法制審議会 第198回会議 議事録 第1 日 時  令和5年9月14日(木)   自 午後2時00分                        至 午後2時34分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題   ア 商法(船荷証券等関係)部会における審議経過に関する報告について   イ 区分所有法制部会における審議経過に関する報告について 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○加藤司法法制課長 ただいまから法制審議会第198回会議を開催いたします。   本日は、委員20名のうち、会議場における出席委員14名、ウェブ会議システムによる出席委員3名、計17名に御出席いただいておりますので、法制審議会令第7条に定められた定足数を満たしていることを御報告申し上げます。   まず初めに、法務大臣挨拶がございます。 ○小泉法務大臣 この度、法務大臣に就任いたしました小泉龍司でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。   会議の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。   委員及び幹事の皆様方におかれましては、御多用の中、御出席いただき、誠にありがとうございます。また、日頃、法務行政の進展に大きな御尽力いただいておりますことも、衷心から感謝御礼申し上げます。   本日は、部会からの報告案件が2件ございます。まず、商法(船荷証券等関係)部会におきましては、本年3月の中間試案の取りまとめを経て、パブリック・コメントの手続を終え、現在は、最終的な要綱案の取りまとめに向けて、精力的に調査審議を進めていただいているものと伺っております。   次に、区分所有法制部会におきましても、同様に精力的な審議調査を行い、本年6月に中間試案を取りまとめたものと承知しております。そして、本年7月3日から今月3日までの2か月間、この中間試案についてのパブリック・コメントの手続を行い、今後その結果を踏まえつつ、調査審議を更に進めていくものと伺っております。   本日は、こうしたこれまでの各部会の審議経過につきまして、藤田友敬部会長及び佐久間毅部会長から、それぞれ報告がございますので、委員の皆様方から御意見をお伺いできればと存じます。それでは、これらの議題につきましての御審議をどうかよろしくお願い申し上げます。 ○加藤司法法制課長 ここで、報道関係者が退室しますので、しばらくお待ちください。           (報道関係者退室) ○加藤司法法制課長 まず、事務局から会議に当たっての留意事項を御案内いたします。ウェブ会議システムにより御出席の委員におかれましては、御出席されていることを確認させていただくため、会議中は常にカメラをオンにしていただきますようお願い申し上げます。また、本日の会議はペーパーレス化により、タブレット端末による資料配布となっております。操作方法等につきまして御不明な点がある場合には、事務局に適宜お知らせください。   それでは、坂本関係官、お願いいたします。 ○坂本関係官 司法法制部長の坂本でございます。本年8月7日をもちまして、前会長の井田良委員が退任されましたので、委員の皆様の互選に基づき法務大臣が指名するという方法により、新会長を選任する必要があります。新会長選任までの間、仮議長を選任すべきかとは存じますけれども、特に御異議がございませんでしたら、私が進行を務めさせていただきたいと存じますが、よろしいでしょうか。   ありがとうございます。御異議がないということで、それでは、私の方で仮議長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。   まず、会長の互選の手続に入ります前に、前回の会議以降、本日までの間における委員及び幹事の異動につきまして御紹介いたします。詳細は御手元にお配りしております異動表のとおりですけれども、新たに就任された委員及び幹事が本日出席されておりますので、御紹介いたします。   愛知県弁護士会所属の弁護士の石原真二委員が御就任されました。石原委員、一言御挨拶をお願いいたします。 ○石原委員 愛知県弁護士会から来ました石原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○坂本関係官 続きまして、株式会社NTTドコモ取締役の石渡明美委員が御就任されました。石渡委員、一言御挨拶をお願いいたします。 ○石渡委員 3か月前まで花王株式会社という消費財メーカーで執行役員を務めておりました。現在は2社の社外取締役を務めております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○坂本関係官 続きまして、早稲田大学大学院教授、京都大学名誉教授でいらっしゃいます酒巻匡委員が御就任されました。酒巻委員、御挨拶をお願いいたします。 ○酒巻委員 酒巻でございます。早稲田の法学部と法科大学院で刑事訴訟法を教えております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○坂本関係官 続きまして、次長検事の齋藤隆博委員が御就任されました。齋藤委員、御挨拶をお願いいたします。 ○齋藤委員 次長検事の齋藤でございます。検察の現場が長かったものですから、法制審とは関わりがございませんでしたけども、誠実に務めたいと思います。よろしくお願いします。 ○坂本関係官 続きまして、民事局長の竹内努幹事が新たに御就任されました。竹内幹事、一言御挨拶をお願いいたします。 ○竹内幹事 民事局長を拝命いたしました竹内と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○坂本関係官 それでは、会長の選任の手続に入らせていただきます。   法制審議会令第4条第2項で、会長は法制審議会の委員の互選に基づき法務大臣が指名すると規定されておりますので、皆様には会長の互選をお願いしたいと存じます。   御意見がございましたら、御発言をお願いいたします。 ○大村委員 委員の大村でございます。法制審議会の委員としての御経歴、また、その学識、御見識、お人柄等からいたしまして、高田裕成委員が会長にふさわしいと考えますので、推薦をさせていただきたいと存じます。 ○坂本関係官 ほかに御発言の方、いらっしゃいますでしょうか。 ○中村委員 委員の中村でございます。ただいま大村委員がおっしゃいましたように、私も次期の会長には高田裕成委員が適任であると考えております。 ○坂本関係官 ありがとうございます。   ただいまお二方の委員の方から高田委員を御推薦いただきましたけれども、ほかに御意見はございますでしょうか。   それでは、ほかに御意見がございませんようですので、会長には高田委員が互選されたということでよろしいでしょうか。   それでは、ただいまの議事のとおり、会長には高田委員が互選されましたので、法務大臣に会長の御指名をお願いいたします。 ○小泉法務大臣 ただいま互選されました高田裕成委員を会長に指名します。よろしくお願いを申し上げます。 ○坂本関係官 それでは、私の議事進行はここまでとさせていただきます。どうも御協力ありがとうございました。 ○加藤司法法制課長 誠に恐縮ではございますが、大臣は公務のためここで退席させていただきます。 ○小泉法務大臣 是非先生方、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。           (法務大臣退室) ○加藤司法法制課長 それでは、高田委員、恐縮でございますが、会長席へお移りいただけますでしょうか。 ○高田会長 では、一言御挨拶申し上げます。   ただいま御指名いただきました高田でございます。もとより力不足であることは重々承知しておりますが、委員の皆様のお力添えを得て職責を果たしたいと存じております。何とぞよろしくお願い申し上げます。   まず、法制審議会令第4条第4項で、会長に事故があるときは、あらかじめ会長の指名する委員がその職務を代行すると規定されておりますので、会長代理の指名をしたいと思います。   長期にわたり法制審議会で御活躍いただいております佐伯委員を指名したいと思います。   佐伯委員、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○佐伯委員 御指名ですので、微力ではございますが、謹んでお引受けしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○高田会長 お願いいたします。   それでは、本日の議題に入りたいと思います。   先ほどの法務大臣挨拶にもございましたように、本日は現在調査審議中の部会から、その審議状況等を御報告していただきたいと存じます。   本日は、商法(船荷証券等関係)部会の部会長である藤田友敬臨時委員、そして、区分所有法制部会の部会長である佐久間毅臨時委員にお越しいただいておりますので、各部会における審議状況等を御報告していただき、御報告の後、委員の皆様から御質問等をお伺いしたいと存じます。   なお、今回の議題の内容に鑑みて、大谷民事第二課長、望月参事官、渡辺参事官に関係官として審議に参加していただきたいと考えておりますが、よろしゅうございますでしょうか。   御異議もないようでございますので、大谷民事第二課長、望月参事官、渡辺参事官に関係官として審議に参加していただくことにいたします。   また、配布資料についてでございますが、本日御欠席の芳野委員から意見書の送付がありましたので、配布させていただいております。   それでは、まず藤田部会長、報告者席まで御移動をお願いいたします。   それでは、商法(船荷証券等関係)部会の御報告をお願いいたします。 ○藤田部会長 御紹介にあずかりました藤田でございます。私の方から商法(船荷証券等関係)部会における審議経過について報告させていただきます。   最初に、配布資料について御説明致します。御手元には民1−1「船荷証券に関する規等の見直しに関する中間試案」と題する資料、民1−2「船荷証券に関する規定等の見直しに関する中間試案の補足説明」と題する資料、そして民1−3「船荷証券に関する規定等の見直しに関する中間試案(概要)」と題するカラー刷りの資料の3点をお配りしております。本日は時間の関係もございますので、1−3の資料を中心に商法(船荷証券等関係)部会におけるこれまでの審議状況やその背景、中間試案の概要について御報告いたします。   まず、背景や審議状況について御報告いたします。資料の背景、これまでの経過の欄を御覧ください。   船荷証券は、海上物品運送契約による運送品の受取り又は船積みを証し、その引渡請求権を表章する有価証券であり、国際海上物品運送において利用されています。現行法上、船荷証券は書面によって作成することとされています。しかし、商取引において電子的な手段の利用が拡大する中、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)が、電子的移転可能記録モデル法――MLETRと略されるものですが――を作成し、これを参考として諸外国においても国内法整備の検討に着手する動きが見られます。   我が国が参加するG7においても、令和3年4月、G7参加国がMLETRと整合する国内法整備の促進を内容とするデジタル担当大臣の共同声明が採択されたほか、令和3年6月に閣議決定された規制改革実施計画においては船荷証券の電子化が取上げられるなど、我が国においても船荷証券の電子化は重点的に検討すべき課題とされました。   このような状況を踏まえ、令和4年2月、商法の船荷証券に関する規定等の見直しについて法務大臣から法制審議会に対して諮問がなされました。その後、法制審議会商法(船荷証券等関係)部会において、船荷証券の電子化についておおむね1か月に1回のペースで会議を開催してまいりました。会議では、UNCITRALのモデル法であるMLETRを参考に、国際的な調和が取れるような内容の国内法を整備すべく調査審議を行っており、本年3月8日に開催された第8回会議において中間試案の取りまとめを行ったところです。中間試案については、本年3月31日から5月12日までパブリック・コメントの手続を実施いたしました。   次に、中間試案の概要について御報告いたします。中間試案で取り扱っている論点は多岐にわたりますので、ここでは幾つかの主要な論点に絞って御報告したいと思います。資料の中間試案の概要の欄を御覧ください。   まず、電子化された船荷証券の名称についてですが、実現しようとする電子化された船荷証券は、実務では「電子船荷証券」などと呼ばれておりますが、法的には船荷証券そのものではありませんので、新たな法律上の名称を付すことが求められます。そこで、電子化された船荷証券の法律上の名称については、電子船荷証券記録とするということが提案されております。   続いて、発行場面の規律の内容等について御説明します。商法上、運送人は荷送人や傭船者の請求に応じて船荷証券の交付義務を負うとされていることから、部会において、運送人や船長に対し、電子船荷証券記録の発行義務を認めるかという点が議論されました。運送人等におけるシステム導入の負担や国際海上物品運送の実務等を考慮し、中間試案においては、発行義務までは認めず、運送人又は船長が荷送人等の承諾を得て電子船荷証券記録を発行することができるとする規律が提案されています。また、紙の船荷証券の占有に代わる概念として、MLETRを参考に、支配などの概念を創設することが提案されています。   次に、技術的要件の内容等については、電子船荷証券記録について定義を設けるとともに、MLETRが定める電子的記録の技術的要件を参考に、一定の技術的要件を設ける方向で議論がされています。また、国の認証を受けた機関による関与の有無についても議論がされましたが、国際的な調和という観点からは望ましくないということから、国の認証を受けた機関による関与を要求しないという方向で検討されております。   続きまして、C船荷証券と電子船荷証券記録の転換については、電子船荷証券記録から紙の船荷証券への転換請求権を認めるか否かが議論されたところ、意見が分かれているところから、中間試案においては転換請求権を認める案と、転換請求権は認めずに、当事者の合意がある場合に紙の船荷証券への転換を行うことができるとする案、この両案が提案されており、引き続き検討することとされています。   続いて、D譲渡の方式について説明いたします。有価証券には指図証券、記名式所持人払証券、その他の記名証券、無記名証券という類型がありますが、船荷証券についても同様の類型が存在し得ることから、電子船荷証券記録についてもこれらの類型の存在を前提に、それぞれの類型ごとに譲渡の方式を定めることが提案されています。また、指図式の電子船荷証券記録については、紙の船荷証券における裏書に相当する電子裏書を権利の譲渡等に係る効力発生要件として規律することが提案されています。   次に、E効力等に関する規律については、紙の船荷証券に適用される民法や商法の各規定のうち、電子船荷証券記録にも適用されると考え得る規定を整理しており、F強制執行に関する規律については、強制執行の場面に関する規律の案が複数提案されております。   最後に、G倉荷証券等の電子化ですが、船荷証券と同じく商法上の有価証券である倉荷証券や複合運送証券についても、電子船荷証券記録と同様の内容で、その電子化を検討するという方向性が示されています。   以上が中間試案の概要でございます。   今後の予定でございますが、部会としましては今後、パブリック・コメントの結果も踏まえ、更に調査審議を尽くしたいと考えております。   以上でございます。 ○高田会長 どうもありがとうございました。   ただいまの藤田部会長からの審議経過報告につきまして、御質問、御意見がございましたら、御発言をお願いいたします。   いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。   藤田部会長におかれましては、どうもありがとうございました。引き続き御審議のほどをよろしくお願い申し上げます。   では、続きまして佐久間部会長、報告者席まで御移動をお願いいたします。   では、佐久間部会長、区分所有法制部会の御報告をお願いいたします。 ○佐久間部会長 区分所有法制部会の部会長を務めております佐久間でございます。よろしくお願いいたします。   初めに、配布資料について御説明いたします。御手元には、「区分所有法制の改正に関する中間試案」民2−1と、その補足説明、民2−2及び中間試案の概要をまとめたカラー刷りの資料、民2−3の合計3点をお配りしております。時間の都合上、本日はこのうち民2−3「区分所有法制の改正に関する中間試案(概要)」と題するカラー刷りの資料を基に御報告いたします。   まず、民2−3の1枚目を御覧ください。右上のグラフにありますとおり、令和3年末時点で築40年以上のマンションが約116万戸に上るなど、近年高経年の区分所有建物が増加し、今後これが更に急増していくことが見込まれます。また、区分所有者の高齢化も進んでいます。このような背景の下、相続等を契機として区分所有者の不明化や非居住化が進行しています。区分所有建物を適切に管理し、あるいは老朽化した区分所有建物を再生するためには、区分所有者の集会の決議により意思決定を行う必要があります。ところが、現行の区分所有法においては決議の母数が全区分所有者とされているため、所在等が不明の区分所有者や、管理に無関心で決議に参加しない区分所有者は、集会の決議において実質的に反対したものと扱われ、決議に必要な賛成を得るのが困難になるという問題が生じています。特に、建替え等の区分所有建物の再生については、要件が厳格であるため、更に意思決定が困難となります。その結果、区分所有建物の管理不全化を招くとともに、老朽化した区分所有建物の再生が困難になっているとの指摘がされています。   また、被災して大きなダメージを受けた区者所有建物についても、建替え等の決議には区分所有法が定める厳しい要件を満たす必要がある上に、その決議を被災区分所有法に基づく災害指定政令の施行後1年以内に行うことが必要とされているため、再生に必要な賛成を得るための時間が足りず、円滑な復興に支障が生じかねないとの指摘がされています。こういったことから、区分所有建物の管理、再生の円滑化や被災区分所有建物の再生の円滑化を図るための区分所有法制の見直しが喫緊の課題となっています。   そこで、資料の2枚目にお進みいただきまして、昨年9月、区分所有法制の見直しについて法務大臣から法制審議会に対して諮問が行われ、区分所有法制部会が設置されたところです。   部会におきましては、昨年10月からこれまでの間に合計10回の会議を開催し、この間、本年6月8日の第9回会議におきまして、それまでの調査審議の内容を踏まえ、区分所有法制の改正に関する中間試案を取りまとめました。中間試案については、本年7月3日から9月3日までの2か月間、パブリック・コメントの手続に付し、現在集計中ですが、約130件の意見が寄せられております。今後、パブリック・コメントの結果をも踏まえまして、部会において更なる調査審議を行ってまいりますが、本日は中間試案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。   中間試案の内容は、大きく分けて三つあります。第1に、区分所有建物の管理の円滑化を図る方策、第2に、区分所有建物の再生の円滑化を図る方策、第3に、被災区分所有建物の再生の円滑化を図る方策の三つです。   そのうち、まず区分所有建物の管理の円滑化を図る方策についてです。資料の3枚目を御覧ください。   1点目は、集会の決議を円滑化するための仕組みです。先ほど申し上げましたとおり、所在等不明の区分所有者の存在が円滑な決議を阻害しているとの指摘がされています。そこで、裁判所の関与の下で所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する制度の創設を検討しています。また、建物に居住していないなどの理由から建物の管理等について関心が薄く、書面での議決権行使をせず、集会にも出席しない区分所有者が増えている場合には、所在等不明の区分所有者がいる場合と同様に、多数決割合を満たすことが困難ないし不可能となります。そこで、出席者の多数決による決議を可能とする制度の創設も検討しています。   2点目は、区分所有建物の管理に特化した財産管理制度の創設です。これは、専有部分の区分所有者が不明で、その管理がされていない場合や、区分所有者はいるものの管理が適切にされていない場合に、裁判所の選任する管理人に管理を行わせようとするものです。   3点目は、専有部分の管理を円滑化するための仕組みです。例えば、建物の配管を全面的に更新しようという場合に、専有部分の工事を当該専有部分の区分所有者が拒みますと、その部分について工事ができないことになりかねません。これを防ぎ、専有部分の工事を伴う配管の全面更新等を一定の多数決で行えるようにすることを検討しています。また、国外に居住している区分所有者が専有部分の管理のための国内管理人を選任することができる制度の創設を検討しています。   4点目は、共用部分の変更決議を円滑化するための仕組みです。現行法上、共用部分の変更決議をするためには区分所有者の4分の3以上の賛成が必要であるところ、その要件を緩和する複数の案を検討しています。このほか、資料の右下に記載してありますとおり、区分所有者相互の協力義務や事務のデジタル化に関する規定を設けること、共用部分について発生した損害賠償請求権を管理者が円滑に行使するための仕組みを創設すること等も検討しております。   次に、資料の4枚目を御覧ください。区分所有建物の再生の円滑化を図る方策です。現行法上、区分所有建物について建替え決議をするためには5分の4以上の多数決要件を満たす必要があるところ、その要件の緩和を検討しています。緩和の内容については、資料の下段にありますように、基本的な多数決割合自体を引き下げる案、あるいは現行の割合を維持した上で、耐震性不足など一定の客観的事由がある場合に多数決割合を引き下げる案などの複数の案について検討をしています。また、金銭補償をした上で専有部分に設定された賃借権を消滅させる制度の創設も検討しています。さらに、区分所有関係の解消、再生のための新たな仕組みとして、建替え決議と同等の多数決により建物と敷地の一括売却や建物の取壊し、一棟リノベーション工事を可能とする制度の創設も検討しています。   次に、資料の5枚目を御覧ください。上段にありますのは、団地の再生の円滑化を図る方策です。団地につきましても、その再生の円滑化を図るため、団地内建物の一括建替え決議等について、その要件を緩和する複数の案を検討しています。また、多数決による建物と敷地の一括売却を可能とする制度の創設を検討しています。   最後に、被災区分所有建物の再生の円滑化を図る方策です。資料下段の記載のとおり、建替え決議等の多数決要件の緩和、被災区分所有法に基づく決議可能期間の延長を検討しています。   以上が区分所有法制の改正に関する中間試案の概要です。   区分所有法制部会におきましては、区分所有建物の管理、再生の円滑化に向けた法制の見直しを行うべく、パブリック・コメントの結果も踏まえ、また、皆様の御意見を十分に伺いながら、調査審議を継続してまいりたいと考えております。   私からの御報告は以上でございます。 ○高田会長 どうもありがとうございました。   ただいまの佐久間部会長からの審議経過報告につきまして、御質問、御意見等がございましたら、御発言をお願いいたします。   特にございませんでしょうか。   では、佐久間部会長、どうもありがとうございました。引き続き部会の審議をよろしくお願い申し上げます。   本日の予定は以上でございますが、この際、何か御発言いただけることがございましたら、お願いいたします。   御発言もないようでございますので、本日はこれで終了といたします。   本日の会議における議事録の公開方法につきましては、審議の内容等に鑑みて、会長の私といたしましては、議事録に発言者名を全て明らかにして公開することにいたしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。   それでは、本日の会議における議事録につきましては、議事録の発言者名を全て明らかにして公開することといたします。   なお、本日の会議の内容につきましては、後日、御発言いただいた委員等の皆様に議事録案をメール等にて送付させていただき、御発言の内容を確認していただいた上で、法務省のウェブサイトで公開いたしたいと思います。   最後に、事務局から事務連絡がございましたら、お願いいたします。 ○坂本関係官 それでは、次回の会議の開催予定について御案内申し上げます。   法制審議会は、2月及び9月に開催するのが通例となっております。次回の開催につきましても、現在のところは令和6年2月に御審議をお願いする予定でございますけれども、具体的な日程につきましては後日改めて御相談させていただきたいと存じます。委員、幹事の皆様方におかれましては御多忙とは存じますけれども、今後の御予定につき御配意いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。 ○高田会長 ありがとうございました。   それでは、これで本日の会議を終了いたします。   本日はお忙しいところをお集まりいただき、御議論いただき、誠にありがとうございました。 −了−