法制審議会 民法(親子法制)部会 第14回会議 議事録 第1 日 時  令和3年2月9日(火)自 午後1時33分                    至 午後3時28分 第2 場 所  法務省地下1階 大会議室 第3 議 題  民法(親子法制)等の改正に関する中間試案の取りまとめ 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは,予定した時刻になっておりますので,法制審議会民法(親子法制)部会の第14回会議を開催いたします。   本日は御多忙の中,御出席を頂きまして誠にありがとうございます。   まず,本日を含めたこの部会の開催方法等につきまして,事務当局の方から説明をしていただきます。 ○平田幹事 今回もウェブ参加併用で行わせていただいておりますので,前回同様,御注意いただきたい点が2点ございます。   まず,御発言中に音声に大きな乱れが生じた場合につきましては,当方で指摘させていただきますので,適宜,御対応いただければ幸いでございます。また,発言をされる委員,幹事等の皆様におかれましては,発言の冒頭に必ず名のってから御発言いただきますようよろしくお願いいたします。   なお,休憩時間の入れ方につきましては,15分間の休憩を入れさせていただきたいと考えております。 ○大村部会長 次に,配布資料の確認をさせていただきます。これも事務当局からお願いをいたします。 ○濱岡関係官 今回の配布資料は,事前に送付させていただきました中間試案(案)である部会資料14-1,同じものに前回お示ししたたき台からの変更点を付記した部会資料14-2,当日配布資料として,参考資料14-1「嫡出推定制度に関する調査結果」,参考資料14-2「無戸籍者に関する調査結果」です。   また,部会資料14-1につきましては,冒頭にこの中間試案の表題「民法(親子法制)等の改正に関する」中間試案を加えるなどの修正をいたしました。   なお,念のため申し上げますと,中間試案の補足説明は通例,部会における御議論を踏まえ,中間試案の内容の理解の助けとなるよう,試案の各項目の趣旨等を事務当局である法務省民事局参事官室の責任において補足的に説明しているものです。飽くまでも試案の内容について検討を加える際の参考資料として作成したものでありますので,それ以上の意味を持つものではございませんので,御留意いただければ幸いです。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは,本日は今,御説明を頂きました部会資料14-1の中間試案(案)につきまして御議論を賜り,取りまとめをさせていただきたいと考えております。前回からの変更点につきましては部会資料14-2に記載されているということでございますので,適宜御参照を頂ければと思います。   本日の進め方ですけれども,まず第1に,懲戒権等に関する規定等の見直し(中間試案の第1の部分),それから,嫡出推定の見直し及び女性の再婚期間の在り方(第2,第3の部分),そして3番目に,嫡出否認制度の見直し,嫡出否認制度に関するその他の見直し及び嫡出推定の制度の見直しに伴うその他の検討事項(第4から第6の部分),この三つに分けて御議論を頂こうと思っております。   御議論を頂く際には,中間試案(案)に沿う形で,補足説明の案につきましても適宜御意見を頂ければと思っております。   それで,まず初めに事務当局の方から,補足説明(案)も含めまして,部会資料14-1の第1の部分について説明をお願いしたいと思います。 ○砂山関係官 それでは,御説明いたします。お手元の部会資料14-1の第1を御覧ください。   第1の1,懲戒権に関する規定の見直しについては,たたき台からの変更として,(注2)の記載の表現を修正した上,新たに(注3)を追加しております。まず,(注2)では従前,「指示及び助言」を採用した場合には,体罰を加えてはならない旨の文言を用いないことも考えられるという表現をしていましたが,(注2)は,どのような文言を用いるかを問題とするものではなく,体罰を禁止する旨の規律自体を設けないことも考えられることを記載するものであるため,この趣旨を明確にする観点から,「「指示及び助言」を採用した場合には,ただし書の規律を設けないことも考えられる。」という表現に修正しております。   次に,(注3)の追加についてですが,乙案及び丙案が禁止しようとする体罰の概念を明確にするという観点から,体罰の定義や具体例等を記載することとしました。また,従前から,体罰や虐待等については民法第820条の監護及び教育として許容されないものと解釈されていたところ,甲,乙,丙案のいずれの案においてもこのような解釈を前提としており,子の人格を尊重しなければならないことを規定する旨の見直しを行うことにより,このような従前の解釈がより明確になるものであることを確認的に記載することとしました。   第1の1については,そのほかの変更はございません。   第1の2については,従前からの変更等はございません。   部会資料14-1の第1に関する説明は以上です。 ○大村部会長 ありがとうございました。   (注2)(注3)について,新たに付け加わった点,あるいは修正された点について主として御説明がありましたけれども,その他の点も含めまして,御質問,御意見等があれば御自由に御発言を頂きたいと思います。どなたからでも結構です。 ○大石委員 御説明ありがとうございました。   (注3)についての質疑ということになります。やや(注3)は長いのですけれども,その中の5行目か6行目,「また」から始まる,児童虐待の防止等に関する法律うんぬんということの,その次の行なのですが,「乙案及び丙案の「体罰」に該当することがあることに加え」うんぬんとなっていますが,何々することがあるということの含みは,この補足説明(案)の4ページを見ると,全てそれに当たるのだという書きぶりになっているのですけれども,日本語のニュアンスとしては,こういうことがあるということだと,そうでないものもあるのかなと考えて,その余地があるとすれば,では,その判断基準がうんぬんと,ややこしいことになるのですけれども,補足説明の4ページの御趣旨だとすると,この該当することがあるというやや曖昧な措辞は,少し避けた方がいいのではないかというふうに印象を持ちました。 ○平田幹事 御指摘ありがとうございます。   本文の第1の1の(注3)の「児童虐待に当たるものは,乙案及び丙案の「体罰」に該当することがある」という表現の趣旨は,児童虐待につきましては,心理的虐待等もあることから,それらを含む全ての虐待行為が必ずしも体罰に含まれるということではないという意味で,「該当することがある」というような含みを持たせた表現にした次第でございます。補足説明のとおり,基本的に児童虐待防止法で禁止している「体罰」と,今回,民法で禁止しようとしている「体罰」の意義は基本的には一致するものとは考えておりますけれども,今申し上げたような趣旨で,(注3)については多少含みを持たせているというところではございます。ただ,御指摘を踏まえて,そこの辺の説明も少し明確になるようにさせていただきたいと思います。 ○大石委員 それで結構です。 ○磯谷委員 今の御意見と関連するといいますか,同じところなのですけれども,私も少し長いと感じることに加えて,趣旨がややはっきりしないのではないかと思っています。例えば,「また」で始まるところの書き出しで,「児童虐待に当たるものは体罰に該当することがあることに加え」と書きつつ,一方で「監護,教育の範囲に含まれず,親権の行使として許されないものである」と導きながら,その後,「児童虐待に至らないものの,これこれの同様」という話になっていると,この「児童虐待」というメルクマールで結局何が言いたかったのかというところが少しぼやけるような感じがするのです。   端的に言えば,ここで果たして児童虐待防止法の児童虐待というところを持ってくる必要がそもそもあるのかというところが一つと,仮に持ってくる場合には,例えば,おおむねとか基本的にとか,そんなような形で,そういったものは監護,教育の範囲に含まれないから,本来は許されないものなのだと,それはさらに,この人格尊重ということを規定すると,より明確になるのだと,多分そういうふうに言いたいのだと思うのです。繰り返しになりますが,そもそも児童虐待という定義を持ってくる必要があるのか,仮に持ってくるとしても,ここの書き方は,結局児童虐待に当たらないものまで含めていることからすると,余り役に立っていないのではないかというふうに思いますので,少しやはり整理はしていただいた方が読みやすい,分かりやすいのかなとは思います。 ○平田幹事 御指摘を踏まえて,お任せいただけるのであれば,適宜整理させていただきたいとは思いますけれども,基本的な趣旨としては,一般の方には,児童虐待や体罰の概念が必ずしも明確ではないのではないかということで,そこを少し明確にしたいという趣旨でございますので,今の御指摘を踏まえて少し検討させていただきたいと思います。 ○大村部会長 大石委員と磯谷委員から二つ続けて御質問ないし御意見を頂きましたので,補足説明も併せて,表現ぶりについては少しその修正を検討させていただくということで引き取らせていただければと思いますが,よろしいでしょうか。   そのほかはいかがでしょうか。 ○井上委員 ありがとうございます。   この間の議論を踏まえて,丁寧にこの案を作成いただいたことにまずは感謝を申し上げたいと思います。この懲戒権に関する規定等の見直しですけれども,新型コロナウイルスの感染拡大によって外出自粛が続く中で,虐待の件数は増加の一途をたどっています。その上で,コロナ禍で警察や児童相談所の活動が難しさを増す中,家庭内の虐待や暴力が見えづらくなっている可能性も指摘をされています。この中間試案が取りまとめられれば,以降,パブリックコメントに付されることになると思いますけれども,コロナの中で虐待が見えづらい,そういう状況の中で,この法制審が見直しを行うのだということの発信をすることで,社会的な関心が更に高まって,その結果,虐待の抑止につながればと願っております。今日も頭撮りがありましたけれども,可能な限り,そういうことが今,国の中で行われているのだと,見せ方の工夫なども是非お願いをしたいと思います。 ○平田幹事 御指摘を踏まえて,どういうふうに発信できるかというところも含めて検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○山根委員 ありがとうございます。   補足説明の6ページなのですけれども,イで厚労省の報告書の説明があって,その下,真ん中辺りですが,不快感についての説明がございまして,雑巾を顔に押し当てられた,が挙げられていることからすると,体にもたらす不快感と肉体的な苦痛の差異は苦しみの程度の差と評価することができるとも考えられると書かれているのですけれども,ここの不快感と身体的な苦痛を苦しみの程度の差と表現することに少し違和感を覚えます。肉体的苦痛に体への不快感も含み得るという説明,これは理解できるのですけれども,程度の差と書くことが適切かどうかということを,少しほかの皆様の御意見も伺いたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○平田幹事 事務局としても,ここの部分はほかの先生方の御意見も伺えればと思います。一応,こちらの方の記載につきましては,従前の部会の資料で出させていただいたものについて,厚生労働省とも話をさせていただきながら記載させていただいたところではございます。ただ,表現として適切ではないというところがあれば,もちろん修正を図りたいとは思いますので,御議論いただければと思いますので,よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。山根委員から御指摘があったように,子どもに肉体的な苦痛を与えることに不快感を与えることも含み得る,そこが主眼なのだろうと思いますけれども,その説明の部分の書き方が誤解を招かないかという御指摘かと思います。今の御指摘の表現につきまして,委員,幹事の方からもし何か御発言がありましたら承りたいと思いますが,いかがでしょうか。   特に御発言はございませんでしょうか。 ○棚村委員 私自身も,身体的な不快感というのと,そうでない肉体的な苦痛という辺りが気になっています。やはり体罰とか不適切な行為によって子どもがどういうふうに感じたかという,かなり主観性の強いものですよね。それがはっきり切り分けられるのかどうかということに,素朴な疑問を持ちますので,できれば表現の仕方について,意図は分かるのですけれども,少し注意をされた方がいいような感じはします。というのは,明確に身体的な不快感と肉体的な苦痛というのが,程度の差として明瞭に区別できるのかどうかということも,本人の感じ方が随分多様なものがあり得るので,その辺りもはっきりと言い切るというよりは,むしろ,こういう表現を使わなくてもいいのであれば,使わない方向でも検討していただいてもいいのかなと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   今のような御指摘もありましたが,補足説明の中の表現ぶりに関わることでもありますので,事務当局の方で引き取っていただいて,検討していただくということでよろしいですか。 ○平田幹事 御指摘のとおり,身体的な不快感というのと肉体的な苦痛というのを,どこで明瞭に区切れるかというところが分からないというところもあって,こういうふうに表現の問題的なところもあるのではないかというところで書かせていただいたところではありますが,御指摘を踏まえて,誤解がないように少し記載を検討したいと思います。 ○棚村委員 結局,言いたいことは分かるのですが,表現が少し冗長だったり,加えたことによって分かりにくくなっているのが,先ほどの(注3)もそのような感じがしました。ですから,それを少し表現を改めたり,検討していただけるといいのかなと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかに,いかがでございましょうか。   第1の1,それから2,この2点につきまして,御発言があれば頂きたいと思いますが。 ○大石委員 先ほどの元に戻って(注3)ですが,全体としてやはり長くて,非常に読みにくくて,意味が取りにくい。全体を構造的に分析してみると,大きく三つに分かれるわけです。「体罰は」でア,イと書いてあるのが一つのくくりで,例えば,こういうことを前提としていると,また,そこにはこういう児童虐待に当たるものがあるといって,それがあることに加え,更に続くわけですが,さらに「許容されないものである」の中に,児童虐待に至らないけれども,同様なものがあるという構造になっているものですから,非常に意味が取りにくくなっています。そこで,大きく柱を立てて,そこまでで一旦切ったらどうかと思うのです。以上の点は,後から述べる2番目のとおり,こういうことを加えると,より明確になるのだと納めると,先ほど井上委員の方からパブリックコメントの話が出ましたので,多分そういうふうに構造化した方が分かりやすくなるのではないかと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   先ほどから(注3)の書きぶりについて御指摘を頂いているところでございますけれども,(注3)の中身自体については特に御異論を頂いておりませんので,表現ぶりの問題は,今の大石委員の御指摘も踏まえまして,少し見直しをしていただくということにさせていただければと思いますが,いいですか。 ○平田幹事 はい。 ○大村部会長 ほかはいかがでございましょうか。   よろしいでしょうか。それでは,第1につきましては,(注3)と補足説明につきまして,表現ぶりにつきまして頂いた御指摘を踏まえて修正をさせていただくということで引き取らせていただきたいと存じます。   続きまして,部会資料14-1の第2,第3,嫡出推定の見直し及び女性の再婚禁止期間の在り方の部分に進みたいと思います。   まず,事務当局の方から,補足説明(案)も含めまして,部会資料14-1の第2,第3についての説明をお願いいたします。 ○濱岡関係官 それでは,御説明させていただきます。   たたき台からの変更点も付記しております部会資料14-2を御覧ください。まず,中間試案の方なのですけれども,2ページ,本文第2の1の①についてですが,従前のたたき台では,「妻が婚姻前に懐胎した子であっても,妻が婚姻中に出産した子であるときは,同様とする。」という提案をしておりましたが,その婚姻中という部分につきまして,「妻が婚姻の成立の日の後に出産した子であるときは」という形で修正しております。これは,3ページで記載しておりますが,本部会では妻が婚姻前に懐胎し,その後,夫と婚姻したが,婚姻の解消又は取消しに至り,その後,出産した子については,婚姻した夫の子との推定が及ぶことを前提として議論を進めており,特段異論はなかったものですので,従前の規律からは明確でなかった点を明確にするために修正を加えました。また,部会資料では,「婚姻の成立の日の後」という表現をしているのですけれども,婚姻の成立した日を含まないようにも読めますので,婚姻成立後という記載にすることも検討しております。   そのほか,第3の女性の再婚禁止期間も含めて,実質的な修正点はありません。   次に,補足説明(案)と参考資料についても御説明をしたいと思います。   参考資料として事前に送付しました補足説明(案)を御覧ください。実質的な変更点としましては,25ページの(注15)でして,ここでは,母が複数回再婚及び離婚をした後に子を出産した場合の規律について検討を加えております。本文③では,甲案,乙案のいずれかを採用することによって変わってくる場面もありますけれども,基本的には一番最後の夫の子と推定することが考えられるのではないかという記載をしております。   次に,参考資料14-1と2の御説明をしたいと思います。補足説明(案)の19ページの(注10),26ページの(注16),(注17)でも記載しております。参考資料14-1を御覧ください。平成29年6月時点における,平成26年から平成28年までの間に全国で出生した子302万9,074件のデータを調査いたしました。調査結果は,婚姻後200日以内に生まれた子について,母の現夫を父とする子(推定されない嫡出子)が99.5%,母の前夫を父とする子が約0.02%,嫡出でない子の数が0.01%となっております。   次に,母の婚姻解消後300日以内かつ母の婚姻後200日以内に出生した子について,母の再婚後の夫とする例が約96.6%,母の前夫を父とする子が約3.4%,これは平成29年6月時点の調査だったのですけれども,その後に裁判等があった場合には父が変わったりしますので,確認したところ,令和元年6月時点ですと,母の前夫とする例が58件から52件に減少しておりました。   次に,母の婚姻解消後300日以内かつ婚姻後200日以内に出生した子のうち,母の再婚後の夫を父とする子の出生事項の特記事項について,民法第772条の推定が及ばないという記載が全体の約29.7%,認知の裁判の確定が全体の12.2%,嫡出子の否認の裁判確定が約8.6%,親子関係不存在の裁判確定が約16.6%,空欄というのもあるのですけれども,それは同一人と再婚した場合などです。   参考資料14-2についてです。こちらも補足説明の27ページの(注18)でも記載を加えております。参考資料14-2を御覧ください。本見直しの影響を把握するために,東京法務局など17局で把握している無戸籍者の方について,母の婚姻状況等を戸籍から確認することをしました。まず,離婚後300日以内に生まれた子が808名いるのですけれども,そのうち,母親が離婚後300日以内に更に婚姻,再婚をされて,その再婚した後に出生している数が289名,35.8%,本文の③の規律によると再婚後の夫の子と推定される子がこの②に当たります。次に,③として,①のうち母が離婚後300日以内に婚姻している者(②を除く)となっていますので,再婚後に生まれたわけではなくて,生まれた後に再婚した方が③に当たります。こちらは11%で,今,再婚禁止期間があったりしますし,今,規律がないので,こういった層は今回の見直しで②の層に入ってくる可能性があるものかと思っています。②と③の合計が378名で46.8%。④は参考としまして,離婚後2年以内に婚姻している数としましては,300日を除いて8.3%で,そこも加えると全体で55.1%になります。   部会資料14-1の第2,第3の説明は以上になります。 ○平田幹事 1点だけお詫びを申し上げたいというところでございます。参考資料14-1と14-2については,データの精査等,時間が掛かってしまい,今回,中間試案取りまとめの段階で御報告させていただくことになってしまって,遅くなってしまって,本当に申し訳ございませんでした。14-1につきましては,今回の見直しの方向性に沿うものと考えておりますけれども,その評価も含めて御意見を賜りたいと考えておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございました。   参考資料は,これまで補足説明の(注)に出ていた資料を少し詳しくしていただいたものですが,皆さんの関心も高かったものということで,このような形で御説明を頂いたものと理解しました。   中間試案につきましては,先ほど御説明で使われた14-2で申しますと,3ページの中ほどより少し下に,たたき台からの変更点がございますけれども,婚姻中に出産した子であるというところの表現ぶりを改めたということかと思います。そのほか,補足説明の25ページの(注15)の追加といったことについても御説明がありました。これらの点について御意見を頂きたいと思いますが,その他の点も含めまして,御自由に御発言を頂きたいと思います。 ○窪田委員 ありがとうございます。   中身を変えてくれという趣旨ではありませんが,3ページ,たたき台からの変更点とされる点で,私自身が議論を正確に覚えていないというか,きちんと聞いていなかっただけなのかもしれませんが,婚姻前に懐胎して,その後,婚姻して,しかし,その後また離婚して,その後生まれた子についてもこれでカバーするということで,特段異論はなかったものと書かれているのですが,それほど明確にこの点を議論したのだろうかというのが少し気になっています。というのは,結論としてはこのように規定しないと,欠缺といいますか空白ができてしまうことになりますので,問題点があるということはよく分かるのですが,基本的には親子関係を考えるときに,現行法のような懐胎主義か,あるいは分娩主義ということで,婚姻中の出産主義というのを採るのかというのはあるのですが,このケースに関していうと,懐胎も出産も,いずれも婚姻にはかぶっていないということで,それほど自明に当然こういうふうにいえるのかなということです。こういうふうにしないと空白部分ができてしまうということではよく分かるのですが,少し気になりました。これはたたき台からの変更点ということですから,別に表に出るものではないのだろうと思うのですが,特段異論はなかったということではなくて,むしろ,少なくとも,中間試案の後でも結構ですので,意識的にやはりきちんと検討した方がいいのではないかという感想を持ちました。   ただ,ひょっとしてもう議論が尽くされていて,終わっている問題であったら,発言としては撤回させていただきたいと思います。 ○平田幹事 ここの部分は確かに窪田委員御指摘のとおり,明確にここを題材として中心的に議論したというところではございませんが,一部,従前の部会の中でここの部分について御指摘があって,そこの部分を事務局からも説明させていただいて,少し話題に上って,特段御異論はなかったというようなところから,このような記載をさせていただいたという次第でございます。ただ,ここの部分は御異論等もあり得るというところかとも思いますので,今後進めていく上で,また明確に御議論いただくというところで,また御意見を賜りたいとは思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。   ここは確かに御意見はあり得るところだろうと思います。それから,先ほど申し上げましたけれども,補足説明の(注15)で加えたところについても,説明は与えられておりますが,ここもまた,後の段階で御意見を伺う必要があるのではないかと思っております。しかし,現在の中間試案及び補足説明の段階としては,このようにさせていただくということで,窪田委員,よろしいでしょうか。 ○窪田委員 それで結構です。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかに御発言,いかがでしょうか。 ○井上委員 ありがとうございます。   再婚禁止期間に関して,補足説明(案)の31ページの(注4)のところに,国連の話であったりとか,この間,私が発言していた内容をきちんと丁寧に反映いただいたことに重ねて感謝を申し上げたいと思います。また,(注5)のところには,昨年末に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画の中で,女性の再婚禁止期間の在り方の検討が入っているのですが,そのことも記載をしていただきました。正にこのタイミングに合わせて,こういうものも盛り込んでいただいたということで,どうしてもこの計画は内閣府がやっていると思われがちなのですけれども,国としてはこういうところできちんとやっているのだということが発信できると思いますので,重ねてお礼を申し上げたいと思います。   その上で,これもコロナに関連してくるのですけれども,昨年,特別定額給付金の支給が決定した際に無戸籍者の扱いが話題となりました。最終的に支給されるようになりましたけれども,やはり改めて,この無戸籍という問題,課題が福祉サービスの対象外として扱われがちであるということが浮き彫りになったと思っています。なので,こちらの方もやはりその発信をどういうふうにするかということで,無戸籍者の方,あるいはその家族の不安の軽減にもつながるのではないかと思いますので,併せて工夫をお願いできればと思います。 ○大村部会長 先ほど御指摘の点と併せて,事務当局の方で工夫をしていただきたいと思います。   そのほか,いかがでございましょうか。 ○大森幹事 補足説明について1点,指摘させていただきます。25ページになります。300日以内について推定を維持するとした場合に,無戸籍問題の解消という観点では,再婚した場合しか救済されないのは限定的ではないかという問題意識から,それ以外の方途として認知による方法が認められないかという点について,これまで議論させていただいたかと思います。前回指摘させていただいたことを踏まえて,任意認知だけではなく強制認知についても触れていただき感謝申し上げます。ただ,強制認知に関する記載がやや引っ掛かるものですから,その表現等について御検討いただければと思います。   具体的には,婚姻解消等後に生まれた子一般に拡大をすることは,父子関係を不安定にすると表現されておられるのですが,強制認知によって法的な父子関係が決まる,しかも血縁があると裁判所が認定しているということからすると,強制認知によって決めることが父子関係の不安定になるとは思われないという点で,この表現が引っ掛かるところでございます。   元々21ページで,なぜ前夫の推定を維持しながら再婚した場合には例外を認めるかというところの説明で,(1)の最後の部分ですが,子に推定される父が確保される場合に限って例外的に認めるということでいいのではないかという記載をしていることからも,強制認知によってきちんと血縁ある父が確定する場合は,父子関係の不安定とならないのではないかとも考えられますので,ここの記載ぶりを少し検討していただく必要があるのではないかと思います。   例えば,いつ強制認知ということがなされるか分からない,そういう意味で不安定なのだともしお考えになるとすれば,そこは,例えば婚姻解消後の強制認知する場合に限っては期間制限を設けるとか,そういった対処も出てくるかとも思いますし,そういったことも含めると,ここをもう少し検討していただく必要があるのではないかと考えている次第です。 ○平田幹事 御指摘ありがとうございます。   一応,25ページの記載につきましては,趣旨としては,300日以内に生まれた子であっても推定の及んでいる子について強制認知を認めるということになると,それは一般的に法的な安定性といいますか,推定が及んでいるにもかかわらず認知ができるというところの道を開くという意味で,不安定になるというところで表現させていただいた一方で,再婚の例外の場合は,再婚後の夫については推定が及ぶというところもありますので,そこは優劣の問題とも考えられるところもございますので,そういう整理はさせていただいたところではあります。ただ,今の御指摘を受けましたので,なるべくそういう誤解がないように,少し表現ぶりについて検討させていただきたいとは思います。 ○大村部会長 大森幹事,今のようなことでよろしいでしょうか。   それでは,ここは少し表現ぶりを事務当局の方で検討していただくということにさせていただきたいと思います。   そのほか,いかがでございましょうか。 ○中田委員 ありがとうございます。中田です。   形式的なことで,かつ従来からあったことで,今更なのですけれども,第2についてでございます。第2の1は,再婚後の夫の子と推定するという規律でありまして,第2の2は,その推定が否認された場合に前夫の子と推定するという規律だと思います。他方で,第2の1の(注2),3ページの14行目以降ですけれども,これは前夫の相続人となった場合の問題であります。したがって,この(注2)は第2の2の(注)にする方が分かりやすいのではないかという気もしてきたのですけれども,これを第2の1の(注)に置くというのは何かお考えがあってのことでしょうか。 ○平田幹事 第2の1の(注)については前々回くらいに御指摘を受けまして,置かせていただいた次第ではございますけれども,この推定の規定をいじることによって,こういう問題も検討すべきではないかという御指摘を踏まえて検討させていただいたところです。ただ,御指摘のとおり,否認された場合に生じる問題というところではございますので,第2の2の方に記載するということも十分考えられると思います。 ○大村部会長 中田委員から御指摘ありましたけれども,内容に関わるということではないとは思いますけれども,読みやすさとして,どちらが読みやすいのかということをもう一度精査していただきまして,この位置にとどめるのか,あるいは御指摘のように2の方の(注)に移すのかということについて再考させていただきたいと思いますけれども,中田委員,それでよろしゅうございましょうか。 ○中田委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。 ○大村部会長 では,事務当局もそういうことでお願いいたします。   そのほかに,いかがでございましょうか。 ○木村(敦)幹事 ありがとうございます。補足説明の23ページのところ,本日,当日資料としてお配りしていただいた参考資料14-2に関連する注18の直前の記述について, お伺いできればと思います。すみません,私が十分に理解していないだけかもしれませんが,補足説明23ページでは,「離婚後300日以内に生まれた子のうち,母が離婚後300日以内に再婚していたのは約46.8%であり,母が離婚後300日経過後2年以内に再婚していたのは約55.1%であったとの調査結果とを踏まえると,本見直しにより」という説明がされております。この記述について,前者の46.8%であるという結果だけでなく,母が離婚後300日経過後2年以内に再婚していたという55.1%の調査結果,つまり参考資料14-2での②,③,④の調査結果の合計部分が,本件見直しとの間でどのような関係性があるのかが理解できていないので,教えていただきたいと思います。 ○大村部会長 今の確認なのですけれども,木村幹事の御指摘は,今日の参考資料14-2でいうところの②,③が46.8%というのが今回の改正案との関係で意味があるところであって,④は直接には効いていないのではないかという指摘ですね。 ○木村(敦)幹事 はい。更に言うと,参考資料14-2でいうところの③の部分についても本件見直しとの関係性が十分に理解できておらず,子どもが出生してから再婚して,離婚後300日以内に出生した子についても,本件見直しによってカバーできるという理解でよいのでしょうか。 ○平田幹事 木村先生御指摘のとおりで,今回見直しをした場合,直接的に救済されるといいますか,この規定が適用されて推定が及ばなくなるというところは,289名,35.8%のところは,何もせずとも今回の見直しをすれば再婚の夫の子と推定されるというところでございます。残りの二つについては,行動変容を含めて蓋然性はどれぐらいあるかというところで調べている数字で,300日以内に再婚していると,かなり近いところで再婚しているというところで,それが約11%いるというところと,その先は更に遠くなっていくところではありますけれども,2年ぐらいでどれぐらい再婚しているかというところも一応,調べたという参考値でございます。 ○木村(敦)幹事 分かりました。ありがとうございます。 ○大村部会長 今のような理解に立って,補足説明の23ページについては少し表現を見直していただければと思いますけれども,木村幹事,それでよろしいでしょうか。 ○木村(敦)幹事 はい。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほか,いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。   ありがとうございます。幾つか形式に関わる点など御指摘を頂きました。あるいは,補足説明の内容につきましても御指摘を頂きましたけれども,それらの点については必要な修正を加えるということで,ここも引き取らせていただければと思います。   続きまして,残りの部分,第4,第5,それから第6,これらの部分につきまして事務当局の方からまず御説明を頂き,その後で御議論を頂きたいと思います。   では,お願いいたします。 ○小川関係官 部会資料14-1の第4から第6について御説明いたします。部会資料14-2も適宜御参照ください。   まず,第4の嫡出否認制度の見直しについてです。1は夫の否認権の見直しについては,たたき台から表現等の修正はございますが,実質的な変更はございません。   2は,子及び母の否認権の新設についてです。こちらについて何点か,たたき台からの修正点がございます。まず,甲案①などには「民法第772条の場合において」と記載をしております。これは民法第774条の規定の表現を参考に記載しているものですが,本試案の第2の1では,民法第772条についても一定の見直しをすることを予定しておりますので,その見直し後の規律を前提とするという旨を明記しておいた方がよいということで,(注1)に付記させていただいております。   次に,前回お諮りしたとおり,親権を行わない母にも子の否認権の行使を認めるとの提案をすることとしておりますが,そのことの当否については引き続き検討する必要があるとも思われますので,その旨を(注2)に付記しております。また,親権を行わない母にも子の否認権の行使を認めるといった提案をすることに伴って,これまで親権を行う母が子の否認権を行使することができるという考え方を前提として御提案させていただいていた規律,すなわち,母と共に親権を行う夫の地位及び親権を行わない母による特別代理人の請求の論点については,第一次的には問題にならないということと思われますので,中間試案(案)の記載からは落とさせていただいております。   さらに,甲案の④についてですが,たたき台では,未成年後見人は,「子の母がいない場合に限り」子に代わって嫡出否認の訴えをすることができるとの提案をしておりましたが,親権を行わない母がいる場合であっても未成年後見人が選任されることがあり得るところ,この場合においても未成年後見人が否認権を行使することが適切であるとも考えられます。また,これまでの部会の御議論の趣旨にも反するものではないと考えられますので,「子の母がいない場合に限り」との記載を削除することとしております。これにより,未成年後見人が選任されている場合は,母も未成年後見人も子の否認権を行使することができるものとするということになります。こちらは若干ですが実質的な修正になりますので,御意見を賜れればと思っております。   次に,3は,再婚後の夫の子であると推定する子についての前夫の否認権の新設についてです。(1)は,再婚後の夫の子であるという推定について,前夫が否認権を行使する場合に関するものですけれども,前回いただきました本文第2の2の記載との関係を明示すべきとの御指摘を踏まえて,ここでは重ねて記載することはせずに,本文第2の2の規律がここでも適用されるものであるということを(注2)において付記することとしております。   次に,(2)ですが,再婚後の夫の子であるという推定が否定された場合に,前夫が自らの子であるという推定に対して行う否認権についてです。本文部分には修正はございません。もっとも,(注4)において引き続き検討すべき事項として,従前の提案では裁判所が通知すべき範囲と記載させていただいていたところについて,その範囲が具体的に意味するところが明確でないとも考えられましたので,これまでの御議論を踏まえまして,その内容を明確にするため,当該制度を設けるものとした場合に,記録上,通知先が判明していない場合の取扱いも含め,例外的に通知を要しない場合を認めることの当否や,裁判所が通知すべき事項について引き続き検討するというように修正をしております。   なお,嫡出否認制度の見直しに関しては,その他の者の否認権として,生物学上の父と主張する者や公益の観点から検察官,児童相談所長等の否認権についても御議論を頂いておりましたが,積極的な提案という形では残っておりませんので,中間試案(案)には記載をしておりません。   次に,第5の嫡出否認制度に関するその他の見直しについてです。1は成年等に達した子の否認権についてです。表題を修正させていただいたほか,成年年齢の引下げに関する民法の改正を踏まえた修正をしております。また,成年等に達した子の否認権の適用範囲に関して,夫の否認権や未成年の子の否認権の行使によって提起された嫡出否認の訴えに対する棄却判決が確定し,子がその判決に拘束される場合には,成年等に達した子の否認権といえども行使することはできないということを(注3)において明記することとしております。   2は,父子関係の一方当事者が死亡した場合の規律の見直しについてです。(注1)を付記させていただいたほか,実質的な修正はございません。   最後に,第6は嫡出推定制度の見直しに伴うその他の検討事項についてです。1は,嫡出の承認の制度の見直しに関する検討についてですが,たたき台からの実質的な修正はございません。   2は,第三者の提供精子により生まれた子の父子関係に関する検討についてです。こちらも,前回の御指摘を踏まえた修正以外には,実質的な修正はありません。   3は,認知制度の見直しについてです。(1)未成年の子の認知に関する規律の見直しについては,たたき台から修正はありません。   (2)の事実に反する認知の効力に関する見直しについては,現行法からの変更点が明らかになるよう記載ぶりを修正しておりますが,実質的な修正はしていないところです。   中間試案(案)についての御説明は以上となります。   なお,推定の及ばない子に関する外観説の明文化の論点と,嫡出の用語の見直しの論点については,いずれも積極的な提案という形ではございませんので,中間試案(案)には記載をしておりません。   説明は以上になります。 ○大村部会長 ありがとうございます。   第4から第6までまとめて御説明を頂きました。説明の中の多くの部分は細かな調整をするという内容かと思いますが,今の御説明に使われた資料で申しますと5ページから6ページに掛けて,たたき台からの変更点が出ている部分について,多少実質にわたるような修正も含まれているように思います。これらの点も含めまして,第4から第6の全体につきまして御意見を頂ければと思います。 ○窪田委員 大きな修正の提案になってしまうのかもしれないのですが,今回改めて中間試案をずっと読み直しているときに少し違和感があったのが,実は第5の「嫡出否認制度に関するその他の見直し」という章立ては必要なのかなというのが気になりました。というのは,第4は全然,このままで結構なのですが,第5の中で挙げられている成年等に達した子の否認権,それから父子関係の当事者の一方が死亡した場合の規律というのは,いずれも嫡出否認制度の見直しという中で本来扱われるべき問題なのではないかという気がします。   特に子及び母の否認権の新設というところを読むと,やはり多くのこの問題に関心がある人は,子の否認権について母親が代理で扱うという問題はあるにしても,それとは別に子ども自身が否認権を行使できるのかという論点もあるはずだ,それはどうなのだろうかと考えて読むのではないかと思います。そうすると,第4ではそれは全く触れられていなくて,第5のその他の見直しの中に入ってくるのですが,こういうふうな切り分けをする必要があるのかというのが少し気になりました。   順番に関しては,このまま第5の1と2を4と5にずらせばいいだけなのではないかと思います。こうした点をこの段階で申し上げるのは適切ではないのかもしれませんが,形式的には多分それほど大きなことではないと思いますので,御検討いただけたらと思ったという次第です。   ちなみに,第6のところで「嫡出推定制度の見直しに伴うその他の検討事項」という似たようなのがあるのですが,これは正しくその他の検討事項ということになると思うので,これはそのまま残しつつ,第5を本当に独立させる必要があるのかどうかだけ,少し皆さんの御意見も伺えればと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。第5の部分の位置付けに関する御意見と伺いました。ここは,窪田委員のおっしゃっていることも分かりますが,前の部分が一旦完結した形になっている感じもしないでもないので,どうしたらいいか悩ましいところですが。 ○平田幹事 御指摘ありがとうございます。   一応,第4,第5という形で今,まとめさせていただいているところなので,単純にこれを4,5として続けられるのかというのは少し検討させていただきたいと思います。第5の1として分けたのは,未成年の場合の,幼少の頃の否認権という従前の否認権の話であるのに対して,第5の1で成年等に達した子に関するものというのは,既判力,対世効を含めまして,若干,従来のものとの関係はどうなのかなどの問題があり,従来のものとは質を異にする部分があるのではないかということで,今回切り分けさせていただいたという次第ではございます。 ○大村部会長 今の点は提案自体の内容に関わるということではなく,第4と第5のつながり具合,あるいは連続性をどのぐらい重視するのかということかと思います。窪田委員からは,第5の見出しを除いて番号を送れば,それで修正できるのではないかという御示唆がありましたけれども,それでうまくいくのかどうかということと,それから,第5の1で提案されていることは,第4とはやはり性質が違うところが多少あるのではないかといったお答えがありました。   なかなか悩ましい点なのですが,余り大きな修正をしないで済ませるとすると,第5の見出しをもう少し第4と関連付けた形にするということも考えられるのかと思って伺いました。事務当局の方はどうですか。あるいは,窪田委員からは,第4の中では第5の話が出てこなくて,突然第5が出てくるのはいかがなものかといった御指摘もありましたけれども,第4と第5の関連性について,第4の中で,より関連性が明らかになるような説明を付け加えていただく等の中間的な対応策もあろうかと思います。 ○窪田委員 余りこだわるものではないのですが,現在も第4の2の最後の(注3),(後注)のところで否認権との関係を触れていただいていますので,私自身は第4と第5の関連性については法務省の資料でも一応,触れられているのだろうとは認識しています。法務省の感覚としても,第5で扱っている問題というのはやや性格が違うのではないかというのは,あり得ないわけではないなという感じで当初,見ておりました。とはいいつつも,例えば出自を知る権利などでこの話を扱うというのではなくて,やはり否認権の問題として扱うということになるのであれば,もう一緒にした方がいいのかなと思ったという程度です。   ただ,飽くまでこれは私の感覚的なものですし,今の段階で言わずに,そんなことはさっさと言えよということだっただろうと思いますので,こだわるものではないのですが,少しでも考えていただけたら有り難いかなと思ったということです。 ○棚村委員 確かに分かるのですけれども,私自身も,未成年のときの子どもの否認権というのが一番問題になったのは,やはり否認権を母親に認めた場合に,代理としてやる場合と固有にやる場合とでどう違うのかという点であったと思うのです。子ども自身の固有の否認権ということを言った場合は,はっきりと判断できるようになった成年に達してから認めるというのは,利害関係や置かれた状況が大分違っているので,私自身は,5という形でくくり出して整理されたことに余り違和感を感じませんでした。そういう議論の経緯を考えると,同じ否認権とはいっても子どもの年齢や状況に応じて,未成年者と成年を少し分けて考える,連続性のある部分もなくはないのですけれども,区切って整理をされたということで,私は,今回の提案については割合とすんなりと理解ができていました。   強いて言えば,今,大村部会長がおっしゃったように,少し表題ぶりを変えることで誤解をされないようにすればよいのではないか,その他とすると切り離されたようなイメージがあると思うので,そちらの方をむしろ改められて,この記載自体の構成は一応これでいいのかなという印象を持ちました。むしろ,同じ否認権で子どもを扱いながら,この連続性や関係性が少し分かりにくいということであれば,この表題の整理の仕方を改めるとか,その他というよりは,何かもう少し表現や表題を工夫されると,構わないのかなという感じを持っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。   ここでの子どもの否認権というものを,それ以外の否認権とどのように関連付けるのかということについては,中間試案の後にも更に検討する必要があるだろうと思います。そのことは9ページの(後注)にも書かれているところかと思います。議論の後に,最終的に案を取りまとめるに当たって,窪田委員の御指摘のように,これは連続として一体として考えるべきものだからということで一致するということになりましたら,もちろんそのときにはその表題等も一括して付けるということになろうかと思います。現在の段階では,分かれていることにも理由があるのではないかという御議論もございますので,表題等の見直しが可能かどうかということについては御検討いただくということで,引き取らせていただきたいと思いますが,窪田委員,よろしいでしょうか。 ○窪田委員 はい,結構です。 ○大村部会長 では,こういう問題を抱えているということを意識しつつ,表題は検討していただくことにして,先に進ませていただきたいと思います。それでいいですか。   では,そのようにさせていただきます。   そのほか,いかがでございましょうか。 ○窪田委員 すみません,何度も。別のところなのですが,資料でいうと,14-2の方を今,手元で開いていますので,14-2の7ページ,上の方の7行目ぐらいでしょうか,(2)再婚後の夫の子であるという推定が否定された場合における前夫の子であるという推定に対する否認権の規定なのですが,書かれていることは当然,法律家だったら分かるということなのだろうと思います。つまり,この場合には否認をすることができるけれども,しかし,その期間が制限されているということなのだろうと思うのですが,ただ,(2)の3行目のところからの文言を見ると,中間試案という形で一般に意見を聴くというときに,この書きぶりが本当に分かりやすいのかなという感じはいたします。法律の規定の書き方としては余り望ましいのではないのかもしれませんが,ここで述べられていることは,前夫は当該審判又は判決が確定したことを知ったときから1年を経過するまでは否認権を行使することができるという趣旨なのだろうと思いますし,その方が分かりやすいのではないでしょうか。「(1)の規律に基づく」から始まっていて,この書きぶりというのは,必ずしもぱっと一読して理解できるという文言ではないのかなと思いましたので,この点を御検討いただけたらということです。 ○平田幹事 御指摘のとおり,(1)で否認権を行使できるというところで記載させていただいたところではございますけれども,分かりにくいというような御指摘を頂きましたので,少し検討させていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。その点につきましては表現ぶりを検討いただくということにしたいと思います。   そのほかはいかがでございましょうか。 ○大石委員 中間試案の3ページが一つ,もう一つは補足説明の38ページの(注5)に関わる部分です。   一つは,単純な問題です。3ページの第4の2のところで,この3行分ありますが,夫にのみ否認権を認めるうんぬんと,ここの後ろの部分で,具体的なケースとしてうんぬんというところが,読めば分かるのですけれども,主語が直接には隠れているので,子が未成年の間に否認権が行使されるときっちり書いた方がいいのかなと思います。全体として,行使されるのが何なのかというのがはっきりしないので,少し気になりました。   もう1点は,補足説明のところです。38ページの(注5)を見ると,上記(注3)記載のとおりうんぬん,このような立法例があるとありますが,このような立法例というのは何のことかと尋ねてみると,どうも,36ページから37ページのところですが,本部会ではこれこれを参考にこういう案についても検討がされたという,多分そのことを指しておられるようです。それを受けてのことであるなら,(注5)の位置は多分,36ページの下から2行目ではなくて,37ページの,という案,あるいは検討がされたというところに持ってきて,38ページの(注5)の方は,このような立法例は,上に書いたとおり,こういうところで見られるというふうにひっくり返した方が,意味としては通じるのではないかと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○平田幹事 御指摘を踏まえて検討させていただきたいと思います。 ○大石委員 よろしくお願いします。 ○大村部会長 そのほか,いかがでございましょうか。   第4から第6まで併せて御意見を伺っておりますけれども,いかがでございましょうか。 ○中田委員 ありがとうございます。補足説明の第7に,その他の検討として,嫡出の用語の見直しに関する検討という記載がございます。先ほどの御説明ですと,中間試案にはこの点は入れない,外観説についてと同様,入れないということにしておく一方で,補足説明の方に第7というタイトルで入れると,中間試案との対応が分かりにくくなってしまうのではないかと思います。ですので,もし中間試案に載せないのであれば,補足説明の方も少し工夫をする必要があるかなと感じました。 ○大村部会長 ありがとうございます。第7となっていると,中間試案の方に第7はどこにあるのかという疑義も生ずるのではないかという御指摘かと思いましたけれども,少しそこは書き方を工夫できますか。 ○平田幹事 御指摘ありがとうございます。そこの部分は我々も悩ましい部分もございまして,少し書き方を工夫したいと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○水野委員 本当にささいなことですので,少しためらいながら伺います。3の再婚後の夫の子であると推定する子についての前夫の否認権の新設という,ここの表現だけです。推定する子という表現が少し引っ掛かりまして,その次の行にも,第2のうち③の規律により再婚後の夫の子であると推定する子という表現があります。それで,補足説明の方を拝見しますと,補足説明の方は,52ページですが,再婚後の夫の子であるという推定される子になっております。推定される子の方で,統一された方がよいかと思います。ささいなことで,申し訳ありません。 ○平田幹事 御指摘のとおりかと思いますので,修正させていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○久保野幹事 資料14-2の6ページの11行目のところについて質問なのですけれども,母がいる場合であっても,未成年後見人が選任されることがあるという例示で挙げられている二つのうち,離婚後に父が子の親権者となっている場合というのは,離婚後に父が親権者になっていたところ,その父が死亡して未成年後見人が選任されている,母は親権者ではない状態でいるという,そういう場合を想定しているということでよろしいでしょうか。それで,補足説明の方では,44ページのウの1段落目の最後から3,4行目で,さらに,母がいる場合であっても親権の喪失等により,と書いてあるところにそれが含まれているという理解でよろしいかという質問です。それでもし間違っていなければ,もしかすると少し分かりにくいかなと思ったので,質問させていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○小川関係官 この点,大変申し訳ございません。事務当局においても,ご指摘のとおり若干記載に問題があると考えましたので,当日配布資料の方では,部会資料14-2の6ページの箇所で,離婚後に父が子の親権者になっている場合という部分について修正をさせていただいております。単独親権者となった父の親権が制限された場合という形で修正させていただいております。大変申し訳ございません。 ○久保野幹事 分かりました,失礼しました。すみません,送っていただいていたのに,そこを確認できていませんでした。 ○大村部会長 では,今の御指摘については説明がされているということで受け止めさせていただきたいと思います。   そのほか,御発言ありますでしょうか。 ○磯谷委員 補足説明の最後の第7のところが先ほど少し触れられていました。中間試案にはこの嫡出の用語の見直しについては盛り込まないというふうなことになった一方で,この補足説明の方には書いていただいているということです。それ自体,私はいいと思いまして,やはり一定程度議論したものですので,整理をしていただいて説明をしていただく,一般の方にそれを御覧いただくという機会としても,よかったのだろうと思っています。ですから,これは残していただきたいとは思うのですけれども,さはさりながら,引き続き慎重に検討することが相当であるという記載が補足説明の本当に一番最後のところにあります。けれども,流れを見ても,慎重にという言葉が必要なのかどうかというところは少し疑問が残ることと,それから,先ほどの御意見のように,では,なぜ中間試案に入っていないのだというふうな話にもなりかねないので,例えば,この問題は引き続き検討する必要があるので今回の中間試案には盛り込まなかったとか,何かそういうふうな形で説明いただくと,理解もしやすいのかなと思いました。 ○平田幹事 御指摘ありがとうございます。御指摘を踏まえて,検討させていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほか,いかがでございましょうか。 ○大森幹事 大森です。補足説明のところ,57ページです。再婚後の夫の子と推定された場合についての前夫の否認権の要件に関する甲案,乙案について,乙案の考えの説明の仕方がこれでいいかということと,その中身がこれでいいかということを確認させていただきたいと思います。   乙案は,子の福祉という要件で検討するという案になっていますけれども,それを具体的にどう判断するのかということについて,57ページのウの4段落目の「しかし」から始まる文章で,前夫の否認権行使が認められるかどうかというのは,前夫又は再婚後の夫のいずれによって養育されることが子にとって望ましいかを比較するものではないと書かれており,そうすると何を審理するのかということについては,再婚後の夫と子との間に生物学上の父子関係がないことを前提に,前夫と子との間の生物学上の父子関係の有無,再婚後の夫と母の家庭による養育の可否を踏まえて判断されると表現をされているのですが,ここについて,では結局どう判断するのかということが分かりにくいというか,よく分からないと読んで思いましたので,分かりやすいようにもう少し表現を検討された方がいいのではないかと思います。  また,その後に,具体的にはと書かれているのですが,この内容で乙案の考えは果たしていいのだろうかと少し疑問に思いました。と申しますのは,甲案は単純に,前夫に血縁があるかどうかで判断することになっているのですが,乙案の場合には,前夫に血縁がなかったとしても,再婚夫と子どもに血縁がない場合には否認権行使が認められると考えており,ただし,それが子の福祉に反する場合は駄目だという文章になっています。しかし,元々前夫に否認権を認めるのは,再婚夫の推定が外れても前夫の子と推定されるからでしょう,だから単なる生物学上の父ではなく,認めていいのではないかという出発点があったはずなのですが,たとえ前夫に血縁がなかったとしても,再婚夫との間に血縁がなければ,基本的には否認権を認めるということが,果たして乙案で皆さんが議論したこととして想定をしていたのかという点が疑問に感じました。いかがでしょうか。 ○大村部会長 ありがとうございます。第1点は説明ぶりの問題かと思いますが,第2点は,ここでの説明がこれまで議論してきた乙案の考え方とそぐわないものを含んでいるのではないかという御指摘ですね。 ○大森幹事 はい。 ○小川関係官 まず,「しかし」から始まる一文について,内容が分かりにくいという御指摘の部分ですけれども,ここで記載させていただいた趣旨としましては,まず一つに,前夫の下で育つことと再婚後の夫の下で育つことを裸で比較衡量して,どちらがよいかという判断を裁判所に求めているものではないということを書かせていただいております。また,そこでの考慮要素として,当然ながら,再婚後の夫と子との間に生物学上の父子関係がないということを前提にした上で,前夫との生物学上の父子関係の有無だったり,再婚後の家庭での養育の可否といった要素が考慮要素になるのだろうという点も挙げさせていただいています。   「具体的には」から始まる一文は,事務当局としてこれまでの御議論をまとめさせていただいたところですが,もし御異論があれば,御意見を頂けると,それを踏まえまして書きぶりについて検討させていただきたいと思っているところです。   最後に,「他方で」から始まる一文なのですけれども,基本的に何か,どちらが原則でどちらが例外というところを意図して記載したつもりではなかったので,今,先生がおっしゃったような,否認できないことが原則と読めるということであれば,そこは修正させていただきたいとは思います。   以上ですが,回答になっているでしょうか。 ○大村部会長 2点目について,大森幹事の御趣旨が十分に伝わっているでしょうか。 ○大森幹事 まず,1点目につきましては,単に前夫と再婚夫,どちらの方が子の養育にとって適切かというのを考慮するものではない,これは異論がないところだと思います。では,どう判断するのかという点について,前夫との父子関係の有無や再婚夫と母の養育の可否というのを,どう考慮するのかというところがよく分からないと思ったところでございます。   3点目の,「他方で」以下のところで,前夫と子との間に生物学上の父子関係がない場合でも,再婚夫と子の関係の否認を認める場合があるということを,乙案の場合は想定をそもそもしていたのであろうかという点が疑問に思いまして,先ほど指摘させていただきました。 ○大村部会長 今の乙案についての説明で,最後が(注4)となっていますが,その上の行ですけれども,否認をすることが相当でない場合もあると考えられるというのが,表現として少し弱いのではないかということでしょうか。   前夫との間に生物学上の関係がないということであれば,後の夫との間に生物学上の親子関係がないとしても,再婚後の夫の子であるということを否認すべきでない場合があると書かれているので,否認すべき場合もあるということを積極的に含んでいるように見えるという御趣旨ですか。 ○大森幹事 はい。 ○大村部会長 常に前夫との生物学上の関係がないということであれば,後の方は否認できないということだったのではないかということでしょうか。 ○大森幹事 そうですね,元々乙案が出てきた出発点の子の福祉というのは,たとえ前夫に血縁があったとしても,それは反射的に再婚夫との父子関係はないということになるわけですが,その場合でも一定の場合には,子の福祉に反するような場合には前夫の否認権を認めないと考えるべき場合もあるのではないかということだったのではないかと思うのですが,そことは少し違うのではないかとも思って,少し御質問というか,確認をさせていただいた次第でございます。 ○大村部会長 御指摘の趣旨は分かりましたね。 ○小川関係官 1点だけ,すみません,既に出ていたら大変申し訳ないのですけれども,前夫と子との間に生物学上の父子関係がない場合には,基本的に否認を認めることは相当でないという考え方が,乙案によって出てきたところからすると,そう考えるべきであるという御指摘と理解したのですけれども,生物学上の父子関係が前夫との間にない場合であっても,例外的に否認を認めるべき場合というのはないのだというところまで言い切った方がよいという御趣旨でしょうか。 ○大村部会長 そういう場合はあり得るのだということであるとすると,あとは相当でない場合もあるという表現がこれでいいのか,もう少し積極的にというか,もう少し強く書いた方がいいのではないかという程度の問題になるのではないかと思います。私が,ここは表現の程度の問題についての御指摘ですかと申し上げたのは,そういう趣旨だったのですけれども,今のように受け止めてよろしいですか。 ○大森幹事 はい。 ○大村部会長 そこは少し工夫していただいて,相当でない場合もあるということだと,相当な場合もかなりあるという印象を与えるようにも思えるので,少しニュアンスを検討していただければと思います。   大森幹事,それでよろしいですか。ありがとうございます。   それから,しかしの後の表現については,これでは分からないといった御指摘もありましたけれども,分からないところが残るという問題もあるのかもしれませんが,そこを勘案した上で,現在の段階でより分かりやすくできるようでしたら,やはり表現の工夫をしていただくということにさせていただきたいと思います。 ○窪田委員 今の点なのですが,乙案をどのように理解するのかという点についてはそれぞれ違っているのかもしれませんが,私自身は甲案と乙案の議論してきたときの乙案というのは,むしろ血縁関係そのものの存否というのを表に出して検討しないというところに主眼があったのではないかという気がいたします。   その点で,大森幹事の御理解と違うのですが,これはもうどちらが正しいとかという話ではなくて,単に私がそういうふうに理解していたということなのですが,私のような理解を前提とすると,57ページの(注4)のような形で,子の福祉に反することが明らかな場合としてこんな場合があるよねというのは分かるのですが,一般的なルールを立てることがそもそも難しいのかなという気がしますし,取り分け一般的なルールの中に,先ほど大森幹事からも御指摘があった部分なのですが,前夫と子との間の生物学上の親子関係の有無やという形で,考慮要素の中にこれが入ってくることをストレートに挙げてしまうと,結局,甲案とかなり違うタイプのものとして乙案が置かれたという趣旨とは違うのかなという気もします。乙案が元々が多分はっきりしない案だとも思いますのが,ここを余り頑張って書き込むと本来の乙案とは離れていってしまうのではないかという気がします。多分,大森幹事とはまた別の視点ということになると思いますが,少し気になったので,発言させていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   乙案の理解について,今,複数の考え方があるかもしれないという御指摘を頂いておりますけれども,窪田委員がおっしゃったように,血縁関係の問題を正面には出さないということで乙案が立てられたということは,確かにそうなのだろうと思いますが,しかし,血縁関係もこの要件の中で問題になるだろうという御理解もあったのではないかと思います。それを勘案するとどうなるかということでこの補足説明が書かれているのではないかと,私自身は今のお話を伺って,思っておりました。二つの立場があるとすると,双方から御不満なところもあるのかもしれませんけれども,それが現在の理解の状況かという気もいたします。そうだとすると,「具体的には」からの後については,最後のところの先ほど申し上げた点は多少手直ししていただくとして,全体としてはこれでよいとも思いますが,窪田委員,どうでしょうか。 ○窪田委員 はい,結構です。 ○大村部会長 窪田委員のお考えはよく分かりますけれども,生物学上の親子関係に関する言及をなくせという御趣旨ではないと理解しましたが,それはそれでよろしいですね。 ○窪田委員 それで結構です。というのは,むしろ,先ほどの大森幹事の御発言を受けて修正するということになると,それが前面に出た形で,認める,認めないという話が出てきてしまいそうですし,乙案というのが甲案の別のアプローチではなくて,甲案に追加したというような位置付けになってしまうと思うのですが,そうではなくて,乙案の中でいろいろな要素が考慮される可能性があるだろうということ自体は,私もそうだろうと思いますので,私自身は要するに,生物学上の父子関係の有無というのを余り前面に出すというのは本来の乙案の趣旨ではない,ということだけ確認したかったということです。 ○大村部会長 ありがとうございます。   今の趣旨も踏まえて,ここのところを見直していただくということでよろしいですか。 ○平田幹事 はい,検討させていただきます。 ○大村部会長 大森幹事もそれでよろしいですか。ありがとうございます。   そのほか,御発言はいかがでしょうか。 ○山根委員 全体を通して,何でもよろしいですか。 ○大村部会長 全体については最後に御意見を頂こうと思いますので,少しお待ちいただけますか。 ○山根委員 分かりました。では,1点だけ。先ほどもやり取りがあったところですけれども,第7の最後の文章で,用語の見直しについての,引き続き慎重に検討することが相当であるという文章ですけれども,やはり私も慎重にというのは取って,少し工夫した文章にしていただければと思いました。まず,そこだけです。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そこは複数の御意見がありましたので,検討いただければと思います。 ○平田幹事 今,部会長御指摘のとおり,複数御意見いただいたところでもございますので,検討させていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   それでは,山根委員には,全体については後でまた御発言を頂くことにいたしまして,第4から第6につきまして,ほかに御発言ありませんでしょうか。よろしいでしょうか。 ○木村(敦)幹事 2点ございます。まず1点目,先ほど補足説明57ページのところで議論があった点などに関わる点ですけれども,子どもの福祉に反しないことを要件として設けるかという形で文言が使われております。また,母親の否認権のところも同じような文言だったと思われます。しかし,子どもの福祉という文言自体は民法においては現在のところ用いられていないと思います。これまでの議論の中で,私などがドイツ法の文言をベースに福祉という言葉を使っており,事務局の説明においても子どもの福祉要件という表現が使われているかと思うのですけれども,現行民法では子どもの利益という要件が使われていることとの関係から,この中間試案において子どもの福祉という文言が使われていることについて,子どもの利益という要件に変える必要があるのか,それとも,あえて使い分けておられるのか,その点について,まずお伺いできればと思います。よろしくお願いします。これが1点目です。 ○大村部会長 では,2点目も併せてどうぞ。 ○木村(敦)幹事 2点目が,補足説明の63ページのところになります。成年子について否認権を設けるかどうかのところに関連付けて,子どもの出自を知る権利についての記述があります。これまでの法制審議会の議論を丁寧に追っていれば,なぜ成年子について子どもの出自を知る権利が特に問題になるのかということを理解できるかと思うのですが,中間試案及びその補足説明を初めて読まれた方からすると,なぜ成年子について子どもの出自を知る権利との関係でこのような記述があるのかについて,少し唐突な印象を受けるのではないかと思いました。成年子については,特に子どもの出自を知る権利を保障するという必要性があるということについて,何かしら,補足的な説明を加えていただくとか,もう少し書き方を工夫していただく必要があるのではないかと思いました。加えて,63頁(2)の最後3行なのですけれども,子どもの出自を知る権利を保障することを主たる理由とすべきではないとありますが,現段階でこのように断言していいのかという点も若干,疑問があるところかなと思ったので,その点も併せて検討いただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○平田幹事 まず,1点目,子の利益か子の福祉かというところでございますけれども,もちろん事務局としてここの表現に強いこだわりがあるというところではございませんし,子の利益という現行法,民法で使っている用語にしていただくということも十分あり得るとは思いますので,もしよろしければ,この場で委員,幹事の皆様の御意見を伺った上で,修正したいと考えております。   2点目につきましては,ご説明上の表現をどうするかというところかと思いますので,検討させていただきたいと思います。 ○大村部会長 第1点については,最終的には法制上の問題も多少あろうかと思いますけれども,現時点でどうするかということについて,何か特段の御意見があれば頂きたいと思いますが,いかがでございましょうか。 ○棚村委員 確かにおっしゃるように,民法で子どもの利益とか,そういうことが一般化しているとは思うのですけれども,ただ,今回は,先ほども少し,血縁プラス子どもの福祉という,それ以外の要素も考慮するのかどうかという理解とかもあって,一応,これまで議論してきたことの延長戦として,補足説明にも書いてあるように,子どもの利益にしても,子どもの福祉も多義的で不確定概念ではあるのですけれども,今回の中間試案では,子どもの福祉という言葉のほうが利用されてきたように思います。また,子の福祉については,ある意味では子どもの利益に代替されるようなことで一般的にも使ってきているので,このまま使ってもよいかなと思いました。もちろん,今後,要綱から法案にするなどの具体的な作業を進めるときには,統一が必要だとかということで法制局とかいろいろなところから,子の利益という用語への統一ということが出てくるかもしれませんけれども,そのときでよろしいような気はします。現在はかなり多義的な一般的な用語として子の福祉という用語を使っているように思います。現段階では,子どもの権利とか子どもの利益というものを重視するのだという意味で,ここでは比較的多く,子どもの福祉という概念を使ってきているので,特に社会的親子関係とかいろいろな議論がこれまでも出ていますので,子どもの福祉で今回はよろしいのではないかという感じを持っています。   それから,先ほどの57ページのところもそうなのですけれども,私も窪田委員と理解をほぼ同じように感じていまして,血縁がもちろん基本なのだけれども,それ以外のファクターを入れて子どもの福祉という,極めて曖昧ではあるのですけれども,それ以外の要素を入れた上で判断しますよというので,生物学上の血縁というかなりはっきりした基準と,そうではない不確定なものを入れるかどうかの違いが一番大きな違いという理解をしていました。それなので,例として非常に工夫されていたところも,そういうものを入れながら説明しているので,最後は子どもの利益には合致するときは,こういうことで否認することが相当でないとかという話になったのだなというのも理解していたところです。表現ぶりは少し改めた方が分かりやすいと思いますけれども,そんなことなので,子の福祉というのは,これまでもそれで議論をしてきていますから,ここで中間試案のレベルで統一しなくてもよいのではないか。この点に対する理解も今回,大森幹事からのお話にもあったように,それほど具体的に何が決め手になるかということについてのコンセンサスもとれていないようなところがあるので,このままの表現ぶりは,子の福祉ということでよろしいかなという感じを持っています。将来はいずれかに統一しなければいけないとかということになるかもしれませんけれども。 ○大村部会長 ありがとうございます。   今御指摘の部分の補足説明を見ると,子の利益に合致するときはとあって,ここは子の利益と書いてありますので,互換的に使われていることもあろうかと思います。今の段階ではこのままでいいのではないかという棚村委員からの御指摘もありましたけれども,元々の木村幹事の御指摘は,これで大丈夫なのでしょうかという確認だったのだろうと思います。もし皆さんの方で,ここはどうしても子の福祉でなければいけないという御意見がないのであれば,どちらも可能であるということで,事務当局の方で調整をしていただくということにさせていただきたいと思いますけれども,他は子の利益であったとしても,ここは子の福祉でないと困るという強い御意見があれば伺いたいと思いますが,いかがでしょうか。   では,今のようなことで,ここは引き取らせていただくということにさせていただきたいと思います。   そのほか,第4から第6につきまして御指摘ございますでしょうか。 ○髙橋委員 大変細かいところで恐縮なのですけれども,今の57ページの書きぶりなのですが,乙案の書きぶりで,(注4)というのが一番最後に付いていて,これは,生物学上の父子関係がある場合であっても,嫌がらせ目的のときは子の福祉に反するという,生物学上の父子関係がある場合の例外を書いていますので,一番最後に付いていると,その手前の文章が生物学上の父子関係がない場合の説明があって,最後にまたここで何か頭が混乱してしまうような気がしますので,乙案について書かれているところ,下から7行目の「他方で」で改行して,その前の段落の「相当であると考えられる」のところに(注4)を付けたらいかがでしょうか。 ○大村部会長 ありがとうございます。(注4)をどこに付けるかという問題と,「他方で」のところで改行した方がいいかという問題は,独立にありそうにも思いますので,両者含めて御検討いただく,あるいは,(注4)という形にしないで中に入れてしまった方がいいのかもしれませんけれども,そういったことも含めまして,少し表現ぶりについては御検討頂ければと思いますが,髙橋委員,それでよろしいでしょうか。 ○髙橋委員 はい。 ○大村部会長 そのほか,第4から第6について,いかがでしょうか。 ○大森幹事 14-2の9ページ,成年に達した子の否認権の(注3)の,判決に拘束されるというところに関してですが,基本的にはここ自体に異論があるわけではないのですが,ただ,今回,生殖補助医療の問題が入ってきていることを踏まえますと,この棄却判決の中身として,生殖補助医療がされて,ただ,夫とされる人が同意していたということを理由に棄却された場合に,その場合でも子どもがやはり拘束されてしまうのかという点は,別に扱うべきなのかという議論は残るのではないかと思いますので,言い切ってしまう点に躊躇を感じます。 ○平田幹事 御指摘ありがとうございます。   まず,(注3)のなお書きの部分について,子の否認権の位置付けについては,(後注)にもありますとおり,元々の成年等に達した子の否認権と嫡出否認の訴えについて,どのように考えるかというのは引き続き検討するというところになります。それを踏まえた上で,御指摘の生殖補助医療の関係につきましては,第6の2で記載させていただいているとおり,生殖補助医療法10条に対応した規定を設けることの必要性について検討するというところで,成年に達した子で生殖補助医療によって生まれた子,両方の要件を満たした場合の話というのは,この二つが組み合わさった更に先の話というようなところもあろうかとは思います。今いただいた御指摘を踏まえて,記載ぶりについては何かできるかというところはありますけれども,ご指摘は,その段階を踏まえた上での課題であるとは認識しております。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。 ○大森幹事 はい。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほか,いかがでございましょうか。 ○垣内幹事 垣内です。ありがとうございます。   今の点ですけれども,(注3)のところの今のあれは,子が当該判決に拘束される場合には,という文言になっておりまして,そもそもいかなる場合に子が判決に拘束されるのか,あるいはされないべきなのかということについて,今の生殖補助医療の例もありますように,場合によっては議論があり得るところかとは思いますけれども,確定し,それに拘束される場合には,やはり否認権の行使ができないだろうということではあろうかと思いますので,私自身はここの記載ぶりについては,これで適切なのではないかという印象を持っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。見直しに当たっては,今の御指摘も踏まえていただきたいと思います。ありがとうございます。   そのほか,いかがでございましょうか。   よろしいでしょうか。それでは,第4から第6につきましても,頂いた御意見を踏まえまして,主として補足説明の方を見直させていただきたいと思います。   最後になりますけれども,全体を通じて御意見があれば頂きたいと思いますが,先ほど山根委員から御発言のお申出を頂いておりますので,まず山根委員からお願いいたします。 ○山根委員 ありがとうございます。   中身や何かでなくて,全体を通して,こういったものを読み慣れない者の意見なのですけれども,試案と補足説明の双方の該当部分がもっと照らし合わせやすくならないかなと思います。結構,読んでいて,私などはどこがどの部分に当たるのかを探すのに苦労しています。一つには,試案本文の見出しに付いた1,2という数字と,説明の方のタイトルに付いた数字が全く書体が一緒なので,そこに少し区別を付けるだけでも見やすくならないかなと思いまして,いろいろと御事情もあるのかもしれませんけれども,工夫いただければ有り難いと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   今の点は,確かにそうなのですね。2というのが試案と補足説明と両方出てきてしまうということがありまして,混乱するところがあろうかと思います。しかし,違う数字を使うのもなかなか難しいところがあって,痛しかゆしのところがございます。フォントですとか,あるいは体裁だとか,何らかの形でもし工夫ができるのであれば,工夫をしていただいて,御指摘のように,少しでも見やすいようにしていただければと思います。   このような形で,今の御指摘は引き取らせていただきたいと思います。   そのほか,いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。   それでは,御意見がないということであれば,中間試案につきましては,御指摘がありました点の修正を加えた上で取りまとめをさせていただきたいと思いますけれども,よろしゅうございますでしょうか。   ありがとうございます。では,そのようにさせていただきます。   なお,実質的な内容にわたらない表現,あるいは字句の修正につきましては,部会長と事務当局の方に御一任を頂くということにさせていただきたいと存じますが,この点もよろしゅうございますでしょうか。   ありがとうございます。それでは,本日の審議は以上でございますが,今後のスケジュール等につきまして事務当局の方から御説明を頂きたいと思います。 ○平田幹事 本日は中間試案の取りまとめをしていただきまして,誠にありがとうございました。   今後の予定でございますが,まず,部会長及び事務当局に一任を頂いた修正点につきまして,部会長の御了解を得た後に,事務当局の責任において作成させていただく中間試案の補足説明とともに,中間試案を公表いたしまして,パブリックコメントの手続に付すことを予定しております。   次に,パブリックコメントの期間でございますけれども,中間試案の公表のために若干の時間を要しますので,2月下旬から3月上旬頃から開始いたしまして,約2か月のパブリックコメントを実施することを考えております。   そういったところを踏まえまして,3月2日に現在御予定いただいていた会議につきましては一旦,休会とさせていただきまして,その後,御予定いただいている4月20日の会議については,嫡出推定制度に関して,無戸籍者問題の当事者や,これを支援されている方,また,懲戒権の見直しに関して,専門家の方々などからヒアリングを行うことを予定しているというところでございますので,また追って御連絡を差し上げたいと考えております。   次回の場所につきましても,現時点では未定でございますので,追って御連絡させていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   3月2日は開会をしないということ,次回につきましては,今お話がありましたようなヒアリングを予定しているということで,委細については追って御連絡を頂けるということでございます。   以上で,法制審議会の民法(親子法制)部会の第14回会議を閉会させていただきます。   本日も熱心な御審議を賜りまして,ありがとうございました。閉会をいたします。 -了-