法制審議会 民事訴訟法(IT化関係)部会 第9回会議 議事録 第1 日 時  令和3年2月19日(金)自 午後0時59分                     至 午後4時32分 第2 場 所  法務省地下1階 大会議室 第3 議 題  民事訴訟法(IT化関係)の見直しについて 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○山本(和)部会長 それでは,若干時間前ですけれども,全員おそろいということですので,法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会第9回会議を開会いたします。   本日も御多忙の中御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。   出欠の状況ですが,本日は衣斐幹事が御欠席と承っております。また,湯淺委員が遅れて御出席の御予定ということです。   それでは,本日の審議に入ります前に,配布資料の説明を事務当局からお願いいたします。 ○大野幹事 御説明いたします。   本日は,部会資料14-1「民事訴訟法(IT化関係)の改正に関する中間試案(案)」及び14-2「部会資料12及び13からの変更点の説明」を配布させていただいております。   部会資料14-1は,前回の部会における皆様の御議論を踏まえ,たたき台から幾つか変更,修正を加えさせていただき,中間試案の案として形式を整えたものでございます。なお,前回積み残しとなっていた箇所については,資料中,「P」と記載をさせていただいております。部会資料14-2は,部会資料12及び13からの主な変更点,修正点について,本文中に下線を引き,説明の箇所でその趣旨について説明をさせていただいたものです。それぞれの資料の内容につきましては,後ほど事務当局から説明をさせていただく予定です。   本日は,前回の積み残しについての御審議を頂いた後,部会資料14について御議論を頂き,中間試案の取りまとめに向けた御議論を頂戴したいと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,早速ですが,本日の審議に入りたいと思います。   なお,本日は,今御紹介がありましたとおり,中間試案の取りまとめに向けた御議論を頂くということを予定しております。そこで,前回と同様のお願いになりますけれども,本日も個々の案に対する賛否の御意見を頂戴するという趣旨ではなく,飽くまでもパブリックコメントを行う対象として,どのようなものをお示しするのが相当か,どのような形で示した方が,より一般の方々から御意見を頂きやすいかといった観点から,この中間試案の案の内容,あるいは表現ぶり等について御議論を頂きたいと考えておりますので,どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。   それでは,前回部会で,部会資料13が基本的には積み残しになっていましたので,本日はその続きから検討していきたいと思います。この部会資料13の1ページ,第1の2については,一応議論に入っていただいて,御議論を頂いたと理解していますけれども,この第1の2の部分について,なお追加の御意見等がございましたら,この部分からまず御発言を頂きたいと思います。いかがでしょうか。   追加の御意見等はないということでよろしいですか。   それでは,続きまして,3ページですね,「第2 訴えの提起,準備書面の提出」についての議論に入っていただきたいと思います。   まず,事務当局から説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   (注2)において,濫用的な訴えの提起を防止するための方策につきまして,これまでの会議における御議論の状況等を踏まえ,二つの考え方を記載しております。   一つ目は,第7回会議で御議論いただきました,訴え提起における一律デポジット制を設ける考え方でございます。二つ目は,訴え提起手数料の納付義務のある者が,一定期間を経過しても全く納付しないような場合には,納付命令を経ることなく訴状を却下しなければならず,これに対する即時抗告もすることができないという規律を設ける考え方でございます。   御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この部分につきまして,御意見,御質問等を頂ければと思います。 ○笠井委員 資料の作り方の質問になるんですけれども,第2の1で,これはインターネットを用いてする場合の方法が書かれているわけでありますけれども,この(注2)について,その場合だけに関することなのか,それとも,書面によって訴えを提起する場合についても含むのかということについては,どこかを見れば分かるのでしょうか。 ○藤田関係官 御指摘のとおり,(注2)には,必ずしもインターネットを用いてする訴えの提起に限らない規律についての記載がされております。そのことは,(注2)では「訴えを提起する際には」と書かれおり,「インターネットを用いて訴えの提起」という(注1)並びの言葉が使われていないところに表れております。この点を明確にさせていただくために,補足説明で念押しさせていただくということは,あり得ると存じます。 ○笠井委員 分かりました。今回,訴えの提起については,インターネットを用いてする方法について以外に,主たる改正点はないということなので,ここにしか書くことができなかったという,そういう趣旨で理解してよろしいですか。 ○藤田関係官 そのとおりでございます。 ○笠井委員 ありがとうございました。 ○山本(和)部会長 それでは,分かりやすいように補足説明等で対応いただくということにしたいと思います。 ○阿多委員 (注2)の書きぶりについての質問です。1行目の「濫用的な訴えの提起を防止するための方策として,訴訟救助の申立ての有無にかかわらず」という部分は,前の考え方だけにかかるのか,後ろの考え方双方にかかるのか,読み方としてどう読むのでしょうか。 ○山本(和)部会長 事務当局から,それではお願いします。 ○藤田関係官 まず,内容面に関しましては,後ろの方にも訴訟救助の申立ての有無にかかわらない規律を記載しております。そのような内容からすると,形式面に関しましても,「訴訟救助の申立ての有無にかかわらず」という部分は,後者にもかかるということになろうかと思います。 ○山本(和)部会長 阿多委員,いかがですか。 ○阿多委員 元々濫用的な訴えの提起は,訴訟救助の濫用を前提に議論してきたという理解です。もちろんロボットを使って同時大量に訴えを提起するという濫用の場面もあるのかもしれませんが,議論してきたのは訴訟救助の申立てを利用して数度の裁判を経ることが司法資源の損失にあたるという提案と理解していました。確かにデポジットは,救助の申立てにかかわらず一律にと提案内容の変更があったと理解していますが,後半の考え方は,訴訟救助の濫用を前提にした考え方と理解していました。書きぶりとして,「有無にかかわらず」は両方の考え方の前提になることを分かりやすく書いていただけますか。 ○山本(和)部会長 それでは,これも補足説明で,その点が明確になるように,解説をしていただきたいと思います。   ほかにいかがでしょうか。 ○服部委員 服部でございます。   私も,(注2)の点について質問をさせていただきたいと思います。   後半の訴状却下の点ですけれども,(注)の方には「訴状を却下しなければならず」という形になっておりまして,説明の方には「訴状却下命令をすることができ」という形での書き方になっております。この説明と(注)の書きぶりの違いというのは,訴状却下命令に関する民訴法の137条2項の規定などの書きぶりと合わせてあるという理解でよろしいでしょうかという確認です。まず,その1点,お願いいたします。 ○山本(和)部会長 事務当局からお願いします。 ○藤田関係官 御指摘ありがとうございます。   御指摘のとおり,(注2)におきましては,法律の規定になぞらえ厳密に,「却下しなければならない」という表現を用いております。 ○服部委員 ありがとうございます。   すみません,続けてもう1点,(注2)に関してですが,後半については,「訴え提起手数料を納付すべきであるのに,一定期間を経過しても一切納付されない場合」という限定的な書き方になっておりますけれども,この場面に取りあえず限定するという趣旨と受け止めてよろしいのか,それとも,以前の,委員からの御説明の際には,これは典型例であって,一定の場合に訴状却下できるという御説明があったかと思いますけれども,この(注2)に書かれた場面には限られないという御趣旨なのか,その点いかがでしょうか。   もし限られるにしても,限られないにしても,そこを分かりやすく補足説明などで書いていただく必要があるかと思っておりますけれども,いかがでしょうか。 ○山本(和)部会長 では,事務当局からお願いします。 ○藤田関係官 (注2)自体の書きぶりといたしましては,限定的に記載しております。   ただ,補足説明におきましては,御議論いただいた状況,御紹介いただいた実例等も踏まえまして,もう少し広がりのある考え方もあり得るということを記載させていただきたいと考えます。 ○山本(和)部会長 服部委員,よろしいですか。 ○服部委員 はい,分かりました。ありがとうございます。 ○増見委員 増見でございます。   パブリックコメントに付すときの補足説明について,御質問させていただきたいのですが,この濫用的な訴えの防止については,この説明の中にもありますけれども,その実態がどうなのかとか,その必要性の度合いが一体いかほどあるのかという点も説明がされないと,なかなかその判断が難しいところもあると思います。パブリックコメントの際には追加されるのか,お聞きできればと思います。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局から説明お願いします。 ○藤田関係官 御質問ありがとうございます。   パブリックコメントにお付けいたします補足説明は,民事局参事官室の責任において起案させていただくものでございます。   ただ,そうは申しましても,補足説明は,この部会において御議論いただいた状況を踏まえた記載をさせていただく性質のものでございますので,御議論いただいた内容,御紹介いただいた実例を記載させていただきたいと考えております。 ○山本(和)部会長 当然,事情を余り御存じない一般の方々にも,パブリックコメントで御意見をお寄せいただく必要がありますので,こういう提案の前提となる情報というか,事実関係といったようなものについては,できるだけ事務当局の方で詳細に記載をしていただいて,答えやすいような形にしていただきたいと,私も思っております。   増見委員,よろしいですか。 ○増見委員 はい,結構です。ありがとうございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○大坪幹事 これまでの部会の議論で,何らかの形で濫用的な訴えに対して対応する必要があるということについては,コンセンサスがあったというような整理だったと思います。そうしますと,多分具体的な手当について方向性が固まっていないということで,この(注)に整理されていると思うのですけれども,意見照会を受ける側,回答する側としては,その点,例えば,部会資料14の第18の障害者に対する手続の配慮のように,本文で引き続き検討するものとするというような形にした上で(注)にした方が,答えやすいような気がするのですけれども,その点はいかがでしょうか。 ○山本(和)部会長 事務当局,いかがでしょうか。 ○藤田関係官 もし他の方に御異存等なければ,引き続き検討するものとするというような表現に改めさせていただきたいと存じます。 ○山本(和)部会長 いかがでしょうか。 ○日下部委員 引き続き検討するという表現でも,それはよいのかなとは感じてはいるんですけれども,ただ,先ほどの大坪幹事からの御発言の中で,濫用的な訴えの提起などに対する防止のニーズについては,コンセンサスが得られたように思うということですが,そうしたニーズがあるということについては,おおむね理解は共有されたように思うのですけれども,それを何らかの立法的な措置で対処することまで,コンセンサスが得られたというわけではなかったように思いますので,その点は注意していただく必要があろうかと思います。 ○笠井委員 私も,今の日下部委員と全く同じ認識です。 ○山本(和)部会長 ほかにいかがでしょうか。   分かりました。それでは,この(注2)の部分は,引き続き検討するという文言を入れながら,補足説明においては,今,日下部委員,笠井委員からの御指摘を踏まえて記載をしていただくということにしましょうか。   ありがとうございました。   ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。   それでは,引き続きまして,今度は4ページですね。「第11の2の(3) 新たな和解に代わる決定」の部分についての議論をお願いしたいと思います。   まず,事務当局から説明をお願いいたします。 ○波多野関係官 説明いたします。   部会資料13の4ページ「新たな和解に代わる決定」でございます。   こちらにつきましては,新たな和解に代わる決定の規律を導入するという甲案と,規律を設けないとする乙案の枠組みを維持しております。規律を導入するという甲案につきましては,従前の会議での御議論を踏まえまして,和解に代わる決定をすることができる,相当と認めるときの判断に当たりまして,考慮する要素として,「審理及び和解に関する手続の現状,当事者の和解に関する手続の追行の状況」という文言を挿入し,考慮すべき対象を明示するということをしております。   また,手続要件としまして,当事者の意見を聴くこと,当事者に異議がないこと,当事者の同意があることのいずれか,又は,これらの複数を必要とするという御意見を頂戴しているところでございまして,この中でも,当事者の意見を聴くことにつきましては,一定のコンセンサスがあるかと思いますので,そちらを本文に記載をすることとし,当事者に異議がないこと又は当事者の同意があることにつきましては,(注4)に記載しております。   説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この点につきましても,御質問,御意見を頂戴できればと思います。 ○阿多委員 2点あります。まず,本文の甲案の書き方ぶりですが,すっと読んでいると,「考慮し」という用語が3か所も出てきます。2行目の考慮は和解に代わる決定判断のタイミングに関するもので,4行目の冒頭の「考慮し」,また,「一切の事情を考慮して」の後ろ二つは斟酌する事情に関することだと思いますが,整理していただけたらと思います。形式的な話で申し訳ありません。   2点目です。(注4)は当事者の意見を聴くことを原則にして,これに代えて異議がないこと又は同意していることのいずれかを必要とする考え方を紹介されています。ところで,本文オでは,異議期間を定め,期間内に異議の申立てがないときに確定することを予定していますが,従前,事前同意型なのか,それとも異議申立てがないことを事後の消極的な同意として位置付けるのかという議論があって,更に,より積極的な同意が必要ではないかという議論があったと記憶しています。そうなると,事前同意型の場合は,要件のオが不要となるのではありませんか。事前に同意して,更に異議期間を想定する必要があるのですか。従前の議論と違うように思えるのですが。 ○山本(和)部会長 2点ありましたが,事務当局から。 ○波多野関係官 波多野でございます。   1点目の「考慮し」が3か所あることは,家事事件手続法等の用例を参考にした関係で,このような記載になっているところでございます。御指摘のとおり,分かりにくいとは思われますので,分かりやすくする工夫をしてみたいと思いますが,最後はこのままということもあるかなと考えているところでございます。   2点目ですが,手続要件は,いわゆる和解に代わる決定を出すことについての要件という理解でおりまして,和解に代わる決定を出す際に,意見を聴くということを要件とするのか,それに代えて,又は,加えて,異議がないことや同意があることを求めるのかという理解をしておりまして,その上で,和解に代わる決定が出された後,その決定に対する異議申立てをすることができるという整理がされていたと理解しているところでございます。 ○山本(和)部会長 阿多委員,いかがでしょうか。 ○阿多委員 そうすると,事前同意があっても,異議申立期間を設けることになるのですか。 ○波多野関係官 事務当局の理解としては,そのような理解をしていたところでございます。 ○阿多委員 提案の趣旨は理解しました。 ○山本(和)部会長 よろしいですか。 ○垣内幹事 垣内でございます。   今の(注4)に関してですけれども,私も,阿多委員の御質問の点については,今事務当局から回答があったとおりの理解をしていました。ですから,決定をすることについて同意がある場合に,更に異議申立ての機会があるという,そういう考え方もあり得ると主張がされていたと理解をしています。その点では,(注4)の記載は適当だろうと思っております。   同じ(注4)に関してですけれども,先ほど事務当局からの御説明でもありましたように,当事者の意見を聴くことが最低限必要ではないかということについて,おおむねコンセンサスが得られているのではないかということで,そこはそのとおりかと思いますけれども,(注4)では,それに代えて,異議がないこと又は同意していることとなりますけれども,先ほど御説明でもありましたように,例えば,意見を聴いて異議がないときはといったように,意見を聴くことに加えて,異議がないことを要件とするというような考え方も,先ほど御説明でもありましたけれども,あるように思いますので,(注4)についてその点を表現していただくか,あるいは補足説明においてそういう考え方もあったというようなことを触れていただくか,いずれか対応をお願いできると有り難いと感じました。 ○山本(和)部会長 では,事務当局からお願いします。 ○波多野関係官 波多野でございます。   (注4)の表現については,括弧を挿入して括弧内に加えてを記載することもあるかなと思ったのですが,ちょっと読みにくいかもしれないと思いまして,今の表現を使っているところでございます。   垣内幹事御指摘のところを補足説明で分かりやすいように書くということで対応できればなと思っているところでございます。 ○山本(和)部会長 垣内幹事,よろしいでしょうか。 ○垣内幹事 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 ○小澤委員 説明では,訴えの提起は,判決を求める申立てであるとが紹介されております。簡易裁判所では,事件総数に対する判決率は,ここ5年間を見ますと約4割,40.53%でありまして,地裁もさほど違いはなくて約4割,41.83%が判決となっております。したがいまして,判決を求めるために訴えを提起するということは,もちろんそれはそのとおりだと思われますが,訴訟の過程や訴え提起の当初の内心として,和解で終了させたいと考える層も一定数いると思われます。   これは,私のこれまで関与してきた多くの相談や事件からも,肌感覚でそう感じているのですが,具体的には,本人訴訟の中には,調停では相手方に不出頭による不利益がないことから,解決を図ることができないがために,和解を目的に訴えの提起をするという当事者も一定数いらっしゃいます。つまり,訴え,イコール,判決を求める当事者だけではないと考えています。   ちなみに,簡裁の和解率を見ますと,ここ5年で11.47%と,そこまで高い水準ではないとも考えられますけれども,地裁の和解率は,ここ5年で36.7%になっています。もちろん,この数字は司法統計上和解とされている率なので,恐らくはそれよりも多くの和解件数があるのだろうと理解していまして,簡易裁判所では和解件数が令和元年度ですが約3万5,000件で,決定数が約5万件となっていまして,決定のほとんどが和解に代わる決定であるとしますと,和解率は25%ぐらいになるのではないかと思っています。   したがいまして,訴えの提起は判決を求める申立てであるという前提は,もちろんそのとおりなのですけれども,一面においては,実務上のニーズとしては,必ずしもそうではないということも申し添えておきたいと思います。こういった点も補足の説明であるといいのではないかという意見です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,引き続きまして,部会資料13では最後でしょうかね。第12,訴訟記録の閲覧等についての御審議をお願いしたいと思います。   6ページからですが,事務当局から説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   本文1には,裁判所に設置された端末による訴訟記録の閲覧,複製等,そして保存等に支障があるときの取扱いに関して,法第91条に沿った区分により,基本的にこれまでの会議において御提案したものと同じ趣旨の記載をしております。   また,本文(2)の(注1)におきまして,現行法上謄写と呼ばれているものが,訴訟記録の電子化後は,例えば,USBメモリのような記録媒体に電子データを記録する方法のほか,どのような方法で認められることになるのかを,検討事項として記載しております。(注2)には,補助参加の申出を濫用して,当事者の地位に基づいて訴訟記録を自由に閲覧することを防止する方策を,検討事項として記載しております。(注3)には,裁判所に設置された端末の利用料について,検討事項として記載しております。   本文(3)の(注)には,第三者が訴訟記録を閲覧することができる時期や範囲についての考え方を記載しております。   本文2には,インターネットを用いて裁判所に設置された端末以外の端末によりする訴訟記録の閲覧及び複製に関する規律につきまして,その閲覧等の主体により区分した記載をしております。   本文(1)には,当事者は,裁判所書記官に対する請求によらずに,いつでもインターネットを用いて閲覧及びダウンロードをすることができるものとすることを記載しております。   本文(2)には,利害関係を疎明した第三者は,裁判所書記官に対して請求することにより,インターネットを用いて閲覧及びダウンロードすることができるものとするということを記載しております。   本文(3)は,利害関係のない第三者にインターネットでの閲覧を認めるという甲案と,認めないという乙案を,併記しております。甲案におきましては,この規律の対象となる訴訟記録を一定の範囲のものに限ることにより,プライバシーに配慮することとしております。具体的な範囲につきましては,閲覧を認める訴訟記録といたしましては,判決書その他の裁判書,一定の調書のほか,訴状及び答弁書その他の準備書面までとし,例えば,証拠となるべきものの写しは,裁判所に設置された端末によってしか閲覧することができないものとしております。   なお,この会議におきまして御議論いただきました匿名加工に関しましては,法第92条の第三者による閲覧等の制限の枠組みに委ねることといたしまして,匿名加工に関する別途の規律を設けるというようなことは,御提案しないものとしております。併せまして,検索に関しましても,自由な検索をすることができるというような仕組みは御提案しておりません。   本文(4)では,裁判所に設置された端末以外の端末によりインターネットで閲覧をすることができる期限や,電子化された訴訟記録の保存期間につきましても記載しております。   本文3には,訴訟記録の閲覧等に当たっての裁判所書記官に対する請求を,インターネットを用いてする場合の規律を記載しております。   御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この点につきましても,御質問,御意見,自由にお出しいただければと思います。 ○日下部委員 第12の中の「1 裁判所に設置された端末による訴訟記録の閲覧等」に関して,2点質問といいますか,意見になるかもしれないものがございます。  1点目ですけれども,1の中の(2)で,訴訟記録の複製等について説明がなされております。これに関わる(注1)においては,訴訟記録の複製の具体的な方法についての問題意識も示されているところです。   この点,今申し上げました(2)を含めて,当事者又は利害関係のある第三者について,複製への言及はあるものの,謄写への言及はありません。これまでは,複製はダウンロード,謄写はプリントアウトを意味するものとして区別されていたと思いますが,電子化された訴訟記録については,裁判所にプリントアウトを請求することを認めないという御趣旨でしょうか。あるいは,複製の一態様として認めるということも想定されているものなのでしょうか。この点は,利用者の観点からすると,関心が大きいところだと思いますので,何らかの形で趣旨を明確にすることが適切だと思います。   2点目ですが,(注3)の部分において,裁判所に設置された端末を利用して訴訟記録の閲覧等を請求する者から,対価を徴収するという考えが示されており,その請求者としては,事件係属中の当事者にも言及されているかと思います。   現在,事件係属中の当事者が,自己の訴訟記録を閲覧することには手数料は要求されておりませんし,訴訟記録が電子化された後に,裁判所の端末でその閲覧を必要とする当事者は,ほかの端末で閲覧することに難のある者と考えられますので,その当事者から対価を徴収することには,納得を得られ難いのではないかという気もいたしました。当事者は,閲覧以外の請求をすることももちろん考えられますので,対価の徴収について検討すべき請求者に含めるということについては異存はないのですけれども,今申し上げましたような問題意識は,例えば,補足資料の中で言及していただくなども考慮されてよいのではないかと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   それでは,2点,事務当局からお願いいたします。 ○藤田関係官 まず,1点目に関しましては,民事局から御回答をさせていただきたいと思います。   御質問の趣旨といたしましては,現行法の謄写に代わるものとして,裁判所において,プリントアウトされた紙を入手することができるかどうかという点であると思われます。その点も含めまして,(注1)におきまして,どういった方法があるかというところを記載させていただいたつもりでございますが,この点につきまして,補足説明において,より具体的に御説明を加えさせていただくということも考えられると存じます。   2点目につきましては,司法法制部からお願いいたします。 ○園関係官 司法法制部から御回答をさせていただきます。   今後,訴訟記録の閲覧などの手続において,裁判所側において提供する営造物の存り様が変化するというところを,どのように捉えていくか,どのように考えていくかという問題であると考えられます。補足説明において御指摘の問題意識を表現できるようにさせていただきたく思います。 ○山本(和)部会長 日下部委員,よろしいですか。   それでは,最高裁判所,お願いいたします。 ○富澤幹事 正本,謄本又は抄本の交付の規律に関しまして,現在の規律では,謄本等を請求する形で,訴訟記録の全部であっても書面への出力を求めることができますが,訴訟記録の全部について裁判所書記官が認証を付した謄本等が必要となる場面は,実際には想定し難いのではないかと思われますし,裁判所の限られた人的,物的資源の用い方として合理性を有するかについても疑問があるところです。謄本等の交付は,裁判書及び調書に限るというような国もあり,同じような規律を設けることも考えられるのではないかと思います。   この点は,中間試案の補足説明に記載するなどして今後検討していただきたい課題であると考えており,テイクノートの意味もあって発言をさせていただきます。 ○渡邉幹事 先ほどの裁判所に設置された端末を利用した場合の対価の徴収に関する議論を伺い,当事者に対して閲覧を認めるということと,閲覧のために裁判所の機材の利用を認めるということについては,峻別した上で御議論いただいた方がよいと思ったところでございます。   現在事件係属中の当事者から閲覧のための手数料を徴収していないというのは,正に前者に関する問題でございまして,今回提案されている徴収する手数料というものは,後者に関する問題,つまり閲覧のために裁判所の機材の利用を認めることに関する手数料だと思っております。当事者は,自らの機材を使用するなどしてインターネット上で無料で閲覧する機会を付与されており,そういった機会があるのに裁判所の端末を利用して閲覧をするというのであれば,裁判所の端末を利用することについて手数料を徴収することは不合理ではないと思いますので,そういった点も含めて,補足説明に記載していただきたいと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 先ほど来議論になっている(注1)です。事務当局からは複製の具体的な方法という説明がありましたが,複製は書証でも登場し,複製と写しの区別に関し,複製は同じ性質のものを作成するという説明があったと認識していますが,プリントアウトは,電子記録,電磁データを紙に印刷するという意味であって,複製の概念に含まれないのではありませんか。プリントアウトを(注1)の複製で読むのは難しいと思いますが,複製の定義をどのように整理するのかも含めて検討いただけたらと思います。   次に,(注3)の裁判所に設置された端末とは,どういうものを意味しているのですか。書記官室の中に専用の端末を設けるのか,裁判所の公共フロアに端末を設けるのか,さらに,法廷や準備室にはモニターが置かれると思いますが,そのモニターも裁判所の端末ですか。裁判所に設置された端末の意味についても説明をお願いします。 ○山本(和)部会長 2点ありましたが,まず第1点は事務当局からですか。 ○藤田関係官 御指摘ありがとうございます。   他の箇所において使われている複製という言葉が,電子データを電子データにするという意味で使われているのではなかろうかという御指摘は,そのとおりであるとも考えられます。例えば,電子データを紙にする場合には,出力した書面という表現を用いている箇所もございます。その点をクリアにするという趣旨でございますれば,(注1)におきまして,複製への言及がございますけれども,これに続けまして,訴訟記録の電子データを出力した書面を裁判所において入手することができるようにするというような考え方もあると明記させていただくということも,考えられるかと存じます。 ○山本(和)部会長 (注1)は,そうすると,そういうような形で修文をする,訴訟記録を出力した書面を裁判所において入手することができるようにするという考え方もあるというようなことを,付記するというような形でよろしいですかね。 ○阿多委員 結構です。複製の具体的方法という説明でしたが,違うパターンとして紹介いただければと思います。 ○山本(和)部会長 今の第2点の御疑問は裁判所に設置された端末という概念に関する質問かと思いますが,最高裁判所の方からお願いできますか。 ○富澤幹事 現段階では,裁判所に設置された端末については,裁判所の書記官室の中にではなく,書記官室の外の一定のスペースに端末を設置し,こちらで閲覧をしていただくということを考えております。この点は,どのような制度になるか等も踏まえて,今後も検討をしてまいりたいと考えております。   さらに,(注1)記載の複製の具体的な方法については,裁判所としましては,記録媒体に記録する方法という形で複製を認め,その後は,当事者のニーズに応じて当事者の負担で出力していただくことで足りると思いますが,この点は,今後更に調査審議をしていただく問題と考えているところです。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   阿多委員,いかがですか。 ○阿多委員 最高裁の説明では,法廷内に設置された,ないしは準備室に設置されたモニターは,裁判所の端末から外れるわけですね。 ○富澤幹事 現時点では,ここで言う裁判所に設置された端末には入らないことになるのではないかと思いますが,その端末を使ってどこまでの行為を許容するのかにも左右されるように思います。例えば,余り考えられないところですが,仮にその端末を使って出力をすることができるとした場合には,先ほど私が申し上げた書記官室外のスペースに設置された端末で出力した場合には費用を徴収するにもかかわらず,法廷内に設置された端末で同じように出力した場合には費用を徴収しないとするのは平仄を欠くと思います。 ○大坪幹事 2点です。   まず,1の(1)と2の(2)の当事者の記録の閲覧について,要望ですけれども,今回,部会資料14の第3の1のシステム送達のところの(注4)で,通知アドレスの届出をしている者が複数いる場合に,その一部を,送達を受けるべき者とする届出を認めるという考え方が記載されています。   この場合に,送達を受けるべき者が送達を受ける前に,当事者が,例えば,判決を閲覧することができるということに対しては,以前の部会でも反対の意見が多かったと記憶しています。したがって,当事者でも,時期によっては記録の閲覧が制限される場合があるということを,どこかに示しておいていただく必要があるのではないかと考えます。   その点に関係して,7ページの1の(3)の(注)では,当事者が提出した書面について記載されていますけれども,判決についても,時期によっては問題になり得るので,その点を補足説明などで明らかにしていただければと思います。   2点目,これは質問になりますけれども,2の(1)で,当事者によるインターネット閲覧等の記載があります。従前の部会資料の7では,事件管理システムの利用登録をした当事者となっていました。これが,今回削除されているわけですけれども,事件管理システムの利用登録をしていなくても,インターネットでの閲覧等ができるということを,ここでは想定しているのでしょうか。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局から。 ○藤田関係官 御指摘ありがとうございます。   1点目につきましては,補足説明において御対応させていただきたいと存じます。   2点目につきましては,当初の記載と同趣旨でございまして,事件管理システムの利用の登録をしていることが前提になると考えております。 ○大坪幹事 ありがとうございます。続けていいでしょうか,その関係で。   そうしますと,部会資料の10ページのところに3,インターネットを用いてする訴訟記録の閲覧等の請求の記載があって,そこに(注)で,請求する人の本人確認に関する規律の在り方について検討するとあります。当事者の場合には,事件管理システムの利用登録の中で,本人確認が問題になると理解できるのですけれども,問題になるのは第三者についてだろうと思います。第三者に関しては,利害関係を疎明する必要がある場合には,その利害関係の疎明の中で,別途本人確認も検討できるように思います。   問題となるのは利害関係のない第三者で,インターネットを用いてする閲覧が,甲案の場合ではできることになって,この場合にのみ本人確認が問題となるような気がするのですけれども,仮にそうだとすると,現在裁判所に行って閲覧をする,本人確認をしているのかどうか分からないのですが,そちらとのバランスをどのようにお考えなのか,もしお考えのところがあれば教えてください。 ○山本(和)部会長 では,事務当局からお願いいたします。 ○藤田関係官 御質問ありがとうございます。   現在の裁判所において,第三者が閲覧請求をした場合に,どのように本人確認がされているか,あるいはされていないかという点につきましては,最高裁の方から御説明いただければと存じますが,その他の点につきまして御回答いたします。   御質問のありましたとおり,特に利害関係のない第三者がインターネットを用いて閲覧の請求をする際に,その第三者の本人確認が,取り分け他の規律では出てこないものでございますから,問題になると考えております。その場面におきまして,例えばでございますが,当事者である方が,当事者であることを秘して,第三者として,本来は受送達の効力を有する閲覧をすべきところを,第三者の閲覧にとどまるような閲覧の仕方をすることが考えられます。これを可及的に防ぐためにも,利害関係のない第三者の本人確認というのは,やはり必要となってくるのではなかろうかとも考えられるところでございます。   また,インターネットを通じた裁判所外からの請求の場合と,裁判所においてする請求の場合とで,本人確認の方法の在り方につきましては,具体的には少し変わってくるということも,またあり得ようかとは考えております。   御回答としては,以上になります。 ○富澤幹事 先ほど法務省から御指摘のあった第三者が閲覧請求をした場合の本人確認の点ですが,利害関係のない第三者が閲覧請求をした場合にも本人確認をしているものと思います。今後,仮にインターネットを用いて一部の類型の書面を閲覧することができるようになった場合でも,当然のことながら本人確認は行うということになるものと考えています。 ○阿多委員 9ページから10ページにかけての(4)の本文の文末は「訴訟の完結した日から一定期間が経過したときも,同様とするものとする。」とあります。裁判所の執務に支障があるときに付加して,完結した日から一定期間が経過したときも閲覧等を制限することになっています。これは,先ほど大坪幹事から発言があった送達を意識した記載でしょうか。想定されている場面は,和解が成立したとか,判決言渡しをして一定期間経過したとかいう場面ですか。補足説明で説明されるとは思いますが,裁判所の執務支障とは違う理由のようであり,想定される場面について説明いただけますか。 ○山本(和)部会長 事務当局からお願いいたします。 ○藤田関係官 御質問ありがとうございます。   御質問の点につきましては,従前のこの会議で議論されておりました,サーバの容量の問題や,訴訟完結後のプライバシー保護等の問題から,裁判所外から訴訟記録にアクセスすることができる期間を,一定程度のものに限るという考え方がございましたので,この点を記載したものでございます。   ですので,御質問にあったような,送達との関係での配慮という意味からの記載ではないということになります。 ○阿多委員 逆に,裁判所の端末での閲覧等では,そのような制限はかからないのですか。(4)の見出しは,インターネット閲覧等をすることができない場合になっているのですが。 ○山本(和)部会長 いかがでしょうか,事務当局から。 ○藤田関係官 御質問ありがとうございます。   訴訟記録を保存しておくサーバがどのような形になっていくかというのは,今,最高裁において検討されているシステムの開発等を待つところが大きいとも考えております。ただ,技術的なところになろうかとは存じますが,裁判所外からインターネットを通じて,いつでも閲覧できるような状況を保っておくということと,裁判所内に設置された閲覧用の端末による閲覧とで,電子データとしては同じであっても,その保存場所へのアクセス手段が変わってき得るため,考え方を切り分けるということもまたあり得るとも考えられるところでございます。   そういった観点から,本文2の裁判所外からの閲覧のみに関しまして,この規律を設けているとの御説明になります。 ○山本(和)部会長 阿多委員,どうですか。 ○阿多委員 そうしますと,7ページの(3)と9ページから10ページの(4)は違う前提での説明なので,記載内容も異なることになるのですね。 ○藤田関係官 そのとおりでございます。 ○阿多委員 補足説明で違う理由に触れていただけたらと思います。 ○藤田関係官 補足説明において,御対応させていただきます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,ほかにいかがでしょうか。特段よろしいですか。   それでは,以上で資料13については議論を頂けたと思いますので,続きまして,部会資料14の方に移りたいと思います。   ここからは,一度,前回既にたたき台について御議論を頂いているところになりますので,項目をある程度まとめて御説明を頂き,御議論を頂くという形を採りたいと思います。   ただ,第1の総論の部分は,実質的な変更が多いので,この第1の部分は単独で取り上げたいと思います。   まずこの「第1 総論」の部分について,事務当局から説明をお願いいたします。 ○波多野関係官 波多野でございます。   部会資料14ですが,14-2の方が下線を引いており分かりやすいかと思いますので,そちらを御覧いただければと思います。   14-2の2ページ以下,「第1 総論」でございます。   まず,1の「インターネットを用いてする申立てによらなければならない場合」でございますが,こちらの中間試案のたたき台から本文についての変更点は,まず1点目,柱書きでございます。こちらには,この論点が,インターネットを用いて申立て等をすることができるということを前提として,さらに,インターネットを用いた申立てによらなければならないかどうかを検討していただくという項目であることを明確にするために,インターネットを用いてすることができる旨を柱書きに明記しております。   また,甲案,乙案の訴訟代理人につきましては,従前の会議で頂きました御意見を踏まえまして,弁護士,司法書士等の委任による訴訟代理人を想定して議論していることが分かるようにということで,「委任を受けた訴訟代理人」ということで記載をしております。その記載変更に伴いまして,(注5)におきましては,訴訟代理人以外の法令上の訴訟代理人というものについては,今後義務化というところで入っていくのかどうかを,引き続き検討するということの記載をしているところでございます。   続きまして,(注1)でございますが,こちらは,従前の会議での御意見を踏まえまして,最終的には甲案を目指しつつ,段階的に導入するという考え方,また,今回の法改正がされる前の時点におきまして,現在の民事訴訟法132条の10に規定されています最高裁規則が制定されることによって,インターネットを用いた申立て等を可能とするということを記載しているところでございます。   (注3)でございますが,こちらは,書面が出された場合の取扱いについてでございまして,ここについて,委任を受けた訴訟代理人から書面が出された場合についても,記載するべきではないかという御意見も頂いたところでございますので,その扱いを,両論を併記する形で追記したものでございます。   続きまして,(注4)でございます。こちらは,従前の資料では,第1の2として,裁判所のシステム障害等があった場合の規律として御提案していたものを,この第1の1との関係で,関係を分かりやすく記載すべきという御意見も頂戴していたところでございましたので,その意味で,この(注4)に記載したものでございます。   続きまして,14-2の4ページ,2の「インターネットを用いて裁判所のシステムにアップロードすることができる電磁的記録に係るファイル形式」についてです。   本文の(1)では,従前会議で御指摘いただきました「公に標準化されている」という表現を,単に「標準化」ということで記載をさせていただいております。   また,(注1)では,従前「当事者」と記載していたところでございますけれども,当事者のみではなく,その代理人においても,この音声情報に変換可能な情報を有する電磁的記録を必要とするという場合も考えられますので,その旨の記載の変更をしております。   (注2)ですが,こちらは,新しく記載をさせていただいたものでございます。従前は,書証の部分で,容量の大きな電磁的記録の提出等については検討する必要があるという記載をしておりましたが,ファイル形式に関する議論としては,こちらにまとめた方が分かりやすいのではないかという観点から,こちらに記載することにしたものです。   引き続きまして,5ページ目,3の「訴訟記録の電子化」でございますが,こちらは,本文については変更した箇所はございません。   (注2)につきましては,甲案,乙案と書いていたところでございますが,丙案についても当てはまるのではないかという御指摘を頂いたところでございますので,丙案を追記することをしております。   「第1 総論」の説明は,以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この「第1 総論」の部分について,御質問,御意見をお出しいただければと思います。 ○日下部委員 1の「インターネットを用いてする申立てによらなければならない場合」の(注)に関して,お尋ねといいますか,意見を申し上げたいと思います。   この(注3)の部分において,インターネットを用いてする申立て等をしなければならない訴訟代人から,訴状が書面によって提出された場合に,直ちに却下することができるとの考え方が示されております。これは,当事者本人から訴状が書面で提出された場合と異なり,補正の機会を与えないという趣旨であると理解をしております。   ところで,この(注3)の考え方は,その後の(注4)と併せて,従来の部会資料13において,「裁判所のシステム障害及び裁判所外の通信障害等に関する規律」という項目の下で,議論されてきた内容の文脈で示されているものかと思います。そのような障害などが発生した場合に,訴状を書面により提出することで,時効完成猶予効を確保することを認める趣旨であったはずだと思いますが,そういった趣旨は,訴状を書面で提出する者が,当事者本人であろうと,訴訟代理人であろうと,違いが生じようもないだろうと考えております。したがいまして,訴訟代理人から訴状が書面によって提出された場合に,補正の機会を与えないという考え方は出ていなかったように思いますので,中間試案からは削除することが相当ではないかと思います。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局から説明をお願いします。 ○波多野関係官 日下部委員から御指摘いただいたところでございますが,(注3)につきましては,インターネットを用いてする申立てをしなければならない場合で,書面が出されたときの取扱いについて,まず,本人から訴状が出た場合について,従前記載をしていたところ,訴訟代理人についても,同じように整理をして記載すべきではないかという御指摘を受けたところでございまして,その指摘を踏まえて記載を追加したところでございます。   この点につきましては,従前の部会資料では,訴訟代理人にはインターネットを用いてする申立てによらなければならない場合の例外がないということも考えられますので,受け付けないという考え方と,やはり本人と同じように受け付けるという考え方の両論を示していたところでございまして,その観点から,ここは両論の併記をさせていただいたということでございます。   日下部委員から御指摘いただきましたように,(注4)との関係で,いわゆるシステム障害等のあったときにどうするかということの関係では,この(注3)の議論で書面を受け付けるということになれば,その書面を受け付けることを前提に検討ができるのではないかという整理をさせていただいたところかなと理解をしているところでございます。   ここにつきましては,表現等について御意見を賜った上で,ちょっと検討させていただくということになろうかと思っているところでございます。 ○山本(和)部会長 それでは,最高裁判所,この点でしょうか。 ○富澤幹事 波多野関係官の説明にほぼ尽きていますが,最高裁も,これまでの議論の経緯を踏まえると,一般論として訴訟代理人が紙媒体の書面を提出した場合には,直ちに訴状を却下することができるものとする考え方が相当であると考えています。そうすると,日下部委員が指摘されたとおり,(注4)との関係がどうなるかが問題になろうかと思います。   この点については,通信障害等が発生してインターネットを用いて訴状の提出をすることができない場合には,一旦訴状を紙媒体で提出することを許容するものとすることが考えられます。そのような場合に限って,訴訟代理人が訴状を提出する場合にも,直ちに訴状を却下することなく,事由が止んだ後にインターネットを用いて補正をしてもらうことになるものと考えておりました。   具体的な事務フローは今後検討することになろうかと思いますけれども,例えば,訴状の中で,インターネットを用いて訴状を提出することができないことを付記していただいたり,補正の際に紙媒体で提出された訴状と同じ内容の訴状のデータを提出していただいたりする必要はあろうかと考えています。したがいまして,仮に(注3)において直ちに却下するという見解を採用しても,(注4)の考え方と両立しないものではないと考えておりまして,そのような点を補足説明で説明していただくことになろうかと考えています。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○佐々木委員 佐々木です。   大変細かいところで恐縮なんですけれども,1の(注1)の一番最後に,「丙案を実質的に実現して」という表現がありますけれども,ちょっと分かりやすさからいうと,これ,柱書きの内容を実現するという言い方か,若しくは電子情報処理組織を用いてするということを,任意であるというのを実現して,その後,段階的にと変えられた方が,内容としては分かりやすいかなと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○笠井委員 私も全く同じことを思っておりまして,ここの「丙案を実質的に実現して」というところを取れば,割と分かりやすいのかなと。あとは補足説明の方で何か,結果的に丙案が実現したことになるみたいなこと,あるいは,丙案に近いものができたものとなるということが書かれてもいいんだと思いますけれども,ここで「丙案を実質的に実現して」と書くと,何か丙案がすごく積極的な意味を持つ感じがしてしまいます。しかし,これは,甲,乙,丙と比べた場合には,どれも共通して,任意ではできるものとするということがまずある上で,どこまでそれでないといけないようにするかというのが,甲,乙,丙の違いですので,私も,今,佐々木委員がおっしゃったことと全く同じように,この(注1)を見て感じた次第です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。事務当局,いかがでしょうか。 ○波多野関係官 御指摘ありがとうございます。   丙案自体が,「場合を設けない」という形で終わっていることを受けて,丙案を実質的に実現するとの記載を読むと,分かりにくいのかなと思いますので,例えば,本文の丙案の記載に括弧を入れて括弧内に選択的にできるものであることを明示する形にした上で,さらに,(注1)の表現の中でも,選択的にすることができる状態にすることを書くというような形で,分かりやすくしていく方法があるかと考えているところでございます。そのような手当てをさせていただくことで,いかがかなと思っているところでございます。 ○山本(和)部会長 いかがでしょうか。実質的には,両委員からの御指摘は誠にそのとおりだと思いますので,分かるように工夫をしていただきたいと思います。 ○阿多委員 (注3)について,違う観点から意見を述べたいと思います。端的に情報量を盛り込み過ぎではないかという意見です。   前にも指摘したのですが,第1文は,甲案において当事者が書面を堤出したときの対応について触れて,「また」以下の第2文前半は訴訟代理人が書面を提出したときの対応にふれ,後半は本人及び訴訟代理人から答弁書を堤出したときの対応に触れています。つまり,第1文は当事者,第2文前半は代理人で,後半は本人及び代理人による平時の取扱いに触れられています。その上で,「なお」以下は,システム障害等の非常時について触れられており,そうすると,(注3)では何を紹介しようとしているのかが漠然として,端的に言うと,想定する場面が伝わりにくいのではないかと思います。   (注)が多くあることをよいとは思いませんが,こういう場面についての(注)だということが分かるように整理をしていただけませんか。特に非常時,システム障害等についてのなお書は,(注3)ではなく,(注4)にまとめていただく方が適切だと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。事務当局,いかがでしょうか。 ○波多野関係官 波多野でございます。御指摘ありがとうございます。   阿多委員から御提案いただきましたように,時効完成猶予,システム障害の関係の記載については,(注4)でまとめて記載をして,分かりやすくする方向で検討させていただければと考えているところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○大坪幹事 私も(注4)に関して,(注4)で書かれている考え方の趣旨,読み方について質問なのですけれども,ここでは,書面で提出された訴状の提出を基準として,時効完成猶予効を認めるものとするという,そういう考え方を採った上で,「さらに」とつながっていまして,これを読みますと,システム障害があったときには,当事者としては紙の訴状を出さなければならないと読めるのですけれども,そういう御趣旨なのでしょうか。 ○山本(和)部会長 事務当局,いかがでしょうか。 ○波多野関係官 波多野でございます。   (注4)は,まず,書面で出されたものの補正がされた場合には,その書面で出されたときを基準として,時効完成猶予効を認めるという一つの考え方をまずお示しした上で,その考え方を採ったとしても,さらに書面を出さないときにも時効完成猶予効を認める場面があってもいいのではないかという,そういう御議論を頂いていたものと認識しておりまして,その考え方を示したものでございます。 ○大坪幹事 その趣旨が分かるように記載していただいた方が,よいのではないかとは思いました。 ○山本(和)部会長 よろしいですかね。 ○波多野関係官 補足説明で,分かりやすいように説明をさせていただければと思います。 ○山本(和)部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか,この総論の部分については。   それでは,幾つか御指摘があったと思いますので,本文あるいは(注)について,手直しをさせていただければと思います。   それでは,よろしければ,次に,部会資料14-2だと6ページの「第2 訴えの提起,準備書面の提出」から「第4 送付」,10ページ辺りまでということになりますけれども,この部分を一括して取り上げたいと思います。もっとも,この第2につきましては,先ほどこの(注2)の部分については既に御議論を頂いておりますので,主として「第3 送達」,「第4 送付」の部分ということになろうかと思いますが,事務当局から説明をお願いいたします。 ○西関係官 御説明いたします。   まず,「第2 訴えの提起,準備書面の提出」については,特段変更箇所はございません。   続いて,「第3 送達」,「1 システム送達」についてでございます。   まず,部会資料12におきましては,システム送達の効力の発生時について,送達を受けるべき者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された時点と記載しておりましたが,このような記載については,裁判所書記官がその時期を確認することが困難であり,相当ではないのではないかという御意見を頂きました。そこで,従前と同様の「閲覧」という記載を改めて採用することとし,閲覧せずにダウンロードした場合についても,送達の効力を発生させてよいものと解されることから,「複製」も併せてこれに加えるということとしております。このような規律とした場合には,訴訟記録の閲覧等との関係も問題になり得るものと考えられますが,こちらについては,引き続きの検討課題として,必要に応じて補足説明で記載することを予定しております。   また,先日の会議におきましては,みなし閲覧の例外等に関する論点があることを示すべきであるというような御意見も頂戴いたしましたので,この点を(注3)として記載いたしました。さらに,送達を受けるべき者の届出の制度を設けるかどうかという点につきましても記載すべきであるという御意見がございましたので,この点を(注4)として追加いたしました。   以上が,「第3 送達」の変更点でございます。   続きまして,「第4 送付」でございますが,こちらにおきましても,システム送達と同様の理由で,「閲覧又は複製」という表現に改めております。また,本文2の(注)は,部会資料12においては「第3 送達」の項に記載していたものですが,こちらを移記しまして,その内容を具体化したものでございます。   御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,今,御説明のあった部分につきまして,御質問,御意見をお出しいただければと思います。 ○日下部委員 第4の「2 裁判所の当事者等に対する送付」について,意見を申し上げたいと思います。   ここの(注)において,当事者が裁判所のシステムを通じて提出した電子書類を,通知アドレスの届出をしていない相手方に送付する場合の取扱いとして,提出当事者が直送する考え方と,裁判所が送付する考え方が挙げられております。そして,後者の場合,すなわち,裁判所が送付する場合に,必要な書面の出力については,提出当事者が自ら行うか,一定の手数料を納付した上で,裁判所に行ってもらうかを選択するとの考え方が示されております。   これまでの部会での議論の中で,この必要な書面の出力を裁判所にしていただくという案が出てきた経緯を思い出しますと,言わばアナログ対応しかしていない相手方のために,デジタル対応している提出当事者に,電子書類のアップロードを超える負担を求めることには納得感が得られないのではないかという理由があったものと記憶しております。そうであれば,そのデジタル対応している書類の提出当事者に,手数料の納付を求めるということは,元々は想定されていなかったようにも思われます。もちろん,手数料の納付を求めるという考え方もあり得るところだと思いますが,少なくとも手数料の納付を求めずに,裁判所に書面の出力もしていただくという考え方を支持する案があったのは確かだと思いますので,今の(注)の中に,そういった考え方もあるんだということが分かるようにしていただくよう,お願いしたいと思います。 ○山本(和)部会長 事務当局,いかがでしょうか。 ○藤田関係官 御指摘ありがとうございます。   今,御指摘いただきました内容,特に第4の本文2の(注)の②の中で「一定の手数料を納付することにより」と記載しているところでございますが,手数料の納付を要しない形で,裁判所がプリントアウトして,その書面を送付するという考え方もあるということでございますので,その点につきましては,この(注)の書き方を変えるということで御対応させていただきたいと存じます。   具体的に申し上げますと,第4の本文2の(注)は,「第3 送達」のところの(注)から移記したものでございますので,「第3 送達」の本文1の(注2)の記載を転用させていただきたいと存じます。部会資料14-2の7ページの(注2)の2行目に,「提出当事者が当該電子書類の出力を行って裁判所に提出した書面によってするものとする考え方と,裁判所が自ら書面への出力を行った上でこれを送達するものとする考え方とがある。また」という記載がございますので,ここの「送達」という文言を,第4に合わせて「送付」と変えさせていただきまして,第4の本文2の(注)の同じ場所に挿入する形を採らせていただきたいと存じます。 ○山本(和)部会長 日下部委員,よろしいですかね。 ○日下部委員 恐らく私が申し上げた趣旨は酌んでいただけたのだろうと理解をしておりますので,よろしくお願いいたします。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○阿多委員 3点あります。まず,第3の送達,6ページの(1)のアで,電子メールアドレスの届出に関する記載がありますが,第1の総論のインターネットを用いてする申立てには,電子メールアドレスの届出について言及がありません。申述する,申立てをするときには,電子メールアドレスの届出は必要ないのですか。当然届け出るものだと理解していたのですが。申述する,申立てをするときにも電子メールアドレスを届け出るのであれば,補足説明で説明いただきたいと思います。   2点目は,今回表現を「閲覧又は複製」という形に修正されました。それ自体は理解をしていますが,7ページの(3)のアンダーラインは「電子書類の閲覧又は複製をした時」と「した」という表現を用いられていますが,どの段階で送達の効力を認めるのかについては,完了時という提案でしょうか。技術的なことになるのかもしれませんが,アクセスをした時点,ログインした時点で送達の効力を認めることもできると思うのですが。提案内容は,閲覧と複製では時間差が生じるように思いますが,時間差が出ることを前提に提案されているのか。これが2点目の質問です。   3点目は,先ほど日下部委員が指摘された9ページの記載との関係ですが,2の下に記載されている(注)は,1,2に共通する(注)と理解すればよいのか,2の裁判所の当事者に対する送付の場面に関する(注)と理解すればよいのか,読み方の質問です。というのは,先ほどの説明されていた裁判所が送付する場面は,2の説明になるわけで,当事者の相手方にプリントアウトして送る場面は,本来1の場面のようにも思えるので,(注)が両方に係るのか,2の裁判所の当事者に対する送付の場面だけを意識したものなのか,説明いただけたらと思います。 ○山本(和)部会長 それでは,3点ありましたが,事務当局からお願いします。 ○西関係官 事務当局からお答えします。   まず,1点目でございますけれども,これまでの部会での議論では,事件管理システムの利用登録をするときには,必ず通知アドレスの届出をするということが前提になっていたものと思います。そうしますと,事件管理システムを通じてインターネットを用いてする申立てをするときには,当然通知アドレスを届け出ているということになりますので,その意味で,両者の間には対応関係がございます。   阿多委員からの御指摘は,送達の箇所で初めて通知アドレスという記載が出ている関係上,そのような対応関係が分かりづらいという御指摘と承りました。この点については,補足説明において対応させていただきたいと考えております。   次に,2点目でございます。「閲覧又は複製をした時」という記載の意味するところにつきましては,閲覧とは,画面上において電子書類を開いた時点,複製とは,ダウンロードの作業を受送達者が完了した時点ということを意味するものと考えていたところでございます。   次に,3点目でございます。9ページ目の(注)のところでございますが,御指摘のとおり,こちらの(注)は,1と2に共通する(注)という趣旨でございます。その趣旨につきましては,補足説明において説明をさせていただきたいと考えております。 ○山本(和)部会長 阿多委員,いかがでしょうか。 ○阿多委員 2点目への素朴な疑問ですが,「閲覧又は複製をした」時点は,両方とも同じになるんですか。それとも,複製の方が場合によっては遅くなるのですか。 ○山本(和)部会長 いかがですか。 ○西関係官 閲覧とは,ダウンロードを経ずに,ブラウザ上で表示するということを閲覧と呼んでおりまして,複製とは,自分のパソコンにダウンロードするという場面を想定しておりますので,両者は,行為としては別のものになるのではないかと理解しております。したがいまして,その時点というものも,当然ずれてくることはあり得ると考えております。 ○阿多委員 言葉の意味は分かりました。 ○山本(和)部会長 補足説明で少し,概念を整理していただければと思います。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,次に移らせていただきます。部会資料14-2の10ページ,「第5 口頭弁論」から「第7 争点整理手続等」まで,まず事務当局から説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   まず,「第5 口頭弁論」についてでございます。   本文1の(注)に,ウェブでの出頭の場合に,本人が所在すべき場所や不当な影響の配慮に関する規律の在り方につきまして,引き続き検討する旨を注記いたしました。   本文2では,ウェブ会議等又は電話会議を用いる期日におきまして,通話先の場所にいる者が写真の撮影等を行ったときの制裁を設けるものであること,スクリーンショットの撮影やインターネット配信といった新しい技術による行為も禁止の範囲に含まれることを,それぞれ明確にいたしました。   また,本文4の(注)に,御指摘いただいた考え方を反映いたしました。   続きまして,「第6 新たな訴訟手続」についてでございます。   前回の会議において,甲案及び乙案は,互いに排斥し合うものではないことが分かるように記載すべきであるなどの御意見,御指摘を頂いたことを踏まえまして,本文の冒頭におきまして,甲案,乙案及び丙案のそれぞれの関係を明らかにした上で,(注3)に乙案における共同の申立てをする時期についての記載を追加しております。   また,乙案の審理の計画における期間につきまして,一定の期間を法定する記載ぶりを支持する御意見と,反対の御意見とが出されましたことから,本文におきましては,従前の記載を維持しつつ,(注4)におきまして,一定期間を法定することなく協議に委ねる考え方があることを記載しております。   続きまして,「第7 争点整理手続等」についてでございます。   まず,前回の会議におきまして,本文1から本文3までの記載と本文4の記載の関係が分かりづらいとの御指摘を頂いたことを踏まえまして,(前注)を設けまして,これらの関係について,最初に説明することといたししまた。   また,「4 争点整理手続の在り方」につきまして,甲案において,協議の期日を設けるかどうかについて議論があったことを踏まえまして,該当部分にブラケットを付すことといたしました。その趣旨や,これに賛成する考え方,反対する考え方の内容につきましては,補足説明の中で明らかにすることを予定しております。   御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,今御説明があった部分につきまして,どの点からでも結構ですので,御質問,御意見があればお出しいただきたいと思います。 ○日下部委員 第5の「2 無断での写真の撮影等の禁止」について,恐らくは,補足説明の中で手当てをしていただく内容かなと思うのですが,コメントをさせていただきたいと思います。   ここでは,電話会議やウェブ会議等の方法でなされる期日において,裁判長が在席する場所以外の場所にいる者を対象として,裁判長の許可を得ずに写真の撮影等の行為をしたときの制裁を設けることが示されております。これは,前提として,そのような行為が禁止される旨の規定を当然必要とすると思いますので,そうした禁止規定も併せて定められるものと理解をしております。その際,裁判長が在席する場所での禁止規定との平仄を合わせることになると思いますが,それは,現行の民事訴訟規則77条と,それを準用する78条であると認識しております。   ただ,これらの規定を併せても,期日に当たらない書面による準備手続における協議に電話会議等の方法で参加している当事者や,和解期日や進行協議期日に裁判長と同じ場所に出頭している当事者に禁止規定が及ぶのか,不明瞭のように思われました。ぼんやりした言い方になっておりますのは,既存の民訴規則77条,78条の解釈に関わる点なので,自信を持ちかねているということであります。   これまでは,こうした禁止は規則事項でしたので,法律レベルでは差し当たりは度外視できたかと思うのですか,今般,制裁の対象にすることを検討するのであれば,禁止を法律事項にする必要があり,現在の規則の規定が十分に網羅的になっているのかの確認もする必要があるのではないかと思います。ただ,これは,中間試案において,こうした点を触れておくべきというものではなく,今後の課題として認識し,適切であれば補足説明で言及していただければと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。事務当局から,お願いいたします。 ○藤田関係官 御指摘ありがとうございます。   第5の本文2の制裁を設ける場合には,禁止規範自体を法律に設けるということは,この第5の本文2の前提としておりますので,その点も補足説明において明らかにさせていただきたいと考えております。   続きまして,規則第77条,第78条関係につきまして,新たに設けられることとなる第5の本文2の規律の範囲との同一性,範囲の違い等につきましては,専ら規則関係でございますので,その点を補足説明において明確にすることは,必ずしも相当ではないと考えられます。もし最高裁の方で規則の点につきまして補足がございましたら,よろしくお願いいたします。 ○山本(和)部会長 最高裁判所,補足がございますでしょうか。 ○富澤幹事 特に補足する点はございません。日下部委員がおっしゃるように無断で録音,録画することのできる範囲が明確になっていないということであれば,今後対象の範囲を検討すれば足り,現行の規則を前提に議論をする必要は必ずしもないと思います。更に言えば,仮に規則事項となるものがあるのであれば,最高裁において規則を立案する際に十分な検討をするということになろうかと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。よろしいですか。 ○日下部委員 若干補足いたしますと,先ほど例に挙げましたものは二つございました。一つが,期日に当たらない書面による準備手続における協議に,電話会議などの方法で参加している当事者と申し上げましたが,これは,第5の2で書かれている規律というのが,飽くまで期日の存在を前提としているものですので,そこから漏れるのではないかという理解です。   それから,もう1点申し上げましたのは,和解期日や進行協議期日に裁判長と同じ場所に出頭している当事者についてですけれども,こちらは,規則の78条の文面を読む限りは,和解期日や進行協議期日が内容として捕捉されていないように読めたので,漏れがあるのではないかと感じられたということです。   この点は,解釈によってカバーできるところなのかも,あるいはカバーされているところなのかもしれませんが,私自身が自信を持てなかったので,申し上げたという次第であります。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   最終的には,そういう形の漏れがなく,必要な範囲が全て網羅的に規律されているということが望ましいことは明らかだと思いますので,今の御指摘をテイクノートして,最終的にはそのような形になるように議論ができればと思います。 ○佐々木委員 佐々木です。   第7の争点整理手続等のところですが,前回か前々回の議論のときに,まずは,争点整理手続を一本化するか,現在の3種類の手続を置くかという議論があって,その後,もし現状のままであれば,三つの手続はこうなりますよという順番で書いた方が分かりやすいのではないかというお話があったのではないかと思っております。私も,そういう順番で記載をした方が分かりやすいと思ったので,4番が冒頭に来るのかなと思っておりましたら,その順番自体は全然変わってはいないんですけれども,そういう点を踏まえて,敢えて(前注)を加えることで対処したと,そういう理解をしてよろしいんでしょうか。 ○山本(和)部会長 事務当局,いかがでしょうか。 ○西関係官 お答えいたします。   前回の会議において,1から3までの論点と4の論点の関係が分かりづらいという御指摘を,複数頂いたところでございます。その一つの解決方法として,4を前に持ってきて,1から3をその後に持ってくるという考え方につきましても,皆様から御助言を頂戴したところでございます。   しかしながら,この部会では,現行法をどう改正していくかというようなところを議論しておりますので,まずは現行法の規定の枠組みに沿った上で検討していった方が,より分かりやすいものと考えました。その上で,皆様に頂いた御指摘を踏まえ,(前注)として説明を追加させていただいた次第でございます。 ○山本(和)部会長 佐々木委員の御指摘のとおりということなんだろうと思います。 ○山本(克)委員 先ほどの日下部委員の問題提起された第5の2について,今日どうこうという話ではなくて,今後の検討課題かなという気もするんですけれども,1点御指摘したいと思います。   これは,法廷等の秩序維持に関する法律でも,法廷の秩序,法廷等での秩序維持に関する事項,いわゆる非違行為について制裁を科すという規定があるわけですが,そことの関係の整理というのはどういうふうになるのかという点が少し気になっておりますので,今日お答えいただかなくても結構ですけれども,これもちょっと補足説明で,こういう問題があるということぐらいは指摘しておいていただければという気がいたします。 ○山本(和)部会長 よろしいですか,事務当局としては。 ○大野幹事 事務当局でございます。   御指摘の点については,事務当局としても認識をしております。そういう問題があるということは,テイクノートしておきたいと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○小澤委員 新たな訴訟手続のところでございます。(注5)に繰り下げられた,訴訟代理人の選任を必要的とする記載についてですけれども,複数の反対意見があったということで,(注)の扱いにしてくださったと理解しております。ありがとうございます。   さらに,もう一歩お願いをできるのであれば,訴訟代理人を必須とする提案につきましては,本人訴訟を原則とする我が国の民事訴訟制度においては大きな例外となりますので,その旨を補足説明等に記載をしていただければ有り難いと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○阿多委員 第5,2の無断の写真撮影等の禁止について,訴訟指揮ないしは裁判所の秩序維持に関連して,山本克己委員も指摘された点ですが,法廷概念とか,そもそも訴訟指揮が及ぶのかということも含め検討が必要かと思います。写真撮影という場面だけを切り出されていますが,それ以外についても検討が必要なことについて補足説明で指摘いただけたらと思います。 ○山本(和)部会長 よろしいですね,事務当局。 ○垣内幹事 垣内です。   既に出てきたやり取りの中で,あるいは,出てきたのを聞き漏らしてしまっているのかもしれないですけれども,この第5の2の直前でも話題になっていたところですけれども,この提案の位置付けというのは,飽くまでウェブ会議等を用いる期日における規律を,ここで記載をされているということで,そうでない通常の口頭弁論等の場合,現在規則があるわけですけれども,そことの関係はどうなるかということについては,そちらはそちらで維持された上で,新たにこのウェブ会議を用いる場合に,この規律を追加するということでよろしいのか。その場合,従来の規則の内容で,例えば,77条ですと,写真の撮影,速記,録音,録画又は放送となっているわけで,速記などというのが入っていたりするのが,こちらの方では入っていないということなんですけれども,そこは,実質的には同じことを,ここで,ウェブ会議等の場合にも及ぼすという趣旨であったのか,それとも,異なる規律を設けるという趣旨であったのか。   例えば,10ページから11ページにかけての説明のところで,最後の例として,ウェブ会議等の音声を,ソフトウエアを用いて逐語的に文字に変換する行為というのがあるんですけれども,これは,何か意味的には速記に似た実質を持つような感じもするのですが,これは,速記ということではなくて,10ページのこれらと同様に,複製を伴うことなく,あるいは,場合によっては複製しているということもあるのかもしれませんけれども,伝達する行為をしたときというのに含まれるということなのか,その辺りの相互関係について,若干ゴシックのところだけを見ますと,分かりにくいような感じもしますので,必要に応じて補足説明等で整理を頂くとよいのかなという感じがいたしました。今までの御指摘と重複するかもしれませんけれども,以上です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。事務当局から何かコメントありますか。 ○藤田関係官 御指摘ありがとうございます。   非常に難しい点でございまして,現時点で,事務当局の方で完全に整理し切れているものではございませんが,この部会資料に書かせていただいた範囲で,少し補足させていただければと存じます。   まず,第5の本文2の二つ目の下線部の表現ぶりにつきましては,2020年の著作権法の改正で,いわゆる写り込みとの関係で新たに設けられた文言と承知しております。「写真の撮影」から始まり,「伝達する行為」というところまでが,丸々,今,法律上の文言として存在するということでございます。その著作権法の改正の当時の議論といたしまして,スクリーンショットの撮影や録画を伴わないインターネット生配信と呼ばれるような新しい技術によるものにつきましても,こういった文言に含まれると考えられた上で,立法されたと承知しております。   他方で,速記を第5の本文2の規律においてどのように読むのかという点につきましては,中身の問題につきましては,この会議で今後御議論いただくべき事項であると存じますけれども,現状,御提案しております文言との関係で,一つの考え方を補足させていただきます。   機械により音を逐語的に文字に変換する行為というのは,「音を複製」するという文言そのものに当たるというのは,なかなか難しいというような考え方もあろうかと存じます。他方で,機械を用いて音を逐語的に文字に変換する行為をする場合には,例えば,プログラムが入っているサーバに通信をした結果として文字が得られるというようなこともあり得るやに存じます。また,そのように音を逐語的に文字に変換するに当たって,一旦コンピュータに音自体を記録するということもあろうかと存じます。そのような点を捉えて,前者であれば,他のサーバに「複製を伴うことなく伝達する」という行為が含まれますし,また,後者であれば,自分のパソコンであっても「音を複製」するという行為をしていることになろうかと存じます。そのような過程もつまびらかにした上で,一定のそういった文字に変換する行為が本文による規律の対象となり得るという帰結が導かれ得るのではないかと考えているところでございます。   引き続き検討を進めてまいりたいと存じます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○富澤幹事 第5の1のウェブ会議の方法で口頭弁論を行う場合について一点発言をさせていただきたいと思います。ウェブ会議の方法で口頭弁論を行うこととした場合,現在の通信技術を前提としますと,残念ながら通信障害が発生することもあり得ます。この場合には,期日を延期したり,争点整理手続に直ちに切り替えたりすることが考えられますが,例えば,一方当事者が法廷に実際に出頭している場合を想定すると,通信障害が発生した後に一切口頭弁論の形で手続を進めることができないとすることがよいのかについては疑問を持っております。   そこで,例えば,通信障害が発生した場合に,当事者双方が手続を進めることについて同意をし,更に裁判所が相当と認めたときは,例外として口頭弁論の手続を進めることができるようにすることも考えられるのではないかと思っております。この点については,初めて指摘する点でもございますので,口頭弁論をウェブ会議で行う場合に通信障害が発生したときの取扱いについても引き続き検討するという形で中間試案の補足説明等に記載していただければ有り難いところです。 ○山本(和)部会長 分かりました。 ○湯淺委員 湯淺でございます。   今,この第5の1,2に関する先生方の御議論を伺っていまして,ちょっと改めて事務当局に確認をさせていただきたい点が2点,それから最高裁の御意見を伺いたいというのが1点ございます。   事務当局に伺いたいのは,2のこの写真の撮影,録音,録画,放送,その他これらと同様に,事物の影像又は音を複製しうんぬんという下線部のくだりでありますけれども,これらについては,故意犯を制裁対象にしているということでよいのかと。つまり,どういうことかと申しますと,例えば,コンピュータウイルスに端末が感染をしてしまって,知らない間に,いつの間にやら音声あるいは動画像が流出をしたという場合には,これは免責であるという意図なのかどうかというのが,まず1点でございます。   2点目は,これに関しまして,これも以前お尋ねをさせていただいたことの繰り返しになるかもしれませんが,こうやって違法に流出をしたものを媒介をする者,あるいは,更に拡散させる者の責任は問わないという趣旨でよいのかというのが,2点目の御質問でございます。   それから,最高裁に伺いたいのは,例えば,今日おいでの先生方も,このコロナでいろいろなテレビ会議システムだとかZoomだとか,いろいろお使いだと思いますけれども,例えば,何者かに乗っ取られた,あるいは正当なアクセス権限なんだけれども,そのアクセス権限を証明するID,パスワード等が流出したので,本来の当事者等でない者がアクセスをして来た場合には,これは,裁判長というのは,それを排除することがシステム上もできるのでしょうかというのが,最高裁にちょっとお伺いしたいところでございます。 ○山本(和)部会長 それでは,最初の2点,事務当局からお願いします。 ○藤田関係官 御質問ありがとうございます。   1点目の御質問につきましては,必ずしも故意に限られるものではないという位置付けでございます。ただ,先ほどのお言葉の中に入っておりました故意犯,つまり犯罪ということになりますと,故意があることが原則的なものとなってまいりますので,その点におきまして,また別途の考慮が必要となってくることは,あり得るのかと存じます。制裁の中身によるところもあるという趣旨でございます。   2点目,拡散行為についてでございます。第5の本文2の4行目におきまして,「手続を行う期日において」と記載しております。期日において行われる複製伝達行為を捉えたものでございますので,それが他に拡散されていく場面においては,それを期日において行っているといえるのかどうかというところにもかかってこようかと,現時点では考えております。ただ,この点につきましても,更なる整理が必要であろうとは考えております。 ○山本(和)部会長 では,第3点について,最高裁判所の方から御説明いただけますか。 ○富澤幹事 先ほどの湯淺委員の御質問について御説明いたします。現在のフェーズ1の運用ですと,端末が乗っ取られたり,正当なアクセス権限を持っているID,パスワードが流出したりした場合に備えて,多要素認証を求めて対策をしているところでございます。そういった対策もかいくぐられた場合に,システム上でこれを探知することができるかというと,現状ではなかなか難しいところもあると思っております。   ただし,実際には,裁判官と当事者で会話等をしながら手続を進めていくということになりますので,そういった協議をしている中で本人ではないという疑いが生じる場合というのも多いのではないかと思います。もちろん,そのような疑いが生じた場合には,直ちに手続を中止するなどの形で対処することになろうかと思います。   いただいた御指摘は非常に重要な点だと思いますので,システムの設計等におきましては,何らかの手当ができるかどうかという点も含めて,今後検討してまいりたいと思います。 ○山本(和)部会長 湯淺委員,よろしいでしょうか。 ○湯淺委員 ありがとうございました。   ちょっと1点目について,事務当局のお答えについてちょっと再度確認をさせていただきますが,故意犯の「犯」という言葉を使うのが妥当かどうかはさておきというところですが,そうしますと,第5の2の制裁の対象は,注意義務違反と言っていいのかどうかどうか分かりませんが,端末等がマルウェアに感染をしていたりして,故意ではなく,こういう複製を伴うことなく伝達する行為を,結果論的にしてしまった場合も,制裁対象とはなり得ると解してよろしいということでしょうか。ちょっと,念のための確認でございます。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局お願いいたします。 ○藤田関係官 御確認いただきありがとうございます。   先ほどお答えしたとおりでございまして,制裁の中身にもよりますが,過失という要件に該当する場合には,制裁の対象になり得るということになってこようかと存じます。 ○山本(和)部会長 よろしいでしょうか。 ○湯淺委員 はい,ありがとうございました。   そうしますと,現実にそういう流出等ができてしまったときに,どこまでが過失なのか,例えば,最新のオペレーションシステムを使わないで,古いOSのままで使っていたとか,そういう場合も過失になるのかどうか,いろいろと疑義が出るところかなと思った次第でございます。   ただ,それを言い出していると大変なので,ひとまずそういう疑義が生じるだろうということを,御意見として申し上げたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○山本(克)委員 再三同じことを申し上げて恐縮なんですけれども,第5の2で,これが遠隔地にいる者がいる場合を想定しているわけですが,その遠隔地が海外,外国である場合について,制裁を科すということが,当該外国の主権侵害ということにもなり得るので,その辺りも慎重に,先ほど申し上げました点を含めて,御検討いただければと思います。よろしくお願いします。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。事務当局,よろしいですかね。   ほかにいかがでしょうか。 ○日下部委員 第6の新たな訴訟手続に関して,大きく言いますと二つ意見を申し上げたいと思います。   一つ目ですけれども,冒頭で,この部会資料14-2でいいますと,アンダーラインが引かれている部分なのですが,ここで,甲案と乙案を併存させることや,それぞれの一部を合わせた規律への言及がございます。   両案はコンセプトが異なっておりますので,それらの併存というのは理解はできるのですが,それぞれの一部を合わせた規律となると,具体的にどのようなものが意図されているのか,理解できないように思いますし,両案とも細目まで詰め切れているというわけでもございませんので,それぞれの見直しが求められることも十分にあり得ると承知しております。そうしますと,そうした事情を考えますと,パブリックコメントに付す中間試案において,甲案と乙案それぞれの一部を合わせた規律に言及するというのは,適切なのであろうかということを,やや疑問に思いました。最終的な御判断は,ここはお任せしたいと思いましたが,感想として思ったことは申し上げたいと思います。   それから,2点目ですけれども,乙案の開始要件とされている共同の申立てですが,これは,現行の民事訴訟法265条が定める裁定和解の要件を参照したもので,同条の解釈と同様に,当事者の意思の一致が確保されればよく,各当事者が別個の書面で申し立てることでも可能であるというように,私としては理解をしていたところです。   例えば,原告が訴状において乙案の手続を申立て,それを見た被告が,答弁書において同じく乙案の手続を申し立てれば,共同の申立てになるという理解であります。こうした理解でよいのかどうかということを,まず御確認いただきたいと思います。   仮にそのような理解で正しければという前提でございますが,共同の申立てという表現は,両当事者が共同で同時になす申立てを想起させますので,それに限られるとすると,乙案が実際に利用される見込みがかなり小さいものと受け取れられることになるかと思います。ですので,その表現の意図する内容を,補足説明で説明していただくようにお願いしたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。2点ですか,事務当局からお願いいたします。 ○波多野関係官 波多野でございます。御質問,御指摘ありがとうございます。   1点目でございます。甲案と乙案,それぞれコンセプトが違うということは,御指摘のとおりかと思っているところでございます。他方で,前回の会議の中では,これらのハイブリッドのような形もあるのではないかという御意見も頂いていたことを意識しまして,このような記載をしているところでございます。その上で,このまま記載を維持するかどうか踏まえまして,こちらで検討させていただくということでお願いしたいと思います。   2点目でございますが,事務当局としましても,共同の申立てにつきましては,別に一つの書面でするということに限定する趣旨ではないという前提で,これまで提案をさせてきていただいているという理解でおりますので,その点を分かるように補足説明で説明をするということでさせていただければと考えているところでございます。 ○山本(和)部会長 それでは,最高裁判所,お願いいたします。 ○富澤幹事 日下部委員と波多野関係官のお話に関連して,意見を述べたいと思います。   まず,甲案と乙案のコンセプトをどういった点に重きを置くのかというところの理解の違いがあるのかもしれませんが,私自身は,例えば,審理期間の予測可能性を高めたり,当事者の意見も聴き,そのイニシアチブに配慮しながら,争点により焦点を当てた充実した審理を行ったりするといったコンセプトは,甲案と乙案のいずれも変わらないと思っています。したがって,甲案と乙案でコンセプトが異なるというのは,若干違和感も覚えるところでございます。   それを前提として,甲案と乙案の一部を合わせた規律もあり得るという点について,甲案と乙案のそれぞれの規律の中には,他方の案にも導入することが有効と考えられるものもあるのではないかと思います。前回も申し上げたところですが,通常手続への移行の規律に関し,当事者のいずれか一方からの申述により移行するという乙案の規律を甲案にも導入するということは,十分あり得ると思います。   記載の趣旨をより明確にするという観点からは,例えば,「一方の案の規律の一部を他方の案の規律に導入することもあり得る」程度の記載に変えるということもあり得るかと思いますが,最終的な記載ぶりは部会長及び事務当局にお任せしたいと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○服部委員 服部でございます。   今議論されております甲案の一部と乙案の一部を併せた規定という箇所について,日下部委員が言われたことに加えまして,このような書かれ方がされていますと,制度のバリエーションがある意味大変広がってしまって,どの範囲までで意見を述べればいいのかが分からないという内部的な指摘もございますので,その点も御配慮いただきたいと思っております。 ○門田委員 服部委員から,中間試案の記載ではどこまで答えていいのか分からないという 御意見もあると伺いましたが,他方で,このパブリックコメントを初めて御覧になる方から見ると,甲案,乙案,丙案と並べられると,これらのいずれかで答えなければいけないとお考えになるのではないかと思います。この部会では,甲案と乙案の併存という考え方もあるし,甲案又は乙案にそれぞれの一部を取り込むという意見も出たわけですから,この程度の選択肢はきちんと示しておいた方がよいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○日下部委員 別の話題で恐縮ですけれども,第5の「4 準備書面等の提出の促し」に関して,意見を申し上げたいと思います。   ここでは,ゴシック体で示されている促しや,(注)で示されている遅延理由説明義務までは理解できるのですが,準備書面等の提出命令の制度や命令違反の場合に現行民事訴訟法157条の2と同様の却下決定の制度を設けるという考え方は,当事者に主張立証活動を強要することにもなりかねず,弁論主義との関係の問題のほか,当事者に生じる不利益が,十分な手続保障に裏付けられているのかという問題もあるように思われます。準備書面等の提出命令の制度や命令違反の場合の却下決定の制度は,職権進行主義を踏まえても,なお強権的に過ぎるのではないかという印象があるように思われ,国民にどのように受け取られるかというのを,少々懸念しております。   そうした考え方があるということは理解はしておりますけれども,中間試案において,これらにまで言及するという意見がそれほど強いものであったのかどうか,今一度確認ができればと思っております。 ○山本(和)部会長 それでは,最高裁判所,お願いします。 ○富澤幹事 日下部委員の4の準備書面等の提出の促しの(注)に関する御発言に対して意見を申し上げます。この点については,裁判所の方から,以前,準備書面の提出が遅れることは相当数あるという実情を御紹介した上で,何らかの手当をしていただけないかという発言をしたところでございます。そういう観点を踏まえて,このような(注)の記載にしていただいたと考えておりまして,それほど強い意見がなかったのではないかというのは,認識に違いがあるのではないかなと思いましたので発言させていただきます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○山本(克)委員 今,富澤幹事がおっしゃった日下部委員の発言についてですが,私は,この趣旨の提案を明示的に申し上げたと思います。ここは弁護士の方々と学会の人間との間ですごく温度差のあるところだと認識はしていますが,学会というのはいろいろな意見の方がおられるのは当然ですが,しかし,学会における最近の一つの潮流として,日本のノーサンクションで何でも済まそうとする傾向に対しては,反対する意見,もう少し当事者に負担を課すようなサンクションを加えてもいいのではないかという潮流があるということから,私はそういうふうに申し上げたので,全く根拠がないという話ではないと認識しております。   もちろん,本文に書くようなところまで議論が成熟しているわけではありませんので,この事務当局が御提案になったような(注)での付記という程度でよろしいかと思いますが,全く議論がなかったというわけではないと認識しております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。日下部委員,よろしいでしょうか,この4の(注)は。 ○日下部委員 そうですね。いろいろなことを考えて,ちょっと発言をちゅうちょしてしまいましたけれども,事務当局の御判断にお願いしたいと思います。 ○山本(和)部会長 もちろん,補足説明の中では,当然これに反対する御意見も出されたということは,御紹介いただくことになるだろうと思います。   ほかにいかがでしょうか。   第6の柱書きの部分は,両方の御意見があったかと思いますけれども,答えにくいという御意見もあろうかと思いますけれども,元々これ,かなり広い範囲の様々な制度構成が考えられるという中から,甲案,乙案ということですので,いろいろな組合せ,あるいは,いろいろなバリエーションというのがそもそもあり得るということは前提になっていると思いますので,それを踏まえて,是非パブリックコメントにおいても御意見を頂きたいという,そういうことを表した趣旨かなと,私も思います。   よろしいでしょうか。   それでは,これで一応第7まで確定しまして,ちょっと休憩の時間を取りたいと思います。20分程度の休憩ということで,3時35分に再開ということでお願いしたいと思います。           (休     憩) ○山本(和)部会長 それでは,時間になりましたので,再開をしたいと思います。皆さんはおそろいでしょうか。   それでは,引き続きまして,資料14-2でいいますと,20ページの「第8 書証」,「第9 証人尋問等」,それから「第10 その他の証拠調べ手続」ですね,25ページの辺りまでですかね,一括して取り上げたいと思います。   まず,事務当局から説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   まず,「第8 書証」についてでございます。   本文2の(注)の修正は,文書に関する大審院判例の法理を電磁的記録に及ぼすという考え方であることを明確にしたものでございます。   本文3及び本文4では,事前の準備としての写しの提出における規律と,文書提出命令や送付嘱託における規律とがやや異なることを明確にいたしました。本文3の事前の準備としての写しの提出におきましては,本文2の規律が適用されませんので,裁判所のコンピュータに記録すべき電子データは,元の電子データのファイル形式を変更したものであっても構わないということになります。   これに対し,本文4の文書提出命令及び送付嘱託におきましては,本文2の規律が適用されますので,裁判所のコンピュータに記録すべき電子データは,元の電子データについて改変がないようにコピーしたものでなければならないということになります。さらに,事前の準備としての写しの提出におきましては,本文2の規律が適用されませんので,元のものが紙の文書であろうと,アナログの録音テープであろうと,それを電子データ化した写しをインターネットを用いて提出することができます。本文3においてはそのことも記載しております。   他方で,文書提出命令及び送付嘱託におきましては,例えば,裁判所から提出を命じられたものが,紙の文書であったり,アナログの録音テープであったりする場合には,その原本を提出,送付しなければならないことになります。そのため,本文4のとおり,インターネットを用いて提出することができるのは,元々電磁的記録であるものの提出を命じられた場合ということになります。   なお,元々電磁的記録であるものの提出を命じられたとしても,それが事件管理システムにアップロードすることができないファイル形式であるときは,やはりインターネットを用いて提出することができないということになります。そこで,本文4の(注)におきまして,事件管理システムにアップロードすることができるファイル形式とできないファイル形式を設定する場合には,インターネット以外のどのような方法での提出や送付があり得るのかにつきまして,引き続き検討する必要があるということを記載したものでございます。   次に,「第9 証人尋問等」についてでございます。   まず,「1 証人尋問等」の本文(2)の記載を修正しております。具体的には,部会資料12の記載を修正し,この規律が証人の所在場所に関する規律であることを明確化した上で,前回の会議におきまして,部会資料12で列挙していたもの以外にも,証人に不当な影響を及ぼし得るものは存在するのではないかとの御意見があったことを踏まえまして,当事者の親族をこれに追加しております。このほか,その範囲につきましては引き続き検討する必要があるものと思われますが,この論点につきましては,補足説明の中でも適宜御説明することを予定しております。   また,「2 通訳人」につきましては,分かりやすさの観点から,電話会議による通訳を認める考え方と認めない考え方を,それぞれブラケットを付して併記する形にしております。   次に,「第10 その他の証拠調べ手続」についてでございます。   まず,「1 鑑定」につきましては,鑑定人の発問及び書面宣誓について,本文に掲げていたものを(注)に落としております。また,これまで証人尋問と検証の箇所に個別に記載していたハイブリッド方式の証拠調べにつきまして,「3 裁判所外における証拠調べ」にまとめて記載することとしております。   御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,今御説明いただいた点,どこでも結構ですので,御意見,御質問等出していただければと思います。 ○日下部委員 第8の書証に関して意見を申し上げたいと思います。   前回の会議の際に伝えるべきであったのかなとも思うのですけれども,今回,3の部分が大幅に修正されて,4の部分も加わったということで,各規律の関係が,これまで以上に理解し難くなったのではないかと感じております。   現状の記載は,法律の条文になった場合をより想定して,それに近い整理を試みたものかなとも推察するのですが,その意図するところを読者が正しく酌み取ることは至難ではないかと思いました。中間試案の段階では,改正法の内容がどのように構想されているのかを,読者に分かりやすく伝えることが肝要かと思いますので,少なくとも,次に申し上げます二つの点を指摘させていただきたいと思います。   一つ目ですけれども,書証の申出として文書の提出,文書提出命令の申立て,文書送付嘱託の申立てがございますが,証拠申出前に写しの提出が求められるかどうか,また,証拠申出時点において,証拠方法が提出されるか否かという点で,文書の提出と他の2種の申立ては異なっていると理解しております。現在の2の部分は,恐らくは,現行民事訴訟規則143条を念頭に,これらを全て一まとめにしているものと推察しているのですけれども,手続の過程が明らかに異なりますので,少なくとも文書の提出と他の2種の申立てとは区別して説明する方がよいだろうと思いました。   それから,2点目ですが,書証の申出を文書の提出により行う場合,期日前に写しを提出することが求められているところです。以前の部会資料12の3,この相応する3の部分では,電磁的記録を証拠方法とする場合には,この期日前に提出すべき写しとして,電磁的記録の複製と電子的記録の写しで複製に当たらないものの2パターンが示されていたと思います。今般の部会資料14の3では,電磁的記録の複製への言及がなくなっております。これは,写しが複製を包含する概念であるとして一まとめにしたのかなと推察はしているのですけれども,そのような理解で正しいのか,両概念についての御説明を,今一度頂きたいのと,そのことが分かるように,中間試案なり補足説明資料の中で御説明を頂ければと思います。 ○山本(和)部会長 それでは,2点,事務当局からお願いします。 ○藤田関係官 御質問ありがとうございます。   1点目の御提案につきましては,第8の本文2のうち,書証の申出としての提出のみを本文2に残し,文書提出命令に基づく提出と送付嘱託は,専ら本文4の規律に譲るというようなこともあり得るように思われましたので,そのように整理して差し支えないという皆様の御同意が頂けるようでございましたらば,第8の本文2につきましては,書証の申出としての提出のみの記載に変更したいと考えております。   まず,この点につきまして,皆様の御意見を伺いたいと存じます。 ○山本(和)部会長 いかがでしょうか。2のところが,書証の申出としての提出はということになって,文書提出命令に基づく提出及び送付嘱託に基づく送付というのは削除して,4の方に委ねられるということにしてはどうかということかと思いますが。   特段の御異論はございませんか。 ○阿多委員 提案の方が分かりやすいと思いますので,2の書証の申出の後半は削除していただく提案に賛成します。   加えて1点,先ほどの説明を前提にすると,4は事前提出の話ではなく,取調べに関して文書提出命令に基づく提出ないしは送付嘱託に基づく送付に関する部分になりますが,であるならば,3は事前提出の写しの場面,4はまた取調べの場面なると,混乱します。4は3の前に移動する方がよいのではありませんか。説明を聞いていて,2と4がワンセット,書証の取調べ一般と文書提出命令と送付嘱託での取調べであれば,4の位置を検討いただけたらと思います。 ○山本(和)部会長 その点,何か事務当局からありますか。 ○藤田関係官 第8の本文3と第8の本文4を入れ替えるということも考えられますので,御意見をいただければと存じます。 ○日下部委員 時系列的に言うと,むしろ3を2の前に持ってくる方が,きれいに読めるかなと思いました。 ○山本(和)部会長 いかがでしょうか。形式的な点ですので,恐縮ですが,私と事務当局に御一任いただければ,検討したいと思います。 ○大野幹事 事務当局でございます。   先ほど頂きました様々な御指摘を踏まえまして,より何の話なのかが分かりやすいような形,順番なり項目立てなり,その整理をさせていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 それでは,その点はそういうことで,日下部委員の第2点の御質問,3の(2)の関係ですね,写しと複製のところです。 ○藤田関係官 2点目について御説明させていただきます。   文書の場合には,現行規則で定められている書証の申出の前の準備としての写しの提出は,写しで行われるということになりますけれども,電磁的記録に関しましては,これを複製したものであって改変が行われていないもので行ったとしても,事前の準備としての写しの提出義務は果たしたことになるというような位置付けになろうかと考えております。   写しと複製の関係につきましては,御指摘のように,複製がすべからく写しに含まれるという考え方もあり得るでしょうし,ただ,別の規律との関係から申し上げますと,複製には文書における原本格を取得するようなものもあるというような説明も可能であるとは考えております。 ○日下部委員 やはり難しいなと,今お聞きして思ったところではあるんですけれども,ちょっと気になりましたのは,今,私自身は,今日のこの会議の前には,複製というのは写しの中の一部分に相当するもので,電磁的記録について,その情報が全然変わっていないもの,これが複製に該当するのかなと理解をしておったんですが,そういう目で見ますと,例えば,第8の書証の2のところで,複製したものというところの中に,その後に括弧で,「情報について改変が行われていないものに限る」となっていますので,複製と言われるものの中に,更に限定が付されたものが想起されるのかなと思ったんですが,写しが外側のカテゴリーで,一定限度限定されたものが複製に当たるのかなと理解をすると,この第8の2の記載がちょっとよく読めないといいますか,理解が困難だなと思ったところです。   ちょっとその辺も整理をしていただく必要はあるのではないかなと思いましたので,その点はコメントをさせていただきました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。よろしいですね,事務当局は。では,ちょっと整理が必要かもしれませんけれども。   ほかにいかがでしょうか。 ○日下部委員 すみません,連続で申し訳ございません。   第9の証人尋問等の「1 証人尋問等」の部分なんですが,その中の(2)のところで,アとイの二つの要件が記載されておりますけれども,これらは,両方の要件を満たす場所であることが必要という趣旨だと理解をしております。   その前提で申し上げますと,イは場所そのものの特質や性状の問題かと思われますが,他方,アは証人と当事者等の同席の問題であって,これらが共々場所の要件として定立されているということには,若干違和感を持ちました。従来の記載,従来の整理といいますか,説明の仕方の方が分かりやすいのではないかなと感じたところです。   それからもう一つ,ハイブリッド方式の証拠調べについてもコメントさせていただきたいと思います。   今回の資料では,ハイブリッド方式の証拠調べを,裁判所外の証拠調べと位置付けるものですが,それは,一つの考え方であると思いますけれども,その点について,部会でコンセンサスが得られていたというわけではないと承知しております。部会資料14では,裁判所外の証拠調べとの位置付けを前提に,要件を裁判所が「相当と認めるとき」のみにしております。これは,裁判所外の証拠調べに関する現行法185条の要件とのバランスを取る,そういうものと推察はしております。   しかし,そこまで要件を緩和することが適切であるのかという実質的な検討は,まだ十分になされていないように思います。また,これでいろいろなケースの要件のバランスが取れたとも言い難いように感じております。例えば,合議体の裁判官全員が法廷からウェブ会議等の方法で証拠調べを行うためには,当事者に異議がないことなど,相当性以外の要件が必要とされることが想定されておりますのに,一方,現行法185条に基づき,受命裁判官や受託裁判官に証拠調べをさせることは,相当性の要件のみで足りるということになりまして,取り分け受託裁判官に任せる場合との対比で,アンバランスが著しいのではないかと感じております。   また,裁判所外の証拠調べと位置付けることで,口頭弁論期日での手続ではなくなることとなり,裁判官は裁判所内でも必ずしも法廷にいる必要はなく,また手続を公開する必要もないということになりますと,公開原則を実質的に後退させることになるのではないかという懸念も出てまいります。それでよいのか。仮に裁判所外の証拠調べと位置付けたとしても,裁判所では,裁判官が法廷にいて,手続を公開することを法律レベルで必要とすべきとも考えられるかと思いますが,そうした問題点の実質的な検討もまだなされていないかと思います。   つまるところ,ハイブリッド方式の証拠調べの位置付けは,期日の種類の形式的な問題にとどまらず,実質的な要件論や手続の公開の要否,是非の検討の起点にもなると思いますので,中間試案では,そうした問題意識を前提として,パブリックコメントを求めるようにすべきだと思います。 ○山本(和)部会長 それでは2点,事務当局からお願いします。 ○西関係官 お答えいたします。   まず,第1点目についてでございます。(2)のアで書かれていることとイで書かれていることがそれぞれ異なることを指し示しており,これらを並列的に書くことが分かりづらいのではないかという御指摘と承りました。   ここでは,ひとまず証人の所在場所としての要件と整理をさせていただきましたが,どういった位置付けの規律とするかにつきましては,引き続きの検討課題であると考えております。中間試案としては,このアとイが何を意味するのか,具体的内容が読み手に分かりやすいように詳しく説明をさせていただくということで対応させていただければと考えているところでございます。   次に,2点目についてでございます。御指摘のとおり,ハイブリッド方式による証拠調べの期日をどういったものと位置付けるかというところにつきましては,それ自体論点になっているところでございます。それに伴いまして,いろいろと帰結として異なる面があるというところも御指摘のとおりと考えております。   そういった趣旨を明確にするため,この3の(2)のところに(注)を追加いたしまして,185条の中に位置付けるという考え方のほかに,口頭弁論の期日における手続だと位置付ける考え方もあると紹介をした上で,補足説明の中でその趣旨を明確にするというところも考えられるかと思います。その点につきましては,いかがでございましょうか。 ○日下部委員 そのようにしていただければと思います。 ○阿多委員 ハイブリッド方式に(注)を追加していただく点は,私も賛成したいと思います。先ほどもお話があった第9,1の(2)のア,イ,従前はア,部会資料用14-2ではイに移動している要件ですが,従前のアでは,「通信環境が整備され,かつ証人に対する不当な影響を排除することができる場所」として最高裁判所規則で定めると表現されていたのが,今回,括弧内表記が削除されその理由はどうしてでしょうか。「通信環境が整備され」という要件が例示として十分かという議論はあるかとは思いますが,これが明示されていれば「通信環境が整備され」といる場所であることが分かるのですが,今の表現の「其の他適正な尋問を行うことができる場所」というだけでは何を意図しているのかが分かりません。従前括弧内表記で記載されていた事情を分かるように記載していただけたらと思います。これが2点目です。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局からお願いします。 ○西関係官 御指摘の点につきましては,補足説明の中で詳しく書かせていただきたいと思っております。   このほか,前回,例えば,プライバシーの問題などもあるのではないかというような御指摘も頂戴しておりましたので,その点も含めまして,これが何を意味するのかというところは,読み手に分かりやすいような記載を心掛けていきたいと考えております。 ○青木幹事 冒頭のハイブリッド方式のところで,日下部委員の御指摘と重なるのですけれども,説明で期日の規定の問題だということだったかとも思うんですけれども,念のため確認したいのは,ハイブリッド方式により裁判所外で証人尋問を行う場合には,185条1項本文の相当性の要件を満たせば,195条の受命裁判官による証人尋問の要件や,204条のウェブ会議等の方式による証人尋問の要件を満たさなくても,ハイブリッド方式により証人尋問を行うことができるということだと理解しましたが,この点,一つ確認させていただきたいと思います。   その上で,部会資料の説明では,期日の位置付けからウェブ会議等による証拠調べを行う場合の要件を充足する必要はないということが,比較的あっさりと導かれているのですが,裁判所外で合議体の裁判官の全員が直接対面で証人尋問を行う場合と比べると,ウェブ会議等により参加する裁判官は,直接対面せずに証人の証言から心証を取るということで,異なるのかなと思います。この点については,その当事者の異議がないことなどは要件とせずに,185条の裁判所の相当性の判断に委ねられるという御趣旨かなと理解しましたが,もしそうであるとすれば,先ほどの御回答にもありましたが,そのような説明も補足説明でお示しいただくとよいのではないかなと思いました。 ○山本(和)部会長 事務当局からありますか。 ○西関係官 御指摘ありがとうございます。   まず,1点目の点につきましては,御指摘のとおり,相当性要件が満たされる限り,195条等の要件は必要ないという立場に立っているものでございます。   2点目の「相当と認めるとき」の内容につきましては,御指摘のとおり,裁判官の全員ではなく,一部がウェブで手続を行うということの相当性も必要になると考えているところでございます。こちらの趣旨につきましては,明確になるように補足説明の中で対応していきたいと考えております。 ○山本(和)部会長 よろしくお願いします。 ○大坪幹事 ちょっと戻ってしまうんですけれども,書証のところの21ページの4の下の(注)についてです。ここで,証拠となるべき電磁的記録のファイル形式の提出等の在り方について,引き続き検討するとなっています。   5ページのところで,そもそもインターネットを用いて裁判所のシステムにアップロードするときの形式のところで,5ページの(注2)に,証拠となるべきものの写しのファイル形式の提出の規律について,引き続き検討するということになっていて,証拠となるべき電磁的記録と証拠となるべきものの写しが別々のところに記載されているのが,ちょっと分かりにくいのではないかと思いましたので,何かもう少し手当てしていただけるといいのかなと思いました。 ○山本(和)部会長 事務当局からお願いいたします。 ○藤田関係官 御指摘ありがとうございます。   第8の本文4の(注)のところには,オリジナルの,元々の電磁的記録のファイル形式についての記載をしておりますが,これは,専ら「第8 書証」に関わるものであることから,ここに記載をしたということでございます。   他方で,第1に,御指摘いただきました写しについての記載をしておるところがございます。これはなぜかと申しますと,「第1 総論」のところで,「申立て等」の定義の中に,証拠となるべきものの写しが含まれているという事情がございます。ただ,分かりやすさの観点から申し上げますと,どちらかに寄せる,あるいは両方書くといった方法のほかに,そういったものが他の箇所にあるということを説明するというようなことが考えられると思いますので,補足説明で工夫させていただきたいと考えます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○日下部委員 第10の「1 鑑定」について質問をさせていただきたいと思います。   ここでは,民事訴訟規則133条が定める鑑定人による審理への立会い又は発問について,(注)で言及されていると思います。この点につきましては,部会資料の12,以前の部会資料ですけれども,そちらでは,音声の送受信の方法で行うことが可能とされ,電話会議によることも許容されておりました。しかし,今回出されております部会資料14の(注)では,ウェブ会議等とされており,電話会議は許容されなくなっているかと思います。このような変更がされた理由が,私,理解できなくなっておりますが,どういったものだったのか,説明を頂ければと思います。 ○山本(和)部会長 事務当局からお願いいたします。 ○西関係官 御指摘ありがとうございます。   こちらは,転記する際に「ウェブ会議等」としてしまったものですので,修正させていただきます。 ○山本(和)部会長 御指摘ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。おおむねよろしいですか。   それでは,引き続きまして,「第11 訴訟の終了」から最後までですね,「第18 障害者に対する手続上の配慮」まで,項目はかなり多いですけれども,修正されている箇所は,御覧いただきますと,余り大きなものはございませんので,一括して取り上げたいと思います。   まず,事務当局から説明をお願いいたします。 ○波多野関係官 御説明いたします。   25ページ,「第11 訴訟の終了」でございます。こちらは,和解に代わる決定につきましては,先ほどの部会資料の方で御説明したところでございまして,それ以外のところでございますが,基本的には,中間試案のたたき台から大きく変更した点はございません。27ページの(注1)で,記載ぶりとしては「調書」という記載をしているというところでございます。   続きまして,27ページ,「第12 訴訟記録の閲覧等」でございます。こちらは,本文1から3までの部分につきましては,部会資料13で御議論いただいているというところでございまして,本文3の甲案におきまして,利害関係のない第三者が裁判所外の端末を用いて訴訟記録の閲覧をすることを認める場合であっても,現行法と同様,公開を禁止した口頭弁論に係る訴訟記録については,閲覧することができないということを明記しております。   また,本文4では,法37条の規定の存在や,私的鑑定人に対する開示が正当な理由の有無により規律するのが相当と考えられることを踏まえまして,部会資料12において,特許法と同様に,「(法人である場合にあってはその代表者)又はその代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く),使用人,その他の従業者」と記載していた部分を削除しております。   本文4の(注2)では,相手方当事者の閲覧等を制限することが考えられる情報の例を記載するということをしております。   続きまして,30ページの第13から「第16 手数料の電子納付」までにつきましては,従前のたたき台から変更した点はございません。   32ページでございますが,「第17 IT化に伴う書記官事務の見直し」につきましては,(注)に訴状の補正及び却下の一部として,どのようなものを書記官権限とする考えがあるのかを明記しております。   「第18 障害者に対する手続上の配慮」につきましては,中間試案のたたき台から変更した箇所はございません。   説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   それでは,今の各論点について御指摘いただきたいと思いますが,先ほどの和解に代わる決定,それから訴訟記録の閲覧等については,既に部会資料13の御議論の中で御意見頂戴し,修正すべきところについては修正するということになったと思いますので,そのほかで何か御意見があればという趣旨で,お願いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○阿多委員 第11の2の(注3)は受諾和解について,双方不出頭の場合に,従前の部会資料10では3行目に記載されている「裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判所がその書面を提出した当事者の真意を確認したときは」という記載はなかったと思いますが,追記されたのですか。以前に要件として追加すべきという議論をさせていただきましたが,部会資料の14では要件として追記したという理解でよいでしょうか。1点目です。   2点目ですが,第17の書記官権限の(注)のアンダーラインの「訴え提起手数料を納付すべきであるのに一定期間経過しても一切納付されない場合における訴状の補正及び却下」について,6ページの第2のいわゆる濫訴の対策の(注2)と同じことを想定しているのですか。6ページでは,納付命令を経ることなく命令により訴状を却下すると記載されていて補正には言及がないのですが,記載が不整合ではありませんか。以上2点です。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局からお願いします。 ○波多野関係官 波多野でございます。   1点目でございます。阿多委員御指摘のとおりでございまして,こちらは,前回阿多委員から御指摘いただいたところを踏まえまして,追記をしております。下線を引き漏らしておりますが,その点,おわび申し上げます。失礼いたしました。 ○藤田関係官 2点目につきまして,御回答させていただきます。   第2の濫用的な訴えの提起の防止策のところの記載は,納付命令を経ない訴えの却下という考え方が出されたことに基づいて記載をしたものでございます。   第17の(注)に記載する例といたしましては,必ずしも第2で出された考え方に限定されるものではないとも考えられますので,御指摘の整合性という意味では,第2の方の考え方と必ずしも一致させる必要はないのではないかとも思われるところでございます。その点につきまして,追加で御意見等がございましたら頂ければと思いますが,いかがでしょうか。 ○阿多委員 そうしますと,6ページの濫訴対策としての後半の考え方は,書記官権限にするという前提に立たずに,裁判所が決定することを想定され,第17の(注)の括弧書きの例は,裁判所の権限から書記官権限にするという提案と読むのですか。   両者が場面が違うということは分かりますが,いずれの一定期間経過しても一切納付されない場合を想定しての記載ですので,第2の(注2)も書記官権限としての提案というのであれば,むしろ第2の(注2)に書記官権限とすることへの言及をしていただいた方が分かりやすいと思います。逆に,第2の(注2)は,飽くまで裁判所の権限という考え方で,第17とは違うといのであれば,その旨が分かる記載をしていただいた方がよいと思います。 ○山本(和)部会長 いかがですか。 ○藤田関係官 御質問いただきありがとうございます。   正におっしゃられましたとおり,第2の(注2)の方策におきましては,これを書記官権限とするかどうかという観点とは全く別の考え方として記載しております。ただ,一部,要件として重なる部分があるのではないかという御指摘もございますので,両者のリンクにつきましては,補足説明において工夫させていただきたいと考えます。 ○山本(和)部会長 よろしいですか。 ○阿多委員 結構です,お願いします。 ○山本(和)部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○日下部委員 今,阿多委員の方から御指摘のあった和解に関する(注3),ページで申し上げますと,部会資料14-2の27ページの(注3)についてです。アンダーラインを付すことが,失念というか漏れていた部分に関してなんですけれども,この「裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官がその書面を提出した当事者の真意を確認したときは」という部分,この部分について,阿多委員は,これを要件とするという理解をされていらっしゃったと思うんですけれども,もちろん真意の確認は重要ですし,当然しなければいけないと思うのですが,手続的な意味での要件にするというお考えなのか,その点は明確にしていただきたいと思うんですが,いかがでしょうか。 ○山本(和)部会長 いかがでしょうか,事務当局から。 ○波多野関係官 波多野でございます。   現在も,規則におきまして,この真意を確認するということを必要とされているということを意識して,前回阿多委員の方から御発言があったのかなと理解をしているところでございまして,その御意見を踏まえて双方不出頭の受諾和解でも,同じように確認をすることが必要であるとの趣旨で記載したものでございます。   そういう意味では,現在の法と規則を併せて読んだときに,必要とされているものが今後も必要だという,そういうことが分かるように,補足説明で記載することで,分かりやすくさせていただきたいと考えているところでございます。 ○山本(和)部会長 日下部委員,よろしいですか。 ○日下部委員 結構です。ありがとうございました。 ○山本(和)部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○小澤委員 第15簡易裁判所の手続ですが,本文について,もちろん異論はございません。   前回の資料の「IT化に伴う特則を設けるかどうかについて」という文言を,「IT化に伴う特則を設けることについて」と,前向きな表現に御修正いただきましてありがとうございました。   また,さらなるお願いとなって恐縮ですけれども,補足説明において,できれば,部会において述べられた意見の例として,電話による口頭弁論への参加といった,当連合会の提言書の内容についても,その要旨を盛り込んでいただけますと,大変有り難く存じます。特に,電話による口頭弁論については,様々なハードルが存在することは理解しておりますが,本人訴訟が極めて多い簡易裁判所の実態を鑑みますと,利便性は確実に向上するものと考えているところであります。また,当連合会の提言書には記載しておりませんけれども,例えば,司法委員の先生方のウェブ参加を認めるであるとか,即決和解手続におけるIT化についても検討に値するのではないかなとも考えております。この点につきまして,当会としても引き続き検討してまいりたいと考えております。 ○大野幹事 事務当局でございます。検討させていただきます。 ○山本(和)部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○日下部委員 今,簡易裁判所における口頭弁論を電話会議の方法で行うという御提案について,御発言があったところです。   私自身も,そういう考え方はあるのかなとも思ったんですけれども,やはり口頭弁論ということですと,憲法上の公開要請がございますので,電話会議の方式で口頭弁論を行うということになりますと,傍聴している者からすれば,当事者の映像を見ることができないということになりますので,それで憲法上の要請を満たしていると言えるのだろうかという点については,かなり大きな問題をはらんでいるのではないかなと感じているところです。そうした問題意識も,補足説明の中では示していただけると有益ではないかと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○藤野委員 主婦連合会,藤野でございます。   今回,28ページの(注4)のところに手数料のことがありまして,ここでは,「引き続き検討するものとする」と書かれています。私は,IT化することで掛かる手数料は,当事者負担が必要ではないかと思う反面,IT化を利用しない,できない人が不利益となるようなことにならないかという懸念があります。また,このパブリックコメントに付す内容を見て,国民がそう読み取ってしまうことを恐れています。   既に過ぎてしまったところですが,送達や送付のところでも,誰が,書面を必要とする人に対しての,打ち出すものの費用等を負担するのかということも懸念事項であり,それが,これまで書面で全て行われていたときと同じ程度以上の金額が掛からないのであればいいのですが,とても大きなお金になるように読み取ったり,また想像してしまうことを,非常に恐れています。   今回,審議しているところにも,いろいろな費用のことや手数料のことが出てきますが,お願いしたいのは,現状ではどういう費用が掛かっていて,これがIT化されること等の今回の改正でどういう費用になるかということ。つまりどう変わるかということを,分かりやすく説明していただきたいと希望します。また手数料について検討しているということが分かるように,加えて現状以上に掛かるか,掛からないかということが,国民に分かるように書いていただきたいということを,お願いしたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。それでは,補足説明の方で,幾らになるかというところを,なかなか書くのは難しいと思いますけれども,現状と,それがどういうことになっていくのかということが,答える人に分かるように,ある程度分かるような形で記載に努めていただければと思います。 ○阿多委員 日下部委員から簡易裁判所の手続について補足説明での追記の提案がありました。従前の部会でも,司法書士会からの提案について賛否も含めていろいろ発言させていただいています。紹介の機会ということであれば,反対意見も含めて紹介いただくようお願いします。補足説明が重たくなることはいかがかとも思いますけれども,議論があったことは意識して記載いただけたらと思います。   ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,一応これで,資料13の積み残し部分から14にかけて,全ての項目について御議論を頂けたかと思いますが,全体を通して,何か補足すべき点,言い忘れたというところがあれば。 ○藤野委員 主婦連合会,藤野でございます。   今回,全体に説明が付いて分かりやすくなったかというと,とても大きなボリュームの長い文章となり,分かりにくくなった部分もあるのではないかと思います。   それと,裁判の流れに沿って審議してきたと思いますけれども,だんだんと,これはどこの場面かということが分かりにくくなっていることもございます。また,この内容には,一般の国民にはなじみがない専門用語が多く,正直,分かりにくいという声が,私どもの会の中でも聞こえます。つまり,今回のパブリックコメントに付すに当たって,現状の手続がどうであるか,それがどう変わるかということを示していただきたいとともに,この民事裁判の流れを,分かりやすく説明する図等を付けていただきたいと希望します。   それは,今の資料にはないものなのですが,民事裁判の流れが分かって,その中のどの場面がこれかと分かることが,私たちが今後より民事裁判を身近なものと感じ,敬遠しないでもっと裁判を利用しようということにつながると思いますし,パブリックコメントでより多くの国民から意見を出していただくのに,是非必要ではないかと思いますので,要望として申し上げます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。できる限りにおいて,事務当局で工夫をお願いしたいと思います。 ○笠井委員 きちんとした補足説明とか,そういう文書ではなくても,ポンチ絵的なものは,役所の方はよく作っておられるような気もするので,何かそういう工夫ができたらよいなと,今,藤野委員の御意見を伺って思いました。 ○藤野委員 ありがとうございます。 ○山本(和)部会長 よろしいですか。それでは,その点については,私からもお願いしたいと思います。   ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,この段階で,中間試案の取りまとめをしたいと思います。   本日,これまでの御議論を踏まえますと,幾つかの点で本文及び(注)に対して,新たな(注)を起こすということもありましたし,その中身について文言を加えたり,削ったり,修正したりということがございました。一応,私のつもりとしては,それぞれのところで,大枠確認をさせていただいて,御異論がなさそうだということを確認はしてきたつもりでございます。   そういう意味で,確認してきた修正を施すということを前提としながら,この部会資料14で提示をさせていただいている内容で,中間試案を取りまとめるということとさせていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。   御異論がないというふうに理解させていただいてよろしゅうございましょうか。   ありがとうございます。それでは,本部会における中間試案としては,この部会資料14に修正を施した内容で,取りまとめをさせていただきたいと思います。ただ,その項目の並べ方とか,あるいは細かな字句等の修正というようなことが,今後必要となってくる場合もございますので,実質的な内容にわたらない表現あるいは字句の修正につきまして,大変恐縮ではありますけれども,部会長である私と事務当局の方に御一任を頂ければと思いますが,その点もよろしゅうございましょうか。   ありがとうございます。それでは,そういう形で中間試案の取りまとめということにさせていただきたいと思います。   それから,今日も何度も出てきましたが,中間試案の補足説明についてでありますけれども,これにつきましては,慣例によりまして,事務当局の責任において取りまとめていただくことになっておりまして,今回も事務当局の責任において取りまとめ,公表をしていただきたいと思います。これまでの会議において,皆様から中間試案の補足説明の書きぶり,こういうことを書いてほしいといったようなことについても,御指摘を頂いてきたところでございますので,事務当局においては,それを踏まえて,藤野委員からも今ありましたけれども,できるだけ分かりやすく,補足説明を作成していただきたいと思います。   それでは,よろしいでしょうか。特段ほかになければ,本日の審議はこの程度にさせていただきたいと思いますが,今後の予定につきまして,事務当局の方から御説明をお願いしたいと思います。 ○大野幹事 本日も長時間わたり議論いただきまして,ありがとうございました。   今後の予定でございますが,所要の準備,手続を経まして,本日取りまとめいただきました中間試案に加えて,事務当局において補足説明を作成いたしまして,パブリックコメントの手続を実施することとなります。パブリックコメントの手続については,できる限り早期の開始を目指して,鋭意作業を行ってまいりたいと考えております。また,今般の改正は非常に大きなものとなることなどを踏まえ,意見募集の期間といたしましては,現段階では2か月程度を見込んでいるところでございます。   続きまして,今後の部会の日程でございます。3月と4月に予備日として頂戴していた日程につきましては,大変恐れ入りますけれども,予定どおり開催をさせていただきたいと考えております。次回の日程は,3月26日金曜日,午後1時からということでございます。場所は,法務省地下1階大会議室となります。   次回会議は,パブリックコメントの実施期間中に開催することとなると思われますが,詳細は追って御案内をさせていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   今後の進め方等について,何か御質問等ございますか。よろしいでしょうか。   それでは,これからパブリックコメントに入りますが,先ほど御紹介のように,その間にも,恐縮ですけれども,部会は開催させていただきたいと思っておりますので,引き続きの御協力を,どうかよろしくお願いを申し上げます。   それでは,法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会第9回会議は,これにて閉会にさせていただきます。   本日も熱心な御審議を賜りまして,誠にありがとうございました。 -了-