法制審議会 第196回会議 議事録 第1 日 時  令和4年9月12日(月)   自 午後2時00分                        至 午後2時53分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題    犯罪収益等の没収に関する諮問第123号について    区分所有法制の見直しに関する諮問第124号について 第4 報告案件    戸籍法部会における審議経過に関する報告について    民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会における審議経過に関する報告について 第5 議 事 (次のとおり) 議        事 ○加藤司法法制課長 ただいまから法制審議会第196回会議を開催いたします。   本日は、委員20名及び議事に関係のある臨時委員1名の合計21名のうち、会議場における出席委員14名、ウェブ会議システムによる出席委員4名、計18名に御出席いただいておりますので、法制審議会令第7条に定められた定足数を満たしていることを御報告申し上げます。   初めに、法務大臣挨拶がございます。 ○葉梨法務大臣 この度、法務大臣に就任いたしました葉梨康弘でございます。よろしくお願い申し上げます。   会議の開催に当たり、一言御挨拶申し上げます。  委員及び幹事の皆様方におかれましては御多用中のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。   さて、本日は、御審議をお願いする事項が二つ、部会からの報告案件が二つございます。   まず、議題の第1は、本年6月に諮問いたしました、「犯罪収益等の没収に関する諮問第123号」の答申についてでございます。  この諮問については、その後、刑事法(犯罪収益等の没収関係)部会において調査審議が行われ、本日、その結果が報告されるものと承知しております。  近年の情報通信技術の進展等に伴い、犯罪による利益が、暗号資産をはじめとする新たな形態の財産として取得・保有・移転される事例が生じております。  このような犯罪収益を確実に剝奪できるようにするため、没収可能な財産の範囲を早急に改める必要があると考えておりますので、できる限り速やかに答申を頂けますよう、お願い申し上げます。   議題の第2は、「区分所有法制の見直しに関する諮問第124号」についてございます。  今後、老朽化した区分所有建物が急増していくことが見込まれ、また、大規模な災害の発生が想定される中で、区分所有建物の管理や再生の円滑化を図ることは、喫緊の課題です。  「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」等の政府方針におきましても、区分所有法制の見直しに向けた検討を進めることとされています。  そこで、この課題に対処するため、御審議をお願いするものでございます。   次に、部会からの報告案件でございます。  戸籍法部会におきましては、同部会が設置されて以降、精力的な調査審議が行われ、本年5月の中間試案の取りまとめを経て、パブリックコメントの手続を終え、現在は、最終的な要綱案の取りまとめに向けて、調査審議が進められていると伺っております。   また、民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会におきましても、同様に精力的な調査審議が行われ、本年8月に中間試案が取りまとめられたと承知しております。  この中間試案については、パブリックコメントの手続を経て、その結果も踏まえて、その後、更なる調査審議が進められるものと伺っております。   本日は、これまでの各部会の審議経過について、それぞれ窪田充見部会長及び山本和彦部会長から報告がされますので、委員の皆様方から御意見をお伺いしたいと存じます。   それでは、これらの議題についての御審議・御議論をよろしくお願い申し上げます。 ○加藤司法法制課長 法務大臣は公務のため、ここで退席させていただきます。 ○葉梨法務大臣 よろしくお願いいたします。           (法務大臣退室) ○加藤司法法制課長 ここで、報道関係者が退室しますので、しばらくお待ちください。           (報道関係者退室) ○加藤司法法制課長 まず、事務局から会議に当たっての留意事項を御案内いたします。   ウェブ会議システムにより御出席の委員におかれましては、御出席されていることを確認させていただくため、会議中は常にカメラをオンにしていただきますようお願いいたします。   また、本日の会議は、ペーパーレス化により、タブレット端末による資料配布となっております。操作方法等について御不明な点がある場合には、事務局に適宜お知らせください。   それでは、井田会長、よろしくお願いいたします。 ○井田会長 井田でございます。本日はよろしくお願いいたします。   審議に先立ってお諮りしたいことがございます。  今回の議題の内容に鑑みて、大谷官房参事官、櫻庭民事第一課長、脇村参事官に関係官として審議に参加していただきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。   ありがとうございます。それでは、大谷官房参事官、櫻庭民事第一課長、脇村参事官に関係官として審議に参加していただくことといたします。   それでは、本日の審議に入りたいと思います。   先ほどの法務大臣挨拶にもございましたように、本日は議題が二つございます。  まず、「犯罪収益等の没収に関する諮問第123号」について、御審議をお願いしたいと存じます。   はじめに、「刑事法(犯罪収益等の没収関係)部会」における審議の経過及び結果につきまして、同部会の部会長を務められました今井猛嘉臨時委員から御報告いただきたいと存じます。   では、今井部会長、報告者席まで御移動をお願いいたします。   それでは、お願いいたします。 ○今井部会長 刑事法(犯罪収益等の没収関係)部会の部会長の今井でございます。私から、同部会における審議の経過及び結果を御報告いたします。   諮問第123号は、近年における犯罪収益等の実情等に鑑み、犯罪収益等として没収することができる財産の範囲を早急に改める必要があると思われるので、要綱(骨子)についての意見を求めるというものでした。   去る6月27日に開催されました法制審議会第195回会議において、この諮問については、まず、部会において検討させる旨の決定がなされ、この決定を受けて、刑事法(犯罪収益等の没収関係)部会が設けられました。同部会においては、2回にわたり、諮問に付された要綱(骨子)について集中的に議論した結果、出席者の全員賛成により、配布資料の刑1として本日お配りしている要綱(骨子)のとおり法整備を行うことが相当である、との結論に達しました。   部会における審議の概要について御報告いたします。  まず、要綱(骨子)についての議論の前提として、犯罪収益が新たな形態の財産として取得・保有・移転された事例、犯罪収益等の没収・追徴に関する近時の裁判例の概要、FATF、これはファイナンシャル・アクション・タスク・フォース、あるいは金融活動作業部会と言いますが、FATFによる対日審査報告書(2021年8月)の概要、そして諸外国における犯罪収益等の没収等に関する法制の概要を共有しました。   その上で、組織的犯罪処罰法第13条第1項における犯罪収益等として没収可能な財産を要綱(骨子)のとおり拡大することの必要性や相当性について議論を行いましたところ、第1に、近年、情報通信技術の進展や普及はめざましく、財産の取得・保有・移転についても、暗号資産や電子マネーをはじめとする新たな形態で行われるなどしていることや、平成11年の組織的犯罪処罰法制定後に被害回復給付金支給制度の導入や犯罪収益の前提犯罪の範囲が拡大されるなどの法改正が行われたことなどを踏まえると、組織的犯罪処罰法制定時と比較して、没収により国家が犯罪収益を剝奪することの重要性が増しているとの御意見、第2に、現在の社会・経済情勢や犯罪情勢に鑑みると、犯罪収益が暗号資産をはじめとするこれまでとは異なる形態の財産によって取得・保有・移転される事案が今後ますます増えることが想定され、こうした財産の剝奪を徹底するために、これを確実に没収することができるものとする必要性が高まっているとの御意見、第3に、デジタル技術を用いた暗号資産等の財産は、容易に国境をまたいで保有・移転されるという特性があるところ、こうした財産を没収可能とすることは、国際的に見て望ましい法整備といえる上、諸外国から、剝奪の共助要請があった場合に、追徴ではなく、犯罪収益自体を没収するという対応が可能となることも重要な意義を有しているといった御意見が述べられ、没収可能な財産の範囲を拡大する必要があることに異論は見られませんでした。   さらに、没収可能な財産について、特に種類を限定せずに「財産」一般とすることについては、第1に、組織的犯罪処罰法の制定以降も、暗号資産などの新たな形態の財産が生まれ、普及したように、今後も、現時点では具体化していない財産が生まれ、犯罪収益として取得・保有・移転され得ることは容易に想像でき、将来的な情報通信技術の進展や社会・経済情勢の変化により生じ得るあらゆる形態の財産である犯罪収益に対応できる規定を整備する必要性があること、第2に、現行の組織的犯罪処罰法第13条第4項や、麻薬特例法第11条第1項などの規定においては、既に没収対象の財産を限定せずに「財産」一般としていることなどから相当である旨の御意見が述べられまして、これと異なる御意見は示されず、議論の全体を通じて、要綱(骨子)のとおり没収可能な財産の範囲を拡大することが必要かつ相当であることに異論は見られませんでした。   なお、本諮問は、犯罪収益等として没収可能な財産の範囲を改めるという刑事実体法の改正に関するものでしたが、議論の中では、今後の課題として、暗号資産などの新たな形態の財産の没収を確実にするための手続法の整備についても検討すべきである、また、没収された財産による被害回復が量刑において適切に反映されるような制度についても議論してもらいたいといった御意見が述べられました。   こうした議論を経た上で、諮問に付された要綱(骨子)について採決に付しましたところ、先ほども申し上げましたように、部会長である私を除く出席委員7名全員の賛成により、要綱(骨子)のとおりの法整備を行うべきであるとの結論に至りました。   以上のような審議に基づき、諮問第123号については、お手元の要綱(骨子)のとおり、法整備を行うことが相当である旨の決定がなされたものです。   当部会における審議の経過及び結果の御報告は、以上です。よろしくお願いいたします。 ○井田会長 今井部会長、御報告ありがとうございました。   それでは、ただいまの御報告及び要綱の全般的な点につきまして、御質問及び御意見を承りたいと思います。  御質問と御意見を分けまして、まず、御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。   特にございませんか。それでは、続いて御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。   よろしいでしょうか。   部会長の御説明が大変周到で分かりやすいものだったということで、委員の皆様には御理解いただけたのだと思います。   それでは、特に御質問、御意見はないようでございますので、原案につきまして採決に移りたいと存じますが、御異議ございますでしょうか。   よろしいですか。特に御異議もないようですので、そのように取り計らわせていただきます。   諮問第123号につきまして、「刑事法(犯罪収益等の没収関係)部会」から報告されました要綱のとおり答申することに賛成の方は、挙手をお願いします。  ウェブ会議システムにより出席されている委員につきましては、賛成の方は画面上で見えるように挙手していただくか、あるいは挙手機能ボタンを押していただくようにお願いします。           (賛成者挙手) ○井田会長 では、事務局において票読みをお願いします。   手を下ろして結構でございます。   反対の方は、挙手をお願いいたします。           (反対者挙手) ○井田会長 ありがとうございます。   それでは、採決の結果をお願いします。 ○加藤司法法制課長 採決の結果を御報告申し上げます。   議長及び部会長を除くただいまの出席委員数は16名でございますところ、全ての委員が御賛成ということでございました。 ○井田会長 ありがとうございます。   採決の結果、全員賛成でございましたので、「刑事法(犯罪収益等の没収関係)部会」から報告されました要綱は、原案どおり議決されたものと認めます。   議決されました要綱につきましては、会議終了後、法務大臣に対して答申することといたします。   今井部会長におかれましては、短期間で様々な論点につきまして、周到な調査審議をしていただきまして、ありがとうございました。   では、次に、「区分所有法制の見直しに関する諮問124号」について、御審議をお願いいたしたいと存じます。   はじめに、事務当局に諮問事項の朗読をお願いいたします。 ○大谷関係官 民事局官房参事官の大谷でございます。諮問事項を朗読させていただきます。   諮問第124号。老朽化した区分所有建物の増加等の近年の社会情勢に鑑み、区分所有建物の管理の円滑化及び建替えの実施を始めとする区分所有建物の再生の円滑化を図るとともに、今後想定される大規模な災害に備え、大規模な災害により重大な被害を受けた区分所有建物の再生の円滑化を図る等の観点から、区分所有法制の見直しを行う必要があると思われるので、その要綱を示されたい。   以上でございます。 ○井田会長 続きまして、この諮問の内容、諮問に至る経緯及びその理由につきまして、事務当局から説明をお願いいたします。 ○金子幹事 民事局長の金子でございます。諮問第124号につきまして、お手元にお配りいたしました「区分所有法制の見直し」という資料に沿って御説明申し上げます。   資料の1枚目を御覧ください。右上のグラフにございますとおり、今後、老朽化したマンション等の区分所有建物は急増する見込みですが、建物の老朽化と区分所有者の高齢化という、いわゆる二つの老いを背景に、相続等を契機として区分所有建物の所有者不明化や、区分所有者の非居住化が進行しています。現行法では、不明区分所有者や無関心な区分所有者は、決議において反対者と扱われるため、決議が成立しにくいという問題があります。特に、建替え等の区分所有建物の再生につきましては、決議要件が厳格であるため、意思決定が更に難しくなります。そのため、このままでは区分所有建物の管理不全化を招き、再生も困難になっていくとの指摘があります。また、被災して大きなダメージを受けた区分所有建物の再生についても、現行法では決議要件が厳しいことなどから円滑な復興が難しいとの指摘があります。そのため、区分所有建物の管理、そして再生の円滑化、更には被災建物の再生の円滑化に向けた区分所有法制の見直しは喫緊の課題となっています。   資料下段のとおり、政府の基本方針では、「今年度中できるだけ速やかに論点整理を取りまとめる」とされ、法務省においても、研究会に参加して検討を進めてきた結果、今月中には研究会において論点整理が取りまとめられる予定です。その成果を踏まえ、本日、法務大臣から法制審議会に対し、区分所有法制の見直しについて諮問させていただいたところです。   続いて、資料の2枚目を御覧ください。区分所有建物の管理の円滑化を図る方策につきましては、まず、左上のとおり、集会の決議一般を円滑化するための仕組みを検討する必要があるものと考えられます。先ほど御説明いたしましたとおり、現行法では、所在等が不明な所有者や建物の管理に無関心な所有者は、集会の決議において、反対者と同様に取り扱われ、意欲のある者による管理が阻害されているとの指摘があります。そこで、公的機関の関与の下で所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する仕組みや、集会に出席した者の多数決による決議を可能とする仕組みについて、検討する必要があると考えられます。   資料の右上のとおり、区分所有建物の管理に特化した財産管理制度を検討する必要があるものと考えられます。昨年の民法改正において、所有者不明や管理不全の建物の管理に特化した財産管理制度が創設されましたが、区分所有建物については、区分所有法制の在り方の観点から別途の検討が必要であるとして、これらの制度の適用対象から外されたところでございます。しかし、所在等不明区分所有者の専有部分が適切に管理されず、建物の管理に支障が生じるという問題や、専有部分や共用部分が管理されず危険な状態になるという問題は、現行の区分所有法制では対応が困難であるとの指摘があります。そこで、所有者不明の専有部分の管理や、管理不全の区分所有建物の管理に特化した新たな財産管理制度について検討する必要があると考えられます。   また、資料左下のとおり、共用部分の変更決議を円滑化するための仕組みを検討する必要があるものと考えられます。共用部分の変更決議は、現行法では4分の3の賛成が必要ですが、要件を満たすことが容易でないとの指摘があります。そこで、多数決割合を単純に引き下げる案や、外壁崩落のおそれなど一定の客観的要件を満たした場合には多数決割合を引き下げる案等について、少数反対者の利益にも留意しつつ検討する必要があると考えられます。   その他、資料の右下のとおり、共用部分について建築瑕疵などがあるために各区分所有者が損害賠償請求権等を取得した後に、一部の区分所有権が転売された場合であっても、管理者が円滑に請求権を代理して行使できる仕組みや、区分所有建物の管理に関して区分所有者が負うべき責務についても検討する必要があると考えられます。   続いて、資料3枚目を御覧ください。区分所有建物の再生の円滑化を図る方策については、まず、資料左上のとおり、建替えを円滑化するための仕組みを検討する必要があるものと考えられます。建替え決議は、現行法では5分の4の賛成が必要ですが、要件を満たすことが容易でないとの指摘があります。そこで、多数決割合を単純に引き下げる案や、耐震性不足など一定の客観的要件を満たした場合には多数決割合を引き下げる案などについて、少数反対者の利益にも留意しつつ検討する必要があると考えられます。また、専有部分に賃借権等が設定されていますと、建替え決議が成立した場合でも賃借権が消滅しないため、建替え工事の円滑な実施が阻害されているとの指摘があります。そこで、建替え決議がされた場合に、一定の手続を経て賃借権を消滅させる仕組みについて、賃借人の利益にも留意しつつ検討する必要があると考えられます。   次に、資料右上のとおり、区分所有関係の解消・再生のための新たな仕組みを検討する必要があるものと考えられます。現行法では、建物・敷地一括売却や建物の取壊しを行うためには、区分所有者全員の同意が必要です。また、既存躯体を維持しながら建物全体を更新し、実質的な建替えを実現する一棟リノベーション工事を行うためにも、全員同意が必要ですが、いずれについても事実上困難であるとの指摘があります。そこで、多数決による建物・敷地一括売却や建物の取壊しを可能とする仕組みや、多数決による一棟リノベーション工事を可能とする仕組みについて、少数反対者の利益にも留意しつつ検討する必要があると考えられます。   次に、資料下段のとおり、被災区分所有建物の再生の円滑化を図る方策を検討する必要があるものと考えられます。まず、現行法では、被災区分所有建物の建替え決議等の多数決要件は一律に5分の4とされていますが、これを満たすことは容易でなく、迅速な復興を阻害しているとの指摘があります。そこで、被災区分所有建物の再生に関する決議の多数決割合の緩和について、少数反対者の利益にも留意しつつ検討する必要があると考えられます。   また、現行法では、被災により大規模一部滅失をした区分所有建物の建物敷地売却決議等の決議可能期間が1年以内とされているのは短すぎるとの指摘があります。そこで、被災地の迅速復興を促進するという制度の趣旨を踏まえつつ、決議可能期間の延長を検討する必要があると考えられます。   そのほか、団地内建物の建替え要件の緩和や、団地関係の解消・再生のための新たな仕組み等についても併せて検討する必要があると考えられます。   以上、御検討いただきたい項目は多岐にわたりますが、冒頭に申し上げましたとおり、今回の諮問は、区分所有建物の管理の円滑化、再生の円滑化、そして、被災区分所有建物の再生の円滑化の三つの観点から、区分所有法制の見直しをすることについて法制審議会の御審議を求めるものでございます。   諮問第124号についての御説明は以上のとおりでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○井田会長 ありがとうございました。   それでは、ただいま御説明のありました諮問第124号につきまして、まず、御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。   特によろしいですか。それでしたら、続いて御意見がございましたら、是非承りたいと思います。   よろしいでしょうか。何か御質問、御意見はございますでしょうか。   ないようですので、それでしたら、ここで諮問第124号の審議の進め方について、御意見がございましたら承りたいと思います。 ○高田委員 諮問第124号につきましては、専門的、技術的な事項が相当含まれておりますので、通例に倣い、新たに部会を設置し、調査審議いただき、その結果の報告を受けて、更に総会で審議することとしてはいかがでしょうか。 ○井田会長 ただいま高田委員から、部会設置等の御提案がございましたが、これにつきまして御意見はございますか。   特に御異議もないようですので、諮問第124号につきましては、新たに部会を設けて調査審議することとします。   次に、新たに設置する部会に属すべき総会委員、臨時委員及び幹事に関してですが、これらにつきましては、会長に御一任いただきたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。   ありがとうございます。それでは、この点は会長に御一任願うことといたします。   次に、部会の名称でございますが、諮問事項との関連から、この諮問第124号につきましては、「区分所有法制部会」という名称にいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   特に御異議もないようですので、そのように取り計らわせていただきます。   ほかに、部会における審議の進め方を含め、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、諮問第124号につきましては、「区分所有法制部会」で御審議いただくこととし、部会の御審議に基づいて、総会において更に御審議を願うことといたしたいと存じます。   本日の議題は以上ですが、引き続き、現在調査審議中の部会から、その審議状況等を報告していただきたいと思います。   本日は、戸籍法部会の部会長である窪田充見臨時委員、そして、民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会の部会長である山本和彦臨時委員に、窪田委員につきましてはウェブ参加で、また、山本委員につきましては会場にお越しいただいておりますので、各部会における審議状況等を御報告していただき、御報告後、委員の皆様から御質問等をお伺いいたしたいと存じます。   それでは、まず窪田部会長、戸籍法部会の御報告をお願いいたします。 ○窪田部会長 戸籍法部会の部会長を務めております窪田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。   戸籍法部会におけるこれまでの審議状況等について、ここで御報告をさせていただきます。お手元の配布資料民2-1「戸籍法等の改正に関する中間試案」を御覧いただきながら、また、パブリックコメントの結果については民2-2「戸籍法等の改正に関する中間試案の概要及び中間試案に係る意見の概要」を御覧いただきながら、お聞きいただければと存じます。   戸籍法においては、氏名を戸籍の記載事項とする規定はございますが、氏名の読み仮名に関する規定は置かれていません。氏名の読み仮名の法制化については、これまで昭和50年及び56年の民事行政審議会、それから、平成29年に法務省内に設置された戸籍制度に関する研究会においても検討がされましたが、様々な問題や課題があるとして見送られたという経緯がございます。   しかし、令和2年12月25日に閣議決定されたデジタル・ガバメント実行計画において、マイナンバーカードに氏名をローマ字表記できるよう、迅速に戸籍における読み仮名の法制化を図ることとされました。また、昨年5月19日に交付されたデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律の附則第73条におきましても、行政手続等において読み仮名を利用して当該個人を識別することができるようにするため、この法律の公布後1年以内を目途として、読み仮名を戸籍の記載事項とすることについて検討を行うこととされたところでございます。   これを受けて、昨年9月、法制審議会第191回会議におきまして、法務大臣から、戸籍法制の見直しに関する諮問が行われ、その調査審議のために戸籍法部会が設置されました。この部会は、令和3年11月からこれまでの間、約1か月に1回のペースで合計7回の会議を開催いたしました。この間、本年5月17日の第6回部会会議におきまして、戸籍法の改正に関する中間試案を取りまとめ、本年5月27日から6月27日までの間、事務当局においてパブリックコメントに付す手続を行いました。パブリックコメントの手続では142件の意見が寄せられております。部会においては本年8月以降、パブリックコメントの結果を踏まえ、更に調査審議を行っており、本日はこれまでの調査審議の内容について、中間試案とパブリックコメントの結果を中心に御紹介をさせていただきたいと思います。   中間試案を御覧いただきますと、第1の氏名を平仮名又は片仮名で表記したもの、これについては差し当たり、読み仮名と申し上げることにいたしますが、この読み仮名を戸籍の記載事項とすることについて、そして、第2の読み仮名の収集に関する事項について、そして、第3の読み仮名の変更に関する事項についての三つの項目に分かれております。   中間試案の1ページの戸籍の記載事項化では、戸籍に記載する読み仮名について平仮名とするか片仮名とするか、あるいは氏名の読み仮名として許容される範囲や氏名の漢字の音訓や字義と読み仮名との関連性について、どこまで考慮するかといった論点について掲げております。   この点についてパブリックコメントでは、読み仮名は平仮名よりも片仮名とする意見が多かったところでございます。また、読み仮名の許容性及び関連性については、甲、乙、丙という三つの案のうち、最も許容性の高い案である甲案、戸籍法には規定を設けず、権利濫用の法理、公序良俗の法理等の法の一般原則によるとする案に賛成する意見が最も多かったところです。しかし、寄せられた意見の中で、実は、最も多かったのは、中間試案では掲げられていない、文字の音訓又は慣用以外は認めないとするものでございました。   次に、中間試案2ページ目の第2、読み仮名の収集に関する事項について、新たに生まれたお子さんなどの初めて戸籍に記載する方については、出生届や帰化届などの届書の記載事項とすることとし、既に生まれており戸籍に記載されている方については、御本人から市区町村に氏名の読み仮名の申出をしなければならないこととし、一定期間内に申出がない場合には、本籍地の市区町村長が職権で読み仮名を記載することとする案を掲げております。   この点につきましてパブリックコメントでは、初めて戸籍に記載する方について、届書の記載事項とする案に賛成する意見が多く寄せられております。他方、既に戸籍に記載されている方に関する案については、賛成意見と反対意見が同じ数寄せられております。また、申出に当たってはマイナポータルを活用すべきであるとする意見や、申出をしない場合に過料を科すことに反対する意見、市区町村長が職権で戸籍に読み仮名を記載する場合には、その前提として、市区町村が保有する読み仮名の情報を国民に事前に通知すべきであるとする意見、あるいは、申出によらずに記載される情報について正確性が担保されないのではないかといった様々な意見が寄せられたところでございます。   次に、中間試案2ページ目の後半部分、第3の読み仮名の変更に関する事項について、氏又は名の変更は生じないが読み仮名のみを変更する場合と、氏又は名の変更を伴う場合について、それぞれどのような手続で変更を認めるかについて、掲げております。   この点につきましてパブリックコメントでは、読み仮名のみを変更する場合には原則として家庭裁判所の許可を要することとするものの、成年に達したときから1年以内に届け出るときなどについては家庭裁判所の許可を得ないで変更することができるとする乙案に賛成する意見が比較的多く寄せられていたところです。また、氏又は名の変更を伴う場合については、現行の戸籍法の規定に基づく氏名の変更とともに、読み仮名についても家庭裁判所の許可を得て変更することができるとする案について、賛成する意見が多く寄せられたところでございます。   先ほど申し上げましたとおり、幾つかの箇所でなお意見が分かれている状況ではございますが、パブリックコメントの結果も踏まえ、また、皆様からの御意見を十分に伺いながら、引き続き調査審議を継続してまいりたいと考えております。   私からの御報告は以上でございます。 ○井田会長 窪田部会長、どうもありがとうございました。   ただいまの窪田部会長からの審議経過報告につきまして、御質問、御意見がございましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。   特にございませんでしょうか。   特にないようでございますので、窪田部会長、ありがとうございました。  引き続き、部会において御審議のほどをよろしくお願いいたします。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。 ○井田会長 続きまして、山本部会長、報告者席まで御移動をお願いいたします。   では、山本部会長、民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会の御報告をお願いいたします。 ○山本部会長 部会長を務めております山本でございます。よろしくお願いいたします。   それでは、まず最初に、配布資料について御説明をいたします。お手元には民3-1「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案」と題する資料、それから民3-2、これがカラー刷りの資料ということになります。それから、民3-3が中間試案の補足説明であります。それから、民3-4が先頃国会で成立しました民事訴訟法等の一部を改正する法律の参照条文でありますが、この4点をお配りしております。本日は時間の都合もございますので、このうち、民3-2のカラー刷りの資料を用いまして、当部会におけるこれまでの調査審議の状況及び中間試案の概要について御報告をさせていただきます。   まず、審議状況についてであります。民3-2の1ページを御覧いただければと思います。この1ページの右下の方にありますが、民事訴訟手続につきましては、本年5月18日に民事訴訟法等の一部を改正する法律が成立しました。そこではインターネットを利用した申立ての提出や送達が可能となり、また、口頭弁論の期日等にウェブ会議での参加が可能となっておりますし、さらに、事件記録を原則電子化し、当事者はインターネットを利用してその閲覧等をすることが可能となっております。   他方で、民事手続としましても、民事訴訟以外に様々なものがございます。民事、家事の手続で、この資料の一番上のところを御覧いただきますと、民事執行、民事保全、倒産手続、人事訴訟、家事事件、その他の非訟事件等々であります。当部会はこれらの手続を対象としているわけでありますが、これらの手続では現状、申立ては書面の提出によることになっておりますし、また、電話会議、ウェブ会議での参加が認められていない手続の期日もあります。さらに、記録は書面で管理されており、閲覧は裁判所でしなければならないという状況にあります。   このような状況を踏まえて、本年2月、法制審議会第194回会議において、法務大臣より、民事執行手続、民事保全手続、倒産手続、家事事件手続といった民事、家事関係の裁判手続の見直しに関する諮問が行われ、その調査審議のために、この民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会が設置されたところであります。   この部会では、本年4月から1か月におおむね2回程度のペースで会議を開催して調査審議を進め、本年8月5日に開催された第8回会議において中間試案の取りまとめを行いました。そして、8月24日から中間試案についてのパブリックコメントの手続が実施されており、この手続は10月24日まで実施されることとされております。   そこで、次に、中間試案の概要について御報告をいたします。今回の中間試案で取り扱っている項目は多岐にわたりますので、ここではそのうち主要な幾つかの点に絞って御報告をいたしたいと思います。資料1ページの一番下側に記載しておりますが、この部会では、民事訴訟のIT化の検討成果を踏まえつつ、民事執行等の各手続の特性を踏まえた議論をしており、①インターネットを利用した申立て等の仕組み、②ウェブ会議を利用する方法による参加を認めるための仕組み、③事件記録を電子化し、その閲覧等をするための仕組み、④その他ということでありますが、上の三つの柱に沿って御説明をしていきたいと思います。   資料の2ページを御覧いただきますと、2ページの上の方が、インターネットを利用した申立て等の仕組みということであります。民事執行等の各手続におきましては現在、裁判所に対する申立ては、裁判所に申立書を持参し又は郵送する方法によって行われておりますし、裁判所から当事者に対する裁判書、判決等の送達方法は、書面の郵送等によって行われております。これを中間試案では、インターネットを利用して裁判所に申立てや資料の提出、さらに、裁判所からの送達を可能とすることが提案されております。   また、このような資料の提出や送達について、一般的にはインターネットを利用して行うことを強制するものではありませんが、本年5月に成立しました改正民事訴訟法では、弁護士等の委任を受けた訴訟代理人はインターネットを利用する方法が義務付けられておりまして、民事執行等の各手続におきましても、民事訴訟同様、弁護士等、委任を受けた代理人についてはインターネットの利用を義務付けることが提案されております。さらに、破産手続における破産管財人や家事事件における成年後見人など、裁判所が選任をする者についても、インターネットを利用する方法を義務付けるかどうかということが議論をされておりまして、この点については中間試案で、義務付ける案と、そのような義務付けをしない案とが併記されているところであります。   次に、2ページの下半分のところで、ウェブ会議を利用する方法による参加を認めるための仕組み等という部分であります。民事執行等の各手続におきましては、必ずしも民事訴訟にはないような期日、例えば民事執行手続における売却決定期日や破産手続における債権者集会期日等がありますが、これらについて電話会議等の利用を認める規定は、現在ありません。また、非訟事件の手続等では、電話会議等を利用して期日を行う要件として、当事者が遠隔地に居住していることその他相当と認めるときとの要件が規定されております。   中間試案では、民事執行等の各手続において民事訴訟手続にはない期日についても電話会議等を利用して期日に参加することを可能とし、また、電話会議等を利用して期日を行うために遠隔地要件が規定されているものについては、その要件を削除することなどが提案されております。その上で、一部の手続の期日、例えば民事執行の売却決定期日などについては、ウェブ会議と電話会議の双方の利用を認める案と、ウェブ会議、つまり顔が映る場合だけの利用を認め、電話会議の利用を認めないとする案とが併記されているところであります。   次に、資料3ページの上段ですが、事件記録を電子化し、その閲覧等をするための仕組みについてであります。民事執行等の各手続におきましては、提出された申立書などの書面を紙媒体のまま保管し、また、裁判書なども書面で作成して紙媒体のまま保管しております。そして、当事者等による記録の閲覧は、裁判所まで出向いて、紙媒体で保管されている記録を閲覧することとされております。   これについて中間試案では、当事者等から提出された電子データはそのまま保存することとし、当事者等から提出された書面についても、原則として裁判所が電子化することが提案されておりますが、なお、事件の特性に応じて、提出された書面をそのまま保存するか否かについて、更に検討することとされております。また、その右側の②ですが、裁判所等が作成する裁判書や調書は電子データで作成し、保存することが提案されております。③の事件記録の閲覧等でありますけれども、これについては裁判所のサーバに保存された電子データにアクセスして行うことが提案されており、自宅などの裁判所の外から自己の端末を利用して随時の閲覧等を認める範囲等については、更に検討することとされております。その下、④その他として、例えば、現在民事執行の申立ての際に判決書の正本を提出することが求められている点について、執行裁判所が判決等を作成した裁判所の記録にアクセスして判決等の内容を自ら確認することにより、判決書の正本の提出を必要としないとすること、それによって利用者の便宜を図ることなども提案されているところであります。   以上が中間試案の概要でございます。部会といたしましては、今後この中間試案に対するパブリックコメントの結果等も踏まえまして、更に調査審議を尽くしてまいりたいと考えております。   私からの御報告は以上でございます。 ○井田会長 どうもありがとうございました。   ただいまの山本部会長からの審議経過報告について、御質問、御意見がございましたら、御発言をお願いいたします。   ございませんか。よろしいでしょうか。それでは、御質問、御意見もないようでございますので、山本部会長、どうもありがとうございました。  引き続き、部会において調査審議のほど、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。   これで本日の予定は終了となりますが、ほかにこの機会に御発言いただけることがございましたら、是非お願いいたしたいと思います。何かございますか。   よろしいでしょうか。それでしたら、御発言もないようでございますので、本日はこれで終了といたします。   本日の会議における議事録の公開方法につきましては、審議の内容等に鑑みて、私としましては、議事録の発言者名を全て明らかにした上で公開することといたしたいと思いますが、いかがでしょうか。   よろしいでしょうか。それでは、本日の会議における議事録につきましては、議事録の発言者名を全て明らかにして公開することといたします。   なお、本日の会議の内容につきましては、後日御発言いただいた委員等の皆様に議事録案をメール等にて送付させていただき、御発言の内容を確認していただいた上で法務省のウェブサイトに公開いたしたいと思います。   最後に、事務局から何か事務連絡がございましたら、お願いいたします。 ○竹内関係官 次回の会議の開催予定について、御案内申し上げます。   法制審議会は、2月及び9月に開催するのが通例となっております。次回の開催につきましても、現在のところは来年2月に御審議をお願いする予定でございますが、具体的な日程につきましては後日改めて御相談させていただきたいと存じます。委員、幹事の皆様方におかれましては御多忙中とは存じますが、今後の御予定について御配意いただきますようお願い申し上げます。 ○井田会長 ありがとうございました。   それでは、これで本日の会議を終了いたします。   本日はお忙しいところお集まりいただき、円滑な議事進行に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。 -了-