法制審議会 家族法制部会 第33回会議 議事録 第1 日 時  令和5年11月14日(火)  自 午後1時30分                        至 午後5時15分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  家族法制の見直しに関する要綱案の取りまとめに向けたたたき台(2)の検討 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会家族法制部会の第33回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。   本日も前回までと同様、ウェブ会議の方法を併用した開催になりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。   それでは、まず本日の会議資料を確認させていただきます。事務当局の方から御説明をお願いいたします。 ○北村幹事 本日は事務当局から新たな資料の送付はございませんので、前回会議の際にお配りいたしました部会資料32−1及び32−2に基づき御議論いただきたいと存じます。   なお、今回もウェブ会議を併用していることから、御発言に当たっては冒頭でお名乗りいただきますようお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。   それでは、本日の議題であります、今御紹介のあった資料32−1、32−2、家族法制の見直しに関する要綱版の取りまとめに向けたたたき台(2)に関する検討を行ってまいりたいと思います。   本日の会議では、前回会議で積み残しとなっておりました部会資料32−1の第3から御議論を頂きたいと思っております。第3について一通り御議論いただきましたら、その後、順次、第4以降についても御議論いただきまして、前回会議で申し上げましたように、本日の会議で第7まで一通り御意見を頂戴したいと思っております。   会議のちょうど中間ぐらいのところを目安に、休憩を一度入れさせていただきたいと思っております。   ということで、部会資料の32−1の第3について御議論をお願いしたいと思います。第3につきましては前回、第3までやろうと思っておりまして、既に御説明を頂いておりますので、引き続き御意見を頂戴したいと思います。どの部分でも結構ですので、御発言の際、どの部分を念頭に置いた御意見であるかを特定していただけますと幸いでございます。どなたからでも結構ですので、御発言がある方は挙手をお願いいたします。 ○池田委員 池田でございます。まず、第3の1(1)についてですが、実務では養育費の終期につきまして、22歳になった後に最初に到来する3月末までという取決めをすることが多くあると思います。そして、これが不払となって債務者の給与債権を差し押さえるという場合に、18歳を超えた部分についても民法766条の規定による子の監護に関する義務として、定期金債権による差押えの特例が認められていると思います。この1(1)の先取特権の対象を考える場合にも同様の取扱いとすべきと考えられますが、明文でそれを書くのかどうか、もし書ければ書いていただきたいと思いますし、もしそれが難しいということであれば、補足説明にその旨を記載していただければ有り難いと思います。   次に、第3の2ですが、法定養育費の(注2)のところで、養育費の調停や審判でそれまでの法定養育費について事後的に支払義務の免除、減額、支払猶予、その他相当な処分ができるとされています。これは、飽くまで法定養育費の支払義務があったことを前提として、それを将来的に減免等するという趣旨かと思われますので、基本的には一度支払ったものを返還させるという趣旨ではないと理解しています。そのような理解の下で、この点は賛成したいと思います。   それから、法定養育費の終期ですが、(注1)で成年に達したときとされていますが、通常の養育費においては成年に達するまでという終期は明文化されていませんで、恐らく子の監護に係る費用という文言解釈に任せられているのだと思います。その前提で、審判では20歳までとされることが多いと思います。法定養育費の性質を通常の養育費と同じと考えるのであれば、このような同様の扱いとすることも考えられると思いますので、そのことを申し上げたいと思います。   それから、3の情報開示のところですけれども、(注1)のところで夫婦関係調整調停、いわゆる離婚調停ですね、これも対象とすべきという見解も示されているところですが、これはやはり対象とすべきかと思います。相手方が資料提出せずに養育費が合意できないのであれば、離婚訴訟に移って附帯処分で出させればいいということもいえるのですが、できるだけ離婚調停の中で一体的解決を図りたいというニーズもあるところでして、裁判所が必要性を判断する仕組みとなっていますので、不当な使われ方がされる心配もないと思いますから、離婚調停も対象にするということがよいのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。池田委員からは、第3の1から3まで、4点にわたって御意見を頂戴したのではないかと思います。そのうちゴシックに関わるところとしては、養育費の終期に係る点について、従来の実務の扱いを明文化できるのであれば明文化してほしいといった御要望だったと承りました。それが難しいようであれば説明の方に書いてほしいと、二段重ねの要望として承りました。ありがとうございます。   そのほか、井上委員、武田委員がオンラインで挙手されていますので、井上委員、それから武田委員という順番で伺いたいと思います。 ○井上委員 ありがとうございます。委員の井上です。私からは、2の法定養育費に関して発言をさせていただきます。この養育費に関しましては、特にひとり親家庭の貧困が大きな課題であると考えています。政府の第5次男女共同参画基本計画におきましても、貧困等、生活上の困難に直面する女性への支援やこどもの貧困対策の観点から、養育費制度を見直すための法改正検討の必要が明記されていることを踏まえれば、養育費等に関する規律を設けるとともに、法定養育費について規律を設けて、養育費負担を義務付けることが必要だと考えます。   なお、ただし書に関して、例えば、養育費の支払を免れるために仕事を辞めるなどの事案が実際に諸外国においても見られるといった委員からの意見もありましたけれども、民法上の規律としては難しいとしても、解決すべき政策的課題であることに変わりはなく、この法制審の場にはこども家庭庁からも委員が出席をされていらっしゃいますので、積極的に連携をして課題の解決に取り組んでいただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。井上委員からは、2の法定養育費については規定を置くことを基本的には賛成だという御意見を頂戴いたしました。その上で、政策的に解決すべき課題については省庁連携して対応していただきたいという御要望を頂いたと受け止めました。ありがとうございます。 ○武田委員 親子ネット、武田でございます。すみません、今日は急遽体調を崩しまして、私自身は大丈夫なのですが、ほかの先生方にうつしてはいけないと思いまして、ウェブ参加に変更させていただきました。   第3の養育費に関して意見を述べさせていただきます。まず、1の先取特権に関してです。基本的にはたたき台(1)の際と同様かと思っています。ゴシックに関しては基本的に賛同する方向で、ただし、ゴシック(注1)に記載のとおり、一定の手続保障、補足説明(注3)に少し記載がありますけれども、簡易な不服申立て方法、ここは引き続き検討いただきたいという意見でございます。   次に、2の法定養育費に関してでございます。こちらもたたき台(1)の際と同様、義務者が窮迫する事案に関しても本文及び(注2)で示されておりますので、ゴシック記載箇所に基本的に賛同する方向に変わりはありません。ただ、要件に関して、本文では一定の要件と書いてありますが、三点ほど述べさせてください。   1点目です。第31回会議でも触れさせていただきましたけれども、離婚した父母間で養育費の定めがないことのみ、これは部会資料30でこういう記載だったと思いますが、このような記載ではなく、話合いができないなどの要件を追加いただきたいと考えています。理由は、取決めがないことだけを要件とすると、かえって取決めがなされず、受給金額が子が成人に達するまで法定養育費水準でとどまってしまうことを懸念しての意見でございます。   あと、更に追加検討いただきたい要件として、権利者側が自ら話合いに応じない事案、これは正直、ございます、このような事案であるとか、これは養育費に限った話ではないのですけれども、調停や審判で決定されている親子交流を合理的な理由なく拒絶している事案、こういったものに関して法定養育費の要件に加えることを検討いただきたいと考えています。この2つの追加要件ですが、弊会では8月のたたき台が公開されて以降、当事者、一部有識者も交えて3回ほど意見交換会を実施してきております。その中で出てきた意見でございます。ゴシック表記の箇所ではありませんけれども、御検討いただきたいということを重ねてお願いさせていただければと思います。   あと、これも養育費に限った意見ではないのですけれども、第2の部分で1点、発言をお許しいただければと思います。従来から述べておりますが、私は個人的に養育費、親子交流ともに、取決めから履行に至るまで幾つかのフェーズがありますが、その中で、何よりも取決めがなされることが最も重要だと考えております。その取決めに関して、三巡目の議論の俎上に上がらず、要綱案、現時点で記載がなくなっている養育計画ですね、中間試案では第3の2です、父母の協議離婚の際の定め。前回部会で、現時点で養育計画なるものが何を定めるのかも議論なされていない、これは事実かと思いますが。中間試案にありました離婚要件化、弁護士等の確認、この辺りも現時点での検討状況を考えると困難かなというところは、そのとおりかと思います。しかしながら、今回こういった法定養育費を入れるのであれば、想定しない方向、父母ともに話合いを拒絶して、こどもが成人に至るまで法定養育費のみの受給でよしとする、このような方向に行かないよう、何とか父母が離婚前に協議で定めるべきという検討が今次の法制審の中で少しできないかなと思っております。   これの従来から述べておりますが、親教育、親向けの講座なんかもこの中に入ってくると思います。そろそろ取りまとめに入ってくるタイミングかと思いますので、従前からお願いしておりました、離婚要件化せず、促進するのであれば、促進するための方策、具体的にどういうことが考えられるのかと、これは民法で規定する話ではないかもしれませんけれども、そこはそことして一度、現在考え得ることに関して、一旦法務省から御説明を頂くタイミングが来ているかなと、そのように思います。   第2に関して、私からは以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。武田委員からは、第3の1と2について具体的な御意見を頂きました。ゴシックの部分については基本的に賛成だということだったかと思いますが、1については簡易な不服申立ての制度の整備を要望するということ、それから2については、一定の要件の下と今は書かれていますので、これはこれでよろしいとしつつ、この先、要件を具体化するに当たっての御要望を頂いたかと思います。それから、今回の提案に直接関わるというわけではない点について、養育計画に関わる御発言があったかと思います。これについて、法定養育費等を定めると取決めの重要性が薄れることになるのではないかと、そうはならないような配慮を望みたいということで、民法でできないかもしれないけれども、どこかで何か対応案を議論してほしいという要望を頂いたと受け止めました。ありがとうございます。 ○向井幹事 幹事の向井でございます。第3の4の執行手続における債権者の負担軽減、包括申立ての点について意見を申し上げます。これは従前、預貯金と給与債権が問題になっておりましたけれども、預貯金について意見を申し上げさせていただきます。   第三者からの情報取得手続により判明した財産に対する強制執行の対象となる財産の範囲を考えるに当たっては、既存の手続を利用した場合と比較して実効性が確保され、かつ債権者にとって負担とならないかという観点が重要だと考えておりますが、このような観点からは、第29回の部会でも複数の委員から御指摘があったとおり、預貯金債権を対象とすることについてはもう少し慎重に検討した方がいいのではないかと考えております。   今から詳しく申し上げますが、まず、現在の実務では、複数の金融機関から情報提供命令に対する回答があった場合には、債権者において、どの口座を対象としてどのタイミングで差押手続に進むかということを判断しております。他方、今回の包括申立ての対象に預貯金を含めた場合には、裁判所が、各金融機関から口座に関する回答が送付され次第、順次差押命令を発令するということが想定されます。その場合、開示された口座について債権者において、差押手続に進むかどうか、どの口座を対象としてどのタイミングで差押手続を行うかといった判断をすることは困難になりますので、このことに関連して、今から申し上げるような不利益が債権者に生じる可能性があるのではないかと考えております。   まず第1点ですが、差押手続に進むか否かという段階ですけれども、債権者においてこの判断ができないため、残高が少額の口座について差押命令が発令されて、債権者にとって費用倒れになるおそれがありますし、費用倒れを防ぐために債権者が差押手続を取り下げたとしても、最初の包括申立ての段階で手数料や必要な書類を提出しているため、手数料や書類等の取得費用が無駄になるという可能性もございます。   また、差押えの対象となる口座やタイミングを債権者においてコントロールできないため、例えば、複数の金融機関から順次口座が開示された場合には、先に開示された口座に対する差押えを受けた債務者がほかの口座の預貯金を引き出してしまって、最初に差し押さえた口座以外の口座からの回収ができなくなるというような可能性もありますし、今の実務では、給与や賞与が振り込まれるタイミングを見計らって差押えの申立てをして、差押命令を掛けるということもやっているのですけれども、こういった柔軟な対応などもできなくなるのではないかと考えております。   仮に預貯金を包括申立ての対象としたとしても、差押手続に進む段階で、債権者において、改めて第三債務者の数や属性に応じた費用だとか書面の追完などが必要になるような場合も考えられまして、そうだとすると完全なワンストップにはならないというような問題もあろうかと思っております。   今申し上げた点からすると、預貯金を対象にするということについてはメリットだけではなくて、デメリットも相応にあろうかと思いますので、本当に預貯金について対象にする必要あるかどうかということについては慎重に御検討いただきたいと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。最高裁の向井幹事からは、第3の4について御意見を頂きました。4の対象をどの範囲にするかということについて、給与債権と預貯金債権がこれまで挙がっておりますけれども、預貯金債権については慎重な検討が必要なのではないか、その理由として、債権者に不利益が生じるのではないかという御指摘を頂いたものと受け止めました。ありがとうございます。 ○今津幹事 幹事の今津です。第3の1のところから順番に御意見を申し上げたいと思います。   まず、最初の1の実効性向上のところで、先取特権付与の方向性には賛成させていただきます。補足説明の方でいいますと11ページ目の一番下の(注3)のところに、債務者の手続保障に関する懸念として、債務名義作成のための裁判手続なしで執行が掛かってしまうという懸念を挙げられておりますけれども、この点は担保執行全般にいえる懸念であり、特にこの場面に限った問題ということではないという側面もありますので、余りこの部分を、それほど苛酷な不利益と受け止めなくてもよいのではないかと思っております。   それから、ゴシックの部分の(注2)のところで、先取特権を付与した場合の手続的な取扱いについて触れられている箇所なのですけれども、先取特権を有することを証する文書を提出したときに、給与債権に係る情報取得の申立てができるようにするという御提案がされております。これは、現行法では債務名義がある場合にできるとなっているものを拡大するという御趣旨だと思うのですけれども、直前に最高裁から御発言がありました4のところとの関連で、給与債権を少なくともワンストップの対象にするということを前提としますと、その情報取得についても併せて今回、対象を広げるというところを連動して考えてもよいのではないか、(注2)のような方向性は賛成できるのではないかと思っております。   それから、第3の2の法定養育費ですけれども、こちらも導入することには賛成の立場をとりたいと思っているところです。導入に当たっては、これも債務者側の手続保障というところで繰り返し懸念の声も示されていたところであり、確かに債務者側、支払をする側には手続の負担が従前よりも当然増えるということになろうかと思うのですけれども、この法定養育費制度の導入の趣旨がこどもの利益のためということを考えますと、義務者に一定の手続負担を課すということもある程度正当化されるという説明は可能なのではないかと思っております。   それから、第3の3の情報開示義務のところですけれども、今回補足説明の方で夫婦関係調整調停についても導入してはどうかというような、15ページ目の(注1)のところで御提言がございますけれども、この点はやや、私自身は慎重に考えてもいいのではないかと思っております。といいますのも、この情報開示そのものがなぜ導入されるかという趣旨に立ち返りますと、やはりこどもの利益が守られるように、正確な情報の下で判断されるべきというところがまず根本にあろうかと思います。それとの関係でいいますと、夫婦関係調整調停全般にこの制度が掛かってくるということになると、こどもがいらっしゃらない御夫婦とか、こどもが既に成人している御夫婦ですとか、そういったものも当然対象になってくる可能性がありますけれども、その場合になぜこの情報開示というものが入るのかという説明をもう少し、こどもの利益というもの以外の説明を工夫しなければいけないところです。夫婦の元々守られるべきプライバシー等に優先する何かの利益があるのかというところは、導入するとしても、説明に工夫が要るかなというところが一つ気になったところです。   それから、この情報開示に関しては、制裁についても言及がされているところです。審判の場合には、当事者に不利益な事実認定をするというような方向性も示唆されておりますけれども、これが調停の場合だとどうなるかというところがやや気になるところです。この点も含めて、制裁というのがどの程度実効性あるものとして確保できるかは疑問がないではないですけれども、ただ、情報開示をしなさいということを公にといいますか法文上、そういうものが必要なのですよと当事者にアナウンスするということ自体が意義のあることと思われますので、制裁の問題は置くとしても、やはり情報開示そのものは導入してもいいかなと思っております。   それから、4のところも併せて一言申し上げたいのですけれども、直前の最高裁の御発言にありましたように、預貯金についてはやや慎重に考えてもいいのかなと、どのぐらい権利者にとって現行の制度よりも使い勝手がよくなるかというのがやや見通せないところもありますので、ワンストップでやれるという制度自体を設けるとしても、対象は給与債権に限るという形でも差し当たりはいいのかなと考えております。元々養育費と給与債権というのは、どちらも定期的に回帰的に給付があるという共通点があり、養育費の回収という点では給与債権は非常になじみやすいところもありますので、無理して預貯金にまで広げなくても、給与債権のみの確保をできれば最低限ニーズは満たせるかなと思っているところです。   長くなりましたが、以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。今津幹事からは、1から4までについてそれぞれ御意見を頂きました。1、2について、基本的な方向性は賛成だとおっしゃっていただいた上で、手続保障への懸念が示されている点について、このように考えることができるのではないかという御意見を頂戴いたしました。それから、3、4についても、ゴシックについては特段御異論がないということだったのではないかと承りましたけれども、3については、夫婦関係調整調停をその対象とすることについては慎重に考える必要があるのではないか、4については、預貯金を対象にすることを、最高裁の御意見もありましたけれども、やはり慎重に考える必要があるのではないかという御指摘を頂いたと受け止めました。ありがとうございます。 ○原田委員 委員の原田です。法定養育費の件ですけれども、ここを協議離婚した場合に限られているのですが、理論的には調停離婚の場合もあり得るのではないかと思っていて、例えば、調停で決めなかったという場合は二つあって、権利者が要らないという場合もあるのですけれども、でも法的には有効ではないので、調停条項には入れないで、決めなかったという形になる。しかし、現在は夫婦関係調整調停に情報開示が入っていないので、義務者が収入を開示しないために、一旦離婚してから新たに養育費調停をするという場合もあり得るのではないかと、このような場合に法定養育費が発生しないというのは少し不都合なのではないかと思いました。   解決策としては、情報開示を夫婦関係調整調停にも入れるか、あるいは、離婚調停も含めるというのであれば要らないという趣旨で決めていないのであれば、調停条項に法定養育費は請求しないと、発生しないではなく、請求しないとすればいいのかなと思って、ここは少し検討の余地があるのではないかと思いました。   それから、請求者は必ずしも親権者でなくても、子の養育を主として行う者ということに補足説明ではなっているので、仮に親権者を定めずに協議離婚した場合も、養育監護している人は法定養育費が発生するという理解でよいのかと思っておりますが、それでよければいいと思います。   それから、ただし書以下がどういう場合で機能するかという観点からの問題なのですけれども、執行抗告とか、支払が不能とか、生活が困窮するとかした場合、この限りにあらずというと、全額請求できなくなるのかということです。現在の実務でも、ゼロというのはかなり例外的な場合で、義務者がそれなりに生活している以上、一定の支払を求めているのではないかと思います。算定表で見ても、それぞれの収入が低い場合、ゼロが下にありますけれども、5,000円とか1万円とかの養育費規定がかなり幅広く定められています。算定表の数字どおりに払っても、債務者の最低限の生活を脅かすものではないということが多いと思います。ですから、適正な養育費が決まるまでの暫定的な措置としても、一部減額とか一部請求の道も残していいのではないかと思います。だから、法定養育費の範囲で請求できるというふうな言い方もいかがかと思います。   後に家裁が決めた場合に、通常の養育費請求や変更の申立てでは、増額のときも減額のときも請求のときからとされていますが、この補足説明の(注2)は離婚のときからとも読めて、先ほど池田委員がおっしゃったように、これは請求のときからですよねというのであればいいのですけれども、私の理解が違っていれば、ここでやめますが、池田委員の理解のとおりでいいのでしょうかというのを一回聞いて、それでよければ、ここでやめますけれども。 ○大村部会長 法定養育費について、まだありますか。法定養育費については、そこまでですか。 ○原田委員 はい、そうです。 ○大村部会長 では、法定養育費だけ御意見を伺ったということにしたいと思いますけれども、今の御発言の中で幾つか御質問にわたるようなことが含まれていたかと思います。この法定養育費のゴシックのところは、協議上の離婚と書いてあると、あるいは請求者は父母の一方と書いてあるけれども、それ以外の場合ということについて、それからただし書について、全額請求できなくなるのか、あるいは補足説明について請求時の問題等、御質問いただきましたけれども、それについて事務当局の方で何か今お答えになられることがあれば、お答えいただきます。あるいは、御意見として承っておくということであれば、そうさせていただきますけれども。 ○北村幹事 すみません、原田委員の御質問の趣旨としては。 ○原田委員 主には、(注2)で読むとどうも、ただし書が適用になると、離婚のときから増減すると読めるのではないかと思ったので、それはそうなのか、通常のとおり請求のときからでいいのかということです。 ○北村幹事 御質問は、(注2)のところの、ただし書が適用されて減額請求などがあった場合には、請求があった時点からなのか、遡れるのかというところも含めてということなのだと思っていますが、いろいろ考えがあろうかとは思っていますけれども、そこで従来の生活状況を見ながら、遡って減額してもらうということもあり得るのかなとは思って記載はしておりますけれども、そこに御異論があるということであれば、また御発言いただければと思います。 ○原田委員 先ほどの池田委員は、請求のときからという理解で賛成するとおっしゃったのですけれども、私も請求のときからという意味では賛成するのですが、遡るということになると、例えば、そういう相談を受けたときに、特に相手の収入が分からなくて予想が付かないと、そこから返さなければいけなくなるということも含めて、なかなか法定養育費、あるいはそれを先取特権で執行するというのがしにくくなると思いまして、請求のときからにしていただきたいと思います。 ○大村部会長 御意見として承りたいと思います。それから、法定養育費についてその他の御発言は、このゴシック部分についての理解をお示しになって、このように理解できるのであればよいという御趣旨だったと受け止めてよいですか。 ○原田委員 はい。 ○大村部会長 分かりました。ありがとうございます。原田委員、まだ続きがありますか。 ○原田委員 いえ、法定養育費は結構です。   すみません、では、開示請求のところで、私も夫婦関係調整調停にも必要だと思うのですけれども、池田委員と同じ意見です。それでいいです。 ○大村部会長 分かりました。その点については池田委員と同趣旨ということで。 ○水野委員 委員の水野でございます。ありがとうございます。今回の原案については基本的に、現状ではこれが精一杯のところかと思っております。ですから、異論を申し上げるわけではないのですが、今までの御発言を伺っていても、取立手続というのは本当に費用や手間が掛かります。そして、給与債権、預貯金などについての議論を伺っていても、当事者にとって実にいろいろと負担と気苦労が多いことになるのだなと改めて実感しております。フランス法は、これを租税の徴収手続を利用して取り立てております。日本法では民間の債権手続は租税の手続とは本当に切り離されて運営されていますので、このような租税手続の利用がにわかにできるものでないことは十分承知しているのですが、こどものためということで、将来的にはフランス法のように租税の徴収手続の利用も考えてよいと思います。租税手続であれば、取立手続の費用や手間という不便の問題も解決しますので、そのような抜本的な解決も将来的には視野に入れて、考え続けていただきたいと思っております。   以上でございます。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。水野委員からは基本的には現状でこの規律に賛成すると、将来的な立法課題について御意見を頂戴したと受け止めました。   すみません、オンラインで手が挙がっている方がどなたなのか、私のところでは分からないので、確認してもらえますか。では、フロアで手を挙げられた方を先にしましょうか。赤石委員と佐野幹事。 ○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。よろしくお願いします。まず、この資料の話に入る前に、10月19日にオーストラリアで家族法の改正があったということで、今日資料を提出したかったのですが、直前になったのでお配りいただけないということだったので、口頭で簡単にプレスリリースの仮訳にあったところをお伝えしたいと思います。   このオーストラリアの家族法の改正に関しては、1975年の家族法における親としての責任を平等に分担する分担親責任という推定規定を廃止したということでございます。こどもの独立代理人は、子と直接会うことが要求されると、それから、長引く敵対的な訴訟の弊害から当事者とこどもを守るための権限の強化が必要である、これは司法の責任者によるプレスリリースですが、政府は、家族及びドメスティック・バイオレンスを実際に経験した人々の声を認識している、被害者の体験談を中心に置いて、これら重要な改革の策定と可決はなされた、被害者の体験談を中心に置いてこの改革がなされた、その貢献に感謝するというふうな文言が入っておりました。欧米が共同親権であり、日本はそこがなされていなくて、それに追い付くべきであるというような言説はありますけれども、欧米でもターニングポイントになっているということを認識して、この法制審議会が議論すべき貴重な情報ではないかと思いますので、是非事務局ではこの法改正についての情報をきちんと収集して提出いただければと思っております。私の方は、仮訳は次回、提出をお願いしたいと思います。   それでは、第3のところから行きます。先取特権は認めるべき、その効果については、私は、限定的かもしれなくても認めるべきであるということで思っております。   それから、法定養育費について、12ページの(注4)でございます。子の認知後についても法定養育費の請求を認めるべきものとする考え方があるということになっております。こちらについて私も、なかなか非婚で出産した方でこどもを育てている方に話を聞くという作業がなかなかできていなかったのですけれども、何人かヒアリングさせていただいたところ、認知によって法定養育費というのがほぼ自動的に決まるということに関して、ある種、離婚と同等に扱われることを評価する方と、やはり認知のハードルが上がってしまうので、かえってこどもの利益にならないのではないか、つまり、認知を避けたいという、この場合、認知というのは父親ですよね、父親側のインセンティブが働いてしまうのではないかといったような意見もあり、もう少し調査をしたいと思っているので、暫定的にお伝えします。   また、ごめんなさい、蒸し返しと言われたら恐縮なので、すごく短く言いますけれども、認知後の父母の合意に基づく、あるいは家庭裁判所の決定による共同親権に関しても、いろいろな意見が挙がっていたということがございまして、ここについては次回、また御報告したいと思っております。それによってこどもの不利益にならないような考え方をした方がいいとは思っております、ということを御報告申し上げたいと思います。   続いて、第4も言っていいのでしょうか。 ○大村部会長 第4は、また後でお願いします。 ○赤石委員 第3のところは以上となります。ありがとうございます。 ○大村部会長 赤石委員からは、次回提出の資料についての概要の御説明があった後で、第3の1と2について御意見を頂きました。1は、効果が仮に限定的であるとしても認めた方がよいという御意見と伺いました。2は、補足説明についてということで、認知後の取扱いについては考え方が分かれ得るということで、そのことをおっしゃった、それに関連して、認知後の親権の共同行使についても更に議論したいということだったかと思います。   それから、次は佐野幹事なのですけれども、先ほどの原田委員と事務当局のやり取りに関して、事務当局の方から少し確認をしたい点があると伺っていますので、北村幹事の方から、いいですか。 ○北村幹事 すみません、先ほどの確認の続きということにはなるのですけれども、原田委員のお話ですと、先に請求して受け取った後、返さなければいけない可能性が出てくるという話があったのですが、逆に未払分がたくさんあるような場合もあるかと思っていまして、その場合も、減額請求する以前の分については認めないという方向での御議論になるのか、それは違うのだという、既払の分についてというところなのかという、その辺りの点も含めて御議論いただければと。 ○原田委員 私は、確かに増額のときはもらいたいですが、でも、それは理論的ではないのかなと思っておりまして、どちらかに統一すべきだと思っています。 ○大村部会長 池田委員、もし何かあれば、今の点についてですね。 ○池田委員 私も基本的には原田委員と同じ意見です。 ○大村部会長 北村幹事の方は、それでいいですか。 ○北村幹事 お聞きしたかったのは、未払がたまっていって、でも債務者が払えないといって減額請求をしてきた場合に、減額請求をした時点以降からしか減額請求を認めないとすべきなのか、いや、それは当時も払えなかったので、全く払えない状態がずっと続いていたので、そこはやむを得ないから減額請求の対象に含めてもいいのではないかという考えがあると思うのですけれども、その点についての御見解を伺えればと思ったのですけれども。 ○池田委員 私が申し上げたのは、過去分について未払が仮にあった場合に、この支払免除、減額、支払猶予というのがいきてくるということ、ただし、支払った部分については、それはもう蒸し返さないというのが制度設計としていいのかなと思っているのですが、理論的にそれが不都合なのかどうかというのは少し検討する必要があるかなと思っています。ただ、この書きぶりからすればそういうふうに読めたのですが、そうではないのでしょうか。 ○北村幹事 記載した際には、離婚した時点まで遡っての調整もあり得べしかなということで、挙げさせていただいているので、この資料を作った側としては、請求時点からという趣旨ではなく、むしろ離婚まで、場合によってはそこを遡って調整があり得るという前提で議論していただければと思ったのですが、問題意識はそこで分かりましたので、また検討させていただきたいと思います。 ○原田委員 原田です。私もその点は、これを読んだときの認識と池田委員のおっしゃった認識が何となく違っている感じがしたので、確認させていただいた上で、どちらかに統一すべきなのかなと思ったので、請求のときからという意見を言いました。 ○大村部会長 よろしいですか。今の御意見も踏まえて、更に整理をしていただきたいと思います。いずれにしても説明の(注)の部分だということで位置づけております。   佐野幹事、それから、原田委員、まだ何か付け加えたいとおっしゃっていましたね。佐野幹事を伺った上で、原田委員、赤石委員と伺います。 ○佐野幹事 私は全然別の観点になってしまうので、赤石委員がもし今の話と関係あることであれば、先に。 ○大村部会長 赤石委員、今の関連ですか。 ○赤石委員 今ではなくて、原田委員がおっしゃったことに賛成の意を少し述べておいて、ただし書のところ。 ○大村部会長 では、佐野幹事は少し待っていただいて、赤石委員、原田委員、佐野幹事の順番にしましょう。 ○赤石委員 法定養育費のただし書のところで、低い金額でも支払を決めた方がいいのではないかという御意見を頂いたかと思っており、そこに関しては賛成でございますということです。 ○大村部会長 分かりました。その点について原田委員の意見に賛成ということですね。 ○原田委員 もう一つ、情報開示のところで、ここに入れるべき手続として、協議離婚で親権者を決めなかったときに調停や審判で親権者指定をするという場合は、この中に入るのでしょうか。入らないのだったら、それも入れた方がいいのではないかという意見です。 ○大村部会長 この対象になる手続の範囲ということですね。それは御意見としてということですね。 ○原田委員 はい、意見です。 ○大村部会長 では、御意見として承ります。 ○佐野幹事 佐野幹事、畑委員、沖野委員とオンラインで挙手をされていますので、まず、佐野幹事、お願いいたします。 ○佐野幹事 幹事の佐野です。第3の、まず1の(注2)のところなのですけれども、ここは先ほど御発言で、債務名義がなかったとしても先取特権を付与することで、給与債権に係る情報の取得の申立てができるようにするというというところに意味があるというお話があったのですが、これは財産開示の前置を不要とするという趣旨まで入ってくるのでしょうか、その辺を確認したかったというのが1点です。それは先に伺った方がよろしいでしょうか。 ○大村部会長 今の質問はということですか。その後、御意見ということですね。 ○佐野幹事 はい。 ○大村部会長 では、その質問について何かあれば伺って、ということにしましょう。 ○北村幹事 従来どおり、財産開示の前置を不要にするという趣旨ではないという前提です。 ○佐野幹事 分かりました、ありがとうございます。   それと、2の(注1)のところですけれども、やはりこれも終期が子の成年に達したときとなっているところが気になっておりまして、第1の親の子に対する扶養義務の論点とも関係してくるのかもしれませんけれども、成人年齢引下げの改正の際に、養育費の終期とはリンクしないといったところから、慎重に第1の扶養義務のところで検討しなければいけない論点ではないかと思っております。   それから、3の開示義務のところですけれども、これも私もほかの方々と同じ意見で、離婚調停も入れるべきだと思っております。例えば、離婚についての調停事件とか、離婚を求める調停という形で入れていただくことは可能ではないかと思っております。通常の実務ですと、婚姻費用の調停と離婚調停を一緒に申し立てられると、婚姻費用を一番最初に決めます。離婚に迷っている場合であっても、面会交流など調整をして、最後の段階で養育費という段取りになりますので、どうしても婚姻費用を決める段階と養育費を決める段階というのは時間的な乖離があることになります。そうすると、養育費を決める時点での収入を開示しないということでは、支障が生じますので、離婚調停も入れるべきと思っております。   それから、4の執行手続ですけれども、先ほど最高裁の方から預貯金債権を対象とすることに慎重な御意見があったのですが、本来の趣旨の債権者の負担の軽減という観点と、節目、節目で債権者の同意を確認できるようなスキームということを入れて考えていただければと思っております。債権者の負担軽減となるスキームにするために、どこまで負担軽減というのができるのかというところ、例えば、この執行の手続というのは附属書類を取得するところがものすごく手間暇が掛かるわけなのですが、そこまで負担軽減されるということであれば、これでも意味があるのかもしれないのですが、そうでなければ、仮に給与差押えだけになるというと、この手続は債務者の勤務先が判明していない事案だけしか意味がない、かなり利用範囲が限定されてしまうのではないかということを懸念しております。 ○大村部会長 ありがとうございます。2と3については、今まで出ている御意見、終期の問題と、それから3の範囲の問題について再検討していただきたいということだったと思いますけれども、4については、ここに書かれていることとの関係でいうと、修正の御意見をお持ちなのでしょうか、それとも、別途検討いただきたいという御要望なのでしょうか。 ○佐野幹事 4については、書かれていることの修正というよりは、その範囲を限定するということについては賛成できないという意見となります。 ○大村部会長 先ほどから出ている、範囲をどうするかということについて、ここに出ていないけれども、範囲を狭めることについては賛成できないということですね。分かりました。ありがとうございます。 ○畑委員 畑でございます。資料の補足説明付きの方で、12ページの法定養育費につきまして、これは私として意見があるということではないのですが、先ほどから話題に出ているゴシックのただし書とか(注2)については、既にそういう方向になっていると思いますけれども、少し整理が必要かなという気がしております。ただし書は、これがただし書に該当する場合に法定養育費が発生しないとなるのかどうかという辺りも明確にする方がよいかと思います。それから(注2)は、これは遡って減額ができるという規定のようですが、先ほど原田委員でしたか、増額というふうなことも少しおっしゃったような気もするので、いずれにしてもその辺りも含めて整理が必要かなということです。   それから、14ページから15ページに掛けての情報開示義務ですが、これは今まで適用範囲については余り厳密に書かれていなかったのを、少し細かく検討されたということかと思います。15ページの(3)、附帯処分のときどうかという話は、今まで明示的には出てこなかったのではないかと思いますけれども、これは必要かなと思います。   それから、(注1)の調停でどうかということです。確かに調停のときに強制的に情報を開示させるということについては、若干慎重さが必要かなと私も思いますが、他方で実は今、調停の手続で証拠調べも規定の上ではできるということになっているかと思います。使っているとは思いませんが、規定の上ではあるかと思いますので、それとの並びで考えれば、調停の手続に情報開示義務を設けるということもあり得なくはないだろうと。それから、調停の場でこれが必要がない場合があるという御指摘もあり、それもそのとおりなのですが、ほかの委員、幹事からも御意見があったと思いますが、もちろんこれは必要性を判断して利用されるということを想定していると理解しております。使い方については慎重さが必要だということは私も思っておりますが、あり得なくはないとは思っております。   それから、4の執行手続ですが、確かに預貯金についてなかなか難しい問題があるということは理解いたしますが、これは前にも申し上げたことがあるのですが、給与債権の場合も複数あるとか、そういうことはあり得なくはないので、そちらも少し考えておく必要もあるのかなと思いました。無理なくできそうな給与債権から制度を設けるというのも、それはそれで合理的な考え方かなとは思いますが、それについても考えるべき点はあるかなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。畑委員からは、2と3と4それぞれについて御意見を頂きました。2については、ただし書ですとか、あるいは(注2)について整理が必要ではないかということ、それから、3は必要だろうということ、議論になっている調停に関しては、あり得ないわけではないという御意見を頂きました。4についても、更に検討をすることができるのではないかといった御意見だったかと思います。 ○沖野委員 ありがとうございます。私は、法定養育費の2の(注2)に関して申し上げたいと思います。池田委員、原田委員、また畑委員からも今御指摘のあった点で、改めて整理するということでまとめていただいているのですが、その整理に当たって考えていただければと思うところです。私が理解しておりますのは、(注2)はむしろ遡及するような場合に意味があるのではないかと考えております。   まず、法定養育費ですが、これは協議がされておらず、あるいは家庭裁判所の審判などもなく、何ら取決めもないという状況でも離婚のときから直ちに発生するというものであり、協議が調っているとか、協議をされたとか、あるいは家庭裁判所の審判で決まったということであれば、そちらの養育費が発動するので、それまでの間の過渡的なものを定めるということだと理解をしております。それは、(注1)のところで一つの終期として書かれている考え方を前提にしているということであります。   ただし書が発動しますのは、そのように状況の考慮を入れずに一律に、過渡的にではあるけれども当然に取れるというものとして発生するのだけれども、しかし、例えば、前回でしたか前々回でしたか、水野委員が例を出してくださいましたけれども、母親が別居親となって、しかし自らは非常に病弱で医療費が掛かるというときに、当然に法定養育費の支出ができるのかというと、それは期待できず、そのような場合はもう法定養育費の請求はできないという形で、支払義務を負わないという場合が類型的にあり得るだろうということを、ただし書で示し、その場合を除外しているということだと理解しております。   そういう言わば極端なというか、さすがに法定養育費といっても負わせるべきではないという場面はただし書で除外した上で、その間に入るような、支払能力によってはやはり少し重すぎるということであれば裁判所で調整できるというのが(注2)だと考えておりまして、(注2)は家庭裁判所は、子の監護に関する処分の裁判をする場合において、このような減免ですとか、あるいは猶予とかができるということですので、もし家庭裁判所が、養育費がこれが相当であるという、正に将来分というか、これからの分を幾らと決めたのであれば、それは法定養育費をどうこうしているというのではなくて、本来的な養育費を定めているということになるのではないかと思います。ですので、むしろ減免ですとか猶予で意味があるのは、それまでの部分になるのではないかと考えておりまして、そういった制度が必要かどうかというのがここでの考え方の話であり、それは法定養育費の額を幾らと決めるかということにもよるのかと思っております。   ですので、そうした場合は、むしろ遡ってというか、過去分についての調整余地として(注2)のようなものを設けるかということが問題であり、更に、その場合に既に支払われているものをどう扱うかということがあり、既払分を更に返還させるということになりますと変化が大きいですし、それに依拠してこれまでの生活を営んできたということをどうするのかという問題がありますので、既払部分についてはタッチできないとするということも一案ではあると思います。ただ、(注2)自体は、支払能力を考慮して減免を定めるということであるならば、支払うことが何とかそれでもできていたということであれば、それはできていたという評価になるのではないかと考えておりまして、逆に明文で既払部分はその限りではないと定めたときは、なるべく払わない方が将来に免除の余地があるとか、そういうような誤ったインセンティブにつながるということもどうかと思われますので、明文を置くということに対しては、少しその疑問もあるように思っております。   ということで、このような理解によるものだと思っておりますので、(注2)で増額ということは考えられないと、増額というのは、本来の養育費が幾らであると決めるということではないかと考えているところでございます。以上のような理解が正確かということと、そういった制度がいいのかというのは、改めて整理をしていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。沖野委員からは、これまで議論がある法定養育費の部分のただし書と(注2)の部分について、整理するということで結構だというのが結論だと思いますけれども、その前提として、この部分の両者の関係、あるいは(注2)が置かれていることの意義について、こう解するべきではないかという御指摘を頂いたと理解を致しました。ありがとうございます。 ○大石委員 委員の大石です。ありがとうございます。私も法定養育費のただし書以降の部分について申し上げたいと思います。法定養育費が発生していてもずっと支払がなされなかったときがあった場合に、申立てがなされて、請求があったときから減額などが行われるのか、それとも離婚時に遡ってなのかというような御議論が今ありました。この点についてですが、受け取る側の生活の安定ということを考えますと、減額されるにしても早めに決定されることが望ましいですし、離婚時に遡って減額が可能というようなことになりますと、支払う側が請求があるまで引き延ばすというように、時期の調整をするいうことも考えられます。支払えない事態になっているのでしたら、早めにそのように申立てをしてもらった方が受け取る側のためにもなるのではないかというのが私の考えですので、減額をするのであれば、離婚時に遡ってではなくて、申立てを行ったときからでよいのではないかというのが私の考えです。 ○大村部会長 ありがとうございます。大石委員からも、ただし書、それから(注2)に関わる問題かと思いますけれども、どの時点からかということについて今、幾つかの意見が出ておりますけれども、申立て時からというのがよいのではないかという御意見を頂戴いたしました。 ○杉山幹事 幹事の杉山です。これまで出された意見と重なっているところもあると思いますが、まず第3の1のところですが、(注1)に書かれている債務者の手続保障の問題、つまり、養育費等の請求権に先取特権を付与するに当たっては、執行手続における債務者の手続保障の観点から所要の整備をする必要があるとの考え方がある、という部分を本文に上げることも含めて、積極的に検討をしていく必要があると思っております。   これも前にも申し上げたかと思いますが、事前に債務者審尋を導入するとか、あるいは事後的には執行抗告で足りるのかという問題もございます。そして、この問題は法定養育費の方でも尚更生じてくるはずでして、特に過去の不払部分をまとめて請求していくときに、既存の制度で手続保障が足りるのかという点も含めて検討する必要性もあり、また先ほどから指摘されています、額を変更する手続との関係といいますか、その手続にどうつないでいくのかも検討する必要性があると思っております。   これは何回か前に御指摘があったと思いますが、先取特権にするとして、その順位については実体法的に雇用関係の先取特権の次にすることで問題がないのであればよいのですが、ただ、これも既に御指摘があったように、倒産手続における取扱いが問題となり、民事再生ならともかく、実際に問題なることはないかもしれませんが、破産手続の場合には優先的破産債権になり、手続内では当然には随時弁済までは認められませんが、それで足りるのかという点も検討する必要があると思います。   三つ目の裁判手続における情報開示義務についてですが、調停事件も対象にする必要性自体は理解できる一方で、裁判所が開示を命ずることが手続的になじむのかやや気にはなりますが、審判と並んで、このような情報開示義務を入れることもよいとは思います。ただ、これも既に御指摘があったと思いますが、開示しなかった場合の制裁として、過料にするのか、あるいは過料では制裁として十分に機能しないので不利益な認定をすることを認めるのか議論されてきましたが、調停の場合に不利益認定という制裁がなじむのか、過料という制裁が本当に機能しないかは改めて考える必要があると思っています。   最後の包括執行の対象の財産、これを給与債権に限定するかという問題については、実務上一番問題となり得る自営業者の取扱いをどうしたらいいのかという課題があるため、対象となる財産の範囲は広い方が望ましいと思う一方で、他方で実務上あまりにも複雑な制度を作って、機能しなくなるのも適当ではないと思いますので、対象財産を給与債権から始めて様子を見て徐々に改正で拡大していくという方向もあるとは考えられると思います。   その場合には、定期的に対象を見直して拡大を検討していくとか、当分の間は債権者自身が自分で財産開示等の申立てができるように助言をするような運用をしていく必要があると思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。杉山幹事は1から4までそれぞれ御指摘いただいたのだろうと思いますけれども、3について、調停事件を入れることもあり得るけれども、制裁が問題になるということ、4について、給与債権に限るということから始めるということで、後で変えていけるのではないかということ、これは分かったのですけれども、1点目と2点目が音が少し途切れてしまって、どういうことだったのか必ずしも把握できていません。すみませんが、要点をもう一度お願いできますか。 ○杉山幹事 申し訳ありません。1点目ですが、第3の1の(注1)にあるような債務者の手続保障を、養育費について通常の合意がある場合と法定養育費の場合の双方で検討する必要性があることと、あとは順位の点について、このままでも構わないけれども、倒産手続の取扱いがこのままで大丈夫なのか検討する必要性があるというところです。 ○大村部会長 ありがとうございます。1について、手続保障について、法定の場合とそうでない場合と、双方について検討する必要があるということと、2について、順位は一応これでよいのかもしれないけれども、倒産手続を含めて更に検討する必要があるのではないかという御指摘ということで承りました。   これですべて伺いましたでしょうか。この第3について、ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、第3について様々な御意見を頂戴いたしましたが、幾つか御意見、御指摘があったところがあったかと思います。一つは、養育費の終期の問題について、これは規定をどうするかということとは別に、その点をはっきりさせる必要があるのではないかという御指摘、それから、先ほどから御意見がある、法定養育費のただし書と(注2)について整理が必要なのではないかということ、そして第3の開示について、この範囲をどうするのかということを検討する必要があるのではないかということ、また、第4については、ゴシックの部分には直接出てこないのかもしれませんけれども、これも範囲の問題ですね、給与債権に限るのかどうかというところを更に考える必要があるのではないか、こうした点について主に御指摘を頂いたかと思います。基本的な考え方も含めて、その他の部分につきましては皆さん、おおむね賛成をしていただいたと受け止めさせていただきたいと思います。   今ここで休んでしまうと少し早いので、第4の方に入らせていただきまして、それで、適当なところで休みを入れさせていただきたいと思います。   第4につきましては、まず事務当局の方から御説明を頂くということになろうかと思いますので、よろしくお願いを致します。 ○北村幹事 事務当局でございます。部会資料32−1の5ページの第4では、親子交流に関する規律を取り上げています。   このうちの「1 子と別居する親と当該子との交流」については、部会資料30−1のたたき台(1)から実質的な変更はありません。   「2 裁判手続における親子交流の試行的実施」については、第31回会議における御議論を踏まえ、裁判所が親子交流の試行的実施を促すことができる手続の種類を拡張する修正をしております。   また、前回会議や本日の会議の前半でも、養育費等の審判における情報開示義務に関して、夫婦関係調整調停事件においても裁判所が開示命令を発することができるようにすべきとの御意見がありましたけれども、情報開示義務についてそのような修正をするのであれば、親子交流の試行的実施についても同様に夫婦関係調整調停事件において活用することができるようにすべきであるかが問題になるように思われますので、その点についても御意見いただければと思います。   第4の3は、部会資料30−1では【P】としていた論点について、親以外の第三者と子との交流に関する規律を提示しております。令和3年の最高裁決定では、父母以外の第三者が子との交流について定める旨の審判の申立てをすることができないと判断されました。この判断に対しては、祖父母等との交流の継続が子の利益に資するといえる事案があるとして、第三者からの申立てを許容すべきであるとの意見があります。他方で、父母以外の第三者に子との交流に関する申立権を付与することに対しては、子を多数の紛争に巻き込むことになりかねないという批判や、手続の相手方となる父母の応訴負担や濫訴防止の観点にも配慮する必要があるとの指摘もあります。そのため、父母以外の第三者が子との交流についての審判の申立てをすることができるようにするとしても、その申立権者の範囲や、こちらはゴシックの(注1)になりますけれども、その申立ての要件、ゴシックの(注2)になります、これをどのように設定するかが問題となってこようと思いますので、御意見を頂ければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。前の資料から変更があった点と、それから、特に御意見を頂戴したい点というところに重点を置いて御説明を頂いたかと思います。   この第4について、どこからでも結構ですので、御発言を頂ければと思います。発言の際には、どこの部分についての御意見であるとおっしゃっていただけますと幸いです。どなたからでも結構ですので、挙手をしていただいて御発言を頂きたいと思っております。少し皆さんの御意見を伺ったところで一旦休憩して、また引き続き御意見を頂戴するということにさせていただきたいと思います。では、御発言の方をお願いいたします。 ○戒能委員 ありがとうございます。委員の戒能です。第4、親子交流に関する規律の2の裁判手続における親子交流の試行的実施と、それから3の親以外の第三者と子との交流に関する規律について、意見と、それから若干、こういうふうに修正したらどうかということをお話ししたいと思っております。   それで、試行的実施について(1)、(2)、それに続いて四つ項目があるのですが、(1)と(2)について意見を申し述べたいと思っております。これは、補足説明の17ページの(注1)とか(注2)のところがとても大事だと思っております。それで、ゴシックの方の(1)では、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がない場合であって、事実の調査のため必要があるときということなのですけれども、このときに、事実の調査をして、本案に参考にするという考え方だと思うのですけれども、1点目は、これは2(2)なのですが、必ずしも家裁の調査官その他第三者の立会いを最初から認める必要はないというような考え方になっていると読み取れます。しかし、それでいいのかどうかと、特に、調査官の立会いの有無自体を当事者に任せるということでいいのかどうかというのが1点、疑問に思っております。   それで、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がないという場合なのですけれども、それがどういう場合なのかということです。それと、もう一つは(2)の方では、これは立会いがない場合があり得るわけなのですが、子に有害な影響を及ぼす言動を禁止し、ということがありますけれども、この禁止はどうやって担保されるのだろうかと、善意に任せているのだろうかというふうなことで、何か仕組みを作らないと家裁が判断するまで時間が掛かるだろうと、即決というわけにもいかないと。そうすると、危惧するのは、そういう有害な言動が発せられてしまったときにこどもに影響を与えるだろうということなのです。禁止事項を遵守するという定めをしても、それを破った場合に、例えば直ちに親子交流の試行を中止するとか、二度とそういう試行もできなくするとか、何か担保する仕組みが必要ではないかと考えております。   それからもう一つは、これは補足的資料の17ページの(注1)のところがとても大事だと、先ほど申し上げたとおりなのですけれども、子の利益という文言を用いていないということでしたが、これはやはり試行であっても子にとっては非常に大きな影響、負担を掛けるわけです。飽くまでも子の利益のためにやるのだということが条文上も明記される必要があるのではないかと考えております。   もしゴシック体を修正するとするならば、これも例えばということで掲げられておりますが、これはほかの規律でも同様なのですが、DVがある事案において十分配慮しているという御意見もあったと記憶しておりますが、しかし、やはり先ほどオーストラリアの法改正の、非常に参考になるなと思ったのは、飽くまでも被害者の体験を重視して、それに基づいて現状を分析し改正をするというような、詳しくは是非法務省に資料として提供をしていただきたい。転換点に当たっているのに、日本がこういう状況で十分に子の利益が守れるかどうかということを、きちんとじっくりと検討してほしいと思っているのですが、こういうふうに規定するとしても、この(注1)に例えばというふうに置いておくだけではなく、きちんと民法上も、ドメスティック・バイオレンスや児童虐待など子の利益に反すると認められるような事情のような、子の心身の状態に照らして相当ではないというようなふうに限定付ける必要があると考えております。それが私の意見です。   それからもう1点は、(注2)の子の意思です。子の意思の重要性ということで、子の意思の確認とか子の意思の尊重ということを、これもまた(注)に、しかも補足説明の(注)という位置ではなく、きちんと位置づけるべきだと考えております。   それから、3の親以外なのですが、これは補足説明を非常に丁寧に詳しく書き込んでくださっているのですが、大変気になった文言があります。それは、20ページをお開きいただきたいのですが、こういうロジックでいいのかという点なのですが、20ページの3の少し上の段落、もっともというところから始まるところなのですが、いろいろ書いてあって、第三者による申立てを一切の例外なく否定することはうんぬんというところなのです。このロジックは、最初の段階で真摯な合意のときも使われたロジックなのです。こういうロジックでやるならば、限定的に、慎重に考えないといけないと思います。ということは、この場合、第三者の範囲も、補充性の要否とか、それから、特別の必要性があるかどうかという判断をきちんとすべきだということを21ページに書き込まれておりますけれども、その辺りを非常に厳格に考えて限定的に適用しない限りは、例えば父と母が亡くなったとか、重い病気だとか、そういう場合を除いては祖父母と会わせるということを規定するということには慎重にならざるを得ないと思っております。   そのときに、やはり特別の必要性とか、補充性というところで、特に特別の必要性というところで、例えば、別居親が重い病気で申立てができないとか、そういう申立てを期待できない事情があるというときに、必要性の判断を同時にするわけなのですが、やはりここでDVなどで、相手方が夫とすると、夫との関係というのが直接的には問題になるのですが、実は夫の父と母との関係も問題になり得るわけです。あるいは実際に問題になっているわけです。そうすると、ここでは良好な関係にあるという限定ですよね、敵対的な関係にないということを条件にしなければ、これは子にとって、子の利益にならないような影響を与えるのではないかと。それから、同時にここでも、年齢にもよりますけれども、子の意思の確認とか尊重というのがあって初めて、こういう第三者との交流が認められるべきだと考えております。   以上でございます。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員からは、第4の2と3について御意見を頂きました。2の方について、ゴシックの修正にわたる部分としてはといった御発言がありましたので、その点について確認をさせていただきたいと思います。子の利益という文言を明示すべきではないか、これはゴシックのレベルで明示すべきだという御発言があったのではないかと思います。それとの関連で、DVについて考慮するということも書き込んでほしいという御要望だったかと思います。併せて、子の意思についても御発言がその後にあったかと思いますが、これはゴシックに何か書くべしという御趣旨の御発言だったのでしょうか。 ○戒能委員 可能だったら書き込んだ方がいいとは思うのですけれども、ただ、いろいろな条件がありますので、少しそこは考慮したいと思っております。 ○大村部会長 分かりました。それから、その前に、このゴシックとの関係で、立会いを必須とする必要があるのではないかということ、それから禁止の担保が必要ではないかということをおっしゃったかと思うのですけれども、禁止の担保はこの文言の外で考えることもできるのかもしれないですが、立会いの要否というものについては、これは運用の話をおっしゃっているのか、あるいは立会いが必須だと書き込むべきだとおっしゃっているのか、ここはどうなのでしょうか。 ○戒能委員 後者、必須と考えております。 ○大村部会長 その2か所ということになりますかね、分かりました。あと、3の方については、基本的には慎重論ということで、限定的な制度を組み立てるべきだと、こういう御趣旨だと承りました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○棚村委員 早稲田大学の棚村です。第4の1のところについても基本的には御提案について賛成です。これは前にも申し上げましたけれども、別居中というのですか、婚姻が継続している御夫婦についての親子交流の問題というのもたくさん紛争として出ていますので、何らかのきちんとした規律が必要だと思っています。   それから、2番目のところは試行的な親子交流の実施ということなのですが、これも今の家庭裁判所でも試行的な親子交流が事実上行われていて、親子関係の質というか、これまでの親子関係の内容とか、そういうようなものをできるだけ早い形で確認をしながら、親子交流が可能かどうか、あるいはどんな内容の交流がこどもの利益の観点から必要かどうかというのを見立てたり、今後につなげるような意味でも、是非規定が必要ではないかと思います。   試行的実施の要件で、戒能委員は調査官の立会いが必要だとか、実施する場合の、心身の状況に照らして相当でないという事情がある場合とか、調査のため必要があるとか、そういう形で要件ぶりの表現についてはいろいろあろうかと思いますので、それについては適切な表現なり要件というものを検討するということは意味があると思います。   ただ、基本的には早期にこういう試行的な親子交流というものを実施することで、ある意味では共同親権とか共同監護という話もそうなのですけれども、そういうことに行けるような親子としての関係性とか、親子としてのつながりみたいなものを本当に持っているか、あるいは持てるだろうかというようなことの試金石にもなるので、是非この試行的な親子交流に関する規律はとても重要であると考えます。また、家裁の調停委員を私がやっているという長年の経験からみても、試行的面会交流の実施によってかなり親子関係のこれまでの中身や関わり方、それから今後の親子関係の発展あるいは可能性みたいなものをかなり垣間見ることができるもので、とても有用です。しかも、戒能委員もおっしゃっていましたけれども、DVや虐待、暴力があると主張される場合に、加害者側と被害を受けているほうとの認識のギャップ、感じ方、受け止め方の隔たりというのがすごく大きかったりします。さらに、こどもがどういうふうに父母の対立や葛藤に巻き込まれているかということも、この試行的な親子交流の実施を通して、かなり冷静に調停委員とか、あるいは調査官とか、弁護士さんや父母それぞれにとっても見つめなおしたり、客観的に冷静に把握できたり、そういうような場面を重ねることによって、今後どうしたらよいかがはっきりと見えてくる場合があるのです。つまり、親の方には見えていない親子の交流や関係性みたいなものが見えてきて、なにが障害になって阻害しているのかを確認する機会にもなります。ですから、親子交流についても是非規定を置いて、早い段階で家庭裁判所が間に入って、こういうような親子交流の可能性とか、今後を占うような意味での関わり方、関与を是非認めていただきたいと思います。   それから、3番目の親以外の第三者との交流の問題です。これは監護者指定とかそういうことも関わってくるわけですけれども、基本的に監護者指定というのは、一時的というよりは、かなりお子さんと継続的日常的にまとまった生活を共にして、かなり重要な働きとか責任を負っていくということになります。ただ、親子交流は少しだけ会うとか一定期間会うということで軽いのだということですと、誤解を招くと思いますので、そうではなくて、この交流も親に代わるぐらいの大切な役割をいろいろ果たしたり、あるいは親との交流にプラスアルファをするようなこどもとの充実した楽しい、あるいはこどもにとって有意義な時間を過ごさせるという意味では、この第三者との交流についての規律も一定程度設けるということには賛成です。   ただ、(注)でもいわれているように、親が子育てをしたりこどもに対して責任を負っているのだけれども、どういう要件とかどういう事情があれば、それに代わる、あるいはそれをサポートするための第三者、第三者とはいっても、これについては親族に余り限定をしないで、もちろん親族が一番多いと思うのですが、里親さんとして関わるとか、いろいろな形で事実上の養親のような形で関わるとか、いろいろな立場の方がいらっしゃいますので、引き続きこの範囲の問題とか、それから、一定の要件の中で補充性とか特別の利益、特別の必要性、こどもとの実質的な関係とか、その辺りのところは是非検討を続けていただきたいと思います。   いずれにしても、1についても2についても3についても、第4の親子交流に関する規律の提案については基本的に賛成ということです。ただ、戒能委員からもいろいろ出ていましたけれども、表現ぶりとか要件を、要するに、そういう規律なり可能性を認めるということについては賛成をするものの、ただ、細かい要件とか、どういう事情の下でということについての表現については更に検討するということで、賛成したいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員からは、第4の基本的な方向には賛成であると、ただ、細部の要件については検討が必要だろうという御意見を頂戴しました。その際に戒能委員の先ほどの御指摘の点についての言及もありました。最後の3の親以外の第三者との交流については、要件について検討が必要だという御意見でしたが、(注1)は一定の範囲の親族に限るという考え方でどうかという形で出していますけれども、親族に限らない方がよいのではないかといった御意見を頂戴したかというふうに受け止めます。   ほかにまだありますか。では、原田委員の御意見を伺ってから休憩したいと思います。 ○原田委員 委員の原田です。親子交流のところです。今、棚村委員の方からおっしゃった早期に実現するという趣旨は、制度としてやりやすくするから、結果として早期になるかもしれないけれども、当初の提案であった早期にというところは消えて、早期にするということを主要な目的にするということではないと理解をしているのです。その範囲で、現状でも試行的な面会交流は行われているので、現在との違いで考えると、調査官の立会いなしとか、第三者が立ち会ったり、立ち会ったりしなかったりとか、(2)のところが現状と異なってくるというところではないかと私は理解しているのですが。   そうすると問題は、事実の調査のために必要があると認めるときという条件があったときに、先ほど棚村委員が言われた、親には見えていないような親子関係が分かることがあるとかいうようなことであると、やはり調査官が見ないと、そこに立ち会った親や、この第三者をどの程度の方に見るのかという問題はありますが、その報告だけで分かるのだろうかという疑問があります。ですから、この趣旨をどう考えるかということにもよりますが、私も家庭裁判所の調査官は立ち会った方がいいのではないかという意見です。   それから、(注2)のところに細矢委員の発言が引用されていますが、やはりこどもさんの意見、意思というものを確認するような規定を手続法上は入れた方がいいのではないかと思います。   それから、第三者の交流についてですけれども、認めた方がいい場合が一切ないとは言わないのですけれども、監護教育に何ら責任を負わない第三者に対して、養育している親の反対を押し切ってまで認める必要があるのかという点は若干疑問で、消極的に考えています。これは濫用のおそれというのをこの中にも丁寧に書いていただいていますが、それも懸念します。当事者同士で決めるということには何も問題もないのですけれども、それを裁判所まで持って行くことができるようにするかという点については、慎重に考えてもいいのではないかと思います。   また、これはもう一つ、少し弁護士会の中で議論したときに出たものですが、どちらの親の下でも養育されている場合、要するに2人の親から養育されているのだけれども、例えば小さいときにおじいちゃん、おばあちゃんに預けたことがあるとか、あるいは離婚したりしている場合の共同親権の場合で、別居している親ではなくて、また別の第三者の場合は、共同親権の両方の親を相手にしないといけないのかというような、手続が非常に複雑になるのではないかという懸念もあって、積極的に考える必要はないのではないかというような意見も出たことは紹介したいと思います。私としては消極的な意見です。もし認めるとすれば、かなり限定的な制限を付けるべきだと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。原田委員からは、先ほど戒能委員もおっしゃった、調査官立会いの方がよいのではないかという御指摘と、それから、こどもの意思については、これは手続の中で対応する必要があるという御意見だったかと思います。3については慎重論、あるいは消極論の側からの御指摘というのを頂いたと理解を致しました。   まだ第4について、御発言はあろうかと思いますけれども、少し休憩をして、引き続き伺いたいと思います。15時11分ですので、約10分休憩して、15時20分に再開したいと思います。休憩いたします。           (休     憩) ○大村部会長 それでは、再開したいと思います。   休憩の前、第4の親子交流に関する規律について御意見を頂いておりましたけれども、引き続きこの点につきまして、御意見があれば頂戴したいと思います。 ○柿本委員 柿本でございます。よろしくお願いいたします。2の試行的実施のところでございます。子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がない場合の判断にばらつきが生じないことが非常に重要だと考えます。私のところにいろいろ頂いている意見などでは、評価能力の限界ですとか、ばらつきがあるという意見を多方面から頂いています。   (2)でございますが、家庭裁判所の調査官の立会いは必要と考えます。 ○大村部会長 ありがとうございます。柿本委員からは2について2点、御意見を頂きました。(1)の要件の部分について、判断がばらつかないような配慮をしていただきたいという御要望と、(2)の調査官の立会いについて、やはり必要なのではないかという御意見を頂戴いたしました。   オンラインで武田委員、フロアで赤石委員ということで、武田委員、赤石委員の御意見を頂戴いたします。 ○武田委員 親子ネット、武田でございます。親子交流に関して意見を申し述べさせていただければと思います。第4の1、第4の2、たたき台(1)から(3)は、基本的には第4の2に第三者交流、ここが追加されたものと理解しております。第4の2(4)の(注)の夫婦関係調整調停も含めるということに関して、ここは個人的には賛同する部分ですので、第4の1、2、ともにゴシック表記に関しては賛同するものでございます。   次に、たたき台に追加された第4の3、第三者と子との交流に関してでございます。ゴシック本文に関しては、同様に賛同する方向です。ゴシックの(注1)に範囲に関して言及がありますけれども、この部分をもう少し広げた方がよいのか、もっと絞った方がよいのかというところは、現時点では決め切れておりません。もう少し他国の事情なんかも確認しまして、判断したいと思っています。   第三者の交流に関して、今回、第三者だけを切り出してという形ではなく、基本的な申立権者は父母なのですよということを明示すること、ここに私は意義があるなということを改めて感じました。弊会の会員さんから寄せられる第三者関連の交流で最も多い声は、祖父若しくは祖母が亡くなる前に一度だけ会わせたい、もういよいよ亡くなるタイミングが来たので、お見舞いだけ何とか行かせたいという声が実は一番多いものでございます。これは私の感覚論で申し訳ないのですが、親子の交流が一定できているケースでも、おじいちゃん、おばあちゃんに会わせたいという申出は恐らく9割以上拒絶されていると思います。おじいちゃん、おばあちゃんはその後、亡くなります。その後、こどもたちがおじいちゃん、おばあちゃんの葬儀に参列することも叶いません。主観で申し訳ないですけれども、身近な近親の死を看取ることというのは、私はこどもにとっては極めて大切な経験ではないかと思っております。   私事で恐縮なのですけれども、実は先月、私の父が末期癌と診断されまして、緩和治療に入りました。うちのこどもたちはもう2人とも成人しましたけれども、この話をしたところ、何とか会話できる、話せる間に会いに行くと言ってくれています。父はもう余命数か月です。そんな中でも父は、あの子が来るまで頑張ろうかと母に話しているそうです。こどもたちの成長のため、頻度も違うと思いますし、御指摘のように濫用があってはいけないとも思うのですけれども、是非この法制審で実現していただきたい、実現する方向で議論を進めていただきたい、このように考えております。   先ほどと同様、親子交流に関して最後1点だけ、部会資料32に記載されていないことに関して意見を述べさせていただければと思います。実は第31回会議でも少し、きちんと話そうと思ったのですが、時間の関係で説明できなかった部分でございます。   先ほど、この要綱案が発表されてから会内で意見交換の場をずっと持ってきましたというお話を差し上げましたけれども、意見がやはり多いのが、養育費には先取特権や法定養育費、具体的な実効性のある案が出てきている一方、親子交流に関しては実質的には試行的交流のみで、不公平だという意見がやはり多く上がってきております。私が当事者の皆さんに申し上げているのは、不公平だから養育費に対する取組に反対するというのではなく、我々は約9割が養育費を払っていますので、そこはそことして、きちんと親子交流の実効性が確保されるような意見を求めましょうということを会員さんに話しております。   その中で最も重視すべきだと思いますのは、せめてということでございます、中間試案でありました試案第5の3(2)、成立した調停又は審判の実現に関する手続でございます。三巡目の議論では議題に上がりませんでした。現時点で要綱案からも消えております。こういった類いの事案、調停が成立、又は審判が出ているわけですから、家庭裁判所の手続を通じて当該親子の交流は子の利益に資するものと判断されている事案が、実行されないことに対して何らか手を打てないかということでございます。   これは過去、資料も出しましたけれども、合意した調停や審判があるにもかかわらず親子交流が全くできていないとの回答が日弁連調査で44%、これは第5回で出した資料でございます。昨年7月、弊会で母数500名程度のアンケートを実施しました。全く実施されないが54%、取決め以下の実施が23%、両者を合算すると77%の回答者が、取決めどおりに履行されていない、これは第18回会議で出したアンケートのとおりでございます。   現行制度で履行勧告、間接強制があることは承知しております。しかしながら、決定した半数が履行がなされないという事実に鑑みますと、他の対策が必要なことは、明らかだと思います。余りこういう言い方はしたくないのですけれども、結果的に見ると、こどもから親を奪うことを司法が黙認していると言わざるを得ないのではないか、これはそもそも児童の権利条約第9条に明確に違反しているのではないか、国内のこどもと離れて暮らす親に限らず昨今外国人の別居親からも強い批判を受けています。共同親権を入れることで一定の前進にはなると思いますが、結果的には共同親権になっても、その上で親子交流、監護の分掌でもいいです、それが認められても、それでも会えない、こういうことになる事案がまだまだ残るのではないかと懸念しております。   今年6月、両親の離婚を経験したお子さんの立場の方々を数名呼びまして、そこでもお話を聞きました。やはりお子さんの立場の当事者からは、こどもは親の所有物ではない、こどもから親を奪わないでくださいという強いメッセージを頂きました。同様の、民事事件で判決が確定しても損害賠償金の回収ができない、これは往々にしてある話かと思いますし、実際に私も回収できたことはありません。しかしながら、子の利益に資すると判断された親子交流の司法判断、この種の係争とは異なると思います。子の利益のために実効性が求められるものではないかと思います。   今回のたたき台において、養育費も情報開示において一定の過料の制裁をすることもあり得るという案も出ておりますけれども、同様に親子交流の不履行に関して一定の過料などの罰則を設ける方法はあり得ると思いますし、これも今、検討の土俵から消えております家庭裁判所が定める考慮要素、こういったものの中で、調停や審判で決定した親子交流に関して正当な理由なく実施を拒むこと、例えば、こういった要件を親権者の考慮要素に入れるなどすることによって一定の抑止が図れるのではないかと、このように思っております。   是非この、一旦現時点でテーブルに上がっていない、成立した調停及び審判の実現に関する手続、ここに関して議論のテーブルに載せていただきたいということを最後に述べさせていただいて、親子交流に関する意見を終わりにさせていただきます。以上です。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございました。武田委員からは、第4の2と3について御意見を頂き、そして、ゴシックの記載の外の問題についての御意見も頂戴いたしました。2と3については、ゴシック本文部分については基本的には賛成だという御意見だと承りましたが、(注1)の範囲の問題については更に考えたいといったことをおっしゃっていたかと思います。それとの関係で、亡くなる前の祖父母に是非会わせたいとおっしゃったのですけれども、これは規定、ゴシックの部分を何か書き換えたいという話になるのでしょうか。 ○武田委員 ゴシックを変更してくれという意味ではありません。 ○大村部会長 そういう要望があると、そういうような場面というのを念頭に置いてほしいというふうな御要望だと承ればよろしいでしょうか。 ○武田委員 はい、そのような場面を念頭に置いて、この第三者との交流、ここを規律化する方向で検討を進めていただきたいという一つの理由でございます。 ○大村部会長 分かりました。それから、ゴシックの外の問題として、調停審判の実現について、何かそれを促すようなことを考えてほしいということで、制裁の問題ですとか、あるいは親権者変更の申立ての要件に反映させるといったことをお挙げになりましたけれども、これもここのゴシックとは別に、今のような場面で考えてほしいという御要望として承るということでよろしいですか。 ○武田委員 いや、最後に申し述べた、調停審判で定められた親子交流に関しては、議論に上げていただいた上でゴシック載せていただけないかという要望になります。 ○大村部会長 分かりましたけれども、ここの場面ではなくて、武田委員が挙げられたような幾つかの制度との関係で位置づけて議論してほしいという要望だったということでいいですね。 ○武田委員 はい、御認識のとおりで結構です。 ○大村部会長 分かりました。ありがとうございます。 ○赤石委員 ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。   まず、第4の1なのですけれども、ここについてはやはりこどもの意思の尊重というのを入れておいた方がいいと思っております。私どもがこの間頂いているお子さんの意見でも、親子交流、面会交流で大変苦しんでいるというようなお声も頂いております。別居している父親に間接交流で写真を送るということがとても嫌でたまらないのであると、心理的虐待を受けて、専門家の先生にも間接交流も含めてストップするように言われても、裁判所で高校生以上でないと意見が通らないと言われて、僕の人権はないのでしょうかと、僕も妹も、中3と中1であるということなのですけれども、意見が通らなくて、こども家庭庁もできてこどもの意見表明をやれるはずなのに、どうして僕の意見は聞いてもらえないのでしょう、みたいな意見を頂きました。   なので、先ほど武田委員の御意見もありましたけれども、やはりこどもの意思をどう尊重するのか、それはプラスに働くのか、マイナスに働くのかを含めて、両方とも意思を尊重することによって、こどもの社会に対する信頼というのが生まれるのではないかと思っております。裁判所ですとやはり、交流できないなら間接交流だねという、何か少し定番みたいになっているところがあって、多分聞いてもらえなかったのだろうなと思うので、あえてお伝えいたしました。   親子交流、少し見え方が違うのだなというのは、武田委員に少しだけお伝えしておきたいというか、私どものデータも御覧になられていると思うのですけれども、親子交流が裁判所で決まった後に半数の別居親から何も言ってこなくなったので、取決めが実現されておりませんというふうなデータが上がっておりますので、そこの背景がどうなのかというのは分からないのですけれども、見えてくるものというのは随分、どこからお聞きするかによって違っていて、多分同じ方の思いの中にそういうのもあるのか、分かりかねるのですけれども、違う見え方もありますねということは少しお伝えしておいた方がいいかなと。   要するに、実際の面会の手続の約束のところになると何もおっしゃってこないということだと、実現に至らないということが、こどもにとってもかわいそうだと思っているお母さん、同居親も必ずいらっしゃるのです。なので、本当にそこについてはそういうことがありますということと、それから一言言っておくと、間接強制の額というのがうなぎ登りになっていると聞いておりまして、名古屋高裁判決平成29年3月17日のですと、5回分で172万円とか、ひとり親の生活を圧迫して、もっと100万円ぐらいとかいうのも聞いたことがございますので、やはり実効性を持たせるとはいえ、こどもの利益になることを決めるときに、ここまで高額にするというのが果たして認められ得るのかというのは、一言言っておきたいと思いました。   第2に行きます。こちらについても、試行的面会に関して、まずこどもの意思の尊重というのはやはり書き込まれるべきであると思うのと、この第4の2は一体何が目的なのか、原田委員もおっしゃっていたので、判然としないというか、試行的面会をすることによって親子の実態をもし調査するのであれば、やはり私は調査官の立会いであるべきであると思います。これは第三者の立会いというのが書いてあるのですが、前回も言いましたが、インフラというのはなく、家裁の支部というのはいろいろな、例えば宮古島にも、佐渡島にも、石垣島にもあると聞いているのですが、こういったところで第三者機関の面会交流支援というのは使えないわけでございますので、調査官がやっていただくしかないわけですので、やはり調査官の立会いと決めるか、第三者機関のインフラ整備を待ってするか、そこがないとここは実効性、目的がきちんと把握するということでありましたら、その目的に合致しないと思うところでございます。   あと、2の(注1)です。(注1)は大変重要なことが書かれたと思っております。DVがある事案において、親子交流の試行的な実施の機会に父母の一方の安全・安心が脅かされる結果、つまり、お子さんというところではなくて、まずその一方の安全・安心を脅かされる結果として子に対しても悪影響があるという、これが非常に、特にこどもさんが小さいとき、乳幼児とか、連れていかなければいけないようなこどもたちの場合には、必ず附帯しているわけですので、ここはもう少し、ゴシックにしていただくとか、先ほど戒能委員もおっしゃっていたかと思いますが、ここについてはきちんと補足説明の(注)ではないところに書き込まれるべきかと思います。   あと、同じページの(注2)なのですけれども、ここも、子の意思の把握というような言い方をされているかと思います。把握してどうされるのかが少し分からなくて、把握という言葉を使っていらっしゃるのが少し何か、これは子の意思の尊重という言葉に直していただいた方がよろしいのではないかと思いました。   親以外の第三者、3のところに行きます。私は前回も言ったとおり、基本的にここには消極的です。今でも紛争があるところが、更に紛争が増えてしまい、濫用の事例があるだろうということ、また、祖父母がこどもに関心を持つときにある程度聞くのが、家制度的な、後継ぎが欲しいので長男だけは交流したいとか、男の子2人いたら長男だけを優遇して、いろいろ食べさせたり何か買ってあげて、二男は冷遇するとか、面会交流のときの祖父母の対応というのでもいろいろなお話を聞いているところでございます。   ですので、この3の(注1)で親族を広げるということに関しては、広すぎると思いますし、非常に限定的にしないといけなくて、限定的にするような、補足資料でいろいろ書かれているのですけれども、20ページのところで、こういう場合には申立ては却下できるというようなことが書いてあるのですが、ここは裁判所の方の御意見を待ちたいとは思いますけれども、やはり要件の審査をしないといけなくて、形式的な判断だけで却下ができないのではないかと見受けられたので、非常に濫用が増えてしまうという危険があると思っております。 ○大村部会長 ありがとうございました。赤石委員からは、御意見いただきましたが、一つは戒能委員の御指摘のあったこどもの利益、それからこどもの意思、資料でいうと補足説明の17ページの(注1)、(注2)について御意見を頂戴し、必要な部分をゴシックに書き込むべきではないかといった御意見、併せて、調査官の立会いが目的との関係でやはり必須ではないかという御意見を頂戴いたしました。それから、第三者との交流については消極的な意見だということで、認めるならば限定的に考える必要があるという御意見、あとは、先ほど武田委員から御指摘があった調停審判の実現について、別の観点からの御意見ないし実態についての御披露というのがあったと受け止めました。ありがとうございます。 ○向井幹事 幹事の向井でございます。裁判所からは、第4の2(2)の家裁調査官その他第三者の立会いの部分について、現状の実務なども少し御紹介しながら意見を述べたいと思います。   今日何名かの方から家裁調査官による立会いに限定すべきであるというような意見を頂いておりますが、我々としましても父母間の葛藤が非常に高い事案では、やはり家裁調査官の立会いは必要だと思っております。ただ、反対に実際の事件ではそこまで対立が激しくないような事案もちろんございまして、そのような事案では、例えば、スムーズに調停での話がうまくいっているので、次回期日までの期日間に試行的に面会をしてみたらどうかということで裁判所からお勧めをし、実際に代理人弁護士が立ち会ったりですとか、あとは父母双方から同意のある親族の方に立ち会っていただいたりしながら実際に面会をしていただいていて、次回期日において代理人弁護士からその面会の模様について書面で報告を頂き、その報告内容を基に裁判所でも調停の内容なり審判の内容なりを考えるという、そういったような実務もあると承知しております。   今回の2(2)の第三者の立会いの部分に関する御提案については、今のような現状の運用を明文化いただくものなのではないかと受け止めておりまして、今まで事実上というか、明文の根拠なくそういうふうに促しをしていたものが、ある意味、法的根拠をもって促すことができ、当事者に対して結果の報告を求めることができるという意味では、意味のある制度に十分なり得るのかなとは思っておりまして、その部分についてはプラスに受け止めていたところでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。最高裁、向井幹事からは、2(2)の調査官立会いについて、必要な場合があるということは確かであるということを踏まえて、現状についてどうなっているのかということについて御披露があり、そして、ここの提案というのはそれを受けて、それを明確にするものとして積極的に評価したいという御意見を頂戴いたしました。   棚村委員と石綿幹事、それからオンラインで、武田委員。 ○棚村委員 早稲田大学の棚村です。先ほど言い忘れた点があったので発言します。試行的な親子交流の実施については、向井幹事の方から裁判所の実務について御説明があったとおりです。私も調停委員をさせていただいて、一つは弁護士さんとか適当な親族とか知人でできたケースももちろんあるという御紹介がありました。   それから、私も経験をしたのですけれども、結局、民間の機関、支援団体との接触とか御相談があって、特に、FPICのように正に元の家裁の調査官のOG、OBがおられて、そういう専門的な知見や経験のある方の助言や援助を受けられるところでは、お子さんも慣れているということなので、家裁の調査官が全く関与しないのではなくて、正に連携をとりながらやるというようなケースもあります。もちろん、家裁の調査官が、父母の葛藤が高かったりいろいろ問題があるときには、共同で計画を立てたり、双方との調整をしたり、いろいろなお膳立てをして、やっているのですが、他方で、葛藤が低く、弁護士さんや親族等が間に入って試行的な実施ができるケースもあるというのが現状だと思うのです。   今の日本の現状としても、弁護士さんとか一定の民間機関とか、これは法務省の方でも今、民間の支援団体の認証をしたり、リストを掲げたりというのがあって、親子交流の支援団体の連絡先や情報提供をしたりしております。私も2019年に厚労省の、こども家庭局の方で面会交流の相談支援事業の実態調査みたいなのをさせてもらったときに、2019年の段階で御協力いただいたのも55ぐらいの団体がありました。今、様子を見ますと、大分またいろいろ増えてきているようなことで、赤石委員がおっしゃったようにインフラの整備というのは非常に大事で、ほかと比べても数がまだまだ少ないという実情はあると思うのですが、今後家裁が関与しながら、民間の機関とか信頼できる専門家の協力を得ながら試行的な面会交流の実施をできるような形の条文というのは、将来に向かってというか、現状も踏まえても適当なのかと思います。ただ、赤石委員、戒能委員、原田委員がおっしゃったように、家裁調査官の立会いを必須というよりは、必要なケースではそうだと思うのですが、調査官の立会いまでも必要ないとか、民間の専門家や第三者の立会いでもよいようなケースもありますし、その場合にこういうような条文の立て付けでよいと考えています。私も向井幹事と同じような考えを持っております。   それから、最初に事務当局から、離婚調停の事件にも、財産開示や情報提供を広げてはどうかということの当否についての意見ということもありましたので、私も財産開示についても基本的には、広げておいていいのではないかということも思っています。また、離婚調停の場合には、かなり広い範囲でいろいろなことを話合いの対象にしたりします。その場合にこの親子交流の試行的実施というのも、そういう意味では、どのタイミングでやるかというのは、原田委員がおっしゃったように、早ければいいとか、後の方だとよくないとかということよりは、タイミングを見計らいながら実施をするということが重要だと考えています。しかも手続も適切なところでやれないと、ある意味では紛争がエスカレートしたり、不信感が増幅したり、こどもがどういうふうに巻き込まれるかという実態の把握ということもありますので、そういう意味では、離婚調停みたいな手続にも少し広げて、せっかくの制度の明文化ということなので、対象の範囲は少し広げてもいいかなと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員は1点目は、調査官立会いについて必要な場合が多いという認識に立ちつつ、規定の書き方としてはこの提案でよいのではないかということだったかと思います。2点目は、その範囲については離婚調停等も含めて広く考えるという方向でよいのではないかという御意見として承りました。 ○石綿幹事 幹事の石綿です。第4の3の第三者との交流について意見を申し述べさせていただければと思います。御提案いただいているものを導入するのであれば、限定した範囲にする必要があるのではないかという意見でして、具体的には(注1)と(注2)について、それぞれ意見がございます。   ゴシックの(注1)についてですが、申立権者となり得る第三者の範囲ですが、22ページの(注)にあるように、諸外国では広く認めているようなところもありますが、そこまで広げるのかということは慎重に考えてもよいのかなと思っております。私の今のところの考えでは、父母に類するような関係をこどもと持っていたような者というようなことが一つの基準になるのかと思っておりますので、祖父母等であったとしても、ただその関係性ということだけではなく、更に、例えば同居をしていたや監護をしていたというようなことを付随するということも考えられるのかなと思います。棚村委員がおっしゃっていた里親というのは、その観点からすると、入れていただけると好ましいものなのではないかと思っております。他方、民法の世界でよくある事実上の養親のような人まで広げていくかと考えると、それは認定が難しいのではないかと思いますので、例えば、児童福祉法上に根拠を求めることができる里親等、何らかの明確な線引きができるようなことが求められるかなと思います。親族以外に広げていくべきだという考え方もあるかと思いますが、差し当たり現在は親族関係、あるいは里親等法律上の根拠があるというところで切るというのがあるのかなと思いました。関連して民法第1050条の特別の寄与の議論を思い出したということを付言させていただきます。   (注2)の方の一定の要件というのは、資料にあるように、父母による申立てが期待できないような場合、亡くなっているとか病気であるといったような場合に限定するのがよろしいかと思います。父母双方ともに第三者と交流することを望んでいないような場合にも第三者が申立てをできるというのは、慎重に考えた方がよいと思いますので、補充性の要件は入れていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事からは、3について要件の限定が必要であるということで、具体的には(注1)と(注2)について、こういう線を引くべきだという御意見を頂戴いたしました。   武田委員、池田委員、それから久保野幹事という順番で御意見を頂戴したいと思います。 ○武田委員 親子ネット、武田でございます。裁判所の向井幹事、棚村委員から御説明があった第4の2(2)の家庭裁判所調査官の立会いを必須とするのか否かというところに関して、意見を申し述べるのと、併せて、赤石委員から指摘があったことに対して少しコメントを差し上げたいと思います。   まず、家裁調査官の立会いということに関してですけれども、結論から申し上げて、私は裁判所側が判断するのでよいと思います。裁判所の向井幹事、棚村委員が御指摘のとおり、高葛藤以外のケース、これも当然のことながらあり得ます。私ども当事者の中にも一定当初の葛藤が少し期日を重ねるに伴って下がってくるケースと、家庭裁判所での試行面会でなく、基本的に当事者のみで調停中の親子交流が実現するケースもあります。弁護士が立会いするケースなどもありますが、逆に当事者同士で試行的に受渡しをして親子交流を実施するケースなどはありますが、私どもは少しでも調停中でもお子さんと会うことを進めていこうよという話をよくしています。調停中であれば実施した親子交流の報告は双方からなされることになります。そのような調停中の親子交流を実施する中で葛藤も下がってくると合意形成が進むというような審理の進め方が既にありますので、先ほどの結論の繰り返しなりますが、家庭裁判所調査官が立ち会うか否かはケースに合わせて裁判所側が判断するという方向がよいのではないかと思います。   あと、これは赤石委員に教えていただきたいのですけれども、私は実は赤石委員のアンケートも一度拝見させていただいておりまして、二つ確認させてください。一つが確定判決後、連絡がないケース、私からすると、そんなことあり得るのかと思っておりまして、この関係で1点教えていただきたいと思います。これは申立人はどちらですか。仮に同居親がお母さんにしますけれども、お母さんが申し立てて、お父さんに会って頂戴よという調停を申し立てて、一旦合意になりました、結果、履行されずに連絡がないというケースなのか、それとも、会いたいと言いながら、実際に判決、審判をもらったら連絡がないというケースなのか、少しこの辺りは別途、教えてほしいと思います。   もう1点、間接強制に関しては、最近は我々、親子交流に関する間接強制というのはなかなか得られないというのが実感としてあります。金額については基本的には、毎月支払っている養育費及び婚姻費用の費用に準ずるもので決定するケースが多いのかなと思っております。1件だけ私が存じ上げている高額の間接強制の事案、子の引渡し事案です。引渡し命令が出ていて、結局それがうまくいかなくて、その間、方策として間接強制が命じられた。この間接強制はそういった生活費とかを飛び越えた基準で支払われることがある、このような事案は私のところに報告があります。これは、基本的にはお母さんの当事者が引渡しで勝って、結局引き渡されなくて、こういう間接強制に至っているということかなと思います。間接強制の金額の水準に関しては個々の事案ごとにいろいろあるかと思いますので、余り私は気にしていないのですが、御指摘もありましたので、少しその辺りも今、実際的にどうなっているのか、実務でどういう決定が出ているのかということも含めて、再度私なりに確認をしたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。武田委員は、2(2)について調査官立会いが必須かどうかというところについて、向井幹事や棚村委員の御意見に賛成ということだったかと思います。2番目は、先ほどの赤石委員の御発言についての御質問がありましたけれども、例えばどちらの申立てですかというのは、1件ということではなくて、いろいろなケースがあるのではないかと思いますので、今ここでお答えいただくというのもなかなか難しいかと思います。また別途、必要に応じて情報のやり取りをしていただけるといいかなと思いますが、それでいいですか。 ○武田委員 結構です。 ○大村部会長 そのように引き取らせていただきたいと思います。 ○池田委員 第3の3、第三者との交流の関係について意見を申し上げます。こどもはいろいろな関係性の中で成長していくということで、取り分け一定の親密な関係にある父母以外の第三者との有意義な交流を保障するということがこどもの利益にもかなう場合もあると思いますので、大枠ではこの提案に賛成したいと思います。他方で、それによってこどもの日常生活に支障を来したり、あるいはたくさん申立てを受けることで、家庭として応訴負担が生じて支障があるということもありますので、一定の限定が必要だということもそのとおりだと思っておりまして、(注1)、(注2)のような限定の方策というのもやはり必要だと思っています。   その中で、特に(注2)なのですが、補充性の要件というのを厳密に求めていくのがいいのかというところが、疑問がなくはないところです。これは恐らく父母が離婚あるいは別居しているケースが想定されているのかなと思うのですが、父母が婚姻中で同居している場合でも、先ほど原田委員の御指摘があった事例などでは、祖父母が一定期間、こどもを小さい頃から養育していて、それを父母に返したけれども、交流は続けたいというようなケースなどもあり得るかと思いますので、そういったケースも、こどもの利益にかなう限りにおいては認められる余地があるような制度設計にしていただけると有り難いと思います。その意味で、こどもの利益のために特別の必要性があるというのが、そういうのを補足するような要件として掲げられているのであれば、それで賛成したいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。池田委員からは、3について大枠は賛成だけれども、一定の限度は必要ではないかという前提で、(注2)について、余り限定しないというか、何といったらいいですかね。 ○池田委員 その補充性を厳密に求めることには疑問があって。 ○大村部会長 そして、その補助性について、先ほどおっしゃったような形で事情が考慮されるのであれば、それはそれで結構だという趣旨の御意見だと受け止めました。 ○久保野幹事 幹事の久保野でございます。3のやはり第三者との交流に関して意見を述べさせていただきます。第三者の監護者指定について消極の意見を申し上げたことがありまして、まず基本の方向としては同じような消極の意見を申し上げた上で、仮に導入していく場合に気になる点について付け加えさせていただきます。   それで、基本的に思いますのは、この場面は第三者の監護者指定の際に、私は親権の停止ですとか、親の不適切なこどもの利益の判断についてどう対処するかという問題なのではないかと指摘したのですけれども、今回の場面も、子が誰と交流するのが子の利益になるかということについて、その第一次な判断の地位を与えられている父母の判断が不適当だという問題とも捉えられると思います。   そうしますと、父母の間で子の監護をめぐって判断が食い違うというのを調整する民法第766条の延長での枠組みというのとは基本的には異なる問題ではないかと思います。また、そのような場面であることから、資料にありますとおり、基本的には父母と第三者との間に意見対立がある場面ということになるということで、その対立をこどもの利益のためにどう解決、調整していくかという枠組みが本来必要なのではとも思うわけです。   また、池田委員からの御指摘の中にも関連することがあったかもしれませんが、会わせていくことを考えていったときにも、離婚時や別居時に限られないという意味でも、民法第766条の延長の枠組みが提案されていると私は受け止めておりまして、そのような枠組みは、その点でもややずれているところがあるかと思います。   ただ、第三者の監護者指定については反対意見を申し上げましたけれども、監護者指定の場合、継続的な安定的な監護が確保できるかですとか、親子の再統合あるいは再構築について手当てが必要であり、そこが不安だということ、そこの手当てを欠いたままの対処は不適当だということが意見としてありましたけれども、それと比べましたときには、交流については相対的には単発的ともいえるのではないかと思いますので、許容性はやや広いのかなとは個人的には思っております。   そういう意味で、絶対反対という意見を申し上げているわけではないということになるのですけれども、ただ、気になりますのは、愛着関係を今後も維持することがこどもの利益になる場合ですとか、特別の必要性がある場合というのがどういう場面なのか、あるいはどういう場面を想定してこの議論をしているかということについて、結構幅といいますか、想定している場面がずれていろいろ出ているようにも感じておりまして、想定場面をより明確にし、的確な要件に落とし込んでいくということについて、なお検討が必要だと強く感じます。   それで、何名かからの御意見で出たとおり、父母と同視し得るような親密な実質的な関係というものを想定するのだというのが一つの狭い方向での想定場面であり、要件立てではないかと思い、基本的にはその方向に賛成です。また、そのような要件の場合であっても里親については検討すべきだという意見に賛成します。   それで、最後に少し細かい点、一つなのですが、補充性に関しまして、病気である場合等が例に出ていたわけなのですけれども、池田委員のように、ここを緩めていく読み方に対し、むしろこちらを厳格に見ていき、想定されているのは、交流についてその意思決定をして、他者に依頼してでも手続をとれないというような意味ということ、つまり、資料で死亡や行方不明等の事情とかなり狭く書いてあるような補充性の読み方というのが一方であり得るというところは、少し申し述べておきたいと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。久保野幹事の御意見は何段かにわたっているかと思いますけれども、まず、基本的には第三者の監護者指定や、あるいは第三者と子の交流について、民法第766条並びで考えるというのは違うのではないか、別の筋で考えるべきではないかというのが出発点だと承りました。ただ、監護者指定の場合と比べて、こちらの子との交流の場合については、例外的な規定を設けるということもあり得るかもしれない。更に3番目のレベルとして、しかし要件について今出ている御意見の間には一定の隔たりがあるのではないかということで、そこを調整する必要がある、特に補充性ということについてどのように考えるのかということが問題になるのではないか。こういう整理でよろしいでしょうか。以上のように受け止めさせていただきました。   ほかに、第4の問題について何かありますか。 ○佐野幹事 少し重複になって申し訳ないのですが、意見として述べさせていただきます。まず、第4の2のところで、親子交流の試行実施に離婚調停を入れるかというところについての意見ですけれども、開示のところでも離婚調停を入れた方がいいと申し上げましたけれども、こちらの試行についても入れた方がよろしいかと思います。実際、離婚の調停の中でこういったこともやっております。   それから、3番目の親以外の第三者との交流ですが、枠組みを設けること自体に反対ではないのですけれども、申立て自体に対応することの負担というのは必ずしも軽くはないということと、少子化で祖父母の数が相対的に多くなっているというところからすると、申立てへの対応の負担、濫用の懸念は、真剣に考えなくてはいけないのではないかと思います。そのためには、客観的に申立ての段階で、裁判所の方で却下できるような要件、例えば、死亡により父母が申立てができないなどといった要件が必要ではないかと個人的には思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。離婚調停が入るか、入らないかということを先ほどから何人かの方々が触れておられますし、事務当局、北村幹事からもそこについて御意見をということがありましたけれども、入れる方向に賛成だということだったかと思います。それから、第三者については反対ではないけれども、しかし、やはり濫用の懸念というのがあるので、要件をかなり客観的なものを設定する必要があるのではないかと、こういう御意見を頂いたというふうに受け止めました。   そのほかは、いかがでしょうか。 ○落合委員 落合です。今日はカメラの調子が悪いので、音声だけで失礼します。   第三者のことでして、祖母についてなのですけれども、親と同然というようなことで、例えば同居という条件を付けるというような御発言があったのですけれども、同居というのは今、割合も下がっていますし、そうではない形でも密な交流がある場合もありますので、同居というのは付けない方がいいのではないかというのが家族社会学者としての意見です。それだけです。 ○大村部会長 ありがとうございます。3の要件を立てる際に、密接な関係を同居ということで画さない方がいいという御意見を頂きました。 ○赤石委員 ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。   1点、事務局にお願いしたいのですけれども、19ページにパブリック・コメントの手続に対して寄せられた意見というのが両論挙げられております。やはり少しこれを読んで悲しく思いました。やはり私どもはパブリック・コメントの要約しか読めていないので、このようなときに、両論であるわけですけれども、私どもがパブリック・コメントを読んで拾って、この要綱のたたき台に対しての意見をまとめることができないというのが非常に残念に思っておりますし、別に信用していないということを言っているわけではないのですけれども、しかし、いろいろな事例をどのように多角的に見るのかというところにいろいろな視点が必要かと思っておりますので、やはり急にここだけ出てくるというのが少し違和感がございました。やはりこういうところの根拠にお使いになるのであれば、私どもが全体を見るということができるということを御検討いただきたいと、もう一度再認識した次第でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。パブリック・コメントについての御指摘を頂きました。赤石委員も御存じのとおり、非常に多くのパブリック・コメントを寄せていただきまして、これを整理するのはとても大変なことだったかと思います。約8,000通でしたでしょうか、おそらくこれまで民法関係の改正で寄せられたパブリック・コメントとしては桁違いに多いものだったのではないかと思います。今後、様々な法改正があると思いますけれども、こういうオーダーのパブリック・コメントが寄せられることも起こるので、それに対応する方策を少し中長期的に考えていただくということが必要なのかもしれないと思っております。ただ、これは人的な資源もあることですので、今日頂いた御指摘とともに今後の課題として事務当局の方で受け止めてもらいたいと思いますけれども、北村幹事、何かあればどうぞ。 ○北村幹事 パブリック・コメントについて様々、従前から御意見を頂戴しておるところでございますけれども、私どもとしては丁寧にまとめて御提示をして、議論の材料にしていただけるようにしてきたつもりでございます。また、本日もですけれども、前回も含めて、パブリック・コメント終了後、見ていただけるようになって以降はずっと御準備したりとか、御要望があれば別途、既に多くの委員、幹事の方にも見ていただいていますので、是非御必要があればお申出いただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○赤石委員 少しだけよろしいですか。今は電子的なデータの処理などもできますので、何らかの形で、CD−ROMでも結構ですし、何かクラウドサービスを使うのでも結構ですし、見ることはできると思います。再度言いますけれども、やはり私ども、それからまたいろいろな委員、幹事の先生が、それぞれお持ちの知見でパブリック・コメントを御覧いただくというのは、やはり大切なことであり、要綱案が示されるときまで全く見られない意見が多数あるという状況は、前代未聞であると認識しております。 ○北村幹事 今も申し上げましたように、多くの委員、幹事の方々に時間を取っていただいて見ていただいております。どうしても個人情報もございますので、それを電子データとしてお渡しするということではなく、既にパブコメが終わって3月、4月から見ていただいて、現在11月ということで、様々な形でアクセスしていただいて、更に御質問があればお答えをして、御議論いただいてきたものと理解をしております。 ○大村部会長 ありがとうございます。委員、幹事の皆様としては、より使いやすい、よりアクセスしやすい形で資料が提供されるということを望まれる、それはよく分かります。事務局の方も限られた人的な資源で本当に大変な労力を割いていただいて、資料を用意していただいたのではないかと思っています。デジタル化等につきましては、先ほど北村幹事からもお話がありましたけれども、資料の流出等について手当てをするといったことも必要になってくるところがあるのではないかと思います。そうしたことを含めて、先ほど申し上げたように、将来的な課題として引き続き考えていくという形で受け止めさせていただきたいと思います。北村幹事、それでよろしいですか。 ○大石委員 ありがとうございます。第4の3の親以外の第三者と子の交流に関する規律について、意見を申し述べさせていただきます。私は、基本的に円滑な関係が築かれているのであれば、恐らく祖父母との交流も順調に行われているということが考えられますので、このようなケースの場合は、やはり補充性ですとか特別の必要性といったものについて慎重な検討が行われることは望ましいという立場であることを申し上げたいと思います。それからまた、一番はやはりこどもの立場、こどもの意見の表明ができることと、それからこどもの立場というものを考えて、子にとっての利益になる交流であることを望みたいと思います。   特に、先ほど少しほかの委員もおっしゃっていましたけれども、少子化であって、こども1人が祖父母4人の要求を満たすといいますか、いろいろな形で大人の方が人数が多いという関係では、こども自身の生活とか、こども自身がこういうふうにライフスタイルを送りたいというものもあると思いますので、大人の孫ですとかこどもに掛ける思いもあるとは思いますが、やはりこども自身の意見とか生活というものを確保するということを考えて運用されることを望みたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。大石委員からは、3の親以外の第三者との交流について御意見を頂きました。慎重に考える必要があるのではないかというのが基本的なスタンスで、かつ、運用に当たってはこどもの利益というものが尊重されるような形で運用をされることが望ましいという御指摘を頂戴いたしました。   そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   この第4についても様々な御意見を頂戴いたしました。1、2、3とありますけれども、3については、一定の要件を課するということが必要ではないかと、その要件について、理解に差がまだかなりあるように思いますので、書き方としては、ここは一定の要件となっておりますけれども、(注1)、(注2)も含めて更に検討する必要があるところかなと思って伺っておりました。   それから、2の裁判手続における親子交流の試行的実施という部分に関して、調査官の立会いというのを必須とするかどうかというところについて御意見を頂戴いたしました。必要な場合が多いという認識はかなりの委員、幹事の間に共有されていたかと思いますけれども、全てを必要とするのか、それとも運用の中でそれを処理するのかといったところについては、なお詰める必要があるのかと思って伺いました。それから、こどもの利益や子の意思ということについても、補足説明には書かれておりますけれども、それらをゴシックの中に書き込むべきではないかという御意見も頂戴しておりますので、その辺り、要件について更に詰めて考える必要があると認識をしております。あとは、ゴシックの1も含めておおむね皆さんの御賛同いただいたのではないかと受け止めております。   落合委員、手が挙がっていますけれども、御発言ですか。 ○落合委員 はい、いいでしょうか、一つ補足で。ここの場で言うことではないかもしれないと思って、少し考えていたのですけれども、相続との関係というのはここで言うことではないかもしれないですけれども、ただ、やはり少し解せないところはあるなと思っています。相続権がある場合、そのこどもが、例えば、別居している父母なり祖父母なりから相続する可能性があるときに、そちらが亡くなったときに、そのときに面会交流はしていなかったけれども相続はするというのが私は少し不思議な気がしています。連動させるのも難しいのかもしれないのですけれども。でも、江戸時代でも――すみません、急に江戸時代を出したりして――相続があるということと先祖祭祀をするということがセットになっていました。ですから、生前会うこともできなかったこどもに自分の財産を相続されるというのは違和感があるのではないでしょうか。ですから、この会の中だけでは話し合えないと思うのですけれども、相続というのは今、親族関係だけで客観的に決まっているではないですか。でも、本当は、交流があるというようなことと連動させてもいいのではないかと思っているということを一言言わせてください。 ○大村部会長 ありがとうございましたと、この場では御意見として、例えば、別居親から相続するという地位にあるということであれば交流というのを認める必要があるのではないかという御意見として、受け止めさせていただきたいと思います。 ○落合委員 代襲相続が起きるときには、祖父母についても同じだと思うのです。もし間の人が亡くなったりした場合に。 ○大村部会長 相続の範囲と、その他の関係についてどう考えるのかということについては、今ここで議論をしますと、相当の時間を要することになると思いますので、すみませんが、今のような形、祖父母を相続することももちろんありますので、その場合も含めて、この局面に限定した御意見として受け止めさせていただくということでお願いをしたいと思います。落合委員、それでよろしいですか。 ○落合委員 はい、それで結構です。このことで変な感じがすると思っている人もいるということを聞いたりするものですから、覚えておいてくださいということです。 ○大村部会長 分かりました。ありがとうございます。   ということで、第4について一応のまとめをさせていただきましたので、残りの時間で第5、第6、第7、まとめて御意見を頂戴したいと思います。   まず、事務当局の方からその部分についての御説明を頂ければと思います。 ○北村幹事 第5、養子以下でございますけれども、部会資料32−1の6ページの「第5 養子に関する規律」については、部会資料30−1のたたき台(1)から実質的な変更はございません。   また、「第6 財産分与に関する規律」については、裁判手続における情報開示義務の規定の対象となる手続の範囲を養育費等に関する議論に合わせて拡張したほかは、実質的な変更はありません。なお、ここも第3の3と同様に、また、先ほどの第4の2の点と同様に、夫婦関係調整調停事件においても同様の規律を設けるか否かという点も問題となり得るということを32−2の25ページの(注1)に記載してございます。   「第7 その他」についても、部会資料30−1からの変更はありません。   資料の第5以下の部分については、第31回会議では時間的な制約もあったためか、余り御意見を頂いておりませんでしたけれども、ゴシック体の記載の実質的な内容について更に検討が必要な部分がありましたら、この機会に是非御意見いただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。基本的には前の資料と変わっていないということですけれども、変わった部分は第6の3(3)ということになるでしょうか。それと併せて、先ほど来出ている夫婦関係調整調停の点についても論点としているということでありました。   それでは、この残りの部分につきまして、どの部分でも結構ですので、どの部分であるかということをお示しの上で御発言を頂けますと幸いです。どなたからでも結構ですので、挙手をお願いできればと思います。 ○戒能委員 ありがとうございます。委員の戒能です。ずっと申し上げている点なのですが、前回と変更はないという御説明がありましたが、第6の財産分与に関する規律の1のところで、例示がされておりまして、寄与の程度から職業及び収入その他一切の事情を考慮してというような具体的な書き方になっているわけです。その辺を明確にした、明記をしたということは大きな前進だとは思っておりますが、何回も議論になった点でありますが、やはりその中に補償的な要素をどう組み込むかというのは、二つの面で大事です。一つは、高学歴化が進んでいるにもかかわらず所得の格差の拡大が一向に改善されないという日本社会の問題があるという点が一つと、それから、やはり財産の問題というのは女性の人権にとって極めて重要なものであります。経済的な地位の低さというのが大きなハードルになっております。そこで、グローバルスタンダードという観点も含めて、せっかく今回新たに、96年はあるとしても、新たに改正をするというならば、そういう現代的なニーズに対応できるような改正をした方がよいのではないかと考えております。   それで、ではどういうふうに変えればいいのかということを提案した方が今後の議論に少しは寄与できるかと思いまして、少し考えたのですが、32−1の資料でいうと7ページのゴシックの2行目、職業及び収入とだけ書いてあるのですが、そこの次でもいいのですが、あるいはこの職業及び収入のところにどう入れ込むかということを考えなければいけないとは思うのですが、例えばということで、婚姻により生じた機会の喪失というような、そういう要素を何とか組み込めないのかということを御検討いただきたいと、そういう意見でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員からは、財産分与、6の1の判断要素のところにもう一つ考慮要素を付け加えていただきたいという御意見を頂きました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○石綿幹事 幹事の石綿です。第5の養子に関する規律について2点、述べさせていただきます。   1点目は第5の2の方でして、現状、親権者間に対立がある場合、裁判所が調整をするという規律になっておりますが、実質はあまり変わらないと思うのですが、裁判所が、養子縁組をすることが子の利益にかなうと判断した場合には養子縁組を認めるといったような形の規律を置くことができないかという意見でございます。少し理由を述べさせていただきます。   現状、代諾については民法第797条第2項で、法定代理人の承諾に加えて、養子となる者に監護者がいる場合は、その同意が必要であり、親権を停止されている父母がある場合も、その人の同意が必要だという規律になっているかと思います。そのため、監護者や親権停止された父母が同意を拒否した場合は代諾養子縁組ができないのが原則であると解されているかと思います。他方、新たなルールとして親権者間で争いがあって、争いがあるということは一方が拒否をしている場合に、養子縁組ができるということになると、民法第797条第2項と、この新しくできた規律の関係をどう整理するのかという問題が生じてくるのだと思います。   考え方として、民法第797条第2項も変えるということもあるのかもしれませんが、民法第797条第2項が導入された経緯を考えると、それを変えるということはあり得ないのだと私自身は理解をしております。そうしますと、民法第797条第2項とできるだけ平仄を合わせるということであれば、親権者の対立があったとしても、それを上回って養子縁組をすることがこどもの利益にかなうということを裁判所が判断した場合には、養子縁組ができるという規律を置く方が、全体として整合性がとれるのではないかと思います。見落としており、この段階の意見の申し述べで大変恐縮ですが、御検討いただければというのが一つ目の意見でございます。   2点目は、ゴシックではありませんが、23ページの一番最後の段落に書いてあること、多分第31回の会議で久保野幹事が御指摘になった離縁の際の規律についてということになりますが、できればゴシックにするなど、もう少し明確に分かるような形で御対応いただけるとよいのかなと思いますので、ここの資料に書いてある方向性で更に御検討を進めていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。2点御指摘を頂きました。1点目は少し説明が必要かと思いますが、前提として、現行法の下では親権者に加えて監護権者が存在するときには、双方の同意がないと代諾養子縁組はできないと理解されているのだろうと思います。それに対して今回、親権者が2人いるときに双方の同意を必要とするわけではないという規律をすると、そこにそごが生ずるというのが出発点の認識なのだろうと思います。現在の提案に合わせて既にある規定の方を直すというのも一つの選択肢ですけれども、御提案はそうではなくて、現在ある規定と平仄が合うような形でここにある提案を直した方がいいのではないかということだったかと思います。もう一つは、離縁の場合についての規定の整備が必要だろうけれども、それはゴシックに書いた方がいいのではないかという御意見だと承りました。石綿幹事、それで間違っていませんか。 ○石綿幹事 ありがとうございました。 ○久保野幹事 幹事の久保野です。同じ点についての発言です。まず、民法第797条第2項と平仄を合わせる形で整理していった方がよいという点は賛成で、見落としていたことを申し訳なく感じております。それで、親権の停止の方の同意というのは、平成23年改正で、停止されている間に養子縁組がされて親権を失うことが不適当だという趣旨で規定されたかと理解しておりますので、その観点からいっても今回、親権の在り方そのものが見直されるということがあるという点との関係もあるとはいえ、基本的にはやはり維持して、それと合わせるということだろうと思っております。   もう1点も同じ、離縁に関わる点でございまして、この資料で示されている方向での明文化を探っていくべきだというのに賛成ですが、このように民法第811条に当たる離縁後にその法定代理人となるべき者を双方とすると具体化していただきますと、今度はその双方が裁判離縁を求めていくことまで恐らく視野に入れて考えていくということだ、ということに気付かされまして、そうなったときに円滑に離縁といいますか、申立てが2人そろわないといけないかとか、また次の問題があるということに気付かされました。その点の手当てが、例えば、ここでの裁判離縁の申立てをしていくとしますと、例えば一方で申立てができるとしつつ、離縁と、離縁後の法定代理人となるべき者について双方から一方へ変更するという申立てとを併せてやっていく制度設計などを考えていくということになるのかと思った次第です。 ○大村部会長 ありがとうございます。久保野幹事は、先ほどの石綿幹事が提出された二つの点について、それぞれ補足の発言をしていただいたものと理解を致しました。1点目については、民法第797条はやはり維持という前提で考えることになるだろうということ、それから、2点目は離縁について規定を整備するということで、考えなければいけないことは実はかなりあるという御指摘だったと思います。詰めて考えるのは大変かもしれませんけれども、そこまでやっておく必要があるのだろうと思って伺いました。 ○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。前回の30−1からの変更点の赤字入りのを見ておりますと、第5の養子に関する規律の2のところで、タイトルに未成年者の利益を損なうような未成年養子縁組に対応するための規律があって、本文には未成年者の利益を損なうようなというのがなかったのです。これに対して、これがあった意味というか、そこが少し分からず、あった方がいいという意見も出ていたので、少しお聞きしたいと思います。   あと、第5以外も言って大丈夫ですか。ありがとうございます。財産分与は、私も離婚後扶養の観点をどう入れられたらいいのかなと思いつつ、しかし、いろいろな条件があると財産分与というのが非常に複雑になってしまうということもあるので、どちらがいいのかというのは本当に判断がつきかねるというところがあります。   あと、第7の3、所要の整備というところがあるのですけれども、ここに関しましてはいろいろな意見を出しておりますので、やはりそこの整備が、法律相談の増えることとか、今議論しているものがどういうふうになるかによって違うとはいえ、裁判所への申立てが増えるときに、裁判所が人員を拡充できるのかとか、幾つか意見述べさせていただいたことは一体、所要の整備なのかどうなのかというのが気になっております、ということでお伝えいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。3点御発言、御意見がありましたけれども、最初の第5の2については御質問だったのでしょうか、御意見だったでしょうか。 ○赤石委員 あった方が、条件が狭まって。 ○大村部会長 あった方がというのは。 ○赤石委員 未成年者の利益を損なうようなという、要するに、再婚を一方がして、こどもの養子縁組をするときに、そんな再婚は気に入らないというような意見がそのまままかり通ってしまうようなことがあるのか、ないのかというところが少し気になるので、少なくともこどもの利益にならないということの基準が書いてあった方がいいのかなとは、素人考えかもしれないけれども、思いますということで、なぜ削ったのかというところをお聞きしたく思いました。 ○大村部会長 分かりました。現在の案が前回との関係でどうなっているのかということと、それから、先ほど石綿幹事からは、代諾縁組の要件をこのままにしないで修正した方がいいのではないか、そのときに、子の利益を要件に加えた方がいいのではないかというお話がありましたけれども、その方向に賛成だという意見として受け止めさせていただきたいと思います。資料について、何か説明があれば。 ○北村幹事 今の見出しの部分については、部会資料30−1については従来の議論の経過が分かりやすいように同じ形で見出しを付けていたものですけれども、ゴシックの本文の内容が御議論の過程で変わってきたということもあり、見出しも修正した方がよいのではないかと御意見いただいて、修正したものです。石綿幹事、久保野幹事からも頂いた御意見も踏まえ、今後またゴシックの記載について、更に議論があれば当然、資料を見やすくする観点から考えることはあり得るかなとは思ってございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。そうした形で受け止めさせていただきます。それから、第6については、判断要素を付け加えるということもあるかもしれないけれども、しかし余り要素を付け加えて複雑になるのもどうかということで、そういう考え方をお述べになったと受け止めました。最後、第7のその他の所要の整備ということなのですけれども、その他所要の整備をするものとするということについて、事務当局の方で何か御説明があれば伺いますが。 ○北村幹事 通常、所要の整備として書かせていただいているものは、本文が固まった際に、それに影響してそれぞれの法律、あるいは同じ法律の中で影響がある条項については修正するという意味で書かせていただいております。それ以外、民事基本法制で受け止められない部分については、御意見として頂戴しつつ、我々として、まず所要の整備の中にはそういうものが入るという形で整理をしていきたいと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。こういう場面で所要の整備をするというのは、基本的には今、北村幹事がおっしゃってくださったように、法案を出しますと様々なところに波及しますので、それの調整をしなければいけないということで、必要な調整を図るということかと思います。このほかの御要望については、今後考えていくといったことかと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○原田委員 委員の原田です。第6の財産分野に関する規律のところで、戒能委員が言われたような形で、弁護士会では稼働能力の得失という条項を入れてはどうかという意見を入れて出していると思います。現行の財産分与に関する処分がこのようなことを考慮されているのかという点で、基本的に財産分与は清算的なものと扶養と慰謝料的要素といわれていますが、現在の実務では清算的要素と、時に扶養的要素が入ることがあるということだと認識しています。その場合、ここに書いてある各要素はどこに該当するのかということを考えると、更に論点が増えるのではないかという懸念があって、もし稼働能力の得失とかいうことを入れないのであれば、現行の条文でも、1996年に法制審の答申が出た後採用されたというか、一般的になったのは、清算的分与の場合に寄与の程度は2分の1に考えるというのが基本的に定着していると思うのですが、そのような解釈がされて現行行われていて、特に問題があるということでないと私は認識しているので、そうであれば、変えなくてもいいのではないかと思います。逆に、その異なることが明らかでないときとか、ここに書いているいろいろな要素についての争いを更に起こすのではないかという懸念があり、現行法で稼得能力の喪失が考慮されないということを是正しないのであれば、変える必要はないのではないかと思います。 ○大村部会長 御意見としては、変える必要がないというのは、1を置く必要はないという御意見ですか。 ○原田委員 はい、現行のままでいいのではないか。 ○大村部会長 分かりました、そのような御意見をいただきました。 ○落合委員 落合です。私も戒能委員の発言に続いてと思ったのですけれども、賛成をするつもりで手を挙げたのですけれども、今の原田委員のおっしゃったことが、そこが少し複雑なのですけれども、私は稼得能力の喪失というようなことがここにもう1つ列挙されてもいいのではないかと思っています。結果としては2分の1ということになるのかもしれませんが、ここに並んでいるものの中に稼得能力を失ったというようなことが入っていませんので、それを目に見える形にしておくというのもよいのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。書き方はともかくとして、戒能委員の御意見に賛成ということだと承りました。 ○武田委員 親子ネット、武田でございます。従来から述べておりますが、第6の財産分与の2、期間を2年から5年に改めるものとするということに関しまして、なぜ5年まで延ばさなければいけないのだろうかというところがやはりどうしても腹に落ちなくて、ここに関しては、中間試案でありました3年ということにできないのかということを改めて申し述べさせていただきたいと思います。   いろいろな財産分与の対象物、別居タイミングでの双方の共有資産を積んでいくということをやって、それが基本的には2分の1ルールだということかと思いますけれども、なかなかもって5年になりますと、多分別居から数えると8年とかになると思っていまして、8年前のものをまたそこからやっていくのかというところ、これは逆に2年を3年にしても、申立てできないのではないかというところが、やはりどうしても引っ掛かる部分でございます。したがいまして、このゴシックの部分、2年を5年というところを、3年という形での意見を述べさせていただきます。 ○大村部会長 ありがとうございます。武田委員は、6の2について期間5年ではなくて3年というのがよいという御意見として承りました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○水野委員 委員の水野でございます。これからいじるのが難しいという意見を2点についてお話致します。   一つは、未成年養子の代諾に関する規律の部分です。表題から未成年者の利益を損なうようなという表現を削られたことについて、赤石委員から、入っていた方がいいのではないかという御意見がありました。これには養子法の長い歴史がありまして、簡単にはいかないと思います。何しろ親権者が好きなようにこどもを養子にやれるというところが出発点で、そして、その結果、もうこどもを売ってしまうような養子縁組が戦前は余りにも濫用されたので、せめて第三者に養子に出すときだけは家裁の許可を掛けようということにしました。つまり第三者以外と養子縁組をする場合、例えば、母方の氏を継がすために孫を母方の祖父母の養子にするようなときはかなり気楽に使われておりまして、それをいちいち家裁の許可に掛けることなく、また、連れ子養子の場合も許可なくできるようにしようということで、戦後の改正をいたしました。その後、離婚後の親権争いで、監護者を認めることによってようやく親権争いに決着が付いたときに、実際には育てている監護者の監護権を奪う目的で親権者が養子に出してしまうという例が生じてしまい、平成23年に慌てて穴を塞ぐための改正をしました。   今回、この養子縁組の問題に射程が及ぶことに私ももっと早くに気が付くべきだったと反省しています。けれども、ここで未成年者の利益を問題にすると、親権者が行う養子縁組について全面的に手を入れることになってしまいそうです。それは、基本は当事者任せにしておいて、あちらに穴が空いたのを封じ、という形でとりあえずやってきた、従来の日本の養子法全体について、根本的に手を入れることになるので、相当難しい大作業になると思います。ですから、先ほどの御意見にもありましたように、現行の養子法を前提にした上で、ここでの提案内容が邪魔にならない形で問題が解決できる策を、今回の案としては、探っていただくのが限界かと思っております。   それから、財産分与につきましても、これで補償的要素を否定したつもりは全くありませんで、むしろ補償的要素を入れるための平成8年改正の文言でした。戦後改正で立法された財産分与は、同じ文言で、実務が手切れ金から2分の1へと内容を発展させてきました。でもそれが硬直化して、主婦業をしていたため低賃金のパートで働くしかない妻が高収入の夫から現存財産の半分しかとれず、離婚後の母子家庭の貧困が必至となる一方で、働く気もなく家事もしなかった夫がフルタイムで働く妻の稼ぎをもっていくこともあり、もっと実態に即した基準で、実務が動くようにしたいと思ったのです。妻が受け取る場合には2分の1よりも当然のことながら増えると考えておりましたので、2分の1より減ってしまうというリスクについては、私自身は余り考えておりませんでした。婚姻により生じた機会の喪失という要素は、実質的には、私も是非入れていただきたいと思います。婚姻あるいはケア労働を負担することによる喪失を担保する内容を、財産分与で保障できればと思いますし、そういう文言を何らかの形でもし上手に入れられるのであれば、入れたらいいとは思うのですが、男女別に書くのも難しく、平成8年の要綱を作るときも相当議論いたしましたが、断念したのです。その要素を入れるのがここでぎりぎりだというのが現在の文言で、あとは実務の展開に委ねようということになりました。ですから、解説のところでその辺りを、妻の受け取る清算的要素が2分の1より下がってしまうなどということは全く予期していないことであるとか、できればそういう補償的な要素といいますか、ケア労働を負担することによって機会の喪失をしてしまったことを填補するような要素が入るという解説を書いていただくことで、実務の展開を促せればと願います。つまり、平成8年の改正要綱を作るときに、この文言をいじることがどれだけ大変かというのを実感した、じたばたした記憶が鮮明に残る生き残りメンバーとしては、文言としては現状維持でと提案させていただきます。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。これまで出ている二つの点、養子に関する規律について、2の部分を現行の規定と平仄が合う形で修正する必要があるのではないかということと、第6の1の考慮要素について一つ要素を足すべきではないかということについて、いずれも大きく規定を動かすということに伴う困難というものがあるのではないかという御指摘を頂いたと思います。養子の方は、先ほど石綿幹事が子の利益というのを加えるとおっしゃったのですけれども、全ての代諾縁組についてそうするという趣旨ではない御発言、一定の場合にそうしたチェックが必要だとする制度が組めないだろうかという御提案だったかと思います。平仄を取るための解決がそれ一つなのかどうなのかということも含めて、少し考えることが必要かと思っております。それから、6の1については、全部削除だという原田委員の御意見と、一つ判断要素を加えるべきだという御意見と、それから水野委員の現状維持で、しかしこの文言の中でできるはずだという御意見が出ているということかと思います。 ○原田委員 すみません、私は稼得能力の喪失のことを入れた方がいいという意見で、それを入れないのだったら、今までどおりでいいのではないかという意見です。 ○大村部会長 分かりました。そういう意見として承りました。 ○棚村委員 早稲田大学の棚村です。水野委員と近い意見なのですけれども、養子に関する規律についても、親権について検討するという中で必要な範囲で、今回の改正の提案によって整合性がとれなかったり、あるいは問題が出そうなところについて必要最小限いじるということについて賛成です。当初予定したような、未成年養子縁組の許可ということの範囲をどこまで広げて家庭裁判所にチェックしてもらうかとか、未成年養子縁組制度の本格的な見直しについては、今回やるというのはなかなか難しいだろうと考えています。ですから、先ほどから出ているように、御指摘いただいた、少し見落としていた点とか、整合性に問題が出るようなところはきちんと整理して、そのような問題についてきちんとした対応をしていくこと、親権制度との関係で必要最小限の対応をするということでとどめるべきではないかと思っております。   それから、第6の財産分与についても、私も当初は、実務では、実際にはかなり考慮要素を様々な形で総合判断して妥当な結果を導こうとしているということは間違いないわけですけれども、そこにいろいろな考慮要素を現代的に盛り込むということについての提案もさせていただいたのですけれども、結局、先ほど赤石委員からも御紹介があったオーストラリアとか海外の例を見ますと、いろいろな考慮要素を細かく持ち込んでやると、赤石委員もおっしゃっていたように、かなり複雑な紛争の争点が出てきてしまって、長期化したり、紛争それ自体がエスカレートする弊害もあり得るので、オーストラリアはもう言われていると思うのですけれども、シンプル・イズ・ベストというので、考慮要素や判断基準は余り複雑ではなくて、シンプルにしながら運用でもって適切な、実務でもって妥当な結論に持っていけるような形にした方がいいだろうというように考えます。したがいまして、私も、今回事務局が御提案をされている、1996年の要綱案のように一定程度の考慮事項は示しつつ、網羅的に示すのではなく、最後は「そのほか一切の事情」というのは、本当に玉虫色なのですけれども、このような御提案でよろしいのではないかと思います。これまで検討したり考慮している実際の要素みたいなものは盛り込んでおられて、ある意味では1996年からの積み残しをきちんと解決をするということで、そのほか一切の事情ということである程度相対化して、幅広く現代的な要素も考慮できるような形で、むしろ運用をしっかりしていくという形で、この提案に賛成したいと思っています。 ○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員からも、今問題になっている2点について、基本的には水野委員が示されたような方向で考えていくのがよいのではないかという御指摘を頂いたと受け止めました。 ○久保野幹事 幹事の久保野です。財産分与につきまして、私も本来は稼得能力の喪失ですとか、婚姻により生じた機会の喪失という文言を入れることができれば、その方が望ましいと考えておりますけれども、しかし、その文言が入らなかったとしましても、現在の案の中の、その他一切の事情もそうですが、その前にあります各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入といった事情を考慮する際には、先ほどの文言で問題にしようとしているような事情を考慮に入れる余地は否定されていないと理解していたところでありまして、文言を入れないとしましても、この規定を具体化する改正をしていくという方向に賛成でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。皆さんの中からは、新たな文言を付け加えた方がいいという御意見が複数出ておりますけれども、それを付け加えないとしたときにどうかということについて、それでもこれを入れた方がいいという御意見がある一方で、原田委員はそこは反対で、新たな文言を付け加えないならば、これは入れない方がいいという御意見である。そういうことでよろしかったでしょうか。 ○原田委員 はい。 ○大村部会長 分かりました。そこのように意見は割れているということだと理解を致しました。   そのほかに御発言はございませんでしょうか。 ○佐野幹事 第5の養子のところなのですけれども、親権者を養親から実父母の方に変更するというのが結局落ちてしまっているわけなのですが、これに関しては戻してほしいということで、あえて意見を申し上げます。   その中で、親権喪失、停止で対応できるというお話がありますけれども、これは監護者指定のところで申し上げたとおり、実際に認められているケースというのは非常に少なく、また、実親が未成年後見人にしかなれない、停止だと2年ごとに申立てをしなくてはいけないという問題があります。また、先ほど久保野幹事らがおっしゃっていた民法第811条を改正すれば離婚後、共同親権になっていたケースでも、離婚後に片方の実親の配偶者と養子縁組をしたという場合、例えば15歳未満の子が他方の実親の方に逃げてきた事案などで、係る事情も踏まえて離婚後の親権者の定めのときに、他方の今監護している実親の単独親権とすることができるということであれば、そちらから離縁訴訟を提起することができるということになるのかもしれないですけれども、こどもの時間は大人の時間と異なりますので、その一連の手続を行う時間の長さを考えると、従前の親権者を実親に変更することができる手段の検討は残していただきたいと思っております。   それから、第6の財産分与のところの3の開示ですけれども、これは先ほどほかのところでも申し上げましたが、離婚調停も入れてほしいというのが意見です。 ○大村部会長 ありがとうございます。2点御意見を頂きました。養親から実親への親権者の変更を認める規定を入れてほしいという御意見だと伺いました。それは、佐野幹事も御指摘になりましたが、離縁の規定との絡みということもあるのかもしれませんけれども、そうした御意見として承りました。それから、開示については、これまで他の問題についても出ておりましたけれども、離婚調停を含めて考えていただきたいという御要望として理解を致しました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○原田委員 すみません、先ほどの財産分与のところにこだわるのですけれども、私は今の実務では稼得能力の喪失は考慮されていないと認識しています。そうすると、ここに書かれている要素の中でも考慮することができるのではないかという意見になると、それは今の運用を変えるという趣旨でおっしゃっていただいているのかというところをはっきりして、それによっては、これを入れてもいいというふうに私も意見が変わるかもしれません。 ○大村部会長 原田委員は、現行の運用状況が変わるのかどうかということによって意見は変わるかもしれないという、態度だということをおっしゃっていただいたと理解を致しました。   ほかにはいかがでしょうか。ほかの点について、特に、財産分与の要素、それから期間の点と養子縁組のところに意見が集中していますけれども、ほかはよろしいでしょうか。   それでは、御意見を頂戴したということで、今申し上げたように、財産分与の判断要素及び期間については御意見があった、そして、養子縁組について、第5の2の規律について、これを修正する必要があるのではないかという御意見があり、それとの関係で佐野幹事からの御意見もあった、このように引き取らせていただきたいと思います。   ということで、第7まで御意見を頂戴したということになります。   本日用意していた資料はここまでですので、本日の審議はここまでとさせていただきたいと思いますが、次回のスケジュール等について事務当局の方から御説明をお願いしたいと思います。 ○北村幹事 事務当局でございます。次回の会議は、令和5年11月28日火曜日、午後1時30分から午後5時30分までで開催したいと思います。場所は改めて御連絡いたします。   次回の会議で具体的にどのような内容を御議論いただくのか、そのための資料につきましては、今回と前回の会議で頂いた御議論を踏まえて部会長とも御相談させていただいて、御連絡させていただければと思います。 ○大村部会長 以上のようなことで、次回は今年の11月28日ということで、また2週間後ということで、皆様には事前の準備等で御負担を頂くということになろうかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。よろしいでしょうか。 ○原田委員 第1の議論をどこでするのかということについて、第2以降の議論をしてからというふうになっていたと思うのですが、そうすると、今回と前回議論したことをまとめた上で、また第1をするということですか。 ○大村部会長 その点について、北村幹事の方から。 ○北村幹事 第1の議論を次回するかどうかについても、少し部会長と御相談しながら考えたいと思います。 ○大村部会長 いずれにしても、これまでの議論を踏まえて、第1の議論をどこかでするということになろうと思いますが、その前提として、先に議論すべき事柄があれば、あるいは次回それを議論するということになるかもしれません。その辺りは、これまでの議論の整理をしていただいた上で事務当局と私の方で相談をさせていただきたいと思っていますが、そういうことでお願いをできればと思います。   ということで、よろしいでしょうか。   それでは、法制審議会家族法制部会第33回会議をこれで閉会させていただきます。   本日も熱心な御審議を賜りまして、ありがとうございました。閉会を致します。 −了−