法制審議会 民事訴訟法(IT化関係)部会 第15回会議 議事録 第1 日 時  令和3年7月30日(金)自 午後1時 1分                     至 午後5時29分 第2 場 所  法務省地下1階 大会議室 第3 議 題  民事訴訟法(IT化関係)の見直しについて 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○山本(和)部会長 それでは,所定の時間になりましたので,法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会第15回会議を開会いたします。   本日も御多忙の中御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。   なお,本日は衣斐幹事が御欠席ということであります。   また,前回の部会後,委員等の交代がございましたので,御紹介をいたします。   小出委員が退任され,後任として金子委員が就任されました。また,大野幹事が退任され,新たに脇村幹事が就任されました。そこで,新たに就任されました金子委員,脇村幹事におかれましては,簡単な自己紹介をお願いしたいと思います。順番に指名いたしますので,お名前,御所属の御紹介をお願いいたします。   (委員等の自己紹介について省略) ○山本(和)部会長 それでは,本日の審議に入ります前に,配布資料の確認を事務当局からお願いいたします。 ○脇村幹事 本日はまず部会資料19-1「民事訴訟法(IT化関係)の改正に関する追加試案(案)」及び19-2「部会資料18の第1からの変更点の説明」を配布させていただいております。部会資料19―1は,前回の部会における皆様の御意見を踏まえ,部会資料18の第1で記載していた内容から幾つか変更・修正を加えさせていただき,追加試案の案として形式を整えてございます。   部会資料19-2は,主な変更点,修正点について本文中に下線を引き,説明の箇所でその趣旨について説明をさせていただいたものです。   また,本日は部会資料20としまして「民事裁判手続のIT化に関する検討事項3」についても配布させていただいております。   本日は,前回の積み残しについての御審議を頂いた後,部会資料19について御審議を頂き,追加試案の取りまとめに向けた御議論を頂戴したいと考えているところでございます。   その後,お時間の許す範囲で部会資料20について御審議に入っていただきたいと考えているところでございます。   本日の配布資料に関しては以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,早速ですが,本日の審議に入りたいと思います。   今事務当局から御紹介がありましたような順序で審議をしたいと思います。まず,前回部会で部会資料18の「第3 訴訟の終了」の部分が積み残しになっておりますので,まずはそちらから御議論をお願いしたいと思います。   資料34ページの「1 判決」の部分からということになります。事務当局から説明をお願いいたします。 ○波多野関係官 説明いたします。   部会資料18,34ページの「1 判決」につきましては,判決は電磁的記録で作成するということで,通知アドレスの届出をした当事者に対してはシステム送達をすること,通知アドレスの届出をしていない当事者に対しては判決データを書面に出力したものを送達することにつきまして,中間試案の内容から変更を加えておりません。   説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この部分につきまして,どなたからでも結構ですので御質問,御意見をお出しいただければと思います。いかがでしょうか。 ○橋爪幹事 部会資料34ページに記載された電子判決書の作成主体を明示し,改変が行われていないことを確認することができる措置について若干申し上げたいと思います。   システムの具体的な設計はいまだ不確定であることが前提ではありますが,このような措置としては必ずしも電子署名というものに限られるものではなく,例えば判決言渡しをする裁判官がシステムにログインした上で電子判決書の成立を承認したことをシステム上明確にするとともに,電子判決書の原データをアップロードする領域を,指定した期間についてはデータの変更・削除ができないストレージとするといったことによっても十分に担保可能なように思われます。   仮に電子署名によるとした場合には,電子署名の有効期間が数年間であることと比較して,判決書の保存期間が現状50年とされており,はるかに長いことをどのように手当てするかといった問題が生じるところです。   いずれにしても,この主体確認,改変防止のための具体的な措置は,法律ではなく最高裁規則により定められるところのように思われますので,その時点での技術的知見を踏まえて,専門業者の知見も活用しながら,最も合理的と考えられる措置を規定していきたいと考えているところです。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにこの部分,意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。 ○小澤委員 今の話とは少し違うのですけれども,補足説明のエです。エによりますと,判決による登記の際には,法務局に対して電子判決書を出力した書面に裁判官書記官による公証を付したものを用いるという方法,そして電子判決書と同一の内容であることが公証されている電子データを用いるという二つの方法が示されていると思います。前者は,当該書面を,判決による登記の場合は司法書士が再びPDFにして登記原因証明情報として提供するという形,そして後者については当該電子データをそのまま登記原因証明情報として提供すると,こういうイメージなんだろうと理解をしています。将来的には後者に統一することを目標としつつも,当面は訴えについての書面手続をした当事者がおりますので,つまり電子判決書の書面に出力したものしか取得していない当事者がいることから,登記に使う際も両手続を併用せざるを得ないと考えています。   その上で,確認事項となるのですけれども,補足説明エのその上の段落では,執行裁判所に対しては債務名義の正本の添付を必要としないと述べられており,法務局に対する表現とは異なっています。この趣旨は,裁判所間では判決の添付省略を認めて,裁判所と法務局の間では書面若しくは電磁的記録の提供は必要だということだと推測していますけれども,この相違というのは,司法機関と行政機関とのデータ連携が難しいということによるものから生じるものなのでしょうか。もしそうであるとしたら,訴えの提起の際に添付する不動産全部事項証明書などのバックオフィス連携も難しいということになってしまいますので,裁判所と法務局との間の情報連携の間には非常に大きな検討課題があるというのは理解していますけれども,利便性を高めるためには是非情報連携を実現していただきたいという要望を述べさせていただきました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   御質問の部分もあったやに思いましたが,事務当局の方から何かありますか。 ○波多野関係官 小澤委員から御指摘ありましたところでございますけれども,御指摘いただきましたとおり,やはり裁判所の中,司法機関内での情報のやり取りと,司法機関と行政機関とのやり取りでは少し検討をしなければいけない課題がいろいろあるというところで違いがあるのかなというふうに認識をしているところでございます。   その上で,今後どうしていくかというのは,今の小澤委員からの御希望を頂きましたので,それをちょっとこの部会でどこまで検討できるかというところがあると思っております。今後の課題としてそういう御意見があったということで認識させていただきたいと考えております。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,引き続きまして部会資料37ページの「2 和解」の部分ですね,ここについてまず事務当局から資料の御説明をお願いいたします。 ○波多野関係官 説明をいたします。   部会資料の37ページの「2 和解」の「(1) 和解の期日」は,和解の期日に関する規律を明確にすることとしておりまして,中間試案から技術的な修正を加えたほかは修正をしておりません。   38ページ(2)の「受諾和解」でございますが,これのアは現行法の規定について遠隔地要件を削除するというものでございます。イの方は,いわゆる双方受諾書面を出されるという方式での和解について規律を設ける方向で検討したもので,期日は指定しないというものでございますが,和解日を定めるということを御提案しているものでございます。   (3)の「和解に加わる第三者」は,第三者が加わる和解につきましては,明文の規定を設けることの必要性への疑問や,過不足なく必要な規定を設けることが容易ではない旨の御指摘も頂いていたことから,今回明文の規定は設けないということで御提案をさせていただいているものでございます。   (4)の「和解調書等の送達」は,当事者からの送達申請を待つことなく送達するということを提案しているものでございます。   (5)和解に代わる決定でございますが,こちらはパブリック・コメントにおきましても甲案及び乙案のそれぞれについて支持する意見が出されているところでございます。その結果でございますけれども,両論併記をするということで今回の資料は維持させていただいております。甲案につきましては,権利義務関係に変動を加える裁判をするということでございますので,当事者の意思を踏まえる必要があるという問題意識を御提示いただいているところでございました。今回,そのことを踏まえまして,異議がないことを手続要件とした上で,和解に代わる決定をする日というものを告知し,その前日までに異議の申立てがあったときには,和解に代わる決定をすることができないと,こういう規律を提案しているものでございます。   説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この部分については特に区切りませんので,どこからでも結構ですので,御発言をお願いしたいと思います。なお,前回18ページのところの2の「訴訟記録の閲覧等」の部分の(注)に記載されておりました謄本データを入手することができるようにするということを提案する部分についても,判決書の謄本データと併せてここで御議論を頂ければと思います。どなたからでも結構ですので,お願いをいたします。 ○大坪幹事 最初に細かい問題で恐縮ですけれども,和解の期日のところで,提案の内容について異存はなくて,それを前提として御質問になります。今回の改正で和解の期日の整備がなされるということになっているわけですけれども,これによって,弁論準備手続期日と和解期日というのは明確に分けられることになるのでしょうか。具体的には,弁論準備手続期日の途中で和解が試みられるということになったときには,実際の和解の協議をするのは,それ以降,和解の期日で行わなければならないということになるのかということです。 ○波多野関係官 今回の和解の期日につきまして,規律の明確化をするということの一番の始まりは,今回のウェブ会議等を用いることができるようなことを明確にしていくというところから始まっているものと承知しております。その上で,それ以上に今実務で行われている営みにつきまして何か変更を加えるという意図を持ってこのような御提案をしているものではないというところで,事務当局としては理解しているものでございます。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 大坪幹事,よろしいでしょうか。 ○大坪幹事 ありがとうございます。争点整理と和解というのは明確に区別するべきであるという御意見もあり,今の運用がいいのかというところは検討の余地もあると思います。その上で,現状,弁論準備手続を取り消す場合,裁判所が取り消さなければいけないということになっていて,やや重い手続となっていて,いちいち和解期日に変更するということができないところにも問題があるように思うので,その辺も,今後検討する必要があるのではないかと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 4点ほど意見・質問をしたいと思います。   まず「(2) 受諾和解」のイです。中間試案の際には,41ページで引用されているとおり,当事者の真意,いわゆる意思確認についての表現が入っていましたが,38ページのゴシックで示されているイには意思確認についての記述がありません。これは法律事項,規則事項という振り分けを意識して落とされたのかというのが1点目です。説明には裁判所等において真意を確認した上でという言及があるので,真意確認は要件になっていると理解していますが,形式上落ちていますので,確認です。   2点目は,同じく受諾和解のアのところの当事者に隅付きの括弧で【のうち一部のもの】という記載がありますが,その説明がなかったので,現行法の法文を修正される趣旨かという質問です。   3点目,「(3) 和解に加わる第三者」です。今回規律を設けないという提案になっていますが,その場合,実務がどうなるのかという質問です。説明を見ていても理解ができないのですが,従前の部会等では,和解が成立する前に実施される協議に利害関係人が参加することを前提に,利害関係人にも和解条項案を提供し,更にはウェブ会議システムを使って利害関係人も独自に参加できることが望ましいという提案をしました。規定を設けないという意味は,和解条項案を利害関係人には示さないとか,ウェブ会議への独自参加を認めないという意味なのか,それとも44ページなどの説明では,当事者の解釈としてそれを認めるという趣旨なのか,どのような形で処理されようとしているのかを説明していただけますか。   4点目は意見です。和解に代わる決定について詳細な検討を頂いています。やはり現時点ではメリットは認めますが弊害の方が大きいと考え反対したいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,3点御質問があったかと思いますので,事務当局から回答をお願いいたします。 ○波多野関係官 まず1点目,頂きました(2)のイでございまして,真意確認の文言がゴシックから落ちているというところでございますが,これは阿多委員御指摘のとおり,法律事項と規則事項をちょっと意識してそれを書き分けているというものでございまして,補足説明にお書きしておりますけれども,真意確認をされることは当然の前提としているというものでございます。   (2)のアの,【のうち一部のもの】というところにつきましては,(イ)を設けることとの関係で,全ての方が出頭することが困難であればイの方になるのかなと,そういうことの整理をどこかでする必要があるのかもしれないということで,今の段階では隅付き括弧を付けてこのようなことをお書きした次第でございます。   3点目の(3)の「和解に加わる第三者」に関しましても,どうなるのかというところでございます。こちらにつきましては,この部会で前回御議論いただきましたときにも,基本的にこの改正後,現状実務も踏まえましてですが,改正後におきましても第三者が,今は電話会議であるとか,今後ウェブ会議が活用されていくときにはウェブ会議を使って和解協議に入っていくということ自体については,特段御異論がなかったところかなというふうに理解をしているところでございますので,第三者がウェブ会議で参加していくということは考えられるんだろうというふうに理解をしているところでございます。   また,案の提供がどのような形でされるのかというところでございますけれども,電磁的な記録を提供するということになりますと,恐らく閲覧の形になるのか,送達というような形で提供するのかという技術的な問題はあるのかなと思っておりますが,何がしかの形でそういう提供がされることになっていくんだろうというふうに理解をしております。その上で,規律を全般的に過不足なく設けることはなかなか難しいという御指摘もあり,検討した結果,その辺りは隘路としてあるのかなと思ったところでございまして,今回具体的な明文の規定を設けないという方向での御提案をさせていただいたというものでございます。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 阿多委員,いかがですか。 ○阿多委員 (3)の説明で,何らかの方法で提供や参加を認めていることは理解しましたが,他方,従前問題点と指摘していた利害関係人が事件管理システムにアクセスできるとか,利害関係人の閲覧で規律されるのかもしれませんが,今まで議論してきた利害関係人の範囲と和解だけ参加する場合の利害関係人とは概念として違うように思います。前回指摘したのは,事件管理システムにアクセスすることは認めるが,それまでの訴訟記録全部を閲覧できるのは行き過ぎではないか,制限を加えるべきではないかという点です。今の説明ですと,当事者と同じように訴訟記録の全てを閲覧できるように思えるのですが,それしか対策,方法がないのかというのが再度の質問です。さらに,これは運用になるのかもしれませんが,裁判所としても,当事者という概念から外れる利害関係人として和解に参加する者も事件管理システムへのアクセスやウェブ会議への参加を認められるという前提で伺っていてよいのか回答をお願いします。 ○山本(和)部会長 それでは,まず事務当局からお願いできますか。 ○波多野関係官 私の説明が少し不足していたのかと思いますが,飽くまでも閲覧との関係でいきますと,当事者というように言えないということになるのではないかというように考えていたところでございました。利害関係があれば利害関係のある第三者として閲覧をすることができるということになるんだろうと思います。   さらに,必要があればシステムを使った送達というような形で電磁的記録を提供するということは考えられるのではないかというように理解をしていたところでございます。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   裁判所の方から補足いただけることはありますか。 ○橋爪幹事 まず,第三者について,ウェブ会議による和解が可能なのかという点につきましては,新たな規律を設けなくても第三者が和解に加わる場合についてはウェブ会議を利用することや受諾和解に関与することも可能であるといった理由から,あえて特段の立法をすることは不要であるということかと理解しておりますので,その点については阿多委員の御認識と全く同じでございます。   あと,この第三者がどのようにシステムを使って閲覧等をするのかについては,システムの設計等を踏まえて検討する話かと思いますので,現時点で特段申し上げられることはございません。 ○山本(和)部会長 阿多委員,よろしいでしょうか。 ○阿多委員 一言だけ。   フルスペックの当事者と同じような形で全ての権利が行使できるというのではなくて,権限を制限できるアカウントについて検討いただけたらと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○日下部委員 受諾和解についてお尋ねをさせていただき,それで御回答いただけましたら意見も述べたいと思います。   受諾和解の要件である出頭困難に言うところの出頭とは,これまでの部会においては口頭弁論等の期日に電話やウェブ会議の方法で参加するということも含むものであって,出頭困難の要件が満たされるためには,そうした方法での参加も困難であることが必要であるという前提であったように理解をしております。今回の御提案では,そういった出頭の意義については特に見直しは図られていないようであるので,そのような前提でよいのか確認をさせていただきたいと思います。 ○波多野関係官 出頭困難の意義につきましては,今日下部委員から御指摘いただきましたとおり,リアルでの出頭及び電話会議,ウェブ会議での出頭も含めて出頭が困難な場合ということを念頭に置いているというものでございます。   以上でございます。 ○日下部委員 ありがとうございます。   そういうことでありますと,例えば弁論準備手続の期日に電話やウェブ会議の方法で参加することが認められるための出頭困難要件とは,同じ法文であっても出頭の意味が異なるということになるかと思いますので,それは解釈で読み取るべきということかと思います。   今の整理を前提にした意見なんですけれども,仮にここでの,つまり受諾和解で言うところの出頭困難要件での出頭が,電話やウェブ会議の方法での参加も含むものであるということだとすると,受諾和解の制度の出頭困難要件は満たされにくいものであって,この制度が利用されるケースはかなり限定的になるのではないかなと考えています。   部会資料を拝見しますと,そうした出頭困難要件が満たされる事案の例として,期日の日程調整が困難な事案が言及されているのですが,日程調整の困難を出頭の困難と評価できるのだろうかという疑問を持っています。仮に出頭困難要件が満たされる事案が限定的であるとすると,言い換えますと,それは口頭弁論等の期日に当事者双方が現実に出頭し,あるいは電話やウェブ会議の方法で参加して和解が成立するということが飽くまで通常だということになるかと思いまして,それはそれで問題視すべきでもないのかなとも思っています。   ただ,実務的な観点からいいますと,和解条件の交渉が進んで,当事者双方が和解条件に事実上合意した状況に至った場合に,あえて期日を設けることなく当事者双方が受諾書面を提出する方法での受諾和解とする方が,電話やウェブ会議の方法による参加も省くことができるという点では便宜にかなう面もあるのかなと思います。実際,パブリック・コメントの中にはそのような意見もあったように理解しています。   したがって,もしそのような制度の構築を考えるのであれば,出頭困難要件における出頭というのは飽くまで期日への現実の出頭を意味するものと構成すべきではないかとも思いました。そういうふうにすれば,受諾和解で言うところの出頭困難要件は,弁論準備手続の期日についての出頭困難要件と同じ意義を有するということになるのだろうと思います。申し上げたいのは,出頭困難要件の意義を明確にしておくことが,将来の運用を読み間違えないようにする上では重要なことだと思いますので,この点についてはもう少し検討を深めて,受諾和解制度の利用可能性をどの程度広いものと捉えていくのかということについて共通理解を持つことができるようにしたいというのが私の意見であります。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,ほかに御質問等ございますでしょうか。 ○垣内幹事 垣内です。   今の受諾和解の点に関しまして,私自身は,出頭困難要件については実質としては資料で説明されておりますように,例えば日程調整が困難なような場合も含めてこの制度が利用可能ということでよいのかなというふうに今のところ考えておりますので,そのことを文言上どのような形で表現するのがいいのかということについて,なお少し整理が必要ということかなという思いで,今の日下部委員の御発言を伺っておりました。   それで,受諾和解に関して1点御質問なんですけれども,現在,38ページの(2)のイの(イ)のところ,ただし書のところで,今回御提案の制度の下では,和解日というものが設定されて,それまでの間はその受諾を撤回する書面を提出することによって和解の成立を妨げることができるということになっております。このような規律にすること自体は,実質として私は相当ではないかと思いますので,賛成したいと考えております。   その関係で確認の御質問ですけれども,従来の,一部の当事者が出頭する形で行われる受諾和解の場合に,出頭しない当事者が書面を提出するわけですけれども,そちらの方につきまして,この撤回する旨の書面の提出等の規律というのが,従来解釈上同じように考えられてきたということかとも思われますけれども,まず実質的に規律として同様のことを想定しておられるということなのかどうか。そうだとして,その場合にはイの方でこのような明文規定を仮に設けたとしますと,従来存在する一般的な場合について,同様の規定を設ける必要が出てくるのか,それとも解釈上そういうことになるということなのか,その辺りについて事務当局でお考えのところがありましたらお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局から御回答をお願いします。 ○波多野関係官 今,垣内幹事から御指摘いただきましたイの(イ)のただし書でございますが,こちらは今回和解日というものを設定しましたので,これとの関係でどういう意味があるのかということを明示的に書いた方が分かりやすいのではないかということで,和解日が経過するまでに撤回する旨の書面が出たときは,受諾和解は成立させることができないということを明確に書かせていただいたものでございます。   その前提としましては,これまでもいわゆる和解の意思表示,受諾の意思表示というものは合意が成立するまでは撤回が可能であるということを前提として実務がされていたというふうに理解をしておりましたので,それを変えるつもりはなく,今回それを分かりやすくするためにここで書かせていただいたものでございます。   さらに,その上でこのただし書を明文の規定として置く必要があるのかどうかにつきましては,更に法制的な面も含めて検討することになると思っておりまして,そういう意味で,アとイの平仄は今後合わせていかないといけないということは今御指摘いただきましたので,それも含めて検討させていただきたいと思っているところでございます。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 垣内幹事,いかがでしょうか。 ○垣内幹事 どうもありがとうございました。今の点については承知いたしました。   続いて発言させていただいてもよろしいでしょうか。 ○山本(和)部会長 どうぞ。 ○垣内幹事 ありがとうございます。   新たな和解に代わる決定の(5)のところに関しまして,2点ほど御質問をさせていただきたいと考えております。   1点目ですけれども,今回の甲案・乙案両案のうちの甲案で,新たな規定,制度を設けるという考え方に仮に立ったという場合に,現在ですと同様の処理を便宜的に付調停をした上で民事調停法の17条決定という形で行う例があるという御紹介を承知しておりますけれども,この制度が仮に導入された場合に,従来のその種の取扱いとの関係でどうなるのかと申しますか,その種の取扱いがされてきた場面については,以後はこの甲案で提案されているような規律が利用されるということを期待してよいということなのか,それとも従前の17条決定というものがもう一つの手法として依然として生き残っていくという想定になるのか,これは事務局にお伺いするのがいいのかどうかよく分かりませんけれども,その点についてが1点です。   それから,もう1点は,甲案の内容で,要件として当事者の意見を聴いてという要件が課せられているところですけれども,こちらの当事者の意見を聴くというのが実際にどのような措置を裁判所が取ることを想定しているのかということで,私の考えるところでは,好ましいやり方としましては,期日等で意見を実際に聴取するということがよろしいのではないかというように思われますけれども,そうではなく,その書面上で意見があれば述べるように,あるいは異議があれば述べるようにというようなことを連絡し,何も反応がなければそれで意見を聴いたことになるといったようなことも想定されるのか,その辺りについてもし事務局の方で何か現在想定しているところがありましたら教えていただきたいというのが2点目ということになります。よろしくお願いいたします。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局からお答えをお願いします。 ○波多野関係官 1点目の御質問でございまして,従来,今回のこの甲案のような制度が入った場合に,従来の付調停,17条決定という,そういう取扱いがどうなるのかというところでございますが,こちらは事務当局,なかなか定見を示すところは難しいところでございますけれども,一般的には新しい制度を作るということになりますと,そちらの制度を使っていただくということを期待するということになるのかなというふうには考えていたところでございます。   2点目の当事者の意見を聴く方法でございますけれども,こちらもいろいろなバリエーションがあり得るのかなというようには思っていたところでございまして,そのうちの一つとして,今垣内幹事から御指摘いただきましたように,期日で恐らく和解条項を詰めていきますので,和解条項を詰めていったところで最後はどうしても和解が詰まらないというときに,こういう和解に代わる決定のようなことをしますということを多分御説明されることが一般的なのかなというふうに想像していたところでございます。   そうなりますと,恐らく期日でこういう和解に代わる決定の意味であるとか異議を申し立てることができますというようなことを御説明させるようになるのかなと思っていたところでございます。   他方で,そのやり取りを踏まえて期日間というんでしょうか,期日が終わった後に書面でこういう御連絡をするということも否定されるものではないのかなというふうには理解をしていたところでございます。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 垣内幹事,いかがでしょうか。 ○垣内幹事 どうも御説明ありがとうございました。   今の御回答も踏まえまして,私自身としては甲案について適切にこの要件に従って運用がされるということであれば,従来の特段この種の要件が示されていない付調停と17条決定というものにそのまま委ねておくというよりは,この際,このような規定を明確化することによって,裁判所の運用の適切も期していただくということには一定の意義があるように思われますので,そのような前提で甲案を採用するということもあり得る選択肢なのかなというように現時点では考えております。   以上です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○笠井委員 今の垣内幹事がおっしゃったその従来の扱いについてどうなるのかという話なのですけれども,付調停という制度自体,それから17条決定という制度自体がなくなるということは,これはあり得ないわけです。そうすると結局運用でやっていることについて,その運用がどうなるのかという話になってきますので,この甲案を採用したからといって,法制的にどういうふうに適切でないものを禁ずるかという話には多分なりにくいと思います。現在の運用では,私の理解では調停委員会を民事調停法5条1項本文のとおりには構成しないとか,そういったことが行われているのではないかと思いますが,付調停の場合にそういった扱いを禁ずるということはあり得るのかもしれません。けれども,法制的に甲案と現在の扱いとをうまく取り替えるというようなことができるのかについては,疑問を持っております。私自身は,やはり乙案,設けないという意見で,これは従来から申しておりますけれども,今回の資料でいいますと46ページのイのところに書いてあること,それから47ページのエのところに書いてあること,この辺りに大変共感を覚えておるところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 笠井委員からも話がありましたが,付調停の事件は,東京,大阪のように調停部が設けられている裁判所では,通常部から一定の訴訟事件が調停に付され調停部で処理されています。その前提で,調停の成立が難しくて調停に代わる決定がされるという事件も一定考えられるわけですが,垣内幹事の意見を形式的に理解すると,一旦調停に付されると逆に調停に代わる決定ができないということになり,結果,通常部での訴訟に戻して通常部で和解に代わる決定をするということになりかねません。現状の付調停がなくなるとか,付調停の処理として調停に代わる決定がなくなるとは考えられないと思います。ですから,甲案乙案について整備してきれいな実務になるということはないと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○垣内幹事 垣内です。   念のため,先ほどの発言の趣旨についての補足をさせていただきたいと思いますけれども,私が今後この制度が仮に導入されたときにどうなるのかということをお尋ねしたわけですけれども,付調停の規律や,あるいはその調停に行った場合の17条決定の規律がなくなるとか,今後利用が法的にできなくなるということは,私もないだろうということは前提にしておりまして,ただ,この制度をせっかく作ったのであれば,従来想定されていたものの多くはこちらでカバーされるということが実際上期待できるのだろうかどうかというところについて,少し事務当局の現時点での御感触を伺いたかったというところであります。   逆に申しますと,私は賛成してもよいではないかというふうに申しましたのは,そこは適切な運用が,このような条文が導入されることによって,実務上も期待できるということはあるのではないかというように考えたというところで,逆に例えば今回の甲案ですとかなり要件としては慎重なものになっていると私は評価しておりますけれども,むしろこちらでは使い勝手が悪いというようなことで,この甲案に従った手続はおよそ利用されずに全て従前どおり付調定,17条決定というようなことになるのであれば,それは余りこうした制度をあえて理論上の様々な難点を乗り越えて作るという意味もないことですので,そういうことになるのであれば,これは乙案しかないということなのかというふうにも考えております。   以上です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○小澤委員 新たな和解に代わる決定についてですが,提案のアのただし書に,裁判所があらかじめ定めた和解に代わる決定をする日の前日までに異議の申立てがあったときはこの限りでないということが設けられて,一旦は和解に代わる決定に服する意思表示をしたとしても,前日までは異議により撤回できると規律された点について,和解に代わる決定がされる前に決定することに異議を述べることで,いつでも元の手続に復することが保障されるとともに,和解に代わる決定がされた後に決定の内容に異議を述べることも従来から提案されておりまして,いわゆる二種類の保護が明示されたと考えることができると理解しています。   すなわち,最初の異議により,言わばクーリングオフとも言える当事者保護の規律が設けられたと考えられるため,前向きに評価し,改めて甲案に賛成の意見を述べさせていただきます。   一方で,(注1)に示されている当事者の同意を手続要件としますと,不熱心な当事者からは明示の同意を得ることが困難なケースもあると思いますので,実務上使い勝手が悪い制度となってしまうのではないかと懸念しておりますので,本文どおりの要件でよいと考えています。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○藤野委員 主婦連合会,藤野でございます。ただいまの新たな和解に代わる決定のことで意見を申し述べさせていただきます。   今,小澤委員からございましたように,当事者保護の規律が追加で設けられたことは一定の理解を示しますが,これまでの審議にもございましたように,そもそも企業とか自治体が内部での決裁が得にくいから裁判所に判断してもらうというような理由でこの新たな和解に代わる決定を作られること自体がおかしいと思います。そういう姿勢を持つ企業等は,社会的に困るということでございます。この一つの裁判においてもしかしたらそれは当事者にとってはいいこと,解決が早まるということにつながるのかもしれませんけれども,社会全体として見た場合にそれが本当にいいことかということは,私ども消費者にとっては疑問でございます。また,裁判所に和解に代わる決定を勧められた場合に当事者である消費者がきちんとそれは望んでいないと言えるかということも大きな問題でございまして,そういったことを全体として考えて,この新たなる和解に代わる決定には反対し,乙案に賛成いたします。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○橋爪幹事 この制度が設けられた場合の運用についての話もありましたので,一言申し上げたいと思います。   当然のことながら,今回の部会資料に記載されたような要件が定められた場合には,その規定の趣旨を踏まえて制度を運用することになりますし,規定の要件を満たさない場合に,便法的にほかの方法として,17条決定をするなどの話には当然なり得ないものと考えております。正に藤野委員が示されたような懸念についても,そうした懸念が存在することも踏まえて規定の趣旨に従った運用が必要であるということを,こうした制度ができた場合には実務の現場にしかるべく周知をしたいと考えているところです。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○山本(克)委員 私もこれについては反対の意見を述べてきたところですが,この制度が仮に実現された場合,裁判所がこの制度を使うインセンティブが働く事件というのがどういうものなのかということを考えた場合,先例が余りない分野において難しい法律判断を迫られる場合というのが相当程度含まれるのではないかという推測をいたしております。そういう場合にこの制度にいきますと,結局前例の少ない分野についての判例の蓄積というものが余りなされなくなってしまうと。昔の話でいえば,昭和30年代に交通事故に係る不法行為訴訟というのが非常にたくさん提起された時代がございますが,そのときには,東京地裁の交通部を始めとする下級審がその実務をリードしていって,現在の様々な交通事故をめぐる民事法上の制度というものが構築されていくきっかけになっていったわけでございます。   そういうような法発展というものにブレーキが掛かるおそれが多分に含まれているのではないかなと考えております。そういう意味で,この制度というのは確かに先ほど藤野委員がおっしゃったように,当該訴訟だけ考えればある程度のメリットがあるかのようには見えますが,やはり民事法の全般的な制度程度のためには,私はマイナス要因がかなりあると思います。それとともに,本当に二つの異議申立てを用意したからといって,本当に当事者が納得して受け入れるのかどうかと。つまり,お上から言われた,だからこれに逆らったら不利な判決を下されるのではないかというおそれから,異議を申し立てないという事態というものが全く排除し切れるかどうかというのはかなり疑問を持っているということ。それから,以前から申します,いろいろな方がおっしゃっていますように,やはり法による裁判というものが訴訟の基本的な性格であり,それを変容させてしまうのではないかと,様々なデメリットが想定できるところであり,私はこの制度は導入すべきではないというふうにやはり考えざるを得ないということで,意見は変えておりません。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○日下部委員 私も手短に。新たな和解に代わる決定につきましては,今回,和解の日までの異議申立ての機会を設けるという追加の提案もなされておりますけれども,藤野委員,山本克己委員がおっしゃられましたことに私も完全に同意でございまして,結論としましては,この制度につきましては反対でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○橋爪幹事 1点だけ,先ほど山本克己委員から懸念が示された点につきましては,難しい法律判断が必要となる事案とか判例の蓄積が期待される事案とか,そういった事案に本制度を適用することは全く考えておりません。正に紛争解決の選択肢を増やすために,現在17条決定がある意味便法的に用いられているような事案についてのニーズがあると考えているところですので,念のために申し上げます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○山本(克)委員 何度もすみません。しつこいようで恐縮ですが,最高裁の事務総局が今どういうふうにお考えになっているかということと,できた後に実際にどういうふうに使われるかというのは,制度というのは生き物ですので,どういう使われ方をするのか分からないという趣旨で私は申し上げたつもりでございます。   人間,弱いものですから,難しいことをするよりは安易な方に流れるということも,いくら裁判官に立派な方が多いとはいえ,そういう誘惑というものが働き得るのではないかという想定の下に申し上げました。外れているかもしれませんが,そういう懸念を持っているということでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○佐々木委員 佐々木です。私は甲案に賛成の立場でして,これ,我々企業の立場といいますか,訴訟のユーザーの立場からすると,大きな前提として和解で解決をしたいというふうに当事者が望んでいる場面であるという,そこに適用されることを想定して我々もそれを望んでいるというふうにお考えいただきたいなと思っております。そうであれば,和解で解決したいのであれば,譲歩をすればいいではないかと思われるかもしれませんけれども,なかなかそこが歩み寄れない場合において,こういう制度によって一定の解決ができるのであれば,それはそれで望ましいのではないかなと考えている次第です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○高田委員 私も新たな和解に代わる決定について意見を申し上げさせていただきたいと思います。   これまで皆さんがおっしゃられたことですけれども,取り分け46ページのイの部分,これは従来垣内幹事が御指摘になられたところだろうと思いますけれども,民事訴訟手続における裁判官の役割をある意味大きく変える立法だろうと思いますので,17条決定ということでは本当にカバーできないのかということについて慎重に検討すべきだろうと思います。17条決定が不便な手続だという御意見があり,これが今回の提案の一つのきっかけになったと思いますけれども,繰り返しになりますが,46ページのイに書いてある部分に照らせば,そういう手続を経て17条決定に移るということによって,裁判所が異なる権限を持つ手続に入ったということを明示する役割があるわけでして,その機能を軽視すべきではないと私も存じております。   その上でですが,ニーズがあるということで,甲案について検討するということでございますけれども,仮に甲案について検討する場合においては,従前からしますと,かなり厳格な丁寧な手続になったとは感じております。ただ,和解に代わる決定についての従来の議論からしますと,やはりもう少し丁寧に検討する必要があるのではないかという印象を持っております。これまでの議論で皆さん,取り分け前回の議論で阿多委員から御指摘があったところでありますけれども,平成15年改正で創設された275条の2は,見出しは和解に代わる決定ではありますけれども,対象を極めて限定していると理解しております。条文を見ていただければお分かりのように,事実関係を被告が争わない事件,すなわちこの手続がなければ原告全面勝訴が予定される事件において,分割弁済を認める,この場合において被告が出頭しない,そうした場合において,全額弁済を命じる認容判決が出ることを予測しつつ,分割弁済ということで原告の権利の縮減を帰結する和解を想定し,そうした決定を受ける原告の意向を確かめた上で裁判所が決定するという,非常に大きなセーフガードを設けていると理解しております。   私の理解では,和解に代わる決定の提案がありながら,この範囲でしか認められなかったというのが平成15年改正の経緯ではないかと理解しております。そうだとしますと,これだけの条件を付していることを前提にすれば,取り分け大きな立法事実がない限り,それに相当する条件は何かということをなお考える必要があるということで,慎重に御検討いただければと思います。卒然と考えますと,そのまま判決となるとどういう判決になるのかということを両当事者が理解した上で譲歩するという意向を示すということが必要ではないかというのが私の印象ということになります。ここは皆さん御意見違うのかもしれません。   小澤委員,それから佐々木委員から出ましたニーズについては十分理解しております。しかし,その場合なぜ裁判所による和解案の提示,その受諾という本来のルートでは不十分なのかということについて,十分な納得がなお私には得られておりません。取り分け今回受諾の手続を緩和することになるわけですから,裁判所に出頭しなくても受諾できるわけであります。そうだといたしますと,こうしたルートでは実現できないニーズがどこにあるのかということについて,なお現時点では疑問だというのが私の感想ということになります。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○服部委員 服部でございます。   委員,幹事の方々から色々なお話がございましたので,余り重ならないようにしたいと思いますけれども,御指摘いただいていますとおり,46ページの(2)のイに記載されております様々な疑問につきましては,今回新たに提案いただいた事前の異議の可能性という要件を付したとしても,その疑念,疑問が払拭されるというものではないと考えております。また,事実上ということにはなりますが,藤野委員や山本委員が指摘されていましたとおり,本当に真意をもって異議を申し立てないということが可能なのかという懸念も払拭されるものではないと考えております。今回,和解に代わる決定というネーミングでこの決定はつまり和解に寄せて,裁判所の和解と同一の効力を有するということとされているのですけれども,山本克己委員も懸念されておりましたけれども,運用によっては,和解に寄せるというよりは実質的には判決に代わる決定のような形にもなりかねず,そうすると,やはり民事訴訟法の訴訟提起から判決に至る重要なルートを変えてしまうおそれは強いものではないかと考えておりますので,乙案に賛成したいと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。意見は出尽くしたと見てよろしいでしょうか。 ○青木幹事 すみません,青木でございます。和解に代わる決定について一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。   部会資料45ページ,46ページにおいて,訴訟物を超えた事項について決定がされることの問題点が指摘されていることに関してです。その調停に代わる決定について,民事調停法17条が当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度でしているということ,それの意義についてですが,それに対応する文言が今回甲案には設けられていないということ,これについては以前の部会について御説明を頂いているところではあるんですが,改めて考えると,理論的には民事調停法についてのこの文言にその当事者主義との関係でやはり意義があるのではないかなと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○日下部委員 些末な点ではあるのですけれども,1点,用語法について小さなコメントをさせていただければと思います。   今回の部会資料の38ページの上部にあるウの部分では,和解の期日における裁判長の訴訟指揮権等に関する規律が提案されています。その文末の表現,つまり「和解について準用する」という言葉がやや引っ掛かっております。和解は,通常は当事者が合意することで成立する契約を意味しておりますので,「和解について準用する」という表現は,ここでは不自然に思われました。部会資料では和解の期日に行われる手続の表現が特にないので,「和解について準用する」と表現するほかなかったものと推察しておりますけれども,進行協議期日に倣って和解を試みる手続を和解協議と呼び,そのための期日を和解協議期日と呼ぶようにしたらどうかなと思いました。形式的な話ではありますが,法文が国民に理解しやすいものになるようにという観点からの形式的なコメントでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,なお本日甲案,乙案それぞれを支持する観点から御意見があったかと思います。ただ,永遠に議論を続けるわけにはまいりませんで,次回辺りにはある程度取りまとめに向けたことにしていく必要があるだろうと思います。事務当局においては本日の議論の内容について精査を頂きまして,次回部会にはある程度の,何といいますか,取りまとめに向けた方向性というものが出ていけばいいかなと思いますので,よろしくお願いをしたいと思います。   それでは,以上で部会資料18については議論,審議を終えることができたかと思いますので,引き続きまして,部会資料19の検討に移りたいと思います。   前回の会議でも御案内させていただきましたとおり,前回御議論を頂いた被害者の身元識別情報を相手方に秘匿する制度につきましては,非常に重要な問題で,社会的な関心も大きいだろうということで,追加のパブリック・コメントを実施したいと考えているところであります。そこで,この部会資料の19は,その標題にもありますように,パブリック・コメントを求める追加試案の案という形になっております。   そういう意味で,本日はこの個々の案について賛否の御意見を頂戴するというよりは,パブリック・コメントを行う対象としてどのようなものをお示しするのが適当か,どういう形で示した方がより一般の方々から御意見を頂きやすいかという観点から,この部会資料19の内容あるいは表現ぶり等について御議論を頂きたいと思います。以前の中間試案のときの審議と同じような形ということであります。   それでは,早速ですが,まずこの部会資料19の「第1 訴状における秘匿措置」それから「第2 送達場所等の届出における秘匿措置」,これをまとめて取り上げたいと思います。事務当局から説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   第1の(注1)及び(注2)にそれぞれ保護法益の内容及びその帰属主体について本文とは異なる考え方があることを注記しております。(注3)におきましては,部会資料18の(注)の考え方を明確化し,訴状に記載された内容を相手方に閲覧させることなく請求原因事実として主張することができる考え方であること等を明示することとしております。   主な変更点は以上のとおりでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   それでは,この第1及び第2につきまして,どの点からでもどなたからでも結構ですので,御質問,御意見等をお出しいただければと思います。 ○日下部委員 第1の(注1)に関してお尋ねと意見を述べさせていただければと思います。ここでは,身体の安全等が害されるおそれがあることという考え方が言及されておりますけれども,これは社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあることという考え方とは異なり,保護法益をより具体的に示す考え方の例として示されたものであって,身体の安全以外にどのような法益を挙げるか,また各法益の性質に鑑み,顕著性などの追加的要件を付すべきかどうかは別途検討する想定ということでよろしいのでしょうか。以上がお尋ねでございます。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局からお答えをお願いします。 ○藤田関係官 事務当局でございます。   この(注1)の身体の安全等と申しますのは,前回の部会で頂いた御意見を反映させたつもりでございます。主として,身体などの安全というより切実な問題に関わる部分が立法事実として考えられているのではないかという御指摘があったものですから,このような記載とさせていただいたものでございます。そして,この(注1)の「等」という文言により,オープンに問う形にしているつもりでもございまして,それ以外にどのような保護法益を明示していくかというところは,開かれて問われる形と考えておるところでございます。   以上でございます。 ○日下部委員 ありがとうございます。保護法益として身体の安全等のみに言及するのですと,「等」「など」に含まれるものが不明瞭に過ぎて,安定した解釈・運用が当然困難になるだろうと思います。したがいまして,(注1)でこの考え方に言及する際には,身体の安全以外の保護法益についても検討し,各保護法益の性質に鑑みて,必要があれば顕著性などの追加的要件を付すことも併せて検討する予定であるといったことを追加試案の中でも付記することがよいように思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。今の点,補足説明の中でそのような説明をするということで基本的にはよろしいでしょうか。 ○日下部委員 私としては,いずれかのところでパブリック・コメントに応じることを検討される方が理解できればよろしいかと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○脇村幹事 すみません,法務省の脇村でございます。   今,委員のおっしゃっていることは理解させていただきまして,恐らくここで問いたかったものは二つございまして,切実なもの,先ほど藤田関係官の方から説明をさせていただいた切実なものについて絞るべきではないか,さらには,そのほかについても考えるべきではないか,多分二つのことがどうしても混ざっていただろうと思います。そういう点で,パブリック・コメントにする際に,このままでは少し分かりにくいのではないかという御指摘だと思いますので,例えば切実な問題であるということについて明確にする趣旨から,生命・身体の安全が害されるおそれがあるというふうなことを明確にさせていただいた上で,補足説明等ではその絞る考え方を採る場合にも,なお他の法益について検討すべきであったという意見などを紹介させていただくことで,追加試案につきましてはその切実なものを明示的に書かせた上で,何といいますか,意見いただく形の方が少し分かりやすくなるのかなという気もいたしまして,もしよろしければそういったことを考えていきたいと思っております。 ○山本(和)部会長 修正の御提案がありましたが,よろしいでしょうかね。   ほかにいかがでしょうか。 ○渡邉幹事 3点ほど指摘させていただきたいと思います。   1点目ですが,今回御提案いただいている規律は訴状に関する規律となっており,これは,法律上当事者の表示が義務付けられている書面という趣旨で,訴状を対象としているということかと思いますが,ほかにも当事者参加や補助参加の申出書,受継の申立書についても,規則上ではございますが,申立人の氏名及び住所を記載することとされているものがあり,こういったものについても,本規律の対象とする必要があると考えられます。この点については補足説明等で記載していただいた方が分かりやすいと思います。   2点目ですが,少し細かい話で恐縮ですが,被告に宛てて送達した訴状が,被告において転居届を提出していたために転送されて送達されたような場合,送達報告書には転居先の住所が記載されることになりますが,この転居先の住所は,当事者送達場所等届出書面に基づいてする送達に関するものとは言えないので,これが秘匿を要する住所であっても,本規律では秘匿措置の対象とはならないのではないかと思われます。このような場合にも被告において送達場所の届出をした上で転居先の住所が記載された送達報告書の転居先部分の秘匿を求める申立てができるような規律にすべきではないかと思われます。この点については規律自体の問題なのか,補足説明にそういった問題があるということを記載していただくのかは,事務局にお任せしたいと思います。   もう1点ですが,これは私の方で研究会のときも指摘させていただきましたが,本規律が刑事損害賠償命令事件との関係で連続性を持つことを担保する必要があるということについても念のため指摘させていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   事務当局から何かコメントはございますか。 ○脇村幹事 今頂きました御意見につきましては,踏まえて補足説明等考えさせていただきたいと思います。   いずれにしましても,訴状以外についてこういった手続を取るかについては,改めてパブリック・コメントを踏まえた上で必要性について考えていきたいと思いますし,法制上は法律事項と規則事項についての義務付けについて同じでいいかについては私たちとしても少し考えていきたいと思っています。ニーズにつきましては分かりましたので,そこについての補足説明等については留意していきたいと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○長谷部委員 ただいま日下部委員と最高裁の方から個別の論点について重要な御指摘がありましたが,私は,先ほど部会長がおっしゃったパブリック・コメントに回答される方が答えやすいようにという,そういう観点から御説明が必要なのかなと思われる点を,全体に関わる問題ですけれども,御指摘させていただきたいと思います。   まず,なぜ今の時期にこういう項目を追加するのか,それについてパブリック・コメントをするのはなぜなのかということを簡単で結構ですので,冒頭で示していただくのがよろしいかなと思います。一つの説明としては,犯罪被害者氏名等の情報保護関係の部会が法制審議会の刑事法の部会で開かれていて,そこでの議論も進んでいる,そういう状況であるとすると,あちらの議論とも関連させて回答しようかということにもなるかもしれませんし,あちらで論じられていないことで更に今回の民訴法の改正に入れていただきたいというようなことが出てくるのかもしれませんので,そういったところを説明していただければと思います。   具体的にどのような事項をこの改正の対象に含めるかということは,先ほど日下部委員がおっしゃった,社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれだけでいいのかというようなことですとか,保護法益の主体をどう考えるかということとも関連してまいりますので,回答者の方には,例えばこういう事件類型においてこういう人の保護法益に配慮するべきであるというような答え方をしていただくと,我々も議論しやすくなるかなと思った次第です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 追加試案について,パブリック・コメントを実施されるに際して回答のしやすさという観点からコメントします。第1の1のところの(注1)と関連する,社会生活を営むのに著しい支障が生じるおそれがあること,いわゆる実体要件が登場するのは,第1だけではなくて,第2とか第4にも同じ表現が用いられています。そうすると,第1だけで論じる話ではなくて,ほかの大見出しにも関連するので補足説明等についてはそれぞれの要件が共通して変わり得ることを踏まえた説明をする必要があると思いますので,コメントしました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。補足説明で対応いただければと思います。 ○湯淺委員 湯淺でございます。   私もパブリック・コメントに掛けるということを前提として,もう少しこの辺りの説明をしていただいた方が,パブリック・コメントをする方にも分かりやすいのではないかという趣旨で申し上げますが,(注3)の識別情報と推知情報の件でございます。結局のところ,この制度の要点は,何が識別情報に当たり,また何が推知情報に当たるのかという点にかなり関わってくるかと思います。恐らくパブリック・コメントをされる方も一体どの程度の情報が識別情報であり,どの程度の情報が推知情報なのかということは非常に関心がおありなのだろうと推察されるところです。そうしますと,この識別情報はこういうものが当たります,推知情報はこういうものが当たりますということが,民訴法なりあるいは規則なりに例示的にそもそも列挙されるのかどうか,あるいはそうではなくて,個別の事案で裁判官が判断するのか,その辺りも含めて(注)なりなんなりの御説明がないと,この制度自体にパブリック・コメントして賛成です反対ですということの意見を表明しにくいように思いますが,いかがでしょうか。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。事務当局からはございますでしょうか。 ○脇村幹事 ありがとうございます。   今御指摘いただきましたとおり,ここで想定しておりますのは実体的な要件ということで,最終的には裁判官が事案に応じて判断することを前提に,例えばということで書かせていただいたところでございます。   他方で,今御指摘いただき,恐らくは規則等あるいは何かで,限定的にあるいは例示的に列挙すべきではないかという,そういった御意見でございますので,そういったことを踏まえて,対応していきたいと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○湯淺委員 ありがとうございました。 ○山本(和)部会長 ほかにいかがでしょうか。   第1,第2の点はよろしいでしょうか。   それでは,この第1の(注1)の部分,若干文言を修正するということはございましたが,基本的には補足説明の中で今多々頂いた御注意,御意見等を踏まえて事務当局で対応していただければと思います。   それでは,引き続きまして,資料第3ですね,「調査嘱託における秘匿措置」,この部分について事務当局から説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   こちらの(注)では,送付嘱託及び文書提出命令の局面を例といたしまして,第3の本文のような規律を適用すべき訴訟記録の範囲の広狭をどのように画すべきかという問題意識を示しております。   主な変更点は以上のとおりでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   それでは,今の点につきまして,この点につきまして,どなたからでも結構ですので御発言がありましたらお願いをいたします。 ○垣内幹事 垣内です。   恐らくは補足説明での書きぶりのお話ということになるのかなと思うんですけれども,今御説明いただきました5ページの(注)の部分の文書提出命令等に関する記載に関しまして,本日の資料の19の2でしょうか,説明の5ページから6ページにかけてでは,文脈として当事者以外の第三者が提出する資料についてはという形でその文書提出命令等に関する問題が受けられているという印象を持ったんですけれども,送付嘱託については第三者ということかと思われますけれども,文書提出命令については当事者,相手方当事者に対して提出を求めるという場合もあろうかと思われますので,補足説明等でその辺りについて誤解,混乱のないような形で記載をしていただくとよいのかなと思いました。   特に当事者が自ら訴訟等で秘匿すべきものについて墨塗り等で提出すると,こういうことをした場合に,相手方当事者が当該文書は引用文書であるなどの理由で全体の提出を求めてくるというような場合ということも考えられないわけではないようにも思われますので,そうした場合も含めて検討課題があるという旨を示していただくということも考えられるのかなと感じた次第です。   以上です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○湯淺委員 湯淺でございます。   今の御意見にもございました当事者が自ら出す資料について,自らマスキングをするというところにつきまして,ちょっと事務当局にお尋ねをしたいんですが,当事者が自らマスキングをする以上,例えばこれは電磁的記録であれば,例えばPDFファイルに黒塗りの画像を重ねる等でその墨塗り,マスキングをすることになるんだと思いますが,その技術的手法が不完全であったためにマスクを外されてしまったというような場合については,これは責任は飽くまでもマスキングをした当事者にあると考えてよろしいんでしょうか。それが質問でございます。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局からお答えをお願いいたします。 ○脇村幹事 ありがとうございます。   なかなか私も技術的な視点がまだはっきりしていないところがございますが,恐らく事案ごとにどういったところまでされていたかによって変わってくるんだろうなと思います。ただ,いずれにしても,今回の試案につきましては,自ら出すものについては基本的には自らの責任で消すということを念頭に起きつつ,その以外のケースをどうしようかということを考えさせていただいているところでございます。ただ一方で,そういったどうしても間違ってしまったというケースについてどうするかについては今後も場合によっては議論されていくことになるのかなとは思っております。 ○湯淺委員 分かりました。どうもありがとうございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 これも補足説明での御指摘になるかとは思います。「第3 調査嘱託における秘匿措置」という形でタイトルがついていますが,調査嘱託が出てくる背景,実務の運用状況の説明がないと分からないと思います。証拠調べとしての調査嘱託の利用もあれば,送達先の調査という必ずしも証拠調べとは関連しない調査嘱託の利用も存在すること,どういう場面で調査嘱託が使われているのかということを補足説明で説明して,その上で当事者識別・推知情報が問題となる場面がそもそも存在するのかいうことも含めて説明いただいたらと思います。いきなりのタイトルが調査嘱託では,分かりにくいだろうと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   今の阿多委員の御指摘,先ほどの長谷部委員の御指摘もそうでしたけれども,全体像といいますか,なぜこれが今問題になっていて,現実今どういうような手続が行われていて,そこにどういう問題があって,それでこういう提案に至っているんだというその前書きというか,物語が恐らく理解していただくために必要であるということは,そのとおり,事務当局もそこは補足説明で丁寧に御対応いただけるものと思っております。   それでは,よろしければ,続きまして第4,証人尋問の方ですね。「証人尋問の申出における秘匿措置」について,事務当局の方から説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   本文1と(注1)におきまして,それぞれ当事者を保護するための秘匿措置と証人を保護するための秘匿措置とを区別して問うこととしております。   また,(注2)では,書証の申出における秘匿措置として考えられるものを整理し,証人の氏名等を相手方に秘匿しつつ,その証言を証拠とするという本文の規律に準ずるものとして,文書の作成名義人が記載された部分を相手方に秘匿しつつ,その文書の内容を証拠とすることの可否に焦点を当てることとしております。   主な変更点は以上のとおりでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この証人尋問の点につきまして,御質問,御意見,御自由にお出しいただければと思います。   特段ございませんか。 ○阿多委員 もう章立てが決まっていると思われるので,今更のコメントですが,第3の(注)で,送付嘱託や文書提出命令についての言及があり,第4の証人尋問の申出に係る秘匿措置の中の説明の2で書証に関する説明があります。しかし,書証関係と人証関係は区別してパブリック・コメントを求めた方が解り易いのではありませんか。補足説明等でどういう関心でこういう整理をしているのかが分かるように説明していただければと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   事務当局からコメントはありますか。 ○脇村幹事 ありがとうございます。   すみません,なかなか分かりづらくなっていて大変恐縮でございますが,趣旨としましては,第3については基本的に隠しているものについては証拠にしない前提の規律でございまして,一方,第4は隠した部分があっても証拠にするということを念頭に考えておりまして,そういった意味で分かれているのですが,そういった趣旨について少し何とか分かりやすくするような形で説明を考えていきたいと思っております。 ○山本(和)部会長 よろしくお願いいたします。   ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,引き続きまして,今度は「第5 不服申立て」ですね。この部分について,事務当局から説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   (注)において,除外事由による相対的な取消しがあった場合の秘密保持義務に関する考え方を示しております。   主な変更点は以上のとおりでございます。 ○山本(和)部会長 それでは,この部分について御発言があればお願いしたいと思います。 ○服部委員 ありがとうございます。   1の(2)の「除外事由による取消し」のイのところなのですけれども,「アの取消しは当該取消しの申立てに係る者に対してのみその効力を有する」とあり,続けてこれが「全ての当事者に対してその効力を生ずることになるときは」と記載がされています。アの取消しは相対効であるということを前提としつつ,ただ全ての当事者に対してその効力を生ずるという場合があるということの関係性が把握しづらいのではないかなと思っております。部会資料18,19の解説などを拝見してもこの関係が明確に記載されていないように思われましたので,関係性について補足説明など頂ければよろしいかなと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   事務当局,よろしいでしょうか。 ○脇村幹事 今の点につきまして,この試案自体の考え方は,全ての当事者について取消しの効力が生じたときに,第三者についてあえて残すのかという問題意識から書かせていただいておりまして,その点について補足説明させていただきたいと思っています。   ただ,一方で,だとしてもいきなり何といいますか,第三者に対しても効力を生ずるという構成がいいのかどうかについては,恐らく今のお話を伺っておりましていろいろな御意見があると思いますので,その点についてもほかにも考え方があるのではないかということについて,少し補足説明等で言及したいと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○服部委員 よろしくお願いいたします。 ○山本(和)部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは,引き続きまして,最後,「第6 判決書における秘匿措置」と「第7 その他」ですね,ここをまとめて御説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   第6の「判決書における秘匿措置」に引き続き,第7の(注1)から(注3)までにおいて,それぞれ民事執行,人事訴訟,家事事件といった民事訴訟以外の手続への規律の及ぼし方につきまして,各種手続の特性にも触れつつ,大局的な観点から問うこととしております。   主な変更点は以上のとおりでございます。 ○山本(和)部会長 この「第7 その他」の部分は今回全く新たに付け加わった文ということになりますけれども,御質問,御意見等があればお出しを頂ければと思います。 ○日下部委員 第7の部分について意見を申し上げたいと思います。   民事訴訟手続との関連で,それ以外の手続についても被害者情報の秘匿措置に係る規律の要否や内容を検討すべきだということは部会資料の御指摘のとおりだと思います。この部会資料の(注)では,民事執行,人事訴訟及び家事事件の各手続への言及がありますが,これら以外にも検討すべき手続がないか,漏れがないようにすべきだと考えています。   そこで,追加試案かその補足説明において,それら以外には検討すべき手続はないかという問題意識を示して,パブコメ募集に応じる方々の御意見を得やすいようにしたらよいのではないかと思いました。   なお,この点についての個人的な今の考えを少し申し上げますと,判決書を用いて行われる民事執行以外の裁判外の手続の問題がないだろうかということを気に掛けております。具体的な検討をしていない思い付きなので恐縮なんですけれども,例えば不動産に係る登記手続請求訴訟における意思表示を命じる判決書を用いてする登記申請や,離婚を命じる判決書を用いてする離婚届の提出の局面であります。   もっとも,判決書を用いる各種の裁判外の手続について,各手続に関する法令において個別的に法制的措置を検討するのではなく,民事訴訟法において一般的に通用する法制的措置を検討する方がよいのかなというような印象も持っているところであります。   後半部分は追加試案における記載をどうこうという話ではございませんけれども,追加的に申し上げました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   事務当局,よろしいでしょうか,一点目については。 ○脇村幹事 ありがとうございます。   委員から頂きました問題意識は私たちも持っておりまして,今回の試案ではその他の本文につきましては,以外の手続ということで限定せずにどうしようかということを書かせていただいているところでございます。その上で,特にこの執行については問題が多いのではないかということを改めて具体的に書き,またこのDV事案等が問題になるケースとしてはやはり家裁関係,人事,家事関係,特に問題になりそうだということで,そこは具体的に書かせていただいたところでございます。ただ,逆に具体的に書かせていただいた関係で,何か他はしないんだというメッセージが与えられては,それはまずいと思いますので,そこについては注意していきたいと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 「第7 その他」の民事執行について,秘匿の対象を氏名等という形で氏名と住所を一まとめにされて規律を設ける提案をしていますが,氏名情報が秘匿される場合と住所情報についてだけが秘匿の場合とでは,その後の扱いも変わってくると思います。住所等とまとめるのがいいのか,情報によって書き分けるのがいいのかも検討していただけたらと思います。   また,民事執行等においては,第三者について指摘されていますが,新たな第三者からの情報取得では住所情報等を提供することを前提に定められていますので,その辺も意識して説明いただけたらと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   では,補足説明等で対応いただければと思います。 ○渡邉幹事 その他の部分に関して,特に民事執行についてはいろいろな論点があると思われますので,内部的に検討した際に出てきた点を御参考まで御紹介させていただきます。   資料に記載いただいている第三債務者との関係のほかに,不動産執行における登記嘱託に当たり債務者の氏名及び住所が必要なのではないかといった点,本案において債務者の住所が秘匿の対象となっている場合に民事執行法205条の債務者の不動産に係る情報取得手続において所有不動産の地番等を開示することの可否,本案において債務者の職場が推知情報として秘匿の対象となっている場合に民事執行法206条の給与債権に係る情報取得手続において職場情報を開示することの可否,本案において債務者の住所が秘匿の対象となっている場合に民事執行法207条の預貯金債権に係る情報取得手続において金融機関の支店を開示することの可否といったことも検討を要するように思われます。これらの点についても補足説明に記載していただければと考えたところです。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。あるいは,もう一度全体を通して言い落とした点等があればと思いますが。よろしいでしょうか。   それでは,これまでの御議論で若干本文といいますか,試案本体との関係では第1の(注1)の部分,身体の安全等という部分について若干の修文の御提案があったと思いますので,その部分を反映させていただくというほかは,基本的には補足説明に本日頂いた様々な観点からの御意見を反映させていただくということで,基本的には部会資料19で提示している内容で追加試案を取りまとめるということについては御異論はなかったように思いますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   ありがとうございます。それでは,このような形で追加試案は取りまとめたいと思います。ただ,前回の中間試案のときと同様ですけれども,細かな字句等の修正が必要となる場合もあろうかと思いますので,実質的内容にわたらない表現あるいは字句の修正につきましては,大変恐縮ではありますけれども,部会長である私と事務当局に御一任を頂きたいと思いますが,よろしいでしょうか。   ありがとうございます。画面に映っておられる方々が一部なので,ちょっと全体的な雰囲気があれなんですけれども,基本的に御異論はないものというふうに理解させていただきます。   それから,追加試案の補足説明でありますけれども,今日もるる御示唆を頂きましたが,中間試案の際と同様,これについては法制審議会の慣例に従い,事務当局の責任において取りまとめて公表をしていただきたいと思います。本日の会議,あるいは前回からそうですが,その補足説明の書きぶり等についても多々御指摘を頂いているところでありますので,事務当局においてはそれを踏まえて補足説明を作成して,できるだけ有意義なパブリック・コメントになるように御配慮を頂ければと思います。   それでは,以上で追加試案,部会資料19についての審議は終わりたいと思いますが,よろしいでしょうか。   それでは,続きまして,本日の主題ということになるわけですが,部会資料20ですね,「民事裁判手続のIT化に関する検討事項3」,これについての検討に移りたいと思います。   まずは部会資料1ページ,「第1 争点整理手続等」のうち「1 争点整理手続の在り方」,これについて取り上げたいと思います。   事務当局から資料の説明をお願いいたします。 ○西関係官 これまでの部会では,現行法の三種類の争点整理手続につきまして,これらを統合し一つの手続とすることについて議論がされているところでございます。この論点につきましては,意見募集におきましては,甲案,乙案いずれに賛成する意見も出されております。この論点について検討するに当たりましては,現行法の三つの手続を見直す立法事実の有無について検討されなければならないように思われます。資料では幾つか検討のポイントを記載させていただきましたが,この点につきましても御意見がございましたら頂戴できればと考えております。   私からの御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   それでは,この点につきまして,どなたからでも結構ですので御意見を頂ければと思います。あるいは御質問でも結構です。 ○阿多委員 従前の部会に際しては,そもそも論ずる順番も含めていろいろ発言していましたが,1で一本化する甲案と乙案という提案が示されました。元々甲案に賛成していたのですが,その前提としてそれぞれの手続ごとにできることが違うが,同じ手続でいろいろなことができればと考え一本化に賛成してきました。しかし,今般のパブリック・コメント等の結果,さらには,乙案既存の制度・手続の充実等を考えますと,あえて現時点で既存のものを全て作り変えることまでの必要はないと思い,甲案は撤回し,乙案で充実を図っていってはどうかと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○小澤委員 改めての確認を含めてですが,(2)のイにおいて公開とするか非公開とするかが決定された後,公開となった場合においても(3)によって音声の送受信による通話の方法によって新たな争点整理手続を進めることができる制度設計になっているという理解でよろしいでしょうか。当事者の様々なニーズに対応するため,そのような制度設計にしてほしいと考えています。   また,新たな争点整理手続を公開とするか非公開とするかについては,部会資料7ページの説明では,事後的に変更し得ることとなると述べられていますけれども,当会の意見としましては,手続全体の分かりやすさという観点から甲案に賛成する前提なのですが,手続の方法についてはその前の期日において決定していただき,原則として変更はしないこととしていただきたいと思っています。期日前に公開か非公開かが通知されたり,決定後に裁判所の裁量で変更されたりしますと,一般市民からすると当該事件の傍聴を予定することも難しくなるような状況も想定されますので,司法手続の安定性を高めるためにも御配慮いただければというふうにお願いしたいと思います。   なお,期日外での協議を否定するものではなく,むしろ一旦決められた次の期日の争点整理手続を充実させたものとするためにも,期日外での協議を促進される制度設計を検討していただきたいと思っています。その意味で,法276条3項に相当する協議は残しておくべきという意見です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○橋爪幹事 裁判所からも,中間試案に対するパブリック・コメント手続の結果をお伝えしますと,多くの裁判所から甲案を支持する意見が寄せられたところです。その理由につきましては,これまでも部会で裁判所の側から申し上げてきた内容と同様でありましたので,繰り返しはいたしませんが,争点整理手続を主宰する立場の裁判所からそのような意見が多かったという事実は端的に指摘しておきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○笠井委員 私も従前甲案を支持して発言してまいりましたので,今どう考えているかということについて何か言わないといけないと思って発言いたします。   私は,先ほどの阿多委員のお考えと少し似たようなことになるのかもしれませんけれども,パブリック・コメントの結果,それからあと立法事実として今のものを変えるものがあるのかと強く言われますと,そこまではなかなかいえないということで,甲案に固執するという感じではなくなっております。その理由としては,裁判所の方では協議というものを存置したいというお考えを従前から聞いておりますけれども,IT化をすればそういうのは不要なのではないかと思っておりますところ,そういうものも入れるという話になってくると,やはり柔軟に過ぎて手続の規律が緩やかになりすぎるという,そういう懸念もあるところです。そういったことも含めますと,ある程度の枠を確保するという意味で,三種の手続を維持するという乙案でもいいのではないかと今は考えるに至っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○大谷委員 日本総研の大谷でございます。   こちらの争点整理手続の甲案と乙案についての考え方ですけれども,やはり意見募集の結果,両論あったというぐらい私の中でも相当迷いが生じているところなんですが,私自身の乏しい経験,企業の法務の担当者という立場で申し上げますと,こういった争点整理手続における重要なポイントとしては予測可能性と透明性の確保ということが一番大きいと考えております。その中で,この甲案を拝見していきますと,予測可能性や透明性を確かめる担保措置として具体的にどのような仕掛けがあるかというのを見てまいりますと,個々の項目の中に当事者の意見を聞くという言葉が丁寧に設けられている点が挙げられると思いますけれども,この意見の聞き方といったものも争点整理手続の中で進められるということですので,具体的にどのような場面で意見聴取がなされたりし,その意見の結果がどのように争点整理手続の展望にいかされるのかといったことについて,なかなか当事者の立場になったときに分かりにくいのではないかと思われますので,現在のこういった予測可能性を確保するための措置というのは,まだ十分とは言えないのではないかと思っております。これは,違う立場で訴訟に関わる皆様にとっても同じではないかと思われますので,その点を解決する新たな妙案が出てこない限り,乙案を選ばざるを得ないのではないかと考えておりますので,意見として述べさせていただきました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○日下部委員 私は個人的には,以前は三つの争点整理手続を一つにする,そしてその名称を正に争点整理手続といったようなものにすることは,現状よりもその手続の目的が利用者に伝わりやすいという点でよいのではないかという意見を申し上げたこともございました。ただ,手続の目的について,その名称を変えるということで対応,周知を図るというのも,やや制度設計の上では本末転倒のような気もいたしますし,先ほど来様々御意見がありましたとおり,事件の当事者にとってどのような方法で手続が進行していくのかということについての予測可能性が非常に重要かと思われますので,私,現時点としましては乙案に賛成をしているところです。   なお,御参考にですけれども,日弁連の意見としましても,甲案には反対で乙案に賛成というものであることを御紹介いたします。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。   この問題も現段階では甲案,乙案の両論併記になっている論点ですが,先ほど申し上げましたように次回以降ある程度の方向性を取りまとめのために出していく必要があるということかと思いますが,佐々木委員,お願いいたします。 ○佐々木委員 佐々木です。   私個人としては甲案に賛成なんですけれども,経団連の参加企業の中ではやはり甲案と乙案と双方意見があって,何か統一的な見解があるわけではないと考えております。それで,この乙案を取ったときの弊害として手続の予測可能性という言葉が出てくるんですけれども,これがちょっと私には余りイメージできなくて,手続が三つに分かれている場合でもその進行によって手続が移行するということはあるんだと思うんですよね。それと比較して,この一本化した場合に予測可能性が何か急に低くなるとか,そういうことがあるのかなと。もちろんこの公開の法廷の場でやるか,法廷外で手続を行うかというところとかは重要な区別なんでしょうけれども,それも突然場が切り替わるということもないんだろうと思って,もちろん予告されてそういう手続を行うんだと思いますので,そういうのを考えたときに,ちょっと具体的な手続の予測可能性というところのイメージがつかないんですけれども,この点についてどなたか,こういう具体的な弊害があるということを教えていただけると助かります。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   それでは,事務当局の方から頂けますでしょうか。 ○西関係官 現行法上の三種類の手続を前提としたとしても,それがどのような手続で,どのような内容で進んでいくかというのは,事案ごとの手続の進行によるところがございますので,そういった意味では現行法と変わらないところはあり得ると思っております。この資料で一つの考え方として記載させていただきましたのは,現行法上は三つの手続がそれぞれの内容を持つものとして定められておりますので,例えば弁論準備手続になったという場合には,それはどういう内容のものとして今後進行していくのだということが,例えば書面による準備手続であれば,期日を基本的には開かずに,書面の交換によってやっていくんだというようなことが,あらかじめメニューとして定められていて,それが示されているということになりますが,それを統合した場合には,その場合にはその統合した新たな争点整理手続に付されたというだけではその内容はまだ決まっておりませんで,それがどういった内容で進んでいくのかということは,その後の決定を待って決まっていくことになると。そしてそれが途中で変わることもあるというような意味で,予測可能性という意味で検討しなくてはいけない課題があるのではないかと,こういう問題意識でございます。 ○山本(和)部会長 佐々木委員,いかがでしょうか。 ○佐々木委員 分かりました。ありがとうございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。御意見は大体出尽くしたということでよろしいでしょうか。   それでは,本日の段階では依然として甲案を支持される御意見も出ていたように思いますけれども,ただ,従来甲案を支持されておられた委員・幹事で乙案の方がいいのではないか,あるいは乙案でもいいのではないかということかもしれませんが,乙案の支持ということを表明された委員・幹事もおられたように思いますし,あるいは従来乙案を支持されていた委員・幹事は少し遠慮をされたというか,あるいは意見に変更がないので特に述べる必要がないということかもしれませんが,御意見を言われなかったのかもしれません。全体としては,やや乙案の意見が多かったといいますか,そういうことかなというようには,ぼんやりとは認識をさせていただきましたけれども,まだこの段階で取りまとめるということではもちろんありませんので,今日の議論の雰囲気,あるいは御発言の内容を事務当局において精査を頂いて,次回に一定の方向性を伴った案を出していただくことになり,もう一度また議論をしていただくということになろうかと思います。   それでは,よろしければ,この辺りで若干の休憩をしたいと思います。非常に珍しいことですけれども,我々の想定よりかなり早く審議が進行している状況にありますので,今日は予定どおり20分程度休憩を取りたいと思います。3時25分ですね,15時25分に再開したいと思いますので,またお集まりを頂ければと思います。それまでお休みいただければと思います。           (休     憩) ○山本(和)部会長 それでは,審議を再開させていただきます。   次の論点としましては,資料8ページの「2 弁論準備手続」,それから,10ページの「3 書面による準備手続」,12ページの「4 準備的口頭弁論」,この辺りについてまとめて取り上げたいと思います。   事務当局から資料の説明をお願いいたします。 ○西関係官 まず,弁論準備手続につきましては,遠隔地要件及び一方当事者出頭要件の見直しが検討されておりまして,この点につきましては,これまでの部会における御議論及び意見募集の結果からいたしますと,このような方向性で改正を行うことが相当ではないかと思われるところでございます。一方で,調査嘱託の結果等の顕出の関係につきましては,先日の部会で御議論いただいたことを踏まえまして,若干の検討を説明部分に記載させていただいております。   次に,書面による準備手続につきましては,電話会議による協議の規律,こちらについてこれを維持するかどうかという点で甲案,乙案を記載しておりました。これまでの部会の御議論及び意見募集の結果を踏まえまして,こちらにつきましては,これを維持するものとする乙案の方向で記載させていただいているところでございます。   準備的口頭弁論につきましては,特段見直しを行わないという従前の提案を維持しております。   私からの説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,以上三つの点ですが,どの点からでも結構ですので,御質問,御意見をお出しいただければと思います。いかがでしょうか。 ○笠井委員 2の弁論準備手続の(注)で幾つかの手続について,これができるものとすることについてどのように考えるか,とあって,これについての説明では,できるようにするという考え方に賛成する意見が多かったと9ページの頭の方に書いてあります。しかし,このパブリック・コメントの結果については,参考資料11の140ページぐらいなのですけれども,この四つの手続の中でも,調査嘱託を念頭に置いて,主にそれについて賛成するという意見が多かったのではないかと,私はそのように読みました。   私自身は,前から申し上げたことですけれども,尋問に代わる書面に関しては,やはり人証調べの性質が強いと思いますので,余り賛成はしていないところでございますので,その点をまず申し上げておきます。この辺につきまして,立法としてどういうふうに考えるのかという辺りにつきましても,そもそも特段の規律を設ける必要はないという気も何となくしておりまして,この辺りは10ページの「以上を総合すると,」といった辺りの記述について,なるほどと思っていますので,あえて規定する必要もないのではないかということも思っているということを申し上げます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 8ページの弁論準備手続についてコメントをしたいと思います。今回の説明では,特に調査嘱託について,元々できたのではないか,あえて明文の規定を置く必要はないという指摘があります。となると,(注)に列挙する事項は創設的に規定するものなのか,確認的に規定するものなのかという説明方法の違いがあるかとは思いますが,従前の書証の取調べより広がるのだということをアピールするため,明文で書証の取調べ以外の事項も明記する方が手続の充実につながると思います。   ただ,笠井委員と同じ意見で,尋問に代わる書面については従前,意見を述べさせていただきましたけれども,利用経験者,先般も裁判所の方からは具体例の御紹介がありましたけれども,周りで再度確認しましたけれども,争点整理の中にこれを使うというようなことについては,この尋問に代わる書面の準備等を鑑みますと,やはり全然違うことをやっているというふうに皆,申しておりましたので,あえて尋問に代わる書面については入れる必要はないと,従前の意見を維持したいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○大坪幹事 笠井委員,阿多委員からお話のあった尋問に代わる書面なのですけれども,両先生方のお話によると,争点整理が終わった後に尋問に代わる書面のやり取りをするということになるのでしょうか。その点,実際には,争点整理の中で尋問に代わる書面のやり取りをして,書面自体は固まっているように思います。それを,飽くまで人証調べと同じだということで,争点整理が終わった後に尋問に代わる書面の作成や,その前提やり取りもすべきということであれば論理一貫して,それも一つの考え方かなとは思いました。ただ,実際には現在,争点整理を実質的に充実させるという意味では,尋問に代わる書面も争点整理手続,弁論準備手続の中でやって,争点を確定させていると思います。そういう意味では,ニーズとしては争点整理手続,弁論準備手続の中で尋問に代わる書面もやり取りできるというふうにすべきと考えます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○日下部委員 私も弁論準備手続における顕出というプロセスの適否について検討しましたので,お話をさせていただければと思います。今までの御意見と少し切り口が違うのかなと思うのですけれども,これまでの最高裁の判例などで,口頭弁論において顕出しなければならないというような解釈が示されているものが多いかと思いますので,少なくとも法制上の手当てをしない限りは,その実務が変わるということは恐らく期待はできないし,変わらないだろうと個人的に予想しているところです。そうしますと,これまでの実務を変えるということであれば,何らか法制上の手当てをした方がよいのではないかという考えを持っています。その上で,そのような手当てが可能なのか,また妥当なのかということを考えなければいけないと思います。   そもそも口頭弁論でされる顕出の意義については,当事者に意見陳述の機会を与えることで,これにより当事者の引用がなくとも訴訟資料とすることができるようになると説明されることが一般かと思います。そうした手続のプロセスは,物理的に言えば公開法廷でなければできないわけではありませんので,弁論準備手続において同様のプロセスを実施すること自体は物理的には当然可能だろうと思います。ただ,顕出が口頭弁論でなされることが現行法上要求されていると解釈されている理由は,公開主義と,あとは,特に受命裁判官が弁論準備手続を主宰している場合に問題となる直接主義に基づいているように思われまして,それぞれの主義の観点での考慮は別途必要なのではないかと思いました。   それで,まず,公開主義の観点について考えたのですが,実質的には当事者が公開の場において意見陳述の機会を与えられることにどれだけ独自の意義を見いだすべきかが問われているように思いました。仮にそれが強度のものでない限りは,顕出を口頭弁論においてしなければならない実質的な理由は乏しく,弁論準備手続においてされたとしても,その後に口頭弁論における弁論準備手続の結果の陳述があれば,公開主義の要請は十分満たされると整理可能であるようにも思いました。   ただ,これは当事者の弁論権ないし立会権の実質的保障の問題とも思われまして,そうであるとすると,公開の場において意見陳述の機会を与えられることに強い独自の意義を見いだすべきという判断もあり得るのかなとも思っています。個人的には,当事者に出頭の機会が与えられる期日において顕出がされるのであれば,それが口頭弁論であれ,弁論準備手続であれ,当事者の弁論権ないし立会権の保障としては十分であるように思われまして,結論としては,弁論準備手続において顕出をするということは,公開主義の観点からは問題がないように思っております。   他方,直接主義の観点ですけれども,まずは顕出される証拠方法の取調べがその顕出の場でなされるかどうかが問題であるように思われました。顕出それ自体は証拠調べではなく,その実質的な意義が当事者に意見陳述の機会を与えることにあるなら,やはり顕出を口頭弁論においてしなければならない実質的理由は乏しいように思いました。もっとも,判決を下す裁判官全員が当事者の意見陳述を自らの耳で直接聞いて証拠力評価をすることの重要性を高く評価するというのであれば,顕出それ自体は証拠調べではないとしても,口頭弁論においてしなければならないという判断はあり得るのかとも思いました。   また,個人的な意見ではありますけれども,弁論準備手続において顕出がされて,当事者が意見陳述をした場合には,その内容が調書に適切に記録されて,合議体を構成する受命裁判官以外の裁判官もその内容をしんしゃくする実務を前提とすれば,弁論準備手続において顕出をすることは直接主義の観点からも問題視する必要はないように思いました。   以上を踏まえますと,弁論準備手続において顕出するということは,個人的な考えですけれども,公開主義の観点からも直接主義の観点からも許容可能であって,あとは実務的観点から,そのようにすべきかどうかを考えればよいように思いました。   現在でも実務上,弁論準備手続において顕出が認められているものと同様に扱われて争点整理が進められていることに鑑みますと,先ほど申し上げました調書における記録化の実務を前提として,これを法制上認めて,既に存在している幾つかの判例が示している考え方とは異なる弁論準備手続の活用の幅を広げていくという方向性でよいのではないかと考えております。   結論として法制上認めることに賛成であるという部分は,日弁連の意見も同様であります。長くなって失礼いたしました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 大坪幹事からの質問は笠井委員からお答えいただくのがいいのかもしれませんが,取りあえず私からコメントさせていただきます。   尋問に代わる書面は,元々人証の申出をした上で,証人尋問を実施するのか,それとも証人尋問によらずに書面で回答を得るのかを判断し,書面での回答になれば,その後に裁判所と一緒に質問事項を整理して送付し回答書を受け取る,その上で回答書を証拠として取り調べるという手続です。人証の申出を前提に,書面による回答が得られないのであれば,集中証拠調べで証人尋問をするという話ですので,ほかの手続とはかなり性質が違うことになります。人証の申出自体は争点整理手続の中で行いますが,人証調べとして採用した上での手続ですので,争点整理後の手続だと私は整理しています。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○渡邉幹事 12回の部会におきまして品田委員から発言があったところではございますが,実務においては,書面尋問を実施した上で,その結果を踏まえて更に争点整理を行うというケースがございまして,尋問に代わる書面についても弁論準備手続で顕出する必要性はあると考えているところでございますので,念のために指摘だけさせていただきます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。   事務当局から何か確認すべきところはありますか。 ○西関係官 特段結構でございます。ありがとうございます。 ○山本(和)部会長 よろしいですか。   それでは,今,弁論準備の特に(注)の部分に御議論は集中しておりますが,他の部分も含めて。 ○垣内幹事 垣内です。ここの論点も非常に私は難しくて,どう考えたらいいのか悩ましく感じているのですけれども,調査嘱託の結果等について,顕出という観点から申しますと,資料で御説明のとおり,結局,口頭弁論に弁論準備手続が終わって結果が上程されるということになると,それで顕出されているということなのだとすると,それとは別に顕出ということを特に元々考える必要はないのではないかというようなことがあるのかなという感じもいたします。   他方で,鑑定につきまして,鑑定の申出があって,これを採用して,その鑑定人が書面で鑑定意見を提出したという場合に,この鑑定意見を訴訟資料とするということは,これは顕出ということでもありますけれども,それは鑑定の証拠調べそのものではないかという感じもいたしまして,現行法は,その証拠調べを実施するという関係では,文書の証拠調べはすることができるということが明文で定められていると,このことが一体何を意味しているのかということもいろいろ議論の余地はありそうではありますけれども,要するに,文書がその弁論準備手続中に出てきていて,それを争点整理のために整理しつつ,かつ,内容も事実上は閲読して争点整理にその内容を役立てると,しかし,それが証拠資料となるのは,口頭弁論に出てきて,その段階で証拠資料になるのだということではなくて,証拠調べができるということでありますので,弁論準備手続の内部で既に証拠調べということで,その意味ではある種,仮定的な心証形成というようなことがそこで行われるということなのかなとも思われるところです。   鑑定についても事実上,書面で出てきている鑑定意見を争点整理に役立てるということであれば,これは規定がなくてもできるのではないかということなのかなという感じもいたしますけれども,そのようなことが想定されているのか,それとも,書証の場合と同様の取扱いということなのだとすると,これは現行法ですと170条2項で文書の証拠調べに加えてその鑑定もできると,しかし,その鑑定意見が書面で提出された場合に限るというような話になるのか,少しその辺りの整理と申しますか,実質について余り異論があるということではないのですけれども,規定を何か設けるのか,設けるとしたらどんな規定が考えられるのかということについては,その辺りが少しよく分からないところが残っているように感じております。   感想だけで恐縮なのですけれども,以上です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほか,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,今の争点整理の手続の部分についてはこの程度にしたいと思います。   引き続きまして,資料13ページの「5 進行協議」,「6 審尋」,それから,14ページに移って「7 専門委員制度」,この辺りについてまとめて取り上げたいと思います。   事務当局から説明をお願いいたします。 ○西関係官 進行協議,審尋及び専門委員の規律の見直しにつきましては,これまでの部会におきましても特段の反対の御意見は頂戴していなかったところかと思います。意見募集におきましても,中間試案の内容に賛成する意見が多かったというところでございましたので,ここでは中間試案における提案内容から特段の変更は加えていないというところでございます。   簡単でございますが,御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 いかがでしょうか,特段の変更はないということですけれども。 ○阿多委員 基本的なことを質問して申し訳ないのですが,6の審尋の書きぶりは弁論準備等の187条3項の規定と同じく「相当と認めるときは,当事者の意見を聴いて」という表現が入っているのですが,審尋の場合に,裁判所が相当と認めるときはという要件が必要なのかを疑問に思ったわけです。現行法の弁論準備手続等では双方対席が原則で,例外的に一方は電話での参加を認めるので,相当と認めるときという要件は必要だと理解できます。また,今回の改正でウェブ会議が導入され双方がウェブ会議で参加することを認めるということもあって,相当と認めるときという要件は意味があると思うのですが,任意的口頭弁論である87条の場面では,そもそも書面審尋も認めているのですから,音声によるシステムで実施するために「相当と認めるとき」という要件が必要なのでしょうか。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   それでは,事務当局からお答えをお願いできますか。 ○西関係官 今提案させていただいている規律は,審尋の期日における手続を電話会議で行うことができるというものでございます。審尋の期日は,当事者双方が立ち会うことのできる期日において行うものでございまして,そうではない審尋につきましては,このような規律がなくとも,いろいろな方法でできるのであろうと考えております。したがいまして,ここで提案しているのは,当事者双方が立ち会うことのできるという限定が掛かっている審尋の期日における手続を,相当と認めるときに電話会議でできると,このような提案をさせていただいているというところで整理をしているところでございます。 ○阿多委員 また後で質問した方がよいのかもしれませんが,そうすると,187条とのすみ分けはどう整理されているのでしょうか。 ○西関係官 187条の参考人等の審尋の場合には,それは簡易の証拠調べとしての位置付けが与えられているものかと思われます。したがいまして,審尋の期日において参考人等の審尋を行うという場合には,この二つの要件が掛かってくるのであろうと思われまして,6の争点整理のところで取り上げている審尋は,争点整理としての審尋でございますので,両者はまた別の規律になるというような整理をしているところでございます。これは口頭弁論の期日において,例えば証人尋問をする場合に,その証人をウェブで聴くということと,その期日に当事者がウェブで出頭するということで規律が分かれているということとある意味,対応関係にあるのかなと整理をしておりました。 ○阿多委員 項目6,18ページの審尋に関する記載は審尋期日を指定する,双方対席をイメージした上で音声によるシステムを利用する場面だと理解しました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,第1の部分はこの程度にさせていただきまして,引き続きまして,部会資料14ページ,「第2 電磁的記録についての書証に準ずる証拠調べ」,これについて事務当局の方から説明をお願いいたします。 ○藤田関係官 御説明いたします。   中間試案の内容から実質的な変更はございませんが,法律に規定すべき内容の整理という観点から,書証に準ずる証拠の申出におきましても,提出命令や送付嘱託と同様に,電子データを裁判所のサーバに記録するという方法によることができることとしております。   御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この部分は1,2,3と分かれていますが,どの点からでも結構ですので,御発言があればお知らせいただきたいと思います。 ○日下部委員 まず,事務当局にお尋ねをさせていただきたいと思います。ここでの御提案は全て「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの」を対象としていますが,ここにいう情報とは,文字情報に限らず,写真データのような静止画像情報,例えばドライブレコーダーの記録データのような動画像情報,録音データのような音声情報,それから,いわゆるビデオデータのような画像と音声の情報,こういったものを含むものなのかどうか。今のお尋ねを言い換えますと,必ずしも人の思想等を表示するとは限らないけれども,コンピュータのディスプレイ上に表示したり,コンピュータ上の音声出力アプリケーションにより音声出力したりすれば裁判官が閲覧したり聴取したりする方法で取り調べることができるものも含むということでよいのでしょうかというお尋ねです。よろしくお願いします。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局,お願いします。 ○藤田関係官 事務当局でございます。御質問ありがとうございます。まず,本文では「情報」という言葉が複数出ておりますが,お尋ねの「情報」というものを特定させていただきますと,「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの」というところの,この「情報」ということであると承知しております。この表現につきましては,法231条の表現と同様としております。法231条においては,「図面,写真,録音テープ,ビデオテープ」というような例示がされておるところでございまして,必ずしも人の思想内容が表されたものに限らず,少なくともこういった種類のものにつきましても,電子データの場合であっても,ここでの規律の対象になるということは言えるのであろうと考えております。 ○日下部委員 ありがとうございます。そうしますと,今回の御提案は,文書の電子版についての規律としてだけではなく,現行法でいうところのいわゆる準文書の電子版についての規律としても機能するものと思われまして,私としては適切なものだろうと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。特段の御異論等はございませんでしょうか。 ○大坪幹事 細かいところの質問なのですけれども,今の電磁的記録送付の嘱託について,裁判所の訴訟記録を証拠として入手したい場合というのはこの電磁的記録送付の嘱託に該当することになるのでしょうか。仮に該当するとなった場合,電磁的記録の所持者というのは誰になるのかということを教えていただければと思います。 ○山本(和)部会長 事務当局からお答えいただけますか。 ○藤田関係官 御質問ありがとうございます。IT化後の裁判所の訴訟記録のことをお尋ねであると承知しております。IT化後は,訴訟記録は電子データで作成されると想定されておりますので,電磁的記録に当たるという意味で,ここの電磁的記録送付の嘱託の規律の適用対象となり得るということになろうかと存じます。電磁的記録の所持者,あるいはその送付の嘱託を受ける者としてどのような団体が想定されるのかということに関しましては,訴訟記録に関して申しますれば,現在と同様に訴訟記録は書記官が管理,保管することが想定されておりますので,当該書記官が属する裁判所ということになろうかと考えております。 ○大坪幹事 ありがとうございました。   若干外れるのですけれども,現在,裁判所が保管する他の事件の訴訟記録を自分の訴訟の証拠として利用したいときには,昭和7年の大審院判例を根拠として,訴訟記録の取り寄せ,これは記録の顕出とか記録の提示とも呼ばれるようですけれども,訴訟記録の取り寄せを申請することができると言われています。実際これはほとんど利用されているものではないようなのですけれども,必ずしもどういう場合に訴訟記録の取り寄せができるのかというのは現状,明確ではなく,文献によっては文書送付嘱託の規定を類推適用すべきとも書かれています。訴訟記録が電子化されるに当たって,この電磁的記録送付の嘱託の定めが整理された後には,訴訟記録につきましてはこの電磁的記録送付の嘱託に一本化すべきではないかと考えております。   さらに,先ほどの部会資料19の不服申立てのところで,前回,山本克己委員が御質問された点で,「訴訟記録の存する裁判所」という文言があって,これについて事務当局の御説明では,管理権限を有している裁判所書記官の属する裁判所という扱いになるという御説明でした。裁判所法で裁判所書記官が裁判所の事件に関する記録の保管の事務をつかさどるとことになっており,これは基本的には訴訟記録が電子化されても,それ自体は変わらないと思いますけれども,電子化された訴訟記録の保管というのは紙の記録を保管する場合とは大分意味合いが異なるのではないかと思います。そういう意味では,訴訟記録の存する裁判所というところの表現ぶりは改めるなど,もう少し実質的に考える必要が,今後要綱をまとめる際には,あるのではないかと思っています。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○脇村幹事 ありがとうございます。大坪幹事から御意見いただきまして,私たちの方でも,先ほど藤田関係官の方から御説明させていただいたとおり,団体に対してもこれはできるという前提で,裁判所をどう扱うかについて先ほどお話しさせていただきました。一方で,幹事がおっしゃるとおり,記録の取り寄せについては解釈論的運用をされているところでございまして,我々としても今後,電磁的記録の裁判所の記録についての扱い方について実務上,明確にしていくべきであるという問題意識は十分持っていますが,一方で,今までやっている取り寄せという,やっているかどうかというのは幹事の,あれですけれども,取り寄せというものについてのメリット,デメリットというところについては少しまた考えていかないといけないのかなと思っておりまして,いずれにしてもルールの明確化は重要であるということを前提に,送付嘱託,今でも解釈論上は送付嘱託という議論はあるのでしょうけれども,そうでなく,手数料等を踏まえて取り寄せということをやっているケースがあるのかもしれません。少しそこは,いいところ,悪いところを少し考えていきたいと思っているところです。   また,ワーディングについても御意見を頂きました。我々としてもできるだけ適切な表現をさせていただきたい一方で,旧世代かもしれませんけれども,どうしても昔の用語の方が分かりやすいというところがございますので,適切な用語がうまく作れるのか,作れないとすると,やはり従前の用語を使った方が逆に,これは法律家というか慣れている人間のわがままかもしれませんけれども,明確になるということもあるかもしれませんので,少しそこはまた我々の方としても勉強していきたいと思っているところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。 ○日下部委員 最高裁判所規則への言及がありますので,それについてお尋ねをさせていただきたいと思います。   この第2の中の1(3)と2の(3)において,電磁的記録についての証拠調べの申出,提出の命令に係る提出及び送付の嘱託に係る送付は,最高裁判所規則で定めるところにより,元となる電磁的記録に記載された情報を裁判所のファイルに記録する方法によりするとされているかと思います。ここでは,元となる電磁的記録の情報が裁判所のファイルに記録された情報と同じであるということが前提となっていると思われるのですが,最高裁判所規則で定められるものとしては,情報の同一性が維持されたまま記録される方法になると理解をしておりまして,そのような理解でよいかということを確認させていただきたいと思います。   またあわせて,部会資料の18ページの下の部分では,同一性を担保する方法として電子署名等の方法への言及があります。こうした方法が最高裁判所規則で定められる方法の例として想定されているのかと理解をしているのですが,そのような理解でよいか御確認を頂ければと思います。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局,お願いします。 ○藤田関係官 事務当局でございます。サーバに記録される際に,どこまでの部分において電子データのメタデータを含めて同一のものが記録されるかどうかというのは,現在,裁判所の方でシステムの検討をされている中で,検討対象に挙がってき得るものなのであろうというところでございまして,規則の方でそれをどのように規律していくかという観点は,その最高裁の規則制定に当たって十分に議論がされた上で定められることになるのであろうと考えております。一般的な規律として,同一性について,御指摘があったような電子署名を例示するかどうかというような点につきましても,その過程において議論されることがあり得るとは思っておりますが,現時点で予定されているかどうかという点に関しまして,事務当局の方からお答えすることはなかなか難しいものでございます。 ○日下部委員 結局どのような形で,あるいはどのような方法で電磁的記録を裁判所のファイルに記録するのかということが最高裁判所規則の方に委ねられるということ,その規則に委ねるということ自体は適切だと思うのですけれども,そこで同一性が担保できないような方法が許容されるということですと,これまで問題意識として示しておりました証拠申出の適法性の問題というのが規則レベルで,場面を移した形になりますけれども,規則への適合性という形で,これは法律への適合性でもあると思いますが,そこで問題になってしまうと思いますので,私としましては,最高裁規則で定められるべき方法というのは,同一性が担保できる方法,具体的には電子署名などの方法,こういったものを定めていただくことが適切なのではないかと考えております。   換言しますと,例えばですが,最高裁規則において,「元となる電磁的記録の情報が改変されることなく裁判所のファイルに記録される方法」といった具体性のない方法を規定するだけですと,またこれも様々な問題の元になってしまうと思いますし,そもそも方法を規定するのではなくて,単に規則においては「元となる電磁的記録の情報を改変せずに裁判所のファイルに記録しなければならない」といっただけの規律であったりしますと,これまた同じような問題が生じるのではないかということを懸念しております。   最高裁規則の制定については,もちろんこの法制審の場で議論することではないようにも思うのですけれども,規則に委任をするという方向性で議論をまとめていくということでしたら,ある程度,内容の想定はしないわけにはいかないと思いますので,私としましては,電子署名は一例ですけれども,同一性を担保する具体的な方法で,その方法によって情報が記録されたということを比較的容易に確認できるものが最高裁規則で限定的に列挙されるということを期待しております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかに,書証について,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○日下部委員 すみません,ほかにどなたもおっしゃらないのであれば,もう1点だけ,お尋ねさせてください。   中間試案においては,いわゆる原本に代えて写しを提出してする証拠申出を認める判例法理を法制化するという考え方にも言及されていたと思うのですけれども,今回の部会資料ではその言及はなく,法制化の提案もないのですが,これがどういう理由に基づくものなのか,教えていただければと思います。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局,お願いします。 ○藤田関係官 事務当局でございます。御指摘のとおり,中間試案第8の本文2の(注)にいう判例法理でございますが,今回,法律に明文の規定として置くことは御提案しておりません。前提といたしまして,引き続き判例法理として位置付けられるというふうには想定しているところでございますけれども,やはり現行民事訴訟法におきまして写しという概念の規定が置かれていないところでございます。そこを置くことについての影響というものが必ずしも十分に議論されている状況ではないのかなとも思っておりまして,その点に鑑みましても,判例法理は判例法理として生き続けるというふうなところで足りるのではないかというふうな考えを持っております。 ○日下部委員 ありがとうございます。今の御説明ですと,例えば今後の電磁的記録については判例法理を排斥するといった,そういうお考えというわけではないのかなとは理解をしたところです。この判例法理自体は,従来の伝統的な書証について言えば,写しを取り調べることで原本を取り調べたとすることに関係者一同,異存がない場合に,そうした扱いを認めるものとして実務的には非常に意義があって,その理は電磁的記録についても同様に当てはまるように考えております。あえて法制化する必要があるのか,ほかへの影響がないのかということが問われているのだと思いますけれども,電磁的証拠の取調べが導入されるというのは新たな展開ですので,それに合わせて実務の安定化のために法制化を考えるということもあってもいいのかなとは依然として思っているのですが,その旨の意見をこの場では申し上げるに留めさせていただこうと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,続きまして部会資料19ページ「第3 証人尋問等」のうち「1 証人尋問等」の部分について御議論いただきたいと思います。   事務当局から資料の説明をお願いします。 ○西関係官 ウェブ会議等による証人尋問等の要件を見直すということにつきましては,意見募集でも賛成する意見が多かったことを踏まえまして,中間試案の内容から変更を加えておりません。一方で,証人の出頭場所につきましては,これまでの部会や意見募集で頂いた御意見を踏まえまして若干の見直しを行っております。具体的には,当事者の一部が証人と同席する場合に関する規律を若干修正した上で,これ以外に証人に不当な影響が生ずるおそれのある場合について一般的な規律を設けさせていただきました。これに対し,通信環境の問題ですとか,あとはプライバシーの問題につきましては最高裁規則に委任するという方向性を維持しております。また,具体的にどのような場所が出頭場所として考えられるかというイメージにつきましても,一案を記載させていただいたところでございます。   なお,資料につきましては,宣誓につきましても,意見募集の結果を踏まえまして記載をさせていただいたところでございます。この点につきましても,御意見があれば頂戴したいと考えております。   説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この点につきまして,どの論点からでも結構ですので,御質問,御意見があれば御発言いただきたいと思います。 ○笠井委員 すみません,少し細かい表現の問題なのか,もしかしたら重要な問題なのか,よく分からないところがあるのですけれども,今回加えられた証人の出頭場所についての(2)イ,裁判所が証人の陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがあると認める者の在席する場所でないこと,この不当なというのが要るのかどうかというのがよく分からなくなってきています。これまでの議論では不当な影響を与えるといけませんねという話があったと思うのですけれども,では,陳述の内容によい影響であれば与えてもいいのかというと,何か変な感じがしまして,陳述の内容に影響を与えるおそれがあるというのではいけないのか,という辺りを,少し気になったので,事務当局から教えていただくか,皆様方に御議論いただければと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   事務当局からは何かありますか。 ○西関係官 先生御指摘のとおり,陳述の内容に何かしら影響を与えるおそれがあるのであれば,それに対する価値判断を問わず,その影響力というのを排除すべきであるというような考え方はあり得るところかと思います。この点につきましては,御意見を踏まえて,改めて検討させていただきたいと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○阿多委員 同じ点を指摘したいと思います。今回ア,イ,ウという形でイを新たに項目出しをされていますが,そうすると,(2)本文は証人を次に掲げる要件を満たす場所に出頭させてするという表現になっていますので,ア,イと,ウも少し性質が違っていますが,いずれも満たすことが前提だと理解しています。しかし,アに該当する場所でも,アのただし書,括弧内で除外される場所でも,イに該当する場所は駄目だと読むのでしょうか。   前もって意見を述べておきますが,パブリック・コメント等の結果を見ると,提案内容は,アの括弧内で書かれている,当該場所に当事者双方が在席する場所であれば構わないと整理されていますが,双方が在席する場所であるがゆえに,やはり影響が出る場合があり得るというパブリック・コメントの結果等,指摘は理由があり,私自身も双方在席だから無条件で構わないという判断は問題があると思います。そういう意味で,私はアの括弧内は削除すべきだという意見です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,質問の部分につきまして,事務当局からお答えいただけますでしょうか。 ○西関係官 こちらは,従前はアの要件だけであったところでございまして,当事者に対して影響力が行使されるおそれがある場合は,アの要件によって規律をするという発想に基づくものでございました。一方で,今回イの要件を加えましたので,アの要件とイの要件の関係性を整理する必要があるというのは阿多委員御指摘のとおりかと思っております。   この点につきましては,アの要件につきましては,当事者一方だけが証人といるというところで,当事者から証人に対して影響力が行使されるおそれがあるのみならず,仮に証人に対して影響を与えるおそれがないとしても,それでも当事者の一方だけが同席していることについて手続の公平性の観点から望ましくないのではないかと,そういった価値判断もこの要件には含まれるのではないかと考えているところでございます。   そのように整理をいたしますと,証人に対する不当な影響があるおそれがある場合はイの要件で読むということになりまして,アの要件というのは,むしろ手続の公平性というところに純化されるという考え方があり得るのではないかと考えております。そのような考え方を採りますと,当事者双方が証人と同席している場合にはこの限りでないという括弧書きが導かれるというような考え方もあり得るのかなと,現時点ではそういうふうに考えているところでございます。この点につきましても御意見があれば,更に頂戴したいと考えているところでございます。 ○山本(和)部会長 阿多委員,どうでしょうか。 ○阿多委員 理解しましたが,括弧内を削除すべきという意見を述べたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○大坪幹事 証人の出頭場所についてなのですけれども,この点に関しまして,商事法務の研究会の報告書では,証人の所在場所等として,証人は適正な尋問を行うことができる場所として最高裁判所で定める地に所在しなければならないとされていました。それで,これまでは証人が受訴裁判所に出頭することに困難な場合に,ウェブ会議によって証人尋問等をする際の証人の所在場所について検討されてきたのではないかと思いますが,元々中間試案もそうなのですけれども,部会資料の(2)のところは,「次に掲げる要件を満たす場所に出頭させてする。」となっていて,証人をどこかに出頭させなければいけないような記載になっています。これはそういう趣旨なのでしょうか。   具体的には,例えば病院などに勤務する医師は,そこに出頭するということになるのかもしれませんけれども,ほかにも病院や自宅,例えば介護施設で療養中の証人や当事者について,その証人等がいる病院や自宅,施設等でウェブ会議によって審問をするということも今後は必要性が出てくるのではないかと考えられます。介護が必要な人というのは結構,外出するにも人出も手間も掛かりますので,また転倒などの事故も生ずるので,証人がいる場所でウェブ会議をするということも必要なように思います。出頭させるということの意味について何か特別な理由があるのかどうか,教えてください。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局からお答えをお願いします。 ○西関係官 証人を出頭させてするという記載につきまして,必ず場所的な移動を伴わなくてはいけないというところまで含意して,「出頭」という言葉を使っていたというわけではございません。そういったところをニュートラルな言葉にするとすると,「所在」という言葉もあり得るかと思いますが,問題はむしろ,どういった場所が証人の所在場所として適切なのかというイメージから文言というところを考えていきたいと考えております。今,大坪幹事の方から,例えば,介護を必要とする場合の自宅ですとか病院ですとか,そういったイメージの御意見も頂いたところでございますので,それも踏まえまして,また文言については検討させていただきたいと考えております。 ○大坪幹事 ありがとうございました。 ○日下部委員 私も正に今の点に関して,部会資料を読ませていただいたときに違和感を持ったものがありましたので,意見を申し上げたいと思います。   部会資料の22ページの冒頭では,裁判所以外の証人の出頭場所として弁護士会などの会議室や訴訟代理人の事務所への言及がございます。しかし,裁判所以外の出頭場所として典型的に想定されるのは,出頭というかどうかはともかくとして,証人の自宅や職場であって,いずれかの裁判所とさして離れていない場所や,証人に対する一方当事者からの影響が相手方当事者に疑われ得るような場所は,少なくとも典型的な出頭場所にはならないだろうと思っています。そうしますと,裁判所とさして離れていない弁護士会等の会議室や訴訟代理人の事務所が典型的な出頭場所として挙げられているというのは非常に不可解に思いました。この点は,この規律によって具体的にどのような場所にいる証人の尋問をすることになるのかということに影響がありますし,恐らくは法改正がなされた後に事務当局において作成されるであろう一問一答などの解説書でなされる説明にも影響があるのかなと思いまして,実務に混乱を生じさせることがないようにするために,この点のイメージといいますか理解については共有するようにしないといけないだろうと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○小澤委員 中間試案では提案されていなかった(2)イの,裁判所が証人の陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがあると認める者の在席する場所でないこと,という要件が追記されておりますけれども,22ページの説明のイの部分でも述べられておりますとおり,不当な影響を与えるおそれがあると認める者がいないかどうかを確認するためには,当事者双方の監視に委ねることが一案としてあろうかと思われます。そうしますと,この部分は必ずしも裁判所の判断事項とならないという理解も成り立ち得るといえるのかもしれません。証人の陳述の内容に不当な影響を与えるおそれのある者が在席する場所での尋問をするが相当でないことは当然でありますので,イでこの要件のみをくくり出すということに多少違和感がございます。また,イのように明示されると,裁判所が尋問場所の適否を判断する裁量が限定的となってしまうおそれもあるのではないかと思いまして,事案に応じた適切な判断がなされないケースも生じてくるのではないかとも思っています。このような危惧を受けて,裁判所の裁量により証人の出頭場所の可否が判断されることを前提に,規律としては細分化して定める必要はないのではないかという意見であります。したがいまして,この部分については中間試案で示された提案内容,すなわち今回のイを削った内容の方がいいのではないかという意見を述べさせていただきます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○垣内幹事 垣内です。例によって,余りまだ考えの整理が十分にできていないところなのですけれども,19ページの(2)のアとイの関係ということについて,先ほど阿多委員からも御質問があって,それに対するお答えもあったかと思います。現在の書きぶりを卒然と読みますと,アとイはそれぞれ独立の要件ということで,アが満たされてもイが満たされないと,やはりそこでの尋問は認められないということになると思われますので,当事者本人あるいは代理人が双方在席しているという場合に,これはアでは問題がないわけですけれども,しかし当事者本人がそこにいるということによって証人の陳述の内容に不当な影響が与えられるということであれば,その場所はやはり出頭場所としては適切でないということになるということで,そういう意味ではイが全体の死命を決する役割を担っているということなのかなと理解をいたしました。   その上で,そうすると,アを独自に設ける意義というのが逆にどこにあるのかということが問題になりそうでありまして,一つの考え方としては,イの不当な影響を与えるおそれがあるものの例示としてこれらのものが位置付けられるということがありそうでありますけれども,その場合にはアとイを一括して,当事者本人等とその他の証人の陳述内容に不当な影響を与えるおそれがあると認める者が在席する場所でないという一つの要件ということになりそうでありますけれども,アの要件のもう一つの要素といたしまして,当事者双方の在席の場合の例外的取扱い,あるいは当事者に異議がないときの例外的取扱いということがありまして,これをどう位置付けるかということが問題なのかなと思われます。   当事者に異議がないとしても,不当な影響を与える場合には,これは駄目であるということになるわけですけれども,逆に不当な影響を与えるおそれが特に認められないとしても,当事者に異議があればアに挙げられている者の同席が排除されるという形になるというところに,現状ではアの要件の独自の意義があるということになりそうで,そうしたときに,このアの要件の射程をどこに設定するのが一番いいのかということが,この案を前提とすると,問題になるのかなと考えておりまして,そのときに,どうも当事者本人又はその代理人というのと親族等々の者というのを同列に扱うということで,その関係でよろしいのかどうかということが少し,私は今のところよく分からないような感じがしております。どういう対案があるのかということについて,なお十分に検討ができていないので,その点,もしかすると検討の余地があるのではないかという印象と申しますか,感想だけ申し上げておきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○日下部委員 今の場所に関する要件をどう考えるべきなのかというのは,内容が複雑性を持っていることもあって,理解が困難で,私も十二分に理解し切れているものではありません。先ほど小澤委員の方から言及がありました,もっとシンプルなもので,裁判所の御判断で一般的な判断をしていただくのでよいのではないかという考え方もあり得るのだろうと個人的には思っているところです。   それ以外に,やや外れた話になるかもしれませんけれども,2点,簡単に言及させていただければと思います。一つは,(注)の中で指摘されている宣誓の方法についてですけれども,書面の形式である宣誓書の利用に今後こだわる必要はないように思うのですが,部会資料の23ページの冒頭でも記載されております,宣誓書への自署,押印が求められている趣旨を踏まえますと,証人自身が口頭による宣誓に加えて,宣誓の記録を自ら作成するというプロセスを残した方がよいのではないかと考えております。   具体的には,これは技術的な話かと思いますが,電子的な宣誓書に証人自身が自ら電子的方法で署名をする,これは電子署名ということではなくて,電子的方法での署名ということにしたらどうかと思っております。現在,民間においては,例えばですけれども,電子機器の修理サービスを店舗で受けようという場合に,修理規約への同意でタブレット上で署名をするといった方法も実際に利用されておりますので,そうしたやり方も参考になるのではないかと思いました。   それから,もう1点,2点目ですが,場所の問題とは異なる尋問の実施方法についての問題意識です。今回の御提案では証人の所在場所についての規律が示されておりますけれども,それとは別に適正な尋問を実施するための規律は必要ないのだろうかという問題意識に触れることがございます。この点,現行法下のように証人が受訴裁判所の法廷以外のいずれかの裁判所の施設にいるというのであれば,裁判所の施設管理権が及ぶ上に,その裁判所の職員の協力を得ることで,適正な尋問を実施することが十二分に期待できると思いますが,裁判所以外の場所の場合にはそうとはいえないと思います。これは法律で規律すべきことではないように思うのですけれども,最高裁規則や,更に下位の規程や通達などによって,適正な尋問の実施のための一定の留意事項や手順等についての指針を作成するといったことは有益ではないかとも思われました。最高裁判所におかれては,今後の課題になり得るものとして御考慮いただければと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○藤野委員 主婦連合会,藤野でございます。ただいま日下部委員も言ってくださったところと少し通じるところがあるのですが,尋問の場所というより,やはり,先ほど事務当局からのお答えにもありましたけれども,不当な影響がない環境ということではないでしょうか。状況によっては,全く関係のない第三者が立ち会う必要がある場合もあるのではないかということも考えられると思います。といいますのは,証人は書面に基づいて陳述することができないと聞いておりますので,そういったことも第三者が確認する必要があるのではと思いました。また,消費者相談に,いろいろな相談等に来るときも,当人というより,その付添いの人が当人のためという立場で関わることも度々見受けられるということも聞いております。その場合はどのような関係なのかを慎重に確認する必要があるそうです。当事者の状況によっては不当な影響が無い第三者の立ち会いが必要な場合もあるので,その辺りをしっかり考慮して決めていっていただきたいと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 小澤委員や日下部委員から,場所についての決定を裁判所の裁量に委ねることに肯定的な意見がありました。しかし,裁判所は当該証人の属性等について情報がない状況で場所について判断することになりかねません。裁判所の裁量に委ねるのではなく,場所概念で整理し類型的に制限する,実際,証人尋問が始まってからの訴訟指揮でコントロールするのではなくて,最初から類型的に枠にはめてしまう話だと私は理解していますので,裁判所の裁量に委ねるという意見には反対したいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○湯淺委員 先ほど日下部委員が少し言及されました宣誓書の電子データ化につきまして,少し事務局への質問と意見を申し上げたいと思います。   先ほど日下部委員が,最近,タブレット上で電子ペンみたいなものでよく署名を書くということを一例として御提案をなさったわけですが,事務局のお考えとして,現時点で現行法では自ら署名押印,すなわち署名プラス押印という二重の手続を課しているわけですが,これを電子化する際に,やはり同じように二重の手続を電子的に実現すべきという趣旨なのか,それとも,民事裁判手続のIT化に伴い宣誓書の形式を見直すとしても,という表現がありますので,現行の自署,署名プラス押印という二重の手続をもう少し簡略化し,それを電子化するということなのか,この書きぶりの意図はどういうところにあるのかということを事務局にお尋ねをしたいと思います。   その上で,現行の署名と押印という二重の手続を電子的に実現するということであれば,署名部分につきましては,日下部委員が先ほど例として挙げられましたような方法もあるでしょうし,押印部分も電子署名その他,技術的にはいろいろな手法があるということだと思います。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局からお答えをお願いできますか。 ○西関係官 御質問いただいた点につきまして,現時点で定見を持っているというところではございませんが,宣誓書を作ってそこに署名押印すべきものとされている趣旨は,証人に対して宣誓の趣旨を自覚させるというところにあると思われますので,その趣旨を達成するために署名押印というところまで要求するのか,押印まで必要ないというような形になるのかというところは検討すべきところなのかなとは思っております。一方で,こちらの宣誓書の方式につきましては,現行法上も最高裁規則で定められているようなところでございますので,最終的には最高裁規則で判断をされていくということになるかと思っているところでございます。 ○湯淺委員 ありがとうございました。結局これはIT化だとか電子化するときの全般的,共通の問題で,現行のアナログの手続をデジタル化するときに,現行のアナログの手続をそのままデジタルで再現するのか,デジタル化に合わせて現行の手続を簡略化するなり何なり変えてデジタル化するなり,その根本のところが定まらないことにはデジタル化のしようがないと思うのです。ですので,定見がないというような御返事を今,頂きましたけれども,まず根本的にこの問題をどう考えるのかと,現行の二重の確認ということをデジタルにおいても維持するのかということは,あらかじめ何か定めるべきなのではないかと個人的には思っているところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○橋爪幹事 今,議論のありました宣誓書に代わる方法ですけれども,日下部委員の御指摘のように,タブレット端末に署名するなどして,何らかの電磁的な方法で記録するという方式も,もちろんあり得る方法の一つであるとは思いますけれども,そもそも宣誓ということ自体が,裁判官の面前で証人になる人に宣誓の趣旨を文字どおり口にさせるというものですので,証人に宣誓の趣旨を自覚させる方法として,それに加えてタブレット端末に何か書かせるということが必須なのかということについては,必要でないという考え方もあるかと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○小澤委員 湯淺委員のお話と裁判所のお話を聞いて考えたのですが,やはりデジタル化に当たって,今の署名押印というものをデジタル化するのではなく,思い切って口頭だけでもいいのではないかと考えました。しかし,そうはいっても,ウェブ画面を用いた裁判官による説明であるとか,偽証罪の告知などについて分かりやすい説明をすると,そういう前提であれば,口頭だけでもよろしいのではないかという感想を持ちました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○日下部委員 どこまで証人に何らかの作業なり行動なりをしてもらう,させることで宣誓の意義を自覚させることが適切なのかというのは,人によって見方も変わってくるところだと思いますので,余り理論的な,あるいは論理的な説明にはならないと思うのですけれども,個人的には証人自身が口頭でこうこう宣誓しますと言っているだけですと,少々軽いのかなという感じもいたします。やはり永続的に残る訴訟記録になる何らかの証跡を証人自身が作成したというプロセスを残しておくことで,これはしっかり対応しなければいけないことなのだという自覚を促す効果というのは,余り軽視すべきではないように思っております。そういう意味で,現状では宣誓書への自署押印が求められていると理解しておりますので,デジタル化したからといって,口頭で言えばもう十分ではないかと割り切ってしまうというのは,私としては抵抗感を持っているところであります。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○脇村幹事 脇村でございます。宣誓の点につきまして今,先生方に御議論いただきましたことを踏まえまして,当局としても法の趣旨について,方式うんぬん以前として,どうした趣旨からこういったことが要求されているかについて,また研究させていただいて,また議論させていただきたいと思っているところです。   すみません,前の問題として,先ほどから場所のお話をさせていただいた点で,少しお話しさせていただければと思って,挙げさせていただいたのですが,今様々な御意見を頂いたところで,事務当局としてもう一度考え直していきたいと思っていますが,恐らく大きな分かれ目というか問題として,そもそも当然この不当な影響と,不当なというとあれですけれども,変なところでしてはいけないという全体としては御議論は一致していると思うのですが,一方で定型的,類型的なものについては縛るといいますか,明確にしましょうという一方で,裁判所の裁量に委ねるという意見があったところだと思います。   その関係で言いますと,我々としてはイを入れるところで,変なところでしないということをより確保しようとしたのですが,場合によっては,イは結構抽象的な要件でございますので,そもそも類型的に書き出そうとしたことと,もしかしたら少しずれていたのかなという気もだんだん,伺っていて,しましたので,そもそもこの場所につきまして,具体的なアですとかウで最高裁で定めるようなことを書いていることとイの関係について,本当に書こうとしていたことが一致しているのかは,少し改めて考えさせていただいた上で,また検討していきたいということをお話しさせていただこうと思いました。すみませんでした。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○山本(克)委員 宣誓の点ですが,宣誓は第一義的には,日下部委員もおっしゃるように,裁判所の面前と言っていいのかどうか微妙ですが,裁判所の手続内で証言をしているのだという自覚を持たせるという意味があるということだと思うのですが,それ以外に,やはり刑法の偽証罪の構成要件になっているわけですよね,その辺りとの関係で,宣誓の証明というのは調書で足りるとするのかどうかということは,やはり刑法との関係でも考えなければいけない問題であるように思います。私は,そういう観点からすると,日下部委員の御提案にやや賛成かなという感じでございます。   それと,もう1点,場所についてですが,私は既に前にも質問したような気がするのですが,全然記憶が残っておりませんので,もし重複したら,それは御容赦いただきたいのですが,法廷等の秩序維持に関する法律の2条に,裁判所又は裁判官が直接に知ることができる場所というのが,隔地にいる証人,オンラインで尋問した場合,その場所というのは,直接に知ることができる場所に当たるということなのでしょうか。結局,何を言いたいかというと,アなりイなりの要件を付しても,それが守られなかった,いざ証人尋問期日を開いてみたらそういう人がいた場合に,それを排除するためのツールというものを裁判所が現行法上,持ち得るのかどうかという辺りを,少し教えていただければと思います。   1点目は意見ですので,特に御回答は求めておりません。2点目について,もしお教えいただければ幸いです。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局からお答えをお願いします。 ○西関係官 山本克己委員から御質問いただいた点につきまして,現時点ではまだ明確に整理ができていないところでございます。この点につきましては,現行法上の裁判所間で行うビデオリンクに基づく尋問におけるのと同様の問題があり得るところかと思いますので,いずれにしても整理をしたいとは考えております。 ○山本(克)委員 サンクションできない規律を設けても意味がありませんので,その辺りは是非御検討いただければと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○笠井委員 宣誓の点で,思い付きで恐縮なのですけれども,調書で書記官が公証するとともに,録音をして,録音自体を調書の一部として必ず保存するような形にするといった方法も,口頭のみで済ますという方向での話としては,あり得るのかなと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○青木幹事 青木です。以前,既に御説明いただいているのかもしれないのですけれども,よろしければ教えていただきたいのですが,証人の出頭場所についてです。(2)アの規律と現行の203条の2の付添いの規律との関係なのですけれども,この付添いをする者がアに当たる者である場合に,当事者に異議があったとき,付添いは204条の場合はできなくなるということなのか,それとも,203条の2の要件を満たす場合には,裁判所の決定で認められるということになるのか,少し私の方で誤解しているかもしれませんが,教えていただければと思います。 ○山本(和)部会長 それでは,事務当局からお答えをお願いします。 ○西関係官 (2)アというのは当事者本人ないしその親族等が証人と同席することについての規律だと思われます。203条の2は,証人に対して何かしらの方が付き添うという規律でございますが,御質問は,証人に対する付添人がアの当事者にとっての一定の関係を持つ者であった場合と,こういう御趣旨でございましょうか。 ○青木幹事 そのとおりです。 ○西関係官 ありがとうございます。明確にそういった場面を想定していなかったものですから,御質問の点につきまして更に整理をさせていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,証人尋問の本体といいますか,についてはこの程度にさせていただきまして,引き続きまして,証人尋問等に含まれるあれですけれども,資料23ページの「2 通訳人」,それから,24ページの「3 参考人等の審尋」,これをまとめて取り上げたいと思います。   まず,事務当局から説明をお願いいたします。 ○西関係官 通訳人につきまして遠隔地要件を見直すことにつきましては,意見募集におきましても,これに反対する意見はございませんでした。一方で,電話会議による通訳を認めるかというような点につきましては,賛成意見と反対意見の双方が出されているところでございます。したがいまして,この点につきまして,電話通訳の必要性等も踏まえながら更に検討する必要があると考えられます。   それと,次に,参考人等の審尋につきましては,意見募集におきまして,一定の場合には電話ではなくてウェブ会議によるべきであるというような意見もございましたので,この点につきまして論点として記載させていただいたところでございます。   説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この点,どちらからでも結構ですので,お気付きの点があれば御指摘いただければと思います。 ○阿多委員 両方について意見を述べたいと思います。   通訳人について,従前から通訳人の確保が困難であることは説明いただいており,十分理解はしているつもりです。そしてまた,実務の状況として,主尋問等は事前調整した上で実施されているので電話での通訳でも支障がないということもあり得るのだとは思います。しかし,やはり反対尋問について,回答者の口元の状況が見えない状況で本当に通訳ができるのかという点に疑問が残ります。隅付き括弧書については,従前から,優先順位というか,原則は映像と音声双方を要求し,やむを得ない場合にのみ音声でもよいと順位付けをすべきと思います。   それから,参考人等の尋問について,これは証拠調べとして行われます。実務では労働審判法17条に基づき参考人尋問がよく利用されていますが,労働審判での審尋に対する影響を考えると,音声等だけで実施するのは問題があると考え,従前の意見を変えたいと思います。パブリック・コメント等を拝見し,この参考人尋問は,その他の準用を考えると,音声の送受信ではなくて映像も要求すべきと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○大坪幹事 通訳人に関してです。私自身,少数言語の話者が当事者や証人の人証調べが必要になった事件の経験があるわけではないのですけれども,そのような少数言語の話者についての人証調べで通訳人を確保することができない場合に,訴訟代理人としてどのように対応するかを考えると,証拠申出をする側としては,少数言語の話者の話を陳述書などにして,それに訳文を付けて書証として提出するということになるのだろうと思います。これに対して反対当事者の代理人としては,そのような書面で判断されるよりは,たとえ電話会議による通訳であっても,人証調べをしてもらって,そこで反対尋問するということを選択する場合も多いのではないかと考えられます。したがいまして,人証調べで電話会議による通訳を選ぶか,それを諦めて書証に対する反論だけで留めるかは,いずれもメリット,デメリットがあり得るので,当事者の判断に委ねるべきではないかと思います。ですので,選択肢として,先ほどの阿多委員の結論に反対するものではないのですけれども,優先順位を付けていただいても,電話会議による通訳の可能性は認めていただく方がよいのではないかと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○竹下幹事 竹下でございます。この通訳人のところだけ,私の専門が国際私法ということもあって,いつも発言させていただいているところでございますが,電話会議の方法もやはりお認めいただくのがいいのではないかというのが個人的な意見でございます。意見募集の御意見などを伺っていると,確かにウェブ会議での通訳をした方がより正確性の高い通訳が期待できるというのはそのとおりかと思いますが,他方で結局,正確性のある通訳ができるかどうかというのは通訳人のスキルの問題でございまして,顔が見えているかどうか,映像が実際にあるかどうかが絶対的な基準になるかと言われると,多分そうではないだろう,飽くまでそれは相対的なものにすぎないのではないかと考えているところでございまして,そうすると,電話だから絶対に駄目であるということまではなかなか言えないのではないかと思います。他方で,ウェブ会議の方法,現在我々もウェブ会議の方法で法制審をやっているわけですが,その方がより正確であるというのは,確かにそのとおりかとも思われます。そうすると,阿多委員がおっしゃられたような形で,ウェブ会議の方法が使えるようであればそれを使うということを原則として,例外的に,それも使えなくてほかに方法がないときに,電話会議という方法も使えるようにしておくというのが,バランスがいいのではないかと思われました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○日下部委員 私も通訳人につきましては,今まで多くの方がおっしゃられました意見と同じように考えております。元々通訳における映像の重要性と少数言語の通訳人の確保の重要性という,場合によっては必ずしも両立しない利益の調整ができずにここまで来たわけですけれども,どちらかだけを取るという形で制度設計をすることは別に必要なわけではなくて,原則,例外という形で,かつ例外の場合にはどういった要件を設定するのかという形で両者の調和を図っていくということが適切な方向性ではないかと感じております。   それから,参考人についてですけれども,こちらも先ほど阿多委員の方から言及があったかと思いますが,相手方のある事件についてはウェブ会議等によるとの規律とすべきではないかというのが私の意見でございます。相手方のある事件における審尋については,既に現行法の187条の2項が,当事者双方が立ち会うことができる期日で行わなければならないと定めておりますので,その場合の審尋については音声に加えて映像の送受信も必要とするという規律を設けることは,当事者の手続保障を重視するという現行法の187条の規定の趣旨といいますか姿勢とも合致しており,妥当ではないかと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○渡邉幹事 参考人の審尋の関係でございますが,参考人等の審尋の規定は簡易かつ迅速な証拠調べを実施するという趣旨に基づきまして設けられた規定でございまして,こうした趣旨に鑑みますと,事案に応じて電話会議の方法を選択することができるような規律とすることが相当であると考えているところでございます。相手方のある事件につきましてはウェブ会議等によるべきだという見解が先ほどから提示されておりますが,相手方当事者の手続保障ですとか直接主義の観点を重視するものであると承知をしておるところでございますが,手続保障という観点につきましては,現行法187条の2項におきまして当事者双方が立ち会うことができる期日で参考人審尋を行うこととされていることで,十分な手続保障が与えられているというふうにいえるのではないかと考えられますし,直接主義の観点から常にウェブ会議等によることまでも求めるというのは,簡易かつ迅速な証拠調べであることという手続の本質に反するようにも思われるところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○山本(克)委員 すみません,蛇足ですが,通訳人も宣誓が必要とされておりますので,電話会議システムによる通訳の場合の宣誓の在り方というのも検討すべき課題ではないかと思いますので,御指摘させていただきます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,「第4 その他の証拠調べ手続」ですけれども,ここは,まず「1 鑑定」,それから,26ページの方に移って「2 検証」,「3 裁判所外における証拠調べ」,この部分については特段の変更がない点ということで,まとめて取り扱いたいと思いますが,事務当局からまず説明をお願いします。 ○西関係官 鑑定,検証及び裁判所外における証拠調べにつきましては,先ほど部会長からも御案内がありましたとおり,いずれも中間試案における内容から変更を加えていないというところでございます。意見募集の結果も踏まえますと,中間試案の方向性を維持することが相当と思われまして,このような形にさせていただいたというところでございます。   簡単ではございますが,以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   それでは,これらの点について,どの点でも結構ですので,もしお気付きの点があれば御指摘を頂ければと思います。いかがでしょうか。特段よろしいでしょうか。   それでは,資料,最後になりますけれども,27ページ,「4 ハイブリッド方式による証拠調べ」,この点につきまして,事務当局から説明をお願いいたします。 ○西関係官 いわゆるハイブリッド方式による証拠調べにつきましては,これまでの部会におきましては,このような手続を設けること自体につきましては特段異論はございませんでしたが,これを口頭弁論の期日における手続と位置付けるか,それとも口頭弁論以外の証拠調べの期日における手続と捉えるかという点につきましては,意見も分かれていたと認識しております。意見募集におきましても,この点につきまして様々な御意見を頂戴したところでございます。この点につきまして,先日の部会におきましても若干,整理を頂いたところでございますので,こちらも踏まえまして考え方を記載させていただいております。御意見を頂戴できればと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは,この点につきまして,どなたからでも結構ですので,御発言を頂ければと思います。いかがでしょうか。 ○日下部委員 まず,この点について日弁連の意見がどうなのかということを御紹介させてください。   日弁連としましては,ハイブリッド方式による証拠調べを,法185条に規定する裁判所外の証拠調べではなく,口頭弁論期日における証拠調べと位置付けるものになっております。その上で,常に手続の公開を必要としつつ,要件に関してはもう少し細分化されておりまして,検証については裁判所による相当性判断の要件に緩和をするということを認めた上で,証人尋問については204条の要件を満たすことを求めるというものになっています。つまり,ハイブリッド方式による証拠調べを裁判所外の証拠調べと位置付ける部会資料の考え方との差異ということで申し上げますと,実務的に影響が大きいのは,公開の要否という点と証人尋問の場合の要件設定かと思います。そこで,こうした実務的な影響の大きい差異の点について少し意見を申し上げたいと思います。   まず,公開の要否についてですが,部会資料の30ページでも説明されておりますけれども,ハイブリッド方式による証拠調べを裁判所外の証拠調べと位置付けたとしても,手続の公開の要否について別途検討することは妨げられないだろうと思います。むしろ,公開主義の趣旨に鑑みれば,特段の事情がない限りは公開することが望ましいというべきだろうと思います。そうしますと,法制的には公開を必要的とすることは考えられますし,そうでないにしても,原則的には公開を必要とした上で,公開になじまない何らかの事情があるという場合には例外的に非公開で行うことが許容されるとすることも考えられるかと思います。この点,特段の,あるいは何らの事情もないのに,あえて非公開で行うべきという意見は考えられないように思っております。   なお,手続が公開されるという場合には,現実的には受訴裁判所の法廷において傍聴を許す方法で公開がされると思いますので,証拠方法が所在している場所にいない裁判官はどのみち法廷に所在するということになるように思われますので,法制上は手続が公開されるという場合には,裁判官の所在場所としては法廷という形になるのだろうと思っています。   それから,証人尋問における要件設定,こちらの方がもう少し複雑なのですけれども,現行法195条が受命裁判官又は受託裁判官が裁判所外で証人尋問をする際の要件を定めておりまして,これとのバランスを考慮する必要があるということは部会資料の指摘のとおりだろうと思います。ハイブリッド方式の場合の裁判官の証人尋問への関与の程度に鑑みますと,195条の要件と同じか,それより緩和されたものが相当であり,かつ204条の要件と同じか,緩和されたものが相当ということになるのだろうと思います。   部会資料が提案している裁判所の相当性判断のみという要件設定は,確かに195条の要件よりも緩和され,204条の要件よりも緩和されているという点では,不相当であるとか均衡を失しているということはないのだろうと思います。しかし,これらの条文上の既にある,あるいは204条については改正後のものも念頭に置いておりますが,その要件に比べて,余りに要件が緩和されすぎており,なぜそこまで極端に緩和されてよいのか合理的な説明ができないのではないかと思いました。   したがいまして,仮にハイブリッド方式の証拠調べを裁判所外の証拠調べであると位置付けたとしても,証人尋問については,法185条と同じ要件設定に安易に流れるのではなく,法195条及び法204条が慎重な要件設定をしている趣旨を十分にしんしゃくして,もう少し妥当性のある要件を模索すべきではないかと考えました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。 ○阿多委員 日下部委員との重なりもありますので,簡単に意見を述べます。   ハイブリッド方式による証拠調べでは,検証の場合と証人尋問の場合を分けて考えるべきだと最初に意見を述べたいと思います。検証の場合でも,物に対する検証であれば別ですけれども,場所,例えば漏水状況を見るため家に行く場面,ウェブでつながっているからといって公開法廷で検証しているという整理は無理があると思います。検証は裁判所外の証拠調べという整理にならざるを得ないと考えています。   これに対して証人尋問は,日下部委員から204条の話が出ましたが,先ほどの議論でも204条自体がプライバシーを配慮した上で場所を考えている,当該場所にいる証人についても204条ではプライバシーを考慮していると思います。そういう意味では,証人尋問の場合は,公開されることによるプライバシー侵害等については更なる考慮は余り考える必要はなく,公開法廷で実施しているという同じルールで整理をするのがバランスがとれていると思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○笠井委員 すみません,私もだんだんよく分からなくなってきているのですけれども,元々185条の規定がある上に,ほかの裁判官がそれを一緒に見られてもいいではないかという発想でこの話が始まったように思っているのです。しかし,どうもパブリック・コメントの御意見なども拝見していると,全員が見るのだったら,それは法廷からやるべきであって,それで,そのうちの一部が外に出ているから公開しなくていいとはならないとか,そういう方向の御意見があるような感じです。でも,この規律ができたときに今の185条1項がなくなるのかというと,なくならないと理解しておりまして,そうすると,185条1項が残って,ハイブリッドが別に入るとすると,結局,裁判所が相当と認めるときは185条1項でやろうかという話になってしまうのではないかと,少し誤解があるかもしれないですけれども,今お話を伺っていて,思いました。それから,公開でやって,それが口頭弁論であると位置付けた場合に,口頭弁論を裁判官の一部が法廷外で実施できるのかという,結構大きな問題も出てきそうな感じがしましたので,申し上げました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○阿多委員 笠井委員の発言に関連しますが,今回の改正は185条は触らないという前提で議論をしていますので,すみ分けというか,射程距離をどのようにするのかを考えると非常にバランスが悪いというか,意見を述べにくい状況です。本来は,どういう場面ではどこで証拠調べをすると整理ができればよいと思いますが,185条を残した上でどういう形で実施するかを議論しています。受命裁判官が185条で現地に行って証人尋問を実施している状況を法廷にいる裁判官もウェブで中継している場合,実際に尋問を主宰しているのは裁判所外にいる受命裁判官か,それとも法廷にいる裁判官,部長と右陪席が主宰なのか,どちらがメインで尋問を主宰しているのかという整理自体も曖昧です。訴訟指揮を誰が行使するのかも明確に整理された上で議論しているわけではない。通常の裁判所外の受命裁判官が立ち会う証人尋問であれば,現地で受命裁判官が指揮をするわけですが,今回の場面では法廷にいる部長が補充尋問をし,訴訟指揮を行使するのだとすれば,やはり法廷で証人尋問が行われていると整理すべきではないかという疑問も生じます。   この問題は,発言者がそれぞれ想定している場面がばらばらで,噛み合っていません。公開法廷か裁判所外かという二項対立ではなく,どういう形でバランスをとるのか,また,誰が主宰者かを考えたとき,少なくとも法廷に裁判官が一定数いて,双方代理人も法廷にいるという状況で尋問が実施されているのであれば,法廷での傍聴が許される構成を考えるべきです。他方,裁判官は法廷にいるものの,双方代理人が現地にいて,現地で受命裁判官と双方代理人とが一緒に証人尋問を実施している映像を法廷につないでいるだけで,法廷の裁判官は映像を見ているだけであれば,裁判所外の尋問だと類型化した上で議論すべきではないかと思います。   なお,弁護士会の意見は,一定の場合には傍聴が排除されない,傍聴が認められるという状況を証人尋問では確保すべきというものです。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○山本(克)委員 私も日下部委員や阿多委員とかなり似た考え方をしております。ただ,阿多委員のように細分化することが本当に必要かどうかというのは,なお検討が必要なのかなと思っています。   この部会資料の書き方なのですが,これはもう一定のコミットメントをしてしまっておりまして,法185条に次の規律を設けるということはもう,法廷外の,裁判所外の証拠調べそのものだということを既に先取りをしておりまして,今の意見が対立している状況を踏まえると,果たしてこういう書きぶりで部会の審議を行っていくことが適切なのかどうかという点も問題になるのではないかと思います。これはもう185条の特則だということで割り切るのであればともかく,かなり異論があるという状況では,やはり185条の特則として考えるのか,それとも本当の意味のハイブリッドと,つまり口頭弁論と裁判所外の証拠調べの性質を兼ね備えた,一定限度で口頭弁論の要素を含んでいると考えるべきなのか,そこがやはりもっと出るような部会資料の作り方をお考えいただければと思います。 ○脇村幹事 ありがとうございます。また御意見いただきましたので,また検討していきたいのですが,恐らく今伺っていまして,そもそもネーミングとして,このハイブリッド方式の証拠調べという1個の項目で別々のものを二つ取り上げていて対比させていたことが,もしかしたら分かりにくかったかなと思いまして,恐らく弁護士の先生方の御意見というのは,証拠調べの亜流を作るべきで,裁判所外の証拠調べの亜流は作るべきではないという御意見でしょうし,笠井委員あるいは我々の方の意見は,恐らく証拠調べの亜流は作らずに,裁判所外の証拠調べの亜流を作りますかという,そういったことだと思うのですが,それぞれについてそれぞれの観点から本来は検討すべきところをぐちゃっとやってしまったのが,少し混乱させてしまったのかなと思います。部会資料は,出発点としては,今でもできる裁判所外の証拠調べについて,一人で受命等でやったケースなども念頭に置きつつ,見えてもいいのではないかというような発想も加味しながら考えていたところですが,少しそれぞれについて,できるのか,少しこちらの方としても検討していきたいと,恐らくそれによって見え方が少し違ってくるのかと思いますので,改めて少し絵図の切り方については工夫していきたいと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。   ということで,次回出てくる資料についてはもう少し違った形に,なるかどうか分かりませんが,なり得るのではないかという御趣旨だったかと思いますが,またそれを受けて御議論を頂くということでよろしいでしょうか。   それでは,これで一通り部会資料20についても御議論を頂けたかと思いますが,何か全体を通して御発言いただくべき点があればと思いますけれども,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○藤野委員 主婦連合会,藤野でございます。すみません,第1の3の書面による準備手続のことで,少し私どもで話し合っているときに分からなくなってきたことがあるのですけれども,聞きそびれて,申し訳ございませんが,教えていただきたいのです。書面による準備手続の典型的な場合が刑事施設等に収容されている方の場合ということは以前から伺っております。その方々がこれまでも電話を用いた協議も認められず,書面による手続でしか行われなかったことを今回,IT化に伴って,ウェブで協議を行うことができるようにすることは考えられないのでしょうか。刑事施設及び入管施設も同様だと聞いております。入管施設の中のこともいろいろ分からないことが多く,最近問題もありましたけれども,もし可能であれば,その辺りを時代に合わせて柔軟に対応していくことは考えられないのか,教えていただきたくて発言させていただきました。よろしくお願いいたします。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   それでは,事務当局の方から答えられる範囲でお願いします。 ○脇村幹事 ありがとうございます。一般論を申し上げますと,民事訴訟の手続を今回,電子化等々することによって,より円滑に訴訟の遂行がされるべきであるということは,我々としては考えているところでございます。他方で,刑事の施設についてどういった形で施設管理されていくかという点については,なかなか民事だけの問題として取り上げることは難しいというのは正直,あるところだろうと思いまして,今の事務当局としてはこれ以上のお答えは難しいところですが,これまでも施設管理との調整を図りながら実務上,裁判所外の尋問等を活用するなどして適宜やっていたことが,少なくとも今後バリエーションが増えることによって,今よりは後退することはないのかなとは認識はしておりますが,具体的なものにつきましては,やはりその事案ごとでございまして,なかなかこれ以上のことはお答えできないのかなと思っています。ただ,事務当局としては,もちろんそういったケースに限らず,適切に円滑に電子的なものを使って今よりもうまくやっていただきたいなというのが,思っているところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○藤野委員 ありがとうございました。今回,IT化のことを審議するに当たり,いくつかの場面でIT化と直接関係ないことも含まれてきていて,この法制審という場の重要さを感じているところでございます。そういった点からも,今申し上げたことも検討課題として,皆さんにお考えいただきたいという意見を持っております。よろしくお願いいたします。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。重要な問題提起を頂いたかと思います。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,本日の審議についてはこの程度にさせていただければと思います。   最後に,次回の議事日程等につきまして事務当局から説明をお願いいたします。 ○脇村幹事 ありがとうございます。次回の日程でございますが,日時は令和3年9月3日金曜日の午後1時から午後6時まででございます。場所につきましては,申し訳ございません,今,調整中なのですが,もちろんオンライン等を前提に,また通知等をさせていただきたいと思っています。   次回会議におきましては,口頭弁論及び新たな訴訟手続のほか,中間試案に掲げていた残りの論点について御審議をお願いする予定でございます。   なお,本日取りまとめの関係をさせていただいたところでございますが,パブリック・コメント等の手続は引き続き我々としては進めていきたいと思っておりまして,日程等が決まりましたら,また改めてパブリック・コメント等についての日程についてもお知らせしたいと考えているところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。積み残しを出すことなく本日は審議を終えることができました。委員,幹事の皆様の御協力に感謝を申し上げたいと思います。   長時間にわたりまして熱心な御議論をありがとうございました。これにて法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会第15回会議は終了にさせていただきます。お疲れさまでした。 -了-