法制審議会 商法(船荷証券等関係)部会 第4回会議 議事録 第1 日 時  令和4年8月31日(水)自 午後1時30分                     至 午後5時49分 第2 場 所  法務省第一会議室 第3 議 題  船荷証券に関する規定等の見直しに関する論点の検討(2)(3) 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○藤田部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会商法(船荷証券等関係)部会の第4回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日は箱井委員、衣斐幹事は御欠席と伺っております。また、上田委員、金子委員、北澤委員、洲崎委員、池本幹事、笹岡幹事、松井幹事はウェブで参加されると伺っております。   また、委員の交代等がありましたので、報告させていただきます。堂薗委員が退任され、新たに松井信憲委員が就任されました。内野幹事は8月10日付で御異動となり、後任の幹事には事務手続の都合等も踏まえ、次回から当部会での調査審議に加わっていただく予定です。関係官については、内波関係官が退任されて、倉信関係官が就任いたしました。また、三宅関係官が退任され、伊藤関係官が就任されました。   それでは、本日出席されている松井信憲委員と伊藤関係官には、簡単な自己紹介をお願いいたします。その場でお名前と御所属の御紹介をお願いいたします。 (委員等の自己紹介につき省略) ○藤田部会長 どうぞよろしくお願いいたします。   それでは、開始いたします。   まず、前回に引き続き、本日はウェブ会議の方法を併用して議事を進めたいと思いますので、ウェブ会議に関する注意事項を事務当局に説明してもらいます。お願いします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。前回の部会と同様のお願いになりますが、念のため改めて御案内をさせていただければと思います。   まず、ウェブ会議を通じて参加されている皆様につきましては、御発言される場合を除きマイク機能をオフにしていただきますよう御協力お願い申し上げます。御質問がある場合や審議において御発言される場合には、画面に表示される手を挙げる機能をお使いください。   また、会議室での御参加、ウェブ会議での御参加を問わず、御発言の際にはお名前をおっしゃってから御発言されるようお願いいたします。ウェブ会議の方法で出席されている方にはこちらの会議室の様子が伝わりにくいため、会議室にお集まりの方々には特に御留意を頂ければと思っております。よろしくお願い申し上げます。 ○藤田部会長 次に、本日の審議に入ります前に配布資料の説明をしていただきます。事務当局からお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。配布資料について御説明いたします。   今回新たに配布した資料は、部会資料4「船荷証券に関する規定等の見直しに関する論点の検討(3)」の1点になります。これは事務当局が作成したものでございますので、後ほど審議の中で事務当局から御説明させていただきます。そのほか、部会資料3「船荷証券に関する規定等の見直しに関する論点の検討(2)」も前回からの積み残しがございますので、使用することといたします。   配布資料の御説明は以上でございます。 ○藤田部会長 それでは、本日の審議に入りたいと思います。   まず、前回からの積み残しになっておりました部会資料3について議論を行いたいと思います。部会資料3の第5の強制執行に関する規律の内容については、前回の最後に少し議論いたしました。今後も継続的検討が必要であり、二読目にも改めて時間を取って審議することを予定してはおりますが、二読目で充実した議論をするために、現時点で御意見やアイデアがございましたら、是非頂ければと思っております。どなたか御意見等はございますでしょうか。   特にないでしょうか。もしよろしければ、次に進ませていただきます。   では、事務当局において部会資料3の第6の御説明をお願いいたします。 ○生出関係官 それでは、事務当局の生出から、部会資料3の第6について御説明します。   第6は「電磁的船荷証券記録の喪失の手続の要否」となっております。紙の船荷証券においては、それを喪失した場合には、非訟事件手続法が定める公示催告手続によって、それを無効化することが認められています。電磁的船荷証券記録は、それ自体が民法上の有価証券には該当しないことになるため、特段の規定を設けない限りは喪失時の公示催告手続の適用を受けないことになりますので、電磁的船荷証券記録についても喪失の手続を別途設ける必要があるかどうかが問題となりますが、紙の船荷証券とは異なり、電磁的船荷証券記録を喪失してほかの者がその支配を有するに至るといった事態は通常考え難い上に、何らかの理由によってシステムにアクセスすることができなくなったような場合には、そのシステムを提供する者との間で解決が図られることが想定されます。また、システムに問題が生じてデータが全て喪失するといったことも理論上は考えられますが、そのような場合にも、そのシステムを提供する者を含む関係当事者間で解決が図られることが想定され、例えば、システムの利用規約に何らかの定めがされたり、いわゆる保証渡しのような工夫をすることによって対応したりすることなどが想定されます。   以上からすると、電磁的船荷証券記録についての喪失の手続に関する規定を置く必要はないものと考えられますが、この方向性でよろしいか、御検討いただければと思います。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。今説明がありましたように、事務当局としては、電磁的船荷証券記録について喪失の制度は不要と整理しておりますが、この点についていかがでしょうか。もし他の意見、取り分け喪失の制度が必要であるという方向での御意見などがございましたら、是非頂きたいと思いますので、御意見いただければと思います。 ○山口委員 委員の山口でございます。存続する方向での意見ではないのですが、今までこの船荷証券喪失の手続は割合とっていたというのは事実でございまして、喪失された場合に、多くの場合、船荷証券喪失について保険会社の保険が付いていますので、その費用を出してもらえるということと、それが保険発動の要件になるために、それを行っていたというのはあるのですが、ただ、実体の権利において、船荷証券を全く無効化するということの法的意義は極めて少なかったと、ほとんどないと言っていいと思います。ですから、元々さほど存在意義が強くないものですから、特に今回、電子船荷証券とここでは申し上げますけれども、それについて喪失ということがそもそも観念しにくいということと、もし仮にそういう喪失されたときに無効化の手続をとったとしても、先ほど申し上げたように、紙の船荷証券と同様、効果が薄いという両面から、やはり必要はないであろうと考えております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。先ほど、制度を設けるべきであるという意見であれば是非と申し上げましたが、もちろん、実態を踏まえて必要ないという意見も非常に参考になります。その方向のご意見でも結構ですので、どなたでも御意見あるいは補足的な御感触などを頂ければと思いますが、いかがでしょうか。 ○池山委員 池山でございます。結論的には私も異議はないのですけれども、せっかくなので、山口委員がおっしゃった中で、法的な効果が薄いという部分は正直、私にはよく分からないなという気はいたします。私なりにその御趣旨を解釈すると、実際にこの手続がとられるのは、日本が引渡し地若しくは陸揚げ港である場合に、日本が義務履行地であると考えて手続をとると、そうすると、日本国内では効力があるかもしれないけれども、実際は船荷証券は国際的に流通するわけですし、紛失した場所は海外であったりすると。海外で取得者が出てきたときに、海外でクレームをされたときに、日本で公示催告、除権決定の手続をとったといっても、その効力が及ぶかどうか必ずしもはっきりしないということかなと思ってはいます。ただ、そのことをもって、およそ効力が薄いから要らないのではないかという議論は、少し言いすぎなのではないかと思うのですが。これは、ここでこれを議論すること自体がこの会議の目的ではないと思うのですけれども、これは議事録が残りますので、単に効力が薄いと言い切るのはやはり抵抗があるので、一言申し上げさせていただきました。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。山口委員、先ほどの御発言の趣旨を明らかにしていただけるようでしたら、お願いします。 ○山口委員 船荷証券については、紛失した場合に他の取得者と称する方々、権利者と称する方々が出てきて、それが争いになるということが想定されるわけですけれども、実際に紛失した場合とか盗取の場合でも、通常の手形小切手と違って、商流のない方々がそれを持って、善意取得者だとして出てくるということが極めて少ないということ。それから、第2として、国際海上物品運送法によって除斥期限が1年であるために、1年程度終わりますと、たとえその取得者と称する人が出てきたとしても権利行使できないということが第2。第3点から言いますと、公示催告の場合、6か月以上の期間を延ばすことになっているのですが、通常10か月掛かるのです。そうしますと、もう1年がたってしまう。だから、実際上申し上げると、喪失をして無効決定が出るというときにはもう、1年が過ぎていることが多いのです。ですから効果が薄いと、これは断定的に言えるのではないかと思うのです。池山先生がおっしゃった、国際的な問題から言いますと、この手続を持っているところが極めて国としては少ないだろうと私は認識しておりまして、一つは、これは義務履行地が日本である場合に限られていますので、日本から出る船荷証券について履行地が外国の場合、これはそもそもできないということで、そもそも適用範囲が狭いということと、先ほど申した時系列的な関係から言いますと、効果自体がないに等しいのですけれども、形式上無効にしておくということが必要なものですから、コンプライアンス的なもの、あるいは保険発動上の問題からやっているにすぎないというのが私の印象でございます。 ○藤田部会長 詳細な御説明ありがとうございました。効果が薄いというよりは、船荷証券を無効にするという効果が紛争解決において役に立つような場面が余り多くないというふうな御趣旨だったと理解いたしました。 ○池山委員 明解な説明、どうもありがとうございました。 ○藤田部会長 こういう内容が記録に残るということ自身、大変貴重ですので、御提案への賛否以外に、こういう発言も是非していただければと思います。 ○山口委員 私も説明が足りませんで、申し訳ございませんでした。 ○藤田部会長 ほかに、よろしいでしょうか。 ○小出幹事 小出でございます。ありがとうございます。基本的にこの規定が要らないという方向性自体に特に異論はないのですけれども、ここに書いてある、システムに問題が生じてデータが全て消失をする場合については関係当事者間で解決が図られるであろうということが、具体的にどういう解決なのかが少しイメージが湧きにくい部分があります。それとの関係で、この喪失というのは、物理的な存在であれば正に紙という物理的な物がなくなってしまった、少なくとも元々の権利者の手元からはなくなってしまったということが想定されており、ただ、それをもしかして誰か別の人が持っているかもしれないので、持っている人がいれば出てきてくださいというのが、こういった喪失手続というものだと思うのですけれども、データになりますと、第一に、例えば私が権利者となっているものが勝手にどなたか別の名前になってしまった場合というのは、これはどこにあるかがある意味で分かっているわけなので、いわゆる喪失の状況とは違うような気がします。第二に想定されるのは、正にデータが消えてなくなってしまうという状況だと思うのですけれども、その場合に、もしかしたら私以外にも、いや、それは私のものだという人が出てくる可能性があって、そのどちらの権利が回復するかをこのシステム運営者なんかの規約で決めてしまって本当にいいのだろうかということは少し思わなくもないです。ただ、それ以外の方法があるとも余り思えないので、これでいいような気もするのですけれども、その場合に、例えば私でない人と私の間で紛争が生じた場合、それは、システム運営者の方で私のものだと言ってくれれば、記録を復活してもらって、それによって私の権利が元の権利と同じ権利として復活するのか、それとも新しい権利が生ずるのか。この辺りのことは少し整理しておく必要があるような気もしました。今ここで書いておられる規約によって解決されるというのは、具体的にはどのような解決が想定されているのでしょうか。 ○藤田部会長 事務当局への御質問だと思いますので、お願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。率直なところ、具体的な細かいところまで想定しているわけではないのですけれども、イメージとして持っているところといたしましては、データを復旧するというようなことを想定しておりまして、そうなりますと、新たな発行とは異なるということになりますので、これまでと同じ権利関係というものを復旧したデータによって証明していくことができると、こういうものを想定しておりますけれども、必ずしもこういった復旧サービスのようなものですね、こういったものを用意していないと認めないとか、そういうことでは全くなくて、そういったものがあればそういった形で対応するということが、これは紙と違って、データの場合はそういった処理が可能かもしれないというところが、またこういった手続を創設する必要がない方向のお話として出てくるのかなと思っておりまして、全てのシステムがこういった状況を備えていくであろうということまで確認して、こういうふうに言っているわけではなくて、そういったところも一つの手法となり得ると、こういう観点で書かせていただいたというところでございます。 ○小出幹事 ありがとうございます。理解はできるのですけれども、突き詰めて考えていくと、元々この電子的な移転可能記録というものは、発行のときから効力を失うまで、権利の内容についてインテグリティーが保たれている必要があるということがあり、途中で一回データがなくなってしまった場合に、そことの要件との関係で、厳密に考えると少し問題が出てくる可能性はあるかなという気がしました。私も今まで余り考えたことがなかった問題なのですけれども、検討する必要があるかなと思ったということです。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   そのほかに御意見はございますでしょうか。   よろしいでしょうか。それでは、方向性としては事務当局の御説明のとおり、電磁的船荷証券記録の喪失の制度は特に設けないという方向で今後も議論を進めさせていただければと思います。   それでは、次に進みます。部会資料3の第7では、電磁的船荷証券記録について消失等の不具合が生じた場合の法律関係等について、事務当局の整理を記載しておりますが、これは直接規律内容を定めるものではございませんし、時間の関係もありますので、もし、特にこの内容について述べておきたい意見や質問があれば頂きたいと思いますけれども、もしないようでしたら、部会資料3の第8に進みたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○池山委員 池山でございます。実は1個、念のために申し上げた方がいいかなという点がございます。ここに書いてあること自体には異議はございません。ただ、その上でなのですけれども、特に第7の3、事後的に消失等をした場合でございます。   これは、第6と問題状況は重なり合うかと思いますけれども、そのときの対処について、保証渡し等が一つは考えられるというのは確かにあると思うのですけれども、一方で若干危惧しなくもないのは、紙のB/Lであれば、それがなくなったというのは全く所持人側の事情であって、運送人は関知しないと、したがってB/Lなしで、船荷証券なしで引き渡してほしいというなら保証状を出してください、というのはすんなり出てくるロジックではあります。   ですが、電磁的船荷証券記録の場合は、その消失の理由というのは必ずしも所持人側で起きたとは言い切れなくて、要するに、運送人及び所持人若しくは所持人予定者が合意したシステムプロバイダー側の事情として起きると。特に、この発行が、飽くまで紙のB/Lを発行するのが本則であって、それに代えて運送人側が、要望に基づくものではあるけれども、最終的には自分の意思で発行した、それがなくなったというのであれば、むしろ放っておくと運送人の下請事業者、厳密な意味での請負契約ではありませんけれども、下請事業者的な者であるサービスプロバイダーの事情で喪失したのだと、だから、単純に保証渡しには紙のB/Lのようには応じられないということが出てくるのかもしれないと思っております。   それに対して運送人側としては、やはり今回どういう形の立法になるにせよ、立法の規定ぶりは飽くまでも荷主の要望に応じて運送人が自分の意思で発行するのだけれども、それは両者、関係者全員の合意によって電子B/Lというものを選択しているのであって、単純に運送人側の下請事業者的な存在の者の事情でなくなったのではないと考えているということは申し上げておいていいのかなと思います。 ○藤田部会長 ありがとうございました。池山委員の感触は、消失の場合というよりは、むしろ一般的に電磁的船荷証券記録が発行されている状況で、サービスプロバイダーは誰の代わりにやっていると見るべきかということに関わる話ですね。 ○池山委員 消失が天変地異で誰にも責めに帰すべき事由がないことはあり得ますけれども、単純にサービスプロバイダーの責めに帰すべき事由があったとしますと、ウイルス対策等が不十分でとか、そのときに、サービスプロバイダーの責めに帰すべき事由は運送人の責めに帰すべき事由だというふうにはならないと思っていますよと、下請というよりは、単純に彼らは発行義務を負う運送人の履行補助者という整理をされては困りますよということなのだと思います。 ○藤田部会長 事務当局、いかがでしょうか。 ○渡辺幹事 御指摘いただきましてありがとうございます。池山委員のお話を伺っていまして、紙の船荷証券でいうところのいわゆる保証渡しとは必ずしも状況が違うのではないかというところは、非常によく理解ができたところでございます。ですので、電磁的船荷証券記録の場合には少し違った考慮というものがあり得るということは、おっしゃるとおりかなと拝聴していて思ったところでございますが、いずれにしても何らかの実務上の工夫ということで、多少の変容というのがあり得るのだろうとは思いますけれども、実務上の工夫というものがされて解決されていくと思ってはいるところなのですが、そこのところはそのような理解で、すみません、質問に答える立場なのに質問をするような形になって恐縮なのですけれども、実務上の工夫というのが何らかの形でされていくであろうという見込みというのは間違っておりますでしょうか、というところをもしお聞きできれば有り難いと思っておりますが、いかがでしょうか。 ○池山委員 ありがとうございます。池山でございます。見込みがあると思いますと断言することはできないですけれども、考え方としてはおっしゃるとおりだと思います。プラス、私が申し上げたのは、質問というよりは、単純に運送人側としての意見の表明をあらかじめしておく必要があると思いましたという以上でも以下でもなくて、将来不幸にしてそういう事態が起きて話合いをすることになったときのための意見表明をあらかじめ正式の場でしているという、それだけのことでございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。紙の場合だと、船荷証券の発行のところでは運送人が発行するとはいえ、一旦発行して手を離れたら、その後その紙の保管その他について運送人が責任を問われることがあり得ないのに対して、電磁的船荷証券記録の場合は、池山委員の言われたように、運送人が使っている契約した相手がシステムを提供しているものでしょうという言い方をされかねないことへの危惧を表明されたと理解させていただきます。また頂いた意見を伺っていると、保証渡しのような実務上の工夫という言葉がやや安易に使われているような気もいたしますので、この辺りの表現は、また少し検討していただければと思います。保証渡しとは問題状況が少し違うといえば違うのは確かで、またこれを取っても文章として問題ないと思いますし、実務上の工夫というのも、保証渡しとは少し違ったものかもしれませんので、その辺りを注意していただければと思います。   よろしいでしょうか。もしよろしければ、その次に進みたいと思います。   部会資料3の第8に進みたいと思います。事務当局から御説明いただければと思います。 ○生出関係官 それでは、事務当局の生出から、部会資料3の「第8 規約型の電子式船荷証券における規約との関係性」の箇所について説明いたします。   部会資料にも記載しておりますとおり、Bolero等の既存の規約型の電子式船荷証券についても、これを明示的に排除する旨の規律を設けなければ、電磁的船荷証券記録の技術的要件等を満たしている限り、電磁的船荷証券記録に関する規定が適用されることになります。そして、電磁的船荷証券記録についての法制化がなされた場合であっても、このような民間のシステムプロバイダーが提供する電子式船荷証券においては、全ての権利義務関係を法令に委ねることはせずに、当該システムの利用関係者との間で独自に規約によるルールを定めることも多いものと想定されます。   商法改正によって電磁的船荷証券記録についての法制化を実現したとしても、その規律の全てについて強行法規制を持たせ、全ての面で私人間の合意による規律の変更を禁止する必要性があるとも言い難いため、民間のシステムプロバイダーが提供する電子式船荷証券において、規約による独自の規律が設けられることを一律に否定するようなことは想定しておりません。   次に、電磁的船荷証券記録に関する規律と規約の関係について、規約の当事者間の法律関係と規約の効力の及ばない第三者との間の関係について、分けて考えたいと思います。   まず、規約の効力が及ぶ関係者の間の法律関係についてですが、電磁的船荷証券記録に関する規律は、運送品の引渡しに係る債権の帰属やその行使に関する法律関係を規律するもので、一方、電磁的船荷証券記録に関する規約は、電磁的船荷証券記録の原因関係である運送契約の当事者を含む関係者が締結したものであることからしますと、規約の効力が及ぶ関係者の間においては規約の効力が優先し、規約に基づいて運送品の引渡しに係る債権の帰属やその行使に関する法律関係が規律されることになるものと考えられます。   これに対して、電磁的船荷証券記録の効力に関する規律の全てが規約に網羅されているとは限らず、規約の効力が及ぶ関係者の間においても電磁的船荷証券記録の効力に関する法律の規定の適否が問題となる場合もあるかと考えられますが、そのような場合には、電磁的船荷証券記録の効力に関する法律の規定によって、運送品の引渡しに係る債権の帰属や、その行使に関する法律関係が規律されることになるものと考えられます。なお、電磁的船荷証券記録の効力に関する法律の規定の適否が問題となるか否かは規約の解釈によって定まるものと考えられております。   次に、規約の効力が及ばない第三者との間の法律関係についてですが、規約の効力が及ばない第三者との関係においては、電磁的船荷証券記録に関する法律の規定によって、運送品の引渡しに係る債権の帰属や、その行使に関する法律関係が規律されることになるものと考えられます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、今説明のあった内容について、もし何かございましたら、どなたからでも結構ですので、御意見を頂きたいと思います。 ○池山委員 いつもすみません、池山でございます。2(1)についてでございます。これを拝見すると、前段の方では、原則は法規定は任意規定なので、規約だと権利者がAで、でも法律だと権利者がBとなるという場合を想定して、その場合は規約によって権利者がAということを想定しつつも、他方で(1)の後段の方の説明を見ますと、電磁的船荷証券記録の効力に関する法律上の規定、このうちの特に方式に関する規律は強行規定であるといって、さらに、強行規定となる方式に関する規律の例には、研究会報告書等も併せて拝見すると、正に譲渡等の効力に関する規定も入ってくると。実際、その結果として、引渡しに関する債権の帰属や行使に関する法律関係は法律によって規律されると、そこの関係が今一つよく分からないと思うんです。かつ、それでいいのかという疑問もございます。   これは、恐らくここで議論することというよりは本来、今日のテーマである部会資料4に関係することかもしれません。というのは、やはり規約の当事者間で権利が帰属するのが誰かということと、それから、やはり第三者との関係で権利者を誰と認めるかということは相互に関連するので、その二つは別だと割り切っていいのかなという危惧があります。それが大きな1点です。私としては、その点はこの段階ではある種、問題意識の表明というだけに捉えて、実質的な御議論は今日の部会資料4の中でするという形でもいいのかなと思います。   それと、もう1点、全然別次元のことですけれども、元々紙の船荷証券に関する規定も、どこまでが強行規定でどこまでが任意規定かということは実は解釈に委ねられているという中で、電子B/Lの立法をするときに、そこをきちんと切り分けて明示する必要がどこまであるのだろうかという、ここはある種、概括的な疑問ですけれども、それは感じております。例えばですけれども、署名の要否なんていうのも実はそういう例に当たるのかもしれません。最後の点は少し乱暴な比喩かもしれませんけれども。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。差し当たり事務当局から御返答をお願いします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございました。細かい議論の細部はともかくといたしまして、基本的な問題意識は我々も同じに思っておりまして、ここで今回書かせていただいた内容というのは非常に抽象的でありますし、具体的なものを想定しないとなかなか難しいという部分はあろうかと思いますので、そういった意味では、部会資料4で議論していく中でもまた問題になり得る部分かと思いますので、そういったところで更に議論が具体化されていって内容が詰まっていくという面はあろうかと思っております。そういった問題意識は持ちつつも、この規約との関係というのは様々なところで問題になり得るなというのが正直な感触でございまして、そういったところも意識してこれからの議論を皆様と一緒にしていくことができればなという思いで、こういったところの総論的な指摘をさせていただいたというところでございますので、最終的な整理につきましては、各論も含めた議論というのをしっかりした上でなされていくという部分があるというのは、おっしゃるとおりかと思っております。   また、こういったところを明示する必要は必ずしもないのではないかという御指摘も頂きましたけれども、それもおっしゃるとおりかと思っておりまして、ここの第8で書かせていただいた部分が何か具体的な規律、要は法律案を立案したときの規定に何か絡むかというと、恐らく絡まないところだろうと思っておりまして、ただ、これから各論の議論をいろいろさせていただくに当たって、こういった規約との関係を常に考えていかなければいけない、そういった頭の体操としては、やっていかなければいけないだろうという思いで書かせていただいておりますので、これが何か規定化されるというようなことは今のところないのではないかと思っているところでございます。   取りあえずの御回答は以上でございます。 ○池山委員 ありがとうございます。せっかくなので、もう1点、別の指摘ないしは質問をさせていただいてよろしいでしょうか。   今回は飽くまで日本法の立法なので、実際のB/Lは何らかの形で規約があるということを前提とすると。その規約というのは譲渡の効力等まで厳密に含むかどうかは分かりませんけれども、少なくとも一つのサービスプロバイダーのシステムをみんなで採用しようと、みんなでのっかっていこうということですから、そのサービスプロバイダーのシステムをみんなで利用するという限りでは何らかの規約はあります。その規約が日本法準拠であることをまずは想定するわけです。他方で、実際に先行している規約型のシステムというのはみんな外国法準拠です。ただ、私は正に第三者との関係というのを考えたときに、仮に外国法準拠のシステムに基づいて電子B/Lが流通したとしても、日本でその規約型B/L上の権利者とされる人と第三者との間で紛争が起きたときに、規約が外国法だから第三者との関係も当該外国法準拠で決定されるとは限らないと理解をしていて、正に物権的効力などはそうですけれども、と理解しています。そういう理解で正しいでしょうかという質問です。 ○藤田部会長 これは北澤委員に聞いた方がいいのかもしれませんが、まずは事務当局からお願いいたします。 ○渡辺幹事 すみません、渡辺でございます。まず事務当局としての現時点での考え方を申し上げたいと思いますが、おっしゃられたとおりかと思っておりまして、第三者との関係においてはどのようなことが問題になるかにもよりますけれども、単位法律関係によっては日本法が準拠法となるということは十分あり得るかと思います。ですので、規約において外国法を準拠法としているからといって、日本法が適用される余地が第三者との関係でおよそないということではないだろうと思っております。 ○藤田部会長 ありがとうございました。指名するようで申し訳ありませんが、もし可能でしたら、北澤委員からお教えいただけないでしょうか。取り分け規約の準拠法―――Boleroだったら確かイギリス法だと思いますけれども―――で全てが決まるわけではないという理解でよいかというのが池山委員の御質問でしたけれども、どのように考えたらよろしいでしょうか。 ○北澤委員 北澤でございます。先ほど来、渉外的な話が出ておりましたので、どのタイミングで発言すべきかと思っておりました。池山委員がおっしゃるように、規約型のB/Lの場合、船荷証券の物権的効力の部分につきましては、国際私法上の準拠法決定の議論があって、当事者間で合意した準拠法で決まるわけではなく、その物権的効力の準拠法というのは、これまで紙媒体の船荷証券というものを前提にしていましたから、証券所在地法によるのが通説ですけれども、その証券所在地法という議論が、電磁的船荷証券記録になった場合にどうなっていくのかは今後詰めていくにしましても、当事者間で合意した準拠法で決められることと物権的な効力や目的物を巡る第三者との優先関係の問題等については別の準拠法に基づいて処理していくという理解が一般的であるかと思います。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。今はその単位法律関係の切り方とか、その場合、連結をどうするかというところまで立ち入った議論はする段階ではないと思うのですが、差し当たり池山委員の御質問に対しては、いずれからも肯定的な答えが得られたと思います。よろしいでしょうか。 ○池山委員 ありがとうございます。そうだとすると、今回の日本法の立法は、外国法準拠で現にサービスを提供しているサービスプロバイダーにとっても利害関係が十分あると、当たり前かもしれませんが、ということですよね。 ○藤田部会長 もちろん一定の範囲では日本法が適用される余地は排除されないというのが今のお答えだったと思います。 ○池山委員 ありがとうございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。そのとおりでいいと思っております。 ○藤田部会長 池山委員の言われた最初の論点ですけれども、内部関係と外部関係を切り分けて、前者は完全に合意で決まるのですと言い切っていいか辺りは、更に慎重な検討が必要かもしれませんし、最終的に何か説明文書を残すときにはその辺りも精査する必要はあるかもしれませんが、その辺りは追って検討いただくということでよろしいでしょうか。 ○渡辺幹事 はい、承知いたしました。 ○藤田部会長 それでは、部会資料3の第8について、よろしいでしょうか。これも具体的な規律を提案しているわけではありませんので、説明として腑に落ちないところ、不自然なところ、おかしいところがあれば御指摘いただければと思うのですけれども、よろしいでしょうか。   それでは、次に進ませていただきます。前回の積み残しはこれで終了いたしましたので、事務当局において部会資料4の第1の御説明をお願いいたします。 ○中村関係官 それでは、法務省の中村の方から今回の部会資料4の第1について説明をさせていただきます。   まず、第1は電磁的船荷証券記録の類型及び譲渡等の方式についての御審議をお願いするものでございまして、細目といたしましては、1番として電磁的船荷証券記録の類型についての考え方を整理し、その上で2番といたしまして、そのような類型に伴う権利譲渡等の方式について御審議いただくことを想定しております。資料の分量も多いため、それぞれポイントをかいつまんで説明させていただきます。   まず、今回の部会資料の1ページ目から始まります「1.電磁的船荷証券記録の類型についての考え方」についてです。御案内のとおり、民法の有価証券に関する規定によりますと、講学上、紙の船荷証券については指図証券型、記名式所持人払証券型、その他の記名証券型(裏書禁止型)、無記名証券型の4類型があるものと考えられておりますが、今回、電磁的船荷証券記録の法制化をするに当たり、この電磁的船荷証券記録の類型についてどのように考えるかというのがここでの論点となります。   この点につきまして、事務当局の方からは三つの案を提示させていただいております。まずA案として、紙の船荷証券の類型にとらわれずに、電磁的船荷証券記録については支配の移転による譲渡禁止型と、それ以外の2類型のみとする考え方となります。次にB案として、民法上の有価証券に関する4類型をできる限りそのまま維持する形で類型に関する規律を設ける考え方となります。最後にC案といたしまして、紙の船荷証券について記名式所持人払証券型と無記名証券型については実務上ほとんど利用されていないという指摘を踏まえまして、記名式所持人払証券型と無記名証券型に相当する類型を規律せずに、指図型と裏書禁止型の2類型のみを規律するという考え方となっております。   それぞれの案について若干補足させていただきますと、まずA案については、紙の船荷証券でいう指図証券型という類型を規律することはしないとすることの結果として、紙の船荷証券でいう裏書に相当する概念が登場せず、支配の移転による譲渡禁止型以外の電磁的船荷証券記録につきましては、その支配の移転のみで権利譲渡の効力が生じることとなりますため、制度としては比較的シンプルで分かりやすいものと考えております。また、この案は指図証券型を規律しないというものではございますが、その実質は指図証券型に相当するような電磁的船荷証券記録の仕組みを積極的に否定するものではございませんでして、むしろ電磁的船荷証券記録の方式に関する規律を単純化することによって、より多くのシステムを許容しようとすることを目指すものといえます。例えば、電磁的船荷証券記録に関する実際のシステムにおいて独自に裏書に相当するような仕組みを導入し、一定の電磁的船荷証券記録については、その裏書に相当する行為をしないと支配の移転ができないといったような設計にすることも禁止されておらず、その場合、法律上は支配の移転のみで権利移転が生じるものの、システム上、付加的に課された要件を満たさない限り支配の移転ができませんため、結局そのシステムにおいては裏書に相当する行為をする必要があるという整理になるのかと考えております。   なお、このA案との関係では、MLETRとの整合性についてどのように考えるかという点については若干の留意が必要なように思っております。と言いますのも、御案内のとおりMLETR第15条においては、紙の船荷証券において裏書が想定されている場合における裏書に関する機能的同等性についての規定が設けられており、このことからすると、MLETRにおいては紙の船荷証券について指図証券型が存在する場合には、電磁的船荷証券記録についても同様の類型が維持されることを想定しているようにも考えられるためでございます。MLETR上、少なくとも明示的に新たな類型を設けることがストレートに禁止まではされていないように思っておりますが、この辺りは慎重な考慮が必要なようにも考えているところでございます。   次に、B案につきましては、先ほどの説明のとおり、講学上紙の船荷証券について認められる4類型の全てを基本的にそのまま維持するという考え方でして、これまでの紙の船荷証券の実務との関係では最も分かりやすく、連続性もあるものなのではないかと思っております。また、紙と電子との間の機能的同等性を実現しようとするMLETRの基本的な発想に鑑みますと、このB案がMLETRと最も親和的であるとも考えられるところでございます。もっとも紙の船荷証券に関しまして、世界的には決して日本法上の4類型が一般的というわけでもないように思われますし、今後、電磁的船荷証券記録について様々なシステムが作られる場合に、システム上発行された電磁的船荷証券記録が日本法上のどの類型に当てはまるのかといった点が必ずしも判然としないようなケースも理論的には考えられるといった辺りに若干の留意は必要なように考えております。   最後に、C案につきましては、先ほど説明しましたとおり、この紙の船荷証券について記名式所持人払証券型と無記名証券型が余り普及していないという事実を捉まえて、そうであればいっそのこと法制をシンプルにする上でも、記名式所持人払証券型と無記名証券型に相当する類型を規律せずに、指図型と裏書禁止型の2類型のみを規律するという考え方となります。しかしながら、御案内のとおりイギリスを含む諸外国においては、少なくとも観念上はいわゆるbearer B/Lといったような類型も想定されておりまして、このbearer B/Lに関しましては、日本法上の有価証券の分類に当てはめるのであれば無記名証券に該当するという考え方もあり得るように考えられることに加えまして、仮にそうでないとしても、理論上この記名式所持人払証券型と無記名証券型を観念することができるのであれば、あえて今回の法制化に伴って積極的にこれらの類型を否定する理由も乏しいのかなと考えられますため、このC案の採否については慎重に検討する必要があると我々としては考えております。   次に、今回の部会資料の10ページにいっていただきまして、「2.譲渡等の方式について」です。10ページから12ページにかけて、先ほどの類型論のA案、B案、C案ごとに、その権利の譲渡等の方式についての規律案をお示ししております。   まず、A案については、先ほど説明しましたとおり、裏書に相当する行為が法律上観念されないこととなりますため、支配の移転による譲渡禁止型以外の電磁的船荷証券記録に関する権利の譲渡等については、電磁的船荷証券記録の支配の移転のみを効力発生要件とすることとしております。今ここで「電磁的船荷証券記録に関する権利」と申しましたのは、電磁的船荷証券記録そのものは有価証券や物ではございませんし、それ自体が独立した財産権になるものでもないと考える場合、船荷証券という証券そのものの譲渡に対応するような電磁的船荷証券記録そのものの譲渡といったものは観念されず、譲渡の対象は飽くまで電磁的船荷証券記録に表章された権利になると考えたことによるものです。   また、先ほどから譲渡等と申しているところの「等」は、主に質権設定のことを想定したものでございまして、電磁的船荷証券記録に関する権利の質権の設定についても同様の方式を求めることとしております。   次に、B案については、先ほど申したとおり、紙の船荷証券について講学上認められると考えられている4類型の全てを基本的にそのまま維持するという考え方となりまして、このうち指図型については、紙の船荷証券における交付に相当する支配の移転に加えて、裏書に相当する電子裏書をその権利譲渡等に係る効力発生要件として規律することとし、その他の記名式所持人払型や無記名型については、それぞれ証券の交付に相当する支配の移転のみをその権利譲渡等に係る効力発生要件として規律することとしております。   この裏書に相当する行為として今回、電子裏書という概念を創出させていただいております。ここでは、電磁的船荷証券記録を支配する者が当該電磁的船荷証券記録の支配を他の者に移転する場合において、法務省令で定める方法により、当該電磁的船荷証券記録の支配を移転する者の氏名又は名称及び移転を受ける者の氏名又は名称を当該電磁的船荷証券記録に記録することをいう、という定義付けを考えておりまして、法務省令で定める要件としては電子署名の存在などを想定しているところでございます。   また、紙の船荷証券においては裏書の一種として白地式裏書というものが認められておりまして、被裏書人の名称を記名する通常の記名式裏書よりも、むしろこの白地式裏書が一般的であると伺っておりますため、可能な限り同様のことが実現できるよう、併せて白地式電子裏書という概念を創出し、紙の船荷証券に適用される手形法上の白地式裏書に関する規律と同様の規律を設けることを試みております。この電子裏書、白地式電子裏書に関しては、できる限り紙の船荷証券における裏書、白地式裏書と同様の規律とすることを試みておりますが、やはり紙と電子データという性質の違いもございまして、その定義を含め、なかなか悩ましい点が多いかと考えておりますため、是非とも忌憚のない御意見を頂けたらと考えております。   また、このB案についても権利の譲渡と質入れに関して同じ規律を及ぼすこととしておりますが、実は紙の船荷証券に適用されます手形法においては、その譲渡と質入れで方式を区別しておりまして、質入れに関しては裏書において「担保のため」、「質入れのため」、その他質権の設定を示す文言を付記することが求められております。そのことからすれば、今回の電磁的船荷証券記録に関する権利を目的とする質権の設定についても同様の付加的な方式を求めるということも選択肢の一つとしては考えられるところではございます。しかしながら、手形法上の質入裏書は飽くまで有価証券そのものを質権の対象とすることを想定したものであるところ、今回、電磁的船荷証券記録を物や有価証券そのものではないと解する以上、必然的にその適用が求められるものではないと考えておりますことに加えて、実際に電磁的船荷証券記録に関して今後どのようなシステムが構築されるかは必ずしも明らかではございませんで、このような要件を付加することでシステム上その要件を満たすことができず、当事者の意思に反して質権設定の効力が物権的に発生しないこととなるような事態も想定されるところでございます。また、電磁的船荷証券の支配に排他性が認められる限りにおいては、必ずしもこの質権設定の場面で電磁的船荷証券記録上に「担保のため」、「質入れのため」といった記録が残らないこととなっても、そのことによって生じる不都合は余り想定されないのではないかと考えたこともございます。そのような考えのもと、今回、指図型の電磁的船荷証券記録に関する権利の譲渡と質権の設定については方式の区別を設けることはせずに、同様の規律とすることを一旦提案させていただいております。   最後に、C案でございますが、C案は記名式所持人払証券型と無記名証券型を規律せずに、指図型と電子裏書禁止型の2類型のみを規律するという考え方でございますので、先ほど述べましたB案における指図型と電子裏書禁止型と同様の規律ぶりとなっております。   長くなりましたが、第1のパートの事務当局からの説明は以上となります。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、今説明のあった内容について、どなたからでも結構ですので、御意見、御質問を頂ければと思います。お願いいたします。 ○池山委員 再々すみません、池山でございます。ありがとうございます。絡み合った多数の論点があって多岐にわたりますので、まず、出発点であるA案、B案、C案の選択という点について意見あるいは指摘をさせていただきたいと思います。   事前に私の推薦母体である船主協会の関係者、といっても実際はかなりテクニカルな議論なので、その関係者が推薦をした私及びそれ以外の何名かの海事関係の弁護士を中心に議論した結果でございますけれども、そこで議論したときに、一方ではここで実はその他というところに書いてある、そもそもA案、B案、C案という形で類型を明示しないという選択肢もあるが、9ページの(5)ですが、解釈において委ねるという考え方もあり得るのだけれども、最後の方で、電磁的船荷証券記録についての類型や、その類型ごとの譲渡の方式等について明文の規定を設けないこととなれば、その法律関係に極めて重大な不明瞭さが残るという指摘、これは非常に重い指摘ではあるかとは思うものの、やはり紙の船荷証券の場合に、明文で4類型があると規定されているわけではないと、飽くまでも民法で船荷証券一般に4類型があるということを解釈で持ち込んでいるのにすぎないのに、ここで電子B/LについてはA案、B案、C案いずれにしろ、これだけの類型を認めるということに対する抵抗感というのは、なおかなり強くあったということは、最初に指摘申し上げるべきだと思っております。   その指摘の前提として、実務状況に関する認識として若干不正確かなと思う叙述がございました。3ページの真ん中辺りですが、船荷証券について講学上は上記のような分類、4分類がされているとしても、現に発行する場面においては必ずしも民法上の有価証券のいずれに該当するかについて意識的な整理がされているわけではない、とあります。ここは少し違うのだろうと思います。実務は実際、発行するときに、それが譲渡禁止文言のある記名式なのか、譲渡禁止文言がない記名式なのか、はたまた指図式なのかというのは明確に意識しています。多分、意識していない部分は再々申し上げた、記名式持参人払船荷証券なるものが本当に認められるのか、あるいは無記名式の、別の言い方をすると持参人払式の船荷証券が認められるのかを意識していないと、それ以上でもそれ以下でもないです。そこは脱線しました。   では、そうはいっても類型を明示しない、解釈に委ねるとなると、やはりその類型によって譲渡の方式というのはこれだけ大々的に違うのだから、そこも明記しないということですか、ということになってしまうわけです。そこは論理的にそうなると思います。その点で一つ示唆があったのは、外国法の議論をどこまで紹介するかというのは議論があるかもしれませんが、やはり実務で影響し、皆が参照するのは英国法でして、英国のLaw Commissionの草案を見ると、中核となる3条の中で、(1)、(2)は今まで我々が議論して、あるいは想定しているところ、すなわち電子書類も占有することができるとか、電子書類は紙の書類と同一の効力があるということ、それに加えて実は(3)というものもあって、日本語でいうと、紙の証券に対してなされたエニシングと相当するものが電子書類の下で行われれば同一の効力があると。つまり、もっと乱暴に意訳をすると、最初の効力だけではなくて、電子書類についてなされた裏書相当行為その他の処分は紙についても同一の効力があるのだと、そういう包括的な規定を彼らは置いているわけです。ある意味乱暴な規定かもしれませんけれども、そういう形で本当に対処できないかなというのは、まだ選択肢の一つとしては残るのかなと思っております。   そう申し上げた上で、なかなかそれは難しいのではないかという反応が予想されるわけで、すみません、長くなりますが、やはりそれは難しいと、譲渡の方式が違う以上はそれを明記する必要があると、明記する前提として、やはり類型は明記する必要があると、その意味でA案、B案、C案の選択だということであれば、結論からいうとやはりB案になるのであろうと思います。それはもう理由はここに書いてあるとおりですけれども、もう少し別の言い方をするならば、やはり紙のB/Lを電子化されてもそれと同じ効力を認めるという発想がある以上は、それとイコールでなければおかしいということでございます。   そういう意見になる前提は、これは念のため、以前ここで議論したことがあるかもしれませんが、仮に4類型が認められるとしても、別に4類型全てを運送人は出す義務はないと、サービスプロバイダーも四つの類型を全部サービスメニューとして出せる体制をとる必要はないと、飽くまでもそういうB/Lを出すということを運送人が合意し、かつサービスプロバイダーも提供できたら、それを日本法は認知して、それに応じた効力規定を与えるだけだと、それにすぎないと、それが前提です。   その上で、今、B案と言いましたけれども、実は単純なB案ではなくて、そこから先は議論は二つに分かれてきます。一つは、元々なかなか明文化をしたくないという考え方の根底にあるのが、記名式持参人払B/Lという誰も見たことも聞いたこともないB/Lを明文化するということに対する抵抗だとすると、この際、乱暴かもしれませんけれども、紙の船荷証券についても、その規定を削除して、法的に認知することをやめて、もう単純に紙でも3類型だと、それに合わせてというのが一つの方向性としてはあり得ます。   ただ、実は、すみません、長くなって恐縮ですけれども、必ずしもそういう意見が大勢ではなくて、逆にそれは乱暴ではないかという意見もあり、私個人も徐々にそれに傾いております。それはなぜかというと、実際に規約型B/Lで先行している事例を見ると、実際のB/Lデータ上は記名式のように見えて、だけれども実際に権利移転の方式としては持参人払的な入力がされていて、ある種、期せずして、記名式のように見えるけれども、規約に基づけばこれは持参人払になるよねと、矛盾する記載になって、その場合は持参人払という法が効力は生じるよねと、規約にのっとった入力はそちらでされているので。その意味では、実は今まで見たことも聞いたこともないといっても、逆に出てくるのではないか、みたいな指摘もあり、それを背景に、やはりこの際、削ってしまおうというのは乱暴だと。   そういう中で、今回の案は、同じB案と銘打っていますけれども、研究会報告書段階でのB案よりは、実はかなり規定ぶりが変わっていて、私が研究会以来申し上げた懸念をより考慮してくださっていて、法的には認知するといっても、実際の規定ぶりとしては記名式持参人払と、それから持参人払を、言ってみれば、要するに持参人払、所持人払なのだという形でまとめた書き方をしている、実際に効果、譲渡の方式は一緒なのですからと、そういうことになって、でも、解釈としては元々の紙のB/Lで4類型あるということをそのまま引っ張りつつ、記名式持参人払の譲渡方式だけがことごとしく一番最初に書いてあって非常に違和感があるというものからは、非常に洗練された形で回避されていて、かなり傾聴に値する案なのかなというふうに議論になっております。   長くなりましたが、現段階では、まず、大きな部分については以上でございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。事務当局から何か御返答はございますか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御意見ありがとうございます。と同時に、B案についてある程度、我々としても工夫をさせていただいたところでございまして、その工夫について一定の評価を頂いたと思っておりますので、そこは大変有り難いと思っております。   池山委員の言われた御指摘ですね、もう少し抽象的な形でもやっと規律をすることができないかというところにつきましては、今回の部会資料4の9ページに書かせていただいたその他の考え方というところで紹介させていただいておりますし、恐らくこれと同じような発想というのがまた効力のところでも出てくるだろうと思っておりまして、池山委員が御紹介いただきましたLaw Commissionの草案のところにつきましても、実は19ページのところで少し紹介はさせていただいて、和文も紹介させていただいているところかと思っております。   このようなイギリス法のような立法というのが我が国でできるのだろうかというところについては、我々もずっとこれまで考えてきたところではありますけれども、やはりなかなか解釈に委ねすぎるというところは、成文法主義を採る我が国の法制からすると難しいのではないかと思っているのが正直なところでございます。そういったところでありますので、A、B、Cという考え方を今回、提案させていただいておりますし、効力についても、やはり何らかの形でしっかりと分かるような案文というのを作っていかなければいけないのではないかと思っているところでございますので、そこら辺をお含みおきいただいて御議論いただければと思っているところでございます。   そういったところで、B案の関係ですけれども、これは従前、第1回目の部会で資料としてお配りさせていただいた研究会の報告書におきましては少し違った書きぶりをしておりまして、記名式所持人払証券、あるいは無記名証券、こういったものを積極的に定義をして、もうこれが絶対あるのだということが分かるような形で定義をさせていただいていたところでございまして、それを少し改めまして、今言った2類型については、それ以外、その他みたいな形でくくることができれば、その点につきましては引き続き解釈に委ねることが可能になるだろうというふうに思っております。ただ、いずれにしても最低限3類型はあるという形にはなりますので、それが4類型まで認められるか、認められないかというところは引き続き解釈上の問題があるというのであれば、解釈に委ねられると、こういった手当てということはできるのではないかと思っておりますので、そういった意味では今回のB案というのは少し毛色が違ったという意味では、おっしゃるとおりかと思っておりますけれども、そこのところははっきりさせないで、僅かながらではありますけれども解釈に委ねることができる部分というものを含みを持たせるような形で御提案させていただいたというものでございます。   長くなりましたが、補足説明を含めて、以上でございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   そのほか、どなたでも御意見がございますでしょうか。 ○吉田委員 日弁連の吉田です。よろしくお願いいたします。日弁連の弁護士の中で、B案は今、B案の応用といった考え方も含めて御説明を頂いたかと思うのですけれども、A案について、まず、A案というのは大変簡明な、すっきりしているものなのですけれども、MLETRとの整合性という観点から、支配の移転だけで権利が移転し、裏書というものを法律的には考えないということで、整合性の観点からどうかという質問が出ました。あとは、応用の考え方として、電子裏書的な考え方をA案に残すようなA’的な考え方というのはできるのでしょうかというような質問が出まして、そういうものが可能なのかどうかというのをお伺いしたいと思っております。   A案でも裏書に相当する行為は可能と思いますが、成文法という、条文を見ればもう誰が見ても分かるというものが日本法のいいところだろうと思っているので、もしその裏書というものがA案であり得るとすれば、A案でも日本法のお墨付きのようなものがあって、A案プラス裏書ありというものもあり得るのでしょうか。 ○藤田部会長 事務当局から、お願いします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御質問ありがとうございました。ただいまの御質問といたしましては、A案を基本としつつも電子裏書を必要とするような類型というものを付加するような考え方というのがあり得るかどうかということかと思いますけれども。 ○吉田委員 お墨付きといいますか、そうですね。 ○渡辺幹事 例えばですけれども、現行のA案もシステム上、電子裏書というようなものをしないと支配の移転ができないようなシステムを組むことは、これ自体はできるという整理をしておりますので、そういったシステム上、電子裏書的なものを必須とするような規約の下でやっていただく、これは事実上やるということは今のA案でもできますので、ただ、それは法律上の類型にはのっかってこない、事実上できますと、こういったレベルでよければ、今のA案でも対応はできているのかなと思うというのが一つ。   それから、もう一つ、それだけでは足りなくて、法律上の類型として電子裏書というようなものを必要とすると、こういう類型を別途作った方がいいのではないかと、こういうところまでの御提案だということだとしますと、要するに電子裏書が必要な類型、支配の移転だけでいい類型、それから民法の規定による類型、この三つを考えるということにしますと、これは正に実はB案と同じということになります。そうではなくて、支配の移転のみというものは要らないのだと、電子裏書が必要なもの、それから、それ以外の民法の規定によるもの、この2類型だということになりますと、これは逆にC案ということになりますので、A’といいましょうか、というものにつきましては、事実上のものでよければ今のA案、それ以外のものであればBかCのいずれかになるのかなというふうに、少し聞いていて思ったところでございまして、それ以外に何か付け加えて考えられるものというのが思い当たらなかったというところではあるのですが、今お話しさせていただいたところで我々の方の整理というのは少し伝わりましたでしょうか。 ○吉田委員 日弁連の弁護士は、法律はよく分かっているのですけれども、船荷証券の4類型、3類型はこういうものだという概念がないので、こうすると日本法としていいのではないかというのを考える者もおりまして、4類型というものがあったけれども、せっかく新しく法律を作るのだから、今まであったものに必ずしもこだわる必要はないのではないかという意見が出たりもします。4類型ではなくて、A案が分かりやすいのですけれども、裏書へのお墨付きというものがなく、今まで、裏書があると思っていたものに手形・小切手とか、そういうものから裏書がなくなるということへの不安のようなものがあるので。 ○渡辺幹事 御趣旨が非常によく分かりました。我々の方としてもA案、B案、C案という形で、指図証券型を認めないというA案、それから、4類型全部そのまま輸入をするような形のB案、こういう切り口で説明をさせていただいたものですから、少し分かりにくかったのかもしれませんけれども、逆に機能的な観点から御説明させていただきますと、先ほど申し上げたとおりの整理になるかなと思っておりまして、電子裏書を必要とするものを事実上だけで認めるというのが、逆にいうとA案という形になって、それを認めるというのがB案あるいはC案という形に整理はされていくとは思いますので、どういった考え方を採るかというのを今ある提案の中で御検討いただければいいのかなと、今私の方としてはそのような整理をさせていただいておりますけれども、出発点の議論からの説明の仕方と、機能的にこうなりますという説明、そういったところを両面から分かりやすく説明ができるような形で少し工夫はしていきたいと思っております。ありがとうございました。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。念のために確認なのですが、A案について、裏書を認めないという表現が何度か出ていたのですが、システムが電子的な裏書を要求すれば当然にそれは要件になる、支配の移転は、システムの指示・要求に従ってでないと移せない―――そうでないとそもそも信頼性の要件を満たさないはずですので―――から、システムの要求するところに従って支配を移すことで権利が移転するというのがA案です。はっきり書かれていないのですけれども、システムの方で現在の裏書をなぞったような譲渡方法が組み込まれていれば、当然そのやり方、つまり現行法上の裏書と同じような方式で譲渡することになるというのが、A案の余りはっきり書かれていない帰結です。支配の移転だけを要件としているから、およそ裏書がなくなるのがA案だというのは誤解で、条文上には裏書がなくなるだけです。もちろん条文に裏書という表現がなくなるのが不安だというのであれば、それは確かに懸念にはなります。ただA案についてはその意味を誤解しかねない面もあるので、要注意かなというような気はいたします。   既に手を挙げておられる方が2人いらっしゃいますが、笹岡幹事から、お願いいたします。 ○笹岡幹事 横浜国立大学の笹岡です。少し整理をさせていただきたいのですけれども、まず、23ページで、この4類型または2類型を設けると商法762条は不要になるという整理をされています。762条は、権利の移転方法には、裏書譲渡と、指図禁止という2類型があるということのほかに、船荷証券上の権利に関するデフォルトルールは、譲渡可能であるということを示すルールでもあると思うのです。これを今、電磁的な船荷証券に置き換えてみると、デフォルトルールは一体何なのかというのが、並列的に規律すると分分からなくなっています。原則は譲渡可能という762条の規範自体は、電磁的船荷証券の場合にも変わらないのではないかと思われます。つまり、特に譲渡禁止という意思表示をしない限りは、電磁的な船荷証券記録であっても、これは移転可能であると。   その次の段階で、移転の方式として裏書を要求するのか、それとも無方式でいいのか、どちらをデフォルトにするのかという議論になってくるのかなと思います。ここで、裏書を要求するならば現行法と同じですし、無方式でもいいというルールにするのだとすれば、そこは紙の場合とは違うということになります。階層的に考えていかないと、議論がしにくいのではないかなと思いました。762条を単に削除するのではなくて、やはり階層構造自体は、機能的同等性の観点からも維持するべきであると思いますので、その点は少し整理して議論していただければなと思いました。 ○藤田部会長 事務当局から御返答を御願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございました。762条のデフォルトルールとしての重要性というところは、正直、すみません、事務当局としては十分理解し切れていなかった部分かなと今、御意見を伺っていて思ったところでございます。飽くまでも類型を考えるに当たって、762条の趣旨をしっかりと酌み取った上で各類型の定義ができれば、基本的にはそれで足りるのであろうと思っていたところではございますが、ただ、デフォルトルールとしてどういう意思を表明するのかというところが大事だということでありましたら、762条につきましてはこれを残すという方向、ただ、原則、指図型という形で残すのか、支配の移転だけでいいという方向で残すのかとところについては、A案ベースで行くのか、B案ベースで行くのかというところで少し違いが出てくるのかなと思いますが、いずれにしてもここでの議論を踏まえた上で、762条に相当するものを何らかの形で残した方がいいだろうという御意見と伺いましたので、そちらについてはまた改めて考えさせていただきたいと思っております。御指摘ありがとうございました。 ○藤田部会長 事務当局に質問なのですが、電磁的船荷証券記録についてもデフォルトルールは必要だということには事務当局も賛同されているのでしょうか。私はこの部分を最初に読ませていただいたとき、譲渡できる電磁的船荷証券記録か否かはシステム上明らかなはずであって、もうデフォルトルールが働く余地というのはないという発想に立っておられるのかなとも思ったのですけれども。そして逆に、システム上移転もできない仕様なのに、デフォルトルールが機能することによって譲渡できることになってしまうと、大変なことになってしまいますので、あえて削除の提案をされたのかなと思ったのですが、そこまで強い意見だったわけではないということだったのでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。率直なところ、そこまで深い思いはなかったというのが正直なところでございまして、この762条については類型化をするに当たって考えていたにすぎないというのが正直なところでございますので、ただ今の部会長の御指摘も踏まえて、デフォルトルールという趣旨で残すか、残さないかというのを改めて考えさせていただきたいと思っております。 ○藤田部会長 笹岡幹事の2点目の御指摘は、またそれはそれで残りますので、1点目の方は、そもそもデフォルトルールの存在意義そのものについて、紙の場合と同じかどうかを併せて検討していただければと思います。 ○洲崎委員 洲崎でございます。よろしく御願いいたします。A案の①の類型に関してですが、支配の移転による譲渡禁止型とあって、実質的には裏書禁止手形とか記名証券に相当するものをここで①の類型としていると思うのですが、そもそも論として、電子船荷証券法制を考えるにあたっての大前提として、電磁的船荷証券記録の支配というものが紙の証券でいうところの証券の占有に相当する、そして、支配の移転が紙の証券でいうところの証券の交付に当たると考えてきたと思うのです。ところで紙の有価証券の世界では、紙と権利は結合しているので、除権決定がなされない限りは紙と権利はいつまでもくっついている、紙と切り離して権利だけ譲渡することはできないというのが紙の有価証券の世界での大原則で、それは記名証券であっても有価証券である限りは同じで、権利移転のためには証券の交付が必要だというのが多分、手形法の世界での通説だったと思うのです。   裏書禁止手形に関する手形法11条2項の趣旨についても、確かに規定の文言上は、裏書が禁止された手形では指名債権譲渡の方式で譲渡できるということが定められているので、あたかも証券の交付なしに当事者間の意思表示だけで譲渡できると、あとは対抗問題が生じたら民法の規定で処理すると、条文だけ見ると何かそんなふうにも読めなくはないのですけれども、ただ、従来から手形法分野での通説、少なくとも多数説は、裏書禁止手形も有価証券なのだから、手形の交付なしに意思表示だけで手形の権利を譲渡することはできないとおそらく、解してきたと思うのです。   私は、電子船荷証券でも実質は同じなのだろうと考えておりました。裏書が禁止される類型の電子船荷証券でも、やはり記録の支配と権利の結合というのはそのまま維持されているので、記録を支配していない人が意思表示によって権利だけ取得することはないのだろうと実は私は思ってきたのです。もちろんこれから新しく作る法制ですし、手形と電子船荷証券は違うのだから、支配の移転のない意思表示による権利の譲渡というのを認めても悪くはないのかもしれませんけれども、しかし、そういう仕組みにどういうメリットがあるのかというのがよく分からず、したがって、支配の移転なしに権利だけ譲渡できるような類型というものは多分、認める必要はないのだろうと私は思ってきたのです。   ところが、今回の部会資料のA案の①、これは支配の移転による譲渡禁止型ですけれども、その定義によると、「記名式であって支配の移転による電磁的船荷証券記録に関する権利の譲渡を禁止する旨の記録がされている電磁的船荷証券記録」ということなのですが、この文言を素直に読むと、支配の移転による権利の譲渡というのが禁止されているので、意思表示だけで権利を譲渡するというような、そういう類型がここでは想定されているようにも思われるのです。ところが、他の箇所でのこの支配の移転による譲渡禁止型の説明と照らし合わせると、たとえば具体的には資料13ページの第2段落のところを見ると、A案の①類型とは、紙の船荷証券でいうところのいわゆる記名証券型、つまり裏書による譲渡もできないし紙の証券の交付だけによる譲渡もできない、そういう証券のタイプを想定しておられるようなのですけれども、しかしながら、そもそも紙の証券の世界における記名証券とは、先ほども申し上げたように、紙の交付は必要であるというのが通説的見解だとされています。ところが、A案の①類型というのは、支配の移転による譲渡を禁止するものだとされているので、支配の移転なしに権利は譲渡できる、つまり記録を支配している者と権利者が分裂するようなこともここでは認めているようにも読むほかないのかなと思ったのですが、第1の質問は、そのような趣旨でここは書かれているのかというものです。つまり、支配の移転による譲渡を禁止するということは、支配はAさんのところにあるけれども、意思表示によって権利はBさんに譲渡するといったものがここで想定されているのかということです。   ちなみに研究会報告書の時点では、A案の①類型というのは今回の部会資料のような定義にはなっていなくて、記名式であって権利の譲渡禁止の定めがあるものという定義になっていたと思うのです。この報告書のときの定義が維持されなかった理由は恐らく、これは想像なのですけれども、権利の譲渡禁止の定めという書き方をしてしまうと、裏書禁止にとどまらず譲渡そのものを禁止している、裏書の禁止ではなくて譲渡そのものを禁止しているように見られるおそれがあるので、それを避けるために今回は別の表現にされたのかなと推測しているのですが、それはともかくとして、質問の第1は、A案の①類型でいうところの支配の移転による譲渡を禁止するということの意味は、実質的には当事者の意思表示によってのみ譲渡できる、そういうことが定められているような電磁的船荷証券記録のことを指している、そういうふうに理解してよろしいかということについて、まずお伺いをしたいと思います。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。それでは、事務当局からお答えを御願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御質問いただきましてありがとうございます。今回、A案の①で書かせていただいたこの類型につきましては、基本的にはその他の記名証券ということで民法520条の19というものをそのまま引っ張ってくるために作った類型ということでございまして、考えていることといたしましては、紙の船荷証券の場合であっても、こういった規定にかかわらず証券の交付が必要だと解されているのであれば、そのような解釈というのは引き続き維持されるものとなるべきであろうという発想でございまして、何か紙の船荷証券と違った類型なり実質なりを作ろうということを意図したものではないということでございます。   ただ、電磁的船荷証券記録の場合における規律の具体的な表現ぶりを考えていろいろ書かせていただいたわけですけれども、その結果としてそう読めなくなってしまっている部分があるかもしれないというところにつきましては、我々の方もしっかりとチェックはしていかなければいけないところかとは思っておりますので、表現ぶりを変えた理由につきましては今、洲崎委員がおっしゃられたのが、理由としてはそのとおりというところでございますので、その結果として改めたこの表現ぶりというのがきちんと現在の紙の船荷証券の規律をしっかりと表現し切れているのか、実質を変えていることになっていないのかという点につきましては、しっかりとまた見直しをして、必要に応じて修正をしていきたいと思っているところでございます。 ○藤田部会長 洲崎委員、よろしいでしょうか。 ○洲崎委員 今、民法の規定のことを言われましたので、それに関連してコメントしたいと思います。第2の質問としてしようとしていたのはB案とC案に関することです。B案やC案における裏書禁止型の定義と、A案の裏書禁止型の定義である①とは定義が違っていて、B案やC案の裏書禁止型、具体的にはB案の③類型とかC案の②類型ですが、これはA案の①類型のような支配の移転による譲渡を禁止する定めがあるものというような定義にはなっていなくて、裏書禁止の定めがあるものという、より具体的な定義がされて、そういうタイプの電子船荷証券は指名債権譲渡の方式で譲渡できるというルールを定めるにとどまっています。ですから、B案やC案では裏書禁止型というか記名証券型では権利の譲渡のために支配の移転が必要かどうかという問題はブランクになっていて、正に解釈に委ねられていると読むことができます。民法520条の19の規定というのは正にそういう規定ぶりになっているのですね。この条文では、記名証券において譲渡のために証券の交付が必要かどうかということは明記されていない。その結果として、手形法11条2項に関する通説的理解のように、条文では明記されていないけれども証券の交付は必要ですよという解釈をすることも民法520条の19の文言からは可能になっていると。B案の③類型やC案の②類型は民法520条の19と似た規定ぶりになっていますので、記名証券型の電子船荷証券についても権利譲渡のためにはやはり支配の移転は必要であるという解釈も可能であるという規定ぶりになっているのだなと思いました。第2の質問としてそこを確認しようと思ったのですが、先ほどの渡辺さんのご説明で既にお答えは頂いたと思います。ですから、B案やC案における裏書禁止型の定義は、従来の手形法における通説ないし多数説の考え方に反するものではないということがいえるかと思います。   逆に言うと、A案の裏書禁止型の定義、A案の①類型のような定義は、手形法で従来考えられてきたところとは異なることを定めている、学説の中には、裏書禁止手形では証券の交付は必要ない、正に二重譲渡があったときには民法の指名債権譲渡の規定で処理すればいいのだと、そういう見解もあることはあるのですけれども、これは多分少数説で、だから、その少数説に依拠してA案を作る、というか、A案の現状というのは多分そういうことになってしまっているので、これはまずいかなと思ったということです。A案というのは結局のところ、指図式とか、裏書禁止とか、裏書とか、電子裏書とか、そういう概念を一切使うことなく、裏書禁止型だけを別類型としてくくり出す、これがA案なのですね。B案やC案は、指図とか、裏書禁止とか、無記名証券とか、そういう概念も使ってよろしいということで、だから作りやすいと思うのですけれども、A案の定義がこれほど難しいというか、事務当局もいろいろ試行錯誤して非常に苦労して作られたのだと思いますが、私が見たところ、やはりうまくいっていないのではないかと思いますし、A案における裏書禁止型の定義がうまくできないのだとすると、A案というのは選択肢としてはかなり苦しいことになるのかなという思いが現時点ではしています。元々はA案はシンプルで非常に面白い案だと思っていたのですが、現時点では、最初に池山委員がおっしゃったように、私もB案が一番リスクが少ないというか、既に民法でこういう類型があるわけで、それにのっかっていますので、確かに4類型もあって規定が複雑になって、何かおどろおどろしい感じはするのですけれども、しかし、争いというか議論は生じにくい選択肢なのかなと現時点では私は考えております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。どうやら、元々洲崎委員の懸念されたような意味でA案が書かれていたわけではなさそうなのですけれども、きっちり書けているかということと、そもそも裏書概念を使わずに裏書禁止手形を定義するのと同じようなかなり難しいことをしているところはありますので、A案には条文技術的な困難さがあるだろうという御指摘だと承りました。少なくともA案を残すにしても、書き方はもう少し工夫しなければいけないことだけは明らかになったかと思います。そのほかに御意見はございますでしょうか。 ○池山委員 池山でございます。今、洲崎委員が御説明された話の中で、譲渡禁止文言の付いた記名式船荷証券に相当する電子B/Lについて、民法の指名債権譲渡の方式による譲渡ができるのかどうかというのが実務家の問題意識としては先にあります。私はてっきり法務省の理解は、520条の19と同じ考え方による以上は、指名債権譲渡の方式による権利譲渡は当事者の合意によってできるのだと、だけれども、受戻証券性がある以上は、その方式で譲渡を受けたとしても事実上、権利行使がブロックされると、できない状態に陥ると、そういう整理かなと思っておりました。   そうしたところ、洲崎委員の御説明の中では、むしろ通説的な見解として、記名式であっても、やはり権利と証券が結合している以上はそもそも譲渡はできないという解釈もあるのだということをお聞きして、一方で我が意を得たりと思うと同時に、一方で私自身が検討が不十分な点も多々ありますので、もう少し洲崎委員の御指摘の趣旨は検討を私自身も、あるいは私の推薦母体の中でも、したいと思っております。これは感想です。   その上で、元々今まだ議論のテーマとなっているのはA、B、C案の選択ということがあります。最初に申し上げたような、そもそも類型化をしないという選択肢が仮に無理であるとして、選択をせざるを得ないとして、どうかというのがあります。そのときに、少し戻りますけれども、先ほど吉田委員のコメントの中でA’という御指摘があって、それを法律上明記するのであれば、それは実はBと同じであるというような御指摘が渡辺幹事からあったと思います。そこは私も賛成です。   その上で追加的に申し上げるとすると、もしもこの電子B/Lに関する規律を手形の電子化のように全く自己完結的に新たな制度として作るのであれば、実はA、B、Cどれもあり得るのだろうと思います。必ずしもAがおかしい、Cがおかしいというわけではない。ただ、問題はやはり紙の船荷証券に関する実務があり、それを規約でなぞろうとしている実務があり、かつ事柄の性質上、全員参加、全員の合意に基づいてもう絶対電子でしか動かないというふうに決めることはできないと、転換請求権を認めるかどうかという議論はありますけれども、仮にいずれであれ実際に転換されるという事例を想定せざるを得ないと、したがって紙のB/Lの世界と今回立法しようとする電子B/Lの世界が連続性を持って存在していると。その前提に立つと、やはり紙のB/Lの規律を引っ張ってきた形にする必要があって、その観点から、やはりA案とかC案とかいう斬新な規律は、理論的には非常にすっきりするし、非常に面白いのだけれども、実務的にやはり無理があるのかなと、その視点も結構重要であろうと思っております。   そうだとすると、積極的にA案を推す意見が今ここではないわけですけれども、他方でB案の問題点として、この補足説明で指摘されている部分をどう乗り越えるかという問題が残ります。4ページの真ん中ですね、B案のように指図証券型を規律する場合には、紙の証券であれば指図証券であると解される内容が、つまり指図式電子B/L的なものが出たときには、裏書をする必要があるため、でも、仮にシステムが電子裏書の要件を満たさないようなシステムであれば、事実上権利譲渡ができないと、そこの不都合というのをどう乗り越えるかという問題が実は残ってくるのだろうと思っています。   一つの回答は、こんなことは抽象的にはあり得るけれども実際は起きないと、つまり、電子B/Lを利用するときにはやはりシステムが前提になって、かつ規約が前提になるので、元々裏書の概念がないようなシステムを使うというのであれば、そこで指図式電子B/Lが出たということを仮定すること自体がおかしいと、そう考えてしまえば問題は解消するのだろうと。ただ、本当にそういうふうに言い切っていいのかと、意図せずして指図式船荷証券的なものが出てしまって、でもシステム上はできないとなると、おかしなことになるかもしれないという指摘もございました。ここを解釈論で乗り切れるかどうかというのが、A案に言ってみれば決別をして、B案的な発想で物事を考えていくに当たっては、大変大きな論点であろうと思っております。   ただの指摘だけですけれども、以上です。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。ただいまの御指摘について、事務当局からご返答はございますか。 ○渡辺幹事 御指摘ありがとうございました。少しだけ補足をさせていただきますと、B案を採った場合の懸念ということにつきましては、6ページのところにも少し書かせていただいておりまして、ちょうど真ん中やや下辺りでございます。これは、仮に指図型ということになって電子裏書が必要だということになっても、今回、手形法の規律などを全面的に検討させていただきまして、白地式電子裏書みたいな形のものも用意をするという方向で考えておりますので、そういった観点からも不都合性というものは減っていくのではないかとは思っているところでございます。   補足のみでございますが、以上でございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。裏書を緩やかにすれば、池山委員の指摘された懸念が緩やかになるということと、4ページには、権利は譲渡することができないと書かれていますが、規約の効力に基づく移転は可能なので、飽くまでこの新しい法律に基づく移転の効果が認められないというのにとどまるということですね。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。おっしゃるとおりで、先ほどの規約の話とかぶるわけでございますが、いずれにしても規約でそういう定めがあれば、規約に従って、少なくとも規約の当事者間においては規約上のルールで物事が進んでいくという理解は可能なのだろうとは思っております。 ○雨宮委員 雨宮です。今まで議論を拝聴させていただきました。既に皆さまの御指摘のとおり、当初から、私はA案は、より多くのシステムを許容するという点で非常に魅力的だと実は考えていたのですけれども、個人的にですが、現状ではB案の方に賛成したいと思っています。   それは今、各委員が御説明された理由に基づくのですが、一つは電子裏書について、A案を採った場合には法律上に規定されなくなってしまう点です。MLETRでも電子裏書の規定がされていることの整合性の点についての問題があり得るということと、現行の規約においても電子裏書が使われていることが一般的であろうと考えると、電子裏書の規定を法律に定めた方がいいのではないか、その点からB案の方がいいのではないかとは考えておりました。さらに、紙のB/Lとの整合性という意味では、解釈上とはいえ民法では4類型があると考えられているわけですから、それとの整合性ということもあります。   その上で、B案の問題点を考えていましたが、そもそもA案的な規約システムということであれば、電子B/Lは支配の移転のみで移転していくことになると思いますが、ただ、例えばトゥオーダーとか、指図式のような外観の電子B/Lだとしても、そのシステムの規約上は支配の移転のみで移転していくとなると、規約に加入している当事者はそれに従うのでしょうが、日本法が適用され、例えば第三者の物権的効力の問題になったときに、日本法上の電子B/Lなのか、それとも違うのかというようなことが問題となり、これがA案であれば認められるのかもしれませんが、B案のいずれの類型にも属さないということになると、日本法上の電子B/Lに当たらないのではないかということは懸念されるのだろうと思っています。   ただ、B案の場合には4類型といっても、移転の方法は三つで、電子裏書によるものと、交付によるものと、それから、裏書禁止になっているので指名債権譲渡の方式プラス交付だと考えております。三つの移転の方法の中で、交付によるのが記名式所持人払型と無記名型が一体となってその他ということで、移転の方法からすると三つに分類されると理解をしています。その中のどれかに当てはまるように解釈では補えるのかなとは思っています。例えばトゥーオーダーになっていても、解釈上、無記名だと解釈して、移転の方法は交付で足りるとか、電子裏書の方法として白地式が認められるので、交付のみで移転しても、いわゆる白地式裏書による移転であるとか、立法の段階で解釈を考える話のではないかもしれませんが、B案を採ったとしても不都合性はある程度解釈で補えるのではないかとは考えてはいるところです。最後は個人的な感想です。 ○藤田部会長 ありがとうございました。システムの柔軟な解釈で、どの類型かにうまく当てはめることは大体可能だろうという御感触だということですね。 ○雨宮委員 雨宮です。御理解のとおりです。ただ、どうしても解釈では補えずに、B案を採った場合には、その3類型なのか4類型なのかに当てはまらないものが規約上あった場合には、日本法が適用される場合、それは日本法上の電子B/Lとは認められないということはあり得るのだろうと思います。A案のように広くシステムを認めるというものを採らない以上は、そのようなことはあり得るのだろうと考えています。 ○藤田部会長 事務当局としてはいかがでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございます。B案を採った場合の不都合性の解消としては、恐らく二つのアプローチがあるかなと思っておりまして、一つ目は今、雨宮委員から御指摘いただきました、類型の性質決定において柔軟に解釈をするということで不都合性を回避するというアプローチ、もう一つのアプローチといたしましては、裏書の方式緩和ということで白地式電子裏書を認めるとかそういったやり方、そちらの方はある程度、法で手当てはできると。前者のアプローチについては、もうこれはどこまで行っても解釈の問題にはなるのですが、若干懸念しているのは、やはり各類型の定義の中で、これこれこういう記載のあるものはこうだという形になっているわけでございまして、飽くまでも電磁的記録上の記録、これをベースに解釈するというような規定ぶりに、これはならざるを得ないだろうと思われますが、そういう規定ぶりになったときであっても、こういうシステムだからということ、あるいは、記録とはまた別の規約においてこういう書き方がされているからというような事情を類型の性質決定論において考慮できるかどうかというところについては、なかなか我々としては自信がないというか、そうではないという考え方も場合によってはあり得るかとは思っているところで、そこの点が少し不安材料かなと思って拝聴していたところでございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。これは難しいですね。有価証券は紙の上の記載だけで解釈しなければいけないということが強く言われるのですけれども、電磁的な場合にそれがいかなることを意味しているかというのがなかなか難しいのかもしれません。いろいろ議論いただきましたが、更に何かご意見はございますか。 ○笹岡幹事 ありがとうございます。まず、少しまた整理させていただきたいのですけれども、先ほど雨宮委員が、日本法の4類型に当てはまらないと電磁的船荷証券記録ではないと性質決定されるとおっしゃっていたのですけれども、そういう思考のプロセスではないと私は理解しています。今は、元々技術的要件と必要的記録事項とによって電磁的船荷証券記録であると性質決定されたものを、次はどうやって移転していくかというフェーズの話になっており、その上で、移転の方法として、4類型以外の移転方法が採られた場合に、その移転が有効か否かという話になってくるという理解でよろしいですね。   次の質問です。先ほど来、裏書禁止としたときに記名債権譲渡の方式で移転できるかどうかという議論がありました。この点について実務の先生方にお伺いしたいのですけれども、記名式船荷証券や裏書禁止の船荷証券を発行するときは、私の理解では、買主側が運送品を処分しないようにするために、いわゆる買主側の処分を排除する排除効があるとよく説明されると思うのです。つまり、売主が証券をホールドしておくことによって、売主以外の人は運送品を処分することができなくなるので、それで買主の処分を制限することができるという機能があります。ですので、船荷証券上の権利が、船荷証券によらずに買主側に移転してしまうということは、基本的には考えられないのではないかと思います。もちろん、当事者の合意によって指名債権譲渡の方式によって移転することは、可能性としてはあり得ると思いますが、そもそもなぜ記名式船荷証券や裏書禁止で発行するのかというと、買主側に証券を渡さないということによって権利を維持しておく効果があるのだと考えていたので、合理的な当事者は証券外で権利譲渡などしないと思うのです。この理解が誤っている可能性もありますので、実務の先生方に、なぜ記名式や裏書禁止船荷証券を発行するのかという実態を少し教えていただければと思います。よろしくお願いします。 ○藤田部会長 これは事務当局と実務の方へなのでしょうね。前半が事務当局なのでしょうが、まず、お願いいたします。 ○渡辺幹事 前半の整理は今、笹岡幹事の言われたとおり、まずもってこの電磁的記録というものが電磁的船荷証券記録に当たるかどうかという判断をした上で、結局譲渡をどのようにするかという段に当たっては、どのような類型に当たるのかというものを考えると、こういう整理でいいのかなと思ってございます。 ○藤田部会長 二番目の質問については、実務の先生方という漠然とした名宛て人の問題提起ですが、どなたかお答えいただけないでしょうか。 ○山口委員 山口でございます。記名式有価証券の場合に、果たして債権譲渡による権利移転というのが、講学上は存在するのかもしれないのですが、実際上は笹岡幹事がおっしゃるように、そんな面倒くさいことをする人はいないものですから、事実上は存在していないだろうと思っております。これはまた池山委員と違う考えをお持ちなのかもしれませんけれども、正に指定効があって、その人に渡すということが前提になっておりますので、それを難しくしているということですから、わざわざ難しい指名債権譲渡を起こして、なおかつ受戻証券性がある証券を移転して、権利を移転するということが行われていることはほとんどないと思っております。   ですから、そのような議論は余り必要がないのではないかというのが思いではあるのですけれども、ですから、極めて例外的な場合を大きく議論する必要は実は余りないのかなと。なおかつ、電子的船荷証券になると、電子的なプラットフォームとの兼ね合いにおいても、移転が最終的に問題になる以上は、記名式で出ていれば、その最後の移転が難しいのではないかと思うわけで、そうなってくると指名債権譲渡のことは余り考えなくてもよろしいのかなとは思いますが、ただ、講学上の議論としては存在するだろうと思います。 ○藤田部会長 実務の方、ほかに御感触がございますでしょうか。 ○雨宮委員 山口先生の御指摘と同じような発想ですが、記名式の船荷証券で裏書禁止のものが発行されている場合に、その記名されている荷受人の先に譲渡されることは発行当初は想定されていないと思われますが、仮にそういう事情があるときには、今、山口先生が言われたように、指名債権譲渡の方式を採るというよりは、船荷証券の所持者が船荷証券を運送人に呈示して、処分権を使って、本来の受取人、例えばエンドユーザーに渡してくださいというようなことで対応していると思います。それから、もし発行当初から想定されるなら、ウエイビルを発行して、受戻証券性のあるB/Lを発行しない場合の方が多いのではないかと思います。ただ、担保に取るということになれば、きちんと取らないといけないので、指名債権譲渡による場合もあり得るかもしれません。   実務的な観点からは以上です。 ○藤田部会長 了解いたしました。 ○池山委員 池山でございます。山口委員と雨宮委員がおっしゃったことそれ自体には特段付け加えることはありません。私がむしろ少し気になったのは、笹岡幹事が想定されている事態の方が少し違和感を持って聞いておりました。私が聞き間違えていなければ、笹岡幹事がおっしゃったのは、譲渡禁止の記名式船荷証券が使われる例というのは、売主に権利を留保するためにそれを出すのだという話でしたけれども、今回の立法に当たって次第に暗黙の前提になっているかもしれないと思うのは、今のような譲渡禁止の記名式船荷証券の場合も、荷受人が買主として書いてあるわけですから、権利者は実は最初から買主なのだと、売主は運送契約の当事者ではあるけれども、運送契約上の権利者ではないと、少なくとも引渡請求権者ではないと。ただ、その船荷証券を売主から買主に渡さない限りにおいては、受戻証券性があることによって事実上、買主が引渡しを受けるのをブロックすることはできると、渡すことによって引渡し請求が買主はできるようになると、そこには支配の移転はあると、だけれども、実は船荷証券上の権利移転はないのだと、なぜなら権利は最初から買主、荷受人側にあるからだと整理されているのではないかと、それは下級審判例の考え方ではありますけれども。   ここでの問題は、その買主がむしろ、売主から買主ではなくて、買主が変更されるという事態があったときに、それが船荷証券の譲渡という形でできるか。すみません、少し訂正します。買主が変更される、若しくは買主が更に転売をするという事態があったときに、譲渡禁止の記名式船荷証券だと、実はそのままではできない、指図式だと更に裏書をすればいいと、そういう差異があると、それだけの問題であって、そういう事態というのは、譲渡禁止の記名式船荷証券が出ている場合は、そういう買主の変更若しくは転売を想定しないので、ぱっとできないようになっていると、指図式であれば、実は証券上、想定されていればできると、そういう差があるにすぎないと、そういう認識でいました。少し本題からずれるかもしれませんけれども、この議論をする前提として、使われる状況の認識というのが少し笹岡幹事がおっしゃったのは違うのかなと感じています。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。事務当局からの最初の点についての御返答、第2点についての3人の委員からの御返答がありましたが、笹岡幹事、何かさらに追加でございますでしょうか。 ○笹岡幹事 ありがとうございます。恐らく記名式船荷証券が使われる場面には二つのケースがあって、一つ目は、例えばFOB売買などにおいて、シッパーとなる人がいわゆるドキュメンタリーシッパーにすぎず、実質的には買主が荷送人になるようなケースです。もう一つは、船積みによっては目的物の所有権が移転しないような貿易条件などにおいて、買主が任意に運送品を処分しないように、売主が船荷証券を渡さないということがあるのではないかということです。この効果は、講学上は排除効と呼ばれています。例えば、買主側に所有権は移転していたとしても、船荷証券を所持しない限り運送品の処分や債権的な処分をさせないような効果が船荷証券にあるのではないかと考えています。例えば、航空運送状はnegotiableな証券ではないですが、証券を所持せずに貨物の処分はできないという排除効があるとされています。要するに、航空運送状を持っていないと処分ができないので、運送品に担保権設定するとか、これを誰かに売買することが運送中の運送品についてはできなくなり、売主が処分のタイミングをコントロールすることができます。そういう用途のために、記名式船荷証券が使われているのかお伺いしたかったところでした。池山先生がおっしゃっているケースがそうだということはもちろん分かっております。となると、記名式船荷証券というのは、FOB売買のような場合の権利者が変わらないような場面に想定されているツールという理解でよろしいですかね。 ○藤田部会長 3名の方、今の御質問についてはどうお考えでしょうか。 ○池山委員 私はそれに対する答えを持ち合わせていません。と申しますのは、運送人側からすると、指図式船荷証券の発行を求められるか、譲渡禁止の記名式船荷証券の発行を求められるかというのは、荷送人の要望によるというだけの話であって、その背景に売買契約上の考慮がどのように働くかというのは必ずしも判然としないからです。分かりませんというのが答えの一つです。その上で、笹岡幹事の強調される排除効という言い方は、別にこれは記名式船荷証券に限る話ではなくて、どういうタイプの船荷証券であれ、売主にすれば、自分の手元に船荷証券を持っていれば、受戻証券性がある限りはブロックすることができるということであって、証券の譲渡方式のタイプを荷主がどう選んでいるかということとは関係がないような気がします。   それから、これは直接の答えになっていないですけれども、むしろコメントとして3点目を申し上げますと、先ほど記名式船荷証券、譲渡禁止の場合は最初から荷受人が権利者であって権利移転はないと、そういう考えで作られているのではないかと申しました。実際、この立法は、紙のB/Lを電子化するに当たってそういう考え方を前提に作られていると私は理解しているのです。ですが、確かにそれは唯一無二の考え、確立した考えではないと。笹岡先生の頭の中には、俗にドキュメンタリーシッパーといわれる人の場合とそうでない場合を区別されていて、単純な、例えばCIF売買で、でも、買主の更なる変更を想定しないから譲渡禁止の記名式船荷証券が出ているという場合は、実は最初の権利者は荷送人と評価すべきではないかと、最初から荷受人に権利があるけれどもB/Lがないから行使できないだけだとの説明は技巧的すぎておかしいのではないかという考えが暗黙の前提になっていると思います。   そうすると、だんだん議論していくと、別に、本来、譲渡禁止の記名式船荷証券における権利移転をどう評価するかという問題は、本来この立法の目的のためには、はっきりさせる必要はないはずでして、ただ、実際に規定を作ってみると、実は支配の移転があるかないかという評価を通じて一つの考え方が暗黙裏に前提になってしまうと。そこはやむを得ないことなのかもしれないし、そこを避ける立法が何とかできないかということをなお模索する余地はないのかという議論にもつながってくるのかなと思っております。   一義的な答えは1点目の分かりませんということで終わりますけれども、以上でございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。ほかの方はよろしいですか。笹岡幹事への答えは以上で、後者の論点についてははっきりしないところが残るということですけれども。 ○笹岡幹事 それは紙の場合も分からないというのが答えになりそうです。この点は、おそらく国によっても考え方が違います。船荷証券関係を三者間で捉える国と二者間で捉える国があり、今回この問題にまで踏み込むのかというところですね。池山先生、ありがとうございました。 ○藤田部会長 池山委員の言われたように、紙の場合に解釈に委ねているところは電子になっても解釈に委ねるようにするという方向性に、どこまでこだわるかということは、最後の意思決定として我々が考えなければいけない論点だということですね。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。今、池山委員の方が最後の方で言われた問題につきましては、これは我々の方としても、電磁的な船荷証券記録のこの規律を作ることによって何か一定の方向性を出そうというつもりはなくて、そこの解釈については同じように引き継がれるということを想定してやっているつもりでございます。ただ、それがうまくいっていないと、こういう書きぶりをするとそうとは読めないのだというような御指摘ですね、先ほど洲崎委員からも御指摘いただいたような観点から、我々の思わくがうまく書き切れていないのではないかというような御指摘がありましたら、本日の部会でももちろんお願いできればと思いますし、改めて後日、気が付いたところがあれば、適宜の方法でお知らせいただけますと大変有り難いと思っているところでございます。 ○山口委員 山口でございます。また元に戻りまして、A案、B案、C案の話に戻りたいと思うのですが、私も、今議論に上っていますように、電子的船荷証券を船荷証券の延長線上と捉える以上は、現法制に基づいた4類型を基にするのがよさそうだと思っております。私が当初考えたところですけれども、船荷証券には実務上よく使われるのは指図式と裏書禁止型というのが現在存在しているもので、ほぼその二つで世の中が回っているだろうと思われます。ただ、イギリス法上、bearer B/Lという無記名証券が存在するので、これまた電子的船荷証券になると出てくる可能性が非常に高いだろうと思っていましたので、少なくともこの3類型は必要だろうと当初から考えていたわけです。その中で、指図式で、なおかつ持参人払証券、これは船荷証券でも今までも議論はされていませんし、これからも出てこないのではないかと思っておったのですが、今、池山委員がおっしゃったように、実際上それらしきものがあるというならば、積極的に排除することはないだろうと思っています。   私が当初思っていたのは、当初の3類型ですね、指図式と裏書禁止と無記名証券にしますと、実は無記名証券というのは条文自体が全く実体として存在しない、すなわち指図式持参人払証券の条文をそのまま準用しておりますので、実をいうともう3類型に集約されるということですので、この民法の規定方式からすると、指図式持参人払証券を外して無記名証券だけを残すということが非常に技術的には難しいということもあって、4類型でいいのではないかと思っていた、すなわち消極的な4類型だったのですが、先ほど池山先生がおっしゃったように、実際上存在するかもしれない、そして出てくるのではないかということであれば、むしろ積極的に残すべきだろうと考えております。   次に、規定ぶりの仕方からしますと、笹岡幹事が御指摘になったように、何をもってデフォルトルールとするかということはこの規定の順序に結構影響しているのではないかと思っていて、B案でまとめていただいたのが、一番最初に裏書禁止が来て、次に指図式が来ておるのですけれども、感覚的にはやはり指図式が上で裏書禁止が後ではないかと思っていまして、ただ、民法の順序はこれまた違っていまして、指図式が来て、指図式持参人払が来て、そしてその他の有価証券で、最後に無記名証券と来ていますので、なかなかこの順序は難しいなとは思うのですが、ただ、考えるに指図式は一番最初に持って行くべきであろうと、この順序は余り変えずに、民法と整合する順序でやる方が分かりやすいだろうと、これは書き方だけの問題かもしれませんのですが、というのがB案を見た印象でございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。事務当局からお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございました。我々も今、山口委員と同じことを実は考えておりまして、実際、今回の部会資料の1ページにある第1のところは、類型の考え方について、これは本当に頭の体操として書かせていただいているだけで、実際にこれが規律化されるということは考えておりません。実際の規律としては、次の第1の2のところでございまして、10ページ以降になります。10ページの下の方から御覧いただきまして、B案の規律ぶりとしては、まず指図式の譲渡の方式を書いて、その後、持参人払式といいましょうか、支配の移転のみで行けるバージョン、それから三つ目として裏書禁止型という形で書いております。実際の規律として残るのはここの部分ということでございますので、考えていることは同じかなと思った次第でございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。 ○小出幹事 ありがとうございます。既に大体、B案という御意見が多いかと思います。私もそれに基本的に同意いたしますので、そこについては省略いたしますけれども、今御指摘のあった10ページ以下の譲渡等の方式についての具体的な条文のところです。これもB案を前提としてお話をいたしますと、今の条文そのものは私も基本的にはこの方向性でよいかと思うのですけれども、1点お伺いしたいのは、紙の世界での交付あるいは裏書というもののいわゆる機能的同等性の条文というのは置かないのかということです。つまり、今ですと電子裏書という新しいタイプの譲渡の方式というものが規定されることになって、それは、この条文を読むと、確かに譲渡の場面では裏書と同じような効果を持つように書かれてはいるわけなのですけれども、しかし、裏書の機能的同等であるということまでは明示されていないように思います。それから、交付に関しても、支配の移転というものが多分、それと機能的に同等なのだと思いますが、例えば、先ほどの記名式の話のように、証券であればその交付が必要であろうというようなことが電子の世界でも解釈によって生じるのだとすると、交付というものの機能的同等をきちんと定める規定がないと、それが実現できなくなるような感じもいたします。   元々MLETRは、有価証券の類型ということは余り考えていなくて、というより特定の有価証券法理を前提としていないために、類型は元々考えようがないというのもあったのでしょうけれども、占有の移転と、それから裏書の機能的同等の条文だけを置くことによって、有価証券の類型ごとの実体法上の権利移転の要件などは国ごとで違うから任せると、そういうような形になっているのだと思います。もちろん我が国の法律を作る上では、類型化することは、整理としては、あるいは考え方の前提としては大事だと思うのですけれども、MLETRのように支配の機能的同等、それから裏書の機能的同等という一般的な条文を何かの形で置く必要があるようにも思いました。他方で、それを置くと、今度は10ページ以下のようにくどくどと全て書き下すことが必要なのかどうかということもつながってくるような気がいたします。これは後の方に出てくる、次の論点でしょうか、条文の作り方のところとも関わってくるかと思うのですけれども、その点について、まず問題提起をさせていただければと思います。 ○藤田部会長 事務当局からお答えをお願いします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございました。今の御指摘といたしましては、支配の移転が交付と同じだと、電子裏書は裏書と同じだということを端的に書いた方が、MLETRでいうところの機能的同等性を端的に表せるのではないかという御指摘かと思います。   我々としても、そういうような形で立法することができれば、それはそれである意味、楽なところがあって、いいかなとは思う反面、ただ、ここでいう電子裏書とは何だ、支配の移転とは何だ、どういう場合なのかというのをやはり書いていかないと、非常に難しい部分があるかなと。結局のところ、いろいろこうやって書いていくということになりましたら、いろいろな規定を書き下すという形になっていきますと、そうすると、それに加えてこの電子裏書が裏書と同じだということを書く意味がなくなってしまうものですから、あえて書かなくてもいいのかなと。そこの部分は、こういう裏書に関する規定と全く同じようなものを電子裏書と書き換えて置いているわけですから、そこが機能的同等だということは条文を見ていただければ明らかだろうという考え方でやっているところでありますが、ただ、実際の書きぶりについては、その後の効力のところでもありますけれども、同一みたいな形で書いて、それで終わりにするというやり方も一方ではあり得るところかと思いますし、これこれはこれこれとみなす、みたいな形でやっていくという方法もあり得るかと思いますので、そういったやり方の当否も含めて、また考えていければと思っております。 ○小出幹事 ありがとうございます。裏書に関してはかなり書き尽くされているかなという感じがいたしますが、交付の方はどうかというと、交付は事実的な状態を表している概念だと思いますので、先ほどの御意見にもあったように、解釈で証券の交付が必要であるといわれている場面などについては、何をもって証券の交付と同じことが行われたといえるのかというようなことは問題になり得る余地もあるような感じもしています。ただ、確かに条文で書くとすると難しいというのも分からなくはないのですけれども。 ○藤田部会長 そのほか、どなたでも御意見がおありの方はお願いいたします。 ○池山委員 議論の対象が第1の1から第1の2に移ってきたと理解をしております。その前提で、まず小出幹事がおっしゃった中で、裏書相当行為という、私の独自の言葉で言いますけれども、電子におけるそれは紙の裏書と同じだということを抽象的に書くのは難しいかもしれないと、やはり電子裏書の定義をせざるを得ないだろうというのは、そこはそうなのだろうと思うのですけれども、最後に少しおっしゃった交付についてはどうなのだという点は、実は第2の論点と加わってきていて、第2の考え方1の中でみなし規定を置いた方がいいのではないかと、置く余地はやはりあるのではないかと、同一効力規定に比べて、という指摘があって、実はそこで議論をすればいい話なのかなと思っております。   その上で、本来の第2の1に関してですけれども、出発点として、まず議論というか指摘をする必要があるかなと思っているのは、この部会の前提となる研究会報告書における第6の①案、②案というのがございました。そこだと、そもそも譲渡等の対象が電磁的船荷証券に関する権利なのか運送品の引渡しに係る債権なのかと、そこの二分法があって、ところが今回は、もう運送品の引渡しに係る債権の譲渡等として規律をするというやり方がおよそなくなっていて、電磁的船荷証券記録に関する権利の譲渡の方式の問題であると整理をされています。ここは実は研究会報告書の段階から比べると、明記されない形で、明記はされていますね、報告書にも書いてあります、失礼しました、選択をされたと思っておりまして、結論から言うと賛成です。   ただ、なお気になっているのは、電磁的船荷証券記録「に関する」権利という表現にこだわられていて、通常、紙のB/Lについて言われる船荷証券「上の」権利という言葉との使い分けを非常に意識されておられるというのを感じております。それがどこまで必要なのだろうかという点です。これは理論的な面と、単に実際的な感覚の面とありまして、理論的にもしも、紙の場合は有価証券で権利と紙が結合しているから、証券上のなどと言えるけれども、今回は電子の場合はそうではないのだというのを強調するというのであれば、それは一つの説明だろうと思うのですけれども、実はここの補足説明でも、電子の場合も権利と電子記録が結合するという表現を少しされていて、そうであれば同じ表現でもいいのではないかと。プラス、実務的な話で、やはり記録に関する権利というのは、これは文理解釈の問題かもしれませんが、非常に違和感があって、やはりそこに、すみません、結合と書いていらっしゃらなかったですね、表章と書いてあるんですね、やはり表章されている権利を行使する以上は、それに基づく、若しくはそれ上の権利という、同じ表現でもいいのかなと。基づくというと、事前に議論したときには、設権証券性の問題が出てくるからよろしくないのではないかという指摘もあって、私としては、今は、「関する」権利というよりは単純に、「上の」権利という表現でもいいのかなと思っております。それが一つです。   それから、2についての二つ目は、これはA案、B案、C案の選択にやはり関わってきますけれども、A案だと支配の移転のみで権利が移転すると、それが、今度は第2の論点にも関わってきますけれども、善意取得の更に前提となる権利推定の要件にもなると、その権利推定を前提に善意取得が構成されていると、これはやはりA案を採用しにくくなる理由の一つなのであろうと思います。規約によって別段の定めをすることを許容すると、A案であっても裏書を必須とするシステムを別に作っていれば、それはそれでいいのだというのですが、それは所持人の運送人に対する権利行使の要件、あるいは運送人側の免責の要件としてはいいかもしれませんが、やはり善意取得の要件や、もっと一番大事なのは物権的効力との関係ですね、それらの関係は重大な影響があるわけなので、やはりA案のように権利推定を常にもう支配だけという形にするとなかなか厳しいのかなと。もちろん、そこでも解釈上、A案を採っても、裏書を必須とするシステムであれば、裏書の連続がないと権利推定は生じないし、善意取得もそれを要件とするので、そこの解釈論を持ち込めばA案でも対処できるのかもしれませんけれども、それをするのだったらB案なのかなと、B案の方がストレートで、迂遠でなくなるかなと思っております。   長くなりますが、あと細かな点を二つ申し上げますと、実際に裏書関連の規律については書き下さざるを得ないということで、B案でいろいろ書き下しをされていて、そこで手形法の規定が元々船荷証券に準用されているということを前提に、民法を通じて船荷証券についても適用されるということを前提に書いておられます。大きな意味では異論はないのですけれども、例えば、二つあるのですけれども、持参人払式の裏書相当行為なるものを規律されていたりするのと、あとは裏書禁止裏書は逆に担保的効力は無関係なので、そこは準用しないというのは、解釈としては恐らくそうなのだろうと思うのですけれども、ここは紙の船荷証券だと実際どこまでできるかというのは明文化されていないので、やはり、これは抽象的な危惧かもしれませんけれども、電子B/Lの中で準用の範囲等についてきちんと明確化をして書くということが少し行きすぎなのではないかなという危惧はあります。それは多分ここの問題というよりは、第2でずっと議論されている論点全般に関わることでして、それぞれ一つずつ見たらごもっとものような気はするのだけれども、本当にそういうふうに立法で規律されていいのかという危惧がある箇所が何か所かございます。   最後に1点、これは単なる留保だけですけれども、裏書の要件として電子署名を条件とされていて、その電子書面の定義があります。ここの論点については、前回議論があったところで、本当にこれで実務に対して不意打ち的な規制を与えることにならないのか、実務は実はこういう電子署名をしていないのではないか、本当に大丈夫なのかという点の確認、あるいはその確認を踏まえた議論というのは、なお必要なのだろうと思っております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。1点目、特に事務当局から返答をお願いします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。幾つか御指摘を頂きましたので、可能な限り順番でお答えしたいと思っておりますが、まず1点目につきましては、少し第2の議論に関わってくるかと思いますけれども、効力に関する規律ですね。従前、といっても第1回の部会のときに配らせていただいた研究会報告書におきましては、大きく分けて二つの考え方ということで、運送品引渡請求権の譲渡のような構成というものも考え方の一つとして②案という形で指摘はさせていただいておりましたけれども、今回はそういったような形ではなくて、むしろ立法の在り方という形で大きく分けて三つの考え方を提示させていただいております。   従前の研究会報告書の場合ですと、結局のところ余り大きな差がないというところもあったかなと思いまして、それよりもむしろ今問題になっているのは、この効力に関する規律をどういうスタンスで定めていくかというところに問題がシフトしてきているのだろうと思いましたので、今までのような議論の仕方ですとそこにスポットライトが当たらないだろうと思いましたので、それは今回の部会資料の18ページでいいますところの③の中に含まれるというような形だろうと思っておりますので、それとはまた別の観点から、同一の効力を有すると、こういう規定を基軸に、余りぐちゃぐちゃと書かないというようなやり方の①案と、それから、包括的な準用規定を置くという②の考え方、それから、いろいろと書き下していくという③の考え方、こういった形で御議論いただくというのが今の段階ではふさわしいのではないかという観点で、こういった書き方をさせていただいたところでございます。   1点目は以上でございまして、2点目は、A案を採った場合に、いろいろ権利推定の規定であるとか物権的効力との関係で、なかなか要件が、支配を持っているというだけだとすると、少し実質が変わってきて、採りにくいのではないかというところ、ここはおっしゃるとおりで、正にA案の弱点というところなのかもしれません。ただ、ここはシステム上、裏書を要求するような形になっているからといって、第三者との絡みでも裏書が必要で、それがないと権利推定がないとかというような解釈はなかなか難しいかなという感じは個人的にはしているところでありますので、規約の当事者間の中だけだったらいいのかもしれませんけれども、第三者が絡んできた瞬間、なかなかそういったことは難しいような気はしておりますので、そういったところも考慮に入れながら、A、B、Cどれがいいのかというところを考えていく必要があるのかなと思っております。   あと、すみません、1点目について少し補足をし忘れましたが、書きぶりとして「電磁的船荷証券に関する権利」という表現に我々がこだわっていて、「上の権利」でもいいのではないかというような御指摘を頂いたところもあったかと思いますが、そこのところは用例としてどちらでも使えるということであれば、特に我々としては「何々上の権利」というのをそれほど忌避しているわけではございませんので、それはそれであり得るかと思います。ただ、難しいのが、電磁的船荷証券記録の譲渡みたいな形になると、記録自体は何かこれといった物でもないし財産でもないということですので、それを譲渡するというのは難しいかなと思っておりますので、表章されている権利というのを何らかの形で表現して、それの譲渡という形で書いていくということは、それはそれで可能かなと思っております。   少し長くなりましたので、取りあえず。 ○池山委員 ありがとうございます。1点目なのですけれども、私が理解をすると、次に議論する第2の1の規定の仕方として、①、②、③のどういう方向性を採るかということと、譲渡の対象をどう規律するか、どう表すかというのは、元々論理的に別の問題で、譲渡の対象としては、あえて裸の債権、元々の債権である運送品の引渡しに係る債権などといわず、「電磁的船荷証券に関する」、あるいは「上の債権」、それはそれで一本でいいはずだと、問題は飽くまで第2の1の話だと、そういうふうな整理をされたと私は読み取ったのですけれども、そういう理解でよろしいですか。 ○渡辺幹事 基本的にそれでいいと思っております。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。表現方法として、「記録上の」と書けるかどうかは、またほかの立法も併せて検討していただければと思います。「関する」は何か広すぎるイメージがあるというのは、直感的に分かることは分かるのですけれども、ほかの立法での用語法との整合性もあります。ちなみに電子記録債権法は、「電子記録に係る電子記録債権」という表現を使っておりまして、この方が池山委員の感触に近いのかもしれないですけれども、いずれにしてもこれは用語法の問題ですので、中身としては今お答えになったような理解でいいかと思います。   どこで議論を切っていいか分からない状態のまま、ずるずると長時間議論してしまって申し訳ありません。ここで一旦休憩したいと思います。16時15分に再開したいと思いますので、10分と少し休憩を取りたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。           (休     憩) ○藤田部会長 そろそろ時間ですので、再開したいと思います。   部会資料4のどこまで進んでいるかというのはあるんですが、第1について相当議論が進んでおりますが、もし第1について更に御意見があれば、この際、頂ければと思います。   よろしいでしょうか、随分時間掛けましたので。もうよろしいでしょうか。 ○吉田委員 一つ確認したいことがありまして、譲渡の方式について、A案、B案いずれにも裏書禁止の場合の譲渡又は質権の場合には指名債権譲渡によるとのことで、講学上はあり得るけれども、実務では想定されないので、この指名債権譲渡の方式を採った場合の対抗要件の話は、法文上、あるいは議論に特に乗せる必要はないという、そういう整理でしょうか。 ○藤田部会長 事務当局からお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。そちらの方は、もう基本的に指名債権の譲渡ということであれば、それを前提に考えるということになろうと思っておりまして、実際の法文上も、民法の520条の19というところをそのまま持ってくれば、基本的には規律としては足りるだろうということでございますので、規定としてはそこまでと。あとの部分につきましては、例えば、こういう規律が適用される場合であっても、証券の交付が要るんだというのが通説的な理解だというようなお話ありましたけれども、そういった部分であるとか、もろもろの部分についてはもう解釈に委ねられる。法文として必要なのはここまでということで、よろしいかと思っております。 ○吉田委員 分かりました。 ○藤田部会長 民法の規定ほぼそのままの条文を置くことによって、従来解釈に委ねられている点は全部そのまま引き継ぐという趣旨のもので、例えば、交付を要件とするか、対抗要件なのか、効力要件とするか否かということについても、今回の提案は中立的だという御説明だと思いますが、よろしいでしょうか。 ○吉田委員 そうですね。ちょっと気になったのが、紙の場合ですと、確定日付という話がどうしても出てきて、そうすると、電子に確定日付を打てないので、そうするとどうなるのでしょうか。仮にそういうシチュエーションが起こったら、どういうふうになるんでしょうか。 ○藤田部会長 事務当局からお願いします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。紙の船荷証券において、その他の記名証券に当たるもので指名債権の方法で譲渡をするときに、確定日付ある通知なり承諾なり必要だというふうに考えた場合には、それはもちろんそれが必要になるということですし、これが電子版であっても同じということに、恐らくなるんだろうというふうに思いますが、ただ、それらにつきましては、基本的には紙の船荷証券と同じ法律関係になるだろうということを想定して、それと同じ土俵になるような規律を作るというところまでが、今回我々に課せられた役目であって、それ以上のことについては、逆にいろいろなことを定めるということの方が難しいんだろうというふうに思いますので、まずここでやりたいこととしては、紙と同じになると、その限度でどういう書きぶりが必要なのかと、こういう検討をしているというところでございます。 ○藤田部会長 今御質問にあった確定日付を打てなくなるというのは、どういう趣旨でしょうか。電磁的船荷証券記録にかかる運送品引渡請求権について指名債権譲渡するということだと思うのですけれども、どうしてできないのでしょうか。 ○吉田委員 確定日付の方法は、公正証書や公証人役場でのスタンプなど、民法施行法に方法が五つぐらいあります。そういう場合どうなるのでしょうか。 ○藤田部会長 運送品引渡請求権に関する債権譲渡の通知を民法施行法に定められた方法でするのではないでしょうか。 ○吉田委員 スタンプを押すような対象があるのでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。恐らく御質問の御趣旨としては、確定日付のある通知承諾を要求してしまうと、電子で完結できなくなってしまうんでないかと、恐らくそういうことだと思うんですけれども。 ○吉田委員 それは、民法施行法に手を加えるということではないですよね。 ○渡辺幹事 もちろんそういうことは考えておりませんで、確定日付ある通知承諾が必要だということになったら、それはそれで必要だということで、電子で完結できない部分が出てきてしまうということであれば、それはそれでやむなしと。ただ、いずれにしても、ここは紙だろうが電子だろうか、実質は変えないというところに主眼があるんだろうというふうに思っていますので、それ以上のところは踏み込まないで、このような規律ぶりでいいのではないかという御提案ということでございます。 ○吉田委員 分かりました、ありがとうございます。 ○池山委員 今の点に関連してですけれども、今の事例の場合も債権譲渡通知を指名債権譲渡の方式でやるという以上は、その通知自体は想定されるのはむしろ書面だということなのではないですか。だから、確定日付はマスト。だから、ある意味、かなりリアリティーがない状態を想定していて、電磁的船荷証券記録でこの譲渡禁止の、あえて便宜的に譲渡禁止と言いますが、その譲渡禁止の記名式電磁的船荷証券記録が出ていて、なおかつ譲渡したいというときには、そのときは、債権譲渡通知の方は電子でなくて、実は紙でやることになると。そういう想定をすれば、別に問題は起きないと。ただ、その想定自体が余りリアリティーがないんだろうということだと理解をしています。   むしろ、私は今日の前半の議論で、大変不勉強だったと思っているのは、この規定があると、実はそういう、これは紙のB/Lの場合の議論に戻りますけれども、そういう裏書禁止という記載のある記名式船荷証券の場合も、そうか、この民法の規定があるから、実は債権譲渡通知できるんだと、譲渡通知をすれば譲渡できるんだというふうに単純に思っていたところ、実はそうとは限らなくて、有価証券の理論の中で、実はできないと、証券の交付をしないとできないという議論もあるんだと、単純に受戻証券性でブロックされるという単純な話とは限らないんだということを知り、それを、個人的な話を言ってもしようがないのかもしれませんけれども、もっとよく勉強しなければいけないと思っています。   ただ、あえてそういう言い方をなぜするかというと、実は、この条文をわざわざ電磁的船荷証券記録について明記をしてしまうと、そうか、電磁の場合は記名式であっても債権譲渡通知をすれば譲渡できるんだということを、わざわざ明文で書くと。今までだったら、民法の520条の19というのの解釈論で出てくるのを、電磁的船荷証券記録について、ストレートに明文で書くと、そこが別段の解釈を生む元になるかもしれないと、そこの問題性はあるのかなと思っております。   一番いいのは、A案で言えば、2のA案の②を書かなくても、同一の効力を有する規定、やはり第2の話に絡んできますね。第2の規定の規定の仕方として、520条の19が準用、類推適用されるんだと。520条の19の規定についての議論がそのまま生きてくるんだと、そういう書きぶりに何かできないのかなと、これは願望にすぎませんが、思っております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。有価証券の規定というのは、明文で書かれていない有価証券法理などと呼ばれるルールが、そこかしこにありまして、そういうものも含めて全部引き継ぐためには、宣言的な規定があった方がいいのではないかという記載が21ページにあります。これは第2の方の話として議論すべきことなのかもしれません。   そのほか、第1の部分について御意見、御質問ございますでしょうか。   それでは、部会資料4の第2について議論をしたいと思います。   事務当局において、部会資料4、第2の御説明をお願いいたします。 ○生出関係官 それでは、事務当局の生出から、部会資料4の18ページ以降の第2について、簡潔ではありますが説明いたします。   第2は、「電磁的船荷証券記録の効力等に関する規律の内容」についてとなっております。   まず、第2の1で規律の在り方の方向性について、第2の2で逐条的な検討について御審議いただければと思います。   まず、第2の「1 規律の在り方の方向性について」ですが、第2の1の冒頭に記載した①、②、③のような三つの方向性が考えられますが、この点について御検討いただければと思います。   この①、②、③の方向性を検討する前に、前提として、MLETRとLaw Commissionのアプローチについて簡単に説明いたしますと、補足説明(1)の箇所に記載しておりますが、MLETRにおいては、電子的移転可能記録が移転可能な証書又は文書と機能的同等性を持つための要件を定め、それらの要件を満たす場合に、電子的移転可能記録が移転可能な証書又は文書と同等の法効果を持つということを認めるというアプローチが採られています。そのため、MLETRにおいては、移転可能な証書又は文書に適用される既存の法規定については、何らの言及がされておらず、個別の法規定に関して紙面と電磁的記録の性質上の違いを具体的にどのように反映するかという点については、示されておりません。   次に、Law Commission草案ですが、これは、MLETRの考え方を重視しながらも、若干異なる規律の在り方を採用しており、電子取引文書に関して、まず、人は電子取引文書を占有し、裏書し、及び占有を喪失し得ると定めた上で、Law Commission草案第3条2項及び3項において、「電子取引文書は紙の取引文書と同様の効果を有する」などといったように、一定の要件を満たした電子取引文書が紙の取引文書と同等の効果を持つことを認める旨の抽象的な規定を設けることで、機能的同等性を実現しようとしています。   ここで、事務当局が提案している考え方①についてですが、補足説明(2)の箇所にも記載しておりますように、これは、電磁的船荷証券記録は、船荷証券と同一の効力を有するといったように、電磁的船荷証券記録が紙の船荷証券記録と同一の効力を有する旨の抽象的な規定を設けることで、機能的同等性を実現しようとするものです。   このようなアプローチの利点は、MLETRの考え方やLaw Commission草案に親和的なものといえ、また、電磁的船荷証券記録に関する規定全体が極めてシンプルなものになることにあります。もっとも、紙の船荷証券記録に適用される規定や、そこから派生する法律関係の中には、船荷証券記録の効力に関するものと言えるのかどうかが不明確なものも含まれるように思われるため、同一効力規定のみではなく、例えば、部会資料4の19ページ記載のアからエのような一定のみなし規定を設けて、その隙間を埋めることも考えられます。   しかし、同一効力規定に加えて一定のみなし規定を設けたとしても、紙の船荷証券に適用される規定のうち、電磁的船荷証券記録にも適用すべきものの全てについて適用されることになるとは限らないといった指摘も考えられます。そこで、同一効力規定やみなし規定によって当然にカバーできるとは言えないような規定については、別途個別に規定を置くことも考えられます。   しかし、そうすると、紙の船荷証券に適用される規定については三つに分類されると考えられ、一つ目として、電磁的船荷証券記録にも当然に適用されるものとして特に規定を設けないもの、二つ目として、電磁的船荷証券記録に当然には適用されないものとして、個別的に規定を設けるもの、三つ目として、電磁的船荷証券記録には適用すべきではないものとして規定を設けないもの、この三つに分類されることとなり、一つ目と三つ目については、文言上明確に区別されるわけではないことから、全体的に分かりにくい規定ぶりとなる可能性が高いという懸念がある上に、結局、シンプルな規定という利点も失われ、法制上の問題は大きいものになるのではないかと考えられます。   また、英米法体系の国とは異なり、大陸法系、制定法主義を採る我が国においては、このような規律の在り方はなじみにくいものではないかといった懸念もあるところです。   次に、考え方②についてですが、補足説明(3)において記載しておりますとおり、これは、紙の船荷証券に適用される商法及び民法の主要な規定についての包括的な準用規定を設けつつ、読替規定を置くという考え方です。この考え方は、準用の範囲を明示することができますので、考え方①に対する懸念、同一効力規定に加えて一定のみなし規定を設けたとしても、紙の船荷証券に適用される規定のうち、電磁的船荷証券記録にも適用すべきものの全てについて適用されることになるとは限らないといった、このような懸念を克服することができるものと考えられます。   また、「その性質に反しない限り、○○の規定を準用する」という規定の在り方については、少なくとも民法の規定の適用については、紙の船荷証券についても解釈に委ねられているところ、紙の船荷証券に関する解釈を踏襲することができるという利点がある一方で、読替規定を置くことによって、適用関係が相当程度に明らかになるということができ、さらに、我が国の法制上、民法や民事訴訟法上の前例が存在していることに鑑みても、考え方①に比べると、法制上の問題は大きくないようにも思われます。   なお、考え方②のように、包括的な準用規定を設ける場合であっても、電磁的船荷証券記録が有価証券ではない以上、有価証券であることから当然に認められる法律上の効果の全てを拾い切れていない可能性があるため、考え方①と同様に同一効力規定を設けておくことも考えられます。もっとも、考え方②については、紙の船荷証券について適用される規定を包括的に準用することであることから、MLETRの考え方に親和的ではあると言える一方で、膨大な分量の読替規定を置くこととなり、非常に分かりにくい条文となる可能性が高いという点が難点であると言えます。   次に、考え方③について、これは、補足説明(4)に記載しておりますとおり、これは紙の船荷証券に適用される規定のうち、電磁的船荷証券記録に適用すべきものについて、個別に書き下すという考え方です。この考え方は、機能的同等性の考え方を前提としつつも、紙の船荷証券と電磁的船荷証券記録の性質上の違いを踏まえた柔軟な対応が可能になるという利点があるほかに、条文上、電磁的船荷証券記録に適用される法律関係が一見して明らかになるという利点があります。さらに、このような立法姿勢は、制定法主義を採る我が国の法体系全般とも親和的であるとも考えられます。   他方で、考え方の③は、考え方①や②に比べると、MLETRやLaw Commissionのアプローチとは異なる外観を持つ面があることは否定できませんが、考え方③も電磁的船荷証券について、紙の船荷証券との機能的同等性を認めるためのアプローチという点では、MLETR同様であり、個々の規定の内容としては、MLETRと決して矛盾するものではなく、むしろ十分に親和性があるものと評価することも可能であるように思われます。なお、考え方②と同様の理由で考え方③を採用したとしても、同一効力規定を設けておくことも考えられます。   第2の1の説明については以上になります。   次に、第2の2ですが、これは、「船荷証券に適用される商法、民法及び国際海上物品運送法の規定に関する逐条的検討」ですが、こちらは題名に記載のとおり、逐条的な検討を行うこととし、事務当局の整理は部会資料4に記載しているとおりです。時間の関係もございますので、個別の説明はしないことといたしますので、説明は以上となります。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、今説明があった内容について、どなたからでも結構ですので、御意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○池山委員 毎度すみません、池山でございます。まず、1の①、②、③案の選択でございますが、やはり③案の個別に書き下すという方向性には、事前に議論をした中でも非常に抵抗感が強うございました。ただ、議論をしていくと、従前似たような話が研究会報告書段階でもあったときに、非常に重装備で分かりにくいとか、あるいは、その中で、特に当時は記名式持参人払証券型の規定の書き方が先に来るとか、そういう観点からでしたけれども、今回は若干違っていて、単なる外観の問題だけではなくて、実は2の方と絡み合ってきますけれども、紙の船荷証券について、解釈上の曖昧さが残る点について、書き下すことで明確な方向性を出していくと、そのこと自体が、立法目的と手段の間の乖離というか、齟齬があるんではないかと、そういう観点から問題なのではないかなという理由が主となっております。   日本は成文法主義の国ですから、船荷証券についての規定が、民、商法、あるいは今回御指摘があった国際海上物品運送法も含めた他の法令も多数ある以上、それについて、それらの規定が、電磁的船荷証券記録の場合にどういう適用関係になるのかということを明らかにするというのは、一方で大変意義があることですけれども、実は、特に民法の規定などの場合は、解釈上の曖昧さが残る部分はあって、それで、言ってみれば、大した不都合を感じずにきたわけです。それをきちんと書くということがどうなんだろうという観点から、③には抵抗感が強いということです。   実際、どういうところがそうなのかというのは、むしろ2の個別の条文についての検討の中でも御指摘する必要はあるかと思います。それを横に置いておいて、そうだとすると、①案か②案かという話が、こちらの、少なくとも希望とはなってきます。そこは、実は、どちらという確定的なものを持っているわけではないのですが、まず、前提として、事務当局の案だと、どの案にせよ、同一効力規定を置くということが考えられるということが書いてあります。①案だとそれが、言ってみれば眼目でして、②案、③案でも考えられる。だから、②でも考えられると書いています。その点は、むしろ賛成です。それを申し上げた方がいいと思います。   その理由としては、ここに事務当局の方で書かれている拾い切れない有価証券法理的なものがあるのではないかという理由のほかに、有価証券法理というような、あるいは船荷証券法理というような大げさなものではなくて、船荷証券に関して言われている解釈論が電磁的船荷証券記録にもそのまま適用あってしかるべきだという、そういうもっとこう、一段手前のレベルであっていいのではないかなと思っています。   その例として、例えば、実際後の方で出てきますけれども、運送品処分権などの規定は、船荷証券の所持人には運送品処分権があるというんですけれども、実際は、この所持人というのは、恐らく適法な所持人と少なくとも推定される者のはずであろうと思っているんです。ただ拾った人が運送品処分権を持つわけではないので、そこに自ずと限定は働くだろうと。それは、電磁的船荷証券記録の支配者も、支配を占有と同じ意味と純化すれば同じことになるだろうとか、あるいは、裏書に関して、先ほどの話の中で、ちらっとドキュメンタリーシッパー、書類上の荷送人という言葉が出てきました。その解釈論というのも関係するかもしれません。というのは、船荷証券の法定記載事項として、荷送人の記載が要るとあるんですけれども、ここでいう荷送人の記載は何かというのは、注釈とか下級審判例を見ると、実は、文字どおり本来の定義であるところの運送契約の荷主側当事者、反対当事者としての荷送人とは限らなくて、貨物を事実上発出者というんでしょうか、運送人に預けた人であってもいいんだと。FOB売買などの場合に、そういう乖離があるかもしれないと。   荷送人概念には、本来の当事者としての荷送人と、そういう本来の当事者ではないけれども、船荷証券上書かれたドキュメンタリーシッパーと、厳密には2種類あるという解釈論が実はあると。恐らく、先ほどの支払の移転とか権利譲渡の方は、厳密に言うと、荷送人ではなくて書類上の荷送人から始まっていくと、そういう解釈論になるんだろうと、これは私の個人的に意見ですが、そう思っています。そういう議論は、電磁的船荷証券記録にも当然あるんだろうと。ほかにもいろいろあるかもしれません。それら法理というほどのものではなくても、単純に船荷証券に関する解釈論を、電磁的船荷証券にもそのまま適用する余地を残すという意味では、同一の効力だという規定は大変有意義であると思っております。   そのことを申し上げた上で、本当の①と②の間のどちらがいいか、あるいはその前提として、どちらを支持するかというのは、正直言うと、まだよく分かりません。ただし、印象論としてあえて申し上げるならば、②案の方は、準用と言いながら、その性質に反しない限りと、正にこれは法制的に先例があるわけですけれども、その性質に反しない限りということを通じて、準用が果たしてあるのかないのかというのを、従前解釈に委ねられていた、紙の船荷証券について解釈に委ねられていた点を、電磁的船荷証券にも及ぼすことができるという意味で、ひょっとすると、①、②案は相反するものではなくて、①案をより洗練させたものと、同一効力規定を同じように入れた上で、解釈上の曖昧なものをそのまま維持する方式として、より法制、あるいは法技術的にと言ってもいいかもしれませんが、受け入れやすい方法として②案があるのかなと、これは感想にすぎませんが、思っております。   ひとまずここまでで、ありがとうございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   事務当局から何か御返答ございますか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございます。今、池山委員の方から、③はいろいろと抵抗があり、①と②が選択肢として考えられる中、②というのも一つありなのではないかというような御指摘を頂いたかと思っておりますが、少し補足をさせていただきますと、②というのは、結局この包括準用規定の準用規定の部分だけを見ると、いろいろと使い勝手がいい部分があるのかなというふうには思う反面、やはりこの読替規定というものを置く必要が、恐らくあるだろうと思っていまして、この読替規定というものを、詳細なものを置くということになりますと、結局のところ、③とほとんど変わらないということが想定されるかと思います。   資料のどこかに書かせていただきましたけれども、20ページの下から3行目辺りの括弧書きを御覧いただきたいと思っておりまして、この読替規定というものを詳細に書くということになりました場合には、結局考え方③に基づいて作成した書き下し文を基に読替規定をずらずらと書いていくということになりまして、これは極めて膨大な量の読替規定ということになるのと、結果的に考え方③と変わらないという、ある程度踏み込んだ規律を想定して、それで、それについていちいち読替規定を置いていくと、こういうことになるところがございますので、結局読替規定をどういうふうに置くかによって、限りなく③に近づくという見方もできるし、逆に、これは全然置かないということになりますと、本当に先ほど池山委員おっしゃられたとおり、①にかなり近い案ということになって、どちらがより洗練された表現なのかという形で御判断いただくということもできるだろうというふうに思っておりますが、我々の現時点での感触としては、読替規定というのは多分、結構詳細に置かなければいけなくなるだろうなという想定をしておりまして、どちらかというと③に近い考え方なのかなというのが、率直な今考えているところというところでございます。 ○池山委員 質問なんですけれども、おっしゃる御趣旨はよく理解しました。   そうだとすると、③案で、その性質に反しない限りという条文が解釈論上意味があるところは、どこに出てくるということになりますかね。補足説明をちょっと読み落としているかもしれませんが。 ○渡辺幹事 ③案というか、②案でいうところの、その性質に反しない限りというところかと思いますけれども、例えば、分かりやすいところで申しますと、喪失の規定などは、電子版の規定はございませんので、これは恐らく性質に反するという形で準用はしないということに、恐らくなるだろうというふうに思いますので、そういった観点から、喪失の規定に関する部分については準用されないというふうに読めるということになると思われる一方で、そういう判断をするからには、喪失に関する規定の読替規定は当然置きませんので、読替規定がないというところからしても、準用はされないんだろうなというところはうかがえるということにはなろうかと思います。 ○池山委員 なるほど。そうすると、読替規定を置く、置かないで、事実上③案と同じことを規定するわけで、単に既定の書きぶりが違うだけで、その性質に反しない限りということによって、解釈に委ねられるというところは余り出てこないということなんですかね。   先ほどの、その性質に反しない限りのところの補足説明、20ページ辺りの説明を見ると、少なくとも民法の規定の適用については、紙の船荷証券についても解釈に委ねられているところ、紙の船荷証券に関する規定を踏襲することができる利点がある一方でうんぬんと書いてあるんですけれども、この踏襲することができる利点というのは、実はあんまりないということですかね。この文章だと、読替規定で相当程度明らかになると書いてあるんですが、その相当程度というのは実際は大半だろうと。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘いただいたところなんですが、もちろんその性質に反しない限りというところがございますので、紙の船荷証券の解釈というものがそのまま引き継がれやすいということは、当然言えるんだろうと思います。そういった意味で、全く意味がないということでは恐らくないんだろうというふうには思いますが、他方で、読替規定を詳細に置くことによって、事実上、考え方③が抱える踏み込んでしまうという部分ですね、そういった欠点を取り込まざるを得なくなってしまうと、考え方②を採った場合でもですね。そういった部分があるんだろうというふうに思います。   読替規定を、詳細なものを置いた場合であっても、考え方②については、その性質に反しない限りというところがございますので、何らかの意味合いはあるんではないかと、個人的には思っておりますが、具体的にどこなのかという特定は非常に難しいところがございまして、想定していないところで何か拾えるというところは、ひょっとしたらあるかもしれないというくらいのものではございますが、いろいろ考えますと、結局考え方③と余り変わらないという評価というのもできるのかなというふうには思っているところでございまして、あとは、MLETRとの準拠との関係でありますとか国際的な見え方の問題で、条文としては分かりにくいけれども、考え方②の方がMLETRに準拠した感じがより強くするというようなことなどもあり得るだろうというふうに思っておりますので、そういったところの御感触などを伺えますと有り難いなと思っているところでございます。 ○池山委員 念のためお聞きしますけれども、膨大な読替規定が要るというときにも、条文上、船荷証券の規定を準用するわけですから、これ、実際にやってみないと分かりませんけれども、船荷証券とあるところを電磁的船荷証券と読み替える、それだけで意味が通じるんだったら、読替規定は要らないんですよね。実際に条文案があって、船荷証券の規定があって、ぱぱっとコピペして、電磁的船荷証券に書き換えていくだけだと、そこは要らなくて、ただ、恐らくそうすると、電磁的船荷証券のやれ交付とか書いてあると、そこは読替えをしなければいけないと。そうすると、幾つくらいキーワード、電磁的船荷証券は当然準用なんだから、船荷証券、重要なのが、電磁的船荷証券に読み替えた上で、交付、その他のキーワードを読み替えればいいんだと。   そう考えると、一個一個の条文について、ものすごいオーダーメードの読替規定を作るのではなくて、単純にキーワードをピックアップして読替規定をして、そうすると、ロジアメをしていくと全部適用があるんだけれども、正にその性質に反すると思われるところについては、あえてそういうキーワードによる読替えはしないと、そういう形もできるのかなと、これ、単純に感想でしかないと思いますが、今お聞きして感じました。   プラス、そうは言っても、これは実際にやってみなければいけないんだろうなと、思考訓練としてはというふうに思っています。その上で、改めて意見を申し上げるべきかなと感じた次第です。 ○渡辺幹事 すみません、渡辺でございます。今回、逐条的な検討ということで、第2の2のところで書かせていただいておりますけれども、こういった逐条的な検討というのは、考え方③に立てば当然必須なものでありますけれども、考え方②の場合も、この逐条的検討で、結局民法なり商法なりの規定をどういうふうに電磁的船荷証券記録に落とし込んでいくかというのを決めていかないと、読替規定としてどういう読替えができるかが定まらないわけでございますので、この逐条的な検討というものも並行してやりつつ、その結果として、読替規定としてこんな感じになりますというところが、はっきりしていくんだろうというふうに思っておりますので、この逐条的検討もしていただきながら、読替規定がどんなものになるのかというところのイメージも持っていただいた上で、最終的には決まっていくんだろうというふうには思っておりますが、ただ、我々の方としても、ある程度、この資料には書いておりませんけれども、こういった逐条的検討を前提にした場合の準用規定ってどんなふうになるかという、頭の体操は内部ではやっているところでありまして、かなりの分量に恐らくなるのかなというのが、現時点での感触というところでございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。②案の理解が、人によって若干違うのかもしれなくて、ここでいう準用規定というのが、③のところに書かれている検討事項をほとんど読替え規定に取り込んでしまうと、事実上③と変わらなくなる。事務当局は、②案をそういうふうなイメージで捉えていたんですけれども、池山委員は恐らく準用のところがそこまで膨らんだものを想定されなかったのではないかと思います。この辺りの感触の違いが、②案にはあるかもしれませんが、この点も含めて、更に御意見いただければと思いますが。 ○松井(秀)幹事 ありがとうございます。立教大学の松井でございます。今の池山委員からのお話を伺いますと、実務家の方は違和感があるかもしれませんが、私自身はやはり③がよいのではないかと思った次第です。   この点は、優れて理論的、理念的な問題を含んでいるように感じております。今回の立法の検討が、電磁的船荷証券記録はやはり有価証券ではない、紙ではないというところからスタートしていることからしますと、例えば、①のご提案のように紙とみなしますというのは、非常に違和感を覚えるところがございます。   イギリスのLaw Commission草案は、かなりこれに近い考え方を採っていると思います。例えば占有のような物理的な「物」があるときの概念をそのまま電磁的な取引の文書にも使うという話なのですけれども、我々は、ここからは出発はできないであろうというところで、今回の検討をしているのだと理解をしています。そうだとしますと、もちろん紙の船荷証券で想定している場合と性質上近いような局面では、紙の船荷証券の場合の条文をできる限り同じように適用していくということはありつつも、やはり条文としては個別に書き下して、紙の有価証券とは別物を対象にしているということを明確にすることが必要だと思います。その意味で、この③の提案がよいのではないかという気がしている次第です。   もちろん、それに加えて、実務上耐えるものになるのかどうかという検討は必要かと思います。これは今、池山委員と渡辺幹事との間のやり取りにもございましたとおり、いずれにしても同じように逐条的な検討が必要になるということであるならば、分かりやすい形式、つまり条文として書き下されている形式の方が分かりやすいですからその意味でも③が妥当なのではないかという感じを持っている次第でございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   松井幹事にちょっと質問させていただきたいんですけれども、③案を支持されるといって、①案については抵抗があると言われたこととの関係です。③案について、21ページで同一効力規定というのを置くことを妨げないとも書かれているんですが、松井幹事からすると、③案で同一効力規定を置くことにも違和感があるのか、それとも、それは構わないのか、どちらなんでしょうか。 ○松井(秀)幹事 ご質問をありがとうございます。   同一効力規定自体は、これだけですと、電子的、あるいは電磁的なものを紙に引き寄せる形になってしまうのですけれども、全体として書き下した上で、補足的にこれを入れるということであれば、理念的には飽くまでも紙とは別物であるというところから説明ができるのではないかと思っております。その意味では、同一効力規定を置くということはあり得る選択肢だというのが、このご提案を拝読したときの理解です。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   そのほか、御意見ございますでしょうか。 ○小出幹事 ありがとうございます、小出でございます。今、松井幹事からありましたように、紙と電子はもちろん別の性質を持ったものということは、当然我々の前提だと思います。   ただ、電子の世界の電磁的船荷証券記録というものが紙の船荷証券とは別物であるということの意味にもよると思うんですが、法的にも異なる存在であるというふうに考えてしまうと、電子記録債権が手形とは飽くまで法的には別物であるとされているのと同様に、やはり機能的同等という考え方からは離れているというふうに見られてしまうという可能性が非常に高いと思います。もちろんそれでもワークはすると思うんですが、別にMLETRが全て絶対ではありませんけれども、仮にMLETRに準拠したとして世界に説明するときには、仮に第3の方法を採るといたしましても、私は機能的同等の一般的な条文は、少なくともあった方がいいというふうに思いますし、また、理念的には、やはり第1案、第2案の方が望ましいと思います。第3案を採った場合でも、対外的には、これは決して紙の船荷証券と異なる法的な効果というものを想定しているわけではないということは、きちんと説明しなければいけないだろうと思います。   そして、最後に、問題提起だけなら簡単というのはわかっているのですが、こういった書き下しの形の条文を置いたことによって、MLETRに準拠しているというふうに、UNCITRALなどに見てもらえるかどうか、そしてMLETR採用国リストに入れてもらえるかどうかということは、やはり確認しておく必要があるだろうというふうに、将来的な課題としては思っております。   以上です。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   事務当局からございますでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございます。ちょっと私の方から小出幹事に少し御見解を頂ければと思うところが1点ございまして、先ほど、考え方②に至った場合に、膨大な量の読替規定を置くとなると、実質的には考え方③と余り変わらないのではないかというような趣旨のことを申し上げましたけれども、ただ、見え方としては、考え方②の方が、条文としては非常に読みにくいものにはなる反面、機能的同等性という意味では、より親和的な感じはするのではないかというふうにも思っているところでありまして、そのMLETRや、あるいは国際的な見え方との関係におきましては、膨大な量の読替規定は置くとしても、考え方②の方がより親和的だというのは、やはりそのような印象でございましょうか。その点についての御感触を少し頂けますと、有り難いと存じます。 ○小出幹事 ありがとうございます。   読替規定の意味にもよると思うんですけれども、実はMLETRっては、全てが読替規定だと思うんですね。つまり、紙の世界での交付と同じ効果は、電子の世界でこうであれば与えられる、紙の世界の裏書は電子の世界ではこうであれば同じ法的効果だという形で、全てが読替規定で出来上がっている条文だと思います。ただ、特定の有価証券に関する実定法を想定しているわけではありませんので、全ての国の全ての有価証券に関する条文についてそれを読み替えているということはやっていないということであって、そのうち重要な概念についての読替えを置いたのが、MLETRなんだろうと思います。   ただ、それを実際にどこかの国で採用しようとすると、おっしゃるとおり、どうしても膨大な全ての条文について読替えを置かざるを得ないであろうということも、十分に理解できるところではあります。   しかし、どうなんでしょうね。難しいですが、本当に一条一条について全て読替え規定を置くのかというのと、それから、例えば、交付についてはこう読み替えるとか、その程度でよいのかどうかというところだと思うんですけれども、基本的な考え方としては、御指摘のとおり②の考え方というのが、全て書き下すよりは、比較的機能的同等性という考え方には親和的に見えるだろうということは、そのとおりかなと思います。もっとも、②であったとしても、読み替えるということは、やはり元の条文とは法的に違うものだということを前提にしているのかもしれませんので、読み替えるということに意味にもよるんですけれども。   一番望ましいのは、本当は実は①なのかと思いますけれども、ただ、それは難しいこともよく理解しております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   そのほか御意見ございますでしょうか。 ○池山委員 再度、池山でございます、ありがとうございます。私の発言の後、松井先生から御指摘があった、これは理念の問題でもあるという意味で、やはり③の方がいいのではないかという指摘は大変、実務側からすると重い指摘ではないかと思っております。   その上で、実質的な議論にちょっといくとすると、事務当局の考え方の前提は、恐らく②案と③案というのは、正に書きぶりが違うだけで中身は一緒で、むしろ①案の方が、こういう同一効力規定若しくはみなし規定だけで対処するという、ある種大胆な方式を採っていると。そのことの是非ということだと思うんです。   そこで、①案の問題点として、補足説明に書いてあるのは、このやり方だと、結局理念の問題とは別の実際上の問題として、船荷証券の規定のうち、電磁的船荷証券記録にも当然に適用されるから規定がないものと、適用されるべきではないから規定がないものと、そういうふうに二つに分かれちゃうと。そこは、非常に全体的に分かりにくい規定になると、そういう御指摘がありました。実質論としては、理念の問題とは別に、実質論としては、そういうどっちか分からないという形の立法を許すというのが問題なのではないかというのは、別の次元で①案の問題として指摘されていると思っております。   ただ、すごく、これは開き直りかもしれませんけれども、本当にそうなんでしょうかねと、そこで分かりにくいから非常に問題だと、どこまで言えるのかなというのは、恐らく実務側の暗黙の前提としてはあって、やはり船荷証券の規定の中でキーになる部分は、実は民法の規定にかなり負っているわけで、その民法の規定を100%適用するか適用しないかというのは、論理解釈からすれば適用されるでしょうと。確かに学説で、ここは適用されるべきではないみたいな議論はきちんとされていないと。でも、本当にそうかなと、言ってみれば、暗黙裏に相手は漫然と思っていると。そこを白日の下にさらされるわけですけれども、それをする必要が本当にあるんだろうかと。そのまま、分かりにくいままでも、語弊を恐れずに言えばいいではないかと、解釈に委ねればと、そういう開き直り的な発想はやはりあって、そうすると、①案と②案が全然違うというのであれば、消去法的に、一方で③案は全部同じですね、けりをつけるという意味で抵抗があるというのであれば、①案に、私が思っている前提からするようになるのかなと、自分自身は思っています。   その上で、いや、それはちょっと理念的におかしいのではないかと言われると、うーんと考え込んでしまうというところで、更に検討させていただく必要があるなと思う次第です。 ○藤田部会長 ありがとうございました。   事務当局から何かございますでしょうか。 ○渡辺幹事 特にございません。 ○藤田部会長 ありがとうございました。 ○新谷幹事 今までの御議論をお伺いしていて、一つ留意しておいた方がいいかなと思った点があったので、申し述べさせていただきます。   先ほど小出幹事から、UNCITRALからの見え方ということのお話もあったんですけれども、それに関する話で、昨年度のサミットで、電子的移転可能記録を使って貿易と経済の効率化の合意があったわけです。これは、実際には細かいところは何も触れていなくて、その前に行われたデジタル大臣級の会合の内容をエンドースするという内容だったんですね。   では、そのデジタル大臣級会合で何が話合意されていたかというと、この中には、もちろん電子的移転可能記録うんぬんというのが書いてあるんですけれども、具体的に、MLETRを支持し、MLETRに適合する法的フレームワークを推進するということが、日本も含めたG7で合意がされているわけなのです。今までの御議論を伺っている限りは、「MLETR準拠というのが分かるように」という方向性なので、そこはもう何も申し上げる点はないんですけれども、一応こういう合意もあったということも留意しておいた方がいいのかなと思った次第です。   以上です。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   それは、今年の5月のG7デジタル大臣会合でしたっけ。 ○新谷幹事 これは昨年だったと思います。今年もあったんですかね。昨年度の、菅総理大臣が行かれたイギリスでの首脳級会合があって、そこでの宣言があって、その宣言がその前の、だから、昨年の5月に行われたデジタル大臣級会合の内容というのをエンドースするというのがあったのを、私は見ていたんですけれども。 ○藤田部会長 了解いたしました。今年5月のG7デジタル大臣会合の附属書2でも、「電子的移転可能記録の利用促進のための国内法的枠組みにかかる原則」としてMLETRに準拠した国内法を支持するという共同大臣声明が書かれておりまして、部会資料12で言及されていたと思います。いずれにしても、単純に世界の動きはこういう方向のようだから、それに合わせた方が無難だろうというレベルではなくて、一定の範囲で日本政府が公式な立場として、MLETR準拠という方向性を既に宣言しているということに留意せよという御意見だと思います。リマインドしていただいてありがとうございます。   そういうことを踏まえた上で、MLETR準拠といえるために、どの方式が一番無難か、あるいは、たとえば③を採った場合でも説明は十分つくのかといった辺りを、今議論しているということではないかと思います。   そのほか、どの点でも御意見ございますでしょうか。 ○池山委員 2の逐条…… ○藤田部会長 逐条の方に入っていただいても結構です。1の方に戻っても結構ですけれども、2の方で意味を変えてしまうようなことまで書き下していないかということが、1で③案を採れるかどうかにも密接に関連しておりますで、2の方にも入っていっていただければと思います。 ○池山委員 あれこれあるんですけれども、ちょっとまとめてやると長いので、最初は二、三申し上げます。   冒頭の759条に相当する(1)についてですが、このこと自体は全然異論は、ここに書いてあるような改正をすること自体については、それは理論的にはそうなると思いますので異論はないのですが、ちょっと理由付けというのが若干、現実から乖離しているのかなと思っているんですけれども、電磁的船荷証券記録が発行される場合は、連絡も電磁的な方法で行われることが多いように思われると書いてあるんですけれども、実際、ここでいう、759条でいう通知なるものは、紙のB/Lであれ、電磁船荷証券であれ、今や文字どおりの紙で行われることはなくて、それは普通にメール、その他、あるいは広い意味でのEDIの形で行われていると思います。   なので、この通知方法が、電磁的記録というふうにする、実は、すみません、759条は既になっていますけれども、それは、船荷証券の電子化とは関係ないレベルだと。あるいは、別の言い方をすると、これは(1)からずっと飛んで、後の方の(18)ですかね、同じ国際海上物品運送法の改正ですけれども、運送品の一部滅失又は損傷があったときの通知を3日以内にしなければいけないと、これを電磁的方法に改めるという点について、これも、考えてみると、今だって電磁的方法で行われています。これは、船荷証券の電子化とは関係ない話です。   それをもっと翻って考えると、実は、船荷証券の場合は有価証券だから紙だというのが強い前提なんだけれども、むしろ7条の、(18)の方で言った方がいいかもしれませんが、7条の相当する今の現行法の書面というのは、実は本当の意味での書面と解釈されずに、結局電子的方法、ファックスだ、テレックスだ、あるいはこういうeメールも書面の要件を満たすと、実はそう解釈されているのではないかと思うんです。全然次元は違いますけれども、管轄合意とか仲裁合意に書面性の要件が要るというときに、そこでいう書面というのには電子的なものも入ると、多分普通の人は考えているんだろうと思うんですよね。せっかく条文をきれいにするのであれば、例えば、この7条では書面だけで書いてあって、759条では両方書いてあるというのは、そごがあるから、確認的な意味で電磁的方法も入れるというのは、非常に分かりますけれども、現行法の解釈としては、実は書面は電子的なものも含むと解釈していいし、かつ、確認的にそういう規定を入れるというのは、船荷証券の電子化の議論とは違う次元の話なんだろうと思います。   補足説明だと、あたかも船荷証券を電子化するからということと絡めて書いてあるので、そこにちょっと違和感がありました。まずそれが一つ目です。   それから、時間の関係があるので、ちょっとはしょりながら言いますと、一番逐条で重要なのは、(10)の権利推定の規定だと思いますが、これも、これは異論ではないですね、A案、B案、C案を前提とする限りは、論理的には、こういう形の規定になるんだろうと思います。私が最初に申し上げているのは、やはりA案の問題性というのはここに表れるのかなというふうに思います。   (11)、それを前提とする善意取得についても、同じと言えば同じでございます。(11)については、紙の場合の違いとして、所有権に基づく返還請求権というようなものが書けないから、まず前段というか、第1項で、支払を失った者は、支配の移転を自己に対してすることを求めることができると、まず、そこをきちんと書かなければいけないという部分、これは、体系的な問題で、変な言い方ですけれども、本当にそこまで書く必要があるんだろうかと、書かないと本当に権利がないという解釈になるのかという感想を持ちますけれども、明確化という意味では書かれて、その結果、紙とは規定の仕方が違うというのは、異論はございません。   (15)の遅滞の責めをいつから負うかというような話ですが、これは520条の9をそのまま書き下しているだけで、実は記名式であって、電子裏書を禁止する旨の記録がされているもの、端的に言うと、紙のB/Lであれば、譲渡禁止文言の付いた記名式船荷証券に相当するものは除くという規定です。そこは、確かに民法には実はそう書いてあります。他方で、正にここは、事務当局の案の(注)、42ページの一番下に書いてあるとおり、実はこの民法の規定は、船荷証券について当てはまらないんではないかと。受戻証券性がある以上は、今言ったような条件の付いた記名式船荷証券でも、遅滞に陥ることはないのではないかということの危惧を示されて、そうだとすると、(15)の中のA案、B案における括弧書きの部分は除くということも考えられるとおっしゃっています。   それは、論理的には正にそうなんだと思うんですけれども、そうすると、やはりどうしても違和感があって、紙のB/Lの場合は、民法にこういう明文規定があるのに解釈論で広げているのに、電磁的船荷証券記録の場合は、そこを明文で変えるというのが、しょせんは規定の仕方なのかもしれませんが、ちょっと違和感があるなと感じました。   たくさんですみません。最後1点です。   ある意味一番重要なところですけれども、提示なる概念です。これは、一義的には、正に同じ(15)の提示により遅滞に陥るという条文です。ここの、紙であれば提示という部分を読み替えて、支配する者が電磁的船荷証券記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したというふうに書き換えていらっしゃいます。実は、これ、このこと自体の問題というよりは、紙のB/Lに関する理解とも関係するんですけれども、紙のB/Lの規定に関しては、受取りから船積みに切り替えるときの「引換え」という規定が、まず紙にありますと。それから、引渡請求に伴う受戻証券性を表す規定としての単なる「引換え」という規定がありますと。それから、ここで言う遅滞に陥らせる条件としての「提示」という規定がありますと。その三つの書き方があることを前提に、電磁的船荷証券に関する規定の読替えが、実は全部違って、一つ目は単に支配の移転と切替え、引換えだけになっていて、二つ目は支配の移転又はその他利用、支払の移転をできないようにする措置という書き方が書いてあって、最後のこの提示というのは、一定の事項を表示したものを提示すると書いてあると。それが全部違うんですね。そこは、どうにも理解できないんです。   もっと言うと、実はこれ、もし違っていたら、皆さんに御指摘いただきたいんですけれども、紙のB/Lにおいて、そこでいう引換えというのと、ここの遅滞に陥らせる条件というのと提示というのが、実は違うのかという話になってきて、我々はこれ、提示だけではなくて、文字どおり見せるだけではなくて戻してもらわないと、請求権ないわけですから遅滞に陥らないんだろうと。だから、実はイコールなのではないかと思っているんですね。イコールだとすると、書き方も同じではなければいけないと。   ここも、実は、この事態の書き方というよりは、紙のB/Lについて微妙に書き方が、引換えとか提示と書き分けているところが、一緒なのか、違うのかというのが現れてきていて、その結果、電磁B/Lの書き方が違うということになると。そこは是非、まず紙のB/Lに関する議論をきちんとした上で、書換えをきちんとされるべきだろうと思います。   すみません、長くなって申し訳ありません。一応、全部言ってしまいました。 ○藤田部会長 取りあえず、事務当局から御返答お願いいたします。 ○渡辺幹事 幾つか御指摘を頂きましたので、御回答をさせていただきたいと思います。ひょっとしたら、ちょっと漏れがあるかもしれませんが、そのときはまた御指摘いただければと思います。   まず、最初に御指摘いただきましたのが、商法第759条との関係で、ここで書面又は電磁的方法というところがあって、また後のところで、ページ数で申しますと、今回の資料の(18)の30ページから31ページ辺り、国際海上物品運送法第7条のところにも、また書面又は電磁的方法というのがあると。ここのところは、船荷証券の電子化とは基本的に関係ないんではないかと、こういう御指摘かと思いますが、確かに直接的に関係するものではなくて、特に国際海上物品運送法の場合について、今回御提案させていただいているのは、書面に加えて電磁的方法というのを、ここに入れていいんではないかという形で御提案させていただいておりますが、これは、紙の船荷証券の場合であっても入れていいんではないかということで、御提案させていただいているところですので、これは船荷証券の電子化から必然的に生ずるというわけではなくて、この機会に検討してみてはどうでしょうかと、こういう問題提起でございます。   なお、今、池山委員の方からは、既にこの書面というのは、電磁的な方法でもいいというふうに実務上解釈されているという御指摘を頂いたかなというふうに思っておりますけれども、最後の31ページのところに少し書かせていただきましたが、条約との関係では、一応原文当たってみますと、in writingというワーディングが使われておりますので、この関係で、電磁的方法というものを果たして許容できるかどうかというところについては、またちょっと改めて検討はさせていただきたいと思いますが、実務上の解釈というか理解というのをこの機会に頂けましたこと、大変有り難く思います。   それから、2点目が、権利推定のところの規定で、特にA案を採った場合にはちょっと違和感があるという御指摘、これは先ほども頂いたと思いますが、こういったところも含めて、A、B、Cのどれがいいのかというところを、また御検討いただければと思っているところでございます。   次の御指摘といたしましては、部会資料でいうと26ページのところかと思います。善意取得のところで、A案、B案、C案、それぞれの場合について、①に相当する規律があろうかと思います。これが結局のところ、電磁的記録の支配の移転を求めることができるというものを創設しないといけないんではないかという観点から、事務当局としては書かせていただいて、これは本当に必要なんですかという御指摘だろうと思いますが、この電磁的船荷証券記録そのものを、例えば、財産権みたいな形で捉えられるのであれば要らないのかもしれませんが、恐らくそういう理解は難しいだろうということを前提にしますと、電磁的船荷証券記録の移転請求権みたいなものを別途創設しないと、なかなか当然には導かれないという立て付けになってしまうのかなというところで、こういった規定というのがないと難しんではないかという前提での整理でございます。   それから、次頂きました御指摘が、(15)、部会資料でいうと28ページ、29ページ辺りというところで、こういったものを明文化することの違和感ということかと存じます。前提としましては、裏書禁止型の場合についても、この規定が適用されるという解釈、明文上は民法上は除かれてはいるんですけれども、そうではないという解釈があり得るところ、こういった形で明文化してしまうのがどうなのかと、こういうところからの問題意識を出発点とする違和感だろうというふうに、理解をさせていただきました。   我々の方といたしましては、29ページの(注)のところでも少し書かせていただいておりますけれども、基本的な出発点といたしましては、船荷証券は当然有価証券ということになりますので、民法の規定というのは適用されるということになろうかと思います。そういった適用関係がある中で、裏書禁止型の船荷証券については、明文上除かれているけれども、民法520条の9が適用、あるいは類推適用されていると、こういう実務上の解釈があるのであれば、今回こういった規律を設けたとしても、同じ解釈になるはずではないかと、こういうことでございまして、今回こういう規律を明文で設けたからといって、類推適用するといったような見解を否定する趣旨では全くありませんというところで、とは申しましても、あえて明文化することによって、なかなか今、実務的に解されている方法が採用しにくくなるんではないかという違和感というのは、ないとは言い切れないというところでありますが、我々としては、今、紙の船荷証券において考えられている解釈、それがそのまま踏襲される、それを否定する方向での改正ではないというふうに考えているところでございます。   最後が、同じところの提示なり、あるいは引換えというところかと思います。1点補足させていただきますと、まず、受取船荷証券から船積船荷証券へ必要とされている引換えと、運送品の引渡しを求めるときの引換え、これが違った書きぶりになっているんではないかという御指摘なんですけれども、違ったものにするつもりは全くございませんで、前回は、船積船荷証券と受取船荷証券の整理のための議論でしたので、あえてそこには踏み込まなかったという経緯でございまして、今回受戻証券性のところで少し触れさせていただきました引換えに相当する概念ですね、これは、船積船荷証券と受取船荷証券のところに必要になる引換えにおいても、同じ議論をするつもりでございますので、引換えに相当する概念については、使い分けるつもりはありませんというところでございます。   他方で、提示とされている部分については、これはやはり法律上、引換えと提示ということで、違う言葉が使われている以上、概念としては違ったものではないかというふうに思われるところでございまして、ここは、飽くまでもやはり遅滞の責任を負う始期の話と、あとは同時履行として引換給付を求めることができるかどうかという、そういう法律上の効果の違いから、こういう書きぶりにはなっているんだろうというふうに思っておりますけれども、やはり概念が違う以上は、それぞれに相当するものを多分作っていかなければいけないんではないかなというのが、事務当局の考え方ではございますが、実際の行為としては、多分同じことがされるんだろうと、実務的なこととしてはですね、というふうには思います。ただ、法的な意味におきましては、引換えというところと提示というところは、やはり異なる概念だろうということで、一応こういう整理をさせていただいているというところでございます。   一応全て回答したつもりではございますが、漏れ等があれば御指摘いただければと思います。   以上でございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   よろしいですか。 ○池山委員 ありがとうございました。いずれについても明解な御説明、ありがとうございました。   多分、一番実質的な点は最後の点だと思いますけれども、御回答の趣旨はよく分かりましたので、これは元々の、今の紙のB/Lにおける商法、民法規定の解釈の問題が先にあると思いますので、こちらでも更に検討させていただきたいと思います。今日のところは、もう十分でございます。ありがとうございます。 ○藤田部会長 池山委員は、第2の1のところで③案を採ると、従来解釈に委ねていたようなところについて、解釈して特定の立場を示したような立法になるおそれがあると御指摘されたと思いますが、今、各論のところで聞いた各条文について、そのおそれがある箇所がちょっとつかめなかったのですけれども、具体的には、どれでしょうか。520条の9が一番の懸念ということになるんでしょうか。つまり、520条の9の類推適用について、括弧書きを入れると、類推適用が非常にしにくくなる。かといって、この括弧書きを除くと、適用をすることを意味してしまうので、いずれを採っても何らかの立場をとってしまったことになる。懸念事項というのはこれぐらいでしょうか。 ○池山委員 そうですが、実は、言及しなかった点も若干あったかなという気がするんですが、ちょっとすみません…… ○藤田部会長 お伺いするのは、1のところで、やはり書き下すと弊害があるというふうにおっしゃったのですが、今伺っているところで、どのぐらい深刻かなというふうにも感じたもので、念のために確認させていただいているんですけれども。 ○池山委員 恐らく、ほかにあるとすると、2の方ではなくて、1の裏書の方式のところで、裏書禁止裏書は認められないんだと、担保的効力という前提を欠くから認められないんだということを明記するとか、あるいは持参人宛て裏書というのもあり得るんだとか、その規定辺りも問題になるのかなという気はします。   ただ、一方で部会長がおっしゃったとおり、曖昧さを明確にするおそれがあるのが余りよろしくないというのであれば、どこを曖昧にしたいのかという部分をきちんと示せという御指摘だと理解しましたので、その御指摘の趣旨は分かりますので、こちらでも更に整理をしたいと思います。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   そのほか、どの点でも第2全般について御意見いただければと思います。   ちょうど時間ではありますが、そんな5分、10分、絶対延長できないこともないと思いますので、この際、是非御意見いただければと思います。 ○後藤幹事 すみません、後藤でございます。少し戻ってしまうんですが、第2の1の方向性のところで、MLETR準拠と見てもらうためにはどうするのかというお話が先程ありました。現在、手元にある外国の立法例がイギリスとシンガポールという英米法系のものしかないのが、やはり我々にとっては悩ましいということかと思うんですが、以前ドイツでも検討が進んでいるというお話を伺ったように思います。私も探してみましたが、どうなっているのか最新のものがなかなか見当たらないので、もし何か把握されておられましたら、お教えいただければと思います。 ○藤田部会長 事務当局からお願いします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。おっしゃるとおり、ドイツがどのような形でやっているのかというのが明らかになると、我々としても非常に作業が進めやすいというところではあるんですが、現状なかなかお示ししにくいという状況でございまして、もちろんある程度示せる状態になれば、議論の素材にしたいとは思っておりますが、取りあえずそんなような状況でございます。 ○藤田部会長 ドイツの方もきっちり公開できる状態の形で議論されているわけでなくて、なかなか申し上げにくいということかもしれません。 ○笹岡幹事 ドイツ法の調査が夏休みの宿題でして、8月31日までにできていなくて申し訳ありません。藤田部会長のおっしゃるとおり、まだ本当に中間的な状況で、しかも、元になっているのがイギリスの、要するに、紙の場合に、証券は電子的なフォームでも発行することができるというルールをドイツに置き換えた規定ですので、もしかすると私たちが期待するような成果が出ないかもしれません。引き続き調査を続けていきたいと思います。 ○藤田部会長 ドイツにおいても、第2、1の③の方向でいくかどうかは、よく分からない。だから、英米法と大陸法の違いというふうな整理になるのかどうかは、よく分からないということなのかもしれませんが、現段階では、余りはっきりしたことが申し上げられる状態ではないようです。   そのほかどの点でもご意見いただければ幸いです。 ○小出幹事 私もドイツ法は専門ではないんですけれども、ちょっと前に調べたところでは、ドイツでは元々船荷証券の電子化の条文は、HGB(商法典)に既にあるんだと思うんですね。それが、機能的同等のような条文で書いてはあって、電子的なものであっても同等の機能を果たしていれば、船荷証券と同等に扱われるという条文はあると思います、HGBの516条の2項です。   ただ、逆に、それしかないということのようなので、そもそも機能的に同等とは一体何なのかとか、そういう定義がしっかりなされていないのだというような指摘がなされているということだと思います。ですので、今、ドイツが何をしているかということなんですが、今、このHGBの516条2項という電磁的船荷証券の条文がある上に、何か更にしようとしているのか、あるいは、その解釈で既にMLETR準拠だと言えると思っているのか、その辺りは引き続き調査が必要かなと思いました。   以上です。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   事務当局、よろしいですか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘いただいたような規律があるというのは、我々も承知はしておりまして、それを具体化するような省令等の検討を恐らくしているのではないかというところで、そこの辺りを調査する必要があるのかなという状況かというふうに理解しております。   以上でございます。 ○藤田部会長 ドイツは、先ほど言及のあったG7の会合のメンバーで、やはりこれはMLETRにコミットしておりますので、機能的同等性に反する立法や、省令を積極的にしようとしているとは思えないですけれども、最終的にどんな仕上がりの形になるかは、まだよく分からないという状況だと思います。 ○山口委員 極めて細かいことで申し訳ないですけれども、法務省令の29ページのところで、電磁的船荷証券の表示ですけれども、これについて、電磁的船荷証券記録に記録された事項を、紙面又は映像面で表示する方法を採るというふうに書いてあるんですが、今まで電磁的方法で採るとか、そういうふうに、書面だと電磁的という表現をしていたのに、ここだけ何か変えているのは、ちょっと違和感があるなというふうに思ったという点と、非常に戻って申し訳ないんですけれども、もう1点だけどうしても御指摘しておきたいなと思っていたところが電子署名のところで、お話ししようと思っているうちに第2の方に進み、お話しできなかったのですが、電子署名については、やはり電子署名の要件は、もう少し緩めていただいた方が有り難いなと思っていまして、実のところ、例えば、手形法だと、署名の場合は記名捺印を同等とみなすというふうな手形法82条がございますし、あるいはモントリオール条約においては、署名について、7条3項のところですけれども、スタンプ又は印刷というふうになっています。   ですから、実際のところを言いますと、船荷証券は、発行のとき、スタンプ的なもので代行しておりまして、なおかつ、裏書なんかも印鑑みたいなもの、あるいはスタンプ的なもので代行しておることが多いのです。だから、それも含めたような概念にされた方が、この法務省令の規定の問題なのですけれども、電子署名というふうな限定的な印象を与えるものにしない方がよいのではないかなというのが、一つ思ったところでございます。   以上でございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。後者の論点も非常に重要なところだと思いますので、第1の話だったと思うんですけれども、併せて事務当局から現状の御感触いただければと思います。 ○渡辺幹事 御指摘いただきましてありがとうございます。   まず、一つ目の表示の部分ですか、ここは29ページでございますね。この表現ぶりに非常に強いこだわりがあるというわけではなくて、現状、会社法施行規則第226条という参考になるものがあったので、この表現を借用させていただいたというところでありまして、これでワークするならこれでもいいのではないかぐらいなものでございまして、ここに強くこだわるというものではございませんで、別の表現ぶりというものも、またあり得るだろうと思っております。   電子署名の点は、今日のいろいろな御議論を伺っていて、特に裏書の場面において、その電子署名みたいなものを、非常に厳しいものを求めるということになると、B案を採った場合に出てくる問題点というのが生じてしまう、様式の緩和という観点から、電子署名というものについて考え直すということは、十分にあり得るというふうには思っておりますので、御指摘は恐らく発行の場面のところも含む御指摘だろうというふうには思いますので、そこも併せて、どうしていくべきなのかというのは、重い課題として受け止めさせていただきました。 ○藤田部会長 電子船荷証券のシステムを使うときに、署名に相当する何か電子船荷証券上の行為というのを観念して行動する人は、恐らくいないであろうということを考えると、こういう言葉が入っていて、おかしな誤解を生む危険はあります。実際障害になったりすると困りますので、引き続ききっちり検討させていただければと思います。   第2の点、そのほかどの点でも。 ○吉田委員 現在、ドイツの法律を参照していて、現在調査中ということですが、同じ大陸法の代表としてフランス法の、船荷証券の状況のアップデートは、どのようになっているでしょうか。 ○藤田部会長 船荷証券の電子化の立法を今、フランスがしようとしているかどうかについて分からなくて、参照されていないのではないかと思います。 ○吉田委員 立法状況を参照するような、そういう段階でもないという。 ○藤田部会長 調査中ですが、もし何か御存じの方いらっしゃればお教え下されば幸いです。研究会報告書にはどう書いていましたでしょうか。   実は今、万国海法会という国際的な団体で、電子船荷証券について各国でどういう立法をしているか、あるいはする計画かという調査をしているところで、遠からず回答が公表されると思いますので、それを踏まえて、各国の状況のアップデートは可能だと思いますけれども、現状だと、フランスについてはまだ調査できていないということだと思います。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。現状、フランスについてはちょっと情報がまだ余りないということでございまして、そういったところで、まだ、すみません、把握できていないというところでございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。 ○池山委員 すみません、池山でございます。これも、私の質問なんですけれども、2の(12)、27ページになりますが、この520の6等に相当する規定の準用条文があります。私の理解では、これは、いわゆる人的抗弁の切断に関する規定だと理解をしていて、それは、別個準用ということになるところの商法の760条、これは文言証券性に関する規定だということになると思うんですけれども、これは全く別物という理解でよろしいんでしょうか。   つまり、760条は760条で、これ、22ページだと(2)ですね、文言証券性の規定を持ってきて、それから、今のところで人的抗弁の切断の規定を持ってくると。理念、概念として違うのだから、それぞれ準用で持ってくるのは、一方で当然のようにも思えるんですけれども、実際に、これは出た議論ですけれども、実務の中での規定の働き方を見ると、かなりの部分重なり合っていて、実は商法760条というのは、民法の規定の特則になっているのではないかという気がちょこっとだけするんです。でも、そんなことを言っている学説は、私の調べた限りではありません。逆にそこが、例えば、今だと民法と商法と、基となる法律の場所が違うので、実は特則なのか別々なのかというのは分からないと。少なくとも、一見明白ではない、理論的に違うんだろうという解釈を、暗黙裏にしていると。   この条文になると、そこは両方持ってくるわけですから、これで別のことを言っているんですというのははっきりするんですよね。それはそれでいいんですけれども、そういう、これは別の条文だという理解でよろしいんでしょうかと。この問いをここでするのかどうかが適切かどうかという問題ありますけれども、そういうのもちょっと議論としては、質問としては出ましたという意味で、私自身も質問したいなと思っています。   すみません、せっかくなので。 ○藤田部会長 事務当局からお願いします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。現時点での事務当局の整理としては、別物でそれぞれ適用されるべきものだろうということで、それぞれについて規定を置くという方向で検討はしているところではございますが、ただ、特則的なもし意味合いがあるということになると、またちょっと変わってくる、考慮として別の考慮をしなければいけないというふうには思いますので、その点は検討はさせていただきたいというのと、ほかにそういった問題があるところがあれば、御指摘を頂けますと有り難いなというふうに思っております。 ○池山委員 ありがとうございます。 ○藤田部会長 単純に両方の条文について読替えを置いたとかということは、特則と解釈する余地も含めて、現状を維持しているだけというふうに採ることはできますでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。率直なところを申しますと、考え方③に立った上で、商法第760条と民法第520条の6のものを並列的に書いてしまうと、特則という表現はなかなか難しいかなという感じがしておりますが、考え方②に立って、包括準用という形で読替規定として対応するのであれば、民法、商法という一般法、特別法という関係性は維持されるのかなというふうに、今、この場で思い付きではございますが、考えた次第でございます。 ○藤田部会長 了解いたしました。池山委員の懸念されていた、③案を採ると、何らかの解釈をすることを余儀なくされるという問題があるかもしれない例の一つということにはなるのですね。了解いたしました。   そのほか、どなたでも御意見ございますでしょうか。   よろしいでしょうか。   それでは、第2まで一応議論できたというふうに思います。長時間ありがとうございました。15分以上延長して、大変申し訳ございませんでした。もしこれ以上御意見ないようでしたら、本日の審議はこの程度にさせていただきます。   次回の議事日程等については、事務当局から御説明いただければと思います。 ○渡辺幹事 まずは、本日、熱心な御議論いただきまして、誠にありがとうございました。   次回の日程は、令和4年10月12日水曜日、午後1時30分から午後5時30分まで、場所は法務省地下1階の大会議室を予定してございます。   次回は、主に部会資料3に記載していた各論点に関する二読目の審議をお願いしたいというふうに思っております。 ○藤田部会長 それでは、法制審議会商法(船荷証券等関係)部会の第4回会議を閉会させていただきます。   本日は熱心な御審議を賜りまして、どうもありがとうございました。 -了- - 30 -