法制審議会 商法(船荷証券等関係)部会 第15回会議 議事録 第1 日 時  令和6年7月24日(水)自 午後1時30分                     至 午後4時03分 第2 場 所  東京地方検察庁 会議室 第3 議 題  商法(船荷証券等関係)等の改正に関する要綱案のたたき台 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○藤田部会長 予定した時刻になりましたので、法制審議会商法(船荷証券等関係)部会の第15回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日は内野委員、箱井委員、家原幹事、松井幹事、山本幹事は御欠席と伺っております。猪俣委員、北澤委員、洲崎委員、竹内委員、山口委員、久保田幹事、小出幹事、竹林幹事はウェブで参加されると伺っております。   委員、幹事の交代がありましたので、報告させていただきます。新たに田中委員、内野委員、小林幹事が就任されました。   田中委員におかれましては、簡単な自己紹介をお願いいたします。その場でお名前と御所属の御紹介をお願いいたします。 (委員等の自己紹介につき省略) ○藤田部会長 よろしくお願いいたします。   それでは、開始いたします。まず、前回に引き続き、本日はウェブ会議の方法を併用して議事を進めたいと思いますので、ウェブ会議に関する注意事項を事務当局に説明していただきます。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。前回までの部会と同様のお願いとなりますが、念のため改めて御案内させていただければと思います。まず、ウェブ会議を通じて参加されている皆様につきましては、御発言される際を除き、マイク機能をオフにしていただきますよう御協力をお願い申し上げます。御質問がある場合や審議において御発言される場合は、画面に表示されている手を挙げる機能をお使いいただければと思います。   なお、会議室での御参加、ウェブ会議での御参加を問わず、御発言の際はお名前をおっしゃってから御発言いただきますようお願い申し上げます。ウェブ会議の方法で出席されている方々にはこちらの会議室の様子が伝わりにくいため、会議室にお集まりの方々には御留意いただければと思ってございます。 ○藤田部会長 次に、本日の審議に入ります前に配布資料の説明をしていただきます。事務当局からお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。配布資料について御説明いたします。今回配布した資料は、部会資料15「商法(船荷証券等関係)等の改正に関する要綱案のたたき台」の1点でございます。後ほどの審議で事務当局から御説明をさせていただきます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。   それでは、本日の審議に入りたいと思います。まず、部会資料15について事務当局から御説明をお願いいたします。 ○原関係官 それでは、法務省の原から今回の部会資料について御説明をさせていただきます。まず、今回の部会資料の構成でございますが、資料中のゴシック体のものが要綱案となります。その上で、各要綱案の後ろに補足説明を入れさせていただいております。なお、本日の御説明に当たりましては、現在の要綱案について中間試案から変更された点などを中心に御説明させていただきたいと考えております。   それでは、各要綱案について順に御説明させていただきますが、1ページ目の第1部の第1は、電子船荷証券記録及びこれに関する基本的な概念についての規律となります。このうち第1の1項は、電子化された船荷証券の名称を電子船荷証券記録とし、その要件として三つの要件を求めることとしております。具体的には、一つ目の要件として、船荷証券に記載すべき事項が記録された電磁的記録であること、二つ目の要件として、特定情報処理システムにおいて作成され及び管理されたものであること、三つ目の要件として、当該電磁的記録が改変されているかどうかを確認することができる措置そのほかの当該電磁的記録が運送人又は船長の作成に係るものであることを確実に示すことができる措置がとられていることです。なお、この三つ目の要件は一言で言うと、署名又は記名押印に代わる措置がとられていることを意味しておりますが、これら三つの要件を求め、これらの要件を定義規定の中に盛り込んでおります。   このうち二つ目の要件である特定情報処理システムにつきましては、これまでシステムなどと呼んでいたものとなりますが、その定義規定を第1の2項に設けており、その要件として、こちらも三つの要件を求めることとしております。具体的には、一つ目の要件として、電子船荷証券記録を作成し及び管理するために用いられるものであること、二つ目の要件として、電子船荷証券記録の支配及び提供に係る事項を適正かつ確実に行うこと、三つ目の要件として、必要な技術的措置がとられていることを求めることとしております。   まず、一つ目の要件についてですが、こちらは電子船荷証券記録を作成し及び管理するために用いられていることとしておりますが、これは必ずしもそれ専用のシステムである必要はなく、汎用性があるものであってもこの要件を満たすものと考えております。   また、二つ目の要件についてですが、こちらは電子船荷証券記録の利用に関して最も本質的な要素は、電子船荷証券記録の支配と提供であると考えられるため、電子船荷証券記録の支配及び管理に係る事項を適正かつ確実に行うこと、という要件を設けることとしております。   次に、三つ目の要件である必要な技術的措置についてですが、こちらはその具体的な内容については法務省令に委任することを想定しており、これまでにも皆様に御審議いただいてきました電子船荷証券記録の効力を有する電磁的記録を識別する措置や、情報が変更、消去された場合にその履歴を記録・保存する措置については、必要な技術的措置の一内容として法務省令で定めることを想定しております。   なお、本日はこれまでの御議論においていまだ結論が出ていない論点であるものと認識しておりますが、必要な技術的措置の一内容として一般的な信頼性の要件を含めるかどうかについても御審議いただきたいと考えております。これまでにもこの一般的な信頼性の要件については御議論いただいてきたところではございますが、この要件を特定情報処理システムの要件に含めることのメリットとしましては、MLETR等の国際的な潮流と整合する規律とすることができ、国際的に日本だけがこの要件を設けていないといった事態を回避することが考えられます。他方で、この一般的信頼性の要件を認めた場合のデメリットとしては、仮に取引が問題なく進んでいたとしても、信頼性があるかないかが無用に争点化され、取引の安全が害される可能性が懸念されるところでございます。   そこで、このようなメリット、デメリットを踏まえた一つの考え方としまして、今回、国際的な調和を重視した規律とするために、この一般的信頼性の要件を法務省令において定めることを部会資料の4ページ目の補足説明において御提案させていただいております。このように法務省令に委任することとすれば、仮に今後この要件をめぐって問題が頻発するような事態が生じたとしても、法務省令を削除するなどの必要な形に改正することで機動的に対処することが可能となるため、まずは国際的な調和のとれる立法を目指すという観点から、一般的信頼性の要件を技術的措置の一内容として法務省令で定めることを考えております。   次に、第1の3項ですが、こちらは電子船荷証券記録の支配に関する規律となります。こちらはこれまで御審議いただいてきましたとおり、船荷証券の占有又は所持に代わる概念として電子船荷証券記録の支配という概念を設けることとし、その基本的な要件として、特定情報処理システムにおいて、特定の者のみが、これは排他性を明らかにするものですが、そのような特定の者のみが電子船荷証券記録上の権利を有する者として当該電子船荷証券記録を利用することができる状態にあることを求めており、定義規定の中でその旨を明らかにしております。   なお、ここでは実際に電子船荷証券記録上の権利を有するか否かという点は問題ではなく、特定情報処理システムの中でそのような利用が事実上ないし設計上認められているか否かが問題となるものですので、このような定義の仕方であれば、法規範としての「支配」の有無を客観的に判断することが可能となるものと考えております。   続いて、この支配について、これまで御審議いただいた内容からの変更点についてですが、従前は「特定の者のみが」という部分を電子船荷証券記録の提供に関する規律の中に設けておりましたところ、支配について、先ほど申し上げたとおり、電子船荷証券記録を排他的に利用することができる状態にあるという点をより明確にするため、「特定の者のみが」を支配の定義規定の中で用いることとしております。   また、細かい点とはなりますが、従前、運送品の引渡しに係る権利としていたものを、運送品に係る権利に変更しております。こちらは法制上の問題とはなりますが、係るという用語を用いる以上、引渡しといった具体的な用語は使えないということや、引渡しに係る権利とすると、運送品の滅失等に起因する損害賠償請求権が含まれなくなることが懸念されるため、運送品に係る権利としております。   なお、このような表現とした場合、運送品の引渡しに係る債権と損害賠償請求権という二つの権利とは異なる権利もこの中に含まれてくると解される可能性も考えられるところではございますが、この点は飽くまで運送品に係る権利とは、船荷証券に表象された権利と同一のもの、すなわち運送品の引渡しに係る債権と損害賠償請求権であるという解釈をとることを想定しております。   続いて、第1の4項ですが、こちらは電子船荷証券記録の提供に関する規律であり、船荷証券の交付又は引渡しに代わる概念として、電子船荷証券記録の提供という概念を設けることとしております。そして、船荷証券の交付又は引渡しは、その占有又は所持に係る事実状態を他者に移転する行為を意味しますことから、船荷証券の占有又は所持に代わる電子船荷証券記録の支配という事実状態を他者に移転する行為を電子船荷証券記録の提供とすることとし、この点を定義規定の中で明らかにしております。   なお、中間試案では支配の移転と表現しておりましたが、こちらも法制上の問題ではございますが、支配を利用することができる状態にあることと定義する以上、状態にあることを移転するなどというのは日本語として不適当と考えられますことから、こちらは電子記録債権法において電磁的記録の提供などと提供の用語が用いられていることなどを参考として、電子船荷証券記録の提供という表現をとらせていただいております。   また、従前、電子船荷証券記録を支配する者のことを、支配を有する者や支配をする者などと表現しておりましたが、この点についても、支配を利用することができる状態にあることと定義する以上、支配を有する者や支配をする者と表現するのはやはり日本語として不適当であると考えられることから、電子船荷証券記録を支配する者のことを、電子船荷証券記録の支配に係る権限を有する者とすることとし、3項の支配の定義規定を踏まえた表現に修正しております。   なお、ここでいう権限とは、電子船荷証券記録を支配する者であれば当然に有することとなる権限を指すものであり、支配における正当な法律上の原因といったものを指すものではございません。したがって、支配に係る権限を有する者とは、飽くまで電子船荷証券記録を利用することができる地位にあることという事実状態を指す概念であるものと整理しております。   次に、第1の5項は、電子裏書に関する定義規定であり、第1の1項と同様、署名又は記名押印に代わる措置の表現ぶりが若干変わっておりますが、これまで御審議いただいた内容を変更するものではございません。   続きまして、資料8ページ目の第2ですが、こちらは船荷証券の交付に代わる電子船荷証券記録の提供に関する規律であり、資料9ページ目の第3は、電子船荷証券記録の記録事項等に関する規律となります。こちらの変更点としましては、第2の2項と第3の2項について、いずれも主語を前にした上で、「~できる」として簡潔な表現としておりますが、これまで御審議いただいた内容を変更するものではございません。   続いて、資料10ページ目の第4は、債権譲渡の特則に関する規律となります。こちらもこれまで御審議いただいた内容を踏まえて、権利を譲渡する場合には、電子船荷証券記録そのものを対象とするのではなく、電子船荷証券記録上の権利を対象とすることとしております。その上で、1項と2項につきましては、これまで御審議いただいた内容を変更するものではございませんが、3項については若干の変更をしております。   こちらは従前、手形法12条1項と同様の規律を設けるため、条件を付した電子裏書は、これを記録していないものとみなす、つまり無条件とする旨の規律とすることを考えておりましたが、今回、無条件とする対象を電子裏書ではなく、権利の譲渡ないし質権の設定という法律行為に変更しております。これは、譲渡等の対象を電子船荷証券記録上の権利とした上で、債権譲渡の特則を定めることとし、電子裏書をそのような債権譲渡という法律行為を補完するための事実上の行為をいうものとした以上、そのような事実上の行為を有効、無効とすることに意味はないと考えられますことから、無条件とする対象を法律行為に変更したものとなります。   また、4項につきましては、一部裏書を無効とする旨の規定である手形法12条2項に相当する規律を設けるものでございます。こちらは従前、電子船荷証券記録を分割して、その一部のみを電子裏書とすることはできないため、この手形法12条2項に相当する規律を設ける必要はないものと整理しておりましたが、改めて考えてみますと、電子船荷証券記録を分割せずとも、運送品の引渡しに係る債権のうちの一部を譲渡するといった電子裏書をすること自体はシステム上不可能ではなく、その場合には残部に関する権利関係が不明確となりますことから、手形法12条2項に相当する規律を設けるものとなります。なお、その対象を電子裏書ではなく権利の譲渡等の法律行為としている点につきましては、先ほど3項の御説明の際に述べた理由と同じでございます。   続きまして、13ページ目の第5ですが、こちらは電子裏書の特例として白地式電子裏書に関する規律を設けるものであり、白地式裏書に関する手形法13条や14条の規律を電子船荷証券記録に及ぼすものとなりますが、こちらも中間試案の内容を変更するものではございません。   次に、16ページ目の第6ですが、こちらは運送品の引渡し請求に関する規律であり、商法764条に相当する規律となります。こちらにつきましても、これまで御審議いただいた内容を変更するものではございませんが、1点、引換えの対象について、従前、支配の移転や消去ができないようにする措置などとしていたものを、分かりやすく端的に、利用することができないようにする措置としております。   次に、17ページ目の第7ですが、こちらは商法及び民法の規定を準用する又はこれらの規定と同様の規律を設ける等の所要の整備を行うことを記載したものであり、これまで御審議いただいた内容を変更するものではございません。なお、準用されないものとしましては、例えば、補足説明にも書かせていただいておりますとおり、商法765条から767条までの複数通発行に関する規定や、民法520条の8の弁済の場所に関する規定、民法520条の11及び12の有価証券の喪失に関する規定などを想定しており、これまでの御議論の中でも特段御異論はみられなかったものと認識しております。   次に、19ページ目の第8ですが、こちらは転換に関する規律となります。こちらも若干表現ぶりは変わっておりますが、基本的な建付けはこれまで御審議いただいた内容と変わってはおりません。若干の変更点としましては、従前は1、2の(1)の括弧書き内を指図式という形で記載しておりましたが、それでは裏書のできる記名式の電子船荷証券記録が除外されることとなるため、これを含めるために記載し直しています。また、(1)の4行目の荷受人とあるのは、荷送人又は荷受人に対する裏書がされることなく荷受人に船荷証券の占有ないし電子船荷証券記録の支配が移り、そのような荷受人が裏書する前に転換を受けること、これ自体は理論的にあり得るものと考えられることから、荷受人を追加して、荷送人又は荷受人としております。また、(1)の本文において転換することができると表記しておりますが、これは従前、転換という用語を規律の見出しでしか用いていなかったところ、転換という用語を用いる以上は規律の本文の中においても用いる必要があるとの観点から、表記したものとなります。次に、(2)の裏書がされる前であるときを除くという点も追加しておりますが、こちらは、裏書がされていないにもかかわらず裏書があるものとみなすことに何ら意味はございませんので、そのような場合を除外したものとなります。   次に、20ページ目の第9ですが、こちらは電子船荷証券記録の提供請求権に関する規律でございます。こちらは、これまで御審議いただいた内容を踏まえて、紙の船荷証券について成立し得る返還請求権に相当する提供請求権を規律するとともに、電子船荷証券記録上の権利に対する強制執行がされた場合における債権者に電子船荷証券記録の提供請求権を認めることとしております。   以上が第1部の御説明になります。   続いて、24ページ目の第2部ですが、こちらはそのほかの規定の見直しについてです。第1は、複合運送証券に関する規定についての見直しとなりますが、こちらは資料に記載している規律を設けた上で、そのほかに電子船荷証券記録と同様の規律を設けることを想定しております。   また、第2は倉荷証券に関する規定についての見直しとなりますが、こちらも電子化された倉荷証券を認め、電子船荷証券記録と同様の規律を設けることを想定しております。なお、(注)でも書かせていただいておりますが、倉荷証券の再交付について定める商法608条に相当する規律につきましては、これを一旦設けないものとすることも考えられますが、これまでの御議論によれば、いずれであっても特段問題はないものと考えられますことから、この点については国際的な動向等にも注視しつつ、引き続き検討してまいります。   第3は、その他の所要の整備についてです。補足説明の1は、海上運送状について規定する商法770条3項が、荷送人等の承諾の方式について法務省令に委任し、法務省令において承諾の方式が具体的に定められているところ、MLETRでは黙示の承諾でもよいとされていることをも踏まえて、国際的な調和を重視するという観点から、承諾の方式に関する法務省令を除外することを想定しております。   また、補足説明の2は、運送品が一部滅失等した場合の通知に関する国際海上物品運送法7条1項において、既存の書面による通知に加えて電磁的な方法による通知を追加することを考えております。   そのほか、船荷証券を明示的に規定する商法や国際海上物品運送法等の規定について、船荷証券と併記する形で電子船荷証券記録を追加する、記載、交付といった用語に記録、提供といった用語を追加するなどの所要の整備を行うことを想定しております。   以上、簡単ではございますが、事務当局からの部会資料の説明となります。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。今、事務当局から部会資料15全体について御説明がありました。   本日は、まず部会資料15の第1部第1、つまり1ページから7ページに関して議論したいと思います。この部分について、どなたでも御意見、御質問等を頂ければと思います。どうかよろしくお願いいたします。 ○新谷幹事 今回頂いたこの要綱案のたたき台につきましては、トレードワルツ及びそのほかに1社、こういった電子B/Lのサービスを計画している会社があり、その2社に私から、今の第1部の第1のところ、特にこの技術的なところ、たとえば信頼性の要件などについて説明をしました。今までも随時説明はしてきており、特に大きな反対などはなく、今回の説明についても今までの流れに沿ったものだという前提で説明を行ったものです。結論的には、特に反対はなく、この方向で良いというような感触を2社から得ています。   法案要綱の方はそのようなことで、特に意見等はないのですけれども、省令案に関しましては、やはり細かくなってきますと、これが具体的に何を指すのかという質問が結構ありました。私は事前にお伺いしていたこともあって、一定程度答えてはおりますが、省令案につきましては、システム技術者の人たちと直接やり取りをするような機会があると、お互いが何を言おうとしているかというところで理解が進んで、良いのではないかと思った次第です。   例えば、私も当初、ぱっと見たときに思ったのですけれども、4ページの下の方に法務省令案があります。技術的措置に関する規定で、例えばここで出たのが、2の電子船荷証券記録に記録された情報で、この括弧内のところですね、(通信、保存及び表示の通常の過程において生ずる変更又は消去に係る情報を除く)というときに、この括弧内の記載とは具体的には何なのかと、どういう場合をいうのかというようなことは2社とも質問がありました。この点については、渡辺幹事には事前にお伺いしていたこともあって、いわゆる瑣末な情報であって、アクセスのログであるとか、一時保存のドラフトとか、こういったものだということを説明したわけなのですけれども、このような点で幾つか、これは具体的に何か、というような質問があったものです。こうしたことを踏まえますと、初めて電子B/Lシステムを作る人たちが相手でもあり、また法律も初めて電子B/Lについて規定するわけでもありますので、直接のやり取りがある程度あると、理解が促進できるのではないかと思った次第です。 ○藤田部会長 事務当局から御返答をお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘いただきましてありがとうございました。要綱案そのものにつきましては、ある程度抽象的な形になってございますので、それがまとまりましたら、部会という形では一旦終了ということにはなろうかと思いますけれども、いずれにしても、法律案が制定されましたら省令をまた改めて作っていくということになろうかと思っておりまして、実際に省令をどのように立案していくかというところにつきましては、様々な方々と、こういう部会という形ではないかもしれませんけれども、意見交換をしたり、我々の方でヒアリングをさせていただいたりということは十分にあり得ることだろうと思っておりますし、そういったところでやり取りをした内容につきましては、何らかの形で我々の方で解説を書くとか、そういったところを通じて安心して使っていただけるような形にしていくということは非常に重要なことだと思っておりますので、ここでの部会での御議論とはまた別に、省令につきましてもいろいろな場で検討するという機会は設けていきたいと思っているところでございます。ありがとうございました。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。   それでは、そのほかどの点でも、御意見等はございますでしょうか。 ○池山委員 池山でございます。この第1のところについては、一番理論的に難しいところをここまで整理していただくことには大変な御苦労があったと思いますし、改めて感謝申し上げます。総じて言うと、特にこの特定情報システムという概念を入れることによって、かなり違和感が小さくなっているかと思います。中間試案の段階では、飽くまでも全てが電子船荷証券記録の要件だと書いてあったところから、実際読んでみるとどうにも違和感があったところが多々ありました。実際、中間試案に対するパブリックコメントでも、私の推薦母体の団体は、これはシステムの要件なのではないか、みたいなことを申し上げていた記憶があります。今回は特定情報システムというのを入れて、その要件という形でいろいろなことを書くことによって、かなりすっきりしたものになったなというのが大きな感想です。改めて感謝申し上げます。   その上でなのですけれども、こういう形でまとめるには政府部内で相当な御苦労があったかと思いますし、確かに法制上の問題にすぎないという点は多々あるかと思いますけれども、やはりこういう審議の場が与えられる限りは、意見を申し上げるのが義務かと思いますので、ある種要望若しくはお願いとして何点か申し上げたいと思っております。  要するにそれは、支配という言葉の定義、それから支配の移転という言葉を使わないで提供という言葉を使うこと、それから支配する者という概念を使わないことという、この言葉の使い方です。所詮は言葉の使い方ですから、法制上の問題かもしれませんが。   まずは最初の支配という概念の定義の書き方ですけれども、権利を有する者として記録を利用することができる状態にあるという定義の仕方になっております。ただ、補足説明の説明は、権利を有する者としてということであって、実際に権利を有する者かどうかとは関係ないということなのですけれども、やはり実務の側としては、紙のB/Lと比較してみると、要するにこの支配というのは紙の船荷証券の所持あるいは占有と同じだということだと、そうすると、あえて支配をする者とどうしても使ってしまいますが、所持をする者に相当する、支配をする者ができることというのは、仮に裏書の連続とかがない、本当に権利がないというよりは権利推定も働かない人であれば、その占有を移転することしかできないわけですよね。今回でいうと、支配の移転をすることしかできない、もし提供という言葉を使うのであれば、他の人に提供することしかできないという関係性にあります。そのときに、記録を利用することができる状態と果たしていえるのかという議論はあると思います。具体例を出して恐縮ですけれども、確かボレロなどだとホルダーという概念を彼らとして作っていて、ホルダーということそれ自体でできるのは、ホルダーの地位を他に移すだけだと。だから紙のB/Lであれば、紙をただ持っている人でいえば、ほかの人に占有を移すこと、それしかできないと。元々占有者、支配者はそれしかできないはずで、そこから逆算していくと、支配の定義というのも、やはりこの権利を有する者として、あるいはそのような外観をもって記録を利用することができるというのは、少しやはり国語としては違和感があると。恐らく事務当局の側としては、それは先刻承知の上でいろいろ検討された結果だと思いますから、もう法制上これ以上の表現はできないというのであれば、それを理由に反対、反対という時期は過ぎているとは思いますが、今の違和感というのは、これを最初に読んだ人は皆感じるところだと思うので、可能であれば最後の最後まで御尽力いただければと思う次第でございます。   それに関連したところで言うと、この支配の移転という概念は駄目で、提供だと、その理由として、これこれの状態にあることだから、その状態の移転というのは日本語としておかしいということがありましたけれども、これを厳密に言うと、日本語としておかしいというよりは法制上の用語としておかしいということなのだろうと私は思っていて、日本語としては全然おかしくないだろうと思っております。それは単に言葉の選択の問題でございます。   それがもう少し実質的な形で現れるのは、同じような、支配の概念が状態の定義だからということで、支配する者という言葉を使ってはいけないと、これが日本語としておかしいと、状態を有する者というのを使ってはおかしいと、だから支配に係る権限を有する者といわなければいけないのだと。これが日本語の問題だと言われると、私は自分の日本語に自信がなくなってきてしまいます。これは前回か前々回ぐらいも議論になったところで、占有移転禁止の仮処分みたいなものがあるわけですから、別に状態であっても移転したっておかしくないだろうと、少なくとも日本語としては全然おかしくないだろうという気がします。そこだけだったら所詮は国語の問題なのですけれども、もう1個、最初の支配の定義と似た問題というのは、それが使えないからといって支配に係る権限を有する者だと、支配をする者と、この権限というのは権原とは違うから、事実上の問題なのだとおっしゃるのですけれども、これは日本語的にそうなのだろうかという気はします。この点は、最終的にこの要綱案を英訳なんかをすると、国際的にかなり混乱が生じかねないなと若干危惧をしています。   るる申し上げた上で、ただ、恐らく今いろいろ申し上げたことは事務当局も分かった上で、日本語というよりは法制上の言葉の使い方という意味では、なかなかこれ以外は難しいというのであれば、それはやむを得ないです。その意味で、本当の意味で反対というわけではありませんが、一応違和感を申し上げた上で、何かいい方法があるかぎりぎりまで考えていただければなと思う次第です。大きなところとしては、第1に関しては以上です。   ただ、せっかくなので、第1はたくさんの論点がありますので、ほかのことも幾つか申し上げるとすると、今回の部会資料の4ページの下のところ、つまり、特定情報処理システムが満たすべき要件について1、2、3とあります。このうち、先に申し上げると、先ほどの説明で特に審議をしてほしいと言われていた信頼性の要件について、こういう形で規定をすることについては特段の異議はございません。むしろ、確かに国際的な潮流にのっとっているといえるかなと思っております。   この点は中間試案の段階では、私の推薦母体の団体は若干違う努力義務の方にどちらかといえば賛成をしていたわけですけれども、これも努力義務にするというのは、一方でそれはそれで非常に違和感があると。業者がやることなのに、B/L所持人あるいはB/Lの発行者に努力せよと言われて、何をするのだみたいな、そういう違和感がかなり出ていたところなので、システムの要件としてこういう要件が必要だと、柔軟性を持たせるために省令に落とすというのは、非常にすっきりしているのではないかと思います。   それから、先ほど新谷幹事から御指摘があった二つ目の2のところですけれども、これはいわゆるインテグリティーですかね、完全性の要件に関わるところだと思います。ここは、実質的にはもちろん反対はありませんし、これはむしろ、特に先ほどの括弧書きのところも、最後の最後はMLETRの規定に由来するものなので、MLETRの解釈上も一体この括弧が何なのかというのははっきりしないという印象を持っておりますので、でも、それがMLETRの議論の場で突き詰めて、ここまでしかまとめられなかったということなので、それに依拠するというのであれば、やむを得ないかと思っておりますし、先ほど渡辺幹事がおっしゃった例というのは、ある意味、非常に分かりやすい例なのかなと思っております。   その上でなのですけれども、実はこれが中間試案と微妙に言葉が変わっているというのに気付いております。中間試案だと、第3-1の第4項ですけれども、この文章だと最後のところ、その履歴を記録し又は保存する措置とありますけれども、情報を保存することができるものとしか書いていないのです。概念上、電子B/Lの要件として書くか、システムの要件として書くかに相当したロジアメは別として、こちらでは履歴を記録又は保存と、中間試案の単なる保存から少し増えているということと、それから括弧書きも、ここでは変更又は消去に係る情報を除くとありますけれども、中間試案の段階だと消去という部分は入っていないのですよね。この辺りは恐らく、正に政府内部の御議論の中でこういう用語を追加することが論理的だということであって、実質を変更する趣旨ではないと理解をしているのですけれども、御確認をお願いできればと思います。   少し長くなりましたので、一旦ここで切らせていただきます。 ○藤田部会長 それでは、事務当局から御返答をお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。幾つか御指摘を頂きましてありがとうございます。まず、最初に御指摘いただいていたのが、反対する趣旨ではないというお言葉ではございましたが、可能な限りの御説明をさせていただければという趣旨での御回答をさせていただきます。権利を有する者としての利用というところが支配の概念の中核をなしているわけですけれども、果たして裏書の連続もなく、そういったような状態の者がこれに当たるのかと、そのような御指摘だったかと思ってございますけれども、支配については正直なところ、これ以上書きようがないかなというところで、これで御理解いただきたいと思っているのが結論ではございますけれども、先ほどおっしゃっていただいたような例ですね、裏書の連続もないような状態で、ただ、その電子船荷証券記録にアクセスをしてホルダーの地位を渡せるような状態にある者、これも言ってみれば権利者としての利用といえるのではないかと我々としては考えております。もちろんその人は権利者ではありませんけれども、正にそういう形でホルダーの地位を移すこと自体が権利者らしき者としての行動だろうと思っておりますので、それがいえる限りは権利者としての利用という範ちゅうに含めていいのではないかと思ってございますから、ここら辺りは実務的な当てはめにおいて特に問題になるということはないかなと我々としては整理しているというところでございます。   それから、2点目は支配というものにどんな言葉がくっつけられるかというところでの、日本語としての違和感うんぬんというところだったかと思います。もちろんそこの辺りは通常の日本語の語感と、法制上でいうところの日本語というところでは、やはり求められる厳密さというのが違うものですから、少なくとも後者の局面においては、一般的には許されるような言葉遣いもなかなか難しいというところがございますので、そういった意味で今回、我々の方で申し上げさせていただいた日本語としての適切性というのは、かなり法制執務を踏まえた相当厳格な局面におけるものだと御理解いただければと思ってございますので、そういったところから来る限界というものがあったというところでございます。   さらに、1点だけ補足して付け加えて申し上げさせていただきますと、実は商法の規定などをよく御覧いただきますと、船荷証券の所持とか占有という言葉自体は余り出てこなくて、ほとんどの言葉としては所持人とかそういった言葉であろうかと思います。そういったことを考えると、実は支配という言葉を定義しなくても、支配者に相当する言葉があれば、法制化というのはひょっとしたらできるかもしれないという部分が一方であるのかと思います。ただ、そのような形にしてしまって、支配者に相当する言葉を書き下すということになると、恐らくその略称を支配、支配者とかという言葉を使うことは難しいということになろうかと思いますので、そうすると、今回やはりMLETRに準拠するということを考えますと、支配という言葉は象徴的な意味合いもあろうかと思いますので、そういった言葉は是非とも使っていきたいというのがこの部会での御議論だったかと思いますので、そこのところは何とか法文に落としていけるようにということなども考えた結果としての、今回このような整理というところで、御理解を賜りますと大変有り難いなと思っているところでございます。   最後は、御質問という意味においては、完全性のところですね。表現ぶりが変わったというところは、正におっしゃるとおりでございまして、中間試案の表現というのは、どちらかといいますとMLETRの直訳をそのまま、余り法令用語とかを考えずに引っ張ってきたところがありまして、さすがにこれは、省令に落としたとはいえ、このままの表現というのは少し使うのは難しいかなということなども考えて、表現ぶりのブラッシュアップを内部で検討させていただいた結果、今の要綱案の中の補足説明に書かせていただいた省令案の記載ぶりということになってございます。趣旨としては、おっしゃるとおり内容を変えるというものではございませんので、MLETRというものを、何とかそれをそしゃくして、我が国の法令用語として通じるような形で表現ぶりを変えさせていただいたというところでございます。 ○藤田部会長 池山委員、よろしいでしょうか。 ○池山委員 結構です。 ○藤田部会長 池山委員の御質問で、追加的に私からも1点だけお伺いさせていただいてよろしいですか。池山委員が一番恐らく違和感を持たれたのは、「電子船荷証券記録の支配に係る権限を有する者」という用語ではないかと思うのですけれども、これをそのまま英訳するとすごくミスリーディングだというのは、私もそうだと思います。より自然な「電子船荷証券記録について支配を有する者」という表現が使えないのは、「支配」は状態を指して用語なので、支配を有する者とは言えないということに由来するという御説明だったのですが、3のところで、船荷証券の占有又は所持に対応する概念として「電子船荷証券記録の支配」を設け、電子船荷証券記録の支配とは、特定情報処理システムにおいて、特定の者のみが電子船荷証券記録に記録されている運送品に係る権利を有する者としてうんぬんと書いてありますので、これに加えてもう1文置いて、ここでいう「特定の者」を電子船荷証券記録を支配する者と呼ぶとしてしまえば、後はその定義に従って読み替えて、その言葉を使えるような気もするのですが、それも難しいということでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。まず、支配という言葉を定義してしまう以上、支配という定義の具体的な内容を開いた上で、その後に続く言葉が法制的な意味での厳格な日本語の文法に合っていないとなかなか難しいというところかと思います。それとは別に、例えば支配する者だけを何かうまく定義するためにいろいろ書こうとしても、やはりどこかで支配という言葉が出てこないと、その者を支配者とか支配する者という言葉として略称することもなかなか難しいというのが現状かなと思っておりまして、様々な可能性を考慮した上での現状の案という状況でございます。 ○藤田部会長 電子船荷証券記録の支配の定義に含まれている、「特定の者のみが有する・・・」という表現の中の、「特定の者」を支配を有する者とすると書くこともできないということですね。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。私どもの理解では、支配というものをこのような形で定義した以上、支配をする者という用語を用いるのは、定義を設けるとしても、なかなか難しくなってしまうということかと考えております。 ○藤田部会長 分かりました。 ○池山委員 すみません、先ほど結構ですと申し上げましたけれども、再度、池山でございます。お聞きしていると、その使い方ができないというのは、ある言葉について定義を置くと、結局読み込むときに、その定義で言葉を置き換えてそのまま読めなければいけないということ以上でも以下でもないのかなという気がするのです。つまり、支配の要件を、これこれができる状態にあることをいう、すなわち「状態にあること」だと。ひょっとして、これを縮めて言うことが許されるならば「状態」が定義だと。多分、法制的には「状態にあること」と「状態」とは違うのか違わないのかというのは厳密な問題になって、「状態にあること」だと。そして「状態にあることする」というと日本語としては意味が通じないと、「支配する」というのに対して、「支配」という定義をこういうふうに定義すればそれと置き換えられなければいけないから、「状態にあることする」だと日本語として意味が通らないとか、あるいは「状態」で止めてしまえば、「状態する」というと日本語として意味が通らないと、所詮はその程度の話ではないかという気が、これは一日本人としては、思わなくもないです。   逆に、実はそれだけでは、多分そういう批判というのは、私はこういうふうに言いましても、先ほど申し上げたように、御苦労は分かっているつもりなので、これで審議を遷延させるのはおかしいと思います。ですが、やはり法律というのはこれからずっと、うかうかすると何十年も残っていくものですから、今申し上げたような批判というのは後から後から出てくるのではないかと逆に危惧をするわけです。なので、今の支配をするという、その表現が法制的に駄目だというのであれば、やはりそこをもう少しきちんとした理論的な説明を考えていただく必要はあるのかなと思っています。これは感想です。 ○藤田部会長 ありがとうございました。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。このような形になった整理としては、先ほど池山委員が言われたのが正にそのとおりで、結局それをそのまま置き換えた場合に、そのまま言葉として続けられるかどうか、これがメルクマールということになろうかと思っております。ここら辺りは正直なところ、我々としても若干、もう少し整理できたのかなという、少し悔しい思いというのは正直、あるわけでございますけれども、やはりこの言葉を使えなくなるよりかははるかにましであるというのが、最終的な落とし所にならざるを得ないのかなと思ってございます。   我々の中でも様々な可能性を調整はさせていただいたつもりではございますけれども、やはり一番避けなければいけないのは、こういった支配という言葉を使えなくなるとか、あるいは一定の業規制が掛かるとか、そういった我々として絶対にここは譲ってはいけないラインというのがこの部会でも共通認識としてあったかと思いますので、そこの辺りを何とか守りつつぎりぎりの調整をさせていただいた結果ということで、何とか御理解いただければと思いますし、法律上の表現としてはこういう形にはなってしまいますけれども、いろいろな解説とか、そういったものをこれから出していく機会というのは恐らくあるだろうと思っておりますので、そういったところで誤解のないように説明は尽くしてまいりたいと考えてございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。 ○小出幹事 小出でございます。ありがとうございます。まず支配の件でございますけれども、この支配という言葉が残ったことについて、御尽力に対して感謝申し上げたいと思います。特に、MLETRに関わった者としては、やはりこの概念は正に根幹であると考えておりますので、今回これが残ったということは非常に意義があることだと申し上げたいと思います。   支配の定義をどうするかということにつきましては、これもMLETRに関わった立場から申し上げると、MLETR自体には支配の定義がありませんので、これはもう日本の法制の中で考えればよい問題であり、いろいろな考え方がある中で、最後はこの場で決めればいい問題かと思ってはおります。ただ、MLETRとの関係ではそうかもしれないのですけれども、支配という概念が今回、わが国の私法、しかも商法という基本法の中に入ったということは、今後デジタル資産等の法制というものが行われていく可能性があることを踏まえると、一つの大きな転換点となると思っており、今後いろいろと参照されることがあるように思いますので、慎重な検討を引き続きしていただければと思っております。ただ、現時点で私個人として、今の定義に反対であるということではございません。まず、それが1点目でございます。   その意味で、もう一つMLETRの根幹をなす概念としてあるのが、支配の移転だと思うのですが、今回こちらは電子船荷証券記録の提供という言葉に言い換えられております。これもまた法制上いろいろと問題があって、支配の移転という言葉を使うのはなかなか難しかったということは理解したのですけれども、普通に英語で考えると、やはり移転はトランスファーであり、提供というとオファーとかそういう感じを思い浮かべるので、これを例えばオファーと訳してしまうと、やはり少し意味合いとしてトランスファーと違うのではないかと思われかねない部分があるかなと思っております。   現在の要綱案における定義におきましても、電子船荷証券記録の提供というのが、要するに支配を有する者が、その指定する者が支配を有するようにするための措置をとることというふうになっているわけなのですが、やはりこの定義ですと、措置をとればそれで定義は満たされることになって、措置をとった結果として支配を有する者が実態として変更されていなくても、措置さえとればそれでよいと、つまり、オファーがあればアクセプトがなくてもよいようにも読めます。出来上がりとして実際に支配を有する者が替わっているということまでを「提供」という言葉で含意しているのかどうかというのが、少し読めないところがあるような気もしたものですから、その点について教えていただければと思います。つまり、措置をとるということをもって支配の移転が完了したことまでを含意しているのかどうか、ということが2点目のコメントでございます。   他の点もまとめて申し上げさせていただきますけれども、法務省令で定める内容を幾つか挙げていただいておりまして、たとえば4ページのところでしょうか、必要な技術的措置について法務省令で定めるというような方針については、MLETRの「信頼性」に関するやや細かい技術的な文言というものを、なるべくそれに即した形で我が国の法制上、取り入れていただくというために、法そのものではなく、法務省令の中でフレキシブルに書いていただくということで、非常に望ましい方向性だと思っています。この点についても御尽力に感謝申し上げたいと思います。   ただ、要綱案で法務省令で定めることとされている事項について具体的に法務省令に何を書くかということについては今後の検討だとは思いますけれども、要綱案に書いてある中で少し気になりましたこともあります。例えば支配というものの定義についてです。MLETRにおきましては、占有の機能的同等として、ある者による排他的な支配が確立されていることと、それから、その支配者を識別することができることという二つが要求されているということになっているかと思います。そのうち排他的な支配という部分については、これは要綱案における支配の定義の方にも特定の者のみが利用できる状態ということで入っていると思うのですけれども、他方、支配者を識別することができることという要素がどこに読み込めるのかというところについて、既に御説明があったのかもしれないですけれども、改めて教えていただければと思います。支配の定義のところには直接には入っていないように思われますし、法務省令案の中においても、電磁的記録の識別ということは書いてあるのですけれども、支配者の識別ということは書かれていないような気がしたものですから、その点がどこに読み込めるのかというところについて教えていただければということです。   また別の法務省令に書くべきことに話なのですけれども、4ページの法務省令案の二のところについて、こなれていない表現であるという先ほどの新谷幹事や池山委員の御指摘はおっしゃるとおりだと思いますけれども、これは特に法務省令であるということもあり、また、日本の法制がMLETRに準拠していますよということを宣言するような機能を持っているところだと思っておりますものですから、できるだけMLETRの直訳に近い形で書くことによって、本法がMLETRに準拠しているということを示すことができるように御配慮いただければ有り難いと思っております。実際のここの意味としては、渡辺幹事が御説明になったように、技術的に必要なデータの改変、例えばディスプレー上に表示する上では、元々のデータというものを加工しないとディスプレー上に表示できないことがあったりするとか、そういう趣旨のものでございますので、実質的な中身以外についての変更であるという趣旨だということは、そのとおりだと思っております。   最後に、なるべくMLETRの条文どおりにというところについてのコメントなのですけれども、同じところの三のところに、いわゆる信頼性要件のための考慮要素というものを書いていただいております。これも、先ほど申し上げたようにこういった考慮要素を挙げていただくということ自体は、MLETRの条文にも即しておりますので、その意味では非常に有り難いと思っております。   ただ、ここに挙がっているイからハの各項目の列挙というのが、MLETRの条文とは必ずしも一致していないような感じもしておりまして、つまり直訳ではないといいますか、入っているものと入っていないものがあるような感じがします。例えばですけれども、MLETRの方では考慮要素の一つとして、データの完全性の保証、要するにインテグリティーの機能的同等としての保証というのが入っていたりするのですが、それは今の法務省令案の文言の中には入っていないのではないかと思いました。あと、イには電子船荷証券記録に関する約定と書いてあるのですけれども、約定というと利用者とサービス提供者との間の約定のことが含意されているような感じがいたしますけれども、MLETRの原文ではoperational rulesという言葉を使っていて、どちらかというとサービス提供者の内部的な業務規定というものが想定されていたように思うものですから、これは単に翻訳の問題かもしれませんけれども、約定というよりは、例えば内部規定あるいは業務規定ですね、電子記録債権法には確か業務規定という文言の使用例もあり、文言的にはおかしくないと思いますので、こういった細かいところも含めて、なるべくMLETRに合わせていただくということが望ましいかなと思っております。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。それでは、事務当局から御返答をお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。詳細なコメントを頂きましてありがとうございます。御意見のほかに御質問のようなところが幾つか御指摘いただいたかと思っておりますので、そちらについて私の方から可能な限りの回答をさせていただければと思ってございます。   まず提供のところで、措置をとるという形になっていて、完全にその支配を移転したというところまで見届けるような概念になっているのかどうかというところの御質問だったかと思っておりますけれども、それについては我々もそのように考えているというところでございます。実際、支配というものが移転、「移転」と私が言うのも少しおかしい感じはしますけれども、その支配というものの移転というのが現実化するところまでが「措置」だと考えてございまして、例えば、システム提供者に何らかの措置をとらせるということもあり得るとは思いますけれども、そういった場合に、何かシステム提供者にやっておいてねとお願いするだけでこの措置になるかというと、そういうことではなくて、実際にシステム提供者が管理しているような場合であれば、システム提供者に支配の移転というところまで完結させるというのがこの措置の内容になると考えてございますので、そこら辺りは何か一方的にやれば済むというわけではなくて、行為としてしっかりそこまで完結してもらうというところで読み取れるかなと思っているところでございます。   それから、2点目につきましては、支配者の識別性というところが今の作りでどのように読み込めるかという御質問だったかと思ってございます。ここは、いろいろな合わせ技ということになるかなと思ってございますが、一つ目は、まず、特定情報処理システムの定義の中で、電子船荷証券記録の支配に係る事項を適正かつ確実に行うということになってございまして、そして、支配というのは先ほどの定義の中で「のみ」というのが入っておりますので、特定の者のみしかできないということが前提になっているわけでございまして、そのような支配を適正かつ確実に行うことができる必要があるというところからして、支配者というものがしっかりと識別されるというものがなければ、これは満たさないだろうといえるかなと思っているのと、あともう一つ、必要な技術的な措置のところで、これが効力のある電磁的記録なのですよというところをきちんと識別できるようにしてくださいね、というところも省令のところで書き込むべきなのかなと思ってございまして、部会資料で申しますと4ページのところでございまして、4ページの四角で囲ってある法務省令案でいうところの一の部分ですね、これが効力を有する電磁的記録なのだよというところの識別をしっかりしなければいけないというところも入ってございますので、そういったところを併せ読めば、支配者というものがしっかりと識別されているということが当然に求められるということになるかなと我々としては考えているというところでございます。   あとは、御質問という趣旨ではなかったのかもしれませんが、今見ていただいている4ページの四角囲いの法務省令案のところでございますけれども、ここもできるだけMLETRの直訳に近い形の方がいいのではないかという御指摘であったかと思っておりますけれども、我々も基本的にその方向がいいのではないかと思っているところでありますが、やはり何分、省令という形であっても法令用語というところは意識していかなければいけないところでありますので、一部表現を変えさせていただいている部分はございますが、そこら辺りはもう少し精査をして、ずれのないような形で整理していきたいと思ってございます。   1点御指摘いただいたデータの完全性の保障のところにつきましては、なかなかこの文脈で保障という言葉をストレートに書くというのが法令上しっくりこないという部分は正直、あるかなというところはあるのですけれども、そこら辺りは、例えば今回の4ページのところで申しますと、イ、ロ、ハでいうところのロがそれに相当するものなのかなという形で、表現の修正などをしたものを一応出させていただいているところではありますが、ただ、いずれにしてもこちらの方はイメージとして出させていただいている部分があって、これで確定という趣旨ではございませんけれども、我々としては何か意図的にこれを落としたりとかということは余り考えてはおらず、基本的にはMLETRの規定を我が国の法令用語として使えるような形でできるだけ盛り込んでいく、という方針でいるというところに変わりはございません。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。 ○小出幹事 御説明ありがとうございます。まず、提供のところにつきましては、御趣旨としては、単に措置をとるだけではなく、事実状態としての支配が移転することも求める趣旨であるということは理解を致しました。あとはもう用語の問題だとは思いますけれども、そのことが明確になるような形でなるべく文言を御調整いただければ、ということと、少なくとも解説のようなところではそれを明確化するということが重要のように思います。やはり、提供日本語の語感としては、一方が提供すれば、他方がそれを受け取ったかどうかは関係なく、提供したかのように見えてしまうのですが、やはり占有の移転の場合は、占有という事実状態が移転していなければ、それは移転というふうにいえないと思いますので、これは結構重要なポイントで、紛れがあってはいけないことなのではないかと思っております。   それからもう1点、識別のところなのですけれども、これも御趣旨としては含めたつもりだということは理解したのですけれども、ここでいう識別というのは、紙としての有価証券の機能的同等を考えるときは、紙の場合は私が物理的に紙を持っているので、誰がその占有者であるかというのが、それでもう明確に第三者からも見えるわけですよね、多分そういうことを意味しているのだと思うので、電子の世界では、例えば私がある電子船荷証券記録を支配しているというときに、その電子船荷証券記録の支配者は小出であると、これは匿名であっても構わないですが、小出若しくは私を示す匿名のある者であるということがやはりシステム上第三者から見て分からないと、私が支配者かどうかが識別できない、多分そこがポイントのように思いまして、その要素というものが今の要綱案のどこに入っているのかなと。つまり、私が事実としてコントロールをしていても、それが第三者から識別できるかどうかというところですよね、その点が明確に読めるのかというのは、まだ不安が少し残るというところでございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。事務当局からお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘いただきましてありがとうございました。御指摘いただいた部分は、最終的に技術的な措置として何をどこまで書き込んでいくかというところなのかなと思ってございますので、その辺りは改めて引き続き検討していきたいと思っているところでございます。ありがとうございました。 ○後藤幹事 後藤でございます。まず、事務局の皆様にここまでの御尽力に感謝申し上げたいと思います。支配という言葉が復活したのを見て、よかったなと思っている一員でございます。   先ほど池山委員や小出幹事から御指摘のありました、特にMLETRとの関係を踏まえた上でこれをどういうふうに理解するかというところで、支配という言葉があることがまず一番のメリットであるというのは、おっしゃるとおりかなとは思っております。ただ、支配という言葉を、こういう状態にあることと定義したことによって、それに付随していろいろ出てきてしまう、それはある意味ではやむを得なかったと思ってはいるのですけれども、そうしますと、この支配の定義が何でこういう形になったのかというのが多分一番の出発点になろうかと思いますので、そこを改めて記録にも残す趣旨で、何でこういう定義になったのかということを御確認させていただければと思います。   また、この定義の仕方なのですが、私も少し今まで適当に読んでいたのかなと思ったのですけれども、支配という言葉を「状態」と定義するのか、「状態にあること」と定義するのかで、何となく同じような気もするのですが、微妙に言い回しも違ってくるのかなとも思います。「状態にあること」と定義されていますが、先ほどまでの議論では状態、状態と言っていたような気もします。そこら辺がどう変わってくるのかということも含めて、この定義にした背景というのを改めてお聞きできればと思います。   また、それはそういう言葉を使うのだということにした上で、「提供」のところですとか、特に英訳をした場合にどうなるのだろうかというところなのですけれども、まず「提供」につきまして、支配に係る権限を有する者と、「権限」という言葉が非常に誤解を招きがちであるという御指摘はもっともかなと思っておりますが、これは飽くまで日本語の問題としてこういう書きぶりになったということであって、それを逐語訳で英語に直さなければいけないということまで当然に意味するものではないように思っております。MLETRを見ると、恐らくパーソン・イン・コントロールというのが一番近い言葉なのかなと思いまして、パーソン・イン・コントロールがこの権限を有する者まで含むのであれば、もうパーソン・イン・コントロールと訳してしまえば、この「権限」という言葉の問題は解消するように思っております。英訳のことまでまだ今考える段階ではないのかもしれませんけれども、そういうことでいいのだろうかというところをお伺いできればと思います。   また、「提供」という言葉自体なのですけれども、先ほどの小出幹事とのやり取りで、移転だとすると全部行ったところまで含まないといけないのではないか、オファーだと何かそこが違う感じがするというのがあって、そうかなとも思っていたのですが、一応今の建付けとしては、交付又は引渡しに代わる概念として置かれているのであって、移転に代わる概念ではないのかなというふうにも少し読めるところがあったのですが、移転という言葉自体は恐らくもう避けて通られているのかなと思いつつ、占有の移転という言葉の中には多分、交付して受領するという言葉があるのだとすると、これは飽くまで提供というのは交付側の話であって、受け取るというのは、電子的な場合にはそもそも何も具体的には必要ないのかもしれませんけれども、そこの整理をどうされているのだろうかというところを少し整理をしていただければと思いました。   あともう一つ、支配の話に戻ってしまうのですが、「権利を有する者として」というところについては、説明を聞かないと日本語でも多分意味がなかなか通じづらいところがありまして、これを英訳するときに、アズなのか、アズイフなのか、英語的には多分両方を含むものとしてということになるのかと思うのですが、そこの英訳をされる際にそのことができるだけ分かるように、両方を含むのだということは、いろいろなところで書いておいていただければと思っております。最後は質問というわけではないですけれども、最初の方のことについて、よろしくお願いします。 ○藤田部会長 事務当局からお願いします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘、御質問を頂きましてありがとうございました。まず、支配の定義がなぜこうなったかというところかと思いますけれども、まず、支配というのは、これまでここで御議論いただいていた内容からすると、やはりこれは事実状態であるというお話だったかなというところで、最終的には最後は状態という形にせざるを得なかったというところで、「状態」で止めるのと「状態にあること」というのは、それほど大きな差はないかなと思ってございまして、ここら辺りはそれほど強いこだわりがあってということではなかったかなとは思いますけれども、最終的には状態にあることという形になったところでございます。権利を有する者としての利用とか、そこら辺りの実質的な概念については、部会で御議論いただいていたところかと思ってございます。   二つ目の御指摘は、最後に御指摘いただいたところと基本的には共通するかなと思っておりますけれども、要するに英訳は別に工夫をした方がいいのではないかというアイデアを頂いたかなと思ってございますので、そこはまだこれから考えるべきことなのかなとは思っておりますけれども、我々としても余り直訳という形ではなくて、国際的にも通用するような形での英訳を考えていくというのは一つの手段としてあり得るかなと思っておりますし、ここで皆様から御指摘いただいたとおり、法制的な制約からこういう言葉遣いにはなっているけれども、本当に含意している、やりたいことはこういうことなのだというところについてのコンセンサスというのは得られている部分は結構あるかと思っておりますので、そういったここでの議論の状況なども勘案しながら、英訳については最終的にどこかの段階で考えていきたいと思っているところでございます。   それから、提供というところで、小出幹事と同じような御指摘を頂いたかなと思ってございます。すみません、適切な回答ぶりになっているかどうかは若干自信がないところでありますけれども、この提供という言葉を使った趣旨としては、やはりどうしても電磁的記録の場合は提供という言葉が一般的に使われているというところがあって、法制上はこれでやむなしかなと思ったところで、あとはその内容を書き込むという方針を今回とらせていただいたということでございます。   ただ、提供という言葉を使うと、御指摘いただいたとおり、投げてしまえば向こうが受けるかどうかは問わないような概念のようにも思われるところがひょっとしたらあるかもしれないですが、実際に我々としては中身をしっかり書き込むという発想で、「その指定する者が当該電子船荷証券記録の支配に係る権限を有する者となるようにするための措置をとる」というところまで、ここまで完結をしなければいけないという前提で考えておりますので、実質的な意味合いとしては移転というものと同じということかと思っておりますし、商法上の船荷証券の規定の中で使われている交付とか引渡し、どちらかというと商法上は移転という言葉を使っていなくて、交付、引渡しという言葉を使っているかと思いますけれども、それらと実質的には同じ意味になるのかなと考えているところでございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。よろしいですか。 ○後藤幹事 ありがとうございます。最初の点についてだけなのですが、「状態」と「状態にあること」の差は余りないのではないかと言われてしまうと、それだったら全部よかったのではないかという気がしなくもないところではあるのですが、申し上げたいのは、恐らく池山委員が最初おっしゃられていたように、支配している、支配するという言い方が普通に観念され得るわけでして、これは文脈を離れて、一般的な言い回しとしてはあり得るところであり、また、英語でもコントロールを動詞で使うのか、ポゼッション・オブ・コントロールというのかの違いはあるかもしれませんが、支配していることという言葉と、状態にあること、特定の人が支配していることで特定の人がそういう状態にあること、というのであれば、何かパラレルになるのかなと思ったのですけれども、「あること」というのを後に付けてしまうと、誰がその状態にあるのかという主語が必要になってくるような気もして、それがないとすごく曖昧になってしまうような気がします。先ほどからおっしゃっているようなことで、状態だというのであれば、状態で止めた方がすっきりするように思われるのですが、そこをなぜ「にあること」が付いているのかというのが、まだ完全に腹落ちしていないところがありまして、先ほどのようなことを伺ったのですけれども、御趣旨は伝わりましたでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。我々もいろいろな検討をしていく中で、「状態」で止めるのか「状態にあること」まで書く必要があるのかというところを、余りそこを主要論点として集中的に議論をしたということではなかったわけでございますので、率直なところ、はっきりした回答をこの場で申し上げることは難しいのかもしれないのですが、基本的には、特定の者のみがという、やはり主語が入っているというところが一つあるかなと思っておりまして、やはりこの主語が入っていると、特定の者のみができる状態で止めるよりは、特定の者のみができる状態にあることという、その主語が入ってきたことによる影響というのは少なからずあったのかなという気はしているところではありますけれども、すみません、先ほども申し上げたとおり、余りそこが明示的な主要論点として、「状態」で止めるのか、「状態にあること」までというところが、正直それほどそこをぎりぎりと詰めた検討をしていたわけではなかったので、ひょっとしたら余り適切な回答にはなっていなかったかもしれません。 ○後藤幹事 もう少しだけよろしいでしょうか。後藤です。「特定の者のみが」という部分は、この文章だけを見ると、「できる」に係っているのではないかと思います。特定の者のみができるという状態に誰かがあるのだとすると、この「特定の者のみが」は多分、「にあること」の主語ではないように思われるのですが、これ以上ここで申し上げても仕方がないかもしれませんので、改めて御確認を頂ければと思いますし、最終的には多分法制マターかとは思いますので、これ以上こだわる趣旨ではないのですけれども、ここからその後の話が始まるのだとすると、そこがきちんと説明ができるように解説をしておいていただければというのが一番の要望ではございます。これ以上こだわりませんけれども、そういう趣旨で御質問したというところでございます。ありがとうございました。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございました。おっしゃるとおり、「特定の者のみが」は多分、「利用することができる」の「できる」に係っているわけですので、それが入ったからといって「にあること」というのが必然的に入ってくるというわけではないのだろうと思います。恐らく、日本語としての落ち着きというかすわりというか、そういったところかなと思います。   ただ、他方で、「状態」で止めたとしても、状態を「有する」とか状態を「移転」という用語がやはり使えないというところで、恐らくその後に、「支配に係る権利を有する者」につながってしまうという意味では、多分余り変わりはないかなとは思っているところでございますが、最終的な表現ぶりについては、また法制化するときに精査してまいりたいと思います。ありがとうございました。 ○藤田部会長 そのほか、どの点でも御意見、御質問はございますでしょうか。 ○池山委員 再度、池山でございます。すみません、第1に関するところですけれども、今までと少し違うところについて、コメントないし意見を述べさせていただきたいと思います。部会資料でというと6ページの下にある、本文4に規定する法務省令、具体的にいうと、正に今議論があった、支配の移転ならぬ提供、電子船荷証券記録の提供の中身を法務省令で具体的に書いている部分についてです。   この点に限らず、今回のたたき台のやり方というのは、大きなところを要綱案として固めて、詳細については法務省令に委ねるという方式が全てとられております。その方が、もし不都合があったときに柔軟な対応ができるからということで、それは一般論としては分からないではないのですけれども、本当の意味で柔軟性というのをいうのであれば、そもそも法務省令として具体化することがどこまで必要かということについて、具体的な検証が個別に必要なのだと思っています。その例として、ある意味ついでのようにここに書いてあるのですけれども、電磁的記録について、今までは法務省令の縛りがあったのを外すと、これが会社法と会社法施行規則の関係も変えられるのかどうか分かりませんけれども、これはほかにも影響するような一般的な点で、これは恐らく今回のことでは直接関係ないけれども、政府の内部で議論をされて、もはや法務省令で縛りを掛ける必要がないということでやめられたと。   本件に戻って言うと、本件の個別のものについても、本当に法務省令で具体化する必要があるかどうかというのは、やはり1個1個見ていくと。さはさりながら、よくよく考えてみると、先ほどの信頼性の要件等々、あるいは電子署名の要求等々、書かざるを得ないところというのはあるのだろうと思っておりますが、最後に残っている、一つだけ、措置の内容を二つに類型化して具体化する、この法務省令が本当に必要なのかというのは、別の言い方をすると、この要綱案本文だけでいいのではないかと、あえてこの2種類必要なのかというのは必ずしもよく分からないと思っております。その点はむしろ、実は渡辺幹事よりは、すみません、突然振って恐縮ですけれども、やはりこれ技術的な話なので、新谷幹事とかにもお聞きしたいところがないわけではありません。   今申し上げた危惧というのは、実は前回も申し上げたところで、でも、皆さんからそれほど違和感はなかったと。今回この案を見せて、やはり技術的な背景をお持ちの方に見てもらってもそれほど違和感が出なかったということなのですけれども、実際こういうふうに措置の内容をもう2類型に分けて決め打ちしてしまって本当にいいのか、あるいはそこまでする必然性があるのかという点をお聞きしたいと思います。多分、質問としては、渡辺幹事に対しては、法制上ここまで具体的に書くことというのが本当に必要なのかという点について、いかなる検討がされたのかということと、可能であれば新谷幹事に、ここも見せられて、本当に技術者の方から誰も違和感なかったのですかみたいなことは、少しお聞きしたいなと思っております。 ○渡辺幹事 まず私の方から、こういう省令に委任して具体化をするというところが必要なのかどうかというところの御質問について、お答えさせていただければと思います。基本的には我々、こういった作業は必要かなと思っておりまして、なぜかというと、今回の支配とか提供とかというのは全くもって新しい概念だろうと思っておりますので、抽象的な要素を書くだけではなくて、どういったものがそれに当たるのかというものが法令を通じてある程度イメージできるような形ではないと、そもそも立法すること自体が許されないということもあり得るのかなと思ってございます。   そういった中で、それではこの省令で書いてあるようなことも法律に全部書き込むのがいいのかどうかと、こういったことが次に問われるのだろうと思いますが、ただ、そういったことをやってしまうと、結局のところ新しい技術が出てきて何か変えなければいけないというときに迅速に動けない、法改正がいつになったらできるか分からないと、そういったような問題が出てきてしまうところがございますので、基本的な要素というものを法律に書き込んでおいて、その具体的な措置の内容とかそういったものは省令に委任して、省令の中でできるだけ具体的に明らかにしていく、そういったことをしていかないと、法規範としての明確性、具体性というものを欠くということになってしまう。取り分け、こういった新しい取組でございますので、それが法令を読んだだけである程度イメージができるようなものを目指さなければいけないというのが基本的なスタンスだろうと思っております。   とはいいつつも、いろいろ書き込んでいく中で、支配に係る権限とか、かえって分かりにくくなるような表現が使われているというところは、本当に我々としても少し無念の思いがあるところではありますけれども、基本的なコンセプトとしては、法令を読むことによって具体的なイメージを持てるような形にすることによって、法規範としての明確性、具体性を確保していく、これが必要だというところでございます。 ○新谷幹事 新谷でございます。今、池山委員から御指摘を頂いた点に関しましては、恐らくこういうことだと思うのです。まず、法案の方に目を通すと、やはりどうしても、これでは具体的にはどういうことなのかわからないということは出てくると思うので、何らかの具体的な指針というものはあった方がいいかもしれないと思います。ですが、あった方がいいかもしれないという反面、細かすぎても困るというようなことも出てくる可能性があるわけなのです。   実際に、正に今の6ページの下の囲ってあるところについてであれば、例えば、二で変換符号という言葉が使われているのですけれども、この変換符号というのは具体的に何なのかというような質問があったのです。これは具体的には電子鍵のことをいっているそうで、これはあらかじめ渡辺幹事にはお聞きしたのですけれども、電子鍵のことを変換符号と呼ぶ用例もあるということだそうなのです。したがって、法律的表現が、通俗的な用語の何を指しているのかが分かれば、「そういうことだったらこうすればいい」という、良い指針になるのだとは思うのです。一概にこれがいいのか悪いのかとなかなか申し上げにくいのですけれども、こういう指針がないと細かいところがよく分からんという話にどうしてもなりますし、一方で、余り細かすぎても身動きがとれない、あるいは時代に追い付かない、だからこそ省令を機動的に変えるということもできますが、それはそれでまた面倒だという部分もあるかと思いますし、なかなか、どの程度がいいのかという答えは私は正直、持ち合わせていないところです。   あと、もう一つ付け加えて申し上げると、今この場で先生方にいろいろ御議論いただいているような、法律表現として、あるいは日本語表現としてというような細かいところまで、プラットフォーム事業者の人たちが見ているかというと、当然そんなふうには見ていなくて、概略としてこれが何をいっているのかが分かればいいということなのです。本当に何かの争いになったときに、この表現が少し違うがために勝つとか負けるとか、そんなことは考えていなくて、要するに、我々が何かをしようとするとき、この法文に何が書いてあるのかが分かればいいということであって、その点については私自身も、皆様の御議論を聞いていてもなかなか付いていけない部分も多くて、分からないところが多いのですけれども、恐らくシステム事業者の気持ちというのは正にそういうことであって、法律技術的な細かいことはよしなにやっていただければ有り難いというところだと思います。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。 ○池山委員 再度、池山でございます。まず、お二方、丁寧な御説明を頂きましてありがとうございます。それに関連して若干、もう1点、補足的な質問をさせてください。これは実は先ほど来、小出幹事、後藤幹事がおっしゃっていたことと関係するのですけれども、提供という概念だと一方的なオファーになるかどうかということについてですが、鍵括弧付きの実務の「電子B/L」で行われている支配の移転というのは、私の理解だと、私が知るシステムだと、今のB/Lの支配者が移転をするという送信ボタンを押したからといって、当然には移転はしない。飽くまでも受ける側が分かりました、もらいますというボタンを押して初めて受けると、そういうふうになっていると。だから、紙でいうと、ぱっと送り付けても、いや、こんなものもらっても困るよといって、送り付ける場合に一旦占有が移転したとはみないかもしれないのと同じように、そこは事実認定の問題ですけれども、みないという解釈もあり得るように、あるシステムは、そういう2段階の措置が要ると。でも、ひょっとするとシステムによっては、今の支配者が移転をするというボタンを押せば、それでもう移ってしまって、そこで支配はもう、移転は完了してしまうと、嫌ならばもう1回直ちに移転し直せと、そういうシステムがあるかもしれないと、そこは正に両方あり得ると思っているのです。   そういう具体的なことを想像しながらこれを見ると、一にせよ二にせよ、結局システムを提供する一定の措置を、権限を有することになる措置を、システムを提供する者にとらせる措置とか、二の方であれば当該者に提供する、この当該者というのは何だろうというのが少し分かりにくいのですが、恐らく本文4の規定により指定された者、つまり支配の移転をされる者に対して、結局何を提供するのかというのを見ると、電子船荷証券記録について、要は支配を受ける者に対して提供すると、そういうことだと。そこはそれしか書いていないので、例えば今のような、1段階なのか2段階なのか、実は措置として二つ要るのではないかというのは、それはここからは読み取れないと、それはシステムを作る人間がどちらで作ってもいいと、そういう整理になるのですかね。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘ありがとうございました。そこはいずれでもいいかなと思ってございまして、というのも、例えば池山委員が先ほど言われたような、まず提供をします、そして相手方が受けるというところがセットになっているシステムであれば、相手方が受けるというところまで完結して、恐らく提供ということになるのだろうと思っております。他方で、こういったシステムがあるかどうかはよく分からないのですけれども、例えば、もう提供ということをしてしまったら、相手方が受ける受けないにかかわらず、もうシステム上その相手方が支配する者、ホルダーみたいな形になってしまうようなシステムがあるとするならば、そういう状態になってしまうのであれば、それはそれで提供という形に恐らくならざるを得ないのかなと思っておりますけれども、そういった場合に、その相手方として、何ら受け入れるというようなことをしていないにもかかわらず、そういったことになってしまっていいのかという問題は、ひょっとしたらあるのかもしれません。けれども、そこら辺りは、これは説明の仕方にもよるかもしれませんけれども、そういったシステムであることを前提に入ってきているということを考えれば、そのシステム上そういう地位というものを与えられてしまえば、それが支配になるというのも、これは致し方ないという考え方も、場合によってはあるのかなと思っているところでございます。 ○池山委員 ありがとうございます。細かいところをお聞きして、失礼いたしました。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   そのほかどの点でも、御意見、御質問がございますでしょうか。   よろしいでしょうか。 ○山口委員 山口です。いろいろ本当に渡辺幹事、御苦労なされたことはよく分かります。そして、いろいろな今、質問があったわけなのですけれども、私はこの改正案でよいのかなと基本的に思っています。一つは、支配のところですけれども、この支配をこの法律においてこの一定の状態にあることと定義をして、支配という言葉が出てくるときは、支配に係る権限を有する者がどうするとか、必ず支配というものが状態であることを前提に法文がなされています。支配するとか支配する者というような言葉を使われていないことからすると、この支配がある状態にあることということを定義されておりますので、この法文からすると、そごはないかなと思っております。   それから、支配の移転について、提供という言葉で置き換えられたということで、提供という言葉については、受ける側の何らかの意思表示がない限り、移転という言い方と少し違うのではないかという御指摘がございます。例えば占有の移転と考えてみても、占有をある人からある人に移すときに、ある人の占有されているところに認識できる状態で置くことによって、相手方の占有を受けるという意思表示がなくても、占有の移転というのは客観的に認識できるわけですから、その意味では提供でこの場合もよいのではないかと私は思います。どうもありがとうございました。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。事務当局から、いいですか。   そのほか、どの点でも御意見等はございますでしょうか。   第1の部分で相当時間を使ってしまいましたので、この辺りで20分ほど休憩を取りまして、午後3時25分から再開ということにさせていただいてよろしいでしょうか。それでは、25分によろしくお願いいたします。           (休     憩) ○藤田部会長 それでは、再開させていただきたく存じます。   次に、部会資料15の第1部、第2から第9まで、8ページから23ページについて御意見、御質問等を頂ければと思います。どなたからでも、よろしくお願いいたします。 ○池山委員 池山でございます。私の方からは、第7と第9について意見ないし質問をさせていただきたいと思います。   第7は、部会資料でいうと17ページのところですけれども、この点は中間試案の段階で、民商法の関連規定をどういうふうに落とし込むかについて甲、乙、丙、丁という四つの案があって、甲案だけが包括的な規定を置くと、乙、丙、丁は基本的には個別に書くのだけれども、書き方について完全に個別に書くか、あるいは一部準用規定にするかという整理がされていたと思っております。   ここでは結局、実質的なところは、甲案というのはやはり無理があって、現に民商法に日本の場合は細かな規定がある以上は、それが電子B/Lについては具体的にどういう規定ぶりになるのかというのをやはり整理する必要があるということで、そのうち乙、丙、丁とあえて分かれていた部分については、よく考えてみると、正にこれこそ書きぶりの問題でしかないから、正に法制上の問題として処理して、あえてこの部会でどれにすべしという意見を決めるべき性質のものではないと、そういう整理がされたものと理解をしております。そのこと自体については異論はありません。   甲案のような抽象的な規定の方が実務としては非常に分かりやすいし、やはり実務家が一番見るのは英国の昨年の立法のようなものですけれども、それに比べるとたくさん条文があって大変だという印象論的な批判というのはあるのかもしれませんけれども、現実に法制の違いというのを考えたときに、甲案は無理だよというのであれば、それはそれで致し方ないだろうと、何よりも実質的な問題だと思います。   その上で、すみません、今はまだ前置きでございます。もう1個、私若しくは私の推薦母体がこだわっていた問題として、520条の9というのがございます。それは何かというと、請求の時点から遅滞に陥るという点でございます。私どもは従前は、これはおかしいのではないかということでいろいろ異論を述べさせていただいて、しかしながら、むしろ理論的にこの520条の9はあるべきだという御説明が、今日欠席されておりますけれども、箱井委員を始め、学者の方から多々あったところでございます。その点は、内部でもいろいろ議論しましたけれども、最終的にはやむを得ないのかなと思っております。   ただ、その上でですけれども、ここの部会資料だと、520条の9に相当する規律を設けることが相当であるということしか書いていないのです。18ページです。この点に関して、実は従前申し上げていたことはもう一つあって、仮にこの規定を設けるとしても、少なくとも中間試案のような書きぶりではおかしいだろうということを申し上げていました。中間試案のような書きぶりだと、要は電子船荷証券記録に記載された情報を示せばいいと、提示というものを、情報を示すというふうに言い換えていると。それだと結局、紙で比喩的に言うならば、B/Lコピーを見せたっていいわけですよね。でも、紙の場合に要求されていることは、B/L原本を示さなければいけない、正に提示しなければいけない。そうすると、その提示という行為によって、その提示者がB/L原本の正に、これは今、紙ですから、占有者、所持人だということを事実上証明するということと、その内容を示すということになっているわけです。電子化をするに当たっても是非、単にB/Lコピーを示すこととイコールであるところの情報を示すというだけではなくて、何らかの形で提示者に相当する人が正に支配する者、あるいは支配に係る権限を有する者ということを、証明ではなくとも事実上示されるような形での行為でなければいけないということを書いていただければなと思います。   確か中間試案のパブコメの段階で、私の推薦母体の船主協会の意見の中で、仮に520条の9というのを入れざるを得ない場合は、書き方についてもう少し工夫をしてくださいということで、試案を入れております。所詮は試案でしかないですけれども、問題意識としては今申し上げた点を入れておりますので、是非それは参考にしていただいて、しかるべき案を作っていただければと思います。そのことを、具体的な文言まで決めて、これまたこの要綱案に落とし込むべきなのか、それとも、考え方としてそういうことで行きますと、要綱としては所要の整備ということの中に入っていますということなのかは、そこは正に御判断だと思っております。それが第7についてです。これは意見です。   それから、第9の方、提供請求権のところですけれども、1は善意取得との関係で問題になる、返還請求権の根拠規定を置くということだと思いますので、もちろん異論はございません。2のところが、審議の当初ずっと問題になっていた強制執行の在り方、中間試案では丙案として示されていたものですかね、を反映したものと理解をしております。これは中間試案後の議論の中で一度、それだけを対象としてさんざん議論が行われたところで、丙案を前提とするということで異論はございません。   その上で、質問なのですけれども、念のためお聞きすると、実際に強制執行がされた場合という言葉の解釈なのですけれども、実務の側からすると、実際に債権差押え命令あるいは仮差押え命令が来たとしても、そこに債務者、別の言い方をすると支配者、支配に係る権限を有する者と記載している人が、本当にそうなのかというのが分からない場合があると。実際、これはいつの段階で考えるかという基準時の議論はありますけれども、基準時は別にして、最初に完全にずれていたら空振りになってしまう。命令、決定の中では債権者A、債務者、支配者、支配に係る権限を有する者B、第三債務者運送人Cと書いてあっても、実際の人がBではなくて全然別のB’だったら、単なる空振りなわけです。そういう場合は、B’さんは元々自分は関係ないわけですから、この規定の適用を受けないのだろうと、突然、移転請求権がありますからAに渡せということにはならないと。だとすると、ここでいう強制執行がされた場合というのは、正にそれが奏効功した場合、Bとされた人が正に支配者、支配に係る権限を有する者であるといえる場合だという解釈をしております。多分それで間違いないのだろうとは思うのですけれども、念のため当局の御理解を教えていただければと思います。 ○藤田部会長 ただいまの点について、事務当局からお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御質問いただきましてありがとうございます。第7、それから第9、2点についての御質問を頂いたかと思っておりますが、基本的には全ておっしゃるとおりかというのが端的な結論でございます。  まず第7のところで申しますと、このような整理をさせていただいた趣旨は池山委員の方でまとめていただいたとおりでございます。実際にどのような形で整備をしていくのかというところは、今正に検討中というか、むしろこれから本格的な検討を始めるというところでございますけれども、考えられる方式としては、準用して読み替えるというやり方が一つあろうかと思います。ただ、実際それをやりますと、相当なボリュームの読替規定が並ぶということが想定されますので、そういったやり方が余り相当ではないということになると、個別に書き下すということも場合によってはあるかもしれませんが、ここら辺りは本当の意味で純粋な法制マターということで、これから政府内で検討していくということになろうかと思ってございます。   実際にここでお決めいただかなければいけないのは、そういった準用とか書き下しが要らない規定というのがどんなものであるかとか、あるいはそういったことをするときにどういった点に気を付けるべきなのかというところは、ここでしっかりと御議論いただきたいと思っているところでございます。今、民法520条の9について御指摘いただいたのは正にそのような観点かなと思っておりまして、御指摘は、我々としては、全くもってそのとおりかなと受け止めているところでございまして、中間試案については、確かに御指摘のとおり、コピーを表示しても、それでも足りるかのような書きぶりになっているというところはそのとおりかと思っておりますので、そういったものでは足りないと、実際自分が所持人、電子の世界でいうと支配に係る権限を有する者であるということをしっかり示した上での表示でないと駄目だろうというのは、それは御指摘のとおりかと思っておりますので、それは先ほど申し上げたところによると、個別に書き下すのか、準用読替えになるのか、そこら辺りはこれからの検討ということになるわけですけれども、いずれにしてもそのような作業をしていく際には、池山委員から御指摘いただいたところを踏まえて検討していきたいと思っているところでございます。   続きまして、第9で御指摘いただいたところは、これまでも何度か御説明させていただいたかという記憶ではありますけれども、全くおっしゃるとおりでございまして、ここでいう強制執行がされたというのは、形式的に強制執行命令が発令されたという意味ではなくて、実際に奏効したというところを含意しているところでございますので、空振りになったような場合には、基本的にはこういう提供請求権はなく、しっかりヒットした場合、奏効した場合にこういった請求権が発生すると、こういう整理でございます。 ○藤田部会長 池山委員、よろしいでしょうか。 ○池山委員 ありがとうございます。 ○藤田部会長 そのほかどの点でも、御意見、御質問等はございますでしょうか。裏書の辺りは相当細かく丁寧な説明を頂いていますけれども、この辺りも含めて、大丈夫でしょうか。 ○池山委員 すみません、再度、池山でございます。意見、コメントは本来、今の二つに尽きているといえば尽きているのですけれども、若干、時間がないわけではないでしょうから、感想めいたコメントということで、1個追加させていただきます。   第4の電子船荷証券記録上の権利の譲渡又は質入れに関するところです。今回の部会資料だと10ページのところです。ここのところは確か、前回か前々回のときに、若干元に戻った印象があると申し上げた記憶があります。それはなぜかというと、部会審議の最初の方に議論をしていた、実務上誰も見たことがないという記名式所持人払型の証券というものを明示的に認知するのかどうかという点に関するところです。中間試案のときには、類型のまとめ方によって、そこをきちんと明示的に認知しない形の文案になっていたところが、結局今回ので見ると、第4の2のところの記名式電子船荷証券記録、ただし括弧に書いてあるような付記がされているものに限るというのは、実は記名式所持人払のことをいっているのだと理解をしております。   その点について申し上げるならば、明示的に余りこういうものを証券として出したくない、今まで聞いたことはないし、出せと言われても困るから、余り明文で書いてほしくないという要望は、実務界としては一方ではありますけれども、他方で、結論から言うと、先ほどコメントしなかった理由は正にそこにありますけれども、しようがないのかなと思っております。   その理由を一応補足的に申し上げさせていただくと、私の理解では部会審議の中で、実務上見たことがないうんぬんと言っても、理論的に4類型が日本法上あるということは誰も否定はできないし、かつ、この際法改正をしてこの4類型目を廃止すべきだというだけの立法事実もないと。廃止するとなれば紙の方も変えないとつじつまが合わないが、そこまでの立法事実はないと。更に言えば、今のところ実務上は見たことがないといっても、実は今後それに近いものが出てくる可能性というのはあるかもしれないと、一部の規約型のB/Lにもそれに近い評価ができるものが現にあるかもしれないというような議論がされて、そうすると、やはり法的には残した方がいいだろうと。だとすると、明示的に分かる形に書くか、中間試案のようにぱっと見えない形にするかというのは、所詮は見え方の問題でしかないので、もう見え方の問題について、外観について議論する時期は過ぎたという整理でございます。結論的には異論がないのなら言う必要もないのでありますけれども、これは議事録に残るのでしょうから、一応申し上げさせていただいた次第です。感想です。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。以前御発言されたことでもあるので、この段階でどう考えているかを明示的に言っていただくことは、十分意味があることとは思います。事務局から何かございますか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘いただきましたことと、また御理解を頂きましたことに大変感謝申し上げる次第でございます。我々といたしましても、御指摘を踏まえて、記名式所持人払のような余り実務上使われていないものをできるだけ目立たない形で立法化するということは、いろいろ考えてきたところではありますけれども、やはり改めて要綱案あるいは立法、法文化というところを詰めて考えていったときに、そういった若干裏技的なやり方というのは、正直なところ限界があったというところでございます。部会資料の「(注)」でも少し書かせていただきましたけれども、基本的にはどちらかというと裏書禁止型というものを規律しないというのが恐らく在るべき姿であり、明文で民法なりに書かれているものを避けて、裏からそれ以外みたいな形にするのは正直少し難しかったというのが本音ベースのところでございます。   ただ、御指摘いただいたところは非常に重要なポイントかと思っておりまして、といいますのも、第4の規律だけを見ますと、指図型であるとか、記名式所持人払型であるとか、無記名式型みたいなところが挙がっておりまして、実務上使われているものとは必ずしも違う類型のものが挙がっているというところが、やはり見え方として少し気になるというのは正直なところ、実務を担当されている皆様からすると、お感じになる部分があるのかなとは思っているところでございます。   ただ、ここの辺りはやはりどうしても、紙の規律と同じようにしなければいけないというのが、またこの取組の中での命題の一つだったかなと思っておりますので、そういった観点からするとやむを得ない面はあるのかなとは思いますけれども、ただ、だからといってこれが実務上メジャーであって、これが広く使われていくべきものなのだ、みたいなメッセージが発せられることがないような形で、我々も解説を書いたりするときなどは留意をしていく必要があるのかなとは思っているところでございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。 ○池山委員 ありがとうございます。 ○藤田部会長 そのほか、どの点でも御意見、御質問等はございますでしょうか。 ○山口委員 山口でございます。ありがとうございます。今のところでございます。ここの第4の書きぶりからいたしますと、1が指図式の電子船荷証券上の記録の譲渡、2が記名式ということで、11ページの下の解説のところに、商法762条に相当する規律を別途設けることを前提としてと書いてあります。一番よく使われているのがこの商法762条に相当する規律の部分であります。第4に挙げてある1、2というのがどちらかというとマイナーなものが先に来ていますので、762条に相当する規定は準用規定ではなくて、規定の仕方としては、できればこの前に持ってきて、一番よく使われているものを、別途置かれた方がよいのではないかと思います、というところでございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。事務当局から御返答をお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘いただきましてありがとうございます。先ほども少し申し上げましたとおり、できるだけ実務で使われている方々にとって誤解のないような配慮というのは、我々としてやっていかなければいけないことだというのは重々承知しているところでございます。ただ、御提案いただいたような形で762条を先に持ってくるというのが法制上できるかどうかというと、結構難しい部分があるのかなとは正直、思っているところでございます。先ほども申し上げましたとおり、今回の取組というのは紙と電子を同じようなものにするというのが重要なポイントだったろうと思っておりますので、本当に紙と同じようにするのであれば、指図式はこうです、記名式所持人払型、無記名式はこうですというのを書いた上で、記名式のものであっても裏書できますよというのが後からくっついていくというのが多分、紙の中でのルールの定め方ということになろうかと思いますので、紙における解釈論であるとかそういったものを全てそっくりそのまま電子にも適用されるようにということを第一に考えるのであれば、そのような規定ぶりというのを崩してしまうということには、やはり一定のリスクがあるのかなとは思っているところであります。ですので、そこの辺りが本当にできるかどうかというのは少し難しい面はあるかなとは思っておりますけれども、少なくとも実務における誤解が生じないような配慮ということにつきましては最大限、できることはさせていただきたいと思っているところでございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。 ○小出幹事 小出でございます。度々失礼いたします。今、17ページの第2のところの補足説明2のところで、機能的同等性を担保するために電子船荷証券記録は船荷証券と同一の効力を有するという一般の規律を置くかどうかということについて、特段こういうものの必要性が乏しいということで今回、御提案からは省かれているということかと思います。   確かに御説明のとおり、今回全ての船荷証券に関する規定について網羅的に整備をしていただくということを前提に、それら以外の船荷証券のルールというのは実質的に何があるのかというと、何か明確にこれが抜けているということは確かにないのですけれども、二つの意味で、法制上可能であればなのですけれども、こういった一般的な条文があった方がいいのかなとも少しまだ思っております。   一つは、これはもう本当に宣言的な意味ですけれども、機能的同等ということは、やはりMLETRの根本でもあるということも考えますと、それに準拠するための宣言的な規定は重要だと思います。これは難しいところなのですが、今回の要綱案では結局、電子船荷証券記録というものは船荷証券とは我が国の法律上はやはり別の存在であるというふうに読まざるを得ないと思いますが、しかし、そこを極力、紙の船荷証券と機能的には同等であると。我が国の法制上、法律的には違うものであるとしても、機能的同等であるということをやはり強調しておく方が、国際的、対外的には紛れが少ないのかなと思います。こういった条文がない場合、やはり電子記録債権のように、日本は新しい特別な実体法的規定を作ったのだと見られかねないところがあるのではないかというのが懸念点でございまして、機能的同等の宣言という意味で、こういった条文があると望ましいのかというのが一つの理由になります。   もう1点は、実際に何があるかといわれると具体的には思いつかないのですが、紙の船荷証券について、これまで積み上げられてきた実務あるいは判例その他、必ずしも明確に条文上規定があるわけではないのだけれども、船荷証券についてはこうやって取り扱われてきたというようなことが本当に全くないのかという点について、少し分からない部分がありまして、やはり電子船荷証券記録についても、特に条文が余り明確にないところについては、紙の船荷証券におけるこれまでの解釈といったものが適用されるのだということを示すということには意味があるようにも思っています。   ただ、解釈ということを今申し上げましたので、どう解釈すべきかと、条文に書くのは、それは解釈ではないということになって、おかしいのかもしれませんが、しかし立法の意思としては、紙の船荷証券に適用されるものは、条文に明確にあるもの、ないものも含めて、全て電子船荷証券記録に原則としては適用されると。ただ、紙の船荷証券の規定をそのまま読み替えることができないものとか、そういったものについては電子船荷証券記録について個別に条文を置いたのであるという説明であれば、対外的にもこういった網羅的な条文を作ることの説明になると思ったものですから、こういった機能的同等性を宣言する一般的な条文を設けるということについて、この期に及んでかもしれませんけれども、引き続きというか、もう少し検討していただけると有り難いかなとは個人的には思っております。 ○藤田部会長 事務当局から御回答をお願いします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘を頂きましてありがとうございました。この同一効力規定みたいな宣言的な意味合いの規定を設けるか設けないかというところについては、なかなか難しい面はあるかと思いますけれども、引き続き検討はさせていただきたいと思っております。   ただ、今回これがなかなか難しいと思った我々の趣旨といたしましては、もう十分御理解いただいていることかと思いますけれども、やはり法制上こういったものを明示的に入れるということになると、何がこれに当たるのかということをはっきり言えなければいけないわけですけれども、やはりこういった形で網羅的に整備をすると、それを言うことができない、そうするとこれは何のための規定なのだということになって、その必要性自体が問われてしまうというところになり、なかなかその必要性の説明という壁は非常に厚いものがあって、現実的には難しいかなというのが正直なところでございます。   ただ、御指摘いただいた、機能的同等性をどのようにアピールするかというところの観点が非常に重要だというのは、我々も重々承知しているところでございまして、先ほど整備の在り方として、準用という形をとっていくのか、個別に書き下すのか、みたいなところが選択肢としてあり得るということは申し上げましたけれども、基本的には準用という方式が第一選択なのかなと我々としては現時点では思ってございまして、それこそが正に、形式的な理由で直接適用はできないけれども、イコールなのだということをアピールする一つの材料になるかなと思っております。   実際のところ準用方式でいろいろ書くと、かなり膨大な読替規定が並ぶということが想定されるのですが、それはそれで致し方ないことで、むしろそうやって商法の紙の規定は及んでいくのだと、ただ電子版にすることによって言葉尻がこういうふうに変わっていくのだということを示していくということが、MLETRとの親和性という意味では一つ、有効なやり方なのかなと思ってございます。   ただ、もしそれが実現したときに、六法を開いていただくと、何だこの条文は、みたいな形で多分、皆様が驚かれるぐらいに長い読替規定が並ぶということにはなってしまいますけれども、そういった一見すると極めて分かりにくい立法のやり方が、小出幹事の言われたような宣言的な意味合いを含むものになっていくのかなというところもあり、そういったやり方も我々としては視野に入れているというのが現状でございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。いずれにせよ、従来から言われていた機能的同等性を有するという発想そのものは全く否定されず、現在の案にも貫かれていて、ただ、形式的にそれが条文として表現されることの要否についての評価が変わったということだということについては折に触れて確認していただければと思います。   そのほか、どの点でも御意見等はございますでしょうか。 ○池山委員 池山でございます。今の点に関連してなのですけれども、これはある種、素人的な思い付きなのかもしれませんけれども、せっかくなので申し上げさせていただくと、もしもこの立法が単行法の法律になって、要は立法目的というのがはっきりしていて、前文が置かれるような規定とか、あるいは立法目的に関する規定がよく第1条とかでありますけれども、そういう規定が置かれるのであれば、正にそこに入れてほしいという性質の話だろうと理解をしています。今回は結局は商法の改正でしかないので、入れようがないと、そういう整理なのかなと思っております。ただの感想ですけれども。   それと、もう1個感想を申し上げますと、膨大な量の準用規定ということに関しては、確か昔の油賠法、今は名前変わりましたので船舶油濁等損害賠償保障法でしたかね、などに確か膨大な準用規定があるので、海事の世界では実は先例がないわけではないなと思って聞いておりました。それがいいかどうかはもちろん分かりませんし、評判が悪い部分もありますけれども、今、渡辺幹事のおっしゃった、逆に準用という形をとることによって、所詮は言い換えなのだ、同じ趣旨なのだということを、紙のB/Lと電子B/L記録が基本的に同等なのだということを、膨大な準用規定を置くことによって間接的に示すのだというのは、なるほどと思って聞いておりました。ただの感想ですけれども、以上です。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。準用にある種積極的な意味合いを持たせ得る辺りが今回の特殊性ですので、読みにくいという批判に対しては、多少反論ができるような要素はあるのかもしれませんが、いずれにしましても技術的な話というふうに理解していただければと思います。   そのほか、どの点でも御意見、御質問等がございますでしょうか。   特にないようでしたら、その次に進みたいと思います。部会資料15、第2部、24ページ以下に関して御意見、御質問を頂ければと思います。   これまでも何度か議論してきたことで、大きな変更は今回ありませんけれども、この際何か御意見等はございますでしょうか。 ○池山委員 何度もすみません、池山でございます。第2部の第1、複合運送証券についてです。これは、実は中間試案の段階で質問すべきであったかもしれませんけれども、念のため質問させていただきます。もちろん趣旨としては異論はないのですけれども、形式的に言うと、複合運送証券についてはこの規定があるだけだと意味がなくて、当然、電子複合運送証券記録というのですかね、についても、電子船荷証券記録と同じような趣旨の規定の適用というのが必要になってくると思っています。紙の複合運送証券の場合であれば、元々商法の規定の中にこれと同趣旨の規定があるのに加えて、確か769条の2項で、商法の船荷証券に関する準用規定がしかるべく置いてあり、かつ民法の有価証券の規定については、有価証券の一種なので当然適用があるということで、実質的な明示的な規定を置くのはこれだけで済んだと。   ところが、電子になると、今の点、商法の規定の準用に相当する部分、それから民法が正に適用になる準用、民法の有価証券関連規定が準用される部分というのは、やはり両方何らかの形で必要だろうと理解をしています。ここで正に冒頭で、次のような規律を設ける等の所要の整備の、この「等」の中には今申し上げた部分が入っていて、技術的にはこれはかなり神経を使われる作業だと思いますけれども、是非よろしくお願いしたいと思っています。   何でわざわざこれを言うかといいますと、実務で船荷証券、船荷証券といっているものも、大半は実は性質的には複合運送証券だと思っているからです。コンテナ船の場合、プレイス・オブ・レシートとポート・オブ・ローディングがずれている、あるいはポート・オブ・ディスチャージとプレイス・オブ・デリバリーがずれている場合は、いわゆる船会社、実運送人が発行する船荷証券にもよくあるわけで、両者がずれていれば、船荷証券、ビル・オブ・レーディングと書いてあるけれども、概念的には実は複合運送証券なのだろうと、いわんや、いわゆるフレイト・フォワーダーが出す証券は大半はそうだと。となると、B/Lと思っているものは大半実はこちらなのだと思っていますので、ここの「等」のところは、技術的なことではありますけれども重要なことだと思いますので、是非よろしくお願いしますというお願いです。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘いただきましてありがとうございました。今回の要綱案では「等」の中に全て含めてしまっておりますけれども、池山委員の言われることは全てそのとおりだろうと思っておりまして、我々もその方針でございます。率直なところを申しますと、実は25ページの倉荷証券と同じような記載ぶりにした方が、ひょっとしたらよかったのかもしれませんけれども、ただ、複合運送証券については多分、船荷証券と比較して固有の規定というのはほとんどないわけですので、恐らく実際の立法作業をすることになると、船荷証券に関する規律をある程度整備していった後に、電子船荷証券記録の規定を大量に準用していくというスタイルをとることになるのかなというところもあり、「等」の一言で全てをまとめてしまったところではございますが、御指摘いただいたのは全くそのとおりでありまして、ここに書いてある規律だけで全てが片付くわけではなくて、実際の法案の出来上がりをいつか皆様が御覧いただくことになるとするならば、到底これだけではなく、いろいろなものが一杯並んでいるということになろうかと思っているところでございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。 ○池山委員 ありがとうございます。 ○藤田部会長 そのほか、どの点でも御意見等がございますでしょうか。倉荷証券などについても、この規定で大丈夫でしょうか。   もし特に御意見がないようでしたら、本日の審議はこの程度にさせていただければと思います。長い間ありがとうございました。   では、次回の議事日程等について事務当局から御説明をお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。本日も多数の御指摘を頂きまして誠にありがとうございました。本日の御議論を踏まえての大きな修正というのは恐らくないのかなと現時点では思ってございますけれども、微調整を含めた最終的な確認を一度させていただきたいと考えております。また、本日御欠席の委員、幹事の方もいらっしゃいますため、次回の部会において要綱案の取りまとめということをさせていただければと考えてございます。   次回の第16回部会につきましては、8月21日水曜日、午後1時30分からということで、場所は法務省地下1階の大会議室を予定してございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。   それでは、法制審議会商法(船荷証券等関係)部会の第15回会議を閉会させていただきます。   本日は熱心な御審議を賜りまして、ありがとうございました。 -了-