法制審議会 家族法制部会 第17回会議 議事録 第1 日 時  令和4年7月5日(火)  自 午後1時30分                      至 午後5時22分 第2 場 所  東京地方検察庁共用会議室 第3 議 題  家族法制の見直しに関する中間試案の取りまとめに向けた議論 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会家族法制部会の第17回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。本日も前回までと同様、ウェブ会議の方法を併用した開催となりますので、進行の方、よろしくお願いを申し上げます。   それから、前回からの変更といたしまして、厚生労働省の野村審議官と河村課長が、本日は手続の関係で関係官として御出席を頂いております。野村審議官におかれましては委員に就任予定、河村課長におかれましては幹事に就任の予定と伺っております。順に、簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。野村さん、河村さんの順番でお願いできますでしょうか。 ○野村関係官 どうぞよろしくお願いいたします。 ○大村部会長 よろしくお願い申し上げます。 ○河村関係官 同じく28日付で家庭福祉課長に着任をいたしました河村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大村部会長 よろしくお願い申し上げます。   それでは、続きまして、本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局の方からお願いをいたします。 ○北村幹事 お手元の資料について御確認いただければと思います。   今回は、事務当局から2種類の資料をお配りさせていただきました。このうちの部会資料17−1が、今後の部会における御議論の対象となる中間試案のたたき台の後半部分となります。本日も中間試案の取りまとめに向けて御議論いただきたいと考えておりますので、部会資料17−1に示された規律の内容そのものについての賛否ではなく、広く一般の意見を聞くのに適した中間試案をおまとめいただきたいと考えております。   部会資料17−2は、部会資料用17−1の内容についての補足説明を、事務当局において作成したものです。この資料のうち明朝体で記載されている部分は、部会における取りまとめの対象となるものではなく、飽くまでも部会資料17−1について御議論いただくための参考としていただく趣旨で作成した補足説明でございます。   なお、部会資料17−2につきまして、1点訂正をさせていただければと思います。   資料の説明は以上になります。   今回もウェブ会議を併用してございますので、御発言に当たっては、お名前冒頭でおなのりいただきますようお願いいたします。   以上です。 ○大村部会長 それでは、本日の審議に入りたいと思います。   本日は、前回会議の最後に挙手をされておられたけれども、御発言を頂けなかった方が何人かいらっしゃいますので、その方々にまず御発言を頂きまして、その後、部会資料17−1の検討に入りたいと考えております。   もし余裕があるようでしたら、最後に部会資料の16−1も含めて、中間試案の取りまとめに向けた全体について、なお言い足りないことなどを御発言していただくという時間を設けたいと思っております。ただ、このところずっと空手形の連発になっておりますのであらかじめ申し上げておきますが、時間がなくなった場合には御容赦を頂きたいと思います。   今回も事務当局から既に御説明がございましたように、中間試案の取りまとめに向けての議論ということで、パブリックコメントで国民の意見を聞くための中間試案として、どのようなものを取りまとめるのがよいかといった観点から、御意見を頂ければと思います。   それでは、まず、前回の積み残しの部分について御議論を頂きたいと思います。手元では、原田委員、棚村委員、赤石委員、青竹幹事から挙手があったという記録が残っておりますので、この順番で御発言をお願いしたいと思います。その他の委員、幹事の方々の中で、この4人の御発言に直接関連するものがあれば、その後で手を挙げていただきたいと思っておりますけれども、16−1についてのその他の御意見につきましては、17−1について議論をした後に、改めて伺いたいと考えているところでございます。 ○武田委員 前回の池田委員の発言が最後までいくように発言カットさせていただきましたので、4と5についての発言の機会を、皆さんが発言された後にお許しいただきたいというお願いです。 ○大村部会長 そうですね、時間がどうなるか分からないので、手短にお願いします。 ○武田委員 承知しました。では、最後にしましょう。 ○大村部会長 最後でいいですか。では、最後の方に回させていただきます。ありがとうございます。   それでは、今申し上げたように、原田委員、棚村委員、赤石委員、青竹幹事の順番で御発言をと思います。 ○原田委員 ありがとうございます、弁護士の原田直子と申します。4点申し上げたいと思います。   まず、第4の1の離婚後の子の養育に関する講座の受講の件で、これに関して、前回、裁判離婚の場合も受講義務を入れていいのではないかという御意見があったと思いますが、裁判離婚に導入した場合に、離婚の要件とするということになると、認容判決を出す要件となったり、これを促すためには心証を開示しなければいけないというようなこともあって難しいのではないかと考えまして、もし前回の御意見が本文に上げるという趣旨の御提案であれば、私は(注)のままでよいのではないかと思いますし、受講させるとしても、認容判決との関係くらいは入れた方がいいのではないかと思います。   次に、第4の2の子の監護について必要な事項の定めの促進のところで、協議によって必要な事項を定めた場合の効力がこれでは明らかではないので、回答するのが難しいのではないかと思います。養育費については、法定養育費制度が提案されましたけれども、その制度とこの協議離婚のときの定めの関係が、(注)だけではとても分かりにくいと思います。さらに現在の実務では、養育費や面会交流を行わないとか払わないとかいうように定めても、その効力の拘束力についてはなく、改めて協議することができるとなっていると思いますが、この提案の場合はそれはどうなるのかと。法定養育費の関係では、二読のときにはある程度出ていましたし、この中でも(注)で清算のための規律を設けるとの考え方があると書いてありますが、その程度ではちょっと一般の方、あるいは法律家でも、二読の資料を読んでいないと分からないのではないかと思いますので、もう少し丁寧に書いた方がいいのではないかと思います。   それから、そのほかの定めをした場合ですね。例えば、財産分与とか慰謝料請求を放棄するというようなことが書いてあった場合、その効力はどうなるのかということも、併せて問題になるのではないかと思うので、それについての考えるヒントもあった方がいいのではないかと思います。もちろん、これは協議離婚の要件とするという場合に問題になることだと思います。   それから、3番目に、第4の4ですけれども、裁判所の考慮要素として、これまでも安全という御意見は出ていて、しかし、文中に入っていないということで、今回部会資料17―1の(前注)に入ったとは思いますが、ここではやはり考慮要素として、子の最善の利益の考慮要素という中にきちんと入れていただきたいと思いますし、子の安全だけではなくて、当事者と子の安全・安心ということも必要であると思います。   それから、最後に、これは部会長が最後にまとめてということであるのかもしれませんが、全体のまとめ方として、現行の実務ではどうなっていて、そこにはどういう問題点があってということを、きちんと整理した上で提案をするということが必要ではないかと思います。766条関係のところで、社会で解釈が定着しているからこれを成文化するのか、ほかの意見があるのでこれを採用するのか、問題があるので改定して明文化するのか、そして、それに対する反対意見というふうな形で整理していただいて、この議論に参加してこなかった人が、何が言いたいのかが分かるようなまとめ方というのを、是非していただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。原田委員からは、具体的な項目に関わる御意見が3点と、それからまとめ方についての御意見を1点伺いました。   中身については、第4の1について、裁判離婚の場合にも講座受講をという点につき、これを本文にという意見があるけれども(注)のままでよいというお考えをまずお聞かせいただきました。それから、第4の2については、法定養育費と協議の関係が(注)の説明では分かりにくいので、もっと立ち入って書くべきだという御意見、第4の4につき、安全を安心とともに考慮要素の中に入れた方がよいのではないかという御意見だったかと思います。   まとめ方については、補足説明の説明の仕方ということになろうかと思いますがそれぞれの提案が何を前提にして出てきたのかということを、より明確にすべきではないかという御意見として承りました。 ○棚村委員 早稲田大学の棚村です。私も、第4の1のところで、親の支援講座とか、あるいは親ガイダンスという中身になると思いますけれども、それを協議離婚の要件にして義務化していくような流れがというか、議論の感じが今あるわけですけれども、それについてもう少し慎重な考え方があるということを申し上げたいと思います。   今、裁判離婚についてもそうですけれども、原田委員がおっしゃったように、裁判離婚で何らかの講座を受けるべきかどうかということについても、慎重に考えた方がいいと思います。離婚講座を受講させることを支持する意見としては、協議離婚の時だけでなく、裁判離婚についても一緒にやった方がいいという御意見であったかと思いますけれども、私は、基本的にこれは別に考えた方がいいだろうと考えております。   それは、離婚講座や離婚ガイダンスについては、まず、どの段階で受けるか、離婚前なのか、あるいは離婚後なのかという時期の問題もあります。それから、実施主体をどうするかという点で、行政が行うのか、裁判所が行うのか、行政が行うにしても、身近な地方自治体、基礎自治体なのかということも問題になります。アメリカですと、裁判所が中心になって、韓国もそうなんですけれども、紛争解決や合意形成を目的として実施をしているという状況です。それから、ドイツとかフランスとかという国では、少年局とか福祉機関とかいう行政機関が実施をし、あるいは業務委託をして民間団体にさせるという形になっています。日本では、これまでそういうようなことについて、十分に議論がなされていません。また、講座なりプログラムの内容をどうするかというのは、正にどういう目的でその講座やプログラムを置いて、どういう形で、どのような人を対象に受けてもらうかということでのコンテンツについても十分に決まっているわけでもありません。それから受けない場合の不利益とか、あるいは何らかの誘導みたいな方法についても、現段階できちっと決まっていないのに、義務化とか要件化とかということになると、ちょっと問題ではないかと思っています。   特に、家庭裁判所では、今、親ガイダンスが現に行われたりしています。それから、厚労省の方では、やはりひとり親の自立支援事業の一環として、離婚前後の親の養育講座とか離婚支援講座ということで、約10ぐらいの自治体が実施をしております。その他にも、民間の研究者を中心として、試行的に親教育プログラムをやっておられるというのもあって、実に様々なタイプのものが存在しています。しかし、これらの既存の親教育プログラムや離婚講座も、なかなか目的とか趣旨とかやり方とか時間とか、いろいろなものについても全く統一されていないという現状があります。その中で、法制度として協議離婚で義務化していくとか、あるいは裁判離婚の場合にも受けさせるとかという話は、重要な点が確定していない段階では早すぎるのではないかという感じを受けています。ですから、私は、当初から、親ガイダンス、親の養育講座などの名称はともかくとして、基本的にこのような提案には賛成するものの、もう少し中身を詰めて、どういう内容をどのタイミングでどういう形でやるかということを検討して、答えを出すべきではないかと思っています。ほかの国も、義務化しているアメリカの例をみますと、任意だとなかなか参加率が低く駄目だったとか、あるいは、裁判所が中心になっていますから、紛争の効率的な解決とか合意形成の援助というのが主たる目的になっています。ところが、大陸法のドイツとかフランスというところは、行政サービスとか、そういうものとの一環として提供されるので、また手厚い行政サービスとしてインセンティブを付けながら、むしろ集団型というよりは個別型の相談とか支援の体制を強化しているということができます。   日本で、どのような形の親支援講座とか親ガイダンス的なものを受けさせるかべきかというのは、正に自治体が中心になって、行政が中心になってやっていくということなのか、それとも、裁判所とか、あるいは法務省も連携してというのもあり得ると思うのですが、それが今、十分に詰められていないような段階で、中間試案の取りまとめに入ろうとしているので、今この段階で協議離婚に対する要件とか義務化とか、あるいはこれがないと駄目だ、先に進めないというような話になると、少し問題ではないかと思っています。 ○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員からは、先ほどの原田委員御指摘の第1点に関わる御意見を頂戴いたしました。いわゆる親講座について、義務化には慎重にもう少し取り組むべきではないか、時期とか主体の問題などがあるだろうといったお話でしたが、この中間試案のたたき台との関係でいうと、先ほど原田委員は、これよりももっと踏み込むべきだという意見に対し、このままでよいという御意見を述べられたかと思いますが、棚村委員は、御意見としてはどういうことになりますか。 ○棚村委員 親支援講座そのものの意義とか重要性みたいのは認めるのですが、ただ、内容や細部が詰められていない現段階では、両論を併記したうえで引き続き検討した方がいいだろうという趣旨で、事務当局が御提案された方向に賛成です。 ○大村部会長 ありがとうございます。そうすると、現在、義務を負うものとし、これを協議離婚の要件とする考え方について、引き続き検討するとなっているけれども、このレベルでとどめて意見を聴取し、更に検討すべきだと、こういうことでしょうか。 ○棚村委員 すみません。要するに、実施主体とか中身とか、そういうものがほぼ詰めていかれたときに、義務化するかしないかとか、そういう議論をした方がいいと思います。 ○大村部会長 分かりました。今後の議論が必要であるということで、この案について、特に御異論があるということではないと受け止めさせていただきました。ありがとうございます。 ○赤石委員 ありがとうございます、しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。私は、この部会資料16−2の35ページ、離婚等以外の場面における監護者等の定めのところで意見を述べさせていただきます。   別居中、婚姻中の父母が別居したときはとなっているんですが、ここの定義が非常に曖昧なので、ちょっとこのままで意見に付すのは難しいのではないかなと思っております。例えば、離れて暮らす期間が1年なのかとか、その期間とか何か書かれていないというか、まだ議論が全然煮詰まっていないという状況でここに載せるのが、いかがなものかと思っております。例えば、何か大村先生の論文でも、別居の定義ってなかなか難しいというのを見付けてしまったんですけれども、そのほかに、例えば厚労省が、別居中のときに手当というのをひとり親と認定して出すのは、1年以上の別居期間とか幾つかの要件がございます。そういうこともありますし、ちょっとここで別居して、これで1週間後でもオーケーなのか何なのか全く書かれていないまま、ここで付すのは非常に、議論が煮詰まっていないのではないかなと思いました。   あと、濫用的な申立て、簡易に却下する仕組みについてここで書かれておりますが、そのほかのところでも、これが必要なのではないかなと思います。私ども、この間、別居がどのようにして起こっているのかというのを、会員の方にアンケートで出させていただいたときに、2,500人のシングルマザーの方が回答してくださったんですけれども、相手が家を出ていってしまったと、98%のシングルマザーの方が回答されているんですが、相手が家を出ていったという方が35.7%、かなりの数でございます。それから、自分が子どもを連れて家を出たが53.5%ということでございまして、この双方がどういう状況なのかということを見ないと、なかなか判断が難しいなと思っていて、今、扶養義務を果たさないで家を出ていってしまった方へのアプローチというの、全くないということもございますので、引き続きちょっと、ここの別居がどのように起こっているのかとかを調べないと、なかなか適切なものにはならないのかなと思いました。ちょっとざっくりとしたお伝えになってしまいますけれども、お願いします。   それから、部会資料17−2の37ページの4の考慮要素のところでございます。37ページの(注1)、こちらにとても気掛かりなところが幾つかございます。まず、上からいくと、Dのほかの親と子との交流が、子の最善の利益となる場合における監護者となろうとする者の当該考慮に対する態度などがあるとの考え方があるというのがございます。これ、言ってみれば、いわゆるフレンドリーペアレントルールについて書かれているのかなと思っております。これについては、度々発言しているんですけれども、これを導入すると、例えば、子どもに悪影響がある別居親について、例えば、性的虐待があるですとか、アルコール依存で非常に子どもに悪影響があるですとか、そういったことを訴えた場合に、アメリカではかえってそれが裁判所で不利に扱われてしまって、親権を取れないですとか監護権を取れないといった結果となって、虐待の加害者の方に子どもの親権者が行ってしまったというようなことを訴えられた集会でお子さんたちが訴えて、非常に悲劇だったということを泣きながら訴えていたという話を、子どもの虐待についての専門家の森田ゆりさんが指摘しておられます。こういったことになりかねないこのDの条項については、ちょっと慎重に議論すべきですので、このまま載せるのにはちょっと反対でございます。   その次の行で、子の生活及び監護の状況に関する要素については、父母の一方が子を不当に連れ去った場合に対する見地から、当該連れ去りから現在までの状況については考慮すべきではないとの考え方があるという御指摘があります。これについては、前回も申し上げましたが、子の連れ去りについては、評価は両論があると指摘させていただきました。子どもを安全に守るために、DVあるいはいろいろな虐待の事情から逃げてきて、安全を守るためにDV避難をしている、虐待からの避難をしているという場合が、隠れていることがございます。ニュートラルフラットに判断するということもあるとすれば、ここでの書きぶりは、当該連れ去りから現在までの状況については考慮すべきではないとする考え方がある一方、それは子どもの安全を守るための避難であるという考え方もあると書かれるべきではないかと思いまして、そもそもほかのところも同じなのですが、1個だけを、一方だけを書くということは、非常に行き過ぎな表現になるかと思いますので、全てに指摘するつもりではありますが、全部きちんとした書かれ方をすべきであるかなと思います。逃げられなければ、結愛ちゃんの事件のように、DVと虐待が併存していることが多いということは、この間分かってきました。そうすると、被害者も加害者に、子どもを守り切れなければ加害者になってしまうことがあり得るという、非常に複雑な状況になるわけでございますので、こういったことを考慮すべきではないかなと思います。   続いて、39ページの親以外の第三者と子との面会交流につきましては、いろいろな考え方が、いろいろな場合があるかと思いますので、一概に言えないとはいえ、非常に、後継ぎである男の子だけ会いたいと言っている祖父母ですとか、非常に家父長的な考えが入り込みやすいときもあるなと伺っていて思うので、ちょっと慎重な立場でございます。   以上です。取りあえず、ここまでです。 ○大村部会長 ありがとうございました。赤石委員から、4か所御指摘を頂いたかと思いますが、資料の16−2の方でおっしゃっているので、そちらで見てまいりますけれども、35ページの3の婚姻中の父母の別居について、別居の定義が曖昧であるので、このままでは問題があるのではないかという御指摘がありました。別居の態様等をどのように考慮するかといったことも含めて、少なくとも、ある程度の説明が要るのではないかという御趣旨だったかと思います。   35ページの3には(注)が一つ付いているだけですけれども、別居について、今頂いたような御意見があるということを、少なくとも付記せよという御意見だと受け止めてよろしいでしょうか。 ○赤石委員 はい。 ○大村部会長 ありがとうございます。そのような御意見を頂いたと受け止めさせていただきます。   また、(注)について、今触れましたけれども、濫用的な申立てについては、その他のところでも必要なところがあるのではないかということでしたが、事務当局の方で改めて御確認を頂いて、必要なものがあれば加えていただく、過不足なく置かれているようであれば、それを御確認いただくということかと思います。   その次が、37ページの(注1)についてですけれども、五つの要素挙がっておりますが、5番目の要素について慎重論をおっしゃるとともに、@についてのコメントがありますけれども、これについて二つの見方があるということを書くべきではないかという御指摘だったかと思います。いずれも、(注)をもう少し膨らみのあるものとして検討すべきではないかという御意見として承りました。   ただ、これは(注)ということで、分量の問題などもありますので、少しその辺を勘案しながら検討していただくということで受け止めをさせていただきたいと思います。   最後の39ページの2については、これは、御感想を頂いたと受け止めさせていただきます。 ○北村幹事 頂いた御意見を検討させていただきたいと思いますが、1点、濫用的な申立てについては、前回も畑委員からも御指摘ございましたように、現行法で規律が設けられているということもございますので、どういう形で資料の中に書くかも含めて、そこは少し、ちょっと事務当局の方で検討させていただければと思います。 ○赤石委員 私、法律詳しくないので、どの箇所をどのようにおっしゃったか、全然分からなかったんです。 ○北村幹事 家事事件手続法の中に、そのような規律が既に設けられておるということを前提に、更に何か別の規律を設けないといけないのかどうかという御意見なのかということも含めて、少し事務当局の方でも考えさせていただければと思いますという御趣旨でございます。 ○赤石委員 後で教えてください。 ○大村部会長 では、濫用的な申立てについては、後で整理をしていただくということにしたいと思います。   前回の持ち越しの御発言の最後は、青竹幹事ですね。 ○青竹幹事 幹事の青竹です、よろしくお願いします。   第4の1の子の養育に関する講座の受講を協議離婚の要件とすることについてなのですけれども、こちら、確かに新しい制度になるということですけれども、棚村委員もおっしゃっていたように、現在でも、調停離婚については受講を推奨するという形で家庭裁判所において親ガイダンス実施されていますし、例えば、大阪家裁では、集団でのガイダンスの受講も実施していますので、そういった取組があるということを一言示した方がよいかと思いました。その方が、全く新しいことを導入しようというのではなく、参考になる取組が国内に既にあるという現状を、理解することができるのではないかと思います。   もう一つ、第5ですけれども、補足説明の方の38ページで、親以外の第三者による子の監護及び交流に関する規律の新設で、ここでは、監護者について、親以外の第三者を監護者に指定することと、親以外の第三者に監護者指定の申立権を与えることの、2点が提示されていると思います。それで、その1点目の親以外の第三者を監護者に指定するということについては、今まで全く認められていなかったことを新たに導入しようとする案ではないということを、できたら言及した方がよいように思いました。既に審判で公表されたものが幾つかあり、祖父母を監護者に指定したり、父母の兄弟を監護者に指定するといった家裁月報に公表されたものがあります。現状を客観的に示すことになりますので、補足説明のところで挙げた方がいいように思いました。   それから2点目の申立権を親以外の第三者に認めるかどうかという、その案ですけれども、こちらについては、補足説明に御紹介いただいているように、令和3年3月29日の最高裁決定が否定するということですが、ただ、その否定する理由について、補足説明に挙げていただいているように、明文がないからということを言っているだけで、否定する理由を詳しく述べているわけではありません。つまり、最高裁は、第三者の監護者指定の申立権については、立法に任せているということを言っているだけと見られます。これは、学説で紛争が増加するので、第三者に申立権を認めるべきではないといったような、反対説のようなものと同列に扱うことができないと思いますので、できましたら、学説の主張と分けて、最高裁を紹介した方がよいのではないかと、39ページの2のところに、学説及び最高裁が否定したというのではなくて、最高裁は単に、民法に明文の規定がないから否定したと、分かるようにした方がよいのではないかと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。青竹幹事からは、第4の1の講座の要件化と第5の1の親以外の第三者の監護者指定について、御意見を頂きました。   意見の中身は、いずれも補足説明に関わることだと理解をいたしましたが、一つは、これまでの取組、現状についての説明を書き込んだ方がいいという御指摘、それからもう一つは、判例の位置付けについて、少し慎重に整理する必要があるのではないかという御指摘を頂いたと理解をいたしました。ありがとうございます。   以上で、前回留保した御発言を先送りにさせていただいた方々の御意見を頂きましたけれども、もし何か密接に関連する御発言があれば頂きますけれども、そうでなければ、16−1については後で時間の許す範囲内で御意見を頂戴したいと思いますが、よろしいでしょうか。   それでは、16−1につきましては差し当たりここまでということにさせていただきまして、17−1の方に移らせていただきたいと思います。まず、部会資料17−1につきまして、事務当局の方から説明をお願いいたします。 ○北村幹事 事務当局になります。この部会における取りまとめの対象となるのは、ゴシック体の部分であると御説明申し上げてはおりましたので、今回も部会資料17−1に沿って御説明いたします。随時、必要の範囲で補足説明の部分に触れさせていただきます。   なお、その資料の前提として、前回、参考資料16ということで、本部会における中間試案における考え方というものをお示ししたところでございますけれども、前回の部会で御質問もございましたので、この意見募集、パブリックコメントの概要について、補足的に、まず前提として御説明させていただきます。   パブリックコメントにつきましては、任意の手続ではありますけれども、広く団体、個人から意見を頂いて、今後の法制審の議論の参考とさせていただくものとなります。世論調査のように、無作為で抽出した方に回答をお願いするアンケートではございません。パブリックコメントの結果については、飽くまでも部会の議論の参考とさせていただくものではありますけれども、部会における皆様方の御議論を拘束するものではございません。また、多数決を採るものではございませんので、賛成意見の数であるとか反対意見の数というものを集計するということではなく、また同様の意見についても、同様の意見としてまとめさせていただくこともあろうかと思います。   パブリックコメントの概要については以上でございます。   続きまして、部会資料17−1に沿って御説明いたします。   まず、17−1には、今回(前注1)のほか、(前注2)を付しております。この部会のこれまでの会議では、前回会議を含めて、先ほど御指摘もございましたけれども、今後の具体的な規律の検討に当たって留意すべき視点として、DVや父母による虐待がある場合、事案に適切に対応することができるようなものとする必要があるとの御意見を頂きました。こういった視点の当否についても、パブリックコメントにおける意見募集の対象とすることが考えられますが、先ほど御意見あったところでありますけれども、各個別の項目の中にちりばめるというよりも、全体に係る形で試案の冒頭に掲げた方がよいのではないかと今回考えましたので、(前注)として記載させていただきました。   中間試案のたたき台の第1から第5の部分、こちら、Pとさせていただいておりますけれども、前回会議での御議論を踏まえて、事務当局において現在修正作業をしております。次回7月19日の会議の資料として、御用意させていただく予定です。   第6です。部会資料17−1の第6では、子の監護に関する裁判手続に関する規律の見直しを取り上げております。   第6の1は相手方の住所の調査に関する規律でございます。現行法においても、住民票や戸籍の附票の写しの交付等を請求すること可能でございますが、相手方が転居、転籍を繰り返しておるような場合、なかなか複数回にわたって請求等を繰り返さなくてはならないということで不便である、あるいは、そもそも住所等を探すのが困難であるといった御意見も出されてございました。また、家庭裁判所は、その必要がある場合には、市区町村長に対して住所を回答するように求めることができるとはされておりますけれども、そこでも同様の問題が生じることもあり得ます。そこで、試案のたたき台では、住民基本台帳ネットワークシステムを利用することで、このような住所調査をより迅速で簡便なものとすることを含めて、引き続き検討することとしております。なお、従前から、この点については行政上の支援の枠組みで検討すべきという意見もございますので、こちらは補足説明の方にその旨も記載してございます。   第6の2につきましては、相手方の収入や財産に関する情報開示の規律です。このうちの(1)では、実体法上の開示義務として、離婚する夫婦が互いに自己の収入や財産に関する情報を開示しなければならないとする規律を提示しており、(2)では、裁判手続における開示義務として、家事事件を当事者が裁判所に対して自己の収入や財産に関する情報を開示しなければならないとする規律を提示しております。   続きまして、第6の3は、面会交流、親子交流に関する裁判手続について取り上げています。面会交流の裁判については、部会資料16−1の第4の4において、家庭裁判所が面会交流についての本案の判断をするに当たっての考慮要素を取り上げているところでありますけれども、第6の3の(1)では、そういった本案の判断をするに至る過程での裁判手続についての規律として、調停成立前又は審判前の段階で、別居親と子が面会をすることを可能とする仕組みについて、引き続き検討することとしております。(1)のアでお示ししている考えは、その方法として審判前の保全処分を活用することを想定した上で、現行の家事事件手続法の定める要件を一定緩和することで、その適用範囲を広げる一方で、子の安全を害するおそれがないことなどの新たな要件を要求することで、児童虐待などの懸念に対応することを目指すというものになります。また、このような暫定的な面会交流の保全の手続を利用した実施に当たっては、弁護士等の法律家や面会交流支援団体等の第三者の協力を得ることができる仕組みも併せて提示しております。   なお、この(1)アで提示している規律は、審判前の保全処分の枠組みを活用するものですので、家事事件手続法に基づき、本案認容の蓋然性が認められる必要があるということや、その手続の過程で父母の陳述や子の意思を把握することが要求されることは当然の前提になろうかと思います。こういった現行の家事事件手続法の規律の内容においては、パブリックコメントの手続を実施する前に、補足説明において丁寧に説明するように心掛けたいと思います。   (1)のイにつきましては、最高裁の方からも、試行的な面会交流についての実務上の取扱い、説明いただいたかと思います。それらをヒントとして、家庭裁判所が別居親と子との面会を実施する新たな手続を創設するということを提示しております。こういった新たな手続を創設するに当たっては、この要件をどのように設定するかなどが問題となって、子の意向の把握であるとか、相手方の陳述を求めることや、子の安全を害するおそれがないことといったような形の要件というのは必要だとは思っておりますけれども、この部会の中でも様々な意見がございますので、この段階で、その手続の具体的な内容を決め打つような形で取りまとめるというのではなく、新たな手続を創設することの是非やその内容について、幅広く意見を募集してはどうかということでの記載にしております。   また、3の(2)では、本案の判断がされた後の手続に関して、面会交流に関する調停や審判などの実効性を向上させる方策について、引き続き検討することとしています。この点についても、様々な意見があり得るところですので、幅広く様々な方策について意見を募集することとしてはどうかと思い、このような形にさせていただきました。   第6の4は、養育費等の金銭債権に関する民事執行の規律を見直して、債権者の手続負担を軽減することについて、引き続き検討することとしております。   続きまして、第7でございます、養子制度に関する規律の見直しでございます。第7の1は、未成年養子縁組について、家庭裁判所の関与の在り方に関する規律の見直しを取り上げております。この点については、まず養子縁組の成立要件としての許可を要する範囲を広げるべきかどうかといったところで、意見が分かれていただけでなく、養子縁組というその制度そのものについて、大幅に変更するまでの必要があるかどうかという点も含め、意見が分かれていたかと思いますので、その許可の範囲を拡大するかどうかという点を、ゴシック体の本文で取り上げて、その上で、この範囲を拡大することとした場合の選択肢を、(注1)に記載しております。   そのほか、離縁の際にも家庭裁判所の許可を必要とすべきとの考え方も出されておりましたので、(注2)に記載しております。この点についても、どのような場合に不許可となるのかなどの意見も出されており、それらを補足説明の方に記載してございます。   第7の2は、家庭裁判所の許可以外の点についての未成年養子縁組の成立要件の見直しを取り上げております。この点については、これまでに親権を有していない父母の関与の在り方のほか、代諾の対象となる年齢の見直しなど、多くの論点について御議論いただいたところでありますけれども、いずれの点についても、現段階では特定の考え方に基づく特定の改正案に絞り込んで試案を取りまとめるのではなく、幅広く様々な意見を募集することができるようにした方がよいのではないかと考えました。そのため、今回お示しした資料のゴシック体のように、概括的な形のものをたたき台としてお示しさせていただいております。   第7の3は、養子縁組をされた場合の親権の帰属に関する論点を取り上げておりますけれども、@からBまでの規律は、基本的に現在の実務において定着していると思われる解釈を整理したものです。こういった整理をそのまま維持することができるかどうかについては、父母の離婚後のその親権の在り方と併せて検討する必要があろうかと思います。例えば、実父母の離婚後のその双方が親権者となっていた場合であっても、いわゆる連れ子養子がされた場面では、3@とAの考えを徹底いたしますと、養親とその配偶者のみが親権者となり、実父母の親権に影響を与えることとなります。また、このようないわゆる連れ子養子がされた場面では、現在も裁判実務上、親権を有しない実父母からの親権者の変更の申立ては許容されていないところです。   こういった現行法上の解釈を前提とした整理については、離婚後も父母双方が子の養育に責任を負うべきであるといった考え方との関係で、一定の見直しの余地があり得るかもしれません。そのため、例えば、養親による親権行使が不適切であるような場面において、実父母が引き続きその子を養育する責任を果たすための手段を導入するために、先ほど申し上げた現在の裁判実務を見直して、実父母や養親に対して親権者の変更の申立てをすることができるようにすべきであるとの考えがあり得るかと思いますので、(注5)では、このような点についても提示しております。   このほか、いわゆる連れ子養子がされたような場合に、養親とその配偶者が離婚した場面を想定いたしますと、現行の民法では、その離婚後は、その一方のみを親権者と定めなければならないとされていますが、この点についても、離婚後はその双方が親権者となることを選択可能とするかどうかが問題となり得るということで、(注6)にはそのような考えを示しております。   第7の4は、養子縁組がされた後の扶養関係について、現在の解釈を明文化するかどうかといった点を記載しております。   続きまして、「第8 財産分与制度に関する規律の見直し」になります。   第8の1は、財産分与の目的や考慮要素に関する規律の見直しですけれども、ゴシック体の本文の記載内容は、平成8年の法制審議会の答申と実質的に同じものになります。第15回会議でも様々な意見が出されておりましたけれども、当時も同様に意見が出されていた中で答申に至った旨、水野委員からも御説明いただいたところですので、本文そのものは、平成8年の答申の内容と同様のものとしております。また、平成8年の答申との関係では、15回会議において、民法第754条の削除についても平成8年の答申を踏まえた対応が必要である旨の御意見を頂きましたので、これを(注)で記載しております。   第8の2は、財産分与について家庭裁判所に請求することができる期間制限の見直しを取り上げてございます。   資料の説明は以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。   ただいま事務当局の方から、部会資料17−1についての御説明を頂きました。(前注2)を除きますと、新たに出ているのは、第6、第7、そして第8ということになります。第9はその他所要の措置ということですので、特に御議論をいただく必要はなかろうと思います。   本日は、この後、(前注2)と6をセットにして前半で御議論を頂き、それから、後半で第7と第8をセットにして御議論を頂くことにさせていただきたいと思っております。   そこで、まず、部会資料17−1の(前注)及び第6の部分について御意見を頂きたいと思います。3時30分ぐらいまで前半をやりまして、そこで休憩いたしまして、その後に後半に入るという心づもりでおります。では、どなたから、どの点でも結構ですので、御意見を頂ければと思います。 ○戒能委員 ありがとうございます、戒能です。(前注2)の補足説明のところ、3点申し上げたいと思います。   このような形で配偶者間暴力、それから父母による虐待について、全体を通してこういう考え方をするんだということを示されたことは、評価したいとは考えております。しかしながら、これは何度も申し上げておりますが、必ずしも今までの審議において、十分詰めた議論がされているわけではないと、この補足説明を見ても感じます。   1点目は、補足説明の方を御覧いただきたいと思うんですが、その1ページ目の2段落目ですね、例えばというところになりますが、そこに、やはりDVや児童虐待の特質のようなことに関する問題点があります。例えばのところから、4行目になりますか、「離婚前に配偶者間暴力や虐待がある事案において、その配偶者間暴力や虐待が離婚後も継続するようなことがないようにすべきであるとの指摘がある」ということなんですが、これは、ないようにすべきということではなく、しばしば継続するのだと、そういう継続する可能性が非常に大きいという、DVや虐待の特質があるという認識が必要だと考えております。ですから、ないようにすべきというのは、修正をしていただきたい。例えば、面会交流で、直接会っているときだけではなくて、その交渉の過程も含まれると思いますが、継続するという認識の下で、対応も考えるべきだと思っております。   それから、今日はお示しできないんですが、内閣府で民間シェルターと配偶者暴力相談支援センターのアンケート調査を、この春に実施しており、こういうデータは初めて出てきたと考えております。自宅を離れた被害者が加害者からどういう危害や脅迫があるか、あるいはそのおそれがあるかというデータが、多分夏以降にまとまって公表されると思いますが、そのような調査データについても、是非委員及び幹事にお読みいただいて、DVの特徴のようなものをきちんと把握していただいた上で、補足説明の文章も修正していただきたいと考えております。   2番目ですが、既に原田委員が先ほどおっしゃいましたけれども、両方あるんですね。この補足説明を見ても、安全とだけ書いてあるところもあれば、そうではなくて、安全・安心と、両方書いてある部分も見られます。子の最善の利益を守る、あるいは同居親の場合も当てはまるわけですが、安全・安心という用語をきちんと書き込んでいただきたいと思います。   3点目なんですが、その安全のすぐ下に、「他方で、例えば」という文章が出てまいりますが、これは、先ほどの赤石委員の御意見とつながっていくと思います。「配偶者間暴力や虐待があった旨の主張がされる事案において」のその次なんですね、「当事者の一方から虚偽の事実が主張されることもあるとして」ということなんですが、これは、もしそういう場合があったとしても、そのことだけをこの補足意見に付して、そしてパブリックコメントをすることは、果たして公正なのかどうかということです。もしそういう疑いがある場合を含めて、事実の確認をするというような文章にしていただきたい。結論から言えば、「当事者の一方から虚偽の事実が主張されることもあるとして」というのは削除すべきだと考えております。   取りあえずは、その補足説明の最初の部分について、3点意見を申し上げました。以上でございます。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員からは、(前注2)を加えたことについては積極的な評価をしていただいた上で、補足説明についての御意見を3点頂きました。   3点のうち、2番目の安全・安心の点と、それから3番目の「虚偽の事実が主張されることもあるとして」の部分については、具体的な御意見を頂きましたが、最初の「離婚後も継続することがないようにすべきである」との指摘があるというところについて、もう少し何か具体的な御意見があれば伺っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○戒能委員 ありがとうございます。離婚後も継続するという配偶者間暴力や虐待の特質を十分考慮してとか、そのような書き方がよろしいかと思っております。 ○大村部会長 分かりました、ありがとうございます。御意見として伺わせていただきます。   ほかにいかがでしょうか。   水野委員、それから大山委員の順番でお願いします。 ○水野委員 ありがとうございます、水野でございます。よろしくお願いいたします。第6のところで、住基ネットの利用について伺います。最初に大きな話をしてしまいますと、日本の抱える構造的な問題として、民法を動かすための司法インフラが足りない、つまり、裁判官の数が足りないという問題があります。その代わりに行政インフラ、つまり、戸籍や登記や住民登録などを利用して、日本は近代社会を動かしてきました。西欧の民法は、家庭に介入する行政権の行使に司法のチェックを掛けたり、あるいは離婚は全て裁判離婚にするというような司法手続を採っているのですが、西欧でさえ、養育費の取立て手続には、司法を経由せずに行政手続だけで進めるようになっている国が少なくありません。   そういう大きな話から始めましたのは、(注)に書かれていることと説明に書かれていることが矛盾対立しているような気がいたします。まず、第6の(注)のところですが、相手方の手続保障の観点から慎重に検討すべきとの考え方もあるとあります。いろいろな説を併論して書かれるという今度の方針には賛成なのですが、家事事件手続で住基ネットなどを利用することすら、非常に慎重にしろという御意見がここであったでしょうか。もっとも重い司法手続の中で、住基ネットという行政インフラを用いることには、必要性も妥当性も十分にあるように思います。なにしろ戸籍が2008年まで公開原則で運用されてきた国ですから、プライバシー保護には配慮が必要ですが、それが司法手続で戸籍を使ってはならない理由にならないのと同じです。   一方、17−2の3ページの上のところに、行政上の支援の枠組みで考えるべきとの考え方もあるとあります。こちらは、また逆の方に、日本でももう行政だけでできる支援が望ましいという立場を指摘しておられると思います。私も、それもあり得るという立場です。ただ、ここで問題になっているのは、家事事件手続という場面で住基ネットの利用をという提案で、それに消極的になる理由には、ならないだろうと思います。端的に言いますと、この非常に重たい家事事件手続の中で、住基ネットを利用しない理由、慎重である、消極的である理由が、私にはよく分からないということでございます。いろいろな立場を書いておられることについては賛成なのですが、二つ極端な立場を書いておられて、趣旨が少し見えにくくなっています。家事事件手続の中で住基ネットを利用するということについては、何の問題もないだろうと考えますが、そのように読み込める文章でしょうか。 ○大村部会長 水野委員からは、住基ネットの利用について御意見を頂きました。水野委員の御意見は分かりましたが、この(注)の取扱いについては、こういう意見があると書かれている部分につき、そういう意見はなかっただろうという御指摘でしょうか。 ○水野委員 あったのでしたら、おそらく理解できなくて、私の記憶に残っていないのでしょう。行政的な手続で、手厚い支援の中でやるべきだろうという御意見があったこと、特に養育費については記憶があるのですが。 ○大村部会長 では、事務当局の方からお願いします。 ○北村幹事 事務当局でございます。ちょっとこの第6の1の本文と(注)は、少し別のことを記載している関係で混乱を生じさせてしまったかと思いますけれども、まず、第6の1の本文において、家事事件手続の中で、家庭裁判所が直接住基ネットに接続して、家庭裁判所が探索するということについては、この部会の中でも慎重な御意見があったかと認識しております。あわせて、住基ネットは、そもそも行政上の目的のために作られたものを、そこは司法が利用できるのかという観点からの御意見等もあったのかなとは理解しております。そういう意味で、補足説明の方では、むしろ行政上の支援という考え方もあり得るのではないか、そこは、この部会の中でも意見を頂いていたかなと思っております。   それとは別に(注)の方、相手方の住民票記載の住所が分かったとしても、実際にそこに住んでいるかどうか分からない、そうなったときの公示送達の在り方についてもこの部会で御議論いただきましたけれども、そこについて、公示送達の現在のルール、公示送達を簡単にすべきだというお声もあったところでありますけれども、やはりそこは、相手方の手続保障の問題もありますので、慎重に検討すべきではないかとの御議論、特に手続法の先生から頂いていたかと思いますので、そういう意味での(注)の記載となっております。 ○水野委員 分かりました、ありがとうございました。私の方で、家事事件手続法の重たい手続の中で、住基ネットを利用することに消極的であるという御意見が理解できなかったからなのだろうと思います。戸籍と同様に、使いようだと思っていますので。私自身は、行政庁がやってしまってもいいという立場ですので。申し訳ございません。ありがとうございました。 ○大村部会長 水野委員の御意見は伺いましたけれども、他の御意見もあったということで、中間試案に向けてのたたき台としてはこのような記載になっているということかと思います。 ○窪田委員 今の点で、多分、本文の中での(注)の置き場所をちょっと考えた方がいいのではないかなと思います。住所を調査することを可能とする規律の後に(注)が入っているものですから、この(注)をぱっと見て、例えば、一番最後だけを見ると、手続保障の話が公示送達の話ではなくて、何か住基ネットを使うことについての話のように誤解されやすいところもあるかと思いますので、(注)は、場合によっては一番最後でもいいのかなと思いながら伺っておりました。 ○大村部会長 それはちょっと御検討いただくということにさせていただきたいと思います。   原田委員も、今の点に関係してですね。 ○原田委員 このパブリックコメントで聞く内容として、行政庁に住基ネットを使って回答するということについて、賛成か反対かということも聞くんでしょうか。 ○北村幹事 今の御趣旨としては、誰が調査をして回答するかが明らかになっていないので、分かりにくいという御指摘になりますか。 ○原田委員 実は、住基ネットを使うことについては、日弁連としては消極的な意見もあるので、ここで回答するのに、裁判所から行政庁に聞いて回答を求めるというところまでなのか、行政庁が住基ネットを使って最後の住所地まで調べて回答するということに、賛成するか反対するかという聞き方なのかということです。 ○北村幹事 今の御指摘というのは、行政庁が家庭裁判所から嘱託を受けて、それは市町村ではない行政庁も含めての在り得る、行政庁がどこかというのは別にして、調査をするというものと、すみません、もう一つ・・・ ○原田委員 その調査の仕方として、住基ネットを使ったら簡単だから、それで回答してくださいとすればいいではないかというところまで意見を求めるのか、それとも、行政庁に尋ねるというところまで、そこでどうやって回答するかは行政庁の問題で、住基ネットの使い方についても、どこまで使っていいかという問題、別の問題があるので、パブコメで聞く内容として、どこまで回答するように求めているのかということです。 ○北村幹事 補足説明の方で住基ネットというのを出していますので、そこの点を確認すべきということであれば、(注)なり何なり、そこに記載をした上で、そこは住基ネットを使うんだということが分かるような形で、本文あるいは(注)の中に記載をしておいた方がよいという御指摘かなと受け止めましたので、それが分かるような形で、少し試案の本文あるいは(注)になるのか、そこの仕組みが意見募集の対象となるようにしたいと考えます。 ○大村部会長 もう少し整理いただくということで受け止めさせていただきます。 ○大山委員 ありがとうございます、経団連の大山でございます。簡潔に2点申し上げます。   一つ目は、(前注2)について、こういった形で各事項にわたって、配偶者暴力や父母による虐待に対してきちんと対応することを明記していただいたことには、大変賛成です。その上で、この最後3行目のところで、「適切に対応することができるようなものとする必要があるとの考え方がある」との記載は、ニュートラルというか、表現が弱すぎるように感じております。元々、本部会の問題意識や政府のスタンスや対応としても、こういった問題には毅然として対応することが、ある程度コンセンサスを得ているものと承知しておりますので、ここでの記載も、「暴力や虐待に適切に対応する必要がある」と言い切っても良いのではないかなと感じております。   それから、2点目でございますが、第6の2、収入・財産に関する情報の開示義務に関する規律のところでございますけれども、(1)実体法上、そして(2)手続法上、両方の文章の中に、他方に対して自己の収入・財産に関するというところの前に、分かりやすさというか明確性を期すために、婚姻中に得た自己の収入・財産というような形で明記してはいかがでしょうか。 ○大村部会長 ありがとうございます。2点御指摘を頂きました。(前注2)について、基本的には賛成であるということを前提とした上で、表現について御指摘を頂いたかと思います。これも、何々する必要があるとの考え方があるという部分を動かすのか、あるいは、その前の部分、事案に適切に対応することができるようなものとする必要があるという部分をもう少し踏み込んだものにするのかといった選択肢はあり得ると思いますけれども、それも含めて、少し考えていただきたいと思います。   2番目の点について、対象を明示するかどうかということについて、事務当局の方で何かあれば。 ○北村幹事 御指摘はそうなのかなと思いつつ、実は、この婚姻中に得たかどうかというところの評価というのも結構難しいかなと思っていて、この部会の中でもいろいろ御意見出ていたところかと思います。ちょっと頂いた御意見を踏まえつつ、財産分与であるとか養育費における、どういう考え方を持って行っているのかといったところ、もう一度事務当局の方で検討させていただいて、どういう表現が適切なのかというものを考えさせていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただければと思います。 ○大山委員 ありがとうございます。 ○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。発言の機会頂いてありがとうございます。(前注)についてと、その後何点か述べさせていただきます。   (前注2)で、配偶者間暴力ということの3行が加わったことは、大変有り難く思っております。できれば、配偶者からの暴力という方が、法律名に沿っているのかなと思いますので、そのような明記の方がよいかなと思います。   それから、ここが、やはり大山委員もおっしゃったように、少し弱い書きぶりになっているということを、評価するとともにちょっと懸念を感じております。私はこの前年、法務省の養育費の検討会にも参加させていただいていたんですが、そこでは、まとめのところで、DV、児童虐待というような対応について、各段階に共通の重要課題として、DV、虐待対応の強化というのが書かれております。今日ちょっと、今日見付けたので、資料として要求ができなかったんですが、そのように書かれておりまして、そういうものとして扱われるべきではないかなと思います。   ここからちょっとだけお時間頂きたいんですけれども、私どもが参加しているシングルマザーサポート団体全国協議会30団体が、去年6月から7月にかけて2,500人のひとり親、このうち98%がシングルマザーでいらっしゃいましたけれども、調査した結果を今まとめ中で、次回には提出予定でございます。   そこで、少しだけ抜粋させていただきたいんですけれども、パートナーからの暴力の体験を聞いたところ、首を絞めた、絞めようとしたということをされた経験が一、二度ある、何度もある合わせ、22.1%が経験、髪の毛をつかんだり引っ張ったりした、一、二度ある、何度もあるが合わせて27.9%が経験。蹴ったり引きずり回したり殴り倒したりした、合わせて31.1%が経験、望まないのに力ずくでセックスを強要した、35.9%が経験、にらむ、どなる、物を叩き壊すなどして怖がらせたり脅したりした、67.6%が経験、収入や貯金があるのに家計に必要な額を払わなかった、59.5%が経験となっております。これは全く例外ではない、しかも、私どもは、このコロナ期に大変食料支援をしたり、生活にお困りの方の相談を受けてきました。決してDV被害者だけを集めた団体ではない、ひとり親の支援をしている団体で、この数字であるということでございます。   この結果、心身に不調を来したり、生きているのが嫌になったり、被害を受けたときの感覚がよみがえり、フラッシュバックに襲われる方が4割いらっしゃいます。さらに、その経験をお子さんたちが見聞きした、何度も見ていた33.4%、見聞きしていたときもあった32.4%、面前DVや子どもの虐待として児童虐待防止法に定義されております。具体的にどんなことが起こったのですかとお聞きしているところ、皆さんフラッシュバックをされながら、何とこの2,500人の方の中の711人が、具体的な児童虐待の事例を報告され、自由記述を書いているんです。ちょっとだけ、ごめんなさい、読み上げさせていただきます。   子どもたちの前で私に暴力を振るっていました、子どもたちは今でもそのときのことがフラッシュバックすると、過呼吸になったり体中震えたりしています、私に対しての暴力を見ていた当時3歳の長男は、私の膝に乗りに来た際にとばっちりを受けてしまい、顔を負傷して、夜中に救急に泣きながら連れていきました。どなる、両手でつかみ正座させる、びんたした、子どもが嗚咽を漏らすくらいに怒鳴り込んでいた、生後10か月のときに夜1時間ぐらい寝かせず、上司が部下にどなることと全く同じように子にずっと1時間説教し続けた、このようなことを、皆さん非常につらいお気持ちをしながら書かれております。私は、やはり支援団体としてこうした声をお届けする義務がある、このように信じて、今日お伝えしております。委員の皆さん、幹事の皆さんも、これを聞くということが責務かと思います。   第13回の家族法制部会で、細矢委員がDVについてのアセスメントを十分行っているということをおっしゃいました。DVは、当事者や子の安全・安心等に密接に関わる事象であるから、DVに関する主張がされた場合、あるいはされない場合でも、当事者の振る舞いや言動、資料等からDV等が疑われる場合には、手続のどの段階においても優先的かつ慎重な検討がされると思いますということで、事件類型に応じて当該事件の主要な論点との関係において、DVの評価、位置付けの在り方は異なり得ると書いて、面会交流のときにはしないという決定もあり得るということをおっしゃってくださいました。家裁では、ニュートラルフラットな立場で面会交流を行わないということもあり得るということを、全部読むとすごく長くなるので、ちょっと抜粋して御紹介しました。   となりますと、(前注)の扱いでよいのか、少なくとも手続法の中で、このことを、DVについてアセスメントを行い、きちんと書き込む、調査をして各段階で評価をすべきであるといったことが書かれるべきではないかなと思います。ちょっとこの(前注)だけで、ここで全ての段階においてということを見るのは、非常に弱いなと思っております。私としては、実体法の中にも入れるべきであると思っているんだけれども、少なくとも手続法の中に入れていただきたいと思っておりまして、ちょっと、本当に引用が長くて申し訳ございません、このことをお伝えいたしました。(前注)に関しては、こういったことでございます。   続いて、先ほどの第6の1の行政庁のところなんですけれども、何か今、住基ネットが話題になっていたんですが、そのほかの行政庁について、何か考えられているものがあるのかというのがちょっと分からなかったので、もし教えていただければ、例えば教育委員会ですとか、そういったことを考えているのかどうかをお教えいただきたいと思います。   それから、面会交流に関する裁判手続の見直しも範囲内でございますよね。ありがとうございます。ちょっとまたそこも長くなるのでございますけれども、離婚成立前、3の面会交流に関する裁判手続の見直し、(1)のアとイがございます。この間、面会交流の暫定命令として出てきたところであるのを、保全処分についての御説明を足していただいて、書き換えて再度御提案いただいていると理解しております。急迫の危険を防止するための必要な要件を緩和して、逆に子の安全を害するおそれがないなどの一定の要件を満たされる場合には実施するということなんですけれども、ここにもちょっと疑問点がございます。   部会資料17−2、7ページの3行目、「子が当該別居親を受け入れにくくなる結果として、その面会交流を円滑に行うことが困難となるといった弊害の指摘がある」といったことがございますが、これはどういうエビデンスに基づく御指摘なのかなと思いました。私も面会交流のお手伝いはさせていただいております。その中で、こういう事実があるのか、ないのか、ちょっと想像できかねますし、面会交流が円滑に行えないという理由の中には、いろいろな理由があるのではないかなと思っていますので、例えば、支援団体の方からとか当事者の方から、逆に同居親の方からお聞きするのは、会ったのはいいんだけれども、お父さんがちょっとやはりお子さんの年齢が進んでいくと、遊びがうまく分かっていなくて何もできないので、支援団体の方がいろいろ教えてあげて、お父様に何か円滑に行えるようにしているですとか、そういうことを当事者から聞くことがございます。   ですので、うまくいかない理由が期間だけになっているというのがちょっと、納得がいかないところもありました。わざわざ保全処分をかけてまで、これを実施するエビデンスが一体あるのだろうかと、改めて思います。会わせるか、会わせないかはニュートラルフラットに判断するだと、家裁の在り方は変わっていると聞いておりますけれども、あえてまたここでお出しになるということが、私には非常に反対に思っております。ここも、面会交流を取り決めてもうまく行われていないとアンケートで回答した428人の方に聞いたところ、理由として挙げられているのは、意外なことに、相手側が取決め後に何も言ってこない、42.1%、相手側が再婚したため、途中で面会交流を希望しなくなった、10.5%、こういった数字がございます。つまり、争って勝つのが目的になっておられる方は、実際取決めをした後実現しないというような方がいらっしゃるんです。そんなときに、こういった取決めを裁判手続までしてやる必要があるのかなというのが、非常に疑問でございます。   イの方は、調査官を交えない調査官調査ですかね、これも非常に非現実的な気がいたしましたので、あえてここでもう一度お出しになることに関しては、かなり消極的でございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。3点御指摘を頂きました。まず、(前注2)について二つありましたが、一つは、配偶者間暴力という表現について改めた方がいいのではないかという御指摘だったかと思います。これは後で、他の用語とも併せての検討を事務当局の方でしていただきたいと思いますが、それからもう一つ、大山委員からも御指摘があった点と共通ですけれども、書きぶりをもう少し積極的なものにすべきなのではないかということで、全ての段階に応じて、このようなことを考える必要があるのだということを書き込むべきだという御意見と受け止めさせていただきました。データ等についても御紹介いただきましたけれども、それらは、そのように書くということが必要であるということを示すためにお示しになったものと受け止めました。   それから、第6の1について、行政庁との関係についての御発言が御提言だったのか御質問だったのか、分からなかったのですが、御質問だと受け止めてよろしいですね。 ○赤石委員 質問です。 ○大村部会長 それは、もし何かありましたら、後で事務当局の方からお答えいただきたいと思います。   第6の3について、(1)のアとイについて、赤石委員がこれに反対であるという御意見はよく分かりました。他方で、これに賛成の方々も委員の中にはいらっしゃると思います。これを中間試案に載せるということについて、具体的な御意見としては、消極的であるとおっしゃいましたけれども、何か具体的な御提案があれば、それも併せて伺えればと思いますが。 ○赤石委員 この要件を緩和するという必要性があるのかということでございます。やはり、子の安全を害するおそれがないなど一定の要件が満たされる場合について、認定はどうするのかということも危惧がされるわけでございます。消極的な意見があるからこそ、今協議しているわけですので、協議を待っているのでよいのではないかと思いますが、もし一定の要件を議論するのであれば、きちんとしたアセスメントが必要であるということになります。 ○大村部会長 今おっしゃったように、これをどうするかということを部会において、パブリックコメントを踏まえた上で、この後さらに検討していくということになろうか思いますけれども、パブリックコメントに付すための中間試案として、赤石委員がおっしゃったことのうちのどの部分をどのような形で反映させるかということについてはいかがでしょうか。 ○赤石委員 具体的にお伝えいたします。 ○大村部会長 分かりました。では、ここについては、この提案について消極的であるということで、具体的な提案については後で示されると承っておきます。   次が、今津幹事、小粥委員という順番でお願いします。 ○今津幹事 幹事の今津です。第6に関して、何点か意見を述べさせていただきます。   第6の2のところなんですけれども、養育費、婚姻費用の分担及び財産分与等に関してという記載になっているんですけれども、これが、第6の4にある養育費等というものと同じものと見ていいのか、それとも、あえて異なる記載にしているのかということを、事務当局にお伺いできればと思います。個人的には、今回、第6として、子の監護に関する事項についてという見出しになっていますので、養育費等という形でまとめてもよろしいのかなと思っているところです。   同じ第6の2のところなんですけれども、今回実体法上の規律と手続法上の規律という形で整理していただいて、非常に分かりやすくなったかなと思います。実体法上の規律の方なんですけれども、収入・財産に関する情報を開示するという表現ぶりになっているところが、ちょっと手続法のニュアンスが含まれるような用語かなという印象を持っていまして、実体法上の規律ということであれば、例えば情報を提供するとか、そういった用語に変えてもいいのかなという印象を持ちました。   それから、第6の3に関してなんですけれども、(1)と(2)と記載をされているところが、(1)、(2)の関係がちょっと分かりにくいかなという気もしますので、例えば、(1)の方で見出しとして調停成立前又は審判前、(2)として調停成立後又は審判後というような形で、どの場面についての御提案なのかということをはっきりさせた方が、意見として求めやすいのかなと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。今津幹事からは、主として、表現の問題について御指摘を頂きました。第6の2の養育費、婚姻費用の分担及び財産分与等というのと、後に出てくる表現との関係ということについて御質問がありましたが、それを踏まえて、養育費等というまとめでいいのではないかという御意見を頂きました。   先ほどの赤石委員の質問についてのお答えを私が忘れていますので、今の今津幹事の御質問と併せて、事務当局の方から後でお答えを頂きたいと思います。   それから、第6の2の開示するという表現が、実体法の表現としてはどうかという御指摘、第6の3の(1)、(2)について、見出しがあった方が分かりやすいのではないかという御指摘を頂きました。   質問について、赤石委員の第6の1についての御質問と、今の今津幹事の第6の2についての言葉遣いの質問、よろしいですか、事務当局の方で。 ○北村幹事 事務当局でございます。まず、赤石委員から御質問ありました、第6の1の行政庁について、教育委員会を想定しているのかという御質問だったと思いますけれども、この行政庁、現時点で具体的にどこと何か決め打っているわけではありませんけれども、通常、教育委員会というのはなかなか想定しにくいのかなとは考えてございます。   続いて、今津幹事から御質問ありました2の養育費、婚姻費用の分担及び財産分与等に関してというところと、4の養育費等というのは、基本的に同じなのかという御質問について、私どもとしては同じと考えておりましたので、少しその表現も含めて、適切な用語、範囲が同じものについては同じかどうか、もう一度ちょっと、資料を見直した上で、同じものはできるだけ同じ表現にするように整理をしておきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。よくお願いいたします。 ○小粥委員 委員の小粥でございます。資料17−1の第6の1についてと、それから2についてと、一つずつ発言させていただきます。   まず、第6の1についてなんですけれども、念頭に置いているのがどのような事件なのかによって、反応が変わるような気がするということです。どういうことかと申しますと、養育費の請求を考えるという場合と、それから面会交流を考える場合とでは、随分住所の調査をどのくらい積極的にサポートすべきかというようなことに対する判断が変わってきそうな気がして、手続法の規律としては、相手方の居場所が分からないときの共通の規律ということになるのかもしれませんけれども、区別する必要はもしかしたらないだろうかと、それが1点です。   それから、第2点は第6の2に関することで、その第6の2の(1)実体法の規律というところですけれども、この実体法上の規律ということの中身が、今一つはっきりしないのですね。これは、具体的な請求権を発生させるようなものなのか、それとも、義務違反に対して損害賠償請求だけを考えるようなものなのか、ちょっと余りよく分からなくて、例えば、似たようなものとして思い浮かべられるのは、過払金返還請求のときの取引履歴開示義務みたいなのは、実体法上の一種の手段的な権利のような気がするんですけれども、ちょっといろいろな実体法上の規律ないし実体法上の権利ないし義務というのでしょうか、どういう具体的な中身であるのかがはっきりしないままパブリックコメントということになっても、なかなか答えは難しいのかなというような気もいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。小粥委員から2点御指摘を頂きましたが、御指摘は、補足説明で御指摘の点を分かるようにする必要があるということでしょうか。 ○小粥委員 その必要があるのかどうかということ。 ○大村部会長 いずれにしても、本文を書き直せという御趣旨ではないと受け止めてよろしいですか。 ○小粥委員 はい。 ○大村部会長 分かりました。では、それは、御検討いただきたいと思います。   石綿幹事、原田委員の順番でお願いします。 ○石綿幹事 幹事の石綿でございます。私も、資料17−2の第6の2、4ページのことについて指摘したく思います。   小粥先生と同じ(1)の実体法上の規律ですが、本文の内容を提示して意見を聞くということには異存がありませんが、このような義務付けをした後に、その後何らの行為も予定されていないのであれば、何のためにこの情報開示をするのかということが問題になるのではないかと思います。財産分与は現状必ずしも全てのカップルが義務として行うものではないので、情報だけ開示をして、そのままで終わってしまうというようなこともあるのではないかと思いました。ここの対象を全ての夫婦にするのか、今津幹事の御発言とも関連しますが、第6というのがそもそも子の監護に関するものであるので、子がいる夫婦に限定するのかといったようなことも考えられるかと思います。もう少し補足説明などで、開示を求める範囲というのを検討する余地があるというようなことも触れていただいてもよいのかもしれませんと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事からも、前の小粥委員と同じで、実体法上の規律、1ページの第6の2の(1)ですけれども、ここについて、もう少し説明が必要なのではないか、開示の対象になる範囲というのが何なのかということを少なくとも補足説明に書くべきではないかという御指摘を頂きました。 ○原田委員 ありがとうございます、弁護士の原田です。私も、今の第6の2のところですけれども、実体法上の規律がどういう効果を及ぼすのかという問題の説明が必要だというのは、お二人の意見に賛成なんですけれども、(1)は離婚するときはと書いてあって、(2)は婚姻費用とかも入っているので、これは別居も入るんだと思うんですけれども、(1)でも離婚するときだけに限らないのではないかと思って、ここ二つ区別する意味は余りないのではないかと思いますので、一緒でいいのではないかと思っております。   それから、先ほど今津委員からですかね、養育費等というのが第6の4と同じかということで、同じと考えていたと事務当局からお話がありましたが、第6の4に財産分与まで入るという議論は、今までなかったのではないかと私は思っていまして、私は、ここは養育費と婚姻費用と考えていたんですけれども、財産分与まで含めてこういう手続にするという意見を聞くのであれば、それは分かるようにしていただきたいと思います。   それから、第6の3の面会交流に関する裁判手続の見直しの問題で、先ほど赤石委員からもお話がありましたけれども、交流の期間が長期にわたって継続すると、当該子が別居親を受け入れにくくなるというエビデンスがあるかというお話に関連して、私、この前事例を挙げましたけれども、そのときにほかの委員から、やはり長期にわたって会っていないから、そうなっているのではないかという御指摘がありましたが、あの事例は、審判が出るまでに私が立ち会って何回も面会交流した事例ですので、ちょっとそこは付け加えさせていただきます。   それで、補足説明の中に、早期に面会交流を行うことが子の最善の利益にかなうとは言えないという意見があることを入れていただきたいと思います。裁判所で面会交流が問題となる事案というのは、父母が争っているとか、子が消極的であるなど、何らかの障害事由がある場合でして、未成年時に協議離婚を経験した子どもに対するアンケートでは、約3割が連絡を取りたくなかったと子どもたちの方で答えていますし、離婚と子育てに関する世論調査でも、面会交流について、どんな場合でも望ましい、望ましい場合が多いと答えた人が約半数、特定の場合望ましいを入れて9割、その方たちのうちの6割から8割は、子が望んでいない場合やDVがある場合、虐待がある場合は望ましくないと回答しております。この提案は、会いたい、会わせたくないという対立がある場合に、会わせることが子の福祉に合致するという前提に立っていると、私は読んだんですけれども、会わせたい、会ってほしいと言っているのに、会いたくないという場合も含んでいるんでしょうか。ちょっと表現が適切でないかもしれませんけれども、ちょっと前者の方に偏った立場からの提案に感じております。なので、最初に申しましたように、補足説明に、そもそも暫定的な面会交流制度の導入が、子の福祉には合致しないという考え方もあるということを入れていただきたいと思います。   それから、先ほど戒能委員でしたか、子の安全・安心という言葉がありましたけれども、本文や補足説明の中で、子の安全という言葉がありますけれども、17−2の7ページの(2)のイに関する説明では、安全・安心な形で行われることを担保する仕組みとありますけれども、その下では、子の安全だけになっていて、本文も子の安全だけになっています。安全は、周りがこれは安全ですよと判断できますけれども、安心というのは、当事者が安全であることを確信して、初めて安心と言えるわけで、そのステップが違うんですね。文科省の文書でも、子の安全・安心というのはセットで出てきています。そして、子どもだけではなく監護親の安全や安心も、子の監護の質に影響します。これは、面会交流原則実施論の下では、とても問題になりました。ここでは、やはり父母及び子の安全・安心という提案にまとめていただきたいと思います。   あと、子の暫定的面会交流のアとイの関係は、ほかの日弁連の委員も、ちょっと弁護士会で議論した委員がおっしゃると思いますので、ここは私は省略いたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。原田委員からは4点でしたでしょうか。   まず、第6の2について、先ほどから出ている意見に賛成だということで、(1)と(2)が、対象が分けられているということになっているが、その必要はないのではないか、まとめて扱うべきではないかという御意見が一つ。それから、先ほど用語の整理が必要ではないかという御指摘があった部分に関して、後の方には、財産分与は入っていなかったはずではないかという御指摘があったかと思います。そこは、後でまた確認を頂きたいと思います。   それから、第6の2については、これは補足説明の方にということでしたが、暫定的な面会交流が子の最善の利益に合致しない場合があるということも書き込んでほしい、最後に安全・安心、先ほどから出ていますけれども、これを対にして書き込んでほしいいう御要望と承りました。   財産分与について何かありますか。 ○北村幹事 先ほどお答えいたしましたけれども、ちょっとその範囲について、改めてもう一度確認をするとともに、ちょっと検討させていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。御確認いただければ思います。 ○池田委員 弁護士の池田でございます。私からは、第6の1、2、3について、それぞれ意見を申し上げたいと思います。   まず1ですが、調査嘱託の結果出てきた住民票の住所の取扱いについてですが、これまでの議論の中で、住所秘匿がされている場合もあり得るということから、相手方はこれを閲覧できないようにするという取扱いをしてはどうかという案もあったかと思います。これについても、ある程度賛同する意見があったかと思いますので、提案の中に入れてはどうかと思います。   2についてですが、まず、情報開示の規律というのについて、これまで財産分与だけについて議論がありましたけれども、これを養育費、婚姻費用の分担にも及ぼすということが提案されていまして、これについて賛成いたします。その上で、(1)、(2)について一つずつ意見申し上げますが、(1)で、先ほど原田委員からも御指摘ありましたように、「離婚するとき」となっている点は、これですと、恐らく婚姻費用が外れてくるのではないかと思います。これを含めようとすると、「別居するとき」などと書かなければいけないということになって、別居概念の定義がなかなか難しいという問題との兼ね合いが出てくるかなとは思いますが、実体法上の規律と手続法上の規律が、ずれが生じないように御検討いただければと思います。   それから(2)ですが、対象事件が家事審判と家事調停に限られておりますけれども、これら養育費や財産分与というのは、人事訴訟の附帯処分としても審理されますので、人事訴訟の附帯処分も含むべきではないかと思います。   3に移りまして、(1)、アとイの関係なんですが、アとイは並立し得る制度であると読みましたが、その関係がちょっと本文からだけでは読み取りにくいように思われましたので、書き方に工夫をしていただくとよろしいかなと思いました。それが1点と、アの第三者の協力という点についてですが、これは、補足説明の中で、担い手として弁護士等の法律家や支援団体等が挙げられています。ただ、この制度においては、この第三者の協力というのは、迅速な審理と相補う非常に重要なポイントになるかなと思っておりますので、その担い手の具体例については、補足説明ではなくて注書きをしていただくといいのではないかなと思いました。それによって、全国一律の制度として、取り入れるというのが本当に機能し得るのかどうかとか、地域的ないろいろなばらつきもあると思いますので、そういった意見ですとか、あるいは、逆に機能させるには何が必要かといったような意見も聞けるのではないかなと思います。   それから、最後ですが、イですけれども、補足説明を併せて拝見しますと、現在の試行的面会交流を、命令という形で実現しようとするものと読めました。仮にそうだとしますと、家裁調査官による面会状況の観察というのは必須なものとなるのではないかなと思います。この提案では、「必要に応じ」家裁調査官が観察するとなっていますが、そこを、例外を認める場合もあるかもしれなれませんので、例えば「原則として」などとした方がいいのではないかなと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。池田委員からは、第6の1、2、3についてそれぞれ御意見を頂きました。   第6の1について、住所秘匿のことをおっしゃって、提案に入れたらよいのではないかということでしたけれども、具体的にはどのような形でという御趣旨ですか。 ○池田委員 そこで調査して得られた結果については、申立人が閲覧できないようにするという手当てを書き込んではどうかという趣旨です。 ○大村部会長 本文にですか。 ○池田委員 本文、あるいは(注)でも結構だと思います。 ○大村部会長 分かりました。本文あるは(注)にという御意見として伺いました。   それから、第6の2については、対象を養育費に拡張することには賛成ということでした。これは後で、先ほど事務当局の方からありましたけれども、後ろの問題と併せて、範囲については少し整理をしていただくということかと思います。   6の2の(1)、(2)のずれについて、先ほどから御意見が出ていますので、この点について注意をしていただきたいということと、(2)について、人訴の附帯処分も含めて考えてほしいという御要望だったかと思います。   第6の3については、(1)のアとイが分かりにくいという御指摘が、先ほど今津幹事からもありましたので、見出しを付けるというようなことも含めて、少し工夫をするということかと思います。アについて、第三者の協力についての具体例を、これを注書きにしてほしいという御要望を頂きました。イについては、「必要に応じて」を「原則として」と書いてはいかがかという御意見だったかと思います。 ○武田委員 親子ネット、武田でございます。(前注2)と6に関して意見を述べさせていただければと思います。   (前注2)、いろいろな各委員の先生方も発言あったとおり、もう少しきっちり書くというところに関しては、事務当局の方で検討いただければよいのかなと思っています。ただ、この個別の各要素に、DV、児童虐待等々の理由をどう落としていくのかということに関しては、別にこれは賛否を示しているわけではありませんが、例えば、6で言いますと、面会交流に関して、暫定的な面会交流により子どもの安全を害するおそれがないことを要求すべき、私は、これはこれでこのとおりだと思いますし、もう少し詳細に書いていくんであれば、より具体的に、個々の要素でこんなことを書いた方がいいという御提案をもって検討していくべきなのかなと、そんなふうに感じました。(前注2)に関しては以上でございます。   次に、第6に関してそれぞれ申し述べていきたいと思います。   まず、1ですね。特に、この相手方の住所の調査に関する規律、ここは非常によいかなと思っています。1点だけ、この同意を得ない連れ去りケース、赤石委員がよくおっしゃるDV等による避難、これは除いてという前提でございますが、裁判所の所管を、連れ去られた管轄の裁判所ではなく、元住所地、元住んでいた住所地の管轄の裁判で所管をするという例外、こういった例外を規律のただし書に加えるという意見もあるということを、補足説明で触れていただきたいというのが、1に関してでございます。   続きまして、2を飛ばしまして、3に移らせていただきます。まず、(1)のアのゴシックの本文のところです。先ほど池田委員も少し触れておりましたが、まず、第三者の協力を得ることと表現されておりますが、ちょっとこれだけを読むと、弁護士や面会交流支援団体という具体的な名称が補足説明に出ておりますが、何か第三者に全て投げるように読めるな、一般の読む方はそんなふうに読む方もいるだろうなと思います。したがいまして、私はこれ、基本的にはこのように書いた方がよいのではないかということを、今、申し述べます。家庭裁判所の判断により、家庭裁判所調査官などに加え、第三者の協力を得る、かなと思っています。   次に、補足説明に関してです。7ページの(2)の上のところですね、「こういった指摘を踏まえ」という表現がありますが、ちょっとこの前段に、期待できる効果に関して触れた方が丁寧かなと、そんなふうに思っております。具体的には、本案の決定前に、家庭裁判所が別居親と子どもとの関係、子どもの心情を早期に、かつ、正確に認識できるということが期待できる、こういった文言を前文の中に、効果として補足説明の中に入れてはどうかと、そんなふうに考えています。   続きまして、ちょっとここで、申し訳ありません、第6の考慮要素に関して、この面会交流の流れですので、ここで発言させていただきたいんですが、部会長、よろしいでしょうか。 ○大村部会長 結構ですけれども、簡潔にお願いできればと思います。 ○武田委員 すみません、分かりました。ではここで発言させていただきます。   戻りまして、考慮要素のところの16−2、30ページのゴシックの部分でございます。ここに関しては、今現在の記載に関しての定め又はその定めを変更するに当たっては、子に最善の利益を考慮しなければならないと、こういうふうにありますが、ここは提案でございます。従前から申し上げていますとおり、原則として子の最善の利益に資するものである、子と離れて暮らす親との関係を維持するだけの接触を確保するものとし、その考慮要素については引き続き検討するものとするという表現を提案させていただければと思います。 ○大村部会長 すみません、場所を特定していただけますか。 ○武田委員 36ページです。 ○大村部会長 考慮要素の36ページの考慮要素のところの本文ですか。 ○武田委員 2点目、同じく考慮要素の(注2)のところですね。4点記載があると思っています。@、A、B、Cとありますが、ここはちょっと順序を変更いただきたいと思っています。@が交流を求める者と子との関係、Aが子の生活状況、Bが子の発達状況及び心情、この順番にしてはいかがかと考えています。あと、Cに関しては、交流を求める者と子の親権者又は監護者の関係と記載ありますが、ここは、飽くまで父母の関係でございますので、親子の関係とは別ものであると、私としては考えております。したがって、暴力に関する表記にもありますとおり、ここ、より暴力に寄せた表現にしてはいかがかと思います。具体的には、交流を求める者から親権者又は監護者への暴力など、面会交流が安全に実施されないおそれ、このような表現にしてはいかがかという提案をさせていただきます。この考慮要素を含めて、どこでどのように表現するかということに関しましては、一旦事務当局側で御検討いただければと思います。   最後、面会交流の頻度に関してです。第5回会議で、私の方から米国アリゾナ州の最高裁、共同養育計画のモデルプラン、これを提出させていただきました。ここに関して、ここは補足説明で結構でございます。養育計画策定のために、養育費算定表同様、面会交流の頻度も参考になるようなモデルの提示が必要との意見がある、このような表現を補足説明に入れていただきたいというところでございます。   最後、17に戻りまして、4に関してです。養育費に関する金銭債権、ここに関して2点述べさせていただきます。1点目、(注2)に関してです。ここは、(注2)、これ、本文から外した方がよいのではないかと思います。補足説明まで拝見させていただきましたが、今現在まだ施行もされていないこと、中間試案出て、パブコメの回答が返ってくると、それで具体的に検討進められるのかということに、非常に懸念を覚えます。したがって、補足説明に載せるのはよいんですが、ちょっと(注2)に書くのはいかがなものだろうかと思っています。   次、補足説明に関してです。1点、こういう要素を付け加えていただきたいと思っています。養育費の執行に関しては、平成31年の民事執行法の改正がなされたと認識をしております。その改正の際の取組は具体的に何だったのか。恐らく、今挙がっている課題は、今なお残っている課題であると、私としては理解しております。だから、今回、この中間試案で提案をするという流れを追記した方がよいのではなかろうかと考えております。   すみません、長くなりましたが、私からは以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。武田委員からは、(前注2)について、御意見というよりも、所感を述べていただいたと受け止めさせていただきます。具体的な話としては、第6の1、3、4、そして、その間で、前の資料の方の16−2で申しますと、36ページの部分についての御意見を頂きました。   頂いたものの中には、補足説明への要望というものと、それから現在本文になっているもの、それから(注)になっているものについての具体的な御意見があったかと思います。補足説明の方については、先ほど述べていただいたことを繰り返しませんけれども、事務当局の方で検討をしていただくということにしたいと思います。   本文、(注)に関わる問題としては、第6の3の(1)のアの第三者の協力、先ほどから出ているところですけれども、その部分について具体的な御提案を頂きました。第三者の協力というのは曖昧ではないかというのは、先ほどの池田委員と同じでしたけれども、「家裁調査官などに加え」という文言を加えたらどうかという御提案だったかと思います。   16−2については、16−2の方でいうと、36ページの本文と、それから(注)の中の考慮要素の順序についての御提案を頂きました。第6の4につきましては、(注2)を補足説明の方に回した方がいいのではないかという御意見だったと伺いました。 ○木村幹事 幹事の木村でございます、ありがとうございます。第6の3に関しまして発言させていただきたいと思います。   制度の位置付けに関わってこようかと思いますけども、特に(1)のイの方につきまして、調査官の中立性確保という観点を、もしも可能であれば、補足説明などで指摘していただきたいと思い、発言させていただきます。適切な審理、調査のためには、裁判体や家裁調査官の客観性、中立性に対する信頼が得られるということは、極めて重要であり、子の調査における、子と家裁調査官との関係についても同様であります。また、別居親と子が最初に行う面会交流は、子の心情、子の利益に照らして、非常に重要なものであるということは言うまでもないところかと思います。   こういった観点も踏まえ、現行の実務、運用で行っております試行的面会交流におきましては、信頼関係を構築しつつ、多角的な調査を尽くし、子の意向や環境を慎重に見極め、試行の要否、可否、奏功する可能性を評価し、必要に応じて、一定の調整的な働き掛けや環境整備も経た上で、試行的面会交流を実施しております。したがって、試行当日におきましても、専門的知見に基づいて、一定の調整的な働き掛けや環境調整の役割も果たしつつ、実効的な調査を実施するようにしているというのが実情でございまして、試行的面会交流を実施したことによって、家裁調査官に対する信頼や中立性に支障を生じるということも、余り想定されないところではあります。   一方、イの案ですが、一定の期間内に1回又は複数回の面会交流の実施を行うということとする場合には、今の試行的面会交流と同じような家裁調査官の関与、先ほど述べたような関与の仕方を想定することは難しいのではないかというところがあります。すなわち、調査官の中立性、調査の中立性、そういったことを確保する観点も重要であり、一定の要件というものの審理過程ですとか、この制度の下での面会交流の実施場面において、調査官が関与する局面があるとしましても、その中立性に疑義が生じないようにする必要があり、取り分け調査官が履行確保を行うものではないということは、明確にしておく必要があるのではないかと思います。   また、中立性確保に努めたとしましても、調査自体への一定の影響も否定し難いといったことも一応留意しておく必要があるように思われます。この制度が、現在実務上行われている試行的な面会交流と異なり、早期に面会交流を実現するということを目的として、したがって、事前の慎重な調査や調整を経て面会交流が実施されるというものでは必ずしもないということであれば、例えば、実際の面会時に子どもが拒否的な反応を示したといった場合に、裁判所の方で責任を持って調整をすることができる状況であろうか、ということですとか、そのような拒否的な反応に依拠した表面的な評価しかできなくなるといった懸念もあるということ、さらには、子どもとの間の関係性に支障が生じ、その後の調査が適切に実施できなくなる懸念もあるといったことにも留意が必要と考えるところでして、一つの視点として、調査官の中立性の確保といった点を、補足説明にも書いていただき、一つの視点として示していただきたい、というような観点から発言させていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。木村幹事からは、第6の3の(1)のイに関して、このような新しい手続を創設することに伴う懸念をお示しいただき、具体的な提案としては、調査官の中立性の確保ということを補足説明に書き込む必要があるのではないかという御意見を頂いたと理解をいたしました。 ○菅原委員 ありがとうございます、白百合女子大学の菅原でございます。2点申し上げさせていただきます。   1点目は、皆さんがおっしゃったように、(前注2)で、配偶者への暴力や虐待のことを書き込んでいただいたことは大変賛成でございますので、表現をブラッシュアップしていっていただきたいと希望します。   2点目は、3番の面会交流に関する裁判手続の見直しの(1)の補足説明のところでございます。6ページの最終行から、「別居親と子との交流がない期間が長期間に渡って継続することとなりかねない」とありまして、次の段落で、「このようなことに対しては、例えば、その後に面会交流の定めがされたとしても・・・」ということが書かれているんですけれども、この長期間にわたる交流の断絶ということの影響として、一つは、子にとってその直前まで継続していた親子関係が急に絶たれて、長期間別居親に会えなくなるということは、そのこと自体が子にとって非常に大きな不安を引き起こし、また、見捨てられてしまったのではないかと心配になったりして、よく事情が分からないままで非常に悲しく不安な状態に置かれることがあります。   別居前の親子関係が良好だった場合には、余計その後の子どもの行動に対する悪影響がみられるというエビデンスは海外の研究論文として発表されておりまして、そういうようなことも考えると、この補足説明の箇所に、交流できない時期が長期間にわたると子どもに悪影響が出ることや、小さな子の場合には記憶のスパンが短いので、別居親のことを忘れてしまったり、また面会の際にも人見知りが起きたりといったこともあり得るといった懸念についても書いていただいてもよいのではないかなと感じます。   離婚直後の子どもの反応につきましては、先ほど原田委員でしたか、ご発言がありましたけれども、法務省がおこなった未成年時に親の別居・離婚を体験した1,000名の成人を対象とした調査の結果を見ましても、別居直後の時期には、本当に多様な子どもの反応があり得るということが分かります。原田委員が指摘されたように、あまり会いたくなかったとか、会いたくなかったいう方も3割いらっしゃいますし、一方、毎日会いたかった、から、月に1回くらいは会いたかったという子どもたちも26.1%、気が向いたときに会えればいいと思ったという人も17.9%で、会いたい・会えればいいという気持ちがあったという人は合わせて4割を超えていました。とても多様な心情があるので、その辺りの子に対しての意向確認や心情把握というところは、細やかに行う必要があると思います。   いずれにしましても、長期間にわたって会えなくなってしまう、突然親子関係が絶たれることの子どもにとっての意味や、また別居前にはいい親子関係であると、余計子にとって悲しみや悪影響が大きくなるという事実や懸念についても少し補足のところに書き込んでいただいてもよいかなと思いました。御検討していただければ有り難いです。 ○大村部会長 ありがとうございました。(前注2)につきましては、これまで皆さんがおっしゃっていた方向に賛成であるということと、第6の3の(1)の補足説明について、6ページから7ページにかけて出ているその影響、交流がない状態が長期間にわたることの影響ということについて、もう少し書いたらいかがかという御意見を頂きました。 ○柿本委員 柿本でございます。私からは3点ございます。   もう皆様からも出ておりますとおり、(前注2)についてでございますが、ここはきちんと、丁寧に、はっきりと記述する必要があると思っております。   それから、2点目は、第6の1番のところ、相手方の住所の調査に関する規律のところでございますが、閲覧できないようにするというのを加筆したらどうかという意見がございましたが、私もそこのところが必要ではないかと感じております。   あともう1点は、3番のところ、面会交流に関する裁判手続の見直しのところでございますが、イのところ、調査官が必要に応じという表現になっておりますが、原則としてという規律で書いていただければよいのでは、と考えております。 ○大村部会長 ありがとうございました。(前注2)についての御意見と、それから具体的な問題については、第6の1について、住所秘匿が必要な場合があるのではないかという御意見ありましたけれども、その方向に賛成ということだったかと思います。第6の3について、先ほど御意見が出ましたけれども、「必要に応じて」を「原則として」に改めるというのに賛成といった御意見を頂きました。 ○井上委員 ありがとうございます、連合の井上です。2点です。   やはり(前注2)のところですが、配偶者から、というふうに直すのでしょうか。暴力が入ったことについては、私も賛同するところですが、補足説明も含めて見ていると、配偶者からの暴力というと、暴力とは何なのだろうということになるのではないかと思うのですね。先ほど武田委員から、16のところで暴力という言葉の追記をお願いしたいという発言がありましたが、どうしても暴力というと、殴るなど、身体的な暴力と見られてしまうので、もし暴力という言葉を使うのであれば、例えば身体的、精神的、経済的などと括弧書きで入れなければ、これをパブリックコメントで一般の国民が見たときに、ただ単に殴る暴力と見られてしまうのではないかと思いますので、その記載は気を付けた方がいいのではないかと思います。   それから、第6の3の面会交流の裁判手続の見直しのところですが、これにつきましては、暫定的面会交流については、第13回会議で、拙速な内容に疑義のある意見も出たと記憶しています。今回、新たな手続で案のイも示されましたけれども、やはり裁判所が面会交流の実施を命令できる点は変わらないと思います。なので、そこは、先ほど原田委員が違う意見もあったという御指摘がありましたけれども、私も原田委員から御指摘があった意見を追記した方がいいのではないかと考えます。 ○大村部会長 ありがとうございました。2点御指摘いただきましたけれども、(前注2)については、補足説明中の暴力という言葉について、少し説明が必要ではないかという御意見と、それから、第6の3の(1)について、これは、既に消極的な御意見も出されておりますけれども、そうしたことについて書き込んだ方がいいのではないかという御指摘だったかと思います。ありがとうございます。   ほかいかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。 ○棚村委員 私も、(前注2)の暴力ところは、かなりマイルドな表現になっており分かりにくいので、むしろ、こういうことについてはきちっと配慮するというような毅然とした感じで表現をされる方がよろしいかなと思います。   それから、第6の3のところなのですけれども、面会交流、特に暫定的な面会交流について、かなり消極的な意見多いというのは理解しているところです。ただ、本案で認められて、前も確認したのですけれども、緊急的な保全という形の提案ですよね。つまり、本案だと時間が掛かったり、もちろん丁寧に審理をするわけですけれども、長らく会えていない、面会ができない理由というのは、確かに多様だと思いますし、いろいろな事情があると思うのですけれども、現行でも実務上も理論的にも保全処分ということはあり得るわけで、確かに余り使われていないというのがあるので、これを使いやすくするために、どういう要件みたいなものを具体的に設定したらいいかということが今回の御提案の趣旨と考えています。つまり、今回は急迫の危害を防止するという要件を緩和する方向での提案ということで、これが緩和になっているのかどうかという評価は多分あると思うのですけれども、いずれにしても、本案があって、それがある意味で時間が掛かったり、なかなか実現できなくて、損害というか、被害というか、そういうようなことが子に生じるおそれがあるということになると、通常は保全の必要性が認められる場合もあり得ると考えます。このとき、どうしても子どもの最善の利益というのは補足説明に書いてありますけれども、そういうところで、ある程度裁量的に判断をしていかなければいけないことと、それから、具体的な要件化の中で、先ほどから出ているような安全・安心の確保というのは非常に重要なことですので、どう書き込むかという問題あるのですけれども、取りあえず消極的な意見もあるし、他方で、会えないというので、面会交流の時点でも、認められてもなかなかそれが実施するレベルでも難しいという御意見もあるようですので、暫定的な面会交流命令についても聞いてみるべきではないかと思います。   私は、直接強制については、伝家の宝刀みたいな形で置くことはあり得るけれども、なかなかそれは使いづらいと思います。それを考えると、もう少し入口のところで、何らかの形で保全処分みたいな形も使えるような制度として、一つ提案をされて、それで広く皆さんの御意見を聞くということは、悪くはないと思います。ただ、その結果、今出ているように、この保全処分というのが本当にうまく運用されるかどうかというのは、正直言ってなかなか難しいところあると思いますけれども、面会交流原則実施論もそうですし、それを非常に批判する考え方っていうのももちろんあって、その中で、実際の運用のレベルでどういうことが行われているのかというのでも、かなり激論があって、評価も対立しています。そこで私自身は、そういう意味では、今回中間試案で取りまとめるということであれば、元々の保全処分というのはあるわけですから、それがなぜ使われていないかという原因も含めてですけれども、提案をさせていただいて、長期間会えない理由、それから原因も含めて、お子さんにとって本当にどっちがいいのかということで制度化することの一つの選択肢として聞くということは、あっていいと思います。   それから、イの方の試行的面会交流についても、木村幹事からも言われましたように、この制度というのは調査官を頼りにして、調停とか審判で非常に、なかなか難しいというか、様子を見てどう進めていくかということが悩ましい事案で、有効な仕組みとして機能はしていると思います。ただ、試行的面会交流という実務的に定着したものを新しい制度として設けるときに、今言いましたように、私自身は、必要に応じてとか、原則的にとか、家庭裁判所調査官にということも大切ですが、面会交流自体は、本来は父母が自力でできるということが一番望ましいと思っています。ただ、自力でできないケースもかなりありますから、そういう場合に、家裁調査官がかなり関与して準備やお膳立てをしながら、試行的面会交流というような形で調停、審判、手続的にうまくいくための材料や見通しを立てる目的で、科学的な専門家としての調査機構として役割を果たしていただくということだと思います。   それで、私は、「原則として」より、「必要に応じて」でいいのかなと思っていたのは、正に、暫定的な面会交流もそうなのですけれども、イメージによると思うのですけれども、支援団体の方とお話ししていると、やがて自力でやってもらうようになるために支援をされているというところが非常に多くありました。そうすると、本来は、信頼関係とかいろいろ葛藤みたいなものを克服して、親同士が自立して面会交流ができるような状態になれば一番いいのだと思います。ただ、問題は複雑に対立や葛藤がエスカレートしていって、その中で家庭裁判所が関わるということも多いと思いますので、ある意味では、家裁がそこの中で、一番目の暫定的面会交流命令は、飽くまでも申立てをする人のイニシアティブでの制度ということになります。   それから、イの方は、どっちかというと、やはり家裁が調停、審判で適切な解決というものをやっていくために、もちろん当事者も望んでおられるというのはありますけれども、申立てや手続の主体が大分違うんだと思います。暫定的面会交流命令と、試行的面会交流というのは、目的とか性質もだいぶ違うところもあります。ですから、その辺り、誤解がないように、飽くまでも当事者が申し立てて、本案を受ける前に保全処分として一定の暫定的な面会交流を求められるという制度を設けるか、設けないか。   それから、イの方は、家裁が円滑な手続とか、面会交流の実現というか解決のために、試行的な面会交流というのを、一定の目的でもって実施をしているのが現在の実務ですので、余り実務に対しての混乱とか、いろいろな問題が生じないようにすべきと思います。子どもに会えていない当事者の方は非常に期待して、これに、逆に言うと頼りすぎて、むしろ自力でやるとか、民間の方とか、第三者の支援を適切に受けるとか、そういう選択肢みたいものを採らずに、これに頼っていくということになると、私はあんまり制度としては望ましいものではないので、そういう意味では、先ほどの親ガイダンスではないですけれども、早い時期に意識改革とか、いろいろなものをしていただいて、いかにお子さんにとって争うことがお子さんの健全な成長に悪影響やいろいろ問題があるかとか、それからDVもそうですよね。(前注)に出ているように、やはりどの場面でも安全・安心というのは最大限に考慮されなければいけないので、お子さんの最善の利益というのと、安全・安心というのも結構重要なことなので、総論的なところにそういうものを積極的に入れていくとか、各論的なこういう問題については、今言った制度の趣旨とか目的みたいなものを明らかにしながら、具体的にどういう場合に認められるかというような形でお聞きできるようにしていきたいと思います。   それで、補足説明については、そういう誤解がないように説明をするのはいいのですけれども、このこと自体を聞く必要がないというようなことについては、簡潔を心掛け、面会交流についての提案については、制度としては、聞くということについての意味はあると思います。その結果、一般の国民の方からも、こんなものはもう必要ないとか、かえってこれは有害であると、こういう御意見が多ければ、それをまた審理に参考にさせていただいて、引き続き検討するということでいかがでしょうか。 ○大村部会長 ありがとうございました。棚村委員からは、(前注2)について、これまで皆様がおっしゃっている方向の意見ないし感想とともに、第6の3について、補足説明で趣旨を明らかにする必要はあるけれども、結論としてはこれで意見を聞いたらよいのではないかということだったかと思います。イについて、「必要に応じて」を直したらよいのではないかという御意見もありましたけれども、制度の趣旨を考えると、このままの方がよいのではないかという具体的な御提案も頂いたと理解をいたしました。   窪田委員、原田委員が挙手されていますが、大分長くなりましたんで、10分休憩して、それから窪田委員、原田委員の順番で伺って、そして先に進みたいと思います。 ○原田委員 すみません、私、とても簡単な、今の関連の質問なんですけれども。 ○大村部会長 誰に対しての質問ですか。 ○原田委員 こちら。 ○大村部会長 質問だけですね、分かりました。 ○原田委員 すみません。先ほどの木村幹事の御説明を聞いていて、最初の説明と併せて考えると、このイが現在の試行的面会交流とどのような関係なのかというのが分からなくて、これをやりながら、現在の試行的面会交流も維持するのかというところがちょっと分からなかったんで、その関係を明確にしていただきたいと思います。 ○大村部会長 それは、補足説明でその点を明確にせよという御意見として伺っていいですね。 ○北村幹事 こちらの御説明にも書いてはあるんですけれども、試行的面会交流の延長線というわけではなくて、新しい制度と位置付けているということだけお答えをさせていただきます。 ○原田委員 並立するということですか。 ○北村幹事 そうですね。 ○大村部会長 そこのところは、いずれにしても説明の方で明確にしていただきたいと思います。   残るのは窪田委員1人なので、御発言を伺って、休憩にしたいと思います。 ○窪田委員 私のものはごく簡単なものですが、今、棚村先生から積極的にこのような形でという御意見もありましたし、私自身も基本はこれで構わないのですが、第6の3の部分の聞き方なのですが、「次の各考え方を含めて、引き続き検討するものとする」という中で、賛成も反対もあれば、最終的には反対の考え方であればゼロになるからということなのだろうとは思いますが、こういう示し方をすると、基本的にはやはり緩和する方向で提案しているというニュアンスが強くなるのではないかと思います。選択肢の中に更に入れるということは要らないのかもしれませんが、少なくとも本文の(注)で、このような形で暫定的面会交流に対して容易にしていくという方向については、慎重な考え方もあったとして、実際に複数の意見は示されていますので、それが中間試案の示し方としてはいいんではないかなと思いました。   以上、それだけです。 ○大村部会長 ありがとうございます。この3については、窪田委員がおっしゃったように慎重な御意見もありましたので、何らかの形でそれに対応する必要あるかと思って伺っておりました。   それでは、ここで少し休憩させていただきます。15時52分ですが、恐縮ですが16時再開ということにさせていただきます。           (休     憩) ○大村部会長 それでは、再開したいと思います。   一通り御意見を伺ったかと思いますけれども、もしかすると、まだ御発言になりたいという方も残っていらっしゃるかもしれません。残りの時間がだんだん少なくなってきましたので、次回も含めまして、この後の進行に係る事柄について、事務当局の方から少し補足の説明をしていただいた方がよいかと思いますので、お願いをいたします。 ○北村幹事 次回7月19日、2週間後に予定しております。そちらにつきましては、本日いただいた意見、そして前回頂いた意見を踏まえて、ゴシックの部分を基本的に修正をさせていただいて、御議論いただきたいと思っております。補足説明は、もう本当に最小限の部分だけ御用意させていただいて、次回は全体を見ていただいた上でのゴシックについての御意見を賜りたいと思っております。   補足説明につきましては、8月30日に予定しております部会までに、飽くまでもこちらは事務当局の責任において公表させていただくという前提ではありますけれども、いただいた御意見、できるだけ踏まえつつ作成させていただきたいと思っております。   そういうこともありますので、残りの時間、特にゴシックの部分を中心に御意見頂いて、残りもう2週間で、また資料を1週間後にはお送りするということになりますので、ゴシックの部分中心に御意見賜れますと幸いでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。今のようなことで、次回は、ゴシックになっている具体的な提案部分について、皆さんの御意見を伺うということにしたいと思っております。補足説明については、今御説明ありましたけれども、最終的には8月に持ち越して、皆さんの御意見をそこでも伺ってまとめたいと思っていますので、2段階のような感じになりますが、この後、それから次回も、ゴシックの方を中心に御議論を頂ければと思います。   ということで、16−1、17−1の前半について、もしゴシックについて何か御意見があれば、また後でと思いますが、差し当たり17−1の後半部分、第7、第8について御意見を頂きたいと思います。どなたからでも結構ですので、お願いをいたします。 ○池田委員 弁護士の池田でございます。第7の1ですが、家裁の許可の範囲につきましては、(注1)で挙げられております@からBに加えて、現行法を維持するという案を含め、四つの案がこれまで検討のそ上に上がっていたかなと思います。その中で、現行法を維持するというのが特段強かったということでもなかったように記憶しておりますので、この本文中に、(注1)の@からBも併せて記載するのがよいのではないかと思います。それが1点目です。   もう1点は、補足説明の中ですので、こう変えてくださいということではないんですが、17−2の18ページの(注2)のところです。これは、養子縁組したときに、親権者でない非監護親はもはや親権者の変更を申し立てられないということについて、これを申し立てることを可能とすべきだという意見があるというところを紹介していただいています。その下から4行目のところ、「これに対し」というところからですけれども、「仮に、実親から養親に対する親権者変更を申し立てることを可能とした場合には、実質的には親権者の変更を伴わない養子縁組を認めることと同義であり、現行法における養子縁組制度と相容れないとの指摘があり得る」というところがあるんですが、必ずしもそうは言い切れないのではないかなと思いました。と言いますのも、養子縁組が離縁されずにいても残って、最新の養親だけが親権を持って、その前の養親というのは親権を持たないということはあり得る話でして、それと親権を持たない養子縁組を認めるかどうかということはまた別の話です。この場面でも、親権者の変更を認め、養親が親権を持たないというのと、当初から親権を持たない養子縁組を認めるのとは、また別の議論ではないかと思いますので、ここ少し、この書き方が正確なのかどうか御検討いただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。池田委員からは2点御指摘を頂きましたが、一つ目は17−1について、具体的な御提案は、(注1)の@からBを本文に入れるべきではないかという御指摘だったでしょうか。 ○池田委員 はい。 ○大村部会長 ありがとうございます。それから、補足説明の方の17−2の18ページ、(注2)について御意見を頂きましたけれども、これは、事務当局の方で。 ○北村幹事 御指摘、そこの(注2)のところの前半と後半の部分の関係については、少し検討させていただきたいと思いますが、逆にちょっと御質問として、以前も、ゴシックであれば(注5)のところなんですけれども、親権者変更の申立てをすべきだということの御意見を頂いておりましたので記載をしております。ただ、その場合の要件であるとか、現在の親権喪失であるとか停止といったものとの関係については、全く議論に上ってきていないなと考えてございます。現行法でも、恐らく親権の停止であるとか喪失というのは使えるのかなと思いつつ、それよりも緩い要件でするのか、そうではないのかというところについて、もし何かお考えがあればお聞かせいただければ、次回の部会までの準備にしたいと思います。 ○池田委員 承知しました。また検討したいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   その他御発言いかがでしょうか。 ○窪田委員 すみません、本文のところについて2点、こういうふうに変えたらどうかなということなのですが、1点は、第7の2の部分なのですが、未成年養子縁組の成立要件につき、父母の関与の在り方に関する規律も含めて引き続き検討するということですが、それについてちょっと気になるのは、ここで(注3)というのが挙がっているのですが、今、池田委員からも御指摘があった部分ですが、(注3)の中であるのは、家庭裁判所の許可とか、あるいは代諾の場合の養子となる者の年齢の引下げとかという点が挙げられており、それはいいのですが、むしろすごく大事な論点であったのは、離婚後の親権の在り方との関わりなのではないかという気がします。今、それを全部いろいろな形で組み合わせてマトリックスを示すことができないというのは、それはそれで仕方ないと思うのですが、少なくとも、例えば、未成年養子縁組の成立要件につき、離婚後の親権の扱いを踏まえてとか、何かそういう言葉を入れて、その問題とリンクするんだよということは、きちんと書いておかなければいけないのだろうなと思います。   補足説明についても、今の点は、多分15ページの(注2)という形で、補足説明でも(注)の中で扱われているのですが、せめて補足説明の本文の中で、少なくともどういう論点があるのか、双方に親権を認めるといった場合に代諾の問題はどうなるのか、あるいは、その場合の養子縁組した場合の関係とか、少し詰めなければいけないことがあると思いますので、少なくとも論点整理的なことを補足説明で丁寧に書いていただく方がいいのかなと思いました。これが第1点です。   第2の点は、実質的な問題ではないのですが、第8の1の(注)に挙がっている部分で、夫婦間の契約の取消権に関する754条についてです。前回青竹幹事から御指摘があった部分かと思いますし、私自身も、この規定について削除を含めて検討というのは適切だと思うのですが、ただ、この(注)は、第8の財産分与制度に関する規律の見直しの中に入っていて、なるほど1は、以前の改正要綱を踏まえたものということで、それとの関連でここに置かれたのかもしれませんが、しかし、夫婦間の契約の取消権の話は財産分与に関する話ではないので、やはりこの場所はおかしいのではないかと思います。前回消極的な意見もありましたので、それだったら外すのか、あるいはその他として置くのか、何か工夫しておかないと、何か財産分与との関係で夫婦の契約の取消権を見直すのだという、多分誤ったメッセージを与えることになると思いますので、ちょっと御検討いただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。窪田委員から2点御指摘がありましたが、一つ目は、第7の2の(注3)との関係でお話になりましたけれども、ここでの問題は、離婚後の親権の在り方によって影響を受ける問題であるということで、それを、(注)を含めて本文中か、あるいは少なくとも補足説明で書く必要があるという御趣旨だったかと思います。これは今、具体的な箇所の関係でおっしゃってくださいましたが、実は養子制度の見直しは、全体として離婚後の親権の在り方ということと関わっておりますので、そのことが分かるような説明がどこかにあった方がよいかと思って伺っておりました。具体的な対応の仕方については、事務当局の方で御検討いただくということにしたいと思います。   そしてもう1点は、第8の1の(注)の場所についてということですね。どうするかはともかくとして、この場所は余りよくないのではないかという御指摘を頂いたと受け止めました。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○棚村委員 前回もちょっとお話ししましたけれども、8の財産分与の考慮事項についてお話しします。つまり、1996年の要綱の中のものが積み残しになっているということで、私自身は、考慮事項というのがあって、最終的には総合的に裁量で適切に判断をされるというのですけれども、それにしても裁量が広いので、具体的な考慮事項を明示することに賛成です。前もお話ししましたように、海外の立法ですと、監護親・同居親及び子の居住の確保とかという考慮要素が入っているものがあります。例えば、ニューヨーク州の家族関係法の236条ですけれども、衡平な財産分与(Equitable Property Distribution)エクイタブル・プロパティー・ディストリビューション、ニューヨーク州は、別産制を基本的には採っている州なのですけれども、そういうところで、やはり公平な財産の分与というときに、いろいろな考慮事項が入ってきて、そういう子ども及び監護親の居住の確保みたいなところが規定に盛り込まれ出てまいります。   それから、イギリスで婚姻事件法(Matrimonial Causes Act)の改正もされていますけれども、1973年の規定のところで、離婚の際の財産給付(Financial Provision)、ファイナンシャルプロビジョンという、要するに離婚の際の財産分与、日本でいうと離婚給付に近いものですけれども、そこのところも25条の1項のところで、やはり裁判所が裁量権を行使するときに、お子さんの福祉(Welfare of the Child)という規定になっています。監護親及び子の居住の確保を考慮するということは、赤石委員からも前も出ていたと思うのですけれども、内閣府の世論調査とか、それから協議離婚についての実態調査、特に財産分与の目的というところでも、子どもの養育とか居住の確保というようなことも含めて御意見が多く出されていました。もし、表現をどういうふうに入れるかということは少し御検討いただいて、海外の例でも考慮事項の中にはそういう要素も入っているということを御検討いただければ助かります。もっとも検討の結果難しいということであれば、そのほか一切の事情ということで、いろいろなものがブランケットで入ってくるというようなことでいいかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員からは、第8の1の考慮要素の中に、監護親の居住の確保とか子の福祉というようなものを付け加えてほしい、これは、本文に付け加えてほしいという御要望ですね。 ○棚村委員 はい。 ○大村部会長 無理ならば仕方がないという留保の下で、そのような御要望を頂いたと受け止めました。 ○窪田委員 もう事務当局の方で検討されるということでしたので、適切に検討されるんだろうと思いますが、第6の2のところでもあった財産分与を含む養育費、婚姻費用の分担及び財産分与と、最後の第8の財産分与との関係なのですが、恐らく子どもがいるいないにかかわらず、財産分与の問題は一般的にあって、なおかつそのときの情報開示の問題はあると思いますので、重複になるとしても、第6の2に示されているようなルールというのは、子どもの監護に関わることに限らずに、財産分与の前提としてあり得るのかなと思いました。   他方で、第6の2の方は何なのかというと、これやはり、基本的には養育費なのではないかと思います。ただ、婚姻費用の分担と言ったときに、それが子どもの養育を含むものとしての婚姻費用を考えれば、養育費を含むものになるし、財産分与に関しても、扶養だとか補償だとかという部分を含むのであれば、そうした側面が出てくるということなのだろうと思いますので、ちょっと言葉は工夫しなければいけないと思いますが、いずれにしても、両方ともに妥当するものなのかなと思いました。   その上で、両方ともに妥当するのかもしれないけれども、ひょっとしたら中身が違うのかもしれないという気がしますが。どこまでが開示の内容なのかということについて、補足説明、ちょっと場所は今見付からないのですが、補足説明の中に、全ての情報を開示するのか、婚姻後、夫婦で共同で得た財産に限るのかというのがありますが、これは、例えば、婚姻後、夫婦で共同で得た財産に限るというのは、財産分与における清算の部分の発想なのではないかなと思いますし、そちらの方でうまく妥当するんだろうと思います。他方で、子の養育ということに関して言うと、必ずしも夫婦で共同で得た財産でという話ではないので、より広い形での開示というのもあり得るのかもしれません。その点も含めて、うまく整理していただいて、書いていただくといいのかなと思いました。感想というレベルにとどまっています。 ○大村部会長 ありがとうございます。窪田委員の今の御意見は、財産に関する情報の開示について、第6と第8とに書き分けた方がいいのではないかという方向を含んでいる御意見と理解をいたしました。書き分けるということになると、開示の範囲などについても違いというのが出てくるのではないかという御意見として承りました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○武田委員 第7に関してだけ、既に窪田先生が触れたことと同じなので、簡潔に述べさせていただきます。   この養子制度、親権、監護権含めた離婚後の親子関係どうあるかというところの整理されていない現状でなかなか、非常にまとめ方難しいんだろうなというのが、まずは感想でございます。したがいまして、本文のゴシックの中で、養子制度全体に掛ける形で、親子関係の整理によって、今後再考の可能性があるって書いてはいかがかと、ちょっと表現は、適切な表現が今思い浮かびませんけれども、変更の可能性がある、そういうことを前面に出した方がよいのではなかろうかと、そんなふうに思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。御提案が必ずしも十分につかめなかったのですが、御趣旨は窪田委員と同じで、後で変わることあるべしということを、あらかじめ示しておくべきだという方向だと承ってよろしいですね。ありがとうございます。 ○水野委員 水野でございます、ありがとうございます。財産分与の第8のところでございます。かつてこしらえた案を生かしていただいて、感慨深く拝見しております。そして、先ほどの棚村委員の御発言ですが、それは、内容的には非常にもっともなことだとは思います。つまり、家族の生活が営まれている場所の居住権をどうやって確保するかというのは、重要な課題です。フランス法ですと、夫婦財産制の中のどんな財産制を採っても、共通して強制される制度として、居住権の保護が図られています。そのことについても議論はしたのですけれども、日本の場合には、不動産登記に取引安全がかかっていて、不動産の名義人の自由処分を制限することに対するハードルが高かったのです。家族の生活の場になっている不動産を、夫婦仲悪くなったから、妻子が残って住んでいるのに、夫が売り飛ばしてしまうというような場合、何とかできないかという議論もしたのですが、これまた、それはそれで非常に難しい問題で、それに特化した処理が必要なのではないかということで、このときの成案には入りませんでした。そういう議論もしたのですけれども、ここにはやはり含めにくかったということだろうと思います。   つまり、この財産分与の条文は、相当いろいろなことを議論した上で、たくさん落とした結果、このような形になっているということです。妻が家事労働の負担を負っていて、収入が大きく異なる夫婦が離婚する場合に、その現存財産を均分に清算するという現行のやり方だけでは足りない、つまり、補償ないし扶養的要素を認めるべきだという点では異論はなかったのですけれども、それ以上の点というのは、いろいろ議論したのですけれども、やはりなかなか書き込むのが難しかったという経緯がございます。妻に収入があって、無職の夫が働こうとせずに妻にぶら下がっていたというときには、そもそも清算分さえ認めてよいのかという議論もありました。それから、そういう場合に、男女別の規定はやはりできないよねということで、先ほど(注)から削られたという稼働能力という表現ですが、これも、稼働能力という言葉も、言い始めてしまうと、21ページの(注4)にもありますように非常に煩雑で、むしろ形式的なややこしいものになりかねないという判断がございました。   元々財産分与は、昭和40年代の判例で整理たんすと水屋だけみたいな、そういう財産分与の例がございましたけれども、そういう貧弱な内容から、原則として現存財産の均分清算だという形に実務が発展させてきたものです。それをさらに、こういう条文で新たに補償ないし扶養的要素を含めて発展させていってもらいたいという期待を込めた表現です。いろいろな御意見があると思うのですけれども、居住不動産のことも含めて相当に議論をした結果の文言でありますので、今、ここで新たなものを付け加える時間的余裕はないのではないかと重います。 ○大村部会長 ありがとうございます。水野委員からは、以前にも御発言を頂きましたが、財産分与についての平成8年、1996年の改正の経緯についての御説明を頂きました。それを踏まえて考えると、改良の余地はもちろんあるのだけれども、この案が様々なバランスの上に成り立っていることを考えると、今それに手を付けるのは難しいのではないかという御意見として承りました。先ほど棚村委員から出た居住の確保ということも、平成8年改正の途中まではテーブルに上がっていた問題だったと私も認識しております。居住用不動産の処分制限が、途中まではあったと思いますが、執行法との関係などもあって困難があるということで断念されたということも御披露いただいたと思います。ということで、これでよろしいのではないかという御意見として承りました。   そのほかいかがでしょうか。 ○棚村委員 今、1点ちょっと付け加えさせてください。水野先生の御意見ももっともだと思います。ただ、改正要綱から26年経っていて、正に今回の諮問もそうですけれども、子どもの養育ということで、子どもの利益を守るために、関連するところは少しいじろうという話で出ているわけです。それで、正に養子縁組についても、連れ子養子とかいろいろな形で、お子さんをめぐって、親を中心とした権利の体系でいろいろ議論して作られてきたものが、なかなか不明確であって不十分な規律の状況になっているということです。せっかくの機会に、積み残しを一掃するとともに、私自身は、補足説明の(注)のところには書いてあるのですけれども、それを本文に入れることの検討も希望するという趣旨です。今、水野先生から、消極的な御意見を頂いたのですけれども、財産分与の目的、性質の議論も含めて、せめて、もう26年経っていて、今の時代で何かが新たに入れられないかという、積極的に建設的に考えたときに、ワードは結構だと思うのですけれども、ほかの国でも随分前から規定されているので、日本もそういう水準で議論して、それをどうしても、入るには体系的整合性とか、踏み込んで入れるべきでないということなら致し方ないと思います。ここでも、財産分与の制度趣旨ということを言っているのですけれども、やはり今、補償だとかいろいろなことの不均衡も調整しようとか、家事労働とかそういう目に見えないところも考えよう、それから、家裁の実務で皆さん御苦労されていて、オーバーローンになっているときに、賃貸借だとか使用貸借は、とにかくお子さんの居住を確保するためにあの手この手を使って、ここは、分与の額とか方法まで含めた規定で考慮事項として入れてあげれば、裁判官としても、弁護士さんとしても、ずいぶん、根拠規定ができて助かりはしないか。私は、財産分与の制度の理念や目的としても、赤石先生と同じで、そこのところを考慮できるし、実務もやっているわけですから、やっていることを明文の中に一言入れるのが難しいのかなというのが非常に気になっているところです。   表現ぶりは、国によっていろいろなのですけれども、ニューヨーク州の条文を挙げますと、居住の継続についての必要性というようなところで書いてありますので、ニーズみたいなことで、お子さんと監護親の、婚姻住宅に住み続けるということの大切さみたいなものを考慮事項の中に一つ入れてあるというのは、かなり運用でもされていますので、できないのかと考えてしまいます。結局財産分与の実務のところで、この考慮や配慮がされていると思いますし、いろいろな形で、どうやって居住を継続して環境を何とか確保しようかということで、多数の皆さんがそんなの無理だということであればいいと思うのですけれども、何か工夫できないかという希望で申し上げた次第です。 ○大村部会長 ありがとうございました。棚村委員がおっしゃったような御意見に賛成の方も、この中にはもちろんいらっしゃると思います。財産分与の要素として、他の要素を盛り込むべきだという御意見の方もいらっしゃるかと思います。そのそれぞれについて、反対の方もいらっしゃるというのが、この問題について前回議論したときの状況だったと認識しております。   それで、取りあえず、最小限ここに書かれていることを掲げるということについて、反対の方は多分いないと認識をしております。先ほど水野委員からお話がありましたけれども、法制度は、一つ条文を置くことによって、それを手掛かりにして継続的に実務が形成されていって、その蓄積が、更にその先の制度化につながるというところがあります。将来を期待してという表現を直接には用いられてはいなかったとは思いますが、そのような趣旨のことをおっしゃっていたかと思います。そう考えたときに、まず、皆さんのコンセンサスが得られるところまではいきたい。その先どこまでいくかというのが、ここでの議論のしどころだろうと思っております。   今、中間試案を取りまとめるという段階で、これをどうするかということについては、皆さんの意見を短時間の間で集約するのは難しいというのが、前回の議論の状況だったと思います。パブリックコメントに回して、今、棚村委員がおっしゃったような意見が多数出てくるということになれば、部会としても、そのことだけは考慮要素に加えようということが、この先出てくるかもしれません。そんなことも含めて、これでパブコメに付すということかと思って伺っておりました。   ただ、補足説明の説明の仕方について、もう少し工夫が必要であるのではないかといった御意見も、棚村委員の発言の中には含まれていたと思いますので、そこは少し考えていただく必要があるかと思いますが、そこはまた、何か具体的な御意見や御希望がありましたら次回に述べていただいて、それを最終的に反映させるということにしてはいかがかと思いますが、そんなところでいかがでしょうか。今、棚村委員の意見についてどうですかということで、皆さんの意見を聞きますと、今日もうそれだけで終わるということになるかと思いますが。 ○棚村委員 結構です。こういうことも考えられるがという表現を、(注1)のところの、海外ではこういうものを入れている規定もあるとか、もうちょっと、少し説明をしていただいた上で、皆さんの御意見を聞けるような形でお願いしたいと思います。本文に入れなくても結構ですので、(注1)のところに、既に整理していだいて、それで別に構わないのですが、ちょっと無理だみたいな(注)の内容になっていたので、あえて、無理をしているところがほかの国でもあるのに、むしろそっちが常識になっている国があるとすれば、それについてもきちんと紹介していただいてという趣旨で、先ほど条文をわざわざ挙げさせてもらいました。日本がやっている1996年のもっと前から入れていますので、申し訳ありませんが、その辺りのところが分かるような形で表現していただければ、特に無理やり押し込めという話ではありません。 ○大村部会長 ありがとうございます。今の御要望は、17−2の21ページの(注1)についての御提案と承りました。 ○原田委員 原田です。今の関連で考えてみたんですけれども、補足説明のところで、補償的要素と子どもの学資保険関連のところ、(注2)、(注4)のところもですけれども、96年の報告の中に補償的要素が入っているのか入っていないのかというのが、ここの説明では入っているようにも読めるし、入っているのかどうか分からないし、ただ、それ以降、清算的要素として2分の1とすることは定着したのは、やはりここで明記されていたからではないかと思うんですけれども、補償的要素が考慮されていないというのは、ここに入っていないからではないかと私は感じていまして、ここで難しいということだけではなく、やはり補償的要素を入れるべきだということを明示すべきだということの意見があったということや、学資保険の問題では、学資保険に限らず、財産形成の目的という形で入れるべきだという意見があったということも入れていただいた上で、でも難しいという意見も書いていただいていいんですが、そこをお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。原田委員の御意見も、補足説明、17−2の21ページの(注2)ないし(注4)についての御要望と承りましたので、補足説明の問題として、事務当局の方で更に御検討いただきたいと思います。   ほかにいかがですか。今、第8に集中していますが、第7も含めまして、御意見を頂ければと思います。 ○原田委員 すみません。第7の4の扶養義務のところで、本文で一次的、二次的となっていますが、よく分からないという意見がたくさんありました。一次的な義務はどんな程度で、二次的な義務なのはどんな程度かということについて、明確でないので意見の言いようがないという意見がありました。私もそう思いますので、ここで書くのか、補足説明で書くのかということはあると思いますが、もう少し明記した方がいいと思います。   それから、この場合、養子縁組しない場合の実親の配偶者という問題は、ここの中では解決されることになるんでしょうか。ここでは、今の実務をそのまま法文化するとなっていると思うんですが、今の実務の中で、養子縁組をしない場合は、一応実親の扶養義務で養育費の義務はなくならないと考えられているのではないかと思うんですね。そうすると、これと整合するのかなというのがちょっとありまして、この範囲が不明確ではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。第7の4の一次的な扶養義務、二次的な扶養義務、前から少し話題になっておりましたけれども、これは分かりにくいのではないかという御指摘を頂いております。この表現を直すのか、それとも補足説明で説明するのかということはありますが、検討いただきたいということだったかと思います。また、その内容についても、現在の取扱いと整合しているかどうか確認をしてほしいといった御要望として承りました。   ほかに、この第7、第8につきましてはいかがでございましょうか。 ○石綿幹事 石綿です。2点発言させていただければと思います。第7の未成年養子の3の主にBに関連して2点です。   まず、Bで、養親と実親の一方が離婚した後、その後に当事者たちが親権者変更を欲する場合というのもあるかと思いますが、その際の親権者変更というのは、共同して親権を行使していた養親と実親のみなのか、あるいは、あともう一人いる実親も可能なのかという問題もあるかと思います。この点が、(注5)でカバーされているかが少しわかりにくいかと思いますので、可能であれば(注)、あるいは補足説明で言及していただけると、意見を聞く際に有意義ではないかなと思いました。   それから、2点目としては、Bでは協議上の離婚のことが言及されていますが、養親と実親が離婚する場合に、離婚前後に普通養子縁組が離縁される可能性もそれなりの確率であるのではないかと思います。その際に、親権の帰属について、どのように対応する可能性があるのかということを、補足説明でもよいので少し記載していただけるとよいのではないかと思います。従前、この問題については、解釈等で対応していたということで、特に明示する必要ないという御意見もあるかもしれませんが、特にA、Bについて、従前解釈で対応していたことをルール化するのであれば、離縁についても何か対応をということもあるかと思いますので、補足説明で何か触れていただければ有り難いかなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事から、第7の3について、Bを挙げておられましたけれども、あり得るケースを二つ挙げられて、それについて補足説明で触れておくということが、今回の審議との関係では意味があるのではないかという御指摘を頂きました。   ほかにはいかがでしょうか。特に、ゴシックの提案に係る部分について、第7、第8につきまして何かありましたら伺いたいと思いますが、よろしいでしょうか。   畑委員、落合委員の順番でお願いいたします。 ○畑委員 畑でございます。情報開示義務の件の書き方についてなのですが、先ほどの窪田委員の意見とほぼ同じことですが、沿革というか、そういうことに言及させていただきますと、この種の問題というのは、どこかの段階までの資料では、養育費等についてと、それから財産分与についてと、2か所に出てきていたのではないかと記憶します。今回は、恐らく似たようなことを2か所に書くのもどうかということで、1か所にまとめられたということで、それはそれで一つのいき方かなとは思っておりました。   ただ、窪田委員ほかの御議論にありますように、確かにそれはそれで分かりにくいという面もありますので、再び2か所に書くというのも一つでしょうし、今のようにまとめて書くのであれば、補足説明の方でちょっと丁寧に説明していただく必要があるかなということを、私も感じました。 ○大村部会長 ありがとうございます。先ほど窪田委員御指摘の点で、途中まで分けて議論していたではないか、まとめるのであれば、まとめることによって生じうる誤解に配慮する必要があるし、分けた方が分かりやすいのならば、そちらに戻した方がよいのではないかという御意見を頂戴いたしました。多分、最後に立法するときにどうなるかということはまた別の問題で、意見を聞く、あるいは議論するのに当たって、どちらがやりやすいかという観点で、事務当局の方で少し整理をしていただければと思っております。 ○落合委員 落合です。大体今まで出た意見と重なっていたので余り発言しなかったんですが、今申すことも重なっているんですけれども、ちょっと強調したいということで、一言だけ。   この21ページの稼働能力のところですね、この財産分与に関する。やはり(注4)もネガティブなコメントになっていまして、それを含めるのは難しいというようなことなんですけれども、でも、それを含める可能性を主張するというか、今後検討していただくような書き方にしていただきたいなと思っています。だから、このような懸念はあるが、もっと簡便な算定の方法がないかなど、検討の余地があるというような、もうちょっとポジティブな書き方にしていただけないかなということです。小さい点ですみません。 ○大村部会長 ありがとうございました。補足説明の21ページの(注4)についての御要望と承りました。先ほどから、(注)の内容については様々な御要望いただいておりますけれども、懸念があるという指摘のほかに、その懸念を払拭することができるのではないかという指摘もあるといったことを書くことを検討していただきたいという御趣旨と理解をいたしました。 ○大石委員 千葉大学の大石です、ありがとうございます。補償的要素のことについて、私も一言だけ。   前の会議でも発言したところですが、家事労働の金銭的な評価といったところに対して、(注4)の書きぶりでは門戸を閉ざすような印象があります。もう少しポジティブな形で、何らかの形で書き込んでいただくことができないかなと。今回法改正などをしていく上で、この先何十年かの社会のありようといいますか、家族のありように関わることだと思いますので、そちらについて御考慮いただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。大石委員も落合委員同様、この(注4)について、財産分与の補償的要素について、もう少し積極的な意見もあるということも書き込んでいただきたいという御要望を頂きました。   そのほかはいかがでございましょうか。 ○赤石委員 ありがとうございます、しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。もう議論を聞いていて、私も皆さんのところで補足で申し述べるだけなんですけれども、まず、稼働能力については、私は、主にひとり親の就労支援でシングルマザーの方の就労を支援しております。やはり夫さんが非常に多額の収入を上げているような専門の方でも、離婚すれば専業主婦だった方は非常に収入が低く、しかも能力も、今の労働の在り方にマッチングしていないために、ほとんど稼げないという方を就労支援していることから考えると、非常に難しいというのは私も思います。本人の意欲ですとか、いろいろなことがそこに関わるので、しかし、やはり今の収入の格差というのは何とかしたいという思いがあるので、できれば何らかの形で考慮のところに入っていった方がいいなという思いはございます。   あと、居住用財産についても、何度か議論されて今に至ってはいるというのは理解しているんですが、お子さんの環境の激変が、やはりお子さんに大きな影響を与えていることを見ると、何らかの可能性があると希望になるということで、選択肢が示される方向があればいいなとは思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。赤石委員からも、稼働能力や居住用財産の位置付けについて、もう少し積極的な説明をしてほしいという御要望を頂きました。 ○青竹幹事 (注)を付けていただくかどうかを検討していただきたいだけなんですけれども、先ほど来、資料16−1の議論と連動しているので、第7の養子縁組のところで、こちらが、離婚後共同親権の可能性を導入するかどうかに連動していることなので、全てを網羅的に書くことは今の段階で難しいということを、武田委員、窪田委員、その他多くの方が御指摘されているところです。その点で一つ気になることがございます。資料17−2の12ページの、3のAのところですが、そのすぐ下のBのところでは(注6)で、これは、16−1の離婚後父母双方が親権者となり得る規律を導入した場合には、一方を又は双方とする方向が考えられるときちんと連動していると示していることとの比較で、Aも連動するのではないかと思いましたので、Aの方にも(注)を付けて、16−1の議論と連動し、変わり得るということを示しておいてもいいように考えました。パブリックコメントを募るときに、(注)をおいた方が分かりやすいのではないかということです。   Aは、養親の配偶者が養子の実親である場合に、養親と実親の共同親権ということですけれども、これは、部会資料16−1の離婚後双方が共同親権となる規律を導入しますと、(注6)が言っているように、養親と実親が共同しているところを、離婚した場合には共同親権も選び得るというか、そうなり得るということ、つまり、養親と実親が婚姻関係になくても共同親権になり得るということですので、考え方としては、Aも16−1の議論によっては変わり得るということを、(注)を入れてもいいのではないかという印象を持ちましたので、御指摘させていただきました。 ○大村部会長 窪田委員、関連の御発言ですか。 ○窪田委員 関連しての発言ですが、青竹幹事の御発言を聞いていたら、私自身がよく分からなくなったのですが、第7の3のAの部分なのですが、この規律についてですが、養親の配偶者が養子の実親である場合には、養子に対する親権は、まず養親が親権を持つのというのは、実親に対して養子縁組がなされた場合には、養親が親権を持つから持つ、本来実親は親権を失うんだけれども、その養親の配偶者である実親は特別に親権をやはり共同で行使するという理解によるものだとすると、青竹幹事からのご質問のような形にならないのかという気もします。要するに、共同親権であったとしても、離婚後共同親権を実親が2人持っていたとしても、やはりこの規律はそのまま単純に適用されるということになるのではないかなと思ったので、その点について確認をさせていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。そこは難しい問題があるように思います。規定どおりに考えると、確かに窪田委員のおっしゃるようになるのだろうと思います。しかし、再婚のときに、実親の再婚相手とのみ養子縁組を行い、実親とはそのままにしているのはなぜかというと、実親なので養子縁組をするまでもないのだと考えているからではないか。そう考えると、養親と、実質は養親のような実親がいる。その二人が離婚するということになると、親権の問題はどちらに帰属するのかという問題が出てくる。そういう議論はあり得るような感じもします。多分、青竹幹事はそういう前提でお考えなのかとも思われます。そうなると、直ちに一義的には決まらなくて、少し議論が必要な問題かと思います。   その上で、しかし、これは先ほど窪田委員が御指摘になったことに戻るのですけれども、今回の中心問題との関係をどこにどのように書いておくのかということは問題になりうる、個別に、青竹幹事の御指摘のようなところ、先ほどの窪田委員の御指摘のようなところに書くのか、あるいは、もう少しまとまった形で書くのかということは、引き取らせていただいて検討してはどうかと思いますが、事務当局の方で何かあれば。 ○北村幹事 頂いた御指摘踏まえて、どういう形、特に16−1の第3との関係も踏まえ、養子縁組との関係をどう表現するのがよいのかは、少し検討させていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほか、第7ないし第8についていかがでしょうか。よろしいでしょうか。   補足説明についてはまた次回にと申し上げたので、それで皆さんの方で、発言を御遠慮いただいているかと思いますが、16−1と17−1、もし何かあれば後でと申し上げておりました部分について、御意見があれば頂きたいと思います。ただこれも、ゴシックの部分について御意見を頂くということで、補足説明については、今の第7、第8と併せて、更に御意見があれば次回にということにさせていただきたいと思います。   そういうことで、16−1、17−1の前半も含めて、ゴシックの提案、(注)も含めて、何か変更の御提案があれば伺いたいと思います。いかがでしょうか。 ○戒能委員 ありがとうございます、戒能です。16−1の7ページで、2の父母の協議離婚の際の定めの(2)の養育費のところです。これは、本文というよりは、(注)書きになるのかなとは思うんですが、一般先取特権や法定養育費制度の新設という提案をここでされているわけなんですが、養育費の問題というのは言うまでもなく、取決めもしていない人が多いし、それから、更に問題なのは、受給していないという人が非常に多いということです。ここには養育費に関する定めの実効性向上というタイトルが付いているわけですね。いかに実効性を向上していくかというときに、もう一つ、もちろん民事法の問題として、この家族法制部会で審議するのは非常に難しいということは分かった上でなんですが、やはり履行確保制度について、ここで検討するということではないとしても、これが先ほどの財産分与の話ともつながるかもしれませんが、諸外国でやっている。   そのことによって、シングルマザーの、更に今困難な生活とその下での子どもの養育環境を考えると、きちんと国家が介入するような形で、立替払いの制度も検討した方がいいという意見があったということを、注書きにきちんと書いていただきたい。現在だと厚生労働省がやっていることだとは思うんですが、自治体の支援策のモデル事業など、資料を頂いたのを見ると、費用の負担とか公正証書作成するときの援助とか、そういうものにとどまっていて、本当に払う能力あるのに払わない人に、いかに払わせるかという仕組みがきちんと検討されていない。やはり、全体として公的な政策としてないと、私人間の関係ももちろん保障されないということなんだと思うんですね。   今後は多分、こども家庭庁が発足すれば、そこの役割になっていく、それから総務省も自治体ということで関係していくということで、注書きでよろしいので、そういうこともやはり検討する必要があるというようなことを、是非書いていただきたい。そういう意見があったということもとどめていただきたいと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員のおっしゃる履行確保制度、それ自体は非常に重要な問題だろうと思います。立替払いという制度を持っている国もある、相当昔からあるわけですけれども、そうした制度は大きな意味を持つと思います。   ただ、戒能委員御自身がおっしゃっていたように、実体法と手続法を併せて民事の制度を改正するための提案にむけて、中間試案を取りまとめるというときに、それを(注)に書けるかというと、事柄の性質上難しいのではないかと私自身は感じます。事務当局、そこはいかがですか。 ○北村幹事 立替払いであるとか強制徴収のような形で、いろいろ御意見いただいているのは承知しておりますが、この法制審、基本法制を議論する場で検討するのは、なかなか難しいと思っております。それは関係省庁含め検討すべき課題であると思っておりますので、それをゴシックのところに載せるというのはなかなか難しい。頂いた御意見を、補足説明にそれが書けるのかどうかも含めて、一度ちょっと事務局の方で引き取らせていただいて、少し検討させていただきたいと思います。 ○大村部会長 戒能委員も、ここで議論せよということではなくて、意見があるということは書いてほしいという御趣旨だろうと思いますけれども、繰り返しになりますが、最終的な提案と何らかの関係があるものでないと書きにくいのではないかというのが、私の感触です。補足説明に今のような問題がある、制度全体の立て付けとも関わることとして、書けるようであれば書いていただく、難しいのであればやむを得ないんですが、そこは少し御検討いただくということで引き取らせていだくということでよろしいですか。 ○戒能委員 是非お願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかいかがでしょうか。 ○武田委員 親子ネット、武田です。今発言してよい範囲は、部会資料16と17でゴシック、本文に書かれている箇所で良いですか。分かりました。では、私の方は、16の第4の1、ここだけ意見述べさせていただきたいと思います。   ここ、対象者、本文上の記載では父母の双方又は父母のうち親権者となる者及び監護者となる者、こういうふうに記載がされています。一体そもそも目的をどう定める、又はどこの層をターゲットにする、そういう議論は重要なことは重々承知しているんですけれども、ただ、このパブコメ募集に当たっても、まずは父母の双方という絞った記載にしてパブコメを募集してはいかがかなと、こんなふうに思っています。何か私、それを読んだときに、最初、実行しない者は親権者や監護者になれない、何かこんな方向にリードしたいのかなとかいうふうに感じましたけれども、この親権者であろうとなかろうと、親として子の最善の利益を考えるという観点からすると、やはりここの受講ということに関しては、この最終的な結論は別として、絞った形にした方が、より具体的なパブコメでの意見が得やすいのではなかろうかと、そんなふうに感じています。なので、ここを少し本文に、どう表現するかという問題はありますが記載いただく、念頭に置いて御検討いただきたいなと思っています。   代わりに、養育講座、この講座の受講を免除される理由、これはこれで各種いろいろやむを得ない事情というのも当然あろうかと思いますので、やむを得ない事情で養育講座を免除される要件、これに関しては、ここで今、要件を全て洗い上げるのは無理だと思いますので、別途検討するかというような表現を入れて取りまとめるのはいかがかというところが、この4の1の本文に関する私からの追加の意見でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。16−1の第4の1、6ページになりますけれども、今両論になっているところ、父母の双方というのと、父母のうち親権者となる者及び監護者となる者となっているところを、父母の双方だけに絞るという御提案と、併せて、講座受講義務を免除される場合について検討するということを、注記するという御提案だったでしょうか。 ○武田委員 そこは注記です、はい。 ○大村部会長 今のような御提案を頂いていますけれども。 ○北村幹事 事務局でございます。御提案、特に御懸念の部分については、丁寧に御説明させていただきたいなと思っております。   他方、この父母の双方とすべきか、誰が受講するのかというのは、幅広に御意見を伺いたいというところもありますので、可能であれば少し、特に中間試案、パブコメということを踏まえますと、選択肢を広くした上で御意見伺いたいなと、事務局としては思っております。ただ、御懸念の点は分かりましたので、少し補足説明の記載も含め、どういう方法があるのか、検討させていただければと思っております。 ○武田委員 そうですね。よろしく御検討お願いします。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほか。 ○大石委員 千葉大学の大石です、ありがとうございます。すみません、もう一度確認させていただきたいのは、16の第4の法定養育費制度の新設のところ、7ページですが、(3)はまだ維持されるということでよろしいでしょうか。残されるという理解でよろしいでしょうか。 ○大村部会長 現在のところ、これは残っているという理解でおりますけれども。7ページの(3)ということですね。 ○大石委員 先ほどの戒能委員の事務局のお返事で、どういうことかと一瞬思いましたので、確認させていただきました。了解です。 ○大村部会長 民事の制度として、これを考えているということかと思います。 ○大石委員 はい、承知しました。 ○大村部会長 そのほかはいかがでしょうか。 ○小粥委員 ありがとうございます、委員の小粥です。第7の4に関係することなんですけれども、書き方が、扶養義務ということになっていて、この言葉遣いからすると、補足説明でも877条以下の民法の扶養に関する規定で手当てするということが前提の言葉遣いのように読めるんですけれども、これと、16−1では養育費という言葉遣いがされていて、明らかに違うことを指して、877条以下の条文をいじることを前提にした問い掛けのようにも見えるんですけれども、そこまで絞られた形でこの部会で審議が行われてきたんだろうかと思うのですね。特に877条以下の扶養の規定というのはあんまり、実際に裁判規範にはならないような、なりにくいような規範のようにも思っておりますので、ちょっとこれ、このまま扶養義務という言葉を使うのかということと、養育費という言葉と違うのか同じなのかということについて、本文のレベルで、少なくとも御検討いただいた方がよいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○大村部会長 ありがとうございます。御指摘は、17−1の方の第7の4で使われている扶養義務という言葉についてですね。養育費の支払義務というのと扶養義務というのを、どのように関係付けるかということが、これまでにも話題になったことがあったと思っております。その点について意識した上で、このような言葉遣いになっているのかどうかという点について、問題提起がされたと思っています。両者をどのように整理するかということは、この先で議論しなければいけないと思いますが、資料に書かれている限度で、誤解が生じないように、本文の用語、説明を含めて見直していただくということかと思いますが、事務当局、そういうことでよろしいですか。 ○北村幹事 16と17を一つにした上で、少し必要な語句の整理も含めて検討したいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほか御発言いかがでしょうか。 ○赤石委員 ちょっとお聞きしたいんですけれども、私も何か勉強不足で、ああ、そうなんだと思っていて、それについて分かりやすく、やはり書いた方がいいという点がございます。   資料16−1の9ページの第4の4でございます。家庭裁判所が定める場合の考慮要素の監護者のところなんですが、これは、離婚後一旦子の監護者が決まっていて、その後に、今も親権変更とか監護者の変更ってできると思うんですけれども、この後、この法改正が行われた後に、監護者の変更の申立てがたくさん出てくるということがあり得るのでしょうか。今、ひとり親で育てている方にとって、監護者の変更がどのように出てくるのかが、明示的になっていた方が分かりやすいのかなとか思うんですけれども。あと、親権の変更のところもそうかもしれないんですけれども、それをどう表現したらいいのかがちょっと分からないんですけれども、共同親権制度になっていくとすれば、甲案とかいろいろありますので、その親権制度や監護者の変更を申し立てる側と申立てされる側との心の準備というか、何かないと法が安定しないのかなとも思いますし、その辺りというのはどういうふうに、このままだと割とあっさりと伝わってくるんですけれども、実際にどう想定されているのかなというのがちょっと気になったところなんですけれども。法律ってこういうもんだよと言われてしまうのかもしれないんですけれども、何か気になっております。 ○大村部会長 親権者あるいは監護者の変更が、新しい制度の下でどのように行われるかというのは、それ自体かなり重要な問題だろうと思います。しかし、その上で、では、そのことについて、今赤石委員がおっしゃっているような何らかのイメージを持ってもらうようなことを書くということの中身が、私には理解しにくいところがあります。 ○赤石委員 どうなんだろうなと思うんですけれども。 ○大村部会長 御要望をどのように、ゴシックのところで受け止めたらいいのかということを、直ちにはお答えできないのですが、今の御要望をもう少し具体化していただけませんか。赤石委員も難しいからこのようにおっしゃっているんだろうとは思いますが、何かあれば。 ○赤石委員 そうですね。だから、ここにいろいろ書いてあるわけですよね、子の出生から現在までの生活状況や監護の状況って、ここに、単独親権であったものが共同親権に変化することがあり得る的なものが、どこかにあるのかないのかぐらいですかね、もしできるとすれば、どうなんでしょうか。 ○大村部会長 今おっしゃったのは、親権や監護について、どのように変更されるのかということがイメージできない、双方から単独になるとか、単独から双方になるとか、それぞれ親権についてと監護権についてあり得るといったことを、どこかで整理してほしいと御要望として受け止めさせていただくということでよろしいでしょうか。 ○赤石委員 そうですね、そうであってもいいと思います。それで、もちろん私どももたくさんの会員さんにそれをお伝えするわけですけれども、しかし、パブコメを求めるときに、今、離婚後何年もたっていて、単独の親権で何とか暮らされていた方たちがいらして、当事者性をどの程度感じておられるのか分からない、しかし、あり得る事柄を分かっていて意見を送るというのが大事なのではないかなと。逆に言えば、別居親として過ごされていた方たちが、どのようになり得るのかということが分かるということでもあるのだろうと思いますけれども、ちょっとこのあっさりした書きぶりの中に、その想像がちょっとできにくいと思いましたということでございます。 ○大村部会長 御趣旨は分かりました。考慮要素のところに書くというよりも、監護すべき者が変更されるということの前提として、変更される場合がどのような形ででてくるのかということを、どこかで説明した方がいいという御提案として受け止めさせていただきたいと思います。 ○赤石委員 望んでいるというわけではないんです。 ○大村部会長 分かりました。 ○窪田委員 今の関連なんですけれども、多分分かりにくくしている一つの背景が、監護者という言葉にあるのかという気がします。監護者を現行法を前提として考えるのか、他方、今回の中間試案の中では、双方に親権があるんだけれども、監護者を定める場合というのもオプションであるものですから、そうすると、今までの単独親権で、それ以外の者が監護者と指定されている場合を前提としての規律と、そうではないものが混在することになるだろうと思います。少なくとも(注)で、その監護者という概念が、その前提との議論によって違ってくるということは触れて置く方がよいように思います。多分、赤石さんからの今の御質問も、具体的なイメージが湧かないという中には、そうした点も含まれていたんではないかなという気がいたしました。 ○大村部会長 ありがとうございます。全体としてこの資料自体が、あるいは私たちの検討自体が現行法をベースにしているところがあるわけです。それについて、親権者、監護者について新しいルールを提案する。提案するとなると、現行法ベースで前提にしている別のところが影響を受けるということになる。その影響が及ぶところについては、提案の内容に応じて再度検討するということが想定されているということを、まず明らかに書く必要がある。その上で、ここで聞いているものについて、現行法が変わると、問題はこうした形で現れることになりますということを説明する。この2段の対応が必要なのかということを、今、赤石委員と窪田委員のお話を伺って感じました。どこまで可能なのか分かりませんが、御検討を頂くということになるのかと思います。ありがとうございます。 ○原田委員 今の点では、親権者の変更のところが、単独から共同へ、共同から単独へとかいろいろ書いてありますけれども、既に単独親権として離婚している人も、その後、共同親権に変えることができるということは明記しておいた方がいいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。そういうことを含めて、どこかで説明する必要があるのではないかと思います。 ○池田委員 弁護士の池田でございます。ちょっと話題が変わるんですが、16−1の8ページの3のところで、離婚等以外の場面における監護者等の定めということで、前半のところで、赤石委員の方から、この別居という概念を少し制限的に考えるというような御意見があったかと思います。その趣旨を、どこに問題意識がおありなのかなといろいろ考えていた中で、改めて読んで思ったことなんですが、「必要な事項は協議で定めるものとし」という書き方が、ちょっと義務規定に読めてしまうのではないかと思いました。766条1項を見ますと、「必要な事項はその協議で定める」と文章が終わっていて、それで、協議が整わないときというように2項に入っていくんですけれども、これをつなげてしまったことによって、別居したら定めなければいけないと少し読めてしまったのではないかという懸念を持ちました。恐らくここは、766条の類推適用でやっているのを、適用できるような条文にしようという御提案かと思いましたので、それであれば、誤解のないような書き方をしていただくといいかなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。16−1の8ページの3のところ、先ほども話題になったところですが、ここの書きぶりが、誤解を招くのではないかという御指摘がありました。改善できるのかどうか検討していただきたいと思いますが、これも、こういうものを書くときに、何々のものとするという書き方が通例なので、そこから外れるというのもなかなか難しいところがありますが、しかし、池田委員がおっしゃっているような、誤解が生じないように読めるように修文していただく、難しいかもしれないけれども検討を頂こうと思います。 ○池田委員 今の点ですが、この「ものとし」というのが、契約書等では義務規定の意味で書くことが多いものですから、ちょっとそういうことも踏まえて申し上げました。 ○大村部会長 ありがとうございます。それも踏まえて検討をお願いしたいと思います。 ○落合委員 この後の進め方に関係することなんですけれども、16−1の第2というところありましたよね。親権者と監護者の権利義務の内容という、そこが余りにも白紙ではないかというので、前回も意見が出たわけですけれども、それから、どうもこの文書に対して、そこは何にも書いていないよねという批判をSNSなどでも見たことがあります。ここは、この後パブリックコメントにするまでの間にもう少し書き込むんでしようか。 ○大村部会長 その点は、今日の17−1を御覧いただきたいと思いますが、今日の冒頭の(前注1)、(前注2)の後に第1か第5についてPと書いてあります。これは、第16回会議における議論を踏まえて修正したものを、今後の部会資料で提示するということかと思いますで、16−1については、これまでに頂いたいものを踏まえて直したものを、次回ゴシックの部分を主として部会に御提案して、それについて次回、改めて御意見を頂くということだと私は理解していますが、そうですね。 ○北村幹事 事務局でございます。今部会長におまとめいただきましたように、前回、そして今日頂いた御意見を、できる範囲で事務当局の方で修正した上で、次回お示ししたいと思っております。   なお、この部会資料自体は、この部会が終わりましたら、できるだけ早い段階で法務省のホームページでも公開しておりますので、部会が終わり次第、法務省のホームページを御覧になって、いろいろ御意見等も活発に頂いているのかなと思ってございます。 ○大村部会長 ということで、落合委員、よろしいですね。 ○落合委員 はい、分かりました。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは、ほかにいかがでしょうか。16−1、17−1について、これは、ゴシック部分の変更意見として是非言っておきたいというのがもしありましたら、御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、皆さんの御発言を抑圧しているかもしれませんけれども、頂いた御意見を取りまとめまして、今、事務当局の方から御説明がありましたが、次回の会議では、中間試案のたたき台を修正したものを御用意頂き、それを基に御議論を頂く、あわせて、補足説明についても御意見があれば頂くということを予定しております。事務当局においては、2週間後ということでスケジュールが厳しいのですけれども、本日までの議論を参酌した形で資料の用意をお願いしたいと思います。   本日の議論はここまでということにさせていただきたいと思っておりますが、今のような進め方でよろしいでしょうか。   ありがとうございます。   それでは、次回の議事日程等につきまして、事務当局の方から説明をお願いいたします。 ○北村幹事 事務当局でございます。次回ですけれども、先ほどから申し上げていますように、令和4年7月19日火曜日、午後1時30分から午後5時30分まで、場所は改めて御連絡いたします。   次回ですけれども、先ほどから御説明しておりますように、本日までに頂いた御意見を踏まえ、早急に資料を準備させていただきたいと思います。部会資料16と17の修正意見、ゴシック体の部分を中心にお示しできるものを準備したいと思いますので、それに基づいて、次回御議論いただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。ということで、次回は中間試案のたたき台の修正版について御議論を頂くということにさせていただきたいと思います。   それでは、法制審議会家族法制部会の17回会議、これで閉会ということにさせていただきます。   本日も熱心な御審議を賜りまして、ありがとうございました。閉会いたします。 −了−