法制審議会 家族法制部会 第7回会議 議事録 第1 日 時  令和3年9月21日(火) 自 午後1時29分                      至 午後5時38分 第2 場 所  法務省第1会議室 第3 議 題    1 離婚後の子の養育への父母の関与の在り方に関する論点の検討 2 子の養育をめぐる問題についての子の意見の尊重及び父母の離婚に関連する諸問題に関する論点の検討 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは,予定した時刻になりましたので,法制審議会家族法制部会の第7回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。   本日も前回までと同様,ウェブ会議の方法を併用した開催になりますけれども,どうぞよろしくお願い申し上げます。   それから,前回からの委員,幹事,関係官等の変更といたしまして,外務省の久賀百合子国際法局社会条約官が関係官に任命されております。また,前回会議において新たな関係官として御紹介をさせていただいた外務省の竹中関係官が,本日は御出席されておられます。そこで,久賀関係官と竹中関係官から,まず最初に簡単な自己紹介をお願いしたいと思います。お名前と御所属とを自己紹介お願いできればと存じます。   久賀関係官,まずお願いいたします。 ○久賀関係官 9月1日に外務省の国際法局社会条約官に就任いたしました久賀百合子と申します。よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 どうぞよろしくお願いいたします。   では,竹中関係官,お願いいたします。 ○竹中関係官 8月に外務省領事局ハーグ条約室首席事務官を拝命いたしました竹中と申します。よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 どうぞよろしくお願いいたします。   それでは,次に,本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局の方から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 それでは,お手元の資料について御確認いただきたいと思います。   前回と同じものの部会資料6,そして参考資料6,そして,本日の後半に御議論をしていただく際の検討資料として部会資料7,この部会資料7につきましては,議論いただく直前に御説明いたしたいと思います。委員提出資料につきましては,原田委員から御提出があった関連資料ということになります。   資料の説明は以上になります。   なお,今回もウェブ会議を併用していることから,御発言に当たっては,冒頭でお名のりいただきますようお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは,本日の審議に入りたいと思います。   本日は,初めに,前回会議において武田委員から御発言がありました,試行的な面会交流につきまして,裁判所の方からその実情等につき御説明をしていただくということを予定しております。この御説明の後,前回の積み残しになっております,離婚後の子の養育への父母の関与の在り方に関する論点,部会資料6の第3から第5までにつきまして御議論をしていただきき,さらに,その後に,部会資料7に基づいて子の養育をめぐる問題についての子の意見の尊重及び父母の離婚に関する諸問題に関する論点について御議論をしていただく,こういう順序で進めさせていただきたいと考えております。   そこで,まず最初に,裁判所の方から試行的な面会交流のことなどにつきまして御説明を頂けますでしょうか。 ○木村幹事 ありがとうございます。最高裁家庭局の木村でございます。木村の方から御説明させていただきたいと思います。   前回会議におきまして,武田委員の方から試行的面会交流を実施しないケースが相当数あるのではないか,そして,これに関する統計数値はないかといったような御質問を頂いたものと認識しております。しかし,恐縮ではございますが,そのような数値を持ち合わせておりません。   もっとも,委員御指摘のとおり,試行的面会交流を実施しない事案というのもございまして,そのように承知しておりますので,以下でまず,裁判所で実施する試行的面会交流の意味や目的なども交えながら,その実施状況等について御説明させていただきたいと思います。   まず,初めに明確にしておきたいのは,裁判所において試行的面会交流と呼んでいるものは,飽くまでも調査官による調査の一環として行われるものであるということでございます。このような意味における家庭裁判所において実施する試行的面会交流とは,当事者双方が合意していることを前提に,裁判所内等におきまして,別居親と子との面会交流を試行的に実施し,その場面を調査官が観察評価するということを指します。その目的でございますけれども,今後面会交流を実施することを前提に,その際に配慮が必要な課題等について把握,調整することや,子と別居親の関係に問題があるとの主張がされているような場合等に,親子関係の実態等を精査すること,そういったことが目的としてあるものと承知しております。   家庭裁判所におきまして,このような目的に照らしまして,父母双方からの聞き取り等も踏まえ,試行的面会交流の必要性を検討しており,例えば,父母間の紛争性が比較的低く,親子間の関係性も悪くないような事案や,反対に,客観的な事情等により,当該時点において面会交流を実施することが子の利益に反するということがうかがわれるような事案等におきましては,試行的面会交流を実施しないということも含めて,事案に応じた慎重な判断をしているものと承知しております。試行的面会交流を実施する方向性となった場合にも,その実施が子に与える影響等を慎重に検討し,十分な準備をした上で目的に照らした効果が上げられるような形でこれを実施しますので,相応の準備期間が必要になるものと承知しております。   また,このような試行的面会交流の目的や入念な準備がされることを踏まえますと,基本的には試行的面会交流としましては,1回実施することで,その目的を達成できると考えられますので,試行的面会交流を実施することとした事案の多くでは,1回のみこれが実施されているものと承知しております。なお,事案によっては,2回目以降の試行的面会交流が必要となる場合もあり,適切に対応しているものと承知しております。   このようにして実施された試行的面会交流の結果は,これを観察等した調査官により報告書にまとめられ,調停委員会や裁判官だけでなく,当事者においても面会交流の内容を検討,判断をする際の重要な資料の一つとして考慮されているものと承知しております。   以上が,試行的面会交流についての説明となりますが,部会資料3の方には,試行的な交流を実現することができる制度,あるいは家庭裁判所の命令により暫定的な面会交流を実施などという記載がありました。今後,この点について議論を深めていくに当たりましては,そこで言う試行的な面会交流ないしは暫定的な面会交流として,どのようなものをイメージするのか,そのような制度を設ける趣旨や目的は何であるのかということを明確にしつつ,議論,検討していくということが必要ではないかと思われるところでございます。   すみません,試行的面会交流については以上でございますけれども,質問という形ではなかったかもしれないのですけれども,前回同じく武田委員の御発言におきまして,面会交流の回数や時間について言及がございました。この場をお借りして,手短にでございますけれども,面会交流の頻度や時間に関する裁判所の実務について述べさせていただいてもよろしいでしょうか。 ○大村部会長 どうぞ,お願いします。 ○木村幹事 家庭裁判所において,面会交流の実施頻度や1回当たりの時間といった具体的条件がどのような観点から決められるのかについてでございますけれども,一律の基準や相場はなく,飽くまで個別の事案に応じた,個別の事案における裁判官の判断,あるいは,調停であれば当事者の合意により取り決められたものとなります。一般的には,同居していた際の別居親と子との関係,別居後の別居親と子の面会交流の状況,子の意向,心情,同居親と子の生活状況,同居親と子の関係性,父母の紛争状況や父母の面会交流についての意向等の考慮要素を踏まえ,子と同居親の心身の状況や生活状況の安定に配慮しつつ,子と別居親の関係の維持促進をどのようにはかるかといった観点から,検討されることが多いものと承知しております。   また,1回当たりの時間を定める際には,子と別居親の交流実績,父母の居住地の距離等も踏まえ,子の発達や生活リズムにも配慮しているものと承知しております。具体的には,例えば,週末に直接交流を実施する場合は,翌週の登園,登校に差し支えない範囲の時間とするですとか,乳幼児の子どもであれば昼寝の時間を確保する,学童期の子であれば宿題をする時間を確保するなどといった配慮等もすることがあると承知しております。   なお,父母間の葛藤が大きくなく,子の状況等に応じた柔軟な面会交流の実施が期待できる事案等におきましては,具体的な頻度や時間を定めずに,面会交流を実施することのみを取り決めるといった場合も,少なくないものと承知しております。 ○大村部会長 ありがとうございます。試行的面会交流に関する考え方や面会交流の回数,時間についての状況等についての御説明を頂きました。   よろしいですか。何か御発言ありますか。 ○武田委員 すみません,木村様,御丁寧な御説明ありがとうございました。データがないことも承知をいたしました。   ちょっと教えていただきたいことが2点ございます。   まず,試行的面会交流なんですけれども,御説明の中で,目的は1回で達成できるという御説明があったかと思います。場合によっては,必要に応じて複数回やるという御説明でありました。ちょっと私,腹に落ちなかったんですが,1回で達成できるという根拠というか考え方ですね,そこに関しては,少し補足していただきたいなと思います。これが1点目です。   2点目,面会交流の回数,頻度に関してと,現行今,このようになっているということは事実としてありますので,それはよろしいかと思うんですけれども,例えば,今,御説明いただいたような諸条件ですね,裁判官の判断から始まって,合意状況があってと,子の状況があって,親子の関係があってと,それは恐らく,世界中どこの国でも変わらないと思います。しかしながら,なぜか我が国の判断は,2か月に1回とか1か月1回とかが多くて,一方,海外諸国においては,フィフティー・フィフティー,いえ,極端な例はやめましょう,実態にそぐわないかもしれませんので。例えば,2・8ルールとかありますよね。諸外国であれば,離れて暮らす親も年間2割程度の頻度で会う決定が多い,多分統計採ると,そういう数字が出てくると思います,これは,何故こういった海外諸国との違いが出てくるのか,お答えいただける範囲で,追加の御説明をお願いできれば幸いでございます。 ○大村部会長 木村幹事,可能な範囲で,お答えを頂ければと思いますが。 ○木村幹事 ありがとうございます。最高裁家庭局,木村でございます。   まず1点目でございますけれども,試行的面会交流は,調査の一環ということで,目的に照らして,その目的に照らした効果が上げられるような形で,相応の準備期間を費やしまして,よく検討して,その上で,目的や入念な準備ですね,そういったことを踏まえて行うということで,基本的には試行的面会交流としては1回実施するということで,目的を達成できるというようなことでやっておりますけれども,補足させていただきましたとおり,もちろん事案によりましては,調査の必要性という観点から,必要がございましたら2回目以降の試行的面会交流が必要となるという場合もございまして,事案に応じて適切に対応しているものと承知しているところでございます。   次,2点目でございますけれども,面会交流の回数や時間というところでございますけれども,裁判所において,どういったことを考慮して,頻度や時間,そういったところの取決めに至っているかというところは,先ほど申し上げたとおりでございまして,ただいま武田委員の方から,大体2か月に1回とか1か月に1回とか,前回1か月に1回2時間とか,そういった御発言も頂いたところがあったかと思います。実際に裁判所で定められている面会交流の取決めの実情でございますけれども,裁判所の方で認識しているところを少しだけ紹介させていただきますと,今年の2月に東京家庭裁判所におきまして,一定の期間に終結した面会交流に関係する事件270件ほどにつきまして,急ぎ簡単な調査を行いましたところ,頻度につきましては,先般資料として提出しました司法統計にもありましたが,回数の取決めをしたものの中では,月1回とする取決めが最も多く見られました。他方で,1回当たりの時間を決めた件におきましてですけれども,2時間を超える定めをするものが7割以上でございまして,定められた具体的な時間の分布というのも様々なものとなっておりました。   よく指摘されます,月1回2時間といったような取決めでございますが,これが,近時の家庭裁判所における面会交流の取決めのスタンダードであるかというと,そうではなさそうであるかなと思ったところでございまして,また,このような結果といいますか,こういったところにつきましては,面会交流事件を担当する複数の裁判官,調査官においても,違和感なく受け入れられていたというところでございます。   現状において,把握している家庭裁判所の面会交流の取決めに関する実情でありますけれども,東京家裁における限られた期間についての調査でございますけれども,この部会でも,面会交流については個別性があるといった御意見も出ていたかと思いますし,先ほど申し上げましたとおり,個別の事案における諸事情を総合考慮して,裁判官の判断ないし調停での取決めがされているということでございまして,こういったところにつきまして,多少なりとも御参考になるかと思いまして,ざっとしたところではございますけれども,御紹介をさせていただきました。   長くなりまして申し訳ございません。 ○大村部会長 ありがとうございます。よろしいですか。 ○武田委員 ありがとうございます。 ○大村部会長 ほか,よろしいですか。   それでは,先に進ませていただきたいと思います。   部会資料の6に基づきまして,離婚後の子の養育への父母の関与の在り方に関する論点につきまして,意見交換を行いたいと思います。   まず,部会資料の6の第3,11ページ以下,それから第4,14ページ以下,この部分について御意見を頂きまして,その後,第5,18ページ以下になりますが,そちらに進みたいと思います。   今の第3及び第4の部分につきまして,御意見等ございましたら,挙手をしていただければと思います。いかがでしょうか。 ○青竹幹事 大阪大学の青竹と申します。よろしくお願いします。   12ページの双方責任を離婚後も選択可能とした場合についてですけれども,協議離婚の場合は選択できて,裁判離婚の場合には選択できないとか,そういった規律も考えられるということについて,1点意見があります。父母が共同決定を望んでいて,それが子の福祉に反しないという場合には,共同決定の道を広く開くべきという状況になった場合,その状況というのは,離婚の形態に左右されるものではないわけですから,双方責任の選択を可能とする場合には,どのような形態の離婚においても可能とするのが自然のように思いましたので,意見を先に述べさせていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございました。離婚の形態との関係で区別をするべきではないのではないかという御意見を頂きました。   これについて,資料では分けて考えられているということについて,何か事務当局の方から補足の説明とかがあれば頂きますけれども,もしなければ,御意見として頂きますが。 ○北村幹事 御意見として承ります。 ○大村部会長 では,御意見として承っておきます。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○井上委員 ありがとうございます,連合の井上です。   質問と意見です。   12ページの下から6行目のところで,「双方責任が子の利益に適うかなどを判断するための公的機関の関与の有無という要素も考えられるとの意見がある」と記載がありますけれども,この公的機関とはどのような機関を念頭に置いたものなのか,もし今何かあれば,教えていただければと思います。   その上で,前回までの会議では,例えば,今も御説明ありましたが,家庭裁判所の内容とか体制とか,様々な指摘があるわけですし,この間も出されてきていますけれども,公的機関の関与を検討する場合に,その機関が有効に機能し得る体制が整っているかどうかを考慮した上で,議論することが重要であると考えておりますので,意見として申し述べさせていただきます。 ○大村部会長 ありがとうございます。公的機関の関与に関しまして,御質問1点と,それから御意見を1点頂戴しましたが,御質問の方につきまして何かありましたら。 ○北村幹事 公的機関と記載しておりますけれども,こちら,様々なものが考え得るかなと思っております。この部会の中でも様々出ておりましたけれども,公的機関としては裁判所もあろうかと思いますけれども,それ以外に公証人であるとか,あるいは弁護士のような法曹資格を有する者の関与など,様々あるかなと,そこも含めて今後御議論いただきたいということと,また,今頂きました御意見につきましても,正にその体制等も含めて,検討の対象になろうかと思ってございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○原田委員 弁護士の原田です。   ここでの議論は,双方で責任を負うということを前提としないという議論ではあるとは,私は認識しているんですけれども,この前の細矢委員からのお話にもありましたように,1回規律を決めると,それがどう動くかということをよく考えて,子の福祉に反するような場合がないよう,よく考えていかなければいけないと思います。   そういう意味では,今回資料を出させていただきましたイギリスの例のように,日本でも766条の改正とともに,細矢委員がこの前言われました論考が出て,原則実施論に傾いていった,それを今修正しているというように,同じような歴史をたどっているのではないかと思います。そこで,前回の小粥委員の発言のように考えるとしても,慎重に考えるべきではないかと,考えています。   ただ,もしこの重要事項の要件を考えるとした場合に,資料7で出てきます子どもの意思ということと,当事者の安全,これは細矢委員の御発言でも現在の家裁は最優先に考えているとおっしゃいましたけれども,これを要件としてきちんと明示するということが必要なのではないかと思っています。そして,その場合,私は,安全だけではなくて安心ということもとても重要で,特に監護親の安心というのは子育ての質に大きく影響するものですので,安心して面会交流なり,あるいは共同でいろいろなことを決めるということができるように,この安全と安心ということを重視すべきではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。一般論として慎重に議論をする必要があるという御意見,それから,要件化をする際に,子どもの意思ということと,それから安全・安心というのを組み込むべきだという御意見を頂きました。 ○落合委員 落合です。   今のところは,父母双方が法的決定責任を負うことが,子の利益になる場合について話しているわけですけれども,父母の片方のみが法的な決定責任を負うことが子の不利益になる場合という項が立っていないので,それも議論するべきではないかと思います。双方責任ということが子の利益に反する場合があるのではないかということを,皆さんは懸念して話し合っているわけですけれども,親一人だけが子どもの責任を独占した場合に懸念されることはないのか,それをストップするための方法を考えておかなくていいのかということも,議論をする必要があると思うのです。   例えば,今日,後でお話しするのかもしれませんけれども,子どもの意思ですね。子どもの意思が,1人の親と,監護権を持っている方の親と衝突した場合にどうなるんでしょうか。子どもがほかの意見を求めたいと思っているようなときに,もう一人の親に相談する権利というようなことが生じてくるのではないんでしょうか。ですから,私は,親一人が子どもへの責任を抱え込むことは大変であるのと同時に,子どもに対しては非常に権力的になりますので,もちろんよかれと思っていると思いますけれども,それでも権力的に機能してしまうことというのはあると思いますので,それをストップするということも,話の中に入っていなければいけないのではないかと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございました。親の一方のみが決定するということが,子の不利益になるということがあるのではないかという御指摘を頂きました。   お話の中には,そのような考え方を持つことが必要ではないかということと,具体的な場面を取り出して,どうするのかということも考える必要があるのではないか,この2点が含まれていたように思いましたけれども,いずれも重要な指摘として承りました。ありがとうございます。   そのほか。 ○武田委員 親子ネットの武田でございます。   先ほどの落合先生の御意見,もっともかと思います。双方責任,全てにおいてそれが是というわけではないと思います。場合によっては,いろいろなケース,それが第4に具体的な事例として示されていると,私自身は理解をしております。   取り急ぎ,まず私からは,第3に関してということで,こんなケースでも双方責任をやったことでよかったと,これは私自身が感じている子どもの進路決定に関わる,私自身の経験を紹介させていただきまして,少しそれにのっとって意見を述べさせていただければなと思います。   ちょっと個人的な話で恐縮なんですが,もう6年前になります。ある日,1月ですかね,子どもがセンター試験に失敗したと,試験終了当日,妻から連絡が入りました。この場で具体的に高校名を明らかにするわけにはいかないんですが,子どもは,皆さん誰もが御存じの進学校に通っていて,プレッシャーも非常にあったと思います。在校時,不登校経験もありました。その当時,一浪して再チャレンジをしようと,そういうタイミングでのことでした。   私,妻から連絡をもらいまして,即日10校ぐらい受けられる受験料を振り込みました。同時に,妻に対して,「大学はどこでもよい」と,「居場所を作ってやってほしい」と,「このまま再度浪人継続となると,長女が壊れてしまう懸念がある」と,「私立であろうと学費は全額私が払うので,進路に関して長女と相談して決めてほしい」と,こういう話をしました。結果としては,長女は無事私立の理系大学,理系学部に進学しまして,今年の3月,無事卒業をいたしました。今年の春から就職しまして,毎日元気に働いているそうです。今は不登校の形跡もない,そのように聞いております。   前回も少しお話しさせていただきましたが,委員の皆様から見れば,私ども両親は典型的な高葛藤であったと思います。実は,この受験に際して,皆さん御承知のとおり,養育費,婚姻費用,大学の,少なくとも私立の学費は算定根拠外ということかと思いますので,私の方から別途学費を支払う準備があると,長女の希望も教えてもらって話し合いたいという連絡を,受験の2年ぐらい前ですかね,いたしました。当時妻からは,国公立に行かせる,奨学金もあるので話合いは不要ということで,話は何ら進みませんでした。このような駄目な高葛藤な両親でございます。しかしながら,こういった高葛藤の両親でも,双方とも子どもを愛する親であること,これは疑いない,これは,私自身そう思っています。このように子どもが困難に陥った際,お互いの知恵,できること,これを出し合って補完すると,協力もできるということを,皆さんにも知っていただきたいなと,そのように思います。   現行法制下でもよく,高葛藤イコールもう駄目なんだと,改善のしようがないんだと切り捨てられがちな雰囲気もありますが,こういう双方責任ということが原則になれば,より早期に,私の場合は,そこまで行くのに8年ぐらいかかりましたか,より早期に両親間の関係と親子の関係,これを切り離して考えられるようになる,そういった親御さんたちも増えるんではないか,これが子どもの利益になるのではないか,と期待をします。原則,双方に責任がある,その中で重要決定事項を双方で決めるということに関しては,この後いろいろな御意見が出てきて,議論を進めていただくことでよいかなと思います。   あと,先ほど安全・安心というお言葉も出ました。いわゆる双方責任の例外となるDVや虐待ケース,またこういった決定に当たって,子の利益に反する主張をし続ける方,やはり中にはいらっしゃると思います。資料7,13ページに事後的な対応ということで記載がありますが,そもそも双方責任としない,決定責任の主体変更,こういった変更で対応していくのがよいのではなかろうかと,そんなふうに思います。ただし,この決定責任を付与しない,変更するという判断に当たっては,基本的には司法関与による手続保障が必要なことは申し上げるまでもないと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。御経験に基づきまして,幾つかの点について御意見を頂戴したと理解をいたしました。   ほかにいかがでございましょうか。 ○窪田委員 窪田でございます。   ちょっと自分自身の考えもまとまっていなくて,非常に抽象的な発言になろうかと思います。先ほど落合先生からの御指摘にもひょっとしたら関わるのかと思いますが,この第3のところでは,子の利益となるかならないかという判断基準を示していただいています。これが基準の一つとしてあることは間違いないのだろうと思いますが,ただ一方で,全部がそれによって決まるのかというと,必ずしもそうではなくて,一定の重要な事項については,自分自身も親として判断に加わりたいという,そういう側面もあるのではないかと思います。子どもの利益ということだけで言うのであれば,共同で判断した方がいいのか,単独の方がいいのかというのを客観的に見るということになると思うのですが,仮に一定の事項については,2人で相談した方がより適切な結果が出るということが証明されていないとしても,そういうふうな判断に関わりたいというものがあって,それを認めるかどうかということが問題になるのではないかと思います。   ですから,第3,それから第3を受ける形で第4というのも,基本的には子の利益という観点から言われているのですが,そこでいう,実態としては全部子の利益ということに還元できるのかもしれませんが,客観的に評価される子の利益という話と,そうではないタイプのものというのが交じり合っていて,そこを少し区別して議論をした方がいいのかなと思いました。   非常に抽象的な感想めいたもので申し訳ありませんが,以上です。 ○大村部会長 ありがとうございました。双方の親の関与について考えるに当たって考慮すべき点として,広い意味では全てが子どもの利益に集約されるとしても,狭い意味での子どもの利益以外に考慮すべき問題もあるのではないかと,それを考慮すべきではないかという御指摘を頂いたものと思います。 ○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。どうぞよろしくお願いします。   私も,ちょっと考えはまとまっていないんですけれども,まず,双方責任という話と,この家族法制部会が開かれる前提となっている養育費の不払率がかなり高いですとか,そういた議論がありますれけれども,ちょっと思ったのは,両親が双方責任を合意するということになりますと,では,合意しなかったケースは,双方責任がないとしたケースでも,子どもの養育義務,養育費の支払義務はあるんですよねと解釈できますよね,決定とはちょっと別のことですから。そうすると,ただ,何か協議離婚で,そもそも余り離婚後関心のない方たちというのはかなり一定層いるということは,皆さん薄々感じられていると思うし,大石委員の低所得の親がかなりたくさんいてですとか,こういうレポートですとか,原田委員の実態から,余り責任を持ちたくない親がいるということも出てきて,私もそう思っております。この方たちにとっては,双方責任も決めなかったから,俺は何の責任もないんだよみたいな話になりかねないのではないのかなというのは,ちょっと何か怖いなと思いました。   この辺りの双方責任という,今,仮のタイトルなんでしょうか,ちょっとよく分からないものなんですけれども,こういったものがどのように機能するのかなと思います。私としては,双方の父母間の合意というのはもちろん大前提でありますし,決定というものが今,次の第4でかなり内容を議論すると思いますけれども,やはり双方責任にして,決定のプロセスを経なければいけないということになりますと,どうしても監護親だけでは決められないものが,子の不利益になることも出てくるんではないかなと思います。ですので,どういう場合に決めていいのかということについて,例えば,12ページの上の方,2段落目にDVや虐待等の問題があるときには留意必要があるとは書かれているんですけれども,その手法等について,12ページの下から2番目の段落でも,その手法についてが分かりませんし,先ほど,公的な判断のところ,Aのところですね,双方責任,子の利益に適うかどうかを判断するための公的機関の関与に,裁判所だけでなくて弁護士さんやというようなお話があったので,弁護士さんというのかどういうふうに機能するのかもちょっと分からないところでありました。ですので,ちょっと,双方責任という言葉がどのように機能するのかなと思います。   あとはちょっと私的感想なんですけれども,武田委員が,お子さんが大学受験のときのお話をしてくださって,ありがとうございます。私も子どもを育てる親で,高校生の子どもが学校とうまくいかなくなって不登校になったときに,父親が関与してくれて,アルバイト先などを紹介してくれてよかった体験がありますので,そういう御体験がある方は結構いらっしゃるかもしれないと思います。ただし,武田委員のおっしゃったのは,双方責任ではなく,相手を信頼してお任せしたということなんではないかなと思いましたので,ここの法律の規律とちょっと関連させるのは,私は逆に,寛容性を持って相手にサポートしたという関わりだと受け止めました。そういう関わりはとてもすばらしいものだと思います。   この箇所では以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。双方責任という言葉は,この場での仮の言葉ということで,前回も議論をいたしましたけれども,そのようなものを導入するということと,養育義務との関係が,どういうものであるかということをはっきりさせる必要がある,双方責任を負わないからといって,養育義務を負わないということにならないということをはっきりさせる必要があるという御指摘と,それから,一方の親が決められないと,子の不利益になるということがあるだろうが,それにうまく対応できるということが必要だということ,3番目に,武田委員の先ほどのお話についてのコメントを頂いたと理解をいたしました。ありがとうございました。   そのほか,御発言いかがでしょうか。 ○佐野幹事 すみません,皆さんと同じような意見になりますが,申し上げておきます。   双方責任とすると,すぐに決められなくて子どもが困るという場面,そのために利益が害される場面が想定されますので,それに対して,すぐに決められる,そのためのサポートを提供できるのであればよいのですけれども,そうではないことが前提だとすると,子どもの利益が害されないように,まずは双方の親が合意しているということが,こういった規律を考える上での最低限の前提になるかと思います。その上で,合意をしていたとしても子の利益が害される場面は起こりえますので,第三者的なところがチェック・判断をするということは,今の日本の在り方を前提とすると,そういった形しかないのではと,今は思っております。   また,事後的変更の部分については,併せてその規律,要件,事後的な変更が頻繁になされると,子どもにとってよろしくないというところもありますので,どういった要件で変更が可能なのかを検討する必要,また,次のところで出てくることかもしれませんけれども,子自身,加えて親権変更のように,親族の申立権も検討する必要があるかと思っています。 ○大村部会長 ありがとうございました。双方責任とした上で,その双方で決定ができない場合というのが重要なので,当事者の合意を確保するということ,それから第三者機関のサポートということをしっかり考える必要がある,また,事後的な変更について考えるべき問題があるのではないかといった御指摘を頂きました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○小粥委員 小粥でございます。   先ほどの落合委員,あるいは窪田委員の御発言と関連するつもりなんですけれども,仮に共同決定が望ましい場合があるとしてというような話の先ですけれども,そこで問題になっている利益が,別居している親が決定に関与しなければならない,あるいはしたいというものと,それから,同居している親が他方の親の協力を求めたいという利益と,それから,子どもが同居していない親のサポートないしアドバイス,決定をしてもらいたいというような利益と,一元的に捉えにくい問題状況であるように思うのです。なので,それぞれの利益が一致するものではないので,それぞれの観点から整理すると,もう少し考えていく必要がある状況というのは,細かく場合分けされてしまうことになるんではないかと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。関与を望む親と協力を望む親,そして子どもという,3者のそれぞれの立場から考える必要がある。その場合を分けて,細かく考えていく必要があるのではないかという御指摘を頂きました。 ○武田委員 第4をテーマにしてもよろしいでしょうか。 ○大村部会長 はい,結構です。 ○武田委員 親子ネット武田でございます。先ほど第3に関して意見を述べさせていただきました。次は第4に関して,です。   実は,今日の部会前に,こういう共同決定というテーマで,実際に米国で離婚された夫妻,これは日本人の御夫妻です。要は,裁判所の管轄が米国であっただけという日本人の御夫婦の合意書を取り寄せて確認をいたしました。いわゆる各論に入るときに,イメージ湧くのかなと思いまして,自分としても見てみたかったので確認をいたしました。まずは,簡単にその内容を紹介させていただきまして,それを受けて,私の意見を申し述べさせていただければと思います。   こちらの日本人御夫婦も離婚されています。離婚後,お子さんは米国でお父さんと同居されています。お母さんは現在,日本で暮らしています。夏休み,ちょうどこの間までいたみたいですね,2か月,6月,7月,母親との面会のためにお子さんが来日,毎年されています。冬休みも2週間来日したり,その他,月5日,母親が米国を訪問して,お子さんとも面会は可能となる取決め。こういった取決めがあって,かつ,戸籍上は日本国民でございますので,日本の国内の戸籍上も,子の米国の司法判断により共同親権という取扱いをされている御夫婦の例でございます。   中身についてですが,この合意書の表題は,カストディ・アンド・ビジテーションアグリーメントという名称になっております。具体的内容はというところなんですけれども,こう書かれています。子どもの共同監護を平等に共有する,共同監護の行使に当たっては,両親は責任を共有し,子どもの健康,教育並びに福祉の事案について,誠実に相談するものとする,以下の事案において決定する場合,両親が相談しなければならない,このように記載されておりまして,先ほど御紹介しました面会交流に関する合意があって,さらに,共同決定を要する事項について定められています。   では,その中身はということで,具体的に申し上げます。1点目,転居。部会資料では,どの範囲の転居が対象になるのという記載があったように記憶しておりますが,このケースでは,子どもの転校を伴うものという定義がなされております。2点目,学校の入退学。これ,別に小学校とか大学とかという区分は,ここにはありませんでした。3点目,宗教の選択です。4点目,医療行為です。これ,私は生命の危険に限った場合かなと思ったんですが,そうではなくて,生命の危険に限ってはいませんでした。あと,5点目は学校外の課外活動。6点目,海外渡航。これが共同決定の対象となるという合意がなされております。さらに記載内容を見ますと,親子の状況が変われば事後変更が可能であること,変更する場合には,両親が署名し,日付を書いた書面によらなければならないこと,変更に際して意見がまとまらなければ米国の所管裁判所が決定する,このように定められております。飽くまでこのケースです。まだ確認しきれていないんですけれども,この合意には,一定の州法による規律があると思っています。ちょっと規律も含めて確認できましたら,別途規律に関する資料を提出させていただこうかなと思います。   なお,付言いたしますが,私,個人的に特にこの米国某州,あえて某州と言わせていただきますが,この規律や共同決定での範囲,これがベストだと主張しているわけでないこと,ここは申し添えさせていただきます。これは,飽くまで米国某州の共同決定の例でございます。   次に,資料7で示された文意に関して,今,まだ現時点のという前提を付けさせていただきますが,意見を述べさせていただきます。   先ほどの米国での決定で,あと部会資料にも例示がありましたけれども,まず,転居に関しては,双方責任が相当ではなかろうかと考えております。これは,子どもの観点から見ても,転居,当然友人との別離,離れている親との疎遠,大きな変化が生じるものと感じています。ただ,一律駄目というわけではないと思っておりまして,当然合理的な理由,監護親の転居を伴う転勤,こういった事情があれば,先ほど国境をまたがる面会交流の経過がありましたけれども,当然この養育計画を合意すべき,再度合意し直すということで成り立つものかなと,そんなふうに感じております。   次に,学校ですね。先ほど私自身の事例をお話しいたしました。赤石委員からも,お任せになった,寛容だった,私はそうだと思っています,学校に関しては。基本的には,双方責任という範囲に入るとは思うんですけれども,特に高等学校以降,これは基本的に子どもの意思,希望,まずそれがあって,双方の親が経済的に負担可能か否かという観点で,子どもの希望に対して同意するというたぐいのものかなと思います。ただ,そこの決定に関して,やはり両親双方で子どもの希望を理解し合って合意していくという作業が必要かなと,そんなふうに思っています。   こういったいろいろな選択,事例が出ておりますが,こういった選択に関しましては,まずは子どもの意見,それを踏まえて両親が真摯に話し合う,合意に至れない場合は司法関与を通じて調整,先ほどの繰り返しになりますが,子の利益に反する主張が続く場合には双方責任を変更と,こういった対応になろうかと思います。そのほかいろいろと,宗教でありますとか,医療行為でありますとか,いろいろな部分に関する意見もありますけれども,今日はちょっと控えさせていただきまして,こういった分類ごとに例示して,主たる監護親側に決定責任をお任せする事項,お任せするものの,何らかそれに対して意見を述べられる機会を与えられる事項,こんな形で区分して,当事者の選択で子の共同責任の範囲,これを合意して作成していく,こういう手続を採っていくのがよいのではなかろうかと,こんなふうに考えました。   以上でございます。第4に関しての意見を述べさせていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございました。具体的な制度を組む場合に,どういう項目を括弧付きの共同責任にできるのかということと,その場合に,双方で決めなければいけないことと,一方が決めるけれども,他方が一定程度関与できるというものを区別する必要があるのではないか。決定の手順について,どのように考えるのかといった点について,問題提起を頂いたと理解いたしました。ありがとうございます。 ○落合委員 もしかしたら既に伺ったかもしれないんですけれども,双方責任というのを英語でどのように表現されるのか伺えますでしょうか。共同責任というのと,どう訳し分けるんでしょうか。国際的な問題になっていることですので,対外的にどういうふうに理解されるように,それらの概念を分けていくのかということが重要だと思いまして,御質問いたします。 ○大村部会長 どうぞ。 ○北村幹事 事務局でございます。   英訳についてということでございますけれども,まだ双方責任の中身,それ自体も今御議論いただいているところでして,言葉自体が大きく変わり得る可能性がありまして,今,どのような形で英訳をするのかというところまで,事務局の方で決めているわけではございません。 ○大村部会長 ありがとうございます。落合委員がおっしゃるように,最終的にどのような言葉を使うのか,諸外国の概念でいうとどれと対応することになるのかということについては,一定の整理が必要だろうと思って承りました。しかるべきときに,また事務当局の方にもお考えいただくということになろうかと思います。 ○落合委員 ごめんなさい,今のことでなんですけれども,英語などでこれに類する言葉がどんなものがあるのかをリストにしていただいて,それぞれ内容がどう違うのか,それをどれに訳すのかと議論をしていただきたいと思います。   日本で内容を決めてしまって,それから訳して,それがすごく国際的に分かりにくい英語であったような場合に,国際的な理解が得られないのではないか,ガラパゴス化してしまうんではないかというのをちょっと心配するんですね。ですから,世界に既にある幾つかのパターンのどれかに当てはまるというのが,一番いいと思います。でも,当てはまらないんだったら,それはもう意を決してきちんと定義しないといけないわけですけれども,それは本当に最後にするのがいいのではないかなと思います。日本独自の道みたいな,そういうのをなるべく言わない方がいいだろうと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。御注意として承りたいと思います。   そのほか,いかがでございましょうか。 ○佐野幹事 すみません,佐野です。   ポイントがずれていたら申し訳ないんですが,第4のところで,カテゴリーを考えるに当たり,もし可能であれば厚生労働省さんの方に,児童相談所とその施設長による監護措置と親権者等との関係に関するガイドラインをお出しいただけると,親権と監護権が分属している場合にどういった問題が子どもの生活の中で具体的に起こりうるのか,委員の方々の間で,イメージがつかみやすいのではないかと思っております。   また,こういった問題を考えるに当たり,例えば,今,学校とか行政とか医療関係に対する子どもの個人情報の問題,両親が共同で決定していくといった場合の子どもの情報の扱いというのも,一緒に検討する必要があるのではないかと思っています。   財産管理のところも,これも実際考えてみると非常に難しくて,例えば,養育費は払うけれども,それの内訳,どうやって使ったかを示せという話もあるわけなのです。養育費は子どもの財産とは言わないのかもしれないですけれども,そういうところも含めて検討する必要はあるのかなと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございました。親の権限をどう切り分けるかということについて,厚労省の方に蓄積があるので,それを出していただいたらいいのではないかという御指摘を頂きました。事務当局の方で,厚労省と打ち合わせていただいて,何かあるようでしたら御披露いただくというようなことにしていただければと思います。   それから,子どもの情報の問題と,それから情報の問題と関わるのかもしれませんが,財産管理に伴う明細等の開示のような問題もあるのではないかという御指摘を頂きました。   オンラインの方で手を挙げておられる原田委員,落合委員,この順番でお願いいたします。 ○原田委員 重要事項としていろいろ挙げられているものを考えるときに,場面場面によって,先ほど窪田委員が言われたように,監護親,非監護親,子どもからの立場でいろいろ考えると,いろいろな要素があるのではないかと思います。例えば転居,これは,子どもの転居を伴うような場合ということですけれども,それは,監護親の転居と密接な関係があって,仕事上転勤を拒否できないような日本の風潮というか社会情勢の中では,欧米のようにするのはなかなか難しいところがあるのではないかと思われます。また,その基準を,例えば,@に書いてあるように,殊,非同居親との面会交流を著しく困難にする場合に限るというような状況にすると,では,非監護親の転居はどうなるのかというようなことも出てくると思われます。なので,一律にこういう状況に,これを挙げるというだけではなく,先ほど武田委員も言われましたけれども,協議が整わない場合にはどうするのかというようなことを含めた,どういう規律にするのかということの関連を考えながら,何を共同すべきかと考えないと,なかなか難しいのではないかと。   前回のときに,例えば,池田委員が言われたように,例えば,進学の決定についても,ある日突然どこに進学するかというのではなく,例えば,今の高校だと,もう高校1年ぐらいのときから進学先について高校でいろいろ協議しながら,理系に行くか,文系に行くかとか,どこに行くかとか決めていくという状況がありますので,そういう事情をかなり考慮して,固く決めるということではないように考えた方が適切ではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。転居の例を挙げていただいて,共同で決定するとかということが困難なことがあるだろう,そのことも踏まえて考えると,プロセスの中で関与をするというような形で考えていくということが必要なのではないかと御意見として承りました。   落合委員は手が下がったので,先ほどの御発言だったと理解させていただきます。もしまたありましたら,改めて挙手を頂ければと思います。 ○落合委員 先ほど下ろすのを忘れました,失礼しました。 ○大村部会長 分かりました,ありがとうございます。   ほかに御発言ございますでしょうか。 ○棚村委員 早稲田大学の棚村です。   この問題については,今,委員,幹事の皆さんからも出てきているように,一つは,何が子どもにとって大事な事項か,重要な事柄なのかということを決めなければいけないということがあると思います。そこで,その重要な事項の決定については父母双方の関与が必要なのか。これも,お子さんから見て必要だという場合もあるでしょうけれども,親として是非そういうことには関わりたいというのもあるというのは,小粥委員からお話があったとおりだと思います。つまり,事項によって,迅速に決めなければいけないという場合があります。迅速にというのは,早く決めないといけないということですが,もう一方で,その事項については慎重に時間をかけて適切な決め方をしなければいけないという,全く相反するような要請というのが出てくる可能性があります。それから,子どもに関する重要な事項については,先ほどの進学,転居,海外渡航,宗教,医療とかの例が挙げられていますが,たとえば,医療についても生命,健康にものすごく大きく関わるものから,そうではなくて,この症状だとどこのお医者さんに行ったらいいかというような医療機関や医師の選択などということも含まれます。その辺りを整理していただいて,多分,重要事項と日常的な事項と,それから随意事項みたいな形で,整理していただいたと思うのですが,この整理の仕方については基本的に賛成なんですけれども,先ほども言いましたように,早く決めなければいけないというのと,慎重に決めなければいけないというのは,二律背反で起こってきます。ですから,重要事項とそうでない事項も,一応の目安や整理としてはありがたいのですが,決定の緊急性,迅速性,熟慮や慎重さなど,さまざまな要素によって,その区別や基準は流動的・相対的なものではないかと思います。   また,重要とは言っても,日常的事項と重要な事項と,それから随意事項であっても,とにかく早く決めなければいけないことで,非常に軽微なことで,日常的に起こることでも,分類として整理することには賛成するのですけれども,あまりこれに縛られてしまうと,よくないようにも思います。実は子にとって重要な事項,日常的な事項,随意事項であっても,話し合いが困難で,合意をしたり話し合ったりする場合も,結局意見の対立があってそれが決まらないときのことを考えると最後誰が決めるのかが明かでないと,どのように決めるかのルールや手続が必要になってきます。アメリカの例で言うと,どんな事項でも,子どもに関することは決まらないと困るという事項については,片方がもう決められると合意をしておくというやり方があります。行き詰った場合の権限(Impasse Authority)と言われるものです。   もちろん,裁判所でも,佐野幹事も日弁連からの現地調査で行かれたと思うのですけれども,ロサンゼルスの上位裁判所ですと,転居はリロケーションという制度で,正にそれについての話合いができない場合には決定要素や決定基準,ルールを明示していて,裁判所が転居の必要性とか,転居した場合のいろいろな出てくる支障とか,いろいろな要素を考慮しながら,代替的な手段としてはどういう方法があるかとか,費用の負担をどうするかとか,細かく決めてくれます。特に,進学先とか医療機関も,大きな手術とかそうではなくて,本来だったら合意で決めていたはずですけれども,どうしても父母の間で,公立学校と私立学校で二つの間でもめちゃっているケースでは,出願や入学選抜の期間の関係もあって,早く決めないとならない。お子さんや当事者としても,子の監護調整官,ペアレンティング・コーディネイター(Parenting Coordinator)のような専門家に迅速に仲裁的な判断を仰いだり,また,特定の問題や事項に限っての迅速な専門調査,日本では,子の氏の変更や相続放棄のような,即日審判,緊急調査みたいな制度もあって,本当に二,三日で聞き取りをして決めてくれて,500ドルですから5万ちょっとぐらいでという制度もあります。ただ,日本の家庭裁判所に,今それを求められるとすると,裁判所の負担が大変なことになるのではないかと心配しています。   このように見てきますと,基本的にはこういう,父母双方が関与すべき場合とかでは,きちんと話合いをしてもらって,あらかじめ決めていくことは非常に重要ですし,それから,重要事項と日常的な決定事項と随時決定事項みたいな形で,3分類して整理をしていただくというのはとてもいいと思います。しかしながら,これまでもいろいろな委員からのご意見として出ているように,それが子どもに関する問題では多様なものが非常に複雑な形で争われたり,出てきて,父母の意見や考え方の対立だけでなく,お子さんの気持ちとか意見というのとも対立したり衝突する場合,お子さんの意見は親の考えとも違っていくので,その辺りは,細かく場合ごとに議論をしながら,ルール化をどこまですべきか,ルール化してそれが破られたり,うまくいかなかった場合に,どういう手当てがあるのかということまで,かなり細かく議論をしていくということが必要になってきます。この点では,私も小粥委員がおっしゃっていたことに賛成です。   このように,海外の取組みや経験を見ていると分かると思うのですけれども,そういうところで合意や話し合いの内容を細かくして,いろいろ決めるルールみたいなものを定めていても,トラブルが生じたときに,一体最終的にはどういうふうな形で支援とか相談みたいなものが用意されるのかということも考慮した上で,議論をした方がいいんだろうと考えています。   結論的に言いますと,迅速に早く決めなければいけないということと,それから,慎重に双方がかなり丁寧に関与して協力をしなければいけないという事項はありますけれども,二律背反的なことで,結果的には,限られた時間の中で,限られた内容の中で決めざるをえないということになりますと,最終的には,慎重で適切な決定ではなく,迅速性とか,それから緊急的な対応ということが優先するということが起こります。そのとき,共同での関与とか共同での話合いによる決定というプロセスが省略をされたり,損なわれたりということが起こるのですけれども,これについても,やはり具体的な事項を出しながら,先ほど言ったみたいに海外渡航の問題,それから永久に行ってしまうのではなくて,本当に旅行で,観光で行くみたいなケース,そういう具体的な事情やケースをかなり細かく議論をしていかないと,余り抽象的,一般的に共同での関与とか双方関与,共同親権とかという言葉でいうと,一体どんな内容がどういうふうな形で具体的に問題になって,それを双方や共同で関与させた場合に,どんな支障が出てくるのかというのが分かりにくくなってしまうと思われます。そこで,どちらかといえば,私は総論的にいろいろ議論するよりも,具体的な問題ごとに,これは子どもにとって重要なのか重要でないのか,これは双方で関与した方がいいのか,この問題については,むしろ迅速に決めなければいけないので,場合によっては一方の親だけが決めざるを得ないとか,そういうような形で具体的な議論を進めていただくと,割とかみ合った形で議論ができるのではないかと思います。   長くなり失礼しました。 ○大村部会長 ありがとうございます。15ページに三つの項目に大きく分けるという表が出ておりますけれども,基本的にはこうした考え方に立ちつつ,しかし,場合を分けて細かく検討する必要があるだろう。その際に,迅速性の要請と適正さの要請というのがあるけれども,これはトレードオフになるわけですが,どちらをどのように重視すべき事項なのかということを考えていく。最後は,その決定のプロセスをどうするのかということを,問題ごとに決めていかなければいけないのではないか。いずれにしても,個別に具体的に議論していくことが必要だろうという御指摘を頂いたと理解いたしました。   石綿幹事,窪田委員の順番でお願いいたします。 ○石綿幹事 石綿でございます。   少し周辺的な点になりますが,2点指摘させていただければと思います。   2点とも佐野幹事の御発言と関連することかと思いますが,1点目は,まず,双方責任を導入する場合,子どもの情報の問題と関わってくるというお話があったかと思います。双方責任をしているのだから,子どもの情報を教えてほしいといったような形で学校等に連絡が来ることが考えられると思いますが,それへの対応の一つとして,子の父母というのが,離婚後も双方責任を選択しているのだということを,何らかの形で公示ができるような制度を導入するということも考えられるのかなと思います。これは,第3でどういう制度設計を組むかということにも関連してくるかと思いますが,双方責任というのはそれぐらい公的に意味を持つものなんだという形で,仕組みを作っていくことも考えられるかと思います。   2点目ですが,子どもの財産管理についても,決定者,責任の在り方を明示していくという規律が検討できればと思います。日本法は,とかく子どもの財産については少々規定が不十分といいますか,親による親権の濫用の可能性を十分に防げない構造かと思いますので,この機会に財産管理についても検討できると,有意義ではないかなと思います。また,その際に,佐野委員からも御発言がありましたように,養育費というのが子どもの財産に含まれるのかどうかということを,意識をしながら議論ができたらよいのかなと思います。養育費について,同居親の使用方法に関心を持っている別居親がいるということも理解しておりますが,養育費をどう位置付けていくのかということも含めて,場合によっては,子ども固有の財産と養育費を分けて検討していくなどができればよいかなと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。共同決定,双方責任になっている場合に,これを公示するという制度を考える必要があるのではないかということと,養育費も含めて子どもに関わる財産の規律も,この際整備すべきではないかという御指摘を頂きました。   その後,窪田委員と申し上げたんですが,赤石委員からも手が挙がりましたので,ちょっと休憩させていただいて,その後に窪田委員,赤石委員という順番で御意見を伺うということにさせていただきたいと思います。   今,14時43分ですので,14時55分まで休憩して,55分に再開ということにさせていただきます。   休憩いたします。           (休     憩) ○大村部会長 それでは,時間になりましたので再開したいと思います。   休憩前に窪田委員と赤石委員から挙手がございましたので,この順番で御発言を頂ければと思います。 ○窪田委員 2点発言させていただきたいと思います。   1点は,先ほどの棚村先生の御発言と重なるかとは思いますが,15ページ,重要決定事項,日常的決定事項,随時決定事項という形で,これは,基本的には重要性という観点から分けられているのかなと思いますが,先ほど棚村先生から御指摘があったように,別の基軸として,迅速性の必要性というのがあるのだろうと思います。もちろん,両者が重なる場面というのもありますが,取り分け深刻なのが,16ページに挙がっておりますのが,重要的決定事項とした上で,Bの生命又は身体に重要な影響を与える医療行為といったものについては,ゆっくり判断することができる場合もありますが,すぐに判断しなければいけないという場合もあるだろうと思います。そうした場合に,どちらを原則にするかということはあんまり重要ではないのかもしれませんが,この枠組みでいった場合には,一方で迅速性が求められる場合のサブルールというものをきちんと,あらかじめ立てておく必要があるのだろうという気がいたします。それが第1点です。   第2点目ですが,ちょっと質問自体が非常に漠然としたものになってしまうのかもしれませんし,質問ではないのかもしれませんが,重要的決定事項として挙げられていること,抽象的に子の養育について特に重要な事項であって,可能であれば双方が決定に関与することが望ましいという,抽象的なものは分かります。そして,16ページの上の方,@からEに挙げられているものもそうかなという感じもいたします。ただ,少し考えてみるとよく分からないのが,これらについて双方が関与するということは,一体どういう意味を持っているのだろうかということが,必ずしも明確ではないのではないかということです。   この点,少し分かりにくいかもしれませんし,古い話を持ち出してしまうことになるのかもしれませんが,虐待対応との関係で,親権を制限するということについて,以前法制審議会が開かれたときに,そのうちの医療ネグレクトに関して,親の同意に代わる裁判所等の決定といったようなことが,アイデアとしてはありました,諸外国の制度の中にもそういうものがあります。ただ,それが最終的に採用されなかったのは,親の同意というものが法定代理権の行使なのかどうなのかよく分からない,医療行為における親の同意,親族の同意というものについて,位置付けがよく分からないということで最終的に見送られたと記憶しております。そうだとすると,ここである@番からE番というもののうち,例えば,D番の進学とか入学ということであれば,これは恐らく法定代理人としての同意ということで,比較的容易に説明が付くと思うのですが,例えば,C番の宗教の選択であるとか,先ほど言った医療における同意といったものは,そもそも法定代理人の権限の中のものなのか,あるいは親権者の親権の内容に含まれているのかどうかということも含めて,明確にしておく必要があるのかなという気はします。   もちろん,この部会においては,親権というものをどういうふうに構成するかということも検討対象になっておりますので,それに併せて一緒に扱えばいいということではありますが,この@番からE番の中には,少なくとも従来の一般的な説明からすると,かなり性格の違っているものが含まれており,そこで両親の協議が成立したとしても,それが一体どういう意味を持つのかというのは,ひょっとするとかなり違いがあるのかという点も意識しておく必要があると思いました。   以上2点です。 ○大村部会長 ありがとうございます。具体的な議論のための整理に当たっての御注意を頂いたと理解をいたしました。一つは,先ほど棚村委員からも出ましたけれども,迅速性が必要な場合というのがある。医療行為は重大な行為であると位置付けられるけれども,迅速性が必要であるということも生ずるので,その間の関係をどうするのかといったようなことについては,十分に考えておく必要があるだろう。それから,その医療行為,あるいは宗教の問題というのは,従来は必ずしも親権ないし法定代理権の対象になるとは考えられてこなかったので,双方関与と言う場合に,何について関与することになるかという点につき,少なくとも対象の性質を仕分けて,意識した上で議論する必要があるのではないか。こういう2点の御指摘を頂きました。いずれも重要な点だと思いますので,注意する必要があろうかと思います。ありがとうございました。 ○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。どうぞよろしくお願いします。   私,とても素朴なことを言ってしまうと思うんですが,この辺りで言っておかないと,何かこのまま進んでしまうのかなと思って申し上げます。   双方責任があって,重要事項などは双方の合意で進めていくのが,子の利益になるだろうというようなことで議論が今,されているんですけれども,ならない場合もあるよねという話は,その前のところに書いてはございます。このような内容でいろいろな項目を,例えば離婚時に示されて,こういうことが双方責任の中身ですよといって,あなたはこれで双方責任を合意しますかと聞かれたときに,私も多分,当事者の方にこれから御説明するとしたら,皆さん,それ何っていう,全然,そんな面倒くさいことをするんですかみたいな議論になるだろうなとは思うわけです。進学とか,どこに住むかとか,そういう重要な事項は双方の合意が必要であるとか,そういう話をしたときに,それで一体私たちの生活よくなるのっていうことになるわけでございます。   それで,去年,500人の方にアンケートを取ったときには,2人で子どもを育ててきて,離婚に至ったけれども,全然離婚後父親の方が,うちはしんぐるまざあず・ふぉーらむですから,父親の方が責任を持ってくれないのをとても理不尽に思うから,責任を持ってほしいというような議論は当然ありました。でも,これは,ほとんどが養育費に関してものなんですね。一緒に学校に行くのを決めたいって,たまには,先ほど言ったように不登校になって悩んでいるとか,そういうときに何かサポートが欲しい,ほかの周りのサポートが欲しいということはあるかもしれないんですけれども,すごく机上の空論のように思えてきます。   そうなりますと,何が起こるかというと,法改正なり何なり規律が決まったとしても,一体誰が選択するのであろうかというところが,何か全然イメージが湧かなくて,皆さんはこの法制審議会で子どもの貧困も問題になっているし,何とかして子どもの幸せというのを考えましょうということで,やはり双方が責任持つと,子どもにいいことあるよねという,何かお花畑のようなものを考えられているのかなと思うんですけれども,何か全然フィットしていないですということを,一応申し上げておきます。   もうちょっと各論にいうと,重要事項を決めるということは,日々の子どもたちの状況を見て,この子はやはりこういう細かいことが好きなんだよねみたいなことを,どこかで分かったりして,手先が器用だからこういうのかなとか,この子何かこういうのに興味があるよねというので,だんだん重要事項が決まっていくのでございます。だから,重要事項だけが決められるわけではないんです。ただ,双方責任だから,相手にも情報提供しておいたら,関与して参加型でいいんではないかと,それは一応あるとは思うんですけれども,そのようなコミュニケーションが成り立つか成り立たないかもちょっと分からないし,では,情報提供を日常的にすることがどれだけ面倒くさいことなのか,情報提供する側にとってですね,というようなこともございます。   そんなことを考えてくると,本当に素朴な議論で申し訳ないんですけれども,私は当事者にこれを御説明するのはとても苦痛でございまして,真っ暗な気持ちになっております。 ○大村部会長 ありがとうございます。   戒能委員と,それから大石委員から手が上がって,池田委員からも挙がりましたが,ちょっとお待ちいただいて,お名前を挙げた順番で御発言を頂こうと思います。   その前に,今の赤石委員の御発言ですけれども,双方責任の内容,先ほど細かく分けて検討すべきだという御意見が出ていたわけですけれども,そのことと,出来上がりの制度をどうするのかということとはまた別のことなのかなと思って,今の御発言を伺っておりました。出来上がった制度は非常に細かいものであるということになると,赤石委員御指摘のように,どうしていいか分からないといったことが出てくるのではないかと思います。 ○赤石委員 先生,細かくなくても,やはりこれは,かなり厳しいものでございます。 ○大村部会長 そのことをまた,今から申し上げます。   もうひとつ,赤石委員がおっしゃったのは,こうしたものができたとして,誰が選択するのだろうか,メリットを感じる人がどれだけいるのか,あるいはデメリットを感じる人が多いのではないかということで,どのくらい需要があるのかということについての御懸念を示されたのだろうと思います。ここは評価が分かれるところであろうかと思いますけれども,注意しながら検討する必要がある問題だと思って伺いました。 ○戒能委員 ありがとうございます,戒能です。   私は,当事者の団体でも何でもないのですが,同様の危惧を,議論を聞いていて感じております。実務家,研究者が多いわけですけれども,もちろんどういう事項があって,どういう必要性がある,それが子の利益に合致するかという判断基準から,どういうふうに決定していけばいいのかという議論は,当然必要だとは思います。有益だとは思いますが,しかし,当事者の生活,子どもと親の生活が一番大事なのではないかと思うんですよね。ですから,順序逆とは決して申しませんけれども,常に当事者の生活,赤石さんがおっしゃった日々の生活の中から,そういう問題は子どもの年齢とか状況に応じて出てくるのであって,そこでどういうふうに,誰が決めれば子の利益に本当に合致する,子どもの幸せにふさわしいものになるのかという判断が出てくるんだと思うんですね。ですから,そこを常に忘れないようにしておきたいと私も痛感しております。   ですから,直接の当事者の,子どもが一番ではありますけれども,監護親も直接子どもを育てているわけですから,そこがすごく大事なところだと感じました。   それから,双方決定とか双方責任というのは仮の概念だと理解しておりまして,それが直ちに法的な概念になるのではないという御説明は受けたと思うんですね。しかし,今日出てきたように,全ての当事者間の関係が,1人が提案したら,それに対してサポートをするとか,困ったときにはサポートし合うとか,そういう関係性ばかりではないかもしれないということを考える必要がある。これは第5の19ページの(注2)のところに,決められないときは裁判所の審査で,下から4行目なんですが,これを否定する,子の利益に合致しない場合があるかもしれないから,それを否定する規律を設けることも考えられると。しかし,そういう仕組みにすると,一番の最後の行なんですが,他方の親の事実上の拒否権として働いてしまうと。だから,合意とか双方責任とかいうときには,そういうことも考えておかなければならないということなんですね。常に積極的に前向きに行くばかりではないと,ノーと言う権利の後ろ盾になってしまうということも,考えの中に入れておく必要があると感じております。 ○大村部会長 ありがとうございました。当事者の視点を重視すべきだということで,赤石委員と同じ方向の御意見だということがまず一つと,それから,様々な当事者がいるので,その違いということを考える必要がある。それから,双方が関与するということが,実際上どういう意味を持つのかということにも留意すべきである。こうした御意見を頂いたと理解をいたしました。   大石委員,池田委員,それから柿本委員という順番でお願いをいたします。 ○大石委員 ありがとうございます。千葉大学の大石です。   すみません,私は法律の専門家ではないので,視点が違うかもしれないんですけれども,今話し合っている方向性は,大きくまとめると非監護親のバーゲニング・パワーが恐らく増すということだと思います。そういうことになるとすれば,養育費の確保などの強化をしっかりしていくということも,表裏一体のものとして進めていく必要があるんではないかと思います。   それから,細かい点を詰めていくというお話を伺っているわけなんですけれども,契約理論では,あらゆる事態を書き尽くせるのかという問題があります。例えば,企業間で取引をするときに,あらゆる想定し得る事態を契約に書き尽くすことはできないと考えられています。そして,あらゆる事態を契約書に書き尽くせないとしても,双方がよい方向に協力できるようなインセンティブをそれぞれに与えるということは,実は大事だという考え方があります。ですので,子育てについても,恐らくありとあらゆる事態というのは,列挙し切れないのではないかなと思うので,もう少し大枠で考えていただいてもいいのかなと思います。   それから,三つ目は,子の利益を誰が判断するのかという問題です。やはりこれも価値観に関わってしまうところがあって,例えば,子どもが大学へ行かないで,アメリカに行ってロックミュージシャンになる修行をしたいとか言い始めたときに,では,大学受験するのとしないのとどちらがよいのか,誰が決められるのだろうかというような話もあり得るかと思いますので,それについてどういうふうに皆様お考えなのかなと疑問としてあるということです。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。3点,今までの議論と少し違う観点から御指摘を頂いたかと思います。   一つ目は,今回の検討している問題というのは,非監護親に一定程度バーゲニング・パワーを与えるということになるのではないか,そういう前提に立つとすると,養育費の方の強化とバランスを取る必要があるのではないか,こうした御指摘があったかと思います。これは,今議論しているものを,どう位置付けるのかということとも関わってくると思いますので,一概には言えないところもありますが,御指摘のようなことが考えるべき要素としてはあるだろうと思います。   それから,全ての場合を想定することはできない,これは当然なのですけれども,最終的に,幾つかにまとめて書くとして,現在想定できる主な事柄については,ある程度まで詳しく考えた上で,一般化を図るべきではないかというのが,法律家の委員の御発言だったと理解をしております。その上で,それと関連しつつ,あるいはそのことと独立に考えた場合にも,うまく話がまとまるようなインセンティブを付与する制度を組み込んでおく必要があるのではないかという御指摘も頂きました。   3番目に,子の利益の判断をどうするのかということで,これはいろいろな議論がこれまでにもなされているところだろうと思います。誰かが子の利益を客観的に判断することができるのか,あるいは,それは難しいことなので,子の利益を判断すべき人は誰かを定めて,その人の判断に委ねるという制度を作るのか,いろいろな考え方があると思いますけれども,そこは御指摘のように十分に考えなければいけないところだろうと思って伺いました。ありがとうございました。 ○池田委員 先ほど赤石委員から,こういった双方責任という制度を導入したときに,一体誰が選択するのかという御意見があったことを受けてですけれども,私としては,一定のニーズはあるのかなと考えています。実際,私が担当したケースでも,進学に関して双方が関与していくような内容の取決めをして合意をしたということもございました。   ただ,確かに,同居親が進んで,自分の今ある全ての権限を制限するような形で提案してくるというケースは少ないかもしれませんけれども,ただ,それについても,例えば進学について,先ほど武田さんのお話がありましたけれども,学費というふうな点と絡めて,学費を出してくれるということであれば協力をしてもらうよと,決定について関与してもらうのもいいよというふうなこともあるかもしれません。これは,大石委員の先ほどの御指摘,あるいは前回の御指摘でもあったところかと思いますけれども,そういったところとも関連して,この制度を作っていくということもあり得るのかなと思います。   あと2点目としては,双方関与ということを考えたときの対象事項,16ページの@からEですけれども,これは,全部についてそれぞれの当事者が双方で関与するニーズを感じているかというと,必ずしもそうでもないようなところも感じています。それぞれのケースで着目している点というのは,いろいろ区々に分かれるのではないかと思いますので,一定の選択ということが可能な制度というのが望ましいかなと思っています。   あと3点目ですが,こういった双方の決定責任ということを考えたときに,私,以前に,長いプロセスがあるので,そこにどのような責任を負っていくのかという問題意識を述べたところでしたけれども,やはり別居親がしっかりとその決定に対して真っ当な意見を言えるためには,それなりにプロセス全体に何らかの関与がそれまでにある必要があるのではないかと。そういう意味では,平素の面会についても,一定の充実したものがあるということが必要ではないかなと考えています。 ○大村部会長 ありがとうございます。3点御指摘いただきましたが,1点目は,このようなことを考えるに当たって,一定の需要はあるのではないかという御指摘で,2点目はそれと関わっておりましたが,全部が必要ということではないかもしれないので,選択が可能なような制度が望ましいのではないかということ。それから,3点目は,池田委員が前からおっしゃっている点ですが,決定に至るプロセスを考える必要があるのではないかという御指摘がありました。それとの関係で,先ほどの大石委員の御発言にもありましたけれども,養育費との絡み合いをどう考えるのか,面会交流との関係をどう考えるのかという問題も出てくるのではないかという御指摘を頂きました。 ○柿本委員 柿本でございます。よろしくお願いいたします。   武田さんには,御自身の経験をお話いただきありがとうございました。子どもを養育するということは,日々決断を迫られて生活をするということだと思っております。父母が子に関して決定責任を負うべき事項の分類についてでございますが,重要決定事項,日常的決定事項,随時決定事項とそれぞれ決定事項を洗い出して,決定責任主体毎に整理しておくことは,とても重要だと考えます。   以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。最後にまとめていただいたのではないかと思いますが,検討事項の洗い出しという作業は,この後の検討のために必要なのではないかという御意見として承りました。 ○落合委員 どうもやはり,親と親の話が前に出てきているように思って,子どもの決定というか,子どもがもうちょっと見えるようにして論じたいなと思うんですね。   情報を相手の親に知らせるのがちょっと手が掛かるということで,本当に関係が切れていたらそうでしょうね。子どもが,例えば,面会交流というわけでなくても,何かコミュニケーションができているとか,LINEでつながっているとか,何かそんなような状況があれば,だから,親同士がつながっていなくても,子どもが両方の親とつながっているような状況が普通にできていたら,特にわざわざ情報を与えなくても,双方決定というか,何か意見を言ってもらうということはできるのではないかと思うんですね。   そういう良好なケースを想定するとすると,双方が関わらなくていいケースを,むしろしっかり決めておく方が大事なのではないかと思うぐらいで,ですから非常に,先ほどもお話のあった緊急の決定が必要な場合ですとか,両方では決められないケースというものの方が,むしろはっきりしてくるのではないかと思うんですね。もう少し多くのことについては,子どもが両方に相談できるみたいなことができたら,いいのではないかなと思うんです。もちろん,個別のケースありますので,両方の親にもよりますし,子どもとの関係にもよるんですけれども,子どもがいろいろな選択肢を持っているということが保障できたらいいように思います。   それで,ただ,子どもの年齢との関係があると思うので,それもどこかで決めないといけませんよね。何歳以上の子どもについては,子どもの決定を第一としてというようなことにしておくということで,先ほど赤石さんのおっしゃった拒否権というの,本当にそんなのを発動されると面倒だなと思うんですけれども,拒否権は基本的にないとは設定できないでしょうか。どっちの親にも拒否権はない,少なくとも子どもが何歳以上であったら,親に拒否権なんかないんだと設定して,ただし,両方が意見は言えるというような,そういう作り方はできないんでしょうか。ちょっと法的に,それはどういうふうに作ったらいいのかがよく分からないので,ただ,双方決定というような言い方をするときついと思うんですけれども,両方に相談できて,両方の意見を使いながら,子どもが両方の親と交渉できるというような,そういう状況を作ってあげることがいいように思います。   今申したことと全く別件なんですけれども,関係しているけれども別件なんですけれども,宗教の選択というのがありますけれども,これって,憲法違反にならないんですか。信教の自由が子どもにあるとすると,宗教の選択に親が関わるというのはいいんですかね。世界的には,ここの場面で宗教の選択というのも入ってくるというのは存じていますけれども,何かちょっと,先ほど親権の範囲に入るのかという話がありましたけれども,日本でもこれをここに入れておくのがいいのかどうかというのは,ちょっと疑問を持っております。だから,子どもの決定権との関わりでなんですけれども。 ○大村部会長 ありがとうございます。大きく分けて二つ御指摘いただいたと思いますが,一つは子どもベースで考えていく必要があるということで,双方の親に相談できるという状況をできるだけ確保すべきだという御指摘と,それから,子どもの年齢に応じて自分で決められるということがあるだろうから,そのことを組み込む必要があるという御指摘を頂きました。拒否権という話もありましたけれども,双方が決定に関与するということが拒否権として作用する場合があるという御指摘が,先ほどから出ているので,そうなった場合にどうするのかということを考えていかなければいけないという御指摘も頂いたかと思います。   もう一つは宗教の問題で,これは,先ほど窪田委員からも御指摘がありましたけれども,この問題自体をどのように位置付けるのかということは,やはり少し分けて考える必要があることなのかと思って伺いました。ありがとうございました。   第3,第4につきましては,大体このぐらいでよろしいでしょうか。 ○武田委員 すみません,このパートで,最後にちょっと述べさせていただきます。   柿本先生から,いきなり私に連絡があったということに対するコメントありましたけれども,事実を申し上げますと「2年ぶりぐらいにいきなり連絡があった」です。常日頃コミュニケーションがあったわけではありません。話したことはないですけれども,妻が恐らく思っていたのは,夫婦関係は夫婦関係,今でも多分,妻は私のこと大嫌いです。ただ,「この男は,子どもが困難になった時に,決して子どもを見放すことはない」,多分こういった理由から連絡してきたと,私自身は理解をしています。   今日,余り細かい話,個別の医療行為どうだとかという話が余り出なかったんですけれども,恐らく個別に,棚村先生がおっしゃったように,迅速性,重要性,相反する関係を整理していくということかなと思います。ただ,根本にあるのは,例えば,医療行為の話でいいますと,生命に,もう一刻を争う手術の判断が必要と,法的にそれが法定代理になるかどうか,私は存じ上げませんけれども,それって,私,婚姻時の共同親権状態と同じだと思うんですよね。多分そういう状態というのは,いつなるか分からない。そのときにつかまる親が判断するんでしょう。それは,主たる決定権者とかという考えに,多分そぐわないと思います。恐らく生命に関わるような話であれば,そういうふうに整理するんだろうなと,思います。   そのほか,例えば,実は今日,細かく紹介しなかったですけれども,冒頭紹介しました米国の同意事例,あれ,実は歯医者とか入っているんですよ。歯医者,あとサイコロジストとかも入っていましたね。基本的に,私,そこは主たる監護側の決定でいいと思っています。多分,そういうところを個別に,いろいろな考え方があると思いますので,ケースごとに抽出していくと形が見えていくのではないかなと,そんなふうに感じております。   最後,ちょっと少しだけ,資料6のテーマだと外れるんですけれども,いろいろな子の決定に関しての御意見が出ましたので,この子と離れて暮らす親が,現行法に対してどう思っているのかと。これは後々アンケートを取ろうと思っていますが,恐らくこの決定権が欲しい,拒否権を発動したい,おそらく極めて少数だと思います。これは追って,この法制審の会議が行われている間に別途,我々累計2,000人弱の会員がおりますので,そこから集計を取りたいと思います。   こういう離れて暮らす側の立場で言わせていただきますと,やはり民法819条により離婚後親でなくなる,ここが根本的につらいと思っています。法的には,親権がなくなっても父母であるではないかとか,又は,扶養義務の規定はきちんとあるではないかとか,そういう御意見,指摘もあろうかと思いますが,いわゆる世間様からはそう見られません。ずっと接触がなく,数か月や数年,そういった場合,学校へ行くんですね。それって,情報というより元気かどうか知りたい,きちんと学校へ行っているのか,知りたい。でも,学校へ行ったら,私みたいにいきなり不登校の事実を知らされたりします。知らされないケースも往々にしてあります。そうした場合,学校からは,「あなたは親でないので教えられない」と言われます。これ,議論になった子の重要決定に関わり得る情報ということかなと思います。   教育基本法第10条ですかね,「父母その他の保護者は,子の教育について第一義的責任を有する」という規定があります。こういう規定がありますが,今の法体系による解釈は,子と離れて暮らす親は,教育基本法で言われる父母その他保護者ではありません。これが現実です。運用は学校長に一任されているということなので,一概には言えませんけれども,離婚後はまだ「親権者でない,親でない」と言われるのも少しは分かります。しかしながら,離婚前の別居状態でも,やはり「親でないので答えられない」と言われること,往々にしてあります。私は,幸いかな,不登校になった事実も分かりましたけれども,学校からは一切情報がなく,不登校の事実がわかったなどの報告を多く受けております。「離婚後のみならず別居後ももはや親ではない」,繰り返しになりますが,これが現実でございます。   このような事実に直面して,我々,私の後ろにいる当事者の皆さんとか,理解を示してくれる弁護士先生からは,親でないのに一度も子どもの姿を見ることもできないのに,なぜ養育費を払うのかと,やはりそういう素朴な声が出てまいります。我々は子どものためだということで払うように話しますけれども,やはりそういう声も理解できるところでございます。更に申し上げると,これ,具体的に子と離れて暮らす,更にその親ですね。私からいうと,私の父,母ですね。大体みんな言われます,「もう子どものことは忘れて,再婚して新しい家庭を築きなさい」と言われます。再婚の是非,これは個人の自由なので,再婚の是非は別にしまして,実の子ども存在を忘れるということが,子どもの福祉に本当に資するのかと疑問に思いますこの考え方,やはり819条の規定,家制度から連なるこういった文化,温存している要因ではなかろうかと,そんなふうに思っております。   今回この議論では,ここのところはテーマに挙がりませんでしたけれども,前回申し上げたとおり,また二巡目以降,タイミングは分かりませんけれども,監護の分担,親権概念,親権名称,こういった議論の際に,改めてこの辺りのところも議論できる機会を頂ければなと思います。   すみません,最後余計なことを申し上げましたが,以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。御自身の経験について補足された点を除きますと,この先の議論の仕方に関する御意見と,それから非監護親が望むことについての御認識を御披露いただいたと理解いたしました。また,最後の点につきましては,この先の個別の問題について議論する際に,御発言を頂ければと思います。   それでは,よろしいでしょうか。次の第5に進ませていただきたいと思いますが,第5の父母の双方が重要決定事項について決定責任を負う場合の関与の態様,18ページ以下ですが,既に皆様の御発言の中に出ておりますので,ここの部分について,更に加えて御発言があるという方は,御発言を頂くと形で進めさせていただきたいと思います。何かありましたら,御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。 ○棚村委員 早稲田大学,棚村です。   先ほども重要事項,それから日常的事項,随時事項という分類自体は,整理する上で重要ですけれども,やはり迅速な決定とか,そういう緊急的な決定というのは,ある程度優先せざるを得ないだろうというお話をさせていただきました。御提案のように,重要事項で決定する場合の関与で,緩やかな規律というのは,19ページにあるように相手方への通知ということで,主たる決定者が決めるのだけれども,通知でいいということになっています。それから,中間的な規律がこういうような形で,事前にやはり協議とか通知をして話し合わなければいけないのだけれども,話し合いが整わなければこういうような形でやりますという案になっています。それで,最後は強い規律といって,子どもの利益を害するというキーワードになっていますけれども,それを除けば,やはり合意でかなり決めなければいけないし,合意ができなければ裁判所が関与するとなっています。この3分類も,先ほどから言うように,一つの目安として提案をしていただいて,議論のためのたたき台と理解をしています。ですから,この組合せも,内容によって具体的な事項ごとにさらにバリエーションがあるだろうなという理解でおります。私からは,ちょっと質問ですけれども,そういう理解でよろしいでしょうか。 ○北村幹事 事務局でございます。   今,棚村委員の方から御指摘あったように,飽くまでもこちらはたたき台でございまして,お示しした上で,様々な御議論をいただければと思っております。 ○棚村委員 ありがとうございます。一応,質問と確認ということでさせていただきました。そうでないと,何か最後は中間の規律や制度でいいのかなという話になってしまうのではないかと危惧した次第です。先ほどから述べさせていただいておりますように,私としましては,事項によって,それから,子どもによって重要度とか切迫度とか,いろいろなものを組み合わせていくと,父母にどこまで関与してもらい,どういうふうに,最終的には,意見が合わないときには誰がどんな基準で決めるかということも非常に重要だと思いますので,一応目安ということで受け止めたいと思います。もちろん,個々にいろいろな問題を想定しながら具体的な議論をしていくと,場合によっては,これは緩やかなもので本当はいいのではないか,これはむしろしっかりとした厳しい規律やルール,場合によっては,後で違反の場合も出てきますけれども,親権者としての適格性を疑われるという場合もあるかもしれません。ですから,子どもの問題についてはいろいろバリエーションがあって,一律で固定的に考えないで議論をさせていただければというのが意見です。 ○大村部会長 ありがとうございました。19ページに出ている規律についてのモデルのようなものについて,どういう性質かということを御確認いただいたと理解をいたしました。   事務当局からお話がありましたが,先ほどの決定事項の分類にしましても,決定方法のこの分類にしましても,たたき台として出されているものであると受け止めています。組み合わせて議論することも必要でしょうし,最後に,それに基づいてより分かりやすい整理をすることも必要だろうと思って,伺っておりました。   第5の部分につきまして,ほかに御発言ございませんでしょうか。 ○池田委員 弁護士の池田です。   どの重要事項によってかということで,この規律の種類というのが変わってくるということもあり得るかなと考えています。例えば,生命に関わる医療,武田委員は先ほど,それは誰かが決定,どちらかに決定責任を最初から決めておくというのはふさわしくないとおっしゃったところですけれども,仮にそこを双方で決定するという形にしたときに,比較的時間の余裕があるような場合だとすると,例えば,Bのような規律,強い規律を採るということもあり得るかもしれないなと思います。   それに対して,進学などのことについて言えば,非常に長い経過があると,双方でここという局面で何か決定するということもふさわしくないのかもしれませんので,一定の協議が可能になるように,事前の通知をするという形で,協議がその後行われていくという前提で,@のバリエーションですけれども,そのような形を採るということも考えられるかなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。先ほど話題になった決定事項について,重要決定事項であると分類されていても,事柄の性質によって,どのような決定方式を採るのかというのは違ってくることがある,そういうことも含めて議論はすべきだという御意見を頂きました。 ○赤石委員 ありがとうございます。   第5のところで,この緩やかな規律,中間的な規律,強い規律ということなんですけれども,諸外国で共同養育ですとか,いろいろな御発表があったかと思うんですが,意外に,事後報告のようなことで@的な国も多いのかなと思っているんですが,その辺り,少し諸外国の実情を教えていただけると,現実的にどの程度できるのかということも見えてくると思いますので,今日ではなくても結構なんですけれども,少し現実的なものを見せていただけたら有り難いです。本当に,Bの強い規律でやりますと,かなり現実的には難しいんだろうなと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございました。@からBまで,19ページの規律,これだけではないのかもしれませんけれども,諸外国で決定に双方が関与するという場合には,どのようなものが使われているのかということですね,今までに外国法について出ている資料などで分かる限度で,取りまとめてみることが可能でしたら,事務局の方で御検討いただきたいと思います。ここでは無理だと思いますので,また後で調べていただければと思います。 ○原田委員 弁護士の原田です。   関与のところについては,私も先ほど申しましたし,池田委員がおっしゃったようなことに賛成です。   あと,21ページの関与の具体的な態様に関する規律を設けた場合に,その規律に違反した場合の効果に対する規律の問題ですが,これは,どういう内容を考えるのか,要するに,それに違反した場合の意思表示の効果の問題を考えるのか,あるいは,これは資料7のところの,子の意思に反した決定をした場合に,損害賠償のようなことを考えるのかというところが疑問があります。もし後者の場合ですと,誰が誰の権利を侵害したことになるのかということになって,親権の権利性という,その復活につながるのではないかという懸念があります。この辺りは,慎重に考えるべきではないかと思っております。   それと,必要ないかもしれませんけれども,先ほど武田委員がおっしゃった意見でいうと,やはり見ている場面が全然違うのかなというのを,改めて実感しました。私は,DVや虐待のことを考えるべきということをよく申しておりますけれども,その場合に,私どもが経験しているDVの加害者と言われるような人たちは,本当に子どもに会いたいということだけを言っているとか,あるいは親であるということを否定されたことを悲しんでいるということだけではない,という感じを持っておりまして,見ている場面が全然違うんだなということを,改めて実感いたしました。 ○大村部会長 ありがとうございました。先ほど来の池田委員,武田委員の御発言についてコメントをしていただくとともに,別の問題として,21ページの課題の最後に出てきます,規律違反の効果というのがどういうことなのか,この効果をどのように考えるかということは,親権の性質論と結び付いてくるので,慎重に検討する必要があるのではないかという御意見を頂きました。   ほかに,この第5につきまして御発言ございますでしょうか。 ○石綿幹事 石綿です。関連して指摘させていただければと思います。   19ページでどの規律ということについては,今の段階では自分の意見は固まっていないのですが,武田委員,原田委員がおっしゃったように,様々な家族の実態を伺いながら,次の段階で考えていきたいと思っております。   その上で,Bの強い規律のところに提案されている,当事者が合意できない場合に,裁判所が関与をしていくという方向性は,是非議論ができればと思っております。この点につきまして,ここからは少し外れるかもしれませんが,本来,父母の婚姻中も共同して決定をするということが原則になっているかと思いますが,そこで共同決定ができない,父母の意見の不一致がある場合について,現行法では明確な手当てがされていないのではないか,法の欠缺であるという指摘が学界では多くなされているかと思います。前回原田委員が,この双方責任の問題というのは,父母の婚姻中にも関係するのかという問題提起をなされていたかと思いますが,この機会に,この問題に関連して婚姻中に父母の意見が一致しない場合の対応方法ということ,裁判所の関与も含めた対応方法ということが議論できれば,より子どもにとってよいのではないかと思って,一言意見させていただきます。 ○大村部会長 ありがとうございました。共同関与,双方責任ということで,強い規律を行うということで,裁判所の関与ということを考えていきたいという御意見を頂きましたけれども,それは,現行法の婚姻中の共同親権の場合の決定についても同じ問題が生ずるので,併せて考えていくとよいのではないかという御指摘を頂きました。 ○久保野幹事 ありがとうございます,久保野でございます。   2点ございますけれども,1点目は,今直近に出ました御指摘に関連して,父母が共同で関与し決定していく場合に,意見が一致しない場合の裁判所の関与の仕方につきましては,未成年後見人を複数選任可能にしたときに,同様の問題が生じ得たはずであり,また教科書などで複数の未成年後見人の間で身上監護について問題が生じた場合の手当てについて,家庭裁判所の判断の対象になるといったようなことも,どのぐらい事件数があるかは分かりませんけれども,議論されているように思いますので,それらの議論も参照に値するのかなと思いましたというのが1点目です。   もう一つが,ちょっと問題としては戻ってしまうかもしれないんですけれども,議論の仕方として,当然の前提にはなっているとは思いつつも,やや気になりますのが,日本法の場合,片方が法的には決定権限をおよそ持たないという選択肢しか用意されていないということを,どう考えるかということが,ここでの問題であり,原則として双方責任にするのが子の利益になるということを,望ましい社会として見ていくかといったようなことを論じているわけではないというところ,どちらが原則かということというよりは,選択肢として認めなくてよいのかというところだというところは,何か改めて確認したいという感想を持ちました。   それと関連しまして,主として,赤石委員に対する御教授のお願いになるんですけれども,双方責任というものを選択したい父母が想定できるのかという点に関しまして,研究会のときでしたか,この会議の中でもおっしゃったかもしれませんけれども,協力してできる父母というのは,法的に双方責任といった選択肢を用意しておかずとも,うまくいくというような御指摘をなさったことがあったように思いまして,そのようなケースにおいて,今日話題に出ましたような学校との関係で情報を得たいといったようなことを,どのような形で行っているのかといったこと,そして,父母の関係がいつもよいとは限らないというようなことを考えましたときに,学校ですとか,医療機関もあるかもしれませんが,第三者との関係で,公示の話も今日,話題に出ましたけれども,どのように行っているのか,問題は生じないのかということを,もし可能でしたら,今日ないし追って,御教示いただけましたら有り難いなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。3点お話があったかと思います。   1点目は,複数の未成年後見人の場合というのも,先ほどの婚姻中の共同親権の場合と併せて考える必要があるのではないかという御指摘,2点目が議論の仕方に関連することですけれども,現在は,離婚後は親権の行使が一方によって行われ,他方は全く関与できないという法制になっているので,このことの問題性をどう考えるのかというのが,議論の仕方としてふさわしいのではないかという指摘を頂きました。3点目は,事実上,協力できるカップルというのがあるだろう,そういうものがあって,それはそれでいいではないかという御指摘が,赤石委員からあったけれども,そのような場合にも何かトラブルが生ずるということはないのかという御質問が,学校,医療機関といった第三者との関係での場面と,それから,協力していたカップルの間で不和が生じた場面を挙げて,どういうことになるのだろうかという御質問がありました。   赤石委員,今お答えいただいても結構ですし,また別の機会にお答えいただいても結構ですけれども。何かありましたら,お願いできればと思いますが。 ○赤石委員 赤石です。久保野幹事,ありがとうございます。   いろいろなイベントでお見受けはしているんですが,もう少し詳しく,お答えするにはちょっと今日ではない方がいいかなと思うので,次回お答えできたらと思います。ありがとうございます,御質問。 ○大村部会長 ありがとうございます。双方が協力して関与してやっていくためには,どういうことが必要なのかということを考える上で,赤石委員の御意見や御経験が有益なんではないかという観点から久保野幹事は御質問されたのではないかと思いますが,またお考えいただいて,別の機会にお答えを頂ければということで,今日のところは引き取らせていただきたいと思います。 ○菅原委員 ありがとうございます。1点だけお願いします。   次の資料7の方の子どもの意見というところにも関わってくるかなと思うんですけれども,14ページの方では,双方責任に関して,事後的に変更することができるようにする規律というのが明記されているのですが,同じように16ページの重要事項の内容や先ほど議論になった規律の3段階に対する子どもの意見というのも,また発達に応じていろいろ変わってくると思いますので,この重要事項の規律や内容についても,事後に変更可能となるような立て付けにしていただいて,子どもの意見というものが,いろいろな段階で入りやすいようになるといいなと思います。今後の検討に含めていただけると有り難いと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。子どもの意見が反映される場面というのが複数あるだろうということで,今回の問題についても,資料に指摘されている場面以外の場面も考えられるのではないかという御指摘だったかと思います。委員自身から御指摘ありましたが,また後の論点とも関わってまいりますので,またそちらでも御議論を頂ければと思います。   この第5まで含めて,何かほかに御発見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは,資料6については御意見を頂いたということにさせていただきまして,7に入ろうと思いますが,大分時間がたちましたので,10分休憩して再開したいと思います。今,15時56分なので,ちょっと半端ですが,16時5分から再開ということにさせていただきます。   休憩いたします。           (休     憩) ○大村部会長 それでは,再開したいと思います。   休憩前に資料6については御意見を伺ったということで,この後,残っている時間で,可能な限り資料7につきまして御意見を頂きたいと思います。子の養育をめぐる問題についての子の意見の尊重及び父母の離婚に関連する諸問題に関する論点の検討というものです。   初めに,事務当局の方から資料について簡単な御説明をしていただきたいと思います。では,お願いいたします。 ○北村幹事 それでは,事務局でございます。部会資料7について御説明いたします。   部会資料7は,子の養育をめぐる問題についての子の意見の尊重及び父母の離婚に関連する諸問題に関する論点の検討の内容としてございます。   第1の部分は,本資料の全体像を示しております。具体的には,今までの議論の中で,子の養育に関する決定については,子の利益が最も重要であるということは確認されるとともに,子の意見を適切,的確に把握して尊重することを保障するための規律が整理される必要があるとの意見が出されていたところでございます。この辺りは,先ほどの部会資料6の中でも様々な御意見いただいたところではございます。   なお,資料にも括弧書きで記載しておりますけれども,ここで扱う「意見」という言葉につきましては,意思であるとか,意向であるとか,嗜好,気持ちなど様々な状態が当てはまり,また子どもの発達状態によっても変わり得るものではありますけれども,本資料では暫定的に「意見」という文言を用いさせていただいております。   また,本部会で出された子の意見を尊重すべきとの指摘につきましては,子に過酷な選択をさせるような制度とならないように,相当に慎重かつ丁寧な議論が必要であるとの指摘もされておりますので,そこも記載してございます。   そこで,第2において,父母の子の養育に関する規律の在り方についてのこれまでの検討結果を踏まえつつ,子の意見の尊重についての検討を行うということを,まず1ページ目で示しております。また,これまでの本部会における調査審議の中で,父母の離婚の場合を念頭に議論していただいておりましたけれども,本部会の諮問の内容も,必ずしも離婚の場面に限定した検討を求めるものではなく,また,これまでの会議,先ほども出てございましたけれども,離婚の場面に限らず検討する必要があるとの意見も出されてきたところでございます。そこで,第3において,嫡出でない子の養育の問題及び父母の別居に伴う子の養育の問題を取り上げることを示しております。   具体的に,第2,第3の内容を簡単に御説明いたします。   第2につきましては,まず,父母の離婚後の子の養育の体制を定める場面と,その定められた体制での個々の子の養育について決定する場面とに分けた上で,現行法における規律の整理と,それに対する主な意見を整理しております。その上で,子の発達の程度等に応じて,子の意見を尊重することは望ましいと考えるところでありますけれども,子の意見を尊重するための規律の在り方については,9ページ以降のような規律を設けることについて検討してはどうかという提案をしております。なお,これらの規律を検討するに当たって,注意すべき事項として,それぞれ(注)を記載しておりますので,これらについても御意見賜りたいと思っております。   特に10ページの(注2)のように,子の利益を害することにならないようにするためにはどうすべきか,子が板挟みにならないようにするための手続等はどうすべきかといった点や,(注3)のように,本文の記載は子の意見を子の利益を判断するに当たっての考慮要素として位置付けておりますけれども,別の考え方もあり得るところでありますが,いずれにしても,子の選択を直接結果に反映させるということは,子の過酷な状況を強いるという場面も出てくるかと思いますので,その辺りについて慎重な御検討が必要であることも付記しております。さらに,11ページの(注6)のように,子が自分の感情を整理することの難しさについては,これを一律に年齢で線引きできるかという点についても付記しているところでございます。   第3につきましては,父母の離婚に関連する諸問題として,嫡出でない子の養育に関するもの,父母の別居に伴う子の養育に関するもの,それぞれについて現行法における整理及びそれに対する主な意見を記載した上で,親の子に対する扶養義務の内容を,以前御議論いただきましたように,そこを明確化することを前提に,嫡出でない親子関係であるとか,別居中の親子関係を含む全ての親子関係に共通するものであることを意識して,規律の内容とか,その位置等も含めて検討してはどうかなどということを提案させていただくとともに,父母の別居に伴う子の養育に関するものとして,17ページのC,Dのような提案をしているところでございます。いずれも様々な御意見があろうかと思い,事務局の方で注意すべき事項を挙げるとともに,できるだけフラットに御議論いただきたいという趣旨で,それぞれの(注)を記載しております。   説明は以上になります。 ○大村部会長 ありがとうございます。   今御説明いただきましたが,この資料は,第1のはじめにのほか,3ページ以下の第2の子の意見の尊重という問題と,13ページ以下の第3の父母の離婚に関連する諸問題という,三つに分かれておりますけれども,第2と第3はやや性質が違うことですので,取りあえず分けて考えるということで,第1は第2の総論のようなものを含んでいますから,第1と第2についてまず御意見を頂ければと思います。   第2は,先ほど御説明ありましたが,一方で,子の養育の体制,体制という言葉も仮の言葉だと思いますが,体制を定める場面で,子どもの意見をどうするかということ,それから,個別の決定に当たってどうするかということ,この2段に分けて検討をしていただいているかと思います。   繰り返しになりますけれども,第1と第2の部分につきまして,まずは御意見を頂きたいと思います。どなたからでも結構ですので,お願いをいたします。 ○武田委員 この資料7に入る前に,進行に関して少し申し述べたいなと思います。   どのタイミングでお話しするのが相当なのか考えていたんですけれども,今現在の進行の予定では,この当該資料7で子どもの意見の尊重,あと父母の離婚に関連する諸問題ということを議論,恐らくその次はもう未成年養子に入って,財産分与に入って,一巡目終了という形になるかなと思っています。   進め方の議論の中で,たしか第2回だったと思いますけれども,その際にも確認させていただきました。父母の高葛藤,これをどう抑えることができるかということを,どこで議論するのかという確認をさせていただきまして,当時,事務当局の方から,各テーマごとに意見を述べると,そんなふうに御説明を頂いたと記憶しております。ついてはこのままですと問題提起の機会が失われると思われます,我が国での離婚原因として認定される有責主義の問題,ここに関して少し意見を述べさせていただければなと思います。   具体的に,ここにいらっしゃる委員の皆様に私が説明するような話ではないと思いますが,有責主義,現行の民法では770条第1項で明記されているものと理解をしております。条文の1号から4号までは割愛させていただきますが,問題となるのはこの第5項,その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき,ここが有責主義に当たってくるんだろうと思っています。   この話は,実は第3回会議で参考人としてお越しになっていただきました,明石市長の泉参考人がよくおっしゃることなんですけれども,現行法制度を評して,現行の制度,裁判所の審議は,本来は円満に話し合えるはずの両親をもあえて闘わせると,こういう表現をされることを何度か耳にしております。正に,同感でございまして,この第5号に当てはまる婚姻を継続し難い重大な事由,ここには主にDVがあって,浪費とか家庭を顧みない,性生活,生活の不一致,親族の不和,この辺りが争点になるかなと思っています。したがいまして,何が言いたいかと言いますと,裁判離婚の前提となる,当然その前に調停前置ですから,離婚調停があると思っています。一方は離婚を求めるがゆえ,他方配偶者の770条第1項第5号に該当する事由を主張,この主張を受けて調停が泥沼化する,夫婦げんかが調停の場に変わると。したがって,何が起きるかというと,養育費,面会交流と,こういった本来子どもの利益に重要な事項が,話し合うことなしに調停が不調になって離婚訴訟にいく,これが実情かなと思っています。   諸外国がいいというわけではございませんが,恐らく大多数の国は,共同親権制度導入に先立って,面会交流の実施とともに,大体の国が1960年代から70年代に有責主義から破綻主義,ここに転換してきた国が多いと認識をしています。この父母の葛藤を下げて,子ども中心の離婚審議,これを進めるためにも,この現行の有責主義から破綻主義への規律の変更に関しても,どこかで検討すべきではなかろうかと,そんなふうに考えております。   ちょっとここのままいきますと,一巡目終わるかなと思いましたので,このタイミングで,有責主義,破綻主義というところに関して,意見を述べさせていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。今のことについて,私の方で少しまとめたいと思っていますが,窪田委員から手が挙がっていて,多分私が申し上げたいことに関連する発言かと思いますので,まず窪田委員に御発言を頂いて,その上で,私の方で引き取らせていただきたいと思います。 ○窪田委員 すみません,それでは,ちょっと今の点,発言させていただきます。   武田委員から御説明ありましたけれども,770条1項5号の解釈については,通常の理解とは違うだろうと思いますので,その点確認させていただきます。   破綻主義,有責主義ということで,770条1項1号が有責主義に該当する,あるいは2号が該当するということは,ほぼ明確だろうと思いますが,3号,4号,それから5号のその他婚姻を継続し難い重大な事由に関しては,もちろん虐待とかDVのケースが含まれ得ることはそうですけれども,それ以外も含めて,破綻主義的な理解をされていると思います。武田委員の御理解としてそういうふうに発言されるのは結構なのですが,法制審議会の一般的な議論の中で,それが共有されるものという点には,私自身はちょっと同意できませんので,確認しておきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。   武田委員,今の点は,窪田委員のおっしゃるとおりだと民法学者はみな理解していると思うのですけれども,武田委員のおっしゃるのは多分,そこに必ずしもこだわるものではないと思いますので,私が今から申し上げるようなことでよろしいかどうかについてだけ,御意見を頂きたいと思います。   それで,窪田委員がおっしゃったとおりなのですけれども,770条1項5号による離婚訴訟の中で様々なことが主張されて離婚訴訟が長期化する。それを避ける必要があるのではないかということは,1996年の民法改正要綱の中でも指摘されていたことで,別居期間を定めて離婚を認めるという改正をしたらどうかということが既に提案されております。96年の改正要綱が実現しないために,一定の期間別居したときに離婚が認められるという法制度が導入されていないというのが,現在の状況だろうと思います。武田委員の御意見は,その点についても今回検討の対象に含めるべきではないかという意見だと受け止めました。   96年の改正要綱の中に含まれていた提案の相当部分は,これまでに様々な機会に実現をしてきておりまして,今おっしゃった点というか,私が引き取ってまとめさせていただいた点は,残っている問題の一つだろうと思います。この点につき立法が必要だということは96年以来言われていることなんですけれども,今回のこの部会の検討事項との関係で,この問題を位置付けて取り込むということが可能かどうか,また,望ましいかどうかということについては,事務当局の方で少し検討してもらって,もし何らかの形でそれを議論することが可能であるならば,どこかに盛り込んでいただくという形で受け止めにさせていただきたいと思いますけれども,よろしいでしょうか。 ○武田委員 結構です。いろいろ不勉強,申し訳ありませんでした。御助言ありがとうございました。 ○大村部会長 窪田委員,今のような受け止めでよろしいですね。 ○窪田委員 はい,もちろん結構です。 ○大村部会長 では,今の点につきましては,そのような取扱いにさせていただきたいと思います。事務当局もよろしいですね。   それでは,戻りまして,第1と第2について御意見を頂戴できればと思います。   それでは,水野委員,今津幹事,石綿幹事の順番でお願いします。 ○水野委員 ありがとうございます,水野でございます。   全体的な話と,それから少し細かい話をさせていただきます。   まず,全体的な構成として,割合詳しく場合を分けて議論の設定をしていただいたことに,賛成したいと思います。子どもの意見の表明権というような形で大きく書いてしまいますと,たとえば児童の権利条約のような形で書いてしまいますと,これは具体的に適用することは,かえって非常に難しくなりますし,適用することの弊害も多くなるだろうと思います。場面ごとにいろいろと細かくお考えいただいて,こういう形で御検討くださったことに賛成いたします。   ただ,もうそれも十分書いておられるのですけれども,私は,やはり非常に心配をしております。つまり,児童の決定権,意見を表明するということで,子どもにさせてはならない選択,ソフィーズチョイスをさせる,両親のうちどちらかを選ばせてしまうという残酷なことだけは,何とか,しないでいただきたいと思います。それは,子どもの様子を見なくていいとか,あるいは子どもの意向を察知しなくていいということでは決してなくて,それこそ子どもの様子については,子どもが何を望んでいるのか,子どもにとって何が利益なのかということは,丁寧に調べなくてはならないわけですけれども,それは,子どもに選ばせることではありません。子どもを真綿でくるむような形の手厚い保護があった上で,そして,子どもの様子を十分に調査して,その最善の利益になるように決めていくということなのだろうと思います。ただ,日本では,その手厚い真綿でくるむような社会的支援が非常に薄いので,新たな社会福祉との連携を模索しながら,制度設計をしていかなくてはならないのが,日本法の困ったところです。それでも,何とかこの機会に,現在のありものを精一杯使って,また可能なら新たな支援を創りながら,子どもを保護しつつ,子どもの意見と子どもの意向を察知することを,考えていきたいと思います。   それが大きな話でございますが,もう一つ小さな点ですけれども,7ページから8ページの最初のあたりでしょうか,特別代理人の選任を申し立てることができることについてです。民法826条の問題で,子が自ら特別代理人の選任を申し立てることができるようにするという御提案があるのですが,この826条は元々非常に筋悪の条文で,明治民法立法のときに,親権者の権利を拡大するために創られたものです。日本法は,財産管理につきましても,親権者は子どもの財産の処分行為までできるという,比較法的に見てもものすごく強大な権限を持っております。それは,明治民法の起草者たちが,親権者は何でもできるべきだと考えていたからで,その結果,ほかの国では裁判所の許可をかませたりする処分行為なども,親は自由にできます。この826条で特別代理人制度を創ったのは,本来親が代理して自由にできるべきなのだけれども,自己契約,双方代理という代理法の制限に引っ掛かって,親の代理権が制限されてしまうのがよろしくないという理由です。自己契約や双方代理のような利益相反行為であったとしても,親ならば自由にできるべきだというので,そういう場合に親が特別代理人を選んでできることにしたのが,この826条の元々のゆえんです。   実際には,日本人は,裁判所へ行って特別代理人を選ぶという手間を掛けませんでしたので,結果的に,826条は,子どもが後から自分の財産を,これは利益相反行為なのに特別代理人を選ばずに親が契約したといって,取り戻すことができる手段として働いてきました。実質的には子どもの利益のためにはなってきた条文ではあるのですが,もともとは違う目的の条文でした。ここでそういう筋悪の条文を利用して,子どもに特別代理人の選任申立権を与えるという制度設計は,恐らく余りふさわしくないだろうと考えます。この点について,細かい点ですが,発言させていただきました。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。場面を分けて検討するということに賛成であるという,総論的な意見をまず頂きました。その上で,子どもに両親の一方を選択させるというのではないやり方で,子どもの意見を察知する方策を構築する必要がある。その中で,特別代理人を選任するという方策は,形式的に代理人を別途立てるというやり方を踏襲するものであって,実質的な保護にはならないのではないかという方向の御意見を頂いたと理解をいたしました。   今津幹事,石綿幹事,そして杉山幹事ということでお願いしたいと思います。 ○今津幹事 幹事の今津です。   私も,子どもの意見と言いますか意思といいますか,それを尊重していこうという方向には賛成です。その上で,2点ほど意見を述べさせていただきます。   まず,6ページの冒頭の(注2)というところとの関係なんですけれども,金銭的な問題については,子の意見を聞く必要がないというような見方もあるという御紹介ですけれども,前半のお話でも出た,例えば,受験費用とか進学費用なんかの場合は,子どもの意思をある程度尊重する場面,尊重すべき場面というのもあるかと思いますので,必ずしも金銭の問題は切り離して論ずるということではなく,全体として,金銭の問題も含めて,子どもの意思をどうするかという形で検討した方がよいのではないかと思いました。   それからもう一つ,10ページに書いていただいているところなんですけれども,エのDというところで,子の意思,意見の変化等が生じた場合の扱いとして,強制執行との関係を調整する規律を設けるというような検討をしてはどうかという提案もされているところです。これについて,私自身も必要だろうと思っています。現在も,再審判等をして,それを手続に反映させるというようなやり方ができなくはないんですけれども,実際には,執行の場面の中に,子どもの意思がこうであるというような実態判断が持ち込まれるというようなことが,よく見られるところかと思いますので,子どもの意思という実体的な側面と,それから執行の場面ということを,どういうふうに調整していくかということについて,この部会で一定の方向を出せると,非常にいいかなと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございました。検討すべき対象について,一般的にこういう検討をするということに賛成だという意見の後に,金銭に対する問題も,子どもにとって重要なものがあるので,それを排除しない方がいいのではないか,また,執行の場面をここで取り上げるというのは,非常に望ましいことなのではないかという御意見を頂戴したと思います。ありがとうございます。   石綿幹事,杉山幹事,お願いします。池田委員,すみませんがその後でお願いします。 ○石綿幹事 石綿でございます。   私も第2の点について検討するということについては賛成いたします。その上で2点,お願いと意見です。   1点目は,10ページ,ウの子の年齢に着目した規律を設ける方向を検討するということには賛成します。その方向性で検討していく場合に,子どもの意見の尊重と子の年齢の関係性について,資料で整理していただいたように,現在の法状況を見ると,15歳というのが一つの年齢区分になるかと思いますが,さらに15歳未満についてどのように細分化していくことができるのか,必要があるのかということを,この場で議論する必要があると思います。   その上でお願いです。それを検討する際に,例えば,現在家庭裁判所の調査官調査等において,子の年齢に応じて子どもの意見,意思,態度のようなものをどのように考慮しているのか,あるいはどのように考慮するかという指針のようなものもあれば,次回以降でも構わないので,御紹介いただくことはできないのかというお願いです。例えば,親権者,監護者の決定について,おおむね10歳以上の子については,その意思が尊重されていいというような裁判官の方の論文を目にしたこともあるのですが,実態はどうなっているのかというようなことです。11ページの(注6)で発達心理学の知見の収集の必要性についての指摘もあるところですが,既に家庭裁判所で一定の運用や検討の蓄積があるかと思いますので,可能であれば御紹介いただきたいというのが1点目です。   2点目は,子どもの意思について,現在資料7の9ページでは,子どもの利益の判断の考慮要素の一つと整理されていて,私自身も,位置付けるとすれば,そのようになるのではないかと考えておりますが,ただ,子どもの意思,意向と子の利益が必ずしも一致しない場面もあるのではないかと思っております。したがいまして,11ページのアAで示されているように,子の意見を尊重することができる規律を設ける際には,その内容や年齢について,注意深く検討していく必要があるのではないか,これも,12ページの(注1)で指摘されていることと重なるかもしれませんが,重ねて指摘させていただきます。 ○大村部会長 ありがとうございました。2点御指摘を頂きました。   1点目は年齢についてで,15歳というところに一つ線が引けるとして,ほかの線を引くとしたらどこなのかということを考える必要があるだろう。それとの関連で,家裁での取扱いについて教えていただければ有り難いという御要望がありました。この御要望については,また事務当局と裁判所の方とで打ち合わせていただいて,何か出していただけるようであれば,次回以降にお願いできればと思います。   それから,子どもの意見の位置付けについて,子の利益の中で考慮するという位置付けを示されているけれども,子どもの意見と子どもの利益というのが,当然に同じ方向を向いているというわけではないので,その辺りについて慎重に整理する必要があるのではないかという御意見を頂いたと理解をいたしました。   よろしいでしょうか,それで。 ○杉山幹事 幹事の杉山です。   既に出された意見と重複するところもございますが,2点ほど申し上げたいと思います。   1点目は,子の意思とか意見の聴取に関するところでありまして,3ページから4ページ目辺りにあるように,人訴法や家事事件手続法において,15歳を基準にして,それ以上であれば子の陳述を聴取し,それ以下の子どもも含めて,子の意思を把握することになっています。これは,裁判手続を前提としているものでありますが,実体法の場面でも似たような規律を作っていくことは必要であろうかと思います。もちろん,誰が子の意見を聞くか,ないしは意思を把握するのかという問題は,先ほどから出ているように検討すべきであると思いますけれども,方向性としては,手続法で既に考えられていたものを,実体法上反映させていくことがよいと思います。   ただ,石綿幹事がおっしゃったとおり,手続法では取りあえず15歳を基準に線を引いて,それ以上であれば意見を陳述することができるであろうということを前提としているかと思います。一般論として,年齢が高くなればなるほど,自己の意見を言うことができて,それを尊重すべき度合いは強くなっていくと思うのですが,果たして全ての事項について,15歳を基準に考えることが適当であるのかについて,この際考え直してみるのがいいのではないかと思います。   これが1点目でありまして,2点目でありますけれども,これは,今津委員が先ほど指摘された,10ページのDのところです。前回も申し上げましたように,面会交流などについて,子の幼少期に債務名義を作成したとしても,子どもが成長するにしたがって,実態と合わないので強制執行がうまくいかないことがあるのならば,一旦債務名義が作成された後も,もう少し長期的なスパンで子どもの意見ないしは意思を反映させて,執行手続を調整していくことが必要であろうかと思います。もちろん,債務名義が家事手続で作成された審判であれば,そちらを変更することもできるのですけれども,より簡素に執行手続の中で子どもの意思を反映させつつ,迅速に調整ができるような手続を作っていくのが望ましいと思います。   ただ,その際の問題として,人的リソースとして,家庭裁判所では調査官がいるので,子どもの意思とか意見などをうまく把握することができると思うんですけれども,執行裁判所はそのような仕組みができていないので,執行裁判所の方に専門家を置くか,あるいは執行裁判所と家庭裁判所をうまく連携を図るなどしていく必要性はあるのであろうかと思います。いずれにしても,広い視点で検討した方がよいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。杉山幹事も基本的な方向については賛成だということを前提に,手続法で行われている子どもの意見の反映というのを,実体法にも及ぼしていくということがいいのではないかという御意見だったかと思います。ただ,15歳という年齢については見直す余地があるのではないかということが一つ。先ほど今津幹事からも御指摘があった執行の場面について考えるというのがもう一つ。その際に,執行手続の中で子どもの意思,意見を取り入れるということが望ましいと思われるが,それに伴う制度上の問題点というのもあるので,そこを考える必要もあるという御指摘を頂いたと思います。   池田委員のあと,原田委員,窪田委員という順番で御発言を頂ければと思います。 ○池田委員 弁護士の池田です。   9ページから10ページにかけてのA,B,C辺りについて上げたいと思います。   まず,Aのところですが,これは,子どもの意見を尊重するということの更に一歩進んだところとして,一定の事項については直接子どもの意見を反映するという内容ですけれども,これについては,やはり子どもの意見表明権と子どもの最善の利益との関係という問題との兼ね合いがあるのかなと思います。ここでは,恐らく一定年齢以上ということも想定の範囲に入れて,直接反映ということをお書きになっているのかもしれませんけれども,その場合でも,やはり子どもの最善の利益というのが最も優先して考慮されるべきものですので,一定の事項について例外なく直接反映という趣旨であれば,私は反対です。   それから,Bについてですが,これは,協議離婚制度において,子どもが忘れられた存在ではないかということを,私,前回申し上げたところでしたけれども,ここでの御提案は,それに応えていただくものとして,非常にいい御提案をいただいたなと思っています。   この中身のところで,弁護士等の法律家が関与して,子の意見を尊重したものとなっているか確認する役割を担うということなんですけれども,どのように子どもの意見を尊重したものかを確認するかという方法については,ここでは特に示されていないわけですけれども,私としては,ここで,この関与する法律家が直接聴取をするというプロセスがあるといいなと思っています。その場合に,弁護士がそういうことできるのかとか,あるいはどの年齢以上だったらという問題は生じてくる可能性はあるかなとは思っていますけれども,やはり協議離婚の合意事項,父母の合意事項に一定の審査をしていく中での子どもの意見の聞き取りということを考えたときに,原則として,父母とも話をしている中立の法律家が子どもからも聞くということが,やはり望ましいのではないかと思います。子どもから直接話を聞いているからこそ,父母に話もして信頼をしてもらえるという関係があるんではないかと思っているからです。ただ,先ほど申しましたように,非常に小さい年齢のお子さんのことを考えたような場合まで全てカバーできるかというと,そうでもない可能性もありますので,一定の心理職あるいは福祉職との連携というのは必須になってくるかなと考えています。   それから,10ページのCのところですけれども,一定の年齢を基準として子の意見を尊重するということですけれども,やはりこれは,子どもの権利条約12条のところでは,年齢によって制限をしないということが国連子どもの権利委員会一般的意見第12号で示されているところでして,その解釈との抵触ということが問題になるのかなと思っています。また,12条のところでは,自己の意見を形成する能力があるということが書いてあって,そこと関連して,一定の年齢という話が出てくるところもあるのかもしれませんけれども,同じく一般的意見第12号の中では,その能力を補うような形でこの条項を解釈するべきであって,制限する形で解釈していくことはいかんと書かれているところですので,その観点からも,一定の年齢で基準を設けて区切っていくというのは,望ましい方向ではないのではないかと考えています。   それから,最後に1点,この子どもの意見の尊重ということに関して,今,家事事件手続法の中で,子どもの手続代理人制度というのがございまして,それが子どもの意見表明権を実質的に保障していく制度であると考えられますので,この資料7の検討が,恐らく次回にも続くかなと思っていますけれども,次回,それに関する資料をちょっと提出させていただいて,若干その制度についての御説明等もできればなと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。9ページから10ページにかけて課題として指摘されていることについて,具体的な意見を頂戴しました。9ページ,それから10ページのA,B,Cというところについて御発言があったかと思いますけれども,AやCについては,今のような書き方でよいかということについて,それぞれにつき一定の疑念ないし疑問をお示しいただいたと思います。Bについては,これを積極的に受け止めたいということで,弁護士等の法律家の関与の具体的な内容について御提案を頂いたと受け止めました。ありがとうございます。   それで,原田委員,窪田委員,そして沖野委員,それから赤石委員と,こういう順番で進めさせていただきたいと思います。 ○原田委員 弁護士の原田です。   池田委員とちょっと重なるかもしれませんが,せっかく9ページのところで弁護士等の法律家の関与ということを書いていただいたので,私どもの方でも,本当にできるのかということも含めて,いろいろ議論になっております。その中で,前々回,諸外国の例の御紹介を頂いたときに,口頭での御報告はなかったんですけれども,石綿委員の方でフランスの制度を御紹介いただきました。その中で,フランスでも合意離婚という制度があって,その場合は,それぞれの当事者に弁護士が付いて,そして合意書面を作るということと,未成年の子どもがいる場合に,未成年の子どもはそれについて意見を言う権利があり,意見を裁判所に言いたいということを言わなかった場合だけ,合意離婚ができて,そうではない場合は全部裁判所に持っていかなければいけないという制度になっているということと,それから,年齢について一定の制限があるような説明がありましたので,もしそのような制度について,弁護士他の法律家が実際どのように関与しているのかとか,その場合の費用は誰が負担しているのかという辺りのお話が聞ければなと思いました。   この場合,先ほど事務当局の方からの御説明で,公証人というお話もありましたが,読ませていただいた資料の中で見たら,公証人が関与するのは財産分与に関するものとあるような気がいたしましたので,子どもの意思表明との関係で,実際に弁護士なり法律家はどのように関与しているかということについて,お話しいただければと思いましたがいかがでしょうか。 ○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事が出して下さったフランス法の資料について御質問が出たかと思いますけれども,石綿幹事,口頭で答えた方がよければ,今口頭で簡単に答えていただいても結構ですし,あるいは次回以降にメモのようなものを出していただくということでも結構ですが,可能な範囲で御対応を頂ければと思いますが,どっちがよろしいですか。 ○石綿幹事 すみません。答えられる範囲で口頭でということなんですが,弁護士がどのように関与しているかという実際のところまで,私の方ではまだ調査が及んでおりませんで,当事者双方に付くようにしているのだというところまでしか調査ができておりません。必要であれば,法務省と相談しながら,より実態を調査していくということになるかと思います。   費用の方も,明確には分かりませんが,必ずそれを全て国費の負担だとはおらず,一定程度収入等に応じて当事者が負担をしているのではないかと,推測しています。少なくとも全額国費負担だという文献を目にしておりません。 ○大村部会長 ありがとうございます。今のようなことでお答えを頂いたということにさせていただければと思います。   それから,先ほど池田委員から,また関連の資料を次回お出しいただくという話ありましたけれども,それはまた別途,次回までにお願いいたします。   引き続き,窪田委員,沖野委員,それから赤石委員という順番でお願いいたします。 ○窪田委員 窪田です。   2点発言させていただきたいと思います。   一つは,全体の枠組みに関してなんですが,私自身も,身分関係といいますか,親子という形でのつながりある当事者としての子どもの気持ちや意見というのを,できるだけ酌み取ってあげる方向でというのは,十分理解できます。ただ,私が今言ったこと自体の中にも含まれているのですが,多分10歳の子どもとか8歳の子どもについては,その意見を聴取するというようなものではなくて,考えを酌み取ってあげるというか,気持ちを酌み取ってあげるというような言い方の方が適当だろうと思います。それに対して,多分15歳の子どもだったら,意見というのも言うことができると思います。したがって,年齢を分けて区別するのか,年齢を分けずに考えるのかといっても,結局違わざるを得ないのだろうなと思っております。   ただ,そのときに注意したいなと思いますのは,手続法の方に合わせるとしても,15歳以上,家事事件手続法において必要的聴取とはなっていますが,あれは,飽くまで必要的に聴取するということであって,その子どもの意思に従って判断しなければいけないという枠組みではないのだろうと思います。したがって,そんな言い方をすると反発を買うかもしれませんが,子どもの意見を聞いてあげるとしても,当然それに全部従わなければいけないという趣旨のものではないということを確認した上で,進めていく必要があるのだろうと思います。これが第1点です。   第2点は,今の点にも関わり,ちょっと細かい問題になるのですが,11ページの(2)イのBのところに書かれているものですが,親が子に関してした決定が,合理的な理由がないにも関わらず子の意見を尊重したものでない場合には,例えば,損害賠償請求が認められるんだという方向で検討してはどうかということがあって,そして,その(注3),次のページには,現行法下でも,親権者の判断が不合理に子の意向を全く無視するようなものである場合には,子の人格権を侵害するものである場合には損害賠償の理由となり得るんだということが書かれております。私自身は,この(注)に書かれていることが本当なのかなという感じがしております。不法行為法の規定というのは,何でもできるというのであれば該当するのかもしれませんが,ここまで一般的な形で認めているわけではないのだろうと思います。また,仮に認められるとしても,親の決定が非常に不合理なものである,人格を傷付けるような意味で不合理なものである。例えば,子どもに破廉恥な名前を付ける,こうしたものへの損害賠償は認められるとは思うのですが,これは,子どもの意思に反したからではなくて,やはり直接に人格権を侵害しているからなのだろうと思います。   ここの部分については,検討してはどうかということですから,検討するということでいいのかもしれませんが,この種の問題に対して,親子間の損害賠償請求という形で問題を組み込んでいく,そういう形で処理をしていくという方向自体に,非常に何か不安を覚えます。法は家庭に入らずというようなことを言うつもりは全くなくて,暴力があったような場合には,当然不法行為法は使えると思うのですが,そうではなくて,親の育て方が悪いからという形での損害賠償請求とか,俺の意思に反したからという損害賠償請求は,やはりそう簡単に持ち込んでほしくないなというのが意見です。 ○大村部会長 ありがとうございます。2点ありましたけれども,基本的には,子どもの意思というものについて,慎重な取扱いが必要なのではないかという方向の御意見として伺いました。   1点目は,年齢に応じて意見を聞く必要があるのだけれども,そのことと,その意見に従うかどうかということを区別して議論する必要があるということ,それから,2点目は,11ページに損害賠償の話が出てきておりますけれども,ここは何段階かに分けておっしゃったかと思いますが,子の人格権を侵害するということはあり得るとして,子の意見を尊重していないということで直ちにそうなるのかというところについて疑義があるということと,親子間でのこのような問題について規定を置いて対応するということが果たしていいことなのかどうかということも慎重に考える必要があるのではないかという御指摘を頂いたと理解をいたしました。   沖野委員,どうぞ。その後に赤石委員,そして落合委員という順番でお願いします。 ○沖野委員 ありがとうございます。   重複するのですけれども,3点申し上げたいと思います。   まず,大枠というか,基本的な方向としましては,資料に出されたような形で検討を進めていくのがいいのではないかと思っております。子の養育をめぐる私法上の制度というのは,子をどう育てていくかという点で,子が主役の制度なんだろうと思います。そういう中で,一番の主役である子どもの思いとか意向とか意見とか,そういうものが尊重されるという考え方が,やはり正面に出されるべきものだろうと思います。問題は,そういう意思という表現でまとめますと,その意思の尊重というものが,どういうような形で尊重されていくのかということについては,意思は尊重されるべきでとどめるのではなくて,もう少し段階を分けて,状況に応じて検討していくべきだという在り方は,望ましいものではないかと思います。少なくとも,検討をする手順としては,望ましいのではないかと考えております。   そうしたときに,2段階に分けられた1段目は,子の養育に様々な人が関わる,特に父母が関わる,祖父母ということも出てくるかもしれませんけれども,その関わる者の在り方をどうするかということについて,子どもの意見なりを,ある程度というか酌み取っていくという話であるのに対して,個々の問題について,何をしたいか,どうしたいかというのは,個別の正に決定の問題ということで,かなり性質が違うように思われますし,それから,どの段階でそれを決めるかとか,どういう形で変化が生じるかというのも変わってきますので,そこを一応分けるというのは,意味のあることだろうと思います。   その上でですけれども,どのような形で意思を尊重するのかということについては,状況の変化にも応じてということですが,子どもの発達段階と年齢というのが一つの考慮として示されています。恐らく,多様な現実ということを考えれば,発達段階だけなんでしょうけれども,それを正確に酌み取るというのはやはり難しいので,年齢というのが一つのカテゴリーの在り方ということになってくるのではないかと思います。ここには,現実の多様性,子どもの成長等をめぐる,あるいは意思を表明できる,あるいは意見を形成できるといったことについての現実の多様性と,一方で法のカテゴリー化というものがあって,その間でどういう形を取っていくのかという問題があるように思われます。   民法の問題で見ますと,民法自体は,一つはやはり年齢で切っており,18歳が成人ですし,15歳というのは養子縁組ですとか遺言能力とかで,やはり特別の年齢として地位を与えられていますので,15歳で一つの区切りとするというのは,現行法に合った制度ではないかと思われます。一方で,意思能力ですとか,ちょっと責任能力を入れていいのかどうかという問題ありますけれども,必ずしも年齢では区別されないんだけれども,法的に意味のある発達段階というものがやはり考えられていますので,そういうものをどう見るか,それを一律に,ある程度のカテゴリーで,未成年者の中の前期未成年者,後期未成年者とか,そこを更に分けていくとか,いろいろ一定のカテゴリーというのを考えることができ,またその際ある程度年齢の区切りというのは明確性を持ちますので,それを指針とするということはあり得るのではないかと思います。   先ほど石綿幹事から,家裁でどうされているのかというような点についての情報提供のお願いがありましたが,そういうところを参考にさせていただけるようだったら,非常に有意義ではないかと思っているところです。それが,2点目のカテゴリー化と年齢の問題ということですが,なお,意思能力などについても,障害者の権利条約などの話もありますので,たとえ意思能力に不十分なところがあるということであったとしても,そのかぎ括弧付きの意思の尊重の重要性というのは,やはり民法全体に共通するものだろうと思っております。   三つ目が,子の利益と意思との関係で,10ページの(注3)などにあったかと思います。また,利益の考慮要素の一つとして意思を位置付けるのか,特定の事項については,恐らく特定の発達段階,特定の年齢を超えたという前提の下で,端的に子の意思によるとするのかという問題があり,これをどう考えるかというのも,そこは二面に分けて考える必要があるのではないかと思っております。すなわち,ルールのような形で,こういった事項については,子どもが一定年齢以上であるときには,かつ,特別な除外事由がない限り,子どもの意思を第一として決定するとか,そういうルールを置くということも考えられるわけですが,そういうルール化をするのか,それとも,それはそういうような運用も考えるということで,基本的には子の利益の観点から意思を尊重していく,考慮していくんだけれども,在り方は様々で,具体的な手続などを用意していくという,両方のやり方があるように思います。   そうしたときに,子どもの意思を第一としてというようなルールを置くことについては,実際,子の年齢とか発達段階に応じてというのは,恐らく子どもの養育に関わっていく子ども以外の主体ですとか,それから子ども本人自体の役割がどんどん変化していくんだろうと思います。少なくとも,法の建前は,18歳成人になれば自分一人で決定ができると,法律行為も自由にできるということになりますので,その段階に至れば,正に自分の意思でということになるわけで,それが現実には全く意思能力のないような状態から,その段階まで一気に一足飛びにはいきませんから,だんだんと親の役割も,親が決めるというのと,親が代わって決めるというのもあれば,最後は助言者のような地位になっていくんだろうと思います。しかし,それを法制度として正面からそういうものと位置付けるのか,飽くまで形としては,子どもの意思はその状況に応じて最大限尊重されるんだけれども,それは子どもの利益のためにと。判断権者は,少なくとも18歳,成人になるまでは別の主体であるというふうな形にすることは,十分考えられるんだろうと思います。   長くなって恐縮なんですけれども,ちょっと気になっておりますのは,例えば,子どもの意思を第一としてというようなルールなり運用指針なりを置くときに,誰に向けたガイダンスなのかということで,決定権者というか,それである,第一義的な決定権者というんでしょうか,父母であったり両親でしょうか,に対して,その判断のためにガイダンスとして置くというところもあるでしょうし,例えば,協議によるというようなときに,審判者としての第三者に対して,それは指針として置くというようなこともありますので,一体どういうところを狙いとして置くのかということも,考えていかなければいけないのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。3点ということで,まず1点目は,全体としての議論の仕方について,こういう方向でよいという御意見を頂いたものと思います。2点目,3点目も,広い意味では議論の仕方に関わる御指摘だったかと思いますが,法概念の作りに関わる御指摘があったものと思います。2点目は,年齢に応じてという場合に,その年齢というものをどのように区切るのかということで,民法には複数の考え方があるだろう。一定の線を明確に示す,15歳と示すというやり方もあるし,そうでないやり方もあるというので,どうするのかということを考える必要があるだろう。3点目,子の利益と子の意思の関係についてですが,子の意思というものを考慮するときに,これをルール化するのか,それとも運用の中で捉えていくのか,さらに,ルール化するという場合に,そのルールは誰に対して向けられたルールであると考えるのかといったことが問題になるのではないかという御指摘を頂いたかと思います。   あと,赤石さん,落合さんでしたね。 ○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です,ありがとうございます。   この子どもの意思を尊重するという方向は,おおむね賛成です。ただ,15歳という年齢についてどう考えるのかということなんですけれども,今,親の離婚に関しての養育をどうしていくのかというような話ですと,やはり15歳以下の子どもたちがどう思っているのか,その意見をどういうふうに反映するのか,意思を反映するのか,どういう言葉を使うのか非常に難しいと思うんですけれども,結構課題だろうと思います。私は,この会議までに何か知見があればよかったんですけれども,どうやって小さいお子さんの意向というのを酌み取れるのかという技術的な問題について,やはり余りにもここで,皆さん余り知見がそれほどはなくていらっしゃる方が多いのではないかと思いますので,調停や何かでは意見書を書かれているような臨床の方たちもいらっしゃるかと思いますので,やはりそういった方たちのお話を聞くべきかなと思ったりしております。小学生でも,あるいはもっと小さな赤ちゃんでも,やはり非常に何らかの形で意思を表明している子どもたちがいるんだろうと思ったりして,その点がちょっと,非常に大枠で書いておられるの,大枠で別に反対しているわけではないんですけれども,気になる点として,15歳以下の子どもたちというのをどういうふうに意思を扱っていくのかというのは,課題であると思いました。   もう一つが,9ページのAのところで,子の意見を直接反映することができる規律というようなことで,私は基本的にはこの方向には賛成いたします。これまでこの10年,家裁で調停を経過してきたお母さんや子どものお話を聞いていますと,やはり面会交流をなかなかするのは困難であると,あるいはお子さんがしたくないですと言ったときに,PAですとかPASですとか,Parental Alienation Syndromeと談じられて,要するに,同居親の影響を受けているんだから,子どもの意見は聞かなくてもいいんだというようなことが,かなり家裁で行われてきたというふうなことがあるのではないかと思います。ですので,やはり,これも聞くところによりますと,松戸事件の高裁判決では,子どもの意見を直接反映していいのだという判決があったと聞いているんですけれども,やはりその方向というのは大事なのではないかなと思います。   私は法律家ではないので,子の最善の利益というものと子どもの意思というのが,どのようにぶつかるのかというのは,本当はよく分からないんですけれども,結構そこが,非常に大きな分岐点のようにも感じますので,慎重な議論をしていただきたいなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。大きな方向としては賛成だという御意見の後に,15歳というところで線引きされるとして,15歳未満をどうするか。小さな子どもたちの意見をどのように聴取するか。これは,先ほど石綿幹事からも出ましたけれども,実際に今,どのようにやっているのかということについての経験ないし情報を,集める必要があるのではないかという御指摘を頂きました。   それからもう一つは,先ほど意見が出た,9ページのAの直接反映ということについて,赤石委員は積極的に考えたいという御意見で,聞かなくてもよいという方向になることを避ける必要があるのではないかという御指摘を頂いたと思います。   次が,落合委員,そして大石委員という順番でお願いします。 ○落合委員 どうも,落合です。   ちょっといろいろ重なってきたこともあるんですけれども,簡単に言わせていただきます。   まず,年齢のことなんですけれども,実際的に年齢が重要だというのは分かるんですけれども,子どもの権利条約を引かれて,年齢で線引きをしないというようなことも出されたかと思います。私,フランスで子ども判事の方のインタビューをしたことがあるんですけれども,そのときに,何歳ぐらいの子どもから発言を聞くんですかと言ったら,何歳でもですよっていう,どんな小さくても子どもには意思がありますと言うんですね。どうやって聞くんですかって言ったら,部屋に子どもを呼んできてもらって,しばらく見ていたり,話したりしているうちに,何か分かるもんですよっていう,だから,酌み取っているのかもしれないんですけれども,本当に小さい子の場合は。でも,少なくともそうしようとされているということが分かって,それは,ちょっとびっくりするような経験でした。だから,15歳という線引きは,随分上過ぎるんだろうと思います。線引きをするより,分かる範囲でなるべく子どもの意思を酌み取るというようなのを,最初に書いておくのがいいのではないかなと思います。   それから,具体的な仕方が,しかし本当に難しいというのも皆さんおっしゃるとおりで,現在家裁でどのようにされているかというのを,本当にもっとよく教えていただきたいですし,それから,いろいろな国でどのようにしているかということを,比較対照できるような形でちょっと勉強させていただきたいなと思うんですね。心理職や福祉職の人が関わる必要ということも,御意見出ていましたけれども,確かにそうなんだろうと思います。フランスなんかは,そういう人たちは多く関わっていますよね,専門的な教育も受けていますし。弁護士の方とかが直接関わるということが書いてあったりするんですけれども,何か得意,不得意がありそうな気がするんですよね。そういうことに余り依存し過ぎてもよくないので,それ用の専門職の人も養成するぐらいのことから考えていかなければいけないのではないかと思いました。   それから,三つ目なんですけれども,子どもの意思を尊重するといっても,お金の掛かることなんかは尊重のしようもないわけですよね。それに関係してですけれども,やはりちょっと急に言うかもしれないんですけれども,何か子どものベーシックインカムというか,大人にベーシックインカムというのは,これは非常に議論のあるところですけれども,子どもに対するベーシックインカムぐらいのことは導入できたらいいと思うんですよね。そうすると,養育費が払える,払えないとかということで,親の間のけんかも多少軽減されるでしょうし,それから,子どもの意思というのも,実現できる可能性が高まりますよね。ですから,子どもの意思の議論のところでも,やはり家族に閉じてしまわないような視点をきっちり示しておきたいなと思います。   それから,四つ目の点なんですけれども,ここに書かれていることというのは,離婚した親の子どもたちについてのことが書かれていると思って読むわけなんですけれども,でも,ものによっては,親が結婚したままであろうと,尊重されていいようなことも書いてあるわけですよね。ですから,ここで議論していることは,親が離婚したケースだけにとどまるものではなく,子どもの意思の尊重というのは全ての子どもの権利なんだというか,そういう形で立論していけたらいいなと思います。先ほどの社会的な経済的な支援のことも,養育費が払えない場合は,一定額を国が出すというような話がここで出ていました。しかし,それは,親が離婚しないともらえないわけですよね。それで,親の離婚に関わらず,子どものベーシックインカムというような主張にした方がいいと,私は思っているんですけれども,親が離婚した子以外についても拡張していけるような一般性を持った議論をしたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。4点御指摘いただきました。   最初の2点は関連していたかと思いますが,年齢については,線引きと申し上げましたけれども,どこかで線を引くということと,その下は聞かないかということは,また別のことですので,小さい子についてももちろん聞く必要があるのではないかという御意見で,実際にそのやり方をどうするのかということについて,2番目に御発言があったかと思います。それから3番目は,子どもの意思を尊重するといっても,それは金銭的な面で実現できないということがあるので,金銭的な面との関係で考えていく必要があるという御指摘を頂いたかと思います。4番目は,この資料の後半の論点とも関わりますけれども,離婚の場面で議論していることが,他の場面にも及ぶということを考える必要があるのではないかという御指摘を頂いたものと理解をいたしました。   大石委員の後,青竹幹事,畑委員という順番でお願いします。 ○大石委員 ありがとうございました。千葉大学の大石です。   年齢のことで,私も年齢によって制限をしないという子どもの権利条約の精神が尊重されるべきであるという立場です。   それから,15歳という,今,一つのメルクマールになっているような年齢についてですが,社会階層論などの知見を考えると,15歳時点での社会階層で,その後の大人になってからの経済状況ですとか,そういった社会経済的地位というのは,かなり規定される部分があるという現状があります。ですので,15歳になってから子どもの意見が反映されても,遅いのではないのかなと思います。例えば,小学校高学年になる頃から塾に通いたいとか,あるいは,どこかの私立中学を受験したいとかいうような,子ども自身の希望とかもあるかもしれないわけですけれども,そういったことを実現するという考え方から言いますと,15歳はもう遅いというように,私としては受け取っています。 ○大村部会長 ありがとうございます。年齢にかかわらずということと,それから15歳という線引きをどう考えるかということにつきまして,前の落合委員と同方向の御意見を頂いたものと理解をいたしました。   青竹幹事,畑委員,その後に武田委員という順でお願いします。 ○青竹幹事 青竹です,ありがとうございます。   2点ございます。先ほど落合委員から出ました最後のポイントですけれども,離婚後の子だけの問題だけではないとおっしゃったことは,非常に重要とお聞きしました。この審議会の中では,これまで別居後の子の問題も,離婚を基準とするのではなく別居を基準にするべきという意見もありましたし,それから,嫡出でない子についても検討すべきという意見が何度も出されておりますけれども,別居後の子と,それから嫡出でない子についても,一緒に議論すべきなのではないかと考えております。   それから,2点目ですが,年齢については,15歳ということで手続法,実体法に幾つか規定がありますが,窪田委員がおっしゃったように,今の手続法で,15歳以上については聴取しなければならないという点は,必要的聴取の規定であると御指摘されて,その意見を反映するかどうかは別の問題だということになります。その上で裁判例を見ますと,面会交流の間接強制についての判断をする場面で,裁判所の方で,手続法上も15歳以上の子の意見は聞かなければならないとされているということを理由として,その意思を尊重して,間接強制は認めないと判断したものも公表されています。恐らく審判では,必要的に聴取しなければならないとしても,その意見を反映しなくてもよいけれども,現実に15歳というのをかなり尊重されていて,判断基準としても重要視されているとみられます。そこで,15歳という規定については,非常に重要な意味を持っているとみられ,やはり専門的な知見が大事と考えます。 ○大村部会長 ありがとうございます。離婚以外の問題についてということで,具体的な場面を挙げて賛成していただいたと思います。それから,年齢については様々な御発言が先ほどから出ておりますけれども,手続法上の要件は,実体法上の判断にも影響を及ぼしているのではないかということで,慎重に考える必要があるという御指摘を頂きました。 ○畑委員 畑でございます。   15歳の話がずっと出ておりますが,資料にもどこかにあったかもしれませんが,家事事件手続法では,15歳以下についても,65条というのがございまして,子どもの意思の把握に努めて考慮しなければならないということにはなっておりますので,念のために申し上げておきます。   それから,それとの関係で,9ページのAの子どもの意見を直接反映するという規律ですが,実体的に何がいいかというのは,私は必ずしもよく分からないのですが,直接反映するということにすると,多分,それを認定するということにもなかなか難しい問題が生じるかなという気は,手続的な観点からはいたします。   それから,10ページの,これも度々出てきておりますが,エの従前の取決めの変更の話です。杉山幹事,今津幹事からも意見が出ておりまして,重なるところもあり,ずれるところもあるかと思うのですが,既に話に出ておりますけれども,一応,現在も仕組みはないわけではなくて,家庭裁判所の審判とか,それに伴う保全処分という仕組みがあります。何となく私は,家庭裁判所の仕組みというのをうまく生かすようなことが考えられないかなという気がしております。杉山幹事の発言にもありましたけれども,家庭裁判所というのは調査官もおり,専門性も高いということになっておりますので,家裁の仕組みを改善するという方向で考えられないかなということです。資料に書いてあることと矛盾するわけではないと思うのですが,そういう印象です。   それから,エの下のところに,子どもの申立権ということが書いてあります。これもあり得る選択肢だとは思うのですが,ほかのいろいろなことにも関わるということを申し上げておきたいと思います。これは,資料上はそうなっているのですが,例えば,体制の見直しについて子どもの申立権を認めるというのであれば,その前の9ページにありますように,協議離婚の際にも,子どもの立場をシステマティックに組み込むという方が,恐らく整合的であるという感じがいたしますし,それから現在の,例えば,家事審判で決める局面でも,子どもの権限というのが今のままでよいかということは,問題になってくるかと思います。現状だと,利害関係参加というのができるということになっていますが,それで十分かというふうな問題にも,場合によってはつながるかなという気がしております。   それから,話題になっていないかに思いますが,11ページの(2)のアのAですが,親権者と子との関係を調整するための手続という話が出ております。これもあり得るのかもしれないのですが,父母間の調整の話と同様に,なかなか難しい問題があるかもしれない。取り分け,裁判所が入るようなハードな仕組みということになってくると,なかなか難しい面があるかなという感覚は持っております。   差し当たり,以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。たくさん御指摘いただきましたが,五つぐらいあったかと思います。   15歳の意味に関して,手続法上15歳以上の扱いが定められていますが,その下についても規定があるということの御確認と,それから,子どもの意思の直接反映については,もし認めるとすると,認定の問題をクリアしなければいけないということ,3番目に,10ページのDの問題が先ほど来指摘されていますけれども,現在も一定の仕組みがあるので,それを改善するという形で,家裁の関与というのを考えていくという方向がいいのではないか。それから,申立権の問題については,他の問題との関連も考えなければいけない。それは関連して,少し聞き落としたところがあるんですが,現状とは別の形での関与ということもあるかもしれないといった御指摘を頂いたのではないかと思います。最後に,11ページの親権者と子の調整というのは,なかなか実際には難しいのではないかという御指摘だったかと思います。ありがとうございます。 ○武田委員 親子ネット,武田でございます。   子の意見の尊重の重要性そのもの,ここに関して,ここに参加されている皆さん方も御異論がないこと,そんなふうに改めて感じました。私も同感でございます。   資料7の8ページ以降に記載されている規律や手続を設けることということで,いろいろ意見出ておったと思いますが,非常によい観点の論点が出ているなと,すみません,聞いていて感じました。   1点だけ申し述べるとすると,ここ,いろいろな先生方も指摘されていますが,9ページ記載の子の意見が反映されているかの判断を,弁護士などの法律家に関与させると。弁護士さん自身からも,本当にどこまでできるのかという御意見もあったやに思っています。ここは,誰が相当というより,私が申し上げたいのは,ここの決定に関しては,やはり飽くまで家裁が関与,家裁の一義的な責任の下,その上で,知見のある弁護士さんであるとか,児童心理の専門家であるとか,そういう方々に委任,任用,そういう形がよいのではないかなと思っています。   次に,決定の責任,ここもいろいろな先生方,御指摘されていました。この資料7,4ページ辺りに書いてあるとおり,子の意見を尊重するにしても,子に過酷な選択をさせるような制度とならないように配慮すること,個人的にはこれが何よりも重要かと感じております。家庭裁判所の調査官調査,現場では,やはり今なお,お父さんとお母さん,どっちと暮らしたいですかと,年齢を問わず,基本的には15歳以下の子どもにこういう問いをしている,又は,離れて暮らすお父さん,お母さんに会いたいかと,こういう直接的な表現で子どもに選択を迫る。言い換えれば,子に親を捨てさせる言動を求めている。こういう事例も,やはりまだまだ多く報告されてきています。久保野先生がおっしゃったと思いますが,飽くまで子どもは意見を言える,聞いてもらえること,ここを保障してもらって,決断に関して,司法も含めた,父母も含めた大人が責任を持って判断するということを,基本的な判断のスタンスにすべきと感じています。   最後,ここは余り今日,意見が出なかったので,どこで規律化するかというのは別にしまして,今,家裁の調査の在り方について少し例を出しましたが,意見聴取の在り方について,ここも考えておくべきであろうと思っています。今日の議論では年齢が中心ということだったかと思いますが,意見を述べる環境に関しても配慮が必要なのではないかと,そんなふうに思っています。実際,家庭裁判所の意見聴取,具体的な場所でいいますと,調査官がお子さんたちが暮らす自宅を訪問してお子さんの意見を聞く,そのような際に,隣の部屋で一緒に暮らしている親御さんやおじいちゃん,おばあちゃんが聞き耳を立てているというような実態もあるやに聞いております。このような環境で,本当に子どもが本当の思いを話してくれるかということ,非常に懸念をすることかなと思います。   あと,お子さんと離れて暮らす親の接触が数か月とか1年以上断絶されているケース,非常に多くあります。そのようなケースで,これは,意識的に言っているか,そうでないかは分かりませんが,子どもと暮らす同居の親御さんが,やはり別居親の誹謗中傷,悪口,こういったことを発言すること,これは往々にしてまだまだあると思います。それによって,子どもが情緒不安定になっているケースがあろうかと思います。いろいろ批判はありますが,いわゆる片親疎外というケースなどに,特段の配慮を持って意見を聞いていくということは,必要かなと考えております。   この子どもの意見聴取に関しては,これは,私,記憶に新しいんですが,平成31年通常国会,民事執行法とハーグ条約の実施法の改正案,この審議が通常国会で行われました。この同じ年の4月25日,これ,参議院法務委員会だったと思いますが,参考人質疑で,子どもの意見聴取に関していろいろな質疑がなされております。この場には,東京大学の松下淳一先生,あと当部会幹事の今津先生,あと,残念ながら先日お亡くなりになってしまいましたが,家庭裁判所調査官をやっておられました伊藤由紀夫さんが参考人として出席されたと思っております。ここは,皆さんにお諮りいただくこととは存じますが,要は,子どもの引渡しの強制執行,そういうテーマについて,どうやって子どもの意見,意思を確認していくのかと,そのためにどういう努力が必要なのかみたいな,そんな質疑があったように記憶しております。次回部会タイミングで,この議事録を参考資料として御提出させていただく提案をさせていただきたいと思います。部会長始め,皆様の御検討をお願いしたいと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございました。御指摘としては2点頂いたかと思います。一つは,9ページの弁護士等の法律家の関与ということについて,家裁関与を原則にした上で,そのもとでというお考えをお示しいただいたかと思います。それからもう一つ,子どもの選択を強制しないということが大事であり,それとの関係で,意見を述べる環境に対する配慮が必要だという御指摘を頂いたと思います。それから,次回の資料の御提出についてということで,お申出を頂いたと理解をいたしました。   終了の時間が近づいていますけれども,小粥委員と柿本委員から手が挙がっておりますので,このお二人の御意見を伺ったというところで,池田委員ももう一度発言を御希望ですね,では,池田委員まで伺った上で,今日は終了ということにしたいと思います。 ○小粥委員 子どもの意思なり,意向なり,思いを尊重すべきことは,もちろん賛成でございます。私が懸念しているのは,子どもの意思ないし意向を聴取する,聞いていくということになるとして,子どもとしては,自分の考えを周りに伝えたけれども,そうはならなかったと,武田委員が今おっしゃったように,違う結論が出るというようになった場合に,親子の対立,あるいは不信感が増していくわけですね。そこはすごく難しい問題になるのではないかと思います。ほかのところにでも,例えば,特別代理人を選ぶなんていうのも,その場でうまくいかない決定になった場合の事後が心配なんでありまして,だから,子どもの意見を聞くといっても,後で結局大人が決めるというパターン,今,武田委員が御示唆したような形は,それは重要なことで,池田委員もおっしゃったように,子どもの意見が全てではない可能性というのはもちろんあるので,おっしゃることは分かるつもりですが。   そういうことで,それだけの規律を置くとすると,悲しい結末の可能性も見えてしまうので,例えば,資料の2ページの(注2)に紹介されているフランスの規定は,決定に子を関与させるという書きぶりのようですね。それはどういうことかというと,想像ですけれども,あなたの意見はこうだと,だけど,父ちゃんはどうしても,こういうわけでこういうふうにしなければいけないんだというような形で説明する,共同決定とは違うのかもしれませんけれども,しかし,意見を聞くだけだと,やはり法律の手当てとしてはちょっと足りないのではないかと,そういうことを申し上げたかったかということでございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。子どもの意見を聴取するということで実際に聞く,聞いた後どうなるのかという問題について様々な問題があるので,それについて対応する必要があるのではないかという御指摘を頂きました。 ○柿本委員 ありがとうございます,柿本でございます。   私は,水野先生の社会的支援の薄い日本にあって,社会的支援をいかに有効に使うかというところ,非常に共感いたしました。そして,具体的に,社会支援が日本ではどういうふうになっているのかというところは,私は不案内でございますので,そこのところは,是非詳しく知りたいと思っております。   そして,落合委員,大石委員からもありましたけれども,やはり年齢で区切るというよりは,全ての子どもから,子どもの意思の尊重ということで,できるだけ進められればよろしいのではないかと思いました。私が勉強会で学んだケースでは,6歳の子どもの意思を上手に聞き出している心理カウンセラーの先生がいらっしゃいましたので,そこは,やはり不可能ではないのではないかと思っております。   それから,子どものベーシックインカム,非常にこれは,明石市長が,明石市の五つの子育て事業,五つの無料化ということでおっしゃっていましたけれども,もう既に行政で行われているところもあるようですので,ここは,私も希望を持ってお話を聞いておりました。 ○大村部会長 ありがとうございます。社会的支援の話は先ほど来出ておりますので,そのことに関する御意見と,それから,年齢についても様々な御意見が出ていますけれども,低い年齢でも意向を聞き取ることができるのではないかという御指摘がありました。3点目は,先ほど落合委員からもお話がありましたが,子どもの金銭的な環境をどう考えるかということですね。ベーシックインカムそのものの当部会での検討はなかなか難しいとは思いますが,金銭の問題を考慮に入れて,検討すべしというお考えとして受け止めさせていただきました。 ○池田委員 弁護士の池田でございます。   この最後のところで恐縮なんですけれども,次回についての提案なんですけれども,石綿幹事や赤石委員からも,家裁の現場で子どもの意見聴取をするというのは,どういう実態で行われているのかという問いがありましたので,やはり最前線でずっと子どもの意見を聴取し,それから,それを尊重するということをやってきている家裁調査官のお話を伺うと,これは委員,幹事間でそのイメージというのが共有できていいのではないかと思いますが,そんな機会を設けることはいかがでしょうか。あわせて,家裁調査官というのは,家裁の立場からの子どもの意見を見るということですけれども,子どもの立場から,私たち弁護士が子どもの手続代理人ということで,子どもの意見表明,それから尊重ということに関与していますので,併せて子どもの手続代理についての経験ある弁護士からのヒアリングというのもしてはどうかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。議論の仕方について,御意見を頂きました。   次回,家裁の状況については,可能であればお話を頂きたいと思っております。その中で,調査官がどうしているかということについて,お話をしていただくということであれば,その中で収まると思いますが,池田さんの御希望はヒアリングしたいということだと理解しました。手続代理人についてもヒアリングをしたいということだったかと思いますけれども,ヒアリングの御希望は,この問題のほかにも出ているかと思います。一回り議論を終わった後で,次の段階に入るときに,どのようなヒアリングが必要なのかということを,それまでの御意見を踏まえて改めて調整させていただくというのが,現実的かと思って伺ったんですけれども,そういう受け止め方でよろしいですか。 ○池田委員 はい。 ○大村部会長 事務当局もそれでよろしいですか。   では,それは検討させていただくということにさせていただきます。   まだ御発言の御希望があるようですけれども,時間も過ぎておりますし,かつ,この資料はまだ終わっておりませんので,今日のところはここで終了させていただき,次回,さらに第1,第2について御発言があれば,それを伺った上で第3の部分に入りたいと考えております。   それから,先ほど少し言及もありましたけれども,次回は,未成年養子制度に関する論点の検討に,可能であれば進みたいと考えております。この点につきまして,従来の経緯を踏まえて,意見交換のための資料を事務当局の方で用意をしていただこうと思っております。   ということで,中途半端で申し訳ありませんけれども,今日はここまでにさせていただきたいと思いますが,次回の議事日程等につきまして,事務当局の方から御説明を頂きたいと思います。 ○北村幹事 事務当局になります。   次回の日程は,令和3年10月19日火曜日,午後1時30分から午後5時30分まで,場所は改めて御連絡いたします。   次回は,今,部会長から御指示ありましたように,部会資料7の残り,第1,第2も含めた残りと,あと未成年養子制度に関する論点の御審議をお願いしたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。10月19日ということで,どうぞよろしくお願いを申し上げます。   それでは,法制審議会家族法制部会の第7回会議をこれで閉会させていただきます。   本日も熱心な御審議を賜りましてありがとうございました。閉会いたします。 −了− - 4 -