法制審議会 民法(親子法制)部会 第13回会議 議事録 第1 日 時  令和2年12月22日(火)自 午後1時30分                      至 午後4時08分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  中間試案の取りまとめに向けた議論のためのたたき台(その2)         嫡出推定制度の見直しに伴う生殖補助医療により生まれた子の父子関係等の規律の検討 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは,予定しておりました時刻になりましたので,法制審議会民法(親子法制)部会の第13回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中,御出席いただきましてありがとうございます。 ○平田幹事 今回もウェブ参加併用で行わせていただいております。 ○大村部会長 委員に異動が生じておりますので,御紹介をさせていただきたいと思います。   今回から新たに出席されることになりました平田直人委員,簡単に自己紹介をお願いいたします。 (委員の自己紹介につき省略) ○大村部会長 ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。   次に本日の審議に入ります前に配布資料の確認をさせていただきます。事務当局の方からお願いいたします。 ○小川関係官 今回の配布資料は,事前送付の部会資料13-1ないし4,机上配布の部会資料13-5,参考資料の13-1及び2,生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係の特例に関する法律の条文をお配りしております。また,議事次第と資料目録も机上配付しております。   部会資料13-2と13-3については,事前送付のもののから修正がありましたので見え消し版も配布しております。 ○大村部会長 ありがとうございました。御確認いただければと思います。   本日の議事の予定でございますけれども,本日はまず第7回会議で立法の動向を見守ることとされておりました,生殖補助医療により生まれた子の親子関係に関しまして,今般,議員立法によりまして,生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係の特例に関する法律が成立しております。   これを踏まえたこの部会での取扱いにつきまして,今,御説明がありました部会資料の13-5に基づいて御議論を頂きたいと思っております。   次に中間試案の取りまとめに向けた議論のたたき台(その2)に従いまして,順次,御議論をいただきます。 懲戒権等に関する規定の見直し,これが部会資料の13-1の第1でございます。   それから,嫡出推定の見直し及び女性の再婚禁止期間の在り方,これが部会資料の13-2の第2と第3でございます。   そして,嫡出否認制度の見直し,部会資料の13-3の第4,嫡出否認制度に関するその他の見直し及び嫡出推定精度に伴うその他の検討事項,部会資料の13-4の第5,第6,これらにつきまして,順次,御議論を頂くという予定でおります。  いま部会資料13-5からと申し上げましたが,資料の関係で順序を変えまして,部会資料13-1から御意見を頂くということにしたいと思います。   13-1は懲戒権に関する規定等の見直しということで,13-1の第1というところになりますけれども,この部分につきまして事務当局の方から説明を頂くということにしたいと思います。   では,お願いいたします。 ○小川関係官 部会資料13-1を御覧ください。部会資料12-1では,第10回会議における部会資料からの変更点についてのみ説明しておりましたが,13-1では新たに補足説明として,見直しの必要性や従前の議論の状況等についても記載する内容としております。なお,本文第1の1と本文第1の2のいずれにつきましても部会資料12-1から提案の内容に変更はございません。   まず,本文第1の1についてですが,1として,懲戒権規定の見直しの必要性について記載させていただいた上で,2ページ目以降で甲案から乙案について,従前の議論を踏まえて提案の概要等を記載しております。また,前回会議において体罰を禁止するだけでなく,精神的な侵害等も禁止すべきではないかという点に関して本部会でも御議論がありましたので,その状況について記載しております。また,参考とされた海外法制について補足説明に記載すべきとの御意見もありましたので,3ページ目の4(3)部分に,この点に関する議論の状況等をまとめております。   なお,前回会議において甲案と乙案を併用し,指示及び指導の語を用いた上で更に体罰を禁止する旨の規定を設ける案がよいとの御意見があり,このような案を提案することも考えられるところですが,中間試案の取りまとめとしては,それぞれの案の違いを明確にするという観点から,甲,乙,丙の案を維持した上で引き続き検討することとしております。   次に5ページ目以降で懲戒権に関する規定の見直しに伴う検討事項について記載しております。この点も部会資料12-1から提案の内容に変更はなく,本部会の議論の状況等を記載した上で,民法第820条の権利と義務の語を入れ替えることや,同法第821条及び第823条の規定を見直すことについて,引き続き慎重に検討するということを提案しております。 ○大村部会長 ありがとうございました。   部会資料13-1の第1,懲戒権に関する規定等の見直しについて御説明を頂きましたけれども,太字で書かれている部分については前回からの変更点はないということですので,皆さんから早速,御意見を頂戴したいと思います。   中間試案の取りまとめという観点から御意見を頂きたいと考えております。どなたからでも結構ですので,御発言を頂ければと思います。いかがでしょうか。   今回,補足説明については御説明の中にありましたけれども,皆さん,御意見を勘案して加筆等がなされておりますので,そういったところについても,もし御意見があれば頂きたいと思います。 ○久保野幹事 ありがとうございます。   細かいところなんですけれども,5ページの注5のところで里親の養育についての基準を挙げていただいていますが,その後,確認しましたところ,6条のほかに6条の2というのがございまして,そちらで里親の懲戒に係る権限の濫用禁止について,人格を辱める等その権限を濫用してはならないというふうに定められておりまして,こちらも大いに参考になるのではないかと思っております。   また,児童福祉法自体にも44条の3としまして,里親等が児童に対して人格を尊重するといったようなことについて責務を定めておりまして,このように注に挙げるのだとしますと,それらも参照するとよろしいように思いました。   また,これらの点は2の方の論点との関係でもやはり人格の尊重という定めを今回入れるかどうかということとの関係で,既に省令や児童福祉法でこのような理念と申しますか,人格の尊重ということが書かれているということは参考になるのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○平田幹事 御指摘ありがとうございました。それらも含めて参考にさせていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。その他,御意見はいかがでございましょうか。 ○大石委員 この2ページから以下の,3ページ,5ページまでのところです。特に丙案に関して,5ページで申しますと,乙案に比べて丙案がここだけ広い裁量を有しているというふうにして,乙案とはその意味で違うんだという何か文面だけを見るとそういうふうになっているんですが,乙案でもやはり親の言わば,裁量の範囲というのはかなり広く取られているわけでして,ここだけ広い裁量ということを強調してというのはちょっと違和感を感じます。さらにその丙案の説明で,言わば,中から見る視点ですから,こういう裁量の中身があるといった上での話ですから,その概要を明らかにするという意味でその禁止規定があるというのがちょっと違和感があるんですよね。   つまり,外縁というのは中から見てのぎりぎりの周りにある部分の話です。その外縁を明らかにするというのはちょっと趣旨が違うのではないかと思うんです。ですから,その外縁を明らかにするという趣旨でというところは特に要らないような感じがします。中に広い裁量の範囲があって,特にこれをやってはいけないというだけだから,中身の外縁を明らかにするという意味とはちょっと違うんだと思うんです。   それとの関連で言いますと,3ページの丙案については,多分,親の,言わば親権の中身としては先ほど申しましたように,それほど広い裁量,狭い裁量ということでは多分ないと思いますけれど,ここでは15行目のところで,行うことができる行為を規定するとともに体罰の禁止を規定してその親権者において禁止される行為の範囲を明らかにするというのがちょっと分からない。   やってはいけない行為を明らかにするわけで,その行為の範囲を明らかにしているわけではないんだと思う。ちょっと細かいことにこだわって恐縮ですが,よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○平田幹事 御指摘ありがとうございます。乙案と丙案で広い裁量というところの表現が異なっているなど,記載ぶりについては他の点も含めてちょっと修正させていただきたいと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。その他,御指摘あるいは御意見,いかがでございましょうか。   よろしいでしょうか。   それでは,この部会資料13-1につきましては,頂きました御指摘を踏まえて,注を見直し,また文章を見直すということで対応していただくということにさせていただきたいと思います。  中田委員,どうぞ。 ○中田委員 どうもありがとうございました。   小さなことですので,遠慮しようかと思ったんですが,2ページの13行目ですけれども,12行目からですが,乙案は「懲戒」に代わる語として「指示及び指導」を提案すると記載してあります。   この言葉が誤解を招かないかなということが少し気になりました。と申しますのは,代わる語という表現にしますと懲戒という語と指示及び指導という語が意味はイコールであるという印象を与えてしまって,その先,賛成になるか反対になるか,これは両論あると思うんですけれども,その両方とも,二つの概念が同じだということを前提とした意見になると,正確な意見分布を知りにくいのではないかなと思いました。   ですので,単に言い換えだけではないんだということを表すような表現の方がいいのではないか,簡単に言うと,懲戒に代えて新たに指示及び指導を提案するとかというのが考えられますけれども,別に表現は何でもいいんですが,この代わる語としてという部分を御配慮いただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○平田幹事 ごもっともだと思いますので,修正させていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。   表現については事務当局の方で工夫していただくことにして,中田委員,御指摘の趣旨が伝わるようには修正をしていただくということで対応していただくということにしたいと思います。   そのほかいかがでございましょうか。どうぞ。 ○大石委員 最後の7ページなんですが,注のところの書き方がちょっともったいぶった書き方をされていて,ドイツ法の1631条とかほかのところは,原文でも確かに指定権というような表現をとっているんです。他方,フランス法の場合に371条の3は直接,居所指定権という書き方をしていないので,こういう表現になったのかなと思うんですけれども,他のところは第何条でこう書いてあるというのに比べると,やや迂回した表現になっています。ですので,そこの371条の3というのを条文をそのまま載せるという形ではいかがでしょうか。その方が分かりやすいんじゃないかと感じました。 ○平田幹事 御指摘,そちらの方ももっともかと思いますので,ほかのところと平仄を合わす形で条文を記載させていただきたいと思っております。 ○大石委員 お願いします。 ○大村部会長 ありがとうございました。そのほかはいかがでございましょうか。   よろしいでしょうか。それでは,今,追加で頂いた御指摘も踏まえまして,必要な修正を加えていただくということにさせていただきたいと思います。   では,順序が逆転いたしましたけれども,部会資料13-5に戻りまして,改めて説明をしていただくということにしたいと思います。   事務当局の方からお願いをいたします。 ○小川関係官 それでは御説明いたします。第三者の配偶子を用いた生殖補助医療により生まれた子の親子関係につきましては,本部会の第7回会議でも御議論いただきましたが,その際は議員立法の動向等を見守ることとされました。   その後,臨時会におきましてその議員立法による法律案が提出され,本年12月4日に法律として成立いたしましたので,それを踏まえまして,この問題について部会としてどのように取り扱うのかという点について御議論を頂きたいと考えております。   まず,ごく簡単にですが,成立した法律の内容について御紹介をいたします。   本法律案は全部で3章からなっており,第1章で本法律の趣旨及び定義が定められております。   第2章は生殖補助医療の提供等行為規制についての理念,それから国等の責務などについて定めております。   第3章が親子関係に関する民法の特例で,第9条が母子関係について,第10条が父子関係についてそれぞれ定めています。   さらに,本法律には附則で検討規定が定められており,附則第3条第1項は,行為規制に関して,生殖補助医療及びその提供に関する規制の在り方,生殖補助医療に用いられる精子,卵子又は胚の提供又はあっせんに関する規制の在り方,他人の精子又は卵子を用いた生殖補助医療の提供を受けた者,当該生殖補助医療に用いられた精子又は卵子の提供者及び当該生殖補助医療により生まれた子に関する情報の保存及び管理,開示等に関する制度の在り方などの事項について,おおむね2年を目途として,検討が加えられ,その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置が講ぜられるものとするとされています。   また,第3項では,親子関係に関し,第1項の検討の結果を踏まえ,認められることとなる生殖補助医療により生まれた子の親子関係に関して,この法律の特例を設けることについて検討を加えることとされています。   部会資料13-5ではこの法律の成立を踏まえまして,この問題に関する取扱について2点の提案をさせていただいております。まず一つ目が本部会における見直しにより否認権者の範囲を拡大することとした場合に,これにより否認権を認められることとなる者について,この法律の第10条の規律に対応した否認権の制限に関する規律を設けることの必要性について引き続き検討することとしてはどうかというものです。   二つ目は生殖補助医療により生まれた子の親子関係に関するその他の論点については,この法律の附則第3条第3項の規定に基づき,同条第1項の検討の結果を踏まえて検討することが相当であると考えられますので,引き続きその動向を見守ることとしてはどうかというものです。   補足部分について御説明します。  1点目は否認権者の拡大に伴う検討事項です。2ページの(2)ですが,本部会では否認権者の拡大について議論がされております。この点に関し,第7回会議等での議論では,これを拡大した場合には,第三者の提供精子による生殖補助医療により生まれた子の父子関係の規律について同意が重要なメルクマールとなるといった御指摘や,子の身分を守ることができるような手当てをする必要があるといった御指摘をいただきました。   生殖補助医療法第10条では,父子関係を確定させ,子の地位を安定させることを目的として,妻の生殖補助医療について夫が同意したときは,夫が嫡出否認をすることができないことが法律上明確にされているところ,この趣旨を踏まえまして,新たに否認権を認められることとなる者からの否認権の行使を制限する規律を設ける必要性があるのかどうかという点について検討する必要があると思われます。   まず,①の母の否認権についてですが,母は夫の同意を得て自ら生殖補助医療を受けて子を懐胎,出産していることからすると,同意をした夫と同様,夫の子であるとの推定を否認することができないこととするのが相当であると考えられます。   もっとも,このような明文の規定を設ける必要があるとの考え方があり得る一方で,特段の規律を設けなかったとしても,母が子の出生後に夫が父でないと主張することは信義則違反ないし権利の濫用に当たり,許されないと解釈されるとも考えることができ,明文の規律を設ける必要性は高くないとも考えられます。   この点について御意見を賜りたいと考えております。   次に,②,③の子の否認権についてです。夫の同意がある場合の否認権制限の根拠を信義則違反や権利の濫用に求めることとしますと,子が同意をするわけではありませんので,子の否認権を制限すべきではないとも考えられます。他方で,生殖補助医療法第10条が子の地位の安定を図るために父子関係を確定することとしていると理解しますと,子の否認権も同様に制限すべきとも考えられます。前者の考え方を取った場合にも,未成年の子の否認権を,生殖補助医療の実施について同意した母が行使するということが相当かどうかという点は問題になり得ると考えられます。さらに,この点について明文で規律するのではなく,解釈に委ねるということも考えられます。   以上について御意見を頂戴したいと思っております。   また,④に記載しております点についても,規律の必要性を検討する必要があると思われます。   次に4ページの2にまいります。   1ページ目のゴシック体の2に対応する部分ですが,先ほど申し上げました生殖補助医療法の附則第3条の検討規定では,行為規制に関する検討がおおむね2年を目途に行われ,その結果を踏まえて認められることになる親子法制に関する検討を行うこととされております。   親子法制に関する検討事項としては,生殖補助医療法の法案の審議では,法案の提案者から,医療行為として代理懐胎を行うことを認めることとなった場合には,代理懐胎によって生まれた子の親子関係の特例を設けるか否かを検討することが想定されているほか,法制審議会生殖補助医療関連親子法制部会の中間試案の第3における生殖補助医療に用いられた精子の提供者の地位といった論点も検討することは排除されていないとの説明があったと承知しております。   この部会では既に中間試案の取りまとめに向けた議論を行っているところですが,これらの事項は本部会のスピード感で検討することが難しいとも考えられることから,これらの論点については本部会で取り扱うことは困難であるとも考えられますが,このように取り扱うことについて御意見を頂戴できれば幸いです。 ○大村部会長 ありがとうございました。   生殖補助医療の関連につきましては本部会でもこれまでに何度か話題になりましたけれども,立法の動向を見守った上で改めて検討するということで今日に至っております。   新しい法律が成立したのを受けまして,その法律の内容についての御紹介とそれから本部会での検討事項について,今,御説明を頂きました。   こういう形で議論をするのは初回ということになりますので,まず皆さんの方から御質問等がありましたら頂きまして,その上で御意見を頂ければと思います。まず,御質問を頂戴をいたします。 ○棚村委員 前提としてちょっとお尋ねをしたいのですけれども,今回の議員立法の内容は理解したのですけれども,今後の進め方ということで,この部会でこれまでも議論してきた,特に嫡出推定とか嫡出否認の制度を議論してきましたので,それに影響のある範囲で取りあえずはどういう規律が必要かどうかということを検討するというのが第一段階というのですか,第1番目の論点というふうには理解しました。   それから,そのほかの論点ということですけれども,このようになってくると今度は生殖補助医療の行為規制の動向ということが非常に重要になってはくると思われます。そこで,私からの御質問なんですれども,今ある生殖補助医療関連親子法制部会というところで審議ということになるのか。また,例えば,代理懐胎とか死後生殖とか,それから精子提供者の法的な地位ということになると,正に認知とかいろいろなことにも影響があると思うのですけれども,それは別途厚労省での行為規制みたいなものを踏まえた上で,ここでは扱わずにやるのかどうかということもお尋ねした次第です。第1番目のこの部会でこれまで取り上げて議論をしてきた嫡出推定,嫡出否認制度を中心として,その規律に今回の生殖補助医療で生まれた子との親子関係の民法特例法が何らかの形で影響がありますので,その限度で検討を今後すればいいということなのか。この部会がどこまで取り上げたらいいのかということについて,あまり大きい問題だとなりますと,確かにずっとそこも含めて議論をしてくると,終わりというか,そういうものが見えなくなる可能性もあります。逆に,特に厚労省の生殖補助医療についての行為規制の問題が非常に大きいと思われますので,今後どのようになるのか。2003年のときには行為規制と親子関係についてはセットで議論をしていましたので,割合と議論が整理されつつ進んでいたのかなと思います。   もう一度簡単に言いますと,第1のこの部会でこの生殖補助医療に関係する部分について,規律の見直しをすべきかどうかということについては一定範囲で議論をしていく必要はあると思います。   ただ,もう一方でそれを超えて生殖補助医療の規制をどういうふうに行為規制が行われるかということも踏まえた上で全体として見るというのはなかなか時間も限られてくるのではないか。この点についてこの部会はどこまで何をするのかということをちょっと御質問させていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○平田幹事 ちょっと分かりにくくて申し訳ございませんでした。事務局の提案といたしましては,今,棚村委員おっしゃられたとおり,生殖補助医療法10条の規定ができた一方で,この部会では嫡出否認における否認権者の拡大等を検討しているというところですので,第1の1で示させていただいたとおり,まずはその部分の規律を設けることの必要性について検討してはどうかということで提案させていただいております。   一方で,その他の部分,行為規制をある程度前提にするような部分につきましては,生殖補助医療法の附則3条1項の方で行為規制についてはおおむね2年を目途として検討するとされ,同条3項で「1項の検討の結果を踏まえ,この法律の規定について,認められることとなる生殖補助医療に応じ当該生殖補助医療により出生した子の親子関係を安定的に成立させる観点から,第三章の規定の特例を設けることも含めて検討を加えられ,その結果に基づいて必要な法制上の措置を講じられるものとする。」とされています。このように,同法の附則においてまず行為規制の検討の方を踏まえて親子法制を検討するということが前提とされておりますので,この部会のスピード感を考えると,こちらは今,もう中間試案を取りまとめに入っているというようなところですので,ちょっとスピードがずれるというところがあるのかなというふうに考えております。したがいまして,今回,第1の2の方では生殖補助医療法3条3項の規定に基づき,同条1項の検討結果を踏まえて検討することが相当であるから,引き続き動向を見守ることとしてはどうかということで御提案させていただいたところでございます。   こちらの方の検討が最終的にどうなるかというところは全く決まっておりません。棚村委員御指摘のとおり生殖補助医療関連親子法制部会がまだ休止中というところもございますので,部会等の関係を整理する必要が出てくるかもしれませんが,いずれどこかで,行為規制の検討が終わった後,あるいはそれと並行するような形で検討を進めていくというようなことになろうかと考えている次第でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。御説明は今のとおりかと思いますけれども,その点の可否につきましては後で御意見を賜れればと思います。   そのほか質問があればまず伺いますが,いかがでございましょうか。   どうぞ,井上委員。 ○井上委員 ありがとうございます。   13-5の4ページの5行目前後のところなのですけれども,生殖補助医療で生まれた子について,前夫は同意しているわけですので,法によると自分の推定は否認できないと。その上で再婚後の夫に及んでいるものを否認できるようにして,現に否認した場合,自分に推定が戻ってくるイメージになるのかどうか,そこが分かりづらかったので教えていただければと思います。 ○大村部会長 お願いします。 ○平田幹事 前夫について否認権を認めた場合についてですけれども,ここの部分については今回の資料の13-3で御説明しているところでありますが,基本的に再婚後の夫の部分否認したときは,前夫の方に推定が返ってくるというような規律で考えておりますので,生殖補助医療の場合であっても,前夫が再婚後の夫との父子関係を否認した場合には,前夫の方に推定が返ってくるというようなところになろうかとは考えてはおります。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。 ○井上委員 はい。 ○大村部会長 ありがとうございます。そのほか,御質問いかがでございましょうか。   それでは,垣内幹事,窪田委員の順番でお願いいたします。 ○垣内幹事 ありがとうございます。   あるいは実質というよりも形式のお話ということになるかもしれませんけれども,検討の前提として1点,御教示をお願いしたい点がございます。   と申しますのは,今回,嫡出否認の関係について特例法の10条で夫についての規定が設けられたということなんですけれども,それを踏まえて今日お示しいただいた13-5の補足説明の1のところに書かれているような事項を検討していくというときに,この特例法の10条の規定というのはこれを前提とし,場合によっては民法の中にこの規定を入れ込むような形でそれに合わせて民法のほかの否認の規定についても,整合性の取れた形でかつ選択肢として幾つかあるところについてどの選択肢を取るかという検討をしていくということなのか。それとも特例法に10条以外に夫以外に否認権者の取扱いについての特例を追加していくというようなイメージで考えればよろしいのか。どちらかによって内容そのものが変わるということではないのかもしれませんけれども,何となく大分印象が違うような感じもいたしましたので,もしその点について何か現時点で方針あるいは考え方のようなものがあるようでしたら御教示いただければと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○平田幹事 今,御指摘いただいた点については,おっしゃるとおり民法に書くという話と生殖補助医療法を改正するというやり方の二つがあるのだろうというふうには考えております。現時点では事務局の方でどちらの方というところについて,特段,意見を持っているというところではございません。両方取り得るだろうというふうには考えている次第でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。最終的な出来上がりがどうなるかということについては,今の御指摘の問題が確かにあろうかと思って伺いました。 ○窪田委員 ありがとうございます。   質問という形ではないのかもしれませんが,ちょっと気になる点としまして,今回の特例法なのですが,その2条の1項の方でこの法律において生殖補助医療とは人工授精又は体外受精若しくは体外受精胚移植を用いた医療を言うという形になっております。   法制審議会の生殖補助医療関連親子法制部会では,生殖補助医療についてあの時点では不妊の夫婦における不妊治療の行為としての人工授精,体外受精等というような形で規定していたのではないかと思います。   そのこともあって,中間試案の前の段階で新聞等では報道されていた夫の死後,凍結精子を用いた懐胎に関しては生殖補助医療の範ちゅうに入らないということで,たしか検討から除外していたんではないかと記憶していますが,今回この法律においてという限定付きではありますけれど,生殖補助医療というのがこういうふうに定義されたことでひょっとすると対象がもう少し広がるのかなという気もします。また,それを踏まえると単に休止中のあの部会に戻せばいいのかというだけではなくて,問題を全体としてどう扱うのかというのを少し慎重に検討する必要があるのかなという感想を持ちました。単なる感想でございますけれど,以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○平田幹事 御指摘ありがとうございます。   確かにそこの部分の定義の違いというところはあるようには感じております。そこの部分は検討していく必要があろうかとは思います。   なお,1点ございますのは,今回,生殖補助医療法第3条において「生殖補助医療は不妊治療としてその提供を受ける者の心身の状況等に応じて適切に行われるようにするとともに」としており,一応基本理念のところではありますが,不妊治療として行われることを前提としているように思われますので,ここの部分の解釈については考えていく必要があるだろうというふうには考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。第1の2を議論する際にどこまでが議論の範囲になるかということについては多少,検討の余地があるのではないかという御指摘を頂いたかと思います。   ほかに御質問という形で何かありますか。 ○髙橋委員 御説明をお伺いしまして,御説明は理解いたしました。ただ,これから嫡出推定に関していろいろな今回改正する部分について,更に検討していくと思うんですが,その折に否認権者以外のところで,これ,生殖補助医療で生まれた子の場合はどうなるのというような話が出たとき,それを行為規制ができてからでないと議論できないよということになるのか,いや,この場で議論した方がいいねということになるのかは,各論のところでまたそういう振り分けをやる可能性というのはあるんでしょうか。 ○大村部会長 どうぞ。 ○平田幹事 今回,嫡出推定制度を見直すというところですので,その見直しとこの生殖補助医療法の関係で問題になり得るところは,当然検討していく必要があるというふうには考えております。   ですので,その各論のところでこの嫡出推定を見直すがゆえにこの生殖補助医療法10条との関係が問題になるというところは,立法としてやっていく必要があるのでしょうし,あるいは解釈で解決できるのであればそれでよいのかもしれませんが,そこはもちろん検討していくということかとは思っております。   一方,各論から外れるようなものについては,その都度検討するというところかとは思いますが,基本的には行為規制を前提とするものについてはやはりこの法律の附則の3条の規定の定めがございますので,それを踏まえた上で,ここでやるかどうかというところを検討していく必要があると思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。第1の1と2の仕分についての御質問ということでお答えを頂きました。   ほかに何か質問があれば伺いますが。 ○水野委員 今の髙橋委員の御質問と内容的に重なるのかもしれませんけれども,お許しください。生殖補助医療に関する親子法制部会で議論していたときには規制法がともかく前提としてありましたけれども,今回はその規制法を前提とすることができないまま議論をしていますので,いろいろと悩ましいことが生じてくるように思います。海外では生殖補助医療が市場化している国があります。規制法がないと,生殖補助医療を受けた当事者の望む親子関係を認めることが,日本でもその生殖補助医療そのものを正当化することになりかねません。   また,危惧されますのは,生殖補助医療によって出生した子であることを立証することよりも,DNA的に夫の子ではないことを立証することの方が,はるかに簡単であることです。   たとえば,AIDで子どもができて,母親が育児中心の生活になって,夫との関係がうまくいかなくなったときに,夫が離婚したいと思い,母も同意してしまったときに,夫がDNA鑑定を利用して嫡出否認の訴えを起こし,母が防御する気を失っていた場合には,子の身分は守られないことになります。   そういう事態について,何らかの手当てが将来的には考えられるのでしょうか。それともそうなった場合はもう,やむを得ない穴だと覚悟するのでしょうか。生殖補助医療情報へのアクセスを構築するのか否かとか,規制法を前提としないと考えられないことがたくさんありまして,いろいろと不安になっております。 ○大村部会長 なかなかお答えが難しいかもしれませんが。 ○平田幹事 なかなか難しい御質問でして,今,水野委員が御指摘になられた点も含めて今後検討していく必要があるんだろうというふうには思っております。   ただ,恐らく今,御指摘いただいた点は,場合によっては従前の行為規制を前提としたとしても起こり得るお話なのかなという気もいたしましたので,そこも含めて立法としては生殖補助医療法ができておりますので,また,嫡出推定制度については見直す方向で,今,検討しているというところですので,そういう現状を前提に御議論いただけないかというところでございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。第1の1について議論するに当たっても,水野委員の御指摘のような御懸念というのはあろうかと思いますので,個別の場面でまた御意見を頂戴できればと思います。   他に御質問はいかがでしょうか。 ○大森幹事 御説明ありがとうございます。   10条に関して,親子法制と関連するものについては検討をした方がいいのではないか。それはおっしゃるとおりかと思います。   質問ですが,併せてこの10条の内容をもう少し具体的に検討するということについてはどうお考えでしょうか。つまり,同意が要件になっているわけですけれども,その同意の方式,あるいは同意の撤回が認められるのかとか,そういった10条の中身については,現段階では,むしろ行為規制との絡みの話になってくると捉えておられるのかどうか,教えていただけますでしょうか。 ○平田幹事 生殖補助医療法10条についてはもう条文ができておりますので,その条項をどうこうするというところは行為規制にも絡んでなかなか難しいのかなというふうには考えております。   また,議員立法ということで提案されて成立した法律でもあるので,その解釈について我々がどこまで議論できるかというのはなかなか難しい点はあろうかとは思ってはおります。   ただ,運用の中でどういうふうになるかというのは議論される余地はあるのかなというふうには思います。 ○大村部会長 よろしいですか。 ○大森幹事 はい。 ○大村部会長 ありがとうございます。   ほかはいかがでしょうございましょうか。   それでは,まだ御質問が出てくるかもしれませんけれども,御意見と合わせて伺いたいと思います。   先ほど御説明いただきましたけれども,13-5で,第1は1と2に分けられております。2の趣旨につきましては先ほど御質問があり,お答えがあったとおりでございますけれども,1について引き続き検討するという提案がされておりますが,その方向性については補足説明の中に幾つかの項目が挙げられており,それについての御説明も頂いたところです。全体を通じて御意見を頂ければと思いますが,いかがでしょうか。 ○木村(敦)幹事 すみません。子ども,未成年子と成年子の否認権についての検討の方針を示していただいた点について,お伺いしたいと思います。まず,部会資料13-5の2ページでは,今回の生殖補助医療10条の趣旨として,同意した夫が否認権を行使することができないとする趣旨として二つが掲げられており,一つは現行の嫡出否認制度を前提に否認期間経過後における子の地位の安定,二つ目が同意をした夫については子どもとして引き受ける意思を有していたという点が挙げられていると思います。   その上で, 部会資料13-5の3頁13行目以下では, 生殖補助医療10条において,子の地位の安定を図るために,否認権の行使期間を経過した後は誰も父子関係を争うことができないとした趣旨に照らせば,未成年子についてもその否認権の行使を制限することが相当であるとも考えられるという記述がありまして,同様の記述は成年子についても33行目以下で書かれてあると思います。   この記述につきまして,ここでの提案の御趣旨は,否認権の行使期間を経過したかどうかということを問わずに,およそ未成年子については否認権の行使を認めないという内容であるのか, ということをまず確認させていただきたいと思います。かりにそうであれば,一方で否認権の行使期間経過後における子の地位の安定性という趣旨の説明があり,他方でその結論として否認権の行使期間の経過いかんを問わず,およそ否認権を認めないということが述べられておりますが,そこには若干論理の飛躍があるのではないかと思われます。法的安定性という形で大雑把にひとくくりにできるのかもしれませんが。その点について私の誤解もあるかもしれませんので,もう少し詳しくお話しいただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○小川関係官 まず,法律の第10条の趣旨から当然に,未成年の子について否認権の行使期間内にも否認権を行使できないというふうな形の結論が出てくるというわけではないと思います。ですので,そういった記載に読めてしまっているということであれば,若干,誤解を招く表現という形になると思いますので,修正をさせていただきたいと思います。   ただ,第10条が父子関係の安定を図るためにこのような規律を設けている趣旨を考えますと,そういった趣旨を未成年の子の否認権にも,広げた上で夫が同意していた場合には,子の否認権の行使も制限することが相当とも考えられるという趣旨で書かせていただいたものになります。 ○大村部会長 ありがとうございます。木村幹事の御質問に十分に答えていることになっているかどうか分からないところがありますが,木村幹事,もし更に御発言があれば。 ○木村(敦)幹事 今の小川関係官の御説明についてですが,子の地位の安定というのが生殖補助医療第10条の趣旨であるとしたとして,なぜ生殖補助医療を用いた場合にその子の地位の安定という趣旨が現行の嫡出否認制度よりもある意味幅広く妥当する趣旨とされているか。つまり, 生殖補助医療の場合においては,子の否認権行使に関しても, とくに否認期間の経過いかんにかかわらず,子の法的安定が趣旨として強調されなければいけないという点が必ずしも十分に説明されていないようにと思ったのですが,その点,いかがでしょうか。 ○小川関係官 第10条の趣旨について現時点で解釈論として言える部分というのはなかなか限られてくるとは思いますが,第10条の説明として夫の権利濫用という観点から夫の否認権のみを制限するものであるという説明と,あるいは,第10条は,現行の民法の規律を前提としていますので,民法第774条の夫の否認権を制限するという形で法文上規定しておりますが,夫の同意の下で実施された生殖補助医療によって生まれた子というのは,夫も含めたその他の人も含めて否認できないということまで意図するものであると理解する余地もあるのではないかと思います。   そう理解をしたとすると,夫だけでなくて未成年の子についても否認権を制限するということが妥当と考えられるのではないかという趣旨になります。 ○大村部会長 木村幹事,よろしいですか。 ○木村(敦)幹事 はい。私の方でも少し考えたいと思います。ありがとうございました。 ○大村部会長 いずれにしても,子どもの地位の安定というのは一般的に妥当する価値であるので,ここではとりわけそれが強く当てはまるのだとすると,そのことの理由はより明確に示した方がいいのではないか,小川関係官の方から特例法の10条についての一つの解釈が示されたわけですけど,そうしたこともより書き込んだ方がいいのではないかという御意見も含んでいると承りました。 ○木村(敦)幹事 ありがとうございます。 ○大村部会長 そのほかいかがでしょうございましょうか。 ○磯谷委員 はい。   すみません。私もちょっとこのあたりの議論がよく分かりませんので,少し御質問になるんですけれども,やはり第10条の関係です。この趣旨として部会資料13-5の3ページの7行目あたりから,要するに夫が同意をしたにもかかわらず,後から否認権行使をするということが信義則違反や権利濫用に当たるため,本来認められないであろうと。   それをここで10条である意味明確にして否認することができないという明文の規定を置いたというふうな理解を前提にすると,部会資料の2ページの下の方で今度は母についてやはり,母としてもこの生殖補助医療を利用しているわけですけれども,それを自ら利用しながら,後からその父子関係を否認するということは信義則違反ないし権利濫用に当たり許されないとの解釈も考えることができるというふうに書かれています。   そうすると,父,夫の方の場合とある意味同じような問題状況なのかというふうに考えられるんですけれども,この立法の過程で,何かそのあたりについて母については何か違うことが考慮されるとか,何かそういうふうな議論があったんでしょうか。単純に同じように考えるとすると,やはり夫について明文の規定を設けた以上,今後はその母が否認権を持つようになれば,母も明文の規定を設けるということになるのではないかと思うんですけど,そこを妨げるような何か,ここの理屈みたいなものが議論されていたのかどうかとか,ごめんなさい,そのあたりがちょっと分からないので,もし何かあれば教えていただければと思います。 ○大村部会長 どうぞ。 ○小川関係官 事務局として,第10条の立法の趣旨として把握しているものとしては,この法律案の国会審議の中での御議論にほぼ限定されております。   その中で第10条の趣旨について言及があったものとしては,部会資料13-5の2ページの3行目から11行目までの部分にまとめさせていただいています。委員から御指摘のありました,母に関してそれを妨げるというふうな事情については現時点で我々が把握しているものとしてはないのかなと思います。 ○大村部会長 磯谷委員,いいですか。 ○磯谷委員 分かりました。 ○大村部会長 そのほかはいかがでございましょうか。   御発言ありませんでしょうか。   どうぞ,棚村委員。 ○棚村委員 すみません。これは全部に関連すると思うのですが,垣内幹事が先ほどおっしゃったように,民法の特例ということで議員立法でできたこの9条とか10条というのが,結局民法の規律の中に入れていくというイメージと,そうではなくて特例法というのができたので民法をやはり解釈,運用したりあるいは規律をしていくときに,取り込むというところまではいかなくても,一定程度拘束はあると思います。例えば第三者からの卵子提供を受けたときに出産をした女性が母になるとか。   それから,10条は特にこれは多分,大村先生がいつも,ずっとおっしゃってきたことが印象に残っているのですけども,結局否認ができないというふうにするのと,父とするという積極的に意思に法的効果を認めることとでは大きく違うのではないか。消極的に否認権が行使できない結果,反射的にというと父になってしまうというかと,同意があれば積極的に親子関係を認めるというのでは,その規定の仕方の違いによってかなり大きな違いがあるように思います。   同意にどれくらいの効果を与えるかとかという話も,むしろ手続的にこういう意味では否認権を行使できない結果,お父さんにはなるとは違います。ただ,それについて精子提供者はどうなるのかというのはまたきちっと規律しないといけないように思います。精子提供者から認知も求められないし,子どもや母からも認知ができないのか。何か例外的な事情があれば可能な場合があるのかというようなことは,海外でも実は議論になっています。   つまり,医師とかそういう資格のあるところで,実施体制が整ったところで行われた精子提供ですとこういう効果が発生してくるのですけども,そうでない場合には適用されないという議論もあります。そうすると,先ほどからのいろんな議論との関連では,やはり行為規制というのがある程度整った上でこういう条文になって民法の中に取り込んでいくというのは一番いい形だと思います。しかし,そうでなくてこういう形で切り取られたというと問題ですけれども,立法ができていってしまう場合に,むしろ民法という実体法の中でどこまでそれを入れ込んで規制をしていくべきかというのはすごく難しい問題であると思います。   そうするとかなり限定的に議論をしていった方が,完成形ではなくてこういうものが出てきた以上,こういうような形で実施されたものについては一応原則は母とするとか,あるいは同意をした夫は第三者からの精子提供に同意していた場合には嫡出子であることを否認できないとか,こういう形で進むイメージがあります。そうすると,今後の検討の方向性としては,大きく分けて二つあると思います。   これを完全に取り込んだ形で立法化を進めていくという,民法の規律を考えていくという考え方と,できるだけその解釈に委ねられるのだったら,そちらの方向で柔軟に対応できるような余地を残しておくという二つがあって,それをどういうふうに議論をして落ち着くところを見つけていくかという話になるんじゃないかと思います。   つまり,これを前提とした上でこれを民法の中にそのまま取り込んだものとして,この否認権を一人一人ごとに考えていくと私自身はやはり夫の否認権と母の否認権と子どもの否認権って性格というものが相当違ってくる可能性があると思います。   そうなってくると夫について夫が同意したんだから否認ができないという規定を前提に,否認権を母とか子どもに拡大をしながらやるということになると子どもの地位の安定ということばかりがむしろ先に走った考え方になってしまうおそれがあるようにも考えられます。もう一方で解釈に全部任せるということになると,ケースバイケースの判断となり,法的に不安定になりかねないという問題も起こりうる。そうしますと,ある意味ではせっかくの実体法の民法の規律を検討しているところですから,中間あたりのところで議論していくのかなというちょっとイメージを持って考えています。   議員立法は議員立法の出た目的とか議論の経緯というのがあると思いますので,私はこの9条,10条も,相当急いで取りまとめたもので議論の余地というか解釈の余地というのがまだあって,決して完成したものではないと思います。むしろ経過規定みたいなものとそれから2年ぐらいで生殖補助医療全般をやはりきちっと見直すんだと書かれています。規制の在り方をですね。   ですから,そのあたりのところでちょっと限定的に9条,10条というのを捉えた上で民法について,本部会で関係するところだけ絞って議論した方がいいのかなとも思います。どちらかというとあまりこの9条,10条で規定をされてしまって議論の余地がないような,何か疑いの余地がないルールがここに示されたというよりは,むしろここから出てくる議論というのがたくさんあるのかなという感じもします。本部会としては飽くまでも生殖補助医療で生まれた子どもの地位みたいなことを考えながら,それぞれの持っている否認権者とか嫡出推定の制度の趣旨とかそういうようなことを勘案して議論するしかないのかなという印象を持ちました。 ○大村部会長 ありがとうございました。既に何人かの委員,幹事からも御指摘があったところかと思いますけれども,この第1の1の内容について,まずどのように考えるのかという問題とともに,今回の議論が生殖補助医療関連の親子法制全体の中でどういう位置を占めるのかということについて少し考える必要があるのではないかという問題があろうかと思います。   さしあたり議員立法ができたということで,それに対応する必要があるということですが,この法律に含まれている民事の実体規定も含めて見直すことが将来に留保されていると考えるのか,考えないのかといったようなことも含めて,ここでは議論する必要があるのではないか。その上で第1の1の中身というのが決まってくる。こういった感覚を何人かの方々がお示しになったのではないかと受け止めております。   ほかにもし御意見があれば是非伺いたいと思いますが,いかがでございましょうか。 ○山根委員 今回のまとめで早くに明文化をすべきということが多いのか,あるいは様子を見ながらということで検討を進めて定めていくということがよいのかというのは,よく私には分からないんですけれども,先ほど水野委員の方から心配される点についての御発言がありました。   そういったような実際に想起されるような例,そうしたことを教えていただいて,その上で議論も深めたいというふうに私は思います。そのようなことでまだまだ議論が必要だと思いますので,丁寧に進めていただければと思います。すみません,よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。内容についてはまだこの先,議論しなければいけないことが多いというのは御指摘のとおりかと思いますけど,本日のところは第1の1と2ということで,取りあえず二つに分ける,すなわち嫡出否認制度の見直しに伴う規律というとその他の規律とに分けて整理がされています。   これに伴うその他の規律ということでどこまでやるのか。そして,そのときの見通しとしてどういう立場に立つのかという点については今御議論があったところかと思いますが,こうした切り分けを現時点でしておくということについては,皆さんの意見の一致が見られるかと思って伺っておりました。更に御意見があれば伺いたいと思いますが,いかがでございましょうか。 ○窪田委員 ちょっと自分の考えもまとまっていない段階で発言するのは戸惑っていたのですが,基本的には特例法ができたわけですから,それとの関係でそれを前提とした上で一定の方向が考えられるかどうかという検討の仕方ということでよろしいのだろうと思います。ただ,ちょっと気になっておりましたのは,第1の1のところで,特例法の10条の規律に対応した否認権の制限に関する規律を設けることの必要性という形で立てられていて,これはすでに特例法の10条が否認権の制限という形の仕組みをとっていますので,こちらの方で否認権者を広げるという場合にはそれに対応する形で規定を設けるかというのはそれなりに理解ができますし,自然な方向なのかもしれません。   だったら,元々否認権が制限される趣旨というのが一体何だったのかという部分にも関わると思うのですが,現行法ですと否認権者は夫だけですので,夫の否認権を排除してしまえば親子関係は確定するということになるのですが,否認権者が夫に限られないときに同じように否認権の制限という形で確定すべき問題なのか,という点です。これはこんな考え方もあるかもしれないということで,私自身が別に積極的にそう考えるわけではないのですが,夫の同意を得てAIDを実施した場合にはその夫の同意というのが言わば夫による懐胎に替わるものなのだというような位置づけもひょっとしたらあり得るのかなと思います。   そうだとするとそれは何かもう否認権の制限の問題ではなくて,現行法でいうと嫡出推定の本体の問題になるのではないかという気もしますしと,そういう議論の余地がまだ残っているのかなという感じがしています。   先ほど木村幹事から指摘された2ページからにかけての部分は,子の地位の安定ということと信義則による制限ということではあるのですが,どうも最初から否認権が行使できない関係というのは一般的な意味での子の地位の安定とは違うような気もしますし,企図されているのが本当に信義則の問題だとか権利濫用の問題なのかなというと,ちょっとそれもよく分からないという気がします。第1の1で示された方向で議論するということについても,反対だというわけではないんですが,もう少し幅の広い形での検討の仕方というのはあり得るのかなという気がします。 ○大村部会長 ありがとうございました。これも先ほど来,出ていることかと思いますけれども,第1の1でどこまでのことが議論できるのかということに関わっているのかと思います。そして,その際に,9条,10条,特に10条ですね,これらをどの程度まで前提にするのかということについての御指摘,御意見として伺いました。御指摘は分かりましたが,現在の書きぶりについてはこれはこれでよいかという御感触ですか,窪田委員。 ○窪田委員 現在の書きぶりだと否認権の制限に関する規律を設けることの必要性については間違いだとは言わないのですが,否認権の制限に関する規律を設けるなどの形でというような程度にしておいてもらった方がよいように思います。これだと要するに否認権者が広がったときにそれに応じて規律を設けていますよという方向の選択肢しか示されていないものですから,ちょっと気になります。   実際,特例法があるときにこちらの方の作業でどこまでできるのかという限界があることはもう十分によく分かってはいるのですが,少しだけ緩やかにしてもらえたらありがたいかなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。議論する際の幅をもう少し残しておいた方がよいのではないかという御指摘として承りました。 ○平田幹事 ちょっと今回御提案させていただいたのは,まず規律を設ける必要性がそもそもあるかどうかというところは中にも少し書かせていただきましたけれども,そういう部分を踏まえて御提案させていただいた次第です。   ただ,今,窪田委員の御指摘を受けましたので少しどういうふうな書きぶりにするかについてもう一度検討させていただきたいと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほか御意見はいかがでしょうか。 ○大森幹事 はい。今の窪田委員の話とも若干関連するのですが,今回の規律はあくまでも夫婦間でAIDが行われていることを前提に,その同意をした夫の否認権を制限するという話になっています。しかし,この特例法で生殖補助医療は夫婦間に限られるとの定義づけがされておらず,実際に事実婚や法律婚をしていないカップル間でのAIDによりお子さんが出生するということもあり,その場合には否認権の制限というよりは認知無効の制限という話になるのではと思います。   そうしたことをこの仕分けの前者に取り込むのか,あるいはここでの検討の対象から外すといって後者にするのかということはあると思いますが,例えば後者になるとしても,この10条の理解についてどのように考えるのかということに関しては,今,窪田委員がおっしゃったようになるべく限定をしないで,いろんな考え方があり得るという幅を残した方がいいのではないかと思った次第です。 ○大村部会長 ありがとうございました。事務当局の方から一番最初にお話がありましたけれども,今回の改正のスケジュールの中でどの程度のことができるかという問題もあろうかと思います。   他方で委員,幹事の間から出ておりますけれども,全体としてこの問題の規律がどういうところに落ち着くべきなのかということも大きな問題としてあるのだろうと思います。   今回は対応ができる部分が限られてくる。それは行為規制ができていないからということに由来するところが大きいのですが,それにしても,どういうことが問題になるのかということを,可能な範囲内でということにはなりますけれども,話題になる方がよろしいのではないかというのが皆さんの御感触なのかなと思います。   繰り返しになりますけれども,どこまで議論できるかという問題はありますけれども,今のようなことで議論が進められればと思いますが,事務当局の方はそういう理解でよろしいですか。 ○平田幹事 先ほど御指摘いただいた認知等の関係につきましては,基本的には行為規制を前提とするような規律になってくるかとは思いますので,なかなかちょっと今回の部会で取り扱うというところはスピード等の関係で難しいところはあろうかと思います。   それを踏まえた上でどのような検討をしていくかというような,少し検討をさせていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかはいかがでございましょうか。 ○窪田委員 すみません,純粋にひとつだけ質問させてください。   行為規制についてですが,恐らく管轄は厚生労働省なのだろうとは思いますが,具体的にもう検討は始まっているのでしょうか。あるいは行為規制に関しては厚生労働省の方では以前の審議会でもう既に一定の答申までは至っていたかと思うのですが,行為規制についての具体的な検討の状況とかについて法務省の方で分かっていたら少し教えていただきたいのですが。 ○平田幹事 あまり分かっているところはございませんで,御指摘のとおり平成15年の4月の段階で厚生科学審議会生殖補助医療部会の報告書が取りまとめられたというところでございます。その後,日本学術会議の報告書が提出されたなどの経緯もございますが,今回議員立法が成立して,その後にこれに関する議員連盟が立ち上がったというところでございます。   それ以上に今,厚生労働省の方でどういう検討をしているかというところにつきましては,申し訳ございませんが,我々の方では把握していないというところでございます。 ○窪田委員 ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   何か関連の御発言があれば伺いますが,いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。   どうぞ,髙橋委員。 ○髙橋委員  関連じゃないんですけど,いいですか。   先ほどからの議論を聞いていて私もそうだなと思ってずっと聞いていたんですけれども,先ほど大森幹事から事実婚のお話がありましたけれども,今後,行為規制について2年間,国会の方でまず検討するということでその形が見えてくると更に詳細な形が見えてきて,また親子法で対応するところが出てくるという,そういうことだと思うんですけれども。   それは生殖補助医療部会なども一つの手法として考えるのが筋なのかなというようなこともそうかなと思うんですけれども,そうだとしても生殖補助医療としての行為規制はこれから検討されるわけですから,そこから漏れてくるものですね,事実婚がどういう扱いになるかと。もしかしたら事実婚はそこに入らないかもしれない。   それから精子提供の在り方についても,今,インターネットで手に入るとか,怪しげな形で手に入るとか正式な生殖補助医療では行われないような精子提供が行われているというような話も聞きます。そういうものは,では,どこで扱われるのかというと行為規制で入らない,生殖補助医療部会で扱うようなものにも入らない。   それは結局,民法の本体の中にまた戻ってきちゃうんじゃないかと。そういうようなことも考えるんですけれども,すみません,意見とか質問とかの形にあまりなっていないんですけど,そのようなことも場合によってはこの場で考える必要もあるのかなとも思うんですが,その辺はどうなんでしょうか。 ○平田幹事 なかなか難しい御質問で,ただ,今のお話,生殖補助医療の関係で事実婚あるいは正式に行われたものではないものに関する御指摘と伺ってよろしいでしょうか。そういうものにつきましては繰り返しになって恐縮でございますけれども,基本的には行為規制が前提としてあって,それができたときに行為規制に対応した親子法制をどう考えるかということかと思います。   場合によっては行為規制で振り分けられるというところはあろうかと思いますので,その周辺部分についても,場合によっては議論が及ぶ可能性はあり得るというふうには思います。   ただ,一方で今回のこの部会においては基本的なものとしては飽くまで嫡出推定制度の見直しというところではございますので,このスピードについてこられるものについてはもちろん検討する余地はあるというところではありますが,今,御指摘いただいた部分については,嫡出推定制度の見直しと並行して検討していくというところにはちょっと難しいところがあるのかなというふうには思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。   いずれにしても積み残しになる問題が出るというのは確かだろうと思いますので,それを受ける場所として先ほどから出ている既存の部会がよいのかどうかというようなことは,ここでの議論が終わって,更に検討が始まるというときには法務省の方で,この場での御議論も参酌していただいた上で御検討を頂くということになるのかと理解いたしました。そういうことでしょうね。   ほかにいかがでしょうか。   補足説明の中身についても御意見を伺いますか。それとも今日はこの程度でいいですか。 ○平田幹事 はい。 ○大村部会長 それでは,どのような全体像で考えるのかということについて御意見を頂きましたけれども,今日のところは御意見を頂いたということで引き取らせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。   ありがとうございます。   それでは,大分時間がたっておりますので,ここで休憩をいたしまして,15分休み,15時15分から再開して,13-2から後に進みたいと思います。   では,休憩いたします。           (休     憩) ○大村部会長 それでは,再開したいと思います。   先ほど,部会資料13-1と13-5につきまして御意見を頂きましたので,次は13-2,嫡出推定の見直し及び女性の再婚禁止期間の在り方についての議論に移りたいと思います。   資料の13-2の第2が嫡出の推定の見直し,そして第3が女性の再婚禁止期間の在り方ということになりますけれども,併せて事務当局の方から御説明を頂きたいと思います。 ○小川関係官 御説明いたします。   まず,部会資料12-2からの変更点について御説明いたします。   1ページ目の本文第2の1の①について,部会資料12-2では,「妻が婚姻中の懐胎した子でなくても」という記載にしておりましたが,前回会議で表現として適切ではないのではないかといった御指摘がありましたので,「妻が婚姻前に懐胎した子であっても」という表現に改めております。   なお,このような表現の修正につきましては,現行法との連続性等を意識させていたものではございますが,条文にする際の具体的な文言については,今後,法制的な観点も踏まえて検討することを予定しております。   また,前回会議におきまして再婚後の夫の子との推定が否認された場合に,前夫の子と推定するとの規律を設けるのであれば,相続開始後に認知された者の価額の支払請求権を定めた民法第910条と同様の記述を設けることも検討すべきであるとの御指摘があったことを踏まえまして,本文注2として,引き続き検討するということを追記させていただいております。   これらの点について御意見を頂戴できればと思います。   次に7ページのウについて御説明します。部会資料12-2においては婚姻解消後に生まれた子について,妻の再婚の有無にかかわらず任意認知がされた場合に,前夫の子と推定しないとすることについて検討を加えていましたが,前回会議において,任意認知ではなく,強制認知によることについての提案であったという御指摘を頂きましたので,本部会資料では強制認知がされた場合に,前夫の子と推定しないとすることについても検討しております。離婚による婚姻解消後300日以内に生まれる子による強制認知は,子の出生後に及ぶ嫡出推定を否認するものでもあるところ,現行法上推定の及ばない子に限って認められている強制認知を婚姻の解消後に生まれた子一般に拡大する根拠があるのかどうかという問題があるとも考えられますので,その旨,記載しております。   もっとも,このウの直前の段落に記載しておりますとおり,子の出生時に妻が前夫以外の男性と婚姻していないときにも前夫の子と推定しないこととすることについては,任意認知や強制認知も含めまして様々な意見があるところですので,この点を含めて引き続き検討することが相当であると考えられます。   これらの点について,中間試案の取りまとめという観点から御意見を頂ければと思います。   本文第2の2と本文第3の補足説明につきましては,いずれも見直しの必要性と本試案のたたき台の概要という構成に変わっておりますが,記載の内容に実質的な変更はございません。 ○大村部会長 ありがとうございます。   前回からの変更点を中心に御説明を頂きました。補足説明も合わせまして皆様から御意見を頂戴できればと思います。第2,第3を合わせて御発言を頂ければと思います。 ○大石委員 大変細かいところで恐縮ですが,2か所,言葉の問題といいますか,段落の問題を申し上げます。   一つは11ページの24行目ですが,姻族関係の終了の問題で,離婚による場合と死別による場合というふうに対比してあって,そこの死別の解消の場合,その解消のはもう要らないのではないかという気がするんですが。   離婚によってというのは今は書いてありませんので,平仄を合わせた方が分かりやすいんじゃないかというのが一つです。   もう一つは12ページですが,24行目からのなお書きの部分がこれで一文なので,大変読んでいてちょっと息が切れそうになって困りました。せめて27行目のところ,甲案,乙案があるところぐらいで一旦ちょっと一休みして,その後,31行目の乙案においての前で一旦区切って,甲案の場合にはこうであると考えられる,他方,乙案においてはというぐらいにした方が読みやすいんじゃないかなという印象でした。以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○小川関係官 御指摘ありがとうございます。いずれの御指摘もごもっともかと思いますので,修正させていただきたいと思います。 ○大村部会長 ほかにいかがでございましょうか。 ○中田委員 ありがとうございます。   私も表現の問題なのですけれども,1ページの第2の③の甲案と乙案でございますが,これは従来からこうだったと思うんですが,一読して理解しやすいとは言えないかなという気がいたしました。   どうしてかを考えてみますと,それは婚姻の解消という言葉が離婚と死別を意味しているということがぱっと見たときに分からないということだと思います。   さらに9ページの1行目を見ますと,甲案と乙案の実質的な相違点は死別の場合だというふうに書いてありまして,そうすると実質的でない相違点もあるのかというようにも見えてしまうのですけれども,婚姻の解消というのは,離婚と死別だけを意味するということを明確にして,端的にそのように表現する方がパブコメに応じる方にとっては分かりやすいのではないのではないかなと思いました。   例えば1ページに戻りまして,第2の1の③の乙案の最初の見出しの部分です。括弧の中ですが,これが一読して分かりにくいものですから,不正確かもしれないのですけれども,例えば,妻の再婚後に生まれた子は前夫の死亡の場合を除き,再婚後の夫の子と推定する案というように,これは一例ですけれども,もう少し分かりやすく書けるのではないかなというふうに感じました。   それから,もう一つこれも表現だけですけれども,同じ1ページの注1の2行目に,例えば,①について妻が婚姻期間中に出産した子はとあるんですが,これは婚姻中にと婚姻期間中にとで違うのかどうかがちょっとよく分からなかったものですから,できればそろえていただいた方がいいんじゃないかなと思いました。 ○平田幹事 御指摘,ありがとうございます。いずれも御指摘,そのとおりかと思います。乙案のちょっと題名につきましてはなかなか難しい部分もありますので,御指摘のとおり分かりやすいように検討したいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。そのほかはいかがでございましょうか。 ○幡野幹事 ありがとうございます。   もしかしたら前回も同様の御指摘があったかもしれないのですがも,11ページの統計的データの注2のところです。婚姻解消後とありますけれども,その中で死別後300日以内かつ婚姻後200日以内で母の前夫を父とする子が何人いるかというようなデータが分かりましたら参考になるかと思います。その3年間で全くいないのか,それとも各年,少しではいるけれども,コンスタントにいるのかということが,あるいは甲案,乙案をそのどちらにするかということを考える際に参考になるかと思います。 ○平田幹事 御指摘ありがとうございました。   ただ,大変恐縮なんですけど,ここの部分がなかなか婚姻の解消原因別というところがデータを持ち合わせておりませんで,なかなかお示しすることができないというところでございます。 ○幡野幹事 どうもありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。そのほかはいかがでございましょうか。 ○大森幹事 ドイツ法の先生にお聞きをしたい点があり,発言させていただきます。12ページの再婚夫の嫡出性が否認された場合に,前夫の推定が復活するかどうかという点について,㋐の考え方,すなわち再婚したとしても前婚の推定も引き続き存在しているけれども,優先するという考え方を取るのか,若しくは㋑で排除されているという考え方を取るのかということで,㋐の考え方からすると推定が復活するというのは自然な考え方になるが,他方で,㋑の考え方を取ったとしても政策的なことを考えて復活すると考えた方がいいのではないかという説明がなされております。   ドイツでは,戻りまして11ページの注3のところで,死別による解消の場合には推定が重複するのですが,後婚の方が優先するという規定を置いていると書かれています。これで後婚について父性が否定をされた場合,どうなっているのかということについて,参考までに教えていただければと思いますが,いかがでしょうか。 ○大村部会長 ありがとうございます。どなたかもし可能ならば何か御発言を頂ければと思いますが。 ○木村(敦)幹事 念のためもう一度,内容を確認しますので,また御連絡してもよろしいでしょうか。 ○大村部会長 では,ちょっと今の点は後で改めて,ということにさせていただきます。 ○木村(敦)幹事 はい。 ○大村部会長 すみませんが,分かりましたらまた御教示を頂ければと思います。よろしいですか。 ○大森幹事 はい。 ○大村部会長 そのほかはいかがでしょうか。   よろしいでしょうか。   この13-2につきましては幾つか御指摘を頂きました。嫡出推定の制度はなかなか法律家以外には分かりにくいところもございますので,何人かの委員,幹事から御指摘がございましたけれども,表現ぶりにつきましてはパブリックコメントの際に御理解を頂きやすいように御指摘の点を含めて,必要な修正を更に加えるということで引き取らせていただきたいと思います。   13-2については御意見を頂いたということにさせていただきまして,先に進ませていただきたいと思います。   次が,部会資料13-3と4です。残りの部分ということになりますが,これを一括して御説明を頂いた上で,御意見を頂きたいと思います。 ○小川関係官 では,まず,部会資料13-3について御説明をいたします。   第4の部分ですけれども,前回一通りの御議論を頂いておりますので,主な変更点及び特に御議論いただきたい点についてのみ御説明をいたします。   まず,1の夫の否認権に関しては前回からの変更点はございません。   次に,2の子及び母の否認権についてですが,前回の御指摘を踏まえてゴシック部分の修正をしております。   前回提案の内容が分かりにくいとの御指摘を頂いた点とも関連をするのですが,甲案の③について,事務当局といたしましては,中間試案としてパブリックコメントに付すに当たって甲案の③にブラケット付きで子の母と子の親権を行う母と併記している部分につきまして,これまでの部会での御議論の状況を踏まえて,子の母とする案のみを本部会の第1の提案として本文に記載した上で,子の親権を行う母に限って否認権行使を認める案というのを第2案として注に落とすということも考えられるのではないかというふうに考えております。ですので,今回の場でこの点について特に御意見を頂戴できれば大変有り難いと思います。   次に3について御説明します。3ページです。   前回の御指摘を踏まえまして,子の出生の事実を前夫に通知する制度を注1に記載しておりましたが,これについては前回,否定的な御意見が強かったので,削除させていただいております。   他方で,再婚後の夫の子であるとの推定が否定された場合,その事実を前夫に通知するという制度については,これを設けることに肯定的な意見もございましたので,その要否を検討するという提案は維持しつつ,通知がもたらす弊害や裁判所が記録上知り得る情報の範囲等も踏まえまして,いかなる範囲で通知すべきかについても引き続き検討するということを提案する形に修正をしております。   また,前回,再婚後の夫の子との推定が否定された場合の戸籍の記載がどのようになるのかについても議論する必要があるとの御指摘を頂きましたので,今回,参考資料13-1,13-2で戸籍の記載例をお示ししております。   簡単に内容を御説明いたします。参考資料13-1ですが,こちらは再婚後の夫の子との推定が前夫の否認権の行使によって否認された場合の戸籍の変動を記載させていただいたものです。   1ページ目の①が前夫との離婚により編成された母の戸籍ですが,ここでは,婚姻中は前夫の氏を夫婦の氏と定めていたケースを例にとっております。   次のページの②の1ですが,①の後,母が再婚をし,子が生まれた場合の戸籍になります。このケースでは,夫婦は再婚後の夫の氏を夫婦の氏と定めています。子は再婚後の夫の子として記載されています。   次に,②の2ですが,嫡出否認の裁判が確定した後,戸籍訂正が行われた戸籍になります。子の父の欄が訂正されております。子の父欄が訂正されています。子は夫婦の戸籍からは除籍されています。   ③が,除籍された子が入る,母が前夫と婚姻していた時の戸籍になります。既に母が離婚で除籍されていますが,子は離婚時の夫婦の氏を称するということになるため,母が前夫と婚姻していた際の戸籍に入籍します。  次に参考資料13-2ですが,再婚後の夫の否認権の行使によって否認された場合の戸籍の変動について記載しております。   基本的に13-1と同じですが,②の2のうち,嫡出否認の裁判の確定による戸籍訂正の申請人欄が再婚後の夫である甲野太郎になっているという点が異なっております。③についても同じ部分が13-1と異なる点ということになります。   部会資料13-3に戻りまして,7ページ以下は,第5として嫡出否認制度に関するその他の見直しについて記載しております。   1については前回の御指摘を踏まえて,否認判決の遡及効に関する注3の記載をこれまでの部会での御議論をまとめる形で追加をしております。   また,9ページのゴシック体の2(1)については,前回夫が死亡した場合の夫の否認権の承継に関して,夫の一定の範囲の血族が否認権を行使できる期間について,夫の死亡の日から1年を経過した日又は夫が出生を知った日から3年若しくは5年を経過した日のいずれか遅い日までという提案をしておりましたが,夫が出生を知った日の認定に困難が生ずるのではないかという御指摘があり,また現時点でこのような見直しを検討する必要性も高いとは言えないことから夫の死亡した日から1年を経過した日までとする現行法の規律を維持するという案に修正をしております。10ページの(2)に関して前回からの変更点はございません。   最後に部会資料13-4ですが,こちらは3の認知制度の見直しについて,若干の修正,補足部分に書かせていただいている部分のほかは前回からの変更点はございません。 ○大村部会長 ありがとうございました。   前回からの修正点について御説明を頂きました。   あわせて参考資料の13-1,13-2で前回御指摘があった戸籍がどうなるのかということについて御説明を頂きました。   修正点が幾つかありますけれども,最初の方でお話がありましたように,1ページの2の甲案の③の部分,現在は子の母というのと,子の親権を行う母というのが併記されております。これは分かりにくいのではないかという御指摘があって,書き方を工夫しましょうということで引き取らせていただいたと記憶しておりますけれども,ここを子の母の方を本案とし,親権を行う母については注という形にして引き続き検討すると整理したいという御提案がございました。   この点について御意見を是非頂きたいと思いますが,他の点も併せて御意見があれば頂戴をしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○大石委員 はい。本体とあまり関係のないところで一種の職業病みたいなものですが。6ページから7ページのドイツの説明がありますが,その中で否認権者というところでドイツ法が書いてあって,これ自体は父性を否認するというだけの話なので,否認権者ということにはならない。むしろ第1600条の見出しにその否認権者というのが出てくるので,むしろドイツ法と一緒に書くのだったら第1600条の見出しを使った方がいいのではないかと思います。具体的には,第1600条のところでAnfechtungsberechtigteというような言葉を使ってありますので,それはそのまま使えばいいように思います。 ○平田幹事 御指摘ありがとうございます。恐らくこちらの確認不足だったと思いますので,ちょっと拝見して対応させていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。そのほかに御意見はいかがでございましょうか。   大森幹事。 ○大森幹事 はい。質問をさせてください。今日参考資料13-1と13-2と戸籍の記載がどうなるかに関する資料を作っていただきありがとうございます。イメージがつきました。   この子どもの氏はどうなるのかというところが気になりました。つまり,後婚の夫との父子関係については否定されたとしても,その子どもの氏は後婚のままになるのか,そうしたときに前婚の夫の氏とは違いますが,その場合に戸籍上前婚の戸籍に入ることになるのか。氏との関係がどうなるのかについて,教えていただけますでしょうか。 ○小川関係官 再婚後の夫の子との推定が否認されると,出生の時に遡って前婚の夫と推定されることとしていますので,民法第790条第1項ただし書により,子の出生前に父母が離婚したときは離婚の際における父母の氏を称することになり,この参考資料のケースであれば前夫の氏を名乗ることになると考えております。 ○大森幹事 ありがとうございます。確認いたします。 ○大村部会長 ほかにはいかがでしょうか。 ○髙橋委員 ちょっと資料から外れるんですけど,今,戸籍の話が出ましたけれども,ちょっと話が戻って死別の場合ですよね。前夫の推定が残っていてというか,あって,再婚後の夫の推定もあって,仮に再婚禁止期間がなくなるとするとそこは父を定める訴えということになるということなんですけど,その時点で生まれた子どもって戸籍をどこで作るんでしょうか。ちょっと参考までにお教えいただければと思ったんですが。あるいはどちらの氏を名乗るのか。 ○小川関係官 現行法の取扱いについて御説明すると,再婚禁止期間の定めに違反する婚姻がされた場合など,前夫の子との推定と再婚後の夫の子との推定が重複する場合は,母は明らかですが,父については,父未定の子という形になります。そのため,子の氏は母の氏になり,戸籍としては母の戸籍に入り,その身分事項欄には父未定という形に記載がされるのだろうと思います。 ○髙橋委員 ちょっと参考までにお聞きしただけですので,また後で,もし詳しいことが分かったら教えていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   戸籍については今日は,こういう形で皆様にお示ししていただきましたけれども,考えてみるとこの場合はどうなるのかということが今のように出てくるかと思いますが,また必要に応じてお調べを頂くということでお願いできればと思います。 ○土手幹事 父の欄は空欄になるという戸籍上の扱いになります。空欄ということになります。それ以外は小川関係官が説明したとおりでございます。 ○髙橋委員 ありがとうございます。 ○大村部会長 中田委員から手が挙がっているようですね。中田委員,どうぞ。 ○中田委員 ありがとうございます。   第4の2の甲案について,③を子の母というのと子の親権を行う母というのを並列させるのではなくて,子の母に絞るということはどうかと先ほどお尋ねがございました。私はもし訴訟法上の問題がないのであれば,それでよいのではないかと。で,子の親権を行う母は注の中で取り扱うという先ほどの御提案でよろしいのではないかと感じました。   その上で,仮にそうした場合の甲案と乙案との関係について御確認したいのですけれども,二つございます。   一つは乙案の(1)の③で,こちらは子の親権を行う母が残るわけですけれども,こちらだけ,これも子の母とすることはあるのかないのかということです。   それからもう一つは今の点とも関係するんですけれども,仮に甲案で子の母というようにした場合に,甲案と乙案との実質的な違いがどこにあるのか。つまり端的に言うと母の否認権を特に設けることの実質的な意義は何なのかということを整理して示しておいた方が意見が出やすいのではないかと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○平田幹事 まず,御指摘いただいた点の二つ目につきましては,御指摘のとおりかと存じますので,大きな違いというところでは母に固有の否認権を認めた場合には,子の利益を離れてそれを行使することが可能となるという部分はあろうかと思いますが,ちょっとそこの点も含めて整理させていただきたいと思います。   御指摘の1点目につきましては,こちらの方はちょっと母の否認権を認めるというところもありますので,ちょっとこの部分については検討させていただきたいというふうには思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○窪田委員 前回,私の方から戸籍のことをお尋ねして,資料を準備していただいてありがとうございます。この戸籍についてですが,最終的に資料の4ページの注3に書かれていることはこのままでもよろしいのだろうとは思いますが,今回の参考資料の13-1の最後の③のところを見ると,結果,現行法を前提として,同一氏の親の戸籍に入るという仕組みを取るのであれば,これは前婚の夫の嫡出推定が復活するということになれば,当然に入籍するという形になって,その戸籍の身分欄にはその嫡出否認の裁判が確定したとかそうしたことが含めて書かれるという扱いになるとなっています。   つまり,裁判の結果について通知するかしないかということとは別に,またこの仕組みが妥当なのかどうかはともかくとして,現行法を前提として同一氏の親の戸籍に入るという仕組みを使う以上は当然に父の前夫の戸籍に入籍することになるので,戸籍の変更について当然知るかどうかはともかくとして一定の情報はやはり前夫に入るのだという理解で,そういう意味を持った参考資料ということでよろしいでしょうか。   理解に誤りがあるかどうかということの確認だけです。 ○平田幹事 御理解のとおりかと思います。戸籍にこのような記載がされることに,それを当人が知るかどうかというのは置いておいて,戸籍にはこういう記載が入ってくるということになるんだろうというふうには考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。   中田委員,それから,窪田委員から御指摘いただいた点はちょっと検討していただいて,説明を補う方がよいということであればそのあたりを工夫していただいた方がよいかと思って伺っておりました。   ほかはいかがでございましょうか。   垣内幹事,お願いいたします。 ○垣内幹事 どうもありがとうございます。   第4の2の子及び母の否認権のところの甲案の③のところで,子の母,子の親権を行う母とあるところについて,子の母というのを本案にするというお話に関してですけれども,私はその点は特に異論があるということはございません。   関連して,1点確認なんですけれども,子の母という場合には親権がない母が含まれるということになるわけですけれども,この点について前の部会資料の12-3の9ページだったでしょうか,子の母がどういう手続上の地位で訴訟に関与するのかということについて,訴訟担当者なのかそれとも法定代理人なのかということについては,これは決め打ちはしないというような理解で,今,御指摘した12-3の9ページを読みますと,代理人とする場合に権限が親権に基づくことまでは必要でなく,実体法上,母の地位に基づいて否認権の代理権を与えることも可能であると考えられるという説明がされているんですけれども,これは規定上,子の母で親権がない者を含めて,子のために訴えを提起することができるという旨を定めることによって,親権のない母であってもその規定によって代理権が実体法上与えられるという解釈が許されるだろうという,そういう趣旨と理解してよろしいんでしょうか。   ちょっと細かい点の確認ですけれども,よろしくお願いします。 ○平田幹事 御指摘のとおりここの部分は決め打ちするものではございませんけれども,実体法上,そのような規定を設けることも可能なのではないかと。それによって代理権を付与した趣旨という読み方もあり得るのではないかというところで考えているところでございます。 ○垣内幹事 分かりました。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。そのほかはいかがでございましょうか。   どうぞ。 ○小川関係官 先ほどの窪田委員の御確認の部分ですが,例えばですが,参考資料13-1では母と前夫が婚姻した場合に前夫の氏を夫婦の氏としていますが,仮に母と前夫が婚姻した際に母の氏を夫婦の氏としていた場合等を考えますと,離婚によって前夫が復氏したときは,前夫は夫婦の婚姻中の戸籍から除籍されますので,再婚後の夫の子との推定が否認されたときは,子は前夫と母の氏となり,夫婦の離婚時点の戸籍に入ることにはなりますけれども,当該戸籍に前夫はいませんので,前夫の現在の戸籍に当然に子が入ってくるということにはならないかと思います。そのため,前夫が自らの現在の戸籍だけを見ていれば,否認の事実を直ちに知ることができるということではない場面も生じてくると思います。   ですので,その部分も少し整理して検討させていただければなと思います。 ○窪田委員 今の例は多分そうなのだろうと思いながらうかがっておりました。ただ,いずれにしても非常に偶然的な出来事によって戸籍に記載されたり,されなかったり,それによって知ったり,知らなかったりというのも変だろうと思いますし,あるいは戸籍に記載されているのにそのことを本人は知らないというのも変だろうと思います。これについて,4ページの注3の書き方を変えてくれという趣旨ではないのですが,何かそれを意識した形で何かもう少し慎重に考える必要があるのかなと思いました。もう感想だけです。 ○大村部会長 ありがとうございます。   御指摘を踏まえてちょっと工夫をお願いします。   そのほかいかがでしょうか。 ○中田委員 第5でもよろしいでしょうか。 ○大村部会長 結構です。 ○中田委員 第5について2点ございます。   別々のことですけれども,まず4ページに④の規律が提案されています。この規律と部会資料の13-2の11ページの規律なんですが,第2の2なんですけれども,これが内容が重なっているようにも見えるのですけれども,この両者の関係について御説明をお願いできますでしょうか。   まず,ここで一旦切ります。 ○小川関係官 部会資料13-3の第4の3の④の規律と,部会資料13-2の11ページの2の規律の関係というところですが,まず部会資料13-2の方は前夫以外の者が否認した場合に関する一般的な否認の効果というところで記載させていいただいているところです。   13-3の4ページの④の部分については,前夫が否認権を行使した場合の効果について,特に記載させていただいているという趣旨になりますが,御指摘のように,若干重複しているようにも読めますので,検討させていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   重複感もあるので少し工夫していただくということで,中田委員,その第1点はよろしいですか。 ○中田委員 はい,ありがとうございました。 ○大村部会長 では,第2点をお願いします。 ○中田委員 第2点は人訴法41条の改正に関する部分です。10ページの4行目から5行目にかけて,期間を伸長することについて夫の否認権の行使期間の見直しの在り方を踏まえながら引き続き検討する,これが甲案だというふうに説明されているのですが,9ページのゴシックの甲案を見ますと,見出しには否認権者及び行使期間の見直しに伴う見直しを行う案とあるのですが,その中身は,アについては夫の否認権は,現行法のとおりとだけありますので,どの部分を見直そうとしているのかというのが少し分かりにくいのではないかなと感じました。   それから,形式的なことばかりで恐縮ですけれども,9ページの乙案のアの夫の否認権のところで,人訴41条1項,2項の規定は削除するとあるんですが,41条は1項と2項しかないものですから,41条を削除するでもいいのかなと思いました。 ○平田幹事 御指摘ありがとうございます。   いずれも御指摘のとおりかと思いますので,検討させていただいて修正したいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。   そのほかはいかがでございましょうか。   今,第5について意見を頂きましたけれども,部会資料の13-4の第6についても併せて何かありましたら御発言を頂ければと思います。   特にございませんでしょうか。   事務当局の方から何かありますか。   それでは,部会資料13-3と13-4につきましても御意見を頂いたということにさせていただきたいと存じます。 ○木村(敦)幹事 すみません,先ほど大森幹事から頂いた御質問の件について調べ直しました。部会資料の13-2の11ページについてです。ドイツでは夫の死別の場合に,死別の日から300日以内は亡き父の父性推定が及ぶが,子の出生時に母が再婚した場合には,再婚後の夫の父性推定が優先するとの規定が置かれているというのが1593条第3文の規定になっております。その上で,大森幹事の御質問は,この場合に,再婚後の夫の父性推定が否認された場合にどうなるのかという点についてのものだったと理解していますが,この場合については,前婚の夫の父性推定が及ぶという規定が同条の第4文に書かれております。それでお答えになっておりますでしょうか。 ○大森幹事 はい。 ○大村部会長 木村幹事,ありがとうございました。大森幹事,よろしいですか。 ○大森幹事 はい。ありがとうございました。 ○大村部会長 はい。ありがとうございます。   それでは,木村幹事に後ほど改めてということでお願いした点についても,ご確認いただいたということで,ほかに何か全体について特に御発言はございませんでしょうか。   よろしいでしょうか。   それでは,予定していた時間よりは早く進みましたが,これで本日の審議は終了ということにさせていただきたいと思います。   次回の議事日程等について,事務当局の方から御説明を頂きたいと思います。 ○平田幹事 次回の日程につきましては,日時が令和3年2月9日午後1時30分から午後5時30分まで。場所につきましてはおって御連絡を差し上げます。   次回のテーマにつきましては本日いろいろ御指摘いただいた点を踏まえて修正して,中間試案の取りまとめに向けた御議論を頂きたいと思っております。   また,本日御指摘が足りないといったような部分がございましたら,事務局の方に頂ければ大変有り難いというふうに考えているところでございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。   皆様にはこの1年間,様々な形で御協力を頂きまして有り難く思っております。   本日の法制審議会民法(親子法制)部会の第13回会議をこれで閉会させていただきます。   本日も熱心な御審議を賜りまして,ありがとうございました。   閉会いたします。 -了-