法制審議会 第187回会議 議事録 第1 日 時  令和2年9月17日(木)   自 午後2時01分                        至 午後3時21分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題   仲裁法制の見直しに関する諮問第112号について   法制審議会における情報通信機器を利用した会議への出席について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○丸山司法法制課長 ただいまから法制審議会第187回会議を開催いたします。   本日は,委員20名のうち,会議場における出席委員16名,ウェブ会議システムによる出席委員1名,計17名に御出席いただいておりますので,法制審議会令第7条に定められた定足数を満たしていることを御報告申し上げます。   初めに,法務大臣挨拶がございます。 ○上川法務大臣 この度法務大臣に就任しました上川陽子です。   法制審議会第187回会議の開催に当たり,一言御挨拶を申し上げます。   委員及び幹事の皆様方におかれましては,御多用中のところ本会議に御出席いただき,誠にありがとうございます。また,法制審議会の運営に関する皆様方の日頃の御協力に対し,厚く御礼申し上げます。   さて,本日は,御審議をお願いする事項が二つございます。   まず,「仲裁法制の見直しに関する諮問第112号」についてでございます。   我が国の仲裁法は,国連の国際商取引法委員会,UNCITRALが策定した国際商事仲裁モデル法に準拠して平成15年に整備されたものです。このモデル法は,平成18年に一部改正がされ,暫定保全措置に基づく強制執行について,新たな規律が加えられましたが,我が国の仲裁法ではこれに対応する規律は整備されていません。   他方,国際仲裁は,グローバル化が進む現代社会において,国際的な紛争を解決する手段としての有用性が増してきており,その件数は世界的に増加しています。しかしながら,我が国における国際仲裁の取扱件数は低調に推移しており,国際仲裁を活性化させる必要があります。   このような情勢を踏まえ,平成30年4月には,国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議の中間取りまとめの中で,国際仲裁を活性化させるためには最新の国際水準に見合った法制度を整えていることが重要であるとして,仲裁法の見直しの必要性が指摘されました。また,本年7月に閣議決定がされた成長戦略フォローアップにおいても,仲裁関連法制度の見直しの検討を加速させることとされています。そこで,この課題に対処するため,法制審議会での御検討をお願いするものでございます。   次に,「法制審議会における情報通信機器を利用した会議への出席」についてでございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け,本年6月以降に開催された会議におきましては,暫定的な措置として,ウェブ会議システム等の情報通信機器を利用した会議への出席を認める取扱いがされているものと承知しております。本日は,今後の法制審議会における情報通信機器を利用した会議への出席の在り方について,改めて御検討をお願いするものでございます。   それでは,これらの議題につきましての御審議・御議論をよろしくお願い申し上げます。 ○丸山司法法制課長 ここで報道関係者が退室しますので,しばらくお待ちください。           (報道関係者退室) ○丸山司法法制課長 では,金子関係官,お願いいたします。 ○金子関係官 司法法制部長の金子でございます。   前会長の岩原紳作委員が本年4月26日をもちまして退任されております。委員の皆様の互選に基づき法務大臣が指名するという方法により,新会長を選任する必要がございます。新会長選任までの間の議事の進行役が必要なのですが,もし皆様御異論がないようでしたら,暫定的に私の方でさせていただこうかと思いますが,よろしいでしょうか。   ありがとうございます。   では,まず互選の手続に入ります前に,前回の会議以降,本日までの間における委員の異動につきまして御紹介いたします。詳細はお手元にお配りしております異動表のとおりですが,新たに就任された委員が本日出席されておりますので,御紹介いたします。   同志社大学大学院教授の山下友信氏が就任されました。 ○山下委員 山下でございます。よろしくお願いいたします。 ○金子関係官 よろしくお願いします。   駒澤大学教授の近衞典子氏が就任されました。 ○近衞委員 近衞典子でございます。よろしくお願いいたします。 ○金子関係官 よろしくお願いします。   最高検察庁次長検事の落合義和氏が就任されました。 ○落合委員 落合義和でございます。よろしくお願いいたします。 ○金子関係官 よろしくお願いします。   会長の選任の手続に入らせていただきます。   法制審議会令第4条第2項は,「会長は,審議会の委員の互選に基づき,法務大臣が指名する。」と規定されておりますので,皆様には会長の互選をお願いしたいと存じます。   会長の候補者について御意見がございましたら,御発言をお願いいたします。   佐伯委員。 ○佐伯委員 法制審議会委員としての御経歴からも,また,学識,御見識,お人柄からも,内田貴委員が会長にふさわしいと存じます。 ○金子関係官 ありがとうございます。   そのほかに御意見ございますか。   今崎委員。 ○今崎委員 私も,ただいまの佐伯委員の御意見に賛成でございます。内田委員が次期の会長に適任であると考えております。 ○金子関係官 ただいま2名の委員から内田委員を御推薦いただきましたが,ほかに御意見はございますでしょうか。   よろしゅうございますか。   それでは,ほかに御意見がございませんようですので,会長には内田委員が互選されたということでよろしいでしょうか。 (「異議なし」の声あり)   ありがとうございます。   それでは,ただいまの議事のとおり,会長には内田委員が互選されましたので,法務大臣に会長の御指名をお願いいたします。 ○上川法務大臣 ただいま互選されました内田貴委員を会長に指名します。よろしくお願いいたします。 ○金子関係官 それでは,私の議事進行はここまでとさせていただきます。御協力ありがとうございました。 ○丸山司法法制課長 誠に恐縮でございますが,大臣は公務のため,ここで退席させていただきます。           (法務大臣退室) ○丸山司法法制課長 それでは,内田委員,恐縮ですが,会長席へお移りいただけますでしょうか。   それでは,内田会長,どうぞよろしくお願いいたします。 ○内田会長 ただいま大役の御指名を頂きましたけれども,私の力不足のために委員の皆様に御迷惑をおかけするのではないかと恐れております。微力を尽くしたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。   それでは,法制審議会令第4条第4項には,「会長に事故があるときは,あらかじめ会長の指名する委員がその職務を代行する。」と規定されております。そこで,会長代理の指名をさせていただきたいと思います。   長年にわたり法制審議会で御活躍いただいております井田委員を指名させていただきたいと思います。井田委員,引き続き,どうぞよろしくお願いいたします。 ○井田委員 承知しました。御指名ですので,内田会長をお支えしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○内田会長 どうもありがとうございます。   それでは,本日の審議に入りたいと思います。   先ほどの法務大臣の挨拶にもございましたように,本日は議題が二つございます。   まず,「仲裁法制の見直しに関する諮問第112号」について御審議をお願いしたいと存じます。   初めに,事務当局に諮問事項の朗読をお願いいたします。 ○福田参事官 民事局参事官の福田でございます。諮問事項を朗読させていただきます。   諮問第112号。   経済取引の国際化の進展等の仲裁をめぐる諸情勢に鑑み,仲裁手続における暫定措置又は保全措置に基づく強制執行のための規律を整備するなど,仲裁法等の見直しを行う必要があると思われるので,その要綱を示されたい。   以上でございます。 ○内田会長 ありがとうございました。   では,続きまして,この諮問の内容,諮問に至る経緯及びその理由につきまして,事務当局から説明をお願いいたします。 ○小出幹事 民事局長の小出でございます。それでは,私の方から仲裁法制の見直しに関する諮問第112号につきまして,先ほど法務大臣の挨拶にもございましたけれども,提案に至りました経緯及び諮問の趣旨等を御説明申し上げます。   まず,我が国の仲裁法制に関する現状について御説明いたします。仲裁法は明治23年の制定から100年以上も実質的な改正がされていなかった公示催告手続及び仲裁手続に関する法律を現代化,国際化する観点から,UNCITRALが作成した国際商事仲裁モデル法に準拠して平成15年に整備されたものであり,その内容は国際的な水準に達しているものと評価し得るものと考えております。   もっとも,その制定過程における平成15年7月24日,参議院法務委員会における仲裁法案に対する附帯決議では,政府が仲裁法の施行に当たり格段の配慮をすべき事項として,仲裁制度が国際的な民商事紛争の解決に資するよう,今後の国際的動向等を踏まえて,必要に応じて所要の見直しを行うことなどが指摘されていました。   その後,平成18年に国際商事仲裁モデル法が一部改正され,仲裁廷による暫定保全措置を認めるための要件や,暫定保全措置に基づく強制執行のための規律が設けられましたが,我が国の仲裁法ではこれに対応する規律は整備されておりません。   他方,国際仲裁はグローバル化が進む現代社会において,国際的な紛争を解決する手段として広く普及しており,その件数は世界的に増加しているにもかかわらず,我が国における国際仲裁の取扱件数は依然として低調に推移しています。その原因につきましては様々な点が指摘されておりますが,その一つとして,我が国の仲裁法制がUNCITRALの国際商事仲裁モデル法の一部改正に対応していないなど,必ずしも最新の国際水準に見合ったものになっていないとの指摘がされております。   言うまでもなく,紛争の当事者が仲裁合意をするに当たり仲裁地を選択する際には,その国の法制度の在り方に重大な関心を寄せることになります。したがって,我が国における国際仲裁の現状を改め,これを活性化させるためには,最新の国際水準に見合った法制度を整える必要があると考えられます。   このような状況を踏まえまして,政府においても国際仲裁の活性化に向けた検討が進められ,平成30年4月には国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議の中間取りまとめである「国際仲裁の活性化に向けて考えられる施策」の中で,基盤整備の一つとして,国際商事仲裁モデル法の一部改正を踏まえた見直しの必要性が指摘されているほか,本年7月17日に閣議決定された成長戦略フォローアップにおいても,仲裁関連法制度の見直しの検討を加速させることとされています。   また,国際仲裁の活性化の観点からは,仲裁判断の取消しや仲裁判断の執行等の仲裁手続に関して裁判所が行う手続について,専門的な事件処理体制構築のための事件の管轄集中や,それを前提にした,当事者が一定の場合に書証の訳文を提出することなく手続を利用できるようにするための規律についても検討する必要があると考えられます。   さらに,近時,国際商事紛争の解決手段,解決手続として,世界的に国際調停の有用性が注目され,国際仲裁と国際調停の相互利用が図られており,裁判外で行われる調停による和解合意にも執行力を付与する必要があるとの機運が高まっています。UNCITRALが作成した関連する条約も今月発効したところでございます。   我が国においても,国際仲裁の活性化に向けて,国際仲裁と国際調停の効果的な連携の必要性が指摘されていますが,その一方で,裁判外における当事者の合意に執行力を付与することの妥当性や,国内法制との整合性等につきましても検討する必要があるとの指摘もされています。   そこで,以上のような仲裁をめぐる諸情勢に鑑み,仲裁手続における暫定措置又は保全措置に基づく強制執行のための規律を整備することを始め,仲裁手続及び関連する諸制度を含め,仲裁法制等の見直しを行うことにつきまして,法制審議会の御意見を頂きたく存じます。   諮問第112号についての御説明は以上でございます。どうかよろしくお願いいたします。 ○内田会長 どうもありがとうございます。   それでは,ただいま御説明のありました諮問第112号につきまして,御質問と御意見,分けてお伺いしたいと思います。   まず,御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。   特に御質問はございませんでしょうか。   それでは,御意見をお伺いしたいと思います。御意見,どうぞ御自由に御発言ください。 ○佐久間委員 ありがとうございます。この仲裁,特に国際仲裁の日本における活性化というのは,これは正にビジネス界の強いニーズでもあるわけでありまして,その基盤,ある意味でソフトの基盤たる法制の整備というのがこれから見直されるということは,大変有り難いことだと思います。と同時に,ハードの方につきましては,これは正に法務省の関係者の方々の御尽力によりまして,今年,虎ノ門ヒルズに大変立派なセンターができているわけで,これはやはりソフト,ハードそろったところで活性化が進むと,こういうふうに考えております。   その上で,今,小出幹事からお話があった,仲裁のほかに調停,国際調停というのがありまして,今,大変世の中の変化のスピードというのは加速度的に増しているということからすれば,やはり仲裁も非常に重要な手段ですけれども,調停というのも極めて重要な手段であります。したがいまして,裁判外の調停に基づく和解合意に関しての強制執行,それの必要性についても是非御検討を願えればと考えております。 ○内田会長 ありがとうございます。   ほかに御意見ありますでしょうか。 ○橋本委員 御説明のとおり,日本における国際仲裁と,それに密接な関係を有する国際調停の活性化は,国の重要な政策の一つと思われますし,そのための国際水準に見合った法制度の整備の検討は必要不可欠だろうと思います。   その意味で,調停による国際的な和解合意に対して執行力を付与するというシンガポール条約につきましても,多くの国が前向きに検討を行っているという情勢を踏まえ,日本においてもこれに加入することを可能にするための国内法制化という方向での検討は進めていただきたいと思います。   ただ,この点は,これまでこの種の合意に執行力を認めてこなかった国内の調停の制度立てとは大きく異なるものがございますので,ニーズ論や弊害論,さらに,例えばそのような法制を国際調停に限るということが合理的なのかどうか,その説明ができるかどうかなど,検討を要する様々な論点を含んでいるようにも思います。恐らく部会を設置されることになると思いますけれども,是非,そこにおいて,以上の点などについてきめ細かな議論をお願いしたいと思います。 ○内田会長 どうもありがとうございます。   ほかに御意見ございますでしょうか。   特にありませんでしょうか。   それでは,御意見がないようですので,諮問第112号の審議の進め方について御意見を頂戴したいと思います。この点について何か御意見がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。 ○早川委員 ありがとうございます。この諮問につきましては,専門的,技術的な事項も多く含まれておりますので,通例に倣いまして,新たに部会を設置して調査審議し,その報告を受けて,更に総会で審議するのがよろしいのではないかと考えております。 ○内田会長 ありがとうございます。   先ほどの橋本委員からの御発言にもございましたが,ただいま早川委員から部会設置等についての御提案がございました。これにつきまして御意見ございますでしょうか。   御異議ございませんでしょうか。   それでは,特に御異議もないようですので,諮問第112号につきましては,新たに部会を設けて調査審議をすることといたします。   新たに設置する部会に属すべき総会委員,臨時委員及び幹事に関してですが,これらにつきましては会長に御一任いただきたいと思いますが,御異議ございませんでしょうか。 (「異議なし」の声あり)   ありがとうございます。   それでは,この点は会長に御一任いただくことといたします。   次に,部会の名称でございますが,諮問事項との関連から,諮問第112号につきましては「仲裁法制部会」という名称にしたいと思いますが,いかがでしょうか。 (「異議なし」の声あり)   よろしいでしょうか。ありがとうございます。   それでは,ほかに部会における審議の進め方も含めまして,何か御意見ございましたらお伺いしたいと思いますが,いかがでしょうか。   先ほど橋本委員から重要な論点についても御指摘がございましたが,そういった論点を含めて慎重な審議がされるものと思います。   ありがとうございます。   それでは,諮問第112号につきましては,「仲裁法制部会」で御審議いただくことといたしまして,部会の御審議に基づいて,総会において改めて更に御審議を願うことにしたいと存じます。どうもありがとうございました。   続いて,2番目の議題でございます。「法制審議会における情報通信機器を利用した会議への出席」について御審議をお願いしたいと思います。   まず,審議事項につきまして事務当局から御説明をお願いいたします。 ○金子関係官 改めまして,司法法制部長の金子でございます。法制審議会における情報通信機器を利用した会議への出席につきまして,御説明いたします。   本日,配布資料として論点メモを用意してございますので,御覧いただければと思います。   まず,ここは論点メモにございませんが,これまでの経緯について御説明します。法制審議会では,総会・部会ともに会場に実際に御参集の上,御審議をお願いしておりました。しかし,本年4月以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けまして,全員が直接参集しての審議が困難になりましたことから,ウェブ会議システムを利用した会議の開催について検討し,井田会長代理の御承認を得て,暫定的に各部会での運用を開始するとともに,本日の総会におきましても,大沢委員がウェブ会議システムにより御出席されているところでございます。   審議事項について御説明しますが,ただいま御説明いたしましたとおり,現在は暫定的な措置として,情報通信機器も利用しながら会議を開催しているところですが,今なお新型コロナウイルス感染症の終息が見通せる状況になく,また,「新しい生活様式」が提唱される中,今後も情報通信機器を利用した法制審議会の開催の必要性が見込まれるところでございます。   一方,現在の法制審議会令等には,情報通信機器を利用した出席や議決については特段規定がないことから,その在り方について委員の皆様にこの機会に御検討いただく必要があると考え,今回,議題として提出した次第でございます。   以下,論点メモに沿って要点のみ御説明いたします。   まず,論点メモの1のところ,情報通信機器を利用した法制審議会への出席を認めるか否かという点ですが,昨今の状況に鑑みまして,事務当局としましては,論点メモに記載のとおり,情報通信機器を利用して法制審議会を開催し,委員等は情報通信機器を利用して出席することができる,ただし,議長につきましては会場出席としていただく,ということを提案させていただきたいと思います。   次に,論点メモの2,情報通信機器を利用した出席を認める要件についてでございます。情報通信機器を利用した出席を広く認める方が委員等の出席を得やすく,会議の活性化につながるという面があると思われる一方で,情報通信機器を利用した場合,委員相互の十分な意見交換という点で不安が残り,また,通信環境によっては安定した会議の運営に支障が生じる可能性も念頭に置く必要があると思われます。   法制審議会は法務大臣の諮問機関であり,その活動の実情は実質的な立案作業への参画という面があり,その重要性に鑑みますと,事務当局としましては,少なくとも現時点におきましては,会場に参集していただくという形の出席を原則とし,情報通信機器を利用した出席は例外的に認めるということにさせていただければと思います。このように提案させていただきたいと思います。   また,情報通信機器を利用した出席を認める理由として考えられるものが1ページの下の方に記載されておりますが,どのような場合に情報通信機器を利用した出席を認めるのか,また,この要件をどのような方法で定めるべきかについて御意見を頂きたいと思います。選択肢として考えられるものとしては,今までの実績からして,このようなものが一応想定されるということで,書かせていただいております。   それから,「出席」とみなす条件について,論点メモの3のところですが,ウェブ会議システム等を使った場合におきましては,映像と音声を通じて委員の様子や発言を確認することができる状態が一般的であるとは思いますが,通信環境によっては映像が途切れるということがあり,また,通信を安定させるために,あえて途中から映像を切って音声のみ参加するというケースも部会ではあったように承知しております。   そのため,事務当局としましては,2ページ目の○のところに記載させていただいたとおり,映像と音声がともにつながっていることを原則としますけれども,映像が途切れたような場合でも,直ちに音声のつながりが確認され,その後も委員が継続して審議に参加していると認められる場合には,「出席」とみなすこととするということで提案させていただければと思います。   論点メモの4,情報通信機器を利用して出席する者の議決権のところですが,この点につきましては,出席と議決権とで異なる取扱いをするということに合理的な理由は見いだし難いと考えられますので,情報通信機器を利用して出席する者については議決権の行使も認めるということを提案させていただければと思います。   事務当局からの説明は以上です。 ○内田会長 どうもありがとうございました。   それでは,ただいま御説明がありました審議事項について御意見を承りたいと思います。   まず最初に,論点メモ1ページの「1 情報通信機器を利用した法制審議会への出席について」でございますが,この点について事務当当局からは,議長を除く委員,臨時委員,幹事,関係官,参考人については,情報通信機器を利用して法制審議会へ出席することができることとする,としてはどうかという御提案がございました。先ほど金子関係官から御説明がありましたとおり,現下の情勢に鑑みますと,情報通信機器を利用した出席を認める必要はあると言わざるを得ない,しかし,他方で会議の安定性の観点から,少なくとも現時点においては,議長については会場出席とする方がよいという御提案かと思います。この点につきまして御異論がある方がおられましたら,御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。   特に御異論はございませんでしょうか。   それでは,この点について御異論はないようですので,議長を除いて,情報通信機器を利用した法制審議会への出席を認めるという前提で,以下の議論を進めたいと思います。   それでは,論点メモ1ページの「2 情報通信機器を利用した出席を認める要件について」というところに移ります。事務当局からは,二つ目の○にございますように,会場参集による出席を原則とし,情報通信機器を利用した出席を例外的に認めることとしてはどうかという御提案がありました。この点について御意見をお伺いしたいと思います。   なお,この事務当局案について仮に御賛成,御賛同いただけるという場合には,三つ目の○でございます,例外的に認める場合の要件をどのように考えるか,この点についても併せて御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○小杉委員 ありがとうございます。基本的に賛成ではあるのですが,私自身はこのコロナに関わらず,こうした情報通信機器を通じた参画というのは,幅広く今後も認めていくべきだという立場を取っています。やはり場所の制約が外れるということで,全く外れはしませんけれども,かなり緩やかになるので,いろいろな立場の方が参加しやすくなるという意味で,幅広く認めていくべきだと。そうしますと,例外をどの程度認めるかというのがポイントになるかと思います。それを認めるという場合にも,対象を誰と考えるかというところで,例えば参考人というような方であれば,かなり幅広く,資料で挙げられている選択肢の全てを認めるべきだと思います。   それに対して,議決に関わる委員については,もう少し制限してもいいかなと思っています。具体的に言いますと,この③まで,①,②,③ですね,これは当然認めるべきではないかと。その後の問題というのは,場合によると思っているのは,例えば私どもの研究所でも今,こういうウェブ会議をやっていますが,そのウェブ会議のお陰でとてもいいことが一つあって,やはり海外にいらっしゃる方も委員として参加していただくことができて,在外研究に出られた委員の方も継続して委員として活躍していただけると,こういう場所の制約が外れるということのメリットもございますので,この遠方ということについては,駄目とは言い切れないのではないかというような思いを持っております。 ○内田会長 どうもありがとうございます。   ほかに御意見ございますでしょうか。 ○白田委員 ありがとうございます。まず,二つ,意見とコメントをさせていただきたいと思います。まず,今まで,私がかつて日本学術会議の会員をしておりました頃に東日本大震災などがございまして,その影響を受けて,もちろん法制審議会での審議というのは非常に重要なことですから,ほかのものと,例えば大学の会議などと同等に扱えないと,そこは十分に理解しておりますが,日本学術会議で政府提言を取りまとめるようなときも,いわゆるウェブでの審議を可能としようということになりました。結果,もう大分前から学術会議ではこのウェブでの会議を公式な会議として認めております。それは一つ,御紹介しておきたいと思います。   その上で,論点メモの1番目の,議長を除く会場出席のことと関係があるのですが,2番目のこの例外の事項についても,まず,会場とは何を指しているのかと,例えば大きな災害があって,ここの建物に人が集まれなくなるとか,いわゆるここで言う会場というのは,特定の場所を示しているのか,どこでやっても,本会議を開くところを言うか,その辺を少しお尋ねしたいと思っているところであります。   というのは,先ほど言いましたように,何が今後あるか分からないときに,物理的な法務省のこの建物が会場なのだということになりますと,ここにもしかしたら参集できないような事態が発生するかもしれない。そのときに,議長は,若しくは事務当局は,何としてでもこの建物に来て開催するのだということになりますと,少し物理的に難しいようなことも起こらないとも限らない。そう考えますと,やはりこの情報通信機器を利用した会議というのは,そういった場合にも対応ができることではないかと思うのです。   ですから,全体的に推進していただきたいと強く思っておりますけれども,基本的な原則とか,会場がどこかとか,そこに議長が必ず参集する場合の,その物理的な場所はどこを示しているのか。あとは,例外についても,緊急事態宣言うんぬんと書いていますけれども,もっといろいろなケースがあるのではないかと想定されるのです。ですから,これだけに限るのか,これに類似したことで柔軟に対応できるということになっているのか,その辺のところを少しお伺いできればと思います。よろしくお願いします。 ○内田会長 御意見とともに御質問も含まれておりましたが,会場というのは開催する場所のことと思っておりましたけれども,この点について事務当局,いかがでしょうか。 ○金子関係官 まず会場ですが,これは全面的なバーチャルの会議を想定していませんので,必ずどこかにリアルの会議をやっている場所があるということを想定しています。その場所に少なくとも事務当局と議長は集まるということにはなりますが,その場所は別に法務省の建物に限りません。法制審の部会でも庁外の場所を使って開催したこともございます。ということですので,この建物が使えなくなっても,ほかの使える場所があれば,そこで会議を開く,そこからウェブ会議システムでつないで開催するということは十分想定しているということでございます。 ○内田会長 今の返答でよろしいでしょうか。 ○白田委員 はい,取りあえず,分かりました。 ○内田会長 ありがとうございます。   ほかに御意見ございますでしょうか。 ○大沢委員 この情報通信機器を利用した会議の関係ですけれども,今回の件があって,私,法制審の少年法部会に参加しておりまして,何度か既にこのウェブ会議システムでの出席をさせていただいています。また,社の業務でも,テレワークとの組合せでこういった会議を何度も開催して,やはりかなり有用なものだなというのを実感として持っております。ですから,こういった情報通信機器を利用することができるのであれば,なるべく利用していった方がいいのではないかと思っておりまして,事務当局の案にもちろん賛成ですけれども,会場参集による出席を原則とし,情報通信機器を利用した出席を例外的に認めるとあるのですけれども,私の気持ちとしては,例外的にというよりは,むしろ柔軟にとか,弾力的に認めるというふうにしていった方がいいのではないかという感想を持っております。   ですから,そういうことから考えますと,ここに挙げられている選択肢はいずれも,私的都合というのがどういうものを指すか分からないのですけれども,例えば,委員の皆様で介護をしていらっしゃる方がいて,自宅をなかなか離れられないけれども,自宅からのウェブ会議システムで参加できるということであれば,そういったことも柔軟に認めるということがいいのではないかと私としては考えております。 ○内田会長 ありがとうございます。   情報通信機器を利用した参加を広く認めるべきであるという方向の御意見を何人かの委員から頂きましたが,ほかの御意見はございますでしょうか。 ○佐伯委員 遠方にいらっしゃる大沢委員の御発言に続いて,少し消極的な意見を申し上げるのは大変恐縮ですし,また,私は少年法・刑事法部会の司会をつい最近までやっておりまして,大沢委員を含めてオンラインで参加していただき,大きな問題なく会議を運営することができたと認識しております。そういう意味では,将来的には,小杉委員もおっしゃられましたように,広くオンラインによる出席を認めていくべきであろうとは思っております。   ただ,これまでそのような会議をしていなかった中で,初めてオンラインによる出席を認めて,会議を進めていくという際には,やはり,先ほど事務当局から御指摘いただいたような懸念もございますので,当面は少し例外的に出席を認めるということで進めていき,将来的には広く認めるというような方向で進めていくのがよいのではないかと考えております。 ○内田会長 どうもありがとうございます。   ほかに御意見ございますでしょうか。 ○古城委員 私も認める方向性で異存はないのですけれども,少しそれますけれども,留意する点としまして,1点ございます。この審議会は非公開ということで議論が行われているわけですが,ウェブの場合はもちろん,委員の方たちへの信頼の下に,非公開で,委員のほかに誰も聞いていないところで議論に参加しているということだと思います。そこのところはどう確認したらいいのかということが整っていませんので,そういう点も,詰める時間も必要ではないかとは思います。 ○内田会長 どうもありがとうございます。非公開の原則との関係という御指摘がございました。   ほかに,いかがでしょうか。   法制審議会というと,総会だけではなく部会もあるわけですが,その部会も様々な部会がありますので,いろいろな部会を御経験されている委員の方々の中には様々な御意見もおありかと思いますが,特に御意見ありませんでしょうか。 ○山下委員 部会に参加し,ある場合には議長の役を仰せつかったことがございますけれども,やはり現場でこうやって顔を合わせるというのは大変重要なことかなと思います。また,急速に今,時代が変わっているので,いつまでもこれが当然だと思うのもいかがかと思いますが,先ほど佐伯委員のおっしゃいましたように,徐々に進めていくのが適切かと思います。機械のことですから,やっていると,いろいろなことがこれからもまだ起きるのではないかと思い,徐々に進めるということでよろしいのではないかという感想を持っております。 ○内田会長 どうもありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○今崎委員 裁判官を長らくやっておりますので,そのせいかも分かりませんが,やはり法廷で対面で人と話をするというのが商売だったものですから,こういう会議でも,どちらかというと同じ場所に参集して,それぞれの顔を見ながら発言をする,議論をする,意見交換をするということに長く慣れておりました。ですので,この時代に至って,ウェブ等を通じた情報通信機器を利用した意見交換というものが徐々に広がっていくということについては,これは当然のことだろうと思っておりますが,ただ同時に,そういう対面での,あるいは参集した上での議論,意見交換というものの有用性というものも依然としてあるように思います。これからしばらく,時代を見ながら,徐々に実績を積み重ねていくという方がよろしいのかなというのが私の感じでございまして,少し意見を述べさせていただきます。 ○内田会長 どうもありがとうございます。   ほかに,いかがでしょうか。 ○高山委員 ありがとうございます。私もどちらかといえば積極的に,いろいろな事情を踏まえて参加を認めていくという方向には賛成なのですけれども,やはりこの法制審議会という,一つの審議会ではありますが,70年以上の歴史を持っている非常に由緒ある重要な審議会であるというところを考えますと,やはりその中で運営上,大切にしてきたものとは何なのかというところをもう一度確認する,整理するという必要があるのではないかと思います。今いろいろ御意見が出ましたけれども,対面の重要性,あるいは非公開の問題,その他やはり幾つか懸念事項もありますので,その大切にしてきたものについて,それをずっと今後も守っていくべきなのか,あるいは時代の変化に合わせて積極的にむしろ変えていくべきなのか,その辺の考え方の整理というのが,まず最初に在るべきで,その上での運用の在り方を明確にしていくということの順序が必要ではないかと考えております。   そのような過去を見るということと併せて,将来を見るということで,やはりこのデジタル,IT技術の進化は非常に目覚ましいものがあり,今後とも様々な便利なツール,仕組みがどんどん生まれてくる,ほとんど対面に近い感覚で会議が運営できるような形にもなるかもしれませんし,そういうことも考えますと,この情報通信機器の環境は常に変化するという前提の下,余りきっちり決め過ぎないといいますか,少し柔軟な形で,その変化に緩やかに対応していくというスタンスも大事ではないかと思っております。 ○内田会長 どうもありがとうございます。佐久間委員どうぞ。 ○佐久間委員 ありがとうございます。皆さんの御議論を聞いていて,一点,確認になるのですが,論点メモの2の例外的に認める場合の要件として①から⑤とあるのですが,これはある意味で例示と考えればいいのかと。例えば,厳密に,遠方に居住していると書いてありますので,それほど遠くないところに住んでいて,公共交通機関で来ようと思ったのだけれども,公共交通機関が動いていなかったので来られない場合で,自宅でウェブで参加するというのも十分可能性があるので,飽くまでもこれは,例えば,ウェブで参加するときは,この①から⑤でどこかに当たらないと駄目だと理解する必要はないということでよろしいのでしょうか。 ○内田会長 ただいまの御質問については,事務当局の方からお願いします。 ○金子関係官 佐久間委員の御指摘のとおりで,これは,例えばこういうことが考えられるということの議論の素材としてお挙げしただけであって,これのいずれかに当てはまらないといけないという提案でもありませんし,ある程度柔軟に出席を認める方がよいということであれば,別途規定の仕方の検討が必要になってくると思います。それから,原則と例外というのも,規律の仕方から見たワーディングであり,実際にはこの出席を認める理由をどれだけ広げるかによって,必ずしも「例外」という表現が妥当しないかもしれません。しかし,例えば在京の方がかなり多いときに,それにもかかわらず会場で出席している人は議長だけで,そのほか全員が情報通信機器で参加という状態も,この参加を認める理由の認め方によっては,そういうこともあり得るのですけれども,そういうことでも会議体としていいのかということも考えなければいけないので,ある程度絞るという必要はあるのではないかと思っています。 ○内田会長 ありがとうございます。 ○白田委員 今までの御意見をお伺いしていて,私が最初に申し上げたことがもし誤解されていたらということで,少し訂正,追加させていただきます。   原則的に対面で会議をやるというのは,原則論で,これは当然に会議体として守られていくべきだと思っております。ただし,今日も3名の委員の先生が欠席されていらっしゃいます。出たかったのだけれども,諸般の事情で出られなかった,こういったときに,情報通信機器を利用することができるのであれば出られたというようなケースですね。基本的にはやはり対面で会議体で万難を排して参加をする,対面で会議をやるということは一番重要だと思います。議長だけ集まれば,あとはもう,すぐ隣のビルにいてもオンラインでいいのだと,そういうことではないのではないかと思っています。ただ,ツールとして,やはり様々な状況,様々な事情があったときに,こういった新しいツールや情報通信機器を利用することで,今までは欠席せざるを得なかったのだけれども,出席することができる。是非出たいと思っていたのに,ここの例の中にあるかどうか分かりませんが,いろいろな事情で出られなかったという場合に,こういった出席方法を認めることによって出席率が高まる,参加の可能性が高まるということではないかと思うのです。   企業も取締役会等,秘匿で,公開ではない会議についても,オンラインでの開催についてはいろいろな意見もあります。会社によっては僅か1時間の説明のために海外から来てくださいというところがあります。そこのところだと思うのです。いろいろな先生がいろいろな責務を負ってお仕事をされていらっしゃいますので,是非こういう機会があれば自分もその会議に参加する可能性が増えるということが非常に意味があるのではないかという点も,全体の議論の中に入れていただければと思います。 ○内田会長 どうもありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○近衞委員 個人的な体験でお話をさせていただきますけれども,議長が必ず会場にいるということは大事なことだと思います。ある学会で,発表者が来なかったので流会になったということがあったそうですが,どこが会場であるのかということは置きまして,やはりキーパーソンとなる方,執行部といいましょうか,そういう方がきちんとしていれば,そこにオンラインであろうが対面であろうが会議が成り立つという,その形ができるだろうと思います。   オンラインと対面との混合という形は,やはり今,過渡期だろうと思います。今日の形ではお一人がオンラインで,ほかの方は対面ですけれども,実は授業が始まっておりまして,ハイブリッド授業といって,一部が実出席で一部がオンライン出席で,大変苦労しています。全員がオンライン出席だった前期は,皆同じような条件で話ができてやりやすかったのですけれども,本日の授業では過半数が来なかったということがありまして,一部の何人かがここにいて,過半数が画面の向こうにいて,まず,視線をどこにやっていいのかから始まって,実際的な問題で非常にやりにくいということがあります。これは,もしかしたら方法論で解決できるのかもしれないので,本日の会議はどうなるのか,少し楽しみに伺ったわけですが,そういう実例などもある程度集めて,より適切な形を形作っていけばよいのではないかと思います。 ○内田会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。   様々な御意見を頂きました。私自身の部会での経験を申しますと,時にはかなり激しいやり取りのこともあって,相手をどうしても説得したいということで発言するときに,相手との間の空気を読みながら言葉を選ぶというところがあるのですが,ウェブでそれができるのかなというのは,少し不安に思ったりするところもございます。   ほかに,特に。 ○山根委員 原則会場参集ということにして,だんだんウェブ参加という形を広げていくと,そういう方向性には賛成しております。ただ一点,時代はそういう時代だと思いますけれども,ウェブ利用の環境にない方は委員になれないということは,少しまた違うのかなとも思いまして,そういった場合には何らかの支援というのか,自宅で御利用ができない場合は,どこか場所を提供するであるとか,何かそういったことを考えていく必要も,お願いしたいと思いました。 ○内田会長 ありがとうございます。   ほかには,よろしいでしょうか。   様々な御意見を頂きましたので,論点の2について,どういう方向でまとめていくか,まず,事務当局で整理をしていただけますでしょうか。 ○金子関係官 多数の御意見をいただきましてありがとうございます。少し原則・例外という言葉は置きまして,情報通信機器を利用した出席をどの程度認めていくかということについては,今日の御意見を踏まえて検討させていただこうかと思います。要件というか,情報通信機器を利用した出席を認める場合を書き切るということは恐らく難しく,また,例えば会議の内容や状況にもよるということがあるかもしれませんし,何らか柔軟な対応の余地を残すような文言を含めるような形で少し工夫し,次回までに整理したいと思います。 ○内田会長 それでは,次回までに整理をしていただき,御検討いただいて。 ○橋本委員 発言が遅れてしまいました。   情報通信機器を通じた会議の開催という方向には異論がありませんが,今,原則という話が少し出ましたので,一言だけ。基本的に今の議論でよろしいと思うのですけれども,法制審議会の骨となるものは何かというと,それは,やはり会議体であることで,その中でも,きちんとした意見交換をして,その結果として結論が出たというところに今まで重要性を見付けてきたのだろうと思います。そういう意味でいいますと,情報通信機器の場合には,一つ懸念として,通信状況に問題が生ずる可能性が相当にあり,途中でぷつっと切れたりして会議がストップし,または発言の内容が途切れ途切れになり,重要な部分を聞き落とすなどのことがあり得ます。最近私が経験したところでは,その補充として使用した電話もまたうまく通じなかったというようなこともありました。そういう意味で,情報通信機器を使う方向での取組はどんどん進めるべきではあるのですけれども,これに完全に依拠するためにはやはり一定の時間が必要かなと思うのも事実です。   また,内田会長からお話がありましたけれども,議論の白熱というか,非常に対立の激しい案件のような場合に,やはり同じ空間で対面してきちんと議論をしたいし,すべきだというときもあるのだろうと思います。そういうことを考えると,原則という言葉をどう捉えるかなのですが,例外を多くすれば原則がなくなるという意味での原則ではなくて,心構えみたいな捉え方もあり得るのではないかという感じがします。   つまり,やはり,できるのならばきちんと出てきていただいて議論をしていただくのが本筋なのだけれども,もちろんいろいろな事情があって来られないことがあれば,それは例外として認めるというような,言わば,法律的な意味だけにこだわらず,もう少し広い意味で原則・例外を捉えていただいてもいいのかなという感じが少しいたしました。 ○内田会長 ありがとうございました。   それでは,ここまでの議論を踏まえて,事務当局からお願いします。 ○金子関係官 すみません,原則・例外という言葉を私が曖昧に使ってしまったせいかもしれませんが,飽くまでこういう場合は情報通信機器で参加することを認めるという方向で記載するというか,何らかの形で取決めをしたいと思っていますので,つまり,原則と例外を逆にさせるという意味ではなくて,こういう場合は情報通信機器を使っての参加を認めるということを書く,ただ,その広さを,少し工夫させていただきたいということであります。そういう意味では,どちらでもいいですよというわけではないという意味では,今,委員御指摘のとおり,原則は会場出席ということであろうと思います。ここから先は言葉の使い方になるかもしれませんが,そういう趣旨でございます。 ○内田会長 ありがとうございます。   なるべく情報通信機器を利用した出席を広く認めた方がいいという御意見の方も,会議体で皆が集まって議論をするというのが本来の姿ではあるけれども,という前提があったのではないかと思いました。そういったことを踏まえて,ただいま頂いた様々な御意見を事務当局に整理をしてもらった上で,次回,改めて議論をしたいと思います。どうもありがとうございます。   今までの議論の中でも少し出ておりましたが,一時的に通信が切れるような場合もあるという問題に関わるのが次の3でございます。論点メモ2ページの「3 「出席」とみなす条件について」,この点について御意見を伺いたいと思います。   これにつきましては事務当局の方から,映像と音声がつながっているということを原則とするけれども,そうでない事態が生じたとしても,その後も委員が継続して審議に参加していると認められる場合には出席とみなすとしてはどうかという御提案がございました。この点について,御意見がございましたらお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○小杉委員 ありがとうございます。では,口切りで。   この3番の話も4番の話も,現在の通信環境の制約のために起こっていることですよね。そういう意味では当面の間の話で,通信環境がよくなれば,あるいは一人一人きちんと性能のいいPCを持てるような時代になってくれば変わってくるところ,現在の状況では様々なトラブルが起こっているので,そのトラブルに対してどう対処するかということをある程度決めておこうと,そういう御趣旨なのではないかと思います。そういう意味では,基本的に,画像はよく切れるので,音声が中心という考え方でいいと思うのですが,それに加えて大抵,チャット機能がついていますよね。手を挙げるとか,製品によって違うのですが,そうしたものも場合によっては併用して本人の参加を確認するという,少し柔軟な書き方もあるかなと思います。 ○内田会長 ありがとうございます。   ほかに御意見ございますでしょうか。 ○白田委員 参考的な話ですが,他の省庁の方で,やはり今もオンラインの会議をやっているときに,音声だけの会議というのもございますし,元々音声だけの会議システムで会議をやっているというケースもありますので,そういうのもあるということを少し念頭に置いていただければと思います。必ずしも画像付きがこういった情報通信機器を使った会議だけではないということで。 ○内田会長 ありがとうございます。音声だけということもあり得るという御意見ですが。 ○佐久間委員 ありがとうございます。少し細かくなるのですけれども,ここは「映像が途切れた場合であっても」とあるのですが,映像と音声が途切れた場合であっても,直ちに映像,音声のつながりが確認されると,こういうときは出席とみなしてよろしいのではないかと思うので,ここはもう少し実際の,映像だけ途切れるのはもちろんありますが,切れるときは両方切れる場合も多いので,もう少し柔軟に整理された方がいいのではないかと思います。 ○内田会長 ありがとうございます。これは,この場合に限定するという趣旨ではないのだろうと思います。映像が切れる場合もあるし,音声が切れる場合もあるし,そして両方切れる場合もある。ただ,切れ方も様々で,かなりの長時間切れることもあるし,時々切れるということもあるしという,いろいろな場面があろうかと思います。それに対応できるような柔軟なルールが必要なのかなと思いますが,今の点について事務当局から何かございますか。 ○金子関係官 結局,主催している側からすれば,会議に出席しているという実質をどのように確認できるか,また,情報通信機器を利用して出席している方についても,意見表明に支障がない状況が確保されているかということになると思います。その支障の出方というのは今,会長に整理していただいたとおり,いろいろな出方があるとは思うので,その実質を捉えられるような表現ぶりを次回までに検討しておきたいと思いますが,ただ,もう少し,もし可能であれば,御意見を頂きたいのは,映像が途切れているという状況が長いときに,声だけでずっと進行するというのに若干,私は心配もあるのですけれども,その辺りの感触を,もし今日,委員の皆さんからお伺いしておければ有り難いと思います。白田委員からは,そういう会議もあるという御紹介を頂きましたが,その上で御意見を頂ければと思うのですが。 ○内田会長 ありがとうございます。音声だけはつながっているけれども,映像が切れているという状態なのか,あるいはそもそも映像なしでもいいと言ってしまうのか,ここはかなり違うかもしれませんが,そういった点について,様々な場面を御経験の方がいらっしゃると思いますが,いかがでしょうか。 ○近衞委員 また個人的な話になりますが,正に昨日,同じ状況がありまして,4時間の会議をZoomでしていたのですけれども,最後の1時間,なぜか私の画面だけ切れました。私が主催している会議でしたので,私はいますというような形でそのまま継続しました。その後,同じパソコンで授業もしなければいけなかったので,本当は最初,顔を出したかったのですが,今日は音声だけですということでずっと一方的に話したので,音声だけということはあり得ると思うのです。   ただ,これだけの,20人,30人という人数の出席を確認するというときに,発言した人については出席は明らかに分かるわけですが,多分,事務当局が御心配になっているのは,そうではない方の御出席をどう確認するのかということだろうと思います。それについてはどうしたものかと,私も分からないところです。 ○内田会長 これは定足数との関係でも問題があろうかと思います。ずっと黙っている方がいるときに,本当にその方がいるのかどうか。 ○白田委員 補足的に今の件を御説明しますと,多分,授業でもされていらっしゃると思うのですけれども,チャットの機能はデータを,自動的に記録することができます。記録されたデータをダウンロードして,何分置きに誰が回答したということを全てログ上で確認できるものです。よって学生が30人も40人も出席しているときは,必ず何分か置きに質問や確認を出しまして,それで,意見や回答を返してね,何分以内でという形でチャットで回答させています。聞こえていますかと聞いたら,「はい。」でいいですから返してください,といったやり取りも記録を残すことができるのです。ですから,画面はオンにしていても天井を映している子もたくさんいますので,大体そのチャットのやり取りで,さぼったな,さぼっていないなというのを私は確認しています。チャットの機能だけでなく,いろいろな機能があります。画面に顔を出していてもさぼることもできますが,一方,音声が切れてしまっても,きちんとその会議に参加するという形で,記録したりモニタリングしたりは可能だと思います。 ○内田会長 ありがとうございます。   今の点でも別の点でも結構ですが,いかがでしょうか。 ○小杉委員 私もチャット機能,最初に申し上げましたけれども,とても大事だと思います。今の,「はい。」という返しもそうですが,議決をするようなときに,誰が賛成したか,賛成していないか,画像がずらっと並んでいてもぱっと分からないのです。むしろチャット機能の中で,「はい。」と返してもらわないと,確かなことにはならないので,そこはそうしたものをうまく使うことが大事だと思います。 ○内田会長 ありがとうございます。   議決の点は,この後の4のところでまた改めて御意見を伺いたいと思いますが,まずその前提として,出席しているということをみなすための条件をどう考えるかということです。ほかにありますでしょうか。   よろしいでしょうか。様々御意見を頂きましたけれども,では,これを踏まえて,事務当局の方で整理をしていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。 ○金子関係官 はい。 ○内田会長 それでは,次回,今日の議論を踏まえた整理をしていただいて,改めて議論をしたいと思います。   それでは,次に論点メモ3ページの「4 情報通信機器を利用して出席する者の議決権について」ですけれども,これは先ほど小杉委員からも少し御発言がございましたが,これについての事務当局からの提案は,情報通信機器を利用しての出席と同じ条件で議決権の行使を認めることとしてはどうかということです。出席を認めていながら,出席とみなしていながら議決権行使だけできないというのは変ですので,同じ条件で議決権行使を認めることでどうかということですが,これは,提案のとおりでいいのではないかという気もいたしますけれども,特に御意見はございますでしょうか。   よろしいでしょうか。ありがとうございます。   それでは,議決権行使についても,出席と認められる場合には同じ条件で認めると,そういう方向で議論を進めることにしたいと思います。   最後に,規律の方法について少し御意見を頂きたいと思います。法制審議会における情報通信機器を利用した出席について,何らかのルールを決めるということになるわけですが,どのような形で規律すべきかにつきまして,何か御意見ございますでしょうか。   法制審議会という言葉が出てくる法令は,政令とか,あるいは法制審議会の議事規則とか,あるわけですが,そういう成文法令で定めるかどうか,それもどのレベルで定めるか,そういったことを含んだ論点ですが,特に御意見はございませんでしょうか。   この点についても,事務当局で少し整理をしていただいた上で,次回改めて議論をするということにさせていただきたいと思います。   そのほか,情報通信機器を利用した出席について,何か指針や決まりを定めておいた方がよいような事項がもしございましたら,この際,御意見を頂きたいと思いますが,いかがでしょうか。 ○小杉委員 最後の4の中で,委員の3分の1以上が出席しなければ,会議を開き,議決することができないというくだりがございますけれども,ウェブによる出席も出席だとすると,少し不安を感じるのは,やはりウェブは不安定なので,3分の1以上,最初は出席していたのだけれども,途中で切れてしまったから6分の1になってしまったとか,そういう事態も起こり得るということを考えると,当面の間ですけれども,対面を原則とするというようなことを少し前提にしますと,出席のうちウェブでの参加は半分までにするとか,そうした何らかの縛りみたいなものがないと,議決ができないようなことがトラブルとして起こり得ますので,少し何か安全弁みたいなものはあった方がいいかなと思います。 ○内田会長 ありがとうございます。定足数との関係で何らかの縛りを置くべきではないかという御意見かと思います。   ほかに御意見ございますでしょうか。 ○大沢委員 今の議題とは少し違うかもしれないのですけれども,いろいろと情報通信機器を使うに当たっての危惧はあると思いまして,それは当然だと思います。ですから,通信環境が悪くなって途切れるというリスクというのは当然あると思いますので,それに対応するいろいろな対応というのは必要だと思います。一方で,十分な意見交換ができるのかという御意見も幾つかあったと思うのですけれども,例えば,相対立する意見を交わしたりするときはどうなのかということがやはりあると思うのですけれども,少し自分の経験を申し上げますと,先般,部会の方での議論が,割といろいろな意見が出る部会でして,かなりいろいろやり合うような感じの意見交換があったのですけれども,それはある程度,ウェブでもできるのかなという感覚を持っていまして,例えば,自分がこういうことを言おうということをあらかじめ用意しておいて意見表明をするということ以外でも,ほかの方の意見を聞いて,これについてはこう,反論ではないですけれども,言っておかなければいけないなと思って言うと,そういうことは私もやりましたし,他の委員の方もやっていらっしゃったような気がするのです。だから,そこはある程度,ウェブにおいてもそういう十分な意見交換というのは可能なのではないかという感覚を少し持ったので,一言付言しておきます。 ○内田会長 どうもありがとうございます。貴重な御経験についての御発言を頂きまして,ありがとうございます。   ほかはよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。   それでは,いろいろ御議論を頂きましてありがとうございました。   では,今日の議論を踏まえて,事務当局の方からまとめをお願いできますでしょうか。 ○金子関係官 それでは,少し確認をお願いしたいと思いますが,論点1につきましては,議長を除く委員,臨時委員,幹事,関係官,参考人については,情報通信機器を利用した出席を認めるということにしたいと思います。   それから,論点2の情報通信機器を利用した出席がどのような場合に認められるかということにつきましては,御参集いただける方は御参集いただくということを前提として,一定の場合に情報通信機器を利用した出席を認めることとして,どういう場合に参集に支障があるものとして情報通信機器を利用した出席を認めるかということにつきましては,少し検討させていただきますが,ある程度,状況に応じた対応を可能にするような文言も工夫したいと思います。   それから,論点3の「出席」とみなす条件につきましては,実際に通信状況が途絶したりというようなことについて,いろいろ御意見がございましたので,もちろん本来的には音声と映像が両方つながっているのがいいのですけれども,いずれか,あるいは双方が途絶えたような場合の在り方については,事務当局の方で検討させていただきます。   論点4の議決権については,出席と同じ条件でということで御異論がなかったと思いますので,そのとおりとさせていただければと思います。 ○内田会長 どのような規律をするかについても,重ねて御検討をよろしくお願いいたします。 ○金子関係官 はい。 ○内田会長 それでは,この議題につきましては事務当局で整理をしてもらった上で,次の総会,これは既に日程調整の御連絡が行っているかと思いますが,臨時総会が開かれる可能性があるということのようですので,それが開かれる場合には,臨時総会で結論を取りまとめるという方向で進めたいと思います。どうもありがとうございました。   これで本日の予定は終了となりますけれども,ほかにこの機会に御発言いただけることがございましたら,お願いしたいと思います。いかがでしょうか。   特にございませんでしょうか。   それでは,特に御発言もないようですので,本日はこれで終了としたいと思います。   本日の会議における議事録の公開方法につきましては,審議の内容等に鑑みまして,会長の私といたしましては,これまでと同様ですけれども,議事録の発言者名を全て明らかにして公開するということにしたいと思いますが,いかがでしょうか。 (「異議なし」の声あり)   よろしいでしょうか。ありがとうございます。   それでは,本日の会議における議事録につきましては,議事録の発言者名を全て明らかにして公開することといたします。   なお,本日の会議の内容につきましては,後日御発言を頂いた委員等の皆様に議事録案をメールなどの方法で送付をさせていただいて,御発言の内容を確認していただき,その上で法務省のウェブサイトで公開したいと思います。   最後に,事務当局から何か事務連絡がございましたら,お願いいたします。 ○金子関係官 法制審議会は,2月及び9月に開催するのが通例ですけれども,既に会長からもお話がありましたが,次回の開催につきましては,本年の10月下旬に臨時の御審議をお願いする予定でございます。具体的な日時につきましては今,調整をお願いしていると思いますが,後日改めて御相談,御連絡させていただきたいと思います。お忙しいと存じますが,御予定につき御配慮いただければ幸いでございます。   以上です。 ○内田会長 ありがとうございます。   それでは,本日はどうもありがとうございました。これで本日の会議を終了いたします。お忙しいところをお集まりいただきまして,また御熱心な議論を頂きまして,ありがとうございました。   では,これで終了いたします。 -了-