法制審議会 家族法制部会 第19回会議 議事録 第1 日 時  令和4年8月30日(火)  自 午後1時31分                       至 午後3時56分 第2 場 所  法務省第一会議室 第3 議 題  家族法制の見直しに関する中間試案の取りまとめに向けた議論 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会家族法制部会の第19回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。本日も前回までと同様、ウェブ会議の方法を併用した開催となりますので、そちらの方もよろしくお願いを申し上げます。   それから、前回からの変更といたしまして、法務省の松井審議官が委員に、最高裁判所の向井課長が幹事に任命され、また、外務省の鎌田補佐が関係官として御出席されております。簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。松井委員、向井幹事、それから鎌田関係官という順番でお願いいたします。 ○松井委員 法務省の官房審議官となりました、松井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大村部会長 よろしくお願いいたします。 ○向井幹事 最高裁家庭局の向井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大村部会長 よろしくお願いいたします。 ○鎌田関係官 外務省ハーグ条約室課長補佐、鎌田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大村部会長 よろしくお願いいたします。なお、内閣府の田中課長には、前回は任命手続の関係で関係官としての御出席を頂きましたけれども、その後、幹事に任命されましたので、今回は幹事として御出席を頂いております。   それでは、続きまして、本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。事務当局の方からお願いいたします。 ○北村幹事 お手元の資料について御確認いただきたいと思います。今回、事務当局から部会資料19−1と部会資料19−2をお配りさせていただきました。   このうちの部会資料19−1は、これまで御議論いただいた内容を踏まえまして、部会資料18−1を修正した中間試案の案ということでございます。本日もこの内容について御議論いただければと思ってございます。これまでと同様に、部会資料19−1に示された規律の内容そのものについての賛否のみではなく、国民一般に意見募集することの賛否という観点でも御指摘、御議論いただければと思います。なお、分かりやすさの観点から、部会資料18−1から部会資料19−1への修正点を見え消しの方法で記載している資料もお配りしております。この資料自体について御議論いただきたいという趣旨ではございませんが、適宜御参照いただければ、また、後ほどの説明でもこちらも活用して御説明させていただけたらと思います。   部会資料19−2は、部会資料19−1の内容についての補足説明を事務当局において作成したものになります。この資料のうち明朝体で記載されている部分は、本部会における取りまとめの対象となるものではなく、飽くまでも部会資料19−1について御議論いただくための参考としていただく趣旨で作成した補足説明になります。   さらに、最高裁判所から資料の御提出がありましたので、その資料も配布させていただいております。この資料の内容については、本日の会議の最後に最高裁判所から御説明いただく予定です。   資料の説明は以上です。今回もウェブ会議を併用していることから、御発言に当たっては冒頭でお名のりいただきますようお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは、本日の審議に入りたいと思います。   本日も、事務当局で作成を頂いた中間試案の案を御確認いただきまして、中間試案の取りまとめに向けた御議論をお願いしたいと思っております。まず、事務当局の方から部会資料19−1などにつきまして、前回の資料からの変更点を中心にして簡単な説明をお願いしたいと思っております。あわせて、本日の議論の進め方などについても事務当局の方から御説明を頂ければと思います。 ○北村幹事 事務当局でございます。まずは、資料説明19−1の内容について簡単に御説明させていただいた上で、本日の進め方等についての事務当局からの補足的な説明をさせていただければと思います。   お手元にございます部会資料19−1と、御参考用の資料を見ていただければと思います。18−1から大きく変更しているところはそうございません。まず、1ページの第1の2につきましては、未成年に限られない部分がありますので、見出しの部分を修正しました。2ページの第2のところにつきましては、部会での前回の御議論を踏まえて(注)を付けさせていただきました。2の親権者の選択の要件については、甲@案、甲A案につきましても、審判に限られないということもありますので、裁判と書いています。3(1)のA案、B案につきましても、分かりやすくする趣旨での修正をしております。(2)につきましても、できるだけ分かりやすくということで御指摘いただいて、十分反映されているわけではないという御意見があるかもしれませんが、修正させていただきました。続いて、4ページの(3)のところにつきまして、アのところ、同様に親権の中身をもう少し書き下したということになります。(4)については、居所の指定だけではなく変更もあるのではないかという御意見を踏まえて、修正いたしました。続いて、(注1)の部分については、監護者の定めをしないこと、というところが分かりにくいということもありましたので、その点をもう少し分かりやすく分類して記載したというものになります。   第3の1、離婚時の情報提供に関する規律のところにつきましては、(注2)を付けさせていただいたというものになります。2(1)の甲@については、面会交流という言葉について様々な意見等ございますので、ここでは親子交流とさせていただいております。後の方でも同様でございます。そして、(注1)のところも若干追記をしております。こちらについては、前回御指摘いただいた内容を追加させていただいたというものになります。続いて、3、離婚等以外の場面における監護者の定めについても、婚姻関係が破綻したという要件でよいのかという御指摘があったところでございますので、その点を修正させていただいてございます。(注2)についても、前回の御議論を踏まえて追記したというものでございます。4の家庭裁判所が定める場合の考慮要素につきましても、(注)のところを若干の修正をしてございます。この辺りも前回の御議論を踏まえての修正というものになります。   3の親子交流に関する裁判手続の見直しのところも、(注1)のところでは、本文のような新たな規律を設けるのではなく現行の規律を維持すべきとの考え方ということを付け加えさせていただいてございます。   第6の養子制度に関する規律の見直しについては若干、修正点が多いように見えますけれども、基本的には場所を移動させたというものになります。修正点といたしましては、2の未成年養子縁組に関するその他の成立要件の下にあります(注)の部分について、この部会の中で挙げていただいた御意見を(注)の方に記載しているというものになります。   さらに、一番最後ですけれども、こういう形でよいのかどうかということについても御意見があろうかと思いますけれども、試案の形でお示しする際に関係する条文を挙げさせていただいたというものになります。   内容につきましては以上でございます。   そして、本日の議論、内容についての御議論を頂くこととともに、進行についても少し補足的に御説明をさせていただければと思います。本日もこの中間試案の取りまとめに向けた御議論をお願いしたいと考えているところではありますけれども、今までこの部会で議論いただいておりましたたたき台も含め、それらに対して様々な御意見があるところだと承知してございます。また、最近の報道でもいろいろな御議論、御指摘があったということもございました。一般論として申し上げれば、この中間試案を取りまとめるかどうかであるとか、どのような内容にするかといったところは、正にこの部会の委員、幹事の方々の御議論によって決まるということになりますし、中間試案の取りまとめに先立って、どこか政党の了承を得なければならないという規定もございません。   もっとも、この部会は家族法制という国民の多くの方に関わる問題を議論していただいておりますけれども、家族法制の在り方については非常に国民の皆さんの関心も高いところでございますので、様々な意見に耳を傾けながら、この部会の中で出る意見のほかにも様々な御意見を頂いておりますので、そういったものも踏まえ御議論いただくことも重要かと思います。こういった様々な御意見を踏まえてしっかりと議論を進めるという観点から、中間試案の取りまとめのタイミングについても様々な御意見があろうかと思います。本日の会議では、委員の皆様から頂く御意見の内容も踏まえながら、中間試案の取りまとめの時期や議論の進め方について御相談させていただきたいと考えております。そこで、本日は中間試案や補足説明の内容面だけでなく、その取りまとめの時期や議論の進め方も含めて御議論いただければと思います。   事務当局からの、まずは説明は以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは、委員、幹事の皆様の御意見を伺いたいと思います。ただいま事務当局の方から御説明がありましたけれども、本来であれば本日の会議で中間試案の取りまとめをするということで準備が進められてきたところでございます。先ほど内容について御説明がありましたが、各委員・幹事から様々な観点に立った御意見を賜りつつ、異なる意見を擦り合わせてここまで来たというのが現在の状況であると認識しております。本日も、まず、会議の前半部分では、先ほど御説明がありました部会資料19−1に沿った形で、中間試案の内容について御議論を頂きたいと考えております。   他方、先ほど事務当局からこれも御説明がございましたが、本日の会議で中間試案の取りまとめをするかどうかという議事の進め方につきましても、様々な御意見があろうかと思いますので、会議の前半部分では、あわせて中間試案の取りまとめのタイミングなどについても御意見があれば、伺いたいと思っております。  その上で、本日の会議の後半部分では、部会資料19−2を参考にしつつ、補足説明レベルの御意見を頂きたいと考えております。   それではまず、部会資料19−1に沿った形での御意見を頂きたいと思います。御意見のある方はお願いをいたします。 ○水野委員 御説明ありがとうございました。水野でございます。中間試案の時期についてですけれども、法制審のこの部会は、民法という基幹となる法の改正について専門的に集中して議論する場だと思っております。そして、社会へのいろいろな影響について情報を収集したり、慎重に討議する必要はありますけれども、そのときの政治家の意見によっていちいち左右されるべきものではないと思います。中間試案を出した後の国民各層からのヒアリングとか、あるいは最終的な答申を受けての国会の判断があることはもちろんですけれども、中間試案の取りまとめは飽くまでもこの部会の中で決めることであって、政治家の意見によって左右されるものではないはずで、本来であれば今日の会議で中間試案を取りまとめるというのが原則的な進め方であると思います。   ただ、さはさりながらなのですが、私は平成8年の婚姻法改正要綱を作成した部会の生き残りのメンバーでございまして、その生き残りメンバーとしては、世論や国民各層が冷静に議論できる状況を形作るということも、またすごく大切で、必要なことだと痛感しております。私の30代の5年間を費やした要綱であったのですけれども、当時、当然に立法されるものだと考えておりましたし、法制審の答申が実現しなかったのはあれが初めてのことでした。当時の参事官は、もちろん国会議員と連絡を取りながら進めておられましたし、部会のメンバーだけでしたら、恐らくもう少し過激な案になっていたと思うのですけれども、参事官の情報に基づく判断を反映して、国会審議を通るような、慎重な原案にしたつもりでおりました。当時の橋本総理や加藤幹事長も通すおつもりであったと伺っておりました。でも、ああいう結果になってしまいました。   そのときの怒濤のような流れを思い出しますと、政治家というよりも国民の理解を得るために、もっとできることがあったように思います。当時ももちろんそれは考えていて、国民の理解を得るための大規模なキャンペーン開始を予定したりしていたのですけれども、ちょうどその日に阪神淡路大震災が起こってしまうような不幸な偶然もありました。政治家というよりも国民的な理解を得るために、我々としても部会の進め方についても、原則論でかたくなに進めるということであってはいけないように思います。報道で国民の関心は非常に高まっているように思いますし、そして、ここでの意見対立、あるいは政治家の間の意見対立の背景には、孤立した家族への社会的な支援が足りないという、日本社会の構造的な問題がございます。この構造的な問題を抱えているということについて、この機会に国民的な理解が得られれば、この問題についても手が入って、もう少し生きやすい日本の社会になるかもしれません。   そういうことを考えますと、今日の段階で無理に中間試案の取りまとめを急ぐ必要はなくて、今日のところは一旦、試案の取りまとめを見送るというのも選択肢の一つとして十分あり得ることのように思います。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。水野委員からは、取りまとめの時期につき原則論とあわせて、具体的にどうするかということにつきまして、差し当たり今日のところは見送ってはいかがかという御意見を頂きましたが、ほかにいかがでしょうか。 ○武田委員 親子ネット、武田でございます。冒頭、事務当局から様々な意見という御説明があったと理解はしておるのですけれども、本日時点で様々な意見というのはどういうものがあって、再考するのであればどのような方向性があり得るのか。例えば、分かりにくいという指摘、報道にも出ました。確かにまだまだ分かりにくい要素はあると思っています。元々4月の部会ですか、両論併記でというよりも、もう全部盛りみたいな形でまとめていこうということでこの部会の中で了承を得て、それで進んできたものだと思っていまして、そもそも両論併記がNGという話なのか、あと、報道で自民党法務部会、報道の中では分かりにくいとしか言及がありませんでしたけれども、自民党の中にも様々な意見があるということは聞いております。その中で、一部の議員さんが主張しているような案もあるやに聞いております。したがいまして、この辺りが少しでも明確にならないと、本日時点での意見を申し上げるのが非常に困難かなと思っています。なので、冒頭、事務当局から御説明いただきましたけれども、何かしら、様々な御指摘の具体的な内容であるとか、方向性であるとか、その辺りを補足説明いただける内容があるのであれば、そこをお聞きして、ないならないで、それは現時点でしようがない話かと思いますので、その回答を頂いた後、それにのっとった意見を申し上げたいというのがまず、冒頭でございます。まず、部会長、よろしいでしょうか。 ○大村部会長 ありがとうございます。武田委員、今、会場で挙手があり、オンラインでも何人かの方が挙手されていますので、少し皆さんの御感触を伺った上で今の御質問について事務当局にお答えいただき、そして武田委員の御意見を頂くという運び方にしたいと思いますが、よろしいですか。 ○武田委員 はい、結構です。 ○大村部会長 それでは、棚村委員、石綿幹事、菅原委員という順番で行きたいと思いますので、棚村委員、どうぞ。 ○棚村委員 早稲田大学の棚村です。報道でそういうことが出されたので、はじめて知った次第です。今回御説明を頂いて、私も水野委員とほぼ同じ考えでして、法制審議会に家族法制を検討する部会が設置をされて、そこでは通常の部会を構成するメンバーよりもはるかに幅広い形で、いろいろな御意見を伺えるような体制で進んできました。審議会は法務大臣の諮問を受けて、しかも部会は民事法制というか家族法制についてどう在るべきかというので様々な形で専門的に検討してきて、いろいろな御議論がある中で、よりよいものを知恵を絞って取りまとめというか、御意見を伺うためにいろいろやってきました。そこで、外部からどのような御意見があろうとも、法制審議会の部会としての議論や取りまとめは是非尊重していただきたいと思います。   私は、水野委員に賛成するわけですけれども、その間の経緯とか、政治家のみなさんからのどういう内容でどんな御意見があったかということを、武田委員の言うように、重要な点もあるのでしょうが、それよりも、私たちが審議してきた中身とか提案そのものは、国民全体の付託を受けてそれぞれの立場から発言をしているということなので尊重をしていただきたいと思います。外の御意見で、中身が変えられるということはあってはならず、むしろ今回の調査審議については、私たち委員・幹事に任せていただいて、その議論の中で皆さんで取りまとめたものをできるだけ御理解いただいたうえで、必要があれば御意見は承るという形にしていただきたいと思います。もちろん、とはいっても表現の仕方とか、先ほど分かりにくいという話もありましたけれども、そういうようなことで、国民各層の御意見を聴くためにどういう聴き方をすればいいかとか、どういうふうな形で、整理なんかが必要なことがあれば、その範囲で、御意見として出されたものを全く無視するということはできないと思います。   今回は、そういう意味では、本来だったら中間試案の取りまとめということでパブリック・コメントを頂くという予定で進めましたけれども、ある意味では政治家の方たちも国民を代表して選ばれている方ではあるので、場合によっては国民の声を代表する皆様の御意見という意味合いもあるかもしれませんので、少なくとも聴き方とかそういうレベルのところでは、もし分かりにくいとか、もっと整理しろということがあれば、それについては少し耳を傾けさせていただいてもいいかもしれません。しかし、内容そのものについては、例えば甲案、乙案とか、それからA案、B案とか、せっかく両論併記や対論という形でようやく議論を整理して、その御意見も参考にさせていただき審議をさせていただくということはやぶさかではありません。中間試案のたたき台につきましても、いろいろ細かく聴いているところが分かりにくいというところがもしあったとすれば、それについては皆さんと少し意見交換をさせていただいて修正させていただくということは可能であると思います。しかしながら、これまで積み重ねてきた議論とか中身そのものをもう一回やり直して、こういう方向でやれという話であるとすれば、この点については承服できないのではないかと感じています。   ですから、飽くまでも御意見の一つとして考慮するという範囲での可能性はあると思いますけれども、中間試案の本体は私どもが選ばれた責任において、是非しっかり議論をして、これまでもやってきましたので、そういう形でできるだけ早く形にさせていただければ幸いです。時間の制約の中で皆さんが一生懸命になって調査審議を尽くしてきたわけで、100パーセント理想的な形を求めるというのはなかなか難しく、そういう中で皆さんの議論を擦り合わせたり、いいものを作るということでようやく一致しつつあるので、是非その方向性だけは確認させていただければ幸いです。それから、できるだけ早期にこの議論を形にして国民皆さまの意見を幅広く聴いていくということは、是非やるべきことだと思いますし、そこでいただいた御意見を踏まえて、またそれを参考にして詰めていくということ、この方針とか進め方自体に、私は大きな変更を加えるべきではないと思っています。   以上の次第ですので、分かりにくいとか、若干こういうところはこういう聴き方をすべきだというような、そういう辺りの表現の仕方ですとか、聴き方とかいうレベルではお聞きしてもいいと思います。しかし、内容そのものを変更するとか、大幅に見直すということは、法制審議会の部会の存在意義みたいなものがかえって問われると思うのです。きちんと中立公正に、それぞれの立場からきちんと調査し議論をした、その結果というものが覆るとか、他から影響を受けるというようなことは、是非慎んだ方がいいと考えます。 ○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員からは、原則としては冒頭の水野委員の示された方向に賛成だという御意見を頂きました。具体的な問題としては、内容については、皆さんでここまで議論を重ねてきて、今まとまりつつあることを考えると、これを動かすということは適切ではない。しかしながら、これは先ほど武田委員から御発言にもありましたが、分かりにくいのではないかという点については、部会内でもこれまでに何度も話題になってきたことですので、その点については工夫の余地があるのではないか、このような御発言を頂いたと理解をいたしました。   それでは、石綿幹事、菅原委員、戒能委員までお聞きして、事務当局に先ほどのお答えを頂きたいと思います。 ○石綿幹事 幹事の石綿です。水野委員、棚村委員の御発言と重複する点も多いのですが、発言させていただきます。まず、冒頭に北村幹事から法制審の部会についての一般論の御説明があり、水野委員、棚村委員の御発言もあったことですが、法制審の部会というのは、法務大臣からの諮問を受けて部会として独立して見解を示すのが役割であると理解しております。その点から考えますと、前回までの議論を踏まえて、予定どおり本日の部会で中間試案を取りまとめるというのが原則的な進め方であると考えております。また、理論的には特定の政党や団体からの意見に法制審議会の議論の内容、進行が拘束されるものでもないと考えております。この点は、大変僭越ながら、今後の本部会の議論、進行のみならず、他の法制審議会の部会の在り方にも関わってくる問題であると考えておりますので、重ねて発言させていただきたく存じます。   しかしながら、本部会で問題になっている離婚後の子の養育に関する問題については、部会内での今までの議論からも明らかなように、子の利益を第一にという思いは共通しているものの、具体的な制度の在り方については部会・国民の中に様々な意見があるものと理解しております。そのような状況であっても、法制審の部会に参加する者としては、今後、中間試案を経て最終的に取りまとめることになる要綱案が国会で審議され、最終的に国民に広く受け入れられていくものであってほしいと思っております。そして、本部会での検討課題は、父母が離婚した家庭の子の利益を実現していくということを考えると、立法的な対応をしていくことというのも不可欠であると考えております。子の利益のために立法する、そして、その立法が広く社会に受け入れられていくということを考えるのであれば、本部会の検討課題について、国民の様々な意見に耳を傾けながら、国民に納得していただけるように議論を重ねていくという視点も重要なのではないかと考えます。   したがいまして、中間試案を提示しパブリック・コメントを募集する前に、棚村委員からの御発言があったように、分かりやすさや説明の仕方等について更に議論等をするということを再検討し、本日の段階での中間試案の取りまとめを先送りするというのも一つの選択肢として考えてもよいのではないかと思います。   最後に、それを踏まえて、もし本日、中間試案の取りまとめを先送りした場合、今後どのように何を議論するかということが次の課題になるのではないかと思います。この点も棚村委員の御発言と重複いたしますが、発言させていただきます。現在の中間試案の案は複数案が併記されている状況でして、これを一つの案に収斂していくことを目指すのかといったようなことも問題になるかと思います。これに関しましては、例えば、直近の法制審議会の親子法制部会での懲戒権の規定等も中間試案の段階では複数案が併記されていたというような前例もあったかと思いますので、今後の中間試案の取りまとめについても、現在の案のように複数案を併記しつつ、同時に補足説明等で丁寧な説明をし、広くパブリック・コメントで意見を聴いた上で、最終的に要綱案の段階で部会として一つの案に絞って提案をしていくという当初の予定どおりの方向性は排除されるものではないと私自身は考えております。   長くなりましたが、以上です。よろしくお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事からも、基本的には今まで御発言があった水野委員、棚村委員のお考えと同方向の意見が示されたものと理解をいたしました。分かりにくいのではないかという問題はあるとしても、甲案、乙案が併記されているというのは、中間試案の段階では普通に見られることなので、それを統一する必要はないだろうという具体的な御意見を頂戴いたしました。さはさりながら、説明について工夫するといったことについては、石綿幹事も、あってよいという御感触であると受け止めさせていただきました。   たくさん手が挙がりましたので、申し訳ありませんが、菅原委員のところで一旦切って、武田委員の御質問に事務当局からお答えを頂いて、武田委員、戒能委員、池田委員という順番で進めさせていただきたいと思います。 ○菅原委員 ありがとうございます。では、手短に発言させていただきます。今、御発言がありました水野委員、武田委員、それから石綿委員、棚村委員と私も基本的に同じような考えを持っておりますので、そのことを表明させていただきます。本来ですと今日の会議で中間試案を取りまとめると、そういうふうに私も思っておりましたけれども、北村幹事もおっしゃられるように、この問題に対する国民の関心は非常に高く、また、改正後に影響を受ける方々も多くいらっしゃり、特に離婚家族の子どもたちにとっては非常に大きな影響が及ぶことになります。   私自身はこの間、とても難しくて分かりにくかった案が少しずつ整理されてきて、選択肢がはっきりして分かりやすくなったと思いましたけれども、やはりこの間の様々な報道や国民の意見を見聞してみますと、まだまだ分かりにくいというところがあり、やはり誤解がなきように正確に伝わるようにしなければいけないと感じております。ですので、中身そのものについて大きく外部に影響されるということは、私も全く正しくないと思っておりますが、少なくとも誤解がないように伝えられるように、もう少しブラッシュアップしていくということは非常に重要であると感じております。   ですので、今日、取りまとめを無理に完了させるというよりも、もう少し検討する時間を取って、よりよいものを提出するという選択肢も一つあるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございました。菅原委員からも、これまでの発言と同方向の御意見を頂きました。様々な方々、広く国民の日常の生活に関わる問題であるので、分かりやすい説明が必要なのではないか。もっとも、分かりにくい、分かりにくいと言っているわけですが、今の御発言にもありましたように、最初の段階から見ると、ずいぶん分かりやすくなったと私自身は思っております。さはさりながら、それはこれまで長い時間を費やしてこの場で議論をすることを通じて私たちが共通の前提を持つに至っているので、理解ができているということもあります。また、そもそも問題自体が難しいということもあります。いずれにしても、更にもう少し工夫する必要があるのではないか、そういう御意見として今の菅原委員の御意見を伺わせていただきました。   では、先ほど武田委員から、様々な意見というのはどのようなものか、再考するとしたらどのような方向かといった御質問がございましたが、その辺りについて事務当局の方で今の段階で何かありましたら、お答えを頂ければと思います。 ○北村幹事 事務当局でございます。先ほど様々な意見というふうに御説明させていただきました。また、具体的にどんな発言があったのかといった御質問もあったやに思います。一般的に政党の部会については公開されているものではございませんので、それを私の方から何か御説明するということは差し控えさせていただきたいと思いますが、いろいろな形で様々な意見がこの部会に対しては寄せられている、その中の大きなものとしては、やはりこのパブコメの対象となる中間試案の中に原則、共同親権の原則、共同監護といったような案が分かりやすくなっていないであるとか、複数の案が併記されており、それが分かりにくい、あるいは、また逆に非常に慎重な御意見をも多々頂いている、様々な意見というものは、そういう御意見を、既に部会の中でも頂いているわけではありますけれども、更に部会の外から多数の御意見を頂いているところでございます。   そういったものを踏まえ、では、どういう方向で何をどう進めるのかについて、先ほど棚村委員、石綿幹事からなどからも御指摘がございました。ただ、何をどうするのかにつきましても、現時点で事務当局としてお答えできるところがまだあるわけではなく、むしろ御議論を頂きつつ考えたいと思っている状況でございまして、申し訳ございません、今の段階で明確にお答えできるところは余りないところでございます。 ○武田委員 ありがとうございました。本日時点の現状は理解をいたしました。であれば、冒頭、水野委員、棚村委員、石綿幹事、菅原委員から御示唆いただいたように、本日時点、今日をもってこの中間試案を取りまとめるということは見送るしかないというのが現実解かなというのが私の率直な思いでございます。私のように法学者でもなくて、今回、法制審、こういう会議体に参加させていただいた立場であっても、ほかの委員の先生方がおっしゃった、中間試案の取りまとめは飽くまでも部会の中で決めることということに関しては、本当にそうだと思っています。なので、異論も含めて、ほかの先生方の御意見も聴いた上で、最終的な見解を出したいと、そんなふうに思いますが、現時点では今日は見送るしかないというのが現実解と、そのように感じます。   少し余談になりますが、1点だけ。私はこの部会が設置されることが決まって、委員に任命されることが決まった直後、私はこの活動を、ボランティアでありますが、8年ぐらいやっておりまして、長年御支援いただいた超党派議連の国会議員の先生から言われた言葉があります。具体的には、これは子どものための法案であると、祝福されて生まれるように、みんなに祝福されて生まれる法案であってほしい、これが1点です。これを実現するために、この会議体に出席する際には禍根を残さないように議論を進めてほしいという助言を頂いたことを今回の件でもう一度思い出しました。いろいろと個人的な思い、それはありますけれども、改めてこのアドバイスを思い出して、今もそのように思っているということをお伝えしたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。武田委員からも、先ほど御質問に対するお答えを踏まえて、今日のところは見送りということではないかという御意見を頂戴いたしました。 ○戒能委員 戒能です。ありがとうございます。私は報道を一つ見ましたが、それから本日もテレビのニュースで報道しておりましたけれども、様々な意見があるという程度の説明で、どうして先延ばしになるのかというきちんとした説明はなしに解説が進められていったということだと思います。   私は個人的には、ここまでやってきたと、それで、今、座長がおっしゃったように、大変難解な問題、複雑な問題を、様々な立場の委員の方々が参加して、私もそういう趣旨でこの委員に就かせていただきましたが、そういう議論の積み重ねの中でようやくここまで来たという感が非常に大きい。もちろん課題はありますけれども、パブリック・コメントをやるわけですから、それを受けて更にブラッシュアップしていくという筋道だと考えておりましたので、大変衝撃を受けております。   それで、個人的に言えば、できるだけ早く中間試案を出したほうがよい。中間試案が何か最後の結論みたいに誤解をしていらっしゃる方もどうもおいでのようなのですけれども、そうではないわけです。パブリック・コメントを受けて、そこからその先どうするのかという、どのくらいのタイムスパンなのかということは分からないわけですが、そこはまだ明らかになっていないわけですけれども、しかし、そこで審議を尽くして、先ほどから皆さんがおっしゃっているように、市民の生活に深く関わる重要な問題ですので、十分に議論して、誰でもが賛成するということは無理かもしれませんけれども、合理性を持って納得のいくような、少しでも納得していただけるような案を作っていくというのが法制審議会の部会の委員としての責務だと考えております。   そのときに、先ほど、政治家の意見に左右されないというのは、本当にそれは大原則だと思います。その政治家の意見が意見のワン・オブ・ゼム、一つにすぎないということよりは、私はもう少し大きな意味を持って受け止めております。内容が分かりにくいというようなことはあるかもしれません、整理がまだ不十分だということがあるかもしれませんが、それ以上に、内容の中核部分についての、余り法務部会の意見を聴かないで決めるなんてというような意見がある新聞では報道されておりましたが、そこのところはとても重要で、中核部分に関しての、意見の本当に一つにすぎないということ以上の意味を持ったことでありますから、そういう中身にわたる介入は絶対に避けなければいけない、拒否しなければいけない。そうしなければ、この審議会、法制審というものはきちんと法的な根拠を持って、諮問を受けて答申を出すわけですから、そこの姿勢はきちんと守るべきだと思います。   それで、今日どういう結論になるか分かりませんけれども、残念ながら見送るという結論になるのかもしれませんけれども、パブリック・コメントが非常に重要だと思います。ですから、その期間は十分に取っていただきたい。パブリック・コメントで、これは説明したり、必要なのかもしれませんけれども、それは法務省が十分お考えになるということだと思っておりますけれども、そこが大事でありますので、パブリック・コメントの期間を削ってやるというようなことには絶対にしないでいただきたいと思っております。   それで、もう一つ私が危惧するのは、パブコメの段階であのような報道があったということ等を考えますと、今後どうなるのだろうかと。今まで法制審議会では、96年のお話も先ほどお伺いいたしましたけれども、どういうことが考えられるのかということも考慮すべきだと思うのです。ですから、ここできちんとした家族法部会としての姿勢を示すことで、審議会できちんとやるのですよと。政治家の方々はまた機会があるわけで、国会に上程いたしますから、そこで十分議論をしていただく。それから、外部の声を聴く機会もまたあるわけです。ですから、そういう意味で今後、最終的な結論に至るまでいろいろな重要な段階があるわけですよね、そこでまた同じことが繰り返されるのか。そういうことがないように、是非きちんとした姿勢を示していかないと、その上で最終的には国会の決めることで、国会議員のお仕事ですから、そこに最後はお任せするということがあると思いますが、でも、それも国民の負託を受けた議員ですから、十分に意見を聴いて、そして、マイナスになるような結論にはしないというようなことで、是非政治家の皆さんには進めていただきたいと。   それで、一つ、これからもう少し委員の意見を伺って、それからお話しになるのだと思っているのですが、今後の進め方のことはまだお話しくださっていないので、例えば、9月、10月、11月、それから、最後はどの辺りになるのかとか、そういうことも含めて、もし今の段階でお話ししてくださることができるような内容がございましたら、お話ししていただきたい。この中の議論は透明にしていただきたいと思っております。   以上です。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員からたくさんの御指摘を頂きましたが、まず、この場での議論の評価を頂いたと思っています。先ほども述べましたけれども、非常に難しい問題を回を重ねて議論をしてここに至ったことを重く受け止める必要があるのではないかという御指摘を頂いたと思っております。その上で、中間試案の位置付けということについて誤解があるのではないかということを御指摘になったと思いますが、その辺を説明することも非常に重要なことなのではないかと思います。中間試案は中間試案ですので、この後、まだパブリック・コメントがあり、それもふまえて議論をした上で、最終的な案に至ることになるということも十分に理解をしていただくことが必要なのではないかと思いながら、御指摘を伺いました。   それから、これは最初の水野委員の御発言以来、全ての方が共通におっしゃっていることだと認識しておりますけれども、法制審議会の部会の役割について、法務大臣の諮問を受けて部会で議論をし最後に答申をするということで、外部の方々の御意見を聴く機会としては、これまでにもヒアリングの機会を設けてきましたし、この先にパブリック・コメントもあるので、部会は部会としての役割を果たす必要があるのではないかという御意見。これは石渡幹事が先ほどおっしゃったことですが、この先の法制審の運営にも関わりますし、これまでの法制審の伝統にも関わる重要なポイントなのではないかと思って伺いました。   最後に、パブコメの時間が削られるようなことがあってはならないという御指摘と、それから、スケジュールはどうなるのかという御質問がありました。これはまとめて後で事務当局の方から可能な範囲でお答えを頂きたいと思います。取りあえず質問については後に回させていただいて、池田委員、赤石委員という順番でさらに御意見を伺いたいと思います。 ○池田委員 弁護士の池田でございます。まず、事務当局におかれましては、この8月30日の取りまとめに向けて非常に大変な作業をしていただきました。部会資料19−1の微修正ですとか、部会資料19−2はもう100ページにもわたる大部の資料ですので、このような作業を短期間でやっていただいたということについて、感謝申し上げたいと思います。にもかかわらずこういう事態になって、非常に大変な思いをされているだろうと思います。それは私たち委員、幹事としても同じところですので、少しこの点について、今まで御発言された委員、幹事の方々とほぼ重なるところではあるのですが、私からも意見を申し上げたいと思います。   今回、報道にありますとおり政府与党における議論を受けて中間試案の取りまとめが延期されたということになりますと、事実上ではありますけれども、この部会の委員、幹事でない方の意向によって、私たちの議論してきた案というのが変更されるということになります。こうした事態はこの部会の存在意義に関わりますので、大変憂慮しているところでございます。しかも、今申し上げた「部会の委員、幹事でない方」というのが、今回については政府与党という政治的組織であったという点に特徴があります。この点に着目しますと、更に憂慮の度合いというものは大きくなります。本部会で取り扱っている論点はいろいろな意見がありますところで、最終的に政治、つまり民主的過程において十分な議論がなされ、判断されるべきであることはもちろんです。ただ、民主的過程においては生の利害というものが対立しがちで、対立の激しい論点については収拾が付かないことになったり、あるいは議論が尽くされないままに単純な多数決で決まってしまうというような事態も危惧されます。そうした事態にならないためには、民主的過程における議論の土台となり得るしっかりした一定の枠組みというものを示す必要があるのではないかと思います。そこで、学識経験者を構成員とする法制審議会において、長期的かつ比較法的な視点に立って学問的、臨床的知見を持ち寄って審議をして取りまとめを行い、しかる後に民主的過程に移行していくというプロセスがこれまでとられてきたのではないかと思います。   しかし、今回の出来事によって、その従来のプロセスが違えられたのではないのかと危惧します。もちろん民主的過程におきましては、政党あるいは議員の方々が主として議論をリードされることが期待されておりまして、現時点においても、そのための議論がなされるということは大変重要なことと考えております。ですから、私が今、感じている問題点は専ら、先ほど申し上げた、これまでのプロセスが違えられたのではないかという点です。もしこれが常態化しますと、私たちの議論の末に作り上げた最初の答申の取りまとめの段階においても、外部的な、そういう政治的な承認を得なければ発表できないということになりかねないのではないかと思います。そうしますと学問的、臨床的知見による議論の過程と民主的議論の過程というのが混在することになってしまって、法制審議会の存在意義が失われてしまうのではないかと、そういう憂慮を持っているところでございます。   今申し上げた原理原則的な話は、多くの先生方がおっしゃっていたところですが、議事録を通じて国民の方が御覧になっているということもあって、私からも少し詳しく申し上げたところです。   さはさりながら、広く関心のある事柄を議論しておりますので、いろいろな御意見をやはりこの部会においても取り入れながら議論を進めていくべきというところは、私も賛成でございます。ですから、今日取りまとめを無理にするということではなくて、引き続きそうした御意見も踏まえてもう少し議論を進めるということについては、結構なことだと思います。   ただ、その際に、棚村先生もおっしゃいましたように、どういう修正をするかということについては、例えば、一つの案に絞るとか、あるいは一定の選択肢を削るとか、新たに付け加えるとか、そういう内容に関わる修正ではなくて、より分かりやすくするという修正にしていくべきかなと思っています。   それから、少し話がずれるのですが、より分かりやすくという観点から申し上げますと、やはり中間試案を示すときに、一般の方も分かりやすいように、例えばイラスト的にフロー図を一緒に付けるとか、そんな工夫も必要かなと思っています。それを随時ホームページにアップしていくということもあっていいのではないかと思います。   それから、もう一つ別の観点から言いますと、今回のテーマというのが父母間だけではなくて子どもに関わる施策であるという側面がありますので、子どもの権利条約12条2項のところで、子どもの意見をやはり聴くということが求められていますので、この中間試案に対しても子ども、若者が意見を言えるような形で、とても分かりやすい別バージョンといいますか、そんなペーパーを作っていただくということも御検討いただければ有り難いと思っています。 ○大村部会長 ありがとうございます。池田委員からは最初に、現在の状況について憂慮が表明されたと理解いたしました。これまでの法制審における議論の進め方に大きな変更を加えるようなことになるのは避けるべきだという御趣旨だと理解をいたしました。しかし、そうではあるけれども、内容についてはともかくとして、表現などについて更に検討するということで、今日は見送るということについてはそれはそれでよいのではないかという御意見を頂きました。具体的な御提案も頂いて、前にも図表化できないかといった御意見がありましたけれども、そうしたことも含めて説明を改善するといったことを考えるべきではないかという方向で御意見を頂いたと理解いたしました。 ○赤石委員 ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。金曜日、26日にいろいろな情報が飛び交い、法務省の御説明を受けたときに、取りまとめについてはできないだろうというお話を承ったときに、大変びっくりいたしました。その後に報道が出てきたときに、自民党のと書いてあったと思うのですけれども、部会の了承が得られないのでという書きぶりになっていたことも非常に驚きました。もう皆様がおっしゃっているように、この法制審議会の家族法部会は法務大臣の諮問を受けて審議をしているものでございます。任命されたので一生懸命、私のミッションはひとり親、ひとりになるであろう方たちも含めてと、子どもたちの意見をきちんとここにお伝えするというミッションだと思っておりますので、一生懸命やってきたと思っております。ですので、わざわざ間違えて書いてくださった時事通信がいるのかどうか分かりませんけれども、これがそのままそうなるとか、できないという判断を一体どこでされたのかなというのは少し不思議に思ったところでございます。   でも、つらつら考えてみますと、私としてはこの法改正を目指したこの議論というのはもっと慎重に、あと1年ぐらい各方面の資料などを得て議論すべきだと思っておったところ、かなり今年の春になってから急ぐようにというお話があって、このようになってきたことには若干、違和感がございました。ですが、だからよかったとかいうことではないのですけれども、若干やはりざわざわした周りの雰囲気を感じていたのは事実でございます。また、いろいろな子どもに関わる方たちが御発言をネット上でされると、やはりまたざわざわしたことがいろいろございます。皆さんびっくりされているというのが現状なのかなと思っています。私ももちろんいろいろ言われてしまうというのもびっくりしております。   そんなことを考えて、今日、中間試案の取りまとめをどうするかという議論をいたしますとは私は聞いていなかったので、もちろん国会のある政党の部会の了承を得られないからこれが延期になるというのは、やはり絶対にあってはならない、ここはしっかり押さえておかないと、日本の民主主義というか、それにとって非常に禍根を残すというのは、もう皆様がおっしゃったとおり非常に大変な局面にあるかと思います。その上で、しかし、広く理解を得るようなものを更に努力して作るというのは、ある種、私どもが努力しなければいけないことであろうとは思っているということでございます。   本当に、一瞬、選択肢が変わってしまったりしたらもう本当に大変なことになるですとか、そういうことは思いましたので、池田委員もおっしゃってくださいましたし、皆さんおっしゃったように、構造的なところを今そこで変えようということをこの審議会でやるべきではないというのは、私も思います。   一方では、幾つかやはり少し私が感じている拙速さというのをどう議論にのせていただけたらいいのかなというのは思っております。ですので、それについてはまた御意見をお伝えしたいと思いますけれども、社会保障との関係ですとか、どうしてもまだ分からない協議離婚の実態ですとか、また、養育費についてももう少しないだろうかというような気持ちはございます。   それから、やはりパブリック・コメント、どうしても出しにくい方たちへの配慮をどうしていくのかといったことがございます。名前を書いて、住所を書いて出すということすら非常にためらう方たちが、この議論のステークホルダーというか、関係する方たちの中にそういう方たちがたくさんいるわけでございますので、その方たちが安全に意見を出せるということも、とても必要かと思っております。   そういうことを踏まえて、本当に厳しい局面なので、延期になったことを私どもとしてどう決断するかということが、民主的な手続に悪影響を与えないような形で決断というものがされるべきであると思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。まず、まだ延期になってはおらず、今、延期にするかどうかという御意見を頂いているところであることを確認させていただきます。 ○赤石委員 分かりました。 ○大村部会長 その上で、御意見は三つぐらいにまとめられるのかと思って伺っておりました。まず、基本的な認識としては、今までの皆さんがおっしゃっているのと同様に、これまでの部会の議論を大切にして、内容については基本的にはこれを維持していくべきであるということだったかと思います。他方で、赤石委員はもう少し慎重に議論をすべきだということをこれまでずっとおっしゃっていたかと思いますが、今後の議論に仕方については、またどこかで検討してほしいということをおっしゃっていたかと思います。それから、三つ目は具体的に、これは戒能委員の御発言とも関わると思いますけれども、パブコメのやり方について特段の工夫が必要なのではないかということを御指摘いただいたと思っております。中間試案についての説明がこれで十分かということについては、皆様から相次いで御意見を頂いておりますが、答える側の答え方についての配慮も必要なのではないかという御意見を頂いたと理解をいたしました。ありがとうございます。 ○大石委員 千葉大学の大石です。まず、私も今回の事態にショックを受けています。これまで他省庁の審議会に関わったこともございますけれども、こういった経験はしたことがないというのが正直なところです。今回の事態は、審議会制度といいますか、制度を作る際の手続的な正当性、あるいは法的な安定性に関わるような事態であろうかと思いますので、是非これまでの委員の皆様がおっしゃっていたような形で取り組まれることを希望しております。   それから、具体的には中間試案に関しましては、ここにいらっしゃる主に法学者の皆様、そして法律の専門家の方々が、多少分かりにくいという評判はあれど、法的な瑕疵がないように、それぞれの案について作成されているものと理解しております。したがいまして、その中から何かの選択肢が削られるというようなことは、内容に関する重大な変更が行われるということになり、望ましくないと思っております。また、戒能委員がおっしゃいましたように、パブコメの期間が圧縮されるようなことはなく、広く国民の方々が意見を述べられるような形を確保するのが必要であろうと思います。   その一方で、先ほど赤石委員もおっしゃったように、理解しやすい形にする、いわゆるインターフェースに関するところについては、今後の進め方に関わるところで私も後で申し上げたい部分があります。こういったケースではどうなるのかといったことが具体的にイメージしにくいというのが、一般の方から見た場合の分かりにくさにつながっているということもあるかと思いますので、生活上で生じ得る様々な事態が、こちらのA案ではこうなる、B案ではこうなるといった解説があると、またよいのではないかと思っております。   私もこれまで、中間試案をまとめることになった辺りから、議論の進め方が多少早いなという印象も持っており、かつ、また私の専門の立場からですと余り申し述べられる部分がないといいますか、高度に法律的な議論というところは専門ではございませんので、なかなか貢献し切れないところがございましたけれども、そういったインターフェースに関わる部分については、特に私は子どもの貧困とかウエルビーイングに強く関心を持っておりますので、そういった部分において貢献することができればとも思っております。   以上です。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございました。大石委員からも、今までに出ている皆さんの原則的な見地について賛成される御意見、それから、中間試案の内容については現在の案を維持する必要があるのではないか、パブコメについて十分な期間を取る必要があるといったような点について、賛成の御意見を頂きました。ただ、分かりやすいかどうかということについては工夫を要するところが更にあるのではないか、具体的な問題についてどうなるのかということについて解説を加える等の工夫が必要なのではないかという御指摘を頂きました。 ○落合委員 ありがとうございます。京都大学の落合です。私も法制審の部会に関わらせていただくのが初めてなものですから、今回のことを受けて、取りまとめができないのではないかという御連絡を頂いたときに、法制審はこういうことが時々起きる審議会なのかと少し思ったのです。でも、今日、皆さんのお話を伺っていると、そうではないようなのですね。これは例外的なことなのですね。それで少し安心しましたけれども、であれば、見送るかどうかという結論が今日の会の前に流されているということ、それが報道されているということは、やはりゆゆしき事態だと思います。池田委員の御説明で、民主主義の機能の仕方と、それへの専門家とか審議会に選ばれた人たちの関わり方、それが違う性質を持つということ、それが組み合わさって法律が実現していくのだというようなことも、それは御説明いただいて、よく分かりました。記録を見た方にも分かりやすくて、よいなと思うのです。   そうしますと、専門的な知識がある方などがこの審議会には入っていると、そちらが試案を出す前に政治的な介入があったというのは、学術会議の任命問題で起きたのと同じようなことが起きているということなのでしょうか。そうであれば非常に問題で、これが悪い前例になってはいけないと思うのです。これが例外的なのであれば、これを悪い前例にしないための今日の収め方というのをきちんと工夫しなければいけないと非常に思います。時事通信の書き方は非常にけしからんと思っていまして、自民党のその部会の了承が得られなかったから先送りになるのだというのは、まるで組織的な上下関係があるように読めてしまいます。ですから、そうではなくて、もし今日、取りまとめないのであれば、更に整理する必要があるというようなことですね、内的な理由で今日はまとめないということを公にしておかなければいけないと非常に思います。   それはそれなのですけれども、その内容についてですが、分かりにくいというのは実は私もそう思わないではないのです。でも、このような介入がありますと、だからといってこれから文言を大幅に変えていくということがかえってしにくくなってしまったようにも思うのですけれども、少し分かりにくいかなという感じは正直言って、持っておりました。その分かりにくさは、やはり両論併記ということですね。両論併記にしても、例えば、それがセットになって大きいA案、B案というような形で示されていればまた、どのようにそれが法律として機能していくかというようなことが見えやすいのではないかと思うのですけれども、今は選択肢がたくさん並ぶというような形で、それのこれとこれを選んだら、その組合せはよくないことになるのではないか、みたいなこともあると思うのですが、そこが簡単に見えないような形になっていると思います。両論併記的な中間試案を取りまとめるというふうな方向になりましたときに少し驚いていたのですけれども、それも拙速といいますか、急がなければいけないという圧力がありましたので、それでやむを得ないことなのかなと思っておりました。   しかし、このようなこと、今の段階で急いでいたはずが先送りになったりするのでしたら、本当でしたら議論したかったことというようなことで、今のようなことを申し上げたいと思います。両論併記でいいのか、両論併記にするにしても、もっとすっきりした出し方があるのではないか、これは全く私の個人の意見ですけれども、やはり一つの方向をしっかり出すべきではないかと、それをしたときにいろいろなマイナスのことが起きてくるわけですよね、それを防ぐためにこういう手当てをするというようなことを何重にもしっかり書いていく、それが、どちらの案を選択した場合も、そのような構成になっていれば議論がしやすいのではないかと思うのです。今からそのような形にするということが適当なのかどうかは、このような介入があった後では、かえってその自由度がなくなったように思いますけれども、そのような意見を持っておりますということをお伝えしておきます。 ○大村部会長 ありがとうございます。落合委員からもこの状況についての御懸念が表明され、もし見送りということにするのであれば、内在的な理由に基づくということになるのではないかという御意見を頂きました。先ほどから出ている、分かりにくいということについて、両論併記が分かりにくいのではないかという御意見がありましたけれども、両論併記を動かすということについての御懸念も同時に示されていたかと思います。そこは難しいところがございますけれども、選択肢相互の関係が分かりにくいといったことは前から言われていて、大分直してもらったとは思っていますが、更にもう少し筋道が見えるような工夫はできないかなどと思って伺っておりました。また、今日のところはどうするのかということにつきましては、残りの皆様の意見を伺った上で一定の判断をしなければいけないと思っております。落合委員の御発言は差し当たり今のように受け止めさせていただいて、残りの方々、井上委員、柿本委員、そして大山委員の御意見を伺いたいと思います。 ○井上委員 連合の井上です。ありがとうございます。私も報道でびっくりしたところですけれども、私たち委員よりも、やはり事務当局の皆さんの方が残念な思いが強いのだと思っております。結論としては、私は今日の取りまとめは見送るべきではないと思っております。理由としては、議論が拙速だ、あるいは分かりにくい、これはこの部会の中でもたくさん出ましたが、それも踏まえてこの8月30日に中間試案を取りまとめるということで、皆さんがいろいろな思いものみ込みながら、こういう結論に至ってきたという経過があると思います。そのことに対して、一部の政党からの圧力によってそれを変えるということがあれば、やはり先ほどからたくさん意見が出ているように、審議会という公式なものに関して一部の政党の圧力で結論が変わってしまうという前例を残すことになり、将来的にも、あるいはほかの審議会にも禍根を残すことになると思います。   仮に意見を聴くのであれば、この後、パブリック・コメントを行いながらヒアリングをするというお話もありました。例えば、そこで一部の政党だけではなく、全ての政党からヒアリングを受けるといったことも可能ではないかと思います。一部の政党の圧力によって今日のこの取りまとめが変わるということに関しては、私はいろいろな意味で危惧を持っているところであります。   では、今日先送りしたら今度は何をしていくのですか、というところがあります。棚村委員や、ほかの委員からもありましたけれども、ここまでまとめたものを、両論併記から一つの方向性に持って行くのか、そういうことはあり得ないと思いますので、そういう意味から言っても、やはり今回、筋を通すところは筋を通すということをしっかりやっておかなければ、この家族法制部会は何だったのだろうか、私たちは何のためにこの間、1年以上も掛けて議論をしてきたのかというところに至ると思います。   冒頭、事務当局から、この方向性は部会、委員、幹事の意見で決まるというお話がありました。見送るということになれば、私はそれに従いますが、私としては今回この取りまとめを見送ることに関しては、すべきではないと考えています。 ○大村部会長 ありがとうございます。井上委員からは、本日の取りまとめを見送るべきではないという御意見を頂きました。取りまとめを見送ってそのあと何をするのか、内容を変えるのかというと、内容を変えるべきではないという御意見も出ているところでございます。それから、意見を聴くことはこの後にも機会はある、これはほかの皆さまからも御指摘があったところですが、そうした対応を考えるべきだという御意見として承りました。 ○柿本委員 主婦連合会の柿本でございます。事務当局の皆様には、中間試案(案)をまとめていただき、また、補足資料の作成についても誠実に取り組んでいただいたと思っております。本当にお疲れさまでございました。私は、これまでの皆様と同じく家族法制部会としては中間試案の取りまとめは当初の計画通り、粛々と進めていくべきと考えております。ですが、現実問題として今日、議論が全くされておりませんし、ストップしてしまっている現状なので、今日は見送らざるを得ないということになるのではないかと考えております。   そして、この間、家族部会の中間試案に関する報道が2回あったかと思うのですけれども、報道があるたびに国民の注目度は上がっています。リークのされ方とか報道の仕方などは問題があるものもあると考えますが、国民の理解を得るための時間ができたのであれば、このチャンスを生かして、表現の工夫、広く国民の意見をすくい上げる工夫、赤石委員もおっしゃっていましたけれども、強力にしていくべきだと考えております。   主婦連といたしまして、市民の皆様にこの問題を広く理解していただくためにはどのような学習会を組んでいくべきか、また、試案の広報の仕方などについてこの間、頭を痛めてまいりました。ですので、時間ができるのであれば、より分かりやすい表現を使った中間試案ができあがればよいと感じてはおります。ですが、内容の変更は加えるべきではないと考えますし、中間試案には両論併記が必要だとも考えております。以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。柿本委員からも、本来は取りまとめをすべきであるという御意見を頂戴いたしました。ただ、進め方について皆さまからいろいろな意見を頂いておりまして、いま3時に近付いております。今日取りまとめることが実際問題として難しいのではないかという御指摘と、それから、これもいろいろな方から出ておりますけれども、内容の分かりやすさということ、広報の工夫ということをしていく必要があるのではないかという御指摘を更に頂いたと理解をしております。ありがとうございます。 ○大山委員 経団連の大山でございます。ありがとうございます。今の柿本委員からの御意見と私もほぼ同じことをお伝えしようと思っておりました。原則論で言えば皆様と気持ちは同じで、法制審、この部会としての独立性をきちんと担保して粛々と取りまとめるべきだとは思うのですが、もっとシンプルに考えて、元々今日、取りまとめを予定してはいるものの、議論をしてどうなるかというのは、本来であれば、またこの部会の意見を踏まえて取りまとめということだったと思いますので、外部から何か言われたからということではなく、飽くまで部会として粛々と議論して、ただ、先ほど来、いろいろな御指摘、中身について、両論併記を大きく変えるとかそういったところはやはりせずに、これまでの積み重ねてきたものを前提に、両論併記という形で正に選択肢を国民の皆様にお示ししながら、次の最終的な取りまとめに向かっていくという方向性は維持すべきだと思っております。ただ、タイミングを今日、最終的に現実的な問題として延ばさざるを得ないということになれば、それはやむを得ないのかなと思っております。   もう1点は、同じくこの分かりやすさというところで、当初の案からすると、私も法律の専門家ではないので、最初はかなり読み込むのも困難だったのですけれども、本当に事務当局の皆様の御努力で、ここまでかなりブラッシュアップしていただいたものと思っております。欲を言えばということで、先ほどもほかの委員から出ておりますけれども、やはり何か分かりやすさを更に担保するような、例えばフロー図とかポンチ絵みたいなものとか、ただ、それを法律に基づいてこの試案を細かく何かポンチ絵にしようと思ったら、そんなことは恐らく現実的に難しいと思いますので、いわゆる素人の国民の人たちが見て、骨太にどんな形になるのかというポイントだけでも、分かりやすい図なり何なりで示していただくと、補足資料としてよろしいのかなと思うのが1点と、あと、やはり対メディアへの情報提供の在り方についてですね、ここについては、例えば、自民党の部会を壁耳してメディアが取り上げて書くというのはやむを得ないと思うのですけれども、少なくとも事務当局様の方から情報提供される際、ミスリードにならないような形でのやはり情報提供というのは、今後また是非深めていただきたいと思っております。そして、あと国民への提供の仕方も、このパブリック・コメントに加えて是非、マンパワーの許す限りではございますけれども、例えばオンラインとかを活用して、学生さんも含めて、また経済界も、オンラインで一般の国民としての経済人という形で、例えば法務省の方から易しい言葉で説明を頂いて意見を聴く、そんな形で、文字だけではない情報という形での情報収集というのもあるのかなと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。大山委員からも基本的な考え方としては、本日の議論の結果として今日は取りまとめないという柿本委員の御発言に賛成するという御発言を頂きました。具体的な提案としては、これも何人かの御発言がありましたけれども、図示をするといった形でより分かりやすくするとか、パブリック・コメント以外の形で意見を徴する、あるいはメディアに対する説明について工夫をするなどの御要望を頂いたと理解をしております。   3時に近付いておりますので、少しここで休憩させていただいて、さらに議論を続けたいと思っております。14時57分ですので、15時10分に再開したいと思います。休憩をいたします。           (休     憩) ○大村部会長 それでは、時間になりましたので、再開したいと思います。   一通り皆様の御意見を伺ってまいりました。まだ御発言があれば伺いたいと思いますけれども、先ほど事務当局の方への質問もありましたので、それについて少しお答えを頂き、その後、更に御発言があれば頂きたいと思います。 ○北村幹事 事務当局でございます。先ほどパブコメの関係やスケジュール等についての御意見、御質問を頂いたかと思います。パブコメにつきましては従前より分かりやすい情報提供をということを求められてございましたので、そこは事務当局の方で工夫をしていきたいとは従前から考えておりました。簡単な絵のようなものもパブコメに掛ける前には準備はしたいなどとも思っておるところでございます。必要があれば様々な形で説明会等も事務当局の方でさせていただければということも思っていたところではございますので、御要望等がございましたら様々な形で応じていきたいと思います。   また、仮に今日の取りまとめを見送ったことによって、パブコメの期間が短くなるのかという御質問も頂いたところではございますけれども、そこについてはやはり重要な問題だと認識してございますので、パブコメ期間については他の部会等も参考にしながら、それなりにしっかりした時間を取りたいと思っております。今日の議事進行如何によってパブコメ期間が短くなるということはないようにしたいと考えてございます。   スケジュールの関係についても御指摘いただきまして、パブコメ、中間試案の位置付けについてもいろいろ御意見いただいたところでございます。御指摘のとおり、この中間試案につきましては何か一つの一定の方向を示すというものではなく、中間試案を経た上でパブコメし、国民から広く御意見を頂いて、問題点等を更にこの部会の中で深掘りさせていただいて、更に要綱案に向けて御議論いただく、調査審議が続くということを前提としておりますので、そういう前提となっておりました。その過程でいろいろな御要望等も頂いておりましたので、どこかの時点でのヒアリングということも含めて、させていただきつつ、調査審議が続くということを前提としておりましたので、今日の議事進行如何によってもそこが変わるというわけではなく、改めて御議論いただき、どこかのタイミングで中間試案がまとまるということであれば、それを受けてパブコメができるようであればパブコメをし、そして更に調査審議をし、最終的な出口を御議論いただくというものになろうかと思います。お答えできるのは以上となります。 ○大村部会長 ありがとうございます。事務当局の方からパブコメのことと、それから、この後の審議のことについて先ほどの質問についてのお答えを頂きました。 ○原田委員 すみません、ためにする意見かもしれませんが、明確に反対される意見が一つしかなかったので。私も本来であれば今日の予定で中間試案を発表すべきだと思っております。ただし、もうこの時間になりまして、部会資料19−2の議論になれば、事実上は不可能だということになってきたのだろうと思いますが、先ほど落合委員から言われましたように、今日の議論が終わらなくてできなかった、ということをコメントしていただきたいと思います。   それから、分かりにくさの点で、誰がどう分かりにくいと言っているのかということについて、もしそういうことがあるのであれば、誰がどのように分かりにくいと言っているのかということを明らかにしていただいた上で、そこをどう分かりやすくするのかという議論をさせていただきたいと。もちろん今まで分かりにくいという御意見があったことは事実で、その方々が、ここは分かりにくいのでこうした方がいいとおっしゃることについては、やぶさかではないのですけれども、それ以上の分かりにくいという議論については、どこからどういう意見があって、ここをこう変えるということを明らかにしていただきたいと。 ○大村部会長 ありがとうございます。基本的には今日取りまとめるべきだという御意見であるが、今日、議論が尽きない、熟さないということで、次回に持ち越すということであればやむを得ないだろうという御意見として伺いました。それから、分かりにくいところを直そうという意見が出ているけれども、具体的にはどういうところなのかということを示して、それについての対応をはかるという形を取る必要があるのではないかという御指摘を頂いたかと思います。   ほかには御発言はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   たくさんの御意見をいただきましたが、基本的には私たちが今まで議論してきたものを尊重すべきだというのが皆さんの御意見であったと、まず理解いたしました。法制審議会においては、それぞれのお立場・お考えをお持ちの委員、幹事の方々が議論をして、部会としての考え方を取りまとめるということに意味がある、その職責を果たすことが重要であるという認識が示されたものと理解しております。   ただ、その上で、直前にも話題になりましたけれども、説明の仕方については工夫の余地があるのではないかという御意見が、今日、多数の方々から出たと了解をしております。これは実質的なルールについての御発言ではありませんけれども、しかし、中間試案及び補足説明についての御意見であるということで、この点について改善の必要があるのではないかという御指摘を頂いたと思っております。そこを改善して今日取りまとめることができるのであれば、今日取りまとめることも考えられるかと思いますけれども、何人かの委員から御発言がありましたように、もう残る時間内でよりよい修文の仕方を具体的に出して、それを検討した上で取りまとめをするというのは、実際には難しい状況になっているのではないかと思っております。   井上委員からは原則として本日まとめるべきだという御意見がありましたけれども、井上委員もこうしたやり方で今日まとめることは難しいという御意見についても反対するという御趣旨ではなかったものと受け止めております。皆さんの意見の中にはニュアンスの差はありましたけれども、まとめますと、今日、議論が熟しない状態で無理に取りまとめるということではなくて、次回に持ち越して議論を尽くして取りまとめをするという方向かと思っておりますが、そのように受け止めさせていただいてよろしいでしょうか。   ありがとうございます。それでは、今のような形で進めさせていただきたいと思います。   それで、今、3時半に近付いているのですが、この後どうするかということなのですけれども、当初予定していたのは、部会資料19−1について御意見を頂いて御異論がなければ、これについては了解を得られたということにさせていただき、その上で部会資料19−2について御意見を頂くということを考えておりました。ただ、それぞれの資料につきまして、その説明の仕方について修正が必要であるということになりますと、皆さまから今、御意見を頂いても、最終的にはまた修正版が出てくることになりますので、修正版を見た上でないと最終的な意見をいただくのは難しいということになるのではないかという印象を持っております。   そこで、今日是非この点について述べておきたいという御発言があれば伺うことにして、基本的には次回以降に、おそらく次回にということになると思いますが、資料を改めてお出しいただいて、それについて御意見を伺うというのがよいかと思っております。進め方については何か御意見はございますでしょうか。 ○小粥委員 小粥です。今の部会長の御提案というのは、部会資料19−1自体に何らかの形で手を加えるということが必要だと判断するということになりますか。 ○大村部会長 いえ、部会資料19−1を修正するか否かについては何か具体的なことを念頭においてはおりません。部会資料19−1も含めて、説明を見直すということが必要なのか、部会資料19−1はこのままでよく、部会資料19−2の補足説明だけを変えればよいのか、皆さんがどうお考えなのかは分かりませんが、双方を含めて、一度、事務当局の方に引き取らせていただきたいという趣旨で申し上げました。 ○小粥委員 私もそこの趣旨を確認したかったのです。つまり、部会資料19−1について必ず手を加える必要があるということは、恐らく共通了解にはなっていないのではないかと考えますし、あるいは部会資料19−2につきましても、別の形の、例えば動画資料とか絵を付けるということによって対応が可能だという選択肢も残されていると私自身は思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。御指摘のようにいろいろな可能性があるのではないかと思いますけれども、それらも含めて、考えられるものを次回に出していただいて、それを検討するということを御提案しているというつもりでおります。事務当局もそういう理解でよろしいですね。小粥委員も、それでよろしいでしょうか。 ○原田委員 原田です。私自身は、部会資料19−1についてはそれほど手を入れる必要はないのではないかと思っていて、逆に、部会資料19−1は一回議論したものを修正されたものですよね、なので、これについてもし御意見があるようであれば、それほど私はたくさん出てこないのではないかと思うので、少なくともそれについては聴いておかれた方がいいのではないかということと、部会資料19−2はたくさん言いたいことがあります。 ○大村部会長 部会資料19−2につきたくさん御意見があるということで、全部を補足説明に取り込めるかどうかはまた別の問題ですが、それらは次回伺わせていただきます。部会資料19−1について、もし今日のうちに御意見があるということであれば伺いたいと思いますが、原田委員からは何か具体的にありますか。 ○原田委員 私はありません。 ○大村部会長 これでよいのではないかということですね。 ○原田委員 はい。 ○池田委員 部会資料19−1について、表現上のものにすぎませんけれども、申し上げたいと思います。   3ページの3(2)アのところと、次のページの3(3)アのところが同様の部分ですけれども、修正の趣旨としては内容の明確化のための技術的な修正にとどまるもので、内容について異論はありませんが、表現上、権利義務というのが頻出して、少し読みにくいかなというところがあります。かつ、権利、義務も並べて書いてあるのですが、権利というところがどんどん前面に出てくるような印象もございまして、特に父母間での、単独でできるのか一緒にやるのかという議論をしている中での権利という言葉が出てくると、権利の奪い合いとかというイメージにつながってしまうのではないかというところも危惧しました。ですので、当初案では「?についての権利義務」というふうにまとめて1箇所に記載されているので、その前段のところは、各箇所で権利義務というのを出さないような表現上の工夫がなおできないかというのを御検討いただければ有り難いかなと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。内容に関わるというのではなくて、先ほどから出ていることとの関係で言うと、より適切な表現を探すという観点から、今のような御指摘を頂いたと受け止めさせていただきたいと思います。   ほかに何かありますか。 ○武田委員 中身に関しては少し、今後の進め方というところの御検討を一旦引き取っていただいた後ということなので、余り個別の細かいこと、一応、部会資料19−1と部会資料19−2を読んできましたが、そこは具体的には次回見てというふうにさせていただきたいと思います。ただ、少し分かりにくいというところに関して、私が今、説明していて気付くところだけお話を差し上げたいと思います。   やはり中間試案という表題が付いていますので、この中間試案の個々の論点でなくて、要はこの中間試案そのものに反対みたいな声ってやはり私に聞こえてくるのです。多分、分からないと思いますけれども、あれだけパターンがあるのに、例えば甲@案は賛成、甲A案は反対でもいいのですが、本来そういう論点ごとに意見があってしかるべきというふうに、私は当事者に説明していて、すごく感じる部分がありまして、やはり冒頭、この中間試案の位置付けですよね、なぜこういうふうな整理になったのか、パブコメに付するに当たって、そこの前提を多分きちんと御説明する工夫がまずは必要なのではなかろうかというところが私が思っているところです。   なので、1点それと、あと、個別の話で言いますと、やはり監護権が非常に分かりづらい、非常に私は説明しづらいというのがあります。具体的な、ではどうしようというところに関しては、私も個別に今週、来週に掛けて、一般の当事者向けに説明会をやりますので、その意見も踏まえて、分かりやすくという観点であればどうできるかというのは、私なりに考えてまいりたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。具体的な御意見としては、やはり中間試案というものの性質についての説明が必要なのではないかという御意見を頂戴をいたしました。また個別の点につきましては、次回にと思います。 ○棚村委員 先ほど小粥委員が確認したことにも関連しますけれども、基本的に法制審は法務大臣から諮問を受けて、一定の事項について、それに対して公正中立な立場で調査審議をして答申を出すという使命をもっておりますから、そういう意味では、それを貫くということを改めて確認をさせていただきたいと思います。そして、今後の進行とかいろいろなことでも、予定を大幅に変えるとか、内容を大幅に見直すとか、仕切り直すということはやめてほしいと思います。なぜかというと、また一からやり直すような修正を加え、せっかくの議論を蒸し返したりいろいろなことをすれば、せっかく積み重ねて絞ってまとめようとした努力が水の泡に帰す可能性があります。繰り返しますが、法制審の部会の存立の意義みたいなもの、役割みたいなものがいま問われており、これを認めてしまいますと、ほかの審議会、部会にも重大な影響を与えると思うので、申し訳ないのですが、先ほど言ったように、表現の仕方とか、それから、分かりにくさというのもどのレベルかというのはもちろんあると思いますけれども、原田委員もおっしゃっていたとおり、基本的な内容とか、それから進行も含めて、大幅に変えるのであれば、その理由とか根拠をきちんと示さないといけません。また、今日も、戒能委員からも出ていたと思いますけれども、報道で、ある政党の部会が了承しないから取りまとめができなかったというのではなくて、こういうふうに法制審の今の私たちの立場とか考えというものをやはりきちんと示す意味で、議論をしていくことで、私たちが自律的に決めた結果であることを示すことが大切だと思います。本日は、たまたま時間的にはなかなか取りまとめまでは行かなかったというのが、私たちの本日の議論でして、外の力で何かが決定されたというのはあってはならないことではないかと思うのです。   そのところを確認した上で、今後どうするかということですけれども、これまでこれだけ時間を割いて慎重にかつ公正に、この部会での審議調査は進んできたと思います。そのことを否定することにならないように、また誰かが何か外部の人が言ったから、それが振出しに戻るとか仕切り直しになるということは、せめて、私たちの委員の間ではそういうことではないということを了解した上で、今後どういうふうに進めていくか、それから事務当局にも、こういう形でお願いしたいというようなことは出していただいて、拙速に何か進めるというわけではありませんけれども、逆に言うと、この機会を利用して、ではもう一回仕切り直しをして何かをやろうということになると、もう本当に先が見えなくなってしまって、かえって国民の方々に対して失礼なことになると思うのです。ここまでいろいろ議論をして、こういうふうに進んでいるのだということ毎回を示しておきながら、誰かの一声とか何かがあると振出しに戻るというのでは、国民のみなさんから、余りにも私たちとしての責任が果たせていないのではないかという不信感も招くと思います。ですから、私は字句とか表現とか、それから順番が分かりにくいというのであれば、そういうものを変えるということについてはやるべきだと思いますけれども、むしろ中間試案という形にして、議論の経過を早く国民に示した上で、国民の皆さんの意見をきちんと聴くべきだという思いです。   できれば井上委員とか原田委員がおっしゃったような形で進められればよかったのですけれども、結果的には今日、いろいろな進行とか手続とか、今回の事態自体の客観的な状況の把握が今日になっていますから、たまたま、時間切れというと失礼な話なのですけれども、そうならざるを得ないという気持ちです。だからといって、今後予定をしていた進行とか内容とかというのをもう一回見直す必要は、私はないと思いますし、やるべきではないと思います。そんなことをやれば、事務当局も含めて、私たちが法制審議会家族法制部会として何をやっていたのか、これから何をすればいいかということも、外部の一声で左右されてしまうというのは、独立性とか私たちの責任を放棄していることになるのではないかと懸念します。そういう意味では、細かい議論というよりも、それを確認した上で今後どうするかということを部会として決めていきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。振出しに戻ってということは実際上あり得ないことだろうと思っております。皆さんの御意見もそういうことは想定していない、現在のものを十分に尊重して、その実質を損なわない形で更に改善できないかという工夫するというのが多くの方々の御意見だったのではないかと思っております。細かい議論よりも、そのスタンスを確認して進むべきではないかという御指摘だったと思いますが、ただ、まだ手が挙がっている方がいますので、まずお伺いしいと思います。 ○戒能委員 では、短く。今、棚村委員のおっしゃったとおりだと私も思っております。何よりも大事なのは、研究者だけではなくて実務家、それから各方面の方々が集って、それで真摯に議論を重ねてきたということが大事であって、そこを大事にする。その際に、外部からの圧力による偏りがないかとか、中立性の確保ということが一番大事なことだと思っております。ですから、そういうこの部会としての基本的な姿勢を確認するという御提案には、全くそのとおりだと思っております。   それで、細かいところということではないのですが、事務局へのお願いなのですが、ずっと変遷してきましたよね、最近だと18があって、そして19があってということで、そこに、これは字句の問題だけではなくて、共同親権という仕組みにした場合に監護権を決めるべきかどうかという議論のところなのですけれども、そこの表現が少し質的な転換をしてしまっているのではないかという危惧があるのです。最初は選択の自由というのがあった、それがいつの間にか、べきであるになって、補足説明のところを見たら、禁止するという表現になっているのです。ですから、そういうところのチェックを事務局で、論理的な整合性がきちんとあるのかということをパブコメの前にはきちんと見ていただきたい。私の誤解かもしれませんので、その辺、そういう誤解をする人がいないとも限りませんので、何かおかしいなとならないように、チェックは重々にしていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員からの御指摘もありましたので、補足説明の方も全体として見直していただくということになろうかと思いますが、100ページに及ぶ説明を夏の間にお書きになるのは大変なことだったと思います。それをまた新たな観点を加えて、より分かりやすくするためにはどうしたらよいかということでレビューしていただくということになりますので、なかなか大変な作業をお願いするということになるだろうと思います。その枠内で御要望にできるだけこたえていただくようにお願いをさせていただきたいと思います。   そのほか、御発言があれば伺いたいと思います。 ○赤石委員 ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。先ほど池田委員もおっしゃったところなのですけれども、見え消し版の3ページ、3(2)アのところです。私は法律知識がないひとり親の支援団体の者なのですけれども、民法の820条から823条までというのが括弧書きの中にあるのですけれども、身上監護に関する権利義務、後ろに注記をしていただいてありがとうございました、意見を一部取り入れていただいているとは思うのですけれども、タイトルだけでも820条から823条まで入れていただくことはできないのかなと私は思っております。確かに身上監護のところが結局、教育というような文言があっても、ほかの内容についてはタイトルにないので、かえって誤解を生むという思いもおありなのかなと思いつつ、でも、何もないと本当に分からなくて、当事者の方が読んでこれを分かるという人はかなり高度な方なのではないかと思っております。ここら辺がすごく大事なところでもありますので、工夫いただけたら有り難いです。取りあえずは、そういうことでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。赤石委員からも先ほどの池田委員の御指摘と重なる形で、表現上の改善について御意見を頂きましたので、少し御検討を頂ければと思います。   ほかに何か今日のところで御発言はございますでしょうか。 ○青竹幹事 ありがとうございます。幹事の青竹です。よろしくお願いします。補足説明のところで、工夫していただけたらというところを1点だけお伝えしたいと思うのですけれども、今、赤石委員がおっしゃっていた3ページの第2の3のところで。 ○大村部会長 青竹幹事、すみません。補足説明については、先ほどからいろいろ御意見をおっしゃりたいという方がおられますが、それは次回以降に伺うということでよろしいですか。 ○青竹幹事 はい、分かりました。失礼しました。 ○大村部会長 補足説明についてはいろいろ御意見がおありだという原田委員の御発言がありましたがもし説明を改める必要があるのであれば改める、それから、ほかの資料を加えるということで分かりやすさを追求するならば、その資料をあわせて出していただくことになるのだろうと思いますので、それらの資料について御意見を更に頂戴したいと思います。   その点は留保した上で、部会資料19−1については、次回にまた御議論をいただきたいと思っておりますけれども、今日のところで何か言っておきたいことがあるということがあれば伺いたいと思います。今のところ、表現上の点について幾つか御指摘を頂いておりますが、表現上の点につきまして、もし部会資料19−1について何かありましたら、別途、事務当局の方にお伝えいただくということも可能かと思いますが、この席上で特に何かあれば伺いたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、先ほど棚村委員から御指摘があった点ですが、皆さんの御発言を改めて御確認させていただきたいと思います。法制審議会の家族法制部会としては、これまで部会の検討課題について議論を重ねてきて、まだ最終的に取りまとめには至っておりませんが、取りまとめの直前の段階に、今、来ている、このような形で私たちが作業をしてきたということについて、皆さんは部会の構成員としての責務を果たしてきたという認識をお持ちである、これに基づいて、この先も議論を進めていくということが原則的な立場である、こうした考え方に立った御発言が多かったと了解をしております。   しかし、そうではあるけれども、広い範囲の方々に理解をしていただいてパブリック・コメント等を頂くという観点、この後の議論に資するという観点からは、表現を見直すべきところがあるのではないかという御意見も続いて出ておりますので、私どもの部会として、そういう意見が出ているということをふまえて、今日は中間試案を取りまとめることが事実上困難な状況であると判断して、取りまとめは次回に送る。こういうことで皆さんの了解を得たということにさせていただきたいと思いますが、棚村委員、そういうことでよろしいでしょうか。 ○棚村委員 結構です。 ○大村部会長 事務当局も、そういう引き取り方でよろしいでしょうか。   分かりました。それでは、部会資料19−1についてはそのような形で引き取らせていただきたいと思います。あわせて部会資料19−2についても必要な見直しをしていただくことになろうかと思います。   次回のことをお話しする前に、最初の方で御説明がありましたけれども、最高裁の方から一つ御発言があると伺っております。配布されている資料の「最高裁判所提出資料」というものかと思いますけれども、これにつきまして最高裁の方で御説明をお願いいたします。 ○向井幹事 最高裁家庭局の向井でございます。第2回会議で配布された参考資料2−11の4枚目の子の監護に関する処分事件(監護者指定)・終局区分別割合と題する表について、今回これを修正した資料を改めて提出させていただきました。   具体的な修正の理由を少し補足させていただきますが、統計の趣旨としては、子の監護者の指定を求める申立てがされて、実際に子の福祉の観点から適切と考えられる者が監護者に指定された以上、申立人、相手方、いずれが指定されたとしても認容と扱うことを統計上は想定しておりました。しかし、実際の事件に即して見ますと、例えば、申立人が自分への監護者の指定を求め、最終的には相手方が子の監護者として指定されたような場合については、終局区分を統計の趣旨に従って認容とする例もありましたけれども、これを却下として扱った例が実際にありまして、終局区分の判断が統計上分かれて、取扱いがまちまちになっていたことが分かりました。そうしますと、内容の同じ判断が統計上は異なる取扱いとなってしまうため、改めて終局区分の判断基準を最初に御説明したとおりの内容に統一して改めて調査し直しまして、今回、統計資料として取りまとめさせていただきました。   参考資料として以前に提供させていただいた資料をこのような形で修正することになりまして、申し訳なく思っております。この場をお借りして、深くおわび申し上げます。 ○大村部会長 ありがとうございます。今御説明を頂いたような理由で、この資料の訂正版をお配りいただいているということかと思いますので、これに基づいて今後は議論をしていただくということになろうかと思います。どうもありがとうございました。   それでは、今日の審議はここまでということにさせていただきたいと思いますが、次回以降のことにつきまして事務当局の方で御説明を頂ければと思います。 ○赤石委員 今、この統計資料について御説明があったので、厚労省さんの方の資料で少し指摘させていただきたいことがあるのですけれども、よろしいでしょうか。第2回に提出された全国ひとり親世帯等調査についてでございます。 ○大村部会長 確認させていただきたいのですが、今の最高裁の資料についてではないということですね。 ○赤石委員 はい。 ○大村部会長 分かりました。今この場で御質問いただいて、厚労省の方で直ちに対応というのも難しいかと思いますので、後でおっしゃっていただいて、もし何か説明が必要であれば、適宜のときに厚労省の方から説明していただくということでよろしいですか。 ○赤石委員 そうですね、訂正がお願いできればすごく有り難いと思っている点でございます。 ○大村部会長 では、またそれは後で対応をしていただくということにさせていただきたいと思います。 ○北村幹事 次回は、現在のところ9月20日火曜日の午後1時30分から午後5時30分まで予定されてございます。この次回会議の進め方につきましては、本日様々御議論いただいたところでございますので、御議論を踏まえた上で、部会長とも少し御相談させていただきながら事務当局で検討して、改めて委員、幹事の皆様に御連絡差し上げたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。今日、取りまとめができるのか、できないのかということで、この先の見通しについても事務当局にも不確かなところがおありだろうと思います。先ほど、議論の透明性を確保していただきたいという御指摘もありましたが、次回どうするのかということにつきまして、事務当局とこれから相談をさせていただきまして、皆さまにできるだけ早い時期にお伝えをできるようにと考えておりますが、そのような形で次回のことについても引き取らせていただいてもよろしいでしょうか。 ○原田委員 できないことを無理にとは言いませんが、私どもは大きな団体で推薦されて来ていて、そこでの意見の取りまとめの日程調整の関係があるので、次回議論をするのか、ヒアリングで終わるのかによって、私どもの予定も1、2か月ずれていくというところがございまして、今日、明日ぐらいにそれは分かるのでしょうか。申し訳ありませんけれども。 ○北村幹事 すみません、今日、明日と言われると少し厳しいですが、できるだけ速やかに、部会長とも御相談しながら方針について御連絡させていただきたいと思います。皆様の御準備の都合があるというのは重々承知はしておりますので。 ○原田委員 少なくとも1か月以上は遅れるということでいいですね。 ○北村幹事 今日は取りまとめができていませんので、いずれにせよ、どういう形であってもパブコメの開始は後ろ倒しになっております。パブコメの期間自体は、従前御説明させていただいていた期間は確保した方がいいという御意見を頂いていますので、そういうことを前提に、こちらで次に何をどこまで御準備できるかを至急検討した上で、部会長と御相談して御連絡差し上げたいと思います。 ○原田委員 ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○赤石委員 9月20日について、部会資料19−2を検討し中間試案の取りまとめをするのか、ヒアリングをするのかの選択肢の二つということで理解してよろしいのですか。もう一つ何かあるのでしょうか。 ○北村幹事 その二つしかないかというのは難しい質問なのですけれども、どういう選択肢で何を御議論いただくのかも含めて、少し検討させていただければと思います。 ○赤石委員 ヒアリングの対象者を推薦させていただいている関係でどうなるのか、少し気になったということがございます。 ○北村幹事 ヒアリングの関係で御推薦いただいておりまして、各ヒアリングを予定していただいている方には日程も押さえていただいていることもあり、そこも御迷惑を掛けることになることは重々承知していますので、どういう対応ができて、どうすればいいのか、御推薦いただいた委員、幹事の方とも御相談させていただきながら、至急、部会長と御相談をしたいと思います。よろしくお願いします。 ○赤石委員 分かりました。御苦労さまでございます。 ○大石委員 すみません、オペレーショナルな意味でもう少し分かりやすさをするための提案とか要望というのは、どの段階で申し上げてよろしいでしょうか。今、少し申し上げてもよろしいのでしょうか。 ○大村部会長 おっしゃってください。 ○大石委員 例えば、今まだ実現していない制度が実現した場合に、社会保障や税の関係、具体的には扶養の問題や手続きがどうなるのか、ということについての一般の関心は高いと思われます。子どもの健康保険とかをどうするのかとか、あるいは扶養控除は父母どちらが使えるのかというようなことについてです。基本的に社会保障は世帯単位なのですが例えば父母両方が親権を持つようになった場合にどういう扱いになるのか。あるいは所得税の扶養控除に関してもどういうことになるのか。おそらく現実に生活していらっしゃる方々にとっては切実な問題になると思いますし、子どもが暮らす世帯の生活水準そのものに関わることでもありますので、厚生労働省や、あるいは国税庁の関係者に、現在こういうことになっているけれども、こういう制度ではこういうふうになることがあり得るといった御検討や何かの資料を提出していただければ、とても有り難いなと思った次第です。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。今のような御意見、これは赤石委員も前におっしゃっていたことがあったように思うのですけれども、実際の問題としてはかなり重要なことなのだろうと思いますが、ここで何か決めるというよりも、どういう問題が生じる可能性があるのか、それについてどんなことになるのかということについては、まず問題を指摘するということが、この先、必要になってくるかもしれません。パブリック・コメントに付すための中間試案の補足説明においてどのくらい言えるのかということになりますと、なかなか難しいところはあると思いますけれども、御指摘がありましたので、そういう問題があるということは踏まえた上で説明を工夫していただければと思います。大石委員、それでよろしいでしょうか。 ○大石委員 はい、結構です。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   それでは、次回会議の際に何をするのかということについて今日の段階で皆さまにお伝えすることができませんけれども、早く予定を知らせてほしいという御要望を複数頂きましたので、できるだけそれに応ずることができる形で事務当局の方で御尽力を頂くということにさせていただきたいと思います。   本日も熱心な御審議を賜りまして、ありがとうございました。これで閉会をさせていただきます。 −了− - 1 -