法制審議会 区分所有法制部会 第16回会議 議事録 第1 日 時  令和5年12月21日(木) 自 午後1時30分                       至 午後4時14分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  区分所有法制の改正に関する要綱案のたたき台(3)の検討 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○佐久間部会長 予定した時刻になりましたので、法制審議会区分所有法制部会の第16回会議を開会いたします。   本日も御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日は浅見委員、増田委員、村上委員、青木幹事、神谷幹事が御欠席です。   初めに配布資料の確認をさせていただきます。事務当局からお願いいたします。 ○山根関係官 資料について御確認いただきたいと思います。部会資料26「区分所有法制の改正に関する要綱案のたたき台(3)」及び中野幹事提出資料を事前にお送りしております。お手元にないものがある場合には、途中でも結構ですので事務局にお知らせください。   部会資料26につきまして、前回の資料からの変更点について、同様にイタリック体で示しているところでございます。主な修正点について簡単に口頭で申し上げます。  まず、4ページ目でございますけれども、28行目、定足数の部分の記載につきましてA案とB案を記載しています。次に、14ページの10行目につきまして、国内管理人を選任した場合の管理者等への通知の規定について追記をしています。そのほかのイタリック部分については、表現を整理する観点の修正や、従前からの誤記等を修正する観点の修正でございます。   簡単ではございますが、以上でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。   早速、本日の審議に入ります。本日も長時間にわたることが考えられますので、その場合には適宜休憩を入れながら御審議いただきたいと考えております。   本日は、まず部会資料26の「第1 区分所有建物の管理の円滑化を図る方策」のうち、「1 集会の決議の円滑化」の「(2)出席者の多数決による決議を可能とする仕組み」、部会資料でいいますと4ページから7ページについて御意見を伺いたいと存じます。どなたからでも結構です。いかがでしょうか。 ○大桐委員 ありがとうございます。まず、出席者の多数決で決めてしまうということになりますと、ごく僅かな方によって決議が成立するということが想定されるわけですけれども、その効果として、それを実現してしまってよいのか、はたまたその実現ができるのかといった観点から疑問を持っておるところでございまして、例えばAの共用部分の変更、これは著しい変更を指すわけですので、例えば大修繕の中でも免震ゴムを入れるといったような大規模な修繕が想定されると思われますけれども、そういった費用負担が多額に及ぶような場合に、決議をした方は賛成し費用捻出に協力するかもしれませんが、それ以外の方においては費用を捻出できなかったというような場合において、例えば、先取特権などで競売をされて出ていかなければいけないというようなことも想定されるのですけれども、そういったことが実現してしまって本当によいのかどうか、そして、そういったことによって経済力の乏しい高齢者の方々ですとか、賛成票を投じるかどうかの判断が付かないような認知症の方々を事実上排除してしまうような結果になってしまうので、そういった観点からも、実現してしまってよいのかどうかという疑問点があるので、極めて慎重にと思う次第であります。   また、Bについて考えてみましても、復旧決議といいますと、買取り請求のシステムがありまして、賛成者に対して買取り請求がなされたときに、その経済的な負担を賛成者が負担できるのかどうか、また、負担できないということになりますと実現しないということにもなりますので、そういった観点からしましても、こうしたAからEに関しては出席者の多数決というのは踏みとどまるべきと考えております。   また、そもそもこのア(出席者の多数決)が提案されたということに関しては、限界事例、管理が不十分であったり、無関心者が極めて多数に及ぶというような限界事例を基に出てきた案かとは思いますけれども、それを区分所有法という一般的な法律によって対処していこうということ自体に危険性を感じておりまして、もしそういった問題のあるような、どうしてもクリアしなければいけないような区分所有建物があるとすれば、それは対象物を限定した上で別枠、要するに区分所有法以外の特別法、行政の補助金などということも含めて、特別法の方で対処していくべき問題であって、一般法たる区分所有法において対処すべき問題ではないと理解をしております。   ですので、本来、我々としましては、アのAからFについて定足数なしに設けることは反対でありまして、今回、定足数のA案、B案というのを出していただきまして、A案については規約で定めるということですけれども、規約が必ずしも設けられない場合には、アと同じ問題点をはらむことになりますので、B案で、できることならば、前回も申し上げましたように定足数は3分の2と考えているところではあるのですけれども、このお出しいただいた過半数ということもやむなしといったところで意見を述べさせていただきたいと思います。   なお、アの出席者多数決に賛成していらっしゃる方々に、是非とも、AからFの効果としてどのようなものを目指されているのか、何を達成しようとしていらっしゃるのか、具体的な話などを御紹介いただければ有り難く存じます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。少し確認ですけれども、アのAからFについて反対というのは前回もおっしゃいましたし、承りました。最後のイの定足数との関係で、イの定足数でB案を仮に採るということになるのであれば、アのAからFについて原案のとおりになることも、やむなしというと言い方はあれかもしれませんが、それもぎりぎり考える余地はあると、そういう御意見と承ってよろしいですか。 ○大桐委員 定足数を設けた上でということですね。 ○佐久間部会長 弁護士会の御意見として。 ○大桐委員 そうです。 ○佐久間部会長 分かりました、ありがとうございました。では、やはりアとイを今のように結び付けてお考えになるということも可能ですけれども、アはア、イはイで考える面もあるとは思いますので、差し当たりアについてどのようにお考えになるか、定足数についてはまたその後伺いますので、アについてこのままでよろしいというお考えもあれば、今の弁護士会ではAからFについて反対ということでしたけれども、ほかの項目について反対という御意見もあるかもしれませんので、もう一度、多くの方から御意見いただければと思います。いかがでしょうか。 ○齊藤委員 確認ですが、アとイを別々に考えるということでしょうか。 ○佐久間部会長 取りあえずアについて、今の弁護士会のような御意見があるのは分かっておりますけれども、イはまたイで少し考えることがありますので、一緒に述べていただいても結構ですけれども、今のような弁護士会のように、アは反対なのだけれども、イでB案を採るならばというのはあり得ると思いますが、アについて絶対的に反対ということだってあり得ると思いますので。 ○齊藤委員 アについては基本的に私も今、弁護士会の方がおっしゃられたように、AからFに関しては反対でございます。それは、毎回同じことを申し上げてきて恐縮ですが、今、弁護士会の大桐委員からもおっしゃっていただいたように、@がかなりの範囲のことが普通決議でできるということは、AからFはかなり所有権に関わること、日常管理を超えている側面が大きいという意味では、出席者多数というのは、必ずしも少ない人数でないかもしれませんが、少ない人数の場合でもそれを決議ができるということには基本的には反対です。   ただし、という意見があります。定足数との関係で。 ○佐久間部会長 どうぞ、基本的には反対ということについて、「ただし」ということがあるのであれば。 ○齊藤委員 ただし、その中でもA案、B案とお示しいただいたという意味では、基本的には出席者のみで決めるということは反対でございますが、B案という方法もあり得るかもしれないと思っております。その場合、定足数が3分の2以上がよろしいのではないかということで御提案申し上げましたが、ここでは2分の1となっているということ、それは他の法律とのバランスなどをお考えいただいたのかなと思っているところでございます。   ただ、弁護士会の方もおっしゃられましたように、私はAからFというのは非常に、所有権にも関わるし、特にAと共用部分の変更規約の変更などに関しましては、58年改正前は全員合意であった、その中でこうして管理組合の運営を考えてということで多数決になった、しかし大事なことだから規約の中で勝手に決議要件は下げられないという、そういった所有権の重さというのを尊重すると、基本的には出席者多数という考え方には反対であるという考え方でございます。   ただし、定足数という考え方を少なくとも採用すると、それは少なくとももう少しでも多くの方の意見を反映するという考え方があるのかなということで、本来は3分の2欲しいところですが、B案として過半数という考え方もあるのかなと思っているところでございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   特に、アについて原案に必ずしも賛成できないという方は、この際、積極的に御発言いただければと存じます。いかがでしょうか。大桐委員、齊藤委員からは既に前回までも御発言いただいておりまして、そのほかにも同じように考えておられる方がおられるのであれば、知っておかないと先に進めませんので、あればお願いいたします。 ○小林委員 私はここに書いてあることに賛成という立場からになりますけれども、それでもよろしいですか。 ○佐久間部会長 もちろんです。 ○小林委員 私はやはり今、これは非常に難しい問題だとは思うのですけれども、現実の問題として、非常に理想的にうまくいっている管理組合だけではなくて、なかなか機能していない、管理に無関心な人が非常に増えてしまっている組合が多いというのがかなり現実の姿になってきているものですから、決めるべきことを決めるべきときに決められないというのが非常にまずい事態だと思っています。一番まずい事態がそれではないかと思っておりまして、そういう意味から、現実に今どういう状況になっているかというと、もちろん全ての管理組合というわけではないのですけれども、特に4分の3みたいなものが必要なものについては、組合の役員の方が票をまとめるために何度も全館を回って、反応がない方については二度も三度も行っているというのが実情なのです。それだけ管理組合の役員の方にも負担を掛けていますし、負担を掛けるということが、更に次に役員になりたくないというような風潮を増長させてしまうことにもつながっているのではないかと私は見ています。したがいまして、やはりドイツの例なんかも御参考に聞かせていただきましたけれども、以前は定足数があったものを定足数をなくしたと、それはやはり、やむにやまれぬ現実というものを目の前にしての御判断だったのだろうと思います。   ですから、ここはおっしゃることは非常によく分かりまして、悩ましいところではあるのですけれども、現在の状況、あるいはこれからますますマンションの数が増えていって、なかなか管理というものが難しくなっていく時代にあっては、AからFにつきましてもこの対象にすべきだと思っておりますし、併せて定足数も設けないというのが私の考え方であります。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○大桐委員 小林委員のお話で、AからFのどの決議を採ろうとしたときに、役員の方が皆さんのところに回って苦労されたというお話なのかというところは、少し確認させていただければと思います。どのような決議をするときのお話でしょうか。 ○小林委員 一番よく聞くのは4分の3の共用部分の変更決議の関係です。 ○齊藤委員 ありがとうございます。小林委員からも現実に即した御指摘があったのかなと聞いていたのですけれども、今回この出席者多数で決めるということの背景に、例えば管理不全マンションの問題という御指摘がございましたが、管理不全マンションというのもそれほど多くないということですし、今、特別多数決議が大変だということがございましたが、これも私が調べた中ではそういうものが余りないということでは、私の理解が悪いのかもしれませんが、本当にそういうふうにしなければいけない必然性という事実をなかなか理解できないところでございます。   ということで、総会の出席状況を示していただきました。例えば出席者、総会の出席率が80%ぐらいですよということでした。しかし、この数字が信用できないというわけではないですが、この数字の対象になっているマンションもよく分からないという中で、そういった数字を聞いて、分かりました、それでは出席多数ということにしましょうというわけには今の段階では私はできないと思っています。そういう意味では、ここまでやらないと本当に困るのだという事実をお示ししていただければ、それほど理解が悪くないと思います。初回からそれをお願いしてきました。   私からは、そういう対応が必要ないのではないかという裏付けとなる数字を今まで具体的に示してきました。また、現場の声もお届けしてきたと思いますので、現段階において非常に重要なことを少数の方で決めていく、そして、「あんな少数の方で決めたことだから、我々は従えない」というマンション内トラブルを防ぐためにも、是非多くの人が参加した中で物事を決めていっていただきたいという気持ちには変わりはございません。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。   では、アについて取りあえず反対の御意見があればおっしゃってくださいと申し上げましたけれども、お二人の委員からは伺いましたが、ほかの委員からは特に反対の意見はなかったということであろうと思います。お二人ともアについて反対の意見をおっしゃるに際して、イの方で定足数、A案、B案のうちB案を採るならばともかくとおっしゃいましたので、差し当たりアについて原案どおりということを前提にいたしまして、その場合に、お二人の委員以外にも、アについてはこれでいいのだけれども、やはり定足数を設けた方がいいとお考えの方もおられるかとは思いますので、定足数について御意見を頂ければと思います。繰り返しますが、差し当たりアについて@からFまでを出席者多数決の仕組みの対象とするということを前提といたしまして、定足数について、これは分布を是非とも知りたく存じます。迷っているということでも結構でございますので、迷われているときには、どの観点とどの観点というようなことをできればお示しいただければと思いますけれども、これは広く意見を頂きたいと思います。   大桐さん、齊藤さんからは既に伺っておりますので、加えて言っていただくことは構わないのですけれども、それ以外の方につきまして、取り分けA案なのかB案なのか、どちらが好ましいか、それはどういうことかということを、ほかの方との重複になっても全然構いませんので、繰り返しますが、分布をできれば知りたいと思いますので、お願いをいたします。いかがでしょうか。 ○小林委員 今申し上げたとおり、私はA案であります。 ○佐久間部会長 すみません、先ほど理由も含めて小林さんからもお考えを伺っていました。 ○寒竹委員 私もA案でよろしいかと思います。理由は、やはり出席者を募るのが結構大変な場合もあると思っておりますので、A案ということで、場合によっては規約で定足数の規律を設けることもできるとしておりますので、そこで調整ができるのかなと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○森本委員 ありがとうございます。A案に賛成いたします。区分所有者の責務を履行する上でも、区分所有者には集会への積極的な参加が求められると思います。そのためには、集会の招集者は区分所有者に集会の決議に関与する十分な機会を与える必要があり、書面投票や議決権の代理権行使、そして十分な招集期間の確保等により、多くの区分所有者が決議に参加できるようにすることが望ましいと考えます。管理組合が機能している区分所有建物では、これらの環境が整備されて、より多くの区分所有者が集会に参加することが期待され、一部の少数者で物事が決まっていくといった懸念は払拭されるのではないかと考えます。   一方で、管理に苦慮している区分所有建物は現に存在しています。そして、建物の経年化が進むにつれ、区分所有者の高齢化や相続に伴う非居住化により、管理に関心がない区分所有者が増え、定足数があることが障壁となり、集会の決議ができずに管理不全に陥る区分建物が増えていくことが想定されます。そうした区分所有建物についても、管理に関する決定ができるようにすることも必要です。そのためには、集会に参加した者の多数による決定で管理に関する変更等ができるよう、定足数を設けないとすることにも意義があり、賛成するものです。   多数の区分所有者が集会に参加して、管理に関する決定をすることが理想ではありますが、管理が機能している区分所有建物も、そうではない区分所有建物も、集会を円滑に運営できる方策が必要だと考えます。また、多くの区分所有者の参加によって区分所有建物の管理がなされるということは、健全な管理という面で非常に重要な事柄となります。既にそうした体制が整っている区分所有建物においては、規約において積極的に定足数を設けて、その状態を維持していくことの重要性を明示しておく必要があり、規約で定足数の規律を設けることを可能とするA案に賛成します。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。 ○紺野委員 結論から申しますと、本当に迷うところなのですけれども、A案とB案の折衷案というのか、それはなぜ申しますかというと、集会の定足数は設けないが、ということで、その後、ここのところでB案の場合は法律上ということで過半数となっているわけです。それで、私どもは連合会の中でもこれは二分するところなのです、確かにここは悩ましいところ、というのは、ここの定足数といいますか、出席の形をとりますのは結構、現実には総会とかなんとか、みんなこういう決め事の場合に大体委任状が多いのです。それで、委任状も、はっきり言うと、管理組合が積極的にかんでいるかというと、それは過半数しかないのです。管理会社委託されていると、管理会社が成立させるために、票集めでもないですが、単純に言ってしまいますと、それで出席としてみなして、少数の場合で可決するというケースが多々あるものですから、殊に、齊藤委員も先ほどおっしゃっていましたけれども、昔は全員合意だった、どちらかというと、ここら辺の上の方の形での共用部分の変更とか、そういう所有権に関するところは全員一致だったのが、これを緩めてしまいますと、一部の人たちにおいて変更がされて、後からトラブルになるというケースが多々出てきているのです。   ですから、私はここのところでB案という方向で進むべきではないかと考えております。やはり制約をしておかないといつの間にか、というのは、管理組合の運営に対して無関心層がというか、他人任せという、如実に最近多くなってきていることは事実です。そこを少し懸念しておりまして、我々のところでも先日打合せをしたのですけれども、やはりA案、B案、それで、前回のときに私、申し上げましたけれども、手前どものような連合会に加入しているところは関心が高くて、課題を解決しようということで一所懸命あれしているのですけれども、ことに高経年マンションになりますと賃貸率が高くなっていますから、そこまで追えないとか、そういう形で後からトラブルになっていると。逆に言いますと、なぜああいう形になっていくかということをもう少し掘り下げないといけないのかなと思っております。   回答になるかどうか分かりませんけれども、私はこれをアの方で成立させて、しかも、一番、私も前回申し上げたのですけれども、少し戻って申し訳ないのですが、規約の設定、変更、廃止、これは管理組合としては一番バイブルなわけですね、そこのところまで単純に分からない、よく説明しないと、事前に集会等を開催して説明をしないと、管理組合のメンバーは本当に理解ができて賛成するのか、反対するのかというところを危惧しております。というのは、今現実においても、逆に申しますと、割と管理がしっかりしているところはいいのですけれども、していないところで、逆に言うと管理規約も変更できないというケースも出てきていることが、管理会社に委託しておいてですね、そういう事例も出てきているものですから、少なくともこれはAかBかと言われたら、B案でやっていくほかないのではないかと思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○細谷委員 私も非常に迷うところでございまして、いろいろな先生方のお話と現場のお話を伺った上で、やはりB案がよろしいのではないかと思っております。例えば、B案が過半数と決め込みではなく、規約でこれを上回る割合を定めることを可能とすると、そういうところの文言を追加していただいているので、それは今後、管理組合がどのように自分たちの管理をしていくかということを自主的に決められるというところもございますので、そういった点も含めて、賛成としております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。 ○能登委員 ありがとうございます。我々もA案、B案、どちらの立場もよく分かるので、悩ましいところだと思っておりますが、1点、考えを整理していく上で質問させていただきます。B案の定足数の考え方が現状多くのマンションで用いられているであろう標準管理規約の定足数の考え方と一致していないというところに違和感があります。標準管理規約では、議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならないと規定されていますので、B案で区分所有法に規定されると、現行の規約で管理が適正に行われている現場も規約変更が必要となるかと思いますので、今回、過半数とされた理由について、教えていただきたいと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。 ○望月幹事 今の御質問は、この定足数の中身として、現在の標準管理規約で定足数の定めがされているものを見ると、半数以上の議決権を有する区分所有者ということになっているのだけれども、今回、半数以上ではなくて過半数とした理由は何かと、そういうことでよかったですか。 ○能登委員 はい。法律で定足数を原則過半数と定め、規約では過半数を上回る設定しかできないというのがB案ですが、半数以上という規約で適正に管理が行われているマンションでも、法律の規定を満たさないという形になるかと思いますので、比較的ドラスティックな案だと感じました。 ○望月幹事 今回ここで過半数とさせていただいたのは、株主総会の会社法の規定を参考にさせていただいて、団体での意思決定をする際の定足数の定めがどんなものがあるかというところで見させていただいたところ、過半数というところが現在採用されておりますので、その考え方を持ってきたということになります。もう一つ、現在標準管理規約で定められているのは、普通決議の場面かと思いますので、今般、AからFまで出席者多数決として定足数を設けるということになれば、現在うまく機能しているところについても、定足数の中身を過半数にするか半数以上にするかにかかわらず、特別決議のところも含めて考えていただく必要はあるのではないかと思っております。 ○能登委員 ありがとうございます。A案かB案かについては、業界としては意見が割れておりますので、今の状況も伺って、今後また発言する機会があれば、お伝えしたいと思います。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。 ○齊藤委員 ありがとうございます。私は先ほどA案かB案かといったらB案と申しました。今おっしゃられました会社法の309条、それに基づいてという。ですから、定足数があるのは、大事なところでは当たり前ではないかという御指摘かと思います。ただ、会社の株主と社員の関係と、区分所有者が総会で決めて、自分たちで決めたことを自分たちで守るというのが同じかと言われると、少し違うとは思いますが、一つの参考の事例として考えられるのではないかと思います。また、一般法人法で見ましても、定足数として議決権の過半をということがありますので、とても大事な会議におきましては、少なくとも定足数を設けるというのは必要ではないかと思っています。この法制審議会も定足数がありますよね。 ○佐久間部会長 あります。 ○齊藤委員 ありがとうございます。ということは、基本的に大事なことを決める時には定足数があるのではないかと思います。先ほど全管連の紺野さんがおっしゃられましたように、余り少ない人数で決めてしまうと、少数の意見だということでトラブルを生んでいくという意味では、私はマンションの中においてトラブルはできるだけ予防したいという意味からも、是非少しでも多くの方の御意見が反映できるという形が大事かと思っています。   私の意見に併せて2点ほど質問したいのですけれども、よろしいでしょうか。   1点目は、確認でございますが、集会に参加したけれども白票を出したとか棄権したという方は、どちらにカウントされていくのでしょうか。飽くまで確認でございます。   2点目、今後どういう形になるにしても、規約でしっかり定めてくださいということも重要になってくるかと思います。そのときに、今の標準管理規約に合わせての規約をお使いになっている方々も多いと思いますが、法律が変われば、少し先走っているところはございますが、管理組合の皆様が混乱なくスムーズに行くためにという意味での質問でございますが、区分所有法が変わった場合、今、標準管理規約に準じている規約は、規約もすぐに改正できませんので、多分区分所有法が改正された後、今ある規約で動くということも考えられますが、その際に、その規約はそのまま生きていると理解すればよろしいでしょうか。それとも、法律のベースが変わりましたら、その部分は別に読み替えるということになるのかという辺りも、今ではなくてもいいかもしれませんが、今後この法律が動き出し、管理組合が混乱しないようにという意味から確認しておきたいと思いました。   質問は以上、2点になります。よろしくお願いいたします。 ○望月幹事 まず、白票とか棄権票と定足数の関係でございますけれども、白票とか棄権票ということで、出席しているけれども自分はここについては棄権しますと、こういうことを言っていれば定足数には当然入ってくるかと思います。ただ、賛成票とは数えられないということだと思います。 ○齊藤委員 賛成票にはならない。 ○望月幹事 はい、ただ、定足数の人数の中にはカウントされてくるということだと思います。 ○齊藤委員 分かりました。ありがとうございます。そして、規約の有効性。 ○望月幹事 もう一つの点は、そもそもまず、法律がいつ成立するかという問題とも関わってくるかと思いますけれども、法律が成立するまでは今の法律が変わるわけではありませんので、今の標準管理規約のままやっていただくことになりますし、仮に法律が変わったということになったとしても、いつから適用がされるのかというのはまた別問題としてありますので、そこは先生御指摘のように、現場の問題もありますので、現場の周知等、しっかり遺漏なきようやっていきたいと思っているところです。 ○齊藤委員 分かりました。どうも御丁寧にありがとうございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○吉原委員 ありがとうございます。私は実はいまだに決めかねております。考える上で一つ質問をさせていただきたいのですけれども、定足数を法律で設けた場合に、万が一その集会において定足数を満たすことがどうしてもできなかった場合、そのときの対応方法としてはどのようなことが考えられるのでしょうか。法定された後、どう頑張っても過半の出席を得ることができない場合に、意思決定ができなくなりそうなときには、どういう手当てをセットで考えるという想定なのか。先ほど紺野委員から、既に規約の変更ができないような場面も出てきているというお話がありまして、そういったときにはどうするのかということを教えていただければと思いました。 ○望月幹事 ここは正にA案の理由の一つとなっているところで、定足数を満たすことができない状態のところについては特別決議ができなくなってしまうというところの問題点から、A案という発想が出てきているのだと思います。そういう意味では、B案の考えを採る方は、そこを先ほど大桐委員からは、別の枠で考えるべきだという話がありましたけれども、そういうふうに別の枠で考える、この区分所有法の中ではそこまでは手当てができないということで整理をすると、こういうことがB案の考え方だと思います。 ○佐久間部会長 前回最後に、今日これを御議論いただきますということでお願いした際に、観点は大きく分けて二つあると申し上げました。一つは決議の正当性の確保であり、もう一つは、限界事例を基にですけれども、管理不全マンションについての決定不全をそのままにしていいのかという問題であり、最終的にはどちらかを採るしかないと申し上げました。今の吉原さんの御質問でいうと、仮に定足数を、どの数字であっても、設けますと、それを満たせないところでは法的に有効な決議は何らできないということになりまして、例えばですけれども、一部滅失のようなことが起こった場合に、復旧なのか変更なのか、それはどちらもあり得ると思いますけれども、これが少なくとも法的に有効な形ではできないということになります。ですから、B案を採るという場合には、そこはもう仕方がないということで、この区分所有法制部会では割り切るという態度をとるということになります。それに対しまして、A案を採るという場合には、決議の正当性について疑問が生じ得るときもあり得るけれども、もうそれは仕方がないということで決めるということになろうかと思います。もしよろしければ、お続けください。もしそこで一旦ということであれば、それでも結構です。 ○吉原委員 大変よく分かりました。ありがとうございます。もうそこは最終的にはどちらを採るかということだと思います。無関心層が増えているということ、それから、建物の長寿命化のために、できるだけ多くの出席者を得て、円滑なコミュニケーションのために多くの人で合意形成をしていくべきであるという、その大原則は本当にここで共有されていると思います。その目標を達成するために、AとBのどちらがより有効かということが本当に難しいところだと思うのですけれども、もしも、例えばAにした場合に、本当に多数の人を集めようというインセンティブはがくっと落ちてしまうのかどうか、そこも確証がないところだと思っております。そこは、是非現場に精通した方々からお聞きできればと思います。Aにした場合に本当に、ではもう、少数の人で決めてしまっていいねと流れてしまうのか、あるいは、建替えのときの議論で、決議割合が幾らであっても、やはりなるべく多くの合意が取れるように呼び掛けるのですよというようなお話も、ヒアリングをした先の方からも発言があったのではないかと思います。よって、法律でどういうふうに定められようとも、そうした現場でのインセンティブは変わらないのかどうか、そこが私には現場の感覚がなく分からないと思っております。   そこを確認した上ですけれども、どちらかを選ぶのだとすればA案かと、非常に苦しいのですけれども、思っております。定足数を定める必要性はあると思います。その定足数を法律で定めるのか、規約で定めるのか、その意味の違いは何だろうかと考えたときに、法律というのは飽くまで決議の基本ルールを定めるものですと。賛成の人、反対の人に加えて、賛否不明の人という第三のグループが増えてきている中で、この賛成、反対の明確な意思を持って参加している人をカウントしていきましょう、第三のグループについては賛成票とも反対票ともしないニュートラルとするのですと、そういうまず基本的な決め方のルールの整理をするのだと。そこが法律で決めるべきところではないかと考えます。そして、より多くの人の出席を得て合意形成をしていくという、区分所有建物という団体の性質、また、決定の内容が後々、参加しなかった人にもその拘束が及ぶという特性を踏まえれば、より多くの人に参加を呼び掛ける必要があり、その割合については、マンションの住人たちが自分たちの意思で決めるのだと。このように考えれば、定足数については規約で決めることだと整理も付くのではないかと思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。   御意見をお持ちの方は、もう大体おっしゃっていただきましたでしょうか。別に発言しろということではなくて、よろしゅうございますか。   今の吉原さんの御質問にあった、A案を採った場合にどのぐらい、今うまくいっている管理組合でうまくいかなくなるというか、ずさんな管理に流れていくおそれがあるのかについて、誰も確証を持っては言えないとは思うのですけれども、感触がおありの方はお教えいただければと思いますけれども、いかがですか。 ○紺野委員 一つの事例というか、少し似たような事例というのがあるかもしれませんけれども、私が体験したところでは、ある100戸以上のマンションで、実際に定足数は確かに過半数行っているのですけれども、実際に当日、総会といわれているところには、理事が10名のうち6名しか参加していないとか、それであとは区分所有者が2人、あとほかに管理会社の方がフロントを含めて3人ぐらい、それで決議しようということで、これは普通決議ばかりでない特別決議の部分も入っていたのですけれども、その代わり、その提案されているのは管理組合から提案されていない、業者の方から提案されたものがそのまま通ってしまうというような形のケースがあるのです、極端な例は。それに近いことが結構、一番苦労するのは、やはり機関決定である総会の招集のときなのです。これは、管理委託をしている場合には、やはり管理会社は理事会から言われて、俗にいう出席数を集めるような行動をとっている場合がありますので、そういうケースが今後尚更増えていくのではないかと。今、国交省の方でワーキンググループでやっていますけれども、外部専門家という一部の中に、通常言われている第三者管理になりますと、どちらかというと誘導方式になって、そちらの自分の都合のいいほうになっていく、殊にこの@からFのうち、普通決議の部分はよろしいのですけれども、特別決議になった場合にはどうかというのは、そこでもガードすべき問題が出てくるのではないかと、本当に組合に対して丁寧な、それこそ説明が事前に総会の機会にあれしたのか、そういうところは大体、理事会機能というのがなされていないケースが多々あって、あなた任せの場合がありますので、そういうケースを今後ますます懸念しております。   私の方からは以上です。そういう例があります。 ○齊藤委員 ありがとうございます。管理不全マンションについての御心配、ありがとうございます。大変重要な御指摘かと思います。   ただ、管理不全マンションについては、私たち自身が新しい制度を一生懸命皆さんディスカッションし、作ってきたという意味では、それをしっかり使っていくことではないでしょうか。ですから、現場としては過半数の委任状も議決権行使書も集められないようなマンションで決議して、本当に前に進んでいくのでしょうかということです。あと、マンション管理適正化法でマンションの問題のあるところに勧告制度もございますので、決議ができるようなマンションになるようにしっかりと公法、政策も含めて立て直していくということが重要で、非常に少数のレアなケースのところのために多くのマンションに対して御迷惑を掛けるような、御迷惑という言い方は少し適切ではないかもしれませんが、そうした対応は適切ではないと考えます。最終的に今回の法制審議会で議論しています円滑な再生を目指すためにも、最後は全員の議決権で決めるわけですから、その決議と大きなかい離があるような決議を日常的に繰り返していくということは、最後に大きなツケが来ることになります。我々がここで集まって一生懸命議論してきたことと逆の方向に行くのではないかと思っておりますので、是非、管理不全マンションの話も重要ですが、全体の大きな状態を見ていただきたいと思っていることが1点目です。   それから、A案を採った場合に、「皆さん、総会の参加者を増やすことを頑張りませんか」という質問をして、管理組合が、「はい、頑張りません」となかなかお答えできないかと思います。また、「頑張らないでしょう」と私も含めてなかなか言えないと思います。そこで、何社かの管理会社さんにヒアリングさせていただきました。管理会社はお仕事で委任状等を集めておられるので、今、紺野委員がおっしゃられたように、目標値をクリアできるように集めてこられるという意味では、そのハードルが下がればそこまで頑張ってやらない。成立できるところまででよいという御意見をいただきました。企業ですから、それが悪いという意味ではなく、目標が低いレベルに変わっていくわけですから、そこまでしかしないということです。管理会社さんが正直に、我々はボランティア活動ではございませんからとおっしゃられたという意味では、それが真実になっていくのではないかと思います。ですから、絶対そうなるのだという保証があるわけではないですが、情報の共有という意味で発言させていただきました。ありがとうございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   では、この論点につきまして、まず、出席者多数決に関しましては、大方の意見としては特別決議を含む@からF全ての決議について、出席者による多数決の規律の対象とするという原案が支持されているものと伺いました。その上で、定足数の規律の創設についてはA案、B案それぞれを支持する御意見がともにあり、ほぼ拮抗しているという状況だと思います。A案とB案、これは両立するものではございませんし、それぞれの重視する観点も明らかに違っておりますので、最終的には決定をこの部会でしなければなりませんけれども、本日承りました御意見を踏まえて、更に事務局において検討、調整していただいた上で要綱案の原案を準備していただき、次回、要綱案の取りまとめができればと思っております。   では、続きまして部会資料26の「第1 区分所有建物の管理の円滑化を図る方策」の残り全てにつきまして、御意見があれば伺いたく存じます。いかがでしょうか。どこでも結構です。 ○小林委員 ありがとうございます。何度も同じ内容を発言しているのですけれども、区分所有者が国外にいる場合の国内代理人の仕組みのところです。これまでも申し上げていますように、現在の案ではできる規定となっておりますけれども、私としては法律上義務付けていただきたいと思っております。法律で義務付けるのと規約で義務付けるのとでは実効性に大きな差があると考えております。はるかに法律での義務付けには重みがあると思います。特に、国内管理人を変更するような場合には、法律による義務付けの場合と違って、規約による場合には届出されないで放置されるケースが相当出てくるのではないかと危惧をいたします。国外の方が国内と比べて連絡が取りにくくなるというのは、厳然たる事実ではないかと私は考えます。そのことで現実に困っている管理組合は非常に多いと承知しておりまして、そういう管理組合を救う必要性があるということも十分に一種の理屈付けになり得るのではないかと思っております。   前回も申し上げましたけれども、法律上義務付けをすることによって何か具体的に問題、副作用が出てくるということであれば、考えなくてはならないと思いますけれども、特に副作用がないのであれば、義務付けてよいのではないかと思っておりまして、私としては何か副作用が出てくるというような内容が思い付きませんので、義務付けていいのではないかと考えております。   ここの資料には、国外にいることのみをもって義務付けを正当化することは困難と書かれておりまして、管理をしっかりやっている者についてまで義務付けする理由がないというような説明も受けているところでありますけれども、この管理をしっかりやっているということの具体的な意味を考えてみますと、管理費や修繕積立金など必要な費用をきちんと払い続けているというのはもちろんのことで、総会の議決権行使などを含めて本人と遅滞なく連絡が取れるということと、それから、区分所有建物に何かあって現地に行く必要が生じたときに、誰かしらがすぐに対応できるということになるのではないかと思います。   この現地に行く必要ということにつきましては、親族や賃借人なども含めて、要するにしかるべき権限を持った代理人的な存在という者がいるはずでありますので、代理人の選任義務を課すことに特段問題はないのではないかと、実質的に既にいるはずだということで、問題ないと考えております。また、本人と連絡が取れるということにつきましては、電話とかメールを登録したとしても、何らかの理由ですぐに連絡が取れなくなるという事態は想像できるところでありますので、やはり国外の場合には代理人選任の必要性が特に高いのではないかと考えております。   前回、部会長から気になる点が二つありますよということのお話がありまして、その1点目が、その場ではよく分かりませんと申し上げたのですけれども、先日送っていただいた議事録を読み返してみたのですけれども、やはりよく分かりませんので、どういう意味なのか、もう少し教えていただけると有り難いと思います。   それから、その2点のうちの2点目の、住所の届出義務がないというところは、確かに区分所有法上そうなのだろうと思いました。現行法は、当該区分所有建物に居住しているだろうという前提で作られているからなのかなと想像するのですけれども、外に居住して賃貸に出しているという方も少なくないわけです。また、リゾート型とか投資型のマンションというものもあるわけです。こういうケースについても連絡先が分からずに問題になっているケースがあるわけです。今回この14ページに、国内管理人を選任した場合の、その連絡先の通知義務に関するBというのを追加していただいております。しかし、考えてみると、そもそも区分所有者自身についても、国内居住の場合であっても、その区分所有建物の外に居住する場合には特にですけれども、住所を届けねばならないという規定を置くことも考えられるのではないかと思っておりまして、タイミングがぎりぎりになってしまっておりますけれども、御検討をお願いできないかなと思います。   それから、なお付け加えますけれども、細かい点ですけれども、Bのところに国内管理人の氏名又は名称及び住所と書いてありますけれども、これは郵便が直接訪問以外の現実的な唯一の手段だった時代の発想のように感じますので、現代では、例えば電話番号とかメールアドレスとかいうのは恐らく必須ではないかと思います。確かに法文上それをそのまま書けないとすれば、例えば省令に委任するとか、それも民事法で委任規定というのがそもそもあり得ないのだということになると、その他必要事項などと工夫することができないかなという気がいたしております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。 ○望月幹事 まず、区分所有者に対しても、別の所に住んでいる方については住所の届出義務等を課すべきではないかというお話もありましたけれども、これはやはり区分所有者だけなぜそういう届出義務を負うのかというところについて問題になりますし、ここも国内管理人の選任の義務付けと同様の問題として、管理等ができている方について一般的にそういったものを義務付けるということを法律で書くというのは、難しいのではないかと思います。   国内管理人の義務付けに関しては、今回の補足説明で書いてございますけれども、やはり海外に住んでいるというだけで全て国内管理人を選任しなければならない、こういうところまでは言えないのだと思います。現実的には誰か別の方に管理をお願いしているという人も当然いるかとは思いますけれども、それが全てではないわけで、自分で通知を受け取ったり、議決権行使をしたい人、それを他人に任せたくない、こういう形態も許されているわけでございます。これがしっかりできている方についてまで国内管理人を選任しなければならないと、こういうところまで法律で一般的に書くというのは難しいと思っておりまして、今回、飽くまで法律の規定としては国内管理人を選任することができるというところにとどめているということになります。 ○佐久間部会長 私が前回申し上げた2点のうちの1点は、小林さんはこの義務規定を置いても特段の不都合はないとおっしゃったわけですけれども、特段の不都合はないのかもしれないけれども、特段の効果もない。結局のところ訓示規定みたいなものにしかならないわけでありまして、そのような訓示規定に当たるものを民事の基本法、民事一般ではありませんが、区分所有建物に関する民事の一般法にどんどん置くということ自体が、そもそも法律の趣旨になじまないということを私は申し上げたつもりでおります。ですから、その趣旨から、もちろんおよそ置いてはいけないということにはならない。だけれども、置くべきだということについて言うと、やはりその法律の性格が、そういうことをやっていますと、どんどん変わっていってしまいますので、適当ではないのではないかということを1点目としては申し上げたところです。これで一応、御質問いただいたことについてのお答えにはなりましたでしょうか。 ○小林委員 佐久間先生のお考えは理解できました。ただ、私はやはり、確かに訓示規定かもしれないけれども、法律で書いてあるということの意味合いというか拘束力といいますか、それはある程度大きいのではないかと思っております、ということを申し上げたいのと、それから、区分所有者だけ何で届出義務を課すのだと参事官はおっしゃいましたけれども、やはり区分所有者というのは管理組合を構成する不可欠の人でありまして、その人たちが管理費あるいは修繕積立金を払わない、払うことができない状態になっているということになりますと、管理組合の運営にも多大の影響を及ぼすことになりますので、やはり届出義務を課すということにはそれなりの理由があるのではないかと私としては考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。ほかに御意見があれば。   中野さん、この点についてですか。違いますね。   この点について、何か御意見がありますでしょうか。 ○大谷幹事 これは前の部会資料で書いていたことがあるかと思いますけれども、区分所有者に限らず、不動産の所有権の登記名義人には来年の4月から、国外に行かれたときには国内の連絡先を登記していただくというルールが始まります。区分所有者の方にもこれは適用がありますので、今後はその国内連絡先というものが外国居住の所有者には登記がされるということもありますので、これはまたここで御議論いただいている国内管理人とは別の仕組みでありますけれども、連絡が取りやすくなっていくというところもあります。この国内管理人の方は法律で義務付けるということはしなくても、規約の方では義務付けられるようにするというようなこともお示ししておりますけれども、そういうことでいろいろ合わさって、今後管理組合の運営がよりよいものになっていくのではないかと思っているところでございます。 ○佐久間部会長 ほかに、この点について何か御意見がおありの方がおられますか。よろしいですか。   では、中野さん、お願いします。 ○中野幹事 私も、今回でいう(3)の14ページ、6、共用部分等に係る請求権の行使の円滑化について、本日資料を御提出させていただき、皆さんに御覧いただいているかと思いますので、その点について少し述べさせていただきたいと思います。これは25の部会資料を見ながら書いておりますが、本来26の方がよかったかもしれませんが、ほぼ同じ内容ですので、このままで御容赦いただければと思います。   分割債権か非分割債権かというような議論が当初なされておりまして、分割債権の原則を覆すことはなかなか難しいのではないかというようなお話がございましたが、翻って考えてみますと、私の資料の1ページ目、2番、我妻栄先生と3名の先生方を例として挙げましたけれども、当然分割債権であるというような考え方は必ずしも正しくないとおっしゃっておられるということを記載させていただきました。特に我妻栄先生、分割債権関係は、多数当事者の債権関係における個人主義的思想の現れである、その長所も否定できないであろうが、その適用範囲に慎重な制限を加えないで漫然と多数当事者の債権関係の原則とすることは不都合な結果を生じることを免れないとおっしゃっておられますし、星野先生も、個々の場合に応じ、できるだけ不可分債権・債務、連帯債務、合有債権・債務と解するのが妥当であるという説が有力で、基本的にそれが妥当だと考えるというようなことをおっしゃっておられるということがあります。2ページ目になりまして、特に潮見先生におかれましては、可分か不可分かについては、どちらが原則ということではなくて、やはり並列して、どちらがいいかフィフティ・フィフティで考えて御判断された方がいいのではないかというような御意見を述べておられます。   3番に書いたとおり、民法学上も比較法上も、我々がここで分割債権の原則をなかなか修正するのは難しいというような議論をする理由はないのではないかと思っておりまして、全く真っさらに見て、今回の共用部分の修補に関する債権、修補請求権、それに代わる損害賠償請求権を、原則、例外を全然考えずに、どちらが適切な考え方だろうかと考えた場合には、やはりこれは性質上不可分と考えた方が実務的にも理論的にも正しいのではないかと考えております。   その上で、実際の不都合性というものを2ページの下から3ページに掛けて書いております。これにつきましては、前回の御議論も踏まえて、もう実質的な議論は終わりだというような話もありましたけれども、是非もう一度、御再考いただきたいと思っているところを書いてあります。大半の譲渡例は瑕疵発覚前の譲渡であるわけでしょうが、その場合、瑕疵が考慮されず、瑕疵がないことを前提とする価格での譲渡になります。現実の売買契約には、瑕疵担保責任については期間が短かったり免責特約が付されたりすることが多い、そういう状況の場合で、瑕疵修補に代わる損害賠償請求権について譲渡時に債権譲渡等の手続がとられない以上、譲渡人の下にとどまるとしてしまうとなれば、これは瑕疵なき前提での価格の区分所有権を譲渡した者に更に賠償請求権も認めるというような二重利得を許すような形になって、これは現状の契約形態からしても極めて不都合な結果になるのではないかと思っております。   また、瑕疵発覚後に安価で区分所有権を譲渡せざるを得なくなることがあるといたしましても、それは当該譲渡者の保護は、瑕疵が修補されるか修補に代わる損害賠償義務が履行された場合に代金額を見直すとの特約を付すことで回避が可能だと考えております。ここでのやはり問題の本質は、譲渡契約における代金の調整というような問題ですので、利益調整について専ら当事者間の合意でやはりなされるべきものであると考えております。   佐久間先生から買取りビジネスの跋扈を懸念されるというような御意見も頂きましたけれども、やはりこの責任追及は奏功する保証がないという状況の中で、実際にそのようなものがばっこするようなことは考えにくいのではないかと思っております。   もう一つ、今回の部会の全体としての趣旨もそうですけれども、管理不全のマンションが存在するということは確かだとは思います。だからといって瑕疵修補に代わる損害賠償請求権の単独行使を認めるということになりますと、ますますマンション管理の重要性の自覚が薄れるという悪循環に陥り、特に、改正議論にありますと、区分所有者の責務などを取り入れたらどうだろうかというようなお話がある、そういう中での議論とは本末転倒の結果になってしまうのではないかと思っております。やはり共用部分に瑕疵があった場合に、区分所有者が修補を実現しやすくするために必要な法制度、これはどのようなものであるかということを是非再考していただいて、修正案を作っていただきたいと思っております。   まとめというところは、このように書いておるところですので、そのような形で再度、皆様の御意見、特に分割債権の原則を、やはりなかなかそれを修正することは難しいのではないかとおっしゃっておられた先生方もいらっしゃいますが、そうではないという学者の昔からの考え方もあるということを前提に、この御議論がそう難しいものなのですかということを御検討いただければと思っております。 ○望月幹事 この共用部分に係る請求権の行使の円滑化の点につきましては、前々回、それより前もですけれども、中野先生の方から具体的な事例に基づいてのいろいろな御指摘を頂きまして、前々回、前回と非常に充実した議論ができたと思っておりまして、非常に感謝しているところでございます。どうもありがとうございます。   その上で、そこの議論も踏まえて今回の案を考えさせていただいておりますけれども、結局のところ、一つの場面とか、ある一事例を取り出したときには、このように共用部分等に係る請求権、これを専有部分の譲渡に伴って移転させると、こういう制度がうまくはまる場面もあるかもしれないというところは、場合によってはあり得るのかもしれないですけれども、ただ、それを法律でこの請求権の帰属、これを法律で強制的に決めてしまうというところまでできるだけの事情があるかというと、そこは難しいのではないかというのが前回、前々回の議論でも出ていたところかと思います。   今回解消しようとしていたところは、正に帰属の面ではなくて行使の場面で、これまで管理者が代理して行使できるという制度があったのに、誰か一人が転売をしてしまうということが起きた場合には管理者による一元的な行使を認めませんと、こういう裁判上の扱いがされているというところが問題視されていたのだと思います。そこの点については今回の改正で十分クリアになっていて、転売等がされた場合でも管理者による代理行使が可能になっている、ということができているわけです。ですので、現在問題とされている点は今回の改正で解消が図れるものと考えております。   その上で、更に帰属の場面まで、財産権処分に関わる場面まで、別途の規定を設けて法律で一つのルールを決めてしまうというところまでできるかというと、そこがなかなか難しいのではないかと前回、前々回の議論を伺っていて考えたところでございまして、引き続き従前の提案の方を維持させていただいているというところになっております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。この点でも結構ですし、ほかの点でも結構です。 ○大桐委員 ありがとうございます。このBの別段の意思表示につきましては、こちらの規定というのは任意規定ということでよろしかったでしょうか。確認を一旦させていただければと思います。 ○望月幹事 Bの規定については、この別段の意思表示をした区分所有者には適用しないということで、別段の意思表示自体を可能にしているというところに関して、例えば、この部会資料でいうと16ページのなお書以下のところに、平成27年判決についてはなお解釈に委ねているというところの記載がありますけれども、こういう規約であるとか決議をすること自体を否定するものではありません。この27年最判の射程がどこまで及ぶかというのは解釈に委ねているということですので、今回この別段の意思表示をした区分所有者には適用しないということを書いたからといって、個別行使を禁止するという規約を締結することを許しませんと、こういうところまで言うつもりはありません。そういう意味では、任意規定ということになるかと思います。 ○大桐委員 今おっしゃったことについて、やはり法律上、誰が読んでも分かるような形にしていただくのがよろしいかとは思いますので、例えば、規約あるいは決議に別段の定めがない限りですとか、あるいはただし書でそうした文言を設けていただいた方が、条文としては分かりやすいのかなとは思っております。最判の27年というのは、必ずしも個別行使禁止という規約や集会の決議があった事案ではありませんので、規約や決議の内容においては、それぞれの定め方によって個別的に緩く解釈される余地というのもあるのかなとは考えておるところです。   また、前回私の方で、平成14年の改正を反映した標準管理規約を既に定めてある区分所有建物、管理組合においては、既にこうした規定が設けてあると解釈することもできるのではないかという発言をさせていただきまして、その中で少し間違った発言が一部ございまして、昭和何年というふうな発言をしてしまったのですけれども、よく調べてみましたところ、平成14年の改正後の平成16年1月23日に公表されました標準管理規約の中に67条の3項というのがありまして、理事長は理事会の決議を経て、共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得金の返還金の請求又は受領に関し、区分所有者のために訴訟において原告又は被告となること、その他法的措置を執るということができるという標準管理規約があります。ですので、平成16年以降にこの標準管理規約に沿った形で取り入れている区分所有建物においては、既にここで言っているBの別段の意思表示を封じる規約が既に定められていると解釈することが可能なのではないかと考えておりますので、その点を、もし同じ考えであるということであれば、教えていただきたいということと、あるいはその点について一問一答等で書いていただくことが可能かどうか、その点についてお聞かせいただければと思います。 ○望月幹事 規約の解釈の問題については、今この区分所有法部会の中で、この規約があれば、この別段の意思表示をしても旧区分所有者を拘束しますよねというところまで判断するものではなくて、そこは正に27年判決の射程とかがどこまで及ぶかも含め、今後の解釈問題として委ねるということで整理をさせていただいておるところでございます。飽くまで今回できるようにしたいのは、転売がされたときであっても管理者が一元的に代理して行使できると、ここを実現することによって、例えば訴訟の場面なんかだと、原告適格がないから却下しますということがされなくなるというところで、前進すると思いますので、そこをやっていこうというところでございます。   その後に、規約で個別交渉を禁止するという規約を定めたときに、それが、例えば27年最判の不当利得の問題ではなくて損害賠償のときだったらどうかとか、あとは契約上の債権だったときにどうかとか、そこら辺は解釈に委ねたいと、こういう整理を現時点でさせていただいているというところになります。逆に、そういうのができないということも言っていないので、先ほどおっしゃった任意規定という意味では、特にこれに反するものは一切許しませんというところまでも言っていませんということです。 ○大桐委員 条文にただし書なりを入れていただくというのはあり得ることでしょうか。 ○佐久間部会長 それはないんじゃないでしょうか、今の御説明だと。しかも、15ページの「しかしながら」で始まる段落では、そもそも旧区分所有者に対して集会決議の拘束力がどこまで及ぶかについて疑問があるということが述べられた上で、平成27年の判決の解釈によっては、この疑問があるというところが払拭というか、疑問でなくなるといいますか、そういうこともあり得るかもしれないというのが原案の立場ですよね。そうだとすると、解釈でも分かれる余地のあるところを条文で書くというのは、それは難しいのではないでしょうか。 ○大桐委員 平成27年判決の内容を条文に書くのではなく、規約や決議で別段の定めをした場合には、その後に抜けた方に対してその定めの効力が及ぶ。 ○佐久間部会長 いえ、それが31行目から35行目までで、そのような一般論は立てられないということが述べられているはずだと思います。それと異なるお考えはあるとは思いますけれども、この31行目から35行目までは、一般論としてはそれほど変なことは述べられていないように思うのですけれども。 ○大桐委員 ただ、沖野委員からもエストッペルの話が出ましたし、その当時の決議に参加されていた区分所有者が抜けられて、その人が別段の意思表示を自由にできるというのはいかがなものかという共通認識はあったかと思うのですけれども。 ○佐久間部会長 いえ、それは共通認識ではなくて、沖野委員がある時点でおっしゃったことはおっしゃいました。でも、31行目から35行目までは、エストッペルの考え方もあり得るけれども、ずっと区分所有者であり続けている人は、それが現実にどのぐらい起こるかはともかくといたしまして、規約の変更という形で自分たちの拘束を解く道があるのに対し、旧区分所有者にはその道は閉ざされているから、エストッペルだという言い切ることが可能かということに対する、これは疑問であろうと思われますので、条文にそれができるかと言われると、直ちにできるという約束はなかなか。 ○望月幹事 一応、考え方としては今回、規約で個別の権利行使を禁止しますということを定めるということを否定するものではないというところは御説明させていただいておりまして、ただ、それを定めたときにどういった権利までそれが及ぶのかとか、抜けたときに及ぶのかというところについては今後の解釈に委ねますということを御説明させていただいているところなので、そういう意味では、旧区分所有者にそういう別段の定めをしたときに当てはまるかどうかというところも今後の解釈になるので、そこは条文上書かずにおいて解釈に委ねると、そういうことになるかなと思っています。 ○大桐委員 そうしてみますと、今の御説明をお聞きする前までと比べまして、Bによってかなり抜けていく場面も出てきてしまうのかなと思っていますが、どうでしょうか。 ○大谷幹事 これは、中間試案のときから変わっていないルールだと思いますが、その際にも補足説明をしておりましたけれども、法的に整理をしていくと、この損害賠償請求権というのは、今回もいろいろ御議論いただきましたけれども、最終的には各区分所有者に分属している。旧区分所有者になった方にも分属したままで行くということですが、旧区分所有が管理者による行使というのをやめてくれということがどれほどあるのだろうかといいますと、これも法的に整理を致しましたけれども、委任の規定に従うことになっていて、法的には、管理者が回収したものというのは最終的に旧区分所有者に返すという法律関係になるはずだという整理をしてまいりました。そういうふうに見たときに、旧区分所有者は既に建物から出て行ってしまっていて、損害賠償請求の行使をしようとしても、もはや立証のしようがないわけなので、今住んでいる方々に立証してもらった方がいいということになります。そうすると、管理者に委ねた方がいいだろうし、別段の意思表示をして代理関係から抜けるインセンティブが余りないのではないだろうかと。そのため、余りそこのところについては心配する必要ないのではないだろうかといったことは中間試案の補足説明でも書いていたと思います。  ですので、旧区分所有者が代理関係からどんどん抜けていくということは想定できないのではないかと考えられる一方で、規約を定めた場合にその効力がどこまで及ぶかということは、これは解釈の問題としてあると思いますし、規約の効力が及ぶためにBのルールについて主張できないということがあってもおかしくないとは思いますけれども、そこは解釈に委ねるということだろうと思っています。 ○大桐委員 各旧区分所有者がどのような行動をとるかというのは、その人になってみないと分からないということがありますし、あるいはディベロッパーの従業員が一旦、問題になるマンションの一室を購入した上で転売するようなケースにおいては、その方は権利行使しないでしょうから、そういった方が何割かでもいるようなマンションでは、本来必要な修繕ができない、特に、修繕積立金がないようなマンションでは、決議をしても修繕費が集まらずに、修繕できないということに陥るのではないかという懸念があるのですが、いかがでしょうか。 ○大谷幹事 旧区分所有者が出て行かれたとしても、今回新しいルールで、旧区分所有者の分も含めて行使はできるということになりますから、旧区分所有者がBのルールを使うということは、自分で主張立証して自分で債権を回収するということを意味するわけですけれども、そういうことはしないのではないだろうかと。マンションの共用部分に瑕疵がありましたという立証を、今いる人たちが管理者において訴えましょうとなったときに、旧区分所有者はもう出て行って、自分には立証する手段がないわけですので、それは管理者に委ねた方が合理的だということになるはずで、このBを使って自ら債権を行使しようというインセンティブが余り感じられないということかと思いますけれども。 ○大桐委員 管理者にも委ねないし、自分自身でも権利行使するつもりがないという場面においては、そこは抜けてしまうのではないですか。 ○大谷幹事 旧区分所有者の分も代理しますので、代理して訴訟を起こせるということが今回のルールではっきりするということですよね。 ○大桐委員 Bで別段の意思表示をするということによって。 ○大谷幹事 わざわざ別段の意思表示をしないと抜けないので、旧区分所有者にとって、わざわざ別段の意思表示をするでしょうかということだと思いますけれども。 ○大桐委員 私が言おうとしているのは、別段の意思表示をする人が多くいた場合に、この運用がワークするかです。 ○佐久間部会長 ちょっとよろしいですか。別段の意思表示をしたかどうかは置いておいて、代理をして管理者が旧区分所有者の分についても損害賠償金を合わせて取ってきましたと。その場合、その損害賠償金というのは修補費用に充てられるものではなくて、旧区分所有者の権利ですから、旧区分所有者に払わないといけないですよ、委任の受取物と一緒で。そうすると、抜けられると修理費用が足りなくなって修理できなくなるという、その理屈そのものが、前提がおかしいのではないでしょうか。   各区分所有者、別に現在の区分所有者も同じ話で、修補の費用は結局のところ、その修補費用を、その時点かで、あるいはもう抜けた人についても拘束力が呼ぶ形で集会等で、この費用の支払義務があるのだと決めていれば、その義務が履行されるべきものであって、その義務がない人に対して、代わりに賠償金を取ってきました、あなたには渡しませんなんていうことはできないと思いますけれども。義務を負っている人との関係では相殺処理はあり得ると思いますけれども。そうすると、大前提として、まとめてお金を取ってこなければ修繕できないではないかということについて、まとめて取ってきても、旧区分所有者がたくさんいて、その人たちがなお賠償請求権を持っている、修繕のための費用の支払義務を負っていないということになると、その取ってきたお金は修繕には回らないということになるのではないですか。 ○中野幹事 まさに先生がおっしゃるとおりで、だから私は当然移転をすべきだと考えるところがいいと思っています。 ○佐久間部会長 そこはもう全然無理で。 ○中野幹事 いや、無理ということはないと思います。 ○佐久間部会長 いや、分割債権ではないので。繰り返し言いますけれども、みんなで一つ持っている債権を、みんなで分けましょうというわけではなくて、各区分所有者が元々持っている権利であって。 ○中野幹事 いえ、そうではないのですよ。だから、今回書いたところで、そもそも分割債権と考えることからやめませんかということが1に書いたところです。先ほど望月幹事から、中野の言っていることは確かに一部のある一定のことにはぴたり当てはまるかもしれないけれども、やはりそうではないところがあるので、なかなか採り得ないというお話を頂きましたが、それ以外というのはどういうことを想定されて、中野説はそのときにはうまく対処できないのではないかとおっしゃっておられるのかを御説明いただきたいと思います。 ○大谷幹事 前提として、これはずっと何年も前からこの整理をしてきたはずですけれども、法的には各区分所有者に損害賠償請求権があるのだと。それは今、佐久間部会長がおっしゃったように、分割債権ではなくて、それぞれに、分属という言葉を必ず使ってきたと思いますけれども、それはそれぞれがみんなで分けたのではなくて、それぞれに損害が発生しているのだと。元々平成14年改正でできたこの制度というのも、それを前提として、その行使を容易にしようという制度であったはずです。その制度が裁判例によって使いにくいものになっているということが問題ではないかといって議論をしてきたわけです。この損害賠償請求権がどなたにあるのかということについては、最終的には法的に言えば各区分所有者に分属するということになるのだけれども、実際には管理組合の方で回収してきた金銭をまた別に使うことが事実としてあり得るということは、そうだろうと思います。けれども、法律関係の整理に関する議論をさんざんさせていただいて、それを前提に、今困っていることを解決するにはどうしましょうかということで提案をさせていただいてきたと思っております。   中野先生がおっしゃっているのは、分属ということ自体が問題ではないかという御議論であることは、それはもちろん認識をしておりますけれども、中野先生が御提案になっている当然移転というのが、不可分債権であるかどうかとかと関係しているのかどうか、よく分からないところがあって、請求権が当然移転するということと不可分債権なのかどうかということとは、また別の話な感じがいたします。いずれにしても前提としてやってきたことは、平成14年からの今ある法律とはこういう構成の下に作られているという整理があって、それを基礎として、今困っていることを何とかしましょうということで提案をしてきたということだと思っております。 ○望月幹事 すみません、私も御指名いただいたので、私の方からも御説明しますけれども、結局、今回、請求権の帰属を法律で決めるとなると、その債権の処分の方法を法律で決められてしまうということになるわけです。それをやるとなると、一般的にこういう処分方法でないとまずいですよねということが言えないと難しいのだと思うのです。これが、中野先生が想定されている一場面を捉えると、もしかしたらこの帰属方法をそういう処分方法にした方がいいという場面はあるのかもしれないですけれども、それが全般的に、全てこれでやって問題ありませんというところは、共通認識にはなっていないのだと思うのです。そういう意味で、債権の処分方法を法律で決めてしまうということをやる以上は、一般的にこれが妥当なのだという結論が導かれないと無理だと思うので、そこが、ある一場面を切り取ると、それでうまくいくかもしれないですねという事例はあるけれども、それを法律で決めるというところが難しいのではないかというところを先ほど言わせていただいたというところになります。 ○中野幹事 佐久間先生は余りここに時間を掛けたくないということだとは思いますけれども、もう一度お考えいただきたいのは、先ほど来申し上げている、マンションをとにかくきちんと修補して長く使おうという、その法制度の考え方を捉えれば、それはやはり不可分債権というか、みんなで一体行使した方がいいよねという感覚は皆さん、お持ちだと思うのです。それが、法律上それを規定すること自体が難しいという御趣旨だとするならば、今こそ変えるべきだというふうに、私は平成14年のときから本当に思っておりました。あれは確かに東京地裁でびっくりするような判決が出て、こんなに使いにくくなってしまったのかというところはありますけれども、翻ってそこをせっかく考えて改正するのであれば、修補として賄えるような金額がきちんと管理組合の主導の下で回収できるような、そういう制度に今すればいいのではないかと思っているわけで、それができない、本当にできない理由というのが、今は私、望月幹事から聞いても、やはり分からないのです。なぜできないのですかというところをやはり示さないと、パブコメであれだけ意見が出ている中で、我々がやはり何となく不安だからとか、何となく難しそうだからというような形でここのところを議論を終わりにするのは適切ではないのではないかと思っております。 ○沖野委員 ありがとうございます。名前を挙げていただいたので、少し申し上げたいと思います。   一つは、大桐委員から御指摘のあった原案のBに対して、更にただし書などで、一定の場合には除外するというか、この別段の意思表示ができないということを明らかにするという点につきまして、私は以前に、既にそのような拘束が掛かっていたという段階であれば、それを自己の専有部分、それから共用部分の持分権を譲渡することによって、その拘束はもはや掛からないのだということは適切ではないのではないかということで、少なくともBが持っている、現実に懸念されると言われるところも、その部分を明確にすることで対応できるのではないかということを申し上げました。   さらには、譲渡のときにも、基本的にはここだけ行使するということは余り通例ではなかろうから、一元行使をより簡単にというか、するためにもというか、行使をしてもらうならば、もう専有部分と共用の持分部分と一緒にその債権も併せて譲渡するというのが通常の意思ではなかろうかと、そのようなことを入れてはどうかということをかつて申し上げましたし、個人的にはなおそういう余地もあり得るのではないかとは思っておりますけれども、しかし、ここは非常に意見も分かれる中で、現在このような案になっているということだと理解しております。   あとの点につきましては、前回既に3点、事務局からこれまでに御指摘いただいて、そういった問題があるということで、そのような案は記載しないというので、それで取りまとめとしてはよろしいのではないかと思っております。   それから、Bにつきましては、これも個人的には私は大桐委員がおっしゃったように明文で限定できないだろうかとは思っておりますけれども、それに対し、正に今回も改めて御指摘いただいた、そもそも規約や決議というものがどこまで決めているのかという、その解釈の問題もありますし、その効力としてどうかという問題があるので、それを法律で一律には書き切れない、だからこそそういう態度決定をしてはどうかということも含んではいたわけなのですけれども、それは様々なものがあり得るし、それから最高裁判決をどう読むかという問題もあるので、法律の条文としては書き切れないという御指摘で、原案ができているのだと思います。   ですので、この原案の下でどういう解釈がされていくかというのは、どういうような規約ですとか、どういうような決議がされたかによって、例えば決議の中には、一元行使とともに、得た代金についてはこれに充てるという使途まで合意をするというようなこともあり得ると思うのですけれども、様々な合意の仕方、決議の内容があり得ると思いますので、そういった中でその解釈として展開されていき、現実には拘束が掛かるという判断をされるということも少なからずあるのではなかろうかと、ここは個人的な見通しでございますけれども、そのような理解をしております。   ですから、大桐委員がおっしゃってくださったように、私もそのように申し上げたこともありますし、未練もないわけではありませんけれども、しかし、資料に書かれた問題からすると、法律の条文として書けると言うことには十分な自信が持てないというか、部会としては難しいのではないかということは、そうではないかと考えておりまして、その点で、原案でよろしいのではないかと思っております。   それから、中野幹事のお考えに対しましては、今回また改めて整理していただいて、大変有り難いと思っております。一つは、中野幹事は、そうしますと結局、今回は瑕疵修補に代わる損害賠償債権に限ってこのような形で規律をすべきだとおっしゃっているということで、元々の契約債権があるような場合だけに限っておられるのかなと思いました。それ以外の御指摘については、既に今まで申し述べてきたところを繰り返すだけになってしまうかと思うのですけれども、可分債権か不可分債権かということについては、元々の分割の原則、民法427条をどのくらい原則性があるものとして見るかということについては様々な議論があるし、その原則性というのがそう大きくはないのではないかという指摘はあるかと思いますけれども、ここで問題となっている、この債権がどうなるかということについては、従来、分属すると考えられてきて、それを基に裁判例の積み重ねがあったりしてきたところだと思います。   それから、学説においては両論があり、分属ではないという考え方もありますけれども、分属だという考え方もあって、ですので一般的に分割債権や427条についてどういうスタンスを採るかという問題と、では具体的にこのケースにおいてどうかというのとはまた別で、これまでの集積をここだけ崩して大丈夫かという問題も考えなければいけないだろうということがあります。   それから、途中で御指摘がありましたけれども、仮に性質上不可分だとしたときに、それが共用部分の持分を移転したときに主体がどうなるのかということは、不可分かどうかというよりは、共用持分権を移転したときに、それとは分けられない債権であるのかという問題なので、不可分債権か分割債権かという問題とは直結しないというか、関わりがない問題ではないかと私も思っております。   それから、中野幹事が出してくださった点で、実際上の不都合と言われるところの1番の点ですけれども、二つ問題を出していただいていて、2番の方については別途特約を入れればいいと書かれておりまして、それであれば1番も、別途特約を入れればいいのではないかと。元々担保責任ですとか契約責任を問えるものであるところが、免除特約が非常に短期にされているためにもはや責任追及ができないという問題があるのであれば、責任追及ができなくなったときにはこうであるとか、少なくともこの債権についてはこうするとか、その特約を入れればいいのではないかとも考えられまして、2の場面だけは特約をすればいいというのはどういうことなのかなと思われます。結局契約で処理すればいいのではないかというのは同じことではないかと思っているところでございます。   それから、望ましい在り方、理想の在り方はこうだというのは、前回も御指摘を頂きましたし、それから、目指すところがどうかというのは共通するところもありますし、問題があるときにどうしたらいいかという意識も共通はしておりますけれども、全ての場面において管理組合が機能していて、個別の権利行使をすることがおよそ不合理であって、そのようなことは一切認めるべきではないというような前提に立って立法していいのかということについての懸念が大きいと私自身は考えておるところです。   ただ、いずれの点も、時間を取って大変申し訳ないことですけれども、これまで繰り返し申し上げた点ではございます。繰り返しで恐縮ですけれども、改めて申し上げました。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○中野幹事 沖野先生から本当に貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございます。私も懸念すべきは、やはり管理不全で管理組合がまともに動かないと、そういうときにそのような権利行使を、強力な権利行使というような形で全債権をそこで損害賠償債権として請求するということが心配ではないかと、そういう懸念は確かにあろうかと思います。ただ、それを前提とする、それを懸念するということよりも、前回のペーパーでも申し上げましたが、それこそそういうような管理不全、なかなか管理組合が動かない、そういうような管理組合を指導するとか、それにきちんとした相談窓口を設けるなどによって、この管理組合をきちんとした体制に戻す、それがマンションとしての在り方としてもよろしいのではないかと、そういうようなダブルで、双方向で対応することによって懸念は払拭できると思います。そういうことも、全体を含めて、やはりこの法制審議会の部会の中で、マンションの在り方、管理について円滑に行い、長く丁寧に使っていこうと、そういう法律にしていくということをお考えいただけるのであれば、私の申し上げている提案、これは私が考えているわけではなくて、もちろん多くの弁護士と共に議論している内容ですので、それほど突飛な意見ではないと思っておりますので、御議論について再度御検証いただきたいと思っているところです。 ○佐久間部会長 中野さんの意見はもう十分伺っておりますし、皆さんにも伝わっていることと存じます。前回、最後に、前回の議論をもって実質的にこの議論は終わりにするつもりだ、ただ、新たな視点が出てきた場合にはもう一度検討しましょうということを申し上げました。議事の進行上、同じことについてずっと同じ論点で同じ考え方で進めるわけにもまいりませんので、中野さんが今おっしゃったことを皆さんお聞きいただいた、これまでもずっとお聞きいただいているはずですので、これに同調される方は是非とも積極的に、これこれこうでということをおっしゃってください。他方、中野さんの御意見に同調される方に対しては、中野さんの御意見にはもうこれまで、私も含めてですけれども、多くの方から様々な疑問も投げ掛けられておりましたので、それであっても、やはりこういうことで中野意見に従った立法をすべきであるという御意見があれば、伺いたいと存じます。いかがでしょうか。   中野さんが御意見をこれだけずっと披露されてきたわけですし、ペーパーも出ているわけですから、今後もこの議論があったという事実は消えないと思っております。立法に踏み切れるかというと、それは立法には踏み切れないというのが事務局案であり、恐らくここでそれほど、中野さんのおっしゃるとおりに立法すべきであるという具体的提案が出てこないということは、多くの方が、事務局案で積極的にいいということまではおっしゃらないかもしれませんが、やむを得ないのではないかという程度には思っておられるのではないかと存じます。個別にいろいろおっしゃりたいことがあることはよく分かりますけれども、なかなかこればかりやっているわけにもまいりません。決定的にこれだというのがあればなおおっしゃっていただいても構いませんが、今のままでは前には進めないと残念ながら申し上げざるを得ないかなと思います。いかがでしょうか。 ○中野幹事 申し訳ありません、先ほど申し上げた、新しい観点での御意見ならまた聞いてもらえるということだったので、今回は分割債権の原則について3人の学者、理論的な観点からの御意見というものもありますよというところで、皆さんがちゅうちょされている、分割債権原則なのではないかというような、そういうものについて、そういうものではないというような御意見を今回お示ししましたので、議論がしやすくなったのではないかと思ったところです。全く同じことを繰り返しているわけではないと思いますので、御容赦いただければと思います。 ○佐久間部会長 分割債権ということで話を進めることはやめた方がいいのではないかと私は前回はっきりと申し上げたつもりで、大谷さんも先ほど、どうかとおっしゃいました。沖野さんも、分割債権かどうかはともかく、債権の性質と、この当然移転とはリンクしていないのではないかとおっしゃっているわけで、大変失礼ながら中野さんの御意見は、言い方は変わっているけれども、元から恐らく皆、理解はしていて、それには全面的には賛同できないということが出ていたのではないでしょうか。 ○中野幹事 そうでしょうか。 ○佐久間部会長 まあ、僕がそうですとはちょっと言えませんけれども。大変拙い進行で申し訳ないですけれども、中野さんの御意見に対する同調意見はこれまでも、今日に限らず、ずっと促し、求めてきたところです。中野さんとは観点が違いますけれども、大桐さんはBについて、これはいかがなものかということをずっとおっしゃってきていたはずです。ほかの方についても御意見を封じたつもりはございませんので、当然承継かどうかという議論は、もうこの辺りでと思っております。中野さんには不本意でいらっしゃると思いますけれども、議事の進行の整理上そのようにさせていただければと存じます。誠に申し訳ありませんけれども、よろしくお願いいたします。 ○大桐委員 先ほど、規約と決議に関してということで、ただし書等は難しいというお話を頂いたのですけれども、ゴシックの(注)か何かに任意規定であることが明確になるような記載をしていただくということはお願いしておきたいと思います。 ○望月幹事 今の御指摘を踏まえて、次回の部会資料の説明とかについては、少し分かりやすくするように努めたいとは思いますが、どの程度のことが書けるかは、また検討させていただきます。 ○佐久間部会長 ただ、異論を差し挟むわけではないけれども、任意規定ですかという問いに対して任意規定だと答えたとしても、Bに反することを集会で決められるのかというのは、また話が違ってくると思います。その点も含めて、次回。 ○望月幹事 任意規定ですとはっきり書くのではなくて、事務局が今提案している趣旨、私が口頭で今説明したところがありますので、そういうところについて分かりやすく書くということだと思います。 ○佐久間部会長 そこはお願いをいたします。   では、ほかの点についてお願いをします。第1の残りの部分、どこでも結構ですが。 ○齊藤委員 発言の機会を頂きましてありがとうございます。2点質問でございます。12ページになります。3、共用部分の変更決議及び復旧決議の多数決要件の緩和というところの(1)共用部分の変更決議のところなのですけれども、そのイのところについて教えてください。多数決の割合を、出席した区分所有者の頭数だけではなく、その議決権についても規約で過半数まで減ずることができる。少し考えてみますと、今になっていろいろな意味で、全体像を見ていると少し、このアのところで4分の3が原則、ただし非常に限定的なところだけ各3分の2ですよと決めていたのですが、ただ、規約で決めると両方過半数でもいいのだというのは、上では限定的な条件の中で3分の2にできるのに対して、下の方が過半数までというのは、少し私の中では違和感がありますので、このイのところ、改めてですけれども、規約の中でどうしてここまですると下げることができるのか、アとのバランスの中で教えていただきたいなと思います。というのは、先ほど言いましたように、共用部分の変更というのは58年のときまでは全員合意、そして、それは簡単に変えられるものではないというこだわりがあったと私は思うのですが、区分所有者の頭数、そして議決権に関しては今までは下げられなかったという中で、あえてここで過半数まで下げる必要性があれば、教えていただきたいというのが1点目です。   同じく、その下の復旧決議のところでございます。こちらに関しましては本当に、復旧決議を経験した人たちというのは非常に限られて、それをサポートした人たちも限られています。ですから、なかなか皆様に御理解していただけなかったところかと思います。私は阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震の復興に関して調査研究をしてまいりましたが、改めて震災復興を支援した方々にお伺いしました。みなさまお話しされるのは、決議の要件が高いわけではないということで、むしろ決議要件を下げることによって買取り請求の問題があるという、下げることの問題発生を危惧をされていました。これは、東日本大震災、熊本地震を御経験されたマンション管理士の方の御意見を、この場でも共有しましたので、皆様御理解されているかと思います。そうした状況のなかであえて出席した方だけの3分の2で決めていくということが必要なのだということ、3分の2に下げなければいけないという事実がどの程度あって、それによりどのように救われ、問題が生じないということも併せて教えていただけたら、有り難いと思います。   今日、皆さんの貴重なお時間を頂戴して、私だけが納得いっていないというのであれば御迷惑をかけますので、次回のときにでも教えていただく、あるいは別の説明のときに教えていただけたらと思います。2点になります。 ○望月幹事 まず、3(1)のイのところについては、中間試案以降も出させていただいていたところで特に反対とかの異論もなかったので、最近のものでは補足説明も省略させていただいていましたけれども、中間試案の補足説明でこれを入れた理由の方を書かせていただいておりまして、この共用部分の変更等の議決について、頭数については現行法で減ずることができるという規定がありまして、その中で、この変更等の決議に関しては、今後のマンションの長寿命化であるとかメンテナンスの観点からは、円滑に行っていく必要性というのが高くなっている現状にあるのではないかというところを踏まえて考えてみたときに、この議決権要件についてだけ一律に規約による緩和を認めないというところの合理性については再考してもいいのではないかと、こういうところから提案をさせていただいたというところになります。その後、パブリック・コメントにおいては反対意見が多数出たところでありますけれども、多数の区分所有者において議決権の要件を規約で下げることが適当だと判断した団体においては、これを下げるということについても十分尊重していいのではないかという観点から、この議決権の割合の引下げというのも正当化していいのではないかということで、その後も引き続き提案をさせていただいているというところになります。   復旧のところにつきましては、この復旧工事というのが実際には共用部分の変更とかなり重なってくるところが多いという話が一つあったのと、もう一つは、この復旧という場面を捉えると、ア@の場面に類型的に該当するということが言えるのではないか、こういうところから、ア@、ここに類するものとして3分の2というところまで割合を引き下げていると、こういうことになります。 ○齊藤委員 ありがとうございます。ただ、少し私が危惧した点に対して、これは大丈夫だという辺りも、また教えていただけたらと思います。 ○望月幹事 買取り請求のところについては、復旧決議がされなくても、建替えも復旧もされないと結局は買取りという流れになっていってしまうので、買取りの制度があるからこの要件緩和というのが難しいというふうには直ちにはつながらないと思っているところになります。 ○齊藤委員 買取り請求の数が増えていく、大変混乱していく可能性が高いということかと思いますので、という意見でございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○鎌野委員 すみません、授業があったものですから、今参加したのですけれども、4ページの定足数のところで、もう既に議論があったと思うのですけれども、ここで少し意見を述べさせていただいてよろしいでしょうか。 ○佐久間部会長 はい、どうぞ。一応皆さんからも伺いましたが、鎌野さんがおられなかったのであれば、今伺っておきます。 ○鎌野委員 既にそういう議論も御意見も出たのかも分かりませんけれども、まず結論としては、私はA案の方が妥当なのかなと考えております。それで、A案、基本的には法律上は集会の定足数の規律は設けないということで、そうすると直ちに、それだけしか法律上定めがないような場合には、それなら規約ではどうなのかというような、多分疑問というか、それが出てくると思うので、そうすると、やはり規約でそういったことはできないのだというのはなかなか難しくて、区分所有法の30条の1項ですかね、やはりこれは区分所有者相互の事項、非常に重要な事項というようなことで、やはり規約でそういう定めをするということは妨げられないということだろうと思います。   それで、これからは少し実質論というか、実際にこういうA案のような規定を設けた場合にどういうことになるのかということを少し考えてみたいと思います。ひょっとすると実務ではそうでないよというような御意見もあろうかと思いますけれども、少し時間を頂いて申し上げますと、まず、いわゆる原始規約というか、もう新築のマンションについては恐らく察するところ、定足数というのが規約で定められることになるのかなと、恐らく標準管理規約などでもそういう方向性ということで規約が定められて、その規約の内容は、B案のようになるかどうか分かりませんけれども、それぞれのマンションに応じて定足数の定めがあって、基本的にはそれによってある意味では円滑なといいますか、そういうようなことで定足数が定められたことによって進むのかなと。   もちろん従来から私も申し上げましたし、事務局の方のペーパーでも書いてありますけれども、これには書面決議とか代理人とかを含むというような、そういう形の定足数ということになろうかと思いますけれども、それで、あとは現行の法制のままですと、基本的には、新築ではなくて既存のマンションの場合には、普通決議だけは標準管理規約などに書いてあると、問題はいわゆる特別多数決議が正に今後、問題になって、そして恐らく、既にかなり老朽化が進んでいてというようなところは多分定めがないでしょうけれども、やはり今後こういうのがどうなるかというようなところで、そうすると、やはり特別多数決議でも、A案を採った場合に何らかの規約というのが定められる可能性があるということで、ですけれども、従来から懸念しているところは、いわゆる管理不全になって定足数が足かせになって、もう全然進まないというのをどうすればいいかと、いわゆる終末というか、そういう場面というのが非常に問題で、それが非常に悩ましいところだろうと思います。   そうすると、結論から申し上げますと、その終末の中でも一番重要なのは、建替えはなかなか難しいと考えると、もちろん維持管理をしっかりして長寿命化を進めるという方法もあろうかと思いますけれども、最終的には今回提案なされているいわゆる解消というような方向に行くのかなと。そういう場面では、従来から恐らく共通の認識だと思いますけれども、そこに住んでいる居住者などが非常に僅かであるというような場面で、こういうときが非常に問題で、仮に定足数が定められているような場合にはそれが足かせになるという問題があろうと思いますけれども、やはりその場合には最終的には、僅かな区分所有者が何とか定足数を満たすために、先ほど言った書面決議、あるいは代理人なども含めて、最終的にはそういう定足数を定めてある規約の廃止といいますか、そういう方向になるのかなと。   そして、もちろん他方では行政のそれぞれの地域の地方自治体などの権限というのも、マンション管理適正化法などで勧告なんていう制度もできましたので、そういう行政による後押しというか、そういうこととも協力をしつつ、結果的には、定足数を定めていてそれが足かせになるような場合には、結局そういった規約を廃止するというようなことで、それは管理組合というか、そういうものから自律的に、そういうことをしないままですと如何ともし難い状態になるというようなことで、結論から言いますと、A案の方向というのが妥当なのではないかということで、こればかりはどういうふうにそれが私が今申し上げたとおりに機能するかどうかというのは必ずしもよく分かりませんけれども、そういうことになるのかなということで、少し意見を述べさせていただきました。   既にそういった議論がなされているかもしれませんけれども、念のために少しお時間を頂いて、私の見解を述べさせていただきました。どうもありがとうございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございました。次回に向けての結論だけ鎌野さんにもお伝えしておきますと、A案とB案が大変拮抗した状態でございます。今の鎌野さんのも含めまして、様々な御意見を頂戴したところですので、それらの御意見を事務局において検討、調整していただいた上で次回、要綱案の原案を作成して、皆様にまた御検討いただくということを予定しております。ありがとうございます。 ○鎌野委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。 ○大桐委員 すみません、私の聞き間違いかもしれないので、恐縮なんすけれども、鎌野先生のおっしゃられた、建替えもできずに、売却処分とかをするために規約変更するというように何かおっしゃったような気がするのですけれども、売却処分自体は出席者多数のAからFには入らないと理解しているのですけれども、それでよろしかったですか。 ○佐久間部会長 はい、例えば敷地建物一括売却とかですよね。それは出席者多数決議の対象にはなりません。ただ、多分鎌野さんがおっしゃったのは、そこのピンポイントではなくて、今既に規約に定足数があって、それが言わば足かせになるというときには、一回頑張って規約に定められている定足数まで持っていってうんぬんと、そういうお話だったと思います。 ○大桐委員 理解しました。 ○鎌野委員 おっしゃるとおりです。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   それでは、第1についてはよろしいですか。   では、ここで10分休憩とさせていただきます。15時45分再開といたします。           (休     憩) ○佐久間部会長 では、時間になりましたので、審議を再開いたします。   この時間は、部会資料26の「第2 区分所有建物の再生の円滑化を図る方策」、資料でいいますと23ページの19行目までについて、まずは御意見を頂戴できればと存じます。どこでも結構です。いかがでしょうか。 ○能登委員 ありがとうございます。建替え決議の多数決要件緩和のところで御意見させていただきます。前回の部会で、特定行政庁の要除却認定を得ることで客観的事由ありとするという形の提案をさせていただきましたが、今回の部会資料19ページのところで、その提案理由が、調査費用を捻出しやすくするためと記載されていたのですけれども、そういう意図ではなかったので、誤解を避けるよう提案理由を改めてお話しさせていただきたいと思います。   客観的事由がある場合に多数決要件が4分の3に緩和されるということになりますと、反対者の理解をしっかり得ていく必要がございますので、客観的事由に係る正確な判断を反対者に示し、御納得いただくことが大切だと考えております。客観的事由の有無を巡っての争いはどうしても生じてしまうと考えていますので、円滑化法に定める要除却認定を行政から得ることを要件としていただければ、信頼度が高まって、争いはなくなると考えられるため、発言させていただいたものです。   今回の部会資料にもありますとおり、その認定を要件とするのは難しいということかと思いますが、できましたら国交省さんが作成している建替えの実務マニュアルやガイドラインで、認定を取得することが望ましいということを記載していただくことで、争いを極力回避していくということをお願いしたいと考えております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。国交省への御要望ということで、それは記録にはとどめます。あとは国交省で御判断いただくということで。   ほかにいかがでしょうか。 ○齊藤委員 発言の機会をありがとうございます。22ページ、建替えのところではなくて一棟リノベーションですけれども、大丈夫でしょうか。 ○佐久間部会長 はい、大丈夫です。 ○齊藤委員 ありがとうございます。一棟リノベーション、名前が変わって建物の更新というところでございます。是非この一棟リノベーション、建物の更新を使って建物の再生が円滑に進んでいただきたいということから3点、質問とお願いがございます。   1点目でございますが、これは前回も申し上げましたが、建物の更新というところ、括弧して建物の構造上主要な部分の効用の維持又は回復、維持又は回復ということで、グレードアップ的なものが含まれないのでしょうかという質問をしましたところ、含まれるというふうにございましたので、この回復の後ろ、前回も申し上げましたけれども、是非区分所有法62条と同じで、建物が通常有すべき効用の確保を含むという言葉を入れていただいたら、より望ましいのではないかと思います。この言葉は2002年の区分所有法改正のときに括弧内に入った言葉でございますが、実は阪神淡路大震災の復興等のとき、いろいろな意味でここの部分が非常にもめましたので、こういったトラブルがないようにということの配慮で、建替えのところにも入っておりますので、一棟リノベーションのところにも入ることが今後のトラブル予防につながっていくのではないかということでございます。そういう意味で御検討いただきたいというのが1点目でございます。   2点目は、建物の構造上主要な部分の効用維持又は回復のためにということで、かつ専有部分の形状を触るのだというようなことで、二つの条件があるということなのですが、公的賃貸住宅で行われているようなリノベーション、大規模なリノベーション工事を考えますと、必ずしも建物、壁をスケルトンにするわけではない場合があります。例えばエレベーターが無い団地で、エレベーターを北側に付けましょう。そうすると、各住戸から北側の方に廊下を作り、エレベーターに行けるようにする。そこにその廊下から玄関へと行けるようにするために間取りも変わってくることが現実には行われています。こういったエレベーター設置とそれに伴う間取りの変更の需要も高いです。このように、今まではなかなかできなかったようなことが今後できていく可能性もあるという意味で、必ずしも建物をスケルトンにしないとこの「建物の更新」というところが使えないのでしょうか。今後、是非使っていただき、マンションを再生していただきたい、その際に使えるのかどうかのトラブルにならないで欲しいということから、使える対象を広めに設定していただけるとよろしいのではないかと思っております。   3点目になります。23ページで集会の招集、Aのところでございます。この「建物の更新」決議を会議の目的とする集会を招集するときに、建替えと同じように、例えば更新を必要とする理由、建物の更新をしない場合における当該建物の効用の維持又は回復に要する費用の額及びその内訳というようなもの、建替えのときと同じようにそろえてと思いますが、こういったものを御用意してくださいとございます。これがこのまま条文になるかどうかは私には分かりませんけれども、建物の効用の維持又は回復をするのに要する費用というのは多分、一棟リノベーションするときの費用、そして戸当たりになると思うのですけれども、これをしないときの費用というのは何を指すのでしょう、建替えとの比較でしょうか、あるいは単なる大規模修繕との比較になっていくのでしょうか。大規模修繕との比較では、大規模修繕は専有部分を含まないので、その比較に妥当性がないと思います。また、建替えが難しいから一棟リノベーションということがありますと、建替えの費用というのもなかなか難しいかと思いますので、今具体的にお考えになっていること、今後詰めていかなければいけない課題も含めて、教えていただけたらと思います。一棟リノベーションに関して、以上3点になります。 ○佐久間部会長 お願いします。 ○望月幹事 まず、62条の5項の2号、これと合わせた表現をというところは、今回も改めて御指摘いただきましたので、少し検討させていただくということにしたいと思います。   それから、建物の更新の要件のところですけれども、今回飽くまでこの建物の更新というのが建替えと並ぶものとして同じように決議でできてもいいのではないかというところがありましたので、建替えと同様の効果なり、各区分所有者への負担が掛かってくるものを考えておりまして、それを要件として入れたときに、この二つが主なものになってくるのではないかと考えたわけでございます。その中でスケルトンというのは、そういう意味では言葉には入ってきていないのですけれども、この工事を今現実にやろうとするとスケルトンになるということが通常ではないかということで考えているというところでございます。そのほかに便利にいろいろしたい工事があると思いますけれども、それは一律に建替えと並べるものとして類型的に規定するのが恐らく難しいと思いますので、このほかにも、もっと便利にするためにはこういう工事もある、みたいなものもあるのかもしれないですけれども、そういうものは含まず、飽くまで建替えと同等のもの、これを想定したときに、この要件が必要になってくるのではないかということで、書かせていただいていることになります。 ○齊藤委員 ありがとうございます。ただ、先ほど申しましたように、建替えがなかなか難しい、例えば公営住宅などでも、先ほど申したように北側にエレベーターをつくってということがあって、建替えに代わる手法としてされてきている一つの主流な方法ですので、そういった形もできるようにお考えいただければと思います。これを文章にするのは非常に難しいと思いますが、御配慮いただいた方が実際に使っていただけるのではないかと思いました。ありがとうございます。 ○望月幹事 それから、集会の招集に書かれる事項の問題ですけれども、こちらについては、これも建替えと同じことを考えていますので、建替えのときに書かれる事項、これと同じものを書いていただくということになります。 ○齊藤委員 そうすると、このまま修繕をしていった場合ということは、専有部分を含まない修繕費用ですよね、それは比較すると、専有部分を触らないので、ぐっと金額は小さくなりますよね。こんなに高くなるけれども、いいですかということですか。 ○望月幹事 もしそうなるのであれば、そういう提案をすることになると思います。 ○齊藤委員 単純に大規模修繕を繰り返しているとこれですけれども、今度スケルトンにするとこんなに高くなってしまいます、ということになってしまいますけれども、それとの比較ですか。それとも、一つは建替えとの代わる手法だから、建替えとの比較もあるのかなと思ったのですけれどもいかがでしょうか。 ○望月幹事 建替え決議をする際には、今先生がおっしゃられたように、修繕を繰り返すとこんなに安いですけれども建て替えますかと、こういう提案をされているということですか。 ○齊藤委員 建て替えと同じ対応ということですね。一棟リノベーションと建替えは必ずしも同じ考え方でよいのか、私にはよく分からなかったので、質問いたしました。この辺りも少し現場を想定して考えて整理してみます。ありがとうございます。 ○望月幹事 建替えでやっていただくときに、恐らく建替えをしないとこれだけの管理の費用が掛かりますということを提示すると思います。ただ、建替えというのはお金が結構掛かるので、建替えまではできないと、その代わり建物更新をやろうと、こういう流れはあり得ると思っています。そのときに、建替えのときに比べていた日々の管理費用、これはそのまま維持されていて、建替えの方の費用が建物更新の費用に代わっていくという、そういうイメージでございます。 ○齊藤委員 一般的に建替えするときは、初めに建て替えた場合、このまま修繕をする場合、耐震補強プラス修繕の場合、大規模なリノベーションをする場合とメニューを示して、その中でどれを選びますかとなっていると思いますが、一棟リノベーションの場合も、建替えた場合と、一棟リノベーションの場合と、単純に修繕をくり返す場合、ただしその場合には建物の性能に限界はありますよというものの比較の方が適切かなと思ったので、質問いたしました。現実にはそういう形で御提示いただくという形になっていくということですか。 ○望月幹事 実務上にいろいろなメニューを示しながらやるということ自体は当然あると思いますので、そこは変わらずということでよいと思います。 ○齊藤委員 ありがとうございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○能登委員 度々すみません、賃貸借の終了のところで意見させていただきます。転貸借されている場合について、前回の部会資料25では、今後表現を検討されると記載していただいていたのですが、今回の資料に特段記載がございませんでしたので、転貸借について要望をお伝えさせていただきます。   現状、サブリース契約だったり空室保証契約だったりと、転貸借は非常に一般的に運用されている契約となりますので、本制度が円滑に運用されるためにも、転貸借の場合の対応に関しても、注意書等でもよいので要綱案に明記いただきたいと思っているとともに、法改正に伴って作成される解説書等にも、具体例等を場合分けをして明示していただきたいと考えております。   特に、転貸の承諾がある場合とない場合の取扱いの違いについて明記を頂きたいと考えており、補償金を受け取る権利を有する転借人というのは、賃貸人の承諾を得て転貸がなされた場合に限定されるという一方で、当該承諾がない場合には、補償金の支払いについては転借人に対して賃貸人は何ら義務を負わないと捉えておりますので、制度の運用を考えますとその考えが正しいのかどうかも含めて、明記いただきたいと考えております。   続いてもう1点申し上げます。いろいろ再生メニューを増やしていただいておりますが、多数決による区分所有建物の再生、区分所有関係の解消について記載されている22ページ中程の注3に、新設を予定されているアからオの制度のうち、アからウについては賃借権消滅制度と同様の仕組みを設けると記載されているのに対し、エとオには仕組みを設けるとは書かれておりません。建物が全部滅失している状態であるため当然に賃借権がないということで書かれていない、とは理解しているものの、「全部滅失している状態」にも少し解釈の幅があるのが現状だと思いますので、エとオの場合には建物滅失に伴い賃借権が消滅するという旨を明記していただいた方がよいと考えておりますので、希望いたします。 ○望月幹事 まず、転貸借の点につきましては、前回か前々回に補足で説明をさせていただいていると思いますので、次回の資料の中でも補足説明なりということで、そこら辺も分かりやすく整理できるように少し考えたいと思います。   それから、21ページのエとオのところでございますけれども、これは御指摘のとおり、建物が全部滅失した場面ですので賃貸借が終了すると、こういうふうになっていきます。ですので、賃貸借の終了という制度は入れていないということになります。全部滅失となるかどうかというのは評価があるというところは、そのとおりなのかもしれないですけれども、そこは現行法の民法等の解釈を変更するものではございませんので、それを前提に、全部滅失した場合には再建であるとか敷地売却、こういうことができますよということで区分所有法ではメニューを増やさせていただいているということになります。 ○能登委員 承知しました。ありがとうございます。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。   第2については、よろしいでしょうか。   それでは、続きまして部会資料26の「第3 団地の管理・再生の円滑化を図る方策」、27ページの11行目までですが、これについて御意見があれば承りたく存じます。いかがでしょうか。 ○大桐委員 各棟要件につきまして、前回も意見を述べましたけれども、今回は平成14年改正の一問一答の吉田解説Q87を少し御紹介いたしまして、その上で御見解を頂ければと思っております。   この一括建替えの各棟要件を要求した趣旨がここに書かれておりまして、一括建替えの制度を導入するに当たりまして、これまで要求されていた建物ごとに5分の4以上という決議要件を緩和する必要性は認めつつも、過半数をなお相当程度上回る賛成を要求することにより、これまでの制度との均衡の確保を図ったものといえるということで書かれております。ここで言っている賛成は積極的な賛成という意味でして、反対者がいないという逆転の発想ではないわけなのですけれども、今回の御提示いただいております各棟要件につきまして、なお合憲性を維持できるというのを、この説明からどのような御説明を頂けるのかが着眼点といいますが、一番気にしているところでございますので、説明の方をお願いいたしたいと思っております。   といいますのは、そもそも土地と建物については別個の権利としてそれぞれの方が保有しているという中で、各棟要件において、その棟の3分の2以上の積極的賛成がないという状況の中で、財産権の制約が論点になってくると思いますので、確認をさせていただければと思います。 ○望月幹事 この一括建替え決議の対象となる場合というのが、規約でその区分所有建物について団地での管理の対象となるというところが前提になっておりますので、その団地での決定の拘束が及ぶというのがほかの場面と比べて強い場面が想定されているというのが前提となっている上で、全棟要件のところで5分の4以上が賛成しているというところで、まずその賛成票の多数を数えているというのがあります。ただ、御指摘のように各棟はまた別の建物になってきますので、その各棟の意向を無視するわけにはいかないというところがあります。そこの各棟の区分所有者の保護の在り方として、現行法では賛成票を積極的に数えていくと、それで3分の2というのを捉えましょうということをしているわけですけれども、これを割合を変えないまま反対票を数えるという仕組みにしたとしても、割合自体は変わっていない、つまり反対ということを言う場面というのは3分の1というところで変わっていないので、これでもなお合理性を失うものではないのではないかと。発想として賛成票を数えていくという構成を採るのか、反対票を数えていくという構成を採るのかということで、考え方自体を変えているわけですけれども、それでもこの割合が維持されているというところと、全棟要件が確保されている、これがあれば憲法上の問題は生じてこないのではないかというところで、今回この提案をさせていただいているということになります。 ○大桐委員 実務上は緩くなると思うのです。方式としては、反対をする方については挙手願いますとか、投票するというような方式になると思いますので、実質的には変わってくるだろうなというのはございますので、その点だけ付け加えておきます。 ○望月幹事 実務上こちらの方がやりやすくなるというのは、この部会でも何名かの委員の方から御指摘いただいていたところだと思いますので、そういう意味では緩和という方向にはなるのかと思いますけれども、緩和すると直ちに違憲なのかというと、そうではなくて、全棟要件とこの各棟要件、これを併せて考えることによって、なおも合理性自体は確保されているだろうと、こういう考え方をしております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。第3、団地関係はよろしいでしょうか。   それでは続きまして、残っている部会資料26の「第4 被災区分所有建物の再生の円滑化を図る方策」について御意見があれば伺います。いかがでしょうか。   被災関係については、特にありませんでしょうか。よろしいですか。   それでは最後に、部会資料26の全体について何か付け加えるところがおありでしたら、どこでも結構ですので、御意見を承ります。 ○大桐委員 第三者管理における監事についての規定について、今回は記載がないということで、この点について、本会がもうすぐ終了してしまう中で、国交省におけるガイドラインの検討の状況といいますか、具体的にどのようなチェック体制というか、そういったものを設ける方向でお考えなのかをもう一度確認したいと思っております。 ○佐久間部会長 国交省、下村さん、お願いできますか。 ○下村幹事 ありがとうございます。マンション管理業者が管理者となりますいわゆる第三者管理者方式につきましては、国土交通省にてワーキンググループを設置しておりまして、本年の10月26日からこのワーキンググループを回しているところでございます。   この中で、この第三者管理者方式について留意事項を示したガイドラインを整備していくということで、それに向けて検討しているということでございますけれども、具体的な論点といたしまして、御指摘いただきましたような監事の設置の必要性ですとか、また、そもそもこの方式を導入するに当たって管理業者から区分所有者にどういったことを説明しなければいけないのかということですとか、あるいは管理者の権限の範囲、あるいは管理組合の財産保全のための体制、管理者を解任する場合の手続、また大規模修繕工事を行う場合の利益相反防止のための対策等々、御議論を頂いているというところでございます。   今後の日程といたしましては、今月(12月)26日、来週ですけれども、第3回のワーキンググループを予定しておりまして、そこでガイドラインの骨子をお示ししていきたいと思っております。この骨子につきましては、御議論いただいた後、パブリック・コメントの募集をしていくということにつきましても御提案をしていきたいと考えているところでございます。できましたら年内にパブリック・コメントの募集を開始いたしまして、本審議会の委員の皆様にも法務省を通じまして情報提供させていただければと思っておりまして、また、できましたら次回の1月16日の法制審議会におきまして、国土交通省の方からこのパブリック・コメントの内容などを参考までに御紹介させていただければと思っております。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。よろしいですか。 ○大桐委員 ガイドラインを今後作られるということで、大変それは期待しておるところではあるのですけれども、利益相反等、説明義務違反等の違反者に対して指示、命令、罰則等の監督処分とかが、新たに作られたものについてガイドラインレベルでは及ばないとは思っているのですけれども、そういった現時点での不十分なところにおいては、やはり法律レベルでの検討を必要とするのではないかと思います。必ずしも監事を置くという場面のみならず、ほかの足りない部分についても検討が必要なのではないかとは考えているところでして、ですので、管理者一般を対象にするのか、監事に関する問題なのか、あるいは第三者管理というテーマなのかというのは様々あるかと思うのですけれども、区分所有法ということなのか、それともマンション管理適正化法等の事業法に委ねるのかというのはあるにせよ、何らかの法律レベルにおいてそのチェック体制を強化するような規律を検討することによって、改善を図ることができるのではないかと考えている次第です。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。御意見として承りました。   ほかに何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、これをもちまして本日の審議は終了ということにさせていただきます。本日いただいた御議論を踏まえまして、次回、要綱案の取りまとめの案を御提示させていただくということになろうかと思います。   では、次回の議事日程等につきまして事務当局から説明をお願いいたします。 ○望月幹事 次回は1月16日火曜日、午後1時30分から午後5時30分までということで予定しております。場所は本日と同じ、地下1階の大会議室を予定しております。   次回ですけれども、本日の議論を踏まえて、また要綱案(案)の方を提示させていただきますので、また御議論、御検討いただいた上で、できましたら次回にお取りまとめを頂ければと思っているところでございます。よろしくお願いいたします。 ○佐久間部会長 ありがとうございます。   これをもちまして法制審議会区分所有法制部会の第16回会議を閉会とさせていただきます。   本日も熱心な御審議を賜りまして誠にありがとうございました。 −了− - 1 -