法制審議会 戸籍法部会 第12回会議 議事録 第1 日 時  令和5年1月12日(木) 自 午後1時29分                      至 午後3時38分 第2 場 所  法務省7階共用会議室6・7 第3 議 題 戸籍法等の改正に関する要綱案(案) 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○窪田部会長 本年もどうぞよろしくお願いいたします。それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会戸籍法部会の第12回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。   それでは、事務当局から本日を含めたこの部会の開催方法等についての御説明をしていただきます。よろしくお願いいたします。 ○櫻庭幹事 今回もウェブ参加併用の形で行わせていただいておりますので、前回までと同様、御注意いただきたい点として2点申し上げます。   まず、御発言中に音声に大きな乱れが生じた場合につきましては、こちらの方で指摘をさせていただきますので、それを踏まえて適宜御対応いただければと存じます。また、発言をされる委員、幹事の皆様におかれましては、冒頭に必ずお名前を名のってから御発言を頂きますよう、よろしくお願いいたします。 ○窪田部会長 ありがとうございます。   本日ですが、冨田委員、村林委員、衣斐幹事、渡辺幹事が御欠席と伺っております。   それでは、本日の審議に入ります前に、配布資料等の確認をさせていただきたいと思います。事務当局からお願いいたします。 ○櫻庭幹事 お手元に配布資料目録、議事次第を配布しております。また、部会資料12-1として要綱案の案、部会資料12-2として要綱案の案に補足説明を付したもの、また、参考資料12として、戸籍事項証明書のひな形に関する資料をお送りしております。 ○窪田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、審議に入りたいと思います。本日は「戸籍法等の改正に関する要綱案(案)」について議論をしていただきます。   それでは、その「第1 氏名の仮名表記の戸籍の記載事項化に関する事項」につきまして、事務当局から御説明をお願いいたします。 ○櫻庭幹事 それでは、部会資料12-2を御覧ください。部会資料12-2の1ページ、表題の下に記載しております(前注)について御説明申し上げます。今回は要綱案の案を太字で示し、必要な範囲で補足説明を記載しております。また、部会資料11における提案からの変更点に下線を付して、変更点が明確になるようにしております。   部会資料12-2、1ページ、第1の「1 戸籍の記載事項への追加」を御覧ください。第1の1につきましては、部会資料11からの変更点はございません。   同じく2ページ、第1の「2 氏名の仮名表記の許容性及び氏名との関連性」を御覧ください。本文につきまして、補足説明1に記載のとおり、前回会議において、氏名の仮名表記の許容性及び氏名との関連性に関する規律を設ける必要性について示唆する御意見が複数あったことなどを踏まえまして、従前の乙案を提案しております。   そして、補足説明2においては、想定される運用について、前回会議における御意見を踏まえた内容を記載しております。具体的には、一般に認められている読み方かどうかは、名に名乗り訓が多用されてきた歴史的経緯も念頭に入れ、社会において受容され又は慣用されているかという観点から、常用漢字表又はその付表に掲載されているか、漢和辞典など一般の辞書に掲載されているかどうかだけでなく、辞書に掲載されていない読み方についても、届出人に説明を求め、一般に認められているものといえるかどうかを判断することが考えられます。   なお、①として、漢字の持つ意味とは反対の意味による読み方、例えば「高」と書いて「ひくし」と読ませるような読み方、②読み違い、書き違いかどうか判然としない読み方、例えば、「太郎」という漢字で「じろう」と読ませるような読み方、③漢字の意味や読み方からはおよそ、又は全く連想することができない読み方、例えば、「太郎」という漢字に対して「じょうじ」というふうな名前を当てる読み方など、一般に認められている読み方として許容されない類型について法務省民事局長通達等で示すことを想定しております。   第1の2に関する説明は以上でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   それでは、ただいまの櫻庭幹事からの御説明につきまして御質問や御意見がありましたら、お伺いしたいと思います。どうぞ御自由に御発言をお願いいたします。 ○笹原委員 今回、2において法文の趣旨ということで規定の案を示していただいております。若干懸念するところが残ってはおりますけれども、現実の運用に関する御説明を伺って、現実的にはこの先も大きく変わることはなく、柔軟に運用され、文化としての命名というものが維持されると理解しているところであります。   改めて事務局に確認させていただきたいのですが、文化的な営みとしての命名の中には、いつの時代にも創作的な読み方というものがあって、日本語学の先輩の方からは、例えば池田勇人という総理大臣がかつておりましたが、「勇人」と書いて「はやと」と読ませるというものも、それ以前の例がなかなか見つからないものであることを伺いました。しかし、それ以降その「勇」という字を「はや」と読む名付けが増えたそうです。このような前例も、社会では有名な人の間においても見られるものです。創作的、創造的な読み方に悪意のようなものがないとみられるケースであり、こういうものは一般に新しいかどうか自覚的になれないところもあるものです。創造的な読み方は、今後もまた現れていくと思うのですが、現実には審査において、そういうものを一律に排除するという形にはならないという理解でよろしいでしょうか。事務局に伺わせていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○窪田部会長 ありがとうございました。笹原委員からは、運用によって適切に対応することで文化的な営み、命名文化の維持というのはできるのではないかということを確認しつつ、ただ、文化的な営みとしての悪意のない創造的読み方といったものが確保できるのかということについて、事務局の見解をお聞きしたいということでした。事務局から御説明をお願いできますでしょうか。 ○櫻庭幹事 事務局の方からお答えします。想定される運用というところで書きましたとおり、名に名乗り訓が多用されてきた歴史的な経緯、これを念頭に入れる必要があるだろうと考えております。その観点としまして、社会において受容されているのかどうか、また慣用されているのかどうかというところで、これは、又はというところで結んでいますとおり、慣用されているだけではなく受容されているかどうか、こういったところも一つの指標になるのではないかと考えております。   また、資料に記載のとおり、一般に認められている読み方としては許容されない類型、こういったものを通達等でお示しすることを考えております。特に悪意のあるようなケースにつきましては、恐らくこの一般に認められている読み方としては許容されない類型として民事局長通達等の中で示されることになると思いますので、そういった意味では、悪意のないケース、先生がおっしゃられたような創造的な読み方、こういったものについては社会において受容されるだろうといったものであれば当然、新規の名乗り訓等として認めていく運用になるのではないかと考えております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。笹原委員、ただいまの答えでよろしいでしょうか。 ○笹原委員 御丁寧にありがとうございました。法律の文言を直接参照する人は、この先もそれほど多くはないような気はするのですが、きちんと名付けをしたいという方には、法律に遡るなど条文に触れる方もいるかもしれないと思います。そういう遵法精神の強い方に限って、自分の文化的な営みが法に何か触れるようなことなのかな、などとさいなまれるようなことがあるとすると不幸なことだと思いますので、子供の幸せを考え、しかも文化的な営みとしてそういう命名を行うようなケースを阻害するようなことがこの先起こらないように、この法の趣旨というものを広報などいろいろな形により広めていただくということを是非お願いしたいと思います。私ももちろん、できることをさせていただきたいと思っております。   以上です。ありがとうございました。 ○窪田部会長 ありがとうございました。笹原委員からは、名付け親の立場からというお話もありましたけれども、恐らくそれだけではなくて、戸籍を管掌する窓口において、担当者がどのぐらいリジッドに考えるのかということによって左右されないような形での仕組み、今日も法務省民事局長通達等で示すというのはそういった点を含んでいると思うのですけれども、そうした工夫が非常に重要になるのだろうという御指摘を含むものだったと思います。 ○笹原委員 おっしゃってくださった通りです。ありがとうございます。 ○舩木委員 ありがとうございます。まず、今回の第1の2の規定の文言としては、今までの乙案の表現を基本的に採用するということになっていると思います。この表現であれば、今までこの審議会で議論してきた具体例、例えば、部会資料8の3頁のところでアからサという具体的事例は認められるのでしょうか。「心」を「こ」と読むとか、大和の「和」を「と」と読むとか、あるいは前回や今も笹原委員の方から指摘された、こういう読み方は認められるのでしょうか。今回の部会資料12-2の2頁の上から6行目以降に記載している反対読みとか書き違いとかは、以前の部会資料8の4頁のキ、ク、ケ、サというような、混同させるような読み方の部分は除くというのは良いのですが、それ以外の読み方について一般に認められている読み方ではないとはねられる可能性があるのは、どういう例なのかというのを説明いただければ有り難いです。 ○窪田部会長 ただいまの点についてはどうでしょう、事務当局から今すぐ答えることは可能でしょうか。 ○櫻庭幹事 我々の方としては、こういったものはなかなか常識的な読み方から乖離して、難しいのではないかというふうな、そういった類型はお示しできるのではないかと考えておりますけれども、逆にこういうものはいいというふうな形でお示しするというのは少し難しいかなと思っておりまして、具体的な例につきましては、また改めてお話ししたいと思います。 ○舩木委員 例えば、今回、少し先になってしまうかも分かりませんが、第2の2(7)のところで、「現に使用していることを証する書面の提出」という規定を新たに今回設けるという提案があります。ここの「現に使用していることを証する資料」というのは、前回の部会資料11では、乙案を採用する場合の説明として記載されている内容だったと思います。つまり、乙案の場合であっても、現に使用しているものは基本的には認める必要がありますよと、しかし、一般に認められるものでなければ、現に使用しているという資料を添付して届ける必要があるということを経過規定として設けたらどうかという規定の書きぶりだったわけですけれども、そういうような適用がある読み方の場面というのはどういう場合なのかというのを、もしあるのであれば教えていただきたいと思って今、質問させていただきました。 ○櫻庭幹事 舩木委員から、今、3ページの(7)のところに言及いただいたわけですけれども、今回、第1の2のところで、読み方として一般に認められているものでなければならないという乙案を基調として考えた場合に、一般に認められているものと一般的に認められていないものとは観念的に分けられるだろうと。それを前提に、一般に認められている読み方以外、そういった読み方があるとすれば、それは本来のルールでは認められないわけですけれども、現に使用しているものについていえば、新しいルールができたことによってそれが使えなくなるというのは非常に不便であろうというところから、この乙案を基調とした基本ルール、読み方の姿勢を示したものとして、一般に認められているものとしてくださいと、そういったルールからはみ出るものを救うための規律ということです。そういったものがどういったものになるのかというのは、今の段階で具体的にお示しするというのは少し難しいかなと思っておりますので、適切な例ができたら、また改めてお伝えしたいと思います。 ○舩木委員 それでは、意見を述べてよろしいでしょうか。   この問題については、前回の甲案と乙案の区別としてその違いは何かという点について、規律を設けるかどうかが大きな違いですという説明でした。しかし、やはりそれは違うと思います。今までの議論の流れというのは甲案というのは原則として読み仮名は自由であり、親の命名権は基本的には自由に行使できるのが原則なのだと、ただ、混同させるようなものとか、あるいは権利濫用、公序良俗に反するようなものというのは制限されますというのが甲案であって、これに対して乙案は原則自由ではなく名前の読み方というのも元々制約があるという発想の点が、甲案と乙案の一番の区別ではないかと思っております。今でもやはりそう考えるべきではないかと思っております。   それはともかくとして、これまで甲案と乙案の区別があり、結局乙案の表現を採用するということは、名前の読み方は自由ではないということを前提とした書きぶりになったと考えられます。前回の審議会の議論の中でも、ほとんど乙案に賛成という意見は出ていなかったと思うのですが、なぜ今回の規定の書きぶりになったのでしょうか。基本的には甲案というものを支持していた方々も、何らかの規定を設けるということまでは必要かもしれないという意見は多く出ていたという認識です。基本的には原則自由だけれども制約がある程度は存在するという認識だと思っています。今回のこの表現でも、法務省の方は今の運用を基本的には制限するものではないようにしっかり頑張るという趣旨の説明をいただいているわけですが、飽くまでもこういう議論が分かれた部分についてこの乙案の表現で了承しますということになれば、法務省はそういう具合に運用しようと考えているというけれども、そういう運用は認められないという具合に将来とられる危険性の方が大きいのではないかと思っております。今回の修正案については非常に心配であり、これでいいのかという点については非常に心配であるというのが意見です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。私の方で特に法務省の立場をサポートするという発言をするつもりはないのですけれども、恐らくただいまのやり取りについては内閣法制局とも、最終的に戸籍法の文面としてどういうふうな文言にしていくのか、あるいは民法の規定としてどういうふうにしていくのか等々のやり取りがあるのだろうと思います。法務省の方としては、いわゆる乙案を採りつつも、一般にという中に命名文化の尊重であるとかそういったことも、名のり訓が認められてきたという形で、比較的一般的にその許容性があるということを踏まえた上で、具体例として示されているものについても、これはよくてこれが駄目という書き方ではなくて、これは駄目だという形になっておりますのは、舩木委員が以前からずっと御発言されてきた、これはいいというのを示すのではなくて、これは駄目だというのを示すという方向を実質的には示しているのかとは思います。ただ、そうであったとしても、それに対して原則はやはり違うのではないかというのが舩木委員の御指摘であったかと思います。また、3ページの第2の2(7)との関係でいうと、その意味では読み方の許容性というのはかなり広いものにはなっているのだろうと思いますが、しかし形式的には舩木委員が御指摘のとおり、乙案としての表現を採っている以上は、その是非にかかわらず、これを実際に使ってきたということさえいえれば、この部分については認めるというルールなのだという理解が一応できるのかなと思いながら伺っておりました。ただ、これは私の理解ということになります。舩木委員、続けての御発言はありますか。 ○舩木委員 いや、結構です。心配していたのは、法務省の方が、ほかの内閣法制局にしろ、いろいろなところについて説明する際に、ここでの審議会での説明と同様の説明が通用するのか、要するに、笹原委員が心配されているような、こういうことはできるのかどうかというのを、名のり訓のような歴史は使い続けられるように、制約がないようにしたいと思いますというような説明が同じようにされているのかという点について疑問があったから、そのような発言をしました。取りあえずは意見ですので、結構です。 ○窪田部会長 ありがとうございます。 ○小幡委員 舩木委員の御発言にもありましたが、法令用語としてどうするかということですので、今、部会長からも説明ございましたが、一般に認められているものというような言い回しでやむを得ないのかなとは思いました。確かに前回の議論にもありましたように、私も初めは甲案と言っていたところですが、、これまで法律事項としては漢字だけだったので、今回仮名表記を付けることになる場合、当然のことながら今の漢字に関連するようなものを仮名表記で付けるということは、当然の前提と思っていたわけですが、その前提がない仮名表記について、甲案では公序良俗という話ではなかなか退けられないという問題があるのであれば、何かしら常識的な関連性をいう条文にしてもよいというのが結局、今回の案ではないかと思っております。   ただ、笹原委員もおっしゃっていたのですが、人によっては一般に認められているということをやはり真面目に理解してしまって、一般に認められているものでないと駄目なのかと狭く受け止められる可能性というのはあると思うので、そこは、法律上はそう書いてあるけれども実質的にはこういうことだ、ということをしっかり示していくことは必要なのではないかと思います。   そこで今、法務省民事局長通達で示すというお話ですが、私は戸籍法の下位法令についての慣行が分からないのですが、施行令、施行規則(省令)とか、いろいろなレベルで法律の条文について説明する下位の行政立法があると思うので、通達なのか何がよいのか、国民にこの法律の条文の一般に認められているものというのはこういうことだ、ということを明確に示すやり方について、もう少し考えていただければと思います。   それから、舩木委員もおっしゃったように、今まで使っているという、後で出てくる第2の2(7)のところで、それはここのところに組み入れなくてよいのでしょうかというのが少し気になるところです。結局、既に、一般に使われているというものがあるわけなので、既に使われているものをここで駄目とはいえないという話として出てくるわけですが、結局同じことではないかと思うので、そういう趣旨でよいのであれば、ここにそれも入れ込んでおいた方が分かりやすいのか、というような気がいたしました。 ○窪田部会長 ありがとうございました。法令用語として、これまでの法律事項に仮名表記を追加するという場合に当然の制約があるのではないかということを踏まえて、こういう規定の仕方があるのかもしれないとされつつ、「一般に」を狭く捉えられる可能性もあるので、それについては国民に示すやり方を工夫しなければいけないのではないかということと、もう一つは、3ページの(7)にあった現に使用していること、というのを1ページの第1の2の方で反映させる必要はないだろうかという御指摘、以上の2点であったかと思いますが、この点について事務当局はいかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 まず、1点目ですけれども、法律の内容を実現するやり方としましては当然、法律の下位の規範として省令といったものがあるわけですけれども、内容を示すやり方としては、そのほかに通達とか、さらに依命を受けた通知とか、そういったものがあります。今回、一番当てはまりそうなのが通達、これが落ち着きどころがいいところかなというところで提案させていただいたところですけれども、また適宜工夫して、誤解がないように、皆さんがきちんと運用できるような形で内容を示すということをしたいと思っております。   2点目ですけれども、今回、本則と附則というようなことで少し御説明させていただきますと、一般に認められている読み方でなければならないというのは、これは新しい改正法の本則の方に入るという規律でございまして、今後、氏名の読み方を法制化して戸籍の届書に書いていただくといった段になりますと、そこは一般に認められているような常識の範囲で名付けていただくといったことになるわけです。先ほどお話しした3ページの(7)、これにつきましては現に戸籍に記載されている方ということで、既に名前が付けられて社会で活動している方を想定しておりますので、そういった方につきまして、新しく一般に認められている読み方ではないのではないかということで、それが使用できないとなると非常に不便ですので、その方を救うための規律ということで、これを経過措置として設けると。2ページの第2の2の既に戸籍に記載されている者に係る収集についての次の文に、経過措置として次のような趣旨の規律を設けるものとすると書いてあるとおり、現に活動している方を対象とした規律というところで(7)というのを設けているということですので、本則の方に設けるというのは少し違うかなと考えているところでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。小幡委員、よろしいでしょうか。 ○小幡委員 それは、考え方が二つあると思うのですが、もう既に、昭和53年ぐらいから出生届に読み仮名を書いて認められているような名前は、ほぼ一般に認められているものと解せるとも思えるのですが、今の御説明は、特例として経過措置的に、本来はこれからは一般に認められているものでなくなるので駄目になるのだが、既に今使われているのであればそこだけは許すと、そういう考え方なのか、あるいは、そもそもそういうものはもう今認めているのだから、一般に認められているものと思われるのではないかというのと、二つ大きく考え方が違うと思うのですが、そこは、ほかの先生方がどのように思われるかということも含めて、改めてお伺いしたいと思いますが。 ○国分幹事 幹事の国分でございます。恐らく一般に認められている読み方について、今この場で議論されているように幅広く認められるような運用を想定しているところである限り、現に使用されている方の名前も一般に認められている読み方に当たることになるだろうとは思っているところでございますが、法形式上、一般に認められている読み方とそれ以外というものを分けて考えている以上、想定ではほとんど生じないことになるかもしれませんが、現に使用している読み方が一般に認められている読み方に当たらないということが想定されますので、その方であってもやはり現に使用されているものについては認める必要があるということで、経過措置の方ではこの規定を設ける必要があるということで、書かせていただいているものと理解していただければと思っております。 ○窪田部会長 一般の読み方としては認められないけれども経過措置として認めるという前提になると、すごく話が分かりにくくなると思うのですが、恐らく3ページの(7)というのは、一般に認められているかどうかの判断をするまでもなく、現に使用しているものについてはその読み方を認めるという意味での経過措置ではないかと私自身は理解していたのですが。 ○櫻庭幹事 実際の運用を考えると、これが一般に認められている読み方で、これが一般に認められていない読み方というのは、判然としないところも多分出てくる、微妙なところも出てくると思いますので、そういったところについていえば、書面で一応確認することによって安心といいますか、そこできちんとしたものと捉えるということになると思います。実際は、先ほど言ったように、一般に認められているかどうかというところでの柔軟な対応をするということになれば、よほど非常識なものでいない限りは、通常読めるであろうというふうな形の受け止め方ができるのではないかと。そういう意味では、書面をもって確認する場面というのは、本当に非常識なものが出てくるかどうかというところにもかかってくると思います。そこは実際、運用してみて初めて事例に当たるというところがあるのかなと考えているところです。 ○窪田部会長 小幡委員、更に御発言はありますでしょうか。 ○小幡委員 いえ、一応理解しました。 ○窪田部会長 それから、小幡委員から御指摘のありました、国民に示すやり方の工夫が必要だという点については、恐らくこれから命名をする人たちについてそれを示すというのと同時に、戸籍窓口において適切な運用がなされるようにという意味で一定の基準を示すということ、両方ともが大変に重要だろうと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。 ○大谷委員 大谷でございます。今話題になっている許容性の観点につきまして、意見を申し上げたいと思います。   これまでの議論の過程で、個人を特定する上で、あるいは社会的受容性の観点から、許容されない読み方というものが考えられるということについては、ほぼ全ての委員に共通に認識されているものだと思っております。そういった許容されない読み方が考えられる場合に、それを戸籍に載せないための規定の在り方としては、これまで私自身も主張してきましたけれども、甲案にあった公序良俗違反、それから権利の濫用という考え方で必要十分であろうという考え方についても、賛成意見をおっしゃってくださっている方が相当いらっしゃったとも認識しているところです。ですので、やはりこの考え方というのは、先ほども舩木委員がおっしゃった、原則命名は自由である、読み方についても自由に決められるという大原則を示す上で、甲案の考え方というのは私自身としては引き続き支持したいと思っております。   ただ、百歩譲ってということなのですが、現在の「一般に認められているもの」でなければならないという文言についてコメントさせていただきますと、やはり法務省の御説明、補足説明を丁寧に書いていただいておりますけれども、その趣旨を言葉にするためには、一般に認められているものという表現では十分な表現ではないような気がしております。法務省の御説明では、現に慣用されているということだけではなく、社会的に受容されているというよりは受容可能性があるものであればよいという、幅広く許容していく方針を示したという補足説明を頂いているのですが、それを示す言葉としては、もし変更が可能なのであれば、「一般に認められるもの」でなければならないというような言葉であれば、それに近い表現なのではないかと思っております。   という意味で、現在の「一般に認められているもの」でなければならないという言葉は、現に慣用されているものにどちらかというと限定されたり、既に社会で受容されているということが確立しているようなものについてのみ認めるというような意味に取られかねないものだと思いますので、現在の文言では萎縮効果が生じてしまうということも当然の懸念ではないかと思います。その点から今、お二方からの御意見を頂いているものだと思いますので、どうしてもこの「一般に認められているもの」でなければならないという文言でなければ戸籍法に追記できないというような事情があるのであればですけれども、その萎縮効果が生じないように工夫を凝らすために、民事局長通達だけで十分なのか、また、小幡委員が適切に御意見としてお話しくださったように、国民向けの説明であるとか、そういったものも丁寧にやっていく必要があるかと思いますし、可能であればですけれども、この「一般に認められているもの」という少し厳しめの文言を改める余地がないか、再考していただくことが必要ではないかと考えております。   もう意見ですので、ほかの皆様がそういう意見でなければ、この部会の最終的な意見というのを私としては尊重してまいるつもりではおります。 ○窪田部会長 ありがとうございました。大谷委員からは、基本的には甲案、乙案、甲案を依然としてやはり支持したいという気持ちはあるけれども、しかし、百歩譲ってということでございましたけれども、それで現行の規定というのを見ると、やはり現在の文言というのは補足説明で書かれているようなことを十分には適切に表現できていないのではないかということでした。そのうえで、具体的には「一般に認められているもの」でなければならないというのを、「一般に認められるもの」と言い換えるという方向は考えられるということであったかと思いますけれども、そういう御提案を頂いたかと思います。大谷委員、御提案いただいたのは「一般に認められる」という表現でよろしいのですか。 ○大谷委員 はい、「一般に認められるもの」ということで、実は過去に笹原委員からも同じような御提案があり、その検討を一度いただいているのではないかと思いますけれども、「一般に認められるもの」という表現を、改めて御検討の余地がないかということを確認させていただきたいという趣旨でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございます。確かにこれは以前も笹原委員から御指摘ありまして、現に一般にあるかどうかではなくて、一般的な可能性として認められるかどうかという、より一般的な表現を用いることができないかということだったのですが、これについては事務当局から何か御発言はありますでしょうか。 ○櫻庭幹事 いろいろ委員の方から御指摘があった点について重く受け止めたいと思います。ただ、法制的な観点からの検討ということになりますので、我々の方のある種、裁量を超えるようなところで、どういう調整ができるかというところが難しいところですけれども、一応、御意見を受け止めまして、また検討したいと思います。結論として、これ以上動かし難いようなものになるかもしれませんけれども、そこは一旦引き取らせていただきたいと思います。 ○西幹事 ありがとうございます。西でございます。蛇足のような感じになりますが、今、大谷委員がおっしゃったのと全く同じ意見を持っております。私も、一文字だけでと言われるかもしれませんけれども、「一般に認められる」という書き方の方が今までの議論を正確に反映したものになると思います。仮に本文でそれができないとしても、補足説明も公表されるのであれば、補足説明の方だけでもせめてそのような表現を使っていただくことはできないのでしょうか。   例えば、2ページの1行目、「受容され又は慣用されている」とされていて、いまは現在形になっていますけれども、これを、「社会において受容されるか、又は慣用されている」とすると随分印象が変わりますし、4行目「一般に認められている」を「一般に認められる」と変えることも考えられるかと思います。   そのようにした方がよいと思うのには、ほかの条項との関係もございまして、先ほどから3ページの(7)に関していろいろ御指摘がございます。詭弁といわれるかもしれませんけれども、要綱案の本文のように、現在その事実がある、現に認められているものに限定して、その現に認められているかどうかの判断基準が2ページ1行目の、「社会において受容され又は慣用されている」かどうかであるとすれば、現にその名前を使っているということは慣用されているともいえますので、そうすると、既にこれは「一般に認められて」いないとはいえないという見方もできて、この規定は要らないということにもなりかねないと思います。そのようなことも考えますと、やはりここでは、現にということに限定するのではなく、今後のことも含めてというニュアンスを出すのがよいように思います。それが1点です。   2点目は、単純な質問です。第1の2の規定は、場所的にはどこに置かれることになるのでしょうか。もし今の段階である程度お決まりでしたら、教えていただければと思います。 ○窪田部会長 ありがとうございました。2点御発言を頂きました。一つは、やはり文言として「一般に認められているもの」ではなくて「一般に認められる」というような形で、将来を含めてのものという形で明確にする必要があるのではないかということ、これは大谷委員からの御指摘にも重なるものであったかと思います。それから、2点目として、これは御質問ということですが、第1の2に関しては、趣旨の規定を設けるものとするとなっていますが、具体的にはどこに置くのですかということですが、以上について御発言いただけますでしょうか。 ○櫻庭幹事 具体的にどこに置くかというところについて御説明いたしますと、今考えているのは、第3章に戸籍の記載というのがございまして、13条に戸籍の記載事項を規律する規定がございます。ここに新しい項を一つ設けるということを考えております。13条は戸籍の記載事項の規定ですので、まず1項で今、氏名というのが1号でありますけれども、この1号の氏名に加えまして、2号のような形で氏名の振り仮名あるいは読み仮名、そういったものを加えた上で、その読み方については一般に認められているものでなければならないというような形で項を新しく立てて、そこで一定のルール、姿勢はこういうものです、ということを示すということを想定しております。 ○窪田部会長 第2点の質問についてはよろしいですか。 ○西幹事 今の点について、よろしいですか。そうなりますと、今、似たような話として子の名に用いることができる文字に関する規定が50条にあるのですが、この移動というのもあり得るということなのでしょうか。つまり、読み方だけこの13条のかなり上の方に置かれて、用いることができる漢字は50条のままということになると、バランス的にどうなのかという気がいたしましたので、少し気になりました。 ○櫻庭幹事 今お話しいただいた50条というのは出生の節にある規律ですが、子の名については常用平易な文字を用いなければならないというところに近づけると。考え方としてはそういったこともありますけれども、出生にかかわらず全般に読み仮名をいろいろ収集する、あるいは読み仮名を記載するという形からいうと、3章の13条の方に置くのが適切ではないかと考えているといったところでございます。 ○窪田部会長 今お答えいただきましたけれども、西幹事からの御指摘もありましたので、再度それで問題がないか、法務省で一旦確認をしていただいた方がよろしいかと思います。 ○鷲崎幹事 鷲崎です。ありがとうございます。今の御議論、御提案に賛成させていただきたいと思います。より具体的には、「一般に認められる」あるいは「一般に許容される」という、記述を少し修正した、変更した形というのは、これまでのここの部会の議論や経緯に合致するものというふうに、私も賛同させていただきたいと思います。   その上で、そのように変更したとしましても、では実際に何が一般に認められるのか、許容されるのかということについては、引き続き何らかの類型を提示していくということは確かに考え方としてあるのであろうと思います。その際に、現状ですと通達等で許容されない類型として①、②、③を例として、仮なものとしてありますけれども、ここで①、②というのは読み違いですとか反対の意味ということで、これもこれまでの議論に合致する、非常に理由としても明快なものと拝見しますけれども、③の内容というのは、これはかなり、実際にどう提示するのか、どこまでが実際に連想できて、何が連想できないのかということは、これはなかなか線引きが難しいところになりますので、また、実際に③の類型を具体的に何か仮に例示をしようとしますと、それを既に用いている方が仮にもしいらっしゃれば、それは当然余り好ましくない影響を与えることにもなりますので、やはりこの③のところは特に非常に注意が必要ではないかと、現実的にはなかなか難しいのではないかと思います次第です。   あと、もう一つは細かい点ですが、第1の1の方の利用可能な文字、記号の種類につきましては、これは前回も申し上げたのですけれども、何らかの通達等によりまして利用可能な文字、記号を明示することが望ましいと思います。現状ですと、やはり長音記号等という形ですと、それをもって任意の文字、記号を利用するという主張をされかねませんので、それは今後、通達等で明確に利用可能な範囲を規定されるところであろうと期待させていただきます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。鷲崎幹事から3点頂いたかと思います。一つは、「一般に認められる」あるいは「一般に許容される」という文言の方が適切ではないかということ、それから、具体例に関していうと、許容されない具体例として2ページの上の方に①、②、③というのがあるけれども、特に③に関しては、実際に使っている人がいた場合とかも考えながらやった場合に、うまく示す必要があるのではないか、あるいは示すことが難しいかもしれないという御指摘であったかと思います。それから、もう一つは第1の1で、利用可能な文字に関しては通達等で明確にしてほしいということで、これは多分考えておられるだろうと思いますが、以上の3点だったかと思います。これについては何か、法務省の方からございますでしょうか。 ○櫻庭幹事 特に最後の点につきまして、今回、要綱案のレベルですので、細かいところまでは示さないということで、「等」で規定する案としていますが、実際に運用する上では等ですと外縁がはっきりしませんので、そこはきちんと明確になるような形にしたいと考えております。 ○藤原委員 藤原です。私も大谷委員の御提案された「一般に認められるもの」という文言に賛成です。この点に関しまして事前に事務局から御説明を頂いたのですが、この御説明のときにも私から、「一般に認められている」ではなくて「認められる」に修正した方が、やはりより柔軟な解釈ができるのではないかということで申し上げたのですけれども、何か法令の関係で「一般に認められる」とすると、もう最初から根底から覆るという説明を受けたのです。であるのであれば、もし今の御提案の乙案を維持しなければならないという方向に向かうのであれば、少し強い御提案なのですけれども、「一般に認められている」という文言が、先ほど大谷委員が御指摘されたように、萎縮効果とか幅広な解釈ができないという方向に進むのであれば、法令化、法律として規定すること自体が少し問題になるのではないかと思います。むしろ、規則とかに下ろして、もう少し柔軟な読み方の方向に持って行く方向がいいのではないかと思っています。ですので、基本的に大谷委員の案に賛成いたします。 ○窪田部会長 ありがとうございました。やはり「一般に認められるもの」ということで、そちらの方が適切ではないかという御意見を頂きました。これまで出ているところでは、ほぼ共通して、「一般に認められているもの」ではなくて「一般に認められる」という方向に修正できないかという御提案を頂いておりまして、恐らくこれだけたくさん意見が出ている状況の中では、きちんと御説明をしていただかないとなかなか納得できないということになるのだろうと思います。一つは、法文上の制約ということではあるのですが、私自身まだ十分に理解できていないのですが、法文上の制約というのは、一般に認められるというのは多分、法律用語としてもそれほどおかしくはないと思うのですが、本当にそういう制約があるのかどうかということ、そしてもう一つは、我々が最終的な要綱案を取りまとめて、そこで「一般に認められている」ではなくて「一般に認められる」というふうな要綱をまとめたときに、もちろん法制審議会は条文の形ではない形で方向を示すのが役割ですけれども、内閣法制局で、例えば政府提出の法案として出すときに、法制局の判断で「一般に認められているもの」と変更することは可能なのでしょうか。2点確認しておきたいという気がいたします。やはりそこの部分をうまく説明していただかないと皆さん納得してもらえないのかなと思います。 ○櫻庭幹事 現時点でお話しできる範囲で少しお話させていただきたいと思います。法文上の制約ということで先ほどお話がありましたけれども、法令用語の制約というよりは法制上の制約といいますか、実際この内容につきましては政府の提出法案として閣議決定を経るということを考えますと、その前提として、やはり内閣法制局の審査ですとか、いろいろなプロセスを踏んだ上で最終的に法案になるということでございます。要綱の形で大きい思想として、こういうふうな法律がいいのではないかという形で思想として提案するということになりましても、最終的にはいろいろ既存の法律のバランスとか、あるいは用語、字句のバランス、そういったものを含めて、ある程度法制局との調整というのが必要になり、そこでどういった形で取りまとめられるかというところになります。そういった意味では、大きい思想はこうだけれども、最終的に条文の形になるときは、少しそういった審査を経た上でないと条文にならないといったところで、その感触からいいますと、「認められている」というような表現でなければ、なかなか理解が得られないのかなと考えているというところでございます。   あと、最後、要綱と最終の条文が違う場合があるのかどうかということですけれども、これは、少し例は違いますけれども、議員の方で、国会の審議の方で修正するということも当然あり得ますし、そういった意味では、要綱のとおりに最終的な条文が完成しないということは当然考えられるところです。また、先ほど申し上げましたように、内閣提出法案ということになりますと、やはり内閣の審査というのがどうしても入ってくるわけですので、そこで調整が入るということはプロセスの上ではあり得るのではないかと考えております。 ○窪田部会長 櫻庭さんを追及しているわけではないのですが、法制上の制約の部分についての説明は、やはり十分には理解できませんでした。最終的に内閣が納得するか、内閣法制局が納得するかという点で、そう簡単ではない問題があるというのは十分に理解できたのですが、法制上の制約という点に関していうと、皆さんは必ずしも無理なことを求めているわけではなくて、現に一般的に認められているものよりは、もう少し将来に含みを含んだ規準を立てたいというのが中身だったと思いますし、それほど法制上の話としても無茶な話をしているのではなかったかなと思いますので、もう少し皆さんが納得してもらえる説明をうまく工夫していただく必要があるのかなと思いました。 ○金子委員 今の窪田部会長の御質問に関してですけれども、櫻庭課長からお答えがあったとおりですが、まず、内閣提出法案になるには内閣法制局の了解がなければ出せませんので、そこはまず大前提です。他方、法務省の事務当局としては法務大臣から諮問をされて法制審議会で御議論を頂いているので、法制審議会の答申を最大限尊重するという立場であります。この両者が食い違わないようにするのが望ましいというのがこれまでの法制審議会の営みでありますので、最終的に答申いただいた内容に沿って最大限、法案化するというのが我々の仕事なのですが、しかし、それで法案が出せなければ何もならないので、調整をしていくことが求められることになります。   それから、より本質的な問題としては、恐らく「一般に認められている」というのは「一般に認められる」というものよりも規範として明快なのだと思います。つまり、資料として出そうと思えば出せるものというのが「認められている」というものではないかと思うのですが、そういう意味では規範としては明快なのだと思います。ただ、現に資料として出せなくても、将来のことも考えれば、そういうものも認められていいはずだ、そうやって命名文化というのが形成されてきたのだというここでの議論はもっともで、「認められる」ということにその辺の思いを込めたいというのも分からなくはないです。   ただ、「一般に認められる」といったらそれを判断するのに困らないかというと、そこはなかなか困ることも出てくるのではないかという気がしています。他方、読み方である以上、全く字との関連性がなくていいというものではないということもコンセンサスがあるのではないかと思っています。確かに規範として「認められる」というと、どうもこれが認められるか認められないかといったときの規準というのですか、判断が相当難しい感じがして、それよりは「認められている」とした上で、こういうふうな読み方の余地は十分あるのではないか、例えば、音や訓の読み方のうちの一部を取り出して、「愛」という字の「あ」をとって、これは「あ」と読ませているのですとかいう説明ができれば、それは「一般に認められている」という文言でも十分許容できるという感じもしています。   ここの法律上の文言は「認められている」としつつ、現に使われているものにつきましては、こうやって使われている例がありますというものを示しつつ、でも、今まではないけれども漢字の組合せとしては十分読めますよねというものについては、「認められている」という表現の中での運用をかなり柔軟にすることによって対応するということでも、委員の先生方の懸念に対しては十分こたえられるのではないかと思っています。   引き取って「認められる」でもう一度考えてみるということも選択肢としてありますので、それも我々としては否定しませんが、「認められる」と「認められている」の違いがあるとすれば、「認められている」の方がチェックはしやすいのではないですかというところが根底にあって、他方で「認められている」では受け入れられないけれども「認められる」なら受け入れられるという違いがあるものでもないとすれば、「認められている」といいつつ運用で対応するということもあっていいのかなと、そのように思っています。 ○窪田部会長 いろいろな状況を私も理解しているつもりなのですが、恐らく「認められている」に比べると「認められる」の方が規準としてはっきりしないというのは、そうなのかなと思いつつ、はっきりしないからこそそれが望ましいのではないかという意見が、潜在的にはあるのではないかという感じがいたします。最終的に内閣法制局との調整を経てということは、別にこの部会に限らずいろいろな場面で出てくることではあるのですが、ただ、実はこの第1の2の部分の氏名の仮名表記の許容性に関しては、やはりこの部会の最も重要な部分として議論をしてきたところで、そこの部分で基本的には乙案ではなく甲案が当初、優勢だった状況の中で動いてきていますので、金子局長の御説明はすごく工夫して御説明いただいているのだろうと思いますが、やはりもう一度持ち帰って御検討いただければと思いますが、よろしいでしょうか。 ○金子委員 それで了解しました。 ○窪田部会長 ほかに、第1の部分に関してはいかがでしょうか。御発言はございますでしょうか。 ○常岡委員 常岡です。今の金子局長の御意見を伺いつつ、私も先ほどから委員の先生方が発言されていましたように、元々はやはり甲案でという考えでありましたし、ここも「認められている」という今回の第1の2の案が出てきましたけれども、やはりそれが余り制約的に萎縮的に用いられないようにという懸念も持っておりますので、可能であれば「認められる」という方向性で再度御検討いただければ、この部会の意見が反映されて、非常に望ましいと思っています。ただ、どうしてもそこで何か厳しい、やはり「認められている」という文言でという方向性になっていった場合に、それをどう考えるかということでもしも考えるとすれば、という意見を申し上げたいと思います。   余り筋のよくない解釈になるような気がして、ここで申し上げていいかどうか分かりませんけれども、国語の漢字の一般的な読み方ではなくて、飽くまで「氏名として用いられる文字の読み方」というものが、ここでまずかぎ括弧の中に入ってきます。そして、一般に認められているということであれば、例えば過去に例が出てきましたけれども、「海」と書いて「まりん」と読む、「空」と書いて「すかい」と読む、あるいは「騎士」と書いて「ないと」と読む、そのような読み方も事実上今、一般に認められているものと解することができるとすれば、また、これは先ほどの第2の2(7)とも関連するかもしれませんが、そういう読み方を現に使っているのであればそれは受け付けられるという考え方であれば、かなりの数で現在認められている「空」、「海」、「騎士」以外に、例えば新たに「月」と書いて「るな」と読ませるという方が出てきたときに、すでに認められている「空」とか「海」とか「騎士」の読み方に類するものとして、「月」を「るな」と読むというものも解釈としては一般的に認められた読み方の一種であるということで、受容されていくこともあり得るのではないかと思いました。先ほど部分訓の話がありましたけれども、それにとどまらず、このような既に認められている読み方に類するものとして、新たな漢字について新たな読み方をする場合も第1の2の条文の中で吸収することはできるのか、できないのか、そこが一つ大きなポイントになるかなと思いました。   もう一点は、「認められるもの」とした場合に、規定として、「認められているもの」よりも曖昧というか、判断が難しいという御発言がありました。それはその通りかもしれないと思います。戸籍の窓口で、既に認められているものの中での類推で対応するのと、一般に認められるかどうか自体を判断するということとでは、窓口の担当の方の判断の難しさというのはやはり違ってくるように感じた次第です。   飽くまで、もしもこのままで行くとしたらどう解するのかということでの現時点での感想のようなものを申し上げましたけれども、このような考え方もあり得るのかなと思いました。 ○窪田部会長 ありがとうございました。常岡委員御自身は「一般に認められる」という方向で考えられないかという御提案、御意見に賛成ではあるけれども、しかし、そうではなくて今の「一般に認められているもの」ということを前提とした場合にどういう対応が考えられるかというと、一つは既に認められている読み方、「騎士」と書いて「ないと」と読むとか、そういったものの類推で幅を広げていくという形で対応することができるのではないかということ、それからもう一つは、「一般に認められる」にすると、確かに窓口の担当者の判断は難しくなるかもしれないという2点を御指摘いただいたかと思います。   ほかに第1の部分について、御意見はございますでしょうか。 ○西幹事 西でございます。ありがとうございます。1点だけ、もし可能性があればということで意見を述べさせていただきます。   今、手元で検索してみましたところ、確かにメジャーな法律の中では「一般に認められている」という表現が9件で、「一般に認められる」という表現は1件でしたので、圧倒的に法制的な観点からは「一般的に認められている」の方が使いやすいというのはよく分かりました。分かりましたけれども、やはり私は「認められる」の方が広がりがあっていいと思います。先ほど、これをどこに置くのですかと伺ったのは、戸籍法ではないところに置くという可能性があるのではないかという趣旨で、実は伺いました。ですので、先ほど藤原委員の方からお話がありましたように、場合によっては戸籍法ではなく規則レベルに落とすことによって、規制というニュアンスを1段落として目立たなくするとか、そういうことも考えられるのかなと思いましたので、規定の場所なども含めて、あるいは規定を置く法律なども含めてお考えいただけないでしょうかという意見でございます。 ○窪田部会長 ありがとうございます。戸籍法以外に置くということも含めてということでありましたけれども、これについては何かございますか。 ○櫻庭幹事 恐らく今回、氏名の読み方を法制化するに当たって、先ほど部会長からも御発言がありましたように、ここがある種、肝になるような規律で、重要なルールを決めるということになりますので、やはりそれは規則というふうな法務省令のレベルで規律するより、国会の審議をきちんと経た形で法律に明定して規律するというのが原則なのかなと考えているところでございます。 ○窪田部会長 西幹事、よろしいでしょうか。 ○西幹事 ありがとうございます。 ○窪田部会長 ほかはいかがでしょうか。 ○畑委員 畑でございます。内容的には今まで皆さんがおっしゃったことと同じですが、一応意見の分布を示すという意味で、一言だけという趣旨です。   私も氏名との関連性について、現在の案だと少し固定的な印象を与えるという感じがしております。この部会での大まかなコンセンサスのようなものからすると少し固定的な印象を与え過ぎるというところがあり、できれば何か表現を工夫できないかと、それから、それが法制的な理由で難しいということであれば、説明の仕方等について十分考慮する必要があるという、今までの多くの皆さんと同じ意見です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。現在の案では固定的な印象を、少なくともこれまでの議論との関係でいうと、強く与えるのではないかということで、表現を工夫できないかという御意見であったかと思います。   ほかはいかがでしょうか。次回が最終の部会ということにはなるのですが、今日かなりたくさんの御意見がこの部分について出ておりますので、法務省の方でももう一度御検討いただければと思います。   それでは、もし後からでも御意見がありましたら戻ってまいりますけれども、続きまして、「第2 氏名の仮名表記の収集に関する事項」について、事務当局から御説明をお願いいたします。 ○櫻庭幹事 部会資料12-2の2ページ、第2の「1 氏又は名が初めて戸籍に記載される者に係る収集等について」を御覧ください。こちらは部会資料11からの変更点はございません。   同じく2ページ、第2の「2 既に戸籍に記載されている者に係る収集について」を御覧ください。本文について、部会資料11からの変更点としましては、形式面のほか、本文(7)の規律を追加しております。これは従前、第1の2の補足説明に記載していた内容でございますが、これまでの御議論において反対の御意見がなかったことから、経過措置に関する規律として本文に明記することとしたものです。   3ページの補足説明1として、前回会議において御意見を頂いた、戸籍に記載されている氏について記載しております。民法第750条の規定を前提に、戸籍法第9条において、戸籍はその筆頭に記載した者の氏名及び本籍でこれを表示すると規定されております。参考資料12は戸籍事項証明書のひな形に関する資料でございますが、こちらを御覧いただくと、一番上に本籍と筆頭者の氏名が記載されていることがお分かりいただけると思います。このように、筆頭者の氏名は本籍とともに戸籍のインデックスとして機能しているものでございまして、民法の規定を前提として、筆頭者の配偶者や子は筆頭者と同じ氏を称することとされています。したがって、戸籍に記載されている氏は筆頭者の氏であり、通常、筆頭者は婚姻前からその氏を称している者であることから、その配偶者や子に比して当該氏を称している期間が長いと考えられますので、当該氏やその仮名表記について最も熟知しているのは筆頭者であると考えられます。   次に、3ページ、補足説明2に記載のとおり、前回会議において、氏の仮名表記に係る届出人を戸籍の筆頭者としている点に関し、筆頭者が長期療養中である場合や失踪中である場合など、筆頭者による届出が困難である場合の対応について検討すべきであるとの御意見を頂きました。この点につきまして、筆頭者が長期療養中の場合であっても、郵送による届出や使者による届出が可能でありまして、また、届出人が疾病その他の事故によって出頭することができないときに該当する場合には、委任者である筆頭者本人の委任状を要するものの、代理人による口頭による届出も可能です。また、筆頭者が失踪宣告を受けた場合には当該筆頭者は除籍されることから、本文(2)の規律に従い、第2順位として配偶者、第3順位として子による届出が可能となります。   なお、筆頭者が氏の仮名表記の届出をすることが困難な場合には、配偶者又は子が届出をすることができる旨の規律を設けることとすると、届出に際し筆頭者が氏の仮名表記の届出をすることが困難であると認められるか否かについて実質的な審査が必要となり、市町村窓口における審査の負担が懸念されることや、疎明資料等が必要となり、オンラインによる届出も困難となることから、そのような規律を設けることは相当でないものと考えられます。   次に、4ページの補足説明3において、オンラインによる届出について記載しております。具体的には、氏又は名の仮名表記の届出については、書面による届出のほか、マイナポータルを利用したオンラインによる届出を可能とすることを想定しております。なお、詳細については今後、デジタル庁と調整を進める予定でございます。また、あわせてマイナポータルのお知らせ機能を用いて氏名の仮名表記の届出を促す通知を送付することについても今後、デジタル庁と調整を進める予定でございます。   第2の2に関する説明は以上です。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ただいま櫻庭幹事から御説明を頂きました点について、御質問や御意見があれば御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。 ○藤原委員 藤原です。質問と確認、それぞれ1点あります。   まず質問です。第2の2(4)、市町村長の戸籍への記載に関してですが、そもそも今回の改正は、戸籍法に氏名の読み方を記載することを規定して、その氏名の読み方を国が公証するということで理解しています。質問の骨子は、第2の2の(1)から(3)でされる氏名の読み方の届出がされた場合と、2(4)の市町村長が氏名の読み方を戸籍に記載した場合の、それぞれの戸籍の公証力に差があるのかどうかという点です。   というのは、事前の説明で、私が以前も相続の場合に関して御質問したのですが、ある人が氏名の読み方を届出せずに、1年後に市町村長によって氏名の読み方を戸籍に記載された後に亡くなった場合、その人に対する相続が発生して、実はその人の実際の読み方は市区町村長が記載した読み方と異なっていた場合についてです。相続のときには、大体、出生から死亡までの戸籍を金融機関なりに提出して相続の手続をするのですが、その場合に、市区町村長が記載した読み方と、元々、生前に金融機関に届けていた名前の読み方が異なっている場合に、その齟齬によって相続手続ができなくなるのではないですか、その場合にどうするのですかとお尋ねしたら、事前の御説明では、市区町村長による読み方の記載は必ずしも実態を反映したものではないので、このような場合は、金融機関に対する届出の読み方の方が優先されるのではないか、そして、このことは、改正法の施行時にその点を金融機関に告知するようになるというような御説明を受けたのです。そうだとしますと、戸籍への氏名の読み方の記載について、自分が届け出た場合は公証されるのですが、市区町村長が記載した氏名の読み方に関しては、結局、戸籍に一応記載されても公証力としては劣るのではないかという疑問を持っております。それで、その差があるのかどうなのかという質問です。   第2点としては、先ほどの(7)の規定について、事前説明のときに、(1)、(2)又は(3)により、という部分には、上記の(5)と(6)の場合も入るのではないかという質問をしましたところ、事務当局からは、入りますというお答えだったのですけれども、この場で、この点を改めて確認させていただきたいと思います。以上2点です。 ○窪田部会長 2点御質問いただきました。一つは、(1)から(3)で自分で届け出た場合と、(4)で市町村長による場合で、戸籍の公証力に差は生じるのかということで、具体例としては、銀行に登録してあった読み方と異なる場合というのが挙げられていました。それから、2番目の御質問としては、(7)で(1)、(2)又は(3)となっていますけれども、(5)と(6)は含まれないのかという御質問、2点でございました。事務当局からお願いいたします。 ○櫻庭幹事 まず、先の質問に対してお答えしますと、(1)から(3)につきましては届出によって読み仮名が記載されるということですので、記載ぶりとしては届出によるということが分かるような形で戸籍で証明されると。(4)につきましては、届出がない形で市町村が職権で記載したということが分かりますので、職権で記載したものとしての証明書が出されると。いずれも届出か職権か、そういった形でされた読み仮名であるとの公証がされるということになると思います。   銀行の関係で言いますと、先ほど出てきたところで言いますと、職権で記載されたものについては本人が望んだ名前で記載されていない可能性があるということでしたので、これまで使っていた、実際に使っている預金口座の氏名と違う場合があると。そういった場合に銀行はどう捉えるかといいますと、届出されたものであれば、本人が自分であえて違う名前を届け出たということになれば、それは本人の自己責任ということになるのかもしれませんけれども、そうではなくて職権で記載されたということが分かれば、それは本人の使っていない名前がその場合に戸籍に記載されているとも考えられますので、そういった場合にはそこの部分については判断の材料にしないという考え方ができるのではないかということで、少し前にお話ししたということでございます。   結論からいうと、いずれにしろ戸籍の証明書に届出なのか職権なのかということで分かる形で記載されますので、それに応じた証明力があると。証明力がなくなるというわけではなくて、全体としてそういったものとしての戸籍の証明書として発行されるということになるのではないかと考えます。   あと、2番目のお話で、3ページの(7)の話ですけれども、これにつきましては届出によって一般に認められている読み方以外の読み方をする方については、その届出をする際に、現に使用していることを証する書面を提出してくださいというふうな話で書いておりますけれども、それを変更する場合も、一般に認められているような読み方でないといった類型に該当するとして、でも、それは現に使っているのですと、だからこちらの名前に変更してくださいという場合には、同じように、一般に認められている読み方ではないものであれば、現に使用していることを証明する書面を出していただくことになりますので、(1)から(3)に限らず、(4)、(5)も、これは対象になり得るのではないかと考えるところです。 ○窪田部会長 よろしいでしょうか、少し関連して私の方から質問させていただきたいと思います。最初の点なのですが、職権記載によった場合に、銀行の届出がなされている読み仮名があって、そちらの方が実質的には優先するだろうということで、遺産分割のときとかにそれをするというのは分かるのですが、その後、戸籍の記載は別にそれだけでは当然には変わらないですよね。 ○櫻庭幹事 それだけでは変わりません。 ○窪田部会長 それが少し確認しておきたい1点目で、2点目は、実は藤原委員から御指摘があった問題というのは(1)から(3)でも同じように発生するわけで、かつての銀行ではこういう振り仮名を届けていたのだけれども、今回届け出るところでは違う、もっと我が家は昔から本当はこのように呼ばれていたのだというものを届け出た場合には、ずれがあって、遺産に含まれるかどうかでもめるケースは出てくると思います。ですから、その意味では、(1)から(3)と(4)で違うというよりは、全部を通じてこの問題はあるのかなと思いました。最後の点は、回答を求めるというよりは、結構ややこしい問題が出てくるのだろうなということだけです。 ○舩木委員 ありがとうございます。まず、質問ですけれども、今回のこの制度について、今まで何回か私も発言しています。(4)の職権記載の内容について、事前または事後に国民に対して通知することを必須の要件としていないということですが、それは規則47条の2に反することにならないのでしょうか。確かに規則47条の2というのは戸籍法24条の規定によって戸籍を訂正した場合の規定であって、今回の職権記載については経過規定として規定する予定であるから、戸籍法24条の規定に関する適用はないのですという説明が一応成り立ちそうな気はいたします。しかし、この規則47条の2という考え方は戸籍の取扱い業務についての基本的な姿勢の規定であって、戸籍法24条の職権訂正の場合の特有の規定ではないと思います。結局、国民に通知をしないということは、この規則47条の2の趣旨に反しているということは明らかであると思いますが、どうしてこういう規定で、国民に対する通知を必須の要件とはしないことにしようとしているのか、それが可能だと考えているのかという点について説明をお願いいたします。 ○窪田部会長 舩木委員からは以前からも、国民に対する通知が必須であるということを御意見としてずっと発言していただいていますが、今回これが必須のものとはされていない点について、戸籍法施行規則47条の2の、市町村長は戸籍法これこれの規定によって戸籍の訂正をした場合には、速やかに届出人又は届出事件の本人に連絡を行わなければならないという規定に反する、あるいはこの規定の趣旨に反するのではないかという御指摘があり、それを踏まえて、このような規定で大丈夫なのかという御質問だったかと思います。これについて、まず御説明いただくことはできますか。 ○櫻庭幹事 舩木委員の方からもありましたとおり、この47条の2というのは戸籍法24条で錯誤、遺漏があって訂正した場合の規律ということですが、今回の氏あるいは名前の読み仮名を届け出ていただくというのは新たな規律ですので、ここに該当しないというところが形式的な理由になります。   また、通知を必須の要件としていないという考え方の実質的な理由としましては、まずは今回、氏名の読み仮名を記載するというところで、届出をしていただいて、届出がない場合には住民基本台帳で管理している情報を活用させていただいて、それを戸籍の方に記載するという大きい仕組みを周知することによって、事前にどういったものが読み仮名として戸籍に記載されるかというふうなことで認識できますので、大きい枠組みを周知することによって、個別に通知しなくても目的が達成できるのではないかと。そういった思想から、今の案については特に個別の通知を想定していないと。どういうふうに読み仮名が付くかというのはある程度想定できるといったことも踏まえまして、仕組みを周知することによって対応できるのではないか、こういった思想から、現在の案になっているというところでございます。 ○窪田部会長 舩木委員、続けて御発言ありますか。 ○舩木委員 続いて質問をもう1個させていただいた上で、また意見を述べさせていただきたいと思います。   二つ目の質問ですけれども、今回の第2の2の(4)の職権記載をしようとする内容について、仮にその事前通知をするという制度をとった場合には、(5)の制度は必要がないと私は考えているのですけれども、そういう考え方についてはいかがでしょうか。必ず(5)という制度というものが必要なのでしょうかということです。 ○窪田部会長 ありがとうございます。仮に仕組みとして(4)の職権記載について事前通知がなされるということになった場合には(5)は不要になるのではないか、逆にいうと、(4)の職権記載のときに事前通知が実際にはなされるということになった場合、(5)に当たる部分をどうするのかという点も含めて、法務省がどう考えているのかということについての御質問かと思います。いかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 基本的な考え方としては、(4)と(5)は別の話で、こういった読み仮名を職権で書きますよということと、そこで書いたものが違うということもありますので、内容的には違う話だと考えております。法制的には、こういうふうに問答無用で書いてしまいますということで、それでやり切りになるというところまで制度を持って行くのであれば、それは変更の届出は必要ないということになるでしょうけれども、多少そこは乱暴なところがありますので、こういう名前を記載する予定ですよということにした上で、それが違うというのであれば、それは本人の希望に沿った形で直すということで対応するということもありますので、基本は少し別物ではないかと考えているところです。 ○窪田部会長 ありがとうございました。 ○舩木委員 それでは、意見を述べさせてください。私は、この(5)という制度は弊害の方が大きくて、余りこういう制度を設けるべきではないという意見を持っています。(5)の制度があることによって、今回の法改正についての国民に対する説明の仕方というのも大きく変わってくることになると思います。一定の期間に届出をしてください、届出がなかったら職権で記載されることになります、職権記載された内容が使用している氏名と異なるときには一度限り家裁の許可を要せずに届出だけで変更することができるという制度ですという言い方になってしまうと、国民に対して基本的にはそれほど急いで届け出る必要はないよねという印象を与えるような制度になってしまいます。   むしろ事前通知をしっかりして、今回こういう法改正で届出期間があり、届出期間内に届け出てください、届出がない場合には市町村長が把握しているところの住民票に記載している読み方が職権で記載されます、あなたの読み方はこういう形で記載されます。仮に職権で記載された内容が使用している読み方と異なる場合には家庭裁判所で読み方の変更の許可を得る必要があります。だから届出期間内に届けてください。そういう広報の仕方になると、明らかに後者の方が明解であると思います。要するに事前通知の方法でないと、効果が非常に少ないのではないかというのがまず一つの意見です。   それと、国民に対して事前又は事後に変更された戸籍の記載内容を通知するというのは、戸籍事務の作業として根本的なところであると思っております。その点について、届出がなかったから職権で記載しましたが、あなたはその記載される読み仮名を事前又は事後に確認をしなかったのであるから、その記載された内容について気付かないまま運用されていたとしても、それは仕方がないという取扱いはやはり容認できません。こういう取扱いというのを法務省が行おうとするということは、これはおかしいのではないかと思います。   国民に対する通知の対応の問題は、予算的な措置というのが多分一番大きな問題なのだろうと思いますが、その問題でいうと、やはりここの予算を削減するべきではありません。要するに、今回の氏名の読み仮名を法制化するという制度は、これからの日本のデジタル社会の基盤を作るための基礎として、戸籍に名前の読み方も記載事項として加え、それを個人を特定する要素にしようということで始まっているものです。つまり、デジタル社会の構築というのを大きなビルの建築に例えるならば、名前の読み仮名を法制化するということは、建築杭の設置や基礎工事を行う部分に該当するところで、建物完成後は目立たないけれども、不安定な基礎や、杭が不十分だったというような場合であれば、その後に建築した建物が使い物にならないということになってしまうというような危険をはらんでいるところだと思っています。このような役割に対して、通知費用が例えば100億円掛かるとしても、その程度の金額をここで削減して不十分なものにするということであれば、そもそもデジタル社会の構築をやろうとする制度自身が不十分な結果になると考えざるを得ないので、この制度に関しては反対といわざるを得ないというのが私の意見です。 ○窪田部会長 舩木委員から御指摘があった点は2点に整理できるのかなと思いますが、まず(4)の職権記載の部分については、事前の通知が必ず必要だと、それはもう制度設計上不可欠だということ、職権記載の場合の事前通知を行った場合に(5)との関係はどうなるのかということで、先ほど法務省の方からは別の問題として整理することができるのではないかというのがあったのに対して、(5)というのはむしろ設けるべきではなくて、弊害の多いものだという御意見であったかと思います。   小幡委員からも手が挙がっているのですが、その前に総務省の方から、恐らく今の点にも関連すると思いますので、御発言を頂けたらと思います。 ○寺田幹事 総務省住民制度課の寺田でございます。今の件に関しまして、手を挙げさせていただきました。   今回、氏名の仮名表記ということで、これは戸籍制度上公証の対象とする記載事項になるということであると承知しております。そういうことを前提にして考えたときに、届出を皆さんがなされればいいわけですけれども、届出がない場合に、2(4)にあるように最終的には、1年間の後ということになるのでしょうけれども、本籍地の市町村において記載するということになったときに、本人のあずかり知らないところで勝手に本籍地の市町村で記載したというようなことにならないようにするということが必要ではないかと考えております。そういった意味で、事前に本人に通知をして確認を求めるということが必要ではないかと考えておるところでございます。そういった議論も本部会の中でも議論があったところだと思いますけれども、そういう意味で、本人に届出を促すという観点からも、こういうふうに公証として仮名表記を書くということを通知することが必要ではないかという意見でございます。   と申しますのは、前回も申し上げましたけれども、住民基本台帳の住民票に書いてある振り仮名というものは、飽くまで公証の対象ではなくて、参考として使うことはできるかもしれませんけれども、戸籍制度の読み仮名、仮名表記とする根拠たり得ないものだと考えます。飽くまでそれを参考にしながら戸籍制度の責任において本籍地の市町村で記載するということについて、きちんと本人とコンタクトを取るという手続が要るのではないかと、このような観点で申し上げたいと思います。   法制面とか予算面とかも含めていろいろ検討も必要かと思いますけれども、この点、住民基本台帳に書いてあるということに依拠して、戸籍の仮名表記はそれでいいのだという説明というのはなかなか難しいと思います。住民基本台帳の制度も、戸籍に書かれているものを基に住民基本台帳を作っていくということになりますので、基本のところをきちんと本人とコンタクトを取るというために、通知といったところが必要ではないかと、このように考えておるところでございます。 ○窪田部会長 ありがとうございました。市区町村長の持っているデータとの関係では、言わばもう一人の当事者となる総務省の側からの御説明と理解いたしました。(4)の職権記載に関して、本人のあずかり知らないところで戸籍に記載されるというような事態を避けたいという意味では、事前通知をして一定の了解を得るといったような仕組みが必要なのではないかということで、これは法務省と総務省とその他の省庁との間で今、折衝していただきながら進めているところなのだろうと思いますが、恐らく実際に総務省からそういうふうな御提案があった以上は、その方向で進んでいくことになるのだろうと思います。予算面については分からないですけれども。したがって、今日答えが出るかどうかはともかく、少なくとも次回の段階では職権記載に関して一定の手当てがなされているということを前提に、もし取りまとめができれば、その方向で取りまとめをしたいと考えております。 ○小幡委員 今の話は新しく明確になった話ですが、私もいきなりというよりは本人に通知することはあった方がよいと思うのですが、今、総務省さんが考えているのは、まだここでは詰められないのかもしれませんが、届出が出なかった方に対して通知する、こういう読み仮名で表記する予定であるという、そんなことを考えられているのかなと思うのですが、まだ定まっていないのであれば結構ですが、それをお伺いできればと思います。   結局、この制度というのは本人の届出によって仮名表記をするか、あるいは本人が届け出なかった場合に、市町村長が記載するというものですが、私は実際は職権で記載するというのはよく分かっているのですが、余りこういうところで職権記載と書くと、国民の目線からすると、職権というのがぎらつくと思いまして、職権という言葉は使わない方がよいのではないかと申し上げていたのですが、ここでは使われていないので、その方がよかったと思います。つまり、届け出なかった場合についての記載を誰かがするということで、市町村長が職権でするのですが、職権というと公権力の行使という感じがするので、職権とは言わず、これでよいと思うのですが、市町村長が記載するに当たって、確かに、いきなりというのもよくないので、先ほど舩木議員からもございましたが、舩木委員は事前通知ということを考えていらっしゃるようですが、総務省さんも通知することを言われています。ただ、届け出なかった人に通知するとすれば、届出期間が1年間あるので、届け出なかったという判断をどこでするか、1年間経ってからして、そこで通知ですかね、いずれにしても制度設計がかなり大変かなという感じがしましたが、国民にとってはその方が親切だと思いますので、是非それは考えていただいた方がよいかと思います。   それで、今の住基の方で持っている読み仮名の情報、データについてですが、4ページの(4)の現に使用していることを証する書面との関係ですが、今、旅券と各種保険の被保険者証とだけ書いてあるのですが、常識的に考えると、昭和53年以降は出生届のところで、公証ではないですが、戸籍のところで便宜的に仮名を振っている、それがそのまま住基の方に行っていると考えると、住基のところで持っているデータに、振り仮名として少し珍しい仮名が存在していることはあると思うので、当然それは認めてよいという感じが私はしているのですが、ただ、昭和53年の出生届に書かれない前の段階は、誰が振ったのかがはっきりしない、多分本人ではない、転入の時などに本人が自分でチェックしている場合もあるかもしれませんが、必ずしもそうでない場合もあるので、確かに住基の方でもなかなか扱いが困るというのはよく分かります。ただ、何かデータとして持っていれば、それは本来の公証行為のあるものではないですが、慣用的に使っているという、現に使用することを証する書面にはなるのではないかという感じがしております。   それから、もう1点だけ、ここには書いていないので、確認なのですが、結局、本人が届け出ればそれによるということになって、それが先ほどの一般に認められるというところがオーケーならば認められると思うのですが、そうすると、例えば、特に名前の方の話ですが、氏の方はなかなか、筆頭者の婚姻のときにこう決めたというのがあるので、継続性、安定性もあって難しいと思うのですが、名前の方は、例えば、「きこ」と「のりこ」と両方読み方があった方が、今回新たに法律事項になったのだから、今までは「のりこ」と呼ばせていたけれども、自分は「きこ」にしようと新たに届け出る、別にそれは一般に認められている読み方なので、そちらの方は問題はないと思うのですが、それは可能だという理解でよろしいですねという、1点確認をできればと思います。国民の方からそういう質問があるのかなとも思いました。 ○窪田部会長 3点御発言を頂いたかと思いますが、一つは総務省のいう通知をどの段階でということは、これはもう今の段階でもう具体的なプランがあるのだったらお話を頂いてもよろしいかと思いますが、恐らく法務省との間でも具体的に詰めていっての作業になると思いますので、その段階で具体的にお示しを頂くということでもよろしいのかと思います。それから2番目としては、住基のデータというのは現に使用していることを証する書面には少なくとも該当するのではないかという御指摘、それから3番目として、「きこ」、「のりこ」という二つの読み方があるものについて、今まで両方とも使ってはきたのだけれども、この際一つの方にまとめるということで、それが可能なのかどうかについて確認しておきたいということだったのですが、以上の3点、現時点ではまだ整理していないという点もあれば、その点を御発言いただければ結構ですけれども、何か御発言いただくことはありますでしょうか。 ○櫻庭幹事 3点頂いた意見について順にお話しいたしますと、通知につきましては今回、総務省と舩木委員の方から頂きましたので、どういうふうにするのか、事前通知とか事後通知とか、いろいろやり方はあると思いますし、そうした場合に全員やるのかとか、誰を対象にするのかとか、そういったこともありますので、そこは頂いた意見を踏まえて少し検討する必要があるのかなと思っております。ですので、今具体的に何か決まっているというような状況ではございません。   あと、2番目の内容としては、小幡委員の方から、お話があった点です。戸籍の届書の様式、これは昭和53年の通達で様式が決まっていて、その際によみかた欄を設けたということで、戸籍の出生届とか、そういったものを届け出ていただくときに、よみかた欄を設けて、住民票の作業に必要ですから書いてくださいといったことが記載されています。そういう意味では、昭和53年以降に生まれた方については戸籍の届出をしたときの読み方というのが決まっていて、それを住基の方で持っているのであれば、それを活用できるのではないかという御指摘ではないかと思われます。   ただ、届出いただいた情報ということで、それを一つ、住民票の方で公証しているのであれば、それを活用できるのかなとは思うのですけれども、内部のデータで持っているだけだとすると、難しいのではないかと。本人に書面を求めるというふうな建て付けで考えるとして、本人を介して書面は出てこないようなことになるのかなと思います。そこは市町村の方で確認するというふうな手立てはまた別途、あるのかないのかというのは考えなければいけませんけれども、市町村によってはふりがな情報を公証しているという市町村があるやに聞いていますので、そういった市町村であれば書面を出せるのかなとは思いますけれども、一般の市町村というか、そういうふりがな情報を含めて公証していないようなところだとすると、本人を介して書面を出させるというのは少し難しいのかなと思った次第です。   また、3番目、「紀子」というのを「きこ」にするのか「のりこ」にするのかというところは、2番目の論点と関連するのですけれども、本来的には、昭和53年以降は読み方として出生届のときに書いていただくものですから、多分決まっていて、それを決まった名前で活用するというか、そういった決まった名前で社会的に活動されているということだと思います。もっとも、今回、読み仮名を収集するに当たって、一般に認められている読み方でなければならないという規律が認められるとすると、そういった規律の中で改めてそれを見るものですから、市町村の方は遡って出生届とかデータで頂いた情報を管理できるような状況であれば、それと照らし合わせるということはあり得るのかもしれませんけれども、そこまでしないとなるとすれば、一般に認められている読み方で出されてきたものについては、特に過去との整合性なく、それが読めるというふうなものであれば、そのまま窓口で、「きこ」だった人が実際、「のりこ」でも読めるわけですから、「のりこ」と出たときに、そこは拒まない運用が考えられるのかなとは思います。本人の行動といいますか、親を含めた行動から考えると、元々決まっている名前があるとすれば、本来であればそれを届け出るのが基本かなとは思いますけれども、窓口の運用としては多分そこまで確認しないとすれば、改めて読める範囲であれば、違う名前になったものが出てきて、それを認めるということは考えられるのではないかと思う次第です。 ○窪田部会長 小幡委員、いかがでしょうか、よろしいでしょうか。 ○小幡委員 はい。2点目に私が申し上げた点は、よく考えてみると、かなり変わった名前が既に住基の方で、つまり昭和53年以降の出生届のところで届け出て、それが通って、そのままあったら、放っておけばそれがそのまま職権といいますか、そのまま記載されるはずなので、何もしなくてよいということになりますかね。それを1年間届け出なかった後に職権で記載するときに、はじくということはしないと思うので、そうすると、逆にいうと何もしない方がよいということになる、よく考えてみると、2点目はそういうことになるかと思いました。   3点目については、結局考え方だと思うのですが、今までは法律事項でなかった読み仮名がここで初めて法律事項になることになったので、それをどう捉えるかということで、自分が新しくこうしたいと思うのであれば別に止める必要はないと。今のお話は自然に、止められないだろうから、そうなるだろうということだと思うのですが、特に継続的なものでなければいけないというのはどこにも書いていないし、ということなのかと思います。ただ、氏の方は少し御説明を伺ったら、いろいろ問題もあると思うので、なかなか変えるというのは難しいのかなと、その場合について、どこで読んで制限するのかというところ、少しそこら辺を、国民がやはり新しく読み仮名を今度付けたいと思ったときに混乱しないように、きちんと説明をしておいた方がよいのかと思いました。 ○窪田部会長 ありがとうございました。最後の御指摘の部分は、先生がおっしゃるような形で、多分実務上はじくことができないというだけではなくて、今回こういう仕組みが新しくできるわけですから、その時点で読み方というものについての一定の自発的なものが認められているのではないかという説明も十分にあり得るだろうと思いました。名字については、もう少し問題が複雑なのかもしれないけれども、その点についても検討する必要があるという御指摘だったかと思います。 ○金子委員 金子です。先ほど(5)の規律について、舩木委員の方は通知を必須とするということとセットでお考えだったと思いますが、櫻庭課長の方の説明は別のものという説明で、少し擦れ違ったままになっています。事前通知を組み込むかどうかということについては、先ほど部会長から御整理いただいたとおり、次回までの宿題ということになりますが、説明を付言させていただきたいと思います。  仮に事前通知を必須としても、私は(5)は置いておいた方がいいという考えです。といいますのは、通知があっても何もアクションをしてこない、届出をしてこないという場合について、通知が届いていたとしても積極的に届出をしたのではない方については、何らかの変更の機会を差し上げた方がいいのではないかと考えます。もう一つの問題は、仮に事前の通知を必要としても、一定数届かないという方が出てきますが、その方についてはおよそ職権で何もする必要はないというわけにもいかないという問題が生じ、そのような方についてきめ細かく手当てするのも難しいとすれば、そういう方も念頭に置いて、(5)のような規律を念のために置いておくという考え方があってもいいのではないかと思っています。   そういう意味で、事前の通知があってもなくても、そういう制度を入れたとしても、(5)の規律は置いておいた方がいいと思っているのですが、いや、弊害が大きいからやめた方がいいということであれば、そういう御意見があるのならば、少しお伺いしておきたいと思います。 ○窪田部会長 先ほどかなり詳しく舩木委員からは御説明を伺いましたが、ほかの方からも御意見があれば、まずそちらを伺ってと思います。前回も少しこの話が出たと思います。そのときに舩木委員は(4)と(5)がセットだという前提でお話をされていて、私の方からは必ずしもそうではないのではないかという発言をした記憶がありますが、いかがでしょうか。(4)の方で事前通知、あるいは事後通知、どちらになるかによっても少しニュアンスが違うのかもしれないのですが、事前通知をするとしても、それを見た上で了として何も言わないという人と、通知自体もよく見ていなかった人というのがいる状態を考えると、(5)の仕組みを残すということについては、合理的な選択肢としてあり得るのではないかというのが金子局長からの御説明でしたし、一方で舩木委員からは、いや、これは弊害が多いということであったのですが、ほかの方の御意見も少し伺っておければと思いますが、いかがでしょう。特にございませんでしょうか。 ○畑委員 畑でございます。先ほど金子委員がおっしゃったのと同じことを私も考えておりまして、特に後半ですが、通知というのはやはり着かないことが幾らでもあるということがあり、そこはやはり考慮する必要があるかなと私も考えておりました。 ○窪田部会長 ありがとうございます。 ○小幡委員 私も同意見で、飽くまでも受け身の話ですので、やはり(5)はあった方がよいと思います。 ○窪田部会長 ほかにいかがでしょうか。これは、今出た意見を基にして案を次回までに取りまとめてもらうことでよろしいでしょうか。   それで、先ほどからずっと外務省からもお手が挙がっておりました。外務省、御発言ください。 ○廣瀬幹事 外務省旅券課の廣瀬です。先ほど小幡先生から、「きこ」、「のりこ」という名前が両方使われている場合というお話がありましたけれども、外務省の旅券は、ローマ字表記ではあるけれども、これは公証しているものなので、以前から申し上げさせていただいているとおり、旅券を持っている人については整合性をとっていただくのが望ましいと考えておりまして、この点については法務省と、どういうやり方があるのかということはよく相談をさせていただいているところではあります。 ○窪田部会長 これは多分、以前からも出ていた話ではあるのですが、ただ、パスポートの方に記載されているものがあったら、それを戸籍に記載しなければならないという形で行くのか、以前話題になった際には、場合によっては戸籍の方でこういう形で新しく公証されるものが決まった場合には、そちらに合わせるというのもあるのではないかということも御説明があったように記憶しておりますが、その点は最終的に外務省と法務省との間で詰めていただければと思います。実際にもかなり問題となる場面が出てくるのだろうと思います。   第2の部分について、ほかはいかがでしょうか。 ○西幹事 西でございます。ありがとうございます。非常に単純な形式的なことで、初歩的なことかもしれませんが、第2の1(2)のところで、届出人と届出事件の本人が同一である場合にも、届出事件の本人の氏名を明記するものとするとされていますけれども、これは29条の4号の最初の、届出人と届出事件の本人と異なるときはという文言を削除するという意味なのでしょうか。あるいは、今回、第2の1のところに挙げられていますので、飽くまでも仮名表記に関係する場面ということなのでしょうか。 ○窪田部会長 今の点はいかがでしょうか。 ○櫻庭幹事 今考えているのは、届出人と届出事件の本人が異なるときだけではなくて、基本としては届出事件の本人の氏名と氏名の振り仮名、これらを記載事項にしてしまうということです。これまでは、届出人と届出事件の本人が同一の場合には署名していただくことになりますので、それをもって足りるという、そういった規律になっていたところを、届書にきちんと欄を設けて、届出事件の本人の氏名及び氏名の振り仮名というところできちんと書いていただく規律にすると、そういったことを予定しているということでございます。 ○西幹事 ありがとうございます。そうであるとすれば、要綱案での場所はここでよろしいのでしょうか。 ○櫻庭幹事 そうですね、一般的な規律として第4章の届出の記載のところの中に29条というのがあって、そこの届書の通則的な規律にそれを置くということを考えています。 ○西幹事 そうなりますと、要綱案では、今回第2の1のところに整理していただいているのですけれども、ここは場所としては適当なのでしょうか。 ○櫻庭幹事 雑則的なところといいますか、少し。 ○西幹事 (1)と並ぶレベルのことなのか、少し疑問に。 ○櫻庭幹事 要綱案での位置が適切かどうかということですね、趣旨は分かりました。そこは、場所についてはここでいいのかどうかというのをもう少し検討したいと思います。場合によっては、またこのとおりになるかもしれませんけれども。 ○西幹事 ありがとうございました。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   ほかはいかがでしょうか。   すみません、私の方からもう1点、ごく小さなことなのですけれども、筆頭者が長期療養中である場合や失踪中である場合などということで前回、疑問が提示されて、今回いろいろな形で御説明いただいております。病気療養中はうまく代理で説明できると思うのですが、失踪中で失踪宣告が出るまでというのは、かなりの長い時間が掛かるのですが、その場合には具体的にはどういうふうに手当てするのでしょうか。 ○櫻庭幹事 ここのルールとして、市区町村の担当者がきちんと判断できるということがあります。筆頭者を基本的に届出人とするルールが前提にあって、届出人が出せない場合にどういう場合があるのかというので、一番明確なのは除籍されているということで戸籍面上はっきりしている場合が、筆頭者がいないということが分かるパターンなわけです。失踪宣告が出ていれば分かりやすいですが、やはり失踪中という場面が難しいかもしれません。失踪中ということで、届け出る人がいないということが分かれば、そこはある種、届出できないということにはなると思います。趣旨からいいますと、誰が届け出るのだというルールをまず決める必要があって、それは筆頭者だということで決めた以上は、あとはその筆頭者が出せる状況だったら出していただければいいと。出せる状況かどうか分からないというところが、もし窓口で言われても、それは戸籍面上からは明らかではないので、そういった面では、そこは筆頭者がいない、除籍されている場合に比べるとはっきりしないということですので、そこは判断に困ることになります。失踪中の場合には宣告が出るまでとはいわずとも、そういった手続に入っていることが認識できれば、そこは除籍されているのと同じレベルで考えることができるかもしれないと思いますので、そこは我々のレベルで何かできることがあれば、少し検討したいとは思います。 ○窪田部会長 (2)のルールに持って行くには難しいのかなと思ったものですから、御質問したということです。少し検討していただければ有り難いと思います。   ほかはいかがでしょうか。   それでは、もう3時半にはなっていますけれども、休憩を入れずに、あと少しですので、頑張って最後まで行ってしまいたいと思いますが、部会資料「第3 氏名の仮名表記の変更に関する事項」と「第4 その他」につきまして、事務当局から御説明をお願いいたします。 ○櫻庭幹事 部会資料の4ページ、第3の「1 氏又は名の変更に伴わない場合の規律」、そして5ページ、第3の「2 氏又は名の変更に伴う場合の規律」の本文につきましては、形式面以外に変更はございません。   なお、第4として、その他所要の規定の整備を追加しております。   第3、第4に関する説明は以上です。 ○窪田部会長 ただいま櫻庭幹事から御説明いただきました事項について、御質問や御意見がありましたら伺いたいと思います。いかがでしょうか。 ○鷲崎幹事 大変恐縮です、鷲崎です、ありがとうございます。こちらの変更に関する事項につきまして、まず、賛成ということと、こうした、きちんと裁判所の許可を得て届けるということに賛成であります。   それに関連しまして、すみません、先ほど少し指摘をし忘れたのですけれども、第2の2(5)、家庭裁判所の許可を要せず届出のみで一度に限り変更できるというものがありましたけれども、これの記述については、やはり少し慎重な判断が求められるものと思いますので、今の事項と併せて述べさせていただきたいと思います。   利用者の目線でありましては、届出を失念していたといったことから、利用者目線ではあってよい制度とも考えられますが、一方で今回の仮名表記の制度は元々迅速な本人特定、そういった整合ということの趣旨に照らしますと、やはり戸籍中のこの記載は安定的であることが望ましいものと思います。この(5)を最初から国民に対して提示した形ですと、言わば仮名表記について、当人が確認した確定済みのものと自治体が設定した仮のものが1年間を経て以降、混在し続けるということになりまして、私はそういうふうに理解しますが、その結果として、1年間を経て以降のほかの様々なサービスについての反映であったり、整合性を安定的に確保していくことについて、必ずしも好ましいことではないと思います。したがいまして、(5)の記載につきましては少し慎重な判断が求められるところと思いました。   すみません、少し先ほど申し遅れまして、以上になります。 ○窪田部会長 ありがとうございました。第3の方については賛成ということで、それから第2の(5)については、先ほどこういう規律を設けることについて支持をする御意見も複数ありましたけれども、鷲崎幹事からは、むしろ慎重にするべきではないかという御意見であったかと思います。   ほかに第3、第4についてはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、本日取り扱う事項というのは以上ということになります。   今後のスケジュール等につきまして、事務当局から御説明を頂きたいと思います。 ○櫻庭幹事 次回、第13回会議の日程ですが、本年1月26日木曜日の午後1時半から、場所は同じく法務省7階共用会議室6・7を予定しております。 ○窪田部会長 ありがとうございました。   次回の会議が、一応、予備日は設けてあったかとは思いますが、次回、本来の最後の回ですし、取りまとめにまでたどり着きたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。   本日はお忙しい中、大変に活発な御議論を頂きまして、誠にありがとうございました。 -了-