法制審議会 家族法制部会 第20回会議 議事録 第1 日 時  令和4年11月15日(火)  自 午後1時30分                        至 午後4時48分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  家族法制の見直しに関する中間試案の取りまとめに向けた議論 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会家族法制部会の第20回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。本日も前回までと同様、ウェブ会議の方法を併用した開催となりますので、よろしくお願いを申し上げます。   前回からの変更といたしまして、最高裁判所の馬渡家庭局長が委員に、法務省の竹林管理官が幹事に任命されております。簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。馬渡委員、竹林幹事という順番でお願いいたします。 ○馬渡委員 最高裁家庭局長の馬渡でございます。手嶋前家庭局長の後任で委員に就任いたしました。よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 よろしくお願いいたします。 ○竹林幹事 座ったままで失礼いたします。法務省民事局民事法制管理官として着任いたしました竹林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。   それでは、本日の会議の配布資料の確認をさせていただきたいと思います。事務当局の方から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 事務当局でございます。お手元の資料について御確認いただきたいと思います。今回、事務当局から部会資料20−1、20−2、参考資料20−1をお配りさせていただきました。   このうちの部会資料20−1は、前回御議論いただいた内容を踏まえまして、部会資料19−1を修正した中間試案の案になります。本日も中間試案の取りまとめに向けて御議論いただきたいと考えておりますが、これまでと同様に、部会資料20−1に示された規律の内容そのものについての賛否のみではなく、国民一般に意見募集することの賛否という観点で御議論いただければと思います。なお、分かりやすさの観点から、部会資料19−1から20−1への修正点を見え消しの方法で記載している資料もお配りしております。この資料自体につき御議論いただきたいという趣旨ではございませんが、適宜御参照いただけたらと思います。   部会資料20−2は、中間試案の位置付けや表現ぶり、第19回会議における議論の概要、部会資料19−1から20−1への修正点、パブリック・コメントの際に中間試案とともに公表する予定の補足説明資料及び概要資料等の位置付けについて、補足的に説明する資料になります。   また、赤石委員から2種類の資料の御提出があり、また、赤石委員、大石委員、戒能委員、柿本委員の4名連名での資料の御提出がありましたので、皆様には事前に配布させていただきました。   資料の説明は以上になります。今回もウェブ会議を併用していることから、御発言に当たっては冒頭でお名のりいただきますようお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございました。事務当局の方から今、御紹介がございましたけれども、赤石委員、大石委員、戒能委員、それから柿本委員の4人の委員の方々の連名で、「法制審議会家族法制部会の審議状況について(意見表明)」という資料が提出され、昨日、皆様の方に配布をされたと了解をしております。中身については拝読しましたので理解しておりますが、資料の性質や意見表明の趣旨について、あらかじめ赤石委員から御説明を頂ければと思いますが、よろしいでしょうか。 ○赤石委員 ありがとうございます。お時間頂き恐縮です。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。この度、4名の、大石委員、戒能委員、柿本委員と連名で意見表明を出させていただきました。なぜこの意見表明を出したのか、その理由を少し説明させていただきます。   この度、離婚後のこどもの養育に関して、親権や監護、それから養育費、面会交流そのほかについて、同居親と別居親の責任に関してかなりの改定がされる案が議論されております。しかし、この取決めに関しては、選択制と書かれておりますが、実際には家庭裁判所での審理が行われて、決定となるということが明記されているわけでございます。となれば、家庭裁判所に至る手前の法律の相談、また、家庭裁判所の調停や裁判を行っているときの法律の援助、また、その後の紛争解決や安全確保の支援、また、そのときの援助の無償支援などの創設と定着というのが必要かと思っております。今までも委員がそれぞれ少しずつこれについて提案をしていたわけなのですけれども、この部会では民事法制について議論することであるということで、そのことに深まった議論が行われてこなかったことに私どもは大変危惧を持ちまして、中間試案の取りまとめも最終局面になるときに、やはり禍根を残さないように、意見表明をしておいた方がいいという決断に至りました。   少し背景を申し上げますと、例えば法律の援助に関しましては、私が相談を受けている中で、共同親権が行われているアメリカで結婚生活をしていて、DVの被害者となり、アメリカの裁判所で何とか単独親権となり、日本に帰ってきた方のお話を数か月前にお聞きしました。彼女はアメリカで生活していて、DV被害として別居をしたわけですけれども、多額の弁護士に裁判費用を掛けて、やっと単独親権を勝ち取り、そして帰国することができたということでございました。それほどの裁判費用を捻出できず、日本人妻としてずっと不本意ながら、居所指定がございますので、帰国できない方たちがたくさんいると彼女から伺いました。経済力の差がそのこどもの養育の決定の差とならないような、こういった総合法律援助といったものが必要でございますし、ソーシャルワークも含めた援助というものが必要となります。そのためには、法務省の民事局、今、御担当いただいているわけですけれども、だけでない、大臣も含めた体制の中で、積極的な連携が必要だと思っております。   また、家庭裁判所における調停や調査官の調査についてでございます。私どもはこういった調停や調査官調査を経験した1,147人の声をこの度、法制審議会に提出させていただきました。2,524人の第1次取りまとめの7月に提出したものの残りのところでございます。第2次取りまとめでございます。私の提出資料を御覧ください。家裁を利用したひとり親の声がこれほど集まったのは初めてであるかと思います。もちろん非監護親のお声も是非聞きたいと思いますが、私どもではそれはできないので、是非そういった調査もあってよいかと思います。先日、第13回のときに東京家裁の細矢委員からは、DVのアセスメントを行う方針についてのお話がありました。精神的なDVも含め、御本人が自覚していなくても、DVのアセスメントをきちんと行っているというお話だったのです。しかし、私どもがこの声から頂いたものは、家庭裁判所の調停あるいはその調査官調査というものが、やはり中立ではなく、DVや児童虐待が軽視されていたという声が残念ながら多数あったわけでございます。家裁では何しろ早くと言われ、DVや虐待への軽視がある、あるいは、今日決めなかったらもうあなたは離婚できないわよといった調停委員からの言葉があった、こういったことが多数書き込まれている、60ページで大変申し訳ないのですけれども、この調査結果を御覧ください。   これは、やはり家庭裁判所の人員不足やDVや虐待への軽視があると想像できます。調査官調査については、280人の方が経験されているのですけれども、その中の45%の方が、調査官からよく聴いてもらったという声を頂きました。一方、調査官が面会交流ありき、これをプロコンタクトカルチャーといっているわけですけれども、欧米では、面会交流を原則実施ということでございます。そういうことが行われている。あるいは、またこどもの声も選択的に聴き取りになっている、つまり、お子さんがお父さんに会いたいと言ったときにはそのまま受け止められ、会いたくないと言うと、何でと聴かれ、ずっとその理由を聴かれて説得されるという、選択的リスニングというそうなのですけれども、聴き取りが行われているということが本当に自由記述に一杯皆さん、書かれておられました。   こうした家庭裁判所の対応というのは、無理もないのかなと思います。やはり人員不足、早く案件を処理しなければいけないというプレッシャーというのは大変多いものだと実際、聞くことがございます。ですので、すばらしい調停委員、調査官、判事の方もいらっしゃるとは思いますが、体制については非常に、このようなことが実際に起こっております。   もしも共同で双方の親権ということがこの家族法制部会で議論され、そして法改正を行われた後に、家庭裁判所ではどのようなことが起こるのでしょうか。多分、中立的な対応というよりは、今まで面会交流を実施しなさいと言われていたのが、共同親権になれば離婚が早く成立するよねと成立を急がされ、中立的でなく非対称的な決定がなされる危惧を感じております。   やはり家庭裁判所の人員不足や、それから、中立といいつつ、やはり研修体制の不足、こういうものがあるのではないか、あるいは調停委員さんの家族観、だんなさんは一生懸命働いてお給料を運んできたのだから、あなたが我慢しなさい、みたいなことを、そういった古い家族観をそのまま言ってしまうような調停委員さん、もちろん民間から選んでいるのですから、そういう方もいらっしゃるかもしれないのですが、そういったことを許されるわけではございません。人の人生がかかっております。   ですので、こういったことの不足があったという反省に立って、その体制強化が今回、非常に望まれるわけでございます。こうしたことが今までの議論で不足しているということを鑑みれば、中間試案の取りまとめに際しては、例えば(前注)に法律援助について書き込むですとか、あるいは家庭裁判所の体制や相談体制について書き込むということが必要ではないかと私は思います。   お時間もう少し掛かりますが、よろしくお願いします。 ○大村部会長 すみません、赤石委員、手短にお願いいたします。 ○赤石委員 はい、頑張ります。オーストラリアでは法改正をした2005年以降、弁護士やこどもソーシャルワーカーなどが相談を受けて、主要都市にファミリーリレーションセンターなどを作り、また、コンタクトセンターで相談も受けたということでございます。こういったことが何も提案されずに、こうした法改正、民事法制だけが改正されるということが、非常に危惧を抱いておりますし、明確な回答もないということがとても心配です。   また、第2の点なのですけれども、子育てに関する税や社会保障との関係が不明確であるということが、再三御質問させていただいているのですけれども、こちらもやはり民事法制を扱うこの法制審議会では全くその回答がないままでございました。離婚後のこどもの養育は、児童手当、児童扶養手当のみならず、文部科学省の領域の就学援助、高校奨学給付金制度、あるいは高等教育無償化、就学支援新制度といいます、それから税制、どちらにこの扶養控除が付くのか、こういったもの全てに密接に絡みます。また、抜けてしまったのですが、国土交通省の公営住宅の家賃算定の基準もこの税制と絡んできます。こうしたものを何度も発言したのですが、これについても明確な回答を得られず、このままになっております。   しかし、想像してみていただきたいのです。税の扶養控除、今でも実は養育費を払っている非監護親が扶養控除を自分の方に付けることができます。母親と扶養控除を両方が付けた場合、バッティングした場合どうなるか御存じでしょうか。収入が高い方に扶養控除が付きます。ということは、同居親は幾らお子さんの面倒をたくさん見ていても、扶養控除がなくなり、その分、所得が高くなり、そして、いろいろな受けられるはずであった児童扶養手当、就学支援新制度、そのほかが適用外となります。こういったことは大変大きな影響があるのです。私どもは寡婦控除制度をひとり親控除に変えるときに、未婚のひとり親のみなし寡婦控除を厚労省が作ってくれたときに、ものすごくリスト、たくさんの手当に影響しました。このときに文部科学省は何の手立てもしなかったために、大変後で責められたり、後からやったわけでございます。少しそこは割愛します。   ですので、この制度が作られたときに税制や社会保障制度がどうなるのか、バグができないようにシステムを運営するにはどうしたらいいのか、こういったことはどこで議論されるのでしょうか。私たちは最初から申し上げたけれども、最後までこの回答は得られませんでした。こどもの福祉は民事法改正だけでは成り立ちません。また、人選からいって、この法制審議会家族法制部会で税制や社会保障を議論するのは不適当なのだろうと私も理解しております。そうであれば、意見書に書いたように、省庁横断的な構えというものを作っていただき、安心して離婚後のこどもの養育に関する体制が整った後に、安心したパブリック・コメントを行われる条件が整うと思っております。   では、どこにそれを書き込むべきなのか、もちろん部会資料20−1に盛り込むべきだと思っております。しかし、それが間に合わないというようなことがおありであるのなら、補足資料にきちんと章立てをして書き込むこともあり得るかと思いますし、別の提案書を出していただき、これを家族法制部会できちんと議論するべきではないかと思います。私は税や社会保障の専門家ではなく、ひとり親の福祉、それから相談を長年やっていたので、本当に多くの相談を受けてきました。その中で、これだけの制度が関連があることが経験的に分かっておるわけでございます、社会福祉士でもありますので。ただ、税や社会保障の在り方に詳しい先生にも、ここは是非御発言をお願いしたいと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございました。赤石委員が今おっしゃったことをまとめさせていただくと、御趣旨は、様々な支援体制についての御意見ないし御要望であると承りました。赤石委員もおっしゃっていたように、この中間試案の中身は民事の実体法と手続法に関わる事柄でございますけれども、これそのものについて反対するという御趣旨ではなくて、様々な支援体制の整備ということについて、例えば補足説明の中に十分に書き込んでほしいという御要望をお持ちだと理解を致しました。後で改めて中間試案の原案及び補足説明についての御意見を頂きたいと思っておりますけれども、この意見表明が、本日取りまとめを行うこと自体に対して反対するという御趣旨ではないという前提で、進めさせていただいてよろしいでしょうか。 ○赤石委員 大村部会長がお答えになるというのは、少し難しいことなのだろうと理解しております。それから、部会資料20−1に関しての意見については、また別途お伝えしますので、ここで反対ではないとか、賛成であるとか、そのようなことを申し上げることではございません。ですので、法務省全体としてどうなさるのかということを、やはりお答えいただきたいと思います。 ○大村部会長 本日は中間試案の取りまとめができればと考えているわけですけれども、審議に入るに先立って、そのこと自体、今日取りまとめるということ自体にあらかじめ反対されるという御趣旨ではないということを確認したかったのですけれども、この後、議論して、取りまとめができるのであれば、それはそれで結構だとお考えだと受け止めさせていただければと思います。 ○赤石委員 申し上げましたように、部会資料20−1に盛り込むのがベストですよねということを申し上げているということでございます。 ○大村部会長 分かりました。では、そのような御意見をお持ちであるという了解の下に、先に進ませていただきたいと思います。   それでは、本日の審議に入りたいと思いますが、まず、事務当局の方から部会資料20−1などにつきまして、前回資料からの変更点を中心として御説明を頂きたいと思います。 ○北村幹事 事務当局でございます。部会資料20−1の内容について御説明させていただきます。お手元にございます部会資料20−1と、御参考用の部会資料19−1から20−1への変更点を見え消しにしたものを見ていただければと思います。   前回会議では多くの委員から、部会資料19−1で示された中間試案の案を支持する御意見を頂いたものと認識しております。そのため、今回お示しさせていただいた部会資料20−1は、部会資料19−1を実質的に修正するものではありません。その上で、前回会議では分かりやすさの観点からの修正意見を頂きましたので、それを反映させる形での修正をさせていただきました。   具体的な修正内容は、御参考用の資料としてお配りさせていただいた見え消し版の3ページを御覧いただければと思いますが、条文番号の後に、その条文の見出しを付記することや、権利義務という用語が頻出する部分の表現の工夫をさせていただきました。このほかのページでも同様の方針での修正をしております。また、3ページの(注)の部分について、その第1文で示されている考え方に、甲B案と付記させていただきました。繰り返しになりますけれども、これらの修正はいずれも中間試案の内容の実質的な変更を含むものではなく、分かりやすさの観点からの表現の修正であるというものでございます。   なお、このほか、部会資料19−1では文章の末尾に参照条文を付けておりましたが、今回は別文書にさせていただいております。 ○大村部会長 ありがとうございました。   本日の会議の進行についてですけれども、先ほども申し上げましたけれども、本日はできれば中間試案の取りまとめをしたいと思っております。そこで、まず会議の前半部分では、今御説明がありました部会資料20−1に沿って、中間試案の内容について御議論を頂きたいと思っております。補足説明レベルの事柄につきましては、中間試案の取りまとめをした後、本日の会議の後半部分を使って御議論を頂きたいと考えております。その上で、もし中間試案の取りまとめができるという場合には、会議の最後に、この後の進行などにつきまして事務当局の方から御説明を頂くということを予定しております。   それでは、意見交換に入りたいと思います。中間試案の取りまとめに向けまして、部会資料20−1について御意見を頂戴したいと思います。どなたからでも結構でございますので、挙手をお願いいたします。 ○戒能委員 ありがとうございます。戒能です。先ほどの赤石委員の御説明なのですけれども、それを蒸し返すとか、そういうことでは全然ありませんで、部会資料20−1として、私も法律家の端くれでございますから、この家族法部会で審議できる事項という限界というのは承知しているつもりではございますが、ただ前回、8月末の会議だったと思いますが、この意見表明にお名前を連ねてくださっている大石委員から同様の御意見が出ておりました。そして、その中でも印象深かったのは、こどもや、これは同居親、非同居親を含みますけれども、親など、それからその関係の方々の、特にこどもの生活に大きな影響を与えていくということです。   それは言うまでもなく、私たちがこの社会の中で生きていくときに、家族法制というのが基軸になるとしても、やはり税制の問題とか、社会保障の問題とか、様々なそういう関わりのある問題について、これは是非、この部会資料20−1の(前注3)として入れていただきたい。それが無理だというのであれば、せめて補足説明にきちんと、赤石委員は章立てをしてと言ってくださいましたけれども、それだけ大きな問題だという認識を持っていただきたい。これは法制審の家族法制部会にとどまらない、収まり切らない総合的な問題ですので、こども家庭庁も発足するわけですから国としてきちんとこれは取り組むべきだと、そういう意思表明を是非法制審としても出していただきたいというのが私の考えです。政府でそういう関係省庁の連絡会議を作る、そしてそこで基本的な政策方針を検討するということは、もうほかの分野でもやられていることです。ですから、難しいことではありません。そういう投げ掛けは、でも、残念ながら現状では、法制審議会のこのちょうど中間試案をまとめるというベストタイミングというのでしょうか、実はこういう問題で、国としてももう少し正面から取り組んでほしいのだということを、是非文章として明記をしていただきたいと考えております。以上でございます。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員も御趣旨としては、民事のルールの部分ということではなくて、先ほど赤石委員が御指摘になった様々な支援体制の点について、(前注)あるいは補足説明で触れていただきたいということだと理解を致しました。ありがとうございます。 ○石綿幹事 幹事の石綿です。中間試案につきましては、8月末の段階で取りまとめができるように、本部会において十分に調査審議をしてきたと理解をしております。もっとも、今回の検討課題が広く国民の関心が高いこと、また、今後パブリック・コメントに付すことを考えると、分かりやすさを考えるなどの対応は必要に応じて考えられるかと理解しておりました。今回の修正案というのは表記上の修正にとどまっており、実質的な内容の変更、修正はないことから、この修正の範囲で中間試案を取りまとめることができればと考えております。   赤石委員、戒能委員の御指摘の点につきましては、非常に重要な問題かと思いますが、委員がおっしゃったように、非常に大きな問題であり、我々の調査審議の対象を越えていることであると思います。したがいまして、意見表明を書き込むかということについては、書き込まない、つまり、我々に与えられたものについてのみ中間試案を取りまとめ、補足説明を書くという考え方もあり得るのではないかと思いながら拝聴しておりました。重要な問題であることは理解をしておりますが、我々がパブリック・コメントに出していくものは何なのかということも踏まえた対応というのもあり得るかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事からは、前回まで議論していた中間試案の内容部分については、基本的にこれでよいのではないかという方向をお示しいただいたと理解を致しました。また、先ほどからの赤石委員や戒能委員の御提案については、内容については重要な御指摘がされていると理解をするけれども、この部会の任務との関係で、中間試案や補足説明について書き込むということについては慎重な対応を要するという御意見だったかと思います。 ○沖野委員 ありがとうございます。私は時間がなく、途中退室をしなければいけないものですから、早めに発言をさせていただきたいと思って、この時点で手を挙げさせていただきました。委員の沖野でございます。   それで、意見といたしましては、今、石綿幹事がおっしゃった点と変わりはございませんが、繰り返しを恐れず申し上げたいと思います。中間試案として取りまとめるということにつきましては、この部会における審議経過からしましても、8月の段階でゴシックで書かれたものについてはおおむねこれでよいと、ただ、中間試案として分かりやすさ等の観点から更に検討する必要があるか、ということを事務局において更に御検討いただいたということであったと思います。   今回お示しいただいた案というのは形式的な修正で、しかも中間試案として広く周知をし、意見照会を行うために、より望ましい形に形式面でしているということですので、また、この8月から今までの間に大きく内容を見直すべきような状況の変化ということもないと思われます。また、今回掛けているのは要綱案ではなくて、飽くまで中間試案といたしまして広く公に様々な意見を問うと、そういう形で問うて、そのインプットを頂いて、次の手続に進めていく、次の審議に進めていくという段階のものですので、これをいたずらに遅らせるというのは、むしろ適切ではないと考えております。そのような審議状況からしまして、かつ、個人的にその内容としましても、今回お示しいただきました部会資料20−1というのは、中間試案として取りまとめるにふさわしい内容を備えているのではないかと思っております。   それから、赤石委員や戒能委員、また意見書の形でお示しくださった意見につきましては、ありがとうございます、非常に重要な指摘だと受け止めております。家族法制、今回の諮問の内容からしましても、審議会の権能からしましても、民事の法制がどう在るべきかということを扱う、その限りで諮問も与えられているということですけれども、民事法制というものが取り組むべき課題において、どのような位置付けであるのかということについては十分注意する必要がありますし、それだけで全てが完結するものではない、では具体的にはどういうことが必要なのかということについては、常に念頭に置くべき事項だと考えております。   そういう観点から今回、支援、援助の体制、あるいは制度化、あるいは税や社会保障についての制度整備ということが非常に重要であって、それなくして民事法制だけでは十分に課題に取り組むことはできないのだという御指摘は、これは恐らくどなたも共有して持っておられることだろうと思います。ですから、その点を指摘することは重要だと考えますけれども、それを審議するために中間試案を遅らせるというのは、かえってよくないというか、望ましくないと思っておりますし、また、御趣旨もそういうことではないだろうと理解を致しました。   では、どういう形でその点を示すかということですけれども、まず、部会資料20−1に書くということは適切ではないと考えております。部会資料20−1は、飽くまで家族法制の見直しということについて、このような見直しをするという中間試案です。現在、(前注)に書かれておりますのも、親権という用語をどうするかとか、具体的な規律の立案、民事法制の立案においてどういうことが考えられるかと、そういう点でございますので、ある意味、民事法制の改正の内的な事項が(前注1)、(前注2)に書かれておりますので、ここで外在的な話、ほかの改正が必要だというのは、少し性格が違ってくるのではないかと思っているところでございます。   そうしますと、補足説明ということになりますけれども、私は補足説明に書いていただくということは、家族法制というものが今回の改正によってどういうことに取り組もうとしているか、どういうことが必要であるかという限りでは、よろしいと思いますけれども、例えば章立てを分けて、かなりそれに細かい、詳しい内容を付していくというのは、ここの審議では、これは赤石委員の御指摘のとおりですけれども、非常に詳細な記述を章を分けて、いろいろな細かい章立てをしてということだとすると、それはかなうことでもないですし、また、していいのかというのも非常に疑問に思うことです。ですから、問題意識として簡単に触れるという程度がよろしいのではないかと思っております。ただ、そのことはその問題を軽視するということではなく、飽くまで民事法制でやろうとしていることがどういう位置付けを持ち、それで全てができるわけではないということは重々強調しなければいけないという、その基本姿勢を示すにとどまるのがよろしいのではないかと思っております。   長くなって恐縮です。以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。沖野委員からは、基本的にはその前の石綿幹事と同方向の御意見を頂いたと思っておりますけれども、2点少し異なる点があったかと思って伺いました。一つは、部会資料20−1に赤石委員、戒能委員御指摘の点を書き込むというのには反対であるけれども、補足説明について一定程度書くということについては必ずしも反対しないということだったかと思います。それからもう1点は、審議の経緯についての御指摘があったと理解を致しました。前回の会合において出された案について、表現の手直しをするということで今日に至ったということからすると、表現の見直しが適切にできているということであればそれで取りまとめるというのが、従来の経緯からいって望ましいのではないかという御指摘だったかと思います。 ○落合委員 京都大学の落合でございます。私もこの部会資料20−1の全体像につきましては、もうほぼ合意のできていたものなので、これで進めるのがよいであろうと考えております。分かりやすくするための加筆の部分も非常に適切で、これでお願いできたらと思います。   ただ、それに加えまして、先ほどの赤石委員ほかの皆様から出された御意見というのは、非常に重要だと思っております。私は、それは部会資料20−1に書き込みたいと思うのです。ですから、その意見を申したいと思いました。   法学の方から見ると、諮問された内容をはみ出ているとか、少し非常識な提案だと思われるのかもしれないですけれども、法学者だけで法制をどう変えるかということを今まで議論してきた、この体制がやはり不思議ではないかと思うのです。私は今回、法学者ではないのにここに入れていただいて、大変有り難く、うれしく思っております。しかし、それが何かすごく例外的な扱いで、感謝しなければいけないことなのかというと、率直に申しまして、どうしてこんな大事な法改正というようなことを法学、内在的な視点だけで今まで決めてきたのかということに、むしろ疑問を持ちます。   法と社会ということがありますよね。法は社会の中にあり、社会を作る一部なわけです。ですから、今までもいろいろ、よいと思う法律を作ったけれども、それがうまく機能しなかった、それを作ったときにどういう効果があるかということの配慮が不十分だったのでしょうね。それを防ぐというような手立てがないまま、皆さんの善意を信じて、これはよいように使われると思って作った法律があったと思います。労働法などで少し例があると思いますけれども、特に申しませんけれども。私は、ここで考えていることが、理想的なことを打ち出そうとして、それが本当に皆さんの善意で、十分な配慮をもって実施されれば、よいことなのだけれども、それがうまくいかないためにとんでもない結果をもたらしてしまうということが起こりそうだと思って、危惧を持っております。   ですから、法律を変えるということだけについても、それ以外の様々な配慮が必要だということを書き込むことが必要なのではないでしょうか。外側のことではなくて、この法律を作ることが影響していくことなのですよね。それがなければ、きちんとこの法改正の実というものは実現できないということだと思うのです。ですから、むしろこの中に書いてしまう、(前注3)というのを付けるというのが私もいいのではないかと思うのです、目立つところに、そういうふうな形ではっきり示したいと思います。   今までの会議の中で、私も何度も社会保障制度との関係のことなどを申しましたけれども、重要ですよねということで大体収められてきたのです。それを誰が本当に配慮してくれるのでしょうか。やはりここに書いていなければ、どこでも扱われないのではないでしょうか。ですから、私はやはりここの中にしっかり書くべきだと思います。それは外在的なことを入れるというようなことではないと思います。   もう一つあるのですけれども、この中間試案を出しまして、パブリック・コメントを頂きますよね。その後の進め方について伺っていないように思うのです。省庁横断的な協力体制が必要だということでしたら、例えばその辺りで何かそういう検討の機会ができるように段取りを考えていらっしゃいますでしょうか。例えば、こども家庭庁というようなものもできましたよね。あちらは横につなぐということがどうもお仕事のようですけれども、その辺りとこの法改正についてはどのような相談をされているのでしょうか。ほかの省庁とどのようなすり合わせをされているのか、それから、パブリック・コメントの後、ほかの省庁とどのように共同で検討を進めるような機会を作るのかというような辺りの計画を、法務省の方から伺いたいと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。2点あったかと思いますが、後の方の今後の審議のスケジュール等につきましては、また後で改めて事務当局の方から御説明を頂きたいと思っております。その中で可能な範囲で、今の落合委員の御質問にも応答を頂ければと思っております。それから、1点目については、結論としては赤石委員、戒能委員と同様に、(前注)を加えるべきだという御意見として承ることにさせていただきたいと思います。   それから、法律家以外が法制審の部会に入っていなかったというのは、これは事実として少し正確ではありませんので、大変失礼ですけれども、この場で補足の説明をさせていただきたいと思います。これまでの法制審の部会にも法律家以外の委員、幹事が参加しているという例はございます。ただ、今回たくさんの方が参加しているというところが多少違うところであると申し上げておきたいと思います。 ○落合委員 失礼しました。ありがとうございます。 ○窪田委員 神戸大学の窪田でございます。(前注3)に入れることについて、一つ、私自身の理解は、先ほど沖野委員から御発言があったのと全く同様のものということになります。法律家的なということになるのかもしれませんが、法律家というよりは制度の仕組みとして、諮問されたことに対して答えるということで考えました。   その上で、(前注3)ということの議論が私自身にはよく分からないところがあります。一般論として、こうした家族法制の見直しについては様々な他の制度からの支援を必要とするものだし、そうしたものの連携が求められるという一般論は、よく分かります。また、非常に大事なことだとも思います。ただ、(前注3)で他の制度と関わりがあるというようなことを書くのだったら、これはもう補足説明のレベルにしかならないのかなと思います。   一方で、以下の中間試案を実現するためにはこれこれのこういう仕組みが必要だというところまで書き込んだ場合には、この場で権限がないことについて、こういうふうな仕組みが必要だということを書き込むことになりますし、それを前提としてパブリック・コメントをするということ自体が、むしろ余り適当ではないのではないかという気がしています。   ですから、先ほどから(前注3)に入れるという御発言がありましたが、(前注3)として具体的にどういうものをイメージされているのかというのを、少しお聞きできれば有り難いと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。窪田委員からは、現在の中間試案の案にあります(前注)の性質をどう考えるのかということについての御指摘があったと理解しました。試案の(前注)ということで現在のものが付いておりまして、(前注1)については、この後の審議の中で用語を見直すということがこの部会の中であり得るだろうということ、あるいは(前注2)では、配偶者間の暴力や虐待等の事案について適切に対応するような配慮をこの部会の中で考えていく必要があるのではないかということで、それぞれ(前注)1、2が付いています。これに対して、一方で希望を述べるだけであるとすると(前注)に書く意味はないし、他方で何を議論するべきかを具体的に書くというのは、この部会のミッションとの関係で適切ではないという御指摘だったのだろうと思いますけれども、もし赤石委員、戒能委員、あるいはほかの方々から、今の点につきまして何か御意見がありましたら、少し伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○赤石委員 少しこなれていないかもしれないのですけれども、私どもの意見というのは二つの部分になっていたかと思います。最初の法律援助部分ですね、こちらにつきましては、いろいろな各場面で必要なところで、援助が必要な場合にはみたいな、ほかでも何かなかったですかね、なので、書き込める余地はないかなと思っております。これは法務省、民事局のところだけは少し難しいのだろうと思いますけれども、私は養育費の検討会、あれは法務大臣の諮問機関でよかったですかね、で話し合ったときには、確か法律援助のところの部門についても審議事項になっており、あそこの結果をもってこの法制審議会に議論が引き継がれたと認識しているのですが、よろしいでしょうか。だとすれば当然、その法律援助の部門については書いてよいのかなとは思っております。   もう一つ、各省庁の横断的な部分について(前注)に書くというのはなかなか、私のような門外漢でも難しいのかもしれないというぐらいの想像力はございます。ですと、それはある程度、法務省の中、あるいは各省、今、厚生労働省と内閣府は御参加いただいているのだと思うのですけれども、そのほかの省庁とも御相談いただきながら、回答を頂けるようにした上で、補足資料に次に書き込むことを御検討いただけるとよいのかなというふうな気持ちがしておりますが、少し意見が違ったら、意見書を出した方、補足でお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。赤石委員の今の御発言の趣旨は、出されている資料のうち1と2という項目があって、1と2では今回のこの部会での中心的な審議事項との距離が少し違っているという御指摘だったのではないかと思います。2の方の取扱いが仮に難しいとしても、1についてはもう少し積極的な態度があり得るのではないかという御指摘として承りました。ありがとうございます。   もしほかの方々も何かありましたら、適宜の機会に御発言を頂ければと思います。今津幹事から手が挙がっていますので、今津幹事にお願いをしたいと思います。 ○今津幹事 幹事の今津でございます。2点ありまして、中間試案の内容に関しましては、私は今回お出しいただいた形で取りまとめることに賛成をしたいと思っております。一見すると甲、乙とかA、Bといろいろな案が出ていて、分かりにくいというような御指摘も従来あったかと思うのですけれども、ただ、いろいろな御意見をお持ちの方がいらっしゃる分野ですので、パブリック・コメントに付すという場面で、このような形で多様な意見をすくい上げることができるような形でお示しするということは、正に適切ではないかと思っております。今回取りまとめるという方向には賛成したいと思っております。   もう1点、直前にお話があった点と関連しますけれども、社会保障等、あるいは税制に関する記述を置くかどうかという点については、私自身は中間試案の、つまり部会資料20−1の中に入れるという形では書くべきではないのかなと思っておりました。直前に窪田委員から御指摘がありましたように、仮に(前注3)というような形で置いてしまうと、その位置付けというか意味合いが曖昧になるのではないかというような感想を私も持っております。(前注)の1、2の場合は、そこで扱われている内容ですね、立案に関しての注意書きという、正にそういう趣旨のものだと思うのですけれども、この段階で、例えば税制について、あるいは社会保障についての変更というのを今後やっていかないといけないというような決意表明のような形で書いてしまうと、その税制なり社会保障体制が変わることが今回提案している内容にどういうふうに影響してくるのかというのがやや見えづらいと。例えば、社会保障を充実させるから養育費の支払確保の手段はもう講じなくていいと、そういうような御趣旨ではなく、恐らく反対の御趣旨だと思いますので、社会保障は社会保障できちんとやると、それとは別に法制の見直しもやるという意味であれば、目立つ位置に置きたいという御趣旨は非常に理解できるのですけれども、(前注)という形で置くのはやや適切ではないのかなという印象を持ちました。   そうであれば、補足説明の一番最後の場所ということで、少しあれなのですけれども、「第8 その他所要の措置」というところに、そういった方向の改正も必要であるというような形で一言書くというような程度が適当かなという印象を持っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。今津幹事から御意見を頂きましたが、基本的な線は先ほどの沖野委員の御指摘と同じ線で、(前注)の扱いについては窪田委員の御意見を踏まえてということだったかと思います。 ○棚村委員 早稲田大学の棚村です。当事者を支援する立場とか、委員の皆さんの中にも法制度が変わることによってどんな影響があるかということを非常に心配されているということについては、よく理解ができます。ただ、私自身は中間試案ということの意義ということを考えますと、一刻も早く取りまとめをすべきではないかと考えております。その理由として、今回の中間試案は、これまで様々な御意見を頂いて、ヒアリングもして、海外法制についても聞かせていただいて、意見交換をした結果を具体的な形にして、広く国民の皆さんの意見もお聞きしたいということで出されるものです。そういう意味で今回の中間試案では、ある一定の方向が示されるというよりは、賛成反対の両論併記という、これが分かりにくいとかいろいろ言われているのですが、例えば離婚後の共同親権ということの可能性を認める考え方と、現状維持というのですかね、そういうような考え方が随所に示されて、ある意味では甲案、乙案とか、それに更に細かくいろいろな選択肢の可能性とか、組合せとか、分かりにくい点はあるとは思うのですけれども、何か一定の方向が示されて、こういうふうな形になるのだというような形で聴いているわけではないのではないということが第1点であります。   それから、第2点は、法制度と支援や税制とか社会保障を含めた支援体制の関係についてです。その両方の関係なのですけれども、前に、4回会議でも出ていたと思いますし、それから12回会議辺りでも出ましたし、随所で出てくるのは、支援は法制度との関係ではとても大事だという点です。幾らいい法制度を作ろうとしても、十分な支援というものが欠落したりすればうまく機能しないことがあるだろうというのは皆さんの御了解だと思うのです。   ただ、残念ながらここは、法務省組織令54条ですか、法制審議会が何をするかというときに、法務大臣の諮問を受けて、民事法とか刑事法とか、そのほか法務の基本的な事項について調査審議するということになっております。つまり、法制審議会家族法制部会の場で、できること、やれること、決められることは限定されているということになります。そういう中で、この場では、法制度ということを中心に議論をある程度せざるを得ないという限界が、みなさまもお認めになっているようにあると思うのです。   その上で、法制度をいいものを作っていくためには支援が必要だから、それについて要望するとか、注文を付けるとか、お願いするとかというのはできると思うのですけれども、ここの場でできるのかという話が窪田委員からも出ていましたけれども、そのことはやはり考えないといけないと思います。ここで決められないのだとすれば、是非そういうものを要望したりお願いするようなことでコンセンサスが得られるようであれば、場合によっては補足説明というような形で、そこに記載をさせていただくということはあり得ます。幾らいい法制度を作ろうとしても、支援制度を充実させないと駄目だということで、それはあり得ることだと思うのです。   法務省は私が見て関わっている限りでも、非常に実態調査とかエビデンスを一生懸命探したり、それから、他の省庁との関係する部分でも、調査研究ということで予算を付けて、自治体の支援モデルみたいなものを現行法の枠の中でも、できる限り身近なサービス、市民サービス、住民サービスみたいなことで、当事者のみなさんを法制度や専門職、関係機関につないでいけるかどうかとか、弁護士会とか司法書士会との連携とか、これまでの法制審議会の取組も、非常にいろいろなところとの関係も配慮していたのですが、特に今回、国民の生活や家族、こどもに非常に直結する問題なので、今までの法務省にないぐらい気を使いながら、やっておられるようなところもあります。   ですから、最終的にこの場で決めること、それから、やらなければいけないようなことというものは、どうしても民事法制とか家事法制とかという議論が中心になってしまいます。ただ、それについて要望という形で何らかの形で、今回意見表明がされたようなことをどういう形で示していくかということについても、多分今後の進め方を含めて、補足説明でどういうふうに書くかというようなことで御意見を頂ければいいと思うのです。   ただ、例えば(前注)に書くとか、要するに、ここで決められるとか責任を負えないことについてまでこちらが、諮問事項との関係もそうですけれども、書いてしまうということは、逆に言うと、それぞれの箇所で責任を持ってやらなければいけないことに対して、要望とかお願いを越えて、できるのかどうかという能力や権限という問題が出てくるのではないかということを危惧いたします。   もし今回、中間試案の取りまとめのこの時期に、また遅れを生じることがないように、できる限り、これまでの議論の積み重ねを生かした取りまとめにつなげるべきと思います。前回までの流れを考えると、分かりにくいとか、表現をどうしようかということで、国民に負託された審議会の部会としての使命は、個人のいろいろな御意見とか、私も理想はあるのですけれども、そういうものを越えて議論をして調査審議が進められた中で、皆さんで合意をしながら、共同作業を進めてきました。その中で、早く国民の皆さんの御意見を聴けるような形で、できる限り分かりやすいものを示して、次のステップにつなげるという重要な時期だと思いますから、そういう意味では今日、取りまとめをしていただいて、これまで議論していただいた中でも、もし足りないところとか、表現が適切でないとか、こういうものを付け加えてほしいという御意見はよろしいかと思います。しかし、それを越えて実質的に大きな変更をするということについては、中間試案の取りまとめの時期がまた延びて、更に時間が掛かるということもなりかねず、やはり審議会としても、全体としては大切な責任を本当に果たすということにつながらないのではないかと心配をしております。   ですから、まとめますと、中間試案というのは飽くまでもこれまでの議論やそういう御意見を頂いたものをまとめて、どういうような形でもって今後進むべきかということを、むしろ幅広く国民の皆さんの御意見を聴くためのもので、ある一定の方向が示されているものでもありません。しかも税制とか社会保障というのは非常にそういう意味では、ここが扱って決める場という形ではないことに関わることですから、むしろ国会だとか関係する省庁にお願いをしていくという事項だと思うのです。それをこの中間試案の中に盛り込んでいくということは、決められること、やらなければいけないことの範囲を越えたことをやるということにもつながりかねないので、非常に心配であると思います。   ですから、支援とか、税制も社会保障も充実することは大切ですから、それを補足説明にどういう形で盛り込んでいくかとか、示していただくような要望を出すかということについては、意見交換ができるのではないかと思うのです。できるだけ早く中間試案というものを、少し前回取りまとめの予定だったものが遅れているわけで、それをできるだけ早い形で出して、御意見を伺って、次のステップ、審議に参考にさせてもらうということをやるべきだろうと考える次第です。 ○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員からは、今までの何人かの委員が示された考え方、中間試案についてはこのままで、御指摘については補足説明の中で対応をし、本日取りまとめをすべきだという御意見を頂戴いたしました。その中で、中間試案というものの性質についての確認もなされていたかと思います。これはパブリック・コメントに付すための案として作られていて、最終的にこれで決めるということではないので、これを取りまとめて、更に議論を次の段階に進むというのがよろしいのではないかということだったかと思います。 ○原田委員 ありがとうございます。弁護士の原田です。私はこの前のときに、部会資料19−1についてはもう意見ありませんと言いましたが、ただ、今御意見が出た点については本当に重要な点で、私は共同親権とか、共同養育とか、面会交流とか、いろいろなものに賛成、反対するについて、それを入れたら制度がどうなるのかということが分からないと答えられないという方もたくさんいらっしゃるのではないかと思うのです。それで、補足説明の中で、賛成意見や反対意見の中に、これを導入した場合の、例えば諸外国ではこういう制度でこうなっているとか、こういうことが起こるおそれがあるとかいうようなことを意見の根拠として入れていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。補足説明についての御要望ということで伺いました。 ○柿本委員 柿本でございます。時間を取っていただきまして、ありがとうございます。私は一市民でございますので、法務省のパブリック・コメントの様式などについて理解できていない部分があるということを申し上げて、発言させていただきます。   パブリック・コメントに付すに当たり、部会としての問題意識として、子の最善の利益の確保のためには様々な配慮が必要であるということを、皆様の合意の上、補足意見として書き込んでいただきたいと思います。原田委員の発言にもありましたけれど、市民には、その法律を変えることによってどのような影響が及ぶのかというようなことは、全く分からないことばかりでございます。ですので、導入した場合の、例えば諸外国ではこういう制度でこうなっているとか、こういうことが起こるおそれがあるとかいうようなことを意見の根拠として入れているという原田委員の提案した方法を採用することに賛成いたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。柿本委員からも、パブリック・コメントに向けて適切な対応を望むという御意見を頂きました。 ○武田委員 親子ネット、武田でございます。まず、赤石委員、大石委員、戒能委員、柿本委員からの意見表明資料、拝見を致しました。ここまでのやり取りも聞いてという上で、意見を述べさせていただければと思います。   赤石委員がおっしゃった、例えば家裁で当事者の話を聴いてくれないとか、研修とか体制が不足している、こういう御指摘の内容に関しては、私も正に同じように感じておりまして、そういう要素はあるだろうと思っています。しかしながら、感じたのは、少し唐突だなということです。ここまでの議論では4月末に中間試案を取りまとめましょう、両論併記で行きましょうということで、議論を重ねてきました。8月はああいった形で流れましたけれども、意見集約が進んできたと理解しております。このタイミングで改めて社会保障や税制などを今後の検討事項にという話かなと思いますが、法学者の先生方がおっしゃったのと同様、部会の中でこれらの要素をまとめていけるのかと懸念します。更に言えば、現在、中間試案が両論併記となり、方向性も定まっていない中で、それに対して個々の税制をどう取り扱うとか、それぞれのパターンを作っていけるのか、これはこの部会でやる議論ではないと思っています。仮にやるとしても非常に膨大なパターンがあり、取りまとめることは極めて困難であると思います。したがいまして、これまでの議論から離れ、唐突であるということを申し上げさせていただければと思います。   この部会資料20−1に関しましては、内容として両論併記ということでそれぞれの案が網羅され、整理されてきたと、そのように感じております。私は別居親当事者団体の立場で参加させていただいておりますが、もっと書きぶりをこう変えられないかなどのそういう意見はございます。しかしながら、ここまで議論を積み上げてきて、私がほかの委員の先生方から賛同をいただけずに記載されなかったこと、これもまた現時点の結論でございますので、私としては可能な範囲で希望する両論が入ったということをもって、取りまとめに入っていただきたいというのが私からの意見でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。個別にはいろいろ御意見がおありだということだろうと思いますけれども、これまでの経緯を踏まえて、中間試案としてはこれで取りまとめるということでよいのではないかという御意見として承りました。 ○大石委員 委員の大石です。私も意見書に名前を連ねております。私自身の趣旨といたしましては、これまでの議論に横やりを入れようとか、そういうものではございませんし、また、何か特定の選択肢を支持するとか支持しないとかいうようなものでもございません。その点をまず、確認させていただきたいと思います。   その上で、今、意見書を出した背景として、これから先のことを見通したいということがございます。パブコメを募集するに当たりましても、どのような社会像がこの後、待っているのかということについて、こちらの方でも、政府として準備していますよというようなことはある程度、国民の皆様に伝わるようなものであるできではないか。この中間試案はやはり法律面のみに関してのものでございますので、他のことにも目配りをしているよというようなメッセージを出すことは必要ではないかと考えています。   私自身の頭にありますのは、例えば、子ども子育て支援新システムを発足させるに当たりましては、内閣府をはじめ文部科学大臣、厚生労働大臣などを含めた省庁横断的な連絡会議が設けられて、その中で進められたというような経緯もあるわけです。ですので、この家族法制の変更に関しましても、社会の根幹に関わるといいますか、大きな問題を取り扱っておりますので、これから先、パブコメの後に向けて省庁横断的な連絡会議なり何なり、検討会といったものを設けて、それぞれのオプションが実現したときにどのような社会像になるのか、どのような運用上の問題が生じるのかといったことについての目配りをする、しているのだよと、あるいは、この部会の中で取り扱えない問題であるからこそ、そういった支援というか目配りを外に求めたいということを出していった方がいいのではないかと思っております。   また、経済学者としての観点から申しますと、例えば、先ほど赤石委員が扶養控除の問題などもおっしゃっていましたけれども、そういったことの関係で、例えば就労抑制というのでしょうか、扶養控除を持てなくなるから、それを避けるために、今までよりも所得を低くして、様々な手当がもらえるようにするような行動を誘発するとか、制度が人々に異なるインセンティブを与えて行動を変えてしまうというところはあります。もしそのようにして、ひとり親、例えば母子世帯の母親の就労抑制というような方向にインセンティブを与えてしまうようなことになるのだとしたら、それは女性版の骨太の方針などに書かれているような方向性と整合性が取れないということにもなるかもしれません。ですので、ここで法改正がいろいろ多岐にわたる問題であるということを意識した上で、部会としては、この部会の中で取り扱えない内容に関しては、別に対応をとってほしいということを書き込んでいただくことが望ましいのではないかと思い、問題提起させていただいた次第です。 ○大村部会長 ありがとうございました。大石委員からは、既に他の委員からも御指摘がありますけれども、制度の影響についての説明が必要ではないか、あるいは民事法制を越えた対応が必要だということについても十分に説明する必要があるのではないかという御指摘を頂きました。ただ、この案そのものについて、この取りまとめで反対という趣旨ではないという御指摘も頂いたところかと思います。 ○杉山幹事 幹事の杉山でございます。私も様々な委員、幹事の意見を聞いた上で、最初の石綿幹事始め沖野委員、その他の先生方と同じような考えで、中間試案の内容それ自体についてはこのままでよいと思っております。8月の段階から若干の修正が施されたとのことですが、形式的なものですし、これまで、法制審議会のこの部会に与えられた任務の範囲の中で実質的に議論を尽くした結果が反映されているものと理解しております。   赤石委員ら4名の先生から頂いた共同意見についてですが、方向性自体については私のみならず、ほかの委員、幹事も共感されているところはあるかと思いますけれども、これまでの議論の経緯などからは、この点について具体的な提案ができる状態になっているわけではございません。また、このような方向性について賛同することを越えて具体的な議論が十分にされてきたわけでもないので、沖野委員が御提案されたように、触れるとしても補足説明の中で、この中間試案の位置付けとの関係を示すのがよろしいのではないかと思っています。   4名の委員による共同意見の二つ目の税と社会保障の問題ですけれども、こちらについても問題意識自体は共有できていると思いますが、この部会から具体的な提案ができる状況にはなっていないと理解しております。また、一つ目の支援の問題につきましても、例えば養育費の問題一つを見ても、養育費不払い解消に向けた検討会議の最終取りまとめの段階から、支援の必要性については触れられているところでございますが、そこで提案された支援の内容は多種多様なものでして、この家族法制部会に諮問された範囲を越えるものであり、具体的にどうすべきかという提案が出せるものではないと思います。   例えば、養育費の問題については、かねてより省庁を越えた検討がされているところで、そこでの調整に期待をする一方で、そこでは十分に取り扱えない個々の法的制度、具体的に裁判法制をどうしたらいいのかといった問題を扱うのがこの部会の役割だと認識しておりますし、その点は中間試案に至るまでの過程で十分議論がされて、中間試案でも議論の結果が反映されていると思います。また、民事法制を整えることによって、それを支えるべく、裁判所の人員も含めた体制もあわせて整えられていくことになっていく、整えないと法制度が回りませんので、そうせざるを得ないと考えております。   逆に、このような波及的な問題、税とか社会保障、あるいは支援の問題について、具体的に検討することによって、この民事法制等を整えるという作業自体が遅れていくのも、よくないと思います。したがいまして、私たちに与えられた権限の範囲で検討した結果を示した現在の中間試案について、なるべく早く国民の皆様の意見を聴いて、その後の最終的な取りまとめに向けた検討をしていくのが望ましいと考えています。 ○大村部会長 ありがとうございます。沖野委員その他の委員のお考えに基本的に賛成だということでしたけれども、更に具体的に、様々な支援の方策について部会で具体的な提案ができるという状況ではないということと、他方で民事法制を整えるということの意義について御指摘があったと理解を致しました。 ○青竹幹事 幹事の青竹です。よろしくお願いします。赤石委員と大石委員、戒能委員、柿本委員からの意見表明を拝読しまして、問題意識を共有いたしました。多くの委員の方、幹事の方は、どちらかというと反対されていたようですけれども、(前注3)に税制、社会保障の整備の必要性を盛り込むことについて、私自身はおかしいという印象は持っておりません。絶対やめた方がいいということでもないように思いました。大石委員のおっしゃったように、注意を喚起するためにこの部会の任務ではないけれども、(前注3)に盛り込むということもあり得るのではないかという印象を持ちました。   ですけれども、今の段階で修正することの混乱というのも理解いたしますし、また、(前注3)で挙げるよりも、多くの先生方がおっしゃっていたように、補足説明の方に書き込む方が効果的に、少し長く書くこともできますし、赤石委員が提出された調査なども盛り込むことも不可能ではなく、そちらの方がふさわしい、より充実した記述ができるというように考えました。できる範囲で補足説明に今指摘されたことを盛り込んでいくようにするのがいいのではないかと思います。   そして、もう一つ、税制と社会保障ということですけれども、やはり赤石委員が調査報告されましたように、家庭裁判所や調停制度の整備が必要であるということも、理解いたしました。このことは正に改正案に非常に影響することですので、その点についても補足資料において説明するとよいのではないかと考えました。 ○大村部会長 ありがとうございます。青竹幹事からは、(前注)に加えることは考えられなくはないけれども、結論としては補足説明に加えるのがよいのではないかという御意見を頂きました。 ○菅原委員 ありがとうございます。まず、部会資料20−1に関してですけれども、前回の会議のときに、もう少し分かりやすくなるとよいのではと意見を出させていただいた者としましては、今回、形式を整えていただきましてありがとうございました。特に、例えば条文の810条など条文名の後に条文のコンテンツが分かるように書き込んでいただいたことは、これからパブコメに付すに当たって、国民にとって親切で分かりやすくなったと思います。また、3ページの親権者の選択の要件のところに甲B案という形で起こしていただいたのも、また分かりやすくなったかなとも思っております。この部会資料20−1に関しましては、パブコメに早く掛けていただけるとよいのではないかと思います。   また、今、議論になっております大石委員、赤石委員、それから戒能委員、柿本委員から御提出いただきました意見表明につきましては、共感するところでございます。しかし、今回パブコメに出す中間まとめにつきましては、(前注3)にしろ、補足説明にしろ、この点について深く議論して適切な文言を作成していくことが時間的に難しいと思います。外へのメッセージを私たち部会として出していくことは非常に重要になると思いますので、もう少し練った上で、最終的な要綱を出していく際に補足の中に入れていくというチョイスもあるのかなと感じた次第です。   以上でございます。よろしくお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。菅原委員からは、部会資料20−1について表現ぶりは分かりやすくなったのではないかという評価をいただいた上で、これに賛成するということ、それから、赤石委員始め4委員の御提案については今後、別の仕方で何か意見を表明した方がいいのではないかという御意見を頂戴いたしました。   ほかに何かありますか。よろしいでしょうか。井上委員、どうぞ。 ○井上委員 連合の井上です。ありがとうございます。4名の委員の皆様から出された意見については、やはり重く受け止めるべきではないかと思っておりますけれども、後ほど補足説明のところで議論するのかと思いますので、そちらの方で発言はさせていただきたいと思います。   中間試案に関しては、8月の第19回会議から変わっていないということなのですけれども、3ページの甲B案が(注)の中に入りました。ほかの(注)のところには全部、考え方があるとか、考え方もあるという記載なのですけれども、ここだけ甲B案になっていて、そうすると、前提がどうなっているのかというのが少し分からなくなってしまったので、事務当局に質問します。甲@、Aがあって、甲Bがあると、このこと自体、個別具体的な事案に即して親権者を父母の双方にするか一方にするかを裁判所等で定めるのであれば、現行の原則単独親権の維持ではなく、そもそも親権者の決定において原則がなくなるということなのか、あるいは、飽くまでも選択の要件や基準に関する規律を設けないだけで、現行の原則単独親権は維持されて、司法の決定によっては共同親権が選択できる想定なのか、今までは2案だったものが1案増えたようにどうしても思えてしまうのですけれども、なぜ甲Bが入ったのか、その説明を頂ければというのが意見です。 ○大村部会長 ありがとうございます。井上委員からは、今まで出ていなかった点として、部会資料20−1の(注)に付された括弧書きの甲B案というところについて、このように書いた趣旨を質問したいということだったかと思います。 ○北村幹事 甲B案、こちらに付記したものについては、3ページの(注)の中に「考え方」が二つあるということもあって、意見をお出しいただく際に符号を付けた方がよいと考えたというのが一つでございます。この考え方については様々、この部会の中で御議論いただいて、原則というものを定めるのかどうかについてもいろいろ御意見があった、その結果として、この(注)に入っているものを従前から記載させていただいています。内容については、こちらに書いてあるように、個別具体的な事案に即してということで、合意ができれば合意なのでしょうけれども、合意ができない場合、協議ができない場合、家庭裁判所に行った場合に、そこの原則、例外というものを特に定めずに、その御夫婦の個別具体的な事情に応じて、お二人を親権者にするのか、それとも一方を親権者にするのかというのを家庭裁判所の判断に委ねるという考え方、この部会の中でもこちらを御支持いただく御意見もそれなりにあったかなとは思ってございます。従前からこちらは挙げていただいていたところでありますが、「考え方」は二つ(注)の中にあるので、意見集約という観点からこちらに符号を付けたというものになります。 ○大村部会長 井上委員、よろしいですか。 ○井上委員 というと、原則がなくなって、ケース・バイ・ケースで決める、という内容ですね。分かりました。 ○落合委員 ごく短くなのですけれども、(前注3)に入れるかどうかの問題なのですけれども、ごく一般的なことをそこに入れて、もう少し詳しいことは補足説明のところに書くというようなことが妥当なのではないかと今、皆さんのお話を伺っていて、思いました。そこに何にもないのも、大石委員がおっしゃったように、法律の改正の提案をしているのだけれども、それの波及効果とかについて私たちは全く分かっていないわけではないよと、それも大事だと思っているよということを示しておくと、そういう意味では、文言としては、少し御提案もありましたような、こどもの最善の利益のためには様々な何とかの協力が必要でとか、法律を越えた制度的な枠組みを検討する必要があるというようなことを書き込むということは、国民が安心するのではないかと思うのです。もちろんそれ以上詳しいことはほかの場所の方が適当だという、それは皆さんおっしゃっているとおりだと思います。全く踏み出してしまうのは何なのですけれども、つま先を少し出すぐらいのことをしてみたいなと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○窪田委員 すみません、(前注3)の問題、もう少しだけ発言させていただければと思います。先ほど青竹幹事からもありましたし、落合委員からも今お話がありましたけれども、私は(前注3)に加えることに関しては、やはりやめた方がいいだろうと思っています。   2点ございまして、1点は先ほどからもう繰り返し出ていることですが、この法制審議会で決められないことについて希望を書くというのは、(前注1)、(前注2)とは全く性質の違うものになり、単なる希望だということになります。これだけであれば、意味はないかもしれませんけれども、無益だというだけで終わるかもしれません。ただ、私自身は将来、障害となる可能性もあるのではないかと思っています。   例えば、具体的にこういった制度をやるためにはこういう整備が必要だというようなことを書き込むのは結構ですけれども、それを書き込んだ場合には、こちらの方ではどうしようもない、法務省の方でも管轄していない、その制度が実現しなかったらここで示した案というのが法改正に至らないのではないか、法改正をするとき、君たちはこういう前提条件でやっていたでしょうというふうな形でマイナスに働きかねないということがあります。一般的に支援といった仕組みがこうした制度設計と十分に関わりがあるということは分かりますけれども、それを明確に書き込むことによって、予定している法改正ができなくなる可能性があるというようなマイナスもあるという部分を十分に認識した上で議論していく必要があるのではないかと思っています。 ○大村部会長 ありがとうございます。窪田委員からは、(前注)に書き込むことの問題点というのがほかにもあるのではないかという御指摘を頂いたということかと思います。 ○池田委員 池田でございます。今の(前注)の問題について一言、アイデア的なものを申し上げたいと思います。確かに(前注1)、(前注2)というのは具体的な民法の改正に関わることですので、これと並べて制度的なものについて(前注3)として書き込むというのは、やや据わりが悪いというのは感じるところです。他方で、全体的な制度の枠組みですとか、あるいは支援といったものについての重要性というのは皆さん共有しているところでして、そういう意味では何らかの形で言及ができればいいのかなという思いもございます。そこで、一つのアイデアですけれども、前文というのを設けて、今回の審議の対象というのは全体の中の民事法制の部分だと、他の制度的な大きな枠組みとか、あるいは支援といったものについては別途検討されるべきものであると、全体を示してこの本文に移るというふうな形は、ひょっとしてあり得るのかなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。(前注)でない形で対応できないかという御指摘を頂きましたが、(注)が付いたことはあるのですけれども、それ以外はどうでしょうね。 ○窪田委員 せっかくいろいろなアイデアが出てきているところに水を差すような発言で申し訳ないのですけれども、先ほどの(前注3)も、今の前文も、具体例は出ていないですよね。もしそういうアイデアもあるということだったら、では次回ということになると思うのですが、私はもうここまで引きずった状況で、中間試案は既に一旦、恐らくかなり意見が違う考え方の対立もある中でここまでまとまった段階で、前回の議論でも基本的にはもうこれで行きましょうということがあった以上、更に延びるような形での議論の仕方はすべきではないのではないかというのが正直な思いです。 ○大村部会長 ありがとうございます。議論の仕方についての御指摘を頂きました。最初の方で沖野委員が御指摘になった点と共通の点かと思って伺っておりました。 ○棚村委員 一言、意見を述べさせていただきます。(前注)の位置付けなのですけれども、最初の1のところでも、親権という用語、これは明治民法のときからあるわけで、これが本当に用語としてふさわしいかどうかというのは大きな問題としてあるわけです。これも民事法制、家事法制に非常に直結する問題です。それから、2のところで具体的な制度を設計して規律を考えていくときに、DVとか暴力という安全・安心は非常に重要だという議論もし、これも委員・幹事の皆さんの間でほぼ合意できているのですが、(前注3)で今、提案されている税制とか支援とかというのは、本当に多種多様なものが含まれ、いろいろなアイデアが可能性としてあるわけです。総論とか基本的な方向性では皆さん、賛成ですけれども、具体的にどういう場面で、どの段階で、どの当事者にどういう具体的な制度や仕組みを提供するかということについての調査審議がこれまで本当にここでできていたかというと、私は十分にはできていないと思うのです。   つまり、支援・税制・社会保障制度は法制度に関連するし重要だけれども、そういうことの重要性についての議論は皆さんがおおむね理解はしたのだけれども、ここで具体的にこういう制度がこの場面でこういう形で必要だとか、税の控除もそうですし社会保障についても、それから具体的な支援制度、相談支援体制もいろいろなレベルがあるわけで、それについてはっきりと議論し、こういうような形で書き込めるような調査審議をしてこなかったというのが一番大きい理由だと思います。つまり、十分な調査審議していないことについてここで決するということができるのかどうかということで、特に前文や(前注)という形でパブリック・コメントに掛けていくということについては、やはり消極的にならざるを得ないと考えます。   皆さんの御意見に反対だとかいうことよりも、技術的にもこれまでの経過から見ても、前文や前注に書き込んで、中間試案の取りまとめに入れることは無理ではないかということを考えているわけです。要するに、一般論だから希望なのだからいいというのは少し無責任であって、ここで具体的な意見表明が出されたとしても、こういうところに具体的にこういうような形でこういう制度を作るべきだ、あるいは具体的な支援を強化してほしいということを皆さんできちんと調査審議ないし議論したかというと、議事録を読み返した限りでも、きちんとそういう形でできていなかったのではないか。確かに、こういう場面でこういうことが必要だと御意見はあったし、それについて異論があったということではないのですけれども、逆に言うと、そこを詰めた形で意見交換をして議論をしてきたかというとそう言えないのではないかと思います。十分な調査審議やコンセンサスが具体的にできていないことを(前注)の中に書いて、広く国民の意見を問うという対象にはならないのではないかという意味では、窪田委員のおっしゃっていることに賛成です。 ○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員からは、今ここで意見を取りまとめるということはできないのではないか、難しいのではないかという御指摘を頂いたかと思います。 ○赤石委員 皆さんが本当に真摯に御議論を頂いて、大変有り難いと思います。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。意見についての趣旨について大変共感を頂いているというのは、大変心強く思います。一方でどうやってどこに落ち着かせるのかということについては、いろいろな御議論があるのだということを分かりました。   ただ、今やるべきことは、やはり民事法制が変わります、変わらないかもしれないのですけれども、変わる提案もしているところは多いわけですけれども、変わったときに、それだけでは済まない影響がある部分をどう埋めるかの課題はどうもありそうかというところで共感がされているわけですね。そうしたら、それについてどこで議論すべきかということを一回やはりきちんと、ここである程度もむ時間が必要だということになります。それは、やはり事務当局から何らかの御提案を頂かなければいけないし、補足資料という議論もあるのですけれども、そこに書いたとしても、更に少し議論すべき時間というのは必要なのではないかと思うのですけれども、今、事務当局から全然御発言がないので、今までも法制審議会で省庁横断的な検討がされてきたことはあったのではないかと思うのですが、そのときにはどういう可能性として処理してきたのかということで、全くアイデアがないのでしょうか、それともお困りなのでしょうか。少し御発言いただければ大変有り難いのですけれども。 ○大村部会長 今の赤石委員の御発言は御質問ということですか。 ○赤石委員 はい。 ○大村部会長 この中間試案の取りまとめというよりも、法務省が今御指摘になっている問題についてどのように考えているのかということをお尋ねしたいという御趣旨だと理解してよろしいですか。 ○赤石委員 はい。 ○大村部会長 今の時点で北村幹事の方から何かお答えできることがあれば、お答えを頂いて、まとめに入りたいと思いますが。 ○北村幹事 従来から繰り返し言っていますけれども、法制審議会は法務大臣から諮問を受けた民事基本法制の改正について御議論いただく場であると認識しております。その中で様々な課題がある場合には別途、ここではないところでということになるのかもしれませんけれども、まず法制審としては民事基本法制の議論をしていただくというのがこの場であると認識しております。それは繰り返しここで述べさせていただいておりまして、民事基本法制が変わることによって影響が出るところは、それぞれの所管の役所において御検討がされるものと考えております。 ○大村部会長 差し当たりよろしいでしょうか。 ○赤石委員 赤石でございます。私が気になっているのは、やはり罠というか、穴というか、バグというか、そういったものが出てきたときに、そこにはまってしまう当事者が出てきてしまうことを恐れております。それについて一体どこが責任を持つのだろうかということが非常に怖く思っておりますので、意見を出させていただきました。   とても残念ながら、無責任な体制にならざるを得ないということを聞いたような気がするのです。それを聞いた上で、私どもはどうしたらいいのかというのは非常に残念至極ということでございます。私はひとり親とこどもたちの必死の声を聞きながら、ここに座らせていただいております。物価高で本当に大変な状況の方たちのアンケート調査もさせていただきました。その中でこれが更に襲い掛かったときにどうなるのだろうかと思っているわけですので、枠組みがそうだからとおっしゃるのは分かりますけれども、しかし、そのところでどう手を伸ばせるのかということをやはり検討いただければと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございました。   金子委員から、赤石委員の発言を踏まえて御発言があるということなので、この点は取りまとめと切り離させていただいて、後で金子委員の御意見を伺いたいと思います。   取りまとめについては、大石委員から手が挙がっていますので、大石委員の御意見を聞いた上で、私の方からお諮りをさせていただきたいと思います。 ○大石委員 委員の大石です。ありがとうございます。私も、先ほど棚村委員が、この部会の中では税制ですとか社会保障について議論してこなかったとおっしゃいまして、正にそうだったと思います。そのとおりだと思います。また、今、北村幹事の方から、この部会がそういう場ではないとおっしゃいましたが、多分それもそうなのだろうとも思っています。ただ、それで法律を決めたから、あとは他省庁で対応してねというふうに投げてしまっていいのかというか、それをするにしては余りに大きい問題に我々は関わっているのであろうと思いますので、やはり中間試案を取りまとめてパブコメに付したら、付した後のことを見据えて、連絡会議を法務省の方で設置していただくとか、例えば税制ですとか、あるいは教育支援とかに関する専門家なども踏まえて、連絡会議なり検討会なりを設置するようなリーダーシップをとっていただくのが望ましいのではないかと考えている次第です。失礼しました。 ○大村部会長 戒能委員、ごく短くお願いします。 ○戒能委員 ありがとうございます。正に棚村委員がおっしゃって、大石委員もそれを引用していらっしゃいますけれども、この審議会、部会で議論をしてこなかったということ自体が問題なのだという、そういうスタンスを少し変えていきましょうということなのです。大変大きな問題ですし、影響力を持つ問題です、ですから、そういう視点も持って法律の改正の議論を、せめて今後はきちんとしていくと。   それから、やはり(前注3)が難しければ、補足説明には書いてほしい、今後の課題として書いてほしい。こういう視点を、一部だと言われてしまうかもしれませんけれども、きちんと配慮しているのだと、考えていくのだということを、課題としてあるのだということを補足説明には必ず書いていただきたいというのが私の強い要望です。 ○大村部会長 戒能委員から、補足説明に是非という御要望を頂きました。   ここで先ほど申し上げたように、金子委員から御発言を頂こうと思いますけれども、その前に一言だけ整理をさせていただきます。この場は、民事法制という言葉が使われておりますけれども、それについて議論をする場であることをまず確認させていただきたいと思います。戒能委員からは、ほかの問題についてもというお話がありましたけれども、この後も民事法制について議論をし、それに必要な限りで他の問題について話題になるということはあろうかと思いますが、他の問題について積極的に何かを提言していくことはこの部会の任務ではないと承知をしております。民事法制を整えるということに関しては、それしかできない、限界があるといった御発言がありましたけれども、それ自体が非常に重要なことですので、きちんとした民事法制を整えるということに、皆さん、御議論を集約していただけると大変有り難いと思います。   以上は皆さんの御議論を伺った上での感想ですけれども、まとめる前に、金子委員の御発言を伺いたいと思います。 ○金子委員 熱心な意見交換ありがとうございます。お話をお伺いしていまして、幾つかポイントがあるとは思うのですけれども、まず法制審議会の位置付け、役割は今日、部会長からも最後に整理していただいたとおりです。そのことは、例えば今回の問題であっても、法テラスによる支援とか、あるいは税とか社会保障の問題について何もしないでもいいという趣旨を全く含んでいませんので、ではそのことが先に決まらないと民事法制の議論ができないかというと、そういうものでもないと思います。法制審議会が取り扱っている事案は、民事基本法制だけでは完結しないがゆえに、同じように他省庁においても審議会が同時並行で開かれて、双方の役人が他方の審議会に参加して意見を言って、調整しながら進めるなどということもやってきました。棚村委員も御存知ですが、法務省と外務省が関係する法律を作った際には、私と棚村委員が双方の会議体に出席したことがありますし、金融庁や国交省と共管になる法律については、相互にお互いに出席者を派遣し合っているということはよくあります。   今日の御議論も関係省庁には聞いていただいておりまして、このような御議論があることを聞いていただいています。今後、民事法制の面を法制化していく中で、併せて検討しなければいけないことというのは出てくるとしても、そこも含めて全部が整わないと民事法制の議論ができないというものではないので、政府として検討していくということになるはずです。   それから、今日お伺いしていた問題提起の中には、今、既にある問題も含まれていると思います。今回の民事法制で何か見直しをしようとしているから、伴って出てくるというよりは、既に今ある問題で、現状でも対応しなければいけない問題というのを含んでいるのだと思うのです。その部分の解決というのは、この法制審で議論するのにふさわしいかというと、それはそうでもないような気がします。ですから、いずれにしてもこの法制審は法制審で民事法制の議論は進めていただきつつ、こどもの問題についていろいろな方面から検討しなければいけない部分というのは、別途しなければいけない話ということで御整理いただければいいのではないかと思っています。 ○大村部会長 ありがとうございます。   落合委員から手が挙がっているのでしょうか。落合委員、ごく簡潔にお願いします。それから、赤石委員もごく短く、お願いいたします。 ○落合委員 本当に一言なのですけれども、今までこの法制以外のことは議論してこなかったというような話が先ほどから出ていましたけれども、議論しなかったわけではないと思うのです。話は出ていたのですけれども、やはりそれ以上発展させることが、この目的、制約の中で、そこで議論を切られたということだと思うのです。ですから、議論してこなかったというふうに記録に残るのは困るなと思いまして、十分議論はできなかったということだと思います。それだけです。 ○大村部会長 ありがとうございます。これまでの議論状況についての御認識を示していただいたと思います。 ○赤石委員 ありがとうございます。金子委員の御発言もありがとうございます。私が気になっておりますのは、関係省庁、今、内閣府と厚生労働省の所管の方が参加されていると認識しております。ただ、先ほど私が意見書で言わせていただきましたのは、やはりこどもの支援、教育の支援ということでは文部科学省、それから税のことでは財務省、それから住宅支援では国土交通省、こういったところも大きく関わると思っております。ですので、全ての省庁がいらっしゃるとは思っていないということは一つ、指摘させていただきます。厚労省からの御発言、あるいは内閣府からの御発言、大変消極的なのが残念に思っております。もう少し現状についても御発言いただくと、そこが分かりやすかったというのがこの2年間の議論ではないかと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。金子委員の発言に関連して御所感を述べていただいたと理解を致しました。   それでは、皆様からひととおり御意見をいただいたと思いますので、まとめをさせていただきます。二つに分かれるかと思います。まず、部会資料20−1自体については御異論がなかったと受け止めております。そこで、部会資料20−1については、これで取りまとめをさせていただきたいと思います。   様々な御意見が出たのは、赤石委員始め4人の方々の御意見、ここに書かれていることについても皆さん、共感を示された方がほとんどだったのだろうと思いますけれども、この御意見を今回の取りまとめとの関係でどう扱うかということだったかと思います。この点について、平均的な御意見は、補足説明の中で一定の仕方で取り上げるということだったのではないかと思います。皆様の中には、是非(前注)で取り上げてほしい、補足説明だけでは不十分であるという御意見の方もいらっしゃいましたし、他方で補足説明にも書くべきではないという御意見の方もいらっしゃったかと思います。しかし、多くの方々は立場の違いを超えて、補足説明に書くということについては、それはあり得るのではないかという御意見だったかと思いますので、両極の御意見の方には大変恐縮なのですけれども、この議論の状況を踏まえて、それらの方々にも多分御賛同いただけるのではないかと思って御提案を致しますけれども、4人の方々の御要望については補足説明で対応をするという形にさせていただき、中間試案そのものについては現在の形にするということを取りまとめの案とさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○赤石委員 ありがとうございます。1点少し質問があるのですが、8月30日に分かりやすい提案というところで、何か図を作ったりして分かりやすくした方がいいのではないかという意見があったのですが、それについては何か進展というのはあるのでしょうか。あと、いろいろ飛び交っているお話をあれすると、どこかにポンチ絵があるらしいという話もあって、それとの関連も少し気になっているので、少し教えていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。今の御質問は、中間試案そのものではなくて、それに関わる補足説明、あるいはその他の資料についてということですので、まず中間試案の方について私の先ほどの取りまとめ案についてお決めを頂いて、その上で次の段階に入る際に事務当局の方からお答えを頂きたいと思いますけれども、赤石委員、そうさせていただいてよろしいでしょうか。 ○原田委員 原田です。補足説明について入れていただくということですが、一応法務省の責任で作るということでもありますし、補足説明に入れることについて、各項目について皆さんが御賛同されるのか、余り賛成されないのかということもあるので、補足説明の補充についての話をしてから、では、こういうことで取りまとめをしましょうという結論に至るというのを希望します。 ○大村部会長 補足説明について様々な御意見があろうと思いますし、それから補足説明の内容は最終的には事務当局の責任において作成していただくということになろうかと思います。今ここでの取りまとめとしては、補足説明に入れていただきたいという御要望があるということは留保した上で、この案で取りまとめることをお諮りしたいと思います。原田委員には、補足説明への御要望として、休憩後にまた御発言いただきたいと思いますけれども、そうさせていただいていいですか。 ○原田委員 私がここでうんと言わないと進まないのでしょう。 ○大村部会長 そうですね ○原田委員 では、是非入れていただきたいと思うところを一生懸命言いますので、よろしくお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。   それでは、先ほどのようなことで取りまとめをさせていただいてよろしいでしょうか。 ○赤石委員 すみません、3ページの甲Bなのですけれども、甲@と甲Aは、父母間の協議又は家庭裁判所の裁判によりということが明記されているのですけれども、甲Bのところは(注)であるし、全面的に説明をするようなスタンスでなく加えられていたものなので、そのようなことが書かれていないことに不安を感じるのでございます。つまり、選択すればいいのだと思ってしまう方がいらっしゃる可能性があって、個々の事案に関してですね、みんなで当事者が考えればいいという方が出てきてしまうのではないかということが不安なので、同じ書きぶりにしていただけたらいいなというのは私の意見です。 ○大村部会長 先ほど部会資料20−1について合意を頂いたと了解をしていたのですけれども、それについて反対するという御趣旨でしょうか。 ○赤石委員 井上委員も甲Bのところの御意見があって、そこが展開がなかったので。 ○大村部会長 御質問についてはお答えを頂いたということだったと思いますが。 ○赤石委員 私はそこは少し気掛かり事項でございます。 ○北村幹事 そこは補足説明の中で説明させていただきたいと思います。 ○大村部会長 甲Bは、括弧書きでこのように書かれておりますけれども、本文自体を何か修正がされたわけではなく、前回の議論で皆さんがこれでよいのではないかとお考えになったものと変わるところはないのだろうと思います。括弧書きでの甲B案という注記がされているということで、実質的な修正がされたわけではないと理解をしております。ただ、ここで書かれている案自体について分かりにくいとか、いろいろな考え方があり得るという点については、赤石委員の御懸念はあり得るのかもしれませんけれども、そこは今、御希望を伺って、北村幹事から補足説明の中でというお答えもありましたので、そのように引き取らせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。 ○赤石委員 赤石でございます。100ページのものを読む人はいないので、私は大変残念な修正だと思うのです。 ○窪田委員 修正だということなのですが、基本的には甲B案の括弧の部分を取ったら元のままで、合意が得られていたものということになります。甲Bというのを加えるだけではなくて本文まで変えましょうというのは、既に以前の段階で、基本的にはもうここでまとまったものを維持しましょうというものを変える趣旨になるのかなと思います。基本的にはパブリック・コメントで意見を出しやすいように一定の目印を付けたという程度のもので、本文の方をいじっていないという部分の方を私自身は重視すべきではないかと思いますし、これまでの議論も基本的にはそういうものだったのではないかと認識しています。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○原田委員 私も、補足説明には書いてあったのですけれども、そこまで読まない人も本当に多いと思うので、この(注)のところですね、父母の双方を親権者とするか、一方のみを親権者とするかどうかを協議又は裁判所が定めるというふうな入れ方では、いかがなのでしょうか。 ○大村部会長 修正案が出ておりますけれども、皆さんの基本的な御意見は、前回合意に至った案を動かさないということだろうと理解をしております。その上で、前回から今回に掛けて、分かりやすさを追求するということで修正が加えられたわけですけれども、行われた修正というのは、本文を実質的には修正することはしない、形式的に括弧書きで説明を加えるといったものにとどまっているかと思います。原田委員が今おっしゃったような提案を皆様から頂くとすると、いろいろな点について御注文、御希望が出てくるだろうと思います。 ○棚村委員 正に窪田委員のおっしゃったように、括弧で甲B案としたのは、これまでの(注)で記載があったものを更に分かりやすくする趣旨で、こういう組合せやこういう考え方もありますということで、ある意味では、ある方向を示すのではなくて、こういう考え方や、こういう選択肢や、こんなものも考えられるということを分かりやすく示すための括弧だと思うのです。ですから、これまで議論してきたりいろいろ整理してきたことについて、何か新たなものを加えたとか大きな修正をしたというよりは、分かりやすくする範囲で、甲B案というのも考え方としてありますよということで、本文の中に書いてある甲@案とかA案とか、こういうものを動かすとか変えるということではないということだと思うのです。新たにここでまたその審議をして、表現ぶりを見直すとか変えるということになると、また次回にずれ込むということになる可能性があるので、私は先ほどから言うように、中間試案というのは取りあえずこれまでの審議をきちんと国民に分かりやすい形で示すことが大切であり、その上で意見を聴いた上で次の審議に入るための重要なステップと考えますので、是非このままで、合意した皆さんの内容で、取りまとめをお願いしたいと思います。 ○窪田委員 少し補足だけしておきますと、分かりやすいに越したことはないと思うのですけれども、甲@案と甲A案と、甲B案という書かれているところを見ると、先ほど北村幹事から御説明があったところですが、一方を原則とするというのが甲@案と甲A案で、それに対して、個別的な事案に即してという形で書いてありますので、性格の違いというのはかなり明確に、この書きぶりだけでわかるのではないかという気がいたします。その意味でも修正する必要がないというのが私の理解です。 ○大村部会長 個別の文言を磨き上げて、よりよくするという可能性は残されているとは思います。しかし、先ほど棚村委員から御指摘があったように、これは最後の案ではございません。パブリック・コメントに付すための中間試案ですので、この程度で許容できるのではないかというところで、取りまとめをさせていただきたいと思っております。   最初に戻りますけれども、(前注)の問題も含めまして、部会資料20−1についてはこの内容のままで取りまとめるということでよろしゅうございますでしょうか。   ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。   それで、誤記とか字句がおかしいといった点につき、実質にわたらない修正がもしかすると必要になるかもしれません。そこについては事務当局と私とに御一任をいただきたいと思っておりますけれども、それもよろしいでしょうか。   ありがとうございます。それでは、そのようなことで取りまとめをさせていただいたということにいたします。   この後、休憩を挟んで、補足説明について御議論を頂きたいと思っております。10分休憩して、15時45分から再開したいと思います。休憩いたします。           (休     憩) ○大村部会長 それでは、再開させていただきたいと思います。   この後、時間が許す範囲で皆様から補足説明についての御意見、御要望等を頂きたいと思いますが、それに先立ちまして事務当局の方から、補足説明の位置付けですとか、あるいはパブリック・コメント等、今後のスケジュールなどについて御説明を頂きたいと思います。 ○北村幹事 事務当局でございます。本日は先ほど中間試案を取りまとめいただきまして、誠にありがとうございました。補足説明レベルの御意見を頂くのに先立って、今後の予定等について御説明させていただきます。   中間試案についてのパブリック・コメントの手続を実施するに当たっては、本日取りまとめいただきました中間試案を公表するとともに、試案の趣旨等を補足的に説明する目的で中間試案の補足説明を公表したいと考えております。部会資料19−2で、どういったものかという概要についてはお示しはしてございますけれども、このような形で作成したいと考えております。この補足説明は、繰り返し御説明しておりますように、飽くまで事務当局の責任で作成させていただくものですし、補足説明の文書にもその旨を明示的に記載させていただくことになりますけれども、この補足説明を作成するに当たりましては、この部会での御意見を参考にさせていただき作成するものでございます。   また、詳細な補足説明とは別に、中間試案の概要を説明するための簡易な資料につきましても、これから事務当局の責任で作成したいと考えております。これまでの会議でも、ポンチ絵などを活用することも含めて検討すべきだとの御意見を頂きました。そういったものもパブリック・コメントに合わせて準備をしたいと考えております。その上で、資料の準備が完了いたしましたら、速やかにパブリック・コメントの手続を進めたいと思ってございますが、全体的なボリュームもかなりありますので、その開始時期は、皆様の御意見の内容、今日前半で頂いた御意見も含めてですけれども、その分量次第と考えておりますが、できるだけ速やかに手続を進めたいと思っております。   また、パブリック・コメントの手続の期間ですけれども、この部会でも御意見がございました。国民の皆様から十分な御意見を頂く期間を確保すべきだと、取りまとめが後ろ倒しになったからパブリック・コメントの期間を短くすることがないようにという御意見も従前、頂いていたところでございます。ですので、少なくとも2か月程度以上とはしたいと考えております。その後、パブリック・コメントで示された御意見については、事務当局においてその内容を取りまとめた資料を作成した上で、しかるべき時期に部会の委員、幹事にお示ししたいと考えてございます。  ○大村部会長 ありがとうございます。次回以降の具体的な審議については、また最後に御説明を頂くということにいたしまして、今の一般的な説明について、もし何か御質問があれば、簡単にしていただいて、簡単にお答えいただき、補足説明の方に入りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、補足説明についての御意見を頂戴したいと思います。どなたからでも結構ですので、御意見を頂きたいと思います。先ほど事務当局から御説明がありましたけれども、最終的には事務当局の責任において作成していただくものですけれども、その際に参考となるような御意見を頂きたいということで、この後の時間を使いたいと考えております。どなたからでも結構ですので、挙手をお願いいたします。 ○戒能委員 ありがとうございます。戒能でございます。最初の方から始めさせていただきたいと思いますが、(前注2)のところです。非常に重要なところだと思っておりまして、DVの認識についてなるべく正確を期していきたいということであります。   部会資料19−2の4ページになります。3点申し上げますけれども、上から3行目なのですけれども、配偶者からの暴力や虐待が離婚後も継続するようなことがないような仕組みを検討すべきであるという表現なのですけれども、ないような仕組みというのはかなり無理なことであると、むしろ継続することがないような仕組みではなくて、継続することが多いという認識が必要で、継続することが多いことを前提とした仕組みという方がふさわしいというのが、正確であろうと思っております。それが1点目。   それから、2点目が、同じくその1段落目の、これは前からいろいろな方がおっしゃっていることなのですが、その段落の下から2行目なのですが、検討するに当たっても、子及び同居親の安全、の次に安心というのを入れていただきたいと、安全・安心と入れていただきたいというのが2点目です。   それから、3点目、これはどういう文章にするかというのは、例えばということで御提案は申し上げますので、それを参考に御検討いただきたいのですけれども、2段落目の上から4行目、いわゆる精神的な暴力、虐待をも含むものであるとの意見も示されたという、この段階では多分こういう書き方だったと思うのですが、DV法の改正については当然御存じだと思います。まだ国会の上程とか、法律案ができるとか、そういうところまでは行っておりませんが、しかし国の審議会で正に諮問を受けて答申を出したということで、大きな方向転換が行われようとしております。いわゆる精神的な暴力を保護命令申立ての対象範囲として拡大する、あるいは、精神的暴力を含む方向でのDV法改正が検討されつつある、これは国の政策としての事実でございますので、そういうことは書いていただきたいと思っております。   それから、これは今、どこというふうなことを申し上げませんけれども、書きぶりの問題で非常に気になっていることが前からあります。何とかという意見があったという、あるいは議論があったという書き方ではなくて、あり得るとか、考えられるとか、そういう推測のような書き方をしているところが随所に実はあります。しかし、あり得るというレベルなのか、それとも、この審議の中で意見が出たという場合とは違うと思いますので、そこはそういう意見が出たということをはっきりと書いていただきたいということです。   取りあえず、以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。事務当局の方でノートしていただいておりますので、続けて皆様に御発言を頂きたいと思います。次の方、どなたか御発言があれば伺います。 ○佐野幹事 幹事の佐野です。私の方から6点ぐらいあるのですが、続けて申し上げさせていただきます。先ほど発言しませんでしたので、ここの場で少し、先ほど赤石委員らから出された意見表明について述べさせていただきますと、これは是非補足説明の方に書き込んでいただきたいと私も希望しておりますので、よろしくお願いいたします。ただ、補足説明自体がかなり長いものになっておりますので、そこは読んでいただけるように留意する必要があるかと思っております。   それでは、述べさせていただきます。まず、9ページのところですけれども、一番下の段落の(3)の上、3行目ぐらいのところに、(成年に達した)未成熟子に対する、というところがあるのですが、乙案が採用された場合に、もちろん金額が減額されるということになることも懸念なのですが、むしろ成人年齢引下げのときに終期の年齢が下がるということが懸念されて議論されていたはずなので、養育費の終期が短縮されるという辺りも書き込んでいただければと思います。どういう効果が生じるかということを明確にした上で意見を募っていただく必要があるのではないかと思います。   それから、35ページの真ん中辺りの(2)の上なのですが、これは居所指定について監護者が定めるというX案を採用した場合であっても、例外的に禁止される場合があるというところなのですが、この一例として、今まで意見として出ていたかというところはあるのですが、海外転居については別段として考えるという考え方があるのではないか、採否はお任せいたしますけれども、監護者が国内での居所指定はするにしても、海外移転は別段という考え方もあり得るのではないかという辺りを御検討いただければと思います。   それから、43ページの3の上の辺りですが、ここに関しては裁判離婚の場合についてとあるのですが、この裁判離婚というのが調停まで含むものなのか、そうではないのか、ここの3の上の段落のところはそれがかなり入り交じっている気がしておりまして、裁判離婚だけについてのみ指摘しているのであれば、裁判離婚に限る表記をしていただいた方が、意見を言う方には、何について問われているのかが明確となりやすいのかと思います。   それから、74ページの一番下の部分なのですが、これも書きぶりとしてどう在るべきなのかというところはあるのですが、部会の議論では、家庭裁判所調査官が履行確保を行うものではないことを明確にする必要があるとの意見や、その後の調査への影響に関する懸念を指摘する意見とあるのですが、具体的にその後のどういう影響があるという懸念なのかということが、この議論を全て見ている人でなければ分かりにくいという部分があると思います。その後の調査の影響というのはどういったような影響を懸念するのかという辺りの説明を少し付け加えていただいてもよいのではないかと思いました。   また、88ページの、これはエの上の辺りなのですけれども、括弧の中、例えば、実父母の婚姻中に15歳以上の子が第三者を養親とする養子縁組をした場合には、実父母は当該縁組に関与することなく親権を行うことができなくなるとあるのですけれども、未成年者の養子縁組ですので原則的には家裁の関与があるはずで、その中で実父母に全く関与させないというのは少し考えにくいのではないか、もっとも、ここが、例えば祖父母との養子縁組ということであれば、当然そういうことは生じるので、この括弧の中を訂正する必要はあるのではないかと思います。   あと、92ページの小さい字での(注1)の上、下から3行目ぐらいの辺りの(注2〜6)というところなのですが、ここは扶養的要素とか補償的要素の話をしているのですが、(注3)から(注5)がそれに対応した(注)ではないというところがありまして、例えば(注3)の学資保険の取扱い、これは財産分与の対象とするかどうかなので、清算の話になりますし、(注4)も、過去の婚費の清算の話の文脈で扱うべきだと思います。また、(注5)の稼働能力については、前半では扶養的、補償的要素の考慮要素と書いてあるのですが、「もっとも」以下は清算のことを説明しているので、少し対応関係にそごがあるのではないかという辺り、修正が必要なのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   ほかに御発言はありますでしょうか。 ○井上委員 ありがとうございます。先ほどの中間試案のところで、4名の委員の皆さんから出された意見表明を重く受け止めるべきだという発言をしましたので、その件に関して述べさせていただきます。   先ほど来から、例えばこの意見表明の中で出ている税や社会保障の課題について、議論していないということに関しては、落合委員から、議論していたけれども結論がなかったというお話もありました。私も議事録を読み返してみたのですけれども、第17回会議で戒能委員が、養育費に関する履行確保制度について、この部会で検討するということではないとしても、注でいいので、検討する必要があることを書いてもらいたいという意見があったということもとどめていただきたいと発言をされています。それに関して事務当局からは、今日の説明とも重なるのですけれども、基本法制は関係省庁を含め検討すべき課題であり、補足説明に書けるのかどうかも含めて事務局で引き取り、検討させてもらいたいと発言されているのですが、引き取ってその後どうなったかということが、この部会で説明もありませんでした。今日の冒頭の議論の中でも強くそのことが主張されていますので、そのことは補足説明のところの、例えば注で書けないかと思っています。   というのが、私は民法(親子法制)部会にも出ていましたけれども、その部会で議論できなかった積み残しについては、課題として残っていることを記載していただいたという経過もあります。ですので、やはり課題が残っていることに関しては、しっかりと補足説明のところに記載を頂いて、特に税や社会保障の課題については、仮に民法が改正されたときに、そのことで結果として困難を抱える生活をされている方たちの所得や生活に影響があってはいけないと思うのです。ですので、法改正があったときに一連の制度改正がきちんと行われるように、そのことはどこかに記載をしておかなければ、せっかくこれだけ議論したのに、結果として困る人が出てしまうということになってしまいますので、是非そこは重く受け止めて、御検討いただきたいと思います。   それから、分かりやすいポンチ絵などを作るというお話がありましたけれども、くれぐれも、事務当局の責任において作成して公表ということですので、委員に公表されるのかどうか分からないのですが、この間もこの審議会の内容であったり、いろいろなことがマスコミで書かれていたりしますので、事前に何かそれが漏れたりということがないような形でしっかりと作成を頂き、可能であれば、やはり公表する前に、こういう内容で完成しましたという報告を頂ければ有り難いと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかにはいかがでしょうか。 ○戒能委員 戒能です。井上委員の御発言の点は、とても重要だと思います。それで、先ほどの御説明で、補足説明のことは度々、これは事務局の責任においてという御説明があったのですが、その分かりやすい、ポンチ絵かどうか分かりませんけれども、そういうものをこれからお作りになって、それも事務局で全部やって、この場では、別に会議を開かなくてもいいのですが、お示しいただくということはあるのでしょうか。少しそれをお伺いしたい。なぜならば、部会資料20−1というのが先ほど試案として合意が得られました。それに少しでも違うものがポンチ絵に描かれていては、本当に何のために審議したかというのが分からなくなるわけです。それは大変失礼な言い方かもしれません、しかし、そのところはもう非常に慎重に考えないと、漏れないということも大事かもしれませんが、そごがあっては決してならないということなのです。ですから、今日の合意がいかされるためには、ポンチ絵というのは結局、皆さん見てしまうわけで、それで判断してしまうことも多いかもしれません。そのときに正確に部会資料20−1というものが示されなければならないということを強調しておきたいと思っております。どういう扱いをされるかということだけ御説明いただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。御意見は伺いましたが、御質問がありましたので、手短に北村幹事の方からお願いいたします。 ○北村幹事 この部会におきましては従前から、ポンチ絵というものは示してございません。それは、やはり皆様に議論していただきたいのは、その絵ではないからです。今御指摘いただきましたように、ポンチ絵というのは飽くまでも説明資料で、どのポンチ絵を見てもそのままが完全に描いてあるわけではないですが、我々としては責任を持ってしっかりしたものを作りたいと考えています。ですので、ポンチ絵につきましては事務当局の方にお任せいただきたい。補足説明もそうですけれども、最終的に出来上がって公表するという際、井上委員から御提案いただきましたように、完成しました、こういう形でパブコメを始めますということの御連絡というのは、重要なことかなとは思っております。そういう形で引き取らせていただければと思います。 ○大村部会長 お答えを頂きましたが、よろしいですか。 ○戒能委員 そこは重々、記憶にとどめていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。そういうことが絶対ないようにということで。 ○原田委員 ありがとうございます。原田です。まず、8ページの2項と3項のところで、佐野幹事も言われましたが、仮に1が採用されて2が採用されないと、現在の未成年の定義からは養育費の支払い義務は18歳までということになると、あるいは、2の提案理由として、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことにより、養育費の支払い義務の終期が現在の実務よりも短くなると、ここは明確に書いておいてほしいと思います。これは、検討の背景としてということでもいいと思いますけれども、現在の実務は基本的に20歳を迎えた誕生月まで、あるいは多くは22歳の3月までというのも最近増えていると思いますが、それが、この2を採用しないと18歳ということが原則になってしまうということが明確になるようにしていただきたいと思います。 ○北村幹事 事務当局です。その点は、この論点を扱うときに御議論いただいたと思いますけれども、決して従前の実務を変えるというものではなくて、重い扶養義務をどこまで課すかという形であって、未成熟子の扱いとかを特段変えるわけではないという御議論をこの場でされて、御理解いただいているという認識で記載をしているものですが、頂いた御意見をもう一回、その点は精査はさせていただきたいと思います。 ○原田委員 実務を変えないというのは、まずその中に、実務がどうなっていて、それを変えないということで合意しているときちんと仮に明記されていたとしても、条文上こうなって、未成年となっているわけですから、それをどう解釈されるかという問題があるという懸念を表明しております。 ○北村幹事 そこはもう一度確認させていただきたいと思いますけれども、その終期は変えない、従前合意したものが変わるとかそういったことはないということは、これが導入されたから、従前令和2年とか令和元年とかに合意したものが変わってしまう、そういう話ではなかったと。 ○原田委員 これから決めることですよ。 ○北村幹事 これから決めることなので、それは当然、合意が優先する話であるということも一つ、前提にはなっていると思うので。 ○原田委員 ただ、今、20歳で皆さんが合意しているのは、それが当たり前というか、成年年齢が20歳だから20歳で合意しているのだと思うのです。 ○北村幹事 そこは議事録等を精査させていただいて、今頂いた御意見も踏まえて、補足説明の書き方はもう一度検討したいと思います。 ○大村部会長 ここで解釈等を確定するということではないかと思いますが、御指摘もあったので、大きな紛れが生じないように議事録等を確認していただいくということでお願いをしたいと思います。   原田委員、続けてお願いします。 ○原田委員 11ページの4行目で児童の権利委員会の総括所見が引用されていますが、ここでは共同養育と書いてあって、共同親権とは書いていないのですけれども、ここで共同養育をするためにということで共同親権を認めるように勧告されているというように紹介されていると思うのですが、これが適切なのかどうかというのは疑問があります。今の条文で共同養育ができるのか、できないのかということについて、共同養育の内容にもよると思うのですけれども、議論があって、それで、国連でこういうふうに勧告されていることを共同親権を認めるように勧告されているように書いてあるのは、若干ミスリーディングではないのかと思っております。だから、ここは入れるべきではないと私は思います。   それから、13ページの乙案の理由についてのところなのですけれども、乙案の理由としては、単に決まらなくて子の監護に支障が出るというような理由だけが書いてありますけれども、単に決まらないというだけではなくて、父母の紛争や支配、被支配の関係が継続して、子がその紛争にさらされ続けるということの懸念がここの中でも出されたと思います。ヒアリングでも、とにかく親の争いに終止符を打ってほしいという、経験した当時未成年者の方からの強い意見がありましたし、支援団体からも、とにかく両親の葛藤を下げることがまず重要だという指摘がありました。共同親権になればそれが続くのではないかという指摘は、消極論の中ではいつもあったと思います。   14ページですが、第2段落で、養育に関与することで養育費の支払いに動機付けがなされるのではないかという指摘もあり得ると。あり得るというのは、指摘があったというのと違う書き方なのか、先ほど戒能委員も言われましたけれども、あり得るだけであればここまで書く必要があるのかなと思います。実質的な理由としては、大石委員からも、関連性はあるかもしれないけれども因果関係は明白ではないという御意見も出されましたし、棚村委員が関与された加除出版の未成年期に父母の離婚を経験した子の養育に関する実態調査とその分析の中では、確かに親子交流がある方が養育費の支払いの割合は高いけれども、それは親子交流があるからというよりも、離婚前の葛藤が少ないということが要因かもしれないという分析がなされています。   さらに、オーストラリアやフランスでも、共同養育をしているところでは、その割合によって養育費が振り分けられるとされていて、ここでは学費とかが無料だとかいう前提も日本とは違うのですけれども、そういうふうに減額されたり、ゼロになったりしているという実態もあるようです。ここでは離婚後の親権との関係で書かれているのですから、ただ、より支払われる可能性があると書くだけでは偏頗ではないかと思います。赤石委員ほかの委員からも、社会保障制度や司法制度の拡充等について議論なくして、議論を進めるのはいかがかという御意見がありましたけれども、ここでもやはり、これを進めれば養育費の支払いに動機付けがされるというだけではなく、逆に養育費が減る可能性もあるということも指摘すべきではないかと思います。   第3段落ですけれども、親子交流の取決めについて、これを親権の有無と関連付けて議論する考え方があり得ると、ここでもあり得るなのですけれども、実際の実務では、婚姻中でも離婚後でも面会交流の考慮要素に取扱いは変わらないと私は思っています。婚姻中に面会交流の調停が成立した場合、離婚後もそのままそれでやっていくということが多いように思いますので、ここでは、あり得るとしても実務ではそうではないということが何となく誤解を招きそうな表現の仕方なので、誤解のないようにしていただきたいと思います。   それから、23ページですけれども、監護者を定める必要性のところについては、主体を明確にすべきではないかという議論がなされたということですけれども、同じような趣旨かもしれませんけれども、私は、同居して誰が子の養育、お世話をするのかということの責任の所在を明らかにするという、もう少し強く書いていただきたいと思います。   それから、飛びまして66ページですけれども、子の監護に関する処分の土地管轄については、審判の場合は子の住所地にする、調停の場合は相手方の住所地だけれども、連れ去りと書いてあったかな、こどもを連れて出ていった場合は元の住所地にすべきという意見もあったということが書いてありますが、土地管轄について子の所在地とすることの合理性というのか、調査するときには必ず子に面接したり、こどもを裁判所に出頭させたりして、こどもの状況を確認するということが非常に重要になっているので、子の所在地を管轄にすることの合理性というのはそういうところにあるということを書いていただきたいと思います。   それから、71ページ以下で、ここも佐野幹事が言われたところですけれども、検討の必要性の項についてなのですけれども、先ほど指摘しました、未成年期に父母の離婚を経験した子の養育に関する実態調査とその分析の中で、面会交流ができていない理由としては、長期間会っていないという理由は挙げられていません。もちろん、これは答えの選択肢に挙がっていなかったともあると思いますけれども、検討の中でもそのようなことは検討されていなくて、別居時のこどもの年齢や、協議離婚か裁判離婚か、つまり当事者が自主的に決めたかどうかという点、あるいは別居前の当事者の関係に有意差が見られたという分析がされています。また、最高裁の方からの意見でも、面会交流の調停や調査においては、裁判所が中立の立場で審理を進めているという当事者の信頼が重要で、その意味で現在、ニュートラルフラットという立場で進めているということが強調されていました。その中で命令によって試行的面会交流を行うことのマイナス効果も指摘されていたところで、この点については是非その点を指摘していただきたいと思いますので、75ページに見直しに消極的な考え方の根拠というところがありますが、大変短くまとめられていますが、そこにも今のような意見を入れていただきたいと思います。   あと、93ページの補償的要素のところは、佐野幹事が言われたところに私も賛成です。   そして、先ほど補足意見の中に入れた方がいいのではないかとおっしゃっていた、赤石委員らからの意見のことですけれども、今回の改正案については家庭裁判所で決めるという条項が非常に多くなっていますが、現在の家庭裁判所の基盤でこれができるかという問題があります。また、共同親権先進国といわれているようなフランスでは、離婚に際して全て弁護士を付けるという必要があると聞いておりますし、DVやこどもに対する虐待がある事案にどう対応するかという意味とか、裁判所で決めるという点でも、司法アクセスへの拡充が不可欠であります。このような家庭裁判所の基盤整備や司法アクセスの拡充、あるいは支援制度の充実、この点をまとめの中で是非入れていただきたいと。先ほど、これができないと制度改正ができないというふうになると、制度改正ができないので無責任ではないか、的な意見があったのですけれども、私はこの改正がないと制度改革をしても実現できないのではないかと、逆に言えば、実現できない案を提案するのは責任ある提案なのかという気持ちがあります。なので、是非まとめにはこの点を入れていただきたいと思います。ごめんなさい、意見を言われた委員に対して攻撃的な言い方になったかもしれませんが、決してそのつもりではありませんので、御理解をよろしくお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○大石委員 ありがとうございます。今、原田委員も御指摘だったところなのですけれども、面会交流と養育費については、やはり今までの指摘などではエビデンスは出ていないと思いまして、それはある面、願望に近いものになっているような形で、それをこういったところで書くのは少し時期尚早ではないかというふうに思います。   それから、養育費支払いの終期の話なのですけれども、すみません、私はまだここら辺をよく知らないのですが、例えば成人に達した後、学費、養育費などを、養育費といいますか生活費を支払ったとすると、今度はそれについては課税、贈与になるのかとか、そういうことも関わるのでしょうか。やはり税制関係の専門家も含めた検討が行われるとよいと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○池田委員 池田でございます。2点申し上げます。   まず、4ページの1行目にある暴力と虐待という言葉の使い方なのですけれども、客体が違うのに単に暴力や虐待と並べてあるところがここを含めて散見されました。(前注2)のゴシック体の本文のところを見ますと、きちんと配偶者からの暴力や父母による虐待と書き分けていますので、少し注意をして全体を見ていただければ有り難いと思います。   2点目ですが、6ページの(3)の最終行辺り、こどもが表明した意思をどのように取り扱うかということについて、私から部会の中で、こどもの意見又は意思を尊重すべきであると書くべきだと申し上げました。この点、引用していただいていて、有り難いと思っています。ただ、この意見を申し上げる際に私から、児童の権利に関する条約第12条の趣旨ですとか、あるいは民法858条で成年被後見人の意思を尊重するという文言が使用されており、既に民法の中で意思の尊重という規定があるということも言及しましたので、少しそういった辺りも付け加えていただけると有り難いと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかはいかがでございましょうか。 ○赤石委員 ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。26ページの(4)、2段落目なのですけれども、ほかの考え方として監護者の定めを禁止する考え方というのがあります。審議会の議論でこのような議論が出てきたことがあったのかなというのが少し、ちまたではあったらしいことは聞いているのですけれども、このように、身上監護を含めた全ての親権を父母双方が共同で行うものとすべきであるとの考え方も、それで、すごくずるいなと思うのですけれども、あり得ると書かれていて、議論がなくても想像で書いてくださっているのでしょうか、というのが少し不思議でございます。このような親切さがあるのであれば、もっと補足資料、私どもの方から出た意見も書いてほしかったなと思っておりまして、これはなくてもいいのか、議論の根拠というのを少し、私は多分、審議上、聞いたことはなかったと思っております。   それから、今、ページが分からないのですけれども、先取特権について、ポンチ絵の話がたくさんあるので、私もどうしようかと思っているのですが、私は何かポンチ絵を入手したことがあります。7月時点のものです。だから、たくさんお作りになっていらっしゃるのだろうと思っておりまして、ありませんというのが少し分からないのですけれども、そのようなことではないのではないかと思っておるのですが、先取特権に関して、父母が作った文書が1回の申立てで給料などの差押えができるという表現を見て、それと、ごめんなさい、今、ページ数が分からなくなってしまったのですが。 ○北村幹事 52ページの(4)からだと思います。 ○赤石委員 それは正しいですか。夫婦で書いた文書があります、双方が捺印していたら、一回申立てしたら、もうオーケーなのですか、というのを少しお聞きしたかったです。 ○北村幹事 こちらに書いてありますように、普通の強制執行のように債務名義を取得して、その上で強制執行手続に移るというものではなく、一般先取特権を付与されていますので、お二人が合意した文書が担保権を証する文書ということであれば、それに基づいて担保権実行という強制執行の手続に移るということで、債務名義を取得するための手続が不要であるという説明をこちらに記載しております。 ○赤石委員 すみません、私は法律がよく分からないのですけれども、今まで当事者の方に何度も弁護士の方の法律講座をしていたときは、差押えするには債務名義が必要です、債務名義は公正証書、調停調書、審判、裁判判決、和解ということもあると思います、で取れますので、そのときに差押えができるので、取決めしましょうねと言ってきました。今の、担保が。 ○北村幹事 この部会の中でも新たに債務名義を簡便に取得する手続というのを増やせないかというのも当然、議論の俎上には上がってきましたけれども、債務名義を増やすのは難しい、他方で今回の一般先取特権については、養育費、扶養料の請求についてほかの債権よりも重い立場を与える、ほかの債権よりも優先的な立場を与えるということの御提案になります。ですので、その結果として、優先権がある債権ですので、その債権があることをきちんと示せる文書というものがあれば、民事執行上の手続に移れるということになりますので、そういうメリットがあるという御説明になります。 ○大村部会長 北村幹事、ここはなかなか難しいところがあるので、少し丁寧に説明をされた方がいいという御希望として承ったらいいのではないかと思いますが。 ○赤石委員 私が見たポンチ絵では、1回の手続で、文書があればオーケーと書いてあったので、私は今まで審議会に出ていて、その説明を受けた覚えがなかったので、私が法律が分からないから、そういうことが分からなかったのかなと思って、やはりお聞きした方がいいし、そんなレポート用紙に書いたものでオーケーなら、そんな簡単なことはないですよ。 ○大村部会長 レポート用紙で書いたものでオーケーかどうかはまた別に検討を要する問題ですけれども、北村幹事がお答えになっているのは、一般債権に基づいて強制執行する場合と、担保権を実行する場合とで手続が分かれているということですが、そこのところが多分、分かりにくいのだろうと思うのです。ですから、そのことを丁寧に書いていただくということではないかと思います。赤石委員も前提が十分に理解できないとおっしゃっているのだと思います。 ○赤石委員 ポンチ絵では、1回の手続でオーケーと、そんなうれしいことがあるのだったらもう少し賛成するのにと思いましたけれども、そうではなさそうな気もするので。 ○北村幹事 債権という本来平等のはずのものを、今回、御提案として優先度を上げようとしていますので、かなり実体法上も手続法上も思い切った御提案をさせていただいていると思っています。今までの部会でもこちらは御説明はさせていただいていたのですけれども、やはり担保権実行というやや技術的なところもあって、十分説明ができていなかったというのが、今のお話をお伺いして反省しているところではあるので、その点についてはもう少し工夫をしてみたいと思います。 ○赤石委員 ごめんなさい、もう一回聞きます。文書があります、1回の手続で強制執行ができるというのは正しいのですか。 ○北村幹事 一般先取特権を有するものなので、その担保権を証する文書といえれば、できるということになります。 ○小粥委員 小粥です。私も先取特権のことについて部会で少し発言を致しました。赤石委員がおっしゃっていることは、現在でもそれができるのかというお尋ねではないかと思ったのですけれども。現在はそれはできないけれども、この先取特権という提案をすることによって、当事者が債務名義を取らなくても、担保権の存在を証明する文書と評価できるような文書があれば、より簡便に執行をすることができるようになるという実質を含んでいるのが、養育費に先取特権を付けるという提案の核心と私は承知しております。だから、現在の取扱いとは異なるように、より養育費の回収が便利になるようにしようという提案をしているのが、先取特権を付けるという提案だと理解をしておりますけれども。 ○赤石委員 そうなのですね。担保権というのを学習しないと分からないということなのですが、ポンチ絵にはそのようなものは書いていなかったので、少し私もびっくりしてしまいましたということをお伝えしたいと思います。 ○大村部会長 今、小粥委員からも御説明がありましたけれども、担保権の実行ということがなかなか難しい、それから、先取特権を証する文書というのが何であるかということについて説明をしていただいたらよいかと思います。 ○畑委員 畑でございます。今の1回の申立てによりというのは、77ページに書いてあることで、強制執行か担保権の実行かというのとは少し別の問題として、出てきているものではないかと思います。これもまた、現状ではできないことを、こういうことを検討してはどうかという提案になっていると理解しております。 ○大村部会長 ありがとうございます。幾つかの問題が複合していますので、何がどこで提案されていて、どこを変えるとどういうことになるのかということが分かるような説明が求められているということかと思います。 ○赤石委員 私も読んでいますし、理解しております。 ○大村部会長 いずれにしても、一般の方々がここのところを理解するのはなかなかハードルの高いことだと思いますので、丁寧な説明ということに留意をしていただきたいという御希望を頂いたと受け止めさせていただきたいと思います。   そのほかの御意見はいかがでしょうか。 ○武田委員 親子ネット、武田でございます。いろいろとここまでの発言を補足資料に入れていただきまして、ありがとうございます。原田先生から「攻撃的な言い方」と発言ありましたが、特に攻撃的とも思っていませんので、是非今後も自由にご発言いただければと思います。   部会資料19−2に関して、3点ほど述べさせていただきたいと思います。1点目は、まず監護権の記載に関してです。2点ございます。私も立場的に、赤石委員と同じで当事者の中にこの100ページの補足資料を読めるかという方々もいらっしゃいます。このような背景もありますので実は8月の部会以降、数えましたら合計7回、300人以上ぐらいですかね、30人以上参加の勉強会を実施し、意見交換会をやってきました。その中でやはり出てきていたのが親権・監護権の権利義務の部分かなと思っております。具体的に申し上げます。父母の一方が監護者に指定された場合、これは監護者に指定された同居親が拒絶した場合、監護の分担、つまり共同監護というのはできなくなる、こういう意見が非常に多くありました。これはやはり現時点では親権、監護権の権利義務がまだ明確になっておらず、この後の議論に委ねると個人的にはそのように理解しておるのですけれども、私どもの当事者はやはり現在の家裁運用を意識しますので、現行法制下で離婚前に監護者決定されるケースを想定しての意見だと思っています。監護者指定された場合、これは別に監護者が認めなければという話ではないかと思うのですが、面会交流の場面で、共同親権状態であっても同居親に拒絶されている以上、同居親の協力がない限り、いつまでたってもこどもに会えないと、こういった事実を基にイメージしているのではないかというのが私の理解です。   ここから具体的なお話になるのですけれども、今の案では、親権者や監護者が父母の一方のみに指定されたとしても、親子交流の有無、頻度、方法、これは基本的には父母の協議で決める、協議が調わない場合は裁判所が決定するという整理になると思っていまして、監護者に指定されたからといって監護者に拒否権や優越的な決定権があるわけではないと、このように理解しています。この整理もα、βという考え方があろうかと思いますので、このようなα、β案でも同等と理解してよいかと、そうであればその旨を明確にこの補足説明の中で示していただきたいと思います。   あと、この監護権に関しての続きなのですけれども、部会資料20−1、3ページ3(2)アのところです。ここは民法820から824条まで、権利義務の関係が記されていると思っておるのですが、いろいろなパターンを書きすぎても余計分からなくなると思いますので、(2)アに記載されている事項に関して、ここの文字で書いてあるところを図表をもって視覚的に表す工夫、これをしていただけると分かりやすくなるのではないかと思います。例えばでいいますと、(2)アの規律によって監護者単独ですることができることとなる事項、(2)イの規律に沿って父母が共同して行うこととなる事項に分かれるのだと思っています。先ほど申し上げたとおり、養育費であるとか親子交流の問題はこういった表の外に表される、現時点はそんな整理かと思っています。この点、まずは監護、監護者指定に関しての意見ということで、申し述べさせていただきます。   2点目です。こちらはもう細かい話です。部会資料19−2、61ページの2(3)、下から3行の部分です。親子交流の頻度に関して、一定のモデルを示すと記載いただきましたけれども、より具体的に、親子交流の頻度に関しては、養育費における養育費算定表同様、この文言を追加していただきまして、一定のモデルを示すと追記いただければと存じます。これが2点目です。   最後、3点目です。これは部会資料19−2のどこがどうだという話ではありません。養育費全般に関して、今後こんなことを検討いただきたいということを申し述べたいと思います。今般、養育費に関しては、取決めの促進から支払いの確保に向けて前向きに進める案が示されたと思っていますし、養育費の支払い率が向上する、これは私どもから見ても歓迎すべきことという前提としまして発言します。これは何回目の部会で申し上げたのか忘れましたけれども、執行に関して平成31年、民事執行法改正で改善された部分もあると、個人的には理解をしております。パブコメ後の取りまとめに向けて、平成31年の民事執行法改正で何を対応したのか、その効果はどんなものがあったのか、なおかつこんな課題が残っている、だから、赤石委員が確認していたような先取特権であるとか、こういう執行の強化を更にやるのですよと、このような説明が今後は多分必要になってくるだろうと思っております。したがいまして、パブコメに際し準備するというのは時間的に難しいと思いますが、この31年の民事執行法改正での効果測定ができる材料、これは少し今後に向けて、改めて材料を準備いただきたいということをお願いさせていただきたいのが3点目でございます。以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかはいかがでしょうか。 ○小粥委員 裁判所の判断の在り方について、部会資料19−2の31ページや60ページ辺りに、論点は違いますけれども、やや共通する問題についての説明がされていると思います。補足説明全般にわたって部会の議論を丁寧に拾っていただいて、私としては非常に、大変な作業をしていただいていることは重々承知しているつもりでございますけれども、これら二つの論点について、部会で一方では、乱暴に申しますと裁判所にもう少し頑張ってほしいというような意見が出ていたと思うのですが、他方で裁判所の手嶋元委員、木村元幹事から、そのたびにと言ってもよいと思うのですけれども、そうではないというような意見があり、大ざっぱな感想で恐縮なのですけれども、少し裁判所の意見に強く寄っているような取りまとめになってはいないかというような気持ちを持っております。御判断はお任せいたしますけれども、そういう感想を持っている委員がいるということだけお伝えさせてください。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、補足説明についての御意見を伺うのは以上にさせていただきたいと思います。   事務当局には本日の御意見、御議論を参考にした上で、補足説明を作成していただき、時期は分からないというお話もありましたけれども、速やかにパブリック・コメントの手続が始められるように準備をしていただきたいと思います。   それから、パブリック・コメントの手続と並行して、次回以降の会議において何をやっていくのかということについて、事務当局から現時点での検討状況について御説明を頂きたいと思います。 ○北村幹事 事務当局でございます。パブリック・コメント期間中の会議の進行については現在、事務当局の方で検討中ではございますが、8月の段階でも更に追加のヒアリングを実施すべきであるとのお声を頂き、各委員から御推薦も頂いていたところでございます。そのため、事務当局としては、そのヒアリングの候補者の選定などを進めているところでございます。この候補者、今も申し上げましたように、皆様方から御推薦、御紹介いただきまして、誠にありがとうございました。今のところ医学、心理学に関する専門家、DV被害者の支援に関する専門家、法律実務家のほか、離婚をめぐる当事者の立場の方を何人かお呼びする方向で進めようかと考えておりますけれども、この点につきましては部会長と御相談をさせていただきながら進めさせていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。次回以降の会議の進め方につき、ヒアリングをやるということで、候補者について何人かの方々をというお話がありましたけれども、具体的な内容につきましては、事務当局の方でできるだけ早めに御検討いただいて、私の方にも御相談を頂きたいと思っております。 ○大石委員 すみません、厚生労働省が実施している全国ひとり親世帯等調査というのがあるのですが、それが本当は10月に出るはずだったのが今、少し遅れているということなのですが、もしそれが出て、ちょうどパブコメ期間内で、待っている状態であれば、何か御担当の方からブリーフィングいただくとか、最新のひとり親世帯の状況についてお話しいただくとかいうことも、もし可能でしたら御検討いただければ有り難いと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。スケジュールのこともあるかと思いますけれども、北村幹事の方から何かあれば。 ○北村幹事 頂きましたお話、関係府省と御相談の上、事務局において対応の可否について検討させていただきたいと思います。 ○赤石委員 赤石でございます。大石委員の意見に賛成です。と同時に、内閣府がDV法の改正について議論しているということでございますので、それの概要についても非常に、(前注)にも入っているので、関わるところですので、御説明いただけるとよいかなと思っています。 ○北村幹事 御要望は頂きました。ただ、検討中のものということなので、お示しできるものがあるのかどうか、戒能委員から先ほど審議会のお話を頂きましたけれども。 ○戒能委員 最終報告書が出ましたので、それを御説明いただけると思います。 ○北村幹事 担当の部署にそこは相談して事務局において対応の可否を検討してみたいと思います。 ○大村部会長 ヒアリング以外に、関係官庁からそれぞれの施策、あるいは立法の状況についての御説明を頂くのはいかがかという御提案を頂いたところでございます。先ほど大石委員から、パブコメの結果を待っているのであればといったお話がありましたけれども、そのパブコメのスケジュールがどうなるのか、部会の期日の設定がどうなるのかということとも密接に関わってくるかと思いますので、その辺を調整しながら、できる範囲で皆様の御要望にこたえるように事務当局の方で検討をしていただくということで、引き取らせていただきたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。   ありがとうございます。それでは、今後のパブコメ期間中の審議については今のようなことにさせていただきまして、本日の審議はここまでということにさせていただきたいと思います。   次回の具体的な期日とスケジュールにつきまして、事務当局の方から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 事務当局でございます。次回の会議は、令和4年12月20日火曜日午後1時30分から午後5時30分までで開催したいと思います。場所は改めて御連絡いたします。   次回会議の進め方につきましては、先ほど御説明いたしましたように、先ほど皆様から頂いた御意見も含め、部会長と御相談しながら検討して、改めてお知らせしたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   次回は今年の12月20日ということで御予定をお願い申し上げます。   それでは、法制審議会の家族法制部会第20回会議を、これで閉会をさせていただきます。   本日も熱心な御審議を賜りまして、ありがとうございました。閉会いたします。 −了−