法制審議会 刑事法(再審関係)部会 第1回会議 議事録 第1 日 時  令和7年4月21日(月)   自 午前10時00分                        至 午前11時28分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  1 部会長の選出等について         2 諮問の経緯等について         3 刑事再審手続に関する規律の在り方についての意見交換         4 その他 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○中野幹事 ただいまから、法制審議会刑事法(再審関係)部会の第1回会議を開催いたします。 ○森本委員 法務省刑事局長の森本でございます。 本日は、御多忙のところ、刑事再審手続についての御審議に御出席いただき、誠にありがとうございます。   部会長が選任されるまでの間、慣例により、私が進行を務めさせていただきます。   最初に、私から、この度部会が開催されるに至った経緯等につきまして、御説明申し上げます。   本年3月28日、法務大臣から、「刑事再審手続の在り方に関する諮問」(諮問第129号)がなされ、同日開催された法制審議会第202回会議において、この諮問については、まず部会において審議すべき旨の決定がなされました。そして、同会議において、この諮問について審議するための部会として、「刑事法(再審関係)部会」を設けることが決定され、同部会を構成する委員及び幹事が、法制審議会の一任を受けた会長から指名され、本日御出席いただいているところです。   委員や幹事の方々におかれましては、初対面の方も少なくないかと存じますので、まず、簡単に、お名前、御所属等を御紹介いただきたいと思います。   また、後ほどの出席の承認の手続をお願いいたしますが、関係官も出席しておりますので、併せて自己紹介をお願いいたします。   自己紹介をしていただく順番ですが、まず、法務省の会議室に御参集の委員、幹事の方々に、池田委員から順次自己紹介をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○池田委員 池田公博と申します。京都大学で刑事訴訟法を担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○宇藤委員 宇藤崇と申します。同志社大学で刑事訴訟法を勉強しております。よろしくお願いいたします。 ○江口委員 江口和伸と申します。東京地方裁判所で判事を務めております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大澤委員 大澤裕と申します。早稲田大学で刑事訴訟法を担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○鴨志田委員 鴨志田祐美と申します。京都弁護士会に所属しており、日本弁護士連合会再審法改正推進室長を務めております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○川出委員 川出敏裕と申します。東京大学で刑事訴訟法と刑事政策を担当しております。よろしくお願いいたします。 ○後藤委員 後藤眞理子と申します。慶應義塾大学法務研究科で担当しております。元裁判官です。よろしくお願いいたします。 ○田岡幹事 田岡直博と申します。香川県弁護士会に所属しております。日弁連刑事弁護センターの委員長を務めております。よろしくお願いいたします。 ○恒光幹事 恒光直樹と申します。最高裁判所刑事局第二課長をしております。よろしくお願いいたします。 ○中山幹事 中山仁と申します。警察庁刑事企画課長をしております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○成瀬幹事 成瀬剛と申します。東京大学で刑事訴訟法を担当しております。よろしくお願いいたします。 ○吉田(誠)幹事 吉田誠と申します。内閣法制局参事官をしております。よろしくお願いいたします。 ○酒巻委員 早稲田大学法学部と法科大学院で刑事訴訟法を教えている、酒巻匡と申します。現在法制審議会の委員を務めております。これまで幾つかの大学の法学部、法科大学院で通算40年間、学生に刑事訴訟法を教えてまいりましたので、そのような教育に資するために、刑事訴訟法に関する事柄について広く勉強を続けてまいりました。専門的事項の検討に際して、何らかのお役に立つことができればと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○谷委員 谷滋行と申します。警察庁刑事局長をしております。よろしくお願いいたします。 ○平城委員 平城文啓と申します。最高裁判所刑事局長をしております。よろしくお願いいたします。 ○宮崎委員 宮崎香織と申します。東京高等検察庁検事でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○村山委員 村山浩昭と申します。弁護士です。現在、日弁連の再審法改正実現本部の委員をしております。元裁判官でございます。よろしくお願いいたします。 ○山本委員 山本剛と申します。第二東京弁護士会に所属しております。現在は日弁連の犯罪被害者支援委員会の副委員長をしております。よろしくお願いいたします。 ○井上関係官 法務省特別顧問を務めております、井上正仁と申します。刑事訴訟法の研究者でございます。よろしくお願いします。 ○吉田(雅)幹事 法務省の官房審議官の吉田雅之と申します。よろしくお願いいたします。 ○玉本幹事 法務省で刑事法制管理官を務めております玉本と申します。よろしくお願いします。 ○中野幹事 法務省で参事官を務めております中野浩一と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○森本委員 どうもありがとうございました。   それでは、次に、オンライン参加の寺田関係官、自己紹介をお願いいたします。 ○寺田関係官 法務省特別顧問の寺田逸郎です。よろしくお願いいたします。 ○森本委員 なお、小島幹事は欠席でございます。   次に、部会長の選任手続に移りたいと存じます。   法制審議会令第6条第3項により、部会長は、部会に属すべき委員及び臨時委員の互選に基づき、会長が指名することとされております。   そこで、早速、当部会の部会長を互選することといたしたいと存じますが、部会長の選任手続について、御質問等ございますでしょうか。   質問よろしいでしょうか。   それでは、皆様の御意見を伺いたいと存じます。どなたか御意見はございますでしょうか。 ○酒巻委員 刑事法の分野におけるこれまでの御経験、御業績、また、別の刑事法部会の部会長を務められたという御経験に照らして、部会長には、大澤裕委員が適当であると考えますので、推薦させていただきたいと思います。 ○後藤委員 私も、大澤委員に部会長をお願いすることが適当であると考えます。   大澤委員は、これまでも法制審議会の複数の部会で部会長や委員等を務められており、そのような御経歴に照らしても、大澤委員に部会長をお願いするのが適当であると思いますので、よろしくお願いいたします。 ○森本委員 そのほかよろしいでしょうか。   ただいま、酒巻委員、後藤委員から、大澤裕委員を部会長に選任する旨の御提案を頂きましたが、この御提案に対して御意見等はございますか。   ほかに御意見がないようですので、当部会の部会長として、大澤裕委員が互選されたということでよろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○森本委員 それでは、大澤委員におかれても、部会長をお引き受けいただくということでよろしいでしょうか。 ○大澤委員 はい。甚だ力不足を自覚しておりますけれども、御推薦でございますので、会長の御指名があればお受けしたいと思います。 ○森本委員 どうもありがとうございます。   それでは、互選の結果、大澤裕委員が部会長に選ばれたものと認めます。その上で、大村敦志法制審議会会長に部会長を指名していただこうと思います。   本日は、大村会長はこの場におられませんので、電話による指名となります。大村会長と連絡を取るまでの間、一旦会議を休憩といたしまして、その確認が取れた段階で再開したいと思います。   それでは、一旦休憩といたします。              (休     憩) ○森本委員 皆さんおそろいですので、会議を再開いたします。   大村会長と連絡を取ることができ、大村会長により、大澤裕委員が当部会の部会長として指名され、これをもって、大澤裕委員が部会長に選任されました。   大澤委員には、部会長席に御移動いただき、この後の進行をお願いしたいと存じます。   それでは、大澤部会長、よろしくお願いいたします。 ○大澤部会長 ただいま部会長に選任されました大澤裕でございます。   先ほども申し上げましたように、生来粗雑な性格であり、力不足も自覚しておるところでございますけれども、自分なりに議事が充実した形で円滑に進んでまいりますよう努めてまいりたいと存じますので、是非皆様方の御協力を賜りますようお願い申し上げます。   それでは、まずは、法制審議会令第6条第5項によりまして、部会長に事故があるときに、その職務を代行する者をあらかじめ部会長が指名しておくこととされておりますので、指名をさせていただきます。   代行する者につきましては、川出敏裕委員にお願いしたいと思います。川出委員、どうかよろしくお願いいたします。 ○川出委員 はい、承知いたしました。 ○大澤部会長 次に、関係官の出席の承認の件でございますが、法務省特別顧問の井上正仁氏、寺田逸郎氏には、関係官として当部会に出席していただきたいと考えております。   この点につきまして、よろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○大澤部会長 それでは、井上関係官、寺田関係官には、当部会の会議に御出席願うことといたします。   次に、当部会の議事録についてですが、その作成、公開の方法を決めるに当たりまして、まず、これまでの法制審議会における議事録の取扱いについて、事務当局から説明をお願いしたいと存じます。 ○中野幹事 これまでの法制審議会における議事録の取扱いについて御説明申し上げます。   議事録の公開方法に関しては、平成23年6月6日に開催された法制審議会第165回会議におきまして、総会については、発言者名を明らかにした議事録を作成した上で、これを公開することを原則とする一方、法制審議会の会長において、委員の意見を聞いて、審議事項の内容、部会の検討状況や報告内容のほか、発言者等の権利利益を保障するため当該氏名を公にしないことの必要性、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれの有無を考慮し、発言者名等を公開することが相当でないと認められる場合には、これを明らかにしないことができることとされました。   また、部会についても、発言者名を明らかにした議事録を作成した上で、これを公開することを原則としつつ、それぞれの諮問に係る審議事項ごとに、総会での取扱いに準じて発言者名等を公開することが相当でないと認められる場合には、これを明らかにしないことができることとされました。   したがいまして、当部会におきましても、発言者名を明らかにした議事録を作成した上で、これを公開することが原則となりますが、部会長におかれて、委員の皆様の御意見を聴かれた上で、ただいま申し上げたような諸要素を考慮して、発言者名等を公開することが相当でないと認められる場合には、これを明らかにしないこととすることができることとなります。 ○大澤部会長 ただいまの御説明につきまして、何か御質問はございますか。   ただいまの事務当局からの御説明を踏まえて考えますと、当部会における審議の内容を広く国民の皆様に知っていただくという観点からも、発言者名を明らかにした議事録を作成し、これを公開することが相当ではないかと考えるところでございます。   そこで、私といたしましては、発言者名を明らかにした議事録を作成した上で、原則としてこれを法務省のウェブサイト上において公開するという取扱いにしてはいかがかと考えます。   もっとも、ただ今の説明にありましたとおり、審議事項の内容、その他の事項を考慮して、発言者名等を公開することが相当でないと考えられるような場合には、その都度皆様にお諮りして、部分的に公開しない措置を採ることとしたいと考えますが、いかがでございましょうか。御異議ございませんでしょうか。              (一同異議なし) ○大澤部会長 御異議はないようですので、議事録につきましては、発言者名を明らかにしたものを作成の上、原則としてこれを公開するという取扱いとさせていただきたいと思います。   それでは、さきの法制審議会総会におきまして、当部会で調査審議するように決定のありました諮問第129号につきまして審議を行います。   まず、諮問を朗読してもらいます。 ○中野幹事 朗読いたします。   近時の刑事再審手続をめぐる諸事情に鑑み、同手続が非常救済手続として適切に機能することを確保する観点から、再審請求審における検察官の保管する裁判所不提出記録の弁護人による閲覧及び謄写に関する規律、再審開始決定に対する不服申立てに関する規律、再審請求審における裁判官の除斥及び忌避に関する規律その他の刑事再審手続に関する規律の在り方について、御意見を賜りたい。 ○大澤部会長 次に、事務当局から、諮問に至る経緯及び諮問の趣旨等について説明をしてもらいます。 ○玉本幹事 諮問第129号につきまして、諮問に至った経緯及び諮問の趣旨等を御説明いたします。   再審制度は、十分な手続保障と三審制の下で確定した有罪判決について、なお事実認定の不当などがあった場合に、これを是正するものであり、重要な意義を有しています。   この再審制度については、近時、一部の再審請求事件について審理の長期化が指摘されたり、法改正を求める意見が示され、制度の在り方について様々な議論がなされるなど、国民の関心が高まっています。   他方で、再審請求事件については、請求が不適法であるものや主張自体失当とされるものなどが相当数存在する一方で、本格的な審理が必要となる事件はごく一部であり、再審制度の在り方を検討するに当たっては、こうした実情も十分踏まえる必要があるとの指摘もなされているところです。   そこで、このような近時の再審手続をめぐる諸事情に鑑み、再審手続に関する規律の在り方について御意見を賜りたく、今回の諮問に至ったものです。   次に、諮問の趣旨等を御説明いたします。   配布資料1を御覧ください。   今回の諮問は、先ほど申し上げたような近時の再審手続をめぐる諸事情に鑑み、同手続が非常救済手続として適切に機能することを確保する観点から、再審請求審における検察官の保管する裁判所不提出記録の弁護人による閲覧及び謄写に関する規律、再審開始決定に対する不服申立てに関する規律、再審請求審における裁判官の除斥及び忌避に関する規律その他の刑事再審手続に関する規律の在り方について、御審議をお願いするものです。   諮問文においては、近時の再審手続をめぐる議論の状況を踏まえ、御審議いただきたい項目として三つの項目を例示していますが、もとより御審議いただきたい事項をこれらに限定する趣旨ではなく、これらを含め、再審手続全般にわたって規律の在り方について御審議いただき、改正を要する項目についてはその要綱をお示しいただきたいと考えています。   再審手続の規律の在り方については、確定判決による法的安定性の要請と個々の事件における是正の必要性の双方を考慮しつつ、様々な角度から慎重かつ丁寧に検討する必要があると考えられますが、この問題については、国民の関心も高いことなどから、十分に御審議の上、できる限り速やかに御意見を賜りますよう、よろしくお願いいたします。 ○大澤部会長 続きまして、事務当局から、配布資料について説明をしてもらいます。 ○中野幹事 配布資料について御説明いたします。   本日は、配布資料1から3までをお配りしています。   配布資料1は、先ほど朗読しました諮問第129号です。   配布資料2は、刑事再審手続に関する基礎的な統計資料であり、いずれも令和元年から令和5年までのものです。   第1表は、再審請求事件の処理状況、第2表は、再審請求事件の請求人別・請求の理由別既済人員、第3表は、再審請求事件の原裁判の訴訟手続別・罪名別・刑種別既済人員、第4表は、再審請求事件の請求人別・裁判所別終局区分、第5表は、再審請求事件の罪名別終局区分等、第6表は、再審請求事件の棄却理由、第7表は、本人側からの再審請求が刑訴法435条に当たらないことのみを理由として棄却されたものの棄却理由別事実の取調べ状況、第8表は、再審請求事件の審理期間、第9表は、再審事件(再審公判)の処理状況、第10表は、再審事件(再審公判)の罪名別審理期間、平均開廷回数及び平均開廷間隔、第11表は、再審事件(再審公判)における原裁判の訴訟手続別・罪名別終局区分等です。   配布資料3は、諸外国の刑事再審に関する法制度についての資料であり、令和7年4月時点の日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国の法制について、それぞれの国の規定等に基づき、事務当局に置いて把握している範囲でまとめたものです。   最後に、本日御欠席の小島幹事から意見要旨の提出がございましたので、机上に配布させていただいております。   ○大澤部会長 次に、事務当局から、さきの法制審議会総会において述べられた御意見の紹介をしてもらいます。 ○中野幹事 今回の諮問がなされた3月28日の法制審議会総会において、委員の方から述べられた御意見について、概要を御説明いたします。   御意見の一つ目は、再審制度に関しては、国民の関心も極めて高く、方向性を早期に示す必要があるとともに、国会の動きにも十分な留意をお願いしたいというものです。   二つ目は、えん罪は最大の人権侵害の一つであり、その唯一の救済手段が再審手続であるが、再審手続にはこれまで長い歳月を要しており、こうした不正義を正すためには、速やかに再審手続に関する規律を改正する必要がある。部会においては、えん罪被害者等の関係者やその弁護人等からヒアリングを行い、被害の深刻さや再審手続の実情等を把握した上で、スピード感を持って調査審議を進めていただき、早期に要綱をお示しいただきたいというものです。   三つ目は、再審制度の見直しは急務であると考えられるが、日本は三審制を採っており、再審制度を単に使いやすいものにするということだと、三審制を揺るがしかねない面もあるので、十分な留意が必要である。その上で、いわゆる証拠開示については、今長期化が問題になっている事件は、通常審の証拠開示制度が設けられるよりも前の事件が大半であるので、現行制度で適切な運用が担保できるのかを検証した上で、不十分であれば見直しに着手する必要がある。再審開始決定に対する不服申立てについては、これを禁止することで審理期間が短くなると考えられる一方で、再審開始決定に法的な問題がある場合に、これを放置してよいのかなどの問題もあると考えられ、十分な議論が必要である。幅広い視点から良い仕組みを探っていただき、スピード感を持って結論を出していただきたいというものです。 ○大澤部会長 事務当局からの説明は以上です。   現段階で、これまでの事務当局の説明内容につきまして、御質問等ございましたらお願いしたいと存じます。いかがでしょうか。   ○鴨志田委員 資料の3に関してでございます。   諸外国の刑事再審に関する法制度ということで、ただ今事務当局のまとめであると御説明を頂いたところですけれども、私ども日弁連におきましても、それぞれの外国法の専門家にも意見を聞きながら、この辺りのリサーチをしているところでございます。   できますれば、次回部会までにこちらの法制度について検討をさせていただいた上で、記載ぶりが例えば不十分であったり、また補足が必要な部分であったり、誤解を招きやすい部分であったりということについて、私どもの方で指摘をさせていただきたい、そのような資料を提出させていただきたいと考えておりますので、是非御検討いただきたいと思います。   ○大澤部会長 今の点について、更に御意見等ございますか。 ○村山委員 私も同じ意見でございまして、事務当局の方で作っていただいた資料、大変有益な資料だと思っているわけですけれども、若干誤解を招きかねないような記載ぶりもあるかと存じておりまして、その細かい点について、余り時間がなかったものですから詳細な検討はまだしていないんですけれども、私どもの方で、この条文の問題と、それから外国の制度を考える場合には、現在の運用実態といいますか、そういうものも含めて検討することも必要ではないかと思っているわけなんですが、できればそういうものを含めて、どういう形で外国の法制度をこの場に情報提供するのがよいのかという観点から、少し私も考えてみたいと思いますし、それは、鴨志田委員と大体考えるところは一緒だと思いますので、できれば共同でそういう資料ができれば提出させていただいて、多少なりとも皆さんの参考に供したいと考えております。 ○大澤部会長 この関係で、他に御発言はよろしいでしょうか。   事務当局、それではお願いします。 ○中野幹事 事務当局から御説明申し上げます。   配布資料3につきまして、内容について誤解を招きかねない部分があるのではないかという御指摘を頂きました。   まず、配布資料3につきましては、事務当局において、現時点で把握している諸外国の法令や判例等に基づいて、各国の制度に関して、責任を持って作成したところです。その上で、配布資料3の内容につきまして御指摘のような点があるということでしたら、今後具体的に根拠とともに御指摘いただければと思います。   また、配布資料について御提出の御意向が示されましたけれども、本日部会長が選任されたところですので、御意見として賜った上で、今後部会長とも相談させていただければと存じます。 ○大澤部会長 そのような事務当局からの御説明ですけれども、両委員いかがでしょうか。 ○鴨志田委員 先ほど申し上げたとおりですので、御検討よろしくお願いいたします。 ○大澤部会長 それでは、具体的に問題点等があれば事務当局の方に御指摘いただいて、それをもとに扱いを詰めていくということにさせていただければと思います。   ほかに事務当局からの御説明について、御質問等ございますでしょうか。   よろしいでしょうか。   それでは、諮問事項の審議に入ってまいりたいと存じます。   まず、委員及び幹事の皆様から、刑事再審手続に関する規律の在り方を検討するに当たっての視点、考え方や、今後検討すべきであると考えられる事項につきまして、現段階でのお考えを承りたいと思います。   時間の都合もございますので、御発言のある方に、お一人3分以内で順次御発言を頂きたいと思います。   自己紹介のときと同じ順番で指名いたしますので、御発言のある方はお願いいたします。   それでは、まず、池田委員。 ○池田委員 刑事再審手続の規律の在り方をめぐる審議に臨むに当たり、意見を申し上げます。   今回の諮問の背景とされる、再審をめぐり様々な問題が生じており、その改善が求められていることにつきましては、生じている問題の実情やその原因を把握した上で、適切な対処方策を検討することが必要となります。そして、その対処方策は、それ自体が問題の解決をもたらし得るものであるか否かはもちろんのことながら、それに加えて、そのありようと再審手続の構造との整合性、あるいはその導入が翻って通常審の在り方、取り分け確定判決の位置付けに与える影響をも考慮の上で、再審を含む刑事司法制度が、全体としてその適正を実現するものとなるべきであるとの視点に立って、その検討が行われることが重要であるものと考えております。   その上で、諮問に掲げられている、検討の対象とすることが考えられる項目のうち、特に、再審請求審における検察官の保管する裁判所不提出記録の弁護士による閲覧及び謄写に関する規律について申し上げます。   この点は、現在、実務の運用に委ねられていると承知しておりますけれども、これを規律する明文の規定を設ける必要があるかは、一応論点となると考えられます。また、改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会における議論も踏まえると、仮に明文の規定を設けることとした場合も、制度の枠組みの在り方、具体的には、検察官が弁護人に直接閲覧、謄写の機会を与えることとするか、それとも裁判所において検察官に記録を提出させるとともに、弁護人にもその閲覧、謄写の機会を与えることとするかといったことや、その具体的な要件の在り方などについて、再審請求審の構造や通常審における証拠開示の制度との関係等も踏まえつつ、検討することになるものと考えられます。   関連して、通常審の証拠開示においては、併せて目的外使用の禁止に関する規律が設けられていることからすると、仮に再審請求審における裁判所不提出記録の閲覧及び謄写に関する規律を設けることとする場合には、併せて目的外使用の禁止に関する規律を設けるかどうかも検討する必要があると考えられます。   ○大澤部会長 それでは、宇藤委員、お願いいたします。 ○宇藤委員 私の意見を述べさせていただきます。   今回の諮問では、再審請求審における検察官保管記録の弁護士による閲覧、謄写、再審開始決定に対する不服申立て、そして裁判官の除斥、忌避に関する規律の3点の検討が、中心的なものとして求められております。   まず、裁判所不提出記録の閲覧、謄写についてですが、これは、平成28年刑事訴訟法改正のための検討の過程でも、既に課題として指摘されていたものであります。証拠開示拡充の文脈で指摘されたものではありますが、その性質を見ますと、本来は証拠開示と呼ぶには随分違う性格を持っているかと思うものの、適正な方法でその充実を図ることは、刑事司法の透明性を高め、非常救済制度である再審手続を適正に機能させる上で極めて重要です。諮問においても、最初に掲げられていることもその趣旨を反映したものであろうかと思いますので、本部会でもそのようなものとして取り扱われることが望ましいと思います。   次に、再審開始決定に対する不服申立てと裁判官の除斥、忌避についてでございます。近年の情勢を踏まえますと、これらの点も看過できない重要な課題と考えます。その一方で、これらの検討は、本来、通常の手続における上訴制度との関連性を十分に整理した上で行われるべきものであろうと考えます。再審制度のみを切り出して議論することには、理論的に難しいところもあり得るところから、本部会の審議でもその点には十分な配慮が必要であろうかと思います。   もちろん今回の諮問には明示されていないものにも検討すべき事項があることは認識しておりますので、個々の論点にとらわれることなく、制度全体としてバランスのよいものを構築することが重要ではないかと考えております。   ○大澤部会長 それでは、江口委員。 ○江口委員 私は、現在、地方裁判所におきまして再審請求事件を担当するとともに、再審請求事件との関係では確定判決となる判決を言い渡すこととなる通常審を担当しています。そのような現場の裁判官として意見を述べさせていただきます。   今回の諮問事項の中で、現場の裁判官として最も気になりますのは、再審請求審における検察官の保管する裁判所不提出記録の弁護人による閲覧及び謄写に関する規律の点でございます。   この点については、これまで、裁判官が事案に応じて職権で判断してきたと承知しておりますが、その判断枠組みや進め方について明確な規律がないことに加えまして、再審制度に対する理解の難しさもあり、裁判官にとって非常に悩ましい問題になっていると感じております。   このような実務の現状を踏まえますと、まずは、再審請求審における裁判所不提出記録の閲覧等に関する規律が、そもそもどのようなものとして位置付けられるのかにつき、再審請求の審判対象は何かという、本質的な議論にまで遡って議論を尽くす必要があると思っております。そして、その議論を踏まえた上でさらに、再審請求審における裁判所不提出記録の閲覧等に関する規律を、実際の再審請求事件を判断する現場において有効に活用できるものとするために、どのような方法ややり方があるのかを具体的に議論していく必要があると思っています。   仮にこの規律の位置付けが不明確であったり、規律の内容が不明確なものですと、不提出記録の閲覧及び謄写をめぐる判断・対応が、迅速かつ円滑に行われず、かえって再審請求の審理を長期化、複雑化させてしまうことになりかねませんし、また、これらの議論を経ないことには、除斥、忌避の問題も解決できないものと思っております。   今回の諮問事項は、いずれも理論的にも実務的にも重要かつ困難な問題を含んでおりますが、再審請求事件とともに通常審を担当する者としましては、今回の諮問事項に関する規律を、刑事訴訟法を通覧したときに整合性があり、かつ、実務でも活用できる分かりやすいものとする必要があると考えているところでございます。   ○大澤部会長 それでは、次は鴨志田委員、お願いいたします。 ○鴨志田委員 私はこれまで、再審弁護活動に20年、日弁連の人権擁護委員会における再審支援を担当する部会に18年、そして再審法改正に関する取組に10年間携わってきました。この間痛感してきたことは、再審請求人による証拠へのアクセスに要する膨大な時間とエネルギー、事件を担当する個々の裁判体による訴訟指揮の大き過ぎる格差、再審開始決定に対する検察官の不服申立てによる更なる審理の長期化といった、いずれも冤罪被害者の人生の貴重な時間を奪う圧倒的な理不尽でした。   これまでの議論や国会答弁の場では、法務省などが三審制の下での確定力、法的安定性を重視すべきと主張されています。しかし、三審制を経て有罪が確定した事件であっても、後に冤罪であったことが判明した事件は厳然と存在します。個人の尊厳を最高の価値とする日本国憲法の下、誤った有罪判決が確定した後における、最後にして唯一の救済手段である再審制度においては、とりわけ無辜の救済の要請が優先されなければならないと考えております。   今回の諮問事項のうちの例示列挙事項についてですが、既に国会内に超党派議連が設立され、関係機関からのヒアリング等も踏まえた緻密な検討を経た条文化作業が進められていると仄聞しております。当部会の諮問事項に例示列挙された3項目は、いずれも議連の条文案に掲げられている項目と重複しております。当部会での議論が、唯一の立法機関の構成員たる国会議員による真摯な法改正への準備を、専門的見地から更に充実させる形で事実上後押しすることがあっても、本部会での議論が議員立法による法案提出の妨げとなったり、議員提出法案の内容を矮小化したりするような方向に作用することがあってはならないと思います。   袴田さんの事件で、我が国の再審の現実を知った世論もマスコミも、議員立法による今国会での改正を強く推していることを申し添えたいと思います。   諮問事項で例示された3点のうち、最初の項目、あえて「証拠開示」と呼びますが、について申し上げます。   確定審段階で公判に提出されなかった証拠が決め手となって、再審開始、再審無罪に至った事例は、21世紀以降のものだけでも多数存在します。一方、それが開示されるまでに数十年を要した事件もあります。同一事件においても、裁判所や検察官の対応がまちまちであり、法改正の必要性に係る立法事実は明らかであると考えます。   再審請求審における証拠開示を巡っては、しばしば職権主義との整合性が指摘されるところですが、そもそも職権主義、当事者主義とは、そこから必然的に具体的規定を導く概念ではないはずです。むしろ、通常審が当事者主義を採用していること、再審請求人に明白な新証拠を提出させる義務と負担を負わせていることなど、我が国の再審制度の特徴を踏まえて、その目的に資する証拠開示のルールを創設すべきと考えます。   また、再審事件の中では、請求が不適当、主張自体失当とされるものが相当数存在するなどの実情を踏まえる必要があるという指摘もされているところですが、そのような事件が存在しているとしても、そのことを理由に真に救済すべき重大な事件の解決のために、必要な条項の創設や改正が見送られることはあってはならないと思います。事案に応じた適切な対応を可能とする規定こそが検討されるべきと考えます。   また、再審開始決定に対する検察官の不服申立てですが、これにより、再審開始決定から再審公判への移行までに数年単位を要する上、抗告を経た事件のうち、その後再審開始が確定したものの方が圧倒的に多いということに照らしても、検察官の不服申立てが冤罪被害者の迅速な救済を妨げていることは明らかです。再審を開くか否かの決定を、前裁きとして行う再審請求手続において、裁判所が職権で有罪判決の見直しの必要性を認めた以上、直ちに再審公判に移行し、検察官はそこで本来の当事者として主張を尽くすという制度設計が合理的と考えます。   また、今回の諮問事項が3項目を例示する一方で、これらに限定する趣旨ではないと、幅広に捉えている点は、大正刑訴法の規定からほぼそのまま現行法にスライドした再審制度について、全体のオーバーホールを視野に入れるという趣旨で評価すべきと考えます。改正を急ぐべき重要な項目については議員立法に向けた動きも進んでいるところですが、再審制度にはそれ以外にも様々な問題が指摘されています。改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会においても、10項目にわたる論点整理案が示されたところであり、再審開始事由、再審請求手続における国選弁護制度、重要な手続の公開などについて、この部会で専門的見地からしっかりと検討を行い、要綱案に結実させるべきと考えます。   最後になりますが、日弁連は長きにわたり人権擁護活動として再審支援を行う中で、多くの著名再審事件の審理の実情を把握しています。2015年以降は、約20件の著名再審事件の弁護団に対しアンケート調査を行い、その結果を日弁連の各意見書に反映させてきました。これらは、個別の事件の判断の当否に関わるものではなく、あるべき法改正を検討する上での貴重な立法事実です。当部会においても、個々の事件の内容や審理の実態が捨象されたデータのみに依拠することなく、具体的な立法事実を踏まえた議論がされることを強く希望しております。   ○大澤部会長 それでは、次に川出委員。 ○川出委員 私が本部会で検討すべきと考えているいくつかの事項について、意見を申し上げたいと思います。   周知のとおり、現行刑事訴訟法には、再審請求審における審理手続に関する定めがほとんどありません。これは、再審請求がなされる事件が、本格的な審理を必要とするものからそうではないものまで多種多様であることから、裁判所が、職権主義の下で個々の事案に合わせて裁量権を適切に行使し、審理を進めることを想定したものであろうと思います。   そのうえで、実際の運用を見ますと、裁判所によって、再審請求審の審理の仕方に大きな差異があるという指摘がなされております。その差異が、取り扱う事件の差異に由来するものであれば何ら問題はないわけですが、同一事件においても裁判体によって差異があるということであるとしますと、そうとも言い切れません。なぜそのような差異が生じるのかは、外部の人間からはよく分からないところがありますが、裁判官の方が再審請求事件を担当することはまれである上に、通常の刑事裁判は当事者主義の下で行われておりますので、職権主義の手続の下でどのように裁量権を行使して審理を進めるべきなのかという点について、裁判所の中で統一的な基準が形成されていないことにも原因があるのではないかと思います。   もしそうであるとしますと、例えば、いわゆる証拠開示の在り方ですとか事実の取調べの方法について、裁判所に職権行使の手掛かりを示すという観点からも、審理手続に関する規定を整備する必要性が認められるのではないかと思います。   他方で、本日配布されました統計資料を見ますと、再審請求事件の中には、そもそも請求は不適法であったり、そうでなくとも再審理由の主張がないとか、あるいは主張自体失当とされるものが、かなりの割合を占めております。こういった事件は本格的な審理を要しないものですので、仮に先ほど申し上げたように再審請求審の審理手続を整備するとした場合には、こういった事案をあらかじめそうした審理手続の対象から除外し、速やかな事件処理を可能とするような規定を設けることも、併せて検討すべきだろうと思います。 ○大澤部会長 それでは、後藤委員。 ○後藤委員 私は元裁判官で、長年刑事裁判を担当してまいりました。その中で、実際にいろいろな再審請求事件を担当した経験がございまして、このような元裁判官としての立場から、意見を述べさせていただきたいと思います。   再審請求事件を担当する中で、裁判官として特に悩ましいと感じておりましたのが、再審は無辜の救済を目的とする制度であることは当然でありますが、同時に、飽くまでも非常救済手続であって第四審ではないという点でございます。再審制度に関して、条文や文献が少ない中で、これまで担当してきた裁判官は、この両者をどう調和させるかについて悩みながら、自己の信念に従って裁量の範囲内で事件に向き合ってきたものと思われます。事案によりましては、この両者の調和を図ろうとすることは、裁判官に強い葛藤をもたらす問題ともなります。   今回の諮問事項は、いずれも法制度的にも、また実務的にも重要な点に関するもので、単なる技術的な議論にとどまらず、我が国の刑事裁判手続において再審制度はどのようにあるべきか、再審制度をどのように位置付けるべきかという、極めて本質的な議論につながるものだと思われます。そして、これらの問題が、再審事件の審理、運営を担う現場の裁判官にとっても、解釈運用しやすい規定になることを切に望んでおりますが、そのためには、さきに述べました調和の点を含め、刑事訴訟法全体の中で整合性の取れたものとなっている必要があると考えております。 ○大澤部会長 それでは、田岡幹事、お願いいたします。 ○田岡幹事 私は、附則第9条3項の刑事手続協議会・幹事会の幹事を務めた経験から、本部会における審議の進め方について意見を申し上げたいと思います。   再審法の改正が議論されるのは、本部会が最初ではございません。宇藤委員からも御指摘がありましたように、平成23年から平成26年まで開催されました新時代の刑事司法特別部会におきましても、再審請求審における証拠開示が審議されました。ただ、通常審の証拠開示とは異なる性格のものであり、本部会の手は回らないといった御発言がございまして、合意を見るに至らず、今後必要に応じて更に検討を行うものとされた経緯がございます。言わば、積み残しの課題と言えます。   平成28年改正刑訴法に係る衆議院、参議院の法務委員会審議におきましては、再審における証拠開示が必要だという御意見が相次ぎ、附帯決議においては、再審における証拠開示の運用、事実の取調べの在り方をめぐる国会の審議の状況の周知に努めるとされた上、附則第9条3項におきまして、政府は、この法律の公布後、速やかに、再審請求審における証拠開示等3項目について検討を行うとされました。   法務省はその後、平成29年に、最高裁、法務省、警察庁及び日弁連の四者による刑事手続協議会・幹事会を設置いたしまして、ここで再審請求審における証拠開示を含む3項目を審議するとなりまして、私はその会議体に幹事として加わっておりました。ただ、残念ながらこの会議体は余り開催されず、特に令和2年以降は年に一度も開催されないといったことがあり、令和4年以降は事実上開催されない状況が継続しております。附則第9条3項の3項目のうち、起訴状等における被害者氏名の秘匿に係る措置は、御承知のとおり法制審議会に諮問された上、法制化が実現しておりますが、再審請求審における証拠開示については法制化に至らず、法制審の諮問も今日までなされぬままでございました。   その後、令和4年7月に、附則第9条2項の方に基づきまして改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会が設置され、既に18回の会議が開催されたと承知しております。そのうち、少なくとも5回は再審請求審における証拠開示、つまり裁判所不提出記録の閲覧及び謄写の検討がなされ、第16回会議では、今回諮問されました3項目に限らず、合計10項目が論点として明示されており、これは本部会の審議にも参考になるものと思います。   ただ、既に新時代の刑事司法特別部会、刑事手続協議会・幹事会、そして改正刑訴法に関する在り方協議会という三つの会議体において、既に10年以上にわたる審議検討が行われているにもかかわらず、いまだに再審法の改正がその実現に至っていないことは誠に遺憾であると言わざるを得ません。特に再審請求審における証拠開示につきましては、様々な意見があったにしても、証拠開示の必要性あるいは有用性については、在り方協議会においても異論はなかったと認識しております。   この間に東住吉事件や松橋事件、湖東事件、袴田事件など、再審無罪判決が確定いたしましたし、福井事件におきましても再審開始決定がなされ、今後再審無罪判決が言い渡されるものと思われます。これらの事件では、検察官から開示された証拠が無罪を言い渡すべき明らかな証拠とされ、再審開始決定につながりました。   全国650の地方議会が再審法改正を求める意見書を採択しており、国会におきましても、国会議員の過半数によって構成される超党派議連が、今国会における議員立法を目指す動きがあると承知しております。このような社会の情勢に照らせば、再審法の見直しが必要であるということは、もはや国民の総意になっているというべきではないでしょうか。法制審議会への諮問は遅きに失したと言わざるを得ません。   今国会において議員立法が成立するのであれば、それを尊重すべきことは当部会としても当然であると思料いたします。ただ、再審法の見直しが必要な項目は、この諮問第129号に例示列挙されました3項目に限られるものではございません。例えば、先ほど証拠開示が、再審請求審における検察官保管の裁判所不提出記録の弁護人による閲覧及び謄写と言い換えられましたが、「弁護人による」ということは、弁護士が選任されていることが当然の前提になっていると理解できます。しかし、今は国選弁護人制度ございませんので、弁護人が選任されない事件において、裁判所不提出記録の閲覧及び謄写という制度は機能しません。としますと、当然、国選弁護人制度の創設が、検討対象に含まれると考えます。   また、先ほど請求が不適法であるものや主張自体失当とされるものが相当数あり、これらは本格的な審理を要しないものだという発言がございましたが、配布資料2には弁護人の有無は記載されておりません。これら主張自体失当とされたものの中には、弁護人が選任されていないために、再審請求人本人が主張を構成することが難しかったり、あるいは確定判決の謄本等を提出することができなかったりしたものが相当数含まれていると考えるべきではないのでしょうか。であれば、弁護人を関与させて、主張立証を整理させることによって、審理の円滑化、迅速化にも資すると考えられます。   国選弁護人制度の創設など再審請求手続全般を見直す要綱案を取りまとめることが、本部会に課せられた責務であると考えるところです。   ○大澤部会長 それでは、次に恒光幹事、お願いいたします。 ○恒光幹事 私の方からは特にございません。 ○大澤部会長 それでは、中山幹事。 ○中山幹事 私の方からも特にございません。 ○大澤部会長 それでは、成瀬幹事。 ○成瀬幹事 私は、これまで改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会において、再審制度の実情と課題について議論を続けてまいりました。その議論において、私が重視してきた点を二つお話しさせていただきます。   第1に、再審法改正を検討するに当たっては、特定の再審事件だけでなく、再審手続全体の実情をきちんと把握し、会議体メンバーの間で問題意識を共有することが重要であるということです。その意味で、今回、事務当局が再審手続に関する詳細な統計資料を提供してくださったことは有益であったと思います。今後も、本部会に参加しておられる実務家委員・幹事の皆様の貴重な御経験を伺いながら、再審手続全体の実情に即して、議論を進めていきたいと考えています。   第2に、当然のことながら、再審法はそれ単独で存在するものではなく、刑事訴訟法の一部を構成するものであるため、再審法の改正は、単に再審手続を変えるだけでなく、通常審の手続や実務運用にも重大な影響を及ぼし得ることに留意する必要があるということです。それゆえ、今後の検討に当たっては、刑事司法制度全体を広く見渡した上での理論的整合性にも十分に留意しつつ、再審手続が非常救済手続としての機能を適切に果たせるよう、考えていく必要があると思います。   これら二つの点を意識しつつ、また新たな気持ちで、本部会での議論に全力で取り組んでいきたいと考えております。   以上が私の総論的な意見となりますが、ここまでの議論でまだ言及されていない論点について、一言触れさせていただきます。   さきに申し上げた協議会では、再審請求に係る決定に対する不服申立期間を延長するかどうかについても議論が行われました。御承知のとおり、現行法においては、再審請求についてした決定に対する不服申立ての期間は、即時抗告・異議申立てをする場合が3日、特別抗告をする場合が5日とされています。もっとも、再審請求事件の中には、争点や証拠が多く、通常審以上に審理が複雑になるものもあり、現行法の不服申立期間は、不服申立てを検討する者に過大な労力を強いているとの指摘もあるところです。そこで、本部会において、不服申立期間の延長について検討することを提案させていただきます。   ○大澤部会長 それでは、次に吉田誠幹事。 ○吉田(誠)幹事 私からは特にございません。 ○大澤部会長 それでは、酒巻委員。 ○酒巻委員 諮問事項に関する検討の方法、視点について意見を申し上げます。   この度の諮問は、いわゆる「冤罪」の救済が発端であろうと認識しておりますが、刑事訴訟法の研究者・観察者として率直に申しますと、元来は捜査、公判、そして誤った確定有罪判決に至る不正な事態を生ぜしめた全ての手続関与者、すなわち捜査機関、検察、弁護、裁判の失態をもたらした制度的欠陥の有無や改善の要否を検討するのが本筋であろうというのが私の意見です。しかし、この度の諮問には、再審手続に関わる固有の事項が例示されておりますので、ここではこれについての検討の仕方や視点について考えているところを申し上げます。   ここにおられる方はほとんど全て法律家であって、法律家の皆様にとっては釈迦に説法でありますが、私の大好きな刑事訴訟法は、実体法ではなくて手続法であり、各条文及びその集合体が特定の明瞭な目的に向けて連動しながら有機的に作動する、そういう制度です。その目的は煎じ詰めますと、証拠に基づく正確な事実の認定と、これに基づく有罪・無罪の確定です。本来は、裁判確定までにこの制度が日々、健全・的確に作動してこの目的が達せられるよう、関係者が誠実に全力を尽くすべきものです。   他方、この度の諮問対象である再審手続は、正規の公判手続と上訴を経て、犯罪の成立と犯人であることに合理的な疑いを差し挟む余地がないと証明された有罪判決が確定した後に、請求人が誤判の救済を求める、事実認定の誤りに対する「非常救済手続」です。このような位置付けを常に意識する必要があろうと考えております。   そして、合目的的に設計され、有機的に作動することを予定された手続の過程の一部に修正・変更をもたらすことは、その局面ないし局所においては適切に見えても、手続の他の部分、局面に、思わぬ副作用や反作用を生じるおそれがないか、これは周到に留意する必要があります。その上で、改善すべき、あるいは訂正すべき事項を見い出し明瞭にした上で、立場を問わずに知恵を出し合って設計していくという、多面的な協働の精神が重要であろうと思います。そこには、この部会構成員の皆様のように、刑事手続の全体に関わる専門的知見や学識経験をお持ちの方のご尽力が正に要請されているところであろうと考えております。   ○大澤部会長 それでは、次に谷委員。 ○谷委員 今後具体的な論点が整理されていくものと承知しておりますが、第一線で捜査を担当する警察といたしまして、再審制度の見直しが事案の真相解明に向けて行われる現実の捜査活動にどのような影響があるのか、捜査の実情に照らして、制度の見直しが適切に機能するものになるかといった観点から、時々の論点に応じて議論に参加させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○大澤部会長 それでは、平城委員。 ○平城委員 私自身の裁判官としての経験で申し上げても、再審請求事件については様々なものがございます。再審請求事件については、刑事訴訟手続全体の中で整合性のある手続でなければならないということはもとより、事件や申立ての内容に応じた適切な処理が可能になるような、ある意味でのメリハリのついた手続進行が可能になるようなものとする必要があると考えております。   先日、司法研修所で再審をめぐる諸問題に関する研究会が行われました。そこでは、現場の裁判官が、様々なものがある再審請求事件の処理について、日々悩みながら事件処理に当たっている実情がうかがわれました。この部会では、裁判官のみならず、請求人、弁護人、検察官、いずれにとりましても、使い勝手の良い制度の構築に向けた議論がされることを期待しておりますし、私もそのような制度の構築に向けて積極的に議論に関わってまいりたいと考えております。 ○大澤部会長 それでは、宮崎委員。 ○宮崎委員 事務当局からの説明で言及されたように、再審制度は、三審制の下において確定した有罪判決について、事実認定の不当などがあった場合にこれを是正するもので、重要な意義を有していますが、近年、再審請求事件の一部について長期化が指摘されるなどしています。こうした状況等を踏まえて、再審手続が非常救済手続として適切に機能することを確保する観点から、その規律の在り方を検討することは、検察としても意義があるものと考えており、当部会の議論に積極的に参加していきたいと考えています。   その検討の視点として、再審請求事件の実情を十分に踏まえつつ、確定判決による法的安定性の要請と、個々の事件における是正の必要性の双方を考慮して、通常審に関する規律との整合性等を含め検討する必要があるものと考えています。   個別の検討項目について、若干の意見を申し上げます。   まず、裁判所不提出記録の閲覧及び謄写に関して、検察当局は、同記録への請求人側によるアクセスについて、裁判所が再審開始事由の存否を判断するために必要と認められるか否か、関係者の名誉・プライバシーの保護や、今後の捜査・公判に与える影響などを勘案しつつ、裁判所の意向も踏まえて適切に対応しています。もっとも、こうした実務の運用や再審請求審の構造も踏まえつつ、適切な形で明文化がなされるというのであれば、それに反対するものではありません。その上で、現行の刑事訴訟法第281条の4は、目的外使用の禁止を定めていますが、再審請求審において、検察官が裁判所に提出した記録で弁護人等が閲覧・謄写したもの等については、同条の対象とならないことから、併せて、閲覧・謄写をした記録の目的外使用の禁止についても検討する必要があります。   次に、再審開始決定に対する不服申立てについて、検察当局は、個別具体的な事情に応じ、不服申立てをするかどうかについて、十分かつ慎重な検討を行って対応しています。その上で、検察においては、近時、再審開始決定があった場合の不服申立てについて検事長の指揮を受けなければならないとするなど、十分かつ慎重な対応がより確保されるようにしています。他方で、法律上この不服申立てを禁止することについては、違法・不当な再審開始決定を是正する手段がなくなり、確定判決による法的安定性が害されかねないなどの問題があることから、慎重であるべきと考えています。 ○大澤部会長 それでは、村山委員。 ○村山委員 私は、こういう会議は本当に初めてなもので緊張しているのですけれども、私、弁護士なのですけれども、元々裁判官を39年ぐらいやっておりました。再審の関係では、昨年再審無罪が確定した袴田巌さんの再審請求に関わっております。2014年に静岡地方裁判所が再審開始決定を出したんですけれども、私はそのときの裁判長でありました。第1回での発言ということなので、細かい議論というのは一切今回はせずに、大まかに私がどういうことを考えているかというのだけ御披露したいと思います。   まず、今回の諮問の大きな要因となっていることだと思われるんですけれども、再審が開始し、再審公判で無罪になったという事例を見てみますと、いかに再審開始となるのが困難であるのか。また、なったとしても、いかに長時間を要しているのかということが明らかです。現在の条文や実務の運用では、真犯人が出現したなどといった、一見明白な再審事件を除けば、迅速な審理や迅速な再審開始など到底望むことはできません。再審が冤罪救済のための実効性のある制度となるために、法律の改正は不可避だと思っています。   もちろん、これまで多くの委員の方々が御指摘になっている、再審請求にはいろいろな事件があるんだ、これは、私も裁判官時代に経験して知っておりますので、もちろんそういう事件の存在を否定しませんし、そういう事件が相当数あるということを念頭に置いて、議論を進めたいとは思っていますが、この再審の規定は、実質的には100年変わっていない。不利益再審がなくなったというところだけは改正されていますけれども、それ以外は大正刑訴時代の規定を引きずっているわけであります。公判手続が当事者主義になったのに、再審請求手続は職権主義でやっているという、そもそもここにボタンの掛け違いが生じているというところで、非常に難しい問題が生じていると思っているわけですけれども、それはさておき、この100年近く実質的に変わっていないこの規定を、この時代に即したバージョンアップをする、こういうことは極めて必要性が高いことだと理解しております。   また、今回諮問を頂いた点は、いずれも極めて重要な問題だと考えています。私の理解によれば、検察官の保管する裁判所不提出記録の弁護人による閲覧、謄写を、どのような規制の下に認めるべきか。再審開始決定に対する不服申立て、これは検察官からの申立てということになると思いますけれども、この不服申立てを認めることが果たして必要かつ妥当なのかという問題だと捉えています。いずれも、現在の再審制度の不備だと言われている点です。   裁判所不提出記録の弁護人による閲覧、謄写のことを、これは御異論があるのを承知の上で、言葉を短くするために証拠開示と呼ばせていただきますが、この証拠開示が再審の審理にとって決定的に重要であることは、これまで多くの再審開始事例で実証されています。そもそも証拠は事案の真相を解明するために利用されるべきものでありまして、捜査機関が収集したからといって、無罪を示す証拠があるかもしれないのに、再審請求人がこれを検分したり、使用したりすることが許されないというのは、事案の真相解明を妨げるというものでありまして、背理だとも考えられます。   また、請求人側に新証拠の提出を求めている再審請求事件においては、一層証拠開示の必要性は高いと考えています。さらに、再審開始決定がせっかく出ても、検察官が不服申立てをすることによって再審公判が先延ばしにされる、そして冤罪救済が遅れるということが生じています。検察官は、再審公判で有罪立証することが可能であり、請求審の段階で、検察官にその点を更に争わせるという理由も必要性も乏しく、かえって冤罪救済を遅らせるという結果に現状でなっていることは、私は疑いないと思っておりますので、そういった冤罪救済を遅らせる不利益というのは非常に大きいと思います。   私はこれに加えて、審理に関する手続規定を設けるべきだと思っています。これは、私自身が実際に審理を担当する中で強く感じたことです。再審請求手続は、審理をどのように進めるかというルールがなく、請求人に何ができるのかといった権利規定もありません。これが、再審請求審において充実した審理がややもすればなされておらず、いたずらに長期間を要することになる原因だと思っています。再審請求人が手続内で何ができるのかという権利規定を設け、期日指定も含め、審理や進行についての規定を設けて、充実した迅速な審理決定を保障すべきです。   そして、そのような規定を設けるということは、請求人のみならず、裁判官や検察官にとっても有益だと私は考えています。現状では、当事者主義の公判の裁判に慣れている担当裁判官は、この再審請求事件の審理をどのように進めていくのかという準則がなく、また証拠開示の重要性は理解していても、開示を勧告するか否かの基準もなく、検討に時間が掛かってしまう、又は、結論的に開示勧告に踏み切れないということが起きてしまいます。また、勧告した場合、今度は検察官がこれに協力すべきか否かという判断を迫られることになり、同様に時間が掛かるか、又は開示に消極的な対応を取るなどといったことが起きてしまいます。規定があればスムーズに進行することになることは明らかです。   現行法で、証拠開示手続が導入される際、検察官は導入に消極的でありました。しかし、現在、実務で証拠開示の大枠でもめるということはなく、検察官も証拠開示にある程度弾力的に応じていると、私は認識しています。お互いにプロですので、ルールが決まれば、大枠で支障なく運用されることは間違いない。つまり、手続規定を設けるということは、単に請求人のためだけではなくて、裁判所の審理のしやすさ、検察官のこの再審請求事件についての向き合い方等についても準則ができるという意味で、非常に有益なものだと考えています。   そのほかにも、再審開始事由の明確化や拡大、また、先ほど田岡幹事からも指摘がありましたように、国選弁護人の問題等、重要な問題が幾つもあり、これらについても十分に検討すべきであると思いますけれども、様々な問題を検討するに当たり、私はこの再審制度というのが冤罪救済のための最後の手段であるということを常に念頭に置いて、議論していきたいと思っています。   最後に2点ほどお話しさせていただきたいと思っておりましたが、1点は配布資料の関係のお話でありましたので、先ほど意見を述べさせていただきましたので割愛いたします。   もう1点は国会の状況であります。現在、冤罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟が、法律の改正案を国会に提出する準備をしていると聞いております。その内容は、喫緊の課題に対して必要な改正を加えるというもののようでありまして、これは、唯一の立法機関とされる国会において国会議員が活動しているわけですから、私どもは、諮問に基づき真摯に議論してまいることは当然でございますが、こと国会の活動については、これを尊重すべきであるということは当然だと考えております。   以上長くなりましたけれども、私の意見はここまでとさせていただきます。 ○大澤部会長 それでは、次に山本委員。 ○山本委員 私は被害者支援も、刑事弁護をそれなりにやってきたのですけれども、今回は恐らく被害者側としてお呼びいただいたので、被害者側として考えるかと思います。   被害者は、自分の事件の被害の判決が確定すると、被害がなかった状態に戻ることはできないものの、人生を新たに踏み始めるきっかけの一つにするものと思います。それが再審となって、犯人が人違いだったとなったりすると、被害者は関係ない人を恨んだり、その人を許すべきかとか、そういうことを考えてきたこととなって、その無罪となった被告はもとより、被害者にとっても相当なダメージがあると思います。   また、被害者としては、被告人は反省したり、後悔したりしながら刑に服してほしいと思っていると思いますが、被告が再審を求めているということを聞くと、被害者は動揺すると思います。そのようなことのないように、被告が無罪と判断される新たな証拠があると考えているのであれば、証拠開示などやれることは全てやらせた上で、再審の手続を適切に進行させて、無罪になるにせよ、変わらないにせよ、早く争う余地をなくし、判断が覆らなかった被告には、そこまでやった上での判断なので、受け止めて過ごしてもらい、被害者も平穏に過ごせる状態になったらよいと思っています。   なお、再審請求が死刑の先送りの手段にならないように、適切な制度を作る必要があるということも、念頭に入れていく必要があると思っています。  ○大澤部会長 それでは、次に井上関係官。 ○井上関係官 特にございません。 ○大澤部会長 吉田幹事。 ○吉田(雅)幹事 特にございません。 ○大澤部会長 森本委員。 ○森本委員 冒頭に申し上げましたが、十分に御審議の上、できるだけ速やかに御意見を賜りたいということでよろしくお願いしますというのが、法務省からのお願いでございます。 ○大澤部会長 次に、玉本幹事。 ○玉本幹事 特段ございません。 ○大澤部会長 中野幹事。 ○中野幹事 ございません。 ○大澤部会長 オンライン参加の寺田関係官、いかがでございましょうか。 ○寺田関係官 ございません。 ○大澤部会長 部会長ということで、私、最後になりますけれども、一言だけ簡単に。   ここまで委員、幹事の皆様方から述べられた審議に当たっての視点や考え方につきまして、私から特に付け加えることはございません。今回の議論で大切にしなければいけないこととして、私が思いますことは、この諮問の一番最初のところ、「同手続が非常救済手続として適切に機能することを確保する」と書かれている部分、ここに全て尽きているという気がいたします。   通常審で有罪が確定したからといって、救済しなければならない無辜の人がそこに含まれていることがあるということは、否定できないことであり、そのための救済手続として適切に機能するということが大事である一方で、非常救済手続ということで、通常ではない非常の救済手続として、どのような在り方が求められるのかということも考えなければならない。非常ということと救済ということと、その間の適切なバランスが制度としては求められる。そこについて、皆様のお知恵を集めることができたらと思うところでございます。   多くの皆様方の御発言を聞いていて、再審事件には、やはり多様な事件が含まれる中で、事案に応じた適切な対応を可能とするということが大事だということが述べられたように理解いたしました。   また、請求者側が非常に苦労されているということは重々分かっていたつもりでありますが、それとともに、やはり三者それぞれが現状の中で苦労されているということも、うかがい知れる御発言が多かったように思います。   そういう中で、現在の実際の問題状況をしっかり共有しつつ、事案に応じた適切な対応を可能とする再審制度の在り方を、皆さんのお知恵を集めて今後議論していけたらと思うところでございます。   甚だ簡単ではありますが、私からは以上です。   それでは、他に御意見等ありますでしょうか。   次に、それでは、皆様から今後の調査審議の進め方について御意見があれば、お伺いしたいと存じます。いかがでしょうか。御意見等のある方、挙手の上、御発言をお願いします。 ○宇藤委員 会議の進め方ということで、今御指摘がございましたけれども、幅広くヒアリングというものを、まずは実施していただけたらと存じます。私、研究者ということでこの場に委員として出席しておりますが、恥ずかしながら、余り実務というものを存じません。その点で、まずは、実情がどのようになっているかということを、各関係者の方々からお話を伺えたらと思います。   また、実務家の先生方はもちろん、自分の関わっているところはよく御存じでしょうが、その他の実務家からどのようなところが見えているかということになると違いもあると思いますので、その点でも有益ではないでしょうか。   それに関連して、まずは、これまで再審無罪事件に関わった弁護士にお話を伺いたい。そのほか、検察官、裁判官、できればそれぞれのお立場を離れて、忌憚ない意見をお伺いできるような経験者の方々、このような方々に御意見をお伺いしたい。また、幅広く国民の関心のあるところでございますので、犯罪被害を受けた方々、さらに、国民にどのように報道として伝えるかというところも大事かと思われますので、報道関係者の方々、他にもおられるか分かりませんが、差し当たりそのようなところが思い付きますので、そのような方々からヒアリングをお願いできればと存じます。   ○大澤部会長 ヒアリングをしてはどうかという御意見を頂きましたが、ほかに御意見等ございますでしょうか。   今のところとしては、よろしいでしょうか。   それでは、今後の進め方につきましては、今の御意見も参考にしながら、事務当局との間で詰めることにしたいと存じます。               (一同異議なし) ○大澤部会長 本日予定した議事はここまでということでございますが、この際、何か御発言あれば受けたいと思いますが、よろしゅうございますか。   それでは、予定した時刻より少し早いですけれども、本日の審議はここまでとしたいと思います。   次回の議事につきましては、本日頂いた御意見も踏まえまして、私の方で早急に検討し、事務当局を通じて、できるだけ早期に皆様にお知らせしたいと思います。また、次回の日程についても、調整の上、なるべく早く確定させ、事務当局を通じて皆様にお知らせすることとしたいと思います。   そのような進め方でよろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○大澤部会長 ありがとうございます。   それでは、今申し上げたようにさせていただきます。   本日予定しておりました議事につきましては、これで全て終了いたしました。   本日の会議の議事につきましては、特に公開に適さない内容にわたるものはなかったと思われますので、発言者名を明らかにした議事録を作成して、公開することとさせていただきたいと思います。また、配布資料についても公開することとしたいと思いますが、そのような取扱いとさせていただくことでよろしいでしょうか。              (一同異議なし) ○大澤部会長 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。   本日はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。 -了-