法制審議会 商法(船荷証券等関係)部会 第6回会議 議事録 第1 日 時  令和4年11月30日(水)自 午後1時30分                      至 午後4時33分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  船荷証券に関する規定等の見直しに関する論点の検討(5) 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○藤田部会長 予定した時刻になりましたので、法制審議会商法(船荷証券等関係)部会の第6回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日は上田委員、衣斐幹事、松井幹事は御欠席と伺っております。また、金子委員、松井委員、北澤委員、洲崎委員、池本幹事はウェブで参加されると伺っております。   ここで、退任された内野幹事の後任として就任された竹林幹事は、今回が初めての御出席となりますので、簡単な自己紹介をお願いいたします。その場でお名前と所属をお願いいたします。 (委員等の自己紹介につき省略) ○藤田部会長 よろしくお願いいたします。   それでは、開始いたします。   まず、前回に引き続き、本日はウェブ会議の方法を併用して議事を進めたいと思いますので、ウェブ会議に関する注意事項を事務当局に説明してもらいます。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。前回と同様のお願いになりますが、念のため改めて御案内をさせていただきます。   まず、ウェブ会議を通じて参加されている皆様につきましては、御発言される際を除き、マイク機能をオフにしていただきますよう御協力をお願い申し上げます。御質問がある場合や審議において御発言される場合は、画面に表示されている手を挙げる機能をお使いください。   なお、会議室での御参加、ウェブ会議での御参加を問わず、御発言の際にはお名前をおっしゃってから御発言されるようにお願い申し上げます。ウェブ会議の方法で御出席されている方にはこちらの会議室の様子が伝わりにくいため、会議室にお集まりの皆様には特に御留意を頂ければ幸いに存じます。 ○藤田部会長 次に、本日の審議に入ります前に配布資料の説明をしていただきます。事務当局からお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。配布資料について御説明いたします。今回配布した資料は、部会資料6「船荷証券に関する規定等の見直しに関する論点の検討(5)」の1点になります。これは事務当局が作成したものでございますので、後ほどの審議の中で事務当局から御説明をさせていただきます。   配布資料の御説明は以上でございます。 ○藤田部会長 それでは、本日の審議に入りたいと思います。   本日は、第4回部会でも審議いたしました、電子船荷証券記録の類型及び譲渡等の方式、電子船荷証券記録の効力等に関する規律の内容等について、二読目の検討をする予定です。   それでは、事務当局においては資料6の第1の説明をお願いいたします。 ○中村(謙)関係官 それでは、法務省の中村の方から、今回の部会資料の第1について説明をさせていただきます。   従前の部会資料4では、電子船荷証券記録の類型についての考え方といたしまして、A案、B案、C案の3案をお示ししておりましたが、第4回会議におきましてはB案を支持する御意見が多く見られたところでございますため、今回はB案を前提とした規律案を示すこととしております。   内容につきましても、基本的には部会資料4のB案と同じとなっておりますが、1ページ目の第1項に関しまして、従前は指図式の電子船荷証券記録の後に括弧書きで、「(記名式であって電子裏書を禁止する旨の記録がされていないものを含む)」と記載しておりましたが、このように記載してしまいますと、いわゆる記名式所持人払型につき、第2項ではなく第1項が適用されてしまうおそれがございましたため、これに対応するため、後述のように、当然の指図証券性を定める商法762条に相当する規定を別途設けることとした上で、この第1項につきましては、単に「指図式の電子船荷証券記録」とだけ記載することにしております。   また、従前第1項、第2項、第3項につきまして、「電子船荷証券記録に関する権利」という表現を用いておりましたが、ここは他の法令の用例とそろえる趣旨で、「電子船荷証券記録に係る権利」という表現に改めております。   次に、今回の部会資料の4ページの(2)の部分を見ていただければと思います。これまであまり正面から論じてこなかったところでございますが、この「電子船荷証券記録に係る権利」の内容については、大きく二つの考え方があるように考えております。まず、b案は、これは運送品の引渡しに係る債権等の運送契約上の権利、言い換えると電子船荷証券記録の裏側にある原債権のようなものと考える考え方となります。   従前、我々事務当局といたしましてはこのような見解に立っていたのですが、このように考える場合には、1ページ目にお示しした電子船荷証券記録の譲渡の方式というのは、言わば運送品の引渡しに係る債権等の譲渡の方式の特則的な位置付けと考えることになると思われます。   他方、a案というのは、運送品の引渡しに係る債権とは別に、新たに「電子船荷証券記録を使用、収益及び処分する権利」というものを観念することにより、この権利を直接の譲渡等の対象とすることを想定するというものになります。すなわち、電子船荷証券記録は民法上の物ではございませんため、紙の船荷証券のように動産として物権の客体となるということはできませんし、それ自体が財産権を構成するとも言い難いところではございますが、このように「電子船荷証券記録を使用、収益及び処分する権利」というものを独自に観念することができれば、その権利自体が独自の財産権を構成するものとして直接の譲渡等の対象とすることも可能になると考えられます。このa案は、このような観点から、「電子船荷証券記録に係る権利」を「電子船荷証券記録を使用、収益及び処分する権利」と解釈し、それが譲渡の対象となると構成するものとなります。   その帰結といたしまして、前回の会議でも議論に挙がった強制執行の箇所につきましても、部会資料5の第4では、電子船荷証券記録を支配する者に対する強制執行に関する規律の内容において、電子船荷証券記録に対する強制執行がされた場合を想定する規律案として、乙’案を提示させていただいておりましたが、このような考え方は、このa案を採用した上で、電子船荷証券記録を使用、収益及び処分する権利が民事執行法167条に定めるところの「その他の財産権」として強制執行の対象になると整理することにより、採用し得るものになると考えているところでございます。   なお、このa案による場合には、解釈論としてそのような構成を採るにとどめることも考えられますし、そのことをより明確にする趣旨で、例えば、法文の中で「電子船荷証券記録に係る権利」を「電子船荷証券記録を使用、収益及び処分する権利」と明示的に定義することも考えられるかと思われます。かなり概念的な話ではございますが、この点につきましてどのように考えるかという点について御議論いただければと考えております。   次に、部会資料の5ページ目に行っていただきまして、3番の(1)について説明させていただきます。この部会の中でも何度か議論に出てきたところかと存じますが、記名式の船荷証券の荷送人について、船荷証券上の権利を実質的に有しているといえるのか、ひいては船荷証券の正当な所持人といえるのか否かといった点について実務上、論争があるものと認識しており、裁判例の中にはこれを否定する見解を示しているものもあると認識しております。その関係で、記名式の電子船荷証券記録に関して荷送人が当初の荷受人に対して電子船荷証券記録の支配を移転する場合に、今回の規律案の第1項から第3項の電子船荷証券記録に係る権利の譲渡に該当するのかどうかといった点が一つの潜在的な論点にはなり得るところかと認識しております。   しかしながら、この論点につきましては必ずしも実務上確立した見解があるわけでもないと認識しており、また、今回の法改正の中でこの点の結論を示す必要性もないと考えておりますため、今回の規律案におきましてはこの点についてはニュートラルな立場を採り、引き続き解釈に委ねることとしております。   続けて、同じく5ページの(2)の電子署名ですが、こちらは部会資料4と同様に、電子裏書の要件の一つとして電子署名を求め、その要件についても従前同様、我が国の既存の用例に沿ったものを示しております。ただし、実際にどのような技術をもってこの電子署名の要件を充足するのかといった個別判断は、必ずしも容易ではないところもございますため、この要件の是非や内容につきましては引き続き検討していきたいと考えております。   以上、第1の説明となります。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、今説明のあった内容について、どなたからでも結構ですので、御意見等を頂ければと思います。よろしくお願いします。 ○池山委員 池山でございます。すみません、いつも冒頭に発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。多数の論点がありますので、順を追ってお話をさせていただきたいと思います。   まず、1(1)の類型に関する点でございます。この点は、補足説明で縷々書いてくださっているとおり、従前の議論を踏まえた形で整理されていると思っておりまして、取りあえず現時点ではこれでよろしいのではないかと思っております。   と申し上げた上で、ただしというと語弊はあるのですけれども、やはりなお留意すべき、あるいは検討すべき余地はあるかもしれないと思っております。それはどういう点かといいますと、実際に使われている規約型電子B/Lの形態がどのようなものであるかについて、当方でも可能な範囲で話を聞いたりしているのですけれども、それによると、システムによってはデータとしてのB/L情報それ自体というのがあって、そこはある種、外観としてはスクリーン上は紙のB/Lと同じような体裁になっていると、そこにはコンサイニー欄があると、当然そこにTo orderと書かれたり、あるいは固有のコンサイニー名が記名されたりすると、そういうものがありつつ、他方でそれとは別にコンサイニー情報というのは別個、システム的に指定して、実際の譲渡はそれに従って動いていく場合、あるいは別のシステムだと、同じようにデータとしてのB/L情報それ自体はやはり格納されていて、そこにはコンサイニー欄が同じように書けるわけですけれども、他方でシステム上はもう、システム上というよりは、そのシステムが依拠するところの規約上は、最初からコントロールの移転だけでしか進まないと、要はあたかも所持人払式証券のような形の移転しかできないと、そういうシステムになっている場合もあると。そうすると、それらのシステムの場合は、船荷証券情報に書いてあるコンサイニー欄の記載と、実際にシステムあるいは規約が想定している譲渡方式というのは齟齬がある場合というのが実はあるかもしれないと思っています。これはもう法律の問題というよりは、ひょっとするとそれはもう当該電子B/Lのシステムの解釈問題として処理してしまうしかない問題なのかもしれないですけれども、そういう形で処理できるのかどうかというのが一つ、問題としては残るのだと思います。   この問題意識は、前々回の補足説明等で、確か前々回はB案といわれていたのですかね、B案に関する懸念の一つとしていわれていたところであろうと思います。そこの点が本当にもう、今回のような案で割り切ってしまって、実際のシステムにおける問題は解釈論で対処できるといえるかどうかと、そこは検証の余地はあるだろうし、追って中間試案ができて、パブリック・コメント等の手続の中で、その点についての懸念がどういう形で表明されるかというのもまた見ていく必要があるのかなとは思います。さはさりながら、現状賛成ですというのは、元々ほかにあった3案のほかの案の問題点というのは、全くそれはおっしゃるとおりで、そこには戻れないなと、そういう趣旨でございます。それが大きな1点目です。   それから、順を追って申し上げますと、次に、2の3ページから4ページ目のa案とb案の話でございます。ここは、私の理解では今まで特に明示的に議論されていなかった点で、そこを新たに論点としてテイクアップしてくださったということに改めて感謝をしております。その上でなのですけれども、これはむしろ意見というよりは質問ですけれども、a案の方なのですけれども、a案においても飽くまでも電子船荷証券記録そのものは財産権ではなくて、それを使用、収益及び処分する権利がその他財産権なのだと、そういう整理だとおっしゃっていて、言葉の上ではそうなのかもしれませんけれども、実際の違いがよく分からなくて、正直言うと、a案は電子船荷証券記録そのものを財産権とみなしているのとそう変わらないのではないかと。つまり、紙のB/Lでいえば、やはり紙のB/L、船荷証券自体が有価証券という一つの財産なわけですよね、それと近いことを考えているのではないかという気はして、その違いを想定する意味、強調する意味というのがよく分からないと思っております。   その上で、a案かb案かについて、現時点でどちらであるべしという意見は持っていませんけれども、一方で私の理解は、a案だと論理的な帰結として、正にここに書いてあるとおり質権設定ができるということははっきりするという点、それから、強制執行のやり方についても、その他の財産権に対する強制執行として考えていくことになると、この二つが論理的帰結として出てくると、それはそうなのだろうと思いますし、それ自体について、直ちにそれはおかしいとまで申し上げる気はありません。   ただし、質権の方についていえば、運送人の側からすると、仮に質権設定ができるとしても、結局運送人はやはり被裏書人、所持人からの引渡請求に対して応じるということには変わりがないわけで、裏書が譲渡のための裏書であろうが質入裏書であろうが、あまり関係ないのかなという気はします。それは民法366条の中で、結局、債権質の場合に質権者が履行請求できると書いてあるので、それが単純に適用されるのかなと思っていて、そこで間違いないかということは一応、お聞きしたいと思っております。   それから、強制執行の話は、今日議論する話ではないと思いますが、論理的にはそうなるとしても、別にだからといって強制執行の話が、だったらよろしいという話になるのではなくて、元々強制執行の方法を明文化することの適否というのは、具体的な実行方法とその場合の法律関係を観念的には明確に整理して、それによって実行可能性というのを逆に明確に示唆をして、かえって現実にそれがされやすくなったら混乱するのではないかという感覚的な危惧と、だからといってあえて何も規定しないままにして、事実上多分されないよというのはあまりにも無責任ではないかということとの、最後はバランス論の問題になると思うので、この整理によって、本来の強制執行の規定はどう在るべきかという規定と直結する話ではないのかなと思っています。   どうしましょう、あと3もありますが、続けた方がいいですか。 ○藤田部会長 随分多くの論点が含まれていますので、取りあえず事務当局から回答をお願いしましょうか。一つ目が、類型論に従った条文の立て方で、池山委員は、差し当たりはこの案でいいけれども、何か問題があり得るかどうかということは更に検討が必要だという考えを述べられて、二つ目は、a案、b案という今回新しく出てきた要素についての御質問でした。取り分け2番目の方についてはさらに三つか四つの論点があったかと思いますが、それを中心に御返答いただければと思います。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。今、池山委員の方からa案、b案に関する御質問も含む御意見を頂きましたので、それについて事務当局として考えているところを申し上げさせていただきたいと存じます。   まず、a案を採った場合、これは説明の仕方はともかく、もう記録自体を財産権にするのとほとんど一緒ではないかと、こういう御指摘だと思いますけれども、基本的に御指摘のとおりだと思っております。それとほぼ同じものになるだろうと考えております。ただ、いろいろ説明の仕方として、記録自体は所有権の客体にならないとか、そういった種々の問題がございますので、記録そのものを財産権とするという取扱いをするにはどういうロジックを使えばいいのかということを考えたときに、記録を使用、収益及び処分する権利というものを新たに創設するということによって、記録の財産権化というものができるということになるのかなというところも考えつつ、このような考え方を提示させていただいたというところでございます。   それから、二つ目、少し細かめの論点になるのかもしれませんが、ではa案を採用した場合の、質入れをした場合にどうなるかというところなのですが、恐らくですけれども、a案をもし採用するということになりましたら、手形法19条に相当する規律というものを入れるということになろうかと思っておりまして、今回の提案にそこまで書いていないのですけれども、それを入れることによって権利行使ができて、質権者に渡せばいいと、そういった帰結が導かれるということになるのかなと現時点では思っております。   それから、a案、b案の関係で、強制執行との関係も少しコメントを頂きました。ここもおっしゃるとおりでございまして、a案を採用したから乙’案を採用してくださいということを申し上げているわけではなくて、基本的には、強制執行は別の論点でございますので、その中で何がいいのかということを御議論いただくということになろうかと思います。ただ、ここで申し上げたかったのは、a案というものを採れば乙’案を採ることができますよということでございまして、これが逆に難しいということになると、乙’案という選択肢はひょっとしたら理論上の帰結として外れてきてしまうということがあり得るかもしれないと、そういったところを今回、御提示をさせていただいたというところでございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。 ○池山委員 ありがとうございます。民法ではなくて手形法の適用だという御指摘の点、ありがとうございます。そのとおりだと思います。   その上でなのですけれども、a案かb案のどちらがいいかということ自体については、正直言うと、あまりにも理論的すぎて、かつ実務上a案ならまずくなる、b案ならまずくなるというような話が見えてこないので、正直、分からないというのが実務家の感覚です。他方で、確かに理論的には非常に大きな問題を提起されていると思いますので、私が言うのも何ですけれども、是非理論的な見地からの皆さんの御意見を今日は聞いて帰りたいと思っております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。a案というのをどう理解したらいいかということについて、取り分け理論的な観点からの感触なども頂ければと思いますが、実務的にも、もし疑念が生じるようであれば是非御指摘いただければと思います。今の池山委員の最初の質問に対する事務当局からの答えにもありましたように、データそのものを財産と考える、財産権の対象とする――デジタルアセットという言葉を最近聞きますけれども――という発想で何か法制を作るというのは余りにもインパクトが大きすぎて、ここの部会でそういう方向で新しい法制を作っていいのかという疑念にもつながるので、そういうことまでしないという前提で、しかしそれに近いような形のルールを作るとすれば、ここで示したa案のような概念整理で考えると事実上それに近いことができるのではないだろうかという発想で作られた案ではないかと思います。今までこの部会では恐らくb案的な発想で考えてこられたのではないかと思います。第4回の部会で、「記録に関する権利」と書かれていたのに対して、「記録上の権利」と表記を変えたらどうかという提案がありましたが、この意見はb案的な発想を前提していたと思うのです。そういう意味ではa案というのは新しい考え方ですので、その是非について、この場でいろいろ御意見いただければと思います。 ○池山委員 すみません、池山でございます。今おっしゃった、「電子船荷証券記録上の権利」というのでいいのではないかと申し上げたのは、正に私ですが、私は正にここに書いているような理論的なことを踏まえて申し上げたわけではなくて、単に紙の船荷証券とのアナロジーで申し上げていただけで、暗黙裏にb案が前提になっていたよねというのはおっしゃるとおりだと思います。 ○藤田部会長 どうでしょうか。後藤幹事お願いします。 ○後藤幹事 後藤でございます。御説明どうもありがとうございました。今のa案とb案について、付いて行けていないところが多分にあるのですけれども、個人的なプリファレンスは特にないのですが、a案の方を採った場合にいろいろと便利なことがあるというのは、なるほどと思いつつ伺っていました。もっとも、a案には、何となくですが、手形的といいますか、電子船荷証券記録債権的なものが生み出されていて、電子記録債権法に近い考え方に寄っていくようなイメージがあります。そうした方が処理しやすいのであれば、それはそれでいいのかもしれませんが、MLETRをベースとし、何か新しいものを生み出すのではなくて、紙の場合とできるだけ同じようにするという考え方とは、説明としてどこかで対立しかねないような気がします。だから駄目だというほどのことではないという気もしてはいるのですけれども、説明としては矛盾しないように、また、何回も申し上げている話ですけれども、外から見て分かりにくくならないようにというところには十分留意する必要があるのかなとは思いました。もしその点について何か整理としてお考えのことがあれば、伺っておければと思います。よろしくお願いします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございます。そこのところが正に難しいところだと思っておりまして、我々の方で今回、a案というものを考えさせていただいたきっかけとして、逆にa案の方がMLETRに近いという説明も、場合によってはできるのではないかという思いもあってのことでございます。といいますのも、紙の船荷証券の場合は、基本的には紙というものがあって、それを移転するということで進んでいく、ところが電子化した場合、電磁的記録そのものを、物ではないし財産権でもないということにすると、法律行為としては債権譲渡ということになる、やはりそこの違和感というものがどうしても残ってしまうなと。   そうしたときに、「電子船荷証券記録を使用、収益及び処分する権利」というものを新たに作れば、それが正に紙の船荷証券の所有権に類似するものとして、それを譲渡していけば債権も一緒に移っていきますというような形にできる、こういう説明をすることができれば、むしろa案の方がMLETRに近いという説明も場合によっては可能かもしれないという思いもあった反面、今、後藤幹事の御説明を聞いていて、別の説明もあり得るとは思ったところでありますので、ここのところは、どちらを採用したからMLETRに近い、遠いということが一概には恐らくいえない、どちらの評価も可能なのかなという気はしているところでありますが、そういったところの御感触も含めて、皆様の御意見を伺えますと大変有り難いと考えております。 ○小出幹事 ありがとうございます。ここまでの池山委員あるいは後藤幹事の御発言を聞く前に発言を考えてまいりましたので、少し重複するところもあるかもしれませんが、ここの部分につきましては、私は今、渡辺幹事がおっしゃったように、a案の方がMLETRの考え方には近いのではないだろうかと直感的には考えておりました。確かに今まであまり意識的に私も考えてこなかったのですけれども、ここでは電子船荷証券記録に係る権利というような言い方をずっと確かに言ってきていましたが、MLETRの書き方は本来的には船荷証券と電子船荷証券記録のようなデータというものが機能的同等であるという考え方なので、恐らく、「係る権利」とつけることはしないと考えてきたということなのだろうと思います。その考え方は、やはりa案のように、電子船荷証券記録そのものが船荷証券と同じような一定の財産権的な価値があるということを前提に考えてきたのだろうと思われます。さらに、渡辺幹事がおっしゃったように、b案を採った場合は、これは正に電子記録債権と同様に、運送契約上の権利というものの譲渡方法を新たに規定するという形になりますので、機能的同等とは少し異なる考え方になりそうに直感的には思いました。   もう1点、仮にb案を採った場合については、これもまだ議論途中だと思いますけれども、今後の条文の書き方としても、恐らく全て書き下ろすということにせざるを得なくなるのではないかと考えています。もちろん現実的には、MLETRのように機能的同等の条文だけで読み替えをするということは難しいという御議論もあったかと思いますけれども、本来的にはその方がMLETRには近いはずでして、そのように考えた場合に、b案を採ると、これは権利の特別な譲渡方法になりますから、当然にその他の実体法的な方法を書き込んでいかないといけなくなるのではないかと考えたところです。   ただ、a案については、仮に条文上、「使用、収益及び処分する権利」という表現を置くとすると、御趣旨はよく分かるのですけれども、このような表現で果たして十分なのかどうかということはよく分かりません。今の船荷証券に関する条文に、「船荷証券に対する所有権」というふうなことをわざわざ書いているわけではないので、「使用、収益及び処分する権利」というものが「船荷証券」というものとイコールなのかどうかと言われると、イコールだという気持ちはよく分かるのですけれども、本当にそうだと見てもらえるのかという問題はあるような気がします。そう考えると、逃げなのかもしれませんけれども、「電子船荷証券記録に係る権利」という表記をした上で解釈に委ねる、少なくともb案での意味ではないということぐらいを記録として残しておくということが一つの方法なのではないかと思います。ただ、藤田先生がおっしゃったように、本来的にはa案のような書き方をすることが明確だと思うのですけれども、それは非常に新しい、正にデータそのものに新たな財産権のようなものを認めることになりますので、この場でそれを果たして決めてよいのかどうかという問題は、私も非常に深刻な問題であろうと思っております。   すみません、重複する発言ばかりですけれども、以上でございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   そのほか、どの点でも御質問、御意見はございますでしょうか。紙の場合の世界と同じことを新しい法制のもとで実現するためには、どういう規律にすればいいかというのが、一番抽象的に表現した今回の問題だと思います。 ○洲崎委員 洲崎でございます。今回のa案、b案に関してなのですが、今回、事務当局が、こういう二つの考え方があり得るという発想をされた基礎となったのは、恐らくは5ページの4行目以下にあるように、紙の船荷証券においても二つの権利を観念することができる、証券に表象された証券上の権利とは別に、紙それ自体に対する権利も観念できるのではないか、だから電子船荷証券記録においても同様に考えることができるのではないか、そういう御発想だったのかなと理解しております。確かにそれはそのとおりで、紙の有価証券で考えると、紙に対する権利、紙の所有権というものを確かに観念することはできるし、紙の所有権を取得するがゆえに紙に表象された権利も取得するとか、あるいは、紙の所有権を善意取得するがゆえに紙に表象された権利を善意取得するといった説明が確かに可能になりますし、実際ドイツの手形法ではかつてはこのような説明がかなり有力だったと理解しております。俗に手形所有権説と呼ばれる考え方で、このドイツ学説の影響を受けて、我が国でも同じように説明する立場がかつては存在していました。ただ、少なくとも現在の日本では手形所有権説的な説明というのはほとんど姿を消してしまって、現在は端的に、手形上の権利を取得するとか、あるいは手形権利を取得する、手形上の権利、手形権利を善意取得する、そういう説明というか、表現が使われることが多いのではないかと思います。   ただ、手形という紙に関する権利を観念するという考え方が最近あまり採られなくなったのは、恐らくはこの考え方が理論的に間違っているからということではなくて、あえてそんなふうに考えなくても、手形の権利を直接的に規律すると考えればそれで十分説明できるということで、紙についての権利、紙の所有権ということは考えなくてもよい、それだけのことで、決して理論的におかしいからというわけではなかったと思うのです。そういう意味では今回、事務当局案は、個人的にはやや懐かしい感じがしましたが、こういう発想を持ってこられたことについては、逆に新鮮でもあり、もしこの発想が実際の規律をする上で役に立つのであれば、とりわけ強制執行のところで役に立つのであれば、確かにこのような発想で規律を作るということも考えられるかなという気がしております。   先ほど後藤幹事あるいは小出幹事のお話でもあったかもしれませんけれども、電子記録債権や振替社債・振替株式の規律では、振替口座簿についての権利とか、記録自体に対する権利ではなくて、まさに記録上の権利、振替口座簿上の権利というものを考えており、強制執行の場面でも、最高裁判所規則の民事執行規則ではまさにそういう形で規律をしていると思うのですけれども、これに関して事務当局に伺いたいこととして、強制執行に関して、電子記録債権や振替社債・振替株式のような規律、つまり民事執行規則で執行の仕方、差押命令に関する規律を定めることは、電子船荷証券記録では難しそうだというのが、やはり前提としてある、そのように理解していいのでしょうか。前回の部会での議論にも関係すると思いますけれども、そもそも振替社債・振替株式や電子記録債権におけるような強制執行の規律の仕方は、可能性としても全然出てきていなかったと思うのですが、そもそもそれは難しいということが前提になっていると理解してよいのでしょうか。よろしくお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御質問ありがとうございます。正におっしゃっていただいたとおり、仮にa案のようなものを採った場合の強制執行の規律として、電子記録債権法のようなことができるかというと、それは難しいのではないかというのが事務当局の感触でございます。といいますのも、この電子船荷証券記録というものは、何か認証機関というものを必須とするようなものではなく、システムを作る者の存在を前提に運用はされるのだろうとは思いますが、法律上の主体としては出てこないというものでございますので、そうなりますと、確実な執行方法というものを組むということは、恐らく難しいということになろうかと思います。   それで、a案を採りますと乙’案と親和性があるのではないかということを申し上げたところではあるのですが、この乙’案というのは、強制執行をする場合の規律としては明確になるということを申し上げているだけで、恐らくより強制執行がしやすくなるというものではなく、ただ、他方で今の紙の船荷証券の強制執行というものも、動産として強制執行するわけですが、なかなかどこにあるか分からないと現実的な執行は難しい面が恐らくあるのではないかと、そう考えたときに、電子船荷証券記録のその他財産としての執行というものをやっても、相手の協力がない限りなかなか実を結ばないという意味においては、今の紙の船荷証券とさして変わりはないのではないか、そういったところで乙’案というのを採用する余地があるのではないかと、こういうようなお話でございまして、強制執行の実を上げるというよりは、むしろ紙の船荷証券と近いもの、紙の船荷証券においてあまり使い勝手がよくないというものであれば、使い勝手のよくない電子版というもので、それで足りるのではないかと、そういったような趣旨での検討であったということでございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。洲崎委員、よろしいでしょうか。 ○洲崎委員 ありがとうございました。私がそういうことかなと想像していたところと大体一致しておりまして、確かに電子記録債権や振替社債・振替株式については、民事執行規則の中にわざわざ、電子債権記録機関とか振替機関という用語が出てきて、まさにそれに対して差押命令を送達するということが書いてあるのですけれども、今回の電子船荷証券に関する立法では、そのシステムを運用する者について全く法律の中で出てこないことになりそうだ。そうすると多分、民事執行規則のような規律も作れないし、民事執行法のその他の財産権に取りあえず抽象的に含まれますよということだけ明らかにしておけば、何も規律を置かないよりはまだいい、恐らくそういうことなのかなと理解していましたが、そのことが確認できました。どうもありがとうございました。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。 ○雨宮委員 雨宮です。a案について確認させていただきたいのですけれども、今、洲崎委員からも御指摘がありましたように、部会資料6の5ページの4行目以降で、紙に対する所有権、又は一定の権利と運送品引渡請求権の二つの概念が考えられていて、電子についても同じように考えられるのではないかと説明されています。紙の場合には、単に紙について所有権を有しているから権利行使できるのではなくて、運送品引渡請求権が有価証券としての船荷証券に表象されて、それが一体となって譲渡されているので、譲受人は権利を行使できると理解しています。   今回のa案について、電子船荷証券記録に係る権利を記録に対する使用、収益及び処分する権利だとすると、紙と同じように考えると、単に使用、収益及び処分する権利のみでは足りなくて、運送品引渡請求権が記録と一緒に移転していくということが必要になると思っています。使用、収益及び処分する権利には当然に運送品引渡請求権が含まれるのか、有価証券理論ではなく、記録に対するいわゆる一種の所有権があれば、引渡請求権も一緒に移転していくと理解してよろしいのでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。今御指摘いただいたところについては、資料に十分明確に書いていなくて、申し訳なかったと思っているところなのですけれども、この使用、収益、処分する権利の中に運送品引渡請求権が入っているというような理解は、むしろしておらず、a案に立った場合でも、後のところで少し効力論のところで議論することになるかと思いますけれども、同一の効力を有すると、こういう規律は恐らく入るだろうということを想定しておりまして、同一の効力を有するという規定が入りますと、電子船荷証券記録についても運送品引渡請求権が表象されていると、こういう効果が得られるのではないかと考えておりまして、そういった考え方を挟んで、結局のところ、a案に立った場合の電子船荷証券記録を使用、収益、処分する権利を持っていれば、そこから表象される運送品引渡請求権というものの権利者になると、こういった理解になるのかなというところを頭の中で思い描いていたところでございます。 ○雨宮委員 御説明ありがとうございました。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   よろしいでしょうか。さっと1ページの最初の第1の①を読んだときに、「電子船荷証券記録に係る権利の譲渡」と書かれている「譲渡」というのは、実は表象されている権利の譲渡ではないのだというふうな読み方になるわけで、直感的には我々が今までこの条文を読んできたときの読み方と随分違います。今の表象されている権利の部分の譲渡というのは別の効力のところの規定で読むというのは、少し誤解されやすいところかもしれませんので、その点が明らかになって、よかったと思います。 ○池山委員 再度、池山でございます。すみません、念のためということで、聞かずもがなかもしれないのですが、1個確認させてください。特にa案の場合に、質権の設定ができるということになるわけですけれども、これは実際のシステムだと当然、質権の設定なるものを想定しないシステムの方が恐らく多いのだと思うのです。それは別に、この規定は実際に採用されているシステムがそういう質権の設定もできるようなシステムでなければいけないということでは全くなくて、仮にシステムがそういうものを想定していたら、それに法律上の効果を与えるというものだと、そういう前提でいるのですが、これは従前のA案、B案、C案のときにあったのと似たような議論ですけれども、そういう理解でよろしいのですよね。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘のとおりだと思っておりまして、ここの規律というのは、いわゆる電子船荷証券記録の有効要件の規律ではございませんので、それが事実上できないからといって電子船荷証券記録としての効力が一切否定されると、こういったものではないと整理することができるのではないかと考えているところでございます。 ○池山委員 ありがとうございます。 ○藤田部会長 そのほか御意見があれば。 ○笹岡幹事 まず、確認をさせていただきたいと思います。譲渡とは、MLETR的にいうと支配の移転と観念されていて、日本法がMLETRに準拠するということになると、この使用、収益、処分する権利がイコール支配という評価でよろしいのかというところです。仮にそうであるとすると、これまでの支配というのは、所有権的な権利ではなく占有権的な所持であったわけです。要するに、支配しているというのは所持であるということで、所有権とはまた別のディメンジョンで観念されてきたものかと思います。ここで、所有権的権利に格上げしていると表現していいのか分からないのですが、なぜここで区別するのかというのが今一つ分からなくて、この部分の思考の過程を説明していただけると助かります。よろしくお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。大変難しい御質問かと思っておりまして、ここで今いっている使用、収益、処分する権利というものと、支配というものは、概念的には恐らく別のものになるかなとは思っておりまして、飽くまでも使用、収益、処分する権利、これは観念的な権利でありまして、支配というのは、これは事実状態ということなのだろうと思いますので、そういった意味では恐らく同じ概念ではないという整理ができるだろうと思います。その上で、ではこういった観念的な権利である使用、収益、処分する権利と支配との関係がどうなるのかというところにつきましては、すみません、十分な整理ができておらず、今後の課題かなと思っておりますけれども、単純な想像レベルの話で申しますと、所有権と占有権、支配の場合、「権」とはいえないのですけれども、所有権と占有に近い整理に恐らくなるのではないかと想像はしているというところでございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。   そのほか、どの点でも御意見、御質問、ございますでしょうか。a案、b案の話以外の点でも結構ですが。   池山委員、たしか最初に他にも御意見がある旨をおっしゃっていたと思いますが。 ○池山委員 今、第1の1と2が議論の対象となっているのだと思いますので、3の譲渡等の方式に関する点について意見を申し上げさせていただきたいと思います。よろしいですか。   まず、(1)の記名式の電子船荷証券記録の荷送人というものの立場をどう整理するかということについて、規律案では明確にしないで解釈に委ねるということについては、異論はございません。   それから、(2)の電子署名の要件についてなのですけれども、この点については、本当に大丈夫なのでしょうかというようなことは私が従前から申し上げていたところでございますが、現時点においても幾つかの規約型船荷証券のシステムプロバイダーと確認をしているところなので、結論的にはなお留保させていただければなと思っております。   ただ、分かってきた問題点の一つとして、従前は電子署名の定義のところそのものが問題になっていましたけれども、より問題になるかもしれないのは、正に1ページの(注)の規律案でいいますと、(注)の2ではなく1ですね、ですから1項二号の方ですね、商法何条に定める事項の記録をする者が電子署名をすると、つまり、運送人なり裏書人が電子署名をすると、そういう表現で果たしていいのかという問題は一つあるのかなと感じ始めております。実態としては、2項の一号、二号に係るような状況というのは、システムの中でシステムのセキュリティの問題として担保されていると、その中で運送人は発行行為、裏書人は裏書行為をするというだけなので、確かに実質的に2項の一号、二号の要件は満たしているかもしれないけれども、当の運送人がその措置をするといえるのかと、そこの話なのかもしれないと。ただ、ここについては電子署名についての本件に限らない解釈論というのもあるかと思いますし、更に検討が必要なのだろうと思っています。いずれにしろ、これはいつまでも引っ張れる問題ではなくて、いつかは結論を出さなければいけないのですけれども、今日のところはまだ御容赦願えればなと思っております。   その上で、混ぜ返すようですけれども、1個だけ確認的に申し上げさせていただくと、私の理解が間違っていなければ、MLETRそのものは決して電子署名を要求しているわけではないと、飽くまでもMLETRがいっているのは、法が人の署名を要求する若しくは許容している場合は、こういうことがあれば満たされるということなので、要求するか、リクワイアするか、あるいはパミットするかというのは、正に法、ローがどう決めるかによるので、正にそのローをここで議論しているので、これはMLETRが求めているからという問題ではないと理解しているし、もう1個、ヘーグ・ウイズビー・ルール等でも別に署名は要求されていないと。ハンブルグ・ルールには確かあったかもしれませんけれども。なので、飽くまでこれを求めるのは、紙のB/Lでは、日本法ではそうはいったって求めているから、それと平仄をどこまで合わせられるかと、合わせられるのだったら合わせた方がいいよねという感覚があり、でも、今申し上げたような問題があると、そういう問題状況であると理解をしております。   それから、一番最後なのですけれども、(3)その他という点に関連していいますと、実は規律案の第3項(③)ですね、記名式であって電子裏書を禁止する旨の記録がされている電子船荷証券記録の譲渡に関連するものです。ここは前回の御指摘の中で、紙の船荷証券については民法520条の19の規定にもかかわらず、手形法11条2項の解釈として、やはりその譲渡には船荷証券の交付が必要とされるという見解が有力だという説明があったと思っているのです。他方で、この第3項(③)というのは、やはり民法520条の19をそのまま適用すると、しかも電子船荷証券に対して明示的に適用するということになっていて、果たしてそれでいいのであろうかという点はやはり気になっております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。事務当局から御返答を御願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御意見等を頂きましてありがとうございます。1点目なのですけれども、MLETRにおいて電子署名というものが求められていないのではないかというところなのですけれども、MLETRの第9条というものがございまして、法が人が署名することを要求している場合又は署名することができるとしている場合、その者を識別し、かつ電子的移転可能記録に含まれる情報についてのその者の意思を示すために信頼できる手法が用いられていれば、電子的移転可能記録によってその要求は満たされるということとなっておりますので、我々の方としては、MLETRに従うということであれば、紙の船荷証券において裏書に署名を求めているというのであれば、電子でも同じことを求めるというのが相当なのかなとは思っていたところではあるのですが、ここはまた少しひょっとしたら違う理解があるのかもしれませんが、我々としては、そういったところもあって、できれば電子署名というのはあった方がいいのかなとは思っていたというところでございます。   それから、1ページ第1の第3項(③)の規律の関係ですけれども、ここにつきましては紙と同じ規律を入れるというところが、恐らく電子版の立案の姿勢としては正しいだろうと思っておりますので、もし紙の船荷証券につきましては、こういった民法の規定がありながら、やはり証券の所持というものが必要だと、引渡しというものが必要だと解釈されているのであれば、恐らくこの第3項(③)の規律においても同じように解釈されるであろうということを想定しております。電子化の場合の規律案の作り方の基本的な考え方になる部分ではありますけれども、紙の船荷証券における解釈というものがそのままできるだけ引き継がれるように、規律案というものは考えていくのがいいのではないかというような基本的な考え方でもってやっているところでありますので、この第3項(③)の規律をすることによって何か従前と違った解釈を打ち立てると、こういったことを考えているわけではないということでございます。 ○池山委員 池山でございます。ありがとうございます。まず、電子署名とMLETRの関係なのですけれども、全く同じ9条を私も見ながら考えていたのですけれども、おっしゃる趣旨は、法が人が署名することを要求している場合うんぬんという、ここの法というのは、紙における法が要求しているのだったらと読んで、日本法だと紙では要求をしているから、それは電子の場合はこういう形で満たされると、そうでなければならないのだという解釈ですね。おっしゃる趣旨はよく分かりました。ただ、私はこれは、鶏と卵かもしれませんけれども、紙の法は確かに要求していますけれども、やはり最終的には我々が電子B/Lに関する法を作る以上は、そこで要求するかどうかという話になるのかなと感じておりました。勘違いかもしれませんけれども、認識としてはそう思っておりました。それが一つです。   それから、最後、第3項(③)についてなのですけれども、ここは正に、元々次に議論する第2のところで問題として申し上げたところの、紙のB/Lにおいて解釈があやふや、若しくは暗黙のうちに一つの解釈で流れていたものについて、電子B/Lの立法をすることによって一つに引き寄せた明確な解釈をするということはあまりよくないのではないかということの、これも一つの現れなのだろうと思っています。ここはもう逆に皆さんの御意見ということになるかと思いますけれども、あえて言えば、この第3項(③)を入れるかどうかというのは、翻って紙の船荷証券のときに実際、譲渡禁止の紙の船荷証券が出ているときに、指名債権譲渡による債権譲渡ができるのかどうかについての態度決定を、逆に迫られているのかなという気はします。   もちろん一つの考え方としては、禁止するものがないからできるのですよといった上で、ただ、債権譲渡はされるけれども、他方で受戻証券性があるから、それは絵に描いた餅なのだというのが一つの整理で、他方で、やはりそもそも受戻証券性があるということは指名債権譲渡の方式自体ができないのだというのもあり得ると。そこを、紙の場合は事実としてされるということを、少なくとも私は聞いたことがないので、あまり実務家は正直、考えてこなかった、多分教科書にもあまり書いてあるものはないのだと思うのです。そういう状態で来た中で、電子について第3項(③)のようにストレートに書いてしまうと、それはそれでなかなか、一つの態度決定ですけれども、どう申し上げたらいいのでしょうか、少なくとも実務的には違和感はかなり強いなということは繰り返さざるを得ないかなと思っています。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。 ○小出幹事 ありがとうございます。署名の部分なのですけれども、まずMLETRの考え方については、やはり“here the law requires”と書いているときには、これは紙の有価証券に関する法が求めている場合というつもりで書いてあるということが、まず前提にはあるとは思います。それから、もう一つ、構造なのですけれども、MLETRでは15条にエンドースメントという条文があって、そこでは、法が裏書を要求している、又は裏書できるとしている場合については、電子的移転可能記録については、その裏書のために必要な情報がその記録に含まれ、かつ、その情報が、8条、9条、これらは要するに書面性と署名の条文なのですけれども、これらの条文の要求を満たすものである場合については、裏書の要求を満たされているものとするという条文があります。もちろん15条はそもそも不要であるという議論も当時ありまして、端的に裏書の話は9条だけで読めるのではないかという話もありましたが、いずれにせよ、書面について裏書に署名が要求されている場合については、MLETR9条に基づく措置が採られていることが求められるということが前提だと思います。   ただ、MLETRの9条というものは、署名を求められている場合については、その署名者の意思を示すということ、それから、署名者の同一性を識別するという、その二つの機能というものが電子的な手法によって果たされていることを求めているという形式になっております。署名の意義というものについて、私も昔、手形に関して少し調べたことがあるのですけれども、我が国では手形に署名がなぜ求められているのかといいますと、条文上に書いてあるわけではなくて、解釈としては、一つは署名者の主観的な意思といいますか、手形上の責任を負担させることを自覚させるために、慎重な手続として署名させるという主観的な理由が一つ、もう一つは、手形行為者の同一性というものを確保するという客観的な理由が一つであると解されており、私は何となく主観的な理由というものが、要は署名者の意思を示すということであって、客観的な理由というものが同一性を識別するということなので、MLETRの9条がいっていることと日本法上の署名の意義というものは、ほぼ同じであろうと考えてはいたのですけれども、ただ、これは一つの解釈かもしれませんので、日本における船荷証券において署名が求められている理由というものが、MLETRの9条に書かれている署名者の意思あるいは同一性の確保というもので全て代替されているのかどうかについては、議論があり得るところだろうと思います。   ただ、MLETRに準拠することだとしますと、9条は求められる機能をはっきり書いておりますので、署名者の意思を示すことと、それから同一性を識別できるということが求められることになろうかと考えています。しかし、そこでまた出てくるのは、日本の電子署名法上の電子署名というものが、この署名者の意思と、それから同一性の識別の両方についての認証を行っているかどうかについては、これはまた別途、電子署名法の方の解釈を待つ必要があり、署名者の同一性の認証についてはやっているというふうにいっていいと思うのですけれども、署名者の意思の認証というものをそこからどのように読み込んでいくのかについては、若干解釈の余地はあり得るかなとは思っております。ただ、私もこれも実務的には、整理されたとおりに、電子署名法に基づく署名というものがMLETRの9条の署名の要件を満たすと解釈するのが望ましいようには思っております。   ということで、結論的に申しますと、私は今の事務当局の書かれました5ページからの3の(2)というところについては、これを要件として求めていただくことは、MLETRとの関係では妥当ではないかと考えているところです。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。MLETRの理解はそのようなものだとすると、電子署名を求めるか否かは完全にフリーハンドというわけではなくて、紙で求められている以上は、対応するなんらか手続が盛り込まれる必要があるということになるのだと思います。ただ、池山委員の言われた、(注)の1の二辺りがやや踏み込みすぎだという疑問についていうと、今のMLETRの9条の書き方と比べると、事項を記録する者が電子署名をすると規定するのは、確かに少し厳しく書いているようにも読めなくはありません。これがどの程度の解釈を許すか、それで事実上、MLETR9条と同じように解釈できるかというのは、新しくできた条文の解釈次第だとは思います。 ○池山委員 まず、9条の解釈については承知いたしました。ありがとうございます。   今、正に部会長が整理していただいたのは、9条の文言からすると結局、同一性の確保と意思確認のために信頼できる手法が用いられていればよいと、リライヤブルメソッドがあればよいといっているということと、それから、今の規律案だと、その者が電子署名をするという主語がかなり限定的に読める書き方になっていると、そこのそごが解釈で埋められるかどうか、そういう話だということですよね。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。小出幹事、今のような整理でよろしいでしょうか。 ○小出幹事 おっしゃるとおりだと思います。 ○藤田部会長 ありがとうございました。   そのほか、どの点でも御意見、御質問、ございますでしょうか。第1全体について、どの点でも御意見、御質問いただければと思います。 ○池山委員 すみません、私が言うべきことでもないかもしれませんけれども、先ほどの第3項(③)のところ、譲渡禁止の記名式証券について、指名債権譲渡ができるかどうかという点なのですけれども、私はこの部会に出ている実務家の一人としての感覚を申し上げたのですけれども、ほかにも実務家の方はいらっしゃるので、是非その方々が、別にこれでいいとおっしゃるのか、やはり私と同じように違和感をお持ちなのかというのは、是非聞きたいのですけれども。 ○藤田部会長 せっかくですので、もしそのほかの実務家の方で、今の点について何か感触があれば、是非お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○山口委員 池山委員がおっしゃったように、指名債権譲渡による譲渡というのは、船荷証券が出されるときにおいては、まずなされないと思われますし、特にこの電子船荷証券の場合、そういうふうな形で行われたものを譲渡されたものとして権利行使が果たしてできるのかさえも、やや疑問かなとは思っておりまして、観念上許すことは可能かもしれないけれども、実務上それで動かない、あるいはそういうことはされないだろうと思うし、仮にされたとして、大きな紛争が残るのではないかというような疑問を持ちます。というところでございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。 ○雨宮委員 雨宮です。今、法務省からの御説明では、紙の船荷証券における議論をそのまま電子でも維持すると、ニュートラルな立場なので、紙と同様に規律するということは大変理解しました。そうであれば、電子の議論はそのまま紙の同様の議論と並行してあるというのは、納得できます。しかし、そのことを考えているときに、先ほどのa案とb案のことも考えていて、これがもし債権のみ移転するb案だとすると、指名債権譲渡の方式によれば、理論的には支配の移転がなくても債権行使できることにもなるのではないかと考えていました。支配と債権を有していなければ権利行使できないのは、紙も電子も同じです。それは受戻証券性があるからですが、理論的に考えると、先ほどのa案の方が説明しやすいのではないかと考えておりました。感想めいてすみませんでした。雨宮からは以上です。 ○藤田部会長 ありがとうございました。実務家の方にお伺いしたいのは、例えば山口委員なんかも、こんなことは実務的にやることはないということはよく分かったのですけれども、これが置かれると非常に困ったことになるということもないという趣旨と理解してよろしいでしょうか。 ○山口委員 このようなことが行われることはないだろうと思われるので、仮にあったとしても、今でも観念的には存在したわけですが、先ほど雨宮委員がおっしゃったように、事実上行われていませんので、これがあるからといって実務が混乱することは実際問題としては起こり得ないだろうと思うのですけれども、仮に行われると問題があるかもしれません。すなわち、債権譲渡自体が行われて、船荷証券の移転が行われていないときに、どちらが主体なのかというのが分からなくなってしまうという問題は生じるだろうと思うのです。ただ、受戻証券性が生きている以上は、運送人としては受戻証券を持っている人に渡さざるを得ないのではないかとは思っているのですけれども、そういうふうな二股になるようなことは、できれば生じないようにしてほしいと思いますが、現在も存在している以上はやむを得ないかなというのもよく分かるというところです。 ○藤田部会長 ありがとうございました。池山委員が最初に違和感があると言われたのは、紙の場合でも民法や手形法に同じような規定があるのは同じだけれども実際には使われていないところ、紙ではなくて電子の世界になると、こういうことが行われるようになる可能性があり、現実に有害な規定になるというふうな含みで違和感があると言われたということでしょうか。あるいは単純に、実際には行われていないことが条文で書かれることには違和感があるという、山口委員の言われた意味での違和感なのか、いずれなのでしょうか。 ○池山委員 池山でございます。あえて言えば前者かもしれません。というのは、今の紙についての規定は、520条の19は飽くまでも船荷証券そのものを明示的に規定した規律ではなくて、債権者を記名する記載がされている証券であって指図証券及び記名式所持人払証券以外のもの、というものについての規定だと。一方で商法764条で、これは船荷証券の規定です、船荷証券が作成されたときは、引換えでないと引渡請求ができないという規定だと。520条の19は飽くまで、その他記名証券についての抽象的な規定です。これが船荷証券にも適用されるというのは論理解釈なわけですよね。   それに対して、この③の規定は正に、記名式であって電子裏書を禁止する記録がされている電子船荷証券記録に関する規定ですので、論理解釈としては同じですけれども、やはりそうやって明記をして、指名債権譲渡しかできないけれども、指名債権譲渡の方式ならできると書くことというのは、完全に等価値とはいえないのではないかということです。所詮は感覚的な問題かもしれないですけれども、やはり論理解釈でいろいろな考え方があり得るという議論の余地があるのと、明文ですぱっと書いてしまうというのは、やはり違ってくるのかなと思います。 ○雨宮委員 雨宮です。今、池山委員のご発言を聞いていますと、民法は船荷証券と特定はしていませんが、もし電子船荷証券で電子裏書禁止されたものの権利譲渡について定めておかない場合、解釈で520条の19に含まれることになるのかなと思いました。電子については、商法764条の場合とは異なり、単に移転する方式、方法を定めているので、そのような規定がないと、電子の場合に債権譲渡する方法が明文上はっきりしなくなるのではないかと思いました。 ○藤田部会長 ありがとうございます。 ○池山委員 その意味では確かに、このとおり書く、あるいはこのとおり書かないというのは一つの態度決定が迫られていて、かつ実質的な解釈論というのが背後にはあるのだろうと思います。私がやはり第3項(③)に抵抗があるというのは、雨宮委員のおっしゃるような、ではその場合に民法520条の19が適用されるかというと、それはそれこそ証券ではないから適用がないので、むしろ債権譲渡はもうできないのだということを暗黙裏に前提をしてしまっているのだと思います。私はそれはそれで、正に記名式で電子裏書を禁止する旨の電子船荷証券記録については、もう譲渡はできないといっても、それほどおかしくはないのだろうと思っているのです。 ○雨宮委員 雨宮です。私も実務において電子船荷証券のシステムを使っているのに、システム外で指名債権譲渡の方式で移転するというのはあまり考えにくいし、紙でも実際にそ指名債権譲渡の方式で移転することが行われている事例もあまり聞かないので、割り切ってしまうのも一案かなと思います。本当に規定を置く必要性があるのか、それとも、電子に関しては規定を置かなくてもよく、電子システム外の譲渡を認めないという態度を決定してもよいのかと、そういう問題になるのだと理解しています。私は個人的にはどちらがよいという意見は今のところありません。 ○藤田部会長 ありがとうございました。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。今御議論を頂いておりまして、大変参考になりました。ありがとうございました。池山委員のおっしゃるように、私どもとしては、この第3項(③)のような規律を入れることによって紙と全く一緒になるということでいいのではないかということで申し上げてきているところではありますけれども、やはり一定の懸念があるというのは、それはそれでおっしゃるとおりかなと思っております。例えて言えば、第3項(③)の規律というのは民法520条の19と同じものではあるのですけれども、電子船荷証券記録ということで特定してこれを入れてしまうという御指摘がありましたけれども、その点は正にそのとおりですし、また、あえてもう一つ申し上げさせていただくと、恐らく商法にこれが入ることになると思いますが、紙の船荷証券の場合は民法だというところがあって、こういったところから気持ち悪さが残るというのは、それはおっしゃるとおりかなとは思います。   ただ、他方でほかにどんな方法があるかと考えたときに、ここは正に雨宮委員が御指摘を頂いたとおり、何も書かない、何も規律しないということになると、それはそれで全く、どういうことになるのだろうかということすら分からなくなってしまう、あるいはいっそのこと割り切ってしまって第2項(②)の類型に入れてしまうという、支配の移転というものが必要なのですと、そういう類型に入れてしまうということも考えられるかもしれませんが、これはこれでまた一つ、思い切った判断ということになろうかと思うのです。   そういったところをいろいろと考えて、それぞれの考え方、今口頭で申し上げただけでも3パターンぐらいあるのかなとは思ったのですが、それぞれ比較して検討しますと、今我々の方で提示させていただいている第3項(③)というのが、それはそれで難があることは承知はしつつも、一番紙の船荷証券との関係で解釈が維持し得るもの、これがベストとはいいませんがベターな案なのかなということで提案をさせていただいているところでございまして、第3項(③)の規律がこれ自体に問題があるということ自体は、それはそのとおりかもしれませんが、ではほかの代替案があるのか、ないのかというところも含めて、最終的に我々としてどういうような態度決定をしていくべきなのかというところで、御意見なりも頂けますと有り難いと思っております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。 ○池山委員 池山でございます。詳細な御説明ありがとうございます。持ち帰って更に検討させていただきたいと思います。御趣旨はよく分かりました。ありがとうございます。 ○箱井委員 箱井でございます。池山委員が、記名船荷証券の債権譲渡は、どうせやらないから実務家としては関心がないと最初おっしゃりながら、また実務家として非常に気持ち悪いともおっしゃいました。要するに、特定の解釈が文言に残ってくるのが気持ち悪いということなのだろうと思いますけれども、ここに示されているのは現在一般的に理解されていることを書いている、それが特定の見解なのかどうか分かりませんけれども、それ以外の見解は私は知りません。今そのようにやっていて、それでもって重大な問題が起きるというような議論もないですし、見たこともありません。その一言だけ申し上げたいと思いました。 ○藤田部会長 箱井委員、どうもありがとうございました。現在の紙に関するルールをそのまま電子についても維持するという目的を掲げる場合、520条の19は船荷証券には適用がないという解釈がもし多数なのであれば、このような条文を設けることは、その多数説の考え方を正面から否定し、紙についても解釈を変えることを示唆する条文ということになってしまいます。しかし今、箱井委員が言われたように、520条の19は適用があることが普通の考え方だとすると、むしろこの規定を置かないことの方が、かえって普通に考えられているルールがそうではないかのような外観を与えることになってしまう。雨宮委員の御発言はそういうふうな御趣旨だったと思います。そうなると、今までの委員の発言を踏まえた場合、520条の19についての、どういう理解が通常なのかということをよくもう一度確認した上で、最終的には態度決定をするということになるのかと思います。いずれにせよ、山口委員の言われたように、どちらに書いたところでそういうことをする人はいないだろうから、実質的な影響というのはそれほどないだろうという意味では、実務的に大きな影響はないということかもしれませんが、こういう整理でよろしいでしょうか。 ○笹岡幹事 すみません、確認させていただきたいのですが、ここで債権譲渡する債権というのは何のことを指しているのか、共通認識を持った方がいいのかなと考えました。おそらくこれは運送品引渡請求権のことを意味していて、ここでいう使用、収益、処分する権利、先ほどa案、b案としたあの権利のことではないということでよろしいですよね。使用、収益、処分する権利は、債権ではなく所有権的に構成されようとされているので、これは誰かに対する債権ではないという理解でもよろしいですよね。要するに物権的な、全世界に対する権利であって、特定の誰かに対する権利ではないと、そういう理解でよろしいですか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。まず、a案に立った場合の使用、収益、処分する権利というのは、誰かに対してということは想定しておりませんので、そういった意味では債権というのとはまた少し別な権利になるのかなとは思っております。それから、1点目で御指摘いただいた債権というのが、すみません、私の方で正確に趣旨が理解できなかったところではあるのですけれども、例えばa案というものを採った場合には、譲渡の対象というのが使用、収益、処分する権利、これを譲渡していくということになるというのを一応想定はしておりますので、ひょっとしたら笹岡幹事の御見解と少し違う部分があったのかもしれないというところでありまして、正にこのa案、b案というのが、1ページ目の規律にあるところの係る権利ですね、これを何と捉えるかというところで、運送品引渡請求権と捉えるb案的な考え方に立つのか、それとは全く別の債権ともいい難い使用、収益、処分する権利というものを譲渡なり質権の対象にしていくかというのがa案と、こういう整理で一応書かせていただいているところでございます。 ○笹岡幹事 何回か前の部会で洲崎委員と議論になったところなのですが、手形法の文脈での債権譲渡の方式による移転とは、手形債権の移転を意味しており、債権譲渡にプラスして手形の交付が必要かどうかというお話だったと思います。今検討しているのは、おそらく逆のお話で、今度は記録の方を移転していて、それに権利が付随してくるか、しないかというところで、この構成の違いというのは、かなり書き方にも影響してくるはずなのですが、この辺りは、答えはありませんけれども、整理をする必要があるのかなと思いました。お願いいたします。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。 ○雨宮委員 雨宮です。確認ですが、第3項(③)では、電子船荷証券記録に係る権利の譲渡ですから、a案を採る場合には、使用、収益及び処分する権利が、単に質権設定に関する方式とか債権譲渡の方式のみで移転することになりますが、電子船荷証券記録では支配が移転しないといけないので、支配の移転なく、債権のみならず全て、使用収益まで移転するかのように思えまして、どういう整理になるのですか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。どんどん難しくなってきて、私も頭が混乱してくるのですけれども、この第3項(③)の規律というのは、まずa案的な発想に立ちますと、使用、収益、処分権、これの移転だけの規律でございまして、それに必ずしも、この規定だけを見れば、支配というものは求められないということになるとは思いますけれども、ただ、一般的な解釈論を当てはめますと、所持というものが必要だという解釈論をここで当てはめてくるのであれば、やはりその支配というものも必要になってくると、こういう理解に恐らくなるのかなというところでありまして、なかなかこのa案的な立場に立った場合に結局、先ほども笹岡幹事から御指摘を頂きましたけれども、飽くまでも観念的な使用、収益、処分権というものを一応概念としては設定し、またそれとは別に支配の移転という事実状態の移動というものがあるわけですので、そこら辺の整理が非常にごちゃごちゃとしてしまうところは正直あって、私も今すぐここでずばっという説明がなかなか難しいところではあるのですけれども、一応概念としては別で、観念的な権利の移転と事実状態の変化という意味での支配の移転、恐らく、この二つでやっていくということになるかなと思っております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。雨宮委員、よろしいでしょうか。 ○雨宮委員 ありがとうございます。私もよく考えてみます。 ○藤田部会長 現行法も条文上は、指名債権譲渡の方式によってと書いているのですが、そのときに紙を渡さなければいけないかどうかについては明文で書かれていなくて、それはこの案でも書かない、ただ、手形等と同じような解釈を前提に、新しい法律のもとで債権譲渡の方式で権利を移転した場合に支配の移転をすることが必要か否かは判断されるだろうというお答えなのだと思います。 ○雨宮委員 紙の場合の指名債権譲渡は引渡請求権だけで、いわゆるもう一つの紙の所有権的、紙に対する権利が指名債権譲渡では移転しないのは、多分そうなのかなと思っております。そこで、電子船荷証券の場合、紙でいうところの所有権的な権利と一緒に移転するとなると、紙とは少し違うのかなという疑問があり、先ほど質問させていただきました。 ○藤田部会長 ありがとうございました。事務当局、どうでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。今御指摘いただいたところは、私もはっと思ったところでございますので、a案のような考え方に立った場合に、この債権譲渡の方式でという規律になる第3項(③)については、ひょっとしたら書き方を変えなければいけない部分もあるかもしれないと少し思ったものですから、大変有益な御指摘を頂いたと思っておりますので、そこは改めて考えさせていただければと思っております。 ○藤田部会長 よろしくお願いいたします。   そのほか、どの点でも、御意見、御質問、ございますでしょうか。   よろしいでしょうか。今回の最大の論点であるa案、b案というのは、インプリケーションが非常に大きく、それがそのほかの条文にどう影響するかということも、今御指摘があったようにいろいろ詰めなければいけない点もありますので、今日どちらで行くと決定的な答えは出せないですが、これで行けるかどうかということは一応留保しつつ、a案もこの場で差し当たりは否定されたわけではないという前提で、次回以降、更にa案の可能性も含めて検討していくという形にさせていただければと思います。その他のいろいろな論点については、頂いたコメントを踏まえて、さらに次の案で明らかにできるところは明らかにするということで進めさせていただければと思います。   よろしいでしょうか。微妙な時間なのですが、少し今日は早いのですけれども、ここで一旦休憩ということにさせていただいてよろしいでしょうか。あとの論点は比較的時間が掛からないのではないかと思いますので、一旦ここで休憩をさせていただき、3時15分に再開させていただきます。           (休     憩) ○藤田部会長 それでは、再開いたします。   部会資料6の第2についての議論に入りたいと思います。事務当局において御説明をお願いいたします。 ○中村(謙)関係官 それでは、法務省の中村の方から、今回の部会資料の7ページ以下の第2について、説明をさせていただきます。   第2は、第4回会議でも御議論いただきました、電子船荷証券記録の効力等に関する規律の内容についての二読目の御審議をお願いするものでございまして、細目といたしましても従前同様、1番として規律の在り方の方向性について、2番として逐条的な検討に分けております。   まず、7ページ目の規律の在り方の方向性についてでございますが、こちらは従前同様、①案、②案、③案という三つの基本的な考え方を改めて提示しております。第4回会議においては、MLETRとの親和性や、その点に関しての外部、特に海外からの見え方という点では、考え方①が最も望ましいのではないかといった意見も一定数見られたところでございますが、他方で考え方①や詳細な読み替え規定を置かない場合の考え方②については、電子船荷証券記録の法律関係を解釈に委ねる部分が多くなりますため、成文法主義を採る我が国との関係では望ましくないのではないかといった意見も見られたところでございます。また、先ほど前半の議論の中でb案を採った場合には、③案がより自然なのではないかといった意見も頂いたところかと存じます。   この①案、②案、③案の考え方につきましては、最終的にはそもそも法制執務の問題として、考え方①や、詳細な読み替え規定を置かない場合の考え方②が許容されるかどうかといった点もございますが、差し当たりはその点はおいた上で、改めていずれの考え方が望ましいかといった点について御議論を頂ければと思います。   なお、第4回会議においては、仮に考え方②や考え方③を採用する場合であっても、条文に表れない船荷証券の有価証券法理を電子船荷証券記録にも適用させるために別途、同一効力規定を設けることには意味があるのではないかといった意見も出まして、これに対して積極的に反対する意見も見られなかったかと存じます。また、先ほど前半の議論の中でも、電子船荷証券記録と運送品引渡請求権という債権の随伴性を維持する上でも、同一効力規定には意味があるのではないかといった意見も出たところかと存じますので、②案、③案を採用する場合であっても、「電子船荷証券記録は船荷証券と同一の効力を有する」といった、いわゆる同一効力規定を別途設けることを想定しております。   次に、8ページに移っていただきまして、8ページ以降では、船荷証券に適用される商法や民法等の規定に関する逐条的な検討を提示しております。こちらにつきましては、基本的な内容は部会資料4と同様となっておりますが、少しだけ補足をさせていただきます。   まず、9ページ目の(4)といたしまして、従前は当然の指図証券性を定める商法762条に相当する規定は、譲渡の方式の中で類型として整理することで足りると考えておりましたが、第4回会議の中で、類型としての整理とは別に、デフォルトルールを定めているという意味を持つ商法762条に相当する規定は別途設けるべきではないかといった御指摘を頂いたことを受け、今回新たに規律案に加えております。ただし、譲渡の方式に関する規定と分けてこのような規定を横並びで置くことが本当によいかといった点につきましては、引き続き検討していきたいと考えております。   次に、10ページ目に移っていただきまして、下の方の(11)でございます。第4回会議でも説明しましたとおり、民法上の有価証券の善意取得に関する規定は、船荷証券の所持人が一定の要件を満たす場合には、その証券を返還する義務を負わないということを規律するのみでございまして、その前提としては、船荷証券の所持者に船荷証券の返還義務がある、言い換えると、船荷証券の占有を失った者が現在船荷証券を所持する者に対して船荷証券の返還請求権を有すると考えられるところでございます。この返還請求権の法的性質については必ずしも明らかではないのもの、例えば占有を失った要因などに応じて、所有権に基づく物権的返還請求権でしたり、民法200条に基づく占有訴権や民法703条、704条に定める不当利得返還請求権などが考えられるところでございますが、電子船荷証券記録は民法上の物ではないため、紙の船荷証券のように動産として物権の客体になるということはできず、先ほどの議論のように、それ自体が財産権を構成するとも必ずしも言い切れないため、紙の船荷証券に係る返還請求権と同様の請求権が当然に発生するとまでは考え難いように思われます。そこで、善意取得に関する規定を置く前提として、本文の第1項のとおり、当該電子船荷証券記録に係る権利を適法に有しながらその支配を失った者から、現在支配をする者への返還請求権を別途規定することとしております。つまり、この第1項につきましては、紙の船荷証券との関係では、直接これに相当する規定はないものとなっております。   なお、支配を失った者の後に、「当該電子船荷証券記録に係る権利を適法に有する者に限る」という括弧書きを入れているのは、違法に電子船荷証券記録の支配をしていた者が、その支配を失ったときにその返還を求めることができるとすることは相当ではないと考えたためでございます。このような規定を置くことで、先ほど説明しました商法580条の「船荷証券の所持人」の解釈との関連で、記名式の電子船荷証券記録の荷送人が支配を失った場合には本文の第1項が適用されないのではないか、そういった解釈もあり得るのではないかといった懸念も出てくるところでございますが、そもそも根拠となる条文が異なる以上、必ずしも商法580条の船荷証券の所持人の解釈論がそのままこちらに及ぶわけではなく、記名式の船荷証券記録の荷送人について本文第1項の適用を認める余地というのは、解釈上は十分に残されるのではないかと考えております。   そのほかにも、第4回会議での議論を踏まえて、細かなブラッシュアップや補足説明の追加を行った箇所もございますが、いずれも部会資料に記載のとおりでございますので、ここでは割愛させていただきます。   以上、第2の説明となります。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、今説明のあった内容について、どなたからでも結構ですので、御意見等を頂ければと思います。どうかよろしくお願いいたします。 ○小出幹事 ありがとうございます。小出でございます。まず冒頭のところの規律の在り方の方向性についてのところだけ、コメントを申し上げたいと思います。   何度も同じことを繰り返すようですので、短くさせていただきますが、私といたしましては、本来であれば、MLETRとの関係で申し上げると、一番誤解がないといいますか、外から見て分かりやすいのはやはり考え方①の方向性であろうというふうな考え方には変わりはございません。その後、非公式にUNCITRALの事務担当者や諸外国の専門家などとも少し話をしたところによると、やはり全て書き下すという方法は、電子船荷証券記録に関する特別な権利を設定していると見られる可能性があるのではないかという懸念は示されたところでございまして、そのような誤解を防ぐためには考え方①の方向性が望ましいという意見は変わっておりません。   ただ、私も他方でこれまでの作業を見ましても、特に成文法国である我が国において、これだけで十分な規律になっているのかという点については、そのとおりであると思わないわけではありませんので、したがって、考え方②、③という方向性を採るということもあり得るとは思います。しかし、そうであるといたしましても、最初に申し上げたとおり、別途同一効力規定を設けるということが諸外国に対する見え方の観点から、望ましいと考えているところでございます。   繰り返しでございますけれども、以上でございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。質問して申し訳ないのですが、考え方①一本で行くのがMLETRの関係では一番自然だと言われたことは分かったのですが、その上で、考え方②、③についての見え方は優劣があるのでしょうか。同一効力規定は置くことを前提とすれば、考え方②、③、いずれでも同じでしょうか。 ○小出幹事 ありがとうございます。小出でございます。考え方②につきましては、これはどの部分について読み替え規定を置くのかというところ次第だろうとは思います。我が国特有の、つまりMLETRが想定していないような我が国特有の紙に関する条文がある際に、それを読み替える必要性があるということは、これは否定されないところだと考えておりますので、比較的見え方としてはMLETR準拠と言いやすいと思います。他方、考え方③というのは恐らく全て書き下ろすということなのだと思いますので、これは見え方ですから、私の見え方とほかの方の見え方は違うのかもしれませんけれども、考え方③のように実体的な権利移転のところも含めて全て書き下ろすとなると、やはり見え方としては特別な権利を作っているというふうな誤解を招きかねないというふうな感触は受けております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   そのほか、御意見等ございますでしょうか。 ○池山委員 池山でございます。細かくいうと、この点について論点は二つあって、そもそも同一効力規定を置くかどうかという点と、それから、①、②、③、もっというと①案は後段ですね、一定のみなし規定で済ますのか、②案か、③案かということなのだと思っております。   同一効力規定については御異論は今までなかったと思いますし、私も賛成でございます。その上で、①の後段みなし規定か、②、③かという点について、前回は若干誤解もあった上で、③については否定的で、①案ということを申し上げて、その理由として、元々船荷証券について解釈上の曖昧さが残る部分というのを、書き下すことによってきちんと明確化すると、そこに抵抗があると申し上げました。ただ、具体的な議論に入っていったときに、部会長から、結局それは後で議論がある2の(15)、520条の9ですかね、提示の話ですね、結局そこだけなのではないかという、ある種非常に厳しい御指摘があったと理解をしております。   最終的には、私どもとしてはやはり見え方の問題として、①案で行けるならば、それで有り難いという気持ちには変わりありませんけれども、本当に問題になるのは520条の9でしょうという部分は、改めて検討して、そうかなと思っております。あえて言えば、ここでは関係ないですけれども、紙のB/Lにおいて今まできちんと詰められて考えていなかったことが電子B/Lの立法に当たってどんどん明確化されていく、そこについての抵抗感というのは、先ほどの第1の第3項(③)、第2ではなくて第1の話になりますけれども、そこと似たような、ある種感覚的に避けたいという点は確かにあるのだと思いますけれども、第2の方に戻っていくと、確かに520条の9についてどうするのというところははっきりさせなければいけないですけれども、そこを除けば、中身について大きな異論が本当にあるのかというと、ないわけだから、結局は元に戻って見え方の問題になるという話かなとは思っております。   あと、個別の2の方はまだ一旦置いといた方がいいかなと思っていますけれども。 ○藤田部会長 では、それは後ほどもう一回お伺いするということで、総論的なところについて、そのほかに御感触を頂けますでしょうか。今のところ①案一本でいくというのが有力ですが、ほかに御意見、御感触はございますでしょうか。事務当局からございますか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御意見ありがとうございます。事務当局といたしましては、率直なところを申し上げさせていただきますと、①案だとなかなか穴が塞ぎ切れないなという感触を持っておりまして、同一効力規定とみなし規定ということでカバーをするということなのですが、やはりこれには限界があり、紙の船荷証券について適用され得る条文を網羅し切るということはなかなか難しくなってしまうなというのが率直な感触でございます。そういったところからいたしますと、②案、③案辺りが現実的な選択肢なのかなというのが率直な事務当局の現時点での感触でございます。   ②案と③案については、いずれにしても規律の在り方としては十分考えられるところでありまして、先ほど小出幹事から御紹介いただきましたとおり、②案の方がまだMLETRとの親和性があるということだったかと思いますので、そういったところで②案を考えるということも一つあり得るかなとは思いますが、他方で、この資料にも書かせていただいておりますけれども、②案のやり方をした場合、多分、条文としてすごく分かりにくいというところがあろうかと思います。外からの見え方を除いて、中からの見え方といいましょうか、商法典というものを通読したときにどちらの方が分かりやすいかというと、恐らく③案の方が圧倒的に分かりやすくて、恐らく②案をとった場合の条文を初めて見たときに、何だこれはというような仕上がりになってしまうというところがあろうかと思います。ただ、他方で外からの見え方という意味においては、これはMLETRに非常に準拠していると言いやすいというところもあろうかと思いますので、そこら辺の兼ね合いなのかなとは思っております。   あと、もう1点だけ付け加えさせていただきますと、この資料に直接は書いていないのですけれども、先ほど前半部分で池山委員とのやり取りの中で申し上げさせていただいたところにも関連いたしますけれども、③の考え方に立った場合は、船荷証券に適用される民法の規定、商法の規定、それを全て恐らく商法の規定でもって書き下すというところになりまして、民法と商法のすみ分け、一般法である民法、特別法である商法というところの関係性が、紙の船荷証券においては一定の意味があるかもしれないということを考えると、③の考え方に立って民法の規定、商法の規定を全て平たく商法に書き下すということになると、実質が多少変わってしまう可能性は場合によってはあるかもしれない。他方で、②案の準用方式を採れば、そこのところは民法、商法の一般法と特別法の関係性というのはそのまま維持できるということはあり得るかもしれない。今申し上げたところがどれほど大きな意味を持ってくるのかというところは定かではなくて、あまり気にしなくていいことなのかもしれませんけれども、先ほどのやり取りをさせていただいた際に少し思い付いたものですから、補足として申し上げさせていただいたというところでございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。 ○池山委員 純然たる質問です。今おっしゃったのは、③案を採る場合は、電子船荷証券記録についてこのように書き下すだけではなくて、紙の船荷証券についても書き下した条文を置くということですか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。そういうことでは全くございませんで、紙の船荷証券について適用される民法の規定、商法の規定、それぞれあると思うのですけれども、それぞれについて電子版の規律を作って、それを商法典に書いていくということになりますので、民法の規定を持ってきたものについても商法にのっかると、電子版についてはですね、というところが何かしら影響があるかもしれないというところの問題提起でございまして、準用方式を使えば、民法は民法、商法は商法、一般法、特別法という関係をそのまま維持したまま電子版に持ってこられると、そこに何らかの意味があるかどうかというところも正直、まだ何も検討はできていないのですけれども、そういった観点から②案の方が無難であるという考え方がひょっとしたらあるかもしれないというところが、前半の池山委員とのやり取りの中でふと思ったところでありますので、補足として申し上げさせていただいたというところでございます。 ○池山委員 ありがとうございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。 ○小出幹事 度々申し訳ありません、小出でございます。先ほどのことと、趣旨は同じなのですけれども、少し違うことを申し上げるかもしれませんが、よくよく考えてみますと、現在の①案というのは、電子船荷証券記録と紙の船荷証券の同一効力規定というのを置くという提案です。ただ、MLETRというのは電子船荷証券と紙の証券と同一の効力であるというのは、10条がその規定を置いているのですけれども、これだけではないのであり、10条が置かれている2章は、機能的同等性に関する条文という題名で、書面、署名、電子船荷証券記録、占有と、それぞれの紙の有価証券に関する概念についての機能的同等性の条文を置いているということです。ですので、実は、船荷証券の機能的同等性の条文だけを置くというのは、10条だけを書くということになってしまい、本当の意味でMLETRというものに準拠するというためには、MLETRで“Where the law requires”というふうに規定されている、紙の世界にしか存在しないような行為も含めた様々なものについての同等性の条文を置く必要があるということになるのだろうと思います。   そうやって考えると、実はこれは②案というふうに見た方がよいのかもしれず、すなわち、日本の船荷証券に関する実体法の中で、紙の世界にしか存在しないような概念、それは証券そのものもそうですし、例えば交付ですとか、そういったような言葉などを含めて、本当はそれらについての読み替え規定を置くこと、あるいはそれが読みにくいのであれば、場合によっては書き下しでそれを明確化するということが本来的にはMLETRに一番近く、私も先ほど①案のときも申し上げましたが、実は①案だけでは不十分であるというような感じもしてきました。すみません、少し前言を変えるようで申し訳ありませんけれども、補足的に申し上げさせていただきます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。 ○池山委員 すみません、質問ですけれども、①案は同一効力規定だけではなくて、その他所要のみなし規定を置くと、このみなし規定として想定されているのは、前々回の部会資料4の19ページにあるア、イ、ウ、エのような規定を置くという前提だと私は理解するのです。このうちエというのは先ほどの2の15に関係しますけれども、それは横に置いておいて、ア、イ、ウ、エのような規定を置くと。今、小出幹事のおっしゃったMLETRの10条の条文というのは、このア、イ、ウ、エではカバーできないものなのでしょうか。 ○渡辺幹事 今日お持ちでない方もいらっしゃるかもしれませんので、部会資料4のア、イ、ウ、エを読み上げさせていただきます。   アとして、運送人又は船長は、電磁的船荷証券記録を発行したときは、船荷証券を作成及び交付したものとみなす。イ、電磁的船荷証券記録の記録は船荷証券の記載と、電磁的船荷証券記録の支配は船荷証券の占有と、電磁的船荷証券記録を支配する者は船荷証券の所持人と、それぞれみなす。ウ、電磁的船荷証券記録の支配の移転をした者は、船荷証券の交付、引渡し又は返還をしたものとみなす。エ、電磁的船荷証券記録の支配をする者は、当該電磁的船荷証券記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものを提示したときは、船荷証券を提示したものとみなすといった内容になっております。 ○小出幹事 ありがとうございます。もちろんこれらも、例えば特にイ、ウ、エのところでしょうか、占有と支配の機能的同等ですとか、支配の移転というところの機能的同等ですとか、この辺りについては正に、これらの紙の世界にしか存在しないものについての電子の世界での機能的同等を定めた条文と見ることができるように思われます。ただ、MLETRはそれ以外にも様々な機能的同等の条文を置いておりますので、これで全てカバーできるかというと、厳密に本当にMLETRどおりに条文を置こうとすれば、先ほどの署名の話ですとか、書面性ですとか、あるいは裏書ですとか、様々なほかの要素などについても機能的同等の条文を置くことが望ましいといえば望ましいのだと思います。ア、イ、ウ、エのような書き方でそれぞれのみなし条文を置いていくという方向性は、MLETR準拠と見られやすいような方向性かなとは理解を致します。 ○池山委員 まだ質問ですけれども、そうだとすると、一方で事務当局は②案、③案がやはり現実的ではないかとおっしゃいましたけれども、他方で①案で行くのであれば、ここのア、イ、ウ、エの文言を、正に小出幹事がおっしゃった趣旨に即して、もっと詰めてブラッシュアップした条文を作ってみると、それが、少なくとも論理的にはあり得る選択肢ということなのですかね。ここをぱっと見ると、電子裏書という概念をせっかく作ったのに、そこのみなし規定とかもなかったりしますから、例えばそういうのを入れるなどして、そこを詰めたものを考えて、その上で、それが言ってみれば①’案として、もう少し詰めた形で存在をして、それと、やはり事務当局のおっしゃったとおり、②案、③案で行かざるを得ないのかと、そういう整理をしていくということでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。我々の方で①案に対して懸念をしているところといたしましては、一つ一つの概念についてみなすというようなアプローチを採っているものですから、そういたしますと、逐条的に全ての条文が必ずしも網羅されるかというと、そこが非常に難しいところになってしまうかなと思っておりまして、紙の船荷証券について適用される商法、民法の規定、それぞれあると思うのですけれども、一定の概念をみなすという作業をするだけではどうしても漏れてきてしまう条文というのが出てきてしまう、そうした場合に、ではそれをどうするのか、みなし規定だけでは対応し切れないようなものが出てきてしまう、そういった場合に、ではその対応し切れないものだけを書き下すということになると、それはそれでまた非常に分かりにくいものになりますし、書き下していない条文については、これはみなし規定で当然適用されるのか、それともあえて適用しないことにしているのかというのが一見して明らかではないということになり、なかなかやはり条文の作り方として非常に難しいということになってしまうのかなと思っておりますので、そういったところをきちんと漏れなくカバーするためには、やはり書き下していくか、あるいは包括的に準用して読み替えるという作業をしていかないと難しいのではないかと、こういうことでございます。 ○藤田部会長 よろしいですか。 ○池山委員 はい。 ○後藤幹事 後藤です。御説明どうもありがとうございました。①案、②案、③案のどれにするかというときの考慮要素として、MLETR準拠ということが日本の外から見て分かってもらいやすいかどうかというものがあるかと思うのですけれども、先ほど小出幹事からは、①案プラスアルファで行くのがベストかもしれないけれども、②案と③案だったら②案の方という御指摘がありました。確かにコンセプトとしては、その方が分かってもらいやすいのかなと思うのですが、ただ、外国の方に何を見せるのかというときに、日本の商法典の英訳を見せるだけで分かってくれという話をするのかということを考える必要があるように思います。事務当局からも御指摘のありましたように、読み替え規定だと日本語としても分かりにくいものになることは多分間違いなく、さらにそれを英訳したときに果たして正確に伝わるのかというと心許ないところがあります。日本語の文言との一致とか、そういうことを考え出すと、読み替え規定というのはただでさえ翻訳しにくいのかなという懸念があるように思います。そういう意味では、②案の方が本当に③案よりもよいのかというのは、何を見せるのかということまで考えて検討する必要があると思います。   そうしますと、②案で行った場合には、条文だけ英訳して終わりにするのではなくて、これはこういうコンセプトで作られているものであって、出来上がりとして読み替えになっているけれども、読み替えた結果はこうなるというものを、オフィシャルな英語の説明がすぐに、インターネットで検索すれば一番上に出てくるような形で見せておくということが、重要になってくるのではないかと思います。   逆に、そういうものさえ用意できるのであれば、③案のアプローチを採ったとしてもなんとかなるのではないか、日本の立法技術としてはこう書いているけれども、これはこういうつもりでやっているのですということを、研究者が書くだけではなく、法務省のスタンスとして説明したものがあれば、②案と③案の差というのはそこまで大きいものにはならないような気もします。   更に言うと、外からの見え方を気にするときには、日本法の英訳プロジェクトがありますけれども、あれで果たして十分かという問題はあるように感じておりますので、どのアプローチを採るにせよ、法務省のオフィシャルな説明を英語でアクセスしやすいところに、英語の文書が日本語のホームページの中に載っているだけではとても見付けられませんから、それをきちんと把握できる形で、アップするということまで考えていただく必要があるかなということも付け加えておきたいと思います。   以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。 ○小出幹事 再三申し訳ありません、小出でございます。今の後藤幹事の御指摘は、私も基本的には同感といいますか、おっしゃるとおりだと思います。②案か③案というのは、正に見え方の問題だということで考えるのならば、後藤幹事のおっしゃるとおりかと思います。   それとはまた別の点なのですけれども、③案を採った場合であっても①案か②案的なものを置くということが今のスタンスだと思ってはいますけれども、やはりMLETRが考えているような基本的な紙の世界にしかないような概念といったものについては、きちんとやはり読み替え規定を置いた上で、場合によっては③案、②案をとる必要があるだろうと思っています。   それはMLETRも、“Where the law requires or permits”と書いていることがよくありまして、リクワイヤーズの方は条文があるので、読み替え規定を置けば、そちらの方に全て書かれるのだと思うのですけれども、パーミッツ、つまり解釈の世界でそういった紙の世界にしか存在しない行為が行われた場合や、そうした行為が行われた効果の解釈が問題になっているという場合について、では電子の世界ではどうなるのかということがやはり不明になってしまうという問題は出てくるだろうということでパーミッツという言葉を入れたという経緯があります。したがって、MLETRの趣旨を採用したのだということを反映するためには、③案を仮に採るとしても、やはりコアな概念については読み替え規定をきちんと置いておくということが必要なのだろうと考えております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   そのほか、御意見はございますでしょうか。   ③案のアプローチを採った場合の海外からの見られ方で一番懸念するのは、多分、商法第3編第3章第3節の2とかいう形で新しい条文が置かれると思うのですけれども、そこにある英訳の条文を見た外国人が、第3編第3章第3節の船荷証券の条文と照らし合わせて、船荷証券にはない条文が随分たくさん入っているのを見てしまって、随分新しい固有の実体ルールを設けたかのように誤解してしまう、実は全部、民法に対応する条文があって、単純に紙に対応する条文を作っただけなのですけれども、そう見てもらえず、紙の場合には存在しない新しいルールを作ってしまったように誤解されると、それこそMLETRと全く違う世界を作っているように誤解されるおそれがないわけではないですね。それは立法したときにきっちり、これは全部民法に対応するものがあるのですよということを知ってもらうために何をすればよいかということになるのかもしれませんけれども、そこは条文のレベルでそこを解決してしまうのか、後藤幹事の言われたように、そのほかの広報手段も通じて誤解を避けるということでいいか、その辺りも重要な考え方なのだと思います。いずれにせよ商法典の英訳のプロジェクトの条文だけだと、外国人は商法の中での英訳の条文を船荷証券の条文と対比して見るだけでしょうから、そういうことが行われないようには最終的に留意しなければいけないとは思いますけれども。   そのほか、どの点でも、御意見ございますでしょうか。外からの見え方ばかりを考えて、日本人にとって読めない条文を作ってしまうというのも、それはそれで大変大きな問題だと思います。恐らく②案で書くと、実務家の方は③案のような形の一覧表のようなものを作って対応することになると思うのですけれども、そういう状態がいいかどうかというのは、日本法の在り方としては考える必要はあるかもしれません。   そのほか、総論的なところで、どなたでも御感触を頂ければと思いますが。 ○山口委員 今、議論をお聞きしていて思ったのですけれども、一般的準用規定で作られている条文というのは、かなりたくさんあちこちにあるのですが、どれも私の印象としては非常に分かりにくいという感覚を持っていまして、理解しやすいのは確かに③案の方だろうと思います。ただ、立法技術の問題で、先ほどおっしゃったように見え方が重要だということであれば、どちらがいいのかはなかなかここでは判断しにくいのですが、何節の何条で何々を除いて準用するというような規定ぶりというのは、日本人の弁護士が読んでいても非常に分かりにくい条文になっていると思います。それは今までの条文形式で準用の場合の行われるやり方でしたので、違和感はないのですけれども、理解は難しいと思っています。ただ、これをMLETRとの中でどのように整合するかというのは、かなり法技術的には難しい話かなとは思います。   私はどちらかというと③案の方がいいのではないかとは思っているのですけれども、理解する側から言いますとね。ただ、落ち着きがどちらがいいのか、軽々に判断しにくいというところです。先ほど来おっしゃっているように、①のざくっとした読み替え条文ですね、これは置いた方がいいだろうと確かに思います。それによって全体像がこの節に書かれているのだということを示すということは、やはり必要ではないかと思っております。 ○藤田部会長 ありがとうございました。同一効力規定はどの案を採っても、入れることにはあまり異論はなかったとは思います。   そのほか、どの点でも御意見いただければと思いますが。   よろしいでしょうか。そうすると、第2の中で1のところは大体感触を伺えたということで、その先ですね、2のところで個別にいろいろな準用の在り方といいますか、実態ですね、各民商法の条文の適用の在り方について説明がありますが、こちらについても御意見いただければと思います。基本的には従来のものとそう大きく違わないと思いますけれども、御意見いただけますでしょうか。 ○池山委員 池山でございます。大きく3点ございます。   一つは(10)の民法520条の4及び520条の14に相当する規定のところです。これは意見というよりは単純な質問なのですけれども、この規律案の①の第2文と②の規定は、実際はそこで、民法で更に準用されている手形法の16条1項の第2文から第4文にのっとって書かれていると理解しているのですけれども、前回気付かなかったのですが、実際のこの書き方というのは手形法の文章の流れそのものとは違っていて、①の第2文というのが手形法16条1項の第3文と第4文で、手形法でいえば途中にある第2文の方を②として独立させている書き方になっていると思うのです。これは正に論理的に手形法自体をそのように解釈すべきだということが背景にあるのだと思うのですが、一応、本来の条文とは順番が少し違っているということに気付いたものですから、その趣旨をお聞かせいただけないかというのが一つです。   それから、せっかくなので全部申し上げますが、次に(11)です。520条の5及び20条の15に相当する規定なのですけれども、括弧書きとして限定をする、当該電子船荷証券記録に係る権利を適法に有する者に限るという限定の仕方について、補足説明だと、船荷証券の所持人の解釈との関係で、この記名式電子船荷証券記録の荷送人についての適用が問題になり得ると、だけれども、確か先ほどの口頭の説明だと、一応切り離して考えることもできるのではないかという御説明があったかと思います。この点についてなのですけれども、ここはあまり理論的ではないかもしれないのですけれども、ここは支配を失った者についての限定なので、権利を適法に有するかどうかではなくて、支配を適法に有するかどうか、適法に支配する者に限る、あるいは違法に支配する者を除くと、そういう書き方はできないのかなという議論が事前の検討の中で出ております。   ひょっとして関係があるかもしれないのは、特に記名式船荷証券の荷送人の立場なのですけれども、権利を有するかどうかとは別に、少なくともその人が最初に発行を受けて、売買代金の支払いを受けるまでは、その支配をすることは、権利者かどうかとは別に、適法なわけですよね。だから、支配が適法かどうかというのは、必ずしも運送契約の問題ではなくて、売買の道具ですから、売買契約の中で決まってくる面があると、そうすると、その人は権利を有する、有さないはニュートラルだとしても、少なくとも支配は適法だという言い方はできるかもしれないと。そのことをストレートに表現する方法としては、適法な支配と言った方が分かりやすいのかなという気もします。ただし、これはある種、自分で御提案しておいてあれですけれども、思い付きの議論である部分も否めなくはなくて、では適法な支配とは何なのだということについて解釈論上の疑義が出てくることは承知しております。ただ、その上で、でもやはり一番分かりやすいのかなと思います。そこは意見というか、指摘をさせていただいて、御感触をお聞きしたいと思っております。   それから、最後が(15)、520条の9なのですけれども、ここは前回から私の方で異論がある旨を申し上げていたところで、そこはその後、改めて内部で検討しても変わってはいないのです。ただ、厳密に言うと多分、論点は二つ分けて議論する必要があって、そもそもここにいう提示というのと、それから引換えというのが同じなのか、違うのかという議論があります。概念的には、条文を見ればそれは明らかに違うことは否めないわけですけれども、やはり実務の感覚としては、提示だけされて文字どおり見せられても何の意味もないわけで、実際は権利を行使する、あるいはその前提として、運送人を遅滞に陥らせるためには、実際に提示というよりは提出ですね、提出をしてもらう必要があるわけで、その意味では引換えと同じなのではないかと。そのことは、もっというと、やはり紙の民法において520条の9をそのまま適用するというのは本当はおかしいのではないかという、紙の民法の解釈論が出てくるのだと思います。   それから、もう1個、若干マイナーですが、違う問題は、仮にこれを残すとして、裏書禁止の記名式証券を除くかどうかということの是非ですけれども、ここはこの文案では括弧書きの除くというのが残っていますけれども、解釈によってはここは削ることも考えられると書いてあります。そこは仮に残すのだとすると、態度決定をする必要があるだろうと。削った方がいいのかなと思っております。この点は、単純にもう意見ということになりますが、これも突き詰めて言うと、ここの問題というよりは、やはり紙のB/Lについての解釈論が実は私は違っているので、ということなのだと思うのです。先ほど第1の③のところで、520条の9でしたっけ、が通説であれば別だけれども、そうでもないのではないかという御指摘が部会長からあったと記憶しますが、同じような問題がここでも生じるのかなと思っております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。それでは、事務当局から御返答をお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。幾つか御指摘等を頂きまして、回答できる範囲で回答させていただきたいと思いますけれども、まず最初に御指摘を頂いたのが、10ページの(10)の規律であったかと思います。これが手形法の16条1項の規定をそれぞれ順番に切り出して入れているということなのですけれども、すみません、どういう判断基準でこういう順番にしたのかが今すぐ出てこないのですけれども、ただ、いずれにしても、手形法16条1項の第2文、第3文、第4文というものをしっかり見たときに、こういう形で規律化するとしたらこういう順番が一番いいだろうということをその時点で考えて、させていただいたというもので、特に何か手形法の実質を変えるという意図は全くなく、ただ、口語体というか現代語化をして書いていくということを考えたときには、こういった文案になるのかなということを考えて、やったところでございます。   それから、次の(11)、部会資料のページ数でいいますと11ページのところだろうと思いますけれども、括弧で限定を付した、適法に有する者に限るというところですけれども、ここは正直、我々も悩ましいと思っているところでありまして、今のお話を伺っていて、権利を適法に有する者に限るというのではなくて、権利というのを支配という形で置き換えるということもあり得るのではないかと、こういった御趣旨の御提案なのかなと聞いておりましたけれども、そういったところも含めて、どういうふうに限定できるかというところは、また引き続き考えていきたいとは思いましたけれども、前提として、やはり何らかの限定はあった方がいいというお考えの上での、限定の掛け方としてどういう表現がいいのかと、こういう御指摘だったかと思いますので、また表現ぶりについては記名式電子船荷証券記録の荷送人の件も含めて、考えていきたいと思っております。   最後、(15)のところでございます。ここについては確かに民法520条の9というものがそもそも適用がないと考えるのであれば、入れないという考え方が十分あり得るかとは思いますけれども、ただ、字面だけ見ていると、まああるのかなと思っていて、あとは結局、これも先ほどのことと同じなのかなと思っておりまして、形式的には適用があるけれども解釈で手当てがされているというような理解なのかなと我々の方としては理解をした上で、こういう規律をのっけるということを考えておりますが、紙の船荷証券における解釈が、やはり電子化された場合のこの規律においてもパラレルに採用されるということを想定して作らせていただいたというのが、事務当局の現時点での考え方ということでございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。池山委員、よろしいでしょうか。 ○池山委員 すみません、3点目ですが、事務当局の回答がそうなるであろうというのはある種、予期していたことではありますが、これは先ほどの第1の第3項(③)の規定よりは実際上の効果というのがあるので、結論から言うと、さらに、本当にそれでいいのかというのは検討させていただく必要があるかなと思います。そこで、やはり先ほどの総論とも関係しますけれども、民法に一般的な規定があって、船荷証券について商法で別段の規定があるというときに、この民法の規定はこのまま船荷証券に適用があるのだろうかということを解釈で議論する余地があるということと、それから、今回電子船荷証券について商法典の中でこの規定をあえて入れるということとは、やはり実質的な違いがあり得て、問題が先鋭化するのかなと思います。言ってみれば、それを避けるために前回は①案というふうな言い方をしたわけですけれども、それはそれで乱暴なのではないのというのが一つの整理かなと現時点では思っているところです。いずれにしろ、くどくど申しましたが、事務当局のおっしゃる趣旨自体は理解しましたので、更にこちらでも検討を重ねたいと思います。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。(15)ですね。現在の案のように書いたら、民法のこの規定とパラレルな規定が置かれたことになります。紙の有価証券については、民法の条文文言にもかかわらず、提示というのは引換えまで要すると解釈されているのだとすれば、同じように電子についても条文としては提案のような文言で書いてあるけれども、支配の移転というのが必要というふうに解釈することになる、同じ条文のもとでパラレルな解釈をするとなるとそうなるかとも思ったのですが、そうではなくて、やはりこういうふうに書いてしまうと違ったルールを書いてしまったことになり、ひいては紙についての通説的解釈にも影響があるということになるのでしょうか。(15)の受け止め方としては、どちらなのでしょうね。 ○池山委員 純然たる質問ですけれども、今、部会長がおっしゃったのは、(15)の(注)はないという前提になるのですか。結局、民法にはこの(注)に当たるものはないのですよね。でも、今回の案は、ロジカルアメンドメントをして、それを商法に入れて、かつ、提示なるものを法務省令で定める方法と、記録を表示すると、だから電子B/Lのスクリーンをタブレット端末か何かで持って行って見せれば、それで遅滞に陥るということになるので、少し違ってくるのだと思います。部会長のおっしゃるのは、仮にこの(注)がなければもう少し、解釈論をそのまま維持することはできるかもしれないと、解釈の対立をそのまま維持することができるかもしれない、そういうことではないですか。 ○藤田部会長 疑問の御趣旨は分かりました。事務当局としては、提案のような文言で書くと、支配の移転に相当することは要求されないという実体法的な解釈になるという前提での御提案なのでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。そのような趣旨ではございませんで、紙の船荷証券において、民法のこの規定にもかかわらず、引換えというものがなければ遅滞が生じないという解釈が、それが恐らく商法764条ですかね、そこから導かれるということであれば、この商法764条に相当する規律というものも電子版で設ける予定でございますので、それとセットで同じような解釈になるということを想定しておりまして、この(注)で、法務省令で提示の方法を書いたからといって、恐らくそこが変わるということではないのかなと、より何となく目立つというところの御趣旨は理解することができるのですが、今申し上げたような形で、紙と同じような解釈ができるということであれば、この(注)の部分があるかないかによってそこが変わるということは、恐らくないのかなとは思っているところでございます。 ○池山委員 ありがとうございます。再度、池山でございます。こういう場でこういう質問をするのがいいかどうか分かりませんが、あえて質問させていただくと、764条の解釈にも関わるのですけれども、引換えでないといけないというのは、私の理解は、要は同時履行の抗弁のようなものを規定していて、同時履行の抗弁の効果として、遅滞に陥る、陥らないという点があって、そこは同時の履行がされるまでは遅滞に陥らないと私は思っていたのですが、その上で、ここで提示、示すだけで遅滞に陥るというのは、やはり矛盾すると思っていたのですが、その考えは間違いなのでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。そのような解釈というのがむしろ一般的なのかなという気もしているところではありますので、そういった観点から、およそ民法の規定ですね、520条の9が適用されない関係にあるということが言い切れるのであれば、おっしゃるとおり、ここはもう書かないという選択というのはあり得るとは思っているところなのですが、果たしてそう言い切れるのかというところが正直、あるわけでありますので、であれば、入れるだけ入れておいて、今言ったような解釈が一般的であるのであれば、そういった解釈が電子版においても通用していくというような規律にしていくというのが一つの考え方かなと現時点では思っているところでございます。 ○池山委員 ありがとうございます。御趣旨はよく分かりますので、更に検討させていただきます。 ○藤田部会長 そのほか、どの点でも、御質問ございますでしょうか。 ○山口委員 山口でございます。商法762条に相当する規定のところなのですけれども、これは譲渡に関わる規定でございまして、先ほど議論しました第1のところで、電子船荷証券記録の類型及び譲渡等の方式についてというところにこの譲渡方式が書いてあるわけですが、これだけ別のところに記載するという、そんなイメージでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。正にそこが実は762条を書き下してしまう場合の問題点かと思っておりまして、確かにこの762条というのは、前回御指摘いただきましたとおり、単なる譲渡方法を書いただけではなくて、一つのポリシーがそこに含まれていて、それを表現できるような案文があった方がいいのではないかということで、ここに書かせていただいたのですけれども、いざ条文を並べて見たときに、前半部分で議論させていただいた内容とほぼ似たような作りの条文が、また少し離れたところにあるということになると、これはなかなかかえって都合が悪いということもあり得るところでございまして、これは改めて事務当局の方でもこれから検討していきたいとは思っているのですが、今回の部会資料でいうところの第1の第1項(①)、第2項(②)、第3項(③)という規律をどこかに置いた上で、またその後にこの762条に相当するものがぽっと出てくるということになると、規律としては非常によろしくない状態なのかなというところは自覚はしているところでございまして、ただ、762条の基本的な考え方を何らかの形で表すべしというところは、そこは御指摘としてはおっしゃるとおりかなと思って、一応今回こういう形にはさせていただいておりますが、最終的に様々な案文を合体させたときに、これをここに残すという形になるかどうかは、また別の検討なのかなと思っております。御指摘ありがとうございました。 ○山口委員 分かりました。どうもありがとうございます。 ○藤田部会長 そのほか、どの点でも御質問、御意見、ございますでしょうか。 ○笹岡幹事 先ほどの(15)のところに戻るのですが、仮にこれが適用されるとして、(注)のところで、提示を電子的にするとこういうことになるだろうということで、このように書かれていらっしゃるのだと思うのですけれども、実際には紙を見せられてもよく分からないというか、それよりは、運送人もシステムにアクセスできますので、アクセスして、ああ、この人は最終の権利者だなと分かれば、本人確認をして引き渡すということになると思うのです。ですので、これは例示的な列挙であって、要するに権利を行使しているというか、請求をしているというところを抽象的に表す文言があった方がいいのではないかと。たとえば、412条3項等を参考にして、その他請求があったときにはという形で書かれるのがよいのではないかと思いました。   先ほど山口先生に御指摘いただいた762条の件は、私の意見で残された部分だと思いますので少し責任を感じていますが、762条は、まず何も特約がなければ譲渡自由であると、譲渡可能であるということが電子的な船荷証券記録においても妥当するのだということを表すものですので、その趣旨は、どこで規律するかに関わらず、紙の場合と変わらないのだというところを確認すべきだと思います。よろしくお願いいたします。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。今の最初の点については、事務当局から何かございますか。 ○渡辺幹事 そうですね、引き続き検討させていただきますということで、よろしくお願いできればと思います。 ○藤田部会長 そのほか、どの点でも御意見、御質問、ございますでしょうか。   762条の扱いは難しいですね。そもそも紙だと指図文言がない場合はどういう種類の証券か解釈が分かれ得るので、デフォルトルールという意味があるのですけれども、電子船荷証券の場合は、システム上譲渡できるか否かははっきりしているでしょうから、こういうデフォルトルールが機能することが果たしてあるのかということも疑問がないわけではないですよね。   そのほか、どの点でも御質問、御意見、ございますでしょうか。   よろしいでしょうか。池山委員の最初の方の質問で、(11)についての議論は、これはお答えいただけましたでしょうか。適法に支配を有する者というふうな条文は無理だろうかというのは。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。正にそこは検討のしどころかなとは思っているのですけれども、今、直感的に少し、もし不安があるとすると、支配というのが事実上の概念なので、それに適法にという枕詞を付けるのが適当なのかどうかというところが差し当たっては問題かなという感じはしておりますが、そういったところも含めて、どういう書きぶりがいいのかどうか、ほかにブラッシュアップできるかどうかというのは引き続きの検討課題とさせていただければと思っております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。民法520条の5は主語が書かれていないので曖昧になっているところ、ここはどうしても主語が必要なので、パラレルな条文を作ろうとすると解釈を迫られるという、池山委員がよく指摘される問題のひとつの表れなのかもしれません。 ○池山委員 (11)なのですけれども、これは単なるちゃちゃかもしれないのですけれども、仮に原案どおりだとしても、権利を適法に有するというのは実は変かなと思って、権利は有するか有しないかではないかなという気もしております。すみません。逆に、支配という事実概念を入れるからこそ、それを適法だと。どういう場合に適法かというのは解釈に委ねると、それは必ずしも運送契約とのだけの関係で決まってくるのではなくて、なぜその人が支配を有するに至ったかという経緯、通常は売買契約ですけれども、それも含めて解釈をするのだという幅のある言い方が、逆にできるのではないかという気もしているのです。 ○藤田部会長 事務当局から何かございますか。 ○渡辺幹事 今の御指摘も含めて、引き続き検討させていただきます。 ○藤田部会長 そのほか、どの点でも、御意見ございますでしょうか。   よろしいでしょうか。特にないようでしたら、次に第3に進みたいと思いますが、部会資料6の第3について、事務当局において御説明をお願いいたします。 ○中村(謙)関係官 それでは、法務省の中村の方から、今回の部会資料の14ページの最後の第3について、説明をさせていただきます。   この部会の第1回会議の中でも少しだけ頭出しさせていただいたところでございますが、御案内のとおり、商法の中には船荷証券のほかにも、紙の発行しか認められない有価証券として倉荷証券(倉庫証券)というものがございます。最終的に倉荷証券について電子化を認める法改正を行うか否か、行うとした場合に船荷証券との対比でどのような特殊性があるかといった辺りは、今この場で結論を出していただく必要はないと思っておりますが、差し当たり今後この部会の中で倉荷証券の電子化についても船荷証券の議論と併せて審議を行っていくということについて、どのように考えるかについて皆様の御意見を伺えればと考えております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、ただいまの点につきまして御意見、御質問があれば、お願いいたします。 ○後藤幹事 後藤です。この点について、たまたま日本証券クリアリング機構にいる知人から聞いたのですけれども、商品先物取引では貴金属とか大豆とかの決済に倉荷証券を使うことがあり、それを証拠金に入れたりするということもあるようなのですけれども、それをやはりできれば電子化して、事務の効率化を図りたいというニーズは持っているようです。もちろん船荷証券の電子化に比べると、規模としては限定的な話ということになるかとは思いますが、社会的にニーズが存在する以上、この機会に併せて対応するということが合理的ではないかと思いますので、是非このまま検討を進めていただければいいのではないかと思います。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   そのほか、どの点でも御意見、御質問、ございますでしょうか。 ○山口委員 少し前に戻って恐縮なのですけれども、常々申し上げておりますように、複合運送証券については是非検討をお願いしたいと思っていますので、よろしくお願いします。 ○藤田部会長 ありがとうございました。事務当局から御返答を御願いします。複合証券が含まれるかどうかですね。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。複合運送証券も当然対象にしているつもりでございまして、ただ、これが規定ぶりの方が、商法769条でありまして、結局これが準用条文ということになってございますので、基本となる電子船荷証券記録に関する規律をどのように定めるかによって、複合運送証券の規律をどのようにできるかが結構関わってくると思っておりまして、例えばですけれども、③案の考え方ですね、書き下していくという考え方を採用した場合には、この複合運送証券の規定も、商法769条に似たような形で、恐らくすっと入れることができるのかなと思っておりますけれども、違うやり方をすると、これをどのようにやっていったらいいのかという非常に難しい問題にぶち当たるというところがありますので、まずは基本となる電子船荷証券記録の効力に関する規律についての御議論を先行してやっていただいて、それに応じて複合運送証券の規定を考えていきたいところではありますが、少し先走って本音ベースのことを申し上げさせていただきますと、③案の考え方以外の考え方を採用すると、複合運送証券の規律の在り方をどうしたらいいのかというのが非常に難問になってしまうというところがありますというところを申し上げさせていただいて、回答とさせていただければと思います。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。複合運送証券を含めるという実質は、恐らくこれまで全く異論がなかったと思いますので、それが変わったわけではなく、それと全く別に、倉庫証券というのは明示的にはあまり議論がされなかったので、今お伺いしているという関係ですが、よろしいでしょうか。 ○山口委員 倉庫証券については、基本的には日本で発行され、倉庫が日本にあるということが前提になりますので、船荷証券のような国をまたぐ取引に使われることが極めて想定しにくい、外国人の会社、あるいは外国会社が買うことはあるにしても、最終的な決済が日本で行われるということが前提になりますので、電子化すること自体はそれほど難しくないだろうと思っていますし、先ほど後藤幹事がおっしゃったように、ニーズがある以上は、ここでやっておいた方がよろしいかなとは思います。 ○雨宮委員 雨宮です。最後の倉荷証券、倉庫証券の件ですが、本部会で審議するに当たりまして、電子船荷証券においては既に存在するessDOCSやBolero等のシステムについてもある程度考慮しておりますが、倉庫、倉荷証券については既存のシステムで取り扱われているのでしょうか。それを専用に扱っているシステムについて聞いたことはないのですが、もし御存じであれば、教えていただきたいと思います。 ○藤田部会長 どなたか御存じの方がいらっしゃったら、お教えいただけないでしょうか。事務当局、何か情報はありますか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。残念ながら、事務当局において現時点で倉荷証券の電子版みたいなものをやっているという情報には接しておりませんけれども、先ほど後藤幹事からお話を頂きましたとおり、日本証券クリアリング機構様がこれからそういったものを作ろうと考えているという情報には我々も接しているところでございますので、そういったところを、どういうものを考えておられるのかというところも視野に入れながら検討していくということになるのかなと思っているところでございます。 ○雨宮委員 雨宮です。ありがとうございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。 ○池山委員 池山でございます。私の立場からすると本来申し上げるべきことではないかもしれないのですけれども、今話が出た、ニーズがあるかないかという問題は、本当はもう少しきちんと精査されるべきだと思いますし、もしもニーズがあるという前提であれば、実際に倉庫事業を提供する人、倉庫業者ですね、あるいはそれを利用される方の代表されている方の追加的な参加などは是非、言わずもがなですけれども、求められた上で、かつ、内容として、今御指摘があった、船荷証券と倉荷証券との検討事項の違い、船荷証券の場合と違って国際的に流通するものではないと、したがって海外の法制とか、あるいはMLETRとの整合性というのはあまり問題にもならないだろうという話、プラス、先行する実務というのが必ずしもないのだとすると、そことの整合性というのはあまり考えなくてもいいかもしれないと、ある種、スクラッチから作ってもいいかもしれないと、そういうのも十分検討されて、先ほど申し上げたしかるべき方の参加を得た上でやられる方がよろしいのではないかと、僭越ながら思っております。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございました。今御指摘いただいたところは、全て正にそのとおりかと思っておりまして、私どもも倉庫業者の方々とかそういった方々のニーズとかを全く何も把握しないまま、このメンバー構成で倉荷証券について、さあ、議論してくださいということを申し上げるつもりは全くございませんで、現時点でもある程度、その業者の方々の御意向なりは把握するように努めているところでございますが、その結果として、この電子化についての検討をすべしというような形になったときに、この場を使わせてもらって一緒に検討するということについて、皆様に異存がないかどうかというところを確認したかったというところが本音でございまして、私どもにおいて何もしないまま皆さんに丸投げして、御検討くださいということを申し上げたかったわけではなくて、もしそういった一定のニーズなりというところが私どもの方で確認できましたら、ここでまたメンバーの追加なりも考えながら一緒に検討していくということをお許しいただけるのかどうか、というところの御意向の確認をさせていただきたかったという趣旨でございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。   倉庫証券について、どういう形で取り込み、どういう形に議論に参加いただくかはともかく、方向性としては、入れるべきではないという意見はあまりなかったと理解してよろしいですか。そうすると、今後倉庫証券についても検討の範囲に含めて作業をしていくということになりますが、よろしいでしょうか。   どうもありがとうございました。   そのほか、本日の議題全般にわたって、どの点でも、御意見等ございますでしょうか。本日はまだ相当時間に余裕はあるのですけれども、この際、何かもし御意見がございましたら。   よろしいでしょうか。それでは、本日の審議はこの辺りまでにさせていただければと思います。   次回の審議日程等について、事務当局から御説明いただければと思います。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。次回の日程は、来年令和5年1月25日水曜日、午後1時30分から午後5時30分まで、場所は法務省地下1階の大会議室を予定しております。次回取り扱う内容につきましては、本日の議論の状況を踏まえて事務当局において検討させていただきたいと思います。 ○藤田部会長 それでは、法制審議会商法(船荷証券等関係)部会の第6回会合を閉会させていただきます。   本日は熱心な御審議を賜りまして、ありがとうございました。 -了-