法制審議会 区分所有法制部会 第5回会議 議事録 第1 日 時  令和5年2月13日(月) 自 午後1時30分                      至 午後5時18分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○佐久間部会長 予定した時刻になりましたので、法制審議会区分所有法制部会の第5回会議を開会いたします。   本日も御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日は浅見委員、増田委員、衣斐幹事、吉政幹事が御欠席です。   それでは、初めに配布資料の確認をさせていただきます。事務当局からお願いいたします。 ○谷矢関係官 お手元の資料について御確認いただきたいと思います。事前に送付しました資料としまして、部会資料5「区分所有建物の管理の円滑化に係る方策(2)」、部会資料6「区分所有建物の管理の円滑化に係る方策(3)」、部会資料7「被災区分所有建物の再生の円滑化に係る方策(1)」がございます。また、参考資料9として「参照条文・資料集(区分所有法制部会資料5関係)」をお送りしております。お手元にないものがあります場合には、途中でも結構ですので、事務局の方にお知らせください。 ○佐久間部会長 早速、本日の審議に入ります。   本日は区分所有建物の管理の円滑化に係る方策と、被災区分所有建物の再生の円滑化に係る方策について御審議を頂きます。本日も長い時間にわたると考えられますので、途中、適宜休憩を入れる予定です。   まず、事務当局から部会資料5について、参考資料9と併せて御説明いただきます。お願いいたします。 ○谷矢関係官 部会資料5「区分所有建物の管理の円滑化に係る方策(2)」について、参考資料9と併せて御説明いたします。   まず、第1の1「所有者不明専有部分管理制度」について御説明します。区分所有建物内に所有者不明専有部分がある場合には、その専有部分の区分所有者自身による管理を期待することはできず、他に悪影響を及ぼすおそれがあり、また、その専有部分自体が流通に上ることがなく死蔵されることとなって、社会経済上の不利益を生じさせるということがあります。そこで、(1)では、裁判所が利害関係人の請求により、必要があると認めたときには、所有者不明専有部分の管理に特化した管理人による管理をさせるという所有者不明専有部分管理制度を創設することについて提案をしております。手続等の仕組みは基本的に、参考資料9で記載しております令和3年民法改正で創設された所有者不明建物管理制度を参考としておりますので、資料を御参照いただきたいと思います。   もっとも、区分所有建物には管理に関する特有のルールがあるため、この点について検討する必要があります。そこで、まず、区分所有建物には集会の決議というものがあることから、(2)において、管理人による議決権行使の在り方について取り上げております。本文では、基本的には当該区分所有者に代わって議決権行使をすることができるとするものの、建替え決議については、取壊しにより、当初の管理の対象となっていた専有部分がなくなり、再建建物における区分所有権を取得することも含むものであるため、議決権行使が可能な決議の対象から外す案を提案しております。(注1)では、全てを対象とする案について記載しています。また、第3回会議で検討した所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する仕組みを創設するとした場合には、除外の決定と管理人の選任の決定が併存している場面が生じ得ることから、その場合の取扱いについて検討すべきことを(注2)で記載しています。   (3)では、区分所有建物では民法の所有者不明建物管理制度にはない、共用部分や附属施設、敷地利用権についても管理の対象とすべきかについて検討する必要があることから、その点を取り上げてございます。   次に、第1の2では、「管理不全専有部分管理制度」の創設について提案しています。こちらも(1)において、管理不全状態にあって他人の権利が侵害されるおそれがある専有部分について、裁判所が選任した管理人による管理をさせるというもので、その制度の概要としては、参考資料9にあります民法の管理不全建物管理制度の仕組みを参考とすることを提案し、(2)、(3)において議決権行使、管理対象という点を取り上げてございます。   続いて、第1の3では、「他の区分所有者の専有部分の保存請求」について取り上げてございます。区分所有法第6条第2項では、各区分所有者は専有部分又は共用部分を保存、改良するために必要な範囲で、他の区分所有者の専有部分を使用することができると定めていますが、使用という文言に保存行為が含まれるかについては必ずしも明らかでないことから、明文化することについて御議論いただければと思っております。   そして、第1の4では、「管理不全共用部分管理制度」の創設について提案しています。こちらも(1)において、区分所有建物の外壁や廊下など共用部分が管理不全であるために他人の権利が侵害されるおそれがある場合に、共用部分について裁判所が選任した管理人に管理をさせるというもので、その制度の概要としては、民法の管理不全建物管理制度の仕組みを参考とすることを提案し、(2)において管理対象の提案を取り上げてございます。また、管理不全により他人の権利が侵害されるおそれの原因が共用部分にあるか、専有部分にあるか判然としない場合もあり得ることから、推定規定を置くべきか、という点について(注1)で、この制度における管理費用の負担をどのようにするかという点について(注2)で記載をしています。   以上が第1についての御説明でございます。   続いて、第2では、「管理組合法人による区分所有権等の取得」について取り上げてございます。区分所有建物の管理のために管理組合法人が区分所有権等を取得するニーズが一定程度あると考えられ、実際に取得している事例もあるとされていることから、管理を行うために必要な場合に、集会による決議があれば、管理組合法人による区分所有権等を取得することができるとすることについて提案しています。管理組合法人による取得が認められるのか、認められるとする場合にどのような要件とすべきかについて御議論いただきたいと思います。   続いて、第3では、「区分所有者が国外にいる場合における国内管理人の仕組み」について取り上げてございます。近年、区分所有者が国内に住所を有しないケースが増加しているという指摘がありますが、このような場合には、管理費の徴収や当該専有部分に立ち入っての工事が必要となる際に連絡を容易に取ることができないといったようなことが考えられ、その都度、訴訟手続等によるとすれば、時間や費用が掛かることが想定されます。こうしたことなどから、専有部分等の管理に関する事務を行わせるために国内に住所等を有する国内管理人を選任する仕組みについて提案しています。このような仕組みを設けること、設けるとした場合にどのような権利、義務とするかについて御議論いただきたいと思います。   最後に、第4では、「その他」として、専有部分と敷地利用権を分離して処分することを禁止する区分所有法第22条第1項の適用がない場合に建替え等において支障が生じているという指摘について記載しておりますが、それ以外の点も含め、その他ということで御議論いただきたいと思います。   部会資料5の説明は以上でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。   それでは、御審議いただきたいと存じますけれども、まずは「第1 区分所有建物の管理に特化した財産管理制度」のうち「1 所有者不明専有部分管理制度」について御意見を頂ければと存じます。1に関しては、どこからでも結構です。いかがでしょうか。 ○大桐委員 ありがとうございます。まず、(1)について、私は導入に賛成であり、また、内容につきましても御提案いただいた内容に賛成しております。なお、請求権者につきましては、国や地方公共団体に関して、35行目にありますように、広く認めてよいのではないかと、なぜかといいますと、例えば予納金を支払えないような人が市町村に相談をしたような場合において、受皿的な位置付けも重要かと思いますので、そのようにすることが望ましいと思っています。   さらに、管理人につきまして、どのような者がふさわしいかについては、4ページの25行目に書かれておりますけれども、士業のほかにマンション管理士ですとか、あるいはマンションや不動産管理に長け、空き家の方にも力を入れている宅建業者なども視野に入れることで、担い手不足に対応することが考えられると思っております。   (2)につきましては、また後ほど発言させていただきます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思うのですけれども、予納金を出せないときに国や地方公共団体が請求権者になるというのは、理屈の上では確かにそうだと思うのですけれども、国や地方公共団体は困るというふうになりませんかね。そんなときばかり請求権者となり、国、地方公共団体が予納金を出すということですよね。 ○大桐委員 それは国、地方公共団体の方で申立てをするかどうかは判断していただいて結構なのですけれども、そういった意味で受皿を広くするという意味においてということでございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○鎌野委員 議決権等については、後でまた意見を述べさせていただきますけれども、まず、この制度自体については創設することに賛成でございます。それで、今、大桐先生がおっしゃったこととも重なるのですけれども、私なりに、少し時間を頂いて、この制度というのがどういうふうに意味があるのかということで申し上げたいと思うのですけれども、やはり二つの場面があろうかと思います。一番深刻な問題は、やはり所有者不明専有部分ということで、その方が管理費を滞納していると、もちろん口座振替か何かで自動的に引き落とされるということだといいのですけれども、必ずしもそういうことにはならないだろうと。そうすると、管理費を滞納したままそれが放置されるというような事態というのは、やはり防がなくてはいけないと。そして、これは基本的には処分の方につながると思うのですけれども、恐らく民法の戸建てを想定した場合以上に、やはりそれは区分所有建物について管理費をお支払いいただけないということは深刻な事態というようなことで、やはり処分の方向に働くと、もちろん裁判所の許可を得てですけれども。   そして、その際に想定されるのは、なかなか今、部会長がおっしゃったように、地方公共団体、国などは難しいと思いますので、実際に、もちろん他の区分所有者がもう1住戸欲しいとか、そういうこともあろうかと思いますけれども、もしそれに市場性があれば、民間の業者が予納金を納めてでもそれを取得してということで、その際に、ここのペーパーにも書いてありますように、そういった場合には利益相反の問題が生じますので、やはりそういった場合には、これは裁判所が管理人を選任するわけですけれども、弁護士とか司法書士さんとか、やはりそれなりの中立的な立場にあると思われる方が適当なのではないかと、それが一方のこの制度の意義ということです。   もう1点は、後でも出てきますように、一括配管工事をする際に、そういった所有者不明の専有部分の立入りというのがなかなか難しいと、これは、そういった配管工事だけではなくて、今回も議論されているように一棟リノベーションの場合もやはり同じような問題が起こってくる、さらに、この後にも提案がありますように、いわゆる解消というか、これは処分と重ねるわけですけれども、そういう場面という場合には、そして、これはどちらかというと管理費滞納などとは違って、継続的にではなくてその場限りか分かりませんけれども、そういった事態が生じたような場合には、やはり、例えば管理者とか、そういう管理組合の側がここでいう請求権者、利害関係人になって請求をするということで、場合によってはそのとき限りということになろうかと思いますけれども、やはりそういうことを考えると、この制度というのは、いわゆる民法の戸建て以上に、区分所有建物の際には大きいのではないかということで、基本的にはこういう制度を導入すべきだということで、賛成をしたいと思います。   以上、ここまでで最初の話はさせていただきたいと思います。 ○佐久間部会長 本制度の意義の高さを御説明いただきました。ありがとうございます。 ○齊藤委員 ありがとうございます。所有者不明専有部分の管理制度ということでございますが、当然この制度は管理組合の現場から見ましても必要な制度だと思いますので、創設することに賛成いたします。私も、鎌野先生と同じように大変意義がある制度だと考えております。その中で、発令の単位も専有部分ごとにするということは妥当だと思います。   本制度がどんなときに使われるのだろうかと私も考えてみましたときに、一つは管理費が非常に滞納されているという場合、もう一つは、ここまでの手続をしてまで制度を利用しようとするとなると、マンションを解消する、建替えする場合があるかもしれません。特に、マンションを解消する場面が、管理組合自らが本制度を使って何とかしたいという場面になってくるのかと思います。  制度利用にあたって、4ページ目に管理に関する費用・報酬の負担とあり、その費用負担は、所在等不明所有者の負担とするとあります。当然、その考え方でよいと思いますが、管理組合にこの専有部分の管理制度の費用負担を区分所有者に費用負担してもらうということを現実的に考えると、何かこれはこの法律の中で書けというわけではないですが、これと連動して、管理組合にお金を預けておくような制度がなければ現実的ではないと思います。結局は、管理組合が費用負担ばかりをすることになるのではないか、今は管理組合にそういうリスクに対してお金を預けておくという発想や制度がございませんので、社会の仕組みとして、こうした制度も一緒に考える必要があるのではないかと思いました。   もう一つ、解消と建替えのときに使われる可能性で、建替えに議決権はないということを前提に考えたら、そのときは対応できるだろうかと思いましたところ、5ページ、6ページとずっと読み進めていきますと、非常に妥当な方針が示されておりますので、こういった形で進めていくということが可能ではないかと思っておりますので、私もこの制度に関しては大変意義ある制度だと考えております。 ○佐久間部会長 議決権のところも含めて、原案で基本的によいのではないかということで。 ○齊藤委員 はい。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○小林委員 私もほぼ同様の意見でありまして、このような制度は是非必要だと思っておりますし、ここに書いてあることはおおむね同意できます。建替え決議についての議決権についても、ここに書いてありますような取扱いでいいのではないかと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○鎌野委員 どなたもないようで、少しつなぎというか、先ほど留保した議決権行使についてですけれども、これはもし私の勘違いというか間違いだったら御指摘いただきたいのですけれども、報告書の段階では、A案として全決議について認める、B案については処分、建替え決議以外は認める、そしてC案として全決議を認めない、ただ、ここではC案というのが削除されているということで、その点を少し確認したいと思います。   そして、私は報告書の段階では、C案でいいのではないかと、要するに全決議権を認めない。その理由として、成年後見などと違って本人の利益というのが明白でないということでしたけれども、その後、今回の資料を読ませていただいて、なるほどと思って、そして、ここでの提案は、本案としては基本的には建替え以外については議決権を認めるということで、結論から申し上げますと、それに賛成でございます。ですから、前に報告書の段階で申し上げたことを修正させていただければと思います。   それで、もし間違っていたら私の理解について御指摘を頂ければと思うのですけれども、これは裁判所の認定というか、それに係らしめるのですけれども、基本的に大きく捉えると、管理人にいわゆる議決権を含めたその代理権を与えたと、そういった意味では一種の、括弧付きですけれども、法定代理なのかなと。そうすると、基本的にはやはりこういった管理人に議決権を与えるというのが筋なのかなということだろうと思います。   そして、その説明の仕方なのですけれども、少しこれは御検討いただいて、私の理解が間違っているかも分かりませんけれども、8ページ辺りに、建替え以外の場合は管理人が所在等不明でないと捉えて除外決定を取り消すというような記述がありますけれども、今私が申し上げたことの理解からいうと、もうそういった意味で、もちろん裁判所の必要性というか、それを慮って管理人を選任するということですけれども、どちらかというと、もうその専有部分の管理については専らこういった管理人が行うというようなことで、何か所在等不明でない場合と捉えてとかいうか、そういう説明というのは必ずしも必要ないのかなと。もちろんその前提としては、除外決定があった場合にそちらの効力の方が優先すると、所有者不明専有部分管理命令の効力よりも優先するという前提なのですけれども、とはいっても、やはりそのような説明の仕方がいいのではないかと。   さらに、議決権というのは主に共用部分などの管理に関係するのですけれども、(3)のところにありますように、基本的にはやはり専有部分と共用部分というのは一体、特にそれを処分するような場合には、やはり共用部分もしっかりと管理されていないとその専有部分の価額などにも影響を与えるということで、これは一体であろうと捉えるというようなことで、そういう理由付けというか、むしろそういうのが私は理にかなっているのかなということです。   そして、8ページのところで建替えの場合の御説明がありますけれども、そこの御説明では、除外決定を取り消せないこととし、所有等不明区分所有者に代わって議決権を行使できないものとするということで、これもむしろ強調すべきことは、6ページのところにありますように、具体的な行数はお示ししませんけれども、管理人というのは専有部分の管理を職務とする者であって、再建建物の専有部分を所在等不明区分所有者に代わって取得するものではないと、こちらの方の御説明の方が適しているのかなと、要するに管理人というのはそういうものだということで、ですから、議決権の行使に関しては本文の御提案のとおりに、建替え以外については認めるということでよかろうと考えております。   少し長くなりましたけれども。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。提案自体は御賛成ということなのですけれども、資料の考え方について、大谷さんから、御説明をお願いします。 ○大谷幹事 確かに今、鎌野委員がおっしゃったとおり、研究会の報告書の段階では議決権の行使はできないという提案もございました。しかし、その後考えてみますと、この管理人というのは、鎌野委員がおっしゃったとおり、一種の法定代理人で、所有者に代わって区分所有建物の管理を、まず専有部分を基本としながら共用部分の管理も行えるというものだとしますと、議決権の行使についても基本的にはできるはずだろうということから、C案といっておりました議決権行使をできないという案は落としました。その上で、今正に鎌野委員がおっしゃったとおりのような考え方で、建替え決議についてはできないという方向で考えてはどうかということで、説明ぶりについては、今の御指摘も踏まえまして、また検討させていただければと思います。ありがとうございました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。 ○能登委員 制度の創設について賛成いたします。発令の単位、要件、手続等も、今回資料に書かれている方向性に賛成ですが、今正に議論に上げていただきました議決権の行使については、研究会資料から削除された、議決権行使はできない、という案を考えておりました。資料から削除した意図を御説明いただいたところではあるのですが、現場の執行からしますと、建替え決議に限らず、全ての議決権行使ができないものとしていいのではないかと考えております。   理由としましては、区分所有建物の決議は、修繕に限っても軽微なものから大規模修繕まであり、代理人として十分な能力を持たれている方であっても、管理人が賛否の意思判断をすることが事実上難しいのではないかと考えているためです。管理人の役割として、所有者に代わって保存・利用・改良行為、裁判所の許可を得た上での処分は可能ですが、対管理組合において議決権行使はできず、諸手続や対応窓口、取次ぎ業務ということを担う等が適当なのではないかと考えております。   今回資料でも、建替え決議については議決権行使の対象から外す、議決権行使をしないという案となっており、建替え決議につきましては高度な賛否の判断が求められますので、外す方向で良いと考えます。単純に金額の大小を基に判断するわけではなくて、様々な建物施設計画が考えられる中で、絞られた再建計画の内容、建物の形や大きさ、色調といった、細かいところまで各区分所有者が吟味して賛否の判断を下すもので、各区分所有者も短期間で判断しているわけではなく、やはり数年掛けて議論して、事業関係者と個別面談を行う中で理解を深めて、賛否をじっくり判断していただいていると思います。建替えに限らず、大規模修繕なども同じことかと思いますので、先に申しましたとおり、管理人は議決権を持たないという方向が良いと考えております。   また、部会資料5ページの注2に記載されている除外決定と管理人の議決権行使との関係についても、決議の母数から所在等不明区分所有者を除外する案に我々は賛同している立場ですので、管理人が指定された後も、その専有部分はあくまで所有者不明住戸として取り扱い、母数から除外することが望ましいと考える次第です。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。御意見承りました。   ほかにいかがでしょうか。 ○大桐委員 (2)の議決権行使につきまして、御提案の案に賛成しておりまして、なお私なりに頭の中で整理しつつ、確認したい点が2点ございます。   まず、大きく分けて、保存・利用・改良行為、そしてもう一つが処分、売却ですとか取壊し、もう一つが新たな建物取得を含むケースという三つに分けられると思うのですけれども、まず最初の保存・利用・改良行為につきましては、管理人が付きましたときには独自の判断で、裁判所の判断を仰がずに、賛成と反対を決断することができるということで、先ほど能登委員からもありましたように、大規模修繕のような費用負担が大きいものも出てくるということは予想されますけれども、こちらについては、管理人としては物単位の管理人でして、本人についてどのぐらいの経済的な背景があるのか、それが分からないということがありますので、恐らくそういったケースは反対するということになるのではないかと思います。   確認しておきたいことは、飽くまで区分所有者本人だったらどう判断するのかというところを推し量って判断するということであり、管理人という、適切な管理に協力する責務ということが5ページの33行目にありますけれども、管理人に選任されたからということで、本人が判断していたよりも、よりマンションのためにというか、公益的なものを考えて判断しなければいけないのかどうかは少し疑問に思っておりまして、飽くまで本人の管理人なので、本人だったらどうするのかを考えて議決権を行使すればいいのかどうかというところを一つ、確認させていただければと思っています。   続きまして、次に処分に関しては、裁判所の許可を得て賛成するというのが6ページの4行目にあります、こちらについて、もし反対する場合は許可を得る必要があるのかどうか、あるいは、許可がなかった場合は権限がそもそもないということになるので、いないものとして扱って、除外認定があれば母数から除外されますけれども、その除外の決定がなければ事実上、反対扱いになると、そういった整理で正しいのかどうか、その辺をお教えいただければと思います。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。大規模修繕等も含めて管理人の判断の基準と、もう一つ、処分の場合に反対することについて裁判所の許可は要らないのかということ、この2点について大谷さんからお願いできますか。 ○大谷幹事 現時点での考え方ですけれども、大規模な変更工事を行うといった場合に、管理人としては今、大桐委員がおっしゃったとおりで、ほかの人のためにというか全体のためにといった義務を負うわけではなくて、飽くまでも所有者に対して善管注意義務を負うという形になると思いますので、善管注意義務を負う者として、適切と思われる判断をしていくことになるのだろうと思っております。   二つ目の点についてですが、反対することに許可が必要かどうかにつき、今おっしゃったように、区分所有権の処分を伴う決議に関しては、放っておいて投票しなかったら反対と同様に扱われると考えられることからしますと、反対することについては御自分の判断でもできるのではないかと思われます。 ○大桐委員 ありがとうございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○村上委員 ありがとうございます。今ほど議論がありましたが、所有者不明専有部分管理制度を作ることは、特定の専有部分に利害関係を有する方にとっては便利な制度ではないかと思っており、賛同いたします。その上で、今ほどのお話にありました、どこまで議決権を行使できるのかということですが、専有部分の管理権を有することからすると、議決権の行使を広く認める考え方もあるかもしれませんが、一方で決議内容には、先ほどあったような大規模修繕の話もありますし、修繕積立金や管理費の増額など、所有者に義務を負わせることもあり、そういったときに専有部分の管理権限を超えてしまうのではないかという疑問もあり、その辺りをどのように整理するのか若干の疑問がございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。どこかに書いていなかったかな。実は議決権について、そもそも規定を置くかということも確か検討していて、権限の範囲で決まってくるから、それでいいのではないかという考え方もあると思うのです。私はそれでもいいのかなと思っているのですけれども、しかし権限の範囲内で議決権を行使することができるという抽象的な考え方によりますと、では、この議題についてどうなのかということが問題となってまいりますので、具体的に定めた方がよかろうということに今のところ多分、なっています。   その上で、建替えについては恐らく鎌野さんがおっしゃったポイントが決め手で、新たな区分所有権の取得というのが管理の中に入っているはずはないので、これは除外というのは恐らく理屈の上でも正しいと思うのですが、大規模修繕等の費用負担を伴うものについて、管理人自らがお金を出さなければいけないということは絶対ありませんので、お金を出さない人が賛否を明らかにして議決に加わることが適当なのかということは問題としてあり得ると思うのです。ほかのことについても同様の問題はあると思うのですけれども、そういう問題を、議決権の範囲を明らかにするということで漏れなくとか、あるいは一定の基準で示せるかというのが、なかなか難しいところなのだろうと思います。お考えは皆さんいろいろあろうと思うのですけれども、そうすると、お金の面はお金の面で、あるいは最終的に区分所有者に生ずる負担は負担として、どちらにしても管理人自身は責任を負わないわけですし、議決権の行使については区分所有者との間で負っている善管注意義務に照らして投票するのであれば、その結果については区分所有者も受け入れるべきものだということで正当化できるのではないかというのが多分、今の提案の背後にある考え方であろうと思います。全然決め手になる考えは示せていないのですけれども、御疑問、御懸念はもっともなところがあると思いつつ、ではどう規定し分けるかというのはすごく難しいと思っているところです。 ○吉原委員 ありがとうございます。私も資料にある御提案の内容に基本的に賛成いたします。先ほど大桐先生のおっしゃった、管理人の判断基準というものがあくまで不明区分所有者本人のためなのか、あるいはマンションの公益的なものも考えて判断するのかという点は、非常に重要だと思っております。   今回の新しい管理制度が提案された経緯を少し振り返ってみますと、まず、民法が改正され、所有者不明土地・建物管理制度、それから管理不全土地・建物管理制度ができた。その理論的な、あるいは考え方のベースとなっているのが改正土地基本法です。2020年に30年ぶりに改正された土地基本法において、土地所有者の責務が初めてうたわれ、そこにおいて第一次的には、土地の管理責任はまずは所有者が追うこと、土地の権利は上下に及ぶということで建物も含めて考えていいと思うのですけれども、そして、その際の議論において非常に重要だったのが、一次的には所有者がその責務を負うのだけれども、所有者が適正な利用や管理を十分にできない場合には近隣住民などが補完をすることが大事であること、そして、市町村や国などはそうした取組をサポートするような政策を出していくという、そういう重層的な構造が打ち出されました。こうして、近隣住民などが補完的な役割を果たすことの重要性が認識されたことを踏まえて、改正民法において新たな管理制度ができてきたと理解しております。そして、新たな管理人というものがどちらの方向を向いて管理を行うかということが民法・不動産登記法部会でも論点になったかと記憶しております。管理人はもちろん所有者に対して善管注意義務を負うわけですけれども、同時に周辺住民に不利益を与えないような適正な管理を実現することも両立させることが視野に入ってくるのだろうと思っております。   そうしたことを考えますと、議決権の行使の範囲というものも、もちろん区分所有者の利益のためというものがあるわけですが、マンションという権利の集合体であり、また公益的なコミュニティの性質も持つものについて、そこにおける適正な判断というものを、やはり管理人は意識しておく必要があるだろうと思います。それが可能な議題の範囲がどこまでなのかという点については、基本的には私も、この建替え決議は抜くということで賛成を致しておりますけれども、先ほど能登委員からも御指摘がありましたように、それ以外の議決について、本当に区分所有者及び周辺のコミュニティに対する適正な判断をできるのかということは考えていく必要があるだろうと思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。全体のというか、建物の在り方としてふさわしいものを保つということに対してもコミットしていけるようにすべきだというお考えでよろしいでしょうか。 ○吉原委員 ありがとうございます。冗長な発言になって申し訳ありませんでした。 ○佐久間部会長 いえ、ただ、少し考えながら申し上げていたのは、能登さんは議決権を与えないというお考えでしたので、それには結論としては賛成ではないということでしょうか、それとも結論も賛成だということでしょうか。 ○吉原委員 結論は、資料の記載のとおりで賛成でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○鎌野委員 先ほどの建物敷地売却決議に関してですけれども、大規模修繕の話が出ましたけれども、私の考え方を述べさせていただきますと、その前提としては、部会長がおっしゃったように、なかなか、どういう場合に議決権を与え、どういう場合に議決権を与えないのか、建替えを除いては非常に微妙であると、その一つの例として大規模修繕工事の場合と、そしてその前提としては、恐らく多くの費用が掛かるだろうという前提だったと思いますけれども、基本的には大規模修繕工事というのは(3)のところにある共用部分などに関わるものでありまして、基本的にはやはり一般的な思考として、もちろん例外はあるかも分かりませんけれども、共用部分などを中心に大規模修繕工事をすると、当該専有部分の価値というか、それを例えば処分したときにも上がるだろうというような見地から、やはりそう考えれば、そういった、例えば大規模修繕工事なども当該専有部分の価値の上昇につながるというか、そういうものだということで考えることもできるのかなと思っております。それが第1点です。   そしてもう1点は、6ページの29行目で、若干気になったので確認をしたいのですけれども、議決権行使の許否について、所在等不明区分所有者の帰来可能性ということで、ですから、この理解としては、恐らくこういった利害関係人の請求に応じて管理人を選任するという際に、裁判所は帰来可能性というのも判断するので、ですから、ここでいう帰来可能性というのは認定時のものではなくて、その後、後発的にそういう帰来可能性が起こってくるという理解でよろしいのかどうかと、少し気になって、何でこれが急に出てくるのかということで、他の要件はまあ、そうなのですけれども、もう一つは所在等不明区分所有者が得ることができる対価等の額ということで、やはりそれも一つの総合的な要素ですから、こういうのも含めても特には問題ないですが、余りこれは関係ないのかなと、むしろ関係するのは、そういった管理人にとっての当該区分所有権の価値というようなことで、それが、例えば非常に危険な有害な建物まで至っている、あるいはもうかなり老朽化してコストばかり掛かっているというような場合にはプラスの方向に働くのでしょうけれども、全くそうではないような場合というのがここでの実際の問題になるのかなというようなことで、これは私の意見というか、感想を少し述べさせていただきました。 ○大谷幹事 6ページの帰来可能性のところでございますけれども、所在等不明の認定がされるためには、もちろん必要な調査を尽くしても区分所有者の所在等が不明であるということを立証していただく必要がありますので、一般的には簡単に帰ってこないということが想定されるわけです。しかし、いつ頃から区分所有者と連絡が付かなくなったのか、相当年数が経っていればそれだけ帰来可能性も更に低くなるというところがあろうかと思います。裁判所の許可の御判断の際には、そういった、どれぐらい連絡が付かなくなっているのかといったことも含めて判断されることになろうかと思います。管理人選任時に帰来可能性がなくて、その後可能性が増える、そういったことではないとは思っております。 ○佐久間部会長 この帰来可能性は、建物敷地売却等への許可の話ですよね。これは、先ほどの大規模修繕にも関わるのですけれども、要するに、帰ってくる可能性のある人と帰ってくる可能性のない人とでは、当該建物について処分をするしないの、やはり必要性というのですか、あるいはニーズも変わってくるのではないかと。帰ってくる可能性のある人だと、どちらに振れるか分かりませんけれども、専有部分を残しておいてあげた方がいい、建物敷地売却には余り踏み込まない方がいいということだってあり得ると思うのです。   それで、鎌野さんがおっしゃった大規模修繕のところの賛否については、原案のとおりでいいと個人的には思っているのですけれども、共用部分がよくなると専有部分の価値が上がるからいいのだというのは、専有部分を使い続ける人にとっては単純にいえることだと思うのですけれども、帰来可能性に関連すると思いましたのは、およそ帰ってきそうにないという人には専有部分の価値が高まるということに、費用が掛かった上でということだと思うので、当然にそれがいい点だとはならない可能性があるのではないかと思うのです。   では大規模修繕はどうなのだというと、これは吉原さんがおっしゃったことに多分つながると思いますが、大規模修繕についてはやはり、マンションというのは何年かに1回大規模修繕するのがある種、当たり前のことで、それをしないようなマンションなんていうのはとんでもない状態になるのだということを考えると、各区分所有者個々人のというよりは、区分所有者の総体にとっては、それは当然すべきことであり、利益にもなることなのだというような考え方が、例えばあり得るのではないかと。そうすると、お金は出さなければいけない、しかし、その後、区分所有者自身、不明の人が帰ってくるわけではない、使わないかもしれないということであっても、善管注意義務を負っていても賛成をするということはあり得てもいいのかなと思うのです。   でも、それは飽くまで大規模修繕の場合であって、ほかの変更とかになってくると、また違うなと感じる。一体この管理人はいつまでどういう状態で管理をし続けるのがモデルというか想定例なのかということをよく分からない状態で、どうしますかということを議論しているようなところがあるので、個々の権限となるとすごく悩ましいところはあるのではないかと思っています。単なる感想ですけれども。 ○大桐委員 先ほどの点と関連して、本人でもマンション全体のためには大規模修繕がいいと思っていても、金銭的にそれほど出せないので反対という方もいれば、その辺を気にせず賛成という方もいると思うのですけれども、そういう観点からしますと、管理人に選ばれた人も同じように、賛成も反対も、両方あっていいのではないかとは個人的には思っているところであります。   続きまして、少し話が変わりますけれども、除外決定との優先関係についての記載が8ページの6行目にありまして、こちらについても優先関係の記載は提案どおりで、基本的に私も同調しているところではあるのですが、ただ、除外決定を取り消さなければいけないということになりますと、その取消し決定を管理組合が把握できるシステムというのをどのように構築していくのかを別途考えなければいけないと思っておりまして、といいますのが、決議の瑕疵にならないようなシステムが必要で、管理人に組合へ通知する義務を負わせるですとか、別途そういった対応が必要なのではないかと思いました。   提案内容とは別に、常に議決権行使ができなくなる方がシンプルでいいのではないかという意見もありまして、除外決定の方が常に優先するということも一つ、考え方ではあると思うのですけれども、除外決定の取消しをするとなった場合には、先ほど申し上げたようなシステム構築が必要なのではないかと思っています。 ○大谷幹事 今の点、最後の方におっしゃったのは、もう取り消さないでということですか。二つ、管理命令も除外決定もある場合には、除外決定だけにしてしまって、管理人はもう出てこないでもいいのではないかという御意見もあったということですか。 ○大桐委員 そうですね、管理人は管理人として管理をするということでいいのですけれども、管理人にはその場合は議決権行使を認めずに、除外決定がある場合には除外決定だけで行くというのもシンプルなのではないかという意見もありました。 ○大谷幹事 今の通知をするといったお話は、どなたが取消しの決定を求めるべきなのかということにも関連しているように思いまして、今の御指摘も踏まえて少しまた考えてみたいと思います。 ○大桐委員 ありがとうございます。 ○佐久間部会長 今おっしゃったのは、除外決定が先にあって管理人が選ばれた場合ですか。それは多分、除外決定がそのままというのはあり得ると思うのですけれども、管理人が選任された後に除外決定を取るというのは、認めるのか認めないのかは弁護士会ではどうお考えですか。どちらがいいかは置いておいて、今どうお考えですかと。 ○大桐委員 管理命令があって、除外決定を取りに行くということですか。 ○佐久間部会長 それはできないことにするのですか。 ○大桐委員 できないことにするという意味ではなく、管理命令は管理命令として、管理をするという必要性があるので、除外決定のシステムとはまた別の概念だと思うのです。 ○佐久間部会長 それは分かっています。まず管理命令で管理人が選任されました、一旦その状況で、建替え決議を除けば議決権が管理人にありますという状態であるところを、管理組合の方が、あるいは誰かが除外決定を求めた場合に、それを許すのか、許さないのか。もし除外決定をしたら、管理人は議決権行使できなくなりますよね。 ○大桐委員 はい。それはそれでいいのではないか。 ○佐久間部会長 それでいいというお考えで、そうすると、例えば、管理組合が口出しはさせないけれども管理だけはさせるというようなことをやろうと思ったら、やれるということですか。 ○大桐委員 そうですね。 ○佐久間部会長 そういう意見もあったということですね。弁護士会全体の基本的な意見がそうだということですか。 ○大桐委員 多くの意見は、御提案いただいた内容に賛成。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。 ○沖野委員 ありがとうございます。今の除外決定との関係ですけれども、部会長がおっしゃいましたように、二つの決定の先後関係、先後というのは時間的な、どちらが先に出るかによって、取り消すという処理になるのかどうかというのは、もう少し細かくなるのではないかと思っております。前提として、管理人に建替え以外の決議についての議決権行使の権能が一般的にあるという考え方を採った場合に、除外決定の方が先行していて、その後、管理人が選ばれたというときには、一律除外ではなくて、管理人に逐一判断させるのが適切であるという判断がされるという前提をとるならば、それ自体もどういう趣旨で管理人が選任されるのか、専有部分の修繕の契約をするためだけに選任されるのならば、そこに食い込む必要もないということがありますので、それも少し分からないところで、権限をおよそ与えるということになるならば、建替え以外の全般についての除外決定を取り消す、一部取り消すということになると思うのですけれども、果たして管理人選任の趣旨は一律そうだといってよいのか、もしもう少し細かくするならば、あるいは裁判所の決定において管理人の権限はここまでというふうにして、除外決定は維持するということもあるのかもしれないと思いました。   逆に、管理人が先行しているときに、かつ管理人の権限自体が元々非常に限定的な権限で決定が出るということであれば、そもそも除外決定が出てもバッティングはないわけですけれども、管理人には議決権行使を認めるとしているときに、除外決定を出すと、これまでは管理人を説得しないと賛成を得られないというようなところがあったのを、一律母数から除いてしまえてということで、本当にそうしていいのかという問題が出ますので、元々の管理人にどういう権限を与えているかによって、もし議決権を与えているのならば、今度は除外決定の範囲として、建替え決議に限るというような決定の中身を明らかにすることになるのではないか、あるいはそれを解釈でやるのかもしれません。ですので、これはかなり細かくやらざるを得ないかなと思っておりまして、それで、もう一つは、管理人の議決権行使において、権限がおよそなければ気にしなくていいのですけれども、権限があると非常に悩ましい判断を迫られることになり、善管注意義務が背後に控えていますので、下手に権限を行使すると自らの責任を問われるということになります。   ただ、今までのお話の中では、現状維持というか、基本的に何らかの議決の事項があって、それに対して反対を投じる際は何かを変更するわけではないということであれば、基本的に自分はもう判断できませんという趣旨で反対に回るというのであれば、善管注意義務には一般的には反しないのではないかとも考えられるわけですが、ただ、そういう立場を採りますと、先ほどの公益というか、コミュニティにとってどうかという、除外決定を得ればおよそそういう母数から外してしまえるのに、その人を選んだことによって、何とかその人を説得しない限りは全て否決一票みたいになってしまうということも悩ましいと少し思っておりまして、結論は直ちに出ないのですけれども、そう簡単に一律というわけにもいかない問題なのかなと思っております。   それから、少し別の点ですけれども、費用負担を伴うかというのは非常に重要ではありますけれども、ただ、専有部分だけでも改良のためにかなりの費用が掛かると、契約をしてこれだけの修繕をしないといけないというときには、最終的には費用負担が本人に掛かることになりますので、費用負担があるだけでは一律には切れないのかなと思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。1点だけ確認させていただきたいのですけれども、除外決定と管理人の選任というか権限の関係で、元々管理人にどういう権限が与えられているのかということによって、選任の段階で考え方をきちんと細かく、規定に置くかどうかはともかく、明らかにしていくというか、分析しなければいけないのではないかとおっしゃったと思うのですが、それは管理人の議決権がどの程度与えられるかというところでも考慮する必要がそもそもとしてあるのか、その段階はいいというふうにお考えですか。つまり、管理人の権限の及ぶ範囲でしか基本的には議決権の行使というのは問題にはならないのだろうということからすると、管理人は、仮に建替えを除いて全て議決権を行使することができるというような法律の規定になったときであっても、権限の範囲を超えるというのですか、先ほどおっしゃったのは何でしたか、違うかもしれませんが、配管の工事関連で、例えば、そのために管理人が選ばれましたというときに、しかし、それしかするなということには多分ならないですよね。その場合に、配管以外の問題の議決権は行使できるとしておいていいのか、そこも細かく見ていく必要があるとお考えか、それを少しだけ伺いたいと思います。 ○沖野委員 実はそれ自体が二つの可能性があるのではないかと思っておりまして、一律に権限を与えるということにすれば、もうそれは全部与えられる、ですから議決権の行使についても与えられる。先ほどの、配管のためにだけれども配管には限られていないというタイプと、配管のためだけに選任しますということが許されるかどうかということなのかなと思っておりまして、基本的には配管のためだけれども、管理人というのはそれに伴ってまとまった権限が与えられて、あと具体的な権限の行使については、自分だけで判断できるものもあれば裁判所の許可が必要なものもあると、そこを、権限自体をそもそもこの範囲でしか与えませんというようなものにするのか、しないのかというのも一つ、選択肢だと思うのですけれども、それをやるとかなり細かい話が出てきそうだということで、そうではなく、もう一律に与えて、あとは具体的な権限行使のところは、必要があればというか、事項によっては裁判所の許可ということで判断してもらうという方が、より簡明にはなると思います。これで明らかになったでしょうか。 ○佐久間部会長 今のお話ですと、権限自体は、ややこしくなるので、基本的には一律に与えておいて、議決権の行使のところで除外決定をするかしないかというのは、個別に決められることにする、面倒くさい面もあるので実際にどれだけされるかは置いておいて、これは除外決定する、これはしないというのは、議決権行使に関していえば、その段階で調整することもあり得ると、そういう御理解でよろしいでしょうか。 ○沖野委員 はい、そういうふうに考えています。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。先ほども少し申し上げたことですけれども、議決権をどこまで行使することができるかは権限の範囲に任せておけばいいのではないかと、そういう考え方もあり得ます。ただ、権限の範囲といってもいろいろ実はややこしいところがあるので、議決権の行使をそのような権限の範囲と基本的には連動させる方が望ましいのだということになると、議決権の行使についてだけその範囲というのをはっきり定め切ってしまうことはいいのかどうかという問題にもなるのかなと思い、私には考えは全然ないのですけれども、どういうふうにお考えかを伺った次第です。ありがとうございます。 ○沖野委員 ありがとうございます。少し関連するのかどうか、まだ自分の中で整理が付いていないことをお話しするのも申し訳ないのですけれども、結局は権限の範囲の問題であるので、議決権だけ取り出して、それがどういう範囲か、建替えはとにかく除くということにして、かつ、およそ与えないというのはまた別としてですけれども、それはそれに連動させればいいだけのことで、その解釈であったり、不明であれば、やはり裁判所に、これは行使していいかというような話をするということは十分あり得るように思うのですけれども、ただ、そうした場合に、例えば、一方では除外決定の方は事細かに、この範囲で除外決定を出しますということは明確になるわけですかね。もしそうであれば、いいのかなと思ったのですけれども、そこが明確にならないと、例えば、様々な通知を出す管理組合とかは、誰にどの項目について通知を出したらいいのかとか、その辺りの混乱も生じそうな気がしまして、少しそこが気になっていたのですが、ただ、その点は部会長がおっしゃった、除外決定の方はそれなりに明確にしていくということであれば問題はないのかなと思います。すみません、余計なことだったかもしれません。 ○佐久間部会長 私は必ずしも除外決定の方は明確にできると思っていたわけではなくて、管理人がどういう権限を持っているかということと除外決定の関係は細かく検討していかなければいけないのではないかとおっしゃったところから、では、細かく検討していくときに、この除外決定はどう、あの除外決定はどうと個別に考えていくことがあり得る、そういうふうにお考えを一旦理解してしまいましたので、それで、除外決定の方を細かく調整するということなのかなと思って伺ったということなのです。しかし、そもそも除外決定を細かく調整するなんていうことは、今のところ考えていないですよね。 ○大谷幹事 除外決定につき、以前取り上げて御検討いただいた際には、除外決定がされた場合には、全ての決議から一律に除外されるという方向になっていたところです。この決議については除外する、しないということをやると非常に混乱が生じそうな感じがいたしますので、今の時点ではそういうことにはならないのではないかと思っていたところです。   なお、沖野委員が今おっしゃっていた中で、管理人が選任されて、議決権を行使するかどうかが善管注意義務違反になるかどうかというお話がありましたが、別途御検討いただきました出席者の多数決による決議の仕組みもあります。その中でも、処分を伴わない決議については投票しなければ母数から除外されるというものもありますので、それとの関係も考えていく必要があるのかなと思った次第でございます。 ○鎌野委員 今との関連で、私が最初に確認をした法定代理とも関連するのですけれども、そういったことで管理人に言わば一種の法定代理権を与えると、そうすると、類似の制度として、未成年者の場合の親権者とか、それから成年後見の制度があって、そうすると、もちろん法に特別の定めがあれば別ですけれども、そうでないような場合には、基本的にはその管理人に善管注意義務の上で言わばお任せするというか、そういうことで議決権、そして、事細かに除外決定を分けて、こういう場合はというのは多分、立法的にはなかなか難しいのかなと。そうすると、もうそこでは、言わば一種の割り切りかも分かりませんけれども、管理人に建替え決議を除いて議決権を与えて、そして、あとは管理人の判断であると、当然善管注意義務を負っていますので、権利濫用などになると後日それが争われる可能性がありますけれども、その範囲で、そして、その管理人は議決権を行使する際に賛成することもできるし、反対することもできると、先ほど大規模修繕の話が話題になりましたけれども、一般的には必ずしも大規模修繕工事の際に、もちろん管理人ではなくて、その所在等不明者が負担するのですけれども、実際に、これは後で国土交通省の方に、そうでないということであればお教えいただきたいのですけれども、修繕積立金などで、これまでのもので賄える可能性というのはかなり多いし、現に大規模修繕では、言わば過半数決議で一般的にはできると解されております。部会長がおっしゃったように、これは不可欠なものでありますので、ですから、そういうことを勘案して、その大規模修繕工事のための積立金があるというような場合と、いや、ここではそういうものはたまたま欠けているので、そうするとこれが御本人の負担になるなと、それならば賛成を投じようとか、あるいは棄権をしようとかという判断を管理人に任せる、そのぐらいの裁量を管理人に与える制度だと理解するのが立法的にもいいのかなと考えております。少し意見を申し上げました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。原案に全体としてというか、各論も含めて賛成であるとはっきりおっしゃっていただいた方も複数おられますけれども、そもそも議決権を与えることに賛成できないという御意見もありました。また、項目によるのではないかというお考えもありましたし、議決権を与えるということになりましても、その投票行動の在り方についてはどうも様々な考え方があるというか、委員、幹事によって違うということも明らかになったと思います。   以上を踏まえまして、原案をおよそ否定するということはないかもしれませんが、なお細かく検討をしていきたいと存じます。ありがとうございます。   時間の関係もありますので、また後で戻っていただいても結構ですので、次に進めさせていただきます。続きましては、部会資料5の第1の残りを全てお願いいたします。2、3、4ですね。管理不全専有部分管理制度、他の区分所有者の専有部分の保存請求、そして、4の管理不全共用部分管理制度について、御意見を頂ければと存じます。いかがでしょうか。 ○齊藤委員 管理不全の専有部分の管理制度、それから共用部分の管理制度もそうですが、まず1点目は、管理不全をどう定義するかということが重要だと思っております。管理不全をどう捉えるかということにより、対象となってくるマンションが変わってまいりますので、専有部分、共用部分、両方に共通したポイントかと思います。2点目に、選任された管理人は何をもって終了するのでしょうかということでございます。管理不全がなくなれば終了なのか、何をもって管理不全がなくなったとするのかということ、これも議論の中で重要な点かなと思っています。3点目に、この専有部分、共用部分の管理制度に、国や地方公共団体もこれを請求していけるということも重要であるかと思いますが、共用部分に関して近隣の方の御意見も反映できるという場合に、近隣の方の御意見はどういう形で反映していくのでしょうか。お一人の方でも苦情があれば、これは近隣の意見と捉えるのかということでございますので、この辺りも制度としては考えておく必要があるのかなと思いました。   この管理不全共用部分の管理制度と、マンション管理適正化法で地方自治体が指導、助言、勧告ができるという制度と連携をしていくことが、現実的にはとても有効ではないかと思います。マンション管理適正化法でしっかり管理していないものに対して指導、助言、勧告ができるということですが、ではその先どうするのだということになりますので、本制度が連携をしていったらよいのではないかと思っております。区分所有法の改正を議論する場ですが、その内容がより社会的に意味がある形になるように制度の構築もあわせて考えていく必要があると思っています。   さらに、選任される管理人は誰なのだということで、これも非常に重要かと思います。誰なら、困っている状態の管理を、例えば外壁が剥落しそうなマンションを、その外壁を場当たり的に修繕するということだけでは問題は解決しませんので、管理を適切に誘導していけるのかです。多分、該当のマンションには実質的に管理組合もなく、規約もなく、管理者もなく、集会も開けず、長期修繕計画もなく、修繕積立金もないという状態ですから、場当たり的に修繕を行っても問題の解決につながっていかないとしますと、管理組合をしっかり立ち上げて、その体制の基本的なものを整えていくこと、そうした体制と連携をしていく必要があるのではないかということで、先ほどマンション管理適正化法の制度と連携していったらどうでしょうかということを申しました。そうしたら、実際にこの管理人として派遣される人が現実的にはどんな方があり得るのか。いろいろな可能性があると思いますが、すでに、実績が一番多いのはマンション管理士ではないかと私は理解しております。私も幾つかこういう管理不全マンションを立て直したマンション管理士のお話を聞かせていただきました。そういう意味では、マンション管理士が派遣されて、そのマンションの管理組合の管理者となって立て直していくということにつなげていくということにも連携していったら、この制度はより有効かなと思っているところでございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。御質問が三つありました。それらについてお願いいたします。 ○大谷幹事 管理不全の定義についての御質問がありました。最初の説明にもございましたように、参考資料9の民法の管理不全建物管理制度を基礎としてということをここで提案しております。参考資料9の後ろから2枚目に、管理不全土地建物管理制度についての資料がありますけれども、問題の所在のところに書いてありますように、実際に危険になっていて、物権的請求権とか不法行為に基づく損害賠償請求権とか、そういうものを近隣の方が行使できるような状態になっているものをここでは想定しています。現行法では訴訟を起こして一回的な解決をするという方法しかないところを、管理人による柔軟で継続的な管理をすることを可能とするということにこの制度の意義があるのではないかと考えています。   では、どういうときに終了すればいいのかということでございます。これについてはケース・バイ・ケースになると思います。元々状態が悪いもの、危険なものを補修して、そこで終わりということもあるのだろうと思います。他方で、これは管理不全土地管理制度の創設のときに少し議論になった話でございますけれども、例えば、誰かが不法投棄をしていってゴミがどんどんたまっていってしまう、定期的にそういうことがあるというときに、そのゴミを一時的に廃棄しただけでまだ足りないということもあり得るのではないかということで、継続的な管理をするために、管理人による管理が必要だという場面もあると言われていたところでございまして、もしかしてここでも同じようなことがあるのかもしれません。   それから、近隣の関与についての御質問もございました。基本的には区分所有建物の管理が不全状態になっているせいで被害を受けている方が申立人となる、利害関係人となるということを想定しておりますので、それは近隣の方のうちのどの範囲になるかというのはケース・バイ・ケースになるわけですけれども、場合によっては1人だけがその危険を負っているという場合もあり得ると思いますので、1人の方、その被害者の方が利害関係人として請求をするということもあり得ると考えています。 ○佐久間部会長 御質問については以上でよろしいでしょうか。 ○齊藤委員 はい、分かりました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   では、ほかに御意見は。 ○矢吹幹事 矢吹です。マンション管理適正化法のお話もありましたので、少しコメントできればと思います。齊藤委員がおっしゃるとおり、管理がよろしくないマンションについて自治体が助言、指導、勧告ができるようになったというのが新しく設けた制度としてあります。これはこれで使い勝手のいいものにしていかないといけないと思っていまして、ガイドラインの見直しとかはやっていかないといけないとは思っています。その延長線上に、今議論されている財産管理制度を使うということは十分あるのだと思っているのですけれども、自治体が絡まないとこの制度が使えないようにするかどうかというのは議論があるかなと思っていて、民事法制の中で、できた暁には、それを使って行政法として、ないしは行政的な制度として何ができるのかというのを考えていくのかなと今のところは思っています。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。三つの点について伺っておりまして、専有部分の管理不全、共用部分の管理不全、それと、専有部分に立ち入っての保存の請求ができるということについて、どれでも結構です。 ○鎌野委員 度々申し訳ございません。まず、管理不全専有部分管理制度についてですけれども、やはりこれも民法のいわゆる戸建ての建物以上に、こういう必要性はあるというようなことで、こういう制度を創設するというのは妥当と考えます。ただし、これは民法の制度でもそうですけれども、利害関係人、請求権者が管理人の費用とか報酬を予納する必要があるので、どれだけ機能するかという心配はありますけれども、だからといってこういう制度が不要なわけではないので、こういう制度を設けるということには賛成いたします。   それから、区分所有者の保存行為、3のところですね、そういう点ですけれども、以前にも配水管の一括工事の議論がありましたけれども、ここでは、それももちろんそうなのですけれども、例えば個別に、上の階から漏水があったというときに、上の階の方が所在不明の場合もあるでしょうし、それから管理不全ということもあろうかと思います。そのときに、やはり現行ですと6条2項の規定に基づき使用を請求することはできるのだけれども、果たしてそれを超えて言わば保存行為までできるのかと、飽くまでも自己の専有部分あるいは共用部分のための必要な範囲という限定は付きますけれども、やはり漏水を止めないことには問題が解決をしない、そして、その場合に、そのためだけに管理不全専有部分の管理人の請求をするというのは非常に非効率的というか、適切でないので、やはり6条2項の規定に保存まで含めるということを明確にしたらどうかということで、やはりそういう方向で、これは前に議論のあった配水管の一括工事だけではなくて、個別の漏水事故等についてもこういう工事ができるということで、保存行為をすることを可能にしてはどうかということで、これも是非、こういう制度を少し、6条2項のところをいじって、書いていただければと私は考えております。   それから、4のところの管理不全共用部分管理制度、これについてもほぼ先ほどの管理不全専有部分管理制度と同じような状況で、やはりこういう制度、果たしてどれだけ機能するかという懸念はありますけれども、だからといってこういう制度が不要なわけではないと考えております。   取りあえずは以上です。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。全体的にこのような方向でいいのではないかという御意見だったと思います。 ○大桐委員 3の保存請求に関してですけれども、使用と保存というのは別個の概念でありますので、ここに保存というのを規律で明確化すべきというふうな考え方があったという一方で、慎重な意見もありまして、といいますのが、15ページの35行目にあります例というのは、配管からの漏水という極めて緊急性の高い事案です。保存という文言に必ずしも緊急性が含まれるとは限らないわけでして、平時における修理というような場合において、侵入して修理までしてしまってよいのかどうかは慎重に考えなければいけないと思っております。区分所有法の6条の、他人のところに入ってすることが必要な範囲内かというところに既に緊急性が盛り込まれ、織り込み済みだという解釈もあるのかもしれないのですけれども、緊急性が必ずしも必要性とイコールではないので、そういった観点から、緊急性がある場合については保存請求できるというのはいいのですけれども、そうではない場合にどうするのかというのは少し考える必要があるのかなと思っております。 ○佐久間部会長 枝の切取りみたいな感じで、今の御意見だと、およそ保存請求できないということなのか、まずは一旦、承諾に代わる判決を得たら保存ができるということではなくて、例えば、まず専有部分の区分所有者に自分でやれと請求をして、それで応じなければ、保存が必要な場合に、その場合はできるとかというふうなのは駄目なのかな。 ○大谷幹事 今のところは、保存を「請求することができる」ということで、裁判所に訴え出ないとできないということを考えています。自己の専有部分や共用部分を保存するために必要な範囲内においてということを立証する際に、恐らく緊急性とおっしゃっているところは、危ない状態になっているということが入ってくると思いますが、何の兆候もないのに勝手に立ち入るということは元々想定をしておりません。そこは訴訟手続や、普通は緊急性があることなので民事保全手続という形になりそうですけれども、そういう手続をとることを想定しておりまして、その意味では緊急性がない、何の兆候もないのに勝手に他人の専有部分に入って保存しに行くということは考えにくいかなと思っています。 ○大桐委員 裁判所の手続を通すということでありましたら、理解いたしました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   では、ほかにいかがでしょうか。 ○齊藤委員 ありがとうございます。先ほども発言させていただきましたが、私、一番大事なことをいうのを忘れたかもしれないと思いまして、再度手を挙げました。本制度が創設されることに賛成でございますということを、開口一番、言うのを忘れておりましたので、もしかして伝わっていないかと思いましたので、まずは賛成でございますと申し上げます。その中で、実際に使っていくということを想定しますと、残念なことに管理不全マンションがかなり増えてきています。とても残念なことに。かなりという言葉が適切かどうか分かりませんが、そうすると、管理不全という言葉をどういうふうに定義するかによって、状況が違ってくると思いますので、質問させていただきました。今後、自治体の指導、助言、勧告との連携の中で、どういったものを管理不全というのかという辺りもどこかでお考えを示していただいた方がいいのかなという意味で、1点目を申し上げました。   それから、実際にこうした制度は使われない方が望ましいのですが、近隣の方に御迷惑を掛ける場合に、その近隣の捉え方もかなりフレキシブルでいいということで、地域の全員あるいは、地元自治会が町内会で8割以上の合意を取らなければ駄目などのルールではなく、使い勝手のいいものにしていく、いわゆるケース・バイ・ケースで、しっかりと状況を見て判断していただけるということを理解しました。   それから、管理不全の管理人の任期というか役割の期間が、非常に単発的なもので、ある特定のものが終了したら終わる場合もあるし、やはり本質的な立て直しを含めてしっかりとやっていただく場合は、もっと継続的なものであるということもよく理解いたしました。そういう意味では、根本的な原因を、体制を立て直すために、そういった管理人がしっかり派遣されて、いわゆる管理者になってマネージしていく可能性もあるのかなと思いました。現実にはいくつかの自治体の中で、管理不全マンションに対して、管理人あるいは管理者の役割を担う専門家を派遣する制度があって、こういった制度の利用や普及により管理を立て直していただくことにつなげていただきたいと考えております。   そして、先ほど矢吹参事官がおっしゃっていただきましたように、必ずしも行政と連携しなくてもとということですが、私も全くそう考えております。ただ、連携していただいた方がより現実的に使っていただけて、その方が効果が高まるケースもあるのではないかという意味で発言いたしましたということで、こういう制度は創設されることは大変望ましく、期待しているところでございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。最初の御発言のときに、根本的に反対されているとは思っておりませんでしたので。   ほかにいかがでしょうか。 ○村上委員 ありがとうございます。まず、管理不全専有部分管理制度については、私もこういったニーズはあるかと思っております。(2)の決議については、ここでご提案されているように、議決権の行使を代わりに管理人に行わせることはできないとすることが適当ではないかと考えております。   また、4の管理不全共用部分管理制度については、齊藤先生のご発言と同じようなことなのですが、管理組合がきちんと機能していれば、管理組合に近隣の方が改善を請求することになるかと思いますが、そういったことができないマンションが増えているのであれば、一定程度こういった制度も意味があるのではないかと考えています。その点、先ほどもありましたが、どの程度こういったマンション、建物があるのか、実態などを適宜お示しいただければと思います。ありがとうございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。管理不全共用部分の方は、そうですね。あることはあるのでしょうけれども、どういう実例がありますというのも御紹介できた方がいいと思いますので、留意いたします。   ほかにいかがでしょうか。 ○大桐委員 管理不全の専有部分と共用部分のいずれにつきましても、おおむね賛成であります。なお、部分的に発言させていただきますと、まず、4(1)の(注1)のバルコニーを外すという点も賛成です。といいますのは、バルコニーというのは共用部分ではあるのですけれども、個人が専用使用できるということで、こちらについて管理命令を出してしまいますと、取消しもできなくなってしまって、あるいは費用についても実際に全員が負担しなければいけないとなりますと、無資力責任を全員で負担するみたいな不合理な結果になってしまいますので、外していただくのが穏当であろうと思っております。   また、陳述の聴取につきまして、手続の在り方でお示しいただいておりますが、対象となる区分所有者が多数に上るために、全員の聴取をしなければならないとすると適切な管理ができないという懸念はごもっともで、どのような方に聴取をするか考えられますのは、元管理者、いない場合には元の役員などに限ることを可能にすることによって軽減するというのもあってもいいのかと思っております。   あとは、記載の方法の関係なのですけれども、20ページの30行目に、区分所有者全員に対して連帯して損害賠償を請求することができるという、いわゆる工作物責任の指摘があるのですけれども、こちらは裁判例が管理組合の占有性を肯定したものと否定したものと両方ありまして、あるいは工作物責任以外にも不法行為ですとか債務不履行責任だとか、構成も様々あるところではありますので、余りこうした区分所有者全員に対して連帯してという書き方を決め打ちしない方がいいのかなとは思っております。といいますのが、場合によっては近隣の方が区分所有者の1人に対して全額を請求することが酷なケースもあるわけなので、その辺りは裁判例をもう少し幅を持って記載していただけると有り難いと思っております。   それから、(2)効力の範囲についてですけれども、一部共用部分ですね、こちらについては、例えばエレベーターが二つあるようなマンションで、一つのエレベーターは管理がきちんとできていると、もう一つのエレベーターは管理されていないという場合に、12人のうちの6人だけが使っている部分だけが管理されていない場合においては、一部共用部分の部分だけを申立てをして、費用もその6人だけが負担するのが合理的と思っておりまして、この御提案の御趣旨がどのようなものか、少し分からなかったもので、そのような運用がよろしいのではないかと考えております。 ○大谷幹事 一部共用部分のところは今御指摘のとおりと考えておりまして、一部共用部分の管理人を選任する、その費用負担については一部共用部分の区分所有者の方々が負担するということを考えておりました。 ○大桐委員 その場合の名称というのは、一部共用部分管理人という名称になるのでしょうか。 ○大谷幹事 どう呼ぶかはまた検討させていただきますけれども、イメージはそうでございます。 ○大桐委員 分かりました。 ○佐久間部会長 20ページの30行目のこれは、下級審の判決にあるということですか。先ほど御紹介いただいたのは、一部の区分所有者に全損害賠償責任を負わせることはできないとした判決もあるということでしょうか。 ○大桐委員 管理組合の占有性を否定した判例としましては、平成29年3月15日の東京高判を皮切りに、令和2年9月25日の東京地裁がありますし、逆に管理組合の工作物責任を肯定した判例としましては令和2月2月7日の東京地裁判例があります。 ○佐久間部会長 管理組合のというのは、占有者が管理組合だということですか。 ○大桐委員 管理組合が負うのか個々の区分所有者が負うのかの論点です。 ○佐久間部会長 いずれにせよ、調べて厳密を期すことにいたします。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○能登委員 ありがとうございます。基本的に管理不全専有部分の管理制度についても、共用部分の管理制度についても賛成いたします。先ほどの所有者不明管理制度も含めてですが、文章中に管理組合が請求権者になる場合が想定されておりますので、その場合、組合の意思決定ルールを定めていただきたいということをお願いします。管理人選任についての組合の意思決定が総会決議なのか、理事会等で決定できるのかというところをしっかり明文化していただけるといいと考えている次第です。 ○大谷幹事 今の点は、基本的に管理組合という団体として訴訟行為を行おうというものでございますので、基本的に集会の決議が必要だと考えています。 ○佐久間部会長 それは、規定は要らないのではないかということですよね。 ○能登委員 普通決議ということで、既に規定されている行為ということですね。 ○佐久間部会長 そうです。 ○能登委員 承知いたしました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   この項目については、反対はなかったということで、もちろんこれで決まりというわけではありませんけれども、今日の段階では資料のとおりで取りあえず次回以降も進めたいと思います。   それでは、一旦この辺りで休憩を挟ませていただきます。           (休     憩) ○佐久間部会長 時間になりましたので再開します。   この時間は、まず「第2 管理組合法人による区分所有権等の取得」について御意見を伺いたいと存じます。どなたからでも結構です。いかがでしょうか。 ○紺野委員 まず、現場の声として、少し御説明というか、どういう状況かというのを。専有部分の取得については、これまでたくさんやってきておるのが現状です。当然、法人化をしていなければ資産を持てませんので。何かといいますと、どちらかというと駐車場の確保といいますか、そういう面で区分所有権の取得、それから、あとは管理組合において、高経年マンションですと、どちらかというと管理人が居住している場合があるわけです。最近は管理上、日勤とか、それから24時間勤務があるのですけれども、そういう面で規約共用で1戸の個室を持っているというような形のケースを管理組合が買い取るというケースが多々ありました。そこを利用して何にするかというと、大体集会室にしたり、共用部分に、規約共用で購入する、そのために法人化していくということでやっています。あとは、管理費の滞納が起きてしまいまして、そこに競売とかなんとかあるのですけれども、任意で取得していく場合、こういうケースが多々ございます。こういうケースを回避することで、分譲業者が管理室などを所有しているケースもまたございます、こういうものを買い取ると。法律的疑義が生じないよう、専用部分を取得できるようにしてもらえないかなというのがあります。他方で、今回立法化することで、これまでの事例は実は違法でしたとか、ここにあれして、賛成なのですけれども、そういうことにならないように。   また、少子高齢化、それから高齢化社会に向けて、そういうところで一つの事例として、制度として、デイサービス施設を設けたいとか、そういうケースも出てきていることは事実です。ことに複合型といわれているような建物で、1階店舗が空いたよとか、そうすると近隣住民との会話の場所に使える、その一つが、居住者にあれしてもデイサービスに使いたい、ただし、これは法律上いろいろな立地するための条件等が整わないとそういう施設ができませんので、それでなかなか難しい面もありますけれども、そういう動きがあるということも少し出てきていますので、我々管理組合としては、やはりそういう選択肢の中で、大きい意味でのリノベーションを含めて、管理組合が適正に継続的に100年マンションを目指して活動していきたいというような意見も出てきております。   ここの件については以上でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。最後のデイサービス施設を設けたいというのは、場所貸しをするということですか。 ○紺野委員 はい、その場所貸しの場合と、あと、自分たちで何とかできないか、NPO法人化してできないかとか、そういう形も出てきているのです。要は、自分の居住者のところを預かってですね。ことに新しいマンションというよりも高経年マンションで、何とかリノベーションという手法を使って、建替えにはとても対応できるような資産とかなんとかがありませんので、そういうところで有効活用して地域とのコミュニティを熟成していこうというような動きもございます。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○齊藤委員 どうもありがとうございます。まず、このテーマを議論に加えていただいていることを大変喜ばしく思います。今、全管連の紺野さんの方からもありましたように、管理組合の中ではこうした需要や、要求がかなりあると理解しております。しかし、本当にできるのか・できないかというような問題で非常に困っていたということがございます。今、紺野さんからも御紹介がありましたように、私が今まで聞いてきただけでも、昔一番多かったのは、駐車場が足りないから隣の敷地を買って駐車場を増やしたいということでした。ところが逆に今、マンションは駐車場余り問題の方が多くなってきて、その需要は余り聞かなくなりました。ただ、機械式駐車場なので、このメンテナンス代を考えたら隣の土地を買った方が合理的というか、有効的ではないかという意味で、やはり隣の土地を買いたいという事例も聞きました。   それから、借地権マンションで借地権を買い取って所有権型マンションにしたい。それから、集会所がないところで、例えば住戸101号室を買い取って集会室として利用したい。先ほどもありましたように管理人室を買い取りたいという事例もあります。普通、管理人室は共用部分ではないかと思いますが、あるところでは、こういったことが昔よくあったとは私も聞いたのですけれども、ディベロッパー所有のままである、あるいはある特定の人の所有である場合があると聞いております。   最近、私が聞きました事例は、将来建替えすることが決まったので、建て替えるマンションにおいて住戸を売りたいという方が出てきたら、管理組合で買い取っておきたいという事例も聞いています。これは建替え決議後に所有者が替わること、相続されていくような事例を考えますと、管理組合が買い取っておきたいということです。管理費の滞納された住戸は誰も買ってくれないだろうということで、それを管理組合が買って、そしてきれいにして売っていきたい等、非常に多様なケースがあります。これは一律には扱えませんし、どういう場合に認めていくのかという課題がありますが、まずはこういった需要があり、その道をしっかり開いていくことが求められていると私は理解しています。   そして、これは法律の先生方に怒られるかもしれませんが、現場はどうしているかというと、全員合意で進めるのは望ましいけれども、現実には難しいから、4分の3で議決して買い取るということがあります。買い取ると言いましたが、時にはもらうこともあるそうなので、所有するということかと思います。ですから、現実には全員合意というのは難しい。そして、こうした事例を一つ一つを聞いたら別にわがままで買っているわけではなく、マンションをしっかり管理していくため、安心して暮らすためにどうしたらいいかということを管理組合自身が必死になって考えて、その道として選択されておりますので、是非こうした道を正当に認めていき、しっかりとした手続をすれば認められるという道をしっかり開いていく必要があるのではないかと思います。   例えば、私は区分所有法制研究会で紹介しましたが、私自身がプロデュースしている住宅地では、集会所の一部に店舗を入れて、それを賃貸して賃貸料を管理組合が得られるようにしていますし、交番に土地を貸して交番から借地料をもらう設定とし、その費用を管理費に充当するようにしています。初めに設定したから全員合意で、そして原始規約に全員印鑑を押してもらってスタートしているわけですけれども、これからマンションを100年使っていきたいという気持ちが強くあるマンションが増えてきている中で、100年間、そこまで長くなくても、長い期間のマンションストックの中で、いろいろな社会の変化に対応できる体制をしっかりとっていくことが重要ではないかと思います。ですから、初めに設定しておくことには、もちろんその時点でよく考えますが、100年先まで考えることに限界がありますので、社会の変化に対応できる体制を作っておくことが重要かと思います。新規の設定だけでできるのではなく、既存のマンションにも道を開いていくという必要があるという意味では、多数決で不動産を持てるということの道は非常に重要ではないかと思います。   次に、ではどんなケースが認められるかということなのですが、これは、先ほど御案内がありましたような、例えば、本日の資料の22ページの25行目辺りでしょうか、どういうふうなものが管理に当たるのかということですが、私は是非管理を広く捉えていただきたいと考えています。超高齢化してきたマンションの中で高齢者が増えてきた、1階の店舗を買い取ってデイサービスの拠点にしたいよねという要求などがあります。それによって住民は安心だし、地域の住民にとっても安心だというような場をしっかり作っていくことに管理組合が取り組みたいということを、是非応援していきたいと思っています。   これが管理かといわれたら非常に難しいのですが、私自身は、マンションというのは地域の公共財とまではいいませんが、公共財的な性格があるのではないかと考えています。これはマンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な指針において、マンションは社会的資産という文章があり、それと通じるものです。例えば、東日本大震災のときに津波で大変なエリアにマンションに逃げてきて助かった方がおられるとか、集会所を開放してそこで救援物資を配ったとか、水を配る拠点にしたという意味では、いざというときにマンションがあって、地域に安心・安全の暮らしを支えるという意味では、この地域との関係の中でそういった拠点ができるということを是非、私は道を開いていくことが求められている。それに応えることを考える必要があると思います。だからといって何でもオーケーだという意味ではなく、ケース・バイ・ケースで幅広く捉えるような体制があることが、今のマンションの方々の安心・安全な暮らしにつながっていくのではないかと考えております。また、こうした考え方を区分所有法で位置づけるのは難しい場合には、マンション管理適正化法との連携でもありえるのではないかと思います。   長くなりましたが、私の意見になります。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○小林委員 この問題につきましては基本的に、この問題の所在のところで書かれている点についてはそのとおりだと思っておりまして、非常に、今まで紺野さん、齊藤さんがおっしゃっておりましたけれども、大変必要性が高いと思っております。22ページの2の検討のところですけれども、(1)のところについてもおおむねそのとおりだろうと思います。23ページの取得の要件の@のところなのですけれども、これのアの総説の最初の5行、管理の必要性があるということを取得の要件にするということについては、原則的に賛成であります。ここに書いてあることはそのとおりだと思います。   19行目以降に、「これに対しては」というパラグラフがあるのですけれども、ここの記述につきましては私自身、少し迷いがありまして、24行目のところで、責任から逃れる道を開くための仕組みを検討する必要があると書かれています。この点について、そのとおりだと思うのですけれども、それと同時に、26行目からの「もっとも」以下の記述についても、そのとおりと思えます。そこで迷うわけですけれども、責任から逃れる道を開くための仕組みということについて、ほかにいい考えが思い付かないということで、少し迷うということであります。   それから、23ページの33行目以降の具体例の検討のところなのですけれども、このうち最初の(ア)なのですが、管理組合法人が集会室等の共用部分として取得する場合ということについては、管理の必要ありということで扱っていいと思いますけれども、24ページの方に入りまして冒頭からの、隣地等の土地の所有権を取得する場合についても、これも個別事情にもよると思いますけれども、原則として管理の必要性ありという扱いでいいと思います。   次に、24ページの7行目以降の(イ)の、将来的に売却することを目的として取得する場合なのですけれども、8行目から14行目までのパラグラフで書かれているようなケースを典型例とする一定の場合には、管理の必要性ありということでいいと思います。21行目で書かれているような隣地を転売する目的で取得するような場合というのは、よほどの事情がない限り管理の必要性があるとはなかなか言いにくいのではないかと思いますけれども、例えば暴力団に買われるのを阻止しようとするような場合とか、そういうケースがあるのであれば、これは例外的に管理の必要性ありということでもいいような気がいたします。   次に、24ページの22行目以降なのですけれども、(ウ)の賃貸を目的として取得する場合ですけれども、これも区分所有者を主なターゲットとする店舗あるいはサービス施設などのために取得するケースであれば、管理の必要性ありといってよいと思います。   そこで、次に24ページの最後の行以降の(3)取得の要件Aの多数決要件につきましては、これは共用部分の変更に該当すると考えるのであれば4分の3ということになるのだろうと思いますけれども、今回その引下げを行うということであれば、それが3分の2以上に引き下げられるということであれば、3分の2以上ということでよいかなと考えております。   それから、最後の論点が25ページの(4)ですけれども、権利能力なき社団である区分所有者の団体による区分所有権の取得ということで、言い換えれば法人化していない管理組合をどう扱うかという点です。これについては結論的に言えば、次ページに掛けてここで記述されている内容について、これでいいのではないかと思いますけれども、事例を幾つか調べてみると、いろいろとあって、もう少し調べる時間が欲しいという感じが今いたしております。   その前に1点、つまらぬことなのですけれども、26ページの7行目になるのですけれども、不測の損害を与えるおそれがあると書かれておりますけれども、これは主語が区分所有権を購入しようとする者ということで書かれていますので、与えるよりは、受けるの方が適切かなという気がいたしました。   それで、区分所有権の法人化していないところについての取得という件ですけれども、私どものセンターに来る相談の事例も非常に多いわけでありまして、非常にニーズが強いようです。ただ、実際に取得した事例があるのか、ないのかとか、あるいはそれが法人化しているのかどうかとか、その辺が実態が全然分からないという問題がございます。ただ、相談の内容を聞いてみますと、取得するなら法人化しないといけないというようなことを管理会社から言われたと、どうしたらいいのでしょうか、みたいな相談内容が非常に多いので、恐らく取得しているとすると法人化しているというケースが多いのかなと思っております。   たまたま実は横浜市内の四つの事例を調べたという事例がありまして、これは横浜市と金融支援機構が共同で、実はヒアリングまでやったという調査がたまたま分かりまして、それで見ると、4件あるのですけれども、4件のうちの3件が区分所有権の取得で、その3件のうちの2件が集会室としての利用で、1件は管理事務室としての使用だということです。4件のうちの残りの1件は、これは少し事情が資料からはよく分からなかったのですけれども、敷地内の未取得の土地があったということで、それを組合として購入したと。だから、本来の在り方とすれば区分所有者が共同して持つということになるのでしょうけれども、それは多分面倒くさいということで、組合の所有権としているという事例だと思われます。   4件のうちの2件ですけれども、取得した財産は管理組合法人の規約共用部分として登記されていると、残りの2件は単に管理組合法人の財産として登記されているというだけであるということであります。それから、法人化したきっかけですけれども、4件のうちの3件は、やはりこの区分所有権を取得するために法人化したということだったということでございます。   これはたまたま実際の事例として確実に把握できた事例なのですけれども、今日になって、たまたまあるディベロッパーにお勤めの知り合いから話を聞いたのですけれども、彼の話によると、分譲マンションの中でマンション住民のための、主たる目的としたということですけれども、販売店舗とかサービス施設を設置するということは時々あるということだそうでして、オートロックの内側であれば完全に当該マンションの住民のみを対象とする施設だということになるわけですけれども、カフェ等の事例があるということでありました。実はそれにとどまらないで、最近は開発に際して区からいろいろと指導や要請を受けるわけですけれども、その要請によるもの、あるいは地区計画に基づく地域貢献施設を求められていて、それに基づくものということで、いろいろな事例があるという話でありました。   東京23区内のある大規模マンションの例なのですけれども、地域包括センター、医療施設、子育て施設、学童保育施設、それから区民施設として周辺住民に貸し出す集会室、それから地域防災倉庫、これは一つのマンションなのですけれども、これだけのものを置いているという事例があるようでして、所有や管理の具体的方法というのはもう少し調べてみないと分からないですけれども、これだけの事例があると。これははっきり分からなかったのですけれども、恐らくこれは売主が区と賃貸借契約を結んでいると、しかし、資料を見ると管理組合は賃料収入を得ていると書いているので、恐らく所有権は管理組合に移転しているのだろうと思われます。   そういうことで、原則的には管理組合法人に限定していいと思うのですけれども、新築マンションなどの場合には、最初から組合が法人化しているわけではありませんので、もしかすると法人化していない組合が取得主体としてあり得るという形にしておいた方がいいのかもしれませんので、その辺は実情をもう少し調べてみたいと思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   御賛成の意見がたくさん続いてきまして、ニーズがあることは承りましたけれども、少し心配になるところがあるので、申し上げたいと思います。  まず、法人に限って申し上げますけれども、法人がどういうことを法的にすることができるかというのは、これは管理組合法人に限らず法人一般の話として、目的の範囲内でしか行為をすることができない、法律効果を帰属させることはできないということがあります。ですから、管理組合法人というものが区分所有建物の管理を目的とする法人である以上は、それを超える行為をすることができるというふうには、区分所有法の世界では、恐らくできない、それは無理だと申し上げるべきだろうと思います。   管理を目的とするということの中身を広めに捉えることは、もちろん可能だと思いますけれども、例えば管理費用の一部に充当するために収益を上げる行為はどうですかというと、これはもちろん解釈によることになりますけれども、私はそのときに重要なこととして考えておかなければいけないことが一つあると思っております。それは、この区分所有者の団体であるところの管理組合法人は強制加入の法人です。しかも専有部分を譲渡しない限りは事実上、組合員、法人構成員であることから免れることができません。ですから、事実上の脱退不自由の団体です。そうであるとすると、判例にあるところでいうと税理士会などと近いものでありまして、各区分所有者、構成員ですね、の意思に反することをどこまで強制できるかということを考えなければならない法人だと思います。そうすると、賃貸に出すとか、専有部分を管理組合法人が所有して何か事業に活かすということは、うまくいっていればいいですけれども、うまくいかない場合、あるいは何らか他人に損害を生ずるようなことがあった場合は債務が発生するわけです。この債務の負担を管理組合の一員である、あるいは管理組合法人の構成員であるということによって当然に負わせてよいかということを考えなければならないのだと思います。   法人自体のする行為としては目的の範囲内だから有効だけれども、それに伴う負担を各構成員に、特に当該営みについて反対の構成員に課すことは、これはできないという判断もあり得るわけです。そうすると、管理組合法人において、たとえ、例えば原案の4分の3の賛成多数で取得ができますということにしたといたしましても、共用部分にするためだったらいいのですけれども、専有部分の区分所有権を取得して、それを何らかの事業に用いるということになりますと、これに反対だという人に財産的不利益を課すことができるかというと、かなり難しいというか、多分できないのではないかと思います。そのようなことに是非とも御留意いただきたいと思います。  また、いろいろなことができた方がいいというのはそのとおりなのかもしれませんが、管理組合とか管理組合法人でしなければそれができないかというと、それは違うと思われます。つまり、構成員は重なっているのだけれども、その人たちの共有者の団体としてするということは妨げられているわけではありませんので、法律関係に反対者を必ず巻き込んで、することになるという点は問題になるということを少し意識はしておいていただきたいと思います。   伺った事例によりますと、共用部分にするために取得するというのは、共用部分の管理が法人の目的の範囲内に入っておりまして、取得はその手段的行為だと整理することができると思います。それに対して、共用部分に全くしない、普通の私有だ、所有だということは、恐らくそこからは大きく外れることでありますので、一律できないというつもりはありませんけれども、管理の目的から離れることは確かですし、それを緩やかに解すればよいということは、縷々申し上げたところから、なかなか難しい面がある。できないとは申しませんけれども、ということを少し述べさせていただきます。   以上私がこう考えるということにすぎませんので、なお自由に御発言いただければと存じます。いかがでしょうか。 ○鎌野委員 まず結論から言うと、基本的には私も部会長のおっしゃる意見に賛成をします。先ほど来事例が挙がった横浜市の事例とか、デイサービスにする事例とかというのは、ここ10年ぐらい、横浜市始め関係の先生方、先日お亡くなりになった小林秀樹先生なんかが、そういうことができたらいいねということで相談を受けて、私なりに考えているところでございます。   端的に結論を申し上げますと、やはり基本的には専有部分をそのまま取得して、それを管理組合が売却したり転売したり、それから賃貸したりというのは、やはり法的に管理組合の目的、建物等の管理又はそれに付随する事項ということから大きく外れるので、それは難しいだろうということです。それで、基本的にはやはり区分所有者の共有ということが前提で、そして、その共有もなお、それが管理組合の管理の範囲、管理の目的というような限定でということで、許されるのかなと。   というのは、これは部会長も申し上げたように、そういった専有部分をそのまま有用な施設として利用できる、あるいは貸したりして収益を上げることができるということがある一方、最終的にはそのリスクというのは区分所有者が負担をするということになると、区分所有法の29条とか53条にあるように、そういう危険が一方では伴っているということです。最初はうまく何か専有部分を賃貸できたけれども、あるいは売却できたけれども、それをやはりできなくなるような場合がある、賃貸しても解約されるとか、それぞれのニーズによって、そういうリスクというのが非常に伴うと。そうすると、やはりそういったものは管理組合の目的ということからは大きく外れるのではないかということで、基本的には前提としては区分所有者全員の共有ということで、それが、なおかつ管理の目的に適しているということで、全員の共有ですから、全員の費用負担ということも4分の3で行けるのではないかということです。   それから、少し悩ましいのは、小林委員からもお話がありましたように、管理組合法人に限定されるのかと、前の報告書の段階では、必ずしもそれに限定される必要はないということですけれども、これも考えてみれば、そういうニーズがあるということの場合には、ある意味では、少し語弊があるかも分かりませんけれども、簡単に管理組合法人になれますので、そうしておけば、ちょうどこの25ページの最後の方に書いてあるような非常にやっかいな手続というか、手間というのもなくなるので、これが管理組合にとってそれほど負担になることではないと。そして、そういう意味では登記も一本化するというようなことで、基本的にはそういった前提の下に認めると。ですから、全員の共有にしないような専有部分をそのまま持ち続けておくというのはやはり、一時的には、表面的には、形式的には、それはみんなの役に立っていると、デイサービス、みんなが便益を受けているということになるのだけれども、後々のことまで考えれば、非常に難しいのではないかと私は考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○大桐委員 私も両面があると思っておりまして、ニーズがある反面、やはりマンションの構成員という側面以外の事業をやるという側面があるので、運用面でのそういったリスクを負う可能性があり、また、賃貸に出すということになりますと、適正な物件を提供していなかったということで違約金などが発生する可能性もあるので、そういったリスクを少数者の方に負わせるというのがどこまでできるのかというのは、やはり慎重に考えておいた方がいいのかなと思っております。というのもありまして、こちらの特別決議は少なくとも必要であり、また管理の必要性の要件も不可欠であると考えております。また、権利能力なき社団についても、ニーズがあるので、反対解釈によって除外されることがないよう、どこかで解説なりを書いていただければと思っております。 ○佐久間部会長 最後の、権利能力なき社団の場合について、ニーズがあるのでどこかで書いておくというのは、可能ですということを書いておくということでしょうか。 ○大桐委員 そうですね、取得自体は妨げられるわけではないという。 ○佐久間部会長 4分の3以上の特別決議で。 ○大桐委員 はい。 ○佐久間部会長 ここは権利能力なき社団と書いてあるのですけれども、私は権利能力なき社団なのかということに非常に疑問を持っておりまして。鎌野さんは先ほど何度も共有とおっしゃったのです。多くの、あるいはほとんどの管理組合は、訴訟能力はあるのかもしれません。その点では権利能力なき社団か、それと同じといっていいと思うのですけれども、共用部分の所有の形態は持分割合のある共有なのですよね。そうであるところ、例えば、新たに専有部分を取得したときに、それが各区分所有者に持分のない総有になるかというと、それは違うだろうと思われるわけです。取得した財産というのは、区分所有関係に応じた特殊な扱いがされる可能性はありますけれども、総有ではなくて共有なのではないかと思います。そうすると、所有形態が所詮共有にしかならない団体に、団体としてのまとまっての物件の取得能力というのですか、を認め、しかもそれが多数決で行われ、反対している者にも共有者の地位を得させるには、クリアしなければならない問題が相当あるのではないかと考えています。   ほかにいかがでしょうか。   ニーズと理屈というのがここはすごく、対立するというと変な言い方ですけれども、ニーズを酌もうとしてどこまで可能かということがかなり問題になるところで、この原案は、受け止め方はいろいろだと思うのですけれども、恐らく、まずは、管理組合法人の目的の範囲をはみ出さない限りで専有部分の取得を認めましょうとするもので、加えて、そのはみ出さない範囲だったら、補足説明にもありますけれども、法人の意思決定だから過半数でも決められそうなのだけれども、重大な事柄であることは間違いないので特別多数にしようと、そういう発想だと思います。特別多数の割合が3分の2がいいのか、4分の3がいいのかというのは、それはまたいろいろ考え方はあり得ると思います。そのようなことで、21ページのゴシックの限りでは危ないところは全然ないと思うのですが、この中で解釈をすることができるというのは当然といたしまして、ここからはみ出ることについてどこまでやれるかというのは、ニーズがあることは理解しましたけれども、なかなか難しいところがあると思います。難しいからやらないという意味ではなく、慎重に詰めて検討しないといけないだろうと思います。   ほかに御意見があれば、承ります。 ○鎌野委員 可能であればなのですけれども、これは法務省さんあるいは国交省さんにお願いしたいのですけれども、この挙げていただいている東京高判の平成25年11月7日の競売事件でこういう判決が出ているということなのですけれども、私はこの判決、結論としては、もちろんやむを得ないということでこういう転売をする旨の決議を有効としたことは、当該事案ではやむを得ないのかなと、ただ、これを一般化すると、確かこの事案ではこういった競売されたものが二十数件あったと思うのです。そうすると、その専有部分を管理組合が抱え込むと、きちんと転売できたのかなと、要するに、そういうことで管理費を新たな区分所有者から取得するということで、そうすると、この事件の中身というか、なかなか実際には、担当の弁護士さんから伺うことができるかどうか分かりませんけれども、少し気になるところなので、こういう判例があるからといって、こういう場合もオーケーですよと考えるのは非常に危険なのかなと。だから、可能であればその辺りを少しお調べいただければということで、これは無理なお願いかも分かりませんけれども、できないかも分かりませんけれども、少しその辺りも検討というか、場合によっては教えていただければと思います。すみません。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。差し当たりこの程度でよろしいでしょうか。ニーズがあるということはたくさん伺いました。ニーズにこたえられるように進めた方がいいということは恐らくどなたも否定はされないと思います。その上で、鎌野さんあるいは私ですけれども、ニーズはニーズとして、法的に難しいところはあるのではないかと。そういうことであったかと思いますので、今後ニーズを法律に書き込む形でどこまで酌めるかということを検討していくことになるかと思います。ありがとうございました。   では、続いて、第3と第4、区分所有者が国外にいる場合における国内管理人の仕組みとその他について、どちらでも結構です、御意見を伺えればと存じます。いかがでしょうか。 ○森本委員 ありがとうございます。国内管理人の仕組みを設けることについて賛成いたします。そして、できれば罰則はなくても義務だとした方が実効性はあるのだろうと思っております。司法書士として業務を遂行する上で、国外にいる方の住所を調査するのは大変難しいと感じています。海外の方はもちろん日本人であっても、例えば住民票を取ったら転出先に中国としか書いていなければ、連絡の取りようがありません。令和8年4月までには住所変更登記が義務化となりますが、国外居住者の住所変更登記は現時点において大変苦労しているところです。   国内管理人を選任する仕組みは需要があると思います。第3回部会で検討しました区分所有者の責務の規律を設けた上で、国内管理人の選任を義務化し、さらに国内管理人を登記事項とするなどして徹底するのが好ましいと言いたいところでございますが、現実的に義務化とまでは難しいという考え方もあろうかと思いますので、任意とならざるを得ない場合にも、管理規約で国内管理人の選任を求めることが規定できるよう、仕組みの創設自体はするべきだと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○小林委員 私も森本さんの今の意見に賛成でありまして、非常に必要性の高い問題だと思っております。今の、義務とするのか、あるいは、することができるというのにとどめるかというところについても、同じような考え方を持っていまして、確かに義務化したところで、海外在住者が届出をせずに更に転居したりすることも考えられますから、それはもう所在不明になってしまいますし、仮に義務違反者に罰則を科すことにしたとしても、どこまで実際上追及できるかという問題があることも事実だと思います。しかしながら、できるとするだけではいかにも制度として弱くて、それを理由にしてせっかくの制度内容が実行されなくなるという懸念が強いのではないかと思います。海外に移って、更に転居した場合、非常に調べるのに手間が掛かってしまうというのは全くそのとおりだと思いますし、特に外国人の場合には言葉の壁がありますので、時間や費用が更に掛かってしまうという懸念が大変強いと思いますので、義務化した方が、よりよいのではないかと考えております。   立入りということについては、配管の更新ということもありますけれども、それは非常にまれなケースかもしれないのですけれども、例えば消防設備の点検ですとか、あるいは室内設備に何か不具合があって、それをベルで発報するとか、あるいは水漏れがあるとか、そういう場合のチェックまで考えると、必要性は非常に高いのではないかと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかに御意見はございますか。 ○齊藤委員 ありがとうございます。私もこの国内管理人制度は賛成でございます。そして、趣旨も森本さん、小林さんと同じでございます。こうして今、所有者の存在がグローバル化し、海外の方、海外にお住みの方がお持ちになるということで、具体的にどんな問題が起こっているかというのを聞き取り調査したところ、海外の所有者と連絡が付きにくいというのが一番多くなっておりました。それから、日本に住所がないので管理費などの自動引き落としの口座が作れないと、それにあいまって、催促がなかなかしにくい。それから、総会の委任状をなかなか出してくれない、その催促もしにくい。そのほかに、議案書の翻訳に手間が掛かるとか、理事の選出が困難とかありますが、それに、空き家の場合、お住まいでない場合に、定期点検や排水管の清掃に御協力が頂きにくいということがございます。そうしますと、これ全部がクリアできるわけではないですが、こういった方が真ん中に入ることによって、多くの問題が予防あるいは解消しやすくなると考えます。問題のすべてが解決できるだけではないですが、まずは今よりは問題が予防・解消でき、そういったことをきちんと置かなければいけないのだと規約に書くことが、また予防にもつながっていくかと思います。規約に書くということは、結構、問題の予防につながってきているということを私は実感してきていますので、これが規約に入ったときに、それは無効だとか、あるいは特定承継人には承継されないということがないように、きちんと規約に書いて有効であることの根拠というものがあってほしいと思います。今おっしゃられましたように、義務化が望ましいのでしょう。しかし、そこまで強く言っていいのだろうかと、いろんな状況がありますので、誰を対象とするのかについても若干私の中でまだ考えが明確になっていないことがございますので、まず規約に書くということ、それがしっかりとバックアップされるような法律があればよいなと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかに御意見はいかがでしょうか。 ○紺野委員 私も齊藤委員、小林委員、皆さんがおっしゃっていることに大賛成です。ここで重要なのは、管理人と称されるのがただ連絡員とかそういうことではなくて、やはり権利と義務、これは普通の場合ですと当然、仲介業者が付く場合とか、あると思うのですが、区分所有権を持った段階で、その人の資格とか、資格というよりも、きちんと権利といいますか、義務を果たすような何か、ガードが必要ではないかと思われます。徒党を組まれますと逆の方向に進むのではないかというような不安もございます。そういうためにも、何かそこら辺のガードを設けていただきたいということを、少し懸念しております。設けることについては賛成なのですけれども、当然、普通の場合ですと、相対というよりも仲介業者が付く場合があると思いますので、そこら辺の検討を十分にしていただきたいというのがお願いでございます。 ○佐久間部会長 最後におっしゃったのは、制度として設けるのは賛成だけれども、すみません、もう一度お願いします。どの点に留意しなければいけないということでしょうか。 ○紺野委員 管理人となる人が、ただ連絡員とか。 ○佐久間部会長 そこはまた議論になるかもしれませんが、専有部分の保存、利用、管理行為を行うということを一応念頭に置いてということにはなっておりますが、そうであればよいということでしょうか。 ○紺野委員 はい。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。 ○鎌野委員 私もこれを言わば法定の義務として、こういう国内管理人を選定するという仕組みを設けるべきであると考えます。必ずしも前回でしたか前々回の、言わば区分所有者間の責務とは直結しませんけれども、やはり大きな意味ではそういうことにつながるということで、これは任意ではなくて、やはり義務化すべきであると考えます。   その上で、私が非常に悩ましいのは、この頂いた資料の28ページの20行目ぐらいで、区分所有者に代わって管理費を支払ったり、集会における議決権の行使をしたりすることができるとすることが考えられると、この点で、区分所有者に代わって管理費を支払うということが、要するに国内管理人が支払うわけですが、これがうまく正当化できるのかなと。それから、議決権の方ですけれども、なおこの方は国外にいても区分所有者なわけで、そうすると、この議決権行使も、こういった区分所有者ができないということもなかなか難しいと。だけれども、いろいろなニーズとか事情によって立法的にそうするのだと言ってしまえばそれまでですけれども、本当にそういうことができるのかということが非常に心配で、その点についてはやはり今後検討が必要なのかなと私は考えております。 ○大谷幹事 管理費の支払の点ですけれども、管理費の支払義務を管理人自身として自分の財産から払わなければいけないということを意味しているのではなくて、支払の事務を行うということだと思っています。先ほど齊藤委員がおっしゃったように、海外にお住まいの方だと国内に預金口座を持てないから引き落としができないといったこともあるようですけれども、そういうときに支払事務をできるようにすれば、管理人御自身の名前でということになるかもしれませんけれども、管理人において管理費の支払ができるということをイメージしています。  一方で、議決権の行使の方は、義務化するかどうかとも関係をしているように思います。義務化した上で区分所有者自身の議決権まで奪ってしまうということにするのは、確かに慎重な検討が必要かなと思う一方で、権利として設けた場合には、これは正に議決権を代理行使してもらうのと同じでございますので、そういうものとしてやるということもあり得るのかなと思っていたところです。 ○鎌野委員 分かりました、検討いただければと。管理費の支払いについては了解しました。 ○吉原委員 ありがとうございます。私もこの国内管理人の仕組みを設けることに賛成いたします。特に、齊藤委員のおっしゃった、規約に書くことによって予防的な効果が生まれるということは、大変重要な点だと思いました。できれば義務化が望ましいというところも賛同いたしますが、ただ、国税通則法や地方税法で定める納税管理人のようなものを区分所有法で定めることは難しいだろうと考えております。   資料の27ページの5行目に、令和3年の不動産登記法の改正によって、国内に住所を有しない所有者の場合には国内における連絡先となる者の氏名、住所等を登記することができることとされたとありまして、この連絡先というものと国内管理人が一致することが効率的であり、また望ましいのではないかと思います。   その上で、1点確認をさせていただければと思うのですが、これは私の理解が不十分で、大変お恥ずかしい質問なのですけれども、今申し上げました27ページの5行目からの、改正不動産登記法において登記することができることとされた、というところにつきまして、これは新しい条文では、所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先を登記事項とするとなっております。そして、民事局の資料では、そうはいってもすぐに連絡先を登記することが難しいことも想定されるので、この制度が定着するまでの間は連絡先がない旨の登記も許容する予定となっておりまして、これは登記することができるというよりは、登記をすることが必要だと私は受け止めていたのですけれども、ここの書きぶりについて少し確認させていただければと思いました。 ○大谷幹事 ここは、登記事項とするということで、それが、今までは登記事項がなかったために、国内の連絡先を登記上表示する術がなかったわけですけれども、登記事項とすることによって、それが登記に表すことができるようになるという意味でございます。ですので、登記事項として登記申請情報には一定の記載をしなければならないとした上、当面は、必ず国内連絡先を置いてその登記をしなければならないということまでは直ちにせず、国内連絡先を置いたときに、その方の住所、氏名を表示するということでございます。そして、この制度が定着するまでの間は、国内連絡先を置くことができない場合には、国内の連絡先なしとして登記申請を行うことも考えられると書いているところでございます。 ○吉原委員 ありがとうございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○大桐委員 先ほどの吉原委員の御発言とも関連するのですけれども、不動産登記法上ではある意味、任意といいますか、そういった立て付けになっているのですけれども、今回は義務化も含めて記載いただいているのは何か理由があるのかどうかを教えていただければと思います。   あと1点、義務化方向で検討することにはおおむね賛成なのではありますが、ただし、全てにおいて義務化対象なのかという範囲の問題です。例えば、海外に5年間だけ出張していて、引っ越しをするというような場合に、全く管理費の滞納もなくて、メールや電話でも対応ができるというような、そういう人にも義務化されてしまうのかどうか、あるいは賃貸に出していて、とても賃借人には管理人を頼めないという場合には、親族とかそういう方がいれば、管理人になってもらえればいいのですけれども、そういう人さえいないような、管理人の成り手がない場合、事実上どうなるのかという心配がございます。 ○大谷幹事 1点目、登記の場合は、これは公開の情報として国内連絡先というものを上げることになるわけでございますので、それを置くことを義務化することにはなかなか難しい面もあるのかなと思うのですけれども、一方で区分所有法の場合には、団体的な管理をしていかなければいけないという中で、一般の不動産とは違った別のルールを入れるということもあり得るのではないかという観点から、国内管理人の仕組みを設けるに当たっては義務化するという選択肢もあり得るのではないかということで、提案をしているところでございます。   一方で、正に今、大桐委員のおっしゃったとおりで、義務化した場合に、今書いてあるように、国内に住居所等がなくなったときには必ず国内管理人を置かなければいけないこととした場合には、容易に区分所有者本人に連絡が付く場合だって、無理やり連絡先を置かなければいけないことになるとか、全然身寄りがなくて当てもないのに管理人を置かなければいけないことになってしまうので、義務化することが大丈夫でしょうかというのが、ここの問題の皆さんに御議論いただきたかったところでございます。 ○佐久間部会長 今のことに続けてなのですが、義務化することが望ましいというのは、先ほどのニーズの話と同じで、望ましい面はあるのだと思いますけれども、義務化の根拠はどこに求められるのでしょうか。吉原さんがおっしゃった、連絡先と一致させるというか、連絡先程度の意味だというのだと割合簡単だと思うのですが、保存、利用、改良をさせるわけですよね。費用も掛かりますし、所有権の在り方も変わるわけですけれども、これを義務としてしなさいというのは、抽象的に場合によって問題が起こりやすいからということは分かりますけれども、それを基に、海外にいる人には一律にそのような法的義務を課すことができるのか、それはなぜなのかということがあると思います。またもう1点、専有部分を所有している人が、国内であるがかなり遠方にいるという場合、その人については国内にいるから義務を課さなくていいということになるのですかね。連絡のつきやすさの程度の違いにすぎないのではないかという気もいたしまして。してはいけないということではないですけれども、義務化をするとなると、やはりニーズだけでは足りないというか、理屈をきちんと付けないといけないと思います。これは明らかに自由に対する制約ですから。それと、例えば、海外にいる人が、期間限定ではなくてずっと海外にいる人であっても、親族等に連絡をして、「お願いね。」と言えば済むという人だってそれなりにいるはずだと思うのですが、その人たちに、その対応では駄目だ、義務として誰かを管理人に選任しなければいけないというのはなぜなんでしょうか。事柄のよしあしということではなくて、ニーズがあるということでだけでは多分足りないので、そこまでさせる根拠となるのはこういうことがあるから、というのをお示しいただければと思います。   様々考えられる、連絡がしにくい、あるいはかなり類型的に管理不全状態を生じやすい、そういう区分所有者の中で、なぜ海外にいる人だけということですね。非常に乱暴かもしれませんし、私はそれを推奨するわけではありませんが、非居住の区分所有者についてはみんな管理人を義務として置きなさいということだって、あり得ないわけではないと思います。義務化の方向に進むのであれば、そこら辺の区別についてお考えをお聞かせいただけるようになればいいかなと思います。   あと、義務化するとして、管理人と呼ぶのかどうか分かりませんが、管理人の権限の内容ですね、今のところ保存、利用、改良行為を行うこということが補足説明にはありますけれども、連絡先を定めることを義務にする、定められた人は取次ぎだけするということだってもちろんあり得るわけですので、そういったことも含めて今後、今日もまだこれは伺いますけれども、御意見を伺えればと思います。いかがでしょうか。 ○寒竹委員 質問なのですけれども、義務化した場合に、義務に反して管理人を置かなかった人はどういう制裁を受けるのか、あるいは。 ○佐久間部会長 制裁はないと思います、ですから訓示規定的になるのだと思います。ただ、私の理解ですけれども、どなたでしたか、森本さんでしたか、責務規定を設けて義務化して、登記をさせることが望ましいとおっしゃったり、そういう考え方もあると思うのですが、一般的責務規定を設けることは難しいとしたら、効果は伴わないのだけれども、具体的にこの場面ではこういうことをしなければならないという趣旨の規定を設けていくということもあり得るかもしれません。他方で責務規定だけ設けて、その責務の中には、例えば国内管理人を選任することも責務としては含まれていますというような説明をすることもあり得ると思います。様々だと思います。 ○寒竹委員 その場合、国内管理人がいない人というのはマンションを買えないということになるのですか。 ○佐久間部会長 法的にはそれを選ばないと、入口のところで買えないということはないのでしょうけれども、義務を伴ってしか買えないというふうにはなります。 ○寒竹委員 ありがとうございます。 ○佐久間部会長 そういったことを考えていただければと。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   1点だけ伺いたいのは、義務化まで踏み込まないとすると、することができるという規定であって、それは任意の話なのだけれども、権限を定型化して法律に定めておくということも一つ考えられるということが資料には説明として載っています。これについて、義務化までは踏み込まないとしても、せめてそうした方がいいという御意見があるのか、ないのか。積極的にそのような意見の方がおありか、あるいは次善のものとしては考えられるか、その程度のことだったら要らないか。今日ぜひとも発言してくださいということではありませんけれども、今後はどこかでは伺うことになると思いますので、今日の段階で何か御意見がおありの方はおられますか。 ○矢吹幹事 マンションの管理をする上で、国外の人と連絡が取りにくいという話もよく伺いますし、あとは単身高齢の方が亡くなって、その後連絡が取れなくなるということもあると思っています。義務にするかどうかという議論は、恐らくこの場で詰めた議論になるのではないかと思いますけれども、例えば連絡先をきちんと管理組合として把握をしてという、誘導していくような政策というのは十分あり得るだろうと思っていまして、そこは私どもの方でも少し考えを回していく必要があるのかなと思っておりますので、例えば、義務化をしない、もしくは義務化ができないのであれば、国内管理人なる概念は不要なのだとなると、ややもったいないかなと少し思ったものですから、お互いの政策領域がうまく機能するように考えていければと思っています。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。今日のところはよろしいでしょうか。 ○細谷委員 今までの委員の方々のお話に賛同するものなのですが、こういったケースというのは、逆に海外のケースというか事例はないのでしょうか。日本人が海外で、例えば不動産を取得したときに、法律上こういった制約があるというような事例があれば、少し判断材料になるのかなと思ったのですが。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。区分所有に限らず、ですかね。何か今の段階で。 ○大谷幹事 現時点でそういう何か特別な制度があるとは把握しておりませんけれども、少しまた何かないかというのは探してみたいと思います。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   では、その他の部分は、これは多分大桐さんがおっしゃったところで、何か発言しろというのではないですけれども、もしコメントがあれば。 ○大桐委員 分かりました。建替えが必要な高経年マンションといいますと、多くが昭和58年改正前のマンションと思われまして、そういったマンションは、区分所有者ではない敷地利用権のものがそのまま残っていたりですとか、相続時に忘れられてしまったりですとか、譲渡されたときに失念していたりとかということで、食い違ったケースというのが数としてある程度あるのではないかということが予想されるところであり、またそういったケースにおいて、残っていた敷地利用権者の同意がなければ、解決金などで解決をしなければ、建替えができないというようなケースも考え得るので、ここで検討しておいた方がよいのではないかと思った次第です。 ○佐久間部会長 その他に記していることについては、今日の時点ではない、ということでよろしいですか。 ○大桐委員 はい。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。   ほかに、よろしいですか。 ○能登委員 申し訳ございません、今、大桐委員が掲げていただきました問題提起につきまして、建替えの現場にいる者として、発言をさせていただければと思います。   建替えの現場では、今の区分所有建物と土地の所有者の不一致という事象は、やはり目にすることがございます。主に敷地権化されていないことに起因して、売却や相続、持分変更等の手続の際に土地の登記移転を失念されているケースや、錯誤で不一致を起こしているというケースが基本的には一般的かと、経験上思っておりますが、その起きている事象の中で2種類の方向があると思います。   一つは、土地建物ともに共有の所有者が同一で持分が異なるなどの場合であれば、例えば建替えに賛成していただいている権利者の方でございましたら、現状のままでは、権利変換手続などその後の建替え推進に支障を来たすということを、よほどの事情がなければ御理解いただけますので、その区分所有者御本人で修正いただくということが可能でございますし、実際にそのように対処をしていくというケースが現状でございます。   一方で、非常に困難が予想されるのは、相続の手続の漏れなどで不一致が生じていて、既にお亡くなりになられている場合とか、名義が残ってしまっているけれども所有者不明という状況になっている場合でございます。実際に建替えの済んだ事案では経験していないのですが、建替え検討の御相談を頂いている既存のマンションの権利を調べたところ、多数の不一致事象が確認されたため、そもそも建替え検討を具体化していくことができないという問題が生じている物件はありますので、建替え推進にあたっての問題としてはかなり大きいと感じております。   今回問題提起いただいている所有者不明区分所有建物の管理人選定の必要性と同じように、こういう不一致事例は今後ますます増えていくと思いますので、何かしら対策が求められると考えます。   また、区分所有建物の利用について、土地の所有者が実質的には同意していると考えられる現存している建物において、建物所有者と土地所有者の間で、借地などの利用規約が存在していないという場合があります。そういった場合に、建物所有者の現状を正として、簡易に土地所有者の改変ができるなどの処置を可能にする制度などが創設されれば、建替えの推進につながると思っておりますので、その辺りを御検討いただければと思っております。 ○大谷幹事 今の点、29ページの30行目以下にございますけれども、共有者の一部が所在不明になっているなどで同意が取れなくなっているといった問題につきまして、正に令和3年の民法改正において、所在等不明共有者を除いた、その他の方々による変更の制度でありますとか、所有者不明土地管理制度、これは共有持分についても付けられるものですけれども、そういったものもあるということで、そこは一定の手当てがされたというところでございます。   また、ここに書いておりませんけれども、共有状態にありますので、区分所有者の団体に入っていない方が敷地を共有しているという状態にあるときには共有物分割訴訟ということも可能だと思います。所在不明になっていなくても共有持分を集約していくという手段はあると考えております。   いずれにしても、ここはなかなか、法改正したばかりで、まだ施行もされておりませんが、十分な広報がされていないというところもありますので、ここにあえて書いているところですけれども、引き続きその点についても周知していきたいと思っております。 ○能登委員 ありがとうございます。今手当ていただいている法制度で判断できないような事態が現場で起き得ることがあるかどうか、今一度確認してまいりたいと思いますので、今後発言させていただきたいと思います。ありがとうございます。 ○佐久間部会長 お願いいたします。   ほかはよろしいでしょうか。   では、一旦ここでまた休憩とさせていただきます。           (休     憩) ○佐久間部会長 審議を再開いたします。   この時間は、部会資料6について、まず事務当局から御説明いただきます。お願いいたします。 ○山根関係官 部会資料6「区分所有建物の管理の円滑化に係る方策(3)」について説明を申し上げます。   こちらでは、区分所有建物の管理に関する事務の合理化ということで取り上げておりまして、まず、1ページ目では集会におけるウェブ会議システムの活用を取り上げています。  現行法でもウェブ会議システムを活用した集会の開催は可能であると考えられていますが、その更なる促進を図る観点から、ウェブ会議システムを活用した集会の開催が可能であることを法律上明文化することが考えられます。   他方で、このウェブ会議システムを活用した集会の開催が可能であることについては、ガイドラインやQ&Aでも明確化されているところであり、また、標準管理規約でも可能であることを前提とした記載がありますので、明文化することの効果がどの程度あるかといった点については御検討いただく必要があるように思われます。また、明文化することにより、今後、情報通信技術が更に発展した場合の新しい技術を読み込むことができないことにならないかといった点についても御留意いただく必要があるように思われます。   次に、2ページ目のゴシック部分でございますが、事務の報告義務違反の規定について取り上げてございます。現行法では、管理者等は少なくとも年に1回集会を開催し、事務の報告をすることとされており、その報告をしなかった管理者等は過料の対象とされています。しかし、新型コロナウイルスが発生した場合など、年に1回の集会を開催することが難しい場合も考えられ、そのような場合にも過料の対象とされるのはどうなのかといった点も考えられることから、本文では、正当な理由なく事務の報告をしなかった場合に限り過料に処されることとしてはどうかということを提案してございます。   もっとも、現行法でも、疫病や災害のために集会を開催できないような場合に、実際上、裁判所が過料の手続を開始するのかといった点も御留意いただく必要があるように思われ、また、正当な理由があれば事務の報告をしなくてもよいといった誤ったメッセージとなってしまうおそれがあるのではないかという点についても御留意いただく必要があるように思われます。   次に、4ページ目ですが、規約の閲覧方法のデジタル化について取り上げてございます。現行法では、電磁的記録により規約が作成されている場合であっても、その閲覧は、規約の保管場所に行って、そこのディスプレイに表示されたものを見る方法によって行うこととされており、例えば、遠方にお住まいの区分所有者などからすれば非常に不便であるといった指摘がございます。そのため、規約が電磁的記録で作成されている場合であれば、電子メール等の電磁的方法により規約のデータを送付する方法で閲覧させることを可能としてはどうかということを提案してございます。   一方で、規約の保管者の中にデジタル技術に明るくない方が就任されている場合も考えられますが、そういった場合にも電子メールで送付することを法律上求めてもよいのかといった点や、そもそも電子メールで送付することはデータをコピーするものであるとして、「閲覧」にとどまらないのではないかといった指摘も考えられるところでございます。   簡単ではございますが、部会資料6の説明は以上でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   それでは、部会資料6全部について、どこでも結構ですので、御意見を伺いたく存じます。「第2 その他」のところは、特に記載がなく、今、山根さんからも御説明はありませんでしたけれども、その他というのは、ほかにありますかという趣旨と御理解いただければと思います。ですから、その他でこういうことがあるというような御発言も含めて、頂きたく存じます。いかがでしょうか。 ○大桐委員 まず、明文化につきましては、ウェブ会議システム等を用いることができる規定で、主催者側が選択できる形でしていただくのがよろしいのかなと思っております。   そして、報告義務に関して、こちらも事実上、天災事変等においては過料を科さないということなのですけれども、事実上ではなく、やはり法律上、正当な理由がないのにというのを明文化していただいた方がよいと思います。ただ、正当な理由というのを悪用する、濫用的に主張する人もなくはないとは思いますので、正当な理由の前のところに天災とか疫病といったような例示を付けつつ明文化する方法はあると思います。   3番目の閲覧のデジタル化ですけれども、例えば、マンションでホームページか何かを立ち上げて、そこでキーか何かでログインをするような方法をとれば、遠方からでも見られると思いますし、また、規約の場合、個人情報なども含まれていないと思われますので、悪用の可能性も考えにくいかと思いますので、そういった方法であれば閲覧という概念にも合致しますので、それが考え得るかなとは思っております。ただ、これも全部義務にしてしまうのではなく、そのマンションで必要がない場合もありますので、義務化までは今の時点では必要ないかなとは思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。細かい確認ですけれども、最後の規約の閲覧方法のデジタル化について、ホームページなどが立ち上がっていたら、そこに張り付けてというお話でしたけれども、それは原案にあるような電子メールでの送付は含めないという趣旨ですか、それとも。 ○大桐委員 送付をわざわざしなくても、ホームページ方式であれば、遠方の人は来なくても見られると思います。 ○佐久間部会長 それはそうなのですけれども、ホームページを持っていない管理組合はたくさんあるはずで、他方、電子メールをおよそ使えないところは、ないとはいいませんけれども、それほど多くはないと思います。そこで、細かい話で、確認ですけれども、特に電子メールで送ることに反対をされているわけではないということですね。 ○大桐委員 反対ではないです。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○齊藤委員 どうもありがとうございます。まず、ウェブ会議システムのことに関しましては、私は特に必要ないのかなと思っております。標準管理規約の中でも対応され、ウェブ会議議システムは割と順調に使っていただいていると理解しておりまして、できる規定とかいうものが特に必要があると理解しておりませんので、特に必要ないのかなと思っています。   2点目の、過料のところに関しましても、特に必要ないのではないかと思っています。これもある意味、ウェブ会議が上手に使えるようになってきたので、余りこの点の問題も、当初、コロナ禍になったときの大混乱とは少し違いまして、法務省からのコメントも頂いたりとかする中で、今のところ特に問題がないので、特に必要がないのかなと思っています。   3点目の規約のデジタル化、メールでの閲覧を可能にするということには賛成でございます。これは、こういう方法では駄目なのだと言われないためにも、閲覧を可能にするということを明確にすることは大変賛成です。といいますのは、やはりマンションをお買いになる方には事前に規約をきちんと見てほしい。そのために見やすくする環境を作っていくということは大切で、入居後の管理のトラブル、生活上のトラブルの予防にも大事です、規約を守らないことによって、他の居住者、区分所有者によくない影響を与えることを予防するという意味では、購入の事前にできるだけ購入希望者が中身を確認できるということの体制を構築していく必要あると思っています。   規約との関係でいいますと、このデジタル化ということを可能にするのであれば、今の区分所有法の33条の3項の、規約の保管場所は建物内の見やすいところに掲示しなければいけないというのも、少し困ってしまいますよね。まず、どこにあるかというのを、マンションの中を見に行って、どこどこに書いてありますよと。そこに行かなければいけないというプロセスも、もう少し容易にできる方法の方が現実的ではないかと思います。   また、多分、区分所有法が想定しているような電磁的方法ということに関しましても、非常に時代に合っていないのかなと思います。例えば、平成15年に出される法務省令の第47条でしょうか。電磁的記録とはとか、電磁的方法についての解説がありますが、少し今の時代にも合っていないような気もいたしますので、これを機に少しこの時代に合った形でお考えいただいた方がよろしいのではないかというのが私の意見になります。 ○大谷幹事 最後の電磁的記録の在り方、これはまた、これは全省庁的に、フロッピーディスクとかそんなものでもいいのかということは、デジタル化を目指す観点から検討が必要だとされておりまして、そちらの方も考えていきたいと思っております。 ○齊藤委員 おっしゃるとおりです。フロッピーディスクって今、誰が使っているのかという感じですので、すみません、少し気になりましたので、是非御検討ください。 ○大谷幹事 もう1点、規約の保管場所を建物内の見やすい場所とすることについての見直しも、これは研究会の段階で、見直しができないかと検討はいたしたのですけれども、インターネットで規約の保管場所を見せることにするとしたときに、インターネットが見られない方はどうすればいいのかということになってしまって、なかなか難しい。一番確実に見られるのは結局のところ、規約の保管場所を建物内に張り出すということになるかなということで、そこの点についての見直しは必要ないのではないかという形で研究会では取りまとめがされたところです。また少しほかの観点がないかというのは検討してみたいと思います。 ○齊藤委員 分かりました。そうすると、マンションの中に掲示もされているけれども、そこに行って確認して管理組合に行かなくても、別のルートでもできると、少なくともこういう方法はきちんと維持していきましょうということですね。分かりました。 ○鎌野委員 まず、第1の1のウェブ会議システムですけれども、私はやはりこれを明文化した方がよろしいと思います。そして、その際に明文化するという理由は、2ページの24行目から、情報通信機器に不慣れな区分所有者が集会に参加できないと、やはりこれはあってはならないことなので、要するに、主催者、管理者の判断によってもう完全オンラインにしますよというようなことで、そうすると、そういう方は参加できないということになってしまう。ですから、むしろその主眼は、この点に留意してというか、こういった方にもきちんと手当てができるような条件の下という一文を、どういうふうに明文化するかは難しいのですけれども、むしろそういった規定とともに、こういったウェブ会議システムというようなことで、やはりそれは必要なのではないかと。そして、ちょうど1ページ目のところの、一般社団法人マンション管理業協会・ITを活用した総会の実施ガイドラインというのにもそのことが強調されておりますので、やはりそのことについては是非御留意を頂ければと、そういった意味で、明文化するということには賛成ということです。   それから、2のところ、それから3については基本的には賛成です。そして、先ほど大谷さんの方から御説明がありましたように、保管場所の掲示ということで、それもデジタル化したらどうかということを、研究会の方でもそういう御提案がありましたけれども、実は私が言ったという記憶があるのですけれども、一般的には規約の保管場所というのは管理事務所の横などの掲示板に書いてあるということが多分多いと思いますので、ですから、そういったことで、もちろんデジタル化して、その保管場所をそういうネット上などに上げるということもあるのですけれども、簡単な掲示で済むことなので、取り立ててそのことについて何かいじる必要はないのではないかと。ただ、デジタル化にも賛成です。ですから、3の御提案についてはそのとおりで、賛成を致します。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○小林委員 三つ論点があるわけですけれども、いずれもどちらでなければならないというところまで明解な意見を持っているわけではないのですけれども、まず、ウェブ会議システムについては、どちらかといえば明確にしておいた方がいいかなと思います。ただ、結構これは複雑といいますか、例えばハイブリッド方式と完全オンライン方式とありますし、あるいは総会と理事会では参加する人数が全然違いますので、開催の仕方が難しいとか、そういう問題もありますし、不慣れな人がいたときの対応というようなことまで考えますと、非常に細かい規定をたくさん置いていかなければいけないのかなという感じがしますので、非常に複雑になるなというのはあります。余り区分所有法らしからぬ規定が延々と続くことになるのかなという感じは持っています。   それから、2番目の事務の報告義務違反に対する罰則ですけれども、先ほど齊藤先生が大混乱とおっしゃいましたけれども、本当にコロナ禍の最初の頃は大混乱がありまして、私どものセンターにも相談の電話が殺到したと、そういうことで法務省さんの御協力も得ながらQ&Aを立ち上げたというような経緯もございました。そのときに比べると、今はほとんど問合せもなくなっているのですけれども、また何年かして別の事象が生じて、こういうことが出たときに、また大混乱になりかねないという懸念もないわけではありませんので、例外扱いするような規定を置いた方が一般の方々にとっては明確になるのかなという感じはいたします。   それから、3番目の閲覧方法のデジタル化ですけれども、これはデジタル臨調の動きとの関連もあります。ですから、そういうことも踏まえて検討するのかなと思いますけれども、各管理組合によって区分所有法の規定を上回る電磁的方法をとるということは否定されないわけですから、必ずしも改正するまではないのかなという気もしますが、少しここも迷うところであります。ただ、実は現状でも書類とか、あるいは出力装置の映像面を見せてもらって、それをスマホで撮っていいかどうかとか、それを許すとか許さないとかということでトラブルになったケースがあるとも聞いたような気がするので、閲覧を超える複写というのをどう捉えるかということについてもこの際、はっきりさせた方がいいのかなという気がいたしております。 ○佐久間部会長 はっきりさせた方がいいということで、御意見はどちらでしょうか。つまり、紙媒体をスマホで撮るのを許す、許さないというのは、どちらですか。 ○小林委員 これは、そもそも議事録とかそういうものというのは、明確に確定されて組合員で共有されているはずのものですので、それを拒むというのは理由がないのではないかと思うのです。大体こういうのは、理事長が勝手なことをやったとか、そういうやましいことがあるような場合にトラブルになることが多いので、私はこれは別に、認めて全く問題ないですし、むしろそこまでやっていいですよとはっきり書いた方がトラブルを避けることになるのではないかと思います。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○紺野委員 事務の報告義務に対する意見なのですけれども、過料を科すという罰則を設けるという話なのですが、現状を見ていますと、実際に総会の招集、それから報告をしない管理者は、過料をしても実行していないのが現場の声が結構多いのです。ですから、過料というよりも、むしろ管理不全になるようなマンションをどうしていこうかというのが我々、現場レベルで、過料といっても、それを悪用して、本当に管理組合で最近あるのが、逆に目覚めてきて対立抗争、内部抗争になった場合、それを盾に取って、逆に管理者が適当な理由を付けて、正当な理由があるというような話も、事務報告とか何とかで、閲覧も含めて、逆な面で心配している面があります。ここは現行法でもよろしいのではないかというのが、少し考えとしてあります。何しろ過料という御錦でやっても、やらないところはやらないというのが現状です。というのは、ほうれんそうで、例えば消防法で法令で決められていることも実行していない、本来はそれも過料のあれが、防火管理者としてもやる義務を果たしていないとか、いろいろ現場はあるので、そういうところを指導、助言をしていくのは、適正化法で各自治体ともそれをやっていますけれども、そういう特殊建築物の調査報告もしていない、そういうところのマンションというのはやはり義務を果たしていない、そういうところをすくっていくのが大前提になっていくのではないかと、ここの部分だけを過料ということでやっても本当に効果があるのかなというのが、少し今の時点では考えられます。   それから、規約の閲覧方法のデジタル化というのは、これは一つの方法かもしれませんけれども、今の適正化法でもいろいろデジタル化しておかないと、だんだん進んでいかないという状況になっておりますし、いろいろ自由度をもう少し、ハイブリッド型とかなんとかということがありますけれども、ここら辺も十分に検討していかなければならないのではないかという感じがいたします。現行のままでもいいのかなと。施行例とかいろいろ行政当局から出てきていますので、そこら辺の。それで、一番、先ほどの閲覧で、区分所有だいろいろ、どこに規約を掲示しておきなさいよとかなんとかといっても、実は閲覧の仲介する、それから売買をする、仲介というか、賃貸に出す、それから売買をするといったときも、管理組合が逆に委託している場合ですと、管理組合が知らない場合でも、仲介業者の商売、なりわいにするときには、重要事項説明で管理規約は閲覧で相手方に渡して見せるとか、それも自動的になってしまっているのですね、こちらで閲覧というのは、本当は見聞き、だけれども、現物としてはもう外に出てしまっている情報なのです、現実は。ですから、そこの整合性と、何で閲覧なのにこれが渡っているのかというのが、管理組合が本当は管理委託で、実際にはそういう事項で細則で規約で決まっていて、だけれども、そういう情報というのは既に出ておりますから、そこら辺は少し運用面、総合的に見ていかなくてはいけないのではないかという感じはいたします。   私の意見は以上です。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○吉原委員 ありがとうございます。まず、1点目の集会におけるウェブ会議システムの活用については、明文化せずとも支障がないのであれば、このままでもよいのではないかと思っております。規律の現代化という観点からは、選択肢の一つとしてこういう方法があるということを明文化する意義はあると考えます。他方で、先ほど事務局からの御説明にもありましたように、技術の発展によって、これから更にデジタルの様々な集会の方法が出てくるかもしれないことを考えますと、今の集会という言葉の中で対面、リアル、ハイブリッドなど、いろいろな方法が読み取れるのであれば、区分所有法の中でこれを明文化しなくてもよいのではないかと考えます。   それから、2点目の事務の報告義務違反につきましては、これも原則としてはこのままでよいのではと思います。入れるとすれば、先ほど小林委員がおっしゃった疫病や災害などごく限定的な、例外的なケースでどうしても開催が難しいという、非常時についての規律を入れておくことはあるのではないかと思います。基本的に年1回、総会を行うという規律は維持すべきであり、また、過料の適用については個別に家庭裁判所が判断するものであり、ウェブ会議システムなど様々な方法が導入されつつあることを考えると、この規律はこのままとしておく方がよいのではと考えます。正当な理由というものを入れることで正当な理由の解釈をめぐって争いが起きないようにすることが大事ではないかと思います。   最後、3点目の規約の閲覧方法のデジタル化については、遠隔地にいる相続人や海外在住の区分所有者の利便性を考えますと、今後、閲覧方法のデジタル化は必要な選択肢であると考えます。部会資料6の5ページ、25行目に、現行法においても規約のデータをメールで送付し閲覧させることは妨げられないと解するとのことですが、法律に詳しくない人がこれを条文から読み取ることは難しいと思われますので、選択肢の一つとして、メールによる規約の送付が可能であるということを明文化することが望ましいと考えます。   また、これは規約というよりもデジタル化に関することになりますが、今後、区分所有者の非居住化が進む中で、相続人や海外在住の区分所有者の中には、集会の招集通知や議案、また、建替え決議の場合にはその理由や費用などの詳細な資料について、メールでの送付を希望する人も増えてくるかと思います。そうしたケースについて現行どのようになっているのか、申し訳ありませんが、私は存じ上げないのですけれども、そうしたケースも考えますと、今後こうしたマンションの管理に関するデータについて、デジタル情報の保管、送受信、管理の在り方など、バランスを見て規律を設けておく必要があると思っております。   以上です。ありがとうございます。 ○佐久間部会長 最後の点、大谷さんからお願いいたします。 ○大谷幹事 集会に関し、招集の通知が必要だといったルールがございますけれども、これは方式が決まっているわけではありませんので、現行法でも電子メールで行うことは可能だと解されています。 ○吉原委員 ありがとうございます。そうしますと、なぜこの文書は電子メールで送信ができるけれども、別の文書は難しいのかとか、その辺りの、規約のことだけではなくて、たとえば議事録はどうなのかとか、建替えに関する詳細な見積りなども電子メールで送受信していいのかとか、そうしたデジタル情報の全体的な取扱いに関するルール整備が必要かと思います。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。留意して進めてまいります。   ほかにいかがでしょうか。 ○村上委員 ありがとうございます。1点目のウェブ会議システムの件については、個人的な意見ですが、現行どおりでよいのではないかと思っています。というのは、現行法でも対面とのハイブリッド方式での併用開催も可能でありますし、特段改正する必要がなければ、特段規定を設ける必要はないかと思います。私どもも組合という組織ですので、コロナ禍で様々、ウェブ会議を活用しており、今も使っておりますが、やはり対面の価値というのも大変重要だと思っており、遠隔地に住んでいらっしゃる方にとってウェブ会議は便利かもしれませんが、近くに住んでいらっしゃる方は、場所の確保という点もありますけれども、年1回程度顔を合わせるような機会は確保してもよいのではないかというところもございまして、このままでもよいのではないかと思いました。   三つ目の規約の件につきましては、メールに限らず、様々な場所で閲覧できることは重要ではないかと思っております。ただ、その際、やはり紙で見たいという方がいらっしゃるかと思っており、どちらが最新版を確定できるかは色々あると思いますが、紙での保管なり紙で確認する方法も併用して残しておくことが必要ではないかと思いました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○鎌野委員 度々すみません。細かなことですけれども、先ほど吉原委員が御指摘した点ですけれども、2番目の正当な理由うんぬんというところですけれども、例えば、ちょうど3ページの12行目に、災害や疫病等によってということで、条文の入れ方としては、正当な理由だけのままだと濫用、悪用、いろいろな理由が付けられる可能性があるので、例示として、「災害や疫病その他正当な理由がないにもかかわらず」といった文言を加えるのも、一つの在り方かなということで、少し御検討いただければと思います。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。 ○能登委員 ありがとうございます。1番の、集会におけるウェブ会議システムの活用のところで、1点申し伝えたいと思います。管理会社にヒアリングしたところ、リアルと併用はあるが、活用が進んでいると聞きました。ただ、標準管理規約やガイドラインにも記載はあるものの、議決権の行使についてはなかなか実行できていないということを聞いております。その一番の理由は、本人確認方法が確立できていない、あくまで傍聴としてでしかウェブ会議のシステムを活用できていないという状況とのことです。法に明文化するまでは必要ないかという立場で考えておりますが、ウェブ上での有効な議決権行使となるための定義を行うことが、活用促進のためには重要と考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○森本委員 ありがとうございます。集会におけるウェブ会議システムの活用につきましては、現状の対応で足りていると考えております。区分所有法に定めると硬直化する可能性があります。そのため、区分所有法に定める必要はないと考えます。   それから、事務の報告義務違反に対する罰則につきましては、正当な理由の判断が難しいため、不要であると考えます。   続きまして、閲覧方法のデジタル化なのですけれども、これについては賛成です。電子メール等で規約を送付というだけでなく、先ほど来の発言にもありますが、ウェブサイトに規約をつるして、いつでも電磁的記録を閲覧できるようにすることなども考えられるところです。   そして、第2のその他の件なのですけれども、管理に関する事務の合理化に関連して、管理組合法人登記の実務に携わる司法書士として1点、理事の代表権限に関する問題を述べさせていただきます。   管理組合法人の理事の任期について、区分所有法第49条6項に、理事の任期は2年とする、ただし規約で3年以内において別段の期間を定めたときはその期間とするとあります。また、標準管理規約には役員の任期は○年とするとあり、多くの管理組合や管理組合法人がこの規定を採用しています。しかし、総会は毎年必ず同じ日に開催されるわけではないため、任期満了前に総会が開催される場合の理事長選定は予選となり、特に、理事の構成が変わる場面においては、理事の互選や理事会の決議によって理事長を定めるとの規約の定めがある場合に、実は理事長の選定の効力が生じていなかったというケースが多く見られます。そのため、会社法第332条の取締役の任期や、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第66条の理事の任期に倣い、例えば、理事の任期は選任後2年以内に終了する、事業年度はないので少し難しいのですが、事業年度のうち最終のものに関する集会の終結のときまでとするなど、任期についての規定を併せて御検討いただければ、あるいは標準管理規約で規定することでも対応は可能かと思われますが、選定の効力に関する問題の解決になると考えておりますので、御検討いただければと思います。   論点とは多少外れておりますが、前段、第2で権能なき社団の問題もございまして、管理組合法人が今後増える可能性もあるとの思いから、注意喚起も含めて述べさせていただきました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。最後の理事の任期について、終期の定めについては実質上、違法状態が生じないように、違法というか無効になっていることがないようにというのは、御注意いただきましてありがとうございます。今後、検討いたします。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   ウェブ会議システム、罰則規定、規約の閲覧方法のデジタル化の3点いずれにつきましても、実質がおよそ駄目だとおっしゃった方はおられないのだろうと思いますけれども、実質を前提といたしまして、ウェブ会議システムについて明文化する必要があるかというと、それはした方がいいという方と、どちらでもいいという方と、むしろしない方がいいという方がおられて、それぞれ理由はあると伺いました。   罰則規定につきましても同じで、形式的に違反があったら必ず罰則が科される、過料に処せられるというわけではないということは共通認識でしょうけれども、限定を加えることの当否ですね、これには両方の見方が示されたと思います。   デジタル化についても、強制はしないけれどもできるということには恐らく異論がない、紙のままでもいいということを前提に、デジタル化をしなくていいということはないとは思いますけれども、法律の規定に盛り込むかということに関しては両論あるということで、これはこのまま進めるということになろうかと思います。   本日は大変充実した議論をしていただきましてありがとうございました。事前にお配りしている資料がもう一つ、部会資料7がありますけれども、恐らく時間的に5時半までに終わることは難しいと思いますので、これは次回に回すことにさせていただきます。   そういうこともありますので、最後に森本さんから理事の任期についての御発言がありましたが、この際、そのようなことで何か承っておくことがありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。今日のところはよろしいでしょうか。   ありがとうございます。では、本日の審議はこの程度とさせていただきます。様々頂いた御意見を踏まえまして、今後更に検討を進めていくことにいたします。   次回の議事日程等につきまして事務局から説明を頂きます。お願いします。 ○大谷幹事 本日も長時間にわたって大変熱心な御議論を頂きまして、ありがとうございました。   次回の日程ですけれども、来月3月10日金曜日の午後1時半から5時半までということで、今度は7階の共用会議室6・7、一度ここで行ったこともあったと思いますけれども、7階の方になります。   テーマといたしましては、団地内建物の建替え等を円滑化する仕組みと、それから、今日積み残しになりました被災区分所有建物の再生の円滑化などについて取り上げる予定でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   では、これをもちまして法制審議会区分所有法制部会第5回会議を閉会といたします。   本日も熱心な御議論を頂きまして誠にありがとうございました。 −了− - 1 -