法制審議会 家族法制部会 第22回会議 議事録 第1 日 時  令和5年1月24日(火)  自 午後1時32分                       至 午後5時19分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  1 参考人ヒアリング         2 令和3年度全国ひとり親世帯等調査の結果概要について(厚生労働省から報告) 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会家族法制部会の第22回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。新年の最初の回ということになります。今年もどうぞよろしくお願いを申し上げます。   本日もこれまでと同様、ウェブ会議の方法を併用した開催ということになりますけれども、こちらもよろしくお願い申し上げます。   それでは、まず、本日の会議の配布資料の確認をさせていただきたいと思います。事務当局の方から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 事務局でございます。お手元の資料について御確認いただきたいと思います。本日のヒアリングの参考資料として、遠藤参考人提出資料、U.A.参考人提出資料、K.M.参考人提出資料、厚生労働省提出資料、大石委員提出資料をお配りしております。各資料の内容については、後ほどそれぞれの御報告で御紹介を頂きたいと思っております。   資料の説明は以上になります。今回もウェブ会議を併用しておりますので、御発言に当たっては冒頭でお名のりいただきますようお願いいたします。 ○大村部会長 それでは、本日の審議に入りたいと思います。本日は4人の参考人の方々からヒアリングを行う予定です。なお、今回のヒアリングに当たりましては、その内容が個人のプライバシーに関わる事項等を含んでいるということから、各参考人の氏名の秘匿、匿名化、あるいは御報告の際の資料の全部又は一部の非公開、さらに議事録の関係部分の非公開や要約化等につきましては、各参考人の御意向を十分配慮した上で部会長の私の方で判断をさせていただきたいと考えておりますけれども、よろしいでしょうか。   ありがとうございます。また、本日の各参考人の御報告について委員、幹事の皆様から様々な御質問があろうかと思います。限られた時間の中で少しでも多くの方々に御質問を頂きたいと思いますので、御質問のある方は恐縮ですが内容を短くまとめていただいた上で御質問いただき、それから、前回と同様ですが、まずは1人1問ずつ御質問を頂きまして、もし時間に余裕があるようでしたら二つ目の質問を出していただくという形で進めさせていただければと思っております。進行に御協力をお願い申し上げます。   それでは、まず、一般社団法人社会的包摂サポートセンター事務局長である遠藤智子さんにお越しいただいておりますので、遠藤様の方からお話を頂きたいと思っております。遠藤様からは、DV被害者の更なる保護を求めるという立場からの御報告を頂けると伺っております。   それでは、遠藤参考人、もし準備がよろしければ、お願いを致します。 ○遠藤参考人 皆さん、こんにちは。本日は発言の機会を頂きまして、大変ありがとうございます。社会的包摂サポートセンターと申します一般社団の事務局長をしております遠藤と申します。よろしくお願いいたします。   サポートセンターの御説明を少しだけ。当法人は2011年、東日本大震災の被災者支援からスタートしておりまして、その後、全国を対象とした365日24時間対応の電話とSNSの相談などをしております。その中でDVの被害の御相談なども10年以上受けさせていただいているという状況です。   今回のパブリック・コメントに当たりまして、中間試案の(前注)に、全ての規律が配偶者からの暴力や父母による虐待がある事案に適切に対応することと書かれまして、本当に有り難いと、DVの被害者の相談を受けてきましたところからは思っております。ところが、パブリック・コメントが始まりまして、大変多くの被害の当事者の方から不安な声というのが寄せられておりまして、端的に申しますと、「DVではない」と言われたらどうしたらいいのだろうということだと思っております。そうした御不安がなくなるような、被害者にリスクがないような制度設計ということで、是非御審議をお願いしたいと思いまして、相談を受ける側から、DV被害の実態などについて、今日は4点ほどお話をさせていただきたいと思っております。   まず、DVの発生の割合でございますけれども、特に離別に関わっては、特別、一部、ということではなくて、かなり多いのではないかなというような実感があるということと、二つ目は、DVにおいては厳しいダメージを当事者に与えるのは、身体よりも精神的な暴力や性的な暴力であるということがあります。三つ目は、家庭の中の暴力や虐待というものは、専門性がないとかなり発見ができにくいと。親密な二人の関係性を読み取って、DVが見逃されないような設計をしていかないと、大変に難しいと思っております。更にそこへ、殴られていないとDVではないというような二次被害的なものが起き、加害者の虐待が許されてしまうと、被害者当事者は自身に心身に不調を来して、子どもたちへのケアが不十分にならざるを得ないという状況なのではないかと、こういったことを四つ、お話できればと思っております。   内閣府の調査でございます。パートナーからの暴力は4人に1人と令和2年でなっております。今回の新しい規律についての対象になるお二人については、それよりはもちろん多くなるのかなと思います。   相談件数でございます。DVのセンターで13万人、警察については8万3,000、昨年の実績でございますが、ずっと増加し続けているという状況でございます。   一方、保護命令については1,355件の発令となっております。スライドの下の方、イギリスと台湾の例を書かせていただきましたけれども、イギリスの人口は日本の53%でありますから、もしも日本で考えますと5万件の虐待禁止、30万件の保護命令ということでもおかしくないとおっしゃる方ももちろんおられまして、日本でこういうふうに少ないのは、対象が限定的であるということが主な理由だと思いますけれども、ここで法改正をなされるというお話が出ておりまして、救われる方が増えるのではないかと本当に期待をしているところでございます。   なかなか支援につながらないと書きましたけれども、DV被害はまだ顕在化はしておりません。殴る蹴る以外はDVではないという思い込みがかなり残っておりまして、それは大きな問題だと思います。   ここで、真ん中辺りのところです、内閣府がコロナ禍で新しいDVの全国対象の相談を始めまして、そこのところの報告書、幾つも出ておりますけれども、複合的な暴力がDVだと、精神的な暴力はその中核をなすということで報告をされております。私の方のダイアルでも、DVだと分かっておられる方の相談の9割には精神的な暴力があるというお話をされます。   身体的以外のDVのイメージ、後でお読み取りいただけばいいのですけれども、こんな感じなのですけれども、分かっておいていただきたいのは、被害を受けている当事者はほぼ毎日のように、「俺を怒らせるお前が悪い」と言われておりますので、「私が我慢すればいいのだ」というふうに自責の念を持っておられるという、ですから相談につながらないと、こういうサイクルになっております。   お手元の方を御覧になっていただきたいと思いますが、DVが深まっていく経過のイメージについて、いろいろな御相談を総合して表にしてございます。初めは気が付かないのですけれども、交際が始まり、性的関係が始まり、結婚する、関係の深まりに合わせて暴力的な言動は激しくなっていくのが一般的です。やがて、深夜までの説教ですとか、苦痛と恐怖を感じるように暴力は変化をしていく。御両親に相談とかをしても、そのくらい普通よと言われたりするということもなかなか多い。行動範囲を制限されて、経済的に自立できない状況に追い込まれて、「子どもは二人の子どもだし、自分がもっと頑張れば状況はよくなる」と耐え続けるという、こういう流れの中におられるというイメージですね。ですから、後で申し上げますけれども、結婚する前の情報提供の方が離婚後よりも必要ではないかというのが、私が思っているところです。こうした支配的な言動にずっとさらされていますと、ここが見過ごされがちなのですけれども、頭では頑張っていこうと思うけれども、体が悲鳴を上げるようになってきて、ここに書きましたけれども、息ができないような気持ちになっていくとか、同居している時期に心療内科に通院している方はとても多いです。子どもの健診などで看護師さんに呼ばれて、「あなたは暴力を受けていないか」と聞かれたりすることもありますし、実際に一時保護の施設に入所された方で、入所してから初めて、「ああ、自分は危なかったのだな」と気が付くという方もおられる。解離という症状があるのは、もう話が長くなるので御説明はとてもできませんけれども、そういったことも関連するのかと思います。表の最後のところについては、また後で御説明いたします。   性的な暴力が見えないという中で、ここで性的なドメスティック・バイオレンスのイメージについて書かせていただきました。性的な被害は、支援につながっても、お話が出てくる最後です。一番初めにそれが分かるということはほぼないです。ですから、私たちは性的な暴力被害はあるかもしれないと思ってお話を伺っています。ほかの被害も同じですけれども、相談を受ける側がもしかしたらという想像のバリエーションがたくさんあることが極めて重要で、そうしないと受け止められないです。私は、どのような処分や決定においても同じだと思いますけれども、当事者が何を抱えておられるのか、背景を深く見なくては適切な対応ができないと思っております。   これは、DVと性虐待についてこれまでの調査研究などを載せてあります。性虐待についても今回の御審議の中で是非お考えいただきたいと思っていますが、よりそいホットラインで生活困窮の相談でつながった女性たち、初めの主訴は違います、その中でも驚くほどの高い確率で父や兄からの性虐待の体験があるというのは、相談の中からよく出てくるお話です。   よりそいホットラインの中の集計を、21年度速報ですけれども、加害者については家族、そしてまた父であるということであります。これは警察庁の検挙の統計ですけれども、実父、継父がやはり加害者の中核であるということは分かっていただけるかと思います。   性虐待がある家庭というのは多分ごく一部だろうと、例外だろうと思われているかも分かりませんけれども、相談の現場ではそういう感覚ではありません。特にコロナ以降で、実態かどうかは分かりませんが、相談としては性虐待は大変に増加をしたと思います。上の二つの例などは今受けている性虐待の事例です。私が今日申し上げたいのは一番下のところで、父からの性虐待のことで、介護の事例です、介護の時期に至るまで、御本人は誰にも相談はしておりません。リスクを避けるというのは、この相談の中では、介護を強要しないということなのですね。  今回検討されている規律の対象となる家族のリスクの一つが性虐待であることは私は間違いないと思いますが、リスクを避けるということ、子どもたちの被害を増長させないということについてどういう制度が必要か、是非お考えいただきたいと。誰にも言えないということを本当に分かっていただきたいと思います。   別居すれば大丈夫というのはよく言われておるのですけれども、私たちの相談の現場では、それは少し違うかなと、誤解かなと思っているところでございます。   DV的な関係性というのは簡単には変わりません。一つ一つの殴る、暴言を吐くということだけがぷつん、ぷつんと終わるのではなくて、ずっと関係性として存在をしております。「DVとは何ですか」と私がかつて、もう何十年も前に大先輩に質問しました。先輩は「別れられないということよ」とおっしゃっていて、なるほどと思ったのですけれども、ここ最近報道されております福岡の殺人事件、あれは明らかに交際相手からのDV案件だと思います。執着と離別を受け入れられない有り様というのが、私たちが受けている相談のときのDVの特性をよく表していると思っております。   離別後の法的な手段を使った暴力とお書きしましたけれども、これはリーガルハラスメントという言葉で最近知られるようになりました状況です。今回、中間まとめで濫用的な申立てという表現で出ておりまして、大変うれしかったのですけれども、イギリスが導入したような制度になるのかなと思いますが、離別後の一番生活困難な時期に様々な、御本人にとってみれば誹謗中傷と思われるような申立てが立て続けにあって、悩んでいる方というのは本当に多いなと思っているところでございます。   この後からは、司法のところで、例えば調停や審判で面会交流などの二次被害がありますよというふうなことで書かせていただきました。下に紫色で出ておりますのは、多分本邦初かなと思うのですけれども、面会交流の強制をしないでほしいという被害当事者の方の署名活動というのがありまして、今、2万筆を超えたと伺っていますけれども、やはりダメージが大きいということを分かってほしいというお声なのかなと思います。   これは私も存じ上げていることなのですけれども、裁判官の発言ですごく傷付きが深くて、弁護士の方が調停委員会への質問書を出したということで、みんな面会交流やっているのですよというようなことを言われてしまうというところで、これはもう厳しいなと思います。   子どもの立場に立ちましたら、嫌だと一応言ったけれども、外側からの判断で、いや、それは大丈夫だよと言われているということですけれども、もしもこの背景に性虐待があったらと思うと、何とも支援の側としてはいたたまれない気持ちがしております。是非お考えいただきたいところです。   居所でございます。私が中間まとめで一番どきどきしたのは、居所のところです。当事者の皆さんのお顔が浮かびまして、居所というのはもう本当に肝というか、相手方が生きているうちは安心できないということは本当によく伺います。   福岡の例をお話ししましたけれども、DV被害は別居した後はストーカー被害になる。追跡の厳しい例というのは、そういうふうになるわけです。ものすごく怖いです。ですから支援措置ということがあります。   支援措置の御説明を入れてございますけれども、地方自治体のミスで転居を余儀なくされる事例というのは、よく報道されますけれども、本当に怖くて心配なことです。   今回の居所指定に関わる試案というところの疑問なのですけれども、平成30年の総務省の通知で支援措置制度はかなり整理されまして、簡単に言うと、加害者ではなく裁判所が被害当事者の居所を把握して、加害者には弁護士も含め伝えないという仕組みとなっていると伺っております。一方が不安だと考えている場合に、直接居所を知らせなければならない状況は想定しにくいわけでありますので、今の支援措置との整合性をどのようにお考えなのかなというのは、私の疑問として一つございます。   次は、離婚後ではなく結婚前に、暴力の防止について、相談の宛先について、それから共同の監護についてなどをやるべきではないかなと思ってございます。   では、DVや虐待の継続が子どもたちに何をもたらすのか、最後のところでございますけれども、支配的な威嚇的な言動が離別の後も元パートナーからずっと発せられ続けるという状態に加えて、司法や行政の無理解が重なっているというのが事例としてたくさん実はあるのだろうと。   一番最後のところの欄ですが、離別を考えるきっかけの多くは、子どもへの影響です。それはもういろいろな当事者の方がそうです。子どもに虐待があるなどの場合に決意されることが多いです。目に見える虐待がない場合でも、当事者が緊張して鬱っぽくなるような厳しい状況の中では、子どもたちもおびえておりますし、面前のDVは子どもたちへの精神的虐待でありますし、ここを守りたいと思って離別を考え始める。その時期というのは、御本人はもう鬱状態で、PTSDで、精神状況が厳しくて、フラッシュバックがあって。だから、フラッシュバックがあったら買物とかも行けませんし、追跡が厳しかったら、たとえ資格があって、例えば美容師でも職には就けない、生活保護の受給をなさる方も多いと。この時期は生活の再建の時期です。自立支援が求められる時期ですけれども、そのときに様々な手続が多数多発していて、困難が降り掛かってくれば、疲弊してしまうと。家事、育児に支障が出るのは当然のことなのかなと思っているところでございます。   私は立法は、法の適用を受ける者のニーズこそ反映されるべきだと思っています。今回はその中に、見えない性虐待の被害者というのがあって、見えない又は無視されたDVと虐待の被害者がいると。そして、それは乱暴に言えば25%以上、どのくらいいるか分からない状態だと思っています。であるならば、協議離婚や面会交流に関しては、まず実態を把握していただきたいと。恐ろしいから全てを放棄してでも離婚したいという方が協議離婚の中の例にはあると思いますし、面会交流に関しては、是非同居親の皆さんへの影響、それからリーガルハラスメントの状態なども是非調査をしていただきたいし、最後に、DVや虐待のある事案に適切に対応するためには、私は支援を制度の中に組み込んでいただくのが一番いいのではないかと思うのです。現在の日本は、社会の認知も制度も諸外国に対しては遅れております。加害者に対しての対策も同様でございます。支援が不十分なので、被害当事者に負荷が掛かる。精神的なダメージが大きい被害当事者に、伴走という言葉があります。支援者を伴走させて孤立させないようにする、そうすれば早い回復と子どもの安定した暮らしにつながると私は実感をしますので、是非司法の現場においても、DVと虐待の支援がワンセットで、ワンストップで行われるように設計していただけたらすばらしいと思っております。   以上でございます。ありがとうございました。 ○大村部会長 どうもありがとうございました。   それでは、ただいまの遠藤参考人からの御報告の内容につきまして、御質問があればお願いを致します。なお、質問される場合には、まずお名前をおっしゃった上でお願いできればと思います。後の参考人もいらっしゃいますので、14時20分ぐらいを目途に皆さんの御質問をお願いしたいと思っております。どなたからでも結構です。 ○戒能委員 戒能でございます。遠藤参考人、大変リアルで実態に即したお話を頂きまして、現状がよく理解できたのではないかと思っております。中でも、この部会で必ずしも十分に議論されていなかった点、つまり、子どもへの性虐待のことを、より深刻に受け止めるべきだということは大変心に響きました。   それで、リスクを回避する制度的な設計が必要であることと、最後に支援とワンセットにした法整備ということをお話しになったのですけれども、遠藤参考人が今まで直接的な支援、相談もなさってきて、それから、性暴力のSNS相談ですね、あれについても関わっていらっしゃったと聞いておりますが、そういうお立場から、性虐待は長期間言えないのだと、介護に至るまで言えないのだというような現状からいえば、加害者である父との面会交流とか、それから親権で関与せざるを得ないという状況は、大変危険なものだということ、子どもの意思の尊重ということはいわれてきましたが、子どもへの影響の深刻さですね、それがずっと長期にわたり、そして影響がより深刻化していくということを考えると、やはりそういう制度設計は、子どもの利益、子どもの人権の尊重からいえば、リスキーであるという認識をすべきだということでよろしいでしょうか。   まず1問ということなので、そこまでにいたします。 ○遠藤参考人 多分ですけれども、想像ができないことだと思います。性虐待ということが、本人が気が付く時期もすごく遅いです。あれは一体何だったのだろうというのが、すごく心身症状が出ていても、ずっと遅くて、30代とかになって突然に分かる。「私の中のわたしたち」とか、いろいろな本が出ていますので、多重人格とかそういうものの原因も実に多いのですけれども、だから、分からないのだけれども、これはいけないことのようであると小さいときに思っている一群があって、分かっていて絶対に嫌だという一群があって、幾つもいろいろなバリエーションがあります。   なので、私が今、相談を受けたり、その後の回復にお付き合いをしたりしながら思っているのは、外側からですね、第三者の目で探せるような制度がまず必要。いろいろなサインは出ております。子どもたちは様々なサインを出しているのですけれども、それを見過ごされてしまう。ごめんなさい、たくさんいらっしゃると思うのですけれども、弁護士の方とか司法の関係みたいなところですと簡単には分からないです。時間はゆっくり掛ける。話をして、じっくり考えて、本人たちの自覚も必要なものですから。それが難しいのですけれども。  司法の中で何とかワンストップにならないかというのは、中に少し書きましたけれども、例えば離婚調停とか面会交流とか、そういうのを審判を致します。そういうときに台湾なんかですと、そこの場所にNGOのブースがあって、支援者を配置というとおかしいですけれども、希望すればそこできちんと伴走型の支援をしてくれる方がつきそってくれる。 そこで話をしていくと、見えなかったものがようやく見えていく。見えることがすごく必要なのですよ。見える化をしていただきたい。見える化をしてから、どうするかを考えるというステップにしていただくのがすごく重要で、そうでないと、本人たちのダメージは、回復のためのケアを始めるまでダメージは続くのですよ。自分でそうだと思い、それについてのケアを始めるまで、ずっと続いていくのですよ。分からなくても続いていく。介護のことや、言葉に出せなくて、休みになったら家に帰らなければいけないとか、そういうことを繰り返し、繰り返しやっていったら、ダメージが続いていくのです。何とか言語化して、その話をこちらが受け止めて、回復に向けていくというスキームをどこかで入れない限りは、今、戒能委員がおっしゃったみたいに、ダメージは続き、深刻化していくと、それはそのとおりであると思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   今、オンラインで3人の方、菅原委員、柿本委員、久保野幹事とお手が挙がっておりますが、ほかに御発言希望の方はいらっしゃいますか。赤石委員と武田委員。では、5人ということで進めさせていただきたいと思います。時間が限られていますので、質問もお答えも短い形でお願いできればと思います。 ○菅原委員 ありがとうございます。大変重要で貴重なお話、ありがとうございました。では、手短に、お願いいたします。おっしゃっていただいた伴走型の支援を組み込むというのは、私たちにとっても非常に重要なご示唆であると思いました。ありがとうございます。今、遠藤様のセンターでは、どのようなメンタル面でのスタッフを配置されていらっしゃるのかということと、今後類似の支援機関を設置する時には、どういう専門家をそろえていくのがよいとお考えか、お教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○遠藤参考人 今、例えばよりそいホットラインで精神科の先生を雇っているとか、そういうことはできませんので、連携の中で、なのです。それで今、御相談として何十万件も取り扱っておりますけれども、直接お会いする方というのは大体6,000から7,000ぐらい、その中で子どもたちというのはまた減るわけですけれども、そのときに、全国ですから、いろいろな地域で民間の支援団体の方に連携をさせていただいて、例えば富山ならこの先生、神奈川ならこの先生と、カウンセラー、PTSDのことがおできになるような先生というのは限られてございますので、そこのところにつながって、まずは医療のところからということかなと思います。ですから、地域の中でネットワーク化をしているところにおつなぎをし、伴走型をするときにはうちのスタッフはずっと伴走していきますけれども、専門的なところはそちらの方にお任せすると、こんな形になろうかと。   それで、理想的に言えば、裁判所にドメスティック・バイオレンスと虐待については専門の入口があって、その案件があったらもうそこのところへ行くと、お医者さんもいるし、ソーシャルワーカーも大事なのです、ソーシャルワーカーもいるし、カウンセラーもいるし、そこで警察の方も関係していて被害届も出せるしと、こういうふうに、そこで一回自分が声を出したらうまくいくと。警察も私は必要だなと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○柿本委員 柿本でございます。御報告ありがとうございました。私も実は支援スキルについてお伺いしようと思いましたけれども、ほぼ理解できましたので、もう1点ほかの質問をさせていただきます。   結婚前にDV加害者や被害者を作らないための講座などが必要であるというお話だったのですけれども、具体的にはどのようなものをお考えですか? ○遠藤参考人 DVの被害者とか虐待の被害者を作らないための教育というのは、もうカリキュラム的にはかなりありまして、予防教育と呼んでおります。小学校とか中学校とか高校とかでやっているのもあるのですけれども、今回、中間まとめを見せていただいたら、地方自治体で講座のような形でおやりになるというのがあって、私もいいなと思いまして、もしもできればですけれども、結婚前講座、両親学校があるように、結婚前に必要なもの、だから、こういうことがドメスティック・バイオレンスですよ、こういうことをしてはいけませんよ、もしもこういうことがあったら、相談窓口はここですよ、そのベースになるものですね、そういうものを、あの中間まとめが離婚後でお書きになったようなことが結婚前にできたらいいなと。予防教育ということで、カリキュラムはかなりもうきちんとあると思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○久保野幹事 東北大学の法学部の久保野と申します。お話どうもありがとうございました。オンラインから失礼します。菅原先生から御質問のあった支援の拡充の方策と御質問が重なりますけれども、子どもの性的虐待という側面から見ていった場合には、児童相談所ですとか市町村の児童保護系の保護等の対応や関係機関等が考えられると思うのですけれども、それらの主体や活動と、裁判所でのDV等への対応の拡充ということとの関係について、何か児相等についての期待ですとか、あるいは限界といったものについて御意見等がございましたら、教えていただければと思います。お願いします。 ○遠藤参考人 2方向あると思うのですけれども、児童相談所のキャパシティーとして、もう満杯だと思いますので、そこで丁寧なことは、それは難しいと思いますのが一つと、それから、御想像が付くといいと思うのですが、児童相談所についての子どもたちの風評、子どもたちがどういうふうに児童相談所のことを考えているか、SNSなんかですごく情報交換されていますけれども、「携帯を取られてしまう、絶対行きたくない」、DVのシェルターなんかでもそうですけれども、そういうのがあるのです。それで、自分が分かっていて、これは困ったことをされているから何とかして保護してもらおうという子たちももちろん一定数いるのですけれども、何だか分からないし、怖いし、行きたくないしと、こういう状態にある者がたくさんいるだろうと。ですから、一足飛びに児童相談所と一緒にやればうまくいくというふうなことでもないかなというのが偽らざる実感でありまして、何とかいろいろな入口から、その「子どもたちの本当」に近付けるような仕組みが必要であります。例えば、御両親がここで離婚の調停をなさると、そのときに裁判所なり家庭裁判所なりで、子どもさんが本当はどうなのだろうと聴くというのを制度化されてあると、その後から児童相談所の方とつながるという方がずっとスムーズかなというのがイメージでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。今日は遠藤事務局長、ありがとうございました。私も相談員として関わっていた事例を思い出して、本当に長い間性虐待を受けた後、苦しんでおられる相談を聞いていたなというのを思い出しました。非常に深刻だと思っております。   今日は家族法の改正ということなので、少しお聞きしたいのですが、この中間試案でも盛り込まれている中にフレンドリー・ペアレントルールというものがございます。明示的には入っていないのですけれども、相手方に対して寛容な側が、よりいろいろな権利を認められるような、そんな書き方をされているかと思います。少し今、不正確なのですけれども。このフレンドリー・ペアレントルールというのが非常に逆機能するといわれているのが、この性虐待の分野だと思います。アメリカで聞いた事例では、お母さんが、父親が子どもたちに性虐待をしているということを裁判所で訴えた場合に、このフレンドリー・ペアレントルールに反しているということでお母さんの側に親権が認められなくなり、虐待の加害者である父親側の方に多分、単独親権で認められたというケースがあったと側聞しております。非常に危険なルールではないかなと思っているのですが、こういったことが遠藤事務局長としてはどのように思われるかということを少しお聞きしたいと思います。 ○遠藤参考人 フレンドリー・ペアレントルールというのは、すみません、不勉強でそれほど存じ上げないのですが、今の御説明で聞くと、ちょっと。 ○赤石委員 もう少し説明した方がいいでしょうか。 ○遠藤参考人 そうですね。 ○大村部会長 かいつまんでお願いします。 ○赤石委員 例えば、相手側に1か月に一度しか面会を許容しないようなお母さんと、父親側は相手側に100日の面会交流を許容すると申し出ているときには、この100日の面会を許容すると言った側の方が、より親権者として適当であると考えるような、これは一例ですけれども、そういうルールです。 ○遠藤参考人 もしも隠れている性虐待があったら、それは危険というか、怖いことだなと。その子は大変に厳しい状況に行くでしょうねということと、もう一つだけ、すみません、付け加えさせていただくと、性的な虐待というのは幼い子どもたちだけではないのです。小児性愛と性的な虐待との大きな違いはそこでありまして、幼い子どもだけをターゲットにするということではなくて、コロナ禍で増えた中で本当によく分かってきましたけれども、年齢は、幼い子どもであるという必要があるわけではないということがあります。なので、今のようなお話ですと、本当に、もしもその子どもたちが言語化できない、相談ができない、自覚ができない中であるとすると、私は余りにも不安だなと思いました。それでよろしいですかね。 ○赤石委員 ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○武田委員 親子ネット、武田でございます。本日は貴重なお話ありがとうございました。まず冒頭御説明あったように、殴る蹴るだけが暴力ではない、身体以外のDVにも注力していくべきというところ、非常に共感をするところでございます。ただ、遠藤参考人に私が申し上げるようなことでもないかとは思うのですけれども、例えば精神的DV、今日は余り説明ありませんでしたけれども、要件設定をどうするとか、事実認定をどうするといったことというのは非常に難しいのかなと、そんなふうに感じています。こういった要件設定とか事実認定の難しさ、あとは、基本的に保護命令以外というのは手続保障がない、要は誰かがきちんと認定するわけではない、と思っています。そういった部分が今日の遠藤参考人の資料にあったような、虚偽DVという表現がありましたけれども、こういう意見が出る要因にもなっているのではないかと、そんなふうに感じています。このような、要件が固まっていないからこそ、これがDVか、そうではないのかというところから、虚偽DVなどの表現が出てくると思っているのですけれども、こういう事象があるのかどうか、あるとすると、どう要件を整理していくのがよいのか、この辺りについて遠藤参考人の見解をお伺いできればなと思います。 ○遠藤参考人 今おっしゃった虚偽DVというのは、資料の中の離別後の法的な手段を使った暴力、そこの中の例として挙げているものですか。 ○武田委員 そうです、こういう意見が他方から出てくるということを表現されていらっしゃるのかと思うのですけれども。 ○遠藤参考人 ドメスティック・バイオレンスを、認定をするというふうな制度的な流れというのは、それはないですから、私はどこまでお話ができるか、公的な立場でどうのこうのということでもないので、今それこそ法律改正がなされるところなので、内閣府の女性に対する暴力専門調査会ですか、そういったところで御論議されているところかなと思いますけれども、相談現場の実感として、性的なDVとか性虐待とかが、だんだんお話が引き出されていくのと同じように、その方がドメスティック・バイオレンスなのか、それともそうではないのか、私は、そうではない的なところは体験はございませんけれども、私は支援の側の方が分からないということはないと思っておりますので、やはりきちんとお話を聴くということに、相談支援の側からは、尽きるのかなと思っております。 ○武田委員 ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。   まだほかの委員、幹事から質問もあるかとも思いますけれども、先ほど申し上げましたように、後の参考人の方もお待ちになっておりますので、ここまでにさせていただきたいと思います。   遠藤参考人におかれましては、本日大変お忙しい中を当部会の調査審議に御協力を頂きまして、誠にありがとうございました。 ○遠藤参考人 ありがとうございました。 ○大村部会長 それでは、ここで遠藤参考人には御退席を頂きまして、次の参考人に入っていただきたいと思います。遠藤参考人、ありがとうございました。   次の参考人の方の準備をさせていただきますので、少しお待ちを頂きたいと思います。画像の方の対応が必要だということですので。   それでは、次にじゅんこ参考人から御説明を頂きたいと思っております。じゅんこ参考人は現在、離婚をめぐって係争中の当事者でいらっしゃるということで、本日は仮名で御出席を頂いております。   それでは、じゅんこ参考人、どうぞよろしくお願いいたします。 ○じゅんこ参考人 じゅんこと申します。お時間を下さりありがとうございます。今日は顔を出してお話をすることがとても勇気の要ることでした。私の経験や考えが何かを考えるきっかけになればいいと思い、お話をすることに決めました。本日はどうぞよろしくお願いします。   まずは私の経験からお話しします。結婚して半年ほどがたったとき、家に帰ると部屋中が荒らされていたことがありました。振り返ると、この頃からDVが始まったのだと思います。破かれた書類やごみがあちこちに散乱していました。優しかった夫が部屋を荒らしたのです。相手は連日の帰宅時間が深夜を回るほど仕事が忙しい時期で、余りに突然の変化だったため、何か精神的な病気になってしまったのかもしれないと思い、出来得る限りのことをして、相手の負担を取り除こうとしました。   新婚生活では多くの家庭が配偶者とけんかを経験すると思いますが、我が家のものは一般的なものとは違いました。内容がささいなものでも、突然どなって怒られるようになりました。相手が発言をしただけで、例えば、この映画見てみたいなと相手が言っただけで、見る約束をしたことになっていて、なぜ映画館の予約ができていないのだと怒られるようなことも多かったです。初めは意見を言うこともありましたが、何を言っても、言い訳するな、なぜ一言目にごめんなさいを言えないのだとどなられました。しゃくに障れば周りにある物を何でも投げました。夜通しの説教も何度もありました。そんなふうに物を投げたり、どなられたり、夜通しの説教をされることが怖くて、嫌で、私の意見は言わないで我慢した方がましだと思うようになり、私は自分の意見を言えなくなりました。気が付けば上下関係ができていて、意見を交換し合えるような対等な関係ではなくなっていきました。つらいことをつらいと、嫌なことを嫌だと、素直に言えない生活の中で、相手が寝ている横で声を押し殺して泣く日々を過ごしていました。   ですが、当時は相手が精神的な病気になってしまったかもしれないと思っていましたし、病が治るその日まで耐えようと、今は相手の気持ちに寄り添おうと、そんな気持ちで相手の不満や怒りを受け止めて、我慢していました。精神科に一度も行かなかったのは、状況が悪化したりを繰り返したことも理由の一つです。今思えば、これはDVのサイクルであり、緊張期、爆発期、ハネムーン期をぐるぐるとしていたのだと思います。初めはそのサイクルが一周する期間も半年ほどと長くて、相手が優しくなるハネムーン期になると、精神疾患が治ったのだと密かに喜んでいました。そんな中で子どもを授かりました。   子どもが生まれてしばらくは穏やかな日々が続きましたが、私が恐れていた、DVサイクルでいう爆発期はやってきました。そんなとき、夫婦関係に悩んでいる方のブログにDVやモラハラの情報が書いてあり、特徴がほぼ当てはまっていたことから、相手は精神疾患ではなく、私はDVを受けているのかもしれないと思うようになりました。DVの情報を調べて、普通の夫婦関係に戻るためにいろいろなことを試す日々が始まりました。ほぼ全ての情報に、身動きが取れなくなる前に一刻も早くDV加害者から離れることと書いてありました。ですが、私は離婚を決意することはできませんでした。私自身が離婚というものに対して非常にネガティブなイメージを持っていたからというのもありますし、離婚やシングルマザーに対する偏見も気になりました。金銭的な不安もありました。子どもは両親そろって育てるべきだという固定概念にも私自身がとらわれていました。いつでも離婚はできるのだから、後悔のないように頑張ろうと自分を励ましながら過ごしました。   ですが、相手が家にいるときは、自分があるがままでくつろげる場所ではなく、緊張感に包まれる空間でした。普通に生活しているだけで、何をしていなくても、否定されるようなことも多くて、自尊心がずたずたになっていきました。自分が傷付いているのだなと気が付く心の余裕もだんだんとなくなっていきました。暴言が繰り返されても、それが不当でおかしいことだということも気付けなくなっていって、つらいことが当たり前になって、つらいと思う感覚でさえも麻痺していきました。ですが、体は正直で、相手が怒るたびに震えや腹痛、吐き気の症状が出るようになっていました。皆様、お気付きでしょうか、ここまでに出た内容は全て精神的なDVです。今でもこの時点で、それよりももっと早く逃げればよかったと悔やんでいます。   DVかもしれないと思い始めて3年ほどがたったときです。いつの間にか自分がなくなった状態になっていました。食事の献立も、着る服も、夫婦の会話でさえも、これなら相手は機嫌を損ねないかなと考えながら選ぶことが基準になるからです。自分を殺すことでしか結婚生活を続けることができませんでした。たとえ周りの人に離れた方がいいと助言をされても、自分を失っているときに、自分の気持ちさえも分からないのに、自分の意思を必要とする、逃げるとか離れるとか、そういった選択をすることはできません。自分の力だけで自分に関わる意思決定をすることは、そのような力はほぼ残っていませんでした。   精神的なDVは、やがて肉体的なDVに発展していきました。でも、その頃にはもう殴られたって、蹴られたって、刃物を突き付けられたこともありましたが、だけど、私が相手の気分を害してしまったのかもしれないと自分の非を探すようになっていました。結局は、子どもの前で骨が折れるほどの暴力を振るわれ、子どもも虐待を受け、警察や弁護士が間に入るまで、離れる決断ができませんでした。私が決断をできたのが、子どもを守りたいと思ったからです。自分のためではなく子どものためだからこそ、離婚を決意できたのです。DVを目撃する面前DVですとか、虐待を受けた子どもは脳が変形したりとか肥大してしまう影響があると聞きます。面前DVや虐待から子どもを守れなかった自分に、今でもすごく腹が立ちます。   私は、弁護士の先生が感心するほど多くの相手の加害の証拠を持っています。相手が暴れたときに撮っていた写真や、暴力を認めている録音、パワハラまがいの大量のLINE、骨折の診断書などです。それでも裁判で立証することはハードルが高いと感じています。投げられて壊れた物の写真を出しても、俺はやっていないと言われました。あざの写真を出しても、自分でできたあざの写真だろうと言われました。パワハラまがいのLINE攻撃は、お前が怒らせたからだと言われました。当時2歳の子どもが平手打ちで投げ出されるほどの虐待をしても、息ができなくなり顔色が変わるほどの虐待をしても、相手からすれば、それはしつけであり、男親として必要だったと言うばかりで、反省の言葉はありません。   唯一裁判で認めた暴力でさえも、相手は軽く蹴ったことは事実ですと言いました。そのときにできたあざと、破れた服がこちらです。写真を出してください。こちらがあざの写真です。もう1枚、そのときに体中を掴まれて、振り回されて、破れた服の写真が次の写真です。ありがとうございます、写真を下げてください。このような暴力をしても、相手は軽く蹴ったことは事実ですと言ったのです。   調査官調査で、子どもが見た相手からの私への暴力、自分がされた虐待について話したところ、片親疎外が大分進んでいますねと言われました。最近、DVについて勉強していて分かったことですが、DVの加害者には自分の加害を認めない、責任転嫁をする、加害を小さく見せるという特徴があるそうです。DVや虐待は家庭の密室の中で起こります。裁判で立証できるほどの証拠を残すことは、ほぼできません。第三者が目撃しているか、暴力を振るわれている最中の動画でもない限り、たとえ証拠があったとしても裁判で立証することは困難を極めるのだと実感しました。私は相手の目を盗んで証拠を残しましたが、今でもこのような行動に出たことが正しかったのか、危険を顧みずこのような行動をとってよかったのかと、それは分かりません。それよりも、まず逃げて安全を確保するべきだったのではないかなと思います。たとえ被害者の人に出会ったとしても、逃げる前に証拠を残すべきと私は絶対に言えません。   このような状況でも、夫と子どもとの面会交流は当たり前のように家庭裁判所に強制されました。調停委員からは、たとえ虐待やDVがあっても面会交流を拒否することはできないと言われました。子どもは面会交流が終わるたびに情緒不安定になり、面会交流が終わって2日ほどは、家の中でも家の外でも私に抱っこをせがみ、片時も離れたくないそぶりを見せて、情緒不安定です。私自身も、面会交流の1週間ほど前から不安で怖くて体調を崩します。面会が終わっても、安堵感と恐怖にさらされたことで体調を崩します。月に1回の面会交流であっても、月の半分近くが体調不良で終わるのです。子どもを守るためには離婚をするしかないと思って離婚を選択したのに、面会交流がこのように強制されるのであれば、子どもを本当の意味で守ることはできないと痛感しました。親子なのだから面会交流はさせるべきだとか、面会交流に応じないのであれば親権者として不適格だという原則を家庭裁判所から突き付けられて、面会を命じられれば同居親は拒否のしようがありません。子どもの最善の利益は守られていないのが現状です。   離婚調停から離婚裁判に移行する過程で、相手の主張が変わりました。書面には聞き慣れない、フレンドリー・ペアレント、連れ去り、実子誘拐、弁護士の洗脳という言葉が並ぶようになりました。その頃から相手が共同親権の導入を目指す活動をしていることが分かりました。親子ネットさんのホームページから抜粋した記事が書面に添付されるようなこともありました。私と子どもは警察に保護され、相手から避難したにもかかわらず、相手は私が子どもを連れ去った誘拐犯だと、何度も警察を訪ねては、私を誘拐罪で逮捕してもらおうとしました。警察に保護されたとき、私が警察に、以前からDVがありましたと話したことが、別に命に別状があったわけではないからDVではないと、虚偽申告罪でも私を逮捕してもらおうと何度も警察に足を運ばれました。裁判所での裁判や調停は9件を超えました。法外な損害賠償請求もされています。相手の警察への訴えも、裁判所への訴えも、認められることはないかもしれません。ですが、相手の目的、ハラスメントは達成できている状況です。   離婚後の共同が制度化されれば、リーガルハラスメントの材料が増えて、もっと苦しめられることになるだろうと予想しています。DVや虐待を認めずに威圧的な言動を繰り返して重ねてくる人と、相互に協力が不可欠な離婚後の共同ができるはずがありません。連絡を取ることでさえも第三者を挟まないと怖いです。相手の名前を書面で見るだけで震えが出ます。このような状況で裁判所から離婚後の共同を命じられたらと思うと、怖くて仕方がありません。   ここからは私の気持ちです。現状でさえ、DVや虐待があっても面会交流は強制されていて、被害者や子どもが守られていない運用が続いています。被害者の存在を見て見ぬ振りをしないで、透明化しないでください。ここ10年近くの面会交流原則実施の運用で苦しい思いをしている被害者たちの調査をしてください。被害者と加害者を更に強く縛り付けるような法改正はしないでください。離婚後の共同という制度は多くの犠牲が出る制度だと、諸外国の運用からも分かっている制度だと思います。法改正をするならば、DVや虐待の被害者を守る制度を先に確立して、確実に運用されてからでないといけないと思います。   国連から勧告が出されていたと思います。共同養育、シェアードカスタディーというのは民法766条でできると思います。なぜ766条がないかのような議論がされているのですか。単独親権制度は共同が強制されない制度であり、共同ができない制度ではないと思います。協力関係を築ける人たちは自由に話し合って離婚後の共同ができるのが単独親権制度だと思います。離婚後の共同養育、共同決定、共同監護、できる元夫婦は現状でやれています。委員の皆様の周りにもそのような元夫婦はいませんか。最近では、芸能人同士の元夫婦で離婚後も共同をしていることがよく話題に上がっています。できる人たちは現状でやれているのです。   裁判所で争うような紛争性の高い元夫婦に離婚後の共同を強制すること、それが子どもの最善の利益になりますか。仲の悪い人たちの間を行き来させることが子どもの最善の利益になりますか。一緒に決めるという合意すらできないこじれた関係性の二人に、子どもの重要事項の決定をどのようにして共同させるのですか。協力関係を築くことができないのに共同を命じたら、子どもが板挟みになって、子どもの最善の利益は害されると私は思います。ここにいる委員の皆様の願いは、父母の平等ではなくて、子どもの最善の利益が目的、願いなのではないでしょうか。できる人たちに、必要としていない人たちに権利を与えて、守れた命が犠牲にならないように願っています。どうか最悪のケースを想定して制度を作ってほしいと思います。心からお願いを申し上げます。   御清聴ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは、ただいまのじゅんこ参考人からのお話について御質問があれば、お願いを致します。なお、質問をされる場合には、先ほどと同様ですけれども、お名前をおっしゃった上でお願いをできればと思います。20分程度を予定しておりますので、どのくらい質問があるか、まず挙手を頂ければと思います。   それでは、まず武田委員、それから赤石委員、原田委員、そして小粥委員という順番で御質問をお願いしたいと思います。 ○武田委員 親子ネット、武田でございます。勇気を出してお話しいただきまして、本当にありがとうございます。あと、弊会のホームページ、じゅんこさんの相手方が訴訟のために使ったと、ごめんなさい、まずはおわびを申し上げたいと思います。   少し事実関係を教えてほしいです。個人の係争に関わることですので、お答えできなければお答えできないで全然構いません。一つは、面会交流を強制されたという御説明があったと思います。この面会交流の強制というのは、家庭裁判所上で調停委員から言われた、合意させられたという形なのか、審判が出て命令されたという形なのか、これが1点目です。もう一つ、お話だけお聞きしていると、ひどいDVを長期間受けられてきたと理解をしておりまして、今いろいろな係争を、係争の中で今、離婚調停というものと離婚裁判、恐らく手続としては、あと面会交流の調停もやられたのかなと理解しました。私の感覚からすると、否認するDV加害者は、私もいると思います。手続の中で、そういうDVの認定を家庭裁判所なりが、する機会がまだないのか、それとも認定されなかったのか、そこだけでも教えていただきたいなと思います。 ○大村部会長 では、可能な範囲でお願いします。 ○じゅんこ参考人 面会交流の件につきましては、離婚裁判の中で調停委員の方から、面会交流はしていますかと聞かれることがありました。面会交流は、別居してから1か月とかでしたので、まだしていませんと言いました。虐待やDVがあったので、面会交流は拒否したいですと伝えたところ、DVや虐待があっても面会交流を拒否することはできないから、今からでも1か月に1回でも始めなさいと指示をされて、面会交流はしていました。実を言うと今、面会交流調停中です。それはなぜかというと、面会交流を継続することができなくなり、面会交流調停をすることになり、今、審判を待っている状況です。それが面会交流について、以上です。   DV認定のお話ですが、相手が共同親権運動に関わっていて、将来的に私も共同親権になるのかもしれないという不安があったことや、調停の段階から相手が全然DVや虐待を認めなかったことがすごく怖くて、何とか裁判所にDVの認定をしてもらいたいと思って、今私は裁判所にDVの認定をもらうための慰謝料請求をしています。それを離婚裁判の中で慰謝料請求をしている段階であり、まだ、裁判が始まって5年近くたつのですが、終わっていないです。 ○武田委員 終わっていないということですか。 ○じゅんこ参考人 はい。ずっと相手が1か月、2か月、3か月と期日を延ばすものですから、全然話が進まない、そのような状況です。 ○武田委員 ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   先ほど原田委員、小粥委員という順序でと申し上げましたけれども、佐野幹事からも手が挙がっていたようですので、佐野幹事はそのあとということで、お願いします。では、赤石委員、どうぞ。 ○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。じゅんこさん、ありがとうございました。本当に勇気を持ってここに臨んでいただき、ありがとうございます。   私からの質問は、9件裁判、向こうからのリーガルハラスメントといえるのだろうと思うのですが、起こっているというのを、何と何が起こっているのか、もしよろしければ教えていただきたいと思います。この中間まとめでも、そこの法的な嫌がらせというかリーガルハラスメントについて若干書かれているのですが、委員の皆さんはなかなか想像が付かないかもしれないので、教えていただければ大変参考になると思います。 ○じゅんこ参考人 ただいまリーガルハラスメントということで質問を頂きましたが、終わっても何回も減額調停を立ててくる。同じ内容でも何回でもできることは、相手は機会を狙って何回も何回も繰り返し立ててきます。1年たったら減額してくれというふうに何回も立ててくるという状況で、今、9件という内容になっています。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○原田委員 今の関係で少し。本当に今日ありがとうございます。生々しいのですが、どのくらい費用が掛かっていますか。また、相手は2、3か月期日を延ばすということは、代理人が付いていない本人訴訟でやっているのですか。 ○じゅんこ参考人 費用についてですが、まだ私も今までの費用を全部足してということをしていません。ですが、恐らく相当掛かっているのではないかと思います。   代理人についてですが、何回か替わってはいますが、ずっと付いている状況です。ですが、弁護士が付いていても、相手方がこのように言っていますといって全部丸投げして、内容を私の担当弁護士に投げてくるものですから、あと、裁判の資料もおよそ弁護士が書いたとは思えないような内容の資料、私が誘拐犯だとか、何とか罪、何とか罪、誘拐罪、虚偽申告罪、私がまるで犯罪者かのような書面を書いてくるので、弁護士が付いているのですが、付いていないような状況がずっと続いています。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○小粥委員 委員をしている小粥と申します。今日は勇気を出してお話しをくださいまして、本当にありがとうございます。一つお伺いしたいことは、DVのことを他人に言えるようになった時期ときっかけですね、なかなかそういうことを外に向かって言うことは非常に難しいと思います。お話を伺った限り、ブログなどを見て、これはDVではないかとお気付きになったということでしたけれども、それを、例えば身内の方にも、親御さんとか御兄弟がいらしたら、そういう方にもおっしゃっていなかったのか、あるいは、どういうきっかけで第三者に対して話せるようになったのでしょうか。どういうきっかけがあったのか、そういうことを差し支えない範囲で教えていただければ有り難く思います。 ○じゅんこ参考人 私が主人から受けているDVや虐待を話せるようになったのは、相手と別居してからです。それはなぜかというと、DV加害者の特徴なのか、私の夫の特徴なのか分かりませんが、本当にささいな相手の表情でも読み取るのですね。なので、私の家族に言ったら、もしかしたら言ったことが何かのきっかけでばれるかもしれない、そうすれば私に危害が加わる、子どもにも虐待をされるかもしれない、私の友達に会ったときに、何か様子が変だと思って勘付かれて何かを言われるかもしれないと思うと、怖くて誰にも話せなかったです。   ということと、DVを受けているときというのは、今、DVのことについていろいろ調べて分かってきたことは、頭が全然働いていない状況が続いています。何を言っても自分の意見が通らないとか、自分の意思を持てない状況なので、自分がどのようなことをされたのかということを客観的に言葉にして人に伝えるということができないような状況でした。今もう5年近くたって、やっとこうやってお話しすることができていますが、相手から離れて逃げた直後というのは、本当に断片的にぽろぽろと、殴られたなとか、蹴られたこともあったなというような、本当に薄い記憶のような感じになっていて、人に論理立てて話すことができない状況でした。警察にも市の女性相談員の方にもお世話になりましたが、今思うと全然、私の話し振りで伝わっていたのかなと疑問に思うような形だったかなと思います。   すみません、お答えになっているか分からないですが、以上です。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○佐野幹事 佐野と申します。本日は本当に大変な体験をお話しいただきまして、ありがとうございました。先ほど実は武田さんから御質問があった点の確認なのですが、最初に、DVだから面会拒否したいとおっしゃったということなのですが、それは調停委員から言われたということだったので、調停の中でということでしょうか。その後、事実上面会に応じていたということなのでしょうか、それとも、先ほど武田さんから御質問があったように、調停か審判で一度決まったということなのでしょうか。 ○じゅんこ参考人 面会交流のことについての御質問を頂いたのですが、面会を拒否できないと言われたのは、離婚裁判のときに調停委員の方に言われました。そのときに私にも弁護士が付いていたのですが、今、裁判所の運用では、DVや虐待があっても、拒否しても、させられるから、面会交流をしてもほとんど意味がないよと、させられるよと、そのときの調停委員も同じような意見だったので、面会交流調停はしていない段階で、およそ2年間近く、ずっと面会交流を月に1回、1日10時間ぐらい、していたという状況でした。ですが、その中で面会が中止になって、面会交流調停が開始されたという形です。 ○佐野幹事 ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございました。ほかの委員、幹事、まだ御質問があるかもしれませんけれども、まだ後の方もいらっしゃいますので、じゅんこ参考人についての質問についてはここまでとさせていただきたいと思います。   じゅんこ参考人におかれましては、大変お忙しい中、貴重なお話を頂きまして、当部会の調査審議に御協力を頂いたと、大変有り難く思っております。それでは、じゅんこ参考人にはここで御退席を頂きます。ありがとうございました。 ○じゅんこ参考人 ありがとうございました。 ○大村部会長 それでは、ここで10分間休憩を取らせていただきたいと思います。今、14時53分ですので、15時5分に再開したいと思います。休憩いたします。           (休     憩) ○大村部会長 それでは、再開したいと思います。   参考人お二人にお話を伺いましたけれども、次はU.A.参考人にお話を頂きたいと思っております。   それでは、U.A.参考人、どうぞよろしくお願いいたします。 ○U.A.参考人 どうぞよろしくお願いいたします。先に配っていただいております資料にも簡単には御紹介しているのですけれども、まず最初に、子どもと父親の関わり方、別居親の関わり方、それから、元夫と私との間で調停で取り決めたことや、実際ふだん協力していることや相談していることなどについてお話しして、その上で、私が今現在、共同親権の議論に対して感じていることや、考えていることについてお話ししたいと思っております。その後、最後に父親からのコメントも少し御紹介したいと思っております。   現在、子どもは小学校1年生で、別居したときにはちょうど年少ですね、3歳でした。離婚についてはその1年前ぐらいから話をしていたのですけれども、別居して約7、8か月、調停の後、子どもが4歳のときに離婚しました。それから現在で約3年弱になります。子どもは調停中も父親と時々、毎週というほど頻繁ではないのですけれども、関わっており、調停成立、離婚成立後は大体毎週のように交流しておりました。保育所の間は割と泊まりに行くことの方が多かったのですけれども、小学校入学して、昨年4月ですね、それからは、特に私と元夫の方で話合いをしたわけではないのですけれども、小学校に入って子どもの予定などもあり、だんだんと食事、夕食ですね、大体土日の夕食を一緒に食べることが多く、また、月に1回程度は子どもも泊まりに行きたいと言うことが多いので、何となく月に1回ぐらいのペースで今は泊まりに行っています。また、父親の方の祖父母宅には年に数回、父親が実家に帰るタイミングで連れていったりしています。ここ、離婚してからちょうどコロナで学校行事というのが非常に少なくなっていたのですけれども、昨年は運動会があったので、そこに参加しました。子どもと父親は大体そんな感じでふだん交流しています。   調停での取決めなのですけれども、ここは調停調書に書かれているのを少しここに書きましたが、読み上げさせていただきます。申立人、これは私ですね、申立人は相手方に対し、相手方が第2項の未成年者と面会交流することを認める。その具体的な日時、場所、方法等については、子の福祉に慎重に配慮して当事者間で事前に協議してこれを定めると、調停では一応取り決めているのですけれども、実際これは具体的には何も取り決めていませんで、それは調停の中で、私にしても元夫にしても、私も子どもを夫に会わせたくないとか、そんな気持ちは元々なかったですし、夫も別に、子どもとは今後もずっと関わっていきたいという気持ちでしたので、特に今、調停で何か取り決める必要性というのを双方感じていなかったので、調停委員の方にも、私はこう感じていますというのを言った上で、元夫の方も同意見であれば、特にきっちりとした取決めはしたくないとお願いをして、双方それでいいということだったので、特に具体的なことに関しては取り決めていません。   ただ、調停の中で面会交流のお話が出た際に、調停委員の方から、養育費の額の取決めと面会交流が若干取引にされるような話のされ方をしまして、私自身も一瞬、これは取引をする方が賢いのかなと一瞬考えたぐらいなのですけれども、私自身はやはり調停の中で、元夫と完全に対立構造を作ってしまいたくなかったので、そこは正直、自分自身の思いとは違うことで何か得をしようという考えは、やはり今後信頼関係を築いていく上ではよくないと思い、面会交流については特に私自身、会わせたくないなどと思っていないので、取決めをしないようにしました。   ふだん私と元夫がどんな関わり方をしているかということについて、次にお話しします。私しか子どものふだんの学校の様子とか学校の連絡とかは聞くことがないので、保育所のときであれば保育所の先生から聞いたこと、今であれば学校の先生から聞いたことや、児童クラブの先生から聞いた話なども時々、週末子どもが会いに行く際に話をしたり、そういう簡単なことであればそうやって話をしています。   うちの子は支援学級に在籍して療育を受けているのですけれども、それは保育所の頃に担任の先生からも話が出て、私自身も少し支援学級を考えたいなという気持ちもあったので、保育所の頃に考え始めたのですけれども、その際も支援学級を希望するのか、療育を受けさせるのか、療育手帳を取るのかというようなことについても相談しました。結果としては、支援学級に関しては、元夫の方はふだん自分が毎日関わっているわけではないので、絶対にそうした方がいいとまで思っているわけではないけれども、私が必要だと思うならそうしたらいいと思うという感じで、特別支援学級に在籍しています。また、療育手帳に関しては、こちらも相談した上で、今すぐに取る必要はないだろうという結論に至って、保留にしている状態です。   また、ほかは日常的には学校からもらった学校で購入する写真とか、あとは私がふだん自分で撮っている写真を共有したり、子どもの作品、絵だとかそういうものを共有したり、写真に撮って共有したり、そういうことをしています。学校行事に関しても、いつ参観日があるとか、運動会、図工展があるというようなことを共有したりしています。   私自身が今こういうふうに元夫と協力したり、子どもも別居親と関わりを持っている状況の中で、共同親権について感じていることをこれからお話ししようと思います。私自身が、共同親権というテーマが出てくるときに割とよく耳にするのが、共同養育の推進とか、養育費の不払いを解消するとかということと結び付けたような議論の仕方をされるのを聞くと、少しこれは、非常に違和感を感じています。というのも、実際婚姻関係にある夫婦でも、親権を特に意識することというのは日常の中でそれほどないと思うのですけれども、まず、親権というものの捉え方が少し私の考えとは違うなと思っています。それは、親権ってむしろ子どもを守るため、子どもが自分自身では管理できないことだとか、自分自身で決められないことを親がその子どもに対して責任を持って外部に行使する権利だと思っています。ただ、共同養育とかという話の中で出てくる共同親権という言葉は、どちらかというと子どもや元配偶者に対するコントロールだとか支配だとか、自分の利権のために行使するようなものに感じて、外部に対して行使するようなものには感じられないのですね。そこにすごく違和感を感じています。   また、子どものことで元夫と話をするときにも、私自身は実際には親権者ではありますが、親権者であるということを意識することというのはまずないですね。それは、そもそも夫婦であった頃と何ら変わりはなくて、子どもにとって今、自分たちができるベターな選択をと考えた上で話をしているのであって、自分が親権者だとかそういうことは考えていないのですね。情報を共有するのも、私しか知り得ない情報があるので共有するのであって、別に自分が立場として上だとかそういうことではないです。   また、協力していく上で単独親権が特に問題になるということもないです。そもそも、まず自分たちも意識しないですし、単独親権だからできないというようなことはまずないですね。なので、そこに協力してやっていくということと共同親権というものが結び付けられる根拠というのが私自身は余り、うやむやだなと感じています。   また、養育費の不払いの話に関しては、非常にこれは本当に、それは奇妙なロジックというか、親権というのはむしろ子どもに対しては責任だとか、保護者としての義務だと思っています。なので、不払いというのはそもそも本当は払わなければいけないものを払っていない、責任を果たしていないという状態で、その人に親権を与えて払うことを期待するというのも、本当にこれは単なる期待でしかないですし、根拠にも乏しいですし、まず、責任を果たしていないという人に親権を与えるというのも、また少し変な考えだなと感じていて、割と私自身は、マスコミなどでは前から耳にする、共同養育というのを推進していくものになるとか、養育費の不払いの解消というものとの結び付け方には違和感を感じています。   また、私自身がこの共同養育というものの話をされるときに、何かそれがすごくいい形であるというような、在るべき形みたいに語られるのは、非常によくないと思っています。協力できるかできないかというのは、もう本当にケース・バイ・ケースの話であって、うちの場合は実際、住んでいる場所も物理的に非常に近い距離に住んでいるということもあって、このような交流ができるのもありますし、仕事のこととかいろいろな、そもそもが離婚した夫婦なわけですので、どれぐらいの葛藤があるかというのも本当にケース・バイ・ケースですし、その中で共同養育みたいなものが理想的な形にされてしまうというのは、ある意味、そうできない人たちに対して何か烙印を押すようなことになったりとか、偏見を持ったりするようなことになるおそれがあるなと私は感じています。また、当事者自身も、そこに自分ができないということに対して苦しむのではないかと思って、非常にそれがスタンダードになっていく、それが理想的なのだとされることにも危惧を感じています。   また、実際、協力できるのであれば、特にそもそも今現在の制度で何ら支障はないのですけれども、共同親権になったらどうなるのかということを日常のオペレーションで考えてみると、ふだん学校から求められる書類ですとか、いろいろな子どもに関する手続の中で、保護者の欄にもし親権者両方の同意が必要となった場合、ふだん子育てして、家事して、仕事してという中で、どれだけ近くに住んでいても、そのサインをもらうということは非常に手間になることですし、学校の書類というのは本当にふだんからたくさんありますので、それに全部同意が必要となると非常に負担だなと感じています。   また、その同意というのが、実際話を、例えば私の場合、先ほどの療育に関しても、支援学級を希望するのかどうかということに関しても、これは私自身が感じていることですけれども、元夫の方は私の意見を尊重するよというような返事であって、それがいいよと言っているわけではないのですよね。でも、それは別にそれで構わないと思うのです。私たちにとってはそのやり方が合っているわけで、別にそれを外部からどうのこうの言われる問題ではないと思うのです。でも、同意を求めるとなってしまうと、尊重するということと同意するということにはやはり若干の差があるので、同意してくださいと毎回書類を出されると、出される方もですし、出す側の方も非常に、今までお互いのある意味、空気感みたいなものでやってこられたものが、非常に格式張ったものになって、むしろコミュニケーションが取りにくくなっていくのではないかというのも感じています。   また、共同、協力しながらやっていくというのも、それをもし本当に推進していきたいとしたら、私がこれは感じていることなのですけれども、できない場合に無理に共同親権とかで、そもそも押し付けてやらせるものではないと思いますし、お互いの信頼関係がなければやはり協力って成り立たないと思うのです。その上で、これは非常に、即効性のあるものではないですけれども、もしそれを推進していきたいと思うなら、考えなければいけないのが、やはり双方にあるジェンダーギャップの差というのが縮まっていかないと、協力していくというのは非常に難しいと思っています。力関係に非常に大きな差がある関係の中で、離婚後に協力してくださいというのは非常に難しいだろうなと感じています。   今回、私はこのお話を頂いてから、父親にも実際、親権についてどう思うかということを尋ねてみたのですけれども、この資料にも載せさせていただきましたので、少し読み上げます。   離婚時に親権者を定める際には、自分が親権者ではなくなることに寂しい気持ちもありました。しかし、これまで子どもと関わる上で親権が問題になったことはなく、単独親権制度によって関わりが制限されるようなことはありません。親権と親子関係は別物ですし、子どもとの関係性は親権によって決まるものではないと感じています。希望するように子どもと会えなかったり、関われなかったりするのは、親権の問題ではなく、話合いや調停等の取決めにより解決することではないかと考えています。   これを書いてもらう前に私と少し話したときにも言っていたことなのですけれども、実際、離婚の話をしている中で、いろいろなところで納得行くこと、納得行かないこと、たくさんありますが、やはり親権者というのを決めなければいけないという場面で、今まで親権者だったものが、自分がそうではなくなるというのを取り決める段階では、やはり寂しい気持ちはあったけれども、ただ、実際親権ってそれまで、なかなか離婚となるまで考えることがそもそもなくて、いきなり親権者でなくなると言われると、実際、親であるということとは関係ないとしても、何となく寂しい思いは自分自身、一緒に住んでいるわけではないというところもあり、気持ちもあったけれども、実際離婚して子どもと関わってみれば、別に親権なんて、私自身もそうですけれども、元夫の方でも別に意識はしないですし、そもそも今までやってきた中で、親権というものによって何かが制限されるということも実際ないですし、子どもとの関係性というのはふだん会ったりしたり、一緒に過ごしていく中でできていくものなので、それと自分との関わりというのが親権の問題ではないなと、実際関わる中で感じているとのことでした。 ○大村部会長 時間が長くなっていますので、まとめに。 ○U.A.参考人 すみません、もう本当に今日お話ししようと思っていたことは以上です。ありがとうございます。 ○大村部会長 どうもありがとうございました。   それでは、U.A.参考人からの今のお話について、御質問があればお願いをしたいと思います。質問の際には、まずお名前をおっしゃってから質問をしていただきたいと思っております。前の参考人と同様、20分程度を予定しておりますので、まず御発言の希望を確認してから質問に入らせていただきたいと思います。御発言の希望の方は挙手をお願いいたします。   青竹幹事と武田委員が今、挙手されていますけれども、大石委員、ほかにはいかがですか、戒能委員。4人の方から挙手がありますけれども、それでよろしいでしょうか。 ○青竹幹事 ありがとうございます。大阪大学に所属しております幹事の青竹と申します。今日、興味深いお話を伺いまして、大変勉強になりました。ありがとうございます。U.A.参考人御自身も単独親権者でいらっしゃりながら、元夫の方がお子さんに一緒に関わっていらっしゃるという状況、非常に面白くお聞きしました。U.A.参考人の御発言で、家族が多様であるというので、余り一つの理想というのを押し付けない方がいいのではないかといったような御趣旨のことをおっしゃっていたところを、非常にそのとおりと共感いたしました。   それで、U.A参考人御自身の今の状況に加えて、もしほかの方たち、多様であるというのはもっともなのですけれども、ほかの方の離婚後の子との関わりについて、意識について、思われることがもしありましたら教えていただけますでしょうか。親権者にならなかった方の親が、子どもに関わる必要ないとか、関わらない方がいいという誤解を持ちやすいと思われるかどうかという、そういう方はいらっしゃるかどうか、そのような御分析、御意見ありましたら、教えていただけたらと思います。U.A.参考人御自身はそんなことはないと、元夫の方も親権者ではなくても変わらないと御紹介いただいたのですけれども、ほかの御家族、多様な御家族を御覧になって、親権者にならないということで、子どもに関わる必要がないかな、関わらない方がいいかなという誤解を持ちやすいと思われることがあるかどうか、すみません、説明が下手なのですけれども、御理解いただけたでしょうか。よろしくお願いします。 ○U.A.参考人 私自身、親権というものというのは自分が離婚を考えるまで、それほど深く考えたことがなかったのです。親権とは何かというのも特別意識もしませんでしたし、そういう思い違いではないかもしれないですけれども、親権者ではないということが、関わらない方がというのが、親権者ではない方が思うということでしょうかね。 ○青竹幹事 そうです。 ○U.A.参考人 親権者ではない方が、どうして関わらない方がいいと感じてしまうのかなというのが少し、私自身は、興味がないと言っては少し語弊があるかもしれないですけれども、関わりたくないということなのか、それほど関わることに興味がないということなのか。やはり親権と親であることというのがそもそも別のものだということが余り十分理解されていないのかなとは感じていますが、親権者ではない側が、親権者ではないから会わない方がいいと感じている人が、私自身は余りぴんと来なくて、どちらかというと私が感じているのは、親権というもののせいで会えていないというふうなことの方をよく聞くというか、事例としては聞くので、会わない方がいいと思っているということと親権というのは、それほど結び付いていないのかなとは私は思っています。むしろ、親権者ではないのだからということを、例えば養育費だとか、親としての責任みたいなところを逃れるために利用されることはあっても、会いたいのに、親権者ではないから会わない方がいいというのは、余り私自身はぴんと来ないですね。すみません、余りお答えになっていないのかもしれないですけれども。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○青竹幹事 ありがとうございました。 ○武田委員 親子ネット、武田でございます。今日はよいお話、どうもありがとうございました。私も実は今では共同養育をやる関係になりまして、そこに至るまで、U.A.参考人とは違って大変な長期間が掛かりましたので、非常に羨ましい限りでございます。   質問としては、今、面会交流も別に緻密に決めているわけでもないし、きちんとお子さんの成長に合わせて、会話をしながら、相談しながらやられているのだなということを実感いたしました。今後、お子さんも大きくなって、お母さん、お父さんも含めて、環境の変化もあろうかと思います。そんな中で、例えばお子さんの進学とかお父さんやお母さんの引っ越しとか、面会交流のやり方、今は小学生ですかね、小学校中学年、高学年になったらまた変わってくると思いますので、そういった場合に意見が異なる場合というのも今後あり得るだろうと思います。そういった意見が異なった場合、どのように解決していくか、今現在話していることがあれば、話していることでも結構ですし、元配偶者とどんなふうに解決されていこうとお考えなのかということを教えていただきたいと思います。あともう1点、これはU.A.参考人の感覚でいいのですけれども、現時点では、親権というのはこだわるべきではないという御意見だと承りました。逆に言うと、現時点で、逆にお父さんに親権を渡して、私は監護者でもいい、親権監護権分離でもいいのですけれども、何かそのようなお考えがあるのかどうか、その2点、可能な範囲で教えていただければと思います。 ○U.A.参考人 そうですね、今後成長していく中で意見の対立ということなのですけれども、これも私の本当に感覚なのですけれども、それは別に夫婦であっても意見は対立することというのがありますので、夫婦で意見が対立した場合とそれほど私自身は、私のケースでいえば、変わらないなと感じています。というのも、結局、元夫と私は子どもにとっていい選択は何かというのを考えているので、意見が対立した場合に、別に相手の意見が間違っているとかというふうに言うつもりはなくて、それはそれで自分自身と違う意見としてやはり参考にはなりますし、ただ、今まで明らかな対立というのがそれほど、子どもも小さいというのもあって、進学だとかの面で明らかな対立というのがなかったので、実際のところ本当に対立するとなったらどうなるのかというところは具体的には思い描けていないのですけれども、実際、夫婦間でも意見が違うというときとそれほど変わらないのではないのかなと、結局は子どもにとっていい選択をしたいという思いそのものは今のところ変わらないなと感じています。   ただ、子どもにとっていい選択をといっても、できること、できないことというのはその状況、仕事だとか、それぞれいろいろな環境の変化によって変わっていくと思うのですけれども、その辺に関しては、具体的な例がないのですけれども、自分たちにとってできる範囲内でのベターな選択をというのはいつも意識していて、例えば、私たちのケースの場合は余り今のところ想定されていないですけれども、ほかの御家庭であれば、例えば片方の親が、両方の親もあるかもしれませんけれども、再婚しているとかというケースもありますね。その場合、恐らくうちの子どものように毎週会ったりとか、泊まりに行ったりとかというのはそんな簡単にはできないだろうなと思うのです。それはそれで、その中でできることというのを私たちは考えていけばいいだろうと思っていて、それぞれの仕事だとか、別に再婚しなくても、もしかしたらパートナーができるかもしれませんし、そういうことによって子どもとの関わり方というのは変化せざるを得ないと思っています。その変化していく中でも、やはり子どもも納得できるような、今のところまだ子どもが小さいので、なかなか子どもの意見というものを聴いても、明確に返ってくるということは難しいかもしれないのですけれども、成長に合わせれば、それなりに子どもとも対話をしながら考えていきたいと思っています。   先ほど、親権を、例えば監護権と分けて、元夫の方でもよかったのかというお話なのですけれども、私自身はやはり一緒に暮らす親が親権を持たずに、協力できるのだったら問題ないかというと、やはりそれはそうではないかなとは思っています。というのは、協力できる関係であれば、もしかしたら表立った問題というのはないのかもしれないのですけれども、でも、先ほどの学校の書類とか、やはりふだん日常に接している親がすぐに判断できない状況というのは非常に難しいなと思いますし、私は夫の細かい生活までそんな把握できるわけではないですし、私が口出しする権利のある立場でもないので、離れて暮らす親が親権を持つ意味というのが、そもそも少し私には不可解だなと感じています。何のために持つのかということを考えると、それは責任を果たすというよりも、むしろそれを何か行使するというふうに感じてしまいますね。その必要性というところで、やはり離れて暮らす親が持つということは、少し違和感があります、私自身は。なので、表立った問題としては、すぐに対応できないというところにはなるかと思うのですけれども、やはりそこは別に父親の方に渡してもよかったとは思っていません。 ○武田委員 ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   大石委員、どうぞお願いいたします。 ○大石委員 もうお話しいただいたので、結構でございます。ありがとうございます。 ○大村部会長 分かりました。では、大石委員の方はよろしいということで、次は戒能委員ですね。 ○戒能委員 委員の戒能と申します。お話しいただき、問題提起を頂きまして、本当にありがとうございます。確認のような御質問なのですが、様々な形があってよいということでしたが、U.A.参考人の場合は、別居親の方が以前からこういうお考えなのか、それとも、別れた後にこういうお考えに、どういう契機といいましょうか、変わっていったのかというようなことも一つお聞きしたいことです。確認としては、共同養育という形に制度化してしまった場合の弊害が大きいのではないかというようなことを、おっしゃりたいということでよろしいでしょうか。細かく規律で制度化していくことが、かえって子どもの幸せに必ずしも反映しないというようなことを実感として感じられているということの御主張ということでよろしいでしょうか。 ○U.A.参考人 まず、父親の考えについてなのですけれども、父親自身は親権についても特に調停の場面で争ったわけではないのです。ただ、そういう気持ちはあったということ、寂しさみたいなものはあったということで、特に自分を親権者にしてほしいというような、親権を譲らないみたいなことを調停の場で言われたわけではないです。私も親権についてというのは、調停の場を除いては、今回ここでお話しする機会を頂く以前に父親と話したことがないので、どんなふうに変化したというのははっきりとは分かりません。   制度化したときの弊害とかということなのですけれども、そもそも協力の仕方に関しても、ひとり親家庭だとか関係なく、各家庭、親の関わり方なんて本当に千差万別だと思うので、そもそも制度としてやることは不可能ではないかと思っているのです。その中で、例えば共同親権と共同養育みたいなものを結び付けて語られるときに、私が余りよくないなと感じているのが、まるで共同養育というのが理想の形みたいに、いい例、それは本当に協力できるのなら、それは子どもにとっていいかもしれないのですけれども、それが最善だとか、そうできない親はよくないみたいな価値観を生み出すことを恐れています。協力の仕方なんて本当に、住む場所とか環境によって全然違いますし、できることも違うのに、何か制度化するのは難しいというか、不可能だと思っていますし、結局、自主的というか、自分たちがやろうと思ってやっているから協力になるのであって、強制されて協力になるものではないと思うのです。協力してやっていくということを推し進めたいとすれば、それを後押しするものとして、私がやはり必要だと思っているのは、それこそジェンダーギャップを限りなく縮めていくことへの努力と、本当に離婚とかに関係なく子育てをしやすい環境を整えていくということの方が、協力することを後押しすることになると考えています。 ○大村部会長 ありがとうございました。   柿本委員も手が挙がっていますか。もし何かおありでしたら、短くお願いいたします。 ○柿本委員 柿本でございます。御報告ありがとうございました。面会交流と養育費について調停委員が取引の材料にされたように感じたとおっしゃったように思います。それで、調停委員の方との関係性といいますか、そういうふうに感じたときに何かおっしゃることができたかとか、心から信頼していろいろお話ができたのかとか、その辺のところをお伺いしたいのですが。 ○大村部会長 ありがとうございます。では、お答えの方も、すみませんが、手短にお願いいたします。 ○U.A.参考人 調停委員の方に関しては私は、男性の側の調停委員に関しては、少し中立とは言い難いなというのは最初から感じておりました。なので、私自身は少し最初から身構えていたという部分もあるのですけれども、私が先ほど述べた、調停の中でてんびんに掛けるような、取引に使われるようなやり取りというのは、本当に私としては全然、面会交流と養育費というものを取引する気もなかったところで、養育費の話が出たときに、何かふっと面会交流の話を持ってこられたのですね。結局それを取引にして額の交渉をしようということだなと感じたのですけれども、それを手に交渉するというのは私、一瞬は考えましたけれども、やはりそれは自分の心情とは違うと思って、面会交流に関しては私は拒む気はないですとお伝えしました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   皆さんの方はまだ質問があるかもしれませんけれども、時間もございますので、U.A.参考人に対する質問はここまでということにさせていただきたいと思います。   U.A.参考人におかれましては、お忙しい中を当部会の調査審議に御協力いただきまして、大変貴重な話を伺わせていただき、ありがとうございました。改めて御礼を申し上げます。 ○U.A.参考人 ありがとうございました。 ○大村部会長 ここでU.A.参考人に御退室を頂いて、次の参考人の方に入室をしていただきたいと思います。ありがとうございます。   それでは、本日の参考人、ヒアリングの最後になりますけれども、K.M.参考人にお話を頂きたいと思います。   K.M.参考人、どうぞよろしくお願いいたします。 ○K.M.参考人 よろしくお願いいたします。資料を配布させていただいたので、一通りは目を通していただいているかなとは思います。私は、これに書いてあるとおりに、連れ去り以前、今年小学校5年生、11歳の長男の妊娠中から、夫からひどい暴力を受けていました。なので、連れ去られたのが3年以上前なので、7年間ほど、長い期間にわたる暴力を受けておりました。どのようなものであったかというのが、理由がつかめない、どのようなことを言ったり、どのようなことを私がすれば夫が怒って暴れ出すかは分からないという状況で、顔色をうかがいながら、おびえながら暮らしているという状況でした。   最初は、物を使わず素手で殴られる、顔面も殴られるという状況でしたけれども、それがどんどんエスカレートしていきまして、最終的にはアイロン台とか掃除機で殴られて、多分、病院に行けなかったので不明なのですけれども、あばら骨を殴られて、うずくまって、痛み止めを1か月以上飲みながら生活するという状況だったので、もうこのままでは殺されるかもしれないと思って、一度シェルターに避難したこともあります。   けれど、夫の方から、代理人の方から、自分がカウンセリングを受けているし、自分の問題にはしっかり向き合っているということを連絡を受けて、シェルターから一回、自宅に帰ってしまいました。職員の方からは、DVする人は変わらないよとは言われていました。私もそう思ってはいましたけれども、もし本当に暴力がなくなって、子どもたちから父親を奪うことがないのであれば、きっとその方がいいはずだと思って、自宅に帰りました。   でも、私を直接殴れば私の体に証拠が残ってしまうので、私を直接殴るという暴力はなくなったのですけれども、やはり大声で怒鳴り散らしたりだとか、机の脚を折ったりだとか、パソコンを叩き割ったりだとか、そういうような暴力といえるものは続いておりまして、それとプラス、子どもたちと私のことを引き離すという行為をし始めることになりました。私が暴言で泣いてしまえば、長男、当時7歳の子どもに、私の泣いている写真とか動画を撮らせて、母さん、変な顔しているねとか、母さん、言っていること分からないね、変なことを言っているねとか、私が体調を崩せば、母さんは子どもの面倒を見る気がないのだよとか、そういうことをずっと言い聞かせるようになりました。それに少しでも私が言い返せば、私のことをすぐ警察に通報したりだとか、母さんはもう怒って止まらなくなってしまっているから、もう離れないといけないねと言って、子どもを連れて警察に駆け込んだりという行動をしていました。そうするような生活はもうできないと思って、夫に離婚を切り出したところ、子どもを連れ去られてしまいました。そのときも、泣いている子どもを無理やり乗せるというもので、追い掛けた私を突き飛ばした際に私は骨折をしました。これが連れ去りまでの経緯です。   殴られていたので、あざの証拠や診断書もありますし、DVの相談にも支援センターに相談に行っていたので、そういったような記録も提出はしたのですけれども、家庭裁判所では負けてしまい、上訴の末、高等裁判所では引き渡す方に判決は出ました。それが出たのがおととしの12月です。もう1年以上たちましたけれども、いまだに引渡しはされていなくて、去年の12月、昨月ですね、人身保護請求で下の子を私に引き渡すようにという判決が出たにもかかわらず、それでも引渡しはされていません。連れ去りから3年半近くたちましたけれども、子どもに会えたのは3回ほどで、時間も2時間程度しか会えていません。   私は今日このように機会を設けていただいて、お話しすることができていますが、私のようにDVを受けていたり、子どもを連れ去られて会えないという方、表に出てきてこういうようなお話をする機会だとか、外に出ることすらつらくてできないという方は一杯いらっしゃると思いますので、私が今日、私のような立場の者からお話をさせていただくことができて、大変有り難いと思っております。   連れ去りまでの経緯はこのようなものでしたけれども、面会について今からお話しさせていただきます。調停内で面会交流について話合いは続けていたのですけれども、夫の方から、子どもが不安がるからという理由で、第三者を付けろというような話がありました。なので、私は面会交流を支援してくれる第三者機関を使いましょうと提案したのですけれども、夫はずっと申込書を提出していただけませんでした。なので、私は調停内で、申込書を出していただけないのですという話をしたのですけれども、それを聞いた夫がその第三者機関へどなり込んでしまいまして、職員の方がおびえる事態になってしまいました。なので、こちらの第三者機関を利用するということはできず、その挙げ句に、子どもの連絡先は私、知らないのですけれども、夫も代理人も通さずに子どもと直接面会の予定を決めろと向こうから主張されていました。   また、面会交流調停を一度申し立てたこともあるのですけれども、私の電話番号を教えない限り信用できないから会わせないと言われています。それも、私はずっとDVを受けていた立場なので、調停委員さんも、危ないことがあるかもしれないということで、もう諦めるしかないかもしれないねという話になってしまい、子どもに会うこともかなっておりません。   子どもは私に対して今どう思っているかということを今からお話ししたいのですけれども、資料を作りましたので、そちらの方を見ていただきたいです。こちらは、私が同居していたときに私が子どもの様子を撮った写真になります。長男はこんなにも楽しそうに笑顔で、下の子とも仲よく過ごしていたのですけれども、連れ去られて半年後ぐらいに子どもから手紙が届きまして、次のページになりますが、これにはもう、重要必読という強い文字で、結構強い言葉で、母さんにはもう会わないことにしましたと書かれています。これが届いたすぐに、こちらの資料の3ページですかね、12月に面会をした後にこちらは届きまして、翌月の面会交流の予定が決まっていたのですけれども、この手紙を理由として、会わせられないということを言われて、それからもうずっと全く会えていないという状況です。   なので、同居中に幾ら仲がよかったとしても、引き離されて、コミュニケーションを子どもととることもできずに、夫から、どういうような生活をしているかは分からないのですけれども、同居中のことも考えると、私のことをずっと悪く言い続けているのだろうなという予想は付きますので、それで、連れ去られたときは長男は7歳だったのですけれども、まだ何がどういう状況なのかということが分からない、母さんがどうしてこういうことを言っていたのか、父さんがどうしてこういうことになっているのかとかいうのが同居中はまだ分からない年代だったのかなと思って、それで、話すこともできず、会ってコミュニケーションをとることもできずという中で、このようなふうになってしまったのかなと思います。   私からは以上になりますので、何か質問などがあれば、よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは、ただいまのK.M.参考人のお話につきまして、御質問があればお願いをしたいと思います。なお、御質問される際はまずお名前をおっしゃった上で御質問をお願いしたいと思います。これまでの参考人と同様、20分程度の時間を予定しておりますので、御発言の希望をまず挙手で伺いたいと思います。御発言の希望の方は手を挙げてください。   原田委員、赤石委員、武田委員、小粥委員、佐野幹事もですね。ほかはよろしいでしょうか。 ○原田委員 弁護士の原田です。すみません、パソコンを替えてしまって、マイクがないので、お顔を出せませんけれども、よろしくお願いします。とてもつらい状況だと思うのですけれども、K.M.参考人としては、どういう制度があればお子さんと会える、あるいは、どういうふうにすればお子さんと会えるようにできるというふうに御希望されますか。 ○K.M.参考人 まず、このように無理やり引き離されるということが、きちんとこれは間違っていると言っていただけることで、無理やりこのような、けがをしてまで引き離されるという事態にならなかったのかなというのが一番にありますし、連れ去られてからも全く会えなかったので、これがもっと会えて、子どもたちときちんとコミュニケーションをとって、一緒に過ごしていろいろなことをするようなことができれば、このような、子どもの気持ちが私を激しく拒否したりだとかいうようなふうに変遷していくことは防げたかなということと、あと、判決で私に引き渡しなさいということが出ているにもかかわらず、それが何も意味をなしていないというところが私としては問題になっていて、どうすることもできない、裁判をしたところで何も意味がなかったという状況になってしまっているのが一番困っているところです。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。本当にいろいろつらい思いをされてきたかと思います。確認なのですが、幾つかお聞きしたいと思います。連れ去られたという事件があってから割と早くに、監護者指定と子の引き離しと保全を申し立てておられるのですけれども、結論が出るまですごく長く掛かっているのはなぜだとお思いになっていらっしゃるかということと、それから、何度か調査官調査は入っているのですが、どういう結論になったのかなというところを、もし教えていただければ有り難いです。 ○K.M.参考人 私も、この長く掛かってしまった理由というのは全く分からないです。調査官調査も数回入ったのですが、最初、連れ去られてから10月ぐらいに入ったものは、私の方に調査が入らず、向こうでも30分程度、今、問題がないかどうかということのみで、少し話をしたのみだという記録はありました。それで、緊急性がないだろうということで調停に切り替わってしまいまして、次に子どもに心情調査が入ったのが連れ去られてから1年2か月後になっています。そのようにものすごく時間が空いてしまってからの子どもの心情調査で、私のことをもう激しく拒否していて、私のことだけではなくて、私の父が子どもを褒めたということに対しても、具体的に言えば、父が上の子に対して、あなたは絵が上手いから将来は画家になった方がいいかもね、みたいなことを言ったことに対して、おじいちゃんはそういうふうに決め付けるのはおかしいという発言をしたと書いてあります。それに加えて、私が住む予定の実家の方の小学校には、たばこを吸う小学生がいるから行きたくないという発言もしていると書かれていて、調査官調査には、単純に母親を悪、父親を善とすることによって子どもの心情の安定が図られているのではないかということを書かれましたが、それでも子どもが拒否している以上、引渡しは現実的ではないという結論にされています。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○赤石委員 ありがとうございます。 ○武田委員 K.M.参考人、今日は頑張って話してくれて、ありがとうございました。もう質問内容で出たので、お聞きしたい内容をまとめます。ようやく引渡しの審判が出て、でも引き渡しは実現しない、人身保護請求をやってもうまく行かない、という状況かと思います。K.M.参考人とすると、そもそも一審でどこを見て相手方を監護者とする判決が出たのか、その間に少しでもお子さんたちと会えていれば結果は違っていたのでは、という課題意識なのだろうなと思っています。今もう一回振り返って、早くから、こういう監護者の争いとかをやっている中で、会わせてくれと提案したら実現したと思いますか、そういう方法もあると思いますか。それだけお答えいただければと思います。 ○K.M.参考人 私のケースでは、会わせてもらう方法はなかったかなと思います。私の相手、今までの経緯から言っても、施設にどなり込んだりだとか、子どもだけで直接決めろとか、電話番号を教えろとかいうような常識的ではない発言を繰り返しているので、常識的な行動をこちらが幾ら譲って調整しようとしても、それがずっとかなわなかったというところはありますので、結局のところ同居親の気持ち次第という印象があります。 ○武田委員 ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○小粥委員 委員の小粥と申します。今日は本当に難しいお話を聞かせてくださって、本当にありがとうございました。私からお聞きしたいのは、今までの過程でたくさんの法律の専門家に接触されていると思うのですけれども、そういう方々に対して率直なところどういう印象を持たれたのかということを聞かせてほしいということです。家裁の調査官のことについては少し今、お話が出ましたけれども、元々弁護士さんに頼んでいろいろな手続をやっておられるのかとか、お話の中からはよく分からなかったのですけれども、弁護士さんですとか、あるいは家庭裁判所の調停委員、あるいは裁判官など、印象に残っていることがあるのだろうと想像しているのですけれども、お聞かせいただければ有り難く思います。よろしくお願いいたします。 ○K.M.参考人 最初から私、弁護士さんに頼んでいたのですけれども、そもそも私は離婚をしたいということを夫に切り出した方なので、そのときから既に、連れ去られる前から、少し相談に行き始めてはいたのです。ですが、連れ去られてしまって、骨折までして連れ去られてしまって、あざの証拠もたくさんあるし、相談も記録を出してという形にはなっているのですけれども、家庭裁判所の裁判官には、それは問題ないと、今の監護状況には問題ないと言われてしまっているので、そこが、どこが問題がなかったのか、そのようなところで子どもが育っていて、DVの場面も常に目撃しているような、むしろ子どもが巻き込まれてしまっているような状況で育っている中で、子どもが本当に真意を伝えられているのか、今の子どもの心情調査でも、真意を伝えているのか分からないというところが、私はすごくあるのですけれども、それでも子どもの意思を尊重しましょうと、子どもが反発しているので、現実的ではないでしょうという結論になってしまったところが、全く私は納得できる部分がないというところはありますね。判決が出たところでそれを実行する方法がないというところ、そういうところも、司法の場面であったりだとか、何もうまく行っていないなというところは問題があるなと思っています。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○佐野幹事 幹事の佐野と申します。本日はお話ありがとうございました。少し確認させていただきたいのは、一番最後の人身保護請求、御長男は棄却だったけれども、御二男さんは、6歳でいらっしゃいますか、認容されたとあるのですが、結局、人身保護請求の場合、審問期日に拘束者がお子さんを裁判所に連れてこないといけないと思うのですけれども、連れてこなかったから失敗ということなのか、その結論がどのような状態になり実現できなかったのかということを教えていただけますか。 ○K.M.参考人 人身保護の判決が出たのが12月と先ほど申し上げたのですけれども、それ以前に7月にも期日が入っていたのです。そのときも子どもを連れてこなくて、12月にも子どもを連れてこなかったというところで、子どもがいないけれども、判決をもう出すしかないでしょうというところで、子ども不在のまま判決というところがあったので、結局引渡しはされないという状況になりました。 ○佐野幹事 ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。   K.M.参考人に対する質問については、多少時間に余裕があるので、もし2問目があれば伺いたいと思います。池田委員、手短にお願いいたします。 ○池田委員 弁護士の池田と申します。今日は貴重なお話をありがとうございました。最後にお話しいただいた人身保護請求のことで、1点だけ教えてください。子どもを連れてくるようにと裁判所が正式に命令を出したにもかかわらず、連れてこなかったのですか。そういう場合、相手方は勾留されるという規定があったりもするのですけれども、そういう話にはならなかったのですか。 ○K.M.参考人 それが、夫が言い聞かせていた部分は大いにあるとは思うのですけれども、祖父母が子どもを裁判所まで、敷地内まで車で連れてきたのですが、車から降りた途端に子どもが走って逃げてしまったということを言っていて、夫自体はそのまま出席はしていたのですけれども、子どもは不在でということになってしまったのです。 ○大村部会長 ありがとうございました。   では、武田委員も短く。 ○武田委員 質問ではありません。今も勾留されていません。 ○大村部会長 それでは、K.M.参考人に対する御質問は、まだあるかもしれませんけれども、時間の関係もありますので、この辺りにさせていただきたいと思います。   K.M.参考人におかれましては、大変お忙しい中を当部会の調査審議に御協力を頂き、貴重なお話を聞かせていただきまして、大変ありがとうございます。改めて御礼を申し上げます。ここでK.M.参考人には御退席を頂きたいと思います。ありがとうございました。 ○K.M.参考人 ありがとうございました。 ○大村部会長 本日のヒアリングはこれで終了ということでございまして、次の議題がございますけれども、次の議題に入る前に10分休憩を取らせていただきたいと思います。現在16時15分ですので、16時25分に再開いたします。休憩を致します。           (休     憩) ○大村部会長 それでは、再開したいと思います。   本日の最後の議題になりますけれども、令和3年度全国ひとり親世帯等調査の結果概要についてという件でございます。   この部会の過去の会議において大石委員の方から、ただいま御紹介した調査の結果概要を厚労省の方から報告してほしいという御要望を頂いておりました。その後、調査結果が昨年の12月に公表されたと伺っておりますので、本日は厚労省の方からその概要を御報告いただきたいと思っております。また、本日これに関連する資料といたしまして、大石委員からも資料を頂いておりますので、厚労省の方の御報告に続きまして大石委員からも御報告を頂き、その後、他の幹事、委員からの質問、御意見を頂きたいと考えております。   それでは、厚労省、河村幹事から、まず御報告をお願い申し上げます。 ○河村幹事 ありがとうございます。厚生労働省の家庭福祉課長の河村でございます。私の方から、提出資料1に基づきまして御説明をさせていただきます。   次の1ページにお移りを頂ければと思います。まず、本日御説明をさせていただきます全国ひとり親世帯等調査でございますけれども、昭和27年を初回といたしまして、その後5年ごとに調査を実施してきております。前回調査が平成28年度の調査になります。調査の時点でございますけれども、調査時期のところですが、令和3年11月1日現在の状況を調査しております。収入関係の情報につきましては、その前年の令和2年のものをお調べしております。その下の調査範囲及び調査客体等のところですけれども、本調査は基本的に母子世帯と父子世帯、あと養育者世帯と、父母のいない児童が養育者の祖父母等によって養育されているケースの養育者世帯の、この三つの世帯について調査をさせていただいております。   その下の調査客体のところですけれども、左側の調査客体数、また、右側に集計客体数を書かせていただいておりますけれども、この関係で一部、事前に委員の皆様から少し御質問を頂いておりますので、この辺りの抽出の詳細を少しだけ御説明させていただきますと、詳しくは提出資料2の調査結果本体の方の資料の1ページの上の辺りに記載がございますので、お手元の資料がおありになる方は御覧になっていただければと思いますけれども、まず、調査客体の抽出の仕方でございますが、全国の母子世帯、父子世帯又は養育者世帯を対象にいたしまして、平成27年の国勢調査で設定をされた調査区、国勢調査の調査区は100万を超える数の調査区がございますけれども、その国勢調査の調査区の中から無作為に、まず9,100調査地区を抽出いたしまして、その9,100調査地区で当該調査地区内の全ての父子世帯、養育者世帯、これは住基台帳等で確認をするわけですけれども、全ての父子世帯、養育者世帯を一旦、客体とすると、さらに、9,100調査地区のうちの3,500の調査地区の母子世帯をまた全て調査客体とするという形で標本の設計を致しまして、その結果が、先ほどの提出資料の1の下にお戻りを頂きますと、左側の調査客体の母子世帯で、例えば4,105世帯、そのうち集計の対象になってきた世帯がこの右側の、母子世帯ですと2,653世帯という形になっております。   一番下の小さな※書の注釈のところでございますけれども、実は平成28年度の前回の調査までは、こうした抽出で標本を取っているのですけれども、実数値での公表をしてきております。それらについて、やはり抽出している以上、きちんと復元をすべきという御指摘も頂戴を致しまして、今回の令和3年度の調査から、集計の客体数から全国の値を復元する方法を採っております。このために一部、集計の方法が変わっておりますので、比較のときに若干留意が必要な点かと思っております。   続きまして、2ページの方にお進みいただければと思います。1番から6番に主立った項目の概要をお示ししておりますけれども、まず、表の見方として、下の※のところを御覧になっていただければと思いますけれども、※の二つ目のところでございますが、丸括弧が付いている値というのが前回の平成28年度の調査結果の数字でございます。それから、※の三つ目なのですけれども、一部、四角括弧が付いている値がございますが、これは先ほど申し上げたとおり、前回まで実数値で出してきておりますので、今回の調査結果について実数値だとどういう数字になるかというのが、この四角括弧の値でございます。多くの項目は、実数値の場合と復元した値でそれほど大きく変わることはないのが実際でございますけれども、比較をするときには若干留意が必要な点かと思っております。   主要のデータのうち、比較的大きな状況の変化がありましたのが、まず、3番の就業状況のところでございますが、就業者のうちの正規の職員・従業員の割合のところが、例えば母子世帯ですと、前回調査で44.2%であったのが、今回は48.8%と正規の比率が少し上がっておりまして、逆にその2行下のところ、うちパート・アルバイトの地位にあられる方が前回43.8%だったのが、38.8%という形で少し下がっているという状況がございます。その下、従業上の地位の変化の影響もあるかとは思っておりますけれども、4番、5番、6番の、4番のところは母又は父自身の収入でして、5番のところは特に母、父の就労の収入、それから、6番のところが同居親族を含む世帯全員の収入でございますけれども、いずれも丸括弧で書かせていただいております平成28年度の水準よりも引き上がっているところでございます。こちらにつきましては、この5年間で相当、最低賃金の引上げですとか、それの影響もあって、パート労働者の平均賃金がかなり上昇しているところがございますので、その影響が一つあるのと、あとは、先ほどの従業上の地位として正規になられた方が比較的多くいらっしゃるので、その影響もあるのかというふうに分析をしているところでございます。   続きまして、3ページの方へお進みいただければと思います。3ページが養育費、また親子交流の関係の状況でございます。上半分は養育費で、取決めをしているという世帯の回答割合ですけれども、いずれも丸括弧の付いている前回調査からは、数字を見比べていただきますと、伸びが見られるところでございます。また、現在も受給をしているという層につきましても、同じように伸びが見られております。下半分は同様に、親子交流についての数字の推移をお示ししております。こちらにつきましても丸括弧が前回の調査、平成28年度の調査結果で、大きな数字の方が今回の令和3年度の調査結果でございますけれども、養育費と同様に、前回調査からの数字の伸びが見られているところでございます。   私どもの説明は以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは、続きまして大石委員の方から御報告をお願いできますでしょうか。 ○大石委員 委員の大石です。お時間を頂きましてありがとうございます。私が週刊社会保障という雑誌に寄稿したものについて、少しお時間を頂きまして説明させていただきたいと思います。私は第20回の部会におきまして、省庁横断的な検討会の設置を求めたいという内容の意見書に名を連ねたわけなのですけれども、その背景についてどのようなことを考えていたのかということを御説明したいと思います。   はじめにの最初の節は、もう皆様御承知のことと、今、厚労省の方から最新のデータを御説明いただきましたので、2節、家族法制の見直しと税制・社会保障制度のところから御説明させていただきたいと思います。2段目の「現在のところ」から始まる段落に御注目いただきたいと思いますが、今から私が問題提起させていただく内容は、例えば共同親権を選択可能にしたら生じる問題というわけではなくて、現在の法制度の下でも部分的には発生していると考えられる内容であるということに御注意ください。ただ、そうしたケースがそれほど多くないから今は余り目立っていないのであろうという、それだけのことでございます。   一番下の段に行きまして、「たとえば」というところなのですけれども、ここで、例えば社会保障給付とか、そういったものがどのような基準で支給されているのかということです。例えば児童手当でしたら、生計維持が原則として基準ですし、児童扶養手当であれば監護親が支給対象となっています。ポイントは、これらの制度では、親権がどちらにあるかというのは問題ではなくて、生計維持の関係とか同居状況といったもので支給が決定されているということです。   ただ、ここで問題提起させていただきたいのは「しかし」以降の部分なのですが、仮に今後、共同養育が普及して、全く同じような経済状況の父母が全くハーフ・ハーフで共同養育に取り組んだとしたら、今のような制度の運用の下で、一体どちらの親に児童手当や児童扶養手当を支給するのかと。そういうのは机上の空論でしょうと言われるかもしれませんが、起こり得ないことではないですし、やはり十分検討すべき問題であろうと考えております。   それから、39ページの一番上、「つぎに」から始まるところですが、所得税における控除の問題というのもかなり大きい問題としてあります。扶養控除は同一生計であることを必要としておりますけれども、同居する必要はありません。ですので、現在の制度の下でも、例えば別居親が養育費を支払っているとしましたら、別居親が子どもを扶養控除の対象にするということは可能となっております。それから、2020年分以降はひとり親控除といったものも設けられております。今のところは養育費を支払っている親が余り多くなく、共同養育も広まっていないということで、この控除の問題というのが余り大きく日の目を浴びていないということがございますけれども、控除を受けられるか受けられないかということは非常に大きな影響を、特に相対的に所得が低いことの多い母子世帯にとっては、大きな影響を与えると考えられます。というのも、控除の有無で課税対象となる所得が変わります。それにひもづく形で、資料の中の表にありますように、様々な制度がやはり所得限度額というのを設けておりますので、そこに関わってしまうということがあります。さらには、ひとり親世帯の子どもの進学面にも影響してくるということがあります。つまり、住民税非課税世帯でいられるかどうかといったところが、扶養控除を適用できるかどうかで変わってしまうということがあるわけです。また、興味深いことに、教育関係の支援では、例えば就学支援新制度などがございますけれども、それは親権の所在がメルクマールになっているというところがあります。   ですので、ここまでを簡単にまとめますと、制度によって生計維持の基準とか、同居であるとか、あるいは親権であるとか、様々な基準が関わってくるようになっていて、子どもの側からすれば非常に煩雑でありますし、ちょっとしたことで制度の利用可否が左右されかねないということがあるわけです。   続きまして、40ページ、3のところに行きたいと思います。養育費と共同養育というタイトルを付けておりますが、ここでのポイントは、非常に少額の養育費支払いですとか、あるいは共同養育に伴って養育費を減額することで、子どもの経済状況がむしろ悪化し得るということを御説明したいと思っております。   一つ目のケースを簡単に御説明しますと、例えば、かなり少額といってはあれですが、月1万円ぐらいの養育費支払いがなされるようになったとしましょう。それによって、例えば別居親の方が所得控除を適用されたり、あるいはひとり親控除を適用されるようになるとしますと、子どもと暮らしている側の親の方の課税対象所得が非常に大きくなります。また、養育費というのは8割が児童扶養手当を算定するときの算定対象になりますので、養育費支払いが児童扶養手当の減額に結び付くということになります。結果的には、少額の養育費を受け取ることによって、むしろ手取りベースというのでしょうか、子どもと一緒に住んでいる側の世帯の経済状況が悪化し得るということをお示ししたいというわけです。一方、別居親側は少額の養育費を支払うことによって所得控除を利用できるようになりますので、支払っている養育費分のほとんどを減税で回復することが可能です。ですので、別居親の方が子どものことを思って、少しでも経済的に支援しようとして養育費を支払ったとしても、むしろそれによって子どもの経済状況が悪化するということが起こり得るのだというのを、ここで申し上げたかったというわけです。   それから、ケース2といいますか、共同養育をした場合についても考えてみていただきたいと思います。例えば、週20時間ぐらいを別居している父親の下で子どもが過ごすようになったとします。その際にその時間分、やはり子育てに関わっているわけですから、父親側から養育費を減額してほしいという要望が出たとします。それなら母親の方が週20時間、子どもの手が離れるあいだに働いて、所得を増やせばよいではないかということになるかもしれません。しかし、今、日本の女性の、正社員ベースですけれども、男女間の賃金格差は、女性は男性の75%程度です。同じように20時間働いても、母親が稼げる所得というのは少ないです。結果的に、もし共同養育を進めた場合に、父親と過ごす時間に応じて養育費を減額すれば、かえって母親と子どもの側の経済水準が悪化してしまうということが起こり得るのだというのがここで申し上げたかったことです。先ほど参考人からもジェンダーギャップという言葉が出ましたけれども、労働市場に構造的な男女間賃金格差があるような状況の下では、共同養育を行うことで子どもの生活水準が低下するという事態が生じ得るということです。   4番、むすびにかえてというところで申し上げているのは、つまり、現在の社会保障制度ですとか所得税の制度も、部分的には世帯単位で設計されているという面があって、その世帯単位の発想を婚姻関係が破綻した元夫婦にも適用しているということで様々な齟齬が生じ得るのです。したがって、今後の方向性としましては、こういった問題に対応するには、やはり財務省、それから厚生労働省、それからまた住宅関係は国土交通省、教育関係は文科省というように、関係省庁が総合して対応していただかなければいけないのではないかということで、こういう論考をしたためたというわけでございます。   お時間頂きましてありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございました。   大石委員から、御報告を頂きましたが、現在ある問題が制度の改正の論議の中で、ある意味でクローズアップされる、あぶり出されることになるといった御指摘だったかと思います。   各委員、幹事から、厚生労働省の御報告、それから今の大石委員の御発言について御質問、御意見などもあろうかと思いますので、そうしたものがあれば伺いたいと思います。どなたでも結構ですので、挙手の上、御発言を頂きたいと思います。何かありましたら、どうぞ。 ○戒能委員 委員の戒能でございます。厚生労働省に少し確認なのですけれども、先ほどの御説明で、平成28年度と令和3年度の調査結果の比較には慎重にならなければならないという御説明を伺ったのですが、ざっとしか見ていないのですが、例えば、興味深いデータがあって、報告書の77ページになりましょうか、面会交流のところでございますが、私の読みが間違っていたら御指摘いただきたいのですが、表18−(3)−11−1母子世帯の母の現在面会交流を実施していない理由(最も大きな理由)というのがあって、それを拝見いたしますと、子どもが会いたがらないという理由が三つ目に出てまいりますが、この差というのが、これだけ見るとかなり、倍近くというふうに見えます。それから、相手が面会交流を求めてこないというのも13.5から28.5というふうに、かなりの増加になっているというのはどういうことなのか、背景は何かとか、どういうことを意味するのか、大変興味深いのですが、これも読む場合には一体どこまで留意すればいいのかということを、もし御見解がおありでしたら教えていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。表の解釈に関わる点もあろうかと思いますけれども、厚労省の方で何かもしお答えがあれば、今頂きたいと思いますし、今すぐに無理だということであれば、また後でということにさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○河村幹事 戒能先生、御指摘をありがとうございます。結論的に申し上げて、まず、推計の方法が、抽出でやったものをそのまま実数値で出すという方法から、全国値に復元をするというふうにやり方が変わったわけですけれども、先ほども御覧になっていただきましたとおり、その方法の違いによる、今回の数字も実数値でそのまま出す、つまり前回までのやり方と同じように数字を出すということが物理的にはできますので、主立った数字はそのように出させていただいて、先ほど御覧になっていただいたのですけれども、数字がほとんど一緒のものもあれば、結構開きが出ているものもございまして、率直に申し上げて、それが一体、集計方法の変化によるものなのか、実態の違いなのかというのが、なかなか結論が出しにくいというところはございまして、率直に申し上げて、分からない部分はあるのですが、これだけ数字が離れておりますので、恐らくは実態上の変化も伴っているのではないかとは思います。十分なお答えでなくて申し訳ございません。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○菅原委員 ありがとうございます。大変に貴重な御報告をありがとうございました。法制度が変わった後にどうなるのか非常に重要なシミュレーションを教えていただき、こうした作業はとても重要だと思いました。今回のシミュレーションのように、場合によってはすごく減額になって不利な状況が生まれてしまうという現状は今まで余り把握されていなかったことなのかどうかということが1点と、では今後どうするのかという点で、大石先生の論文の最後のむすびの部分で、子ども自身に給付していくという形に観点を変えていく必要があると御提案いただいているのですけれども、そうした施策をリードするとすれば、それはこども家庭庁というところになるのでしょうか、それとも財務省なのか、やはりそれこそ省庁横断で特立ての問題として取り組まないと解決していかない問題なのか、その2点について教えてください。お願いいたします。 ○大石委員 菅原先生、ありがとうございます。まず、一つ目の問題については、すみません、恐らく私よりは赤石委員の方が、どの程度問題化しているかというのは御存じなのではないかと思います。   それから、2点目については、私自身もそう思っていますし、それから、全世代型社会保障構築会議や女性版骨太の方針においても世帯単位の見直しが議論されましたけれども、今後、こども家庭庁がリードするのか、そこら辺は私もなかなか分からないところがあります。ただ、様々な省庁に関わる問題ですし、ここでは深く触れませんでしたが、公営住宅に入るに当たっても所得制限などが関わってまいりますので、そういう意味では本当に多くの省庁を動員する必要があろうと思います。私たちはここでは法律の問題だけを検討しておりますけれども、パブリック・コメントに付されている間に次の段階への準備をした方がよいのではないかというのが趣旨でございます。 ○菅原委員 ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○原田委員 ありがとうございます。厚労省にお伺いしたいのですけれども、養育費とか面会交流それぞれ、離婚後の年数によっての実施状況、例えば、養育費であれば61ページから62ページに掛けて父母の割合が書いてあると思うのですけれども、例えば61ページの母子家庭によって養育費の受給状況が2年未満、2年から4年、4年以降とありますが、この数字は現在も受けている人を100%をした場合のパーセントであって、例えば2年未満の人が現在も受けているというのと、受けたことがないという比較は、これではできていないということになるのでしょうか。パーセントがこれで全体では100にならないような感じがするので。なので、年数が経過するごとに養育費を受けている状況がどうなっていくかとか、面会交流の実施状況がどうなっているかというのは、これでは分からないのでしょうか、これでも分かることになるのでしょうか。 ○河村幹事 厚生労働省でございます。すみません、私が今の委員の御指摘を十分につかめているかどうかがあれなのですけれども、この表の見方自体は、お答えになられた方の総数復元した値として107万人の方がいらっしゃる中で、それを現在の養育費を受けている方、過去に受けたことがあるけれども言ってみれば現在受けていないという方、過去も今も受けたことがないという三つのグループに分割をして、それぞれの今の状態、現在も受けておられるのか、過去は受けたことがあるけれども現在受けたことがないのかという、このグループごとに、その集団の方が何年離婚されてからたっているかという、横に合計を100としてというような体裁になっておりますので、例えば、過去に受けたことがあるけれどもいつかの時点で受けられなくなった方というのが、離婚されたときからずっと追って調査をしていっているタイプのものではないので、分かることに若干の限界はあるかとは思います。 ○大村部会長 赤石委員、先ほどのことと関連していますか。 ○赤石委員 関連します。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。先ほど菅原委員からの御質問で大石委員が答えていた税控除、扶養控除を受けているといった問題については今も生じているのかというような御質問でよかったでしょうか。私どもの団体でもかなりそういう訴えがあって、それを取り組むのをどうしたものかというのは考えておりました。ほかの姉妹団体というか、ネットワークを組んでいる団体の方からも、そういう方がいるという訴えがあったので、きちんとそこを質問して聞いたことがないので、それを質問して聞いたら、もっと出てくる可能性があるのではないかと思っております。   今の状況でも離婚後扶養控除を年収の高い方、それは別居親である父親が多いわけですが、が付けてしまうのではないかというのは、結果的に子どもへの給付などに大きな影響があります。特に、やはり一番、高等教育の無償化のところがものすごく額が大きいので、年間で一番有利ですと住民税非課税で160万円ですから、これがランクが変わるというのはものすごくお母さんにとっては大きな差ですし児童扶養手当などにも影響します。   あと、私も先ほど原田委員が御質問された、61ページの表17−(3)−5ですね、これはやはり横に100%ではなく縦に100%でやっていただけたらいいなと思って、今回、厚生労働省の御発表はエクセルデータを全て発表されているという画期的なもので、河村課長を始め皆さんの御努力を大変有り難く思っているわけですけれども、私も試算してみましたけれども、これでいいかどうか分からないので、是非きちんと公的に発表していただけたら有り難く思っておりますということを。そうすると、要するに令和3年11月時点でこれだけの119万の中で、離婚後何年たっている方はもらっている、もらっていないというデータがはっきりする、そうすると離婚後何年でもらいにくくなるのかといったことが分かってくるということでございます。それをお伝えしておきます。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○大石委員 ありがとうございます。委員の大石です。2点、河村幹事にお伺いしたいと思います。   調査の仕方についてなのですが、一つ目は、令和3年11月に実施したということで、コロナ禍の影響はあったかどうか、どのような感触をお持ちかについて、少しお話しいただければ幸いです。   2点目は、前回調査と比較しまして、最初に無作為に抽出した調査区数が約2倍、今回9,100で、前回四千幾つでしたよね、なので約2倍の規模になったということは、どのような意図があったのかということについて、どのような背景があったのかということについてお伺いできればと思います。お願いいたします。 ○河村幹事 大石委員、御指摘をありがとうございます。まず、1点目のコロナの関係でございますけれども、正直、所得関係のデータについては令和2年の1年間を取っておりますので、令和2年2、3月ぐらいにコロナの一番最初がありますので、かなり影響を受けた上での数字であるのだろうと思います。そのほかの項目につきまして、令和3年11月が調査時点ですので、もちろんその後も大分状況の変化があるにしましても一定の影響はあるのだろうと思います。その一方で、所得関係が今回大きく動いたわけですけれども、そこにつきましては、やはりそういった景気変動等に伴う失業みたいなものは、失業の状況に直面した一部の方にかなり強いインパクトで影響がありますので、そういった厳しい状況にあられる方はたくさんいらっしゃったと思うのですけれども、やはり全体を平均いたしますと、先ほど申し上げたような賃金の引上げの影響がより強く表れているので、全体的な所得としては上がっているのではないかと捉えております。   その上で、調査地区の数の関係でございますけれども、父子世帯、養育者世帯についての調査地区を9,100に引き上げておりますけれども、これは、今回改めて、今まで抽出しているのだけれども実数で公表するというやり方だったものを、きちんと拡大乗数を掛けて復元していこうということにしたときに、いろいろと総務省等の統計のスーパーバイズも受けた際に、やはり調査地区を増やした方が適切だということで、今回9,100調査地区にしているところでございます。 ○大石委員 ありがとうございました。 ○久保野幹事 幹事の久保野です。御報告ありがとうございました。厚生労働省の河村様に御質問ですけれども、資料2の方の66ページや67ページに、父や母が相談した相手として多様な機関等が載っていまして、これとの関係で、地域によってどのような支援体制や相談相手が存在しているかというのが異なるのではないか、量や質で異なっているのではないかと想像されまして、そのような地域差といったものについて分かることがあれば御教示いただきたいということと、私は、先ほど言及がありました元データを拝見しないまま質問しておりまして、そのようなものが分かるデータ、方法等があるようでしたら、御教示いただけましたらと思います。お願いします。 ○河村幹事 久保野幹事、御指摘をありがとうございます。まず、今御指摘を頂きましたとおり、それこそ相談先一つ取りましても、地域資源の実態による差というのはかなり大きなものがございますけれども、一方でこちらの調査の一部限界としまして、地域ごとの細かい地域格差が出せるだけの標本数がございませんで、飽くまで100万ある国勢調査の調査区から、母子世帯ですと3,500調査地区を抽出して、そこの地域内の方に網羅的にお尋ねをするという方法ですので、なかなか地域格差の分析というのにはこの数字を直接使うというのは少し難しいところがございます。   あと、こちらの実際のデータにつきましては、政府の統計がいろいろ載っていますe−Statのところに表の方は掲載しておりますので、是非御活用いただければ大変有り難いと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○武田委員 親子ネット、武田でございます。厚労省さん、河村幹事にお尋ねしたいと思います。所得に関して、特に就労収入に関してお聞きしたいと思います。冒頭の御説明で、28年度調査、令和3年度調査、200万円から236万円に上がりました、その見解も御説明いただいたと思っています。あわせて、コロナの影響は余りインパクトがなかったと、そんなことかなと思っています。   28年度調査と令和3年度調査の比較で気になりましたので、23年度調査を見てみたのです。23年度調査を見たら、181万円でした。そんな大昔のことを見てもしようがないとは思うのですけれども、例えばここ10年、15年ぐらいのスパンで、ひとり親に関しても、こういう正規の職員、従業員、この比率が実際結構増えてきていて、それに伴って母子世帯の就労収入が上がってきている、私が見ているのはプロットのポイントが三つしかありませんので、それ以前を見ると、どういう傾向にあって、今後どんなふうになっていくのかという、どんな見方を一般的にはされているのだろうかということを少し厚労省さんに補足で御説明いただきたいと思います。 ○河村幹事 武田委員、御指摘をありがとうございます。大変大局的な点ですので、十分なお答えができるか自信がございませんけれども、やはり、まず女性の就業率自体が、昔はきついM字カーブを描いていた時代から、かなりM字の底がぎゅっと上がってきたのが極めて顕著なのはここ10年強ぐらいかと思いますので、更に遡ったときに同じようなトレンドで動いているかというと、正に御覧になっていただいたような平成23年ぐらいの調査以降の変化が特に大きいのではないかと予測はいたします。その上で、M字の底自体はかなり台形に近いところぐらいまで近年上がってきておりますので、あとは、正に御指摘いただきましたとおり、雇用形態として、やはり女性がパート・アルバイトのところにかなり大きな山があって、女性が男性に比べてパート・アルバイトのところに大きな、特に3、40代で集団がありますのは、皆様御承知のとおり、第一子出産を機に一回、正規の職を継続することが難しくて、退職される方が多いので、復職していくタイミングでそうなっていくわけですので、なかなか第一子出産前後の正規での継続就業率が長らく変わってきていなかったのが、ごく近年の調査において継続就業率が上がってきているところがありまして、その世代、言ってみれば今ちょうど第一子出産を迎えているような世代がこの後40代、50代になっていくことも考えますと、ある程度は正規の従業員で保たれる方の比率というのが少し上がっていく傾向があるといいなというふうに、労働政策もやっております厚生労働省としては、思いますけれども、分かるのはそのぐらいの大きなトレンドのところかなと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございました。   今、大石委員と原田委員と赤石委員から手が挙がっておりますが、大石委員も原田委員ももう一度御発言という御趣旨でよろしいですね。それでは、時間の制約もあるのですが、時間の範囲内で伺って、もし終わらないようでしたら、次回に少し積み残しをさせていただきたいと思います。 ○原田委員 どの程度の分析をされているか分からないのですけれども、75ページから76ページに掛けて面会交流の実施状況というのがありまして、母子家庭の場合、協議離婚で面会交流の取決めをしている世帯は、現在も行っている率がかなり高い。その他の離婚、これは多分、調停とか裁判離婚と考えていいのではないかと思いますけれども、それは行っていると、行ったことがないという率が余り変わらない。これに対して、父子家庭の場合は、協議離婚の場合に現在も行っている率がかなり高いのはそうなのですけれども、その他の離婚の場合でも現在行っている率がかなり高いという、この母子家庭と父子家庭に顕著な差があるのと、協議離婚とその他の離婚の間にも母子家庭の場合は差があるという結果が出ておりますが、これを分析するのに有用な何か情報というのは、どこかにあるでしょうか。 ○河村幹事 申し訳ございません。原田委員、御指摘をありがとうございます。恐縮ながら、すぐに思い浮かぶものがございませんので、この後、担当でも少し考えてみまして、有用なものがあれば法務省さんの方に御連絡を取らせていただければと思います。 ○原田委員 すみません、よろしくお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。今の件についてはそのようにさせていただきたいと思います。 ○大石委員 ありがとうございます。委員の大石です。質問ではなくて、単なるコメントなのですけれども、これだけ養育費の受給率アップといいつつも、この程度のアップでとどまっているということについて、面会交流もそうかもしれませんけれども、やはり私たちは重く受け止めなければいけないのではないかと思ったという次第です。以上、コメントです。 ○大村部会長 ありがとうございました。 ○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。59ページの上の表17−(2)−11−3、母子世帯の母の養育費の取決めをしていない理由、下には父子世帯の方もあるのですけれども、こちらは最も大きな理由となっております。これは、私も少しコメントなのですが、こちらの中の一つは、相手と関わりたくないという方がかなり多いということで、この関わりたくないという中身というのがなかなか分かりにくい、どういうことをもって関わりたくなくなっているのかということがもう少し、何らかの形で私たちが知る必要があるのだろうと思っております。いろいろな理由があるかと思います。あと、これは複数回答の方の数字を出されていないので、それは、別に統計数字がおありで、実数値なのですよね、出されているのもやはり参考にしなければいけないと思っております。   それから、相手から身体的・精神的暴力を受けた、これが令和3年では4.4%ということで出ているのですけれども、こちらは最も大きな理由として養育費の取決めをしていない理由です。この数字をもって、離婚時に身体的・精神的暴力を受けた人の割合が4.4%であると解釈されて、間違われている方が結構ちまたにいらっしゃるので、それとは全く関係ない数字であるということは、ここでしっかり言っておいた方がいいのかなと思います。離婚した理由についてはこの統計は聞いていないわけですよね、なので、精神的な暴力、身体的な暴力の理由で離婚した方の数字は分からないという認識でよろしいかと思うのですが、もし間違っていたらコメントをお願いします。 ○大村部会長 何か河村幹事の方であれば、お答えいただいてと思いますが、いかがでしょうか。 ○河村幹事 大変申し訳ございません。今、別の職員の端末からお話しをさせていただいて、私の端末の方がなぜか接続が一回切れてしまいまして、途中、聞き取れた中でのお答えをさせていただきますと、まず、正に赤石委員の方から従前から御指摘を頂戴いたしまして、前回の平成28年度調査まで、この取決めしていない理由について、最も大きな理由しか集計をきちんとしてこなかったところについて、複数回答を全部集計して上げるべきであるという大変重要な御指摘を頂いて、今回から58ページで同じ複数回答の一覧を集計させていただいているところでございます。   そこから先が、大変恐縮なのですが、十分聞き取れませんで、お時間が厳しいようでしたら、また個別に御連絡を取らせていただければと思います。申し訳ございません。 ○大村部会長 赤石委員、もし質問の部分がありましたら、そこの部分だけ繰り返していただけますか。 ○赤石委員 59ページの上の、相手から身体的・精神的暴力を受けた4.4%によって養育費の取決めをしていないという数字と、全体の母子世帯が離婚によって身体的・精神的暴力を受けていたかどうか、それを理由にしているということとは全く無関係の数字であるという確認です。 ○河村幹事 飽くまで問いとしては、正に御指摘を頂いております59ページの、養育費の取決めをしていない理由の背景としての身体的・精神的暴力を受けたかどうかですので、委員の御指摘のように、それと離婚原因となったものとはまた別の数字であると思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。   皆さんの御質問を伺ったと理解をしておりますけれども、さらに何かあれば手を挙げていただいて、次回の冒頭でと思います。 ○河村幹事 大変恐縮でございます、私の方の冒頭で戒能先生の方からの御指摘として、親子交流を実施していない理由としての、母子世帯で相手が面会交流を求めてこない、また、子どもが会いたがらないという数字について、前回調査から結構数字が大きく伸びているのだけれども、それは推計方法の変更に伴う影響なのか、実態の変化なのかという点につきまして、まず、今回の調査結果につきまして前回と同じように実数値で出したものがございましたので、それで確認を致しますと、相手が面会交流を求めてこないというのが、今回の推計でやった復元した数字で28.5%でございますけれども、同じように実数値で出してみても28.7%で、ほとんど変わりがございません。子どもが会いたがらないの方も、同じように16.1%の今回の数字に対して、実数値で出してみましても16.7%で、ほとんど変わりがございませんので、基本的にはやはり実態上の変化の影響ではないかと考えております。すみません、御説明が不足を致しました。 ○大村部会長 ありがとうございました。   ほかはよろしいですね。   それでは、本日の審議はここまでとさせていただきたいと思います。河村幹事、それから大石委員、どうもありがとうございました。   次回のスケジュール等についてですけれども、事務当局の方からこの点についての御説明をお願いしたいと思います。 ○北村幹事 事務局でございます。次回の会議は令和5年2月28日火曜日午後1時30分から午後5時30分までで開催したいと思います。場所は改めて御連絡いたします。   次回会議で具体的に何をさせていただくかにつきましては、部会長とも御相談の上、改めてお知らせしたいと思います。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。   それでは、法制審議会家族法制部会第22回会議、これで閉会をさせていただきます。   本日も熱心な御審議を賜りましてありがとうございました。閉会を致します。 −了− - 26 -