法制審議会 商法(船荷証券等関係)部会 第16回会議 議事録 第1 日 時  令和6年8月21日(水)自 午後1時30分                     至 午後2時37分 第2 場 所  法務省地下1階 大会議室 第3 議 題  商法(船荷証券等関係)等の改正に関する要綱案 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○藤田部会長 予定した時刻になりましたので、法制審議会商法(船荷証券等関係)部会、第16回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日は猪俣委員、家原委員、松井幹事は御欠席と伺っております。また、北澤委員、洲崎委員、久保田幹事、後藤幹事、笹岡幹事はウェブで参加されると伺っております。   それでは、開始いたします。まず、前回に引き続き本日はウェブ会議の方法を併用して議事を進めたいと思いますので、ウェブ会議に関する注意事項を事務当局に説明していただきます。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。前回までの部会と同様のお願いとなりますが、念のため改めて御案内させていただければと思います。   まず、ウェブ会議を通じて参加されている皆様につきましては、御発言される際を除き、マイク機能をオフにしていただきますよう御協力をお願い申し上げます。御質問がある場合や審議において御発言される場合は、画面に表示されている手を挙げる機能をお使いください。なお、会議室での御参加、ウェブ会議での御参加を問わず、御発言の際はお名前をおっしゃってから御発言いただきますようお願い申し上げます。ウェブ会議の方法で出席されている方々にはこちらの会議室の様子が伝わりにくいため、会議室にお集まりの方々におかれましては特に御留意を頂ければと存じます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。   次に、本日の審議に入ります前に配布資料の説明をしていただきます。事務当局からお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。配布資料について御説明いたします。今回配布した資料は、部会資料16-1「商法(船荷証券等関係)等の改正に関する要綱案」、部会資料16-2「要綱案(部会資料16-1)の補足説明資料」、参考資料16-3「MLETR対照表」の3点でございます。後ほど審議の中で事務当局から説明をさせていただきます。   配布資料の説明は以上でございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   それでは、本日の審議に入りたいと思います。まず、各部会資料と参考資料について事務当局から御説明をお願いいたします。 ○原関係官 事務当局でございます。本日は事務当局から部会資料として部会資料16-1、部会資料16-2をそれぞれお配りしております。このうち部会資料16-1は、この部会における取りまとめの対象となる要綱案をゴシック体の記載でお示ししたものになります。次に、部会資料16-2ですが、こちらはこの部会における取りまとめの対象となるものではなく、飽くまでも部会資料16-1について御議論いただくための参考としていただく趣旨で作成しているものとなります。また、参考資料としてMLETRの各条文と要綱案との対照関係を整理したMLETR対照表をお配りしております。   それではまず、お配りした部会資料について部会資料16-2に沿って御説明いたします。部会資料16-2のゴシック体の記載ですが、こちらは要綱案の一部を抜粋したものであり、前回の部会から変更した箇所に下線を引いております。なお、いずれの変更点につきましても、字句や表現の修正等の形式的な調整をしたものであり、前回の部会から実質的な内容に変更はございません。   このうち、1ページ目にある第1部の第1についてですが、こちらは字句等の修正のほか、第1の5の「当該電子船荷証券記録の提供を受ける者」の後に「(以下「被電子裏書人」という。)」と追記しております。こちらについては、要綱案の第5の1において被電子裏書人という表現を用いていることから、この第1の5において定義することとしたものです。   次に、2ページ目を開いていただいて、「(注3)」についてですが、こちらは従前、ほかの「(注)」と同様、「措置の具体的な内容は法務省令で定めるものとする。」としておりましたが、前回の部会において、いわゆる信頼性の要件についても法務省令において定めることに特段の御異論は見られなかったことから、識別性の要件、完全性の要件と併せて、その重要性に鑑みて、「(注3)」においてこれらの措置を具体的に明記したものとなります。   なお、前回の部会において、MLETRと整合的な内容とするために、電子船荷証券記録の支配に係る権限を有する者、この者を識別することができる措置についても法務省令において定めるべきとの御意見を頂いたところであり、こちらにつきましては、その具体的な規律などについては引き続き検討することとし、今回の要綱案においては、「(注3)」の「信頼性を確保するための措置等」の「等」の中に含めることとしております。   次に、第1部の第2から第4につきましても、字句や表現の修正をしたものであり、実質的な内容に変更はございません。   このうち3ページ目の第4の「(注2)」についてですが、こちらは従前の記載を簡略化するために下線部の結論部分のみを残すこととし、その理由を記載していた部分を削除したものとなります。   次に、3ページ目の第7についてですが、こちらはゴシック体で記載しました要綱案自体は形式的な修正をしたのみですが、補足説明において、本日御審議いただきたい論点を記載しております。   まず1点目は、民法第520条の3の規定に関する論点となります。この民法520条の3は、指図証券の譲渡について手形法の裏書の方式に関する規定を準用することを定める規定ですが、準用される手形法の規定を具体的に明示しておりません。この点、民法520条の3の前身である旧商法519条は、手形法の12条、13条、14条2項と小切手法の5条2項、19条、21条を準用することを明示的に規定しており、このような旧商法519条の規定を踏まえますと、これらの手形法と小切手法の規定を電子船荷証券記録についても及ぼすことが考えられるところでございます。   このうち小切手法19条以外の規定につきましては、3ページ目下の補足説明の(2)において記載しておりますとおり、要綱案の第4の規律を設けるなどしてこれらの規定を電子船荷証券記録に及ぼすことを想定しておりますが、小切手法19条、こちらは手形法16条1項に同様の規定がございますが、この規定を電子船荷証券記録にも及ぼすべきかどうかについては今一度整理する必要があるものと考えております。   この点、4ページ目の(3)に記載しておりますとおり、手形法16条1項は第1文から第4文までに分かれておりますところ、裏書の連続と権利推定について定める第1文については、要綱案の第7のとおり、民法第520条の4の規定を準用する、又はこれと同様の規律を設けることにより、電子船荷証券記録に及ぼすことを想定しております。また、裏書の連続と白地式裏書について定める第2文と第4文につきましても、電子船荷証券記録については電子裏書の特例として白地式電子裏書が認められていることから、これらの規定を電子船荷証券記録に及ぼすことに問題はないと考えられるところです。   次に、第3文についてですが、こちらは抹消された裏書は記載しなかったものとみなす旨の規定となります。この点、電子船荷証券記録の場合は電磁的記録であることから、電子裏書を抹消する場合は、少なくとも表示上は電子裏書に係る記録を完全に消去することが可能であり、その意味においては紙の船荷証券における裏書の抹消とは異なる面があることは否定できないともいえます。もっとも、例えば4ページ目下の①から④として記載した事案、すなわち、①Aを電子裏書人、Bを被電子裏書人とする第1電子裏書、②Cを電子裏書人、Dを被電子裏書人とする第2電子裏書あり、③このうち第2電子裏書を抹消した上で、④Bを電子裏書人、Dを被電子裏書人とする第3電子裏書をしたような事案で、電子船荷証券記録の表示上は第2電子裏書に係る記録が完全に抹消されているような場合を想定しますと、表示上はAからB、BからDの電子裏書が表示されることとなるため、電子裏書の連続は認められそうではあります。他方で、今回要綱案の第1の2の「必要な技術的措置」として、いわゆる完全性の要件を満たす措置を定めることとしており、これにより、第2電子裏書を抹消した履歴自体はシステム上に記録、保存されることとなることが想定されることを踏まえますと、第2電子裏書が存在したという事実、これ自体は確実に証明されることとなるため、手形法16条1項の第3文に相当する規定がなければ電子裏書の連続が否定されることとなるようにも考えられるところです。   したがって、補足説明にも記載しておりますとおり、紙の船荷証券における裏書の連続と同様に、電子船荷証券記録における電子裏書の連続を形式的に判断することができるようにするためには、手形法16条1項の第3文に相当する規定を整備することが望ましいとも考えられるところであり、この点について御審議いただければと思います。   2点目は、民法第520条の9の規定についてですが、こちらは前回の部会において、この規定を電子船荷証券記録に及ぼすに当たっては、電子船荷証券記録に記録された事項を表示したもの、これを提示するだけでは足りず、履行の請求をする者が電子船荷証券記録の支配に係る権限を有する者であることが明らかにされる必要がある旨の御意見が出されたところです。このような御意見を踏まえ、事務当局としましては、民法520条の9の規定を電子船荷証券記録に及ぼすに当たっては、電子船荷証券記録の支配に係る権限を有する者が、そこに記録された事項を表示したものを提示すること、これに加えて、電子船荷証券記録の支配に係る権限を有する者であることを示すこと、この2点が求められるものとする方向で検討することを考えておりますが、この点についても御審議いただければと思います。   次に、第8につきましては、5ページ目の下の2(1)の3行目において、電子裏書の後に「及び当該電子船荷証券記録の提供」と追記しておりますが、これは6ページ目の補足説明に記載しておりますとおり、電子船荷証券記録上の権利の譲渡等に当たっては、電子裏書に加えて電子船荷証券記録の提供が必要となるため、この点を踏まえて修正したものとなります。   それ以降の第9及び第2部の各規律につきましても、字句や表現の修正をしたのみであり、実質的な内容に変更はございません。   以上が部会資料の説明となりますが、部会資料のほかに、先ほど御案内したとおり、参考資料としてMLETRの各条文と今回の要綱案との対照関係を整理したMLETR対照表をお配りしております。前回、中間試案のたたき台について御審議いただいた第8回の部会において、MLETRと中間試案との対照表をお配りしたところではございますが、今回お配りしたMLETR対照表は、要綱案の内容を踏まえて前回の対照表を更新したものとなります。その内容につきましては、前回お配りした対照表の表現ぶりを一部変更するなどしておりますが、実質的な内容は前回とおおむね同様であり、要綱案とMLETRとの対照関係について、概要としてこのような整理が可能であるものと考えております。   以上、簡単ではございますが、事務当局からの部会資料と参考資料の説明となります。 ○藤田部会長 ありがとうございました。   それでは、今御説明のあった内容について、どなたからでも結構ですので、御意見等を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。 ○池山委員 池山でございます。いつも冒頭に発言の機会を頂きましてありがとうございます。今回の要綱案の案については、これまでいろいろ事務当局の方で苦労してまとめていただきまして、本当にありがとうございます。今回の立法というのは、本当の実務者から見れば、あるいは第三者から見れば、要するに従前、船荷証券があるところ、実際にいわゆる電子船荷証券として出回っているもの、それから、これから出回るであろうものについて船荷証券とみなすと、端的に言えばそれだけだといえるところもあって、実際そう言われることもあるのですけれども、にもかかわらず、実際検討するといろいろと難しい問題があって、かなり事務当局では御苦労されたことと存じます。改めて感謝申し上げます。   その上でですが、今回のこの取りまとめの要綱案の案については異存はございません。ですが、せっかくの機会ですので、2点確認的な質問と、1点コメントをさせていただきます。   確認的な質問の方を先にさせていただきますと、部会資料16-2に沿ってお話をします。一つ目は、正に3ページから5ページに書いてある民法520条の3の第2文ないし第4文の実質的な意味での準用関係です。ここに書いてあることについてはもちろん異存ございませんで、結局この趣旨は、民法520条の3の第2文ないし第4文についても、電子船荷証券記録についても同様の規定を及ぼすということが書いてあると理解しております。他方で、第7の取りまとめ対象となる要綱案そのものでは、あえて準用対象から520条の3が抜かれております。私はこの趣旨は、元々520条の3という規定が包括的な準用規定なので、それをそのまま準用するというわけにはいかないから抜いてあるのだと理解をしておりますけれども、一方でこうやって抜きながら、他方実質的には準用するのだとすると、実際どうやってやるのかということが気になります。恐らく、これは第7の最後の「等」の所要の整備の中に正に入るのだろうと思いますが、一応その点を確認させてくださいというのが確認的な質問の1点目です。   それから、2点目は少し飛びまして、最後から6ページのところですね、転換に関する規定に関する字句の修正のところです。これは、転換のときに当該船荷証券の交付を受けた者としての氏名又は名称については任意的記載事項としないという点に関連するところです。これは前回の要綱案のたたき台では、任意的記載事項としないと、言ってみればはっきり書いてあったのですけれども、今回、意識的にかどうか分かりませんが、任意的記載事項として含めないことを検討するというふうに、若干少なくとも言葉的にはニュアンスは変わっております。これは我々の理解では、どう言ったらいいのでしょうか、最終的には政府内部での法律案の立案の在り方によることなので、任意事項とし、含めないと断定するという書きぶりは少し行きすぎだという配慮が働いたものの、他方で実質的な変更をする趣旨ではないと理解をしております。実際、補足事項にも何も書いてありませんから。さはさりながら、何回も言いますけれども、前回の案では任意的記載事項として含めないとはっきり書いてあって、それは誰からも異論は出ていないので、そこの表現の違いは、実質を変更するという趣旨ではなくて、そういう手続的な考慮が働いたためであるということの確認をさせていただきたいというのが二つ目です。   それから、最後、これだけは実質的なコメントです。これは、1ページ戻って520条の9に関連するところです。これは私がいつも申し上げていたところで、こだわって申し訳ありません。今回、従前からの私どもの意見及び前回の私の意見も含めて、5ページの真ん中辺りで①、②に分けて、特に②ですね、権限を有する者であることを示すということを別途入れていただいたことについて、まずは感謝申し上げます。その上でですが、確か中間試案の段階で私どもが元々提案していた内容というのは、権限を有する者、つづめて言えば支配する者であることを証明すると、ただし電子船荷証券記録の規約上方法があればそれによるという書き方をしておりました。それをこういうふうに反映していただいていると思います。   実務の立場からすると、紙の船荷証券の場合、実際その原本をこうですよと見せるわけですから、事柄の性質上、その段階で船荷証券原本の所持人だということは事実上証明されるわけですよね、だから証明という用語を使っていた。ここでこれが入っていないというのは、恐らく法制上は証明という用語はやはり証明責任の帰属等と関連した民事訴訟法の用語であって、実体法の用語ではないという配慮が働いたのかなと理解しておりまして、それはそれで理解をするのです。   他方で、これが最後なのですけれども、これはたまたま気付いたのですけれども、全然無関係の、しかし商法の文脈ですけれども、会社法の株券喪失登録の制度で、株券喪失登録請求をする人は、単に請求するだけではなくて、自分が所持していたことを証する資料を提供しろとあるのです。少しお待ちください、いきなり申し上げているので、条文を控えてきましたので、申し上げます。会社法施行規則の47条3項です。これは後で見ていただければいいのですけれども、証する資料と書いてあるのです。この証明すると証する資料というのがどう違うのか分かりませんけれども、実務家的にはこちらの方がぴんと来るなという感じがします。   これは、今回はもう、具体的にどういう書きぶりにするかを要綱案の中に入れるのではなくて、要綱案では所要の整備ということになって、あとはもう法務省令の中で、ということは政府内部の検討の中で、ということになっていると思いますので、一応もう御指摘申し上げるだけにとどめますが、参考にしていただければなということで一応申し上げたいと思います。   以上です。すみません長くなりました。 ○藤田部会長 ありがとうございました。それでは、特に最初の二つの確認事項について、事務当局からお答えいただければと思います。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御質問いただきましてありがとうございます。まず1点目は、520条の3というものを準用から除いているにもかかわらず、補足説明の中でその趣旨に鑑みて手形法16条の規定を及ぼすということになっているけれども、具体的にどういう形での立案を想定しているのかと、こういった御趣旨の御質問かと思っております。まず、要綱案において520条の3を除いているのは、御指摘いただいたとおりでございまして、こういった準用規定を更に準用するというのは恐らく難しかろうということで、それについては形式的に準用からは外して、その中身について何らかの形で整備をしていくということを考えてございます。具体的な書き方につきましては、正にこれから法制上の問題として私どもの方で考えていくということになりますので、現時点においてこういうやり方で行きますということを確定的に申し上げることは難しいかと思っておりますけれども、整備という形でこういった規定を幾つか置いていくということも考えられるかと思いますし、手形法16条の規定ぶりを想定すると、民法520条の4を準用する際の読替えとしてこういったものを置いていくというやり方もひょっとしたらあるかもしれません。ただ、いろいろなやり方があろうかと思いますので、そういったところは法制上の問題として私どもの方で考えていければなと思っているところでございます。   それから、2点目は、部会資料16-2でいうところの6ページの「(注2)」のところだったかと思います。「検討するものとする」という形で語尾がまとめられておりますけれども、従前の部会資料15については、「含めないものとする」というふうに確定的なものとして書かれているという点について、何か実質的な違いがあるのかという問い掛けかなと思っておりますが、私どもの方としては特に何か実質的に考え方を変えたということではございません。この部分につきましては、省令事項ということになりますので、ここで確定的に決めるというよりは、「こういった方向で検討するものです」ということを意図する意味合いでこういう表現を使わせていただいたということでございます。我々の今の考え方等を前提にいたしますと、この法律が成立した後に省令を作っていくことになろうかと思いますけれども、省令を作っていく際には、もうこの方向で行くということを基本的には考えているというところでございます。 ○藤田部会長 要綱案において「検討することとする」という書き方をしているときは、イエスかノーかを後で判断するという半々だという趣旨ではなくて、基本的にはそこで示された方向で行くということを含んだ上での表現になっているというふうに読んでいただければと思います。そういうふうに読むと、前回の資料とも実質的にはさしたる違いはないということだと思います。これはここだけの話ではなくて、そのほかの箇所で同じような表現がされている場合にも当てはまり、同じような疑問を持たれた方がいらっしゃるかもしれませんが、そう読んでいただければということなのだと思います。事務当局としても、このような理解で、よろしいですか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。今、部会長にまとめていただいたとおりでございます。 ○藤田部会長 そのほかどの点でも、御意見等ございますでしょうか。 ○池山委員 すぐ終わります。まず、2点の確認的な質問について御回答ありがとうございました。3点目は、御参考にしてくださいということだけなのですけれども、もし感触みたいなものがあれば、少し教えていただければとは思いますが。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘いただきましてありがとうございます。こちらについては、正にこれから所要の整備として考えていくということですので、現時点で確定的にこうするつもりだということを申し上げることは難しいのですが、ただなかなか、証する資料を提出するとしてしまうと、資料の提出というのが逆に求められてしまいますので、そういったやり方にするよりは、もう端的に、「示す」ということでもいいのではないかという感じはしております。そこのところは表現ぶりということになりますので、恐らくどういったものがこれに当たるのかというところについては、余り相違はないのかなと思っておりますので、法制上の問題ということで、私どもにお任せいただけますと大変有り難いなと思っているところでございます。 ○池山委員 ありがとうございます。 ○藤田部会長 株券の喪失登録の場合は、本来権利者と推定されるべき基となる株券がなくなっていることを前提に、私は最後の瞬間に株券を持っていた者ですということを示すものなので、割とハードルが高いと思うのです。それに対して、ここは必ずしもそうでもないとすると、やはり表現は余りそろえない方が、いいのかもしれなくて、その辺りを実質的に更に検討して適切な表現を考えていただくということなのだと思います。これは技術的な話と考えていただいて、お任せいただくことでよろしいでしょうか。 ○池山委員 池山です。もちろんそれはそうです。多分、私の発言を通じて申し上げたかったことは、実は最初から一貫していて、所持人が所持人ですと言ってそのデータを示すだけでは足りないということ以上でも以下でもないです。示すという言葉も、国語的な揚げ足取りな解釈だと、それをただ、そうですよというだけというふうに取られかねないので、そういう趣旨ではないのだという実質的な解釈が採られれば、それでいいのだと思っております。ありがとうございました。 ○藤田部会長 了解いたしました。 ○新谷幹事 新谷でございます。1点質問なのですけれども、今正に池山委員からもお話がありました520条の9のところで、5ページの真ん中の辺りです。ここで、履行の請求をする者が当該電子船荷証券記録の支配に係る権限を有する者であることが明らかにされる必要があるという御議論が前回あって、実際にそうする方向で検討するためにここに記載いただいているのですけれども、「電子船荷証券記録の支配に係る権限を有する者であることを示す」ということは、例えば、これをシステムを作る側に立って、どのようにそれが示されればよいのかという辺りをもう少し、イメージ的なものを頂けると有り難いと思った次第です。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御質問いただきましてありがとうございます。こちらについてはこれからのシステムということですので、私どもの方でこういったものでなければ駄目だということではないのですけれども、イメージしているもので申し上げさせていただきますと、例えば、システムの中で、今誰が支配を持っているのかというのが運送人に分かるようなシステムというものがもし組まれたとすれば、そういうシステムであれば、運送人に対して支配者であることを示すということは容易にできるということになろうかと思います。他方で、必ずしもそうではないというシステムもあるかもしれませんが、そのようなシステムであっても、例えば運送品の引渡しを請求するときは、自分が支配者だということを示して権利行使をするというコマンドがあるはずで、それに近いものを作っていただくということでもそれは果たされるのかなとは思っておりますので、何か技術的に非常に難しくなるといったことではないかなと思っているところでございます。   更に付け加えて申し上げますと、この520条の9の提示というものをする場面というのは、これまでも御議論がありましたとおり、恐らくほとんど実務上はないのだろうと、通常は引換えに権利行使をするという場面がほとんどですので、こういった提示だけをするということは余り想定はされないのだろうと思われます。仮にシステムにおいてこういう提示というものが機能として備わっていないものであったとしても、だからといってそれが無効になったりするわけではないので、システム上必ず作らなければいけないというものでもないと考えられるところでございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。 ○新谷幹事 ありがとうございます。 ○藤田部会長 念のために、今の御趣旨を技術に関する素人的な観点から確認させていただきたいと思うのですけれども、今問題とされているのは、部会資料16-2の5ページの真ん中の②において、当該電子船荷証券記録の支配に係る権限を有する者であることを示すことが求められていることの意味ですね。これはシステムに何か負荷が掛かる、要求が加わるような要素ではない、システム上、例えば特定の会社などの名が「所持人」として示されたら、その所持人は私ですということを示されている人が示すような、そういうことを主として念頭に置いているもので、システムの設計の方に何か負荷や要件が掛かるというような話ではないようにも思ったのですが、そういう理解でよろしいですか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。正におっしゃるとおりでございまして、システムに対する負荷ではございません。ただ、もちろんシステム上、便利なものを組んでいただければ、もうそれで済むという話ですし、そういったものがなかったからといってシステムとしての要件を欠くというものでもないというところでございます。 ○藤田部会長 今のを併せて御理解いただければと思います。   そのほか、どの点でも御意見等ございますでしょうか。 ○池山委員 何度もすみません、最後の機会なので、せっかくですから。今、渡辺幹事の御発言にあったところは、結構重要な御指摘があると思っております。というのは、元々紙の船荷証券の場合は、提示、つまり正に原本を見せるだけという行為と、それから、正に交付する、占有を移転するという行為を概念的に区別することができて、それぞれに応じた法律効果というのがあると。ただ、電子船荷証券記録の場合は、少なくとも今出回っているものについては、先ほど権利行使のコマンドとおっしゃいましたけれども、端的に言うとサレンダーというコマンドしかない場合が現にあると。サレンダーというコマンドというのは、結局は紙でいえば交付に相当するわけですよね。だとすると、所持人、支配に係る権限を有する者の立場からすると、実際上は交付と区別されたところの提示に相当する、提供と区別されたところの示すということは、事実上はできないこともあり得ると。520条の9に係る法律効果を引き出すためにも、実務的にはもう交付するしかなくなると、提供するしかなくなると、そういうシステムになっている場合もあるのだと思います。多分それはそれで別にいいのだろうと思うのです。日本法がたまたまこの二つを区別して、二つにそれぞれ法律効果を与えているから、システムがそういう二つを区別したコマンドを準備してくれたらそれに応じた法律効果を与えるよと、そういう理解だと、一応実務の側としては理解しております。 ○藤田部会長 事務当局から御返答をお願いします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。今の池山委員の御整理いただいた内容で私どもの考えと一致すると思ってございますので、おっしゃるとおりかなと考えております。 ○藤田部会長 そういう意味でも、システムにまた負荷を掛けるようなことにはならないということでもありますね。ありがとうございました。   そのほかどの点でも、御意見等ございますでしょうか。 ○太田委員 みずほ銀行の太田でございます。部会第14回から出席させていただき、これまで様々な議論の中、銀行実務への影響が全銀協事務局と連携する中でもポイントとなっておりました。この点につきまして、個別に打合せの場を設けて御説明いただくなど御対応いただき、この場をお借りし感謝申し上げます。ありがとうございます。   御依頼としての内容でありますが、要綱案第7の電子船荷証券記録に関する規定の整備に関し、前回の部会でも議論があり、船荷証券に適用される商法の規定及び民法の有価証券に関する規定を準用することを想定していますが、中間試案における各案での記載のとおり、電子船荷証券記録は船荷証券と同一の効力を有する旨の規律を設けるということについて、引き続き議論いただけるものと認識しております。法令に関する専門的知識がなく、実務者側からすると、このような規律を設けていただくということは非常に意義のあることと思っておりますので、引き続き議論いただきますようお願いいたします。 ○藤田部会長 事務当局からコメントをお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘を頂きましてありがとうございます。ただいま御指摘いただいたものとしては、同一効力規定というものを別途置いた方がいいのではないかという御指摘なのかなと理解いたしましたけれども、現時点における整理としては、特に同一効力規定を置くことによってどんな効果があるのかというのがはっきり言えないと、そういったものを置くというのが非常に難しいのかなと思っておりますので、なかなか法制的な観点から、そこの辺りは正直、難しいかなと思っているところではあるのですけれども、いずれにしても大切なのは、船荷証券と電子船荷証券記録が基本的には同じ法律関係になるというところかなと思っておりますので、そういったところができるだけ明らかになるような形で立法を考えていきたいと思っているところでございます。そのための一つの方策としても、一つ一つ書き下すというよりは、船荷証券に関する規定を準用するのですという形で船荷証券との同一性というものを表していくということが考えられるかなと思っておりますので、基本的にはその方向で立案の方は考えていきたいと思っているところでございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。 ○太田委員 よろしくお願いいたします。なお、本日、要綱案の審議ということで、全銀協事務局と連携し会員行より意見をとりまとめ、内容につきまして異論がないということを御報告させていただきます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。要綱案では同一効力規定そのものは設けないことにはなっております。そうしたのは様々な理由――法制上の理由も含め――があり、特に同一の効力があるということの外縁がはっきりしなくなるようなことも懸念されるので、設けられないとしたけれども、ただ発想として、電子船荷証券記録の支配を有する状態にあるというのが紙の有価証券でいえばそれを所持している状態にある、そういう意味で紙の船荷証券の場合とパラレルに考えられるという基本的な発想に立った立法であること自体は、この部会では全く異論がなかったところです。今日わざわざMLETRとの対照表を配ったのも、そういう発想で作られているMLETRと基本的に整合的なのだという理解の表れともいえると思いますので、太田委員の御要望そのものが文言どおりの形では織り込まれていないものの、求められていることの実質は体現した要綱案だと理解していいというふうに、私は事務当局からの返答を理解したのですが、そのような理解でよろしいでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。今、部会長におまとめいただいたとおりでございます。 ○藤田部会長 そのようなことで御理解いただけますでしょうか。 ○太田委員 はい、おまとめいただきありがとうございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   そのほか、どの点でも。 ○山口委員 山口でございます。今の太田委員の御質問というか御要望についてなのですけれども、これは商法の改正という形で行われると思います。電子船荷証券記録が船荷証券と同等効果を示すような条文を設けなくても、この条文の位置関係によって、電子船荷証券記録が船荷証券に代わるものとして、あるいはそれと同等のものとして、理解されるような形で法制化されるだろうと思っております。今、太田委員がおっしゃったようなことが外から見て分かるような形で、うまく条文構成をされたら有り難いと私も思います。 ○藤田部会長 ありがとうございました。今の御要望について、事務当局からもしあれば、お願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘いただきましてありがとうございます。正におっしゃるとおりでありまして、どのような形でどこに書いていくのかというところは、またこれから検討することになりますけれども、いずれにしても全体として見たときに、これは船荷証券と基本的には同じなのだということが分かるような形で、できるだけ立案をしていきたいと思っております。いずれにしても、何らかの形で解説なりを書いていく機会もあろうかと思いますけれども、そういった際にはここでの御議論なども紹介させていただきながら、今御指摘いただいたような趣旨での立法なのだということを明らかにしていきたいと思っているところでございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。   そのほかどの点でも、御意見等ございますでしょうか。 ○洲崎委員 洲崎でございます。最初に池山委員が取り上げられた民法の有価証券に関する規定の準用のところ、取り分け今回の補足説明資料4ページの(3)のところ、すなわち、裏書の連続に関する手形法16条1項の第1文から第4文までの規定の扱いについて検討されているところについて、少し発言をさせていただければと思います。   今回の説明資料では、結論的にはこの第1文から第4文までの四つの規定とも電子船荷証券記録にも及ぼすということが提案されておりますけれども、その中でも取り分け裏書の抹消に関する第3文の規定の扱いについて、かなり詳しく説明をされております。要するに、紙の証券であれば、一旦行った裏書にバツ印を付けるなり二重線で消すなり塗り潰すなり、とにかく裏書の抹消という行為が行われたということを明確に認識できるのに対して、電子船荷証券記録では、電子裏書を抹消するという行為があったのかどうか外部から認識できないのではないか、外部から認識できないのなら、抹消に関する規定を置く必要もないではないかということが恐らく問題になるということから、このようなやや詳しい説明をされているのだろうと思います。   確かに、もし一旦行った電子裏書を消して別の電子裏書をやり直したという、そういう履歴を見ることができるのがシステム運営者だけであって、運送人あるいはその後の電子船荷証券記録の譲受人はそういう履歴を見ることはできないというのであれば、裏書の連続の有無というのは客観的、外形的に判断するのだという裏書の連続の法理の性質からして、裏書の抹消に関する規定は、電子船荷証券記録の電子裏書については不要だということになるのだろうと思いますが、ただ、その電子裏書をやり直したという履歴を見ることができるのがシステム運営者に限られるのか、取引関係者もその履歴を見ることができるのかという点について、つまり電子裏書の仕様がどうなるかについて現時点でははっきりしないということだとすると、一見すると電子の世界では不要に思えるような手形法16条第1項第3文に相当する規律もやはり残しておいた方がよいということになるのだろうと思います。事務当局の方ではこの問題について非常に慎重に検討されて、結論的に、今お話ししたように、裏書の抹消に関する規律を残した方がよいと判断されたと理解しておりますが、私もこの判断を支持したいと思います。   もう1点は、これは池山委員が特に指摘されたところかと思うのですけれども、民法の規定の準用に関する第7のところは、要綱案を見ても具体的にどういう規律を準用するのかというのが分からなくて、補足説明資料を見ないと分からないような仕様になっていると思うのですけれども、これは、元々の民法の520条の2以下の規定が必ずしも出来のいい規定ではない、特に手形法16条第1項第1文については520条の4で新たに明確に書き下ろしているのだけれども、第2文、第3文、第4文は書き下ろされていない。では520条の3で準用されることになるのかというと、恐らく準用しないと都合が悪いので準用されることになるのだと思いますけれども、しかし、その辺りのことがはっきりしないので、結局、要綱案では一般的に必要な規定を準用する、あるいは同等の規律を設けるということにして、実質は説明資料の方で説明したと、こういうことなのかなというふうに受け取ったのですけれども、そのように理解してよろしいのかということを少しお伺いできればと思います。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御質問いただきましてありがとうございます。最後に御質問いただきました要綱案の第7の関係ですけれども、おおむね御指摘いただいたとおりかと思っておりますけれども、重ねて補足説明させていただきますと、この第7の部分というのは、民法の規定であったり商法の船荷証券の規定をどのように及ぼしていくかということで、私どもとしては、まず準用ということができればと思っているところではあるのですが、この具体的な書き方というのは、どうしても法制上の問題という面が非常に大きいところがあろうかと思っておりますので、なかなか具体的な条文案のような形でここでお示しすることが正直、難しいというところで、この要綱案のゴシック体の本文の部分については若干抽象的な書き方になってしまっているというところでございます。ただ、具体的な内容的な意味での目指すべき方向というものについては、今回の補足説明で書かせていただいたとおりでございますし、これまでの部会資料の補足説明でも書かせていただいたとおりでございまして、そういった内容が実現できるような形で適宜の方法で立案をしていきたいと考えているところでございます。 ○藤田部会長 要綱案の技術的な性格からこういう書き方までしかできないということで、実質は説明で書かせていただいたということのようですが、よろしいでしょうか。 ○洲崎委員 はい、よく理解できました。ありがとうございました。 ○藤田部会長 洲崎委員の第1点の御指摘は、非常にまた事務当局の説明を敷衍していただいて、実質的な理由を含めて支持するということですが、この点もよろしいでしょうか。前回から若干議論のあったところで、見ようによっては余り意味がなさそうな手形法16条第3文の準用なのですけれども、洲崎委員の御指摘のようなことまで慎重に考えるなら、念のために準用していた方がいいのではないかということから加えられた変更という理解ですけれども、よろしいでしょうか。   どうもありがとうございました。   そのほかどの点でも、御意見等ございますでしょうか。あるいは今後のことに関する御要望のようなものも含めて、この際にお承りしたいと思いますけれども。 ○雨宮委員 雨宮です。この電子船荷証券記録の審議につきましては、まず紙の船荷証券との機能的同等性、それからMLETRなどの諸外国法、条約との整合性、それから既存のシステム、将来のシステムとの関係、最後に、法制上の問題、そのような非常に難しい問題があるところ、事務局で取りまとめていただき、大変御苦労されたと思います。大変感謝しております。日弁連は事前の会議で検討いたしましたが、この案に賛成したいと考えております。   要望というわけではありませんが、省令にいろいろな事項が委任されることになると思いますが、日弁連としては、どのような省令になるかについても非常に関心を持っております。現在の御感触、今のお考えですと、どのような形で省令案を作成されていくのか、少し御説明いただけるのであれば、よろしくお願いいたします。 ○藤田部会長 後者の質問について、是非お答えいただければと思います。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。まずは、要綱案について御賛同いただきまして、ありがとうございます。省令の関係につきましては、基本的には法律案が成立してから具体的な立案作業に入るということになろうかと思いますけれども、少なくとも現時点で想定している案につきましては、これまでも補足説明で、できるだけ具体的になるような形でお示しをさせていただいていたかと思いますけれども、基本的にはそれが出発点となるかと思ってございますので、そういったラインで立案の方はさせていただきたいと思っておりますけれども、必要に応じて、また御意見を伺ったりというようなことも今後あろうかと思いますので、そういった際にはまた御知見等を賜れれば大変有り難いと思っているところでございます。 ○藤田部会長 よろしいでしょうか。 ○雨宮委員 雨宮です。ありがとうございます。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。 ○吉田委員 吉田です。中身に関する質問ではありませんが、今回頂いた参考資料16-3のMLETR対照表において、原文と仮訳、そして要綱案の考え方が記載されています。これは将来的に、例えばパブリックコメントを出す際に添付されるなど、何かしらの形で使用されるものなのでしょうか。それとも、今回の会議のためにあくまで参考として配布されたものなのでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。一応、今回の取りまとめの対象ということではないのですけれども、MLETRとの整合性についての考え方というのを事務当局なりにまとめさせていただいたものでございますので、具体的にどういう形で使っていくかというところについて現時点で明確なビジョンがあるわけではございませんけれども、今後、MLETRとの整合性について何か問われたときには、ここに書かれた内容を使って説明するといったようなことは十分あり得るかなと思ってございますし、皆様の方でも検討される際に御利用いただいてもいいのかなと思っているところでございます。 ○吉田委員 ありがとうございます。 ○藤田部会長 MLETR対照表は、国際的な現在の考え方とできるだけ整合的にということを強調してきたことから、そのことを具体的に示す資料があった方がいいのではないかという観点から、事務当局が御用意していただいたもので、ひょっとしたら将来何らかの形で立法の説明に際して、またこういうものを収録するかもしれませんが、そこはよく分からない。ただ、委員の方々が自由にこれを利用して説明していただくことは全く妨げないということなのだと思います。現段階だとそれ以上、具体的なことまで申し上げにくいのだと思うのですけれども、有用な資料ですので、関係者は御利用・御活用いただければと思います。   そのほか、どの点でも。 ○山口委員 山口でございます。私ども国際フレイトフォワーダーズ協会といたしましては、この電子船荷証券記録とともに電子複合運送証券記録について最も多用する立場にあるかと考えております。今回、複合運送証券についてもこういう規定を設けられるということになるのですが、条文の順序から言うと、複合運送証券の今ある規定の後ろぐらいに、この電子複合運送証券記録というようなものを作って、並べてまた準用される形になるのかと思います。そういたしますと、準用の準用になりますので、かなり複雑な規定になろうかと思うのです。その点、少し分かりやすくしていただければ有り難いなと。今の状況でどういうものができるのか想定ができないのですけれども、またその点、教えていただけるなりしていただくと有り難いかなと思います。 ○藤田部会長 ありがとうございます。事務当局から何か御返答がございますでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。御指摘いただきましてありがとうございます。今の要綱案につきましては、第2部の第1というところで複合運送証券についての記載がございますけれども、今、山口委員がおっしゃっていただいたことは全て所要の整備の一言にまとめられてしまっているというところかなと思っておりますけれども、なかなか実は、我々も今立案作業の方は進めておりますけれども、書きぶりは非常に難しいとは思っているところでございます。その上で、今考えているイメージですね、これがそのままそうなるというわけでは必ずしもありませんけれども、イメージとして若干御紹介をさせていただきますと、船荷証券に関して言いますと、電子船荷証券記録固有の規定というのが恐らく幾つかありますので、それをまず書いていく、その上で民法の規定なり、あるいは船荷証券に関する商法の規定を準用するという形で並んでいくということが一つ考えられるかと思っております。それとの平仄を考えますと、電子複合運送証券記録についても、恐らく固有の定義規定的なものはまず置いた上で、ただ、それ以外のところというのは多分、電子船荷証券記録の規定がそのままほぼ使われるということになると思いますので、先ほど電子船荷証券記録の固有の規定を設けると申し上げましたけれども、その固有の規定を準用した上で、更に民法なり商法なりを準用するという形が一つ、想定はされるかとは思います。そういった並びにすることで、今の商法の複合運送証券の規定より少しは分かりやすくなるかもしれないものの、余り根本的な解決にはなっていないかもしれませんが、いずれにしても御指摘を踏まえて立案の方は引き続き検討してまいりたいと思っているところでございます。 ○山口委員 お願いします。 ○藤田部会長 準用の準用という言葉が与えるイメージよりは分かりやすい体裁になるのではないかと期待しておりますけれども、適宜対処させていただければと思います。   そのほかどの点でも、御意見等ございますか。 ○小出幹事 小出でございます。まずは今回のお取りまとめにつきまして、事務当局の御尽力に大変感謝申し上げたいと思います。私はMLETRに関心を持っておりましたので、その関係でいろいろ発言をさせていただきましたけれども、基本的な考え方はMLETRの考え方に準拠しているということが確認されたということで、私個人は大変よい結果になったのではないかと思っております。   今申し上げたとおり、国際的な動向、潮流というものに合わせていくというのが今回の立法の一つの目的であると考えますので、初回の頃にほかの委員の方からも御指摘がありましたけれども、出来上がったものをどうやって対外的に発信していくのかというのが極めて重要であろうと思っております。これは我々研究者の役割なのかもしれませんけれども、併せまして各業界の団体等も含めて、それぞれの実務家の方にも是非積極的に、日本はMLETRに準拠したのであるということを対外的に発信していただきたいということがまず一つと、それからもう1点、これはなかなかリソースの関係もあって難しいかもしれませんけれども、やはり法務省の公式の見解というかプレスリリースとしても、MLETRという言葉を含めた上で、この要綱全文の英訳はなかなか難しいかもしれませんけれども、例えばですけれども、法務省の英文のホームページなどにおいて、MLETRにインスパイアされた形で要綱がまとまったというニュースだけでも書いていただけると、非常にインパクトが大きいのではないかと考えておりますので、こういった点も含めて、対外的な発信について御尽力いただければと思っております。 ○藤田部会長 事務当局への要望もありますけれども、御返答がございますでしょうか。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。大変有益な御指摘を頂きまして、ありがとうございます。私どもも対外的な発信というのは非常に重要かと思ってございますので、御指摘を踏まえて引き続き検討していきたいと思ってございます。 ○藤田部会長 ありがとうございました。実務家の方はもとより、小出幹事のように国際的な発信力のある研究者にも是非御尽力いただければと思います。   そのほかどの点でも、御意見等ございますでしょうか。オンラインの方もよろしいでしょうか。   もし御意見が特にこれ以上ないようでしたら、本日の審議はここまでとさせていただき、ここからは要綱案をお諮りしたいと思います。   本日はウェブ会議を併用した議事進行をしておりますので、念のため、ウェブを利用して出席されている委員の皆様方と適時の意思疎通が相互に可能な状態であることを確認させていただければと思います。お手数をお掛けしますが、ウェブ会議の方法で出席されている委員の方々は、私の声が聞こえていらっしゃれば、手を挙げる機能を押す方法によってお知らせいただけますでしょうか。これは賛否を聞いているのではなくて、通信状況の問題がないことを確認するためのものです。手を挙げる機能でお知らせいただければと思います。   事務当局においては、全員が意思疎通可能な状態になっているか否か、確認いただけましたか。   どうもありがとうございました。それでは、まずウェブの方は手を挙げる機能をオフにしていただいて結構です。ウェブで出席されている委員の皆様とも相互意思疎通が可能であることが確認できました。   それでは、これから要綱案についてお諮りしたいと思います。   当部会としては、部会資料16-1のとおりとして、商法(船荷証券等関係)等の改正に関する要綱案を取りまとめることとしたいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。   特に反対意見はないようですので、出席委員全員の一致により賛成いただいたものとして、当部会として要綱案を取りまとめるということにしたいと思います。   なお、要綱案につきましてはこれまでも字句、表現の修正などがされてまいりましたが、今後、法制審議会の総会での答申に至るまでの間も法制的な観点から字句等の修正はあり得るかもしれませんが、その際は部会長である私と事務当局に御一任いただければと思いますけれども、この点もよろしいでしょうか。   ありがとうございます。それでは、そのような形で取り扱わせていただきます。   続いて、事務当局から本日お取りまとめいただいた要綱案についての今後の予定について、御説明をお願いいたします。 ○渡辺幹事 渡辺でございます。要綱案をお取りまとめいただきましてありがとうございました。   今後につきましては、来月9月9日月曜日に法制審議会の総会が開催される予定でございますので、本日お取りまとめいただきました要綱案を総会で御報告させていただき、総会委員の皆様に御審議を頂くことになります。その上で総会の了承が得られましたら、法務大臣への答申がされると、このような流れとなります。 ○藤田部会長 どうもありがとうございました。   ほかに、全体を通じて何か御発言はございますでしょうか。   よろしいでしょうか。それでは、皆様から御意見を十分お伺いできましたので、この辺りで部会の議論を終えることとしたいと思います。   部会での議論を終えるに当たって、事務当局を代表して民事局長から御挨拶を頂きたいと思います。竹内委員、よろしくお願いいたします。 ○竹内委員 民事局長の竹内でございます。当部会の審議の終了に当たりまして、担当部局を代表して一言御礼の御挨拶を申し上げます。   当部会における審議は、令和4年4月の第1回会議から本日まで合計16回に及び、この間、委員、幹事の皆様におかれましては多岐にわたる論点について大変密度の濃い御審議を賜ったものと思っております。   本日要綱案をお取りまとめいただいたことは、藤田部会長を始めとする委員、幹事の皆様の多大な御協力、御尽力があったからこそと深く感謝を致しております。この場をお借りして御礼を申し上げます。   今回の商法の見直しは、喫緊の課題となっております船荷証券の電子化等を実現するために必要かつ合理的な規律を整備することを内容とするものでありまして、国際的な調和を図りながら商取引のニーズに的確にこたえるものとして、その意義は非常に大きいと考えております。   来月9日に開催されます法制審議会の総会で要綱が採択され、答申がされました後は、担当部局といたしまして所要の法案を速やかに国会に提出するとともに、早期に法律として成立するよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。委員、幹事の皆様方には、今後とも様々な形での御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。   これまでの熱心な御審議に重ねて御礼を申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。 ○藤田部会長 ありがとうございました。   それでは、最後に部会長である私からも一言御挨拶させていただければと思います。   2年以上にわたる長期の審議を経まして、本日要綱案を無事に取りまとめることができました。この間、委員、幹事の皆様におかれましては部会で熱心に討論をしていただき、要綱案の作成に向けお力添えいただき、部会長として皆様に心より御礼を申し上げます。   我が国における船荷証券や倉荷証券の電子化のための法制度を構築するに当たっては、国際的なルールと調和する形で紙の船荷証券や倉荷証券との機能的な同等性を確保すること、それと同時に我が国の既存の法体系との整合性を失わないようにすること、さらにはブロックチェーン技術など昨今のデジタル状況の変化や将来の進展にも対応できるような形とすることなど、多岐にわたる要請を満たす解決策を求めるという非常に困難な課題を検討する必要がありました。幸いなことに、当部会は関連する様々な分野のエキスパートの皆様に御参加いただき、これらの非常に困難な課題について、それぞれの観点から深い議論を頂くことができました。   特定の論点をめぐっては対立する意見や白熱した議論もありましたけれども、電子船荷証券記録や電子倉荷証券記録がより多く利用されるようになってほしい、そして、それを確実に下支えする法制度を整備したいという気持ちにおいては全員が一致していたことが最終的な合意を可能にしたものと思っております。そして、そのような委員、幹事の皆様の御尽力により、本日要綱案という形で結実した成果は、当部会に与えられた多岐にわたる非常に困難な課題に対する適切な回答を用意するものだと考えております。   先ほど竹内委員からもお話がありましたが、今後は法制審議会総会における要綱の採択、法案の作成、国会での審議へと向かう運びとなります。委員、幹事の皆様におかれましては、立法に向けての各段階において、さらに、立法がされましたらその運用の段階におきまして、電子船荷証券記録や電子倉荷証券記録が今後の商取引において有意義なものとして広く受け入れられますよう、引き続き御助力を賜れればと思います。   最後になりますけれども、要綱案の取りまとめに向けて熱心に御議論いただきました委員、幹事の皆様に改めて御礼申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。長い間ありがとうございました。   それでは、これをもちまして法制審議会商法(船荷証券等関係)部会の審議を終えることといたします。   長期間にわたり精力的な御議論を頂きまして、ありがとうございました。これで閉会させていただきます。 -了-