日本司法支援センター評価委員会 第64回会議議事録 第1 日 時  令和2年7月9日(木)    自 午後 1時30分                        至 午後 3時47分 第2 場 所  東京地方検察庁教養課会議室         (中央合同庁舎6号館A棟15階1531・1532号室) 第3 議 事  (1) 平成31年/令和元年度に係る業務実績評価の実施について  (2) 財務諸表に関する法務大臣承認に当たっての意見について 第4 今後のスケジュール 議        事 澁谷参事官 それでは,定刻になりましたので始めさせていただきます。   事務局を務めさせていただきます,法務省司法法制部で参事官をしております澁谷と申します。   ただいまから,日本司法支援センター評価委員会第64回会議を開催いたします。   委員の皆様におかれましては,御多忙のところ御参集いただきまして,誠にありがとうございます。   最初に,本日は現時点で8名の委員の御出席をいただいておりますので,定足数でございます過半数の出席要件を満たしていることを確認させていただきます。   さて,本年4月に委員の交代もあり,今回委員の皆様が一堂に会する最初の機会でございますので,改めて委員長の互選をお願いしたいと存じます。   委員長の選任につきまして,御意見をお持ちの委員はいらっしゃいますでしょうか。   では,増田委員,お願いいたします。 増田委員 伊藤先生にお願いしたいと思います。 澁谷参事官 ただいま,伊藤委員に引き続き委員長をお願いしたいとの御推薦がありましたが,御異論ございませんでしょうか。   (異議なし) 澁谷参事官 それでは,各委員とも御賛同ということで,伊藤委員に引き続きお願いしたいと存じます。   伊藤委員長,以降の議事進行につきまして,どうぞよろしくお願いいたします。 伊藤委員長 ただいま皆様からの御推挙をいただきましたので,委員長の大任を引き受け申し上げます。議事進行方,よろしく御協力いただければと存じます。   議事に入ります前に,まず,委員に交代がございましたので,御報告いたします。   本年4月7日付で大鷹委員を新たに当評価委員会にお迎えいたしました。そこで,大鷹委員から一言御挨拶をお願いいたしたいと存じます。 大鷹委員 大鷹でございます。   現在,特許,商標,意匠,著作権などの知的財産権を取り扱う事件をやっております,知的財産高等裁判所の第4部の部総括判事を務めております。皆様,どうかよろしくお願いいたします。 伊藤委員長 どうぞよろしくお願い申し上げます。   また,本年1月9日付で新たに司法法制課長に就任されました丸山司法法制課長から御挨拶をお願いいたします。 丸山課長 司法法制課長の丸山でございます。   司法法制部勤務は3回目になりますけれども,回数を重ねるごとに,やはり法テラスへの期待というのは非常に高くなっていることをひしひしと感じております。特にやはり,今年はコロナもあり,こうした豪雨災害もあって,大変世間,あるいは国民の皆様からの期待が大きいということを感じております。どうか,引き続きよろしくお願いいたします。 伊藤委員長 どうぞよろしくお願い申し上げます。   続きまして,委員長代理の指名についてお諮りしたいと存じます。   総合法律支援法施行令第5条第3項に,委員長に事故があるときは,あらかじめその指名する委員がその職務を代理するという規定がございますが,これに基づきまして,私から委員長代理を指名させていただきたいと存じます。   内田委員は,先年申し上げましたとおり,法テラスについて造詣が深いと伺っておりますので,委員長代理をお願いいたしたいと存じます。 澁谷参事官 本日,内田委員は御欠席でございますので,事務局において委員長代理をお受けいただけるか確認いたしまして,適宜各委員の皆様に御報告したいと存じます。 伊藤委員長 どうぞよろしくお願いいたします。   それでは議事に入りたいと存じます。   本日の議事は,お手元の議事次第にありますとおり,1,平成31年度,令和元年度に係る業務実績評価の実施について,2,財務諸表に関する法務大臣承認に当たっての意見についての2点でございます。   各議事につきまして,まず,事務局から概要の説明をお願いいたします。 澁谷参事官 それでは,本日の議事の概要を御説明します。   お手元にお配りしたクリアファイルの中に議事次第,進行予定,出席者名簿,配席図を入れております。そのうち,議事次第を御覧ください。   まず,議事の1,日本司法支援センターの平成31年度/令和元年度に係る業務実績評価につきましては,法テラスの業務実績について,自己評価を踏まえた御議論をいただけたらと存じます。   次に,議事の2点目,財務諸表に関する法務大臣承認に当たっての意見につきましては,総合法律支援法上,法務大臣が法テラスの財務諸表について承認をしようとするときには,あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないとされておりますことから,本日併せて御議論いただけたらと存じます。   議事の概要の説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   それでは,ただいま事務局から説明のありました議事次第に沿って進めたいと思います。   本日は,法テラスの業務実績や財務諸表につきまして,委員会としての理解を深めるために,板東理事長をはじめとする法テラスの皆様方から,資料についての御説明や委員からの質問に対する御回答をしていただくことにしておりますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。   続きまして,本日の配布資料につきまして,事務局から説明をお願いいたします。 澁谷参事官 それでは,お手元の配布資料目録に沿って,御説明申し上げます。   まず資料1でございますが,資料1の業務実績等評価報告書は,法テラスの平成31年度/令和元年度の業務実績と自己評価等を記載したものでございます。   続きまして,資料2−1でございますが,資料2−1は平成31年/令和元年度の財務諸表でございます。2−2は平成31年/令和元年度の事業報告書,2−3は平成31年/令和元年度の決算報告書,2−4は監査報告,2−5は独立監査人の監査報告書,続いて,資料3は日本司法支援センターにおける契約の点検結果でございます。   資料の説明は以上でございますが,欠落等がありましたら,いつでもお申し出ください。 伊藤委員長 ありがとうございました。   それでは,議事を進めたいと思います。   ここからは,各議事につきまして,それぞれに関連する資料について,法テラスから御説明をいただいた上で,各委員から御質問等をお願いしたいと存じます。   まず,議事1,平成31年/令和元年度に係る業務実績評価の実施についてでございます。評価項目は全24項目にわたりますために,項目1−1から2−12までを前半,項目3−13から5−24までを後半として,二つのブロックに分けて説明をいただき,それぞれに質疑応答の時間を設けたいと存じます。   また,本日は,法テラスの山下監事,津熊監事にも御出席をいただいておりますので,後ほど御意見をお願いしたいと存じます。   それでは,まず,法テラスの板東理事長から,冒頭御挨拶を頂戴できればと存じます。 板東理事長 ただいま御紹介をいただきました板東でございます。   本日,評価委員の先生方には,大変お忙しいところを,実績評価のために御審議をいただくということで,心から感謝申し上げたいと存じます。   また,日頃から法テラスの業務の改善あるいは運営の向上のために大変な御指導を頂いておりますけれども,特に先般,新型コロナウイルスの感染拡大の中で,法テラスとして面談による相談ができないというような,大変難しい状況に陥ってまいりましたときに,電話やオンラインを使った相談の道を切り開いていく必要があるということで,法務省にもお願いしましたところ,評価委員の先生方には,本当に御無理に御無理を重ねていただきまして,大変迅速にこの改正について是とするという御意見を頂きました。   おかげをもちまして,5月1日付けで業務方法書の改正が認可をされ,その後,連休明けから電話などを使った相談は逐次開始をされておりまして,この6月末までの時点で8,000件を超える電話相談が行われているという状況でございます。本当に改めて,委員長はじめ,皆様には感謝申し上げたいと存じます。   さて,昨年度の状況ということで,少しお話を申し上げたいと存じます。 昨年度もやはり,社会の大きな変化の中で,司法アクセスニーズはますます広がり,また多様化をしていると考えておりまして,法テラスの果たすべき使命,役割というのはますます大きくなっている。その中での円滑な業務の実施,改善ということに努めてまいりました。   特に,今日も大雨が続いておりますけれども,大規模災害を受けた被災者に対します支援ということが,ますます法テラスにとって重要な業務の柱となってまいりました。昨年度ですと,その前年から引き続いての,平成30年7月豪雨に関します被災者法律相談援助,これが昨年の6月まで行われたわけでございますけれども,災害発生後1年間にわたる相談の件数が,1万8,000件という状況でございました。   その後10月から,今度は令和元年台風第19号に係る被災者法律相談援助が始まったわけでございますけれども,これも,大変広い地域を対象にする相談援助でございました。昨年度内の半年弱だけで,1万6,000件余りという相談の件数ということになって,まだ現在も引き続いているということでございます。   今年もこういう天候の状況でございますので,ますますこういった大規模災害に対する支援ニーズが,頻繁にまた高まってくるということになると考えられますので,法テラスとしても,今までの経験を生かしながら,更に支援の充実に努めてまいりたいと思うところでございます。   特に,今申し上げました法律に基づきます被災者相談援助だけではなく,それ以外の災害も含めまして,災害発生直後から被災者の方々に必要な情報を,ホームページにQ&Aの形で掲載をして,できる限りお役に立つ情報を即座に届けるというような取組を,更に充実しているところでございます。   また,新型コロナウイルスに関しましても,先ほどの電話相談の道を切り開いていただいたということもございますけれども,情報提供の面につきましても,感染拡大してきた直後の2月頃からQ&Aをやはり準備をいたしまして,新型コロナに関しての特設ページをホームページに設けるといったような対応をしてきているところでございます。今後ますます,この新型コロナに関連しましては,労働問題,借金,自己破産の問題や家族内での暴力の問題など,様々な深刻な法的問題が俎上に上ってくると考えておりますので,また業務全体で対応を充実させていかなくてはと思っているところでございます。   また,こういった自然災害への対応と並びまして,最近非常に重要になってきておりますのは,外国人に対する支援ということでございます。昨年は,御承知のように改正出入国管理法が施行されたということで,まだ外国人の数はそれほど急に増えているという状況ではございませんけれども,この外国人支援の問題というのが,非常に法テラスにとっても重要な課題になっております。   御承知のように,電話によります多言語情報提供サービスを行ってきておりますけれども,昨年度は2か国語を追加して,9か国語による実施ができるようになってまいりまして,件数の方も伸びているという状況でございます。それに加えて,各地方事務所での情報提供や相談対応に使えるように,これは,今年度もうすぐ使用開始ということで昨年度から準備をしておりますが,通訳サービスを使える情報端末の整備を進めております。また,今般,法務省の方で開設をされております外国人在留支援センター,これは四谷にございますけれども,その中に法テラスも一角を頂き,国際室を設置いたしまして,関係機関と連携をしながら,これから外国人対応の充実を図っていこうと,体制整備の方も前年度から今年度に引き続いて進めつつあるというところでございます。   こういった新たな問題へのより充実した対応を,今後も図っていきたいと思っておりますし,また,法テラスの業務全体につきまして,やはりサービスに対するニーズは非常に高いものがあり,いろいろな分野での利用件数も高い水準を維持していると考えております。そのための一層の業務の改善や,またこのコロナの中で,今までと違ったいろいろな取組もしていくということが求められているところでございますので,今回も先生方に,本当に端的な,率直な御指導,御助言を頂きながら,また業務の充実,改善を図っていきたいと思っております。本日はよろしくお願い申し上げたいと思います。    伊藤委員長 板東理事長,ありがとうございました。   それでは,引き続き法テラスから,評価項目の前半部分の説明をお願いいたします。 細川部長 法テラス本部総務部長の細川でございます。本日はよろしくお願いいたします。      令和元年度の業務実績について,前半部分,1−1から2−12までを御説明申し上げます。説明に当たっては,B以外の評価とした項目,重要度,難易度が高とされているなど,十分な御説明の必要があると思われる項目を重点に,説明させていただきたいと思います。     項目1−1は,常勤弁護士を除く「職員の配置及び能力の向上」です。   職員の採用については,多様な人材を確保できるように努め,ジョブリターン制度を新たに設けました。配置については,各地方事務所が取り扱う事件数や業務の平準化,事務の合理化の観点も十分に考慮して行いました。   また,研修については,特に新規採用者の育成に重点を置き,座学だけでなく,ロールプレイを多く取り入れたものに刷新し,研修期間も従来の1週間から,合宿研修を含んだ2週間に延長しました。   以上のことから,所期の目標を達成したと判断して,自己評価をBといたしました。      項目1−2は,「常勤弁護士の採用,配置及び資質の向上」であり,難易度「高」とされております。   常勤弁護士の採用については,近年における常勤弁護士数の減少に対処するため,就職説明会の開催数を昨年度から更に増加させるとともに,ホームページやSNS等を利用した情報提供を行うなど,広く常勤弁護士への応募を促し,さらに,内定者フォロー体制の整備も続けたところ,昨年度は15名の採用にとどまったのに対し,法曹経験者2名を含む25名の採用に至りました。これにより,常勤弁護士の配置人数も,前年度末比で3名増加しました。   しかし,常勤弁護士につき,前年度を大幅に上回る人数を採用し,その総数を増加させたこと,配置の必要性等の検証結果を踏まえた配置を継続し,未配置だった地方事務所に常勤弁護士を新たに配置できることになったこと,常勤弁護士に対する様々な研修を開催できたことなどの実績はあったものの,他方で,常勤弁護士1人当たりの事件処理数が前年度より減少していることに鑑み,この項目については,自己評価をCといたしました。      項目1−3は,「一般契約弁護士・司法書士の確保」に関するものですが,関係機関と連携し,説明会や協議会を実施したり,説明資料を配布したりして,契約弁護士ないし契約司法書士の確保に努めた結果,民事法律扶助契約,国選弁護・付添人契約,被害者参加弁護士契約,DV等被害者法律相談援助契約のいずれにおいても,平成30年度より契約者数が増加したことから,所期の目標を達成したと判断して,自己評価をBといたしました。      項目1−4は,「事務所の存置」に関するものであり,重要度,難易度ともに「高」とされております。   令和元年度は,事務所の新規設置・統廃合は行いませんでしたが,出張所に関しては,地方事務所の執行部と協議を行うなどして,見直しに向けた検討を行ったこと,業務量に応じた必要な人数の常勤弁護士を配置できるよう,事務所ごとの配置人数を見直し,これを踏まえた配置を行ったことから,自己評価をBといたしました。      項目1−5は,関係機関等との連携強化に向けた取組に関するものです。   令和元年度は,1地方事務所を除く49地方事務所で,1回以上地方協議会を開催し,合計75回の開催となりました。また,地方協議会とは別に,地方公共団体,福祉機関・団体,警察,弁護士会,司法書士会等に対する業務説明を,全国で972回実施しました。そのうち,地方公共団体,福祉機関・団体に対する業務説明は716回実施し,昨年度より303回減少となり,所期の目標である1,000回には達しませんでした。以上を踏まえて,自己評価をCといたしました。     項目2−6は,「適切な情報提供の実施」に関するものです。   災害や新型コロナウイルス感染症に関する取組として,令和元年台風第15号,令和元年台風第19号及び新型コロナウイルス感染症に関して,ホームページ上に特設ページを開設した上でQ&Aを掲載し,速やかに情報提供を行いました。特に,令和元年度台風第19号の被災者に対しては,被災者専用フリーダイヤルによる対応体制の整備を行い,迅速な情報提供に努めました。   外国人のニーズへの対応として,電話による多言語情報提供サービスでは,新たにネパール語及びタイ語の2言語を追加しました。   FAQ及び関係機関データベースについては,継続的に更新・新規登録を実施しました。特に,全国的な組織を持つ関係機関については,その本部と連携し,データベースの情報を一括で収集することで,統一的な整備を行いました。   質の高いサービスの維持向上については,コールセンターにおいて,第三者によって実施した品質評価を基にオペレーターに対し個別に指導を行い,情報提供業務における応対の質の向上を図りました。   満足度調査については,5段階評価のアンケートで,コールセンターは4.7,地方事務所は4.5と,いずれも高水準を達成し,全体平均でも4以上の評価を得ることができました。   以上のことから,所期の目標を上回る成果が得られたものと考え,自己評価はAといたしました。      項目2−7は,法教育事業に関するものです。   地方事務所において,相続や終活をテーマにした企画,図書館と共催した企画,大学の授業に組み込んだ企画等,一般市民向け法教育を実施しました。また,最新版の法教育実施事例集や法教育教材を作成し,地方事務所に共有することで,より効率的かつ効果的に法教育企画を実施できるようにしました。   評価については,一般市民向け法教育を全国各地で合計135回実施し,全国で合計7,956人の参加を得ることができたことから,所期の目標を上回る成果が得られたものと考え,自己評価はAといたしました。     項目2−8は,「高齢者・障害者等に対する支援の充実に向けた取組状況,民事法律扶助業務の利便性の向上に向けた取組状況」に関するものであり,重要度「高」とされております。   高齢者・障害者等に対する支援の充実につきましては,全国市区町村別の民事法律扶助における人口当たりの件数を地図で可視化した,「地図で見る民事法律扶助(平成30年度)」を作成し,これを基礎資料として,モデル事務所で司法アクセスにおける地域課題を分析し,解決に向けた地域戦略を策定するという試行を行い,全国展開をするための実施体制を整備しました。   また,平成29年度に開始した特定援助対象者法律相談援助の利用を促進するために,日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会と定期的に協議を実施し,担い手となる弁護士,司法書士の確保を始めとする法的支援の実施体制の充実に努めました。 加えて,地方公共団体,福祉機関・団体への制度周知を進めるために,厚生労働省社会援護局に対して支援センターの役割についての説明を行うとともに,各地方事務所においても,業務説明や巡回・指定相談場所相談の導入に関する協議を行った結果,福祉機関等との連携を契機とした法律相談援助の総数は前年度を下回りましたが,前年度よりも特定援助対象者法律相談援助は98件,指定相談場所に指定した地方公共団体,福祉機関・団体は12か所増加しました。   続いて,民事法律扶助業務の利便性の向上につきましては,弁護士会,司法書士会など関係機関と連携協力しながら,専門相談の充実を図るとともに,専門相談を標榜するか否かに関わらず,相談内容に配慮した相談運営を行い,利用者の利便性の向上に努めました。   また,被災者法律相談援助においても,平成30年7月豪雨に継続して対応するとともに,令和元年台風第19号でも,日本弁護士連合会,災害発生地の弁護士会・司法書士会と連携して,迅速に援助をスタートさせ,約5か月間で1万6,285件の相談実績を上げました。   以上のことから,福祉機関等との連携を契機とした相談件数は前年度より減少したものの,所期の目標はおおむね達成したものと考え,自己評価をBといたしました。      項目2−9は,「国選弁護等関連業務」に関するものです。   この項目につきましては,まず,国選弁護人及び国選付添人の迅速かつ確実な選任態勢を確保するため,支部を含む全ての地方事務所において,関係機関との間で1回以上,延べ492回の協議の場を設けるとともに,刑事弁護等に関連した研修,協議会ないし説明会を,延べ169回開催しました。   また,被疑者国選弁護対象事件の拡大に伴い,令和元年度の指名通知請求の受理件数は過去最高であったにもかかわらず,24時間以内に指名通知が行われた割合は,前年度と同様の99.9%という高い割合を達成したことから,所期の目標を上回る成果が得られたものと考え,自己評価はAといたしました。   項目2−10は,「地方過疎地域事務所の設置以外の司法過疎対策」に関するものですが,従前に引き続き,関係機関・団体との協定に基づく巡回相談を実施するとともに,巡回相談を開催していた関係機関・団体の施設を指定相談場所化して法律相談を実施するなど,関係機関・団体との連携を深め,司法過疎対策の効率的かつ効果的な方策を実施するなどしたことから,初期の目標は達成したと判断して,自己評価はBといたしました。      項目2−11は,「適切な(犯罪被害者)支援・援助の実施」に関するものであり,重要度「高」とされております。全地方事務所において,関係機関・団体から,法テラスに対する意見等を聴取し,本部においても被害者支援に携わる関係機関との意見交換を行うなどして,犯罪被害者等からのニーズを把握する取組を実施し,業務の改善に役立てました。   また,被虐待児等への支援に取り組んでいる弁護士及びNPO法人理事長を招いて,被虐待児への支援と二次的被害防止に関する研修を実施するとともに,これを録画したDVDを全国の地方事務所等に配布し,各地方事務所等における研修環境を整備しました。   DV等被害者法律相談援助については,前年度と同様に,関係機関との連携を深めて態勢を整備し,全国で832件の相談を実施しました。令和元年度の精通弁護士数は,平成30年度を58名上回る3,781名となり,犯罪被害者支援に精通している女性弁護士も,全地方事務所で複数名確保することができました。   以上を踏まえて,自己評価はBといたしました。      項目2−12は,「被害者参加旅費等支給業務の適切な実施」に関するものです。   被害者参加旅費等の支給については,裁判所,法務省等と情報を共有し,連携を図りながら適切な支給に取り組むとともに,事務フローやマニュアルを見直すなどし,全請求の99.0%について,目標期間内に支給を行うことができたことから,所期の目標を達成したと判断して,自己評価はBといたしました。   前半部分の説明は以上となります。 伊藤委員長 ありがとうございました。   項目が多岐にわたっておりますけれども,ただいま御説明があった範囲に含まれるものにつきましては,どの点からでも結構ですので,委員の皆様方から御質問等をお願いしたいと存じます。どうぞ御自由に御発言ください。   どうぞ,長内委員。 長内委員 1−2についてお伺いいたします。   この1−2で配置という項目がありまして,その項目の中に,大規模災害等における法的サービス提供のための体制整備という項目がありますが,この項目についてお伺いいたします。この中で,法的サービス提供のための体制整備の方策を検討している旨が報告されておりますけれども,検討途中かもしれませんけれども,その方策の具体的な一例を挙げていただけますでしょうか。   また,続いて,令和元年台風19号では,被災者の法律相談援助利用の担い手となったという旨の報告がありますが,具体的には,被災地の関係でどのように法的サービスを行ったのか,この点についても教えていただければと思います。   先ほど来お話がありましたような,大規模災害が従前よりも多く発生している状況が見られますので,こういう質問をさせていただきました。 伊藤委員長 よろしいでしょうか,法テラスから。 高橋部長 常勤弁護士総合企画部長の高橋からお答えいたします。   大規模災害時における法的サービス提供のための体制整備の方策を検討ということですが,具体的には,この大規模災害,ここ数年何度も起こっておりますけれども,当該地においてどのような活動をしてきたのかということを,スタッフ弁護士間で情報共有をいたしまして,それを,また次の災害に生かしていくというような活動を行っております。年に一度,スタッフ弁護士は全国経験交流集会というものが行われまして,そこの場で行っております。   特に,例えば,広島で豪雨災害が起こったときに,スタッフ弁護士が中心となりまして,その当該地の各士業団体と連携をしながら事務局的な役割を果たして,市民の方に法的サービスを提供するというような役割を果たしましたものですから,そうした活動もいろいろな形で広めております。   また,被災者法律相談援助の利用の担い手となったということですが,これは,まさに弁護士として,この被災者法律相談援助を利用される方に対して法的サービスを提供すると,要は,法律相談を受けるという立場で活動したということになります。   以上です。 伊藤委員長 長内委員,いかがでしょうか。 長内委員 ありがとうございます。   これに関連しまして,大規模災害が起こった場合,その起こった地域の,恐らく事務所の方が,常勤弁護士さんが主に対応されているかと思うんですけれども,例えば,その周辺の事務所といいますか,そういうところとの協力体制とか,そういったことはなされるわけでしょうか。 高橋部長 引き続き,高橋からお答えします。   この間,災害が起こった場面で,相互の事務所間で連携をするということは余り聞いてはいないんですけれども,ただ,本部の方では,その状況を集約しておりまして,適宜その周辺の方にもそうした活動をしているということはお伝えをしておりまして,何かサポートができる場合には,できる体制は取っているということになります。   以上です。 長内委員 ありがとうございました。 伊藤委員長 よろしゅうございますか。   奥山委員,どうぞお願いします。 奥山委員 今のところの1−2に関連しまして,28ページのところに,事件処理件数の減少の原因として,新業務統合管理システムが新たに稼動したことにより減ったということが記載されております。カウントの仕方が変わったということは理解はできますが,このシステムの変更は,次年度以降にも影響するものでしょうか,それとも,当年度のみの影響か否か,ここはいかがでございますか。 伊藤委員長 お願いします。 高橋部長 常勤弁護士総合企画部長の高橋から御説明します。   この新業務統合管理システムの変更は昨年5月に行われまして,それ以降のカウントが昨年度の数に影響しているということですので,当年度以降は,そこは影響しないと考えております。 伊藤委員長 奥山委員,いかがですか。よろしゅうございますか。 奥山委員 はい。 伊藤委員長 どうぞ,他の委員の方,お願いいたします。   中村委員,お願いします。 中村委員 私からも,今の1−2の関連のところで御質問いたします。   新規採用者の確保の部分でございまして,今回,法曹経験者の方が2名採用されたということなのですけれども,年代とか,どういう方が採用になったのかということと,今年,新型コロナの影響でどうなっていくか分かりませんけれども,東京の一極集中から地方へというような動きもあります中で,そういう地方に行かれる弁護士さんというのも,もしかするとあるかなという中で,また,新型コロナの中での採用活動の難しさというようなこともあろうかと思いますけれども,そのあたりの方向性というか,もしお考えがあればお聞かせいただければと思います。 伊藤委員長 お願いします。 高橋部長 高橋からお答えします。   昨年度,令和元年度に採用しました2名でございますけれども,1名は法曹経験5年以上の弁護士でございます。もう一名は,実務経験5年以内の弁護士になっております。いずれも30代だということです。   今後の経験弁護士の採用についてでございますけれども,昨年度中からここの点については工夫をしておりまして,例えば,ホームページの採用項目の中には,勤務場所について,これまで全国各地としか書いていなかったんですけれども,その点について,具体的に配置が予想される箇所について,例えば,中京圏ですとか,そういった形で明示するような形で工夫をしております。そういった形で,できる限り経験者採用も広げていきたいとは考えております。 中村委員 ありがとうございました。 伊藤委員長 よろしいですか。   他の委員の方,いかがでしょうか。   とうぞ,池亀委員,お願いします。 池亀委員 1−5の関係機関との連携強化に向けた取組状況というところにお尋ねしたいと思います。   資料では,37,38,39というものが掲げられておりまして,いずれも地方協議会の開催の状況の資料と受け止めさせていただいておりますところ,3の関係機関・団体に関する業務説明については,昨年より297回減って716回だという御説明が先ほどございました。この実施状況についての資料は,例えば,各事務所ごとに取りまとめているものがあるとか,その点あたりはどんな状況なのかなということを,ちょっとお尋ねしたいのと,この実施状況が減ったことによって,この後の項目に影響を及ぼしてくるように思われますので,お尋ねしたいと思います。お願いします。 伊藤委員長 いかがでしょうか。関係機関・団体に対する業務説明の現況と今後の見通しに関する御質問ですが。 設楽部長 第一事業部長の設楽から御回答いたします。   今回,お手元の資料の中には入っておりませんけれども,関係機関との連携状況につきましては,センター内に関係機関連携シートというものを備え付け,地方事務所からの地方協議会等の実施の報告を,随時本部で集約しております。   現在,新型コロナウイルス感染症の関係で,人が集まって様々な催しをするという見通しを立てにくい状況ではありますが,今後は,専らオンライン上の会議ですとか,あるいは資料の御提供などの方法を模索しながら,連携を維持していきたいと考えております。 伊藤委員長 どうぞ,池亀委員。 池亀委員 すみません,各事務所ごとに実施状況を集計している資料はあるということでしょうか。 設楽部長 はい,ございます。 池亀委員 1回も実施をしていないというような事務所は,ないという理解でよろしいでしょうか。 設楽部長 はい。各事務所,各事務所,年度内に複数回実施をしていると承知しております。 池亀委員 承知しました。   この後,2−8の民事法律扶助業務の中に,「項目1−5に記載した関係機関への業務説明の実施が前年度を下回ったことに加えて,法律相談の利用が控えられたことが考えられる」とありますので,この数字が下がってくると,扶助の事件にも影響があると読むことができたものですから,この先の見通しがどうなのかなという心配をちょっとしておったところなのですが,続けて,すみません,2−8の方の質問を続けて,関連しているのでお願いしたいのですが。 伊藤委員長 池亀委員,恐れ入ります,2−6ですか。 池亀委員 2−8です,ごめんなさい。   2−8の民事法律扶助の項目だと思うのですが,そこの資料編は,特になしと書かれていて,先ほどの特定援助対象者法律相談援助の実施状況についての資料が見当たらないものですから,これらの取りまとめは,今年度の分ということでされていて,どのぐらいの件数になっているかというのは,その次のページをめくると,出張相談のところに668件とあるのですが,これがイコールになりますか。 設楽部長 第一事業部長の設楽から御回答いたします。   今御指摘いただきました668件という数字につきましては,出張相談の中の特定援助対象者法律相談援助件数になります。57ページに数値を記載しておりますが,こちらがその集計した数字ということで,間違いございません。 伊藤委員長 ただいまの説明で,池亀委員の御質問に対するお答えになっていますか。 池亀委員 57ページの大きな表を見ますと,特定援助対象者法律相談の実施件数は668件とありますが,先ほどの御説明だと,出張相談の中の一部だというような御説明でしたが,668件という数字,合っているということでいいのですよね。そうですよね。 板東理事長 はい。 池亀委員 分かりました。 伊藤委員長 よろしいですか。 池亀委員 はい,結構です。件数をとやかく申し上げたいということではなくて,去年もこの話が少し出ていたかと思うのですが,特定援助対象者の法律相談の実施状況というのが,どの程度進んでいるかなという実務レベルでの受け止めが,私としてはそんなに活発に行われているという感じが余りしていない部分もあってと,去年申し上げたのですが,それは,2018年1月から始まったことなので,そんなに急に伸びてくるものではないのだろうなと思っていまして,私どもの司法書士会の中でも,周知されているかというと,なかなか難しい部分もあって,受け止め切れていない会員も多数いるのだろうという反省の点を込めて申し上げているところなのですが,やはり業務説明と非常に連携してくる部分かなと思いまして,どのような福祉機関からの質問というか相談に応じられるのかとか,法律相談援助をするときのルールがちょっと分かりにくかったりして,せっかくよい制度なのに使われていないというのは非常に残念だなと思っているところでございます。   なので,もう少し何かうまく使ってもらえるような仕組みができたらいいなというのが,非常に希望として思っているところで,お尋ねした次第でした。引き続きよろしくお願いしたいと存じます。 伊藤委員長 ただいまの池亀委員の御意見の部分に関しても,何か補足して説明していただくことはございますか。 板東理事長 御指摘ありがとうございます。   先ほどの数字の点は,57ページにございますように,特定援助対象者法律相談援助の実施件数については前年よりは増えているという状況でございますけれども,まだスタートして間もない制度でございますので,御指摘のように,もう少しいろいろな形でまずこの制度についての周知を図るということが必要だと思っております。   ただ,業務説明の場以上に,地方協議会をやるときに,この特定援助対象者法律相談援助を始めとして,高齢者等に対する支援,援助の在り方について議題にすることが非常に多いということもございまして,この問題について,一番関係機関との間では話合いがされているテーマの一つであるというのは,事実だと思いますが,やはり全体として見て,もう少し,御指摘のようにいろいろな方法を考えるべきだというところは,受け止めさせていただきたいと思います。 伊藤委員長 ありがとうございました。   よろしいですか。 池亀委員 はい,ありがとうございました。   私自身の反省を込めてというところもあって,こういうふうに受け止めていただけたら幸いです。引き続きよろしくお願いいたします。 伊藤委員長 それでは,他の委員の方,御質問等ございましたらお願いいたします。   どうぞ,増田委員。 増田委員 災害であるとかコロナであるとかの社会情勢の大きく変化する中で,迅速にいろいろ御対応いただいてすばらしいと思っております。お疲れさまです。   その中で,特に今,池亀委員の方からの指摘とかぶりますけれども,法教育についても,これから集合研修というのが非常に難しい状況になるかと思います。その辺について,今後御検討中と伺いましたけれども,何か方策をお考えであるのかという点と,それからもう一点,2−11のDV等被害者法律相談援助の適切な実施という部分で,子供たちに対して,ポスターであるとか,ポケットカードを作成しているということで,非常にいい取組だと思っておりまして,特にポケットカードというのはとても有効だと思うのですが,これの配布方法については,どのようにされたのかということを教えていただけますでしょうか。   以上でございます。 伊藤委員長 ただいまの2点につきまして,センターからの説明をお願いいたします。 設楽部長 引き続き,第一事業部長の設楽から御回答いたします。   これまでの法教育に対するニーズを見ておりますと,学校等,それから高齢者を対象とする企画のニーズが高いという傾向として見られます。委員御指摘のとおり,今年度は,例えば,高齢者の方を一堂に集めて後見制度等についてお話をするということは,なかなか難しいのかなと思っておりますので,まず,各地方事務所においてテレビ電話会議などのツールを使い,オンラインで法教育を実施するということが可能かどうかを模索してもらうことにしております。   それから,必ずしも全ての方が個人としてテレビ電話の環境を持っていらっしゃるとは限りませんので,そうした場合に向けて,例えば,ユーチューブですとか,法教育のDVDですとか,教材的なものを本部で作成して配布するなどの工夫をしたいと考えております。 北郷課長 では2点目について,犯罪被害者支援課長の北郷からお答えいたします。   昨年10月に,このポケットカード配布の関係で,文科省を訪問し,趣旨の説明等させていただいたところですが,昨年度につきましては,全国一律の小・中学校にポケットカードを配布するまでの予算が確保できておりませんでしたので,調整の整った個別の都道府県の小・中学校に限って,配布させていただきました。   今年度につきましても,確保できている予算の額は大体同じようなところでございまして,配付できる小・中学校を個別に当たっているところでございます。   その効果といいますか,手応えのようなところをモニターしながら,予算の確保にもつなげて,将来的に全国的な配布につなげていきたいと考えているところでございます。   以上です。 伊藤委員長 増田委員,いかがでしょうか。 増田委員 地道にやっていくということなんだろうと思います。よろしくお願いします。 伊藤委員長 よろしいでしょうか。   ほかには,委員の方からの御質問等ございますか。   どうぞ,長内委員。 長内委員 すみません,1−4をお願いいたします。   1−4で37ページですね。37ページで,扶助・国選対応地域事務居数が,平成30年が4か所,平成31/令和元年が3か所,もう一つ,司法過疎地域事務所数が,平成30年が35か所,令和元年が34か所,それぞれ1つ減っているように思うんですけれども,先ほどの御説明の中で,令和元年度中の新規設置や統廃合は行わなかったという御説明あったかと思うんですけれども,これ,整合していますでしょうか。 伊藤委員長 いかがでしょうか。 高橋部長 常勤弁護士総合企画部長の高橋から御説明します。   これは,30年度末に廃止をしたので,31年3月31日に廃止をした2か所という形になります。なので,翌平成31年4月からの令和元年度には,新規廃止,設置はしなかったという形になります。 伊藤委員長 どうぞ,長内委員。 長内委員 非常に何か分かりにくいような感じがいたしました。ありがとうございます。 伊藤委員長 他に御質問ございませんでしょうか。   奥山委員,どうぞお願いします。 奥山委員 44ページのところでございます。これ,先ほども御説明をいただいたところですけれども,データとしては,平成30年度は1,000回を超えていたものが700回ぐらいになってしまったということの理由の一つとして,コロナとかいうのはよく分かりますし,また,国選への業務の拡大も分かるところでございます。もう一つ,新システムの導入への対応が必要であったことが記載されております。これは,新システムの対応に相当手間がかかってしまって,本来すべき業務ができづらかったということを理由に挙げているのか,そうではなくて,別のことを意味して記載しているのか,この点はいかがでございますか。 伊藤委員長 お願いします。 細川部長  昨年5月に,当センターにおきまして各種システムの大幅な入替えを実施しております。それは,業務に使う業務統合システムというシステムや,インフラ共通基盤というハード面などを,大幅に入れ替えたというところでございます。ですので,業務に使うシステムについて,旧システムと操作性その他のものについて大幅に変わっているというところで,一時的な負担が出たことはもとより,新規システムのリリース時のトラブルが当センターにおいても発生しました。特に開始直後は,動作が非常に重いなど,なかなか業務の方が十分にできない時期が存在しまして,そういったところの負担でございます。 伊藤委員長 奥山委員,いかがでしょうか。 奥山委員 分かりました。今,それはもう解消しているということでよろしいでしょうか。 細川部長 順次改修を続けているところでございますが,それによる業務遅延は解消しているところでございます。 奥山委員 分かりました。ありがとうございました。 伊藤委員長 それではどうぞ,他の委員の方,御質問はございませんか。   もし御質問,また後ほどでも結構ですが,前半部分に関しては,他に御質問が今の段階ではございませんようでしたら,ここで若干の休憩を取りまして,後半部分に入りたいと思いますが,よろしゅうございますか。   それでは10分ほど,今,壁の時計では40分ちょっと前ですが,50分ぐらいまで休憩をいたし,その後再開したいと存じます。           (休     憩) 伊藤委員長 それでは,再開いたします。   引き続きまして,法テラスから評価項目の後半部分の御説明をお願いいたします。 細川部長 それでは,引き続き後半部分の御説明を申し上げます。   今まで,項目2−12まで終わりましたので,3−13から開始させていただきます。      項目3−13は,「一般管理費及び事業費の効率化」に関するものであり,重要度「高」とされております。業務の内容に応じて職員を柔軟に配置し,給与体系についても国の制度に準じた内容の給与規程を維持するなどして,人件費の合理化・効率化を図りました。 一般管理費及び事業費についても,契約手続における競争的手法の活用等により,経費削減を推進し,効率化係数が織り込まれた厳しい予算額の範囲内での予算執行を達成しました。   以上のとおり,全体として効率化に努め,所期の目標を達成したことから,自己評価はBといたしました。      項目3−14は,「情報提供業務」に関するものです。   コールセンターでは,入電傾向を分析し,人員配置を工夫することで,応答率91.9%を維持しながら,受電件数の増加に対応しました。また,コールセンター業務の効率的運用を実現し,1コール当たりの運営経費を減少させたことから,所期の目標を達成したと判断して,自己評価はBといたしました。      項目3−15は,「民事法律扶助業務に向けた取組状況」に関するものです。   専門審査委員の活用,審査委員会議の開催など審査の適正を確保しつつ,事務手続の平準化を行い,全ての地方事務所において書面審査,単独審査を活用する体制を整えるなど,事務手続の合理化を図り,所期の目標は達成したと判断して,自己評価はBといたしました。      項目3−16は,「国選弁護等関連業務」に関するものです。報酬算定に対する不服申立てについて,令和元年度は平成30年度から件数が減少しましたが,処理率はおおむね横ばいであったことから,所期の目標は達成したと判断して,自己評価はBといたしました。      項目4−17は,「自己収入の獲得」に関するものであり,難易度「高」とされております。寄附金収入獲得への取組については,法テラスホームページなどの呼び掛けに加え,使途特定寄附金制度やしょく罪寄附に関するチラシ等を配布するなど,寄附金獲得に向けた様々な方策を実施しました。   常勤弁護士の有償受任等による自己収入の獲得については,常勤弁護士に対する研修等において,常勤弁護士に対し自己収入の確保の必要性や重要性について認識させることにより,各地域の実情に応じた自己収入の確保に努めました。司法過疎地域事務所での有償受任による自己収入は前年度を下回ったものの,事件数自体は昨年度から微増になりました。   以上を踏まえて,自己評価はBといたしました。      項目4−18は,「民事法律扶助における立替金債権の管理・回収等」に関するものであり,重要度,難易度,いずれも「高」とされています。   立替金債権の管理・回収につきましては,継続的な償還を確保する上で有効な方策である,生活用口座からの引落しを推進するとともに,償還を滞納した被援助者に対しては,コンビニエンスストア用の収納用紙を送付する手法を多く用いて償還を促しました。また,償還が見込めない立替金債権の償却を促進するため,本部による一斉償却を実施したほか,免除申請書の書式をホームページに掲出するなどの免除申請の事務の合理化も行いました。こうした取組により,償還率は,平成30年度の89.0%から89.7%に向上し,償還滞納率は平成30年度と同率の37.3%を維持いたしました。   以上のことから,所期の目標を上回る成果が得られたものと考え,自己評価はAといたしました。      項目4−19は「財務内容の公表」,項目5−20は「業務運営の体制維持」に関するものですが,いずれも所期の目標を達成したと判断して,自己評価をBとしております。      項目5−21は,「内部統制の確実な実施」ですが,ガバナンス強化のため,本部では執行部会を開催するとともに,決定事項を速やかに全職員に伝達し,地方事務所においても,本部同様に執行部会議を毎月開催しました。常勤弁護士の業務におけるガバナンス強化の取組として,昨年度に引き続き,法律事務所代表会議及びシニア常勤弁護士会議を企画し,新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から,企画した会議の一部をウェブ会議システムを利用して実施しました。   また,監事監査を始めとした各種監査を実施したほか,過年度の監査結果を踏まえたフォローアップ監査を,2地方事務所等を対象に実施し,監査結果の改善状況を確認しました。また,監査の技術向上に資する研修を監査室員が積極的に受講することで,監査の充実強化を図ることができました。 内部統制推進委員会の下に設置した業務管理小委員会で,各種監査における指摘事項について,業務改善策の検証を行い,また,コンプライアンス小委員会では,職員に対するコンプライアンスの意識の向上を図りました。   このような取組により,所期の目標は達成したと判断して,自己評価はBといたしました。      項目5−22は,「情報セキュリティ対策」に関するものであり,重要度「高」とされております。   政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準群の改正を受け,支援センターの情報セキュリティ対策基準見直し項目を洗い出すなど,令和2年度に改正するための準備を行いました。   また,対策の実施として,5月にシステムとしてセキュリティ対策が実現できるインフラ共通基盤を導入し,セキュリティの強化を行いました。   さらに,各種研修において,標的型攻撃対策の実例や対策を盛り込んだ講義,全職員を対象とした標的型攻撃メールの訓練や情報セキュリティ教育を実施するなどしました。   以上のことから,所期の目標は達成したものと考え,自己評価はBといたしました。      項目5−23は,「業務内容の周知を図る取組の充実」に関するものであり,重要度「高」とされております。   業務内容の周知の指標としての業務認知度は16.3%で,昨年度から0.4ポイント減ではありますが,調査における標本誤差を考慮いたしますと,昨年度と同水準であると言えるものであり,達成目標の基準値を上回る水準を維持しております。名称認知度におきましても,昨年度から1.7ポイント減ではありますが,業務認知度と同様に,昨年と同水準であると言える数値となっております。   ホームページの年間ページビュー数につきましては,1,669万2,509ページビューで,達成目標の基準値には届いていないものの,日々の閲覧状況を基に,利用者が必要な情報を得やすいように改修を進めた結果,昨年度から14.25%増と大きく改善したことを踏まえて,全体としては一定程度の目標を達成したものと考え,自己評価はBといたしました。      項目5−24は,「報酬費用の立替・算定基準検討結果の適切な反映に向けた取組状況」に関するものです。   民事法律扶助の報酬費用の立替基準,国選弁護等関連業務の報酬・費用のいずれについても,日本弁護士連合会と定期的に協議をするなどしたことから,自己評価はBといたしました。   説明は以上となります。 伊藤委員長 ありがとうございました。   それではただいまの後半部分に含まれる項目につきまして,いずれの点でも結構でございますので,委員の方々からの御質問等を承りたいと存じます。   奥山委員,どうぞお願いします。 奥山委員 110ページのところに,監査の技術の向上ということで,(2)に会計監査人との連携について御説明をいただいているところがございます。会計監査人からは多分,計画,それから途中の状況,それから監査結果について報告を受けると,また会計監査人はそのように義務付けられているので行っているかと思います。,ちなみに報告1回に,どのくらい時間をかけて,会計監査人から,監事あるいは監査室に御説明をなされていますでしょうか。 伊藤委員長 お願いいたします。 野島課長補佐 財務会計課課長補佐,野島から御回答させていただきます。   それぞれおおむね1時間程度の時間をかけております。    奥山委員 会計監査の監査報告書のひな型も変わっています。また,監査事務所の品質管理等々も,多分監査法人の方から御説明もあるかと思います。その辺は,監事の方々の御理解が深まるように,監査室も是非ともよく連携を深めていただきたい。品質管理報告書だけでも,ページ数にして100ページは優に超えていると思うので,多分読むだけでも1時間では読めないと思います。是非ともその辺はしていただかないと,今後の内部統制の肝になりますので,よろしくお願いしたいと思っております。   これはお願いでございますので,特に御回答いただく必要はございません。 伊藤委員長 よろしいですか。 奥山委員 はい。 伊藤委員長 それではどうぞ,他の委員の方,お願いいたします。   長内委員,お願いします。 長内委員 非常に細かいことで本当に恐縮なんですけれども,3−14,よろしいでしょうか。   3−14でコールセンターの応答率が記載されておりますけれども,90%以上という非常に高い目標を達成しており,十分だろうなと私も感じております。   なお,細かいことを言うとといいますか,平成29年度は95.8,そして平成30年度は95.2となると,次に91.9と少し下がったように思います。何か原因等はお分かりであるならば,御説明いただきたいと思います。 伊藤委員長 お願いします。 設楽部長 第一事業部長の設楽から御回答いたします。   これは,平成29年,30年,31年と,コールセンターに寄せられるコール数が非常に増加した一方,オペレーター人数は,基本的には据置きと承知しておりますので,若干の応答率の低下になってしまっているという状況でございます。 伊藤委員長 長内委員,どうぞ。 長内委員 理解しました。マンパワーということなんでしょうけれども,その辺,今後はどうされるか,それについて,何かお考えがあればお願いいたします。 伊藤委員長 お願いします。 設楽部長 現状考えられますのは,オペレーターに対する継続的な研修,対応研修,スーパーバイザーの活用,それからコールセンターの方に,法律家としてLA,リーガルアドバイザーがおりますので,こうした方たちとの定期的な協議会等を通じて,より合理的で,かつ中身のある対応ができるようにしていきたいと考えております。 長内委員 ありがとうございました。 伊藤委員長 よろしいですか。   それでは,他の委員の方,お願いいたします。   どうぞ,池亀委員。 池亀委員 最後の報酬費用の立替え,算定基準というところの5−24についてですが,私が司法書士なのに,こういうことを申し上げるのも非常に,何だか我田引水のような気もいたして,非常に言いにくいなという気がしてはいるのですが,日本弁護士連合会と定期的に協議するなどして検討を進めているという記載ぶりがありますが,民事法律扶助業務の報酬費用の算定基準についての検討は,司法書士の書類作成援助に関する費用にも関連があることかなというふうに承知しておりますが,定期的な協議や検討というのは,日司連との間では行っていらっしゃるのですか。   その状況というか,何かそういったものがあるのであれば,ここに記載されていないように見えるので,それはなぜなのかなというところを,ちょっとお尋ねしたいのですが。 伊藤委員長 司法書士連合会との協議の状況などについて,お願いいたします。 設楽部長 第一事業部長の設楽から御回答いたします。   この項目5−24番でございますが,報酬費用算定基準の日本弁護士連合会と集中的に協議をしているのは,国選弁護関連業務の方ではないかと承知しております。法律扶助の立替金につきましても,もちろん協議の俎上に上がることはございますが,その点につきまして,両連合会との間で調整が必要ということは,昨年度までの間に余りございませんでした。   お尋ねの日本司法書士会連合会との定期協議につきましても,1か月から1か月半に1回程度,定期協議を持たせていただいております。そこでは,余り報酬基準について話題になることは少のうございまして,専ら書類作成援助のさらなる活用ということが協議の中心議題となっておりましたので,こちらには記載がなかったものと承知しております。   以上でございます。 池亀委員 分かりました。ありがとうございました。 伊藤委員長 よろしいですか。 池亀委員 はい。 伊藤委員長 それでは,他の委員の方,お願いいたします。   いかがでしょうか。   私から,一つお伺いしてよろしいですか。   これは,4−17の自己収入の獲得等の関係で,常勤弁護士に対して,有償受任による自己収入の獲得について,積極的に取り組むように促しているという趣旨の説明ございましたが,もちろんそれは,民事法律扶助等に対応の上でということではあろうかと思いますが,私どもはこれまで何回か,特に地方に見学の機会などを与えていただいて,その際にいろいろ活動ぶりをうかがっていると,なかなか多忙で,有償受任をすることが積極的に促されると,大変な負担に感ずる場合もあるのではないかという印象もなくはないんですが,そのあたりはいかがでしょうか。 高橋部長 常勤弁護士総合企画部長の高橋から御説明いたします。   有償事件の受任は,主に司法過疎地域事務所,過疎地域の方で受任をすることになりますが,そうした過疎地域では,まさに司法過疎の地域でございますので,その当該スタッフ弁護士が有償,あるいは扶助事件問わず,幅広く受任をするという形になります。   その中で,おっしゃられるように,特にスタッフ弁護士,あるいは当センターの役割として,民事法律扶助,資力のない方に対する司法アクセスを図るということが第一に来ますけれども,過疎地域では資力のない方に限らず,積極的にアプローチをしていって,アクセスを図るという形で事件数を増やし,それに伴って収入も増やすというような形で活動していくようにということで,申し述べているというところであります。   以上です。 伊藤委員長 はい,分かりました。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。   もし他に御意見,御質問がございませんようでしたら,法テラスから説明いただいた業務実績評価につきまして,監事の方からの御意見をお願いしたいと思いますが,よろしゅうございますか。 津熊監事 それでは,私,監事の津熊でございますが,私の意見を申し上げます。   法テラスの業務は,全般的に適正に運営されていると認められると考えております。   次に,個別事項3点について,若干の意見を申し上げます。   第1は,項目1−2の「常勤弁護士の採用,配置及び資質の向上」についてです。   まず,常勤弁護士の採用人数は,平成24年度から減少を続け,平成30年度は過去最少の15名にまで落ち込みましたが,令和元年度は25名を採用し,増加に転じました。また,配置人数も,平成26年度末の252名をピークに年々減少し,平成30年度末で198名,前年比17名減となりましたが,令和元年度末は201名となり,僅かではありますが増加に転じました。法テラスでは,新規採用の増員に向け,就職説明会を多数回開催し,司法研修所の選択型実務修習企画として,各地の地方事務所,地域事務所で多数の司法修習生を受け入れるなど,従前から様々な工夫,努力を継続して行ってきましたが,ようやく実を結びつつあると考えております。   特に,令和元年度におきましては,就職説明会で本部部付の常勤弁護士や魅力的な地方の常勤弁護士に説明をしてもらうなど,就職説明会における説明者の人選をしっかりと行い,常勤弁護士に求められる役割や法テラスの待遇面などを正確に説明することに努めた結果,応募者である司法修習生が,常勤弁護士というものがどのようなものかを正しく理解して応募するようになり,その結果,面接の辞退者が減り,採用者の増加につながったと思われます。平成30年度は,応募者59名のうち,辞退者が多く,法テラスの面接を受けた者は39名だったのに対し,令和元年度は,応募者60名のうち,法テラスの面接を受けた者は50名でした。また,内定者に対して,内定者交流会を開催したり,フォロー担当の常勤弁護士を一人ずつつけるなどして,きめ細かいフォローを行ったことも,採用数を増やした要因と考えられます。   次に,「常勤弁護士を配置できていない地域について,常勤弁護士の配置に向けた取組を進める」との年度計画に基づき,日弁連と連携して常勤弁護士の配置の必要性等を検討した結果,令和2年度中に兵庫地方事務所に法律事務所を開設し,配置できる見通しとなりました。地方事務所の本所に併設される新規の法律事務所は,平成25年の法テラス大阪法律事務所以来となります。   以上の各取組は,過去の実績を上回る成果を上げたと認められます。   しかし,常勤弁護士1人当たりの事件処理件数の達成目標は,前年度比3%増となっているところ,令和元年は前年比20%以上の減でありました。また件数自体も,基準値の39件に5件及ばない34件でした。 このように,事件処理件数が大きく減少した理由としては,令和元年は従前と異なり,他の常勤弁護士からの引継事件を件数としてカウントしなくなったことや,事件を多く受任していた世代が退所期を迎えたことなどが挙げられます。しかし,様々な理由があるにせよ,評価対象となる指標である達成目標を大きく割り込んでいる以上,全体としてC評価にするのはやむを得ないものと考えております。   第2は,項目2−6の「適切な情報提供の実施」についてです。   まず,情報提供業務は,コールセンターと地方事務所が対応しているところ,令和元年度の地方事務所対応は,前年より約6,000件減少して約20万件でありますが,コールセンター対応は平成29年度が33万9,000件余り,平成30年度が36万2,000件余りに増加し,令和元年度は更に増加して39万5,000件余りとなっております。   次に,情報提供業務は,内容的にも利用者の多様なニーズに適切に対応しております。すなわち,令和元年台風第15号,第19号,新型コロナウイルス感染症への対応として,ホームページに特設ページを開設し,Q&Aを掲載して速やかに情報提供するとともに,第19号の被災者には専用フリーダイヤルによる対応体制を速やかに行うなど,利用者が必要とする情報の迅速な提供に努めております。   また,外国人のニーズへの対応である電話による多言語情報提供サービスにつきましては,新たにネパール語,タイ語の2言語を追加しました。また,多言語対応件数は,平成30年度が前年度より700件余り増加して3,900件余りとなり,令和元年度は前年より700件余り増加して4,700件余りとなっております。   さらに,情報提供業務におきましては,質の高いサービスの維持向上に努めております。情報提供担当者のサービスの質の向上を図るため,コールセンターオペレーターに対し,個別的な指導を行うことはもちろん,電話対応等に関する対処方法について,実効性のある研修を行うとともに,民法改正等に伴うFAQの作成や更新を受けて,これをオペレーターの研修に迅速に取り入れて周知を図っております。 また,利用者にとって最適な支援への橋渡しを確実かつ円滑に行うため,地方事務所からコールセンターへ電話転送するとともに,コールセンターにおいて資力要件確認サービスを実施するなど,コールセンターをより一層活用することにより,情報提供業務を効率的に運用しております。   最後に,利用者満足度調査における評価の達成目標は,5段階評価で平均4以上の評価を維持することとなっておりますところ,平成30年度の評価4.4であり,令和元年度も4.4を獲得し,平均4以上の評価を維持しております。   以上のとおり,所期の目標を上回る成果が得られたものと認められます。   第3は,項目2−11の「適切な(犯罪被害者)支援・援助の実施」についてです。   DV,ストーカー,児童虐待が重大な社会問題化している中,犯罪被害者支援業務を行う法テラスに期待される役割は増しており,重要度が「高」に設定されております。   まず,犯罪被害者等のニーズの把握と職員の質の向上に向けた取組についてです。これについては,地方事務所において,合計1,550余りの関係機関・団体を通じ,意見や要望を聴取し,地方事務所が被害者支援連絡協議会へ参加し,犯罪被害者週間のイベントに協力するなどして,被害者等のニーズを把握する取組を行っております。   また,職員に対する二次的被害の防止のための方策等の研修を実施しました。すなわち,児童虐待の被害者対応を適切に行うため,被虐待児等の支援を行っている弁護士やNPO法人理事長を本部に招き,児童虐待に特化した研修を行うとともに,同研修のDVDを作成して地方事務所等に配付いたしました。また,本部やコールセンターに寄せられた犯罪被害者等からの意見等を,本部,コールセンター,地方事務所間で情報共有し,犯罪被害者の心情に配慮した対応に取り組んでおります。   次に,関係機関との連携とDV等被害者法律相談援助の適切な実施等についてです。児童虐待の被害者からのDV等被害者法律相談援助制度の促進を図るため,本部において,文部科学省や地方自治体の児童虐待を所管する部署を訪問し,同制度の説明を行うとともに,連携強化に向けた協力依頼を行っております。また,児童向けのポスターやポケットカードを作成し,地方事務所での広報活動に活用するなど,制度周知に取り組みました。   最後に,精通弁護士を紹介する態勢整備についてです。犯罪被害者支援に精通している弁護士は,平成30年度より58名増加して3,781名となり,そのうち女性弁護士については,全都道府県で複数名確保することができ,平成30年度より28名増加して896名となりました。   以上の点から,所期の目的を達成したものと考えております。   私の意見は以上であります。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいま監事より,常勤弁護士の採用,情報提供業務,被害者支援を中心にして御意見承りましたが,委員の方で関連して何か御質問,御意見ございますでしょうか。   よろしいですか。   それでは,監事の御意見に関しては以上でということにいたしまして,その他何か御発言,全体に関してございますか。   もしよろしければ,議事を進めたいと思います。   引き続きまして,議事の2,財務諸表に関する法務大臣承認に当たっての意見について,入りたいと思います。   法テラスから,財務諸表等についての御説明をお願いいたします。 丸山財務会計課長 財務会計課長の丸山でございます。      令和1,事業年度財務諸表等につきまして,御説明いたします。お手持ちのピンク色のファイルの資料2−1から資料2−3まででございます。      資料2−1の財務諸表は,大きく分けまして,法人単位財務諸表と,一般勘定及び国選勘定の勘定別財務諸表の計3種類によって構成されております。   次に,資料2−2の事業報告書でございますが,独立行政法人の事業報告に関するガイドラインが設定され,当センターに係る業務運営の状況の全体像について,概要情報の開示を行うものに変更となりました。   さらに,資料2−3の決算報告書は,年度計画において定めた予算の区分に従い,決算の状況を表示するものでございます。   以上,3点の令和元事業年度財務諸表等につきましては,監事による監査結果報告書において,会計処理は適正に行われているとの評価,また,独立監査人の監査報告書においても,無限定適正意見を受けておりますことを,あらかじめ御報告いたします。   なお,今年度は,改訂された独立行政法人会計基準等の適用を受けており,これに伴い,昨年度と変更となった箇所が大きく2点ございます。1点は,作成書類の新設及び廃止であります。行政コスト計算書が新設され,これに伴い,従前の行政サービス実施コスト計算書が廃止となりました。また,純資産変動計算書が新設となっております。   もう一点は,賞与引当金及び退職給付引当金を貸借対照表に計上することとなった点であり,この点につきましては,追って御説明をさせていただきます。   それでは,法人単位の財務諸表により,概要を御説明いたします。資料2−1の財務諸表の1ページから22ページとなります。   まず,貸借対照表について御説明いたします。   貸借対照表は,期末時点における法人の資産,負債及び純資産の状態を示すものでございます。令和元年度末現在の資産合計は237億4,200万円であり,前年度末との比較で33億9,500万円増加しております。これは,賞与引当金見返が5億3,400万円,退職給付引当金見返が27億8,000万円増加したことなどが要因でございます。   負債の合計は217億4,100万円であり,前年度末との比較では28億5,100万円増加しております。これは,賞与引当金が5億3,400万円,退職給付引当金が27億8,000万円増加したことなどが要因でございます。   今申し上げた賞与引当金,退職給付引当金に対応して,資産の部に先ほど追って御説明すると申し上げました賞与引当金見返及び退職給付引当金見返を計上しておりますが,これは,役職員に将来支給が見込まれる賞与や退職給付債務は,当センターがこれから国民の皆様に提供するサービスなどを生み出す資源であることから,このように表示することになったものでございます。   続きまして,行政コスト計算書について御説明いたします。   行政コスト計算書は,損益計算書上の費用及びその他行政コストに分類して,当期発生した全ての行政コストを記載したものでございます。行政コスト計算書の新設に伴い,行政サービス実施コスト計算書を廃止しておりますが,引き続き資料の9ページの注記において,「独立行政法人の業務運営に関して国民の負担に帰せられるコスト」として示しております。   損益計算書上の費用は合計376億8,900万円であり,損益計算書の経常費用346億7,700万円と臨時損失30億1,200万円を,発生原因ごとに計上しております。   その他行政コストは該当がございません。   続きまして,損益計算書について御説明いたします。   損益計算書は,法人の運営状況を明らかにするため,当期の費用と収益を記載したものでございます。経常費用は合計346億7,700万円であり,前年度との比較では9億900万円増加しております。これは,近年の民事法律扶助立替金等に係る当期の貸倒見積高を算定した結果,貸倒引当金繰入額が8億600万円増加したことなどが要因でございます。   他方,経常費用に対応する経常収益は合計352億2,100万円であり,前年度との比較では9億9,700万円増加しております。これは,賞与引当金見返に係る収益が5億3,400万円,退職給付引当金見返に係る収益が3億6,200万円増加したことなどが要因でございます。   また,改訂後の独立行政法人会計基準等の適用に伴う経過措置として,賞与引当金,退職給付引当金に係る臨時利益,臨時損失を計上しております。   以上から,5億4,500万円を当期総利益として計上しております。   続きまして,純資産変動計算書について御説明いたします。   純資産変動計算書は,その名のとおり,貸借対照表の純資産の部に計上されている資本金,資本剰余金,利益剰余金の当期変動額を明らかにしたものでございます。当期の業務運営の結果,資本剰余金が3億7,600万円,利益剰余金が1億6,800万円増加いたしました。   続きまして,キャッシュフロー計算書について御説明いたします。   キャッシュフロー計算書は,資金の動きを示す財務諸表です。当期のキャッシュフローにより,資金期末残高は82億1,400万円となっており,期首残高との比較では,7億3,600万円増加しております。これは,業務活動による運営費交付金収入の増加等が要因でございます。   財務諸表等に関する説明は以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   それでは,次に監事の御意見をお願いいたします。 山下監事 先ほど,丸山課長から御報告があったところと重なる部分が多いかと思いますけれども,御報告させていただきます。   財務諸表のうち貸借対照表については,令和元年度は平成30年度と比較して,資産が33億9,500万,負債が28億5,100万円増加しています。   資産については,改訂された独立行政法人会計基準等の適用により,賞与引当金見返及び退職給付引当金見返,33億1,400万円を新たに計上したこと,現金及び預金が7億3,500万円の増加,民事法律扶助立替金に係る貸倒引当金が7億4,000万円増加したこと等によるものです。   負債については,改訂された独立行政法人会計基準等の適用により,賞与引当金及び退職給付引当金,33億1,400万円を新たに計上したこと,貸倒引当金の増加に伴って,資産見返運営費交付金が6億5,100万円減少したこと等によるものです。   損益計算書については,令和元年度は平成30年度と比較して,経常収益が9億9,700万円増加,経常費用が9億900万円増加しております。   経常費用については,令和元年度から賞与引当金,退職給付引当金を計上することとなったため,当期に負担すべき費用として人件費に含め8億9,600万円を新たに計上しておりますが,改訂された独立行政法人会計基準等の適用により,前期負担分賞与引当金,退職給付引当金5億9,400万円を直接運営費交付金債務及び委託費の前受金から充当し,この会計処理が人件費の減少要因となって,全体の人件費の増加は1億9,600万円になっております。また,貸倒引当金繰入額が8億600万円増加しております。   経常収益については,平成30年度に計上した会計処理の変更に伴う引当金取崩益10億2,300万円がなくなったこと,平成30年6月1日からの被疑者国選対象事件の拡大の影響を受けて日弁連受託事業の申込件数が減少したことから,日弁連受託事業収益が2億3,200万円減少する等とした一方で,貸倒引当金繰入額の増加等に対応して,資産見返,運営費交付金戻入が6億7,000万円増加したこと,運営費交付金収益が8億1,400万円増加したこと,経常費用として計上した賞与引当金,退職給付引当金の当期に負担すべき費用と同額の8億9,600万円を引当金見返に係る収益として計上したこと等により増加しております。   これらを受けまして,令和元年度に係る財務諸表,決算報告書並びに事業報告書の会計に関する部分については,会計監査人有限責任あずさ監査法人の監査を経ており,監事の監査報告の中で会計監査人の監査の方法及び結果は相当であると認め,また,事業報告書は法令に従いセンターの状況を正しく示しているものと認めるとしております。   以上です。 伊藤委員長 ありがとうございました。   ただいまの財務諸表等についての御説明ないし御意見を含めまして,本日の議事全体を通して,委員の方々から何か御質問,御意見等はございますでしょうか。   どうぞ,奥山委員。 奥山委員 先ほど,賞与と退職給付費用に係る引当金の会計処理に御説明をいただきました。前年度は引当金を取り崩し,今年度は計上するという形になっております。   法テラスの財務諸表はホームページでも閲覧することができるということで,仮にそうした財務諸表を見た方からもし質問があれば,是非とも分かりやすい形の御説明をしていただきたいと思います。なかなか,財務諸表だけ見ると,どのような背景があって,こうした処理をなされたのか,それぞれの年度は適正である会計監査人からの意見もあるので,何ら問題はないと思いますけれども,なかなか2期間を比べると分かりづらいという点はどうしても残るので,この点は,是非とも理解しやすい御説明を,時間をかけても結構ですので,よろしくお願いしたいと思っております。   以上でございます。 伊藤委員長 ただいまの奥山委員からの御要望に関しまして,何か付け加えていただくことはありますか。 山下監事 おっしゃるとおり,一旦計上したものを取り崩して,そしてまた計上するとの処理について,それぞれの年度において正しい処理をしているのですけれども,分かりにくい説明になってしまってはいけないと思います。ありがとうございます。 伊藤委員長 よろしくお願いいたします。   他に御意見,御質問等はいかがでしょうか。   よろしゅうございますか。   もし,委員の方々から追加的な御質問ございましたら,事務局を通じまして,法テラスに御質問いただくことができますので,事務局宛てに適宜の方法で御連絡いただければと存じます。   それでは,他に特段の御発言がないようでございましたら,以上をもちまして,本日の議事は終了いたしたいと存じます。   最後に,事務局から今後のスケジュール等についての説明をお願いいたします。 澁谷参事官 事務局から御説明いたします。   まず,本日の議事録の作成についてでございます。   従前どおり,事務局におきまして議事録の原案を作成した後,御出席の委員の皆様に内容を御確認いただきまして,最後に委員長に全体を御確認いただきましてから公表するという手順で行いたいと考えております。それでよろしいでしょうか。 伊藤委員長 それでよろしゅうございますか。   (各委員了承) 伊藤委員長 はい。では,そのようにお願いいたします。 澁谷参事官 ありがとうございます。   次に,次回の会議の予定でございます。   御案内のとおり,第65回評価委員会を8月13日木曜日で予定させていただいております。その際に,年度評価等の本日の議事事項につきまして,評価委員会としての御意見を取りまとめていただきたいと存じます。取りまとめに当たりましては,本日の御議論を踏まえまして,まずは事務局の方でたたき台の案を作り,来週,7月16日をめどに委員の皆様にメールでお送りし,併せて郵送でもお送りしたいと思っております。   委員の皆様におかれましては,大変恐縮ですが,その次の週の7月22日水曜日の18時までに,事務局宛てにメール等で御意見を頂けたらと存じます。御意見頂きましたら,事務局で整理いたしまして,取りまとめ案を作成し,次回の評価委員会の前に,できる限り早くお伺いしてお示ししたいと考えております。この間に,更に御質問等ございましたら,何なりと事務局宛てにお申しつけください。   また,本日使用した資料の郵送を御希望される委員の方がいらっしゃいましたら,資料をそのまま机上に残しておいていただければ,後日郵送いたします。   事務局からは以上でございます。 伊藤委員長 ありがとうございました。   委員の方々におかれましては,期間が限られておりまして,恐縮でございますが,御協力方よろしくお願い申し上げます。   それでは,以上をもちまして本日の評価委員会を終了させていただきます。長時間ありがとうございました。 ―了―