法制審議会 刑事法(犯罪被害者氏名等の情報保護関係)部会 第4回会議 議事録 第1 日 時  令和3年8月24日(火)   自 午後1時30分                        至 午後2時39分 第2 場 所  法務省第一会議室 第3 議 題  刑事手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための刑事法の整備について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○栗木幹事 ただいまから法制審議会刑事法(犯罪被害者氏名等の情報保護関係)部会の第4回会議を開催いたします。 ○大澤部会長 本日もお忙しい中御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   本日,久保委員,佐藤委員,田中委員,蛭田委員,藤本委員,村瀬委員,吉崎委員,市原幹事,今枝幹事,幹事,重松幹事,成瀬幹事,井上関係官は,オンライン形式により参加されています。   それでは,まず,事務当局から配布資料について御説明をお願いいたします。 ○栗木幹事 本日,配布資料として,配布資料6「要綱(骨子)修正案」,配布資料7「現行法及び要綱(骨子)修正案による秘匿措置の対象事項」をお配りしています。内容につきましては,いずれも後ほど御説明いたします。 ○大澤部会長 それでは,早速,本日の議事に入りたいと存じます。   ただいま事務当局から御説明がありましたとおり,本日は,配布資料6「要綱(骨子)修正案」と配布資料7「現行法及び要綱(骨子)修正案による秘匿措置の対象事項」をお配りいただいておりますので,これらに基づいて詰めの議論を行いたいと思います。   そこで,まずは,事務当局から,これらの内容につきまして御説明いただきたいと思います。 ○栗木幹事 まず,配布資料6について,その概要を御説明します。   この資料は,前回までの御議論を踏まえ,配布資料1の要綱(骨子)を一部修正したものです。   前回お配りした配布資料5との関係で申し上げますと,「秘匿措置の対象事項」については,「要綱(骨子)全体を通じて,要綱(骨子)第一の一1(1)及び(2)に掲げる者の個人特定事項とするB案」を採用し,それ以外の項目については,「原案を修正するY案」を採用したものであり,主な修正点は5点あります。   1点目として,要綱(骨子)修正案の第一の三1及び2,第三の二1及び2並びに第四の一から三までにおいて,訴訟書類等の閲覧・謄写,証拠開示及び裁判書等における秘匿措置の対象事項について,原案では,「被害者の氏名及び住居」としていたのを,いずれも,「要綱(骨子)第一の一1(1)及び(2)に掲げる者の個人特定事項」に修正しています。   これにより,起訴状における秘匿措置の対象である個人特定事項を,その後の刑事手続においても秘匿できることとなり,当該措置の実効性を確保することができるようになると考えられます。   2点目として,要綱(骨子)修正案第一の三1及び2並びに第四の一から三までにおいて,訴訟書類等の閲覧・謄写及び裁判書等における秘匿措置について,原案では,起訴状における秘匿措置をとった場合に必要的にとることとしていたのを,いずれについても,裁判所が,検察官及び弁護人等の意見を聴いた上で,秘匿措置の必要性・相当性の要件を判断して秘匿措置をとることが「できる」こととするとともに,その要件として,要綱(骨子)修正案第四の一から三までにおいて,被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは秘匿措置をとることができないこととするほか,とり得る措置の内容としても,訴訟書類等の閲覧・謄写の制限について定める刑事訴訟法第299条の6と同様に,被告人に知らせる時期又は方法の指定もできることとするように修正しています。   これにより,裁判所において,刑事手続の各段階ごとに,秘匿措置の必要性・相当性を判断し,事案に応じて具体的妥当性のある秘匿措置をとることができるようになると考えられます。   3点目として,要綱(骨子)修正案第一の一14,二5及び三3並びに第四の四において,裁判所が弁護人に対して付した条件等に弁護人が違反したときの処置請求に関する規律を明記することとしています。   4点目として,要綱(骨子)修正案第一の四において,1行目の「二1による措置」の直後にあった「(同(2)に該当することを理由とするものに限る。)」との記載を削除しています。   これにより,裁判所は,被告人との関係での畏怖・困惑のおそれがないとして,要綱(骨子)第一の二1により被告人に個人特定事項を通知する旨の決定をする一方で,傍聴人との関係での畏怖・困惑のおそれがあるとして,公開の法廷における被害者特定事項の秘匿決定をした場合においても,刑事訴訟法第291条第2項後段により被告人に起訴状を示すことができるようになると考えられます。   5点目として,要綱(骨子)修正案第四の五において,原案では,刑事訴訟法第299条の4又は第299条の6による措置をとった場合に裁判書等における秘匿措置をとることができることとしていたのを,条項の引用として,「同法第299条の5第2項」を追加しています。   これにより,裁判所において,検察官が刑事訴訟法第299条の4第2項又は第4項によりとった,弁護人に対しても秘匿する措置を取り消した上で,被告人に知らせてはならない旨の条件を付する措置をとった場合にも,裁判書等における秘匿措置をとることができるようになると考えられます。   なお,形式的な修正として,要綱(骨子)修正案第一の二1(1)イ及び第二の二5(1)イについて,原案では「同ハ」と記載していた部分を,他の記載と平仄を合わせるために,いずれも「一1(1)ハ」としています。   配布資料6についての御説明は以上です。   次に,配布資料7について御説明します。   この資料は,現行法と要綱(骨子)修正案による秘匿措置の対象事項を整理したものです。   この資料を見ていただくと,一番左には秘匿措置の対象となる個人特定事項を記載しており,その右側には秘匿事由を,更にその右側には秘匿措置がとられる刑事手続の略称を記載しています。   秘匿措置の対象となる個人特定事項は,「氏名」,「住居」,「その他」に分け,秘匿事由については,秘匿措置に係る者等の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれがある場合を「名誉等侵害のおそれ」と,秘匿措置に係る者等の身体・財産に対する加害行為等がなされるおそれがある場合を「加害行為等のおそれ」とそれぞれ記載しています。   左から右に伸びている矢印は,秘匿事由が認められる場合に,それぞれの個人特定事項が刑事手続のどの段階で秘匿措置の対象となるかを示しています。   そして,斜線の部分が現行法の下で秘匿措置をとることが可能な範囲を示しており,灰色で塗り潰した部分が要綱(骨子)修正案により新たに秘匿措置をとることが可能となる範囲です。   まず,斜線の部分についてですが,刑事訴訟法第299条の4により,証拠開示において,被害者等の身体・財産に対する加害行為等のおそれが認められる場合には,氏名及び住居について秘匿措置をとることができることとされ,この秘匿措置がとられた場合,同法第299条の6により,訴訟書類等の閲覧・謄写においても秘匿措置をとることができることとされています。   これに対し,現行法においては,刑事訴訟法第299条の4等により証拠開示等の段階で秘匿された場合であっても,裁判書の段階では秘匿措置の対象とされていませんが,要綱(骨子)修正案第四の五においては,これを秘匿措置の対象事項としています。これを示しているのが,斜線の部分の右横に「要綱」と表示して記載した矢印です。   次に,それ以外の灰色で塗り潰した部分についてですが,「起訴状」の欄の「要綱」の表示のところから右に伸びている5本の矢印でお示ししているように,要綱(骨子)修正案においては,氏名及び住居やその他の個人特定事項について起訴状の段階で秘匿された場合,その実効性を確保する趣旨で,証拠開示,訴訟書類等の閲覧・謄写,裁判書の各段階においても,名誉等侵害のおそれや加害行為等のおそれが認められる場合には,秘匿措置をとることができることとしています。   配布資料7についての御説明は以上です。 ○大澤部会長 配布資料6及び7の内容にわたる御質問等につきましては,後ほど御議論いただく際にお願いすることといたしまして,まず,ここでは,ただいまの事務当局からの説明の趣旨などについて,確認の御質問等がございましたら,挙手の上,御発言をお願いしたいと存じます。よろしいでしょうか。   それでは,審議に入らせていただきたいと思います。   本日は,まず,配布資料6の要綱(骨子)修正案に基づいて,修正項目の部分について御議論いただきたいと存じます。その上で,修正項目以外の部分も含めまして,要綱(骨子)修正案の全体について,改めて御議論いただく時間を設けたいと存じます。   そのような進め方とさせていただくことでよろしゅうございますでしょうか。              (一同異議なし)   ありがとうございます。それでは,今申し上げたような進め方とさせていただきます。   まず,要綱(骨子)修正案について,修正項目が5点ありますので,順次,御意見等をお伺いしたいと思います。   まず,修正項目の1点目,秘匿措置の対象事項を被害者及びそれ以外の者の個人特定事項とするという点について,御意見等がある方は,挙手の上,御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。   それでは,後ほどまた全体を通じた御議論の機会もありますので,先に進ませていただきまして,次に,修正項目の2点目,訴訟書類等の閲覧・謄写及び裁判書等における秘匿措置について,裁判所が,一定の要件の下で,検察官及び弁護人等の意見を聴いた上で,秘匿措置をとることが「できる」こととすることなどにつきまして御意見等がある方は,挙手の上,御発言をお願いいたします。 ○久保委員 裁判書が秘匿されることとの関係で申し上げます。後に,従前の裁判での弁護人以外の者を弁護人として再審請求をしたいという場合,当該被告人であった再審請求人は,手元にあるものが裁判書も含めて秘匿をされていて,新しい弁護人となろうとする者は,従前弁護人ではなかったことから,何も資料がないということが起こり得ます。従前の弁護人から協力も得られないというような場合に,再審請求に当たって,裁判書が秘匿されていることについて,何らかの不服の申立ての手段がないと,運用に任せるのは難しいということになると思いますので,再審請求をする場合についてどのような規律を想定されているのか,お考えがあれば御回答いただければと思っております。 ○栗木幹事 お尋ねは,刑事事件の確定後の裁判書の請求ということになろうかと思いますが,刑事事件が確定した後の訴訟記録は,刑事確定訴訟記録法により検察官が保管することとされておりまして,お尋ねの裁判書も含めまして,確定した訴訟記録の閲覧につきましては,今回の要綱(骨子)修正案による秘匿措置の対象ではなく,同法により閲覧の可否が規律されることとなると考えております。 ○久保委員 今の点について,再審請求については,従前,証拠開示についてもなかなか制度化されないという状況でもありますので,証拠など何か情報が得られることが法律上担保されているわけでもありません。さらに,裁判書についても,別の法律だからということで何ら規律がないということになると,ますます再審請求において情報を得る手段がかなり限定的になり,非常に防御に不利益が生じると思います。法案の検討の際には,そこについても併せて御検討いただきたいということを意見として申し上げておきたいと思います。 ○保坂幹事 御発言の趣旨がよく分からなかったところもあるわけですが,確定記録,事件が確定した場合の記録というのは,裁判所にあった書類も含めまして,裁判所に提出されたものについては全て検察官の元へ戻りまして,検察官が保管検察官として保管することになっております。   再審請求をしようとする場合には,再審保存記録というものがございまして,再審保存記録は,請求した者に対して一定の要件の下できちんと閲覧ができるということになっております。   ただいまの御発言では,再審請求審における,確定記録以外の,言わば検察官の手持ち証拠の問題も含めておっしゃったのかもしれませんが,今回対応しようとしておりますのは,刑事事件の確定までの手続において,様々ある被告人側が被害者の個人特定事項を知る機会がある場面を捉えて,一貫して秘匿ができるようにする措置を設けるということでございますので,確定後の問題については,今回の法整備とは関係しないと理解しております。 ○久保委員 御趣旨は分かるのですけれども,そうは言いましても,恐らくこの法案が通るということになると,再審の場面でも,従前の裁判で秘匿されていたものについては,検察官において秘匿するというような扱いを運用としてされることになるのではないかということが想定されます。そのようなときに,法律上,それについて何らか争う手段がないということになると,それは不利益になると考えております。今回の法案の検討,あるいはそれ以後の別の検討になるのかもしれませんが,それについてやはり検討が必要だと考えます。逆に,確定した後については,もともと秘匿されていても,それは関係なく再審のときには閲覧できるということであれば問題はないのですけれども,そうではなく,運用としてそこが秘匿されて,何ら情報を得ることができないということになるのであれば,それはやはり問題だと思いますので,法整備が必要ではないかという趣旨になります。 ○大澤部会長 御意見として伺うということでよろしいでしょうか。   それでは,ほかに,修正項目の2点目について,御意見,御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,この段階としてはこの程度ということにいたしまして,続いて,修正項目の3点目,裁判所が弁護人に対して付した条件等に弁護人が違反したときの処置請求に関する規律を明記することについて,御意見等がある方は,挙手の上,御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。   それでは,先に進ませていただきまして,次に,修正項目の4点目,起訴状における秘匿措置がとられた場合の起訴状の朗読方法の特例に関する規律を修正することにつきまして,御意見等がある方は,挙手の上,御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。   それでは,最後に,修正項目の5点目,要綱(骨子)第四の五の,証拠開示における秘匿措置をとった場合の裁判書等における秘匿措置について,条項の引用といたしまして,「同法第299条の5第2項」を追加するという点につきまして,御意見等がある方は,挙手の上,御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。   そうしますと,本日ここまでの御議論において,要綱(骨子)修正案の修正項目の部分につきましては一通り議論の機会を頂いたということになりますが,次に,修正項目以外の部分も含めまして,改めて要綱(骨子)修正案の全体について御意見等を伺いたいと思います。   要綱(骨子)修正案のどの部分についてでも結構ですので,御意見等がある方は,挙手の上,御発言をお願いしたいと存じます。 ○今枝幹事 今回,秘匿措置の対象事項を個人特定事項とすることで一貫させる案ということで修正いただきました。   これまで私が申し上げた点について,この要綱(骨子)修正案でも,秘匿措置の対象事項が起訴状原本に記載されている事項に限定されるということですので,そうなると,これは前回の部会でも申し上げましたけれども,確実に秘匿されることになるのは被害者の氏名に限られるということになると思いますので,秘匿の対象が狭きに失するという点に関しては,考え方は変わりません。   その点に関して,これまでも繰り返し申し上げていますけれども,被害者を支援する弁護士として,被害者の方から,例えば「自分が特定されるような情報が秘匿されますか」と聞かれたときに,当然防御に実質的な不利益がある場合にはその限りではないということも含めて説明するのですけれども,それが制度として秘匿されることになって初めて被害者の方に「秘匿されますよ」と申し上げることができることになります。この要綱(骨子)修正案で秘匿の対象となっていない事項については,これまで行われている運用と同様にということだと思うのですけれども,そうなると,被告人がその情報を知りたいと,請求をするという場合には,それは開示されざるを得ないということになると,それではやはり被害者の方から「秘匿されますか」と聞かれたときには,「それは分かりません」としか答えられない。そうなると,「それなら被害申告はしません」ということになるのは,この要綱(骨子)修正案においても,被害者の氏名以外の部分について,そうした状況が続くということであれば変わらないと言わざるを得ないのかなと思います。   あと,立証に必要がない情報が載った証拠についてはそもそも証拠請求しない,という御指摘が前回あったかと思うのですけれども,そういった証拠でも,公判前整理手続で,例えば類型証拠開示だとか,公判前整理手続でなくても任意開示された証拠について,弁護人が提出をするということもあり得ると思うのです。   そうした場合,そういった情報が開示されてしまうということになったときに問題があるのではないかという点もあるかと思います。   起訴状に記載された事項に限らないということであったとしても,その情報の範囲をどう画するかということについては,証拠開示の段階では,検察官でどういった情報を秘匿するということは決まっているので,どの範囲を秘匿するということに関して,具体的にどういう制度かということは私もちょっと申し上げられないですけれども,検察官と裁判所,あと弁護人との間でそういった情報を共有する仕組みというのは作ることは可能なのではないかと思います。   今回,被害者保護のための法改正ということですので,できればそういったかたちで被害者,特に性犯罪の被害者の方が被害申告できるような秘匿の制度にしてほしいと,当初から意見を申し上げてきたという次第です。   今回の要綱(骨子)修正案に関してどう考えているかということを申し上げました。 ○久保委員 詰めの議論の段階だと承知しておりますので,幾つか質問と意見を述べさせていただきたいと思います。   まず1点目は,事務当局への質問ということになるのですが,起訴状の秘匿措置に対する不服の申立て,その名前を「個人特定事項の開示請求」と呼ぶのか,「裁定請求」と呼ぶのかはさておき,そういった起訴状への不服の申立てですとか,あるいは勾留状の個人特定事項の開示の請求について,申立てをすることができる時期や回数に制限を設けることを想定されているのかどうかについて,まず1点目としてお伺いしたいと思っております。   特に,勾留状については,起訴後も同様に個人特定事項を開示するように請求をすることが想定できるのか,もしそうであれば,現在の要綱(骨子)修正案ですと,「被疑者」という表現になっているのですけれども,それについては,「被疑者及び被告人」という表現にするべきではないかと考えております。   仮に,勾留状について不服の申立てができないとした場合や,いわゆる求令状起訴の場合に,不服の申立て時期や回数の制限があるのかという全体的なものについて,まず1点目として質問させていただきたいと思います。 ○栗木幹事 御質問は,勾留手続における秘匿措置に対する不服申立ての時期等についてのものだと理解をいたしました。   御指摘の不服申立てというのは,要綱(骨子)修正案の第二の二5に記載されている個人特定事項の通知請求のことだと思われますが,この請求をなし得る期限について,明文上の制限を設けているというわけではございません。   その上で,勾留手続における秘匿措置に係る個人特定事項の通知請求は,被疑事件の告知や勾留状の呈示といった勾留の手続に伴って被疑者が了知し得たはずの個人特定事項が明らかにならないことによる不利益が生じないようにする趣旨のものでございます。そうしますと,その後に釈放された被疑者につきましては,通知請求を認める必要性は乏しいと考えられる一方で,被疑者の勾留が続いている間は,被疑者側において迅速かつ円滑に防御の準備を行うことができるようにするために通知請求が認められると解するのが相当であると考えられるところでございます。   なお,勾留手続における秘匿措置をとった事件につきまして,その後被疑者が起訴されて,起訴状の抄本を被告人に送達する措置がとられた場合には,その措置に対して個人特定事項の通知請求をし得ることになると考えております。 ○久保委員 今の点について,起訴状で秘匿されたら起訴状についての請求を,という御趣旨だったのですが,それは起訴された段階で,被疑者段階の勾留状についても請求はできないというところまで確定的に想定されているという御趣旨なのでしょうか。 ○栗木幹事 勾留手続における秘匿措置に係る個人特定事項の通知請求が,今申し上げた勾留手続に伴って被疑者が了知し得たはずの個人特定事項が明らかにならないことによる不利益が生じないようにする趣旨のものであり,起訴された後については,起訴状における秘匿措置に係る個人特定事項の通知請求が不服申立ての措置として予定されていますので,飽くまでも勾留段階における秘匿措置に係る個人特定事項の通知請求は,起訴される前までの段階のものと理解しております。 ○久保委員 回数の制限についての御回答もお願いできますでしょうか。   つまり,起訴状の秘匿措置について,1回目に通知請求をして,その段階では請求が認められなくて,ただ,手続を踏まえて段階を追って新たな事情が出てきて,再度請求をしたいという場面が出てくると思います。回数制限が設けられると一発勝負のようなかたちになってしまって,いつまでたっても請求ができないと。そうすると,起訴状に対する秘匿について個人特定事項を開示するように請求できないので,予定主張については出せませんという対応になってきて,刑事裁判が長期化するということが想定されるのではないかということを懸念しております。   回数制限については,想定はされていないという理解でよろしいのでしょうか。 ○吉田幹事 御指摘の点については,基本的に,現行法の下での不服申立てについての回数制限に関する考え方と同様に考えることができるのではないかと考えております。   準抗告や抗告について,現行法上,特段回数の制限というものは設けられておりませんので,回数として制約を設けるということは考えにくいと思います。   その上で,実際には,抗告の利益があるかどうかといったことも問題になるかもしれませんし,また,その理由となっている事情に特に変更がないまま不服申立てが繰り返されるということになりますと,請求・申立て自体は可能であっても,それが認容される可能性は低いということになるのではないかと現時点では考えております。 ○久保委員 今の点に少し関連して,逮捕状及び勾留状の秘匿措置に対する個人特定事項の開示の請求について,現在の要綱(骨子)修正案ですと,被疑者又は弁護人の請求により,被疑者に明らかにしなければならない,という規定になっておりまして,「被疑者及び弁護人に」明らかにしなければならない,ではなく,「被疑者に」明らかにしなければならない,という表現になっております。これについて,勾留状や逮捕状は被疑者に示すものだからという御趣旨なのかもしれないのですけれども,例えば,弁護人には知らせた上で被疑者には秘匿するという措置は,この段階では想定はされていないということなのでしょうか。もし,仮に,弁護人には知らせて被疑者には秘匿するという措置はできず,弁護人が知る余地がないという制度になるのであれば,勾留されている期間中は,最大20日ぐらいは,被疑者側としては被害者の名前が全く分からなくて示談交渉ができないなどの支障があるのではないかなと思います。あるいは,そもそも被疑者には秘匿したとしても,弁護人には事実上運用として検察官が示談交渉のために知らせるということは想定されるということなのでしょうか。   この「弁護人に」という表現が入っていないことの御趣旨について,改めてお伺いできればと思います。 ○吉田幹事 御質問の点について,弁護人に対して個人特定事項を明らかにすることとはしていない理由は,久保委員がおっしゃったとおりでございまして,この仕組みは,通常は逮捕状の呈示等の手続を通じて被疑者に個人特定事項が知らされるところ,一定の要件の下でそれが知らされないことに対応するものとして,一定の要件の下で,その本来知ることのできた者である被疑者に明らかにすることを認めようという趣旨でございますので,ここでは弁護人は通知の相手方とはしていないということでございます。   他方で,弁護人は,勾留状の謄本の請求をすることが現行の刑事訴訟規則上可能です。以前のこの部会の会議においても,最高裁判所から御発言があったかと思いますけれども,今回の法整備がなされた場合には,勾留状の謄本請求の場面についても一定の措置をとることを可能にする改正等を検討することが考えられるということでございました。その結果如何によりますけれども,勾留状謄本の交付手続を通じて弁護人がその個人特定事項を知ることができるということになれば,弁護人がその個人特定事項を知る方法はあるということになるのではないかと考えております。 ○久保委員 3点目として,これも質問になるのですけれども,個人特定事項の開示の請求に関する要綱(骨子)修正案の記載振りでは,「加害行為等のおそれ」や「名誉等侵害のおそれ」がないことを弁護人側あるいは被疑者側が積極的に疎明しなければならないようにも読めます。これは勾留状だけではなく,起訴状とか全体を通じてそのように読めるのですが,これは,検察官側が飽くまでも積極的に疎明をしなければならないという趣旨と読んでよろしいのでしょうか。 ○保坂幹事 質問の趣旨が分かりにくかったので確認したいのですけれども,御質問は,防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるという要件について,検察官の方からそのおそれはないということを疎明するのか,弁護人の方から防御に不利益を生ずるおそれがあると疎明するのかということをおっしゃっているのでしょうか。 ○久保委員 「加害行為等のおそれ」や「名誉等侵害のおそれ」がないということを弁護人側が積極的に疎明しなければならないのかという趣旨になります。「名誉等侵害のおそれ」などがあるということは,検察官側が積極的に疎明しなければならないのではないかと思います。秘匿のための積極的な要件なので,検察官側が,飽くまでも,そういうおそれがあるということを疎明しなければならないと想定している,弁護人側で当たらないことを疎明するのではなく,検察官側が当たることを疎明するという理解でよろしいのでしょうか。 ○保坂幹事 積極的な疎明という趣旨が必ずしもよく分からなかったのですが,同じ要件設定でその措置をとった場合に,裁判所に対して一種の不服申立てをするという仕組みは,現行の刑事訴訟法第299条の4以下にもございます。同条では,「加害行為等のおそれ」ですけれども,加害行為等のおそれがあるときにこの措置をとれるということになりますので,通常は,こういう事案なので加害行為等のおそれがあるのだということを検察官が主張して,疎明をするということになろうかと思います。   もちろん,弁護人の方から,被告人はこういう人だから加害行為等のおそれがないのだということをおっしゃることも十分可能だと思います。これもまた疎明ということになりますので,どちらの方が優勢だったかというよりは,それを踏まえて裁判所が御判断なされるのだろうと考えております。 ○大澤部会長 それでは,更にほかに御発言のある方,いかがでございましょうか。 ○保坂幹事 先ほど今枝幹事から,秘匿対象となる事項がやや狭いではないかという御意見を頂きました。御意見としては理解したのですけれども,その御発言の中で,公判前整理手続の中で類型証拠として開示された証拠について,弁護人から証拠請求をする場合があって,その場合に秘匿されるのかどうかという御発言があって,趣旨が理解できなかったのですが,公判前整理手続における証拠開示の仕組みというのは,防御の必要性と弊害を考慮した上で相当なものが類型証拠,あるいは主張関連証拠として開示されるという仕組みになっておりますので,仮に,被告人側に開示することに問題があるような,加害行為等のおそれがあるですとか,あるいは,名誉・プライバシーを害するという証拠であれば,それはそもそも弊害の方が大きいということになれば,弁護人側に開示されないという解決になるのだろうと思います。もちろん,それに不服があれば裁定請求等がございます。   したがって,問題がある証拠が,弁護人に開示された後に,弁護人からの証拠請求がされた段階で何か問題になるというのは,その意味では考えにくいのではないかと思います。 ○今枝幹事 私の発言は,今御指摘があったとおりの趣旨で申し上げましたので,類型証拠開示,あと任意での開示でも,そういった問題があるものについては開示されないという理解でよろしいのですか。 ○保坂幹事 もちろん,個別の事案によるかと思いますが,弁護人側の手に渡った後,弁護人からの証拠請求の段階で,証拠の内容,弊害が途端に問題になるということは考えにくく,そもそも被告人側に開示することに弊害があるようであれば,その前に検察官の方でこれを開示するのが相当かどうかという判断を経ているということではないかと思います。 ○佐藤委員 要綱(骨子)修正案の第四に関連して発言したいと思います。   刑事訴訟法第46条は,被告人その他訴訟関係人は,自己の費用で,裁判書等の謄本等の交付を請求することができると規定していますが,要綱(骨子)修正案の第四は,裁判書等の謄本等には裁判の理由に関して個人特定事項が記載されることがあり得ることに鑑み,起訴状抄本を被告人に送達する措置の実効性を確保する観点から,裁判書等の謄本等の交付請求について,一定の制限を課すものとしています。   ここで裁判書としてまず想起されるのは判決書であろうと思われますが,例えば,捜査段階においては,種々の令状や準抗告に対する決定書も作成されます。現行の刑事訴訟規則第74条,第302条では,勾引状又は勾留状の執行を受けた被告人・被疑者は,その謄本の交付を請求することができるとされており,勾留状等の謄本については,別異の取扱いをすることが明示されていますが,命令書や決定書が刑事訴訟法第46条の裁判書に含まれるとしますと,それらに記載されている個人特定事項の保護についても留意をする必要があるでしょうし,またその取扱いについて更に適宜の手当てをする必要があるかもしれません。   事務当局において,今後,この点に関しても,必要に応じ検討していただきたいと思います。 ○大澤部会長 ほかに更に御意見,御発言はございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。   ここまでの御議論の状況を踏まえますと,本諮問に関する議論は尽くされたように思われるところでございます。   そこで,部会としての意見の取りまとめの時期に来ていると考えられ,取りまとめに移らせていただければと存じますが,その前に是非とも発言しておきたいということがございましたら,これまでの御発言と重複しても構いませんので,御発言をお願いしたいと存じます。 ○久保委員 今回の要綱(骨子)修正案につきまして,前提として,刑事弁護の立場でも,被害者の方ですとか第三者の方の個人情報を守るために一定の措置が必要となる場合があるということ自体に反対するものではございません。ただ,本部会で何度か意見を申し上げた利益相反の確認に支障が生じるといった点ですとか,弁護人への秘匿については余りに緩やかに認められてしまう点は,かなり問題があると考えております。   個人特定事項の開示の請求については,回数とか時期の制限などについて,現時点では御回答を踏まえても明確ではない点も多いと考えておりますので,これまで事務当局から御回答を頂いているように,秘匿対象となる個人特定事項は,飽くまでも起訴状に記載されたものに限られていて,かつ,実際上は,逮捕状や勾留状も含めて被害者の氏名・住所に限定するのと大きく変わりがないというようなことを前提としても,現時点でこのような改正をするところまでの立法事実が十分にあるとも,前回の改正以後の検討が十分だとも考えられないということもありまして,現時点でこの要綱(骨子)修正案に賛成するということにはちゅうちょをいたしております。   ですので,刑事弁護の立場としての意見になりますので,本日の採決につきましては,そのような趣旨で意見を申し上げることになると思います。 ○今枝幹事 私は,飽くまでも幹事ですので,賛成・反対の議決権はないのですけれども,今回の要綱(骨子)修正案につきまして考えていることについては,先ほど申し上げたとおりです。   秘匿の範囲としては十分ではないと考えますけれども,ただ,他方で今回の要綱(骨子)修正案で,少なくとも被害者の氏名が秘匿されるということは言えるのかなと思いますので,そういう意味では前進だと考えております。   そういう意味で,今回の要綱(骨子)修正案に賛成したいと思うのですが,ただ,何度も申し上げておりますように,これで決して十分というわけではありませんので,この要綱(骨子)修正案が改正法となった後ですけれども,例えば性犯罪の被害申告の状況がどうかといったことや,この改正の中で何か問題がないのかというところも,よく改正法で「3年後に見直す」とか,そういった附則の条項を入れることがありますけれども,ここは実際に国会での法案の審議の中でということになろうかと思いますが,そういった中で今回のこの改正を見直すというものを入れていただくことを条件として賛成したいと考えております。   あと一つは,今回,私自身も秘匿の範囲が起訴状原本に記載された事項に限られるということは当初気付いていなかったので,なかなかその辺りが分かりにくいようにも思いますので,改正法ができたときに周知をされると思うのですけれども,秘匿の範囲は飽くまでも起訴状に記載された事項に限られるということが分かるようなかたちで周知をしていただければと思います。 ○村瀬委員 飽くまで法律の改正がなされた場合の運用上の問題として,今の段階で2点だけ述べさせていただきたいと思います。   一つは,私自身が既に述べました起訴状の抄本の訴因の特定の問題です。これは,被告人や弁護人から不特定の主張がない場合であっても,裁判所としては,抄本の訴因を見る限り,複数の犯行の可能性があるのではないかといった,訴因が他の事実と識別されているのかという検討をする必要があると思いますが,その判断に当たっては,もしこの要綱(骨子)修正案どおりの改正がなされた場合の話ですけれども,今回の改正の趣旨を踏まえた解釈・検討を通じて,この抄本の訴因の特定の問題で手続が混乱することがないような,そういった運用をしていただきたいと思います。これは,主として裁判所の訴訟指揮の問題になるかもしれません。   二つ目は,先ほど議論された起訴状に記載されていない個人特定事項のマスキング処理の問題です。運用上の問題として,この問題は,なお避けられないのではないかと私自身は考えておりますが,検察官と裁判所との間にマスキングの範囲にそごが生じないような,そういった体制を整えておくことが必要ではないかという点が二つ目でございます。 ○大澤部会長 ほかに御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,他に御発言はないようでございますので,これをもちまして議論は尽きたものとして,部会としての意見を取りまとめたいと存じます。   諮問第115号は,「刑事手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するため,早急に法整備を行う必要があると思われるので,別紙要綱(骨子)について御意見を賜りたい。」というものであり,その別紙として要綱(骨子)が付されておりましたが,この要綱(骨子)については,本日,事務当局から修正案が提案されました。ここでは,配布資料6の「要綱(骨子)修正案」を部会における取りまとめの対象とし,これを単に「要綱(骨子)」と呼ぶことといたします。   そこで,採決の方法でありますが,要綱(骨子)第一から第五までは,相互に密接に関連するものであり,これらが一体として諮問されたことにも鑑みまして,要綱(骨子)第一から第五までを一括して採決の対象とさせていただきたいと考えておりますが,よろしいでしょうか。              (一同異議なし)   特に御異議がございませんので,一括して採決したいと存じます。   それでは,採決に移らせていただきます。   要綱(骨子)に賛成の委員の方は,挙手をお願いいたします。              (賛成者挙手) ○大澤部会長 ありがとうございます。次に,反対の委員の方,挙手をお願いいたします。              (反対者挙手) ○大澤部会長 ありがとうございました。それでは,採決の結果につきまして,事務当局から報告をお願いいたします。 ○栗木幹事 ただいまの採決の結果を御報告いたします。   賛成の委員の方が7名,反対の委員の方が1名でございました。   本日の出席委員総数は,部会長を除きまして,8名でございます。 ○大澤部会長 ただいま事務当局から報告がありましたとおり,要綱(骨子)については賛成多数で可決されました。   この部会の意見としては,諮問第115号については,要綱(骨子)のように法整備を行うことが相当であるとして,来るべき法制審議会総会におきまして,資料の体裁を整えた上で,部会長の私から報告をさせていただくこととなりますが,これにつきましては,部会長である私に御一任いただくということでよろしゅうございますでしょうか。              (一同異議なし)   ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。   この際,事務当局から何かございますでしょうか。 ○川原委員 事務当局を代表いたしまして,一言,御挨拶を申し上げます。   委員・幹事・関係官の皆様方には,御多忙のところ,今回の諮問につきまして,熱心に御議論いただき,厚く御礼を申し上げます。   また,大澤部会長には,議事の進行,意見の取りまとめに格段の御尽力を賜りまして,誠にありがとうございました。   本諮問につきましては,先般申し上げましたとおり,逮捕状・勾留状の呈示や起訴状の謄本の送達をはじめとして,刑事手続全体を通じて被害者の氏名等の情報を適切に保護できるようにするため,被疑者・被告人の防御権に配慮しつつ,関係する刑事法の整備を早急に行う必要があると考え,諮問に至ったものでございます。   本部会において,委員・幹事の皆様方からは様々な観点から御意見等を頂戴いたしました。皆様方の御尽力により,刑事手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための法整備について幅広く御議論いただけたことは,大変意義深いことであると考えております。事務当局の法務省といたしましては,必要な法整備を速やかに実現するため,その準備作業を進めてまいりたいと考えております。   今後のスケジュールでございますが,本日の部会における諮問第115号に関する御決定は,9月に開催が予定されております法制審議会の総会に部会長から御報告いただき,速やかに答申を頂戴したいと考えております。   その上で,法案の立案作業を進め,できる限り早期に関連する法律案を国会に提出したいと考えておりますので,委員・幹事・関係官の皆様方には,今後とも引き続き,御支援,御協力を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます。   最後となりますが,本部会におきまして熱心に御議論いただき,誠にありがとうございました。改めて,厚く御礼を申し上げます。 ○大澤部会長 川原委員,どうもありがとうございました。   委員,幹事,そして関係官の皆様におかれましては,精力的に御議論いただきまして,誠にありがとうございました。   この際,何か御発言があれば承りたいと存じますが,いかがでございましょうか。 ○吉崎委員 採決も終わり,川原委員からも御挨拶いただいた後で恐縮ですけれども,一言申し上げさせていただきます。   本部会の冒頭におきまして,私の方から,運用上の工夫が本要綱(骨子)によって法制度化されることへの期待感について発言をさせていただきました。   一方で,本部会では,今枝幹事から,起訴状に記載されない被害者の個人特定事項についても,証拠開示や訴訟書類の閲覧・謄写等の場面でも秘匿できなければ不十分であるとの御意見が,他方で久保委員からは,被害者の氏名・住居が秘匿されるだけでも大きな不利益を生じかねないなどといった御意見が出されました。   これらの御意見は,もとより,いずれも本要綱(骨子)における法改正そのものに対する御意見であると承知しておりますけれども,今回の法改正後の実務の運用をするに当たっても,被害者の情報保護と被告人の防御権保護の調和の観点から,示唆に富む御指摘であると拝聴した次第でございます。   仮に,要綱(骨子)どおりの法改正がされた場合には,その趣旨を踏まえまして,刑事手続や関連する少年審判等の手続に関しまして,裁判所として,先ほど村瀬委員や今枝幹事から御発言があった検察官が行った配慮の内容を裁判所と共有する仕組みのことも含めまして所要の措置を検討するなど,適切に制度の運用ができるよう努めてまいりたいと考えてございます。   そして,新たな制度の運用に当たりましては,今述べました二つの利益の調和が図られるべきであるとともに,法制度の在り方についても,そのような実務の運用を見ながら,更に検討が加えられるべきものと考えてございます。 ○大澤部会長 ほかにこの際,何か御発言ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。   それでは,最後に,部会長を務めさせていただきました私からも一言申し上げさせていただきたいと思います。   本部会は,振り返りますと,第1回が行われたのは6月30日でございました。それから約2か月の間に4回の部会を行い,本日,要綱(骨子)を取りまとめることができました。   比較的短い期間でありましたけれども,皆様方の御議論を踏まえた修正も行っていただいた上で,部会としての取りまとめをすることができ,部会としての役割を果たせたのではないかと思っているところでございます。   コロナの感染拡大から,特に2回目以降はオンライン中心の会議となりましたけれども,皆様方には非常に活発に御議論を頂きました。拙い司会にもかかわらず,円滑かつ充実した議論ができたとしますならば,それは皆様方の御協力のたまものであろうと思います。部会の終わりに当たりまして,心より感謝を申し上げたいと思います。   先ほど川原委員からもお話がありましたが,今後,法制審議会の総会を経まして具体的な法案の立案作業ということになっていくものと存じます。本日,要綱(骨子)の取りまとめに至りましたけれども,その過程に関わった者として,今後の進捗につきましても注目してまいりたいと思っております。   本部会の議事につきましては,皆様方に御協力いただきまして,本当にありがとうございました。最後に改めて御礼申し上げます。   なお,本日の会議の議事につきましては,前回までと同様,特に公表に適さない内容に当たるものはなかったと思われますので,発言者名を明らかにした議事録を公表することとさせていただきたいと思います。また,配布資料についても,公表することとしたいと思いますが,そのような取扱いとさせていただくことでよろしゅうございますでしょうか。              (一同異議なし)   ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。   以上をもちまして,本部会は終了でございます。どうもありがとうございました。 -了-