法制審議会 民法(成年後見等関係)部会 第11回会議 議事録 第1 日 時  令和6年12月10日(火)自 午後1時30分                      至 午後5時51分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  1 法定後見の終了に際しての考慮要素         2 成年後見人等の交代等(辞任・解任を含む。)         3 成年後見人等の職務等 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○山野目部会長 法制審議会民法(成年後見等関係)部会の第11回会議を始めます。   御多忙の中を御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日は櫻田委員、佐保委員、常岡委員、家原幹事、小林幹事、杉山幹事及び野村幹事が欠席と伺っています。遠坂幹事が会議の中ほどから御出席予定と伺っております。通信の機器の関係で若干遅れておられる方がおられますけれども、そのほかは委員、幹事がおおむねおそろいでいらっしゃいます。   前回の部会の後、幹事の交代がありましたから、事務当局から紹介を差し上げます。 ○波多野幹事 最高裁判所の人事異動に伴いまして、向井幹事に替わり遠藤圭一郎最高裁判所事務総局家庭局第二課長が幹事に就任されました。また、同じく南幹事に替わり、不破大輔最高裁判所事務総局民事局第一課長が幹事に就任されました。 ○山野目部会長 新しく幹事御就任に伴いまして、遠藤幹事、不破幹事におかれましては簡単な自己紹介をお願いしたいと考えます。 (幹事等の自己紹介につき省略) ○山野目部会長 どうぞよろしくお願いいたします。   本日の審議に入ります前に、配布資料の説明を事務当局から差し上げます。 ○水谷関係官 配布資料について御説明を致します。   本日は、新たな部会資料として部会資料8を配布しております。資料の内容につきましては、後ほどの御審議の中で事務当局から御説明を差し上げます。また、佐久間委員、上山委員より、それぞれ委員提出資料を御提出いただいており、こちらについても事前にお送りしております。 ○山野目部会長 ただいま事務当局から説明を差し上げましたとおり、本日は佐久間委員、上山委員から資料の提出を頂いております。会議の席上、両委員に資料としてお出しいただきたいと私からお願いを差し上げましたところ、快く、要領を得た簡潔にまとめた資料を両委員から頂戴することがかないました。どうもありがとうございました。コンパクトにまとめていただいておりますから、拝読すればよく理解することがかないますけれども、何か補足がありますれば承ります。   佐久間委員、いかがでいらっしゃいますでしょうか。 ○佐久間委員 補足はございません。 ○山野目部会長 ありがとうございます。   上山委員、いかがでしょうか。 ○上山委員 私の方も結構です。 ○山野目部会長 ありがとうございます。   それでは、委員、幹事におかれて、両委員から提出のあった資料を参考にしていただきたいと望みます。   本日の審議に入ります。本日は部会資料8の第1から審議をお願いいたします。   初めに、部会資料8の1ページからの部分でございますが、「1 法定後見の開始の要件として考慮することとした事由が失われたこと」、この部分について審議をお願いいたします。事務当局から部会資料の説明を差し上げます。 ○水谷関係官 部会資料8の第1の「1 法定後見の開始の要件として考慮することとした事由が失われたこと」について御説明を致します。   一般論として、法定後見開始の原因が消滅した場合には、当該原因により発生させた法定後見の効果を継続させる必要はないと考えられます。そうすると、法定後見を開始する際に具体的な保護の必要性等を考慮するのであれば、当該必要性等が失われたときには、法定後見の開始の審判を取り消すか、個別の保護者の同意を要する旨の審判や、保護者に代理権を付与する旨の審判を取り消すこととなると考えられます。   そこで、まず2ページ以下の2において、法定後見の終了の意義等について若干の整理をした上で、3ページ以下の3では、同意権及び取消権並びに代理権による保護の必要性が失われたことについて、7ページの4では、法定後見以外の支援等があることについて、5では、本人の請求等を要件とする審判の確定後に本人が法定後見による保護を望まなくなった場合等について、考え方の整理を試みております。   また、8ページ以下の6では、特に財産の引継ぎを要する場合を念頭に、法定後見を終了する際の保護者の事務について、9ページ以下の7では、法定後見制度を再度利用する際に速やかに開始されるための方策について、考え方を整理しております。   これらを踏まえ、法定後見の開始において考慮した各事由の消滅と法定後見の終了について、また、法定後見を終了する際に保護者に期待される事務等について、御議論を頂ければと考えております。 ○山野目部会長 ただいま説明を差し上げた部分につきまして、御意見を頂きます。いかがでしょうか。 ○小澤委員 ありがとうございます。第1の1の法定後見の開始の要件として考慮することとした事由が失われたことについて、3点意見を述べたいと思います。   部会資料7ページの4、法定後見以外の支援などがあることについてですが、以前にも意見を述べましたが、法定後見制度の利用に当たり補充性を要件とすることには消極に考えておりますので、法定後見以外の支援などがあることを理由に、本人が制度利用を継続したいという意向を持っている場合にまで法定後見を終了させる必要はなく、本人の意向を法定後見による保護の必要性の考慮要素として判断し、法定後見の利用を継続できることとするのがよいのではないかと考えております。   次に、5の本人の請求又は同意を要件とする審判の確定後に、本人が法定後見による保護を望まなくなった場合などについてですが、本人が法定後見以外の支援などによる保護を望むようになった場合ではなく、単に本人が法定後見による保護を望まなくなったという場合には、引き続き法定後見による保護の必要性があるのであれば、法定後見を終了させることは適切ではないと考えています。したがいまして、その時点で再度、法定後見以外の支援などがあるかなどによって法定後見による保護の必要性が失われたのかを判断することになるものと考えております。   最後に、6(1)財産の引継ぎについてですが、財産の引継ぎ先については、部会資料8ページに記載されておりますとおり、原則としては本人に引き継ぐべきと考えます。適切な財産の引継ぎ先がない場合には、法定後見による保護の必要性は失われず、適切な財産の引継ぎ先の有無は後見終了の判断に当たっての重要な考慮要素の一つという位置付けになるものと考えています。財産を引き継ぐに当たりましては、例えば、家庭裁判所が法定後見開始の審判を取り消す際に財産の引継ぎ先を指定し、本人又は本人以外の者にも引継ぎを行うことを可能とすることができれば、財産引継ぎの際の負担が軽減されることにもなりますし、制度自体もより使いやすいものになるのではないかと考えております。 ○山野目部会長 御意見を頂きました。   引き続き承ります。 ○佐久間委員 ありがとうございます。第1のところ全部、よろしいですか。7点ありますが。 ○山野目部会長 第1の1の部分、全ておっしゃっていただいてよろしいです。期間の限定まで行かない範囲です。 ○佐久間委員 まず、4ページの(2)の同意権うんぬんのところで、後のこととも関係があるのですけれども、28行目以下に、開始の際に具体的な保護の必要性を言わば要件というか、かなり重要な要素とすると、こういうことになるということが書かれております。その末尾に、この整理について特段の反対の意見は出されなかったというのは、「具体的な可能性があることと考えるとすると、」という部分が仮定であって、その場合は反対の意見は出ていないということだと理解しておりますが、それでいいでしょうかということです。   その上で私は、またこの問題を検討するときには申しますけれども、相応の理由があれば開始の審判をしていいのではないかと思っておりまして、その場合も、その相応の理由がなくなったら同じ考え方になりますので、具体的な必要性がある場合に限らず、本人の請求又は同意以外に開始要件について制約を掛ける要件が何らか設けられたならば、その制約要件が妥当しなくなったらという形で、もっと抽象的にまとめていただく方が、賛否はあると思いますので、よいかなと思います。これが1点です。   それから、2点目は5ページの続くイのところでありまして、これは恐らく私が申し上げたことに対応する部分かなと思うのですけれども、法定後見で包括的な保護類型を設ける場合には「個別設定は困難だと考えると、」という権限の部分ですが、そのように考えればここに書かれていることはそのとおりだと思います。しかし、前回私が申し上げ、また本日提出した意見にも書きましたけれども、私が考えておりますのは、一定の行為については取消権を当然認めるけれども、その行為以外についても追加は可能であるということです。その考え方を採れば、その追加部分については、ここで論じられているのと同じように、追加部分の取消しということはあり得るということを、当たり前だと思うのですけれども、申し上げておきたいと思います。それが2点目です。   3点目は、次の(3)のところです。ここでは施設入所の契約と、次に賃貸借の契約について、例だと思いますが、代表的に述べられているのですけれども、賃貸借のところでは、端的に言うと権限付与の在り方次第ですよねというようなことが書かれていると思います。賃貸借契約の締結のみについて代理権を与えている場合は締結されれば終わりですねというのと、賃貸借期間中のことについても代理権を付与していたらそうはいきませんねということだと思うのですが、そのうえで疑問に思いましたのは、入所の契約だって同じではないかということです。入所契約の締結だけについて代理権を与えていれば、入所契約の締結がされればもう代理権消滅ですねと。これは当たり前のことだと思うのですけれども、入所後、確かに役務がきちんと提供されているかという確認をするレベルでは事実行為のみだとは思うのですけれども、そこで何らか不正なことが起こった場合に、入所契約上の権利を行使するということだって考えられると思うのです。その場合には代理権の行使ということはあり得るはずだと思うのです。そのような場合を考えると、入所についても、入所の際の契約の締結だけなのか、その後に必要となる場合も含めた代理権の付与なのかということで変わってくるということで、構造は変わらないのではないかと思う、というのが3点目です。   次、4点目なのですけれども、7ページに飛びまして、法定後見以外の支援等があることのところの23行目になお書として、ほかの支援があっても本人が法定後見制度による保護を希望している場合には終了すべきでないという考え方もあるということなのですが、それはあると思っていますけれども、これに関しては枠組み全体の問題として、先決問題として、終了のために本人の請求又は同意を要するかということをまず検討する必要があるのではないかと思います。両論あり得ると思いますので。また当然、本人に同意能力がある場合のことです。ここで本人の請求又は同意を要するという立場を仮に採るとすると、今御指摘の問題は出てこないはずだと思います。要しないと、請求はともかくとして、本人が同意もしていないけれども、いろいろな事情を考慮して終了を認めるということになると、この24行目以下に書かれている問題が出てくるのかなと思います。   ただ、その場合は、別に反対だということではないのですけれども、本人が同意をしなければ、そもそも制度の開始の審判というのがされない、開始が強制されないというときに、一度開始がされたならば制度に拘束されるのだということを、本人の意思とか自己決定ということをなるべく尊重していきましょうという考え方を採った場合に、どうやって正当化するのかというか、どういう理屈から正当化していくのかということを、よく考えなければいけないと思います。   それとの関係で、5の方に行くのですけれども、次の8ページのところで、25行目以下で、本人はその取消しの申立てをすることが、この前の部分では、客観的な要件はまだ続いているけれども、本人がもう要らないと言っている場合についてうんぬんと述べられた上で、25行目以下には、そのときは本人が請求することだってできるのだからと書いてあるのですけれども、24行目までとのつながりが実はよく分かりません。24行目までの部分は、拝読したところ、本人の請求や同意さえあれば取消しをするということの問題点が縷々述べられているような感じがしています。そうだとすると、ここで述べられていることは必ずしも論点としてうまく整理されていないのではないかと。それで、先ほどの第4点目と申し上げたところに戻りまして、結局のところ取消しには本人の請求又は同意を要するとするかどうかが一つの問題であり、二つ目に、請求又は同意があれば当然に取り消すのかということが問題となり、さらに、本人の請求、同意がなくても取り消すのかと、そういう整理をしていく必要があるのではないかと思ったということです。これが4点目です。   5点目は同じく、もう一度戻りまして、法定後見以外の支援等があることのところなのですけれども、これも今後の議論次第ですけれども、任意後見はここに含まれないのかということを、ここのペーパーに書いてあることとは違うのですけれども、疑問に思いました。今後は任意後見との併用というのは論理的には十分あり得るかもしれないと思っているのです。特に、今の保佐の類型のような場合には、本人は同意を得て自ら行為をするか、代理をしてもらうかということが両方あり得て、同意を得ずに行為した場合取り消しますという規律があるので、任意後見との併用というのは余り意味がないかなと思われるのですけれども、仮に同意を要するということを非常に狭く解していく、あるいはかなり自由に選択できるということになると、代理権のみということになった場合は、かつ本人に意思能力があったら、法定後見で保護者に代理をさせるとするのと、任意後見の契約を結んでもらって任意後見人に代理をさせるというのは、機能的には同じはずです。制度設計次第ですが、費用面や本人の自己決定の尊重、代理人の替えやすさとか、裁判所の介入の度合いとか、そういうことを考えたら任意後見に切替えましょうということだってあってもいいのかなと思いますので、それを今後検討していただけたらなと思っています。これが5点目です。   6点目なのですけれども、これも先ほど申し上げた、取消しのために本人の請求又は同意が要るのかということに関わるのですけれども、先ほど申し上げたのは、飽くまで本人に同意能力があるという場合でありまして、ケースとしては、制度が開始した当時には本人に事理弁識能力が欠ける常況であるとはいえない、同意能力もあると見られたところ、本人が同意能力を失いましたということが出てき得るわけです。そのようなことを考えたならば、基本は本人の同意がないと取消しの審判はしないというときであっても、本人の同意を得ることができないときは別であるというような規律を設けるのか、設けないのか。設けるとしても、同意をすることができた人ができなくなりましたというときに、制度の利用をやめますというだけでいいのか。ほかの制度、例えば後見類型に相当するものを残すとしたら、そちらに当然行きなさいなんていうことは強制的にはできないにしても、審判の在り方としては、後見相当の審判をしたときに元のものを職権で取り消すというような制度の立て付けにすることはあり得るはずなので、それを検討する必要があるのではないかと思っています。   それから最後、すみません、長くなりまして、7点目は9ページでありまして、ここは財産の引継ぎの話であるところ、それ自体について述べるのではないのですが、12行目に、判断能力を欠く常況にある本人が多額の金銭を持つ状態で法定後見を終了することのないように、いろいろやるというようなことが書いてあるわけですけれども、仕組みが整っていれば、今読み上げた部分、本人が多額の金銭を持つ状態になる、事実としてなのでしょうけれども、ということは起こらないはずだし、もしこのようなことが起こるということだとすると、そのような状態が起こるということも含めて終了の判断を総合的にすべきであって、その心配が残るというときには終了はしないという態度をとる必要があると思います。   その上で、その次に保護者に終了後の本人の財産管理のための仕組みを設ける義務を課しますかというようなことが書いてあります。これは義務はないのではないかというか、課すことは全く適当ではないのではないかと私は思っています。義務を課すということになりますと、終了に向かうよう努める義務を保護者に言わば課すのと同じことになってしまうように思うからです。任意にするのは妨げられないけれども、法定後見が終了するようにする義務を課すというのは適当ではないのではないかと思います。   長くなりましてすみません。以上です。 ○山野目部会長 多岐にわたる御意見を頂き、その中に部会資料の趣旨について確かめたいという意味合いのお話もあったように受け止めます。波多野幹事から、もし何かおありでしたらお願いします。 ○波多野幹事 4ページ目のところの御指摘につきましては、部会で出された一つの場面を前提とするとこうなるのではないかという御審議の整理を試みたものでございますので、佐久間委員御理解のとおりかなと思っているところでございます。 ○山野目部会長 佐久間委員、よろしゅうございますか。 ○佐久間委員 はい。 ○山野目部会長 ありがとうございます。   引き続き承ります。 ○竹内(裕)委員 では、弁護士会で議論した内容について御紹介したいと思います。まず一つ、終了に関する整理というところなのですが、ここは開始要件と終了要件とは関連しているので、仮に開始の場面において医学的な診断プラス個々の法律行為の必要性ということで考えるのであれば、終了の場面においても3通り、御本人の能力が回復して医学診断を前提に開始審判そのものが不要になった場合は終了、開始審判は残っている、だけれども付与された個々の代理権や同意権の審判は個別に取消しをされる、そして、もし付与された代理権や同意権が全て必要なくなれば全体が終了するという制度設計になるのではないかということです。   そして、部会資料で事例として挙げられている必要性の部分なのですが、部会資料で挙げられている施設入所契約とか不動産賃貸借契約のような継続的契約については、単にその履行状況を確認するという事実行為が必要となるだけではなく、やはりここは不履行が生じたときは適時の法律行為が必要になる、よって保護の必要性が失われるということはなかなか考えにくいのではないかという意見がございました。   また、次に法定後見以外の支援につきましては、事実上の支援が御本人にとって適切なものであるとは限らないということで、その存在があるからといって法定後見の必要性が失われるとすべきではない、飽くまで終了の考慮要素の一つにすぎないと考えるということです。ここは小澤委員と同じだったかと思います。   また、御本人が審判後に法定後見による保護を望まなかったことについても、それのみをもっては必要性が失われるとすべきではなく、具体的な御本人にとって保護の必要性が失われた場合に、御本人の申立てを受けて審判を取り消す仕組みとすべきではないかと。ここで御本人の請求や同意が、開始要件のところにもわたるのですが、開始要件の必要性の一要素と考えるならば、同じように終了の場面でも御本人の請求や同意は終了の一要素という位置付けになるのではないかという意見がありました。   また、法定後見終了時の財産の引継ぎにつきましては、引継ぎに困難が生じる場合に対処するための適切な仕組み、これが設けられるべきであって、そういった制度の整備なくして保護者に財産管理体制整備義務を論ずるのは適当ではないのではない。どこまで管理体制を整備すればその義務を果たしたといえるのか、その辺りも問題になってきますし、御本人がこの財産管理体制整備のための新たな代理権付与を拒むこともあり得るのではないかというところです。   そして、最後ですけれども、法定後見制度を再度利用する際に速やかに開始するための方策については、どの程度事情の変更があったかと、それに照らして事案ごとの判断にならざるを得ないので、なかなか要件を明確化することは困難ではないかと、運用で対応になるのではないかという意見でございました。 ○根本幹事 私からは五つ申し上げます。   まず一つ目ですが、取消しの審判というものを設けていくことについては、今までの議論でも異論はないところだと思います。その中で終了事由についてどのように考えるのかというところについて、竹内裕美委員からは、例えば判断能力が回復している医学的知見に基づいてというところについて、開始の審判と個別の代理権付与の審判を別々に考えるということを前提にした御意見をおっしゃっていただいたかと思います。開始の議論とも関係しますが、必ずしもいわゆる開始の審判というものをそもそも設けるかどうかというところについては、疑問があるところです。   ただ、その上で終了原因として考えられるのは、判断能力が回復した場合、もう一つは、必要性についてもここはしっかり分けて考えた方がいいと思っていますので、いわゆる事務の必要性が消滅した場合、それから、保護の必要性が消滅した場合で、補充性をこの保護の必要性の一要素と考えるのか、独立して考えるのかというところは意見があるところかもしれません。私としてはやはり、特に終了の場面においては、補充性というものは独立した要件と考えるべきではないかと考えていますので、この疎明の程度ですとか補充性をどの程度要求するのかというところについては引き続き議論が必要ですけれども、これも終了原因になると考えるべきだと思います。さらに終了原因として、御本人の死亡というのは当然、終了原因になると思いますし、あわせて、この後議論があると思いますが、期間が満了する、若しくは必要性の再審査を何らか終了原因の中で規律していくのかということになるのではないかと考えています。   2点目は必要性についてです。特に必要性の中でも、保護の必要性を具体的にどのように考えるのかということについて、部会でも議論が必要ではないかと思います。本人の生活状況ですとか、いわゆる課題と言われるようなものや、御本人の自立度、それから、支援内容などを含めた補充性の要素も総合的に判断して、保護の必要性があるかどうかということを考えていくことになると思います。具体的には部会資料の5ページの(3)アについて、資料の中では、ア(ア)については必ずしも事実行為等々の理由も含めて、制度が終了するということもあることを前提に書かれているかと思いますけれども、逆に(イ)のところでは、本人が賃借人となる場合を想定した上で、保護の必要性は継続するのではないかという方向で書かれているかと思います。私は必ずしもそうではないと思っていまして、いわゆるアパートを借りていらっしゃったりマンションを借りていらっしゃって住んでいる、御本人が在宅生活を送っておられるという方はたくさんおられ、法律的に考えれば、確かに更新手続というものは一つの法律行為ですので、そこで何らかの判断が必要だということは否定はいたしませんけれども、ただすべからくこのような事案において制度利用の継続が必要かと、後見人が何かそこで更新において特別な手続や判断をしているかというと、半ば更新書類に判子を押しているだけというような実態もないわけではないように思います。もちろん事例によると、ケース・バイ・ケースだということはあるかもしれませんけれども、本人が賃貸人となっている場合とは異なって、本人が賃借人となっているという場合に、不動産の賃貸借契約があればすべからく保護の必要性が継続していると考えるというのは、少し行きすぎではないかと思うところです。   3点目が補充性との関係です。御本人が継続したいとお考えだというときにそれを続けるということは、それはあるところだと思います。ただ、ここは飽くまでも補充性を保護の必要性の中の一要素と考えると、補充性の要件が曖昧になるのではないか、全体の判断の中で、独立した要件と見る場合と比べて軽視されてしまうのではないかということを危惧します。例えば、後見人さんだけがこの制度を続けたいとおっしゃっていて、御本人や周りの支援者はやめてもいいと思っているというようなケースでも、結局保護の必要性の一要素と補充性を考えてしまうと、制度を続けるということになってしまうのではないかということを危惧します。   4点目が、本人の請求又は同意についてです。まずこの点については、先ほど佐久間委員からもありましたが、そもそもこの本人の請求又は同意を継続要件とするかについて議論が必要だと思っています。その上で、現行法上は継続要件と見ていないという前提だと思いますけれども、改正後においても継続要件としてしまうと、制度利用している間、実体法上常に御本人が同意をしているということが必要になってしまいますので、御本人がやめたいとおっしゃっている場合だけではなく、例えば同意能力があって同意があってスタートした場合でも、途中で制度利用中に同意能力を失ってしまった場合に、それをどのように考えるのかということを含め、制度が不安定になってしまうということが懸念されるところだと思います。   他方で、佐久間委員御指摘のとおり、御本人の意思というものを尊重していくというのが今回の改正の趣旨だとすると、その点との関係で、御本人がやめたいとおっしゃっていることを全く考慮しないのかというと、それも少しおかしな話ではないかと思います。そのために、例えば、御本人がやめたいとおっしゃっている際に、単にそうおっしゃっているだけなのか、何らか御本人の事情が変わられた、若しくは何か御本人が自分でできるようになられたとか、支援状況が変わったとか、何か理由があって御本人がやめたいとおっしゃっておられるのかというところを区別して、後者の場合には、何らかそれを基礎付ける事情というのがおありになるはずなので、その基礎付ける事情をもって保護の必要性を欠くに至ったと考えることができるのではないかと思っています。この点は、御本人がやめたいとおっしゃっている場合だけではなくて、続けたいとおっしゃっている場合にも、これは御本人が続けたいとおっしゃっているには何らか御本人のお困りごとを含めた基礎的な事情がおありになるはずですので、その基礎的な事情をもって保護の必要性が継続しているのだと考えることはできないかと思っています。   最後に、5点目です。引継ぎのところです。後見制度終了後に後続する何らかの制度をどのように考えていくのかということになると思いますが、契約をベースになることが多いと思います。一読目のときにも申し上げましたけれども、まず御本人の同意があるという場合であれば、追加でその後続の行為、例えば日常生活維持自立支援事業の契約を行う、場合によっては商事信託の仕組みを活用する、特定の契約を行う代理権を、本人同意があれば、追加で付与していただいて、その代理権に基づいて契約する、もちろん御本人が契約能力があれば御本人が契約していただいたらいいと思いますけれども、御本人の契約能力がない場合であっても、同意能力さえあれば、そういった形で引き継いでいくということはあるのではないかと思っています。これは御本人の同意がありますので、別に本人意思に反して何か制度をやめさせるということではないということが理解できると思います。問題は、御本人の同意がない場合にそこまでできるのかということについては、引き続き議論が必要だと思います。加えて部会資料では、信託等の契約について義務を負うかどうかということが議論されていますけれども、これは今までほかの先生方からもありましたように、義務を負うというところまでは行きすぎだろうとは思っています。   最後に、佐久間委員からありました、任意後見をここで導入するということは、これは十分あるところだと思いますし、現行法も即効型というのがありますので、御本人が任意後見契約を締結する能力さえあれば、即効型で移行していくということはあり得るところだと思います。ただし、これはまた任意後見のところの議論でもあると思いますけれども、任意後見について代理で代理締結するということについては、任意後見独自の代理締結の問題点があり消極に考えております。 ○青木委員 成年後見制度を終了することのできる制度にするというのは、今回の改正の非常に大きな柱の一つだと思います。制度の開始のところにおいても判断能力だけで開始はせず、必要性を判断した上で開始をすると、その表裏として、必要性がなくなった場合には終了させると、今回の改正のニーズに応えるものになるという意味で言いますと、終了の規律を例外を設けず全てのケースについて仕組みを整えるということが大事だと思います。   そういった意味で言いますと、開始の段階で、包括的な代理権等を一定の判断能力に基づいて認めるという制度を設けてしまいますと、終了においては必要性に基づく終了ができないということになってしまいます。一部であったとしても、必要性を考慮しないで制度を利用する類型を作ってしまうことにより、終了することができない制度を残してしまうということになってしまうことが大きな懸念であると思います。どのような判断能力の人であったとしても環境が整えば制度を終わらせることができる、あるいは本当に必要なところだけ成年後見制度を利用して、それ以外は社会福祉制度や親族の支援、事業者の支援等によって生活をしていくと、そういう全体的な権利擁護の支援の枠組みの中で、成年後見制度は必要なときに使い、必要がなくなれば終わらせる制度にするという観点から、終了の要件についてはしっかりと議論する必要があると思います。   そういう大きな視点で、終了については議論していただく必要があると思いますので、終了にあたって考慮する必要性というのは、一般的に法律行為をする必要性という形式的なものではなくて、本人の実際の生活にとって必要かどうかということで開始段階でも検討するわけですから、終わるときも本人の実際の生活にとって必要がなくなったかどうかで決められるのであって、継続的な契約かどうかという法的性質や、終了した後に受皿として法的にかっちりした制度があるかどうかということだけで終了を判断するということではないということが重要ではないかと思っています。   次に、個別の手続的理解の話でありますけれども、今日はこの点の議論は余りしないということだと思いますけれども、必要性に基づいて開始をして代理権や同意権・取消権を付与するという制度にする以上、「開始」という考え方ではない、開始だけでは何も始まらないわけですから、技術的な問題にはなりますけれども、終了においても、必要性に基づいて代理権若しくは同意権・取消権を終わらせるかどうかという判断であって、全体としての一般的に制度を終わらせるかどうかという仕組みにする必要はないと考えておりますので、またこれはこういうことを議論する手続論の場面で議論をお願いできればと思っています。   代理権の付与につきましては、一つは、開始において、事務の必要性と保護の必要性がしっかりと確認されて始まるわけですから、その必要性が終了したかどうかというのは比較的判断しやすいと思っていますし、それについては先ほどより皆さんが御意見をされているところだと思っています。   同意権・取消権につきましては、開始において、何か誤った法律行為、意思表示をしてしまうかもしれないというおそれに基づいて必要性が認められるので、終了において、果たしてそのおそれというのがなくなったといえるのかということを判断するというのはなかなか難しい問題だとは思っています。部会資料に書いていただいていますように、本人の生活環境等がそういった心配がなくなる環境にあるということは一つの終了事由になると思いますが、生活環境だけでは安心できない部分もありまして、そこにおいてどういう事情があれば、必要性がなくなったと考えるかということについては、やはり事案の積み重ねというしかないのかも分かりませんけれども、何らかの判断基準を示す必要があると思います。とはいえ一方で、同意権・取消権は本人にとっては大きな権利の制約という側面がありますので、終了の判断が難しいからといってずっと終わらないことにならないための一定の判断基準を考えていきたいと思います。私も現時点においては検討中ですので、これについては引き続き議論をお願いしたいと思っているところです。   それから、補充性の要件につきましては、先ほどからいろいろな御意見はありますけれども、補充性の考慮要素について、法律で何かきちんと、これであってはいけない、これはできると考えるのではなくて、今後様々な社会制度の発展の中で、成年後見制度によらなくても本人さんの生活が支えられる仕組みが出てくるわけですから、それが出てきたときに、それを確認し、本人さんがそれを望むときには終わらせるというのはいろいろなパターンがある。任意後見制度だけではありませんし、社会福祉制度だけではありません。それは、金融的な商品によるかもしれませんし、家族による事実上の支援とか、あるいは施設の事実上の支援の中でも、安定的に本人の権利擁護が図れる工夫や仕組みが整う場合も出てきますでしょう。ですから、考慮事由についてあまり理念的、固定的に考えるのではなくて、そういった様々な他の制度によることも考慮して、本人の権利擁護のためにそれがいいということであれば、本人の意思や意向を踏まえた上で終了させることができると、そういう制度、仕組みにするという観点で、補充性の要件をしっかりと考えていくということが重要ではないかと思っています。   諸外国を見ますと、成年後見制度はできるだけ少なく使おう、そのために他の制度でできるかどうかについて、社会福祉的な観点からチェックを前置した上で制度を利用するというような諸制度ができ始めています。今回の改正で、一足飛びにそこまで日本の制度を向けるには様々な社会的な資源が不足をしておりますが、将来的に言えばそういったことを目指しながら、成年後見制度とその他の制度を使い分けるということも想定されると思いますので、今回はその第一歩として、この補充性による終了ということをしっかりと位置付けていくということが大事なのではないかと思っています。   次に、本人の同意という意思を継続する要件と考えるかどうかという論点につきましては、私は一読目のときには、本人の同意は継続要件とすべきだと申し上げていたと思いますけれども、その後の議論の中で、本人の同意が継続しなければ制度が使えないということでは本人の権利擁護のために相当でない場合が想定されるということを考慮せざるをえないと思われますので、本人の同意は、開始においては本人の権利制約を正当化するための重要な要件ではありますけれども、終了に当たっては必要性を考えるに当たって本人の意思の変化というものも考慮するという位置付けとし、本人の同意がなくなれば、必要性は認められるが、制度は終了させるということにする必要はないのではないかと考えております。   一方で、本人が制度利用をやめたいという意思を示す場合の中には、必要性がなくなるとか、相当性がなくなるとか、あるいは補充性が認められるという事情が生じているという件も多数含まれると思いますので、本人による取消し等の申立てについては、十分に本人の意思を考慮した上で必要性を判断するということが重要であり、終了にあたっての必要性の判断の中で、本人の意思を考慮することが何か含められるような条文等の工夫ができればいいのではないかと思っているところであります。 ○小出委員 私の方からは、代理権による具体的な保護の必要性が失われた具体的な内容に係る部分について、6ページに預貯金の記載があるかと思うのですけれども、そちらについてコメントを申し上げます。   預貯金口座に関する取引のように、法律行為が反復継続的な取引を予定している場合には、本人の意思能力の状況が変わらず、取引が引き続き継続するという限りにおいては、保護の必要性がなくなるということは考え難いと考えられ、第1読目のところでも同様の意見をこれまで申し上げているところでございます。このような場合であっても保護の必要性がなくなったと考えられるのは、代理権などを伴った法定後見以外の支援によりその法定後見の機能を補完できる状態になった場合と考えられると思います。このため、法定後見終了の際には適切な主体、機関が利用者御本人の状態をしっかり御確認いただいて、本当に法定代理による保護が必要ないのかということでしたり、法定代理による保護を終了するといった場合には、意思能力の程度に応じた法定後見以外の財産管理方法が整っているのか、ないしは財産管理方法をしっかり定めてから後見を終了するというふうな規律にしていただくのが望ましいのかなと考えております。 ○遠藤幹事 今ほどの皆さんの御議論を聞かせていただきまして、私の方からは4点ほど申し上げたいと思います。   まずは、継続的契約における終了の事由をどのように考えていくかというところでございます。これは先ほど根本幹事からもお話があった内容と近いところではありますが、例えば賃貸借契約を例にとって、御本人が賃借人として契約する場合について考えますと、締結後の賃料支払いなどについては、自動引き落とし等の手続で対応が可能であります。また、更新、更新拒絶については、修繕請求も含めてということになるのかもしれませんが、比較的分かりやすいシンプルな法律行為といえるように思われます。   そういった点を踏まえると、賃貸借契約のような継続的契約であっても、御本人自身も賃貸借契約を締結して独り暮らしができる程度の判断能力を有しているということも併せて考えますと、法定後見以外の権利擁護支援による日頃からの見守り等が行われる中で、契約締結が終わった後の各種法律行為につきましては、意思決定支援等に関する適切なサポートを得ながら本人が自ら行うということも考え得るところではないかと考えております。   次に、御本人が法定後見を望まなくなったことについて、少し御意見を申し上げたいと思います。これは、今ほどの皆さんの御発言と近いところでございますが、御本人が法定後見による保護を望まなくなったという一事をもって法定後見による保護を終了するということは、判断能力が十分ではない、あるいは心身の状態が安定しているとはいえない状況にある御本人の主観的事情をもって自己責任を負わせる根拠とすることとなり、それ自体、相当とはいい難いと考えております。また、判断能力が必ずしも十分でない御本人の意向が果たして真意に基づくものかどうかということを、裁判手続において認定するのにも相応の困難が伴うなど、制度の安定的な運用を難しくさせるという懸念もございます。そうしますと、本人の意向の変化のみによって制度利用を終了させることができる仕組みにすることについては、適当ではないと考えております。やはりこの点につきましては、先ほどの御発言にもありましたが、法定後見の終了の申立てについて判断する中で、そういった御本人の意向も一要素として考慮するというのが適当ではないかと思います。   3点目といたしまして、法定後見以外の支援等があることについてです。まず前提といたしまして、法定後見制度利用開始後、法定後見以外のより権利制約が少ない支援を受けることで御本人の権利擁護が足りるということになった場合には、法定後見による保護が必要ではなくなったとして法定後見を終了すること自体はあり得るのではないかと考えておりますが、家庭裁判所の審理という面からは、法定後見の終了に当たって、法定後見以外の支援等について、家庭裁判所が御本人の状況を継続的に確認して、法定後見以外の支援等の有無や当該支援で足りるか否かといったことを判断することは困難ではないかとも思われます。法定後見以外の支援等により法定後見による保護が必要でなくなったことについては、先ほど小出委員の御発言にありましたような、しかるべき機関の意見を聴取するような仕組みができるといったようなことがないのであれば、なかなか難しいのではないかと考えているところもございます。正に先ほど青木委員も御指摘になられましたとおり、事例集積を待ってということもあるのかもしれませんが、現時点ではそのような難しさもあるということはお伝えしたいと思っております。   最後に、法定後見終了時の保護者の事務の関係で若干申し上げます。見直し後の制度におきましては、保護者には個別的かつ具体的な代理権が付与されることが想定されているという認識でおりますが、代理権の対象となる法律行為の終了後、本人への財産引継ぎが困難になるといったことも、これまでの御議論にもあったように、想定されると考えられます。ただ、この場合に、引継ぎが困難であったり、役務提供の履行の確保のための手段を講じることができないといった理由で法定後見による保護の必要性が消滅しないということになりますと、結局制度利用を終えることができませんので、本人にとって過度な権利制約が続くことになり、相当ではないと考えられます。このような場合には、本人の財産管理体制の整備のために代理権の追加付与を申し立てて、本人への財産引継ぎを可能とする手当てを行い、法定後見を終了させる義務を負うということも考えられるのではないでしょうか。保護者がこのような義務を負うことについては、消極的な御意見も幾つかあったと承知してはおりますが、他方で義務を負わないということになりますと、結局のところ法定後見を終わらせることができなくなってしまうのではないかということも併せて懸念しております。 ○山野目部会長 裁判所からはもっと堅いことをたくさんおっしゃられて叱られるかもしれないと思って心配しておりましたけれども、誠に柔軟な御意見の数々を頂戴いたしまして、論議の雰囲気が大変明るくなったのではないかと感じます。どうもありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。 ○星野委員 今までの議論と重なるところもあるかもしれませんが、3点ほど申し上げたいと思います。   まず、終了のところの要件として考慮することの中に、開始のときの課題が解決されたということがあるのですが、現場の中においては新たなニーズが出てくるということも相当あると思っています。ですので、終了の判断をするという考慮要素の中に、現にまた新たなニーズが出てきたというところについてはどのように考えるのかというところがあるかと思います。   また、新たなニーズが出なかったとしても、今までの御意見にもあったように、履行状況の確認であるとか日常的な金銭管理という御本人にとっての重要な権利擁護の支援というのが継続している場合が多いと思いますので、そういったものについて社会福祉の方のサービスであるとか事業がどのような状況になっているかというのが、やはり終了ということが判断できるかどうかというところに大きく関わってくるというところは、皆様の御指摘どおりだと思います。   あと、2点目ですが、本人が法定後見による保護を望まなくなった場合というところが7ページの5番で出ておりますが、これも今まで出ていた意見にも重なりますけれども、なぜ本人がそのような状況になっているかという理由や要因分析というのは、やはり重要になってくると思います。現状においても保護を望まなくなるという理由が、例えば支援は継続してほしいけれど、後見人自体が交代してほしいというようなニーズも実際あったりしますし、支援の在り方を見直してほしいということもあると思いますので、なぜ御本人が望まなくなったのかというところはしっかり検討する必要があるということで、今までの皆様の御意見と同じような意見になります。   それから、3点目については、終了するときの保護者の責務というか義務というところが今もありましたけれども、今、最高裁の遠藤幹事がおっしゃられたとおりで、結局のところ終わらないという形になってしまうのかなというところを私も危惧しておりまして、ここを後見人だけが何かをするということではなくて、支援チームという考え方もすごく今、広がってきておりますし、裁判所の報告書式も来年から変わっていきますけれども、チームとしてその在り方を見直すこと、そこに後見人がしっかりと関わるというのは、やはり役務として必要なことではないのかなと思います。その結果、今申し上げたような引き続き残っている権利擁護の支援をどのようにつないでいくことができるかどうかということをやはり積極的に検討するというような、義務といっていいか分かりませんが、後見人が全てを解決するということではなくて、そういうものは何らか必要ではないかと思います。   これらのことを考えていくと、先ほど青木委員が言われたところにも重なるのですが、制度自体を終わらせるということと、与えられている権限付与を終わらせるというところが、やはり同一ではないように思えてきて、この後のところで少し出てくるのですけれども、後見人であった者が後見人という立場ではない中で関わっていくみたいなことをもし検討することができるのであれば、権限がない中で、また何か新たなニーズが生じたときに引き続き対応するというような仕組みというのも検討できるのかなと感じたところです。 ○青木委員 先ほど最高裁判所からの御意見があったところに関しての意見になります。将来的には、先ほども私も申し上げましたが、裁判所が終了の判断をするに資するような、第三者機関が置かれて、終了ができるかどうかを本人の生活状況全般を見渡して、他の方策ではどうかということも検討して意見をまとめるという仕組みができることが大変望ましいと思っています。ただ、では、そのような機関がないからといって判断ができないということではなくて、今回踏み出そうとしている終了の審判におきましては、取消の申立てをされる本人若しくは関係者等々から、適切な検討資料の提出、たとえば、本人はこれからこういう支援制度を活用することによって、従来は本人に必要だった成年後見制度の役割が他の支援によって生活できるようになります、ということを、支援チームでの検討の結果などを資料として提出していただくことによって、裁判所は併せて本人の意向も確認しながら、それであれば終了しても大丈夫ですねということの判断はできるはずです。こうした判断資料を裁判所が職権で集めるということは困難でしょうし、またこうした検討結果の提出がなかなかできない事案については、裁判所としても終わらせるという判断にならないということはあると思います。しかしそうでない、終わることが見通せる検討資料がある事案については、終了させる判断が可能になるという道を開くという意味で、今回の改正で踏み出していただくことが重要ではないかと思っています。   それから、星野委員のご意見は、社会福祉的な発想から言うとそうなるのだろうと思うのですけれども、福祉の視点からは、支援のあり方を本人さんを中心に時間の縦軸の中で見ていくので、新しい必要があったら終われないのではないかという話になったり、後見が終わってもなお何か援助が必要なのではないかという発想になるのだと思います。ただ、それはそうした支援を成年後見制度というもので支援するのかどうかという観点が必要だと思いますし、あくまでも代理権の付与、同意権・取消権の付与について必要性を見ていく以上は、その課題について終わったら終わる、ただし、新しい必要ができたら、それはまた別に新たに付けるというふうに、事柄単位で考えるという発想から検討するということが大事だと思います。それを可能にするのは、権利擁護の支援チームの中で様々な立場の専門職等が本人と一緒になって支援の全体のアセスメントをすることによって、成年後見制度を使う場面、使わない場面というのを上手に評価して、もう要らなくなったからやめようねとか、そういうことが全体として評価されていくと、こういうことが重要ではないかと思っています。そのためにも今、厚労省の成年後見制度利用促進専門家会議の方で、中核機権と地域連携ネットワークにおいて、支援チームの自立支援機能とか形成支援機能ということを各地で実践していきましょうとしているのは、正にそこの役割ではないかと思っているところです。 ○山野目部会長 多分、星野委員も同じ観点でおっしゃって、それは社会福祉の側の方からの見え方でおっしゃったと感じます。 ○佐久間委員 今までいろいろな方の議論を聞いていて、よく分からないなと思ったところがあります。それは、今の議論というのは法定後見、現在でいうと後見、保佐、補助全体の終了の話と、保護者の権限の終了の話を、両方やりますということではないか、ペーパーの上ではそうされているのではないのでしょうか。3ページの4行目から、任意後見の終了という言葉は、そこには全体の終了の規律だけでなく、前記②というのは、それぞれの権限付与の話も入っていますので、制度全体を終わらせることができるか、できないかという観点はあるとは思いますけれども、当該の人を見て、同意を要する旨の審判、代理権付与の審判、個別に行われたものについて、この個別の権限は終わらせますね、ほかに追加が必要なら追加しますねということが当然のこととして組み込まれた議論なのではないかと、私は理解をしていました。ですから、個別の権利、権限について必要性がなくなれば、それは終わりますけれども、ほかの権利、権限が残っていれば、制度全体としては、審判全体としては、当然存続せざるを得ないと思っているというのが1点です。   それからもう一つは、終了に向けて努力するということについて、義務付けの話です、もう一度。義務を負わせるというのはやはり適当ではなくて、ただ、そこへ向けて何らか方策を講じる、仕組みを作るということは十分あり得るというか、それは望ましいと。それで方策ができれば、結局のところ開始の審判の要件であった必要性なのか理由なのかがなくなって、終了するというふうに望まれるのだと思います。問題は、その仕組み作りを誰がやるかでありまして、それを今の後見人に権限を与え、あなたがやりなさいというのが本当にいいことなのか。たまたまその人でいいということはあるとは思うのですけれども、ほかに仕組みを考える人、アレンジする人というのがいる方がむしろ望ましい場合だってあるのではないか。先ほどの社会福祉の観点からチームを組んでいたらということもあるので、余り後見人の権限として、ここでいう後見には補助人とか保佐人が入っていますけれども、考えることは適当ではないのではないかと思います。 ○山野目部会長 佐久間委員が今二つおっしゃったうち前の方で御注意いただいた点は、佐久間委員の御理解のとおりでありまして、部会資料8の第1の1の冒頭で若干、用語、概念を整理しておりましたのはその趣旨であります。法定後見の終了という大きな言葉でお尋ねをしておりますけれども、仔細に考えますと、この終了という言葉ないし概念がやや多義的な面がありまして、既にお話がありましたとおり、個別の代理権や取消権を、もう要らなくなったからなくしましょうというお話、それから、その人について行われている手続の全体を、そのものを終了させるというお話、並行して、一度された裁判所の審判の内容を変更するという契機もあるのではないか。個別の終了、全体の終了、変更の審判といったようなものを、全体を見渡しながら見落としがないようにし、かつ概念の混乱を極力避けて議論しましょうということでお願いしております。   そこは恐らく委員、幹事におかれて御理解いただいていることであると受け止めますとともに、かなり後見人の権限を包括性の高いものとする類型を設けることとするか、そうでないかという人それぞれの立場において、この個別の終了と全体の終了の位置付けの関係が、少し議論の仕方が異なってくる部分がございまして、その点がありますから、先ほどからの論議を見ていると、やや混乱があるかのように見える部分もあるとは思われますけれども、しかし大筋は委員、幹事におかれて御理解いただいて議論を頂いていると感じます。佐久間委員、どうもありがとうございます。 ○根本幹事 先ほどの遠藤幹事の御意見を踏まえて、2点申し上げます。   1点目は、開始とも関係するところではありますけれども、補充性について、補充性を独立の要件と見るのか、保護の必要性の一要素と見るのかはともかく、開始の時点において、本人情報シート等の情報を基に開始の要件を判断されるということになると思いますので、同様に終了においても、補充性の要件なのか要素なのかはともかく、終了版の本人情報シートなどを導入していくということによって、十分御判断いただくことはできるのではないかと思っています。   2点目は、引継ぎの義務を負うわけではない、そうすると終了しないのではないかという御指摘についてですけれども、私はここは義務を負わせるというのはやはり少し強いのではないかと思っていますけれども、他方で、例えば交代事由の中で漫然と職務を行っている、チームでの検討ができていない、本人や支援者が御意見があるにもかかわらず後見人本人が検討できていないということをもって、交代事由で交代させた上で、後任者に検討させるという方策によって、事実上、義務は負っていなくても終了ということをしっかり検討させるということはできるのではないかと考えています。 ○久保野委員 2点あります。   一つは、先ほどの新たなニーズがあった場合といったようなことに関連して、変更の審判といった御整理も出てきたのですけれども、その点に関しまして、正に事前にどの程度具体的に行為を特定するかによって、その新たなニーズへの対応のために新たな審判が必要かどうかということが変わるのだとは思いますけれども、仮により具体的な特定の仕方をした場合を想定すると、その行為については必要性がなくなったとして取消しとなる、その事項だけについて審判がされていたときには全体も取り消されるということになるということになり、新たなニーズへの対応ということについて、ごめんなさい、少しうまく言えていないですけれども、変更の審判との関係が問題になりそうです。4ページのところで変更の審判の可能性に、代理権の範囲を変更することについてのトピックが上がっているのですけれども、変更の審判は不要であると解されているというまとめで資料は作られていますが、事項の特定をより具体的にした場合には変更の審判の必要性が生じないかという点について、なお引き続き議論の必要性があるような印象を受けました。是非、具体的に、変更の審判を認めるべきと申したいというわけではないのですけれども、新たなニーズが発生するといったようなことがあるのだとしたときに、どういう審判がされているときにはどういうことが必要になるのかということについて、変更の審判との関係は引き続き議論が必要だという印象を受けました。   もう1点は、7ページの支援等のところに関連しまして、議論の流れとしましては、今後の実務の積み重ね等を見ながら精査していくという方向性だとは伺っておりますけれども、ここで出ている15行目にあるような、仮に親族による支援といったようなものに意味を持たせていくということをなお目指すのだとした場合には、例えばフランス法で家族権限付与といったような制度が作られていて、家族の事実上の支援を法的に権限に基づくものとするような仕組みもあると聞いておりまして、事実上の支援について意味を持たせていこうと考えたときに、制度的な権限化というものが必要かどうかという点については、これもなお視点としては保った方がいいように思います。 ○山城幹事 これまでの一連の議論、特に、佐久間委員から御発言があり、部会長から御整理があった点に関わる発言です。部会資料の冒頭にもございますとおり、終了は、一方では開始要件が消滅したこと、他方では期間が満了したことを根拠とするという形で整理ができ、開始要件の消滅については、能力の回復と必要性の喪失とが問題になるのだと思います。そして、必要性の喪失に関しては、取消権を与える必要性と、代理権を与える必要性とは、それぞれ異なる仕方で判断されるのではないかと感じます。つまり、取消権は、取り消されるべき法律行為との関係で要否が判断されるのに対して、代理権は、民法上の概念で申しますと、事務を単位として付与されるのではないかと考えております。   その上で、部会長から整理があったところですけれども、私自身は、個々の行為、あるいは事務ごとに開始や終了が判断されるというイメージで捉えており、全体というものをそれと別に観念することができるかについては、なお少しよく分からないところがあります。その全体というのは、結局、取消しの対象である個々の行為と、代理権を与えられた個々の事務の集積にすぎないのではないかと考えています。   そこから派生しますけれども、継続的契約についてどう考えるかにつきましては、佐久間委員から御発言があったとおり、賃貸借の場合と、施設入所契約のような場合とで質的な違いがあるわけではないと理解しております。これは結局、必要性なるものが、継続的契約という契約を単位として評価されるものではなく、あくまでも委託された事務との関係で判断せざるを得ないものだということではないかと思います。事務と申しますのは、賃料を支払うとか、見守りをするとか、そういったものですけれども、それを継続する必要があるか否かが問われるのではないかと考えました。 ○山野目部会長 御意見を頂きました。   ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   部会資料第1の1について御論議を頂きました。盛りだくさんの有意義な御議論を頂きましたから、網羅的に顧みる必要はないと考えます。6点ほど申し上げます。   1点目は、補充性と呼ばれてきた論点についての議論を頂きました。恐らく委員、幹事におかれて、この補充性の発想はどうでもよいと考えていらっしゃる方はいないと想像いたします。ほかに本人を支援するような方策が見えている、あるいは見えつつあるときに、無造作にだらだらと後見を続けましょうという発想をお持ちの方はいないと想像いたします。それとともに、しかしながらそれを民法その他の民事法制の規律の法文において、補充性ないしこれと類似の言葉を用いて要件として表現しようとすると、かなり難度の高いお話になります。要件として入れたときには、その要件について裁判所の認定を求めるとことになりますけれども、これもなかなかにハードルの高いお話になってまいります。青木委員からは、この補充性の考え方を重視しつつ、固定的に考えず、今後引き続き見ていかなければいけないというお話を頂いたところでありまして、誠にそのとおりであります。基本精神として補充性ということが大事であるということをここにいらっしゃる皆さんで確認した上で、どういうふうにこれを法制上あるいは運用上受け止めていくかということについて、次の機会以降も御議論をお願いしたいと考えます。   2点目といたしまして、いわゆる本人の同意は継続要件かという論点がありまして、これについては多くの委員、幹事から、継続要件として考えることは相当でないという御意見を頂きました。これは広く意見の一致が見られたと感じます。ここまでの部会における論議の積み重ねが一つ集約されたと見受けました。   3点目といたしまして、種々の契約が後見終了後にどうなっていくかという観点から、施設入所契約や不動産賃貸借について御議論を頂いたところでありますが、半面、日常的な預貯金の取引に関しては、部会資料で少し話題提供はしていましたけれども、小出委員から悩みを語っていただいたという御発言があって、貴重なお話でしたが、これを受け止めるようなお話が本日段階で必ずしも出ていなかったように感じます。改めて考えますと、施設に入所する契約は、入所して暮らしている方もいるし、しかし在宅で暮らしている人もいますから、みんなに関わることではありません。不動産の賃貸借も、賃貸している人というものがそれほど度々あるという話ではありませんし、住んでいる人というものはいるかもしれませんけれども、これまた全ての人がそうだとはいえないのに対して、現在日本社会において、預貯金の取引と全く無縁で暮らしているという人は少し想像し難いものでありまして、ここを議論を進めませんと、結局は預貯金の取引の場面で法律行為ないしは法律的な色彩のある事務が残りますね、ということだけを無造作に言っていくことになり、この側面において、いつまでも必要性がなくなったということを議論しにくいという状況が続いてしまうことになります。   小出委員からは、適切な機関を見いだすといいますか育てていき、また、財産管理の方式としても適切な実務のスキームを考えてほしいという、我々に対する求めとしておっしゃっていただいたと受け止めますし、誠にごもっともなお話であります。大口と小口の預金の口座を使い分けて、日常的な預貯金の扱いについては必ずしも重い本人へのサポートがなくても、福祉が受け止めて処理することができるような仕組みを作ることができないかといったような、様々な工夫をこれから考えていかなければいけないと思われるところでありますから、各方面においてこの観点について更に御検討を深めていただきたいと望みます。   4点目といたしまして、いわゆる後見人の終わらせる義務について、かなり活発な御議論を頂きました。後見を終了させるべく一所懸命頑張れということを後見人に対してかちっとした法的な義務として規律するということ、それを民法に書き込むということは、既に多々御発言がありましたとおり、なかなかに難しいと思います。しかしながら半面、一旦始まったものを、自分は後見人の職に就いたけれども、だらだら続けさせているのですと、漫然とその状態でいるということが今般の改革の方向にかなうかということを問いますと、それもまた問題は問題であります。現行の規律のままを移し替えて想定してみた際においても、だらだらと後見が続くままで何も手を打たないことは、状況によっては後見人の善管注意義務違反になると思います。そこまでは恐らく間違いないと思いますけれども、しかし、それを超えて具体的にどういうことを後見人に求め、またどういうふうに規律上表現するかということになってきますと、本日御議論がありましたように、いろいろ難しいことを考えなければいけません。ここはまだ今日、活発な御議論を始めていただいた段階でありますから、引き続き論議が深められる必要があると感じました。   5点目でありますけれども、いわゆる休止の問題ですね、一旦使ってもう一度、再び使いたいという場面について、円滑な運用があるとよろしいという問題提起を部会資料でしておりまして、委員、幹事からは竹内裕美委員から御言及を頂いたほか、ここの局面について余りお話を頂くことがかないませんでした。ただし、これは後でまた久保委員の御意見も伺わなければいけませんけれども、関係の皆さんからは関心の深いところであります。後見の手続を開始する際にたくさん出してもらう資料、その用意を申立てをする人に対して事務的な負荷としてお願いすることになる点が主たる問題点ですが、動きのある資料と動きのない資料というのでしょうか、幾らかつて一回使ったことがある人であっても、再度使うときにほとんどノーチェックで後見を開始するというわけにはいかないのでありまして、本人の状況はまた変化していますから、動きのある事項を扱っている資料は、やはりそれはその度に御用意いただかなければいけない、これはやむを得ないと感じますとともに、戸籍の資料みたいなものを一回使ったのをもう一回フルで用意して出さなければいけないというようなことになりますと、この種類の動きのない資料については、何か工夫が考えられないかというふうな感触も抱きます。しかし、この側面を民法に何か表現して、再度使うときには簡単にやりましょうねという趣旨を伝える法文を作るということは、これもなかなか大変だろうというふうな予感がいたします。これもまた、運用をどうするかということも含めて、引き続き御議論をお願いしていかなければいけないと考えられます。   最後、6点目でありますけれども、部会資料でそのことを必ずしも正面から問題提起しておりませんでしたが、後見の終了を手続として申し立てることができる資格を誰に与えるかという論点も考えておかなければなりません。今まで余り取消しの審判を申し立てるという場面がありませんでしたから、そのことが現実感のある論点として意識されてきませんでしたけれども、取り分け問題である点は、老人福祉法などの規定に基づいて、類似の規律を持つ法制が社会福祉法制にあと幾つかありますけれども、市長、区長、町長などが申し立てる局面について述べると、あれは申立てはできますが、取消しの審判の請求をすることは現行法で認められていなくて、現在は余り需要がないから、それでいいかもしれませんけれども、今後はそれらの人たちが申し立てたときに、もう要らなくなったというときに、地方公共団体はこれを何もできなくて座視せざるを得ないかというところは大きな問題になってまいります。社会福祉法制の方で関連的な法制整備として対処していただけるならば明快ですけれども、そこをにらみながら、民法の方では後見の開始を請求することができる者は取消しの請求をすることもできるといったような規律を置くということも候補としては考えられると思われるところでありまして、引き続き社会福祉法制との連携の視点を失わないようにしながら、取消しの申立権を誰に与えるかという論点も検討していかなければならないと感ずるところでございます。   第1の1について論議をお願いいたしました。第1の2に進みます。この部分について事務当局から説明を差し上げます。 ○水谷関係官 部会資料8の10ページ以下、第1の「2 期間の設定等」について御説明を致します。   一読目の審議では、法定後見の開始の要件が消滅していないかを定期的に確認する機会を制度的に確保する方法として、法定後見の開始に当たり、その期間を設けることを支持する意見が出された一方で、期間を満了することの効果等については様々な考え方が示されたところです。   そこで、11ページ以下の2において、法定後見の開始に当たって期間を定めることの意義を改めて整理した上で、12ページ以下の3では、期間の満了による効果、期間を満了した法定後見の取扱い並びに期間の伸長又は更新等について、考え方を整理しています。これらを踏まえ、法定後見の開始に当たり期間を設定することの要否等について御議論を頂ければと考えております。 ○山野目部会長 ただいま説明を差し上げた部分について御意見を承ります。 ○小澤委員 期間の設定については、第4回の部会でも発言をしましたとおり、期間が満了すれば法定後見が当然に終了して成年後見人の権限も失われるということとしますと、本人の保護に欠けるケースが出てくると考えていますので、法定後見による保護の必要性が失われればいつでも終了することができることを前提に、そのことを制度的に担保するための措置として期間を設けるという位置付けにすることが適当ではないかと考えております。もっとも、必ずしも期間を設定しなくとも、家庭裁判所によって定期的に見直しがされることが制度的に担保されれば足りるとも思われますので、例えば、後見開始の審判の取消しについて規定する民法第10条について、本人等の請求に基づく取消しに加え、家庭裁判所の職権による取消しの規定を追加することで、民法第863条の後見事務の監督の規定に基づく定期報告と併せて、事実上定期的に家庭裁判所が法定後見による保護の必要性を見直すこととするという仕組みにするということも考えられるのではないかというふうな意見を持っています。 ○星野委員 期間の設定につきましては、私も今の小澤委員と少し似ているところがあるのですが、期間を設定する必要があるのかどうかということを少し疑問を感じております。先ほどの終了の判断というところとも重なるのですが、漫然と後見人が事務を本人の変化などを考慮せずにし続けてしまうということが問題なのであって、そのための見直しをするということについて何らかの法整備が必要ではないかと考えています。それができれば、期間を設定するという考え方ではなく、見直しをするということが規定されることが必要かと思っています。   ただ一方で、本人の同意がなく開始された場合というのがあると思います。本人の同意なく開始された場合については、期間を可能な範囲の短い期間で設定をして、見直しをするということを義務付けることを法的に整理しておく必要があるのではないかと考えます。 ○根本幹事 期間については明確に期間を設けるべきであるとは考えております。ただし、その趣旨というのは、いわゆる再審査の機会を設けて必要性をきちんと審査するということが趣旨になるということになるだろうと思っています。ですので、いわゆる終了原因として期間満了ということを書きますと、万が一再審査の手続が長期化する、若しくは何らか再審査の機会を後見人なりが怠ってしまうというような場合に、実体法上の影響が出てしまうということになるかと思いますので、手続法上再審査を受けることを義務付けるということが必要ではないかと思います。ここは事実上では足りないと考えておりまして、それはやはり明確にその必要性の審査というものを定期的に設けるということをきちんと徹底していただくということが必要ではないかと考えているからです。ただ、登記事項ですとか審判書には、この再審査がいつ行われるのかということは明記されるべきだと思いますので、最高裁規則等ではなくて家事事件手続法上の義務付けということが必要ではないかと思います。   その上で、期間についての考え方ですけれども、代理権によっては永続的に付与されるものがあるのではないかというのが一読目の御議論でも、御意見でもあったように記憶をしておりますが、それはそのように考えるのではなくて、仮にそのようなものでも、やはり再審査というのは全ての代理権ないし同意権、取消権において審査されるべきものだと思います。ただ、年数自体は上限とするなどして柔軟性を持たせるということはあり得るのではないかと思います。   終了事由との関係では、期間満了ではなくと申し上げましたけれども、他方で、手続法上義務付けられているものを、例えば再審査というようなものを1年以上受けないというような形で少し余裕を持たせて、終了事由にもきちんとしておくということも考えられるのではないかと思います。 ○山野目部会長 根本幹事にいささかお教えを乞いますが、再審査の期間というものはどういうふうに働くのですかね。例えば3年と決めていた場面を想定して議論すると、3年が経つと何が起こりますか、そして何が起こらないですか。そこがよく、私が理解することができないだけかもしれないですけれども、何かおありでしたら、もう少し詳しくお教えいただけますか。 ○根本幹事 例えば3年がたったところで、恐らくは定期報告と重なるタイミングになるのではないかと思いますけれども、その際に事務の必要性、保護の必要性、それぞれが継続しているということを裁判所に御報告を頂きます。それで、例えば複数代理権があれば、一部はもう必要なくなっているということもあるかもしれませんし、逆に継続的なものについても、先ほど継続的な契約の内容について、これはもう例えば日自が使えるようになっていらっしゃるとか、若しくは何らかほかの制度が使えるようになっていらっしゃるかどうかということを、裁判所で定期的に審査していただくということになるのではないかと思っています。 ○山野目部会長 3年が経過したときには、時の経過そのものによっては何も起こらないのですね。 ○根本幹事 ただ、それを時の経過で何も再審査というプロセスを経ないということになれば、それを終了事由と関係させないと事実上機能しないおそれが出てくるので、終了事由や改任事由とリンクさせることが必要だとは思います。ただ、3年たったので期間満了で終了しますとすると、3年たったときに更新がされていない場合には、実体法上代理権がなくなってしまいますので、そこへの懸念というところを考えての御提案というところになります。 ○山野目部会長 根本幹事のお話を聴きながら、委員、幹事におかれて更に議論を深めていただきたいと望みます。霧が掛かっているかもしれません。引き続き御議論をお願いしましょう。 ○佐久間委員 自分が言おうと思ったことの前に、今の再審査のことでもよろしいですか。   再審査は必要性のチェックの機会を設けるという点では、よいなとは思いました。けれども、今、部会長がおっしゃったとおり、一体どういう効果になるのだということの作り方によっては、よろしくないなと思いました。疑問というか、考えなければいけないのは、まず、再審査を受けるというけれども、誰が本来受けるべきものなのかということです。もちろん後見人等は主体的に関わるのでしょうけれども、本人がどの程度主体的に関わるべきものなのかということを考えないといけないということと、これは多分1回目というか、前にも申し上げましたけれども、再審査において、真摯に対応して必要性がないと認められたとかだったらいいのですけれども、実はきちんと対応できていない、例えば後見人等がきちんと対応できていないというときに、一定の時間的猶予を置いてかもしれませんが、権限が消滅するということになりますと、なお必要であるはずの、証明、疎明はされていないけれども必要であるはずの権限が消滅して不利益を受けるのは本人ですので、その点がかなり大きな不安になるなと今の時点では思っています。そこまでが再審査関係で今ぱっと思ったことです。   元々申し上げようと思っていたのは、何点かあるのですが、一つは期間の設定について、設定することができるということにするのか、一律にこの期間とするということにするのかでは大きな違いがあると思います。それ自体としても、なお検討しなければいけない問題はあると思いますけれども、あらかじめ期間を当事者が設定して権限付与を求めるということも、あるいは同意を要する旨の審判を求めるということも可能にするということも検討すればいいのではないかと思います。   その場合は、余り長期で20年とかいうと意味がないというのは置いておきまして、仮に例えば3年ということで請求がされた、それで権限が認められた、でも3年たっても実はまだ必要性が消滅していないのだよねというときは、それは最初に自分たちが3年ということで請求して認められたのだから、必要だったらもう一度、更新なのか再付与なのか分かりませんが、そういう審判を受けて継続させる、そういうのがなければ3年で終わるということはやってもいいのかもしれないと思いました。   他方で、必ず何年という期間を設けるという、一種の強制的な期間設定ということにするのには大きな不安があります。その期間が終了しても、既に小澤委員とか星野委員もおっしゃったと思うのですけれども、必要性がなくなっていないというときに、要するに終了させるべきでない場合についても期間の経過のみをもって終了するというのは、これは本人の不利益が著しいので、適当ではないと思っています。   あと、ここは意味が分からなかったので教えてほしいということなのですが、13ページの11行目ぐらいからなのですが、「家庭裁判所による審判取消しを待って法定後見を終了させるという制度設計もあり得ると思われる。もっともこのような制度設計は、法定後見開始の審判において開始の審判による効果に期間を定めるものというよりは、法定後見の開始の審判から一定の期間が満了したことをもって法定後見の終了事由とするという制度のように思われる。」とあります。この部分について、違いもよく理解できなかったし、審判の取消しを待って法定後見を終了させるという制度設計は、後で指摘されている、申立てもないのにいきなり裁判所が審判しますというのがあるのですかと。ここが決定的な問題点だとは思うのですが、例えば裁判所が促して、もう請求したらどうですかと。その促しを受けて請求があれば審判の取消しをするということになれば、必ずしも一定の期間満了したことをもって法定後見の終了事由になるというふうな整理にはならないのではないかと私は思いました。   そう思ったということを踏まえて、これも一読のときには申し上げたと思うのですけれども、裁判所には定期的に、少なくとも1年に1回は何らかの報告があるはずであり、その報告の度に裁判所としても、単に書類を受け取って、書類に問題ありませんねというだけではなくて、必要性についての検討も、毎年なのかどうか分かりませんが、3年に一度ぐらいは可能ならば行うことにしていただき、これはとなれば、先ほど申し上げました、請求したらどうですか、こういうことを考えられるのではないですかというふうな促しをするというようなことは、これを法律に書くのかどうかは置いておいて、あってもいいのではないかなと。それで、請求が出てきたら審判を取り消す、請求に真摯に応じなかったら、その場合にはそれこそ義務違反だと思うので、義務違反だから直ちに何かが起こるかどうかは分かりませんけれども、著しいときは解任の事由にだってなり得るということはあってもいいのかなと思いました。 ○山野目部会長 部会資料の文章表現がよく分からんとおっしゃったところは今、波多野幹事にお尋ねしてみます。その前に、佐久間委員に一つ確認で、佐久間委員は今のお話ですと、職権による取消しというものは考えないというお立場だと聞こえましたけれども、その理解でよろしいでしょうか。 ○佐久間委員 可能なのだったらやってもいいと思うのですけれども、現実味があるかなと疑問に思います。でも、裁判所ができるとおっしゃるのだったら、別に考えることはあってもいいと思ってはいますけれども。 ○山野目部会長 分かりました。職権による取消しと一応、部会資料にはちらっと書いているだけで、余り突っ込んでいませんが、今、論議としてクローズアップされてきましたから、遠藤幹事や鈴木委員をはじめ、関係の関心のある、造詣のある委員からも遠慮なく御意見を伺って、審議を進めたいと考えます。   波多野幹事から、部会資料について何か補足のお話があれば頂きます。 ○波多野幹事 佐久間委員から御指摘いただきました点ですが、部会資料を作成したときの意図としましては、期間満了によって、実体法上の効果というものがどのように発生するかという話と、いわゆる取消しの審判という手続が必要かどうかという関係性を少し整理しないといけないのかなという感じを持っておりまして、若干それをまとめて書いてしまったところがここにでてしまったなと思っていたところです。   ここの一定の期間が満了したことを終了事由とするという制度といいますのは、結局、2年たてば2年たったこと自体が終了事由となり、それをもって申立てがあれば当然に取り消しますよと、そういう仕組みという考え方も一つあり得るのかなと、部会での御議論でもあるのかなというようなことをここで整理を試みたというところでございました。 ○山野目部会長 佐久間委員、ひとまずよろしゅうございますか。お読みになったような御理解も全然おかしくないという、今、回答を差し上げたと受け止めますけれども、ひとまずよろしいでしょうか。ありがとうございます。 ○遠藤幹事 定期監督との関係でのお尋ねがございましたので、その点について若干御説明申し上げた後、期間についての考え方についても併せてお話をできればと考えております。   まず、定期監督でございますが、その基本的な性質は、最終的に解任権を行使することができる家庭裁判所におきまして、後見事務を遂行するに当たって不適正、不適切な点がないかを審査することを目的とするものであると理解しております。もちろん、見直し後の制度におきましては代理権が与えられる範囲が個別的、具体的になってまいりますので、そのような制度の下において定期監督がどう在るべきかについてはなお検討が必要であろうと思いますが、少なくとも今申し上げたような定期監督の目的からすれば、監督の中で必要性も含めて判断をし、場合によっては職権で終了させるとの判断を適切に行うことにはなかなかの困難が伴うのではないかと考えております。   その上で、期間の設定等についてのお話も出ましたので、併せて少し申し上げます。見直し後の制度におきましては個別具体的に必要な範囲で保護者に代理権が付与されることが想定されておりますので、期間を定める意義としては、保護の必要性が消滅していることを確認することにあると考えるのが自然なように思っております。その上で、制度利用を終えることができないために御本人にとって過度な権利制約になることを避けるということも併せて考えますと、見直し後の制度では、期間については必要的に定めると考えてもいいように思っております。   期間の定め方につきましてはいろいろな御意見がありましたが、例えば法律で一律の期間を定めるということもあろうかと思いますし、あるいは、法定後見による保護の必要性が消滅するまでの期間というのは対象となる法律行為、保護者に付与した権利の種別、その他本人を取り巻く状況等によっても様々なところがございますので、例えば法律で上限を定めた上で、法定後見の開始に際して裁判所が個別の事案ごとに具体的な事情に基づいて判断するということも考え得るのではないかと思います。ただ、その際の具体的な期間の長さでありますが、特に個別の法律行為について代理権を付与するということになりますと、申立ての際には、その法律行為について法定後見による保護の具体的な必要性があるということになるのだろうと思っておりますので、法律上何らかの形で期間を定めるとしても、1年、2年といった期間はあるのかもしれませんが、5年、10年といった長期にわたるということは余り想定し難いのではないかと考えております。   最後に、期間満了時の効果についても、何人かの委員、幹事から御指摘がありました。この点についても、本人の過度な権利制約を回避するという観点からは、原則として、期間満了により法定後見による保護の必要性は消滅すると考えた上で、例外的に、権利擁護支援の枠組みの中での御判断も踏まえて、御本人や保護者において更新の必要性、これは法定後見による保護の必要性と同内容になると考えられますが、これを明らかにしていただいた上で更新の申立てを行い、裁判所はこの更新の必要性が認められる場合に法定後見の期間を更新するというのも相当な在り方として考えられるのではないかと思っております。 ○山野目部会長 御意見を頂きました。 ○青木委員 有期の期間の設定につきましては、障害者権利条約の12条の4項で、定期的な司法審査を受けること、しかもできるだけ短い期間でという要請がありますので、これを反映させた制度にする必要があると思いますので、全件について、その代理権や同意権・取消権の性質によらず、また選任された受任者の性質によらず、例外なく期間を定めるということが適当だと思っています。一読目では、裁判所の裁量で付けるものと付けないものもあっていいのではないかとか、あるいは代理権の性質によって、期間というよりは、その代理権が終了したときまでという定めからもあるのではないか、という意見もありましたが、そうではなくて、あくまでも具体的な期間を全件について定めることが必要だと思っています。   その際の期間の性格については、私は、今のところ、期間が来たら終了するという規律を民法に定めることが適当なのではないかと思っています。定期的な審査により必要性の見直しを行う機会の付与というのが制度の趣旨ではありますけれども、具体的な仕組みとしては、期間を定めて、その期間満了によって終了するというのがいいのではないかと思っています。その上で、裁判所としては、期間満了となる前の一定の時期において、申立人、本人、それから後見人等から満了に関する意見を求めるというような手続規定を規則などに定めておきます。その時点で、関係者全員が終了でいいということであれば、それ以上の審査の必要はないと思いますし、更新をしたい、まだ必要性が残っていますという意見が出れば、それについての情報や資料を出させて、裁判所が更新の必要性を判断することにする、という規律がいいのではないかと思っています。   この場合に、必要性の継続についての情報・資料をきちんと期限までに出せる事案ばかりだったらいいのだけれども、出せなかったら期間の到来により終わってしまうのですかという懸念は当然ありますので、その場合については、もちろん裁判所は資料の提出を何度か促すわけですけれども、なおそれでも判断ができない場合には、裁判所の職権で暫定的に期間を延長するという手続も置いておく必要があると思います。それによって、例えば半年後まで暫定期間を置き、それまでに適切な資料を出してくださいとして、資料が出ればそこで判断をしますし、なおそれが難しいときには、資料を出せない後見人は後見人としての職務が不適切な人として、後見人の交代をしてでも、次の更新のための資料を出させるという対応もあり得るのではないかと思っています。   諸外国を見ますと、ドイツは期間の定めを民法には書いていなくて、家事手続法において期間を定め、その期間までの間に取消し又は延長を判断しなさいとなっているそうです。フランスやオーストリアでは有期の期間を民法に定めて、それを終了事由にした上で、やはり必要があれば更新をするという定めになっているそうです。法律の規律の仕方としてはどちらもあり得るのだろうとは思いますが、私としては、今のところ、民法に期間の定めをおくという方向で、期間到来による本人の不利益の回避は、裁判所が職権で暫定的な期間を延長するということができるようにしてクリアすることがよろしいのではないかと思っています。   もちろんしっかりした後見人や支援者や本人さんである場合には、期間の満了を待たずに、必要性がなくなったことをアセスメントして、例えば遺産分割が終わったので取り消しますと自ら言ってくるでしょうし、あるいはもう後見制度以外の制度で支援できる環境調整をしましたとして、支援チームで検討して本人若しくは後見人が取消しを言ってくるでしょうから、それによって取り消される事案というのも増えるとは思います。ただ、そうした検討が支援チームや後見人には難しいとか、あるいは漫然と継続している事案もありますので、制度的な保障としてどうしても期間の定めが必要だと思っています。   裁判所による定期監督は、今も一年に一回の自主的な定期監督というのが定着はしていますが、最高裁もおっしゃったように、その1年、1年の定期監督の中に、適切な資料を出させて必要性を判断する役割も含めるということは、今で25万件、今後何十万件となる中で、それを家裁の実務で回していくというのは困難だと思います。やはりもう少し長いスパンの期間を設けた上で、そこで集中して必要性の有無を判断するという、別の手続を作るということが適当ではないかと思っているところです。 ○根本幹事 先ほど佐久間委員から、御本人の関わり方についてどのように整理するのかという御意見がありましたので、申し上げたいと思います。まず、先ほどからも出ていますように、この再審査というのは必要性を再審査する趣旨ということになりますから、いわゆる開始時の要件を全て審査するというわけではないということだと思いますし、先ほど部会長の確認にもありましたが、本人の請求ないし同意というものが継続要件ではないということからすると、いわゆる開始時の本人の同意までは求めないということに理論上なるのだろうと考えています。   他方で、継続するかどうかについて、御本人の意向なり意見を全く聴かないというのも、今回の改正の趣旨とはそぐわないということになると思います。例えば書面による意見聴取ですとか、場合によっては保護の必要性を基礎付ける事情があるかどうかというところについては、チーム支援があればそういったチームの意見ですとか、本人情報シートをまたここで出させるかどうかは、いろいろ負担もあると思いますので要検討だと思いますけれども、何らかチームの意見を聴取する仕組みを併せてここで設けていくということによって、本人の関わりというものを持っていただくということになろうかと思っています。 ○竹内(裕)委員 今回、期間の定めというのが、個別行為についての同意権、代理権の問題と捉えてみますと、そうであれば、個別の行為ごとということだったら、今のように終わらない事態、終わらない後見というのはある程度回避できるという問題意識を持っておりまして、そうしますと、必ずしも期間を定めなかったとしても、先ほどの第1の議論のところで、後見人の終わらせる義務、それを設けるか、ほかの何か方策を設けるかというところがありましたが、何かほかの手段で終わらせられることを考えるのもあるのではないかと思ったのがまず一つ。   ただ、もし期間を定めるということであるならば、その効果としては、期間の満了で審判の効力は失われると考えるのが自然と考えておりますが、ただ、個別の行為というのは、そもそも審判の開始時から、必要な期間はもう分かっているだろうというか、ある程度推測できるだろうというものと、やっていくうちに必要性がなくなるよねということで、やはり種類が違う、性質が違うものもあると思いますので、特に後者の場合であれば、先ほど最高裁から更新ということをおっしゃっておられましたけれども、更新というか期間の伸長とか、そういう申立てをして手当てをする制度になるとは考えます。 ○小出委員 金融機関の立場からということなのですけれども、皆様の御意見の繰り返しの部分が多いですけれども、一定期間後に法定後見が自動的に失効するという場合には、やはりその法定後見の失効後、再申請するまでの間、代理権がなくなりますので、日常生活に支障が発生するということの懸念でしたり、また取引の相手方の立場からも、やはり期限が設定されますと、実務的にはその有効期間を今後、継続管理を取引の相手方の目線でもしてかなくてはいけないということになってくるかなと思います。その辺りの実務上の負担感というところもありますので、今回、申立てをすれば終了することができる制度にしていくということを前提に先ほども議論がありましたので、そういったことを前提にすれば、その期間の設定は必ずしも必要ではないのかなと考えております。   ないしは、定期的な監督ですね、そういったことが目的なのであれば、可能な限り代理人の取引でしたり取引の相手方の負担にならないような、少し最高裁さんの方では難しいということでしたけれども、例えば定期監督の場を使って見直しを促すといったような形にしていただく方が望ましいのかなと考えております。 ○山野目部会長 頂きました。   もう少ししましたら部会資料8の第1の部分が終わりますから、久保委員と花俣委員にこの順番でお声掛けをしようと考えておりますけれども、期間についてたくさんの御議論を頂いてきていて、期間満了の効果は、もう少し文章化してみるとだんだん見えてくるところまで今日議論が来たと思いますけれども、まだ若干霧が掛かっていますね。 ○沖野委員 ありがとうございます。私も少し霧が掛かっているところを申し上げたいと思うのですけれども、期間を定めることについてはそれを必須とするのか、それとも選択的にするのか、定め方自体が特定の確定の期間にするのか不特定にするのか、いろいろなやり方もあると思うのですが、特に個別の権限等について一定の目的のために設定がされたときに、その目的を達成したという場合に何が起こるのかということを確認させていただきたいと思うのです。例えば、特定の不動産の売却についての同意であるとか代理、あるいは遺産の分割、遺産の分割は結構長く掛かる可能性もありますけれども、あるいは保険金の受領とか、比較的それが終わることは明確であるというときに、仮に例えば2年というような期間を定めたときに、しかし不動産の同意関係はもう、例えば6か月で全部売却なども全て終わったというときには、その権限はなお残っているのか、しかし客体がないので行使できないだけなのか、それとも目的達成によって権限自体ももうなくなっているのか、それとも家庭裁判所が一旦それを認めた以上は、なお取消しの審判なりをしない限りは、全体としての後見等の開始だけではなくて、個別の権限についても一応残っているということになるのか、この辺りをどういうふうに理解をしたらいいのか、それ自体も選択肢なのかもしれないですけれども、そのことと全体としての後見等を開始したという、その審判がどうなるのかというのは、また別途あるかと思うのですが、飽くまで個別の点についての期間満了によって何が起こるか、期間満了前に何が起こっているのかということが不分明に思われます。   それで、もし今のような場合も、もう不動産取引は終わって、もうそれ以上しようがないので、権限としては目的達成で終わっていると考えられるのだけれども、そのときに期間の定めが一体どういう意味を持って、そのときに何をすることになるのかということが一つはよく分からなように思いました。私自身は、もしも逐一やはり家庭裁判所の取消しというのをしてもらって、それで正に目的達成して終わったということを逐一確認しておく方が、いろいろトラブルが少ないということで、常に取消しを要するということであれば、それはそれであり得ることだし、それを怠っているときに、期間を定めておけば、自動的にその期間になれば取消しをしなければいけないという話になるので、明確性を確保するということですけれども、それは終わらせるべきものを終わらせるというよりは、明確にしておくための話のようにも思われます。ですから、まずその間何か起こっていると整理したらいいのかというのが一つです。   もう一つに、特定の期間、確定的な期間を定めるという場合は、もしその一定期間が来たときにはそれで消滅してしまうというのが、やはり本来だろうと思うのですが、そのとき取消しの審判が要るのか要らないのかということが一つありますし、そこでも裁量ではなくて、期間が来たらとにかく明確性のために取消しの審判はするのだということもあり得ると思いますので、どういうことになるのかというのが一つ更にあります。その上で、問題は、期間が満了したときに必要性がまだ消滅していないという場合に、本当はもう少し続けなければいけないとすると継続のための措置が必要になりますが、それをきちんとできるか、あるいはそのための方策をどうするかという問題と、逆に、もう必要性は消滅しているので、取り消してしまうのがいいのだというときに取り消すことをまたどれだけ期待できて、更にその促進策をどうするかという問題になるのかと思うのですが、どちらの方が期待しやすいのか、どちらの方が弊害が大きいのかということが問題なのかなと思っています。今までの議論からすると、もう必要性が消滅しているのに残っていると、場合によっては報酬とセットになって報酬だけは取られていくというようなこともあり得るのかもしれませんので、こちらの方を止める方が大事だということのようであり、そうであれば、必要性が消滅していないというときに適切に継続のための措置を促せるというか、更新できるなのか伸長できるなのか、再度の申立てということになりますと非常に負担も大きいですので、ここは多分、更新だとか伸長だとか、少し特別な申立てを入れなければいけないのではないかと思うのですが、そちらの方で組んでいった方がいいのだろうと思いますし、さらには、間に合わないというようなときには停止的な措置も入れる必要なども考えられるのではないかと思います。 ○山野目部会長 次の三読目に向かって検討を進めていくに当たって、可能な限り本日議論を進めておく必要がありますから、霧はたくさん掛かっていますけれども、少しはっきりしないなという点を今問い掛けますから、それについての御意見をおっしゃっていただいて、それを受け止めた上で事務当局において整理して次に進むということにしていかなければならないと感じます。   大きく分けて、典型的な、あるいは極端な事例を挙げますと、極めて個別性の高い仕方で代理権が付与されるという場合が一方にあります。自宅である土地建物、地番これこれの土地についての売却の権限というふうに、代理権目録にそれ1個を単発で挙げて、非常に特定した仕方で代理権が与えられているという事例が一方の極にあります。それから、その正反対の極に、そもそもそういう類型というか、その形を認めるかどうか自体、この部会で議論が続いておりますけれども、かなり重い後見ですね、重いというのはいろいろな意味を含み得ることがあって、非常に幅広い包括的な代理権が与えられるような類型、それから、あるいは星野委員がおっしゃったように、代理権の在り方もともかく、本人の同意を得ないで、しかし緊急性があるといって始まったような形態、いずれにしてもそういったような意味で重い後見の類型というものがあり得て、そういうふうな代理権付与があるというときと、その両極があると感じます。その中間ももちろんあります。   差し当たってその両極をイメージしながらお尋ねすると、これこれの地番の土地の売却の権限という権限を与えるときにまで期間何年と決めることが、決めていけないという議論はないと思いますけれども、必ず決めなければいけないかという問題提起をしたときに、青木佳史委員は、そういう場合も含めて期間の設定が必要であるという御意見だと受け止めましたけれども、委員、幹事の全般の御意見の分布がどうかを確かめておきたくて、それを確かめていくに当たっては、例えばこの地番の土地を売却する権限というものを与えたときに、2年間という期間でこの権限を与えますという定め、審判がされたときに、2年経っても売却ができなかったときどうなるかという話と、それから2年を待たないで売却ができてしまったというときの話で今、沖野委員が前半の方でおっしゃったものが、この2年を待たないで売却がかなったという場面ですが、それぞれについて何が起こるか、あるいは起こらないかというところの御議論を深めていただく必要があるだろうと思います。これが個別の代理権の方ですね。   それから、重い後見ですね、代理権をほぼ全般にわたって認められ、あるいは場合によっては本人の同意を取らないででも開始したような局面において、それを期間の制限なしに、誰かが取消しの申立てをするまでずっと続くということでしていくということもあり得るというお考えでいらっしゃるかどうか、それがもし認められるとすると、これは条約との関係でかなり緊張感のある議論をしなければいけないであろうというふうな予感も抱きます。大体、霧は本当はもっと晴れていないかもしれないですけれども、なるべく霧を晴らしていこうとすると、こういう議論をしていかなければいけません。 ○根本幹事 まず、沖野委員の御意見や、今の部会長のまとめとの関係で、取消しの審判というのは個別の、例えば不動産売却という場合においても、必要だと考えています。それは、抽象的には取引の相手方との関係ですとか後見登記等の関係、それから後見人自身の権限を明確化させるという観点で必要だと思いますが、個別的に申し上げると、例えば不動産売却というときにおいても、筆界特定でとても時間が掛かるケースもありますし、例えば納税まで含むのか、所得税の申告まで含めて売却権限終了と考えるのかという問題もありますし、例えば、地中から何か埋蔵物が出てしまって、契約不適合責任が出てくるということも、実務上あり得るところですので、いわゆる目的達成ということ自体が何をもって目的達成なのかというのが争われるというのは、これは信託に関係する裁判例などでも散見されるところですから、目的達成自体が争われるということを踏まえれば、やはり取消しの審判ということがあって初めて終了するということがよいと考えています。   その上で、例えば今申し上げたような課題が全て解決していて、1年ぐらいでもう全て終わってしまっていますというときには、先ほど沖野委員からありました、権限はあるが客体を欠いている状態という整理になるのではないかと思っています。本来であれば、それは逐一終了させて、取消しの審判を求めていくということが望ましいとは思いますけれども、それは定期報告のタイミングで併せて求めていくということが実務上は望ましいと思っていますが、それを怠るケースというのも当然あると思いますので、一定の期間でまとめて、再審査していくということで、きちんと終わらせるべきものを終わらせていくということが必要なのではないかと考えています。   二つ目の重いところというところについては、今、部会長からもありましたけれども、権利条約との関係ももちろんありますが、加えて、例えば補充性ですとか御本人の自立度、若しくはチーム支援の体制、若しくは入っているサービスの内容が変わっていけば、若しくは御本人の生活状況自体も変わっていけば、必ず定期的に審査をして、必要なものが何であるのかということを見極めていくということが必要なのではないかと思います。 ○山城幹事 部会長が御整理くださった点についてお話しいたします。1点目として、期間の性質は、実際に行われている保護が適切なものであるかどうかを定期的に見直す機会を保障する趣旨のものであるべきだと思います。この趣旨を達成するためには、期間が過ぎた以上、保護は終了するという立て付けにしなければならないのではないかと考えています。理論的にも、特に裁判所による審判があることによって取消権や代理権が与えられるという仕組みである以上、期間を過ぎてしまったときはその効力が失われると考えなければならないのではないかと思います。   2点目として、事務が特定されている場合をどのように扱うかです。フランス法について、久保野委員からは親族授権という仕組みがあること、青木委員からは民法上期間が設けられていることの御紹介がありましたけれども、私がフランス法について知る限りでは、期間が設けられているのは、後見や保佐、あるいは親族授権であれば包括的な授権がされる場合であり、要するに権限の範囲が個別の行為に限定されていない場合に、授権が無条件に継続することを防ぐという趣旨で期間が設けられているのではないかと思います。これに対して、親族授権には特定の行為についてのみ授権をする場合もありますが、その場合には期間は設けられておらず、事務が終わったときは当然に保護が終了する一方で、事務が終わるまでは権限は消滅しないという立て付けになっていたのではなかろうかと思います。もちろん、事務が特定されている場合でも、一定の期間が来たときは授権は失効するとする考え方も、事務処理の状況を厳格にチェックするなどといった考慮からはあり得るかと思います。ただ、事項が特定されている限り、期間を定めることはせず、事務が終わったことによって目的達成によって終了するという考え方もあり得るかとは思います。   なお、事務が短期で済んでしまった場合について、目的達成によって後見が終了するのではないかと申しましたけれども、実体法的には、事務が終了すると目的の達成によって後見は終了すると考えてよいのではないかと思います。それを登記する、あるいは権利関係を明確化することが必要なのであれば、終了を確認する旨の審判がされるのだと整理することも、実体法と手続法との関係の理解としてはあり得るのではないかと感じました。   以上を踏まえて申しますと、取消権を与える場合と、反復継続して行われることが予定される事務について代理権を与える場合とについては期間を設けて見直しの機会を保障することとし、単発的な特定の事務についてのみ代理権が与えられる場合には期間を設けないという整理もあり得るのではないかと感じます。取消権は、将来されるべき一定の行為について付与されますから、権限の内容に特定性がないと考えざるを得ないだろうと思います。期間を設けるべき場面というのは、要するに、部会長が整理された重いケースというものに相当するのかもしれません。   最後に1点付け加えさせていただきたいのですが、例えば、1つ目の事務について授権され、それが継続している間に別の事務についての授権がされたというように、複数の事務について継起的に授権がされる場合があるかと思います。その場合には、それぞれの事務ごとに後見の開始を観念すると、期間もそれぞれの事務ごとに付されることとなり、期間の終了時期が複雑化するのではないかと感じます。そういった場合には、後続する事務についての授権がされるときに、先行する事務についての授権との関係でも必要性を再審査して、後続する授権がされた時を新たな起算点として期間を再設定することができることとすれば、終了時期を統一させて期間の管理を単純化することができるのではないかと感じました。ただ、この点はまだ十分に考えられていません。 ○山野目部会長 大きなものは短く、小さなものは息長くという組み合わせは、時々フランス人が発揮するエレガンスですね。今、山城幹事が語ったものは、丁寧に精緻におっしゃったのですが、一言でまとめるとそういうことです。 ○佐久間委員 まず、個別性の高い特定行為の代理権の付与の場合ですけれども、御承知のとおり民法には、当該行為がされて目的が達成されたら代理権が消滅するという規定はありません。ありませんが、私はずっと前からその場合、目的達成による消滅だと主張しており、例えばですけれども、注釈民法で安永先生はそれを支持すると書いてくださっています。支持するというのは、その先生は支持するというだけで、一致した考え方ではないということを意味しているのだろうと思います。ただし、例えば特定の土地を売る売却の代理権を得た人が売却しました、委任状が何か抽象的なものとして残っているとかで、その後、無権代理行為をしましたというときには、恐らく民法112条が定める表見代理だと整理されていると思います。そのように整理されているのは、これは任意代理の場合ですけれども、目的達成によって代理権が既に消滅しており、本人と代理人との間で代理権はもうなくしますよなどというやり取りがなくても、代理権はなくなっているということなのだと思います。   これについて、法定代理だからといって変わることは私はないのではないかと思いますので、先ほどの売却が終わりましたということになりますと、根本幹事がおっしゃったのとの関係で言うと、売却の代理権しか与えていないという確定がされたならば、売却の契約が終わったら、それで目的達成による消滅ということになるのではないかと思います。これが一つです。   もう一つ、ある契約をするについての代理権の期間設定をするのだったら、一定程度の期間を見込んで期間を設定すると思います。部会長がおっしゃった、例えば2年間で定めたところ、売却できなかったらどうするかというと、それは確かにいろいろな事情はあったのかもしれないけれども、当初見込んだとおりにはうまくいかなかったということなのだし、その事情の中には代理人の能力が足りないということだってあり得るということだと思いますので、2年間と決めたのであれば、その2年間で一旦やはり代理権は終了だと私は思います。誠実にやったけれども時間が足りなかったのですということであれば、代理権の再付与なのか更新なのかは分かりませんが、それをすればよいと考えています。個別性の高い特定行為の代理権付与の場合には、特定事務をこれだけの期間でやはり済ませましょうと、そういう必要があると考えられるのであれば、期間を設定すればいいし、その期間よりも早く事務が終わったら、先ほど私の意見では元々代理権がなくなっているのだから、それ以上何もする必要はないと思います。   それから、重い後見と言われたほうは、先ほど山城幹事がおっしゃったような場合も含めてですけれども、実質的には期間の制限がないということはあってもいいと思っています。実質的にはというのは、当該保護の必要性がある限りは続くということが実質的にはあっていいと思いますけれども、見直しの機会がおよそ要らないかというと、その機会はあった方がいいのだろうと思います。私が気にしておりますのは、見直しの機会においてきちんとした見直しができない場合です。一定の判断できればその判断どおりにすればいいわけで、終了するとなったら終了すればいいし、終了すべきでないということになれば、更新なのか延長なのかは知りませんがやればいい。どちらともいえない、判断し難いというときにどうするのかということを非常に気にしておりまして、そのときは終了しないとすることが適当ではないかというのが私の考えです。   以上のいずれにしても、すごく気になっているところが一つありまして、そのように代理権の期間を定めるとなると、恐らく登記事項証明書にも出てくるはずですよね、何年間というように。それは相当大きな意味を持つことになって、その後延長されることにならなければそれでいいのですけれども、延長されることになった、あるいは先ほどどなたかがおっしゃった猶予期間みたいなものを設けるとかいうことになった場合に、それが記録にきちんと直ちに反映されるという形にならないと、結局のところ記録が改まるまでは、もうその登記事項記録証明書を出したって相手にしてもらえないということになってしまいますので、その仕組みをきちんと組まないと駄目だし、その仕組みに乗らないような制度は作ってはいけないと私は思います。 ○星野委員 私はこの期間のところについては、延々とやることが全然いいと思っていなくて、青木委員と言っていることは同じなのですが、ただ、その期間というのを、例えば年単位で考えられることが多いと思っていて、短い期間もあるのだったらそうなのですけれども、今の毎年の定期報告で、先ほどの再審査というところもそうなのですが、定期報告を1年に1回はやっている、例えば取消権については、東京家裁の場合は、権限行使をしたかどうかというのを毎回確認しています。それと同じように、代理権の行使をしたのかどうか、その程度、行ったのかどうかということを1年の定期報告の中でしっかり確認するということ、今の仕組みを更に充実させていくということで、期間を設定するよりも、いわゆる終了に向けて、そこをきちんと家庭裁判所の方にも報告をし、そして裁判所の方もそこの権限行使がされたかどうかというところを確認するというやり方ができないのかなと思っており、なので、だらだらとやることを全然よしとしていない。そういう仕組みができれば、必ずしも障害者権利条約が求めている、漫然と期間を設定しないでやっていますね、ではないという、そういう仕組みというものを法律上どこかできちんと定めることができるのではないかと思っています。今の1年ごとの定期報告というところをもう少し、より権限行使というところからの確認ということができないものなのだろうかと、少しそういう希望というか期待があるのですが。 ○根本幹事 私は定期監督とは別にするべきだとは思っています。それはやはり、後見人は専門職だけではないので、報告の負担もありますし、全件毎年1年置きに裁判所が審査される御負担はものすごい労力になると思います。本人の御意思との関係でも、毎年書面による意見聴取をしていくのかという話になっていきますので、定期監督とは別にということは申し上げておきたいと思います。 ○山野目部会長 星野委員は、再審査と同じウエートのもので定期報告をせよと述べたわけではなく、そういう意味では法律論をおっしゃったものではないであろうと思われますから、根本幹事のお考えとそれほど乖離はしていないと想像いたします。 ○竹内(裕)委員 先ほどの部会長がおっしゃった2点について、私の考えは、個別的な代理権であれば期間は不要であろうと、一方、包括的代理というか重い後見の場合は、これは期間を設けるというのは一つ手段だと思います。というのは、自分の実感として、やっている後見案件についても、これは終わらせてもいいのではないかと思われるものというのは、人によって違うとは思うのですけれども、やはり重い後見といいますか包括代理で、施設にいらっしゃって、何か自分で法律行為を出掛けていってするような方ではないとか、そういったことが多いので、実務感覚としても、こちらは終わらせるすべを設けた方がよい、そうしても特に支障がない場合が多いのではないかと。その一つの方策として、期間を設けるというのはあり得るのかと考えます。 ○山野目部会長 ありがとうございます。   遠藤幹事のお話伺った後で、そろそろ久保委員、花俣委員にお声掛けをしたいですけれども、進めてよろしいですか。 ○遠藤幹事 定期監督に関する話も出ましたので、そこまでのところも含めて意見を申し上げたいと思います。   定期監督の局面において必要性を審査すべきではないかという御議論もありましたが、現状行っております定期監督と申しますのは、基本的には今の法定後見制度、すなわち包括的な代理権を有する後見制度を前提とした定期監督の在り方、つまり、定期的に不適正、不適切な事務がないかどうかを監督するというものでありますので、そもそも個別的な代理権を付与するということになりますと、現行制度における定期監督をそのまま続けていくかどうかということも含め、裁判所としては考えていかなければいけない事柄なのではないかとは思っております。   その上で、先ほど部会長に整理していただきました、例えば2年の期間で土地を売却するという代理権を付与したという事案を例に考えますと、その期間中に売却が終了したという場合、裁判所は残念ながら売却が終了したということを適時に把握する術を持ちませんので、売却が終了した後、後見人において終了報告をしていただくといったことが考えられますし、その際には、併せて取消しの申立てをしていただくというのが望ましい在り方ではないかと思います。   これに対して、2年で売却することができなかったという場合は、2年で売却できなかった事情があるのかもしれませんので、2年で売却をしなかった、あるいはできなかった事情を、後見人から報告していただく、あるいは、例えばやむを得ない事情があって2年で売却できなかったけれども、引き続き売却を考えているといったような事情があるようなときには、延長というのか更新というのかという点はありますが、延長や更新の申立てをしていただくといったような実務運用が一番無理がないのでは、と現段階では思っております。 ○山野目部会長 ありがとうございます。   久保委員、お願いします。ここまでの議論で、第1のところで。 ○久保委員 久保でございます。今の議論を少しお聞きして思っていますのは、基本的に一定の期間を定めることがあってもよいのかなとは思います。ただ、御本人の状態とか状況とかによってくるなということも、いろいろな個別のケースがありますので、ケース・バイ・ケースで考えないと駄目なのではないかしらと思っています。期間満了になったときに必要であったら延長ができるとか、期間にならないけれども、もう必要ないから取消しできるとか、そういうことができるのであれば、一定の目安としての期間はあってもよいのかなというような気がしています。   そのときに、私はよく分からないのですけれども、誰がそれを申し立てるのかというのもよく分かっていないので、その辺のところをまた教えていただけたら有り難いなと思っています。そして、やはり一応、障害は中軽度であって、いろいろなことを自分で、バスや電車に乗って旅行に行けるような方であっても、高額の遺産相続をされた方も私の周りにもおられますけれども、自分の人生と高額な遺産相続というのをきちんと分かって管理するというのは御本人には難しいというのがありますので、その場合はどうすればいいのかというようなことも、少し具体的な私の周りの方のことを想定しますと、そういうこともあって、その場合は本人の気持ちに寄り添いながら後見人、財産管理の部分について付いていただく必要もあるのかなとも思いますので、ケース・バイ・ケースになってくるのではないかなと思うのですけれども、それもその延長とか、財産管理だけしてあげてとか、そういうことができるのかどうかということも含めて、教えていただけたら有り難いなと思っています。 ○山野目部会長 久保委員におかれては、お話を聴いていて有意義な受け止めの所感をおっしゃっていただいて、ありがとうございます。2点の御案内を差し上げます。おっしゃった順番で申し上げますと、期間満了自体は、今まで頂いた御意見の大勢で行きますと、それで当然に後見が終了するという法的構成に向かっていくことになるかもしれません。喩え話にして述べますと、後見終了の申立てをする者として、時という名の者を新たにもう一人設けるというアイデアが期間の効果にかなり近いものになってきますから、その局面に関して言えば、従来のものを終わらすのについては、誰か人がアクションを起こして終わらせるのではなくて、時の経過によって終わるということでしょう。その上で、もっと続けたいというときに誰に申し立ててもらうかは、特別なルールを設けなければ、通常の開始のときの申立権者と同じルールが働くと考えますけれども、しかしこの局面で申立権者について別な規律を考えるかどうかということについては、今一度改めて検討しておく必要があるかもしれません。   2点目でございますけれども、遺産分割それ自体の事務が終わったとしても、多額の財産を遺産分割によって取得したとき、その人はそれを抱えてその後の人生をどのように歩んでいくであろうかという御心配はごもっともなお話であります。これは部会資料8の1の方で、後見を終わらせるときに後見人はどういうふうな事務をその後に展望して、することが期待されるか、そのことをどういうふうに民法の法文で表現していくかという議論をしてもらったところに関係するものでありまして、必要な段取りについて気配りをしてもらった方がいいに決まっていますけれども、しかしそれをどういうふうな規律として考えていくかということが今後の宿題になります。引き続き見守っていただきたいとお願いいたします。   花俣委員、何かおありでしたら、どうぞ。 ○花俣委員 皆さんの議論を聞いた所感というか、全く違う視点にはなろうかと思うのですけれども、やはりこの民法改正の議論がどんどん深まれば深まるほど、一方でそれ以外の支援といいますか、持続可能な権利擁護支援の体制整備は喫緊の課題だということを身にしみて感じています。そもそも民法が対象にしている成年後見制度の今の時点での利用者というのは、本来必要としている人の中のごく一部でしかないのかなと思っていますので、それをもって今後の、例えば必要な人がもっと増えることを考えていけば、やはり現行制度だけではかなり、制度そのものが重すぎて、皆さん使いこなせていないものを、やはり変える必要は当然出てくるということも併せて感じています。なので、改正ということにこれほどエネルギーが要るのかというのを改めて思い知らされ、既に二読目というのに、一読目を振り返っても、なかなか頭の整理が付かないというのが素人の立ち位置です。それでもそういった重厚な議論が重ねられているということだけはひしひしと感じ取れますので、こういった議論が非常に慎重にかつ重厚に重ねられているということも別の場所で発信したいと感じています。今のところ、期間に関しても、どちらも一長一短だなと、それぞれの先生方の意見を聞きつつ感じている次第です。特段の疑問も、質問も、今のところ出せそうにないので、御容赦いただければと思います。 ○山野目部会長 花俣委員、どうもありがとうございます。花俣委員に御案内申し上げます。関心をお持ちでいらっしゃる地域社会福祉の併行する改革につきましては、花俣委員も御案内のとおり、地域共生社会の在り方検討会議において今、精力的な審議が進められておりまして、この部会でこういう議論がされていること自体についても厚生労働省の関係官において注視しているところであります。やがてこの在り方検討会議の次の段階に向けて審議を進められ、深められていくだろうと予想いたしますから、そちらの方面と関連させながら、引き続き見守っていただきたいと望みます。ありがとうございました。 ○河村委員 ありがとうございます。今の委員もおっしゃったとおり一長一短があることなので、ここ何回か少し黙っていて、皆さんの御意見をっていたのですが、今日のところについて少し意見を申し上げておきたいと思います。   個別的な権限が与えられているものには期間の定めは要らないのではないか、包括的なものには要るのではないかというような、何となく流れができていたように思うのですけれども、私はそれを分けなくて、期間を定めてよいのではないかというふうな意見を持っております。青木佳史委員がおっしゃっていたことに一番私は同意な感覚を持っています。あともう一つは、個別的な代理権には期間が要らないのではないかとおっしゃる意見をたくさん聞くのですけれども、逆に言うと、定めても何の支障もないような気がいたします。もし短く終わったら、先ほどおっしゃっていたように、終了させればいいことであるのではないかと。また逆に言うと、時間が掛かる場合もあって、何をもって目的達成かが分からないことがあると、確か根本幹事から不動産売却でも、そういう何か解釈にいろいろあるような場合もあるというコメントがあったと思うのですが、そうであれば、逆に期間の定めがないことによって、何かやるべき手続をしていない、終了の手続をしていないのか、そうではなく目的が達成していないのかが判断できないので、どんな場合であっても期間を定めておいて、必要な場合は更新なりできるというふうにしておくのがいいと思いました。 ○山野目部会長 河村委員からも御意見をいただきました。休憩にいたします。           (休     憩) ○山野目部会長 再開いたします。   部会資料8の第2の部分に進みます。第2のうちの1及び2の部分について、事務当局から説明を差し上げます。 ○山田関係官 部会資料8、14ページからの「第2 成年後見人等の交代等」について御説明いたします。成年後見人等の交代については、14ページ目からの2の部分と、18ページからの3の部分とに分けて御議論をお願いしたいと考えています。まずは14ページから2の部分について御説明いたします。  これまでの部会では、どのような仕組みにするかを検討するに当たっては、現行の制度等において本人やその関係者が成年後見人等の職を解くことを希望してもそれがかなえられない事例を踏まえ、それをもとに検討する必要があるとの意見がありました。このような意見も踏まえますと、まずは現行の制度や見直し後の成年後見制度において、本人がその状況に応じて適切な成年後見人等による保護を受けることができない具体的事情を整理する必要があると考えられます。   この点、15ページからの(2)現行の制度について記載したとおり、成年後見人等の選任については、家庭裁判所が常に職権で個々の事案に応じて適任者を選任するものとされており、また、複数成年後見人等の制度も存在します。このような現行の制度を踏まえ、16ページからの(3)に記載しました、本人がその状況に応じて適切な成年後見人等による保護を受けることができない具体的事情の整理について御議論いただきたいと考えています。   なお、18ページからの3及び4の部分については後ほど御議論いただく際に御説明いたします。  ○山野目部会長 部会資料の18ページの番号でいうと2のところまで説明を差し上げました。この部分について御意見を承ります。いかがでしょうか。 ○小澤委員 第4回の部会でも述べさせていただきましたが、成年後見人等が本人の状況に応じて交代することができる仕組みを設けることには賛同しております。現在の成年後見の実務においては、チームでの支援が重要となっておりますけれども、そのチームの支援の中で成年後見人とチームのその他の関係者との間でうまく連携が図れずに、結果として本人にとって適切な支援が行われていないケースがあることは承知しております。このようなケースでは成年後見人が辞任するケースが多いと思いますけれども、成年後見人が辞任に応じないということもあり、そのようなケースでは現行の制度での対応が困難となることがあります。   成年後見人の交代の具体的な仕組みとしては、本人の利益のため必要があると認めるときなどの解任事由を設けて、その場合は欠格事由とはならず、飽くまで当該事件についてのみ成年後見人としての任を解かれるような規定にすればよいのではないかと考えております。例えば、民法第846条第2項に、家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要があると認めるときは介入することができるなどという規定ぶりとし、併せて民法第847条第2号にも、この民法846条第2項により解任された後見人を欠格事由から除外する旨の規定をすればよいのではないかと考えています。   なお、この新しい解任の審判の申立権者については、チーム支援の関係者や市町村長、中核機関などを加えることも考えられますが、それらの関係者が本人のために成年後見人の交代を望む場合には、現行の実務と同様に、苦情などとして本人情報シートと同じような情報を家庭裁判所に報告することによって、家庭裁判所の職権で解任をするという方法もとれますので、申立権者については現行法と同様でいいのではないかと考えています。 ○青木委員 まず、先ほども小澤委員からありましたように、交代をしてほしいニーズというのは現場にたくさんありまして、特に各地の中核機関等において対応している中では、そのケースが年々増えてきているという状況にありますが、一方で明確な解任事由がないということでもありますので、本人の権利擁護のために不相当である場合とか、あるいは本人や支援チームとの関係性が不全である場合に、後見人の交代をするという別の制度を是非とも設けていただき、解任事由とは異なり欠格事由や不服申立権を設けずに、制度化をすることが相当であると思っています。   なお、部会資料8の整理ですけれども、選任当初は適切な後見人が選ばれているので、そこについての問題はないけれども、その後、本人のニーズが変化した場合に後見の交代のニーズがあると書いていただいていています。もちろんそういう場面も多くありますけれども、裁判所としては適切な判断で選任されたと思われた方が、時間を経るに従って、実際には、ご本人さんとの関係を作れない、支援チームとの関係を作れないということがわかるということもありますので、必ずしも本人のニーズの変化だけが交代の必要な要因になるということではないということも念頭に置いて検討いただきたいと思っているところです。   いずれにしましても、交代の是非について、裁判所に資料を独自に集めていただいて判断をしていただくということは難しいと思っていますので、申立権者が基本的には交代を必要とする事情をしっかりと資料も含めて提出をし、それが裁判所の判断に足りるというときには交代をする、判断に足りるだけの資料がそろわないという場合には、交代を認めることは難しいということで、裁判所が判断をしていただくことはできるのではないかと思っております。 ○根本幹事 2点申し上げます。一つは、交代という仕組みを新しく設けていくということについての現場からの感覚というところで1点申し上げます。実際に親族の方が選任される割合が変化しているということは、これは一巡目の資料等でも出ているところですけれども、やはりその中で、いわゆる親族間紛争、若しくは相続紛争の前哨戦がこの後見制度の中で起きているということもございます。親族間対立がないケースでも、やはり御親族の方がいらっしゃる中で専門職が何らかの理由で後見人等に就任してその中に介入していくということに対して、御親族からのある種のアレルギー反応みたいなものが元々あり、それが親族の方の選任割合が変化しているということともあいまって、この問題が顕在化してきていると見ることができるのではないかと思います。これは後で遠藤幹事からも何か御発言があるのかもしれませんけれども、いわゆる家庭裁判所としては解任権の行使に至らないケースで辞任が進まない事例において、専門職団体としても家庭裁判所としても非常に対応に苦慮している、若しくは疲弊しているという実態も出てきてございます。そういった意味で、交代の仕組みを今回の改正の中できちんと設けていくということは非常に必要性が高い項目なのではないかと思っています。   2点目としては、先ほどの青木委員からの御発言にも関係しますけれども、いわゆる相性の問題は、きちんと家庭裁判所に選任していただいて、かつ御本人との相性がいい候補者というのを立てていくということは、今までも申立て手続の工夫の中で行われていることですが、この申立て手続における工夫というのは引き続き必要なことだと思っております。併せてその仕組みとしての受任者調整という仕組みをきちんと充実をさせていく中で、御本人や御家族、御親族との相性が難しいという問題は、まずはそこでクリアしていくということも同時に考えていかなければいけないことだと思います。 ○竹内(裕)委員 まず、後見人の交代をできる仕組みを設けることについては賛成です。それに当たって、まず現行の解任事由なのですけれども、その点については後見人の方に義務違反という客観的な事情が存在する場合に限定すべきであって、そこは広げるべきではないと考えています。よって、交代を設けるのだとしたら、別の仕組みを設ける、職を解く仕組みを設けるということになるのですけれども、改任が一つあるのではないかと思います。   その要件としては、これはまだなかなか結論も出ていませんし、考えているところなのですが、家事事件手続法の147条等に管理を継続することが相当でなくなったときという表現などもありますので、そういった文言を利用して何か要件立てはできないのかなと思うのが一つ、そして、家裁がそれを審理、判断いただく方法としては、これは同じ家事事件手続法の124条に事務の調査というところもありますし、会社法などにも総会検査役であるとか業務執行の検査役という規定があるのですけれども、例えば定期報告の何かきっかけで、家裁が職権で、あるいは申立てによって、本人や利害関係人も申立権者として、申立人の方が改任事由があるかないかを調査する調査人の選任申立てをしていただく、つまり第三者が調査をするというやり方です。そして、その選ばれた調査人が解任事由があるかどうかということを調査の上で、家裁に報告するなり改任の申立てをなさるという仕組みもあるのではないかと思います。第三者を入れることによって改任の申立ての濫用が防げるのではないのかなと思ったところです。   その場合、誰がその調査人の費用を負担するのかというところは問題になるかと思いますが、そこは調査の範囲も限定されておりますし、それほど大きな負担にならないということも加味して、申立人が予納するというようなことではどうなのかなと思いますのと、あと、改任の方は後見人の義務違反という客観的な事情ではありませんので、改任についても欠格事由としないというような制度作りはどうかなと、弁護士会の一部のチームの中だけですけれども、そういった意見もあった次第です。 ○遠藤幹事 成年後見人等の交代に当たりまして、後見人等の職を解くことができる場合を現行の解任事由よりも広げるべきか否かという点については、裁判所として特段の意見はございません。他方、これまでも重ねて申し上げてきたところとは思いますが、仮にその事由を現行の解任事由よりも広げる場合には、後見人の法的地位をその意に反して奪うという効果の重大性もございますので、その要件を客観的かつ明確なものとしていただく必要があり、このことは制度の安定的な運用を図るためには不可欠であろうと考えております。その上で、具体的な解任の要件といったものをこれから御議論いただくに当たって、家庭裁判所に寄せられている苦情や、それを踏まえた裁判所としての考え方について御紹介をさせていただきたいと思います。   家庭裁判所に寄せられる苦情については、令和4年10月31日に開催されました成年後見制度利用促進専門家会議の第2回地域連携ネットワーキンググループで御報告させていただいたところですが、後見人等に関する苦情としては、例えば、本人や親族の希望に沿うように財産を使ってくれないとか、親族に対して後見事務や本人の財産の状況について説明してくれない、後見人等の態度が悪い、あるいは動きが遅い、適切な福祉サービスを検討してくれない、あるいは後見人等と連絡が付かない、付きにくい、あるいは面会に来ないといったようなものが挙げられていると認識しております。   まず大前提といたしまして、裁判所としても後見事務の遂行に当たって御本人の意向が尊重されるべきものであることは当然であると考えております。他方で、保護者においては、本人の心身の状況及び生活への配慮も同じく必要でありますので、必ず御本人の希望どおりにしなければならないものではなく、本人の利益を確保する観点から諸般の事情を考慮して、あえて御本人が希望する対応をとらないということもあるとは思われます。また、親族の希望については、そもそもそれが御本人の意向や利益と合致しない場合もあると思われます。これは、見直し後の制度において保護者に付与される代理権の範囲が個別的、具体的なものとなる場合であっても同様であろうと思っております。また、保護者の態度や動きについての苦情については、本人や関係者とのコミュニケーション不足に起因している可能性もありますが、保護者側の問題であるかどうかという点につきましては事案ごとに事情も異なってくると思います。他方で、面会に来なかったり連絡が付かないという事案は、後見事務の遂行に当たって本人の意思尊重、身上配慮の観点から、その義務を尽くしていないとして解任事由に該当する場合もあろうかと考えているところでございます。   このように、家庭裁判所に寄せられる後見人等に関する苦情には様々なものがありまして、後見人等の交代が実現しても、それによって直ちに解消される性質のものだけではないと思っております。法定後見の保護者の交代等を検討するに当たっては、このような実情も加味していただいた上で御議論をいただければと思っております。 ○星野委員 今までの委員の意見と重なるところは省きますが、今の交代の相談というのは、いわゆる後見人が適切に事務を果たしていないということだけではなくて、後見人の方から、御本人との対応が困難であるとか親族との関係で困難性があるということで、もう辞めたい、辞任したいというような相談も結構今増えている中で、このときも交代ということを検討することになるので、先ほど濫用防止というような話もあったと思うのですが、改任の仕組みがあるのは、私も必要があると考えるのですが、これが後見人側の濫用にならないような仕組みというのは必要かなと思っています。本人にとって適切な後見人に替わるというのが、どの目線から問題として上がっているのかというところです。   今までの議論と私は全てつながっていると思っていて、終了の判断もそうですし、定期的な見直しをしていくというところもそうですし、その中の一つの選択肢に交代という考え方が出てくるわけなので、ここだけ取り上げて話すのは難しいなという感覚を持ってはいるのですが、今、中核機関というものが地域の中で根付いてきておりますけれども、中核機関等の第三者性があるところで、本人や後見人、そして支援関係者も入った中で、しっかりと交代するということの必要性であるとか、本人にとってのメリットというか、本人側の視点からみた検討のうえで交代することの意味ということがしっかり議論されて、それが何らかのシート等、資料等で家庭裁判所に提出されていくという仕組みを構築する、これが民法ではなくて社会福祉法の中のどちらかに入るのか、少し分かりません、家事事件手続法か分かりませんが、そういう仕組みが必要だと思っております。 ○山野目部会長 部会資料第2の後半の方で扱っている事項にも議論がわたりつつあるように感じますけれども、よろしければ後半も説明を差し上げた上で、引き続き交代の議論をお願いしていこうかと考えますが、よろしいですか。   では、事務当局から部会資料8の第2の後半の部分の資料を差し上げてしまいます。お願いします。 ○山田関係官 部会資料8の18ページからの第2の3及び4の部分について御説明いたします。この部分については、具体的事情の整理も踏まえて御議論いただきたいと考えているところです。   まず、18ページからの3、成年後見人等に現行の解任の事由がない場合であってもその職を解くべきときの要件では、19ページの(2)において、成年後見人等の解任及び欠格事由に関する現行法の規律及びその起源を有する明治民法における後見について整理しています。また、19ページの(3)では、他人の財産を管理する者に関する他制度の規律について整理しています。これらを踏まえて、22ページの(4)現行の解任の事由がなくとも成年後見人等の職を解く規律を設けるときの要件等について御議論いただきたいと考えております。   また、23ページからの4、家庭裁判所が審理判断をする場合の資料等では、家庭裁判所がどのような資料に基づき、どのような審査をすることが適切であり、また審査をすることが可能であるかについて御議論いただきたいと考えています。 ○山野目部会長 ただいま説明を差し上げた部分も含めて、後見人の交代について御意見を引き続き承ります。いかがでしょうか。 ○青木委員 先ほど申し忘れましたが、期間のあり方の論点にも関係することですけれども、代理権付与とか同意権・取消権付与の審判とは別に、後見人選任の審判をするわけですが、この後見人選任の審判についても期間を設けていただくということが重要ではないかと思っています。それによって、後見人が所定の期間経過後は、その後見人が更新されて職務を継続するのか、その後見人は期間満了で終了し、後任は新たに選任するのかを裁判所が判断できるようになりますので、これによっても、ニーズに合わなくなった後見人については、期間満了による交代という方策を取れるのではないかと考えています。 ○山野目部会長 後見人に任期を設けるというお話になりますか。 ○青木委員 はい。 ○山野目部会長 市議会議員の任期は4年ですとされる姿と同じような感覚というか論理になりますね。 ○佐久間委員 任期の件ですが、それ自体に賛成、反対はないのですけれども、そのようなものをどんどん設けていきますと、先ほどの後見とかのそもそもの存続期間も含めて、いちいち申立てをしなければいけない機会が増えて、極めて負担が大きい制度になってしまうと思います。ひとつひとつの事柄ごとに、こうするのがいいというのはあるかもしれませんけれども、制度全体で余りにも手続が多くなるようなことは避けるべきだと私は思います。後見人の任期に関して言うと、それほど必要性が高いようには思いません。特に、事務自体の存続期間というのか、一定の期間の制限が仮に入るとしたら、それで一つの任期にもつながるわけですので。そのような感想を持つということだけ、少し申し上げておきます。   つぎに要件のところなのですけれども、今、具体的事情について幾つか御紹介いただいて、それらを踏まえて申しますと、846条の規定の問題は、後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときであって、後見人自身に何かの事由があるときはとだけなっている、ここが問題なのかなと思いました。義務の違反もないのに解任されるというのは、基本的には適当ではないとは思いますけれども、前にも一度申し上げたのですが、当事者間に深刻な不和があることは、間違っていたらあれなのですが、確か844条の後見人の辞任の正当な事由の一つとしては考慮されるとされていたと思うのです。そうだとすると、後見人の方から深刻な不和があってこんなのはやっていられないということが認められるのであるとすると、本人側というか辞めさせる方でも、こんなやつにやらせられるかというふうなこともできて当然なのではないかと思います。   そういうことを考えますと、結局のところは抽象的な要件にしかならないのですけれども、ほかの制度とも同様に、後見人が後見の事務を遂行することについて、その人に適しない事由があるとき、その他重要な事由があるときとかというふうな、後見人自身の問題ではない要件でもっても解任できることにする。繰り返しになりますが、具体的事情を伺った限りでは、そうなるのかなと思いました。でも、具体的な事情でそこまで深刻ではないというのであれば、無理に変える必要はないのかもしれない、そこは具体的事情次第だと思っています。   それと、23ページの問いの形のところで申し上げますと、即時抗告までは要らない、認めるは必要ないのかなと。権利性なんかはそれほどない、後見人の地位にとどまることについての権利性は認められる必要はないと思いますので、そのように考えています。それから、27行目にある申立人の範囲は、これは選任というか開始の申立人と一致させるのが適当ではないかと思っています。 ○山野目部会長 成年後見制度という、制度という言い方で、実際の民法の規定がそうなっていますから受け止めますけれども、しかし行われていることは、本人が自分のための事務といいますか役務の提供を後見人に依頼するという法律関係です。本人の判断に支障があるから制度で手当てをするというアプローチにならざるを得ない側面がありますけれども、民法の典型契約の議論に引き直して考えれば、これは本人に役務を提供してあげる契約がそれに相当する局面として話題になる場面でしょう。民法の役務提供契約についての規律を改めて顧みますと、もちろん受任者の側に債務不履行があったときに債務不履行解除ができますという一般的な規律が働くことは当然ですが、役務提供型の契約の特徴として、必ずしも受任者に債務不履行がなくても、委任者といいますか本人の側が、もうあなたにお願いするのはやめにしたくて、あなたとはしていけないと感ずるのですよね、と述べてよいルールが用意されています。別にあなたに何か落ち度というか債務不履行があったわけではなく、債務不履行解除をしようとしているわけではないですけれども、もうやめさせてくださいと言えるという、これは講学上、任意解除と呼びますが、委任契約にも請負契約にも任意解除のルールがあって、それから少し距離があるけれども、組合契約にもやむを得ない事由があるときには、期間を定めていても脱退することができるという規律があります。   そういう局面で民法は義務違反の事情のほかに別のルールを設けて、やむを得ない事由などという要件を立てて関係を終了させるということを認めていますし、一つ前の局面で竹内裕美委員からは、家事事件手続法の規律を参考にして、相当でなくなったという事情の変化があるときとおっしゃっていただいたし、今、佐久間委員からもヒントを頂いて、更にその文言についていろいろアイデアがあるでしょうというお話を頂いたのでありまして、そこで共通にみられることは、後見人の側に義務違反といいますか非があったときに限定しないで後見人の仕事を終わらせるというふうな契機を認めるということ自体については、一つ前の御議論から委員、幹事におかれて、広くその方向で行きましょうというお話になりつつあると受け止めますけれども、要件をどのような文言で規律するかというところもそろそろ探し始めなければいけませんから、引き続き申し上げたようないろいろな点を悩んでいただき、本日段階で頂くことがかなう意見を集約して、次の段階に進んでいきたいと考えております。   委員、幹事から引き続き御意見を承ります。 ○根本幹事 部会長からありました点について、必ずしも後見人側に何か問題があるかどうかということにとどまらないというところも、もちろんあると思うのですが、下位規範という意味ですと、一般的な職務水準に達していないということは最も考慮される要素になるのではないかと思います。   具体的に申し上げますと、例えば、親族や支援者を含めたチーム機能が不全に陥っているようなケースです。先ほど終了のところで引継ぎの義務という話があり交代で対応するということがあり得るのではないかと申し上げましたが、引継ぎの不全というのもこのチーム機能不全というところに含めて考えることはできないかというのが一つです。もう一つは、単純に、解任事由にまでは至らないけれども、その業務が不十分であるということです。これは例えば、理由もないのに面会をしないということもあるでしょうし、善管注意義務違反にはならないけれども、その手前の事由が生じているというようなこともあると思います。   あとは、是非御検討いただきたいと思っていますのは、家庭裁判所の指示に従わないというようなケースです。これも不正ですとか、明らかな家庭裁判所からの御指示に従わないということであれば別かもしれませんが、現場で見ていますと、どちらも選択肢としてはあり得るというような事案のときに、家庭裁判所の御意見がそれなりに示されているにもかかわらず、その御指示に従われず、ただ解任までは至らないということで苦慮されているというケースもあろうかと思います。そのような事情も含めたものに交代事由というのができないかと思うところです。 ○星野委員 交代の事由ということで言うと、今のような事由も考えられるのですが、今進んできているのが市民後見人への移行といいますか交代ケースもあって、解任まで至らないけれどということよりも、そもそも専門職ではなく地域の身近な方が担うことがふさわしい案件というのも出てきているところですので、そういうネガティブではない理由による交代の要件もあるのではないかと思います。それは市民だけではなく親族への交代ということもあるかと思います。 ○山野目部会長 今の後見人に対して、あなたが悪いわけではないけれども、もっとふさわしい人がいるよ、ということですね。 ○青木委員 今の星野委員の意見にも関わるのですけれども、関係機関で調整ができて、後見人自身も交代を了承する場合には、現在の制度にある辞任及び選任の申立てを活用していただくのが相当だと思っておりまして、交代の議論では要点をきちんと絞って議論していただきたいと思うのは、解任の要件にまでは至らないけれども、後見人が交代を認めない、協力をしない場合であって、しかし本人や支援チーム等の関係者にとっては関係性の不全とか、信頼関係の喪失とか、そういったことがあって本人の権利が守られないという事情がある場合に、交代という三つ目の類型を設ける必要があるということであり、そこに絞って要件を検討していただくのがいいのではないかなと思っておるところです。 ○小出委員 私の方からはまた、すみません、金融機関の立場からということで、交代の今御議論いただいている要件ということではないのですけれども、今後その交代が発生した後の効果というところで、少し前回も要望させていただいたのですけれども、改めて御発言をさせていただきます。   皆様の御承知のとおり、金融機関で後見人の方との取引を始めるに当たりましては、事前にお届出を頂いているということでございます。後見人の交代に伴いまして、交代したら届出を頂くということなのですけれども、その間までの間に旧後見人の方が、代理権自体は消滅していますけれども、御本人からまだ交代の届出を頂いていないということで、旧後見人が代理権者をかたって取引を行うといったトラブルも想定としてはされ得るかなというところでございます。取引の相手方の立場としましては、実務上、後見人の変更登記がされるとしても、即時に検知するということは事実上難しいということかなと思っておりまして、後見人交代に関して善意の取引の相手方に関しては保護されるということを改めて明確化いただけると有り難いというところでございます。 ○山野目部会長 取引の相手方の保護に関するルールの検討の必要性は理解を致しました。ありがとうございます。   引き続き、いかがでしょうか。 ○久保野委員 久保野です。文言の選び方についてはなお、幾つかの考え方が出ているように思いますので、是非これがということではないのですが、一つの可能性として、先ほど部会長がおっしゃいました、委任契約等に照らして信頼関係が失われている場合ということを文言にするというのは、一方で説得的だと思いました。他方で法定後見の場合には、特に保護機関の方、支援者が本人の利益のために行動するという面もあることに着目しますと、本人の利益状況に着目して要件立てをするということも選択肢としてあり得るのかなと思います。   それに関連しまして、以前に私は、記憶に間違いがなければ、親権喪失や親権停止の要件について言及いたしましたけれども、ただ、今お話を伺っていますと、本人の利益を害するというようなところを要件にすると狭すぎるような場面が想定されているようにも思いました。そのような印象を持つ中で、どなたかが議論の中で、本人の利益のために、「特に」と付いていたか分からないのですが、交代が特に必要であるというようなことを先ほどおっしゃったかと思います。それで思い出しますのは、親権に関わる、子供の利益に関わるルールの中で、本人の利益のために特に必要があるといったような要件が含まれているルールがありまして、一つの選択肢として、そのようなものが想定されている場面に適合するのかどうかということを考えてみてもよいように思いました。 ○山野目部会長 久保野委員が親権について論考(「親権についての理論的検討」法律時報96巻12号)でも整理していただいる概念整理を頼りとして申しますと、積極的な子の利益と消極的な子の利益と、それぞれを追求するために民法が用意しているルールが異なるルールですから、それぞれを目指して進んでいくものでしょうという、あの整理がここでも発想としては参考にできる部分が大きくて、現在の846条は、後見人がひどい人で、本人の最低限の利益を守れないというときの解任事由ですけれども、もう少し本人の利益を伸ばしていくのには、後見人に対して、あなたが悪いわけではないけれども、もう交代、バトンタッチしてもらいましょうか、というふうに行きますから、そこのところの2段階、2場面が異なるという観点を意識しながら議論を進めていくことは有益であるとともに、区別しながら議論していくと多分、要件建ても異なってくると考えられますから、その新しい要件構成を私たちは今、探しているところなのでしょうね。どうもありがとうございます。   引き続き承ります。 ○遠藤幹事 先ほども申し上げたとおり、裁判所として、現行の解任事由よりも後見人等の職を解くことができる場合を広げるべきかどうかということについて、特段何か現時点で意見を持っているわけではありませんが、委員、幹事の皆様から、例えば信頼関係の破壊でありますとか義務違反を想定するといったような御議論がありました。部会長の整理を踏まえ、義務違反についてどのように考えたらよいかについて申し上げますと、見直し後の制度の下においては、保護者には個別的、具体的な代理権が付与されるということになりますが、保護者はなおその範囲内では相応の裁量を持っているということになるのだろうと思います。また、後見事務については、御本人の意向、その権利利益、将来の課題解決等に照らして相当かどうかという観点で義務違反を判断するものであり、これは多分に価値判断を含む評価的なものであると思われます。   このことを踏まえ、例えば信頼関係破壊、何らかの重大な義務違反といったものについて具体的にどのようなものが考えられるか検討しますと、結局のところ、現行の解任事由と余り大きく変わらないものしか想定できないようにも思われます。この辺りについて、委員、幹事の皆様から更に御意見などを伺っていきながら考えていきたいと思っているところでございます。 ○山野目部会長 遠藤幹事に一つ、今は感想だけ申上げて、お考えがあったらお尋ねしたいものですけれども、現行と余り異ならないことになりそうだね、という感触は、よく理解可能なような気もします。そうであるとすると、現行と余り変わらない規律を設けた上で、847条の欠格事由の規律はもう見直すという組合せにすると、大きな手術を要せずに改正の一つの着地点が見えてきそうであるという予感もしますけれども、何かお考えはありますか。思い付きでお声掛けしていますから、感想がありませんというお答えも妨げません。 ○遠藤幹事 その点は非常に難しいところでございまして、部会長のような整理は非常に簡明であると思われる一方で、847条は、いわゆる横領事案のような不正な行為も同じくカバーしておりますので、この辺りの整理をなお考えていかなければならないと思っております。 ○山野目部会長 突然お声掛けをして失礼を致しました。委員、幹事におかれても引き続き御検討いただきたいものですが、現行の847条の欠格事由の規律というものが、現代社会の規律として自然に見えるものでしょうかね。あれは明治民法の時代に、家庭裁判所が選任するのではなくて自動的というか法定の順番に従って親族会等の関与がある程度で大筋はおのずと決まっていってしまうという後見人の仕組みを前提にしたときに、おのずと決まるけれどもこういう人は駄目です、と除外するために設けられた規定でありましょう。現在のように家庭裁判所が選任をする場合がほとんどで、例外は未成年後見人に誰がなるかを遺言で指定した場合ですから、それ以外の場合について、家庭裁判所の選任の機能を信頼してお任せすればいいのにもかかわらず、欠格事由でもう二度と後見人に選任されませんという規律になっています。一度つまずいたら、もうその人は永久に後見の世界には入ってこられないという規律は、どうなのでしょうね、裁判官弾劾法を例に取れば、しばらく時間がたてば資格回復の裁判が認められており、もう1回立ち上がるチャンスというものは認めるという在り様がどちらかというと現代の法制の趨勢でもありますから、今お問い掛けしている論点の本筋からは外れますけれども、行く行くはここの規律を検討を深めていくと、その辺のところも併せて漏れのないように考えていかなければならない側面も出てくるかもしれません。何か御意見があったら、その折におっしゃっていただきたいと望みます。   引き続き御意見を承ります。いかがでしょうか。 ○星野委員 今の解任された欠格事由についてですが、私はすごく疑問に思っていることが実はありまして、社会福祉士会であるところで法人後見をやっていて解任された案件があったにもかかわらず、引き続き、その地域の特性もあるということで選任が続いているという実態が実際あります。だから、解任事由というのが該当されないケースが実際にあったというところで、今の部会長が言われた847条のところというのは、すごく私もそのように思っていたところと、あと、先ほど青木委員がおっしゃった、ここの中で何を論点で議論するかは整理する必要があるとおっしゃっていましたけれども、第二期基本計画の中では、そもそも本人がメリットを感じるための後見制度の運用改善ということはずっと議論されていた中で、特に後見人がずっと替わらないということは、運用では限界が来ているのではというような話も実際あったと思っていますし、先ほどのような積極的な、本人にとっての利益を考えて後見人が交代していくというのは、辞任でうまくいけている地域もあれば、そうではない地域もやはりありますから、私はやはりこちらも、あなたには落ち度はないけれどもと部会長がおっしゃったところですが、そこはやはり整理する必要があるということは改めて発言したいと思いました。 ○青木委員 現在の解任の事由で欠格事由になるということについては、裏と表の関係ではありますけれども、現在の多くの解任事由は横領事案などですので、1件でも横領した後見人等については、他の担当する事案についても同様のことが疑われるので、当然に欠格事由となって、全件について職を失い、新たな後見人等を別途選任するという扱いにすることが、今の解任事由の運用として明らかにメリットがあるものがあると思います。ですから、欠格事由が今のままでいいかどうかということは、結局、解任事由としてどの程度のものを解任するかということとの裏表になっているとは思いますけれども、解任が欠格事由となっていて全ての後見を辞めることになる現行制度が一律に意味がないということにはなっていないと、むしろ効果的な側面も十分あると思っております。   また、星野委員の指摘された事情は、家庭裁判所としてある事案で解任事由があったことを情報共有することができていない場合に生じることでありまして、現在はできるだけ家庭裁判所内でも、家庭裁判所間でも、解任事由があった者についてはできるだけ情報共有するように工夫をしていただいているという問題だと思っています。 ○星野委員 それは法人後見であったものなので、同じ地域の中で引き続き選任が続いているというのが過去にあったのは事実なのです。別の地域で選任されているという、そういう事案ではありません。 ○山野目部会長 847条の欠格事由だけでかなり奥が深い問題があるということが分かりましたが、私が余分なことを申し上げたために議論の本筋から少しずれ始めました。本来の議題、交代の在り方のところで、引き続き御議論をお願いできれば有り難いです。御意見を承ります。 ○竹内(裕)委員 先ほど前のめりで、交代の場合の職を解く要件であるとか、家裁の審理判断方法について発言をしたのですが、もし交代という制度を設けるのであれば、その交代するときの間が生じないようにということも併せて仕組みとしては考えないといけないと思います。家事事件手続法の保全のところで、126条で同様の状態になるようなところの手当てがなされているヒントになるようなものもありますが、交代を論じるときは、その間が生じないという仕組みも併せて議論をした方がいいと思います。 ○山野目部会長 承知いたしました。   だんだんに、今度は花俣委員、久保委員の順番にお声掛けしたいと考えておりますが、その前に他の委員、幹事からおありでしょうか。 ○河村委員 交代のところなのですけれども、遠藤幹事のお言葉の中に、現行の解任事由と余り大きく変わらないのではないかというようなお話があって、例えばそういう方向に考え方が行くと、せっかく「あなたに落ち度はないけれども」というケースを入れていこうという流れから変わっていくのかなと思い、一言申し上げたいと思いました。   私共ども消費者団体ですから、言葉が法律的ではないかもしれませんが、結局ご本人が幸せでなければ意味がないと思うのです。やはり相性が悪いとか、相手が全然落ち度がなくても、どうしてもご本人の心の平穏が保てないような場合というのがあると思います。別に暴力的ではないにしても、その方の話し方であるとか、そういう何か個別的な、ご本人が心の平穏を保てないようなときにも交代ができるような、そういう要件設定というのができるべきではないかと思っていますので、一言申し上げました。 ○山野目部会長 やはり流れは変えてほしいという御意見を確かに頂戴いたしました。ありがとうございます。 ○花俣委員 ありがとうございます。今の河村委員の御意見と同じようで、現行制度だと、まだ有期にはなっていないし、スポット利用もできないので、ずっと続くわけですから、とてもではないけれどもこちらが受け入れ難い人と生涯にわたって付き合うというのか、制度利用に際し、お金を払ってまでその方のお世話になるというのは受け入れ難いところがあるので、不正をしたとか、病気になったとか、死んでしまった場合以外は解任ができないというのは、やはり変えていただきたい。そこはきっと久保委員の方からもっと切実なお声が出るかと思うのですけれども、我々の場合は比較的高齢の方なので、生涯にわたってというのもある程度期間が決まっていますけれども、久保委員の団体の方は皆さん長期間御利用になる制度に今のところなっていますので、そちらにお譲りしたいと思います。私は、是非その解任理由の中にそういった受け入れ難いお相手とは御容赦いただけるようなものになってほしいなということは間違いなく思っております。 ○山野目部会長 確かに花俣委員の抱えておられる問題も重いですけれども、考えてみますと、久保委員が一番そこを重みを感じて深刻さに直面しておられると想像されるのは、そのとおりですね。   後見人の交代について御議論いただいてきましたけれども、部会資料8の第3に進んでよろしいでしょうか。   それでは、進みます。部会資料第3の1の部分についての説明をお願いいたします。事務当局から差し上げます。 ○山田関係官 部会資料8、23ページからの第3の「1 成年後見人等の職務及び義務」について御説明いたします。   まず、24ページからの2、身上配慮義務等についてです。これまでの部会では、成年後見人等は本人の意思を反映した上でその職務を行うべきであり、民法第858条では不十分であるとの意見がありました。他方で、広範で曖昧な義務を成年後見人等に負わせることがないよう留意する必要がある旨の意見もありました。そこで、24ページからの(2)では、現行法の規律等について整理しています。そして、25ページからの(3)では、成年後見人の身上配慮義務等に関する規律について御議論いただくに当たっての視点を整理しています。これらを踏まえて、成年後見人の身上配慮義務等に関する規律について御議論いただきたいと考えています。   次に、26ページからの3、財産管理上の義務についてです。ここでは、適切な時機に必要な範囲、期間で法定後見制度を利用することを可能にする見直しを行う場合には、成年後見人等の財産管理上の義務もそれに対応したものにするかを中心に、御議論いただきたいと考えております。   ○山野目部会長 説明を差し上げた部分について御意見を承ります。 ○小澤委員 成年後見人が負う身上配慮や本人の意思の尊重、財産管理に関する義務については、いずれも成年後見人が負う善管注意義務を明確かつ具体的にしたものであると考えておりますので、特に異論はありません。   その上で、財産目録の調整義務については、部会資料にも記載のあるとおり、包括的な財産管理権限を背景としているため、規定を削除するのが相当だと考えますので、現在の保佐、補助類型でも行っているように、個別代理権の範囲内で作成することとすれば十分だと考えております。   また、財産の調査権限につきましては、本人の状況に応じた後見事務を行うため必要な権限であるとは考えておりますが、現在の家事事件手続法第124条の規定で、家庭裁判所によって成年後見人等に財産調査をさせることが可能であれば、新たな規定を設ける必要まではないのではないかと考えています。   代理権の追加申立ての義務につきましては、成年後見人が善管注意義務を果たすために代理権の追加申立てを行う場合はあると考えますが、事案ごとの特別な事情によるところが大きいと思われますので、代理権の追加申立てをするという新たな義務を課す必要はないと考えています。   最後に、医療の場面における同意については、後見人には医療行為に関する同意権がないことを前提としつつ、チーム支援により方向性を検討するという方法により対応しております。また、医療に関する同意権を後見人に付与するためには、その前提として、成年後見制度を利用していない方も含めて、医療に関して自身の意思を残す方法や配偶者等の家族による医療同意などについて国民的な議論が必要だと考えておりますので、現在の我が国の状況下において後見人の同意権限について規定することは時期尚早であると意見を持っています。 ○青木委員 まず、身上配慮義務の関係における本人の意思の尊重の関係についてです。今回の大きな改正のもう一つのポイントとして、本人の意思決定支援、あるいはその意思決定支援の結果として、本人が表明した意思を前提において、後見人の職務を行うようにしてほしいという制度見直しを求めるニーズ、声があります。その観点から言いますと、やはり民法の858条に基づくだけでは、全般的な善管注意義務の中に本人の意思尊重が埋もれてしまい、これが本人の意思を省みない対応があったとしても、裁判所としては、先ほど御説明があったように、後見人等の全体的な広範な裁量の中でしか裁判所で評価できないということにもなってしまいまして、本人さんの意思が十分尊重されるということになっていないという実情を踏まえれば、やはり現行規定のままでは難しくて、具体的に本人の意思が表明された場合には、原則として、それに基づいて代理権等の行使を行うという職務上の義務を別に置く必要があると思います。   また、意思決定支援自体につきましては、後見人のみが行うものでありませんから、意思決定支援義務ということで、あたかも後見人等が意思決定支援をする責任主体であるかのような義務を設定することはできないと思いますけれども、支援チーム全体の中で、本人への意思決定支援がなされた上で、本人さんの意思が表明されるかどうかを確認した上で、必要な代理権等を行使するという義務としては課すことができるのではないかと、それによって後見人だけに意思決定支援に関する責務が課されるわけではない、と整理ができると思います。そうしたものとして、意思決定支援を確認する義務を新たに設定をするということが重要ではないかと思います。なお、このような義務を新設したとしても、代理権等の行使の対外的な効力には影響しませんので、あくまでも本人と当該後見人との間の義務として考えていくということでいいのではないかと思っております。   次に、財産上の調査義務につきましては、小澤委員のご意見に賛成でありますし、加えまして、どうしても必要な場合には、当該代理権に付随する形での調査権ということで調査の範囲を限定するということとし、代理権の行使に必要な範囲の調査権を想定するということで実務上も対応できるのではないかと思います。ただし、一般的には、そういった調査権限がなくても、後見人に付与された権限の行使にあたり、権限はないけれども通帳を見せてほしいとか、資産状況全体を確認させてほしいと言えば、ご本人や支援者に任意に協力をしてもらって情報の収集ができるわけでして、そういったことができないような対立的な関係にあるような場合について、そういった代理権行使に付随的な権限を付与していただく、あるいは裁判所によって調査権限を付与していただくということで対応できるのではないかと思っています。   医療の同意につきましては、現在厚労省中心に、ACP(アドバンスケアプログラム)の実践が推奨されていまして、本人以外の誰か一人が決めるのではなくて、あくまでも本人ができるだけ早い段階から医療に関する意思を表明し、そのことを自分が意思が表明できなくなった後でも尊重してもらえるための取組ということが進められています。後見人もあくまでもそういった医療に関する本人の意思確認を進める支援者の一人として、必要に応じて関わるという位置付けで十分であり、特段に医療の同意権というものを求めるということは、現在の日本における医療に関する意思決定の在り方としては必要はないと考えているところです。 ○竹内(裕)委員 部会資料の26ページ以下の財産管理上の義務のところなのですが、考え方として、基本的に財産管理上の義務を際限なく認めてしまうような形だと、不履行責任とか不作為責任とか、そういったことが発生する可能性が懸念されますので、そこは保護者に過剰に責任を負わせてしまうことになりますから、少し注意した方がいいかなと。今回、改正法によって本人の財産全体という考え方よりは個別の行為に着目する制度にするのだということであれば、当該案件に必要な限りで財産管理の権限とか義務を超えて一般的に財産管理義務ということを課すことはなかなか難しいのかなと思います。 ○佐久間委員 私も財産管理のところでして、27ページの12行目、「現行の保佐人や補助人のように、その付与された権限に対応するものとして、任務が終了した場合に、当該事務に関する管理の計算の義務を負うことになるものと考えられる。」という部分です。それ自体は個別の代理権の付与等であった場合は、そうなるのだろうと思います。ただ、現在の後見相当の場合に今後それでよいかというのは、疑問になるところがあります。個別の代理権等の付与であるといいましても、私が提案しているような包括的なものを想定しないでも、相当多くの項目について個別に、しかも特定されているのではなくて、ある一定期間内の行為が権限として与えられるということだってあり得るわけです。また、そうでない場合でありましても、現在の後見相当の方ですと、法的にはそうではないにしても、保護者が実際上財産を広範に管理することが期待されるし、権限があればそうですし、権限がなくても、そこに目配りするということだってあり得ると思うのです。   その場合に、現在の保佐、補助ですと、基本は本人が行為をする、財産も管理するというものなのですけれども、現在の後見相当の方については事理弁識能力を欠く状況にあるというわけですから、本人による財産管理そのものが期待できないし、本人が財産に目を光らせるということも期待できないのではないか。そうすると、保護者その他の者が不正行為をして財産を減少させるおそれが今よりも随分強い場合が、個別の代理権付与のときでも、出てくることになりかねないのではないかと心配します。そうだとすると、当該項目限りの書類を作ればいいですよねとかということで本当に済むのかなと。最初に全体としてこれだけの財産がこの人にあります、任務終わりました、これだけになっていますということがあった方がいい場合が残ってくるのではないか、というふうな気がしています。全面的だとは言いません。   その上で、資料では25行目以下ですかね、現在の家事事件手続法の124条等の仕組みがあるのだけれども、それで不十分かということが述べられているわけですけれども、これは飽くまで事後的に家庭裁判所が第三者というか別の者を立てて調査をさせるという仕組みでありまして、ほかの者を選任するには時間も掛かるし、手続の面倒もあるし費用も掛かるということになろうかと思われますので、まずは保護者になる者に財産の調査を取りあえずさせて、終わったときには全体として終わってこれだけですというのを出させるというような仕組みも用意しておく方が適当な場面があるのではないかと思います。ただ、ではどこからどう切り分けると言われると、全部個別的な権限付与ですというとなかなか難しいなと思うというのは併せて申し上げておきますが、そのように考えていますというのが一つです。   もう一つは、これは先ほど来おっしゃっているところですけれども、事務処理が終了した人に、任務の終了でもいいのかな、次の新たな代理権付与等について申立てをする義務を認めるかというと、これはやはりないと言うべきだと思います。もしそんな義務があるということになると、結局のところ個別の行為についての権限を与えたということと矛盾することになるので、それは適当ではないと思います。ただ、考える余地があるかなと思うのは、ある時点までは本人のある事務についてその処理をしているということから、本人の生活状況がほかの点でも見える立場にはあるのかもしれないので、追加的な代理権付与の申立権、請求権者に加えるということは考えてもいい、権利はあるとすることは考えられるのではないかと思いました。 ○沖野委員 2点を申し上げたいと思っていたのですが、1点目は今、佐久間委員が御指摘になった点と重なっているのかと思うのですけれども、財産管理関係です。それで、適切な時機に必要な範囲、期間で法定後見制度を利用することを可能にする見直しを行うという場合は、確かに包括的な財産管理権がなくて全財産を調査する権限もないというのが、それが基本になると思うのですが、そういったことが必要になる人や場面というのが全くないのかというのは、また別の問題のようにも思われます。また、権限を特定して行使するにしても、財産の全容を把握した上で、そこからどういうふうにしていくのかという方針決定が必要になる場合もあるように思われます。その場合には逐一財産目録調整人とかを別途選ぶというのも、その必要があるのかというのも気になりまして、このことの意味は、現在のような当然そうなるということではないというのはそのとおりだと思うのですが、それがおよそ排除される、必要に応じて一定程度の包括的な権限を与える場合もあれば、包括的な権限とはいわないのだけれども、しかし全財産の把握はしておく必要があって、そこまでは成年後見人なりの職責としてやってもらうということはあり得ないのだろうか、もちろん包括的な権限は認めないという立場も明らかにされているのは承知しておりますけれども、その場合の包括的なというのがどこまでかということなのですけれども、その余地は残されるという理解でいいのかどうか、私は残す方がいいのではないかと思っております。それが一つです。   もう一つ、少し分からない、ここでは職務と義務ということになっていますけれども、義務は権限と表裏一体をなしているところもあって、財産目録作成だとか財産関係の調査は、調査権限がその反面与えられていて、義務でもあるということになっているかと思います。ですので、権限関係をどうしたらいいのかということで気になっておりますのが、一つは郵便物管理なのですけれども、これは家庭裁判所がチェックをして必要な範囲でということだから、これはこれで結構なのかなと思っております。873条の2の死亡後の相続財産の保全、保存だとか、債務弁済とか、あるいは火葬、埋葬等の関係なのですけれども、この規定もやはり全体的に包括的に、言わば財産管理をしているから、相続人がそういうことができるようになるまでの間、応急の必要な範囲の措置として認められているように思います。これは権限であって義務ではないといえば義務ではないのかもしれないですが、この見直しも必要ではないのだろうかと思います。すみません、もうその議論があったのかもしれず、私は見落としているのかと思うのですけれども、気になったものですから、併せて申し上げました。 ○山野目部会長 沖野委員からお出しいただいた諸点は御意見として受け止めますとともに、最後におっしゃった死後事務の問題を今後に向けてどうするかは部会資料に掲げておりませんで、しかし議論しなくてよいという趣旨ではありませんから、むしろ御意見を伺って進めたいと考えております。何か御意見がありましたら頂きます。先ほどかなりおっしゃっていただきましたけれども、沖野委員におかれて何か追加があったら承ります。 ○沖野委員 これもやはり、かなり包括的に全体の財産を管理しているということとセットではないかと思われます。他方で、しかしこの応急処理的なことを誰かがやらなければいけないという部分もあるので、その部分をどうするかというのは、一方でこの権限を個別に家庭裁判所があらかじめ与えるということはあまり考えられないので、問題として誰かが対応しなければいけないのだけれども、しかし今まではやはり包括的な財産管理等とセットになっていたのではないかと思いますので、少なくとも見直しの契機はあるのではないかと思っております。 ○山野目部会長 よく分かりました。個別に家庭裁判所に付与される運用を素朴に想像したら、少しぎょっとしますよね。あなたの自宅を売却する権限及びあなたの死体の事務を処理する権限、以上を付与しますと告げられたら、本人はこれは何のつもりですかと驚かもしれませんから、そこの在り方を新しい制度のイメージの下で、一番理論的にもすっきりしているし本人をはじめ関係者からも自然に受け止めてもらえるような規律を工夫していかなければいけません。 ○上山委員 医療同意権について2点申し上げたいと思います。   一つは、この医療同意の問題というのは、居所指定であるとか面接交流であるとか、ほかの人格的利益の決定権限にも関わる、恐らくもう少し視野というか領域の広い側面を秘めているのではないかという感想的なものです。   もう一つは、私個人も、今回の改正において少なくとも法定後見制度の中に医療同意権を正面から位置付けるというのは、障害者権利条約との関係性なども踏まえても、難しいかなという率直な思いを持っています。ただその一方で、四半世紀前の改正のときと同じように、単に時期尚早であるという言葉を繰り返してこの問題をペンディングしてしまうというのは、やや無責任ではないかと感じるところがあります。   例えば、任意後見の分野で医療代理人の可能性については検討する余地があるかなとも感じますし、それから、先ほど青木委員から出ましたACPもそうですけれども、少なくとも医療行為の領域について成年後見人がどのように関わるべきかということについては、もう少し議論を重ねた上で結論を出す方が望ましいのではないかと、これも感想かもしれませんが、感じたということを申し上げたいと思います。 ○山野目部会長 御意見を頂きました。医療に関する成年後見人の関わりについて、今般改正でどういう取組をするかという問題については、本日部会資料に論点として掲げておりまして、これまでの議論で青木佳史委員と上山委員から御発言を頂きました。医療同意という4文字熟語を使うと何か議論が非常に険しくなってきて、険しくなった挙げ句、規定を設けることを見送りましょうというお話になってしまいがちなところでありますけれども、お二人の委員から御注意があったように、成年後見人はやはり本人の医療の場面に立ち会っている重要なプレーヤーの一人であります。これまでの議論を確認いたしますと、厚生労働省が出した「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」においても、後見人が同意をするという役割は示していませんけれども、後見人に対して説明をするという局面の重要性を述べていて、またその裏返しとして、後見人はそれを受け止めてチームにおける議論等に参加しなければならないという方向のことも明瞭にされています。あのガイドラインが今一つ医療の現場にきちんと浸透していない憾みがあって、みんなで努力しなければいけませんけれども、ああいうこれまでの議論の経緯の積み重ねを踏まえますと、医療の場面で成年後見人が意見を述べたり助言をしたりする役割というものは、身上保護の一部として、決してそこはゼロではないということは多くの人に賛同してもらえると思いますから、そういう認識を前提に、どういうふうな方向でこれから議論を深めていったらよいかということをまた御議論いただければよろしいのではないかと感じます。   引き続き御意見を承ります。 ○青木委員 先ほどご議論がありました、包括的に財産を調査する必要がある場合もあるのではないかという点につきましては、何度も申し上げて恐縮ですけれども、私が参考資料で提出したシミュレーションのケースBでも想定していますが、例えば虐待事案とかセルフネグレクト事案では、ご本人さんの財産状況が全く分からない中で代理権を付与されて関わっていくということがあります。そういう場合には一旦は、預貯金、不動産、保険、有価証券その他、主立った財産に関する代理権を付与していただいて、その代理権に基づいて財産調査をする。郵便物の転送についても許可ももらった上で郵便物を確認するということがあれば、1年もすれば本人の財産状況は概ね明らかになると思います。   その段階で、実は不動産なんか持っていません、有価証券も持っていませんということになれば、では代理権の範囲としては、預貯金と、それから保険だけでいいですねとなれば、それ以外のものを終了させればいいわけです。そういった形で大体のところは見当が付くわけです。このように、代理権を多めに付与していただいた上で、必要性がなくなった場合には終了させるという扱いで十分に対応が可能だと思っていまして、それ以上に、特別の包括的な権限を与える必要がある場合ということは、よほど例外的な事案ではないかと思っています。 ○山野目部会長 今の青木委員のお話は分かりましたけれども、でも佐久間委員、沖野委員がおっしゃったこととそれほど隔たりはないような気もします。 ○青木委員 包括的な権限とおっしゃるので、それは包括的な権限ではなくても個別に、多めに代理権を当初は付けることによって、ご心配の自体は十分解消できる、ということを申し上げたかったということになります。 ○佐久間委員 財産調査には、後見人等がきちんと職務をしているかということの確認も、機能としてはあると思うのです。今、青木委員がおっしゃったのは、保護者が入る前の本人の状況において、何か本人の周囲の人がよからぬことをしている、するのではないかという場面だと思うのです。その場面はそれで行けるかもしれませんけれども、保護者が権限自体はそれほど大きく握っていないのだけれども、本人が事理弁識能力を欠く常況にあるから本人の財産についてアクセスを非常にしやすい状況になっていると、その場面は今おっしゃった考え方では対応できないのではないか、できないおそれがあるのではないかと思いますので、おっしゃった場面についての異論は特にありませんけれども、ほかにもあり得るのではないかというのが私の先ほど申し上げた意見です。 ○山野目部会長 今のところの両委員の意見の対比は明らかになったと受け止めますから、それでは、山城幹事、次に星野委員の順番でお尋ねします。 ○山城幹事 部会資料からは少し外在的な発言になるかもしれず、また以前にも申し上げたかもしれないのですが、代理に関する考え方が変わることになりますと、859条の定め方についても見直しが必要になってくるだろうと感じております。   部会資料の24ページでは、858条の関係で、後見の事務というのは法律行為を指すという考え方が示されていますけれども、他方で、859条は、財産に関する法律行為について被後見人を代表するとなっています。そうしますと、858条は生活、療養看護及び財産の管理に関する法律行為を対象とするのに対して、859条は財産に関する法律行為のみについて定めていることとなりそうです。この点については、858条に挙げられる行為も財産に関わるから代理の対象となるのだという解釈論的な対応がされてきたのだと理解しております。しかし、この点については、既に2000年の段階で、廣中俊雄先生が、隣地で工事を行っていて騒音が出るので、その施工する時間帯を限ってほしいという合意を後見人が本人に代わってするような事例を指摘し、財産に関する法律行為だけが代理の対象になるわけではないから、859条の定式では不十分だとする疑問を示しておられます。廣中先生が問題とされた合意が契約なのかという問題はあるかもしれませんが、いずれにしても、859条が財産に関する法律行為とする点については、そのような形で限定することが適切かという問題が残るかと思います。このことは、先ほど上山委員が医療同意について御指摘になられた問題とも関わっているだろうと思います。 ○星野委員 この会議で発言するかどうか少し迷うのですが、取りあえず、身上配慮義務のところの意思決定支援のところ、それから医療行為の同意のところ、いずれもガイドラインが確かに示されているのですが、ガイドラインで止まっているところが私は課題だと思っていて、もし民法の中にこれらについての整理をして規定をするとしたら、社会福祉法なのか別の法律か分かりませんが、やはり何らかのところで、例えば意思決定支援については、これまでも出ているように後見人だけではなくて関わる全ての人が意思決定支援に取り組む義務のようなものをどこかで規定した上で、民法の中でそれをどうするのかというところにもなると思っています。それから医療行為の同意のところにつきましても、ガイドラインだけではなくまた民法ではない別の法律で定めるということの必要性も含めて厚生労働省等で検討いただくことをしなければ、民法だけの改正では実現できないということを、この場で言うことではないのかもしれないのですが、少し発言しておきたいと思って手を挙げました。 ○山野目部会長 お話を承りました。   ほかになければ先に進みますけれども、よいですか。   山下幹事のお話を伺って、あと段々に、監督のところまで今日させていただければと思います。 ○山下幹事 青木委員と佐久間委員の御発言に一つずつ御指摘というか、まず一つ目は、青木委員の後見人が包括的な権限を持って調査をするという必要性がある場合があるというのは、おっしゃるとおりだと思ったのですが、その場合、もしその後でその権限を縮小していくというのであれば、むしろその調査権限のみを与えるという形の選択肢もあって、ある事項についての代理権という形の漠然としたものではなくて、包括的な財産についての調査権限というようなものを与えるという制度を別個用意するという方法もあり得るのではないかと思ったというのが一つ目です。   もう一つは、佐久間委員のお話で、むしろ後見人の職務について不正が行われたのを監視するためにも、目録を全体について作らせる必要性があるのではないかというような御指摘があったかと理解したのですが、後見人の職務の不正を監視するという観点からすると、後見人に目録を作らせるということよりも、やはりその周囲の人間が監視するという必要性がどうしても出てくるかと思いますので、そこはやはり分けて考えるべきではないかと。後見人にその目録を全体について調査をさせて出させるというよりは、怪しい事案、問題がある場合について、やはり別個、調査権限を持つ人を選任して調査をさせる等の必要性があるのではないかと思ったという次第です。 ○山野目部会長 山下幹事がおっしゃってくださった1点目に関わりますけれども、財産管理の管理という言葉を使った途端に、管理という言葉が多義的で、その権限を後見人に与えますと言うと、どこまで後見人ができる、あるいはしなければならないかがはっきりしなくなってきますね。今、山下幹事から調査をするという権限は認めましょうと、それは理由があることではないですかという、かなり輪郭を明瞭にする努力の一つのヒントを頂き、有り難いと感じます。これもまたヒントにして次の検討に進めていくということにいたしましょう。   大体この職務と義務のところはよろしいでしょうか。   そうしましたら、部会資料のその続きですけれども、第3の監督の部分について事務当局から説明を差し上げます。 ○山田関係官 部会資料8、29ページから第3の「2 成年後見人等の監督」について御説明いたします。   成年後見人等の監督については、主に監督の主体、監督の具体的内容について御議論いただきたいと考えております。まず、30ページの3、監督の主体についてです。部会での意見を踏まえますと、一定の法律行為を目的として成年後見人等が選任される場合であっても、成年後見人等を選任し、解任する家庭裁判所がその監督を担うことが相当と考えられますが、この点について引き続き御議論いただきたいと考えております。  また、30ページの4、監督の具体的内容では、成年後見人等の権限の範囲との関係で、監督の対象をどのように考えるかを中心に御議論いただきたいと考えております。 ○山野目部会長 ただいま説明を差し上げた部分について御意見を承ります。 ○小澤委員 第4回でも述べましたけれども、監督を行う主体について、監督権は後見人等の選任、解任と結び付いてこそ効果を発揮するものと考えておりますので、引き続き家庭裁判所が担うことが適切だと考えております。   ただ、家庭裁判所以外でも監督事務の経験を経たことのある個人若しくは一定の体制を整えている法人や団体などについては、成年後見監督人などを担う機関とすることができるのではないかとも考えています。具体的には一定の組織、体制などを有する法人を成年後見監督人に選任する、若しくはそういった組織、体制などを有する法人の事実上の監督を活用するといった方法が考えられるという意見を持っています。 ○佐久間委員 この監督とされているところで、私は現状を変える必要はないと思っているのですけれども、変える必要がある、変えることが望ましいと思われている方が何をどう考えておられるのかを少し理解しかねています。というのは、現状は事務の監督なのですね。そうであるところ、漠としているのは、これは書き方だけの問題かもしれませんが、成年後見人等の監督という、何か人の監督みたいな見出しが振ってあります。見出しの振り方が悪いというわけではなくて、どうも私は現状補助、保佐であってもその事務の監督ということで家庭裁判所が監督を担うということで不都合が生じていないし、監督の対象は事務なのだから、目的が権限行使に対してのみということになっているのではないか、それで不都合はないのではないかと思っていました。けれども、そうではなくて、事務処理を契機とした保護者の振る舞い全体について監督を及ぼすべきだということがここで考えようとされていることなのかどうか。もしそうだとすると、そこまでのことをするのはどうしてか疑問に思いますし、そうでないのならば、事務の監督ではなくて、この局面での監督の対象がはっきりしたらいいなと思っています。 ○山野目部会長 どなたに対するお尋ねであるか分かりませんけれども、しかし佐久間委員がおっしゃった観点は大事ですから、私が翻訳をして委員、幹事にお声掛けを致します。二つに分けてお声掛けをすると、一つは、家庭裁判所が監督の権限を行使するという現在の在り方を改めて、別なところが監督すべきだという御意見をお持ちの方がおられますか。私の見るところ、その方はいないと見受けています。   それからもう1点は、家庭裁判所は何を監督するかというと、それは佐久間委員がきれいに整理されたように、事務を監督すると思われますし、それと異なる理解をしている委員、幹事はいないだろうと想像しつつ、ただし、この2点目は割とそこの意識が、注意されてみると少し曖昧だったね、やや痛いな、という気分になる人はいるような気がします。どうだろうなという辺りが委員、幹事の今までの議論の雰囲気の平均ではないでしょうか。私が勝手に整理してお声掛けをしましたが、いや、その二つのうちの双方又は一方は違うよというような、あるいはその他の何かの意見があったら、それを頂くという仕方で議論を進めましょうか。いかがでしょうか。 ○星野委員 第二次基本計画の中で監督の在り方が問題になってきたのは、財産管理の監督に偏っているという指摘があったとは思うのです。では身上配慮、身上保護とか、例えば意思決定支援のところとかという監督をどう考えていくのかというような議論はあって、だから2番目の方ですよね、事務の中身というところの問題の指摘はあって、ただ、それを法律の規定にするのかどうかはよく分からないところですが、そういう指摘はあったとは個人的には考えています。 ○山野目部会長 よく分かりました。   ほかにいかがでしょうか。 ○青木委員 私はいずれについてもそのような考えは持っていませんが、私が一読目で申し上げましたのは、この間の利用促進専門家会議での議論では、裁判所の役割は監督ということで違法性の監督にあり、そこに役割を限定するような枠組みを作り、一方で、そうでない後見人が職務を頑張れるような助言とか指導については福祉行政機関に役割をお願いをしたいと、そういう議論がなされているわけです。しかし、実際には、親族後見人を中心として、裁判所が適切に後見人へ助言や指導することによって後見人が適切な職務を行っていただくことによって、本人の権利が守られるということは大いにあり得ることで、家庭裁判所には、本来、後見的機能、司法福祉の機能を持っているはずで、ご本人が自ら後見人をコントロールできない分、裁判所が本人に代わって後見人に助言、指導していただく役割があるということを、家裁の監督機能として是非入れていただきたいということで、それは監督に関する規定ぶりを変えるという議論ではないと思っていますけれども、その点を申し上げたということですし、今回も改めて強調しておきたいと思っています。 ○山野目部会長 お話を頂きました。   引き続き伺っておきます。いかがでしょうか。   そうしますと、佐久間委員に御注意いただいたことは、いずれもごもっともだと受け止めた上で、宿題として残る論点を確かめておきましょう。家庭裁判所がする監督は成年後見人の事務の監督です、ということは、皆さんそういうふうに理解していて、ただし、そこで述べられている事務というものの範囲については、現在でも少し幅のある理解とか運用がされているきらいがあるし、今後、法定後見制度を見直していく中で、新しい姿を前提にしたときの事務の監督というものはどうなのですかということが、運用の次元のことも含めて、今後もまた課題であり続けるというお話を今日頂いたと受け止めてよろしいでしょうか。   ありがとうございます。ここまでのところで部会資料8の、若干残っている部分がありますけれども、お尋ねをしましょう。久保委員は所用により離席なさったでしょうか。花俣委員にまずお声掛けをします。   花俣委員におかれては、今日をずっと振り返って、この時刻までお付き合いいただいていますけれども、お感じになったことを、それほど制約なくお述べいただきたいと望みます。 ○花俣委員 難しかったですね、今日は本当に。一読目よりも更に深いところの議論になったので、我々素人にはもう頭の中が整理が付かない状態だったというのが率直な感想です。あと、今の議論の中では医療同意の話も出ていましたし、これは先ほどの交代のところとも関連していると思うのですけれども、専門職の後見人がもろもろ難しい問題を片付けてくださった後に、市民後見人に交代してもらう、そういう運用面での改善が少しずつ進んできている中、後見人に医療同意権などが付与された場合、市民後見人の皆様にはあまりにも荷が重すぎるのではないのかということが危惧されますので、ここは慎重にしていただきたいというのが1点あります。   それから、ACPについては以前より医療サイドから動画を作りました、研修していますという触れ込みはあるのですけれども、一向に進んでいるという実感がないところなので、今後の独居高齢者の増加と身寄り問題というところで、もう少しきちんとした進め方なりを検討していただくことも必要かと思いました。   それから、郵便物の転送の話が出ていましたが、民法では随分古い条文などが残っていて、当時の社会背景と今とは随分変わっていると思います。郵便物だけではなくて、最近はスマホ等を使っているところでいろいろな買物ができたり取引ができたりする時代に、そういったものに対して、この制度はどうやって機能していくのかというのを単純に素人の疑問として持った次第です。今日も最後までつまらない意見で申し訳ないのですが御容赦いただければと思います。 ○山野目部会長 つまらない意見ではなくて、現在、社会福祉の現場で悩ましく議論されている問題の一つに日常的な金銭管理があり、その話の中心は預貯金取引でしょう、という議論までは皆さん共通にしますが、預貯金取引というものを何となく伝統的な、銀行の窓口にお年寄りが歩いていって、そこでやり取りをするというイメージでばかり考えてしまいがちです。実際は福祉の現場では、キャッシュレスというか非現金取引を自宅からコンピューターを操作しても可能ですし、その比重は特に成年被後見人でなくても我々自身も日々増加してきていて、その局面についての日常生活に関する行為とかという概念をどういうふうに理解して運用していくかは、かなり深刻な問題になりつつあります。ここで得られる法定後見制度の見直しの成果も踏まえ、そのような現代的な決済に対して成年後見制度がどう向き合うかということもその先に大きな宿題として控えているということは、今の花俣委員のお話を受け止めて、改めて確認されなければなりません。どうもありがとうございます。   本日の議事について整理を致します。本日、部会資料8の最初のところから御審議を頂きました。皆様に熱心な御討議をしていただいたお陰をもちまして、かなり審議が進みました。部会資料8の最後の部分、第3の3、報酬のところのみ残すということを本日の議事の扱いといたします。   この扱いを前提として、次回の部会会議について波多野幹事から案内を差し上げます。お願いします。 ○波多野幹事 本日も長時間にわたりまして御審議賜り、ありがとうございました。   次回の議事日程について御説明いたします。次回の日程は令和6年12月24日、火曜日午後1時30分から午後5時30分までを予定しています。場所はこの地下1階、大会議室でございます。   次回は、新たに部会資料を御準備いたしまして、法定後見制度に関するその他の検討等、任意後見も入っているものでございますが、それらの二読目の御議論をお願いしたいと考えております。 ○山野目部会長 次回は12月24日が会議日でございまして、皆様それぞれお近くの方々と和やかなひとときを過ごされる予定もあったかもしれませんから、恐縮でございますが、次回審議も何とぞ御協力を賜りますようお願いいたします。   部会の運営につきまして何か御意見お尋ねがありましたら承りますが、いかがでしょうか。   よろしいですか。   それでは、本日もありがとうございます。これをもちまして民法(成年後見等関係)部会第11回会議を散会といたします。どうもありがとうございました。 -了-