法制審議会 第191回会議 議事録 第1 日 時  令和3年9月16日(木)   自 午後2時00分                        至 午後3時30分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題   ア 刑事手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための刑事法の整備に関する諮問第115号について   イ 氏名の読み仮名の法制化に係る戸籍法例の改正に関する諮問第116号について   ウ 性犯罪に対処するための法整備に関する諮問第117号について   エ 侮辱罪の法定刑に関する諮問第118号について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○加藤司法法制課長 ただいまから法制審議会第191回会議を開催いたします。   本日は,委員20名及び議事に関係のある臨時委員2名の合計22名のうち,会議場における出席委員15名,ウェブ会議システムによる出席委員5名,計20名に御出席いただいておりますので,法制審議会令第7条に定められた定足数を満たしていることを御報告申し上げます。   初めに,法務大臣挨拶がございます。 ○上川法務大臣 法制審議会第191回会議の開催に当たりまして,一言御挨拶を申し上げます。   委員及び幹事の皆様方におかれましては,御多用中のところ本会議に御出席をいただきまして,誠にありがとうございます。 また,法制審議会の運営に関する皆様方の日頃の御協力に対しまして,厚く御礼を申し上げます。   さて,本日は,御審議をお願いする事項が四つございます。   まず,議題の第1は,本年5月に諮問いたしました,「刑事手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための刑事法の整備に関する諮問第115号」の答申についてでございます。 この諮問については,本年6月以降,刑事法(犯罪被害者氏名等の情報保護関係)部会において調査審議が重ねられ,本日,その結果が報告されるものと承知しております。 起訴状謄本の送達をはじめとして,捜査段階も含めて,刑事手続を通じて犯罪被害者の氏名等の情報を保護することができるようにするため,関係する刑事法の整備を早急に行う必要があると考えておりますので,できる限り速やかに答申を頂けますよう,お願い申し上げます。   議題の第2は,本日諮問予定の「氏名の読み仮名の法制化に係る戸籍法令の改正に関する諮問第116号」についてでございます。 現在,戸籍法には,氏名の読み仮名についての規定はありません。しかし,先の通常国会で成立した「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」の附則では,行政手続において,氏名を平仮名又は片仮名で表記したものを利用して個人を識別できるようにするため,これを戸籍の記載事項とすることを含め,本年5月のこの法律の公布後1年以内を目途として,具体的な方策について検討を加え,必要な措置を講ずることとされました。 また,昨年末に閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」においては,2024年からのマイナンバーカードの海外利用開始に合わせ,戸籍における氏名の読み仮名の法制化を図ることとされました。 戸籍において氏名の読み仮名を公証することは,まさにデジタル社会のインフラを構築するものでありますが,これを戸籍の記載事項とするに当たっては,氏名の音訓や字義との関連性をどこまで要求するか,どのような手続に基づいて戸籍に反映させるかなどの問題があります。 そこで,氏名の読み仮名を戸籍の記載事項とする規定を整備するなど,戸籍法制の見直しについて御審議をお願いするものでございます。   議題の第3は,本日諮問予定の「性犯罪に対処するための法整備に関する諮問第117号」についてでございます。 平成29年の刑法改正により,性犯罪の罰則について改正が行われましたが,その際,改正法附則において,性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加えることとされました。 法務省では,令和2年6月から,有識者により構成される「性犯罪に関する刑事法検討会」を開催し,事案の実態に即した対処を行うための刑事法の在り方について検討を行っていただき,本年5月,その検討結果が報告書に取りまとめられました。 法務省において,この報告書を踏まえて検討し,今般,諮問第117号記載のとおり,性犯罪に適切に対処するための法整備の在り方について,御審議をお願いするものでございます。   議題の第4は,本日諮問予定の「侮辱罪の法定刑に関する諮問第118号」についてでございます。 近時,インターネット上の誹謗中傷が社会問題化していることを契機として,誹謗中傷に対する非難が高まり,こうした行為を抑止すべきとの国民の意識も高まっていることに鑑みると,公然と人を侮辱する刑法の侮辱罪について,厳正に対処すべき犯罪であることを示し,これを抑止することが必要であると考えられます。 そこで,早急に侮辱罪の法定刑を引き上げる必要があると思われることから,御審議をお願いするものでございます。   それでは,これらの議題についての御審議・御議論をよろしくお願いを申し上げます。 ○加藤司法法制課長 法務大臣は,公務のためここで退席させていただきます。           (法務大臣退室) ○加藤司法法制課長 ここで報道関係者が退出しますので,しばらくお待ちください。           (報道関係者退室) ○加藤司法法制課長 まず,事務局から会議に当たっての留意事項を御案内いたします。   ウェブ会議システムにより御出席の委員におかれましては,御出席されていることを確認させていただくため,会議中は常にカメラをオンにしていただきますようお願いいたします。   また,本日の会議は,ペーパーレス化により,タブレット端末による資料配布となっております。操作方法等について御不明な点がございます場合には,事務局に適宜お知らせください。   では,内田会長,お願いいたします。 ○内田会長 内田でございます。本日はよろしくお願いいたします。   まず,前回の会議以降,本日までの間における委員等の異動につきまして御紹介いたします。 詳細はお手元にお配りしております異動表のとおりですが,新たに就任された委員等が本日出席されていますので,御紹介いたします。   まず,広島弁護士会弁護士,大迫唯志氏が委員に御就任されました。   大迫委員,一言御挨拶をお願いいたします。 ○大迫委員 広島からまいりました大迫といいます。よろしくお願いいたします。 ○内田会長 次に,民事局長,金子修氏が幹事に御就任されました。   金子幹事,一言御挨拶をお願いいたします。 ○金子幹事 法務省民事局長の金子でございます。幹事として参加させていただきます。よろしくお願いいたします。 ○内田会長 次に,最高裁判所事務総局総務局長,小野寺真也氏が幹事に御就任されました。   小野寺幹事,一言御挨拶をお願いいたします。 ○小野寺幹事 最高裁判所総務局長をしております小野寺でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○内田会長 どうぞよろしくお願いいたします。   それでは,本日の審議に入りたいと思います。   先ほどの法務大臣挨拶にもございましたように,本日は議題が四つございます。   まず,「刑事手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための刑事法の整備に関する諮問第115号」について,御審議をお願いしたいと存じます。   はじめに,刑事法(犯罪被害者氏名等の情報保護関係)部会における審議の経過及び結果につきまして,同部会の部会長を務められました大澤裕臨時委員から御報告いただきたいと存じます。   大澤部会長,報告者席まで御移動をお願いいたします。   それでは,よろしくお願いいたします。 ○大澤部会長 刑事法(犯罪被害者氏名等の情報保護関係)部会の部会長を務めさせていただきました大澤でございます。私から,同部会における審議の経過及び結果を御報告させていただきます。   諮問第115号は,刑事手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するため,早急に法整備を行う必要があると思われるので,要綱(骨子)についての意見を求めるというものでした。 去る5月20日に開催されました法制審議会第190回会議におきまして,この諮問については,まず,部会において検討させる旨の決定がなされ,この決定を受けて,刑事法(犯罪被害者氏名等の情報保護関係)部会が設けられました。   同部会では,4回にわたりまして,諮問に付された要綱(骨子)について集中的に調査審議を進めて議論を重ねました結果,前回の総会で示された要綱(骨子)の原案を修正した上で,賛成多数により,配布資料の刑1として本日お配りしております要綱(骨子)のとおり法整備を行うことが相当である,との結論に達しました。   それでは,部会における審議の概要につきまして,要綱(骨子)に沿って御報告いたします。   要綱(骨子)第一は,検察官が,性犯罪等の一定の事件について,公訴の提起と同時に,裁判所に対し,被告人に送達するものとして,起訴状の抄本であって被害者等の個人特定事項の記載がないものを提出することができ,その提出を受けた裁判所は,遅滞なくその抄本を被告人に送達しなければならないこととするものでございます。   要綱(骨子)第二は,捜査段階において,性犯罪等の一定の事件について,検察官又は司法警察員が,逮捕状の請求と同時に,裁判官に対し,逮捕状の抄本であって被害者等の個人特定事項の記載がないものを請求することができ,逮捕状により逮捕するに当たっては,当該抄本を被疑者に示すことができることとし,また,検察官が,勾留の請求と同時に,裁判官に対し,勾留質問における被疑事件の告知を当該個人特定事項を明らかにしない方法により行うこと及び勾留状の抄本であって当該個人特定事項を記載していないものを交付することを請求することができ,勾留状を執行するに当たっては,当該抄本を被疑者に示すこととするものでございます。   そして,要綱(骨子)第三は,被告人に起訴状の抄本を送達する措置がとられた場合には,刑事訴訟法第299条第1項による証拠開示の際に,また,要綱(骨子)第四は,被告人に起訴状の抄本を送達する措置がとられた場合には,同法第46条による裁判書等の謄本等の交付の際に,それぞれ当該措置に係る被害者等の個人特定事項を被告人等に秘匿することができることとするものでございます。   要綱(骨子)について議論となりました主な点は,それぞれの刑事手続における秘匿措置の対象事項の範囲でございました。 すなわち,要綱(骨子)の原案におきましては,起訴状における秘匿措置及び逮捕状・勾留状における秘匿措置について,対象事項を被害者及びそれ以外の者の個人特定事項とする一方,訴訟書類等の閲覧・謄写における秘匿措置,証拠開示における秘匿措置及び裁判書等における秘匿措置については,被告人の防御権の観点も踏まえ,対象事項を起訴状における秘匿措置をとった被害者の氏名及び住居としておりました。   この点について,部会においては,「起訴状の段階では秘匿されていた事項が,その後の刑事手続においては秘匿対象とされず,被告人側から請求等があれば,被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるか否かにかかわらず,被告人に知られることとなることは,一貫性を欠くものであり,また,被害者保護の観点から相当でない」,「刑事手続の段階によって秘匿措置の範囲が異なっており,運用が安定しない可能性があるため,秘匿措置の範囲を統一すべきではないか」といった意見が述べられました。 そして,これらを踏まえて議論を行った結果,最終的に,お手元の要綱(骨子)のとおり,刑事手続の全体を通じまして,秘匿措置の対象事項を被害者及びそれ以外の者の個人特定事項とすることといたしました。   具体的には,お手元の要綱(骨子)7ページの第一の三1及び2の訴訟書類等の閲覧・謄写における秘匿措置に関わる部分,それから,14ページの第三の二1及び2の証拠開示における秘匿措置に関わる部分,それからもう一つ,15ページの第四の一から三までの裁判書等における秘匿措置に関するものでございますが,これらの部分につきまして,今申し上げたような観点からの修正をしております。   また,部会においては,訴訟書類等の閲覧・謄写における秘匿措置及び裁判書等における秘匿措置をとる要件についても議論が行われました。 すなわち,要綱(骨子)の原案におきましては,起訴状における秘匿措置をとった場合には,訴訟書類等の閲覧・謄写における秘匿措置及び裁判書等における秘匿措置についても必要的にとることとしておりましたが,部会においては,「起訴状における秘匿措置をとれば,その後に事情の変更があっても,訴訟書類等の閲覧・謄写や裁判書等の段階において,引き続き,当該措置に係る被害者の氏名・住居を秘匿しなければならないこととなるのは相当ではないのではないか」,「訴訟書類等の閲覧・謄写や裁判書等の段階において,裁判所が秘匿措置の要否について実質的な判断ができないこととされているため,例えば,証拠開示においては秘匿措置がとられなかったのに,訴訟書類等の閲覧・謄写や裁判書等の段階においては秘匿措置をとらなければならない事態が生じ得ることとなるのは相当ではないのではないか」といった意見が述べられました。   そして,これらを踏まえて議論を行いました結果,最終的に,お手元の要綱(骨子)7ページの第一の三1及び2の訴訟書類等の閲覧・謄写における秘匿措置と,15ページの第四の一から三までの裁判書等における秘匿措置について,必要的なものとするのではなく,刑事訴訟法第299条の6に既に定められているのと同様に,裁判所が,検察官及び弁護人等の意見を聴いた上で,秘匿措置の必要性・相当性の要件を判断して,秘匿措置をとることが「できる」ことといたしました。   その上で,とり得る秘匿措置の内容として,刑事訴訟法第299条の4等と同様に,個人特定事項を被告人に知らせてはならない旨の条件を付すことのほか,被告人に知らせる時期又は方法の指定もできることとし,裁判書等における秘匿措置については,被告人の防御権に配慮して,被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは秘匿措置をとることができないこととする,ただし書も加えることといたしました。   さらに,部会においては,「裁判所が弁護人に対して付した条件等に弁護人が違反した場合については,現行の刑事訴訟法第299条の7第2項及び第3項と同様の処置請求に関する規律を設けることを要綱(骨子)において明記すべきである」といった点を始め,幾つかの技術的な点に関して意見が述べられ,これらを受けまして,お手元の要綱(骨子)5ページの第一の一14,7ページの第一の二5,8ページの第一の三3,17ページの第四の四として,それぞれ,処置請求に関する規律を設けることを明記するなどの修正を加えました。   修正後の要綱(骨子)につきまして,一括して採決に付しましたところ,部会長である私を除く出席委員8名のうち,賛成7名,反対1名の賛成多数により,修正後の要綱(骨子)のとおりの法整備を行うべきであるとの結論に至りました。   以上のような審議に基づきまして,諮問第115号については,お手元の要綱(骨子)のとおり法整備を行うことが相当である旨の決定がなされたものでございます。   次に,前回の総会において頂きました御意見について,当部会において御意見の要旨を紹介した上で,事務当局や委員から発言がありましたので,これについて御報告いたします。   まず,一つ目の御意見は,「性犯罪以外の窃盗や器物損壊などの事案においても被害者の恐怖は相当なものがあり,被害者の氏名等を秘匿できる範囲の拡大を含めて検討することが望ましい。」というものでした。 これに対しては,事務当局から,「秘匿措置の対象となる事件については,要綱(骨子)では,いわゆる性犯罪の罪名に当たる事件のほかにも,被害者等の個人特定事項が知られることにより,名誉等が著しく害されるおそれがあると認められる事件や,身体等に対する加害行為等がなされるおそれがあると認められる事件も掲げており,これらは罪名による限定はしていない」との説明がありました。   次に,二つ目の御意見は,「要綱(骨子)では,秘匿措置に対する不服申立てが認められているが,その判断基準が難しいように思われ,場合によっては悪用されて,被害者に二次被害が生じてしまうのではないかと懸念している。」というものでした。 これに対しては,事務当局から,「要綱(骨子)では,裁判所が,被疑者・被告人側からの不服申立て,すなわち秘匿された個人特定事項の通知請求に対し,その要件該当性を判断するに当たっては,検察官の意見を聴かなければならないものとしており,双方の主張・意見等を踏まえて判断がなされる仕組みとしている」との説明がありました。   最後に,三つ目の御意見は,「報道機関は,捜査機関から提供される情報にのみ依拠しているわけではないが,捜査機関が有する被害者に関する情報は,取材の大きな手掛かりになる。今回の法整備がなされることにより,その手掛かりを得る機会が広く制約されることになれば,報道機関の取材・報道活動に影響が生じかねないと懸念している。」というものでした。 これに対しては,検察官の委員から,「検察において,報道機関等に対する事件広報に当たっては,刑事訴訟法第47条の趣旨を踏まえつつ,個別の事案ごとに,公益上の必要性とともに,関係者の名誉・プライバシーへの影響,将来のものも含めた捜査・公判への影響の有無・程度等を考慮して,公表するか否かや,その程度及び方法を慎重に判断し,適切な事件広報が行われるように努めている,今回の諮問の法整備は,起訴状謄本の送達や逮捕状・勾留状の呈示といった刑事手続の過程で,被疑者・被告人側に対して,被害者等の個人特定事項が知られないようにするというものであって,これにより,報道機関等に対する事件広報の在り方が変わるものではないと考えている」との発言がありました。   また,警察の委員からも,「被害者に関する情報提供を含め,事件に関する報道発表について,警察としては,各都道府県警察において,犯罪被害者等関係者のプライバシー等への影響,公表することによって得られる公益,公表が捜査に与える影響等,個別の事案ごとに総合的に勘案して,発表の適否等について,組織としての判断・決定をしているところであり,今回の諮問に係る法整備の後も,それは変わらないものと認識している」との発言がありました。   以上で,当部会における審議の経過及び結果の御報告を終わります。 ○内田会長 御報告ありがとうございました。   それでは,ただいまの御報告及び要綱の全般的な点につきまして,御質問及び御意見を承りたいと存じます。   御質問と御意見を分けまして,まず,御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。   特に御質問はございませんでしょうか。   それでは,続いて,御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。 ○大迫委員 ありがとうございます。   私も,本要綱の目的である犯罪被害者等の安全の保障や,不安から守らなくてはいけないということが重要であって,そのための法整備が必要であると考えます。そして,その制度化に当たっては,その目的の実現とともに,被疑者・被告人の防御権の保障との調整が十分になされていることが必要と考えます。その点からすれば,本要綱は,その調整がいまだ不十分と思われる点が幾つかあると考えますので,その観点から反対の意見を述べさせていただきます。   まず,第1は,個人特定事項の範囲が明確に特定されていないと思われる点です。これは,捜査の側から考えれば,逮捕・勾留,起訴・公判などの手続の各段階において,証拠などの情報の量が異なり,例えば,逮捕・勾留段階では,何を個人特定事項として秘匿すべきかの情報が少なく,一義的に特定することが難しいということを考慮してとのことと思いますが,それゆえに,個人特定事項の外延が安易に不明確になる可能性があります。   第2に,弁護人への秘匿は,原則として行われるべきではないということは前提になっていると思われますが,その点が明確になっていない点です。   第3に,防御権との調整の役割となる不服申立ての問題点です。先ほどの,手続の段階によって情報量が変化することを,防御権の保障の観点からいえば,弁護人は,選任当初は被疑者からの情報しかなく,証拠が開示されるまでは収集できる情報も限られます。そのため,不服申立てにおいて主張すべき事由を理由付けるための情報量は,捜査側に比べて圧倒的に少ない状態です。要綱は現行刑事訴訟法第299条の4などが参考にされていると思いますが,これは公判段階での規定であり,逮捕・勾留段階とはその情報量が異なることになります。逮捕・勾留段階では,その情報量の少なさのため,申立ての理由として防御権の使用などを具体的に主張することが難しく,その結果,防御に支障を生ずるおそれがあります。そのほか,事実上の立証責任が転換されないことはもちろんのこと,申立てに必要とされる理由の程度や疎明方法等,不服申立手続について,手続の段階ごとの情報量の違いを踏まえた検討が,更に必要と考えます。   以上,意見を述べさせていただきました。 ○内田会長 ありがとうございます。ただいまの御意見に対して,何かお答えいただくことはありますでしょうか。 ○大澤部会長 一つ目の個人特定事項の範囲が不明確であるということについては,「個人特定事項」という言葉は,現行の刑事訴訟法の中で既に使われている概念であり,そのような事項に当たるものの中で,起訴状の謄本を抄本化するときに除かれた事項ということになるわけで,その点については,そういうものとして定義されているということで,私どもとしては審議をしてきたということかと思います。   弁護人への秘匿につきましては,規定の順番といたしましても,まずは弁護人には謄本を送達するということになっていて,しかし,それでは十分に被害者が保護されないという場合には,弁護人についても抄本を送達することができるという形で組み立てられているということで,そういう措置は飽くまでも必要に対し最小限度でとるべきであるということになっていると理解し,審議をしてきたのではないかと思っております。 ○内田会長 三つ目は不服申立ての手続で,情報量の差が大きいという点ですが。 ○大澤部会長 起訴状が提出されてすぐの段階においては,確かに情報量が少ないのかもしれませんけれども,手続が進んでいく中で,不服申立て自体は,時期的には限定をされているわけではございませんので,そういうプロセスの中で不服申立てを使っていくということも可能であるということではないかと考えてございます。 ○大迫委員 今の情報量の件は,逮捕・勾留段階と公判段階などの差というのが大きいのではなかろうかと考えているという意見をさせていただいた次第です。 ○内田会長 ありがとうございます。御意見承りまして,どうもありがとうございました。   続いて,御意見として,神津委員から手が挙がっておりますので,神津委員,どうぞお願いいたします。 ○神津委員 ありがとうございます。   先ほど,前回の第190回会議での意見について御紹介がありました。その中で,第1点目で紹介いただいた意見は私から提出をしたもので,内容は,性犯罪以外の窃盗や器物損壊などにおいても被害者の恐怖は相当なものがあるため,被害者の氏名等を秘匿する範囲の拡大を含めて検討されることが望ましい,というものです。   御説明にもありましたとおり,性犯罪に限らず,氏名等を知られることによって,名誉等が著しく侵害される可能性があるもの,あるいは身体等に危害が加えられる可能性があるものも含む,という点については受け止めます。   ただ,報道等を見ても,性犯罪のみが対象であるかのような印象が広がっておりますので,実際にはそこにとどまらない,という正確な内容を是非十分に国民に周知をしていただきたいと思います。 ○内田会長 ありがとうございました。   では,ほかに御意見はございますでしょうか。 ○大沢委員 ありがとうございます。   大沢ですけれども,基本的に,この要綱には賛成するものですけれども,先ほどの神津委員の御意見とも少し関わるかもしれませんが,今回の法整備は,性犯罪被害者のケースを主な対象にしているということだと思うのですが,要綱を見れば,これ以外にも先ほど御紹介のあったとおり,被害者の名誉や平穏が害されるおそれがあったり,あるいは危害が加えられたりするおそれがあったりする場合も,対象となり得るということなのだと理解しております。   ただ,この氏名,情報の秘匿ということが,ある程度必要なところで拡大されるのはよろしいと思うのですけれども,逆に必要以上に拡大されてしまうと,被告人の防御権等に影響が出るおそれも否定ができないので,法整備後,どこまでを秘匿するのかということに関しては,捜査機関及び裁判所において,適切な運用を心掛けていただきたいと要望いたします。 ○内田会長 どうもありがとうございました。   ほかに御意見はございますでしょうか。 ○今崎委員 御指名ありがとうございます。   今回に係る,刑事手続におきます犯罪被害者の保護の問題というのは,ただいま大迫委員からもいみじくも御指摘がありましたとおり,被告人の防御権の十全な行使の保障という面と,他方で犯罪被害者の保護という,それぞれ極めて重要でありながら,かつ,互いにしばしば矛盾,衝突するという,そういう原則の調和をどの辺に持つかという問題だと思います。刑事手続の世界では,この問題は比較的最近顕在化してきたわけで,とはいえ,平成12年のいわゆる犯罪被害者保護法というものの制定を皮切りにして,徐々に制度が拡充されてきたと。今回も,この犯罪被害者氏名等の情報保護という形で,その法整備が更に拡充されたものと,そういう一環と理解しているところでございます。   最初に申しましたように,法律的に難しい問題をはらんでいるわけで,そうした中で,今回の部会でも極めて充実した議論がされたと聞いておりますけれども,ここまでの答申案に至られるについては,大澤部会長を始めまして,委員・幹事,そして事務当局のお骨折りには,まず感謝と敬意を申し上げます。   その上で,犯罪被害者保護の問題というのは,実務上での工夫とか運用が先行し,これを受けて制度の整備が図られるというような歴史が繰り返されてきたように思っております。もちろん,法整備の在り方として,それがいけないというわけではもちろんございませんで,そういうものだろうと思いますけれども,ただ,殊この被害者保護という問題に関しましては,最初に申しましたように,比較的新しい問題であるということに加えまして,やはりこの問題についての社会全体の見方というものが,常に流動しているというようなこともございまして,なかなかそういう中で,明確な法的な根拠だとか,あるいは規律,基準のないまま,実務運用に委ねられるというところが少なくございませんでした。それを,検察官,弁護人でありますとか,あるいは被害者から委託を受けた弁護士,あるいは警察,そして裁判官や裁判所書記官といった,それぞれの関係者の,ちょっと語弊があるかもしれませんが,その知恵と善意や良識といったものに頼って解決してきたというところも少なくなかったように思っています。   今回の答申は,法制度として結実した折には,積年の課題の一つが解決されると,そういう面で誠に有意義なものと思っており,心から歓迎いたします。その上で,なお,実務運用に携わる者,取り分け,先ほど申し上げたような利害関係者の間に立って,その調整に携わる裁判所の立場から申し上げますと,いささかといいますか,若干積み残しの問題があるように聞かないではございません。もしそうであれば,今後も実務の運用状況をよく見ていただき,必要に応じて更なる法整備というものも御検討いただければ,大変有り難いと思っております。そのためにも,何年か後に制度の見直しというものが必要かどうかといったことを考えていただく機会を設けることも含めて,関係の皆様の引き続きの御尽力をお願いしたいと,このように考えている次第です。   以上申し上げた上で,今回の答申案に賛成の立場で意見を申し上げさせていただきます。 ○内田会長 どうもありがとうございました。   ほかに御意見はございますでしょうか。   特にございませんでしょうか。   それでは,様々御意見を頂戴いたしまして,ありがとうございました。それを踏まえてでございますが,原案につきまして採決に移りたいと思いますけれども,御異議ございますでしょうか。特にありませんでしょうか。   ありがとうございます。それでは,採決に移らせていただきます。   諮問第115号につきまして,刑事法(犯罪被害者氏名等の情報保護関係)部会から報告されました要綱のとおり,答申することに賛成の方は,挙手をお願いいたします。ウェブ会議システムにより出席されている委員につきましては,賛成の方は画面上で見えるように挙手していただくか,挙手機能ボタンを押していただくようにお願いいたします。どうぞお願いいたします。           (賛成者挙手) ○内田会長 票読みをお願いいたします。   よろしいでしょうか。手を下ろしていただいて結構です。   それでは,ただいまの議案につきまして,反対の方の挙手をお願いいたします。           (反対者挙手) ○内田会長 票読みよろしいでしょうか。はい,手を下ろしていただいて結構です。ありがとうございます。 ○加藤司法法制課長 採決の結果を御報告申し上げます。   議長及び部会長を除くただいまの出席委員数は18名でございますところ,原案に賛成の委員は17名,反対の委員は1名でございました。 ○内田会長 ありがとうございます。   それでは,採決の結果,賛成者多数でございましたので,刑事法(犯罪被害者氏名等の情報保護関係)部会から報告されました要綱は,原案のとおり議決されたものと認めます。   議決されました要綱につきましては,会議終了後,法務大臣に対して答申することといたします。   大澤部会長におかれましては,多岐にわたる論点につきまして調査審議をしていただき,大変充実した審議をしていただきまして,ありがとうございました。   それでは,続いて,次の議題に入りたいと思います。   「氏名の読み仮名の法制化に係る戸籍法令の改正に関する諮問第116号」について,御審議をお願いしたいと存じます。   初めに,事務当局に諮問事項の朗読をお願いいたします。 ○土手民事第一課長 民事局民事第一課長の土手でございます。   諮問事項を朗読させていただきます。   諮問第116号   個人の氏名を平仮名又は片仮名で表記したものを戸籍の記載事項とする規定を整備するなど,戸籍法制の見直しを行う必要があると考えられるので,その要綱を示されたい。 ○内田会長 ありがとうございます。   続きまして,この諮問の内容,諮問に至る経緯及びその理由につきまして,事務当局から説明をお願いいたします。 ○金子幹事 民事局長の金子でございます。   氏名の読み仮名の法制化に係る戸籍法令の改正に関する諮問第116号につきまして,提案に至りました経緯及び諮問の趣旨等を御説明申し上げます。   戸籍法において,氏名を戸籍の記載事項とする規定はございますが,氏名の読み仮名に係る規定はございません。氏名の読み仮名の法制化につきましては,昭和50年及び昭和56年の民事行政審議会,平成29年に省内に設置された戸籍制度に関する研究会におきましても検討されましたが,様々な問題や課題があるとして見送られた経緯がございます。しかし,令和2年12月25日に閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」におきまして,マイナンバーカードに氏名をローマ字表記できるよう,迅速に戸籍における読み仮名の法制化を図ることとされました。   また,本年5月19日に公布された「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」の附則第73条におきましても,行政手続等において,読み仮名を利用して当該個人を識別することができるようにするため,この法律の公布後1年以内をめどとして,読み仮名を戸籍の記載事項とすることについて検討を行うこととされたところでございます。   戸籍に氏名の読み仮名を付するに当たりましては,幾つかの課題を検討する必要がございます。   第1に,読み仮名を戸籍の記載事項とする場合に,読み仮名の法律上の位置付けや,漢字の音訓や字義と読み仮名との関連性を考慮する基準,あるいは読み仮名を変更する手続等につきまして,検討する必要がございます。   第2に,新たな戸籍に記載する読み仮名に関し,新たに氏名を戸籍に記載するものと,既に氏名が戸籍に記載されているものに対して,それぞれどのように読み仮名の情報を収集するかについても検討し,戸籍法令の整備をする必要がございます。そこで,これら個人の氏名を平仮名又は片仮名で表記したものを,戸籍の記載事項とする規定を整備することなど,戸籍法制の見直しを行う必要があると考えられますことから,戸籍法制の見直しについて法制審議会に諮問をするものでございます。   諮問第116号についての御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○内田会長 どうもありがとうございました。   それでは,ただいま御説明のありました諮問第116号につきまして,まず,御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。   特に御質問はございませんでしょうか。 ○小杉委員 ありがとうございます。   質問したいのは,既に読み方として,通達では,住民基本台帳の利便のために設けているという話ですが,この先読み方を収集するに当たって,そこで集められたものというのを使うことはできないのでしょうか。 ○内田会長 ただいまの御質問について,お答えいただけますでしょうか。 ○金子幹事 今,小杉委員から御指摘ございましたとおり,現在住民基本台帳の事務処理上の利便等のために,出生届等に読み方の記載欄がございまして,そのようなものとして読み仮名,読み方というのが付されているという現状にございます。   新しく今回の諮問をさせていただいた事項につきまして,法制化するという場面に当たりまして,既にあるこの事実上使われている読み方との関係をどのように整理するかという,このこと自体が,今後法制審議会で御議論いただくことになろうかと思います。つまり,今までのものをどのように生かしていくのか,あるいは,全く一から収集していくのかという辺りは,今後の御議論になると思いますので,そこで御審議いただければと考えております。 ○内田会長 ありがとうございます。小杉委員,よろしいでしょうか。   それでは,ほかに御質問はございますでしょうか。   では,続いて,御意見がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。 ○佐久間委員 ありがとうございます。   私から2点です。まず,この問題というのは,今のデジタル化,グローバル化の中では必要なことは論を俟たないと思うので,とにかくこの整備については一日も早くやっていただきたいと考えます。   それともう一つ,既存の戸籍の読み方の収集について,これは是非,デジタル化を活用することでスムーズに行っていただく必要があるかと思いますので,その点で必要な制度があるのであれば,そこもやはり手を付けていただきたい。もうマイナポータルで収集するということを,当然の前提にすべきだとは思いますので,それを紙で出さないといけないといったようなことがないように,これは,かなり実務的なものではありますけれども,もしそれを実行するとき,何か問題があるのであれば,法的な手当ても一緒に考えていただきたいと思います。 ○内田会長 ありがとうございます。ただいまの御意見に対して,特にお答えいただくことはありますか。 ○金子幹事 佐久間委員から御指摘のとおり,何らかの形で読み仮名を戸籍に付する等の法制化をした場合に,その収集の方法,あるいは届出を頂くという際に,デジタルの活用をしていく,例えば,マイナポータルを活用していくということは十分考えられることかと思いますので,参考にさせていただきたいと思います。 ○内田会長 重要な御指摘ありがとうございます。   ほかに御意見はございますでしょうか。   特にありませんでしょうか。   それでは,このテーマについての調査審議の方法については,また後にまとめて扱うことといたしまして,続きまして,次の議題に入りたいと思います。   次の議題は,「性犯罪に対処するための法整備に関する諮問第117号」についてでございます。   初めに,事務当局に諮問事項の朗読をお願いいたします。 ○浅沼刑事法制企画官 刑事局刑事法制企画官の浅沼でございます。   諮問事項を朗読させていただきます。   諮問第117号   近年における性犯罪の実情等に鑑み,この種の犯罪に適切に対処するため,所要の法整備を早急に行う必要があると思われるので,左記の事項を始め,法整備の在り方について,御意見を承りたい。   第一,相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備   一,刑法第176条前段及び第177条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法第178条に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。   二,刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げること。   三,相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。   四,刑法第176条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。   五,配偶者間において刑法第177条の罪等が成立することを明確化すること。   六,性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。   第二,性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備   一,より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。   二,被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。   第三,相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処罰を確保し,その画像等を確実に剝奪できるようにするための実体法及び手続法の整備   一,性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。   二,性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること。 ○内田会長 ありがとうございます。   続きまして,この諮問の内容,諮問に至る経緯及びその理由につきまして,事務当局から説明をお願いいたします。 ○川原幹事 刑事局長の川原でございます。   諮問第117号につきまして,諮問に至りました経緯及び諮問の趣旨等について御説明申し上げます。   平成29年6月に成立した刑法の一部を改正する法律により,性犯罪の罰則について改正が行われましたが,改正法附則第9条において,「この法律の施行後3年を目途として,性犯罪における被害の実情,この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し,性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え,必要があると認めるときは,その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」こととされました。   法務省では,この検討に資するよう,平成30年4月から,省内の関係部局の担当者を構成員として,「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ」を開催し,各種の調査・研究やヒアリング等により実態把握を進め,令和2年3月,その取りまとめ報告書を公表しました。 そして,同年6月から,被害当事者,被害者心理・被害者支援関係者,刑事法研究者,実務家を構成員として,「性犯罪に関する刑事法検討会」を開催し,同検討会において,性犯罪に関する刑事の実体法・手続法の在り方に関する様々な論点について,法改正の要否・当否の議論が行われ,令和3年5月,検討結果として,更なる検討に際しての視点や留意点が示されるなどした報告書が取りまとめられました。 法務省において,この報告書を踏まえて検討し,近年における性犯罪の実情等に鑑み,この種の犯罪に適切に対処するため,所要の法整備を早急に行う必要があると考え,今回の諮問に至ったものです。   次に,諮問の趣旨等について御説明いたします。   配布資料番号刑2を御覧ください。   今回の諮問におきましては,主に御審議いただきたい事項を,「第一」から「第三」までに分けて掲げております。   「第一」の事項は,「相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備」についてです。 具体的には,「一」から「六」まで挙げており,「一」として,現行法上,13歳以上の者に対する強制わいせつ罪及び強制性交等罪は「暴行又は脅迫を用いて」行われたことが要件とされ,また,準強制わいせつ罪及び準強制性交等罪は「心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて」行われたことが要件とされておりますが,それらの要件を改正すること,「二」として,現行法上,暴行・脅迫を用いなくても強制わいせつ罪又は強制性交等罪が成立することとされる年齢は「13歳未満」とされておりますが,その年齢を引き上げること,「三」として,相手方が脆弱であることや,相手方との間に一定の地位・関係性があることを利用して行われる性交等やわいせつな行為に係る罪を新設すること,「四」として,現行法上,強制性交等罪の対象となる行為は,性交,肛門性交又は口腔性交とされ,陰茎以外の身体の一部又は物を挿入するわいせつな行為は,強制わいせつの罪の対象とされておりますが,そのようなわいせつな挿入行為について刑法における取扱いを見直すこと,「五」として,配偶者間において強制性交等罪などが成立することを明確化すること,「六」として,性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する,いわゆるグルーミング行為に係る罪を新設すること,といった事項について,御審議いただきたいと考えております。   「第二」の事項は,「性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備」についてです。 具体的には,「一」として,現行法上,性犯罪の公訴時効期間は,強制性交等罪が10年,強制わいせつ罪が7年とされており,これを経過すると訴追ができないこととなりますが,より長期間にわたって訴追の機会を確保するために公訴時効を見直すこと,「二」として,現行法上,捜査機関が被害者等から聴取した結果を記録した録音・録画記録媒体は,いわゆる伝聞証拠として証拠能力が認められないのが原則ですが,その証拠能力についての特則を新設すること,といった事項について,御審議いただきたいと考えております。   「第三」の事項は,「相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処罰を確保し,その画像等を確実に剝奪できるようにするための実体法及び手続法の整備」についてです。 具体的には,「一」として,性的姿態の撮影行為やその画像等を提供する行為に係る罪の新設,「二」として,性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みの導入,といった事項について,御審議いただきたいと考えております。   本諮問に係る問題は喫緊の課題であり,必要となる法整備の在り方について十分に御議論いただき,できる限り速やかに御意見を賜りますよう,お願いいたします。 ○内田会長 ありがとうございました。   続きまして,配布資料につきまして,事務当局から説明をお願いいたします。 ○浅沼刑事法制企画官 配布資料の説明をさせていただきます。   番号刑2は,先ほど朗読いたしました諮問第117号です。 番号刑3は,事務当局からの説明で概要を申し上げた平成29年に成立した刑法の一部を改正する法律の附則第9条です。 番号刑4は,事務当局からの説明の中で触れました「性犯罪に関する刑事法検討会」の取りまとめ報告書です。   配布資料の説明は以上です。 ○内田会長 どうもありがとうございます。   それでは,ただいま御説明のありました諮問第117号につきまして,まず,御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。 ○白田委員 質問をさせていただきます。   まず,刑4の書類の方で記載されています,第2回・第3回会議ではというところに,①男性の性被害ということが記載されていると思います。全体的な流れが,どうしても女性の被害に集中しているように見受けられるのですが,これは,会議において,男性の性被害についても議論を重ねて,この諮問に至っていると解釈してよろしいのでしょうか。   ちょっと説明を加えさせていただきます。   その中の強制性交等の罪の対象となる行為のところに,肛門性交の話が出ています。さらに,心神喪失とかそういったことではなく,この中に,障害を有する者を被害者とする罰則の在り方についてということが議論されたと記載されております。抗拒不能と記載されているのですが,私が実際に大学において経験した例で,ちょっと個人的なことも含まれますが,説明させていただきます。   学生は視覚障害者,男子です。視覚に障害がありますので,何が周りで起こっているかは,本人は理解ができない状態でした。その状態で,ほかの男子学生数人から肛門性交を受けました。そのときは,何が起こったか本人は全く理解ができなかったようです。その後,その被害について,周辺及び組織に訴え続けていたのですが,なかなかそういう行為における自身の被害意識に対して理解を得られず,最終的には,訴え自体が公的には認められなかったという事実がありました。   そこで,先ほどの最初の質問に戻ります。ここのところに,①として男性の性被害ということが記載されておりますので,そのことについては,どのような議論がなされたのかということについて,是非教えていただければと思います。 ○内田会長 ありがとうございます。検討会の内容についての御質問ですが,お答えいただけますでしょうか。 ○保坂関係官 事務当局としてお答えします。   まず,男性の性被害ということで申しますと,平成29年の改正前は,強姦罪の被害者は女性に限られていたわけですが,言わばジェンダーニュートラルとする形で,性交のほか,口腔性交,肛門性交といった男性も被害者になり得る行為を強制性交等罪の対象とする法整備をしたところでございます。それに加えまして,この検討会におきましては,さらに,いわゆる陰茎の挿入以外の行為についても,位置付けとして,強制性交等罪の対象にするのか,そうでないのかということが議論の対象になりました。おっしゃったとおり,男性の性被害も含めて,いわゆる性的マイノリティーの方の性被害について,検討会におきましてヒアリングをさせていただいて,どういう性の実態,あるいは性被害の実態があるのかということを踏まえて,議論をしたところでございます。   検討会におきましては,具体的な結論までは出ていないのですが,検討の材料として刑4の取りまとめ報告書がございますので,これも踏まえて,法制審議会の方で御議論していただければと,事務当局として考えているところでございます。 ○白田委員 分かりました,ありがとうございます。是非,男女を問わずというか,そういったところが具体的に織り込まれると良いと考えております。是非討論をよろしくお願いいたします。 ○内田会長 ありがとうございます。   ほかに御質問いかがでしょうか。 ○大迫委員 ありがとうございます。   私も,この「性犯罪に関する刑事法検討会」の取りまとめ報告書は読ませていただきましたけれども,各事項について,各委員の方々が今の性犯罪の被害の甚大さや被害者に対する心の問題について認識をされておられ,そういう状況の中で,今回の諮問事項にあるような事項については,どういうふうに具体化するかについて,その適否・要否も含めて,いろいろな御意見があったところだと理解をしました。その中では,今の刑法の一部を改正する法律附則第9条においても,施策の在り方について検討を加え,必要があると認めるときは,その結果に基づいてと規定されているのですけれども,今回の諮問も,これらについての適否・要否も含めて議論がされるという理解でよろしいでしょうか。 ○内田会長 諮問の内容についてですが,お答えいただけますでしょうか。 ○保坂関係官 御指摘いただいた点でございますけれども,諮問の趣旨といたしまして,「記」の後に掲げている事項につきましては,これを主な事項として御議論いただきたいということでございます。   その上で,「法整備の在り方について,御意見を承りたい」としている趣旨は,当否や要否について検討した上で,これは法改正を要するとされた事項については,その要綱という形でお示しいただきたいという趣旨でございますので,もし仮に,どれかの事項について,法整備は当否でいうと否である,あるいは要否でいうと不要であるということになった場合には,要綱という形にはならないと考えております。いずれにしても,ここに掲げさせていただいた事項については御議論をいただきたいというのが,諮問の趣旨でございます。 ○内田会長 よろしいでしょうか。 ○大迫委員 はい,ありがとうございました。 ○内田会長 ほかに御質問はございますでしょうか。   特にありませんでしょうか。   それでは,御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。   特に御意見ございませんか。 ○大迫委員 先ほど質問させていただいたことに関連いたしますけれども,そういうことで非常にこの刑事法検討会では充実した内容の御検討をされておられると思います。その中で,委員の皆さんのいろいろな悩んだ末の御意見というのが,随分あったように理解をしました。そういう意味では,この諮問についての審議の際にも,要否・適否を含めて十分慎重な議論をお願いしたいと思っております。ありがとうございます。 ○内田会長 ありがとうございます。 ○神津委員 ありがとうございます。   まず,「第一」の「一」について,暴行・脅迫要件を緩和する方向については受け止めるところですが,連合の政策においては,性犯罪の事実認定における同要件の削除を掲げております。特に,足元のコロナ禍において性被害の相談が増えているという状況を,連携する民間支援団体からも聞いております。先進諸国の諸事例も参考にしながら法整備することが喫緊の課題です。   具体的には,被害当事者の皆さんは不同意性交罪の導入や公訴時効の撤廃・延長等を求められている,と聞くところでして,そういった声に寄り添いつつ,十分な審議が進められるようにお願いをしたいと思います。   また,「第一」の「三」について,昨年の6月に改正労働施策総合推進法などが施行されてハラスメント対策は強化の方向にありますが,まさに地位・関係性を利用した就活生に対するセクハラが,リモート化の現状も含めて横行しているという実態があります。そのため,幅広い関係性や場面に対応した規定を整備する必要があると考えます。   次に,「第一」の「五」について,連合の政策において,対象に配偶者を含めるということを掲げております。配偶者間でも性犯罪が成立することを明確化する方向に賛同した上で,家族やパートナーの在り方が多様化していることも念頭に置きつつ,この点についても十分な審議をお願いしたいと思います。   最後に,「第三」の「一」と「二」について,これも記載のとおり画像等を確実に剝奪できるようにすることが重要であると考えますので,実効的な法整備のための審議を是非進めていただきたいと思います。 ○内田会長 どうもありがとうございました。審議を行うについての,様々な留意すべき点について御意見を頂きました。   ほかに御意見はございますでしょうか。   特にございませんでしょうか。   それでは,このテーマについての調査審議の仕方については,また後ほどまとめて検討するということにいたしまして,次の議題に移らせていただきたいと思います。   次の議題は,「侮辱罪の法定刑に関する諮問第118号」についてでございます。   初めに,事務当局から諮問事項の朗読をお願いいたします。 ○栗木参事官 刑事局参事官の栗木でございます。   諮問事項を朗読させていただきます。   諮問第118号   近年における侮辱の罪の実情等に鑑み,早急にその法定刑を改正する必要があると思われるので,別紙要綱(骨子)について御意見を承りたい。   要綱(骨子) 侮辱の罪(刑法第231条)の法定刑を1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料とすること。 ○内田会長 ありがとうございます。   続きまして,この諮問の内容,諮問に至る経緯及びその理由につきまして,事務当局から説明をお願いいたします。 ○川原幹事 刑事局長の川原でございます。   諮問第118号につきまして,諮問に至りました経緯及び諮問の趣旨等について御説明申し上げます。   近時,インターネット上において,誹謗中傷を内容とする書き込みを行う事案が少なからず見受けられます。このような誹謗中傷は,容易に拡散する一方で,インターネット上から完全に削除することが極めて困難であるといった特徴を有することから,他者の名誉を侵害する程度が大きいなどとして,重大な社会問題となっています。 他方で,他者に対する誹謗中傷は,インターネット以外の方法によるものも散見されるところであり,これらによる名誉侵害の程度にも大きいものがあります。   こうした誹謗中傷が行われた場合,刑法の名誉毀損罪又は侮辱罪に該当し得ることとなりますが,侮辱罪の法定刑は,刑法の罪の中で最も軽い「拘留又は科料」とされています。 こうした現状を受け,インターネット上の誹謗中傷が特に社会問題化していることを契機として,誹謗中傷全般に対する非難が高まるとともに,こうした誹謗中傷を抑止すべきとの国民の意識も高まっていることに鑑みると,公然と人を侮辱する侮辱罪について,厳正に対処すべき犯罪であるという法的評価を示し,これを抑止することが必要であると考えられます。 そこで,早急に,侮辱罪の法定刑を改正する必要があると思われることから,今回の諮問に至ったものです。   次に,諮問の趣旨等について御説明申し上げます。   配布資料刑5を御覧ください。   今回の諮問に際しましては,事務当局において検討した案を要綱(骨子)としてお示ししてありますので,この案を基に,具体的な御審議をお願いいたします。   要綱(骨子)について御説明申し上げます。   これは,侮辱罪の法定刑を「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に引き上げることとするものです。 近時の侮辱罪に該当する行為の実態を踏まえ,厳正に対処すべき犯罪であるという法的評価を示すとともに,その威嚇力によってこれを抑止するため,侮辱罪の法定刑を名誉毀損罪に準じたものに引き上げることが相当であると考えられます。そして,名誉毀損罪の法定刑が「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」とされていることに鑑み,侮辱罪における懲役・禁錮の長期を「1年」,罰金の多額を「30万円」とするものです。   要綱(骨子)の概要は以上のとおりです。 十分御審議の上,できる限り速やかに御意見を賜りますよう,お願いいたします。 ○内田会長 ありがとうございました。   続きまして,配布資料につきまして,事務当局から説明をお願いいたします。 ○栗木参事官 配布資料の説明をさせていただきます。   番号刑5は,諮問第118号です。 番号刑6は,侮辱罪の科刑状況です。   配布資料の説明は以上です。 ○内田会長 ありがとうございました。   それでは,ただいま御説明のありました諮問第118号につきまして,まず,御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。   特に御質問はございませんでしょうか。   それでは,続いて,御意見がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。 ○白田委員 まず,非常に重要な案件だとは思っております。   誹謗中傷というのが非常に抽象的であって,やはり受け取る側の感性などによっても,その誹謗中傷に該当するかどうかということを確定できるかどうかというのは,非常に心配しております。自殺に至った例等様々な事案もありましたので,先ほど大臣もおっしゃったように,法の抑止力という意味では非常に重要な検討課題だとは,私も思っております。 自分自身も今,ネット上でかなり,「バカ」,「アホ」と書かれておりますので,なるべく見ないようにはいたしておりますけれども,それがまた拡散されて,それを見た人がまた,「バカ」,「アホ」と,こう書いているというところもありますので,一番やはり懸念しておりますのは,最初言いましたように,それが侮辱に当たるのか,該当するのかどうかを誰がどの様に判断するかという基準です。そこのところについては,これから十分に御検討いただくことかとは思いますが,本人はそう思ったけれども,それは該当しないと判断されてしまうとか,その辺のところをちょっと懸念しているという,個人的な意見でございます。 ○内田会長 ありがとうございます。   ほかに御意見はございますでしょうか。 ○大迫委員 ありがとうございます。   インターネット上の誹謗中傷については,安易にできるという上に,それが容易に拡散されて,なおかつ,それが残ってしまうということで,被害が甚大になって,そのため被害者の方に与える影響も大きく,大変重要な問題だと思っています。   その上で,これを検討するに当たっては,やはり民主主義の根幹であるところの憲法上保障されている表現の自由の萎縮効果ということを考える必要があると思います。諮問の法定刑を前提にするとすれば,定まった住所がある場合でも,逮捕・勾留される可能性があること,あるいは,侮辱罪については,名誉毀損罪のような公共の利害に関する場合の特例とか,公人に対する論評の場合についての違法阻却事由も一般規定以外に規定がないものですから,そういう意味で,公益的な論評についても,逮捕・勾留あるいは処罰の対象になるということが,表現の自由の萎縮効果をもたらすのではなかろうかという点を懸念しております。そういう意味で,慎重な討議をお願いしたいと思っています。 ○内田会長 ありがとうございます。   ほかに御意見はございますでしょうか。   特にありませんでしょうか。   どうもありがとうございます。特に御意見,御質問はほかにないようですので,それではここで,これまでの諮問,三つございましたが,第116号,第117号及びただいまの第118号の審議の進め方について,御意見を承りたいと思います。何か御意見はございますでしょうか。 ○大石委員 今,会長がおっしゃいました3件,すなわち諮問第116号,第117号,第118号についてですけれども,いずれも専門的あるいは技術的な事項が相当含まれているように思います。   そこで提案ですけれども,通例に倣って新たに部会を設置し,調査審議をしていただいて,その結果の報告を受けて,更に総会で審議するという段取りではいかがでしょうか。 ○内田会長 ありがとうございます。ただいま大石委員から,部会設置の御提案がございましたけれども,これにつきまして,ほかに御意見はございますでしょうか。特に御異存ありませんでしょうか。   ありがとうございます。特に御意見もないようですし,御異存もないようですので,諮問第116号,第117号,第118号につきましては,新たに部会を設けて,調査審議することとしたいと思います。   次に,新たに設置する部会に属すべき総会委員,臨時委員及び幹事に関してですが,これらにつきましては,会長に御一任いただきたいと思いますが,特に御異議ございませんでしょうか。   ありがとうございます。それでは,この点については,会長に御一任いただくということといたします。本日の総会でもいろいろ御意見が出ましたので,そういった御意見を踏まえて,部会で慎重に審議をしていただくということにしたいと思います。   次に,その部会の名称でございますけれども,諮問事項との関連から,次のようにしてはどうかと思います。 まず,諮問第116号につきましては「戸籍法部会」,諮問第117号につきましては「刑事法(性犯罪関係)部会」,諮問第118号につきましては「刑事法(侮辱罪の法定刑関係)部会」,こういう名称にしたいと思いますが,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   ありがとうございます。では,特に御異議もないようですので,そのように取り計らわせていただきます。   そのほか,部会における審議の進め方も含めまして,何か御意見がございましたら承りたいと思いますが,いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。   それでは,特に御意見もないようですので,諮問第116号につきましては「戸籍法部会」で,諮問第117号につきましては「刑事法(性犯罪関係)部会」で,諮問第118号につきましては「刑事法(侮辱罪の法定刑関係)部会」で御審議をいただくということとして,部会での審議に基づいて,総会において更に御審議を願うということにしたいと思います。   これで,本日の予定は一応終了となりますけれども,ほかに,この機会に御発言いただけることがございましたら伺いたいと思います。何か特に御発言はございますでしょうか。特にありませんでしょうか。   それでは,特に御発言もないようですので,本日はこれで終了といたします。   本日の会議における議事録の公開方法についてですが,審議の内容等に鑑みまして,会長の私といたしましては,これまでどおり,議事録の発言者名を全て明らかにして公開することとしたいと思いますが,いかがでしょうか。   ありがとうございます。それでは,本日の会議における議事録につきましては,議事録の発言者名を全て明らかにして公開することといたします。   なお,本日の会議の内容につきましては,後日,御発言いただきました委員等の皆様に議事録案をメールなどで送付をさせていただき,御発言の内容を確認していただいた上で,法務省のウェブサイトで公開したいと思います。   最後に,事務当局から何か事務連絡がございましたら,お願いいたします。 ○竹内関係官 事務局から,次回の会議の開催予定について御案内を申し上げます。   法制審議会でございますが,2月と9月に開催するのが通例となっております。次回の総会の開催日程につきましては,既に内々に御連絡しておりますとおりでございまして,場所は本日と同じこの大会議室において,法制審議会第192回の会議を予定してございます。正式には,案件が確定次第の御案内とさせていただきたいと存じます。   委員,幹事の皆様方におかれましては,御多忙とは存じますが,第192回会議の御予定につき,御配意いただけますようよろしくお願い申し上げます。 ○内田会長 ありがとうございます。   それでは,これで会議は終了なのですが,最後に一言御挨拶を申し上げます。本来,立ち上がって御挨拶したいのですが,ウェブカメラの関係で,座ったままで一言御挨拶を申し上げます。   私の法制審議会の委員の任期が来月7日をもって満了いたします。その関係で,会長職もそこまでということとなります。したがいまして,この総会の場で皆様と御一緒するのは,本日の会議が最終回ということになります。   昨年9月に会長に選任していただいてから約1年間の短い期間ではございましたけれども,何とか無事務めおおすことができましたのは,委員の皆様,そして事務当局の皆さんの御協力のお陰と,厚く感謝を申し上げている次第です。本当にありがとうございました。   それでは,本日の会議はこれにて散会といたします。熱心な御議論をいただきまして,誠にありがとうございました。 -了-