8号の規定の下で提供するために必要なものとして定めるものというふうに定義をさせていただいています。   前回の部会資料においては,法令の定めという形でさせていただいておりましたけれども,この部会では正にマイナンバーの利活用ということで議論いただいてきたところですので,そのことを明らかにするという意味も込めて,現在この番号利用法の規定の下で,提供するために必要なものとして定めるという形で規定するということを考えているということになります。   まず,戸籍関係情報の定義につきましては御説明は以上です。この点,従前の御説明と基本的には変わってございませんで,正にその番号利用法の下で提供するものということで定義をしたというものです。   そして,(2)のところで,法務大臣が,ここも同様に,番号利用法により特定個人情報を提供することを目的として,副本に記録されている情報を利用して戸籍関係情報を作成するということで,番号利用法のために戸籍関係情報を作成するんだということを明らかにしたものでございます。そして法務大臣は,その番号利用法の規定に基づいて,情報照会者等に対して戸籍関係情報を提供するという規定を置くということを想定したものになります。そして,この戸籍関係情報につきましては,番号利用法の下で提供するということを目的に作るものですので,それ以外の目的に使うことはないということで,目的外利用の制限という規定を置かせていただいているところでございます。   (注1)のところの御説明ですけれども,この部会で従前から御説明を申し上げておりましたし,また,磯谷委員の方からも,日弁連の意見書を出していただいたところでございます。それらの御意見等も踏まえまして,戸籍事務内においては,マイナンバー,12桁の個人番号そのものは利用しないということを,この部会の中で御議論いただいてきたと思います。そのことを明らかにするために,そして情報提供するためには,いわゆる機関別符号を利用するという形で,この部会の中で御議論を頂いてきたかと思います。その点について,必要な法制上の措置について,番号利用法等の関係法令において所要の整備をさせていただくという形での(注)を置かせていただいております。ですので,今までどうやって情報を提供するのか,そして戸籍の中にマイナンバーが書かれるのか,そのマイナンバーを利用するのかについて御説明申し上げ,御議論いただいてきたところですけれども,このような形で,法務大臣は12桁の個人番号を持たないということで,関係の法令を整備するということをこの(注1)で明らかにさせていただいているところでございます。   (注2)につきましては,この部会の中で何度か文字の点,御議論いただいてきたと思います。現在,文字の収集作業を既に始めさせていただいているところではございますけれども,戸籍に関しては,やはり文字というものが重要な点でございます。ですので,この文字を収集した上で標準的な字形の文字に収れんするという文字の同定作業を行うということを明らかにして,そしてその同定作業の結果,疑義が生じたものについては,会議体に諮問して御判断いただくということも,この部会の中で御議論いただいてきました。その結果につきましては,しっかりこの部会の中で何度も御議論いただいたことですので残しておいた方がよいだろうということで,(注2)として残させていただいたところでございます。   第1としては以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,ただいま事務当局から御説明を頂きましたことについて,ゴシック部分だけではなく,(注)の部分も含めてで結構でございますが,御質問等ありますでしょうか。 ○三橋幹事 一応,念のためお伺いするんですけれども,第1の2の(1)のところで戸籍関係情報を定義されて,マイナンバー制度における情報連携に提供するための情報というのを戸籍関係情報というふうにして整理をするということですね。最終的には法務省令で定めるということになっておりますので,当然,提供されるのは法務大臣であり,使われるのは各府省の制度ということになってまいりますので,法務省令でもちろん定められるんですけれども,中身につきましては,当然,各省のシステム,我々のシステムの方が影響を受けるということで,それは十分,我々と打ち合わせをさせていただいて実施されるということで理解しておいてよろしいですねという確認です。 ○北村幹事 当然,番号利用法に基づいて提供いたしますので,具体的にどの情報を作るのかということについては十分協議をしながら定めていくということになろうかと思います。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほかはいかがでしょうか。   今回の審議が最後となり,これで要綱案として取りまとめることになります。先ほど北村幹事からも御説明ありましたが,この部会で取りまとめた要綱案について,法制審の総会において審議され,そこで要綱となり,さらに法案に進んでいくということになります。今日はその要綱案を取りまとめなければいけませんので,言葉の点も含めて,何か疑義があるといった部分がありましたら,どうぞ御発言を頂ければと思います。 ○落合幹事 マイナンバーは利用しないんですけれども,機関別符号を生成するのにマイナンバーは使わないんでしたっけ。ちょっと確認なんですけれども。 ○三橋幹事 私が答えるべきかどうかというのはありますが,機関別符号はマイナンバー制度に参加する情報連携の機関については作っていく必要がございます。今回,戸籍制度がマイナンバー制度と連携するため,戸籍の附票に記載を想定しております住基関係の4情報を使いまして,それを基に機関別符号を取得するということが法務大臣は必要になってまいりますので,その仕組みにつきましては,今,法務省と私ども,それからネットワークシステムを持っております総務省との間で協議をして,どういうふうにして機関別符号を取得するかということを今検討作業を進めているという状況でございます。 ○落合幹事 そうしますと,マイナンバーは当然ほかの制度と同じように,住民票と戸籍の附票と突合させて,マイナンバーを持って,そこから機関別符号を情報連携に使うということでは,ほかの制度と変わらないということでよろしいのでしょうか。 ○三橋幹事 マイナンバーそのものは戸籍は持たないという整理でございますので,マイナンバーの代わりに,戸籍の附票の情報,ここに今,氏名と住所だと思いますけれども,生年月日,性別,これを用いまして,マイナンバー制度の機関別符号を取得するためのやり取りというのを,今の既存のマイナンバー制度の枠組みでありますネットワークシステムとやり取りをいたしまして,機関別符号を取得するということでございます。   したがいまして,戸籍そのものはマイナンバーは持たない代わりに,マイナンバーの代わりに,住基4情報が使われるということでございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。あるいは,事務当局から補足説明はありますでしょうか。 ○北村幹事 今,三橋幹事の方から御説明があったとおりで,戸籍の側としては12桁の個人番号そのものは機関別符号の取得のためにも使わない,持たないということで整理をして,そのための関係法令の整備について協議を行っているところです。それが(注1)に記載している内容になります。 ○窪田部会長 気になる点がありましたら続けていただいても結構ですが,よろしいですか。 ○北村幹事 ちょっと補足ですけれども,この点につきましては,日弁連から頂いた御意見の中にも,戸籍とマイナンバーを紐付けるということについての懸念等も示されていたかと思います。そういった点も踏まえながら,この部会での御議論をさせていただいて,先ほど答えさせていただいたように,戸籍そのものには12桁のマイナンバーは持たないという方向で調整を関係府省とさせていただいた,その結果がこの(注1)になっているということでございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほか,いかがでしょうか。   第1の部分に関しては特に御質問,あるいは御意見というのはございませんでしょうか。   それでは,第1の部分についてはこれを要綱案として取りまとめるということで,御承認を頂けますでしょうか。   ありがとうございます。   それでは,続きまして,部会資料12の第2の部分について,「戸籍事務内における情報の利用について」ということで,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 第2の「戸籍事務内における情報の利用について」というところについて,御説明をいたします。   こちらは従前より事務内連携という形で御説明させていただいていた,正に戸籍の部分ということになります。第1につきましては,番号利用法に基づいて情報連携していくのに,どういう形で規定を設けるかという部分になりますが,第2につきましては,正に戸籍の制度において,戸籍事務内でどう情報をやり取りするのかということについて書かせていただいている,そこをこの部会の中で議論いただいてきたところを今回このような形でまとめさせていただきました。   まず,第2の1の「届書等情報の送信等」という部分ですけれども,今回,届書を受理した市町村においては,その届書,そしてその添付書類につきまして,スキャンをして電子化をした上で国のシステムの方に送っていただき,そして戸籍の記録をしなければならない市町村においては,国に送られた届書の情報を参照して事務を行っていただく,戸籍の記録等を行っていただくということを想定してございます。   そうしますと,届書等情報というものについて今まで出てきていなかったものになりますので,こちらについて,法律の中で一定の規定が必要なのではないかということで置かせていただいております。こちらは受理した届書類につきましては,法務大臣に通知して送っていただくということで,それを法務大臣の方で保存します。   そして,(4)につきましては,従前から戸籍法第48条第2項で届書の記載事項証明という形で,届書を持っているところ,従前は,紙のまま保存しておりましたので,その紙を持っているところ,市町村であったり,それが法務局に送られれば法務局の方で記載事項証明ということで出していたということになります。今回,届書の関係は情報として送っていただくということになりますので,同様の規定を置かせていただいています。そして,それはこの部会の中で届書類を参照できる市町村はどこかということで御議論いただいてきましたけれども,これは届書を受理した市町村,そして戸籍に記録すべき市町村ということになるということなので,記載事項証明についても,その市町村において情報にアクセスできるということになりますので,その市町村において第48条第2項の証明をしていただくという形にさせていただいているところでございます。この(4)と(5)は,その記載事項証明の部分ということになります。   そして,(注)のところにつきましては,この部会で実物も見ていただいたかと思います。いわゆるデザイン婚姻届などが有名ですけれども,デザインのされた届書についてスキャンをした場合に,実際の文字が読めなくなる,あるいは補正等ができないという実務上の問題も生じているところですので,一定の見直しを行うということで,この部会の中でも御了承いただいていたかと思います。そこを(注)の中で明らかにさせていただきした。具体的にどの範囲まで制限するかについては,実際にもう既にいろいろ広く使われているところでもございますので,事務に支障のない範囲はどこかというのを更に市町村の御意見等を踏まえながら,法務省令あるいは法務省民事局長通達を作成する際に,その御意見を踏まえながら見直しを行っていきたいというふうに考えてございます。   2につきましては,これは法務大臣の方は市町村から求めがあった場合には,その情報について,戸籍の副本に記録されている情報や届書の情報について提供するものとするという規定を置いて,事務内連携の根拠とさせていただいております。   3につきましては,「戸籍の謄本の添付省略等」ということで,事務内連携を行うことによって,従来,届書については法律の規定上,複数の市町村で戸籍の記載をしなければならない場合には,その市町村に対応した数の届書類を出さなければならないということが規定されていましたけれども,第2の1のように届書の情報を送っていただいて,それを参照して事務を行っていただくということであれば,その規定は特に適用しなくてもよいだろうということで,届書の数通提出を不要とすることとしました。   そして,それ以外に,戸籍の謄本についても,戸籍の事務内で連携を行って戸籍の副本の情報を参照して事務を行っていただくとすると,現在,法律の規定としては分籍届,転籍届において戸籍謄本の提出,添付を義務付けられておりますので,これらの規定について,特に戸籍の謄本を添付する必要はないという形で添付省略を明らかにすることとしたいというものでございます。   4の「戸籍証明書の広域交付」につきましては,前回まで御議論いただいた内容と変わってございません。中間試案の後,パブコメの中で御意見等たくさん頂いたということで取り上げさせていただいて,この部会として,委員の方からは,このような内容で進めることについておおむね合意のあったというふうに理解してございますので,それを従前と同じ形でまとめさせていただいております。   なお,こちらにつきまして,部会の中で頂いた御意見を踏まえる形で注を記載してございます。(注2)のところ,本人確認につきましては,マイナンバーカード等の写真付き身分証明書等に限定して,厳格な本人確認を行うということを明らかにさせていただいております。   広域交付につきましては,請求を受けた市町村長が要件を審査し,交付決定を行うという戸籍法上の立て付けというものを維持した上で,このゴシックの部分を作らせていただいておりますけれども,それ以外に(注3)のところですけれども,届出が出され,戸籍の記録がされるような場合には,正本と異なる情報に基づく戸籍証明書等の発行を防止するための措置を講じたり,本籍地の戸籍の情報を証明するものであることが分かるような認証文を記載するなどの措置を講ずるという形での規定を法務省令の中で設けたいというふうに考えてございます。   5の電子的な証明情報の発行につきましても,広域交付の中に,前回,括弧の中で入れさせていただいていたところではありますけれども,条文で書こうとした場合には,やはり同じ条文で書くのは難しいかなということで外出しさせていただいております。こちらも請求できるのは本人等ということで限定をさせていただいておりまして,戸籍電子証明情報の発行についてすることができるということで,それを求めることができるという形にさせていただいております。基本的には広域交付と同様,本籍地と広域交付の形で請求することができるという形にさせていただいてございます。   この戸籍電子証明情報につきましては,実は省令の中で元々できるという形にはなってはおりまして,オンライン化法の下で対応することができるというふうにはなってございましたけれども,実際にはオンラインでの電子的な証明というものに対応している自治体はございません。オンラインでの証明書の請求に対応している自治体としては,今,二つございますけれども,電子的な証明については省令の中ではできるというふうにはなっていますけれども,実際には対応してございません。今回,新しいシステム等も構築し,今後オンライン等での様々な行政機関への請求,申請等が増えるであろうということを見越して,今回は法律の中にその基盤となる規定を設けて,今後の様々な行政機関の申請,電子的な申請等に耐えられる形のものを設けたいということで,置かせていただいてございます。   (注2)の中に記載してございますけれども,この戸籍電子証明情報の交付に当たっては,マイナンバー制度におけるマイナポータルの仕組みを活用して,このオンラインによって交付請求を行うことも可能とするということを想定しておるところでございます。   第2については以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   従来,戸籍事務内連携ということで扱ってきた部分ということになりますが,この部分について,言葉の点も含めてということで結構でございますが,御質問,御意見等ありますでしょうか。 ○阿部幹事 4のところですが,前からもう私,すいません,発言させていただいているのであれなんですが,広域交付のところで,これを見ると,窓口に来られたら,そこの市町村長は,本籍地の市町村に対して情報を求めるようにも読めなくもないような気もするんですが,実際にどんな形で情報を取ってくるのかなというのは,必ずしもこの要綱上は明らかでないのかなと思うものですから,どんな形で実際には,例えば窓口で受けられた職員の方が,どういう形で,自分のところが本籍地ではないわけなので,その本籍地情報を取ってくるのかというのは,どういうふうに考えているのかちょっと教えていただければと思います。 ○窪田部会長 今の点については,いかがでしょうか。 ○北村幹事 戸籍事務内連携,従前から申し上げてきたところでございますけれども,新しいシステムを作って届出がされた場合には,そのシステムを利用して,そこに本籍を置いていない方の戸籍の情報も参照して,届出の受理等も行うという仕組みをするというふうに申し上げてまいりました。基本的にはその形と同様に行っていくことを想定してございます。従前から戸籍の情報につきましては,正本があり,副本があり,その情報というものは同じだという形で戸籍の情報整理がされている中であります。   そして,広域交付の建付け自体は,先ほど申しましたように,市町村の方が交付を受けて,市町村において審査をされる。その審査の仕方については,先ほどの届出の際の事務内での参照と同様に行うことを想定してございます。その上で,システム的に最も合理的なものを最終的に,この広域交付について法制度上,戸籍法の中で定め,それで最も合理的な形で対応していきたいというふうに考えております。 ○阿部幹事 前から申し上げているように,市町村の職員の立場から考えると,いろいろな,要は触れる必要もない情報に触れることがあること自体がちょっと重荷になる部分もあると思いますし,今は個人情報保護の観点からどうかということで問題提起というか,意見を言わせていただいたということでございますので,是非その辺りは,いたずらにいろいろな情報に触れるというのがいいことではないということは御理解いただいていると思うので,その辺りしっかりと,市町村の意見なんかも是非聞いていただきながらしていただければ有り難いなと思って,意見として述べさせていただきます。 ○北村幹事 その点は従前から御意見,繰り返しいただいてきたところです。参照の部分でも同様のところ,当てはまるかなとは思っていますので,十分な対策等も含めて,後ほどの保護措置のところにも関わってくるとは思いますけれども,御意見は受け止めたいと思っております。 ○窪田部会長 基本的には,名前は変わってきていますが,副本データ管理システムと呼ばれているものを参照するという形なのかなと思いますが,必ずしもこの中では明確にその部分までは書いていないということでよろしいですか。 ○北村幹事 そこまでは,私どもとしては今回,第2の2までは書かせていただいていますけれども,今回,システムということで,あえて法律事項なのかどうかということも法制局と議論しながらやっているところですので,ここに書かせていただいている広域交付の部分までが,やはり法律の事項なのかなということで,今,御相談を法制局とさせていただいているところでございます。 ○窪田部会長 分かりました。ありがとうございます。   阿部幹事,よろしいですか。   ほかはいかがでしょうか。 ○磯谷委員 以前議論をした届書類の保管の場所,あるいは保管の期間という問題ですけれども,これについては元々法律事項ではないというふうな整理をされていたかと思います。したがって,今回のところには特段記載がないのだろうと思いますけれども,一応,法務省の方としては,ここでの議論を踏まえて,最終的には保管場所,それから保管期間については決めていきたいと,そういうふうな理解でよろしいのでしょうか。 ○北村幹事 そうですね。特に,前々回だったと思いますけれども,保管場所について市町村でそのまま保管していただく,その場合の保管期間について,そもそも持てないのではないか,特に都市部の部分についてはどうなるのかという御意見はあったかと思います。   その点につきましては,省令で保存期間を定める際には,十分市町村の方と御相談しながら,その負担をできるだけ少なくするような形で対応するという形で,その際の議論の中でまとめさせていただいたかなと思っておりまして,そのような対応を今後もしっかりと省令を定める際にはとっていきたいと思ってございます。 ○窪田部会長 市区町村の負担を軽減するというのは,多分,保存期間の問題と保存場所の問題と二つがセットになっていたと思うのですが,それについては,いずれにしても法務省の方でご配慮いただくということで,反対だという意見はなかったと思いますので,それについて適宜対応していっていただくということになるのだろうと思います。   ほか,いかがでしょうか。 ○浦郷委員 この要綱案については特に意見はありません。   広域交付のところで,やはり住民票と違って,戸籍関係の証明書ってめったに必要になることはないんですけれども,やはりいざ必要となると,自分が今住んでいるところと本籍地が違うというところで,なかなか取得するのが大変というところにおきましては,今回,広域交付ということを入れていただいて大変有り難いなと思っております。   あと,マイナンバーとの連携のところでは,連携により書類の省略ができるということで,児童扶養手当とか年金とか,そういうところを聞いておりますし,ただちょっとパスポートの件については,ちょっと難しいようなお話も聞いております。本当はここがクリアできると,国民としては大変便利になったのかなとは思うんですけれども,そこはちょっと残念なんですけれども,でも,今回広域交付ということで,戸籍証明書等の入手がしやすくなるという点では今までより利便性になると思いますので,今回これを入れていただいたことを大変有り難く思っております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   肯定的に受け止めていただいているという御意見だったと思いますが,何か事務当局からはありますでしょうか。 ○杉浦幹事 パスポートの関係につきましては,まだ関係省庁間での調整中というふうに聞いておりますので,今後の検討の結果ということになるかと思っております。 ○三橋幹事 パスポートについて補足して説明しますけれども,私どもの方も,それは課題だというふうに受け止めていまして,ただ,この仕組みができれば,やり方はいろいろだと思うんですね。ただ,今すぐ何か動かせるというところで,まだ関係省庁の協議が調っていないものですから,もちろんこの仕組みが,今,第2にあるような仕組みがあることが,私どもとしてはうまくできることにつながっていくだろうと思っておりまして,そういう意味ではちょっと歯切れが悪いんですけれども,決して忘れているわけではないということでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ニーズとしては大きいところだろうと思いますので,是非適切な形で,将来,制度を作っていっていただければと思います。   ほか,いかがでしょうか。 ○鷲﨑幹事 今回,電子的な戸籍証明情報,戸籍電子証明情報の発行について言及されるということで,それは今議論でよろしかったですか,対象で。 ○窪田部会長 結構です。 ○鷲﨑幹事 そういうのの言及は大変よいことだと思うんですけれども,それの発行や利用に当たって,システムのイメージなどですと,ワンタイムパスワードといった時限制の仕組みですとか,その利用に関しては一定の制限を設けるような検討が幾らかあったかと思うんですけれども,それは今回は,この要綱には文面としては言及しないで,今後の検討に委ねるということなんでしょうか。 ○北村幹事 現在,想定をしておりますのは,前回も御説明しましたように,請求をされた方に,例えばワンタイムパスワードのようなものを発行して,それを別の行政機関に申請する際に,そのワンタイムパスワードを提供していただければ,行政機関の方でバックオフィスで情報を受け取れるような形を想定してございます。その辺りは受け取る側の相手方との協議等も必要になってはまいりましょうから,まずは規定として,基盤として,そういうものが出せるんだということを今回置かせていただきたい。前回も御説明して,いろいろ御議論いただいたかなとは思っておりますけれども,そのようなものを置かせていただきたいなというところでございます。 ○鷲﨑幹事 承知いたしました。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほか,いかがでしょうか。 ○三橋幹事 今の御指摘にも関連するかと思うんですが,要するに広域交付にしても,電子的な戸籍証明書の発行にしても,システム上をどう組んでいくか,特に原本と副本の一致をさせていって,それを本籍地の市町村が原本を持っているという本来の構成の中で,どうやってシステムとして提供していくかということは,今後の検討の課題になっていると,そういう理解でよろしいですね。 ○北村幹事 システムの詳細等については,システムを組む中でしっかりと考えていくと。ここでの,部会での御議論を踏まえて検討していくということになります。 ○三橋幹事 それで結構だと思います。   あともう一つ,一応確認事項ですけれども,広域交付につきましては,例えば先ほども阿部幹事からもお話あったかもしれませんが,どの人がどの戸籍を求めているかということを特定するというのが非常に重要なことになっていくと思うので,マイナンバーカード等の写真付き身分証明書で本人確認は当然するということだと思いますが,要は,台帳の中からどの戸籍を引っ張り出すかというところがおそらく大事になってくると思います。それは多分内部事務連携でもそうだと思いますので,それは私ども従前の説明ですと,戸籍に記載された本籍地や,その氏名という基礎データで確定していくということなので,番号というのは使わないということの理解をしておりますが,そういうことでいいですね。 ○北村幹事 現在の市町村のシステムにおいても,そのような取扱いをしています。戸籍の場合は,既にお亡くなりになっている方の戸籍を見ないといけないということもありますので,従前どおり戸籍を特定するものを,本籍,筆頭者そして氏名等を使いながら,適切に特定をしていくということになりますと。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほか,いかがでしょうか。   それでは,特に御質問,御意見がなければ,今回の要綱案の第2の部分については,このような内容で取りまとめをするということについて御承認を頂けますでしょうか。   ありがとうございます。   それでは,引き続きまして,資料12の4ページ,第3の「法務大臣が保存する戸籍関係情報等の保護措置について」,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 第3の法務大臣が保存する戸籍関係情報等の保護措置の部分について御説明いたします。   この部会の中でも,先ほどの御指摘,阿部幹事からの御指摘等もございましたけれども,やはり戸籍につきまして,今回新たに戸籍関係情報というものを作り,番号利用法の下で情報を提供するという新しい事務ができる。そして更に,そのための新しいシステムを利用して,戸籍の事務内においても,本籍地外の情報を参照して事務を行う,そして先ほどのように届書の情報についても参照できるような仕組みを構築するということを考えております。   そうしますと,従来は市町村においては自らのところにある情報しか確認できないということになりますけれども,それ以外の情報について接することがあり得るということになりますので十分な保護措置が必要だということで,その辺りについての御議論を頂いてきたところであります。そこで,現在必要な保護措置をできるだけ置きたいということで,前回の部会でも保護措置についてお示しし,前回頂いた御意見も踏まえて改めて整理したところでございます。   保護措置をどういう形で置いているのかにつきましては,今回,席上配布資料におきまして,「新たに講ずる個人情報保護措置等に関する規定の整理表」というものを置かせていただいております。それぞれ要綱案の番号に対応する形で置かせていただいておりまして,前回までの御意見を踏まえまして,まず,個人情報だけではなく,システムに関する秘密の保護ということも設けるべきであろう,更に個人情報の安全確保の措置が必要であろう,そして個人情報の利用及び提供の制限というものも必要であろう,そしてその秘密について漏らしてはならないという規定が必要だろうということで御意見を頂いたところでございます。   どういう形で法律を置くかということで,従来の仕組み,従来市区町村の方で管理いただいている正本といったものにつきましては,十分な措置を講じていただいているところでございますし,それぞれの法律,条例等の規定の適用があるところではございますので,今回新たに設けるシステム,そしてその中でやり取りされる情報について必要な保護措置を設けることとしたというものになります。   そして,新たに動く情報としては,戸籍関係情報と戸籍の副本,国の方で持っている情報,副本の情報,そして送っていただいた届書等情報というものについて,それぞれやり取りをするということになりますので,これらについて,どのような規定を設けるのかというのを関係法令等を参考に保護措置を設けさせていただいたということになります。分かりにくいんですけれども,この戸籍関係情報につきましては,先ほど第1のところで申し上げましたように法務大臣が提供するということなので,法務大臣,法務省の人間しか触らない情報になりますので,その点についての規定は市町村の方には特に設ける必要はないだろうということで,法務大臣のみ規制を掛けているということになります。   逆に,戸籍の副本,届書等情報については,そのやり取りされる新たな情報の部分については十分な保護措置を市町村の情報を受け取る側として,自分の管理していない情報を受け取る側として,十分な保護措置をしていただく必要があるだろうということでの規定を設けております。また,従来の行政機関個人情報保護法の規定というものもございまして,国の関係ではその適用がありますし,市町村に関しても,個人情報保護条例の適用がございます。その中で,どこまで新しい部分について設けるかというのを整理したというのがこの表になります。なお,この点につきましても,規定の要否については,現在,内閣法制局とも相談をしておるところでして,変更があり得ることをお含みおきください。   順番に1の部分になりますけれども,こちらはシステムの部分になります。この表ですと,①の部分になりまして,戸籍関係情報,そして戸籍の副本や届書等情報につきましても,それぞれシステムに関する秘密の保護というものの規定が掛かるようにすべきではないかということで,規定を置かせていただいております。   続きまして,2の法務大臣から提供を受けた副本記録情報等の安全確保,副本記録等情報というのは,戸籍の副本にある情報,そして届書等情報という形になっていますけれども,こちらにつきましては,まず,法務大臣から提供を受けた情報ということになりますので,表の②の部分につきまして,戸籍の副本の部分,届書等情報の部分ということになります。法務大臣の部分については,当然,行政機関個人情報保護法の適用がございます。市町村の方についても,正本の方については,当然従来の規制があって個人情報保護条例等ありますけれども,市町村の方にとっては本籍地ではない情報を受け取る形になりますので,その部分については,今回,2のような規定を設ける必要があるというふうに考えているところでございます。   ③のところ,これは受け取った情報の利用及び提供の制限ということで置かせていただいております。   戸籍関係情報につきましては,先ほどの第1の2の(4)のところで,番号利用法に基づく情報連携のみに利用される情報だということで,目的外利用の禁止ということで置いております。戸籍の副本の情報というのは,従前から行政機関個人情報保護法の適用がございまして,利用及び提供の制限というものは掛かっているところでございます。市町村につきましては,今回,自分で管理していない情報を受け取った部分については,目的外利用の制限が必要ではないかということで置かせていただいています。   さらに④の部分,要綱案ですと4の部分になりますけれども,こちらは秘密等の保持義務ということで置かせていただいております。こちらにつきましては,法務省,そして市町村長,それぞれに置かせていただいているというところになります。   こちらは戸籍関係情報又は戸籍個人情報ということで,副本や届書等情報に記録されている情報であって,その情報に含まれる氏名,生年月日,その他の記述等により特定の個人を識別することができるものという形で定義させていただいておりますけれども,その事務に関して知り得た戸籍関係情報若しくは戸籍個人情報に関する秘密であったり,電子計算機処理等に関する秘密を漏らしてはならないという規定を置きたいというふうに考えております。このことによって,個人情報の漏えいという部分,かなり広い範囲にはなるかなと思いますけれども,個人を特定する部分,そして電子計算機処理等に関する秘密も含めてでございますけれども,こちらについて,秘密保持義務を法務省の関係では課しているということになります。それが表ですと④の部分の第3の4の(1)ということで,戸籍関係情報と副本と届書等情報の部分ということになります。   4の(3)(4)の部分につきましては,こちらは市町村長の方に同様の形で戸籍の副本や届書等情報に関する部分の秘密,そしてそのシステムに関する秘密を漏らしてはならないという形で,秘密保持義務を課させていただいているところでございます。   あわせて,その秘密,こちらは実質的な秘密を保護しているものでございますので,こちらにつきましては他の法令等を参考に,同様の加重した罰則を掛けたいということで,罰則等の規定が必要なのではないかということで(5),これは従前から御説明を申し上げているところですけれども,罰則を設けるという形で置かせていただいてございます。   非常に入り組んだ形になっており,分かりにくいんですけれども,できるだけ必要な関係法令を参照に,また現在掛かっている規制に,更に必要な部分については規定を掛けなければならないということで検討して,前回,システムに関する秘密についても十分保護すべきではないかとの御意見を頂いたところでございますので,その辺りも入れて置かせていただいたというところになります。   ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   第3の戸籍情報等の保護に関しては,この部会でもかなり議論があったところではございますけれども,そこで示していた内容を,席上配布資料の方では全体像が分かるような形で出していただいて,この太い括弧が入っていないところは基本的には現行法で対応できる部分ということで,太い括弧が囲まれた部分が新たに必要な部分で,それぞれ部会資料12の方と照らし合わせて見ていただくと分かるというような形になっているのかと思います。   それでは,この部分について何か御質問,あるいは御意見でも結構ですが,ございませんでしょうか。 ○鷲﨑幹事 すいません,非常に細かい点で恐縮なんですが,磁気ディスクという記憶媒体の割と具体的な指定が幾つか見受けられるんですけれども,これは何か以前議論して,そのように指定したということでしたでしょうか。 ○北村幹事 他の法令を参考に,どうしても電磁的な記録については磁気ディスクに保存しているものというふうにされていることからこうなって,どうしてもそれが今の保存形式だったりとか,そういうものに全て対応しているかというのはあるのかなとは思いますが,一般的な法律の用語として用いられているものを用いさせていただいたというところになります。 ○鷲﨑幹事 そうですか,分かりました。 ○遠藤関係官 すいません,ちょっと補足をさせていただきますと,今の戸籍法の119条のところに,電子情報処理組織によって戸籍を扱う場合に,その戸籍の調製方法について書いているんですけれども,そこの条文の中で,戸籍は磁気ディスクに記録し,これをもって調製するとなっているんですが,磁気ディスクの下に括弧が開かれておりまして,「これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む」となっておりますので,必ずしも磁気ディスクという言葉からイメージされるものに限られているわけではないということでございます。 ○鷲﨑幹事 分かりました。記憶媒体一般という形で抽象化して捉えることは,現実には可能だということですね。   特に市町村によってはいろいろな保存の仕方があり得るかと思いましたので,ちょっと申し上げました。分かりました。ありがとうございます。 ○窪田部会長 そうですね。だんだん時代が変わってきており,ハードディスクの振りをしているだけの違う媒体もありますね。 ○北村幹事 確かに,平成6年当時は本当に磁気ディスクだった,そして,その磁気ディスクを法務局に持ってきていたというふうに聞いております。 ○窪田部会長 恐らく,ここにおられる皆さんの中でも,フロッピーディスクという言葉を聞いたときにどれを思い浮かべるのかは違っていて,遡れば8インチぐらいの大きいぺらぺらなものまであったのですが,その辺りについては,戸籍の問題に限らず,何か工夫をしなければいけないところ何だろうと思いますが,それについては検討していただくということでよろしいかと思います。   ほか,いかがでしょうか。 ○三橋幹事 私どもとしては,従前からこういうシステムを作る際に,秘密の保持といいますか,システムに関する秘密の保持でありますとか,それから個人情報の規律というのは非常に大事であるということを御指摘させていただいたので,今回かなりマイナンバー関係といいますか,戸籍関係情報の部分につきましては精密に作られてきているということで,取り組まれているなというふうに私どもも評価しております。   今回,席上配布資料という形で表として整理されてきて,大変分かりやすく説明されている印象を受けておりまして,ほかの法務大臣とか市町村長に対する規律もそれぞれ個別に,現行制度を参考にしながら規定されているというふうに理解しておりますが,1点だけちょっと素朴に教えていただきたいのが,法務大臣のところで,基本的に行個法を適用して新規規定不要というふうになっているところなんですが,例えば③の個人情報の利用及び提供の制限でいきますと,行個法8条の規定があるから不要ですと。一方で,市町村に対しては縛りますというふうに規定がされております。行個法8条を紐解きますと,「行政機関の長は,法令に基づく場合を除き,利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し,又は提供してはならない。」という形で,逆に言えば,法令に基づく場合であれば利用を提供してもいいですよと。   それから,第2項では,「前項の規定にかかわらず,行政機関の長は,次の各号のいずれかに該当すると認めるときは,利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し,又は提供することができる。」とありまして,本人同意があるときとか,行政機関が法令に定める所掌事務の遂行に必要な限度で,保有個人情報を内部で利用する場合,それで当該保有個人情報を利用することについて相当な理由があるときというふうになっております。   当然,今回のシステムは戸籍の副本や届出情報をいわゆる国家機関に集約するという側面を持っておりますので,その場合に,法務大臣が法令で定める所掌事務の中には,当然,法務省ですから検察庁さんも持っておられるわけでもありますし,捜査ということもあるとは思います。一方で,④を見ますと,法務省職員が戸籍個人情報やシステムに関する情報のうち実質秘の漏えいを罰則の対象とするというふうにあって,ここでは,逆に法務省職員であっても,戸籍個人情報ということを罰則の対象として縛るというふうに整理をされているということになっておりまして,この関係はどういうふうに理解をしたらよろしいのでしょうか。 ○遠藤関係官 今,御指摘のあった③の部分でございますけれども,基本的には今の現行法の下でも,管轄法務局の方で保存するということになっておりますけれども,行政機関個人情報保護法の適用という意味では,法務大臣の事務を分掌する法務局,管轄法務局において保存をするということになっているかと思いますので,そういう意味では,改正前後で変わりがないであろうと,そういう発想の下に,こういう整理をさせていただいたということでございます。   他方で情報のやり取り,今般,新しいシステムを構築することによって,市区町村も含めて情報のやり取りをするような形での規律が設けられるということになりますので,特にシステムに関しては,これまでとはまた違う,新しいシステムが構築されることになりますので,その秘密については特に保護すべきであろうと,そういう整理の下で,こういう形での規定振りにするのがいいのではないかということで,今,検討しているというところでございます。 ○窪田部会長 よろしいですか。 ○三橋幹事 システムに関する秘密の保持のところはそうだと思うんですけれども,戸籍個人情報の秘密ということの保持ということと,一方で,行個法8条は,法令の範囲,あるいは行政機関,ここでは法務大臣が法令に定める所掌事務の範囲であれば,利用目的以外の目的のために利用できるというふうにあるのですが,それとの関係でいくと,どちらが優先されるということになるんでしょうか。 ○遠藤関係官 法令に基づくということであれば,秘密の漏えいということには当たらないのではないかという理解でおりますが。 ○窪田部会長 今,御質問がされたのは,ここで認められた情報連携のみの目的以外に使われる,それ以外の場合で適用除外に当たる場合というのがあり得るのではないか。もしその適用除外の可能性があるのだとすると,一方で,目的外利用を制限するというのが戸籍連携情報に関する,この目的以外のものは全部目的外利用だと言っているのとずれが出るのではないかという御質問だったのではないかと思うのですが。 ○北村幹事 戸籍関係情報につきましては,正に番号利用法の下で使うことしか想定されていない情報なので,そこは厳格な措置が必要だというふうに,目的外利用の制限は必要だということで書かせていただいております。   それ以外の戸籍の副本,正本についても,当然,目的外利用というものは掛かってはおりまして,現在も行政機関個人情報保護法で法務省,法務局の保存している副本の情報についてはその規制が掛かっているし,各自治体の市区町村の正本の情報についても,個人情報保護条例で目的外利用の規制が掛かっている。他方で,市町村の正本,あるいは法務局が今まで保存していた届書もそうですし,副本もそうですけれども,法令の規定に基づいて裁判所からの調査嘱託であるとか,この部会でも調査嘱託された例について御説明はしたかと思います。そういった形での法令の規定に基づいて出さざるを得ない部分というのは当然あって,そこの現状としては基本的に変わっていないので,新たな規制は必要ないだろうと。市町村に今回課しているのは,自分のところで管理していない,正本ではない情報で受け取ったものについて,やはり自分のところで管理していないので,その部分についてはしっかりと重い,受領者としての規定を設けるべきだろうということで,今のところ整理はしております。   この点につきましては,なお法制局とも今御相談中ですので,十分な保護措置をとるということでこの部会の中で御議論いただいてきたかと思いますので,私どもとしても十分な保護措置は必要だというふうに考えておりまして,最終的には他法令等参照に,必要な規定を法制局と相談しながら設けさせていただきたいというふうに考えてございます。 ○窪田部会長 いかがでしょう。 ○三橋幹事 市町村側に法律で規律を掛けなければいけないのは,ある意味,行個法が市町村まで射程範囲に置いていないので,それは当然だと思いますが,国が現在,行個法の範囲の規制に服しているから,その延長ですよという,そのとおりですよということは,注意しなければいけないのは,今度は法務大臣自体が,今まで市町村が持っていた副本をかなり強力な形で持つ。その一番強力なものは戸籍関係情報ということで,これはマイナンバーと連携するために,一番この表の左側の部分ですけれども,これはかなり目的外利用も含めてそれを制限されているという一方で,法務大臣のところの部分についてはこの情報が現行法のままですよというところの説明を合理的にする必要があるのではないかなと,非常に老婆心ながら思っているというところでございます。むしろ,それは法制局との間でも,十分議論をする必要があるかなと思います。 ○窪田部会長 今回のこの資料を出したので,かえってその部分が目立ったということなのかもしれませんが,この部分に関しては,行個法の8条の適用があるので,一切規制が必要ではないという趣旨であったというよりは,むしろ行個法8条があるので,それを踏まえてということだったのだろうと思います。ただ,今御指摘を頂いた部分も含めて,本当にこの部分について個別具体的なカバーが要らないかどうかという点については,カバーしなくてもいいという積極的な意見が出ているわけではなくて,むしろきちんと管理しましょうという方向では一致していると思いますので,それを踏まえた上で最終的な法案に持って行く段階では考えていただくということになるのかなと思いますが,どうでしょうか。 ○北村幹事 こちらは,私どもは規制が要らないと言っているわけではなく,現在も十分そこは規制が掛かっているという認識での御説明だったかと思います。その上で,頂いた御指摘等を参考に,また最終的に法案に落とすときに,ここにあるものが全て必要なのか,やはりもうほかの規定でカバーされているのかというのは当然あり得るので,法律の中で,場合によっては適用除外と書く方策もあるでしょうし,そこは法制的な面を十分相談しながら規定していきたいと思っております。部会の御議論として,保護措置は軽くていいという御議論では全くなかったとは思いますので,十分やりましょうという中で,今のところこれでさせていただいてはおりますけれども,基本的には十分な保護措置という趣旨での要綱案かなとは思ってございます。 ○窪田部会長 今回,要綱案として作っていただきましたのは,基本的に保護をされる情報の種類,それから誰が規制の対象となるのかという観点から整理をしてもらったものということだろうと思いますので,特に,その実質的な部分についても含めて御検討を最後の段階で頂ければと思いますが,いかがでしょうか。 ○落合幹事 直接の罰則うんぬんということではないんですが,委託のことが少し出ていまして,7ページの(4)だったりするんですけれども,この「電子計算処理等の委託」の「等」というのは何まで指しているのかという想定が,例えば窓口業務を委託していれば,その委託事業者が「等」で,ここで読むのかというのが1点目と,あと「二以上の段階にわたる委託を含む」というのは,再委託というような言葉になるのかなと思うんですけれども,再委託は何らかの規制を設けるのか,あるいは規制を設けた上で,やむを得ない場合に再委託を認めることを前提として含むというような表現にしているのか,この2点をお願いいたします。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。 ○北村幹事 電子計算機処理等につきましては,6ページのところ,(注1)に挙げさせていただいているものを今含むということにさせていただいております。今回,委託を含むというのは,他法令等を参考に,やはり委託をされている方について,同様の規制が及んでいるということを参考にさせていただいていますので,基本的には様々な形での今委託というのはあろうかと思っていますので,委託の方に全く規制が及ばない形はまずいのかなということで,置かせていただいているところです。 ○窪田部会長 二つ御質問があったうちの前者の部分については,6ページの一番上の(注1)のところで「情報の入力,蓄積,編集,加工,修正,更新,検索,消去,出力若しくはこれらに類する処理又は情報の入力のための準備作業」等々ということですので,多分御質問のあった点も含まれるということになるのだろうと思います。   2番目の御質問は,再委託に関しては,4の(2)の部分で「二以上の段階にわたる委託を含む」になっていますので,再委託の場合にも対象になるということは,これははっきりしているのだろうと思いますが,落合幹事からの御質問は,再委託をそもそも自由にできるのかどうなのかという部分について特に規定はしないのかという点も含まれていたのかなと思います。この点については特にこの中では定めていないということでよろしいですか。 ○北村幹事 そうですね。再委託ができるかどうかはまた別の観点かなとは思っていますので,委託の部分については様々な観点から,通達であったりとか事務連絡等も出させていただいている中で,お答えを頂いているかなと思っています。そういう中でお示ししている,あるいはシステムに関しても,委託というのは当然あり得たり,システムの構築の場面でも委託,更に再委託というような場面があるのかなとは思っておりまして,そのような規定を設けております。ただ,法律の中で,どのような事務に一つ一つ委託ができて,委託ができないのかというのは,この戸籍法の中では,従来からもその規定がないですし,そこまで定めていない。また法令で委託ができるものについて定めがあり,その中でどの範囲で委託できるのかというのはやってきたので,今回はこういう形でばくっと書かせていただいているということになります。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほか,いかがでしょうか。 ○磯谷委員 先ほど三橋幹事からの御指摘があったところですけれども,この行個法につきましては余り詳しくないものですから,今のような懸念についてはちょっと余り認識していなかったですけれども,ただ,確かに今回法務省の方で,この戸籍の副本,それから届書等の情報を持たれるということになっていて,それは,ただ,副本はこれまでもあったし,元々これは国の所管事項であるとかというところは考慮するとしても,戸籍関係情報については目的外利用を現に制限しているのに対して,恐らくはより広い情報であるところについては行個法8条1項の規律だけでいいというのが,やはり確かにちょっとバランスを欠くような気がいたします。従前と基本的には変わらないのだという御説明は,それはそれで,一つ,なるほどとも思うのですけれども,やはりそのバランスも含めて,特に戸籍事務内連携の方の情報の管理については,よりちょっとこの規律については,先ほどの御指摘も踏まえて検討する必要があるのではないかなというふうに感じた次第でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   今の点,いかがでしょうか。 ○北村幹事 正にここはどの範囲で,他法令等を見ながら,どういう規定を設けるべきかというのの,そのバランスを見ながら今作業を進めておりまして,部会として,やはり様々な形で保護措置は置くべきだというお声も頂いていますので,それを踏まえて,また法制局とも十分ここは御相談しながら進めていきたいと思います。 ○窪田部会長 個人情報の利用及び提供の制限に関して,目的外利用に関して,やはりきちんとコントロールすべきであるという御意見が複数出たということで,要綱案を直接書き直すかどうかということとは別に,最終的な部分ではそれを対応していただくということが必要になるということなのだろうと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。 ○久保野幹事 すいません,確認なのですけれども,市町村の職員等が関係のない情報をシステム上で閲覧するというようなことについて,どう防いでいくかというようなことについて,比較的具体的な議論をここでしたと思うんですけれども,そのようなレベルのことは,今後どのような形で基準を示したり,その実施を確保していくということになるのでしょうか。恐らくこの要綱に入るようなレベルのことではないと整理されているんだろうと理解しているんですけれども,どういうことになるのかという点について,確認として教えていただければと思います。 ○窪田部会長 今の点,いかがでしょうか。 ○北村幹事 実際に国のシステムを使って,どのような戸籍事務を用いることができるのかというのが,まず一つあるかなとは思っていまして,その点については省令等で限定をしていきたいと思っております。さらにシステム上の対応等も必要だろうとは思っていますし,システム上の対応につきましては,今回の保護措置のところを踏まえた形で実際のシステムの対応,あるいは使う人の制限であるとか,そういったことも含めて,今後下位法令で,あるいは民事局長通達等を含めながら,十分規律はしていきたいと思っております。   特にこの部会の中では,先ほど御意見いただきましたように,不正な参照であるとか,必要のない情報にアクセスするということはしっかりと制限すべきだということの御意見も頂きましたので,その辺りにつきまして,今回の保護措置での対応もそうですし,システム上の対応もしっかりとっていきたいと思っております。その具体につきましては,更に下位の法令,あるいは通達で定めていくということを想定しております。 ○窪田部会長 よろしいですか。   かなり議論した部分だったと思いますし,最終的には個人情報それ自体を今回の仕組みの中で取り扱うというのとは少しずれる部分はあるのだろうとは思いますけれども,参照できる範囲というのが,ある意味で何も制約を掛けなければ広くなることは間違いないので,それに対する対応が必要だということについては,部会の中でも方向は一致していたのだろうと思います。最終的に,恐らくアクセス制限とか,こういう条件がある場合にだけ,こういうふうな情報にアクセスできるとかという形の部分を詰めていかざるを得ないのだろうと思いますが,それも踏まえて検討していただくということになるだろうと思います。   その意味で,今回の要綱案自体の中には,法律の案として書く部分には必ずしも入らないのかもしれませんが,そういう方向だというお答えだったと思うのですが,久保野幹事,それでよろしいでしょうか。 ○久保野幹事 結構です。大事なところなので,正にしっかりといいますか,その辺りのめどといいますか,この先どういう段階で,ちょっと難しいところがあるのかもしれませんけれども,その下位法令で具体的なことが定められていくめどといいますか,大体の予定のようなものが,大丈夫なのだろうかということを確認したいという趣旨ですので,今のお答えで分かったのですけれども,もし具体的な,今後のめどのようなものが分かれば,お示しいただけると有り難いというところはあります。 ○窪田部会長 何かありますでしょうか。 ○北村幹事 システムの構築それ自体に,やはり相応のお時間を頂くことを想定しておりまして,その中で十分市町村の御意見等を踏まえまして,特に省令で決めるという場合には,当然,パブリック・コメントもしないといけませんので,システムができる段階でそのようなことも含め,対応していくことを検討しております。 ○窪田部会長 不正なデータアクセスというのは,多分,今回のこの仕組みを前提として始めて出てくるというよりは,従前もあった問題だろうと思いますので,それと併せて対応していかざるを得ないのだろうと思います。その点についてきちんと対応していただくということは,この部会としても方向としては一致していると思いますので,是非よろしくお願いしたいと思います。   ほか,いかがでしょうか。   それでは,幾つか御質問のほか,御意見も頂いたというふうに理解しておりますが,「第3 法務大臣が保存する戸籍関係情報等の保護措置について」は,ただいま頂いたような御意見も踏まえて,法務省の方できちんと対応していただくということを前提として,要綱案としてはこのような形で取りまとめるということで御承認を頂けますでしょうか。   ありがとうございます。   それでは,あと残っている部分はございますけれども,少し休憩を頂くということでよろしいでしょうか。後ろの時計で,ちょっと長くなりますが,35分まで休憩ということで頂戴できますでしょうか。35分から再開いたします。           (休     憩) ○窪田部会長 それでは,審議を再開させていただきたいと思います。   先ほどちょっと質疑があった部分について,事務当局から追加の御説明があるということですので,お願いできますでしょうか。 ○北村幹事 久保野先生から御指摘があった点につきましての若干の補足なんですけれども,保護措置の中にも規定があるというふうに申し上げました。その部分,基本的には1の(1)(2)の部分に,ある意味入っている部分もありまして,実際にこれを踏まえて省令ですとかガイドライン等も定めていくことを想定してございますという点を補足させていただければと思います。 ○窪田部会長 5ページの1の(1)(2)のそれぞれ最後の部分で「必要な措置を講じなければならないものとする。」という形で,かなりざっくりとですが,親規定に当たるような形で個別の省令等において定めるという前提になる規定が置かれているということで,比較的カバーできるのではないかという御説明だったかと思います。   第3に関して,更に何かございましたらお伺いしますが,よろしいでしょうか。   それでは,残っている第4から第7まで,まとめて,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 第4の「市町村長及び管轄法務局長等の調査権について」というところです。   こちらにつきましては,前回の資料と基本的には変わってございません。この部会でも様々な形で御意見いただいたところではありますけれども,任意調査という形で置かせていただくということで,基本的に合意を得たものと理解をしておりまして,前回までの御意見を踏まえ,前回と基本的に内容は同じ形で規定してございます。   それで,当然ここの(注)では書いてございませんけれども,特に省令というわけではないので書いていませんけれども,特に日弁連の方から頂きました御意見等は,この部会の中の議事録等に当然残っていますし,この議論の前提となっているというふうに認識しておりますので,必要最小限の調査にとどめるというものであるということは十分確認されているものと,事務当局としては理解をしておりますし,その辺りは解説等でも十分記載しながら,その解釈を明らかにしていきたいというふうには考えております。   続きまして,第5の「戸籍訂正について」も,基本的には前回の内容と変わってございません。   前回,最高裁から頂いた御意見を踏まえ,何か新たに1の114条の部分につきまして,大きく今までの扱いを変えるというわけではなく,解釈を確認するというものだということで議論いただきまして,そのような御意見を頂いて,そこが分かるような規定にした方がよいのではないかという御意見を頂いたところです。それを踏まえて,今回,第5の1のところについては,これらの各届出に関わる行為が除外されることを明示するものとするということで,この部会の中で新たな類型とするものではなく,従前の解釈を明らかにして確認をするものだということを反映させていただいたものになります。   2のところの戸籍訂正手続についても,基本的には前回と変わってございません。   前回,通知の部分について様々御意見を頂いたかと思います。その点を踏まえまして,基本的には訂正すべき記録のある方が,きちんとそのことを知ることができるように通知をするということを省令に書くということで御意見いただいたところですので,そこを(注)の中で書かせていただいたというものになります。   なお,実際の実務の場面においては,全く無関係,身分関係に影響がある場合に全く通知をしないというのは基本的にはないところでありますし,逆に御本人さんの方が申し出られてくるという場合も多いということでございますけれども,やはり省令の中にしっかりとした規定,きっかけを設けておく方がよいのではないかという前回の大橋委員の御意見等も踏まえて,このような(注)を置かせていただきました。実際の運用場面においては,その省令を踏まえて,通達などでその解釈等を明らかにしていきたいというふうに考えてございます。   第6の「死亡届の届出資格者の拡大について」というところにつきましては,任意後見受任者に拡大する,今回の部会の中ではその範囲で拡大をするということで合意を頂いていたかと思いますので,その部分について中間試案から特に変わってございません。   第7については,今回入れておりますけれども,ほかの法制審等の関連に合わせまして入れさせていただいております。実質的な修正する部分につきまして,形式的な字句の修正等ある場合や古い言葉遣いを使っている場合には,その部分を直させていただく場合もあるということで,入れさせていただいたものでございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,ただいま御説明を頂きました第4から第7までということになりますが,これについて御質問等ありますでしょうか。 ○落合幹事 すみません,この間と同じなんですけれども,8ページの市町村限りの訂正のところなんですけれども,先立っても申し上げたんですが,市町村限りで訂正ができるもの,法務局長の許可がなくできるものの範囲が「軽微」というのと「身分関係についての記載に影響を及ぼさないもの」という表現に引き続きなっているんですけれども,これはどういう意図だったりケースを想定をしてこういう表現をされているのかなというのが,ちょっともう一度お伺いしたいなというところです。身分関係に影響が出れば,それは軽微ではないのではないかなと思うんですけれども,まず「軽微」があって,それで「及ぼさない」というふうな表現でここで書かれているところを教えてください。 ○窪田部会長 この点はいかがでしょう。 ○遠藤関係官 この表現振りとさせていただいているのは,これまでの実務で通用している通達解釈等が,このような理解であるであろうと我々としては受け止めておりますので,それに倣ったと。基本的には現在の通達等で運用されております実務の内容を変えるものではないという理解でおります。   身分関係に影響を及ぼすものについては軽微ではないだろうというのは御指摘のとおりかと思います。書く順番がこれでいいのかという趣旨のお話も頂いたかと思うんですけれども,過去の通達,あるいは解説等,よく使われている文献等でこういうような書き振りをされているものが多かったものでございますから,こういう書き振りが,実際のこれまでの実務に携われた方には,変更がないというのが伝わりやすいのかなという思いで,こういう文言にしたという趣旨でございます。 ○落合幹事 思いは分かりました。   それで,ただ,通達はある程度整理されているのかと思いますけれども,先例とかになってしまうと,ちょっと余り,どっちを採るのかなというようなところがあるので,そこら辺は改めて,このケースであれば市町村限りでよろしいというようなことが,ある程度明確に出していただければと考えます。 ○窪田部会長 最終的には市町村単位で対応してもらうときに,具体例がなかったら分からないというのは,多分,実際そうだろうと思いますので,そうした対応をお願いしたいと思います。   その上で,ちょっと私の方からかき回すようなことを言うのは適当ではないと思うのですが,これは「身分関係についての記載に影響を及ぼさないもの」という書き方になっていますよね,「身分関係に影響を及ぼさない」ではなくて。これはどういうニュアンスなのでしょうか。 ○遠藤関係官 戸籍の記載というのは,身分関係を公証するというものではございますけれども,実態関係がそれで決まるというよりは,その内容を飽くまで公証すると。ただ,最終的に身分関係を確定するのは裁判等で,戸籍とは実態的に違う身分関係が認められるということもございますので,そういう趣旨でということです。 ○窪田部会長 その上で,そうすると,身分関係についての記載に影響は及ぼさない,親子関係はあることは間違いないのだけれども,生年月日の変更というのは軽微なものではないという扱いでいいですか。 ○遠藤関係官 それはケース・バイ・ケースといいますか,生年月日の前後によって,例えば婚姻することができる年齢であるだとか,そういったことも変わってくる…… ○窪田部会長 相続にも影響しますよね。ただ,具体的な親子関係には影響はないのだろうと思いますが。 ○新谷委員 戸籍の実務的な話が出ていましたので。   これは,基本的には昭和47年に基本通達が出ております。六法ですと,そのうちの209ページのところの第24条という条文ですが,その下のところに先例というのがございまして,戸籍の記載の錯誤又は遺漏が市区町村長の過誤によるものであることが届書類によって明白であり,かつ,その内容が軽微でということで括弧書きで,例えば出生の年月日,届出の年月日,又は父母との続柄うんぬんというふうな形であって,訂正の結果が身分関係に影響を及ぼさない場合には,許可を要せずに職権訂正ができるとありますけれども,今,座長がおっしゃった生年月日の問題については,全てが市町村長限りということの扱いはしておりません。基本的には届書類が残っている,今は27年,今は基本的には5年ですけれども,残っているケースとかいうふうに限られます。   それで,生年月日を直すことに,今おっしゃられたように,例えばよくあったのは,紙の時代には,就職するために1年早く生まれた年を直してしまったと。それで,実際は1年遅いんだということで1年延びるというようなケース,これは基本的には,実務的には家庭裁判所の許可を得るということでやっていますので,その辺については具体的に,この法律施行と同時に,47年のを踏襲するのか,それ以外に,具体的にこういう場合は市町村限りで差し支えないという指針を通達で最低限示す必要があるのではないかなというふうには,個人的には考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。大変よく分かりました。   出生は,でも,考えてみたら胎児でも相続できますから,むしろ死亡の日の方がいい例だったのかもしれません。いずれにしても,多分この部分に関しては,前回の通達を踏まえつつ,今回もう一度見直してもらって,きちんとした形で具体例を示せるという必要があるだろうと思いますので,そのようにお願いできればと思います。   ほか,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,今取り上げました第4から第7の部分についても,このような形で要綱案を取りまとめるという方向で御承認を頂けますでしょうか。   どうもありがとうございました。   一部,御意見も伺っておりましたが,全体としては,要綱案はこの形で御承認を頂いたということになろうかと思いますが,全体を通して何かこの点,確認しておきたいというようなことがございましたら,どうぞ御発言を頂ければと思います。 ○久保野幹事 申し訳ありません,戻ってしまうんですけれども,よろしいでしょうか。第3のところの戸籍の情報の保護措置に関するところで,ちょっと理解が追いつかなくて今になって質問したい点が生じまして,失礼いたします。   質問の内容ですけれども,6ページのところの4の(3)(4)に関わるところなんですけれども,この(3)(4)が対象としている戸籍個人情報というのは,新システムで新たに扱うことになる情報ということで,具体的には本籍地が元々自ら持っている情報は含んでいないという整理というので,理解はまず間違っていないでしょうか。 ○北村幹事 御指摘のとおりでして,なぜこうしているのかにつきましては,正本の管理の形態については今回のシステムにおいては全くいじっていないというところになりますので,今回新たにやり取りされる情報の部分についての規定を設けることとしたというものになります。 ○久保野幹事 ありがとうございます。   そこでちょっと確認,質問の点になるんですけれども,正本についての秘密の漏えいといったことについては,現在どういう法律で,どのように規制されているのかということを確認させていただきたいということがあります。   その趣旨なんですけれども,今回の新たな御提案の中で,表の方で言いますと,④のところの行で,一番右の方に住基法の参照法令などを挙げていただいているんですけれども,戸籍特有の何か保護措置といったようなことがあるのかどうかということが気になっております。先ほどの議論の中でも,行個法との関係といったことが問題になっていまして,それと同じような問題についてです。それで質問の趣旨というのは,前回の資料11の6ページの補足説明の3というところで,戸籍に関わる個人情報というものの機微性やプライバシー保護の観点から,その点の考慮が特に必要な情報だという記載がありまして,従来の本籍地についての規律がどこでされていて,それは戸籍の情報に関わるような特別な規律があったのか,なかったのか,そして新たに設けるものについては,同じような観点から言って,どのようなものになる方向を目指しているのかという点について教えていただければと思います。お願いします。 ○北村幹事 正本の部分につきましては,従来から,まず戸籍法の施行規則の68条の2の中で,戸籍情報の安全及び保護という,コンピューター化されている戸籍ですけれども,そこで設けているところであります。罰則等については,秘密の漏えいということでの地方公務員法の罰則規定が掛かるということにはなってございます。   今回,戸籍の機微性であるとか,そのようなことも考慮して保護措置を設けるということですけれども,やはり今回は情報がやり取りされるということを前提として,今までとは形態の異なるという部分について十分な保護措置を設ける必要があるだろうと。情報が今まで自分のところにあるもの以外の情報に接することができると,その部分についてはより抽象的な危険性が高まるというふうに考えられる。1人だけの情報として見たら,その受け取る情報と持っている情報の価値は変わらないかもしれないですけれども,やり取りされることによって,その情報の漏えいであるとか,危険性だと感じられる部分が大きくなると考えられるので,今回その部分をしっかりと保護をする。正本の部分については,今までもこれらの従前の規定によってしっかりと保護されてきて,対応されてきた。それで,今回全く形態が変わらないのに新たに罰則を掛けるという,なかなか立法事実も難しいかなというところもありまして,やはり新しく法律で規定をし,新しく情報のやり取りされる部分に十分な規制を掛けるのが相当だろうという趣旨で,前回の記載もややそう受け取られたのかもしれないですけれども,ゴシックの部分は基本的に,そのやり取りされる情報の部分に掛けているつもりであったので,そういう意味では変わっていないという認識ではあるんです。 ○窪田部会長 いかがでしょう。 ○久保野幹事 分かりました。   それで,現在の規制を十分に詳しく理解しておりませんので,意見といいますか,指摘をしたかったことは,今回の改正によって,より保護に厚いルールが,適用されるようなことにならないように,新たに設けられるルールがより厚い保護になるのであれば,従前のものもより厚くなるようにというような,先ほども出ましたけれども,平仄が合うようにしていっていただけたらと思いました。ありがとうございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   この点,最終的に法制局とも詰めていっていただかなければいけない点なのだろうとは思いますが,貴重な御意見を頂いたということで対応していただければと思います。   久保野幹事,要綱案の文言等については特に修正は必要ではないということでよろしいですか。 ○久保野幹事 はい。 ○窪田部会長 それでは,ほかに全体を通して。 ○磯谷委員 全体についてですけれども,先ほど北村幹事からもお話がありましたけれども,日弁連として意見書を出させていただきましたが,それについて,大変しっかりと配慮していただいたというふうに認識しております。日弁連としては,元々マイナンバー制度については慎重な意見を従前述べてきておりますので,もろ手を挙げて賛成というわけにはいきませんけれども,しかしながら,今回非常にきめ細かな配慮をしていただいたというふうに認識しております。   その上で,一つお願いなんですけれども,今後これを踏まえてシステムを実際に作っていかれるんだろうと。これは法務省だけではなくて,多分総務省さんとか,ほかの関係省庁を含めて作っていかれるんだろうと思っておりますけれども,その過程で,できるだけ情報公開をしながら作っていただければと思います。元より機密情報は別ですけれども,なるべく広く情報公開をしながら,こういう形でシステムを組みますということをオープンにしながら作っていただくことを希望したいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   今の点については何か。 ○杉浦幹事 御意見を頂きましたように,やはりこういった新しいシステムを作って広く情報のやり取りができるようになるということですので,国民の広い御理解を頂くということも非常に重要かと思っておりますので,そういった観点も踏まえまして,きちんと情報を提供し,御理解を頂けるようにしたいというふうに考えております。 ○窪田部会長 よろしくお願いいたします。   ほかはいかがでしょうか。 ○須藤委員 今の,すいません,磯谷委員に質問させて……。   どの程度のレベルの情報を開示すべきだと。 ○磯谷委員 今,何しろまだ,どういうふうに本当に作っていかれるのかというのが分かりませんので,何とも詳しいことは申し上げられませんが,ただ,これまでこの部会の中でも実際に絵を描いていただいて,例えば紐付けについても,今回のこの要綱案には盛り込まれないものの詳しく御説明を頂いてきたかなというふうに理解しております。そういう意味では,そんなような形で御説明いただけると,今おっしゃっていただいたように国民としても理解しやすいのかなと思う次第でございます。 ○須藤委員 ありがとうございます。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   ほか,いかがでしょう。   どうもありがとうございました。   それでは,個々の部分についてはこれで御了解を頂くということはしてまいりましたが,本日全体ということで,戸籍法の改正に関する要綱案につきまして,部会資料12の内容のような形で取りまとめるということについて,改めて全体について御承認を頂ければと思いますが,いかがでしょうか。   どうもありがとうございました。   御異論がないようですので,戸籍法部会としては全員一致という形で,部会資料12の内容で要綱案を決定したということにさせていただければと思います。   この要綱案につきましては,先ほども御説明したとおり,今後,法制審議会の総会,14日だったでしょうか,に報告をすることになります。それまでの間に,誤字等の修正,あるいは実質的な内容の変更にはわたらない細部の表現,あるいは字句等の修正があり得る可能性はあると思いますが,そうした形式的な修正については,部会長の私と事務当局に御一任を頂き,責任を持って対応させていただきたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。   ありがとうございました。   それでは,今の点につきましては,そのような取扱いにさせていただければと思います。   では,今後の予定につきまして,事務当局から御説明を頂くということでよろしいでしょうか。 ○杉浦幹事 分かりました。   どうも皆様,ありがとうございました。   本日の会議で御決定いただきました要綱案につきましては,2月14日に開催されます法制審議会総会におきまして,窪田部会長から御報告をしていただきまして,総会の委員の皆様に御審議を頂くということになります。総会における御審議の結果,要綱が決定されますと,その日に法務大臣に答申がされるというような運びとなっております。   なお,戸籍法部会で御決定いただきました要綱案につきましては,必要な点検作業などを行った後,法務省のウェブサイトで公表したいというふうに考えております。総会において,要綱の決定がされた場合につきましても,同様に法務省ウェブサイトで公表するということとなります。   私からの説明は以上でございます。 ○窪田部会長 それでは,最後にちょっと一言だけ,お礼も含めまして御挨拶をさせていただければと思います。   今回の戸籍法部会の法制審議会,今日が12回ということでしたからちょうど1年分ということにはなります。その前に法務省内に設置された研究会があり,研究会から加わってくださった方も,この中にも大勢おられますけれども,そこから数えると丸4年という形になります。   5年前に相続法改正の作業が始まって,そこでもワーキングチームの研究会,その後,法制審議会という形になりましたが,ちょうど4年間でした。それと同じ期間が掛かったということで結構時間的にもボリュームのある作業をしてきたのだと思います。   研究会もそうですし,この法制審議会に入ってからもそうなのですが,扱った材料,扱ったテーマは非常にたくさんあったと思います。文字のことで非常に議論したり,あるいは届書の現物を見ながら検討したりということもあったのですが,最終的に答申案という形でまとめることができたのは,それらについて全部そろって載っているわけではなくて,(注)に収められている部分もあれば,議論はしたけれども,必ずしも答申案の形では残らなかった部分もあります。立法作業というのは多くの場合そうしたものだと思いますし,今回の戸籍法の改正に関して言うと,日本の戸籍システムが全く変わって,紙ベースでやってきたものが全部なくなって,戸籍という概念や本籍という概念もなくなるとか,そういう派手さはなかった改正なのかもしれません。その意味では,最終的には地味な改正の提案だという見方もできるのかとも思います。   ただ,私自身は,この種の改正作業においては,後の世代の人たちに,それも1年,2年先ではなくて,10年,20年先の人たちに評価してもらえる,その基盤を作ることができればいいのではないかと思いますし,また今回の検討作業で得られたものはそうしたものだったのではないかと思っています。文字の点についても大変にいろいろな議論をしましたが,恐らく今回のこの仕組みができたことで,30年後どうなっているかという状況を考えれば,大変に意味のある基盤を作ることができたのではないかと思います。また今回のこの仕組みの中には直接入っておりませんが,相続法の方の改正であった自筆証書遺言の保管制度,こうしたものとネットワーク化された戸籍というのがつながった場合には,きっと大変に大きな意味を持つものとなるのではないかと思っています。法改正というのは,幾ら頑張ってやってみても,後から予想もしない問題も出てくることもあれば,逆に思った以上に大きな意味を持ってくることもあるのではないかと思っています。   塩野七生の「ローマ人の物語」という本がありますが,その中で私が一番好きなのは,ローマ人がどうやって道路を作ったのかという部分です。結局その次の世代にも残っていくものを作るということが一番大事だったのかなと思いますし,そういう作業に携われたということでは,本当によい機会を与えてもらったと思っています。   御一緒に協力できた委員,幹事の皆様方にも心から御礼を申し上げたいと思います。   また,今回の検討作業は,通常の法制審における法律上の議論にとどまらないものがあり,ネットワークやシステムの仕組みといったもの,私自身,来月の法制審総会できちんと説明できるという自信がないのですが,そうした部分も含めて,法務省の事務当局においては余り使ったことがない筋肉を使わせられる作業だったのではないかと思います。その点でも大変だったことと思いますが,事務当局の皆さんにも心から御礼申し上げたいと思います。   それでは,以上,お礼の言葉というのを述べさせていただいて,本日の法制審議会,またこの一連の戸籍法部会の法制審議会を閉じさせていただきたいと思います。   どうもありがとうございました。 ―了―