法制審議会 民事訴訟法(IT化関係)部会 第20回会議 議事録 第1 日 時  令和3年11月26日(金)自 午後0時59分                      至 午後3時46分 第2 場 所  法務省地下1階 大会議室 第3 議 題  民事訴訟法(IT化関係)の見直しについて 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○山本(和)部会長 それでは、時間まだ少し前なんですが、御出席御予定の皆様既におそろいということですので、これより法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会第20回会議を開会いたします。   本日も御多忙の中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。   なお、本日は衣斐幹事が御欠席ということであります。   次に、本日の審議に入ります前に、本日の配布資料の説明を事務当局からお願いいたします。 ○西関係官 本日は部会資料29-1「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する要綱案(案)1」、部会資料29-2「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する要綱案(案)1についての補足説明」を配布させていただいております。これらの部会資料は、要綱案のたたき台における皆様の御議論を踏まえまして、内容を更に検討させていただいた上で、要綱案の案としての形式を整えて作成したものでございます。なお、前回の部会で御議論いただいた論点につきましては、この資料中は【P】とさせていただいております。部会資料29-1は、本文及び(注)のみを記載したもの、部会資料29-2は、これらの内容について、必要な範囲で補足の説明を付記させていただいたものになります。資料の内容につきましては、後ほどの御審議の際に事務当局から説明をさせていただく予定でございます。   本日の配布資料は以上でございますが、事前に、前回お配りした参考資料14の訂正版をお送りしております。こちらにつきまして、大変申し訳ございません。ホームページ等につきましては、この部会の終了後、適宜のタイミングで訂正版をアップさせていただきたいと思っております。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは、早速ですが本日の審議に入りたいと思います。   最初に、「第1部 民事訴訟法の見直し」の論点につきまして、順次取り上げてまいりたいと思います。   まず、部会資料29-2、この補足説明が付いている方ですが、これでいうと3ページからになりますけれども、「第1 インターネットを用いてする申立て等」についてでありますが、これは幾つかに分かれていますが、各項目ごとにということで、まず「1 インターネットを用いてする申立て等」について、事務当局から資料の説明をお願いいたします。 ○西関係官 本文及び(注)につきまして、部会資料23のたたき台の方から変更はございません。(注2)の規律につきましては、前回取り上げた際に出された御意見についての検討を説明の方に記載させていただいております。   簡単でございますが、説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 それでは、この第1の1の点について、どなたからでも結構ですので、御意見があればお出しを頂きたいと思います。 ○阿多委員 (注2)について、この(注)は最高裁規則に設けるとなっていますので、細かな議論をする必要はないと思いますが、4ページ補足説明の説明欄の(注2)では、5行目で、当事者に相手方に対してそのようなデータの提出を求める申立権は認めることができないという説明がありますが、裁判所に対する職権発動の促しにとどまるという説明ですが、私は、当事者が裁判所を名宛人として権利行使を求める申立てを考えています。そういう意味では、民訴法の149条3項の釈明権行使の申立てと同じ位置付けで考えていますので、規則の際には、障害者の権利として意識して議論していただいたらと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。   特段ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、引き続きまして、今度は同じ4ページ、「2 書面等による申立て等に係る電子化(訴訟記録の電子化)」の問題、この点につきまして、事務当局から資料の説明をお願いいたします。 ○西関係官 本文に記載した部分は、部会資料23のたたき台の記載と同じでございます。たたき台におきましては、電子化したものの訂正の規律についても記載をさせていただいておりましたが、前回のたたき台についての御議論を踏まえますと、法律に規定として置くまでの必要はないとも考えられますことから、訂正の規律の記載についてはしておりません。   御説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 それでは、この論点につきましても、どなたからでも御発言をお願いいたします。 ○日下部委員 今、言及いただきました訂正に関する点について、意見を申し上げたいと思います。   部会資料29-2の5ページから6ページにかけての「3 電子化したものの訂正」では、主に準備書面を念頭に、提出した書面と電子記録にそごがある場合に備えた訂正についての規律を設けないことの理由が幾つか挙げられているかと思います。しかし、それでいいのだろうかという疑問を、依然として持っております。   部会資料での理由説明を拝見しますと、最初に、提出当事者の陳述は、電子的に記録された書面データによってなされたと取り扱われるが、最終的には証明の問題であると記載されております。ここで想定される問題状況は、当事者が提出した準備書面を裁判所が適切に電子化しなかったというもので、典型的には落丁を生じた状況と考えられます。先ほど言及しました記載は、その不利益が提出当事者に帰するという考え方であって、最終的には証明の問題であるとしても、提出当事者が実質的に証明の責任を負うという点で、不利益を提出当事者に与えるものかと思います。このような裁判所の過誤が提出当事者の不利益になることを当然の前提とするような考え方には、釈然としない気がいたしております。   また、部会資料では、提出当事者は、既提出の準備書面の再提出や新たな準備書面の提出によって、実質的に訂正がいつでも可能であるとされております。これは、提出当事者がそごに気付くことが前提かと思いますけれども、紙ベースで準備書面を提出している当事者が、電子記録とのそごに気付くためには、電子記録の閲覧等を通常は裁判所の端末で請求して、電子記録の状況を確認しなければならないと思うのですが、そうした確認を紙ベースの提出当事者に当然に期待できるものでもないように思います。   さらに、部会資料では、明文の規定がなくても、提出当事者がそごを裁判所に申し出て、裁判所がそれを確認できれば、訂正を行うことになると考えられるとされています。確かに、裁判所に提出された書面が残っていれば、そのような対応がなされることもあり得ると思いますけれども、その書面が廃棄された後では、そうした訂正は期待し難いと思います。   以上を踏まえますと、そごは紙の書面を電子化する裁判所の過誤によって生じるのに、その訂正の負担を、ただただ紙にしか対応できていない提出当事者に求めるというのは、本来的には少々理不尽なように感じております。とはいえ、裁判所が過誤をした場合に、その過誤に自ら気付くことを期待できるものでもないので、できる限り、提出当事者とともに過誤を発見できる機会を作って、書面の再提出という負担なしで訂正できるようにする工夫をするべきかと思いました。   具体的には、裁判所は、書面提出後に行われる期日等において、提出当事者が把握している提出書面と裁判所が把握している電子記録にそごがないことの確認に努めるといった規律を設けたらどうかと思いました。これは、法律事項ではなく、規則事項とすることが相当かと思いますけれども、検討事項としていただければと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   事務当局からもし御返答があれば。 ○脇村幹事 脇村です。日下部委員が御指摘いただいた点につきましては、正に御指摘のとおり、裁判所が過誤をしなければ、一番大事といいますか、それは当然の前提なのだろうと思っております。今後のシステムの開発等、あるいは実務の適切な運用を図る上で、日下部先生がおっしゃったような御提案も含めて、今後引き続き検討されていくものかなと思いますけれども、いずれにしても、要綱案としては、過誤が起こった場合の手続法上の規定としては、訂正の規定を置かなくていいのではないかということを、当局では提案させていただいていますけれども、別の問題として、今後検討されるべき問題だと思っております。 ○阿多委員 脇村幹事の方から説明がありましたように、規定を置くかどうかという問題と理解をしています。そういう意味で、日下部委員から指摘がありましたように、これは、言わば完全電子化、甲案ではない一定の期間の間の紙が堤出される場面におけるデータ化の問題で、裁判所の事務負担の問題と思いますけれども、トラブルが生じる場面は、日下部委員指摘のとおり、基本的には裁判所におけるヒューマンエラー、紙で堤出されたものをデータ化する際、具体的には、脱漏したり、他事件の記録が誤って取り込まれたりという場面が考えられると思います。   そのような場面において、今回規定を置かないという形になると、提出された書面自体の保存期間ということも、余り考えられずに、すぐに廃棄されるということになってしまうのではありませんか。従前の議論の際には、規定が置かれることを前提に、書面で堤出されたものの保存期間等を意識して議論がされていたわけですが、規定を置かないとなると、証明の元になる資料すら残らない、すぐに廃棄されてしまうのではないかと思います。   やはり規定を置いた上で、一定期間、裁判所も提出された書面は保存すべきで、過誤を確認できる制度は設けておくべきだと思います。保存期間等については、従前の議論で十分かと思いますが、規定を置かない影響は大きいので、規定を設けるべきだという意見を述べたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   事務当局、ありますかね。 ○脇村幹事 ありがとうございます。ただ、規定を置くべきだという御意見については、部会資料に書かせていただいたところが事務当局の考えでございます。   阿多先生がおっしゃっているのは、従前、事務当局の出していたような案を引き続き規定として置くべきかという御趣旨でしょうか。ちょっとそこだけ教えていただければと思います。 ○阿多委員 趣旨としては、そういうことです。従前の案で、期間も含めて2週間で構わないけれども、規定は置くべきだという意見です。 ○脇村幹事 ありがとうございます。ただ、先ほど議論がありましたとおり、2週間で十分であるのかどうかという御意見、あるいは、そもそも論として、提出の持つ意味が何なのかという点が、私としてはあったのかなと思っております。そういう意味では、少なくとも法律事項として何か置くというのは、難しいのかなというのが今の認識でおりますが、そういった保存期間と別途、規定を置くということは、本当にいいのかどうかというのは少し、私としては意見は違うんですけれども、いろいろ御意見あるのかなと思っております。 ○阿多委員 法律事項にするという点については、将来はこういう規定は必要なくなると思いますので、設けるとしても、紙の保存期間も含めて最高裁規則という選択はあり得ると思います。ただ、ここは法制審ですので申し上げておきます。 ○山本(和)部会長 分かりました。御趣旨はよく分かりました。 ○小澤委員 提出された書面を裁判所で電子化していただいた内容について、訂正の機会を付与する前提で、一定期間内に確認する旨の規律を設けないとすることに賛成をいたします。   提出された書面がそのとおりに電子化されることは当然でありまして、当事者がその都度確認すべき性質のものではないと考えられるからです。もちろん、書面で提出する当事者においても、ページ番号を振るなど、一見して書面の連続性が分かるように心掛け、電子化の際に万が一ミスが生じたとしても、裁判所、相手方において、直ちにページの抜け落ち等が分かるような工夫をする必要がありますので、実務上、書類作成者としても、こういった観点から、どうしても書面で対応される方にはサポートしてまいりたいと思っております。   その上での確認となりますが、部会資料の説明では、書面に記載された事項と電子化された事項とが同一でない場合には、当事者の訂正の申立てをすべきであるとされており、他の方法が示されていないのですが、電子化作業の際に生じた単なるページの抜け落ちのような場合には、職権更正もあり得ると理解をしてよろしゅうございますでしょうか。 ○山本(和)部会長 事務当局、お答えを。 ○脇村幹事 ありがとうございます。どういう名称かどうかあれなんですけれども、当然訂正はあり得るんだろうと思っておりました。従前、議論として、この権利というか、当事者の観点で議論をしていたので、こういった形をしておりますけれども、確認作業をした際に気付いた点については、もちろん一旦電子化していますので、抜け落ちていたので訂正しますといったことは、手続としてはあるのかもしれませんけれども、そういった職権的なことを否定するということは考えていませんでした。 ○山本(和)部会長 小澤委員、いかがですか。 ○小澤委員 ありがとうございました。 ○山本(和)部会長 よろしいですか。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、この訂正の部分、幾つか御意見がありましたが、私が認識したところでは、日下部委員も阿多委員も、規則事項として何らかの規定を置く可能性について言及されたかと思いますのが、法律事項といいますか、ゴシックで書かれている部分については、基本的には御異論は出なかったものと認識をしました。   それでは、よろしければ次に進みたいと思いますが、部会資料29-2、6ページ以下ですね、「3 インターネットを用いてする申立て等によらなければならない場合」、これにつきまして、まず事務当局から資料の説明をお願いいたします。 ○西関係官 まず、(1)のアからウまでの記載は、部会資料26のたたき台の記載と同じでございます。(1)エにつきましては、前回のたたき台についての御議論の際に、様々な御意見頂戴したことを踏まえましてブラケットに入れております。(2)につきましては、部会資料24についての御議論を踏まえまして、裁判所のシステム障害について、書面等で提出することができるとの例外の規律を記載しておりまして、(3)に訴訟行為の追完事由になることを明記するということも記載しております。(4)は部会資料26のたたき台の記載と同じでございます。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   この点、幾つかの問題が含まれておりますけれども、特段区切らず、この3の全体について、どこからでも結構ですので、御意見、御質問等いただければと思います。 ○日下部委員 最初に質問をさせていただきたいと思います。それをお答えいただきましたら、それについての意見も申し上げたいと思います。   質問は、オンライン申立てを義務付けられる者の扱いに関してです。   (4)のアのところを拝見しますと、オンライン申立てを義務付けられる者に、システム送達を受ける旨の届出を義務付けております。そのこと自体には賛成なのですが、その届出を撤回することは自由であるという想定なのでしょうか。もしも届出を撤回することが自由であるということですと、その場合には、(4)のイの規律が適用されるという想定になりますでしょうか。よろしくお願いいたします。 ○山本(和)部会長 それでは、事務当局からお答えをお願いいたします。 ○脇村幹事 ありがとうございます。ここについて御議論あるのかと思いますが、少なくとも部会資料の前提としましては、届出をしなかったケースは、イが発動することを前提にしているところですけれども、前提として届出をしないこともあり得る、そういう意味では、撤回もあり得るということも、一つ考えていました。   もちろん日下部委員のここの御意見として、撤回を認めるべきではないのではないか、そうすると、撤回を認めずに、イの効果を発動しないということもあるのかもしれませんけれども、部会資料としては、そこははっきり書いていませんが、何も届出がないことも一応想定してイを置いていますので、撤回をして、届出もないことにもできるということも一つ考えられるのではないかとは思っておりました。 ○日下部委員 ありがとうございます。オンライン申立てを義務付けられる者が、システム送達を受ける旨の届出をしない事態は、事件管理システムの利用登録の方法の設定によって、実際上回避できるように思われますので、(4)イのような規律は不要ではないかと考えて、以前の会議においてはそのような意見も述べたかと思います。しかし、今、脇村幹事から言及もありましたように、オンライン申立てを義務付けられる者が、システム送達を受ける旨の届出を撤回することが自由であるとしますと、(4)イのような規律を設け、届出の撤回の場合にも適用できるようにする必要があるのかなとも思われました。   ただ、もっとも、(4)イの規律は、通知がなされないという点で、システム送達とは異なる新たな送達の方法を定めるものであって、派生的な問題を十分に検討できるのかを懸念しております。翻ってみますと、オンライン申立てを義務付けられる者が、システム送達を受けないという状況を許容すること自体が本来的ではないので、その者がシステム送達を受ける旨の届出をしない事態が生じないような事件管理システムの利用登録の方法を、最高裁規則又は細則で定めるのはどうかと思いました。   また、その届出は撤回できないということを法定するか、それが難しければ、そのような解釈をこの部会における共通認識とすることはできないだろうかと思いました。そのようにすれば、(4)イの規律を設けないという処理も考えられるのではないかという意見です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 2点ありますが、日下部委員の指摘した関係で、まず発言したいと思います。   私もイは結論として設けない方がよいといますが、そもそもイの位置付けは、アの届出をしなければならない者が、届出しない場合の制裁と整理されていると思います。ただ、制裁の効果として、そもそも送達自体は裁判所が行う手続であるにもかかわらず、当事者が届出をしないということだけで、通知もなしに送達がされたと認めてよいのかは疑問に思います。   補足説明等を見ますと、書面が登場することを危惧されていますが、制裁の在り方としては、アについての届出義務という手続違反で過料の制裁とか、ほかの制裁も考えられると思います。イの書きぶり、通知もせずに送達と扱うというのは、制裁としては行き過ぎではないかと考える次第です。イについては他の制裁、私は過料等を提案したいと思います。   もう1点は、6ページの(1)のエの本人の関係です。今回の改正では、本人が訴訟記録をウェブ上で見られるとか、いろいろな意味で本人の位置付けを意識した改正になっていますが、エを入れると、弁護士を依頼している場合には、準備書面等を堤出するのであれば、自身でできなければ弁護士に依頼して出してもらえばよいという形で、本人による書面提出の機会を制約する形になりかねません。本人の権利を意識すると、電子化が本人は義務と構成しない以上、エは外して、書面で提出が可能な対象と整理すべきだと思います。 ○山本(和)部会長 事務当局、何かありますか。 ○脇村幹事 ありがとうございます。二つ、最初の方からいきますと、阿多委員から過料の制裁もあるのではないかとお話いただきました。ただ、結局、過料の制裁ということになりますと、前提として、送達自体は紙でやるということを是認した上で、そうならないための制裁として過料ということに制度としてなると思うのですが、ここでやろうとしていた、電子を双方利用することによって効率化していこうという目的からすると、やや過料という制裁は正当化できるのか、そもそも効果として意味があるのかというのは疑問があるところです。ただ、その点について含めて、イの制裁を置かないということについて、一定の限度で紙を認めることになるのかどうかも含めて、御意見賜れればと思いますが、事務当局としては、そういったことは難しいのかなとは考えていたところでございます。   また、本人につきまして御議論いただきました。ここにつきましては、様々な御議論あったと思います。弁護士通じてできるのではないかという御意見もさせていただいたところですが、他方でそうではないといった御意見もあろうかと思いますので、皆さんの御意見を頂いた上で、私たちもまた考えていきたいと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○小澤委員 訴訟代理人に委任した本人について、インターネットを用いた申立て等によるものとすべきか否かという点について、意見を述べさせていただきます。   前回、代理人との信頼関係が揺らいでいる場合に、本人が書面で申立てをする余地を残しておくべきであるといった意見などが出されたことから、今回の資料ではブラケットが付いておりますけれども、そのような極めて例外的なケースを念頭に置くのではなく、通常生じるケースを想定した方が、この規律の意義が理解しやすいのではないかと考えています。つまり、訴訟代理人が付いた訴訟において、この規律がないと、代理人がインターネットを用いた申立てをしても、本人が本人名で陳述書等を提出する場合に、事件管理システムへの登録が煩雑であるというような理由などによって、代理人の執務姿勢によっては、書面のまま提出するといったIT化の趣旨にそぐわない事態も少なからず生ずるおそれがあると思います。そういった事態が、裁判所においては本来しなくてもよいはずの電子化作業となり、その件数によっては裁判全体の迅速化にも影響を及ぼしかねないと危惧いたします。ですので、ここはやはり(3)のエのブラケットを外して、本文とすることがよいのではないでしょうか。   代理人との信頼関係が揺らいでいるが、自己の責任で陳述書などを提出したいという極めて例外的なケースには、それこそその本人に対しては、裁判所であるとか、士業者団体等が設けるはずである本人訴訟のサポート機関が対応することになるのではないかと想像いたします。そうであれば、規律を設けるに当たっての弊害も、特段ないと言えるのではないでしょうか。   実務的な観点から感想を申し上げますと、IT化の実現される際には、できる限り本人にも事件管理システムに登録をしていただき、自身の端末で訴訟の経過をリアルタイムに把握していただくことが、司法の透明感を高めることになり、それが司法の安心化や信頼化にもつながってくるんだろうと思い描いているところです。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○清水委員 (2)の部分について意見を申し上げたいと思います。   今回、士業等でインターネットを用いた申立てをしなければいけないものの例外の場合ですけれども、この規律ですと、裁判所の使用に係る電子計算機の故障、その他、その責めに帰すことができない事由とされていて、また、その説明については、申立て等をしようとする者の使用に係る端末などの故障の場合にまで例外を認めるのは、実際上困難ではないかと思われるとされています。しかし、委任による訴訟代理人が使用する端末について、メンテナンスを心掛けていたとしても、ある日突然、原因は分からないけれどもインターネットを用いた申立てができなくなるといった場合には、ほとんどの者が自らの努力では対応ができません。   例えば、時効の関係で、今日訴状を出したいというようなことになったときに、その代理人はどうしたらよいのか、対応できる確実な方法というのが、その者の努力においてできる道が残されている必要があると考えます。訴訟代理人は依頼者の権利のために手続を行っているのですから、取りあえず書面を出して申立てをして、結果が後にならなければ分からないなどという、そういう不確かなことをするわけにはいきません。申立てが義務化された場合、裁判所の窓口や夜間窓口の受付には、24時間インターネットを用いた申立てができる体制が採られるのでしょうか。もしそのようなことであれば、こういった要件でもやむを得ないかと思いますけれども、もしそのような体制が採られるのでなければ、この例外の要件は狭すぎると考えています。   緊急時の代替手段の確保が容易でない現在の世の中の状況に鑑みれば、裁判所の使用に係る電子計算機の故障だけではなくて、代理人の電子計算機の故障がある場合にも、書面等を提出する方法による申立てをすることができるとされるべきではないかと考えています。したがって、この裁判所の使用に係るという文言を削除いただくことができないのでしょうか。委任による訴訟代理人がいざというときの備えを持って、安心して業務を行える環境が整備される必要があると考えています。   今回、同じく説明の中で、裁判所のシステムの障害が継続している間にされた書面による申立て等については、後に裁判所において書面を電子化する作業に代えて、電子データの提供を求めることができるとの規則を最高裁規則に設けることも考えられると書かれていて、もしそのような規律が用意されるのであれば、むやみやたらな書面による提出は生じないと考えます。   もう一つは、この(2)の提案について質問させていただきたいと思います。   今回、提案の中において、書面等を提出することができる場合についてですが、説明には、裁判所のシステムの障害が継続している間にされた書面による申立て等は、それ自体、適式な訴訟行為となると考えられると説明されておりまして、この場合、例えば、書面を郵送するには、発送時と到着時でタイムラグが生じると考えます。もし訴状を出そうと思った訴訟代理人が、裁判所のシステム障害が生じていたので、書面にて郵送することにしたら、書面が裁判所に到達したときにはシステムは回復していたというような場合、この書面による申立ては適式な訴訟行為と判断していいのでしょうか。 ○山本(和)部会長 それでは、事務当局からお答えを。 ○脇村幹事 ありがとうございます。まず、文言につきましては、ここは飽くまで例示でございますので、ここを幅広く個人のものを含めて書くというのは、それは無理だろうと思います。あとは、責めに帰すことができない事由の解釈をどこまでとるのかということでございます。恐らく、全てのケースの故障について、何か個人の所有する機械等が故障したケースについて、一律になるということは、それは難しいんだろうと思いますが、最終的には、どういった執務体制をとられていたかも含めて、総合的な判断が出てくるのかと思います。   ただ、実際問題として、時効のようなケースがそれほどあるのかという問題も一つあるでしょうし、従前から本当に問題あるケースについては、時効の解釈等もできるのではないかということをお話しさせていただいたところでございますので、総合的な問題として、そこは事案ごとの判断にならざるを得ないのかなとは思っているところです。   また、先ほど郵送のお話いただきました。当局の説明的には、やはりそれは、やろうとしたケース、申立てをしようとしたケースにできないケースのときにどうかということを考えておりますが、確かに郵送の場合は、発送と受取の多少のタイムラグがございます。そこにつきましては、最終的には、個々の解釈になろうかと思いますけれども、出す時点においてそういった問題があったケースについて、後で回復していたからといって、直ちにこれが発動しないということまで考える必要はないのではないかとは思っています。そういった意味では、総合的な判断として、出す時点で故障が長時間継続しているケースについて、見込みがないだろうということで出したケースについて、その瞬間に回復していたからといって、直ちにこれが無効になったりということはないのではないかと、私は考えているところでございます。   差し当たり、以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○大坪幹事 私も、先ほど小澤委員が発言された3の(1)エについてです。小澤委員からは、エのような規定を設けても、弊害は特段ないという御意見で、具体例として、訴訟代理人が就いていて、本人も本人名で陳述書を出すというようなケースもあるのではないかとおっしゃられたと思います。しかしそういう形で、委任による訴訟代理人の頭越しに、本人が御自分の判断で勝手に陳述書を出すようなこと自体が、大きな弊害ではないかと考えられます。   提案のような規定があることによって、同じように弁護士に委任している場合でも、本人としては代理人の意向を無視する、あるいは代理人の意向に反して、簡単にインターネットを用いて申立てができるというようなメッセージを与えることになるのではないかが、強く懸念されるところです。本来ですと、代理人との関係が悪化して、本人が自ら何らかの訴訟行為をしたいということであれば、弁護士との委任関係を終了させた上で、御自分で手続をするということが筋かと思いますけれども、そのこともせずに、代理人を付けたまま、御自分が代理人の判断とは別の訴訟行為をするというのは、大いに司法の安定性を害するのではないかと思います。私もこのような規定は要らないのではないかと考えます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○藤野委員 主婦連合会、藤野でございます。お世話になります。私も、3点ございます。   1点目は、今発言がございました(1)のエのところでございます。小澤委員がおっしゃった内容も理解いたし、またIT化促進の意図も分かりますが、エの記載はやはり、裁判を受ける権利に関係すると思います。私といたしましては、この部分は削除していただきたいと考えます。   2点目でございます。(2)の内容ですけれども、2行目に「責めに帰すことができない事由」という文言がございます。この責めに帰すことができない事由というのは、民事訴訟法97条と同じ文言ですが、これは現在のところ非常に解釈が狭いという話を聞いております。同じように解釈が狭いと困ることが生じると思いますので、やむを得ない事由など、異なる表現として柔軟な対応をしていただきたいと考えます。脇村幹事のような柔軟な対応が、これからもずっと続くとは限りませんので、ここはしっかり考えていただきたいと思っております。   あと、先ほど清水委員がおっしゃってくださったことも、私の方では質問したいところでございました。それが柔軟に対応していただけるということが確約できるかどうかというのは、なかなか厳しいところではないかと思っています。そして、そのシステムが使えない場合に、裁判所に書面で提出できる代替手段もあるのですけれども、例えば、最寄りの裁判所に持っていけば、その窓口でシステムが使えて提出できるとか、当該裁判所ではなくても使えるような代替手段も考えていただくべきではないかと考えております。   以上が2点目でございます。   3点目は(4)のイですけれども、イに対しては反対でございます。電子提出と電子受領は一体というのであれば、通知アドレスの届出がない場合には、電子提出を認めなければよく、通知がなく送達の効果を生じるというのはおかしいと考えています。   以上3点でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○脇村幹事 すみません、脇村です。1点だけ、(2)の「責めに帰すことができない事由」の用語について、正に、この後も少しやむを得ない事由との関係が別の論点で出てきているところなのですけれども、私たちの考えとして、一般的には、責めに帰すことのできない事由の方が広いのかなと思って書いてはいたところでございまして、民事訴訟法の研究者の方から、もしその点、やむを得ない事由という表現と責めに帰すことができない事由、私は責めに帰すことが何となく広いのではないかと思って使っていたのですけれども、もし御示唆いただければ、次の論点でも出てきますけれども、また御示唆いただければ幸いです。ありがとうございます。 ○藤野委員 すみません、藤野です。私も教えていただければと思いますが、広い解釈の方が有り難いということで、やむを得ない事由にしてほしいということではなく、また97条と同じ文言ではない方がいいのではないかという意味で申し上げました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。御趣旨はよく分かりました。法制的には、恐らく脇村幹事が言われたようなことかなと思うんですが、また、もし研究者の方からも御発言があればと思いますが。 ○小澤委員 (注)について意見を述べさせていただきます。   前回、書類作成者として関与する司法書士について、その書類作成業務の際にインターネットを用いなければならないという趣旨で受け止められた方もいらっしゃったように思いますが、それに対しては、訓示規定として、最高裁規則を設ける際には、当事者を軸に考えるべきであるとの御指摘を頂いたと記憶をしています。ただ、それこそ、部会資料の説明において、表現ぶりと記載されているように、余り議論をする意味のない指摘なのではないかという意見が、日司連の中からは出ています。すなわち、インターネットを使用する方法によりすることができる者というのは、本人訴訟の当事者であるとの理解に立ったとしても、そのできるという意味合いの中には、自分の知見により問題なく対応できる者、そして、身近にいる友人や家族のサポートにより対応ができる者だけではなく、書類作成業務を委任した司法書士のサポートにより対応できる者も含まれると解することができると考えられるからです。   義務化の範囲について、乙案でいく場合においても、一人でも多くの一般の方にITを利用してもらうことが、今般のIT化の意義なわけですから、訓示規定としては、より規定する場面を広げることができるような表現ぶりが望ましいと考えています。そこで、例えば、(注)の表現ぶりの頭に、「ITサポートを受けることなどにより」と追加して、趣旨を分かりやすくしてはいかがかという意見であります。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○日下部委員 何点か、3点ですね、ちょっとまとめて申し上げたいと思います。   1点目は、(1)のエのブラケットが付いている規律についてです。先ほど、阿多委員ほかからも御発言がありましたけれども、私もこの規律を設けることには反対です。   先ほど小澤委員の方からは、訴訟代理人を委任している本人という状況においても、訴訟代理人の職務の姿勢によっては、依頼者である本人が作成してきた書面を、そのままの形で書面のまま提出するという事態が起き得るので、それはよろしくないといった御発言もあったかなと思いますけれども、訴訟代理人としてオンラインで代理人業務をやっている者が、喜んで紙のままの提出をするという事態は、それこそおよそ考えにくいところであって、そういう事態を避けるために、このエのような規律を設けるというのは、弊害ばかりが大きい話であって、およそ採り得ないだろうと考えています。   それから、2点目ですけれども、(2)の例外的に書面による申立てが認められる場合についてですが、私自身は、例外的に書面による申立てが認められる場合を規定に盛り込むということには賛成なのです。ただ、現在の提案されている、「その責めに帰することができない事由」を申立者が証明しなければならないことについては、以前の部会でも申し上げましたとおり懸念を持っております。   インターネットによる情報通信は、一般利用者の理解の及ばない仕組みでなされていますので、オンライン申立てができない原因を、申立者が究明することが困難なことが大いにあり得るだろうと思います。その場合に、実際はその者の責めに帰することができないにもかかわらず、その証明ができないことで利用者が不利益を被るという不合理が懸念されるところです。こうしたインターネットの利用に特有の事情に鑑みますと、要件は、今提案されている帰責性に言及するものではなく、より柔軟な要件にしておくべきだろうと考えています。   私自身は、責めに帰することのできない事由とやむを得ない事由のどちらが広いのか、狭いのかというのは非常に難題で、判断がつきかねているところでもあるのですけれども、いずれも非常に証明が困難であるということだとしますと、先ほど申し上げました不利益を不相当に被ってしまうという、その不合理のおそれが払拭できないということであれば、この要件を更に緩和して、例えば、相当の理由という要件にするということも、考え方としてはあるのではないかと思いました。   これに対して、取り分け相当の理由という要件では緩和しすぎではないかという御指摘ももちろんあろうかと思います。ただ、ここで検討されているオンライン申立てが義務付けられる者が、例外的に書面による申立てができるという要件は、恐らくは、将来誰でも原則としてオンライン申立てが義務付けられる、いわゆる甲案の状態に至ったときの規律にもなると想定されますので、国民一般の負担を念頭に置けば、緩和しすぎというわけでもないように思います。   例外的に書面による申立てが認められる場合が不相当に多く認められるおそれがあるということであれば、こうした例外が認められる場合に、書面により申立てをすることはできるけれども、申立ての有効要件とは別に、後に当該書面をオンラインにより提出することを義務付けても、それはよいと思います。どのみち提出した書面を後にオンラインでも提出しなければならないのであれば、むやみに、例えば、やむを得ない事由であるとか、相当の理由を主張して書面を提出しようとしてくる者を懸念する必要もないだろうと考えております。   最後に、訓示規定ですけれども、部会資料の中でも書かれておりますけれども、訓示であるということが分かるようにしていただきたいと思いますし、規則事項として提案されているものですので、その文言について、この場であれこれということを細かく議論するのも、いかがなものかと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 先ほど脇村幹事から意見をいただいた(4)のア、イですが、前提として、このような場面が生じるのは非常にイレギュラーな、例外的な場面だということを確認しておく必要があります。今回、法制的な問題で、申立てと送達を受ける場面が別々のルールで規律されていますが、実際は、委任状等提出の際に送達を受ける旨の届出をすれば届出未了ということは起こりませんし、むしろそれらは最高裁規則等で定めていただけば、ほとんど起こらない事項だと考えます。   例外的な場面の制裁として考えたときに、被告に代理人が就いて、事前に委任状は堤出したけれども届出がない場合は、申述の場面は答弁書を提出する際になりますので、そういう場合には被告に書面での訴状を送達せざるを得なくなりますが、元々訴状の送達は、代理人が付いていない限り書面での送達が前提になっていますので、特に負担が増えるわけではありません。過料の制裁ですと、通常30万以下の金額になりますし、そこまでのリスクを負ってまで送達を受ける旨の届出をしないことはあまり考えられないので、書面が利用されるとの懸念も、危惧も必要はないと思います。   あと、(注)の最高裁規則に訓示規定を設けることの是非ですが、私自身IT化は促進すべきだという立場ですが、規則の方で訓示規定を設けるのは、端的に美しくないと思います。今回の改正が全体ではなくて義務化されるのが一部なために、132条の10等の規定で読替規定が入り、総則にはIT化に関する規定が置かれないという事情は分かりますが、その代わりに訓示規定を民事訴訟法規則に置くというのは、違和感があります。法律に置くべきと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○青木幹事 青木です。2か所のブラケットの部分について意見を申し上げます。   (1)エですけれども、この規律は、本人から委任された訴訟代理人が、本人を通じて、インターネットを用いることなく申立て等をするというおそれがあるという、脱法的な事態に対応するものではないかと思います。これを認めると、ITを利用しない訴訟代理人が訴訟追行をするということになり、インターネットを用いた申立て等を義務付けた趣旨に反するというようにも思われるのですが、しかし、訴訟代理人は、送達を受ける方についてもインターネットを利用することが義務付けられており、こちらは、本人に紙による送達を受け取らせるというようなことはできないので、ITを利用しない訴訟代理人が、申立て等を本人を通じてインターネットを利用することなくすることで、訴訟を追行するというような事態は、余り生じないようにも思います。   他方で、例外的ではありますが、訴訟代理人が訴訟行為をすることができないような場合に、本人が訴訟代理人を解任することなく、訴訟代理人によらずに訴訟行為をするという機会は、与えられるべきであるようにも思われ、そうであれば、それをインターネットを用いないでする余地は残しておいた方がよいのではないかと思います。   次に、(4)のイの規律についてですが、インターネットを利用した送達を受ける旨の届出をしない者に対しては、通知を発しなくても、この場合には、事件管理システムに記録をすれば、通知がされた場合と同様に、その時点から1週間の経過により送達の効力を生じさせるという方向で考えるべきだと思います。そうしないと、訴訟代理人に対しても、結局紙の書類による送達をするなどの対応をしなければならないことになり、訴訟代理人に対して送達を受けることも含めて、オンライン対応を義務付けた趣旨に反するからであります。   問題は、なぜ通知を発しなくても送達の効力が生じるのかということで、これは難しいんですけれども、通知は事件管理システムにアクセスして閲覧の機会を確保するものであると思われるところ、通知アドレスの届出をしない者は、そのような通知を受ける機会を放棄したということができるのかなと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○山本(克)委員 2点申し上げます。1点目、ちょっと重箱の隅をつつくような話で、かつ、それを取り入れると規定ぶりが非常に難しくなるなということは分かりつつ、申し上げます。   (1)では、訴訟代理人を念頭に置いて規定が設けられていますが、士業者であって、訴訟代理人資格を有する者が本人である訴訟の場合に、どうすべきかというのが問題があるように思います。例えば、弁護士さんが原告あるいは被告である場合に、訴訟代理人であれば義務化の範囲に入り、当事者本人である場合には義務化から落ちるという事態は、何か気持ち悪いなという気がしますので、そこをどうすべきかという問題が残されているような気がしますので、御指摘申し上げます。   それから、(4)のアなんですが、私は、送達を受ける旨の届出をしなければならないという届出がいいのかどうかというのは、私は、義務化の対象だと、電子情報処理組織を使用する方法により送達を受けるために必要な情報の届出をしなければならないとしてしまう方が、義務化の趣旨に沿うのではないかなという気がいたしております。つまり、メールアドレス等の届出ということをするということで、受ける旨の届出なんていうのは、義務化の趣旨をむしろ弱めるもので、あんまり意味があるものではないのではないかなと思います。詳細は、最高裁規則に委ねるということになろうかと思いますが、そういう方向性もあるのではないかなという気がいたしました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   事務当局から。 ○脇村幹事 ありがとうございます。今、山本克己委員から2点頂きまして、1点目につきましては、私たちも非常に悩ましい問題かなと思っております。弁護士の方が訴訟代理人でなく本人、あるいは訴訟担当的な、あるいは何らかの資格に就任したようなケース、法定代理人と言いますか何といいますか、破産管財人ですとか、成年後見人とか、いろいろなケースあると思います。ただ、そういったケース全てについて、なかなか網羅的に書くのは正直難しいというのがこの案でございまして、今後そういったものも拡張することも含め、将来的な課題としてはあるのだと思いますが、差し当たりは、訴訟代理人ということで、今回は提案させていただいたところでございます。恐らく運用としては、弁護士の方が訴訟に関わる方については、恐らくインターネットを利用していただけるのではないかということは、当然期待しているところでございますが、規定としては今、そういったところにしております。   また、2点目につきましては、おっしゃるとおり、書くならば、受ける旨の届出ということで、趣旨として、私たちもインターネットの届出のことを本当は念頭に置きつつ、それは6ページの第2の(2)ア、イで、アの届出とひも付けてということもあり、こういった書き方にしているところでございますが、さらに書き方ができるかどうかは考えていきたいと思いつつ、ほかの案がちょっと採れるかどうか自信がないというのが、正直なところでございます。すみません。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   山本克己委員、何か。 ○山本(克)委員 いえ、特にございません。ありがとうございました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○日下部委員 今、士業者が本人訴訟などをするときにどうするのかという問題意識も示していただきましたけれども、通常であれば、オンラインで対応することが普通、そちらの方が楽ですので、それほど気にするといいますか、法制上手当てをしなければいけないまでの必要があるのかなというのが、率直に疑問に思われました。   それとは違うんですけれども、1点質問をまたさせていただきたいと思います。冒頭で質問させていただいたときには、オンライン申立てを義務付けられる者の扱いについてさせていただいたんですが、今度は、オンライン申立てを義務付けられない者の扱いについての質問です。   (4)のアでは、(1)アからウまでに掲げる者、すなわちオンライン申立てをすることが義務付けられる者を対象に、システム送達を受ける届出をすることが義務付けられています。そこで対象になっていない、オンライン申立てが義務付けられない者は、自ら望んでそれをする旨の届出をすることはあり得ると思うのですけれども、その後に、オンライン申立てが義務付けられることはない、つまり、オンライン申立てをするという届出をしたとしても、オンライン申立てが義務付けられることはなく、また、システム送達を受ける旨の届出をすることも義務付けられないという想定でしょうか。   また、その者がシステム送達を受ける旨の届出を仮にしたという場合であったとしても、その届出を撤回することで、システム送達を受けない立場に戻ることは自由であるという想定なのでしょうか。よろしくお願いいたします。 ○山本(和)部会長 それでは、事務当局からお答えお願いします。 ○脇村幹事 義務付けませんので、結論的にはそのようになるのではないかと思っております。 ○山本(和)部会長 日下部委員、いかがですか。 ○日下部委員 ありがとうございます。自らの判断でオンライン申立てをするという届出をした者が、その届出を維持した状態のままで書面による申立ても自由にできるとすることが適切であるのかということについて、疑問を持っています。また、その者がシステム送達を受けるかどうかも、自らの裁量で自由に決することができるとしますと、申立てはオンラインで行いながら、送達や送付を受けるときには紙ベースでという状況を許容することになるわけですけれども、それが必要であるのか、また適切であるのか、疑問を持っています。   考えてみますと、自らの判断でオンライン申立てをする届出をした者は、事件管理システムを利用して訴訟追行することに支障のない者といってよいでしょうから、何らかの事情でその届出が撤回されない限りは、オンラインで申立てをすること、及びシステム送達を受けることを義務付けてしかるべきではないかというように思いました。   今回のゴシックの提案のところの外側の問題かと思いますけれども、重要なポイントかなと思いますので、引き続きの御検討をお願いしたいと思います。 ○山本(和)部会長 何かありますか。 ○脇村幹事 脇村です、ありがとうございます。いずれにしても、そういう届出をされた方が、運用上は引き続きやっていただくことを目指すシステムを作る方向、便利なシステムを作るといったことも含めて、これを促していく方向のプロセスが大事かなと思っています。   ただ、一方で、元々当局としては、そういった義務付けることも含めて考えていたところですけれども、やはり裁判を受ける権利の関係での御意見をいろいろ頂いたところもあり、そういったことを、一旦出したからといって必ず義務付けることについては、やはり問題があるという御指摘が多いのではないか、あるいは、仮にそうだとしても、特に一般の方については、例外を幅広く認めないといけないのではないかといった御意見があったかと思います。そういったことからしますと、結局、結論的には、義務をかけたとしてもなかなか難しい問題があるということから、当局の案としては、(注)のような形の促す方向で差し当たりさせていただいているところでございます。   恐らく将来的には、そういった御本人、士業以外の方について、義務付けるかどうかについて幅広い御議論、またしていただくことがあるのかと思いますが、そういった中で、そういった申出をしたケースについても強要できるかについて、検討が深められていくべきなのかなと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかには。 ○垣内幹事 垣内です。何点か発言をさせていただきたいと思いますけれども、まず、前提としまして、このIT化の将来に向けた私自身の認識と申しますか、そういうものを述べておきたいと思うのですが、基本的には、このIT化は非常に利便性が高いものであるということが期待され、そうなるのだろうと思っておりますので、あの手、この手で紙のやり取りをしようという当事者が横行するという事態が、どこまで現実的に想定されるのかといえば、私自身は、そのようなことにはならないんだろうというように考えております。義務化せずとも、多くの人はオンラインの手続に利便性を感じて、そちらを主として使う、専ら使うということになるのではないかと思っているところです。   その上で、本日の資料の6ページから7ページにかけて、まず、ブラケットが付いている部分に関してですけれども、(1)のエの規律につきましては、これも、こういう規律を設けるという趣旨は理解できるようにも思われるんですけれども、しかし、本来訴訟代理人を選任したからといって、当事者本人が何か訴訟行為ができなくなるとか、あるいは制約を受けるということに、基本的にはならないということであるとすると、本人はオンラインで申立て等をすることもできるでしょうし、それを書面、オンラインに限るか、限らないかにかかわらず、できるのではないかと。   そのときに、オンラインの義務付けを、あえてそうした当事者本人についてするまでの必要性があるのかということについて、必ずしもその必要はないのかなという感じを、現時点では持っております。また、代理人を選任したことによって、当事者本人のなし得る訴訟追行の対応に制限が生ずるということも、どうしても必要性があるということであれば、絶対にあり得ないことではないかもしれませんけれども、この場面であえてそうした規律を設ける必要があるかということがよく分からないということで、これは、この規律はなくてもいいのではないかと考えます。   それから、(2)のところの責めに帰することができない事由ということについて、柔軟に解することができるのかどうかといったような議論がありまして、やむを得ない事由という文言との関係ということについても言及があったところかと思います。私自身は不勉強で、法制的に責めに帰することができない事由とやむを得ない事由というのが、どちらの方が一義的に広い、狭いというふうな整理がされているのかどうかということについて確言できませんので、そこは事務当局に御整理、確認を頂ければよいものかと思っておりますけれども、実質の問題として、責めに帰することができない事由という文言であった場合には、やはりどういう場合に責めに帰することができるのかということが、まず前提としてあるところで、それは、従来郵送であるとか、実際に持参して提出するといった状況を前提として、どのような場合にそれが責めに帰することができないと考えるのかということと、今回新たにオンラインでの申立てや提出をするということに関して、どういう場合に責めに帰することができない事由でそれが使えないのかというのは、これは、やり方に応じて、どういう場合に責めに帰することができるのかということは変わってくる問題だろうというように思われますので、インターネットという技術の特質であるとか、端末等々の属性であるとか、その一般的な管理体制とか、社会常識的にどの程度の注意をもって、そうした体制を整備しておくべきものなのかといったことに応じて、どのような場合に責めに帰することができない事由なのかということが解釈されるべきものだと思いますので、従来の訴訟行為の追完に関しての裁判例等ということもあるかと思いますけれども、この規律が設けられた際には、この規律の対象に即した形で適切な解釈がされていくということで、過度に制限的と申しますか、無理からぬ事情で電子情報処理組織を使用する方法で申立てができないというにもかかわらず、救済されないというような事態は、この規律文言を前提としても、心配しなくてよいということに理屈の上ではなるのではないかと思っております。ですので、これについては、原案のとおりでよろしいのではないかと思います。   7ページ冒頭のイの部分についてですけれども、これは、理屈としてはやはり、アの部分で届出をしなければならないとされていることの帰結としては、こうなるのだろうと。届出をしなければならないということが、届出という行為を単に義務化していると読まれますと、撤回も自由であるであるとか、届出がなされていなければ、送達が有効にできないとかいった話にはなるわけですけれども、ここで言われていることの実質は、このアからウまでに掲げる者に対しては、システム送達の対象になるという趣旨が示されていて、システム送達の対象となる者については、これは、先ほど青木幹事が言われた考え方かもしれませんけれども、本来システムはいつでも登録すれば閲覧ができる状況であるとすると、特段個別の通知がなくても、送達の効力については問題がないという考え方も、一方の極としてはあり得るところですけれども、今般の制度では、通知アドレスを届け出ることによって、個別の送達書類が登録されたことについて知らせる、知ることができる機会を保障していると。しかし、その保障は、そうした通知が可能なための情報を提供しない限りは、これは享受することができないものですので、これが届け出られていない者については享受できないこととしてもやむを得ないということで、一応の説明が付くように思いますので、規律内容として、イのような実質が妥当するということは、それでよろしいのではないかと思います。   ただ、表現として、このイの書き方ですと、何か本来必要な通知をせずとも、制裁的にそれで送達の効力が生じてしまうというような印象を与えるという部分もあるかと思われまして、そうした懸念からの御発言もあったかと思いますので、これは、山本克己委員の御発言にも関係するかもしれませんけれども、表現の仕方をどうするかというところは、若干工夫の余地が、あるいはあるのかもしれないと感じているところです。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほか、いかがでしょうか。 ○日下部委員 付け足し的になりますけれども、今、垣内幹事から頂いた御意見も踏まえて、若干補足をさせていただきたいと思います。   3の(2)の責めに帰することができない事由、あるいは、先ほど来言及のありましたやむを得ない事由、あと、私だけが申し上げた相当の理由というのもありますけれども、取り分け、責めに帰することができない事由では問題があるのではないかという問題意識の中には、オンライン申立てができないその原因が、そもそも申立人に分からないということがあり得て、その原因が不明であるという状態をもって、責めに帰することができない事由によるのだという認定をしてもらえるのかというところにも、懸念を持っているということは、申し上げたいと思います。   原因究明ができないということ、そのような事態は責めに帰することができない事由によるのだと判断してもらえるのであればよいのですけれども、原因不明のまま責めに帰することができないねというような判断は、ハードルが高いのではないかという懸念を持っているということです。   それから、もう1点の方ですけれども、(4)のイの規律についてですが、私は、先ほど申し上げました理由によって、(4)イのような規律を設けないでも済むような、最高裁規則や細則での手当てなどの方がよいのかなとは思っているのですけれども、仮にこのイのような規律を設けるということであれば、送達の効力の発生がどのタイミングでなされるのか、どのタイミングで生じるのかなどについては、明確にしておかないといけないだろうと思います。この場合には、通知を発することを要しないとなっておりますけれども、そうであれば、裁判所の使用に係る電子計算機に供えられたファイルに、送達対象書類の記録を記録した時点で、即送達の効力が発生すると見るのか、あるいは、青木幹事が言及されたかと思いますが、そのときから1週間経過したところで効果が発生すると考えるのか、その点についても、今のところ必ずしも明らかではないように思いますので、仮にこのイのような規律を置くのであれば、その意味は、はっきりとさせる必要がなおあるのだろうと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、この3の点、現在ブラケットに入っている(1)のエ、それから(4)のイにつきましては、私が伺ったところ、依然として両論あった、それぞれで若干ニュアンスは違うかもしれませんが、依然として両論はあるという状況だったかと思います。さらに、それに加えて(2)のその責めに帰することができない事由等を中心とした、その要件、文言の在り方とか、あるいは(4)のアの規律の文言を含めた在り方等についても御意見を頂戴したかと思いますので、事務当局においては、本日の議論について精査していただいて、このブラケットをどうするかを含めて、次の段階の提案をしていただければと思います。   それでは、よろしければ、引き続きまして今度は11ページですね、「4 訴えの提起の手数料の納付命令及び原裁判所による即時抗告の却下」、この点につきまして、事務当局からまず資料の説明をお願いいたします。 ○西関係官 こちらの4につきましては、本文の記載につきまして、部会資料26のたたき台の記載と同じ内容になっております。   簡単ですが、以上でございます。 ○山本(和)部会長 ということですが、いかがでしょうか。御意見、御質問があれば。 ○阿多委員 説明の2で入れていただいている主体の問題について、破産法を引用されていますが、異論は私一人という状況ですので、撤回したいと思います。原案に賛成したいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、この点は原案に特段の御異論はなかったと伺います。   続きまして、今度は12ページの「第2 送達」、送達は1、2とありますが、さらに、関連して16ページの「第3 送付」、ここについてはまとめて取り上げたいと思います。   まず、事務当局から資料の説明をお願いいたします。 ○西関係官 まず、第2の送達につきましては、1、2ともにたたき台の内容から実質的な変更はございませんが、1につきましては、いわゆるみなし閲覧の規律につきまして、部会資料23を踏まえてたたき台に追記をさせていただいております。   一方で、送達受取人の関係につきましては、前回の御議論を踏まえまして、次回以降の会議で取り上げさせていただく予定でございます。そのため、本文の中では【P】としております。   なお、この中で、第2の1(2)エにつきまして、「次に掲げる時のいずれか早い時に、その効力を生ずる。」というような書き方をさせていただいておりますので、この(ウ)の「送達すべき電磁的記録の閲覧等をする前に」という記載は不要かと思います。訂正させていただきます。   それと、次に、第3の送付についてでございますが、こちらにつきましてもたたき台の内容と変更はございませんが、送達につきましてみなし閲覧の規律というものを記載させていただいたところを踏まえまして、(注)の中の通知から1週間というところの記載につきまして、ブラケットを外した形で記載をさせていただいております。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは、この部分、送達、公示送達、送付とありますが、特段区切りませんので、どなたからでも結構です。送達受取人については、これは次回ということにさせていただければと思いますが、その他の点について、どの点からでも結構ですので、御発言を頂ければと思います。 ○日下部委員 1点だけです。「1 電磁的記録の送達」の中の(2)の中のオ、ここでは、みなしの期間に算入しない、その期間が発生する要件として、「やむを得ない事由」と「その責めに帰することのできない事由」が併記されているところです。必ずしも論理必然ではないのかもしれませんけれども、先ほど来議論のありましたオンライン申立てを義務付けられている者が書面により申立てが可能とされる要件と合わせるというのが、自然な発想なのかなと理解をしているところです。その意味では、「その責めに帰することのできない事由」という要件でよいのかということについては問題意識を持っておりまして、より緩和された要件、私の提案としましては、相当の理由という非常に緩和したものを考えておりますけれども、緩和をするということを御検討いただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○阿多委員 同じオについては、いろいろな見解があると思いますし、むしろ研究者から意味の違いを紹介いただきたかったのですが。やむを得ない事由が民事訴訟法で使われているのは、93条、2項は場合に限りで、4項ではやむを得ない事由がある場合に期日変更を認めるとされています。実務的には、期日変更の場面で、どういう場面にやむを得ない事由を認めているのかという実例がいろいろあるとは思います。代理人の親族が亡くなったとか家族が入院をしたとか、そういう事例があるとは思います。具体的な場面などを想定し、裁判所も含めてどちらが広いのかを議論していただけたらなと思います。   2の公示送達についての意見です。前回も指摘しましたが、規則事項に関することで、ここで取り上げるのはいかがかと思いますが、民訴規則46条では、呼出状についての公示送達について規定しています。46条は呼出状自体を公示送達でする形になっていますが、15ページの説明では、まず、送達を受ける者の氏名の表示の省略は困難と考えられる一方で、事件名は省略することも考えられるとの記載があります。しかし、呼出状には、一般的には、事件番号、事件名、当事者の双方の名前、その期日、さらには出頭場所が記載され、それ自体が公示送達の対象になっていますので、規則事項の改正を含めて、呼出状を対象にする場面についての情報提供について議論すべきと思います。規則に関することですが、範囲を狭めるべきという意見です。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○小澤委員 同じところで、電磁的記録の送達のところなんですけれども、(2)のオのブラケットでくくられた要件設定につきましては、代理人等の士業者であれば、事件管理システムを毎日確認することが仕事になるわけですので、そもそもこの規律が適用される場面はほとんど生じないんだろうと考えています。そうしますと、本規律は、訴訟を業としない本人訴訟の当事者等を念頭に置いて設けられるべきであると考えています。   具体的には、独り暮らしの当事者が、突然1週間以上の長期入院となってしまったような際に適用できるのかどうかといった観点から考えてはいかがかと思いました。その際、責めに帰することができない事由とすると、入院の原因や態様によっては認められにくくなるのではないかと思われる一方で、やむを得ない事由という要件設定の方が、本人の事情を斟酌した上で、事案に応じて救済する余地があるのではないかという印象を持ちました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○笠井委員 「やむを得ない事由」と「責めに帰することのできない事由」でどちらが広いのかということについて、昔何か調べたことがあるような気がするのですが、よく覚えていませんので何とも申し上げられないのですけれども、語感としては、私も事務当局がおっしゃったように、やむを得ない事由の方が狭いのかなとは何となく思っていました。それで、先ほど日下部委員から最初にもお話があった、両論が書かれている、送達を受けられなかったことについての「やむを得ない事由」と「その責めに帰することができない事由」という話ですけれども、先ほどのオンライン申立ての話とは少し違うのですが、今、97条1項で訴訟行為の追完については、責めに帰することができない事由により不変期間を遵守できなかったという、そういう規律がありまして、この送達というので、一番大事になってくるのは判決の送達で、それは上訴期間との関係で問題となるということが特にあると思いますので、そういう意味では、97条1項の規定と同じ「責めに帰することができない事由」としておいた方が、これも何となくですけれども、落ち着きがいいのかなと思いました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは、この部分、第2の1のオのブラケットに入っている部分については、先ほど来議論があるように、前のところの例外的に書面申立て等を認めるところの要件をどうするかといったような点とも密接に関連すると思いますので、その点を含めて、事務当局に引き続き御検討をお願いしたいと思います。   その他の点に、呼出状の送達と規則の点についても言及がありましたけれども、このゴシックに記載されているところについては、特段の御異論は提起されなかったものと認識をいたしました。   それでは、よろしければ次に移りたいと思います。   続いては、部会資料17ページの「第4 口頭弁論等」についてですね、事務当局の方から説明をお願いいたします。 ○西関係官 第4の口頭弁論等につきまして、本文の内容、たたき台から変更ございません。2の準備書面の提出等につきましては、従前の部会において御意見も頂いていたところでございますが、御議論の状況等を踏まえまして、たたき台と同様の記載としております。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは、この点につきまして御質問、御意見、御自由にお出しを頂ければと思います。   いかがでしょうか。特段ございませんか。   それでは、特段の御発言はないということは、特段の御異論はないものと受け取らせていただきます。   それでは続きまして、「第5 新たなる訴訟手続」については、全体が【P】になっておりまして、これは、次回御議論をまた頂くということになろうかと思いますので、引き続きまして17ページ、「第6 争点整理手続等」、この点につきまして、事務当局から説明をお願いいたします。 ○西関係官 「第6 争点整理手続等」につきましても、いずれにつきましてもたたき台の内容から変更ございません。前回の会議におきまして、書面による準備手続の受命裁判官に関する規律につきまして、御意見を頂いていたところでございますが、この点につきましても、たたき台の内容と同様の記載とさせていただいております。この点につきましては、説明の中で一定の記載をさせていただいているところでございます。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは、この部分も、どの点からでも結構ですので、御自由に御発言を頂ければと思います。 ○阿多委員 書面による準備手続で、受命裁判官の特例に関しての説明をいただきました。先回、私が取り上げたのは、弁論準備手続と書面による準備手続の制度的な差を設ける一つの例として、主たる意図は、要件的に差を設けるべきだという後半にあります。後半についてのコメントは、本体には何も触れてありませんので、もう一度発言をしたいと思います。   非法曹並びに研究者の方にお伝えしたいのは、書面による準備手続は、18ページの(1)ウの末文にあるように、協議の結果は記録させることができるにとどまり、調書が必ず作成されるわけではありません。現状も、書面による準備手続の記録には、裁判官の氏名も必ずしも表示されるわけではなく、何をしたかという結果も残らないものにとどまっています。その前提で、弁論準備手続と書面による準備手続では、今回の改正でできることがほとんど同じという状況にあるときに、どちらが使われるのか。やはり負担の多い調書を作成する弁論準備手続ではなく、記録を残さないで済む書面による準備手続に流れやすいのではないかと危惧しています。   そういう意味で、運用による区別ではなく、制度として差を設けるべきだという意見です。具体的には、(2)書面による準備手続において、ウのいわゆる音声等を使う電話会議システムを用いて協議をする場面について、書きぶりとしては、必要があると認めるときはという形で、裁判所が必要と認めれば協議に電話等を使える形になっていますが、本来的には書面で準備をする手続ですから、飽くまで電話等での協議は例外的な位置付けであることを前面に出すために、必要があるときではなく、例えば、やむを得ない場合に限りとして原則は書面で完結することを表記して制度的な差異を設けていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   事務当局。 ○脇村幹事 ありがとうございます。この論点につきましては、従前から例の一本化をするかどうかという流れの中で、やはり現状を変えるのは難しいということが、結論的なことなのではないかと認識しております。ですから、阿多委員がおっしゃっている御意見も、一つ御意見だと思いますが、現時点で、この部会において、その方向で意見が一致するのは難しいのかなということを、私たちの案としては、今こういったことにさせていただいているところでございます。   もちろん、今後の実務の運用におきまして、どちらを優先的にするのかという点につきましては、今回の改正を踏まえて、更に実務的な検討はされるべきものだと承知をしているところでございまして、今、阿多委員がおっしゃった御意見も、そういった今後の検討に当たって、重要な御示唆というものではないかと思っているところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   ありがとうございました。阿多委員から御指摘があった点については、今、脇村幹事からは事務当局の見解を述べていただきましたが、その他は特に御発言はないということかと思います。   それでは、よろしければ引き続きまして部会資料20ページ、「第7 電磁的記録についての書証に準ずる証拠調べ」、この点につきまして、事務当局から資料の説明をお願いいたします。 ○西関係官 こちらにつきましては、電磁的記録についての証拠調べについて、1から3まで記載させていただいたところでございます。いずれにつきましても、たたき台の内容から変更を加えておりません。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ということで変更はないということですが、いかがでしょうか。御質問、御意見あればお出しを頂ければと思いますが、特段よろしいでしょうか。 ○佐々木委員 経団連の参加企業で、これは金融機関からの質問があって、それをちょっと代弁させていただきたいと思います。   金融機関の実務で、この電磁的記録の提出命令が個々の支店に来たとしても、恐らくこれを最高裁の規則で定める電子情報処理組織を使用する方法によってシステムにアップロードをするということは、多分対応が困難だろうという認識があるようです。実務上は、システム上の電磁的記録を紙に出力するなどして、書面を提出することで対応することになるとも考えられるということなんですけれども、そうした場合に、ここで書かれているような、記録媒体を送付しというところにそれが該当するのか、こういう電磁的記録の提出命令とか電磁的記録送付の嘱託というのが来たときに、紙で提出をすることが許されるのかというところに疑問を持っているようでして、これが現行の文書提出命令とか文書送付嘱託との運用の関係性をお伺いしたいというところでございます。 ○山本(和)部会長 それでは、御質問につきまして、事務当局からお答えをお願いいたします。 ○脇村幹事 脇村でございます。この電磁的記録の書証に準ずる証拠調べにつきましては、今回の改正の中では、飽くまでも情報それ自体を証拠調べの対象とするということを考えているものでございます。そういった意味では、従前取り扱っていますように、電子情報を印刷したもの、それ自体を証拠とするものと、やはり異質のものとして考えていたところは間違いないところでございまして、電磁的記録送付の嘱託がされた場合には、基本的には電磁情報それ自体を記録媒体、又は電子情報処理組織を使う方法によって提出していただくことを念頭に置いていたところでございます。   ただ、最終的な実務の運用として、必ず電磁的記録そのものを証拠調べとしないといけないケースでは、もうその扱いしかないと思うのですけれども、そうでなく、紙の提出でもいいのだと当事者が考える、裁判所が考えるといったケースにつきましては、それは従前の文書提出命令、文書送付嘱託で対応することもあり得ると思いまして、最終的には、情報を持っている第三者についての状況を踏まえながら、適切な形で書証に準じたものとして出していただくのか、飽くまで電磁的記録が必要なんだというところで対応するのかは、恐らくその時々に意見等を聞きながら対応していただくことになるのだと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   佐々木委員、いかがでしょうか、お答え。 ○佐々木委員 ありがとうございます。そうしますと、金融機関の各支店で、システムへのアップロードが困難であれば記録媒体で提出すると、そういう運用でよろしいという理解でよろしいでしょうか。 ○山本(和)部会長 どうぞ。 ○脇村幹事 そういう意味で、最終的には最高裁のシステムを踏まえた判断もあるかもしれませんが、恐らく対応できないというケースについては、記録媒体も念頭に置いたところでございますので、それはそうだと思います。   あとは、記録媒体でもなく、紙をどうするかについては、最終的には裁判体の判断で、正に情報そのものを取り寄せる必要があるかどうかの判断に関わってくるのだと思います。 ○山本(和)部会長 佐々木委員、よろしいでしょうか。 ○佐々木委員 はい、ありがとうございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかに、この第7、電磁的記録の証拠調べの点、よろしいでしょうか。   それでは続きまして、今度は21ページ、「第8 証人尋問等」、この部分につきまして、事務当局から説明をお願いいたします。 ○西関係官 本文の記載内容につきましては、基本的にはたたき台の内容から変更はございません。   一方で、これまでの会議で議論させていただいておりました証人の所在場所に関する規律につきましては、現行法で規則の方で規律されているというところも踏まえますと、この点につきましては、これまでの議論も踏まえながら、今後規則の方で手当てをされるべきものと考えられます。そこで、この論点につきましては、(注)の方に記載をさせていただいております。   それと、3の参考人審尋につきましては、今回【P】にさせていただいているというところでございます。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ということで、3の部分はペンディングということですけれども、この部分、どの点からでも結構ですので、御発言があれば頂きたいと思います。 ○阿多委員 質問です。証人尋問の(注)で規則事項に落とされる部分ですが、ゴシックでは、1号の改めと3号の規律を置くことに触れていますが2号への言及がありません。2号はどういう形を想定されているのですか。 ○山本(和)部会長 それでは、事務当局からお答えをお願いします。 ○西関係官 2号の方は、こちらに記載させていただいておりませんのは、従前どおりといいますか、現行法のまま、改正をしないというような御趣旨でございます。 ○山本(和)部会長 阿多委員、いかがですか。 ○阿多委員 分かりました。ただ、私には、新たな1号が証人の住所、年齢又は心身の状態その他の事情により、証人が受訴裁判所に出頭することが困難であるという要件、従前の1号、2号の遠隔地要件をまとめたものと形式的には読めるのですが。そして、従前議論していた、手続の公正らしさ、証人に対する影響の排除、また通信環境に関する確保という視点が、いろいろな要件と絡めて議論されていたと理解しているのですが、2号に入るのですか。   少し補足すると、現行の204条の書きぶりは、裁判所は、次に掲げる場合にはとして、1号、2号を掲げた上で、最高裁判所規則の定めるところによりと規定しています。規則で想定している内容は、1号の場合はこういうふうにする、2号の場合はこういうふうにするという形式になっています。今回、規則事項にされる内容は、何を規則事項にされるのか、少し説明いただけますか。 ○山本(和)部会長 それでは、事務当局の方からお願いいたします。 ○西関係官 まず、現行法204条が1号、2号を定めておりまして、そのいずれかの要件を満たす場合に、このウェブの尋問ができると規律しているところだと思います。今般の改正により、その1号の遠隔地というところにつきまして、遠隔地でない場合についても証人が出頭困難な場合はあるだろうというところで、それを取り込めるような要件にするということで、今回の1号というのを提案させていただいているというところでございます。   一方で、2号の要件につきましては、証人が、例えば、当事者の面前などで陳述をした場合に、精神の圧迫などを受けて、それが困難になる場合に、ウェブによることを認めるというような規定でございますので、こちらについては、従前のままになるというところになるのかなと理解をしていたところでございます。   したがいまして、今提案している1号につきまして、2号を何か取り込んだというよりは、1号の要件をより緩和するといいますか、範囲を拡大するというような位置付けのものなのであろうと考えているというのが、1点目でございます。   それと、規則で定めるものにつきましては、現行法上も、最高裁規則で定めるところによりというところで、この1号、2号に基づくウェブ尋問をするときに、どういったところに証人を所在させるかというところを規律しているところでございます。その証人の所在場所の規律の要件につきましては、今後規則で定められていくのだろうと考えて、この(注)を書かせていただいたと、こういったところでございます。   以上でございます。 ○阿多委員 改めの1号に証人の住所という言葉が先に入っているので、従前の1号、2号をまとめたものかと理解をしていましたが、今の説明で理解しました。   ただ、規則事項にするにしても従前から議論していた、三つ挙げた要件、手続の公正らしさ、証人に対する影響力の排除、通信環境という規範の部分を法律に定めた上で最高裁規則に委ねることが必要ではないかと思います。最高裁規則に全て委ねるのではなく、法律に考慮すべき事情を挙げた上で、規則で個別具体的な場面を想定する立法が望ましいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○小澤委員 前回までの議論を踏まえて、法204条第1号に関する今回の本文提案とともに、具体的な規律は引き続き検討した上で最高裁規則に委ねるという(注)案に賛成いたします。なお、これから検討される最高裁規則におかれましても、従前の部会において示された要件を具体化することに対する懸念について、十分斟酌をしていただければと思います。   例えば、仮に証人が自室から1人で証人尋問に臨む場合でも、当事者や代理人、その意向を受けた第三者が、当該端末にインターネットを用いる方法で、端的には、メールやSNSなどで証人のパソコンに指示を表示させて何らかの影響を与えることも、技術的には可能と考えられます。このように影響を与えることができる者は、在席すら要せず、証人に与える影響を与えることができる時代ということを踏まえての御検討を頂きたく存じます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。   事務当局から何かコメントは。 ○脇村幹事 ありがとうございます。頂いた意見も踏まえ、また阿多委員からも最高裁規則委任の話を頂きました。どういった形でゴシック書けるかどうか、あるいは、そもそもその前提がどうかという御議論あると思いますが、ちょっと私たちの方でも、どういったことができるか少し考えさせていただきたいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは、よろしければ、次の項目に進ませていただきます。   続きまして、資料22ページ、「第9 その他の証拠調べ手続」、この部分につきまして、まず事務当局から説明をお願いいたします。 ○西関係官 本文1から3までにつきましては、たたき台の内容と基本的に変更ございません。   一方で、ハイブリッド方式による証拠調べの規律につきましては、説明の中でも記載させていただきましたとおり、これまでの会議における議論の経緯等も踏まえまして、本文には記載しないこととしております。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは、この部分全体、どの点でも結構ですので、御質問、御意見を頂戴できればと思います。 ○阿多委員 私自身は、先ほど説明のありましたハイブリッド方式について、今回立法提案しないという判断はやむを得ないと理解しています。   今回の改正は、全体として、ホストである裁判所、裁判官は法廷に所在することを前提に、ゲストである当事者本人若しくは代理人がウェブで参加するという場面を想定して議論をしてきていますので、裁判官が別の場所に離れた場所に所在することは、必ずしも意識した上で議論がされていないと思いますので、今回の改正でハイブリッド方式について提案まではしない、むしろ将来の検討事項と私は理解しました。そういう提案をしないこと自体に賛成したいと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○垣内幹事 垣内です。ハイブリッド方式は、私は多分、必要性が今後出てくる方式であると思いますし、基本的には、何らかの形で認められてしかるべきものだろうと考えておりますので、今回、提案に含められないということについては、残念な思いもないわけではありませんけれども、御指摘のような、そもそも口頭弁論として考えるのか、裁判所外の証拠調べとして考えるのか、正にその両者のハイブリッドと考えるのかといった基本的な点について、なお認識が共有されていないということを前提としますと、今回、将来の課題とされるということは、やむを得ないのかなと受け止めております。   ただ、是非近い将来に、これは改めて検討されることが期待される論点かなと理解をしているところです。 ○山本(和)部会長 ありがとうございます。個人的には、私も今の垣内幹事と同感ですけれども、今回、残念ですけれども、できないということは仕方ないのかなと思います。   ほかはよろしいでしょうか。   それでは、続きまして部会資料23ページ、「第10 訴訟の終了」、この点につきまして、事務当局から資料の説明をお願いします。 ○西関係官 「第10 訴訟の終了」につきまして、本文の内容、たたき台と基本的に同様でございます。   「1 判決」の「(2)電子判決書の送達」につきましては、送達の方法につきまして、調書判決も電子判決書と同様の規律によることとしております。また、(3)の判決の更正決定につきましては、たたき台では、調書の構成の項目において(注)で御提案をしたところにつきまして、御議論の状況を踏まえまして、本文で記載することとしたものでございます。   それと、「2 和解」につきましても、従前の御議論を踏まえまして、本文では、たたき台と基本的に同様の記載としておりますが、「(3)和解電子調書等の送達」につきましては、和解等を記載した調書につきましても、送達の方法につきまして、電子判決書と同様の規律によることとしております。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは、判決、和解に分かれていますが、どちらからでも、どの点からでも結構ですので、御発言があれば頂きたいと思います。 ○阿多委員 質問です。和解電子調書の送達で電子調書について送達を義務付けるということですが、書面の場合も含むのかを確認させて下さい。 ○山本(和)部会長 それでは、事務当局からお答えを。 ○脇村幹事 脇村です。今後は、電子調書しかないのかなと思っておりましたので、民事訴訟の世界ではですね。そういう意味で、こういう形にさせていただいたところでございます。 ○阿多委員 状況を誤解していたようです。分かりました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは、特段の御異論はないということかと思います。   続きまして、25ページ、「第11 訴訟記録の閲覧等」につきまして、事務当局から御説明をお願いします。 ○西関係官 第11は、訴訟記録の閲覧等について記載させていただいたものでございます。いずれにつきましても、たたき台の内容から変更ございません。   なお、本文の1(注)のところで、(2)で自己の端末と、それから(3)で裁判所外端末という言葉を使わせていただいておりますが、こちら、いずれも同じ意味でございますので、その旨補足させていただきます。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは、この点、どの点からでも結構ですので、御質問、御意見お出しいただければと思います。 ○阿多委員 「2 秘密保護のための閲覧等の制限」の規定に関することです。手続として、この規定を設けること自体に反対はしないのですが、従前から、相手方に対しても決定がされたことの情報提供が必要だという意見を述べてきました。決定の告知とするには、そもそも当該申立ての名宛人に入っていないので言葉として不正確かもしれませんが、情報提供は必要ではありませんか。補足説明では、相手方から提供されるのではないかという話も記載されていますが、実務でそんな経験もありません。義務を課されるのであれば、義務が課されたことを相手方に情報提供をすることが必要だと思います。   法律事項にこだわりません、規則事項とするなど検討いただけたらと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○日下部委員 今、阿多委員の方が言及されました秘密保護のための閲覧等の制限に関しましては、私も意見は同じでございまして、閲覧等制限の申立人ではない当事者に対して、その申立ての結果である決定を知らせるという仕組みは、法制的には採りづらいのかもしれませんけれども、少なくとも規則事項として規律をするということを含めて、再考していただきたいと思います。   仮にですけれども、その相手方に対して決定が知らされる仕組みが制度的に採られずに、相手方が、つまり決定の存在を知らない状態で閲覧等制限の対象となっている秘密について、訴訟追行以外の目的に使用したり、第三者に開示したりした場合には、今回、法92条に加えることが想定されている目的外使用及び第三者開示を禁じる規定の違反にはならないことは当然であろうと考えております。今後の疑義を避けるために、その点は共通認識とさせていただきたいと思いますし、もしもそのような共通認識があれば、逆に、閲覧等制限の申立人が、相手方に対して決定があったことを知らせるという実務が定着する契機にもなるのではないかと思いました。以上が1点です。   それからもう1点、和解調書の閲覧等についても意見を申し上げたいと思います。これは、1の部分に関するところです。   この1の(2)におきましては、口頭弁論の期日において成立した和解を除く和解調書等の閲覧等ができる者を、一定の条件や例外なく、絶対的に当事者と利害関係のある第三者に限ることが提案されています。部会資料29-2の26ページの説明によりますと、その理由としては、和解は元々非公開の手続で行われる自主的な紛争解決の結果であって、一律に公開することは、合意を阻害する要因となることが示されているかと思います。しかし、その理由は、結局のところは、当事者の自主的な判断を尊重するという趣旨にほかなりませんので、以前の部会の会議でも同様の指摘をいたしましたけれども、当事者双方が、利害関係のない第三者による閲覧等を拒絶する意図を示していないのであれば、これを認めない積極的な理由はないだろうと思います。利害関係のない第三者にとって、訴訟事件がどのような和解により終了したのかというのは、同種の訴訟事件の結果を予測する上で重要な資料であることを踏まえますと、一方当事者、又は双方の当事者の申立てがある場合に限って、利害関係のない第三者による閲覧等を認めない扱いにすることが適切だろうと考えております。   なお、同じ部会資料の29-2の26ページでは、当事者双方が自ら和解内容を第三者に開示すること自体は妨げられないと指摘されておりますけれども、これは、情報を必要としている者が、その訴訟事件の当事者に和解内容の開示を要請しなければいけないということですし、要請された当事者としては、和解内容を開示することについて、もうその時点では特段、その当事者にとっての実益というのはおよそないでしょうから、この部会資料での説明というのが、実態を余り伴っていないのではないかと思いました。和解成立時に当事者のいずれも和解内容を秘密として扱う意図を示さなかったということであれば、公益的観点から、やはり誰でも閲覧等ができるようにすべきだろうと考えています。   最後に、ちょっと若干将来的な展望についても言及したいと思っています。民事訴訟の分野でも、AIの活用の可能性が期待されているかと思います。具体的には、訴訟事件の結果を基礎データとしてAIに学習させることで、類似の事件の当事者が、その事件が訴訟となった場合に、どういった解決に至るのかをより高い精度で予測できるようにするという試みであって、訴訟内外の和解による紛争解決の可能性を高める、それによって、紛争処理に要する社会的なコストが低減するということが期待されていると理解しています。   令和2年の司法統計を見ますと、全地方裁判所を対象とする民事行政事件の第一審通常訴訟の既済事件数は12万2,749件であり、そのうち和解で終了した事件数は4万3、364件とされておりまして、比率でいいますと35%強になっております。つまりは、3分の1を超える訴訟事件の結果の全てが、当然に利害関係のない第三者による閲覧等に供されなくなるということになりますと、民事訴訟の分野でのAIの活用の道は大いに閉ざされるのではないかと危惧しております。裁判所が匿名処理をした上で、和解の内容を、AI学習を取り扱う業者に提供すれば足りるのかもしれませんが、それはそれで非常に問題のある、容易ではないことだろうと思います。訴訟における和解の内容は、公共財としての意味もあるものとして、将来の利用可能性を閉ざすことがないようにすることも、重要な視点ではないかと考えておりますので、再考していただきたいと考えています。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○藤野委員 主婦連合会、藤野でございます。私も2点ございます。   ただいまの日下部委員の御意見と同じでございまして、1点目は、1の(2)に記載の和解調書の閲覧の件でございますが、消費者問題の訴訟及び訴訟に至らないまでの同類の事件において、利害関係を疎明した第三者に限りというところに、同類の事件を扱う者が入るかどうかという辺りが非常に気になっておりまして、和解調書の閲覧を利害関係者だけに限定するということに対して危惧がございます。同類の事件を解決するのに、どのように和解したかという情報は非常に重要でございまして、その点は、これまでも申し上げてきたことですが、御配慮いただきたいと思っております。   2点目は、2のところでこれも以前にも申し上げていることですが、相手方は閲覧制限がされたことも制度上知らされないことになります。その知らされていない上で義務が課される、またそれが、期限の定めがなく、義務を永久に課されるということに対しては、問題があると思います。やはり相手方には知らせるべきだと思っております。   1にも2にも関係することですが、これも何回も申し上げておりますが、消費者事件では、当事者に証拠の偏在があることが多く事業者側が持っている資料を、ほかの事件でも活用して解決に至りたいという思いがあるときに、これらが制限されることに対しては大きな危惧がございます。この点は、十分に配慮して見直していただきたいと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○笠井委員 先ほど日下部委員と藤野委員から、和解調書について、利害関係のない第三者にも、当事者が開示しないようにということを言った場合以外は開示した方がいいのではないかという方向のお話がありました。私自身は、従来からその逆のことを、つまり、原案と同様のことを申し上げておりましたので、原案に賛成する立場から申し上げたいと思います。   公益的な意味があるという日下部委員のお話なのでありますけれども、だとすると、そもそも当事者がそれを制限できるのかといった問題もありますし、当事者が制限できるということなのであれば、それは、後からAIで使うといったことでも、やはり一定の偏りというようなものが出てきそうです。結局のところ、私は和解というのは基本的に私的な解決手段であると考えておりまして、非公開で行われることでもあります。現在の案では、口頭弁論で成立した場合だけは例外的に開示になっていて、和解は、非公開でも行われることになっていますので、そういったことからして、やはり通常の、裁判による終了とは分けて考えていいのであろうと思っております。   同種の別事件の当事者が利害関係人に入るかということについては、私自身は消極的な方向の意見を持っておりますけれども、これについては解釈論の問題かなと思っております。これも、現実には合わないと従前から言われておりますけれども、やはり消費者団体なら消費者団体の間で情報共有をするとか、そういったことで工夫をすることがいいのではないかと思っております。当事者間で開示をしないと約束した場合に限るという規律になりますと、そういう約束を後からしたときにどうなるかとか、約束をしたいと思っていたけれども、その機会がなかったから、この開示はおかしかったと後から問題になるとか、いろいろと後でもめる原因にもなりそうだと思いますので、規律として、一律に非開示ということでいいのではないかと考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○増見委員 訴訟記録の閲覧の件で、これまでの繰り返しになりますが、意見を申し述べさせていただきます。   今回の改正法においては、利害関係のない第三者による裁判所外の端末からの訴訟記録の閲覧が権利として盛り込まれないことで理解いたしました。今回、部会資料の説明でも、このような閲覧を求める議論があること、また、IT化のメリットを社会で広く享受させるために有益であろうということや、産業競争力の維持向上の観点で言及していただいたことについては、非常に感謝をしております。   ただ、この部会資料の中に、民事訴訟手続のIT化後の状況も踏まえつつ、将来的な課題とすると言及されていますが、IT化による変化は待ったなしの日進月歩の状況です。日本が海外に比べて大幅に遅れている状況は、現在進行形で存在しておりますので、ゆったり構えて先の課題とするのではなく、少しでも早く解決する方向で、いろいろな角度から御検討を頂ければと思っております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。   事務当局からコメントありますか。 ○脇村幹事 ありがとうございます。和解につきましては、やはり公開法廷で裁判所が示す判決と、やはり非公開にされることも含めた和解については、自主的紛争解決ということで明らかに差異があるということは前提にせざるを得ないのかなというのが、当局として思っているところでございまして、恐らく部会の御意見もそちらの方が多いのではないかと、私たちも認識しているところでございます。   そういった点からしますと、同意をした場合に限って非公開というのは、やはりなじまないのではないのかというのが、今回当局として出させていただいたところでございまして、藤野委員からも、そういった場合に、消費者の紛争解決どうするのだという御意見いただいているところですが、そういった点については、部会資料で書かせていただいているとおり、当事者の方から情報提供すること自体は妨げられないということを前提にしていくことで、対応できることもあるのではないか、少なくとも閲覧ということで、全ての和解について見せるということを前提にするのは難しいのではないかと思っているところでございます。   また、閲覧制限について様々御意見いただきました。これにつきましては、ちょっと頂いた御意見踏まえて、私たちもこの規律がそもそもどうかということも含めて、少し考えさせていただきたいと思っているところでございます。いずれにしても、この規律自体、開示してはならないということしか書いておりませんで、ある意味、裁判所がこれ自体を直接規定するものではございませんので、そういった性質を踏まえながら、先ほど頂いた意見、少し整理できるかどうか、私たちも試みてみたいと思っているところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○日下部委員 しつこくてすみません。和解調書等の閲覧に関してですけれども、今、脇村幹事の方から、和解は当事者の自主的な紛争解決であるということで、判決などによる終了とは性質が異なる、それゆえに違う扱いをするということの御説明がありましたけれども、それには別に異論を、反対を唱えているというわけではございません。当事者の自主的な物の考え方を尊重するということであれば、当事者の一方又は双方が非開示、秘密の扱いを望んだというときには、そのようにするということで、判決などとは異なる扱いをするということを想定しているものですので、その点は申し上げたいと思います。   なお、もしもその当事者の自主的な紛争解決の方法であるということ、これは、かなり抽象的な理由だと思いますけれども、それで、和解に関する調書が全面的に何ら条件を要さず、例外もなく利害関係のない第三者に対して開示されないという扱いが相当なのだということであれば、これはかなり一般的抽象的な理由によるものであって、原理的な理由といってもいいかもしれませんが、そうであれば、これまで恐らく数十年積み重ねられてきた、和解に関する調書が誰でも閲覧できたという状況は、全くもって間違いであったのかということにもなりかねないように思いまして、そのような整理をこの部会でできるのかというと、私は相当大胆な話ではないかなという感じもしているところでございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○大坪幹事 増見委員が御発言された点について、一言コメントさせていただきます。   第三者が裁判所外の端末を用いて判決書を閲覧等することを認めることにつきましては、弁護士も同様のニーズがあるのかもしれません。しかし仮にそのような法改正がなされたとしても、弁護士の立場から考えますと、民事訴訟上の記録の閲覧という制度を利用して、関係する判決を入手するというのは、余り考えらないのではないかと思っております。といいますのは、記録の閲覧をするためには、事件記録などを入力するなどして、閲覧しようとする判決を一つ一つ特定して閲覧請求しなければならないわけですけれども、あらかじめ入手したい判決が分かっていない限り、多くの判決の中から、自分に関係ありそうな必要な判決を探し出すというのは、大変な時間と労力が必要になると思います。   必要な判決を効率よく入手できるようにするためには、裁判所の方で、ある程度の検索機能を備えた判決のデータベースを構築していただくということが必要かと思いますけれども、恐らくそれは、民事訴訟法の改正とは別の問題なのではないかと思います。   ちなみに、この点につきましては、従前から御紹介しております日弁連の法務研究財団で検討しているわけですけれども、令和3年3月25日付けで、「民事判決情報のオープンデータ化に向けた取りまとめ」というものを公表しております。その中の5ページに、民事判決情報を仮名化等することは、民間の商業ベースを含めた利活用機関、これは、既存の判例データベース会社などのことを言っておりますけれども、そういう利活用機関の活用の前提となる情報データの整備提供を目的とするものであるから、司法機関の担う事務にはなじまないと思われる、つまり、裁判所のやることではないのではないかというふうな整理をしております。ですので、最高裁判所の方で仮名化の処理を含めて判決のデータベース化というのを構築するというのは、現時点では期待できないことかと、我々では考えております。   法務研究財団が中心となっている民事判決のオープンデータ化の検討の状況ですけれども、現在、この部会で検討されている民事訴訟法が改正されましたら、早ければ令和7年度に施行されるということになると思いますけれども、その施行に合わせて、同時にオープンデータ的な判決情報の公開が可能となる事業を開始できるように、法制化の必要性や事業化についての課題等を検討しているところです。検討には、研究者や判例データベース会社などのほかにも、最高裁や法務省の方々にも議論に参加していただいておりますので、そちらの検討に御期待いただけると有り難いと思います。 ○山本(和)部会長 情報提供ありがとうございました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○垣内幹事 垣内です。この和解調書の閲覧の問題というのは、非常に悩ましい問題でありますけれども、私自身は、先ほど笠井委員が言わたれたのと、理論的な観点からは同様に考えることができるのではないかというように考えておりますので、結論から申しますと、この提案のようなことになるのではないかと思います。   従前、しかし、先ほど日下部委員からも御指摘ありましたように、和解調書は誰でも閲覧ができる形になっていたという事実は事実としてありまして、それを大きく変えることになるということは確かですので、その点は、確かに大きな変更であるかなというふうな印象は持つわけなんですけれども、他方で、従来和解によって訴訟に出てきた紛争を解決している当事者や関係者の一般的な意識として、これは誰でも一般公開で見られるという前提が広く浸透していたのかと考えますと、それも必ずしもそうでもない面もあったのではなかろうかという感じもしております。そういう意味では、むしろ和解は、やはり判決とは違って、非公開の私的な解決であるという認識に沿うような方向での、規律の明確化という位置付けも可能なのかなという感じもするところです。   消費者の関係については、これも大変、御指摘はもっともなところで悩ましいところだと思いますけれども、一般的に和解は閲覧ができるという状態にしておけば、多くの消費者が和解によってどういう解決がされたかについての情報を共有して、それを自らの紛争の解決に役立てることができるのかというと、恐らく、ただそれだけでは不十分なので、そうした情報が十分に活用されるような工夫というものがなされる必要というのは、いずれにしてもあるんだろうと思っております。そうした方向の工夫というのは、今後積極的になされていくべきであると思いますし、また、利害関係の解釈につきましては、確かに、例えば、補助参加の利益とか、そういった問題との関係で考えますと、同種の被害を受けた消費者ということでは、利害関係は認めにくいのではないかという方向にはなるんだろうと、笠井委員の先ほど言われたのはそういう御趣旨ではないかと想像いたしますけれども、ただ、日下部委員も言われたような、和解によってされた解決について、何か手続そのものに介入しようということではなくて、裁判所でどのような形で同種の紛争が解決されているのか、そして、それが自分の紛争にどういった影響を持ち得るのかといったことに、正に自分の法的地位に影響する問題として関心を持っている消費者というのがいた場合に、それは、和解の調書の閲覧の関係では、利害関係を認め得るといったような解釈論も、個人的にはおよそあり得ないものではないかなというようにも考えていますので、もしこのような規律が実現した場合には、その辺りが解釈論上の課題として検討すべきことになるかなと受け止めております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○藤野委員 何度も恐れ入ります。ただいまの御意見、解釈論に期待しております。   私がもう1点確認したいことですけれども、秘密保護のための閲覧等の制限の方で、相手方が閲覧制限されたことを制度上知らされない、この点についてはいかがでしょうか。この点は、問題があると考えてよろしいのではないかと思います。   もう1点、秘密保持の義務が永久に課される、このことはいかがでしょうか。外交機密等でも、ある一定期間では開示されることになっておりますし、その点について、お考えをお聞かせ願いたいと思います。 ○山本(和)部会長 事務当局に対してということでよろしいですか。 ○藤野委員 そうですね、はい。 ○山本(和)部会長 それでは、事務当局からお願いします。 ○脇村幹事 ありがとうございます。そういった意味で、先ほど申し上げました点は、そういったことを踏まえて、もう一回私たちで考えたいとお話しさせていただいたつもりでございまして、ちょっと検討した上で考えようかなと思っているところでございます。   藤野委員がおっしゃっていたとおり、知らないケースについて、何かそれが義務違反になるかといったら、ならないのだろうなというふうな気がしているのですけれども、そういった点も踏まえて、この規律についてどうするか、少し私たちの方で再整理したいと、先ほど申し上げたつもりです。分かりにくくてすみません。 ○藤野委員 ありがとうございました、よろしくお願いいたします。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかはよろしいでしょうか。   それでは、この閲覧の部分について、和解については依然として両論の御意見はあったということかと思いますし、それから、2の秘密保護のための閲覧等制限ですね、これの手続、効果等についても御意見があったということかと思いますので、その辺りを踏まえて、引き続き事務当局においては検討を続けていただいて、いずれかの段階で、また新たな提案をお願いできればと思います。   それでは、続きまして、この辺で休憩取ってもいいんですが、多分、あとそれほど時間掛からないではないかなと期待していますので、ちょっと便宜続けさせていただきますが、資料27ページ、「第12 再審、手形訴訟」、それから28ページの「第13 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則」、この点については、便宜併せて取り上げたいと思いますので、事務当局の方から資料の説明をお願いします。 ○西関係官 第12の方につきましては、たたき台の内容から変更ございません。   第13の簡裁の関係につきましては、たたき台で提示させていただきました二つの規律のうち、ウェブ会議等による証人尋問の要件緩和につきまして記載しております。一方で、電話会議による口頭弁論の規律につきましては、これまでの議論の経緯を踏まえまして、将来の検討課題とさせていただく趣旨で、本文への記載を見送らせていただいているところでございます。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 それでは、この第12、13、どちらでも、どの点からでも結構ですので、御発言があればお願いしたいと思います。 ○小澤委員 ありがとうございます。ウェブ会議方式による尋問の要件を緩和することを、本文提案として維持していただき、ありがとうございます。司法書士や弁護士が関与しない本人訴訟の当事者にとって、利用しやすいものとなることを期待しています。   同様の観点から提案したもう一つの論点についてですが、改めて御説明をさせていただければと思っています。すなわち、本人訴訟が多い簡易裁判所にとって、本人の利便性を高める特則を設ける必要性が高く、簡易裁判所の特色として、いわゆる業者事件が非常に多くて、その代表例とも言える貸金業者からの貸金請求事件では、欠席判決となるものが多い現状があるという観点からです。   かつて、平成の初期の頃に、裁判傍聴運動がよく行われて、私も参加をしていましたが、その当時から、そういう業者事件がすごく多くて、欠席判決でどんどん債務名義ができているという状況が批判されていたということを記憶しています。その後、いわゆる過払い訴訟が急増いたしまして一時は欠席判決は減少したように見えましたけれども、今はまた戻ってきて、私の地元静岡簡易裁判所においても、やはり業者事件が非常に多いなと思っています。   その中には、やはりきちんと主張できていれば結論は変わったかもしれないなと、傍聴していて思うものもままあったり、また、被告の対応いかんによっては、判決ではなくて和解となっていたであろうというものもすごく多いという印象があります。つまり、現行制度でも陳述擬制があるものの、必ずしも様式に対応した書面が作成できる消費者ばかりではないという事実があります。   一方で、消費者問題に関与しておりますと、書面の作成はできなくても、口頭であれば何か主張できるという方も、相当数いらっしゃると実感していますものですから、せめて被告のみだけでも音声による期日参加が可能であれば、適切な答弁ができるのではないかなとも感じたわけであります。これらの趣旨から、訴訟当事者たる消費者にとって、参加しやすい制度設計をする必要があるという考えで、提案をしてきた次第であります。   前回までの御議論を振り返りますと、電話会議による口頭弁論期日への参加については、少なくとも裁判官は受訴裁判所の法廷にいらっしゃいますし、憲法上の公開主義の要請には反しないだろうというところまでは整理ができたのかなと理解しています。他方で、電話会議では、裁判所において入手する情報量が必然的に少なくなりますので、全体として慎重意見が多数を占めたという状況も受け止めております。今現在も、弁論準備手続や和解手続において、適切に本人確認がされている状況を踏まえますならば、それらの懸念は杞憂にすぎないと思うのですけれども、対策として、事件管理システム登録時の電話番号にワンタイムパスワードを送付するなどの提案もさせていただいたところです。こういった対策をするのであれば、電話会議による参加を否定する理由はないのではないかと考えられる一方で、複数の方から懸念が示されていることも、重く受け止めるべきだと考えております。   特則を設けずとも、陳述擬制がされた場合に限っては、続行期日で弁論準備手続を行うことで、双方音声のみの期日を進行できるというのも事実ですが、それこそ期日が1回延びるのみで、本人確認、公開原則において実態に違いはないように思っています。ただ、苦労して規律を設けたとしても、その必要性が理解されなければ意味がないというのも、その指摘もそのとおりだと思います。   こうした状況ですので、部会でコンセンサスを得る見込みが乏しいというのであれば、もうこれ以上、この要望をするつもりはございません。とはいえ、業者事件の深刻な状況は現在もありますので、訴訟当事者たる本人の立場に立ち、このような問題状況を改善するための対応については、引き続き様々な場面で法制度の見直しや運用改善を含め、引き続き検討を行う必要があると考えている次第です。   御検討いただき、どうもありがとうございました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。小澤委員の問題意識は、恐らくこの部会で共有されているものと思いますので、引き続きの将来の検討課題という位置付けになっているのかなと思います。 ○藤野委員 主婦連合会、藤野でございます。この点につきまして、簡易裁判所であるから、証人尋問、本人尋問の要件を緩和するということに、私は反対でございます。やはり第三者が不当な影響を与えていないか等のことはしっかり確認するべきでございまして、それがウェブ会議で可能なのかというところには、大きな疑問がございます。よって、証人尋問、本人尋問をウェブでやるということに対しては、反対意見を申し上げます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○日下部委員 2点です。1点目は、ごくごく短くです。   先ほど、電話会議の方式による口頭弁論について、憲法上の問題がないというところで部会の整理がついたという理解を示していただきましたけれども、ちょっと部会の整理というのが具体的に何を意味するのか、私は十分把握しておりませんが、私個人としては、そのような整理は別段しておりませんので、念のために申し上げたいと思います。   2点目ですけれども、このウェブ会議等による尋問の要件の特則を設けるかどうかという点についてですが、今回の部会資料では、従来どおりの御提案が維持されている理由について、特段示されていないところですけれども、以前の部会の会議で、私自身が指摘した問題点、つまり、2点ありましたが、簡易裁判所における書面尋問の要件が「相当と認めるとき」となっている、この規律である法278条と、それから現在既に存在している法204条の不均衡という問題は、現行法上もう既に存在しているから、それ自体を理由として、今回の簡易裁判所における特則を設けるということでは、理由の説明として十分ではないのではないか、その上で、法204条の要件を「相当と認めるとき」にまで、緩和すべき実質的な理由があるかどうか分からないといった意見に対しては、特段それを否定する御意見はなかったように思います。   それらに更に付言をいたしますと、今回の法改正によりまして、法204条自体が見直されることが予定されており、1号の遠隔地要件は出頭困難要件に緩和されて、さらに3号として、「相当と認める場合において、当事者に異議がないとき」も、ウェブ会議等による尋問が可能となる見込みだと考えています。   そのような緩和された後の法204条を前提として、さらに、「相当と認めるとき」という要件のみに緩和するということは、何を意味しているのかといいますと、証人が出頭することは困難ではなく、出頭して通常の場所で陳述するときも、精神の平穏を著しく害されるおそれもなく、かつ、当事者が異議を言っている、こういう状況においても、ウェブ会議等による尋問を可能とするということを意味するわけですが、そこまでの要件緩和が必要、あるいは適切であるという立法事実はないように思います。新たな法204条の下での実務が蓄積して、それでもなお、簡易裁判所の手続においては、更に要件を緩和すべきだという声が、現場において強く表れるようなことがもしもあれば、そこで改めてその適否を検討することが穏当だろうと思います。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。   事務当局の方から。 ○脇村幹事 ありがとうございます。今、御反対の意見いただきましたが、当局としては、書面とのバランスの悪さは否定できないのは間違いないのではないかと思って、提案させていただいたところでございます。正に本人尋問、こういうのをせずに書面でやるのに比べれば、ウェブの方がよりよいのではないかという観点からすると、なぜそこで差を設けるのかが、私は正直分からないところがあるのですが、もちろんそれは私個人の意見でございますので、皆さんの御意見いただきながら考えたいと思いますが、少なくとも、書面でできるケースについて、ウェブでできないという理由は、どういった理由からなのか、ちょっとそこは、また教えていただければと思います。 ○阿多委員 私は、ゴシックの原案賛成の立場で、当事者の異議については、相当と認めるときの解釈において当事者の意見を聞いた上で判断するという扱いをしていますので、あえて当事者の異議を切り出した204条の要件とそろえる必要はないと思います。だからこそ、簡裁の特則だと認識しています。   日下部委員の発言は、204条要件が緩和されることによって使いやすくなるのだからというものですが、簡裁において、特に本人訴訟等において、裁判所が後見的な形で手続を実施していることを考えると、要件としては、この相当と認めるときで足りると思います。形式的な理由としても、書面尋問との差は、やはり埋め難いとは認識しています。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。 ○大坪幹事 私も阿多委員と同じ意見なのですけれども、弁護士の立場から若干、1点だけ補足させていただきたいと思います。本体の地方裁判所の証人尋問もそうなのですけれども、今現在、証人や当事者の尋問をするに当たっては、弁護士としてはかなり時間をかけて準備をして尋問に臨んでいます。法廷でやることを前提として有利な証言を引き出すための工夫など証人尋問等の準備をやっているわけですけれども、それをウェブでやるというのは、かなり困難を伴い、特に反対尋問などは実際にはそれほどうまくできないのではないかと思います。ですので、今後も、原則的には法廷で証人尋問、当事者尋問が行われるということは変わらないと考えられます。   今、この部会の議論では、証人等の尋問をウェブ会議でやることができる要件を集中的に検討しているので、いかにも今後、証人尋問は全部ウェブでやられるような印象を、一般の人には与えているのかもしれないのですけれども、実際にはウェブで証人尋問が行われる場合というのは中立的な証人などかなり例外的な場合に限られるだろうと予想されます。   そういうことを考えると、理論的には問題はあるのかもしれませんけれども、要件的に、今の簡裁に関しては、相当と認めるときという要件で問題はないではないかと考えます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうかね。   それでは、先ほど脇村幹事から既にまとめでありまして、さらに、今日の御議論等を踏まえて、引き続き、この13のゴシック部分については、事務当局で検討を進めていただくということにしたいと思います。   よろしければ、続きまして資料28ページ、「第14 費用額確定処分の申立ての期限」の問題ですね。これにつきまして、事務当局から資料の説明をお願いいたします。 ○大庭関係官 御説明いたします。   「第14 費用額確定処分の申立ての期限」につきまして、基本的な内容はたたき台と同様でございます。本文の3についてでございますが、これは、訴訟が裁判及び和解によらないで完結した場合等の費用額に関しても、10年の期間制限の規律を準用するという内容でして、この点はたたき台と基本的に同様ではあるのですが、この場合には、訴訟費用の負担の裁判を求める申立てが必要となりますので、その申立てについて、訴訟が完結した日から10年の期間制限を設けるということを明確にしたものでございます。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   では、この論点につきまして、御質問、御意見、お出しを頂ければと思います。   特段ございませんでしょうか。   それでは、この第14は、特段の御意見はなかったということかと思います。   続きまして、資料29ページ、「第15 書記官事務の見直し」ですね。この点につきまして、事務当局から説明をお願いいたします。 ○大庭関係官 「第15 書記官事務の見直し」でございますが、「1 担保取消しと書記官権限」につきまして、本文は、現行法では裁判所がすることとされている法第79条第3項の場合の担保取消しの前提となる権利行使催告を裁判所書記官の権限とするというものでございます。   従前部会では、担保取消し決定を裁判所書記官が行うというところについても御議論いただいていたところでございますが、裁判官の担保提供命令に基づく担保の効力を裁判所書記官の権限によって消滅させることにつきましては、なお理論的に慎重な検討が必要と考えられることから、今回は御提案をしておりません。   2の電子調書の更正につきましては、たたき台から変更はございません。   以上でございます。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   それでは、この15、1の担保取消し、2の調書更正、どちらでも結構ですので、御自由に御発言を頂ければと思います。 ○阿多委員 1の書記官権限化について、3項のみというゴシックの案に賛成したいと思います。   2の調書について、従前から質問していた事項ですが、和解調書等は終局していることが前提なので、余り時的な限界は問題にならないと思いますが、口頭弁論調書の更正は、いつまでできるという前提なのでしょうか。調べる限りにおいては、昭和42年5月23日の最高裁判決では、上告理由で指摘された後に、口頭弁論調書の作成が許されないとした事例がありますが、調書の作成、さらには、今回の更正というのは時的な限界があるやに思いますが、今回の提案については、時的な限界、つまり、いつまで更正できるのかについて記載がありませんが、事務当局はどのように考えているのですか。 ○山本(和)部会長 それでは、事務当局からお答えをお願いします。 ○脇村幹事 ありがとうございます。そういった点につきまして、今、従前の解釈と同じように委ねているという限度かなと思っているところでございます。文字づら的には、いつまでもできますし、明らかであればするということあるんでしょうけれども、正に委員おっしゃったようなケースも含めて、解釈論に委ねられた問題ではないかと考えております。 ○山本(和)部会長 阿多委員、いかがでしょうか。 ○阿多委員 分かりました。解釈論に残された問題と考えます。   もう1点、口頭弁論調書の電子調書の更正について、処分の告知方法として71条が準用されています。ただ、71条の規定は、申立てを前提にその申し立てたことの結果、書記官による処分についての告知ですから、予想がつくわけですが、今回は、職権での場合も含めています。そうすると、どういう方法で処分を告知するのですか。また、即時抗告できることが前提になっていますが、抗告期間との関係で処分の告知を記録化するのですか。 ○山本(和)部会長 それでは、事務当局からお答えをお願いします。 ○脇村幹事 ありがとうございます。最終的には、相当と認める方法でございますので、いろいろな方法を裁判所で判断することになろうかと思っていますが、通例、こういう決定等の処分について、不服申立て期間があるものについては、普通は起算点を明確にする観点から、送達によるケースもあろうかと思います。恐らく係属中である事件、係属中でない事件も含めて、正に時的限界の話も絡むかもしれませんが、係属中であれば、恐らく期日で告知をするということで事足りるケースもあるでしょうし、期日がないケースも、係属終わっちゃった事件について、ほとんどないかもしれませんけれども、そういったケースであれば、送達という方法をとることも考えられるのではないかと考えているところでございます。 ○山本(和)部会長 阿多委員、いかがですか。 ○阿多委員 どのような対処方法を考えているのかが理解できました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○橋爪幹事 第15の「1 担保取消しと書記官権限」については、裁判所から提案したものですので、コメントさせていただきます。   書記官は、法律の専門職として訴訟手続に関する高度な知識を有し、裁判官と訴訟運営方針を共有して、質の高い審理の実現に寄与しているところでございますが、裁判所としては、今般のIT化に伴って、裁判官と裁判所書記官の職務分担の在り方を再検討することが重要であるとの考えから、担保取消しの書記官権限化について提案を行ったところでございます。   そして、この提案の実質については、部会において委員、幹事の皆様の賛同が得られたものと理解しております。ただ、今回、事務局において、専ら理論的、法制的な理由から、なお慎重な検討が必要であるとされるのであれば、今回の改正における要綱案に記載されないことはやむを得ないと考えているところでございますが、この問題については、引き続き将来の検討課題とすべきであると考えております。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございましょうか。   それでは、この部分についても、特段の御異論はなかったと思いますので、次に移らせていただきます。   資料30ページの「第16 被害者の氏名等を相手方に秘匿する制度」、これは丸々【P】となっておりますので、次回に具体案を御検討いただくということになります。   続きまして、31ページ、「第2部 民事訴訟費用等に関する法律の見直し」、この部分、第1から第3に分かれておりますが、まとめて取り上げたいと思います。   事務当局から資料の説明をお願いいたします。 ○園関係官 御説明いたします。   第2部の本文の記載につきましては、たたき台の記載と同内容でございます。   説明は以上でございます。 ○山本(和)部会長 ということで、変わっていないということですが、どの点でも結構ですので、御質問、御意見があれば、この際お出しを頂きたいと思います。   いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、この点につきましても、特段の御異論はないということで伺わせていただきます。   32ページ、「第3部 その他」は、その他所要の整備をするということで、これは要綱案に、一般的というか付けられるものでありますので、特段の御審議は必要ないかと思いますので、これで本日予定されていた審議、部会資料29に関する審議は終えられたかと思いますが、もし全体を通して何かございますれば。 ○藤野委員 主婦連合会、藤野でございます。大変恐縮でございます。15ページの公示送達のところで、私、確認すべきことを失念しておりまして、よろしいでしょうか。 ○山本(和)部会長 どうぞ。 ○藤野委員 ありがとうございます。この公示送達のところですけれども、公示送達をインターネットに掲載すると読めますが、その際に、説明のところに、プライバシーや名誉に配慮する観点から、一部の省略があるのではないか的なことが書かれています。この公示送達をインターネットに掲載することが、やはりどうしても必要なのでしょうか。   以前にも申し上げましたが、官報で裁判所の前に掲示するのと、インターネットで公示するのは大きく違いまして、このプライバシーの配慮がどこまでされるかということもあり、このことを確認させてください。IT化するのであれば、本人端末に連絡するということでも可能なのではないかということと、民事訴訟法ではない手続のIT化の検討のところでは、例えば、民事執行の公告についてはインターネットによる掲載ということは前提になっていないと聞いております。このことを確認させていただきたいのですが。 ○山本(和)部会長 それでは、事務当局からお答えをお願いいたします。 ○脇村幹事 こういうものは、これまでの議論からしますと、やはりそういったインターネットによる公示の方が適切なケースということで、こういった提案をさせていただいているところでございます。   ただ、このインターネットですと、例えば、準備書面を全部公開するとか、そういったことは当然考えておりませんで、取りに来たら渡しますよということを基本的に書くだけなのですけれども、そこでさらに、先ほど部会で議論がありましたのは、氏名省略はできないけれども、ほかのところについては省略できないかということで、プライバシーに配慮できないかということを考えさせていただいているところかなと思います。別に、渡す書面を全部インターネットでばっと公開することは考えておりませんので、そういった意味で配慮できるのではないかなと思っています。 ○山本(和)部会長 藤野委員、いかがですか。 ○藤野委員 期限についてはいかがなのでしょうか。官報と同じように期限を区切っていたとしても、インターネットに掲示された場合に、期限が来ても取り消せない状況となってしまうというようなこと、又は何らかの手段でほかの方のSNSに上げられるというようなこともあるのかと想像しますけれども、それはいかがなのでしょうか。 ○山本(和)部会長 それでは、事務当局からお答えを。 ○脇村幹事 脇村です。今、確実なところについて、こういったシステムを作るというところまで決めているわけではございませんけれども、藤野委員からすると、恐らく区切った方がいいのではないかというお話だと思います。それを踏まえて少し、法律上の問題なのか、システムの問題なのか、あると思うのですけれども、そういった点、ちょっと整理したいと思います。 ○山本(和)部会長 藤野委員、いかがですか。 ○藤野委員 よろしくお願いいたします。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。全体を通してもし何かあればですが、よろしいですか。   それでは、本日の審議はこの程度にさせていただきたいと思います。   最後に、次回議事日程等につきまして、事務当局から御説明をお願いいたします。 ○脇村幹事 ありがとうございました。次回の日程は、令和3年12月17日金曜日、午後1時から6時までを予定しております。場所は未定でございます。   次回会議においては、本日の資料で【P】とさせていただいた論点につきまして、また案を出させていただく予定でございます。詳細については、追って皆様に御連絡させていただきます。どうもありがとうございました。 ○山本(和)部会長 ありがとうございました。やや私の見通しが甘く、休み時間を取ることもなく、長時間にわたって御議論を頂きまして、誠に恐縮しましたが、これにて法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会第20回会議は閉会にさせていただきます。   本日も御熱心に御討議を頂きまして、ありがとうございました。 -了-