法制審議会 民法(成年後見等関係)部会 第8回会議 議事録 第1 日 時  令和6年10月8日(火)自 午後1時30分                     至 午後5時51分 第2 場 所  法務省7階 共用会議室6・7 第3 議 題  参考人からの意見聴取 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○山野目部会長 お集まりの皆様、定刻でございます。法制審議会民法(成年後見等関係)部会の第8回会議を始めます。   皆様におかれましては御多忙の中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。   本日は櫻田委員、常岡委員、家原幹事、小林幹事、杉山幹事及び遠坂幹事が御欠席です。沖野委員、久保野委員、佐保委員及び山下幹事が途中から出席されます。また、加毛幹事が御用務のため途中から退席されると伺っております。   本日の審議に入ります前に、配布資料と本日の進行についての説明を事務当局から差し上げます。 ○波多野幹事 本日はヒアリングのみを予定しておりまして、部会資料の配布をしておりません。   参考人から御提供いただきました資料を配布しております。順に御説明いたしますと、八尾市から「八尾市における成年後見制度の利用状況について」と題する資料、横浜市からは「横浜市・中核機関よこはま成年後見推進センターの取組」と題する資料、世田谷区社会福祉協議会から「世田谷区社協及び中核機関としての取組み」と題する資料、伊賀市社会福祉協議会から「社会福祉協議会における権利擁護支援の取り組み」と題する資料を含め2点の資料を、社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会から「社会福祉施設における知的障害のある人の日常的な金銭管理支援について」と題する資料を含め2点の資料を、社会福祉法人栄和会から、「特養における預り金の取り扱いについて等」と題する資料を含め8点の資料を御提供いただいておりまして、皆様のところに配布させていただいております。   本日の進行でございますが、参考人として6団体の方に御出席をお願いしております。お話をお聞きする順に団体等を申し上げますと、八尾市の岡本様で、ウェブで御参加です。次に、横浜市の小森様、河口様、社会福祉法人よこはま成年後見推進センターの多田様に会場に来ていただいており、横浜市の近藤様と阿部様がウェブで御参加です。次に、世田谷区社会福祉協議会の堀様で、ウェブで御参加です。次に、伊賀市社会福祉協議会の田邊寿様に会場に来ていただいており、三重県社会福祉協議会の山口様と、伊賀市社会福祉協議会の生間様がウェブで御参加です。次に、社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会の仁田坂様と田邉裕子様がウェブで御参加です。最後に、社会福祉法人栄和会の瀬戸様が会場に来ていただく予定です。   ヒアリングの進め方でございますが、まず、地方自治体の関係で、八尾市及び横浜市の参考人からそれぞれお話をお聞きし、その後、合わせて30分程度の質疑応答の時間を設け、次に、社会福祉協議会の関係で、世田谷区社会福祉協議会及び伊賀市社会福祉協議会の参考人からそれぞれお話をお聞きし、その後、合わせて30分程度の質疑応答の時間を設けます。その後は、社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会の参考人から20分程度でお話をお聞きし、その関係で15分程度の質疑応答、その後、社会福祉法人栄和会の参考人から20分程度でお話をお聞きし、その後15分程度の質疑応答という感じで進めていければと思っているところでございます。   説明は以上でございます。 ○山野目部会長 御案内を差し上げました。1番目のヒアリングに参ります。八尾市及び横浜市のヒアリングを行います。   この際、私から八尾市の岡本由美子様、横浜市の近藤崇様、小森武信様、河口友美様、阿部春菜様、横浜市社会福祉協議会の多田政孝様、及び事前の御準備を担当してくださいましたそれぞれの機関の職員の皆様に一言申し上げます。本日はお忙しい中、資料を調えてくださるなど事前の御用意も頂いた上で、この部会に御来臨を賜りまして、誠にありがとうございます。御意見を伺って、今後のここでの検討に活かしてまいりたいと考えるものでございますから、何とぞよろしくお願い申し上げます。質疑応答の機会につきましては、先ほど御案内を差し上げましたとおり、横浜市及び八尾市の御意見を伺った後で併せて質疑応答の時間を設けたいと考えております。   それでは、まず八尾市から、どうぞよろしくお願いいたします。 ○岡本参考人 よろしくお願いいたします。本日はこのような機会を頂き、本当にありがとうございます。八尾市健康福祉部次長の岡本と申します。よろしくお願いいたします。まず、私の方から八尾市における成年後見制度の利用状況につきまして、成年後見制度に係る市町村の事務のリアルな実態を説明させていただきたいと思います。資料構成は、先ほどの目次のとおりでございます。   まず、八尾市の概況でございます。八尾市は大阪市に隣接する中核市でございます。人口は26万人弱、高齢化率は全国より少し低い状況でございます。直近で28.3%となっております。要介護認定者数、障害者手帳の所持者数などは資料のとおりでございますが、昨今どの件数も伸びている状況でございます。高齢者の相談を受ける地域包括支援センターは、委託型で中学校区ごとに15か所設置しておりまして、市にも基幹型を置いております。同じく、障害者の相談支援事業所について、委託型は4か所、市に基幹型を置く体制になっております。最後の項目の中核機関につきましては、令和3年度に社会福祉協議会に委託する形で設置をしております。   成年後見制度に関連する市の組織体制の図になります。市の関係課といたしまして、生活保護制度を担当する生活福祉課、高齢者の相談や市長申立てを担当する高齢介護課、障害の相談や市長申立てを担当する障害福祉課、市民後見の推進とか、若しくは市の権利擁護の統括的な役割を担っている地域共生推進課がございます。なお、高齢介護課、障害福祉課にはそれぞれ基幹型の地域包括支援センター、基幹型の相談支援センターを置いております。また、社会福祉協議会には先ほど説明した中核機関としての権利擁護センターを設置しております。   次に、成年後見制度の利用状況として、八尾市全体の年ごとの利用件数を示しております。ほぼ横ばいの状態でございまして、全体で460件から470件程度で推移をしております。市長申立ての件数につきましては、この3年間は後見類型のみとなっておりまして、年度ごとに10人程度となっておる状況でございます。なお、参考に、市民後見人の受任者数は毎年7人、市民後見人のバンク登録者は令和5年度末で34人となっております。   次に、市長申立ての対象者像につきまして、実際の申立てのケースから、ここに示すような状態の方を対象としていることを説明させていただきます。まず、経済的虐待を受けておられる方、又は虐待を受けていて、虐待する家族等からの分離が必要となった方などの虐待事案、そして、親族等からの支援が見込めない方で、独居で認知機能が低下し、自身で金銭管理が困難な方や、セルフネグレクトの状態、若しくは精神科の病院から退院するに当たり、住居確保が必要だが契約能力がない場合や、社協の日常生活自立支援事業を利用していたが、判断能力が低下して契約する事業の利用が困難になった方、こういった方が対象になっております。ここに記載する以外のケースは、親族による申立てや専門職の方などの支援を受けて、本人申立てとなっております。また、実績からも分かっていただけるように、本市の場合は後見相当の申立てがほとんどになっております。   次に、市長申立ての申立てまでの検討の流れでございます。まず、施設職員、病院の相談員、生活保護のケースワーカーなどから委託先の相談機関に相談が入ります。そこから、先ほど御説明させていただいた対象者像に当てはまる方について、市の基幹型の相談センターに相談がございます。更にそこから、市の申立て担当と情報共有をして面談を実施していくという形になりますが、高齢介護課は別の担当を置いております。障害福祉課は基幹型の相談支援センターの担当がそのまま担当しております。関係課の担当者で構成される実務者連絡会で市長申立ての必要性とともに類型の確認、それから後見人の候補者の職種を検討いたします。その結果を、申立て検討会議ということで、部長それから福祉事務所長、関係課長で構成する会議において申立て方針を決定するというものでございます。このように、委託型の相談機関や市に相談があってから申立てをするまでに幾つものステップを踏んでいるというのが実態でございます。   次に、申立てに係る検討内容や支援関係者とのやり取りでございます。市に相談が寄せられましたら、そこから資料にありますような情報を整理の上、市長申立ての必要性を検討いたします。本人情報シートの作成なのですが、これにつきましては実務者連絡会の後、主な支援者の方がいらっしゃれば、その方に依頼をさせていただいております。支援関係者が複数おられる場合には、各々から情報を集めさせていただいて、市の職員が作成するようなケースもございます。支援関係者がチームとしてまとまっていないということもございます。つまり、サービス事業者とか病院の相談員さんがそれぞれに個々の支援をされているという場合がございまして、その場合にはそれぞれに聴き取りを行うことが必要になります。これには非常に時間が掛かるというふうな状況になっております。また、類型については、主治医の診断書と本人との面談を基に担当部署内でまず検討しております。主治医の方には診断書作成依頼と同時に鑑定への協力依頼も行っておりますが、後見相当なので、余り今までに鑑定があったというケースは少ないのですけれども、鑑定もなかなか精神科病院の先生以外はお断りされるというような状況でございます。   ここで、幾つか事例を御紹介させていただきたいと思います。まずは、経済的虐待を受ける82歳の男性のケースです。(ケース内容の説明)このケースは、初回相談から申立て検討会議まで3か月を要しております。申立てまでには更に年度をまたいで時間が掛かっているというような状況でございます。   次に、日常生活自立支援事業から移行した認知症高齢者のケースでございます。84歳女性でございます。(ケース内容の説明)このケースは、実務者連絡会から申立て検討会議まで5か月を要するような結果になっております。   次に、障害のケースを御紹介させていただきます。58歳男性です。(ケース内容の説明)このケースは、相談が入ってから申立てを決めるまでに1年以上掛かっているという状況のケースでございます。   これらの事務上の課題について、少しまとめさせていただきました。まずは、診断書取得の際に、特に精神障害がある方の場合には、病状が安定していないということもありまして、診断書の取得までに時間が掛かる、安定している状況を図るまでに、医師の方で診断書を書いていただくのにとても時間が掛かるというふうな状況もございます。また、申立て書類が多く、手間と時間が掛かってしまっているというのが実際のところです。事務の担当者の経験値が少ないと、必要な書類の判断に手間取るということも起こっております。一式そろえた頃には数か月が経過してしまうとかということで、再取得をするようなケースもございます。なお、事務の担当者は人事異動がございまして、それによって年度途中の手続の途中で担当者が交代になるということもございます。実は、恥ずかしいお話なのですが、最初に御紹介した二つの事例につきましては、恥ずかしながら年度をまたいだ段階で時間が掛かってしまっているということが、こうやって書き出してみると実態として分かったという結果になっております。   また、戸籍法の改正で令和6年3月より本籍地が他市の場合でも本市の戸籍担当の方で交付が受けられるということになっておるのですけれども、これで事務が簡素化になったと思ったら、住所の記載のある附票はこのシステムでは取得できないということもありまして、結局本籍地に請求するということが起こっております。結局事務が短縮にはつながらないという結果になっておるというところでございます。   続きまして、さらに、市長申立て担当者につきましては、中核市である本市でも障害部門に1名、高齢部門に1名、いずれも他業務との兼務の状態でございます。申立てに係る事務は主たる業務とはなっておらず、他の仕事をしながらの事務ということになっております。これらの結果、市長申立て1件につき、相談から家裁への申立て書類提出までに少なくとも4から5か月、担当者の異動がなくても、これぐらいの時間を要しているという結果でございます。先ほどの事例で紹介したとおり、実際はもっと長く掛かるケースも出てきているというところでございます。   次に、後見人などが選定された後の関わりについてです。後見人の選任後は、市長申立て部署としては支援終了となります。一部の報酬助成しているケースにつきましては、後見人との事務的な関わりが継続することになります。本人の支援チームは当然、引き続き本人及び後見人に関わり続けることになるのですが、中核機関は実務者連絡会を通じてケース概要の情報は得ているのですけれども、本人や支援チームとの関わりは、個別に相談がなければ、その後なかなか動けないというような状況になっております。実務者連絡会は、飽くまでも申立ての必要性を中心とした検討の場という位置付けで実施させていただいております。   今後制度が見直されるに当たって、市町村の立場からお伝えしておきたいことをこちらに示しております。もし終わりのある制度となった場合、非常にそれはいいことなのですけれども、再度の申立ての事務手続が簡略化されなければ、今以上に事務に追われることになってしまうなというのが我々が懸念しているところでございます。また、制度見直しにより様式変更される場合、事前の周知が十分にされない場合は非常に混乱が生じるかなと思っております。ですので、医師や医療・介護・福祉関係者に分かりやすく周知する手立てが要るかなと、また、煩雑でない様式にしていただけると助かるなと思っております。特に、診断書とか本人情報シートにつきましては、行政の方から関係機関に作成依頼を行いますので、記入者の混乱を最小限にしたいと思っております。   後見人の交代につきまして、専門職後見人から市民後見人へのリレーは効果的だと考えております。市民後見人の養成講座の修了者の方の活躍促進にもつながりますので、制度見直し後も推進をしていただきたいと考えております。   また、本市では報酬助成は市長申立てに限定をして実施をしております。専門職団体の皆さんから御要望を頂いておるところなのですけれども、予算の確保が課題となっているところもありまして、範囲を拡大できない状況になっております。また、本市では市として助成する場合、市として被後見人のために必要な後見事務が適切になされているかどうかの確認ができるような仕組みづくりが必要だなと考えており、今後検討したいと考えております。   現状、後見相当の申立てがほとんどになっており、全ケースについて個別の代理権・取消権の設定をするとなると、こちらも今以上に申立てまでに時間が掛かるようになるのではないかなというところを懸念している状況でございます。   最後に、参考といたしまして、意思決定支援の本市の取組を御紹介させていただきます。本市では、本人を権利侵害から守って、また市民後見人の方に活躍いただけるために、厚生労働省の権利擁護支援モデル事業に参画をしております。本人の気持ちに寄り添って生活全般の見守りをするということ、この対応ができるということの効果は非常に感じておりますが、事業化をするに当たっては、やはり人材と支援体制の確保に限界があるなというところも感じてきたところです。また、本市の場合は地域性もありまして、金銭管理についてはなかなか定着しないという状況でございました。   また、モデル事業を通じて、介護・福祉関係者だけでは本人の意思決定支援を行き渡らせることは難しい現状と、その部分の支援を担う人材の必要性が明らかになったところでございます。   成年後見制度の利用者だけでなく、制度の利用に至る前の方も、また在宅生活の方も、施設利用者の方も、意思決定支援が必要な方は多いと感じております。私自身、有料老人ホームの全件調査に回っておりまして、その中で入所する方の実態把握を行っております。そうすると、やはり身寄りのない方については本人の意思がなかなか尊重されにくい状況であり、尊重されていないと思われるようなサービスの利用が進んでいる実態を目の当たりにしますと、この辺りの支援の仕組みというのは必要だなとは感じているところでございます。   最後に、八尾市では市民後見人の活躍支援に力を入れて取り組んでいるところです。社協さんも非常に頑張っていただいております。是非権利擁護センターのホームページを御覧いただけたらと思います。   お時間を頂きありがとうございました。御清聴ありがとうございます。 ○山野目部会長 八尾市からのお話を頂きました。ありがとうございます。   続きまして、横浜市のお話を承ります。 ○小森参考人 続きまして、横浜市から市の取組と、中核機関と連携した取組について御説明申し上げます。御説明は、横浜市の健康福祉局から小森と河口、そして中核機関よこはま成年後見推進センターから多田の3名で対応させていただきます。資料は大きく二つに分けて作成しております。資料1-1から1-15で横浜市の概況と取組をお伝えさせていただき、2として、現場の運用において苦慮するところの御説明や、行政そして中核機関が担う役割から見える課題について申し述べさせていただきます。   まず、資料1-1を御覧ください。上の人口からでございます。人口は、政令指定都市で一番大きい規模になっております。市内は18の行政区に分かれておりまして、最大36万人から最小10万人まで規模感の違いがございます。高齢化率についても、全市を平均すると25.4%でございますが、上は31%から19%まで差がございます。中核機関の運営は、横浜市社会福祉協議会に委託をしております。相談支援機関は、広い地域と多くの市民の皆様の御相談をお受けするため、全市201か所に展開して御相談に応じております。協議会につきましては、このように区域ごとの違いがありまして、取り組むべき課題も変わりますので、18区域と市域に分けて設置をしております。市民後見人につきましては、個人受任として報酬付与の審判を受けることを妨げないこととしております。受任の要件は、主に身上保護面で支援が必要であったり、多額の財産管理を必要としないといったこと、また紛争性がないといったことなど、六つの要件を受任調整を行う中核機関の会議、候補者調整会議において検討して、候補者としております。   続きまして、資料1-2でございます。横浜市の概況、組織体制でございます。この後、資料1-2から1-5までは御参考までに御覧いただければと存じますが、まずこの資料1-2は組織体制でございます。右側、18区の福祉保健センターの高齢・障害支援課、ここで区長申立て事務などを行っております。さらに、左下、地域福祉保健部のところで福祉保健課、我々の所属する部署がございますが、そこから横浜市社会福祉協議会、横浜生活あんしんセンターの中で中核機関、よこはま成年後見推進センターに委託をして、事業を実施しております。   続きまして、資料1-3でございます。高齢夫婦世帯と高齢単独世帯の推移でございます。年々増加しておりまして、特に高齢単独世帯の割合が高齢夫婦世帯の割合を上回っております。   続きまして、資料1-4でございます。認知症高齢者数の推移でございます。年々増加傾向にございます。   続きまして、資料1-5でございます。障害者手帳の所持者数と人口の割合でございます。身体障害者手帳の所持者数は減少しておりますが、精神・知的の手帳の所持者数は増加傾向にあります。   資料1-6でございます。こちらは、横浜市内における成年後見制度利用者数の統計になります。377万の人口に対し、令和5年12月末時点で7,072件となっております。グラフの右側に参考としてお示しをしておりますのは、令和5年中に認容となった件数で1,363件、その下の・で、令和5年度に相談支援機関が申立てに関与した件数として647件でございます。年と年度による違いはございますが、約半数につきまして相談支援機関が関与したことになっております。   続きまして、資料1-7でございます。行政が担う役割として重要になります首長の申立て、横浜市では区長の申立てになります。年々増加しておりまして、18区で312件となっており、対応件数が増えております。   続きまして、資料1-8でございます。18区役所の組織図でもお示しをしておりましたが、区役所の福祉保健センターの中の高齢・障害支援課の業務の御紹介でございます。横浜市では18の区役所の高齢・障害支援課という部署で、高齢者支援担当と障害者支援担当に分かれまして、両担当が窓口での相談対応を行い、ほかの業務を兼務しながら、成年後見制度を含めましたこの権利擁護支援に関する業務を担っております。支援を担当する職員は、社会福祉職として採用された者や保健師が従事をしております。横浜市では区長申立て専門の職員がいるわけではございませんので、担当する地区で区長申立てをすべき事案が生じた場合は、その地区を担当する社会福祉職が中心となって事務を進めております。申立て事務として、親族調査や同意の確認など多岐にわたる事務処理を担っておりますが、虐待事案であれば、さらに、御本人の保護としての緊急一時的な保護も含めて、養護者の支援など全般的な対応を担います。これらの事務を進めてまいりますと、1件の申立てに数か月単位が必要となります。同時多発的に複数の事案が発生することもございますし、マルチタスクで対応が求められます。緊急対応にも応じながら手続を進めている状況がございます。   続きまして、資料1-9でございます。行政の役割の一つ、利用支援事業についてでございます。横浜市では、申立て費用の助成については区長申立て案件に限定しております。また、報酬費用の助成につきましては区長申立て以外も可能として、親族後見人等以外の第三者後見人等の場合で、経済的な状況から負担が困難な場合に助成を行っております。   続きまして、資料1-10は、その利用支援事業、報酬助成の件数でございますが、令和5年度にはついに1,000件を超えまして、増加を続けており、これに伴う事務手続も増大しております。   続きまして、資料1-11でございます。相談支援体制についてでございますが、市内201か所で展開する相談支援体制は、多くの人口と、区域による課題の違いもございますので、特に身近な相談窓口で適切に相談をお受けすることができるように取り組んでおります。適切な相談対応のためには職員の相談スキルの向上が必須でございます。中核機関が中心となって人材育成、研修に力を進めております。   左側の青い表は、中核機関よこはま成年後見推進センターが受けた相談件数になります。右側の赤い表は、令和5年度に相談支援機関でお受けした相談で、新規の相談、それから継続の相談を含めて2,787件でございます。こちらの割合としては、高齢が8割、障害の方の御相談が2割程度となっております。中核機関の機能につきましては、後ほどの御紹介もさせていただきますが、市内201か所の相談支援機関の後方支援、相談支援機関がお受けした困難な相談に対する助言を行っておりまして、横浜市全体の権利擁護支援のバックアップとネットワークの構築を担っております。   続きまして、資料1-12でございます。横浜市の地域連携ネットワークのイメージ図をお示しさせていただいております。支援を必要とされる方を中心にチームを組めるように取り組み、御本人も後見人等も孤立しないよう、後見人等一人で支援するのではなく、チームによる多数の視点からの支援を進めております。支援チームが対応する中で、課題が複雑で難しい事案や対応が進まない事案につきましては、図の中央部分、各区の協議会で検討してまいります。それらの課題は中核機関を通じまして、司令塔機能を担う市協議会で取りまとめ、解決に向けた提案、施策の方向性を定めてまいります。あわせて、専門職団体、家庭裁判所、医療・福祉の関係者との連携ネットワークをつなぎ、司法、医療、福祉の連携に取り組んでおります。   続きまして、資料1-13でございます。大都市の横浜として多くの市民の皆様の御相談を適切にお受けしていくためには、そこで必要になるのは相談対応の標準化でございます。201か所の相談支援機関の職員、誰もが適切に相談をお受けできる仕組みが必要でございます。横浜市では、三つの場面が示される以前から、こちらにあります四つのステップを設けて、確実に支援に結び付くように取り組んでおります。相談支援機関は、ステップごとに確認するポイントを押さえながら相談を進め、お受けした相談が適切に進捗しているか、ステップごとの共通の進行管理シートを用いて進捗管理を行い、さらに、それにつきましては区域の相談を集約しております。区ごとの協議会では、各案件の状況の確認や、目詰まりが生じている事案について協議をしています。ステップの4におきましては、チームの支援、チーム会議を設けて、後見人等が付いて終わりではなく、御本人を取り巻く支援者それぞれの立場から考え、後見人等一人が孤立して支援することがないように取り組んでおります。   続きまして、資料1-14でございます。中核機関の取組を一覧にまとめております。横浜市の中核機関は、表の左上の項目、第一期の利用促進基本計画で示されました権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりの機能についての全て、フルスペックで実施をしております。1の広報機能はもちろんのこと、2の相談におきましては、直接の御相談にも応じております。最近の傾向では、親あるうちの障害のある子の相談も増えております。任意後見に関する相談も増えており、中核機関でお受けする相談のうち1割近くに上っております。利用の促進につきましては、候補者調整の取組は厚生労働省の成年後見はやわかりの事例集にも掲載いただいているところでございます。4の後見人支援としては、市民後見人の養成、活動支援を含め、選任までの調整や下地づくりを家庭裁判所の御意見も頂きながら進めております。5の不正防止の仕組みの構築については、苦情の共有から解決までの仕組みづくりを、こちらも横浜の家庭裁判所にも御協力いただき、連携を取らせていただきながら進めております。   続きまして、資料1-15でございます。市協議会の主な構成でございますが、市の協議会では全体構想の設計と進捗の管理、市域の課題の検討などを行っておりますが、より具体的な取組内容の検討ということで、②、③のように課題別の部会を設置しております。様々な御見地から御意見を頂き、連携ネットワークを構築していくため、多様なメンバーに御参加いただいております。また、家庭裁判所の方にもオブザーバーとして御参加いただいております。このほかに、18区ごとに協議会を年4回程度実施しております。区ごとの協議会では、相談支援機関と専門職等の顔の見える関係、ネットワークづくり、チームの継続支援などを行っております。   続きまして、資料2-1、取組から見える課題について御説明を申し上げます。行政が担う役割として非常に重要なものを、一番上の欄にお示ししております。虐待やセルフネグレクト、身寄りがなく適切な支援が受けられない場合などの権利擁護支援が重要な責務です。区長申立ての事案は、先ほどの八尾市様の御事例にもありましたが、生命・身体・財産に危険がある状態、権利侵害からの回復支援が必要でございまして、中には訴訟に発展する可能性も含めて、非常に緊張感を持って対応しております。その対応を限られた人員で、適正かつ迅速に対応せざるを得ない状況がございます。   そのため、二つ目の欄に記載しておりますように、仮に有期制の御検討などがなされる場合、制度の改正に際しましては、例えば申立て書式の見直しや、従前の提出書類の引用ができる工夫など、円滑な事務手続の視点にも御考慮いただけることが望まれます。特に区長申立ては、本人、親族申立てが見込めない事案で行っていることから、再度の申立てが必要となる場合にも区長申立ての可能性が高いと想定され、事務の効率化は非常に重要な課題であると考えております。   上から三つ目の欄でございますが、そこでお示しをしておりますように、終了の判断に位置付ける情報が必要となった場合に、自治体だけで把握することは困難であると考えております。理由としましては、さきの制度利用者数の統計でございましたが、自治体相談支援機関は制度を利用されている方全ての情報を把握しているわけではございません。また、状況を把握するための調査権限の限界や、限られた人員で調査する範囲の限界もございますので、自治体が終了に関する情報を全て把握することは難しいと考えております。   一番下、診断書・鑑定のところでございますが、区長申立てに係る場合のことでもございますが、例えば、障害のある方でこれまで掛かりつけ医がいないといった方が、虐待があることから区長申立てに至り、鑑定が必要となったりすることがございます。市職員が医療機関を探すものの、やはり初診での診断書の作成や鑑定は難しく、やっと受け入れていただける場合であっても、しばらく通う必要が生じることがございます。虐待からの避難という課題もある場合、その間の受診の交通費や医療費をどのようにするのかといった課題もございまして、手続が長期化することでの生活の支障、ひいては権利侵害があり得ることが懸念されます。   続きまして、資料2-2でございます。取組から見える課題、利用支援事業につきましては記載のとおりでございます。   チーム支援・個人情報の取扱いについてのところでございますが、上の方の欄になりますが、複雑な課題があったり、多岐にわたる課題があったりしますと、後見人等、支援者多数が情報を共有する必要があったりします。特にそういった場合はチーム支援が必要でございまして、支援方針の共有を進めておりますが、中には関係者等の御理解を頂けず、チーム会議への参加や情報共有ができないといった例もございます。   仮に終了となる際に、誰がどのように情報を把握できるのかといった点の整理がなされませんと、チームの支援に支障が生じる可能性があるのではないかと考えます。そのため、制度の終了に際しましては、情報の共有について現場の混乱と負担増がないことが望まれます。また、チーム支援に関しまして、参加する支援者の構成といった点を考えるに当たり、こちらは申立権者にも関連するかもしれませんが、行政の立場としては御本人の保護を最優先に考える必要がございます。申立ての前や後のチーム支援、チームの形成を考えるに当たり、利害関係にある存在がチームに入ることの影響は大きく、支援の方向性を共有して進めることができるのかどうか、支障がないかといった点を懸念しております。   情報の共有、特に個人情報の取扱いにつきましては、共有といった点で、申立て事務にも関連して、懸念しているところがございます。例えば、終了した後の再度の首長申立てをどのように行うのか、終了した後、転居や施設入所等で御本人の移動があって、移動した先で再度申立ての必要が生じた場合に、その方の従前の申立て情報を引き継いで手続することができるのか、どのような課題に対しどのような支援を受け、終了となったのかといった情報の把握なく、一から情報を把握して申立てを行うことになるのかなど、そういった点の整理が必要になると考えます。情報の共有や取扱い、引継ぎの有無につきましては、要配慮個人情報を含む重大な個人情報を取り扱うことになりますので、非常にナーバスになります。自治体が提出した文書の非開示の仕組みを含めまして、慎重に御検討いただくなど、取扱いの適正さと申立て事務量の点で混乱が生じないことが望まれます。   続きまして、資料2-3でございます。死後事務の欄でございますが、生前に葬儀に関する死後事務の準備や葬儀の費用の用意があれば問題ないものの、中には用意ができず、生活保護の葬祭扶助の適用が必要になる場合がございます。その場合、遺留金の扱いで後見人等報酬と葬祭扶助への充当、どちらが優先されるのかなど、混乱しない整理が必要であると考えます。また、本来、御本人が生きている間の権利擁護という部分が重視されるべきで、御本人がどうされたいのかという意思決定支援が重要ではございますが、この死後事務に関しては非常に課題が多くて、区の協議会でも主要なテーマに上がることが多く見られます。   現行の制度では、死後事務は後見人等の裁量になる部分もございますので、後見人等によって対応が異なる部分もあり、行政側の対応で苦慮する場合がございます。死後事務が後見人等の業務と位置付けられますと、事務負担が大きくなるといった点が懸念され、特に専門職ではない市民後見人には難しい対応が求められる場合がございます。一方で、位置付けられないと、死後事務を担うべき存在と自治体が担うべき業務としての境界、はざまの問題が生じると考えます。   例えば、死後事務に関する市民後見人の例でございますが、横浜市では市民後見人の受任要件として紛争性がないことを確認して行っておりますが、市民後見人の受任当初から時間が経過し、財産の引渡しに当たって戸籍の調査をしたところで、受任時にやり取りのあった親族の方が亡くなられ、そこから複数の法定相続人に連絡をする必要が生じることもあり、そこから紛争に至る場合があったりする例がございます。連絡が取れなかったり、理解を頂けず、死後事務が進まないといった場合がございます。また、相続財産の引受け手がいない場合の相続財産清算人等の申立て手続といった点で、市民後見人という専門職ではない側から見れば、それは非常に複雑で、市民後見人とその支援を行う中核機関、双方への事務負担が懸念された例がございます。   任意後見の欄でございますが、中核機関でお受けする相談の約1割は任意後見に関することでありまして、本来、将来に備えるために必要な制度でありますところ、やはり費用面、契約の締結、公正証書、月々の報酬契約といった点で、資力がない方にとっては活用ができない点から、利用促進につながらないといった課題がございます。   法人後見の欄につきましては、記載のとおりでございますが、財源の確保といったところで課題が見られ、担い手が増えない状況もございます。   続きまして、資料2-4でございます。中核機関の欄でございます。これまで申し上げてまいりましたように、重要な役割を担う機関として、制度の利用促進のために幅広い取組を展開しておりますが、相談が増える状況からも、体制の拡充が非常に重要な課題であると考えております。   適切な交替・リレーの欄でございますが、課題が解消して身上保護がメインとなれば、身近な支援者としての市民後見人の活躍が期待されるところでございますが、そういった状況を全件自治体が把握し、判断できるものではございません。明確なインセンティブもなく、各後見人等のお考えに委ねられざるを得ない面もございますので、促進に当たっての運用として、丁寧な引継ぎの仕組みづくりが必要であると考えます。   苦情解決の仕組みの欄でございます。後見人等の不適切な行為による場合であっても、現行の解決の仕組みでは、被後見人等の負担となる場合があります。つらい状況の改善を申し出た側が金銭的な負担をする形と見えてしまうといったことから、その方の御親族や支援者から理解を得られにくいといったことも考えられまして、費用負担の点は課題であると考えます。   日常生活自立支援事業の欄でございますが、仮に期間を区切った成年後見制度の利用等が検討される中、終了等の見守りの一つの手段と考える場合であったとしても、現状の事業のスキームでは担うことは困難であると考えます。終了後の支援の仕組みの整理、体制の強化が課題であると考えます。   最後でございます。以上、横浜市の取組から見える課題について御説明申し上げました。今後も制度の利用を必要とされる方、権利擁護支援を必要とされる方を支援していく行政と中核機関の役割を考える際に、御本人にとっての利用のしやすさが最優先ではございますが、支援の関係者が適切に支援を展開できる仕組みや、適正な事務の遂行ができる仕組みも重要になるものと考えます。   御清聴ありがとうございました。 ○山野目部会長 横浜市のお話を承りました。ただいま頂戴した八尾市及び横浜市の御説明につきまして、委員、幹事から質疑をお出しいただきます。どなたからでも御随意にどうぞ。 ○小澤委員 ありがとうございます。私の方からは八尾市の方に3点だけ質問させてください。   資料15ページに、成年後見人等の報酬に関する助成について、助成をする際には被後見人のために必要な後見事務が適切になされているかが確認できるような仕組みづくりも必要であると記載されております。家庭裁判所による後見事務の監督とは別に、行政による後見事務のチェック体制を構築する必要があるとお考えなのでしょうか、というのが1点目。   2点目は、資料16ページに記載されている権利擁護支援モデル事業について、金銭管理については仕組み化に至らなかったとのことですが、どのような困難があり、仕組み化に至らなかったのでしょうかというのが2点目。   最後、3点目は、資料16ページに記載されている、現状、後見相当の申立てがほとんどのため、全ケースについて個別の代理権・取消権を設定することとなると事務が煩雑になるとの点について、具体的にどのような点が煩雑となり、事務の停滞など、どのような点に御懸念があるのか教えていただければと思います。 ○岡本参考人 御質問ありがとうございます。3点質問がございまして、まず1点目でございます。15ページの報酬助成のところの仕組みづくりについてなのですけれども、我々の方で限られた予算の中でこの報酬助成を行っていくということに関しましては、国の方でも方針も出されておりますし、各種団体さんからも御要望いただいているところではございますが、なかなかこれを、我々が全く関与しない、ないし中核機関も知り得ないところで助成が進んでいくというところに適正性が担保されるのか、要は市がお金を出すことになるので、そこに対して適正性を担保する仕掛けが何か要るのではないかというふうなところが、まず我々が報酬助成をする立場として必要かなと考えておるところでございます。その仕組みができるかどうか、どんな形にするのかというところについては、例えば登録制にしていくであるとかそういったところについては、検討した上で判断したいなと市として考えているところでございます。   また、モデル事業の金銭管理の部分なのですけれども、仕組み化に至らなかったという点ですが、まず利用者負担1回500円でというふうな形で意思決定支援のサポーターの仕組みとしては作らせていただいたのですけれども、実際のニーズに合わなかったといいますか、特に大阪の場合は、大阪府域に関しましては市民後見人さんの受任が無報酬という形で実施をしているものでございまして、市民後見人さんのOBさんであるとかバンク登録者の方に活躍いただくときには、まず支援をする側の方が金銭を受け取るということに対して拒否感が強いというところと、あと、これは地域性なのかもしれないですけれども、1回500円払うんやったらええわということで、その支払いをするのであれば、もう受けなくていいというふうな御判断をされるケースが非常に多くいらっしゃいました。結果的にはなかなかそこのところの利用者の希望との兼ね合いが難しかったというところが金銭管理の仕組みづくりでもありました。あと、預かるのを誰が預かるのかというふうな問題もございまして、なかなかそこは、金融機関さんに御協力を得たいというところもあったのですけれども、金融機関さんも仕組みとしてなかなか預かりが進まないというところもございまして、モデルとしてやるのは難しいかな、やるとしたら制度化することが必要だなと感じたところでございます。   あと一つ、どうして事務が煩雑になるかというところなのですけれども、今、後見相当でしたら、要はどの代理権が必要だというふうなところの判断をすることを要さず、全部の権限を代理するということになりますので、そこを一つ一つ判断するというふうな事務が出ることに対して、煩雑化するのではないかというところを懸念しているというような状況でございます。 ○小澤委員 ありがとうございました。 ○野村幹事 今日はありがとうございました。八尾市さんと横浜市さんに対する、同じ質問を3点させていただきます。   まず、1点目ですが、成年後見制度の見直しによって、課題が解決した際に後見が終了となった場合に、本人に対する支援が途切れずに連続して行われる体制が必要になると思いますが、お話の中にも少しありましたけれども、中核機関の立場から、どのような仕組みがあればよいと思われますか。それが1点です。   2点目は、首長申立ての申立て期間が長期になる課題があるかと思うのですが、その間、日常生活自立支援事業を利用していない方の本人の預貯金の管理やチーム支援を構築する上での課題などについて教えてください。   3点目なのですが、後見人等選任後の関わりについて、後見制度の見直しによって「終われる後見」となった場合には、後見人選任後も本人の支援チームが本人と後見人に関わり続けることが今以上に必要になると思われますし、中核機関がチームを支援する体制が必要になると思われます。中核機関として、どのような場合にチームを支援する体制が必要だと思われますか。また、今後どのような仕組みがあれば中核機関がチーム支援に能動的に関わることができるとお考えでしょうか。   以上、3点になります。よろしくお願いいたします。 ○山野目部会長 岡本さんには少しお休みいただいて、では横浜市から参りましょう。 ○多田参考人 中核機関の多田からお答え申し上げます。連続性が持てるためのということで、全国的な取組からすると中核機関、まだ立ち上がっているところが中心なので、飽くまで横浜ではということに絞ってお答えさせていただければと思います。   現状、様々な取組を進めながら本人情報の把握に努めているところであります。横浜の場合では、半数程度ですけれども一次相談支援機関の情報も一旦区を通しながら、令和5年でいうと2,787件の情報を集めている形をとっておりますので、そこの把握はできる形はとるようにしております。そんな中で、候補者の調整ですとか必要な目詰まりの解消に専門職の派遣などをしながら支援をしている形をとっております。もし有期制で終了した案件を、また地域福祉に引き継いでいくとなったときに備えてとなると、今まで以上に入口の、実際、後見制度の利用に関する情報を、半数程度ではやはり少ないのではないかと思うので、出口になったときに備えて、入口の対応できる中核機関の権限が、家庭裁判所としっかり連携をとれる、情報の収集ができることによって、出口の対応も可能になるのではないかという、おぼろげながらの感じを持っているところまででございます。 ○山野目部会長 市の方から補足ありますか。よろしいですか。   引き続きまして、八尾市のお話を伺います。 ○岡本参考人 ありがとうございます。三つ続けて回答させていただいてよろしいですかね。 ○山野目部会長 お願いします。 ○岡本参考人 まず、有期になった場合の支援ということなのですけれども、今現在、我々の方でもなかなか中核機関でチーム支援に入っていくのが難しい状況ではありますが、一定、後見制度の中での中核機関の取組に加えて重層的支援体制整備事業の中で、いかなるケースであったとしてもチームを組んで支援をしていくという仕組みがございますので、その仕組みを流用していくというふうな形で支援をするということもできるかと思います。また、中核機関といたしましては、例えば後見制度利用の期限が切れるタイミングなどを見計らった中で後見人さんと連携をしていくというふうな、そこの仕掛けが要ると思います。その際には、やはり体制の強化であるとか、今の体制を少し見直しをしていくようなところは必要になってくるかなと思っております。   また、日自を利用しておられない方が後見が付くまでの間の支援につきましては、これは市も含めた関係機関でチームを編成しまして、その中で支援をしていくと取組をしているところで、どうにかこうにか、支払いを待っていただくことの手続であるとか、いろいろなことを進めながら対応しているというところでございますが、例えば賃貸契約の解除ができず家賃がそのまま掛かってしまうというようなところは、やむなく実態としてあるところでございます。   あと、後見人の選任後、本人の支援チームが関わるというところについてなのですけれども、チーム支援の仕組みにつきましては、先ほど回答させていただいたとおり、チーム支援の仕組みそのものというのが後見の枠を少し越えた範囲でも検討する必要性があるかなと、すべからくほかの市にも普及をしていくという考え方からしますと、中核機関のみであらゆる相談支援やチーム支援をするというのは難しいかなと考えておりますので、他制度の枠も利用しながら、例えば重層的支援体制なんかの考え方も入れながら、その中で支援をするというふうな形になってまいるかと思います。 ○根本幹事 横浜市に3点、お伺いできればと思います。   1点目は、資料2-1の行政が担う役割、区長申立ての3段目のところです。先ほど御案内いただく中で、終了のときに必ずしも全ての案件について、当然自治体がその方の詳しい情報をお持ちではないというお話がありました。他方で、特に区長申立ての場合には、その事案について終了させるかどうかについて、申立権者として、例えば裁判所から意見を求められる場面では、自治体として意見をおっしゃられたいとお考えになるのかどうかということが1点目です。つまり、途中で終了して、仮に再度申立てが必要となった場合には、再び区長申立てになるということだと思いますので、その御負担との関係でお尋ねします。   2点目は、資料2-2のチーム支援の中の上段のところです。申立権者に御本人と利害関係がある方が入るとチーム支援が困難になるというお話を頂きましたけれども、もちろん申立ての前後を問わずチーム支援が重要であるということは前提になると思うのですが、申立人が御本人のチーム支援の中で重要な地位を占める存在であるかどうかということを確認させていただければと思っています。   3点目は、資料2-3の任意後見制度の下の段のところです。監督人選任の申立てがされない課題のこと、若しくは任意後見契約の存在が判明し、法定後見の申立てにおいて調整が必要となって手続が長期化するという御趣旨だと思います。自治体の立場として、現行法上任意後見監督人選任申立ての申立権者ではありません。自治体として任意後見監督人選任の申立権者になると、申立て義務がまるであるかのようなことは懸念されるところだとは思いますが、他方で申立権者になっておくことで課題が解決されるという側面があるのか、その必要はないと思われるのかについて、教えていただければと思います。 ○小森参考人 ありがとうございます。まず1点目でございますが、終了に際しましてのところでございますが、区長申立てした場合は再度の申立ての場合も区長申立ての可能性が高いと先ほど述べさせていただいております。そういったところからは、その申立ての案件が終了となる場合につきましては、確かに自治体の意見を申し述べさせていただくということも場合によっては必要であると考えます。ただ、その場合に、何を必要とされているのかといったことの把握ができませんと、お答えも難しくなってしまう部分がございますので、意見を求められるとしたら、家庭裁判所の方でどのような事案を懸念されて意見を求めているのかといったことをお示しいただくようなことが必要ではないかとも考えます。   2点目でございます。申立人の存在のところでございますが、チーム支援を行っていくに当たっては、後見人が選任されて、そこからまた新しいチームが形成されて、支援がスタートしていきます。それまでの間の経過につきましては、申立人を含むチームのメンバーが把握しているところでございますので、その中においては申立人が占める役割というのは非常に大きなものであると考えますので、そこの存在に利害関係人の方が入られるとなると、その後のチームの支援方針に揺らぎが生じないか、御本人のためのチーム支援ということになるのか、ならないのかといった点で懸念があるものだと考えますので、非常に存在の意義としては大きな位置を占めると思っております。   3点目でございます。任意後見のところでございますが、確かに非常に難しい問題であると考えております。案件によりましては自治体の方でそういったことを判断できるといったこともあるかもしれませんが、一方では自治体としては区長申立てを適切に行っていかねばならぬといった責務がございますので、任意後見監督人選任の申立権が付与されることによって、そういった区長申立ての方の適正な事務の遂行に支障が生じる可能性があるのではないかということを懸念します。 ○山野目部会長 根本幹事、よろしいですか。 ○根本幹事 最後の区長申立てというのは、法定後見の区長申立てという事務という意味でよろしかったでしょうか。 ○小森参考人 はい、さようでございます。 ○佐久間委員 八尾市の方に、後見相当がほとんどだということに関連して、細かいことを何点かと、意思決定支援について伺いたいことあります。それから、横浜市の方にもその後に伺いたいことがあるのですが、部会長、まとめてよろしいですか。 ○山野目部会長 まず、八尾市の方からお願いできますか。 ○佐久間委員 はい、分かりました。では、八尾市の方に伺います。   まず、首長申立てについては後見相当がほとんどというか、少なくとも資料にお示しいただいているのは全てだということになっているのですけれども、1点目に伺いたいのは、その理由は何かということです。保佐・補助相当の方だというような場合に、これが最終的には申立てに至っていないわけですけれども、それがなぜなのか。そもそもそういう方については首長申立てをしてくれという案件として出てこないのか、出てきたとして、どこかの段階で何らかの理由で手続から落ちるのか。仮にどこかの段階で手続から落ちるとしたら、それはどういう形で落としているのか、例えばですけれども、その程度だったら本人申立てをしてくださいというような形で落とすのかどうかということを知りたいと思います。   それから、2点目は後見相当という判断を、医師からの診断書がある場合はそれによるのかと思いますけれども、どのようなことをもってしておられるのかということを、差し支えなければ伺いたいと思います。   3点目として、後見相当なので本人申立てが困難だというのは分かるのですけれども、本人申立てが困難であるときに、本人の意向の確認みたいなものはなさっているのか、なさっていないのかということを伺いたく存じます。   それから4点目に、今度は後見相当ではない場合に、仮に保佐・補助相当の方について首長申立てをしようということに事例としてなった場合には、権限の判断をしなければいけないと思うのです。保佐ですと保佐人に取消権が与えられるものが法律に定められていますけれども、それ以外に拡張するのか、代理権も与えるのかということを現状でも判断しなければいけないと思うのですけれども、その判断に関して、何らかの判断の見込みというか、こういうふうにしてするというのをお持ちかどうかということを伺いたいと存じます。   以上が後見相当に関してでして、もう1点、16ページにお示しいただいている意思決定支援なのですけれども、これは具体的にどんな場面でどういう意思決定の支援をされているのかということを、もちろん網羅的ではなくてよろしいのですけれども、代表的なものとしてはこういうことだということがあれば、教えていただきたいということです。   多岐にわたりまして申し訳ございません。以上です。よろしくお願いいたします。 ○岡本参考人 ありがとうございます。まず、後見相当ばかりになっているのはなぜなのかというところなのですけれども、少し説明もさせていただいたのですが、関係機関にも御協力を頂きながら本人申立てを進めていただいているというところが実態としてございます。では全く今まで保佐・補助の申立てをしていないのかというと、していないわけではないないのですが、そのことによって結果的には後見相当のものが残ってくるというふうなことで、市の方で一定、手続的なところとか体制も含めてなのですけれども、限界があるというところで、御協力を頂いているような状況でございます。   また、後見相当の判断のところなのですけれども、それにつきましては、診断書もそうなのですが、相談員が、専門職も含めて、訪問に行かせていただいて本人面談を行っております。その中で一定、何度か面談をする中で判断をさせていただいているというような実態でございます。   あと、首長申立てをする場合の本人の意向確認については当然、どんな場合でも行うということは必ずさせていただいているところでございます。確認できない場合もございますが、確認をするということは必ず行っております。   また、保佐・補助とかの権限の判断基準のところなのですけれども、説明の中でもさせていただきましたとおり、なかなかここが確立されたものがないというのが実態でございます。更に言うと、説明の中でもさせていただきましたとおり、事務の担当者が人事異動でやってきて、福祉現場は初めてですというふうな、市民さんと話をするのも初めてですというふうな職員が担当する場合もございまして、なかなか実態として保佐・補助のところ辺りの権限の判断とかになってくると、専門職も含めた中でサポートしていくというふうな実態がございますので、時間は掛かるというのが実際かなと思います。   また、モデル事業のところですね、意思決定支援のところのケースなのですけれども、かいつまんで申し上げますと、モデル事業の中で意思決定支援のサポーターさんというのを、市民後見人のバンク登録の方であったり、OBさんの方にお任せする仕組みとさせていただいておりまして、比較的まだ判断能力の残っておられる方々で、在宅におられると、例えば詐欺被害などに遭われるような、そういったおそれのある方々に支援をするというふうなサポートを行っておりました。日常のお話を聞かせていただく中で、生活に必要な、判断が一定必要になってくるようなものを一緒にやっていくということですかね、例えばお金の支払い状況の見守りをするであるとか、生活に関わるようなお買物に関して一定、一緒に判断するというようなところをサポートする、日常的にはお話し相手をしていただくというふうなことをしていくのですけれども、その中で、だんだん判断能力が低下する状況が一定、早い段階で見付けることができたりとか、寄り添った支援をすることによって本人さんの意思決定が進みやすくなるというふうなことが結果として出てまいりましたので、この仕掛けそのものは必要な仕組みだなとは考えているところでございます。ただ、すべからくいろいろな方々に付けていこうとすると、サポーターの人数が必要になってきますので、担い手をどう確保するかというところにつきましては今後、課題となるかなと思っておるところでございます。 ○山野目部会長 佐久間委員は、ここまではよろしいですか。 ○佐久間委員 はい、大変よく分かりました。誠にありがとうございました。 ○山野目部会長 引き続き、横浜市の方にお尋ねください。 ○佐久間委員 横浜市の方に伺いたいのは2点でありまして、一つは、八尾市の方からは、今いろいろ質問させていただいたように、後見相当にほぼ限られているということだったのですけれども、横浜市の実情はどうかということです。取り分け後見以外の類型の申立ても、件数はともかくとして、されていることがあるのかということを伺いたいです。   もう1点は、八尾市の方にも伺ったのと同じなのですが、申立ての実例があれば、その際に保佐や補助について保護者に与える権限の判断をどうされたのか、仮にほとんど実例がないということだとすると、その権限の判断として、市でされるということになった場合、どういうことを判断していくという見通しを持っておられるのか、あるいは見通しはないのかということを伺いたく存じます。よろしくお願いいたします。 ○河口参考人 河口の方から御説明させていただきます。区長申立てに関しても保佐・補助類型の案件もあって、対応している状況です。保佐・補助案件の代理権ですとか、そういったところの権限の部分については、もちろん区だけで検討するわけではなくて、保佐・補助案件の場合、御本人にも説明しながらそういったところを確認して、代理権等の付与の部分について書類作成をしていくことになります。また、区だけではなくてチーム支援の関連する方々、関係機関の皆様とも一緒に、意思決定支援というような場面の中でもそういった話をしながら進めていくところです。 ○山野目部会長 佐久間委員、よろしいですか。 ○佐久間委員 はい、ありがとうございました。 ○山野目部会長 ありがとうございます。 ○星野委員 ありがとうございます。それぞれ一つずつ御質問させてください。   まず、八尾市さんです。スライドの15の真ん中の辺りで、診断書と本人情報シートについて、現状でもいろいろ御努力されていらっしゃるというところがあるのですが、記入者の混乱を最小限にしたいとおっしゃっていましたけれども、診断書と本人情報シートは現状では必須のものではないです。例えば、法改正を考えるときに、診断書や本人情報シートを法的に必要なものだと取り扱うということについて、何か御意見があればお伺いしたいという質問です。 ○山野目部会長 まとめておっしゃってください。 ○星野委員 横浜市さんへの質問です。死後事務の困難さをおっしゃっていらして、そのとおりだと思いますし、後見人によって対応が異なってくるし、そして家庭裁判所によっても取扱いが異なります。東京家庭裁判所においては死後事務について分かりやすいフローチャートで示してくださって、とても有り難いというところもあります。死後事務についても、民法に限りませんけれども、何かの法的な整備が必要だというお考えがもしあれば、お伺いしたいと思います。 ○山野目部会長 八尾市からお願いします。 ○岡本参考人 ありがとうございます。診断書と本人情報シートについては、必須ではないというところなのですけれども、やはり申立てをしていく我々の立場からしますと、もう必要なものだと、必ず取るということを大前提にしておりますので、これが必須事項となることに関して何か不都合があるということはございません。ただ、これが様式なりが今後煩雑になって、もっと詳細にというふうなことになってきますと、この辺は非常に事務的な手続が必要になってくるかなと思いますので、その部分の手間がないような状況でお願いできればとは思っているところでございます。 ○山野目部会長 ありがとうございます。横浜市の死後事務をお願いいたします。 ○小森参考人 ありがとうございます。確かに、先ほど申し上げさせていただきましたように、死後事務、非常に課題が多く、苦慮するところが多くあります。そういったところからは、確かに法的な整備などが何かしらお示しいただけますと、運用していく中で一つの示しとなると思いますので、有り難いと思います。 ○山野目部会長 星野委員、よろしゅうございますか。   ほかに委員、幹事からのお尋ねはおありでしょうか。よろしいでしょうか。   まず、八尾市に御礼を申し上げます。2022年12月16日に私が厚生労働省の支援を頂いて八尾市をお訪ねした際に、本日御紹介いただいたような諸事業がまだ緒についたばかりの様子を拝見いたしました。今日お話を伺って、様々なおっしゃったような課題があるにしても、それを大いにお進めになっておられる御様子を拝見しました。岡本さんのお元気そうなお顔も拝し、うれしくございました。どうぞ八尾市と八尾市社会福祉協議会のお若い皆さんによろしくお伝えください。ありがとうございます。   横浜市におかれましては、盛りだくさんの資料を横浜市社会福祉協議会と共にお作りいただきまして、ありがとうございました。私どもにおいて参考にさせていただきます。引き続き御協力を頂きたいと思います。お作りになった充実した資料と、それに基づく貴重なお話の数々を頂きまして、ありがとうございました。   休憩にいたします。           (休     憩) ○山野目部会長 再開いたします。   続きまして、世田谷区社会福祉協議会及び伊賀市社会福祉協議会からのヒアリングを行います。   この際、世田谷区社会福祉協議会の堀伸治様、伊賀市社会福祉協議会の田邊寿様、三重県社会福祉協議会の山口訓広様、伊賀市社会福祉協議会の生間慎二郎様、及びこれらの皆様と協力して本日御提供いただいた資料の調整に御尽力を頂きました関係方面の職員の皆様に一言申し上げます。本日、お忙しい中、資料を調えてくださるなど事前の御用意を頂き、この部会に御来臨を賜りました。誠にありがとうございます。御意見を伺い、今後の当部会における検討に活かしてまいりたいと考えるものでありますから、何とぞよろしくお願い申し上げます。質疑応答の機会につきましては、先ほど来実施しているとおりでございます。世田谷区社会福祉協議会及び伊賀市社会福祉協議会の御意見を承った後で、質疑応答の時間を設けることといたします。   それでは、まず世田谷区社会福祉協議会から、どうぞよろしくお願いいたします。 ○堀参考人 世田谷区社会福祉協議会権利擁護支援課長の堀と申します。どうぞよろしくお願いいたします。資料の方を共有させていただきます。私からお伝えする内容は3点となります。後見業務、監督業務、そして中核機関の取組に関するものとなります。なお、時間の都合で配布資料を細かく説明するものではありませんので、その点、御容赦ください。   では、本題に入っていく前に、成年後見センターの歩みを一部御紹介しておきます。スライドの4枚目になります。今日お伝えする三つの業務のそれぞれの開始時期についてですけれども、後見業務を開始したのが2001年、監督業務は2007年、中核機関は2021年にスタートしております。後見及び監督業務は、社協の中では比較的古くから取り組んでいる方かと存じます。   それでは、法人後見業務について御紹介していきたいと思います。本年8月末現在の世田谷区社協が後見人等として受任しているのは94件となります。左の表の開始原因別で見た場合、認知症の方が約65%、次いで知的障害、精神障害の方がそれぞれ約14から15%となっております。右側の表の居所の状況を見ますと、自宅で生活している方が約25%となっております。ちなみに、後見人等に受任した直後の居所状況を見た場合ですが、こちらは約64%の方が自宅となっていました。   続いてのスライドは、後見業務の職員体制を紹介したものになります。各ケースに対して、主に三つの立場の職員が関わっています。まず、1番目の後見専門員はケースの主担当者で、本人支援、関係者との調整などを行っております。2番の事務担当職員は、財産管理を担う職員や家庭裁判所への報告書類を作成する職員等がおります。財産管理は御本人の口座から現金を入出金したり、各種支払い等を行います。ちなみに、実際に入出金を行う場合なのですけれども、この1番の後見専門員の依頼に基づいて、2の事務担当職員が行っております。最後に、3番目の法人後見支援員なのですけれども、こちらは主に本人宅を訪問して状況を確認する職員となります。この職員は世田谷区の区民成年後見人養成研修を修了した区民の方であって、実際には社協の臨時職員として雇用契約を交わして活動していただいております。以上の職員が各ケースに関わっておりまして、特に財産管理については複数の職員が関わる仕組みにしており、一人の職員だけで行うことがないようにしております。   続いて、世田谷区社協が後見受任する流れと、受任するケースの傾向についてお話ししたいと思います。世田谷区社協は本人や御家族から依頼に基づいて直接受任するものではなく、後見人等候補者を検討する会議、一般的には受任者調整会議といわれていますけれども、そちらの会議で検討されたケースの中で、社協が候補に適切だろうとされたケースが、まず前提となります。その上で家庭裁判所の審判があって、受任となっております。   続いてのスライドは、社協が受任するケースの傾向を示したものになります。主なものとして6点挙げてみました。一つが、本人対応に課題があるもの、そして親族対応に課題がある、資産が十分ではない、支援が長期化する、社協が行う日常生活自立支援事業の利用者、そして区民後見人へのリレー受任が想定されるケースとなります。基本的な傾向としては、個人で受任するよりも、やはり組織で受任する方がよいと判断されるケースが傾向としていえます。また、年々この受任ケース、困難ケースが増えている感がありまして、社協だと身上保護の課題が中心のケースと思われる場合が多いのですけれども、やはり年々、複雑な財産管理課題を含むようなケース、こちらも受任するようになってきています。   続いて、法人後見業務の課題について4点挙げてみました。まず一つ目なのですけれども、財源の確保になります。我々も後見報酬を受領しておりますけれども、先ほど御説明した人員体制を報酬だけで確保するというのは、やはり困難な状況です。都の補助金など一部事業費に充当可能なものもありますけれども、特に人件費の部分については自主財源を活用しながら対応しているのが現状です。   二つ目の課題は、人材の確保・育成となります。後見業務の担当職員には、後見業務経験者が望ましいのですけれども、なかなか経験者だけを募るということが難しい状況だと思っております。以前は後見業務経験のある方だけを募集要件にしていましたが、近年は、後見業務でなくても福祉業務の経験がある方も応募できるような形で募集をしております。したがいまして、確保だけではなくて採用後の育成も課題となっております。   三つ目の課題は、事故・不正の防止です。これは永遠の課題になるかと思いますけれども、先ほど御紹介したような後見業務、複数の立場の職員が関与しているのですけれども、それでもやはり人為的なミス等は起こり得ると考えております。大体100件近い受任ケースがある中で、様々な書類を申請する期限など、いかにこれを渡過せずに行えるのか、これはシステムを活用しながらも改善を図っていきたいと考えております。   最後、四つ目の課題は、法人後見の担い手の育成になります。受任者調整会議で、これは法人が適切ではないかと言われた場合、これまでは社協ほぼ一択となっておりました。ただ、我々社協も受任できる件数に限りがあるので、社協以外の法人も受任ができるよう、担い手の育成が課題となっています。昨年度なのですけれども、区内の社会福祉法人等がこの受任者調整会議に参画して候補者になれるよう、世田谷区と基準を整備いたしまして、その結果、今年度の初めなのですけれども、一つの社会福祉法人さんが後見受任することになりました。とはいえ、まだまだ法人後見の担い手の育成は課題と感じております。   最後に、法人後見業務の意義について述べておきたいと思います。受任傾向でお伝えしましたように、法人だからこそ受任可能なケースというのがあると思います。特に、支援課題が複雑なケースに対応できるような法人が求められているかと思います。第二期の利用促進基本計画でも法人後見を受任する団体の育成というのが課題となっており、その一つの受皿として社協も挙げられています。しかしながら、全ての自治体において社協を含めて、後見受任できる法人があるわけではありません。世田谷区の課題でも、先ほど人件費の課題を挙げさせていただいておりますが、これから取組をしていくような自治体においても同様の課題がいえるかなと思います。やはり法人後見をやっていく体制整備のためにも、公的なバックアップというのは重要かなと思っております。   続きまして、法人監督業務についてお話をさせていただきます。まず、受任状況についてです。本年の8月末現在、監督人として受任している件数は52件となります。このうち51件が区民後見人が受任するケースの監督人、そして1件は社会福祉法人が受任しているケースの監督人となります。開始原因別の内訳を見ますと、左の表ですが、認知症のケースが約87%、精神障害、知的障害のケースはそれぞれ大体10%を切っているような状況になります。居所の内訳を見ますと、現在は施設・病院等が100%となっていまして、ちなみに受任直後の居所で見た場合だと、約10%が自宅となっておりました。先ほどの社協の受任の状況と比べますと、やはり傾向が異なるかなと思われます。   続いて、監督業務の職員体制について御説明したいと思います。こちらも各ケースに対して三つの立場の職員が関わっていまして、まず一つ目の後見専門員、こちらが主の担当となります。実際に区民後見人さんからの相談対応ですとか、あとは監督人に対して出された報告書のチェックなどを行います。状況によっては当該ケースの関係者会議に参加したり、調整役を担うというようなことも行っております。そして、2番目の事務担当職員、こちらは監督人への報告書のダブルチェックの役割ですとか、あと区民後見人さんの保険などに加入しているので、そういった事務手続を行う職員になります。そして最後、3番目のアドバイザー、こちらは初めて区民後見人さんとしてデビューする方に対して、おおむね受任後4か月程度ですが、初動事務について助言をする職員になります。このアドバイザーは受任経験のある先輩区民後見人さんになりまして、実際には社協の臨時職員として雇用契約を交わして活動してもらっています。   続きまして、監督の受人の流れと、あと受任ケースの傾向についてお話しします。まず、法人後見と同じようなルートになりますけれども、この受任者調整会議において区民後見人が候補者にふさわしいのではないかと判断されたケース、これがまず、社協が監督人候補者となって受任をしていくという流れが一つあります。そしてもう一つ、先ほど法人後見の担い手育成でもお話ししましたけれども、社協以外の社会福祉法人等が候補者として適切となった場合、これは初めて受任する場合に限るのですけれども、そういった場合は社協が監督人候補者となって受任していく、そういった流れがございます。   続いての資料は、区民後見人さんが受任するケースの傾向についてお示ししたものになります。実際この受任者調整会議で検討する際、ガイドラインというものを持っておりまして、このガイドラインを基に、区民後見人さんが受任できるものかどうかというのを判断しております。主なものとしまして、親族と紛争やトラブルがないようなケース、施設に入所しているですとか、あるいは在宅で生活しているけれども身上保護面で安定している、また、本人の流動資産が1,500万円程度以下とか、そういった条件で見ております。要するに、安定しているケースかどうかというところで判断をしております。とはいえ、実際に受任してみて課題が出てくるということもございます。こういった場合は、我々社協が監督人としてバックアップを行っていくのですけれども、それでもやはり区民後見人さんで対応が難しいという場合は、場合によっては社協がリレー受任をしていくというようなことも行っております。   続いてのスライドは、区内の社会福祉法人が受任するケースの傾向になります。区民後見人の受任ケースの傾向に比べまして困難ケースを想定しています。具体的には、支援が長期化するケースですとか支援困難なケースを想定しています。また、青字で書いたのですが、初めて受任するような場合は以下のような条件も踏まえております。まず、受任する御本人さんの流動資産が1,500万円以下であること、そして、少なくとも1年間は監督人が付いて指導していくということ、実際には世田谷区社協が監督人として想定をしております。こういったものが傾向として見て取れます。   続いてのスライドですが、こちらは区民後見人さんのお話がありましたので、少し区民後見人が受任するケースのルートについてもお話ししたいと思います。主なものとしては三つルートがございまして、一つ目は新規申立てのケースになります。初めて後見人が付くというような状況になりまして、後見人さんが支援体制を構築していくことが必要となります。なので、このルートの場合は、受人経験のある区民後見人さんが担当していくということになります。初めての方というよりも、経験のある方に担っていただくルートかなと思います。   そして、2番目の社協からのリレーなのですけれども、こちらのパターンは、法人後見の支援員として関わっていた方が基本的には後見人として受任をしていくと、そういった想定になります。こちらは既に本人とか支援者との関係構築ができていますので、その点、後見業務をスムーズにスタートすることができるメリットがあります。   そして、3番目の専門職からのリレーパターンなのですけれども、こちらは今年度から運用開始したもので、まだ実績はありません。具体的には、受任者調整会議で検討されたケース、若しくはこの受任者調整会議の委員あるいはオブザーバーという立場で参画いただいている方の受任ケース、こちらのいずれかをリレーするという枠組みになっております。   また、欄外に少し記載しておりますけれども、区民後見人から区民後見人にリレーをするというようなケースもございます。区民後見人さんが健康上の問題ですとか御家庭の御事情で続けられなくなったという場合に、別の区民後見人さんにリレーをすると、そういったパターンもございます。以上が区民後見人の受任ケースのルートになります。   続きまして、区民後見人の人材育成についても少し触れさせていただきます。まず、世田谷区では年に1回、区民成年後見人の養成研修を開催しておりまして、研修を修了した後、面接を経た上で世田谷区区民成年後見支援員という名目で登録をしていただきます。本年の8月末現在ですが、141名の方が登録中です。   続いてのスライドは、区民後見人受任までの流れを示したものになります。先ほどの研修を修了して登録していただいた後ですけれども、すぐに後見受任というわけではなくて、社協の法人ケースの支援員として活動していただきながら経験を積んでいただきます。その後、活動状況を見ながら後見人としての受任を打診する流れとなります。なお、法人後見業務の支援員として活動している方は141名中69名、そして、後見人として受任している方は141名中44名となっております。あと、緑の吹き出して書かせていただきましたが、ちなみにこの支援員の皆さんに1年に1回、意向調査というのを行っているのですが、この141名の方に対して、新規で後見人として受任を希望するかといった質問をしているのですが、これに対して希望するとお答えになった方は40名となっています。また、更にそのうち7名の方が今まで受任したことがない方になりますので、我々としてはなるべく多くの方に受任してもらえるように、その点も参考にしながら調整を行っております。   続いて、こちらのスライドは区民後見人に対する世田谷区社協のいろいろな支援を示したものになります。区民後見人として受任した場合、原則社協が監督人として支援するのですけれども、監督人の立場としてはもちろんなのですけれども、それ以外の部分でも支援を行っているものになります。例えば、②番の書類預かり、これは、重要な書類を区民後見人さんの御自宅で預かるのが少し御不安な場合、社協が契約する貸金庫で保管をするというような支援になります。また、5番目の報酬助成というものですけれども、世田谷区にも後見報酬の助成制度はあるのですけれども、区民後見人さんは対象外になっております。本人の資産から報酬を支払うことが難しい場合、社協の基金を活用した助成金の仕組みを用意しております。   続いて、監督業務の課題点を挙げてみました。主なものとして四つあります。やはり法人後見業務と同様、財源や人材の確保は課題となっております。また、3番目ですが、区民後見人の受任件数の拡大課題というのもいえます。社協からのリレーだけではなくて、今年度より運用開始した専門職からのリレー受任の活用、これも行っていきたいと思っています。また、受任だけではなくて、普及啓発活動などにおいても、この区民成年後見支援員さんの活躍の充実を図っていきたいなと思っております。   続いてのこちらの資料なのですけれども、こちらは参考資料として載せさせていただいております。後見受任以外の活躍支援として、今現在、世田谷区社協が行っている取組になります。こういったものがございますが、更に充実した更なる活躍の場を提供していきたいと思っています。   最後に、中核機関としての取組についてお話しいたします。具体的な取組報告というよりも、取組を通じて職員が感じる部分について御紹介させていただきます。   まず1点目です。後見制度に関する御相談を頂く中で、本当に後見制度の利用が必要なのだろうかと思われるようなケースが中にはあります。確かに本人の判断能力が不十分であったり、後見人でないと解決できないような課題というのはあるのですけれども、よくよくお話を伺うと、仮にその課題が解決しなかったとしても本人の生活に大きな支障はないと、そういったケースもございます。中核機関としては相談を受ける際、単なる手続の御案内だけではなくて、後見制度がそのケースにおいて必要なのかどうか、そういったところも大事にしながら見て、相談に乗っているところです。   2点目なのですけれども、こちらは任意後見を契約した後、本人の判断能力が不十分となったにもかかわらず、任意後見人としての支援がスタートしないという相談を頂くケースになります。任意後見人の役割を引き受けたものの、いざ後見人として活動する状況になって、自分には荷が重すぎるというような不安で必要な手続が進まないと、そういったケースもありました。また、そもそも役割を引き受けた任意後見受任者の方が本人の生活状況を定期的に把握していないというようなケースもありました。今回の法改正のポイントにも挙がっていますけれども、やはり課題といえるのではないでしょうか。   そして、3点目です。こちらは首長申立てに関する点なのですけれども、後見制度の利用促進を進める上でも首長申立ての活用は重要な手段といえます。世田谷区においても、区のワーカーさんが頑張って申立てを進めてくれています。ただ、ほかの業務と並行する中での申立て準備、かなり負担のように我々も感じています。今後の利用促進において、行政担当者へのサポートもかなり重要なことではないかなと思っております。   続いて、4点目です。親族後見人への支援を中核機関として行っているのですけれども、なかなか親族後見人との接点が作りづらい状況がございます。そもそも中核機関として、親族後見人がどこにいるかというのは把握ができておりません。どのように広報していくかというのが課題と感じております。この点につきましては家裁とも協力しながら、どのような広報ができるか、考えていきたいと思っているところです。また、後見業務に限定した相談・支援だけではなくて、地域の社会資源とつなげるような支援メニュー、こういったものを備えることで親族後見人さんとの接点を作りやすくなるのではないかなと感じております。   最後の5点目ですが、中核機関に期待される機能は本当に多岐にわたります。一方、それらに対応する体制整備、そのための財源や人材の確保というのが不透明な部分があると思っております。全国的に中核機関が立ち上がってまだ数年で、またこれから制度改正されて更なる機能が増えていくのか、それを担えるのか、正直、不安な部分というのがございます。以上が、中核機関の取組を通じて感じる部分をお伝えしました。   最後は、参考資料として日常生活自立支援事業の世田谷区の実施状況をお示ししたものになります。こちらはこの後、伊賀市社協さんが本事業については紹介いただくため、参考程度とさせていただきます。   矢継ぎ早ではありましたが、世田谷区社協及び中核機関の取組のお話は以上となります。ありがとうございました。 ○山野目部会長 世田谷区社会福祉協議会のお話を頂きました。ありがとうございます。   続きまして、伊賀市社会福祉協議会、どうぞよろしくお願いいたします。 ○田邊(寿)参考人 失礼いたします。それでは、皆さん、よろしくお願いいたします。   私は伊賀市社会福祉協議会の事務局長をしております田邊と申します。よろしくお願いいたします。私のことを少し御説明させていただきますと、1994年から社会福祉協議会の職員で従事しておりますが、その中で1999年、平成11年の地域福祉権利擁護事業、現在でいいます日常生活自立支援事業の開始当初から専門員を経験しておりました。その後、成年後見制度の利用促進の部分であるとか権利擁護関係のソーシャルワーカー等、地域福祉の推進に関わる業務を経て現在のポジションとなっております。これまでの経験を踏まえた上で、また現状も踏まえながら本日のお話をさせていただきたいと思います。   なお、先ほどから御紹介いただいております横浜市様、それから八尾市様、それから世田谷区社協様のお話もございましたので、私の方からは日常生活自立支援事業を中心にお話をさせていただきたいと思っております。それから、資料2枚目のところにもございますが、本日の資料につきましては、全国社会福祉協議会の地域福祉推進委員会の今後の権利擁護支援の在り方検討委員会の報告資料等も提供いただきましたので、そのことも踏まえて御報告をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。   まずもって、3ページ目のところでございますが、伊賀市の御紹介でございます。平成16年に1市3町に村が合併して伊賀市を発足しております。人口は8万5,000人ほど、高齢化率は34.1%ということになっております。この後出ております中核機関は、また少し別になりますので、そこのところで御紹介させていただきます。   社会福祉協議会の説明の部分でございますが、この辺りについては省略してもいいかなと思っておりますが、地域福祉を推進することを目的とする団体として社会福祉法に位置付けられた、営利を目的としない団体であります。それぞれの団体によって歴史は異なりますけれども、地域に根付いた組織として展開をさせていただいているものでございます。最初の1ページのところの写真にもあるのですけれども、これはコロナ禍の部分での取組というところで、在宅待機者に向けての食料支援の写真の部分ではあります。私どもとしては緊急時においてもその人らしい支援ができる、共に生きる豊かな社会づくりを踏まえて、その人らしい生き方ができる地域社会の実現に向けて取組を進めているというようなところでございます。   私どもの部門の中で、幾つかの部門があるのですが、今日は地域福祉部門の中の権利擁護支援のところの取組として、本日待機している職員の方も含めて参加させていただいておるところでございます。   まず、日常生活自立支援事業の当市の状況でございますが、こちらに関しましてはまた御覧を頂けたらと思っております。当市は精神障害の方の数が少し多めとなっております。   それから、中核機関等の関係いたします伊賀地域福祉後見サポートセンターにつきましてでございますが、こちらに関してのみ伊賀市並びにお隣の名張市からの受託ということで2006年から展開をさせていただいております。人口等については参考資料2の方に厚生労働省でまとめていただきました資料の方等で人口等が載っておりますので、御確認を頂けたらと、両方合わせまして16万ほどとなっております。相談実績の方はこのような形でございますが、相談実績は毎年伸びてきているというような状況となっております。   それから、市民後見の方につきましては、この数値が、この状況だったのですけれども、これまでの市民後見の方の受任実績といたしましては、延べ9件ということになっております。それから、法人後見につきましては、このような形で累計28件ということで対応をさせていただいているというところでございます。   続きまして、日常生活自立支援事業の方に特化させていただきたいと思いますが、日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な方、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等であって日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示等を本人のみでは適切に行うことが困難な方を対象にしているということでございます。御存じのとおり、日常生活自立支援事業は契約が必要であります。契約を行うためには、判断能力があるかないかということを判断することが必要となっております。ただ、単純に判断能力があるかないかだけで支援対象とするのではなくて、本人さんのコミュニケーション能力や取り巻く環境など、ほかの要因も加味して支援内容を判断して進めてまいりました。事業の仕組みや支援そのものの理解ができているか、事業をやめることが理解できるかどうか、などがその前提となっております。よって、認知症の診断とか障害者手帳の有無を要件にしていないというところになります。実施主体は、都道府県並びに政令市の社会福祉協議会が主に主体となっておりまして、一部の業務を市町村社協に受託してサービスを提供しているというところでございます。今日も三重県社協の方にも御参加いただいております。   次のページ以降の利用状況につきましては、時間の関係もございますので、少し省かせていただきたいと思っております。なお、16ページのところになりますが、相談の傾向といたしまして、ケアマネジャーとか包括支援センター、相談支援事業所等からの御相談というのが一番多いというような状況となっております。   それから、終了の理由というところでございますが、御本人の死亡というものが一番多いわけですが、次いで、後見人が付いたことによる利用中止というようなことと、本人の希望によるもの、支援が一定の落ち着きを見せたということで御本人だけで今後の生活等が展開できる等の部分などが理由となっていると思われます。   この参考の部分は後で使いますので、飛ばさせていただきます。   21ページからの部分でございます。ページ番号がきちんと付いていないところがありまして、申し訳ございませんでした。ページ番号ごとで呼ばせていただきたいと思います。日常生活自立支援事業の特徴についてというところでございますが、日常生活自立支援事業の本人の意思確認だとか、あるいは、基本的に50万円という預貯金の上限がございますが、その上限に限定した代理権の設定など、事業開始当初から地域において社会資源を活用して、本人を主人公とした権利擁護支援とか意思決定支援に係る事業といわれるような形とみなせるのではないかなといわれる事業を進めさせていただきました。   それから、22ページの方になりますが、判断能力が不十分な人を対象としつつも、あくまでも利用者本人が福祉サービスの利用について決めることができるよう、意思決定や各種の手続を支援する権利擁護支援の事業であるということにつきましては、当事業は契約と御本人の相談とで決めた支援計画に基づいて、金銭管理の支援をしながら課題解決への支援を行うことができるため、金銭等具体的な把握がしやすいと思われます。本人は課題の認識はできていても、どのように解決するのか、法的手段を含めた支援方法というのがどのようなものがあるのか、何を準備しなければならないのかを把握しにくいということがあり得ると思います。一緒に課題解決を進めることによって、計画的に生活が安定に向かっていく実感を持つことができると思います。大事なのは、御本人による本人らしい形での納得だと私は認識しております。そのためには、課題全体の把握を行うことや、事業者の方から本人にあえて説明をしていただくということや、場合によっては聞きたくない事実を避けることなく、直接本人に伝えていただくこともあるのではないかと思っております。また、本人にとって重大な事柄は、関係機関の方も含めて誰かが同席したりとか、あるいは後で再度支援してフォローするというようなことなどを行っていると思います。   23ページの方に行きます。同じ地域に暮らす住民が支援を担っており、住民参加により支えられていることにつきましては、生活支援というものが大きな役割を担っております。この生活支援は、制度開始当初から住民参加の支援の仕組みで、非常にうまくできた仕組みだと思っております。支援の際、重要なのは人生における経験であり、いわゆる普通の感覚だと思います。生活支援員自身が経験し蓄積してきた生活経験等による価値観であったり、自分ならこうします、などの生活上のアドバイスが出てくる場面があるかと思います。この事業の利用者全てではないですけれども、障害のある方などに、これまでの御本人の生育歴とか経験から来るいろいろな貴重な経験値が、御本人自身が不足している方もありますので、こういった生活支援員による助言が有効だと思います。この大事なことは、話を聴くということで、上から利用者を見ない姿勢だと思います。これは、専門職である専門員の方が逆に学ばないといけないということがあると思います。その意味でも、地域住民が生活支援を担っており、住民参加により支えられているということが非常に大きな役割だと思っております。   24ページのところでございますが、本事業を自己完結するのではなく、というところの部分のことにつきましては、本人や関係者への聴き取りの把握、本人の気持ちや意見などを見据え、専門員や生活支援員の関与がより少なくなることで、より本人の成長が図れるように支援の目標を設定し、本人自身で解決の主体となるように支援を行っております。この事業は一つの仕組みであって、自己完結することなく、地域生活の中で少しずつステップアップできるようになるということが大事な点ではないかなと思っている次第です。   26ページのところに行かせていただきます。日常生活自立支援事業の複合的なニーズということで、権利擁護支援の必要な方の意思決定支援を重視した取組の充実であるとか、地域共生社会への実現、成年後見制度利用促進が今、課題となっているこの日本の状況の中で、本事業の役割を改めて確認をさせていただきたいとふうに思っております。   すみません、ページが食い違っておりましたが、一つは、本人の意思決定を支援する役割というところかと思います。非常に、御指摘も頂く中でそのとおりだなと思ったのですが、契約をやめるということができるということは大変重要なことだと考えます。本事業は開始当初から代理権が限定的であったために、単に金銭管理サービスを行うという事業だけではなくて、判断能力が不十分な方であっても自己決定に基づく権利の行使の支援ができるよう、支援する事業として行ってまいりました。本人一人一人に寄り添いながら支援するということは、今現在言われている意思決定支援の方向性とも重なるのではないかと認識しています。   続きまして、2番目の複合的な生活課題を解決し、権利擁護を図る役割についてのところでございますが、25ページ、先ほどのページのところになりますけれども、利用者や世帯に見られる複合的なニーズのところにあるように、孤立、孤独の問題が背景にあって、比較的頻繁に関わることによって本人の変化に気付きやすいということが挙げられるのではないかと思います。悪徳商法の被害など、本事業の関わりを通じて支援を必要とする状況を発見した場合には、専門機関につなぐことができます。また、契約は個別ごと、それぞれ一人一人になりますが、世帯全体が複合的な生活課題を抱えている場合にも非常に有効ではないかと思います。本事業だけで自己完結するのではなくて、インフォーマルなサービス、地域活動を含めて、地域の社会資源を活用し、利用者の生活を支える地域の仕組みを作るなど、地域に根差し、地域福祉の視点を重視しているということが挙げられるのではないかと思います。   3番目のところでございますが、成年後見制度の権利擁護支援の入口としての役割ということについてのところでございます。利用者は経済的な貧困や困窮、権利侵害、住まいの確保、病気、障害など複合的な生活課題を抱えている場合が多く、様々な関係機関との連携が不可欠です。比較的自己負担が少なく、支援が入りやすいということから、課題解決をしながら本人と地域とのつながりを維持、回復させることによって、解決につながったという事例があると思っております。   4番目のところでございます。地域のネットワークをつくる役割というところでございます。地域で孤立しがちな本人に対して、専門職とは異なる視点を持った住民である生活支援員等が関わることによって、地域社会との関係を維持、回復することが期待できます。こうした取組は、社会福祉協議会などが元々持っている地域福祉を推進する機能と極めて関連が深く、ネットワーク構築でありますとかチーム支援の視点を持って本事業を推進してまいりました。また、この事業の結果、ほかの事業に展開したといった場合もあるかと思います。伊賀市、当市の場合におきましては、日常生活自立支援事業を基点に、ほかの成年後見制度等の取組等にもつながった、ということが挙げられると思います。   次のページのところになりますが、日常生活自立支援事業と、今日特に注目されております成年後見制度との連携につきましてのところでございます。権利擁護支援の入口としての役割を発揮し、判断能力が低下した場合や日常生活自立支援事業の範囲を越える支援が必要となった場合につきましては、中核機関との連携で成年後見制度の利用を検討するということがあると思います。中には保佐の場合や補助の場合もありますので、保佐人・補助人選任後、どのような支援を期待するのかを見据えながら、どのように移行するのか、また、併用することが適当なのかも含めて、本人や関係機関による検討をしながら調整を進めております。三重県の場合も一部併用が認められているところでございますので、そのやり方で行っております。次の部分のところでございますが、この辺りがつながってくるかなと思います。   30ページのところに行かせていただきます。日常生活自立支援事業と成年後見制度の連携から見た課題というところでございますが、この成年後見制度からの連携でも挙げられているように、成年後見制度自体の使いづらさというのもあるのではないかなと思います。その辺りが先ほどからの御指摘や御意見にもつながっているところかなと思います。成年後見制度の利用が適当だと見立てているけれども、手続が前に進まず、申立てがつながっていないというケースがあると聞いております。   それから、先ほどの途中の資料にも、利用の状況のところのスライド16にもありますように、全国の利用の状況の数値なども上がっておりますが、伊賀市の場合におきまして読み替えますと、地域包括支援センター、障害者の相談支援センター、生活困窮者の自立相談支援機関など、伊賀市は行政直営で行っております。その関係からの相談でありますとか、あるいは相談支援専門員の相談からが多数を占めております。積極的な宣伝活動を行っていないわけですが、事業のお申込みを頂いているという状況です。それに十分にまだこたえ切れていない状況というのがあるということが課題となっております。   3番目のところでございますが、制度開始から20年を経る中で、認知症の高齢者の増加でありますとか、知的障害者、精神障害者の方などが施設とか病院を出て在宅地域生活を行うようになってまいりました。事業の利用者数も増えてきていると思います。ただ、利用者が抱える生活上の課題も少しずつ変化しているのではないかなと思います。周知という面においても、やはりまだまだ周知が足らないということが挙げられると思います。   また、これはよく言われているところでございますが、地方財政の圧迫、逼迫を背景にして、事業に係る財源確保が年々厳しさを増しているという状況でございます。近年でも予算確保を含め、従事する職員の体制が業務量に追い付けていないというような状況で、当市でも利用待機を発生させる事態が起こっております。また、生活支援を始めとした担い手の確保、この辺りは高齢化の問題とも関わっております。この辺りが、悪循環と表現させていただきましたけれども、そのようなものにつながっているのではないかなと思います。一方で、記載はさせていただいておりませんけれども、不正や事故というものも発生しておりますので、社会により信頼を受ける活動にすべく、組織の外部と組織の内部体制の統制の在り方などが求められていると思われます。   また、ほかの事業とも共通する課題、これは成年後見制度で今日御紹介した部分ともつながる部分だと思うのですが、関与する職員への支援体制の拡充、それから業務を効率化するソフトとかそういったものの導入等、運営に掛かる経費の確保などもまた必要になってくるのではないかと思われるところでございます。   4番目のところでございますが、制度が変わることがあっても、連携を深める意味でも、はざまを作らない支援の取組を進めて、関係機関それぞれの事業がお互いに連携して質の向上を進めていく必要があると思います。持続ある体制を整備して継続するかいうのが今、問われてきているのではないかなと思います。   次のところでございますが、31のスライドのところでございます。今回の御報告の内容と関連して、これまで取り組んできた日常生活自立支援事業を軸とした地域における権利擁護支援の課題について、整理をさせていただきました。   一つ目のところでございますが、日常生活自立支援事業の役割の整理、ほかの事業との連携強化というものが挙げられると思います。これにつきましては、事業自体がどのような形になろうとも、意思決定支援を行う事業、ネットワークをいかした事業の役割の明確化、体制整備は必要だと考えます。一つの支援に依存しない包括的な支援体制というものの構築が、必要性というのはあると思います。むしろ実感するところでございますが、いろいろなことを整備すればするほど、これまでに関わった機関が離れてしまうという課題というのが、どうもあるような気がいたします。その認識をしておく必要はあると思われます。支援を必要とされる方をどのように見付けてつないでいくか、また、全国どこでもこの事業を利用できる体制というものの必要性があると思われます。また、本人の資力が少ないことによって利用ができないということは妨げたいと思います。   2番目のところでございます。成年後見制度、福祉と司法分野との連携強化、正に今日の部分であるかと思いますが、本人にとっての適切な制度選択、切れ目のない支援に向けた両制度や両分野の連携ということが非常に大事だと思います。どのような仕組みの選択を行っても、経済的理由で利用を妨げない仕組みづくりとして、資料18等にもありますが、この対象者としまして、居住先が自宅であるという方が71%あります。その自宅利用者等に対する強化というのが非常に大事だと思いますし、資料19にもありますように、生活保護受給者が46%ということで高いこともあり、また、住民税非課税者のうち収入なしと月収10万円未満を合わせますと、67%の方がこの日常生活自立支援事業の利用者であるなどの利用実態が見て取れます。このような収入が少ない方への支援など、実態を踏まえた対応、支援が引き続き求められます。地域連携ネットワークの機能強化による総合的な権利擁護支援体制の強化が必要となると考えます。   3番目のところでございますが、支援の質の向上と効率化というところでございます。意思決定支援を基盤とした実践のできる人材をどのように進めるのか、新しい課題でありますキャッシュレス支援等の対応をどうするのか、頻度の高い依存症等の支援の在り方、それから、先ほども少し出ておりましたが、死後対応の支援の課題等が挙げられると思います。効率化、省力化を進めるための気力とか業務管理のICT化ということの推進も必要だと考えます。事業の実施におけるチェック体制と事業組織自体の支援体制の強化、両方が必要だと考えます。さらに、これはもう更に日進月歩でデジタル技術が進んでおります。未来の金融機関との連携の在り方というのが、店舗に出向くということの必要性がなくなる時代ということが出てくるということも見越しながら、連携を考えていかないといけないのだろうと考えます。   最後に、地域の人々が安心して暮らすことができるまちにするために、緊急時においてもその人らしい生き方ができる地域を目指して、これまで地域にこそ解決の手立てがあるとして継続した取組を進めてまいりました。また、緊急時を始めとした生活課題を持つ人の権利を擁護するためには、それぞれの取組の充実だけではなくて、支援や関係機関がつながることによって、より大きな力を発揮できることを目指してまいりました。地域の社会資源を活用し、本人を主人公とした権利擁護支援の地域連携ネットワークや意思決定支援に係る支援を進めてきたと考えております。今後も、手段や方法が変わっても持続できる仕組みということが必要だと考えます。私たちは、その調整や推進を図ってきたのではないかと考えております。今後とも皆様方の御理解、御支援を得て、更なる取組を進めたいと考えたいと思っております。   御清聴ありがとうございました。 ○山野目部会長 伊賀市社会福祉協議会のお話を頂きました。ありがとうございます。   これまでにいただいたお話につきまして、委員、幹事からの御質疑をしていただくに当たりまして、私の方からお呼び掛けをする際に、世田谷区社会福祉協議会を世田谷区社協と、また伊賀市社会福祉協議会を伊賀市社協とお呼び掛けをすることにいたします。それでは委員、幹事からの御質疑を頂きます。いかがでしょうか。 ○小澤委員 貴重な報告ありがとうございました。私の方から、伊賀市の社協の田邊寿様に1点だけ質問させてください。資料30ページに、日常生活自立支援事業と成年後見制度の連携から見た課題として、①の成年後見制度の使いづらさのところで、申立人の確保、市町村長申立て、後見報酬等の確保、後見人の確保について、成年後見制度の改正による解決を期待とございますが、具体的にどのような法制度になると、この解決に近づくとお考えになっているのか、御意見があれば頂戴したいと思います。 ○田邊(寿)参考人 ありがとうございます。これまで、今日の御報告がございました横浜市様、八尾市様、世田谷区様のお話もありましたように、非常に煩雑な手続というところもございます。一方では、やはり御本人の権利を守る、できるだけ御本人の権利制限を少なくするということも、この成年後見制度の今までの課題ではないかと、いろいろな御指摘も頂いていて、私もそのように思います。ですので、御本人にとって、支援する、あるいはサポートするというものがどのような在り方が必要なのかということを考えていく中で、できるだけ速やかに使えたりということと、御本人の理解を得ることや、あるいは関係機関のネットワークをつくることとが必ずしもうまくバランスがとれないこともあります。ですので、私の部分で非常に、例えば市町村申立てがもしうまく進んでないのであれば、その手続を進めていただきたいということであったり、後見人の報酬が得られないということによってその申立てができないとか進めないということは避けたいということでありますし、当市、隣の名張も含めた中核機関としての部分でも、後見人の確保というものは非常に課題となっておりますので、いわゆる市民後見の活用、法人後見の活用も含めた後見人の確保ということがスムーズにできるということもあるかと思います。そういった面で、どれがということは限定しづらいところがございますが、やはり全体としての充実が必要だと思っております。お答えになっていますでしょうか。 ○小澤委員 ありがとうございました。 ○上山委員 ありがとうございます。世田谷区社協さんに二つお尋ねいたします。   まず一つ目ですけれども、社協以外の社会福祉法人が受任候補者になるための基準を昨年度、区と策定したということですが、その具体的な内容について教えていただきたいと思います。特に、御本人との利益相反の有無のチェックなどについてどのような評価をされているのかという点を知りたく存じます。   二つ目です。区民後見人さんのための賠償保険について、一般的に責任保険については、横領のようなケースでは故意免責という形で保険金が下りないケースが通例かと思うのですが、世田谷区社協さんの方で使われているこの区民後見人さんのための保険でそれがどのような対応になっているか、そして、通例どおり保険会社が免責される場合に、社協さんとして御本人に対して何か別途補償の手立てなどを準備されておられるのか、もしその辺りがあったら教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○堀参考人 まず、社会福祉法人の参画に当たってのチェックなのですけれども、こちらの参考にしたのは、成年後見制度利用促進現状調査等一式という厚労省が出した報告書、こちらのチェック項目を参考に、ほぼ活用させていただいております。具体的には、各法人さんの財務状況もそうですし、あるいは後見業務をやっていくに当たって定款に載せているかとか、実際の業務に当たってしかるべき執務場所が定められているか、担当の職員がいるのか、そういった項目をチェック項目としまして、実際御希望があった今回の1法人さんに対してヒアリングを何回かさせていただいたというような状況になります。   また、利害関係があるかどうかということなのですが、これはこの受任者調整会議の各ケースごとによって、利害関係があるかどうかという判断になってきますので、まず、受任者調整会議、毎月2回やるのですけれども、そこに上がってきたときに、もしかしたらこの法人さんが行けるかどうかとか、その可能性があったときには、実際、エリアとか、その事業所さんは実際に介護事業所をメインでやられている法人さんなのですけれども、世田谷区の中でも下半分の、南半分というのですかね、エリアのところで大体活動されていらっしゃる事業者さんなので、お住まいの地域とかを判断しながら、まず検討します。そして、実際に検討会議で、この法人さんでいいのではとなった後も、そこで本決まりではなく、一度法人さんに持ち帰っていただいて、再度利益相反がないか確認した上で候補者に確定するというような仕組みをとっております。   あともう一つ、区民後見人さんの賠償保険なのですが、すみません、これは定かではないのですが、恐らく横領については対応ができない保険だったと思います。今、東京都の社協の方で案内をしてくれている保険がございまして、そちらに加入するような仕組みになっております。ちなみに、横領でなかったとしても、免責が出た場合なのですけれども、こちらについて世田谷区社協がフォローするという仕組みはございません。実際には区民後見人さん御自身が、その免責部分というのはやはり対応していただくというような仕組みになっております。 ○山野目部会長 上山委員、よろしいでしょうか。 ○上山委員 はい、ありがとうございました。 ○野村幹事 本日は御報告ありがとうございました。伊賀市社協さんに1点と、世田谷区社協さんに2点、質問させていただきます。   まず、伊賀市社協さんですが、制度の見直しで後見が終了した場合の、その後の支援の受皿の一つとして、日常生活自立支援事業(日自)が想定されると思われますが、その場合、日自においてどのような対応ができると思われますか。また、対応するためにはどのような体制や仕組みなどが必要だと思われますか。   続いて、世田谷区社協さんに対する質問なのですが、まず1点目は、制度の見直しによって後見が終了となった場合に、本人に対する支援が途切れず連続して行われる体制が必要になると思いますが、中核機関の立場からどのような仕組み、例えば情報共有や連携、法改正などが必要と思われるか、お考えがあれば教えてください。   2点目ですが、13ページの法人監督業務で区民後見人の法人後見監督をされているとのことですが、区民後見人の就任年数等によって監督人を辞任されることは想定されていますでしょうか。お話の中で財源やマンパワーの問題などもあるというお話でしたが、監督を辞任された場合に、区民後見人への支援方法をどのようにしていくか、課題があるか、お考えがあればお聞かせください。 ○田邊(寿)参考人 ありがとうございます。今、実情としては多分余りないのだろうと思います。ただ、もし先ほど御質問いただいた部分を考えてみますと、どのような理由で成年後見制度の申立てをされたのかというのが、今はどちらかというと、支援を行っていただく方がいないとか、キーパーソンがいないというふうなものもありますので、申立の目的、理由というのがどのようなものであるのかというのは一つのポイントになるのではないかなと思います。この制度が新しい改正が進んでいけば、最初からある程度そういったことを見越しながら、成年後見制度をポイント的に使い、ベースとして、例えば日常生活自立支援事業で行くとか、そういったことは十分考えられると思うのですが、今はどちらかというと二者選択みたいなところがありますので、どちらかというと日常生活、在宅支援を支えるという仕組みにおいては必ずしも十分に機能していないというのが成年後見制度の状況ではないかなと思われますので、そういったことを考えますと、機能整理というのは一旦必要かなと思います。いずれにしても、日常生活自立支援事業というのは、先ほども紹介したように、地域の在宅の生活者が非常に多いということからすると、今申し上げましたように、やはりキーパーソンの在り方みたいなところの中でということと、法的な要素というのをどこまで見込むのかということから考えていくという形になる、法的な部分が一定の見解がなされたり解決がされると、今度は逆に日常生活に戻るための、あるいは日常生活を継続するためのサポートとしてどんな機能が必要なのか、これは多分、日常生活自立支援事業だけではなく、地域の見守りの体制だとかいろいろな福祉制度、あるいは住宅だとか、様々な制度がかみ合わないと、御本人の支援というのは成り立たないのではないかなと思いますので、そちらの充実もあいまって、正に地域共生社会の在り方というものが問われてくるのではないかなと思われます。 ○山野目部会長 続きまして、世田谷区社協、お願いいたします。 ○堀参考人 2点いただきました。後見終了後、途切れないように今後支援が引き続きするためにどういったことができるか、また、法改正の仕組みなど必要なことは、ということですけれども、いかに終了する前に御本人さんを支援するチームというのがしっかり構築されているか、もしできていないのであれば、そこを整備するというところが非常に重要ではないかなと思っています。もう大分前、5年以上前なのですけれども、うちは補助の方で、代理権をほぼ頂いていなくて、相続の手続のところの代理権だけを付与されていたというケースがございました。実際の相続が終わって、御本人さんはグループホームに入られて落ち着いたときに、結局その代理権はなくなって終了となったのですけれども、実際終了するに当たっては、その相談支援機関の方々がどのように今後関わるかというところの仕組みを考えた、確認をしたというところがあります。やはり、これの例を考えても同じように、今後御本人さんが相談しやすいような場所が果たしてあるだろうか、そこがきちんと機能するかどうか、そこのチェックが必要で、それを維持していくことが大切かと思います。   また、前半の自治体のときの御質問もありましたけれども、ではこれを中核機関が担っていけるかどうかというところなのですが、現状、世田谷で見た場合ではありますけれども、今の体制ではなかなか厳しいなと思っております。やはり法的な改正の仕組みというよりは、それを支えていくための人員整備というところが、まず肝になるかなと思っています。もし関わるとしたら、中核機関はやはり終了する前のところ、どうやって今後支援が続けられるかというところ、そこに携わっていく、そして、あとは定期的な関わりはできるかと思いますが、常に関わるというキーパーソンになるというところは、やはりふだん関わっている福祉関係者の方々になるのかなと、そういったところが感じられます。   また、区民後見人の監督人を辞任することを想定しているかというところなのですが、今の仕組み上はございません。もしやっていくとした場合の課題はという御質問なので、仮の話ではありますが、もしそういったことを考えるのであれば、もちろんその区民後見人さんの経験もありますけれども、担当しているケースがどれだけ安定しているか、そこを考慮した上で監督人を外していくというような判断が必要になるかと思います。とはいえ、安定していても、死後、相続人の方に引き継いでいくのですけれども、そこでどういうような課題が出てくるかというのは、結構安定していたケースでも判断に迷うケースがあって、我々監督人がそこに同席して引き継ぐというようなことを慎重にやっておりますので、その部分も含めて考えなければいけないことかなと思っております。 ○山野目部会長 野村幹事、よろしいですか。 ○野村幹事 はい、ありがとうございます。 ○佐保委員 ありがとうございます。まず、遅参して申し訳ございません。私からは、世田谷区社協さんと伊賀市社協さん、それぞれ1点ずつ御質問させていただきたいと思っております。   まず、世田谷区社協さんの資料のスライド25の(3)首長申立てに係る行政担当者の業務負担のところで、最後のところ、行政担当者のサポートも重要とお書きになっていらっしゃいますが、ここでいう行政担当者のサポートというのは、具体的に誰がどのようなサポートをするのか教えていただければと思っております。それが1点目です。   2点目は、伊賀市社協さんにですが、資料28スライド目ぐらいで、日常生活自立支援事業と成年後見制度との連携というのが書かれております。併用が可能だというところでございますが、そういったことで併用するといったことになりますと、そこで見えてくる課題、例えば日常生活自立支援事業の支援員さんと成年後見人さんとのいろいろなことの調整とか、さらに、先ほどのお話であれば生活保護の方も多くの方がいらっしゃるということになりますと、生活保護のケースワーカーも絡んでくると思いますが、そういった調整をどのようにやっているのかとか、ネットワークづくりをどうやっているのかといったことが、もしあればお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いします。 ○山野目部会長 世田谷区社協からお願いいたします。 ○堀参考人 首長申立ての行政担当者へのサポートというところなのですが、まず今、世田谷で取り組んでいることとしましては、これから区長申立てをしようとする案件について、うちは成年後見センターのセンター長が弁護士なのですけれども、センター長に相談をするという枠を持っております。特に、ただ申立てをするだけではなくて、法的な課題があるですとか、親族とのトラブルが想定されるようなケースというのを、事前に受任者調整会議に掛ける前の段階で御相談いただくような形をとっております。そういった形で課題を整理して申立てまで持って行く、その辺の仕組みを持っているのですけれども、やはりこれが重要だなと感じております。   また、これはなかなか世田谷でもできていないのですが、具体的な申立て書類の書き方とかですね、今は我々、区民の方に申立ての書類の書き方の御支援とかはしているのですけれども、やはり行政の方に対しても、書き方というのは各職場の中で共有し合ってはいるかと思うのですけれども、なかなか経験が積み重なっていない部署とか、入れ替わりがある部署もありますので、そういったところに対して中核機関としても何か研修等でサポートできるものがあるのかなと感じております。 ○山野目部会長 続きまして、伊賀市社協、お願いします。 ○田邊(寿)参考人 ありがとうございます。成年後見制度との併用の場合は、恐らく法人と法人のケースはほぼないと思いますので、28の資料にありますように、後見人であっても直接的な支援が難しいケース等が、頻繁に支援を得ることが難しいケースが認められている場合もあるのではないかな、全国的には認められていないところもあるとは伺っております。ですので、いわゆる具体的な支援が日常生活自立支援事業の部分で頻繁、よく行うみたいな形の連携というのがあるのではないかなと推測されます。   一方で生活保護等の部分におきましては、これは非常に役割分担等が課題となる部分があるのだろうと思います。生活保護としての支援の在り方、それから、日常生活自立支援事業としての役割ということがあると思います。私も記載させていただいた中にもありますように、支援がついてしまうことによってほかの支援が外れてしまうというか、離れてしまうということは、この日常生活自立支援事業も全く無関係ではなく、私ども現場の方も、必ず関係機関との連携やネットワーク構築をしてほしいということ、そうでないと自分たちが孤立してしまうという、御本人を含めてになるかもしれませんが、やはり孤立しがちな要素をもつ危険性はあると思います。ですので、どのような整備体制がとれる形になったとしても本人を孤立させない、支援者を孤立させないということは非常に大事な要素だと思いますので、そのことは十分に踏まえて御検討いただけたら有り難いなと思う次第でございます。 ○山野目部会長 佐保委員、よろしいですか。 ○佐保委員 はい、ありがとうございました。 ○星野委員 ありがとうございます。それぞれに1つずつ御質問させてください。   まず、世田谷区社協さんなのですが、市民後見人の受任の要件というところで、スライドのところで、比較的安定したケースというのがあったと思うのです。例えば、施設に入所するときの入所契約が終わった後を安定したケースと考えられているとお伺いしましたが、もし今後、民法改正が具体的になってくると、後見制度の必要性というところを判断したときに、後見が終わるというような、先ほどの監督人の役割とも重なるのですが、後見制度の利用を継続していくのかどうかみたいな考え方が出てくると思っているのですが、堀さんの方で、区民後見人の関わり方が今までやってきた取組から変わりそうだなと思われるところや、あるいは、法改正がされてもここは変わらないというところとか、何かそういうところがもしお考えのことがあれば教えてほしいというのが世田谷区社協さんへの御質問になります。   伊賀市社協さんの方は、17スライドに契約終了のところの資料が出てきております。これは令和4年の調査報告なのですが、御存じのとおり、令和2年に日本社会福祉士会で日自の調査研究事業を受託したときに、逆パターンもあるのではないかというところがそのときにも出ていて、後見制度から日自に移行するという逆パターンですね、このことについて何かお考え、御意見があれば教えていただきたい。以上です。 ○山野目部会長 世田谷区社協からお願いいたします。 ○堀参考人 少しお答えが難しいのですけれども、区民後見人として、この制度改正があった後に変わっていきそうなことという御質問かと思いますが、まず、制度改正がされたとしても、やはり意思決定支援の部分については元からやっていることなので、余りそこの重要性というのは変わりがないのかなと思っています。今おっしゃった安定したケース、例えば施設入所された方で後見制度が終了していくというケースですね、これについては、もし後見が終了すれば、区民後見人さん自身もそこから外れていくような形になるかと思いますが、そこの判断をするところですね、当然、区民後見人さんにもそこの何か会議に入っていただくかと思いますが、そういったところでどのような立場で区民後見人さんが関わっていかなければいけないのか、その辺の役割みたいなものをはっきり示していただいた上で、そういった仕組みを導入していくということが必要かなと思います。ただ、入所している方だと、突発的に入院されたりとか、病院の入院契約とかの手続がやはり可能性としてありますので、その辺を後見制度以外のところでどのようにカバーをするのか、補助・保佐で御自身でできるのであれば別ですけれども、御自身で契約できない場合、そういったところも含めてどういう基準になるかというのは、少し私個人としては気になる部分ではあります。   お答えになっているかどうか分からないですが、以上になります。 ○山野目部会長 ありがとうございます。伊賀市社協、お願いします。 ○田邊(寿)参考人 ありがとうございます。現状としては、多分後見制度が終了要件になっているパターンの方が圧倒的に多いのではないかなと思われます。ただ、今後はそうではないパターンというところで、先ほども御質問もありましたように、ある程度計画的に対応していくということがあると思いますが、一方では、もう一方の御質問がございましたように、今後キーパーソン的なものをどうするのか、この日常生活自立支援事業がキーパーソンになれるのかというところは多分、今後非常に大きな問題ではないかなと思われます。   私はできるだけ、ワンストップというのはある意味でリスクはあると思っておりますので、やはり主体的に本人に寄り添う部分と、意思決定支援の部分を含めてですが、支援というものをやはりある程度併用させることによって、複数で対応するということの方がいいのではないかなと思いますので、日自事業だけで全て完結させるというのは少し危険ではないのかなと思われますので、そうなってまいりますと当然、判断能力不十分な方だけではなく、地域の中にお見えになりますサポートが必要な方をどのように支えるのかということ自体の構築ということなので、正に総合的な権利擁護施策ということの構築が必要になってくるのではないかなというふうになりますが、少し答えになっておりませんけれども、回答とさせていただきます。 ○山野目部会長 星野委員、よろしいでしょうか。今の二つのお尋ねは、世田谷区社協と伊賀市社協におかれて、お尋ねというよりは、これからに向けて、もし可能な範囲で御検討いただけるなら有り難いし、何かお気付きのことがあったら今後ともお教えいただきたいというお願いになるでしょうか。ありがとうございます。   ほかにありませんか。 ○根本幹事 世田谷区社協に二つ、伊賀市社協に一つ、お伺いできればと思います。   世田谷区社協への1点目は、野村幹事へのお答えの中で、原則として監督人を務めるということで、その理由として、死後事務を含めた新しい課題が発見される場合への対応という理由を挙げていただいていたかと思います。監督人でないと社協としてお困りになることがあるのか、仮に監督人という立場でなかったとしても、区民後見人さんをサポートされるというお立場にあることには変わりはないと思うのですが、監督人でない立場でサポートされる限界が、もしおありになるのであれば、教えていただきたいと思います。   2点目は、スライド25ページの任意後見の関係で契約後、必要な時期に発効されないという点について、中核機関として何か考えられる取組がおありになるのか。申立権者に例えば中核機関がなることについて、御負担も含めて、何かもしお考えがあれば教えていただければと思います。   伊賀市社協に対しましては、最後のお話で、日自はキーパーソンになることは難しいのではないかというお話と承りましたが、逆に後見人若しくは保佐人・補助人は、キーパーソンになり得るとお考えでいらっしゃるのか、もしそうだとすると、後見制度と日自の違いというのはどこにあると思われるのかについて、教えていただければと思います。 ○山野目部会長 世田谷区社協からお願いします。 ○堀参考人 まず、監督人でないとできないことは何かというところなのですけれども、これは法的なものかどうか分からないのですが、今現在、例えば親族の方にお手紙を区民後見人さんが送る際、どのような御親族かどうかがはっきりしないときは、我々成年後見センターの住所とか連絡先とかをお手紙に添えて出しています。一旦うちが、監督人が窓口となって、直接区民後見人さんとやり取りできるなという判断ができれば、直接御連絡を取っていただくということもやっておりますので、もし違う立場になったときにそういったことが果たしてできるだろうかと、中核機関であったとしてもこのケースに関わるような立場ではないのかなというのが、すみません、間違っていたらあれですけれども、理解になります。   あと、任意後見のなかなか発効されないことに対しての御質問なのですけれども、中核機関として実際に関わったことがあるケースとしましては、受任者の方が判断能力の低下を分かっていながら発効してくれないとケアマネさんから情報を頂いて、中核機関としてもケース会議をしてその場に参加をしまして、やはりこういう制度があって、今こういう状態なので、しかるべき手順をということをお伝えをして、なおかつ、そこでも発効ができなければ、御本人さんは今、後見制度が必要な状態なので、首長申立ての選択肢も備えた上でということで、区の方にも一緒に関係者会議に入ってもらってという、そういった調整を行ったりはしています。ただし、今後半の御質問にあったような申立権者というところには、今のところ行政も我々もその立場ではありませんので、できるのはここまでが限界かなと思っています。   あと、中核機関が申立権者になれるかどうかなのですが、これは個人的な見解なのですけれども、やはり少しこれは厳しいなと思っています。やはりこれは首長申立てをやるのと同じように中核機関がやれる、やる立場ではないのかなと、公正な立場というところで、少しそこは難しいのではないかなと考えております。 ○山野目部会長 ありがとうございます。伊賀市社協、お願いします。 ○田邊(寿)参考人 大変難しい御質問を頂いたかなというか、これは全体で考えないといけないことだろうと思うのです。後見人については、基本的には私はできるだけ主体者にならない方がいいのではないか、なぜなら、これまでの議論を合わせますと、あくまでも御本人の支援を行う、あるいは意思決定ということも踏まえながらということを前提とすれば、後見人が持っている権限がやはりあるということは間違いないことだと思います。法人後見の担当もした中でもそう思いましたけれども、権限等を持ちすぎてしまうことの怖さ、何でもできてしまうことの怖さということをどれだけ認識するかというのは、非常に大事なことなのだろうと思います。ですから、できるだけ抑制的にという今回の方針、方向性については、私も賛同いたしますし、その方向性に沿ったものだとすれば、後見人はできるだけ余り持ちすぎない方がいい。日自事業も同じで、どうしてもそういう要素を持ってしまう、持っている人と持っていない人みたいな形になってしまう部分が、気を付けていてもそういうことは、なりかねないところがあります。どうしても、例えば、「お金をこれ以上使うと足らなくなるから使うのをやめようね」というような話になったりというところがございますので。そうなってきますと、御本人の意思と意向とを持ちながら御本人に寄り添いをしていく部分と、それから、その部分の中でいろいろな資源とかを組み合わせながら、お金という要素も含めながら支援するかということを同一化させるというのは、少し限界があるのではないのかなと。ですので、先ほど星野委員の御質問もあったように、やはりそのキーパーソンをどうしていくのかということは、これは相当大事な問題ではないのかなと。これから親族や親族に近い方がおられない方が大半になっていく時代の中で、私たちがどうやって命を終えるのかということも踏まえながら考えていくということを十分に認識していく必要があるのではないかなと思われます。感想になりますが、申し訳ございません。 ○山野目部会長 世田谷区社協に御案内を致します。区民後見人の方が後見の仕事を始めるときに、生の住所が登記に出ないようにして、なおかつ連絡先のようなものを登記するような仕組みをめざし、何とかアイデアをひねり出せないかということをこの部会でも考え始めていますけれども、上手に行くかどうかは分かりません。見守っていただきたいと望みます。 ○鈴木委員 本日は有益な御報告をありがとうございます。伊賀市社会福祉協議会の方に1点、質問させてください。スライドの17ページの契約終了の状況について、御本人の希望によって終了する場合があるということですけれども、御本人の希望によって終了した後に再度契約が必要になった例はあるか、あるとしたらどういった理由でもう一度契約をしなければならなくなったのかということを、教えていただきたいと思います。 ○田邊(寿)参考人 様々あります。本人のおっしゃることをまずは受け止めましょうという場合もあります。だけれども、すぐに終了したいという場合もありますので、取りあえず保留ねとか、支援を一旦停止して、少し休止みたいな形で行きましょうかというような場合もあります。大体希望をかなえる場合は、客観的に見ても、ほかの支援が入ってくるとか、御本人の力が付いて、ほかの支援も含めてやっていけるのではないかと言われる場合もあります。ですので、希望というところも踏まえながらですけれども、やはり御本人の持てる力がどれだけ付いてきたかとか、あるいは関係者とかいろいろな社会資源の取り入れ方で、ある程度チームとしてできるのではないかというようなこともあります。その辺りは御本人の状況にも合わせながら、一旦は聴くということとか、支援に戻ってくるパターンというのはありますので、こちらとしてはもう分かった上で、だけれども、やはり御本人が自分で、例えばやってみたいという部分なんかの気持ちは大事にして、大体そういう場合はもう回数を少なくして、できるだけ、ある程度そういうことができるかどうかというのを見極めた上で終了させていくパターンというのが多いのかなとは思われます。お答えになっていますでしょうか。 ○鈴木委員 そうしますと、再度契約をすることはある程度見越している例が多いということですか。 ○田邊(寿)参考人 はい、それは余り拒まないような気持ちでおります。もう決めたのだから、それでないと駄目だということではないと思います。当然、環境も変わります、御本人の状況も変わります、その中で適切な支援をしていくために、私たちが必要であれば、それは受け止めていくべきだと考えます。 ○鈴木委員 ありがとうございます。 ○山野目部会長 委員、幹事からほかにお尋ねはおありでしょうか。よろしいでしょうか。   まず、世田谷区社会福祉協議会に御礼を申し上げます。たくさんの有益なお話を頂戴いたしました。その中でも、区民後見人になる方々がなるべくよい仕事をしてもらえるよう、また、大きなストレスを感じないで仕事をしてもらえるように、世田谷区社会福祉協議会において様々な工夫をしておられるという御様子が印象強く、お話を聞いていて感じました。後見人になってくださる区民の方々は、世田谷区にとっての宝であるだろうと思います。私どもも今日伺ったお話を参考にして、より良い後見人の仕事の有り様を考えてまいりますから、引き続きいろいろな機会に御意見を下さるようにお願いいたします。ありがとうございました。   続きまして、伊賀市社会福祉協議会に御礼を申し上げます。お話を伺ったら、田邊寿さんは1999年からこの分野でのお仕事を始められたというお話のようです。今、改正をしていろいろ見直さなければいけないと考え始めている民法のこの制度になったのが、法律制定の時期でいいますと1999年です。その時からお仕事をしておられる田邊寿さんのお話を伺って、たくさんの有益なことを教えていただきまして、感慨深いものもございます。ありがとうございました。   休憩にいたします。           (休     憩) ○山野目部会長 再開を致します。   続きまして、社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会からのヒアリングを行います。   この際、私から社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会の田邉裕子様、仁田坂和夫様、及びこれらの皆様と協力して事前に資料の準備などを担当してくださいました職員の皆様に一言申し上げます。本日はお忙しい中、資料を調えてくださるなど事前の御用意を頂いた上でこの部会においでいただきました。誠にありがとうございます。御意見をお伺いしまして、今後のこの部会における検討に活かしてまいりたいと考えるものでありますから、何とぞよろしくお願い申し上げます。今までのヒアリングと同様に、御意見を伺った後、参考人に対する質疑応答の時間を設けるという段取りを考えてございます。   それでは、どうぞよろしくお願いいたします。 ○田邉(裕)参考人 よろしくお願いいたします。社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会の田邉と申します。私どもは、知的障害のある人を対象といたしました障害福祉サービスを提供している社会福祉法人になります。本日は、私どもの法人で運営している事業所で行っております、日常生活で使用する範囲での金銭管理の支援について説明をさせていただきます。画面共有はいたしませんので、お手元で資料の方を御確認ください。よろしくお願いいたします。   スライド2枚目になります。法人の概要を簡単に説明させていただきます。社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会、元々昭和36年に、東京都内の各地域で知的障害のある方の親御さんが設立した団体がそれぞれございまして、その連合体として親の会として発足を致しました。その後、昭和47年、1972年に社会福祉法人の認可を得まして、その当時は社会福祉法人東京都精神薄弱者育成会というような名称でした。その後、何回かの名称変更を致しまして、現在の東京都手をつなぐ育成会ということになっています。私どもの東京都手をつなぐ親の会というところが土台としてございまして、こちらの方は全国手をつなぐ育成会連合会の正会員となっております。   私どもの法人の方で運営している事業の方を説明させていただきます。こちらに大体三つ、輪を書いて御紹介をしておりますが、居住系の事業というところと、日中活動系事業、その他(相談事業など)として三つ、柱のようにして運営をしております。それぞれ事業がありますけれども、全体として、先ほどもお話ししたように、対象は主に知的障害のある人ということ、ベースとしては知的障害のある人が対象になっているということになります。   こちらの居住系の事業というのが障害者支援施設、いわゆる入所施設ですね、あと共同生活援助、これは障害者グループホームになります。宿泊型自立訓練、こちらは私どもでは通勤寮として運営をしております。こちらは大体利用者さん定員で800人ほどになります。日中活動系事業というのは、昼間、利用者の方が通ってくる事業所になるのですけれども、こちらの方も幾つか運営をしておりますが、利用者さんの定員は2,000人ということになります。大体それぐらいの数ということですかね。その他(相談事業など)ということで、相談支援ですとか地域活動支援センターというところで展開をしております。こちらのスライドの左端にも書いておりますけれども、利用者の全体数、定員として2,687人ということになります。   この中で、本日お話しする日常的な金銭の支援を行っておりますのは居住系の事業所ということになります。日中の活動で昼間通ってこられる事業所については、基本的にお預かりというところはしていないとお考えください。   スライド3枚目になります。東京都手をつなぐ育成会で運営している居住系の事業所のところを少し説明させていただきます。こちらは先ほどお話ししましたように、居住系の事業は3種類行っておりまして、入所施設5か所を運営しています。5か所で300人という定員になります。こちらは比較的介護度の高い方が利用されておりまして、外出のときの同行ですとか、買物も代行であったり同行だったりという支援もあります。発語ですとか書字によるコミュニケーションが難しい方が多く利用されています。そうではない方もいらっしゃいますけれども、割とコミュニケーションが難しい方が多い方が入所されて、利用されているのが入所施設になります。   次が、先ほどもお話ししました通勤寮、宿泊型自立訓練、こちらは4か所を運営しております。こちらは原則的に企業就労している方が利用するというような事業所になっておりまして、一人で通勤を含めた外出をします。比較的経済活動も活発な人が多いです。こちらの施設は利用期限の原則2年になります。利用者の方の平均年齢は23.1歳ということで、年度末時点になりますが、約8割が20歳代ということになります。   最後に、グループホームになりますが、こちらは都内全域で84か所、ユニットとなりますけれども、運営をしておりまして、比較的に介護度が高い方が御利用されているグループホームもありますし、就労しているという方もいらっしゃいますし、割といろいろな方が利用されているというところが我々の法人のグループホームの特徴になります。こちらは、グループホーム以外の福祉サービスを利用している人が多いと書きました。住むところはグループホームを利用されていますが、日中はほかの福祉サービスの、先ほど言った通所の施設に通っておられたり、こちらにも書いてあるようにお仕事に行っていたり、週末はヘルパーさんと一緒に外出したりということで、ほかの事業と比べまして、いろいろなサービスを使っている方が割と多いかなと思います。こちらは1ユニット、一つの建物に4人から7人で生活している、割とこぢんまりとしたようなものを私どもの方では展開しておりまして、平均年齢は52.6歳、最高齢では81歳の方が利用もされております。   こちらの三つ、私どもの居住系の事業所を運営しておりますけれども、こちらでお金の支援をしております。次のスライド以降になるのですけれども、お金の使い方もかなりばらばらでして、こちらには特に記載はしていないのですけれども、先ほど話をしたように、真ん中の通勤寮の方々はかなり経済活動も活発な人が多いですので、お金もたくさん使う機会も多いのです。外にお一人で出られますので、お金を使う機会も大変多いかなと思います。また反面、東京都では心身障害者医療費助成制度というのがありまして、重度の方に関しては医療費が助成されるのです。ただ、軽い方には医療費の助成がありませんので、このような通勤寮を利用されている方ですとか、グループホームに入られている、割と障害、介護度が軽い方というのは、例えば医療にお金が掛かったり、また、御自身で外出もされるので、お金を使う機会も多かったり、就職をされているので定期代が掛かったりとか、お金もすごく掛かる場面も多い、その分お金を出し入れすることも回数が増えるというようなことになります。反面、入所施設の方は全てパッケージになっておりますので、一つ外出をするにしても入所施設の体制の中で行わなくてはいけないので、例えば月に1回しか外出に行けない、お金を使うのは入所施設の入口にある自動販売機で1日1本ジュースを買うというぐらいしかないみたいなことも、どうしてもシチュエーションとして発生してしまうということが入所施設ではあります。これは課題感として我々もとても感じておりまして、後ほどお話しする検討会でもかなり話題に上ったところになりました。   次のスライドに行きます。スライドの4番になりますが、この3事業種で預り金の支援ということで行っている内容、本人さんの日常金銭の支援ということで行っている内容です。私どもの法人では、依頼を受けて預かっている御本人のお金のことを預り金と呼んでおります。これは法的な、専門的な預り金ということでいろいろあるようなのですけれども、私どもの法人の中では御本人の預かっている金銭のことを預り金と呼んでおりますので、こちらの方でもそのように呼ばせていただきます。こちらの方は、本人又は御家族からの依頼を受けまして、本人の金銭について以下のような支援を行っていますということで、5点ほどにまとめました。   1番目が、日常生活で使用する範囲での現金の出納の支援ということで、先ほどもお話ししたように、それぞれの方の生活スタイルにかなり幅がございますので、1か月で1万円で収まる方もいれば、やはり5万円とか掛かる方もいらっしゃいますので、これは事業種によってかなり幅がありますが、大体5万円は超えないようにと、現金でお預かり、その場にあるお金は1人当たり5万円を超えないようにというふうには、できるだけ運営上はやっております。   その次が、本人の預貯金通帳や印鑑などの管理保管ということになります。   3点目としては収支管理ということで、収入、大体年金を頂いている方がほとんどなのですけれども、プラスアルファで、例えば通勤寮の方はお給料も入ってきますし、ほか、区市で出てくる手当ですとか、そのような管理をしていたりもします。また、支出の方についても、事業所の利用料、掛からない方が多いのですけれども、利用料ですとか、プラスアルファ、グループホームでは家賃も掛かります、そのほか食費などもありますし、先ほどもお話ししたように、医療費が掛かる方などもいらっしゃいますので、その辺を月単位である程度支出を考えながら、収入と支出というところの収支管理というお手伝いもしております。   あと、4点目、本人の金銭にまつわる手続の申請等の手伝いということで、例えば障害年金も永年ではなくて更新の方も結構いらっしゃったりします。そのようなお手伝いですとか、あと、例えばコロナのときの助成金ですとか、そのような申請のお手伝いなんかもしております。   5番目ですが、これが一番、実は支援として、お金の支援といいながら、重要なところだなと考えているのですけれども、御本人様の考える自分のお金の使い道ややり繰りについて、助言をしたり相談に乗ったりということをしております。やはりお金を使うこととか、それに付随する御本人から出される希望というのは、それが本人さんの意思や思いを表現したものとも考えられていますので、私どもとしては、その助言や提案を行うということを通じて、一緒に整理して、実現できる方策を確認していくということです。これは、御本人が欲しいと言ったものを全て買うために、できる方策を確認していくということではなくて、そこに御本人の、どうしてそれが欲しいのか、どんな思いがあるのか、そういうことに寄り添う、その働き掛け、これが私どもの福祉の営みと考えておりまして、ここをとても大切にして預り金の支援というものを今進めているところになります。   一番下のところに、キャッシュレス決済の使用ですとかデジタル化への対応が増えつつあるということで、また後ほど課題のところでもお話をさせてもらいますが、最近は、特に通勤寮ですとか、ある程度御自分でお出掛けになる方、ヘルパーを使ってでも外に出られる方は、交通系ICはほぼ全員持っていらっしゃいますので、そこで一つのキャッシュレス決済というのはかなり生活に浸透しているなと思います。ただ、それにプラスして、いわゆるスマートフォンで何とかペイとかということでのお支払いということもとても増えていまして、その中で、使いすぎという問題ももちろんありますが、会社さんによっては、お昼御飯はそこでチャージしてペイで払ってくださいみたいなことも言われることもありまして、そうすると、そこに対応するためにキャッシュレス決済をやっていかなくてはいけないという状況も生まれてきているのです。あと、デジタル化というところも、企業で働いている方は年末調整をパソコンでやってください、スマートフォンでやってくださいなんていう方もいらっしゃいますので、そういうところも含めて、デジタル化への対応というのは増えつつあるなというのが現場の支援としての感想でした。   次のスライドになりますが、預り金等を管理している状況の整理ということで簡単にまとめております。長年、預り金の支援・管理をしてきています。昭和47年に社会福祉法人の認可を得たと説明しましたが、その昭和47年に最初の東京都の委託で通勤寮運営の委託をしております。その頃から預り金の支援というのはずっと行っているものなのです。通勤寮の運営開始、そこから通勤寮を卒業した、2年、3年で出てきた方々の生活の受皿として、生活寮というグループホームの前身のものを私どもの法人の方で先駆的に運営をしてきています。そのときに、やはり本人のお金を預かるという必要性が生じました。家賃の徴収ですとか、先ほど来お話ししている、仕事をするために使う食費ですとか、もちろんお小遣いみたいなものを、やはり御本人の近くにあって、これが欲しいのだけれどもと、ではあしたの朝までに渡すね、みたいなやり取りをしながら用意をして、本人と確認をして、ということのサイクルがずっと行われてきているのです。   ただ、これというのはやはり本人の日常的な暮らしの中で必要となる範囲の金銭ということで、やはりそれを身近な本人の近くに置くことで、本人がしたいと言った外出が可能になったり、本人がやってみたいというようなことにお金を使うことができるということが市民としての暮らしにつながっていたという反面、やはり暮らしぶりも変化してきますし、障害福祉サービスも変わってきて、社会福祉基礎構造改革も経まして、あと障害者権利条約の批准など、時代の流れもありまして、成年後見制度の関係、また利益相反、福祉サービスを提供している私どもがお金のところの管理も支援をしていいのかというところの法人の中での検討もございまして、この状況の整理の必要性が出てきました。これを法人内で検討会を立ち上げまして、2018年から2020年に掛けて連続勉強会、「法人が金銭を預かる意味」というものを実施しました。   スライド6番になります。この勉強会ではまず法人が本人の金銭を預かっている理由の確認をしました。こちらの方は、お配りしているもう1点の資料には載っていないので、こちらの方を参考にしていただければなと思うのですけれども、この理由の中には、御本人の意思決定の支援のためにお金を預かっているという表現では出てきていないのです。やはりどちらかというと、依頼があったからですとか、経済的搾取から守るためですとか、そういうのはあるのですけれども、まだまだ勉強会を始めた時点では、御本人というよりも支援者側の体制的な理由ということも多く述べられていたところでした。だけれども、先ほどもお話しした利益相反の部分の整理も必要ということで、ほかの制度や仕組みとの併用の検討ということで、特にこの4点、成年後見制度、例えば、東京都育成会が法人後見をしてみたらどういうふうになるのかなどということも含めて、日常生活自立支援事業も、私どもの方で福祉サービス利用援助の方を受けてやってみたらどうなのか、などとシミュレーションをしてみまして、いろいろ検討をした次第でございます。   次のスライド7番になります。この勉強会の過程で、法人の中で預り金に関する調査を行いまして、こちらの方はもう一つの資料の方に載っておりますので、後でお時間があるときに是非御覧いただきたいと思います。この調査は、本人と支援者と管理者を対象にした、それぞれの調査になります。こちらの方で、特に御本人の方から預かっていて、もう1点の資料で行くと9ページとか10ページとかになるのですけれども、お金の預かりを自分でやりたいという方も多いのですけれども、決めた分を自分でやりたいとか、あと、一緒にやってほしいという意見もとてもあったのです。それは、やはり私どもが今までやってきたことというのは御本人にも伝わっているのだな、やはり必要なことなのだな、ただ、やり方は御本人の気持ちをもっと酌まなければいけないのではないのかなということがこの調査を通じて確認され、それを私どもの勉強会の方でも検討し、最終的にはまとめとして、施策提言をまとめたところになります。やはり金銭を預かることというのは生活支援の一環なのだと、それだけオプションの支援ということではなくて、これは生活支援の一環として位置付けるべきだということを提言としてまとめました。それを受けまして、預り金等の支援のところでいろいろ課題があったのですけれども、預り金等支援規程ということで、法人で統一した規程を定めて、この4月から支援規程にのっとってそれぞれの現場で預り金の支援を行っているところです。   8番のスライドに参ります。預り金等支援の課題ということで、3点ほど挙げております。本人の自己決定を支援するための預り金等支援の体制整備ということで、自己決定、自分のことは自分で決めるということだと思うのですけれども、それをそれぞれの支援者が、それぞれの気持ちで、それぞれの場面でするということではなくて、きちんと体制を整備して、自分のことは御自分なりに皆さん、決めていらっしゃるのですね、その御自分なりにというところを大事にしながら、どういうふうに決めていこうかというのを組織としてやっていけるように体制を整備しようということで、先ほどお話しした預り金等支援規程というものをまとめております。どうしても今までですと、使いすぎてしまうからお金は渡せないですとか、通勤寮で卒寮したときに地域で生活するためにお金をまとめて必要だから、まず貯金しましょうですとか、少し管理的でしたり保護的になりがちだったのは私たち支援者側の問題なのですけれども、それはそうではなくて、先ほど来お話ししている自己決定というところを大切にした、自己決定するための意思決定、それの支援をしていきましょうということを確認しています。ただ、これはやはり難しくて、今日頭で分かったからあしたから支援ですぐできるというものではなくて、まだ試行錯誤しながら一生懸命やっているというところになります。   2点目は、時代の流れに沿った支援への変換ということで、その中でも二つ挙げておりますが、福祉施設を利用する人の変化ということで、この春からの障害福祉の報酬改定にも関係するのですけれども、御本人の意見をもっと聴いて、御本人の希望する暮らしを支援していこうという流れが今とても強くなっております。ということは、入所施設から地域でのグループホーム、またグループホームから独り暮らしをしていくということで、独り暮らしというスタイルもこれから増えていくという方向性はあると思うのです。それは障害の重い方も同じことだと思います。そのときに、福祉施設を利用している人という、ずっとそこにいるから、この中で支援を完結すればいいということではなくて、御本人のやれることも伸ばしていくような支援でなければいけないし、地域に出たときにそれがスムーズに移行できるようなことも考えていかなければいけないということで、やはり福祉施設を利用するということ、施設という事業所の中だけで行われるということではないというのが、時代の流れに沿った支援として必要かなと思っています。そのベースとしては、やはり障害者権利条約の、私たちのことを私たち抜きで決めないでという、このスローガンは大きいなと考えております。   また、先ほどお話ししましたキャッシュレス決済やデジタル化への対応ということで、こちらの方も、スマートフォンを持っている方がほとんどですので、スマートフォンの中のやはり何とかペイとかというところの後払いですね、あともう一つ大きいのが、携帯電話の利用料に上乗せするような形の、いわゆるキャリア決済というものの、大きい金額の買物をするということもありまして、使いすぎというか、うまく使うためにどうすればいいのかというのを今、方法を模索しているところになります。   あと、3点目は社会福祉施設における金銭管理の支援の役割ということでまとめましたが、先ほどお話ししたように、施設の中だけではなくて、外に出ていくという人もどんどん増えていくということもございますし、やはり、やってあげるではない、先ほどもお話ししましたが、できない分は全部職員が、支援者がやればいいという支援というのではなくて、一緒にやっていこう、どういうふうにすればやれるようになるかなというものが大事だと思うのですが、それはとても人員が必要です。支援者の数も必要ですし、支援者のスキルもとても問われることですので、そこの課題というのも大きいなと思っています。   また、多様なサポート体制をどのようにつくるか、福祉従事者以外の関係者の必要性というところは、福祉施設だからこそ外からの目が入りづらいというところで、その辺の公平性ですとか、どういうふうな担保をするかという問題もございますし、御本人が地域に出たときの体制ということで、福祉行政だけではなく、福祉関係者だけではないというところを考えていかなければいけないのではないかと考えております。   最後に、成年後見制度についての意見ということで、簡単ですがまとめました。本人を中心とした権利擁護の支援のための成年後見制度になっていただきたいな、なっていくといいなと思っています。障害のある人たちに成年後見制度とは何だろうという説明をしても伝わらないのは、支援者の力量不足なのでしょうか。私はうまく伝えることがいつもできなくて、とても大変です。ただ、うまく伝えるというのは意思決定の支援の一番最初のところで、情報提供のところにとても掛かるところなので、知的障害があるからこそ、なかなか御理解いただくのが難しいというものもあるのは分かるのですけれども、それでもやはり分かりづらいというのはあるのかなと思います。また、支援者の理解というところでも、制度の理解に支援者側が本当に追い付いているのかな、これは私ども法人の課題なのかもしれないのですけれども、支援者の中でも成年後見制度の理解というものがまだなかなか浸透していないなと思います。   それというのは、まとめの丸が一つ飛ぶのですけれども、今、親亡き後、家族の支援力に依存した日頃の生活というのが知的障害のある方の生活のベースになっているのかなと、なので、家族がいなくなったら全てが崩れてしまうというような状況もやはりあるのだと思うのです。親御さんたちはとても頑張っていらっしゃるのですけれども、やはりその頑張りを、もう少し気を抜けて、一緒に支援者、地域が見守っていくというものが日頃からあれば、親亡き後のために申立てをしなくてはいけないというような、どうしましょうというような相談というのは、少し整理ができるのではないかなと思っております。このような相談は結構若い方、まだ20歳ぐらいの子供がいるのだけれども、この後どういうふうにすればいいですかということで御相談いただくことも多くあります。   戻ります。相続手続などのために申立てする事例も大変多く聞いております。必要なときに必要なことのための成年後見制度というのは、先ほどの、障害のある方にも分かりやすい整理だなと思います。ただ、やはりこれだけではないと思います。権利侵害からの回復のための権利擁護支援策として、成年後見制度は大変重要だとも思っております。そこの部分は大変、承知しているところなのですけれども、権利侵害の回復と意思決定支援としての権利擁護支援、その中で成年後見制度をどういうふうに知的障害のある方が使っていくかというのが、まだまだ私としても答えが見付からないというのが正直なところです。   最後のスライドに、私どものホームページに預り金等支援規程の掲載のページのところのリンクを貼って、QRコードも貼ってありますので、もし御興味があれば、そちらの方を見ていただけるとうれしく思います。どうもありがとうございました。 ○山野目部会長 東京都手をつなぐ育成会からのお話を承りました。ありがとうございます。委員、幹事からの御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。 ○小澤委員 貴重なお話ありがとうございました。1点だけお願いをします。資料1の5ページの預り金等を管理している状況の整理の中に、利益相反という考え方という記載がありますが、施設と利用者との間の利益相反に関してどのような状況整理や議論がなされ、どのような結論に至ったのか、差し支えない範囲で教えていただければ幸いです。 ○田邉(裕)参考人 ありがとうございます。利益相反のところですね。勉強会のところでの議論というところでよろしいですかね。こういう考え方があるけれども大丈夫かねという話が出てきまして、法人内で勉強会ということで検討した際に、利益相反というのが出たのですけれども、現状、通所の事業所に関してはお金を預かっていない、先ほどお話ししたように、入所施設とグループホームと通勤寮というところでお金を預かっているのですけれども、グループホームのところで特にこの利益相反というのが出てくるのかなと思われる事例があるかなということで、少し検討しました。というのは、福祉法人の中で、例えばグループホームをやっていて、ホームヘルパーもやっていて、ガイドヘルパーもやっている、それを全部の法人で賄ったらというようなことになってくると、やはり利益相反ということもあるよねということで検討したのですけれども、取りあえず私どもの法人はヘルパー事業とかというのをしていないので、今のところ利益相反、直接ということはないのかなと考えております。ただ、お金を預かるというところで、そこが正しく運用されているかというのは法人内で検査を行っておりまして、そちらの方で担保できているかなということで結論が出ております。 ○山野目部会長 小澤委員、よろしいですか。 ○小澤委員 ありがとうございます。 ○根本幹事 2点お伺いいたします。報告書26ページなどを拝見しますと、本人の意思を確認することが必要であることの御検討があったと思います。意思確認ができない場合、現状どのように対応されていらっしゃるのか。例えば、飲物ですとかお菓子ですとか、意思確認ができない方でもお小遣いとして必要だというところはあると思います。どのように対応されているのかということが1点目です。2点目は、特に親亡き後で、いわゆる親御さん以外の御親族もいらっしゃらない利用者の方の場合に、生活支援の一環を超える、若しくは日常金銭を超える多額の預金をお持ちの方がいらっしゃった場合に現状、法人としてどのような御対応をされているのかについて教えてください。 ○田邉(裕)参考人 ありがとうございます。1番目の方は、報告書の26ページの本人の意思を確認というところで、今回スライドの最後のところにも載せましたけれども、預り金の支援規程ということでまとめているのですが、その支援規程の中に本人の意思確認の手順というのもまとめまして、その中で、御本人の様子のアセスメントですとか、そういうものの確認の手法というのもまとめたところになります。そのほか、サービス等利用計画と個別支援計画と、それらのそれぞれの個別の援助計画等を用いながら、本人の意思の確認というのを総合的に組織としてチームで行っているというふうになるかと思います。   2点目の多額なお金というところになりますと、やはり後見制度を使って後見人の方に管理していただいているというようなことになるかと思います。 ○山野目部会長 根本幹事、よろしいですか。 ○根本幹事 意思確認の手順について教えて頂きましたけれども、意思確認ができない場合はどうされていらっしゃいますか。御案内いただいた手順、ステップを踏んでいただいたとして意思確認ができない場合の、御本人のお小遣いについてはどうされていますか。 ○仁田坂参考人 事務局長の仁田坂と申します。意思確認ができない利用者の方が数多くおられます。その場合、一対一での対応とかということではなく、基本的に複数名での合議で議論をしていくということが前提になりますが、これが本人にとっての本当に好きなものであるのかとか、その辺は私たちの言葉でいうとアセスメントを重ねていくということになります。その中でいろいろお示しして、行動を起こしてもらう中から推察していくという部分が非常に強くなりますが、それを複数の目で見ながら合議の下で意見集約していくと、そのようなことを積み重ねていくということにおいて、本人の意思確認をより精度の高いものにしていくというのが日常の支援の積み重ねでございます。 ○山野目部会長 根本幹事がお尋ねになっている意思確認は、これから預り金のサービスとかをするという関係に入るという入口のときのお話であるか、それとも個々の、これを買うことをどうしようというふうな一つ一つのお金を使う場面のお話であるか、どちらでいらっしゃいますか。 ○根本幹事 入口の場面ですが、場合によってはお答えしづらい質問だということは承知の上で伺っていますので、お答えいただける範囲でと思います。 ○山野目部会長 仁田坂さん、御苦労さまです。今、仁田坂さんが御説明をなさった点は、お聞きしていると、一つ一つのお金を使う場面で、本人の意思が必ずしも明らかではないけれどもチームでいろいろ検討するというお話だったであろうと聞きました。入口のところで、これからこういう預り金のお話に入っていくけれども、始めてよろしいですねという場面で、本人の意思を確認することができないということになると、どうなるでしょうか。そこを少し教えていただけますか。 ○田邉(裕)参考人 ありがとうございます。こちらの方も支援規程の方にまとめておりますが、支援者の合議ということでそれを書面に落として、その中で確認をしていくというものを法人内で整えております。 ○山野目部会長 お話を承りました。根本幹事はひとまずよろしいですか。 ○根本幹事 はい。 ○星野委員 社会福祉士会の星野です。田邉裕子さん、どうも御報告ありがとうございます。私の方からは、質問なのですが、報告書の中の19ページに今のような取組、いろいろなフローが出ていますよね。これから金銭を預かる体制を検討するに当たって、正に今の本人の意思が確認できない場合はどうするとか、法人で預かる場合、預からない場合というフローチャートがあります。こういうことを検討していくときに、今、第二期計画の中で進められている地域の中の中核機関というような、いわゆる第三者的な機関に関与を求めるとか、そういうようなことを考えていらっしゃるか、全くそこはお考えということはないのかどうか、少しその辺りの御意見をお聞きしたいです。 ○田邉(裕)参考人 ありがとうございます。この検討のところでは、中核機関ということは考えておりませんでした。現状も、まだそこまでは考えておらず、今、預り金の支援の体制というのが始まったばかりですので、こちらの構築ということで進めているところです。 ○野村幹事 本日は御報告ありがとうございます。1点質問させていただきます。私が後見人になっているケースでも、御本人が施設やグループホームに入所されているケースでは現金を預けているケースは多いです。後見人としては定期的に現金出納帳や領収証を送っていただいて、不明な出費がされていないかどうかチェックしています。今後、制度の見直しによって後見が終了する場合、判断能力が不十分だけれども後見人がいない入所者が今よりも増えると思われますし、また、身寄りのない人が増えていますので、家族等がチェックできない場合も多いかと思います。そういった外部からの監督がない場合に、どのような預り金のチェック体制が必要と思われますか。また、第三者の視点でチェック、監督する第三者機関を設置することを検討されていますでしょうか。 ○田邉(裕)参考人 ありがとうございます。第三者のチェック機関というのは現状、私どもの体制の課題だと考えておりまして、今はそこまで整っていないというのが現状です。都内全域に事業所も展開しているというところで、ここの一定の、例えば何区さんと協働して、どこの社協さんと協働して、ということにはなかなかなりにくい状況もありますので、今後の課題として進めていきたいと思います。ありがとうございます。 ○山野目部会長 野村幹事、よろしいですか。 ○野村幹事 はい。 ○山野目部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○上山委員 ありがとうございます。通勤寮にお住まいの方は原則的に企業就労されていて、経済活動も活発だということですが、こうした方々は現に成年後見制度、保佐か補助かと思うのですが、そういう利用をされているのかどうかというのを教えていただければと思います。経済活動が活発であれば、単純に考えると消費者トラブルなどに遭遇するリスクも高いように思うのですが、今日御説明いただいた預り金のようなシステムだけで対応ができているのか、それとも一定、補助や保佐等の御利用をなさっているのかというのを教えていただければと思います。 ○田邉(裕)参考人 御質問ありがとうございます。通勤寮で、補助・保佐の類型になりますが、ゼロではないです。ただ、通勤寮の利用者さん自体が2年で替わっていきますので、地域移行していくという意味では、ゼロのタイミングもあるかと思いますけれども、ゼロではないです。ただ、やはりお若い方が多いので、ここで補助とか保佐なり後見制度を使うと、費用負担がということもやはりありますので、なかなか難しいということと、消費者被害も実際あるのですけれども、逆に御本人はある程度お話ができたりもしますので、私どもを含めた支援者のネットワークの中で解決していくということも一つ、方法として可能というか、一つ有り様としては実際あるということもありまして、後見制度の利用というのはあるけれども、少ないというのがお答えです。 ○上山委員 分かりました。ありがとうございます。 ○山野目部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。   それでは、田邉裕子さんと仁田坂さんに御礼を申し上げます。現在の社会福祉法が想定する福祉サービスの概念が、必ずしも日常的な金銭管理ということを明瞭に読み取ることができて、それを中心に置くようなものに現在のところなっておりません。しかし、皆さん方のお取組が見抜いていただいたとおり、この点がこれからの障害者や高齢者の暮らしにとって非常に重要な課題になってまいります。本日、皆様の取組の意義ある御様子を伺いましたし、そういうお取組を更に進めていただくためには、なさっておられる日常的な金銭管理がもっとしっかりした制度的基盤によって規律されるものに変わっていく必要があるという課題が浮き彫りになりました。政府が一体となってそういう課題に取り組んでいかなければならないであろうということも感じられます。誠に有益なお話を頂いたことに御礼申し上げます。どうもありがとうございました。   休憩にいたします。           (休     憩) ○山野目部会長 再開いたします。   続きまして、社会福祉法人栄和会からのヒアリングを実施いたします。   この際、私から社会福祉法人栄和会、瀬戸雅嗣様及び瀬戸様と協力なさって資料の準備等に当たってくださった職員の皆様に一言申し上げます。本日は大変お忙しい中、資料を調えてくださり事前の用意をしてくださった上で、この部会に御来臨を賜りました。誠にありがとうございます。御意見を伺い、今後の当部会の検討に活かしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。御意見を伺った後で、今までと同様に、参考人からの質疑を差し上げるということにいたします。   それでは、どうぞよろしくお願いいたします。 ○瀬戸参考人 社会福祉法人栄和会の常務理事、総合施設長をしております、瀬戸と申します。今日はこういう機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。   スライド2枚目にうちの事業が書いておりますが、北海道札幌市でケアハウスという軽費老人ホーム、それから、特養というのは特別養護老人ホーム、老健というのは老人保健施設ですが、これらの事業を展開しています。今日の話は特養が主なので、特養は御存じのように要介護3以上の方が入所している施設で、恐らく入所者の90%以上は認知症があるという状況の方が入所されています。そのほか、通所介護ですとか訪問リハ、通所リハ、あと居宅介護支援というのはケアマネジャーの事業所です。あと、厚別区第1・第2地域包括支援センターと厚別区予防センターは、札幌市の委託事業として事業展開しております。   次のページが、住所が札幌に三つ、それぞれ特養を拠点として3か所でやっているのと、爾志郡というのですが、この乙部町というところは乙部町の指定管理の特養をやっております。入所の定員が全部で504、通所が162、職員が大体460人くらいということで、平成6年に設立していますので、昨年30周年を迎えた、まだまだ若い法人でございます。   次のページは、我々が所属しています全国老人福祉施設協議会が定期的に基礎調査というのをやっておりまして、これの直近が令和4年4月1日現在ということで、令和3年度実績で調査しているのですが、その中で特養の預り金についての状況を調査しています。まず、手持ち現金の管理については、実施していないというのが一番多く49.8%、約半分は実施していない、次いで、無料で実施しているが27.7、有料サービスとして実施しているが19.6という形で、グラフも出ていますが、こういう状況が全国の状況でございます。   次のスライドで、その管理対象者はどういう方ですかという問いなのですが、一番多いのは希望する入所者で59.5%、約6割ですね。次いで、入所者全員を対象としていますということで36.4%、アセスメントの結果、自己管理ができないと判定された入所者ということで、それが13.0%となっています。   その次のスライドは、いわゆる手持ち現金以外の預金通帳や年金の証書ですとか、そういうものを預かっていますかということですが、実施していないのが最も多くて37.2、次いで有料サービスとして実施しているが34.9、無料で実施しているが24.4%となっています。   その次のページが、その管理対象に関しては、希望する入所者が一番多くて41.8、次いで入所者全員で15.9、アセスメントの結果、自己管理ができないと判定された入所者が6.7と、これが全国的な状況でございます。   次のページからが、当法人の預り金の状況を説明させていただきます。基本的に少額の預り金という形で、上限までは決めていませんが、大体、多い人で2、3万円を預かっているという状況ですが、これは後で説明しますが、要綱を定めて実施しています。あと、通帳等は原則は預かっておりません。ただ、一部身寄りのいない人で本人のところに保管しておくのが非常に不安というような人に関しては、事務所の方で預かっている人はいます。   それから、預り金をやっているのですが、運用に関しては月1,500円の費用を頂いています。日割りの場合は1日50円ですが、無料で実施している施設もあるというのは、法人内で少し分かれておりまして、一番古い、私のいる施設なのですが、平成7年にできて、当時は措置施設だったので、その頃から預り金をずっとやっていたのですが、有料にするタイミングを失したというか、そのままずっと無料のまま預かっていますが、残りの二つの施設は平成19年と令和元年という形で比較的新しい施設で、預り金に関してお金を取ってもいいというようなことがあったので、そこで二つの施設はお金を取って有料サービスとして実施をしています。   あと、施設によってほぼ全員が預けている場合と3割程度しか預けていない場合と、これも法人内で大きく変わっていまして、特に無料の私の施設はほぼ全員預けていただいていますが、3割程度しか預けていないのは、この有料サービスをしたときに、家族から月1,500円は高いのではないかと札幌市に苦情の電話が入ったのです。札幌市は、金額に関しては施設が決めるものなので、それはいい、悪いは言えませんが、そのときに札幌市から、家族はまるで必ずこの1,500円を取るサービスを受けろと言われたと、そういう苦情が入ったらしいので、そこは札幌市は、そういう言い方はしないでくださいねと、飽くまでも任意サービスです、選択サービスですということを強調してくださいねということを一番最初に言われた施設は、いわゆるこれを説明する相談員が、入所時の説明が、やらなくてもいいのですがというところを強調するので、3割しか預けていないというのが実態です。もう1か所の方はほぼ預けているので、逆に入所の説明のときに、皆さんこれをお使いですが、どうされますかというような形をやっていると有料サービスを使っていると、そういう形になっています。今まで札幌市によるこれに関しての運営指導等で指摘は受けたことはないです。   次のページが、入所者の取扱い要綱という形、それに沿って説明させていただきますということで、別添資料で付けています、まず、1ということで入所者預り金取扱要綱、これは一つの、あつべつ南5丁目という特養のものをそのまま持ってきましたが、目的と預り金の名称、あと、預り金をする場合には同意書兼委任状をもらいますということで、別紙様式1という形で、これも別添で付けています。少し御覧いただきたいと思いますが、別紙様式1ということで、同意書兼委任状ということで、出金に関する同意が一応原則三つですね、医療費関係費用、それから理美容代、あとクリーニング代。ただ、クリーニング代に関しては特養の場合は原則、日用品に関しては施設が払っていますので、これはいわゆる有料サービスで、ドライクリーニングをしなければいけないものとかそういうもののクリーニング代になります。あと、その他ということで、上の三つには属さないものですが、いわゆる食品、おやつを買いたいとかジュースを飲みたいとか、そういうようなことでもいいですかということで、この同意を取り交わして進めております。   また戻っていただいて、預り金取扱要綱ですが、第3条、預り金で、第4条は基本的にはキャッシュカードはやっていませんということが書いています。第5条も、耐火金庫に保管しますということですね。第6条が、基本的に台帳を作成して、出入金についてはその都度記録し、複数の職員で金銭の授受を行っていきますと、6条の2が、入金のとき、これは今回、様式を付けていませんが、入金のときも、幾ら預けましたという、これは3枚複写で出していますが、向こうにも領収証が行くような預り金の様式を出しています。それから、預り金払出依頼書、様式4というのがございまして、これも付けておりまして、様式4が預り金払出依頼書ということで、預けていたものを出してくださいということを、これは本人あるいは身元引受人、家族等からこれを頂いて、お金を出しています。これを一番使うのは、本人が何かを買いたいと言ったときに預り金の中から買う場合があって、これは意外と担当職員が買いに行くことが多いので、この依頼書を持って職員が一緒に事務室に行ってお金を出してもらって、そのお金を持って買物に行くというような形をとっています。更にもう1枚、様式5という確認書というのがあって、何を買ってきたのかというところをこれに書いて提出するという形で事務とのやり取りをしております。   次のページに行きまして、第7条で自主点検ということで、月に1回以上は担当する別の職員が全て金額の確認をしております。あと、年4回以上で3か月に1回は領収証を添えて残高のお知らせをしております。あと、領収証の取扱いについても全て付けて保管するようにしていますし、何か見せてほしいと言ったときにはそれを出すようにしています。それ8条です。第9条に関しては、様式1を取っていれば、いちいち本人から判子をもらわなくてもいいですよという取扱いができるというような形にしています。あと、帳簿等はきっちりと残しますので、先ほど言ったように3か月1回は提出しますが、別個にやっています。最後、11条のところに、預り金をやめたい、あるいは退去時は預り金の解除願及び受領書という形で、これも最後に付けておりますが、そういう受領書を付けて出しておりますので、こんな形で要綱に沿って実施しているということになります。   これを無料か、一部施設では有料サービスとして行っているということになります。あと、台帳等も付けておりますので、後で御覧いただければと思います。あと出入金の手順書が付いていますので、これも御確認いただければと思っております。ここまでが預り金の話でございます。   残り、成年後見制度についてもという話でしたので、幾つか事例として御報告させていただきますが、スライドの方に行きますが、スライドの、番号が書いていないですけれども、成年後見制度についての事例①ということで、比較的多いのですが、虐待事例ですね。この場合は、身体的、経済的、精神的な虐待での権利侵害を受けて入居された方、認知症の方がいらっしゃいますが、その入居時の対応を考えると、やはり代理権を持つ後見人の力は非常に大きかったなと、後見人がいたのでスムーズに手続が進んだなと思っています。ただ、この方は特養の生活で非常に安定しておりまして、全ての場面において法律行為ができない状況ではない、ある程度判断能力も、入所時は本当に逼迫した状況なので、全く本人の意思が確認できないような感じでしたが、その後、本人がある程度意思を確認できますし、こちらの要望というか、この時間は外出しないでくださいねというのはきちんと、はい、分かっていると言って、外に出ることもありません。そういう状況なので、今も後見人が付いていますが、実際に後見人、これはたまたま社会福祉士の後見人が付いているのですが、後見人が全て判断するのではなくて、本人に確認しながら、身上監護、最近、身上保護というようですが、身上監護を実施しているような事例がございます。   それから、その次のスライドで、二つ目が終末期の希望について入所時に確認をする、あと、定期的に確認をする作業はしているのですが、本人に確認せずに後見人の判断で決定したと、私が決めますということで、いや、本人に確認しないので本人に聴いてくださいと言ったのですが、それを拒否された事例がありました、私が決めますと。かなり我々も首をかしげております。   三つ目が、後見人が本人と一度も面会しないケースがございます。意思疎通が難しい人でも、定期的な状態確認は、本人と会って、すべきではないかと思います。金銭管理はしっかりやっていただいておりますが、それだけが後見活動ではないのではないかと思われます。この方に関しては、本人の家族がいるのですが、家族にも全く連絡を取らずに、後見人がこう言っていますということを施設側が伝えると、何でですかと聞かれるのですが、後見人が決めましたということで、子供たちは困っている事例がございました。   最後でございますが、施設での、後見程度の判断能力の入所者であっても、身元引受人等の家族がいてしっかりしていれば、現状としては余り困難性は感じていないです。先ほど90%以上が認知症と言いましたが、後見人は全員が付いているわけではございませんので、ある程度家族とやり取りをしながら進めているというのが現状になっております。あと、入居時は家族等がいても、その家族がいなくなったとき、最近少し事例があったのですが、唯一の息子さんが亡くなってしまって、警察も含めていろいろ探したのですが、全然見付からないという状況で、本人は認知症なので判断能力がないということで、医療機関との契約や、うちの支払いも含めて、どうするのだということになって、非常に今困っている事例がございます。支払いに関しては、本人名義の通帳が息子さんの部屋から見付かったので、警察と話して、それだけは預かって、本人の生活費はその年金が入る通帳で何とか賄っていますが、現在、成年後見制度の活用が必要だということで、首長申立てで申請をしている最中でございます。   あと、これは成年後見人をしているうちの職員の話ですが、医療機関から医療行為の同意を求められることが多くて、私の仕事ではないと言っても、どうしますかということを聴かれるという、困惑しているという話でした。   あと、死亡時の対応も後見人によって、最後までいろいろやってくれる方もいれば、亡くなったのでこれで終了ですということで、あとこちら側が役所といろいろやったとか、いろいろな状況があるので、後見人が付いていることは非常に有り難いですが、いろいろ困ることもございますということでございます。   報告は以上でございます。ありがとうございました。 ○山野目部会長 瀬戸参考人のお話を承りました。委員、幹事からの御質疑をお願いします。いかがでしょうか。 ○根本幹事 先ほどの育成会への御質問と同じ内容になりますが、預り金の点について同意をされない方、若しくはできない方の、お小遣いの取扱いをどのように御対応されているかという点と、あとは、金額が大きい財産をお持ちで身寄りがない方の場合、どのように対応されているかについて教えてください。 ○瀬戸参考人 ありがとうございます。まず、意思確認ができない場合というのは、特養の場合には、まず入所時に家族とお話をして、家族が後見人かどうかは別としても、家族から、本人には持たせられないので預かってくださいというような形で取ることが多いです。全く最初から家族、親戚がいらっしゃらなくて入所するということは、現在はいないので、本人の意思は、ある程度確認できる人は本人に確認はしています。   それから、多額のものですが、今はほとんど預金通帳は預かることがないので、ないですが、措置時代は、僕は相談員をやっていましたが、2,000万円くらいの通帳をうちの金庫に入れていたことがありましたが、さすがにこれは問題があるのではないかということで、市役所と話しながら貸金庫を借りたりしたことはありました。 ○星野委員 ありがとうございます。2点ほど質問したいと思います。預り金のところで、運営規定を令和3年に作られたということで、いろいろきちんと規定を定めてやろうということで、よく理解はするのですが、私が個人的に後見人に就任している実態からは、預かりをやめる施設が増えているのです。ことから、それはおそらくこのような仕組みがなかったところで不祥事が起こってしまった原因もあるとは思います。そのため、預り金ではなく全て立替え払いにするというような施設も増えてきてはいるのですが、預り金の規定を作られながらやっていくというところは、やはり利用者の利用しやすさのようなところも考えていらっしゃるのでしょうか。立替え払いという考え方があるかが1点目です。   あともう一つは、少し今回の議論から変わってしまって大変恐縮なのですが、職員の方が後見人を受けているというところが私としてはとても関心があって、そちらの法人では職員の方が後見を個人で受けているわけですね、それも認めていらっしゃるのですねという、これは単純な確認のための質問です。すみません、2点です。 ○瀬戸参考人 まず、立替えに関してですが、実はやめる施設が、先ほど見ていただいたように、全国的にも実施していないのが半分なので、多分こういう施設は立替えをしていると思います。うちの施設も、先ほど言った3割しか利用していない、7割の人はうちがやはり立替えをしていますが、立替えする手間と、立替えしたお金がきちんと返ってくるかというか、事例として言えば、少し体調不良になったので緊急に病院に行かなければいけなくなりましたから、病院に行きますといって、取りあえずこちらで立て替えていいですかと言ったら、いいですと言ったのですけれども、結局余り大したことがなくて帰ってきてしまうと、いや、行かなくてよかったのではないか、そのお金はうちが払うのか、みたいなことを言われて、少しもめたケースもあるので、そういうことを考えると、やはり預り金で管理をしていた方がいいと思います。ただ、おっしゃられたように、この規定があっても不祥事は起きる可能性はありますので、二重、三重のチェック体制というか、基本的に月1回のチェックはしていますけれども、時々上司がきちんと出し入れを見ているぞということを担当職員には見せております。   あと、うちの法人で成年後見をやっているのは2人くらい、皆、社会福祉士ですけれども、それはもう業務に関係ないところでのあれなので、やっていますが、たまたま両方ともほかの特養の後見人をやっております。 ○星野委員 ありがとうございます。担い手の確保という意味で、そういった理解が必要だなと思って質問しました。 ○久保野委員 ありがとうございました。身元引受人を家族、親族以外の方がなさる場合があるのかということを質問させてください。お願いします。 ○瀬戸参考人 現状ではいらっしゃらないです。家族、親族以外ではいらっしゃらないですが、過去にお友達というか、すっと長いお友達だった方がいらっしゃいました。ただ、そこはかなり我々としても非常に不安な状態ではありましたが、何かその方が問題が起きたわけではなく、お亡くなりになって解消になったという形です。現状では家族、親族以外にはいません。 ○山野目部会長 久保野委員、よろしいですか。 ○久保野委員 一言だけよろしいですか。逆に、家族や親族の方が身元引受人をされるときには、どのような関係性の確認や、家族や親族の中でその方が身元引受人というのは、何らかの基準ですとか手続というのがどうなっているかについて、簡単で結構ですので、教えていただければ幸いです。親族でないときに心配だったということとの関係で、家族の場合にはどうかという御質問です。 ○瀬戸参考人 特にこういう方でないと駄目だという基準は、うちはありませんし、むしろ家族、親族が身元引受人であっても、後々家族、親族内でもめることも多々あります。キーパーソンとして連絡していたら、別な人が現れて、何で私にも言わないとか、出てきたりするので、そこのところは慎重に、申込みの段階からある程度、この方で話が進められるかというのは相談員のところで判断をしながらやっている状況でございます。 ○久保野委員 ありがとうございました。 ○佐保委員 ありがとうございます。1点お聞きしたいのですけれども、老施協の調査で、預金通帳、証書等の管理のところですが、実施していない割合が最も高いものの、有料サービス、無料でやっているといったものを足し合わせると6割弱ということになっていて、多分私が推測するに、この間ずっと預からなくなってきているのではないかと思っていますが、それについて、やはり預からない方がいいとか、預かってもいいのではないかとか、どういう考えをお持ちなのかということを少しお伺いできればと思っています。 ○瀬戸参考人 手持ちの現金、いわゆる預り金に関しては、業務上としては預かっていた方がこちらとしてはやりやすいなと思います。ただ、通帳、証書等はやはり預かるのは我々の仕事ではないだろうなと感じています。 ○佐久間委員 2点伺いたいことがございます。一つは預り金の原資、出元がどこかということを把握しておられるのか、しておられたら、どこかというのを教えていただきたいということです。例えば、御本人がお持ちになっている正に現金であるとか、身元引受人である家族が持たせた現金であるとか、あるいは御本人の年金等であるというのはどうなっておりますかというのが、1点伺いたいことです。   もう1点は、これは規定になるのですかね、預り金取扱要綱の6条の3項のところに、御本人の意思確認ができない、身元引受人である家族がいないという場合には、施設内部での手続で入居者の意思確認に代えることができるというのがあるようなのですけれども、ここに定められている状況だと、御本人あるいはその近しい人、身元引受人である家族からの同意書兼委任状がなくても、預り金のこの取扱い規則に従った扱いをされるということでしょうか。2点、よろしくお願いいたします。 ○瀬戸参考人 ありがとうございます。まず原資に関しては、一番多いのは、家族が預けていくというか、大体御報告すると、そろそろなくなってきたねといって家族が出してくるので、そのお金が御本人の年金から出ているのかというのは分からないです。どういう形かは分からないですけれども、なので家族から預かることが多いので、身寄りのいない、後見人が付いていれば、確実に御本人の年金から預り金も出ているのだろうなというのは分かりますが、それ以外はこちらでは把握できていないです。家族が預けてくるという形になっています。   それから、6条の3項の、いない場合ですが、今はほとんどこういう方はいらっしゃいません、過去というか、どうしても本人の意思確認できないし、家族等からも取れないしということであったときに、やはり一人ではまずいので、相談員と介護職員という違う職種の人間がやるという形で、一応こういう方法ができるという意味合いで書いているだけで、ほぼ運用したことはないです。何とか見付けるか、預からないかという形をとっております。 ○山野目部会長 佐久間委員、いかがでしょうか。 ○佐久間委員 すみません、少し追加で。第1点について確認をさせていただきたいのですけれども、家族がお金を置いていくというのがほとんどであるという場合に、徴される同意書兼委任状というのは、施設側としては、家族から同意を得て委任を受けているのだと受け止められているのか、それとも入居されている御本人の同意を得ているのだと受け止められているか、施設側の受け止めについてだけ、よろしければ教えてください。 ○瀬戸参考人 基本は本人からのものだと思っていますが、ほぼ家族が代筆というか、家族の意思、家族から預けますねということを聞くので、ただ、本人との話合いの中での預かりだと我々は認識しております。 ○佐久間委員 ありがとうございました。 ○山野目部会長 入居者の欄に名前を記入するのは、ほとんどの場合は家族ですか。 ○瀬戸参考人 そうですね、家族が多いです。 ○山野目部会長 そこに印の欄がありませんけれども、入居者の印はないのですね。 ○瀬戸参考人 今ほとんどなくなってきました。判子を預かることはないです。 ○山野目部会長 判子を預かるというよりも、書面に入居者の欄のところはいかがですか。 ○瀬戸参考人 書面に判子を押す方も、大概皆さん持ってくるので、押していく方もいらっしゃいますが。 ○山野目部会長 それは家族が押すのですね。 ○瀬戸参考人 はい、求めてはいないです。 ○山野目部会長 分かりました。 ○野村幹事 本日はありがとうございました。1点質問させていただきます。要綱の第9条に、御本人から依頼を受けられない場合には、身元引受人等から委任状を得ることによって本人の署名に代えることができる旨の記載があるかと思うのですが、この身元引受人の意思表示を本人の意思と同一視することで、何か弊害を感じられたことはありますでしょうか。実際、御本人の御親族より、預けてあるお金を極力使わないようにと指示されて、本人の支援をする上で支障が出たという話も聞いたことがあるのですが、そういった場合、どのように検討、対応されるのでしょうか。 ○瀬戸参考人 ありがとうございます。そこは時々悩みが出てくるところです。本人が希望しているのに、身元引受人が、いや、それは要らないのではないか、でも本人が希望しています、という形をとることが多いので、どちらかというと、我々は本人の意思をなるべく尊重する形で、身元引受人の方に相談というか、お願いはすることが多いですが、それでも最終的には身元引受人から駄目だと言われて、本人と一緒に泣くということがあります。 ○野村幹事 ありがとうございます。 ○山野目部会長 委員、幹事からほかにお尋ねはおありでしょうか。よろしゅうございますか。   瀬戸参考人においては、貴重な御教示を頂きましたことに改めて御礼を申し上げます。社会保障制度が改革されて、措置から契約へという言葉を標語にして話が進んできて、今日、福祉サービスは契約をしてするということがもう当然の前提になって、変遷があったことの記憶が薄れつつある側面もありますけれども、お話を承っていると、その措置の時代の名残というのでしょうか、それが今もあるかもしれないというところがあって、しかし、それはそれとして恐らく現場で一つ一つ根拠のあるお話であるのだろうと受け止めます。そういうものを今後の制度改革のところでどういうふうに位置付けて受け止めていくかということは、私どもの仕事として悩んでいきたいと考えます。今日の瀬戸参考人のお話は大変参考になりました。北海道へ、帰りお気を付けてください。これから寒くなってきますし、是非入所者、お世話をなさっていらっしゃる方の健康にも御留意いただければと望みます。どうもありがとうございました。   本日のヒアリングはここまでといたします。次回の議事日程等について、事務局から説明を差し上げます。 ○波多野幹事 本日も長時間ありがとうございました。次回の日程でございますが、令和6年10月22日火曜日、午後1時30分から午後5時30分まで、場所につきましては法務省赤れんが棟の第6教室を予定しております。   次回ですが、既に配布済みの部会資料5の第4の2以下、前回積み残した部分でございますが、この御議論のほか、法定後見制度の枠組みに関する検討などを取り上げて部会資料を作成してお送りすることを予定しておりまして、その部会資料に関する御議論をお願いしたいと存じます。 ○山野目部会長 委員、幹事の中で、余り法務省の建物に今までおいでになった経験が少なくていらっしゃる皆さんに、取り分け御案内をしますけれども、次回は赤れんが棟でございます。明治28年に造られた建物でございまして、近代日本の司法は、ここに司法省が設けられたところから始まりました。その由緒ある建物で明治以来の後見の制度の見直しの審議が行われるということも、一つの感慨ではないかと感ずるものでございます。どうぞ場所を間違えないで御参集賜りたいと望みます。   この部会の運営につきまして、お尋ねや御意見がありましたならば承ります。いかがでしょうか。   よろしいでしょうか。午後6時に近い時刻になってしまいました。熱心な御討議を頂きまして、参考人の皆様に改めて御礼を申し上げますとともに、委員、幹事の皆様におかれましてはお疲れさまでございました。   これをもちまして法制審議会民法(成年後見等関係)部会の第8回会議を散会いたします。どうもありがとうございました。 -了-