法制審議会 民事訴訟法(IT化関係)部会 第8回会議 議事録 第1 日 時  令和3年1月22日(金)自 午後1時00分                     至 午後6時06分 第2 場 所  法務省20階 第1会議室 第3 議 題  民事訴訟法(IT化関係)の見直しについて 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○山本(和)部会長 それでは,予定された時間となりましたので法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会第8回会議を開会いたします。   本日も御多忙のところ御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。   本日の出欠状況ですが,本日は衣斐幹事が御欠席と伺っております。また,門田委員が会議の途中から御出席される御予定,垣内幹事が途中で中座される御予定と伺っております。   それでは,本日の審議に入ります前に,配布資料の説明を事務当局からお願いします。 ○大野幹事 御説明いたします。本日は部会資料13「中間試案のたたき台(その2)」を配布させていただいております。こちらの資料は,前回会議における御議論を踏まえまして,部会資料12においてペンディングとしていた部分について記載をしたものでございます。本日は部会資料12について,前回の続きから順次御審議いただきました後,お時間に余裕がございましたら,部会資料13についての御議論を頂戴したいと考えております。資料の内容につきましては,御審議の際に改めて事務当局から御説明をさせていただく予定でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   それでは早速ですが,本日の審議に入りたいと思います。   なお,前回と同様のお願いとなりますが,本日も中間試案のたたき台を検討するということでございますので,それぞれに提示されている個々の案,選択肢等に対する賛否について御意見を頂戴するという趣旨ではございません。飽くまでもパブリックコメントを行う対象として,どういう形でどういうものをお示しするのが適当か,一般の方々からより御意見を頂きやすくなるかという観点から,この部会資料12あるいは13の内容及びその表現ぶりについて御議論を頂きたいという趣旨でございますので,どうかよろしくお願いをいたします。   それでは,前回の会議では,部会資料12の「第3 送達」のうち「1 システム送達」についてまで一応御議論を終えていただいたと思いますので,本日は資料11ページの「2 公示送達」の部分から御議論を頂きたいと思います。こちらの記載内容については前回,既に事務当局から御説明を頂いたところでありますが,この論点につきまして,どなたからでも結構ですので,御意見を頂ければと思います。 ○阿多委員 2点あります。1点は正に表現ぶりですが(2)は,2行目は「記録し」,そして4行目でも「記録し」,最後は「交付すべきこととする」と書かれていますが,2行目の「記録し」というのは書記官が裁判所のコンピュータに保管,保存することを「記録し」といい,そして,4行目の「記録し」というのは,理解する限りにおいては,被送達者自らがコンピュータにダウンロードし,つまり「記録し」と読むと思うのですが,分かりにくいですね。2行目をあえて「記録し」としなくても,説明にある保管,保存という表現にした方が解りやすいのではありませんか。現行法の規定も「送達すべき書類を保管し」となっています。それが1点。   もう1点は,本人確認です。説明では,基本的に実務の運用に委ねると記載されていますが,実務の流れを想像すると,公示送達期間中に被送達者から,自らに対する訴えではないかという問合せが裁判所書記官にあって,その後に被送達者が送達すべき書類を閲覧だけをするとか,さらに進んで,ダウンロードする,プリントアウトした書面の送達を受けるという流れになると思います。それも時期により公示期間内に送達する場面と公示期間後に事実上交付する場面などいろいろな場面が考えられるのですが。整理してゆくと,前者,つまり公示期間中に被送達者から問合せがあって電子書類を閲覧させるのは,訴訟記録の閲覧に振り分けるのかもしれませんし,公示期間中であればそのままシステム送達か送達に切り替えて扱うという形になるでしょうし,公示期間後であれば,被送達者に対する事実上の閲覧,交付をどう理解するのかという問題が生じます。その際,いろいろな場面で本人確認が問題となりえますが,本人確認について,部会資料7ページや15ページで,引き続き検討することになっています。私は,本来は本人確認だけで一項目を設ける必要があると考えていますが,それは別にして,公示送達だけ実務に委ねるとするのではなく,本人確認については切り出して引き続き検討するという注記にすべきという意見です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。2点ございましたが,事務当局からはございますか。 ○西関係官 引き続き,記載ぶりについては検討させていただきます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○小澤委員 説明によりますと,インターネット上に掲示する内容などは実務の運用に委ねられるため,本文に特記しないとされておりますが,センシティブな情報も含まれる可能性があるので,条文に明記してほしいというニーズも利用者側にはあるように考えております。そこで,(注)のところでその旨を記しておいた方がいいように思いました。また,裁判所に閲覧用の端末を設置するか否かなどについては最高裁の規則で定められるものと理解をしておりますけれども,それらの検討状況についても,補足説明において,できる限り記載した方がいいのではないかと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。事務当局,いかがでしょうか。 ○大野幹事 補足説明の点については,読む方に今の部会における議論の状況がどのようなものになっているのかという点が分かりやすく伝わるように努力をしたいと思います。 ○山本(和)部会長 あと,プライバシーの観点から,センシティブな情報を出さないみたいなことを(注)で書いたらどうかという御提案もあったように思いますが。 ○西関係官 こちらは補足説明に書くのか,(注)に書くのかというところはございますが,いずれにしましても,パブリックコメントの際に御意見を頂戴しやすいような形にするために,引き続き考えていきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。小澤委員,よろしいでしょうか。 ○小澤委員 ありがとうございます。 ○山本(和)部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○山本(克)委員 山本です。前に伺ったかもしれないのですけれども,民法98条との関係というのはどこかに記載されているのでしょうか。 ○山本(和)部会長 事務当局,いかがでしょうか。 ○大野幹事 本日お配りした部会資料においては特段の記載はございません。 ○山本(克)委員 つまり,民法上の意思表示としてこれで足りるのかどうかという点について,訴訟手続上の書類の受渡しというのはこれでいいのかもしれないけれども,民法上これで本当に意思表示が受領されたという擬制をしていいのかどうかという点については,もう少し考えなければいけない課題のような気もしますので,そこにも影響するのだということをどこかに書いておかないと,気付かない人もおられるのではないでしょうか。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか,事務当局。 ○大野幹事 公示送達と民法上の意思表示の関係については,民事訴訟法第113条も含め更に検討が必要な可能性もあるのではないかという問題意識が伝わるよう工夫をしたいと思います。 ○山本(克)委員 お願いします。 ○山本(和)部会長 民法98条も,この2項は公示送達に関する民事訴訟法の規定に従い,裁判所の掲示場に掲示し,と書いてあるから,これについても改正する必要が出てくるかどうかということですかね。 ○大野幹事 その点については,過去の部会でも若干御説明させていただいたところですが,民事訴訟法上の公示送達の規定を変えたときに,直ちに民法の方の規定が変わるというような関係にあるわけではなく,しかし,現段階では,民法の規定の改正の必要がないと言い切れるわけでもないものと理解をしております。民法の公示の意思表示の規定にどのような影響が出るかというのは,事務当局で更に検討したいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。   それでは,ほかにはよろしいですか。   それでは,引き続きまして,部会資料13ページ「第4 送付」の部分です。まず,事務当局から説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   本文1は,直送に関する規律でございます。(1)はシステム直送と呼んでおりますものです。(2)は相手方が通知アドレスの届出をした者でないときの紙媒体の直送でございます。   本文2は,裁判所が行う送付に関する規律でございます。システムを用いたものは(1)のとおり,システム送達そのものになりまして,(2)は本文1の直送と同じでございます。なお,相手方が通知アドレスの届出をした者でないときに,当事者が直送するのか,それとも裁判所が書面を送付するのかにつきましては,送達の場面と同様に幾通りかの考え方がございますので,こちらを8ページの(注2)のなお書きに付記しております。   本文3は,相手方の在廷しない口頭弁論において,準備書面に記載した事実を主張することができる場合の一つに,準備書面のシステム直送を受けた相手方がこれを閲覧したときを加えるものでございます。   御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,第4は全体として相互に関連すると思いますので,ここは特に区切らず,一括して御議論を頂きたいと思います。どの点でも結構ですので,お願いいたします。 ○日下部委員 2点,コメントをさせていただければと思います。   ただいま事務当局から,第4の1(2)の方法による直送のときに,必要となる書面を誰が用意するのかという問題については,部会資料のたたき台の8ページ,これは送達に関わる記載部分ですけれども,その(注2)のなお書きで言及があるという御説明がありました。その点は理解をしているのですが,読者に分かりやすい書面にするということであれば,第4の送付のところでもそうした説明をしておいた方が,考慮がなされていないのだという誤解がされないので,よいのではないかと思いました。   それから,2点目ですけれども,「3 相手方が在廷していない口頭弁論において主張することができる事実の範囲の拡大」についてですが,ここで言及されている準備書面の括弧書きの中での説明は,相手方の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録されたということが条件になっているのですけれども,これは先ほどの御説明では,閲覧に相当するものとして表現されているということですが,システム送達の際の効力発生時における表現と同様に,裁判所の方で確認をとることができる表現ぶりにする方が適切ではないかという御議論があったかと思います。同様のことはこの部分にも当てはまると思いますので,表現ぶりは再度御検討いただければと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。2点ありましたが,事務当局からコメントはありますか。 ○大野幹事 いずれも検討したいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○阿多委員 13ページで1点,先ほど藤田関係官から説明があった第4の1(2)の表現ぶりですが,送付すべき書類の写し,これは現行法のとおりですが,後半の送付すべき電子書類に記載された情報の内容を出力した書面の交付も当事者の相手方に対する直接の送付の対象として挙がっています。そうすると,当事者が送付すべき電子書類をプリントアウトして相手方に直接に送付することが前提のように読めてしまいます。しかしながら,先ほどの話ですと,当事者がプリントアウトして送付するのか,それとも裁判所でプリントアウトして送付するのかは議論があるということです。そうであるならば,(2)の「又は」以下も議論があることを明らかにして,(注)のコメントの対象にしていただきたいと思います。同じ表現が2(2)の「又は」以下にも使われていますが,こちらは裁判所が当事者に送付する場合に,裁判所でプリントアウトした書面を交付するという場面を指しており,1(2)と同じ表現ですが,1(2)において,当事者が電子書類に記録された情報の内容をプリントアウトして相手方に送付するのではなく,裁判所がプリントアウトして相手方に送付するという考え方を前提にするであれば,対象となる電子書類の作成者に違いがありますので,その点を(注)で説明してもらいたいと思います。   もう1点確認ですが,2の裁判所の当事者に対する送付の方法として,(1)を受けて,システム送達の方法によることができるとあります。3の(注)と関連するのかもしれませんが,裁判所が当事者に送付する場合にも概念としてみなし送付を認めるのかという質問です。3の(注)では,相手方の使用に係る電気計算機に備えられたファイルに記録されたものと記載されており,相手方が実際にアクセスしていなくてもアクセスしたものとして扱うことができる旨を定めていますが,意図しているのは,システム送達でのみなし送達に準ずるみなし送付という概念を認めるということですか。そうであるなら,送付の場面でもみなし送付という概念が適用されることを注か補足説明に記載していただきたいと思います。2点です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。2点,お願いできますか。 ○藤田関係官 1点目の御質問につきましてお答えいたします。第4の本文1(2)につきましては,飽くまで直送をする場合の規律でございます。そのような前提でございますので,現行法と同様に,当事者が紙媒体のものを送付するという前提の規律として記載させていただいております。ただ,現行法令におきましても,直送する場合にも裁判所を通じて送付してもらうというような規律もございます。その場合には,やはり本文2の裁判所の送付ということで,本文2(2)のとおり裁判所がプリントアウトされた書面を送付することを想定しておるところでございます。本文1の直送や本文2の裁判所が送付する場面における書面や手数料につきましては,8ページの(注2)のなお書きで記載させていただきましたとおり,いろいろな考え方があると,このように整理しております。   二つ目の御質問につきまして御回答いたします。裁判所がシステムを用いて送付する場合は,システム送達と同様の規律ということで,みなし閲覧のような規律も掛かってくるという前提でございます。他方で,本文3の場面は,裁判所のシステムを使った送付の場合のみならず,当事者がシステム直送をする場合につきましても規律が掛かってくるものでございます。その場合に,当事者のシステム直送であってもみなし閲覧のような効果が生じるかどうかというのは議論がございますので,そのことを前提といたしまして,本文3の(注)にも幾通りかの考え方があるという記載をいたしております。 ○阿多委員 そうすると,当事者が直接相手方に送付する場合と,裁判所が送付する場合とがあり,裁判所がプリントアウトして送付する場合は2(2)で読むという説明ですね。   また,当事者間で送付するという場合に,みなし送付を認めるかどうかは,3の(注)の記載だけではわかりません。システムを利用して直送する場合もみなし送付という考え方があることを補足説明で触れていただいた方がよいと思います。 ○大野幹事 現段階での事務当局の整理を御説明いたします。直送については,現行では規則事項になっているという前提があってのことなのですが,みなし閲覧のような法的効果を伴うものを仮に認めるのだとすると,法律で規定することも検討する必要が出てきます。仮に現行の法律と規則のすみ分けを維持するのだとすると,規則で規定される直送にみなし閲覧という効果を認めることができるかどうかの検討が必要ですが,少なくとも,その類似した効果として準備書面の陳述はできるという効果であれば可能かもしれません。そこで,事務当局としては,現段階では,そこまでは認めるという整理をしています。 ○阿多委員 部会でも申し上げていましたが,送達と送付は平成8年に法律事項と規則事項に振り分けられたもので,場合によっては平成8年の振り分けのままでよいのかも含めて検討する必要があると思います。私自身は,裁判所の事件管理システムを介する場面は,直送という概念からかなり離れていますので,法律事項とすることも含めて検討すべきと思います。この辺は意見になってしまいますが。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかに,いかがでしょうか。特段よろしいですか。   それでは,若干の検討事項の御指摘がありましたけれども,それを踏まえて今後の中間試案を引き続き作成いただければと思います。   続きまして,部会資料14ページ「第5 口頭弁論」の部分の議論に入りたいと思います。これも,まず事務当局から説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   本文1及び3は,これまでの会議において御提案したものと同じ趣旨の記載でございます。   本文2には,ウェブ会議中のディスプレイを無断で写真撮影するなどの行為を法律上禁止し,これに違反した場合の罰則を設けるものとする提案を記載しております。規則において,法廷における写真の撮影,録音,録画,放送は既に禁止されておりますが,ウェブ会議の利用を促進するなどの見地から,各種の期日や協議においてウェブ会議等や電話会議が利用される場面に限って,その音声や映像を記録されたり,又は放送されたりしてしまわないよう,特に保護するものでございます。   本文4には,裁判所書記官が準備書面等の提出の促しをすることができることについて,明文の根拠を設けるものとする提案を記載しております。また,(注)において,提出期間を経過したときに,裁判所がその提出を命ずることができるものとする考え方や,正当な理由なくその命令に違反した場合の罰則を設けるものとする考え方を記載しております。   御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この項目はそれぞれ中身がやや別になりますので,順次行きたいと思いますけれども,まず14ページの「1 ウェブ会議等を用いて行う口頭弁論の期日における手続」について,この部分につきまして,どなたからでも結構ですので,御意見を頂ければと思います。 ○日下部委員 中間試案か,あるいは補足資料の書き方の問題かと思うのですけれども,御意見を申し上げたいと思います。   口頭弁論の期日を含めまして,ウェブ会議等を用いて行う手続については,期日の場所として物理的にはどこが指定されるのか,裁判官はどこにいるのか,当事者が期日のその物理的な場所に出頭することが妨げられることがあるのか,傍聴はどこでどのように認められるのかといった提案の前提となる状況について,誤解を非常に招きやすいと理解をしております。日弁連の内部で検討する際にも,そうした前提についての誤解が無用な議論を起こすという例はこれまでもあったように思います。中間試案をパブリックコメントに付すに当たっては,多くの個人,団体がそうした前提状況を誤解して,後から考えれば不本意な意見を提出するという事態も考えられますので,そうした前提状況を中間試案自体においてか,補足資料の中で御説明いただくべきだと思います。   それから,2点目ですけれども,(注)の部分で,ウェブ会議を用いて出頭する者の本人確認に関する規律の在り方に言及されています。もちろんそのことについては必要だと思うのですが,本人確認のみならず,その者の所在場所及びそこにおける同席者の有無などの確認,それから,無断撮影等にも関わりますけれども,秩序維持の在り方も重要な課題だと思いますので,本人確認に並べてそうした問題意識も示していただく方が,より適切ではないかと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○藤田関係官 御指摘を踏まえまして,更に検討させていただきます。 ○山本(和)部会長 基本的には補足説明で対応させていただくということになるのだろうと思います。 ○阿多委員 重ならない質問をしたいと思います。1について従前の部会において,ウェブで参加する者に対して法廷警察権や訴訟指揮権がどういう形で及ぶのかについて,理論的な点も含めて議論があったと理解しています。後の2の写真撮影ではウェブにおける取扱いを提案されていますが,それ以外の裁判所の権能についてどう在るべきかに関する議論を(注)か補足説明で指摘いただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○大野幹事 御指摘の点については,過去の部会でもお尋ねを頂いておりまして,その時点での事務当局の理解というのは御説明を差し上げているところです。それをどういった形で表現すべきかという点については,引き続き事務当局で検討させていただきます。 ○大坪幹事 関連するところで質問なのですけれども,ウェブ会議の方法で出頭できるのは誰なのかというのが必ずしも明確ではなかったのですが,例えば傍聴人はウェブ会議の場に代理人などと一緒に傍聴することができるのかどうかというところは,現時点でどのようにお考えなのか教えていただけますでしょうか。 ○藤田関係官 お答えいたします。こちらの第5の本文1に記載しておりますのは,飽くまで当事者に関する規律でございます。傍聴人のウェブによる傍聴を想定した規律ではございません。 ○大坪幹事 そうしますと,その辺,例えば,代理人が本人と一緒にウェブ会議に参加する場合に,本人の奥さんとか会社の関係者とかが一緒に参加したいという場合には,それは認められないということになるのでしょうか。 ○藤田関係官 御指摘のとおりの規律であると理解しております。 ○山本(和)部会長 ウェブを通して参加できないということですね。 ○大坪幹事 ありがとうございます。そういうことでありますと,その点に関しては法律で定める必要があるのではないかと思うのですけれども,その点はいかがですか。 ○大野幹事 現行の法体系の下でも,関係者の方が弁論にいらっしゃるということはあるのだろうと思いますが,法廷のバーの内側に入るということはないという理解をしております。それと同じことだという整理です。 ○大坪幹事 弁論準備の場合には169条で,相当と認める者は傍聴を許すことができるとされているのですけれども,その点との関係はいかがですか。 ○藤田関係官 弁論準備手続における傍聴につきましても,当事者がウェブで出頭している際に,その端末の前に傍聴人がいるということを想定した規律ではございません。飽くまで裁判所に出頭して傍聴することということを前提とした規律でございます。 ○山本(和)部会長 現状,オンラインで実施している弁論準備等での取扱いは,どなたか何か分かりますか。 ○阿多委員 実務では,書面による準備手続や弁論準備手続にウェブ会議で参加する場合,事前に裁判所に利害関係人,関係者が同席していることに言及し,カメラで関係者本人を映して,こういう人物がいますと説明し,相手方の意見を聞いて裁判所の許可をもらっています。先ほど大坪幹事が挙げた例は,会社の関係者であれば,釈明処分等に規定のある準当事者に該当するので,そういう場合はバーの中というか,期日に同席しているとして扱うことはあり得るとは思いますが,バーの外の全くの傍聴人は考えられないと思います。 ○大野幹事 現在の実務でも,電話会議の場において,電話の向こう側に関係者がいるとの申告があった上で手続がされるということは,運用としてはあり得るのだろうとは思います。ただ,そういう場合に,それをここでいう傍聴が許された者としているかというと,そこまではされていないのではないかとも推測されます。先ほどの御質問は,やはりそれと同じなのではないかということになろうと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。大坪幹事,よろしいですか。 ○大坪幹事 はい,取りあえず,以上です。 ○藤野委員 主婦連合会,藤野でございます。   今までのこの部分のやり取りを聞いていて想像は付くのですけれども,この文中に映像と音声の送受信により,とあるのですけれども,これは映像と音声がそろうということが条件と思ってよろしいのでしょうか。私どものウェブ会議,今回もそうですけれども,映像を消すこともできますので,その辺りが,又はほかの場面で電話会議というシステムがあることも存じておりますので,ここはどうなのかということを質問させていただきます。お願いいたします。 ○山本(和)部会長 それでは,裁判所から現在のウェブ会議の運用について御紹介いただくことは可能ですか。 ○富澤幹事 フェーズ1の運用について御説明させていただきます。フェーズ1の運用は,弁論準備手続の期日や書面による準備手続の協議の中で行われていますので,現行法上,音声の送受信による電話会議の方法で行うこともできます。他方,ウェブ会議の方法による場合には,音声に加えて映像も送受信する形で手続を進めているところでございます。これが口頭弁論期日でもウェブ会議の方法によることになりますと,今の御提案では「映像と音声の送受信により」となっておりますので,映像が映し出されていることを前提に議論がされているものと認識していました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。事務当局からコメントはありますか。 ○大野幹事 事務当局からも御説明いたします。映像と音声の送受信は,基本的にはその手続の全てにおいて,それが双方きちんとそろっているということが前提だということをまず御理解いただければと思います。ただ,ウェブ会議においては,例えば回線の都合などで一時的に映像を切っておいた方がいいというような場面もあるということは承知しており,実務上の運用として,手続に支障のない範囲で少しだけ映像を切るとか,黙っている間はマイクを切るとか,そういった運用までを否定しているつもりではございません。 ○藤野委員 ありがとうございます。先ほどから,傍聴人が立ち会うことを禁止する等ございましたので,今の運用の中で,映像を切っていいかどうかというのは少し難しいのかなと思いました。もし両方が必要ということでしたら,もう少し強く,映像と音声の両方をと書いた方がよろしいのかなと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。基本的に今の言葉は,同じようなテレビ会議での証人尋問というのが現行法にもありまして,そこでこの映像と音声の送受信によりという文言が使われているので,それに倣ったものだと思いますけれども,御趣旨はそのとおりだと思いますので,補足説明等で明確にしていただくことにしたいと思います。ありがとうございました。   ほかに,この1の部分,ございますでしょうか。 ○大坪幹事 15ページの説明のところの意見の取扱いについて,確認です。期日の取消しに係る権限を裁判長にするという意見が書かれていて,個人的には単独で裁判長が期日を取り消すことができるのであれば,合議の場合に裁判長が決めても,安易な期日変更がなされ,それで訴訟が遅延するということはないように思うのですけれども,この説明では,最後の方で,裁判長ができる他の裁判との整合性等を考慮する必要があるという記載があって,やや消極的なニュアンスが受け取れるのですが,そういう趣旨で,特に(注)等にも入れずに,こういう記載になっているということなのでしょうか。 ○山本(和)部会長 事務当局から御説明いただけますか。 ○大野幹事 期日指定の関係につきましては,仮にそのような規律を実現するとしたときに,何にどこまで影響するのかという点の検討がまだ進んでおりませんし,議論も成熟していないという理解でございましたので,こういった記載とさせていただいております。 ○大坪幹事 もし差し支えなければ,合議の場合に裁判所であることによって何か具体的な支障があるかどうかについて,裁判所の方から御説明いただけるといいかなと思いますが,いかがでしょうか。 ○山本(和)部会長 裁判所の方から何かございますでしょうか。 ○渡邉幹事 以前にも申し上げましたが,現行法の下では,期日の指定は裁判長が行うことができるのに,期日の取消しは裁判所,すなわち合議体で審理する事件であれば合議体の構成員3人で行われなければならないことになっております。東京地裁のような大きな庁であれば基本的には合議体の構成員3人がそろっていることが多いのですけれども,例えば,私が以前勤務していた盛岡のような庁ですと,合議体の構成員の一部がほかの業務をやっていたり,支部に填補していたりして,なかなか3人がそろわないといったこともございます。そういった点で,簡単に合議体構成員3人が集まって期日の取消決定をするということが難しい場合もございますので,迅速に期日変更をすることができないことが課題であると考えているところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○大坪幹事 ありがとうございました。 ○大野幹事 先ほどの事務当局からの御説明についての補足でございますが,こちらが申し上げた影響というのは,実務運用上の影響ではなく,法体系上への影響という趣旨です。法体系上の整合性を更に深く検討していく必要がある事柄だと理解しているという趣旨でしたので,その点だけ補足をさせていただきます。 ○山本(和)部会長 大坪幹事,よろしいですか。 ○大坪幹事 はい。 ○山本(和)部会長 1については,ほかにはございませんか。よろしいですね。   それでは,2の無断での写真撮影等の禁止,今回新しく加わった部分に入りたいと思います。 ○湯淺委員 湯淺でございます。   2の箇所で,先ほど来いろいろ御議論のある音声の録音等につきましてですが,放送という言葉が用いられております。これを中間試案としてパブリックコメントに掛けるときに,放送という言葉を使うと,これは放送法上の放送に限定されるのか,それともインターネットに広く公開してしまうこと一般を指すのかが,恐らくこれを読んだだけでは分かりにくいように思いますので,ここでいう放送というのは広くインターネットに公開してしまうこと一般を指すのかどうかということについて,何か説明なり補足なりがあった方がよろしいかと思いますが,いかがでしょうか。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。事務当局のお考えはいかがでしょうか。 ○藤田関係官 御指摘を踏まえまして,こちらの趣旨をより明解にさせていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 基本的にはそういうインターネット等に拡散するのも含むという理解でいいですか。 ○藤田関係官 はい,そのような理解で結構でございます。 ○山本(和)部会長 湯淺委員,いかがでしょうか。 ○湯淺委員 分かりました。どうもありがとうございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,ほかにこの2の部分。 ○青木幹事 2のところですが,民事訴訟規則77条の法廷における制限と比較して,速記が含まれていないことについてお尋ねですが,御提案によると,音声認識の機器やソフトを利用して逐語的に文字起こしを作成するということは禁止の対象とはされないということになるでしょうか。期日における発言内容の把握や記録をする上で有用なツールであり,取り分け聴覚障害者にとっては必要なツールかと思われますので,禁止の対象としないことに反対ではありませんが,録音,録画が禁止されることの趣旨との関係で,例えば,作成された文字起こしを公開するようなことについては制限することを検討する必要があるかとも思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。事務当局のお考えはいかがですか。 ○藤田関係官 御回答いたします。機械による逐語的な速記につきましては,これを禁止の対象とすることももちろん考えられます。禁止の対象とすべきかどうかも含めまして,事務当局におきまして更に検討の上,記載ぶりを検討し,必要に応じて変更させていただきたいと考えております。 ○山本(和)部会長 御指摘ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○阿多委員 まず,先ほど藤田関係官の説明は,2の射程について,想定されるのはウェブ上の場面であって,現実の法廷の場面で罰則の規定を設けることはないという趣旨と理解したのですが,そういう理解で間違いがないのかを確認するのが1点目です。   2点目は,義務の対象者は当事者以外に傍聴人も含まれると理解しますが,現実の法廷において,当事者がウェブ会議で参加している場合,裁判官は現実の法廷にいて,傍聴席から裁判所のモニターに映る映像を見たり音声を聞いたりしていると思いますが,傍聴人がそれら映像を録画録音した場合に,制裁の対象になるのですか。録画等を現実の法廷で行っているので,対象にならないのかという質問です。   3点目は,放送について指摘がありましたが,公衆周知の方法としては,録音内容を文字に起こしてビラにして配るとか,ウェブで実施されている内容をアナログな方法で広く知らしめる場面が考えられますが,罰則になると,罪刑法定主義の関係があって,どこまで含めるのかという限界があると思います。あえて放送というか,ウェブ上の送信に限定されるのか,それとも,アナログな紙での配布場面も含めて対象に考えのかについて回答をお願いします。 ○山本(和)部会長 それでは,3点あったのですかね,事務当局から。 ○大野幹事 「P」という形ですけれども,事務当局から御提示しているものは,この部会の過去の会議で御指摘を頂戴いたしました懸念を踏まえたものです。具体的には,ウェブ会議の拡大に伴って,ウェブの向こう側で裁判所からは判断が全くできない形で録音,録画等がされ,また,更にそれが拡散されるおそれがあるという強い懸念が示されたということを受けまして,そこを捉えているつもりです。ですので,口頭弁論の手続はウェブ会議で行われている中で現実に傍聴をしている方が録画などをするというような阿多委員が今おっしゃった場面については,ここでの制裁の対象として御提示をしているものではありません。現実の傍聴に際して録音,録画等をする行為というのは,その手続がウェブ会議で行われていようと,行われていまいと,現に今でもあり得る話であって,ただ,そのようなものについて制裁を設けるべきだという御議論が今まではなかったと理解をしておりますので,このようにさせていただいたというものです。また,そういった議論の経過では,ITツールを使ってより拡散が容易になるというところを押さえるべきだという前提でございましたので,差し当たりアナログな行為というのは対象とはしておりません。 ○阿多委員 趣旨は理解しました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○富澤幹事 大野幹事から御説明があったとおり,今回の提案は,ウェブ会議等で行った場合には無断で録音,録画される可能性が高いので,そのような事態が生じた場合に対応する規律を考えておこうという趣旨のものと理解しております。他方で,現状を申し上げますと,裁判所に現に出頭している傍聴人等につきましても,無断で録音,録画しているおそれがないわけではございません。このような実態がどの程度あるかということは,陰に隠れてしまっていますので分からないところですが,実際に法廷の様子が無断で録音,録画されたケースがないわけではございません。  そう考えますと,ウェブ会議等により手続が行われている場合に限らず,その他の場合でも無断で録音,録画された場合には罰則を適用するといった法制も考えられるのではないかと思っており,この点についてもパブリックコメントの中で意見を出せるような形で,補足説明等に記載をしていただきたいと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。では,補足説明等で。 ○大野幹事 事務当局でございます。ただいま御指摘いただきました点は,何も民事訴訟手続に限った話ではなく,極めて広範に影響を及ぼし得る話であるということが指摘としてはあろうかと思います。また,富澤幹事のおっしゃったことは,今でも民事訴訟規則上は禁止をされている行為でございまして,それを超えて制裁を設けるということになると,その内容が何かにもよるのかもしれませんけれども,より一段強い立法事実というのが必要になるのだろうとは考えているところでございます。 ○山本(克)委員 この写真の撮影,録音,録画又は放送というのが基本的に規則77条,先ほど青木幹事から御指摘がありましたように,速記は抜けているわけですが,77条の文言を利用したものであるようなのですが,映像又は音声についての写真の撮影って一体何なのだろうという気がします。むしろ写真の撮影というのは,出席している方の写真を,静止画像を撮るという趣旨なのではないのか,映像を写真に撮ることは,もちろんウェブ会議で使っているシステム上に表れている映像を写真に撮るということもあり得るのですけれども,それでは狭すぎるのではないのかという感じがしますし,そうすると,録音,録画も別カメラで,いろいろな撮り方があり得るので,本来考えていることより狭くなりすぎているのではないかという感じがするのですけれども,いかがでしょうか。 ○藤田関係官 御指摘のとおり,例えばパソコンのディスプレイのスクリーンショットを写真の撮影という文言で表し切れているかなどの問題はあると存じます。この表現ぶりにつきましては,御指摘も踏まえて更に検討させていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 御指摘ありがとうございました。 ○笠井委員 細かい表現の話なのですけれども,罰則という言葉を使うと,刑事罰がぱっと,かえって法律家の方が思い浮かんでしまいそうな感じがします。先ほど阿多委員が罪刑法定主義という言葉も使われました。民事訴訟法にも過料もあれば罰金などもあるわけです。罰則という言葉を使われても構わないとは思いますけれども,もう少し広い意味での制裁という意味だということが分かるような表現がもしあるのであれば,その方がいいかなと個人的に思うところです。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。事務当局,何かありますか。 ○大野幹事 御指摘の点につきましては,補足説明での説明をさせていただくということなども含めまして,更に分かりやすい方法があるかどうかというのは検討したいと思います。 ○笠井委員 ありがとうございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○大坪幹事 ウェブ会議でできる期日等には,204条が改正されるとハイブリッド方式での証人尋問というのもウェブ会議でできるようになると思います。さらに,進行協議期日,これも改正されると187条の簡易な証拠調べとしての審尋もあると思うのですけれども,これらも罰則の対象に含まれるという理解でよろしいのでしょうか,改正された場合には。 ○山本(和)部会長 いかがでしょうか,口頭弁論以外のところということですが。 ○藤田関係官 御指摘のとおり,現状の本文の記載ぶりでは含まれていない審尋や進行協議においてウェブ会議等や電話会議が使われる場合,こちらも対象にすべきというような御意見もあり得ると思います。そちらを含め得る表現につきましては,更に検討をさせていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。進行協議は現在,規則で規定されていて,しかし罰則は法律で書かないといけないということで,法制的には若干難しい問題もあるかもしれませんが,御指摘はごもっともと思いますので。   ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,続きまして,3の口頭弁論の公開に関する規律について,これはこれまでもあったものですけれども,何かございますでしょうか。 ○阿多委員 確認です。ハイブリッド方式,裁判官の構成員の一人が裁判外にいるという場合で,現状のテレビ会議システムのように他庁の物理的な裁判所を借りて実施するとき,つまり複数の法廷が使われている場合には,本来の受訴裁判所だけの法廷を考えているのか,共助で利用する他庁の法廷も公開の対象になるのかという点はどちらですか。 ○大野幹事 ハイブリッド方式についてはまた改めて御議論いただく機会があるのだろうと思っておりますが,現段階の事務当局の整理では,口頭弁論は,合議体であれば法廷に裁判官3人がそろっている状態が前提になっております。そして,ここでいう口頭弁論の公開というのは,その状態での公開を意味しており,先ほど申し上げたようにハイブリッド方式のような場合については,このような公開が前提とされているという理解ではないというのが事務当局の現段階での整理です。 ○阿多委員 結構です。 ○山本(和)部会長 よろしいですか。   ほかに,この3の部分,いかがでしょうか。   よろしいですか。それでは,続きまして,これも新しく入った項目ということになりますが,「4 準備書面等の提出の促しに関する規律」,これについて御意見があればお伺いしたいと思います。 ○日下部委員 この4の準備書面等の提出の促しに関する規律の本文部分については,特段コメントはございません。気になりましたのは(注)の部分でして,裁判所にその提出を命じる権限を与えるという考え方や,当事者が正当な理由なくその命令に違反した場合の罰則を設けるという考え方について,確かに部会の中でそういった御意見が出たことは記憶しているのですけれども,それを支持するような御意見というのがどれほどあったのだろうかという気もいたしますし,この(注)の中であえて述べる必要まであるのだろうか,何か言及するのだとしても,補足説明の中で触れれば十分なことではないかと感じました。これは議論の中での重みの評価の話ですので,個人的な見解でもありますけれども,お伝え申し上げます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○品田委員 今の日下部委員の御指摘の箇所と重なるのですけれども,私もこの「第5の4(注)」について申し上げたいと思います。この(注)の記載というのは,正に第3回会議で意見が出されたものが反映されたものと認識しております。その内容は,正に実務上の課題となっている準備書面の早期提出を実現するということとして,賛成ではございます。もっとも,準備書面の早期提出を実効的に確保するというための方策としては,この(注)に書かれた規律に限られるものではなくて,例えば,準備書面の提出期限を徒過した理由の説明義務を課すといった制度も考えられると思っています。そこで,中間試案やその補足説明などにおいて,この(注)に記載されたものは,言わば準備書面の提出期限が遵守されるようにするための規律の例示にすぎず,(注)に記載したものに限らず広く意見を聴取するという趣旨の記載とするのが相当ではないかと考えているところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○富澤幹事 「第5の4(注)」に関しまして,先ほど,日下部委員の方からどれほど賛同があったのかという御指摘がありましたけれども,先ほど,品田委員の方からも賛成というご意見がありましたように,実際に,下級裁と話をしましても,準備書面の提出期限が守られていないといった実情は多く聞かれるところでございます。そのため,部会の中で明確に発言をしていなかったかもしれませんが,裁判所としては,このような提案については強く賛成をしているところでございます。したがって,中間試案ではこの(注)の記載を維持していただくのがよろしいと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにこの部分について,ございますでしょうか。 ○小澤委員 私もこのような提案の仕方で賛成なのですが,簡易裁判所においても,相手方の代理人から当日に準備書面が提出されるということを私も相当経験をしておりますので,このような規律を設けていただくこと自体にも,訴訟の円滑な進行に資するものとして賛成をしています。意見として,訴訟代理人がいる場合や,書類作成者として司法書士がいる場合と,全く法律専門家がついていない場合とは,分類できると思いますので,罰則の主体など,そういったものは補足説明において整理がなされると,意見がしやすいのではないかと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○山本(克)委員 罰則という言葉が少しぎらぎらしているなというのは確かだろうと思うのですけれども,意見があったというだけの話ですから,記載するのが悪くはないと思うのですが,157条の2と同様の規律を置くという選択肢もあり得るように思いますので,その辺りもできれば,(注)に書いてくださいということではなく,補足説明等でその辺りにも触れていただければなという感じがいたします。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。   複数の委員,幹事からこの(注)の形で残した方がいいのではないかという御意見も出たと思いますので,日下部委員,この(注)の形で残すということでよろしいですか。 ○日下部委員 別に私の承諾がどうこうということではございませんので,お任せ申し上げます。 ○山本(和)部会長 補足説明での書き方は工夫していただければということかと思います。   ほかにいかがでしょうか。4の部分,よろしいでしょうか。   それでは,この第5の部分全体で,2の写真撮影の問題は,特にこの文言,放送であるとか写真撮影,録音,録画,これでいいのか,速記とかの問題をどうするのか,あるいは罰則ということの中身についても御議論がありました。あるいは,リアルの場にも更に拡張すべきという御意見もありました。ここは幾つか御意見が出ましたので,その文言を含めて,事務当局で更に精査をして,中間試案の成案につなげていただければと思います。   それでは,よろしければ「第6 新たな訴訟手続」の方に移りたいと思います。資料16ページです。これも,まず事務当局から説明をお願いいたします。 ○波多野関係官 説明いたします。   新たな訴訟手続につきましては,従前の内容を基本的に維持しております。甲案は,手続全体を一つの特則として法定することを指向するものの概要をモデルとして示すものでございます。乙案は,紛争の実態を最も把握する当事者のイニシアチブによって訴訟の進行を決定していくことを指向するものの概要を一つのモデルとして示すものでございます。丙案は,新たな訴訟手続の規律を設けないというものでございます。   従前の会議におきまして,甲案についても被告側から新たな訴訟手続による審理及び裁判を求める旨の申述をすることができるという規律を設けるべきであるという御意見もありましたので,その点を踏まえまして(注2)でそのような考え方を記載しています。また,(注3)では,訴訟代理人の選任を必要的とするかどうかにつきまして,甲案及び乙案との組合せを整理しております。さらに,乙案では通常訴訟手続への移行の規律は不要ではないかという考え方もお示しいただいているところでございますので,その点を(注4)で提示しているところでございます。   説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   前回の会議で3案を御議論いただいたわけでありますが,いずれの案についてもそれぞれ御賛成の意見があったという理解の下に,中間試案でもこの3案併記で聴いてみたらどうかというのが原案ということになりますが,いかがでしょうか。この点について,どなたからでも結構ですので。 ○山本(克)委員 私が今まで理解してきたところは,甲案と乙案は排他的関係にあるのではなくて,両立するのではないのかという気がしていたのですけれども,この提案は,いずれかの案によるものとすると柱書きがなっておりますので,甲案,乙案は併存し得ないということを前提に提案されているのでしょうか。もしそうであれば,私は甲案及び乙案の両方を採用するという選択肢も意見照会に値するのではないかという気がしております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。事務当局の御趣旨としてはいかがでしょうか。 ○波多野関係官 波多野でございます。甲案と乙案は,山本克己委員御指摘のとおり,必ずしも排斥し合わないものと整理することができるのかなと思っているところでございます。したがいまして,柱書きの書きぶり等につきまして,更に検討させていただければと思います。 ○山本(和)部会長 御指摘ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○佐々木委員 以前,この新たな訴訟手続の需要について企業の立場から意見を申し上げたときに,私は企業が被告の立場になることをイメージして申し上げておりました。それで,甲案で(注2)のところに,被告からこういう手続を求める旨の申述をすることができるという考え方があると書かれているので,それはそれでも結構なのですけれども,甲案の本文の方に被告からも求めることができるというのを最初から書いていただくことも御検討いただけないかなと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。事務当局,いかがでしょうか。 ○波多野関係官 今御指摘いただきました甲案でございますが,こちらは現在ある手形・小切手訴訟ですとか少額訴訟のような手続で,訴えを提起する原告側に一次的な手続選択権があることを参考にしながら設計をしたものでございます。今,佐々木委員から御意見いただきましたように,被告からこのような手続を求める旨の申述をすることもあるのではないかという御指摘も受けましたので,(注)に記載させていただいたところでございます。本日の御指摘も同じ問題意識と受け止めておりまして,他の制度との整合性なども考えながら,問題意識を踏まえて補足説明で記載するのかなどの記載方法について検討させていただければと思います。 ○佐々木委員 承知しました。ありがとうございます。 ○日下部委員 主として乙案の示し方について意見を申し上げたいと思います。部会資料の中でも書かれておりますけれども,乙案というのが紛争の実態を最も把握する当事者のイニシアチブにより訴訟の進行を決定していく,そういう考え方に基づく一つのモデルを示すものというように説明されております。これは,つまりは当事者双方が計画的に審理を進めていくことに合意していることを前提とする,当事者主導型の手続ともいえるのではないかと考えておりまして,そうであれば,中間試案で提示するものは,甲案との対比がより分かりやすいように,そうしたコンセプトにより忠実なものを示す方が,モデルを示すという意味では,よいのではないかと思いました。そういう観点から,二つの部分については,乙案の示し方について御再考を頂ければと思っています。   1点目は,開始要件についてです。現在示されている乙案では,共同の申立ての時期は第1回口頭弁論期日が終了するまでというように書かれておりますけれども,当事者主導型で計画的な審理をする契機を作っていくということであれば,第1回口頭弁論期日の終了時までと限定する必要は必ずしもないのではないか,それがいつまででもいいというのもおかしな話ですので,例えば争点整理手続が終了するまでといった形の定め方もあるかなと思いますけれども,乙案のコンセプトを純化していくということであれば,共同の申立ての時期についてはもう少しフレキシブルな考え方をモデルとして示す方がよいのではないかと思います。そうであれば,申立ての方式については,今現在は特に定めはないと思いますけれども,当事者の意思をより明確に確実に示してもらうということから,書面でするということを併せて求めることも考えられると思いますので,乙案自体の内容をそのようにするとか,あるいは(注)の中でそうした考え方も示されてもよいのではないかと思いました。   2点目は,審理期間についてですけれども,こちらも現在の乙案では審理期間を6月以内にするということを前提としておりますけれども,当事者主導で計画的な審理を進めていくという契機にするということであれば,審理期間を6月というように法定する必要はなく,当事者双方が合意できる期間であればよいというように柔軟性を持たせた制度設計をモデルとして示す方が,中間試案における記載としては適切ではないかと思いました。仮にそのようにするのであれば,現在の乙案の3(4)のように,審理の各段階の期間や時期を具体的に法定する必要もないということになると思いますので,その点も併せて御検討いただきたいと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。事務当局から何かコメントはございますか。 ○波多野関係官 御指摘いただきました1点目は,基本的には早期に事件の終了までの見通しを立てるということが今回の検討の出発点であったこともありまして,第1回口頭弁論期日を一応提示させていただいているところでございます。もっとも,乙案においては,日下部委員から御指摘ありましたように,審理計画を立てて迅速に進行させることに意味があるということであれば,その問題意識をうまく吸収できるような形で検討しなければいけないということかなと思いましたので,書面でするべきなのかどうかの辺りを含めて検討させていただければと思います。   審理期間の6か月の関係は,それも一つのモデルとして何らかの期間を示した方がいいということもありまして,お示ししているところでございます。乙案におきましては,当事者の合意でそれをたたき台にして計画を作り上げていくということになろうかと思いますので,当事者で合意がされれば変更可能だということは当然のことかと思っております。その上で,6か月に縛られてしまうような形で受け止められない方がいいということなのかなとも思いますので,記載ぶりを含めて検討させていただければと思います。 ○山本(和)部会長 よろしいですか。 ○門田委員 ここまでの議論の現状について念のために確認をしておきたいと思うのですけれども,第6回会議で乙案が新たに示され,甲案と乙案についてそれぞれ支持するご意見が述べられたと思っておりますが,丙案を支持する委員や幹事の御意見は特になかったのではないかと理解しております。その場合にも,丙案を中間試案であえて残す必要があるのかということについて伺えればと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。丙案を支持する人はいないのではないかということですが,規律を置かないという立場の委員,幹事はおられないという理解でよろしいですか。 ○阿多委員 私が丙案を支持するということではないのですが,回答をする立場になりますと,甲案も駄目だ,乙案も駄目だという場合に,甲案反対,乙案反対という意見を記載するのか,それとも丙案に賛成するという意見を記載するのかという選択肢の問題だと思います。逐一反対という意見を記載するよりも,いずれも反対という意見をまとめた選択肢がある方が意見しやすいと思います。そういう意味で残していただけたらと思います。 ○藤野委員 主婦連合会・藤野でございます。私は反対でございまして,消費者問題を扱う弁護士先生と私ども消費者団体の勉強会等でも,この新たな訴訟手続については心配な点が多く,慎重にしていただきたいという意見があります。今までの議論の中での理解では反対でございまして,是非この丙案は置いておいていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,小澤委員,お願いします。 ○小澤委員 (注3)のところなのですが,訴訟代理人の選任を義務的とする考え方については,本人訴訟を原則とする民事訴訟法の根幹に関わる問題と考えていますので,補足説明において,そのような点についても触れていただければと思います。   もう1点なのですが,注意書きに,この新たな訴訟手続について簡易裁判所にも広げていいのではないかという意見を述べたと思いますので,これについても入れていただければ有り難いと思っています。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。よろしいですか,補足説明で。 ○波多野関係官 補足説明の書きぶりにつきまして,小澤委員の御指摘を踏まえて検討していきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○笠井委員 先ほどの日下部委員の御意見で,その御趣旨が,当事者が全部決められるというようなお話だったのか,裁判所がどう関与するのかということについて,よく理解できなかったところがあるのですけれども,ともあれ,まずは職権進行主義というのは恐らく前提にあると思いますので,それを前提にして,かつ,こういう定めを置くことについて,前回私,レディメイドの手続というのがいいのではないかという話もしました。ですから,私自身はこういう乙案の3(4)で,アからエというような,何月以内といった,そういった法律の定めを置くということに意味があると思っておりまして,乙案はこのままで提示していただければなと思っております。以内でありますので,それより短くするということであれば,当事者がそれを望めばできるというところだと思います。現在の147条の3の規定というのは余り使われていないと聞いておりますけれども,当事者や裁判所が自由に決められるみたいな話になってしまうと,また使われなくなるのかなという感じもしますので,こういうある程度の枠組みみたいなものを作った規定があることには意味があると考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 形式的なことで申し訳ありませんが,書きぶりが甲案と乙案とが大分違う印象を受けます。例えば,通知アドレスの届出ですが,甲案では,17ページの上から3行目のイで,当事者の一方又は双方が通知アドレスを届け出ないときには通常移行すると整理されていますが,乙案では,2(2)に届出をしなければならないとあるだけで,届出をしなければどうなるのかについては,読む限り記載がありません。元々第6の柱書きは,IT化を契機としていますので,甲案自体も通知アドレスを届け出た原告が申し立てることを想定していると思っていましたし,イには当事者の一方又は双方と記載されていますが,原告が届け出ないという場面が想定されるのかも疑問です。甲案,乙案の表現ぶりについてもう一度整理いただけたらと思います。 ○波多野関係官 阿多委員の御指摘のとおり,甲案と乙案で通知アドレスの届出をしていないときの扱いについて,少しずれているということでございまして,そこは再度,整理をさせていただければと思っております。ただ,甲案でも乙案でも,申出をする際にも通知アドレスの届出をしていないと駄目かというところについて,今回,整理をする際に,そこまで求めなくても,この新しい手続を使いたいと申出をした後に届出をするという選択肢もあるのかなと考えまして今回このような書きぶりにしてみたところではございますが,この辺り,もしそうでない方がいいということであれば,御意見を頂ければと思います。 ○阿多委員 意見の場ではないと思いますが,シンプルに最初から,届出をした人が利用するという整理が分かりやすいと思います。 ○波多野関係官 その上で検討させていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○門田委員 まず,先ほどは私の認識違いだったようで,藤野委員には大変失礼いたしました。   ところで,その前に山本克己委員から甲案と乙案は両立し得るのではないかという御指摘がございました。私個人としては,前回申し上げたとおり,単純な甲案を支持しているところですが,それは取りあえずおくとしても,甲案と乙案が二者択一ではないというのは,私もそのとおりであると思っておりました。具体的に申し上げると,単純に甲案と乙案の二つの提案を並べて,事案や当事者の意向によって両者を使い分けられるようにする,あるいは,手続や要件が堅い甲案を原則的な形態としながら,当事者の意向や裁判所が相当と判断した場合には,いきなり通常手続に戻すのではなくて,乙案に移行するというモデルも考えられるように思いますので,指摘させていただきます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○富澤幹事 今回の中間試案のたたき台で提案されている甲案と乙案は,飽くまでも新たな訴訟手続の一つのモデルが示されているものと理解をしております。したがって,甲案と乙案の具体的な内容については,更なる見直しの余地もあることを中間試案の本文あるいは補足説明の中で明記しておいていただく必要があると考えています。   例えば,甲案では,現在,当事者のイニシアチブで通常の手続に移行することができないことになっておりますが,仮にそれが乙案を支持する大きな理由になっているのであれば,甲案にも乙案と同じように,当事者のいずれかから通常の手続に移行させる旨の申述がされたときには通常の手続に移行することができるようにすることも考えられると思います。甲案を採った場合に特則性をどの程度維持することができるかといったあい路もあることは理解しておりますけれども,甲案と乙案は必ずしも両立し得ないものではないという山本克己委員の御指摘にも関連するかと思いますが,具体的な手続の要件については見直しの余地があることを補足説明等で記載していただけると有り難いと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○増見委員 増見でございます。ただいま最高裁の方から御意見のあったところとほぼ重なってしまうのですけれども,甲案,乙案を拝見しておりまして,いずれもこちらの方がよいなという部分が両案にあるので,甲案,乙案が独立した提案というよりは,それぞれの条件において二つの選択肢があり得るという形の方が,意見としても言いやすいのかなという印象を持っております。というのは,例えば,申立てには原告だけでいいという考え方と,共同の申立てによるという考え方があるというのが一つであったり,証拠調べにおいても,即時に取り調べることができるものに限定するという考え方と,計画にのっとるのであれば限定しないという考え方があるとか,それぞれハイブリッドにすることが可能ですので,少し整理の仕方として違うやり方もあるのではないかと思いましたので,その旨の意見でした。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○日下部委員 しばらく前に笠井委員の方から私の発言についてコメントを頂いたかと思いますので,少し補足をさせていただければと思います。   乙案で私が開始要件と審理期間について,当事者の合意による柔軟性をもう少し持たせる考え方を乙案として示す方が,モデルとしてはよいのではないかと申し上げました。それと職権進行主義との関係ですけれども,乙案をベースにする場合であったとしても,当然のことながら,審理計画を考える際には当事者に併せて裁判所も実務的に十分な審理ができるかどうかということを考慮して,計画を立てるということになりますでしょうし,計画が立った後に,それに沿って進行するということは当然,裁判所が職権で行うべきことでありますし,かつ,元々定められていた審理計画では十分な審理が難しい,できないということであれば,裁判所のイニシアチブによって通常の手続に戻るということも予定されておりますので,職権進行主義との緊張関係を考えた上で,乙案における審理期間を6月,あるいはその中での内訳を法定することが必要,妥当なのかということについては,個人的には疑問を持っております。   なお,実務的に申し上げますと,審理期間が6月以内ということを乙案の所与の前提としてしまいますと,この手続を使うことができるケースというのが大分限定されてしまう。例えば,言い換えますと,のんびりだらだらやれば2年ぐらい審理が続きそうな案件を1年以内の審理で終わらせたいといったニーズを捕捉できなくなる可能性がありますので,柔軟性を持たせる方が乙案のコンセプトには合っていると思います。   それから,2点目ですけれども,先ほど富澤幹事の方から御発言がありましたとおり,甲案にせよ,乙案にせよ,一定のコンセプトに基づく一つのモデルとして示されているものであって,その内容については今後の検討によって調整をしていく,見直しをしていくということが当然想定されているものだと思いますし,そのことを中間試案の中で,あるいは補足資料の中で示すことは非常に重要なことだと思います。そういったことをベースに考えますと,丙案を記載として残すということに私は反対するわけではございませんけれども,丙案の意図するところは,甲案にせよ,乙案にせよ,そういったコンセプトに基づく新たな手続を設けることは,どういった修正なり見直しなりをしたとしても反対であるという御意見になると思いますので,そういったことも補足資料の中で御説明いただいた方が,中間試案を検討する際に多くの方々の参考になるだろうと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。御意見は出尽くしたでしょうか。   それでは,第6の部分については,やはり甲,乙,丙という3案それぞれに御支持される委員,幹事がいたと思いますので,この3案併記ということで御意見を伺わざるを得ないかなという感じがします。ただ,甲案と乙案の関係については種々御議論がありました。基本的には両立しないものではないというところはコンセンサスがあったかと思いますので,この柱書きの書きぶりのところは更に御検討いただくということ,それから,甲案,乙案それぞれ一つのモデルが示されているけれども,それぞれの中身については更に考慮の余地があるということについては明確にすべきであるという御意見も複数あったと思いますので,補足説明の書きぶり等については工夫を頂ければと思います。よろしいでしょうか。   それでは,続きまして「第7 争点整理手続等」,資料の20ページ以下の部分ですが,これについて,まず事務当局から説明をお願いします。 ○西関係官 御説明いたします。   まず,「1 弁論準備手続」につきましては,従前の提案から変更はございませんが,これまでの会議において,弁論準備手続の期日において調査嘱託の結果の顕出等を可能とすることが望ましいという御意見がございましたので,その旨を(注)に提示しております。   次に,「2 書面による準備手続」についても,法176条3項の協議を維持する提案と廃止する提案の両案を併記することとしたほかは,従前の提案から変更ございません。   「3 準備的口頭弁論」についても同様に,従前の提案から変更ございません。   続きまして,「4 争点整理手続の在り方」につきましては従前,三つの案につきまして御審議を頂いたところでございます。具体的には,現行法上の三つの手続を一つの手続に統合するという案,準備的口頭弁論,書面による準備手続を廃止し,弁論準備手続一本にするという案,そして,現行法の規律を維持するという案の三つの案でございます。これまでの会議においては,特に書面による準備手続を廃止することには慎重な御意見が多く,二つ目の案につきましては必ずしも御支持がなかったように思われます。そこで,ここでは現行法上の三つの手続を一つに統合するという案を甲案とし,現行法上の規律を維持するという案を乙案として,この二つに絞って提案をさせていただいております。なお,これまでの会議におきましては,甲案や乙案を基礎としつつ,その内容について見直しを行うということについても御意見がございましたので,その点は(注)に記載しているというところでございます。そのほかにつきましては,従前と大きく変えたところはございません。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この論点につきまして,中身が多いので順番に御議論を頂きたいと思いますが,まず,資料20ページの「1 弁論準備手続」の部分について御意見をお出しいただければと思います。 ○阿多委員 議論の仕方についての提案です。1から3の個々の論点は非常に大きいのですが,4の争点整理手続の在り方は,甲案によると争点整理手続をまとめてしまうという立場ですので,1,2,3の個別の議論の必要がなくなる可能性がありますので,4を先に議論する方が解り易いと思います。いかがでしょうか。 ○山本(和)部会長 そうですね,確かにこの1,2,3というのは4で乙案を採ることが前提になるということになるかと思います。甲案を支持される方が意見が述べにくくなるというのはそのとおりかと思いますけれども,取りあえずは1,2,3を終わってから4の方に参りたいと思います。最終的な中間試案での並べ方については,少し今日の議論を踏まえて事務当局に更に考えてもらいたいと思いますが,取りあえず1のところで,いかがでしょうか。特に,説明の部分に書かれてある調査嘱託等の結果の顕出について,(注)のところで書かれているところですけれども,この(注)のような書き方で,この部分も特に問題ないということでよろしいですか。   それでは,特段の御意見がないということで,続きまして「2 書面による準備手続」の部分はいかがでしょうか。 ○日下部委員 書面による準備手続の(4)の部分で,現行法176条第3項につき削除をするという甲案と,若干の修正をするという乙案が示されております。これまでの部会の中で,確かに書面による準備手続における電話会議等の方法による協議を定めるこの条項を削除するという話が出たことはございましたけれども,それは争点整理手続を一本化することによって柔軟かつ機動的に争点整理手続の期日の手続を行えるようにする場合のことが念頭にあったのではないかと思いました。もしこの書面による準備手続を独立の手続として残す前提で,それでもなお,弁論準備手続期日を柔軟に設定できるようになるのであるから電話会議等の方法による協議の規定はもはや不要であるというお考えがあったのであれば大変失礼なことであるのですけれども,果たして書面による準備手続を独立の手続として残す前提で,なお協議の定めを削除するという御意見があったのかどうかについては,改めて御確認いただければと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   いかがでしょうか。この4の部分で乙案といいますか,争点整理手続を現状どおり残すということを前提にしたときに,2(4)で甲案のように電話会議による協議というのを削除するという御意見が,かつては間違いなくあったようには思うのですが,現状でもあるのかという問い掛けかと思いますけれども,いかがでしょうか。 ○笠井委員 私がそういう意見であるという意味ではなくて,仮に,書面による準備手続というのは本当に極限的な,書面しか出せないような人しか使えない限定的なものとして捉えるのならば,削除することもあるかなとは思うのですが,私も日下部委員と同じ意見で,書面による準備手続を残すのであれば,削除することまではないという気がしております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○阿多委員 逆の方向からの議論ですが,弁論準備手続において双方ともウェブ会議での参加を可能にすれば,現在書面による準備手続で実施している双方ウェブ会議での手続を代替できるので,あえて書面による準備手続を残す必要があるのかという点について議論した記憶はあるのですが,今回は書面による準備手続を残すか否かという質問は設けないようですので,部会では存否について議論があったことを補足説明で触れていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。前回そういうことで,②という案があったわけですけれども,しかし,ここで整理されているように,書面による準備手続についても一定のニーズがあるというので,②案を支持する意見はなかったように思われるというのが事務当局の整理で,それで今回このような甲,乙の構成になっているということかと思います。議論の経緯については補足説明で十分説明していただくということになろうかと思います。 ○高田委員 これも私の意見がそうだということではないわけですが,今御紹介ありましたように,書面による準備手続は,文字どおり書面によって準備するという手続として純化するということで存在意義を認めるということであれば,それを言わば象徴する案として,削除するという案を提示してみるというのも一つの選択肢ではないかとは思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この部分は一応,現状のまま残すというか,甲案,乙案の両論を書いて意見を伺ってみるということにしたいと思います。   ほかに,この書面による準備手続についてはいかがでしょうか。 ○長谷部委員 今の甲案も残すということなのですけれども,それはそれでもいいかもしれないのですけれども,電話による協議というのは,それしかできないという,物理的に通信環境が,インフラがそもそもなくてウェブ会議がそもそもできないという,例えば今,都市部では光ファイバーなんかも普及していますから,ウェブなんかも割合すぐにできると思うのですけれども,たとえば島しょ部でウェブ会議が本当に使えない,双方でコミュニケートするとすれば電話ぐらいしかあり得ないというような人たちも多分おられるのではないかと思うのですけれども,そういった観点からしますと,甲案で削除するとしていることについて,何か理由を書いていただいた方が本当はいいのではないかと思います。また,乙案でも電話会議を残すということについては,やはりそういった通信環境が非常に悪いということを考えるとこれが必要だとか,何かそういった説明があるとよいように思いました。 ○山本(和)部会長 それは,第7の1の弁論準備手続でも対応できるようになるので要らなくなるという理解なのではないでしょうか。今の第7の1で,要するに電話会議で両当事者が出頭しなくても弁論準備手続ができるようになるわけですね。それを前提としての甲案なのではないかと思うのですが。 ○長谷部委員 ウェブでできない人のために電話会議をという発想ではなくてですか。 ○山本(和)部会長 元々電話会議,弁論準備,今は片方が出てこないといけなくなっているわけですが,今回,両方出てこなくてもいいですという。 ○長谷部委員 書面による準備手続なのですけれども。 ○山本(和)部会長 だから,それで書面による準備手続の現在の機能を代替できるのではないかという。 ○長谷部委員 分かりました。 ○山本(和)部会長 分かりました。また事務当局に検討してもらいたいと思います。 ○山本(克)委員 ありがとうございます。今の書面による準備手続の(4)の乙案ですけれども,現行の条文とどこか違うところはあるのでしょうか。 ○西関係官 現行法上の176条3項は「裁判長等は」となっておりますが,裁判所の権限として行うことができるということを明示するため,これを「裁判所は」と改めているところでございます。 ○山本(克)委員 なるほど,主体のところだけが違って,あとは全部一緒ということですか。 ○山本(和)部会長 そういうことだと思いますが。分かりにくいといえば分かりにくい,間違い探しみたいな。 ○大野幹事 ただいまの点については,分かりにくいという御指摘もあり得ようかとは思いますので,補足説明で明示するなり,誤解が生じないよう表現を工夫したいと思います。 ○山本(克)委員 その場合,受命にすることができるというのが(2)アですけれども,そのときにも裁判所に戻さないと駄目だということなのですね,この部分については。 ○大野幹事 事務当局の考えとしては,(4)の乙案の協議についても受命裁判官がすることができるという前提でお示しをしておりましたが,それが伝わりにくいということであれば,表現は考えたいと思います。 ○山本(克)委員 とにかく,裁判所と受命と裁判長と三つ出てくるので,その相互関係が少し分かりにくいなという印象を持ちました。 ○山本(和)部会長 (2)イで書こうとしていたのかなという感じがしますが,少し確かに分かりにくくなっていますね。ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   (4)については両案は一応維持するということで,ただ,中身全体に書きぶりについては更に検討していただくことにしたいと思います。   続きまして,「3 準備的口頭弁論」は,基本的にはこれは維持するということですので,これは特段よろしいでしょうか。   それでは,「4 争点整理手続の在り方」全体についてのお話に入りたいと思います。この点,どの点でも結構ですので。 ○阿多委員 繰り返しになりますが,中間試案の提案としては,順番を変えて,4を最初に移動し,立て付けとして現行法のままの姿で行くのか,それとも考え直すのかという形で議論に入る方が分かりやすいと考えます。   その上で4の中身に質問があります。4の甲案の(2)ウでは双方当事者と協議することが記載されています。先ほどの書面による準備手続における協議をここに入れられたと思いますが,他方,23ページの(6)アのただし書で,「新たな争点整理手続の全てを期日を指定せずに行った場合」として期日指定をしない手続も予定されています。そうすると,(6)アのただし書の期日指定をしない場面は(2)のウを想定されているのですか,それとも,協議も全くない,書面のやりとりだけを想定されているのですのか,両者の関係を説明いただけたらと思います。 ○西関係官 (6)アのただし書で,「期日を指定せずに行った場合には」となっておりますのは,平たい表現をいたしますと,現行法における書面準備的な運用で進めていた場合にはという意味でございます。したがいまして,(2)ウの協議ということもせずに書面の交換だけで行っていた場合も,協議をその間に挟んだ場合も,いずれもこの「全てを期日を指定せずに行った場合」に含むという趣旨でございます。 ○阿多委員 そうすると,(2)ウの部分で,新たな争点整理手続が双方ウェブで実施されているときに,あえて書面による準備手続的な期日外における協議を残す必要があるのか,甲案のウという場面を想定する必要があるのかが分からないのですが。期日を指定しない場面も考えているのであれば,期日を指定しての争点整理期日でのやり取り以外に,期日外の協議を残す必要を説明していただけますか。 ○大野幹事 争点整理手続を一本化した場合の協議というものにつきましては,前回御議論いただきました際に,評価する意見と反対する意見とがそれぞれございましたので,引き続き検討していく必要がある事項であると認識をしております。本文ではひとまず従前の提案の内容を維持した上で,具体的な規律の内容については引き続き検討するということを(注)で表現しているつもりでございますが,分かりにくいということであれば,その辺りの表現振りは考えたいと思います。 ○阿多委員 ウを削除することにならないのであれば,ウを残すのか残さないのかという選択肢を提案いただいく方が,位置付けがはっきりすると思います。検討いただけたらと思います。 ○山本(和)部会長 分かりました。 ○日下部委員 この点については,私も阿多委員のお考えと同様です。取り分け2の書面による準備手続を単独で残す場合に,協議に関する規定を削除する案も甲案として提示されるということであれば,三つの争点整理手続を一つにした場合にはなおのこと,協議に関する定めというのを設けないようにすることが合理性を持つと思いますので,こちらの4のところで協議に関する規定を設けないという考え方が示されていないということについては違和感を持っております。御検討いただければと思います。なお,そのような考え方で,この4(2)ウのような定めを入れないということだとしますと,(3)アの部分にも影響を及ぼすと思いますので,併せて御対応いただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 では,それは事務当局の方で御検討いただくことにしたいと思います。 ○横田委員 協議に関する規律につきましては,書面による準備手続が維持されるのであれば,その場合にも協議の規律を残すべきかどうかという話と,争点整理手続を一本化した場合に,新たな争点整理手続において更に期日外の協議という概念を設けるべきかという話は,若干異なるのではないかと思っております。元々,現行法の書面による準備手続は,書面のやり取りをしつつ争点や証拠を整理する中で,書面のやり取りだけではなかなか争点が煮詰まらず,口頭で協議する必要もあるということで協議の規律が導入されたと認識しておりますので,書面による準備手続が独立で維持されるのであれば,協議の規律も必要であろうと思っております。   それとは別に,先ほどから御議論がありましたように,争点整理手続を一本化する点につきましては,個人的には賛成なのですけれども,その場合に何故協議の規律が必要なのかという御指摘がありましたので,フェーズ1の運用下における実務の現状を少しお伝えできればと思います。   フェーズ1の運用が開始したことによって,審理の内容に合わせて期日と協議を相互に行うプラクティスが生まれつつあることは第6回の会議で申し上げたとおりです。例えば,準備書面の陳述や書証の提出などの訴訟行為を行う必要がある場合には,期日を開くことになりますけれども,フェーズ1の運用が開始しまして,ITツールを利用することが可能になったことによって,実務では新しい争点整理のプラクティスというものが生まれつつあると思っています。それは,これまでのように毎回の期日で準備書面を陳述するというようなプラクティスとは異なりまして,協議においてTeamsのクラウド上にアップロードされた争点整理表に双方が主張や証拠の標目を書き込みながら議論をしていくことで,準備書面の陳述といった訴訟行為を行わないまま争点整理を進めていきまして,争点や証拠が十分に整理された段階,すなわち争点整理表がある程度出来上がった段階で,争点整理表を準備書面に添付して期日で陳述してもらうというプラクティスでございます。   また,ITツールの活用方法によっては将来的に更に新しい争点整理のプラクティスが生まれる可能性もあるように思っていますので,そのようなプラクティスを行うに当たっては,訴訟行為を行うことを前提とする期日ではなく,より柔軟な形で争点整理手続を行うことを可能とする協議という手続を設けることに意味があると思っております。したがって,先ほど御指摘のありましたように,中間試案のたたき台の記載としては,今回の資料の「4(2)ウ」のとおりとするのが相当と考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかに,いかがですか。 ○阿多委員 表記の仕方として,私は両論併記という提案をしたのですが,ウのままという形の提案であれば,質問したいのは,協議は期日でもできるのに,なぜ期日外に協議をする必要があるのか,その理由を教えていただけますか。 ○横田委員 個人的な意見ではございますけれども,阿多委員の御指摘のように,期日でも協議することができるというのはそのとおりなのですけれども,やはり現在の実務では,準備書面の提出等の訴訟行為を行わない形での争点整理ということを行っておりますので,そのような場合には期日というよりも,むしろ期日外の協議の方が,より実態に合う手続であると考えております。 ○日下部委員 私も阿多委員が今お尋ねになったことを正にお聞きしたいと思っていまして,協議の場でできることが期日の場でできるのであれば,協議を残す必要は別段ないよねというのはごく自然な発想だと思いますので,今お伺いした御説明を聞いても,今一つ腑に落ちないところはございます。   もう一つ申し上げますと,協議というのは,その中で具体的にどんなことが行われるのかということについてはほとんど白紙でありまして,事実上の協議に近いようなものかなと思います。争点整理の内容,あるいは争点整理の手続が実質的に,法律的な規律がほとんど及んでいない,そういう協議の場で進むということは本来的には望ましいことではなくて,手続法の規律が行き届いている期日において行うということが本来在るべき姿なのではないかと思います。手続を柔軟に行うというふうにお話しいただきますと,そうかなとも思うのですけれども,それは手続的には非常に弛緩した状態になってしまうのではないかという懸念もございますし,もしも自由に話をする,訴訟行為をしないことを想定するような場面が必要だということであれば,それは進行協議期日を設けて話をするということだって考えられるようにも思いますので,今のお話をお伺いしましても,少なくとも4で示されている案の中で,協議については削除をする,あるいは規定を設けないという考え方も案として併せて出しておかないと,少なくとも2の書面による準備手続についての御提案とはバランスがとれていなくて,おかしいなというふうな理解を一般にされてしまうだろうと思います。 ○富澤幹事 協議の規律を設けるという点で,横田委員の方からフェーズ1の運用についての御紹介を頂きましたけれども,私の方からも,現在の全国的な運用状況について御紹介のさせていただきたいと思います。   横田委員からも御紹介頂いたとおり,フェーズ1の運用がスタートし,実際にこれまでのような期日を前提とした争点整理ではなく,期日と協議を柔軟に使い分けるプラクティスが生じつつあり,全国各庁とも同じような状況でございます。もちろん期日や協議を使い分けるに当たっては,裁判所だけで決めているのではなく,当事者の意見も聴きながら,争点整理表の内容に関する話合いをするときには期日ではなく協議の形にするといったような形で運用が進められているところです。確かに日下部委員の御指摘のとおり,期日のような堅い手続で争点整理を進めていくことも当然あるとは思っておりますけれども,フェーズ1の運用が積み重ねられ,このような新たなプラクティスを進めていく機運を法制的な面から支えていただく意味で,このような協議の規律を認めていただくのが望ましいと考えているところでございます。 ○笠井委員 阿多委員や日下部委員がおっしゃったことと同じような話になるのですけれども,私自身も協議については違和感がある旨は前回も申し上げたかもしれません。資料の作り方としても,既に両委員からお話があったと思いますけれども,現在の資料ですと,(注)のところで,甲案については証人尋問を行うかどうかということぐらいしかオルタナティブがないかのように読めますので,少なくとも協議について,これを入れないという選択肢があるということは,両論併記という形にするかどうかはお任せしますけれども,そこがもう少し明確になるようにしていただければと感じております。 ○山本(克)委員 少し上塗りに近いことを申し上げますが,今の笠井委員の御提案というのに全く賛同するところでして,書き方は事務当局に御一任いたしますが,やはりこの協議を期日外で行うことについては,かなり議論が白熱している部分でもありますし,これを置かないという考え方があるということはどこかで明記しておく必要があるのではないかと思います。   それから,余り言いたくないようなことを申しますが,今までプラクティスが進んでいるから,それを正当化してほしいというお話がございましたが,以前,高田委員が確かおっしゃったと記憶しておりますが,平成8年民訴というのは当時,実務のプラクティスの中で広まっていった弁論兼和解ないし和解兼弁論といわれる事象を,余り望ましいものではないという判断の下に立法がされたわけですので,プラクティスが全てを正当化するのであれば,基本的には民事訴訟法は要らないということにもなりかねませんので,プラクティスが進んでいるからというだけでウが残るという,ウで行くべきだという議論には賛同しかねます。もちろん,プラクティスが進んでいるからこういう提案がなされたという説明はしていただいて結構かとは思いますが,ただ,それに対する異論もあるということもどこかで明記していただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○門田委員 1点御質問させていただきますが,「第7の4(2)ウ」の協議の規律を落とすことになりますと,争点整理手続を一本化したというよりは,実質的には弁論準備手続だけにしたということになってしまわないかと思うのですけれども,いかがでしょうか。 ○日下部委員 この三つの争点整理手続をどうするのかということについて甲案を採った上で協議に相当する規律を設けないという場合であったとしても,期日を指定しないで書面の交換によって争点整理を続けていくということは,甲案の中には当然含まれているわけですので,弁論準備手続だけを残したという扱いとは違うのだろうと考えております。 ○阿多委員 元々三つのものをまとめて,それぞれの手続を残すというのではなくて,新しい争点整理手続の在り方を考えるという形で,どういう立法のあり姿がよいのかを議論しているつもりですので,現行の弁論準備手続と同じではないかと言われましても。弁論準備手続は双方がウェブで関与できるという形になって,今までの書面による準備手続のメリットを吸収できる形に変化していますので,メリットになると思います。また,今回の提案は,20ページの(6)の期日指定をしないという手続,弁論準備手続で期日を指定しない手続も含めて提案されているので,いろいろな意味で新しいことができる手続です。調査嘱託も含めて新たな,今までできなかったいろいろなことできる,とても面白い提案だと私自身は思っています。 ○門田委員 「第7の4(2)ウ」の協議の規律を落としたとしても,書面の交換のみで手続を進めていくことが甲案に含まれているということであれば,理解しました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,甲案の(2)ウの取扱いについては,かなり御議論が白熱したところでありますので,少しこちらで引き取って,事務当局の方で次回までに検討していただいて,どういう形で中間試案として示すのがよいか,もう一度ここで御議論いただきたいと思います。   ほかの点について,4の争点整理手続の在り方全体でありますでしょうか。 ○山本(克)委員 既に阿多委員がおっしゃっていることなのですが,この1から4までの順序というのは非常に分かりにくいので,提案の構造を明らかにするために,やはり4を先に出して,仮に現状の三つの手続を残すのだとすれば1,2,3という提案がありますというような形にしないと,我々は議論を毎月一度やっていて,ある程度頭に入っているので,言わんとすることは分かりやすいと思うのですけれども,卒然とこれを見てお分かりにならない方もかなりおられるのではないかと推測いたしますので,やはり問い掛けの順序というものについてもう一度御検討いただければと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○笠井委員 私も同じ意見です。実は最初に読んだときに,あれ,もしかして一本化の話ってなくなったのかなと思いながら順番に読んでしまいましたので,阿多委員,山本克己委員に賛成です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。それでは,次回までに事務当局で検討をお願いします。 ○高田委員 私も論理的に4が先行というのは,そういう考え方は十分あり得るかと思いますが,4を先行させた場合に,甲案と乙案の順序というのが問題となり得そうな気がいたします。現在の提案を維持しつつ部分修正を与えるという選択肢と,一本化する選択肢,どちらを前に出すかということだろうと思いますので,一本化というのが皆さんの大きな流れということであれば,これで結構かと思いますけれども,選択肢としてはほかの選択肢もあり得るかなという印象を持ちましたので,一言申し上げます。 ○山本(和)部会長 分かりました。ありがとうございます。 ○増見委員 増見でございます。今,委員の皆様から御意見があったのですけれども,かなりいろいろな議論があって,かつ非常に専門的な手続に関する事項でございますので,パブリックコメントに付したときに,現状がどうなっていて,何がどう問題なのかというのを,我々は部会の中でお伺いして,各手続がどのような形で使われているかということも知っているわけですけれども,そういった議論に参加されていない皆様にも分かりやすいように,現状の手続がどの程度,どのように使われていて,どういった課題があるかというところが,もう少し説明されるとよいのではないかと考えました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。その点については補足説明で,今のウェブ会議方式の状況なども含めて,事務当局で詳細な説明をしていただくことにしたいと思います。 ○大谷委員 大谷でございます。分かりやすさの話に入ってきましたので,ようやく発言ができる感じなのですけれども,この争点整理手続全般については,やはり訴訟のユーザーとしては,全体の見通しがどのように立てられるのかという予測可能性の担保が必要だと考えておりまして,新たな争点整理手続の全てを期日を指定せずに行うということがあり得るものとして,個別に事実の確認とか,時機に後れた攻撃防御方法の提出とか,それぞれの論点でその場合について述べられているのですが,新たな争点整理手続に期日が入ってくるのか,入ってこないのかといったところについて,予測できるようにするにはどうしたらいいのかというのを,読みながら,全くアイデアがないままここまで来てしまっているのですけれども,この争点整理手続に当事者として参加する場合に,先々,争点整理手続の中に期日が出てきたり,争点の整理についてどのぐらい検討する時間があるのかといったことの見通しを立てるために,どのような方法が残されているのかといったことについて,是非補足説明の中で触れていただくことによって,この手続についての理解を深められるように言葉を添えていただきたいと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。事務当局は,かなり難しいことかもしれませんけれども,できる範囲で御努力を頂くということかと思います。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,甲案の(2)ウの取扱いが残された問題ということになりますけれども,次に進ませていただければと思います。   26ページの5,6,7,「進行協議」,「審尋」,「専門委員」,これらは基本的には従前どおりということでございますけれども,何かお気付きの点があれば御指摘を頂きたいと思います。 ○日下部委員 気付きの点といいますか,お詳しい方に教えていただければという趣旨なのですが,進行協議期日につきましては民事訴訟規則で定められているものではありますけれども,その内容は,ほかの法律レベルで定められている期日と遜色がない程度の規律が定められておりますし,進行協議期日においても一定の,法律レベルで定められている訴訟行為をすることもできるとなっておりますので,これがなぜ,法律レベルの定めがないで,規則でだけ出てきているのかということにかねがね違和感を持ってはいたところなのですが,何か法律レベルに格上げをするといいますか,あるいは法律でも一つ条文を設けて,規則の定めがあるということに法律レベルでのお墨付きといいますか根拠を与えるという考えはないのだろうかということを思った次第です。お詳しい方がいらっしゃれば教えていただければと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。事務当局で何かコメントはありますか。 ○大野幹事 進行協議期日については,現行法の制定時の議論においては,争点整理手続のメニューの一つとされていたという経緯があったようでございます。ただ,最終的な法律案の段階に至って,進行協議については単なる手続の進行に関する打合せの期日という性格のものに純化され,それに伴って,単なる打合せであり,争点整理の期日ではないのであれば,法律に規定するまでのことはなく,規則で規定すれば足りるのではないかということで,規則に制定することになったということでございます。 ○日下部委員 ありがとうございます。そういうお話ですと,今般,進行協議期日に関する規律を法律事項に格上げするというのはおかしいというふうにもなるのかなとも思うのですけれども,今般の御提案の中で,規則96条の第3項を削除するということで,進行協議期日において行える訴訟行為の内容にも変化が入ってくる,具体的には訴えの取下げ,請求の放棄,認諾ができるということになるという想定だとしますと,果たして規則事項のままという今の扱いが依然として妥当性を維持しているのかどうかというのは考え直す契機にもなるのかなと思いましたので,不勉強のまま発言している自覚があって少し怖いのですけれども,御検討を引き続きしていただければと思います。 ○山本(和)部会長 法制的なところは,また引き続き検討をしていただくことにしたいと思います。   ほかにいかがでしょうか。 ○富澤幹事 これまでの調査審議では発言していなかったところですが,テイクノートしていただく趣旨で,専門委員の制度との関係で発言させていただきます。   実務上,専門的な知見が問題となる事件の審理におきましては,専門委員に手続の関与を求めるケースが相当数ございます。現行法の下では,専門委員による口頭の説明は口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日又は進行協議期日でさせるものとなっておりまして,書面による準備手続における協議の中で専門委員に対して口頭による説明をさせることができるか否かが一義的に明確でないという実情がございます。争点整理手続が一本化され,新たに争点整理手続の中に協議の規律が設けられた場合にはその点を明らかにしていただきたいと思いますし,そうではなく書面による準備手続の協議の規律が維持された場合には専門委員による口頭の説明を協議の中で行うことが可能であることを法律上,明確にしていただけないかと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。それでは,事務当局においてどのように取り扱うか検討していただければと思います。   ほかにいかがでしょうか。おおむねよろしいですか。   ここで休憩の時間を取りたいと思います。20分弱ですが,3時40分まで休憩ということにしたいと思います。           (休     憩) ○山本(和)部会長 それでは,会議を再開したいと思います。   「第8 書証」の部分,資料の26ページ以下でありますけれども,まず事務当局から説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   本文1及び2は,これまでの会議において御提案したものと同じ趣旨の記載でございます。なお,本文2においては,新たに「(当該電磁的記録に記録された情報について改変が行われていないものに限る。)」と記載することにより,複製後のものと作成者が最初に作成したものとの間の電子データとしての同一性が要件となることを明らかにしております。   本文3には,規則第137条第1項に基づく書証の写しの提出を事件管理システムを通じて行うことができるものとする規律を記載しております。事件管理システムにアップロードされた後の電磁的記録は電磁的方法により複製されたものとならざるを得ませんが,書証の目的が電磁的記録であり,アップロードの前後でも改変が行われていないものであれば,事件管理システムに記録された電磁的記録自体が本文2による規律の対象となり得ることになります。(1)にはこのことも記載しております。他方で,書証の目的が紙媒体の文書や準文書であっても,これをスキャンしたPDFデータなどの写しを事件管理システムにアップロードすれば,規則に基づく書証の写しの提出になるということなどを(2)において記載しております。   さらに,5ページの「第1 総論」の「3 電子情報処理組織を用いて提出することができる電子データの種類」に記載されているとおり,事件管理システムに提出することができる電子データの書類は一定の範囲のものに限られるということも考えられますので,書証の写しの提出に当たっては元となる電磁的記録のフォーマットを変更する必要が生ずる場合がございます。このような場合には一般に電子データとしての同一性を欠くこととなるとも考えられますが,そのようなものであっても書証の写しとして規則第137条第1項に基づき提出することができることも,(2)において記載しております。   御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,これについても順次御審議を頂きたいと思います。まず,26ページの「1 電磁的記録を目的とする書証に準じた証拠調べの規律」の部分について,どなたからでも結構ですので,御発言を頂ければと思います。 ○日下部委員 この1の部分そのものについて何かコメントがあるということではないのですけれども,この後の御議論にも関係するかと思いますので,概念の整理をしたいと考えております。   今の事務当局からの御説明の中にも出てきたと思うのですが,書証の対象として文書,準文書,それから一定の電磁的記録が含まれるということが前提となる御説明だったかと思います。伝統的には,教科書的に言えば,書証というのは文書を証拠方法とする証拠調べであると理解されていると思うのですけれども,今般は,書証というのは証拠方法として文書,準文書,それから一定の電磁的記録を含む証拠調べであると定義する,あるいは再構成するということが前提で一連の御提案がなされているのかどうか,ということを確認させていただきたいと思います。 ○藤田関係官 おおむね御理解のとおりだと考えます。 ○日下部委員 そういうことですと,新しい概念の理解が必要になるところだと思いますので,中間試案の中で書くべきことか,補足資料で書くべきことかはお任せしたいと思いますけれども,明確に書いていただくようにする必要があろうかと思います。この先の2や3のところにも大いに関係する議論の前提かと思いますので,認識を共有させていただけたことを感謝しております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○大坪幹事 部会資料の6では,電磁的記録であって情報を表すために作成されたものというものを,電子文書というふうにまとめていたのですけれども,今回その電子文書という文言を使われていません。先ほどの御説明の中でもそうですし,商事法務の研究会の中では電子データという用語を使っていたようなのですけれども,電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの,というものを何らかの名称を付ける予定というのは今後,考えていないのでしょうか。 ○藤田関係官 現時点においては定見はございません。 ○大坪幹事 今いろいろ検討するに当たって,用語として電子文書を使ったり電子データを使ったりして結構混乱していて,いずれ法制的に決めるということであれば,あらかじめある程度,このパブリックコメントのときに何らかの提案をして,意見を聴いた方がよさそうな気がしました。例えば,電磁的記録であって情報を表すために作成されたものということなので,情報記録みたいなことなのかもしれませんけれども,何か簡潔な新しい用語を早めに作っておかないと,議論するときにいちいち,電磁的記録であって情報を表すために作成されたものと言って説明しないといけないので,不便かなと思いましたので,御検討いただければと思います。 ○山本(和)部会長 御趣旨は分かりましたので,事務当局の方で検討をしていただきたいと思います。   ほかに,この1の部分,いかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,続きまして,27ページの「2 電磁的記録の提出又は送付に関する規律」,この部分について御意見を頂ければと思います。 ○日下部委員 この2に関してですけれども,ここでは証拠調べの申出は,提出又は送付によるが,それは「当該電磁的記録又はこれを電磁的方法により複製したもの(当該電磁的記録に記録された情報について改変が行われていないものに限る。)」でする必要があるとされております。この説明だけでは,具体的な証拠調べの局面においてどういった整理になるのかの理解が大分困難ではないかと思いました。先ほど,事務当局からの御説明では,インターネットを通じて事件管理システムに電磁的記録をアップロードした場合には,アップロードされたものは複製と位置付けられるという御説明がございましたけれども,そういった点も含めて,補足説明では,例えば以下のような点の整理を明確にしていただきたいと思います。   1点目は,今申し上げましたとおり,当事者が事件管理システムにアップロードすることで証拠の写しの事前の提出と証拠の申出をするという場合には,その証拠申出は「当該電磁的記録」ではなくて,「これを電磁的方法により複製したもの」でしたものであると整理されるということ,それから,もう一つは,仮にそのような複製で証拠申出をしたと整理したケースにおいて改変の有無が問題となり,審理の結果,改変があったと判断された場合に,訴訟手続上どのような扱いになるのかという点です。改変があったということですと,複製による証拠申出はなされていなかったということになるかと思われますので,その電磁的記録について行われた審理なり判断なりは適法な証拠申出に基づいてなされたものではなく,したがって,それを証拠調べの結果として事実認定に用いることはできないという帰結になるようにも思われますが,そうしますと非常に無駄が多いことになりかねないようにも思われまして,どのような扱いになるのかは補足説明の中で十分に御説明いただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○山本(克)委員 2は提出,送付を電磁的記録ないしその複製によらなければならないと書いてあるわけですね。第三者が所持する文書,あるいは送付嘱託はそもそも第三者を名宛人にしていると思うのですけれども,その人たちが提出,送付をするということも内容としているということでよろしいでしょうか。 ○藤田関係官 本文2の規律についてのお尋ねでございましたらば,第三者も含まれているということになります。 ○山本(克)委員 そのときは,どういうふうに提出ないし送付をするのでしょうか。そこが分からないのですけれども。 ○藤田関係官 本文2の記載におきましては,電磁的記録を第三者が裁判所に提出する際に,例えば,事件管理システムを使わなければならないのか,それともCD-R等に焼いたものを物理的に送付しなければならないのか,その辺りにつきましては特に記載をしているものではございません。ただ,いずれにしましても,電磁的記録の送付に当たっては電磁的記録を出さなければならないと,そのようなことは記載しているということでございます。 ○山本(克)委員 大分分かってきましたけれども,事件管理システムに直接アップロードするということは考えにくいような気もするのですが,そうすると提出の方法としては何か記録媒体に記録してということにならざるを得ず,そうすると複製しか出ないということにならざるを得ないのかなという感じがするのですけれども,一方で原本と複製を区別することの当否については議論のあるところですが,両方を掲げていると,事件管理システムにそのままアップロードすることができるかのように読めてしまって,そうするとパスワードの発行うんぬんとか,いろいろと難しい問題が生じてくるので,私はそれは避けた方がいいのではないかというイメージを持っています。これはシステムの構築の問題と関わりますので,感想ということでお願いします。 ○山本(和)部会長 システムとの関連性ということですが,最高裁判所の方から何かありますか。 ○富澤幹事 システムの点につきまして,少し発言をさせていただければと思います。   システムの設計,開発は現在検討中ですので確たることは申し上げられませんが,現時点で考えていることを申し上げますと,電磁的記録の形式で情報を持っている第三者が文書送付嘱託等に応じる場合は,事件管理システムにアクセスをしてアップロードをする方法も選択肢として十分あると思っております。もちろん御指摘があったとおり,事件管理システムにアクセスするためのIDやパスワードをどのように発行するのかといったことなどについて,いろいろ考えなければならないとは考えております。 ○山本(克)委員 了解しました。できれば今のようなことを補足説明で明らかにしておいていただかないと,卒然と読むと,どうなっているのかなという感じがするかと思いますので,よろしくお願いします。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○湯淺委員 湯淺でございます。今,山本克己委員からも御質問があった件に関連しますが,例えば,パソコンの中に入っているファイルを事件管理システムを使ってアップロードしたという行為については,それは一見したところ,電磁的記録をアップロードした,つまりその電磁的記録を提出なり送付したように見えますが,その実体としてはパソコンの中の電磁的記録の複製をあくまでも送付したにすぎないので,その場合は当該の電磁的記録を送付したということにはならないのではないかと,あくまでもその複製を送付したことになるということではないかということを山本克己委員が御指摘になったのかなと私としては理解をいたしました。   他方で,電磁的記録自体を直接送付するということは不可能ではない。先ほどの事務局の御説明にもありましたが,例えば,ある媒体,CD-ROMならCD-ROMの中に保存されている場合に,その媒体ごと送付してしまえば,それは電磁的記録を直接提出なり送付なりをしたことになるのかなと思います。ですので,事件管理システムを通じてアップロードするというのは,これは複製を送付したことになるのか,あるいはそれも電磁的記録を直接提出したということにみなすのかということについて,やはりここは何か説明なり(注)なりがあった方が,受け取る側としては理解しやすいのではないかと思ったところでございます。   それから,今後様々な媒体が増えることが予想されますが,ブロックチェーン技術を使って作成された契約書,スマートコントラクトの契約書などのように,電磁的記録として一体になっていないものを結合して一つの電磁的記録として提出することの可否ということも,あるいは説明として加えた方がいいのかなと思った次第でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。それでは,補足説明で対応いただければと思います。 ○阿多委員 重複になりますが,2の正に当該電磁的記録自体を提出するのか複製を提出するのかという点は,読んでいて分かりづらいので,具体例を提示いただけたらと思います。   次に,以前,準文書の概念自体がどうなるのかという質問もしていますが,例えば,3では,準文書の例としてあがっている録音テープ,ビデオテープ其の他の情報をUSBメモリで提出する場合,今まで準文書概念で処理していたわけですが,それら準文書の一部が電磁的記録の提出ないしは複製の提出に振り替えられるのか。そうすると,書証に準じた証拠調べの対象は文書,準文書という概念を前提に準じたと見出しがつけられていますが,概念の振り分けに影響するのではありませんか。事務当局として,準文書概念も含めどのように整理されているのかを説明いただけますか。 ○藤田関係官 現時点において,ある提出を捉えて,電磁的記録自体を提出したというべきなのか,その記録媒体を準文書として提出したというべきなのかにつきまして,必ずしも整理し切れているところではございません。また,多分に重なってくる場面もあろうかと思いますし,それによって何かしら不都合が生じるのかというところにつきましても,余り現時点においては思い当たらないところでございます。必要に応じて,更に検討を進めたいと存じます。 ○阿多委員 一つ目のお願いである具体例は,補足説明で,どういう場合が本体の提出で,どういう場合が複製の提出かを分かるように説明いただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○日下部委員 2の(注)の部分の記載について,お尋ねといいますか,確認が必要かなと思っております。この(注)の記載は電磁的記録を証拠調べの対象とすることとどのような関係にあるのかというのが,これを見るだけでは理解し難いように思いました。記載内容そのものは,伝統的な文書を証拠方法とする書証についてのものであるように見受けられますが,ここでいっている趣旨は,伝統的な文書について(注)記載のような規律の明文化をした上で,その規律を電磁的記録を証拠方法とする場合にも当てはめるという考え方を示しているということでしょうか。また,その考えはゴシック体で示されている提案と併存するものとして言及されているように読めたのですけれども,代替するもの,つまり別の考え方として出すということも考えられ得るのかなとも思いましたが,現在の事務当局ではどういった御整理をされているのか,いずれにしましても(注)そのものか補足説明において説明を補強する必要はあるのではないかと思いました。よろしくお願いします。 ○藤田関係官 前者につきましては御理解のとおりと存じます。後者につきましても,代替するものという考えもあり得るのかもしれませんが,現時点においては,最初におっしゃられましたとおり,本文の規律にかかわらず,この(注)の規律を明文化するという考えがあり得ると,このような考えの下から(注)にこのように記載させていただいております。 ○日下部委員 分かりました。 ○山本(和)部会長 ほかに,いかがでしょうか。 ○大谷委員 大谷です。非常に細かな論点で恐縮なのですけれども,この電磁的記録の複製の概念の中に,圧縮されたものというのが複製に該当するかということについては,この資料を読んだ人にとって少し分かりにくくなっているかと思いますので,その点についての説明もあった方がよろしいかと思います。通常,圧縮されているものは,要するにデータの一部が欠落しているということにもなりますので,必ずしも同一ではないといえるかもしれませんし,その辺りの扱いをどのように現在構築中の事件管理システムで取り扱う御予定なのか,もしある程度の設計が決まっているようであれば,それも教えていただければと思います。 ○山本(和)部会長 最高裁の方から御説明をお願いしましょうか。 ○富澤幹事 大谷委員から御指摘,御質問のあった点について,御回答したいと思います。   先ほども申し上げましたけれども,事件管理システムにつきましては,今後具体的に設計,開発していくことになりますので,現状ではなかなかお答えしにくいところがございます。確かにデータを圧縮していることになると,一部の情報が欠落していることになりますので,その場合の取扱いについて検討する必要があると思いますが,当事者が証拠説明書等に圧縮されたデータであることを記載した上で提出すれば,圧縮されたデータの形式で提出することもあり得ると思います。この点については今後,システムを設計する上でも更に検討していきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。事務当局からは何かありますか。 ○大野幹事 現段階での事務当局の整理といたしましては,圧縮したものそのものはここでいう複製には当たらないという前提でおります。裁判官に圧縮の対象となるオリジナルを見てほしいという行為,すなわち法廷で行う書証の申出と取調べという訴訟行為とは別に,事前の準備行為として裁判所に写しを提出する行為として圧縮したものを送るというのは,部会資料で後に出てきます3の方の規律でできるのではないかと考えています。 ○湯淺委員 湯淺でございます。今,富澤幹事がお答えになったこととの関連で御検討いただきたいということですが,同様に,パスワードを設定したものはパスワードに関する情報というものが付加されているので,これは複製とはいえないとみなすべきか,さらに,事務局の御説明がありましたが,圧縮されたものは複製とはいえないというふうな解釈だといたしますと,暗号化されたものに至っては内容がかなり改変されていますので,これは複製したとはいえないということになるのか,これについてもある程度,考え方を整理した上で,この説明なり何なりに付け加えることが望ましいのではないかと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○大野幹事 ありがとうございました。ただいま御指摘いただきました点も含めまして,引き続き頭の整理はしたいと思います。 ○湯淺委員 是非お願いいたします。 ○山本(和)部会長 ほかに,この2の部分はいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,続きまして,今,若干出てきたところはありますけれども,「3 インターネットを用いてする書証の写しの提出及び送付」の部分について,どなたからでも結構ですので御発言をお願いいたします。 ○日下部委員 既に先ほど来,話が出てきているところですけれども,3の一連の記載を読んだときに,取り分け電磁的記録についての複製と写しとの関係は理解が極めて難しいところかと思いますので,十分な御説明をどこかでしていただく必要はあろうかと思います。また,この3の中では(1),(2)と分かれていて,(1)が電磁的記録の複製,(2)が文書,準文書,それから電磁的記録の写しに当たる電磁的記録と,このようになっているのですけれども,恐らく理解しやすさということで言えば,一つ目の方としては,文書,準文書についての写しとしての電磁的記録を挙げ,次のものとしては,電磁的記録を証拠方法とする場合の複製又は写しの提出ということで構成し直した方が理解しやすいのではないかと思いました。これは人によって受け止め方も違うかもしれませんが,感想めいた話で恐縮ですけれども,その旨申し上げます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。では,それは事務当局で検討をお願いします。 ○大野幹事 はい。複製と写しの違いについては,非常に分かりにくいところでございますので,工夫を検討してみたいと思います。 ○山本(和)部会長 よろしくお願いします。 ○阿多委員 写しと複製の区別に関連するかもしれませんが,3の見出しは,インターネットを用いてする書証の写しの提出及び送付とあり,事件管理システムにアップできることが前提の議論だと思いますが,それを前提にしたときに,複製と写しという区別がどこまでできるのか,具体例を挙げていただければ補足説明になると思います。先ほど圧縮の話が出ていましたが,USBメモリ等を使って提出する場合ではなくインターネットを用いて提出する場合において,どういう場面で複製と写しの違いが生じるのかを説明いただけますか。 ○山本(和)部会長 事務当局から御説明を。 ○大野幹事 事務当局が前提としていた理解としては,例えば複製というのは,オリジナルのデータがWordであったときに,そのWordをそのまま出す行為,機械的にコピーをして出す行為で,写しというのは,そのWordを例えばPDFにするなど,アプリケーションを変えるなどの形で出す行為というものであり,こういう違いがあるというものです。 ○阿多委員 イメージしやすかったです。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかに,いかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,第8の部分は若干,いろいろと整理しなければいけないところは出てきたかと思いますが,この程度にしていただいて,続きまして「第9 証人尋問等」について,事務当局から説明をお願いします。 ○西関係官 御説明いたします。   まず,「1 証人尋問等」については,一方当事者が証人と同席することは証人に不当な影響を生ずるおそれがあることから,原則として禁止すべきではないかという御意見がございましたので,その点を本文の(2)イとして追記しております。また,裁判所外における証拠調べとウェブ会議等による証拠調べを併用する,いわゆるハイブリッド方式の証拠調べにつきましては,これまで検証の論点として御検討いただきましたが,証人尋問についてもこのような規律を設けることが考えられる旨の御指摘がございましたので,こちらの(3)として記載をしております。また,従前の会議において現行法上の宣誓の方法に関する規律の見直しについても御意見を頂戴しておりましたので,こちらは(注)として記載させていただきました。   続きまして,「2 通訳人」,こちらにつきましては,これまでの提案から基本的には変更しておりませんが,電話会議による方法を認めるべきとの御意見もございましたので,ひとまずこちらは両案を併記させていただきました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,ここも順番に行きたいと思いますが,まず28ページの「1 証人尋問等」の部分について御審議をお願いします。 ○日下部委員 2点ございます。1点目ですが,「1 証人尋問等」の(3)についてです。ここはいわゆるハイブリッド方式によって証人尋問を行う場合のことを念頭に置いていると思いますが,今の書き方ですと,「合議体の構成員に命じ」という表現で,主体が「裁判所は」になっておりますので,読みようによっては合議体の構成員全員ということも文章としては読み込めてしまうのかとも思いましたので,これは必要のないことかもしれませんが,「合議体の構成員の一部に命じ」といったような表現の方が誤解の余地が少ないようにも思いますので,御検討いただければと思います。   2点目ですけれども,部会資料12の30ページの説明によれば,ハイブリッド方式による証人尋問は口頭弁論の期日とは異なる証拠調べの期日における手続として行われるので,非公開の手続となり,その結果は口頭弁論の期日において顕出しなければならないと整理されております。そうした整理については,一つのものとして,私もさほど違和感は持っていないのですけれども,そうしますと,この期日は必ずしも法廷で行われる必要はなくて,一般国民による傍聴を認める必要もないものと考えられると思います。しかし,特に当事者が裁判所においてこの期日に出頭するという場合には,法廷以外の場所で期日を行うことは考え難いようにも思われまして,実務的には法廷で行われることとなり,憲法上の公開原則が直接適用されるわけではなくとも,その趣旨を尊重し,傍聴人に手続を公開して行うことを法律レベルで定めることも考えられるのではないかと思いました。これは今回の御提案を読んで感じたことでありまして,これまでの議論の中に出てきた話ではございませんけれども,もしも部会の中でそういった御意見もないわけではないようだということであれば,(注)として示すとか,あるいは補足資料の中で言及していただくということも御検討いただければと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。2点御指摘あったかと思いますが,事務当局からお考えがあれば,頂けますか。 ○大野幹事 頂きました点について,更に検討は進めたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 第9の1(2),第三者が関与して影響を与える場合について,まず,射程距離です。文末は,「その他従業者(以下この項において「当事者等」という。)」とありますが,従業者とはどういう意味なのか,1点目です。これまで証人の親族など訴訟の当事者ではない関係者が証人等と同じ場所に関与して影響力を与える場面を想定してきたと思いますが,この「その他の従業者」で読むことができるのかという質問です。   次に,手続への関与をすることができないという書きぶりになっていますが,手続への関与という表現でよいのか,そもそも手続に直接は関与していないけれども,影響力を及ぼすことで適正な証拠調べ,証人尋問ができなくなることを危惧していたと理解していますが,手続への関与という表現が意図する内容を教えていただけたらと思います。   それから,29ページの(注)に宣誓の方式について触れていただいていますが,場所は変わりますけれども,鑑定では,1(3)という本文で宣誓書の提出に代わる方法,電磁的な方法について提案がされています。であるならば,証人尋問も(注)ではなく本文での提案で触れていただいた方がよいと思います。   最後は,日下部委員が御指摘したところですが,30ページの4の上2行にある「同手続は非公開の手続として行われ」という意味,今日の前半でも,複数の法廷があるという場合,どちらでの公開かという質問もさせていただいていますが,合議体の構成員の一部が在廷する法廷での傍聴を制限することまでしなければならないのかという点は気になります。裁判所外か否かの区別で重要なのは,公開主義,直接主義の要請との関係で,外部で証拠調べができるかどうかであって,証拠調べに影響がないのであれば第三者が合議体の構成員の一部が在廷する法廷で傍聴することも許されてよいと思います。バーの中に入るわけではないのですから,そういう場面も考えていただけたらと思います。   幾つか申し上げましたが,以上です。 ○山本(和)部会長 4点ほどあったかと思いますが,いかがでしょうか。 ○大野幹事 親族がこれで読めるかという点については,難しいと思います。実質の価値観として,やはり親族等を除くべきだということであれば,そのような前提で,事務当局にて表現振りの整理を進めたいと考えるところでございます。   また,当事者でない人が手続に関与というのも,表現としては適切ではないというところもあろうかと思いますので,こちらについても併せて検討を進めたいと思います。   そのほか,更に頂いた点につきましては,補足説明等で書くかどうかを含めて検討させていただきます。 ○山本(和)部会長 (注)のところで,鑑定の方は本文で書いていてというお話ですが,これはいかがですか。 ○大野幹事 鑑定の方を(注)にするという考え方もあろうかとは思いますが,いかがでしょうか。 ○阿多委員 ここは議論をさせていただいた点で,本文にあげていただけたらと思います。 ○山本(和)部会長 では,少しお考えを頂くということで。 ○大坪幹事 (2)アのところに,証人の場所について今回,括弧書きで適正な尋問を行うことができる場所が示されているのですけれども,部会資料5のときの説明では,25ページなのですけれども,プライバシー等を確保することが難しい場所というところが説明にあって,例示としては,今,通信環境が整備され,かつ証人に対する不当な影響を排除することができる場所のところに「等」が入っていいました。それが今回,抜けているのですけれども,それを抜いたのは何か意味があるのか,この記載でプライバシー等を確保することについての配慮は除いているのかどうか御説明いただければと思います。 ○西関係官 趣旨としましては,プライバシーというものを明示的に除外する趣旨ではございませんでした。「適正な尋問を行うことができる場所」として,具体的にどういった条件がそろっていなくてはいけないのかというところにつきましては,プライバシーの点も含めて,考慮要素としては幾つか考えられるところではございますので,どういったところを列挙してパブリックコメントに付すべきかというところについては少し検討させていただきたいと思います。 ○長谷部委員 証人尋問のところについては,現行の204条よりも大分広がるということであるのですけれども,例えば,1(2)で,適正な尋問を行うことができる場所,通信環境が整備されと書いてあるのですけれども,具体的にどこまでが想定されているのかということを示していただいた方がよいのかなと思うのです。例えば,職場や自宅ということも想定されているのだとすると,そこで使える端末というのは証人自身が持っている端末でいいのかどうかということですとか,仮にそうだとすると,自宅での証言であったとしても,証人尋問のほかの規律は適用になる,例えば203条の書類に基づく陳述が原則として禁止されるとか,そういったことも入ってくるのだとすると,証人自身が持っている,例えばパソコンなどにファイルが入っているとか,メールが接続できるとか,そういうような状況だとしますと,ほかの人がその場にいて何か影響するということがなくても,そういったものを通じて指示がされるという可能性もありますし,ファイルを見つつカメラの方に視線を向けて話をするということはできないことはないと思うので,そういうことはやらないで,それで証言してくださいというようなことを証人に伝えるとか,場合によっては通信環境が本当に安定しているかどうかということだとか,先ほどのビデオをオフにしていいかどうかという,争点整理のところではそういう話がありましたけれども,証人尋問ではビデオオフはまずいのではないかと思うのですけれども,そういったいろいろな規律があって,それでもこのウェブの方式で証言しますかと,裁判所に出頭しないで,204条の今までの形ではなく,自宅などでも証言しますかということをあらかじめ確認するなり,あるいはリハーサルするなりというようなことを考えておられるのかどうかということを少し具体的にしていただいた方が,一般の方が実際にウェブで証言するのかというときに,一体どういうふうに行われるのだろうということが少しイメージしにくいかなと思いますので,典型的な例みたいなものを補足説明などで説明していただけるといいのかなと思っています。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。補足説明で,それでは,詳しく御対応いただくということですかね。 ○山本(克)委員 先ほど来,第9の1(2)のところについて,イで列挙している人間がそれで足りるのかどうかという話がありましたが,私も少しその点が気になっておりまして,現行の203条の3で威迫の場合というものが挙げられていまして,ただ,このとき威迫しそうな人として,当事者又はその法定代理人となっていますが,そもそもこの規定を作ったときの状況からはそういうふうになっているのですが,威迫しそうな人ってほかにも一杯考えられるわけですよね。例えば,共同不法行為の加害者一名が被告となっているような場合に,その被告を当事者尋問するときに,他の加害者,主犯格のような人がいて威迫する,影響を与えるとか,威迫でなくても誘導するとかいうことはあり得るので,この列挙の仕方というのは非常に,もう少し広げないと,裁判所の映像上は見えないところでいろいろなことが起こり得るということを排除できないのではないのかという感じがします。中間試案自体にそれを入れろということではなくて,こういう場合もあるということを考えなければいけないということです。それで,203条の2についていうと,204条で203条の2に相当する規定がそもそも置かれていないのも本来おかしいところでして,その辺りももう少し考えないといけなくなるのではないのかという気がしています。それが1点です。   もう1点は,これは表現の問題だけなのですが,今の(2)イのところで,「当事者(法人である場合にあっては,その代表者)」としていますが,民訴法の建前としては,代表者は法定代理人に準ずるという37条で全てを賄ってきたはずです。先ほどの203条の3も,これは法定代理人と挙がっていますが,これは37条によって代表者に準用されることが当然の前提とされているはずです。ですので,ここで代表者を特にくくり出すということはおかしいので,本来,補足説明でそういうことをいう,むしろ当事者の代理人の中に法定代理人が含まれていて,法人が当事者の場合には法定代理人が代表者と読み替えられるのだということを補足説明で説明しないと,少しまずいのではないか。それから,代理人の中には従業者でない者もいますので,代理人がその他従業者に該当するかのような表現,これは明らかに間違いですので,つまり,訴訟代理人などは,インハウスの人でない限りは独立性のある外部の人ですので,その辺りももう少し表現ぶりを精査していただきたいと思っております。2点です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。では,事務当局,検討していただくということでよろしいですか。 ○大野幹事 確かに御指摘のとおりかと考えますので,更に整理をしたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,続きまして,今度は資料31ページの「2 通訳人」のところです。これについて御指摘があれば,頂きたいと思います。 ○品田委員 通訳人については甲案と乙案が示されていて,説明にも記載されておりますとおり,当初の提案は乙案,すなわちウェブ会議やテレビ会議といった映像と音声の送受信によって通訳人に通訳させることができるというものであったのが,第4回会議で,電話会議の方法でも関与することができるようにした方がいいのではないのかという発言等があって,それを反映させる形で甲案が加わったという経緯であったと思います。   第4回会議では,電話会議の方法による通訳人の関与を可能とする規律の必要性に関する渡邉幹事や富澤幹事の発言をそのとおりだなと思いながら聞いておりました。若干そのときのお話と重なるかもしれませんが,現場の実情について御紹介いたしますと,少数言語の通訳人を手続に関与させる必要がある場合には,そもそも通訳人の確保というのが極めて困難であるという実情がございます。現行法下では電話会議の方法による通訳人の関与が認められていないので,遠方にお住まいの通訳人を手続に関与させるときには,多くの場合は,実際に受訴裁判所に御出頭いただいておりまして,手続を進めるためには相当程度先に期日を指定しているために,期日調整に時間が掛かっているというのが実情です。   ウェブ会議の方法で通訳人の関与をしていただくということが可能になれば,受訴裁判所にお越しいただかなくても手続を進められるケースというのがあろうとは思いますけれども,電話というより簡便な方法を認めた方が,遠くにお住まいの通訳人もより機動的に手続に関与させることができるのではないかと思います。今日は甲案と乙案のどちらがいいかという話ではないことは承知しておりますが,私自身は,電話会議でも関与させられるという甲案に賛成ではありまして,私の記憶では,第4回会議においても,電話会議で関与させてもいいのではないのかという提案に対して,特段,異論はなかったと思っております。   したがいまして,中間試案の記載としては,甲案か乙案かという並列の選択肢を示すのではなくて,甲案だけを記載する,あるいは乙案は(注)に記載するといった方が相当なのではないかと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○山本(克)委員 今の点ですけれども,ウェブ会議における証人尋問における宣誓のやり方の問題があるということは,どこかで中間試案のたたき台で指摘されていたと思いますが,通訳人も偽証罪の準用を受けることになっており,その前提として宣誓をさせるということになっておりますね,刑法の171条ですか。そこで,宣誓ないしそれに代わる措置を担保できるのかどうかということも,電話でやれるのかどうかということも,やはり考えなければいけないので,私は両案併記でないとその辺りのニュアンスが出てこないのではないかと思っておりますので,両案併記でお願いしたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○横田委員 今,山本克己委員がおっしゃったように,宣誓という手続を担保する必要があるという点は,そのとおりかと思います。   ただ,先ほど品田委員から御発言があったように,現場の実情についてもう1点付加しますと,特に少数言語の通訳人が問題になるわけですけれども,少数言語の通訳人を手続に関与させる場合,当該通訳人が職業的に通訳を行っている人とは限らないということがよくありまして,そういう方は,やはりウェブ会議の利用に慣れていないということが十分に想定されます。そうしますと,日本に何人いらっしゃるか分からないような方をせっかく苦労して通訳人として確保したのに,ウェブ会議の利用のハードルが少し高いという理由で通訳を断られるという事態も生じかねないという危惧もございます。そういうことからすると,できれば甲案を前提に考えていただいて,ただ,乙案のような考え方もあるというような記載も十分考えられるのではないかと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。   それでは,ここはどういう形で中間試案として聴くかということについては,引き取らせていただいて,検討をしたいと思います。   よろしければ,次に32ページの「3 参考人等の審尋」の部分につきまして,何かあれば伺いたいと思います。いかがでしょうか。   特段ございませんか。よろしいでしょうか。 ○高田委員 念のための確認ですが,この場合には,受訴裁判所の裁量判断に委ねることが相当であるという考え方で,あえて当事者の意見を聴いてという文言が入っていないという理解でよろしいでしょうか。 ○西関係官 現在提案されている規律を前提といたしますと,例えば証人尋問等につきましても,ウェブ会議で証人尋問をするという場合には法律上は当事者の求意見が必要とされていない一方で,口頭弁論期日にウェブで出頭する場合には当事者の求意見が必要というような形になっているかと思います。参考人審尋につきましても,相手方がある事件については,審尋の期日にこれを行うことになりますが,その期日について当事者のウェブ出席を認める場合には当事者への求意見が必要となる一方で,参考人審尋それ自体については,法律上は求意見が必要ないという構造につきましては,口頭弁論における証人尋問というものと横並びにしているという趣旨でございます。 ○山本(和)部会長 この参考人審尋,ほかによろしいですか。   それでは,第9の部分,最初の1(2),特にイのところで,どういう主体を対象にするのかということについて様々な御意見を頂きましたので,それを踏まえて修正をしていただくということ,その他,手続への関与という文言であるとか,あるいは(注)のところの宣誓の話も御指摘があったと思いますので,それらの部分について,また中間試案に向けての修文をお願いしたいと思います。   よろしければ,次に「第10 その他の証拠方法等」の部分に入っていきたいと思います。まず,事務当局から説明をお願いします。 ○西関係官 御説明いたします。   こちらの論点につきましては,「1 鑑定」,「2 検証」,「3 裁判所外における証拠調べ」,これらのいずれにつきましても従前の提案内容から特段,内容は変更しておりません。なお,ハイブリッド方式の検証につきましては,2(2)として記載しているところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   特段大きな変更はないということですので,全体について一括して御議論を頂きたいと思いますが,何かお気付きの点があれば御指摘を頂ければと思います。 ○日下部委員 2の検証について,3点になりますが,コメントさせていただきたいと思います。   一つ目は,(2)の中で,こちらも「合議体の構成員に命じ」という形でハイブリッド方式のことが言及されておりますけれども,先ほど申し上げましたハイブリッド方式による証人尋問と同様に,「合議体の構成員の一部に命じ」という形にした方がよいのではないかと思ったというものです。些末な点で申し訳ございません。   二つ目ですけれども,この提案によりますと,ハイブリッド方式での検証には当事者に異議がないこと及び裁判所が相当と認めることが必要であることになりますが,他方で受命裁判官や受託裁判官に任せて検証することには,現行法185条1項により,裁判所が相当と認めることしか求められないということになると思います。こうしたアンバランスについて指摘する意見が部会でもございましたので,補足資料でその点について何らかの説明をすべきではないかと思いましたので,この点については事務当局はどのようにお考えなのか,お伺いしたいと思います。   それから,3点目ですけれども,こちらも先ほどハイブリッド方式の証人尋問のところで申し上げたことと同様でありまして,ハイブリッド方式で検証がなされる期日というのは口頭弁論の期日ではなく,証拠調べの期日として非公開の位置付けとなり,憲法上の公開原則は直接は適用されず,したがって傍聴を許す必要もないし,当然,法廷で行う必要もないということになるように思われますが,公開原則の趣旨を尊重して,傍聴人に手続を公開して法廷で行うということも考えられるのではないかという点を併せて申し述べたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。それでは,特に第2点ですかね,受命等とのバランスの話ですが。 ○西関係官 要件のアンバランスにつきましては,従前の会議におきましても御指摘を頂戴していたところと思います。それを正しく反映した記載になっていないのではないかという御指摘かと思いますので,補足説明に書くか,本文の記載自体を修文するかという点も含めまして検討させていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○佐々木委員 1の鑑定のところで,(2)のところに「電子情報処理組織を用いる方法により」とか,(3)でも同様の表現が出てきますけれども,この「電子情報処理組織を用いる方法」というのは,例えば7ページの訴えの提起とか準備書面の提出ですと,電子情報処理組織を用いてする提出は,裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法によりするものとするとありますが,こういう定義がないというのは,もう少し広い概念,広い方法を想定していらっしゃるのか,若しくは同じなのだとしたら,どこかに何か定義付けした方がいいのではないかと思います。それは,先ほどの28ページのインターネットを用いてする書証の写しの提出のところも,これも単に電子情報処理組織を用いて提出又は送付と書いてあるので,同じなのか違うのか,同じならば定義をそろえた方がいいのではないかと思った次第です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。ごもっともな御指摘かと思いますが。 ○大野幹事 御指摘いただきましてありがとうございました。御指摘の表現の差異は,事務当局として何か中身に差を設けたかったという趣旨によるものではございません。表現がそろっていないということですので,その辺りはよく整理をしたいと思います。 ○山本(和)部会長 御指摘ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○日下部委員 3の裁判所外における証拠調べについてですが,先ほど来,私も何度かハイブリッド方式による証拠調べについて言及いたしましたけれども,この法185条における裁判所外における証拠調べの規律というのはハイブリッド方式による証拠調べには直接適用されるものではないという理解をしているところです。もしもその理解が正しいということであれば,中間試案の読者にもその点が分かるように,中間試案そのものか補足資料などで説明を加えていただくことがよろしいかなと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。 ○西関係官 ハイブリッド方式をどういった手続として位置付けるかというところにつきましては,いろいろな考え方がございまして,これ自体が今後の検討課題になるものと承知しております。それを踏まえて現行の185条との関係等も整理しなければいけないということになるかと思いますが,中間試案における提案の趣旨が読み手に分かりやすいように補足説明等の表現は工夫してまいりたいと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○藤野委員 主婦連合会・藤野でございます。今回の鑑定のところで,鑑定人がオンラインで参加することを認める場合に,当事者の同意は要らないのでしょうか。証人尋問のところでは要るようになっているのではないかと思うのですけれども,どの場合に当事者の同意が要るかどうか,私の中で整理できていなくて,今ここの中にそのことが記載されていないことが気になっております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。それでは,事務当局から御説明をお願いいたします。 ○西関係官 ウェブ会議を行う場合に,当事者の意見を聴くという手続が必要かどうかという点につきましては,手続によって現行法上も異なっております。御指摘の証人尋問につきましては,現状も204条という規定がございますけれども,当事者の意見を聴くことは法律上は必要とされておりません。鑑定の方も当事者への求意見は必要ないという形にさせていただいております。 ○藤野委員 すみません,それがウェブで参加する場合も当事者の同意は必要としていないという意味ですね。そうしたら,証人尋問のところの28ページの第9,1(1)イの,「相当と認める場合において,当事者に異議がないとき」との記載は,ここは違うことを指しているのですね。 ○山本(和)部会長 事務当局から。 ○大野幹事 藤野委員のお尋ねの趣旨は,部会資料の28ページの第9の1(1)イに,当事者に異議がないときというのが入っていて,これが当事者の同意を求めているということではないのかというものだと理解いたしました。まず,イの上にあるアでは,現行法において「遠隔の地に居住しているとき」となっているものについて,そこでお書きしたようなものに改めるという御提案をさせていただいております。これだけであれば,当事者の同意というのは法律上出てこないままなのですけれども,今般はこれまでなかった規律としてイを更に御提示したいという趣旨でございました。その内容がアのような要件は満たさない場合でも,特に当事者が異議がないのであれば,ウェブでの尋問を認めてもいいのではないかという御提案をさせていただいているというものでございます。   構造としては以上のようになりますが,いかがでしょうか。 ○藤野委員 理解できました。ありがとうございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○山本(克)委員 1点,すごく細かい表現の問題を御指摘させていただきたいと思います。鑑定の(2)ですが,提出に代えてとなっていますので,最後,電子情報処理組織を用いる方法により,やはり提出することができる,でないとおかしいような感じがします。日本語の感覚の問題もあって,私はそういうふうに感じたということで,皆さんそうお感じにならなければ,原案どおりでも構わないかと思いますが,提出に代えたら,やはり提出なのではないのという気がいたします。   それと,先ほど,もう一遍,電子情報処理組織を用いるという表現と,ファイルに記録するという表現と併存しているのはどうかという話があったのですが,ファイルへの記録は現行の132条の10の第3項から来ているものだと承知しておりますけれども,ファイルへの記録という表現が,今,皆さんがコンピュータを比較的使うようになったら,何か気持ち悪いのではないのか,ファイルを記録するのであって,ファイルへの記録という言葉遣い自体が何か違和感のある方は結構おられるのではないか,法制面もあるので,これが駄目だとは言い切れないところですが,法制的に問題がないようだったら,ここの132の10の第3項を含めて,ファイルへの記録という表現は何か変えていただきたいという感じがしています。どこに記録するかというのはシステムに関わりますので,あれですが,記録する場所をファイルということは,少なくともウインドウズの世界ではあり得ないなという感じがしますので,御検討いただければと思います。今回やれという趣旨ではなくて,今後の話です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。第1点はよろしいですか。 ○西関係官 検討させていただきます。 ○山本(和)部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,第10の1の部分,1(2)の辺り,あるいは検証のところでは受命裁判官等のバランスの問題等を御指摘いただきましたので,これについては更に修正案をお考えいただきたいと思います。   続きまして,33ページの「第11 訴訟の終了」の部分についてですが,この部分は「2 和解」がありますが,この和解のところの「(3)新たな和解に代わる決定」については前回御議論いただいて,それを踏まえて部会資料13で修正案が示されていますので,それについては部会資料13について御議論いただく際に御意見を頂きたい,要するに後回しにしたいということでありまして,2(3)を除いた部分について,まず事務当局から説明をお願いいたします。 ○波多野関係官 説明いたします。   33ページの「第11 訴訟の終了」の「1 判決」につきましては,従前から実質的な内容の変更をしておりません。   34ページ,「2 和解」につきましては,本文につきましては従前から実質的な変更をしておりません。これまでの会議におきまして出されました和解などの調書の送達をしなければならないという御意見,和解に参加している第三者に関する規律を設けるべきであるとの御意見,当事者双方が受諾書面を提出するという方法によって裁判上の和解が成立したものとみなすという規律を設けるべきであるというような御意見がございましたので,それらにつきましては(注1)から(注3)までに記載しております。   説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,まず「1 判決」の部分ですね,特段の変更はないというお話でしたが,この部分についてお気付きの点があればお伺いしたいと思います。 ○阿多委員 質問です。部会資料の説明は必ずしも中間試案や補足説明に入らないことになっていると思いますが,今回,判決の説明では,口頭弁論の結果陳述をしない場合の取扱いについて詳細に議論が紹介され,最後は,どのように考えるのかという形で結ばれていますが,中間試案の(注)にあげることを意図されているのですか。 ○大野幹事 この点については,コメントを頂けるようでしたら,頂きたいという趣旨でお書きしたというものでございます。 ○阿多委員 この論点は裁判所から従前提案があったものの,誰が結果陳述を失念しているのかという話で,理解の仕方によって249条の解釈論のようにも読めるものですから,立法論としての提案なのか,法制審で解釈論があったことを議事録に残すという趣旨なのか,戸惑うところです。中間試案に入れられるのであれば,(注)にするという考えもあり得ると思いますが,そこまでの必要はないと考えます。 ○山本(和)部会長 基本的には立法として何か手当てができるかどうかということを御議論いただくということで,(注)に入れるのかどうかということについて御意見をお伺いしたいという趣旨かと思いますが,この点,他の委員,幹事から何かございますか。 ○渡邉幹事 ただいま阿多委員から御指摘がありました口頭弁論の更新の取扱いについてですが,説明にも記載していただきましたとおり,第4回会議において裁判所から提案したものでございます。問題意識としましては,裁判官が代わった際に,当事者が従前の口頭弁論の結果陳述を失念した場合にも,これは当事者がと強調させていただきますが,従前の口頭弁論に関与しなかった裁判官による判決として絶対的上告理由に当たるとすることは,口頭弁論の更新手続の持つ意味と比較して,その懈怠に不当に重い効果が与えられることになり,相当ではないと考えているということから,御提案させていただきました。   この点,判例がございまして,裁判官の交代があったにもかかわらず従前の口頭弁論の結果を陳述せずに口頭弁論を進行させた場合,それは違法ではあるけれども,その際に口頭弁論を終結しないで続行して,続行期日において,あるいは裁判官が更に交代した際に,従前の口頭弁論の結果が陳述されれば,その違法は治癒されるといったものがございます。当事者に従前の口頭弁論の結果を陳述する機会があり,裁判官が記録やその後の手続の中で従前の口頭弁論の結果を認識できるのであれば,現実に結果陳述といった行為がなされていなくても,当事者の手続保障に欠けるところはないので,判決の瑕疵が治癒されるというような,これは恐らく救済規定を立法することになるかと思いますが,そういったような形で,形式的な理由での当事者の利益にならない破棄,差戻しを防ぐことが望ましいのではないかということでございます。   そういった意味で,(注)になるか補足説明になるかといったことにつきましては,是非事務局で御検討いただきたいところではございますが,記載は残していただきたいと考えているところでございます。 ○山本(和)部会長 そのような趣旨ということですが,この点,御意見があればお伺いしたいと思いますが。 ○笠井委員 何か言わなければいけない話だろうと思いますので,発言しますけれども,まず,これがIT化の話とどう関係するのかというのは,きっと指摘されると思います。かつ,やはり直接主義,裁判官がきちんと口頭弁論を聴いて,それに基づいて判決をするというのは訴訟構造の基本の基本でありまして,実際にそういうことが起こるとして,それが当事者のせいなのか,裁判官のせいなのか,それとも書記官が書き忘れたのかというのはよく分からないところがありますけれども,やはりこういうことを正面から立法するというのは,手続の根幹に関わると思いますので,相当慎重に考えていただきたいと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。   では,この点は事務当局で引き取っていただいて,どういう取扱いにするかは次回以降に提示を頂きたいと思います。   ほかに,この判決の部分,いかがでしょうか。よろしいですか。 ○山本(克)委員 何度も申し訳ありません。判決の(1)ウですけれども,基づいてするの意味をもう少し説明していただくと有り難いのですが,つまり,法廷に事件管理システムの中のファイルを閲覧できるようなハードウェアが置かれていて,そのハードウェアにおいて表示された文字列をもって,この電子判決書に基づくというふうにいうのでしょうか。というのは,結局この記録されているものは,本来はデジタルデータですからゼロか1の羅列にすぎないはずなので,それと,それをアプリケーションを用いて人間が読めるような状態にしたものを電子判決書と呼ぶのか,どちらなのかという問題と関わりますので,お教えいただければと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。これは事務当局で。 ○波多野関係官 波多野でございます。御指摘ありがとうございます。判決の言渡しにつきまして252条で原本に基づいてすると規定されておりますが,IT化した後もそれと同様に,判決言渡しをするときには判決の原本となるものが存在しているということを変える必要はないだろうということで,この記載をしているところでございます。イメージとしましては,山本克己委員がおっしゃったように,事件管理システムに原本,原データかもしれませんが,そういうものがあり,それを映し出すようなディスプレイがあって,それに基づいてというか,それを見ながら言渡しをすることを想像して,ウの記載をしているところでございます。それを,電子判決書に基づいてするということで表現できているのかという御指摘の趣旨を踏まえて,表現につきましては引き続き検討させていただきます。 ○富澤幹事 法務省の方で御説明いただいたところでほぼ尽きているところかと思っておりますけれども,事件管理システムの設計開発の中で現在検討しているところを若干御説明しますと,判決書自体は,文書作成アプリケーションにより電子情報として作成することになり,判決言渡しの際には,法廷の壇上にも電子記録を見られる端末やモニターが置かれている前提で,裁判所のみが閲覧することのできる領域にアップロードされている判決書の電子データに基づいて判決の言渡しをすることとなり,判決言渡し後は,その電子データを別の領域の方に移して送達等をしていくということを考えております。このような内容を端的に記載すると,今回の部会資料のような形になると理解しております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。今のような実態を条文にどういうふうに写していくのかという問題かと思いますけれども,御指摘ありがとうございました。   それでは,判決の部分はおおむねよろしいでしょうか。   続きまして,34ページ「2 和解」のところですが,ここは先ほど申し上げたとおり,(1)和解の期日と(2)受諾和解の部分,それから35ページの下から(注1)(注2)(注3)とありますけれども,この辺りの部分について御意見があれば,お出し頂ければと思います。 ○阿多委員 (2)の受諾和解,さらには(注3)を確認させてください。受諾和解は,一方当事者は口頭弁論期日に出頭するという場面,(2)は一部字句の修正がされていますが,現行法の場面ですが,(注3)は双方が出頭することなく受諾書面を提出した場面です。この(注3)は従前,書記官の権限で提案のあった内容と思いますが,片方だけではなく双方が受諾書面を提出した場面でも和解の成立を認める提案ですが,少なくとも現行法の受諾和解の規定は,規則163条で,裁判所が関与して欠席当事者の意向確認をすることが定められていますが,(注3)の双方が受諾書面を堤出した場合は,意向確認という手続的な担保は想定されていないのか,書面が堤出された段階で,従前案は直ちにという表現が入っていた気がするのですが,書記官の確認だけで成立するのか,それとも手続的担保を追加される可能性があっての提案なのか,いずでれですか。。 ○山本(和)部会長 事務当局から回答をお願いします。 ○波多野関係官 波多野でございます。(注3)につきましては,第5回会議で御提案があった点をここで(注)に記載させていただいているところでございまして,少なくとも期日を開かずに受諾和解のような形で双方から受諾書が出てきたときに,和解を成立したものと扱うことはできないかというような御提案を(注)に記載させていただいているところでございます。その上で,期日を開かずにこのようなことができるのかというところが,まず1点目の検討事項だと思いますし,仮にそれができるとなったときに,どのような手続でするのかということを検討しないといけないことだと思います。阿多委員がおっしゃったところにつきましては,その二つ目の,期日を開かずに和解が成立するという扱いができるとなったときに,どのような手続でするのかということかと思いますので,引き続き検討させていただければと思います。 ○阿多委員 そういう意味では(注3)は,双方当事者が受諾書を提出した段階で調ったものとみなしてしまい,裁判所による和解の成立の宣言も全くなしに成立してしまうと読めますので,少し補足説明をいただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○山本(克)委員 何度もすみません。判決のところで聞き忘れたことがあったので,少し戻らせていただいてよろしいでしょうか。 ○山本(和)部会長 どうぞ。 ○山本(克)委員 判決書のシステム送達についてですが,ここで正本概念というのはどうなるのでしょうか。正本概念は,ここだけの話だったらどうでもいいのかなという気もしますけれども,強制執行における債務名義の正本とも関わる問題ですので,正本概念についてある程度の見通しなり何なりを補足説明でお書きいただかないと,少し問題が出てくる可能性があるのではないかという気がいたしました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。事務当局は今の段階で,ありますか。 ○大野幹事 ありがとうございました。山本克己委員御指摘の点は我々も問題意識を持っているところでございました。特に,執行の場面での接続をどのように考えるかということを見据えた上で,正本という概念を電磁的に置き換えたものを設けるかどうかの検討が必要だという点は,事務当局もそのように理解をしております。そういった問題点があるということをきちんとお知らせするということも大事なことと思いますので,その在り方についてはよく考えたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○小澤委員 (注1)の和解又は請求の放棄若しくは認諾を記録したファイルを送達しなければならないとするという考え方ですが,これは本人訴訟の当事者にとっては大変優しい規律と考えていますので,賛成しているところです。現在行われている形式的な口頭による申請も不要になり,効率化が図られるということになるだろうと思っています。補足説明において,そのような現在の実務運用を分かりやすく記載していただければ,意見も出しやすくなるようになると思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。それでは,それは補足説明で対応していただきたいと思います。 ○阿多委員 送達申請の必要がなく職権による送達に改めることを分かりやすく書いていただけますか。  次に(注1)の送達の対象の書きぶりで,2行目の電子計算機に備えられたファイルの記録部分という表現は,電子判決の送達とは違う書きぶりがされていますので,統一していただけたらと思います。 ○山本(和)部会長 そこはよろしいですね。   それでは,ほかにはいかがですか。よろしいでしょうか。   それでは,これで第11は終わりになりますので,続きまして「第12 訴訟記録の閲覧等及びその制限」ですが,ここも「1 訴訟記録の閲覧等」の部分については前回御議論を頂いて,その修正案というのが部会資料13の方にありますので,これは先送りにさせていただいて,ここでは「2 閲覧等の制限の決定に伴う当事者の公法上の義務」,この部分について御議論を頂きたいと思います。まず,事務当局から説明をお願いします。 ○藤田関係官 御説明いたします。  本文2は,これまでの会議において御提案したものを一部改め,閲覧等制限の決定があったときの当事者の公法上の義務の内容として,目的外利用や他への開示を可能とする範囲について,新たに「正当な理由なく」という規範的要件を設けております。(注1)には,閲覧等制限の申立てや決定の内容に沿うマスキング後のデータを当事者が提出するものとする考え方を記載しております。(注2)には,例えば性犯罪やDVの被害者の住所等の情報が訴状の送達や調査嘱託の回答書の閲覧等を通じて加害者とされる相手方当事者に知られることがないようにする規律を設けるものとする考え方を記載しております。   御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この論点につきまして,どなたからでも結構ですので,御発言をお願いしたいと思います。 ○阿多委員 公法上の義務を課すという案を提案いただいています。ただ,部会では今までの義務以上の公法義務を課すことだけが議論されていますが,そうなった場合の手続保障についての議論がありません。従前ですと,開示制限の取消しを求める第三者が申し立て,裁判所が取消しを判断し,認められれば開示制限はなくなり,認められなければ即時抗告ができるわけですが,今回,相手方は公法上の義務を課せられる,義務を負担するにもかかわらず,何ら手続的な担保がありません。後に損害賠償請求で正当な理由の有無を争えばよいというのかもしれませんが,元々義務が課せられること自体が不利益なわけですから,争う手続を設けることの要否についても議論いただく必要がると考えます。現状の閲覧制限の実務を考えても,相手方の知らない間に公法上の義務が課せられてしますのですから,バランスを欠く提案ではないかと思います。この提案が相手方の手続保障をどこまでイメージされているのかわかりませんが,私自身は,補足説明で終わるのではなく,相手方が争う手続も含めて提案いただきたいと思います。   2点目は(注2)です。先ほども説明がありましたが,この書きぶり,92条の規律に加えて特定の情報について相手方当事者であっても閲覧することができないようにする規律を設けるものとする考え方がある,と書かれていますが,特定の情報の中身について具体的な説明がありません。これだけを見ると,請求原因や証拠の情報について相手方も見られない,知り得ない情報を肯定するように読めます。何を意図して,特定の情報については当事者も閲覧できないようにするのかと説明いただき,補足説明にも可能な範囲で記載いただきたいと思います。   以上,2点です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。それでは,2点,事務当局の方から説明お願いできますか。 ○大野幹事 2点目をまず先にお答えいたしますけれども,事務当局が意図していたものは,先ほど御説明申し上げましたとおり,性犯罪やDV被害者の住所等について相手方の閲覧を制限する必要があるのではないかといった御指摘が従前ございましたので,それを表現したつもりでございました。ただ,現在の表現がそれを適切に伝え切れているかというと,そうでもないというところもあろうかと思いますので,趣旨がより適切に伝わるような表現に改めたいと考えているところでございます。   1点目につきましては,事務当局としては,注記すべきかどうかの御意見をいただきたいと考えておりますが,いかがでしょうか。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。それでは,今の手続が必要ではないかという御指摘についてですが,山本克己委員,お願いします。 ○山本(克)委員 特許法上の秘密保持命令は,却下した裁判に対して即時抗告はすることができるということとの平仄を考えなければいけない問題だというふうに,今,阿多委員がおっしゃった第1点は,考えるべきなのかなという気がしております。もう1点ですが,なぜ公法上のという形容を付けなければいけないのか,私は理解が困難でして,こんなのは公法上の義務に決まっているではないかという気がするのですが,いかがでしょうか。 ○山本(和)部会長 後段の方はいかがですか。 ○大野幹事 御指摘のとおりだと思います。分かりやすさの観点から付け加えていたというものです。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   秘密保持命令は105条の5というので取消しの申立てというのができることになっていて,これが不服申立てに代わるものなのではないですか。 ○阿多委員 公法上の義務は言わずもがななのかもしれませんが,解説書によっては私法上の義務にとどまり,当事者の損害賠償の際の問題になるに過ぎないと書かれており,逆に実務としても,閲覧制限の申立てをそれほど気にせずに終わっています。今回,当事者として公法上の義務を負うということになるとかなり影響する話だと思います。 ○山本(和)部会長 ほかに,いかがでしょうか。 ○山本(克)委員 いや,義務を負うのは大きな話かもしれないけれども,これは公法上の義務に決まっているということを申し上げただけの話で,義務を負うことがどうのこうのではなくて,訴訟法では公法上の義務を定めるのが原則だというのは当たり前の話なので,わざわざ公法上のと書かなくていいではないかということを申し上げただけです。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○大坪幹事 (注2)のところで確認なのですが,閲覧についての記載というだけなのですけれども,これは訴状の記載とか判決書の記載の,例えば当事者の表示については,特に変更しないで,閲覧だけの規律について検討するということなのでしょうか。 ○藤田関係官 お答えいたします。   この会議の場においては,特に調査嘱託の回答書の閲覧請求があった場合の扱いについて御意見が出されたと承知しております。その観点から,この(注2)において閲覧という表現を用いさせていただきました。今,大坪幹事から御指摘のありました訴状の送達の場面において,システム送達であれば,中間試案のたたき台の表現では閲覧ということになってこようかと思いますが,現状の紙の訴状の送達におきましては,これが相手方,つまり被告に送達されたときに,必ずしもそれを読むことを閲覧とはいわないと思われますので,その限りにおいては,閲覧以外に知られる場面ということも想定はされ得るのだとは考えております。 ○山本(和)部会長 大坪幹事,いかがですか。 ○大坪幹事 結構です。 ○笠井委員 先ほど阿多委員がおっしゃった,閲覧制限がされた場合に,当事者に不服申立権,要するに即時抗告権を与えるという御趣旨なのかなとも思ったのですけれども,そこまでの必要性があるのか,そういう実質的な話なのかどうかということが今一つ飲み込めておりません。正当な理由なく目的外に利用してはならないというのは,確かに一定の制約は掛かるというのは分からなくはないのですけれども,即時抗告まで認める,そこまでの必要性があるような義務を課しているのかどうかということについて,今一つぴんと来ていなくて,これは内容の問題なのかとは思いますけれども,その辺り,もう少し何か分かりやすく御説明いただければ,少し考えやすくなるかなと思います。 ○阿多委員 入口論と出口論という言い方をすると,入り口で簡単に義務を課されて,後で損害賠償の請求されたときに正当な理由を主張立証するのか,それとも,入口の段階で,そもそも開示制限が課せられるプライバシーや企業秘密に該当するのかを争う機会を設けるのかという手続構造の問題で,相手方に公法上の義務を課すのであれば,義務を課される場面かどうかを争う機会を与える必要があると考えます。現状は,相手方には決定を告知する規定もなく,申立てがあったこと自体も知らされない,分からないのですから。新たに公法上の義務を課すのであれば,閲覧制限の申立ての告知を受け,事前に意見を述べる機会を提供する必要があります。逆にいうと,そこまで重たい手続を設けるのであれば,公法上の義務を課す必要もないのではないかというのが持論ですが,パブリックコメントで意見照会をすると,単純に賛成意見で多数が形成される気がしますので,相手方の手続保障の必要性にも触れた両論併記で提案いただけたらと思います。 ○笠井委員 今一つよく分からないところがあります。即時抗告が通れば,もちろんその制限がなくなるのでしょうけれども,通らなかったら,では,そのときに正当な理由なく開示するか,しないかみたいな話についてどう影響するのかというのもよく分からないところがありますので,正直よく分からなかったというのが感想です。 ○山本(克)委員 仮に即時抗告を認めても,この手続での判断というのは後の損害賠償の訴訟において裁判所の判断を拘束するとは思えません,既判力がありませんので。何のためにそういう議論をしているのか,私は少し理解できないです。 ○日下部委員 今回,公法上のと付け加えられた,義務を明示するという提案については,従来の御説明では,こういった規定は現状はないけれども,解釈上そのように理解されている,それを明文化しているのだというお話でしたので,実質的な変化は生じるものではない,ただ,条文を見れば意図が分かるという性質のものかなと思っておりました。そうであれば,先ほど笠井委員からも御発言があったと思うのですけれども,そのことを捉えて何か付随的に手続を修正する必要があるのかどうかということについては,私もすとんと落ちては来ていないところです。   実務的に申し上げますと,この閲覧制限の申立てをするという作業が非常に煩瑣でございまして,例えば,何らかの営業秘密が出てきやすい訴訟案件を扱っていますと,準備書面の提出をする場合,それから証拠の提出をする場合,常にどこを削らなければいけないのかということを考えなければいけませんし,相手方から出てくる準備書面や証拠についても,いちいちそれを考えなければいけません。その作業は大変なものになります。   現状,実務的には営業秘密の要件を満たしているのかどうかということを厳密に判断しなくても,一応そうだろうなと思えば閲覧制限を認めていただいていて,そこで相手方当事者と争うというようなプロセスは入らないようになっていることについては,合理性は十分あるのではないかと思っています。そのプロセスを現状から変えて,争うことができるようになってしまいますと,この閲覧制限の申立てを実際に行うということがほとんど絶望的なぐらいな,嫌がらせを受ける可能性も出てくるようなものになりかねないように思いまして,そんなことになるのだったら,もう裁判なんてやっていられないから仲裁の方がいいと思う人は多分出てくる,少なくとも企業の立場からすると,とてもそういう影響があるのではないかと思います。   私としては,そういう観点から言いますと,少なくともこの閲覧制限の申立てに関わる手続で,相手方当事者のために手続保障ということで手続を厚くするということについては,にわかに賛成できない問題だと思っているところなのですが,元々この部分については,中間試案の書き方をどうしましょうかということが部会長からの御要請で求められている意見ですので,何かそれを外れた意見になっているとしましたら,お詫び申し上げたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この点の議論は引き取らせていただいて。 ○阿多委員 飽くまでも中間試案の書き方という場面であることは理解していますが,この書きぶりだと,日下部委員が言ったのとは逆の立場,知らない間に公法上の義務が課せられているのは納得できないという立場は当然あり得るわけで,そういう意味では,手続保障を意図して義務を課す必要があるのではないかという議論があったことについて紹介して頂きたいと思います。 ○山本(和)部会長 分かりました。補足説明等で書きぶり等,考えていただきたいと思います。   それでは,いかがでしょうか。この当事者の義務の点はよろしいでしょうか。   それでは,続きまして,39ページですが,「第13 土地管轄」,「第14 上訴,再審,手形・小切手訴訟」,「第15 簡易裁判所の手続」,この辺りは一括で御意見を頂きたいと思います。事務当局から説明をお願いいたします。 ○西関係官 御説明いたします。   まず,「第13 土地管轄」については,現行法の規律を維持するものとしておりまして,これまでの御提案と同じでございます。   次に,「第14 上訴,再審,手形・小切手訴訟」についても従前と同様でございます。   「第15 簡易裁判所の手続」についても,従前と同様です。この点については,地裁における訴訟手続についての規律を踏まえて引き続き検討するものとしております。   私からは以上でございます。 ○山本(和)部会長 それでは,この部分一括して,いかがでしょうか。御意見があればお出しいただきたいと思います。 ○小澤委員 簡易裁判所のところですけれども,1点,まず御質問なのですが,「簡易裁判所の訴訟手続についても地方裁判所における第一審の訴訟手続と同様に」と記載がありますが,「同様に」というのは「同時に」という意味なのでしょうか。もう1点は,IT化に伴う特則を設けるかどうかについては,という書きぶりではなくて,できれば,IT化に伴う特則を設けることについて,という前向きな記載にしてほしいと考えております。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局からお願いします。 ○大野幹事 お答えいたします。一つ目の「同様に」というのは,「同時に」と御理解いただいて構いません。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。第2点はいかがですか。 ○大野幹事 検討させていただきます。 ○山本(克)委員 以前,部会でも私,発言したのですが,家庭裁判所の民事訴訟事件,人事訴訟を除く,ですけれども,通常の民事訴訟手続として営まれる手続がどうなるのかという,どうなるのか,までは書かなくていいのですけれども,そこが要検討事項である,ぐらいのことは補足説明でお書きいただいた方がいいのではないのか,取り分け家庭裁判所から控訴されて高裁に係属した場合のことなども問題になり得るところですので,是非御検討いただければと思います。   それから,人事訴訟についてうまく条文が書けるのかどうかという点も,また今後,これは法制面ですけれども,そういう問題があるということは御認識いただいて,これは特に補足意見に書いてくださいということではございませんが,人訴法の包括準用規定をどうするのかというのは非常に難しいなという印象を持っているということだけ,忘れないうちに申し上げておきます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,続きまして,40ページの「第16 手数料の電子納付」について,事務当局から説明をお願いします。 ○園関係官 それでは,園の方から説明をさせていただきます。   40ページ目から始まります「第16 手数料の電子納付」についてでございます。第16の1から4までのうち,4の(1)と(2)に記載いたしました訴訟費用の範囲についての提案につきましては,賛否両論があったことを記載し,そのほかの論点につきましては,ここに記載させていただいた範囲において基本的には議論の一致を見たという理解を前提とした記載をさせていただいております。   1点,補足をさせていただきますと,第16の「1 オンライン申立てがされた場合の手数料等の電子納付への一本化」の(注)の記載につきましては,従前の会議において具体的な提案はしていなかったものでございますが,これまでの訴訟記録の閲覧などについての皆様の御議論も踏まえ,事件管理システムの利用の登録をしている第三者が訴訟記録の閲覧などを請求することができることとした場合には,その際に納付することが必要な手数料の納付方法については訴え提起の手数料を納付する場合などと同様の構造になると思われますことから,同様に所要の整備を行うことについて記載させていただいたものでございます。   最後に,41ページの最後に記載がございます4(3)の(注)でございますが,訂正部分がございまして,「法71条各号の申立て」としております部分は「訴訟費用等の負担の額を定める処分を求める申立て」と訂正させていただきます。   簡単でございますが,事務当局からの説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   この点も一括して,16の1から4までありますが,一括して御議論いただきたいと思います。どの点からでも結構ですので,御意見を頂ければと思います。 ○阿多委員 第16に記載されているわけではないのですが,6ページ,8ページで手数料という言葉が用いられています。データで提出されたものを裁判所がプリントアウトするため費用,逆に,書面で堤出されたものを裁判所がデータ化するための費用という,文書作成費用というかデータ化費用が手数料という名称で記載されていますが,その手数料は第16の手数料に含まれるのか,という質問が1点目です。   2点目は,データをプリントアウトした書面を郵便で送達か交付する場面では,一定の郵便費用が発生すると思いますが,その費用は第16の2郵便費用の手数料の一本化に含まれるのか,つまり,プリントアウトの手数料以外は費用負担がないという理解でよいのか,それとも,郵便費用を別途都度納めなければいけないのかという質問です。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局からお願いできますか。 ○園関係官 では,園の方からお答えを申し上げます。まず1点目の質問の手数料の位置付けでございますけれども,この点につきましては,新たに設けられる手数料ということでございますので,現行法の規定から直ちに位置付けが明らかになるものではございませんけれども,書面を出力する手数料の位置付けについての一つの考え方としましては,41ページの(2)書類の作成及び提出の費用とございますところにつきまして,このうちの書類の作成費用の一部に当たるものとした上で,新たに法的な整理を考えるという方法があるとは考えられるところでございます。   2点目の御質問につきましては,まず質問の前提でございますけれども書面を出力する手数料を支払った場合に,裁判所において出力した書面を裁判所から相手方に対して郵送する場合の費用のことを指されていると理解いたしましたが,その場合の費用につきましては,これを現行法の中に位置付けるとすれば,現在,当事者が裁判所に対して予納義務を負っている費用と位置付けることができると考えますところ,今回40ページの第16の2において提案しております郵便費用の手数料への一本化というものが実現するとすれば,この手数料に組み込まれる額の中にその点の費用が組み込まれるといった整理になると考えております。 ○阿多委員 1点目をもう一度確認させてください。プリントアウト費用,デジタル化費用という手数料は,4(2)の書面の作成の費用に含まれる。とすると,甲案と乙案の選択の問題となり,甲案は自己負担で,乙案は訴訟費用化という提案ですので,いずれを選択するかによって変わってくるという理解ですか。前の6ページ,8ページの3つ目の案はデータで堤出した当事者がプリントアウトしてもらうための手数料を「納付する」とあります。先ほどの説明では郵便費用は不要ということになりそうですが,そのプリントアウトする手数料は,訴訟費用化されようが自己負担になろうが,都度納付しなければいけない費用になるのですか。 ○園関係官 園の方からお答え申し上げます。ただ今,2点質問をいただいたものと思いますが,まず1点目につきましては,裁判所において書面を出力する手数料が訴訟費用に含まれるのかどうかと理解いたしましたけれども,その点につきましては,まず,書面を出力する手数料というものが新たに新設された場合の問題であると理解いたしますところ,その場合に,41ページの4(2)における甲案,乙案のいずれに位置付けられるのかというところで考えますと,仮に甲案というものを採り,かつ,新たに設ける書面出力手数料については訴訟費用にしないという整理をするのであれば,当事者に自己負担をしていただくと,そういった帰結にはなると思いますけれども,その点の当否というものは従前,皆様に議論いただいた4(2)の議論とはまた別途,問題になり得るものであろうとは考えております。 ○阿多委員 2点目の,都度納付しなければいけないのかという点はどうですか。 ○園関係官 2点目の質問でございますが,質問の趣旨について,書面を出力する手数料というものは,当事者が申立てを行うごとに必要になるものなのか,徴収されるものなのかという趣旨に理解いたしましたけれども,その点につきましては,書面出力手数料というものについて,どのようなタイミング,頻度においてそれを徴収するかという一つの論点であると理解しておりまして,今後の皆様の議論を待つことになろうと考えております。 ○阿多委員 ありがとうございました。6ページ,8ページの手数料について,どこかで説明いただいて,論点になることを指摘いただけたらと思います。 ○山本(和)部会長 それでは,補足説明で対応していただくということですかね。   ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,資料12,最後ですけれども,「第17 IT化に伴う書記官事務の見直し」と「第18 障害者に対する手続上の配慮」,この二つもまとめてと思いますが,まず,事務当局から説明をお願いします。 ○藤田関係官 御説明いたします。第17には,IT化に伴う書記官事務の最適化のために所要の改正をするものとするとの記載をしております。この項目において出された御意見には,中間試案のたたき台の第17以外の項に記載したものもございますが,それ以外の三つ,すなわち担保取消しの書記官権限化,訴状の補正及び却下の一部の書記官権限化,調書の更正に関する規律の創設につきまして,これまでの会議における御議論の状況等を踏まえ,(注)に記載しております。   第18におきましても,これまでの会議における御議論の状況等を踏まえまして,障害者に対する手続上の配慮に関する規律を設けることについて,引き続き検討するものとする記載をしております。   御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 それでは,この論点二つですけれども,どちらからでも結構ですので,御指摘を頂ければと思います。 ○服部委員 服部でございます。障害者の関係でございます。   項目に挙げていただいてありがとうございます。この提案箇所に,設けることについては引き続き検討するとございまして,先ほど簡易裁判所のところでも同様の御指摘があったところですけれども,ここだけ見ると,規律を設けることに積極なのか消極なのか,少し分かりづらいというところがございまして,やや前向きな表現を採っていただければなというところのお願いでございます。   もう1点,説明の内容のところには,様々な手続上の配慮をする必要があると思われるとか,必要な法制度や関係機関による支援について検討していく必要があるということで,支援に大変前向きな記載をしていただいていますので,補足説明においても是非同趣旨の記載を残していただきたいと思っておりますので,よろしくお願いします。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。どういう表現が前向きなのか,よく分からないけれども,その点については御検討いただければと思います。   ほかに,いかがでしょうか。 ○笠井委員 第17の方の書記官権限の関係ですけれども,これも前にも申し上げたことに関連するのですが,こういうふうに出されることについて特に反対というわけではないのですが,二つ目の訴状の補正及び却下の一部といわれると,一部ってどこですかというふうになりそうで,そこがよく分からないので,どう答えていいか分からないというのが読んだ人の感想かなという感じを受けます。具体的に何か書くかも含めて御検討いただければと思います。その方が,ある意味,賛否がはっきりするというところもあると感じました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。それでは,これも検討いただくということで。   ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   ありがとうございました。それでは,これで一応,部会資料12については検討を終えられたということです。残された時間は10分弱ではありますが,部会資料13の方の最初の項目だけでも入っておきたいと思いますので,若干,延長になるかもしれませんが,部会資料13,1ページですね,第1の2につきまして,事務当局から説明をお願いいたします。 ○波多野関係官 説明させていただきます。   部会資料13の1ページでございます。こちらにつきましては第7回会議におきまして,システム障害に関して①から④まで事由を設定して御議論をしていただいたところ,広く時効の完成猶予を認めるべきであるとの御意見が出された一方で,インターネットを用いた催告についてはシステム障害に関する規律がないということから,裁判上の請求についてのみ規律を設けることについての整合性等についての懸念から,広く時効の完成猶予を認めることについて消極的な御意見が出されたところでございます。また,そもそも一定の範囲のものにつきましてインターネット申立てによらなければならないという規律を導入した場合に,その者が書面を提出したときであっても,一旦書面を受け付けた上で,インターネットによる追完を認めて書面を提出したときに訴え提起がされたと取り扱うこととすれば,時効の完成猶予については特段の手当てをする必要はないという御意見や,書面を受け付けることとした上で,更にシステム障害について時効の完成猶予の規律を設けるか否かを検討すべきであろうという御意見も出されたところでございます。   本資料につきましては,甲案としまして,従前お示ししていた甲案の中から①の場面について時効の完成猶予を認めるという考え方を提示させていただいているものでございます。(注)の方に①から③までの事由について時効完成猶予を認めるという考え方を記載しております。乙案は,先ほど申し上げました,書面を一旦受け付けるという考え方に基づきまして,特段ここでは規律を設けないという考え方を示すものでございます。   なお,一定の範囲のものにつきましてインターネット申立てによらなければならないということにするかどうか,さらに,その際に書面が出されたときの扱いをどのようにするかにつきましては,前回御審議いただきました第1の1で御議論いただくテーマでございますので,議論としてはそちらに委ねることになるのかと考えておるところでございます。   説明としては以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   この点,今日だけで議論が終わるかどうかというのは分からないのですが,少なくとも今日の段階で,この点は気になるという部分がございましたら,今日の段階で出しておいていただければ幸いです。 ○日下部委員 部会資料13の中で,乙案に係る部分の説明を読みますと,訴訟代理人が申立てを行う場合を前提とする記載が非常に目立っているかと思うのですが,乙案の意図は,申立てを行う者が訴訟代理人であれ,当事者本人であれ,共通するはずのように思われまして,そうであるなら,補足資料においても,この点の説明をする際には申立てを行う者の種別を限定するような記載は避ける方がよいのではないかと思いました。これが1点目です。   それから,2点目ですけれども,乙案の説明としまして,部会資料12の第1の1における議論に委ねることを想定しているので,乙案は規律を設けないという御説明になっております。書面かオンラインかという方式の定めに違反して書面でなされた申立てでも,時効完成猶予効がある裁判上の請求に該当するのだということが明らかになっているということが乙案の前提になるかと思いますので,そのことを補足資料なりにおいて明確にしていただく必要があるのではないかと思いました。法制的に特に手当てをする必要があるのか,ないのか,そこは私はまだ分かりませんけれども,何らか手当てをしておく必要が出てくるのではないかと思っております。   最後ですけれども,今申し上げましたような乙案の考え方,乙案の理解を前提としますと,システム障害等の場合に時効完成を避けるためには書面による申立てをすればよいということになると思いますが,それでも受訴裁判所への書面の提出がどうしても間に合わないという場合も考えられまして,そういう場合には甲案のような時効完成時期を遅らせる定めがあった方がよい,在るべきであるという考え方もあり得るのではないかと思いました。そうしますと,部会資料13の説明では甲案と乙案は二者択一のものということで説明されておりますが,実質的に考えますと乙案のような解決と甲案のような解決とは併存し得るもののようにも思われまして,そうであれば,中間試案での説明の仕方もその点が伝わるようにする方がよいのではないかと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○大野幹事 御指摘ありがとうございました。御指摘のとおり,ここでの甲案と乙案は,やや次元の違うものを並べているというところがございまして,どういった形でより分かりやすくお伝えするか,改めて考えたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○小澤委員 乙案ですと,当事者の長期出張であるとか遠隔地の代理人などの事情によって,遠方の裁判所に訴えを提起する事案については,例えば当日発覚したシステム障害により事実上,その日の申立てができなくなるケースも観念し得ると考えています。この場合について,最寄りの裁判所でも可となるのか,あるいはならないのか,そういったことも補足説明において御説明があった方がいいと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。よろしいですか。 ○波多野関係官 補足説明でどのように説明するか,検討させていただきます。 ○笠井委員 日下部委員がおっしゃったことと大野幹事がお答えになったことでもう尽きているのですけれども,私も,当然にオンラインで申し立てられると思ってオンラインで申し立てたところ,システム障害で時効完成日が過ぎてしまったみたいな,そういう事案を考えると,それから書面を出しても間に合わないという話がありそうですので,やはり次元の違う問題として取り上げたらいいのではないかと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○山本(克)委員 今の点ですけれども,JRに乗って遠隔地の裁判所にぎりぎり行けると踏んで,出しに行こうとしたところ,今時の大雪のようなことで交通が行かなかった場合との違いというものがあるのかどうかという点についても検討が必要である旨,補足説明でお書きいただければと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。今日の段階ではよろしいですか。 ○垣内幹事 今の点ですけれども,今日お出しいただいている甲案というのは,飽くまで裁判所のシステム自体が故障していて,オンラインでやろうとしてもできないという場合を想定しているので,先ほど山本克己委員が言われた事例というのは,説明の中で,②とか③とかいった形で挙げられているものについては同様の位置付けの問題となるかと思われますけれども,それとは少し異なる部分を切り出そうという趣旨の御提案なのかなと思います。いずれにしても,いろいろな,どの範囲でやるかということについて考え方がいろいろあり得るところで,それによっては先ほどの御指摘のような問題はあるかと思われますから,その辺りを整理していただくということなのかなと感じました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○笠井委員 すみません。垣内幹事がおっしゃっていただいたのですけれども,私も山本克己委員がおっしゃったことは,①との関係では類比できないように思いました。裁判所に行ってみたところ,裁判所が本来夜間受付をやっているはずなのにやっていなかったとか,門が閉まっていて午後4時なのに入れなかったとか,そんな話かと思いますので,少し違うのかなと思いました。 ○山本(克)委員 どうも適切でない例を申し上げて申し訳ありません。例えば,震災で庁舎が崩壊したような場合に,ぎりぎり出そうと思っていた場合と違いがあるのかどうかというふうに変えていただいた方がよろしいですね。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,この点についてはまた次回の冒頭にでも追加的な意見をお伺いしたいと思いますが,取りあえず今日のところはこの程度にさせていただければと思います。 ○日下部委員 部会資料12とか13とか,そういう区別の話ではなくて,中間試案のたたき台を日弁連の中でいろいろ検討していた時に指摘があったのですけれども,同一又は類似の意味を持つ用語の使い分けが分かりにくいという指摘がございました。   例えば一例を申し上げますと,「インターネット」と「電子情報処理組織」,「申立て」と「申立て等」,「文書の写し」と「書証の写し」,「インターネットを用いてする」と「事件管理システムを用いてする」,「オンライン申立て」と「インターネットを用いてする申立て」,「通知アドレスを登録する」と「事件管理システムに登録する」,「電子データ」,「電子書類」,「電磁的記録」という具合でございまして,意図があって使い分けられている部分もあると思いますし,必ずしもそうでもないところもあるのかなとも思うのですが,厳密に検討していきますと,どういうことなのだろうという疑問がいろいろ出てき得るかなと思いますので,御留意の上で整理をしていただければと思います。   なお,私も理解が不十分だったのですが,「インターネット」と「電子情報処理組織」は微妙に違うものを意図しているようだということを,詳しい弁護士の先生から最近お聞きしたということがございました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,用語の統一の問題については次回,中間試案の案を提案していただく段階で精査していただければと思います。   それでは,よろしければ,次回の議事日程等について,事務当局から説明をお願いいたします。 ○大野幹事 本日も長時間にわたり御議論いただきましてありがとうございました。   次回は2月19日金曜日の午後1時から午後6時頃まででございます。場所につきましては追って御連絡を差し上げます。   次回は,今回の積み残しについて御審議いただきますとともに,中間試案の案についても御検討をお願いしたいと考えております。今回と前回の御審議を踏まえ,可能な範囲でたたき台を修正したものをお示ししたいと考えております。よろしくお願いいたします。 ○山本(和)部会長 それでは,これにて法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会第8回会議は閉会にさせていただきます。   本日も長時間にわたり熱心な御審議を賜りまして,ありがとうございました。 -了-