日本司法支援センター評価委員会 第79回会議議事録 第1 日 時  令和6年7月12日(金)    自 午前 9時32分                         至 午前11時55分 第2 場 所  法務省 大会議室         (中央合同庁舎6号館A棟地下1階) 第3 議 事  (1)令和5年度に係る業務実績評価の実施について  (2)令和5事業年度財務諸表に関する法務大臣承認に当たっての意見について  (3)日本司法支援センターの役員報酬規程の変更について 第4 今後のスケジュール 議        事 本田総合法律支援推進室長 定刻でございますので、ただいまから日本司法支援センター評価委員会第79回会議を開催いたします。   皆様におかれましては、御多忙のところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。   それでは、初めに定足数の確認をさせていただきます。本日は、8名の委員の皆様におかれましては本会場にて、また、池亀委員におかれましてはウェブ会議にて御出席をいただいております。ウェブ会議による御出席の可否につきましては、後ほど委員長の互選後に、委員長により御判断いただきますが、いずれにいたしましても、定足数でございます過半数の出席要件を満たしていることを確認させていただきます。和気委員におかれましては、所用のため本日は御欠席されております。   さて、本年4月に委員の交代もありまして、今回は新任委員の皆様を含め、委員が一堂に会する最初の機会でございますので、改めて委員長の互選をお願いしたいと存じます。   委員長の選任につきまして、御意見をお持ちの委員はいらっしゃいますでしょうか。   奥山委員、お願いいたします。 奥山委員 前年度から委員長を務めていただいております長谷部由起子委員に、引き続き委員長をお願いしたらいかがかなと思います。 本田総合法律支援推進室長 御意見ありがとうございます。   ただいま長谷部委員に引き続き委員長をお願いしたいとの御推薦がございましたが、皆様御異論ございませんでしょうか。           (各委員了承)   では、皆様御了承いただいたということで、長谷部委員に引き続き委員長をお願いしたいと存じます。   長谷部委員長、以降の議事進行につきまして、どうぞよろしくお願いいたします。 長谷部委員長 どうもありがとうございます。本年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。   まず、ウェブ会議による御出席につきまして、池亀委員におかれましては、健康上の事情により本会場に参集することが困難であり、ウェブ会議システムによる出席が相当であると認めます。これは、運営規則第3条第1項に基づくものです。   議事に入ります前に、委員に交代がございましたので御報告いたします。   本年4月7日付けで、斉藤芳朗委員、坪田郁子委員、吉田久委員の3名を新たに当評価委員会にお迎えしました。そこで、新任委員の皆様方から一言ずつ御挨拶をお願いしたいと存じます。   最初に、斉藤委員、お願いいたします。 斉藤委員 福岡で弁護士をしております斉藤でございます。   2018年に日本弁護士連合会の副会長したときに法テラスを担当させていただいた、このような理由でこの評価委員に選任されたことと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。 長谷部委員長 次に、坪田委員お願いいたします。 坪田委員 公益社団法人全国消費生活相談員協会で専務理事をしております、坪田郁子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。   私どもは、全国の消費生活センターで消費生活相談員をしている者を主な構成員としている団体でございまして、日常業務で法テラス様とのお付合いは非常に深いと思っております。よろしくお願いいたします。 長谷部委員長 最後に吉田久委員、お願いいたします。 吉田委員 文京公証役場で公証人をしております吉田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 長谷部委員長 どうもありがとうございました。   続きまして、委員長代理の指名につきましてお諮りしたいと存じます。   総合法律支援法施行令第5条第3項の「委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。」という規定に基づきまして、私から委員長代理を指名させていただきたいと存じます。   先ほど御挨拶いただきました斉藤委員は、法テラスの前身である財団法人法律扶助協会の福岡県支部事務局長や、福岡県弁護士会会長、日本弁護士連合会副会長を歴任されまして、法テラスについても大変造詣が深いと伺っておりますので、是非、委員長代理をお願いしたいと存じますが、斉藤委員、いかがでございましょうか。 斉藤委員 もちろんお受けいたします。よろしくお願いします。 長谷部委員長 ありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。   それでは、議事に入りたいと存じます。   本日の議事は、お手元の議事次第にありますとおり、(1)「令和5年度に係る業務実績評価の実施について」、(2)「令和5事業年度財務諸表に関する法務大臣承認に当たっての意見について」、(3)「日本司法支援センターの役員報酬規程の変更について」の3点でございます。   各議事につきまして、まず、事務局から概要の御説明をお願いいたします。 本田総合法律支援推進室長 それでは、本日の議事の概要を御説明いたします。   まず、議事(1)「令和5年度に係る業務実績評価の実施について」につきましては、法テラスの令和5年度の業務実績について、自己評価とその理由等を踏まえた御議論をいただけたらと存じます。   次に、議事(2)「令和5事業年度財務諸表に関する法務大臣承認に当たっての意見について」につきましては、総合法律支援法上、法務大臣が法テラスの財務諸表について承認をしようとするときには、あらかじめ評価委員会の意見を聴かなければならないとされておりますことから、本日、併せて御議論をいただけたらと存じます。   最後に、議事(3)「日本司法支援センターの役員報酬規程の変更について」につきましては、今般、法テラスにおいて役員報酬規程を変更し、その届出がなされましたことから、当該変更について、評価委員会の御意見の有無をお諮りするものでございます。   議事の概要の説明は以上でございます。 長谷部委員長 どうもありがとうございました。   それでは、ただいま事務局から説明のありました議事に沿って進めたいと思います。   本日は、法テラスの業務実績や財務諸表につきまして、委員会としての理解を深めるために、丸島理事長を始めとする法テラスの皆様方から、資料についての御説明や、委員からの質問に対する御回答をしていただくこととしておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。   続きまして、本日の配布資料について、事務局から説明をお願いいたします。 本田総合法律支援推進室長 それでは、配布資料について御説明いたします。   まず、資料1は本日現在の委員名簿でございます。次に、ピンク色の紙ファイルでございますが、資料2の業務実績等報告書は、法テラスの令和5年度の業務実績と自己評価等を記載したものでございます。続きまして、青色の紙ファイルには、令和5事業年度の財務諸表等がございまして、資料3-1が財務諸表、3-2が事業報告書、資料3-3は決算報告書、資料3-4は監査報告、資料3-5が独立監査法人の監査報告書でございます。また、同じファイルにございます資料4は、日本司法支援センターにおける契約の点検結果、最後に、資料5が役員報酬規程でございます。   資料の説明は以上でございます。欠落等がございましたら、いつでもお申し出いただければと思います。よろしくお願いいたします。 長谷部委員長 どうもありがとうございました。   まず、議事(1)「令和5年度に係る業務実績評価の実施について」でございますが、ここからは、各議事につきまして、それぞれ関連する資料について法テラスから御説明をいただいた上で、各委員から御質問等をお願いしたいと存じます。   評価項目は全21項目にわたりますため、項目1-1から2-11までを前半、2-12から5-21までを後半とし、二つのブロックに分けて御説明をいただき、それぞれ質疑応答の時間を設けたいと思います。また、本日は、法テラスの松並監事、高橋監事にも御出席をいただいておりますので、後ほど御意見をお願いしたいと存じます。   長丁場でございますので、10時30分頃をめどに10分程度休憩を取りたいと考えております。   それではまず、法テラスの丸島理事長から冒頭御挨拶を頂戴できればと存じます。 丸島理事長 おはようございます。法テラスの理事長を務めております丸島でございます。本日はよろしくお願いいたします。   長谷部由起子委員長を始め、評価委員会の委員の皆様には、日頃から様々御指導をいただき、また本日は御多忙のところ、当センターの令和5年度業務実績評価に係る本会議に御参集をいただきまして、誠にありがとうございます。   令和5年度の当センターの概況につきましては、後ほど担当者から御説明をさせていただきますが、この間、約3年余りにわたるコロナ禍に伴う行動規制が緩和され、社会経済情勢が大きく変化するに伴いまして、昨年度、法テラスのサービスの利用件数は、各業務分野ともに大きく増加をいたしました。法テラスサポートダイヤル、犯罪被害者支援ダイヤル、DV等被害者法律相談援助等、いずれも過去最多の利用件数となっておりまして、そのほか民事法律扶助の利用や国選弁護事件の対応件数も、前年度までと比べて増加に向かっております。   また、令和5年度は、法テラス業務に関する法改正と運用改善が相次いだ年でもありました。   旧統一教会の問題に関わる被害者救済、この課題につきましては、従前の活動に加えまして、昨年12月に新たな特例法が成立をいたしまして、これに基づきまして3か月間、極めて短期間でありましたけれども施行に向けての準備を進めまして、この3月から被害者救済を図るための「特定被害者法律援助業務」を開始いたしております。また、新しく創設されることになりました犯罪被害者等支援弁護士制度に関する法改正への対応準備その他も、この間進めてまいっております。   さらには、運用改善の面では、かねてから検討を続けておりました、ひとり親家庭の子どもの養育費確保を支援するための民事法律扶助の運用改善、また同じく国選弁護に関する約款改正等につきましても関係機関との協議を重ねて、本年4月から施行する運びとなっております。   このようにして、令和5年度につきましては、法テラスが提供するサービスの利用の増加にしっかりと対応をするとともに、法改正への対応、運用改善のための取組、これに関連する体制整備、関係機関との協議と連携強化等に多くの力を注ぐ1年となりました。   また、令和6年には、元日に能登半島地震が発生いたしました。当センターはこれまで自然災害の被災者支援の活動経験を多く積んでまいりましたが、こうした経験に基づきまして、被災者支援のため移動相談車両「法テラス号」を活用するなどして、無料法律相談を現地で行い、現在も続けているところでございます。   以上のとおり、当センターの役割は年々拡大をしておりまして、それにつれて業務も一層複雑化し、また多様化している現状であります。引き続き、社会から求められております多様な司法アクセスのニーズに応えようと、この使命を果たすべく、現在、人的体制の整備・充実、デジタル化の推進、そして安定的な財政基盤の確保等に取り組み、広く関係機関・団体の皆様と連携強化を図りながら、業務改善、そしてサービスの充実に努めているところでございます。   本日は委員の皆様から忌憚のない御意見を頂戴いたしまして、当センターの業務・組織運営の改善・強化を図るべく、一層の努力を続けてまいりたいと存じておりますので、よろしくお願いを申し上げます。   以上簡単ではございますが、私からの御挨拶とさせていただきます。本日はありがとうございます。 長谷部委員長 丸島理事長、どうもありがとうございました。   それでは、法テラスから、評価項目の前半部分の御説明をお願いいたします。 近藤総務部長 法テラス本部総務部長の近藤から御説明させていただきます。   令和5年度の業務実績について、前半部分として、項目1-1から2-11までを御説明します。また、「B」以外の自己評価とした項目、重要度・困難度が「高」とされた項目等、十分な御説明の必要があると思われる項目を重点的に御説明します。   項目1-1は、常勤弁護士を除く「職員の配置及び能力の向上」に関するものです。   第1に、職員の採用については、受験者の利便性向上の観点から、一部の試験についてオンラインで実施したほか、中途採用試験等を実施するなど、多様な人材を確保できるよう努めるとともに、センターの業務に適した人材を確保するため、新卒採用においては、令和4年度に引き続きインターンシップを企画し、より多くの学生が参加できるよう開催地を5か所に拡大したことで、56名中54名を選考して実施することができました。   第2に、配置については、令和4年度に策定した人員再配置計画に基づき、各地方事務所の業務量に応じた人員の再配置を行ったほか、組織の活性化を目的としたジョブポスティング制度の運用を継続しました。   第3に、研修については、多様化する法的ニーズの適切な対応と利用者の立場に立った業務遂行の更なる推進のため、全職員に対し、各部署に求められる基本的な執務姿勢を示した上で、各種研修を実施しました。採用年次等に応じて、職員の能力向上を図るとともに、オンライン研修の長所をいかし、全国の職員を対象とした短時間の実務研修を内容別に複数回実施するなど、効率的かつ効果的な研修を実施しました。   最後に、中途退職した元常勤職員を一定の要件の下で再採用するジョブリターン制度を継続し、令和5年度に1名を再採用するとともに、令和4年度に転勤の負担軽減策の一つとして試行した、北海道地区及び九州地区における異動範囲を当該各地区内に限定した職員採用を継続して実施し、2名を採用することができました。また、働きやすさの確保を目的とした転勤特例制度の試行としての運用を継続し、導入後一定期間が経過したことから、より職員のニーズに合うものとなるように、引き続き制度の見直しについて検討を行いました。   以上から、所期の目標を達成したものと考え、自己評価を「B」としました。   続いて、項目1-2は、「常勤弁護士の採用及び配置」に関するものであり、困難度は「高」とされています。   まず、常勤弁護士の採用については、新型コロナウイルス感染症まん延の落ち着きが見られたことから、オンラインのみならず集合形式の就職説明会を開催したほか、ホームページやSNS等を利用した情報提供を行ったり、令和3年度に実施した、司法修習生等を対象にした常勤弁護士による連続講演会のインターネット上での限定公開を開始したりしました。また、司法修習生等の法曹志望者・法曹経験者を対象とし、求人情報サイトを利用して就職情報の発信に努めました。その結果、法曹経験者を含めた21名を新規採用するに至りました。さらに、退職者減少のために、常勤弁護士が退職を検討する理由、退職を防止する対策を常勤弁護士に聴取し、相談窓口等の整備・周知やキャリアフローの可視化といった対策を講じました。   次に、常勤弁護士の配置の必要性、妥当性については、昨年度に引き続き、司法ソーシャルワーク等の法律相談や訴訟代理法律事務の取扱い以外の業務量を把握する関係機関連携票を利用し、常勤弁護士の業務量を評価しました。そして、法律相談や訴訟代理等の事件処理件数に加え、出張相談等の採算性の乏しい事案や対応困難な事案への対応件数を把握するとともに、関係機関連携票で把握した司法ソーシャルワークの業務量を分析したところ、常勤弁護士1人当たりの年間平均業務量は、法律相談が97.5件相当、代理援助が25.0件相当、これは有償事件も含んでおります。国選弁護が13.6件相当となり、中期期間最終年度で達成すべき指標に近い数値を上げました。これらの数値は、いずれも昨年度の数値を下回ってしまいました。しかし、令和5年度は、外的要因として第74期の常勤弁護士の養成明け赴任時期が遅れたために、第74期と第75期の養成明け赴任時期が一年度中に重なるという、例年にはない事情が生じました。養成明け直後の常勤弁護士は、相談担当日の調整や名簿登載時期等の関係で赴任後数か月は業務量が一般に低いことに鑑みると、令和5年度は業務量が少ない時期が2期分重なってしまったものであり、このような要因から数値が低くなったものと考えられます。この業務量を前提として、支援センター内部での調査に加え、日本弁護士連合会と引き続き連携して、常勤弁護士の配置の必要性や配置人数の妥当性の検証に取り組みました。   これに加えて、これまで進展のなかった未配置地域のうち1か所について、日本弁護士連合会を介し、地元弁護士会と初めて配置協議の場を設けるに至りました。さらに、常勤弁護士を地方事務所に配置できていない地域については、例年行っていた支援センターに関する日本弁護士連合会主催のブロック協議会における常勤弁護士の活動発表について、令和5年度は日本弁護士連合会の都合により行うことができませんでしたが、調整をした結果、令和6年度には行うことができる見込みとなっています。このほかにも、日本弁護士連合会と緊密に連携しつつ、地元弁護士会に対して、司法アクセス障害の解消に向けた全国の常勤弁護士の法的支援体制を周知・広報し、さらに、常勤弁護士の配置に向けた協議をするなどの取組を実施しました。   以上のとおり、常勤弁護士の年間平均業務量において、指標に掲げた数値には達しなかったものの、赴任時期のずれにより業務量にばらつきが出てしまう中でも、同数値に近い実績を上げることができました。これに加えて、指標に対応しない対応困難な事案等にも、地域の実情に応じて、積極的に対応しました。   常勤弁護士は、支援センターの各業務の担い手として、地域の実情に応じて、法律相談、事件受任等に適切に対応した上、司法ソーシャルワーク活動等を活発に行い、福祉機関等の関係機関との連携強化に向けた様々な取組を実践するとともに、遠隔地の事案や採算性の乏しい事案に加え、高齢者・障がい者、犯罪被害者、外国人等の多様な法的ニーズにも積極的に対応し、司法アクセス障害の解消という公共性の高い役割を果たしたと評価できるため、所期の目標を達成したものと考え、自己評価は「B」としました。   続いて、項目1-3は、「常勤弁護士の資質の向上」に関するものです。   常勤弁護士が司法アクセス障害の解消という役割を適切に果たせるよう、常勤弁護士の研修については、裁判員裁判弁護技術研究室及び常勤弁護士業務支援室を活用しつつ、研修内容によっては、外部講師を招きながら、常勤弁護士の日々の業務遂行に役立つ実践的な研修を実施し、その能力の向上を図りました。また、裁判員裁判弁護技術研究室、常勤弁護士業務支援室による相談体制を充実させました。   赴任1年目及び2年目の常勤弁護士に向けては、シニア常勤弁護士が担当制で支援を行うメンター制を一部改訂し、担当制で支援を行うメンターに加え、興味・関心のある分野に応じて、対象者が希望に沿うメンターを選択する選択型メンターによる支援を令和6年1月から実施することにより、若手常勤弁護士それぞれのニーズに合わせた支援を実施できるようにしました。   また、実施した研修が資質の向上に寄与したかどうかを確認するとともに、今後の研修に役立てるため、研修を受けた常勤弁護士に対するアンケートの項目の追加を行うことについての方針を固めました。   以上の実績を踏まえると、常勤弁護士の資質の向上に向けて十分な取組ができたといえるため、所期の目標を達成したものと考え、自己評価を「B」としました。   続いて、項目1-4は、「一般契約弁護士・司法書士の確保」に関するものです。   本部と地方事務所において、日本弁護士連合会等の関係機関と連携して、説明会や研修、協議会、意見交換を実施するほか、説明資料を配布するなどして、契約弁護士・司法書士が提供するサービスの質の向上を図りつつ、契約弁護士・司法書士の確保に努めました。その結果、令和5年度の民事法律扶助契約、国選弁護人契約、国選付添人契約、被害者参加弁護士契約のいずれについても契約者数が増加し、DV等被害者援助弁護士についても増加しました。   以上を踏まえれば、所期の目標を達成したものと考え、自己評価を「B」としました。   続いて、項目1-5は、「事務所の存置等」に関するものであり、重要度・困難度ともに「高」とされております。   被災地出張所については、被災地域のニーズ等を踏まえて総合的に判断し、ふたば出張所と気仙出張所を存続させて業務を継続しています。扶助・国選対応地域事務所については、地域ごとの弁護士数や事件数等を勘案し、既存の事務所の統廃合も含めて検討した結果、令和5年度中の新規設置や統廃合は行いませんでした。   司法過疎地域事務所については、地域事務所からの意見聴取結果を踏まえつつ、あらかじめ設定した司法過疎地域事務所の設置基準に該当する地域を抽出した上で、日本弁護士連合会との間で設置している作業部会を開催するなど、継続的な協議を実施するとともに、必要に応じて地方事務所等との協議を開催するなどしました。その結果、設置に向け、具体的な場所を定め、調整及び準備を進めるに至りました。   以上を踏まえれば、所期の目標を達成したものと考え、自己評価を「B」としました。   続いて、項目1-6は、「司法アクセス拡充のための体制整備」に関するものです。   こちらについて、まず、令和5年度は、本部において、関係機関連絡協議会により関係機関と緊密な連携を図りました。さらに、各種データの整理や体制整備に関する取組事例の共有、情報発信についての研修を行いました。   そして、地方事務所においては、全ての地方事務所において地方協議会を開催し、実施回数は68回に達しました。また、地域課題を分析し、優先課題を解消する取組や、関係機関主催のケース会議に弁護士を派遣する取組を行った結果、中期目標上の取組対象である975の自治体のうち333の自治体において、人口1,000人当たりの民事法律扶助に基づく法律相談援助の実施件数の区分が上昇しており、指標を達成しました。これは、令和4年度の260自治体に対し、約128.1%という高い水準での達成となっております。   このほか、霊感商法等対応ダイヤルの運営を継続し、法務省を始め、日本弁護士連合会、全国統一教会被害対策弁護団、全国霊感商法対策弁護士連絡会、法務少年支援センター、日本公認心理師協会、日本臨床心理士会、日本社会福祉士会等の各種関係機関・団体等との緊密な連携を基に、「旧統一教会」問題及びこれと同種の問題に関する問合せに対して適切な相談窓口等を案内するなど、問題解決を図るために必要な対応を行いました。   さらに、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議における被害者の救済に向けた総合的な相談体制の充実強化のための方策を実現する取組の一つとして、弁護士、心理専門職、社会福祉士等が相談を受けるワンストップ型の相談会を全国25か所で実施し、霊感商法等の被害者等支援として、総合的・一体的な相談対応を行いました。また、霊感商法等対応ダイヤルの相談対応者らが、被害者等の心情等について理解を深めることができるよう、相談対応者らを対象として、元信者等の方々の知見等を活用した研修会を令和6年度の実施に向けて企画し、相談・支援体制の整備・強化を図っております。   加えて、令和5年12月20日に公布された特定不法行為等被害者特例法に関し、極めて短期間のうちに各種の調整と所要の体制整備を行い、滞りなく施行日である令和6年3月19日に特定被害者法律援助業務を開始しました。このことは、社会のニーズに迅速かつ的確に応えたもので、実績として十分評価され得るものと考えます。   以上を踏まえれば、所期の目標を上回る成果が得られたものと考え、自己評価を「A」としました。   続いて、項目2-7は、「適切な情報提供の実施」に関するものです。   コールセンターの対応件数は、41万9,000件を超えるなど、前年度より大きく増加し、業務開始以降で最も多い件数を記録しました。また、メールによる情報提供件数も7万3,000件を超え、これまでで最も多い件数を記録しました。   地方事務所のナビダイヤルにおける振分機能の全地方事務所への導入を完了することで、利用者のニーズに合わせた適切な応対を促進することができ、また、待合せ設定を導入することで、地方事務所の受電状況の向上を図りました。   能登半島地震の被災者等への情報提供としては、法テラス災害ダイヤルの活用を速やかに開始し、過去の災害対応の経験を踏まえて必要な情報を取りまとめたQ&Aの作成や、Q&Aリーフレットの作成・関係機関送付を行い、迅速な被災者支援を実施しました。   コールセンター及び地方事務所において、関係機関等との協力を得ながら、オペレーター及び情報提供専門職員に対する各種研修を実施しました。   満足度調査については、5段階評価のアンケートで、特に、コールセンターでは件数が大きく増加した状況においても、利用者満足度を4.8と高水準を維持しました。また、地方事務所等における情報提供の利用者アンケートにおいても、昨年度を上回る4.6となり、全体平均でも4以上の評価を得ることができました。   以上を踏まえれば、所期の目標を上回る成果が得られたものと考え、自己評価を「A」としました。   続いて、項目2-8は、「法教育事業及びその関連事業」に関するものです。   令和4年度から支援センターの取組内容を法教育事業及びその関連事業と区分し、前者は一般市民を対象に法的問題への対応能力を高めることを目的とした取組であり、後者は関係機関職員等を対象に一般市民の支援に資することを目的とした取組であると定めました。   地方事務所において、図書館と共催した企画、中学生・高校生向けの出前授業、大学の授業に組み込んだ企画等の一般市民向けの法教育事業や、関係機関の職員等を対象とした事例検討会等を実施しました。これらについては、従前からの顔の見える関係づくりを意識した集合形式に加え、幅広い分野の支援者や年齢層の参加が見込めるオンライン形式や、双方のメリットをいかしたハイブリッド形式を、内容に応じて選択し、企画・実施いたしました。   一般市民向け法教育事業及びその関連事業の実施回数については、一般市民向け法教育事業を274回、関係機関職員等への業務説明を含む法教育関連事業を174回実施し、合計448回に達しました。   以上を踏まえれば、所期の目標を上回る成果が得られたものと考え、自己評価を「A」としました。   続いて、項目2-9は、「民事法律扶助業務」に関するものであり、重要度が「高」とされています。   まず、高齢者・障がい者等に対する支援の充実についてですが、19か所の地方事務所及び支部が高齢者・障がい者に対する支援を課題として設定した上で、その解消に取り組んだほか、複数の地方事務所がケース会議弁護士派遣モデル事業を利用して、地域包括支援センターにおけるケース会議に弁護士を派遣しました。   また、日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会との定期協議において、特定援助対象者法律相談援助の実施状況を共有したほか、高齢者支援に関わる福祉関係者向けに作成したユーチューブ動画を、QRコード入りのチラシや福祉関係者向けの研修で周知しました。   以上の取組の結果、出張相談及び特定援助対象者法律相談援助の件数を前年度よりも増加させることができました。   また、関係機関等と連携し、巡回相談を各地の実情を踏まえて実施したところ、巡回相談件数は861件に達し、前年度より増加させることができました。   続いて、民事法律扶助業務の利便性の向上につきましては、令和5年4月1日から電話等相談援助を恒常化しました。新型コロナウイルス感染症の影響が一定程度落ち着いてきたため、面談方式による法律相談の需要が増加し、令和5年度の電話等を活用した相談実施件数としては2万8,973件でしたが、令和6年能登半島地震の被災者法律相談援助においては、実施件数のうち約31%を電話等相談援助が占めており、被災状況下での利便性向上につながりました。   また、弁護士会、司法書士会など関係機関と連携・協力しながら、指定相談場所でのオンライン相談を4地方事務所で実施しました。オンライン相談を実施した地方事務所は、東京、静岡、青森、広島になります。また、支援センターでの法律相談について、令和5年10月から、全国の地方事務所において、インターネットを活用した方法で予約受付ができるようになっております。増加する外国人利用者のニーズに対しては、通信端末を利用した通訳を活用して、相談体制の充実を図っております。   また、利用者が代理援助と書類作成援助を選択できるよう、日本司法書士会連合会が作成した「司法書士ができること」と題するパンフレットを利用し、地方事務所において適切に説明できるようにしています。   さらに、ひとり親世帯に対する支援の拡大については、日本弁護士連合会との協議を重ね、業務方法書の改正作業を行い、令和6年度当初から運用を開始するための所要の体制整備を行いました。この支援の拡大は、民事法律扶助における立替金の償還等に関する運用が子を養育する上で負担となっているという指摘を踏まえ、ひとり親が受け取った養育費を子のために確保できるよう、弁護士費用の償還やその免除等について、民事法律扶助の運用を改善するものです。   以上を踏まえれば、所期の目標を上回る成果が得られたものと考え、自己評価を「A」としました。   続いて、項目2-10は、「国選弁護等関連業務」に関するものです。   この項目につきましては、まず、国選弁護人及び国選付添人の迅速かつ確実な選任態勢を確保するため、支部を含む全ての地方事務所において、関係機関との間で、令和5年度内に1回以上、協議の場を設けました。令和5年度において、その数は延べで574回に及んでおります。   また、支部を含む全ての地方事務所において、裁判所・弁護士会と協議の上、裁判所から国選弁護人等候補者指名通知請求を受けてから指名通知を行うまでの目標時間を設定しております。特に、被疑者国選弁護事件については、全地方事務所において、休日を含め、原則として数時間以内、遅くとも24時間以内との目標を定めておりますところ、令和5年度中、被疑者国選弁護事件の受理件数が約9%増加し、改正刑事訴訟法の施行に伴い、従前の運用方針を一部変更しましたが、従前同様に、全事件の99.9%で24時間以内の指名通知が行われています。   さらに、本部及び支部を含めた地方事務所において、刑事弁護等に関連した研修・協議会ないし説明会の場を設けており、地方事務所におけるその延べ回数は112回に及んでおります。   以上のように、被疑者国選弁護事件について、事件数の増加や刑事訴訟法改正に伴う運用方針の一部変更があったにもかかわらず、目標値を上回る割合で目標時間内の指名通知を実現できたことから、所期の目標を上回る成果が得られたものと考え、自己評価は「A」としました。   続いて、項目2-11は、「司法過疎対策業務」に関するものです。   司法過疎地域事務所については、新規設置や統廃合は行わなかったものの、関係各所との調整の上、1か所について具体的な場所の選定に至りました。常勤弁護士の配置人数については、司法過疎地域事務所ごとに取り扱う事件の種類・件数等を分析した結果に基づき、業務量等に応じた必要な人数を配置し、業務を取り扱わせました。これと並行して、令和6年度以降の配置における配置人数の更なる適正化を目指し、常勤弁護士の業務でありながらもこれまで数値化されていなかった情報提供等について数値化を図ったほか、事件数の把握をより効率的に行えるよう工夫を行いました。   司法過疎地域事務所を設置していない地域における司法過疎対策として、従前に引き続き、関係機関・団体との協定に基づく巡回相談を実施しました。司法過疎地域の福祉施設において、生活困窮者向けの巡回相談や、精神病院に入院されている方など地方事務所まで法律相談に赴くことができない方を対象とした巡回相談も継続して実施しました。令和5年度は電話等相談援助が恒常化されたため、これも活用しました。   以上を踏まえれば、所期の目標を達成したものと考え、自己評価を「B」としました。   前半部分の御説明は以上となります。 長谷部委員長 どうもありがとうございました。   項目は多岐にわたっておりますが、ただいま御説明があった範囲に含まれるものにつきましては、どの点からでも、委員の皆様から御質問等ございましたらお願いいたします。 奥山委員 1-1のところで、職員の採用について大変努力もされて、多くの方の採用ができたかと思うのですが、この採用人数というのは、当初の採用目標に対して達成されていたのかどうか、この辺はどのような評価をなさっているか、教えていただければ有り難いと思います。 有吉人事課長 人事課長の有吉よりお答えさせていただきます。   採用目標としては45名程度を想定していたところ、29名の採用となっておりますので、目標には届いておりません。近年の売手市場、学生数の減少から、そもそもの母集団形成においても非常に苦慮しているところですけれども、さらに内定辞退も多かったことから、目標値には届かなかったものです。   学生の傾向としましては、応募に対する活動量というのがそもそも減少しておりまして、インターンシップ等で企業を絞っているという可能性があることから、インターンシップに参加できる学生数の増加のために、昨年度は対象地域を拡大しました。具体的には、一昨年度は東京、大阪の2か所だったところ、昨年度は5か所に拡大したものです。さらに、全国転勤からブロック内での転勤という取組をしておりまして、就活生のライフプランを立てやすくすることで、母集団形成、応募者の増加とか内定辞退の減少にも取り組んでいるところです。 奥山委員 ありがとうございました。   引き続きお聞きしたいのですが、同様に常勤弁護士の確保についても、当然、目標があったと思いますが、これは採用者との関係でどのような関係になるのでしょうか。 近岡常勤弁護士総合企画課長 常勤弁護士総合企画課長の近岡からお答えいたします。   常勤弁護士は、近年は退職者毎年20名前後で推移していますので、それより多くの人数を採りたいというのが目標としてありましたけれども、令和5年度については21名ということになっておりますので、何とか達成したかなとは思っております。本年は、もう少し多めに採用できるように努力したいと思っております。 奥山委員 ありがとうございました。 長谷部委員長 ほかにいかがでしょうか。   中村委員。 中村委員 中村でございます。   1-3の39ページに記載のあるメンター制度について御説明をいただければと思うのですが、39ページのところで、「メンター制度を一部改訂し、対象者にとって必須となる担当メンター及び対象者の希望による選択型メンターによる支援を導入」とございまして、その選択型のメンターが、どういう考え方とかどういう形で行われているのかというところについて、少し補足をいただければと思います。よろしくお願いいたします。 近岡常勤弁護士総合企画課長 常勤弁護士総合企画課長、近岡です。   従来の担当メンターというのは、まずメンティーというか、指導を受ける側の赴任1年目、2年目の常勤弁護士に対して、シニア常勤弁護士を主担当・副担当、2名ずつ付けるというものでございます。これは、その赴任地域ですとかその事務所の特色等を加味して、本部の方で担当を決めるという形のものですけれども、その赴任新人弁護士の事情によっては、そのとき受けた事案がすごく専門的なものであったりですとか、その時々の事情によって聞きたいこと、相談したいことというのは違ってくるということがあるということも分かってきましたので、シニアの方でも専門分化も進んでおります関係で、そういった相談であれば誰々に聞いた方がいいというような事案が生じてきたということもありまして、選択型メンターというのを導入いたしました。   選択型メンターというのは、各シニア常勤弁護士が、例えば、特定の、自分はこういうもので指導できますとか、こういった形で相談に乗れますということを、それぞれ独自にメニューを作りまして、そのメニューを見て、1年目、2年目の弁護士が、ではこのシニアの弁護士に聞いてみよう、ということを自ら選択して相談できると、そういう体制のものでございます。 中村委員 ありがとうございました。 長谷部委員長 ほかにいかがでしょうか。 長内委員 長内です。1-1について、先ほど奥山委員から御質問があったところですけれども、それに関連しまして、職員の採用実績についてお伺いいたします。   職員の採用に関して、新卒者の採用、中途採用、それから有期契約職員の採用、この三つがあるのですが、新卒者の採用実績が5%程度、中途採用が10%、それから有期契約職員が5%で、有期契約職員が新規採用職員と同じ程度、5%にとどまっているというところが気になりました。というのは、有期契約職員というのは、既に業務経験されている方ですので、どちらかといえば有能な職員と考えているところです。これは、令和5年度の結果がたまたまそうなったというだけなのか、あるいは、有期契約職員の試験は、特に有能な有期契約職員を登用するための試験という何か厳しい条件をあえて付けているのか、その点につきまして、お話をお聞かせください。よろしくお願いします。 有吉人事課長 人事課長の有吉よりお答えさせていただきます。   有期契約職員の登用について、こちらに「特に有能」と書いておりますけれども、新規採用職員に比べて必ずしも特に試験が難しいということではありません。同じ試験ではありませんが、特に試験が難しいとか特に厳しい要件を課しているということではございません。   ただ、有期契約職員というのは、各地で採用されている非常勤職員や任期付常勤職員でして、ほとんどがその地元の方という状況にあります。そうしますと、現在もちろんブロック内の異動という取組は始めていますけれども、それでも、職員に採用された後は転居を伴う異動というのが想定されており、なかなか有期で働いている職員のライフプランとは合わないということから、応募自体が少ない、常勤職員への登用試験にチャレンジしようという応募自体が必ずしも多くないということがございます。 長内委員 ありがとうございました。 長谷部委員長 ほかにいかがでしょうか。   坪田委員。 坪田委員 坪田でございます。御説明ありがとうございました。   まず、法教育のところなのですが、70ページになりますが、法教育事業及びその関連事業の取組ということで、たくさんの回数を実施いただいているということが分かりました。いろいろなところの、図書館や大学等の共催など連携も図られているということですが、これらは、先方から法教育が必要だからやってくださいという依頼もあると思うのですが、実際なかなかそういったことも難しい状況がありまして、むしろ法テラス様の方から、こういうことが必要だからこういうことを知らせたいということで、開拓的なこともしなくてはならないと思うのです。結果としてはできてはいるのですが、その開拓がどのような形で行われていたかということを少し教えていただければと思います。   消費生活相談をしておりまして、相談者の方からの話を伺いますと、法テラスのことが分からない方もいらっしゃいますし、法的な基本的な知識が不足していることからトラブルに遭われている方も多いということを常に感じておりますので、お伺いいたします。 山口情報提供課長 情報提供課長の山口でございます。御質問ありがとうございます。   法教育につきましては、全国各地の地方事務所を中心に展開しているところでございまして、地方事務所ごとに多様な関係機関と常日頃から連携を取っております。その連携過程の中で、坪田委員の御指摘のとおり、関係機関の方から企画の提案を頂く場合もありますし、法テラスの地方事務所の方から企画を立てて関係機関に話を持っていって、共催若しくは後援とか、様々な企画で実施をしています。これまでの関係機関との様々な関係構築を礎にして、多様な企画を行っているところです。   また、法教育の実施に当たっては、毎年度、年度当初に重点的項目、令和5年度でいいますと、令和4年度に続き若年層とか高齢者を対象とした企画を推奨しますということで本部からもメッセージを出しており、それに即して地方事務所が企画を立て、関係機関と連携をして行うこともありますし、独自に、地方事務所で会場等を借りて、スタッフ弁護士等の協力を得たり、若しくは弁護士会の弁護士の協力を得たりしながら、様々な内容で行っているところでございます。 坪田委員 ありがとうございました。 長谷部委員長 ほかにいかがでしょうか。   斉藤委員、お願いします。 斉藤委員 斉藤ですけれども、御説明ありがとうございました。   まず感想なのですが、やっぱり一番よくやられたなと思うのは、51ページに書いてある、司法過疎地域事務所の設置について1件協議に入ったというところが、とてもすばらしいなと思いました。なかなか新しい事務所というのは、設置するのが困難な状況、いろんな事情があって困難ですけれども、そういうのが一つでも増えていくというのはとても、法テラスとしても頑張っていらっしゃるのかなという気がしました。   それともう一点は、28ページの常勤弁護士の数が、新規採用が非常に多いというのは、これも今の法律家の状況からして、非常に困難なことをよく努力されているなと思っております。   それから三つ目は、67ページのコールセンターのところで、法テラスに電話を掛けていらっしゃる方でもいろんな方がおられて、本当に困っていてどうしようもない方から、最後の頼りなんですね。いろんな公共団体から、ちょっと言葉悪いけれども、たらい回しにされて、最後に法テラスに電話を掛けてこられる方が大半でございまして、それにもかかわらず件数が増えて、しかも満足度が4.8を達成しているというのは、よく努力されているなという感想を持ちました。   そういう意味でお尋ねしたいのですが、先ほどコールセンターの満足度を高くしている、どんな努力をされているのかなというのが一つと、あと、他方で、外国人の方はちょっと低いみたいなので、いろんな事情があるのでしょうが、その差がついた理由と、もう一つ、常勤弁護士を採用ではなくて辞めさせないというのはとても大事なことでして、退職者の減少に歯止めを掛けるためにどんな努力されているのかなという点について、分かる範囲で教えていただければと思います。 山口情報提供課長 情報提供課長の山口でございます。   三つ御質問いただきまして、最初の二つ、まず一つ目をお答えしたいと思います。   コールセンターにおける満足度を高めるための努力という御質問を頂きました。常日頃からにはなるのですが、オペレーターの研修というところは非常に意識をして充実した研修を重ねております。新人として採用した段階から、まず2か月から3か月の間、200時間超えの研修を重ねて、単独で着台をした後にも継続研修と、今回も調書に載せていますが、外部研修等も織り交ぜながら、研修を積み重ねているところです。   毎年、フィードバック面談といいまして、オペレーター個々人と面談を行って、まず年度当初に目標を立てます。応対スキル、FAQ・関係機関の情報を提供するに当たって、どういう視点で今年度目標にして頑張っていこうかという目標を立てて、秋口に再度面談を行って、その中で反省や振り返りを行い、また、自身の対応したログを聞き、対応者も音声で客観的に確認をするということも積み重ねながら、オペレーターを含むコールセンター全体の質のレベルアップを日頃より重ねているところです。そういう日々の積み重ねが、結果として利用者に対する満足度の高さというところにつながっているのではないかと考えております。   二つ目の御質問、外国人の利用者の方の評価のところですが、ここはなかなか悩ましく、率直に申し上げて思っているところではあります。 冨田国際室長 国際室の冨田ですけれども、満足度の3段階評価と5段階評価の違いではないでしょうか。 山口情報提供課長 ありがとうございます。その点もあろうかとは思っていますが、そもそもなかなか難しいところもあろうかという視点も持っておりまして、少し苦慮しているところではあります。 近岡常勤弁護士総合企画課長 3点目につきまして、常勤弁護士総合企画課長、近岡からお答えします。   御指摘のとおり、退職者を減らすという案という点は、極めて重要なことだと認識しております。令和5年度については、今在職している常勤弁護士から、今までどんなときに退職を考えたことがあるかということについてアンケート結果を受けまして、多岐にわたるものでありましたけれども、その中から対応できるものを一つ一つ対応しております。   具体的には、まず転勤に関して、なかなか予測がしにくいというところがありました。これは、将来にわたって予測させるということは確かに難しいのですが、配置、赴任地の希望調査というのは毎年行っておりまして、その中身を、丁寧に希望を聞いて、その希望を考慮するということを一つ一つ積み重ねております。   そのほかにも、事件処理など業務の負担の大きさや不安があるという点に関しましては、相談窓口を増やしたり、それを一覧にして、こういうときはここに相談できますという一覧を作成して配布・説明をするという機会を設けました。   それからキャリアフローの不透明さというか、常勤弁護士のキャリアに関しては、設立当初とは違いまして、現在いろいろ複雑になってきたところもありまして、常勤弁護士自体が、何年経ったらどんなふうになるのかというのをあまり理解していないということが、アンケートの結果からも分かりましたので、その規定がどうなっているかですとか、実際の運用がこうなっているというところを図式化しまして、キャリアフロー図を作って共有するということを行いました。   今後もこういった一つ一つ取組を行っていこうと思っております。 山口情報提供課長 すみません、質問2について、もう少し御説明をさせてください。   多言語情報提供サービスは、外国人の方と法テラスの地方事務所と通訳業者と、三者間での通話となります。ですので、相当長い時間、会話を積み重ねることとなりまして、その後に、御利用者様の了解を得てアンケート、いいと言った方に対してアンケートを取っているところです。ですので、かなり疲れたところでアンケートに協力をいただくという実態もあるところです。   先ほど、国際室の冨田室長からも少し指摘がありましたが、多言語情報提供サービスにおけるアンケート評価自体が、概要を言いますと、良い、普通、悪いという3段階評価、他のアンケートは5段階で少し細かく取っているところなのですが、3段階評価での2.9になりますので、かなり高い評価を頂いていると認識しております。ただ、先ほど申し上げたとおり、今後どのようにより細かく評価を、アンケート評価を取っていくかというところは課題だと認識しておりますので、私が申し上げた少し苦慮しているところというのは、その点を申し上げました。   よろしくお願いいたします。 長谷部委員長 斉藤委員、以上でよろしいですか。   では、ほかにいかがでしょうか。   坪田委員。 坪田委員 63ページのところでございますけれども、多様なニーズに合わせてコールセンター対応していただいているということで、大変努力をしていらっしゃることがよく分かりました。私どもの仕事とも関係することですので、大変有り難く思っているところですが、能登半島地震であるとか霊感商法、こういったタイムリーな様々なトラブルに対しまして、FAQを素早く掲載をするなどしていただいているということですが、このFAQというのは文字数は多くはないわけですが、ニーズ、一般の国民の方、困っている方がどういうことを知りたいか、そこでどういうふうなことを回答すればミスリードにつながらないかということで、大変難しいところもあるかと思います。どういったことを担当してらっしゃる方がやってらっしゃって、どのくらいの定期的な見直しとかをしていらっしゃるのかということと、あとFAQというのは、ある意味自己解決になりますので、この自己解決は非常に必要なわけですけれども、やはり間違った解決に走ってしまう方もいらっしゃると思いますので、適切な窓口につなげることも必要だと思っております。   このFAQはなかなか便利なのですが、難しいなと痛感しておりますので、この辺りでの工夫とか御努力がありましたら、教えていただきたいと思います。 山口情報提供課長 情報提供課長の山口からお答えいたします。   FAQにつきましては、オペレーターが説明しやすい、利用者にとっても分かりやすいという表現を意識して作成しておりまして、その作成をした案を、本部内のスタッフ弁護士等を中心にチェックをし、その上でデータベース、情報提供業務システムに搭載して、全国で、法テラスの事務所・コールセンターも含む全事務所で使用をしているものとなります。多くのものは、ホームページ上でもアップしておりまして、そこでも利用者の方に提供している情報となります。   改訂の頻度ですが、法改正があった場合は当然ですが、制度が新しくなったりとか、場合によっては、いろんな法律の専門家から情報を頂いて、法改正が近々あるよとか、そういう情報も頂きながら、随時更新を積み重ねているところでございます。 生田第一事業部長 第一事業部長の生田と申します。情報提供を所管しております。   私も弁護士なのですが、ホームページにアップするFAQの前提として、まずオペレーターが使用するFAQを5,000件ぐらい用意している中で、これは要約した上でホームページに載せた方がいいだろうというものをホームページにアップしているところです。   定期的なFAQの制度の管理なのですが、これは、基本的には、法テラスで勤務している弁護士が本部にも何人かおりますので、法律の専門家が見て、まず法的な正確性を担保した上でその原案を作り、言い回しの点も含めて全体でチェックする。例えば最高裁の判決がこういうのが出たと、先日も旧統一教会の関係でもありましたけれども、そういうときには、きっとこういう問合せが来るだろうということで、こういうFAQを更に作ろうではないかというところをいろいろウォッチした上で、全体で情報提供の関係でそれをお願いする。そういう中で、またチェックしてアップするということを繰り返していますので、それなりに配慮しながら進めているし、法的な正確性も担保できているのかなとは思っております。 坪田委員 ありがとうございました。きちっとしたものを掲載していただいていることは承知の上なのですが、国民といいますか、利用者の方のリテラシーの問題で、その文言を間違って自分で解釈をしてしまうというのが一番不安に思っているところですので、よりやさしい言葉で、オペレーターの方はある程度研修を受けた方ですけれども、一般の方は全くの素人ですので、分かりやすい掲載を引き続きお願いしたいと思います。 生田第一事業部長 ありがとうございます。おっしゃるとおり、どう理解していただけるかというのは常に意識しなければいけないと思っていますし、また適切な関係機関につなげるというところも重要かと思っておりますので、その点を意識してまいりたいと思います。 長谷部委員長 ほかに御質問ございますか。   奥山委員。 奥山委員 また引き続き御質問をさせていただきます。   先ほど斉藤委員の方から、常勤弁護士が退職しない対策についてお伺いをいたしました。一方、やはりいろんな理由で常勤弁護士が退職なさっているかと思います。退職された常勤弁護士の方々が、法テラスの活動なり業務に対して、応援なり積極的に活動していただくような、そういうフォローアップみたいな対策というのは何かなされているのか、もしあれば教えていただきたいと思います。 近岡常勤弁護士総合企画課長 常勤弁護士総合企画課長、近岡です。   制度的に何かあるかということでいえば、制度としてはない、ということになります。ただ、退職者がどこにいるかということに関しては把握をしているところですし、現在、全国の地方事務所の所長、副所長ですとか、あるいは弁護士会の執行部等に、元常勤弁護士という方が徐々に就任されていたりですとか、その方たちが赴任している常勤弁護士と関わるという機会も増えておりまして、そういった意味で何かつながりというものが一定程度ありまして、それも把握しておりますので、そういった中で情報交換したりですとか、あるいはスタッフ弁護士に関して協議を行うといった機会もあります。そういった意味でのフォローアップというか、つながりというものは継続してございます。今後はもう少し意識して行いたいと考えております。 奥山委員 ありがとうございます。是非ともよろしくお願いしたいと思います。   あともう1点でございますけれども、司法アクセス拡充のための体制整備に向けた取組状況というところで、ページでいうと56ページです。民事法律扶助に基づく法律相談件数の実施件数というのが非常に増加して、2件以上の自治体数は増加し、1.5件未満は減少しているという、大変立派な御努力かなと思っております。   その上で、59ページに、これは、指標外の参考指標なのでしょうが、1.5件未満の自治体が、令和5年度は564か所から543か所に減少したと、これ大変すばらしいことだと思います。この543か所、日本には自治体がたくさんあるわけですけれども、地理的な偏在というのは何かあるのでしょうか、それとも満遍なくあるのか。もしそういう情報があれば、教えていただければ有り難いと思います。   もし今現在分からなければ、後でも結構でございますので、もし地理的な偏在があるならば、そういうところに対しての特別な施策とか対策というのも必要かなと思って、御質問させていただきました。 生田第一事業部長 第一事業部長、生田といいます。   今の点に関して確認をして、また御説明させていただければと思います。 奥山委員 ありがとうございます。 長谷部委員長 ほかにいかがでしょうか。   どうぞ、斉藤委員。 斉藤委員 斉藤ですけれども、先ほど奥山委員がおっしゃられた、退職した後の法テラスの弁護士の関係で情報提供申し上げますけれども、私、福岡で弁護士しているのですが、福岡の事務所を辞めて、福岡の弁護士会に登録替えした弁護士、何人もおられます。その方々は、辞めた後も法テラスの活動に相当理解を示していただいて、例えば、普通の弁護士としてはあまりやりたくない非常に込み入った刑事事件だとか、非常に利害関係がたくさんある民事事件だとか、そういうのも積極的にやっていただいていますし、地方自治体、今、こうしてまた地方自治体に行って、生活保護のケースワーカーの人たちと一緒に会議をやるだとか、とても積極的にやっていただいています。   したがいまして、退職した後も全く違った方面に行かれる方ももちろんおられますけれども、福岡で見る限りは、皆さん、法テラスの常勤弁護士でいたときと同じような心を持って活動しておられますので、念のために情報提供でございます。 奥山委員 ありがとうございました。 長谷部委員長 ほかにいかがでしょうか。   もし、御質問、御意見ございませんようでしたら、この辺りで10分間ほど休憩を取りたいと思います。再開後に、後半部分につきまして法テラスから御説明をいただきたいと思います。10時55分まで休憩といたします。           (休     憩) 長谷部委員長 それでは、再開させていただきます。   引き続きまして、法テラスから評価項目の後半部分の御説明をお願いいたします。 近藤総務部長 それでは、総務部長の近藤から、後半部分といたしまして、項目2-12から5-21までを御説明します。   項目2-12は、「犯罪被害者支援業務」に関するものであり、重要度が「高」とされております。   こちらについては、まず全ての地方事務所において、関係機関・団体から支援センターに対する意見等を聴取するとともに、本部においても、被害者支援に関わる関係機関との意見交換を行うなどして、犯罪被害者等のニーズを把握し、業務の改善に役立てました。また、二次被害防止をテーマとした研修として、内閣府主催のオンライン研修を各地の職員が受講したほか、被虐待児への初期対応技術に関するリフカー研修を、関東ブロックの地方事務所等を対象に3回開催しました。   次に、各種業務の適切な実施と関係機関との連携に関しては、令和4年度にフリーダイヤル化した犯罪被害者支援ダイヤルの周知に令和5年度も一層取り組むとともに、刑法改正や配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の改正など社会の機運の高まりを受け、支援センターに寄せられたアクセスに適切に対応したことにより、前年度からコールセンターの受電件数が約1.12倍に、精通弁護士紹介件数は約1.65倍に、DV等被害者法律相談援助件数は約1.22倍に増加しました。   また、関係機関等の連携においては、全ての地方事務所において、弁護士及び関係機関等に向け、業務説明や協議会等を複数回実施し、更なる連携の強化を図りました。   被害者参加旅費等の支給については、引き続き、裁判所・法務省等と情報共有し、連携を図りながら適切な支給に取り組んだ結果、全請求の99.8%について目標期間内に支給することができました。   以上を踏まえれば、所期の目標を上回る成果が得られたものと考え、自己評価を「A」としました。   続いて、項目2-13は、「多様な司法アクセス障害等に対応した業務の充実」に関するものです。   高齢者・障がい者等への対応については、項目2-9や2-11でも触れていますが、令和5年4月1日から対象者を限定しない電話等相談援助を開始し、福祉機関等の連携機関に周知を行ったほか、複数の地方事務所において、自治体と連携し、自治体施設と地方事務所をオンラインで結んで実施するウェブ法律相談会を実施しました。また、特定援助対象者法律相談援助、ケース会議弁護士派遣モデル事業、常勤弁護士による関係機関に対する情報提供等の取組については、全ての地方事務所において、自治体・福祉機関等に対し、協議会や説明会を通じて周知を行いました。   次に、外国人のニーズへの対応については、外国人在留支援センター、通称フレスク内に設置している本部国際室において、運営協議会や勉強会等を通じてフレスク入居機関との連携を深め、相談対応の引継ぎ、同席相談を積極的に受けました。また、本部国際室において、全国の外国人支援機関との連携についても積極的に取り組み、外国人支援者に対するセミナーの基礎編は、令和4年度から1回当たりの平均受講者数が22%増加し、237名に達しました。   これらの連携強化の取組や周知・広報により、令和5年度の国際室による情報提供も22%増の1,495件に達し、令和4年度の1,221件を大きく上回る実績となりました。また、多言語情報提供サービスの多言語対応件数については、前年度を上回る7,676件に達しました。   令和6年1月1日に発生した能登半島地震については、同月11日に政令による非常災害の指定を受け、速やかに被災者法律相談援助を実施しました。また、関係機関と連携し、巡回相談を活用した被災者法律相談援助も実施しました。さらに、東日本大震災の対応経験をいかして、弁護士会を始めとする関係機関と連携を密にしながら、被災地の状況を踏まえ、移動相談車両である「法テラス号」の運行を開始しました。被災地における法的問題解決のニーズに応えられたものと考えています。令和5年度中の被災者法律相談援助の実施件数は1,989件でした。   以上を踏まえれば、所期の目標を上回る成果が得られたものと考え、自己評価を「A」としました。   続いて、項目3-14及び3-15は、それぞれ業務運営の効率化に関する事項です。   項目3-14は、「一般管理費及び事業費の効率化」に関するものであり、重要度が「高」とされていますが、まず、一般管理費及び事業費についても経費削減を推進し、効率化係数が織り込まれた厳しい予算額の範囲内で効率的な予算執行を達成しました。   また、業務の内容に応じて職員を柔軟に配置し、給与体系についても労働法規を考慮しつつ、国の制度に準じた内容の給与規程を維持するなどして、人件費の合理化・効率化を図りました。   以上を踏まえれば、所期の目標を達成したものと考え、自己評価を「B」としました。   続いて、項目3-15は、「事業の効率化」に関するものです。   組織運営の効率化については、全国の地方事務所長等が参加する会議において、効率的な組織運営の在り方に関する協議を行いました。また、支援センター内で効率的に業務支援を行うべく、令和4年度に試行し運用を確立した地方事務所及び本部課室間での業務相互支援について、令和5年度から本格的に運用を開始し、複数の地方事務所及び本部課室の業務の支援を行いました。   また、情報提供業務の効率化については、コールセンターで入電傾向を分析し人員配置を工夫することで、応対件数が1万9,500件増加した中でも、応答率96.5%を達成しました。また、人員の効率的な配置の指標として導入した、利用者対応時間を業務関連時間で除した割合である占有率については77.1%となり、対応件数や応答率を向上させつつも、法律相談援助のウェブ予約の導入によってコールセンターの応対時間の効率化を図り、占有率を適正範囲内で維持することができました。   さらに、民事法律扶助業務の効率化については、専門審査委員を活用し、審査における判断基準の共有や事務手続の平準化を進めました。さらに、令和5年度は、民事法律扶助業務担当副所長会議、地方扶助審査委員長会議を開催し、審査に関する意見交換を行いました。また、全ての地方事務所において、申込書類のみで審査を実施する書面審査や、簡易な案件については単独審査の体制を整えるなど、事務手続の合理化を図りました。   以上に加え、法律相談援助のウェブ予約の全国展開、償還金引落口座の入力作業を自動化できるソフトウェアを使った業務の推進により、業務効率化を図りました。また、インターネットによる償還免除申請の受付など、業務を一部デジタル化することにより更なる業務効率化を図ることにつき、課題や方策等を検討しました。   そして、国選弁護等関連業務の効率化では、報酬算定に対する不服申立てについて、報酬算定業務の本部集約後も、地方事務所による再算定を可能としています。令和5年度は268件の不服申立てのうち4件、率にして約1.5%を地方事務所限りで処理しました。地方事務所限りで再算定した割合は、近年ごく少数にとどまっておりますが、これは不服申立てのほぼ全部が契約約款の解釈をめぐる統一的な判断が必要なものなど、地方事務所限りで処理することが相当といえる事例がほとんど見当たらない状況となっている中で、本部で処理することが適切な案件は本部で処理するとした結果であり、本部及び地方事務所の適切な業務分担による手続の合理化を図っております。また、報酬算定業務におけるデジタル化の検討を開始し、令和8年度中に費用等の自動計算システム、契約弁護士からの報告書受付フォームの導入の方針を固め、その実現に向けた検討を進めました。   以上を踏まえれば、所期の目標を上回る成果が得られたものと考え、自己評価を「A」としました。   続いて、項目4-16は、「自己収入の獲得等」に関するものであり、困難度が「高」とされています。   まず、常勤弁護士の有償受任等による自己収入の獲得については、常勤弁護士に対する研修等の機会に、常勤弁護士に対し、支援センターの財政構造、自己収入の確保の必要性や重要性を認識させることにより、各地域の実情に応じた自己収入の確保に努めた結果、司法過疎地域事務所での有償受任による自己収入は、前年度に比べて増加しました。   一方、寄附金収入獲得への取組については、支援センター本部内にプロジェクトチームを設置して、広く寄附金を募る方策を検討しました。また、ホームページを用いた寄附の呼び掛けを継続して実施するとともに、寄附金獲得に向け様々な方策を実施しました。令和5年度の寄附金総額は前年度には及ばないものの、総合的に見て着実に増加傾向にあります。   以上を踏まえれば、所期の目標を達成したものと考え、自己評価を「B」としました。   続いて、項目4-17は、「民事法律扶助における立替金債権の管理・回収等」に関するものであり、重要度・困難度はいずれも「高」とされております。   立替金債権の管理・回収については、継続的な償還を確保するべく、生活用口座からの引落しを推進するとともに、被援助者に対する償還の意識付けを引き続き行いました。予定どおりに償還ができなかった被援助者に対しては、コンビニエンスストア用の収納用紙を送付する手法を多く用いて償還を促しました。また、償還が見込めない立替金債権の償却を促進するため、本部による一括償却を実施するなど、効率的な事務処理も行いました。こうした取組により、償還率は94.6%、償還滞納率は25.8%に改善しました。   なお、この償還率及び償還滞納率に関しましては、前年度に報告いたしました令和4年度実績の数値につき、算出する途上で誤りがあったことが発覚しましたため、訂正させていただきます。訂正前の令和4年度の数値は、償還率が93.5%、滞納率が30.1%でしたが、訂正後はそれぞれ、93.8%、28.6%となっております。ただ、この訂正後の令和4年度の数値と比較しても、令和5年度の償還率、償還滞納率はいずれも改善しております。   以上を踏まえれば、所期の目標を上回る成果が得られたものと考え、自己評価を「A」としました。   続いて、項目5-18は、「業務運営の体制維持」に関するものです。   デジタル化への対応では、業務端末等を令和5年5月に更改し、これまでデスクトップ型であった端末をノート型としたことで、紙の資料を使わないペーパーレス会議やリモートワークをしやすくするなど、デジタル化への環境整備を進めました。   また、利用者の利便性の向上や業務効率化を図るため、一部業務においてデジタル技術を導入したほか、令和10年度に予定されている基幹システム、これは、通称第五世代システムといいますが、これの再構築に向けて、各業務においてデジタル化・システム化によって利用者の利便性向上や業務効率化につなげるため、業務担当職員とコンサルタントで意見交換し、デジタル化のための課題や方策等を検討し、第五世代システム構想書を作成しました。また、IT等の専門的知識や技術を備えた職員を計画的に確保・育成し、中長期的なデジタル施策を実現していく必要性が高まっていることから、「デジタル社会の実現に向けた重点計画(令和5年6月9日閣議決定)」を参考に、デジタル化推進の中核を担う職員を計画的に確保・育成すべく、「法テラスデジタル人材確保・育成計画」を策定しました。   そして、業務継続体制の整備については、特に国選弁護等関連業務に関し、長期間業務継続が困難となる事態を想定し、51の地方事務所において検討協議を行い、非常時の人的応援体制や、長期間業務が困難となった場合に備えたマニュアルの見直し、事務所閉鎖時の業務移管に備えた地方事務所間での協議、指名通知業務の継続に関する各地の弁護士会との協議を行うなどしました。   以上を踏まえれば、所期の目標を達成したものと考え、自己評価を「B」としました。   続いて、項目5-19は、「内部統制の確実な実施」に関するものであり、重要度が「高」とされています。   まず、ガバナンス強化のため、本部では執行部会を開催するとともに、決定事項を速やかに全職員に伝達し、地方事務所においても執行部会議を原則毎月開催しました。   次に、常勤弁護士の業務におけるガバナンス強化の取組として、法律事務所の運営に係る規程の変更や事務連絡が発出された際には、メール及びグループウェアにより法律事務所へその旨を確実に周知しました。また、赴任を控えた養成中の常勤弁護士を対象とした赴任前研修や、赴任4年目の常勤弁護士を対象とする業務研修において、法律事務所のマネジメントに関する研修を実施したほか、法律事務所職員を対象としたオンライン研修を実施しました。さらに、法律事務所代表会議を開催し、法律事務所のマネジメント、各種規程及び手続について周知等を図ったほか、ハラスメント防止に関する研修を行いました。さらに、情報セキュリティ対策として、弁護士の情報セキュリティを確保するためのルールである「基本的な取扱方法」の令和6年度策定に向け、常勤弁護士において定めるべき内容につき、具体的な検討準備を行いました。   情報セキュリティ対策については、令和5年7月に「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準群」が改正されたため、これに合わせて、当センターの情報セキュリティ対策基準と関連する規程の改正を改めて検討し、体制整備の改正準備も進めました。情報セキュリティに関する研修については、階層別研修受講者に対して、最新の情報セキュリティ対策を盛り込んだ講義を実施し、任意の職員を対象とした標的型攻撃メール訓練や、全職員を対象とした情報セキュリティ教育を実施するなどしました。   監査については、令和5年度においても、引き続き、監事監査を始めとした各種監査を実施したほか、過年度の監査結果を踏まえたフォローアップ監査を5か所の事務所で実施し、監査結果の改善状況を確認しました。また、監査室職員において、監査技術の向上に資する研修を積極的に受講することで、監査の充実強化を図りました。なお、令和4年度は、新型コロナウイルス感染症の観点から、一部の監査対象事務所は書面とオンライン方式により監査を実施しましたが、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、令和5年度は全事務所において実地検査を行いました。   さらに、内部統制強化の取組については、リスク管理委員会において、内部監査結果の指摘事項等について、リスクとして検討すべきものかどうかを峻別し、関係課室における課題の進捗管理を行いました。また、コンプライアンス委員会では、コンプライアンス強化週間の設定、コンプライアンス・マニュアルに対する理解度チェックを実施するなど、職員のコンプライアンス意識向上を図りました。   以上を踏まえれば、所期の目標を達成したものと考え、自己評価を「B」としました。   続いて、項目5-20は、「業務内容の周知を図る取組の充実」に関するものであり、重要度が「高」とされています。   令和5年度においては、外部有識者からの助言を受け、訴求対象をはっきりと定め、ユーチューブ広告や広報誌では、訴求対象に応じたコンテンツ制作を心掛けました。例えば、ユーチューブ広告では、高年層向けに伝わりやすいよう、ややゆっくりとした30秒動画を制作し、下に字幕を入れました。広報誌では、テーマを成年後見制度として、文字を従来より大きくする工夫をしました。   若年層向けには、若者が遭いやすいトラブルを歌詞に取り込んだラップ調の動画を制作して、ユーチューブ広告に使用しました。また、20代から40代の女性にユーザーが多く、写真や動画を多用するインスタグラムで初めて広報を実施しました。そのほか、認知状況等調査で、「大学・学校の授業」を認知経路に挙げていた割合が高かったことに着目し、地方事務所が大学生や高校生を対象とした法教育や業務説明を実施する際に、成年年齢引下げをテーマとした広報誌と支援センターのロゴ入りグッズのセットを配布しました。   これらの広報活動により、業務認知度は前年から0.9ポイント上昇して16.9%に達し、基準値を上回りました。   名称認知度におきましては、54.4%と前年度から3ポイント減少しましたが、こちらは令和4年度にテレビCMや新聞広告等の大規模広報を行った影響によるものと考えており、令和2年度と比較すると、令和5年度の名称認知度は緩やかではありますが上昇しております。さらに、ホームページの年間ページビュー数についても1,706万回を超え、こちらについても基準値を上回りました。   以上を踏まえれば、所期の目標を達成したものと考え、自己評価を「B」としました。   最後に、項目5-21は、「報酬・費用の立替・算定基準」に関するものです。   民事法律扶助の報酬・費用の立替基準については、その問題点を日本弁護士連合会と共有し協議するなどして、検討を進めているところです。また、国選弁護等関連業務の報酬・費用については、本部において現行の算定基準に対する契約弁護士の不服申立ての内容を分析するとともに、日本弁護士連合会との間で課題を共有した上で、定期的な協議の場において検討を行いました。また、これらの分析・検討の結果等を踏まえ、各地方事務所の刑事弁護担当の副所長が参集した会議において、適正な算定基準の在り方に関する議論を行いました。   国選弁護人・国選付添人契約約款の改正について、令和5年度末までに改正を目指す方針を固めていた18の改正要望項目について、法務省との協議を重ねて、そのうちの16の項目を改正するとの方針を固め、関係機関との協議や意見聴取を経て、その16の改正項目全部について、令和6年3月28日に法務大臣の認可をいただき、改正を実現しました。さらに、国選被害者参加弁護士契約約款についても、関係機関と調整を図りつつ、約款改正を実現することができました。   以上のように、多数の項目に及ぶ約款改正の実現という、近年にない目立った業績を上げたことから、所期の目標を上回る成果が得られたものと考え、自己評価は「A」としました。   御説明は以上となります。 長谷部委員長 どうもありがとうございました。   それでは、これも多数の項目にわたっておりますので、どの点からでも結構ですから、御質問等ございましたらお願いいたします。   長内委員。 長内委員 3-14についてお願いいたします。   一般管理費と事業費についての数値が出ていますが、一般管理費については令和4年度と比較して確かに減少し削減されています。一方、事業費については、令和4年度が9億円で、令和5年度が11億円で、両者に大きな差があります。もちろん、令和5年度の事業費は基準値の範囲内で問題のないところでありますけれども、令和4年度との差が気になりますので、御説明いただけますでしょうか。 寺嶋財務会計課長 本部財務会計課長の寺嶋でございます。   今御質問いただいた点は数字の話でもございますので、誤りがあってはいけませんので、一度確認の上で改めての御回答とさせていただければと存じます。よろしいでしょうか。 長内委員 はい、了解しました。 長谷部委員長 では、ほかにいかがでしょうか。   斉藤委員、お願いします。 斉藤委員 斉藤ですけれども、127ページのコンプライアンスの関係なのですが、ただ記載していないだけかもしれませんけれども、法テラスに内部の通報窓口があるか確認させてください。 寺田総務課長兼サービス推進室長 総務課長の寺田からお答えいたします。   通報窓口はございます。 斉藤委員 大体年間どのくらい通報があったか、件数で教えてもらえますか。 寺田総務課長兼サービス推進室長 確認して、追って御回答させていただきます。 長谷部委員長 ほかにいかがでしょうか。   奥山委員。 奥山委員 2点ほど質問ですが、1点目は、120ページに「デスクトップ型パソコンからノート型パソコンにしたことで、ペーパーレス会議やリモートワークの実施等、デジタル化への環境整備を進めた」などと書いています。これについて、職員の方々、常勤弁護士の方も含めてでしょうか、評価はいかがだったのでしょうか。非常に満足したとか、物足りないとか、いろいろあるかと思うのですが、いかがでしょうか。 谷口情報システム管理課長 情報システム管理課長の谷口と申します。   聞こえてくる限りにはなりますけれども、非常に使い勝手が良くなったと聞いております。正に今、我々が使っているこの端末がそうなのですが、ノートパソコンを家に持ち帰って在宅勤務も可能になりましたので、不評という声は、少なくとも私の耳には届いておりません。 奥山委員 ありがとうございました。時代に合ったすばらしい施策だと思います。   その上で、127ページですが、標的型攻撃メールの対策訓練というのをなさっています。ここで、「任意の職員を」と書いてありますが、これは何か特定の職種の方を対象にやったのか、それとも職員の方をランダムで選んで、どのぐらいの方を対象にしてなさったのでしょうか。 谷口情報システム管理課長 情報システム管理課長の谷口です。   例えば、事務局長クラスを対象とする訓練や、新規採用職員を対象にする訓練など、実施回ごとにこちらで対象者を選んで訓練をしているということになります。 奥山委員 ありがとうございます。昨今もいろいろDX化が進んで、メールなのかどうかよく分かりませんけれども、システムに対していろんな攻撃等々起きているのは新聞等で御存知だと思います。何年かに一度はこういう訓練に参加するという意識を持っていただき、是非とも継続的に実施していただきたいと思います。 長谷部委員長 ほかにいかがでしょうか。   坪田委員。 坪田委員 坪田です、よろしくお願いいたします。御説明ありがとうございました。   まず、89ページだと思いますが、2-12のところですが、「犯罪被害者支援ダイヤルのフリーダイヤル化や、DV等被害者法律相談援助の電話相談恒常化により利便性が向上したことに加え、本部及び地方事務所において更なる周知に努めたことにより」と書いてありますが、周知というのはなかなか難しく、こういったアクセスとか情報を本当に伝えたいと思いながら、伝えたい方に届かないというのは常に悩みだと思うのですが、更なる周知ということで、具体的にどのような工夫をされたのかということが1点目の質問です。   それから、106ページ辺りにあります3-15でございますが、ここで、入電状況を分析しており、すばらしくコールセンターの効率ということに努められていると思いました。この中で、法律相談援助のウェブ予約が可能になったことにより、非常にコールセンター業務が円滑にいっているということですが、このウェブ予約というのは、具体的にどういう感じでされているのかということと、利用者、御相談される方にとっては、メリットがどのような感じであったのかということが2点目です。   あと、最後1点ですけれども、116ページになります。ここで、滞納者への周知というかお知らせですけれども、「コンビニエンスストア用収納用紙を発送するほか、対象者の属性に応じた督促状を送付するなど、集中的な督促を本部で行った」などと書いてありますが、なかなかこれも連絡が取りにくい方とか、リアクションのない方で御苦労があると思うのです。こういった方、ケース・バイ・ケースだと思いますが、何が効果的だとお感じになっていらっしゃいますでしょうか。   以上3点、よろしくお願いいたします。 大山犯罪被害者支援課長 では、まず、犯罪被害者支援課長の大山の方から、犯罪被害者支援における周知の点について御説明いたします。   まず周知についてですが、主にはパンフレットやポスターを使って周知を行っておりますが、特に関係機関との連携の機会を通じて、連携先の窓口にパンフレットやリーフレットを備え置いていただき、そこに来た相談者の方に直接手渡していただくなどの方法で活用しています。それから、若い世代に対しては、SNSやインターネット上でCM配信を行うなどの広報をやっております。 村山民事法律扶助課長 民事法律扶助課長の村山です。法律相談のウェブ予約に関して、私の方からお答えします。   予約の受付をインターネットで行うということですが、こちらセンターで実施している法律相談について、インターネットを利用して仮予約をできるサービスとなっております。専用のシステムを構築しまして、令和5年度中に順次利用を開始していって、令和5年10月から、全国の地方事務所でこのサービスを使った予約受付というものを実施しているところでございます。   利用者側のメリットはというところですが、このサービスシステムが導入される以前は電話等で御連絡をいただいて、職員の方で聴き取った上で予約を入れるというようなことをやっておりましたので、どうしてもこちらの営業時間に限られるようなところだったのですが、インターネット利用ということになれば、その辺りの制限、制約がないような形で、割と柔軟に予約を入れることができるという点で、利用者側にとってもメリットになるというところでございます。   それから、続けて最後の御質問、コンビニ収納用紙等を用いた償還の督促に関してなのですが、各種督促については従前から取り組んでいるところですが、何が効果的かというところについては、現に滞納が生じる前の段階、あるいは生じてしまった初期の段階に対応していくというのが、一番効果的ではないかと考えています。ですので、償還が始まる前に少し意識付けをしていただくというようなことをやっていまして、例えば、初回の引落しが始まりますという御案内ですとか、あるいは初期、最初に引落しが失敗してしまった方々への督促というところに力を入れるような形で取り組んでいるところです。 坪田委員 ありがとうございました。 長谷部委員長 ほかにいかがでしょうか。   よろしいでしょうか。   それでは、どうもありがとうございました。ほかにございませんようでしたら、法テラスから御説明いただいた業務実績評価につきまして、監事からの御意見を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。 松並監事 それでは、監事、松並の意見を申し上げます。   まず、法テラスの業務全般についてですが、これまで御説明いただいた業務実績評価にありますとおり、全般的には適正に運営されていると思います。その上で、以下の三つの観点から、私の意見を申し上げます。   まず第1は、項目1-2「常勤弁護士の採用及び配置」、1-3「常勤弁護士の資質の向上」についてであります。   まず、常勤弁護士の採用についてですが、司法試験合格者の漸減傾向の中にあっても、令和5年度の採用人数は、最近の採用人数レベルをおおむね維持している点で一定の評価はできます。しかし、引き続き予断を許さないところであり、組織として、危機感を持った不断の取組が求められる問題だと思います。   このような厳しい現状は、常勤弁護士の業務の魅力が司法修習生等に広く伝わっていないことが要因の一つであると思われますが、令和5年度も、例年行っているセンター本部主催の司法修習生向けの就職説明会のほかに、法科大学院等が主催する就職説明会への参加、法科大学院からのエクスターンシップの受入れ、大学生や高校生向けイベントへの参加、あるいは法曹志望者・法曹経験者を対象とする求人情報サイト等への就職情報の掲載など、積極的な周知・広報活動が行われているところであります。今後もこのような継続的な努力が求められるところと考えます。   また、退職者減少のための方策ですが、その退職の理由の把握、あるいは退職を防止する対策の必要性・重要性、これにつきましては、先ほど斉藤委員等から御指摘いただいたとおりであり、引き続き強い問題意識を持って取り組む必要があると、私も考えております。   次に、常勤弁護士の配置についてです。常勤弁護士未配置の地方事務所への配置については、従前から行ってきた各地方事務所からの実情の聴取や日本弁護士連合会・各地方弁護士会との協議を令和5年度も継続して実施したほか、各地の常勤弁護士の実際の取組を周知するなどして、常勤弁護士を配置することへの理解醸成を長年図ってまいりました。その結果、令和5年度は、これまで進展がなかった未配置地域のうち1か所について、日本弁護士連合会を介し地元弁護士会と初めて配置協議の場を設けるに至っており、引き続きの努力を期待しているところであります。   次に、常勤弁護士の能力向上策ですが、法テラスではこれに向けた様々な取組を行っております。弁護士としての技術の習得を目的とした研修はもとより、業務遂行に当たり、日常的に裁判員裁判弁護技術研究室や常勤弁護士業務支援室の助言や指導を受ける態勢を整えており、特に、常勤弁護士業務支援室には、弁護士のほかに社会福祉士・精神保健福祉士が専門員として在籍していることから、福祉的な観点からの助言や指導を受けることができます。さらに、法曹実務経験年数の短い常勤弁護士に対しては、先ほど来出ておりましたシニア常勤弁護士がメンターとして支援を実施するなど、精神面でも支える制度がございます。   これら常勤弁護士の能力向上、専門性向上のための取組の結果、令和5年度は、民事法律扶助における出張相談、あるいは特定援助対象者法律相談援助、DV等被害者法律相談援助のいずれについても、当該活動における常勤弁護士が占める割合が登録弁護士全体に占める常勤弁護士の割合、これは0.4%ですが、これを大きく上回る結果となっております。これら活動は、各地方・地域に根ざす常勤弁護士であるがゆえに取り組むことができるものであり、司法アクセス障害の解消に大きく寄与している点は、高い評価に値するものと考えております。これに加え、関係機関への研修や業務説明など、地域からの多様なニーズに応える活動を活発に行っていること等を踏まえますと、常勤弁護士の採用・配置及び資質の向上において、当初の目標は達成できたのではないかと考えております。   第2に、社会の諸問題への対応についてです。   まず、令和4年度から引き続き、法テラスでは霊感商法等に関する取組を行っており、令和5年度は二つのトピックがございました。まず、全国25か所において、常勤弁護士、心理専門職、社会福祉士等と連携したワンストップ型相談会を開催し、法的支援だけではなく、精神的支援や福祉的支援といった相談者が必要な支援について、総合的・一体的な相談対応が行われました。また、特定不法行為等被害者特例法に基づく特定被害者法律援助業務の開始につきましては、準備期間が僅か3か月という短い期間でありながら、これを実施するに至っております。これは、組織的かつ迅速な対応がなされたものであり、評価に値するものと考えております。   また、本年1月に発生した令和6年能登半島地震に対しては、法テラスホームページ内の特設ページと法テラス災害ダイヤルにおいて、利用者が必要とする情報の迅速な提供に努めました。また、1月11日、非常災害の指定を受けた後、資力を問わない被災者法律相談援助を実施し、3月には移動相談車両「法テラス号」を避難所等に派遣するなど、過去の災害への対応の経験をいかし、適切に被災者支援を行ったものと考えております。   このように、社会に発生した喫緊の諸問題に対し、迅速かつ的確に対応し得るのは、法テラスの組織力はもとより、関係機関との日頃の連携協力関係構築の努力が結実したものであり、高い評価に値するものと考えております。   第3に、犯罪被害者支援に関する新制度における法テラスへ期待すること等でございますが、令和5年6月に、犯罪被害者等施策推進会議において、犯罪被害者等支援弁護士制度の創設が決定されました。これは、法テラスにおいて、犯罪被害者等が弁護士による継続的かつ包括的な支援及びこれに対する経済的援助を受けることができるようにするというもので、この決定を受けて、法テラスでは迅速な対応をすべく制度体系や事務フローを検討するとともに、関係機関と定期的に協議を重ね準備を行っております。   また、法テラスでは毎年度、関係機関・団体を通じて犯罪被害者等の意見を聴取し、それに沿った取組を行っており、令和5年度におきましても、これら対応は非常に効果のあるものとなっております。   以上申し上げましたとおり、令和5年度においては、これまで17年間蓄積してきた経験の活用、あるいは業務改善を行う取組が多く、いずれも組織を挙げて短期間に効率的に実現してきたものと考えます。これは組織運営の方向性として大いに評価できるものであり、今後とも司法アクセス障害の解消等、市民に寄り添う法テラスを目指す活動の充実と更なる展開を期待しているところでございます。   私の意見は以上です。 長谷部委員長 どうもありがとうございました。   ただいまの監事の御意見を踏まえ、更に御発言のある方はいらっしゃいますでしょうか。   よろしいでしょうか。   それでは、これにて議事(1)は終了とさせていただきます。   引き続きまして、議事(2)の「令和5事業年度財務諸表に関する法務大臣承認に当たっての意見について」に入りたいと存じます。   法テラスから、財務諸表等についての御説明をお願いいたします。 寺嶋財務会計課長 本部財務会計課長の寺嶋の方から、お手元にお配りしております青色の紙ファイルに編てつをしております資料の3-1から3-3に即しまして、令和5事業年度の財務諸表等について御説明を申し上げます。   まず、資料3-1の財務諸表ですが、法人単位の財務諸表と一般勘定及び国選勘定の勘定別財務諸表の計3種類により構成されるものです。   次に、資料3-2の事業報告書ですが、こちらは、当センターの業務運営の状況の全体像につきまして、概要情報等の開示を行うものでございます。   さらに、資料3-3、決算報告書ですけれども、こちらは年度計画において定めました予算の区分に従い、決算の状況を表示するものとなっております。   以上、3点の令和5事業年度財務諸表等につきましては、監事による監査報告におきまして、会計監査人の監査方法及び結果が相当であること、また、事業報告書には正しく示されているといった御意見を、また、独立監査人の監査報告書におきましても、無限定適正意見を受けておりますことを、あらかじめ御報告させていただきます。   それでは、資料3-1の財務諸表に戻りまして、法人単位の財務諸表によって概要を御説明したいと思います。   まず、貸借対照表から御説明申し上げます。貸借対照表は、期末時点におきます法人の資産、負債及び純資産の状態を示すものです。   令和5年度末現在の資産の合計は252億6,000万円です。前年度末との比較では、6億1,600万円の増加となっております。これは、ソフトウェアが18億7,200万円増加したこと等が要因と分析しています。   一方、負債の合計ですけれども、こちらは225億1,000万円です。前年度末との比較で3億3,900万円減少しておりますが、これは、未払金が18億1,000万円減少したこと等が要因となっております。   続きまして、行政コスト計算書について御説明申し上げます。行政コスト計算書は、この後御説明申し上げます損益計算書上の費用及びその他行政コストに分類をいたしまして、当期発生した全ての行政コストを記載したものです。   損益計算書上の費用合計は351億1,400万円でありまして、その他行政コストは該当がございません。   続きまして、損益計算書について御説明を申し上げます。損益計算書は、法人の運営状況を明らかにするため、当期の費用と収益を記載したものです。   経常費用は、先ほども申し上げましたが合計351億1,400万円です。前年度との比較で4億8,800万円増加しております。これは、契約弁護士報酬が11億6,100万円増加した一方、広告宣伝費が10億2,000万円減少したこと等が主な要因となっています。   他方、経常収益ですが、合計359億8,200万円です。前年度との比較では11億8,200万円増加をしております。これは、政府受託収益が12億7,400万円増加したこと等が主な要因です。   また、当期は、臨時利益といたしまして前期損益修正益8,800万円を計上し、以上から9億5,500万円を当期総利益として計上をしております。   続きまして、資料が横置きになりますけれども、純資産変動計算書について御説明を申し上げます。こちらの純資産変動計算書は、貸借対照表上の純資産の部に計上されております、資本金、資本剰余金、利益剰余金の当期の変動額を明らかにしたものです。   当期の業務運営の結果、利益剰余金が9億5,500万円増加しております。   最後に、キャッシュフロー計算書について御説明をいたしますが、キャッシュフロー計算書は資金の動きを示すものです。   当期のキャッシュフローによりまして、資金期末残高は83億1,000万円となっております。期首残高との比較で申しますと、12億3,200万円減少となっております。これは、業務活動によります契約弁護士等の報酬の支出の増加等が要因と分析をしております。   私からの財務諸表に関する説明は以上となります。 長谷部委員長 ありがとうございました。   それでは、次に監事の御意見をお願いいたします。 高橋監事 それでは、監事、高橋より御報告いたします。   センターの財務状況等について財務会計課から説明を受け、また、会計監査人からも報告を受け、必要に応じて説明を求めるなどして検証いたしました。その結果、令和5年度に係る財務諸表、決算報告書並びに事業報告書の会計に関する部分については、有限責任あずさ監査法人の監査を経ており、監事の監査報告の中で会計監査人の監査の方法及び結果は相当であると認め、また、事業報告書は、法令等に従い、センターの状況を正しく示しているとの結論に至っております。   以上です。 長谷部委員長 どうもありがとうございました。   それでは、ただいまの財務諸表等についての御説明及び御意見につきまして、御質問あるいは御意見のある委員はおられますでしょうか。   奥山委員。 奥山委員 奥山でございます。御説明大変ありがとうございました。   損益計算書に、前期損益修正益8,700万円が計上されております。これは、本来はソフトウェア仮勘定とするところを、業務委託費として処理したことから生じたと伺っております。前期損益修正益8,700万円は、経常利益に比較しても結構な金額かなと思っております。会計の部分は会計監査人に監査をお願いしていると思いますので、会計監査人の方から多分、この誤りが発生した理由、それから防止策というのは求められて、回答して御対応はしているかと思います。   一方、会計監査人にも、やはりこうした金額は、もっと少ない金額はともかくとして、これだけの金額はやはり指摘をしていただいて、前期損益修正が生じないような決算を行うよう、是非とも会計監査人とも協議をしていただいて、決算を進めていただきたいというお願いでございます。 長谷部委員長 ありがとうございます。   こちらにつきましていかがでしょうか、法テラスの方から。 寺嶋財務会計課長 今、奥山委員から頂きました貴重な御意見、本当にありがとうございました。センターといたしましても、今回の事象を受けまして、同様のことが今後起きないよう再発防止に今、まずは財務会計課内から再発防止に向けた検討を進め、それを組織内で共有し、同様の事象が生じないよう努めてまいりたいと思います。   貴重な御意見、本当にありがとうございました。 長谷部委員長 ほかに御質問、御意見はございませんか。   斉藤委員。 斉藤委員 斉藤ですけれども、5ページのキャッシュフロー計算書を拝見しますと、見方なのですが、一番上に書いてある民事法律扶助立替金の支出ということですから、この1年間に154億円程度、民事法律扶助で、これは恐らく弁護士とか司法書士の先生に立て替えて支払って、その少し下を見ると、民事法律扶助立替金の償還等による収入なので、104億円ぐらいは依頼者から立替金として回収されたと、そのようにこの表を見ていいのかというのが一つと、あと13ページの貸倒れのところですが、一番上の民事法律扶助立替金等残高で、一般債権が89億円で、貸倒懸念債権が189億円で、破産更生債権等が111億円あるということで、結構、貸倒懸念とか破産更生債権等の額が大きいかなというイメージなのですが、そのようにこの表をそのまま読んでいいのか、この2点について質問させてください。 野島財務会計課長補佐 御質問いただきありがとうございます。財務会計課課長補佐の野島の方から御回答申し上げます。   まず、1点目の御質問、キャッシュフロー計算書の見方につきましては、委員御指摘のとおりでございます。   続きまして、民事法律扶助立替金に関する貸倒引当金の計上について御説明を申し上げます。   まず、会計監査人の方とも御相談を申し上げまして、一般債権につきましては、簡潔に申し上げますと、今まで一度も償還の滞納等がない債権になっております。続きまして、貸倒懸念債権に関しましては、1回でも滞納があった方は、一般債権から貸倒懸念債権の方になります。続きまして、破産更生債権等に関しましては、1年間継続して償還の滞納が続いてしまった方という区分になっております。   その上で、それぞれの償還実績でありますとか回収見込みの方を個別に検討いたしまして、まず、少し細かい率を申し上げて恐縮でございますけれども、一般債権に関しましては、令和5年度の決算においては37.27%の貸倒引当金を計上しております。続きまして、貸倒懸念債権には89.22%の貸倒引当金を設定しておりまして、最後、破産更生債権等には100%の貸倒引当金を計上していますというところで、かなり厳しい貸倒引当金を設定していることは委員御指摘のとおりでございます。これは、民事法律扶助においては経済的に困難でいらっしゃる方に対する立替金の制度であるということを踏まえて、センターといたしましては、このような貸倒引当金の設定については妥当なのかなと考えているところでございます。 長谷部委員長 ほかに御質問、御意見はございませんでしょうか。   では、よろしければ、これにて議事(2)は終了とさせていただきます。   最後に、議事(3)の「日本司法支援センターの役員報酬規程の変更について」に入りたいと存じます。   法テラスから、役員報酬規程の変更についての御説明をお願いいたします。 有吉人事課長 人事課長、有吉より、役員報酬規程の改正について御説明いたします。   当センターの役職員の報酬及び給与につきましては、中期目標におきまして、国家公務員に準じた給与体系を維持するとされているところでございます。令和5年度の人事院勧告に伴いまして、一般職の職員の給与に関する法律が改正されたことから、これに合わせて、当センターの役員報酬規程についても改正を行いました。これまでも、常勤役員につきましては国家公務員指定職の俸給、非常勤役員につきましては国の委員・顧問・参与の手当の改定に応じて俸給・手当を改定してきておりまして、本改正においても、これらに準じて0.3%の引上げを行ったものになります。   御説明は以上です。 長谷部委員長 ありがとうございました。   ただいまの役員報酬規程の変更についての御説明につきまして、御質問、御意見のある委員はいらっしゃいますでしょうか。   よろしいでしょうか。   それでは、役員報酬規程の変更につきまして、評価委員会としては意見はなしとしたいと存じますが、それでよろしいでしょうか。           (各委員了承)   どうもありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。   そのほか、本日の議事全体を通して、何か御質問や御意見がございましたらお願いしたいと存じます。いかがでしょうか。   よろしいでしょうか。   もし追加的な御質問がございましたら、事務局を通じて法テラスに御質問いただくこともできますので、事務局宛てに適宜の方法で御連絡いただければと存じます。   それでは、他に特段の御発言がございませんようでしたら、以上をもって本日の議事は終了したいと存じますが、よろしいでしょうか。   それでは、最後に事務局から今後のスケジュール等について御説明をお願いいたします。 本田総合法律支援推進室長 まず、本日の会議の中で、法テラスから追って回答となっておりますところにつきましては、後日適宜回答させていただきたいと思います。   次に、本日の議事録の作成についてでございます。   従前どおり、事務局におきまして原案を作成した後、御出席の委員の皆様に内容を御確認いただき、最後に委員長に全体を御確認いただきましてから公表するという手順で行いたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。           (各委員了承)   皆様御了承ということで、ありがとうございます。   次に、次回の会議の予定でございます。   御案内のとおり、評価委員会第80回会議を8月6日火曜日、午後2時から午後4時で予定してございます。その際に、年度評価等の本日の議事事項につきまして、評価委員会としての御意見を取りまとめていただきたいと思っております。   取りまとめに当たりましては、本日の御議論を踏まえまして、まずは事務局の方でたたき台の案を作り、7月16日火曜日頃をめどに委員の皆様にお送りしたいと思っております。委員の皆様におかれましては、大変恐縮でございますが、その翌週の7月22日月曜日、午後5時までに事務局宛てにメール等で御意見を頂きたいと存じます。御意見を頂きましたら、事務局で整理をいたしまして、取りまとめ案を作成し、次回の評価委員会の前に、できる限り早くお示しをしたいと考えております。この間に更に御質問等がございましたら、何なりと事務局宛てにお申し付けください。   また、最後でございますが、本日使用しました資料の郵送を御希望される委員の方は、資料をそのまま机上に残しておいていただければ、後日郵送いたします。   事務局からは以上でございます。 長谷部委員長 どうもありがとうございました。期間が限られておりまして恐縮でございますが、御協力のほどお願い申し上げます。   それでは、以上をもちまして、本日の評価委員会を終了させていただきます。   どうもありがとうございました。 ―了―