法制審議会 商法(船荷証券等関係)部会 第8回会議 議事録 第1 日 時  令和5年3月8日(水)自 午後1時27分                    至 午後2時55分 第2 場 所  法務省共用会議室6・7 第3 議 題  船荷証券に関する規定等の見直しに関する中間試案のたたき台(2) 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○藤田部会長 予定の時刻より少し早いのですが、もう全員そろっているということですので、始めさせていただいてよろしいでしょうか。   それでは、法制審議会商法(船荷証券等関係)部会第8回会議を開催いたします。   本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日は上田委員、衣斐幹事、小出幹事、松井幹事は御欠席と伺っております。金子委員、北澤委員、笹岡幹事、洲崎委員、松井委員、池本幹事、新谷幹事、竹林幹事はウェブで参加されると伺っております。   また、新たに猪俣委員と金子貴比古幹事が就任されましたので、御報告させていただきます。   それでは、本日出席されておられます猪俣委員と金子幹事には簡単な自己紹介をお願いいたします。その場でお名前と御所属の御紹介をお願いいたします。 (委員の自己紹介につき省略) ○藤田部会長 どうぞよろしくお願いいたします。   それでは、開始いたします。   まず、前回に引き続き、本日はウェブ会議の方法を併用して議事を進めたいと思いますので、ウェブ会議に関する注意事項を事務当局において説明をお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。前回の部会と同様のお願いとなりますが、念のため改めて御案内させていただきます。   まず、ウェブ会議を通じて参加されている皆様につきましては、御発言される際を除き、マイク機能をオフにしていただきますよう御協力をお願い申し上げます。御質問がある場合や審議において御発言される場合には、画面に表示されている手を挙げる機能をお使いください。   なお、会議室での御参加、ウェブ会議での御参加を問わず、御発言の際はお名前をおっしゃってから御発言いただきますようお願い申し上げます。ウェブ会議の方法で出席されている方々にはこちらの会議室の様子が伝わりにくいというところもございますので、会議室にお集まりの方々には御留意を頂けますと有り難く存じます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。   次に、本日の審議に入ります前に、配布資料の説明をしていただきます。事務当局からお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。配布資料について御説明させていただきます。今回配布した資料は、部会資料8「船荷証券に関する規定等の見直しに関する中間試案のたたき台(2)」と、参考資料8「MLETR対照表」の2点となります。こちらは事務当局において作成したものでございますので、後ほどの審議の中で事務当局から説明をさせていただきます。   配布資料の御説明は以上でございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。それでは、本日の審議に入りたいと思います。   本日は、事務当局が作成した部会資料8、船荷証券に関する規定等の見直しに関する中間試案のたたき台について検討し、今回の部会における審議をもって中間試案として公表する内容を確定したいと考えております。   それでは、事務当局においては部会資料8、第1部の第1から4の説明をお願いいたします。 ○中村(謙)関係官 それでは、法務省の中村の方から、今回の部会資料の第1部の第1から第4について説明をさせていただきます。今回の部会資料は、前回の部会資料を若干更新したものとなりますので、更新箇所に限って簡単に説明させていただきたいと思います。     まず、2ページから始まります、はじめにというところと、その後の第1部の「第1 電子化された船荷証券の名称」の部分につきましては、形式的な修正を少ししたにとどまりますので、ここでは割愛させていただきます。   続きまして、5ページ目から始まります第2の「1 電子船荷証券記録を発行する場面の規律」でございます。こちらにつきましては前回の部会の中で、受取電子船荷証券記録が発行されている場面の規律につきまして、元々補足説明の中で案4として示していた考え方、つまり、荷送人に船積電子船荷証券記録の発行を請求する権利を認める一方で、紙の船積船荷証券の交付を請求する権利までは認めないという案につきまして、これも試案本体の方に格上げして意見を問うべきであるといった御意見を頂戴いたしましたので、そのような形で今回、更新をさせていただいております。その他の点につきましては、いずれも形式的な調整となっております。   12ページ以下の第2の2の電子船荷証券の記録事項、第2の3の支配概念の創設等につきましても、基本的には表現等の微修正にとどまりますので、ここでは説明を割愛させていただきます。   続きまして、20ページ以下の「第3 電子船荷証券記録の技術的要件」について、こちらも大きな更新はしておりませんが、前回の部会の中で、発行時の電子署名要件について、電子署名を求めない考え方でしたり、具体的な定義の仕方について異なる考え方もあり得るのではないかといった御意見を再度頂戴いたしたところでございますので、補足説明の中で、議論の内容に係る説明を少し厚くするとともに、現時点で我々事務当局の理解を改めて整理させていただいております。その上で、試案の本体の中でも、この点に関して議論があるということを示す趣旨で、その点を明示的に記載することとさせていただいております。   続いて、31ページ以下の転換の箇所になります。こちらは前回の部会での議論を踏まえて、幾つか実質的な修正をしておりますので、説明申し上げたいと思います。   まず、試案の「1 船荷証券から電子船荷証券記録への転換」の(注1)のB案のところで、元々、裏書の連続によりその権利を証明した者に限るとしていた点につきまして、括弧書きで、裏書がされる前であるときは荷送人、といったような限定を加えているところでございます。こちらにつきましては前回の部会で、いわゆる指図式の船荷証券や電子船荷証券記録について、裏書や電子裏書をする前の荷送人についても転換の同意主体に含まれるべきではないかといったような御指摘を頂戴いたしまして、我々としても、それはそのとおりかなと考えましたので、今回そのような追記を行っているところでございます。   続いて、すぐ後の(注2)のA案のところに、次の@からCまでの事項の全部又は一部とする、の後に括弧書きで、一部とする場合には、例えば@のみとする、@及びAとする、@及びCとするといったように複数の考え方があるといったような加筆をさせていただいております。こちらも前回の部会の中で、元々A案とB案という形で対立軸をお示しさせていただいておりましたが、このA案の中でも、この@からCまでの記録事項をどのように組み合わせるかによって考え方は大きく異なるであろうといった御指摘を頂きましたので、その点がよりクリアになるように、少しだけ加筆をさせていただいたというところでございます。   続きまして、37ページの(7)転換による権利義務の変更について、こちらにつきましても前回の部会で頂戴いたしました指摘を受けて、現時点での事務当局としての整理を加筆させていただいているものとなります。この転換の箇所につきましては、突き詰めて考えますと、電子から紙への転換請求権の有無といった一大論点以外にも、なかなか悩ましいところがまだ残っているのかなという印象も持っておりまして、一旦はこのような形でパブリック・コメントに付したいと考えておりますが、最終的にはより細かく詰めていかないといけないと思っておりますので、是非とも御意見等を頂ければと考えております。   以上、第1部の第1から第4についての事務当局からの説明となります。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、今説明のあった内容について、どなたからでも結構ですので、御意見等を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。 ○池山委員 池山でございます。いつも冒頭に御発言の機会を与えていただき、ありがとうございます。今回の案を拝見しまして、従前私どもの方から申し上げた点等を多々御反映いただき、感謝しております。基本的には異論はありませんが、1点だけ、補足説明のところの中で、御説明がなかった部分について、こういう修正はできないでしょうかということを一つお尋ねしたいと思います。   30ページの上から3分の1のところです。電子署名の要否に関するところです。前提として、電子署名不要という考え方もあり得るということを注記いただいて、大変感謝しておりますが、その不要説の補足説明に該当するところです。今申し上げた箇所では、不要説の言ってみれば理由付けとして、より多くのシステムを容認するという観点からとなっております。これは前回と変わっておりませんが、もし理由をもう一つ入れるとすると、前回申し上げたのは、署名は確かに日本法では要求はされているけれども、少なくとも日本が今入っている国際条約であるヘーグ・ウィズビー・ルールでは要求されていないということも、この点を検討するに当たって勘案すべき考慮の一つではないかと思います。それを従前申し上げたつもりですので、できればそこも一言入れていただいても、こういう見解もあるがということなので、害はないのかなと思っております。   あと、いろいろ修正がある点については、大変参考になりまして、引き続き検討させていただきたいと思っております。 ○藤田部会長 ありがとうございました。事務当局から、今の御要望を入れられるかどうか、コメントいただければと思います。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございました。今の御指摘を反映させていただく方向で検討させていただきたいと存じます。ありがとうございました。 ○池山委員 ありがとうございました。 ○箱井委員 今の点ですけれども、条約との関係で、ハーグ・ルールは御存じのように、ハンブルグ・ルールとかロッテルダム・ルールと違って、船荷証券の記載事項という形での列挙はないです。したがって、普通の船荷証券に当然記載があるものについても条約が触れていないということがありますが、記載を不要としているということには必ずしもならないと、そこを間違えていただきたくないと思います。次に、条約が署名を不要としているといえるかどうかですね、私はそう考えていません。当然どこの国の船荷証券にも署名はあるということ、それは恐らく前提だったのだろうと。積極的になくそうという趣旨で条約に書かなかった、というわけではないと思っております。 ○藤田部会長 箱井委員、御指摘どうもありがとうございました。 ○池山委員 ありがとうございます。せっかくなので、申し上げると、まず、署名は記載事項ということではないのだろうとは思います。その上で、箱井委員のおっしゃる趣旨は、条約は言及していないのは、署名を不要とするということを明示的に、明確に意思決定をした、そういう趣旨ではないのだということなのだろうと思います。その限りではそうかもしれませんが、少なくとも国際条約が明示的に署名を要求しているわけではないというのは一つの事情にはなるのかなと思っております。飽くまでこれは考慮すべき事情という話です。最終的には、電子船荷証券が電子船荷証券であり得るためにはどこまでのことを要求しなければいけないかという実体的な考慮でもちろん決められるべき問題でして、国際条約うんぬんが決め手にならないということは理解をしておりますが、障害事由にならないというのでしょうか、手形条約、小切手条約だと署名というのが明示的に要件とされていて、日本法だと記名押印でもよいといったような条文があったりしますけれども、そのような障害はないという、消極的な意味での考慮要素にはなるのではないかと、その程度の趣旨でございます。 ○藤田部会長 記述の仕方の問題かもしれません。例えば、ヘーグ・ウィズビー・ルールズ(船荷証券条約)のように、署名について明文で言及していない条約もあるという程度の書き方でしたら、箱井委員もよろしいでしょうか。 ○箱井委員 私は別に、この電子についてどうすべきだという意見を申し上げたのではなくて、条約の署名の扱いは積極的な意味はないので、ここで理由になるかという点だけ申し上げているわけです。ただ、日本法で電子の場合に署名をなくすとなりますと、紙の方で残っているということもありますし、ここでは別に条約で書いていないことも書いてあるわけですので、そこと明らかに違いが出てまいります。そこの理由付けがしっかりできるかどうかということは、今後考えていかなければいけないと思っています。ありがとうございました。 ○藤田部会長 そのほか、どの点でも御意見、御質問がございましたら、お願いします。 ○山口委員 山口でございます。先ほどの電子署名のところで、22ページ、電子署名について、法務省令の例として書いてあり、当該情報は当該措置で行った者の作成に係るものであることを示すためのものであることと、当該情報について改変が行われたかどうかを確認することができるものであること、という二つの要件を記載されております。ここの電子署名の、当該措置を行った者という者なのですが、これについて個人という趣旨ではないという意味かどうかの確認です。すなわち、発行者である会社なりが特定できるということで十分ではないかと思うのですが、個人の特定までを求めているものではないということでしょうか。その確認でございます。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございます。この「者」というのは、必ずしも個人あるいは自然人に限られるものではないと思っておりますので、そこのところは御指摘のとおりだろうと思っております。 ○山口委員 分かりました。ありがとうございます。その点、少し明らかにしていただく、というのは、署名というものをいいますと、どうしても個人のように引きずられることがあるのですが、電子署名の場合は少しそこが違うのではないかと思っていまして、少し明確にしていただければ有り難いかなというぐらいの感じでございます。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。どのような形で加筆できるかどうかは、引き取って検討させていただきたいと思います。御指摘は承知いたしました。 ○山口委員 ありがとうございます。 ○藤田部会長 山口委員の質問の御趣旨は、法人を含むかどうかというよりは、ここでいう者というのが署名の効力の帰属主体を指すのか、それとも署名という事実行為の行為主体を指すのかということが必ずしもよく分からないので、そこがはっきりするようにしてほしいという御趣旨でしょうか。 ○山口委員 そうですね。それで、現在、特に裏書なのですが、署名なんかを見ますと、個人まで特定できるのはほとんど不可能な状況だろうと思っています。それが特定できるというような署名を求められる場合に、かなり困難性が生じるのではないかと。ただ、その会社の意思でその裏書を行い、あるいは船荷証券が発行されたということが分かるレベルでよいのではないかと思っておりまして、その程度の緩和をしていただきたいなという趣旨でございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。 ○後藤幹事 後藤です。今の山口委員のご指摘の点ですけれども、中身には全く異論はないのですが、MLETRとの関係を考えた場合、それをそのまま書いてしまっていいかという点については、少し慎重に考えた方がいいかなという気がします。欧米で署名というと、やはり普通にその人がサインすることだということを考えているのではないかと思いますので、日本でいう代理方式なのか機関方式なのかというときの、機関方式的なことを考えて署名という言葉を使ってしまうと、外から見たときに気持ちが悪いことになりかねない気もします。山口委員御指摘の問題点がクリアになることは非常に重要だと思うのですけれども、書きぶりには少し御留意を頂ければと思います。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。今の御指摘も踏まえて、どういう形で補足できるかは検討させていただきたいと存じます。ありがとうございました。 ○藤田部会長 ありがとうございました。   そのほか御意見、御質問はございますでしょうか。   前回の会議で出た意見は、おおむね何らかの形で取り込ませていただいているとは思うのですけれども、前回御指摘があった点でない部分も含めて、もしお気付きの点があれば、是非御意見を頂ければと思いますが。   オンラインの方も、大丈夫でしょうか。もしほかに御意見がないようでしたら、事務当局においては資料8、第1部の第5から7と第2部の説明をお願いいたします。 ○中村(謙)関係官 そうしましたら、第1の第5から第7、そして第2部について説明をさせていただきたいと思いますが、先ほどと同様に、更新箇所に限って簡単に説明させていただきたいと思います。   まず、40ページ以下の「第5 電子船荷証券記録の類型及び譲渡等の方式」でございます。ここも前回の部会での議論を踏まえて、幾つか更新をさせていただいているところでございます。   まず、電子裏書に係る電子署名要件につきましては、先ほどの発行の場面の技術的要件と同じように、若干の補足を補っているところでございますが、先ほど頂いた御指摘を踏まえまして、アップデートの必要がないかといった点につきましては、もう一度検討をさせていただきたいと思います。   続きまして、46ページの上の方のただし以下の加筆部分を御覧いただければと思います。こちらについては今回初めて問題提起をさせていただくものでございまして、我々といたしましても答えが出ていないところでございますため、是非とも御意見を頂きたいと考えているところでございます。   まず、前提といたしまして、紙の船荷証券を譲渡する場合に、債権譲渡の方式を定める民法467条が適用されるといったような話はないものと理解しております。それは、やはり譲渡の対象が純粋な債権ではなくて、民法520条の2でしたり520条の13といった規定の中で、証券の譲渡の方式として規律されていることによるところがあるのかなと思っているところでございます。ところが、今回の電子船荷証券記録に関しましては、現状、直接の譲渡等の対象が電子船荷証券記録上の権利、すなわち電子船荷証券記録に表象されている運送品の引渡しに係る債権等であることを前提とすることを想定しておりますため、この第5の譲渡等の方式の規律を置くことのみをもって、当然に債権譲渡の対抗要件を定める民法467条の適用が排除されているのかどうかが明確ではないのではないかといった問題意識でございます。   電子船荷証券記録上の権利の譲渡に関しまして、民法467条に基づく対抗要件具備までは求めないという帰結自体には恐らく争いはないのかなと思っているところでございますが、この民法467条の適用排除を明示的に定める必要があるのか、ないのかといった点につきましては、もう少し検討が必要かなと思っております。現状、中間試案におきましては、このような形で問題提起の形にとどめることとしておりますけれども、是非とも皆様の御意見を頂ければと考えているところでございます。   次が、49ページの下の方で、質権に関しても若干説明を補足させていただいております。これまで電子船荷証券記録上の権利に関しては、譲渡と質入れに関して、特に方式を区別せずに規律することを前提としておりまして、この点については部会の中でもこれまで特段、反対の意見はなかったものと認識しているところでございますが、厳密には手形法の規律に従う紙の船荷証券と同様に、譲渡と質入れに関する規律を分けて、質入れに関しては電子裏書に際して、質入れのためといったような担保文言を記録することを求めるといったような方策も考えられるところでございますので、一応この点につきまして継続検討課題であることを明示させていただくこととしております。   そのほか、この第5につきまして、皆様から頂戴した意見等を踏まえて、細かな点で若干の調整をさせていただいているところでございます。   続きまして、51ページの「第6 電子船荷証券記録の効力等に関する規律の内容」でございます。ここでは、前回の部会資料で紹介させていただいた乙案と丙案のハイブリッド案を今回、丁案という形で試案本体の方に格上げさせていただいております。また、乙案や丁案に関しましては、厳密には民法上の規定の準用において、民法520条の2や520条の3といった譲渡や裏書の方式に関する規定も準用対象に含めるのか、それとも、先ほど第5の中で示したような規定を別途置くことによって、そこは準用対象から外すのか、どちらにするかによっても若干考え方は異なってくるところでございますため、その点についての補足説明を簡単に加えているところでございます。   続きまして、57ページ以下の「2 具体的な規律の内容」でございます。まず、60ページの(10)民法520条の4及び520条の14に相当する規定の箇所を御覧ください。ここは我々の方でも今、うまく整理できているのか非常に悩ましく思っているところでございますので、是非とも御知見をお借りしたいところでございますが、端的に言えば、商法762条の規律と民法の有価証券に関する類型とのつながりをどのように考えればよいのかといった論点でございます。つまり、商法762条の規定をもって、船荷証券は法律上当然の指図証券などと説明されることがあるところでございますが、具体的に民法の有価証券の類型に当てはまるときに常に指図証券として扱ってよいのかどうか、これを今回の電子船荷証券記録との関係で申しますと、58ページの(4)の商法762条に相当する規定、この適用を受ける電子船荷証券記録については、先ほどの第5の試案の第1項から第3項までの電子船荷証券記録のいずれに当てはまることになるのかといった問題となります。   仮に、この商法762条に相当する規定の適用を受け得る電子船荷証券記録については、すべからく第5の試案の第1項の指図式の電子船荷証券記録になると考える場合には、いわゆる記名式所持人払い型、つまり、記名式であって電子裏書禁止文言はなくて、かつ、持参人払い文言があるといったような、仮にそういった電子船荷証券記録が発行された場合には、文言上は商法762条に相当する規定の適用を受け得るようにも思われるところでございまして、その場合に、この権利推定等の関係で指図式の電子船荷証券記録として扱うのがよいのかどうか、といったところが我々として疑問に思っているところでございます。   現状、(10)の民法520条の4及び520条の14に相当する規定につきましては、今回、第1項に括弧書きで、前記(4)本文の規定により電子船荷証券記録の支配の移転及び電子裏書をすることによって、当該電子船荷証券記録上の権利を譲渡し又は質権の目的とすることができる場合における当該電子船荷証券記録を含む、という追記をするとともに、第3項について、元々は第1項に規定する電子船荷証券記録に該当しない電子船荷証券記録というふうに規定していたところを、今回、試案第5の規律の第2項に規定する電子船荷証券記録をいうような定め方をすることで、先ほど述べた論点について解釈に委ねることも許容できるような形に修文しているところでございますが、ここにつきましては我々の理解が十分に及んでいない可能性もございますため、是非とも皆様の御意見を頂戴したいと思っております。   続いて、同じ60ページの下の(11)民法520条の5及び520条の15に相当する規定でございます。こちらにつきましては前回の部会の中で、第1項の返還請求権に関しては、いわゆる電子裏書禁止型の電子船荷証券記録についても認めてもよいのではないかといった御意見を頂きましたので、その点を補足説明の中に、そういった考え方もあるといった形で御紹介させていただくとともに、若干の形式調整をさせていただいているところでございます。   次に、63ページの(15)民法520条の9に相当する規定の箇所でございます。こちらは紙の船荷証券に関して、そもそも民法520条の9が適用され得るのかといった点につきまして、前回の部会でも御意見が割れていたところかと認識しておりますが、やはり我々事務当局としましては、この規定については置いておいた方がよろしいのではないかといった思いを持っておりまして、今回、若干の説明を補っているところでございます。   すなわち、前回の部会の際に、民法520条の9はやはり商法764条と全く同じ趣旨の規定であるとまでは断言は難しいのではないかという思いがあることに加えまして、仮にこの520条の9の適用を認めたとしても、520条の9でいうところの提示はあるが、一方でこの764条との関係で、船荷証券の引渡し又はその履行の提供といったようなものが認められないときには、結局、商法764条に相当する規定によって、同時履行の抗弁権又はそれに類するような権利関係が認められる結果、結局、運送人は履行遅滞責任を負わないのではないかといった意見を述べさせていただいたところでございます。   この点につきましては、我々の方でもいろいろ調査をしたものの、商法764条によって、この同時履行の抗弁権的な権利が発生するという見解が確立した考え方であるとまでの確証は得られませんでした。しかしながら、他方で、仮に商法764条の規定により同時履行の抗弁権又はそれに類する権利が認められるものではないと解してしまいますと、この運送品の引渡しに係る債務について、いわゆる確定期限があるような場合に、この民法520条の9の適用を否定してしまいますと、民法412条1項の規定によって、確定期限の到来によって履行遅滞の責任が発生し得るとも考えられるところでございまして、帰結としては、やはりそういった解釈を避ける必要もあるところでございますので、その意味でも、この民法520条の9に相当する規定というのは、やはり置いておくことが各当事者にとって安全なのではないかと考えまして、今回そのような観点からの説明を少し補っているところでございます。   続きまして、67ページに進んでいただきまして、第7の強制執行に関する規律のところでございます。まず、従前、強制執行に関する規律との絡みで国税滞納処分の話についても少し言及しておりましたが、税制の話につきましてはこの部会で結論を出すべきものでもございませんので、無用な誤解を避ける趣旨で、今回、試案の本体からは落とすこととしております。   次に、補足説明の方に行っていただきまして、71ページの下の方の(5)について御覧ください。こちらは前回の部会の中で、第7の試案の中で「運送品の引渡しに係る債権」としている部分について、「電子船荷証券記録上の権利」という用語に置き換えてもよいのではないかといった御指摘を頂戴したところでございます。当初、我々の方といたしましても、形式的な用語の統一の話なのかなと考えていたのですが、よく考えると、そもそも電子船荷証券記録上の権利といったときに、運送品の引渡しに係る債権が含まれるのは当然といたしまして、それ以外にどういった権利が含まれ得るのかという点がなかなか難問なのではないかという思いを持つに至っております。   例えば、当初我々としましては、電子船荷証券記録上の権利といった概念の中には、例えば商法580条に基づく処分権なども含まれ得るところなのかなという思いを持っていたところでございますが、実際にこの処分権に対する強制執行といったものがあり得るかどうかは置いておくとしても、仮にそのような処分権といった派生的な権利に対して強制執行がなされたような場合にまで、今この第7で議論しているような強制執行に伴う法効果を認めることはいかがなものかと思うところでもございます。   他方で、では運送品の引渡しに係る債権にこの強制執行に関する規律を限定してしまってよいのかどうかというところにつきましても、例えば、運送品が運送人の責めによって滅失してしまったような場合の損害賠償請求権などについては、運送品の引渡しに係る債権と同様の規律を及ぼす必要があるのではないかという思いも持っているところでございまして、この第7の強制執行に関する規律の対象を運送品の引渡しに係る債権として記載すべきか、又は電子船荷証券記録上の権利という形で記載すべきかについては、こういったところについての整理も最終的には必要になるのではないかという思いも持っているところでございます。   この論点につきましては、この強制執行の箇所だけではなく、先ほど述べました第5の譲渡等の方式に関する規律とも関係するところでございます。中間試案までに答えを出す必要まではないかと思っておりますので、現状はこのような形で問題提起にとどめているところでございますが、是非とも皆様の御意見をお伺いしたいところでございます。   最後に、75ページ以下の第2部につきましては、細かな表現の修正等はさせていただいておりますが、実質的な内容につきましては前回の部会資料と同様ですので、ここでは説明を割愛させていただきます。   最後に、本日参考資料として交付しておりますMLETR対照表についても、簡単ではございますが、説明させていただきたいと思います。前回の部会で、MLETRとの対照関係につきましては、MLETRの各条文を出発点とする形でも改めて整理すべきなのではないかといった御意見を頂戴したところでございまして、我々といたしましても、今回のこの立法がMLETRを大いに尊重したものであるということを整理し、示すことについては大変意義があることと考えておりますので、今回このような形で現状の整理を示すこととしております。   もっとも今、試案の中ではいろいろ複数の案に分かれているところも多数ございますので、非常に細かな点までは立ち入って記載はしておりませんが、概要としてこのような整理が可能なのではないかという思いを持っているところでございます。こちらの資料につきましては、パブリック・コメントにおきましても、中間試案の補足説明の、更にその参考資料として、併せて対外的に公表しようということを現状、想定しているところでございます。   以上、事務当局からの説明となります。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、今説明のあった内容について、どなたからでも結構ですので、御意見等を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。   今回新しく問題提起された点も多々ありますので、その点についても、中間試案で解決するかどうかはともかく、御意見を頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○池山委員 いつもすみません、池山でございます。今正に部会長から御指摘があったように、今回多くの新たな問題提起を頂いて、席上でもし意見があればということではあったのですけれども、大変申し訳ないのですけれども、問題提起の趣旨はそれで受け止めつつも、検討させていただくということでとどめさせていただければと思います。逆に、いろいろ考えていただいていることについては改めて感謝を申し上げる次第です。   私の方からは、これも何も言及しないと、逆に不実だと思いますので、例の前回さんざん意見を申し上げた民法520条の9の相当規定について若干申し上げます。前回、私から意見を申し上げて、それから反対意見も多々頂きまして、その後、私自身も、それから私の推薦母体の中でも、いろいろ議論を重ねさせていただいております。現時点においては、やはり紙のB/Lにせよ電子船荷証券記録にせよ、520条の9が適用されるということに非常に違和感があるという結論には変わりはないのですけれども、少なくとも中間試案の段階では、そういう見解も示されたところではあるがという言及を頂いているので、中間試案の問題としては、結構ですというのは語弊がありますが、やむを得ないのかなと思っている次第でございます。この問題については、更に考えていきたいと思っております。   その上で、若干違う視点を520条の9に関して申し上げますと、仮に残すとした場合に、電子船荷証券記録の提示というのは一体何なのかというのがよく分からないなという指摘を改めて関係者との議論の中で頂戴いたしました。元々この提示の意味について、商法施行規則を前提とした法務省令案の提示がありましたけれども、あの条文というのは飽くまでも電磁的記録を表示する場合の表示の方法なのですけれども、それに単純に乗っかっていくと、結局、電子船荷証券記録が示された画面とか、あるいはそのプリントアウトを示すということになるわけですが、それは紙のB/Lでいうとコピーの提示でしかないのですよね。紙のB/Lにおける提示というのは、提示という物理的行為だけが問題になるのではなくて、やはり原本の提示なのだと、電子B/Lにおいて原本の提示に相当するものは何なのかというのは、実はよく分からないと。最低限、一時期あった法務省令の案だと、それはコピーの提示でしかないと、そこは事務当局も御理解されているからこそ、解釈に委ねられるというふうに方針転換をされたのだと理解をしますが、解釈を委ねるにしても、実際何なのかというのは正直言うと分からないし、もっと言うと、そもそも電子船荷証券記録について、引換えを言い換えられたところの支配の移転又は消去その他、利用処分ができなくなる措置、これは分かるのですけれども、それとは区別されたところの原本性あるものの提示というのは、概念的にあり得るのかという疑問もあるかなと思っております。   ただ、これも、だからといってそれを理由に520条の9はなしということになるのかというのも、また大きな論点だと思っております。今日の席上では、そういう疑問も出てきておりますということを問題提起としてだけ申し上げて、結論的にはこの問題については更に検討させていただきたいと思っている次第です。   それから、ほかの論点としましては、強制執行に関するところです。これも、強制執行についてのこの案の微調整自体については異論はないのですが、補足説明のところについて1個、こういう修正ができないでしょうかというお願いでございます。74ページぐらいですかね、追加のところで、問題が生じたときには、運送人としては運送品の供託を行う余地もあるのではないかとの意見も見られたうんぬんとあります。ここは正に私が前回申し上げたところを反映していただいたところで、大変有り難く存じております。その上でなのですけれども、実際の趣旨としては、これは解釈上の問題があるのだと思いますが、供託というよりは、同じ条文で書いてある競売の方を主として意図していたつもりなのです。なので、ここは運送品の供託をとある部分は、運送品の供託ないし競売を行う余地もあるのではないかというのが、私の発言内容を反映させていただくのであれば、より正確かなと思っております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。事務当局から、今御指摘のあった様々な点について、もしコメントがあれば、お願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございました。まず、提示のところの、原本の提示という概念に等しいものを電子版でどう作るかという問題意識につきましては、正に問題意識としてはそのとおりだろうと思っておりますので、これを入れるとした場合に、今のようなままでいいのか、更なる工夫が必要なのかというところにつきましては、また検討していきたいと思ってございます。   あと、強制執行のところでございますが、最後のところの御指摘で、供託だけではなくて競売もというところかと思いますけれども、ここは、そういう余地があり得るのであれば、供託と並行して競売ということを入れること自体は可能なのかなとは思っておりますけれども、少しそこは精査させていただいて、そういう修正が可能かどうかというところは検討させていただければと思っております。 ○中村(謙)関係官 すみません、御質問の形になってしまって恐縮なのですけれども、まず、1点目の提示の点につきましては、池山委員がおっしゃるとおり、確かに原本の提示って何なのだというところは非常に難しい問題かなと我々も思っているのですけれども、一方で我々が電子B/Lのシステムプロバイダーさんにいろいろお話を聞いていく中で、どこもサレンダー機能みたいな、実際に荷物を引き取るときにサレンダーボタンみたいなものを押して、自分に引き渡してくださいといったような機能が付いているものと認識しておりまして、具体的な中身がどうなっているのかというのは非常に難しいとは思うのですが、あれは一方で当然、支配の移転とか消去をしているわけではなくて、自分が正当な権利者であるということを運送人に示している、示すための機能なのかなとは理解しておりまして、それがここでいう提示に当たり得る場面というのもあり得るのかなというのが、少し今、感想めいた意見で恐縮ですが、思ったのが一つです。   もう1点、2点目の競売の点につきましては、条文の読み方の確認なのですが商法768条で582条第2項については適用除外がされておりますが、競売という方法も否定されておらず、実際には船荷証券では競売も使うことがあるのでしょうか。完全に質問の形になってしまって恐縮なのですけれども。 ○箱井委員 箱井です。今のところですけれども、これは荷送人に対する指図の催告の点、ここは船荷証券が発行された場合には関係ないということで商法582条第2項の適用を除外していると私は理解しております。実務については私は分かりませんので、池山先生に、あるいは山口先生に。 ○池山委員 池山でございます。まず、私の前回と今回の発言趣旨をもう一回申し上げますと、確かに条文上、今の582条等の規定や海商法の規定の中で、競売が文字どおり絶対できるはずだと、制度上それができるとまで確定的に元々申し上げたつもりはないのです。私が申し上げた趣旨としては、法律関係が不明確であると従前から言われていたものというのは、差押え債権者が引渡し命令に基づいて求めてきても、受戻し証券性があるから、移転がない限りはそれに応じることはできないと、他方で、支配をする者が電子B/Lに基づいて引渡しを求めてきても、命令があるから引き渡せないと、どちらにも引き渡せないということになって、結局ただ保持しないといけない、保管しなければいけない、それは不都合だ、なので、それに対する対応策として、現行商法の解釈上、あるいはもしも解釈上不可能であれば、ひょっとしたら立法の中身として、供託ないし競売、供託は実際機能しないので、競売ということも考えないといけないのではないかと、問題状況としてはそういう状況かもしれないよというのを、感想的に申し上げた趣旨なのです。その意味で、現行の条文で582条の条文からそう読めないということであれば、それはそれで、またこちらでも確認しますけれども、そうかもしれません。ただ、発言の趣旨としては、そういうことなのです。   逆に、海商法の規定の中で別個、競売の規定というのがどこにあるかということなのですけれども、確かにこちらは742条辺りを見ると、引き渡した後の運送賃等の引渡しを受けるためということなので、引き取りに来なかったときというのは、必ずしもできないように読めるかもしれません。少しここは、私も混乱しているかもしれません。 ○中村(謙)関係官 ありがとうございます。いずれにせよ我々の方でも現行法の整理はもう一度させていただいて、その上で、更なる手当てをとるべきなのかどうかというところは詰めて検討していきたいと思いますので。ありがとうございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。 ○池山委員 池山でございます。その点は結構ですが、第1の提示のことについても御質問を投げ掛けられていたと思いますので、そこについてよろしいでしょうか。   今の電子B/Lの、余り量は多くないとはいえ、実務におけるサレンダーという指示を出すということが提示に当たるのではないかという御指摘についてです。私は実はそれは必ずしもそうではないのではないかと思っていて、サレンダーという指示を出すと、それは正に紙の船荷証券でいえば、提示ではなくて、文字どおり提出してしまうことと同じなのだと思うのです。そうすると、別の言い方をすると、やはりそれは、先ほどは違うのではないかとおっしゃいましたけれども、支配の移転又は消去その他利用、処分することができなくなる措置、その他の部分に引っ掛かってくるのだろうと思います。サレンダーというものを押せば、もうB/Lは無効になってしまうと、紙のB/Lでいえば、もう提出した、出してしまったことになってしまうということははっきりしているので。そうすると、やはり逆に電子B/Lの実務だと、サレンダーというものがあると、それは紙のB/Lであれば、正に提出してしまう行為だと、それと区別されたところの遅滞に陥る条件としての提示、一歩手前の概念としては、それは何かというのは、やはり分からないなと思っていると、そういう問題提起の趣旨でございます。 ○中村(謙)関係官 大変よく理解できました。教えていただいてありがとうございます。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。今、池山委員の御指摘いただいたところについては、拝聴していて、そのとおりだなとは思ったところでございますけれども、実際の紙の船荷証券も恐らく、引換えとは違う提示のみということは、なかなか現実的には多分ないというのが実情なのだろうとは思います。ただ、そういった中で法律上、引換えというものと提示という概念が二つあるわけですので、それぞれの要素を電子版に置き換えた場合にどうするのかというのは、やはり520条の9を入れる場合には、考えていかなければいけない。では、実際、電子版の場合に、提示のみで、引換えに相当するものではないものはどういったものなのかと言われると、それは恐らく紙と同じように、余り現実的には観念できないというところにはなってしまうのかなとは思っているところでございます。   とはいえ、520条の9というものを入れなければいけないとした場合には、やはり何らかの方法で提示に相当するものというものを規律として入れていかなければいけないというところに作業の難しさがあるのかなと思っているところでございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。今ここで結論、具体的に各システム上の提示が何かを確定することはもちろんできませんが、提示という概念が電子船荷証券記録について存在しないという前提をとってしまいますと、多くのところが崩れてしまいます。この問題だけではありません。例えば、運送品処分権の行使などの際にも同じような問題が出てきますので。   ついでに申し上げますと、国際条約でも、たとえばロッテルダム・ルールズなどでは電子的運送記録の提示という概念は使っております。また、MLETRを見ますと、この点についてはっきり明示的な言及がございまして、UNCITRAL事務局の作成したExplanatory Noteのパラグラフ118です。何がMLETRのプレゼンテーションに該当するかということについて、明文の規定が置いていないが、その理由についての説明です。そこに書かれた説明によりますと、システムの信頼性の要件の中で、誰が支配を有する者かということがアイデンティファイできるようなものでなければならないということが掲げられているところ、その機能、つまり、この人が今コントロールを持っている人ですよということを示す機能によって、自分がそれであるということを示すことがプレゼンテーションに当たるのだという説明が基本的になされておりまして、だからあえて提示の規定を独立のものとしては設けていませんと説明をしております。この説明に満足するか、納得するか、また、各システム上、それが何に当たるかということの特定というのは残るとしても、MLETR上、提示をどう考えるかということについて整合的な説明が一応されていて、もし日本の立法がMLETRに準拠しているとなると、それに沿ったような概念整理をするのだと思います。   少なくとも、電子船荷証券記録、あるいはMLETRにはプレゼンテーションというのはない、紙の船荷証券における提示に対応する概念とはないのだという発想には、国際条約もMLETRも立っていないことは確かです。もちろん、具体的に何をすれば電子船荷証券記録の提示になるかということについては、実務でも疑問が余り生じないようには検討していく必要はあるのかもしれません。   ただ、いずれにせよこれは同時履行の話ではないですね、これはもっと大きな問題ということになってしまいますので、今後も中間試案の後も、さらには必要があれば検討していく必要があるかと思いますけれども、議論のコンテクストは恐らくここではない、ここでも表れるというだけなのではないかとは思います。   この論点それ自体は、中間試案の記載との関係では、特に改めて更に何か追加する必要はございますでしょうか。例えば、提示というのが何かということが更には検討されなければいけないような一文などを付け加えることは、論理的には考えられるのですけれども、そこまでしないといけないことか、それとも、今後検討するにしても中間試案としてはこのぐらいの記載で置いておいていいか、その辺りはどちらでしょうか。今のMLETRの言及などは(注)で入れてもいいのかもしれませんけれども。 ○池山委員 池山でございます。ありがとうございます。その点は一方で問題提起はさせていただきましたけれども、注記の中で、商法施行規則に則った法務省令を最初提案したけれども、やめたということの中に、提示の方法の具体的な内容までは定めずに解釈に委ねることとしているとあるので、その意味では、問題意識というのはある程度は示されているのだと思うのです。ただ、結局私が申し上げたかったことは、その解釈というのは結構大問題ですよねと、実際、実務者として何なのだろうと考えると、結構大きな問題だと頭を抱えますよね、みたいなことを申し上げていることになるわけで、そこをこの文章にどの程度書いていただくかというのは、事務当局にお委ねしてもいいのかな、などと思っておりますが。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。私どもといたしましては、今の御議論の問題意識というのは十分に把握したつもりでございますので、今後、最終的な取りまとめに向けて考えるときには一つの論点だろうとは認識しております。ただ、中間試案という形でこれ以上書く必要があるのかというと、今のままでも十分問題意識は反映されているのかなという気はしておりますので、そういった方法もあり得るという前提で、また引き取らせていただいて、最終的にどうするかは、また少し考えさせていただければと思っているところでございます。 ○藤田部会長 そのほか、どの点でも、御意見、御質問はございますでしょうか。 ○箱井委員 質問なのですけれども、箱井です。今後これを自分で考えるときに前提としてお伺いしたいのですが。今のサレンダーボタンというのがあるのだと初めて伺いまして、それを押すと、ということですが、池山先生のお話ですと、それはもう提出だということのようです。紙の場合でも、「これですよ」などといって見せるというのは余りなくて、一旦は提出して、でも、運送品を受け取ることができなければ多分、証券を返してもらうと思うのですけれども。それとは違って、電子の場合というのはサレンダーとボタンを押してしまうと、運送品を受け取れない場合でもB/Lはもう提出してしまって、アコンプリッシュトになってしまうという実務が行われていると、そういう理解でよろしいですか。戻してもらえないということですか。 ○池山委員 私はそう理解しております。それから、念のため申し上げると、紙のB/Lも返してもらうということは実際はできないのだと思います。というのは、窓口の人が最初にやることは、B/Lを一旦出してもらうと、サレンダードとか、あるいはボイドという判子を押してしまいますから、そこでもう終わっているわけで、今更返してくれと言っても返せなくて、単にB/Lが現に提示どころか提出されたのに、引き渡されなければ債務不履行という問題が起きると、それ以上でもそれ以下でもないのだろうと思っています。 ○箱井委員 ということは、実際にはむしろ商法の規定にかかわらず、要するに引換えでは行われていなくて、先に証券をもらってしまっているということなのですね。為替手形でしたら、「受取ヲ証スル記載」まで請求できますね。すごい話ですけれども、手形にたとえれば、受け取りましたと書いて証券を渡したけれども、引き換えでお金をもらえずに証券も返してもらえないなんていうような実務があるとは知りませんでした。ありがとうございました、勉強になりました。 ○池山委員 余りこの席上で議論すべきかどうか分かりませんけれども、今の紙の実務が商法に反しているのではないかと言われてしまうと少し困るので、一応お話をさせていただきます。   これは確か前回よりは、その前に話したと思うのですけれども、実務的には確かに、764条で引換えと書いてあっても、船荷証券の提出は先履行になっていることは確かだと思います。実際、窓口でまずは船荷証券を提出してもらうと、それを受けて、伝統的な実務であれば、D/O(デリバリーオーダー)、荷渡し指図書を発行し、あるいは今はそういう紙がないとしても、それに代わる、運送人の事務所から本船あるいはターミナルに対する、もう荷渡し可能ですよという指示を直ちに出して、それを踏まえて荷受人が貨物を受け取りに来て、貨物を受け取ると。そこに確かにタイムラグはありますし、表面的には先履行なのだと思います。 ○箱井委員 D/O(デリバリーオーダー)を出せば問題ないでしょう。D/O(デリバリーオーダー)と引換えでオーケーです。現物である必要はないので。 ○池山委員 まず私の話を一旦完結しますと、そういう時系列になっているのは、それはもう債務、金銭債務ではなくて、引渡し債務というものの債務の性質によるのだろうと思っております。その上で、今、箱井先生が口を挟まれたのは、いや、そうではなくて、やはり同時履行になっていると、それは船荷証券を事務所で渡すと同時にD/O(デリバリーオーダー)を、それは正に引換えに渡すと、あるいはそれに相当する措置をすると、そこは引換え給付になっているから、紙のB/Lの場合は問題がないのだということですよね。 ○箱井委員 問題ないかは知りませんけれども、伺っていたら、D/O(デリバリーオーダー)でいいだろうと思いまして。 ○池山委員 その上で、電子B/Lの場合はどうなのかというときに、確かに電子B/Lの場合は結局、支配者が持つオプションとして、さらに、譲渡方式がどうなっているかによって、電子署名的なものをして裏書譲渡をするとか、あるいは単に支配を移転するといったオプションと同時に、要は提出をする、サレンダーをするというオプションがあって、そのオプションを押しますと、そうすると運送人はそれに応じて引渡し義務が、言ってみれば発生するわけですよね。そこでシステム上、それが出た、サレンダーボタンが押されて到達した瞬間に、D/O(デリバリーオーダー)に類するオーダーが出るシステムに船会社がなっているかどうか、そこまでは分かりません。そこで、それを受け取ったということで、船会社側の担当者が、ではD/O(デリバリーオーダー)のボタンを押すということになっているのかもしれません。もしそうだとすると、自動的にというシステムになっていないとすると、そこは概念的には先履行になってしまうのですけれども、そこは必ずしも実務とは違うとまではいえない、別の言い方をすると、電子B/Lのシステムを採用するときには、サレンダーボタンを押したら同時に直ちにD/O(デリバリーオーダー)発行的な措置がとられるシステムに、今度はもう電子B/Lを離れて、運送人側のシステムがそういうシステムになっていなければいけないと、そこまでの要求はされないのではないかと思っています。   少し議論が脱線していることは承知しています。失礼しました。 ○藤田部会長 そのほか、どの点でも御意見、御質問はございますでしょうか。具体的なシステムを前提とした場合に、概念的に書かれているものが具体的にはいかなるアクションを指すのか詰める必要があるのは、提示は典型かもしれませんが、それに限らずいろいろあります。しかも、システムそれ自体について必ずしも公開されていませんから、若干難点はあるのですけれども、今後、最終案までに確認はしていかなければいけないことだとは思います。   そのほか、どの点でも御意見あるいは御質問を頂ければと思います。 ○洲崎委員 洲崎でございます。御説明どうもありがとうございます。事務当局からいろいろ問題提起を頂いたのですが、そのうち割と直感的に意見を言えそうなのが、商法762条の関係の問題で、ここで記名式とある、この記名式に記名式持参人払証券、記名式所持人払方式も含むという解釈があり得るのかどうか、こういう問題提起だったかと思いますけれども、直感的に申しますと、それは含まない、ここでいう記名式とは記名持参人払方式は含まないというふうに多分考えられてきたのではないかと思います。   記名証券、指図証券、無記名証券とあって、一番静的安全に重きを置いたのは記名証券で、逆に動的安全に重きを置いたのが無記名証券で、記名式持参人払証券というのは、確かに最初の権利者として記名されている、つまり権利者の名前は書いてありますけれども、権利移転については証券の交付、電子船荷証券記録であれば支配の移転だけで権利は移転するし、その所持している人、支配を有している人が権利者として推定されるということなので、実質は無記名証券と同様に考えられてきているのではないかなと思います。   にもかかわらず、商法762条にいう記名式のところにそういう証券も含んでしまうと、発行の当事者としては、最も動的安全の確保に注力したというか、流通証券性を高めるつもりで持参人払証券にしたにもかかわらず、762条が適用されて指図証券にされてしまうと、それは当事者の意図に反することになるので、特に記名式について限定がなくても、解釈で当然に、762条にいう記名式とは記名式持参人払証券は含まないといってよいと思うのですけれども、ただ、どうしても気になると言われるのであれば、この記名式のところに括弧して、記名式持参人払方式は含まないというような書き方をしても悪くはないかなとは思います。ただ、有価証券法学者の一般的なというか、直感的な理解としては、ここの記名式は本当の意味での記名式しか意図していないということになるのではないかと私は理解しておりました。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御教示いただきまして誠にありがとうございました。あとは我々の方で、条文案を考えるときにどういうふうに書いていくかというところは、また一つ問題だろうとは思いますけれども、その点はいろいろと我々の方でも考えて、検討していきたいと思ってございます。ありがとうございました。 ○藤田部会長 ありがとうございました。 ○箱井委員 洲崎先生のおっしゃった理解は私も全く同じです。ただ、民法の改正ですよね、そこは先生、いかがかなと。要するに、民法の有価証券のところの規定は御存じのように非常に形式的な分類になっています。本来でいうところの「記名証券」が「その他の記名証券」になっていて、「記名式所持人払証券」の方が先の款で記名証券の代表のように出てきているので、日本法上の用語例という点でもわかりにくいです。確かに「記名式証券」と、「記名証券」は意味が違いまして、少し今、私は混乱していますけれども、そこのところの関係が、もしかしたら今の先生のおっしゃった括弧書きとかそういったものが、厳密に言えば必要になってくるということもあり得るのかなと今、一瞬思いました。先生の御発言が通常の理解だということは、そのとおりだろうと思っております。ありがとうございました。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。これは、今のそもそも紙についても、条文構造としては同じような問題があるということですね。そうすると、ここで明示的な解決をしてしまうことが、紙については違うなどというようなインプリケーションを与えるおそれがでてくるかもしれず、実質の問題と、そのために何をするのがベストかという2段階の検討を今後、最終的な条文案を考える際に詰めなければいけないということかと思います。実質については洲崎先生、箱井先生から出された意見で問題ないでしょうかね。記名式持参人払い式証券というのがみなし指図証券の記名式には含まれないという、その理解はよろしいですかね。実質はそうだとすれば、それをどう表現するのが一番法制的にベストかということを今後、事務当局に詰めていただくという形にさせていただければと思います。中間試案でそれを書くことがいいかどうかも含めて検討させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。 ○箱井委員 今のところ、ついでにここで申し上げていいのか分かりませんが、一般論として、歴史的・沿革的な認識からして当然に意味は理解できるけれども、今の用語からするとわかりにくい、その意味を導きにくい、というのは実際にはいろいろあるわけですよね。それを今回一体どういう方針であたるのか、要するに、右側に寄って考えるのか、左側に寄って考えるのかといいますか、紙の方、紙の船荷証券についてどう書いてあるかを最優先で考えるのか、そうではなくて、実質的に紙の世界は離れ、電子の世界で考えていくのかという問題でございます。   例えば、今日、全然違う問題ですけれども、証券記録の発行のところで、運送人と船長が並んで出てきます。これは恐らく電子について余り検討しないのではないかと思いますけれども、紙の船荷証券についての現在の商法の規定と同じです。前は商法では船長が船荷証券を発行すると書いていました。商法改正で、発行主体については「運送人又は船長」としましたが、ここでは運送人だけではなく船長も残しておくか、という判断がありました。歴史的に元々船長が船荷証券を発行していた経緯があるから残したという、割と曖昧な理由だと思います。運送人だけでもよかったのではないかとは思っているのですが、それで今回、電子B/Lですね。この電子船荷証券を船長が発行するということがあるのかどうか、私は分からないのですが、そういったものは問題にしないで、紙の船荷証券の規定と同じで問題がなければ、そちらに寄せていくという理解があるのかなと私は思っています。そこの基本スタンスを確認できれば、今のところなんかも割と共通認識に寄せていけるのではないのかなという気がいたしました。こういう感覚、モヤモヤを随分あちこちで持つものですから、一回お尋ねしておきたいと思ったので、ちょうど切りのいいところでございますので、確認させてください。今後みんなで中間試案を考えるに当たって、紙の規定ですね、それと今回やっているものというのとの関係を、どういうような、微妙だと思うのですけれども、御当局の方で何か認識をお持ちであれば、恐らく何か考えながら作業されているのだろうと確信しているものですから、その辺りを教えていただけると有り難いと。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございます。正に今、箱井委員がおっしゃられたような方向性を意識して考えているわけでございます。すなわち、紙の船荷証券の規律にできるだけ近付けるということが一つのコンセプトでございまして、電子版だから主体を変えるとか、そういったことは考えてございません。   これまで部会においても様々な御議論を頂いてきたところでございますけれども、やはり紙の船荷証券の規律についても、その適用関係、解釈などが必ずしも一義的に明らかになっていない部分というのが多々あるわけです。それをこの機会に全て明らかにして、その実質を書き込むという作業は恐らく不可能であろうということが、これまでの議論を踏まえて事務当局として認識しているところでございますし、また、そういった作業もやはり余り相当ではないだろうということも、また一方で言えるのかなと思ってございます。   そういたしますと、我々のとるべきスタンスといたしましては、今ある紙の船荷証券の規律、これをできるだけそのまま電子版にしていく、そして、紙の船荷証券において展開されている解釈論がそのまま電子版にも引き継がれる、これを第一次的な目標として、いろいろと規律案というものを考えさせていただいているというところでございます。   という形で考えますと、先ほどの762条に相当するところも、なかなか括弧書きなりを入れたりすると、紙と少し変わってしまう可能性があったりするものですから、そこの辺りは今の試案においてはそういう括弧書きは付していないというところでございます。   ただ、他方で難しいなと感ずるのは、紙の船荷証券でいいますと民法の規定があるわけです。これが電子版になると当然には適用されなくなりますので、何らかの形で持ってこないといけなくなりまして、民法の規定を商法に持ってくることによって本当にうまくいくのだろうかというところが、細かいところでいうと、悩みどころかなとは思っておりますが、そこの辺りは多分に法制執務的な要素が強いだろうと思っておりますので、我々の方といたしましては、皆様には実質の御議論を中心にやっていただき、また、今私が申し上げたような基本的なスタンスですね、そういったところについての御意見なりを頂いた上で、あとの案文作成作業等は事務当局においてやらせていただくと、そのような形になろうかと思っているところでございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。スタンスとしては今のようなことでよろしいですか。 ○箱井委員 ありがとうございました。数通発行みたいに、電子の場合には絶対要らないなというものは除外していくということは当然で、また、先ほどの証券の提示の問題みたいに、逆にこれは紙では概念的には問題にならないけれども、電子だと問題になるとか、スタンスが決まってもすんなりいかないところもあります。これまでの議論で、基本スタンスが確認できればすんなり行くかのような思いをところどころ持ちまして、必ずしもそうでないところも含めて、よく理解いたしました。お時間を取らせて失礼いたしました。ありがとうございました。 ○笹岡幹事 ありがとうございます。結論としては箱井委員、洲崎委員と同じなのですが、解釈の在り方として、参考にしていただければ幸いです。まず、商法762条というのは、証券の流通方法が券面からは明らかでない場合の一種の意思の補充規定であると考えられます。そのように考えると、民法520条の13によれば、記名式所持人払証券とは、その所持人に弁済すべき旨が付記されているものですので、流通方法は券面に明示されております。したがって、当然、商法762条は適用されないという解釈となり、すっきりするのではないかと思います。御参考までに申し上げました。よろしくお願いいたします。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。実質の結論は全く同じで、更にその理由を補充していただいたという形になると思いますが、そういうことがいえるのであれば、なおさら明文の規定は要らないという方向に傾きやすいのかもしれません。ただ、この辺は最終的に、多分に法制的な話ですので、事務局の方で更に明文の規定の要否については検討させていただければと思います。民法の規定は我々は今回、手を付けないと、例えば記名式所持人払い証券である船荷証券の規定が明示的に商法の中に入ってしまうということが特殊な事情でして、その辺りを考えて何か手を打たなければいけないかということを検討するというのが固有の事情としてありますので、その辺りは当面は事務当局にお任せしたいと思います。   実質についての様々な御意見、どうもありがとうございました。そのほか、どの点でも御意見、御質問がございますでしょうか。特に、新たに提起された問題についていろいろ御意見いただきましたけれども、これまでの問題であってももちろん結構ですし、どの点でも結構ですので、中間試案の前の最後の検討になりますので、御意見を頂ければと思います。   規定の置き方についてもよろしいですかね。新たな丁案が入りましたけれども、これを明示的に案として掲げることもよろしいですか。 ○山口委員 山口でございます。丁案については、記憶によりますと、池山委員の方から520条の9の問題が出たときに、藤田先生の方から提案を頂いたかと思うのです。商法の規定と民法の規定を両方とも準用するときに、やはり少し価値が違うような気がしまして、その意味では、民法というのはごく一般法でありますので、一般的準用で足りるかなという気もしておりまして、一つ、中間的な折衷案としてはとてもいい案かなとも一瞬思ったのですけれども、ただ、皆さんのサポートが得られるかどうかは別の問題として、全部商法、民法ともに準用規定にしますと、非常に長くて読みにくいものになってしまいますので、少なくとも商法の規定の中で準用される分は明記し、民法については一般準用で足りるとするのも非常に、形式上は見た目もすっきりして、いいかなと感じた次第でございます。   意見として述べさせていただきました。 ○藤田部会長 ありがとうございました。そうすると、なおさらこれを明示的に第4番目の案として問うということは望ましいということになりますか。 ○山口委員 私はそのように思いました。 ○藤田部会長 ありがとうございました。   そのほか、どの点でも御意見、御質問がございますでしょうか。   よろしいでしょうか。ほかに御意見ございませんでしょうか。そうすると、本日検討すべきことはこれで全部ということになります。予定よりはるかに速いペースで審議が進みましたけれども、本日、部会資料8について様々な御意見を頂きましたが、中間試案としては基本的に部会資料8で提示している内容に、今日あった議論を踏まえた必要な修正を施したもので取りまとめさせていただくということでよろしいでしょうか。   また、その修正作業に当たりまして、今日具体的な文案まで合意できなかった部分ももちろんございますし、実質的な内容の変更にわたらない範囲での修正作業をする必要がございます。私の気づいたところではフォントが間違っているところがあったりもしますが、そういった点も含めて、微修正をしなければいけない箇所があるかと思います。そういう点については、実質的な内容の変更にわたらない範囲での修正については、部会長である私と事務当局に御一任いただければと思いますが、それでよろしいでしょうか。   もし何か御異議がございましたら、挙手等によってお知らせください。あるいは、マイクボタンを通じてお知らせいただければと思いますが、よろしいでしょうか。   特段御異議がないようでございますので、それでは本日、中間試案が取りまとめられたものと扱わせていただきます。どうもありがとうございました。   それでは、この中間試案をパブリック・コメントの手続に付すこととさせていただきます。また、事務当局の責任において中間試案の補足説明を取りまとめ、公表していただきたいと思います。   本日の審議は、この程度にさせていただいてよろしいでしょうか。   それでは、事務当局に今後のスケジュール等について御説明いただければと思います。 ○渡辺幹事 ありがとうございました。今後は、本日頂きました中間試案のたたき台に対する御意見などを反映させていただきまして、部会長と相談させていただきまして、その内容を修正点も含めて確定させていただきたいと思っております。また、補足説明につきましても作成させていただきたいと思います。中間試案の補足説明につきましては、基本的には部会資料8に記載している補足説明と称している部分ですね、その内容に、本日皆様の御指摘も踏まえて修正したものとすることを想定してございます。   中間試案の公表、パブリック・コメント手続の開始の時期でございますが、今申し上げたようなもろもろの修正作業等がございますので、どの程度期間を要するかにもよりますけれども、本年3月中には公表させていただきたいと思ってございまして、パブリック・コメントの手続も開始したいと考えております。パブリック・コメントの手続の期間はおおむね1、2か月程度を予定しております。   次に、今後の部会の日程でございます。次回の第9回の部会につきましては、御連絡するのが遅くなってしまいまして大変申し訳ございませんが、4月12日に第9回、それから5月31日に第10回を開催させていただきたいと思ってございます。いずれも水曜日の午後1時半から午後5時30分まで、場所は法務省地下1階の大会議室を予定してございます。令和5年6月以降の部会の日程につきましては、現在省内で調整中でございますので、決まり次第、また御連絡をさせていただければと存じますので、いましばらくお待ちいただければ幸いに存じます。   実際の次回の第9回、4月12日の部会でございますが、恐らくまだパブリック・コメント中ということであろうかと思いますので、パブリック・コメントを踏まえた最終的な意見の取りまとめに向けた議論ということではなく、倉荷証券について検討させていただくということを現時点では予定しております。そして、5月30日の第10回におきましては、パブリック・コメントの意見なども踏まえた、取りまとめに向けた議論の再開をできればいいなと思っているところでございます。   事務当局からの説明は以上でございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、法制審議会商法(船荷証券等関係)部会、第8回会議を閉会させていただきます。   本日は熱心な御審議を賜りまして、ありがとうございました。 −了−