法制審議会 戸籍法部会 第5回会議 議事録 第1 日 時  令和4年4月22日(金) 自 午後1時29分                      至 午後2時49分 第2 場 所  法務省地下1階 大会議室 第3 議 題  氏名の読み仮名の法制化に係る戸籍法令の改正について 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○窪田部会長 それでは、予定した時刻になりました。全員おそろいのようですので、法制審議会戸籍法部会の第5回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。   議事に先立ちまして、今回会議から新たに出席される方の御紹介をさせていただきたいと思います。今回会議から櫻庭幹事、河野幹事が御出席されますので、自己紹介をお願いいたします。   まず、櫻庭幹事からお願いいたします。 ○櫻庭幹事 このたび土手課長の後任として、4月から民事第一課長を拝命いたしました、櫻庭と申します。民事第一課には平成29年、平成30年と令和元年の戸籍法改正の担当として在籍しておりまして、その関係の法制審議会の戸籍法部会で関係官を務めさせていただいた御縁で、窪田部会長を始めここにいらっしゃる何人かの委員の皆様には大変お世話になったところでございます。その節は大変ありがとうございました。また引き続きよろしくお願いいたします。その他、本日お会いすることが初めての方もいらっしゃると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。 ○窪田部会長 どうぞよろしくお願いします。   それでは、次に河野幹事からお願いいたします。 ○河野幹事 全連の幹事長を務めております河野といいます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○窪田部会長 よろしくお願いいたします。   それでは、事務当局から本日を含めたこの部会の開催方法等についての御説明をしていただきます。 ○櫻庭幹事 それでは、幹事の櫻庭の方から御発言いたします。今回もウェブ参加併用の形で行わせていただいておりますので、前回までと同様、御注意いただきたい点として2点申し上げます。まず、御発言中に音声に大きな乱れが生じた場合につきましては、こちらの方で指摘をさせていただきますので、それを踏まえて適宜御対応いただければと存じます。また、発言をされる委員、幹事の皆様におかれましては、冒頭に必ずお名前を名のって御発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。   休憩時間の入れ方につきましては、1時間30分程度をめどに15分程度の休憩を1回入れさせていただきたいと考えております。 ○窪田部会長 本日ですが、衣斐幹事が御欠席の予定と伺っております。   それでは、本日の審議に入ります前に、配布資料等の確認をさせていただきたいと思います。事務当局からお願いいたします。 ○櫻庭幹事 お手元に配布資料目録、議事次第、法制審議会戸籍法部会今後の日程と題する資料の3点を配布しております。また、事前に部会資料5-1「戸籍法等の改正に関する中間試案(案)」、5-2「部会資料4からの変更点の説明」、5-3「中間試案の取りまとめに向けた検討」をお送りさせていただいております。   部会資料5-1は、中間試案の案ということで、パブリック・コメントに付す予定の資料となっております。資料5-2は、資料5-1の中間試案の案を作成するに当たりまして、前回、第4回の戸籍法部会の資料からの変更を示すものとなっておりますので、本日はこの資料5-2を使って御議論いただく予定としております。部会資料5-3につきましては、中間試案の案をパブリック・コメントに付す上で、その考え方について補足するための資料となっておりまして、事務当局のクレジットで補足説明資料として公表する予定のもののたたき台でございます。今後、事務当局におきまして、この資料5-3を前提に中間試案の補足説明を作成する予定でございますが、中間試案の補足説明は、通例、部会における御議論を踏まえて、中間試案の内容の理解に資するよう、試案の各項目について、その趣旨等を補足的に説明するものとされております。飽くまでも試案の内容について検討を加える際の参考資料として作成するものでありまして、それ以上の意味を持つものではございませんので、御留意いただきたいと思います。   配布資料の御説明は以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、審議に入りたいと思います。   本日は、「戸籍法等の改正に関する中間試案(案)」について御議論を頂きます。先ほどお話がありましたが、資料5-2を使って見ていくということになろうかと思いますが、まず、「第1 氏名を平仮名(片仮名)で表記したものの戸籍の記載事項化に関する事項」について、事務当局から御説明をお願いいたします。 ○櫻庭幹事 資料5-2の1ページを御覧いただきたいと思います。   1ページ第1の「1 戸籍の記載事項への追加」でございます。本文について変更はございませんが、注意書に、現代仮名遣いが平仮名についての表記を定めるものであることが分かるように、その旨を記載してございます。この資料につきましては、変更点に下線を付しておりますので、下線を中心に御覧いただけますと幸いでございます。   同じく、1ページ第1の「2 氏名を平仮名(片仮名)で表記したものの許容性及び氏名との関連性」を御覧いただきたいと思います。甲案、乙案、丙案の簡単な説明をさせていただきますと、甲案につきましては、戸籍法に規律の規定を設けない案、乙案及び丙案につきましては、戸籍法に何らかの規律の規定を設けるものの、乙案は、ややもすれば名のり訓が認めにくくなるもの、丙案については、名のり訓であっても理由があれば乙案よりも認められる要素が高くなる案という区分けになっております。甲案につきましては、前回会議において、権利濫用の法理、公序良俗の法理等の法の一般原則によることとすれば、氏名との関連性の観点からの審査も可能となるのではないかとの御意見があったことを踏まえ、権利濫用の法理や公序良俗の法理は法の一般原則の例示であるとして、権利濫用の法理、公序良俗の法理等の法の一般原則によることとしております。なお、(注1)におきましては、このような法の一般原則的な内容の規定を法令で定めることも考えられる旨、注記してございます。   また、乙案と丙案につきましては、甲案と同様に法の一般原則が適用されることを明らかにするために、それぞれ冒頭に、権利濫用の法理、公序良俗の法理等の法の一般原則によるほか、という文言を加えました。なお、前回会議では、甲案に加えという文言を加えることを御提案しておりましたが、より分かりやすい表現とするため、このような文言にさせていただきました。   丙案につきましては従前、丙案①と丙案②として二つの案を御提案しておりましたが、前回の会議におきまして、一つにまとめてもよいのではないか等の御意見を頂いたことから、一つの案に集約しております。また、内容につきましても、氏名を平仮名(片仮名)で表記したものとして認めるものについては法務省令で規定することとすることも考えられるのではないかとの御意見を頂いたことから、これを反映したものとしております。なお、法務省令で定めるものの内容につきましては、検討が必要ではございますが、例えばパスポートで使用されている表記など、一定の公証力を有し、既に社会的通用性があるものを規定することが考えられるところでございます。   第1の説明については以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、ただいまの櫻庭幹事の御説明につきまして、御質問や御意見があればお伺いしたいと思います。どなたからでも結構ですので、御自由に御発言ください。いかがでしょうか。 ○笹原委員 ありがとうございます。笹原です。第1の1の(注)の部分なのですけれども、現代仮名遣いについて、平仮名についての表記を定めるという文言を加えてくださって、より分かりやすくなったかと思います。この現代仮名遣いについて厳密なことを申しますと、現代における仮名の用い方を平仮名で示した規定というようなことになるかと思いますが、もしこういうくどい言い方ではなく、今書いてくださっている、「平仮名についての表記を定める現代仮名遣い」という文言を最大限いかすとするならば、「平仮名についての表記の仕方を定める」、あるいは「平仮名についての表記の方法を定める」などというように語を追加していただくと、より正確というか、分かりやすくなるかと思います。   あともう1点、この注の末尾の、「戸籍の氏名に用いることができる文字も範囲に含めることが考えられる」というところですが、最後に長音記号が加わっておりますので、従来の戸籍の政策に従うと、「文字と記号」、あるいは「文字及び記号」のようになるかと思います。 ○窪田部会長 すみません、後半部分で少し音声が途切れたようです。これこれ及び長音などというところだと思うのですが、具体的にどういうふうに直したらよろしいでしょうか。 ○笹原委員 失礼いたしました。文字及び記号についてですね、長音記号は戸籍行政で記号と扱われてきているようですので、「文字と記号」あるいは「文字及び記号」辺りの表現がよろしいかと思います。 ○窪田部会長 分かりました。その点、事務当局の方、何かございますか。 ○櫻庭幹事 そのように修正したいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。現代仮名遣いについての内容を踏まえての御指摘だったと思いますので、それに沿うような形で修正したいと考えております。 ○笹原委員 ありがとうございました。 ○窪田部会長 ほかの方、いかがでしょうか。   今回、基本的にはゴシック体の部分、5-2の資料に上がっている部分を中心にということになりますが、補足説明に相当する、補足説明のたたき台になるのが5-3ということだと思います。5-3についても、最終的にまとめるという形ではないにしても、御意見があれば御発言いただければと考えております。いかがでしょうか。 ○舩木委員 補足説明の5-3の最初のはじめにのところで、今回の法改正の必要性とその経過が書いてあります。今回の法改正によって具体的にどういうイメージで運用されようとしているのかという点について、例えばデジタル庁の方はどういうような運用をイメージしているのか等、この戸籍に氏名の読み方が記載されると何ができるようになるのかという点を詳しく教えてもらった方が、今回の改正についての国民の理解と協力を得るためのインセンティブになると思います。マイナンバーに氏名のローマ字表記をするということがありましたが、それだけでは、国民は協力すべきだというインセンティブを持つことにはならないと思います。マイナンバーについても健康保険証は昨年10月から使用できるという運用になっていますけれども、私が広島でいろいろなお医者さんに掛かっているときに、マイナンバーで健康保険証できますかと聞いたら、どこもできませんと言われます。要するに、マイナンバーを読み取る機械がないため対応はできていないというのが実態です。むしろ、これからの社会でどういう運用を考え、どういうメリットがあるのかという内容を周知することが大切であり、その辺についてもう少し内容を教えてもらえればという点をお願いいたします。 ○窪田部会長 分かりました。その点は、デジタル庁の方で、今の時点で御発言いただけることがあれば御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○上仮屋幹事 デジタル庁の参事官の上仮屋と申します。御質問ありがとうございました。まず、2点目の、マイナンバーカードをどのように使っていきたいのか、メリットというところで、簡潔にですけれども、健康保険証の今の御指摘、大変申し訳ないと考えております。健康保険証としてマイナンバーカードを利用できるようにすることで、保険者が変わっても変えなくてもいいとか、あるいは利用者の方もピッと軽くできるし、あとは保険資格としても当然、なりすましがほぼできない形で正確にできる等の、あるいは、マイナンバーカードで薬剤履歴とか特定検診情報が見られることで、薬の調剤とか、あるいは診療もよりよくなるというふうなメリットはあるのですけれども、対応がまだ20%に至らない、病院とか薬局とか、全国の22万で、ですので、できないところがまだまだ多くて、そこは大きな課題で、厚生労働省と共に、しっかりそういったメリットが発現できるように進めていきたいと思っております。その他もいろいろなカード、あるいはオンライン申請ができる、あるいはオンラインにサービスの案内が行ってワンクリックで受けられるとかという世界を目指して、基盤として広めているところで、まだまだ、マイナポータルへ行ったらいろいろなものが見られたりとかという状況にはなっていたり、確定申告が便利になったりしてはいるのですけれども、一般の方に実感してもらえるケースが一つでも二つでも早く実現するように進めていきたいと思います。   それから、そのマイナンバーカードへのローマ字表記についてでございます。御指摘のとおり、これの必要性については、令和2年度の12月のデジタル・ガバメント実行計画の閣議決定の中に、ローマ字表記をと記載がされまして、それを含めて、まだ完全に具体的ではないのですけれども、令和6年度までとなっておりますので、今のマイナンバーカードは当然、国内利用しか想定しておりません。官だけではなくて民間も含めて、身分証明書として使えるということですけれども、それを海外で、民手続、官手続でどのぐらい使えるというのは正直、まだ今は具体的には明瞭にはなっていないところなのですが、まずは当然、氏名にローマ字表記で入れる、そのほかにも、インディビジュアル・ナンバー・カード・オブ・ジャパンと入れたり、あるいは生年月日に和暦の後ろに西暦で入れる、あるいは氏名、住所、生年月日、性別というところに英字表記を入れる等がマストかなと考えて今、検討しておりますが、そのようにした場合には海外で一定の身分証明書として利用できるのではないかと、そういった検討の下に進めているところでございます。   すみません、余り具体的ではないところもまだまだあって恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。 ○窪田部会長 ありがとうございました。舩木委員、それでよろしいでしょうか。あるいは続けて御質問があれば。 ○舩木委員 すみません、1点だけ。戸籍に読み方を付すことによってどういう具合なところが特に変わるとか、こういう点が便利になるとかについて、今構想している内容という部分があるのでしょうか。もしあれば、教えていただきたいと。 ○上仮屋幹事 今、そもそも読み仮名が公証というか、公に確定をされていないということですので、海外で利用できるように、ローマ字を振る前提として読み仮名があると理解をしております。ですので、マイナンバーカードに限っていうと、海外でも身分証明書を使えるための前提としての氏名表記として、読み仮名が公証される、ここの研究会における成果、議論が極めて重要なものであると認識をしているところでございます。 ○窪田部会長 舩木委員、よろしいでしょうか。 ○舩木委員 はい。 ○窪田部会長 ありがとうございました。その点について、舩木委員からは、場合によっては補足説明の中で少し触れた方がいいという御趣旨を含んでの発言でしょうか。 ○舩木委員 補足説明に最初の1ページで書いてあるのは、国会でこういうスケジュールになっていると、それはよく分かるし、それはそうなのでしょうねというのは分かるのですけれども、国民に対してのアピールという点では、どうしてそれをするのか、そのことによってどうなるのかというところが書いてあっていただけたら、より説得力あるのではないかという趣旨です。 ○窪田部会長 はい、分かりました。これは、事務当局の方で一旦検討していただくということでよろしいでしょうか。 ○櫻庭幹事 はい。 ○窪田部会長 そのようにお願いしたいと思います。   それでは、ほかの方から御発言はありますでしょうか。 ○冨田委員 ありがとうございます。5-2の資料の第2のところで、今回改めて(注)のの文章が変わったと思います。前回この部分については、収集の実効性の確保なのか、それとも本人からの届出を促すためなのかという議論になりましたけれども、今回改めて全体を見返してみますと、どちらの表現であってもやはり過料という制裁をもって収集の実効性を確保するというようなニュアンスが出ているのではないかと思います。   これまでの議論の中で、収集に当たって過料を科すのは望ましいのではないのではないかという議論があったことなども踏まえると、(注)の部分は削除してもよいのではないかと改めて思いましたので、そのことを意見として申し上げさせていただきます。よろしくお願いします。 ○窪田部会長 今のは第2の部分ですね。 ○冨田委員 そうです、はい。 ○窪田部会長 一応、今、第1を終わってから、第2のところに行った際に、ただ今御発言頂いたことについて検討するということにさせていただければと思います。 ○冨田委員 ありがとうございます。全体だと思ったものですから、申し訳ありませんでした。 ○窪田部会長 それでは、第1については特にほかにはいかがでしょうか。 ○舩木委員 第1の2の補足説明のところの乙案の根拠の部分ですが、これは外務省のパスポートの発行の際の審査において、国字の音訓及び慣用による表音によるという審査をするという規則の定めがあり、そこを引用して乙案になっているわけです。これは第2回のこの審議会のとき、私の方から外務省の方に質問させてもらって、氏名の読み方のローマ字表記は公証したものですという説明を受けたところですが、そのときの説明でも、現実には名前の読み方についての審査について、パスポートの発行の際に、国字の音訓及び慣用による表音によるという審査を現実にしているのかというと、それは現実にはできていないと理解しています。まず、その点について外務省の方からもう一度、そこは確認のために説明をしていただきたいと思います。前回のところで、氏については氏の統一性という点で配慮しておるという部分がありましたけれども、私は、名前について審査していると理解していないし、氏名の読み方で実際に問題になるというのはどのぐらいの割合かという点については、ほとんどなく1%にも満たないというような話だったと思います。現実には名前の読み方についての、国字の音訓や慣用による表現で問題のある点はかなりの割合が現実にあるものであり、その点について、まず、外務省の方で説明を頂きたいという点をお願いいたします。 ○窪田部会長 ただいまのは資料5-3の6ページ、中ほどの少し上の乙案のところで、旅券法施行規則の中に書かれていることについて、公の機関が発行した書類によるうんぬんということが確認され、というようなことがあるけれども、実際にそういうふうになっているのか、前回もその点についての御質問がありましたが、特に名についてどういう扱いになっているのかという御質問であったかと思います。これについては、外務省の方から御確認を頂けますでしょうか。 ○山口幹事 外務省の旅券課長をやっております幹事の山口と申します。よろしくお願いいたします。御質問ありがとうございます。第2回目の会合でお答え申し上げましたとおり、旅券法施行規則に基づいて、原則は、国字の音訓及び慣用により表音されるところによることとなっております。他方で、申請者側が明らかに国字の音訓によらないと判断されるものを申請してきた場合には、申請者側で説明頂く必要があり、説明資料を提出するようお願いしています。但し、審査の際に、申請のあった氏名をいちいち漢和辞典や国語辞典と付き合わせて毎回毎回確認をしているかとまで言われますと、そこはそこまでぎりぎりやっていないというのも、これは事実でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。舩木委員、続けて御発言をどうぞ。 ○舩木委員 今までの議論の中でも例として挙げられた、例えば「○○」という字で「ひ○○」と読むとか、「○○」という字を書いて「こ○○」と読むとか、これなんかも外務省の方のパスポートなんかで何かチェックされているかというと、こういうケースにおいてチェックされているということを聞いたことがない。実際の名前のところについては、基本的には本人が申請したらそれは尊重するというのが実際のパスポート発行の運用実態だと思っています。一応規則の定めがあるから、それでやっていないとはいえないというのはよく分かるのだけれども、本当にチェックしているのかというと、パスポートの発行の際にそこまでの余裕はないというのが実態ではないかと思っています。そこの辺が不明確のまま、規則通り運用しているという形の表現をされていると、パスポートの記載内容が公証された材料であるとか何とかいうのがずっとその後も出てきているわけで、その辺はきちんと正確に発言してほしいと思っています。 ○窪田部会長 ありがとうございました。ただ、今の6ページの部分は、旅券法施行規則がどうなっているかということの記載があるだけで、具体的にどういうふうに実施しているかについては触れていないのですけれども、むしろ触れた方がよろしいという趣旨を含んでのものでしょうか。 ○舩木委員 本当は7ページの2の乙案の問題のところで、乙案の根拠となっている旅券法施行規則の運用の実態はそこまで対応できていないという書き方はできないのかも分かりませんが、そこについて、飽くまでも規則がそうなっているから、それで運用しているのだ、公証されているのだということばかり強調されすぎると、元々の主客が逆転してしまっているような気がしておりますので、その辺の配慮をお願いしたいと。 ○窪田部会長 分かりました。そこの部分のところで、乙案の問題点ということで、旅券法施行規則はこうなっているけれどもということで、その後どういうふうに書くのかという問題はありますが、恐らく外務省の方でも、旅券法施行規則はこうなっているけれども実際にはそれほど厳密に守っているわけではないと書くことは困難だろうと思いますので、実態としてどうなっているのかということについて、もし書くことが可能な範囲があるのだとすると、一度それを法務省と御相談していただいて、どういうことであれば書けるのかということについて協議していただくということでお願いできますでしょうか。 ○山口幹事 ありがとうございます。氏名の表記については旅券法施行規則に従い適切に実施しております。 ○窪田部会長 そうですか。恐らく舩木委員からの御質問の背景には、公の機関が発行した書類により確認しているということが、本当にそこまでやっているのだろうかという含みもあったのではないかと思うのですが。 ○山口幹事 ありがとうございます。繰り返しになり恐縮でございますけれども、旅券法施行規則は、原則として国字の音訓及び慣用により表音されるところによる、ただし申請者がその氏名について国字の音訓及び慣用によらない表音を申し出た場合には、公の機関が発行した書類等により通常使用されているものであることが確認されることが必要ということになっております。旅券事務は法定受託事務でございますので、外務省としては都道府県に対し処理する基準を示させて頂き、都道府県においてこの基準に従い適切に御対応頂いているものと考えております。 ○窪田部会長 分かりました。ただ、今の御発言の中で、公の機関が発行した書類「等」によってとおっしゃいましたけれども、規則自体は公の機関が発行した書類によって、になっていますので、かなり実は限定されるのかなと思うのですが、限定された形で審査しているということでよろしいですか。 ○山口幹事 公の機関が発行した書類によって判断しているということであり、「等」と付け加えて申し上げてしまいましたが、旅券法施行規則には「等」はございません。発言を訂正させて頂きます。申し訳ありません。なお、「公の機関」とは、必ずしも中央政府だけではなくて、公の性格を帯びた機関を広く含み得ます。 ○窪田部会長 分かりました。舩木委員、それでよろしいでしょうか。 ○舩木委員 はい、認識は違いますけれども、今日はこれで。 ○窪田部会長 それでは、それ以外に。 ○木村幹事 最高裁の幹事の木村でございます。第1の2の補足説明の関係でございますけれども、甲案の関係で、前回の部会において、権利濫用や公序良俗の法理で認められない読み仮名について、補足説明に具体的に記載いただきたいといった意見を述べました。権利濫用の法理における権利について、子に命名する場面においては氏名を平仮名(片仮名)で表記したものについての命名権が考えられると整理いただいているところでございます。他方で、氏名の読み仮名の許容性が問題となり得る場面としましては、子に命名する場面以外にも、例えば戸籍法107条ないし107条の2に基づく氏名の変更に伴い、これを平仮名(片仮名)で表記したものが変更される場合など、命名権の濫用という整理はできない場面もあるのではないかと思われます。   権利濫用における権利の内容については、法の一般原則による許容性審査の限界に関連するものと考えられるところでございまして、自治体窓口や裁判所の審査の在り方に関係するところです。従前の部会資料では記載されたこともあったかと思うのですけれども、これからパブリック・コメントで広く意見を聴くに当たりましては、この点についてどういったものが考えられるかということについて御議論いただいて、補足説明において御記載いただくということがよろしいのではないかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。 ○窪田部会長 その点については、法務省の方からお答えいただけますでしょうか。 ○櫻庭幹事 今回、パブリック・コメントに付していろいろな御意見を頂こうと思っているのですけれども、具体的に、多分その中ではこういう名前を認めてほしいとか、そういったものが出てくるかなと思っております。実際、我々今の段階でどういうものがあるかというのは分からないものですので、この補足説明に加えるというよりは、また一旦、今回は中間試案ということですので、最終的な取りまとめの前には一回そういう、どういうものという基準みたいなものを少し議論するのかなと思っております。この段階では特段、細かいことは書けないということもありますし、この案でそのまま進めさせていただいて、中間試案でいろいろ意見が出る中で、もう少し精緻なものができていけばいいかなと思っております。 ○窪田部会長 いかがでしょう、木村幹事、何か続けての御発言がありますでしょうか。 ○木村幹事 自治体窓口や裁判所での審査ということになってくるときに重要なところだと思いますが、今後、中間試案、パブリック・コメントの結果も踏まえて御議論の機会があるということでございますので、これ以上この段階で申し上げることはございませんが、引き続きそこのところにつきましては関心を持っているところでございまして、よろしくお願いしたいと思います。 ○窪田部会長 分かりました。当然、具体例があった方が判断しやすい、議論もしやすいということがあると思うのですが、恐らく中間試案の段階で、これは正しくこの項目から見て濫用に当たるとか、公序良俗違反に当たるという形で具体例を挙げたときに、仮に現にそういった読み方の方がいる可能性があるということが考えますと、少し具体例に関しては慎重に扱う必要もあるのかなと考えております。その点も含めて、必要があれば事務当局の方でもう少し御検討いただくということにさせていただければと思います。 ○木村幹事 先ほど私が中心的に申し上げたのは、権利濫用といったときの権利とは何かといったことでございまして、こういったところも含めて引き続き御議論をお願いしたいと思います。 ○窪田部会長 分かりました。少し私の方で誤解しておりました。申し訳ありませんでした。   それでは、ほかに第1に関して御発言はございますでしょうか。   それでは、第2の方に移ってよろしいでしょうか。第2について御説明をお願いしたいと思います。 ○櫻庭幹事 それでは、資料5-2の2ページの方を御覧いただきたいと思います。「第2 氏名を平仮名(片仮名)で表記したものの収集に関する事項」を御覧ください。第2は収集方法について二つ書かれておりまして、一つ目が、初めて戸籍に記載される方と、二つ目が、既に戸籍に記載されている方の二つに分けて記載しております。第2の「1 氏又は名が初めて戸籍に記載される者に係る収集」につきましては、変更は特にございません。   同じく2ページ、第2の「2 既に戸籍に記載されている者に係る収集」を御覧ください。本文につきましては、前回の会議における御意見を踏まえまして、文の区切りを変更するなど形式的な変更はございますが、内容について変更はございません。なお、(注)につきましては、前回会議における御意見を踏まえまして、届出義務を課すことは本人からの届出を促すための一つの方法であるということを明記したところでございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   ただいま御説明があったところですが、先ほど冨田委員からは、今回修正した部分で、本人からの届出を促すためという部分の追加は不要ではないかという御発言があったかと思います。これは前回、届出義務を課して過料の制裁を科すということ、これについては全然賛成はなかったのだろうと思いますが、それは届出を促すための一つの方策であるということについては多分、一定の共有はされていて、それを前提としての修正であったかと思いますが、冨田委員、先ほどの御発言から少し時間がたっておりますので、改めてその趣旨について御説明していただければ有り難いです。 ○冨田委員 ありがとうございます。前回そのような議論があったのは承知をしているのですが、今回改めてこの項を確認させていただいたときに、本人からの届出を促すためであっても、それから実効性確保であっても、どちらにせよ、やはり届出が過料を科すということになっているので、結果として収集のために過料を科すのだというふうに読めてしまうものですから、届出と申出の違いは何かというのを明記する上でも、この(注)自体は必要だと思うのですけれども、その理由をあえて記載しなくても読めるので、なくてもよいのではないかという改めての意見でございます。よろしくお願いします。 ○窪田部会長 ありがとうございます。この点については、ほかの委員からも何か御意見があれば伺えればと思いますが、いかがでしょうか。事務当局の方から何かございますか。 ○櫻庭幹事 元々この注意書を書いた趣旨につきまして御説明したいと思います。元々この注意書を書いた趣旨といいますのは、一般的に戸籍法上の届出義務があり、違反があれば過料を科すということもございますので、一定期間、届出がない場合にそういう過料を科すということも考えられるのではないかというところにあると思います。出生の届出の際に、これから初めて戸籍に記載される方につきましては、読み仮名がない場合には届出義務がきちんと果たされていないということで、届出義務を課されて、違反があった場合には過料を科すといったことになるわけでございまして、一方で、既に戸籍に記載がある方につきましては、いつまでも読み仮名を書かなくてもいい、そういうことのバランスから考えると、届出義務があり、また、届出義務違反があるのであれば過料の制裁を科すというような考え方が一つあるのではないか、というところでこの注意書が付されたものと承知しております。   前回の議論では、その届出義務につきまして、過料を科すという御意見もなかったわけですし、ただ、一方で本人からはきちんと届出をしてもらいたいという意見が多かったものでございますので、そうであれば、本人からの届出を促すためという文言を付した上でこの注意書を残してはどうかという趣旨で記載したところでございます。   また、これにつきましては、補足説明の方で少し書かれてございます。資料5-3の10ページを御覧いただけますでしょうか。「1 試案の概要」というところで、過料の対象になるということについては否定的な意見が多かったということで、この会議の総体としてはそういう意見だということでしっかり書いておるわけでございまして、また、他方でいろいろ過料の対象とならない申出事項と整理しつつ、申出しなければならないこととすべきであるという意見もあったと書かせていただきまして、最終的には、この会議におきましては過料につきましては誰も賛成はしなかったということではあるのですけれども、パブリック・コメントに付すということで、もちろんこれは過料に付すべきではないということで国民の意見もきちんと出るのではないかと、逆に、ここに書かないとそういった意見ももらえないのかなということで、ここに書かせていただいているという趣旨でございます。   長くなりましたけれども、以上です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○小幡委員 今の御説明で、結局、過料を科すような届出ではないということがはっきりしているので、それでよいのかなとは思うのですが、強いて言えば、本人からの届出を促すためではなくて、例えば、本文では「申出」ということとしたが、もう一つは戸籍法上のいわゆる届出義務で過料を科すというのもあり得るということをここで(注)で示していれば、コントラストもはっきりするのでそれでよいのではないかと思います。本人からの届出を促すためというと、申出ですとそれが難しいということが前提にあると思うのですが、必ずしもそうではないし、あるいは、私はやはり、余り読み仮名に問題がないような方は自分でやらなくても、そちらでやってもらえばよいと考える方もいるかもしれないので、それも許容してよいのではないかとも思いますので、そこの最初の部分、促すためとまで書かなくてもよいのではないかという意見です。 ○窪田部会長 小幡委員の御意見ですと、例えば、本人からの申出ではなく、本人に届出義務を課しと、そういう言い方をすることで申出と届出を区別するというようなやり方だってあり得るというイメージでしょうか。 ○小幡委員 もちろん、それは文章の問題だけだと思うので、それで結構だと思います。 ○窪田部会長 恐らく、申出と届出が違うニュアンスで使われているというのは、補足説明まできちんと読まないと、これだけでは卒然とは分からないと思いますので、その点を含めて、少し文言を考えていただくということでよろしいでしょうか。 ○藤原委員 藤原です。この(注)の部分について、日弁連内で会議したときも申出と届出について概念的にきちんと説明をしないとほかのバックアップのメンバーには分からなかったのです。冨田委員のおっしゃることは、たとえ本人からの届出を促すためということを書いたとしても、それは結局制裁ではないかということで、(注)は要らないということだと思います。むしろ、小幡委員のおっしゃるように、申出の場合には現行法上、制裁を科すことができないとすれば、届出という文言にして、届出義務を課して制裁を科すという方法もあるということで、(注)では、明確に概念を分けて説明していただいた方がいいのではないかと思います。 ○窪田部会長 十分に考えられることだろうと思います。申出と届出で違うのだというのは多分、法律をやっていても、えっというところだろうと思いますので、少しその点を検討していただいて、(注)の部分を、多分大きく書き直すというよりは、最初の部分について少し言葉を補足することで明確になるかと思いますので、御検討いただければと思います。   最初に御発言いただいた冨田委員は、そういった方向で検討するということでよろしいでしょうか。 ○冨田委員 はい、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 ○窪田部会長 分かりました。   それでは、第2について、ほかにございますでしょうか。 ○若月委員 主婦連合会の若月です。基本的なことをもう一度確認させていただきたいのですけれども、以前にも伺ったような気がしますが、ここで届け出る市区町村というのは、飽くまで本籍地の市区町村ということで、住所地のそれではないということですよね。だから、届け出るときは本籍地に届け出なくてはいけない、例えば出生届とか婚姻届のように、幾つか届出の窓口のオプションがあるわけではなくて、直接本籍地の市区町村でなければならないという理解でよろしいのですよね。 ○窪田部会長 事務当局の方からお願いします。 ○櫻庭幹事 考え方は二つあって、基本的に本籍地で読み仮名を記載するということになれば、本籍地という考え方もありますし、一方で戸籍法では25条という規定がありまして、戸籍は本籍地でなくても所在地でも届け出られるという規定がございますので、届出に寄せて考えれば当然、本籍地でなくて住所地でもいいということになりますし、ここはやり方の問題で、どちらでもあるのかなとは思っております。 ○若月委員 では、今の時点ではまだどちらになるか分からないけれども、ということですか。 ○櫻庭幹事 はい。より収集しやすくするためには多分、本籍地ではなくて住所地の方も認めた方が良いのではないかとは思いますけれども、そこはこれからの企画次第かなと思っております。 ○若月委員 そうですよね、遠くにある場合もあるので、そうなるともう届け出る手間を考えただけで嫌だ、みたいになってしまうこともあるかと思います。それに普通、市区町村と言われると一般の人は、住所地と思ってしまいそうです。本籍地、住所地、どちらの市区町村を指しているのか明確に分かるようにしていただけると、誤解しないで済むと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。では、その点は少し検討していただけますでしょうか。   その他、第2についてございますでしょうか。 ○舩木委員 今の市区町村のところにも絡むのですけれども、法務省案は、本籍地のところを基点として、住所地等の市区町村に届け出られたものも本籍地の市町村に集められ、そこで戸籍に記載するというものと思います。そういう考え方が一つはあると思うのですけれども、問題は届出、申出をしない国民に対してどのようにするか、ここの対応がきちんとしていないとこの制度はうまくいかないと思います。   申出がなかった場合にどのように対応するかについて、当該市区町村は国字の音訓、慣用、その他法令によって、使われているものを引用するというところがあります。補足説明の職権に当たっての指針、11ページの段落5のその一番下の行のところに記載されている「市区町村が保有する氏名を平仮名で表記したもの又はこれに準ずる情報」は、本籍地の市区町村にはないもので、住所地の市区町村、要するに住民基本台帳のところを管理しているところしかないと認識しています。その辺がきちんと正確に整理されていないと思います。問題は、本籍地のところで氏名の読み方の申出を集めて、申出を一旦受け付けますが、申出をしない人に対して、本籍地の市区町村はどうするのでしょうか。個々について申出をしていない人を分類して、それぞれの住所地の市区町村に個別にどういう名前の読み方なのですかと問い合わせをしてそれを戸籍に記載するのでしょうか。ものすごく手間な作業になっていると思います。前回も少し言いましたけれども、最初に住所地の市区町村から、住民基本台帳ではあなたの読み仮名はこうなっていますよと、それに異議があるか否かという形での問合せをする形にしなければ、全国民から収集というのは実際できないと思います。一個ずつ届出させて、アナログ式にそれをインプットして、そして、申出があるのかないのかを調査して読み方を確認するという作業は、何処の市区町村でも対応できる人的パワーもないし、全く無理な、無駄なことばかりしているような形になると思います。   今回の提案というのは、法務省が法務省管轄のところで、戸籍を基本として法務省管轄のところで制度改正を完結してくださいと、そういう前提で設定しているように思えるわけですけれども、そういう前提だったらうまくいかないのだと思うのです。やはり住民票というのは住所地、総務省の管轄になるわけですし、マイナンバーとかいうのはデジタル庁の方の管轄になるわけでしょうし、どうやって収集するかというのは、その縦割りの管轄を越えた部分で対応するということをしない限りはうまくいかないと思います。   それと、もう一つ言わせていただくと、今回の案は、職権で付する氏名の読み方について事前に言わないし事後的にも通知しない制度と思われます。要するに、国民はもし申出をしなかったら、どういう名前が付されているのか知らない、分からないままであり、そして、いつ気付くのですかと、いつ気付くか分からないままずっと年月が経過するのでしょうか。最初に、今回戸籍の名前を付することによってどういう便利になっていくのですか、どういう社会を目指すのですかという質問をしたのは、国民の理解と協力を得なければ今回の法改正はうまく運用できないと思っているからです。やはり国家を挙げて全部の組織を通じてやろうとするという姿勢が必要だと思います。これは法務省の方に言っても仕方がないとは思っているのですけれども、そういう問題をはらんでいると思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。ただいまのは、恐らく実質的にどういうふうな方法で収集するのが合理的なのかということで、法務省の管轄だけでできること、特に総務省の関わりということになると思いますが、そういう連携が必要になる部分とかというのを工夫しないとうまくできないということで、それは御指摘のとおりなのではないかと思います。ただいまの御意見というのは、第2のゴシック部分を改めるというよりは、その中で書かれている、実際には多分、既に戸籍に記載されている者に係る収集のところで書かれていること、これについてのより実践的な解決方法というのをやはり考えないと、制度はうまくいかないよという御指摘で、直接は中間試案あるいは補足説明の部分についても、申出を促す方策とかを書かれていますけれども、この部分を修正するというよりは、省庁連携で検討してほしいという御意見だと理解してよろしいでしょうか。 ○舩木委員 はい。 ○窪田部会長 その点について、事務当局から何かございますか。 ○櫻庭幹事 委員のおっしゃられることももっともなことでございますし、この政策というのは政府を挙げて実施しなければいけない施策だと認識しておりますので、総務省とデジタル庁と連携しながら、しっかり対応していきたいと思います。 ○窪田部会長 その点は是非総務省、デジタル庁にもお願いしたいと思いますので、いい形でこれが、比較的コストの掛からない形で実現できたらいいなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。   ほか、第2で。 ○藤原委員 藤原です。第2の2のところですけれども、先ほど若月委員が御指摘されたように、市区町村長というのが第1文と第2文にもありますけれども、恐らく第1文の市区町村というのは本籍地の市区町村、又は現行法を考えれば住民票がある市区町村で、第2文は、これは本籍地の市区町村しか考えられないと思うのですけれども、そこがパブコメに出したときに分かりにくいと思われるので、先ほど説明をするといった場合は、例えば、この部分は(注)で、市区町村がどこの市区町村なのかというのを書く方法も、明確にするためには、あるかなと思っています。   2番目として、意見というか要望ですけれども、申出をする場所について、住民票上の住所地から転居して、例えばDV被害者などは住所を隠しています。そうすると、申出をするのは、例えば最寄りの市区町村とかというところに広げていただいた方が、より申出をしやすいのではないかと思っています。 ○窪田部会長 分かりました。ただいまの御意見で、2ページの第2の2のところで、最初の市区町村長というのは本籍地又は住民票のある市区町村長、2番目の方の下から2行目の方は本籍地の市区町村長という趣旨ではないかということで、それであればその旨を書いた方が分かりやすいかもしれないという御指摘だったかと思いますが、その点、まず、いかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 そうですね、おっしゃるように、そのような記載が考えられるのかなと思います。 ○窪田部会長 また、本籍地は又は住民票のある市区町村というものでは場合によっては狭いかもしれないということで、もう少し広げる余地がないかということだったのですが、その点についてはいかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 その点については、法制上それが可能かどうかというのは少し検討が必要だと思われますので、そこは意見を踏まえて検討するということで、中間試案の案という現段階では少し書きにくいかなとは思っております。 ○新谷委員 新谷です。前回、藤原委員がおっしゃったように、基本的に2のところの市区町村というのは本籍地市区町村、戸籍実務ですと申出というのは基本的には本籍地市区町村で受けるというのが、戸籍法の20年かな、改正した27条の2のところでも、不受理申出制度というのを法制化しましたけれども、あの場合も本籍地市区町村に申出することができるという取扱いをしていますので、ですから、先ほどから出ているように、本籍地イコール住所地という方だったら問題ないわけですが、それ以外の方が非常に多いわけです。また、都市部に多いということになると、恐らく不受理申出も地元の市町村でできて、そこが取り次ぎをするという形になりますので、そういう取扱いをしていく、それがDV被害者であれば、先ほど言った最寄りの市区町村でも申出することができますよと、そういうふうに分かりやすく書いて皆さんに周知していった方が、スムーズに行くのではないかと考えます。以上が私の考え方です。 ○窪田部会長 ありがとうございます。今、新谷委員から御説明があったことを踏まえると、むしろ上も下も本籍地の市区町村長とした上で、恐らく(注)を付けて、それ以外の住民票のある市区町村又はその他の市区町村における申出もすることが可能であると考えられるとか、そういう(注)を付けるというイメージでしょうか。 ○新谷委員 そうですね。 ○窪田部会長 それは多分、十分にあり得ると思いますし、恐らく何も書かないで市区町村長と書いてあると、当然住民票のあるところだと、普通はそんな感じだろうと思いますので、そういうふうな形でより明確にするということを考えたいと思います。事務当局、それでよろしいでしょうか。 ○櫻庭幹事 はい。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほか、第2について、ございますでしょうか。 ○鷲崎幹事 鷲崎です。ありがとうございます。ここまでの本籍地の注記ですとか記載について、大賛成であります。   それで、細かい表記の話で恐縮ですけれども、第2の2項の第1段落目は、私はこれはいっそ削除してもよいのかなという気はいたしました、シンプルにですね。つまり、既に戸籍に記載されている場合には、案は一つに絞られていると私は解釈いたしていますので、既に戸籍法第13条第1号に定める氏名が戸籍に記載されている者に係るものについては、次の案により収集するものとするという段落は削除して、その次の段落から始めても、シンプルでよいのではないかと思いました。細かな点で恐縮です。本質的ではありませんので。 ○窪田部会長 ほかの部分は、特に複数の案があるわけではないところだと、もう案の内容というのが規定の内容みたいな形になっていることからすれば、次の案により収集するものといわなくてもいいのではないかということかと思いますが、事務当局、これはそうではないかと思いますが。 ○櫻庭幹事 そのとおりだと思います。 ○窪田部会長 では、そのようにしていただければと思います。 ○大谷委員 大谷でございます。どうもありがとうございます。第2のところなのですけれども、資料5-1そのものについては大きな意見はないのですけれども、5-3はかなりこれまでの議論の内容などを要約して掲載していただいておりますので、これまでの議論でどのような方針になったのか、あるいはその懸念事項、配慮事項といったものが伝わりやすい内容にしていただいていると思っております。   ただ、この全体が、どちらかというと戸籍を調製する当局目線というか、そんな感じで作られているということが気になっておりまして、戸籍法という法律、法制度をどのように変えるかと、そういう検討の中ではありますけれども、やはり国民の皆様の御協力を得て戸籍にこの読み仮名を付けていくという政策でありますので、例えば、申出を促すというような言葉などについても、それを全部訂正する必要はもちろんないですけれども、戸籍に読み仮名を申し出ることを容易にするための方策というのを、どちらかというと国民目線の言葉で書き換えられると、より伝わりやすいというか、私どもがこの部会で検討してきた内容をより正確に伝えることになるのではないかと思いますので、表現上の工夫は是非お願いしたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。例えば、資料5-3の11ページの4の申出を促す方策ということであれば、申出をより容易にする方策とか、何かそういうふうな表現で、促すというのは多分、上から目線のニュアンスが入っているということなのだろうと思います。少しそうした点、全体を通じてということになると思いますが、表現を見直していただいたらよろしいかと思います。また、大谷委員の方からは、具体的に気になる部分というのがございましたら、後で申し上げますけれども、もう一回取りまとめまでチャンスがあると思いますので、個別に特に気になるところは事務当局にお伝えいただければと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございました。 ○古瀬委員 古瀬でございます。よろしくお願いいたします。今回は骨子案ですので、幹の部分だけを明確にしていこうという御趣旨だろうと思っていますので、特段これに対してということではないのですけれども、全体的に主語が、誰が届け出るかみたいなところが、今回はあえて抜いているのかしらんとも思っていたのですが、そう思いながら読んでいましたけれども、資料5-3の12ページの第2段落目で、なお、市町村長において、実際に使用されているものが実際にいずれであるか判断することができないときには、戸籍に記載しないこととすることが考えられるというのがここに出てきまして、ずっと1回目からの議論で、誰が届け出るのだとか、家族の中で違う読み方をしていると主張している者があったらどうするのだというような議論があったのですけれども、今その辺りのことは全部省かれているので、これはまた具体の運用面を考えるときにもう少し精査して考えていくべきものだとは思っておりますが、ここがいきなり出てきたのが少し違和感がありまして、何か意図があるのであればお聞きしたいと思った次第です。 ○窪田部会長 ただいまの点、事務当局はいかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 表記については特段、何か意図があってというわけではありませんので、全体的に官側目線というものになったという御示唆を頂きましたので、国民目線ということで分かりやすくなるように一回見直してみたいと思います。 ○窪田部会長 今、古瀬委員から指摘がありました、夫婦間であるとか家族間で争いがあるというときにどう扱うのかという問題は多分、実践的な問題として、最終的にはまだ十分に検討されていない、残された課題だろうと思いますので、その課題が残っているという前提で、なお書の部分、この4行をあえて残すのか、それは将来の課題ということであれば、ここではもう含まないということも考えられるのかという御指摘だったのだろうと思いますので、その点について少し事務当局の方で御検討いただければと思います。 ○古瀬委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。 ○窪田部会長 それでは、第2に関して、ほかはよろしいでしょうか。 ○藤原委員 ゴシック体ではないですけれども、5-3の12ページの6の申出期間の経過により職権記載した後の職権訂正の申出の、二つありますよね、この違いがよく分からないのです。第1段落は、2行目から、当該記載に係る者がこれと異なる氏名を平仮名(片仮名)で表記したものとするよう、という場合と、第2段落は、その中の2行目、実際の氏名を平仮名(片仮名)で表記したものが戸籍に記載されたものと異なるときという、すみません、これがどう違うのか、具体的に教えていただけますでしょうか。 ○窪田部会長 多分すごく分かりにくい部分だと思いますが、事務当局の方でこの点、御説明いただけますか。 ○櫻庭幹事 大きい構造としましては、前段のパラグラフが管轄法務局長等の許可を得た戸籍訂正の話をしておりまして、後段の方は家庭裁判所の許可を得た戸籍訂正という、そういう大きい区分けになっております。管轄法務局長の許可を得た戸籍訂正、前段の方ですけれども、これにつきまして、それを市町村が職権で訂正して、それで管轄法務局長が、いいですよという、そういった類型なのですけれども、そういう比較的分かりやすいものについては戸籍法24条第2項の戸籍訂正がなじむであろうと。後段の113条というのは、家庭裁判所の方の許可を得た戸籍訂正ということで、錯誤があるとかそういった場合に使われるものなのですけれども、いずれかの方向で二つ考えられるということで提示したかっただけで、文言が少し違っていますけれども、同じ職権記載した後の訂正の話ですので、言い方の違いについて何か意図したものではないということでございます。 ○窪田部会長 多分、藤原委員からの御質問というのは、手続が違うというより場面自体が違うということを含むのかということであったと思うのですが、恐らくこれは両方ともが、市区町村長が職権により記載した氏名を平仮名で表記したものが戸籍に記載された場合において、どういう言い方をするかはともかく、本人が意図している読み仮名と異なる場合の扱いについては、次の二つの方法が考えられるとかという形でいえば、実は同じ問題について別の方法があるのだということになるのですが、今これを卒然と読むと、違う場面なのかなという印象を与えるだろうと思います。最初の方では、当該記載に係る者がこれと異なる氏名を申し出たときはとなっているのですが、恐らく上も下も、本人の意図しているものと表記が異なっている場合にどうするかということで、申し出たというのはもう手続まで含んだ形で、次の方は、もう一つの方法としては、家庭裁判所の判断を経た上での訂正手続というのがあるのだということだろうと思いますので、そこの部分は修文していただいた方が、やはり分かりやすいような気がいたします。よろしいでしょうか。 ○櫻庭幹事 はい。 ○窪田部会長 藤原委員も、それでよろしいでしょうか。 ○藤原委員 そうです、同じ現象に対して二つあるのが、これをどう区分けしていらっしゃるのかというのが分からなかったのです。 ○窪田部会長 それでは、そういう方向で訂正をお願いしたいと思います。   第2について、その他にいかがでしょうか。 ○舩木委員 今の藤原委員の指摘している部分の関連ですけれども、申出期間が経過して職権によって記載されたという内容を申出しなかった国民が知るというのは、どういうタイミングで知るのかという点のイメージを教えていただければと思います。 ○窪田部会長 いかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 職権でやる場合は、知らない間に読み仮名が付されているということですので、恐らく、自分がどういう読み仮名を付されているかというのは、戸籍証明書を請求して、それを見て取る場面ということが一番考えられるわけです。例えば、役所かどこかに添付資料として出す場合ですとか、そういった場面が考えられるのかなと思います。 ○舩木委員 申出をしなかった国民というのは、余り関心を持っていないと思いますので、自ら戸籍でチェックするということはほとんど考えられないと思います。婚姻届や出生届であるとか、転居届とか、そういう届出の際に氏名の読み方の申出についてチェックするというのは、前にそういう案も出たことがあったと思いますが、そういうことも考えているのでしょうか。あるいは、国民はずっと知らないまま放置されても、それはそれでやむを得ないと考えているのでしょうか。事前にやはり国民に通知するという制度が、氏名の読み方について職権で付すための正当性の根拠になるのではないかと思います。それは先ほども言った予算のところと絡むものですから、その辺はしっかり関係省庁も一緒になって確保していただきたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○新谷委員 今の点ですけれども、舩木委員がおっしゃるとおり、これはいつの場面に知るかということで、私は少し勘違いしていたかも分かりませんけれども、職権で戸籍に氏と名、読み方、読み仮名を振ったときには、御本人に通知をするものだというイメージを持っていたのです。前回の戸籍法改正で規則47条の2を新設しましたですよね、戸籍訂正をしたときには事前に、若しくは事後にでも通知をすべきであろうということで、規則47条の2が新設されていますので、それと同じ感覚で行けば、やはり職権で読み仮名を戸籍に記載をするということになれば、御本人に通知をしないと、これはやはり行政側としての問題があるのではないかと考えているところです。これは私の個人的な意見でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございます。そのとおりなのではないかと私も思って伺っておりました。費用の問題とかではなくて、戸籍の内容を訂正して本人が知らないというのは、それ自体が多分、申し出なかったのだから仕方ないでしょうでは済まない問題だろうと思いますので、ここに書くかどうかはともかくとして、その点は検討しておいてもらって立場を固めておいた方がいいのではないかと思います。ありがとうございました。   第2について、ほかによろしいでしょうか。   それでは、引き続きまして、最後、第3について、事務当局から御説明をお願いできますでしょうか。 ○櫻庭幹事 それでは、次に3ページ、「第3 氏名を平仮名(片仮名)で表記したものの変更に関する事項」を御覧ください。第3は①、氏又は名の変更がない、平仮名(片仮名)で表記したものだけを変更する場合、これが一つ。二つ目が、氏又は名の変更に伴いまして平仮名(片仮名)の変更がある場合。ケースとしましては、氏又は名の変更に伴いまして平仮名(片仮名)を変えないという場合もあるかもしれませんが、そういったものを含めて、氏又は名の変更がある場合の、この二つに分けて記載しております。   第3の「1 氏又は名の変更に伴わない場合の規律」を御覧ください。甲案につきましては、必ず家庭裁判所の許可を必要とする案、乙案については、場合によっては家庭裁判所の許可を必要とせず、市町村の戸籍の窓口だけで対応することもあるという案になってございます。甲案につきましては、内容に変更はございませんが、ブラケットを付した変更の要件の部分について、その趣旨を明らかにするために(注2)を追加しております。乙案につきましては、前回会議において、成年に達したときから1年以内に届け出る場合、その他法務省令で定める場合に限定した規律として、甲案と併せて併用するものと整理されたことから、そのことが分かるように、冒頭に、甲案に加えという文言を追記したところでございます。なお、法務省令で定める場合についてはどんなものがあるか検討が必要ですけれども、戸籍の窓口だけで対応するということを考えれば、何らかの軽微な変更の類いが該当するのではないかと考えられます。   続いて、4ページ、第3の2の方も説明させていただきますと、「氏又は名の変更に伴う場合の規律」でございます。これにつきましては、従前、二つの案を御提案しておりましたが、前回の会議におきまして、従前の乙案に一本化すべきとの意見が多数であったことから、従前の乙案のみを記載しておるということでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは、この第3について、何か御発言はございますでしょうか。 ○藤原委員 第3と直接的に関わるということではなくて、第3は変更の問題ですよね。そもそも申し出たときに、いや、そういう読み方は駄目というか、基準によって受け付けられなかった場合は、これは戸籍事件についての市区町村の処分という理解で、その枠で家裁に審判を申し立てるという理解でよろしいのですか。 ○窪田部会長 その点はいかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 122条の問題と捉えていますので、そのとおりでございます。 ○藤原委員 その点で、第2のところで、その不服申立ての手続の説明を書くのか、書かないのか、第3との場面の違いで、書かれてもいいのかなとは思うのですけれども、不服申立て手続が異なるということでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。中間試案の補足説明に入れるかどうかという点も含めてということになりますが、恐らく、もし入れるとしたら第2の方の補足説明の中で、申し出たのが駄目だと言われた場合の扱いということについて、書くかどうかということだろうと思います。その点、一度検討していただくということでよろしいでしょうか。 ○櫻庭幹事 類型が大きく異なるので、中間試案の案というよりは、補足説明で少し触れるかという程度かと思いますが、少し検討したいと思います。 ○窪田部会長 では、そのようにお願いしたいと思います。   ほかはいかがでしょうか。 ○若月委員 主婦連の若月です。成年に達した者がとあるのですけれども、この成年は20歳と考えてよろしいのですか。 ○窪田部会長 いや、もう今、18歳になっていますので、18歳だろうと思います。   いかがでしょうか。   それでは、第3までについて、検討は以上ということにさせていただければと思います。   大変に貴重な御意見を幾つも頂いたものと思っております。今回の御意見を踏まえつつ、おおむね部会資料5-1の方向での中間試案というものにさせていただきたいと考えておりますが、これは前回までお話ししていたのと違うスケジュールになるのですが、最終的な中間試案の作成については、一旦事務当局において引き取らせていただいて、所用の修正等を行った上で、改めて次回の会議、これは会議日程はまだ、あらかじめお伝えしているもの以外に、もう少し近い時期に会議を設定してということですが、そこで最終的な中間試案の案をお示しして、最終的に決定させていただきたいと考えております。   特に櫻庭さんの方から何か補足はありますか。 ○櫻庭幹事 今日頂いた意見等を踏まえまして、修正等をさせていただきまして、なるべく速やかに案等を送りたいと思いますので、御協力をお願いいたします。 ○窪田部会長 それでは、本日の審議は以上ということにさせていただきたいと思います。   次回の日程等について、御説明をお願いできますでしょうか。 ○櫻庭幹事 それでは、最後に事務当局から今後の予定につきまして御説明いたします。   今後につきましては、本日頂いた御指摘を踏まえまして必要な修文をさせていただき、これを御確認いただいた上で中間試案を確定していただく予定にしたいと考えております。   次回の日程につきましては、追ってメールにより日程を調整させていただきたいと考えておりますが、それほど時間が掛からずに終了するということも予測されますので、ウェブで参加いただくことを考慮いただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。 ○窪田部会長 それでは、法制審議会戸籍法部会の第5回会議を閉会させていただきます。   本日は熱心な御審議を賜りまして、どうもありがとうございました。 -了-