法制審議会 仲裁法制部会 第15回会議 議事録 第1 日 時  令和3年11月19日(金) 自 午後1時29分                       至 午後3時33分 第2 場 所  法務省20階 第1会議室 第3 議 題  仲裁法制の見直しに関する諮問について 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○山本部会長 皆さん、こんにちは。それでは、予定した時刻、まだ少し前ですけれども、皆さんおそろいだということですので、法制審議会仲裁法制部会第15回会議を開会いたします。   本日も御多忙の中、御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。   本日は阿部幹事、それから衣斐幹事が御欠席と伺っております。   まず、前回に引き続き本日はウェブ会議の方式を併用して議事を進めたいと思いますので、ウェブ会議に関する注意事項を事務当局からお願いいたします。 ○福田幹事 福田でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。   これまでの会議と同様のお願いとなりますけれども、念のため御案内をさせていただきます。まず、ウェブ会議を通じて参加されている方の映像及び音声を確認させていただきます。私の声が聞こえておりましたら、いつものように手を挙げる機能を使ってお知らせいただけますでしょうか。   ありがとうございます。確認ができましたので、手を下ろしていただいて結構でございます。   それでは、ウェブ会議に関する注意事項を説明させていただきます。ウェブ会議を通じて参加されている皆様につきましては、ハウリングや雑音の混入を防ぐため、御発言される際を除き、マイク機能をオフにしていただきますよう御協力をお願い申し上げます。審議において御発言される場合は、先ほどの手を挙げる機能をお使いください。それを見て部会長から適宜指名がございますので、指名がありましたらマイクをオンにして御発言をお願いいたします。発言が終わりましたら再びマイクをオフにし、同じように手のひらマークをクリックして手を下げるようにしてください。なお、御発言の際は必ずお名前をおっしゃってから御発言されるようお願いいたします。 ○山本部会長 それでは次に、本日の審議に入ります前に配付資料の説明をやはり事務当局からお願いいたします。 ○福田幹事 御説明いたします。本日は部会資料15「仲裁法等の改正に関する論点の補充的検討(8)」を配付させていただいております。資料の内容につきましては、後ほど御説明をさせていただきます。 ○山本部会長 それでは早速、本日の審議に入りたいと思います。まず、今御説明のあった部会資料15につきまして、事務当局から御説明をお願いいたします。 ○鈴木関係官 それでは、鈴木から部会資料15について説明をさせていただきます。   まず、今後の検討の前提となる法制の在り方について説明をさせていただきます。これまでの会議においては、調停による和解合意に執行力を付与する制度を創設することを構想しつつも、その法制の在り方については予断を持たずに御議論を頂いてきました。もっとも今後の検討に当たっては具体的な法制を前提に規律の在り方を議論していただく必要があるものと考え、本部会資料においてその法制についてお示しいたしました。具体的には、「国際性」を有する和解合意については、シンガポール条約の国内担保法としての性格を持つ新法を制定した上、国内の事案について認証紛争解決手続等において成立した和解合意については、ADR法を改正することで執行力を付与し得ることとするとの法制を想定しております。   なお、国内の事案については、認証ADR機関だけではなく、認証を取得していない弁護士会ADRが主宰した手続において成立した和解合意も対象とすべきかという論点がございますが、この論点については次回の会議で取り上げる予定です。今回は弁護士会ADRが主宰した手続において成立した和解合意も対象とし得る趣旨で、「認証紛争解決手続等」と記載させていただきました。   それでは、本日御審議を頂きたい具体的な論点について説明をさせていただきます。本日は、一定の紛争の適用除外について御審議をいただきたく存じます。   まず、消費者紛争に係る和解合意について執行力を付与し得る対象とすべきかという点です。これまでの部会資料においては、シンガポール条約の規律について、消費者と事業者との間における契約に関する紛争、いわゆるBtoC事案を対象外とする規律であるとの理解を前提にしていたところ、シンガポール条約の規律は、双方が消費者である場合の契約に関する紛争、いわゆるCtoC事案も対象外とするものではないかとの御指摘がございました。そのような御指摘を踏まえるなどし、本部会資料では、シンガポール条約の規律はBtoC事案のみならずCtoC事案をも適用除外とする規律であるとの理解を前提に、新法においては、条約の理解と同様、BtoC事案及びCtoC事案を適用除外とすることを提案しております。一方、ADR法においては、我が国のADRの利用の実情等を踏まえ、CtoC事案について適用対象とすることが望ましいと考え、これまでどおりBtoC事案のみを適用除外とすることを提案しております。このような考え方に対して皆様の御意見を頂けますと幸いです。   また、仮に新法とADR法とで消費者紛争に関する適用範囲につき異なる規律を設けるのであれば、新法の適用対象とはならないCtoC事案につき認証紛争解決手続等において「国際性」を有する和解合意が成立した場合に、ADR法の適用により執行力を付与し得る対象とするかという点について検討する必要があります。この点についても皆様のお考えをお聞かせください。   次に、家事紛争に関する和解合意について執行力を付与し得る対象とすべきかという点です。部会資料では、新法は、家事紛争全般に関する和解合意を適用除外とする一方、ADR法では、家事紛争のうち扶養義務等に係る和解合意については適用対象とし、それ以外は適用除外とするとの規律を提案しております。家事紛争に関しては、前回の会議においてヒアリングを実施し、3名の参考人の方から御意見を賜りました。家事紛争は子の福祉の観点等を考慮した慎重な取扱いが必要である紛争類型であることなどの特徴を踏まえ、ADRにおける和解合意に執行力を付与することに慎重な御意見が見られた一方、ADRを利用する当事者層が家庭裁判所を利用する当事者層と重ならないとの実情や、養育費等に関する和解合意に執行力を付与するニーズが高いことについても御紹介を頂きました。ヒアリングの内容も踏まえ、家事紛争に関する適用除外について皆様の御意見を広くお聞かせください。   また、家事紛争も消費者紛争と同様、新法とADR法とでその適用範囲につき異なる規律を設けるのであれば、認証紛争解決手続等において「国際性」のある扶養義務等に係る金銭債権に関する和解合意が成立した場合に、ADR法の適用により執行力を付与し得る対象とするかという点を検討する必要があります。この点についても御意見を賜れますと幸いです。 ○山本部会長 ありがとうございました。   それでは早速、審議に入りたいと思いますが、本日の資料は今御説明がありました、大きく、1、消費者紛争と2、家事紛争に分かれておりますので、これについて区分して御議論を頂きたいと思います。まず、資料2ページ以下、1の消費者紛争に関する論点、これにつきまして、どの点からでもどなたからでも結構ですので、御意見を頂きたいと思います。 ○古田委員 古田でございます。今御説明があった新法の①とADR法の①ですけれども、要するにCtoCを含むかどうかというところで、新法の方が執行力を付与する対象が狭くなるということになります。これは、やはりADR法の場合には調停を主宰する者について法務大臣による認証という手続があるので、CtoCを含めてもそれほど弊害はないだろうと考えられるのに対し、新法の方は調停を主宰する者について特に法務大臣の認証といった要件が課されていないので、そのような場合にまでCtoCを含めるのは躊躇されるという理由に基づくものでしょうか。まず、その点を事務当局に確認したいと思います。 ○山本部会長 それでは、事務当局からお答えをお願いします。 ○福田幹事 福田でございます。これまでの御議論を踏まえますと、国際性のある紛争の和解合意については、一定の額以上の紛争で、それも商事紛争に関する和解合意に執行力を付与するニーズがあるということが前提で議論が進められてきたかと思います。他方、国内のADRの実情を見ますと、そういったもののみならず少額の紛争などもADRの利用があり、国際性を有するもの以上に様々な類型の事案が考えられることから、乙2案という方向性が出てきたものと理解しております。そのような流れを踏まえると、新法につきましてはBtoB事案を対象としつつも、ADR法につきましてはCtoC事案も取り込むと、こういう制度の仕切りができるのではないかと、このように考えているところでございます。 ○古田委員 ありがとうございます。今の御説明を前提にしますと、ADR法に基づく認証を得た認証ADR機関がCtoCの紛争を取り扱う場合に、たまたま当事者の一方か双方が外国に居住する場合には、国際性がありますので新法の①との関係が問題となるわけですけれども、その場合であってもやはり執行力を付与するという方が整合的なのではないかと思います。ですので、資料4ページの中段辺りに書いてあります点、すなわち新法の適用対象とならないCtoC事案について、認証紛争解決手続等において国際性を有する和解合意が成立した場合には、ADR法の適用により執行力を付与し得るという規律の方が合理的なのではないかと考えております。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○吉野委員 今のBtoCとCtoCの関係ですけれども、実は消費者同士の事件なのか、いわゆる消費者と事業者との事件なのかということが曖昧な事件が結構あるのではないかという気がするわけです。そうすると、そのような曖昧な場合、例えばネット販売で行われているもの、これはBtoCもあれば、恐らくCtoCも結構あるのではないかという気がします。それの紛争というのもかなりあるはずなので、それをどう区別していくか、曖昧な場合にどう考えるのか。仮に一方は含む、一方は除外するという立法をした場合に、これは解釈の問題になってしまうのかもしれませんけれども、その辺りについてはどうお考えなのかという質問です。 ○山本部会長 それでは、質問ということですので、事務当局からお願いします。 ○福田幹事 福田でございます。今の点につきましては、確かに個々の事案で分かりにくい事例もひょっとしたら生じ得るかもしれませんけれども、BtoC事案につきましては消費者契約法が適用される可能性が大きい類型かと思います。そういう意味で、これまでの事例の集積等によって、BtoC事案とCtoC事案とは区別が付き得るものと考えてございます。 ○吉野委員 ありがとうございます。 ○山本部会長 ほかに。 ○河井委員 今の点にも関連した点なのですが、今回、事務当局の御提案では新法とADR法で分けて、新法はシンガポール条約の国内実施法であると。そうだとすると、新法の制度目的と、ADR法改正によって得られる認証ADR事業者等の執行力の問題という意味では、双方の制度目的は異にするので、新法ではCtoCは入らないけれども国内ADRにはCtoCが入るということ自体、別にそれほどおかしな話ではなくて、目的も違えば効果も異なるというのは法律の世界ではままあることだと思いますし、現実に国内ADR事業者の事案の中でCtoC事案が多いというのは、広く知られた事実だと思いますので、私は、認証ADR事業者等の和解合意に執行力付与という方向に舵を切るのであれば、CtoC事案も入れていくのが素直な考え方ではないかと思っております。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○垣内幹事 垣内です。ありがとうございます。私も基本的に今回御提案いただいている方向に賛成したいと考えております。まず、新法とADR法の切り分けという点につきましては、基本的には新法はシンガポール条約にパラレルな規律を設けるものという整理をし、それ以外の部分、国内事案が主となりますけれども、それについてはADR法という役割分担を図るということがシンガポール条約との関係での説明でも合理的だと思いますし、法制としても明確で、分かりやすいのではないかと考えております。その上で、ADR法の場合にCtoCを含めるということについては、先ほど直前に河井委員からの御意見もありましたけれども、資料でも御説明がありますように、それはそういう方向でよいのではないかと考えているところです。   他方で、BtoCについてどうかということですけれども、確かにBtoCについて、資料の4ページの一番上の方でも言及がありますように、情報、交渉力の格差、総じて消費者保護の観点が必要であるということは言うまでもないことでありますけれども、例えば、同様の考慮から、消費者と事業者、BtoC紛争について一定の特則を附則で設けている仲裁法の場合でも、将来に生ずる紛争については仲裁合意を解除できるということになっておりますけれども、現に生じている紛争について仲裁を使うということは特に禁止されているわけではないということで、その場合、仲裁判断がされれば当然、執行決定で強制執行もできるということになっていることなども考えますと、理論的にはこちらの制度でも和解合意があって、かつ執行合意もあるということであれば、当該和解の対象として合意が成立している紛争について執行決定の対象とし得るという考え方を採ることも、必ずしもできないわけではないのかなという感じもいたします。   また、消費者ADRのうち、例えば国民生活センターについては、これも部会資料で紹介がありますように、幾つか特別の規律の手当てがされているということではありますけれども、消費者紛争を扱うADRは国センのADRに限られるものではありませんで、国センADRは年間多くて200件程度ということかと思いますが、PIO-NETに出てくる消費者からの相談というのが90万件に上るということを考えますと、その外で処理されるべきBtoC紛争というのも非常に大きな数のものが想定されるであろうということだと思います。   実際には、例えば金融ADRですとか、現在ADRで扱われている紛争で和解が成立した場合には、これは事業者側が任意に履行するということが通常は多いだろうと思われますので、執行力についてどこまで必要なのかといったような議論もあるかもしれませんけれども、それは他の分野の和解でも基本的な状況は同じであって、あえて消費者紛争を除外する積極的な理由にはならないのではないかとも思われます。   また、ODR推進検討会で実施されましたヒアリングにおきましては、国民生活センターからも、消費者から執行力付与についての期待もあるのではないかといった御指摘もあったところでありますので、そのようなことを踏まえますと、BtoC紛争についても含めるという考え方はあり得るのかなと思っております。議論がいろいろおありのところかと思いますので、反対の意見が強いということであれば、それはやむを得ないことかもしれませんけれども、私自身は含めるという方向がよいのではないかと考えるところです。   また、そのことを前提としましたときに、ADR法で特に対象とする、部会資料でもCtoCについては対象とするという御提案になっているわけですけれども、当該紛争が国際性のある場合であっても、そのことをもってあえて対象から除外するという必要はないように思われますので、これは先ほど古田委員がおっしゃったように、それについては含めるという方向がよいのではないかと考えているところです。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○竹下幹事 竹下でございます。御発言の機会を与えていただきありがとうございました。まず、シンガポール条約の解釈について、以前にも発言させていただきましたが、個人的にはやはり、シンガポール条約自体はBtoBを念頭に置いているのかなと考えております。従来の議論で、シンガポール条約がCtoCも対象としているから新法でもCtoCを対象とし得るというロジックがあったかもしれませんが、それが今回の資料では排除されているということで、適切にまとめられていると考えております。   ただ、条約の対象になっていないとしても、国際的なシンガポール条約が対象とするものだけではなく、CtoCも含めて執行力を付与するということは、もちろん日本の立法政策としてはあり得るかと思います。しかし、個人的には、外国との関係の方では、CtoCは対象とすべきでないと考えております。最も懸念されるのは、外国におけるCtoCの紛争解決が実際にどのような形で行われているのかについては、多様性があると思われることです。様々なものが想定され、それについて一律に執行力を付与するというのは、個人的には非常に懸念されます。なので、新法の方でCtoCを外していただいているというのは、立法政策としても私は合理性があると考えております。   他方で、ADR法の方でどうするか、これももちろん立法政策ですが、今私が申し上げさせていただいたことからいたしますと、紛争解決手続、紛争解決機関の一定の定型性が明確に認められるわけでございますので、CtoCについて立法政策として対象とすることは十分にあり得ると考えております。また、今、垣内先生から御発言があった点についてですが、BtoCもADR法との関係では対象とし得るというのは、そのとおりかなと思って伺っていた次第でございます。しかし、国内のADR法の関係については様々な立法政策上の考慮がされなければならないように思われますが、その点は専門外ですので、私がそれほど適切に発言できることではないかもしれません。なので、国内の方について立法政策をどうするかについては、CtoCもBtoCも入れることは十分可能ではないか、どうするかはもう少し立法政策上の考慮を様々検討すべきではないかということだけを発言させていただきます。   なお、最後に、部会資料の4ページのところでこのADR法の方で国際性のあるものが出てきたらどうなるかということが問題提起されておりますが、これは古田先生、垣内先生がおっしゃられたことと繰り返しになってしまいますが、このADR法の認証ADR機関でされたということであれば、それに対して執行力を付与するということは、私の今までの御説明からしても、問題がないという結論になるかと思われます。   以上でございます。長くなって申し訳ありませんでした。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○山田委員 ありがとうございます。山田でございます。私の意見も今までの先生方の御意見とほぼ結論的には同じでございまして、繰り返しをなるべく避ける形で発言をさせていただければと思います。   まず、新法とADR法のすみ分けということにつきましては、特にシンガポール条約の担保というか、それを取り入れるということが非常に明らかになりますので、立法政策としても大変よろしいのではないかと考えております。   それから、BtoC紛争に関して、国内のBtoC事案ということでありますけれども、これも今までお話がありましたとおり、日本で認証機関等を前提としてこの紛争解決を考えるということでありますと、合意内容についての一定の実質的な正当性が認められる前提があるという点で、情報力格差、交渉力格差ということへの対応が一定、できるのではないかと思われます。   また、国民生活センターの紛争解決委員会についても御議論があるところでありますが、これも先ほど垣内幹事も言われたことですけれども、こちらは制度上、重要消費者紛争に限定をするということですので、大体年間200件程度を処理するという制度でありまして、他の多くの消費者紛争について民間型ADRその他の手続で紛争処理をするということがそもそも予定をされているということかと思いますので、この紛争解決委員会の存在が直ちに民間型ADRでの執行力排除ということにはつながらないのではないかと思われます。   また、現行法上、執行証書の作成は特段限定をされていないということとの関係では、これから想定される執行決定のような制度を前提とすれば、一定セーフティネットが設けられているということもいえるのではないかと思われます。   それから、CtoC事案につきましても、これも先ほど来御議論がありましたことに加えまして、オンライン取引による紛争というのは現在、いわゆるプラットフォーム事業者による紛争解決というのもなされているところでありまして、それらと並んで認証紛争解決手続等が紛争解決を実効的に行うという選択肢を消費者に提供するということが、今後はより一層求められていくのではないかと考えるところでございます。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○河井委員 垣内幹事、山田委員からBtoC事案もむしろADR法改正で取り込んでおくべきではないかという貴重な御意見を頂きましたが、私個人としては、BtoC事案、消費者問題については、やはり情報格差、交渉力格差というのが常々指摘されていて、消費者紛争自体が過去数十年来、いろいろ問題が何度となく起こってきたということもあり、やはりセンシティブな問題であるということは間違いないと思っておりまして、国民生活センターのような公権的な組織、あるいは例えば弁護士会の金融ADRでやっているような、手続実施者に金融機関側の経験のある弁護士と消費者問題に携わってきた弁護士を2人組み合わせてやるような、そういう制度的な担保があるADRであれば、特に問題ないのかもしれませんけれども、そうでないところで広く一般にBtoC事案について和解合意に執行力を付与するというのは、それは少し適切ではないのではないかと考えております。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○吉野委員 吉野です。今の河井委員とは逆のことを申し上げたいと思います。   私どもとしては、これまでにもお話しさせていただきましたとおり、民間総合調停センターでは受理している事件のうちおよそ半数近い事件が、申立人が個人、消費者、債権者となり、そして相手方債務者として企業を相手としている、こういう事件が占めているわけであります。年間、この1、2年はともかくとして、これまで200件近い事件を毎年受理しておりますが、その半数近い事件、つまり100件近い事件がそのような事件だということでございます。要するに、消費者が申立人、債権者となっている事件ということ、言わばBtoCというかCtoBとでもいうべき事案が多いということです。逆に、CtoC事件はそれほど多くはない。仮にあっても、債務名義の作成を必要とするような事件はそれほどないということがいえます。したがって、私どもの事件の多数を占める事件について執行力が付与されないということになると、非常に大きな痛手を被るということになります。その点はともかくとして、結局そのような事件に対して、私どもとしては、まず和解あっせん人には消費者問題に明るい弁護士これも2人、中立的な立場、あるいは消費者問題に明るい弁護士、それから、さらには消費生活相談員等、この分野に実績を持っておられる、これまでにも消費者問題に取り組んでおられる方も委員に加えるというようなことを必ずしておりまして、どういう事件にはどういう人を割り当てるかということをルールとして決めているわけです。そういうような、消費者の権利を不当に害しないような配慮をしながら手続進行を図っているということでございます。   それから、今回の資料の4ページには国民生活センターのことがるる述べてございますけれども、私どもとしても運営規則等において当事者に資料の提出を求めるとか、そういうようなことは無論、定めておりません。これは和解あっせん、言わば調停手続についてはいろいろな考え方がございますから、国民生活センターのように法的な判断というものが大前提となって手続を進めるという形はとっていない、言わば事件によって、事案によって柔軟な手続進行を図っていくというようなことから、そこまで定めていないということでありまして、決してルーズな運用をしているということにはならないと考えております。そのような観点から、私どもとしては、先ほど垣内幹事、それから山田委員がおっしゃったように、少なくとも国内案件、ADR法の下において、このBtoC、CtoBというような事案についても執行力の付与というものが必要であると考えております。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○高杉委員 ありがとうございます。まず最初の点、新法におけるCtoC事案の除外については賛成でございます。シンガポール条約の起草過程においても、消費者の除外の文言をウイーン売買条約に準拠したとのことで、CtoCを除外することを前提にしていると思われますので、シンガポール条約に合わせるとすれば、新法でも除外するのがいいのではないかと思います。もちろん新法では政策として適用範囲を広げるという判断も可能ですが、竹下幹事の御指摘どおり、広げる必要はないのではないかと私も思います。   それから、2点目、ADR法の方ですけれども、国際性を有する和解合意が成立した場合に執行力を付与するという点についても賛成でございます。ADR法の方でBtoCを入れることにつきましても、実際上のニーズがあるのであれば、基本的にはその方向性に賛成でございます。CtoCとBtoCを明確に区別することが難しいとの御指摘がありましたが、BtoCも入れればこの問題を回避できるというのも1つの理由でございます。他方で、BtoCを入れた上で国際性を有する事案も入れるとすれば、幾つか問題が出てくるかもしれません。例えば消費者の常居所が外国にある場合に、BtoCでADR認証機関において調停和解合意が成立したときに、その調停和解合意が消費者契約に該当すると解すれば、通則法第11条によって、当該消費者の常居地法上の強行規定等の適用がされて、場合によっては調停和解合意が効力を有しないことになるおそれがあるようなことがあるかもしれません。少し注意を払うことが必要かと思います。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○出井委員 出井です。まず簡単な方から申し上げたいと思いますが、CtoCですけれども、シンガポール条約の実行法である新法ですね、こちらについては多くの方の御意見と同じように、CtoCも含めて、BtoC、CtoC、両方とも適用対象外とすることでよいのではないかと思います。BtoCについては情報力、交渉力の格差という大きな問題があるのですが、CtoCは様々でして、CtoCを新法の対象に入れてもそれほどおかしなことではないかとは思ってはいるので、ここは余りこだわりはありません。ただ、新法はシンガポール条約の国内施行法であるということからすると説明はしやすいのではないかと、その程度です。ADR法の改正で対処する国内のCtoC事案ですが、これも多くの皆さんの御意見と同様で、ここはニーズもありますし、これはやはり対象に入れておくべきではないかと思っております。そうすると、国内ADR法の対象となるものと新法の対象になるものが違ってくるわけですが、河井委員の御説明があったとおり、そこはやむを得ないのではないかと思います。   ここまでがCtoCの話で、難しいのはBtoCです。まず、新法の方は、これはBtoBを念頭に置いているというもので、BtoCは外すということで私はいいと思いますが、ADR法の対象となるもの、つまり、これは次回の議論になるのだと思いますが、乙2案すなわち認証ADR、あるいは乙2案ダッシュですなわち認証ADRとそれを若干広げることがあり得るかという話で、そこで一定の要件がかかっているので、国内の場合はBtoCを入れるという判断もあり得ないわけではないとは思っています。しかし、日弁連内で意見を聴くと、消費者問題に携わっておられる弁護士の方々の間では、消費者紛争についてADRに執行力を与えることには反対であるという割とはっきりした意見が出てきております。これも今まで皆さんから出てきた話と重なるのですが、やはり情報力、交渉力の格差に配慮した公権的な調停が求められるのに、その制度的担保がないではないかと。従って、国民生活センターなど消費者問題に特化したADR機関はよいのですが、あるいは新しい機関を作ってもいいのだと思いますけれども、それ以外のADRについては、弁護士会ADRも認証ADRも含めて、消費者問題を扱っている弁護士の間で、ADRに対するまだ信頼が十分形成されていないというのは、そういう状況であるということです。   そういう状況なので、私自身は消費者紛争にも結構執行力を与えるニーズはあるのではないかと思ってはいるのですが、余り無理をしない方がよいのではないかというのが私の今のところの意見です。これまで御意見を伺っていますと、やはり、特に消費者が債権者となる、金銭債権が多いのでしょうが、債権者となるような和解は、やはりニーズはあるのだと思うのです。ただ、これまでも議論してきたように、片面的に消費者が債権者となる場合にだけ執行力を与えるというようなことが法制的に可能なのか、あるいは、仮に法制的に可能だとしても、そういう状況だと、恐らく執行受諾合意のときに、今度はそもそも和解自体の成立が難しい、あるいは執行受諾合意ができないということになってしまうので、そういう片面的な制度というのも難しいのではないかということを考えますと、ここはやはり慎重に考えた方がよいのではないかというのが私の今のところの意見です。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○今津幹事 幹事の今津です。私は、今回お出しいただいた資料2ページの適用除外に基本的に賛成という立場です。新法に関しては、シンガポール条約が商事紛争を対象にしているということを裏側から書くと、この①のような形に、消費者が一方であり、双方でありというものを両方含むという形の規律で整合するのかなと思いますので、このような書き方でよろしいかと思います。   ADR法についてですけれども、資料にも書いていただいた交渉力の格差ということが懸念されるとすれば、消費者と事業者という場合について除外するということには説得力があるかと思います。ただ、先ほど来御指摘がありますように、実際の紛争では事業者と消費者という形で、さらに消費者が債権者となる形での紛争も少なくないという御指摘を頂いて、そういうことであれば、ニーズとしてはもしかしたらあるのかなと少し意見がゆらいだのですけれども、ただ、直前の出井委員の御発言にもありましたように、これから新しくこういう制度を設けていこうという場面で、どういう使われ方をするのか少し未知数であるという状況では、なるべく控えめなというか、懸念を無視できないと思いましたので、最終的にはこの御提案のような形で、事業者対消費者というのは除外してもやむを得ないかなと思いました。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかにこの消費者の論点、いかがでしょうか。 ○有田委員 有田です。ありがとうございます。私も非常に悩んでいたのですが、この資料を頂いたときは、まあこれで進めてもいいのではないかと思っておりました。いろいろな先生方のお話を伺う中で少し迷いも出ました。今、今津先生がおっしゃったので、気持ちとしてはこの提案でよろしいのではないかと思いました。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   御意見を伺う限りにおいては、CtoCについては基本的にはこの事務当局の原案というか、新法ではそれを含めない一方、ADR法の方はそれも含めると、そして、ADR法においてというか、認証事業者がCtoC事案を扱う場合には、国際性を有するものであっても執行力付与の対象になると、その辺りまでは伺った限りではおおむね御意見の一致があったように思います。最大の問題は、ADR法の方の除外としてBtoCの事案を除外するのかどうかという点においては、賛否両論の御意見が出されたように伺いました。   事務当局の方から、何か確認しておくことはございますか。大丈夫ですか。   それでは、その点は御意見が分かれたように思いますので、事務当局において本日の御意見について精査をしていただいて、それを踏まえて次回以降、また一定の御提案を頂いて、引き続きこの点は議論していくということにしましょう。よろしいでしょうか。   それでは、引き続きまして、部会資料4ページ以下の2、家事紛争の方に移りたいと思います。この家事紛争に関しては前回ヒアリングを実施いたしましたので、そのヒアリングに関する御意見、ヒアリングに基づく御意見でも構いませんし、あるいは、この部会資料の提案についての直接の御意見でも構いません。どの点からでも、どなたからでも結構ですので、御発言を頂ければと思います。 ○垣内幹事 垣内です。ありがとうございます。この家事紛争に関しまして、まず新法の方では、これは除外するということでよろしいのではないかと考えております。ADR法の方で、家事紛争一般は除外することとし、ただし扶養料と申しますか養育費の関係について、こちらは対象に含めるというのが2ページのADR法に関する③の部分の御提案ということになるかと思いますけれども、私はこれについては賛成したいと考えております。以下、3点ほど意見として申し上げたいと思います。   まず1点目ですけれども、今直前に申しましたように、扶養料等については制度の対象とするということでよいのではないかと考えております。その最大の理由は、やはり必要性が高いだろうということでありまして、この部会の資料でも6ページの(4)、20行目以下のところで必要性について説明を頂いておりますけれども、そこにもありますけれども、子の福祉の観点などから履行確保が非常に重要であるということは現在広く認識されてきていることかと思われますし、また、履行が将来にわたって継続していくということが一般ですので、そういう意味でも執行力を容易に付与できるということにするニーズが大きいということがいえようかと思います。したがいまして、扶養料についてこの制度が今後、選択肢として加わるということには大きな意義があると思われるところで、逆に、この道を封じるということは、扶養料等の履行確保を図っていこうとする上では、それに逆行するものではないかと考えているところです。   2点目ですけれども、この点について前回ヒアリングでは特に、黒田参考人あるいは小川参考人から慎重な方向での御意見もいろいろと伺ったところで、そこで懸念される点等についても御説明があったところです。私自身は結論としては導入に賛成という立場ですけれども、そこで指摘された懸念点についても、これは今後、制度が導入されたとすれば、その運用上、十分に配慮していくべきことではないかと考えております。例えば、専門性の確保の点というのが一つ、重要な点として指摘されていたかと思います。これは黒田参考人もそうですけれども、制度については比較的積極的なお立場であったかと理解しましたが、小泉参考人からも、しかし専門性については、これは重要であるという御指摘は同様にあったところかと思います。   この点については、資料でも説明されておりますように、認証ADRということを前提といたしますと、取り扱う紛争との関係で専門性が認められるということは、これはADR法そのものが専門的な知見を活用して紛争の解決を図っていくということを一つの柱としている法制でありますので、それは盛り込まれているということだろうと思います。ただ、実際に認証審査の際にその点について、今回あったような指摘も踏まえて、慎重な審査を行っていくということは必要なのではないかと考えています。私自身もたまたま認証審査参与員として認証審査に関わる立場に現在おりますけれども、前回のヒアリングであったような指摘を踏まえて、家事紛争を扱うという者について十分に専門性があるのかどうかというところは見ていく必要があるのかなという思いを持ったというところです。これが2点目になります。   それから、3点目になりますけれども、仮に今回、この扶養料について執行決定の対象にするということになったといたしましても、これも部会資料の7ページ辺りで説明があるところかと思いますが、養育費の履行確保の問題が全てこれで解決するということでは全くないだろうと考えています。これは、前回のヒアリングですと小川参考人が強調されていた点かと思いますけれども、これが認められることによってこれで解決されたということで、ほかの検討がおざなりになってしまうということでは本末転倒であるという御趣旨の発言もあったかと思います。そこは、仮にこの部会で扶養料について執行力付与の対象とするといたしましても、なお残された問題は大きいと申しますか、完全に解消されているわけでは全くないと理解をしております。   現在、日本で毎年20万件弱の離婚というものがあり、その9割程度は協議離婚という形でされているところで、仮にADR和解で執行力が付与できるということになったとしましても、ADRの現状を見ても、また、今後より積極的に利用されることが期待されるにしても、そこで解決される紛争というのはごく一部にとどまるだろうと考えられるところで、その外側で、協議離婚等で扶養料について取決めがそもそもされない場合も多いかもしれませんが、される場合もあるだろうというときに、そうしたものについてはこの制度の対象とはならないということでありますから、引き続き様々な観点から検討していくべきであるということは言うまでもないことかと理解をしておりますので、その点は直接には本部会の対象ということではないかと思いますけれども、家族法制部会等を含めて今後、多様な観点から検討をしていただく必要があるのではないかと考えております。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○河井委員 河井です。前回3人の専門家の方から御意見を頂戴して、非常にそれぞれ考えさせられました。垣内幹事も御指摘のように、今回の扶養料というか、扶養義務等に関する債権についてニーズが高いということは、私も重々承知しておりますし、それについて何とかしなければいけないという思いも当然持っておりますので、当初は扶養料に関して、執行力を付与するということでよろしいのではないかと思っておりましたが、その後いろいろな方の御意見をお聞きするにつれて少し疑問に思ってきたのが、このADR法でいう認証機関の専門性の認定というのは今どのように行われているのか、どういう判断基準で行われているか、これを少し確認したいと思うのが1点ありまして、加えて、現在、法制審議会のもう一つの部会、家族法制部会での議論状況があると伺っていますけれども、その家族法制部会に先駆けてこの仲裁法制部会でやるということの意義というのか、多分それは社会的ニーズとか、そういうことなのだろうと思うのですけれども、一方の部会で議論していることを、こちらの部会で先に結論を一部先取りするということの実質的意義は何なのか、この2点について、少し事務当局にお聞きしたいと思います。 ○山本部会長 それでは、事務当局の方からお答えを頂けますでしょうか。 ○渡邊関係官 関係官の渡邊です。まず1点目の御質問でございますけれども、ADR法では認証を取得するための要件として法律に定められた基準に適合していることが求められております。この基準の中には御指摘の専門性の確保に関する基準がございまして、民間紛争解決事業者が取り扱おうとしている紛争の範囲に対応して、個々の民間紛争解決手続において和解の仲介を行うのにふさわしい者を手続実施者として選任することができること、それから、その選任の方法が定められていること、こういったことが基準として法定されているところでございます。この和解の仲介を行うのにふさわしい者については、ガイドライン上、和解の仲介を行うために必要な能力及び経験を有し、かつ公平性を疑わせる事情のない者と解されているところでございまして、この能力や経験は紛争の分野、種類、規模によって異なり得るところかと考えられます。   したがいまして、認証の審査の実務におきましては、申請者の取り扱う紛争の範囲を踏まえた上で、申請者において、和解の仲介を行う個々の紛争ごとに、その分野、種類、規模に鑑みて、その解決を図るのにふさわしい必要な能力及び経験を有する者を手続実施者として選任することができるような具体的な仕組みが備わっているかどうか、より具体的に申し上げれば、そのような者を選任することができる実体が備わっているかどうかという実体面、それから、そのような実体を担保する具体的な選任の手順や手続の定めが備わっているかどうかという手続面の両面について審査しておりまして、対応規程がどのようなものになっているか、あるいはそれをどのように運用していこうとされているのか、こういったことを申請者へのヒアリングなどを通じて適合性の審査を行っているところでございます。御懸念の家事紛争の関係につきましても、同じような観点から認証審査を行っているということになります。 ○山本部会長 ありがとうございました。それでは、第2点は福田さんの方から。 ○福田幹事 福田でございます。御指摘の点につきましては、事務当局としては以下のように考えてございます。   まず、家族法制部会というものが別に置かれているのは御承知のとおりかと思いますが、こちらは、離婚後の親子関係や夫婦関係というものについて、大所高所からあらゆる検討を行っている部会でございます。ですので、その中で総合的にパッケージとして取り上げるということはもちろん有意義なことでもあろうかと思いますけれども、そちらの議論がどのぐらいの時間が掛かるのかというところが課題としてあろうかと思います。   片やこちらの仲裁法制部会では、和解合意に執行力を付与するという、このピンポイントの議論を今、行っているわけでして、かつ、河井先生もおっしゃったように、養育費等についての履行確保のニーズというのが非常に高い中で、やはりこれは喫緊の課題だろうと思ってございます。そうしたときに、我々の部会としてもやはりできることがあるのではないだろうかという観点から、この論点について先行してこちらの部会で議論するということは十分あり得るだろうと、こういう考えの下、こちらで取り上げさせていただいたと、こういうふうに考えてございます。 ○河井委員 ありがとうございます。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかに。 ○吉野委員 吉野です。この点は、先ほど皆さん方からも御紹介がありましたが、前回の部会で小泉参考人でしたか、ADRというものが紹介されたわけですが、ただ、あの事例はこの分野におけます言わば優良ADRといったら何ですけれども、中身が結局、比較的裕福な当事者を相手とするADRであって、あのADRが取り扱っている事案を一般化して全ての場面で考えるのはどうかという気がしないでもありません。DV当事者が登場する事案もあります。それから、経済的格差が大きい当事者が登場する事案もあります。そういう事案について、どうなのだろうかという感じがするわけです。   それから、そもそも扶養義務に係る金銭債権と他の金銭債権を区別できるのかという問題もあります。仮に金銭債権だから区別できるとしても、その養育費の支払が面会交流あるいはその他の事項と密接不可分な場合も少なくありません。この点も既にこれまでの部会で意見として出ていたわけでありますが、そういうように他の条項との関連する場面といいますか、そういう条項がある場合に、どのように執行力を付与するのだろうかという問題も出てくるのではないかという気もしております。   それから、この部会資料の中で扶養義務に関しまして、民事執行法151条2が特に定めを置いているということが根拠の一つとして挙げられているかと思いますけれども、ただ、民事執行法は債務名義として既に成立している扶養義務に関する金銭債務について、その執行に関する特則を定めたものにすぎません。したがって、そのような規定が民事執行法に存在していることから、直ちにこのADRの調停、和解合意に執行力を付与する根拠とはならないのではないかと私は考えております。   そういうようなことを考えますと、この問題については私は慎重に取り扱うべきであろうと、決して未来永劫執行力を付与しないということではありませんが、もう少し多角的な検討をした上で結論を出すべきではないだろうかと考えております。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○出井委員 出井です。これも簡単な方から行きますと、まず、新法はシンガポール条約どおり、人事に関する紛争その他、家庭に関する紛争に係る和解合意は対象としなくてよいと思います。   少し先走ってしまいますが、ADR法の③のように一部扶養義務に係る金銭債権の和解合意、これを仮に対象とするのであれば、そこから更に国際調停案件をカーブアウトして例外の例外とするようなことは、私は必要ないのではないかと思います。部会資料にも書かれているとおり、国際的な家事紛争にはそれなりの難しい問題はいろいろあるわけですが、しかし、オンライン調停での和解合意のニーズもあることであり、国際案件だけ執行力を否定するまでのことはないのではないかと思っております。   問題は今、河井委員、それから吉野委員からもあったように、国内、国際を問わず、特に国内ですね、家事、扶養料案件について執行力を与えることを是とするかどうかということであると思います。私も慎重に検討すべきであると思っております。その前提で、前回のヒアリングをお聞きして、幾つか述べたいと思います。   これまでも何人かの方から御指摘があったように、特に小泉参考人からは、利用者のニーズがよく聞けたと思います。それをどこまで一般化できるかという問題はもちろんあるわけですが、しかし確実にニーズはあるということは聞けたのだと思います。公正証書を利用しているということは、このような別の方法で対処できるということもいえるわけですが、やはり執行力付与のニーズは相当、少なくとも無視できないものはあるということです。最後の山本部会長の質問に対するお答えでしたか、公正証書が今後は減るのかどうかという質問だったと思いますが、公正証書と今回の仕組みで導入される執行決定は一長一短で、両方存続することに意味はあるのだと思いますが、小泉さんの見立てでは、相当程度、今まで公正証書でやっていたものがこの執行決定のルートの方に流れていくのではないかということがありましたので、やはり公正証書が現在あるからといって、今回の執行力の付与の制度を入れなくてよいということには、ニーズの面では、ならないのだと思います。それから、小泉さんがおっしゃったことの中に、裁判所に行く家事案件が減るという関係にはないと、つまり、ADRは埋もれてしまう案件を法的解決に吸い上げるというか、そういう意味があるのだということをおっしゃって、それも印象に残りました。   さて、ここまでがニーズの問題なのですが、やはり慎重に検討しなければいけないのは弊害の方面の問題です。黒田参考人からの御説明でもあったように、家事紛争、それから、その中での養育費をめぐる紛争の特殊性は踏まえなければいけないと思っています。養育費をめぐる紛争が、直接の当事者だけでなく子供の利益も考慮しなければならない、専門性が非常に高い分野であるということ、それから、養育費だけを切り離して決めることが相当でない場合も多いという御指摘もありました。それはそのとおりだと思いますし、したがって、民間調停の中で和解合意をする際にはいろいろな慎重な考慮が必要であるということが、十分示されていたと思います。   さて、部会資料の5ページの下の方に、仮に不当執行がされたとしても債務者に生じた損害の回復は比較的容易であることなどを踏まえると、とあるのですが、これは、例えば給与が差し押さえられたような場合を考えると、損害の回復が比較的容易とは私は言い難いのではないかと思います。  しかし、それを踏まえても、果たして今回の制度を導入する弊害がどれほどあるのかということを正にここは慎重に検討しなければいけないのだと思います。黒田参考人からは、例えば、養育費と面会交流を合意した場合に、養育費だけが執行力があって、それで給与が差し押さえられて、しかし面会交流の方は実現の手段がないと、そういう状態になると、一体あの時の合意は何だったのだというか、ADRの仕組み自体に不満がぶつけられると、そのようなことが弊害に関するお答えとしてあったと思います。これは状況としてはよく分かることで、相関係する権利義務の一部だけ取り出して執行力を付与することの問題と一般化できるのだと思います。問題は、この点を果たして弊害と考えるかどうかということですね。この問題は、部会資料にも指摘されていたかと思いますが、執行証書で既にある問題ですし、また、つまるところ当事者への手続の際の説明の問題ではないかという気もします。黒田参考人も、何回か強調されていましたが、説明をしっかりしないといけないということをおっしゃっていたと思います。仮にこういう制度が導入された場合に、各ADR機関、場合によっては認証の基準等で、そこはもう少しはっきりさせておかないといけないかなとは思いました。   そのほか、黒田参考人が弊害として紹介されていたのは、執行証書による執行に関して幾つか弊害事例として指摘されておりました。ただ、それらも恐らく多くは説明不十分、あるいは、執行できると思っていたが執行できなかった、勘違いという言葉も使われていましたが、その類いの問題であるように思います。養育費をめぐる和解自体、慎重に成立させなければならない専門性が高い分野であるということは、恐らくそのとおりであると思いますが、これらが和解に執行力を与えることについての弊害、制度導入を控えるべき弊害になるかどうかというところが問題で、正にここを慎重に議論いただく必要があるかと思います。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○北澤委員 北澤でございます。今の養育費等の扶養義務に関する和解合意に執行力付与の対象を限定するというところにつきましては、前回のヒアリングなどを伺いながら、私もいろいろ考えさせられたところでございます。それを踏まえて少し意見を申し上げたいと思います。   まず、新法の適用除外の部分につきましては、条約どおりということで、私もこれに賛成なのですが、ADR法の適用除外の部分につきましては、いろいろな委員の先生方の御意見や、また、直前の出井委員の御意見なども伺いながら、やはりかなり慎重に判断すべきであろうと考えております。これまでも、養育費等の扶養義務等に限定することによって、同じ離婚に伴う和解合意の中で、金銭債権のうちどれが執行力扶養の対象となるのかの判断が難しくなるのではないかという問題については自分なりに認識しておりました。今回の部会資料の(3)、5ページには、手続実施者への適切な周知等によって対応すべき問題であると書かれていますが、これで本当にクリアできる問題なのかどうかが、まだ多少なりともちゅうちょが残っております。確かにこれまでの部会の議論を伺っておりまして、こういう特定の紛争類型である養育費等の扶養義務に関する金銭債権に関する和解合意に執行力を付与すべきであるという立法事実とかニーズがとても高いということは私自身も認識しているのですが、これを認めることによる問題点、すなわち、金銭債権の境界が不明確であるとか、それから、前回のヒアリングの黒田参考人のお話にもありましたが、離婚合意の中身には養育費等の債権の請求以外に親権者の指定とか面会交流とか、いろいろな合意がある中で、この扶養義務等に係る金銭債権に関する合意だけを切り取って執行力付与の対象としていいのかという点、この部分についてはまだ納得できずにおります。今回の事務局の御説明にもあるように、それは制度を設けないというほどの問題点ではないのではないか、認証紛争解決事業者等が当事者に対して、例えば、扶養義務等に係る金銭債権に関する合意にしか執行力は付与されず、面会交流にはされないという説明をし、それで多くの場合、問題が解消されるのではないかということであれば、そのような問題点よりも養育費等の請求に執行力を付与するニーズの方がはるかに勝るということで、この制度を取り入れるということも考えられるのですが、この方法によって問題伝がなくなるというまでの確信がなかなか持てるに至らず、その辺りはなお慎重であるべきなのではないかとまだ考えているところでございます。   以上でございます。失礼いたしました。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○増見委員 増見でございます。前回、残念ながら私はヒアリングには参加できなかったのですが、後ほど議事録等を読ませていただいて内容は把握したつもりです。しかし、養育費に対する執行力の付与に関連しまして、今、多くの委員の皆様から懸念というか、弊害のリスクというような御指摘がたくさんなされたところではあるのですが、私にはその物事の重要度の比較のバランスがよく分からなくなってきております。シングルマザーの貧困、離婚して経済的に恵まれない状況にある中で、子供を育てなければいけない、多くの場合、女性の方が、養育費の支払が受けられないというのは、もう生存に関わる、非常に深刻な状況です。にもかかわらず、その養育費の支払いに対して執行力が付与されておらず、実際、踏み倒されて払ってもらえない場合が非常に多いというのが社会問題化しているというのが私の認識で、しかも、その前提としては、認証ADRで両者が合意をして、和解をして、支払うと本人も約束したはずなのですけれども、それが履行されない。それに執行力が付与され、履行されるようになって、給与債権を差し押さえられたところで、本来法的に支払う義務を負っており、自分も合意した内容が履行されるということにどれだけのリスクがあるのかというか、それが踏み倒せるという期待値をどうして保護しなければならないのかというのが、少し私には理解が難しいです。養育費の支払を受けられるという権利を保護することの方がはるかに社会的にも重要であると考えましたので、私はこの養育費に対する執行力の付与というのは、様々な御懸念がある中でも非常に重要なことだと思いますので、是非とも実現するべきことだと考えております。御指摘の御懸念に関しては、後からでもほかの手段で救済なり懸念の解消というのが図れるのではないかと思いましたので、その旨、意見として述べさせていただきます。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○山田委員 ありがとうございます。山田でございます。私は結論としましては、この扶養義務等に係る金銭債権については、国内のADR法の改正が見込まれる中で、適用の対象とするべきだという考えを持っております。資料の最後に書かれております、事実上一方当事者が外国にいるなど国際性があるという場合も、日本の認証機関等が実施する際には更なるカーブアウトはしなくてもよいのではないかと考えております。   その理由ですけれども、今、先生方が、この点はもう全員が共通しておられると思いますけれども、この種の債権が子供の福祉あるいはその親の生存権といったことに鑑みて非常に重大な価値であるということ、それから、現行の民事執行法が特別の規定を置いているというのも、債務名義が成立した後のことであるというのは吉野先生がおっしゃるとおりですけれども、しかし、その特別扱いをすべきだということの根底にある価値としては、やはり司法制度全体としてこの履行確保に向けましょうということは一貫しているのではないかと考えます。   また、様々な事件があるので、家庭裁判所以外のところでの和解合意に執行力を付与するのは危険ではないかというお話もございましたけれども、ただ、現況を見ますと、やはり大半の離婚が合意のみで終わっているということも一方であり、他方でDV等の事件もあるということで、非常に様々な事件があり、非常に様々なニーズがあるというのが現状であろうと思われます。そういたしますと、家庭裁判所での手続に回るべき事件というのももちろんありますし、民間のADR、前回の小泉さんがやっていらっしゃるADRのほかにも幾つかの種類のものがあり得ようと思いますので、そういったものの多様な選択肢を当事者に認めて、それぞれがイコールフィッティングのサービス提供をしているので、ニーズに合わせて紛争解決手続が選べますよということを提供するのが現状として望まれることではないかと思います。   また、今、様々御懸念のありました、特に執行力付与を前提とした場合の条項の書き方等という問題でありますけれども、こちらは資料に書かれているとおり、現状でもある問題であると。現状である問題であるということは、法制度が変われば実務はそれに応じて変わっていくということであろうと思われますし、取り分け日本においてはADR手続において重要な点で弁護士の関与ないしは助言措置があるということであれば、このような条項の書き分け、それから、それに伴う問題性等のリスクの説明等ということについては、一定の確度というか、相当な確度をもって期待ができるということではないかと考えております。ですので、手続が変更されるということを前提として、なお宿命的に一定のリスクがあるのかどうかということを考えますと、それらは説明であるとか、あるいは今後、執行力付与に伴い様々な研修や説明のモデル等が開発されていくと思いますけれども、それらによって相当程度カバーされるということになり、それらのリスク軽減と、それからニーズ、あるいは履行確保の価値の強さということを鑑みますと、後者を優先するという判断をしてもよろしいのではないかと考えております。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○有田委員 よろしくお願いいたします。前回のヒアリングに対応してくださった黒田さんが関わっていらっしゃる様なADR機関には執行力を付与してもいいのではないかと考えています。いろいろと不安に感じていた、同様のことを先生方がおっしゃったので、それを伺いながら、頭が整理できました。私は、離婚の原因がDV、また差別的な問題が絡む離婚問題で相談を受けたりしたこともあります。いろいろな問題があるときに合意に至ったとしても、また養育費が本来ならば支払われるべきものでも、そういう支払うだけの余力が、男性になければ、幾ら子の福祉といっても、それはあり得ないわけです。そういうことが成り立つような離婚問題についてADR機関で話し合い合意が得られたものであるところだけでもまずは行うという考え方は、良いのではないかと思いました。   その上でですが、私が心配しているのは、ADR機関で余りそういう離婚や、その事に慣れていない、例えば弁護士の方でも専門分野というのがあると思いますが、執行力を付与して、例えば養育費を払えない状況になっているときに、勤めているところに行き給与の差押えを行うなど、その人の人権や信頼を、失うようなことがあってはならないと思います。勿論、それは払わない方が悪いと言ってしまえばそれまでなのですが、そういうことも全て配慮されるように、例えば異議の申立てなど、何かそういうものがもう一つ用意されるということも必要かと思います。本当に子の福祉は、大前提に考えないといけないと思います。実際に執行力の付与をしても全然問題ないような機関と案件であって、執行力を付与することでスムーズに解決できるのであれば、執行力を付与しても良いと考えます。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○今津幹事 幹事の今津です。新法の方に関しては商事紛争を対象とするという意味で、③の人事に関する紛争等を除くという除外規定は当然のものかなと思っております。   他方でADR法に関してなのですけれども、人事に関するものを除く理由付けがどういうふうに理解されているのかというところが少し気になって、お伺いしていました。例えば、給付が問題となるような局面というのは余り多くないような気もするのですけれども、例えば、子供の引渡しなど扱うようなケースで、このADR法で執行力を付与するというようなことになってくると、それはやはり問題が少し大きいのかなと、そこは家庭裁判所の関与の下で、家事の手続で行った方がいいのではないかと思うのですけれども、他方で金銭に関して処理をするという局面では、現行法の枠内でも執行証書という形で執行力を得ることはできるのであって、必ずしも家庭裁判所、公的な判断の手続をかませているわけではないということを考えますと、積極的にそれを除外していかなければいけない理由付けというのが余り強くはないのかなという気がしておりますので、今回御提案のように、金銭に関する部分については適用除外としないと、つまりADR法でこれから認めていく一般的な執行力付与の枠の中で扱ってもよいのではないかと思っております。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○片山委員 片山です。やはり子の成長に関しては両親ともに対等の責任を負っているわけであります。養育費の未払が社会問題となっている現状で、どちらか一方がそうした責任を放棄して養育費を払わないという問題は放置するべきではないと思います。何らかの事情で払えないという場合に関しては、もう一回ADRで決めた中身をお互い話し合って、また変更すればいいだけの話ですので、執行権を付与するというのはあり得る話かなと思っているところです。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○出井委員 出井です。先ほどの私の発言が、慎重、慎重と何度も言ったので、扶養義務に係る金銭債務を対象に入れることに反対であると受け取られた方もいるかもしれませんが、私はニーズについては積極、弊害についてはニュートラルというのが今のところの意見でございます。先ほど増見委員がおっしゃったことが出発点になるのだと思います。養育費を合意をしても払われない人がいる、その実効性をいかに強化していくかということが、これが国としての大きな課題であると思いますし、弁護士会としてもそこを大きな課題として捉えているわけです。先ほど私の方で部会資料の、不当執行がされたとしても債務者に生じた損害の回復は比較的容易という表現にかみ付きましたけれども、ただ、この裏には、増見委員も御指摘のとおり、養育費が払われないもう一方の親がいるわけですね、やはりそこをよく考えないといけないのだと思います。   もう一度弊害の考え方について整理しておきますけれども、一つは、いろいろ言われている弊害の中で、合意の成立を慎重にやらなければいけない、これはそのとおりだと思いますが、合意が成立したときにそれに執行力を与えること自体の弊害がどうかということで考えないといけないと思っております。それともう一つは、既に現行法上、執行証書という方法があって、それで合意に基づいて執行が行われている、あるいは執行証書が作られているという制度がありますので、今回の執行決定を経る制度というのが、その執行証書で既にある問題に更に何か大きく問題性を加えるものがあるかどうか、そういう観点で考えなければいけないと思っておりまして、その観点で慎重に考えるべきであると、そういう趣旨で申し上げました。ここまでが前半の私の意見の釈明といいますか、補足です。   さて、何人かの方から既に御指摘があったところですが、事務局のまとめた今回の部会資料をお読みして、それから皆さんの御意見をお聞きして、この制度の導入の是非を議論する前提として、あるいは導入した場合の運用上の課題というものを考えるに当たって、現行の認証制度、これは次回の議論になりますが、少なくとも認証ADRは対象になるということだと思いますので、現行の認証制度について確認をしておきたいことがございます。前回、黒田参考人から、家事事件、特に養育費をめぐる紛争については、子供を含め関係者の利益を適切に考慮する必要がある等、高い専門性が要求されるという指摘がありましたし、その辺りのことで、手続実施者に関する認証制度及び運用について、若干法務省にお聞きしたいことがございます。   一つは、法6条2号の範囲に対応して、個々の民間紛争解決手続において和解の仲介を行うのにふさわしい者を手続実施者として選任することができること、ということもお聞きしたかったのですが、これは先ほど河井委員からの質問に対してお答えがあったので、飛ばします。   もう1点、手続実施者の要件としてADR法の6条5号がございまして、手続実施者が弁護士でない場合に、手続の実施に当たって法令の解釈、適用に関し専門的知識を必要とするときに、弁護士の助言を受けられるようにするための措置を定めていること、ということが規定されております。黒田参考人も前回、弁護士の関与を義務付けることなど内容の妥当性を確保するための要件の検討を意見として述べられておりましたので、この6条5号の認証基準の運用について教えていただければと思います。   それから、もう1点、これは質問というか意見だけになるかもしれませんが、前回、黒田参考人、それから小泉参考人も、債務名義に適する和解条項の作成の難しさということを指摘されておりました。執行受諾合意がある和解ということになるかと思いますが、先ほどの6条5号の「法令の解釈適用に関し専門的知識を必要とするとき」というのは正にそういう場合ではないかと思うのですが、これは解釈なので、お答えいただけるかどうか分かりませんけれども、何かコメントがあれば頂きたいと思います。   取りあえず、質問はここまでにしたいと思います。 ○山本部会長 それでは、2点御質問があったかと思いますけれども、これは渡邊さんの方からですかね、お願いします。 ○渡邊関係官 関係官の渡邊です。御質問ありがとうございました。御質問の内容は、認証の基準のうち、いわゆる弁護士助言措置に関わるものと理解しました。  まず1点目の御質問ですが、弁護士助言措置に関する認証審査の運用がどのようなものかということだったかと思います。   この点につきましては、この基準は、手続の公正及び適正を確保するために設けられたものと理解されておりまして、そのような趣旨からしますと、助言を要する場合や事項は、手続実施者の法的能力について、その主観、自己評価に委ねるということは相当ではなくて、取り扱う紛争の分野、種類、規模、それから問題の性質、内容などに応じて客観的に判断されるべきものであると、このような理解に基づいて基準が定められております。したがいまして、認証審査をする上では、申請者の取り扱う紛争の範囲を踏まえました上で、大きく二つの観点から審査を行っています。   まず一つ目ですが、手続実施者において弁護士の助言を受けるべき場合に該当するかどうかを適切に判断することができるような基準あるいは判断の手順が整備されているかどうか、それから、二つ目になりますけれども、弁護士から時機を失することなく助言を受けることができるように、弁護士が助言を求められたときに時機を失することなく対応することができる状態が確保されているかどうか、それから、助言を求められた弁護士が助言を求められた案件に関する資料を閲覧し、又は手続実施者などから当該案件に関する説明を受けるなどして当該案件の内容を十分に理解できるようにするための方法が整備されているかどうか、こういった観点から対応規程が整備されているかどうか、それから運用が実際どのようなものになるのかといった点について、申請者へのヒアリングなどを通じて適合性の審査を行っているということになります。   それから、2点目の御質問ですけれども、制度の有様についてこの部会で御議論いただいているところでございますので、弁護士に求められる法的な専門性がどのように発揮されるべきかというところについては、現時点で確定的なことをお答えするのはなかなか難しいのかなと思っています。ただ、弁護士助言措置に係る現行のガイドライン上では、民間紛争解決手続の実施に当たり法令の解釈、適用に関し専門的知識を必要とするときとは、法律に関する専門的な知識を持たない一般の方が自ら判断することに通常支障がある程度の高度な法律に関する問題が生じて、この問題を解決することがその後の手続の進行を決定するために必要であるときをいうものと解釈を示させていただいているところです。その一例として、例えば和解条項を定めるに当たって適切な条項を立て、又は正確な用語を選択するなど、和解の適正性、相当性を担保する上で高度な法律に関する問題を解決する必要があるとき、このような場面で弁護士の助言が必要であるというような解釈を示しているところでございます。したがいまして、制度導入の暁には、こういったガイドライン上の現在の運用状況も踏まえて検討が加えられることとなるのではないかと考えているところでございます。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○出井委員 ありがとうございました。そうしますと、先ほど山田委員からも御指摘のあったところですが、現在の認証制度の中に手続実施者の専門性であるとか、あるいは弁護士関与については制度上はビルドインされているというふうに伺いました。もし差し支えなければお教えいただきたいのが、認証の要件の遵守はどういうふうに担保されているのか、この点をどこまでお答えいただけるか分かりませんが、分かる限度でお答えいただければと思います。   それから、もう1点、最後ですけれども、認証ADRで家事案件あるいは養育費案件がどれくらい取り扱われているか、あるいは、それを取扱い分野として掲げる認証ADR機関はどれくらいあるのかということを、これも、もし今日分かれば、教えていただければと思います。 ○山本部会長 やはり2点ですが、渡邊関係官からお願いします。 ○渡邊関係官 関係官の渡邊です。2点御質問いただきました。  まず1点目、監督の有様ということかと思いますけれども、簡潔に申し上げますが、認証紛争解決手続の業務の適正な運営を確保するためには、まずはその業務の実態を調査、把握する必要がございますし、その結果を踏まえて法務大臣による監督を通じた是正を図っていく必要があろうかと思います。この監督を実効あらしめるために、現在の制度上では定期的に事業報告書などの提出を求めておりますし、事案によっては報告を求めることができるほか、立入検査、措置勧告、それから措置実施命令、認証の取消し、こういったものが制度として用意されております。   実務的な監督のフローを申し上げますと、提出された事業報告書ほかに、実際に御利用された方、それから関係機関、例えば消費生活センターなどから寄せられた認証紛争解決事業者に関する情報などを端緒といたしまして、認証紛争解決事業者に事実関係の確認を行い、認証の取消し事由があると疑うに足りる相当な理由がある場合には、先ほど申し上げましたような報告を求めたり、あるいは立入検査を実施したりするということが考えられます。   それから、認証の任意的な取消し事由があると疑うに足りる相当な理由がある場合におきましては、その業務の適正な運営を確保するために必要があるときは、必要な措置を執るように勧告をいたしますし、正当な理由がなくその勧告に係る措置を執らないという場合には、その勧告に係る措置を執ることを命令いたします。こうした措置を講じた上でなお改善が見られない場合には、最終的には認証の取消しを行うということになろうかと思います。   実情を御紹介いたしますと、そういった利用者等から寄せられた情報を基に、認証紛争解決事業者に対して報告を求めて立入検査や措置勧告をした事例はございます。この事業者につきましては現在、業務を廃止しておりますので、現在は活動しておりません。   それから、もう1点、養育費等を含む家事案件を取り扱っている認証紛争解決事業者について御質問がありました。先ほど御紹介した事業年度ごとに提出される事業報告書におきましては、紛争の類型ごとの取扱い実績を報告していただいているところでございます。お尋ねのありました家事案件ですとか養育費案件ですが、これは身分(夫婦、親子等)関係紛争その他家事関係紛争という類型で報告されておりまして、最新の令和元年度の件数で申し上げると150件程度ということになります。ただ、この類型の内訳までは報告していただいておりませんので、そのうち養育費案件が占める割合についてまでは把握できておりません。それから、今申し上げた類型の紛争を取り扱っている認証紛争解決事業者でございますが、紛争の取扱い範囲を民事一般としているものも含めまして、おおむね20事業者程度ということでございます。 ○山本部会長 ありがとうございました。出井委員、よろしいですか。 ○出井委員 結構です。ありがとうございました。 ○山本部会長 ありがとうございました。 ○今津幹事 幹事の今津です。度々失礼します。今回の議論を伺っていますと、養育費についてニーズがあるというところから賛成の御意見を頂いている方も多いかと思うのですが、事務当局の御提案としては、執行法の151条2の各号という形で、必ずしも養育費だけを念頭に置くものではない書きぶりになっているところが少し気になっております。今回の議論だと、養育費に関してはニーズが高いのでということで、養育費の部分、子の監護に関する義務のところは正当化できそうなところなのですが、現状では、あるいは事務当局から頂いた資料だけを読むと、ほかの義務については少し説得力が弱いのかなという気がしているのですが、その辺り、私個人としては婚費とか子の監護に関してはいいのかなという気はしているのですが、ただ、民事執行法の151条2の例えば4号の扶養義務の辺りは、もしかしたら必ずしも横並びに考えることは難しいのかなと今、少し気になってまいりました。その辺り、もし委員の先生方、御意見がありましたらお伺いできればと思います。よろしくお願いします。 ○山本部会長 事務当局から何かコメントはありますか。 ○福田幹事 福田でございます。事務当局の現時点での考えということになりますと、今津幹事がおっしゃったように、民事執行法151条の2で定めております金銭債権を一律に今回取り込んではどうかという御提案になります。具体的には夫婦間の協力扶助義務、婚姻費用の分担義務、親子間の問題として子の養育費、それから、監護権者による監護費用の分担義務、こういったものも同じような類型のものとして取り込むことが望ましいのではないかということから、このような提案をさせていただいております。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○高田委員 皆さん御意見述べておられますので、私も一言述べさせていただきたいと思いますが、結論といたしましては、私は現時点では出井委員と同じスタンスでおります。御慎重な意見もあり、かつ懸念も提示されているところでありまして、それらについて丁寧に対応する必要があろうかと思います。ただ、法制度として見た場合には、出井委員もおっしゃいましたように、一旦納得して成立した和解に、かつ裁判所の執行決定を経て執行力を与えるかという問題状況でありますから、そのときの条件は何かということを踏まえて議論すべきであろうし、その際に養育費、法制的な問題があろうかと思いますので扶養義務等になっているのかと思いますけれども、取り分け喫緊の課題である養育費について除外する理由は何かということを問題とすることになるのではないかと思います。繰り返し指摘されておりますように、それ以前に調停機関の適切な和解を確保する方法というものを考えなくてはいけないということで、それがセットになっているというのは御指摘のとおりかと思いますし、その際、認証制度の在り方というのも重要な要素になっているということは、これまた皆さんが前提とされていらっしゃることだと思います。   それとの関係で出てきた懸念と申しますか、他の義務とセットになっているために、という議論ですが、結果として、弊害と申しますと結局、養育費にだけ執行力を与えるということによって和解の成立自体が妨げられないかということを考慮する必要があるという御指摘ではないかと吉野委員の御意見をお聞きしましたけれども、その点は確かに真剣に考える必要があろうかと思いますが、これも出井委員がおっしゃられましたように、現に公正証書で起きている問題ではないかということであり、公正証書の段階では余り顕在化しなかったけれども、今後こうした形でADRが広く使われるようになると問題が生じるかどうかということを丁寧に検討する必要があるということかもしれません。さらに、執行決定の申立てをした段階で紛争が激化するおそれということも懸念されるような気がいたします。父母であれば父母間の関係が悪化することの懸念ということもあり得るかと思います。これも最終的には債権者の判断ということになるのだろうと思いますけれども、この点も含めて調停機関や代理人等の適切なアドバイスが受けられるような環境整備を併せて行うといった考慮も必要なのかなという気がいたします。   そういたしますと、総じて言わば環境整備の問題ということになろうかと思いますので、今回問題となっている、一旦成立した和解に裁判所の執行決定を経て執行するということが望ましくない場合をどう考えるかということに収れんしてよいのではないかという気がいたします。その点から養育費について除外する理由があるかということを考えますと、現時点では必ずしも決定的な阻害要因はないのかなという、出井委員もややその方向でおっしゃったと思いますけれども、そうした結論に達するのかもしれません。   ただ、ポイントは結局、裁判所の執行決定を経て執行することが望ましくない場合、不当執行となる場合ということですので、最終的には裁判所の執行決定の除外事由ですかね、執行拒否事由が扶養料について現在の立て付けで適切かという問いに収れんするのではないかと考えています。この点について懸念が残っているとすれば、やはり慎重に扱わざるを得ないように思います。私もなお考えてみたいという気がいたしますが、もしその点について特に他の紛争類型と殊更異なって扱う理由がないとすれば、かつ、現在の執行証書の取扱いを前提とすれば、除外しないという選択肢にはそれなりに合理性があるということになるのではないかと現時点では感じております。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○吉野委員 これは元々の提案が、民事執行法151条の2第1項各号に掲げる債務に係る金銭債権、こういうことになっているわけですが、151条の2の第1項の各号というのは、これは結構幅広いものを取り上げているのですね。夫婦間の協力義務とか、そういうものも含めて、子供の養育費だけではないですね、そうすると、養育費、養育費といって今、議論を進めてきているわけですけれども、151条の2、1項各号を挙げて、かなり広い金銭債権が登場してくる可能性があると思われるのですが、これをどこまで考えておられるのか、その点はいかがでしょうか。 ○山本部会長 御質問です。先ほどと重なるところもあると思いますが、どうぞ。 ○福田幹事 福田でございます。御承知のとおり、民事執行法151条の2の1項1号から4号まで規律がありまして、それぞれ民法の根拠規定が引用されております。ですので、この規律に当てはまる義務に係る金銭債権は対象になるということになります。先ほども御説明したとおり、全部で4類型ございますけれども、これらの債権に共通している点というのは、やはり一回一回の支払われる定期金の額というのが少額であるということ、それから、債権者の生計維持にとって必要不可欠なものがこれらの4類型なのだろうと理解しておりますので、確かに養育費というところが強調されてきた面はあるわけではございますけれども、この四つの類型について同じような形で履行を確保しようというのがこれまでの制度全体の立て付けだと思いますので、それを踏襲した形で今回もやるべきではないかというのが事務当局の考えになります。 ○吉野委員 そうすると、単に養育費だけの問題ではないという、夫婦の在り方そのもの、離婚する前の夫婦関係においても問題が出てくる可能性が当然あるわけですね。そういうものを含めての金銭債権ということになりますから、やはりどこまでこのニーズがあるのかということは、養育費、子の監護とかいうような観点からだけではなくて、より幅広い検討が必要になるような気がします。そういう意味で、これまでも私どもは慎重に考えるべきであろうということを申し上げましたが、この辺り、私としてはもう少し考えてみたいと思っております。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○有田委員 今の質問に対する御説明であれば、やはりそれほど簡単にこれを認められません。もう少し慎重に考えるべきだと思いました。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○出井委員 出井です。何度も申し訳ありません。先ほど高田委員からも御指摘のあったところですが、これは先ほど申し上げたように、私はまだ弊害についてはニュートラルなのですが、もしこのADR法の③の方向で立法提案をするということであれば、今後の運用というか制度構築に際しての問題として、一言申し上げておきたいと思います。   認証制度、これは次回の議題になるのですかね、認証ADRに付与するかどうかということですが、今までも認証制度自体は現在のADR法を前提にするという議論だったと思うので、一応それを前提に理解しておりますが、先ほど河井委員と私から認証制度の運用に関してお聞きしたところとも関連しますけれども、前回のヒアリングでは、やはり一定の懸念、課題が表明されていたと思います。手続実施者の専門性の問題、手続に際しての説明の問題、それから、黒田参考人からは中立性の問題も指摘されていましたし、あと、債務名義に適した和解条項を作成するという点の難しさの問題などもいろいろ指摘されておりました。これらを踏まえて、もしADR法の③の方向で立法提案するのであれば、現在の認証制度の制度をいじるというわけではなくて運用ですね、運用で見直すべきところがないかどうか、これを検討すべきではないかと私は考えております。   今回、家事紛争扶養義務に係る和解についていろいろ課題とか意見が出てきたわけですが、恐らく問題は家事あるいは扶養義務に係るものには限らない問題、認証制度全般の課題ではないかと思いますので、これは当法制審議会の部会の問題ではないのかもしれませんが、もしその方向で立法提案するのであれば、認証制度の運用の見直しですね、別に現時点でここを変えるべきであるとか、そういうことで申し上げているわけではなくて、変えるかどうかということも含めて、その要否も含めて見直しを検討してはどうかと思いますので、その点、一言意見として述べておきたいと思います。 ○山本部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。おおむね御意見は出尽くしたと見てよろしゅうございましょうか。   ありがとうございました。この点につきまして皆さんの御意見を伺っていて、まず、このゴシックの点で言えば、新法についての③、家庭紛争を除くということについては基本的に御異論はなかったように承りました。ADR法の③も、家庭紛争を除くというのはあれですが、問題は括弧で書かれてあるただし書のところに御議論は集中したかと思います。かなり今日の御議論で深まったのではないかと私自身は思いました。   少なくとも養育費との関係においては、ニーズがあるという意味においてはかなりのコンセンサスが得られたのかと思います。ただ、ここは先ほど来出ているように、151条の2の第1項各号ということになっていて、養育費がもちろん中核になると思いますが、その周りにも含まれたものがありますので、それを含めたニーズはどうなのかというような御意見が出されたと思いますが、大きく言えばニーズについては存在するということが前提であったかと思います。   問題としては、やはり弊害の点をどういうふうに考えるのかということであったかと思います。この点については、この資料に記載されているように、弊害については基本的にはクリアできるのではないかという観点から、この全体の提案について賛成の御意見が一方であったかと思いますが、他方では、様々な弊害についての対応が記載されているわけですが、なお懸念の点が残るという、その点について更に慎重に考えるべきであるという観点からの御意見も提示されていたのではないかと思います。   その要件との関係で言えば、特に認証ADRとの関係においては、その認証の法律上の要件、更にその運用の点においてこの懸念を払拭できるような運用になっているのかどうか、現在の運用については河井委員や出井委員からの御質問に渡邊関係官等からお答えを頂いて、かなりの程度クラリファイされたのではないかと思いますけれども、それで十分か、あるいは、山田委員などからも御指摘がありましたけれども、今後仮にこういう制度になった場合には更にその認証の在り方、運用について考えていくべきところもあるのではないかというような、そういう将来的な進展性も含めてその懸念が払拭できるのかどうかという観点からの御指摘もあったかと思います。さらに、高田委員からは、それを前提にしたときに現在の執行拒絶要件というもので果たして十分なのか、その養育費等については何か別途のことを考える必要はないかどうか精査が必要であるというような御指摘もあったかと思います。   そういうことで、様々な御指摘を頂いて、今日結論を出すということは到底できないと思いますけれども、今のような御指摘でかなり論点は深まったのではないかと思いますので、それを踏まえて事務当局において次の段階の案といいますか、を御検討いただくということになっていくかと思いますが、事務当局は何か確認すべき点は。大丈夫ですか。   それでは、本日御議論いただくことを予定していた点は以上ですけれども、何かこの際、御発言いただくところはありますでしょうか。大丈夫でしょうか。   それでは、本日の審議は、少し予定より早いですけれども、それは非常に結構なことだと思いますので、この程度にさせていただければと思います。   最後に、次回議事日程等につきまして事務当局から御説明を頂きます。 ○福田幹事 福田でございます。本日もどうもありがとうございました。次回の日程ですけれども、本年12月23日木曜日、午後1時30分からを予定しております。年末押し迫った時期ではございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。   次回の会議では、今日の議論を踏まえまして、調停に関する論点を全体的な形で取り上げて御議論いただきたいと考えてございます。 ○山本部会長 そういうことですので、次回は通常の曜日とは違う、クリスマスを避けるということなのかどうか分かりませんけれども、木曜日ということになりますので、御注意を頂ければと思います。   それでは、これをもちまして法制審議会仲裁法制部会第15回会議を閉会させていただきます。   本日も熱心な御審議を頂きまして、誠にありがとうございました。 -了-