改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会 (第9回) 第1 日 時  令和5年11月8日(水)      自 午後3時00分                           至 午後4時51分 第2 場 所  最高検察庁大会議室 第3 議 題  再審請求審における証拠の開示 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○中野参事官 ただ今から「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」の第9回会議を開催いたします。   皆様、御多用のところ御出席くださり誠にありがとうございます。     本日は、事前に皆様にお伝えしたとおり、前回会議における同協議会の進行に関する御意見を踏まえ、刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第9条第3項において検討が求められている事項につきまして協議を行うこととします。   まず、事務当局から本日の配布資料について確認をさせていただきます。   本日は、事務当局において作成したものとして、配布資料35から38までをお配りしているほか、第1回会議でお配りした配布資料1、第2回会議でお配りした配布資料5−1及び5−2を改めてお配りしております。そのうち配布資料35から37までは、「再審請求審における証拠の開示」に関するものです。配布資料38は、「起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置」に関するものです。また、配布資料1は、刑事訴訟法等の一部を改正する法律の附則第9条を抜粋したもので、配布資料5−1は、法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会におけるいわゆる中間取りまとめである「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」です。配布資料5−2は、同部会において取りまとめられた答申案である「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」となります。本日、再審請求審における証拠の開示に関して御説明する際に御参照いただくものとして改めてお配りしています。次に、横山構成員御提出の資料1から4、また、河津構成員御提出の「刑事訴訟法等改正案 新旧対照表」は、いずれも「再審請求審における証拠の開示」に関する資料です。   各配布資料の内容につきましては、後ほどそれぞれの点について御協議いただく際に御説明いたします。   それでは、議事に入りたいと思います。   議事につきましては、まず「再審請求審における証拠の開示」につきまして、配布資料1、5−1、5−2及び35から37まで、横山構成員御提出の資料、河津構成員御提出の資料に基づく協議を行い、次に、「起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置」につきまして、配布資料38に基づく協議を行い、引き続いて、「証人等の刑事手続外における保護に係る措置」につきまして、松田構成員御提出の資料に基づく協議を行うことといたしたいと思います。それらの協議に当たり、それぞれ配布資料の説明を行った上で、その内容についての質疑応答、意見交換を行うこととしたいと思います。そのような進め方とさせていただくことでよろしいでしょうか。               (一同異議なし)   それでは、「再審請求審における証拠の開示」について協議を行いたいと思います。   事務当局から、配布資料1、配布資料の5−1及び5−2、配布資料の35から37までの内容について御説明します。   まず、刑事訴訟法等の一部を改正する法律に、附則第9条第3項が設けられることとなった経緯等につきまして、配布資料1、5−1、5−2に基づき御説明します。   配布資料1は、刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第9条を抜粋したものです。配布資料5−1は、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会における中間的な取りまとめである「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」であり、配布資料5−2は、同部会において取りまとめられた「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」となります。   まず、配布資料1を御覧ください。   刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第9条3項は、「政府は、この法律の公布後、必要に応じ、速やかに、再審請求審における証拠の開示、起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置、証人等の刑事手続外における保護に係る措置等について検討を行うものとする。」と規定しています。   同項は、政府原案に対し、衆議院における修正により追加されたものです。同項には、特別部会において調査審議された事項のうち、政府原案に盛り込まれなかった事項の一部が掲げられております。   配布資料の5−1の1ページを御覧ください。   「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」は、特別部会の設置から1年余りが経過した時点において、それまでの議論を中間的に取りまとめるとともに、その後の検討方針及び具体的な検討事項を示したものです。   特別部会では、取調べへの過度の依存からの脱却と証拠収集手段の適正化・多様化、供述調書への過度の依存からの脱却と公判審理の更なる充実化という二つの理念の下、諸制度について検討が重ねられ、この基本構想においては、それまでの検討事項が、特別部会で優先的に具体的な検討を行う事項、これらに関連する事項であって、先ほどの事項についての具体的な検討を行った後に、必要に応じて更に部会で検討することとする事項及び特別部会で結論を得ることが困難であり、特別部会とは別の機会に検討されるべき事項に整理されました。   配布資料5−1の22ページを御覧ください。   22ページから24ページまでには、「証拠開示制度」に関する検討事項が整理されております。24ページを御覧いただきますと、「再審請求審における証拠の開示」が掲げられています。   具体的には、「再審請求審における証拠開示の在り方については、再審請求審の構造や手続規定、さらには、確定した事件の記録や証拠の保管等の在り方なども踏まえて、通常審における証拠開示の在り方とは異なる観点から慎重に検討されるべきである。そこで、この問題については、通常審における証拠開示の在り方についての具体的な検討結果を踏まえ、必要に応じて更に当部会で検討を加えることとする」ものとされました。   次に、25ページを御覧ください。   ここには、「犯罪被害者等及び証人を支援・保護するための方策の拡充」に関する検討事項が整理されています。   いわゆる証人保護プログラムについて、「証人の安全の保護」として、「報復等による生命・身体への危険がある証人について、一時的に別の氏名の使用を認めるなど、その者を特定する事項の変更その他の証人の所在等を探知されにくくするための措置を講ずることができるとする制度を設けることについて、指摘される懸念をも踏まえて具体的な検討を行う」ものとされました。   この「指摘される懸念」につきましては、28ページを御覧ください。   こちらに書かれておりますとおり、「仮に戸籍制度を含む民事上・行政上の諸制度との調整を要する制度を検討することとなれば、刑事の実体法・手続法の整備にとどまらない様々な検討や対応措置が必要とならないかとの指摘」があり、これらの指摘も踏まえて具体的な検討を行うこととされました。   なお、この「基本構想」には、「起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置」は掲げられていないところです。   続きまして、資料5−2の1ページを御覧ください。   特別部会におきましては、「基本構想」に基づき調査審議が重ねられた上で、その結果が「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」として全会一致で取りまとめられました。配布資料5−2は、その取りまとめであり、これは、法制審議会・総会において、答申として全会一致で採択されました。   この調査審議の結果には、時代に即した新たな刑事司法制度の構築のために必要と考える法整備の内容である「要綱(骨子)」のほか、これに盛り込まれなかった事項のうち、「今後、必要に応じて、更に検討を行うことが考え」られる事項として、「会話傍受」のほか、「再審請求審における証拠の開示」、「起訴状や判決書における被害者の氏名の秘匿」及び「証人保護プログラム」が掲げられました。   同じ資料の11ページを御覧ください。   具体的には、「再審請求審における証拠の開示については、公判前整理手続の中で規定されているような類型証拠開示と主張関連証拠開示の仕組みを再審請求審の手続にも導入すべきであるとの意見があった一方で、再審請求審は、当事者主義がとられている通常審とは根本的に手続の構造が異なっているため、公判前整理手続における証拠開示制度を転用するというのは、理論的・制度的整合性がなく、適切でないなどとの意見があったところである」とされました。   また、「起訴状や判決書における被害者の氏名の秘匿については、被害者の保護と被告人の防御権との調整の問題として早急に解決しなければならず、制度的な措置を講じることを検討すべきであるとの意見があった一方で、起訴状や判決書については、被害者の氏名を必ず記載しなければならないとはされておらず、個別の事案ごとの柔軟な運用によって対処すべきであり、引き続き運用の状況を見守りつつ慎重な検討をすべきであるとの見解もあったところである」とされました。   そして、「証人保護プログラムについては、特別部会で取り扱うことが困難な民事・行政関係にわたる課題が多いことなどに鑑み、特別部会で具体的な制度設計を行うべき項目とはされなかったものであるが、制度の必要性については、一定の認識の共有がなされたところである」とされました。   これら三つの事項につきましては、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の国会審議においても議論がなされました。そして、冒頭で申し上げましたとおり、衆議院における修正によりまして、附則第9条に、第3項が加えられることとなりました。   附則第9条第3項が設けられることとなった経緯等の御説明は、以上となります。   続きまして、資料の35を御覧ください。   配布資料35について御説明します。   「再審」は、一般に、三審制の下で通常審を経て確定した有罪判決について、主として事実認定の不当を是正し、その言渡しを受けた者を救済するための非常救済手続であるとされます。   配布資料35は、通常審(三審制)及び再審請求審の手続構造を表したものとなります。   まず、通常審について御説明します。資料の上段を御覧ください。   通常審における審理の対象は、中央に記載している「公訴事実」です。   立証責任を負う検察官は、起訴した公訴事実を立証するため、人証や証拠物、証拠書類などの証拠を提出し、被告人・弁護人はそれらの信用性を争い、あるいは反証などをすることとなります。そして、最終的に裁判所が、両当事者の主張・立証を吟味して公訴事実の存否などを判断するという「当事者主義」の構造が採られています。   通常審では、証人尋問において、反対尋問などにより、その証言の信用性が慎重に吟味されることとなります。また、供述調書などのいわゆる伝聞証拠は、相手方の同意やその他の法定の要件を満たさなければ証拠とすることができないなどの厳格な証拠法則が適用されます。その上で、「疑わしきは被告人の利益に」とのルールに基づき事実認定がなされ、第一審判決に至ることとなります。   その上で、現行法上、三審制が採用されています。検察官・被告人又は弁護人は、第一審判決に不服がある場合には、控訴して二度目の審理を求めることができます。   さらに、控訴審の判決に憲法違反・判例違反などの上告理由があるときは、更に上告の上、上告審による是正を求めることが可能となっています。   このように、審理を重ねて有罪判決が確定しますと、確定判決に基づき、懲役などの宣告された刑が執行されるという手続に移行することになります。   再審は、このような審理を経て確定した判決の審理をやり直すという非常救済手続ですから、再審請求は、確定した有罪判決について、「無罪・・・を言い渡(す)べき明らかな証拠をあらたに発見したとき」などの法定の再審開始事由があるときに、当該判決を受けた者などがするものとされています。   次に、資料の下の段の「再審請求審」の欄を御覧ください。   「再審」に関する手続は、いわゆる「再審請求審」と「再審公判」の二段構造となっています。平成28年成立の刑事訴訟法等の一部を改正する法律の附則第9条第3項に掲げられている手続は、「再審請求審」となります。「再審請求審」は、請求人が主張する再審開始事由があるか否かを裁判所が審理・判断する手続であり、再審開始決定がなされてそれが確定すれば、「再審公判」が行われることになります。   この図にありますとおり、再審請求審では、有罪判決を受けた者等が、再審開始事由があることを理由として再審の開始を請求し、裁判所が、職権で、すなわち、主体的に、請求の理由とされた当該再審開始事由の存否を判断するための必要な審理を行うという「職権主義」の構造が採られています。   請求人は、請求の際、再審開始事由があることを示す証拠書類・証拠物を添付することとされています。例えば、刑事訴訟法第435条第6号の事由により再審請求する場合、「無罪・・・を言い渡すべき明らかな証拠」を添えて、それが「あらたに」発見されたものであることなどを主張・立証することになります。   なお、再審請求は、検察官が行うこともありますが、この資料では、有罪判決を受けた者が請求する場合を想定したものとしていますので、御承知置きください。   そして、検察官は、再審請求審において、当事者ではなく、裁判所が職権で再審開始事由の存否を判断するために必要な審理を行う上で、刑事事件の記録等を保管している立場や、公益の代表者としての立場から、裁判所の求めに応じて必要な範囲で、手続に関与することとなります。   再審の請求を受けた裁判所は、主張された再審開始事由の有無について、自ら調査して判断することとなります。   裁判所は、提出された再審請求書やそれに添付された証拠書類、確定判決の記録を調査・検討するほか、必要があるときは、職権で、事実の取調べを行うことになります。   その際、どのような証拠を取り調べるかは、裁判所の合理的な裁量により決せられることになります。証拠の採用について、通常審のような厳格な証拠法則は適用されません。   そして、裁判所は、必要があると認めたときは、検察官が保管する通常審の公判に提出されなかった記録等の取寄せも行うこともできます。   裁判所に取り寄せられた記録等は、請求人・弁護人に閲覧させることができます。   そして、再審請求審において再審開始決定がなされ、それが確定した場合には再審公判に移行することになりますが、再審公判の訴訟手続は通常審の訴訟手続と同様となります。   以上が配布資料35の御説明となります。   続いて、配布資料36について御説明します。   配布資料36は、再審について直接規定する刑事訴訟法及び刑事訴訟規則の条文を抜粋したものです。   まず、資料の1ページを御覧ください。   刑事訴訟法は、「第4編 再審」を設け、第435条から第453条までの規定を置いています。   主なものについて御説明させていただきます。   第435条及び第436条は再審請求事由等を規定しています。例えば、第435条第6号では、「有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき」が再審請求事由として掲げられています。   資料の2ページを御覧ください。   第438条は、原判決をした裁判所が再審請求を管轄することについて規定しています。   第439条は、再審請求をすることができる者について規定しています。具体的には、第1項第1号において検察官が、第1項第2号において有罪の言渡しを受けた者が、第1項第4号において有罪の言渡しを受けた者が死亡した場合におけるその配偶者、直系の親族、兄弟姉妹が掲げられています。   次に、第442条は、再審請求は、刑の執行を停止する効力を有せず、ただし、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官は、再審請求についての裁判があるまで刑の執行を停止することができることについて規定しています。   資料2ページ末尾及び3ページを御覧ください。   第446条から第448条までは、再審請求に対する請求棄却及び再審開始の決定等について規定しています。具体的には、再審請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後に付されたものであるときは、決定でこれを棄却しなければならないこと、再審請求に理由がないときは、決定でこれを棄却しなければならず、この決定があったときは、何人も、同一の理由によっては、更に再審請求することはできないこと、再審請求に理由があるときは、再審開始の決定をしなければならず、この決定をしたときは、決定で刑の執行を停止することができることについて規定しています。   第450条は、再審開始あるいは請求棄却の決定に対して即時抗告をできることについて規定しております。   第451条以降は、再審公判に関する規定です。再審公判の手続には、通常審の手続に関する規定が原則として適用されることを前提として、第451条は、再審開始決定が確定した事件について、原則として、その審級に従って審判を行うこと、第452条は、不利益変更の禁止について規定しています。   次に、4ページを御覧ください。   刑事訴訟規則は、「第5編 再審」を設け、第283条から第286条までの規定を置いております。   第283条は、再審請求の手続について、再審請求をするには、その趣意書に原判決の謄本、証拠書類及び証拠物を添えて管轄裁判所に差し出さなければならないことについて規定しています。   第286条は、裁判所は、再審請求について決定をする場合には、請求した者及びその相手方の意見を聞かなければならないことなどについて規定しています。   配布資料に掲載した、再審について直接規定する刑事訴訟法等の条文は以上のとおりですが、再審請求審の手続については、これらの条文だけではなく、性質に反しない限り、刑事訴訟法や刑事訴訟規則の総則の規定も適用されることとなっており、例えば、裁判所が保管する訴訟に関する書類等の閲覧・謄写に関しては、刑事訴訟法の第40条が、事実の取調べについては、第445条のほか、第43条第3項・第4項が適用され、必要がある場合には、証人尋問、検証、鑑定、記録の取寄せ等を行うことができ、それぞれについて総則の規定によることとなると考えられております。   配布資料36の御説明は以上となります。   次に、配布資料37について御説明いたします。   配布資料37は、平成29年から令和3年までの各年について、再審請求事件の既済人員数や、そのうち再審開始決定のあった人員数等を、最高裁判所事務総局作成の司法統計年報に基づき、事務当局がまとめたものです。   まず、一番左の「総数」と書かれている欄を御覧ください。   「受理総数」の欄には、各年の再審請求事件の受理総数を記載しており、括弧内の数字は、表の下の※の2にあるとおり、受理総数のうち、裁判所が当該年に新たに受理した人員の数を示しています。   「既済人員」の欄には、各年の既済人員の総数を記載しています。その欄のうち、枠囲みの数字は、再審開始決定のあった人員数を示しています。   また、「受理総数」の右側の欄には、各裁判所ごとの受理総数及び既済人員数等を記載しています。   平成29年から令和3年までの間において、再審請求事件を新たに受理した人員数は、209件から255件の間で推移し、既済人員は、213件から254件の間で推移しています。   再審開始決定のあった人員数については、平成29年は地方裁判所で2件、簡易裁判所で3件、平成30年は地方裁判所で1件、簡易裁判所で2件、令和元年は簡易裁判所で4件、令和2年はゼロ件、令和3年は簡易裁判所で1件となっています。   なお、表の下の※の3にあるとおり、いずれの年も、最高裁判所及び高等裁判所については、再審開始決定のあった人員はゼロでした。   一番右の「(参考)」と書かれている欄は、各年の通常第一審の有罪人員と略式の有罪人員の数を参考としてお示ししたものです。これらを合計した有罪人員の数は、平成29年から令和3年までの各年において、おおむね29万8,000件から21万4,000件となっています。   配布資料37の御説明は以上となります。   それでは、続きまして、横山構成員から御提出いただいた資料につきまして御説明いただきたいと存じます。 ○横山構成員 事前に事務当局から、今回のテーマであります「再審請求審における証拠の開示」に関して協議会の資料とすることが有益であるということで、4点の資料につきまして提出していただきたいと御依頼を頂きましたので、令和3年の数値について準備をさせていただいております。その資料の内容につきまして、少しお時間を頂戴して御説明をさせていただきたいと思います。   まず、資料1ですけれども、これは再審請求事件の請求人別・請求の理由別の既済人員を表にしたものです。令和3年の高裁、地裁、簡裁における再審請求事件の既済人員は、左の一番上にあります215人となっており、このうち検察官が再審の請求をしたものは1人で、残りの214人は有罪の言渡しを受けた本人側が再審の請求をしたものとなっております。   また、この215人の請求の理由別の内訳につきましては、そもそも適法な請求の理由の主張のないものが、末尾、一番下の段にありますとおり、79人となっております。法律上の請求の理由の主張があるものにつきましては、欄外の(注)2に記載しておりますとおり、請求の理由が複数主張されている場合には、各欄に重複して計上しております。そのため、各欄の合計数につきましては、既済人員よりも多くなっております。まず、一番上の刑事訴訟法435条の1号、すなわち、これは事務当局の配布資料36として条文を配布いただいておりますけれども、原判決の証拠となった証拠書類又は証拠物が確定判決により偽造又は変造であることが証明されたと主張するものが40人となっております。このうちの1人が検察官が再審の請求をしたものとなっております。次に、刑事訴訟法435条の2号、これは原判決の証拠となった証言、鑑定、通訳又は翻訳が確定判決により虚偽であったことが証明されたと主張するものが34人、次の3号、これは有罪の言渡しを受けた者を誣告、すなわち虚偽告訴した罪が確定判決により証明されたと主張するものが17人、4号、すなわち原判決の証拠となった裁判が確定裁判により変更されたと主張するものが5人、5号、すなわち特許権、実用新案権、意匠権又は商標権を害した罪により有罪の言渡しを受けた事件について、その権利無効の裁決が確定した又は無効の判決があったと主張するものが2人、6号、すなわち有罪の言渡しを受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡しを受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪よりも軽い罪を認めるべき明らかな証拠を新たに発見したと主張するものが115人、7号、すなわち原判決に関与した裁判官、原判決の証拠となった証拠書類の作成に関与した裁判官又は原判決の証拠となった書面を作成し若しくは供述をした検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が被告事件について職務に関する罪を犯したことが確定判決により証明されたと主張するものが39人となっております。   以上の資料1につきましては、いずれも再審の請求をする者の主張に関しての分類ということになっております。   続きまして、説明の便宜上、先に資料4について御説明をさせていただきたいと思います。   資料4は、令和3年の高裁、地裁、簡裁における再審請求事件の請求人別・裁判所別の終局区分を表にしたものです。既済人員の総数であります215人のうち、棄却されたものは200人、再審が開始されたものは1人、取下げが4人、その他請求人の死亡等が10人となっております。高裁、地裁、簡裁別の人数につきましては、この表に記載したとおりです。令和3年に再審開始となった1人については、検察官から再審の請求があり、簡易裁判所において再審開始の決定があったものとなっております。   戻りまして、資料2の御説明をさせていただきたいと思います。   資料2は、令和3年の高裁、地裁、簡裁における再審請求事件の棄却理由、すなわち裁判所の判断を表にしたものです。先ほど申し上げた既済人員215人のうち、再審請求が棄却されたものは200人となります。この200人につきまして、その理由の内訳を記載したものが上段の表(A)となります。この資料2につきましても、資料1と同様に、棄却理由が複数ある場合につきましては、各欄に重複して計上しているため、各欄の合計数は棄却総数とは一致いたしません。   まず、棄却理由として、手続違反に関するものとしては、再審の請求が法令上の方式に違反するとされたもののうち、請求権がないものが2人、管轄違いであるものが4人、刑事訴訟規則283条に違反するもの、すなわち、これは再審の請求をするには、先ほど御説明がありましたとおり、その趣意書に原判決の謄本、証拠書類及び証拠物を添えて管轄裁判所に差し出さなければなりませんが、その差し出しがなかったものが78人となっております。再審の請求権の消滅後にされたものについては、いずれも刑事訴訟法447条2項違反、すなわち、これは先にあった再審棄却の決定と同一の理由によって更に再審の請求がされたものであり、これが12人となっております。次に、手続違反ではなくて、再審請求の理由がないものとしては、資料1でも御説明しました刑事訴訟法435条の理由がないものが121人、刑事訴訟法436条1項の理由がないもの、すなわち、これは控訴又は上告を棄却した確定判決に対する再審の請求について、刑事訴訟法435条1号又は2号に規定する事由がある、あるいは原判決又はその証拠となった証拠書類の作成に関与した裁判官について刑事訴訟法435条7号に規定する事由があるとは認められなかったものが1人となっております。その他、詳細については把握しておりませんが、これらのいずれにも当てはまらないものが14人となっております。   再審請求の理由がないもののうち、刑事訴訟法435条の理由がないとされた121人、表(A)の121人につきまして、更にその内訳を記載したものが、下段の表(B)となります。刑事訴訟法435条のうち6号、すなわち有罪の言渡しを受けた者に対して無罪若しくは免除を言い渡し、刑の言渡しを受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠を新たに発見したとは認められないとされたもののうち、その主張自体が失当であったものが21人、主張に係る事実の証明がなかったものが71人で、そのうち明らかな証拠とは認められなかったもの、すなわち明白性がないとされたものが57名、新たに発見とは認められなかったもの、すなわち新規性がないとされたものが43人となっております。刑事訴訟法435条の1号から4号、あるいは7号の理由がないとされたもののうち、その主張自体が失当であったものが11人、主張に係る確定裁判がなかったものが26人となっております。その他再審理由の主張がないとされたものが20人となっております。   最後に、資料3について御説明をさせていただきます。   資料3は、令和3年の高裁、地裁、簡易裁判所において、有罪の言渡しを受けた本人側からの再審請求が刑事訴訟法435条に当たらないことのみを理由として棄却されたものの棄却理由別の事実の取調べ状況を表にしたものです。本人側からの再審請求が刑事訴訟法435条に当たらないことのみを理由として棄却されたものの総数は95人で、そのうち事実の取調べをしたものが4人、事実の取調べをしなかったものが91人となっております。事実の取調べをした事件につきましては、いずれも刑事訴訟法435条6号の明白性なしとして最終的には棄却されたものとなります。   私から提出した資料につきましての御説明は、以上になります。 ○中野参事官 それでは、引き続きまして、河津構成員から御提出いただいた資料につきまして、御説明いただきたいと存じます。 ○河津構成員 本日配布していただきました「刑事訴訟法等改正案 新旧対照表」と題する資料は、日本弁護士連合会が2023年2月17日付けで取りまとめ、同年7月13日付けで改訂した「刑事再審に関する刑事訴訟法等改正意見書」の一部です。意見書の全文は日弁連のホームページに掲載されております。   日弁連は、刑訴法の再審に関する規定、いわゆる再審法につき緊急に見直す必要があるものとして、速やかな法改正を求めております。改正刑訴法附則9条3項は、政府に対し、速やかに再審請求審における証拠の開示について検討を行うことを求めていますが、改正法の成立から7年以上経過した今日まで、政府における検討は全く進んでいないように見受けられます。   前回会議でも触れましたが、「刑事手続に関する協議会」という非公開の会議が平成29年に設置され、「協議会」ないしその「幹事会」で何度か再審請求審における証拠開示がテーマとして取り上げられたようですが、取りまとめは行われておらず、取りまとめを行うかどうかも決まらないまま令和4年1月に「幹事会」が開かれて以降、会議自体が開かれておりません。そして、この間、立法府である国会においても再審法改正の議論は進んでいません。このような経過があることに加え、再審法の見直しの必要があるのは証拠開示制度に限られるものではないことからしても、当協議会が再審請求審における証拠の開示についての協議を行うことは、立法府を含む当協議会以外の場における迅速な再審法改正に向けた議論の必要性を減ずるものでないことは、前提として確認させていただきたいと存じます。   さて、本日のテーマである「再審請求審における証拠の開示」に関する改正案は、資料38ページから41ページに記載されています。日弁連では再審事件の支援を行っておりますが、近年日弁連が支援した事件のうち、再審無罪判決が確定したものとして、布川事件、東京電力女性社員殺害事件、東住吉事件、松橋事件及び湖東事件があります。これらの事件では、通常審段階から存在していた証拠が再審請求手続又はその準備段階において開示され、それが確定判決の有罪認定を動揺させる役割を果たしています。また、日弁連が支援している再審事件のうち、無罪が確定していない事件としては、袴田事件、大崎事件、日野町事件、福井女子中学生殺人事件がありますが、これらの事件でも再審請求手続における証拠開示が再審開始決定に寄与しています。   このように、えん罪被害者の救済という再審の理念を実現するためには、再審請求手続における証拠開示が極めて重要な役割を果たしていますが、現行刑訴法には再審請求手続における証拠開示の明文規定が存在しないため、証拠開示は裁判所の訴訟指揮に基づいて行われています。このことにより、再審請求事件が係属した裁判所によっては、明文規定のない証拠開示のための訴訟指揮権の行使に極めて消極的であったり、あるいは裁判所が訴訟指揮権を行使しても、検察官がこれに従わなかったりし、その結果、証拠が開示されないまま再審請求が棄却されるという事態が生じています。これは、現行法上証拠開示の権利が保障されていないことにより、誤った有罪判決という深刻な人権侵害を伴う重大な不正義が是正されないまま放置されているおそれが大きいことを意味しますから、再審請求手続における証拠開示の制度化は緊急の課題であるというべきです。   日弁連は通常審における証拠開示について、えん罪を防止するために、原則として全ての証拠を開示する制度の創設を求めておりますが、今回の意見書では、再審法改正の緊急性に鑑み、現行刑訴法の通常審の公判前整理手続における証拠開示制度を参照した制度を提言しています。   この意見書は、まず、証拠の一覧表の提出命令として、証拠開示の対象となる証拠の存否に関して裁判所、検察官及び弁護人が共通認識を持つことができるよう、裁判所は再審請求人又は弁護人から請求があったときは、検察官に対し、検察官が保管する証拠の一覧表を作成した上でこれを提出するよう命じることとすることを提言しております。   そして、証拠開示命令として、必要性や重要性の高い一定類型に該当しかつ原判決の有罪認定の根拠となった証拠に関連すると認められる証拠と、再審請求手続における請求人又は弁護人の主張立証に関連する証拠について、裁判所は再審請求人又は弁護人から請求があったときは、相当でないと認めるときを除き、決定で検察官に対して証拠開示を命じなければならないものとすることを提言しています。   さらに、証拠の存否の報告命令として、裁判所が検察官に対し証拠の存否を調査し、その結果を回答することを命じることができるようにすることを提言しています。これは、検察官が不見当又は不存在と回答していた証拠について、後日、その証拠の存在が明らかになる場合が見受けられることから、証拠開示に関する命令の対象となる証拠の存否を早期に確定させることを目的としたものです。   そして、証拠の保全・保管について、裁判所は生体資料その他の証拠物について、その証拠価値を保全するために必要があるときは鑑定を実施し、その結果を保管することを命じることができるようにすることを提言しています。これは、再審事件の場合、事件発生から年月が経過していることが多いため、鑑定資料の汚染や劣化が生じる危険性が類型的に大きいことを考慮したものです。   最後に、証拠開示に関する裁判所の権限について、再審の請求を受けた裁判所は、必要があると認めるときは、再審の請求をした者若しくは弁護人の請求により又は職権で、検察官に対し、証拠の開示及びこれに関連する事項を命じることができる旨の明文規定を設けることを提言しています。これは、裁判所が検察官に対し、証拠開示に関する命令や勧告を行っても検察官がこれに従わない場合があることから、証拠開示に関する裁判所の一般的な権限を明記することを求めるものです。   以上が、「刑事再審に関する刑事訴訟法等改正意見書」の中で、日弁連が提言している再審請求審における証拠開示制度の内容です。 ○中野参事官 それでは、引き続いて、「再審請求審における証拠の開示」について協議を行いたいと思います。   なお、再審に関しましては、証拠開示以外の点に関しましても、河津構成員から頂いた資料にもありますとおり、様々議論があるものと承知しておりますが、本協議会における協議の進め方としましては、まずは刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第9条第3項で検討対象を「再審請求審における証拠の開示・・・等」としておりますことから、まずは、明示的に検討が求められている再審請求審における証拠の開示につきまして協議を行いまして、その後に関連する事項としてその他の点について協議を行うということとしたいと思いますが、そのような進め方でよろしいでしょうか。               (一同異議なし)     それでは、「再審請求審における証拠の開示」に関しまして、これまでの資料等の御説明について、御質問・御意見ございますでしょうか。   ○足立構成員 配布資料35の通常審及び再審請求審の手続構造の中で、基本的なことを2点お伺いできればと思うんですけれども、通常審と再審請求審の大きな違いというものは、通常審は公開の法廷で行われて、再審請求審は非公開の審理が行われているということが特徴的だと考えています。したがって、この非公開の審理が国民の目になかなか情報として届いていないというような現状もあると考えているのですが、それでは、そもそも再審請求審が非公開になっている根拠と趣旨について教えていただければと思います。 ○中野参事官 事務当局から、御説明させていただきます。   再審請求審は、再審請求が認められた場合に行われる再審公判手続、あるいは通常審とは異なりまして、判決で終局する手続ではございません。再審を開始するか否かを判断する決定の手続となります。そうしますと、刑事訴訟法上、口頭弁論に基づいて裁判する必要はなく、裁判の公開について定める憲法第82条における「裁判の対審及び判決」に含まれないため、公開の法廷で行われることを要しないとされているものと承知しています。 ○足立構成員 もう一点、基本的なことで御質問なんですけれども、再審請求審では確定判決から何十年もたって新証拠が現れたりすることがあるということです。確定裁判に用いた証拠とか記録とか、若しくは公判では用いられなかった記録とか、そういったものはどこでどの程度の時間保管されているものか、例えば、死刑とか無期懲役刑といった重罪が確定したような事件について御教示いただければと思います。 ○中野参事官 この点も事務当局から御説明させていただきます。   確定記録、いわゆる提出記録を含む刑事被告事件に係る訴訟の記録は、刑事確定訴訟記録法の規定に基づいて、訴訟の終結後に被告事件について一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官が保管することとされています。その刑事確定訴訟記録法に定められた期間、保管されることとなります。   法務大臣訓令である記録事務規程においては、刑事確定訴訟記録、あるいは裁判所の不提出記録などの管理に関する事務の取扱手続が定められております。その規程によれば、裁判所の不提出記録は、当該記録に係る裁判書以外の保管記録、提出記録であるとか、再審の保存記録の保管や保存に従うとされております。例えば、先ほど足立構成員から御質問いただきました死刑に処する裁判が確定した事件の確定記録、不提出記録の保管期間は50年とされています。また、無期懲役に関するものにつきましても50年とされております。同法におきましては、検察官は必要があると認めるときは保管期間を延長することができるとされているほか、検察官が再審の手続のため保存の必要があると認める保管記録については、保管期間満了後も再審保存記録として保存するものとされております。 ○成瀬構成員 今、足立構成員が質問された裁判所不提出記録の保管の在り方は、再審請求審における証拠開示の在り方を検討する際の前提となるものであって、重要な問題であると思います。   再審請求を受けた裁判所は、審理を開始するに当たり、保管検察官から当該刑事被告事件の確定記録を取り寄せていると理解しております。よって、再審請求審の審理の過程で証拠開示の対象となり得るのは、通常審において裁判所に提出されなかった記録ということになります。   事務当局が説明されたとおり、確定記録の保管については、刑事確定訴訟記録法に定められていますので、その規律内容を容易に把握することができますが、裁判所不提出記録の保管については、法務大臣訓令である記録事務規程に定められているだけであり、その規律内容が一般に広く公開されているわけではありません。   先ほども申し上げたとおり、再審請求審において証拠開示の対象となり得るのは裁判所不提出記録ですので、その保管に関する規律は、証拠開示の在り方を検討する際の前提事項として本協議会で共有すべきであると考えております。また、河津構成員からご説明を頂いた日本弁護士連合会の再審法改正案においても、裁判所不提出記録の保管に関する条文が複数設けられていますので、これらを検討する上でも必要な資料であると思います。   そこで、事務当局にお願いしたいのですが、次回の協議会に法務大臣訓令である記録事務規程を資料として提出することを御検討いただけないでしょうか。 ○中野参事官 先ほど御提案いただいた資料につきましては、提出させていただく方向で検討させていただければと存じます。   ○成瀬構成員 ありがとうございます。   では、続いて、事務当局が御準備くださった配布資料37に基づき、鈴木構成員に質問をさせていただきたいと思います。   配布資料37によりますと、再審請求は最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所のいずれの裁判所に対してもなされているものの、平成29年から令和3年の5年間に再審開始決定が出されたのは、地方裁判所と簡易裁判所に限られています。ただ、この5年間の既済人員に占める再審開始決定の人員数の割合を計算してみると、地方裁判所は約0.4%であるのに対して、簡易裁判所は約10.2%であって、再審開始決定に至る割合に大きな差があります。   このような差が生じる理由として、裁判実務を担当しておられる鈴木構成員の方で、何か思い当たることがありますでしょうか。 ○鈴木構成員 既済人員数に占める再審開始決定の人員数というのはこの配布資料37に書いてあるとおりで、その割合が地裁と簡裁で異なるという点は分かりますけれども、その理由とか背景事情については、再審請求事件の内容も理由も様々であるということもあって、なかなか一般的にお答えすることは難しいと思っております。 ○成瀬構成員 それでは、少し別の角度から、今度は宮崎構成員に質問をさせていただきたいと思います。   先ほどの横山構成員の御説明によれば、令和3年に簡易裁判所で出された再審開始決定1件は、検察官が再審請求をした事件とのことでした。このように検察官が簡易裁判所に再審請求をする理由として、どのような事情が考えられるのでしょうか。検察実務の御経験を踏まえ、一般論としての御意見をお聞かせいただければ幸いです。 ○宮崎構成員 個々の事案を承知しているわけではございませんので、一概に申し上げることはなかなか難しいと思いますが、あえて申し上げますと、この令和3年のものがということではありませんけれども、再審開始決定のあった事件の中には、例えば、道路交通法違反におけるいわゆる身代わりの事件で検察官から再審請求がされた事件が含まれるという話は聞いたことがございます。道路交通法違反の事案は、簡易裁判所での略式手続により処理されることが多いと思います。いわゆる赤切符というものも含め、略式手続によることが多いと思うのですけれども、その場合、再審請求は簡易裁判所に対してなされることが多いということになります。   簡易裁判所に対する再審請求の総数自体は多くないということも考えますと、そういった事情が、簡易裁判所に対して再審請求された人員数のうち再審開始決定のあったものの割合が、地方裁判所に比べて高いことの背景になっている可能性はあると考えられます。私も報道等で承知している範囲ということになりますけれども。 ○足立構成員 事務当局から配っていただいた配布資料37と、横山構成員から御提供のあった資料1から4に関連して、統計データについてお伺いしたいんですけれども、この再審請求審における審理期間がどの程度なのかというような統計データはあるのでしょうか。 ○横山構成員 再審請求事件の審理期間についての統計はございます。配布資料37にもありますとおり、再審請求事件の多くを処理しているのは地方裁判所でございまして、地裁について申し上げますと、平均審理期間は近年おおむね10か月前後で推移しております。高等裁判所と簡易裁判所につきましては、平均を算出する前提の母数が多くありませんので、年によって変動は見られますけれども、令和3年について申し上げますと、高等裁判所が7.2か月、簡易裁判所が3.5か月となっております。 ○足立構成員 平均期間について御回答いただきましてありがとうございます。例えば、審理の平均期間ではなくて、1年以上2年以下が過去を遡ってみると何件ぐらいあるかとか、審理期間のばらつきで切り取ったようなデータというのはあるのでしょうか。 ○横山構成員 既存のものはございません。 ○足立構成員 分かりました。ということは、その中でも、例えば、再審請求審が最初の決定を出す、いわゆる再審請求審の第一審と言われるものに係る期間の期間別データみたいなものもないということにはなるのでしょうか。 ○横山構成員 平均という形で、全体の総数だけを採っております。 ○足立構成員 それに関連してというわけではないんですけれども、再審請求審において証拠開示命令だったりとか、裁判所が検察側に勧告、若しくは証拠開示を促したというもののような統計データというものはございますでしょうか。 ○横山構成員 最高裁では、再審請求事件において、裁判所が証拠開示を命じた事例ですとか勧告した事例ですとかの集積をしてきておりません。したがいまして、そういった統計的な資料についても持ち合わせていないところでございます。 ○足立構成員 分かりました。これは証拠開示に関する統計データの最後の質問なんですけれども、再審開始が確定した再審請求審で、再審請求審の中で検察側が新たに開示した証拠を有力な根拠として開始決定が出された事件、そのような事件の件数とかはございますでしょうか。 ○横山構成員 前提として、検察官が証拠の開示をしたかどうかという統計自体を持ち合わせておりません。加えて、個別の事件においてどのように証拠を評価した上で結論に至ったのかについても承知していないところでございます。 ○足立構成員 その反対に、これは多分統計ではないと思うんですが、例えば確定審の証拠がそのまま再審開始決定の根拠になるというような事例は、過去に耳にされたりしたことはあるのでしょうか。先ほど河津構成員より、ほとんどのケースでは確定審の判決なり証拠に基づくものではなくて、新たに再審請求審で開示された証拠によってほとんどの開始決定が出されているという御説明があったもので、そうではない、新たに開示されたものではない証拠で開始決定が出されたというようなことを見聞きされたりしたことはあるのでしょうか。 ○横山構成員 今ぱっと思い当たるものはございません。 ○成瀬構成員 横山構成員が提出してくださった資料1から3に基づいて、再審請求事件の審理の実情についてコメントをさせていただきたいと思います。   先ほどは検察官が再審請求をする事件に言及しましたが、資料1を見ますと、再審請求の大部分は有罪判決を受けた本人側が行っているということが分かります。   ただ、資料2において、令和3年に棄却された事件200件の棄却理由を見ると、手続違反を理由とするものが多く、特に、刑事訴訟規則283条に違反して、再審請求趣意書、原判決の謄本、証拠書類、証拠物をきちんとそろえていない再審請求が78件もあります。 また、刑訴法435条の理由なしとされたものの内訳を見ると、主張自体失当の請求や、そもそも再審理由の主張がないとされた請求も相当数に上ります。   さらに、資料3を見ると、本人側からの再審請求が刑訴法435条に当たらないことのみを理由として棄却された事件の中でも、435条の1〜4号、7号の理由なしとされたものは、主張自体失当か確定裁判のないものであり、435条6号の理由なしとされたものも、大多数の事件は事実の取調べを行うことなく棄却されています。   つまり、本人側が行った再審請求のうち、裁判所において本格的に審理する必要があると判断された事件は、事実の取調べが行われた4件に限られていたという見方も可能であり、これが棄却された事件200件全体の中で占める割合は僅か2%に過ぎません。   もとより、本人側から再審請求された多数の事件の中には、先ほど河津構成員が御紹介くださったような再審開始決定や再審無罪判決に至る事件も含まれており、そのような可能性が認められる事件について、充実した審理が行われることは重要であると思います。   他方で、そのような本格的な審理が必要となる事件は、本人側から再審請求された多数の事件の中のごく一部にとどまることも統計上うかがわれますので、今後、再審法の在り方を検討していくに当たっては、このような再審請求事件の審理の実情も十分に踏まえる必要があると考えています。 ○宮崎構成員 成瀬構成員からも御紹介いただいておりますけれども、今般、法務省と最高裁から御説明いただいた資料を拝見しますと、令和3年における再審請求事件の既済人員は254人でありまして、再審開始決定があった人員は合計1人です。既済人員に対する割合は約0.3%、かつ、請求人は検察官ということになっております。請求人が本人側のものはほとんどないと認識しております。   再審請求事件の中には、今御紹介いただいたように、およそ新証拠を提出することもないものや、以前に再審請求を棄却決定された際と同一の理由で繰り返される事案も相当数存在すると認識しております。そのことは成瀬構成員の御指摘のとおり、最高裁にお示しいただいた資料1を見ると分かるところでございます。   このような状況で、今回、河津構成員の方から証拠開示の制度案についてお示しいただいておりますけれども、一律にこのような証拠開示の仕組みを設けるとしますと、事実誤認を是正する必要のない多数の事件についても、何らかの有利な証拠がないかを探索するために再審請求と証拠開示請求をするということが制度上許されることとなってしまうのではないかと思います。そういった事態は、確定した事件の蒸し返しを認めることにほかならない、実質的な四審制になってしまうのではないかという問題があるように思いました。 ○藤井構成員 先ほど成瀬構成員の御指摘があったような再審請求審の実情ということから、犯罪被害者の立場から申し上げさせていただきますと、やはり再審請求というのは、一般的に確定判決で一旦落ち着いたであろう心情が非常にかき乱されるものであるということ、そして、今回飽くまで証拠開示の議論ということですので、その点に絞って申し上げさせていただくと、やはり被害者、あるいは被害者御遺族にも還付請求権というものが存在しますので、それが適正に、そういったバランスの取れた制度設計が必要であるということを申し上げておきたいと思います。  ○河津構成員 先ほど、成瀬構成員より、横山構成員提出資料3を参照されて、本人側から再審請求がされた事件のうち、裁判所において本格的に審理する必要があると判断されたのは4件にとどまるのではないか、という御指摘がありました。この4件という事実取調べが行われた件数は資料3から明らかですが、例えば「明白性なし」と判断された24件のうち4件以外について、事実の取調べを行わないまま明白性がないと判断したことが適切なのかどうかは、この資料から読み取ることはできないと思われます。   先ほどの横山構成員の御説明では、再審請求審において、裁判所が証拠開示の命令や勧告をしたかどうかについては統計をとっていないということでした。このことからしても、事実の取調べをした件数が4件であることをもって、それ以外の多くの再審請求が理由のないものであると断ずるのは適切でないと私は考えます。   また、先ほど宮崎構成員から、再審請求審における証拠開示を制度化した場合、多数の事件の蒸し返しが行われ、実質的に四審制になってしまうのではないか、という御懸念が示されました。確かに、証拠開示制度を整備するなどして再審請求が容易になった場合、再審請求の件数が増えて、裁判所や検察庁の事務負担が増えるということはあるのかもしれません。しかしながら、だからといって証拠開示が行われないまま再審請求が棄却され、その結果として誤った有罪判決という深刻な人権侵害を伴う重大な不正義が是正されなくてよいのか、慎重に考慮する必要があると思います。私は、事務負担を理由として、そういった不正義の是正に消極的な姿勢を示すことは、適切でないと考えます。 ○成瀬構成員 河津構成員が指摘されたように、再審請求審における証拠開示に関する統計資料は残念ながら存在しないようですので、その実情を少しでも把握するため、各構成員の現状認識を共有することが有益であると考えます。   河津構成員は、日本弁護士連合会の再審法改正案を説明される際に、現在の再審請求審における証拠開示の運用は適切でないという趣旨の御意見をおっしゃっていたと思いますが、鈴木構成員と宮崎構成員は、裁判官ないし検察官として、現在の再審請求審における証拠開示の運用をどのように認識しておられるでしょうか。 ○鈴木構成員 これもなかなか一般論として申し上げるのは難しいんですが、再審請求事件の内容も様々ですし、請求の理由も様々で、その中で証拠開示の運用の現状についても、ケース・バイ・ケースで、個々の事案に応じて各裁判体が判断しているとしか申し上げようがないかなと思っております。必要があれば証拠開示も含めて各裁判体が検討しているということになると思います。 ○宮崎構成員 再審請求審での証拠開示に関する対応ということですけれども、一般論として申し上げますと、検察当局においては、裁判所から事実上の勧告がなされるなど証拠の開示を求められた場合には、裁判所が再審開始事由の存否を判断するために必要と認められるか否か、請求人側から開示を求める特定の証拠につき必要性と関連性が十分に主張されたか否か、あるいは、開示した場合における関係者の名誉やプライバシーの保護、将来のものも含めた今後の捜査、公判に与える影響などを勘案しつつ、適切に対応しているところでございます。   先ほど河津構成員の方から、検察官が勧告に従わないことがあるということ、あるいは裁判官によって開示命令に消極的な場合があるということを、立法化の理由として挙げられていたと認識しており、河津構成員が言及された日弁連の意見書の中でも、再審格差としてそのようなことが挙げられていると認識しておりますが、再審請求審におきましては、個別具体的な事案の内容のほか、具体的な主張の内容、提出される証拠の内容や量が事件ごとに異なるものでありますから、事案に応じた正当かつ合理的な違いが出てくるというのは、当然のことだろうと考えております。 ○河津構成員 実務の現状認識については、事件ごとの違いは当然あり得ますし、誰もそれを網羅的には把握していないので、それを一致させるのが非常に困難であることは否定できないと思います。また、それぞれの立場でそれぞれの評価があることも、理解いたします。ただ、過去の経験からはっきりしていることは、死刑事件のような重大事件ですら誤った有罪判決が確定しているということであり、その誤った有罪判決を覆すために再審請求審における証拠開示が役割を果たしているということなのだろうと思います。まだ明らかになっていない誤った有罪判決がどの程度あるのかは誰にも分かりませんけれども、そのようなことが存在する可能性がある以上は、我が国の刑事司法に携わる者として、誤った有罪判決という重大な不正義を是正するための制度づくりと実務の運用を進めていくことについて、積極的な姿勢を示すべきだと私は考えております。 ○足立構成員 今の議論の関連で、私も思うんですけれども、確かにほとんどの再審請求審が事実の取調べもされずに棄却されているという現状はあるんですけれども、今、河津構成員がおっしゃられたように、死刑からのえん罪とか、あと無期懲役のえん罪とか、そういったものが1件でも2件でも出ているという現状があると思います。それはその被告人の人たちの人生を棒に振るような重大な人権侵害に当たるので、ほとんどが取るに足らないような申立てだからといって、制度を改善しなくていいという議論にはなるべきではないと考えています。   あと、先ほどから統計データがほとんどなくて事実関係がよく分からないというお話がありました。そもそも本当のえん罪事件の数は極めて少なくて、事件の特徴も様々だという事情があると思います。さらに、再審請求審が非公開で行われていて、その審理の進行が国民の目にさらされていないという現状も、そういった情報の少なさが運用面の不信感、国民の不信感を増幅しているような側面もあるように私は考えています。ですので、再審請求の課題を議論するときには、やはり個別の事件の事情に踏み込んで検証して問題点を洗い出す必要があるのではないかと、それには過去のえん罪事件の当事者とか、弁護団とか、元裁判官といった関係者からのヒアリングも行うべきだと私は考えています。 ○中野参事官 事務当局から若干申し上げますと、個別事件の取扱いにつきましては従前から議論があるところですが、この協議会の趣旨は、附則の第9条に求められている政府の検討に資するために、制度・運用における検討課題を整理するために開催させていただいているということでございまして、こうした趣旨に鑑みますと、個別事案への踏み込みという御発言がございましたけれども、それへの言及が一切否定されるわけではないだろうと考えてございますが、ただ、更に一定程度踏み越えて具体的にかつ詳細に検討を加えるということになりますと、制度全体の評価を行う上でヒアリングを含め個別事案への踏み込みが必要かどうかは慎重な検討が必要ではないかと考えているところです。   ○玉本構成員 ただ今のやり取りを聞いていての感想なのですが、再審請求審においても証拠開示というものが必要であったり有用であったりする場合があり得るということについては、恐らく異論はないと思うのですね。多分それを完全に否定する人はいないのではないかというふうに思います。その上で、証拠開示を必要な範囲でやっていくということを実現するために、今は現行制度の運用でやっているわけですけれども、それでは不適切であると考えるかどうか、そう考える場合に別途新しく法制度をつくることができるのかどうかというところが論点になるのではないかと思っております。この点については、以前に特別部会でも議論があって、法制度を新しくつくるとなるといろいろ課題があるということが指摘されて当時は法整備が見送られたということですので、それらをクリアする形で何か仕組みがつくれるのかどうかというのが問題となるのだろうと思います。このように考えますと、証拠開示の必要性とか有用性それ自体が争点かというと必ずしもそうではなく、個別事件について立ち入った検討をするというよりも、むしろ制度設計論が中心的な検討課題となってくるのではないかと感じたところです。 ○宮崎構成員 補足して1点申し上げておきたいと思うんですけれども、先ほど私の方で申し上げた意見に対して、河津構成員の方から、事務負担を理由として証拠開示を制度化すべきではないという趣旨と捉えての御発言があったというふうに記憶しているのですけれども、私は一切事務負担を理由として申し上げているものではございません。再審は三審制の下で確定した判決に対してそれを覆そうとして行われるものだということがまず前提なのですけれども、この確定判決というのは、今申し上げたように、三審制の中で審理が尽くされた上で下されたものでございます。やはりその重みを無視することはできないのだろうと考えます。だからこそ再審は確定判決を覆す非常救済手続であるわけでありまして、それゆえに再審の要件も、例えば、この刑事訴訟法第435条第6号のように、「明らかな証拠をあらたに発見したとき」というふうに限定されておりますし、かつ、請求人の方でその証拠を添付することが求められるという仕組みになっているわけです。   今申し上げたように、再審請求審は飽くまでも再審事由があるかどうかというのを判断する場でありまして、原判決が正しかったのか正しくなかったのかという審査をする場面では決してないのだと思います。そうすると、やはり何か未提出の証拠の中でいい証拠はないだろうかという観点で証拠開示を求めるというのは、非常救済手続としての構造と相容れないのではないかと思うところでございます。   ○河津構成員 再審請求が確定判決を覆そうとするものであることは、もとよりそのとおりですけれども、そこで宮崎構成員が守ろうとしているものが何であるのか、私は少し理解することができませんでした。再審請求が、例えば、明白かつ新規の証拠を要件としていることは間違いありませんが、そもそも有罪判決を受けた人が明白かつ新規の証拠を発見するのは非常に困難です。それはなぜかというと、通常審の段階で捜査機関が既に収集しているからです。捜査機関が通常審で既に収集している証拠の中に無罪を示す証拠があり得るというのが、これまでの再審請求事件から我々が学ぶことができる経験なのだろうと思います。   先ほど申し上げましたけれども、死刑事件のような重大事件、それこそ三審制の中で審理が尽くされたはずの事件ですら、誤って有罪判決が確定していることがあり、それを覆す証拠が捜査機関の手元にあったという事案が複数存在することは、忘れるべきではないと私は考えます。 ○成瀬構成員 各構成員から再審請求審における証拠開示に関する現状認識や問題意識をお示しいただいていますが、松田構成員は、再審と直接関わることのない警察のお立場で、この問題についてどのようにお考えでしょうか。 ○松田構成員 証拠開示については余り知見がないので、ここで証拠開示についての発言というのは特に申し上げることはございませんけれども、御議論を聞いていて、やはりせっかくこういう統計資料も出てきたということもありますし、過去の28年改正の際の議論というのもありますので、そういったものもいろいろ踏まえながら全体の議論をすべきなのだろうと感想めいたものですけれども、持ったということでございます。 ○佐藤構成員 この段階で総論に遡った話をするのが適当か迷いますが、再審制度を考える上での視点について確認させていただくとしますと、本日の会の冒頭で事務当局から御説明があったとおり、我が国の刑事手続では、まず通常審において、被告人に黙秘権、弁護人依頼権、証人に対する反対尋問権をはじめとする種々の権利を保障した上で両当事者に攻撃防御を尽くさせることとし、裁判所の判断に対しては、三審制を採用することによって、誤った判断の是正と被告人の救済を図る仕組みとなっており、有罪判決は、このような通常審における適正かつ十分な審理を経て確定する、そして、再審は、確定した有罪判決を覆して更に審判を行う非常救済手続として位置付けられます。そのため、再審制度の在り方については、確定判決による法的安定性の要求と具体的事案における是正の必要をともに考慮するという枠組みの中で考えていく必要があると思います。   その際、仮に法的安定性の要求を過度に重視すると、誤って有罪判決を受けた人に対する救済は困難となりますし、そうであるからといって、もっぱら是正の必要を強調し、例えば、再審を非常に緩やかなルールで開始することにすると、通常審において適正かつ十分な審理を経た確定判決によって得られる法的安定性が損なわれる、その結果、法治国家における刑事裁判の意義や機能が損なわれないか、という懸念も生じてくることになります。   刑事裁判への信頼は、通常審において適正かつ十分な審理が行われることだけでなく、確定判決に誤りがあれば、その誤りが速やかに是正されることによっても基礎付けられるのだとしますと、先ほど御紹介のあった実情を踏まえつつ、是正すべき判断、救済すべき人をどのような手続、どのような要件で見いだしていくのか、をめぐっては、確定判決による法的安定性の要求と具体的事案における是正の必要の間で適切な均衡を図る、という視点を持ちながら議論をしていくことが肝要だと考えます。   その上で、再審請求審の位置付けについて、先ほど、確定裁判が正しかったか否かを改めて審査する手続ではなく、再審事由があるかどうかを審査するための手続であるという御指摘がありましたが、そのことをも前提にして、今後さらに、証拠の「開示」の問題を検討するに当たっては、具体的事案における是正の必要とともに、確定判決による法的安定性の要求がもたらす影響に留意することが不可欠であり、ここでそのことを確認しておくことにも一定の意味があると思われましたので、あえて発言させていただきました。   ○中野参事官 本日の協議としては、ここまでとさせていただければと存じます。   次回会議においては、引き続き、この「再審請求審における証拠の開示」に関する質疑応答、あるいは意見交換を行いまして、さらに、本日予定しておりました「起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置」、また、「証人等の刑事手続外における保護に係る措置」についての協議を行わせていただきたいと思いますが、そのような進め方でよろしいでしょうか。               (一同異議なし)    ありがとうございます。 ○河津構成員 そのような進め方にならざるを得ないと思いますが、当協議会の優先課題は取調べ・録音録画制度の見直しです。次回会議日程は未定ですが、12月の候補日が取り消されたことから、早くても年明けということになると思いますが、改正刑訴法の成立から既に7年以上経過しているのに二巡目の協議が始まらないことについては、小さくない懸念を覚えております。取調べ・録音録画制度の見直しについての議論も急いでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○中野参事官 御意見は承りました。引き続き、充実した議論をいただけるよう努めたいと思っております。   では、第10回の会議日程につきましてもお知らせさせていただいた上で、議事とともにお知らせさせていただきたいと思います。   また、次回の会議において皆様から資料の提出、御説明いただくお時間を設ける場合には、事前にお申出いただきたいと思います。提出の期限については、おって御連絡申し上げます。資料につきましては、事務当局において確認させていただきまして、必要に応じてどのような形で御提出いただくかなどについて御相談させていただくことは、これまでと同様でございます。   また、本日の会議の議事については、特に公開に適さない内容はなかったと思われますので、発言者名を明らかにした議事録は顕名で作成して公開することとさせていただきたいと思います。配布資料につきましても、同様に公開させていただきたいと思いますが、そのような取扱いでよろしいでしょうか。               (一同異議なし)   ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。   それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。   −了−