法制審議会 家族法制部会 第9回会議 議事録 第1 日 時  令和3年11月16日(火) 自 午後1時32分                       至 午後5時17分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  未成年者を養子とする養子制度を中心とした論点の検討 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは,皆様お揃いのようですので,法制審議会家族法制部会の第9回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中,御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。   前回までと比べますと会場出席の方が大分増えておりますけれども,それでもなお多くの方がウェブで参加をされておりますので,本日も前回までと同様,ウェブ会議の方法を併用した開催をさせていただくことになりますが,よろしくお願いを申し上げます。   それから,前回からの変更といたしまして,外務省の塩田崇弘総合外交政策局人権人道課首席事務官が関係官に任命されておりますので,塩田関係官からお名前と所属の簡単な自己紹介をまずお願いしたいと思います。   塩田関係官,お願いいたします。 ○塩田(崇)関係官 皆様,お疲れさまでございます。11月10日付で石井に代わりまして外務省人権人道課の首席事務官として着任いたしました,塩田崇弘と申します。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。   それから,次に,本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局の方から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 お手元の資料について御確認いただきたいと思います。机上の方に配布資料目録を置かせていただいております。また,ウェブで御出席されている方々にはメールで昨日お送りしております。   この目録に記載した資料番号について説明をさせていただきたいと思います。事前にお送りしたものにつきましては,養子縁組に関する部会資料を部会資料8,そして,財産分与に関する部会資料を部会資料9としてお送りさせていただきましたけれども,他の部会との平仄を合わせるということもありまして,全ての資料につき,資料を使用する会議の回数での資料番号を付させていただいております。混乱をさせるような形で申し訳ございません。例えば,「未成年者を養子とする養子制度を中心とした論点の検討」と題する部会資料9−1は,従前部会資料8として配布したものと同じものであり,「財産分与制度に関する論点の検討」と題する部会資料9−2が,事前に部会資料9として配布したものと同じものになります。参考資料につきましても,前回配布したものの一部につき,今回も同じものを配布しましたが,部会資料と同じ要領で資料番号を改めて付しております。そういう前提で御説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。   では,まず部会資料9−1は,今申し上げましたとおり,養子関係の検討資料であり,前回会議で説明した資料と同じものになります。部会資料9−2が財産分与関係の検討資料になります。そして,参考資料につきましては,事前にお送りしているものとしては,参考資料9−1,こちらがデータのみお送りしておりますけれども,前回,棚村委員が提出されました「子の養育の在り方に関する実証的調査アンケートの概要」ということになりまして,参考資料9−2が事前にお送りしたもので,こちらは「子の養育の在り方に関する実証的調査アンケートの内容」というもの,こちらも抜粋で,前回使用されたものと同じものになります。参考資料9−3につきましては,赤石委員から提出いただきました「離婚後の子の養育の在り方に関する実証的調査研究」,こちらも一部の資料の抜粋ということになります。参考資料9−4は武田委員から提出された資料,参考資料9−5につきましては,前回も使用いたしました普通養子制度の利用実態についての調査の結果報告になります。参考資料9−6につきましては,未成年者を養子とする普通養子縁組の実態に関する調査結果の概要で,参考資料9−7から9−9につきましては,第5回会議におきまして実施いたしましたヒアリングで対応していただきました先生方への追加質問を皆様から頂きました。こちらについて,まとめて御質問を事務局の方でさせていただきまして,回答を頂いた先生方のものにつきまして事務局の方でまとめて提示をさせていただいたものになります。お一方,お忙しいということで回答を頂いてございませんが,頂きましたら,またこの会議に提出をさせていただきたいと思います。   なお,参考資料9−1から9−3,前回も御説明いたしましたけれども,こちらは日本加除出版株式会社から出版されている文献であります「未成年期に父母の離婚を経験した子どもの養育に関する全国実態調査とその分析」から抜粋した内容を,それぞれ資料として御提出いただいてございます。権利の関係で文献全てを配布するということは難しいということになりますので,他の部分について御関心がありましたら,文献の方を御覧いただければと思います。   資料の説明は以上になります。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは,本日の審議に入りたいと思います。 ○原田委員 資料の番号の振り方なのですけれども,今までの分はそのままということで,そうすると,部会資料8がないという形になるのですか。 ○北村幹事 部会資料8は,前回配布してございますので部会資料8で,今回改めて同じものを配布しておりますので,部会資料8と同様のものが9−1という形に振られております。 ○原田委員 1巡目が終わって,一応,2巡目に入るときに,前の資料のこれではこうでしたけれども,とかいうときに混乱が生じる可能性があると思うのです。それで,同じ資料で違う番号が振られている場合は,1巡目が終わってから,これからはこの資料はこの番号で特定しますというような一覧表を出していただけると混乱しないと思うのですけれども。 ○北村幹事 資料の番号の振り方につきましては,事務局の方で検討させていただいて,今後引用するときにどの番号を使っていただいた方がいいのか,検討させていただきたいと思います。 ○原田委員 よろしくお願いします。 ○大村部会長 御指摘ありがとうございます。少し煩わしいことになっておりますけれども,御容赦を頂きまして,どうぞよろしくお願いを申し上げます。   それでは,本日の審議に入りたいと思います。   本日は冒頭で,前回会議において御発言がありました棚村委員提出の資料につきまして,補足を頂くことを予定しております。その後,前回からの積み残しになっております部分ですけれども,部会資料9−1,前回の資料8に基づきまして,未成年者を養子とする養子制度を中心とした論点について御議論を頂きたいと考えております。そして,時間が許すようであれば,部会資料9−2に基づいて,財産分与制度に関する論点についての議論にも入りたいと考えております。   そこで,まず,棚村委員の方から,参考資料9−1及び9−2につきまして,時間の関係もございますので,簡単な御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。 ○棚村委員 棚村です。前回,赤石委員の方からも御質問というか,頂いていましたので,簡単にこの調査について御説明をさせていただきたいと思います。本来であれば,「未成年期に父母の離婚を経験した子どもの養育に関する全国実態調査とその分析」という,この本そのものを何らかの形で皆さんが見ていただくと分かりやすかったかなと考えております。   この調査については昨年の2020年8月に,法律学をやっている私たちは,どちらかというとこういう実態調査ということでも,自分たちの法律関係のグループでやることが多かったのですけれども,今回は労働経済学という立場から,東京大学教授の山口教授,それから,心理学という立場から,大正大学の青木教授,それから,福井大学の友田先生,小児神経医学,脳科学というようなところでもいろいろ研究をされている先生方と行わせていただきました。この4人で,20代,30代の比較的若い方で男女1,000名ずつ,お父さん,お母さんの離婚とか別居の経験をされた,子どもの目から見てどんな様子だったかとか,どんな影響があったのだろうかということを,必要な支援も含めて調査してはどうかということで,共同研究という形で調査研究をさせてもらいました。   本調査研究の意義としては,子どもが小さいときに話を聴き取るというのはなかなか難しいことなので,ある程度の年齢になったときに聴いたものが先行研究として,大学生を中心とした形のものが一定程度あったわけです。しかし,今回,ウェブ調査,モニター調査ということで,先生方とも話し合って,全国の人口とか地域の分布に従ってデータを集めましょうとか,8月から御相談をさせていただいて,11月ぐらいまで質問項目を精査しながら,どういう内容をどんなふうに聴いていったらいいかというのを検討してきました。その間には調査会社のプロの方たちの御意見を聴いたり,いろいろな検討をさせていただきました。   最終的には,私は単純集計の結果を中心として書きまして,赤石委員からの御質問で,実はこれは交流のあるグループと交流のないグループ,面会交流で分けましょうと,対照群に分けて,どういう影響が出るかというのも見ようというのは先生方の御意見もあり,私もそうだと思いました。そこで,いろいろな形で当事者の属性も調べましたし,ここにあるような項目で調べさせてもらいました。それで,事前に,1点,私もお詫びもしなければいけないのですけれども,「家庭の法と裁判」の方には3月ぐらいにダイジェストみたいなことで,取りあえず結果が出たところをお知らせしようという趣旨で書きました。それから,先生方にお配りしたところで,一番最後の終わりにというところの真ん中辺りで,皆さんには少し衝撃だったと思うのですが,養育費も4割は支払われず,7割で交流がない結果も出てきたと書かれています。この辺り,もしかすると赤石委員も気になっていたと思うのですが,交流のないケースとあるケースを調べて,面会交流というのは,実はSNSとか手紙,メール,電話とか,間接的なものもかなりあって,これは除きましょうというのがこの調査での皆さんの御意向だったのです。交流というのはやはり直接会った場合に限るのだというようなことで,お断りをして調査をしました。なおかつ,私は調査に実際にタッチしていたので,旅行とかお泊まりというのは極めて少なかったのです。特に,欧米と比べると,そういうような形で直接,しかもまとまった時間いるというのが日本で少ないということがはっきりしたので,ここでは実は旅行とか宿泊での交流というのを加えておくべきでした。交流ありのグループの中でもこのぐらいだったのだということを書いているつもりが,その前のものを全部細かく読んでいただけると内容は分かるのだと思うのですが,この点だけはミスリーディングな可能性もあるので,旅行や宿泊での交流は7割でなかったとお伝えしておきます。あとの結論とか分析の結果は,ほかの先生方もそうなのですけれども,いろいろと興味深いものがありました。例えば,面会交流と養育費の関係なのですけれども,私が10年前にやった調査のときも,相関関係というのですか,因果関係はやはり難しいのですが,相関関係というのは見られて,今回の結果でも,養育費が払われていると面会交流もかなり大幅に高い割合で実施されていたというのが分かったわけです。   ただ,これがなぜなのだろうかという話になると,各先生方で,例えば,離婚や別居前の段階での親子の関係がどうだったかとか,それから,親子のコミュニケーションとか接し方がどうだったかということも実は影響があるのだろうとは思っています。クロス集計でいろいろなものを出して見ると,この割合がなぜ出てきたのだろうかとか,どういうふうに解釈すればいいのだろうかというのは,それぞれの分野とか立場で少し変わってくるのかなと思っています。ですから,これは飽くまでも,私の場合だと,単純集計の結果を法律家の目から見て,これまで明らかでなかったとか,こんなことが少し傾向として見られたとかということ感想のようにまとめさせていただきました。私が,特に意識したのは,司法統計とか,あるいは厚労省の調査の結果との差異があるのか,子どもたちの側からはどんなふうに感じられたかということで,少し記載をさせてもらいました。   それで,これから,山口先生もそうですし,例えば,これは大石先生なんかもおっしゃっている,協議離婚でもそうですけれども,エビデンスベースで議論しようとか,立法事実は一体何なのだというときに,こういうような調査研究を含めてですけれども,実態が一体どうなのかということについても議論が必要なのだろうと思います。そのきっかけになるという意味で,こういうような調査を共同研究としてさせていただいたということです。   1点だけ少し加えますと,法務省の方で商事法務を通じてほぼ同じような時期に調査がされました。それについては最初から全部加わってやったというよりは,一番最後の方で,どちらかというと,調査の結果が出てきて,この私たち4名がやった調査研究と,どういう違った結果とか特色とかがあるのか,それから,法務省がこういうような形で後の方でやったものがどれくらい実態を反映しているのだろうかということについてのお話はさせていただきました。ただし,主として今回関わっていたのは資料としてお配りした調査なものですから,少し御説明が長くなりましたけれども,させていただいたということです。よろしくお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございました。前回赤石委員の方から御質問がありましたが,それを次回送りということにさせていただきましたので,本日お答えを頂いたという次第です。赤石委員,何かありますか。 ○赤石委員 棚村委員,ありがとうございました。少しお聞きしたいのですけれども,1,000人ずつの交流あり群と交流なし群の調査ということは数的にはかなり大きくて,今までの先行研究よりも,やはりそういう意味では信用度は高いのかもしれないと思うので,お聞きするのですけれども,この標本というかこの調査の偏りというのは,例えば収入状況ですとか,いろいろなほかの20代,30代の子どもたちの状況とかそういうので,どのくらいこの標本に偏りがあるのかとかいうことはお調べになっているのかということが1点です。   それから,相関関係とかおっしゃってくださったのですが,せっかく交流あり群,交流なし群でいろいろな比較ができるような調査でございますので,今後何か更にデータが出てくる可能性があるのかとか,お子さんが小さいときに別れた方と大きくなって別れた方ではかなり受け止めが違うだろうと思うので,年齢とのクロス集計ですとか,あるいは暴力ありと認識していた子どもと,そこを認識していなかった子どもとの面会交流や親との関係についてのクロス集計ですとか,こういった何か今後,クロスの必要性を認識して発表の可能性があるのかどうか,せっかくのこの2,000人の調査についてどのようにお考えになっていらっしゃるのかなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員,今御質問があった,この後の調査などについて少しだけお答えいただいて,先に進ませていただきたいと思います。 ○棚村委員 分かりました。   非常に貴重なデータだということは認識しております。ただ,統計とかいろいろな専門的な分野の方々の力を借りたり,あるいは,先ほど言いました家族社会学とか,いろいろな学際的なアプローチでこの結果をクロス集計していくとかなり興味深い結果が出てくるのではないかと思っていますけれども,残念ながら,山口先生も青木先生も,友田先生もそうだと思うのですけれども,現時点での結果ということで一応公表させていただいたということです。今,赤石委員会の御質問のような標本の偏りとか,小さいときに分かれた子と,ある程度の年齢で分かれた子の受け止め方の違いなど,今後の課題ということで皆さん,私も含めて,いろいろな御意見や御指摘を受けたうえで,どういうふうに活用できるかということについても研究課題ということで示させていただくというように考えております。こういうことなので,これからどう研究を進めていくかというところまでは正直言って,まだ決まっていません。赤石委員がおっしゃるように,いろいろな形で,せっかく取ったデータについてクロス集計をして細かくやるべきということ,そうすればいろいろな興味深い実態が浮かび上がってくるのではないだろうかということは同感であります。ただ,今後の予定ということについては,この研究をやるだけでかなり大変だったので,そういう意味では,今後の予定は立っていないということで,申し訳ありません。不勉強で申し訳ないのですが,私からの御説明は以上です。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○原田委員 このまとめは,今日出されている友田先生と棚村先生だけではなく,山口先生と青木先生という方も独自の立場でまとめをされているので,そのまとめの仕方が,どうしてこんな結果が出るのかなというと,後ろにある統計の結果を見ないと分からないというところがありまして,少し今,棚村先生に伺ったら,加除出版から著作権の関係もあるので,データを全部提供するというのは難しいのではないかというお話がありまして,もし可能であれば,例えば買って皆さんに配布するとか,そういうことはできないのでしょうか。 ○大村部会長 事務当局の方で,少し御検討していただけますでしょうか。 ○北村幹事 著作物で出版されているものですし,購入してお配りするにも費用が掛かりまして,その予算を計上してございませんので,そこは御理解いただいて,既にいろいろな書店等でも購入できるものでございますので,もし必要があれば各自で御参照いただければと思います。よろしくお願いします。 ○原田委員 そうすると,ここにこう書いてあるけれどもこうだというのを皆さんが確認するためには,御自分でそれを確かめないといけないということになるわけですね。 ○北村幹事 一冊丸ごとお配りして,しかも法制審の資料としてそれを公開するというのは控えさせていただきたいと思います。 ○原田委員 はい,分かりました。 ○大村部会長 ありがとうございます。貴重な資料を今回出していただいておりますけれども,この先で具体的な議論に際してこの資料を参照して御発言等をいただくようなことになるときには,必要に応じて別の部分を,棚村先生から提供していただく等の対応をお考えいただくこともあろうかと思いますけれども,今日のところは今のような説明をいただいたということで引き取らせていただきたいと思います。   落合委員,何か御発言がありますか。資料の中身自体については,今申し上げましたように,またどこか具体的な問題に関して議論になったときに御発言を頂ければと思いますが,それ以外で,一般的なことについて何か御指摘があれば,お願いを致します。 ○落合委員 今の棚村先生の御報告を伺って,非常に概括的にいうと,ネガティブな効果は割と弱めで,ポジティブな効果の方が割と強く出たというのが全体だと理解していいのでしょうかというのが一つの質問です。それから,もう一つは,ネガティブな効果が出てしまった人がどういう人かということが分かると,今後いろいろ政策を立てるときに考えやすいわけですけれども,それが先ほどから御質問のあるクロス集計とかいうことになるのですけれども,ネガティブな効果はどういう人に出ているというようなことを,今までお分かりになったことだけでも,あるでしょうか。お願いします。 ○大村部会長 では,ごく短くお願いいたします。 ○棚村委員 簡単にお話しさせていただきます。かなり多くの項目を調査しましたので,クロス集計をすればそういうことについてかなり追えるかなということは言えると思います。ただ,例えば,養育費と面会交流の相関関係というのはかなりはっきり出ているのですけれども,他方でやはり離婚後の生活レベルとか健康状態だと,交流がない方が良好だったり,要するに,お子さんのお話を聴いても,別れてくれてほっとしたというのも約4割ぐらいいるわけです。別れて,離れて暮らす親と会えなくなったから寂しいとか,生活レベルも下がったとかいう声もかなりの割合であるのですけれども,そういう相反するようなデータが出てくると,それをどういうふうに評価して解釈したらいいのかとか,それはなぜなのだとかということは一口では説明できない点もあります。例えば面会交流も,年齢が比較的高くて夫婦関係,親子関係が比較的良好で,家庭の中で葛藤が少ないほど交流は維持されるという結果が出てきました。これは結局,養育費とかいろいろなものを考えると,いろいろな要因が複合的に作用して出ているのだろうという話でして,これが決め手だというのはなかなか言いづらいと思います。その辺りは4先生,皆さん共通のご意見だったので,これから更に,赤石委員がおっしゃったように,いろいろな角度から,この出てきた結果をどう分析,解釈したりするかということは,むしろ落合先生を含めて大石先生とか,菅原先生とか,御専門の研究者の先生方のお力を借りてやることかなと思っております。   すみません,長くなりました。 ○大村部会長 落合委員,よろしいですか。 ○落合委員 ありがとうございます。 ○大村部会長 それでは,先ほど申し上げましたように,また必要に応じてこの調査に基づいて御発言等いただくということにしていただきまして,先に進ませていただきたいと思います。   部会資料9−1に基づく意見交換に入らせていただきたいと思います。 ○赤石委員 友田委員の資料の御紹介って,若干させていただいてもいいですか。 ○大村部会長 それはどういう御趣旨ですか。 ○赤石委員 この調査を補強する,クロス集計について。私は棚村委員の資料について御説明を受けたつもりだったのですけれども。 ○大村部会長 棚村委員の資料について前回御質問が出ましたので,それについてお答えいただきましたが,赤石委員の方からも何か,出されている資料について御発言があるということですか。 ○赤石委員 追加資料を付けたものについての論点は御説明していなかったかと思うので。 ○大村部会長 棚村委員の御発言と関係する形で,御説明を短く頂くということでよろしいですか。 ○赤石委員 はい。 ○大村部会長 では,それでお願いいたします。 ○赤石委員 お時間頂きましてありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。同じ日本加除出版の,未成年期に親の離婚を経験した子の調査で,私どもはこの間,友田明美先生のお話を聞く機会がありまして,重要なデータだと思ったので,友田先生に御了解,それから日本加除出版の方にも御了解を得て,今回,資料提出をさせていただいております。本当に時間が短いので,クロス集計のところで幾つか出ている論点だけ,この法制審議会家族法制部会に関係があるなと思ったので,御紹介させていただきます。   皆さん,資料を御覧いただきますと,まず,23ページには最終学歴や就業状況,年収,配偶者,子どもの有無等々では,交流があった群と交流なし群では有意差がないというようなことが書かれております。その次もそうなのですが,少し進めさせていただいて,2枚めくっていただき,26ページでございます。先ほど棚村委員にも少し御紹介いただいたのですけれども,4というところでございます。面会交流した子どもは成長後の適応がよかったかというところでございますが,2段落目に,全体的に交流あり群の方が成長後の適応が悪いことが明らかになったと書かれております。幾つかの指標で有意差があったと書かれております。喜び,安堵感,両親間の板挟み,自分が対立原因になっているかの心配,気分の落ち込み等が確認されております。こういったデータを見て,そのほかも幾つかあるのですけれども,少し時間が短いので,また読んでいただきたいのですけれども,この家族法制部会では子どもの福祉ということを重視していろいろな法制度を考えているわけですけれども,では,離婚後も両親と交流することが子どもの福祉にかなうのかどうかということのデータというのはあるのかないのかということは,いまだに分かっていない。このような2,000人の調査では,かえってマイナスに出ているということが示されているのだと思います。それはいろいろな要因があると思うので,もう少し詳細に見なければいけないとは思いますが,こういうデータが出てくるということを踏まえて審議が行われるべきではないかと思っております。   手短に報告させていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。先ほどの棚村委員の場合と同じで,また個別の問題について議論する際に,データを引かれる形で御議論を頂ければと思います。   それでは,先ほど申し上げましたように,未成年者を養子とする養子制度を中心とした論点の検討に入らせていただきますが,部会資料9−1の第1の部分については前回御意見を伺っているところですので,第2以降の部分について御意見を頂ければと思います。第2から第8までございますけれども,三つの部分に分けて御意見を頂きたいと思います。まず最初に第2と第3,それから,第4から第6,そして,最後に第7及び第8ということで御意見を頂戴したいと思います。   そこで,まず最初に,本日の部会資料は9−1という番号になりましたけれども,その第2及び第3,ページで申しますと4ページ以下と8ページ以下ということになりますが,この部分につきまして御意見等ございましたら,是非御発言を頂ければと思います。どなたからでも結構ですので,お願いを致します。 ○棚村委員 早稲田大学の棚村です。特に第2のところで,7ページの課題のところで,未成年養子についての,許可基準とかそういうようなことを明確にしていくとか,考慮事項みたいなものをきちんと挙げていく,どういうところを重視するのかというようなことについては基本的に賛成なのですけれども,未成年養子縁組についてCのところで,子どもの養育を前提とした制度と,それから養育を前提としないような2類型みたいなものの在り方について検討するということについて,意見を申し上げたいと思います。   私自身は,現実を考えると,かなり多様な養子縁組の目的の使われ方があるだろうということは想像しています。要するに未成年養子縁組についても,成年養子縁組と同じように実際にはかなり多様な目的で利用されているかもしれませんが,未成年養子についての多目的利用について,どこまで許容するべきかという問題があると思います。ここでは,現実を重視するという立場と理念や理想を重視する方向で行くという立場があり得ます。未成年普通養子縁組については,節税のための孫養子のように,今後,養育を前提としないような未成年養子縁組を肯定すべきかどうかについて若干の懸念がございます。未成年養子について,この2類型を設けてしまうと,ある部分では未成年養子縁組というものが監護養育を目的とせずに,多目的化しないか,曖昧なものにならないかというのが少し心配です。未成年普通養子は,どういう目的や理念で考えるべきか,子の監護養育みたいなものを中心として構築していくことの方が妥当ではないのかなということ感じを持っています。この点については,非養育型の養子縁組の2類型に分けながら少し考えると,そのときの親権とか扶養の義務とか,相続などのいろいろなことが問題になってくるのだと思いますけれども,非養育型の未成年養子の方向については少し今の時点では慎重にされた方がいいかなという感じを持っています。 ○大村部会長 ありがとうございました。7ページに,3の課題ということで,@からCまで挙がっておりますけれども,最後に出てきます非養育型の未成年養子縁組について,養育型と非養育型を明確に区分するということについては慎重な態度が必要ではないかという御意見を頂戴いたしました。 ○大山委員 経団連の大山でございます。今,棚村先生からお話があった点と共通することとして,未成年養子縁組については,これまでの議論同様,様々な個別のケースがあると思います。子の利益の確保という観点から,今回,議論を整理してみることについては,もちろん賛成ですが,議論や検討を進めていく中で,例えば,細かく類型化して規定を設ける形になってしまうと,その類型から漏れてしまうケースもありうることを踏まえれば,実態にそぐわないためにかえって制度を利用しにくくなってしまう可能性がある点については,しっかりと留意しなければいけないと感じております。   例えば,資料の7ページの7行目と,同じく7ページの下の3の課題のBにも論点として挙げていただいている「類型的に養親に養育意思がないことも少なくない孫養子縁組についてのみ家裁の許可を要することとしてはどうかという指摘もある」といった御指摘について,現状,孫養子縁組だからといって必ずしも子の養育意思がないわけでもないケースも多々あると思います。例えば,家名の存続を含めて,将来にわたってその子,また孫世代,更にその次の世代も含めた大きな意味での養育を想定しているケースも多々あると思いますので,縁組の動機や事情を細分化することについては,慎重に検討すべきではないかと考えております。そういった意味で,先ほど棚村先生からお話があったように,単純に2分類して規定するといったことには,やや違和感があります。 ○大村部会長 ありがとうございます。前の棚村委員の御発言も踏まえつつ,余り細かい類型化というのは適切ではないのではないかという方向の御意見を頂きました。 ○沖野委員 ありがとうございます。棚村委員,大山委員と共通する点なのですけれども,私もこの非養育型養子縁組という類型を立てるということについては,十分考えた方がいいのではないかと思っております。   一つは,@の方で,養子縁組自体がやはり子の利益のためということが本来であるということから考えると,養育をしないというタイプのものを正面から打ち出すということが,成年養子と全く同じように考えるということになりそうですけれども,果たしてそれでいいのかという理念的な問題があると思います。   2点目は,これはどういうことを目的とするかに基準を合わせた分類ですけれども,目的は非常に多様で,養育のつもりもあるし,しかしそれ以外のものもあるということになりますと,目的で類型を切り分けるというのは,説明としてはあり得るかもしれませんけれども,類型化の基準としては望ましくないと考えます。   もし類型化するならなのですけれども,少し先に行くかもしれませんが,12ページなどで,親権の所在についてのもう少し多様化というか,柔軟化というか,そういう考え方が出されております。私はこれはあり得ることではないかと考えておりまして,したがって,親権がどうなるか,かぎ括弧付きの親権ですけれども,親権者,あるいは親権を有する者という立場で養育に関わっていくのか,それは実親なり,そうでない者に任す形で養育に関わっていくのか,そういう観点から区別をするということはあり得るのではないかと,もしそうだとすると,親権取得型の未成年養子と親権非取得型,あるいは非移転型の未成年養子,ただ,未成年養子であるからには子の養育ということが当然あるけれども,養育の在り方,内容,程度は様々であるということに鑑みて,それを多様化するということの方がよろしいのではないかと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。選択肢を設けるとした場合に,別のところで選択肢を設けるという方向で考えた方がよろしいのではないかという御指摘を頂いたと理解を致しました。   菅原委員の後,武田委員,石綿幹事という順番でお願いをできればと思います。 ○菅原委員 ありがとうございます。それでは,白百合女子大学の菅原でございます。8ページに始まる第3のところの11ページ目の課題の@というところの年齢について,少し発言させていただきたいと思っております。課題の方では,民法第797条の必要聴取年齢の下限15歳という年齢を引き下げるかどうか,となっていますが,ここについて簡単に意見を述べさせていただきます。   離婚後の養育のところでの子どもの意見聴取の対象年齢についても同じなのですけれども,子どもの心理的な発達ということを考えますと,前回,棚村委員からもございましたが,もう少し引き下げて,13歳,中学1年生程度でもよいのではないかと考えます。大体心理的な発達の面から言いますと,12歳に達しますと子どもの認識能力というのは非常に大きく発達しまして,第三者の視点から自分を見詰めることができるようになります。親同士の関係性というのも,一旦自分の気持ちを横に置いて客観的に見ることが可能になります。また,物事を法律とか社会常識とか,世論とか慣習といった社会的視点から俯瞰的に見ることもできるようになるのも12歳以降と,いずれも理論がございまして,いわれておりまして,離婚や養子縁組についても,その仕組みとか意味について丁寧に説明してもらえれば,子どもも離婚後や,その養子縁組の結果新たに再構築される自分の将来の養育環境について,シミュレーションというか,想像しながら,自分の心情や意見を述べることが可能になってくると考えられます。恐らくこんなことで,フランスも13歳ということを考えて,民法の中に設定されているのだろうと思うのですけれども,ですので,少なくとも代諾縁組における必要的陳述聴取の下限というのは,全員が中学生となっている年齢である13歳程度が適当なのではないかと考えます。また,13歳未満であっても,現状でも家事事件手続法第65条から,家裁調査官の方々を中心に,年齢に合わせた心情意向調査を実施してくださっているのですけれども,これについては,更にマンパワーの拡大やスキルアップを目指していただいて,充実した調査にしていただくことを望みます。ただし,離婚後養育も養子縁組,ここでもそうなのですけれども,13歳以上であっても,未満であっても,聴取した子どもの意見については考慮要素の一つにとどめるべきであるのではないかと考えます。子どもが責任を負う可能性のある反映とか同意というのは少し厳しいと感じまして,最終的には大人が決定するという枠組みが望ましいと考えます。   以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございました。11ページの課題の@について御意見を頂きました。そこに797条の15歳という年齢を引き下げるとか,あるいは,15歳未満であっても一定の年齢からは,その者の意向を聴取しなければいけないということについてどうかという点が指摘されておりますけれども,引下げの方向で検討する必要があるのではないかという御意見を頂きました。ただ,15歳から下げたときに,それがどういう意味を持つのかということについても検討する必要があるという御指摘も頂いたところかと思います。ありがとうございます。 ○武田委員 親子ネット,武田でございます。本日も委員,幹事の皆様,ありがとうございます。まず,私の方から第2に関してということで,まず,この未成年養子の問題に関して,私どもが聞く当事者の代表的な声を御紹介させていただきまして,第2に関しての意見を述べさせていただければと存じます。まず,事例としては大まかに2種類あると思っています。一つ目が連れ子養子,二つ目、これは数が余り多くないのですけれども,孫養子,この2種類です。   まず,連れ子養子についてです。部会資料9−1にもありますとおり,民法798条ただし書,このケースでは,未成年養子縁組に関しては非親権者の同意は必要ないとあります。この規定により子どもと離れて暮らす私どもからすると,いつの間にか元配偶者が再婚して子どもが養子縁組されたということを後になって知るというケースが非常に多いと報告を受けております。前の配偶者の再婚そのものは別にしまして,子どもが養子縁組され,タイミングが同時なのか前後するのかは別ですけれども,名字が変わりましたと。皆さん,ここに大きなショックを受けているとおっしゃっています。養子縁組した事実は,当然知りませんので,これは後のテーマになるかと思いますが,養育費もそのまま払い続けているというケースも多いものと認識をしています。養子縁組後の子の養育費負担,いわゆる扶養義務という観点で,誰が一次的な責任を負うべきかということは,第6で意見が出されると思いますが,こういう話を私は当事者の皆さんから聞きまして,「何故養子縁組された事実を知ったことについて話をして,今後の子の養育や今後の養育費の分担について話をしようとしないのか」と問いかけますと,多くの方が,「養育費の見直しなんてこちらから持ち出したら,それこそ子どもに会えなくされる,怖くてできない」という意見でありますとか,養子縁組が成立したことを受けて,「今後は親権者変更も申立てもできなくなる」,継父になるのか分かりませんけれども,「子どもが虐待を受けても何もできない,親権者変更もできなくなる」,「せめて子どもとの交流だけでも継続したいので自分からは何も言わない」と,こういう声が多く届いています。   次に,孫養子に関してです。こちらの事例は少ないのですけれども,報告を受ける中で,やはり多いのは相続税目的でした。子どもたちと配偶者の親との養子縁組,その後,両親が別居することになり問題が顕在化したケース,このケースについて簡単に紹介をさせていただきます。このケースでは,別居後,子どもと暮らす実の親,これが監護者指定審判を家裁に申し立てたところ,親権者の配偶者の親から,逆に今度は人身保護請求を受けたということでした。当時の裁判官の判断は,「夫の監護権は子らへの引渡しを求めた時点で委任解除されている」,したがって,現在の,これはお父さんだったのですけれども,監護は権限なしで行われていると判断されて,結果として面会交流を条件に子どもを引き渡すことで和解が成立したという,このような事案でございます。しかしながら,この和解した面会交流もほごにされて,今,実の親子が断絶状態になっていると聞いております。   このような当事者からの声を踏まえて,第2に関しての意見を申し述べたいと思います。部会資料7ページ,@,この未成年の利益となる場合に限り養子となることができる規律を設けること,A,縁組の判断に当たっての規律を設けること,これはよい方向性かと思います。あと,少し追加で申し上げるとすると,これは第3のテーマになると思いますが,7ページ記載の規律に加えて子どもの意見表明を加えること,こういったことも必要なのではなかろうかと思います。Bですが,連れ子養子縁組,孫養子縁組,基本的には家裁関与にすべきであろうと考えております。   資料8の5ページに,連れ子養子縁組が子の福祉に弊害を及ぼす危険が少ないという記載もありますけれども,本当にそうなのだろうかと,継父による虐待事件,非常に多く報道がなされています。児童虐待防止の観点からも家裁関与を検討すべきではなかろうかと,このように考えます。   また,併せて申し述べますと,家裁関与の理由として,この会議が始まって冒頭に配布されました児童の権利条約21条,この遵守という観点,併せて,この21条に関して2019年3月,国連の子どもの権利委員会からの勧告パラグラフ30(a),全ての養子縁組が裁判所の許可の対象とされ,児童の最大の利益に従って行われることを確保することということに基づくことを申し添えたいと思います。   取り急ぎ,第2に関して意見を述べさせていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。いわゆる連れ子養子,あるいは孫養子に伴う弊害について,御相談等の御経験に基づく御発言を頂いた上で,7ページの@からBまでにつきまして,@,Aについては基本的な方向に賛成だけれども,子の意見についての配慮が必要ではないか,それから,Bについては家裁関与の方向で考えるべきではないかという御意見を頂戴したかと思います。ありがとうございます。 ○石綿幹事 石綿でございます。第3について2点,発言させていただければと思います。   1点目は,菅原委員からも御発言がありましたが,15歳未満の子どもについても子の意見を聴取するような形ができればと思います。既に離婚後の子どもの養育の在り方について子どもの意思を考慮するといったようなことが議論されているかと思いますので,そこの議論も参考にしつつ,未成年養子縁組というのは子どもの法的親子関係の変更が生じる大きな問題かと思いますので,15歳未満の子についても,子どもの意見を聴いていければよいのではないかと思います。   2点目が,Aについてですが,未成年養子縁組については全ての父母が養子縁組に関与しなければいけないということについて,基本的には何らかの関与の在り方を検討していくべきではないかと思います。先ほど武田委員からも御発言があったかと思いますが,特に離婚後に連れ子養子が行われるような場合に,親権者ではない別居親の関与がないまま未成年養子縁組が行われるということが適切なのかという問題があるかと思います。ただ,ここの関与というところで何を求めていくのかというところは慎重に議論をする必要があろうかと思います。父母双方の同意まで必ず求めていくのか,あるいは,養子縁組が行われるということを親権者でない親に通知するので足りるのかといったような形で,関与と一言に言っても様々な形があるかと思いますので,その関与の形は議論できればよいのではないかと思います。   関与の内容を考える際に,10ページの(注3)のところで最高裁の決定を引用するような形で,現状,連れ子養子縁組が行われると非親権者が親権変更を行うことが難しくなるという状況が指摘されているかと思います。資料上はその状況自体を変更して,親権者変更の申立てを可能にするということも考えられるというような記載もありますが,未成年養子縁組が行われた後,親権を有していない実親が何ができるのかといったようなこととも関連させる形で,関与の具体的な在り方というのが議論できればと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。11ページの課題の@,Aについて御意見を頂戴しました。@につきましては,先ほど菅原委員からも御発言があった方向,聴取の方向で検討してはどうか,Aについては,関与を考えるというのが望ましいと思うけれども,その中身については10ページの(注3)で出てきている非親権親の権限の問題と併せて検討する必要があるのではないか,こういう御指摘を頂きました。   ○原田委員 部会資料9−1のところで,これまでの議論の中では,親権という親の権利的な要素が強い概念をやめて,親責任とか親の義務とか,子どもの権利の観点からというような議論をしてきたのに,ここで一気に親権に戻ってしまったので,少し戸惑っております。そういうところが少しあります。   それで,7ページの第2の課題のところですけれども,@,A,Cと,Bは少し性質が違うと思うのですけれども,Bについては,私は連れ子養子の場合は家裁の許可の有無を問わずに親権者が代諾でいいと思っています。というのは,仮に家裁がこれを駄目だと言った場合にどうなるのかという問題なのです。実態としては,監護者である親が子どもと一緒に新しいパートナーと生活を始めて,実親とパートナーと一緒に暮らしていることを止められないと思うのです。その中で養子縁組を認めなければ,養育されない,あるいは,かえって未成年者の養育環境が悪化するのではないかと懸念しまして,これについては,やはり代諾でいいと思っております。   あと@,A,Bのことですけれども,非養育型を認めるか,認めないかというのは,家族の在り方についてどう考えるかということに関わるものではないかと思います。目的によって分類するのが難しいという御意見もあって,確かにそうだなとも思うのですけれども,現在の戸籍の在り方,夫婦と子という世帯というか一組の親子単位の在り方さえ批判がある,武田委員が出されましたステップファミリーの論文の中にもそういうことがありましたけれども,さらに氏の相続とか家名の相続とか節税,あるいは家の財産の存続ということを目的とするものを奨励するような考え方につながるのではないかと思いまして,ただ,実態ではそういうものも多いということもありますので,反対というのはなかなか言いにくいのですけれども,消極的に考えております。Cのような場合は別の方策,税金の問題とか,例えば氏の在り方を比較的もう少し緩やかにするとかいうような,別の方策を考えるべきではないかと考えています。   次に,第3ですけれども,まず,第3の1は賛成です。第3の2の@のところですけれども,子の年齢の引下げについては私も賛成です。アンケートの中では,小学生になる前から教えてほしかったというような意見もあるのですけれども,ただ,意向聴取と同意は異なると思いますので,前の御発言にもありましたように,それに拘束されるものではないという制度が必要だと思いますが,先ほどの連れ子養子の場合は家裁の許可は要らないと申し上げましたので,どこでこのような子どもの意思を確認するかという問題は問題になると思います。緩やかに考えれば,現在の離婚届に,面会交流を決めましたかとか,養育費を決めましたかとかいうようなことを記載するようになっていますが,そのような形で注意を促すということもあるでしょうし,あるいは,届出のときに行政の単位でそのような子どもの意見を聴くようなシステムというのを新たに作るというようなことも考えられるのではないかと。今まで年齢の引下げと子どもの聴取について御意見を頂いた方で,連れ子養子の場合どうするかという御意見はなかったので,そこはどう考えられるのかなというのも少し思いましたけれども,私は以上のように考えます。   それから,Aについては,これは明確に反対です。ここでは,問題になるのは,全ての父母といっても,監護権や親権がない親の意向ということになると思うのです。そうすると,そのような人が適正な意見が言えるのかと,それがスタンダードなのかというふうに考えます,そうではないのではないかと。さらに,面会交流がうまくいっているケースは離婚する前から親子間あるいは夫婦間の関係が比較的よかった人たちが面会交流もできているし,養育費も払われているというようなことが出ておりましたけれども,そうであれば,養子縁組についても,実親が再婚するということについても,全く知らないうちにされていたということはないのではないかというと,やはり実親同士の関係が比較的よくないところで起こる問題ではないかと思いまして,そこで全ての親を関与させるというのは,やはりまた紛争が激化するということがあるのではないかと思います。   先ほど,継父からの虐待が多いという話がありましたけれども,確かにここ数年,継父からのひどい虐待で悲惨な結果になったものが報道されておりますけれども,全体の統計から見ると,実父や実母からの虐待というのも結構な数が上がっておりまして,継父だけが問題にされているわけではないのではないかと思いますし,虐待などの問題を防ぐという効果を考えると,これは児童相談所の権限強化とか体制の充実などで対応を図るべき問題であって,実際上始まっている実親とそのパートナーとの生活が順調に行かなくなるおそれという方が,私は懸念が大きいのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。7ページの課題と11ページの課題について,御意見を頂きました。7ページのBと11ページの2は関連しているところがございますけれども,これについては実態に即した考え方から,反対であるという御意見を頂きました。7ページのCについては,様々な養子縁組に対する要望があるのは分かるけれども,それらについては他の制度で対応するということも考えられるので,非養育型の養子縁組を取り出すということについては慎重であるべきだという御意見であると伺いました。最後,11ページの@については,連れ子養子について子どもの意見を聴取するとしたら,先ほどのような家裁不関与ということだとすると,どこでその機会を確保するのかという問題があるだろう,こういう御指摘を頂いたと思います。ありがとうございました。 ○池田委員 弁護士の池田でございます。第2,第3について意見を申し述べたいと思います。今,原田委員から御意見があったところと反するというか,反対の意見を申し上げることもありますけれども,1巡目ですので,弁護士の中でもいろいろ考えがあるということで,申し上げたいと思います。   まず,7ページのBのところですが,このBについては,連れ子養子と孫養子も見直す可能性ということを指摘されておりますけれども,上の本文のところでは,どちらかというと連れ子養子については類型的に子の養育が確保されているということで,許可がなくてもいいのではないかということで,主として孫養子のことを検討対象とするかのようにも読めました。しかし,私としては連れ子養子についても許可をした方がいいのではないかと考えています。といいますのも,やはり離婚後の親権者となった親が,離婚,再婚を繰り返す中で,養子縁組の代諾,代諾離縁ということも繰り返すというケースもあって,子どもの身分関係が非常に不安定になるというケースもございます。それに対して何らかの対処が必要だということはいえると思うのですが,その一つとして家裁の許可ということを入れていくということは検討してもいいのではないかと考えています。   それから,Cの非養育型養子縁組というものを認めていくのかということですけれども,これについては私も慎重な考えを持っています。例として挙げられております節税や家名存続の縁組というのは,そもそもが子どもの利益を目的としたものではありません。縁組をした結果,子どもの利益になるということはあると思うのですけれども,そもそも子どもの利益を目的としたものではないものを,未成年養子に含めて考えていくというと,制度趣旨がやや曖昧になってくるのではないかという懸念を持っています。   次に,第3についてですが,11ページの@の代諾のところなのですが,親権者が濫用的な縁組というのをするということを防ぐ目的で代諾の範囲を縮小していくという方向性については,私も賛成でございます。ただ,では代諾の年齢を15歳から引き下げたことによってそういうことが防げるかというと,代諾ができない年齢であっても,子どもが親権者の影響を強く受けることも考えられ,結局は何も変わらないということになってしまうといけないので,第三者が後見的な形で関与するという方策も併せてやはり考えるべきではないかと思っています。その一つとして,家裁の許可を全件についてということもあり得るかと思っています。そういう第三者の関与というのがあって初めて,子どもの意向聴取ということも実効性を持つのではないかと思います。   それから,Aのところですが,先ほど石綿幹事がおっしゃったように,関与というところの考え方はいろいろなバリエーションがあるかと思います。ここで,やはり連れ子養子の場合を考えて,非親権者となった実親の同意まで必要だとなると,その前段階の夫婦間の争いなどの影響もあって,本当に子どもの幸福になり得る養子縁組に対しても拒否権を持つような形になってしまうと,それはよくないと思います。そこで,関与というのが同意まで必要ということにするのがいいのかどうかは,やはり慎重に考えるべきかなと思います。例えば,家裁の許可の対象としつつ,その中で実親の意見も聴いていくということ,そういう方向性もあり得るのかなと思っています。 ○大村部会長 ありがとうございます。先ほどから問題になっています7ページのB,Cと11ページの@,Aについて,それぞれ御意見を頂戴いたしました。連れ子養子については,許可が望ましいのではないか,それから,7ページのCの非養育型については,やはり慎重論を支持されるということだったかと思います。11ページの@については,代諾の範囲を狭めるというのには賛成だけれども,それだけでよいのかということで,何らかの第三者の関与というのがやはり必要なのではないかということで,家裁の許可というのがそれと結び付くといった御指摘,最後に,非親権親の関与が言わば拒否権の行使にならないような方法を考える必要がある,このような御指摘を頂きました。 ○佐野幹事 第2の7ページのところから意見を申し上げさせていただきます。Aのところですけれども,先ほど武田委員からおっしゃったように,私も子の意向というのがこの要素の中に入ってくるべきかと思っております。それから,Bの家裁の許可というところですけれども,私も全件,連れ子の場合も孫養子の場合も許可があるべきとの意見です。研究会のときには,連れ子養子の場合は数が多いということもあり,これは除くべきではないかという議論,また,連れ子養子の場合に不許可とできる場合があるのかという議論があり,そのときはそれもそうだなと思ったのですけれども,いま改めて考えると,それでもやはり子どもの意向が家裁で聴取される機会にはなるというところもあると思っています。そういう意味では,やはり連れ子養子の場合も,子の意見を聴いて判断する場所として,家裁の許可というのはあり得ると思っております。   また,孫養子ですけれども,孫養子も家裁の許可があるべきというのは分かるのですが,他方で第三者に対する監護者指定が今,最高裁の判断で,できなくなってしまっており,孫養子がその受皿となっているというケースもございます。そういう事案については,第三者に対する監護者指定ができないという今の法制度を前提とすると,ますます救済の道を狭めることにつながるのであれば,ちゅうちょを覚えるところです。ステップファミリーのケースもそうですけれども,やはり複数の養育者が関与する中で,それを調整するシステムというのが必要なのではないかと思っております。   あと,C番の非養育型ですけれども,これは私も慎重にすべきという意見です。普通養子縁組は双方向的な関係,権利義務両方,つまり義務の面も生じますので,それを代諾で代諾権者が判断してしまう,あるいは未成年の間に判断させるというのがどうなのかと思っております。特に,家とか墓の承継というものを,子どものうち,あるいは代諾でほかの人が判断してしまう,親権者が判断してしまうというのがどうなのかという点を根本的に疑問に思います。   それから,11ページの方ですけれども,簡単に申し上げます。15歳という年齢を引き下げるべきというのは,そこは賛成です。それから,Aについては少し私も迷っております。というのは,実親の意見を聴かなければいけないとすると,そこで調整が入る契機にはなるのかと思っています。つまり,それを契機に子どもの意向が聴取されるということもありますし,養育費が養子縁組の段階で実親が全く知らなくて払われている場合,後々で返還請求の話などが出てくるわけですが,それを調整するとか,あるいは,後の扶養の話にも関わってくるのですけれども,実親が扶養の義務を,ある程度負担すべきというような場合,そこで実親養親間の養育費額を調整する機会にもなるのかなという意味です。場合によっては実親の方に,必ずしも同意ということでなくても,意向聴取でも,話が伝わるというシステムはあり得るのかなと思っているところです。 ○大村部会長 ありがとうございます。前の池田委員と共通のところもございましたけれども,連れ子養子について,孫養子の現在の利用状況を考えると,それを阻害しないような対応も必要なのではないかということと,それから,11ページのAのところで,全ての父母の養子縁組への関与という点について,迷っているという御発言がありましたけれども,こうした場を設けることによって調整がなされるということがあるのではないか,これは,先ほどの連れ子養子,孫養子についてもそのようなことがあるのかもしれませんけれども,そうした点について追加的な御指摘を頂いたと受け止めさせていただきました。 ○赤石委員 ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。養子縁組について私は余り知見がございませんので,シンプルにお伝えしたいと思います。まず,連れ子養子の家裁の許可というのは,どのような手続になるのか想像が付かないので,もう少し詳細がないと,少し分かりかねるという感じです。   11ページの@の,子の年齢を引き下げて意見を聴取するというのは賛成です。やはり15歳というのは少し大きすぎるのではないかと思います。虐待とかいろいろな話があるのですけれども,私がひとり親の方たちを支援してきて思うのは,やはり社会の中で一人,もちろん養育費などを頂くことは望ましいわけですけれども,今,4人に1人しかもらっていないわけですけれども,面会交流の率なども低いわけですけれども,ある程度,一人で子どもを責任を持って育てていくに十分な社会的な基盤がないところでやっている。もちろん武田委員のように関わり続けようと意思をお持ちのお父さんもいますけれども,そうでない方もたくさんいらっしゃるということは認識された方がいいと思います。そういうときに,やはりこの社会の中で非常に不安であるということで,いろいろな頼り方があるわけですけれども,私は御自分がもう少し自信を付けて働けるような御支援をしているわけですけれども,やはり男性に頼った方が早いよねと思われる方もこの世の中にはいらっしゃるわけです。だから,社会的な基盤がないところでやはりいろいろなことが起こってしまっているというのが実情だと思っているので,養子縁組の話というのは,もう少し広い社会の中の見方というのがないと解決しないなというような印象を持っています。   そういう中で,11ページの課題のAですね,全ての父母が養子縁組に関与すると,その関与の仕方は多様であると思うのですけれども,これを書かれた事務方としては,関与の仕方のパターン,内容はどう思って書いているのか,全く一人で子どもを育てているシングルマザーの方,シングルファーザーの方に聴いて,子どもの父親はどこにいるか,連絡が取れるか,そんなことを知っている方の方が少ないです。少ない実情で,一体,捜し当てられるのか,養育費すら,どこに住んでいるか分からないから履行勧告が届くかも分からないですとか,そもそもそんな気持ちにならないですとか,追えないからもう泣き寝入りしているような方たちが多いときに,現実的に一体どうするのという感じなのですね,ここに書かれているけれども。よく分からなくて,もう少し御説明がないと意見も言えないという感じなので,戸籍と住民票で追っていって追えると仮定しておられるのか,追えない場合はもうしようがないねと諦めるのか,全然分からなくて,何ともいえなくて,とても非現実的な議論に思えてしまいました。そのときに養子縁組できないとかいうことになってしまうのであるのか,それが子の利益になるのかどうかとか,私が見ている社会の有様では少し考えられないなという感じがしています。   もちろん,非常にお子さんに関心を持っているお父さんが養子縁組について知らされていなくてつらい思いをされているですとか,そこで何か関係が断ち切られてしまうですとか,そういったことはよろしくないとは思うわけですけれども,では法改正すればみんなの利益になるという保証はどこにもないと思います。あと,私どもももちろん,再婚する前には必ずこのチェックリストを見てねというチェックリストを発表しているのですけれども,そこには,本当に信頼が置けるかとか,お子さんのことを自分の都合よりもきちんと優先できるような人でしょうかとか,いろいろ書いていて,お子さんの意向を何しろ聴きましょうと,そういうムーブメントというのをやっております。   お子さんの意向を聴くということは,きちんと社会的な認識がもっと広まるべきであると私は思っています。やはり一番意見の言いにくい,社会的に弱い立場の者が養子縁組ですとか再婚のときに生活を左右されてしまうということの認識を大人が持つべきであるということをお伝えしているつもりなのです。なので,そういう認識の醸成というのはもちろん必要であると思うのですけれども,ここで書かれていることというのが非常に,法律を優先して変えていけば,何か子どもがハッピーになるというようなことなのかなというのは,よく理解ができないというのが私の今の現状でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。7ページについて,連れ子養子については,差し当たり意見を保留されるとおっしゃっていたかと思います。11ページの@,Aについて,主として御意見を頂きました。@については,年齢引下げ等について,基本的な方向には賛成だけれども,法律を作るだけで子どもの意向を十分に反映できるかということについては考える必要があるだろうという御意見を頂いたと理解を致しました。それから,Aの父母の関与については,関与の内容がどういうことであるかによって議論の仕方が違ってくるという御指摘がございましたけれども,これは先ほど来出ているように,どのような関与を考えていくのか,あるいは,例えば同意が必要だというときに,同意ができないというときにはどうするのか,現行法の下でもそうした対応がなされている場合がありますけれども,そんなことを考える必要があるのだろうと思いますが,そうしたことを踏まえるとしても,全体として父母の関与というのは現実性が乏しいのではないかという御感触を示されたと受け止めました。   赤石委員まで御意見を頂きましたので,この後は,落合委員,戒能委員,柿本委員,沖野委員という順番で伺いたいと思います。ただ,大分時間がたちましたので,落合委員は先ほどからお待ちいただいているので,落合委員の御発言を頂いたところで一旦休憩して,休憩後に戒能委員,柿本委員,沖野委員の御意見を頂くということにさせていただこうと思います。 ○落合委員 どうもありがとうございます。7ページの辺りに関しては,これに厳密に関係したことではないのですけれども,私はやはりどうもぴんと来ていないところがありまして,御質問を含めたことなのですが,私はやはり日本の法律がガラパゴスにならないということを大事だと思って,この議論に参加させていただいています。そうすると,この連れ子を養子にするというのは結構特殊な状況かもしれなくて,では,連れ子を養子にしなかった場合,再婚相手はその連れ子に対してどのような養育責任があるのかというようなことはどうなのでしょうか。その辺りを少し教えていただいて,もしそれでよいのであれば,それほど養子にする必要はないかもしれないですよね。   それから,もう少し理論的なことですけれども,養子になりますと,継父との間で共同親権になるのでしょうね,結婚している夫婦ですから。共同親権になるのだろうと。その場合,今は単独親権ですけれども,もしも離婚後の元の夫婦が共同親権を持つというようなことになった場合には,3人で共同親権を持つことになるのですかね。この辺りは,世界では結構,離婚が頻繁で,くっついたり離れたりしていますので,ある常識ができているのだと思うのですけれども,その辺りを少し教えていただきたいと思います。   それから,養育目的ではない養子のことが話に出ておりますけれども,これが余りよくないことだというのがベースで話が展開していると思うのですけれども,でも,なぜこれをするのかというのを考えてみるのも大事だと思うのです。福祉が不十分で,家族主義的な福祉に日本ではなっていると。だから,家族でやってくださいねと言われていると。それを満たすために養子が必要なのではないでしょうか。私は江戸時代の研究をしていますけれども,その時代には,老後に養子と同居している人が20%ぐらいいます。つまり,養子がいないとこの人たちは老後のケアを誰にもしてもらえなかったのですね,経済的なサポートも。当然,財産を譲ることとセットになって,この養子は来ているわけですよね。ですから,家族主義でやるならそれなりの家族制度を作っておく必要があって,この養子というのはそれの名残であると思うのです。今,養育目的以外の養子はやらなくていいのだ,むしろずるいものなのだというふうな認識で議論をするのであれば,その前提として,十分な社会福祉があるから家族に大きな負担は掛けませんというのが前提だと思うのです。だから,その辺を前提にして話さないと,養育目的以外で養子を使っている人が何かずるいことをしているみたいな,そういうふうにして話が展開すると思うのですけれども,では国家はずるいことをしていないのかということも一緒にセットで考えたいと思います。   それから,11ページの方については,これは具体的に意見があります。15歳という年齢を引き下げることには賛成です。先ほど,13歳とか12歳ぐらいからそういう認識ができるというふうなお話がありましたけれども,その辺りまで下げるというのは賛成です。自分が誰の子どもかというようなことは,親がパターナリスティックに子どものために決めていいことではないと思うのです。だから,そこについてはそう考えます。   それから,実親に通知する必要があるかというようなことは,当然通知するべきだと思います。捜し当てられないことが多いという赤石さんの御意見があって,その場合は,例えば,何か月捜して連絡が取れないのであればそれは諦めるとか,何かそういうふうな規定をしておけばよいのであって,でも,やはり知らされるべきではあると思うのです。   あと,全体としては,この辺りの議論はやはり家制度の名残があるのだと思いました。再婚相手が連れてきた子どもを自分の名字にしなければいけないとか。自分の家の成員にしないといけないということでしょうかね。新しく作った核家族がまたみんな同じ名字でないとおかしいからこの制度があるのでしょうか。そういう意味では,夫婦同姓の話と同じところにこだわっている制度のような気がしています。 ○大村部会長 ありがとうございます。順番が逆になりますけれども,11ページの課題の部分について,@については賛成,Aについては当然通知をすべきだというお話がありましたが,Aは通知ということでよいのかどうかということも含めて,皆さんから御意見を頂いているところかと思います。7ページの方ですけれども,3点,御質問も含めて,御意見を頂きました。そのうちの3番目,非養育型という問題についてですが,ここで議論されているのは未成年者の非養育型養子縁組ということで,成年になった後の非養育型の養子縁組は現在も行われているわけですが,それについて何か変更を加えようということは提案されていないのだろうと思います。成年であれば現行法の下ではそれができるのだけれども,未成年のときから同じような養子縁組ができるということを明示する必要があるだろうかというのが皆さんの御意見だと理解をしております。それから,連れ子について御質問が二つございました。連れ子を養子にしないという場合にどうなるのかということと,養子にした場合に離婚後の扱いはどうなるのかということだったかと思いますが,これは資料の中でまた後で出てくるところもあるのですけれども,そうした点も含めて,何かこの段階で事務当局の方からお答えがあれば伺いたいと思いますが,いかがですか。 ○北村幹事 まず,養子縁組をしない連れ子,つまり子どもを監護されている方が別の方と婚姻されたが,養子縁組をしないという例も当然ございまして,そういう場合には,婚姻された方との関係ではそのお子さんとの間には法的な親子関係そのものは生じず,養子縁組をすることによって法的な親子関係が生ずるということになります。あと,外国の法制についても御質問いただいたところではありますけれども,すみません,直ちに手持ちのものがございませんので,そこはまた事務局の方で引き取らせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。 ○落合委員 養子縁組をしないと親子関係ができないということは分かるのですけれども,養子縁組をしなくても再婚相手の連れ子への養育の義務みたいなものが生じるかどうかということを知りたいと思ったのです。それが国際的にもどうかと。 ○大村部会長 その点については,今お答えがありましたけれども,現行法の下で親子関係が発生するわけではないということが前提で,13ページの課題のEですかね,連れ子養子縁組をしない場合における親権者の配偶者による子の養育に関する規律を設けてはどうかという御提案がありますので,ここで御議論を頂くということなのではないかと理解をしております。落合委員,それでよろしいですか。ここのところはまた後で御意見をいただければと思います。 ○落合委員 はい,分かりました。 ○大村部会長 それから,離婚についても別のところで議論するということが予定されているはずですので,そこでまた皆さんから御意見を頂きたいと思っております。そういうことで,先に送らせていただいてよろしいでしょうか。 ○落合委員 養親の離婚ということではなくて,前の実親と3人で共同親権になるのかという質問です。もしも離婚後の共同親権も認めるようになれば,それが再婚して養子縁組したときは3人で共同親権とかというふうになっていくのですかという質問です。 ○大村部会長 いまの点については,事務当局から少し現行法の説明をお願いします。 ○北村幹事 その点ですけれども,まだこの部会においては離婚後の子の養育の在り方について様々議論いただいておりまして,以前の部会でも御議論いただきましたけれども,関与の在り方の程度というものも様々あり得るところだと思っておりますので,その議論の推移によって変わってくるのかなと思います。そして,先ほどお答えした,諸外国ではどうなっているのかという御質問については,申し訳ありません,今手持ちがないので,少し確認をさせていただければと思います。 ○落合委員 よろしくお願いいたします。あと,先ほど通知という言葉を使いましたけれども,事後的な通知ではなくて,事前の通知というか,それで反対しなければ認めたとする,ぐらいのことでも,事前に知らせるべきだという意味で申しました。 ○大村部会長 ありがとうございました。どのような関与の仕方があるのかということで,御意見を頂いたと受け止めさせていただきます。   それで,離婚後の親権がどうなるのかということについて,まだこの部会では議論している最中ですけれども,現行法の下で,離婚した父母の一方で親権を持つ人と結婚し,子どもとその親権者の配偶者との間で養子縁組がなされたという場合には,養親と養親の配偶者である実親が親権を共同行使するというのが現在の理解だろうと思います。それは現行法の理解ですけれども,それと違う在り方というのもあり得るので,それもこの先の検討の課題になるのかと思って,伺っておりました。   ということで,落合委員まで御意見を頂いたということで,戒能委員から後の方々の御意見については,休憩の後に伺うことにさせていただくことにします。15時25分に再開したいと思います。   一時休憩いたします。           (休     憩) ○大村部会長 それでは,時間になりましたので,再開をさせていただきたいと思います。   休憩の前に落合委員まで御意見を伺いましたが,戒能委員,柿本委員,沖野委員,そして今津幹事からも手が挙がっているということでしたので,4人の方に順次御発言を頂きたいと思います。 ○戒能委員 ありがとうございます。戒能です。私は,皆さんの様々な御意見を伺って,そのとおりだなと共感することも多いのですが,7ページの課題のBと11ページの課題のA,その2点だけ申し上げたいと思います。全体として感じるのは,委員の方々の御発言がありましたように,家族頼みという日本の対応の在り方が色濃く出ていると思います。言うまでもなく,社会福祉の貧困というのでしょうか,不十分な状況,言い換えれば家族頼みということ,家族の負担が重すぎるのではないか,しかも,その家族がモデル的な家族,両親家族というのでしょうか,多様な家族へということが言われますけれども,そういう変化が本当に日本では認められているのだろうか,それに基づいて社会制度が,法制度も含めて,作られていないのではないかと痛感しております。   それで,7ページのBなのですが,連れ子養子縁組の場合に家裁の許可が必要かどうかという点では,現段階では不要であると考えております。むしろ,これが議論に出てきたのは,2018年,19年の虐待死事件,特に2018年の事件が契機かと思いますが,果たして家族間だけで解決できる問題なのか,家裁が関与することで,関与といってもどこまでということはあるかもしれませんけれども,解決できる問題なのか,それはやはり虐待対応として児相がきちんと対応すべきだと考えております。再婚相手だけではなく,先ほど御紹介がありましたように,実父とか実母,虐待死事件では若い実母が一番多いわけなのですけれども,それだけではなくて同棲相手という存在も非常に大きいわけです。ですから,家族法を越えたところでもそういう虐待死事件,虐待の問題が起きているということです。それで児相も,非常に件数が多いので今の体制ではとても対応できないような事情もあるかもしれませんけれども,子ども庁の構想も出てきております。子ども庁の重要なポイントは虐待防止ということで,今までの法改正でも少しずつ充実化し,人員体制など強化されてきているところですけれども,更に強化していくという方向で,社会的な対応を中心に考えるべきではないかと考えております。   それから,11ページの,全ての父母が関与しなければならないという点ですが,その関与というのは,その下の(注1)を見ますと,それだけに限定しているわけではないかもしれませんが,やはり同意することが想定されていると考えます。しかしながら,これは先ほどの委員の御発言にもあったように,同意するとか双方で決めるというときに,そのことがどういうことを意味するのか,それはイエスかノーかということになりますから,拒否権の問題がどうしても出てきます。そういうことを何か防ぐ方法を考えるべきだという御意見があったのですけれども,子どもの利益とか子の福祉というのが,言うまでもなく最大限尊重されるべきです。そのときに子どものことがよく分かっているか,状況を把握しているかということが問われなければいけない。そういうことを本当に把握していない別れた親がもし同意を求められるとしたら,本当に同意を求めることが適切なのかどうか,子の利益の観点から適切なのかどうかということですよね,それを慎重に考えるべきだと思っております。   それで,家族の在り方ということでいえば,赤石委員の御発言は大変重要で,シングルマザーあるいはシングルファーザー,あるいはLGBTの家族などあると思いますけれども,そういう生き方が両親家族という枠から外れているというような捉え方になっては,日本の社会の現状をも反映しないのだと思っております。ですから,そういうことをきちんと見た上で,この家族法改正の議論をすべきだということを痛感いたします。   以上でございます。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。先ほどから関連付けられた形で御発言が出ている7ページのBの問題と,11ページのAの問題について御意見を頂きました。家裁の許可を求める,あるいは父母の縁組への関与を求めるというのでない方向で問題を解決していくことを考える必要があるのではないか。虐待などによって子どもの利益が損なわれるというのは,児童相談所などで対応していくということを中心に考えるべきではないかといった御発言を頂きました。ありがとうございます。 ○柿本委員 柿本でございます。私からは,11ページの@に関してでございます。種々御意見があったかと思いますが,私も年齢の引下げには賛成でございます。具体的な年齢に関しましては専門家の調査・研究などを精査することにより判断することが必要だと考えます。子どもの意見聴取というのは非常に大事だと考えますが,子どもに判断をさせるのではなくて,判断要素として子どもの意見聴取をするというところで考えております。   そして,Aの全ての父母が養子縁組に関与というところでございますが,これは私は関与という言葉が今,戒能先生は同意なのか許可なのかとおっしゃっておりましたし,知ることと通知すべきという意見も出ていたかと思いますが,私は知ること,関与の具体的な方法が不明ですし,同意とか許可とかということになりますと,紛争の激増という意見もありましたので,とても難しい判断が迫られると思います。通知という方向でよいのではないかと考えます。 ○大村部会長 ありがとうございます。11ページの@,Aについて御意見を頂戴いたしました。@については,意見は判断要素として聴くべきだという御意見,それから,Aは,先ほどから御議論がありますけれども,通知という方向で考えていく必要があるのではないかという御意見として承りました。 ○沖野委員 ありがとうございます。沖野でございます。一度で発言をせずに申し訳ございません。7ページのBの連れ子養子の点,それから,11ページの課題のAの点について,追加で申し上げたいと思います。   まず,連れ子養子の問題につきましては,戒能委員や赤石委員からもでしょうか,御指摘があったかと思いますけれども,その問題とされるものが一体何であるのかというのを特定し,明確にしていくことが大事だと思います。そして,専ら社会的な関心として虐待の問題,あるいはさらに,そこからかぎ括弧付きの親権を盾に虐待対応が難しくなるということもあるのかもしれませんけれども,虐待の問題であるということだとしますと,それはこの養子縁組の入口のところで家裁の判断に掛けることで十分対応できるかというと,それは非常に期待がしにくいのではないかと思いますし,家裁の責任というものも非常に重くなってくるように思われて,制度としても少しいびつな形になりかねないことを懸念します。虐待対応としては,むしろ虐待対応の問題として検討すべきことだろうと思います。そうしたときに,連れ子養子の問題点,あるいはそこに期待される制度としてどういうものがあるかというのを別途考えていく必要があると思うのですけれども,私自身は,法的な親子関係を形成するというのは非常にやはり重みのある決断ですので,それを十分に理解した上で決断をするということが大事で,そういう観点から裁判所,家裁の許可というものに係らしめるということは非常に意味のあることだと思っております。   そのような観点からしますと,運用としては基本的にそういう自覚が大丈夫かと,あるいはそのための機会を与えるという観点からの運用になって,これはおかしいと見られる場合ですとか,子どもの強い意思とか,そういうことがあるかもしれませんが,そのときはむしろ許可しない形というような形で運用すれば,制度全体への負荷もそれなりに適切な形になっていくのではないかと思います。もっとも人的な体制ということもありますし,それが追い付かないとすると,本来力点を置くべきところがかえって力点を置けなくなって,その危険があるということであるならば,そのような理解等の確保ということを別途の方策で考えるということも考えられていいのではないかと思います。これも先ほど御指摘があったかもしれませんが,きちんと理解していますかという情報提供とか説明とか,理解の確認というようなもののプロセスがあってもいいのではないかと考えたところです。   それから,11ページのAにつきましては,全ての父母の関与という点なのですけれども,ここは正当な関心を有している親が排除されるというのは,やはりいかがなものかと考えられまして,何が正当な関心を有する親であるのかということについて,所在不明であるとか,全くレスポンスをしない無関心の者であるとか,そういった者を除外していくという手法は幾らでもほかのところでもあるので,それは考えられることではないかと思います。もっとも,御指摘がありますように,必ずしもそこにキャスティングボートを与えるということではないので,知らせる,あるいは場合によっては聴かれる,意見を表明できる機会があるとか,そういうことになりますと家裁のという話になってくるのですけれども,そのような観点から,基本的にはAの考え方を方向性とすべきではないかと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。沖野委員からも,7ページのBと11ページのAについて御意見を頂きました。7ページの方については,連れ子養子で問題になる事柄が何なのか,虐待が問題であるならばそれは虐待対応を別途考えるべきだけれども,そうではなく,親子関係の形成というものの重要性に鑑みて関与が必要だということならば,それはそういう方向で考える必要があるのではないか,ただ,制度への負荷という問題もあるので,家裁の関与だけが唯一の解決でないかもしれないという御発言を頂いたと理解しました。それから,11ページの方については,正当な関心を有する親の関与は考えられてよいけれども,拒否権まで認めるのかというと,そこはどのような関与をするのかということを考える必要があるだろうという御指摘を頂いたと受け止めさせていただきます。 ○今津幹事 幹事の今津です。資料の11ページの@のところについて御意見させていただきたいと思います。子どもの意向を聴取するという仕組みに関してですけれども,子どもの意思を尊重しようという方向性については,もちろん賛成なのですけれども,この局面で意向聴取を設ける,それを必須とすることについては少し慎重に検討してもいいのではないかと思っております。この場面では,親権者としては養子縁組をしたい,承諾をしたいけれども,子どもはどう考えるかと,そういう形で問い掛けをすることになろうかと思うのですけれども,その場面で子どもが縁組に反対するというような意思を仮に持っていたとして,それを果たしてきちんと表明することができるのかというところは少し疑問でありますし,仮にそういった意向を表明したときに,その後の親権者なり親権者のパートナーとの家族関係,広い意味での家族関係がどうなってしまうのかという懸念もありますので,聴取する仕組みを仮に設けるとしても,必須のものとまではしないというような形で,もう少し穏やかな規律でもいいのではないかと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。今津幹事から11ページの@につきまして,意見聴取を必須とすることは慎重に考える必要がある,意見表明がきちんとできるかとか,意見表明した結果どうなるのかということも考える必要があるだろうという御指摘を頂きました。 ○武田委員 ありがとうございます。親子ネット,武田でございます。次は第3に関して意見を述べさせていただこうと思っております。今回,少し時間も限られておりますので詳細はお話ししませんが,5月の第3回会議に参考人として出席いただきました明治学院大学の野沢慎司先生の論文を出させていただきました。今日の議論の中でも,この養子縁組,日本の古い家族観が残っているという御意見も多々あったかと思います。そこに関わる一つの考え方が示されているのかなと,そんなふうに私自身は感じております。   まず,この論文では,ステップファミリーで起きた衝撃的な事件,今日既に話題に出ておりますが,目黒区で当時5歳の女の子,船戸結愛ちゃんの事件報道について,虐待事件についてというよりも,この事件報道の在り方についての問題提起がなされていると思っています。この裁判で被告である継父が,裁判上で最後に,「親になろうとしてごめんなさいと泣きながら謝罪した」という報道がなされております。ただ,実際の報道では,虐待をしたのは結愛ちゃんの父親であったり,養父であったり,はっきりと継父であるという表現をとる報道機関は少なかったといわれています。これは本質的には血縁の親子関係ではない継父と継子の間で起こった虐待事件であったということが事実かなと思います。   この論文では,ステップファミリー等を初婚の夫婦とその子どもからなる通念的家族と同様の家族とみなすべきか否かという問い掛けが冒頭なされて,親とは一体誰なのかという問題提起がなされております。具体的には,日本で従来支配的であった離婚,再婚後の家族形成モデルといわれるスクラップ・アンド・ビルド型・代替モデル,それに対し,子どもの権利や福祉を優先する新たな理念に基づいて今,世界的に再定義されつつある連鎖・拡張するネットワーク型継続モデルという二つのモデルが紹介されています。   詳細は,資料が配布されていると思いますので,委員,幹事の先生方にも是非御一読いただきたいと思いますが,この論文の,例えば76ページ,3段目以降に,海外の知見に基づく四つの指針が示され,77ページでは,子どもの重要な資源,資源という表現をされています,具体的には,親及び背後に連なる祖父母など一群の親族を切断せず,子どもに代替親の受容を強要しない,これが連鎖・拡張するネットワーク型継続モデルであり,そのノーマライゼーションが社会的課題であると述べておられます。また機会がありましたら,是非野沢先生のお話も皆さんに聞いていただく機会を頂ければいいかなと,思っています。   さて,野沢先生の論文も踏まえ,第3,それぞれについての意見を述べさせていただければと思います。子どもの意向確認,今津幹事からもありました,基本的には入れていただきたいと私も思っております。それは第2のところで述べたとおりでございます。ただ,18歳未満のお子さんが親の再婚に対してそもそも意見を言えるのか,実親に対して。極めて困難だと思います。既に同棲されているケースなどもあろうかと思いますが,生活を共にした場合どういうことが生じるのか想像もできない,こんなふうに思っておりますし,繰り返しになりますが,これは年齢にもよりますが,実の同居親に対して意見を言うことというのは非常に難しいだろうというのが私の率直な印象でございます。   Aに関してです。全ての父母が養子縁組に関与と。関与に関しては,赤石委員始め皆さんからいろいろ懸念点があった,それはそのとおりだと思います。これをどのようにクリアしていくのか,解決方法があるのかということについて,今後検討していくべきと思っております。   最後に,親権行使者に関してです。親権行使者に関しましては,当該配偶者と離婚した元配偶者の選択肢,この選択肢もあってよいのではなかろうかと考えています。理由はこの後,第4で少し触れさせていただこうと思います。   別居から離婚,再婚に至る中で,子どもがどういう局面に置かれるかということは子どもの福祉を考える上で非常に重要なことだと思います。姓を変更することも含めて,様々な変化に翻弄されて,意見を表明することもままならないお子さんが非常にたくさんいらっしゃいます。そういった中,子どもの意向確認ということを誰が本当にできるのかと,今の家裁の仕組みの中では,調査官もいれば,今の制度で子どもの手続代理人と,こういった方々も候補に挙がると思いますけれども,そういった子どもと離れて暮らす父母もその候補になり得るのではなかろうかと考えます。   長くなりましたが,以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。資料の御紹介のほか,親権に関わる御発言はまた後でということでしたので,後で改めてしていただくということにしたいと思います。残りの御発言は,主として子どもの意見聴取というのが非常に難しいのではないかということについての御意見として承りました。ありがとうございます。 ○窪田委員 窪田でございます。もうたくさん個別の論点については意見が出ておりますので,ここでは今後の議論の進め方について,こういうふうに考えてはどうかという御提案だけさせていただきたいと思います。   一つは,今回の資料は第1読会ということで,いろいろな論点をきれいに分解して取り上げていただいたということで,これ自体は十分にあり得る形なのだろうと思います。ただ,実際に養子縁組という状況を考えますと,ABという実親が代諾なりして,CDという夫婦と子どもが養子縁組をしたというケースと,連れ子養子の場合というのでは,かなり性格が違うのかなという気もします。その点で,分解した論点が全部うまく当てはまるのかというと,どうも何を前提としているのかによって議論の仕方がかなり変わってくるのではないかという気がいたします。基本的には,やはり今日の議論それ自体が示していたと思うのですが,連れ子養子は,いろいろな問題の複合体だろうと思いますので,ある程度,連れ子養子にターゲットを当てた上で,一体,連れ子養子の成立の要件として,家庭裁判所の許可が要るのか,父母の両方の同意がいるのかといったようなこと,そして,その後の親権の在り方というのもあるだろうと思いますし,あるいは,落合委員から出ていた論点というのは,養子縁組をしない場合の法律関係,子どもを連れて再婚した場合の子の養育の在り方という論点もあったのではないかと思います。連れ子養子だけを扱うというよりは,現行法だと多分,子どもを連れて再婚したといっても,子どもと相手方の関係というのは単なる一親等の姻族ということで,直系血族でもないですから,扶養義務もないということで終わってしまうのではないかと思いますが,恐らく一定の子の監護に関することで規律を考える必要もあるのかもしれないという気もいたします。こうした様々な論点があることを考えると,特にこれは今まで離婚後の子の養育の在り方ということから行っていたことを前提とすれば,離婚後に子どもを連れて再婚した場合のその子の養育の在り方という形で,まとめて議論をしていく方が,ひょっとしたら生産的なのかなと思いました。これは検討していただければというだけです。   もう1点なのですが,11ページの課題の@で挙がっていた部分に関して,これについては法務省の方も十分に把握されているとは思うのですが,今日の御発言の中では,これは資料の書き方もあると思うのですが,年齢を引き下げることに賛成だと言いつつ,恐らく年齢の引下げではなくて,子どもの意見聴取の話をされていたという御意見も多かったように思います。これは多分,法律の専門家以外から見ると同じことではないかと思われるかもしれませんが,民法の現在の規定だと,15歳という年齢を基準として,それより下だったら,代諾という形がある,15歳に今度は達すると,本人が自らの判断で,親の同意がなくても養子縁組をすることができるという形での年齢だということになります。これを12歳に引き下げるということになりますと,代諾が12歳までしかできないというだけではなくて,12歳以上になったら自分でも養子縁組できてしまうという形になります。しかし,多分そこまでの話を含んだ形での議論ではなかったのだろうと思います。多くの場面では,意見の聴取ということでしたから,年齢の引下げと言っても,飽くまで12歳以上だったらきちんと意見を聴くようにしましょうとか,そういうレベルの話だったと思いますので,法務省の方でも少し丁寧にその部分を説明していただいた上で議論を進めていった方がいいのではないか,そうではないと少々危なっかしい方向に行ってしまうのではないかというふうな感想を持ちました。 ○大村部会長 ありがとうございます。議論の仕方について御注意を頂きました。委員,幹事に御意見を頂いておりますけれども,かなり多くの委員から7ページのBと11ページのAを関連付けるような形での御発言が続いておりました。これらはいわゆる連れ子養子に関わる論点であるので,こうした論点をまとめて離婚後の子の処遇ということと関連付ける形で議論するということが生産的なのではないかという御指摘を頂きました。今回の資料は1読ということで,養子法のシステムに従って,その成立から解消まで問題が並んでおります。窪田委員から御発言があり,先ほど落合委員からも御指摘があった問題については,後の方で論点として出てまいりますけれども,2読に入るに当たって,どのような形で問題を取り上げるのかということにつきましては,窪田委員の今の御発言や他の委員幹事の御意見も踏まえて,事務当局の方で改めて御検討を頂きたいと思います。それから,年齢の引上げと意見聴取の点は,御指摘がありましたけれども,年齢引下げということになりますと特別養子の年齢などとも絡んできまして,より大きな問題について検討するということになります。代諾年齢の引下げにはこうした関連問題もあるということを踏まえつつ,何をここで議論するのかということについても改めて事務当局の方で整理をお願いしたいと思います。   そのほか,この第3までについて,何か御発言がありましたら,お願いいたします。 ○棚村委員 今の窪田委員の発言に賛成をさせていただきたいと思います。進め方なのですけれども,例えば,私も連れ子養子とか孫養子の家裁の許可の要否について保留をしていたのは,実は未成年養子の普通養子一般について,制度の見直しということになると,網羅的にいろいろ出てきてしまうのではないかと思います。実を言いますと,これは例えばの話ですけれども,考慮事項については賛成をさせていただいたのですけれども,家庭裁判所は,積極的に子の福祉を増進するような形で関わるのか,それとも,大きな問題がなければそれでいいとするのかで,大分,家庭裁判所の負担も,調査,審査,関与の在り方も大分変わってくるわけです。例えば,積極的な関与ということになると,当然,試験養育期間6か月とか,一定期間ですね,それも規定で入れる必要が出てきたり,大分大きな見直しにならざるを得ないので,ここでの議論も実は一体何を求められているのかということについて,窪田委員が言ったように,整理しながらやらないといけないのではないかと思います。この点での見直しが,多分いろいろな制度に波及してきたり,それから,御意見を頂いたことが,ある意味ではほかの制度設計にもものすごく大きく影響を与える,波及効果が大きいということもあるので,正に窪田委員がおっしゃられたような懸念を私も持っております。例えば,11ページの年齢のところもそうなのですけれども,年齢をある程度,もう少し低いところで尊重しなければいけないとか,聴かなければいけないという話と,その辺りの区別も,今後,一読なので,論点をきちんと家族法研究会のものを踏まえてやりましょうということなので,これでいいと思うのですが,今後はやはり的を少し絞って御提案をしていただきたいという趣旨で,少し発言しました。   それで,全体について御意見を申し上げられなかったのは,ある意味では,ここでこういう意見を言って,許可が必要だったときに,許可の中身とか,実務上の運用とか,そういうことにどういう影響があるかとか,ほかの仕組みとして何を考えなければいけないという,相当いろいろなものが出てくることになるので,できれば今後は窪田委員がおっしゃったような形で,少しずつ絞って議論した方が,我々も意見が言いやすいですし,拡散しないのかなという印象を持ちました。 ○大村部会長 ありがとうございます。議論の対象を重要度に応じて絞っていくことが必要ではないかという一般的な御指摘と,それから,家庭裁判所の許可とか関与とか,いろいろな言い方があると思いますけれども,それについて中身をどのようなものとして考えていくのかということを検討する必要があるだろう,これは先ほど沖野委員からも御指摘があったところですけれども,これを検討するということであれば,それは避けて通れない論点ということになるだろうと思って,伺いました。ありがとうございます。   そのほか,いかがでございましょうか。 ○赤石委員 ありがとうございます。先ほど少し落合委員のお話を聞いて,そうだったなと思ったので,短く付け加えさせていただきます。   やはり親子が同姓であるというか,家族が同姓であるということが日本ではまだ家族規範としてある,それで,夫婦別姓選択制がまだ認められていないというときに,再婚したときに子どもだけそのまま前の姓でいて,親子別姓になってしまうことを避けるために,つまり,養育とかそういうことと関係なく,やはり家族として同じ姓でなければいけないと思って養子縁組をされている方がいるのかなと,調査していないので,どういう意識なのかというのがよく分からないのですが,うちの会員さんでも養子縁組されている方はいらっしゃるので,もう少し聴きたいなと思うのですけれども,これが,武田委員がおっしゃるようなネットワーク型とは少し違うとは思いますが,もう少し家族の在り方が緩やかになってきたときに,養子縁組までしなくても家族形成していけばいいよね,みたいな話になっていくところもあるのかもしれなくて,そういうことの絡みがあるのだと少し認識しておいた方がいいと思いました,ということでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。先ほど来,落合委員もそうですし,窪田委員からも御指摘がありましたけれども,養子縁組しないとどうなるのかということも含めて,言い換えれば,養子縁組しない場合にも一定の家族関係を形成していくことができるような選択肢も含めて,連れ子の問題を議論してはいかがかという意見が出ておりますけれども,赤石委員の御発言もそういう方向の意見として,伺わせていただきました。 ○石綿幹事 石綿です。今の赤石委員の氏の件に関して関連して発言させていただければと思います。再婚時に家族の氏を一体にするために養子縁組を行っている方々も多いかと思います。その理由の一つとして,民法791条で子の氏の変更は家庭裁判所の許可が必要だけれども,連れ子養子をするのに際しては現状では家裁の許可が不要で,そちらの方が簡便だというところもあるかと思います。先ほど窪田委員が提案されたように,今後,連れ子養子という形で問題を再検討する際に,可能であれば,氏の変更ということについても併せて取り上げていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。直前に赤石委員から,氏の問題のために養子縁組をしているということもあるのではないかという御指摘がありましたけれども,氏の変更の方で対応するということも議論の枠の中に入れたらどうかという御提案として承りました。 ○水野委員 ありがとうございます。水野でございます。氏の問題についての発言が続きましたので,少しだけその点について付け加えたいと思います。既に様々な御意見が出たことについては,控えることにして,今まで議論されていなかった点について申し上げます。   一つは氏の継承の問題です。夫婦別姓の問題と密接に絡んでくるのが孫養子の問題だろうと思います。法制審の身分法小委員会で夫婦別姓の立案を作成したときに一番議論が分かれましたのは,子どもの氏をどうするかということでした。生まれたときに決めればいいという意見もありましたが,婚姻時に決めることにしました。その上で,付け分けることができるかどうかが,論点になりました。付け分けられることにしておかないと,孫養子が利用されるでしょう。孫養子の利用者は,子どもが小学校に上がるときに縁組みするようです。小学校からは名字で呼ばれるようになり,子どもの自我形成に決定的なタイミングとなるので,その機会に婚氏として選ばなかった側の祖父母の養子にして,その氏を継続するニーズを満たそうとする当事者が少なからずおります。孫養子をすると親権者は祖父母になるのですが,実際には両親が育て続けていますから,養子縁組としては,いわば脱法行為です。当時の身分法小委員会では,このニーズを重く考えなくてはならないと考えて,そういう脱法行為をされてしまうよりは,氏の継承ニーズを満たすために,子どもの氏を付け分けることができる道を残そうと議論した記憶がございます。私も現在でも,孫養子について議論をするのであれば,この氏の継承ニーズを何らかの形でほかに満たす手段を考えた上で,孫養子の制度を考えていただく必要があるだろうと思います。   もう1点は,以前,落合委員が家制度と言われましたけれども,民法典の中には確かに家の仕組みが残っているところがございます。家の仕組みというのは,同じ家であるという要件を掛けることによって,扶養や相続などの効果が左右されていたという明治民法の仕組みですが,その仕組みについて,家という要件が外れたときに本当は手当てをしなければならなかったのに,手当てをしそびれているところがぽろぽろとございます。そのうちの一つが,この離縁の問題で,養子縁組を重ねて行っても構わないということになっていますが,離縁しない限り養親子関係はずっと続くということになります。複数の養子縁組が次から次へと重なった場合に,その当事者たちの間にずっと相続関係と扶養関係が継続して残るという問題です。他にも,離婚後の後婚配偶者と前婚の子が養子縁組をした場合に,実親と養親の共同親権になると通常は理解されていますが,その条文的手当もされていません。   もし養子縁組について何らかの手当てをするということでしたら,先ほど窪田委員が言われましたように,私も絞った方がいいとは思うのですが,いろいろと欠落部分があるということは認識していて,もし簡単に修正ができるようでしたら,手を入れる必要があるかと思います。この論点は第4の,次の親権,相続に関する問題と少し重なってくるかと思いますけれども,また実親と養親とでそれぞれ別の配慮も必要かと思いますが,たとえば養子縁組の場合,それが全て離縁をしない限り続いてしまうということについてなど,一つの論点としてお考えいただければと思います。細かい話で申し訳ございませんが,よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。氏の問題が出ておりますけれども,連れ子との関係だけでなく孫養子との関係でも氏は問題になるので,孫養子を扱うのであれば,それも含めて検討した方がよいのではないかということと,それから,養子縁組は数次にわたって起こることがあるので,それに伴う問題も幾つかあるだろうということ。離縁の問題もありますし,親権や扶養義務の関係がどうなるのかといった問題もあります。なかなかやっかいな問題ですけれども,検討するということであれば,そうした問題があるということは意識して取り組んだ方がよいのではないかという御指摘を頂きました。ありがとうございます。   そのほかはいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。   第2,第3につきまして,課題として挙げられているところにつきまして様々な御意見を頂きましたけれども,今日のところは一読でございますので,皆様から御意見を頂いたということで,特にまとめとか方向付けはせずに,先に進ませていただきたいと思います。   次は第4以下になりますけれども,既に若干御発言がございますが,親権とか相続とか扶養といった具体的な問題が出てまいります。これを全部やるのかという問題は,先ほどの窪田委員,棚村委員の御発言もございましたけれども,事務当局からは問題としてこういうものがあるだろうという御指摘を頂いていると理解をしております。そこで,まず,この資料に従って御意見を頂ければと思います。第4,第5,第6の部分につきまして御発言があれば,頂戴をしたいと思います。 ○青竹幹事 第5の点なのですけれども,相続権を認めないという養子縁組,バリエーションのある養子縁組というのは,多様なニーズに制度を対応させるという観点では,方向性は賛成したいと思います。育てる養親が必要な未成年子がいるという場合に,相続だけが養子縁組のために支障になっているということがあるのであれば,できるだけ支障を除いた方がよいとは思います。ただ,親に養子と実子がいるという場合において,実子と養子とで分け隔てなく育てていたところで,ずっと後の話ですけれども,相続のときになって養子か実子かという違いのみで当然に違いが生じるという点で,不公平感が生じる可能性があるかと,その点,少し危惧しております。養子なので仕方ないと割り切れる場合もあるかもしれませんけれども,養子の方で不合理な区別扱いと受け取ることもあり得るといった観点からは,慎重に検討すべきであるのではないかと考えております。   もう1点は,先ほど落合委員を中心に御意見をおっしゃっていたのですけれども,連れ子養子の場合,必ずしも養子縁組でなくてもという問題意識を御提示されていましたが,確かに必ずしも一方親の婚姻の相手との間に養子縁組をしなくてもいいという制度設計も考えられまして,その場合には結局,法律親ではない養親と連れ子との間に親子関係が発生しないので,相続権が発生しないということの,そこが不公平になるのかどうかということもあります。しかし,この場合はそもそも法律上の親子関係が発生していないので,まだ合理的な差になると説明できるのではないかと考えます。   それから,ここで申し上げるべきかどうか分からないのですけれども,氏の話が出てきました。養子縁組をしなくても実親の再婚相手の氏を名のることができるかどうかという観点で,例えばドイツ法を見ますと,こんな規定があるかと思います。養親と連れ子との間に養子縁組がされなくても,その夫婦が身分登録局に申請することで夫婦の氏を連れ子も名のることができるというふうになっているようです。そして,連れ子が父母の共同親権に服しているという場合に,非監護親,他方親の氏を名のっているときは,その他方親の同意が必要で,ただし,子の福祉に必要があると認める場合には,その他方親の同意がなくても家裁が同意を代替することができるというように,どうもドイツの制度では,必ずしも連れ子養子をしなくてもよい,というような制度設計がされているようですので補足させていただきました。   ○大村部会長 ありがとうございます。第5の15ページ,課題の@について,相続権のない養子縁組を考えるという方向に賛成だけれども,実子と養子との間で相続権の有無という問題が生ずるという点について,慎重な検討が必要だろうという御意見を頂きました。あとは,連れ子の場合について,連れ子にしない場合にどうなるかということについて,相続権は現行法の下では発生しないわけですけれども,そのことを確認していただいたのとあわせて,氏の変更ではない形での対応が考えられないのかといった御指摘を頂きました。   ほかに,第4から第6までについて御発言があれば頂きたいと思いますが,いかがでございましょうか。 ○佐野幹事 第6の扶養のところでもよろしいですか。16ページの2の課題のところで,養親が第一の扶養義務を負うという形で明示するというお話なのですが,先ほどもお話ししましたように,養子縁組,特に孫養子などの場合には,親族が子どもを保護する形での養子縁組というものもなされるという場合もございます。そういうときなどには,むしろ実親が扶養義務を第一次的に負うべき場合もないわけではないので,ここは実情に応じて調整できるような形も検討してもいいのかなと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。16ページの課題のところに出てきている養親と実親の扶養義務について,整理をしたらどうかといったことが挙がっておりますけれども,実情に応じた対応が必要な場合もあるのではないかという御指摘を頂きました。 ○石綿幹事 石綿でございます。第4の2のEについて,2点発言させてください。落合委員が先ほど,養子縁組をしない形でどういうふうに子の養育ができるかというようなことをおっしゃっていましたが,連れ子養子縁組をしない場合に,親権者の配偶者が子どもの養育に何らかの形で関与していきたいというときに,そのような配偶者に子どもの養育に関与する権限を認めるといったような規律を設けるということは考えられるのではないかと思います。   例えば,外国法の紹介で恐縮ですが,フランスなどでは親権を第三者と分担して行使をできるという親権の分担委譲という制度があったりします。連れ子養子をしないで,再婚カップルの場合に,親権者とその配偶者が二人,あるいは,フランスの場合は離婚後も共同親権となることが多いので,非同居親も含めて3人で親権を分担して行使をすることが可能になります。どの範囲の権限まで親権者の配偶者に与えるかというところはこれから議論すべきだと思いますが,一定の権限を与えるということを法律上で明示し,また,それを第三者に公示ができるような制度を設けるということは一つ考えられるのではないかと思います。   2点目は,これに関連してということなのですが,先ほど佐野幹事から第三者の監護者指定ができなくなっていろいろ問題があるといったような御発言があったかのように記憶をしておりますが,この連れ子養子の場合のみならず,親以外の者が子どもを監護養育する際の規律というのも,可能であれば考えていくことができれば,子の利益によりつながるのではないかと思います。子の利益のために親以外の者によって一定期間監護される必要がある場合というのはあるかと思います。その際に,監護者というのがどのような権限を有しているかということを法律上明確にできるということは,子どもの利益になるかなと考えている次第です。   以上,2点です。 ○大村部会長 ありがとうございました。13ページのEについて,養子縁組をしないで子の養育に関与するという規定を設けてはどうか,親権者の権限を一定の要件の下で行使することができるといった規定を設け,併せて公示をするということが考えられるのではないかといった御意見を頂きました。その延長線上に,第三者を監護者に指定するということも含めて考えるべきなのではないかという御発言も頂きました。そのときにベースになる親権者から第三者に,今のおっしゃったように,同じような形で監護権の一部の権限が付与されるのか,それとは別の構成を考えるのかといった問題はありそうですけれども,しかし,問題として併せて検討してはどうかという御指摘を頂きました。 ○久保野幹事 ありがとうございます。久保野でございます。2点ございます。   1点目は,今話題になっておりました13ページのEについて,様々な方法を積極的に議論すべきだと私も思うところであります。リストに加えるだけではございますけれども,日本でも婚姻の効果として一定の義務や権限を考えようという議論は従前もあったと思いますので,その可能性も含めて考えてみるというのがあるように思いますし,また,直近の議論での権限の与え方として,同居という事実関係を基に一定の日常的な事柄をできるという海外の法制の例なども参考になるのではないかと思います。それが1点目です。   もう1点が,14ページからの第5の部分についてなのですが,このような効果について多様性を認めていこうとするときに,養子とはいえ親子という形式をとるかどうかというところ自体も検討してよいように思います。何を申し上げたいかといいますと,例えばイギリスでは養子と後見の制度があったところ,実際上の要請を背景に,特別後見という仕組みが作られたといったような経緯があったりしまして,親子関係ないし養育関係について多様な効果に多層化していこうというときに,親子という形式をとるのか,あるいは後見ですとか里親といったものに近付けた枠組みをとるかといったようなことについても視野に入れるとよいと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。13ページのEに関連して,考えるべき選択肢を挙げていただいたかと思います。婚姻の効果としてとか,同居に基づく権限としてといったお話を頂きました。婚姻の効果としてというのは,差し当たりは婚姻費用分担みたいなことを念頭に置かれていたのか,あるいは,より一般的なことをおっしゃっていたのかもしれませんが,今の段階では,婚姻の効果としてということで受け止めさせていただきます。その上で,もう一つ,親子関係を作るというのではない形で対応することも考えられるのではないか,後見とか里親といったことで考える余地もあるのではないかということを御指摘いただきました。先ほど青竹幹事から出た問題ですけれども,相続権のない養子というものを考えるということになると,それは里親のようなものの延長線上で考えるという余地もありそうですので,御指摘と併せて,そうした選択肢もあると受け止めさせていただきました。 ○棚村委員 今のことに関連して,全般的に第4のところで御提案されていることについて,生きている間に,例えば親権とか扶養とかで養子縁組がなされた後,実親との関係とか,いろいろなものを調整しなければいけないという意味で,多様化,あるいは選択肢を作るということには基本的に賛成です。   ただ,相続権のない養子縁組みたいなことで作っていいのかということについては,非常に危惧があって,つまり,死んだ後の財産の移転とか承継という話になってくると,また別の要素があって,選択や合意でそういう親子関係を作り出すことによって,かえって法律関係が複雑になったり,トラブルを生じないかということが少し気になります。つまり,親権とか,養子縁組後の親権,扶養については,順位の問題とか方法の問題とか,いろいろなことで権限や責任が競合したり,不明確な状態を整理するということは必要ですし,考えていいのかなという点では,前向きなのですけれども,要するに,扶養とか相続で本来関わりを持っていなかった人が,後で相続とか扶養で出てきたときに非常に困るという話は,普通養子縁組の全体を検討したときにも,特別養子のときも,実親がそういうところで出てくるところに対する懸念というのはありました。ただ,一般的にこういうような形で,相続権を持たないとか,生じさせない養子縁組ということを作ったときに,場面が随分違うのではないかということで,慎重に考えた方がいいのではないかと思います。   それで,久保野幹事とか部会長もまとめてくださったように,里親とかいろいろな受皿としての仕組みみたいなものがもしあるのであれば,そういうものを広げるとか,あるいは,祖父母とかを監護者として指定をしていくとか,それから,先ほども少しおっしゃった水野委員のお話もありますけれども,氏の変更とかそういうことについての手当てみたいなことをしないと,そういうところに流れるということもあるので,やはり受皿として,どういう支障が具体的に生じていて,それを解消するためにどんな制度を利用したり,転用したり,いろいろなものが使われたりすることをそのまま認めていくというのではなくて,やはり望ましい在り方を検討した方がよくて,私自身は,15ページの相続権の問題について,相続権を生じさせない養子縁組ということについて大分違和感があるということを申し上げたいと思います。あとの選択肢とか,いろいろなことについては,いろいろ多様化したり,柔軟に対応できるということだったり,紛争をむしろ解決するための基準を示せるというようなことで,メリットがあるかもしれませんが,この辺りは正に相続契約とか信託とか,いろいろな財産的な手当ても含めて考えないと,相続権を持たない養子というのが生じたときに,日本の場合に,法的親子関係が成立すると基本的に全ての効果が一挙に発生するという立場を採っていると思うのです。ところが,アメリカ法ですと,養育費についての親とか,あるいは財産の問題についての親として認定をするとかという,個別発生主義みたいなものを採っているところでは,実は別々に問題ごとにやれる建前になっています。そこで,大陸法の日本法のシステムの中では,法的親子関係があるときに,正にこういう権利を持たない子どもとか親とかというのが当事者の合意によって,選択によって親子の効果の一部を発生させても大丈夫なのかなという素朴な疑問を少し持っていますので,発言させていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。この資料の中には様々な場面で選択肢を用意した方がいいのではないかという提案がされていると思います。選択肢を増やすということについては,一方で皆さんの側から賛成の御意見もありますし,余り類型が増えるのは問題ではないかという御指摘もあったかと思います。そういうことを踏まえた上で,相続の問題については少し慎重に考える必要があるのではないか,親子の効果と相続というものが密接に結び付いているということから考えて,ここについては少し慎重に考えたらどうかという御意見として承りました。 ○小粥委員 ありがとうございます。直接関係ないような話になってしまって大変恐縮なのですが,第4の2のCに無理やり関係あるといえば関係あることでございまして,若干,先ほどの石綿幹事,久保野幹事の発言とも関係あるつもりですが,どこまでを民法の改正という形で処理するのかということ,別の言い方をすると,下位法令ないし規則等に委ねることも早いうちから想定しておくべきではないかということになります。つまり,例えば,離婚後の夫婦で何を一緒にしなければいけないのかとか,どちらが何を決定するのかについて,随分細目にわたって決めなければいけない可能性があるわけですけれども,民法改正に要するコストを考えると,あるいは試行錯誤の可能性というものが余り大きくないかもしれないということを考えると,いろいろな問題について,法律よりも下位の規則に委ねると,法律で基本的なことを決めておくにとどめるという可能性を早いうちから考える必要がある問題が結構あるのではないかということを,この段階で申し上げることをお許しいただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。立法の仕方に係る御意見を頂戴したと思います。全体として,今回の規律がどのくらいの密度というか,詳しさを持つものになるのかということにも関わっていると思いますけれども,民法の条文に書くということが様々な観点から望ましくない,あるいは困難であるような問題もあるのではないか,そうしたものについての対応をどうするのかということを視野に入れて検討すべきだという御意見として承りました。下位法令にどのぐらいのものを委ねられるかということは,民法の場合には少し検討を要する問題があろうかと思いますけれども,例はないわけではないので,全くできないということではないと思います。御意見として承って,検討の際に注意していきたいと思います。 ○原田委員 ここでいろいろ挙げられているものについて,現実にどんなことを考えてこれを検討するのかというところが,私はこれをずっと読んでいても,なかなか頭をひねって,分からないところがあったのですけれども,まず,12ページの@のところで,どういう場合なのかというと,12ページの上のところにある,現実の監護者と親権者が一致しないことによって子に不都合が生じるおそれ,例えば孫養子とかそういうものなのかなと思いますが,逆に言えば,そういう監護者と親権者が一致しないような形の養子縁組を認めるのかという問題にもなると思いますし,先ほども申し上げましたけれども,親権という形でまとめるのではなく,監護権という形で監護者が日常の生活で監護していく上で不都合がないような内容に考えるという方向性もあるのではないかと。今日,先ほどから何人かおっしゃっていただきましたが,そういうことがあるのではないかと思いますし,Bの場合も,場合によっては,親権という概念で考えれば,親権の変更をするということも考えられるし,あるいは監護者としてその効果を考えるということで日常の監護には支障がないようにすればいいのではないかという考え方もあるのではないかと思います。   それから,Eは実親の扶養義務との関係をどうするのかという問題があると思いますけれども,そういう意味では第6の扶養義務のところで,実親の扶養義務がなくなるという考え方は少し説明が付かないというか,とれないのではないかなと,私は両方義務があるとすべきで,ただ,その順位の問題を考えるに当たって,監護親が請求する場合と子どもが請求する場合があると思うので,子どもが請求する場合に,やはり第1順位,第2順位があって,実親には第2順位しか請求できないということで本当にいいだろうかということを少し懸念しております。   それから,相続の問題では,私はやはり日本の民法のいいところというか,相続人がはっきりしていると,実務家の立場かもしれませんけれども,誰かが亡くなったときに誰が相続人であるかというのは戸籍をたどればすぐ分かるというところが非常に大きなところで,これを当事者の意思で変えるということについての懸念と,もう一つは,子どもの立場からも,実親と養子の間でこれだけの差があっていいのだろうかと思うので,逆に言えば,それをしたくないのであれば,監護権というものをきちんと定義することによって,里親のようなものですね,養育していくのに不都合がないようにすればいいのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。順序が逆になりますが,扶養の問題について先ほど議論になりましたけれども,実親の扶養義務がなくなるということについては疑問に思う,それから,相続については先ほど棚村委員から御発言がありましたけれども,相続人が明確に定まるという点に日本法のメリットがあるのではないかといった御指摘を頂きました。その前に御指摘いただいた点,先ほど原田委員の発言の冒頭にもあった点ですけれども,この資料は親権をベースにして書かれておりますけれども,それは親権と監護との関係をどう位置づけるかという問題について,まだ議論が済んでおりませんので,そちらの議論が済みましたら,そこでの議論をいわば代入するということで問題を考えるということかと思います。そこれが定まらない段階で,監護権の場合にはどうなるかということを議論すると混乱が生ずるので,親権ということで書かれていると私自身は理解していますけれども,そういう趣旨ですね。 ○北村幹事 おっしゃるとおりです。 ○大村部会長 そういうわけで,御指摘は,しかるべきところで親権と監護権の問題について検討し,それを反映させるということになるのかと思います。   そのほかにはいかがでございましょうか。 ○池田委員 弁護士の池田でございます。15ページの@,Aと16ページについて,意見を申し述べたいと思います。   まず,15ページの@,Aのところですが,14ページに書いてあるようなニーズがあるということですけれども,要するに,養親と実親が養子を挟んで財産が行き来してしまうということに対する抵抗感ということがあるかと思いますけれども,理屈で考えればそうなのですが,実務の中でこういうことが問題となっているので養子縁組が進まないとか,あるいは具体的にこうなってしまったのだけれども,どうしようとかという相談を受けるということは,あまり弁護士仲間で話をしていても,感じないというところがあって,これは本当に法改正で対処すべきことなのかどうか少し疑問があるなというところです。   仮に何らかの対処をするとした場合に,@,Aというので,川上で切るのか川下で切るのかという話かもしれないですけれども,やはり筋としては養親子間で親子として現に暮らしているという,その延長での相続というときに,そこで,仮に実子がいた場合,青竹幹事からも御指摘がありました,実子と相続権のない養子とで差ができてしまうような仕組みというのは,やはり養子の立場からすると余りよろしくないのではないかと,むしろ実親との間での相続を否定するという方向性で考えるべきなのかなと思います。ただ,実親が仮に非常に財産をたくさん持っているような場合に,養子からすれば,実親の財産を取るのか養親による養育を取るのかという,そんな選択を迫られるようなことになるのであれば,何となくそれも落ち着きが悪いだろうという感じがあって,いろいろとこの辺り,懸念があるところです。   それから,16ページの点ですが,養子縁組がされたとしても,実親がなお扶養義務,養育費の支払い義務を負い続けるのかどうかということだと思うのですけれども,現状,実務で養子縁組がされたからといって,必ずしも実親の養育費の支払い義務がゼロになるというわけでもないと思うのです。養親の生活水準と実親の生活水準を,離婚した場合を想定して非親権者を実親といいますけれども,その双方を比べて,なお養育費を支払わせるという場面もなくはないところですので,第1順位と付けるのはいいとしても,養親の資力が不足する場合に限って実親が支払い義務を負うとなると,今の実務も変わってきてしまうのではないかという懸念が少しあります。ですから,両者を比べて子どもの利益になるように結論を導いていくという柔軟なところも残しておいた方がいいのではないかと考えます。 ○大村部会長 ありがとうございます。15ページの先ほど来問題になっています相続権については,余りニーズがないのではないか,むしろ弊害が多いのではないかという御指摘を頂いたのだろうと思います。それから,16ページの扶養義務については,順位を整理することはいいとして,義務者の資力が不足する場合に限りというのは少し柔軟さに欠けるのではないかという御指摘を頂いたと受け止めました。ありがとうございます。   そのほか,第4から第6について何か御意見がありますか。 ○武田委員 親子ネット,武田でございます。では,第4及び第6に関して若干,意見を述べさせていただければと思います。先ほど少し触れさせていただきましたとおり,私の個人的なステップファミリーにおける子育てに関する考え方といいましょうか,先ほど少しお話しさせていただきましたけれども,基本的には子どもの同居親と別居親が共同で子どもの養育に当たる努力をする,継親はそこに補助的に加わって,そこの共同親責任的な協力関係で進めていくのがよいのではなかろうかと,まず,このような考え方を持っております。   今申し上げた基本的な考え方を受けまして,第4の12ページ,13ページにある課題については基本的に進めるべきだと思っております。@,検討を進めるべきだと思います。A,当然,子の福祉に反する妨害をする者と,これもあり得る話かと思います,排除をする規律も必要と,このように考えます。B,Cも含めて,検討を進めるべきでなかろうかと思います。特に,このCの再離婚時の規律化についても,ここはより大きな問題のような気がしておりまして,恐らく国内で数字はないと思うのですけれども,再婚後の離婚率,初婚よりも間違いなく高かろうと思っています。海外事例でもそのような報告がされていると思います。お子さんに対して複数回にわたり,こういった喪失感を含めて,苦しめることは避けるべきと考えております。   Dは,どちらかというと(注4)ですかね,親権者死亡の場合,生存親に親権を再付与ということに関してですけれども,これは是非検討していただきたいと思っています。1点気になるのが,(注4)には双方死亡という前提で語られているような気がいたします。親権者である同居している実親が死亡して養親が生存する場合,養親単独親権だけが選択肢ということになるのでしょうかというのが問題提起としてございます。当然,養親,非親権者である実親,それぞれの養育に関わる意欲,当然子どもの意見,考慮要素はあるかと思いますが,親権者である実親死亡の場合の検討も必要ではなかろうかと考えております。基本的には,大きくこの6つの課題については,より一歩進めた検討をすべきと考えております。   第6,扶養義務に関して,今,誰が一義的な扶養義務を負うのかという問題提起がされていると思っています。私は少し皆さんと恐らく考え方が違いまして,双方の実親が第1順位の扶養義務を負い続けるべきという考え方です。そこに対して養親の扶養義務が二義的に付いてくる,このような考え方を基本的な考え方にすべきではなかろうかと,このように考えております。   第4,第6に関して,以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。第4については,12ページから13ページに挙げられている課題について,基本的にこの方向で検討すべきではないか,(注4)が付いているところについては,少し広げた観点からの検討が必要ではないかという御指摘を頂いたかと思います。他方,16ページの扶養義務においては,課題が挙がっておりますけれども,実親の扶養義務の方を優先させるというお考えを示されたかと思います。これは,今まで出ているお考えと違うのではないかと武田委員自身がおっしゃいましたが,他の方々は,親権だとか,養育義務だとか,扶養義務というものについて,何らかの形で選択肢を認めていくという考え方で受け止めるかもしれない,そうしたお考えなのではないかと思って伺っておりました。御意見として伺わせていただくことにさせていただきたいと思います。   そのほか,御発言いかがでしょうか。 ○赤石委員 ありがとうございます。この養子縁組の話に余り付いていけていないのですが,1点少し気になっているので,申し上げます。13ページ,第4の6のところです。連れ子養子縁組をしたい場合における親権者の配偶者による子の養育です。   社会保障分野でどんなことが行われているかというのを少しだけお伝えしたいと思います。児童扶養手当法上は今は,父から養育されていない子どもがいる家庭に対して児童扶養手当が出ており,2010年から,それが父ではなくて母も適用されて,要するに1人の方で扶養されている場合には児童扶養手当が出るというような形になっており,そして,子どもが親の配偶者から扶養されている場合には支給停止になるというふうになっています。その配偶者というのは事実上の配偶者でも支給停止になるので,その事実婚の規定が非常に広いということは私どもは結構問題にはしているのですけれども,同居親だけではなくて,頻繁にかつ定期的な仕送りがあるですとか,社会的に事実婚として認められるような場合には,その支給を停止するという規定が生きております。なので,社会保障分野では扶養されるのは当然ですよねという概念がもう何十年も続いています。   それから,年金の方なのですけれども,遺族年金法も死別の方には基礎年金あるいは厚生年金が出ることが多いわけですけれども,その場合も,子ども加算とかが付いているのですけれども,それも親が再婚した場合には支給停止となります。その後,離婚しても復活しないので,その矛盾にすごく嘆いている方もいらっしゃるわけです。もう配偶者がいなくなっても復活しないのです。   だから,社会保障分野では扶養するのが当然ですよねという想定でいろいろなものが組み立てられているということを6番に関してお伝えしておいた方がいいかと思いました。これがいいのかどうかってすごく難しいのですけれども,やはり社会的には不正受給ではないかみたいな議論があるので,非常に拡張した,親の配偶者からは扶養されているのが当然ですよねという適用がされています。厚労省さん,きっと聞いていらっしゃると思うので,もし私の言っていることが間違っていたら補足してください。お願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。13ページのEについて,親権者の配偶者による子の扶養を民法上何らかの形で規律しよう方向の御意見が出ていますけれども,社会保障給付の世界ではそれは前提にされているのではないか,そうだとしたら,それについてどう考えるかは別にして,事実としてそうであるということを踏まえた形で民法の方の規定を考える必要があるだろうという御指摘を頂いたというかと思います。赤石委員,違っていますか。 ○赤石委員 そうであるか,民法がこうであると言ってくれたら社会保障給付の方は違う規律を設ける,何しろ穴が落ちてはいけないわけですので,そこは連動しなければいけないと思います。 ○大村部会長 いずれにしても,社会保障給付が現状を踏まえた上で,民法の規定をどうするかということを考えるべきだという御意見だと受け止めてよろしいですか。 ○赤石委員 はい。 ○大村部会長 ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   部会資料9−1の第4から第6について御意見を頂いてきました。前の問題についての議論の際に,最後に窪田委員や棚村委員から御意見がありましたけれども,今こういう形で資料が出ておりますが,2読で議論するときにどういう形で問題を絞り込むのかということについては,第4から第6について頂いた御意見も併せて,事務当局の方で更に御検討いただくということにさせていただきたいと思います。   それで,予定した時間まであと30分ほどですが,ここで休憩しないで続けて,残りについて御意見を頂くということでよろしいでしょうか。よろしければ続けさせていただきたいと思います。最後まで行けるかどうか分かりませんが,残っている第7及び第8について御意見を頂ければと思います。離縁に係る問題で,先ほど水野委員からも御発言があったところにも関わる問題です。どなたからでも結構です。 ○窪田委員 窪田でございます。小さな点ですし,あるいは,今頃こんなことを言い出すなということで怒られてしまいそうなのですが,第8の特別養子縁組の離縁に関する規律について,どうしても気になっている部分がありますので,発言させていただきたいと思います。   特別養子については,もう法改正も終わったところですので,見直しというのは難しいのかもしれませんが,私自身が大変に疑問に感じておりますのは,18ページのところで現行法の条文が上がっており,民法817条の10の1項第2号,実父母が相当な監護をすることができることという要件が上がっております。特別養子制度の改正においては,基本的には養子となる者の年齢というのはずっと引き上げられて,6歳だったのが15歳まで上がって,そして,場合によっては特別の事情があれば,それ以降でも行けるとなりました。一方で成年年齢の引下げがありますので,18歳が成年年齢になる。この現行法の817条の10というのは,2号があって,実父母が相当の監護をすることができること,ということが置かれている以上は,未成年の間にしか離縁はできないとされています。6歳までのケースであれば,その後,実父母の状況が変わって,監護ができる状況になるということもあるのかもしれませんが,むしろ1号にあるような虐待だとか悪意の遺棄だとか,こうした事情があって,そもそも特別養子縁組が成立している。実母との関係でそういうふうな状況があって,成立している。にもかかわらず,仮に特別養子の方で養親によってこういうふうな事態があった場合には,実父母が相当の監護をすることができる場合にだけ離縁できますよというのは,何かやはりもうルールとしては破綻しているのではないかという気がいたします。   以前からもそうだったのかもしれませんが,特に養子となる年齢が引き上げられたこと,成年年齢が引き下げられたことによって,この部分が持っている意味,問題点というのはかなり大きくなったのではないかと思います。人の名前を勝手に出して恐縮ですが,恐らくこの点は特別養子の法改正のときの法制審議会で久保野幹事が発言されていた点であったとも思うのですが,何とか今回,見直してもらえたらなというのが素直な気持ちでおります。 ○大村部会長 ありがとうございます。第8の特別養子縁組の離縁について,現行の817条の10の1項2号の要件が適切ではないのではないかという御指摘を頂きました。この資料では,この第8については課題ということで,成年に達した後に離縁を認めるという規律を導入してはどうかということが提案されておりまして,窪田委員が今御指摘になった,現状では15歳から18歳までしか養育されないというケースもあるということを踏まえると,今の御提案は,この課題と併せて検討する必要があるのかと思って伺っておりました。ありがとうございます。   そのほかはいかがでございましょうか。 ○原田委員 余り御意見がないようですので,簡単に。17ページの家裁の許可の件は,先ほどの連れ子養子の場合の養子縁組の家裁の許可と同じような理由で,連れ子養子の場合は別に考えてもいいのではないかと思っています。それから,18ページの離縁の訴えを提起することができる者の範囲の問題で,どの範囲まで考えるかということがあると思うのですけれども,先ほどの,要するに,連れ子養子の場合に実親の同意あるいは関与が要るというものと裏腹で,またそういう方たちの申立てもあり得るということもあるので,ここの範囲についてはかなり慎重に,あるいはどういう場合だったら認めるのかというようなことも慎重に考えた方がいいのではないかと思っています。 ○大村部会長 ありがとうございます。第7について御指摘を頂きました。17ページの,養子が未成年の場合における離縁について家裁の許可を得なければならないとする規律について,連れ子養子の場合については別途考える必要があるのではないかという御指摘を頂きましたが,原則としてはこの提案に賛成という御趣旨でしょうか。 ○原田委員 そうですね,はい。 ○大村部会長 分かりました。その上で連れ子養子については別途考える必要があるという御意見として承りました。それから,18ページの課題の方については,これは慎重に考える必要があるのではないかという御意見を頂戴いたしました。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○池田委員 弁護士の池田です。18ページの(2)の課題のところについて意見を申し上げたいと思います。意見といいましても,私自身は少し迷っているところで,日弁連での議論で両論あったところを御紹介したいと思います。これは,恐らく養子が養親から虐待を受けているようなケースが想定されると思うのですけれども,その場合には親権制限の制度が既にあって,一定の親族ですとか児童相談所長がこの親権制限の申立てができるとなっていますので,更にそれを超えて養子縁組自体を解消する手段を与えるのかどうかというところの話かと思いますけれども,第三者が身分関係にまで介入していくというのはやや過剰ではないかという消極的な意見がありました。他方で,親権制限事由には至らないけれども養親子関係が非常に悪化しているというような場合には,親権制限が用いられないわけです。子どもが幼い場合などを考えますと,自ら離縁の申立てをするというのもなかなか期待できないということを考えれば,一定の範囲で別の者に申立権を付与するという合理性もあるのはあるのではないかという意見もあったところです。 ○大村部会長 ありがとうございます。18ページの,先ほど慎重にという御意見があった点につきまして,賛否両論あり得るということで,その根拠と併せて御披露を頂いたと思います。 ○石綿幹事 石綿です。17ページの(2)について発言させていただきます。まず,未成年の養子の離縁に関して家庭裁判所の許可を経るということは,私は方向性として賛成です。子どもの身分関係に大きな影響を与えることだと思いますので,慎重に判断がなされるべきだと思います。原田委員とは逆に,私はここで連れ子養子縁組も含めるべきではないかと思います。恐らく原田委員は,不許可になって離縁が認められなくて,空虚な法律上の親子関係が続くことがかえって子どもの利益にならないのではないかといったようなことをお考えかと思います。そのような側面はあるかもしれませんが,ここで家裁の許可が離縁に必要だとすることによって,未成年養子縁組というのはそれぐらい重要な,一度形成すると容易には壊せない制度なのだ,婚姻と連動して離婚したらすぐ離縁もできるものではないのだということを当事者の方々に認識していただいて,それを踏まえて,自分たちの家族の形に合わせ,子どもの養育のために養子縁組をそれでもするのか,あるいはほかの方法を考えていくのかといったようなことを検討していただくことが,結果として子どもの利益になるのではないかと考えるのがその理由です。したがいまして,氏の変更とか,養子縁組をしなかった場合の配偶者の子どもの養育の関与の在り方など,様々な制度と連動して最終的には結論が出てくるかと思いますが,現段階としては全ての場合に家裁の許可を必要とするという方向性で考えていければと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。17ページの課題のところについて,例外を設けずにこの規律を設けるというのがむしろ,よいのではないかという御意見を頂きました。   そのほか,いかがでしょうか。水野委員,先ほど離縁についての御発言がありましたけれども,何かここで具体的な御発言がもしあればと思いますけれども,よろしいですか。 ○水野委員 ありがとうございます。発言の機会をいただいたのですが,ここの論点を一つ一つ申し上げる時間もないかと思います。西洋法では,養子縁組は実親との関係が切れるという前提で,継親との関係でも設計されているわけですけれども,日本の場合にはそうなってはおりません。実親と継親の共同親権という形で動いてきましたが,その規律もきちんとは整備されていません。それで動いてきたことをやはりそれなりに評価しなくてはならないのでしょうが,この機会に整備できるのならしたほうがいいと思います。   実親と継親との関係には,これも先ほどから様々な御意見が出ているように,いろいろなバリエーションが考えられますし,実親をずっと関与させる必要も出てくるのだと思います。ただ,養子縁組が次から次へという場面は,これは少しまた別の問題でございまして,そこの点については,あまり難しくもないかと思いますので,ついでに御配慮できればとは思いました。   それから,特別養子縁組についても,これも,議論を錯綜させないために言わないでおこうかと思ったのですが,一言だけ申し上げます。元々は未婚の母の匿名出産権を何とか認めようというのが特別養子縁組立法の最初の発想でございました。匿名出産で産まれた子をもらって乳児から育てる発想がこのように養親からの離縁要求を認めず非常に厳しくしていることに結び付いているのですが,匿名出産が認められず,特別養子縁組が変形していったときに,この離縁の問題は手付かずに維持されました。このような経緯がこの問題の背景にあるのだろうと思いますので,もっと柔軟に改革して構わない問題だと思っております。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。最初におっしゃったのは,実親との関係が連れ子養子のときに切れる方がよいということですか。 ○水野委員 いいえ,西洋法の養子縁組は基本的に実親との関係は切れる設計で出来上がっていますけれど,実親との関係でも公的な介入が手厚く入りますし,根本的に手続きが違います。そのような介入などがない日本では,西洋法の議論がこの領域ではあまり参考にならないと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。ある意味で,養子縁組がなされたら実方との関係は切れる,離縁されたら戻るという考え方はあり得る考え方なのだろうと思いますけれども,日本法は戦後はそのような考え方とは違う方向に進んできていると思いますので,それを前提に考えなければいけないという御指摘を頂いたと受け止めました。それから,特別養子縁組の離縁については,元々の制度趣旨は水野委員がおっしゃったようなことだったわけですけれども,直近の改正によって制度の意味付けがかなり大きく変わりましたので,それに見合った改正を考えてもよいのではないか,こういう御指摘を頂いたと思います。ありがとうございます。 ○木村幹事 最高裁の木村でございます。ありがとうございます。17ページの(2)の課題,養子が未成年の場合における離縁に関し家庭裁判所の許可を得なければならないとする規律の関係でございます。   先ほど石綿幹事も少し触れられましたけれども,縁組当事者,これは法定代理人も含むわけですけれども,双方が縁組解消意思を有しているにもかかわらず,裁判所がこれを許可しなかった場合には,形骸化した法的な親子関係のみが残るというような可能性もあるのですけれども,それにもかかわらず家庭裁判所が子の利益を確保する観点から当該離縁を不許可とする判断をすべき場面というのがどういった場面であるのかといったところなど,疑問もあるわけでございまして,養子縁組のところでも議論があったものと承知しておりますけれども,この離縁のところにつきましても,導入する目的として具体的にどのようなものがイメージされているのか,それに関連して家庭裁判所が具体的にどのような点を審査すべきことになるのかといった点につきましても,十分に御議論いただければと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。最初の方で,連れ子養子の許可の点についての基準をどう考えるのかという御指摘もありましたけれども,離縁について許可を要するということだとすると,やはり同様の問題を考えなければならないのではないかという御指摘を頂いたものと思います。 ○窪田委員 私も17ページの(2)の課題について,一言だけ触れさせていただきたいと思います。今,木村幹事から御発言があったとおり,こういうときに家庭裁判所が一体どういう判断で中身を決めたらいいのかというのが難しいというのはよく分かるのですが,ただ,そうは言いつつも,全体として,やはり子の福祉の最終的な保護者としての家庭裁判所の役割というのを考えると,基本的に養子縁組の成立の際にも離縁の際にも家庭裁判所が関わるということについては,意味があるのだろうとは思っております。   もちろん中身,基準については今後検討していかなければならないということがあるのは承知しているのですが,その上で今回発言したいと思いましたのは,先ほど石綿幹事から御発言があった点にも関わるのですが,基本的にはこの問題を考える際に,養子縁組の成立の際に家庭裁判所の許可が要るかどうかという問題と裏表,連動した形で考える必要はないのではないかと思っております。成立のときに家庭裁判所の判断も要らなくて勝手にできるよね,だったら別れるときも勝手にできるよねと,ある意味で子どもが簡単に物のように,急にこっちに行って,また帰ってきてというような形の制度設計にする必然性はないと思いますので,少なくとも両者をリンクさせる必要はないという点で議論をしていただくのがいいだろうと思います。その上で今,木村幹事からお話があったように,でも,このときに許可しなかったら一体どうなるのだとか,そういった点は当然,検討すべきなのだろうと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。基準を考えなければいけないという点は共通の問題として残るのだろうと思いますけれども,しかし,表現の仕方は別にして,入口と出口とで連動しなければいけないということはないのだろうという御指摘を頂きました。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○原田委員 これから考える参考に,窪田委員が言われた,リンクさせないとした場合,どちらがより関与があった方がいいとお考えでしょうか。 ○窪田委員 私自身は,両方とも家庭裁判所が関与するということで,連れ子養子の場合でも,いいのではないかと思うのですが,ただ,連れ子養子の場合に成立の際に家庭裁判所の関与が要らないというのは,これから正しく共同生活をしていくので,それだったら聞かれたって裁判所だってオーケーを出さざるを得ないですよねという形で,比較的定型的に家庭裁判所の許可が要らないケースなのかなという説明はあり得るのだろうと思います。しかし,離婚の場合にどうなるのかというのは当然,実親である方に付いていくのかどうかも含めていろいろなパターンがあり得るわけですから,そういうふうに考えたときに非常に様々なケースが考えられるにもかかわらず,成立のときと同じように要らないよとはいえないのではないのかというのが先ほどの発言の趣旨でした。 ○原田委員 ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほか,いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。   それでは,休憩なしで御意見を頂きましたが,第8まで御意見を頂いたということにさせていただきます。次の部会資料9−2には入れませんでしたけれども,これについては次回に改めて御意見を頂戴したいと思います。   そこで,次回の会議でございますけれども,部会資料9−2について意見交換をしていただきたいと思っております。   本日は,少しまだ時間はあるのですけれども,ここまでということにさせていただきたいと思います。   落合委員,どうぞ。 ○落合委員 先ほど実は棚村先生が統計の説明をしてくだった後で手を挙げていたのですけれども,それがうまく挙がっていなかったみたいなので。   赤石さんが友田先生のこの論文の紹介もしてくださって,友田さんのも読んでみたのですけれども,私は少し納得できないところがあって,棚村先生から紹介いただいたのは割と本当に単純な単純集計なのですけれども,例えば,別居親と交流してどのような影響がありましたかというので,例えば,父母の対立の板挟みになったとかいうので,友田さんはこれで,板挟みになったと言っている人が何%あるとか言っているのですけれども,板挟みになっていない,どちらかといえばなかったの方が多いのです。なかったと,どちらかといえばなかった,の方が多いと。ほかも見てみると,本当に単純集計を見るだけですと,喪失感や孤独感はない方が多いですし,それから,会ってうれしかったかというと,うれしい方が多いのです。この単純集計からだけでは何か言えないことがあるのかどうか,それはもう少しほかにデータを見ないと分かりませんけれども,普通だったらこの結果を見せられたら,面会して,いいことはあった人の方が多いし,悪いことはなかった人の方が多いというのが全体的な傾向ですと,まとめると思うのです。その上で,しかしそうではない人もいますので,そこの検討が必要ですという話になれば,統計の読み方としては,まあ普通だと思うのですけれども,そうでないまとめをされたように思うので,それは少し訂正しておかないといけないと思って,発言しました。 ○大村部会長 ありがとうございます。ここに出ているのは資料としてということで,お書きになった方は部会の委員幹事などではありませんので,私どもがこの資料をどうするという性質のものではないと思います。ただ,資料として出ておりますので,読み方について落合委員から今のような御注意を頂いたという形で受け止めさせていただきます。 ○落合委員 友田さんも一緒に研究したこともある人で,信頼している方ですので,このまとめ方は少しどうかなとあえて申しておきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。繰り返しになりますが,そのような御指摘がこの場であったという形で受け止めさせていただきます。 ○池田委員 ごめんなさい,少し私自身の発言の訂正をしておきたいので,よろしいですか。先ほど私,養親子間の相続等の発言の中で,川上,川下という言葉を使ってしまったのですが,それは上から下へ流れるようなイメージを持ったのですが,逆になる場合もありますし,上,下というワーディングがよくなかったかなと思いますので,訂正させてください。申し訳ありません。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは,次回の審議についてお話を致しましたので,事務当局の方から次回の審議日程等について御説明を頂くということにしたいと思います。 ○北村幹事 次回の日程でございますけれども,令和3年12月14日火曜日,午後1時30分から午後5時30分までとさせていただいております。場所については改めて御連絡いたします。   次回,部会長の方から御指示がありましたように,本日入れなかった部会資料9−2について御審議いただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。次回は12月14日ということで,お願いを申し上げます。   それでは,法制審議会家族法制部会の第9回会議を閉会させていただきます。   本日も熱心な御審議を賜りまして,ありがとうございました。閉会いたします。 −了− - 42 -