法制審議会 区分所有法制部会 第12回会議 議事録 第1 日 時  令和5年10月17日(火) 自 午後1時30分                       至 午後4時46分 第2 場 所  東京地検総務部教養課会議室302 第3 議 題  1 意見募集の結果の概要について         2 区分所有法制の改正に関する要綱案の取りまとめに向けた検討 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○佐久間部会長 では、予定した時刻になりましたので、法制審議会区分所有法制部会の第12回会議を開会いたします。   本日も御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日は寒竹委員、能登委員、増田委員が御欠席です。   では、配布資料の確認をさせていただきます。事務当局からお願いいたします。 ○畑関係官 資料について御確認いただきたいと思います。事前に部会資料21「区分所有法制の改正に関する要綱案の取りまとめに向けた検討(2)」と、参考資料12「「区分所有法制の改正に関する中間試案」に対して寄せられた意見の概要」をお送りしております。お手元にないものがある場合には、途中でも結構ですので、事務局の方にお知らせください。 ○佐久間部会長 早速、本日の審議に入ります。本日も長時間にわたることになると思われますので、適宜休憩を入れながら御審議いただきたいと考えております。   初めに、事務当局から御報告があります。 ○望月幹事 最初に報告といたしまして、パブリック・コメントの結果についてでございます。6月に取りまとめいただきました中間試案について、7月3日から9月3日までの2か月間、パブリック・コメントを実施し、合計で131件、うち団体が約40件の意見が寄せられました。論点ごとに意見は様々でございましたけれども、全体としては権利保護、負担軽減等にも慎重に配慮をしながら前向きに検討すべきだという意見が多くございました。中間試案に対して寄せられた意見の概要につきましては、今回の参考資料12として配布させていただいておりますので、こちらを御参照いただければと思います。   報告は以上でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   パブリック・コメントの結果について、個別のことではなくて全体として何か御意見、御質問はございますでしょうか。   よろしいでしょうか。   ありがとうございます。では、部会資料21につきまして事務当局から御説明いただきます。お願いいたします。 ○畑関係官 部会資料21について御説明いたします。   部会資料21では、中間試案で取り上げた順に沿って、第1では区分所有建物の管理の円滑化を図る法策、38ページ以下の第2では区分所有建物の再生の円滑化を図る方策を取り上げております。前回会議で取り上げた項目については(略)という表記がされております。   まず、第1の管理の円滑化を図る方策ですけれども、1の冒頭、集会の決議の円滑化では、(1)では所在等不明区分所有者を集会の決議の母数から除外する仕組み、そして、(3)では、専用部分の共有者による議決権行使の指定を取り上げています。いずれも中間試案と同様の内容の提案でございます。   続いて、4ページ以下で、2がありますけれども、区分所有建物の管理に特化した財産管理制度について取り上げております。こちらも中間試案と同様の内容の御提案でございます。   3が(略)になりまして、14ページの4では、管理に関する区分所有者の義務(区分所有者の責務)について取り上げております。責務の規律の在り方としては、中間試案で注記したものではなくて、本文で提案していたものと同様の提案をさせていただいているところです。   15ページから5、専有部分の保存・管理の円滑化です。(1)が他の区分所有者の専有部分の保存請求、(2)が専有部分の使用等を伴う共用部分の管理、(3)が管理組合法人による区分所有権等の取得、(4)が区分所有者が国外にいる場合における国内管理人の仕組みをそれぞれ取り上げておりますけれども、提案している規律の内容としては、いずれも中間試案と同様の内容のものですが、(3)の管理組合法人による区分所有権等の取得については、管理組合法人が区分所有権を取得した場合には議決権を有しないものとすることも提案しています。また、(4)の国内管理人の仕組みについては、法律上選任を義務付けることはしないことを前提に、規約で選任を義務付けることもできることを想定している、そういった注記などもさせていただいております。   21ページ以下で6、共用部分等に係る請求権の行使の円滑化ですけれども、こちらは中間試案の本文と同様の規律を設けることを提案しているものです。   25ページ以下、7ですけれども、管理に関する事務の合理化です。(1)では、集会におけるウェブ会議のシステムの活用については特段の規律を設けることとしないことを提案しています。(2)事務の報告義務違反に対する罰則については、現行の規律を維持することを提案しています。(3)の規約の閲覧方法のデジタル化については、規律を新たに設けることを提案しておりまして、法制的な観点から文言の整理をしておりますけれども、提案する規律の内容自体は中間試案と同様のものです。   28ページ以下、8−1、8−2で、区分所有建物が全部滅失した場合の敷地共有者等集会の仕組み、建物の再建、敷地の売却の決議の仕組みを創設することの提案ですけれども、内容は中間試案とおおむね同様のものです。再建決議や売却決議については、建替え決議と同様に、非訟の手続を設けることとはしないということなども提案しているところです。   36ページで、9の第三者を管理者とする場合の監事の選任についてですけれども、国土交通省のマンション政策に関する研究会での検討状況なども踏まえて、区分所有法においては特に規律を設けないことを提案するものです。   以上が第1でございます。   続いて、第2、38ページ以下ですけれども、区分所有建物の再生の円滑化を図る方策ということで、建替え決議の多数決要件については前回会議で取り扱いましたので、(2)の建替え決議がされた場合の賃借権の終了等からです。ここでは中間試案ではB案として提案していた賃借人に対する補償金の支払を前提とした賃貸借の終了請求の規律を設けることを提案しているものです。(注1)では、借地借家法の適用除外に関する規律を設けないことを注記しております。(注2)では、中間試案の(注5)で注記していたような終了請求の対象を限定する考え方は採らないことを提案するものです。(注3)、(注4)では、補償金額の在り方、補償金の支払と明渡しを同時履行とする考え方があることを取り上げていますけれども、これらとの関係も踏まえて、(注5)では非訟事件の手続は設けないこととすることを提案するものです。中間試案の(注1)では、期間や使用及び収益の目的のある使用貸借の取扱いについて取り上げて注記をしていたのですけれども、部会資料21、ここでは補償金の支払を前提とせずに終了請求の規律を設けることを提案しています。   45ページ以下で配偶者居住権の消滅について取り扱っておりますが、誤記がございまして、(注4)なのですけれども、こちらの注記が、(2)の建替え決議がされた場合の賃貸借の終了、39ページの(注4)、(注5)と記載がそろっていなかったのですけれども、正しくは39ページの賃貸借の終了等に関する(注4)、(注5)と同様の注記をさせていただくつもりでしたので、その旨、訂正をさせていただければと思います。失礼いたしました。規律の内容は、中間試案のB案と同様のものです。   48ページ、担保権の消滅については、特に規律を設けないこととすることを提案するものです。   49ページ、2の多数決による区分所有建物再生、区分所有関係の解消についてですけれども、ここでは敷地の一部売却について、前回会議では取り上げておりませんでしたけれども、ここで取り上げておりまして、部会資料21、ここでは敷地の一部売却について新たな制度を設けることはしないとすることを提案するものです。   以上、簡単ではございますけれども、部会資料21の御説明となります。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。説明としては全体を通して今、説明していただきましたけれども、議論の方は幾つかに区切って行いたいと思います。   最初に、「第1 区分所有建物の管理の円滑化を図る方策」のうち、「1 集会の決議の円滑化」から「5 専有部分の保存・管理の円滑化」まで、資料でいいますと21ページまで御意見を頂くことといたします。   最初に、本日御欠席の能登さんから意見又は質問を頂いておりますので、望月さんから紹介していただいて、質問についてはお答えいただくということにいたします。お願いいたします。 ○望月幹事 能登委員の方から今日急遽、出席できなくなったということで、発言予定であった内容が送られてきておりますので、まず、こちらの方を読み上げさせていただきます。内容としては、所有者不明専有部分管理制度に関する御発言でございます。以下、読み上げます。   「今回の法務省案に基本的には賛成いたします。ただし、次の2点は確認させていただきたいと存じます。一つは、所在等不明区分所有者として決議の母数から除外決定を裁判所から受けること、所有者不明専用部分の管理人を選任することは、直接には連動せず並立し得ると理解しております。すなわち、管理人が選任されても、それ以前に受けた決議母数からの除外決定は、取り消されない限り引き続き有効、管理人選定後に除外決定を請求して除外決定されることも可能という理解で問題ないでしょうか。というのは、所有者不明専有部分管理人が、それまでの経緯や建替え計画案についての理解が十分でない場合、決議に参加して賛否を投票するのは難しく、また、管理人も希望しないと思われるので、管理人が選定されているが決議については除外決定がされている状態も必要だと考えるためです。   もう一つは、所有者不明専有部分管理人が建替え決議成立後の売渡し請求の相手方になり得ると理解しておりますが、問題ないでしょうか。決議成立後の手続まで区分所有法で規定されているわけではありませんが、建替え事業の推進において重要ですので、確認させてください。」   以上が御発言予定だった内容ということになります。   質問にわたる部分がありますので、併せて補足説明させていただきます。   まず、所有者不明専有部分管理人と、所在等不明区分所有者の決議母数からの除外決定の関係です。母数からの除外決定が出されているという場合であっても、その後、所有者不明専有部分管理人を選任するということはあり得ると思います。その場合は、所有者不明専有部分管理人は管理を行い、議決権も行使できるという建前で現在、制度設計をしておりますので、通常は所有者不明専有部分管理人から除外決定の取消しを請求して、除外決定が取り消される、こんな流れが想定されるのではないかと思っております。   逆のパターンとして、所有者不明専有部分管理人が選任されている場合に、所在等不明区分所有者として決議母数からの除外決定ができるかどうかですけれども、こちらについては必要性がないということで、できなくなると考えております。これは、所有者不明専有部分管理人が管理をし、議決権行使もできますので、母数からの除外決定は必要なくなると考えております。   もう一つ、所有者不明専有部分管理人に対する売渡し請求が可能かということですが、建替え決議成立後も引き続き所有者不明管理人が選任されている場合には、売渡し請求の相手方としては所有者不明専有部分管理人を売渡し請求の相手方とするという理解で考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。あと2点、先に御紹介いたします。お願いします。 ○望月幹事 次に、「5 専有部分保存・管理の円滑化」のうちの(3)管理組合法人による区分所有権等の取得に関する御意見でございます。まず、発言予定だった内容を読み上げさせていただきます。   「今回、法務省案は土地を取得することができるとされておりますが、管理を行うために必要な場合であれば、土地の所有権以外の取得、すなわち建物や土地の地上権や賃借権等の取得も可能と認識してよいか、お教えください。」   以上が内容になります。   ここについても御質問でございますので、補足的に説明させていただきますと、管理組合法人の目的の範囲内であれば建物取得、地上権の取得、こういったものも可能というふうに、これまでの扱いを特に変更するものではないと思っております。   続きまして、(4)区分所有者が国外にいる場合における国内管理人の仕組みというところについて、御発言予定内容を頂いておりますので、まず、読み上げさせていただきます。   「今回の国内管理人を選任できるとする法務省案に基本的には賛成いたします。なお、国外区分所有者は、建替えはもとより日常の管理に至るまで管理組合から連絡が取れないことが問題であるため、連絡先を管理組合に届け出ることを区分所有者の義務とすることを提案いたします。なお、今回、法務省案では、規約において選任義務付けが可能であることを想定していると記載されておりますが、その旨は少なくとも標準管理規約に明記する必要があると考えます。今回の区分所有法改正で選任できるとされれば、標準管理規約も選任できるとなると思われますが、コメントで義務付けも可能と記載した方がよいという意見です。」 ○佐久間部会長 ありがとうございます。最後のところで、標準管理規約において国内管理人の選任に関して記載した方がいいのではないかという御意見が出ていましたが、これについて国交省の下村さん、あれば、お願いいたします。 ○下村幹事 ありがとうございます。国内管理人も含めまして、今回、区分所有法で手当てされますいろいろな改正に伴う標準管理規約の改正につきましては、別途国土交通省の方で検討させていただきたいと思っておりますので、御意見を踏まえまして、別途検討させていただければと思います。ありがとうございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。   では、どこでも結構でございますので、今、能登さんから文書でありました意見に続いて、あるいは御質問に続いてでも結構ですし、ほかの点でも結構です。いかがでしょうか。何か御意見、御発言があれば、お願いいたします。 ○森本委員 能登さんの意見に関してというところで、国内管理人の仕組みのところを最初に少し発言させていただきます。   部会資料21の補足説明3の提案の趣旨の5行目、括弧書きに、情報通信技術の発達等を踏まえると、国内の遠隔地にいる場合と国外にいる場合との差は相対的なものであるとあります。国外にいる場合においては、住所登録の制度や住所についての概念が異なるため、我々司法書士は登記実務の現場において住所証明書の取得に苦慮しているところです。管理に消極的な区分所有者に関して、管理組合が住所を探索して所在を把握する上で、海外に居所がある場合には困難を伴うことを御理解いただきまして、法改正を進めていただければと思います。 ○佐久間部会長 留意して進めるということで。承りました、ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○齊藤委員 ありがとうございます。順番に前から言っていいですか。 ○佐久間部会長 はい。もし御質問とか、今そこで意見が欲しいということであれば、切っていただいて。お願いいたします。 ○齊藤委員 分かりました、ありがとうございます。まず、1ページ目の第1の区分所有建物の管理の円滑化に関する方策の、集会の決議の円滑化というところで、所在等不明区分所有者を集会の決議の分母から除外する仕組みというところでございます。   基本的に、この方針で賛成でございます。ただし少し気になりますのが、@のところで当該区分所有者以外の区分所有者、管理者、管理組合法人の請求とあるのですが、この順番がそのまま法律の条文になるというわけではないかもしれませんが、本来は管理者、そして管理組合法人のときは法人、それでも駄目な場合が区分所有者、お一人の区分所有者ではなく、2名以上の区分所有者というのがよろしいと思いますので、このように本来在るべき姿をまずは目指していただいて、ということが分かる順番にお示しいただく、あるいは何かそういうことも分かるようにしていただけたらと思います。お一人の区分所有者がこういうことができるということは望ましいとは思いませんので、こういった形で進めていただきたいと思います。これが所在等不明のところでございます。前回は管理組合法人のところが理事になっておりましたが、今回はこれを管理組合法人と修正していただきまして、ありがとうございます。   それから、二つ目のところが4ページの所有者不明専有部分の管理制度です。所有者不明の専有部分の管理ということでございまして、もちろんこういった制度が必要だということもよく認識しておりますので、こういう制度を作るということに賛成ということが前提の、これは質問というか確認でございます。所有者が不明になって、専有部分の管理人を選ぼう、わざわざ皆さんが何か準備をして、ある意味お金とかを掛けてまで、管理人を選ぼうということを管理組合の中でするとしたら、そういう要求はどのような場合にあるのだろうと考えますと、例えば所有者不明になられて管理費がずっと滞納されている方がいて、管理組合はかなり滞納をされているので何とか取り戻したいというようなことがモチベーションなのかなと考えました。そこで質問です。私が上手に法律が読めなくて恐縮でございますが、こういった管理人の方は管理費の請求というか、支払いというようなことまで対応していけるのかということを教えていただきたいです。つまり、せっかく作った制度がきちんと使われるという意味では、どういった場面でどういうふうに使われていき、それに関するネックがないのかということの確認でございますので、よろしくお願いいたします。また、ほかにもこういう場面で使えるのだということもあるかと思いますが、併せて皆様からの御指導を得たいと思います。よろしくお願いいたします。   そして、管理不全の専有部分、あるいは管理不全の共用部分についてですが、管理不全マンションが本当に世の中に出てきておりますので、こういったものに対処していくということで、今回の制度は私も大変必要だと思っております。その上で少し気になることを申し上げたいと思います。まず、一つ目に、管理不全とはどういう状態をいうのかということが問題にならないのかということです。これは多分、民法の世界では管理不全はこういうものなのだと決まりがあるのかもしれないですが、例えば、空き家対策特措法では管理不全という概念が新しくでき、その定義も国土交通省の方で基準みたいなものをお作りになられるとなったら、管理組合側からすれば、異なる法律だから法律ごとに管理不全の考え方は違ってよいのだということは理解しにくいので、管理不全という考え方がどういうふうに整理されていくのか、これによってこの制度が使えるか、使えないか、また使いやすくなっていくのかということにも関係してくるのかと思います。   現実の管理不全マンション、管理不全のレベルにもいろいろあります。とても管理不全なマンションで、誰も住んでない、全住戸空き家になってしまっている場合はその対処に、空き家対策特措法を使われていくケースが現実には多いと思います。そうではない管理不全のマンションに関しましては、現状では建築基準法の10条に基づく勧告、あるいはマンション管理適正化法の第5条の2に基づき、指導勧告ができるということで、管理不全に対応するいろいろな法的ツールがあるわけですが、多分この制度が有効に利いてくるというのは、こういったほかの制度と連携して、例えば管理適正化法に基づく勧告などとの連携があれば、ここは区分所有法を検討するところですが、是非国土交通省との連携の中で、作った制度が有効に活用されていくために御検討いただけたらと思います。   今、マンションで管理不全の場合に、各自治体ではマンション管理士等の専門家を派遣して管理組合を立ち上げ、機能を強化させていく制度があります。この制度は、自治体によってある場合とない場合、また管理組合から呼ばれていないのに派遣できる場合と、呼ばれない場合には派遣できない場合があります。多くは、管理組合が助けてくださいと、管理組合自らがお手を挙げないと派遣できない制度です。管理不全の場合に自ら手を挙げることは難しいと思いますので、ぜひ、共用部分の管理不全の場合の管理人制度が、こうした政策、制度と連携し、マンションの中ではない第三者の、外部から依頼で派遣できる制度になっていくと有効かなと思いました。   そういう意味では、共用部分の方に関しては、特に地方自治体の方が利害関係者の中に入ることが非常に有効なのかなと思っております。今まで議論してきて、お越しいただいた自治体の方からも、こういった制度を活用ができるようにというお声もあったかと思います。是非そういった方向で御検討いただきたいと思っています。   また、共用部分の管理不全の管理人の制度ですが、最後はどう決まるのでしょうか。管理不全が解消したとき、管理人はどんな形で「終わりますよ」、「あなたの任務は終了です」と言っていただけるのでしょうか。何をもって管理不全が終了したと判断できるのでしょうか。一方的に、「あなたは来なくていい」「あなたの任務は終了」ではなくて、どこまでやればよいのかという辺りも、私たちは管理不全を解消していくということを目指しているので、最後をどこにするかということもしっかりと考えていく必要があるのかなと思いました。これは法律の中で盛り込むというよりか、むしろ法律を使っていくときに皆さんで一緒に考えていくことかもしれません。管理人の活用の具体的なイメージを共有した中でより使われていく、使われやすい制度にしていく必要があるのではないかと思っているというところでございます。   そして、区分所有者の責務のところでございます。大変重要な条文が今回入るということで、皆さんの期待も非常に大きいのではないかと思っているところでございます。パブコメを見ましても、おおむね皆さん、前向きであると理解しました。一方では、こんなことは当たり前だからいちいち書くこともないのではないかという趣旨の御意見もありました。共通した認識として、14ページのところの、管理に関する区分所有者の義務、責務が大変重要だということです。   ただ、少し気になりますのは、15ページの後ろの5行目のところです。こういった条文が入るから、集会で出てこない人は決議に参加できない、出席者多数で決められるのですよということと関係して考えていくというのは、少し論理が飛躍しているのではないでしょうか。この条文は、飽くまで区分所有者はしっかり管理に協力していきなさいということです。そのことと、集会の決議では出席者多数で物事を決めましょうということは分けて考える必要があるのではないでしょうか。日本のマンションの進め方は、集会を大事にして、多くの人が納得して物事を決める。そして、決議というのは物事のスタートでございますので、それをどういう形で調えるかということなので、この条文が入ったからといって、「だから集会の決議は出席者多数ですよ」というのは、おかしいのではないかと思っています。   前回も申しましたが、管理不全マンションを解消あるいは予防していくということは重要だということは理解しております。管理不全マンション、例えばで恐縮ですが、横浜市で私が実態調査をしたら、管理不全マンションはないわけではございません。横浜でも4%ぐらいありました。これは数年前ですから、現在はもっと増えているかもしれません。ただ、この4%を救うというために、ほかのマンションが普通にできていることをできなくするということ、あるいはしなくてよい状態にし、安易に流れる方向に全体を持って行くというのはいかがなものかと考えておりますので、出席者多数で物事を決めるということはかなり慎重な議論が必要であると考えております。   そのほかの部分は、5(2)の16ページのところでございます。これも少し気になることがございます。これは多分、専有部分の使用等に伴う共用部分の管理、配管の全面更新などを想定されていて、そういったものをやりやすくしていこうというための条文だという理解でよろしいでしょうか。そうしますと、専有部分の配管の全面更新をしやすくする措置は、ストック社会で必要なことだと思います。しかし、既に標準管理規約の中にあるので、取り分けこれが改めて必要かということを再度考えてみて、もしこの条文ができたことで、逆に今できていることができなくなるのであれば、それは私たちが求めていたことではないと思います。そこで、少し考えてみましたところ、規約に特別の定めがあるときは集会の決議で決することが・・とあります。規約に特別の定めがあるというのが本当に必要なのでしょうか。皆さんのパブコメの中にも、確認しましたところ、そういった意見がありましたが、大規模修繕をするというとき、いい例えかどうか分かりませんけれども、住戸の中に入らせていただいて工事をするときに、工事の説明会、そしてその後の総会で、皆さんこうしますよということで工事の方法を御納得くださいという、集会の決議でやってきた事実があるのではないかと思います。あるいは共用部分の一部として玄関扉の塗装をし直す、もちろん枠みたいなところも塗りますので、玄関扉の枠を塗るときに開けていただいて、おうちの中の方から塗るということもある。専有部分の使用にあたるので、これも全部規約に書いていないとできないのかというふうにも読めますので、この条文が今までできていたこと、求められていることをできなくする可能性があるように思います。すでに、標準管理規約の対応で問題なく、行われているのであれば、今回の法改正ではもう必要ないのではないでしょうか。気になっている点でございます。   あと幾つかございます。18ページにございます管理組合法人の区分所有権の取得というところでございます。本日の私のこの部分に対する発言は基本的には今の原案に賛成しておりますが、こういうところが少し心配だというところでございますので、その辺りを御指導いただけたらという意味からの発言でございます。   管理組合法人による区分所有権の取得のところで、私もこの審議会の中で何回か確認させていただきましたが、土地と一体として管理、使用すべき土地を取得することができる、この土地にはその上にある建物も含まれますよねという質問をして、はい、含まれますというお返事を頂いていたから、特に心配しておりませんでしたが、先ほどの不動産協会の能登委員の御質問、御意見等を踏まえますと、どこかでやはりそれも分かるようにしておいた方がいいのかなと思ったことが1点目です。   それから、もう1点は、皆さんの御意見があった、パブコメの中にもございましたが、管理組合法人でない場合も不動産を取得したいという御意見は、お気持ちは分かるのですけれども、なかなかそこは難しいところかなと思って考えていたのですが、私は管理組合法人にすることの壁をむしろ低くしていく方が大事かなと思っております。ですから、基本は管理組合法人にしてお持ちいただく、ですが、多分管理組合法人にしたときのネックは、法人住民税均等割を払わなければいけないとか、こういったことの税の負担が大きいということかと思います。この点については、実態としては、各都道府県、市町村の条例で、管理組合は払わなくていいよという制度のところもありますので、こういった制度を横展開していくということが必要で、不動産をお持ちになるというときには、しっかりと法人にしていただいてお持ちになって、登記をきちんとしていただくという道を当たり前にしていく、そのためには管理組合法人にするというハードルを低くしていくということも同時に考えていく必要がないかと思っております。これは国土交通省が御担当者でしょうか。よろしくお願いいたします。   そして、これは管理組合法人が不動産を持ったときに、その住戸に関する議決権がないのですよという理解を私はしました、そうすると、議決権という権利はないから、管理費や修繕積立金の支払いという義務はなく、住戸分の管理費や修繕積立金は払わなくてよいという考え方なのでしょうか。以上になります。 ○望月幹事 今のところだけ質問にお答えすると、そこは支払義務はあるという前提だと思います。 ○齊藤委員 そうですか。権利はないけれども義務はある、ということですね。そうしませんと、ほかの人の管理費とか修繕積立金が上がっていくということになりますものね。支払わないと1住戸分減るわけですものね。 ○佐久間部会長 権利がないことはない。議決権という権利を行使できないだけで、ほかの区分所有者としての権利はありますので。 ○齊藤委員 分かりました。そうしますと、管理費、修繕積立金の支払はあるということですね、分かりました。そこは、ありがとうございました。   最後、国内管理人制度です。この国内管理人制度も大変こういう需要があると、私も外国にお住まいの方の所有者がおられるというマンションの実態調査を積み重ねてきましたので、大変有り難いというか、前向きな制度ができるということで期待しているところでございます。そこで、これも確認でございますが、多分国内管理人を置きたいという、置かなければいけない理由というのはたくさんある中で、一つは、なかなか管理費がスムーズに払ってもらえないというときに、この国内管理人の方に管理費を払ってもらえるようなことを請求してよろしいのでしょうか、払えと言えるものなのでしょうか。これが1点目になります。   それから、なかなか連絡が付かないからこの方に連絡をということであれば、これから、例えば何か訴訟等でいわゆる裁判所などの手続のお手紙を送るというのは、この人に到達すればよろしいということになるのでしょうかということです。2点目です。   それから、国内管理人の方に資料が届けられました、管理組合は、この国内管理人の方がずっと国内管理人だと思っていたら、知らない間に国内管理人ではなくなっていました。こういったケースが現実にはあると聞くのです。ですから、永遠に国内管理人ではない。そうすると、責任を持って、国内管理人が替わったら所有者の方に連絡してもらわなければいけないのだけれども、その所有者との連絡ができないから、国内管理人制度があるわけですよね。実態として国内管理人との連絡は密になります一方で、所有者と疎になっていく可能性もあります。例えば、今の国内管理人の方が必ず次の国内管理人を決めてほしいとか、何か継続性を持たせるようなことが現場としては必要ではないかと思います。そうした制度は無理でしょうか。3点目です。そして、国内管理人の方が、私はもう国内管理人でもないし、所有者がどこに住んでいるか分からないと言われたら、これは今度は所有者不明の区分所有者としていけるのでしょうか。これは4点目です。今回新しく作る制度が、有効に機能し活用されるためには、横に連携していくということも重要かと思いますので、この点について今考えていることがあれば御指導いただき、是非この制度が有効に働くような方向により議論ができたらという意味からの発言でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。多岐にわたるので、一つ一つお答えいただけるところはお答えいただくということで、まず、1ページのア@のところの請求権者の並びですね、これは今後の立法の過程でしかるべくということですか。 ○望月幹事 条文としてどういう順番になるかとか、どういう書き方になるかというのは、今後こちらで検討させていただきますけれども、中身としてこの請求権者に順位付けをするということは考えておりません。みんな並列で、誰が先にやっても構いませんということで考えております。 ○佐久間部会長 次に、4ページの所有者不明の場合の専有部分管理命令につきまして、どういう場面を管理人を選ぶ場合として主に想定しているのかについて、お願いいたします。 ○望月幹事 いろいろな場面があると思いますけれども、例えば、部屋の中にごみが一杯たまってしまっています、所有者等がどこにいるか分かりません、こういった場合には、そのごみから悪臭が漂ってくる、このままだと困るということで、所有者不明専有部分管理人を選任して、その方にごみの処分等を依頼するということはあると思います。   あと、例えば、その住戸、その部屋を買いたいという人が具体的に現れた場合に、購入したいのだけれども、誰から買えばいいか分からない、こういったような状況のときに、所有者不明専有部分管理人を選んで、その方から買い受ける、裁判所の許可が必要になりますけれども、こういったようなケースが想定されるのではないかと思います。   先ほど、管理料等の取立てのために選ぶことができるのかということがありましたけれども、所有者不明専用部分管理人として選ばれたからといって、その人に支払義務が生じるわけではありません。飽くまでこの不明である所有者の方の持っている財産から支払うということになりますので、例えば管理費なんかの場面だと、先取特権があると思いますので、管理人制度を使わなくても別途、強制執行等の手続をすることができるのではないかと思っております。 ○佐久間部会長 齊藤さん、何かあれば、後で追加して聞いていただければと思いますので、お答えをまず差し上げることを続けます。次は管理不全関係に関して、管理不全の状態とはどういう状態を指しているのか明確にしておいた方がいいのではないかというお話でした。 ○望月幹事 特に管理不全となる要件が具体的に決まっているわけではありませんけれども、基本的には現在の民法の管理不全の建物と同じようなところをイメージしております。その管理がしっかりできていないことによって周りに迷惑の掛かっている状態、抽象的にはこんなようなところかと思っております。 ○佐久間部会長 あとは、ほかの制度との連携が重要であるというのは、御意見としては承りました。任務の終了については、これは命令の取消しですね。命令の取消しという制度が、ここには書いていませんけれども、当然書き込むことになりますね。 ○望月幹事 はい、管理不全の管理人の場合にも、業務が終われば管理人自身から辞任の申出もできますし、必要がなくなったということで他者から解任の請求をすることもできると思います。 ○佐久間部会長 続きまして、14ページの区分所有者の責務のところは、御質問というより御意見で、前回御発言になった集会決議との関連付けをするのはいかがなものかと思っているという、それは御意見として承りました。次に、16ページの専有部分の使用を伴う共用部分の管理に関し御心配になっているのは、このような規定を設けることで、現在できていることができなくなるのはよくないということであったと思いますが、現在できていることというのは、現在は規約に定めがあるからできているものがあるということですよね。 ○齊藤委員 規約に特別の定めがあるときと、規約に必ずしも書かなければいけないのでしょうかということです。 ○佐久間部会長 今、規約になくて、できていますか。 ○望月幹事 補足説明にもありますけれども、現状の理解としては、規約に定めがない場合に、集会の決議だけをもってこういったことができるかというと、それはできないと考えております。ただ、そのできないということの意味合いですけれども、齊藤先生がおっしゃったように、説明会を開き、こういうふうにやっていきましょうということで集会の決議も得ましたと、実際に工事を行う場面で、こういうことで決議がありましたので協力してくださいということで御協力を任意に頂く分には、当然できるということになると思います。なので、現在できているものは、そういった区分所有者の方の同意が得られているのでできている、という仕切りになるのではないかと思っています。   一方で、最後までその区分所有者が、いや、立入りは拒みますということになった場合に、強制的にその方を退かして中に入って、できるのかと、これが集会決議だけでできるかというと、そこは少し難しいのではないかという整理をさせていただいておりまして、少なくとも規約で定めることが必要だろうと。更に言うと、規約で定められていればいいかどうかというところも次の問題点としては出てきますので、そこを今回法律ではっきり、規約で定めていればオーケーですよということを書くことによって、そういう疑義をなくすと、こんなような形を考えております。 ○佐久間部会長 続きまして、18ページの管理組合法人による区分所有権の取得について、建物の取得についても可能ということを、能登さんと同様に、明確にすべきではないかという御意見であったと思います。もう一つ、管理組合法人化のハードルを下げることが大事ではないか、税の優遇などとおっしゃったのは、御意見というか、この部会の外の話だとは思いますが、そういう点に留意すべきだということで、承りました。最後が、19ページにあります国内管理人の制度に関しまして、管理費の請求をすることができるかとか、裁判所等に対して手続をする場合の事前の通知等ですね、これは管理人を相手にすればいいのかということ、そして、もう1点あったのが、その管理人が替わったなどということについて、2点ですかね、管理組合などはどうやって知ればいいのかということと、そもそも替わりましたとか、もう私は管理人ではありませんということでいいのかという、それらについてよろしければ、お願いします。 ○望月幹事 まず、国内管理人の権限としては、19ページのAオにありますように、債務の弁済ということで債務を支払うことも書かれておりますけれども、これは飽くまで事実的に債務を支払うということが書かれているだけですので、国内管理人自身が所有者と同じように義務を負担するというわけではありません。ですので、国内管理人に対して管理料を払ってください、こういう請求はできないと整理させていただいております。   次に、飽くまで国内管理人の権限として想定しているのは区分所有建物のこの部屋に関する権限でございますので、訴訟における被告になった場合に誰に送達するか、これは全く別の話になりますので、国内管理人を訴状の送達先にするとか、そういうところまでは今回、予定しておりません。   さらに、国内管理人が辞めた場合ですけれども、選任の義務付けまでは予定していないので、引き続き別の方を選任してくださいというところまでは義務付けることはしていないと考えております。ですので、国内管理人をやはり置くのはやめますと言われてしまって、その次に置きませんとなったときには、その次の方をどうしても選んでくださいと、これは法律上は特にそこまでは義務付けるものではないということで考えております。 ○齊藤委員 それを逆に、規約の中でも書いて大丈夫ですか。国内管理人を選び、空白がないように、また次の国内管理人をきちんと選べと、極端に言うと、次の者が選ばれない限りは前任者が国内管理人になるとみなすとか、そこまでは踏み込みすぎですか。 ○望月幹事 みなすというところまでは難しいかもしれないですが、規約において義務付けるということができますので、そういう意味では、辞めたら次の方を選んでくださいと、これは規約の義務付けということに含まれると思います。 ○齊藤委員 そこまでですね、みなすは無理なのですね。分かりました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。ほかの点はよろしいでしょうか。 ○齊藤委員 はい。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかに、皆さんいかがでしょうか。 ○小林委員 ありがとうございます。私も幾つかあるのですけれども、まず、1(1)の所在等不明を母数から除外する仕組みということです。この仕組みは、ここに書いてあることにつきまして基本的に異存はありませんで、是非実現していただきたいと考えていますけれども、この制度が実効性を持つためには手続の簡便性というのが極めて重要だと思っています。これには制度の利用に多額の費用が掛からないということも含まれると思っていまして、費用が掛かったり手続が煩雑だったりすると使われなくなって、効果は半減してしまうことになりますので、制度の具体化に当たっては、是非この点に留意をしていただきたいと思います。   もう一つ重要なのは、この裁判の効果がいつまで続くのかという点でして、この点については資料21の中で正面からは余りはっきり書いていないような気がするのですけれども、3ページの上の方に、「所在等不明区分所有者の除外決定の効力は取り消されるまで継続するということを踏まえ」、とありますので、この考え方に賛成をしたいと思います。   なお、これは少し質問なのですけれども、1ページの(注2)のアのところに利害関係人の申立てとありますけれども、この利害関係人には本人は含まれるのでしょうか。あるとき突然、本人が出てくるということもあり得ますので、本人が含まれることはやはり必要だろうと思います。 ○佐久間部会長 まず、その点でよろしいですか。 ○小林委員 ほかにもあるのですけれども。 ○佐久間部会長 一つずつで結構です。では、お願いいたします。 ○望月幹事 本人が含まれるかどうかというところについては、利害関係人に本人も含まれると理解しております。 ○小林委員 ありがとうございます。それでは、続けて申し上げますと、今度は2(2)の管理不全専有部分管理制度の部分なのですけれども、(1)、(2)、(3)とも基本的に異存はないのですけれども、(2)のとこで少し分からないので、これも質問なのですけれども、管理人の権限のところで、管理人を原告や被告にしないとありまして、これは確かに直接原告、被告にするのは問題だろうと思いますから、この記述自体はそのとおりなのだろうと思うのですけれども、ただ、実際に管理を言わば代行して関わっていますので、関与が必要になりそうな場合というのもあると思うのです。その場合には訴訟参加をするとか、そういう仕組みが別途あるから構わないのだというように理解すればよろしいのでしょうか。これも質問であります。 ○望月幹事 基本的には管理不全の専有部分管理人は、その事実的な管理を行うというところを目的としておりますので、法律関係までにわたって訴訟に関わらなければいけない場面というのは余り想定できないのかなと思っております。飽くまで訴訟の主体としては所有者の方になっていくとは思っております。 ○小林委員 事実認定のところで関係が出てきそうな気もするのですけれども、そこは別にこだわっているわけではないので、また御検討いただければと思います。   それから、4の区分所有者の責務のところですけれども、この責務規定を置くことは大賛成でありまして、非常に重要だと思っております、ということだけ現時点では申し上げたいと思います。   それから、5の専有部分の保存・管理の円滑化の項ですけれども、(1)、(2)、(3)、いずれも異存はございません。その中でところどころ少し気になるところがあるので、意見として申し上げたいのですけれども、まず、配管の全面更新等という(2)の部分で、若干気になったというのは、Bのところで区分所有者間の利害の公平が図られるようにしなければならないという表現がありますが、こういう規定がありますと、結果的にきちんと負担調整がされていなければいけないということのようにも見えますので、負担調整が十分でないということでねじ込んでくる区分所有者が出てこないとも限らないということが気になります。したがいまして、努めなければならないくらいに表現を弱めた方がよいのではないかという気がしますので、御検討いただけないだろうかと思います。   次が、18ページの(3)管理法人による区分所有権等の取得です。ここも基本的に異存はないのですけれども、要件として、「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うために必要な場合」と書かれているのですけれども、ハード面での管理の必要上に限定されるような印象を受けて、若干狭いのかなという気がします。例えば、集会室にするというような場合には、ハード的な必要性というよりも、区分所有者の共同生活の維持改善というようなソフトな意味合いではないかと思いますので、こういうケースが読めるような要件にすることがよりよいのではないかという気がいたします。   それから、(4)の国内管理人の仕組みです。ここについては義務付けでなく、できる規定と現状なっておりますけれども、これは是非義務付けをしていただけないかと私は思います。19ページの(注1)のところで、規約で義務付けることができるということを想定していると記述されていますけれども、こういう仕組みになった場合には、ほとんどの組合において義務付けするのではないかなという気がします。その必要性からして、法律で義務付けしていただくのがいいのではないかと考えております。義務付けされているか否かの違いで、やはり区分所有者の受け止めというのは大きく変わってくると思われます。それで結果的に実効性が大きく違ってくるのではないかと。   前々回の参考人の意見聴取の際に、マンション管理士連合会の方から、外国居住の区分所有者の代理人の届が出てくるケースの多くが不動産業者から出てくるというお話がありました。管理規約で国内代理人の選任が規定されているような場合のことかなと理解したわけでありますけれども、それが義務付けられているような場合に、海外在住の区分所有者としては、義務付けられているので普通届出はしなくてはいけないだろうと思ったけれども、自分で届出するのは大変だとか面倒だとかいうことで、購入したときの不動産業者に頼んでやってもらうということになった結果ではないかということで、やはり義務付けされていることの効果が出ていることのある種の表れではないかというふうに、私はそのとき聞きました。   もちろんこのように義務付けたとしても、それを実行するかどうかというのは保証の限りではありませんし、過料の場合を含めて、罰則があったとしても実行されないかもしれないわけですけれども、しかし、それでもできる規定や単なる努力義務の場合と比べれば、義務付けされているということで実行しようという気持ちにつながりやすくなるのではないかと、多少の違いに見えるかもしれませんけれども、人間の心理という面では実効性のところでは結果として大きな差が出てくるのではないかと考えています。  区分所有者が国外で転居したような場合には、ますます連絡を取ることが困難になってしまいますので、特に深刻な問題になると考えております。この問題では少なからぬ数の管理組合が困っていると思われます。少しでも実効性を高めて、困難に直面する組合の数を減らすような内容の改正をお願いしたいと思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。御質問のところでまだお答えしていないものはなかったですね。御意見にわたるところで、まず1ページの母数除外に関しては、手続の簡便性、費用の安価性ですかね、これが重要だということは御意見として承りました。ありがとうございます。裁判の効果がいつまで続くかというのは、3ページに取消しまで続くとあるがというのは、それはそのとおりですので、そのとおりですと申し上げておいていいと思います。管理不全のところは既にお答えを差し上げたのですよね。次に、14ページの責務規定は重要だというのは承りました。16ページの配管の全面更新等について、しなければならないという文言はいかがなものかというのは、どうでしょうか。 ○望月幹事 この意図としては、正にしなければならないものと考えているために、こういうふうに書いております。専有部分の利用状況等、若しくはその区分所有者が当該専有部分についての配管工事を先行していたような場合には、不公平が生じてしまいますので、ここは適切な調整を図った上で行ってくださいということを予定しておりますので、一応現状考えているのは努力義務というよりは、しなければならないというところを想定して、こういう文言にしているところでございます。 ○佐久間部会長 御意見があれば更に伺いますので。18ページにある所有権の取得のところで、物の共同管理だけでは足りないのではないか、例えば共同生活の維持改善を図るためにということも含まれるようにすべきではないかという御意見でしたが。 ○望月幹事 ここも、飽くまでその法人の目的の範囲内で行うというところが前提になっておりますので、物理的に管理というところだけにとどまらず、例えば集会場として使うために必要な部分を取得するということも想定してございます。中身としてはそういうところで、具体的にどんな文言かというのは、またこちらでも検討させていただきます。 ○佐久間部会長 今、望月さんがおっしゃいましたけれども、法人の目的の範囲内でだったらできるということですので、そこはこれまでもずっと了解がありましたので、共同生活の維持改善、これは例としておっしゃったのだと思いますが、それであっても法人の目的の範囲に入るものであれば入るし、そこに入らないと思われるものについては入らないということになろうかと思います。ワーディングはこれからの話ではあります。最後は(4)の国内管理人、これは義務付けの方が望ましいのではないかという御意見でしたが。 ○望月幹事 今回、義務付けまで難しいと思いましたのは、海外に居住しているというだけで、それで直ちに全員が全員連絡が取れなくなるとか、管理ができていないというふうになるわけではないので、全員に対して国内管理人を義務付けるというところまでは負担として重すぎるのではないか、こういうところから義務付けが難しいと思ったところでございます。   ただ、一方でその区分所有建物内において、区分所有者の意思によって、ここでは義務付けましょうということで規約において定めていただける分には、個々の事情においてそういうことをできる、ということをする分には問題ないかと思いましたので、規約では可能というところにとどめております。 ○佐久間部会長 小林さん、以上について何かあれば、お願いいたします。 ○小林委員 区分所有権の取得については、そこまで読み込めるのだというふうに立法者としてどこかで意見表明していただけるのであれば、問題ないのかなと思います。   それから、国内管理人のところは、できればやはり義務付けしていただきたいと思います。先ほど能登さんの御意見で、連絡先の登録というようなこともあって、場合によったらそちらの方でもいいのかもしれないですけれども、やはり義務付けされているか、されていないかで大分、所有者の方の受け止めというのは違うのではないかと思うのです。義務ではないからまあいいや、ぐらいに考えることが通常ではないかと思われまして、そうなりますと、やはり管理組合としては非常に困ってしまうことになると思うのです。そういうのがたくさん積み重なってしまっているというような話は時々聞きますので、ここはできれば義務規定にしていただきたいと要望を致しておきます。 ○佐久間部会長 なおそこは検討いたしますが、今の場合には過料も課すということを前提でお考えですか。 ○小林委員 いや、それは例えばの話で申し上げただけで、そこまで求めるものではないです。 ○佐久間部会長 義務違反の効果は具体的にはなくても、しなければならないというふうなことでもいいというお考えですね。 ○小林委員 そのとおりです。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございました。   では、ほかに御意見はいかがでしょうか。 ○大桐委員 ありがとうございます。私の意見としましては、1番、2番に関しては賛成でございまして、4番の責務に関してですけれども、民事法の中に責務規定を置くということに関しまして慎重な意見というのもまだあるのではございますけれども、やはり管理不全が進んでいるという実態と、区分所有者個々人の意識を高めていかなければいけないというところもございますので、抽象的なプログラム規定としてという限定付きで、こうした規定を設けることについて特に強い反対はなかったという報告をさせていただきます。   それから、国内管理人につきましてですけれども、やはり裁判実務に携わっておりますと、送達についてかなり苦労されている方が多いということで、権限の中に裁判における送達受領権限の付与を是非検討してもらいたいという意見がございまして、実務上としましては、登記簿謄本を見た上で国内管理人が誰だというところが記載されていて、そこに送達をするということで実務が回っていけば、大分有り難いというところかとは思っております。この点につきましては、国内管理人の選任を義務付けなくても、任意ではあるけれども国内管理人を定めた場合においては、そういった権限を付与するということの立て付けも可能なのではないかと考えておりまして、是非検討をしていただければと思っております。また、能登委員がおっしゃられた連絡先の届出義務につきましては、やはり実務上必要と先ほど聞いていて思いましたので、付加して意見を述べさせていただきます。   そして、先ほど望月さんから御説明いただきました配管全面更新に関しての、規約に書いていなければ立入りのときに説明が付かないのではないかという趣旨の御説明があったかと思うのですけれども、規約に書いてあった場合に、例えば立入りを許さないということで、強制的に鍵を壊してでも入っていけるかというと、やはりそこは自力救済の禁止に当たってしまうので、できないのではないかと思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。責務規定については、この限度でならよいという御意見を承りました。具体的には、19ページの国内管理人のAの権限のところに送達受領権限を含めることを御検討いただきたいという、これは検討するということですか。 ○望月幹事 これは、海外に住んでいる方を対象とした訴訟事件全般で問題になることだと思いますので、この場面だけ国内管理人に訴状の受領権限を付与しますというところを制度化するというのは、なかなか難しいのではないかとは思っているところでございます。飽くまでやはり国内管理人は、このマンションの管理に関する事項について、こういう議決権行使であるとか招集の通知の受領、要はマンションを管理する団体との関係でどういう権限を有するかと、こういう仕切りかなと思っておりますので、それを超えて一般の訴訟における訴状の受領権限、ここまで広げるのはなかなか難しいのではないかとは思っているところでございます。 ○佐久間部会長 あと、自力救済を許容する趣旨では多分、なかったですよね。 ○望月幹事 すみません、私の言葉足らずだったかもしれないですけれども、仮に今回の法律を作ったとしても、勝手に鍵を開けて入るということ自体が許されるということには当然なりませんで、そこは裁判手続等を経る必要があるということにはなると思います。 ○佐久間部会長 大桐さん、今のでいかがでしょうか。 ○大桐委員 そうですね、訴状の受領権限につきましては、やはりニーズがあるということでしたら、検討できるような気はいたしますので、引き続きお願いを致したいと思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○d松幹事 部会資料の第1の2の区分所有建物の管理に特化した財産管理制度に関する部分でございますが、13ページの補足説明の末行2行のところで、管理不全共用部分管理命令の対象について、「共用部分全体(共用部分の一部分について管理命令をすることは想定していない。)」と記載があるところ、規律上は、共用部分の一部分の管理命令の申立て、発令ができるかということについて明らかにされていないように思われます。パブコメの中でも、管理不全共用部分管理命令について、この共用部分の一部分のみを対象とする申立てが可能なのか否かについては、法文上明確に定められるべきであるという意見を述べておりました。運用に混乱を生じないようにという趣旨で、明らかになるように規定していただくということも考えられるのではないかと思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。 ○望月幹事 現在、共用部分と書いてあれば、当然に共用部分全体を指すもので、その一部は想定していないものと読めるかなと思っていたところでございます。これは民法の管理不全建物、所有者不明建物の管理命令のところでも、建物の全部又は一部というような文言にはしていないのと同じ並びで、共用部分についても、共用部分と書いておけば共用部分全体を指すということで明らかかなと思っていたところでございますけれども、今の御指摘もまた検討させていただきたいと思います。 ○佐久間部会長 趣旨としてはおっしゃるとおりのことを考えておりますが、文言上どうするかというのは今後、更に検討いたします。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○森本委員 ありがとうございます。2点発言させてください。   まず、区分所有者の責務についてです。責務規定を設けることにつきましては、先ほどから皆さん、御賛同いただいておりますし、パブリック・コメントでも同じくたくさんの方が御賛同いただいております。ヒアリングの際にも自治体や現場を担う方からも多くの要望があり、是非こちらは法制化していただきたいと思います。中間試案に対しまして、日本司法書士会連合会は前文において、区分所有法制の見直しに当たっては、個々の専有部分は個々の区分所有権の目的ではあるが、区分所有建物全体を俯瞰すれば区分所有権の集合体であるという区分所有法理を強く意識する必要性を述べさせていただいたところです。訓示規定にすぎないとしても、この規定があることで区分所有法の理念がより明確になると考える次第です。ここで要望なのですけれども、できるのであれば区分所有法第1章第1節の総則の最初の方に位置付けしていただきたいと思っております。   続きまして、2点目なのですけれども、先ほど冒頭で修正があったところに関するところでございます。部会資料36ページの、8−2のところです。 ○佐久間部会長 8−2は、また後に。今は5まで伺っております。 ○森本委員 大変失礼いたしました。 ○佐久間部会長 すみません、またそこで御発言いただければと。ありがとうございます。   責務規定の重要性と、規定の位置の御要望は一応承りました。一応というのは、これからのことなので。   ほかにいかがでしょうか。   よろしいですか。では、今承った御意見を踏まえまして、更に検討すべきところは検討してまいります。ありがとうございます。   続きまして、「第1 区分所有建物管理の円滑化を図る方策」の「6 共用部分等に係る請求権の行使の円滑化」、25ページまで、この6のみについて、続いて御意見を承れればと存じます。いかがでしょうか。 ○中野幹事 中野です。御指名ありがとうございます。私は、この共用部分等に係る請求権の行使の円滑化に関して、今回のパブコメ等を拝見して、やはり十分な修正を検討すべきだと考えております。今回、パブコメが131件あるという中で30件以上でしょうか、ここの規定に関する意見が出ているということは非常に重要なことだと思っています。   全般的に1項、2項についてはおおむね賛成というお話がありますが、それは、明確にパブコメの資料の41ページにも書かれているとおり、代理権というか、一元行使に賛成するというものであって、それ以外については、特にBについては、賛成しているという方は、41ページの上から10行目ぐらいに、Bの規律によっても不都合が生じる可能性は少ないと思われるとか、特別な事情が存在するのであれば、それを権利行使を一切なくしてしまうのはどうかという疑問みたいなことが書いてありますけれども、それ以外はBについて特段賛成という意見は来ていないという状況です。   私は今回、(注2)にあります部分のうち、特に別段の合意がない限りということについて削除して、当然に譲受人に移転するものというふうな規律を設ける、そういう規定にすべきだと考えておりますし、パブコメを見ていても、本当に多くの意見がそのような意見になるのではないかと思っています。特に、パブコメの資料の41ページの全管連が書いているところなどは非常に重要なことだと思っていて、技術的な立法で管理者等の一元行使を認めたかのような体裁を作り、運用した際には結局全額の行使ができないような、そんなような立法をするのであれば、立法しない方がいいと書かれるぐらい、かなり強い意見が出ているというところは、今回立法に携わる審議会の我々、部会委員及び幹事は強く考えるべきではないかと思いました。   それに関して、今回の部会資料の25ページの真ん中辺りには、区分所有権が譲渡された場合に当然移転するという規律についてはうんぬんで、結局、譲受人に移転することを整合的に説明することは困難であるから取り上げていないというような判断というか、見解が述べられております。ただ、今回のパブコメを見る限り、取り上げないというようなレベルのものではなくて、積極的にここを考えるべきではないかと、当然移転ということを考えるべきではないかということを申し上げたいと思っています。   これは実は、我々法制審議会の今回の部会がありますけれども、もっと前に2001年の段階で、同じようにこの瑕疵担保に関する承継問題については議論がなされていて、残念ながらその2001年の法制審議会ではこの議論は途中で終わってしまっていて、そのときは取り上げないと、先送りみたいな、そういう結論になっておるところです。20年掛かっていて、まだその問題が今回解決できないということについては、やはり疑問があると思います。多くの実務の皆様がこれだけ多くのパブコメで、当然移転をするということについて意見を述べられているように思います。それは今回の部会、Q&Aの中でも、42ページ、43ページにも書いてありますし、40ページから見ても、おおむねそのように当然移転して一元行使ができるようにすべきだと読むことができるパブコメの意見ばかりだと思います。ですので、我々がこのパブコメの意見を見ながら、結局取り上げないと、当然承継をすることについては今回の規定には盛り込まないということにすることは、やはり我々としては責任を放棄するような、そのぐらいの感覚で考えなければいけないことかなと思っています。   平成14年8月22日の法制審議会区分所有法部会の第16回の議事録を私も拝見しておりますが、ここでは瑕疵担保責任の請求権の承継問題については今回の改正要綱案には盛り込まないことにしてはどうかと考えておりますみたいな、そういう御提案に従って、盛り込まれないことにはなったと思いますが、今回やはりもう20年たって、実務からこれだけの要望があって、皆さんの不都合、具体的な実務での解決をやはり考えるということからすると、私はこの当然承継について、やはり一歩踏み込んで考えるべきではないかと思います。   理論的になかなか難しいのではないかというような御意見を頂いているところもありますが、やはりもうこれはそもそも区分所有法というものが、民法上の理論からは特殊な法制度の実現のためにできているものですし、共用部分の持分は専有部分の処分に従って分離処分は許されないという法律がきちんともう区分所有法15条にもありますし、管理滞納などの債務は、逆に今度、特定承継によって承継されるなどという、これもどこの理屈から出てくるのかといえば、そうではない、政策的な問題として出てくるような、そういうような民法の一般原則とは異なる規律を既に設けているのですから、今回の債権の当然承継についても、やはりその必要性から、設けるということに何らちゅうちょすることはないと思います。   ですので、パブコメの意見と、最終的には瑕疵修補に代えて認められるというような債権であることからすれば、団体的行使ということについて何ら違和感のあるものではないと考えますので、私は(注2)の、特に別段の合意とかを抜いた、当然承継されるという形で、この部分を提案すべきだと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。パブリック・コメントのお答えの分布はおっしゃったとおりのことではあるのですけれども、そのパブリック・コメントのもろもろの御意見を踏まえつつ本日の提案というのは作られているということを、まず1点、申し上げておきます。そして、やはりその一番ネックになりますのは、中野さんも御指摘になりました、(注2)に関して申しますと、25ページのなお書以下のところの冒頭3行ですかね、各区分所有者に分属する権利だ、その処分は本来自由なはずだという建前を崩すこと、崩してよいということがきちんと根拠付けられれば、なお別の考え方を採る余地はあるかもしれませんが、現状そこまでの理屈は立っていないし、見付けられないということではないかということで、この提案はできております。中野さんがおっしゃったことについて、区分所有法における区分所有関係の特殊性というのは、確かに一部では認められておりますけれども、このような個人に分属する財産権であるということをおよそ否定するということから入るようなところまでは、なかなか導けないのではないかということだろうとは思っております。御意見はずっと承っておりますし、本日の時点でもその御意見であるということも、また重ねて承りましたが、今のところ、この案はそのようなものだということを私から申し上げて。補足をされますか。いいですか。今のようなことを考えております。 ○中野幹事 もう一度、1点だけ加えてよろしいですか。 ○佐久間部会長 加えるということは自由なので、どうぞ。 ○中野幹事 加えるというところではないですが、今、部会長がおっしゃるような、そこを突破できないかどうかなのですけれども、そもそも区分所有法という法律ができたところから考えれば、一定の民法原則の変更というか、そういうことは許されるわけで、どこまでが区分所有法によって民法上の原則を変えるかというような理屈だと思うのです。どこまでかと。理論的な問題からすると、そもそも共有持分の処分は専有部分の処分に従わなければいけないと、分離処分で許されないと書いてあるところとか、先ほど申し上げた、二度申し上げて申し訳ないのですが、区分所有法の管理費滞納なんかは特定承継によって承継されるなどと、やはりこれは全然民法の一般原則とは異なるわけではないかと思うのです。それを、そもそも区分所有法というものを我々は前提に今、生活をし、かつ今回、改正問題として取り上げているわけですので、今、部会長がおっしゃるようなところだけで、だけでというのはまた言い方がおかしくて、いけませんけれども、そういう理由で当然承継の規定を設けることは難しいと考えるのは、我々は20年、2001年のところから法制審議会が議論し、一旦棚上げしたものについて、また棚上げするということについては、やはり一般社会、これだけパブコメの皆さんが意見を持ったところからすると、なかなか評価されないのではないかという心配があります。是非我々のこの部会で一定の新しい考え方を取り入れるように御検討いただきたいと思っております。 ○佐久間部会長 取りあえず承りました。   ほかにいかがでしょうか。 ○大桐委員 中野先生のおっしゃることもごもっともで、やはりニーズがどこにあるのかというところからスタートすべきだと思っておりまして、どこにニーズがあるかといいますと、瑕疵を修補しなければいけない、というところだと思います。単に金銭債権だというところからスタートしていくのではなく、やはり瑕疵修補、修繕に代わる損害賠償請求というところに着眼点を置き、その上で考えていきますと、やはりそういった性質を持つものに関しては一元的に管理者が代理し、必要な修繕まで行き着く制度にしていくということは可能なのではないかと思っております。   というのが、まず第1段階にありまして、仮にですけれども、御提案いただいているような@からDのような内容にするとしましても、やはり(注2)のルールというのは、特約がないケースで有効となるようなデフォルトルールとして意味があるものという意見がありまして、本文を設けたからといって(注2)が要らなくなるというわけではないと思っております。   といいますのは、Cに書かれておりますような請求権を有する者に通知しなければいけないとの規定がございますけれども、管理者側からしまして、所有権が誰かというのは分かっても、その請求権がどこに移転しているのか、誰が持っているのかというところまでは把握できないというのが現実かと思っておりますので、そういった場面において(注2)のようなルールがデフォルトルールとしてあれば、通常は移転しているだろうということで、取りあえず現区分所有者の方に通知すればよいということになりますし、別段の合意というのを主張したい人は、それを積極的に言わなければならないというような立て付けにしておかれた方が、実務的にはやりやすくなると考えております。   また、Cの請求権を有する者が元区分所有者にあった場合に、管理者側としては名簿とか、あるいは区分所有権の登記上では連絡先等が出てこないので、分からないのではないのではないかと。実務上、誰がどこにいるのかというのは分からないので、そうしたことに対処する何らかの措置が必要なのではないかという意見がありますので、元区分所有者といえども、こうした制度を作るからには、管理者の方に住所を知らせる規定を置くですとか、あるいは、ある程度調査をしても不明の場合には、その通知自体を省略できるような例外規定を設けるですとか、こうした事案は訴訟を大規模にやると思いますので、そうした場合にホームページを立ち上げて、そこで公示すれば足りるというような、そういった意見も出ております。   更に申し上げますと、Bにつきましても、これも全面的に賛成というわけではないのですけれども、仮にBのようなものを設けた場合に、旧区分所有者がする別段の意思表示というのが訴訟前になされないと意味がないということで、実務上混乱を来さないように、時期的な制限、例えば訴訟提起前までとか、ある一定の制限を設ける必要があるのではないかという観点と、それから、その明確性の観点から、口頭等ではなくて書面によるというような限定文言を付けるべきではないかといった意見もございました。以上になります。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。中野さんの御意見と共通する部分があるのは分かりましたけれども、中野さんと違ってというと、少し表現があれかもしれませんが、実体法上の権利者が意思表示によって自己の権利を維持することは、そこまでは完全に否定するものではないという御意見、そういうこともあり得るという御意見だということで理解してよろしいですか。例えば、中間試案の(注2)の別段の合意がない限りということとか、現在のBの別段の意思表示をしたという部分について、恐らく中野さんの御意見は、そこは飛ばすというか、それも削除という、Bについてはおっしゃっていないかもしれませんが。 ○中野幹事 Bも駄目だと思います。 ○大桐委員 全面的に賛成ということではなく、もしこの規定を入れるのであればという趣旨で申し上げているという、予備的主張みたいなことです。 ○佐久間部会長 分かりました。御意見としては承りました。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。   個人の財産権ではないとは多分言えないと思うのですけれども、個人の財産権ではないと言えないとした場合に、どこまで制限が加えられるかということが焦点になるのだろうと思います。中野さんがおっしゃったうちで気になったのは、共有持分の処分だって制限されているではないかというのは、それはやはり共有持分という物権の制限だからであって、ここは債権に替わっているから、やはり法律の建前からすると、債権に替わってしまったら分属ですよねというのは、大きく違うことは違う。   恐らくここは共通認識になっているのではないかと思いますけれども、非常にうまく機能している、あるいは一般的に機能している管理組合においては、管理組合に権利を集中的にというか、一元的に行使させることが望ましいだろう、それはどうしたら実現できるだろうか、実現できる範囲は広げた方がいいよねというのは、恐らくこれは誰も異論は唱えられていないのだろうと思います。しかし、その場合であっても理屈をどうしますかということが問題になるとともに、必ずしもうまく機能していない管理組合だって少なからずあるのが現実であるというところで、どこまで個人の権利を制約することが実際上も望ましい結果を導くのかということは考えないといけないとは、これもずっと出てきていることだと思いますが、あろうかと思います。   今頂いた御意見は御意見で、まだなお検討いたします。この21ページのゴシックの冒頭2行目を御覧いただければ、どのように考えるかとありまして、ほかのところはどうかとなっているのに対して、どのように考えるかというのは、意見をなおやはりいろいろ伺わなければいけませんねということです。 ○中野幹事 ありがとうございます。パブリック・コメントの43ページの真ん中辺にあるような、個人の方の御意見ですけれども、これを私が引用するまでもなく、飽くまで瑕疵修補に代えて認められる修補のための債権という意味であれば、部会長がおっしゃるような、単純に分割債権でしょう。債権だから、それは個別、自由に皆さん処分すべきものでしょうというようなものにはならないというふうなスキームを考えても不合理ではないと思います。非常にこの個人の書かれたパブコメの言葉もいい言葉だと思っていて、瑕疵修補に代えて認められる修補のための債権だという、その特殊性というのを考えていただければ、我々は一歩踏み込んだ立法ができるのではないかと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。 ○佐久間部会長 修補に代えての債権だという限定は、どうぞ。 ○望月幹事 この修補に代わる債権というのは、そのとおりなのかもしれないですけれども、これは結局、誰が損害を被っているかというのを考えたときには、その契約当事者間で売主が売却しました、買主が買いました、この中で買主が正にその契約関係の中から損害が発生しているということだと思いますので、なぜその買主に発生した損害賠償請求権を、別の意思とか合意によらずに他者に移転してしまうのかというところの説明がなかなか難しいのではないかというところかと。 ○中野幹事 でも、それは共用部分は当然、新しい所有者に移動するからですよ。だから、共用部分の瑕疵も同様に前の方に引き継がれるし、債権についても引き継がれるのではないですか。 ○望月幹事 ただ、発生する債権としては、正に契約関係から生じる債権でありますので、その後の、また転売されたときの契約関係がどうなっているか等にもよってそれが移転するかが変わってくるような気がしておりまして、理屈的にそこを当然移転と整理するのは難しいのではないかとは思っていたところでございます。 ○中野幹事 ごめんなさい、やり取りの仕方が少しいけないのかもしれないけれども、望月幹事のおっしゃる部分は、ある意味、特殊な場面であって、今回発生するいろいろな損害賠償請求権というのは、基本的にそれだけでは全くなくて、当座そこで共有持分に関する損害が発生した、損害賠償請求権が発生した、それは誰が一番損害を被っていくのかとなったら、正にそれはそこを使っている人たちです。使っている人たちが非常に迷惑を被って、何とかしなければいけない、修補しなければいけないと考える、そのための債権なのですから、当然新所有者に移動、承継されること自体に不都合はないではないですか、ということです。 ○望月幹事 すみません、修補に代わる債権の場面ということで指摘されましたので、その場面だけ限定してお答えさせていただきましたが、失礼いたしました。 ○中野幹事 いえ、すみませんでした。そういうような意見です。 ○佐久間部会長 ほかにいかがでしょうか。   6に関しては、よろしいでしょうか。本日のところはよろしいでしょうかということですけれども。   では、本日も頂いた意見を踏まえまして、なお検討を続けたいと思っております。   では、少し長くなってきておりますので、ここで一旦休憩を取りたいと思います。今、15時7分になったので、15時20分再開ということにいたします。15時20分にはお戻りください。一旦休憩いたします。           (休     憩) ○佐久間部会長 では、時間になりましたので審議を再開いたします。   この時間は、部会資料21の「第1 区分所有建物の管理の円滑化を図る方策」の残り、「7 管理に関する事務の合理化」、「8−1 区分所有建物が全部滅失した場合における敷地等の管理の円滑化について」、「8−2 区分所有建物が全部滅失した場合における建物の再建、敷地の売却」、そして「9 第三者を管理者とする場合の監事の選任」、以上につきまして御意見を伺いたいと存じます。部会資料でいいますと38ページ、第2の前までということです。   能登さんの御意見を伺った後、森本さんに伺うということにいたします。では、お願いします。 ○望月幹事 では、先ほどと同様、能登委員から事前に発言予定だったということで書面を頂いておりますので、こちらを読み上げさせていただきます。8−1、8−2に関するものでございます。   「再建、敷地売却の必要性を考えると、多数決要件は5分の4以上ではなく4分の3以上でよいと思われます。建物が倒壊している場合、一刻も早い再建や敷地売却を区分所有者が望むことが考えられるため、一般建物の建替え決議要件の5分の4以上から4分の3以上への引下げを希望するのと同様、より早期の決議成立を可能にすべく、決議要件を4分の3以上とすることを希望いたします。」 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   では、森本さん、お願いいたします。 ○森本委員 ありがとうございます。先ほどは大変失礼いたしました。私のところは8−2のところでございます。   先ほど修正がありましたけれども、部会資料36ページの補足説明、パブリック・コメントの結果において、建替え決議の基本的割合と同様の割合にすることに反対意見はなかったという記載につきましてなのですけれども、こちらは、建替え決議の基本的割合を4分の3に緩和した場合に、再建と敷地売却も同様に4分の3の割合にするという意見も含まれているのではないかと思われます。区分所有建物が全部滅失した場合における建物の再建、敷地の売却における集会の決議の議決権の割合については、建替え決議の基本的割合が5分の4のままになった場合には、同じ5分の4以上ではなく、4分の3以上の多数に引き下げた方がよろしいのではないかと考えます。   例えば、特定の地域において土砂崩れが発生して建物が全部滅失した場合などで、被災区分所有法の適用除外とされる際には、全部滅失した状態で次のステップに進むためには、決議要件を緩和するのが望ましいと考えるからです。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。少し確認をさせていただきたいのは、全部滅失の場合につきましては、必ずしも災害による滅失には限られていないのですけれども、例えば、先行して取壊し決議でもって取り壊しましたということも入っているのですが、その場合も含めて、基本的割合として5分の4要件を建替え決議において維持する場合には、一律、全部滅失の場合の再建、敷地売却は4分の3でという御意見でしょうか。 ○森本委員 はい、そのとおりでございます。 ○佐久間部会長 分かりました。もう1点、建替えのほかに、建物敷地一括売却等は前回、もちろんまだ確定したわけではありませんが、建替えと同じ割合でということをお諮りし、基本的には多くの賛成というか、反対は多くなかったという状況ですけれども、そちらはそちらでいいのだけれども、この建物の再建、敷地の売却は基本的な割合を4分の3に下げると、そういう御意見だということでよろしいですか。 ○森本委員 はい。記載のところに、建替え決議の基本的割合と同様の割合にすることに、というところで、皆さんが5分の4なのか4分の3かというところが、そもそもの議論しなければならない点かなと思いまして、意見させていただいた次第です。 ○佐久間部会長 そうですか。ということは、まず、確認のためですけれども、能登さんの御意見は、恐らく基本的な割合を5分の4ではなくて4分の3にすべきであるという考えに基づいて、だからここもそうだという御意見だと思うのですが、それと同じ御意見だということで理解してよろしいですか。 ○森本委員 はい。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。   それでは、ほかに御意見はいかがでしょうか。 ○小林委員 ありがとうございます。私は9、第三者を管理者とする場合の監事の選任のところなのですけれども、36ページですか、この点については私個人としては非常に大きな問題意識を持っているのですけれども、結論的にはここでの提案のとおり、区分所有法制の中では措置しないというのが適当だろうと考えております。  区分所有者以外の外部専門家を管理組合の役員あるいは管理者として選任する場合の仕組みということにつきましては、国交省の方で平成29年にガイドラインを作成して考え方を整理されています。このガイドラインにおいては管理会社が管理者となることを想定しておりませんで、管理会社による第三者管理の問題というのは言わばエアポケットになっているというのが現状だと思います。   しかるに、区分所有者の高齢化などに伴いまして、ここ数年、既存のマンションあるいは新規分譲のマンションの別にかかわらず、管理会社が管理者となるマンションというのが急増しているようでありまして、管理会社も非常にニーズが強いということを踏まえて、正に現在進行形なのですけれども、非常に積極的に動いているように思われます。しかしながら、管理組合と管理会社というのは基本的に利益相反の関係にありますし、また、管理費とか修繕積立金を管理する銀行口座の通帳や印鑑をどういうふうに管理するかなどの問題があるわけでありまして、37ページのところにも記述されておりますけれども、監事の問題をどうするかということを含めて、総合的に国交省の検討会が今、進められているということになっていると承知しております。したがいまして、この点につきましては、監事の問題以外も含めたトータルな、全体的な課題だということを含めて、国交省の検討を踏まえて国交省サイドのガイドラインなり法令で全体的な、総合的な形で対応していくというのが適当ではないだろうかと考えます。   また、区分所有法においては、法人化されていない管理組合については管理者という概念しかありませんで、理事とか監事とかいう概念は登場してきませんから、そこに突然、監事という概念を書き込むというのは若干無理があるだろうと思います。そういう点からも、国交省サイドでの対応が適切だろうと考えます。   なお、監事の問題に特化して申し上げますと、国交省サイドの制度で対応する場合に、管理会社が管理者となるケースについては、監事選任の義務化というのは最低限必要であって、かつ、例えば監査法人とか会計士とかマンション管理士等の専門家の選任を義務化するということが重要でないかと考えております。管理会社が管理者となるケースにあっては、現実には理事会も設置されずに総会のみで管理者を監督することになっておりまして、そのような中で区分所有者から1人や2人の監事が選任されたとしても、理事会のような常設の後ろ盾もなく、監事が個人として管理会社に物申したとしても、組織的に動いて、かつ専門知識や情報量に圧倒的な差がある管理会社にはとても対抗できるものではないと考えるからであります。   また、37ページの議論の経緯のところで、管理者は善管注意義務を負い、これに違反した場合には損害賠償責任を負うと書いてございますけれども、法律的にはもちろんこれが正論なわけですけれども、現実には個人としての区分所有者の監事では、これを立証するということには大きな困難を伴うだろうと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。今、小林さんから国交省の取組についていろいろ期待も述べられたわけですが、何か今の時点で伺えることがあれば、下村さん、お願いいたします。 ○下村幹事 ありがとうございます。監事の選任も含めまして、いわゆる第三者管理者方式につきましては国土交通省の検討会でもこれまで議論されてまいりましたし、また、今月末にこの第三者管理者方式に特化したワーキンググループを設置いたしまして、そこで議論の深掘りをしていきたいと思います。今御指摘いただきました利益相反の関係ですとか、監事の設置、あるいはその監査の在り方、かなり幅広い論点についてワーキンググループで議論をしていきたいと思っておりますので、御意見を踏まえまして国土交通省の方で検討していきたいと思っております。ありがとうございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○齊藤委員 ありがとうございます。7からですので、確認の意味で、7の集会におけるウェブ会議システムの活用ということで、規律を設けないということ、それでよいと思います。おっしゃるように、標準管理規約が改正されて、今、皆さん結構ウェブ会議をきちんと導入されてお使いになられているという意味では、現状これで進めていけるのではないかと思っています。   それから、26ページ、2番目の事務の報告、義務違反に関する罰則も、現行の規定のままとするということ、皆さんと議論してきた中で、これが妥当ではないかと思います。   さらに、27ページ、規約の閲覧方法のデジタル化、これは本当にマンションをお買いになる方がいち早く自分の買いたいと思うマンションの規約を確認できるという、情報を容易に、そして早く手に入るという意味で、管理に適正に協力していただけるという体制を強化していくという意味で、事前にメール等で見ることが可能になるということは大変すばらしいことだと思います、ということでございます。   そして、少し飛ばしまして、9に関しましての意見、第三者を管理者とする場合の監事の選任ということでございますが、今、国土交通省さんからも状況の説明がありましたように、私も第三者管理につきましては、かなり幅広く第三者管理が使われている、どの第三者管理を見るかによって皆さんのイメージが違うかもしれませんが、多分一つの典型的な例が、いわゆるタワーマンションといわれる非常に規模が大きい、そして区分所有者の誰かが管理者になるには荷が重すぎる、だから専門家を置きましょう、その場合に管理会社がなるようなケース、こういった場合もありますし、一方では私がお伺いしたところは、10戸ほどのマンションで、もう管理会社も付いていただけない、そういったところで、役員の成り手もないのだと、何とかマンション管理士さんに第三者の管理者になっていただいて、やっていると、とても役員も監事も選べるような状態ではないという中もございますので、第三者管理というものの中の実態をきちんと把握して、その中でどう在るべきかということを議論していくということが重要かと思います。   ただ、今非常に重要だと思いましたのは、この監事ということについて真正面から余り今まで議論してこなかった中で、今回、監事の役割を皆さんと再認識し、そしてこの運営の適正化のために監事を選んでいくということ、さらに、できましたら本当は独立した専門性のある人が見ていただくようなことが望ましいのではないかということの意見も共有できてきたという意味では、今までの監事という役割を見直していく、そして、多くは監事を実態としては選ばれている中で、改めて選ぶことの重要性も確認できました。そうしますと、どういう形が現実にいいのかという辺りは、しっかりと国土交通省さんのワーキング・グループ、今月から始まるWGのなかで議論をした中で実態を踏まえて、一つはガイドライン、そして、その中で本当に義務化していくもの、法で規制していくもの、必要なものは何かということを少し時間を掛けて検討していく必要があるのではないかということでございますので、私としましては今は、原案どおり、この形がよろしいのではないかと思っているところでございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。 ○浅見委員 ありがとうございます。まず7と9については今、齊藤委員がおっしゃったようなことで私も事務局案に賛同します。   それで、8なのですけれども、特に8−2ですね、5分の4と書いてあるのですが、私は前から、実は建替え等についても5分の4ではなくて4分の3ではないかという意見を持っておりますけれども、同様にここも4分の3ということで、飽くまでも再建制度、敷地売却ともに4分の3ということで、少しでもこういうケースのハードルを下げて、円滑にいろいろなものが進むようにするという方がいいのではないかとふうに考えておりますので、これについて先ほども御意見があったようなのですが、私も賛同で、5分の4ではなくて、もう少し下げるべきだろうと考えます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   少し皆さんに確認しておきますけれども、今、能登さんも含めてお三方から、今日の提案での基本的な割合について、5分の4から4分の3にという御意見が出ましたが、それはいずれも建替え決議も含む、建物、敷地の処分に係る全ての決議について共通の御意見であるということで承りました。皆さんに伺いたいのは、建替え決議について、いずれまた検討することになるわけですけれども、そこで採用した考え方というか割合が他の決議についても妥当することになるということについて、御異論はないと承ってよろしいでしょうか。今、お三方から今日の原案に関しては異論があるという御意見を伺いましたが、仮にの話ですけれども、建替えの方は5分の4を維持で、客観事由がある場合に4分の3ということ、前の提案のとおりになった場合に、これは、しかしその場合でも別だという御意見がもしあれば、伺っておきたいと思いますが。 ○浅見委員 建替えの場合と滅失の場合とで少し違うのは、建替えの場合は元々その建物がございますので、居住の場が既にあるということですよね。ですので、場合によっては居住の場を守るという意味では、仮に5分の4ということもあるとしても、こちらの場合は、再建制度については、居住の場というのが既にないと考えられるので、守るべきと考える程度が少し低いのではないかということで、私としては仮に建替えが5分の4になったとしても、ここで4分の3という意見を持っております。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。こちらは客観的事由がある場合うんぬんというのは出てこないはずですので、一律4分の3ということで。 ○浅見委員 はい。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。   ほかに御意見はいかがでしょうか、取りあえずこの建物、敷地の処分の決議の割合について、今の基本的な考え方について御意見があれば、そこを伺いたいですが、今の浅見さんの御意見は御意見として承って、なお検討いたしますが、出発点としては、全ての処分の決議が同じ考え方でということは御異論がないということでよろしいですか。   ありがとうございます。   では、また元に戻りまして、今伺っている第1の残りの部分について何か御意見があれば、承りたく存じます。いかがでしょうか。 ○大桐委員 9の第三者管理についての意見なのですけれども、現時点で国交省さんの方でこれからワーキング・グループを設置されるということで、具体的な姿が見えない段階で、善管注意義務と国交省さんの議論があるという理屈だけで、この監事の議論を落とすことはできないと考えておるところでございます。   第三者管理の場合には、区分所有者の方が管理する場合とは別に類型的な問題が、先ほど来出ております利益相反行為ですとか、区分所有者に不利な契約をするおそれというのが生じやすいので、そういった観点から検討することが必要だと考えております。一方で、法人については監事が義務付けられているところでありまして、法人であることと法人化されていないところとの実態の差がどれほどあるのかを見てみますと、それほどないのではないかという意見もございまして、それとの横並びで、政策的に導入するということもあってよろしいのではないかということがあります。   標準管理規約には既に入っているということで、法人化していなくても監事を設けているということがあるということですので、しかもそれも、37ページにもありますように、ほぼ全ての管理組合に監事が置かれているという記載もありますし、このデータがどれぐらいあるのかというのは把握できていないのですけれども、そういった実態があるとすれば、監事の義務を区分所有法の中に置くということについても前向きに検討していただければと思っているところでございます。 ○佐久間部会長 はい、承りました。   ほかにいかがでしょうか。 ○紺野委員 今、大桐委員からも出ていますけれども、パブコメでも全管連として出しているように、法人化されていない管理組合でも標準管理規約の中に監事を置けとなっているのです。それで、第三者管理になったら、具体的にもう走り出している例をあれすると、監事も置かなくていいよというような形で、実際に契約で第三者管理を実行しつつある管理組合も増えてきているのです。そうしますと、何のために、利益相反もさることながら、チェック機能が働かなくなってしまうのではないか、極端なことを言えば、機関決定するのは総会だけでいいですよというような運営の仕方を実際に運用している管理会社も出てきているのです。   そういう状況の中で、法人格を持っているところはもう規定できちんとなっている、規定というか、法律上なっているのですけれども、殊に任意団体であるというか、管理組合の場合、何をもってチェックしていくのか、俗にいう業務と伴う人、物、金のところのチェック機能がみんな、ただ自分たちは区分所有者であると、個々の団体になった、そういうところに大きな問題がありますので、ここら辺はいろいろな角度があるかもしれませんけれども、少なくとも監事機能の強化というのは必要になってくるのではないかと思っておりまして、こういう提案というか、パブコメでも書かせていただきました。   具体的にこれはもう起きつつあるので、そうしますと、なおさら、もう管理会社に任せたと、だから俺たちは金だけ払っていればいいのだということで、本当に先ほどの努力義務だとか何とかと区分所有者の義務をいいますけれども、殊に若いというか、働き盛りが入っているようなところ、夫婦共働きで行ってこどもをあれすると、管理会社がやっているからいいのではないかと、チェック機能が働かなくなる。そのために、この司法ではなくて、逆に、国交省さんでいろいろ立ち上げるとは言っていますけれども、それのバックボーンになるような法律というか、そこで歯止めを掛けておかないと禍根を残すのではないかというのが現実の、我々現場レベルで少し不安視していることは事実です。   ただ、片や、どうせ今までも標準管理規約に監事を設けろというから設けているけれども、それも管理会社の言いなりで、どうせ管理会社がやるからいいよという二面性はあるのです、それは確かに。しかし、法的義務を負わせるということは私は重要な、それこそ意識付けにもなってきますので、そういうフレームワークも必要ではないかということで、ここら辺は設けていただきたいと。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。監事を置くのは誰のためなのですかね、誰のどういう利益を守るため。 ○紺野委員 管理組合の監事ですね。 ○佐久間部会長 誰のどういう利益を守るためなのですかね。つまり、管理組合の構成員が自分たちで監事を置くことにしますということに委ねてはいけないというのは、なぜなのかというのが。つまり、法律で義務付けるということになりますと、当事者には任せておけないということを意味するわけです。確かに標準管理規約には、第三者管理の場合に限らずでしょうけれども、監事を置けとなっているでしょうけれども、やはりそれは標準管理規約を取り入れた当事者が置いているということになるわけで、それには委ねておけない、例えば区分所有法ですべからく置けと。第三者管理の場合はということになるのかもしれませんが、なぜそこまでしなければいけないのかというのが伺いたい点です。別に問題が起こっていないと私は思っているわけではありませんけれども、標準管理規約に従って監事を置くということ、あるいは将来、第三者管理の場合、特にマンション管理業者が管理者を務める場合に関し、これから国交省において、標準管理規約まで変えられるかどうかは存じませんけれども、様々な施策を検討されるというときに、今の段階でなぜそこまで踏み込まなければいけないのかということを教えていただければ、今後検討するのに役に立つかなと思うのですが。   先ほど大桐さんがおっしゃったのは、これからまだ検討しますという段階で、今いきなり案から落とすということには賛成できないということでした。この部会が開かれている間に国交省の検討状況が明らかになるかどうかは分かりませんけれども、今日の段階で落とすことににわかには賛成できないというのは承りましたので、第三者管理の場合の監事の設置を義務化するということに関し、今申し上げたようなことではなぜ足りないのですかということに関しても、今後で結構ですので、もし御意見があれば、承れればと思います。   今の点でもいいですし、ほかの点でもいいですが、いかがでしょうか。   第1に関して、よろしいですか。 ○鎌野委員 途中から参加したので、今御議論があったのは7以下ですけれども、基本的にはここの示されたものと、私はどれも賛成ということです。   今の議論、9のところはなかなか難しいことだろうと思いますけれども、やはり区分所有法の現行の立て付けを前提とすると、管理者というのは基本的には総会で、集会で選任されると、そして、その場合に厄介なのは、区分所有者以外の第三者というような場合だけ、今、部会長が言われたように、何でそういう場合だけ監事を選任しなければいけないのかという非常に厄介な問題があって、少し実態と外れるかも分かりませんけれども、区分所有者が管理者として選任されたような場合には、やはり同じように区分所有者たる管理者についてもきちんとチェックしなければいけないというときに、なぜ区分所有者以外の、例えば管理会社とか、場合によってはマンション管理士さんとか、そういうときだけ監事を選任するというのが、やはりどうしても難しいというか、やはり現行法の下では、管理者というのは総会でみんなが選んだ人というようなことで、それなりに信頼を置いて選任されるのでしょうから、そういうことを考えると、何か区分所有者以外の第三者の場合だけ、実態としてはそういう御心配はあるし、実際にはそういうことが多々あろうかと思いますけれども、その理屈がなかなか難しいのではないかと私は考えております。   形式的なことを言えば、監事というような場合に、そういうのは管理者が実際上は理事ということなのだけれども、その用語の問題もあるし、それは細かなことで、ある意味ではどうでもいいのですが、そうすると、基本的にはそれはやはり、もしそういう監事を設けるということだったら、現行法にあるような形で規約にその辺りを委ねてというようなことで、区分所有法の規定としては、現行の制度を基本的に維持するときに、区分所有者以外の第三者を管理者とする場合にだけ監事を選任しなければいけないというのは、どうしてもうまく整合性がとれないというか、つじつまが合わないというか、というようなことを私は思っておりますので、少し発言をさせていただきました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。   第1の残りについて、よろしいでしょうか。   では、第1全体を通して、あそこが漏れていたというところがあれば、伺えればと思いますが、いかがですか。   よろしいですか。では、第1については差し当たり以上とさせていただきまして、続きまして、部会資料21の「第2 区分所有建物の再生の円滑化を図る方策」の全部について、どこでも御意見を頂ければと存じます。   まず、これも能登さんから意見が出ておりますので、お願いいたします。 ○望月幹事 では、これまでと同様に、能登委員から事前に発言予定だったということで頂いておりますので、こちらを読み上げさせていただきます。「建替えの円滑化をするための仕組み」の(2)建替え決議がされた場合の賃貸借の終了等の場面でございます。以下、読み上げます。   「今回の法務省案については、建替え決議後、賃貸人(賃貸部分の区分所有者)は賃借人に対し、賃貸借の終了を請求できること、賃借人の明渡しは賃貸借の終了までになされることをシンプルに規定することを希望いたします。賃貸人等の請求による賃貸借の終了制度を設けても、実際に明渡しが進まないと、今回の区分所有法改正の目的である建替えの円滑化にはつながらないと考えるためです。なお、賃貸人が支払わなければならない補償金は、いわゆる通損補償と同水準を想定するのではなく、合理的な水準での当事者間の合意を尊重すべきと考えます。」   以上になります。   続けて、「2 多数決による区分所有建物の再生、区分所有関係の解消」の(3)敷地の一部売却部分についても頂いておりますので、こちらも読み上げます。   「土地の取得に関しては、既に論点となっておりますが、管理組合法人での取得を明文化するという法務省案が示されており、売却代金により区分所有者の負担が軽減されるような場合も想定され、管理等の必要に応じて敷地の一部売却を可能とする制度も設ける方がよいと考えます。ただし、提案の趣旨にも記載されておりますとおり、区分所有者ごとに利害状況が異なることは予想されるため、共用部分の変更に関する区分所有法第17条第2項の特別の影響と同趣旨の規定が必要になると考えております。」 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   では、どなたでも結構です。ほかにいかがでしょうか。 ○大桐委員 ありがとうございます。まず、(注2)の客観的事由を要件としないという点について。 ○佐久間部会長 賃貸借の話ですか。 ○大桐委員 賃貸借の終了です。補償金さえ支払えば立ち退きができてしまうということに関し、これが客観的事由を要件としないということになりますと、ニーズがない区分所有建物についてもそういった状況が発生してしまうと、理論上、危険性がないのに多数決でもって立ち退きされてしまう、これが果たして正当化できるのかということにつきましては、引き続き疑問を有しているところであります。   現行法では正当事由の枠組みの中でバランスをとってきたものでありまして、それに対してこの提案の@、Bが終了の請求によって明渡しが先行してしまい、Bの補償金請求権という債権が残るという形で別個独立の手続になってしまうとしますと、結局は賃借人の方で補償金を受け取れないまま追い出されるリスクが生じてしまいますので、賃借人保護としては不十分であると考えます。ですので、Bにつきましては(注4)にありますように、同時履行を明記する必要があるのではないかと思われます。といいますのも、無資力のリスクを回避するためには、そういった手立てが必要だと思うからであります。   また、Cにつきましても同じ理由で、請求をした人あるいは区分所有者だけでは、その方が無資力で回収できないということのリスクが、万全ではないので、賛成者や参加者全員にすべきという意見もございましたので、報告させていただきます。   また、(注5)に関しましては、非訟手続を設けないこととするということが記載されておりますけれども、この立て付けを作った場合に、恐らく明渡し訴訟になると思われ、その場合には訴訟が長期化することも予測されるところでありますので、例えば耐震上問題のあるような区分所有者に関してはむしろ早く決着した方がよいのではないかという考えの下においては、非訟事件の手続を創設した上で、選択的にそれを利用できるというシステムを作った方がいいのではないかという意見が引き続きございましたので、御報告させていただきます。   また、41ページの1行目に、専有部分の賃貸借には建替え決議は何ら影響を受けないと解されているという記載がありますけれども、この消滅制度を作った場合には、影響してしまうことになりますので、その影響することによって別段の方策、すなわち、どのような決議がなされようとしているのかの議論の見える化といいますか、賃借人にとって情報を入手しやすくするような、何か見える化のようなものが必要と考えているところであります。決議に参加する議決権自体は少し難しいかと思うのですけれども、そういった情報が事前に分かるようなシステムは必要なのかなと思っております。   続きまして、43ページの(注)のところで、補償基準に関する問題という御提案がありますけれども、こちらは少し意図が取りづらかったので、もし補足で御説明いただければなと思っているところです。補償基準をどの時点を基準とするのかというところで、賃貸借の終了時点なのか、口頭弁論終結時なのかとか、いろいろ考えられるところではあるのですけれども、意図が分かりかねたものですから、確認いただければと思います。お願いいたします。 ○佐久間部会長 では、まず、最後の補償基準の、もう少し詳しく説明をというのをお願いできますか。 ○望月幹事 ここの(注)で書いてございますのは、中間試案で提示していたA案の基になっている考え方、つまり、建替え決議がされればその時点、若しくはそこから近い時点で賃貸借における賃貸人の賃貸義務が履行不能になっていくのではないか、こういう考え方に立った上で、賃貸借の終了請求という制度を設けるというのも理屈的にはあるのではないかと。そのときに補償金額をどういうふうに考えていくのかというところを注記で補足しているところになります。そのときに、賃貸借がいつ終了するのかというところで、建替え決議があった時点から賃貸借の終了までの時期、これがどのくらいなのかというのが必ずしも明確ではないと、建替え決議があったところから近い将来に終了するのだと言ったとしても、その近い将来とは、ではいつぐらいなのかというところが、なかなか期間を決めるのが難しいのではないかというところを書かせていただいたということでございます。 ○大谷幹事 そこのことではなくて、終了請求時制度を作ったとして、補償金の本文の考え方を採ったときに、いつの時期を基準として補償請求権が発生するのですかということですね。 ○大桐委員 そうですね、評価の時点がどこの時点になるのかということです。 ○大谷幹事 賃貸借の終了により通常生ずる損失なので、終了時点だと思います。 ○大桐委員 ありがとうございます。 ○佐久間部会長 終了時点というのは請求時でいいのですよね。終了請求で。 ○望月幹事 請求から6か月後に終了をするという案になっています。 ○佐久間部会長 6か月後か、そうか。よろしいですか。 ○大桐委員 はい。 ○佐久間部会長 1点だけ伺いたいのは、良しあしの問題ではなくて、Cについて、連帯して債務の弁済の責めに任ずる者についてのことをおっしゃっていて、今原案になっている者だけではなくて、賛成者とか建替え参加者にも広げるべきだということ。 ○大桐委員 そういう意見もあったということです。 ○佐久間部会長 意見もあった。そうですか、分かりました。どうしてそれを広げられるのかがよく分からないと思ったので、あれですが、意見もあったと今日の段階では受け止めればいいですね。 ○大桐委員 はい。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○小林委員 ありがとうございます。今の賃貸借のところなのですけれども、私は現場でどういうふうな実務がなされているのかというのが分からないものですから、正直よく分からなくて、漠然とした意見になってしまうのですけれども、補償金を支払うということは必要だろうと思うのですけれども、これが高額になりすぎて、例えば区分所有権の評価額より高額になったりするというのはいかがなものかと直感的に思います。補償金という言葉を条文に書くことによって、それだけで逆に歯止めがなかったりすると、かえって、こういう条文があるではないかということで欲を出す人が出たりして、事業が進まなくなってしまうのではないかということを非常に懸念しています。これは、補償金という言葉を条文に書くのが反対ということではなくて、書く以上は、やはり歯止め的な何らかのものが、目安になるものが必要ではないかということなのですけれども、少しそういう懸念を持っておりまして、実態に詳しい方の意見なども聞いたりして、ここは慎重に検討していく必要があるのではないかという気がいたしております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。この部会自体が39ページの(注3)、ずっとこれは(注)として載っているのですけれども、損失補償は何らか必要であろうということはほぼ異論はなかったと思うのですが、通損補償でいいということについて既にコンセンサスがあるかというと、それはずっと疑問も出ているところでありまして、例えば、この部会の過程では小さな補償というふうな言葉もあったところですし、今、小林さんがおっしゃったのがそれを指しているかどうかはともかく、区分所有権の価格を超えるというか、例えば、売渡し請求の場合の区分所有権に対する補償というのかな、売渡し代金ですね、それを超えるものはいかがなものかという御意見もありました。この点については、正に(注3)に関して御意見を頂ければと思います。今日もそうですし、まだこれから、もしこの補償と引換えに、引換えにというと言いすぎかもしれませんが、賃貸借を終了させるために補償は必要ですという枠組みを採るとすると、この補償の考え方ですね、法文に書けるかどうかは置いておきましても、こういう考え方でというのは、やはりある程度示した方がいいと思うので。 ○浅見委員 ありがとうございます。私は前にも申し上げたと思うのですが、用対連の考え方というのは少し合理性が十分ではないと考えておりまして、もう少し違った考え方を採るべきではないかと考えております。例えば先ほど小林さんがおっしゃったように、区分所有権の権利以上の価格になると、これは多分あり得ないだろうと思いますし、実際には多分、賃料をある程度、例えば賃料の2か月分とか、何か余り争いのないような目安というのを設けるというのが私はいいのではないかと考えております。そういった意味で、これありきのような規律は少し、私はおかしいのかなと思っていると、そういうことです。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○齊藤委員 ありがとうございます。まず、今のところですけれども、全体的に建替え決議がされた場合の賃貸借の終了という形で、原案をお示ししていただいている形で私はいいと思います。私も少し気になっていたのが、同じく(注3)のところでございまして、この補償をどうするかということかと思います。建替えをされている方にヒアリングをしましたところ、余り問題にならないというケースもありますが、この基準に基づいて、特に店舗の補償の場合には非常に高くなるという実態があると聞いております。そういう事業をされている方々が、公共性のために、すみません、少し動いてくださいという場合と、自分たちで建替えしましょうというときと同じ考え方でよいのでしょうか。公共性のある再開発事業では、事業全体の中に補助金が入ってきたりするというのと、自分たちで事業費を全部出さなければいけない場合というのとは状況が違うので、その場合に今、浅見委員がおっしゃられたように、それをそのまま持ってくるというのではなく、別の考え方が必要ではないかと私も思っております。   ほかのところも言っていいのでしょうか、それとも。 ○佐久間部会長 もちろん、お願いします。 ○齊藤委員 では、ずっと飛びまして、最後の9のところでしょうか、敷地の一部売却のところでもよろしいですか。ありがとうございます。   敷地の一部売却というところ、今回はこの敷地の一部売却をするという新たな制度を設けないということでどうかということです。前回は、そういう制度ができるということで、パブリック・コメントも取って、そして今改めて見ますと、それに対して賛成をしていただいている方が多いということが分かります。この制度を作ることに賛成だねと、そういう需要もあるねとおっしゃられている。ただ、確かにそれによって被害というのですか、デメリットを受ける方のことを十分配慮しましょうという御意見がありますので、この制度を設けないということの方針というのは、疑問で、やはり必要ではないかと思っています。   実際にこういう需要があるのかというのは、このパブリック・コメントにもありますし、私もヒアリングしましたところ、こういった需要があるということです。例えば、敷地の一部を電力会社の方が売ってほしい。そこに電力会社が何か施設を造るとか、ガス会社かの方が売ってくれと、そこに何か施設を造るということが過去にあったということもありますので、そういったときに対応できるということが必要ではないかと思います。   そうしますと、先ほどからおっしゃられているように、多数決でできて、そしてデメリットを被る方をどういうふうに守っていくのかということで、それに関しましては、先ほどもおっしゃられました、特別の影響を及ぼすという方で、その方の同意を取っていくという形が望ましくて、基本的には多数決でできるという、今まで議論してきた制度を構築していくということを引き続き検討していくのがよろしいのではないかと思っています。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   賃借人に対する補償は少し置いておきまして、敷地の一部売却については、おっしゃった特別な影響というのは、どういう人にどういう場合にあると齊藤さんはイメージされていますか。 ○齊藤委員 いえ、私もそれを想像できなかったから、事前に法務省に説明してもらいました。 ○佐久間部会長 そこが多分ポイントで、結局突き詰めて言うと全ての人に特別の影響があるのではないかと。敷地、今まであった部分について失うということは、様々な影響がやはり出てき得るわけですよね、その後も含めて。例えば典型的には建替えなんかでもそうかもしれませんし、そこの利用の在り方によっては環境が悪化するということになると、それも場合によっては誰に及ぶか分からない特別の影響のおそれもあるということになると。結局、特別の影響が及ぶ場合にはその人の同意は得なければいけませんねということは、恐らく否定できないので、だとすると結局、全員同意でやるしかないのではないのかと私は理解を致しました。   もう一つ、これは事実認識の問題なのですが、中間試案の前の段階で今、齊藤さんは、これが設けられる方向で議論が進むのではないかとお考えになっていたということのようですが、結構難しいという認識は中間試案に提案する段階から多分あったところで、今私が申し上げたような特別の影響の理解から全員同意がどうしても必要だとは当然にはならないのですけれども、では合理的なというか、不当でない分割を実現するためには一体どういう規定を組めば問題ないかというと、これは極めてハードルが高いというのが実際のところではないかと。したがってかなり慎重にということで、今回この提案というか、見送ることでどうかということになっております。   ただ、これは飽くまで背景の説明と、私はそう理解しましたということにすぎませんので、更に御意見があれば、もちろん伺います。伺いますが、だから言うなということではないですが、この制度を設けたらいいではないかというだけではなかなか進まなくて、その点は少し御理解を頂きたいとは思います。 ○齊藤委員 トラブルを予防するために裁判所の関与等が必要ではないかをいうことが今まで議論、意見としてあったと私は理解しております。 ○佐久間部会長 裁判所が判断できるか、どうですかね。 ○大谷幹事 多分ここの議論は、次回取り上げられる予定の団地の敷地分割の話と似ているというか、同じなのではないですかという感じがしています。  団地の敷地分割については、もともと、案を二つお出しして、多数決によって分割できる案と、裁判所の共有物分割請求をする案とを出していました。その際には、自分たちで分割線を決めるというのは、やはりうまく決められないのではないか、その適正性が確保できないのではないかというような問題が指摘されて、多数決での分割の案は中間試案で取り上げられないこととなりました。  ここでの敷地の一部売却も、分割が適正であることを確保できるような仕組みが何か作れるのだったら、あり得るのかもしれませんけれども、これは区分所有法の見直しでやるべきことかどうかも含めて、検討しなければいけないことなのかなと思います。 ○佐久間部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○浅見委員 ありがとうございます。この一部というのがどういう一部かというのが余り明記されていないので、結構大きい一部だと、確かに佐久間先生がおっしゃるように、非常に大きな影響があって、確かに皆さんが合意しないとまずいかなと思うのですが、齋藤先生が挙げられたような、電力施設用に、例えば2、3平米とかいうのだったらば、これは私としては認めてもいいのかなと思ったりしています。   あと、もう一つニーズとしてあり得るのは、敷地が必ずしも整形ではなくて不整形な場合に、実は敷地の購入についてオーケーだというのが前の方に出ていますので、それとこの売却をうまく合わせると、敷地を整序したりすることもできるわけです。そういうのもなかなか難しいだとか、それから、場合によっては公共用地用に少し売却をしなければいけないだとか、いろいろなケースが考えられて、一部という幅が広すぎるので、なかなか難しいということになったのかもしれませんが、もっと限定する形で可能にするというのは、私としてはあり得るのかなとは思ったりしております。すみません、少し玉虫色の。 ○佐久間部会長 いえ、分かりました。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○森本委員 ありがとうございます。敷地の一部売却に関する新たな制度が設けられないということは、残念に思っております。我々司法書士に区分所有建物の権利に関する登記手続について相談が多く寄せられる中で、緊急車両が通れるように道路を拡幅したい、拡張したいというものがございます。この場合、敷地の分割、分離処分可能規約の変更、個々の担保権の抹消、共有者全員の持分移転の登記手続などが必要になるのですが、そうしたときに区分所有者全員の同意を得ることは非常に困難であり、断念せざるを得ないケースもあります。潜在的にはそういった公益的なニーズに応えられる制度が望まれているとも考えております。先ほど浅見委員からも少し言及がありましたけれども、管理組合法人が集会の決議を前提に隣地を取得することを可能とする御提案がある一方で、売却することは区分所有者全員の合意が必要であるということにも疑問があり、感想を述べさせていただきました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。敷地の一部売却でも構いませんが、それ以前のところでも、なお結構ですが、特にありませんでしょうか。 ○水津幹事 建替え決議がされた場合の担保権の消滅について、最初の会議の方でも意見を申し上げましたので、どうしようかと思ったのですが、やはり気になりますので、今一度意見を申し上げます。   部会資料では、担保権については、被担保債権の弁済によって消滅させることができるため、担保権の消滅に関する規律は、設ける必要がないという指摘が挙げられています。建替えをしようとしているときに、例えば、専有部分について抵当権が設定されており、担保価値は5,000万円である一方で、被担保債権は1億円であるといったところが幾つかあったとします。この場合には、1億円を弁済しないと抵当権は消滅しないため、担保権の消滅に関する規律がないと、円滑な建替えが阻害されるおそれがある気がいたします。同じような問題意識に基づくコメントは、パブリック・コメントにおいて、担保権の消滅に関する規律を引き続き検討することに賛成する意見で指摘されているのみならず、その他の意見のところでも指摘されています。   マンション建替え等円滑化法が制定されたときは、専有部分について賃借権が設定されていることのほかに、専有部分について抵当権が設定されていることも、円滑な建替えを阻害する要因として認識されていたとされています。そのため、同法においては、賃借権と担保権とのいずれについても権利変換手続の対象とされ、必要なルールが設けられています。部会資料に挙げられた指摘によれば、担保権については、被担保債権の弁済により消滅させることができるため、マンション建替え等円滑化法のうちの担保権の扱いに関するルールは、本来であれば必要がない、その意味で過剰なものであると評価されることとなりそうですが、そのような評価は、一般にはされていないようにも思います。  そのほか、局面は異なりますが、土地収用法においては、土地の収用により、賃借権とともに担保権も、消滅します。言い換えますと、担保権は、被担保債権の弁済により消滅させることができるため、賃借権とは異なり、消滅しないとはされていません。  将来のことは分かりませんが、せっかく建替えの円滑化に向けた様々な制度やルールを設けたにもかかわらず、担保権の消滅に関する規律を設けなかったために建替えが円滑に進まないケースが生じて、年数が経った後に改めて議論を行う事態となるのであれば、望ましいことではないようにも思われますので、今一度意見を申し上げる次第です。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。この点について水津さんはおっしゃらないのかなと思っていて、おっしゃったなと感じたのですが、事柄の性質としては、おっしゃっているとおりのところはあって、例えば賃貸借の消滅のために、先ほどの(注3)ですね、例えば事業用の区分所有の専有部分について、通損補償で余りにも高額の補償金が必要になるとなると、結局、賃借権をなかなか消せないではないかということの問題意識は、その方向で議論が進んでいるということではありませんが、意見は出ているところです。水津さんがおっしゃったのは正にその点だと思うのですね。担保権は確かに消すための制度はあるけれども、それが過大な負担になったら事実上消せないようにもなりかねないではないか、それでいいのかと。原案で申しますと、一応賃借権の消滅のところも通損補償まであり得べしということですので、ともかくも建替えの邪魔になる権利を消すための制度は設けようというところまでは来ていて、消しやすさの点については、なおそれほど踏み込んではいないというのが今のところだと思います。それでいいのかというのは、賃借権のところでは、よくないのではないかという御意見が複数既に出ているところ、担保権についてもよくないのではないのかというのが水津さんの御意見であったと理解いたしました。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。   よろしければいいのですけれども、この部会もすぐ終わるわけではありませんけれども、だんだん時間はなくなってきておりますので、ここはこうすべきだということがあれば、反対でいらっしゃる場合のところは当然おっしゃっていただく必要がありますし、反対意見があるようなところにおきましても、いや、これの方がいいのだということでありましたら、それはそれでやはり御意見として頂ければ大変有り難いと思います。それは今日、今からおっしゃってくださいということではなく、次回以降も含めて、もうだんだん決めを打っていかなければいけないところも出ていまいりますので、賛成、反対いずれの意見につきましても、お気付きの点、あるいは強くお感じの点があれば、是非とも御意見として承ることができればと思います。 ○吉原委員 ありがとうございます。少し戻ってしまうのですけれども、38ページの賃借権の終了というところで、この御提案に私は賛成をしております。ただ、的外れな発言かもしれないですけれども、今後の人口減少、高齢化を考えますと、例えば単身の高齢者の世帯も増えていく中で、賃借人の高齢者、単身の方が立ち退かなければいけないというときに、きちんとこういうルールを分かって、自分には補償金を請求する権利があるのだということを知って、必要な手続を円滑にできるような仕組みをセットで整えておくことが必須であると思っております。この規律を設ける場合に、例えば国交省の方になるのかもしれませんけれども、こういう権利を失うことになる賃借人に対するサポートの在り方というのはどのように今後作っていくことになるのでしょうか。御質問になってしまうのですけれども、そこを確認できればと思いました。 ○下村幹事 ありがとうございます。この建替えに伴いまして、御指摘のような形で居住に困られる方というのも当然出てくる可能性があるということを、これは国土交通省の検討会の方でも指摘いただいておりまして、そういったところを何かしらサポートが必要ではないかということは御指摘を頂いているところでございます。そうした中で、決議の後で、具体的な事業の手続を、これは国土交通省の方で手当てをしていく必要があると思っておりますので、その事業手続の中で、そういった居住の安定についてしっかりと担保できるような仕組みを、今後少し国土交通省の方でも検討していければと思っております。また、居住の安定に向けて地方公共団体でも、例えば公営住宅を提供するとか、いろいろな形で住宅をサポートする仕組みもありますし、そういったところもしっかりと情報を発信していきたいというのもありますし、いろいろな対応の仕方はあるかと思いますので、そこは国土交通省の方でしっかりと検討していきたいと思っています。ありがとうございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。 ○大桐委員 国交省さんに関連する部分かとは思うのですけれども、賃貸借の終了についてのシステムができた場合には、現行法とやはり異なるシステムになってくるということで、賃貸者契約時の仲介業者の説明義務に関しても課題が生じ得るのかなと思っておりますので、その点は述べておきたいと思います。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。 ○紺野委員 ありがとうございます。吉原委員もおっしゃっていたのですけれども、国交省の方で今後いろいろ御検討なさるという話なのですけれども、先ほどの賃借権の終了に伴いまして、殊に心配しているのは、世の中、80歳以上が1,000万人以上になっていると、建物の方も増えていくと、そうすると福祉というか、生活圏の問題が出てくるわけです。そのために今後、広報の中で、例えば高齢者の居住安定確保に関する法律、高齢居住安定法があるわけですね、これは福祉の世界で、具体的にはサ高住宅とか何とかやっていますけれども、そういうところを含めて実施していかないと、決議が通って、建替えをやるよと、だけれども、その人は、殊に独り住まいとか、そうなった場合の生活圏を奪われてしまうわけですね、そういう面でのことを十分考慮した上で対応していただかないといけないかなと、我々住む側としてはそこを思います。   それで、殊に賃借で入っている方というのは、高経年マンションですと割合、比率が高くなってくるのです。そうしますと、なおさらそういう社会的な弱者、福祉まで少し絡んだ話でここら辺を御検討いただかないと、ここの配偶者の補償とか何とかとありますけれども、もっと広い意味で実施していくためには、課題を残すのではないかと思いますので、そこら辺も十分にいろいろな角度から御検討いただきたい。これは国交省だけで済む問題ではないと思います。いろいろな制度上の話がありますので、しつこいようですけれども、殊に高齢者になりますと精神的、身体的に社会弱者というのが増えてきますので、そこら辺も含めた形でいろいろ推進をしていただきたいというのがお願いです。これはお願いを兼ねまして、御検討のほどを十分に。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。   ほかにいかがでしょうか。   よろしいでしょうか。   では、最後にもう一度確認ですけれども、今日の第1、第2、全て含めまして、何かあれば伺いますが、いかがでしょうか。 ○村上委員 ありがとうございます。第1の9の第三者を管理者とする場合の監事の選任と、8−2の区分所有建物が全部滅失した場合における建物の再建、敷地の売却について意見を申し上げます。組織的な意見ではなく、議論に参加している中で感じたことということで、御容赦いただければと思います。   9に関しましては、今回の区分所有法の改正のコンセプトの一つは、第1の4にもありましたとおり、管理に関する区分所有者の責務規定を置くというように、区分所有者の皆さんが当事者として少しでも関心を持ち、よりよい環境を実現していくということにあるのではないかと思います。そうした観点からすると、第三者に管理を依頼する方向性は、そのときは信頼できる方に管理を依頼するということなのでしょうが、任せ切りになってしまうという懸念もあると思います。一定程度、やはり緊張関係を持つことも重要ではないかと感じているところです。   パブリック・コメントの中には、監事が置かれているけれども、現実には監事に期待される役割を果たしていないといった御意見もあるようですが、やはり監事がいるだけで管理者はそれなりにきちんとやらなくてはいけないということがあるかと思います。これは区分所有建物の管理に限らず、様々な団体でそのような機能を果たしていると思っております。意見としては大桐委員の意見と同様で、現実に第三者に管理を依頼するときだけに監事の選任を義務付けるのが適切なのかというと、そこも様々考える要素があり、しかし、今の時点で、こうした規律を必要ないと言ってしまうのではなく、まだ選択肢として残しておくべきではないかと考えているところです。   また、8−2では、議決権の5分の4以上の多数でという部分がありました。これについては前回、原案に賛成だったので、特段の意見を申し上げなかったのですが、建替え決議については原則5分の4以上とし、客観的な要件があれば4分の3に引き下げる案で賛成しておりますので、この提案についても5分の4になっているのでよいのではないかと考えています。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。第三者管理に関しましては大桐さんと同様の御意見で、まだもっと考えることがあるだろうということで、承りました。8−2について積極的に賛成であるという御意見も承りました。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○鎌野委員 49ページのところの敷地の一部売却ということで、先ほどのところに少し戻りますけれども、非常に悩ましくて、そして、今の各委員の御意見でも、ちょっとした敷地の一部を電力会社などに売却するということから、一方では、やはりいろいろな管理あるいは建替えなどの資金を得るために、敷地の一部余裕があるようなところを売却してという、そういうニーズもある。だから、これは非常に悩ましいのですけれども、やはりここの御提案というか、元々は敷地の一部を売却するという、その一部というのはどういうものかという様々な場面があるというのが一つの問題だと思います。   結論を申し上げますと、ですから、それがなかなか難しいので、結局は区分所有法でこういう規定を設けるというのはなかなか難しいのかなと、ですから、ここでの御提案のような形で、私はある意味ではやむを得ないのかなと、非常にいろいろなニーズはあるのだけれども、区分所有法にこういう規定を置くと更に混乱を招くというか、紛争が多くなるのかなということが懸念されております。   それから、第2点ですけれども、そのことが、先ほども御意見が出ましたけれども、裁判所などの判断に委ねるという点というのも、こういうものの発案というのは区分所有者の多数がそうしたいというようなことなので、ですから、そういうふうに裁判所が何か客観的な基準を設けて決めるということがいいのかという問題もあります。   それから、一部うんぬんということは既に浅見委員の方から御指摘があったところで、先ほど申し上げました。   それから、やはり特別の影響というのがなかなか難しいのかなと、これは佐久間先生の方からおっしゃった点だろうと思いますけれども、一つはやはり、区分所有者はそれに賛成しなくても、その建物とその敷地の分譲を受けたときに、区分所有権を取得したときに、言わばそういったことで取得しているというようなことで、そうすると特別の影響というのは、部会長がおっしゃったように、全員がやはりそういった影響を被ると考えることもできると、だから、結果的にはなかなかこういう規定を区分所有法に設けるのは難しいのかなということで、今回の御提案に私は賛成したいと思います。   少し意見を述べさせていただきました。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。 ○中野幹事 中野です。今後の進行ということで少し御提案というか、お願いですが、先ほど第6項の関係について意見を述べさせていただきました。佐久間部会長からは、また引き続き検討という御意見も頂いたところですが、時間もやはりこれは当然ながら、限られているということでしょうし、この議論をきちんと煮詰める、そういう方法を具体的に考えていかないといけないのかなと思っています。   大広間で毎回このように意見を交換して、では引き続きということは、もうできないでしょうから、何かのチームとか、もう少し小単位のチームを作って、特にこの民法原則との関係で整合的に説明することが困難であるという御意見が、本当にやむを得ないものなのか、それとも、これを突破できるような理論とか、区分所有法としての特則、趣旨を理解して、これを修正することができるのかについて、スポットで少し勉強会とか検討会を開いて、今回この区分所有法制部会にもう一度それを上げると、そういうような仕組みを作っていただくことはできないでしょうか。それをすることによって、20年前から続いていた議論に新しい考え方を取り入れることができるかもしれないので、是非その点について御検討いただきたいと思っています。 ○佐久間部会長 それはできません。今からこの問題だけで、どの人選をしてどういうやり方で進めるのかということまで含めて、することは難しいとしか申し上げようがないです。中野さんのおっしゃる突破というのをすべきであるのであれば、それは突破すべきであるということについて、全ての方が、共鳴しない方もおられるかもしれないので、その人にとっては関係ないと思いますが、そうだなと思われる方がそれぞれ、こうではないか、ああではないかという意見をここで出していただくということになります。   先ほどだんだん時間がなくなってきていると申しましたが、全然ないというわけでもありませんし、この問題は次回また、いつになるのかは分かりませんが、取り上げることになりますから、それまでに事務局に、こう考えればいいのではないかとお知らせいただいても結構ですし、当日のこの議論の場でその考え方をお示しいただいても構いません。その考え方に対して当日もちろん検討するでしょうが、なるほどということになれば、そこからまた事務当局でも御検討いただくということになります。ですから、個別に幾つか小グループでというより、むしろ全ての方に、この問題が重要であれば重要であるほど、ここで忌憚のない御意見を頂ければと存じます。   それで、大変難しいのは、利益衡量といいますか、実質的にどうすればよいかというレベルで判断してもいいですよね、という段階には既にない、実質的には中野さんがおっしゃる方向に行くことはあり得るのだろうと思いますけれども、それについて法的な正当化をきちんと図れるかということが極めて難しいというのが今のところの原案作成の立場からの認識でございますので、そこを、まあこれでいいではないかということで済まないので、意識して御検討を事前にいただき、御意見をこの場でしかるべき時期に頂くか、事前に事務当局にお知らせいただくか、そのようにしていただければと存じます。   ワーキング・グループみたいなものを作らないというのは、議論をしないということではなくて、議論の場は十分確保しているつもりですということで申し上げているところです。 ○中野幹事 分かりました、ありがとうございます。是非そういう議論の場がこの場であることを本当に私も期待していますので、よろしくお願いします。 ○佐久間部会長 必ず、ほかの提案もそうですけれども、まだ議論の機会はありますので、次回、それがいつかを今は申し上げられませんけれども、近いうちにあることはあるはずですので、そこで御意見を頂ければと思います。   ほかにいかがでしょうか。   よろしいでしょうか。では、本日の審議はこの程度にさせていただきます。今の御指摘も含めて、本日の御意見、御議論を踏まえまして、今後更に検討を進めていくことといたします。   では、次回の議事日程等について事務当局から説明を頂きます。お願いします。 ○望月幹事 本日も御議論の方ありがとうございました。次回の日程ですけれども、令和5年11月9日木曜日、午後1時30分から午後5時30分までということで予定させていただいております。場所については、また通知の方で記載させていただきますので、こちらの方を御覧いただければと思いますので、よろしくお願いします。   次回扱うテーマですけれども、まだ一読目で取り上げていない団地関係、それから被災関係の残り、こちらを取り上げつつ、パブリック・コメント後の二読目ということで、まだ意見が分かれているところについて、幾つか取り上げさせていただくことを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。 ○佐久間部会長 では、これをもちまして法制審議会区分所有法制部会の第12回会議を閉会といたします。   本日も熱心な御議論を賜りまして誠にありがとうございました。 −了− - 1 -