法制審議会 戸籍法部会 第9回会議 議事録 第1 日 時  令和4年11月1日(火) 自 午後1時30分                      至 午後3時30分 第2 場 所  法務省7階 共用会議室6・7 第3 議 題  戸籍法等の改正に関する要綱案の取りまとめに向けた検討 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○窪田部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会戸籍法部会の第9回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。   それでは、事務当局から本日を含めたこの部会の開催方法等についての御説明をしていただきます。 ○櫻庭幹事 今回もウェブ参加併用の形で行わせていただいておりますので、前回までと同様、御注意いただきたい点として2点申し上げます。   まず、御発言中に音声に大きな乱れが生じた場合につきましては、こちらの方で指摘をさせていただきますので、それを踏まえて適宜御対応いただければと存じます。また、発言をされる委員、幹事の皆様におかれましては、冒頭に必ずお名前を名のってから御発言を頂きますよう、よろしくお願いいたします。 ○窪田部会長 本日ですが、衣斐幹事が御欠席と伺っております。   それでは、本日の審議に入ります前に、配布資料等の確認をさせていただきたいと思います。事務当局からお願いいたします。 ○櫻庭幹事 お手元に配布資料目録、議事次第を配布しております。また、事前に部会資料9「戸籍法等の改正に関する要綱案の取りまとめに向けた検討(2)」をお送りさせていただいております。また、参考資料9-1として「現に戸籍に記載されている者等の読み仮名の記載(イメージ)」、参考資料9-2として、戸籍に記載する読み仮名のイメージを記載した資料を配布しております。   今回、戸籍の氏名の読み仮名に関するアンケートを実施した上で、その結果を御報告する予定でしたが、アンケートの実施が遅れ、御報告できませんので、次回第10回の部会において御報告させていただき、あわせて読み仮名の許容性、氏名との関連性について議論いただきたいと考えております。したがいまして、本日の部会資料は読み仮名の収集に特化したものとしております。   なお、用語について、前回会議における御意見を踏まえ、今回の部会資料においては「氏名の読み仮名(仮称)」としておりますが、この点につきましては次回、改めて皆様の御意見を頂きたいと考えております。   配布説明の御説明は以上でございます。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、審議に入ります。本日は部会資料9「戸籍法等の改正に関する要綱案の取りまとめに向けた検討(2)」について御議論をしていただきます。   それでは、部会資料「第1 氏名の読み仮名(仮称)の収集に関する事項」の「1 氏又は名が初めて戸籍に記載される者に係る収集等について」に関しまして、事務当局から御説明をお願いいたします。 ○櫻庭幹事 部会資料9の1ページ、第1の「1 氏又は名が初めて戸籍に記載される者に係る収集等について」を御覧ください。   本文の①につきましては、中間試案に記載していた内容を条文に沿って整理したものでございます。具体的には、戸籍法第29条に規定する戸籍の届書の記載事項に届出事件の本人の氏名の読み仮名を追加するとともに、戸籍法第57条第2項に規定する棄児発見調書の記載事項に氏名の読み仮名を追加し、氏又は名が初めて戸籍に記載される者の氏名の読み仮名を戸籍に記載することを提案しております。   本文②につきましては、これまでの議論では出てきていないものですが、本文①において戸籍法第29条を改正することに伴い、届書の記載事項を実情に沿う形で整理してはどうかという観点からの御提案になります。具体的には、2ページの補足説明3(3)に記載しておりますが、現状として届出人と本人が異なる場合における届書の記載事項として、本人の氏名が規定されている一方で、届出人と本人とが同一である場合には、届出人の氏名は届書の署名によって明らかであるとの理由で、届書の記載事項として規定されておりません。もっとも法務省民事局長通達に定める各種届書の様式においては、署名欄とは別に本人の氏名欄を設けているところです。このような実情を踏まえ、届出人と本人とが同一である場合についても、その読み仮名の記載と併せ、本人の氏名を届書の記載事項として明記することを提案しております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ただいま櫻庭幹事から御説明を頂きました点について、御質問や御意見がありましたらお伺いしたいと思います。どなたからでも結構ですので、御自由に御発言ください。 ○藤原委員 藤原です。お世話になります。第1の表題のところについて御質問があるのですけれども、前回の部会資料8で、ここが氏名の振り仮名となっていたのを、読み仮名の方がいいのではないかという話になったのですが、ここに括弧で仮称となっているのは、これは何か根拠、理由があるのでしょうか。 ○窪田部会長 それでは、事務当局から御説明をお願いします。 ○櫻庭幹事 読み仮名にするか、振り仮名にするかというのは、冒頭少し説明させていただきましたが、次回に議論していただきたいということで、それまで一応、仮置きということで、読み仮名と置かせていただいております。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか。 ○藤原委員 はい。 ○窪田部会長 いずれにしても次回決めたいと思いますし、前回、振り仮名ということについては否定的な御意見の方が多かったと思いますので、読み仮名を維持した上で、仮称という形で置いていただいたものだと承知しております。   ほかにございますでしょうか。 ○小幡委員 小幡です。その次の2に絡むのかもしれないのですが、出生届の場合は初めて届け出るということになって、そこで生まれたお子さんの氏と名前を届け出るということになるのですが、そこでの氏を書く際に、そこで振り仮名、読み仮名が記載されるので、それは後で、既に戸籍に記載されている者に係る収集というところと絡むのですが、そのお父さんとかお母さんとかについての氏も結局、その子供について届け出たときに氏が書かれるので、それが先に行われたた場合は、子どもの氏を届け出るときに氏がそこで届け出られるということになるのですよね。その後また、そのお父さん、お母さんは既に戸籍に記載されている方になるわけなのですが、齟齬が生じたり、またダブったりするといけないので、何かそこのところを統一して、うまく重ねられるようにした方がよいかと思ったのですが。 ○窪田部会長 実際に問題になる場面が考えられるような御指摘だったかと思います。今の点についてはいかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 例えば、帰化届であれば、家族まとめて帰化の届出がされるということがあるのですけれども、今、小幡委員がおっしゃられたように、出生の届出ということになりますと、既にお父様、お母様が戸籍を持っていらっしゃるということですので、これは出生届に併せて、現に戸籍に記載されている方の届出ということで、併せて届け出ていただければ、整合性のあるような形でまとめて読み仮名が収集できるのではないかということ、運用でそういったことができないかと考えております。 ○窪田部会長 今の御質問の中には、子供の出生届だけを提出して、両親については戸籍には記載されているけれども、しかし読み仮名についての届出はまだなされていないという段階でどうなるのかという点が含まれていたかと思います。もちろん一緒に読み仮名の届出もしてもらえば問題が解決するのは間違いないのですが、子供の出生届だけが受理されたような場合にどうなるのだろうか、という点を含むご質問だったと思います。 ○櫻庭幹事 その場合には、後で2の方で議論させていただきますけれども、別の機会に届出をしていただくと。それでも届け出ていただかない場合には職権で記載するということになるのかなと思います。 ○窪田部会長 少し具体的に検討していただいた方がいいのかなという気がいたします。子供の氏として届け出た場合にも、それが多分、全体の氏として届け出たのと同じことになるのではないかということもありますので、その場合に、その後どういう扱いになるのか、単に届け出ればいいのか、修正の届出になるのかという点も含めて、一度御検討いただいておいた方がよろしいかと思います。小幡先生、それでよろしいでしょうか。 ○小幡委員 今、部会長のおっしゃったとおりで、技術的なことなので、後で齟齬が生じないように、うまく仕組めばよいのかなと思っております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それ以外に御発言はございますでしょうか。 ○笹原委員 ありがとうございます。今お話にあった出生届に関連してです。今後、新生児の名は漢字と読み仮名との両方を記入することになるかと思うのですが、そのときに、常用漢字と人名用漢字以外の表外字があれば、そのまま法務局に照会するなどという手続になっているかと思います。読み仮名についても仮に審査がなされることになった場合、どのような手続を想定されているのかという点について教えていただければと思います。 ○窪田部会長 その点はいかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 これも想定で、これから詳細は詰めたいと思いますけれども、考えられるのは一回、読み仮名が未定というところで受理した上で、受理照会ということで法務局の方に確認していただいて、それで受理できるかどうかというのを決めるということになるのかなと思います。 ○笹原委員 ありがとうございます。そうしますと、新生児の方も名が戸籍に定まっていないと医療などで不利益が生じることがあるとも伺っておりますので、その辺りには御配慮いただければと思います。あと、帰化を申請された方も氏や名前について同様の届出がなされることになるかと思うのですが、その際にも同じようなことが想定されると考えてよろしいでしょうか。 ○櫻庭幹事 恐らく、そうですね。名前を審査するというところで、読み仮名が決まらないということであれば、そこを未定という形で受理するか、受理はしないで改めて申請していただくかというところになると思いますけれども、そこも少し運用をこれから詰めたいと思います。 ○笹原委員 ありがとうございました。 ○西幹事 ありがとうございます。西でございます。2点ございます。いずれも初歩的なことで恐縮です。   まず一つ目は、第1の1①です。出生証明書などは分かるのですが、今回、棄児発見調書が挙げられております。今ちょうど赤ちゃんポストの話とかもあることを考えますと、なるほどという感じはするのですけれども、ほかにも、こういう届出があるのではないかという気がいたしますので、あえてこの棄児発見調書だけ書かれているというのに何か御意図があるようでしたら教えていただけますでしょうか。もし単なる例示であるとすれば、その旨を分かるようにしていただいた方が、社会的な問題に関係あることですので、よろしいのかなと思いました。   2点目は、②です。届出人と届出事件の本人が同一である場合ということで、恐らく子供が生まれた場合には同一ということはないと思いますので、帰化などの場合か、あるいは氏の変更などを想定していらっしゃるのかもしれませんけれども、これは2ページの2の方には関係ないのでしょうか。つまり、2の方で既に記載されている人が読み方を届け出るという場合にも、恐らく届出人とその本人が同一か同一ではないかということはあると思うのですが、その場合にはこういう話はならないという理解でよろしいのでしょうか。第1の1②に新しく入った趣旨が今一つ分かりませんので、教えていただければと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。一つは、①で棄児発見調書が挙がっているけれども、これは例示なのか、その他の場合も考えられるのかという点、それから②で、届出人と届出事件の本人が同一である場合として、これは子供の出生届の場面というのは考えにくいので、具体的にどんな場面が想定されるのかという点、2とも関連する点として御質問があったかと思います。いかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 それでは、まず最初の御質問からお答えします。まず、29条の方は、届書に記載する通則的な記載事項になってございまして、御本人が書いていただく届書の記載事項に、届出事件の本人の氏名と氏名の振り仮名を規定してはどうかという案でございます。   棄児発見調書につきましては、57条の2項で、その調書はこれを届書とみなすということで、本来、届書ではないのですけれども、みなし規定がありますので、この29条の届書の規律と同様の規律を働かせるということで、これを提示したものでございます。条文を眺めたところ、このような届書とみなすというような規定がほかにないものですから、例示というよりは、今回これが改正事項の一つになるのではないかと考えてございます。   また、後の質問でございます、届出人と届出事件の本人が一緒というより違う場合を先にお話ししますと、出生とか死亡とか、本人ができない場合でございます。逆に本人ができる場合には、婚姻とか帰化とかいろいろなものを含めて、届出人と届出事件の本人とが同一になるということになります。この規定は、なぜこちらの方で規律するかというと、法律の立て付けから言いますと、本則ですね、現に戸籍に記載されている方と比較した場合には、その方は附則の方で経過措置的に規律するということを予定してございますけれども、法の29条というところで改正するということは、この改正法が施行になったときに、本則としてすべからく改正法後に新しく届け出ていただく方にはこの規律でやっていただくと。そういったことで、本則に規定する意味で1の方において御説明したという趣旨でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。先ほどの御質問の中には、例えば帰化の届出とかもあるのではないかということだったのですが、①の最初の方の戸籍の届書の記載事項、戸籍法第29条、こちらの方に帰化の届も入るし、あるいは婚姻届も入るということでよろしいですか。 ○櫻庭幹事 通則的な規定ですので、あと残り、もし過不足があるということであれば、ほかの規定でそれを拾うということですので、これが全体に係る規定と捉えてございます。 ○窪田部会長 西幹事、ただいまの御説明でよろしいでしょうか。あるいは、まだ続けて御質問があれば、どうぞ。 ○西幹事 ありがとうございました。分かりました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   それでは、ほかに御発言はありますでしょうか。 ○舩木委員 舩木です。第1の1の①、②という今回の改正案というのは、29条の規定が具体的にどのように改正されるのかというのを示していただければ有り難いです。 ○窪田部会長 事務当局からご説明をお願いできますか。 ○櫻庭幹事 これは現在、事務当局の方で案として持っているものでございまして、これで確定ということではございませんけれども、現在、29条に1号から4号まで規定があるわけでございますけれども、今般はその4号に、届出事件の本人の氏名及び氏名の振り仮名ということを規定いたしまして、届出人と届出事件の本人が異なる、異ならないにかかわらず、届出事件の本人の氏名及び氏名の振り仮名を規定するということを考えてございます。   一方で5号の方でございますけれども、本人の氏名というところを4号の方で吸収しましたので、ここは届出事件の本人の氏名を削除する形で改正してはどうかと考えてございます。 ○窪田部会長 よろしいですか。 ○舩木委員 結構です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは、ほかに御発言はありますでしょうか。   それでは、この点については以上ということで、先に進ませていただければと思います。また何かありましたら、後ほど御発言いただくことはもちろん差し支えありません。   それでは、続きまして部会資料第1の「2 既に戸籍に記載されている者に係る収集について」に関しまして、事務当局から御説明をお願いいたします。 ○櫻庭幹事 それでは、部会資料の2ページ、第1の「2 既に戸籍に記載されている者に係る収集について」を御覧ください。本文において、中間試案の内容を前提に整理した内容を提案しております。中間試案からの大きな変更点としましては、主に本文①の規律に関し、申出ではなく届出と整理することとし、届出義務を課さないこととした点、本文①、②の規律に関し、氏の読み仮名に係る届出人について筆頭者、配偶者、子という順序を設けた点、本文①の規律に関し、届出期間について、仮置きではございますが、施行後1年とした点、本文④のとおり、職権記載された読み仮名の変更に関する規律を追加した点でございます。これらの変更点につきまして、順に御説明申し上げます。   まず、1点目の、届出と整理し、届出義務を課さないこととした点につきましては、3ページ以下の補足説明3(1)、(2)に記載しておりますが、これまで戸籍法上の届出と整理することについては、法定の期間内に届出がされなかった場合に過料の対象となることを理由として、否定的な御意見を多数頂いていたところです。もっとも読み仮名の届出又は申出は、その届出又は申出に基づき戸籍に読み仮名が記載されるという点で、戸籍法上の届出として取り扱うのが相当ではないかと考えられますし、読み仮名が戸籍に記載されなかった場合に不服申立てを認める必要があるなど、届出に係る一般規定を適用する必要があると考えられます。また、第1の1の氏又は名が初めて戸籍に記載される者については、その読み仮名が届書の記載事項となり、読み仮名を記載しない届書については受理されないことになりますので、それらの者との公平性を担保する必要もございます。そこで、氏名の読み仮名の届出については、申出ではなく届出と整理することを提案しております。   なお、4ページの補足説明3(2)のとおり、一定期間経過後は本籍地の市町村長が職権で氏名の読み仮名を記載することとすれば、届出義務を課し過料の対象とすることによって届出を促す必要性は低いといえますので、届出義務を課さないこととすることを提案しております。   次に、2点目の、氏の読み仮名に係る届出人について筆頭者、配偶者、子という順序を設けた点についてです。同じく4ページの補足説明3(3)アに記載しておりますが、戸籍における氏名の記載順序については、戸籍法第14条第1項において、第1、夫婦が夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻と規定されております。したがって、戸籍に記載される氏は戸籍の筆頭者の氏であり、氏の読み仮名は当該戸籍に記載された氏の読み方であることから、その氏の読み方に最も詳しいと考えられる戸籍の筆頭者が届け出るものとすることを提案しております。   なお、5ページの補足説明3(3)イのとおり、氏の変更の届と同様に戸籍の筆頭者及び配偶者による共同の届出とすることも考えられますが、氏の変更の届出は創設的届出であるのに対して、氏の読み仮名の届出は報告的届出であって、その性質が異なることに加えて、共同の届出とすると、届出をする国民の負担が大きくなると考えられます。具体的には、単身赴任等により別居している夫婦については、書面による届出をする場合には、それぞれが順に届書に署名した上で届出をすることが必要となりますし、同居している場合でも、届書の用紙が手元にない場合には、夫婦が二人で市町村の窓口に出向かなければその場で届出をすることができないということになります。また、オンラインによる届出についても、二人の個人認証が必要となることから実現が難しくなると考えられます。そこで、氏の読み仮名の届出については戸籍の筆頭者が単独で届け出ることができるものとすることを提案しております。   さらに、派生的な論点となりますが、後述のとおり市町村長が職権で読み仮名を記載するに当たり、夫婦が事実上異なる読み方をしているような場合に、夫婦の氏のどちらの読み仮名を記載するかという点が問題になり得るところ、これについて明確なルールがあった方が望ましいと考えております。この点、先ほども御説明しましたが、戸籍に記載される氏は戸籍の筆頭者の氏であり、氏の読み仮名は当該戸籍に記載された氏の読み方であることから、職権記載の場合も筆頭者の読み仮名を記載するということになるということも、筆頭者の単独の届出を原則とするルールを提案した理由の一つです。   また、補足説明3(3)ウのとおり、筆頭者が除籍されたとしても戸籍の筆頭者に変更は生じませんので、筆頭者が死亡等により除籍されている場合には、第2順位として配偶者、第3順位として子が届出人となることができるとすることを提案しております。   次に、3点目の届出期間についてです。5ページの補足説明3(5)に記載しておりますが、これまでの部会における御議論やパブリック・コメントの御意見を踏まえ、来庁や郵送による届出以外の方法として、マイナポータルを利用した届出についても検討することとし、それを前提に、届出期間について施行後1年以内とすることを提案しております。   次に、4点目の職権記載された読み仮名の変更に関する規律についてです。7ページの補足説明3(9)に記載しておりますが、市町村長が職権で氏名の読み仮名を記載した場合、当該氏名の読み仮名は暫定的なものとして、一度に限り、家庭裁判所の許可を必要とする氏名の読み仮名の変更手続によらずに、届出のみにより変更することができるとすることを提案しております。この場合、職権記載された氏の読み仮名の変更は、氏の変更と同様に創設的届出であることから、届出人につきましては、氏の変更と同様に、戸籍の筆頭者に配偶者がある場合には配偶者と共に届け出なければならないものとすることを提案しております。   中間試案からの大きな変更点につきましては以上でございますが、補足説明に記載したその他の点について、一部補足させていただきます。   まず、名の読み仮名に係る届出人につきましては、5ページの補足説明3(4)に記載しておりますが、戸籍に記載されている者本人が届出をすることができるとすることを提案しております。なお、戸籍に記載されている者が未成年者又は成年被後見人である場合につきましては、戸籍法第31条の趣旨に照らし、その親権者又は成年後見人が届出をすることができるものとしつつ、未成年者又は成年被後見人による届出を妨げないとすることが考えられます。   次に、届出地につきましては、6ページの補足説明3(6)に記載しておりますとおり、戸籍法第25条第1項において、届出は届出事件の本人の本籍地又は届出人の所在地でこれをしなければならないとされていることから、同条の適用により、本籍地の市町村又は所在地の市町村となると考えられます。また、外国に居住する在外邦人につきましては、戸籍法第40条において、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事、すなわち在外公館に届出をすることができることとされておりますので、在外公館において氏名の読み仮名の届出をしてもらうことが考えられます。なお、前回会議において新谷委員から御指摘を頂きました、通知をする場合における在外邦人に対する通知の方法あるいは在外邦人に対する周知の方法につきましては、今後外務省と協議の上、検討してまいりたいと考えております。   次に、補足説明の3(8)に記載しております職権記載の方法についてです。職権記載の方法として、住民票に記載されているふりがな情報を参考とする方向で総務省自治行政局住民制度課との間で検討を進めております。出生届等の標準様式には氏名のよみかた欄が設けられておりまして、例えば出生の届出の場合では、出生届が受理されると、住所地市町村長に対し住民票に記載すべき事項が通知され、出生届に記載された情報を基に新たに住民票が編成されるという流れになっております。なお、住民票に記載されたふりがな情報は、転出入の届出等の機会に本人が申告したものに置き換えられるなど、本人が使用するものと一致している可能性が比較的高いものと考えられるものでございます。   第1の2に関する説明は以上ですが、続いて、参考資料9-1「現に戸籍に記載されている者等の読み仮名の記載(イメージ)」について御説明いたします。ポンチ絵でございます。これは、読み仮名の収集についての本籍地市町村での作業を記したものになります。縦の線が3本入っておりまして、左から、ふりがな情報の収集日、真ん中が施行日、三つ目、右側が施行日から1年とフェーズが分かれております。施行日を中心に見て左側が、現に戸籍に記載されている者、右側が改正法の施行後、氏又は名が初めて戸籍に記載される者ということになります。職権記載に当たっては、住所地の住民票で管理しているふりがな情報を活用したいと考えており、施行日までに職権で記載する予定の情報を仮登録するということを想定しております。   この参考資料9-1では、登場人物としてAからDの4名を登場させておりますが、Aは、ふりがな情報を仮登録したものの、施行日以降、読み仮名の届出をしたことにより、その読み仮名が戸籍に記載される者、Bは、施行日から1年経っても読み仮名の届出をしないことから、仮登録された読み仮名が戸籍に記載される者、Cは、ふりがな情報を統一的に収集する時点では戸籍に記載されていなかったものの、施行日時点では現に戸籍に記載されている者と扱われる者を示しております。Cの場合は、ふりがな情報の収集日以降に出生した者ですので、出生届がされたときに住民票の処理上必要として届けられた読み方を仮登録しておくという扱いが考えられるところです。Dは、帰化者として施行日以降初めて戸籍に記載される者となりますので、帰化の届出をした際に読み仮名が戸籍に記載されることになります。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは、ただいま御説明をしていただきました点について御質問や御意見がありましたら、どうぞ御発言をお願いいたします。 ○小幡委員 小幡でございます。ありがとうございます。少し御意見を申し上げたいと思いますが、ここのところは非常に難しいところだと思っております。   まず第1点ですが、申出ではなくて届出ということにするというお話でしたが、私はそれについては賛成です。以前から申し上げている通り、届出というのはいろいろなものがございまして、たまたま戸籍法の届出は届出義務違反に過料が付いていると、そういうことになっているのにすぎないわけでして、むしろほかの法律では届出義務違反には過料など何も科さない方が多いぐらいなので、あえて申出などの言葉を使わなくても、届出にしておいて、ただ過料を科さなければよい、ここでの届出には過料は科さないということを明記すれば、それでよいのではないかと思っております。   先ほどの話では、過料を科さないようにするために届出義務を課さないというような言い方をされていたのですが、あえて義務ではなくて権利だとするということですが、そこまで過料を科さないために技巧的にする必要はないのではないか。戸籍法の中の届出ではあるが、ここの何条の届出はこうだという話で処理するという方法もあるのではないかという感じがしております。   もう1点ですが、今の、届出が義務か権利かというところにも実は関わると思うのですが、そもそも今回、戸籍で読み仮名が新たに法律事項になるという大きなイベントがございますので、それへの国民の関わり方として、自分の名の読み仮名は自分で決めるのがやはり本則であるという自己決定権を重視する考え方と、そうはいっても皆忙しいですし、より効率的に、国民に余計な負担を掛けずに円滑に事を進めるのが合理的であるという考え方と、大きく二つあると思います。   今回示されているやり方は、住民票での振り仮名を収集して仮登録する、これを示して、違っていれば届け出てもらう、届け出なければ1年経つと仮登録した読み仮名で職権で確定するという流れかと思いますが、どちらかというと効率性、合理性が強く出ているのかなという感じがいたします。例えば、自分で届け出たいと思っている方も、仮登録されたものを見て問題なければ、わざわざ同じことを届け出ないでよいと思うだろうという感じもいたします。手間を取らせないということで、効率的で負荷は掛からないのでよいというメリットはもちろんあるのですが、逆に物足りなく感じる方もいらっしゃるかもしれません。   それから、パブコメでも職権でということに抵抗感を感じるコメントが結構あったかと思いますが、仮登録1年後の確定についてですが、住民票にあるものを、結局これは本当は住民票にあるものを暫定的に使うだけなので、気に入らなければ修正してほしいと、そういう趣旨を強く示して、御本人から届出がなかったので暫定的に記載したが、1回は家庭裁判所に行く必要なく本人がチェックして上書きできるということなのだということをかなり強く、明確に示しておいた方がよいかと思っています。   というのは、長くなって恐縮ですが、住民票の方で使われている読み仮名ですが、もちろん出生届に書くようになってからは本人、というか親御さんの申請ということで明確だと思いますが、それ以前は本人自身の申請で振り仮名が振られているということが法的には保証されていませんし、市町村によってもばらつきがあると思うので、これはあくまで暫定的なものだという位置付けを強調せざるを得ないのではないかと思っています。ですから、職権でという意味は、本人から届出がなかったので暫定的に、今用いられているものを届出によらず役所の方で記載するという意味の職権なのだと思うのですが、何か職権といいますと公権力が決定したような響きがあって、少し響きがまずいので、何かもう少しよいネーミングがあればよいかなと思っております。   ということで、私自身も、今回の案は効率性、合理性という見地からは、それでよいようにも思うのですが、他方で自己決定権という観点から、仮登録の読み仮名を先に示すと皆さん届出しないかなと思うものですから、やや迷うところがあります。いずれにしても、先ほど大きく二つ考え方があると申しましたが、これだけ国民全員に関わる大きな話なので、円滑に進むよう効率的に仕組みを作ることはもちろん必要なのですが、同時に自分で読み仮名を決定するという原理原則をできるだけうまく入れ込むような形で仕組みを作れればよいと思っております。   すみません、少し長くなりましたが以上です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。最初に御指摘いただいたのは、過料を科さないという点について合意は得られているのだろうと思いますけれども、届出とした上で、別に義務がないと言わなくても、過料を科さないという選択肢もあるのではないか、潜在的にはむしろ届け出る義務というものを観念した上で過料を科さないという方向性も、最終的には自己決定の尊重とかそういう観点からは、あり得るのではないかということを含んでの御発言であったかと思います。これについて、事務当局はいかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 小幡委員のおっしゃることはごもっともだと思います。原案の考え方としましては、まず職権記載については、なるべく国民に負担を掛けないという思想を基にしております。一方で、正しい読み方を戸籍に記載するということは重要なことですので、職権記載をする前に、自らが使用している読み仮名を、正しい読み仮名と考えるものを届け出ていただくという機会を保障しているので、そういう意味では、この案がハイブリッドなものになっているのではないかと考えております。   また、職権という表現を使わないということでございますけれども、恐らく条文上はあえて職権という言葉を使わなくても、こういったことが達成できるのではないかと考えております。今般、議論する上での分かりやすさから職権という言葉を使用したものでございますけれども、御指摘の点については配慮したいと思っております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。小幡委員、よろしいでしょうか。 ○小幡委員 そうですね、職権という言葉については、今この議論で分かりやすくするためにということであれば、分かりましたので、できれば一般の方には余り使わない方がよいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○若月委員 若月です。単純な質問なのですけれども、仮登録されたこの名前というのは、あらかじめ御本人たちには知らされるのでしょうか。そこを知りたかったのですが。 ○櫻庭幹事 そうですね、この仮登録につきましては今、まだデジタル庁等と相談はしておりませんけれども、当方で想定しておりますのは、この仮登録をマイナポータルのようなもので事前に見られるようにしてはどうかと。手順としましては、住民票の方で管理していますふりがな情報を施行日前に戸籍の方に情報を頂いた上で、それをマイナポータルで、本人がアクセスすれば見られるような状態で、こういったものが今、戸籍の方に記載される可能性があるものですということで表示させるということを検討しております。 ○窪田部会長 若月委員、それでよろしいでしょうか。もし御発言の続きがあれば、どうぞ。 ○若月委員 ということは、マイナポータルがますます重要になるということなのですね。何かもう、みんなやらなければ駄目だよ、みたいな雰囲気にもなっていますけれども、デジタル庁が頑張って、使い勝手の良いマイナポータルになるということを期待するということになりますでしょうか。 ○窪田部会長 多分、今の点は現時点では確定的なことが事務当局からも御返事できないのだろうと思うのですが、多分この間、他のところともいろいろ折衝していただきながら、一方で法務省は、そう言ったら失礼かもしれませんが、必ずしも十分な予算がないところですので、一体何ができるのかというのを工夫してもらっているところではないかと思います。マイナポータル一本ということで決まったわけではないと思いますけれども、多分今、作業をしてもらっているのは、仮登録というのを施行日前にできるだけ集めた上で、それを何らかの形では確認することができた上で、それについての対応を決めてもらうという方向を今、模索している状況なのではないかと横で拝見しております。若月委員、よろしいでしょうか。 ○若月委員 はい、分かりました。ありがとうございます。 ○大谷委員 大谷でございます。事務局でいろいろ工夫していただいた痕跡が分かりまして、いい資料になっていると拝見しております。その一方で、小幡委員がおっしゃっている、自己決定権を尊重するという、読み方についての各個人の皆様のこだわりといったものをすくい上げるやり方というのが是非必要だと思っておりまして、その周知施策には十分な準備と、それから時間を掛けて行うべきだと思っております。   そこで、少し周辺のことですけれども、質問をさせていただければと思います。一つは、資料の2②で、戸籍筆頭者が除籍されている場合に配偶者、子供さんなどが氏の読み方についての届出ができるということなのですが、実際問題として除籍という状態にならなくても、筆頭者の方の読み方の届出に協力が得られないとか、実際に難しいケースというのが出てくるかと思いますので、除籍という状況を必要とするのか、あるいはもう少し簡便なやり方も含めて、戸籍筆頭者が限られた1年間という期間の間に体調不良などがあったときに、便宜的にほかの配偶者等が届出ができる仕組みというのも併せて考えておく必要があると思いました。もし事務局の方でその点について既にお考えのところがあれば、伺いたいと思います。   それから、2点目でございますけれども、先ほど若月委員の方からも御質問があった仮登録についてですけれども、恐らく十分な周知をすればするほど、自分の読み方がどのようなものか問合せ、関心があると思います。そのお問合せというのが、もちろんマイナポータルを通して実現するというのは一つの方策ではありますけれども、具体的に知りたいというニーズにこたえるための方法というのをそれなりに複数持っておく必要があると思いますし、自治体などがその問合せに応じるための体制などで過大な負担を掛けられるということがないのように、準備を進める必要があると思っております。その点につきまして、もちろんマイナポータル等を調整していただくというのは大切なことなのですけれども、それ以外の方策についても、事務局にお考えがありましたら、併せて御説明いただければ幸いでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。2点御質問、御意見も伺ったかと思いますが、第1点目は、戸籍筆頭者の除籍については規定がされていますけれども、除籍以外の場面で、例えば健康上の理由などですぐ対応できないとか、そういった場面に対する規律が必要ではないかということ、第2点目としては、仮登録に関して問合せ等、マイナポータル以外のものを含めて、複数の形で対応できるようにするということと、それに対して対応することが過大な自治体の負担にもならないようにということも工夫しなければいけないということで御質問、御意見を伺ったかと思いますが、今の点、いかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 重要な指摘を頂いたと思っております。まず最初の点でございますけれども、届出人を筆頭者とするというルール、これを原則的なルールと考えてございますけれども、そういった筆頭者ができない場合に、どういうふうに柔軟に対応できるかという点につきましては、少し検討したいと考えております。筆頭者のルールを作った上で、それが簡易に筆頭者でない人が届け出られるということになりますと、そこはそこで分かりやすいルールを作った意味がなくなってしまうところもあります。一体どういったときに除籍に相当するようなものに該当するかとか、そういったことも含めて少し検討させていただきたいと思います。   また、2点目の点でございます。仮登録についての問合せというところで、今マイナポータルを活用するということを一つ考えているところではございますけれども、あとは自治体の方に過分な負担を掛けてはいけないと考えておりますので、わざわざ住民票にどんな名前が書いてあるか問い合わせるというよりは、むしろそのまま自分が望むところの届出をしていただくというところに促したいなと思っております。ほかにどういうやり方があるのかというのは、また引き続き検討させていただきたいと思っております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。大谷委員、今の御回答でよろしかったでしょうか。まだ続けて御発言があれば、どうぞ、お願いいたします。 ○大谷委員 先ほど意見と質問を申し述べた点については、引き続き検討いただけるということでございますので、大丈夫です。ありがとうございました。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○冨田委員 ありがとうございます。冨田でございます。まず、意見を申し上げる前に質問をさせていただきたいのですけれども、今回の御提案の中では、仮登録する名前を住民基本台帳に記載のもので検討してはどうかという内容だったと思うのですけれども、これまでも議論にあったような、「やまざき」や「やまさき」のように、住民基本台帳上で氏の読みかたが違って登録されている方が恐らく相当数いらっしゃるのではないかと思います。こうした名前の違う方の場合の仮登録というのがどういう形で登録をされ、仮に今ほどありましたような問合せがあった場合には、どのような答えが返ってくるものと想定すればよいのかということを、まずは質問させていただきたいと思います。 ○窪田部会長 まずはその点、いかがでしょうか。異なる複数の仮登録の名前が登録されているような場合に一体どうなるのかという御質問でよろしかったかと思いますが、いかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 今回提案しておりますのは、筆頭者の方がこれまで氏を使っていたというところで、その氏に詳しいということで、筆頭者の読み方、これを利用してはどうかというようなルールになってございます。それで、もし戸籍六法とかをお持ちであれば、1,547ページになりますけれども、婚姻届の様式がございます。今どうなっているかということでございますけれども、婚姻届には様式として、夫になる人、また妻になる人の読み方欄がございまして、更に婚姻後の氏として夫又は妻の氏をチェックするということになってございますので、夫婦となったときにどちらかの読み方をするということが決まっていたといえるのではないかと。この場合、戸籍の担当者が戸籍を見たときに、筆頭にある方の読み方を氏の場合には活用すると。こういったことが考えられるのではないかと。問合せがあった場合には、この原則、本籍地の方では誰が筆頭者かということが分かるわけですので、仮に問合せがあった場合には、この筆頭者の方の読み方が記載されるという回答になるのではないかと考えられます。 ○窪田部会長 多分、今の御質問は、婚姻届のときに、例えば筆頭者の名字として「すすき」と届出をしていた。ところがその後、転居届のときに、「すずき」と読む人が多いものだから、もう面倒くさいよねといって転居届の方の振り仮名のところでは「すずき」と届け出ていたような場合、つまり、複数のものが住民票のデータとして用いられるものとして考えられる場合に、新しいものが優先するのか、戸籍の方が優先するのかという点はありますけれども、そうしたものがある場合にどうなるのかという御質問だったのかなと思います。冨田委員、私の理解で間違いはないでしょうか。 ○冨田委員 はい、そういうケースであったり、住民票の届出をベースということですので、仮に双方別居して、婚姻は解消していないのに別居して、夫の方は「やまざき」で届け、妻の方は「やまさき」でそれぞれ住民票が届け出られている場合に、仮の名前の登録はそれぞれの名前で登録をされると多分理解されるのではないかと思います。その場合の問合では、仮登録されている名前で照会がされるのか、若しくはもうその時点で、夫の氏が優先なのですよというような案内がされてしまうのか、ここのところが仮登録の段階でどうなっているのかというのをお尋ねしたかったということです。 ○櫻庭幹事 そういう意味では、仕組みの作り込み次第かなと思います。住民票のふりがな情報をそのまま持ってきてそれを見るということであれば、それぞれ別のものになりますし、実際、職権記載をするということを念頭に置いて、仮登録の段階で筆頭者の方を登録するとすれば、それはもうその段階から筆頭者の方を書くということになるのかなと思います。また、部会長がおっしゃられたように「すすき」が「すずき」になったりするというのは、これからのルールだとは思いますけれども、一つ考えられるのは、今回、読み仮名を初めて収集するということになれば、直近の読み方が正しいというような、そういう一つの整理で、現時点に近いものを届け出て、それを仮登録するということも考えられるのではないかと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。仮登録する読み仮名は、これが複数あるというのは考えにくくて、最終的には一つでないと、その後の職権記載に進めないので、一つにするのだろうと思いますが、その一つにするときに、複数の候補があるときにどういうふうに一つにするのかという部分は、まだこれから検討していくという点なのかなと理解いたしました。冨田委員、続けて御発言がございますでしょうか。 ○冨田委員 ありがとうございます。今の状況なども踏まえた上で、改めて申し上げておきたいのですけれども、これまで議論してきた内容で、届出とするのか申出とするのかというのは、過料を科す、科さないだけではなくて、今のような課題があるので、同一戸籍内の氏の規律は規定しないという前提で議論してきたと理解をしています。ですので、今も申し上げた「やまざき」、「やまさき」問題ですとか、あとDVの被害者の対処をどうするのか、若しくは今、選択的夫婦別氏制度のような議論が進められている中において、今回のように集めるということを第一優先に置いた、戸籍の筆頭者の氏を優先すると法律上に規定してしまうことについては様々これまで議論してきたような問題を引き起こすということにもなりかねないですし、なかなか国民に容易に受け入れられないのではないかと思っておりまして、この辺りはなかなか難しいのですけれども、過料を科すのか、科さないのかではなくて、私としてはやはり氏の規律を法律にこのように規定するか、規定しないのかということについての是非をやはり慎重に議論すべきではないかと思っておりますので、そのことを意見として申し上げておきたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。少しだけ私の方で御質問させていただきたいのですけれども、その場合の氏の規律を扱うことについてということで、具体的にどのようなことを念頭に置かれての御発言でしょうか。御発言の趣旨というのは十分に分かるような気もするのですが、一方で多分、この場では選択的夫婦別氏の問題とかというのを直接扱うことはできない状況で、氏の読み仮名あるいは振り仮名についての検討をしていると思うのですが、御発言がその範囲にとどまるものなのか、そうではないのか、少しだけ確認させていただければと思います。 ○冨田委員 ありがとうございます。選択的夫婦別氏制度をここで議論できないというのは承知をしているのですが、そうした議論もある中で、戸籍の筆頭者の多くがやはり男性が大半を占めるという中で、そのことを前提とした規律を設けること自体が、もしかしたら、そこにはきちんとした説明や丁寧な議論があるべきではないのかということを意見として申し上げたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。十分によく理解できるかと思います。ただいまの点は御意見として伺うということでよろしいでしょうか、 ○櫻庭幹事 特に今般、氏の規律を新たに何か規定するという趣旨ではございませんので、少しその旨、付言させていただきたいと思います。今回どうして読み仮名を戸籍に記載するかということからお話し申し上げますと、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律の附則第73条というところで、個人の氏名のいわゆる読み仮名を戸籍に記載することを含めて検討するということが規定されております。このため、国会においても、既存の戸籍法の仕組みと調和させた上で戸籍に読み仮名を記載する仕組みを設けることが求められているのではないかと認識しております。そう考えますと、戸籍の氏名の記載順序を規定した現行法の戸籍法の14条の思想など、戸籍法の価値判断を基に実施できる仕組みを構築するのが妥当ではないかということで、今回提案させていただいた次第でございます。 ○窪田部会長 冨田委員、よろしいでしょうか。それとも、更に御発言があれば、どうぞ。 ○冨田委員 ありがとうございます。一言だけ付言させてください。今のところは、なぜ振り仮名を振らなければならないのかという一番初めの議論のときに、どうすれば国民の理解を得られるのかというのがあったかと思います。先ほど小幡先生の方からも、自己の権利なのか、義務なのかというお話もあったと思うのですが、あわせて、目的の中には、自己の氏名を正確に呼称される権利・利益の保護に資するためにも読み仮名を振れるのだということがパブリック・コメントの補足説明の前文の中に書かれていたかと思いますので、デジタル社会の推進にこたえるだけではないということも併せて御検討いただきたいと思いますので、重ねてお願いしたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。ただいまの御意見とともに、恐らく先ほども触れられた点として、戸籍筆頭者という概念が出てくることについては、少し慎重な説明をしていく必要があるのかなと私自身も感じております。 ○村林委員 ありがとうございます。村林でございます。読み仮名の届出についてです。先ほど来の議論を聞いていますと、届けるのに、白地の読み仮名のところに届けてくださいというのが前提になって議論されているように聞こえました。実際に住民票のものを仮登録するということがあるということは、後からそれをお知らせするよりは、最初から、今、住民票にはこういうふうに登録されていますが、これでよろしい場合はそのまま登録をします、あるいはそうでない場合は登録する読み仮名を記載してくださいとか、そういうような形にしておかないと大混乱が起きると思いますので、きちんと、法律論とともに制度設計も一緒に議論しないと、そういうのは後から考えますでは、何かつじつまが合わなくなってきたりとかすることがあると思いますので、そこをしっかりと議論というか、検討いただいて、御提示いただければなと思います。別にマイナポータルであろうが郵送であろうが、そういうことを記載したものを発送する、あるいはポータルに載っけて、オーケーですと言えば、それは意思の表示になると思いますし、その辺をきちんとすることが大事なのではないかと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございます。今、村林委員から御指摘を頂いた点については、恐らく法務省の方でもかなり検討したのではないかと思いますので、私の方からも少し発言させていただきます。参考資料9-1ですと、今までは恐らく施行日の真ん中の線以降の話を基本的にはしてきたのだろうと思います。その中で住民票とかのデータをどういうふうに扱うのかという議論があったのですが、今回の資料では、施行日前にふりがなの情報収集日という準備期間を設けて、この間に、言わば仮登録するということと、その仮登録したデータが見られるようにするという方向で考えてもらったのがこの仕組みなのだろうと思います。ただ、一方でまだはっきりしていない点ということで、村林委員から御提案があったのは、仮登録したものについて、それで構わないのであれば構わない、そうではない場合だけ登録するというのはオプトアウトのイメージということになります。一方で小幡委員からも御指摘があったのは、むしろ、それはそれとして、そういうものがあるとしても、原則はやはり自分自身で登録するという方向が望ましいのではないか、これはまだこの部会でも十分に合意が得られていない点なのかなと思いながら伺っておりました。村林委員の御意見というのは十分理解できるものであると思いますし、その点について何か事務当局から御発言いただくことはございますでしょうか。 ○櫻庭幹事 仕組みについては、皆様の御議論を頂いた上で少し考えたいと思っておりますので、もう少し皆様の御意見を聞いてから発言させていただきます。 ○窪田部会長 残り時間もだんだん少なくなってきておりますので、そろそろだんだん固めていかなければいけないと思うのですが、是非そういう点も含めて御発言いただければと思います。 ○西幹事 ありがとうございます。西でございます。細かいことばかりで恐縮ですけれども、質問が2点と、確認させていただきたいことが2点ございます。   まず、確認させていただきたいことの一つ目は、2ページの2④のところです。一度に限って届出のみで変更することができるということなのですが、これには期間制限がないという理解でよろしいのでしょうか。先ほどマイナポータルで見られるようにするというお話がありましたけれども、まだマイナンバーカードを持っている人も半分ぐらいですし、自分の読み仮名がどのように記載されているのか、ずっと知る機会がないままの方も多いと思いますので、期間制限がないと本当にいつになるか分からないように思いましたので。   もう1点は、5ページの(4)のところで、届出人が未成年の場合、あるいは成年被後見人である場合ということが書かれていますけれども、(3)の氏の方についても、届出人が未成年ということはあると思います。特に棄児の例が一番最初に今日、出てきましたので、それとの関係でも未成年ということがあると思いますので、その場合も(4)と同じように、未成年後見人などが代わりに届け出ることができるのか、もしできるとしたら、それを(4)と同じように書いた方がよいのではないかと思いました。   質問の方です。質問の1点目は、私だけかもしれませんけれども、2ページの2の①、②のところで、誰が届出人かということが記載されていますが、自分が届出人に当たるかどうかが分からない人もいると思います。つまり、我々の世代の感覚ですと筆頭者とかいう概念自身をそもそもよく分かっていない人が多いですし、筆頭者がいない場合、つまり除籍されている場合に、自分が対象、届出人なのかというのは分からない人が結構多いと思いますので、届出人に対してあなたは届出人ですよという通知があるのか、もしそれがないとしたら、どのようにしてその届出人であることを自覚してもらうことをお考えなのか、もしすでにイメージがおありでしたらお聞かせいただければと思います。   最後、質問の二つ目になります。これは細かいことなのですけれども、2③のところで、職権で読み仮名を記載するということになっています。このときに使う資料としては住民基本台帳というお話がございましたけれども、住民基本台帳に記載されている読み仮名が、前回まで議論になっていたような氏名の読み仮名の許容性の要件を満たさないような場合に、どのような扱いになるのかというのを疑問に感じました。許容性との関係で本当は駄目なのだけれども、それでもその読み仮名を書いてしまうのか、あるいはその人については空欄のままにするのか、いろいろな選択肢があると思いますけれども、その辺りのお考えがあるようでしたらお聞かせいただければと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。確認2点と質問2点ということだったのですが、質問4点ということでもよろしいかと思いますが、一つは、一度に限って変更ができるという点について、期間制限があるのかどうかという点、それから、次に5ページの(4)で未成年等というのがありますけれども、これは名だけではなくて氏についても同じような場面が考えられるのではないか、その点はどうかということ。そして、筆頭者が除籍されている場合とかというのを多分、普通の人であればそれを十分に認識するというわけではないと思いますので、自分が届出人に当たるかどうかということが分からないケースも考えられるのではないかということで、届出人についての通知といったものは考えられるのかということ。それから、住民票に記載されたデータが許容性という点から問題を抱えている場合には、それについてそれをそのまま仮登録するのかといった御質問であったかと思います。以上の点についてはいかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 それでは、順を追ってお話ししたいと思います。まず、2ページの2④の職権で記載されたものについての変更の届出がいつまでできるのか、期間制限を設けないのかということでございますが、現時点では、職権で記載されたものが本人が望まないものだとすれば、飽くまでも暫定的なものですので、期間を設けずに、1回は変更の届出ができるというようにしてはどうかと考えてございます。   また、2点目の未成年の場合でございますけれども、未成年は親の戸籍に入るというのが原則ですし、婚姻した場合には成年とみなされますので、いずれにしろ、親の方に入っていれば親が筆頭者として氏を届け出ることになると思いますし、成年擬制によって独立した人になっているのであれば、筆頭者になる方が届け出るということになるのかなと考えております。   あと、自分が筆頭者かどうか分からないのではないかというところです。御指摘ごもっともで、戸籍の記載順序で最初に書いてある方が筆頭者というところが、なかなか用語の上でも分かりにくいかなとは思っておりますので、そこは何らかの形で分かりやすいように周知すると。こういった仕組みを周知するといったことが考えられるのではないかと考えております。また、通知につきましては、そういった通知をすることが望ましいという御意見があるということは認識しましたので、その通知の要否につきましては、いろいろ費用も掛かるということでございますので、費用対効果の観点や国民にとっての便宜なども考慮して、引き続きそこは検討させていただきたいと思います。   最後の、職権で記載するときに許容性を満たさないものがあるのではないかといったところでございますけれども、現に戸籍に記載されている方につきましては、現に社会で通用させている、そういったお名前があるところで、新しい規制ができて、今まで使われていたものが使えないというのは非常に問題かなと思っております。そういう意味では、住民票のふりがな情報として登録されているものであれば、社会的に見て通用性のある名前であろうと考えられますので、基本はそのとおりになるのではないかと思います。質問の前提が、全く許容性を満たさないというようなことになれば、仮に通用させていたとしても、規律の関係では問題になるのではないかというところです。そこは、決まり切っていないところもございますので、検討したいと思います。 ○窪田部会長 最後のご質問は、「高」と記載されていて、「ひくし」という読み仮名が書かれている場合に、それで構わないのかどうかという問題であったかと思います。まだ続けて御検討いただくということでした。それから、2番目の点については、婚姻による成年擬制の仕組み自体が婚姻適齢の変更によって変わりましたので、少しまた説明の部分を補足しておいていただければと思います。西幹事、ただいまの御説明でよろしいでしょうか。あるいは続けて御発言があればお願いしたいと思いますが。 ○西幹事 ありがとうございます。2番目の点について、未成年の子が筆頭者となるケースはないのではというお話でしたけれども、一番最初の棄児の話との関係で、棄児の場合には未成年者の単独戸籍ということもあると思いますので、やはり問題になることがあるのかなと思いました。   以上です。ありがとうございました。 ○窪田部会長 今の点も含めて御検討いただければと思います。 ○笹原委員 この先、住民基本台帳が読み仮名の基礎的なデータとして扱われるという御説明に関連してです。その内容の確からしさには幾らか疑問もあるところですし、また、読み仮名付与のカバー率も必ずしも高くはないと伺っていたのですが、そもそもどのぐらいの自治体で読み仮名を付けているのかということについて、その後もし数字などがお分かりになっていましたら教えていただきたいというのが1点目の質問です。   もう1点の質問は、今までこの部会の中でパスポートというものにおけるローマ字による読み方がしばしば話題になってきたわけですが、パスポートにおける読み方というものはこの議論の中でどういうように位置付けたらよいのかということについて、教えていただければと思います。よろしくお願いします。 ○窪田部会長 ありがとうございました。一つは、読み仮名の登録データ、特に住民基本台帳に登録されているデータがどれくらいの率をカバーしているかといったような形での数字があれば教えてほしいという点、それから、2番目にはパスポートも一つの問題になってきたわけですが、この場合のローマ字による記載ということについて、ここでの議論との関係でどういうふうに位置付けたらいいのかという点について確認をしたいという、2点であったかと思います。いかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 事務局の方でお答えできるところと、できないところがありそうですので、総務省、外務省の方で補足していただければと思います。まず、住民票のふりがな情報のカバー率ということですけれども、率の方は承知しておりませんけれども、ほとんど住民の方であればふりがな情報を管理していると聞いておりますので、そこはほとんどがカバーできるのではないかと当方では認識しているところでございます。   また、パスポートのローマ字表記の関係は、現在も戸籍を基にヘボン式でパスポートの名前を記載しているという扱いをしているわけですので、今回、読み仮名ができた場合には、それに従ってまた変えてやっていくのではないかと思います。あとは、現行使われている方をどうするかというところですけれども、それは一つのやり方としては、届出をする際に、パスポートの名前がこうなので、こういうふうな読み仮名を戸籍の方に記載してくださいということで届け出ていただくと。そういったことをすると、今使われているパスポートの表記と、これから集める戸籍の読み仮名の表記がある程度整合性が付くのではないかと考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。読み仮名のデータに関しては、総務省から何か補足しての御発言はございますでしょうか。 ○寺田幹事 総務省住民制度課の寺田でございます。住民基本台帳の振り仮名の記載については、先ほど法務省櫻庭課長から御説明されたとおり、同じ認識でございます。確からしさというところについてはなかなか、先生の御指摘のように、分からない部分が一部残るということはそのとおりかと思いますけれども、基本的に事務上の整理の必要として振り仮名は使っておりますので、そのカバー率はほぼカバーできていると、そのように認識しております。 ○窪田部会長 ありがとうございます。それから、パスポートのローマ字記載に関しては、外務省から何か追加の御発言はございますでしょうか。 ○廣瀬幹事 外務省旅券課の廣瀬です。特に追加で申し上げることはございません。今、法務省さんから御説明があったとおり、我々パスポートの表記というのは戸籍を基本としています。既にあるパスポート申請の際のヨミカタと戸籍の読み仮名との間で整合性をとっていくということかと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。笹原委員、今の御回答でよろしいでしょうか。 ○笹原委員 はい、ありがとうございました。 ○窪田部会長 ほかに御発言はありますでしょうか。 ○舩木委員 幾つかあるのですけれども、最初に、届出と過料の点です。過料の罰則については、今回の届出の規定をする際に戸籍法137条の適用がないと明記することが一番明確になると思っています。今回の届出制度は、経過規定として一定の期間こういう届出制度を設けるというもので、今まで氏名の読み仮名の届出という制度がなかったものを、新たに作るために必要な経過規定ということですので、その経過規定の届出には137条の適用がないという形でしておけば、一番明確ではないかというのが1点です。次に、従前使っていた読み仮名と異なる読み仮名を届け出た場合、例えば「わたなべ」と使っていたのを「わたべ」と届け出たとか、「かみにし」という名字だったものを「うえにし」という形で届け出たといった場合に、それは受付を拒否するのでしょうか、それとも基本的に受け付けるのでしょうかという点は、私は今回の制度は受け付けるということになると思っています。   今回の届出に当たり、基本的には今まで使っていた氏名の読み仮名を届け出てくださいという形でアナウンスをし、そういうスタンスで収集するということは妥当であると思っています。しかし、届け出た読み仮名が従前使用と異なっていた場合には、その効力はどうなるかというと、受付の拒否とはならず有効であると思います。従前使用と同一か否かを審査していたら受付段階で混乱が生じるため、今回の制度では受け付けるということになると思います。そうすると、今回の資料でいう創設的な届出なのか、報告的な届出なのかという意味でいうと、届出によって当該読み仮名が有効となるのですから結果的には創設的な届出という整理をせざるを得なくなると思います。ここで今回の氏名の読み仮名の届出は創設的な届出ですよとアナウンスはしたくないというのは、そのとおりだと思うし、余りそういうことは強調すべきではないと思っています。しかし、実際の運用では、例えば、今回の仮登録をするとしても、仮登録と違う内容で届出があった場合に、従前の使用と違いますねと指摘されることはあると思うのですけれども、届出人が従前の使用が間違いでこちらが正解ですと言ったら、もうそれで受け付けざるを得ないというのが今回の制度だろうと思っています。今回の届出には従前使用の資料を添付資料として求めていないし、そういう制度にしたら、ますます読み仮名の収集ができなくなるから、それはないと思っております。そうすると、報告的な届出であるとか創設的な届出であるとかいうのは余り説得力を持たないし、そういう言葉遣いによる説明はかえって説得力がないのではないかというのが意見です。   次に、筆頭者が届け出るという点です。先ほどの委員の方々からも発言がありましたが、筆頭者が今まで使った読み仮名と異なる読み仮名を届け出たといった場合に、その家族、配偶者や子供は何も言えないのかという問題があります。私は夫婦で氏の読み仮名を届け出るという制度の方がいいのではないかと思っていましたが、今回の提案は、筆頭者に特定した方が収集しやすい、届出しやすいというところに力点を置いて、こういう制度を提案されたと思います。収集しやすいという点はそのとおりだと思いますが、配偶者や子供が筆頭者が届出た読み仮名に異議があるという場合に、少なくともそういう異議があるということを記録するという制度があった方がいいのではないかと考えています。ただ、どちらにしても収集を円滑にするということが必要ということは、そのとおりだと思っています。   続いて、次に行っていいでしょうか。今回の点で言うと、私は今まで、事前通知、要するに、今回職権で記載する内容の名前を事前に通知すべきだということを言い続けています。その理由は、あなたの名前はこういう名前になっていますよという通知と、読み仮名の届出がいつから始まりますという広報と同じタイミングで行うことが最も効果的だと考えているからです。氏名の読み仮名の受付をいつから開始しますという広報がされている時期が国民にとって一番関心を持つ時期であり、その時に事前通知として市区町村が把握している氏名の読み仮名を通知することが、一番効果のあるタイミングだということが1点です。   次にコスト面ですが、職権で記載したときに、事後的に連絡をするのかどうかについてですが、これは以前もこの審議会で議論したことがあります。その時、新谷委員から規則の47条の2によりそれは事後的に通知することになるでしょうという発言もあったと記憶しているところです。まず、今回の職権で記載した場合には事後的に通知するのでしょうか。先ほど事務局の方から費用の問題が一番大きいという説明のようでしたが、私は費用の問題は事後的な通知の方がよほど負担が大きいと思っています。事前通知をするのと比較した場合には。事前通知はたかだか1世帯当たりに郵送する郵便費用です。返信用のはがきと封筒の郵送費用の150円程度の費用の話です。それに対して、事後的に通知するという場合には、それを誰が届け出て、誰が届けていないのかというのを人海戦術で仕分しないといけないとか、その作業の費用の方がよほど大きいと思います。今の市区町村の職員が暇を持て余す状態ではなく、残業の負担も多くの職員が抱えています。職場としたら過剰なこういう仕事を負担されるのは、とても余裕がないという状態だと思っています。そういう中で、費用を工面するという点で考えても、事前の方が圧倒的にやりやすいと思っています。効果的にもそうだし、事前通知をしないというのは本当に費用という問題なのでしょうかという点は一応、確認させていただければと思っています。   そして、今ありました、職権記載された場合の一度限りの修正について、期間制限がないということでした。では、氏の読み仮名について職権記載されたけれども、戸籍筆頭者が死亡した場合に、この修正できる権利を筆頭者が亡くなったら配偶者、配偶者が亡くなったら子供、と戸籍の記載の順番という形で引き継ぐのでしょうか。恐らくそういう説明になるのかも分かりません。ただ、そこで付けた氏の読み仮名は、同一戸籍に残っている人間に影響し、その者がまた婚姻して筆頭者として新戸籍を編製する場合にも、氏の読み仮名を引き続き使わないといけなくなります。氏の読み仮名について、後で読み仮名が違うという紛争が出てくるよりも、事前に共同で申請をする方が良いのではと最初思いました。仮に氏の読み仮名の紛争は事後的に解決するという立場であっても、届出の段階で他の家族の意見や異議の有無について、そういう意見を記録するという制度があれば、事後的な紛争のときでも何らかのプラスになるのではないかと、そのように思っております。 ○窪田部会長 5点頂いたかと思いますが、1点目は過料の点に関しては、戸籍法137条の適用がないという形で明記すれば足りるのではないかという御意見だったと思います。それから、2番目として、従前と異なる読み仮名を届け出た場合にどうするのかということで、それは受理せざるを得ないのではないかという、多分実質的な判断もあると思うのですが、それを踏まえると、最初の届出は報告的届出といっているのだけれども、実は創設的なものではないか、両者の区別ができるのかということでした。一応、報告的届出に関しては戸籍筆頭者が単独でできるという説明をしつつ、変更については戸籍筆頭者と配偶者でと言っていること、両者は報告的届出と創設的届出ということで区別をしているけれども、その説明が十分貫徹できるのかという御意見であったと思います。それから、3番目として、戸籍筆頭者が従前と異なる読み仮名を届け出た場合、家族に異議があった場合どうなるのかという問題で、これは戸籍筆頭者だけを届出人とする場合も、それ以外の場合も、多分常に出てくる問題だろうと思いますが、それについてどうかということ。4番目は、これはかなり明確に御意見だろうと思いますが、事前通知をして、そのタイミングが一番効果があるのではないかという点が一つと、職権記載をした場合には事後の通知があるのかという点について、これは質問も含むかと思いますが、今まで事後の通知があるということも、一定のそういう考え方も示されてきたと思いますが、そうだとすると、費用という点では結局、事後の通知をしなければいけないのだったら事前通知でもいいのではないかということ、事前通知に対して判断をするということになると、結局、一度限りだけれども期間制限をしないで変更するという仕組みを、不要になるのかどうか分からないのですが、必要性はかなり小さくなるということを前提として、そちらの方が効率的ではないかという御意見だったかと思います。いかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 それでは、順にお答えしたいと思います。   まず、現に戸籍に記載される方については、従前の申出というものを今回、届出とするというような整理をしたわけですけれども、そこは法律の作り方として、過料の適用をさせないということで、137条の適用はないとする考え方もあるというのは我々も承知しております。   2番目について、我々は、創設的な届出とか報告的な届出というようなことで整理させていただいたわけですけれども、現に戸籍に記載されている方であれば、社会と接点を持って活動をされているというところで、その社会で通用させている氏名の読み仮名を届け出ていただくことを想定しています。ここでは何か身分関係を設定するというわけではなく、既に使っている決まったもの、そういったものを報告していただくという意味で、報告的届出と整理できるのではないかという考え方を示しております。   一般的には、現に戸籍に記載されている方につきましては、それまでの周囲とのつながりがあるということを踏まえますと、別人と疑われるような突飛な読み方はしないと考えられますけれども、その読み方が通常読める程度のものであれば、違う読み方も基本的には許容されるのではないかと考えられます。ただ、自ら届け出た場合に、その読み方が戸籍に記載されるとなりますと容易に変更できないということもしっかり周知しまして、余り変な名前にしないように適切な行動を促すということが大事なのではないかと考えております。   あと、筆頭者が届け出る場合に勝手な読み方をする可能性もあるのではないかといったことでございますけれども、市町村側としては、それが勝手な読み方かどうかというのは判断できないと思いますので、一旦それを受け付けた上で、その受け付けたものについて異議がある、あるいは何らか問題があるということであれば、それは後日そういった争いがある方から何らかの申出を頂くのか、何らかの手続でそういった意見を踏まえて、そこを対応するのか、しないのかというところだとは思います。そこはどういう運用にするのかというのは、いろいろな類型があると思いますので、整理した上で少し考えていきたいと思っております。   また、事前通知、事後通知といった通知の関係でございますけれども、これは基本的に経費がやはり掛かるというところがネックかなと思っております。特に事前通知ということになりますと、全国1億2,000万人いらっしゃいますので、通知の費用だけ考えると、恐らく事前通知の方が掛かるのではないかと考えられます。事後通知の場合は、本人が届け出た場合には、特にその対象から外れるというようなケースもでてきますので、数としては多分、事後通知の方が事前通知よりは少なくなるのかなとは考えられます。ただ、いずれにしましても、我々が今考えている一つの考え方としましては、一定の届出期間を設けて、その期間が満了した場合には職権で氏名の読み方を記載すると。そして、その読み方には住民票で管理されているふりがな情報を参考にすると。こういったルール、こういった仕組みをまずは周知広報するということで運用していくということがまずは考えられるとは思っております。ただ、多数の委員の先生の方から、通知をすることが望ましいというような、そういったお話があったということは認識しましたので、通知の要否に関しましては、繰り返しになりますが、費用対効果の観点や国民にとっての便宜も考慮して、引き続き検討する必要があるのではないかと考えております。   すみません、最後の質問を忘れてしまったので、もう一度お願いします。 ○窪田部会長 最後の点について、舩木委員、補足していただけますでしょうか。 ○舩木委員 職権記載の場合に届出で一度限り修正できるという制度について、その修正できる権利は、筆頭者が死亡した場合にもそのまま引き継ぐのでしょうか、相続人は期間制限がないということで引き継ぐことができるのでしょうか。引き継ぐことができるということになると、配偶者、また子供、戸籍の筆頭者の次の順番に記載されている人がそういう権利を引き継ぐという理解になるのでしょうか、子供は子供でも、最初の方の子供がそういう権利があるということになるのですかという質問です。戸籍の制度では筆頭者のところしか氏がないというのが、元々今回の筆頭者が届出を行うという根拠だったと理解しています。配偶者にしても、子供にしても、氏の欄はないわけですよね、子供も戸籍の順番によって氏の読み仮名に関して強弱はないにもかかわらず、そういう制度になろうとしているのが気になっているのと、もう一つ、やはり期間制限がないというので本当に大丈夫なのかという気がしております。元々こういうのは一定の期間で全部完結すべき制度にした方がいいので、後の修正もある程度の期間制限というのはあった方がいいのではないかというのが個人的な意見です。 ○窪田部会長 最後の点、いかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 修正の観点でいうと、筆頭者が届出をすることを権利と考えると、権利を相続するという構成ができるのかもしれません。筆頭者が届け出るべき読み仮名を相続人が簡単に修正できるということになりますと、やはりそれはそれで、届出人を特定した上で届け出てもらうという規律が変わってしまうので、そこは問題だと思いますけれども、御指摘を踏まえまして、整理させていただきたいと思います。 ○国分幹事 幹事の国分でございますが、相続という観点からというよりも、2②の規律と同様に、基本的には筆頭者が除籍されたときには配偶者、配偶者が更に除籍されているときには子という順番で、子については順位は設けない予定で、同じような形になるのではないかということを想定しております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。ただ、それとあわせて、多分ほかにも気になっておられる方がいるのではないかと思いますけれども、期間制限なしで本当に大丈夫なのかという点は、少し検討していただいた方がいいように思います。   それから、余り私が発言するのは適当ではないかもしれませんが、2番目の、報告的届出か創設的届出かという点なのですが、先ほどの御説明だと、現に使っている読み仮名を届けてもらうというふうな御説明だったのですが、我々が議論をしてきた中では、実は氏名の読み仮名を届け出るということだけが決まっていて、現に使っているものを届け出るかどうかについては明示的な議論はしてこなかったのではないかと思います。例えば、もう面倒くさいので、みんなが「すずき」と読むので、「すずき」でやってはいるけれども、本当は私の名字は「すすき」で、この際だからきちんと「すすき」で届け出たというのは、現に使っている読み仮名の届出ではないかもしれませんが、やはりその点では報告的届出だという説明はできるのかなと思います。この点について、もう少し検討してもらった方がいいのかなと思いました。   舩木委員、どうぞ続けて御発言ください。 ○舩木委員 事前の通知か事後の通知かという点でも、費用の問題が掛かるという点が今、一番ネックの問題になっているような気がするので、できればデジタル庁の方に説明をしていただきたいと思って、質問させて頂きます。元々この制度は当初から説明されているように、令和2年12月25日のデジタル・ガバメント実行計画という中に、この氏名の読み仮名を法制化するというのが、20から30ぐらいの項目があるうちの一つにそれが書いてあって、具体的な期間を設定して国の計画として設けました。それが今回の法制審議会に結び付いていると思います。このデジタル・ガバメント実行計画で書いてある内容というのは、それぞれに基づいて必要な費用というのはデジタル庁の方で考えておられると私は思っていたのですが、今回の収集費用とかそういうものが必要であるということになれば、デジタル庁の方で今後、要するに来年度以降の予算編成で、多分、実際に必要になるのは再来年になるのかも分かりませんけれども、そういうところで対応しようと考えていると理解していていいのでしょうか。その辺について、デジタル庁の方のお考えを教えてもらえれば有り難いです。 ○窪田部会長 費用の点ということになりますが、デジタル庁の方から何か御発言はございますでしょうか。 ○上仮屋幹事 デジタル庁でございます。御質問、御指導ありがとうございます。御指摘のとおり、そもそも振り仮名の記載については、官民のデジタル化あるいは効率化、あるいは社会で振り仮名が検索等で使われている、官民での基盤として必要というところから、特にデジタル社会において必要という観点から記載の議論がされて、政府として閣議決定されて進められてきたと認識をしております。デジタル庁は当然、デジタル社会の実現の牽引役として、法務省あるいは総務省、自治体と連携をして進めてきたところであり、今後とも、そのように取り組んでいきたいと思っております。   一方で予算についても、我々が持っています閣議決定に記載をしたり、あるいはものによっては一括計上予算という形でデジタル庁の計上ということもありますけれども、法務省の全体として戸籍の副本のシステムであるとか、あるいは各自治体におかれての既存住基のシステム、あるいは戸籍のシステムといったところの、あるいは市町村様の手続における事務的な予算といったところは、それぞれのところで計上いただいて、あるいは事務処理を頂いて、国、地方全体として業務を進めて、この振り仮名記載といった基盤の実現をしていくものと考えておりますので、大変申し訳ないのですけれども、全てがデジタル庁の予算の計上で、要求でということではないのですが、もちろん全体として、全体もそうですし、マイナポータルはじめの全体としての閣議決定あるいは一括計上といったところ、あるいは全体としての技術的な助言に鋭意取り組んでいきたいと考えております。   少し物足りない答弁になっているかもしれませんが、頑張っていきますので、よろしく御指導お願いいたします。 ○窪田部会長 ありがとうございました。舩木委員、御発言ありますか。 ○舩木委員 今回の事前の通知とか事後の通知、いずれにしても本人に通知するというのはこの制度の正当性の根拠になる制度だと思っています。要するに、本人に何らかの形で通知している、それでも届出がなされなかったから職権記載とすることに異議がないものとみなして、そういうことをするとか、あるいは事後的にでもそれを通知して、そして、それに異議があるかないかの機会を与えていることが正当性の根拠となると思います。これからのデジタル社会においても、デジタル化に積極的に参加しようとする人だけを対象としていたのでは今後のデジタル社会がうまく運用できることはないと思います。デジタル社会に参加しようとしない人に対しても、国の制度として運用するためにはどうすればいいかということを考えているわけですから、そのために個々の家庭に郵便を送るなんていうのは最低限の費用だと思います。この辺の予算が取れないなんていうのだったら、一体何を考えているのかと唖然とするばかりです。これはデジタル庁のところで予算を取るのか、法務省のところでその枠の予算を次年度の予算のところで獲得するよう政府がそれを配慮するのか、どちらにしてもどこかで別枠の予算というものが必要なのだろうと思います。郵便費用が大変だとか何とか言っている状況自体がとても残念に思っております。 ○窪田部会長 御意見ありがとうございました。 ○武藤委員 横浜家裁の武藤でございます。先ほども議論に出ていたところなのですけれども、氏の読み仮名のところについて一つ御指摘をさせていただきたいのですが、今回の提案で、届出の段階では整理をされたところなのですけれども、先ほども少しお話が出ていましたけれども、夫婦など同一戸籍内で読み仮名の認識が違うというのをどうするのかというところは問題が残るのだと思います。裁判所の関係で申し上げますと、従前、最終的には戸籍法113条の錯誤の問題での訂正があり得るとお話をされていたのですが、この方法による場合、その錯誤というのは一体誰の認識について判断することになるのか、届出人である者の認識なのか、あるいは不服を申し立てた者のことも考えるのかといった辺りがなかなか判断ができないところなので、ここの部分については整理をしていただきたいと思っております。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。先ほども御指摘のあった点ですが、届け出たものについて、家族との間で、配偶者との間で意見のそごがあるような場合に、戸籍訂正、錯誤の規定を使うかどうかという点も含めて、その問題の解決の仕方、手続について、これは今もうお答えがあれば説明していただいても結構ですが、もう少し検討してみるということでもよろしいかと思いますが、そのような形でお願いできればと思います。 ○櫻庭幹事 分かりました。特定した届出人が届け出るということがルール化されれば、錯誤はその届出人が間違っていたということになるのかな、と思いますけれども、全体を整理したいと思います。 ○窪田部会長 恐らく、今の武藤委員からの御質問、御意見の中には、錯誤というのが一体何についての錯誤なのかという点も含まれると思いますので、それが従前の使用してきたものについての話なのか、そうではないのかという点も含めて、少し論点は複雑なのかなと思います。ありがとうございます。   ほかに御発言はございませんでしょうか。 ○藤原委員 藤原です。4点ばかりお話しさせていただきたいと思います。   まず1点目、2ページの2の①から④は、従前の説明では、これは経過措置として附則に入れるということをお聞きしました。過料の制裁を考えないということであれば、私も舩木委員と同じように、過料の規定、戸籍法137条は適用しないということを明記する必要があるのではないかと思います。このまま何も明記しなければ、そのまま本則が適用という解釈になるのではないかと思います。ただ、説明の中に書かれておりました、不服申立ての規定とかがありますので、その部分、例えば戸籍法122条から124条を適用するとか、やはりそこの本則の適用のあるなしは、この附則の中でも明確に確認された方がいいと考えます。   2点目として、これは質問ですが、市町村の職権記載というのは期限がないのでしょうかということ。先ほども舩木委員からも質問された、職権記載の通知があるか、ないかということについて、どうも通知されないみたいなのですけれども、これが仮に通知されたとすれば、④の変更に期限を付すことも可能ではないかと思っています。   それから、3点目ですが、先ほど2④に関して相続のこと、特に筆頭者が亡くなって除籍された場合に関しての相続のことについて御指摘があったと思うのですけれども、7ページの最後の説明では、戸籍の筆頭者が除籍されている場合における氏の読み仮名の変更に係る届出人ということで、この中には配偶者とか子も変更の届出をすることができるということを提案しています。しかし、④だけを読めば、筆頭者しか届出ができないと読めるので、そこは少し検討いただきたいと思っています。私の間違いであれば訂正いたします。   それから、第4番目の質問ですが、5ページの(4)の名の読み仮名に係る届出人の、特に未成年者についてですが、例えば未成年者とその親権者がそれぞれ名前の読み方を届けた場合は、これはやはり早い者勝ちになるでしょうかという質問と、今、子の意思の尊重というのがかなり言われています。例えば、子の氏の変更は15歳以上は本人が申立てをしますし、遺言能力も15歳から認められています。そうだとすれば、ある一定の年齢の子供に関しては本人の届出を優先するということも考えられないでしょうか、その4点です。 ○窪田部会長 まず第1点としては、過料に関しては舩木委員と同じように考えつつ、本則の適用があるかないかについては明示的に規定した方がいいのではないかということ、2点目としては、市町村の職権記載については期間制限がないのかどうか、それから、市町村からの通知というのは、先ほどのお答えだと、ないということもありそうでしたけれども、もし市町村からの通知があるのであれば、訂正についての期間制限というのを設けることは可能ではないかということ、それから、3番目に、筆頭者が死亡した場合についての説明では、除籍されている場合についての規定があるけれども、一方で筆頭者しか申請できないような書き方もされているので、その点をより明確にした方がいいのではないかということ、第4点目として、未成年者、親権者、両方が届け出た場合にはどうなるかということ、それとあわせて、例えば一定の年齢以上の未成年者に関しては未成年者の届出の方が優先するといった仕組みが考えられないのかといった点、以上の4点であったかと思います。いかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 現に戸籍に記載されている方についての取扱いは、経過措置的なことで附則に置きたいと考えております。それで、通常は本則の適用を受けると考えられますけれども、明示的に何条を適用するとかしないとかという規律の仕方もあると思います。今回の提案は、届出義務を課さないということで過料の規定の適用がない、という解釈ですけれども、137条の適用がないと明示的に規定するということは考え方の一つとしてあり得るのではないかと考えております。ここも法制的にどうかというのは、法制局とかの審査の中で決まっていくことだろうなと思っております。   職権記載については、今のところ特に期限は設けるということは予定しておりません。粛々と、施行日から1年だったら1年たった後にやっていただくというところで。あとは市町村の負担とかもありますので、職権記載を開始するということになったら速やかにやっていただくのかなと考えております。通知するかしないかというところですけれども、ここは経費の問題もありますので、引き続き検討ということですので、今の段階で、やれるともやれないとも言えないわけですけれども、仮に通知するということであれば、いつまでに来てくださいと。そういったやり方も当然あるのであろうと考えられます。   筆頭者を届出人とするルールを基本として提案したのは、筆頭者が届け出ていただいた方が収集がしやすかろうというところです。仮に筆頭者が亡くなった場合には、そのままだと誰も届け出る方がいないので、次順位として配偶者、その後、子と順番を設けているということですので、想定しているのは亡くなった場合など、届出人が届け出られないといったケースを想定しているということになります。   未成年者と親権者が両方届け出た場合、どちらが優先するかということですけれども、今のルールで行きますと、どちらでもできるということになれば、早い者勝ちということにはなるわけです。早い者勝ちになるというのは別に悪いわけではなくて、正しい読み仮名であれば、そちらの方が効率的に収集できるということでございますし、届け出る方も採用してもらうということを求めるので早い者勝ちになるのであろうと。読み仮名を収集することを優先するということであれば、早く届け出していただけるようなルールにすればいいのかなというところで、今回提案したものについては、早い者勝ちということが念頭にあって提案したということになります。 ○窪田部会長 藤原委員、ただいまの回答でよろしいでしょうか。 ○鷲崎幹事 鷲崎です。先ほどの舩木委員の御指摘と大変重複するのですけれども、やはり特に通知、特に職権に基づきまして仮名を記載するという場合におきましては、費用の面はあると思いますけれども、できるだけプッシュ型での郵送等での通知があるべきであるということを強く申し上げたいと思います。やはりここがきちんとなされないと、本来の目的であるサービスのデジタル化ですとか、本人特定の迅速性の確保に当たりまして、当人が想定している読み仮名との不整合ですとか、そこから様々な不利益というものを生じる可能性がありますので、この通知の重要性というものは、やはり私からも強く、是非お願いしたいと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。先ほど舩木委員からも出ておりましたけれども、職権記載をした場合の通知はやはりするべきであるということで御意見を頂きました。この点は是非きちんと御検討いただければと思います。   ほかに御発言はございますでしょうか。 ○舩木委員 度々すみません。もう一つついでに、デジタル庁に教えてもらいたくて、質問するのですけれども、今、マイナンバーカードに氏名のローマ字表記をするとかいうのも、先ほど言いました令和2年のデジタル・ガバメント実行計画のところで触れられているところですが、この法制審の会議や、あるいはその前の研究会のところでも、マイナンバーカードにローマ字表記するというよりも、読み仮名を表記するという方がよほど意味があるのではないかというようなことの議論がされてきております。まず、デジタル庁の方はマイナンバーカードに読み仮名を表記するという点についてはどのようなお考えでしょうかというのが、もしあれば教えてください。 ○窪田部会長 これについてはデジタル庁、何か御発言はありますでしょうか。 ○上仮屋幹事 デジタル庁でございます。御指導ありがとうございます。正におっしゃるとおりで、一番直近のこの6月の閣議決定には、ローマ字表記、令和6年度中を目指すというふうな形で書いてありますが、それ以前の閣議決定には、2年ですかね、読み仮名、振り仮名、それから、日本国が発行主体であることと、いろいろ書くようにと、海外あるいは必要な、有用な記載事項としてというような閣議決定になって、政府の方針となっていました。   今正にデジタル庁と、それから関係の法務省、総務省と鋭意検討しているのですけれども、やはりローマ字はまず、そうですけれども、読み仮名も非常に、先ほどお話ししたように、特に金融界で日本の国内で極めて重要なものとして使われているであるとか、その他いろいろな場面で使われるものですので、やはりこれは記載する有用性が高いのではないかということで、最有力として、ローマ字表記と、それから、正にここで決定して法定されていくところの読み仮名という形での検討をしておりますが、それはまだ外向きに言えるものではなく、正におっしゃる御指導ごもっともと思いながら、関係省庁で鋭意検討しているところでございます。御指摘のとおりと思います。引き続き関係省庁でしっかり検討してまいります。ありがとうございます。 ○窪田部会長 舩木委員、よろしいでしょうか。 ○舩木委員 補足でもう少し説明させていただきたいのですが、健康保険証とマイナンバーカードについて、健康保険証の今の制度を廃止して、マイナンバーカードで健康保険証の代わりに運用されようとしていますが、今の健康保険証には氏名の読み仮名が書いてあります。これは住民基本台帳の読み仮名に基づいて、国民健康保険であり社会健康保険証でも、全部読み仮名が書いてあって、それが病院のところで診察券の交付や、診察の順番や薬を渡す際などに間違いがないように名前で確認しています。しかし、マイナンバーカードの方には読み仮名は書いていません。マイナンバーカードと健康保険証を一緒にするのだったら、読み仮名がなくなるというのは非常に不便になってしまうのではないかという点が一つあります。   もう一つは、やはりマイナンバーカードを普及するという意味においても、マイナンバーカードに読み仮名を書いておくというのは、自分の読み仮名を公証する資料が、住民票とかをいちいち取らなくてもそのカードを示すことで足りるというのは、そのマイナンバーカードのメリットですということを考えた方がいいのではないでしょうか、そういうPRをした方が良いと個人的には思っています。   これに対してローマ字表記というのはほとんど意味がないと思います。それは外国で何か申請するのに使用できるというような説明がされていたと思うのですけれども、外国で何か使うというのはパスポートの方が普通であって、マイナンバーカードでそこでローマ字表記をして何のプラスがあるのかという点については、大した意味がなく、むしろごちゃごちゃするのだったら、なくていいのではないかというのが個人的な意見です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。ただ、今のお話はマイナンバーカードの話ですので、ここでやり取りしてもらう必要はないと思いますので、デジタル庁ではただいまの意見を踏まえて御検討いただければと思います。   それでは、引き続いて何かほかに御発言はありますでしょうか。   もしなければ、今回、読み仮名の収集に関するという課題で扱いましたので、比較的限られた論点でしたので、一応、以上としたいと思いますが、よろしいですか。   それでは、本日の審議事項については以上という形にさせていただければと思います。   引き続きまして、今後のスケジュール等について事務当局の方から御説明をしていただけますでしょうか。 ○櫻庭幹事 次回、第10回会議の日程ですが、本年11月17日木曜日の午後1時半から、場所は法務省地下1階大会議室を予定しております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは、法制審議会戸籍法部会の第9回会議を閉会させていただきます。   本日は熱心な御審議を賜りまして、ありがとうございました。 -了- - 20 -