法制審議会 戸籍法部会 第2回会議 議事録 第1 日 時  令和4年1月13日(木) 自 午後1時30分                      至 午後5時21分 第2 場 所  東京地方検察庁1502号会議室 第3 議 題  中間試案の取りまとめに向けた議論のためのたたき台 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○窪田部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会戸籍法部会の第2回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。   まず、事務当局から本日を含めたこの部会の開催方法等についての御説明をしていただきます。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。今回もウェブ参加併用の形で行わせていただいておりますので、前回までと同様、御注意いただきたい点として2点、申し上げます。まず、御発言中に音声に大きな乱れが生じた場合につきましては、こちらの方で指摘をさせていただきますので、それを踏まえて適宜御対応いただければと存じます。また、発言をされる委員、幹事の皆様におかれましては、冒頭に必ずお名前を名のってから御発言を頂きますよう、よろしくお願いいたします。   休憩時間の入れ方につきましては、2時間程度をめどに15分程度の休憩を1回入れさせていただきたいと考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   本日の会議ですが、大谷委員が遅れて参加されるということ、衣斐幹事が御欠席であるということを伺っております。   続きまして、本日の審議に入ります前に、配布資料等の確認をさせていただきたいと思います。事務当局からお願いします。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。お手元に配布資料目録と議事次第をお送りしております。また、事前に部会資料2をお送りさせていただいております。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、これより審議に入りたいと思います。   本日は中間試案の取りまとめに向けた議論のためのたたき台について議論をいたします。本日の議論の進め方ですが、「はじめに」というところ、それから第1の1、そして2、と逐次区切って議論を進めていきたいと思います。   それでは、まず、「はじめに」について事務当局から御説明をお願いいたします。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。戸籍法部会資料2の1ページ目の「はじめに」のところを御覧ください。氏名の読み仮名の登録・公証が必要な理由につきましては、部会資料1、前回の資料が、(注)で記載しておりましたが、第1回会議における議論を踏まえて、独立した項目として記載しております。また、第1回会議における御意見等を踏まえ、(1)について、国民の利便性の向上に資するという点を追加し、(2)について、他人から自己の氏名を正確に呼称される権利・利益の保護に資するという点を追加するとともに、氏名の読み仮名を法制化する必要性が高まった背景を記載しております。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、ここで区切って議論を進めていきたいと思いますが、ただいま事務当局から御説明があった点について、何か御質問あるいは御意見等はございますでしょうか。 ○舩木委員 ありがとうございます。まず、「はじめに」の今回整理されている内容のところなのですけれども、前回の議論でも、やはり自分の氏名を正確に呼称される権利、あるいはそういうことの登録、公証というものが意義があるのだというようなところが必要性のところでは強調されていたのではないかと思っているのですけれども、この(1)、(2)、(3)の順番についてなのですけれども、(2)の最初の前文、行政機関等が正確に氏名を呼称するうんぬんというのがあって、その権利・利益の保護に資する上というのを、資するというところまでと、その後の(3)の書いてあるところがまず最初に記載されて、その後(2)として、手続の円滑さとか、あるいは不正防止を補完するとか、そういう書き方の順番の方が、今回パブコメとかそういうものを付そうとした場合に、反発が少なくなるのではないかという思いがしております。そういう点で、前回の議事録では、例えば人格権とか、そういうような説明もございましたけれども、そこまで書くと、また少し言いすぎという部分も出るかも分かりませんが、少なくともこの、自らの呼称される権利というようなものを最初に強調した方がいいのではないかと思っておりますので、その点、意見を言わせていただきました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。ただいまの御意見に関連して、何か御発言はございますでしょうか。 ○藤原委員 藤原です。私も舩木委員と同意見でございまして、やはり(1)は、突き詰めれば行政手続の利便性ということになるのですけれども、そういうことを最初に持ってくると、やはり反発があって、そもそも個人がきちんと呼ばれるということを人格の一つとしてということなので、そこを一番に持ってきた方がやはり理解されやすいし、国民側としてもなじみやすいのではないかと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。舩木委員の御発言をサポートする形で、ただいま藤原委員から御発言を頂きました。   確認なのですが、舩木委員の御発言は、恐らく二つのポイントがあったのかなと思っております。一つは順番の問題として、氏名を正確に呼称される権利、そして名前の公証といったようなもの、今の(2)の一部と(3)を前に持ってくるということと、恐らく、(2)のうち他人から自己の氏名を正確に呼称される権利・利益といったものは行政機関との関係だけで問題となるわけではなくて、一般的なものということになりますので、行政機関との関係でこれを位置付けておくだけだと必ずしも明確ではないという御趣旨も含んでいたのだと思いますが、舩木委員、そのような理解でよろしいでしょうか。 ○舩木委員 はい、ありがとうございます。部会長の補足のとおりだと思います。 ○窪田部会長 それでは、この点について事務当局、何かございますか。 ○土手幹事 特に御異論がないようであれば、そのような形で次回資料を作成したいと思っております。 ○窪田部会長 その方が多分、分かりやすいだろうと思いますので、お願いしたいと思います。   それでは、ほかに「はじめに」の部分で、ございますでしょうか。 ○小幡委員 すみません、今の話で賛成だということを申し上げたいと思ったので。特に、やはり(2)番のところの最初の、行政機関が正確に氏名を呼称することが可能となる場面が多くなることによってという部分は退いて、むしろ、本人がきちんと自分の氏名を呼称される権利を1番に出す、その後(3)番が来て、最後に情報システムにおける行政手続の便宜ということになると思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。それでは、正しくその方向で検討するということで事務当局にお願いしたいと思います。   ほかに御発言はありますでしょうか。 ○舩木委員 度々すみません。もう一つ、今の「はじめに」のところで、1ページの一番最後のところなのですけれども、本資料では暫定的に読み仮名と表記するとしているのですけれども、読み方にした方が基本的にいいのではないかと、本来ここで、読み仮名というと、やはり文字との接続性が非常に密接になるし、読み方というと音声と結び付くもので、実際には読み方の方が今回の運用としては適切なのではないかという意見もあったと思いますが、私もそうしたいと思って意見を言わせていただきました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。この点はいろいろな委員の方、幹事の方の御感触も聴いてみたいと思うのですが、ほかの方はどんな感じでしょうか。絶対的にこれだという決め手はなかなかないのではないかと思いますが、できるだけ多くの方が自然に受け止められるものを使ったらいいのだろうと思います。 ○若月委員 若月です。私も読み方というのが一番すんなり来ると思いました。読み仮名というと仮名とか平仮名とか思ってしまうので、何かもっと中立的な感じのする読み方というのが一番すとんと落ちるように思いました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   ほかの方からももし伺えればと思いますが。いかがでしょうか。   それでは、これについては事務当局の方で検討してもらうということにして、今ここで多数決で決めるようなことではないだろうと思いますし、幾つか事前に少し伺っていた議論の中では、片仮名と平仮名をどうするかとかといった問題にも少し絡む部分があるかもしれませんので、そうした点を踏まえて次回までに検討してもらうということにさせていただければと思います。   「はじめに」の部分、ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、必要があれば後で戻ってくるということにして、次に進めていきたいと思います。   なお、一つ確認しておきたいのは、これは中間試案という形で、最終的には答申の形になるわけですが、その答申として出てくるものは基本的にはこのゴシックの部分だけです。それ以外の部分を合わせたものを補足説明という形にするかと思います。中間試案の段階でも同じように、中間試案はゴシック体の部分だけですね。それ以外の明朝体の部分というのは補足説明という形で掲載し、パブコメに付することになります。もちろん補足説明の方についても御意見を伺うということになるのですが、一応そういう枠組みの中で、「はじめに」の部分は、実はこれは補足説明の方にだけ出てくるということになろうかと思います。   それでは、次に第1、氏名の読み仮名、これは少し議論が残っているところですが、氏名の読み仮名の戸籍の記載事項化に関する事項ということで、その「1 戸籍の記載事項としての名称」の部分について、事務当局の方でお願いしたいと思います。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。部会資料2ページの第1の1を御覧ください。今、窪田部会長からも少し御説明がありましたけれども、部会資料の2ページ以降の構成等について御説明を申し上げます。部会資料1ページの冒頭に(注)として記載しておりますけれども、中間試案のたたき台を本文として太字で示し、ゴシックですね、続いて補足説明を記載しております。なお、本文のうち、6ページなど複数の考え方がある部分につきましては、これを表現するため、ブラケット、隅付き括弧というものですけれども、ブラケットを付しております。   では、第1の「1 戸籍の記載事項としての名称」について御説明申し上げます。本文の内容につきましては部会資料1からの変更はございません。補足説明には本文、甲案、乙案、それぞれについて、第1回会議における御意見等を記載しております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは、ここでは甲案、乙案、いずれも比較的簡単なものといいますか、簡潔にまとめられたものということになりますが、この点を含めて、まず御質問、御意見を伺えればと思います。 ○若月委員 若月です。単純な質問なのですけれども、よくこういう戸籍の書類などを出すときに、名前欄に、振り仮名と書いてある。その際、片仮名で書くのかな、平仮名で書くのかなといつも迷っていたのですけれども、あるときに「ふりがな」と平仮名で書いてあれば平仮名で振るし、片仮名で書いてあれば片仮名で振るのですよと聞いて、ああ、そういうものなのかと思ったのですけれども、今ここで平仮名、片仮名でかんかんがくがく言っているぐらいだから、それは明確なルールではないけれども、今までそういう運用にされていたと考えればよろしいのでしょうか。 ○窪田部会長 その点については事務当局からお願いいたします。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。若月先生のおっしゃるとおりでございまして、特に明確なルールはなくて、俗なものでは、片仮名で「フリガナ」と書いてあると片仮名で書くのだ、平仮名だと平仮名だというようなことで、そういうのが一部で流布といいますか、そういう常識がされていて、私もその常識に従って、書くときには書いておるのですけれども、特にそういったものが、少なくとも法令に規定されているものはありませんので、ましてや戸籍の届書は、これは通達でその様式のところに「よみかた」という形で書いてありますので、特段、平仮名で書け、片仮名で書けというところまでは書いていないというのが実情でございます。要は規律がないというのが実情でございます。 ○若月委員 では、「ふりがな」と平仮名で書いてあっても、片仮名で書いても間違いとは言われないということですね。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。そういうことでございます。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。片仮名でも平仮名でもどちらでもいいだろうなという感じがある一方で、恐らく、よりどちらが一般的なのかといったようなこと、それから、全く同じだといいのですけれども、長音などの扱いについて、多分、平仮名では「ー」を使ってというのはないかと思いますので、そうしたことを含めた上で、どうするのがよいのかということなのだろうと思います。また、この場面では、どちらでもというのもあり得るのだろうと思いますけれども、基本的には読み仮名として何をデータとして登録するのかということにも関わってくるのかと思いますが。 ○笹原委員 今、長音についてのお話がありました。資料の3番のところにも記述があるものです。私も研究会のところで確か、長音記号は片仮名の中でよく使われるが、平仮名のなかだと抵抗感があると言われることが多いという指摘をいたしましたけれども、先日、文化審議会から公用文作成の考え方という建議が公に示されたところでありまして、そちらを見ると、平仮名においても長音記号を使って書いてよいというようなことが明示されておりましたので、3番の懸念については、この長音符については大分軽減されるかなと感じております。「ヴ」は英語のVの音に使うというような慣習もあるわけですが、それもJIS漢字の第3、第4水準まで使えば平仮名に置き換えられるので、そういう点ではいろいろな条件が平仮名、片仮名でお互いに近付いたかと感じております。 ○窪田部会長 ありがとうございます。笹原委員に少し教えていただきたいのですが、小さな仮名を使うものについても、平仮名と片仮名では特に違いはないということでよろしいでしょうか。 ○笹原委員 そうですね、きゃ、きゅ、きょ、みたいな音であるとか、あと、くゎとかの小さな「ゎ」ですね、そういうものはJIS漢字では平仮名でも片仮名でも同様に使え、字の種類としては互換性のようなものがあるといえると思います。小さな「ぁぃぅぇぉ」についても、字の種類としてはJIS漢字では置き替えが可能だと考えられているはずです。 ○窪田部会長 分かりました。ありがとうございます。多分、その点が結構いろいろな意味で大事なのかなと思ったのですが、今の笹原先生の御説明で、余り違いがないということであれば、それを前提にして考えていくということもできるのだろうと思います。 ○冨田委員 ありがとうございます。冨田でございます。前回のこの会議の際にも申し上げたのですが、補足にありますとおり、全部平仮名、全部片仮名というようなお名前をお持ちの方のことを考えると、どちらかに絞るというのではなく、どちらもありうるという案なども改めて御検討いただけると有り難いと思います。ただ、一方でデータ量の問題があることも承知しておりますので、その辺りも含めて御検討いただければと思います。   そのことと関連して、先ほど「はじめに」のところで部会長から、読み仮名なのか、読み方でもいいのではないかという御意見があったと思うのですが、後に出てきます、多分収集のところでは、便宜上平仮名を付すことが後ろに書かれているのですが、これだとやはり平仮名に誘導している形にも見えますので、「はじめに」のところから「よみかた」という形で読み方が付される方が、先入観を与えずにパブリック・コメントなどを頂けるのではないかと思いましたので、改めて意見として申し上げておきたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございます。ただいまの点は、恐らくほかの部分でどういうふうに書くのかという点にも関わりますので、その点、事務当局の方で全体について見直していただければと思っています。 ○鷲崎幹事 ありがとうございます。今回、この点について一応3点、簡潔に申し上げますと、1点は、先ほど正に部会長からありましたように、つまり平仮名、片仮名というのは実は余り意識されていないというところは賛同いたします。実際、私自身、マイナンバーカードの更新手続をした際に、同じ手続で二度、申請書を書く必要がなぜかあったのですが、それはともかくとしまして、最初に平仮名で書いて、続いて片仮名で書くという、同じ手続で違う書き方をするということがありまして、それは少し不思議な気もしたのですけれども、誰も不思議と気が付かないほど、恐らく、つまりどちらでも自然に私たちは求められるがままに書くことができていると解釈いたしました。つまり、どちらでも恐らく現実には問題ないのだろうと思います。   2点目は、その中で、私は情報システムが専門ですので、その観点としましては、大事なことは、マスターデータとしましては、やはり一つの形で登録しておくことが、誤りなどなくて、恐らく好ましいだろうと思います。つまり、平仮名若しくは片仮名でデータとしては登録しておくと。ただ、その上で平仮名と片仮名の間の変換は、これは非常に容易でありまして、計算機上では基本的には固定された数字を加算するか減算するかという、それだけで片仮名から平仮名、平仮名から片仮名への変換は非常に容易にできますので、用途などに応じて見せ方を変えるといったことは実際の運用では、主にアプリケーションにおいて、あると思います。ただ、マスターデータをどちらかにすると、それをそのまま使うというケースが9割方多いのだろうと思いますけれども、目的があれば変換して使う、例えば検索しやすい方に変えるとかいったことは容易であるということです。   最後、3点目は、これは先ほど笹原委員からもあったと思いますけれども、長音記号につきまして、これは片仮名にあるわけですけれども、ただ、戸籍のそもそもの文字としては長音記号も子の名前に直前の音を延引する場合に限って使うことができると承知しております。ですから、戸籍の文字としてはそもそも一応、使うことが今、認められていると、制限付きとは解釈していますけれども、というところは、まず、あるのだろうと思います。さらに、笹原委員からも既にありましたように、世の中としましても平仮名の中で長音記号を混ぜて使うということは割とごく、世の中としてはあることと思われまして、実際に非常に、例としては、例えばエクセルで平仮名、片仮名変換ができるのですけれども、長音記号は実は平仮名にしましてもそのまま長音記号が出てくるという具合です。ということで、どちらでもよいと思いますし、例えば、マスターデータを仮に片仮名にしたとして、それも長音記号としてはそのまま、必要に応じて平仮名に変換する場合も、そのままそれを出力するということは現実にあり得るだろうと思いました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。今、鷲崎幹事からもお話がありましたけれども、恐らく平仮名か片仮名かという問題は、登録等のときに書いてもらうのを、平仮名なのか、片仮名なのかというレベルの話と、最終的にデータとして登録されたときにどういう形で登録されるのかという点があるかと思います。統一しないというのもあるのだろうと思いますが、一般的に考えると、データの種類としては統一したものを使ってということになるのではないかと思います。その点の御指摘を頂いた上で、ただし、マスターデータとして、例えば片仮名あるいは平仮名にしたとしても、両者の変換というのはごく簡単なのでという技術的な点も御指摘いただいたものと思います。 ○舩木委員 ありがとうございます。まず、今回の、戸籍の記載事項として平仮名あるいは片仮名としてどちらかに特定する必要性というのがどこまであるのか、要するに、戸籍法の段階では氏名の読み方を表記したものとかいう記載にして、規則として、それを戸籍のところでは片仮名にするとか平仮名にするという方が運用上、やりやすくないかという点が少し気になりました。ただ、どちらにしても規則ではっきりさせるということだから、法ではっきりした方がいいのだと言われれば、それはそうかも分からないと思っていますが、その辺について、法律でした方がいいというのが特にあるのかどうかという点が少し、あれば教えていただきたいというのが1点。   そして、二つ目は、この読み仮名を公証するという場合に、確かに戸籍の記載として公証しているわけですけれども、それ以外に、やはりマイナンバーカードに読み方を記載するのかどうか、それを記載するという制度になった方が公証するという運用になると思っているのですけれども、そういう、マイナンバーカードに読み方を記載する予定があるのか、要するにローマ字表記ではなくて、平仮名あるいは片仮名で記載するという予定があるのでしょうか。といいますのは、今、健康保険証とか運転免許証もマイナンバーカードで使えるようにするという運用をしようとして、健康保険証は既になっていますけれども、健康保険証には読み仮名、読み方がきちんと振ってあるわけですね。それで、病院のところの受付では患者さんの名前、診療番号で仮に返事がなかったら読み仮名で問合せをするとか、そういう運用がなされているわけだけれども、マイナンバーカードに読み方とかいうのが記載されていなかったら、逆に不便になってしまうと思っているのですけれども、その辺の予定がどうなのかというのがもし分かれば教えていただきたいと思っています。そして、マイナンバーカードにそれを付すのであれば、今度は在日外国人であったり、そういう海外の片仮名の名前というのが結構増えると思いますので、そういうことになると片仮名の表記の方がいいのかなという気もしております。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。2点御質問いただきましたが、最初の方の、いずれかに特定する必要があるのか、特に戸籍法のレベルでそれを決めなければいけないのかという点については、事務当局から御説明をお願いします。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。戸籍法のところで必ずしも法律に規定しなければ何か問題になるというところは、現時点で思い付くところはないので、恐らくないのではないかと、先生が言われるように、法律のレベルから省令の方に落としてということも理論上はあり得るのではないかと思います。ただ、ほかの法律などが、もし引っ張ってくるときに不都合があるとかということが、もしかしたらあるのかもしれませんけれども、戸籍単体で見たときには特段の問題がないのではないかというのが現時点での考えでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。それから、第2点目の御質問、読み仮名を公証するという観点からするとマイナンバーカードにも記載するのかという、これは予定も含めてということなのだろうと思います。総務省かデジタル庁の方でこの点、何か御説明を頂けることがございますでしょうか。 ○長谷川幹事 幹事の総務省の住民制度課長の長谷川と申します。マイナンバーカードにつきましては、端的に言いますと、マイナンバーカードの利用といいますか、それについては企画に関してはデジタル庁、交付に関しては我々総務省の所管ということにはなっております。その上で申し上げますと、今御指摘がありましたように、マイナンバーカードにローマ字の表記を入れるというようなことは政府の方針としてあるわけでございますけれども、読み方、読み仮名、これをどうするかということについては、現在のところ何か定まった方針があるというわけではございません。 ○窪田部会長 ありがとうございました。ただいま法務省、それから総務省からお答えを頂きましたが、舩木委員、今お答えを頂いた部分について、何かございますでしょうか。 ○舩木委員 やはりマイナンバーカードに付するのは、ローマ字の表記を付する必要性というよりも、圧倒的に平仮名あるいは片仮名のローマ字を表記する方がその必要性は高いし、意味があると思っていますので、是非積極的に検討していただきたいというのは意見として述べたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは、ほかに第1の1の部分、ございますでしょうか。 ○藤原委員 藤原です。ありがとうございます。まず、甲案、乙案を中間試案として出すことには特段、異議はありません。それを前提として、乙案について確か前回、西委員から国際化の視点からの御意見があったと思うのですけれども、1ページにはその点が書かれているのですけれども、私は国際化等の視点から見ると片仮名、乙案の方にそういう説明があってもいいのかなと思っております。それで、私の依頼者なんかも、日本国籍なのですけれども片仮名で名が書かれている方がいらっしゃると。そういう場合、その方が届け出る場合に、それを平仮名で届けることと片仮名で届けることで、平仮名で届けることについて何か違和感があるのではないかと思うのです。逆に、私の名前を片仮名で届けても平仮名で書いても余り違和感がないということが、少し留意する必要があるのではないかと思います。両方選択というのは、やはりデータ利用の関係がございますので、どちらかにした方がいいかなと思っています。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   かなりいろいろな意見が出てきておりますけれども、恐らく、今出ている意見というのを基にすると、甲案、乙案という対立軸とは少し別の形でのものもあるのかなという気もしました。 ○村林委員 村林でございます。先ほどのマイナンバーカードへの読み仮名の表記の問題についてなのですけれども、前文のところで、先ほどの不正防止を補完することが可能となるというのが入っていると思うのですけれども、この不正防止を補完するためには、本人確認をする書類の中に入っていないと不正防止をするには非常に面倒くさい、実用的ではないと思いますので、法制度の問題ではないかと思いますけれども、不正防止というのも目的にするのであれば、本人確認資料の中で表記されないと意味がなくなるのかなということを感じましたので、御意見とさせていただきます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。今の第1の部分というよりは、マイナンバーカードのような形で、そうした本人確認の書類のところに振り仮名、読み仮名、そうしたものが記載されないと、不正防止とか、あるいは公証という部分についての役割が十分に果たせないのではないかという御指摘として、御意見ということで受け取らせていただきたいと思います。   いかがでしょうか。第1の1の部分に関して、今までも出てきたことなのですが、説明の中で、申請等の段階で平仮名にするのか、片仮名にするのかという問題と、マスターデータとして登録する際に何を使うのかという問題、少なくとも二つの問題があるのだろうと思いますが、そのどちらの話をしているのだということがうまく伝わらないと、甲案、乙案というのは水掛け論になってしまいそうですので、その点は少し工夫していただくということで、お願いできますでしょうか。   それでは、必要があれば戻るとして、第1の「2 戸籍の記載事項に関する規定の見直し」ということで、事務当局から御説明をお願いします。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。部会資料2ページの第1の「2 戸籍の記載事項に関する規定の見直し」を御覧ください。   こちらも本文の内容につきましては、部会資料1からの変更はございません。また、3ページの補足説明1に本文甲案の問題点を記載しております。具体的には、戸籍法107条に規定する氏又は107条の2に規定する名に読み仮名が含まれるのではないかとの疑義を払拭することができないとも考えられること、戸籍法以外の各種法令の規定において氏名に氏名の読み仮名が含まれるのか疑義が生じないように何らかの手当てをする必要があることなどでございます。   なお、第1の2につきましては、甲案を採用すべき特段の理由はないため、本日の審議において御異論がないようでしたら、次回の資料からは乙案のみとして、甲案については補足説明で触れるという形にしてはどうかと考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ただいまの事務当局からの御説明について、御質問、御意見等はございますでしょうか。 ○畑委員 畑でございます。今の御説明そのものではないのですが、2の部分に関してということで、よろしいでしょうか。   資料でいうと3ページの補足説明の1の甲案の後半の部分、第2段落なのですが、これは後の話に関わりがあると思うのですが、氏名等の変更について、家庭裁判所の許可を求める申立ては、氏又は名とこれらの読み仮名とのセットでする必要はないとなっています。氏又は名の変更の許可を得た後、届出の際に新たな読み仮名の届出をすれば足りるということで、こういう仕組み方もあるのかなと思いますけれども、わざわざ家庭裁判所に行って変更の許可という手続をとるということを考えれば、氏名と読み仮名をセットで変更の許可の対象にするという制度設計もあり得るかなという気がいたしましたので、一言申し上げさせていただきます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。ただいまの部分は補足説明の中で書かれていることではあるのですけれども、ここに書かれている以外の制度設計もあるのではないかということで、乙案のような形で、別のものだとしても一緒に手続をするということが考えられるということも含んだ御意見だったと思います。これは事務当局、何かございますか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。当然そういう制度設計もあると思います。いずれにしても、そこのところが明確にならないと、裁判所での審査の内容が不明確、できるのか、できないのか、どの範囲までというのがあるので、明確にする必要はあると思いますけれども、畑委員がおっしゃるとおり、必ずセットでする必要はなく、という制度設計にしなければならない必然性はないように今、考えております。 ○窪田部会長 では、それを踏まえて少し補足説明の書き方も検討していただく必要があるかもしれません。   ほかにいかがでしょうか。先ほどの土手さんからの御説明の中では、特に異論がないようであれば、もう甲案、乙案と並べるのではなく、次回の資料からは乙案だけを示す形でという御提案もありましたけれども、その点についても御意見を伺えればと思います。 ○常岡委員 常岡です。私もその案でよろしいのではないかと考えています。前回も少し申し上げましたけれども、飽くまで戸籍法上に読み方を付けるというのが今回の改正の目的であって、それ以上の民法等の氏等に影響を与えるものではないという趣旨と理解していますので、その点を明確にする意味でも、乙案ということで提示することを基本でよいのではないかと私としては考えています。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   ほかは御意見ございませんでしょうか。特にこの点は、なければもう、先ほど御提案があったような形で、甲案を外して資料を作るということでお願いしたいと思います。   それでは、続きまして、第1の「3 氏名の読み仮名の許容性」ということになりますが、この部分について事務当局から御説明をお願いします。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。部会資料3ページ以降の第1の「3 氏名の読み仮名の許容性」を御覧ください。   こちらも本文の内容につきましては、部会資料1から大きな変更はございませんが、(注1)に、氏又は名の全部又は一部が平仮名又は片仮名で表記されている場合の規律について追加しております。続いて、4ページの補足説明1及び2の内容は、部会資料1とおおむね同様ですが、補足説明2の②につきましては、第1回会議における御意見等を踏まえ、一部追記をしております。また、補足説明3の5ページの5行目以降に第1回会議における御意見等を記載しております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは、ただいま御説明を頂いた部分について、第1の3について何か御質問、御意見等はございますでしょうか。 ○舩木委員 度々すみません、舩木です。補足説明の記載されている内容のところについて、まず質問をさせていただければと思います。   現在、戸籍法に氏名の読み仮名ということの規定がない以上、読み仮名について公証しているというものは本来、現時点ではないと私は理解しているわけですけれども、しかしパスポートについては、漢字のみの記載では外国で使うことができないからローマ字表記が必要となると。それで、氏名のローマ字表記が必要なため、こういう規則の規定が置かれているということだろうと思います。そして、このパスポートのローマ字表記の記載というのは、パスポートの運用のために暫定的に表記したという性質のものなのか、正確な氏名の読み仮名を公証するという性質まで入っているのかというところが問題になるのだろうと思います。   今回の補足説明の3のところでは、後者の公証されているというような前提で記載があるので、違和感が非常に大きいと思っていますので、外務省の方に質問をまず、させていただければと思うのですけれども、旅券法施行規則5条の運用についてなのですけれども、まず、氏名の読み方というのは、特に資料はなくて、本人の申告内容を基本に受け入れるだろうと思うのですけれども、まず、それでいいですかと。次に②として、同一戸籍の氏の読み方については、申請時期が異なって申請された場合においても、添付資料として戸籍謄本などがあるわけでしょうから、そのたびに必ず、戸籍の他の親族から以前の旅券申請が出ているか否か、また、その際、氏の読み方はどのようなものかというのを確認するというような作業、これは大変な手間だと思うのですけれども、そういうことまでされているのか、そこまではされていないのか。③として、最近、名前では国字の音訓での読み方の範囲内と本当に考えられるかというのが非常に疑問なケースが多々あると思います。名前の読み方について、正確に国字の音訓に合致した読み方といえないと思われるとして公の機関が発行した書類等を求める割合というのは、おおよそどのぐらいの割合なのでしょうかという点が三つ目。四つ目として、公の機関が発行した書類等というのはどのような書類のことなのでしょうか。例えば、以前は運転免許証や住民票に氏名の読み仮名が付された時期もありましたが、そのような書類であったり、健康保険証に名前が記載してありますけれども、そういうものなどが該当するのでしょうか。その辺について、公の機関の発行した書類について説明いただければ有り難いので、よろしくお願いします。 ○窪田部会長 ありがとうございました。舩木委員からは、読み仮名について、現在、公証しているという仕組み自体はないけれども、パスポートに関してそうしたことが問題になり得るのではないかということで、かなり抽象的な質問として、暫定的な性格のものとしてなのか、そうではないと捉えているのかという御質問があり、それを踏まえた上で、外務省の方に四つの質問ということがあったと理解しております。まず、外務省の方から今の御質問について何か御説明を頂くことはできますでしょうか。 ○山口幹事 幹事の外務省旅券課長の山口でございます。四つ御質問いただきました。予めご質問頂くことは伺っておりましたが、一部はこの場で御質問頂いたものもございますので、全部網羅的にお答えすることは必ずしもできないというのはあらかじめ御了承いただければ幸いでございます。   その上で申し上げると、第1点目の、公証しているのかということにつきましては、これは答えとしてはイエスでございまして、この旅券の性質上、海外に行ったときに外国の政府官憲に対して、その渡航の保護扶助を与えるように外務大臣の名前で要請すると、そういうものをしっかりと国際標準に基づいてお互いにやっているということ、それから、日本国籍、日本人であってこういう氏名の者であるということを含め旅券の記載事項を公証するために、正にパスポートというものはあるものでございます。したがいまして、公証しているのかということについては、我々としては、場面は限られますけれども、海外渡航の場面においてパスポートは名義人の国籍や身元を外国官憲に対し公証しているものと考えております。   また、第2点目の同一戸籍内の氏でございますけれども、ここはしっかりと同一戸籍内で同じ姓になるようにということで我々、ルールを定めておりまして、法定受託事務として都道府県の方でその事務を行っていただいているということでございます。その際に必要な書類等につきましても、今申し上げたようなルールに基づいて適切に運用がされているものと考えております。したがいまして、必要があれば戸籍を遡って調べるというようなことも当然あり得る話だと思います。   それから、三つ目の、読み方につきまして明らかに国字の音訓と異なるようなものの割合がどのくらいかということでございます。これについては統計を取るようなことになっておりませんので、正確な数字は全然申し上げられないのですが、極めて限られているという感覚を持っております。   例えば、特に氏につきましては、山本の読み方を仮に「さんもと」と申請してきた場合には、これは本人がそれを証明する義務があるとして疎明資料を求めておりまして、できる限りそれを公に使っているということを都道府県の資料、あるいは市町の資料などが非常に多いと思いますけれども、できるだけ公的な性格を帯びている資料をあらゆる形で、これは本人が証明するという限りにおいて証明してもらって、我々を納得させてもらうという形で運用させていただいております。   したがいまして、最後の質問でございますけれども、公の機関の書類というのは少し広めに捉えておりまして、公の性格を帯びるようなもの、あるいは、例えば「一」と書いて「にのまえ」とか、「小鳥遊」と書いて「たかなし」とか、そういう難解と呼ばれる氏もあるのでございますけれども、そういうものというのは複数存在していることを前提に、こういうものは複数存在していますということも一つの疎明の仕方だと思っております。   今申し上げたことで完全に答えていないことは重々承知していますけれども、今答えられることはこの程度でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○舩木委員 ありがとうございます。市町村で名前の受付、出生届とかを受け付ける際に、音訓としてこれは少し問題があるよねと思われるのは、非常にパーセントとしては大きい数字になっていると思います。3割ぐらいは、少し問題があるのではないかと思われるような名前というのが、そのぐらいの割合で結構多いと思っています。本来やはり旅券のところで正確な読み仮名というのを審査できるかというと、それはほかに旅券のところではいろいろなところをチェックしないといけないわけですから、そこは基本的には戸籍係のところできちんと審査したものを、旅券のところでどうローマ字表記をするかということが本来の在り方であり、今回の制度はそういうことを目指しているのだろうと思います。むしろ、パスポートは現在の時点で公証されて運用されているのは、それは事実でしょうけれども、今回氏名の読み仮名というのが戸籍で記載されれば、それに基づいてパスポートの読み仮名ももう一回訂正するという機会が必要なのだろうというのが個人的な意見です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。こちらの方でこういう仕組みについて固まったときに、それと現在のパスポートに関する外務省での運用というのが一定の範囲で変わるのかどうなのかというのは、次の検討事項として出てくるものだというふうにして理解しております。   それでは、この3の部分について、ほかに御質問、御意見等はございませんでしょうか。 ○笹原委員 乙案についてですけれども、慣用というものがあれば認めるけれども、慣用がなければ認めないというような文言と解釈されるかと思います。そのほか字義との関連とか、音訓が認められているものに沿っているかとか、そういう観点があると思いますが、この慣用に関してです。個人が長く使っているという意味でも慣用という語は使われるかと思いますが、ここでは恐らく社会的な慣用というものを指しているのだろうと、研究会の頃からそういう議論があったので、理解しております。   それが社会的な慣用ということを指しているのであれば、名のり独自の読みというものが名付けにおいてはしばしば新しく作られてきました。それが定着して名のり訓と呼ばれるようになるということが知られております。頼朝、義朝の「朝」と書いて「とも」なんていうのも結局、平安時代に突然現れた、字義と関連がうかがいにくい、しかし多くの人の心をつかんで名のり訓になった、そういうものであります。現代では「朝」と書いて「とも」という慣用があるといえるかと思うのですが、平安時代、鎌倉時代においては多くの人が違和感をもつものだったのだろうと思われます。こういう名のり訓の新作はいつの時代でも行われていて、何が人の心をつかむのかということが分からない、予測が立たないものであります。現在でも、赤ちゃんには、ある漢字2文字を並べて「ひまり」ちゃんと読ませるという名が1位、2位を争うぐらいに人気があるとここ数年、聞いております。それで、その2文字を「ひまり」と直接読ませることはもともとはいろいろな点で難しいわけですが、それだけの人気を得ているというのも現実であります。   この先もこういう新作が、恐らく時代の変化、社会の変化、文化の変化によって起こると思うのですが、もし乙案が採用されたならば、その文言に従って、音訓や字義から外れるこういった読ませ方のものについては、もう新作が一切認められないと読めてしまうこととなります。名のり訓は、2022年を最後に新しいものが出なくなったのだというようなことが日本語やその名付けの歴史の中であってしかるべきなのかどうかということは、真剣に考えなければいけないと思っている次第であります。 ○窪田部会長 ありがとうございました。乙案に関して、特に新しい名のり訓とか、そうした日本語文化にも係る部分だろうと思いますけれども、そうした点から問題点を指摘していただいたものと思います。   ほか、いかがでしょうか。この部分は自由に議論していただくのがいいのではないかと考えております。 ○舩木委員 すみません、度々、舩木です。甲案と乙案の点なのですけれども、甲案の書き方と乙案の規定の仕方というのをよく見てみると、甲案は、こういう書き方はできませんという否定、排斥する基準を規定しておる。乙案は、こういう基準なら許容しますという許容する基準を規定しているのだろうと思います。乙案の許容する基準という形で書いて運用するというのは、かなり戸籍実務としては、むしろその方が難しいのだろうと思います。むしろこういう場合には受け付けられませんという基準、例を掲げてくれている方が戸籍の受付の運用としてはやりやすいのではないかと。そういう意味では、甲案の排斥する基準というものを書く方がいいのではないかと。   甲案の権利濫用の法理と公序良俗の法理、これだけでいいかというと、むしろやはり一番ここで排斥すべきなのは、混乱を生じさせるような名前の付け方を排斥すべきであると思います。およそあり得ないような名前の付け方というのは排斥、混乱を生じさせるから無理ですよとか、あるいは、反対読みというのが5ページのところにも、「高」と書いて「ひくし」と読むという反対読みというのも、かつて日本の文化にあったのだということのようですけれども、反対読みというのをあえて名前の付け方として認めるべきかというと、私はやはり混乱を生じさせるものとして、認めるべきではないと思っています。ただ、それ以外の、例えば「修」を「なか」と読むとか、「嗣」という字を「あき」と読むとか、そういうものはある意味では、そう読みたいのですねという意味でいえば、特に混乱を生じないだろうということで、いいのではないかと思っています。   だから、甲案と乙案を対比する場合に、排斥する基準としてこういう書き方、あるいはもっと工夫することがありますとか、もっと言いますと、乙案に書いているような内容ですよね、国字の音訓、慣用による表音、字義による関連性が全く認められず、混乱を生じさせるようなものは排斥できるとか、そういう基準の方がいいか、いや、それよりも単なる排斥する、混乱を生じさせるようなものというような形の基準がいいかと、そういうようなことで検討した方がいいのではないかと個人的に思っています。 ○窪田部会長 ありがとうございました。甲案、乙案の枠組みについて、公序良俗なのかどうなのかというより、排斥する基準を設定するという観点からルールを立てた方が明確になるのではないかということで、また、具体的な例も頂いていたかと思います。また、反対読みについては、むしろ排除する対象にしてはどうかというご意見だったかと思います。 ○古瀬委員 ありがとうございます。前回の議論でもしかして御説明があったのかもしれないのですけれども、甲案の(注1)のところに、氏名又は名の全部又は一部が平仮名又は片仮名で表記されているときも、これと異なる読み方とすることも可能とございますけれども、この意味はどういう意味だったか、御説明をお願いできますでしょうか。 ○窪田部会長 その点については、事務当局から御説明をお願いします。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。名前が全て平仮名で書かれているような場合にも、読み方として別なもの、例えば「かほり」と書いているやつを「かおり」と読ませるみたいなものが典型的に考えられるのですけれども、そういったものも認めてもいいのではないかという考え方でございます。 ○古瀬委員 ありがとうございました。今の御説明ですと、音として通常そういう読み方もあるよねというのは、割合限定的と考えたらよろしいですよね。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。ただ、ここが、典型的には今言いましたような「かほり」を「かおり」というものなのですけれども、またこれを基準で決めるとなると、どこまでが駄目か、どこまでがオーケーかとかというのは、また甲案、乙案の考え方で考えるということになりますので、一旦認めるとなると、そこはまた甲案、乙案の規律になるという考え方でございます。 ○小幡委員 小幡でございます。ありがとうございます。とてもここは難しいと思っているのですが、そもそも法律事項としては戸籍に元々氏名があって、今度新たにそれに読み方とか読み仮名、平仮名でも片仮名でもよいのですが、それを付すという新しいことをやるのですが、その読み方とか読み仮名という中に、こういうものだという定義が含まれていますかね、普通は、漢字があるからそれをどう読むかということが読み方とか読み仮名の意味だと思うのです。それが、広辞苑とかを見ても、あまりはっきり書いていない、制限的に解せるようなことはなかなか書いていないので、難しいのですが、そうすると結局、多くの方は当然、普通の読み方を書かれると思うのですが、人によっては、新たに設けられることになったので、自分の氏名に特にこう付けたい、どう読ませたいという、そういう自分なりの特異な読み仮名を振る、そういうことも自己決定だを言い出されると、それも許容するのかというのがそもそも論としてあると思うのです。ただ、笹原委員のお話では、結構伸びしろがあるというか、歴史的にはいろいろな可能性もあるという話もあるので、かなり特異なものであっても、なかなか切りにくいところがあると思います。ですから、難しいのは、およそ一般的にこうで在るべきということが読み方とか読み仮名の中に字義的に含まれているということで出発してよいのかどうか、ということかと思います。   一番最初のところにもありましたように、これからは法律事項になったので、自分はこういうふうに読まれるのだということを自分の権利としてきちんと確定できるチャンスとして捉えると、逆に、こう読ませたいという方の意思を否定してしまってよいのかという一番最初のところの問題があると思っています。私も迷っているところなのですが、常識的なところでは普通の読み仮名のところに落ち着くと思うのですが、そうでない読ませ方をあえてしたいという、自分はどうしてもそう読ませたいと、そういう強い意思があった場合にどうするのかというのが、難しい問題かと思います。すみません、問題提起のような感じになりますけれども、以上です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。そもそも出発点としての多分、読み方、読み仮名というのがどこまで本来許容されているものなのか、あるいはそもそも氏名の読み仮名とか読み方というのがどういう性格のものなのかという点も含んでの基本的な問題があるという御指摘だったかと思います。現時点では小幡先生から具体的な方向性というのは、こうしろというのはまだ出ていないということで、考えていきましょうという御趣旨の発言だと受け止めました。   ほかにございますでしょうか。 ○西幹事 西です。ありがとうございます。先ほどの舩木先生の御発言は、混乱を生じるような読み方をここでこの際、排斥できないかというお話だったかと思うのですが、私も感覚的には非常に分かります。読めない名前の人が増えて、学生が増えて、困っていますので。ただ、今の若い世代の人たちのことを考えると、その考え方とは違う考え方の人もいるように感じます。   大きく分けて三つぐらい理由があるのですけれども、一つは、今回読み方を付けるということで、そもそもそのような混乱を生じるような名前が出てきているからこそ読み方を付けるという、そこに一つの意義があるという考え方もできます。2点目は、実際の窓口のことを考えますと、戸籍係の窓口で、これは混乱を生じさせるような読み方だから駄目だという判断ができるのかというと、それはかなり重たい負担になるのではないでしょうか。現在でも子の名前について、公序良俗に反するとか権利濫用に当たるとか、その程度の判断はできているということのようですので、読み方についてもその程度の判断までは、つまり、甲案程度の判断までは求めることができるとしても、混乱を生じさせるかどうかというところまで判断を求めるのは少し難しいのではないかという気がします。   最後、3点目、舩木先生も同じかもしれませんけれども、やはり恐れるのは、そのような混乱を生じさせるような読み方が名前で使われることによって、一般の漢字の読み方などにもそれが跳ね返る可能性です。それは、危惧すべきことかと思います。つまり、名前でこういうふうに読んでいるのだから、この漢字をこういうふうに読んでもいいのではないのかということで誤った認識が広がる可能性があるというおそれは確かにあるかもしれません。けれども、現段階でも名前で使うことができる人名用漢字と常用漢字は区別されていますし、一般の市民も、名前の読み方というのは普通の漢字の読み方とは違うというのはある程度納得というか分かっている、何となく意識しないけれども分かっているというところがあるのではないかと思います。そうであるとすれば、たとえ混乱を生じるような名前であったとしても、それは名前だからということであって、一般の漢字の読み方にそれがそのまま反映されるということはないと思いますので、そうなると、別に混乱を生じさせるような名前が読み方として登録されても、余り問題ないと考える若い世代の人も結構いるのではないかと思いました。 ○窪田部会長 ありがとうございました。3点についてご指摘を頂きました。まず、そもそも混乱が生じているような状況、ここからそもそもこういう問題が生じているのだということ、一方で、混乱を生じさせるようなものについて、それを戸籍事務で判断させるということになると、それはもう事実上不可能、極めて難しいことではないかということ、そして3点目として、一般の漢字の読み方にも影響を与えるかなという懸念はあるけれども、しかし、名前に関してのものは特別だという形で一応説明は可能かもしれないということで、具体的な制約を課す方向についてはかなり慎重であるべきだという御意見を伺ったかと思います。 ○笹原委員 今、西先生から窓口の方々の負担というお話がありました。舩木先生がおっしゃる混乱を避けたいということは、私も本当に学生などの名前をなかなか読めなくて困ることが多いので、実感として共感するところがございます。その一方で、反対の意味と思われるものですね、「高」と書いて「ひくし」と読ませるようなもの、こういうのは半ば遊戯的ではないかということさえも感じてしまうわけですが、以前から申し上げているように反訓と呼ばれるものと共通する点もあります。中国には伝統的な訓詁学という漢字の古典の字句の解釈、意味を先人の意図などを考えながら読み取っていく学問があって、その中で反訓なんていう考え方が育まれてきたようです。例えば、論語の中にも「乱」と書いて「おさめる・おさむ」と読む文があります。「乱」と書いて「みだれる」という字とは、元々古代の字の形自体が違っていた、別の字だったのだということのようなのですが、今、漢和辞典を見ると、「乱」という字の中に「みだれる」、「おさめる」という全く逆の字義が納められております。混乱を避けたいのでこのような逆の意味は不可ということになると、漢和辞典に載っている音訓とバッティングしてくる、さあどちらを優先にするのだろうか、などということが窓口で起きかねず、また備えている漢和辞典に載っているか、載っていないかとか、名付け親などの漢学の素養がどうのこうのとか、非常に難しいことになりかねないということも、伺っていて感じました。 ○窪田部会長 ありがとうございました。先ほどの反対読みに関しても、歴史的な観点も含めて御説明を頂いたものと思います。「するめ」を「あたりめ」と読んで、「梨の実」を「ありのみ」と読むような形での、恐らく反対読みも、縁起の問題だとかそういうものを含んでいるものがあるのだろうと思いますが、様々な場面があるのだろうと思いました。   少し発言させていただきますと、慣用によって表音されるということで、先ほど外務省の方からは「小鳥遊」と書いて「たかなし」と読むと、これは恐らく「小鳥遊」という3文字に対して「たなかし」という読みを当てているのであって、一文字、一文字の対応はないのだろうと思います。一文字、一文字の対応などということをいいますと、「百舌鳥」というのは漢字は3文字で仮名は2文字しかないので、一体どれがどうなのだということなのだろうと思うのですが、そういうのも考えていったときに、どこまでが慣用の問題なのかというのもいろいろな問題があるのだろうとは感じながら伺っておりました。   これは多分すごく大事な部分だろうと思いますので、いろいろな御意見があったら是非とも聞かせていただきたいと思う部分なのですが、3の部分、ほかに御意見等はございますでしょうか。 ○若月委員 若月です。すみません、そもそもの質問なのですけれども、甲案に書いてある、権利濫用とか公序良俗の法理ですが、読み方について、この権利濫用とか公序良俗を考えるというのは、どのような場合なのかよく分からないと思ったのと、乙案の(注1)ですか、異なる読み方、「かほり」と「かおり」は分かるのですけれども、私はこれを読んだときに、「たろう」と書いて「トム」と読んでいいのかみたいな、そういう極端なことをつい考えてしまう、このままの文章が表に出るのかは分からないですけれども、その辺をどうやって調整したらいいのだろうと思いました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。恐らく、特に甲案に関して、権利濫用とか公序良俗が具体的に、一般条項としてはよく使われるものなのですけれども、この名前の場面で出てきたときにどういうふうに使うのだというのが、例えば「悪魔」君という名前であれば、公序良俗だとか親の命名権の濫用だとかという説明が比較的容易にできたと思うのですが、ここの読み仮名で具体的にどんな場面が当たるのかというのを含めての御質問であったかと思います。これについては事務当局から何かございますか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。今、部会長が言われましたように、漢字の方は権利の濫用ということで、「悪魔」ちゃん事件というときに命名権の濫用だといわれていますので、仮にお子さんの名前を初めて付ける、それが非常に子供の福祉の観点から濫用的なものだということになると、権利の濫用ということが使えると思うのですけれども、なので、新規の名前のところはそれで行けると思うのですけれども、ただ、既存の我々、1億2,000万人の方、自分が自分の名前を付けるものについて、この権利の濫用というのはなかなか難しいのではないかというところはございます。明らかに射程に入るところは、新規に付ける出生届のときのものがイメージされております。   それから、公序良俗の方は、商標法というやつで同じようなものがあるのですけれども、ひわいなものとか、あるいは誹謗中傷するようなものというのが商標としては使えないという、これは法律で規定されているものがあるので、これと並びで、自分の名前なのだけれども、それを読み仮名が戸籍に載ることを奇貨として特定の者を誹謗中傷したりとか、あるいは非常にわいせつな文言にして読ませることにするのに対して、公の秩序に反するものがあるというものを想定しているというところでございます。 ○窪田部会長 すみません、私の方からの質問になるのですが、あり得ないような読み方というのは甲案では拾うことはできるのでしょうか。例えば、前回挙げたばかばかしい例で、私の下の名前を、漢字は「充見」という字で「ルートビッヒ」と読ませるという形でやったときには、公序良俗違反だと言われたらいろいろ思うところはあるのですが、公序良俗違反なのかなという気もするのですが。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。その点が一番気になるところで、実は事前に何人かの先生方に聴いてみたのですけれども、公序良俗ではじけると明言していただいている先生はいなかったので、少し無理があるかなという、もしそれではじいたとして、不服申立てが出たときには裁判でも勝てないかなというふうな印象は持っております。もう少し深い理論構成が必要になるかもしれませんけれども、現段階の認識としてはそういう状況でございます。 ○窪田部会長 恐らく今出てきた御意見もそういう部分を指摘するものがあったと思うのですが、甲案だと非常に緩い、一方で乙案でここまで縛ってしまうということが適当なのかどうなのかということ、両方ともがある中で、うまい着地点を見付けることができるのかということが問題になっているのかなと思って伺っておりました。そうした点も含めて御意見を伺えたらいいと思うのですが、裁判所からお手が挙がっていますか。 ○木村幹事 最高裁の木村でございます。よろしくお願いいたします。正にただいま言及されていたようなところでございますけれども、甲案と乙案なのですが、甲案につきましてですけれども、権利濫用と公序良俗といった一般原則の話なのですが、読み方の許容性といったときに二つあるのではないかと思っておりまして、その読み方自体の許容性と、漢字との関係などは見ない、その読み方自体が、先ほど「あくま」とかという話があったりとか、わいせつなものであったりとかいった話がありましたけれども、そういった読み方自体の許容性と、乙案であるような漢字との関係での許容性と、そういった二つがあろうかと思いまして、確認ではあるのですけれども、提案されている甲案で想定されているのは、漢字の字義等との関係で公序良俗や権利濫用というのは見ないと、正に読み方自体の許容性といいますか、読み方自体が権利濫用、公序良俗違反かどうかというところを見ると、そのような整理をされているということでよろしいでしょうか。 ○窪田部会長 では、その点は事務当局からお答えいただけますか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。おっしゃるとおり、甲案の場合には字義との関係は見ないのですけれども、ただ、先ほど窪田部会長がおっしゃったような、余りにも掛け離れすぎた場合の読み方というのは、字義を全く見ていないのかというと、少し見ているような感じもしますので、ただ、甲案ではじけるかどうかは別として、甲案ではじけないかなという、すみません、恐らく入らないとは思いますけれども、はじけたらいいなという気持ちはございます。答えになっていないかもしれませんけれども、甲案のものについては、字義は基本的には本質的には入りませんけれども、極端なものについては字義も権利の濫用、あるいは、どちらかというと公序良俗ですね、公序良俗の方に入ってくる可能性は少しはあるかなと思っております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。裁判所、今のお答えでよろしいでしょうか。もし続けて御発言があれば、お願いします。 ○木村幹事 今のこの資料といいますか、そういった整理で作られているということは分かりましたし、甲案についても字義との関係も見ないわけではないみたいなところが少し、どうなのかなというところはあるのですが、そういうところも含めて議論していただくということかなと思いましたので、本日のところは結構でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○山口幹事 すみません、外務省の山口でございます。先ほどの舩木先生への質問の補足の答えでございまして、少しその後の今あった議論とも関連するので、あえて補足をさせていただきます。   先ほど申し上げた国字の音訓でありますとか字義との関連性につきましては、氏と名についてはやはり分けざるを得なくて、氏についてはしっかりやっているということで、基本的に先ほど申し上げたとおりなのですが、やはり名についてはなかなか日本の中でそれを疎明する資料というのは難しい面もありまして、ここは字義との関連性を非常に重視をして、例えば「空」と書いて「すかい」と読むことについては、もう字義との関連性があるということで疎明を求めることはしておりません。但し、一度決めた氏名のヨミカタについては、戸籍上の氏名を家庭裁判所の許可を得て変更しない限り変更は認めないという厳格な運用をしております。統計のお話がありましたので、敢えて少し事例を交えて御紹介すると、「空」と書いて訓読みどおり「そら」と読む人は5,000以上いるのですけれども、音読みの「くう」と読む人は200ぐらいで、「すかい」といっている人は30ぐらいいらっしゃいます。それから、「海」と書いて「かい」と読む人は、これも5,000以上、一杯いるのですけれども、「うみ」と読む方は1,000以上で、「まりん」と読む人は200弱ぐらいなのです。そういうことで、結果としての数字ですけれども、そういう規模感になって、結果としては国字の音訓に従ったヨミカタが大多数になっていると言えます。ただ、逆の例もありまして、例えば「騎士」と書いて「きし」と読む人は極めて限られて、10名弱なのですけれども、それを「ないと」と読ませているのは200ぐらいあるということで、これを網羅的になかなか調べていくのは難しいのですけれども、統計としてあえて申し上げると、今のようなことでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。非常に参考になるデータであったかと思います。   ほかにいかがでしょうか。 ○常岡委員 常岡です。私も甲案、乙案と並べたときには甲案でというふうな考えでいますけれども、これもそもそもの話になりますけれども、氏名、それをどう読ませるかということについて、個人がどう読ませたいかという意思の尊重という場面は当然基本になりますけれども、そもそも氏名自体が社会的なものであるという性格を持っていて、社会においてその人を判別するための機能である、読み方も当然その機能を持っているとしたときに、やはり氏名と読み方を分けた場合においても、読み方自体についても一定の社会的な機能ということをやはり捨てられないと思います。だから、個人の意思だけを完全に尊重していくという方針はよくないのではないか、やはりそこに社会性の場面から、ある程度の制約は掛けざるを得ないだろうと考えています。   そのときの制約なのですけれども、社会的なものということになると、甲案の場合に今、権利濫用の法理と公序良俗の法理が挙がっていますけれども、これは余り明文で入れるとよくない、反発も多いかもしれませんが、やはり公共の福祉というか、どういうふうに読ませるかということが、先ほどの混乱を防ぎたいという御意見がありましたけれども、それを大きく言えば、公的な社会における全体的な秩序について静的な安定を保障するために、公共の福祉に反する読み方はやはり避けるべきではないかと、そういう考え方になるのではないかと整理をして、いろいろと議論を聞いていたところです。   一定の制約を掛けること自体は、現状でも名前に使える文字が制限されていますけれども、それが憲法の幸福追求権に反しないと凡例でも捉えられていますので、制約を掛けること自体が一切駄目だということではないと思うのですけれども、そこをどういうふうな網を掛けておくのが最も妥当なのか、それが名のり訓とか、新しい読み方の発展とか国字の発展とか、そういうものを制約しない範囲で、しかもどの程度、秩序、公な性格、社会が混乱しないような性格を維持できるのかというふうなところを考えておく必要があるのかなと思いました。それを規定などに落とし込むのは非常に難しいのですけれども、そう考えると、やはり甲案のような一般条項的な表現を採らざるを得ないのかなと考えています。 ○窪田部会長 ありがとうございました。名前の社会における意義という形で、社会において個人を識別するものであるということを踏まえた上で、個人の自己決定権だけでは全部を考えるのは適当ではなくて、やはり社会的な制約というのがあるだろうということを踏まえて、特にこの場面では権利濫用、それから公序良俗というのが挙がっていますが、反発もあるかもしれないけれどもという点を指摘された上で、公共の福祉という3番目の基準を挙げていただいたのだろうと思います。今までこの二つだけを前提に議論してきましたので、公共の福祉、常岡委員がおっしゃるように公共の福祉というのに対して何かすごく強く反発する人もいそうだなという感じはするのですが、ただ一方で、もしそれが今まで出てきていた部分をうまくカバーすることができるのであれば考えられるのかもしれないということで、次回までに更に検討してもらうということでお願いできればと思います。   舩木先生、今の関連でということでよろしいですか。 ○舩木委員 ありがとうございます。今の常岡先生の意見に私は賛成でございます。私は今運用されている、読み仮名を若い者が結構、これはどう読むのだというのを、これを否定したいという思いがあるわけではありません。ただ、例えば「桜」と書いて「うめ」と読み仮名を振ったら、それはいいのか、「もも」と振っていいのか、あるいは「藤本」という名字の分を「ふじき」と読むという形でいいのか、あるいは外国にしても、英語はいいけれどもフランス語はどうなのか、あるいはインドやアフリカの諸国の言葉はどうなのかというような話になってくると収拾が付かなくなってしまうから、何らかの制約というものはおのずとあるだろうというのが意見です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほかはいかがでしょうか。 ○藤原委員 私も常岡委員のお考えに賛成なのですけれども、この文を頂いていて、やはり甲案の方でやらざるを得ないなと思ったのですけれども、やはり権利濫用とか公序良俗って明らかに駄目だという駄目押しをされる感じなので、むしろ問題になるのは、それよりも少し、そうではないけれどもおかしいという形のものが皆さん、悩むものではないかと思うのです。それで、常岡委員は公共の福祉という言葉を言われた、私が考えているのは、やはり社会的相当性というか、そういうような一つのメルクマールも入れられないかなとずっと考えておりました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。先ほど常岡委員からは公共の福祉ということが出ておりましたけれども、それとは別の要件として社会的相当性でしょうか、用語としてはいろいろなものが立てられそうなのですけれども、そうした基準を甲案の方で採用するという可能性がないかという御指摘であったかと思います。この点も含めて、事務局の方で検討してもらうというふうにしたいと思いますが、ほかにございますでしょうか。 ○木村幹事 最高裁の木村でございますけれども、甲案の方で権利濫用や公序良俗、そのほか公共の福祉、社会的相当性と、そういった様々な御意見が出たところではございますけれども、先ほど字義との関連性のところも見るのかもありましたが、なかなか難しいところではあると思われるものの、戸籍窓口、さらには裁判所で認めるのか、認めないのか、そういったところを判断していくためには、具体的な基準といいますか、こういった場合には駄目でというところをもう少し議論していただくことが、安定した運用といいますでしょうか、そういった観点からも重要かと思いまして、引き続き具体的な基準といったところを、可能なのかどうか十分ご議論お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○窪田部会長 ありがとうございます。裁判所の立場としては多分、一般的にこれが認められるかどうかというより、正しく自分たちのところで判断しなければいけなくなったときに基準として機能するのかという点で、ある程度具体的な判断ができるものを示してほしいという御意見、御希望として受け止めておきたいと思います。 ○大谷委員 大谷でございます。今日は少し遅刻させていただきまして、議論にキャッチアップするのに時間が掛かってしまいまして、誠に申し訳ございません。今の甲案と乙案について、皆様の御意見を聞かせていただく中で、少し疑問に思った点について発言させていただければと思います。   私自身は、氏名の読み仮名の持っている、自己決定権が及ぶものであるという点と、それから、社会的にコミュニケーションの手段として自他を識別するという意味合いを持つ両面があるということを踏まえても、権利濫用の法理及び公序良俗の法理などの理念で問題となるものを除いては基本的に認めるのが適当ではないかと思っております。もっとも、氏名といった場合に、氏と名前、いわゆるファーストネームの部分とでは、少し位置付けが異なってくるのではないかと思っております。特に名前の部分についてはかなり自由度が高いと思われます。もちろん、例えば出生届に際して、子供の命名権の濫用に近いようなケースというのは権利濫用ということになるだろうと思いますけれども、いわゆる名字の場合、氏の場合には、通常、氏について読み仮名が大体決まっていると、鈴木であっても高橋であっても、大体読み方が明瞭なものに対して特別な読み仮名を申請された場合、届け出られた場合というのをどのように扱うかといったことを考えていくと、権利濫用が認められる場合というのは名前の場合よりも若干広めになるのではないかと考えます。これまでそういう裁判がなされたことはないわけですけれども、理論的には、同じ権利濫用の法理や公序良俗の適用の仕方についても、氏と名前では差を付けることができるのではないかと思われるのですけれども、この点についてもし知見のある方がありましたら、御意見を頂ければと思いまして、質問させていただきました。 ○窪田部会長 氏の読み方と名の読み方で扱いにおいて違いが生じるかどうかということで、特に甲案を前提とした場合でも違いが生じるかということですが、これはまず、事務当局の方でお答えいただきましょうか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。氏と名で違うということは、大谷委員が言われていますように、後で収集方法のところで出てきますけれども、一番最初に名前が付けられてという場面と、元々ある1億2,000万人の我々の氏名、これをやる場面というのはおのずと変わってくるのではないか、補足説明の中では、そういったような場合に、例えば旅券で既に登録されているような場合には、これとバッティングするようなものはどうかという規律も考えられるというところがあるので、その二つの点で、氏と名でそもそも違うのではないかというところがありますけれども、それというより、どちらかというと既存のものとして使われ続けているものと、それから新規に使うものというところで違ってくるのではないかという、後者の方が強いかなと考えております。 ○窪田部会長 私の方からも少し発言させていただければと思いますが、先ほど外務省の方からも御説明がありましたが、氏の場合については比較的厳格に審査をしているのに対して、名に関していうと、「空」と書いて「すかい」、「海」と書いて「まりん」等もオーケーだという形で、一方でやや緩やかな運用ということの御指摘があったと思います。そうすると、必ず名の方が緩やかなのかというと、恐らくそうでもないのかなと思うのは、氏の方は、今回初めて登録するのだとしても、ずっと何代かにわたって使われてきた、そうだとすると、非常に変わった読み方であったとしても、その氏というのは実はもう以前から言わば慣用的にあったものだということが言えるのに対して、名の場合には今回初めてということになりますと、慣用というのが社会的な慣用によるしかないという形になりますので、継続性ということを手掛かりにして判断することはできないのだろうと思います。その点では、広い方向にも狭い方向にも多分、両方ともの違いが出るのかなと思っておりますが、どなたかこの点に関して発言をしてくださる方はおられますか。   では、そういうことでよろしいでしょうか。   ほかに手を挙げている方、御発言いただく方はございますでしょうか。 ○笹原委員 すみません、幾らか関連するかなということでお話しします。名字は名字で名字学とか姓氏学といった分野があるということで、いろいろな書籍で私も学んでいるところであるのですが、そういう成果を拝見すると、例えば、「○藤」と書いて「○○じま」と読ませるなんていう氏が実在するのだといったことが記録されております。こういうものが何によって公証されるのかというのは、正にこの委員会での議論と重なるところですが、そういうものが幾つか例示されている文献もあるというところであります。また、名字の方は人名用漢字の縛りを受けないので、例えば「木」という字の下を少し跳ねるそうですが、その右払いと左払いを取り除いて「十」の縦線を少し跳ねている、そういう字ですね、それで「○○○」さんと読ませるというような、下の名前ではまずなさそうなものが何軒かで100年以上使われ続けているというようなこともあり、テレビに御本人がお出になってお話しなさったといったこともあります。このように名字は自由度がかつては高かったということがあると思います。また、新しい名字というのは基本的にできないような印象がある一方で、日本に毎年いわゆる帰化をなされる方がおいでで、その方々は大抵、漢字で名字を付けられるということを伺っております。その結果、新しい名字で、テレビにも出られていましたけれども、「辺○」で「ぺん○○」さんという名字の方々がおいでだなんていうことが一部でよく知られています。   それで、また事務局の方に教えていただければと思うのですが、帰化するときの新しい名字の創設というものがある場合に、それこそ読み方の審査であるとか、字の種類は人名用漢字の縛りを受けるといったことは随分前に伺ったことがあり、片仮名でも名字の創設が可能になったとも伺うのですけれども、その辺りの実態を、お話しできる範囲で構わないので、教えていただければと思います。 ○窪田部会長 それでは、事務当局からお願いいたします。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。本人の申出に基づいて、氏の方は、帰化された方も既存の方の戸籍に入る場合もありますので、その場合にはその氏のところに入りますけれども、そうでない、新しく氏を作るというような場合には、正しい日本文字であれば氏の方はオーケーでございます。名前の方は原則として人名用漢字を使っていただくということになります。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○笹原委員 ありがとうございました。 ○山口幹事 すみません、笹原先生の質問に対する、また御参考まででございますけれども、帰化された方については、正に氏の創設に当たっては、旅券の申請では、漢字圏であれば使用していた漢字、漢字圏以外でも外国姓を片仮名で表記する場合や、外国語の表音に応じた漢字にする場合などがあって、その場合には国字の音訓及び慣用によって表音されない場合もありますので、それについてはそういうことでお認めしているということでございます。補足まででございます。 ○笹原委員 ありがとうございます。漢字圏という場合の範囲なのですが、中国、韓国、ベトナムぐらいまで入るのでしょうか、シンガポールとか、その辺りまでというイメージでよろしいでしょうか。 ○山口幹事 ありがとうございます。すみません、そこは少し詳細まではあれですが、基本的に中国から帰化された方については簡体字を、それに当てる字を使うということはあり得ると思いますが、すみません、ハングルの場合、それからベトナム語については、詳細をこの場では申し上げられません。 ○笹原委員 ありがとうございました。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。かなりいろいろな意見も出していただきましたので、今この場で方向性は必ずしもまだはっきりとは決まっていませんが、今日出た意見を基にして次回、新しいブラッシュアップしたものを作ってもらってということにしたいと思いますが。 ○小幡委員 今、いろいろ旅券の方で出てきた話でもあるのですが、今まで氏名の読み方、読み仮名という形で氏と名を一体として議論しているのですが、やはり氏と名前ということで少し違いがあるというお話もありまして、おそらく、名前の方が自由で、私も「海」を「まりん」と読むとか、「ないと」とか、そういう英語読みの仮名というのは余り知らなかったのですが、そういうふうに、名前について、かなり自由に認められているとすれば、そこの区別があるのではないかと思います。もちろん先生方からも既にご意見ありましたように、そうはいっても氏名というのは社会的な意味があるから、あまりかけ離れたものは困るという考え方はありますが、少なくとも名前について言えば、公共の福祉等で、そこまで枠をはめる必要があるかということについては、いろいろな考え方があると思います。そこは少し氏と名前とで違うような感じもありますので、そこも含めて事務局の方にまたご検討いただいてもよいのかなと思いました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。御意見として伺って、事務局の方で検討してもらうということでよろしいでしょうか。 ○小幡委員 はい、お願いいたします。 ○窪田部会長 ほかはよろしいでしょうか。 ○藤原委員 (注2)の、甲案について法令に規定することも考えられると、この点、少し御質問したいのですけれども、乙案だともう読み方の分で規律を設けるというのですけれども、もし甲案の場合だと、戸籍の記載事項、例えば、氏とか名前を付けること自体でも掛かってくる理念というか、だと思うので、この場合だと、法令に規定するということになるとどういう形なのですか。読み方だけではないということになると思われるのですけれども、どうでしょうか。 ○土手幹事 幹事の土手でございますけれども、法令に必ずしも、今の漢字の場合はこういう規律は一切書いてありませんので、書かないというのが通常だと思うのですけれども、ただ、少し前に御紹介させていただいた商標法とかほかのもので、こういう権利濫用とか公序良俗について書いた例がありますので、それと同じような形で法律に規定するということも考えられなくはないということで、念のため書いたというものでございます。通常だと多分、書かないのが普通だと思うのですけれども、書いた例もあるので、書くということも考えられるというものでございます。 ○藤原委員 その場合、書いたとしたら、読み方だけではなくて字なども、仮に書くとした場合は読み方だけに限定される、それもこれからの議論の中に入るということですか。 ○土手幹事 幹事の土手でございますけれども、2ページのところに第1の1では、氏名を平仮名で表記したものみたいな形で、あるいは片仮名で表記したものというものが考えられるのですけれども、これについて、非常に今、中立的なもので書いてありますけれども、こういったものについて、例えば権利の濫用、公序良俗の法理に反するものは認められないとか、書くとした場合に、そういったものを記載するというイメージでございます。 ○窪田部会長 恐らく今、藤原委員から御質問があったのは、もちろんそういうことになるのだろうけれども、読み仮名に関してこの規律を置く以上、氏名について、それが全然掛からないような形になるのは変かもしれないという点を含んだ御質問だったのではないかと思います。それは両方ともを含む形で規定するというのもあり得るだろうと思いますので、更に検討していただければと思います。   今回の部会資料では、3の氏名の読み仮名の許容性に関しては、専ら乙案についての参考例、乙案の問題という形では書かれていますけれども、甲案がどういうものなのかについて、もう少し説明も加えておいていただいた方がいいのかなと思いましたので、御検討をお願いします。   それでは、非常にたくさん御意見を伺いましたので、先ほど申し上げましたように、今ここでまとめるというわけにはいきませんが、次回までに部会資料を検討してもらって、それを次回また更に議論するということにしたいと思います。   冒頭の御案内では3時半とありましたが、それでも1時間半を超えていますので、一旦休憩を頂くようにしたらどうかと思います。   それでは、15分休憩を頂きまして、3時半から再開するということでお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。           (休     憩) ○窪田部会長 それでは、時間になりましたので、戸籍法部会、再開させていただきたいと思います。   また必要があれば遡るとして、次に5ページ、「4 読み仮名として用いる平仮名又は片仮名の範囲」ということで、事務当局から御説明をお願いします。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。部会資料5ページの第1の「4 読み仮名として用いる平仮名又は片仮名の範囲」を御覧ください。こちらについては本文、補足説明のいずれも部会資料1から大きな変更はございません。 ○窪田部会長 ありがとうございました。この点、冒頭の「はじめに」の中にも出ていた点とも関わる部分だろうと思いますけれども、何か御質問、御意見はございますでしょうか。全体の流れとしては、仮に平仮名と片仮名で対象となる範囲が一般的なところで違ったとしても、狭い方に合わせるべきだという意見は特に出ていなかったのだろうと認識しております。その意味では、広い方で全部拾えるような形でということがここで示されているということだと思います。   よろしいでしょうか。   それでは、次の方へ移らせていただきたいと思いますけれども、5ページの「5 氏名の読み仮名のみの変更」ということで、これについてはもう少し丁寧に議論する必要があるかと思います。事務当局から、まず御説明をお願いします。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。部会資料5ページ以降の第1の「5 氏名の読み仮名のみの変更」を御覧ください。   氏名の読み仮名のみの変更につきましては、本文甲案及び乙案として、具体的に考えられる規律の形で整理しております。6ページの補足説明1に記載しておりますとおり、本文甲案は氏又は名の読み仮名の変更について、戸籍法107条又は107条の2に規定されている氏又は名の変更と同様に、やむを得ない事由、正当な事由を要件とするものでございます。他方で本文乙案は、氏又は名の読み仮名の変更について、家庭裁判所の許可を不要とし、届け出ることのみでできるとするものでございますが、氏名の読み仮名を変更することができる事由を規定することが考えられるため、20年間社会生活上通用していることその他、法務省令で定める事由によって、との要件をブラケット、隅付き括弧を付して記載しております。   本文甲案につきましては、現在の氏又は名の変更の取扱いが参考となると考えられるため、6ページの補足説明2に届出が想定される場面として記載しております。8ページの補足説明の3には、本文乙案の法務省令で定める事由を規定する案を採用した場合における法務省令で規律すべき内容につきまして記載しております。具体的には、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項の規定による性別の取扱いの変更の審判を受けたときなどを規定することが考えられるところでございます。   なお、8ページの補足説明4に記載しているとおり、本文乙案のブラケットの中の20年間という期間につきましては、民法162条1項に規定されている所有権の取得時効の期間の20年というところについて参考としたというところでございます。もっとも乙案のブラケットに記載している事由につきましては、市区町村長が客観的資料によって認定することは極めて困難であるということから、事実上20年間に一度、読み仮名を変更することを認めるが、これを超えては認めないという規律として運用することを現時点では想定しております。また、同じ8ページの補足説明5には第1回会議における御意見等を追記しております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは、これについて御議論いただきたいと思いますが、その前に、私が先ほど簡単に飛ばしてしまった4についてでしょうか、笹原委員から手が挙がっていますので、御発言をお願いできますでしょうか。 ○笹原委員 すみません、4番について、現状では仮名の範囲については現代仮名遣いという内閣告示・訓令を用いるという、甲案、乙案ともに出していただいていますが、先ほど片仮名をそこに挙げる字種に置き換えれば大体のところは補えるということをお話ししたので、補足的なことを申し上げておきます。長音符については解決しそうだというところですが、「ヴ」を「ゔ」に交換するなんていうのは、JIS漢字というもので一応採用してあるので、機械的にはだいたい可能だということになるかと思われますが、そういうものの当否については別に考えていかなければいけないと思います。また、JIS漢字というものは経済産業省が制定して、実際にコンピューターあるいは携帯電話などで実装されている日本工業規格、日本産業規格にある文字集合であるわけですが、その中では片仮名の範囲がもう少し広く捉えられていて、アイヌ語用の片仮名というような名前が付いているものですが、トに゜を付ける、ツに゜を付ける、これでトゥのような音を表すのですけれども、そういうものは平仮名バージョンがないことになっております。最初の読み仮名、読み方の問題とも関わりますが、そもそも発音という、文字との対応を必ずしも考えないような世界での呼称というものもあります。ここでは戸籍に載せる文字ということなので、読み方、読み仮名ということが妥当だと思っておりますが、アイヌ語であるとか、その他の外国語、外来語などによる発音を片仮名にする場合に、JIS第3、第4水準の中にはラリルレロを小さく書くとか、ハヒフヘホを小さく書くといったものも採用されております。したがって、パソコンで打てるからそれを現状使っているのだ、というような方がいるのだとすれば今後、使えるか、使えないかということが問題化してくる、表面化してくるのではないかと思われます。   先ほど旅券課の方が統計の数字を示してくださって、非常に参考になったわけですが、私がこういうふうに申し上げていることは全くの杞憂もしれないし、現実に狭い範囲にしたルールを公表したところ、言及がないのはなぜなのだというようなことが後から言われてしまう、そんなことがあるのかどうか分からずに、こういうふうに申し上げているところが、自分でも残念だと思っているのですけれども、一応、指摘だけさせていただきました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。その点も事務当局の方で少し検討していただくということで、引き取らせていただければと思います。   それでは、5の氏名の読み仮名の変更について、御質問、御意見はございませんでしょうか。 ○舩木委員 すみません、度々、舩木です。今回、甲案、乙案と出ているだけなのですけれども、もう一つ、前回も少し発言しましたけれども、今の文字の変更の基準である、氏はやむを得ない、名は正当な事由というのと、文字はそのままにするのだけれども読み方を変更する場合には、もう少し緩和できる基準というのがあってもいいのではないかというところで、例えば合理的な基準とかいうのを設けたらどうかということを言ったわけですけれども、それは運用上、かなり可能な部分は確かにあると思っています。名前については正当な事由というところですから、そこを読み方の部分はもう少し緩く運用するということはあり得ると思います。ただ、氏についてはやむを得ない事由という形で、かなり実際、厳しいと。そうしたら、氏の変更の場合で具体的に、例えばこんな場合は運用でできるのかどうかという点が気になっている例が幾つかありますので、その点はどうなのかという点を意見として言わせていただきたいと思います。   例えば、名前の読み方を変えたいというのはどういう場合かというと、実際には再出発をしたいとか、夜逃げ状態になってほかの地域に行ったから再出発したいとか、あるいは、家族が重大な犯罪を犯して引っ越しをするのだけれども、その際に名字も変えたいと、名字の読み方を変えたいとか、そういう場合がまず、あろうかと思います。そういうものは認めないと、やはり犯罪、不正の利用の一つだということで認めないという形になるのか、あるいは、再出発をしたいということであれば、それはもう少し柔軟に考えてもいいのではないか、あるいは家族だけではなくて本人も同じ戸籍に入っているような場合、それも含めて柔軟に考えてもいいのではないかとか、そういう場合はどうなのでしょうかという点が1点。   2点としたら、例えば氏の読み仮名について今回届け出るわけですね。そうしたら、そのときお父さんが、例えばこういう読み仮名を届けましたと、「大野」という名前を「おーの」と長音で付して届けましたとか、「にしこおり」という名字の場合に「にしこり」と届けましたというような場合に、氏の読み方は本人だけではなくて子供や孫についても全部影響していくわけです。そうしたら、子供が結婚したときに読み仮名を、やはり「おーの」というような長音よりも「おおの」としたいというような場合に、それは柔軟に認めていいのではないかという気がしているのですけれども、それは氏の読み方の変更というのを容易に認めていただけるのでしょうかと。   あるいは、これは離婚のときに婚氏を続称するという場合に、例えばDVとかそういうのがあるので、婚氏は続称するけれども読み方を変えたいというような場合に、氏の読み方を変えるというのは、やはりやむを得ない事由ということで厳しいのでしょうかとか、そういう場合に運用できちんとできるのであれば、特にもう一個の基準というのを設ける必要は全然ないと思っているのですけれども、そういう読み方の場合には、文字を変える以外にも、もう少し緩和したという運用、あるいは基準が必要なのではないかというのを思っていましたので、意見として述べさせていただきました。 ○窪田部会長 具体的に3点御質問を頂いて、それを踏まえての御意見だったかと思います。1点目は、再出発したいという場面において名前の読み方を変えたいというのが、これはある意味で不正利用の一つとなってしまうのか、そうではなくて、再出発したいというのだから柔軟でもいいのかについての御質問。それから、2番目として、氏の読み仮名の届出について、父親が「おーの」と届けたのだけれども、子供の側で氏の方を「おおの」に変更したいという場合の扱いはどうなるのか、これは恐らく、次の6でしょうか、同一戸籍内の氏の読み仮名の規律等、それから収集方法との関係でも問題になると思うのですが、そうした御質問。それから、3番目として、婚氏を続称するとしたけれども読み方は変えたいというようなケースはどうなるのだろうかということでした。これは三つの質問であるのと同時に、これらの場面においてはもう少し柔軟な基準があってもいいのではないかという御意見を含んでの御質問だったと思いますが、これについて事務当局はいかがでしょうか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。3点ありますけれども、まず1点目のところの再出発等というところは、現行の漢字の氏について、やむを得ない事由というところであるので、本質的にはそれと同じかなと。元々この読み仮名というところを様々な、本人のアイデンティティの問題で名のりたいというところもありますけれども、社会的なものという観点から見ると、余りころころ変わるというところは避けたいというところも一つあると思いますので、そこが基本線だとすると、再出発というような理由のところについては、そこがやむを得ない事由というふうなものであると、そこでの判断というふうに事務局としては想定しております。   それから、2番目の「おーの」という子供さんの方ですけれども、これについても基本的には固定されるということで、特段のイベントがないと、別の名前の方と婚姻してそちらの氏にするとか、そういったことがない限り、基本的には特段の事情がない場合には変えないということを考えております。ただ、これについては研究会でも意見がありましたけれども、婚姻とか何かのイベントのときには変えるということもあり得るのではないかというのは、研究会の段階ではそういう意見もありましたので、そういう考え方もありますけれども、今のところ今回の審議会の中では、そういう場合も同じものになる、変わらないと考えております。   それから、3番目の婚氏続称の場合、この場合も研究会の段階では、そういう場面で変わるという考え方もあるのではないかという意見もありましたけれども、今回はそういうイベントも含めて、基本は変わらないと、一律の基準で、氏についてはやむを得ない事由ということで判断するということを、甲案の場合ですね、考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。②、③も、例えば、婚姻して別の戸籍に入る場合には同一戸籍の制約はなくなりますので、そちらの方でかぶるわけではないけれども、原則として維持すると。ただし、やむを得ない事由の判断で、ひょっとすると「おーの」と「おおの」というので、よりこちらの方が一般的だからというのが該当するかどうかといったような扱いになるのだろうと思いますし、婚氏続称の場合もそうなのかなと思いました。それから、名前の読み方を変えたいというのは再出発したいときだというのですけれども、恐らく再出発したいということの中身にも関わってくるのかなという気がいたします。クレジットカード会社のブラックリストに載ってしまったので再出発したいというのは、恐らくこれは、正しくそういうことを目的とした養子縁組と同じように、それだけの理由で名前を変えるというのは、やはり当然に許容されるわけではないのだろうと思います。しかし、自分の家族が一定の形で犯罪に巻き込まれるような形、あるいは加害者の側になってしまったというときに、そうした状況の中で再出発したいというのは、恐らく持っている意味が全く違うだろうと思いますので、そういうことを踏まえて判断していくことになるのかなと思って伺っておりました。舩木委員、取りあえずその辺りでよろしいでしょうか。 ○舩木委員 ありがとうございます。 ○窪田部会長 先ほどのお話ですと、それを踏まえた上で、もう少し要件を何とかならんのかということもあったと思うのですが、具体的に、今挙がっている案との関係でどんな形での修正が考えられるのかといった辺りについて、何かお考えがあればお聞かせいただければと思います。 ○舩木委員 今のような場合に、再出発したいとかいろいろの場合に、やむを得ない事由の判断で本当に今のやむを得ない事由という形で認めてくれるのかなというのが、まず疑問があるわけです。裁判所の方がそういう運用、そこは十分考えますよということであればいいのだけれども、その辺に少しまず疑問点があったので、そういう場合には認めてほしいというところから意見を言いました。   具体的に、それよりも緩い要件としたら、やはり合理性があるというような基準の表現ではいかがですかというのが個人的な意見です。ただ、そういう基準を設けたからというよりも、実際には運用の問題だと思っていますので、それで全て解決するとは思っていません。 ○窪田部会長 ありがとうございました。それでは、最後の意見の部分を含めて、事務当局の方で検討させていただくということで引き取らせていただければと思います。   ほかにいかがでしょうか。 ○西幹事 ありがとうございます。質問1点と意見2点、申し上げます。   まず、意見の方からですが、甲案だけでは少し……、ということで、乙案を用意されたのかもしれませんが、この20年間という数字が私には非常に唐突なものに感じられました。家族法の中で20年という数字は余りないのではないか、相続の方ではありますけれども、親族の氏関係で20年というのは直ちには思いうかびません。直感的に長いというのもありますけれども、若干違和感はあります。氏の関係ですと、最長のものでも縁氏続称、養子縁組した方が離縁したときに養子縁組のときの氏を名のりたいというときの要件は7年になっていますので、その辺りの数字が出てくると比較的なじみがあるのですけれども。20年というのは、飽くまでも具体例ということだと思いますので、これで固定ということではないと思いますけれども、ほかの選択の余地があるのかなという気はいたしました。   2点目の意見は、非常に細かいことで恐縮です、7ページの(3)の2行目になります。どういう場合に変更の可能性があるのかということで、甚だしく難解難読なものというのがありまして、これは氏で、次の次の行に名についても同じように難解難読というのがありますけれども、今回、読み方を付けるということですので、難読だからという漢字氏名の変更のときの理由はそのまま妥当しないのではないでしょうか。   質問は、更に細かい点で恐縮ですが、これの少し上の(2)のところの最後の段落、名前の変更について、錯誤による場合もあり得るということで、次の届出のところにも錯誤の話が出てきますけれども、今回この変更のところで非常に厳しい、甲案が厳しいかどうか分かりませんけれども、余り緩くはない甲案のようなものになった場合に、人によってはこれの言わば潜脱手段として、実質は変更だけれども、錯誤だったのだということを言い出す人がいることも予想されます。現行法でも氏名に関して錯誤と変更と両方、制度としてあるわけなのですけれども、この辺りの区分けというのがしっかりできているのか、もしお分かりになる情報があれば教えていただければと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。御意見二つと質問ということだったのですが、順番が変わりますが、質問の方は、7ページの(2)の中で錯誤との関係が触れられているのだけれども、読み方の変更と錯誤との関係について確認したいということでした。それから御意見の方は、最初の意見は、6ページの乙案の①、②で出てくる、墨括弧の中にあるものですから飽くまで例示ということではあるのですけれども、20年間というのは家族法の観点からするとやや唐突性があるのではないかということで、例えば7年だとか、ほかのものというのがあり得るのではないか、それから、これは7ページの(3)のところで、氏名の読み仮名にあって変更の対象となるものとして、甚だしく難解難読なものというのがあるわけですけれども、これはもう今回、読み仮名を付けるので、漢字の名前だけがあって難解な読み方は困るよねということではなくて、もう読み方としてはあるので、理由にならないのではないかという御指摘であったかと思います。以上、質問を含めて、御意見も含めた形で、事務当局の方から、まず、何かお答えいただけますでしょうか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。今の窪田部会長の順番でお答えしますと、まず1点目の、錯誤となっていますけれども、氏、名の変更ではなくて錯誤の方で出る、この場合の区分けということなのですけれども、こちらの方は、我々戸籍サイドの方で明確には分からないのですけれども、ただ、文献の中で、錯誤とか、あるいは無効であることを、7ページでいうと27、8行目で、さらにのところに書いていますけれども、出生届の際の錯誤、あるいは命名が、具体的な文章だと、お母さんからこの名前で届け出てくれと言ったのに、お父さんが間違えて出生届を市町村に書いてしまったというようなことがこの文献で確か書いてあったと思うのですけれども、そういったような場合に、名の変更でされていると。恐らく錯誤というところがなかなか証明できないからなのかなと考えているのですけれども、ただ、少しここは、もし最高裁の方で何か付け加える情報があったら、後でお願いしたいと思うのですけれども、そういう形で、そこは容易に想定されるところで、結局、変更の方でやらざるを得ないと、錯誤ということで認めるのはなかなか困難なのかなと理解しております。   それから、2点目の20年間というところですけれども、これは御指摘のとおりでございます。この20年間というのはどちらかというと、20年が先にありきで時効取得のものを無理やりくっつけたようなところがございまして、先ほども説明しましたけれども、結局、市区町村の方で審査できる範囲ということを考えると、なかなか公的資料というものも考えづらいので、20年に1回は変更を認めるというのがぎりぎり許容されるところかなということで、無審査で7年だと感覚的に短いかなと考えております。ただ、20年間というふうに作ってしまうと、これを甲案とは別に作る意味がほとんどない、20年間通用されているということをそもそも証明できたりすると、恐らく家庭裁判所の方で通用使用ということで認められるのではないかということがあるので、20年間、結局、作ってしまうと、そうすると要らないのではないかというところがありますけれども、ただ、先生のおっしゃるとおり、本当に近しいのは縁氏続称の7年間というところがあると思いますけれども、7年だと、7年ごとにころころ変えるというところはなかなか理解されないかなと考えて、20年間にしました。   それから、3番目の難解難読のところは、これは御指摘のとおりで、今回の目的が、おっしゃるとおり、そういう目的ですので、この記載については次回のところは届出が想定されるものからカットしたいと考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。意見の最初の方の20年に関しては、私も資料を見たときにかなり違和感を持ちまして、何でここで所有権の取得時効が出てくるのだろうというのが、やはり正直な感想でありました。ただ、やはり資料を読み込んでいくと、どうもこれは墨括弧に書かれているということは、実際には、ただし前回の変更あるいは登録から20年間を経ていないときはその変更を認めないとか、そういうふうな言い方で多分、扱われるようなものなのだろうと思いました。実質的に本当に社会生活上通用しているのであれば、恐らくもっと短い期間で、5年でも10年でもいいのだろうと思いますが、一方でもうその立証をしないということだとすると、実はここに書かれている、社会生活上通用していることその他うんぬんによってというのは機能していないことになりますので、その点も含めて、少し墨括弧の書き方とその後の説明を検討してもらう方がいいのかなと思いました。   この点でもほかの点でも結構なのですが、いかがでしょうか。 ○畑委員 畑でございます。今のお話と関係があると思うのですが、甲案、乙案という整理の仕方について、恐らく問題には、内容的な要件をどう立てるかということと、それから、裁判所の許可が必要なのか、そうではないのかという二つの軸があるような気がしますので、そこをもう少し明瞭に整理する方が分かりやすいかなという気が少しいたしました。そして、家庭裁判所の許可を得ない方は、当然ですが、やはり実質審査というのは難しくなるだろうと思われますので、その辺りを意識して整理する方が分かりやすいかなと思いました。内容的な意見ということではないのですが、一言だけ申し上げました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。今の御指摘の点、事務当局の方から何かありますか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。御指摘ごもっともだと思いますので、その辺りを意識して記載の方、あるいは補足説明の方で工夫してみたいと考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。 ○大谷委員 ありがとうございます。この点については、結論としては甲案が妥当ではないかと思っております。やはり名前の読み方というのは届出で簡単に変更ができるものではなく、一定の厳格性を要するものだと思っております。特に、自分で選んで付けたもの、今回、多数の方に届出などをしていただいて選ばれたものは、特にその変更の要件を厳格にすることによって、責任持って、これから長年呼ばれていく公証力のある名称を読み仮名を選んでいただくということのためにも、厳格にすべきではないかと思っております。   ただ、他人に付けられたもの、つまり親に出生届に際して付けられたものであるとか、あるいは、これは後半の方に出てくる論点だと思いますけれども、同籍に属する者から氏について、例えば通常用いていた呼称と異なる届出がなされた場合、錯誤による訂正という解決方法があるということが示されておりますけれども、これらについても、甲案でしたら、やむを得ない事由という要件の下に変更ができるというような形になっていますけれども、他人に付けられたものについては、その変更の要件はある程度柔軟にすべきではないかと思っております。その柔軟性というものがこの甲案においてどの程度実現されているかということですけれども、家庭裁判所の許可という事務的な手続というのは、むしろその届出を受け付ける戸籍窓口にとっての事務を円滑化するためにもやむを得ないところだと思われますので、その点は外すことは難しく、単なる変更の届出で済ませるということは難しいと思っておりますけれども、このやむを得ない理由、それから正当な理由といった要件の解釈をある程度明確にすることによって、他人から選ばれたもの、それから自分で選んだものというものの区分に応じて、変更の可能性というのを残してある甲案が十分な内容になっているのではないかと思われます。現在、補足説明のところに述べられている事例だけでは、このやむを得ない理由と正当な理由についてのイメージがしづらい部分もあると思いますので、今後、意見募集などをする際には、それらについてのもう少し具体的な内容を織り込んでいただくことも必要になってくるかと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。甲案を原則として採るということを前提としつつ、しかし、その判断に関してはもう少し柔軟性を設けることができないのか、あるいは具体的な基準を挙げて柔軟に対応することができないかという御指摘で、舩木委員から最初に御指摘があったところとも共通すると思います。あるいは畑委員から、甲案、乙案という対立軸ではなくて、実体法上の要件の問題と手続との関係について整理した方がいいという御指摘がありましたけれども、手続の問題として家庭裁判所が関わる手続としての甲案として、しかし実体法上の要件について見直すという可能性もあるのではないかという御意見として受け止めました。そうした形で次回までに検討してもらうということでお願いできればと思っています。   大谷委員、よろしいでしょうか。 ○大谷委員 うまく整理していただきましてありがとうございました。大丈夫です。 ○窪田部会長 それでは、ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。 ○舩木委員 すみません、度々。今の部会長の整理で異論はないのですけれども、この題は氏名の読み仮名のみの変更の場合にどうするかという話ですから、多分、案を対立するとしたら、今までの文字の読み方と同一レベルの運用にするのか、あるいは読み仮名の方を多少緩和するのかというところが議論の争点なのかなと、この題の方から理解していたのですけれども、少なくともこの乙案というのは、市区町村に判断させるというのは、私はもう論外、暴論だと思っています、そういうことはできないと実際に思っています。むしろ裁判所の判断の基準として同じ、結構厳しい運用、特に氏については厳しい運用ですけれども、それでいいのですか、むしろ、それをゆるくする、運用のところでも、こういう読み仮名が今回入ったことによっていろいろな対応ができるようにするのですよということになるのか、そういうところが議論していただければと思っておりました。今の部会長の整理で異論はありません。 ○窪田部会長 ありがとうございました。恐らく趣旨としては、甲案そのままというよりは、甲1というのか、現状の氏並びに名の変更手続そのままと同じように読み仮名も扱うのか、家庭裁判所の関わる形の手続という点では同じだとしつつ、もう少し緩やかな要件、あるいは具体的な要件が示されたような形のものとして規定するのか、甲2案というか、そういうイメージなのかなと思いました。   一方で、今、舩木委員からも御指摘がありましたが、乙案に関しては特に今までのところ、積極的にこれを採用すべきだという御意見は出ていないかと思うのですが、いかがでしょうか。もちろんそう簡単に案は減らさなくてもいいのだろうとは思いますけれども、ある程度絞って、こういうふうな論点になっているのだということを明確にしていった方がいいのであれば、乙案に関しては見直すということもあり得るのだろうと思います。   今までの意見を踏まえつつ、事務当局で御検討いただければよろしいかと思いますが、何かございますか。 ○土手幹事 いや、大丈夫です。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。   それでは、続きまして8ページの「6 同一戸籍内の氏の読み仮名の規律」ということで、これを事務当局から御説明をお願いしたいと思います。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。部会資料8ページ以降の第1の「6 同一戸籍内の氏の読み仮名の規律」を御覧ください。本文の内容につきましては、部会資料1からの変更はございませんが、9ページの補足説明2に付随する検討事項を記載しております。ただ、これにつきましてはイメージが湧きにくいと思いますので、次回の資料では具体例を挙げて記載したいと考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。同一戸籍内の氏の読み仮名の規律に関してですが、これについて何か御質問、御意見等はございますでしょうか。 ○新谷委員 新谷です。この補足説明のところを、今、土手幹事がおっしゃられたように、具体的な内容で触れていただいた方がイメージとして分かりやすいのではないかというふうに読んでいて、ある程度、戸籍をやられている人だったら分かると思いますが、一般的に出すとすれば、もう少し具体的に、こういう場合はこういうふうになるとか、要するに、離婚復氏の問題で、氏が新たに設定するとかしないとかとなった場合に、どういう場合はこういうふうな氏の名前を、最後の2のなお書ですね、なお、離婚又は離縁による復氏により新戸籍を編製する場合は、新たに氏の読み仮名を定める必要があるという、具体的にどういうのかということを示していただいた方が分かりやすいのかなと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。補足説明の書き方についての御意見でした。 ○藤原委員 藤原です。補足説明について御質問させていただきたいのですけれども、9ページの1の第2パラグラフですよね、仮に同一戸籍の氏の読み仮名を同一、異ならないとした場合に、コンピュータ戸籍の全部事項のひな形が今は筆頭者に付いているのだけれども、それぞれの同一戸籍のほかの者に対しても付ける方法が考えられるというのは、そうした方がいいのでしょうか、どうですかねという質問なのか、そうしたいのかということをお聞きしたいのと、それから、今、新谷委員が御指摘された、2のその他検討すべき事項の離婚、離縁ですよね、これって新戸籍を編製される場合は新しい読み方を決めるのですけれども、もう一つ、例えば、離婚によって子供がいない場合は、元いた親の戸籍に戻る場合は結局、親の氏の読み方を引き継ぐので、ここの部分に関しては、そうでない場合はこうなるとかという形で、これだけを書くのではなくて、離婚の後の戸籍の作り方は2通りあってとか、そこまで少し丁寧に書いていただいた方がいいのではないかと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。そういう形でよろしいでしょうか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。前段の方は、コンピュータ戸籍のところについては、今、コンピュータ戸籍になっているのですけれども、記載方法については、現行が筆頭者についてだけ氏が記載されるという様式になっておりますので、基本的にはそこに氏の読み仮名が記載されるということを想定しておりますけれども、コンピュータで出力するだけの問題ですので、だけの問題といいますか、少しシステムの改修が必要になりますけれども、なので、個別の各人の同籍者の方のところに氏とともに読み仮名も入れるということも考えられなくはないということだと思います。現行並びにすると筆頭者のところに書くというところが、素直に行くとそういう形になるということでございます。2番目の方の問題については、少し幅広く、新谷委員からも言われましたけれども、一般の人はまず分からないと思いますので、できるだけ分かりやすく書きたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございます。 ○藤原委員 最初のところのコンピュータの記載のところですけれども、これって後での収集のところと関わるのですけれども、仮に個々に、この氏でいいですかとか届け出た場合には、同一戸籍でも氏を変えて、こうしたいと変わる場合が、例えば「やまさき」と「やまざき」、筆頭者は「やまざき」で届け出たのに、同一戸籍の子供が「やまさき」という回答をしてくる場合がありますよね、そうした場合にはやはり氏を付けざるを得ないのではないかと今、少し思った次第です。 ○土手幹事 幹事の土手でございますけれども、基本的には氏の読み仮名が同一戸籍内で、もう戸籍に記録されたら、別なものにはできないということになりますので、別なものにしようと思うと、先ほどの氏の変更とか、あるいは論理上は戸籍法113条の錯誤による戸籍訂正のような形にしかできないので、一回出した場合には、それがその戸籍の読み仮名になるということでございます。 ○藤原委員 続けて。となると、筆頭者でない者が先に「やまさき」で届けた場合には「やまさき」になって、元々筆頭者の方は「やまざき」で通していたのだけれども、それはもう受け付けられなくて、名前しか受け付けられないという形のシステムにするわけですか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。後ほど出てきますけれども、11ページの補足説明の2番、19行目のところに甲案、乙案の届出人ということが書いてあるのですけれども、この場合に、少し先取りしてお話ししますと、この氏名の読み仮名の届出というのは、既存の方ですけれども、基本的には1億2,000万人の方々のものでございますけれども、既成の事実を届け出るということで、出生届とか死亡届とかと同じような形なので、事実を届け出るということなので、婚姻届のように夫婦で届け出なければならないというものではないので、基本は戸籍の筆頭に記載した人、あるいはその配偶者、あるいは同籍している成人の方、誰からも出せると、事実を出すだけなので、ということが原則になると思います。当然、考え方としては、今のように「やまさき」、「やまざき」で、別居している夫婦で異なっているような場合もあるので、筆頭者と配偶者が共に届け出なければならないということも考えられますけれども、素直に行くと誰からも届け出るという形になりますので、先生が先ほど言われましたようなことは当初の想定からは想定されないと、誰からも届け出ることができまして、一回戸籍に記載されますと、もうそれで決まってしまうということでございます。その後は氏の変更とか、そういったことになるということでございます。 ○窪田部会長 これから御提案しようと思っていたのは、多分、同一戸籍内の氏の読み仮名を共通にするという点については、同一戸籍内で氏が同じだというのと同じレベルで、抽象的な理念としてはほぼ争いがないのだろうと思います。ただ、実際に届出を誰がどういうふうにするのか、それが自分の意図と異なっていた場合にどうするのだという問題が実は大変に大きくて、それが氏の収集方法のところで触れるという形でいいのか、むしろ、これまでの議論を聞いていても、6は、抽象的にいうと同一性を確保すること自体は争いがないとしても、ではそれをどういうふうにやるのかという部分について、少なくとも6の中でもう少し補足説明があってもいいのかもしれないし、場合によっては、同一戸籍内の氏の届出に関しては独立して、ここでやはり一つ詳しく説明してもらった方がいいのではないかという気がしております。現在出ている部会資料を前提とすると、もう藤原委員から出た、別の成人の子供が「やまさき」で出してしまって、お父さんはずっと「やまざき」と言ってきたのに、えっ、知らないぞということでびっくりしてということになると、後ろの方の説明だと、そもそも錯誤だとか氏の読み方の変更の手続しかないというのですけれども、本当にそれしかないのか、同一戸籍内のほかの者が異議を申し立てたときには何か特別の扱いをするとか、いろいろな方法があり得るのだろうと思いますので、収集方法の中で説明されるよりは、同一戸籍内の氏の扱いについて基本的な理念と、その具体的な実行の手続という形で書いてもらった方が、ひょっとするとみんなも分かりやすいのかなという感じがいたしましたが、いかがでしょうか。 ○冨田委員 冨田でございます。収集のところで御意見を申し上げようかと思っていたのですが、そことかなりかぶる形の議論になってきましたので、この点について1点だけ意見させていただきたいと思います。   届出を含めてなのですが、やはりはじめに届け出たものが正になって、後から変更するには相当の手続が要るということになってしまうと、立法の主旨を記載した「はじめに」のところにある、今回この読み方を付けるのは他人から自己の氏名を正確に呼称される権利・利益の保護を目的とする、ここに結果として反するような形にもなるのではないかと思います。また、これは別の論点なのですが、選択的夫婦別氏制度の議論が進んでいることもある中で、この点は、氏を同一の読み方にする規律の論点と併せてやはり慎重に検討すべきだと思いますし、収集方法ではなくて、もっと別のところできちんと皆さんが納得できるような形での説明が必要ではないかと思いますので、意見させていただきます。 ○窪田部会長 ありがとうございます。意見として受け止めさせていただいて、法務省の方で検討させてもらえたらと思います。   ほかにいかがでしょうか。   それでは、多分6の今ここに書かれていること自体だけで言うならば、それほど大きい反対はないのだろうと思います。ただ、今も出ておりましたように、収集方法に関する話を含めて検討していく必要があると思います。微妙な時間ではあるのですが、短時間の休憩を入れましょうか。それでしたら、10分強ということになりますが、4時30分まで休憩を入れて、それから、第2、氏名の読み仮名の収集方法に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。           (休     憩) ○窪田部会長 それでは、4時半になりますので、法制審議会戸籍法部会、再開したいと思います。   9ページの「第2 氏名の読み仮名の収集方法に関する事項」ということで、ここも1と2がありますが、1と2を分けてやっていきたいと思います。まず初めに「1 氏又は名を初めて戸籍に記載される者に係る読み仮名の収集方法」ということで、事務当局から御説明をお願いします。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。部会資料9ページ、第2の1でございますけれども、こちらについては本文及び補足説明のいずれも部会資料1から大きな変更はございません。なお、本文の(注)に戸籍法の規定のイメージを記載しております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   この1について、いかがでしょうか。何か御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、必要があれば戻るとして、多分、より議論の対象となる部分が多いものだと思いますが、10ページの「2 既に戸籍に記載されている者に係る読み仮名の収集方法」ということで、事務当局から御説明をお願いします。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。こちらについては、本文は部会資料1の内容について具体的な規律の形で整理したものでございます。ただし、この現在の案につきましては、条文ベースで、逆に分かりにくいのではないかと思われますので、次回の資料では、具体的にどのようになるのかが分かるような記載として、現在の条文のイメージについては補足説明の方に移したいと考えております。   11ページの冒頭、補足説明1の(2)に記載しているとおり、本文甲案及び乙案は、新たな届、氏名の読み仮名の届というものですけれども、これを設けるものであります。本文甲案は、戸籍に記載されている者に届出義務を課すものというものでございます。他方で、同じ11ページの11行目、(3)に記載しているとおり、本文丙案は、本人の申出等に基づき市区町村長の職権により氏名の読み仮名を戸籍に記載するものでございます。こちらについては、本文甲案又は乙案と併せて採用することも考えられます。同じ11ページの補足説明2に記載しているとおり、本文の甲案又は乙案を採用する場合には、氏の読み仮名の届出人を誰とするのか、先ほどもありましたけれども、検討する必要がございます。この点、第1の6のとおり、同一戸籍内の同籍者の氏の読み仮名は異ならないということになりますので、同籍者全員を届出人とするということも考えられますが、一方で、DVなどにより離婚には至っていないが別居状態にある者については、同籍者全員で届出をすることが困難であるという見方もあることから、同籍者の一人が届け出るとするということが考えられます。   しかしながら、同籍者の一人による届出を認める場合には、先ほども御議論がありましたけれども、届け出られた氏の読み仮名が他の同籍者、同じ戸籍に入っている人の認識しているものと異なる、先ほども例にありましたけれども、夫は「やまさき」、妻は「やまざき」という読み仮名を使用しているというような場合が想定されますが、その場合の対応についても検討する必要があるということでございます。これについては、戸籍法113条の、その記載に錯誤があることを発見した場合に該当するとして、利害関係人である他の同籍者が家庭裁判所の許可を得て戸籍訂正を申請するということも考えられます。なお、現に夫婦間で異なる氏の読み仮名が使用されている場合に、家庭裁判所において錯誤があると認定される、先ほどの「やまさき」と「やまざき」のような場合ですけれども、こちらは現実問題としてはかなり難しいのではないかと考えられますが、方法としては同籍者全員又は筆頭者及びその配偶者を届出人とすることにしない限り、この問題は避けることができないということになります。   12ページの補足説明の5には、みなし届出について記載しております。これは具体的には、本文の甲案を前提としつつ、届出期間経過後、市区町村長が保有する氏名の読み仮名若しくはこれに準ずる情報、又は氏名に係る国字の音訓及び慣用により表音されるところ、これにより届出人となるべき者に戸籍に記載する氏名の読み仮名を通知し、一定期間内に異議が述べられなかったときは同期間の満了をもって当該通知に係る氏名の読み仮名の届出があったものとみなし、市区町村長が戸籍に氏名の読み仮名を記載するというものでございます。   13ページの補足説明6には、本文丙案の具体的な方法を記載しております。一つ目の案は、氏名の読み仮名が戸籍の記載事項として法令に規定されている以上、戸籍法の24条1項に戸籍の記載に遺漏があるという規定があるのですけれども、そういった状態にあると評価して、当該戸籍に記載された者、若しくはその法定代理人からの職権記載の申出や、又は氏名の読み仮名を職務上知った官庁等からの本籍地の市区町村への通知があれば、同条の第2項にありますけれども、戸籍訂正によって市区町村長が氏名の読み仮名を記載することができるというものでございます。少し技術的な内容で恐縮ですけれども、そういうものでございます。二つ目の案は、市区町村長が職務上氏名の読み仮名を知ったときは、職権によりその記載をすることができるという規定を新たに法令に設けるというものでございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、10ページの「2 既に戸籍に記載されている者に係る読み仮名の収集方法」について、ただいま御説明があったことを踏まえて、御質問、御意見等はございますでしょうか。 ○常岡委員 確認ですけれども、氏については同籍者は同じ読み方にするというお話が既に出ていましたけれども、収集方法のときに、同籍している配偶者とか成人の子供たちの名前の部分については各自で届け出るということですね。例えば、筆頭者がまとめて届け出るということではなくて、結局は一人一人が届け出なければいけないので、そこで先ほどの名字の読み方の食い違いについて、早い者勝ちとかそういうことが起こってしまうと、そういうことでよろしいでしょうか、基本的な状況としては。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。そのとおりでございます。各自が名前については届け出るということになります。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほかにございますでしょうか。 ○常岡委員 同籍者で読み方が違うというときについて、夫婦の場合にはこれはもう夫婦同一氏で同一戸籍なので、現行法では如何ともし難いのですが、成人の子供の場合には分籍の手続をすれば自分の読み方の新しい戸籍を作ることはできますよね。だから、実務的にはそういうふうな対応も可能であるということを踏まえつつ、それでも、同籍の場合に筆頭者が届け出たい名字と成人の子供が届け出たい名字のそれぞれの読み方が違うときには錯誤、113条か、又は207条等によって対応するということですね。この案だとそうなるということですね。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。おっしゃるとおりでございます。分籍ができますので、その後のところについてはどこまで認められるかというのはありますけれども、理論上はそういうことになります。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。 ○若月委員 若月です。すごく細かいところに一気に行ってしまって、どうかなとも思ったのですけれども、同籍者全員を届出人とするというのは、具体的には同じ届出用紙の中に全員の名前が並ぶ?どういうイメージになるのですか。 ○土手幹事 幹事の土手でございますけれども、例えば夫婦と子供さんが2人いるという人が同じ戸籍の中に入っていると、婚姻して子供がそのまま、結婚していない場合には、何もしなければそういう戸籍になるのですけれども、その場合に、夫婦、それから、お子さんが両名とも成人の場合には、その4名で届出をすると。私の氏は、例えば「やまさき」ですというような形で、そういう届出に、届出人は4名というイメージでございます。 ○若月委員 氏はこうですという読み方を書いて、届出人の名前にその4人の名前が並ぶというようなイメージ。 ○土手幹事 そういうイメージでございます。ただ、実際の場合にはほかの届出と一緒にしたりするような場面もあるので、家族全員が届け出ることはないと思いますので、もし全員が届出人ということになると、多分そのパターンしかないと思います。 ○若月委員 そういうときは、全員が名字と名前を書くということになるのですか。 ○土手幹事 幹事の土手でございますけれども、おっしゃるとおり、そのときには名前も同時に届け出てもらうというのが甲案のイメージでございます。 ○若月委員 飽くまで配偶者と成人に達している子供が対象で届け出る、成人でない子供はもう当然、親の氏がくっつくみたいな。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。その点、10ページの(注2)に書いてあるのですけれども、子の場合の戸籍の届出については、未成年者のときは親権を行う者が届出義務者、届出人になるということになりますけれども、未成年者自体も届出人となることを妨げないとなっています。意思能力があればどちらでも出せるということで、これは戸籍法にそういう規定になっておりますので、そういう扱いになるということになります。 ○若月委員 分かりました。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。今御質問があったのも、氏の方は共通して、名の方はもちろんばらばらなわけですけれども、氏だけを届け出るという手続というのは余りぴんと来なくて、多分、実際には父親なり母親なりが出すときも、自分自身の氏と名と、両方ともについての届出をして、その氏の方は全員について及ぶと、そういったものを誰か一人が出すイメージということになりますし、具体的な手続でいうと、氏について共通するといっても氏だけの手続というのは実際には考えにくいのかなという感じがいたします。 ○新谷委員 新谷です。今の部会長がおっしゃったことのあれなのですが、これは基本的には1回の届出で一つの戸籍の全員がやらないと、ばらばらになってしまうのではないかと思うのです。氏だけの届出を筆頭者と配偶者がやると、名前については、未成年者については恐らく法定代理人が届出をするのが一般的だと思うのですが、成年の子供がいた場合に、何で勝手に俺の名の読み仮名を親がやったのだというような問題が起きるようなことがないようにしないと混乱を生じるのではないかと思うのです。特に、窓口にそういうふうなトラブルが起こった場合にどうするのかというようなこともきちんとどこかに明確に書いておけばいいのではないかと思うのと、もう1点は、甲案のところで施行日から○年以内という、恐らくこれは附則になるのかどうか分かりませんけれども、この辺を具体的なめどとしてどの程度考えているのかということが分かれば、お願いをしたいと思います。 ○土手幹事 幹事の土手でございますけれども、おっしゃるとおり窓口で実際のさばきとして、いろいろ混乱が起きる可能性がありますので、その辺りについて、次回資料に間に合うかどうか分かりませんけれども、少なくとも中間試案が出るまでにはある程度書きたいと思います。   それから、何年以内というところは、ここは委員の先生方の御意見を頂きたいところではあるのですけれども、例えば5年というのが一つ考えられるかなというのがございます。ただ、5年が長いのか短いのか、次となると多分、2年ぐらいだと思うのですけれども、10年だと長すぎるなということで、一つの目安としては5年というのが考えられるのではないかということを事務局としては考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   お手がすごくたくさん挙がっているのですが、私の方で手を挙げた順番を把握できませんでしたので、見える順番で御発言いただきますが、まず最初に冨田委員、それから小幡委員、大谷委員、舩木委員という順番で御発言をお願いします。 ○冨田委員 ありがとうございます。冨田でございます。この項につきまして、3点意見を申し上げさせていただきたいと思います。   まず1点目が、収集に対する国民への周知についてです。今回の対応をデジタル化社会のベースレジストリとできるかというのは、正にこの、既に戸籍に記載されている方の収集に掛かっていると思います。ですので、この収集を促進するためには、国民が趣旨と必要性を理解する必要があると思いますので、そのことを正にどのように周知していくのかということについてもあらかじめ議論をしていく必要があるのではないかと思っております。   2点目が届出期間の設定についてです。収集に伴う自治体への業務の負荷や必要な予算措置を講ずるためにも、やはり期限を定めていく方が望ましいと考えております。ただ、一方で過料を科すことについては、これは国民の理解が得難いのではないかと思いますので、ここの辺りは慎重な検討が必要ではないかと思います。   3点目が届出の方式についてです。一般に戸籍の届出は本籍地、所在地のいずれでもよいと認識をしておりますが、対象が相当の人数ですので、相応の業務量が見込まれると思います。本籍地のある自治体とするのか、若しくは住所地がある自治体とするのかについても、あらかじめ定めておくといったような方法もあるのではないかと思います。また、前回、デジタル化社会にふさわしい収集方法の検討についてお願いをいたしましたが、その際にマイナポータルからの届出も想定をしているという御回答がありました。その場合には、この前の議論でも御意見がありましたが、マイナンバーカードへの読み方の記載についても併せて御検討を頂ければと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。周知の重要性、それから期限の必要性、ただし過料は駄目だということ、それから、届出をする自治体、マイナンバーカードへの記載等について御意見を伺いました。この点については、事務当局から何かありますか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。国民への周知、こちらについてはごもっともだと思っております。それから、届出期間についても定めた方がいいと思っております。過料との兼ね合いとか、ほかの問題がございますけれども、基本的には定めた方がいいだろうと思っております。3点目の届出地なのですけれども、今、基本的には本籍地と所在地でできまして、そのほかいろいろなプラスアルファの規律はありますけれども、基本は本籍地と所在地でできるということにしております。今回も基本的には同じ形になるのですけれども、何も法文に書かなければですね。これについては所在地でできた方が、特に住民票の所在地と本籍地が違う方というのが感覚的には大体半分ぐらいと言われておりますので、そうすると、やはり本籍地に出すというのを、郵便でもできるのですけれども、なかなか難しいかなという気はしております。一方、マイナポータルの場合にはオンラインでの届出ということになりますので、仮にこれができるということになると、これは戸籍法施行規則で本籍地にしかできないということになりますので、ましてやオンラインで自動的にされますので、本籍地で十分になりますので、本籍地の方に届け出られると、自動的にされるということになりますけれども、郵送の場合も当然、本籍地ということになりますけれども、窓口に行って何かのついでに届け出てくれるというところを考えると、届出については本籍地だけではなくて、現行の規律である所在地でもできるとするのがいいかなと現時点では考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○小幡委員 小幡でございます。今の冨田委員の御意見についてですが、私も周知の重要性、とても大事だと思います。これをいかにできるかにこの施策の成否が掛かっているのかもしれないと思うぐらいですので、そこはとても大事だと思います。   甲案、乙案、丙案とあるのが、よく分からないのですが、私はやはり過料を科すような届出義務というのは国民の理解を得られないと思うので、とるべきではないと思うのですが、乙案は過料は科さないという違いだけですかね、よく分からないのですが、要するに、戸籍法上の従来の届出にはしなくて、何か違う言葉を使うのか、例えば、申出とか、そこは分かりませんが、そういう形で、ともかく新しく氏名についても戸籍の法律事項にするので国民の皆さんに届け出てもらう、申し出ていただくと、それは、自己決定といいますか、ご自分のことですので、ご自分で届け出ていただくのが本来の一番良い姿だと思います。ただ、それをいつまでに届け出なければ違反で過料を科しますというやり方はとれないと思いますので、そこは過料を科さない形で進んで届け出てもらうということになると思うのですが、先ほど期間の話で5年とか、そういう話がありましたが、5年は少し長いかなという感じがしていまして、やはり、せっかくそういう施策をとるのですから、できるだけ効率的、効率的という意味は国民の負担がないという意味での効率性もあるわけですが、自分は今、市区町村でとられている氏名の呼び方で構わなくて、余り問題ない、むしろ届出をするのは少し手間だという方に対しては、ここでみなし届出というのも12ページにありますが、私は、2段構えで、届け出てもらうのですが、いつまでに届け出ない場合にはこういうふうになると国民に周知をしておいて、それでよい思う方は、届け出なくてもよいのではないか。勿論、本来は自分で申し出ていただきたいのですが、それが面倒くさいという方もやはりいらっしゃると思うので、その場合にはその負担を軽減するという意味で、市区町村が持っているもので読み方を入れる。そういうふうにすれば、期間的にそれほど掛からないで整うのではないかという感じがいます。大事なのは、周知のところで、もし自分が届け出なかったらどうなるかということの後のことを決めて、そこまできちんと周知して選んでいただくというやり方もあると思います。   それから、氏の話はなかなか難しいと思っておりまして、早い者勝ち、先に届け出た人がいたら家族内で決まるというのもよくないので、どうするかですね、ほとんどの方は同一だと思うのですが、氏が違う申し出が同じ戸籍内で万一出てきた場合はグループ内で調整するというやり方が、届出期間内で、少し事務的には大変ですけれども、そこでの調整システムを作っておく必要があるのではないかとい思っております。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。今の御意見は、甲案、乙案、丙案のいずれかというよりも、何か一定の組合せの中で効率のいい形での収集ができるのではないかということ、特に過料という形は使わずに一定の期間内ということでした上で、しかしその期間が経過した段階ではみなし届出のような仕組みをうまくセットにすることで、できるのではないかということだったかと思います。また、先ほど土手さんからは5年というのがありましたけれども、5年というのは少々長いかもしれないと、こういう手続としては、もう一定期間内でということで、もう少し短い期間も考えられるのかもしれないという御意見も頂いたかと思います。何かありますか。 ○土手幹事 幹事の土手でございますけれども、周知の重要性、一番最初の点についてはごもっともなところでございますし、先ほどの2段階のような形というのも確かに、ということなのですけれども、一つ悩ましいところが、過料は科さないのですけれども期間を定めるというところが、現行の戸籍法の規律だと、ほぼ100%に近い形で期間が定めてありまして、報告的届出についてはですね、創設的な、婚姻については婚姻のときなので、当然そういうのはないのですけれども、正当な理由がない場合には過料に処すという規定が全部かぶっていますので、ここだけ規律を外すというところが法制的にどうかというところが一番、我々事務当局としては悩ましいところがありまして、それで苦肉の策で乙案みたいな。乙案も実は、これも法制的に、戸籍法の規律にはこれはないので、これも非常に難しくて、あるのは、期間が書いて、しなければならないという規律と、当然、創設的なものは、することができるというのと、あと唯一、外国国籍喪失届というのが経過規定であって、今はしなければならないのですけれども、過去の分については期間なく、することができるという規定が唯一あるということで、するものとするという、この中途半端な案は、書いてはいますけれども、いざ立案できるかというとなかなか難しいところがあるのですけれども、初めに戻りますけれども、いずれにしても期間を定めて過料に科さないというところが非常に難しいので、乙案みたいなところが産出されたというところがございます。   それから、最後の届出人のところの調整の規律も、ここが今正に一番悩ましいところで、この調整システムというのが、規定的には経過規定のところになりますので、経過規定のところに新しい裁判規律のような調整システムはなかなか置けない、置く例はないと思いますので、現行の規律の中で何かしら実質的に調整できるところはないかなというところで、非常に悩ましいところでございますので、また御意見を頂ければ有り難いというところでございます。現状の認識はそういうものでございます。 ○小幡委員 今の戸籍法上、届出という言葉を使ってしまうと、多分無理だと思うのです。ですから、別な言葉で新しい形を作るしかないのではないかという感じがしておりますが。 ○窪田部会長 小幡先生がおっしゃっていたものというのは、ひょっとすると届出義務といわなくても、例えば、施行日から3年以内には言わばオプトインの形で、本人から届出があったらそれが読み仮名になる。ところが3年を経過すると、既に収集されたものがある場合には、それがみなし登録されて、それが嫌だという場合にだけオプトアウトで出るとか、義務という言葉を使わなくても同じようなことは実現できるのかなとも思いましたので、少し法務省の方でも検討していただければ有り難いと思います。 ○大谷委員 大谷でございます。ありがとうございます。今ちょうど部会長の方で整理していただいた内容を正にお話ししようかと思っていたところでしたので、うまく御提案していただいて有り難いということに尽きます。どちらかといえば丙案をどういうふうに使うのかと、甲案、乙案を使わずに、丙案のみなし、職権による読み仮名を戸籍に登録するというやり方をどのような形で発効させるのがいいのかという論点で、届出義務というような形から少し離れてみるのがいいのではないかと考えておりましたので、恐らく御提案の趣旨と一致するものではないかと思っております。   そして、少し事務局に確認させていただければと思っていたのですけれども、11ページの錯誤による戸籍訂正のところなのですけれども、この戸籍訂正というのが法律上どういう効力を持っているのかというのと、それから実務上、運用上どのような効力を与えられてきたのかといったことについて整理させていただければと思っております。先ほど分籍というお話もあったかと思うのですけれども、例えば、遡及してその訂正の効力が発生するのか、あるいは同籍の者に対する影響範囲というのはどのようになるのかということで、この錯誤による113条による訂正の使い道というか、見極められると思いますので、分かっている範囲で教えていただければと思っております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。私の方で余計なことを発言してしまいまして、申し訳ありませんでした。丙案を基にした形でうまく全体の仕組みが作れないかということと、錯誤による戸籍訂正についての御質問でしたが、特に錯誤による戸籍訂正について、法務省の方でお答えいただけますでしょうか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。戸籍法113条に、錯誤がある場合に家庭裁判所の許可を得て戸籍を訂正することができるということになっておりまして、家庭裁判所に申し立てまして、その審判を得ましたら、それをもって市区町村の方に訂正の申出ができるということになっております。それに基づいて戸籍が記載されるということになります。当然、錯誤の元のものについても残りますし、新しく訂正されたものも残るというような形になります。御質問の趣旨に合っていますかね。 ○窪田部会長 あと多分、遡及的な効力があるかとか、錯誤の例が多分、かなりいろいろなパターンがありますよね、ですから、それによって効果がどうなるのかが違ってくると思うのですが、幾つか代表的なものをもしお示しいただけますでしょうか。 ○土手幹事 基本的にはこの錯誤のところは、市区町村の方の誤記みたいなものだと職権でできたりもするのですけれども、それ以外の錯誤、明らかに矛盾するようなものですね、記載がバッティングするようなもの、そういったものについて両方とも消すと。ただ、基本的には現在の戸籍のところだけを修正するということになって、過去のものについてはこの錯誤では訂正する場面はそれほどないと思うのですけれども、もし違っていたら新谷先生に御指摘いただきたいですが、錯誤以外にも、無効の裁判とかそういったもので戸籍訂正をする場面というのはありますけれども、それは、例えば婚姻無効ということになると、例えば婚姻後に転籍したりすると、婚姻の元から戸籍訂正するというようなことになりますけれども、こういうような、氏名とかで錯誤でした例は余りないかもしれませんけれども、そういったものについて修正するということになると、現在戸籍だけの修正になるというのが通例だと思います。新谷先生からもし補足があったら、お願いします。 ○新谷委員 新谷です。訂正というのは基本的には、現在の戸籍から間違ってある戸籍まで全部直すのが訂正の方法です。更正というのは現在の戸籍だけしか正しくしない、記載に合わせると。今お話にあった、恐らく名の読み方の訂正となると、前には振られていませんので、現在の戸籍だけになると思います。若しくは転籍なんかをしていれば前の戸籍まで直る。お手元に資料があればよろしいのでしょうけれども、戸籍六法はお手元にいらっしゃっているのでしたっけ、それのコンピューター戸籍のところで見てもらうと、378ページというところを開いていただければ、ちょうど名の記載が、戸籍訂正許可の裁判ということで、訂正があって、恐らくこれが、漢字の表記ですけれども、例えば、振り仮名がもし間違っていたら、まだどういうふうに戸籍が編製されてどのような様式になるか分かりませんけれども、ここのところが名前のところが消えたところで、従前は何が書いてあったかというと、名前として従前の記録で消えたと書いてあったというのがコンピューターです。紙戸籍もそれに対応するものが、附録9号様式の第2というところで、343ページですけれども、そういうふうな形になるというところでございます。そのような形で、付録様式を見ていただければイメージ的には湧くのではないかという感じがします。 ○窪田部会長 ありがとうございました。大谷委員、よろしいでしょうか。何か御発言があれば。 ○大谷委員 質問の点については大丈夫です。ありがとうございます。 ○舩木委員 度々すみません、舩木です。まず、今回の整理ですけれども、甲案、乙案というのが結局、届出義務があるのが甲案で、乙案は義務はなくて、甲案は罰則とか何とかに結び付くと、そういうような、今の戸籍法の規定に少し引きずられすぎているのではないかというのが、まず第1です。要するに、名前の読み方の収集というのは今、戸籍法で想定しているものでは全然ないと思うのです。既に今使っていた名前というものを届け出るのですけれども、それも報告的な届出なのか、場合によったら創設的な届出なのか、両方あり得る話だろうと思っています。それを、要するに、過去使っていたものを必ず届け出ないといけないというよりも、家族がみんな一致すれば、今回届け出るのは、新たな読み仮名を付け加えたって、それも認められるという意味で行くと、今、戸籍法で考えているような運用の内容とは少し違うと思うのです。だから、そうして見ると、余り今の戸籍法の規定を、義務とするとこうなりますよ、義務でないからこうなりますよとか、戸籍法の運用というのを厳しく縛られすぎているのではないかというのが、まず第1です。   そして、今回の届出というのは、例えば国民に対して届出用紙というのを配るのでしょうか。要するに、住所地のところから届出用紙を配って、これで出してください、それも国民の周知に対する一つの方法だと思うのです。あるいは、その用紙を使わなくても役場に来れば当然受け付けますよ、あるいはマイナポータルでも受け付けますよとか、そういう幾つかの手段はあるとしても、何らかの通知というものを行うべきではないかと、行った方がいいのではないかと思っています。そして、そういう通知をするというのであればどういう通知の仕方をするかというのが、家族を一まとめにして通知するのか、個々に通知するのかだけれども、経済的に言えば1世帯当たりまとめて通知するというのが、それはコスト的にはいいだろうと。これは結局、選挙権の通知をしているのと基本的にはほとんど同じことになっているわけですね、住所、世帯に対して送るということになると。今まで18歳以上の部分が選挙権の対象だったものを、18歳以下についても欄を設けるということをすれば送れるという意味で、そういう運用を考えてみると、やはり本籍地のところから送るのではなくて、住所地のところから住民基本台帳を基に送るという方が、やはり一番効率的ではないのかという気がしています。   届出期間については、例えば通知をして10か月以内に届け出てくださいと、そして、その届出期間の間に、あるいはマイナポータルとかいろいろな分も含めて、その間に名字、氏のところが整合性がとれないとかいうようなものは、その後2年間とか、その間に調整してくださいと、協議によって出すとか、あるいは裁判所によって決着するとか、そういうようなものを大体どのぐらいの期間というのでイメージした方がいいのではないかと。その間の期間に、例えば成人の子供だったら分籍して新たな名前を届け出ればいいですよとか、そういうことも判断できるということになるのではないかと思います。最終的には、また最後の確認ということの通知をすると。   全体の通知をするという意味でいうと、先ほど言いましたように、選挙権の通知というのはやっているし、これを定期的にやっているのは参議院選挙なのですよね。参議院選挙は今年の夏か、行われますが、それは当然、間に合わないとして、更に3年後の参議院選挙のところで目標設定するとか、そういうことは一つの考え方ではないかと思っています。その際に結局、通知する際に届出用紙だけを送るのか、それとも、あなたの氏名は住民基本台帳ではこうなっていますということを通知するとともに、それに異議があれば、例えば返信用のはがきも同封しておいて、異議があれば書いてください、異議がなければ異議がないということを書いてくださいとか、そういうものも併せてやって、それで10か月とか何とかに何も返事がない場合には、この名前で戸籍の名称とさせてもらいますというような運用が現実的ではないのかと、その間のトラブルの修正期間も設けておいた方がいいのではないか、そういうのが個人的な意見です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。舩木委員からは具体的な御提案を非常にたくさん頂いたのですが、それと同時に、恐らくここの部分で収集方法という形で現在の甲案から丙案も、ある意味、非常に抽象的にルールが示されているのですが、具体的にどうやって集めるのかということを実際に想定していきながら議論を進めないと、やはり適切な議論ができないのではないかということも感じました。舩木委員からは、戸籍に関する話なのだけれども、むしろ住民基本台帳を前提とする形で、返信もできるような形での通知、単に案内というのではなくて通知、そして、住民基本台帳を前提とすれば、そもそものデフォルトの振り仮名は一旦入っている状態で、それに対して異議があるかないか、異議があるのだったらどういうふうに読むのかという形での手続もできるかもしれないといった御提案まで頂いていたのかと思います。事務当局の方で何かございますか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。今の御提案の内容については、法令事項にするのかどうかというのはなかなか難しいところがありますし、こういうことでやるということを法制審の中で決めるのも、予算事項がかなり含まれておりますので、それも物理的に困難なところはありますけれども、こういう方法が考えられるというようなことで、具体的な実効ある内容ということで入れることは可能かなと、その中の選択肢の一つ、場合によったら市区町村の方の選択する方法としては考えられるのかなというのが、今の時点ではそういう認識でございます。 ○窪田部会長 もちろん法務省の方で一方的にこうすると言ったって、担当する方で対応してくれなければいけないわけですけれども、ただ、それを踏まえつつも、ここで具体的なイメージを抱きながら議論をすること自体は必要だろうと思いますので、少しそれを踏まえて検討していければと思っております。 ○鷲崎幹事 鷲崎です。ありがとうございます。2点、重要と思いまして、1点は既にここまで御議論されていますように、やはり国民にとって、国民目線でのやはりその価値、意義というものがきちんと知らしめられることが大事だろうと思います。   もう一つは、収集方法はこれは手段でありますので、やはり、まず目標を、例えばいつまでにどれだけの記載率を目指すのかといった目標がまずあって、それを達成する上で、では手段はどう在るべきかという観点は本当はあるのだろうと思います。つまり、目標がまず設定されることによって、手段としての収集方法の設計がおのずと決まるのだろうと思います。ただ、もちろんそうはいっても実現可能性をきちんと考えておくことは大事ですので、手段を先行して議論することはもちろん重々承知しておりますけれども、その上で、では目標をどこに掲げるのかというところ、それに応じてやはりその手段の設定があると考えます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。これも御意見として受け止めて、今後の検討に反映させていただきたいと思います。 ○村林委員 村林でございます。全く先ほどの舩木委員の意見に賛成でございまして、付け加えるとしますと、去年の5月、6月ぐらいに給付金が全員に行われたと思うのですけれども、あの仕組みを使えば多分、選挙権よりも更に簡単に収集の方法が使えるのではないかと思います。マイナポータルと郵送とできちんと、名前も全部入っていて、問題なければ、そのまま問題ないですとすると給付金が入ったということで。今回の申請することによる国民のインセンティブってすごく見えにくい、インセンティブのないものに対してなかなか動きをする人って少ないというか、さあ、やろうと思う人は少ないと思いますので、やはりできるだけ簡便で、そのまま自動的に終わるというような仕組みを考えないと、幾ら法律整備しても意味がないのではないかと思いますので、御意見させていただきます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。先ほどの舩木委員からの御指摘もあった部分と重なる御意見として受け止めさせていただいて、法制審の中間試案、答申としてどこまで書けるのかということはありますが、やはりこういうことが望ましいといったことを補足意見で書くところまでは可能かと思いますので、それも含めて検討していけたらと考えております。   いかがでしょうか。 ○藤原委員 今、部会長がおっしゃったように、中間試案のたたき台として、今書かれている甲案、乙案、丙案をこういう形で出すのかどうなのかということ、改めてこれは事務局の方で作り直すという理解でよろしいのですか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。いずれにしても、この形が少し分かりにくいので、分かりやすい形に直して、どこまでできるか分かりませんけれども、本日頂いた意見を基に、法制化の内容のところについてはそういう形にして、それから、今意見を頂いたところについては、補足意見でどこまで書けるのかというのを次回、すべからく反映することは難しいかもしれませんけれども、書いてみたいなと考えております。 ○藤原委員 もう一つなのですが、舩木委員、村林委員がおっしゃるように、やはり収集というのか届出率を上げるためにはプッシュ型にせざるを得ないのではないかと思うのです。やはりメリット、インセンティブがなかなかないので、舩木委員のような具体的なものをある程度ここで想定というのは、皆さんで考えて、どこかに意見というか、案として出した方がいいのではないかと思います。 ○窪田部会長 恐らく土手さんも非常に慎重な発言をされているのは、法務省の方で勝手にそれを決めて、やれよというふうにやる権限はどこにもないので、その意味では補足説明の中で、具体的にはこういうことが考えられるし、という程度のことまでは言えるし、あるいは場合によっては、望ましいとか期待されるとかということまでは言えても、これをやれということは言えないので難しい、非常に慎重に対応されているのだろうと思います。ただ、この問題に関して言うと、マイナンバーカードとの関係もあって、デジタル庁であるとか総務省の方もここに参加していただいているわけですから、ここでそういう議論をしてそちらの方で反映していただくとか、いろいろなことも考えられるのかなとは思っております。   ほかによろしいでしょうか。 ○畑委員 畑でございます。少し手続的に細かいことになりますが、申し上げておきます。今日、既に一部話が出ておりますが、戸籍の訂正という話と、それから氏名、その読み仮名の変更という話があるのですが、この二つの関係というものを可能であれば少し整理しておく方がいいかなという気がしております。今の話の文脈でいうと、11ページの、先ほどの氏の読み仮名の話で戸籍の訂正という話が出ておりますし、それから13ページでは、乙案のみなし届出の関係で変更という話が出てきております。理屈の上では、恐らく丙案で職権で記載した場合も、それが気に入らないという人が出てきたときにどうするかという問題があると思います。いろいろなところで訂正とか変更という話が出てきておりますので、なかなか難しいかもしれませんが、できれば整理した方がいいかなと思います。いずれにしても家庭裁判所が絡んで判断するという意味では共通ではありますが、細かいことを言えば家事事件手続法上、事件係属の通知ですとか、必要的な陳述聴取でありますとか、全く同じ手続というわけでもないので、少し検討した方がいいかなという気はいたします。先ほどの話との関連で言えば、11ページの氏の読み仮名の話で既に出ておりますけれども、同じ戸籍の中で意見が違う人がいたときにどう調整するかという話がありましたけれども、これらの手続がその受皿という機能も果たすということにもなると思いますので、少し整理が必要かなと思いました。 ○窪田部会長 ありがとうございました。ただいまの御指摘の部分については、少し法務省の方で検討していただいて、特に補足説明の中で、両者の関係等についてきちんと書いていただくということ、あるいは具体的な手続について少し明確に示していただくこと等というのを課題として持ち帰っていただければと思います。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、本日の審議については以上とさせていただきたいと思います。   今日の戸籍法部会資料2については、全部を扱えるかどうか等を含めて見通しが立っていなかったのですが、予定したとおりの時間で進めることができたかと思います。ありがとうございました。   それでは、次回の議事日程等について事務当局から御説明を頂けますでしょうか。 ○土手幹事 幹事の土手でございます。次回の日程は、令和4年2月8日火曜日、午後1時30分から午後5時30分まで、場所は法務省7階の共用会議室6・7でございます。 ○窪田部会長 それでは、本日はどうも活発な議論をありがとうございました。以上をもって終わりにさせていただきます。 -了-