法制審議会 区分所有法制部会 第3回会議 議事録 第1 日 時  令和4年12月19日(月) 自 午後1時30分                       至 午後5時21分 第2 場 所  法務省共用会議室6・7 第3 議 題  区分所有建物の管理の円滑化に係る方策(1) 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○佐久間部会長 予定した時刻になりましたので、法制審議会区分所有法制部会の第3回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日は、武部委員、衣斐幹事、水津幹事が御欠席です。   初めに、配布資料の確認をさせていただきます。事務当局からお願いいたします。 ○谷矢関係官 法務省の谷矢でございます。お手元の資料について、御確認いただきたいと思います。   事前に送付しました資料としまして、部会資料3「区分所有建物の管理の円滑化に係る方策(1)」がございます。また、参考資料5として「決議事項等一覧表」、参考資料6として「所在不明・連絡先不通住戸の状況」をお送りしております。お手元にないものがございます場合には、途中でも結構ですので、事務局の方にお知らせください。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。では、早速、本日の審議に入ります。   本日は、区分所有建物の管理の円滑化に係る方策について御審議いただきます。長丁場になると考えられますので、適宜休憩を入れながら、審議していただきたいと考えております。   まず事務当局から、部会資料3の「第1 集会の決議を円滑化する仕組み」につきまして、参考資料5と併せて御説明いただきます。お願いいたします。 ○谷矢関係官 部会資料3「第1 集会の決議を円滑化する仕組み」の「1 所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する仕組み」、「2 出席者の多数決による決議を可能とする仕組み」、「3 専有部分の共有者による議決権行使の在り方」について、御説明申し上げます。   第1の(前注)にもありますとおり、現行法において決議を成立させるためには、区分所有者の数及び議決権の全てを母数とし、法定の多数決割合を満たす必要があります。集会における区分所有者の考えられる対応については、図にありますとおり、集会に出席する者、これは書面による議決権行使や代理権行使による場合を含むものですが、このような出席をして賛成をする者、図でいうA、出席して反対する者、図でいうB、出席しても棄権をしたり白票を投じる者、図でいうC、そして不参加という対応をとって欠席をする者、図でいうD、それから、そもそも所在等が不明である者、図でいうEが考えられます。現行法では、これら全ての者を母数とした上で、賛成が法定の多数決割合を満たさなければならず、集会に出席せずに議決権行使しない者や、所在等が不明である者は、賛成の議決権行使をしていない者として反対扱いとなってしまうため、決議が成立しにくいという問題があります。   そこで第1では、集会の決議を円滑化するための仕組みとして、1において、所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する仕組み、2において、集会に出席した者だけで多数決による決議をすることができる仕組みについて取り上げてございます。   まず、第1の1の所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する仕組みについては、(1)において、裁判所などの公的機関の関与の下で、このような仕組みを創設することについて提案するもので、請求権者、所在等不明であることの調査の程度、関与する公的機関、公的機関による認定の効果、取消決定といった点を挙げてございます。(2)では、このような仕組みを創設した場合に、その対象を、区分所有権の処分を伴う決議も含め、全ての決議とすることについて、どのように考えるかという点を取り上げてございます。なお、区分所有法上の決議事項等の一覧は、参考資料5にまとめてございますので、そちらを御参照ください。次に、(3)では、公的機関による所在等不明の認定の効力について、具体的には、認定が取り消されるまでは効力が持続する、とするか、あるいは一定の存続期間を設けるとするか、といった点を取り上げてございます。   続いて、第1の2では、出席者の多数決による決議を可能とする仕組みについて、でございます。まず、(1)アでは、このような仕組みを創設すること自体についてどのように考えるかを取り上げてございます。イでは、現行法において、一定の決議事項については、会議の目的たる事項に加えて議案の要領も招集通知に記載すべきとしていますが、出席者の多数決による決議を可能とする仕組みを用いる場合には、全ての決議につき議案の要領の記載をする必要はあるかについて御議論いただきたいと思っております。ウについては、このような仕組みにおいて、定足数の規律が必要であるか、定足数を設ける場合には、その割合などをどのようにすべきかについて取り上げてございます。(2)ではこのような仕組みを創設した場合に、その対象をどうするかについて取り上げてございます。普通決議については、その趣旨等からして当然に対象になると考えるとした上で、特別決議についてもどのように考えるべきか、それぞれの内容や性質等について説明を記載してございます。もっとも、建替え決議等の区分所有権の処分を伴う決議については、集会に出席せず議決権行使をしなかったことの結果として決議が成立しやすくなり、その区分所有者の区分所有権そのものが奪われるおそれが高まることから、慎重な検討を要するということを、(注)として記載してございます。   最後に、第1の3では、専有部分の共有者による議決権行使の在り方について取り上げてございます。現行法では、専有部分が数人の共有に属する場合、共有者間における議決権につき行使すべき者1人を定めなければならないとされていますが、議決権行使者の指定において、どの範囲の共有者の同意が必要かについては、共有物の管理に関する事項として、基本的には持分の価格の過半数により決すると解されています。もっとも、区分所有権の処分を伴う建替え決議について議決権行使者を決める場合には、全員同意が必要であると解釈する余地もあることから、そのような決議における議決権行使者の指定に関する規律を設けることについて、取り上げてございます。   以上、集会の決議を円滑化する仕組みについて御議論いただきたく存じます。   部会資料3の第1についての説明は以上でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。今御説明いただきましたことに関連するものといたしまして、矢吹幹事から参考資料6の説明を頂きます。お願いいたします。 ○矢吹幹事 国土交通省の矢吹と申します。関係する資料を少し持ってまいりましたので、簡単にお話し申し上げます。   横長の資料、参考資料の6と付いている資料でありますけれども、まず表、グラフがあると思いますけれども、左と右で二つグラフを並べております。本文中にも少し記載がありましたけれども、まず左の方、こちらは私どもが実施しているマンション総合調査から取れるデータですけれども、マンションの中にある空室のうち、一定程度以上所在不明ないしは連絡先不通の戸数がどのくらいあるのかということを調べているグラフです。一般的には、築年数が古くなればなるほど、高経年になればなるほど、その空室の中で、所在不明ないしは連絡先不通の割合が増えていくという傾向にございます。これが左側のグラフです。   右側のグラフ、こちらはマンション総合調査を少し、ローデータをちょっと今回触りまして、マンションの総戸数に対して、所在不明ないしは連絡先不通となっているその住戸の割合というものを、ローデータから引っ張って導き出したものであります。この中で、総戸数に対して、やはり10%超の住戸が所在不明ないし連絡先不通となっているものもございますし、5%から10%の住戸が、総戸数に比して所在不明ないしは連絡先不通になっている住戸というものも、現に存在すると思っております。ほかのものはまだ5%以下ということでありますけれども、左側と照らし合わせると、一般的には築年数が経てば経つほどだんだんと空室も増えていって、その中で所在等不明の割合も高くなっていると。   私ども国土交通省としては、これから大きく築古のマンションが増えていくだろうと予測をしておりますので、ここの手当てというものが、やはり政策的にも必要になるのではないかなと感じているところでございます。   裏面をお願いします。   上下段で分けておりますけれども、飽くまでモデルケースを設定して、これちょっと算数の世界かもしれませんけれども、例えば、所在等不明の住戸が増えると、議決を取るのにどのくらい大変になるのかということを、ちょっと調べてみましたというものです。左と右に分かれておりますけれども、総戸数50戸のマンションを前提に計算をしています。左側は、総戸数の1割、すなわち5戸が所在等不明になる場合です。普通決議は26人の方の賛成ということになります。したがって52%ということになりますが、この中で、その5戸が所在等不明ということになりますと、パーセンテージとしては、45戸のうち26人の賛成ということになって、58%の賛成が必要になるというような関係性の資料でございます。   同じく特別決議、これは御案内のとおり4分の3ですけれども、これが1割、5戸が所在等不明になると、特別決議を取るのに84%の方の賛成が必要になってくるということかなと。総戸数の2割が所在等不明になると、すなわち50戸のマンションですと、10戸が所在不明ということになると、普通決議でも65%、特別決議でも95%、実質ほとんどの方の同意が取れないと特別決議が成り立たないということになるということであります。資料化はしておりませんけれども、米書きで書きましたが、仮に3割、15戸が所在等不明ということになってしまうと、そもそも特別決議ができない状態になるということでございます。   下段です。統計ではなくて、ケースを承知しているものもあるものですから、そのケースの御紹介です。先ほど1ページの方で、10%超の住戸が所在等不明になっているものがありますとお話を申し上げましたけれども、2ページ目のこのケースは、実はもう2割以上、29%の住戸が所在等不明になっているということであります。戸数としては、24戸のマンションで7戸が所在等不明になっているということでありました。この中で、やはり改善に向けた取組をなされている区分所有者さんというのはいらっしゃるんですけれども、この中で何とか建て直しをしていこうということで、例えば管理規約を改正しようというようなことも、そのお考えと伺っておりますけれども、なかなかこの賛成が取れないということで、取組が停滞している。なかなか改善に向けた具体的な行動に移せないという、現に困っているケースというものも存在していると、私どもは受け止めをしております。   事例②です、ちょっと大きいものです。これは総戸数500戸の大きいマンションですけれども、これは建替えを検討されていたケースですけれども、500戸のうち、ざっくり言うと10戸ぐらいの所在等不明の住戸があるなと、当初お感じだったということであります。その後2年ぐらいかけて、登記簿調査ないしは相続人の確認をされたということでありますが、そのうち二つの住戸、仮にA、Bとしておりますけれども、2戸の住戸が所在等不明であったということであります。もう少し話をお伺いすると、Aさん、Aの住戸についてはもう全く分かりませんと、生きていらっしゃるか、お亡くなりなられているかも含めて、全く所在が分からない。Bの住戸については、その後の調査は弁護士さんにもお願いをしたということですけれども、それで分かったことが、区分所有者さんは既に亡くなられていて、調べていくと、相続で22人の方に相続されていたということが分かったということであります。この事例②は、そもそも住戸としての所在等不明の問題と、もう一つ、最後、22人の相続人ということでありましたけれども、先ほどお話のあった第1の3だと思いますが、専有部分に複数の共有者がいる場合のその当該住戸の議決権行使の在り方という点についても、現に22人どうするのかということを、直面している課題としてあるマンションがあるということでございます。   ちょっと簡単でしたけれども、以上です。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。それでは、「第1 集会決議を円滑化する仕組み」について御議論いただきます。相互に関連する問題ではありますけれども、差し当たり、1の「所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する仕組み」について、御意見を伺いたく存じます。どなたからでも結構ですが、いかがでしょうか。 ○浅見委員 ありがとうございます。ただいま、国土交通省から頂いた資料についてちょっとお伺いしたいんですけれども、最後の方に、29%が所在等不明住戸ということになっています。それで、前の1ページ目の表を見ると、20%超というのが何%あるかという形になっているんですが、具体的に、最悪な場合に何%ぐらいというのが現状なのかというのをちょっと伺いたいんですが。というのは、今回法制を変える場合に、やはり全てのマンションが何らかの形で対応できるようにするというのが最低限かなと思いますので、現状において、最悪のケースがどのくらいになっているかというのを、ちょっと教えていただければと思います。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。矢吹さん、もしお分かりであれば、お願いいたします。 ○矢吹幹事 ありがとうございます。ちょっとなかなかお答えしにくいものなんですけれども、まず、1ページの調査、マンション総合調査をよく使っておりますけれども、これは比較的、すなわちアンケート票を出して、その返ってきたものを集計したものですので、ある程度その機能がまだ生きているマンションたちが母数になっているものだと思います。したがって、右側の方のグラフを御覧いただけると、10%超のものも1%ぐらいだということであります。   2枚目ですけれども、これは一個一個のケース、我々、補助事業などを打っておりまして、その中で調べたケースで、一番状態が進行しているものを、今日は持ってまいりました。それが29%ということであります。この29%がワーストケースかというと、恐らくは、直感的には違うだろうと思っています。すなわち、少数のマンションであれば、例えば4戸とか5戸とかであれば、2人、3人の方の行方が分からないというだけでも、パーセンテージとしては50とかになりますので、いろいろなケースがあるとは思いますけれども、小さいマンションで、特に古いマンションで、管理が十分なされていないマンションというものはあると思っておりますので、ひょっとしたらこの29%よりも高いパーセンテージのものが、やはりあるのではないのかなと、ちょっとごめんなさい、定量的に申し上げにくいんですけれども、実感でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。浅見さん、続けて。 ○浅見委員 今のお話を伺うと、やはり所有等不明の区分所有者を分母に入れている限り、なかなか難しいのかなというか、割合を決めるのは難しいのかなと思いますので、やはり何らかの手続をした上で抜くというのを、せざるを得ないんではないかいうふうに考える次第です。どうもありがとうございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。母数からの除外は必要であろうという御意見と承りました。   他にいかがでしょうか。 ○鎌野委員 私もこの母数からの除外というのは、多分そうせざるを得ないだろうということで賛成をします。それで、御説明の第1の集会決議の円滑化ということで、現在私が思っているところを簡単に述べさせていただければと思います。今後、他の委員からの御発言によって、やはり私の考えというのは間違っているということで、修正する可能性もありますので、その点はお許しを頂きたいと思います。   それで、このことは、(2)の全ての決議とすることについてどう考えるかということと密接に関連をし、今回頂いた事前の資料では、一応全ての決議から排除するということで、結論から申し上げますと、私はそれには反対ということです。他方、ここの御説明で、出席者の多数決による決議を可能とするのは、区分所有権の処分を伴わないものに限るという、そういうこの本案の御説明については賛成ということです。そして、これは、頂いた資料の7ページの17行目ぐらいだと思いますけれども、私は、基本的には、区分所有権の処分を伴わない決議については、出席者の多数決による決議を可能とする仕組みを用いて、ですから、こういった所在等不明区分所有者も、言わばその集会に参加しない、所在は明らかだけれども、それと同じように扱うと。そして、区分所有権の処分を伴う決議については、所在等不明区分所有者を決議の母数から除外すると、こういう考え方も示されているので、こういう考え方でよろしいのではないかということです。   その点についての理由ですけれども、もし所在等不明区分所有者を全ての決議から排除することとすると、多分そういう所在等不明区分所有者の全てが一律に除外すべきなのではないかと。ある人は除外され、ある人は除外されないというのは、やはり全ての決議において妥当ではないのではないかと。そして、そのことは、実際には困難ではないかと。   国交省さんの御説明というのは非常にうなずけるところが多いんですけれども、違ったら教えていただければと思うんですけれども、このマンション総合調査というのは、先ほど御説明があったように、管理組合にアンケートを出して、それで答えてもらうと、お宅のマンションはどうですかと。そうすると、そういう管理組合ごとに、どういうものがいわゆる所在等不明区分所有者、空き住戸になっているということは、多分認識がばらばらだと思いますし、それから、先ほども御説明があったように、ひょっとすると、アンケートに答えてくれたのは、言わばしっかりとそういう回答をするぐらいですから、きちんとした管理組合であると思います。   そういうことで、所在等不明区分所有者が、ここで想定している裁判所の認定などの相当厳格な、そういったものと一致するかというとなかなか難しいし、所在等区分所有者、先ほど言ったように、やはり一律に除外するというのが望ましいと。ある人は除外されて、ある人は除外されないということだと、おかしいのではないかと。もし、これをどうしても一律に全ての決議から排除するということになると、実務的には、集会のたびごとに認定手続をしなければいけないと。それぞれの集会、1年に例えば1回あるごとに、今回の集会ではどうかと。それから、恐らく所在不明ということを確定するには相当な、裁判所の認定レベルだと大変なことになるというようなことで、そうすると、非常に管理者、あるいはここの御提案では区分所有者、それがてんでばらばらに、そういうことで所在等不明区分所有者ということで、そして、更にそれを調査して、最終的には裁判所で認定を受けるというようなことで、管理者にとって相当な事務負担になるのではないかと。だからそういう実態を想定しても、なかなかこの御提案のように全ての決議から排除するというのは、事実上非常に難しいのではないかと。ですから、結論としては、先ほど言ったように、処分を伴うものに限って母数から除外するこういう考え方に、私は賛成をしたいと思います。   ちょっと長くなりましたけれども、今のところの私の意見を申し上げさせていただきました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。少し確認をさせていただきたいのですが、御発言の趣旨を、まず、全ての決議を対象とすることには反対であると、所在等不明区分所有者についてですね。鎌野さんの御意見では、全てのものではなく、処分を伴うものに限るべきだという、そういう御意見ですね。 ○鎌野委員 はい、そういうことです。 ○佐久間部会長 その過程で、所在等不明区分所有者については一律の扱いをすべきであるとおっしゃっていました。ある不明者については除外の手続を採るけれども、ある者については採らないということは、認め難いというお話ですか。 ○鎌野委員 はい。事務的には相当困難を伴うのではないかということです、一律にするとですね。 ○佐久間部会長 そうなんですが、一律にすることが望ましいというのは、公平の観点からということからですかね。 ○鎌野委員 はい、そういうことです。 ○佐久間部会長 ただ、一律の強制はなかなか難しいと思いますが。 ○鎌野委員 もちろんおっしゃるとおりです。 ○佐久間部会長 そうすると、処分のときは、一律にならなくても別に仕方がない… ○鎌野委員 多分処分のときには、実際にその方の売渡し請求というのが控えていますので、そうすると、それをしっかりとそういう調査をして、建替え決議などの場合にはというようなことで、それはもう、ある意味では徹底的に洗い出しというか、そういうことをする必要があるのではないかということだろうと思います。 ○佐久間部会長 後の議論になるところですけれども、出席者のみの決議というものは、これは全面的に、処分のことは除くかもしれませんが、認めるということですね。 ○鎌野委員 はい。 ○佐久間部会長 そうだとして、最後、所在等不明区分所有者を処分以外の決議から除外しなければならないというか、そこを、手続を経て、例えば、資料に載っておりますけれども、通知も省くことにしてその対象から除くということが許されてはいけないということの中身が、ちょっと今一つ私には飲み込めなかったんですが。実務的には難しかろうというのは、例えば、処分をにらみながら、比較的早い段階から決議についても簡略化しようということで手続を採れば、その人は別の決議についても除外をしていくというようなことは、積極的にやはり否定すべきことなんですかね。実務的に難しいというのは、できるけれども難しいからしない、ということはあり得るかもしれませんけれども。 ○鎌野委員 基本的には、ですから、私は、処分というかな、例えば建替えが、現行ではですけれども、そういうときには、それに向けて比較的早くから準備を始めて、恐らく建替え決議に至るまでは、実際に建替え委員会とか何かでかなりの年数を掛けるということですから、その中で、恐らくそういうこともにらんでということでしょうけれども、それ以外の場面で、そうすると、先ほど国交省さんのこの調査にもあったように、なかなか、最終的には裁判所の認定にかかるわけですから、そこにかかるようなところまで、それぞれの決議ごとに、例えば年1回の集会ごとに、先ほど申し上げましたけれども、行うというのは非常に難しくて、仮にできたとしても相当手間が掛かり、さらに、結果的にはやはり、極端なことを言えば、あの方はちょっとこの頃いないようだけれども、所在不明ではないのというような情報提供を受け、多分調査に入ると思う。そうすると、そういうことがなし得るかどうか。   そしてちょっと極端な例ですけれども、所在等不明区分所有者は、口座振替か何かで管理費をきちっと払っているという方も、多分いらっしゃると思うんですよね。ですから、そういった意味では、所在等不明者の母数からの除外というのは、相当ある意味では慎重にというか、しなくちゃいけないと。そうすると、結果的には先ほど申し上げたように、裁判所の認定基準などに照らすということになると、やはり望ましいものではないのではないかと。やるんなら、最後の建替えのときに一斉に、できるだけ認定を受けられると思われるような者について一括してやって、それで足りるんではないかと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。すみませんが、あともう1点だけ。8ページに(3)というのがございまして、認定の効力について、存続期間ですけれども、今、鎌野さんは、個々の事項、個々の総会について、都度この認定を取らなければいけないということを前提にお話をなさったのだろうと思いますが、ということは、(3)については、その本文も、あるいは(注)も反対であるということですか。 ○鎌野委員 そうですね。ですから、私の今の考え方で言えば、余りこのことは気にする必要は、というのは、もう建替えのときだけやればいいということなんで、建替えなどの処分行為のときだけで、だから、そういった意味では、もう建替えの場面というのは最終的な場面ですので、ですから、特にこの何年、それから取消しがあったときということは余り、その立場に立つと意味はないのではないかというのが、私の考えです。 ○佐久間部会長 そうですか、分かりました。ありがとうございます。また他の方の御意見を伺いながら、検討していきたいと思います。 ○大桐委員 ありがとうございます。日弁連への司法制度調査会においては、処分も含めて、全てにおいてこの制度を取り入れるということで賛成です。また、その関連から、調査の程度につきましても、名簿に掲載されているところにということころが5ページの10行目ぐらいにありますけれども、こちらの制度は採らずに、やはり民法と同じレベルの調査をかけた上で行うべきですし、認定機関についても裁判所において認定をしていただくということで、しっかりとしたスキームでなされるべきであると考えます。   また、その存続期間につきましても、認定が取り消されるまでの間において母数から除外するという制度において、多数意見が多かったです。といいますのも、この制度を利用する際においては、調査費用をそれなりに掛けていますし、また裁判所が一定の認定を出すということで、効果についても、すぐになくなってしまうようなものでは余り意味がないということですとか、あとは、期間について設定をする意見も少数意見としてありましたけれども、例えば5年間などにおいて設定するという意見もありましたが、ただ管理組合の役員さんが大体2年ぐらいでチェンジするということが多いので、そうした期間管理をさせるのは現実的に難しいのではないかという御意見がありまして、そういった理由もありまして、認定が取り消されるまでの間というふうな、長期的な効果をもたらすのがよいのではないかということでございます。   なお本人、その行方不明者本人や、あるいはその本人から区分所有権を譲り受けるような場面の取引に入ろうとする第三者にとって、この人が多数決決議の母数から除外されている者なんだということが分かるようなシステムを取り入れることが検討されてはどうかということで、例えば、その方法としましては、議決権行使の除外者名簿のようなものを作って、除外申請した人は、その結果を名簿の管理者に報告し、名簿に反映させなければいけないというような制度ですとか、あるいは、もう職権で登記を入れるというような、この議決権行使が除外されていますよということが分かるような形で登記をするという方法も考えられますし、あるいは裁判所の掲示板やマンションの掲示板、あるいはネットなどの活用等も含めて、本人が気付けば、認定が取り消しやすいような形を構築することによって、先ほどのお話にもちょっとかぶってきますけれども、制度の正当化の根拠にもなり得るのかなと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   他にいかがでしょうか。 ○小林委員 第1の1のところには、(1)から(3)まで三つありますけれども、まず仕組みを創設することについては、所在等不明の者を決議の母数から除外するという仕組みを設けることに賛成いたします。4ページから6ページの前半までの検討という部分にいろいろと書かれておりますけれども、ここの記述についてもおおむね賛成であります。裁判所による認定ということを含めて、賛成をいたします。   それから(2)ですけれども、対象となる決議については、私も全ての決議とすることでいいのではないかと考えております。区分所有権の処分を伴う決議は、特に高い賛成比率が求められていますので、こここそ正にこの仕組みを真っ先に適用すべき眼目のところではないかと考えます。   7ページの4行目以降の(2)のところで、この仕組みと、それから後から出てきます出席者の多数による多数決の仕組みと、この二つの仕組みの間のすみ分けについて記述されていますけれども、これについてはちょっと正直迷うというところでありまして、所在等不明であるかどうかの認定というのは非常に手間が掛かりますし、また、日常的に起こり得る決議については、出席者の多数による多数決の仕組みさえあれば十分機能すると考える考え方もあると思う一方で、21行目以降に記載されているわけなんですけれども、定足数を設ける場合には、所在等不明の者の比率が極めて高くなった場合に、機能しなくなってしまうのではないかと、こういう懸念もありますので、そう考えますと、9行目以下以降に書かれている考え方の方が優れているのかなという気もしまして、ちょっとここは正直迷っております。   それから7ページ目の26行目以降の(3)の手続についての記述については、異論はございません。   それから、3番目が存続期間の関係でありますけれども、これは8ページの21行目にありますように、集会の決議のたびに認定手続を採るというのは、私は現実的ではないと考えております。仮に、この仕組みを区分所有権の処分を伴う決議に限定する場合についても、例えば、建替え決議は1回ですんなり通るケースばかりではありませんので、何回か連続して必要になるということも考えられますから、やはりその認定の効力というのは、一定期間継続すると取り扱うのが必要ではないかなと思っております。具体的な期間ですけれども、定めるとすれば、長めの5年ないし10年というところが適当ではないかと思っております。一度所在不明になった者が、そうやすやすと現れてくるというのは考えにくいというのが、その理由であります。また、取り消されるまでは存続するという考え方も十分あり得ると思いますので、これでもいいのかなと思っております。 ○齊藤委員 ありがとうございます。今、いろいろな事例をお示しいただきましたように、所在等不明の区分所有者が、ある意味こうして取り除かないと決議ができない状況を認識して、基本的にこの制度を導入することに賛成したいと思います。ただ、この議論、個人の財産権の問題がございますので、大変慎重な議論を皆さんとしていく必要があると思います。また、後で議論になりますような手続に関しても、きちんとした手続を採っていただくということが大前提での賛成でございます。   所有者不明が実際にどんなところで問題になっているのかということですが、先ほど矢吹さんの方からお示ししていただいたのは、所有者等不明の区分所有者の存在の問題というよりも、管理不全の問題ではないかなと考えております。所有者の不明、すなわち、管理不全として議論するのは危険な気がすると考えております。私自身が実際に出会った、所有者が不明、所在が不明により問題となった事例は、1つは東日本大震災で被災し、復旧や建替えが困難で解消したいというときに、当時は被災マンション法の関係で区分所有者の全員合意が必要でした。その後、被災マンション法の改正で多数決で解消できるようになっています。2つ目は、滋賀県の野洲市のマンションで、9戸のマンションで、適正に管理ができていないこと等から近隣からの苦情などが約10年ほど続き、その後行政による建物の解体が行われた事例ですが、1住戸が所有者不明でした。これは空き家対策法を使って何とか解体をしましたが、所有者が不明のままで解体費が回収できていません。それだけでなく、解体に至るまでにかなりの年数が掛かっている、その間、問題が益々深刻化し、外部不経済が大きいという意味では、こういった制度が必要であるということを考えております。   こういう制度が使われるのはどういうところかということを想定しますと、老朽化したマンションの最後の時点、建替えとか解消の時点で使われることが、一番求められるのではないかと思いますので、そこでの利用を可能にしないと、この制度、しっかりと生きてこないのではないかなと思っています。ただ、所在等不明の方々を分母から引くけれども、この方々から費用は回収するんだと資料の6ページ目の10行目辺りに書いてあります。実際、所有者不明なのにどうして費用を回収することができるのかいう疑問が残るわけですが、この点も同時に考えていく必要があると思います。また別のところで議論するかと思いますが、所有者不明の専有部分の管理人を選定する制度との関係で、こちらとの関係もどうするのかということをしっかりと議論をしていく必要があるということを前提としても、やはり必要な制度であると考えております。   さらに必要な調査をやっても、絶対に所有者が不明だということの、その手続の明確化が大変大事ではないかと考えます。どの程度調査をやったらいいのか。「いやいや、この程度の調査であれば認められない」という混乱が起こらないようにという意味では、手続の明確化が必要です。「これを区分所有法の中に書け」という意味ではございませんが、それを明確にしないと、新たなトラブルの元になるのではないかと思いますので、御提案されている民法の手続、これが妥当ではないかなと思っています。そして、御提案ありました、例えば、「名簿と一致していないから所有者不明だ」というのは、これはもっと慎重に考えるべきであるということで、現段階ではこの考え方には反対でございます。   あと幾つかございました。誰が認定するのかというのは、「裁判所」という考え方が示されている、これには賛成でございます。   それから、期限を設けるということは、これは現実的にはなかなか期限を設けるのは難しいのではないか。かなり慎重な手続をして認定するということは、それは、もう何度もできるものではないと思います。逆に言うと、一度認定したら、もちろん所有者が分かれば別ですけれども、適正な手続きをもって認定したらという前提で、これはかなり慎重に取り扱うということを前提に、特に期限を設ける必要はないのではないかなと考えております。   そして、所有者の多数による決議を可能にする仕組みというところも、一緒に発言した方がよろしいのでしょうか。 ○佐久間部会長 それは後で伺いますので。 ○齊藤委員 はい、分かりました。以上になります。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。入口のところの手続を、民法並びでよいというお考えと伺いましたが、そこをきちんとした上で、一度認定されれば、そこそこの効力を認めるのが適当であるという、そういうお考えと承りました。   他にいかがでしょうか。 ○吉原委員 ありがとうございます。私も他の委員の先生方と重なるところが多いのですけれども、まず、(1)の所在等不明区分所有者を決議の母数から除外することができる仕組みを創設することについて、賛成いたします。   (2)の母数から除外する仕組みの対象となる議決につきましては、資料3の6ページ33行目にありますように、所在等不明区分所有者は区分所有建物を利用しておらず、全ての決議について関心を失い、他の区分所有者の決定に委ねているものとも考えられるという点からすれば、母数から除外する仕組みの対象となる決議を、区分所有権の処分を伴うものを含む全ての決議とすることに賛成いたします。また、処分を伴う決議を含めるとすれば、これによって区分所有者は権利の大きな制約を受けることになるため、母数から除外する手続については、公的機関、具体的には裁判所の認定が必要だと考えます。   こうした認定の手続の必要性につきましては、区分所有者の権利の保護という点に加えて、管理組合の側が後々の訴訟リスクを抱えないようにするため、また、管理組合側の手続の瑕疵によって、決議が後日無効になることを防ぐという観点でも必要だと思います。その上で、公的機関に認定を求める前の段階の所有者探索においては、その探索の負担は相当大きなものがありますので、これは区分所有法とは別の課題になりますが、なるべく専門家のサポートが得やすくなるよう、管理組合向けの相談窓口などを、国の方で拡充することが大切だと考えます。   それから(3)の公的機関による所在等不明の認定の効力の存続期間について、本文にありますように、認定が取り消されるまでの間でよいと、考えております。   この点について、所在等不明区分所有者は、厳密には2種類あるのではないかと思っています。一つは、生存しているけれども所在が分からない場合で、これは、後日判明して、自分が所有者ですと戻ってくる可能性が残っています。もう一つは、当該所有者が死亡していて、相続が発生したのだけれども、実は誰も親類縁者がいなくて相続人がいない、あるいは、いるのだけれども全員が相続放棄をして、いずれにしろ相続人不存在の状態になっていると。こういう場合は、所有者が戻ってくる可能性はなく、その住戸については所有者がいない、つまり議決権を行使する人がいない状態になるため、決議の母数から除外することができるというよりは、むしろ財産管理人を選任して、その人が議決権を行使できるようにしない限りは、母数から除外しなければいけないのではないかと思っております。そうした除外しなければならない状態なのかどうか、相続放棄がされているのか、あるいは、マンションとは別のところで、どなたかが相続財産管理人を選任しているのかもしれないといった、そうした可能性については家庭裁判所に確認をしなければならず、管理組合の方で簡単に把握することはできません。正に鎌野委員が先ほど御指摘されたような様々な状況があり、そうした個別の状況の把握の難しさを考えますと、次の議題にはなってしまうのですけれども、2の方で挙がっております、まずは集会において、一定の議事については出席した区分所有者及びその議決権の一定の多数決によるものとするということに、私は賛成をしております。   ちょっと、最後の部分は先走った発言になりましたけれども、そのように考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。最後の点はまたもう一度、よろしければ次のところで御発言いただければと存じます。今おっしゃっていただいた中では、探索の負担ですね。法的な負担は下げられないのかもしれないですけれども、所有者不明土地の方も含めて、何か探索が効率的に、あるいはなるべく安価にできるような仕組みの創設が求められるという御意見と承りました。ありがとうございます。   他にいかがでしょうか。 ○森本委員 森本でございます、ありがとうございます。まず、(1)の方から意見を述べさせていただきます。   仕組みの創設について賛成ですけれども、資料におきまして、調査の程度等につきまして、特に区分所有者名簿については論じられていますため、区分所有者の所在等の調査に用いられるツールの一つである不動産登記簿について、登記の専門家としての立場から意見を述べさせていただきます。   不動産登記簿は、今後所有者情報を明確にする基盤が充実されることになっております。令和6年4月からは相続登記の義務化が実施されるほか、所有権登記名義人が国内に住所を有しない場合には、国内における連絡先となった者の住所及び氏名が登記されます。資料中、問題として指摘されているDV被害については、被害者支援団体等の住所など、被害者から申出がされた場所を記載することができるようになると想定されています。さらに、令和8年4月には住所変更登記が義務化されることからも、登記事項証明書は現在よりも有用な探索ツールとなり得ます。   また、区分所有者が所在等不明であることを認定する機関につきましても、意見を述べさせていただきますが、公的機関、こちらは地方裁判所がしかるべきと考えますが、地方裁判所の認定によって、所在等不明区分所有者を決議の母数から除外するのが相当であると考えております。   続きまして、(2)につきましては、全ての決議とすることにつきまして、所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する手続は、公的機関が適正に関与した上で行われることもあり、賛成という意見でございます。   最後に、(3)につきましてですけれども、公的機関から所在等不明の認定を受けた場合でも、その後も所在等不明の状態が長期間存続することが想定されるため、認定を受けるために必要となる時間や労力を考えると、認定効力の存続期間を設けないことに賛成いたします。先ほど大桐委員からも言及されましたけれども、所在等不明とされた区分所有者が、自ら所在等不明と認定されていることが容易に分かる仕組みを設けることや、認定の取消し請求も行いやすいように工夫することが望ましいと考えております。また、例えば、集会の前日に所在等不明者の認定取消しが後で分かり、集会の決議が無効になるというリスクがあるため、会社法124条に定める株主総会における基準日のように、認定の取消しがなされた区分所有者が、どの時点であれば母数に加えられるかなどを明確にする必要もあるのではないかと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。この後、沖野さん、能登さんの順にご発言いただきますけれども、その前に、齊藤さんもおっしゃった組合員名簿に重みを持たせることはこの脈絡では不適当であるという意見が、複数出ております。そこで、いや、そうではないんだという御意見がもしおありでしたら、ぜひ御意見を頂きたく存じます。今のところは、組合員名簿に重みを持たせることは不適当であるという御意見が複数で、それに対して異論に当たるものはまだ出ていないということから、その点だけ確認をさせていただきます。 ○沖野委員 ありがとうございます。私も、この所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する仕組みというのは必要だと考えます。確かに当該所有者にとっては権利の大きな制約になり得るのですけれども、当該権利の性質からの制約として甘受すべきものということで正当化ができるのではないかと思っております。しかしながら、5ページにも書かれておりますように、重大な効果や不利益を伴うことになりますので、その認定というか、所在等不明であるという判断のためには、公的な機関の関わりが必要であるし、それから、改正後の民法における基準よりも緩やかにしてよいということは、やはり正当化は難しいのではないかと考えております。ですから、今までの意見に異論を述べるというものではございません。   その対象ですけれども、私は全ての決議から除外するということがよいのではないかと思っております。これに対しまして、最初の御発言で、特に鎌野先生から、区分所有権の処分を伴わない決議については、何もこういう重い方法によらずに、出席者の多数決による決議の方で対応すればよいというお考えが出されました。そちらで、つまりより簡便に対応できる方法があるのだから、その重複を避けるという御趣旨かと思いました。ただ、少し気になっておりますのは、7ページの13行目辺り、それから21行目からに書かれているんですけれども、一つは、出席者の多数決による決議を可能にしたときに、定足数を本当に設けなくていいのかどうかというのは、なお気にはなっております。出席者の多数決によるということが分かった上で、なお出席しないということだから、もうそれでいいとも考えられるのですけれども、もしよろしければ、鎌野先生のお考えにおいて、定足数は要らないというお考えなのかどうかというのをまた確認をさせていただければと思いました。   それから、もう一つはここにも書かれているところでけれども、15行目に、通知をしないというような形で一定の意味合いを持たせるということはあり得るという、そういう可能性もありますので、確かに重い手続ですけれども、例えば、そういった既にもう所在等が不明の者であるということが、別のある決議のために分かっているということであれば、他の決議でもそれを前提としていいのではないかと考えられますので、出席者の多数決による仕組みがあれば十分だとも言えますけれども、あえて併用を除外する必要もないのではないかと。言わば、そちらの方がよりきちんとした手続ですので、そちらを使いたいとか、こちらでも既に使えるという状況であれば、それを排除する必要もないのではないかと思っております。   該当する区分所有者ですけれども、カテゴリーが幾つかあるのではないかという御指摘がありまして、戻る可能性があるのかないのかという点で、それ自体は必ずしも、相続人がいるけれども、相続人が知らないために権利行使ができない状態であるとか、相続放棄だとか、相続人がいないけれども相続財産法人はあるというような、いろいろな場合があると思うのですけれども、災害に巻き込まれてそのまま戻ってこられなくなってしまって所在もつかめないとか、海外で危機に巻き込まれて、別に失踪宣告のようなこともされないままになって、しかしひょっこり戻ってくるというような可能性もないわけではないということなどを考えると、本当に本人の落ち度がないまま、この手続に乗ってしまうということがあります。そうしたときに、本人が本当に場所に戻ってきたらどういうことなんだと聞くでしょうからそれで分かるんですけれども、そこまでいかないような場合に、本人に対する情報提供や情報収集の機会ですとか、権利行使といいますか、具体的には認定取消しかと思いますけれども、その手続はやはり考えておく必要があるのではないかと思っております。   ですので、存続期間を一律に区画する、それなりに戻らないというか、そういう人であるということがかなり確度が高いということからすれば、期間としては10年ぐらい設けてもいいのではないかとは思っておりますけれども、ただ、期間を設けますと、その期間管理の問題が出まして、かつ、全員について一斉にこの手続を多分採るわけではないとすると、ある人についてはこの時点で、2年後に別の人がとか、非常に時効管理でもないのですが、期間管理、これを間違えると決議の効力に影響しかねないという、非常に重要なことになってきますので、そういう過誤を誘発するような制度は、余り望ましくないのではないかと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。最後の点ですが、期間10年ぐらいもあり得るけれどもというのは、結局沖野さんの御意見では、期間は特に限定しないという御意見でよろしいですか。 ○沖野委員 期間を設けるなら、やはり10年ぐらいだということだけれども、しかし、なくていいのではないか。ただ、そのときに少し本人の情報収集というか、そういうことは考慮した方がいいという、そういう趣旨です。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。先ほど吉原さんもおっしゃいました、本人に知らせるというか、知ろうと思ったら知ることができる仕組みを何か考えた方がよかろうということで、法律の話ではないかもしれませんけれども、どういうことが考えられるというのは、今後この場でも議論をしていきたいと思います。   あと沖野さんの御発言の途中で、最終的には次のテーマではあるんですが、この段階で鎌野さんに、出席者多数での決議を可能にするといったときに、定足数についてどうお考えかを伺っておきたいということでしたので、鎌野さん、その点だけお願いできますか。 ○鎌野委員 また後の、次の議題とも関連するんですけれども、ここのところ、私は、基本的には区分所有法で定足数を設けて、ただ、規約によって別段の定めをすることができるというようなことで、要するに規約も、ですから、私もちょっと先走りますけれども、基本的には規約の変更も出席者多数でよろしいのではないか。ちょっと留保付きですけれども、後でまた私の意見を言いますけれども、そういうことで、もしそういう定足数というのが足かせになって決議が成立しないというのは、ここにありますように十分考えられると。そういうときには、その定足数について、規約というのも定足数のない出席者多数をいうことで変えられると、こういう前提で、そのときにはそういう規約の変更をして定足数を廃止するというようなことを考えております。   また後で、ちょっとその辺りは申し上げたいと思いますけれども。 ○佐久間部会長 後でって自分で言っておきながら、あれなんですけれども、それ、1回目どうするんですかね。つまり、定足数を廃止する決議というのは、1回目しなければいけないわけですよね。 ○鎌野委員 そうです。 ○佐久間部会長 鎌野さんの御意見だと、所在不明の人はまず、そこの決議の除外対象にならないと。出席者も結局うまく集まらないというときに、この規約はどうやって成立させるんですか。 ○鎌野委員 ですから、そのときは、規約というのは出席者の多数ですけれども、ある意味では、ちょっと冷たい突き放した言い方をしますけれども、とにかく定足数のある規約を撤廃するための変更というのが集まらないようなマンションというのは、もういかんともし難いんでねというような形で、それはしょうがないかなということです。ですけれども、そういうときになったら、それなりの管理者とかしかるべき人が工夫をして、何とかそういう定足数の規約を廃止するというような方向に働くのではないかということで、これは期待を込めてですけれども。 ○佐久間部会長 分かりました。本来は次のテーマになるので、自分で振っておきながら恐縮ですけれども、一旦ここで終えたいと思います。 ○鎌野委員 先生、ちょっとすみません。先ほどのことにちょっと付け加えて、私はちょっとドラスティックに、先ほど言ったようにたたき台の意味も含めて、基本的には建替えというか、そういう処分行為だけでいいのではないかと。だから全てはということですけれども、ちょっと留保付きでというか、各先生の御意見も聞いた上でちょっと修正をするというか、先ほど一律にということでしたけれども、そして、その際に、ある人は除外され、ある人は除外されないということは妥当でないということを申し上げましたけれども、基本的には、これは議決権から除外するだけの問題で、区分所有権まで奪われるわけではないと、飽くまでも議決権だけで、その方はそういう立場にあると。実際上、所在等不明区分所有者は集会に出席せず現れないわけですね。ですから欠席扱いになるというようなことで、そういった意味では、特段そういったことを考慮しなくてもいいとも考えられる。   ですから、多くの委員の方がおっしゃっているように、全ての議事でも、そちらの考え方というのは特段排除しないと。ただ、先ほど言ったようなことがちょっと気になるということで申し上げさせていただきました。そして、そうすると集会ごとに、ある意味では、ある情報提供を受けて、管理者などがそういう所在等不明区分所有者の認定ということを集会ごとに行うことになる。それは非常に手間暇が掛かるんですけれども、それはそれで、それぞれの管理組合、管理者などの任意の選択に任せる。集会ごとに多分増えていくんでしょうね、所在等不明区分所有者は。そういうのも、それぞれの管理組合にお任せしていいのかなということで、全ての決議について除外するということに強く反対するわけではありませんので、ちょっと先ほど言ったことについて補っておきたいと思います。 ○佐久間部会長 では、能登さん、お願いいたします。 ○能登委員 建替えを始めとする再生や管理維持の検討をしっかり行いたい区分所有者の御意向を考えますと、ほかの多くの委員の方々がおっしゃるとおり、(1)の制度の創設については、賛成いたします。そして、全ての決議を対象とすべきと考えております。 その上で、所在不明等区分所有者の要件を明確化することが大事なことであり、さらに、公的機関の認定が円滑かつ早期に決定されることが重要であると考えております。要件の明確化につきましては、大桐委員や森本委員からもお話がございましたが、組合員名簿に重みを持たせなくていいということではないのですが、紛争を避けるためには、認定申請に当たって確認すべき公的書類を、区分所有法以外のところでもよいので明確にするということが大事かと考えております。また、認定及び取消しの判断を行う公的機関としては、紛争処理ルールが明確な裁判所が望ましいと考えております。  繰り返しになりますが、その上で早期に御判断いただくことが大事かと考えております。  と申しますのは、建替えが比較的長期にわたる事業となりますので、種々経済条件の変動の影響を受けますし、区分所有者の皆様のお考えも、経済状況の変化に加えて、組合員同士の関係性や、各々の御家庭の事情もあいまって、刻一刻と変化いたします。そのため、区分所有者の皆様の合意の目処がつき次第、早期に決議を行うことが事業の進捗に非常に重要な要素になってまいります。決議母数から除外される所在等不明区分所有者に該当するか否かについては、できる限り明確な手続き等で早期に御判断いただくことが重要であると考えております。   最後に認定の効力についてですが、こちらも他の先生方の多くの意見と同じとなりますが、認定の取消しの要件が明確となっていれば、取消しまでは有効という形でよく、効力に特段の期間を設けなくてもいいのではないかと考えております。少なくとも3年、5年といった期間では、長期にわたる建替え事業においては、改めて認定手続が必要となる可能性が高く、その手続にかかる管理組合の理事長や理事をはじめとした区分所有者の皆様の労力が非常に大きいものとなりますので、特に期間を設ける必要はないのではないと考えている次第でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   他にいかがでしょうか。 ○村上委員 ありがとうございます。まず、(1)の総論的な仕組みを創設するかどうかにつきましては、こういった仕組みを創設することは妥当と考えております。必要な管理などができない状況は、区分所有者全体の不利益になると思われますので、こういった仕組みの必要性は考えているところでございます。   次に、誰が請求できるかについて、これは質問ですが、ほかの区分所有者を請求者とする必要があるというのは、どういった場面なのかということがございました。ぜひ教えていただければと思います。費用の問題なども考えれば、管理組合などが請求することになるのかと思うのですが、いかがでしょうか。また、理事を請求権者とする点については、これは管理組合法人の代表として請求するということなのか、それとも当事者として個人で請求できるということなのか、お伺いできればと思いました。   次に、その調査の程度についてです。こちらについては、やはり必要な調査を尽くしても、なおその所在等が不明であることが求められると思います。4ページで調査のツールとして、不動産登記簿や戸籍住民票、区分所有者名簿などが挙げられておりますが、区分所有建物や住民票の住所に実際に住んでいるのかどうか、現地に赴いで調べることも必要ではないかと思われます。また、皆様方から先ほど来、区分所有者名簿についての御発言がありまして、私もこの名簿に重みを持たせるのはどうなのかと思っております。株主名簿などのように、株主が自らの権利行使をするために必要性があれば、その名簿に載っている人が自ら変更手続を行いますが、区分所有者名簿の場合、そうしたことはなかなか期待できず、名簿に不備があったから、本来不明でない人が不利益を被ることは避けるべきと考えます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。では、御質問のありました請求権者について、大谷さんからお願いします。 ○大谷幹事 ありがとうございます。まず1点目、他の区分所有者を請求権者とする理由ですけれども、確かに多くのマンションですと、管理者が選任されているわけですが、そもそも管理者を選任していない区分所有建物もございます。その場合に、なかなか手出しができないということになってしまいますから、他の区分所有者というのも、請求権者としてはあっていいのではないかということでございます。理事の方は、管理者と同じようなものでございまして、その職務上の権限として請求を行うということになろうかと思います。なお、所在不明の認定に関して、この資料上、基本的には公的な資料から追っていくことになると書いておりますけれども、仮に裁判所を公的機関とする場合には、改正民法と同様に、裁判所の御判断によって必要に応じて現地調査が求められることも多くあろうかと思っています。 ○佐久間部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。おおむねよろしゅうございますか。   では、本日頂戴した御意見につきまして、こういうことかということで御確認いただければと思います。  まずこの制度について、所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する仕組みの導入については、反対意見は全くなかったということだったと承知しております。   中身につきまして、請求権者につきましても、最後に村上さんから御質問がありましたけれども、今のところ、特に御異論はないということかと存じます。  調査の程度につきましては、民法における所有者不明の場合と同じ程度の調査が必要であるということに、これも一致があったと存じます。公的機関につきましても、裁判所とすることが適当という以外に御意見はありませんでした。  認定の効果につきまして、例えば費用の負担を伴う工事が行われた場合に、所在等不明区分所有者もそれを負うのかというようなことが資料では問題とされていますが、特に言及はどなたからもありませんでしたけれども、恐らく異論はないということかと承りました。もし異論があるということあれば、後でおっしゃっていただければと存じます。  決議の対象につきましては、鎌野さんから処分に限ってはどうかという御意見が、強い意見ではないとおっしゃいましたけれども、あったほかは、全決議が対象となることでよいのではないかという御意見であったかと思います。  最後に、認定の効力の存続期間につきましては、仮に期間を定めるのであれば、3年では短い、5年あるいは10年が好ましいという御意見もありましたが、積極的に期間を区切れという御意見はなかったかと存じます。取消しまでは効力が続くということが前提だという御意見がほとんどでした。ただ、ここも鎌野さんから、個別の事項又は集会ごとにということも考えられるのではないかという御意見がありした。   以上が1についてですが、簡単なまとめですが、なおここはどうかということ、あるいは言い漏らしたということがあれば承りますが、よろしいでしょうか。   ありがとうございます。   では、予定していた時間にもなっておりますので、ここで10分弱休憩ということにさせていただきまして、2時50分再開ということでお願いいたします。一旦休憩といたします。           (休     憩) ○佐久間部会長 時間になりましたので、再開いたします。   「第1 集会決議を円滑化する仕組み」の「2 出席者の多数決による決議を可能とする仕組み」について、御意見を伺います。先ほどの所在不明の場合も、関連してということでももちろん結構ですので、御意見を頂ければと存じます。 ○小林委員 出席者の多数決による決議を可能とする仕組みということですけれども、まず、(1)のアでありますけれども、設けることについてどう考えるかということですけれども、10ページの13行目以降に提案の趣旨が書いてありまして、ここに書いてある趣旨については全く同感でありまして、賛成を致したいと思います。   それから、次の11ページの16行目から、賛否を明らかにしない区分所有者の問題について書かれておりまして、ここについて問題意識を持っているんですけれども、これは所在等不明区分所有者と同様に母数から外すという仕組みについては、ここに書かれていますように困難でありますし、また、この問題は後にまた出てくると思いますけれども、主に建替えに関する団地型の場合の棟別要件については、私は特に問題意識持っておりまして、そこで顕在化しやすい問題だと考えております。後にまた出てくると思いますけれども、これについて、3分の2以上の賛成が必要という現在の要件を、例えば3分の1以上の反対がないというような要件に変えるというような記述がされると思いますので、これで十分対応が可能ではないかなと考えますので、ここには措置しなくていいだろうと思っております。   それから、次のイのところですけれども、議案の要領、これについては、現在は限られた事項についてだけ必要だとなっておりますけれども、この会議の目的たる事項というのを示されるだけですと、要するに議題の項目名でありますので、どのような決議を具体的にしていこうかということが明らかではないわけですね。例えば、理事の解任ということであれば、どの理事をどのような理由により解任するのかが分かりません。そういうことで、区分所有者としては、何をおいても是非自分が出席しなければいけないのかとか、あるいは、誰かほかの区分所有者に委任すれば足りるのかなどについて、判断ができないと思います。それから、議決権行使書の提出に至ってはなおさらであります。毎年度の事業計画とか大規模修繕工事の内容などについても同様だと思いますので、やはりどういうものであっても、議案の要領も必要であるとすることが大事かなと。運営側の負担は、それほど重くなるということは考えられませんし、反面、区分所有者側のメリットは非常に大きいと考えます。   それから、ウの定足数でありますけれども、このことは、多くの区分所有者が管理に関心を失っているような場合には、意思決定の妨げになるということがそのとおりでしょうけれども、総会運営側が奔走して委任状を取るというのが、通常のケースかなと思っておりまして、これを行えば、過半数程度であれば何とかなるんではないかと、いささか楽観的かもしれませんけれども、そういうふうに考えておりまして、定足数を設けるというのがいいのかなと、基本的には考えております。ただ、先ほど鎌野先生からも言及がございましたけれども、規約で柔軟な取扱いができるようにするということも必要かなと思っていまして、定足数を設けるんであれば、規約で撤廃できるとか、逆に、原則は定足数を設けないで、規約で設けるようにできるようにするとか、そういう柔軟な扱いが考えられるんではないかと思います。   それから、(2)の出席者の多数決によることを可能とする決議の範囲ということで、①から④まで四つ示されておりまして、このうちの①から③については、議案の要領を義務化するという前提で、賛成をしたいと思います。   それから、14ページの7行目から9行目のところなんですけれども、規約についての決議に関して慎重であるべきという見解が書かれているんですけれども、これはある意味、マンションというものの基本的な性格から来る、言わば理想論的な在り方、理想的な在り方論に立脚した考え方かなと思っておりまして、これは、考え方としては重要なんだろうとは思うんですけれども、高経年のマンションを中心としまして、現状、理想論だけでは立ち行かないと、そういうところまで来つつあるのかなという感じがいたしました。   次に④ですけれども、④については、直感的な意見かもしれないんですけれども、ちょっと迷いがありまして、この決議によりまして受ける不利益というものが、特定の方に非常に強いものがかかってくると。なおかつ、その不利益を被る者って非常に少数に、一部の者に限定されているということからくる迷いなんだろうと思います。ほかの案件については、これ、効果が区分所有者一般に広く及ぶんですけれども、これは、その中の非常に限定的な方だけで、他の区分所有者との間に対立的な関係といいますか、そういうものが生じているケースだと思いますので、ちょっとここは慎重かなと思っています。   それから、建替え決議についても、慎重に考えた方がいいような気がいたしておりまして、ここまで今回の改正で一気に緩和するということについては、ややちゅうちょを覚えるところであります。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。少し確認をさせていただきたいんですが、議案の要領の義務化ですね、この提案は、出席者での多数決を認める場合には、ということではあるんですけれども、おっしゃった運営側の負担は大したことないし、区分所有者のメリットが大きいということからすると、現状でもそうした方がいいということではあるということですね。 ○小林委員 現状でもそう思います。 ○佐久間部会長 分かりました。   建替え決議の、あるいは処分を伴うものについては慎重であるというのは、明確に反対ということまでではないということでしょうか。 ○小林委員 反対ということではなくて、そこの議論を進めていく上でどうするかということだと思うんですけれども、ちょっと今の段階では、すぐになるほど、そうですねというところまではいかないと、こういう趣旨でございます。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。   他にいかがでしょうか。 ○鎌野委員 今、小林委員の方から御説明があった、かなりの部分は同感なんですけれども、念のために申し上げておきますと、集会における一定の議事ということで、その範囲ということはちょっと後で申し上げます。   それから、(1)のイのところも、これは小林委員と同意見で、やはり特にこういう出席者の多数決による決議というような場合には、基本的には、議案の要領を示して、例えば管理費の値上げということだけではなくて、幾らに値上げするというようなことも示して、そしてできるだけ欠席する区分所有者から議決権行使書の提出を促すというのが望ましいし、そのためにはそういう、要するに回答できるようなところまで、どこまで細かくというのは別として、議案の要領というのは必要ではないかと。そして、この案件だったら、お隣さんとか、あるいは議長委任とかというようなこと、でやはりこれは非常に重要なことだろうと思いますので、是非ともこれは、やはり改正をしていただきたいと考えております。   それから、ウの定足数ですけれども、基本的には私は、先ほど申し上げましたけれども、会社法309条の1項と2項、1項の方は出席者の過半数、2項の方は出席者の特別多数と、ここで言えば4分の3ということになろうかと思います。そして、これまた先ほど、それから小林委員の方からも何か御意見ということでしたけれども、契約での別段の定めというのを認めるということです。   それで、問題は(2)の議事の範囲、そこが非常に悩ましいところで、幾つかの留保があるんですけれども、①の普通決議は当然として、これはここのペーパーにも書いてございます。それから、むしろ一番メインのところは、これはこの後の議事とも関係しますけれども、共用部分等の変更ということで、これについて非常に、こういう改正というのは、出席者の多数決による決議を可能というのは非常に意義があるだろうと。大規模一部滅失の場合の復旧については、ちょっと後で申し上げます、ちょっと別の懸念がありますので。   それから規約ですけれども、これも悩ましいところですけれども、例えば規約で、現在多くのマンションの規約では、住居専用というような規約が設けられていると。そうすると、規約の変更によって店舗も可だというようなこと、あるいはペット飼育なども非常にデリケートな問題がある。そこまで、言わばこういう出席者の多数ということで決めていいのかと。それに出席はできなかったけれども、このマンションはそもそも住居専用ではないかと、こういう方がいらっしゃるので、そういったことも考慮しなければいけないと。他方では、多くの規約の部分というのは、その持分の割合とか、それから費用負担とか、議決権の行使の割合ということで、確かにそういうのも大事なんですけれども、これは区分所有法の30条の3項で規約の公平性ということによって担保できて、この辺り、公平性が確保できないような場合には、結局はこれは効力規定と考えられていると思いますので、無効になるということで。   それで、留保つきです。現在のところはちょっと規約というのは慎重に考える、先ほど申し上げたようなことでですね。ただ、ここでは、恐縮なんですけれども、今の区分所有法の30条の3項を、今言った住居専用とか何とかということも踏まえて、ちょっと改正すればいいのではないかと。現行法30条3項では、区分所有者間の利害の公平が図られるように定めなければならないというのが現行規定ですけれども、その前に、総合的に考慮して、区分所有者の利益という文言を入れて、その利益というのは、今申し上げたように、やはり住居専用ということでそのマンションを購入した方の利益を図ると。そうすると、そういうことが図られるように、利益が図られるように定めなければいけないと。ですから、別の言い方をすれば、もしそういう住居専用を、何か店舗でもいいというような、そういうものについては、ここから出席者多数の決議で決めた規約というのが効力を失うと、無効になるというようなことで、そういう手直しがあれば、規約についても出席者多数ということでよろしいのかなということです。   それで、先ほど小林委員の方から懸念された義務違反者に対する措置ですけれども、私の考えは、義務違反者の措置、共同利益背反行為があったかどうかは、単なる多数決だけではなくて、最終的には裁判所が共同利益背反行為があったという認定にかからしめるわけですから、だからそういうことを考えれば、そういった共同利益背反行為をしたとされる当事者、例えば、ちょっとした村八分などで、その場で勢いで、何かそういう理事さんなどが多くてというようなことでも、最終的には裁判所の判断に期待できるので、そういうことを考えれば、これも出席者の多数決による決議の中に入れてもいいのではないかということで。   したがって、ここに書かれている①から④については、基本的には出席者多数による決議を可能とする仕組みとしてはどうかなと。   ただ1点だけ、先ほどちょっと留保しておきました大規模一部滅失の場合の復旧でございます。これはちょっとややこしい問題になって、要するに出席者の多数で決められると、例えば4分の3で。そうすると、この仕組みからいうと、出席しない人も結果として賛成者ということになりはしないかと。そうすると、そういう方の費用負担を考えた場合に、やはり実務的に動かなくなる可能性があるのではないか。仮に、そうではなくて、欠席者というのは非賛成者とするというと、今度は買取り請求の問題が生じてくると。建替えの場合には売渡し請求の問題です。買取り請求の場合ですと、ごくごく単純に考えると、過半数ですから2分の1ではないんですけれども、仮に、定足数を先ほど申し上げたように過半数と、これは現行の標準管理規約で半数となっていますけれども、やはり会社法に倣って過半数の方が座りがいいような気がします。そうすると、仮に過半数の定足数4分の3ということとなると約8分の3、そうすると、買取り請求の場面でどうなるかというと、3人が賛成で5人というから、だから、3人分で5人分の買取り請求代金の負担を負うと、そうすると、これ動かないのではないか、もしこれを出席者の多数の決議としては。ですから、これはやはり建替えと同じように、私も建替えは積極的に、この出席者多数による決議にすべきでないと思っておりますので、建替えと同じようにこういった大規模一部滅失の場合の復旧に関しては、今言ったようなことから、いわゆる絶対多数というか、区分所有者と議決権の4分の3いうのを残さざるを得ないのではないか、残すべきであるのではないかと考えております。   ちょっと長くなりましたけれども、またこれも各委員の御意見を伺って、修正詰めていくとこがありましたら、またちょっと修正をさせていただきたいと思います。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。最後の復旧のところで、欠席者も賛成者と同じ扱いになるのではないかとおっしゃったかと思いますが、それは、例えば61条7項にある、賛成した区分所有者の中に含まれてくるのではないかということも意味しておりますか。 ○鎌野委員 出席者多数といった場合に、出席しなかったという、要は欠席者ですね。 ○佐久間部会長 出席しなかった人は、決議に賛成した者にはならないのではないかと。 ○鎌野委員 いや、普通だと、賛成したことになるんですよね。 ○佐久間部会長 普通だと賛成したことになるというのがちょっと、すみません、私、飲み込めなかった。 ○鎌野委員 出席者の多数決による決議を可能にするというんですから、出席をしないという人は、そこの出席者の意見にお任せしますということですよね。そうすると、お任せしますということは、結局賛成したことになると。 ○佐久間部会長 いや、そこはちょっと。母数から除外するというのは、結局、賛成もしていないし、反対もしていないので、どちらにも割り振られないというか、少なくとも… ○鎌野委員 賛否不明というならいいけれども、母数から除外すれば、また別です。 ○佐久間部会長 母数から除外しているのではないでしょうか。定足数を設けるかどうかはちょっと置いておきまして、会議に出席した人の中での3分の2、4分の3、過半数で決めるということですから、結局欠席した人は母数に入っていないということになりますよね。 ○鎌野委員 ですけれども、その人に対しては、結局そのあと買取り請求の問題が起こりますよね。その買取り請求を受ける側になるのか、その買取り請求ができる側に回るのか。 ○佐久間部会長 いや、できる側には回らないと思いますけれども。単純に買取りの請求を、別にされるんだったら、されることはあり得るんですかね。だから、61条7項の「その決議に賛成した区分所有者以外の区分所有者」に当たる、ということだと思います。 ○鎌野委員 だから、そこの議論がどうなるかということで、ですから、ちょっと慎重に考えて、いろいろあると思います。 ○佐久間部会長 復旧について慎重ということは承りました、ありがとうございます。   それから、30条3項の改正のところも、補足的に伺いたいんですが。30条3項において、「総合的に考慮して」の後、「利害の公平が図られるように」という前に、「区分所有者の利益」ということを入れればどうかというお話でしたね。それをするかどうかは置いておきまして、そのようにしたならば、規約全部を対象にしてよい、例えば、おっしゃったことで言うと、住戸専用規定、ペット飼育禁止規定や飼育可能規定もだと思いますが、そういった変更もこの制度の対象にしてよいというお話でした。その場合、区分所有者の利益というものが、例えば住戸専用、ペット飼育の可否について決議をした場合に、どうなるということなんでしょうか。それは区分所有者の利益を害するものだから、無効だってなるということですか。 ○鎌野委員 私はそういうふうに考えました。 ○佐久間部会長 それは、しかし、出席者のみの決議にするかしないかに関わらない可能性はないでしょうか。つまり、現行規定のままにしたところで、そのお考えですと、4分の3とか3分の2取っても、それは駄目だという話になり得ませんかね。 ○鎌野委員 だから、駄目だということになると思います。 ○佐久間部会長 そうすると、規約を変えられないということ。 ○鎌野委員 そこの部分は変えられない。要するに、無効になるんだから。 ○佐久間部会長 いや、私が伺いたいのは、全部無効になってしまうのではないかということと、出席者のみによる多数決を認めることとの論理的なつながりが、今おっしゃっている部分についてはよく分からないんですけれども。出席者のみの多数決にするからこそ、そこが駄目なのか。 ○鎌野委員 そうなんです。だから、そこの部分は、この3項でそのようなことをやれば、結局はそういう規約の改正というのはそもそもできない。 ○佐久間部会長 賛否というのではなくて、意義を明らかにしたいということなんですけれども、そうだとすると、例えば住戸専用とかペット飼育のようなものについては、やはりこの制度の対象外とするということと、意味は恐らく等しいのではないかと思うんですね。そうだとして、規約については、鎌野さんおっしゃるとおりいろいろなものがあって、これは対象にしてもよさそう、差し支えなさそうだというものもあれば、ちょっとどうなのかというものもある。悩ましいのは、区別することが難しいということだと思うんです。区別することが難しいというのは、規約について、例えば、ばっちりこういうものについては対象外であると書ければ、この制度で対象外であるということにして、ほかのものは載っけていくということができるんですけれども、そうできれば安定はすると思うんですが、30条3項を改正して、それを区分所有者の利益ということで受けて、後で効力が争われますということになると、決議の効力が分からないということになりかねないのではないですか。 ○鎌野委員 おっしゃるとおりだと思います。 ○佐久間部会長 そうすると、不安定になってよくないという面があるのではないかと思いましたので、ちょっと伺った次第です。 ○鎌野委員 それはおっしゃるとおりで、もう少し何かそこの立法的な手当てが、それをある程度もう少し具体化ができるんだったら、そういう立法の方が望ましいと。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。ともかく、規約についてはちょっと難しい問題があるという御指摘があったことが明らかであり、おっしゃるとおりであると思います。ありがとうございます。 ○浅見委員 一番最初にAからEの分類があります。このAからEでいうと、不達者というのをどうするかというの、ちょっと分からないんですけれども。不達者というのはつまり、例えば、理事会等から連絡をしても受け取ったかどうか分からない、出しても返ってきてしまうというような。むしろその中には、所在等不明の人も入っていると思うんですが、そうではない人もいる可能性があって、一応そういう人はいないという前提で、これからちょっと意見を述べますが、なるべくそういう人がいないようにしなければいけないのかなと思います。   その意味で、もしその不達者がいた場合に、それを全部所在等不明にしてしまおうとすると、結構大変な手間が掛かっちゃうので、処分を伴うような場合ではない場合には、例えばなんですが、先ほどの議論に若干戻っちゃうかもしれないんですけれども、組合員名簿、一度アップデートされた組合名簿のところに出すということでよしとするということをしていいのかどうか、ちょっとこれは議論があると思いますけれども、その点を少し考える必要があるのかなと思いました。   不達者がいないという前提で、今後申し上げたいと思うんですけれども、その意味で、今回の3、出席者の多数ということですけれども、先ほどのAからEの議論で言えば、AプラスB分のAということで、処分を伴わない場合には、そういったことというのはあり得るのかなと思いました。一方で、処分を伴う場合には、仮に、AプラスB分のAということをやるとしても、やはり権利を守るために何らかの形で定足数というのを設けた方がいいのではないかと考えます。その場合に、基本的には、AからE分のAからCというのが、ある一定の割合以上にいること。ただし、もしも裁判所等で認定されるんであれば、Eの部分については抜いても構わないとして、実質的にはAからD分のAからCというのを、ある一定の定数以上にするということを考えるべきではないかなと思います。   それから、11ページのイの事項なんですけれども、今後もしそういう仕組みを入れるとすれば、やはりいろいろなものについて賛否を自分で考えることができるような情報を与えなければいけないと思いますので、その意味で、議案の要領も通知すべきと考えます。   それから、先ほど鎌野先生がおっしゃった12ページの分類の点なんですけれども、動かないことが想定される場合には認めるべきではないというような形のことをおっしゃいましたが、私はむしろ、この動かないかどうかの判断というのは、やはり合理的な判断にお任せすべきであって、ないしは、それが気が付いていなそうな場合に気が付かせるという意味で、例えば、関連会社等がきちんとそういうことをアドバイスして、その上で判断できるようにするということで、できないかもしれないから制度的にできなくするのは、ちょっと筋が違うのではないかなと思いました。   それから、実際、先ほど不達者の話をしたんですけれども、やはり不達者が仮にいたとしても、その人たちが状況を把握できるようにするという意味では、例えば、議決の結果というのをそれぞれの人があるサイト、パスワードか何かかかっているのかもしれませんが、を、見に行けば見ることができるようにするというような、最終的なその開示、情報開示ということ、ないしは、自分が不達者になってしまっているということ把握できる機会を与える、そういったことも必要ではないかと思いました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。不達者というのは、すみません、招集通知を出したけれども届かなかったという人。 ○浅見委員 届かなかったとか、全く音沙汰がないとかですね。 ○佐久間部会長 その方について、すみません、浅見さんはそれをどういう点で問題だと。 ○浅見委員 何を考えているかというと、その不達者というのを、例えばなんですけれども、名簿を操作して意図的に賛成に導けるようにするとか、反対に導けるようにするということがあってはならないと思うんですね。そのために、なるべく中立的な形で、その不達者がなくなるようにしなければいけないというのが1点です。その対応、先ほどいろいろな形で気付けるような仕組みを作らなければいけないとかいうのは、申し上げました。   ただ、そうは言っても、不達者というのが全く実務上出ないとは言えない可能性がありますので、ある部分はちょっとやむを得ないだろうとは思うんですけれども、それをなるべく、いなくなるようにするようにしなければいけないと思っております。 ○佐久間部会長 現在の35条3項が、特に指定した場所がなかったら、専有部分が所在する場所に宛ててすれば足りるとなっているところを、それはそうだとしても、もうちょっときちんと届くような努力をさせるべきだという、そういう御趣旨ですか。 ○浅見委員 そうですね。例えば、ちょっといい例かどうか分かんないんですけれども、学会なんかの理事会の決定の結果というのは、閲覧できるようになっているんですよね。何かそういう、とにかく、例えば、1年間何も来ないなと思ったら、やはりおかしいなと思って見に行くと思うんですけれども、そういう機会が全くないんではなくて、あるようにしてあげないと、不達者が気付けない。場合によっては、そういう悪意の不達者というのが発生していることに気付けないかもしれないので、それがないようにしなければいけないというのが趣旨でございます。 ○佐久間部会長 ホームページがあればそこに載せればいいですし、ないところは、建物内に掲示させるとか、そういったことが考えられると。分かりました。   もう2点あるのですが、先ほど資料1ページの図を前提にされて、AプラスB分のAとおっしゃったと思うんですが、つまり、Cについても除くというのが浅見さんのお考えということですか。 ○浅見委員 Cについては、消極的な賛成の人もいれば消極的な反対の人もいるんですね。現行法では今、消極的反対と全て完全に解されているんですけれども、そうすることによって、かえって白票とか棄権を増しているのではないかと思うんですね。議案を明示されていて、自分が含まれないというのが分かれば、むしろ書面だとか、場合によってはその代理者ということ派遣することによって、むしろその賛成、反対を明示する方に行くんではないかと思っていまして、その方が健全な意思決定になるのかなと考えております。 ○佐久間部会長 分かりました。御意見としては、AプラスB分のAというものであるということを承りました。   もう1点、これは小林さん、鎌野さん、浅見さんに共通してなんですが、議案の要領を示すことには賛成であるということでした。私、別にそれに反対だということではないのですけれども、今は、議案の要領を示さなければいけないものは、35条の5項に列挙されています。これを一般化しようということだと思うのですけれども、37条に、特別多数を要しないものについては、規約に定めることによって、いきなり当日議題にすることも可という規定がありますよね。これはどう考えられるのか。つまり、全部議案を示せということになるとすると、その前提が崩れるのではないかと思われるので、37条が今のところ許している例外は本来認めるべきでいないとお考えなのかというのが1点と、もう一つは、先ほど鎌野さんがおっしゃった管理費の値上げのような議案があったときに、その議案の要領で、例えば、管理費1万円のところ1万2000円にしますという議案が出ていたところ、1万1000円にしますというのはよろしいんだと思うんですが、当日の議論の結果1万3000円にしますということが、その場合には許されるのか、許されないのか。その辺、やや細かい問題ですけれども、議案の要領にすればいいということは、直感的にはそうかなと思うんですが、詰めて考えると、結構面倒くさいことが出てくるのかなと思うので、今の段階で、御賛成になったお三人、全員に答えろということありませんけれども、お考えがあれば。   浅見さん、お願いします。 ○浅見委員 確かにおっしゃるとおり、議論しているうちに、その他事項で何かこういうのも議論すべきだというのがあると思いますので、その場合、重要事項であった場合には、少なくとも仮決定ができるとすればいいと思うんですが、例えば、話し合っていて、急に建て替えるとか、何かとんでもないような議決をしようとした場合に、やはりすぐに決められるものではないと思います。ですので、ちょっとそこの部分は限度があるかなと思うんですが、ちょっと正確な議論を今できるものではありません。   それから、管理費の値上げの問題ですけれども、管理費の値上げを1万1000円が1万3000円なっちゃったというのについて、できれば議題のところでそういったことも含むような形に書いておく必要があるのではないかと思います。そうではないと意見表明できないので、もし実際に1万3000円なるかもしれないということが分かっているんであれば、むしろそれを記載した方がいいと私は思います。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   他にいかがですか。今の私の質問に答えてくれという趣旨でありません。もし何かあれば、またお考えを頂ければと思います。 ○鎌野委員 今の点ですけれども、私も浅見委員の意見と同じで、そういうことであれば、一般的には、集会の議事によって、一応要領には、普通決議で現在では足りると考えられている管理費の値上げを1万円から1万2000円にすると。ただし、その集会で、それが修正される場合によっては1万3000円になるというようなことを具体的に書くか、そういうことを書いておけば、議決権行使のときにも、1万2000円にするなら賛成だけれども、1万3000円なら反対とか何とかというようなことで、だから、そこも、いわゆる議案の要領の中にそういう含みを持たせておくということなのかなと考えますけれども。だから、そうでない、何もそういうこと書いていなければ、それは多分、そういう議案の要領自体がやはり無効ということになりかねないんで、それはそれで非常に問題になるんで、そこのところの書きぶりというか、そういうのはやはり必要になってこようかと思います。基本的には、徹底的にその辺りは、その賛否を表明できるだけのことは書いておく必要があるのかなと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。 ○齊藤委員 ありがとうございます。まず、出席者多数による決議を可能にする仕組みということでございますが、少々悩ましい気持ちでいます。と申しますのは、総会のときに多くのマンションでは、委任状とか議決権行使書を集めると、1回目にあつまるのは、5、60%集まればいい方ではないでしょうか。実態として。そして、何とか特別決議が可能なように、委任状や議決権行使書を80%を目標に頑張って頑張って集めるというのが、マンション管理の世界では、1つの文化として根付いてきたと感じています。つまり、8割以上の区分所有者が何らかの形で総会に参加をしているということで、日本のマンション管理はみんなで合意を取りながら前に前に進んできたという、この文化と歴史をつくってきたという現状の中で、今回意思表示しない人を簡単に取り除くぞということになったら、やすきに流れるようにならないかということを、心配しております。   ただ、部会長もおっしゃられましたように、今のマンションを見ているだけではなく、この先の20年後もしっかり見据えて議論をするようにということがございますので、確かになかなか決議に参加しない方々のために、重要な決議ができないということを考えますと、このような出席者多数による決議を可能にする仕組みをしっかりと考えていく必要があるのではないかと思っています。そうしますと、1回御案内して、何の意思表示もない人たちを、1回で「もうあなたはアウトよ」ということにしてしまうのかということです。普通、一回は催促しますよね。では催促という手続きを踏んでそこまでしなければいけないのか、管理組合の手間とかを考えますと簡単な方が良いとは思いますが、1回の御案内だけで、意思表示をしない方々を外して本当によいのだろうかということを危惧しております。   しかしながら、管理を前に進めるということは重要だという意味では、出席者多数による決議を可能にする仕組みというのを検討する必要があるだろうということを前提に、初めの前提条件としてはこのような心配があるがゆえに、その心配が実際にならないような体制を同時に整備することを大前提にして、仕組みを考えていく必要があるのではないかと思っています。   ですから、やすきに流れないという意味では、どういうことを決議するのかということについて、まず「議案の要領を示す」ということは重要です。これはもう既に多くのマンションがされていることだと思いますので、それをしっかりやってくださいということは、今よりも過剰な負担にならないのではないかと私は考えておりますので、まずこれをしていただきたいと思います。   そして、少数の人間で暴走しないようにということ、またこれは心配しすぎだと言われるかもしれませんが、そういう意味では定足数を設ける必要があるのではないかと思っています。では、どのぐらいだと言われたら、まだ適正な数字を提示できないのですが、少数の人間だけで物事をワンマンに、独走的に決めていけないようにという意味では、定足数は必要だと思います。   では、何について決議をするようにするのかということですが、建替えは慎重にした方がよいのかなと考えております。まず普通決議は、既に現実には標準管理規約に準じてこうした方法をとっている管理組合が多く、そのことにより問題が深刻に発生しているということはないのでよろしいのではないかと考えます。共用部分の変更決議に関してもよろしいのかなと考えます。そして、規約の設定変更、廃止と管理組合法人に関してもよろしいのではないかと考えます。つまり、資料に示されている、①、②、③に関しては適用してもよいではないかなと考えているのですが、義務違反者に関して、①、②、③と性格が違いますので、このある特定の人の大きな不利益になるようなことが、万が一少数の人間で決められるような構造が出来上がってしまってはいけないので、ここは慎重にすべきなのかと考えます。あるいは、先ほど鎌野委員がおっしゃられたように、裁判所が最終的にきちんと見るのだから、それは心配しすぎだということもあるかもしれませんので、裁判所が適正に判断していただける体制を整備するということであれば、④番まで適用することはよいのかなと思っているところでございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   他にいかがでしょうか。 ○大桐委員 ありがとうございます。まず、イの議案の要領については、皆さんおっしゃられたように、なるべく明らかにする方向でやっていただきたいということでございます。   それから、(2)の出席者の多数決の決議の範囲についてなんですけれども、普通決議についてはオーケーと。ただ、認知症などの病気の方ですとか、精神疾患などで意思表示できない方を自動的に除外するような結果になってしまうという点について、ちょっと懸念をしておりまして、またそれに伴う影響の効果ですね、効果面が重いものになっているので、②、③については慎重にと。④につきましては、イレギュラーな状態を通常の状態に戻すという仕組みである点では必要性があると思う一方で、やはり義務違反者にとっては不利益な処分になりますので、また、その訴訟になった場合に、呼び出されても出席しないで欠席裁判になってしまうというケースもありますし、またそういった病気の方などが、出席しなければいけないということすら分からないような方とかもいらっしゃったりするので、そういうことも踏まえますと、やはり④についても慎重に検討するということがよいのではないかと思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。決議の効力の範囲は①のみ、反対ということではないにしても、今賛成できるのは①のみということですね。 ○大桐委員 そうですね、はい。 ○吉政幹事 ありがとうございます。大した意見ではないのですけれども、現在作っていただいている資料ですと、所在等不明区分所有者を除外する仕組みの根拠について、6ページの33行目辺りですが、他の区分所有者の決定に委ねていると考えられると説明されています。そして、出席者の多数決による決議を可能とする仕組みについても、こちらは10ページになりますけれども、同様の理由付けをもって欠席者を除外することが正当化されていると思います。このように、2つの場面において他の区分所有者の決定に委ねているという同様の根拠が示されているわけですが、それでは、どこまでの事項がそれぞれの仕組みの対象となり得るのかを区分する枠組みが、少し見えにくくなるのではないかと感じました。   出席者の多数決による決議を可能とする仕組みですと、先ほど来委員の方々が問題とされていますように、他の区分所有者に委ねているという理由付けがまさにしっくりとくるのではないかと思います。この場面では、区分所有者の意思の確認といったことに重きを置いて、議案の要領を通知するべきではないか、また区分所有者同士の利害が対立し、他の区分所有者に委ねていると評価しにくい事項については仕組みの適用対象から除くべきではないか、こういう議論が出てくるのではないかと思います。   これに対して、所在等不明区分所有者を除外する仕組みの場合、当該区分所有者はいらっしゃらないわけですので、他の区分所有者の決定に委ねているという理由付けがしっくりとこないのではないかという印象を持ちました。区分所有者の多数で意思決定をさせるというのは、所有者、つまり利益と損失が帰するものに決定権も与えられるべきであるという発想なのだと思いますが、所在等不明区分所有者は、それを言わば放棄してしまっていて利益も損失も自らには帰属しない状態になっているわけです。そうした所在等不明区分所有者は、他の区分所有者にフリーライドするような状態になっているわけですので、そういった人たちを意思決定から排除するためのルールが資料9ページ以下の仕組みなのだといえるかと思います。このように、2つの仕組みを異なった理由付けに支えられる制度として組み立てた方が、対象となる決議事項の範囲が異なるなど、両制度の相違の説明、正当化も容易になるのではないかと考えました。   いささか一般的なコメントになりますけれども、以上です。 ○佐久間部会長 決議の範囲もそうですけれども、例えば、通知を所在等不明者については不要にし、出席してこようとしない人については、通知は当然要るし、議案の要領も示さなければいけない、こういった区別が、今御説明されたことでつくんだろうなと思いながら伺っておりました。ありがとうございます。   他にいかがでしょうか。 ○村上委員 ありがとうございます。齊藤委員の御発言と重なるのですが、私も、この出席者の多数決による決議を可能とする仕組みについては、何か理想の形を追求していくのが筋ではないかと思っております。といいますのは、決議の内容にもよりますが、物事を決めるときには、より多くの構成員に参加いただいて決めることが、その後の説明のしやすさや、納得性、説得力につながるように思います。理想論と言われるかもしれませんけれども、議決権行使であるとか、委任状などを提出していただいて、何とか多数の皆さんに参加いただいた形を作ることは、大事ではないかと思っております。   また、極端な話でありますけれども、3人出席すれば集会の決議が可能ということになってしまうと、多くの区分所有者がいるにもかかわらず、そうした決議を区分所有者全体に及ぼしていいのかという疑問もありまして、そういった観点からは、出席者の多数決による決議の仕組みを入れるとしても、どれぐらいという議論はございますが、例えば、「区分所有者の2分の1」などの定足数を別途定めておくことが必要ではないかと思います。また、そういうことだけではなくて、イの事前の議案要領の通知なども必要かと思っております。   (2)の決議の範囲についてですけれども、普通決議であれば、このような多数決も許容されるのではないかと思います。また、共有部分の変更決議も、軽微なものであればそういうこともあるかなと思うのですが、費用が多額になってしまうものも出席者の多数決でよいのかというと、ここはなかなか説明が難しい部分もあるのではないかと感じております。規約の改廃等については、法律で決議要件が加重されているので、慎重に考えた方がよいのではないかと思っております。義務違反者の対応については慎重論が多いのですが、ここは、慎重論の御意見を聞きながら迷っているところですけれども、出席者による多数決も許容されるのではないかと考えたところです。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。今までの方の意見に反対というわけではないんですけれども、ちょっと確認をしたいのは、吉政さんがおっしゃったこととの関係なんですけれども、重大な結果をもたらすものについては、出席者だけで決めるはいかがなものかということにつきまして、例えば、通知をきちんとする、議案の要領も示す、それでも出てこないという人について、それでも重大なものは除外しなければいけないというのが、少し分からない感じがしました。   それと、定足数についても、私が個人的にということですけれども、非常に気になっているのが、どの程度なのか実情を知っているわけではないんですけれども、一時よく報道された越後湯沢のマンションのような場合に、定足数を設けた場合、本当に動くのかということが非常に気になっています。今はセンセーショナルに取り上げられたものに限られているのだろうと思いますが、しかし今後、それに近いものが出てこないという保証はないと思います。定足数が必要だとほぼ皆さん一致しておっしゃっているんですけれども、今日でなくても結構ですので、定足数を設けるとすると、そのような場合どうするのか、あるいは、どうすればいいということを社会に向かって示すことも、この審議会部会の役割だと思いますので、繰り返しますが今日ではなくても、結構ですので、何か御意見があれば承りたいと思っております。 ○能登委員 ありがとうございます。出席者の多数決による決議を可能とする仕組みについて、賛成いたします。管理組合の運営適正化の観点からは、皆さんのおっしゃるとおり、集会に不参加で、何らの意思表示も行わない区分所有者、いわゆるDの方を指しておりますが、この方々については、決議の母数から除外することが望ましいと考えております。ただ、イの招集通知とも関連しますが、建替えに関連する情報が母数から外れる方を含め、適切に提供されていることが前提となります。   この後の資料27ページで、区分所有者の責務について、区分所有法に規律を明記する旨の議論もこれからあるかと思いますが、少々先んじた意見にはなりますが、自身の財産に対する権利と義務ということについて明確化されることで、それを全うしない区分所有者に対して一定の制限がかかるということについては、御理解いただけるのではないかと考えております。その考え方に基づけば、出席者の多数決による議決を可能とする仕組みの対象範囲については、資料12ページで示された、①から④全ての決議に対して適用としてよいと考えておりますが、資料の記載のとおり、一方で建替え決議などの区分所有権の処分を伴う行為については、別途議論が進んでおります決議要件に基づいて決定されることになると考えますし、今回の出席者の多数決による決議の対象としなくてもよいのではないかと考えております。   イの招集通知についてですが、全ての決議について、目的たる事項、議案の要領を通知しなければならないという、資料に記載のとおりの形態でよいと考えております。区分所有者に対しては、議案について考えていただく機会と時間、理解を深めるというところが重要と考えておりますので、議案の要領についても、提供した方が望ましいという考えです。しかしながら、小林委員からは余り手間が掛からないとのことでしたが、管理組合や理事、管理会社に対しての著しい負担を強いるような取決めになってしまうことは、避けたいとも考えますので、要領の定義については慎重に議論が必要と考えております。   また、定足数については、より多くの賛成を得ることが望ましいという観点や、また、権利者の数に対して、少人数での議決は望ましくないという考え方から、規律を設けてもいいのではないかと考えておりますが、先ほどお話がありましたが、設けた場合にどのように運用するのかというところについては、今後、検討できればと考えております。   最後に、(3)の専有部分が共有の場合の議決権行使の在り方についてですが、こちらも資料に記載のとおり、建替え等の区分所有権の処分についての決議においても、それ以外の決議同様、共有者持分の価格の過半で、議決権を行使する1人を定めることを必須とする方向で、検討いただければいいのではないかと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。今受け止めましたけれども、3はまた後で御意見を別途お伺いいたしますので。この後御発言いただける方は、さしあたり2についてお願いします。   いかがでしょうか。 ○小林委員 すみません。今の議案の要領のところで、負担のことについてちょっとお話があったと思うんですけれども、ゼロからこれをやり始めるんであれば全くそのとおりなんですけれども、そうではなくて、通常であれば理事会で議論をして、あらかじめ総会にこのような議案をかけようということを理事会で決めるわけですね。どれぐらいの比率か分かりませんけれども、通常に総会を開いているような管理組合では、多くの組合で、大体議案そのものを事前に配っているのではないかと思いますので、そういう意味では、議案の要領というのは既にできているんではないかなと思いますので、それほど手間になるということはないのではないかなというのが、私の印象です。 ○吉原委員 ありがとうございます。私もほかの委員の皆様と重なる部分が多いのですけれども、まず(1)のアの集会における一定の議事については、出席した区分所有者及びその議決権の一定の多数決によるものとするということについて、賛成いたします。また、イの招集通知について、全ての決議について通知をすることとすることにも賛成いたします。要領の通知は、区分所有者の参加を促す上で有効と考えられ、また集会開催のための準備の一環として、今、小林委員からもお話がありましたように、過度な負担なく管理組合で行える範疇ではないかと考えます。   それから、定足数については、設けた方が望ましいという考え方があるかと思います。他方で、これから管理に関心を失うような所有者が増えていく中で、定足数を満たせなくなって、結局意思決定ができないというところも増えてくる可能性があることを考えますと、設けるにしろ、設け方に工夫が必要であろうと考えます。例えば、法律で限度を定めたとしても、それを、鎌野委員からもありましたけれども、規約で引き下げることができるとする。ただ、そう変えたところで、規約を変更すること自体が難しくなってしまうようであれば、結局規定はあっても動かせないということになってしまい、そこは大変悩ましいところであると考えます。あるいは、法律では設けないけれども、規約で設けることができるのであれば、そういう選択肢もあるかと思います。   それから、対象とする議決の範囲ですけれども、正直私はこの②、③、④の詳細な議論をするだけの知識を持ち合わせないのですが、ただ、一般的に考えまして、先ほど佐久間部会長からありましたけれども、丁寧な通知を行った上で、それでも欠席であるという方を母数にカウントすることによって、意思表示をしない、理由も明示しないままの欠席者の反対票が、その変更や復旧の必要性を感じている人たちの意見を妨げることになるような形は、望ましくないと思っております。 ○青木幹事 ありがとうございます。専門としている手続法の話ではなく、その意味で素人の意見を申し上げたいと思います。   議案の要領の通知の義務化のところですけれども、普通決議についてなんですが、現状においても、規約に定めることで、組合員の出席者の過半数で決められるということかと思います。その上で、普通決議の対象事項についてということですけれども、議案の要領をあらかじめ示すということ、これは区分所有者に対する情報提供として重要であり、提供しなければならないという義務化自体には異存はないんですけれども、先ほど部会長も指摘されたことですが、それゆえに、集会において原案を変更したり別案とか対案を決議したりすることができないという、招集通知に通知されていないという理由でできないということになりますと、改めて集会を開催しなければならないというようなことにもならないかなと、思います。そうすると、その集会において区分所有者の意見を反映して決めていくということに対して、マイナスに働くのではないかなと思いますので、ルールの定め方という話になりますけれども、そのようにはならないようなルールにしていただくとよいのではないかなと思います。 ○佐久間部会長 様々な意見を頂きありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○鎌野委員 ちょっと余計なことかもしれませんけれども、情報提供というか、定足数というのは非常に悩ましくて、そうすると、これは現行を見ながら、あるいは将来をにらみながら、どういうふうにというのは非常に大きな問題で、一つ参考になるのは、若干、私、比較法をやっておりますので、ドイツの例というのが一つの参考になって、ドイツは2020年に住居所有権法の改正というのがなされましたけれども、そこで、この議決要件についても大きな改正がなされて、それまではどうしていたかというと、一応定足数を設けて、だけれども、結局定足数が満たないので集会が流れちゃったというときには、再度一定の期間内に同じ議題で集会を開くことができて、そこではもう定足数なしというのが、2020年の前の改正だったんです。ですけれども、2回開くという手間等から定足数を撤廃したと。ですから、とにかく招集通知をして、極端な例で言えば、1人でも2人でも何人か集まれば、もうそれで、そこの決議で決まるということで、さらにドラスティックな改革をして、2020年の住居所有権法の改正では、もう変更も普通決議も採らないと、両方とも出席者の過半数だというような、そういう、ある意味では、ドイツの管理をめぐる危機的な状況というのがそういう法に反映された。   さて、日本はどうかということで、両面あると思います。非常に、定足数を設けるということによって心配な場面、先ほど佐久間先生がおっしゃったような場面というのが将来起こり得る。現在はどうかという点で、私の感覚では、やはり過半数程度の定足数を定めても、実際には委任状を取ったり、議長委任とか何とかで、それなりに管理組合の方が努力をすればというようなことで、日本の現状をにらんだような場合には、もう定足数撤廃というところまで必要ないのかなと。ですが、これは現状をどう考えるかということで、将来のことも十分考えなくちゃいけないんで、そういうところがここのポイントかなと私は考えております。ちょっと、御参考になればということです。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   ここは先ほどと違って、そこまで一致のあるところが多いわけでありませんが、まず、出席者の多数決による決議を可能とする仕組みそのものに反対ということは、なかったと承りました。その前提といたしまして、招集通知の充実と取りあえず言っておきますけれども、招集通知の充実が不可欠であるということも、全員おっしゃったと承知しております。   定足数に関しましては、設けた方がいいという意見が多く出されましたけれども、異論も、異論というか心配もですかね、あるということであったかと思います。   決議の対象事項につきましては、これはもう様々としか現状では申せません。これは、今後詰めていっていただく、あるいは中間試案でそのまま問うということも含めて、しかるべき時期までに詰めていくということかと存じます。   では、この話題はこの程度にさせていただきまして、もう少し先に進められればと思います。   3の「専有部分の共有者による議決権行使の在り方」について、次は御議論いただければと存じます。能登さんからはこの点について既に御意見を承っております。ほかにいかがでしょうか。 ○鎌野委員 度々すみません。(3)、これは以前の区分所有法制研究会の方で、ちょっと私が話題提供をしてここに入れていただいて、そして、この法制審でも入れていただいたということです。基本的には、私は御提案のような形で賛成というか、必ずしも御提案が一本化されるということではないんですけれども、共有者の持分の価格の過半数ということを、私はやはり、明確にこのことは規定を設けたのがいいのではないかと、放っておけば多分そうなるだろうということですけれども。   他方、民法の共有などの場合も同じような問題があるんですけれども、基本的には、建替えなどを想定したような場合には、一つの意見としては、もう変更を超えるものだから、これは全員合意であると、あるいは建替えの場合には5分の4だというようなものもあり得るということで、実は、国土交通省が何年か前に、この点について多少マニュアル的なというか、ガイドライン的なものをお示しして、そこでは確か、全員合意というのが望ましいというようなことで記載があったと思います。そうすると、全員合意かということになると、建替えが現行では5分の4なんだけれども、そうするとなかなか難しいと。そうすると、共有者の間でも、専有部分を共有している人の間の意見が分かれるということになってしまう。そうすると、それを全員合意とか5分の4ということになると、結局は、建替え派と非建替え派ということで意見が分かれて、全員合意とか、あるいは5分の4も調わない。そうすると、その専有部分については、議決権行使者を出すことができなくなってしまうというようなことで、当然、議決権行使者は、多数派の意見を踏まえて多分議決権行使するんでしょうけれども、そういうことで、そういう選任がやはりされることが望ましいということであれば、この御提案にもあるような形での持分の価格の過半数ということを、明確にやはり定めておいた方がよろしいのかなというのが、私の意見でございます。 ○大桐委員 私の意見もほぼ同じものでして、処分の、建替え決議も含めて、過半数ということで明確に定めておくべきと考えます。   なお、確認なんですけれども、現行法の解釈において、16ページの20行目に、建替決議についても、持分価格の過半数で決せられるとの基本的理解を前提としつつとお書きいただいているんですけれども、現行法上の解釈というのは一本化されているものなのかどうかという点について、お伺いいたしたく存じます。 ○佐久間部会長 大谷さん、お願いします。 ○大谷幹事 私の理解では、一本化されているわけではなくて、過半数でも、特に建替えのときには過半数でできるという考え方もあれば、全員同意が必要だという考え方もあるだろうと思っています。ここで書いているのは、処分を伴わないような決議については過半数というのは、これはおおむね理解が一致しているのではないかなと理解をしておりましたけれども、この辺り、もし違えば御指摘いただければと思います。 ○佐久間部会長 大桐さんよろしいでしょうか。 ○大桐委員 現行法では、建替え決議については過半数というのは違うのではないかなと思うんですが、そういう解釈もありつつ、5分の4という解釈もありつつ… ○大谷幹事 5分の4という解釈は、解釈不可能ではないと思いますけれども、全員同意という解釈の方が強いのかなとは思います。 ○大桐委員 そうですか、ありがとうございます。 ○佐久間部会長 大桐さんの御意見は、現行法の解釈はいろいろあるにしても、鎌野さんと同じで、過半数で決せられるという規定を明確に設ければよいということでよろしいですね。 ○大桐委員 はい、そうです。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   他にいかがでしょうか。 ○小林委員 私も同意見であります。現行法上、全員の同意が必要と解釈される余地があるとすれば、疑念を解消するために必要な規定を置く改正をした方がいいだろうと思います。具体的には、やはり過半数というのが適当だと思います。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。   よろしいですか。ということは、別に発言しろということではなくて、特段御異論はないということですね。ありがとうございます。   では、ここでまた一旦休憩で、ちょっと短くて恐縮ですが、4時10分再開ということにさせていただきます。           (休     憩) ○佐久間部会長 時間になりましたので審議を再開いたします。   この時間、事務当局から部会資料3の「第2 共用部分の変更決議の多数決要件の緩和」について説明を頂きます。お願いいたします。 ○谷矢関係官 部会資料3「第2 共用部分の変更決議の多数決要件の緩和」について御説明申し上げます。   区分所有建物では、共有部分について、形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く変更、これを単に共用部分の変更と言っておりますが、共用部分の変更は、建替え等と異なり、建物自体は取り壊さず、また区分所有権の処分を強いることなく、建物の基本的構造部分に大規模な改変を加える工事等の実施を可能性とする制度です。したがって、共用部分の変更の円滑化は、建物の老朽化を予防し、長寿命化を図ること、また、老朽化した建物を再生するものという観点からも、重要であると考えられます。   現行法では、共用部分の変更決議については、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数決による集会決議で決することとされていますが、このうち、区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができるとされている一方で、議決権に係る決議要件については、これが認められていません。その結果として、共用部分の変更決議を得ることは必ずしも容易ではなく、必要な工事ができないなどの支障が生じているといった指摘がございます。そこで、第2では、共用部分の変更決議の要件を緩和することについて提案しております。   具体的には、A案は、単純に多数決の割合を4分の3以上から3分の2以上に引き下げるものです。   B案は、原則的な多数決割合は現行法を維持した上で、一定の客観的要件を満たす場合に限り、特則として3分の2以上又は過半数に引き下げるという案でございます。   まず、B-1案は、客観的要件を一定の年数要件とする案です。   B-2案は、客観的要件を、マンションの危険性に関する明確な基準であるマンション建替え円滑化法で定められている要除却認定基準を援用し、㋐から㋓に記載している要件とする案です。なお、要耐震改修認定を受けた区分所有建物について、耐震改修が共用部分の変更工事に該当する場合には、建築物の耐震改修の促進に関する法律において、普通決議によることとされているため、B-2案においては、マンション建替え円滑化法上の耐震性不足を要件緩和の客観的要件としては提案しておりません。   B-3案は、政令によって指定された災害によって大規模一部滅失をした場合を、客観的要件としています。被災した区分所有建物を再び使用するためには、滅失前の状態に回復させることが必要であり、区分所有法第61条の復旧決議の円滑化を図ることが重要であるものの、共用部分の変更と復旧決議を区別することが困難であるという指摘もされています。そこで、被災した区分所有建物の共用部分の変更決議の多数決割合を緩和する場合には、復旧決議の多数決割合も緩和する必要があることを(注3)に記載しています。   また、B-1案からB-3案までは、いずれも択一的なものではなく、両立し得るものですので、この点を(注2)に記載しています。さらに、A案を採って、原則3分の2以上で単純に緩和した上、併せてB案を採り、客観的要件を満たす場合に、その特則として過半数に引き下げるといったように、組み合わせる考え方もあり得るため、この点を(注1)に記載しています。   最後のC案は、A案とB案とは別に、区分所有者の定数だけでなく、議決権についても規約で過半数まで減ずることを認めるものでございます。   これらA案からC案は、第1で取り上げました所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する仕組みや、出席者の多数決の決議を可能とする仕組みを導入するとした場合であっても、別途、共用部分の変更決議について、多数決割合を引き下げることを提案するというものですので、この点を(注4)に記載してございます。   以上、共用部分の変更決議の多数決要件の緩和について御議論いただきたく存じます。   部会資料3の第2の説明は以上でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。   ただいま説明がありました部分について、御意見を頂ければと存じます。いかがでしょうか。 ○小林委員 共用部分の変更決議の多数決要件の緩和ということなんですけれども、私は、建替えの要件の引下げに連動させて、共用部分の変更決議についても、要件を引き下げることが適当ではないかと思います。具体的には、A案の3分の2というのがいいのではないかと思っております。また、18ページの30行目以降に記載しています、所在等不明を母数から除外するということについても、同様に措置することが適当ではないかと考えております。   B案、C案の関係なんですけれども、共用部分の変更決議の中身の類型ということを考えてみると、これ、B案、C案で、A案との併用というのはあり得るだろうという前提で考えているんですけれども、B案として記述されている老朽化、あるいは災害等による建物の危険性からくる変更の必要性ということもありますけれども、それ以外に、実際にマンションの使用を始めてみたところ、不具合とか不都合があって、変更した方がよいと判断される場合というものもあり得るんではないかなと思っております。   ちょっと観念的かもしれませんけれども、考えてみると、例えば、駐輪場が入居してみたらちょっと不足をしていたと。あちこちに自転車を止められてしまって非常に迷惑なんで、仕方がないのでマンション内の緑地を潰して駐輪場を造りましょうかとか、あるいはシンボルツリー、立派なものを植えたんですけれども、これが枯れてしまって、樹種を含めて見直しをしたらどうかとか、それから、最近多いのは、駐車場が余ってしまっているというケースで、立体駐車場などの場合、これを埋戻しをしていったらどうかとか、あるいは、逆に外に貸し出して、例えば、カーシェアの駐車場にしたらどうかとか、そういう、私どもは無料の相談も受け付けているんですけれども、実際の事例としてそういう相談が来ているようです。相談の形としては、特別決議に当たるんですかというような相談になっていまして、これは、実際にケース・バイ・ケースで、類型ごとにパッと一律的に考えることは難しいんですけれども、こういうような相談がいろいろあって、これは、必ずしも一定年数以上経過しないと出てくる問題ではないと思います。   こういうことで、老朽化とか災害によるような場合とそれ以外の場合とで、いろいろなケースがあり得るんですけれども、やはり建物の危険性から来るケースを念頭に置きますと、そちらの方が変更の必要性が高いわけですから、より容易に決議できるように措置をするということが適当であるという指摘は、当を得ているなあとは思います。そういう観点からすると、B-2案ですとかB-3案というものは、A案によって引き下げた上で更に引き下げるという考え方には、合理性があるのかなという気がいたします。   それから、B-1案についても、必要性がないとは言えないのかなという気もしまして、必ずしも建物の危険性ということではないんですけれども、何かと変更の必要性が、分譲以降年数を経過した場合には出てくる可能性がありますし、高齢化等により、管理に関わりにくくなる区分所有者が増えてくるという可能性も高くなるわけですので、一般的ケース以上に要件緩和の必要性があるということも言えるのかなという気がします。ただ、B-2案とかB-3案、あるいはB-2案、B-3案とB-1案との関係をどう考えるかという課題は、残るのかなと思います。   それから、C案についてですけれども、これは、私の個人的な見解では、措置することを否定するというつもりは全くないんですけれども、これ、具体的な状況が将来どうなるかということが見えないうちに、態度を決めるというのは語弊があるかもしれませんけれども、規約で引下げをするということなので、いかがなものかなという気もしていまして、積極的には支持できないなと、しにくいなというのが、私の基本的な考え方なんですけれども、ただ、今回の資料で、26ページの33行目から34行目に書かれているんですけれども、議決要件についてだけ規約による緩和を認めないとする合理性には、再考の余地があると記述されていまして、ここをこういうふうに書かれますと、なるほどそのとおりだなという気もいたしております。   ちょっととりとめもないところもありますけれども、以上でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。小林さんの御意見の確認ですけれども、まず、A案において3分の2以上とすることを支持すると。その上で、B案もあってもよいということは、B-1案をどうするかはちょっと留保するにしても、B-2案、B-3案では過半数ということにすればよいということなんでしょうか。それとも… ○小林委員 緩和するとなると、次は過半数ということだろうと思います。 ○佐久間部会長 過半数と。そうすると、C案は要らないということにもほぼなるというか、ほぼですけれども。 ○小林委員 そういうことになるかもしれません。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。もちろん、客観的理由がなくても、C案でということはあり得るんですけれども。ありがとうございます。 ○小林委員 余り強く否定はしないという程度で聞いていただければと思います。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。   では、ほかの方、いかがでしょうか。 ○大桐委員 まず、長寿命化の観点から、必要性と合理性があれば導入することには賛成なのであるんですけれども、ただ、現実にどの辺にニーズがあるのかというところをよくよく考えてみますと、ここでイメージしている共用部分の変更というのは、著しい変更に当たるものについてということなので、いわゆる定期的にやっている大規模修繕などは、著しい変更ではなく、過半数でやっているということで、ここでイメージすべきは、例えば、エレベーターを新規に付けるだとか、あとは躯体をいじって免震ゴムを入れるですとか、集会室を取り潰して貸し店舗にするとか、そういうものをイメージしながら考えなければいけないと思っていまして、そうしますと、どっちかというと運用の工夫みたいなところ、あるいは躯体をいじるというのは極めて大きな工事をするような場面となります。そういう前提でしますと、現時点でニーズというのが、4分の3で頑張って取っているというケースがほとんどであるという声がありまして、そうしますと、今のところ頑張ってここを直さなければという立法事実が、ちょっとどうなのかなという疑問を持っております。もし取り入れるとしましても、必要性の高いB-2案で3分の2というところなのではないかと考えております。ただ、ニーズが高いんだというお話がこの後出てきた場合にはもしかすると、この後変わるかもしれませんが、今のところそのような意見でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。B-2案で、B-3案も別に否定はされないんですかね。今の、B-2案だけですか。 ○大桐委員 そうですね、B-2案とB-3案ですね。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○齊藤委員 ありがとうございます。大変、ここもまた悩ましく、皆様の御指導を得て、考えを変えるかもしれませんが、私は、建替えは基本は5分の4でよいのではないかと考えておりますので、現状としては慎重に、共用部分の変更決議は4分の3でよいのではないかと考えております。マンションの現実の運営において、過半数決議でできないものは、4分の3の決議でします。そのために、委任状や議決権行使書を4分の3以上を集めるのは確かに厳しいというのは事実かと思いますが、今、所在不明の所有者等を取り除く、それから意思表示をしない方を取り除くという議論をしてまいりました。そこでかなり問題が解決するのではないかと思っています。という意味で、ここで3分の2に下げてしまうとしたらかなり、少数とは言いませんが、今の状態に比べてかなりの低い率で議案が通ってしまうということは、いかがなものかということが第1の疑問としてありまして、積極的に3分の2に、賛成はまだしにくい状態であるという意味です。   2点目は、これは先ほどもおっしゃられましたように、ほとんど、今、大規模修繕は、多くは過半数決議で行っておりますし、耐震改修も過半数決議でできるものもあります。耐震改修で大規模なものは4分の3の決議ということです。ですから、「共用部分の変更」とは、何を想定して考えれば具体的に分かりやすいかなと考えたら、耐震改修かなと思いましたので、耐震改修を例に考えていきます。例えば、耐震改修工事を行う場合、過半数決議でできないような工事は、区分所有法17条では、「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」とありますので、区分所有者は議決権の4分の3だけれども、区分所有者の数は規約で過半数まで減らせることができます。だからといって、実際にそういうふうに過半数まで減らす、議決権の要件を下げている管理組合はどのぐらいあるのでしょうか。私はまだそういう事例を見たことないという意味では、みんな頑張って4分の3を維持していることに、それなりの意味があるのかなと思っています。   また、耐震改修促進法で、地震に対する安全上耐震関係規定に準ずるものとして国土交通大臣が定める基準に適合していないという認定を受けたら、耐震改修促進法25条で、区分所有法17条の1項に規定する共用部分の変更に該当する場合における同項の規定の適用については、同項中「区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議」とあるのは「集会の決議」とし、同項ただし書の規定は、適用しないとあります。つまり、2分の1、過半数決議で耐震改修の決議ができますということだと思いますが、この条文に基づいて実際、過半数で耐震改修やっておられるところ、どのぐらいあるんでしょうか。実際に過半数決議でやろうとすると、行政で、過半数の決議では心配なので、また費用も掛かる工事なので、4分の3以上の賛成を取ってきてほしいといわれることがあると聞きます。耐震改修工事はそれなりの費用が掛かります。これだけ費用が掛かって、形状又は効用の著しい変更を伴うものは、やはり多くの人、多くの人というのは4分の3というのが現実の運営なのかなということです。4分の3から3分の2に下げるということが合理的であるという、裏付けられる情報が頂けたら、私も3分の2の方がいいのではないかなということを申し上げたいと思いますが、現段階では積極的に賛成にいけないということです。   3番目に、なぜ4分の3にこだわるかということですが、設定はちょっと難しいぐらいのレベルというか、とっても簡単に取れるレベルではないという設定が必要だと考えています。それは、大きな変更するわけですから、多くの人が御納得いただけるように努力が必要だと思うのです。先ほども言いましたように、日本のマンション管理は、世界的に見て、総会で物事を決める総会主義と言われていて、専門の管理者が管理をする、あるいは理事会が強い権限を持つ国に比べて、総会でしっかりみんなで物事を決めて、みんなで進んでいきましょうということをとても大事にしてマンション管理を進めてきましたので、こうした現状を考えますと、少しだけ難しいレベルで、そのレベルをクリアーするために皆さん努力をされていることが非常に重要だと思います。1回で4分の3の賛成を取りたければ、説明会をしっかりとするし、広報は徹底的にし、4分の3以上の賛成を目指す。あるいは、1回で決議ができない場合は、「次は絶対取るんだ」ということで、広報して、そうすることによって区分所有者の御理解を深めるということだと思います。決議要件というのは、私はやはり、何度も言って恐縮ですが、それはゴールではなくスタートで、この事業を成功させるためのスタートだということを考えますと、今しっかりと皆さんに周知徹底して御理解していただいて、「形状が変わる」、そして「お金も掛かる」ということを、御理解して進めていただくという意味では、現段階で、先ほど所有者の不明を取り除くとか、不参加者を取り除くということを前提としたら、4分の3で十分合意して、前に進めていけるんではないかと思っています。   先生方の御指導によって、考え方が変わるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。確認ですけれども、A案は採らないというのは受け止めましたけれども、B-2案とB-3案、B-1案はちょっとまた置いておきまして、B-2案とB-3案も採らないということでしょうか。 ○齊藤委員 そうですね。実際、いろいろ条件付けると、またそこがややこしくなって、判断が難しい、トラブルの元になるのかなと思ったものですから。 ○佐久間部会長 結構です、確認ですので。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○鎌野委員 まず、ちょっと前提としての確認なんですけれども、この共用部分の変更ということで、ここは現行の区分所有者と議決権を前提としていると。先ほど議論があった、出席者の多数によって決議をすると、その中で、共用部分の変更というのもそれに入ると、そういう理解でいいんですよね。ですから、それと接続すると。 ○佐久間部会長 まだ決まっているわけではありませんが、それも入ってくるという前提です。 ○鎌野委員 ですから、私は基本的に、それと連動させて、ここでも出席者の多数ということで変更が可能というようなことも考えられるのではないかと。と申しますのは、これはちょっと私の、特に実務に通じている方からの御意見を賜るんですけれども、A案は、なお区分所有者及び議決権の3分の2ということで、こういうのが適正な変更のときに、特に費用負担の問題で、どれだけ集まるのかという懸念がなおあるわけです。   というのは、その前提として、私は建て替えに取り立てて反対するわけではないし、決議要件を引き下げて建て替えが促進されるというのは、どちらかというと望ましいという考えなんですけれども、とは言っても、建替えというのが、これまでの実績とか、それから今日の状況とかを踏まえて、相当難しいのではないかというようなことで、そうすると、前提としては、今ある、先ほど来何人かの委員から出ていますように、いわゆる長寿命化というか、そして、それは単に現状のまま維持管理するのではなくて、やはり適正な改良、そこにお住まいの方のニーズを踏まえて、それから社会の状況、先ほど来出ていた高齢者のためのエレベーター増設、そううまくはいかないと思いますけれども、そういったものとか、あるいは地球温暖化の断熱とかということで、やはりそれは非常に大事な、そういう改良というのは必要である。そういうときに、やはりそういうことができるだけ円滑に進むように、これは飽くまでもお金の問題でもありますけれども、そうすると、先ほど申し上げた出席者多数、そしてここは、先ほど来の議論で4分の3以上ということで、定足数を設けると、結果的には8分の3ぐらいまでなっちゃうのかな。だから、そこはちょっとどう考えるかという問題はありますけれども、そうすると、なお懸念として3分の2まで引き下げれば、そういうことで、適正な変更改良などが可能かなということがあるんで、そうすると、ちょっと私の考えを進めさせていきますと、出席者多数の4分の3以上にして、B案の方はおおむね出席者数の3分の2という方向もあり得るのかなということで。   先ほど来言っていますように、飽くまでもお金の掛かることですから、どうやらいろいろな国交省さんなどの資料を拝見いたしますと、きちっとした維持管理というのは修繕積立金で何とか賄えるけれども、それ以上のそれぞれのお住まいの方の高齢者等のニーズとか、それから、社会のいろいろな、地球温暖化対策その他、それから電気自動車が出て、そういう充電設備を設ける、それが管理に当たるのか変更に当たるのかという議論はあるかもしれませんけれども、そういうことを踏まえると、やはりそういうのができるだけ円滑に進んだ方がよろしい。先立つものは先ほど言ったようにお金ですけれども、それは、恐らくこういう変更決議を提案する方が、それぞれの管理組合の事情に応じて修繕積立金をどれだけ使えるか、あるいはどれだけの御負担を頂けるか、このぐらいの多数なら集まるかというようなことで、それぞれ多分そういうことをお考えいただいて、管理者などは提案をすると思うんですね。ですから、そういう工夫というようなことで、私は先ほど言ったように出席者の多数決、A案の方は4分の3以上、B案の方はおおむね3分の2以上というようなことにしてはどうかと考えております。   ちょっと長くなりましたが、以上です。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。B案については、B-1案からB-3案まで全部ということでよろしいですか。 ○鎌野委員 B案についてはちょっと慎重に考えた方がいいのか、先ほども御意見あったように、年数と連動するのかなという懸念があって、そこはちょっと留保しておきます。 ○佐久間部会長 分かりました。ただ、否定というわけでもない。 ○鎌野委員 はい。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○矢吹幹事 すみません、定まった意見ではないんですけれども、日々感じていることとか、知ったことを少し、議論の材料としてお話しできればと思っています。   先ほどニーズの話があったと思いますけれども、すなわちこれは、これから推進していかなくてはいけない、そのマンションの改修工事ないしは改良工事がどういうものなのかということだと思っていまして、先ほど鎌野先生からもお話がありましたけれども、例えば省エネ化とか。省エネの中でも、普通決議でできるものもあれば、特別決議でやるようなものもあったりもしますし、これもお話ありましたバリアフリーの話とか。バリアフリーも、手すりをつけるだけなら普通決議のこともありますし、大掛かりにそのエレベーターをつけるということだと特別決議があるとか、あとは、先ほどこれお話なかったですけれども、これからあるかなって、インターネット環境とかIT環境みたいなものをよりアップデートしていて、より快適な住戸を作っていくとか、一部のマンションでやられていますけれども、例えば防災の倉庫を作るとか、そういうようなより機能を伸ばしていくということを、やはりもう少しやっていかないといけないのかなとも思っています。   先ほど鎌野先生からもありましたけれども、修繕積立金は、基本的にはその躯体を長く使うということで、その性能をよくするために充てられているところは一部のマンションではあると思いますけれども、そういうところをもう少しやりやすくしていくということは、ちょっと政策としてやっていかないといけないかなと思っております。一方で、こういうマンションの質の向上というのは、今申し上げたような、今ニーズがありそうだなと思っていることを申し上げているだけで、結構時代とか技術革新で変わっていくような気もしていまして、それを定性的にとは言っても、うまく捉えられるだろうかというのは、少し悩むところかなとも感じたりもしています。   先ほど、耐震改修の認定受けたものというお尋ねもありました。少し数字を追ってみましたけれども、大体十数件ぐらいあって、これらのものについては、本来であればできなかった耐震工事ができたということで、そして、それは、耐震という人の命に直接関わるような工事ができたという事例は現にありますので、そこは意味があるんだろうなと、議決権の引下げにも意味があるんだろうなとは感じているところであります。   ちょっと雑駁で、以上です。 ○佐久間部会長 実例の御紹介をいただきまして、ありがとうございます。 ○浅見委員 ありがとうございます。これは多分、5分の4を前提と考えるか4分の3を前提と考えるかによって、建替えの場合ですね、多分ちょっとこの部分の考え方も変わるんだと思います。私としては、なるべく緩和した方がいいと考えますのでA案については賛成し、さらにB-2案とB-3案については過半数という割合でもいいのかなと。特に、何らかの形で不都合があるということが客観的に認められた場合に、より容易にそれを改善しやすくするというのを、本来、今回の改正の趣旨と書いておりますので、それでいいのかなと思っています。   一方で、C案なんですけれども、これ、規約で変えた方がいいのか、そうではない方がいいのかというのは、なかなかちょっと微妙なところで、結構、よく分からなくて規約をもう放っておいているってのは、結構多いような気がするんですね。その場合に、いちいち違うようにするよりは、むしろ同じようにする方が、全体としては円滑に進むのかなと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。すみません、最後C案について、同じようにする方が円滑に進む、何と何を同じようにするということでしょうか。 ○浅見委員 つまり、マンションごとに規約が違うと、マンションごとに意思決定の仕方が変わるわけですけれども、そうではないようにした方が、恐らく管理会社等の指導もしやすくなるし、一般論として皆さん受け入れていただけるのかなという意味で、そういうふうに申し上げました。 ○佐久間部会長 分かりました。要するに、C案は採らなくていいと。A案が、例えば3分の2になり、B-2案、B-3案が過半数になるということであればということなのかもしれませんが、C案は不要だろうと。 ○浅見委員 逆に、厳しいなら、ちょっとそういうのがあってもいいのかもしれないんですけれども。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。   ほかに御意見いかがでしょうか。 ○紺野委員 どうもありがとうございます。私どもとしましては、ここにおける決議の関係なんですけれども、先ほど齊藤先生の案からも出ましたけれども、今現行どおりでいいのではないか。というのは、今重要なのが、普通決議でできる、俗に言う大規模修繕ですね、それから、あとは特別決議をしなければならないケースというのは、それぞれ各マンションにおいて、捉え方が個別になっているのが現状なんですね。それで、先ほどおっしゃいましたけれども、矢吹参事官から出ていましたけれども、新しい形といいますか、これからその時代に即した形をとって、例えば、団地はエレベーターがついていないとか、それから新しい自動車用充電設備のようなものとか、あとは耐震対策とか、そこら辺のものにつきましては、別でも法的に対応しているのが現状なんですね。   それで、今普通の、我々対応しているのは、やはりお金の使い方で一番困っているのが、経済優先型で、計画で、今ですと、長期修繕計画ガイドライン昔からあるんですけれども、それを利用して、実際に調査診断しないで、それを効率よく業者の方が使ってしまうことに、管理会社が、直接そういう修繕工事の請負ある場合なんです。予算額が決まっていて、それでいかに効率よく議案を通そうかという形で誘導しているケースが多々あるんです。一つ一つ申し上げればきりがないですけれども、そういうことをやはり管理組合として、これは悪いんですけれども、意識してやるために、ある程度ガードしておかないといけないのではないか。   頓に、最近の民間開発型の分譲マンションですと、ただ管理だけでは、なかなか営業収益が出てこないんで、大規模修繕ということ、また改修ということによって管理組合が、極端なことを言えば、今やらなくてもいいことに誘導して、そのために、臨時総会集めているんですね。現状は、そういうガードすることも必要ではないか。あと、コンサルといって、いろいろ資格を持った方が誘導して、そういう形が出てきていることは、頓に最近はそういうケースが出てきているんで、ちょっと危惧しております。こういう多数決の権利で緩めちゃうと殊に全面委託しているとか、そういうところですと、殊に理事会というのはほとんど、1年1期のところが多いです、何だかんだ継続的にやる。そうすると管理会社任せというか、相手の委託先に任せてしまってチェック機能が働いていないんですね。そういう誘導されるというのは、私ども管理組合側として、結果的にトラブルが生じていることは事実なんで、今の現行の方式でいいのではないかというが、なかなか難しいんです。ある面ではこうやりたい、殊に特別決議の場合ですと、大体事前に説明会をやるとか、臨時総会とか総会にかける前に事前説明をするとか、そういうのが当たり前なんですけれども、我々もそういうふうに捉えているんですが、そこら辺で私たちは一番苦労しているところです。後から、終わってしまってから、相談と受けてくるとか、そこら辺をちょっと危惧しております、あんまり緩めてしまうと。   ちょっと外れるかもしれませんけれども、そういう危惧がありますので。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。現行どおりというのは、A案はもちろん、B案についても現行どおりと言うことですね。 ○紺野委員 はい。今の時点ではトータルで見ないといけないですけれども、そういうことをちょっと危惧しております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○村上委員 ありがとうございます。何か確たるものがあるわけではないのですが、現時点での意見を申し上げておきたいと思います。   まず、また齊藤委員と重なる部分があるのですが、どの程度その必要性があるのかという説明を、もう少し伺いたいところでございます。その上で、A案やC案は、あまり必要性がないのではないかと考えておりまして、B案は安全性の観点から一定程度の必要性があるかと思いますが、その中でも、B-1案は一定の根拠があって、建替えとは異なり、修繕の頻度が高くなることを踏まえて、老朽化の度合いは経過年数だけで決まらないといっても、一定の築年数を要件とすることは、客観性もあって分かりやすいのではないかと考えました。B-2案の方は、安全性や必要性に限定する点では、良いようにも思われますが、客観的な事由があるのかどうか判断する仕組みを、どのように構築するのかが難しいのではないかと思いました。また、B-3案はそういうことではなくて、一定程度必要性は高いのかと考えたところです。   なお、先ほど第1の2のところでも述べたのですが、その組み合せの課題でありまして、所在等不明のEのところの方々を除くとしても、集会に出席せず議決権を行使しないDの方々を多数決要件から除くと、この組み合せ方によっては、大変少数での決議になってしまうと懸念しておりまして、どのように組み合わせていくのが課題ではないかと思いました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。A案とC案は不要であると、B案については一定の理解ができるということでいらして、今までの方と違って特徴的なのは、B-1案についてもある程度の評価をされているということだったと受け止めました。   私は、B-1案を推すということではありませんけれども、建替えのところで出てきた議論として、B-3案はちょっと特殊でしょうけれども、B-2案というのは、現状これだよねというのが挙げられているけれども、そもそも現状、この事由で対応として十分と言い切れるのかということと、今後、社会が変化していくことを考えた場合に、このB-2案に当たるものについて、適切に追加していけるのかという御意見があり、そのような場合のある意味受け皿として、一定程度の年数が経っている建物については、建替えを認める必要性が高いと類型的に判断可能ではないかという御意見があったかと思います。変更についても、建替えについて出てきたのと同じように言える面はあろうかとは思います。村上さんが今、分かりやすいことがいい点だとおっしゃった、そこも大きなポイントだと思っております。   ほかにいかがでしょうか。   よろしいでしょうか。A案について、賛成の御意見がある一方で、反対であるという御意見も少なからずありました。B案については賛成の立場の方が多かったように思いますけれども、反対であるという立場もありました。C案については、積極的に賛成だという御意見は今日のところはなかったということでよろしいですね。今後、だからすぐにC案が落ちますということでも多分ないと思います。C案について、実は賛成なんだという方は、今後御発言いただいても結構ですけれども、C案について見るべきところであるのではないかということで、今伺っておくことはありますでしょうか。   差し当たり、今日のところはそのようなことでよろしいですかね。十分いろいろな意見を承れたかと存じます。ありがとうございました。   では、続きまして、最後の第3の「区分所有者の責務」について、事務当局から御説明いただきます。お願いいたします。 ○谷矢関係官 部会資料3「第3 区分所有者の責務」について御説明申し上げます。   現行法では、区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないと定められていますが、この義務は、一定の行為を禁止するにとどまり、集会決議へ参加することなど、建物を適切に管理する積極的義務まで含むものも含むものではないとも考えられます。他方で、今後老朽化区分所有建物が増加していくことが見込まれる中で管理を適切に行うためには、各区分所有者が建物の管理に関心を持って、団体の意思決定に積極的に参加することが重要と考えられます。また、今後の会議で御議論いただく予定となっております、所有者が不明である専有部分や、管理不全となっている専有部分、あるいは共用部分に係る管理制度を設けるとした場合に、その根拠となる理念を明確にする趣旨で、プログラム規定的な規律を設けるべきであるという指摘もございます。   以上のことから、第3では、集会決議への参加を含め、建物を適切に管理する責務を負う旨の規律を設けることについて取り上げてございます。   以上、区分所有者の責務に関する規定を設けることの要否、責務の具体的内容等について御議論いただきたく存じます。   部会資料3の第3の説明は以上でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。では、「第3 区分所有者の責務」について御意見を承れればと存じます。いかがでしょうか。 ○大桐委員 土地についての土地基本法は、理念としての位置付けにある法律だと思っているのに対し、区分所有法に区分所有者の責務を入れてしまいますと、これはもう本丸というか、中心となる法律に責務を入れることになってしまうので、そういった観点からちゅうちょを感じるという意見であります。なお、マンション管理適正化法の5条の2項では、管理組合等の努力という項目で、第1項が管理組合の努力義務で、第2項がマンションの区分所有者等の努力義務という形で規定が入っています。ですので、これに重ねて区分所有法に入れる意味というところまでが、ちょっと考えにくいのかなと思っていますし、責務と言いますと、努力義務よりもちょっと一段上の義務のようにも捉えられてしまいますので、そうしますと、中身を明確にしなければいけないようにも思われますところ、書くんであれば中身をはっきりとしなければいけないというのがあるんですが、今のところ、私の意見としては、区分所有法上に書くべきではないと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかに御意見いかがでしょう。 ○寒竹委員 ありがとうございます。ちょっと感想めいたというか御質問というか、ちょっと不勉強で分かっていないところがありまして、改正民法で、共有者に共有物の善管注意使用義務が課されているということで、ちょっとこれも不勉強で知らなかったというか、余り存じなくて。ただ、こういったものが入った経緯というのは、恐らく共有ということなので、自分だけではなくて他人と共有であるから、他人物の側面もあるので善管注意義務という義務が、善管注意使用義務が入ったのだろうと推測はするわけなんですね。ですので、自分のもののように勝手に使用してはいけないということが入っている。   区分所有についてもまたそういう部分が、専有部分というのは専有なのかもしれないんですけれども、共有部分もありますので、そういった共有に近いところが多々あるということを考えると、民法にこういった善管注意使用義務が入ってしまっているのであれば、土地基本法に同様のものが入るのも、あながちおかしくはないのかなと。個人的には、それぞれの所有権なんで、そういった義務を課されるのは個人的にはちょっとどうかなというのはあるんですが、今のこの法律のこの流れからすると、その方が逆に自然になるのかなと思った次第です。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。民法の善管注意使用義務は、正に使用をするときの義務でして、使用に際して、軽率に壊しちゃいましたとかというときには、賠償責任の根拠になるというものだと思うのですね。それに類するというか、同じではないとは思いますけれども、近い、似た面のあるものとして、今、区分所有法には6条1項があって、共同利益背反行為ですよね。これが、使用の仕方も含んで設けられておりますので、民法に共有者の善管注意使用義務があるからといって、今御意見をいただいているところにどうなるということには、必ずしもつながらない。というか、ちょっと言い方が悪かったらごめんなさい。今御意見いただいているのは、そういう使用の局面に限らず、例えば、先ほどから話題に出ていました総会への出席とか、あるいは管理に当たっての、いわゆる管理組合での役員の仕事とか、そういうものについても、義務ではないんですけれども、知りませんというような態度はよろしくないですよということにつながる、そういう規定を設けることはどうかという御提案だと思います。   今日の資料で言いますと、マンション管理適正化法の規定が紹介されていて、マンションの管理組合の一員として適正化に努めなさいとか、それに類するもの、今考えられているのは、そういう趣旨の規定を、私法であるところの区分所有法に入れるか、ということです。 ○齊藤委員 ありがとうございます。基本的に、マンション管理適正化法の中にあるので、要らないかなとも思ったのですが、区分所有法の中に入れることになじむかどうか、法律の専門家ではないので分かりませんが、今回の議論というのは、「きちんと区分所有者の責務を果たせないあなたは、議決権からも外しますよ」ということがありますので、その根拠になるものが、区分所有法にあった方が分かりやすいのかなと考えます。「ここに書いてあるでしょう」「あなたはこれをやっていないでしょう」、「だからこういうふうになるんですよ」ということが、一つの法律の中で完結していると分かりやすいと思います。そして、それを根拠に、管理組合の方々も「区分所有者にきちんとしましょう」と言いやすい。今まで「どこを見るんだ?」と聞かれたら、「マンション管理適正化法を見てください」と言っていたんですけれども、「あっちもこっちも見るんだな」と言われますので、そういう意味では、区分所有法の中にあった方が、今回の改正で議論していることを実現していくことの根拠にもなるのかなと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○鎌野委員 私は、基本的にはやはりこういう規定、もちろんプログラム規定ですし、民事上は、ちょっと直接的なそれについての何か効果がないというようなことで、従来の考え方によれば、消極的とも解されますけれども、やはりこういう規定があった方がいいのではないかと。   一つは、今回、先ほど佐久間先生もおっしゃったように、あるいは事務局の方からも御説明があったように、管理人による管理不全専有部分とか、管理不全共用部分の管理制度というのが創設されるというようなことで、そしてここにも、御提案にもありますように、区分所有建物を適切に管理する義務を負うと。そうすると、先ほど来出ているマンション管理適正化法は、ある意味では、形式的に言えばマンションに限定されたものであると。そうすると、区分所有建物一般についてはそういうものがないのかということがあって、そして今般、これから議論される、先ほど言った管理不全専有部分とか管理不全共用部分というものが創設が検討されている、予定されているという中に、やはり、区分所有者間に、こういう責務といいますか、そういうものが必要であろうと。そして、今の管理不全のような場合、一応現行法でも可能だとは思いますけれども、当該区分所有建物の区分所有者でだけではなくて近隣住民も、そういう権利侵害をした、そういったものを専有部分の区分所有者、あるいはしっかりと共用部分の管理を行っていないというような場合には、区分所有者の団体あるいはその全員というようなことで、そういうものとも、こういう責務があればリンクしているかな。   さらに言えば、特定行政庁が現行法でも、これは建物全般ですけれども、ですから区分所有法に限らないんだけれども、建築基準法などでも、いわゆる修繕命令とか除却命令を出せるようになっていると。それが実際にどれだけなされているかというのは別として、そういう特定行政庁との関係、それから、今般、これはマンションに特有のものですけれども、マンション管理適正化法によって、自治体の助言、指導、勧告という制度もある。そういうものとも接続しやすいのかなと。その際に、極めて形式的な議論かも分かりませんけれども、区分所有者の側としては、自分たちのマンションあるいは区分所有建物だから、そんな放っといてよと、近隣住民については民民の関係ですから、必ずしもそうは言えないか分かりませんけれども、特定行政庁とか自治体からそう言われたときに、こういう規定があれば、ここでは区分所有者相互にそういう義務を負っているということで、そして、それは団体的に行うので、適正管理の言わば合意形成をきちんとしなさいと。ただ集会に出なさいとか、そういう瑣末なことではなくて、とにかくマンションを適正に管理するというようなことがここに入っていれば、言わば区分所有者の側として、自分たちのマンションだから、そのまま放置しておいても、何ら管理しなくても、あなた方から文句を言われる筋合いはないというような、そういった合意形成をして、しっかり管理することは必要ないというような、言わば抗弁というか主張というのが、このような規定を通じて防げるのかなと。ですけれども、それは直接的にそうなるということではなくて、非常にそういった意味では悩ましいんですけれども、こういう規定があることによって、そういう立法と何らかのつながりというか、接続ができるのかなというようなことで、私はやはりプログラム規定ではあるけれども、こういうのを設けておいた方がよろしいと考えます。 ○小林委員 私も、プログラム規定的なものであっても、責務規定を設ける方がいいのではないかなと思います。今、鎌野先生もおっしゃりましたけれども、そういういろいろな配慮というものがあると思うんですけれども、そういうものをしやすくするという意味でも、あった方が運用しやすくなるのではないかと思います。土地基本法であるとか、他の法令の例も挙げられていますけれども、本当に従来の考え方からすると、余りこういうものはプログラム規定的なものについてはなじまないのではないかという考え方が、従来は強かったのではないかと思いますけれども、だけれども、特にその土地の所有権というものについては、権利であるけれども、同時に責任なり責務もあるんですよというのが、最近の法令では考え方が強くなってきている、そういう流れにあるのではないかなあとも思います。特にマンションの場合は、自分の所有権と他人の所有権というのが、非常に物理的にも密接に関係しているとなっていて、影響を及ぼし合う関係にありますので、他の法令以上にこういう規定を置く必要は高いのではないかなと感じます。言わば、区分所有関係に内在する責任あるいは責務であるとも、説明できるのかなあという気がしております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。ちょっと確認させていただきたいことがあるんですが、まず、鎌野さんに伺いたいんですけれども、先ほど区分所有者が誰に対して責務を負うかということに関連することとして、近隣住民の関係とか特定行政庁との関係ということをおっしゃいましたよね。この原案にこだわるということではないのですけれども、原案は他の区分所有者に対しとなっているんですけれども、この限定は必ずしも適切ではないということでしょうか。 ○鎌野委員 いえ。飽くまでも他の区分所有者に対してということで私法の内部ではということです。だから、まずそういう前提があって、そうそういう前提があれば、特定行政庁とかそういうのも、言わば介入しやすくなるのかなという。だから、直接な何か因果関係というのがあるわけではないし、条文でそういったことを記載するという必要はないと。そして、当然、近隣住民なんかは、何か侵害行為があれば、それはこれとは別にそういう請求ができるんでということですので、ですから、ここの他の区分所有者に対してというのは、全くいじる必要ないと考えております。 ○佐久間部会長 分かりました。小林さんも同じですか。 ○小林委員 はい。 ○佐久間部会長 私、すごく気になっていることがありまして、二つ。  マンション管理適正化法に限らないんですけれども、責務規定のあるものは大体、要するに、政策立法であって、目的規定というのが法律の冒頭にあるんですね。その目的を誰が果たすかというと、行政と言っていいのかどうか分からないけれども、国なんですよ、基本的に。国がこういう政策目的に従って、これこれのことをやりますと。ついては、利害関係があるのはあなたたちですよね、あなたたちも責務を果たしなさいね、というのが責務規定なんですね。その観点からマンションの管理の適正化法を見ますと、実際1条に目的が、その種のことが書いてあって、順番では、5条で国及び地方公共団体の措置というのがあり、その一つ前の4条に、ここがもう一つ気になっているところではあるのですが、まず管理組合が頑張れとなっていて、その管理組合の一員として、各区分所有者もやりなさいってなっているんですね。私は、この構造を無視していいのかということが非常に気になっています。責務規定を設けるとしたら、区分所有法の場合は、3条に団体を構成し集会等を開けるということがあるので、その団体の一員として、管理の適正化のために努めなさいというのは、あるのかなとは思わないわけではないんだけれども、本当にそれがなじむのかな、というのが一つです。   それと、もう一つは、「努めなさい」とかいうことが民事の規定で本当にあるのかなと。プログラム規定でもとおっしゃって、そういうふうにできたら実質としてはいいんでしょうけれども、それって、他とやはり随分違うなというのが気にはなっております。他方で、マンションについては適正化法があって、マンションでない区分所有建物が違うというのはどうなのというのは、それは素朴におっしゃるとおりだとは思うんですけれども。しかし、国とか社会は頑張るといってはくれない、けれどもあなたたち頑張りなさいという、それは、第一のことの繰り返しになりますけれども、これまでの考え方からしていいんだろうかということが気にはなっています。   もし何かそういうのでも、御意見いただければありがたいと思います。 ○紺野委員 現場レベルでは、やはり住む、本当に高齢化社会になってきて住む、社会的なって、先ほどいろいろ行政庁とありましたけれども、一番困っているのが、それこそ住む居住者の確認とかいろいろな、防犯防災も含んで、それからあと、国の制度でやっている民生委員活動とか、あと、近いあれではいろいろな形でのつながりというのは、やはりここでうたっておかないと、私も駄目ではないかなと。適正化は適正化法であるんですけれども、やはり住民は、社会的につながりがあるんで、防犯防災、それから、そういう福祉活動ですね、そこでの受入れというのは、一番困っているのは多分、民生委員活動というか児童委員活動というか、そこは、福祉の関係の活動はなかなかマンションに入れなあ、コンタクトできない。殊に、孤独死とか何とかと言っても、そこがトレースできないと。これ、各自治体によって任命の仕方が違うんでしょうけれども、そのマンションに民生委員がいるとか、そういう場合には結構いいんですが、近隣とのあれですと、すぽっと抜けちゃっているケースがあるんですね。福祉の世界では、そこのマンションがですね。そういうことも含めて、やはり社会との関わりという、入口でやはりそういう意識をさせといて、やはり出口もということをやらないと。あとは、やはり権利義務でもないですけれども、管理費を払うとか、大規模修繕経費の件をトレースするんでも、やはりそこでガードがきちんとかかるのではないかなということで、やはり入れていただきたいなという観点はございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。責務規定を設けることが適当ということですね。   ほかにいかがでしょうか。 ○鎌野委員 度々申し訳ございません。非常に貴重なというか、佐久間先生がおっしゃったことはもっともで、3条の関係というのが非常に問題になり得ると思うんですよね。そうすると、3条はもう、この委員の先生方には必要ないことかもしれませんけれども、私の理解だと、団体的に管理をするということで、それ以上に、ここのところでは、規約の設定とか管理者の選任とか集会の開催というのは、特に義務付けられていないと。ただ、団体的に管理をしなさいということだと。そういう中で、これがどういうふうに位置付けられるかというと、やはり団体的な管理をするというところまでは、ですから、そういった実際には適正な管理というのは事実上必要でしょうし、だからプログラム規定以上のものはできないと思うんですよね、3条がある以上はね。ですけれども、プログラム規定として、団体的な管理としてそういう責務があるという、正に罰則も何もない、そういったものというのは、今の御発言にもありましたけれども、やはり私は入れておいてもいいのではないかなと。もちろん、民事法のあるべき姿というところからは、もう非常に若干の問題があるけれども、選択としては、入れておいてもよろしいのかなと考えますけれども。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○吉原委員 ありがとうございます。プログラム規定として責務規定を入れることに賛成いたします。法律の知識のないまま申し上げ大変恐縮ですが、例えば、今後もし議案の要綱を全て送付するとなった場合には、先ほど浅見委員からも不達の話がありましたけれども、正しい所在地に情報がきちんと届くことの重要性が増していくことを考えると、名簿を維持管理していくということも非常に重要であり、適切な物理的な管理を行うこと、集会に参加することとあわせて、自らがそれを果たすことが難しい状況になったときには、代わりの人にきちんと連絡が取れるような状態にしておくことが責務として読み込めるような、何らかの文言が入ると望ましいと思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。区分所有者がきちんと管理に協力するようにということを示すような規定が必要だということですね。はい、ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。   大体よろしいでしょうか。責務規定に関しましては、消極的な御意見も大桐さんからはありましたが、御発言いただいた方のなかでは積極的な意見が多かったという状況です。これも今日決まるというわけではありませんので、今日お出しいただいた意見を踏まえて、今後また議論を深めていきたいと思います。   差し当たり用意した議題は以上ですけれども、全体を通して何か、元に戻ってでも結構ですので、御意見があれば伺いたく存じますがいかがでしょうか。 ○武藤幹事 ありがとうございます。国土交通省の武藤でございます。ちょっと幹事という立場なのですが、1点細かい話として、今の責務規定のところについて、どういったものにすべきかというのは皆さんの御議論のとおりだと思うのですが、マンションだけではなくてオフィスの区分所有もあるので、そこも踏まえて、先ほど佐久間先生がおっしゃったことと正に被りますが、適切なものになればと願っております。   その上で、個別のところで少し戻りますが、5ページの23、4行のところに関し、所在等不明の認定基準を緩和することについて、慎重な検討が必要と考えられるということになっておりますが、この趣旨として、居住者名簿だけでは駄目だというところについては私どもも同意するところなのですが、この部分の「慎重な検討」ということが、役所の文学で何もしないという意味の慎重な検討だとすると、少しコメントさせていただけないかなと思っています。   なぜこのようなことを言うかというと、やはり所在等不明という現象は、我々から見ていても様々な状況がございます。吉原委員がおっしゃったように、生存していて所在不明の場合、あと、先ほど国交省からも例を出しましたけれども、相続人がいて22人相続人がいるとか、捕捉できないとか、そういった場合もございます。外国人の場合でどこに行っているか分からない場合もございます。あとDVの話、こういったものもあるかもしれません。そして、管理費を滞納している人がいらっしゃるかもしれない。そして、相続登記の義務化は今後進んでいくわけですが、その相続登記義務を果たしていない人という者もいるかもしれません。そういう中で、こういういろいろな場合について妥当な仕組みというのを作って、透明かつ早く動く迅速な仕組みを作らないと、ここは現場でワークしないと考えています。それが、区分所有マンションという区分所有者どうしの運命共同体の中で、非常に重要ではないかと思っています。   その上で、理論上かもしれませんけれども、この認定基準については、後半で議論したその議決の重さとも絡まないかとは思っています。具体的に申しますと、この出席者の多数で判断することについては、今日、いろいろな皆さんの御意見で、大筋合意いただけているのではないかと思うのですが、そこにその定足数というものが入ってきた場合に、その普通決議の定足数の判断基準としての所在等不明という話と、この建替え決議の分母を判断するときの所在等不明ということについて、これは本当に同じ認定の仕組みでいいのかという疑問が生じます。もっと簡単な仕組みというものが、もしかしたら普通決議の定足数の判断には必要なのではないかという疑問もあります。そういうことも含めて、いろいろな実態とか状況に鑑みた丁寧な検討というのが必要だと思っていまして、これが、民法とか他法の並びというような形ではなくて、シンプルで分かりやすい仕組みが望ましいと思っています。当然、区分所有法だけで処理することではなくて、結局マンション関係の国交省の法律に返ってきてしまってしまうのかもしれませんけれども、ここが動くことが本当に重要だと思っていますので、御協力、御理解賜ればと思っています。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。所在等不明の効果ともやはり関係はするんですけれども、今日のところは、そこそこ重い効果を前提に議論をしましたので、そうすると所在等不明とはそう簡単に、軽々には認定はできないよねと、そういう話であったかと存じます。   ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。   では、本日も様々な御意見を賜りました。それらの御意見を踏まえまして、今後更に検討を進めていきたいと存じます。   では、次回の議事日程等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。 ○大谷幹事 本日も長時間にわたって熱心な御議論を頂きまして、ありがとうございました。   次回の日程は、もういつの間にか来年の1月16日の月曜日ということになります。今回と同じように午後1時半から5時半までということで時間を取らせていただきました。地下1階の大会議室の方で、次回は開かせていただきます。テーマにつきましては、建替え決議がされた場合に、専有部分の賃借権等を消滅させる仕組み、それから多数決による区分所有関係の解消、それから区分所有建物再生の仕組みといったものを取り上げたいと思っております。また、今までと同じように、事前に資料をお送りさせていただきたいと思います。新年明けて間もなくのところでお送りすることになりまして、大変御苦労をおかけしますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。 ○佐久間部会長 これをもちまして、法制審議会区分所有法制部会の第3回会議を閉会とさせていただきます。   本日も熱心な御議論を賜りまして、誠にありがとうございました。 -了-