法制審議会 民法(成年後見等関係)部会 第20回会議 議事録 第1 日 時  令和7年5月27日(火)自 午後1時15分                     至 午後5時26分 第2 場 所  法務省20階 第1会議室 第3 議 題  1 法定後見の開始の要件及び効果等        2 法定後見の終了        3 保護者に関する検討事項        4 法定後見制度に関するその他の検討事項        5 任意後見制度における監督に関する検討事項        6 任意後見制度と法定後見制度との関係        7 任意後見制度に関するその他の検討        8 その他 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○山野目部会長 法制審議会民法(成年後見等関係)部会の第20回会議を始めます。   本日も御出席を賜りましてありがとうございます。   本日は沖野委員、櫻田委員、佐保委員、加毛幹事、小林幹事、杉山幹事及び山下幹事が欠席でいらっしゃいます。   本日の審議に入ります前に、配布資料の説明を事務当局から差し上げます。 ○小松原関係官 では、配布資料について御説明いたします。   本日は新たな部会資料として部会資料17-1、17-2、17-3をお配りしております。資料の内容については後ほどの御審議の中で事務当局から御説明差し上げますが、御審議に先立ち若干御説明申し上げます。部会資料17-1及び17-2の関係は前回と同様です。すなわち部会資料17-1は、最終的にこの部会で中間試案として取りまとめの対象となる部分でございます。部会資料17-2は、部会資料17-1の本文、(注)、ゴシックの部分に主に部会資料16からの変更部分について説明を付したものです。部会資料17-2について本文、(注)、ゴシック部分に下線を引いている箇所は、基本的には部会資料16の本文、(注)、ゴシック部分から変更した箇所です。部会資料17-3は、第2の「2 法定後見に係る期間」の提案の書きぶりにつき、前回の部会での御意見を踏まえ、乙1案と乙2案の違いを分かりやすくするとの観点から、別案を御提案したものです。   このほか、部会の参考資料14としまして「報酬実績公表イメージ」と題する資料を配布しております。こちらは最高裁判所事務総局家庭局から提供いただいたものです。また、久保委員から「知的障害領域で期待される成年後見制度の在り方」について、佐久間委員から「中間試案のたたき台2」第1の1(1)【乙2案】に係る意見」、小澤委員から「任意後見人の監督事務の在り方に関するご提案」と題する資料をそれぞれ御提出いただいており、こちらもお配りしております。 ○山野目部会長 久保委員、佐久間委員及び小澤委員におかれましては、それぞれ資料の御準備を頂き、提出を頂きまして誠にありがとうございます。   久保委員に初めにお声掛けを差し上げます。久保委員におかれて、本日提出いただいている資料に基づきまして補足しての御説明がございましたならば、お願いしたいと考えます。   本日はそれに加えまして、佐久間委員におかれて提出いただいた資料がございます。この後、部会終了17の検討をする際、法定後見の部分の検討もお願いいたしますから、その際に御発言を頂くことが考えられます。同様に小澤委員からも資料の提出を頂いており、これは任意後見制度に関するものでございますから、やはり部会資料17の中の任意後見制度の検討の際に、補足しての御説明を頂戴するとすれば、頂戴したいと考えます。   久保委員にお声掛けをします。提出いただきました資料に基づくお話を頂戴したいと考えます。久保委員、御準備はよろしいでしょうか。 ○久保委員 1から6番までのことが私ども育成会として課題になっている部分でございます。これを前から申し上げていると思っております。一番期待されるというのは、法律の専門家ではありませんので、現時点での育成会から寄せられた意見を大まかにまとめて記載をさせていただきましたので、意見の中でも矛盾するようなことが書いてあるように見える部分もあるかなと思いますけれども、お許しいただきたいと思っております。   この法制審の会議はみんながものすごく期待をしているところで、どんなふうになるのだろうかということを興味を持って見ているところでございますけれども、2-1の利用類型のところで書かせていただきましたけれども、例えば、終身利用とスポット利用と書かせていただきましたけれども、現在でも会員から様々な意見がありまして、そして御覧いただいていますように記載をしているわけでございますけれども、育成会として基本は、必要なときに必要な範囲で必要なだけ成年後見制度を使うという方向でございます。   ただ、人によっては、ずっともう寄り添ってほしいとおっしゃる会員さんもおられますので、少しこういう、私たちの会議の中では、終身利用する人も当然出てくるよねと、結果的にそういうふうになる人が出てくるよねという説明をしておりますけれども、やめないといけないのか、みたいなことも言われますので、こういう説明の仕方をしておりますので、少し記載ぶりとしては誤解を招く記載ぶりになっているかと思いますけれども、御容赦いただきたいと思います。   あと、パブリック・コメントなどの際でも意見を表明するつもりでございますので、見ていただいたらお分かりいただけるかと思いますけれども、報酬の部分につきましても、終身雇用とかスポット利用というような言い方もしておりますけれども、これは私どもとしては、必要なときに必要なだけ使うということで、長く使う人も結果的に出てくるというようなことを指して、会員の皆さんにはこういう言い方をしておりますけれども、少し誤解を招くかなと思いまして、次からは言い方を変えないと駄目かなと思っていますけれども、そういう趣旨で書かせていただきました。この始まりの時期と終わりの時期というのも、同様に読んでいただけたら有り難いと思っております。   私どもの、大きな期待を持ちながらこの審議会の様子を多くの会員が見ているということもありますし、長くずっと使い続けるということが嫌だという会員の方が圧倒的に多くおりますので、そういう意味では、スポット利用という言い方では少し不適切ではありますけれども、必要なときに必要な範囲で必要なだけと考えておりますので、そういう意味でこの文章を読んでいただけたら有り難いと思っております。またパブリック・コメントなどで意見も表明するつもりでおりますので、引き引き続きよろしくお願いいたします。 ○山野目部会長 久保委員におかれましては、全国手をつなぐ育成会連合会の意見を集約してくださってありがとうございました。お寄せいただいた意見書に記していただいた意見は、一つ一つよく理解をすることができます。部会におきましては、お出しいただいた意見を踏まえてこれから後の調査審議を進めたいと考えます。どうぞ、意見を出してくださった皆さんや、意見の集約に携わってくださった皆さんによろしくお伝えくださいますようにお願いいたします。どうもありがとうございました。   引き続きまして、参考資料14をお取り上げください。最高裁判所事務総局家庭局においては、報酬の関係で、お話しした参考資料14を用意していただきました。ありがとうございます。遠藤幹事から参考資料14についての説明をお願いいたします。 ○遠藤幹事 それでは、簡単に報酬実績公表イメージということで御説明をさせていただきます。   今回の部会資料で申し上げますと、部会資料17-2の91ページ以下に保護者の報酬という項目がございまして、そのうち93ページの35行目以下で、保護者に対する報酬の額につきまして予測可能性を高めるという観点から、報酬の付与の額の平均等の過去の実績を示されることが予定されているとの記載がございますので、この点に関して若干敷衍して申し上げたいと思います。   最高裁として今後予定しております報酬実績公表のイメージでございますが、参考資料14のスライドを御覧いただければと思います。まず最初に、この実績公表に至るまでの経緯について簡単に御説明致します。第二期成年後見制度利用促進基本計画におきましては、後見人等の報酬について、利用者にとっての予測可能性をできる限り確保し得る形で、考え方を早期に整理することが期待される、とされておりますところ、令和5年7月に開催されました成年後見制度利用促進専門家会議の第4回成年後見制度の運用改善等に関するワーキンググループにおきまして、最高裁から後見人等の報酬算定に関する議論の状況と今後の方向性について御報告をさせていただきました。   その際、後見人等の報酬額は裁判官が個々の事案ごとに諸事情を総合的に考慮して判断すべき事項でありますことから、裁判官が決定するであろう報酬額の見込みを誤解を生じさせることなく説明することは困難である一方で、過去の実績をお示しすることは可能であることから、報酬付与額の平均等の過去の実績を公表することで、利用者の皆様の予測可能性の確保にできる限り努めたいと考えている旨、御説明をさせていただいたところです。そして今般、利用者にとっての予測可能性の確保という観点から、全国の認容で終局を致しました報酬付与申立事件について、報酬付与額の分布を公表することといたしました。   その概要は、参考資料14の3枚目のスライドのとおりでございます。公表に当たりまして、今回の公表の目的が飽くまで利用者の予測可能性の確保にあるという観点から、統計項目として想定されている各要素、具体的に申し上げますと、①流動資産額別、②類型別、これはここに書いてあるように、すなわち後見、保佐、補助、その他の類型ということになります。次に、③後見人等の属性といたしまして、これは親族かそうでないかという別でございます。最後に④付加報酬の求めの有無、こういった切り口で統計を取っていくという予定でございます。  具体的には、この下の矢印のところにありますとおり、これらの統計項目を掛け合わせてグラフを作成していくことを予定しております。例えば、掛け合わせの一例として申し上げますと、後見類型で、親族の後見人が付いていて、付加報酬の求めがないといったような形で掛け合わせを行ってグラフを作成し、これを公表していきたいと考えているところでございます。これらの要素を掛け合わせていきますと、20枚ほどグラフができるということになりますが、その中には統計として有意でないものもあるだろうと思いますので、そういった観点から整理した上で公表をさせていただきたいと考えているところでございます。   具体的なグラフのイメージにつきましては、参考資料14の4枚目のスライドを御覧ください。このような形のグラフを想定しておりまして、グラフの左側で流動資産額別で報酬額の分布を示しております。このような形で、流動資産額ごとの報酬の額についておおよそのボリュームゾーンが分かるような形でグラフを作成し、これを分類ごとに作成して公表をしていくということを検討しているというところでございます。   その上で、これらのグラフの公表時期ということになりますが、皆様御案内のとおり、本年4月から新たな報酬算定の方向性や改定後の後見等事務報告書の統一書式の運用が始まっているところですが、これらの運用が安定してから統計を取る予定としておりまして、具体的には、本年につきましては7月から12月までの報酬実績額を集計し、それを令和8年3月頃に公表をしたいと考えております。令和8年分につきましては、同年1月から12月までの分を令和9年3月頃に公表をするということを考えておりますが、それ以降につきましては、正に今この部会において議論、検討をされておりますところの法改正の内容や施行時期を踏まえて、改めての検討が必要であろうと考えているところでございます。   ひとまず公表の概要については以上ということになります。御説明は以上です。ありがとうございました。 ○山野目部会長 参考資料14の説明を遠藤幹事からしていただきました。これについて皆様から意見やお尋ねがありますれば承ります。いかがでしょうか。 ○上山委員 最高裁の資料との関係で、実務家の委員の方に、もし御存じであればお尋ねしたいことがあります。一般的に後見人、保佐人、補助人に関しては、必ずしもその仕事の大変さというのが後見人等の権限の範囲に比例するものではないということをよく聞きます。つまり、後見類型が保護者の権限の範囲は一番広いけれども、むしろ権限の少ない補助の方が支援が大変だと耳にします。   そこでお尋ねしたいのは、監督類型についても同じようなことがあるのかどうかということです。つまり、後見監督人、保佐監督人、補助監督人の各類型で、その仕事量について何か差があるのか、ないのかということをもし御承知であれば、教えていただければと思います。 ○山野目部会長 今、お尋ねにわたる発言がありました。いかがでしょうか。 ○青木委員 今の上山委員からお尋ねの点については、必ず全国的にそうだというわけではありませんが、私どもの地域での経験から言いますと、後見監督、保佐監督、補助監督の対象となる類型によって、任務に差が出るということは余りなくて、むしろ個別事案ごとに、監督対象の後見人であったり、保佐人であったり、補助人の能力や状況とか、それから本人さんのおかれている状況によってなかなか対応が難しい状況がある場合には、それに対してこまめに相談に乗ったり一緒に動いたりということが生じてくるということでありまして、類型によるのではなくて、個別の事案ごとの事案の内容や、本人さんや後見人さんの特性によって変わってくるということだと経験上は感じているところです。 ○山野目部会長 参考資料14について、ほかにいかがでしょうか。 ○佐久間委員 遠藤幹事におかれましては貴重な資料を御紹介いただきましてありがとうございます。その上で、これからとの関係でどうなのかというか、こんなことはできないのでしょうかということを伺いたいのですけれども、流動資産の額が今はかなり大きなウエートを占めているかのように見えるグラフになっていて、実際そうなのだろうと思うのです。後見の類型だったら総体財産の管理だし、それがいいか悪いかは置いておいて、制度の今、中心的な部分を占めているので、これは非常に説得力のあるグラフ、資料になるのだと思うのですけれども、制度改正後は恐らく、今幾つか案は出ていますけれども、どの立場に立っても、個別権限の行使を基本にするということについて、この部会ではコンセンサスが得られているのだろうと思うのです。   そうすると、例えばですけれども、預金の管理だけをする、不動産の管理だけをするということになると、今の補助類型はもちろんそれがあり得ると思うのですが、本人がほかに流動資産を幾ら持っているかなんていうのは報酬額を決める基準になるのはおかしいというか、資産のない人に対する福祉的なというか公的な補助というのだったら分かるのだけれども、と思っているのです。   そうすると、現状ではこの資料はすごく意味があるし、あと何年間かもそうだと思うのですけれども、ここからが御質問なのですが、こういうことはできないのかということで、今補助を使っている方について権限が、例えば不動産管理ですとか預金管理ですとか、あるいは権限の事項がある程度、類型化するしかないですけれども、かなり大きくなっていますとか、広いです、狭いですという、そういう観点から報酬額がどうなっているかということが分かると、今後というか制度改正後、役に立つというか、それが指標になるのではないかという気がするので、大変だというのは分かるのですけれども、モデル的にそういうことを見るということはできないのでしょうか。制度が変わったら、意味があるものとするためにはそれをやらざるを得ないし、できなかったらできませんということなのだと思うのですけれども、やってくれということではありません、そういうことは可能性があるのかということ、あるいはもうやはりほぼ無理なのかということだけ伺いたいと思います。すみません、よろしくお願いします。 ○遠藤幹事 御質問ありがとうございます。今御指摘の点は、正に見直し後の制度の中でどうなっていくかということとの関係で検討を要すべき事柄であろうとは思っているところでありまして、今の補助の類型の御指摘につきましても、どういう代理権が付与されたかによって報酬額が増減するという関係にあるかと言われると、必ずしも実務的な感覚としてはそうでないというような部分もあるのかもしれませんので、直ちにお答えに対応するものをお示しできるかどうかというのは、なかなか難しい部分もあるかもしれません。 ○山野目部会長 遠藤幹事に引き続き見ていただければ有り難いということで御案内を差し上げますけれども、恐らく佐久間委員のお尋ねは、今後新しい制度になったときにどういう報酬の運用を裁判所がするか、とか、その運用の様子をどういうふうに統計的に明らかにしていくかということも問題意識としてはおありだったかもしれませんけれども、ただ、それはおっしゃったようにこれからのことですから、今尋ねられても困る部分があります。佐久間委員のお尋ねの中には、さらに、現在の補助の場合に関して言えば、特定の法律行為として非常に一回的な事務、限られた事務を委ねるようなこともあって、そういうときに必ずしも流動資産が大きいかどうかというようなこととは関係がなく報酬を定める実態があるかもしれないし、なかったらなかったということも知っておきたいし、現時点のそこの補助などについての運用の中で参考になるような事例とか、あるいは更に欲を言えば統計的な把握ができて御紹介いただけるようなものがあるかといったものがあれば、今後の見直しの参考になるので承っておきたいというお気持ちもおありであったことでしょう。遠藤幹事から何かおありでしょうか。 ○遠藤幹事 ありがとうございました。御指摘の点につきましては、結論として、統計等の形でお示しできるような適した事例は把握していないというところではございますが、その理由を少し御説明申し上げておきますと、これは、基本的に法定後見において報酬を求めるというのは、ほとんどの場合、専門職の方ということになります。補助の場合は、そもそも専門職の補助人の方が付いている割合が非常に少なく、報酬付与の求め自体が少ないということが一つ要因として挙げられます。また、専門職の方が補助人になる場合はほとんどの場合、財産管理をその代理権の内容に含んでいるということが実態ではないかと考えられるところでありまして、財産管理を代理の内容に含んでいるということになりますと、基本的にはその報酬算定は後見や保佐と近い形で、流動資産額をベースにした形での報酬算定がされているのではないかと考えられるところもございまして、個別の代理行為ごとに何かグラデーションのようなものをお示しするのがなかなか難しそうだというところです。 ○佐久間委員 大変知りたいことを伺うことができましたので、ありがとうございます。 ○星野委員 類型によっての報酬の違いというところですけれども、少し発言してよろしいでしょうか。実務的な話です。   先ほど、最高裁の方が今後全国の報酬付与の申立ての事件についての調査結果を公表をするという話がありましたが、日本社会福祉士会でも全国で報酬の金額と受領の状況について、類型とは直接リンクさせていませんけれども、調査をしております。正直に実態を申し上げると、各家庭裁判所によって大分違うと感じています。私は東京におりますけれども、東京においては類型によって報酬額の違いはないです。それから、代理権の付与の関係も違いはないです。そういう実態がある裁判所もあれば、そうではないところもある。ですので、この公表資料は非常に、実態が分かって、有益だと思っていますが、私が今経験しているところで言うと、代理権が限定的な補助も何件も受けてきておりました。それから、最近は保佐が増えてきている中では、一部分の代理権、財産管理権ですね、それしかないという案件がとても多いです、限定的な代理権付与については本人が望まれるということが多いので。そうなったとしても報酬額は全く差がないのが東京の実情だと思っています。ですから、そういうような実態が全国で差があるということも踏まえて、何らかの分かりやすい公表がなされるといいなと期待をしております。 ○山野目部会長 ありがとうございます。   ほかに参考資料14についておありでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、遠藤幹事におかれては参考資料14の御用意を頂きましてありがとうございました。   部会資料17の検討に進むことにいたします。   まず初めに、部会資料17の第1から第4までについての審議をお願いします。部会資料17は細かく申しますと17-1と17-2に分かれております。便宜上、説明が付されている部会資料17-2を利用してお話を進めるということにいたします。またあわせて、部会資料17の第2の2のところになりますが、法定後見に係る期間につきましては、小松原関係官からお話がありましたとおり、別案として部会資料17-3をお届けしております。これも併せて見てくださるようにお願いいたします。   お話しした第1から第4の部分につきまして、事務当局から資料の説明を差し上げます。 ○小松原関係官 部会資料17-2の(前注)及び第1から第4まで、並びに17-3について御説明いたします。   整理を行った項目は部会資料16と同じです。部会資料17-2の1ページの(前注)では用語の整理を、4ページからの第1では法定後見の開始の要件及び効果等を整理しています。大きな変更点として、5ページの第1の1(1)乙1案の(1)①に、本人が保護者の同意を要する旨の審判をすることについて同意する意思を表示することができない場合は、本人が特定の法律行為をした場合にこれを取り消すことができる旨の審判をするという規律をただし書で加えております。前回の部会での御議論を踏まえてのものですが、乙1案においてこのような規律を加えることの適否につき御議論いただきたいと考えております。なお、このような規律を加えた場合、8ページの第1の1(2)審判の要件に係る甲案では、本人の同意が要件とされる対象の審判から特定の法律行為を取り消すことができる旨の審判は外れることとなると考えられます。   次に、42ページからの第2では、法定後見の終了について整理しております。このうち50ページからの第2の「2 法定後見に係る期間」の規律について、乙1案、乙2案の違いを明確にするとの観点から、部会資料17-3において別の書きぶりを提案しております。中間試案での書きぶりに加え、期間の考え方について、必要性の消滅による審判の終了と期間経過による終了との関係性などにつき御議論いただきたいと考えております。   また、57ページからの第3では、保護者に関する検討事項、98ページからの第4では、法定後見制度に関するその他の検討事項として9項目を整理しております。 ○山野目部会長 説明を差し上げました。第1から第4の部分までについて意見を承ります。   初めに、検討をお願いする部分につきまして、具体的には第1の1(1)乙2案に関することになりますけれども、佐久間委員から意見書の提出を頂いております。まず、これに関して佐久間委員に御発言をお願いしたいと考えます。 ○佐久間委員 ありがとうございます。簡単に御説明を致します。ポイントだけですけれども、中身も説明させていただきます。   まず、資料の構成といたしましては、本体は1の意見のところでありまして、2の何々のイメージと書いてあるところは、同意の要否も含めて要件設定するとこうなるということにすぎないものでして、中間試案に何らかの形で盛り込んでくださいという意味では全くありません。それから、参考のところは、部会資料の案とどこが違うかということが分かるようにしたというだけでございます。   この意見を出しましたのは、一番大きな理由は、部会資料のゴシックの案では、保護Aと保護Bを分けて、事理弁識能力を欠く常況にある人は保護Bを使う、保護Aは使えない、除くすることが原案になっています。それが適当ではないのではないかということにあります。   最初のポツですけれども、事理弁識能力を欠く常況にある者につきましても、ほかの事理弁識能力が不十分である人と同一の保護の仕組み、保護Aを使えるということを前提とする。加えて、事理弁識能力を欠く常況にある人については、その人だけは保護Bの仕組みも利用することができるものとするというのが乙2案として私が考えていたところです。   ただ、その上で、事理弁識能力を欠く常況にある人というのは基本的には意思無能力の状態ということから、その人自身の有効な行為ということを前提とすることは適当でないという、その観点からの違いは設けるということでございまして、一つには、乙1案では焦点になるのだろうと思いますけれども、乙2案に関しては同意を得て本人が自ら行為をするという仕組みはとらない、それから、各種審判について本人の同意は要しないこととする。もしかしたら、事理弁識能力を欠く常況にあるのだけれども、同意を得ようと思ったらその限りでの同意は得られるということがあるかもしれないけれども、それは問題にしないということです。あともう一つ、丁案で本人が異議を出したときは審判できないことにするという考え方もとられていますけれども、これも本人による異議というのはそもそも有効なものとして認められないので、提案する必要はないということになります。   中身は大体そのようなものです。一人で作業しておりますので不十分なところは多分結構あるのかもしれませんけれども、ゴシックはこうなるのではないかというのを示したのがその後の第1以下です。不十分なところがあれば、ここは不十分だということで、もちろんそこは当然に修正していただき、この考え方はとれないというなら変更していただいたらよろしいのですけれども、私はこう考えているということです。   その上で、是非ともお考えいただきたいのが3ページの(注2)ございまして、私の今日提出したペーパーでは部会資料の原則、例外を逆転させているという形になっておりますけれども、逆転させた上での例外ですね、要するに部会資料の原則、これをそもそも部会として提案する必要は、今までの議論を踏まえると、ないのではないかと私は思っております。乙2案のようにするのだったらばっちり分けましょうという方がおられれば、残しておいていただいていいと思うのですけれども、おられないのであれば、また、事務局においてもそれで差し支えないということであれば、中間試案として問うに当たって、この(注2)に当たるものは載せないということを考えていただけたらなと思っております。 ○山野目部会長 ただいま佐久間委員から御説明があった事項も含めて、お尋ねしている第1から第4の部分についての皆様一般からの御意見を承ります。いかがでしょうか。 ○小澤委員 ありがとうございます。本当に事務局の皆様におかれましては限られた時間の中、これまでの部会での議論を分かりやすくおまとめいただいていると思います。ありがとうございます。部会資料17に関してお示しいただいた中間試案のたたき台2の取りまとめについては、私としては異論はございません。 ○山野目部会長 ありがとうございます。 ○竹内(裕)委員 佐久間委員から御提案いただきました乙2案についての意見でございます。これまでの議論状況から、部会資料7ページ(注4)の「必要があると認めるとき」を乙2案の保護Bの開始審判の本文に入れるということや、丁案について異議を問題にしないということは賛成いたします。理由としては、特に43ページ、法定後見の終了と、「必要があると認めるとき」を連動させることで、事理弁識能力を欠く常況にある方であっても開始審判の取消しが可能になるからです。   ただ、佐久間委員が御提案いただきました乙2案のように、事理弁識能力を欠く常況にある方について保護Aの開始、この利用も認めるということについては、フレキシブルであるという利点があるとは思いますが、その一方で類型的に規律をすることで、事理弁識能力を欠く常況にある方を保護する法制度上の簡明さ、そういった乙2案の長所をいかしきれない可能性も懸念されます。よって、保護Bの仕組みだけを申立ての対象とするこれまでの乙2案についても、引き続き中間試案には残していただけたらと考えております。仮にそのように従来の乙2案を引き続き残したとしても、部会資料の7ページ(注3)の取消しの対象を一部除外するという工夫を施すなどして、柔軟性は確保することは可能になるのではないかと思われます。   まず、乙2案については以上です。他の点についても幾つかあるのですが、また後ほど発言をしたいと思います。 ○青木委員 佐久間委員の御提案につきまして、幾つか御質問をお願いしたいと思うのですけれども、一つは、今回、事理弁識能力を欠く方でも保護Aか保護Bかのいずれも使えるという御意見になりますが、そうなりますと、保護Bについても必要性を要件とされるということなのか、という点です。それで間違いないのかということについてです。そして、その場合、必要性として考慮される中味については、これまで議論してきたような、それぞれの代理権とか同意権付与の必要性ということに加えて、類型的な、例えば13条1項になるのであれば13条1項全体を類型的に付与するための必要性、という別の必要性を考慮することになるのかどうかということを、どのようにお考えになられているのかということをお伺いしたいと思います。そこにおける必要性の考慮事由が変われば、終了のときの考慮事由も変わってくるのかなという問題意識を含めての御質問になります。   もう1つは、これまでの整理で、保護Bを前提にして様々な民法の諸規定の派生部分について、保護Bをとる場合にはこうなりますという整理をしてきましたけれども、事理弁識能力を欠く常況の方でも、保護Aを選択するという場合が生じることになりますと、その場合は、諸規定について「事理弁識能力を欠く常況の者」としての規定がかからないことになり、乙1案と同じようになるのだと思いますが、それでいいということなのでしょうか。つまり、事理弁識能力を欠ける常況の方に着目して乙2案の規律を考えてきたところもあると思うのですけれども、そこは、保護Aを選んだ方については、仮に「事理弁識能力を欠く常況の者」と認定したとしても、様々な諸規定の適用はないということでいいのだということになるのかをお伺いしたいと思います。 ○佐久間委員 1点目の必要性の点ですけれども、本当は最初の説明のときに言わなければいけなかったのですけれども、早く終わらなければと思って落としてしまいました。その意味で、ご質問いただきありがとうございます。必要があると認めるときはというのは、御指摘いただいたようにイ①の審判にも今回入れることを提案しました。これについて大前提として思っておりますのは、ほかの審判に入れる以上はここだけ入れないというのはあり得ないかなと思った、ということです。その上で、そもそも青木委員が考えられている必要性と私が考えているこの必要性は多分、大分違うのだと思っています。青木委員は割と具体的な必要性を考えておられるのに対して、もちろん判断能力が一定の水準を下回っているという方についてですけれども、私は本人側がこの点についてサポートが欲しいと言ってきているのであれば、それこそちゃんちゃらおかしいとか、あるいは本人側からは出てきているけれども、どうも背後にいる人の意向で出てきているのではないかと思われるような、要するに必要性を例外的におよそ認め難いというときは審判をしないというふうに、基本的にはすべきではないかと今のところ考えております。これは今後の、この部会の議論等で決まっていくことですけれども。   そのようなことを考えておるものですから、保護Bについて必要性をうんぬんというときは、事理弁識能力を欠く常況にある方だということと、通常の場合はそれなりに財産を持っている方だということ、あとは、それに照らして請求で包括的な保護が望ましいと言ってきているということになると、それを覆す事情がなければ、私は審判をすればいいと思っています。その観点から、「必要性があると認めるときは」と入れております。個別の権限付与のときに、個別具体的な必要性が認められなければ審判をすることはできないということに仮にいろいろなところでなったとしますと、それをイ①の審判にはそのまま当てはめることは、仮に乙2案で行くとなったときは、適当ではないということになるのだと思っています。これが1点目です。   2点目の、保護Aをとった場合に後見類型についてのみ対応している各種の規定の適用はどうなるのかということですけれども、結論としては、保護Aをとったということは保護Bを使わないということであり、各種規定の前提をなすところが満たされていないので、その場合は乙1案の場合と同じように、今まである規定については適用が、これは適用できますというのが今後新たに出てきたら別ですけれども、適用されないと考えています。   ただ、二つの事項についてだけ例として申し上げておきたいと思うのですけれども、例えば時効の更新のことで言うと、あれはやはり本人に代わって更新の事務をするという権限を持っている人がいないことには発動のしようがないということになりますので、本当は本人の利益を考えるとあの規定を適用できる方がいいとは思いますけれども、保護Aを本人側が選択し、その権限を持つ人がいなかったら発動のしようがないので、仕方がありませんねという整理であり、もしそういったことも含めて保護が欲しいのであれば保護Bにしてくださいとなるのだろうと思っています。   それから、委任についての終了の話も申し上げたいと思うのですけれども、今までは委任の終了について、この部会でもよく出てきているのは、委任は、例えば乙2案を採ることになった場合でも、また保護Bがとられたときも、削除していいのではないかという案まで出ているところだったと思います。その一番基礎にあるのは、委任者がきちんとモニタリングして、そのまま任せては駄目だとなったら解任すればいいのだからという考え方だと思うのです。ただ、私は実はほかのことも考えていて、受任者というのは自ら、委任者の利益を図るために行為をすべき立場にあり、自分自身がその任に堪えないということになったとすると、本来は辞任するか、こういう状況にあるのだけれどもこのまま続けていいかということを委任者に問うべき立場に、地位として、あると思っているのです。   これは一般的に言えることなのだけれども、その中で後見開始の審判、保護Bの審判を受けた人は、そのような立場にある上に、自分の財産については自分を守るための保護を得るわけですよね。そうであるにもかかわらず他人の事務についてはそのまま続けていいなんていう状況に法がしていくことは、それはおよそおかしいと考えられるのに対し、保護Aのときは、本人自身が必ずしも自分の財産について全部守りましょうという行動には出ていない、だから受任者としての義務、あるいはあるべき態度みたいなものはあるかもしれないけれども、法の見地から当然に、もうあなたは受任者の地位を継続して保有することはできませんよとまでする必要はないし、そうはできないということから区別をしていいというふうに、例えばですけれども、考えております。   乙2案が仮に将来採用されるということになった場合は、今は二つだけしか申し上げませんでしたけれども、ほかの規定についても保護Aの場合にそれでいいのかというのは、やはり引き続き検討はしなければいけないと思っております。 ○佐久間委員 他の点で少し気付いたところを申し上げたいと思います。   1点目は、17-2の5ページの甲案の(注)につきまして、甲案を維持しつついろいろなところで柔軟化を図るという注記において「見直すとの考え方がある」となっているところに「等」という文字を入れればいいのかなとも思うのですけれども、より具体的には、保佐、補助相当の類型について、7ページから出ている乙1案を採って、保護者に取消権の行使をさせるか否かを本人の意思に係らしめるという考え方も甲案と両立し得るというか、甲案でもとり得ることであり、本人の意思の尊重ということではかなり重要なことだと思いますので、挙げてはどうかと思います。甲案がパブリック・コメントで広い支持を得ると思ってはおりませんけれども、現行法の見直しである以上、このようにすれば指摘されている問題点はある程度ここまではクリアできるというのを示しておくことはすごく大事だと思うので、そのように思っています。これが1点目です。   2点目は、36ページ、37ページに飛びまして、言葉の表現の問題ですが、37ページ冒頭の(注)なのです。取消権者について(1)、乙1案では、本人、代理人、承継人、そして取消権付与の審判を受けた者となっているのですけれども、注記を見ますと、この取消権付与ではなくて代理権付与で対応するという案ですよね。これは、そうだとすると、36ページの下から2行目の代理人の中は、括弧で法定後見の保護者を除くとはなっていないので、結局代理人に含まれることになるのだと思うのです、代理権付与の審判を受けたら。だから、表現だけの問題ですけれども、この場合は、保護者は本人の有する取消権の行使について代理権を付与する旨の審判を受けた場合にのみ取り消すことができるものとし、取消権を付与する旨の審判を受けた保護者が取り消すことができる旨の規律を設けないものとするという考え方になるのではないかと思うのです、注記として。中身がどうのこうのということではなくて、代理人として行為するだけで、取消権者として保護者が独自に出てくるということはないのだと、そういうことかなと思いました。   次に、68ページに飛んでいただきまして、これはまた乙2案関係なのですが、財産の調査、目録の作成につきまして、(ウ)の乙1案をとる場合のかっこ書の(注)は私が前回申し上げたことを、そういう考え方があるとして、つまり民法853条を「できる」規定に変えて、目録の提出があるまではその事務をしてはいけないとすることを注記していただいたのですけれども、これは乙2案の保護Aでも同じことができるし、むしろ乙2案の場合は、保護Bもそれこそ視野に入っているので、保護Aだって同じように、保護Bまで行かないけれども、かなり広く財産を見るということがあり得るから、こちらも「できる」規定を設ける考え方があるというのを(注)として入れていただいたら有り難いと思っています。先ほど青木委員に御質問いただいたことにも関わるのですけれども、保護Aの場合は、今の成年後見の場合に当然にしなければいけない目録の作成、提出は入ってこないということになりますので、その場合に「できる」規定があった方がいいというのが個人的な意見です。   それから、これはまたものすごく細かい表現の話ですが、前回言おうと思っていたのに忘れていたことなのですが、70ページの(注2)に、慎重に検討する必要があるとして、括弧で「(その検討の結果としてそのような規律を設けないものとする)」という部分は、取った方がよいと思います。現状は慎重に検討するけれども結局設けないのだと言っているので、意味がないことになってしまうのではないかと思いまして、「慎重に検討する必要があるとの考えがある」とするだけでいいのではないでしょうか、ということです。   それから、109ページに参りまして、これも細かい話なのですけれども、109ページの下から4行目から2か所、「成年後見人に関する意思表示の受領の規律を設け」ない、あるいは設けると、「成年被後見人に関する」という文言が出てきているのですけれども、ほかの部分では「本人について」何々の規律ということにおおむねなっており、かつ、今後例えば乙2案を採ることになったとしても保護Bを後見と呼ぶかどうかはまた違う問題なので、この「成年被後見人に関する」という文言は削除しておく方がいいのではないかと思いました。 ○山野目部会長 ありがとうございます。   引き続き承ります。 ○野村幹事 ありがとうございます。2点、意見を申し上げます。   まず、8ページの12行目ですが、甲案の①に記載されている【保護を開始する旨の審判】という記載を、②にも記載する必要があるのではないかと思います。本人が意思を表示できない場合の要件は、①は「本人の身体又は財産に重大な影響を与えるおそれがあるとき」、②は「本人に著しい不利益があるとき」となっています。いわゆる一元的な類型で、保護開始の審判を必要とする制度とするのであれば、同意権、取消権の付与の必要がなくて代理権の付与のみを求めるケースであっても、前提となる保護開始の審判をする必要があると思われます。この審判の際に本人が意思を表示できない場合、代理権のみを求めているにもかかわらず、本人の身体又は財産に重大な影響を与えるおそれがあるときに該当する必要があって、②が事実上意味をなさないことになってしまうかとも思いますので、②にも【保護を開始する旨の審判】を追記していただけたらと思います。   もう1点が、部会資料の103ページの30行目の「不利益が生ずることはやむを得ないと思われる」の部分ですが、必要性の消滅によって保護終了となった場合は、自己に不利益が生じないように相談する相手がいなくなるとも読めてしまうと思いますので、表現を変えていただけたらと思います。具体的には、「保護終了によって不利益が生じないよう、別途本人に必要な支援の構築が適正になされる必要がある」などとするとよいかと思います。 ○上山委員 少し細かな話で恐縮ですが、1点だけ申し上げます。部会資料17-2の乙1案に関する5ページ23行目と、それから乙2案に関する6ページの11行目では、保護者の同意の対象としての行為について、いずれも特定の法律行為という表現をされているかと思います。これに対して、今回、佐久間委員がお出しになられた意見書では乙2案の同意の対象について、恐らくは現行民法13条1項の規定に合わせて表現されたのかなと思料するところでありますが、特定の行為という文言を用いられています。これは前回議論になった13条1項各号の内容とも関係するところで、いわゆる本人による事実行為的なものも含んで理解できるのかという論点にも関わるところですので、ここを行為とするか法律行為とするかというのは一応、細かなところではありますけれども、意味があるのではないかという気がいたします。この点については現行法でもそもそも表現が分かれていて、保佐については13条1項で単に行為とする一方、未成年者については民法5条1項で法律行為、同じく補助については17条1項で特定の法律行為という言い方をしています。この点は対象となる行為の範囲を確認した上で、場合によっては文言の統一を含めて考え方を整理する必要があるのかなと感じました。 ○根本幹事 法定後見に係る期間のところについて意見を申し上げたいと思います。17-3と17-2の違いを確認させていただいた上での意見ということになりますが、17-3の乙1案は、この読み方で正しいかどうかということの念のための確認です。17-2でいうところの①と⑥を、まず①の頭書きで書いていただいて、17-2の②ないし④に書かれていることをA、B、C、Dと整理をしていただいて、17-2の⑤を17-3でいうところの②にスライドされているという整理でよいかどうかを、一応まず確認させてください。私としては17-3の方がよりまとまっていて、整理がされていて読みやすいのではないかというふうな印象を持っておりますので、17-3の方でこの部分のゴシックについては御記載を頂いた方が中間試案としては望ましいのではないかと思っております。   その上で、先ほどの小松原関係官からの御質問にも関係するところだと思いますが、乙1案ないし乙2案、いずれを採るにせよ、いわゆる必要性の終了の審判と、期間終了との関係についてです。乙2案の場合には終了しないというか、必要性終了の審判としては手続的には移るという整理になるのだと思っていますけれども、特に乙2案を採った場合の違いというのは、乙1案を採った場合は、必要性終了とかを審査するまでもなく期間終了だと思うのですが、乙2案を採った場合には、必要性終了の審判に移行するという意味では同じかもしれないのですが、17-2の42ページないし43ページとの対比で見ると、結局職権で取り消す審判をするかどうかというところが恐らく違いがあるということなのではないかと思っています。乙2案の③のゴシックの書き方として、申立てによる請求による取消しというのは、42ないし43ページの終了の手続と、それは同じになるのではないかと思っていまして、ただ、そこが職権でというところが違うということと、あと、③になったときに、職権で取消しないし終了の審判をするものとするとなっていますが、ここはできる規定ではないのかと個人的には思っていて、これは必ず職権でするということを家庭裁判所に義務付ける規定に今のままだとなると思うのですが、そこまでの議論であったのだろうかということを思っています。ほかの先生方の御意見も含めてもう一度確認をさせていただいた上で、この③の表記をどのように整理をするのかというところは御審議いただいたらどうかと思っております。 ○竹内(裕)委員 幾つかございますが、それぞれは簡潔に述べます。まず、7ページの(注2)ですけれども、ここは前回の審議会で、13条1項の3号の解釈であるとか、新しい投資取引であるとか、身上保護関係に関する契約を加えるとか、御発言が幾つかありましたので、具体例を記載していただくと一般の方にはよりイメージしやすいのではなかろうかと思いました。   また、次が10ページの申立権者の乙案でございますが、これも今申し上げたことと同じようなことでして、ここに具体例といいますか、例えば事実婚とか同性婚のパートナーであるとか、今まで出ている御発言などについて記載すると、より分かりやすいように思います。   次の3点目ですが、これは36ページの甲案なのですけれども、ここに、いずれの案を採る場合であってもと記載を頂いているのですが、すみません、ここは私の理解が間違っていたら申し訳ないのですけれども、5ページの乙1案はただし書で、同意を要する旨の審判について同意する意思を表示することができない場合には取消権しか付与しないことになるのではと思われまして、となると、今申し上げた36ページの甲案は、同意することができる者というのがないことになり、乙1案を採った場合は、この甲案は採り得ないのではないのかなと、そこがよく分からなかったので、発言をさせていただきました。   次が42ページの甲案ですけれども、こちらについて現行法の規律を維持するものとするということで17行目に書いてありますが、ここもほかの部分と同じように、現行法の規律を維持するものとしつつ所要の修正をするものとすると統一させてはどうかと思ったところです。   続いて、43ページの(3)の乙2案の①についてです。ここで御整理はいただいているのですけれども、保護Bであった方が事理弁識能力を欠く常況でなくなったと、だけれども事理弁識能力が不十分である場合についての手当てをしなくてよかったのだろうかと思いました。その場合、請求権者が保護B開始の審判と取消しとともに保護A開始の審判申立てをすることになるのか、あるいはそれは運用として請求権者に保護A開始の審判をするよう促すのか、整理はした方がいいのではないかというところでございます。   あと、細かなところで、次が51ページでございます。51ページの8行目の⑥ですが、保護者及び①から④までの審判請求権者は、とあるのですが、④は、これは職権で保護者を選任するということなので、請求権者ということで④を含めてしまうのは、これは違うのではないかと思いました。   また、期間に関しての乙1案、先ほどから意見が出ておりますが、乙1案について整理をするというのであれば、乙1案は更新を求める申立てをすることができるという立て付けなので、この更新の申立てに当たって本人の同意がどのような扱いになるのか、あるいは更新審判ということになるのであれば、それに対する不服申立権があるのかどうか、更新審判が確定するまで保護者の権限をどのように規律するのかということで、制度設計がこれから必要なのではないかと感じたところです。   また、58ページですが、ここで保護者の解任(交代)という項目がございます。確かにこれまで交代ということでずっと議論をしてきたところですが、本日、久保委員が御提出いただいた資料にも「変更」という表現が使用されていたことなども踏まえて、いっそ変更というような記載ぶりにすることが分かりやすいのではないかと思ったところです。   あと、59ページと60ページの解任事由の(注1)についてです。気になったのが、身寄りのない方には結局、この解任の請求権者がいないのではないかということです。(注1)には請求権者を狭くする考え方とあるのですけれども、例えば福祉関係上の利害関係人など、請求権者を広くするという考え方もあり得るのではないかと思いまして、注記してはどうかと考えた次第です。   最後です。ここは弁護士会の中でも意見がありました。91ページの保護者の報酬に関して、死後事務も明確に報酬付与の対象としていただきたいという意見がありまして、そのような考え方を注記で記載をしてもいいのではないかと思いました。   長くなりましたが、以上です。 ○青木委員 資料17-2に基づいてページ数は申し上げた上で、意見を述べたいと思います。まず、5ページの甲案の(注)ですが、前回の資料15の議論も含めて、この部会においては甲案を維持をするという御意見や、所要の修正案に基づいて維持するという御意見がないということも含めて考えますと、中間試案においては、議論の前提として甲案を提示するということの必要性は分かりますが、(注)につきましては説明資料の中でお書きいただくことにすべきであって、ゴシックの中間試案本文において、こういう考え方をこの部会として提案するわけではないと思いますので、(注)までは記載する必要はないのではないかと考えます。   次に、同じ5ページの乙1案ですけれども、今回ただし書でお書きいただきましたことは、前回私も申し上げましたとおり、同意をする能力がない方については取消権だけの設定になるということで、書きぶりは更に検討が要るとは思いますけれども、こういう趣旨でいいのではないかと思っております。   また、アンダーラインを引いていただいている21行目からですけれども、ここは同意を要する審判をすることができるという21行目と同じように、24行目も、これを取り消すことができる旨の審判をすることができるものとする、となるのではないかと思います。同意能力がない場合に必ず取消権を付与するわけではありませんので、後でもありますけれども、何らかの必要性の要件を設定して、必要があれば設定できるという趣旨ですので、ここはそういう表現にしないといけないのではないかと考えました。   それから、7ページの乙2案の(注4)で、「必要があるとき」という要件を入れるということについて、今日も佐久間委員から詳しい御提案がありましたけれども、この「必要があるとき」についてさきほど御質問をしたこととの関係もありまして、この「必要があるとき」の内容がどういうものであるかということについては、補足説明の方でいいと思いますけれども、具体的な必要があるときかどうかの内容を言及していただくことが必要ではないか、それによって、どういう場合に終われるかということも理解していただけるということの関係もありますので、補足説明に是非入れていただきたいと考えておるところになります。   それから、8ページの乙1案の場合の甲案の10行目以下ですけれども、先ほど小松原関係官から既にご説明があったのかもしれないのですけれども、同意を得ることができる場合は本人の同意を要する審判で、取り消すことができる審判は本人が同意の意思を表明できない場合なので、13行目の特定の法律行為を取り消すことができる旨の審判というのはここには載らずに、ただし書以降の方になるのかということで、ここも表現が変わるのではないかと思われます。   それから、同じ場所で、同意権・取消権の場合と代理権の場合で、必要性の程度を「重大な影響」と「著しい不利益」に分けていただいていますが、括弧書きになっていますけれども、より制約の強い同意権、取消権については重大な影響とし、代理権については著しい不利益、というふうに分けてすべきだという御意見を申し上げていましたので、著しい不利益と重大な影響で、重大な影響の方が重いのか、高度の必要性と言えるのかについての法文上の検討はなお必要だと思いますが、二つ書き分けた提案としている趣旨については、説明書きにその部分の記載がないのですけれども、補足説明ではこの説明をしていただきたいと思っておるところです。   それから、14ページ以降、説明書きの中で、この制度の見直しの必要性というのを書いていただいていますけれども、前回確か資料15を議論するときに、委員の皆さまから、もう少し権利条約とか第二期基本計画のことについても言及をしてほしいというお話があって、座長から、それは資料15ではそういうことは書いていないのだけれども、全体的な補足説明には入れますというお話があったと思いますが、14ページ以降に必ずしもそのことが反映されていないと思いますので、私としても、権利条約の要請や第二期基本計画の要請というのを記載いただく必要があるのではないかと考えているところです。   それから、前回資料15の議論のときにも申し上げましたけれども、判断能力の程度だけで類型化し、所定の権限を付与することによって、本来本人ができることも含めて第三者に権限が付与されることにより本人の権利が行使できなくなる弊害とか、包括的代理権による後見人の不正事案が多いことの実情というのも、この14ページの下のところの、制度の見直しをすべき必要性の中に是非加えていただきたいと思っております。   それから、23ページの13行目ですが、ここは先ほどの取り消すことができることにするとなったことの変更に伴うと思うのですけれども、ここは事理弁識能力を欠く常況にある場合の乙1案については、13行目にある取消権や取り消すことができる旨の審判に変更になるのではないかと思われます。   それから、ゴシック体についての意見ではないのですけれども、15行目以下に書いてある記載ですが、「繰り返し申立てをしないといけない」とかいうことも書いてありますけれども、代理権が漏れた場合に申し立てることは、「繰り返す」というほどのことではなくて、たまたま付かなかったものについて申立てを追加する程度のことだと思いますし、また、28行目にも、「審判を積み重ねる負担」と書いてありますが、これも、もう一度手続をしないといけない負担という程度のことですので、少し表現が大げさに過ぎるのではないかと感じているところです。   それから、27ページから、「精神上の障害」の用語について検討していただいていますけれども、ここでは他の日本の法令の紹介を頂いていますけれども、この部会の議論では、「病気、障害等により」というドイツの世話法なども参考にして、他の表記の方法もないかという提案もありまして、そういったものも一つの考え方として紹介していただけないかということを再度御検討いただければと思っている次第です。   次に、30ページから31ページのところで、先ほどゴシックの部分で申し上げました乙1案のうち、本人が同意の意思を表明することができない場合について、同意権と代理権とでは、「重大な影響」と「著しい不利益」に分けて、程度を区別することでどうかという提案をしているわけですけれども、31ページの1行目には「重大な影響」のことを記載していただいていますが、それだけになっており、代理権における「著しい不利益」についての記載がありませんので、是非説明を加えていただきたいと思っているところです。   それから、35ページの16行目からになりますけれども、法的な利害関係人を申立権者に加えることについて、こういう観点とともに、実際にこれらの者が申立権者にされたとしても、申立てに必要な資料が得られないとか、かえって金融機関や福祉関係者が自分から申立てをすることを迫られる負担となるといった実際上の懸念も非常に大きい問題であると思われまして、そういう発言が委員から何回か出たと思いますが、そのことも重要な考慮点として書いていただけないかと思っております。   それから、36ページの2行目から、法定後見についても、本人が四親等内親族以外の者を指定できるようにするという(注1)の話なのですけれども、ここの説明文書では、任意後見契約との関係だけの記載をしていただいていますけれども、先ほど竹内裕美委員もお話しになったような、四親等内親族ではないけれども申立てをする必要性を実感できる身近な方を含めてはどうかとの議論だったように思われますので、書きぶりには配慮が要るのだとは思いますけれども、任意後見との関係だけで御説明いただくのではなく、法定後見そのものについての申立権者の指定の話として記載を頂きたいと思っているところです。   それから、48ページですが、取消、終了に関する申立権者として、市町村長を申立人にすることについて、48ページの下の「もっとも」からの段落になりますけれども、なぜ取消権者に市町村長がならないのかのところなのですけれども、今後、必要性の解消に基づいて取消、終了がされるということになりますと、市町村が報酬助成をしていることも含めて考えますと、保護者による取消とは別に、市町村が独自に取消、終了の申立てをすることの意義があり、これまでとは別途の考慮要素が生じると思いますので、そこはそういう事情を含めて申立て権者とすべきであるとの御意見を申し上げたところですので、この記載では不十分であると思っているところであります。   それから、期間のところですけれども、私は、資料17-3と原案の資料17-1を比べますと、特に、乙1案の説明については、時間の流れに即して書いていただいている17-1案の方が分かりやすいのではないかと思います。法文の表現としては資料17-3のような記載になっていくのではないかとは思うのですけれども、17-1の方が、乙1案が、有効期間を定めるけれども、その期間の中で更新するかどうかを確認し、更新したい人は更新の申立てをしますという、この流れが分かりやすいと思っていまして、17-1の方がいいのではないかと考えておりました。   それから、乙1案の方で言われている(注1)と(注2)という期間の定め方についての考え方の幅は、乙2案においても同じように、どのような期間で報告をさせるかという期間を定める際には同じような考慮があるのではないかと思いまして、この(注1)と(注2)というのは、乙1にも乙2にも掛かる考え方になるのではないかと考えました。   それから、乙1案の場合に、裁判所の方で期間を更新することができる、と書いていただいているのですけれども、私が提案しましたのは、更新の有無についてはっきりしない間は、裁判所が期間を暫定的に延伸をして、その延伸した期間内に更新の有無について確認するというもので、期間の延伸に限ってできるものという趣旨で申し上げたところです。(注3)の表現ですと、裁判所がまた5年とか10年の新たな有効期間を定められるかのように受け取れますが、そういう趣旨ではなかったと思いますので、もし私の提案を書いていただいているのだとすれば、期間の延伸という趣旨で表現いただければと考えているところになります。   それから、これは若干細かいことですけれども、62ページの解任のところになります。解任と交代のときには、辞めていただくとともに新しい人が選ばれることが重要だという論点があると思いますが、それとの関係で、62ページの上の方に辞任の規定についての記載がありますけれども、現行制度では辞任をした者は必ず選任の申立てをセットでしなくてはいけないという規定が民法845条にありまして、今回の交代の申立てをするときにもそういった趣旨のことになるだろうとも思いますので、その意味で、845条の記載をしていただいた方がいいのではないかと思います。   それから、「その他保護の任務に適しない事由があるとき」は欠格事由から外すということについて、最近そういう案も書いていただいていますけれども、それを欠格事由から外す理由につきまして、67ページの15行目からになるのですけれども、なぜその他保護の任務に適しない場合を除外するかということについての具体的な理由が書かれていません。ここの理由は、不正な行為や著しい不行跡は、その後見人等の人格的な問題なので、欠格事由にして他の案件を含めて一切の職務をさせないということが適当である一方、その他保護の任務に適しない事由については、人格的なものではなくて当該職務についてだけの何らかの懈怠なり義務違反ということもあるので、それであれば、他の事案については欠格事由に及ぼす必要はないのではないかということだと思いますので、その理由を御説明いただいた方が違いが理解していただけるのではないかと思いました。   それから、67ページのゴシックの意思表示、本人の意思の尊重のところで、28行目から、現行法を維持しつつ、次の点について引き続き検討するものとする、として表現していただいているのですけれども、この点を議論しました4月8日の部会のときには、現行の規定を維持するのではなくて、何らかの形で今の規定に付け加えて、本人さんの意思を尊重するための具体的な職務の過程について、情報提供するとか、意思を把握するとか、そういったものに変えていきましょうということで部会で確認されたと私は理解していますので、ここの表現も、現行の規律を維持するのではなくて、次のように見直す、という趣旨で記載いただくのが部会の確認を現しているのではないかと考えています。 ○山野目部会長 事務当局の波多野幹事と関係官にお声掛けしますけれども、問い掛けている範囲が広いですから、後でお尋ねを出していただくよりは、場合によってはそのタイミングを早めてお話しいただいた方が審議の充実に資するかもしれません。どうぞ御遠慮なくお尋ねの御発言をなさってください。山城幹事、どうぞ。 ○山城幹事 5ページの乙1案に付加されましたただし書につきまして、お考えをお伺いいたしたく思います。   この部分ですけれども、少なくとも二つの前提に立っている提案ではないかと理解いたします。一つは、同意を得た上で法律行為をすることができるという取扱いを認めず、自ら法律行為をした場合にはその行為を取り消されるだけであるという、そのような人を本文の場合と区別して想定するということ、もう一つは、同意を得て法律行為をすることができないと判断されるのは、審判に対する同意を表示する能力がない者であるということ、つまり審判開始の段階で同意能力がない人は、法律行為一般についても同意を得て自らするに足りるだけの判断能力がないと考えるということ、以上の二つです。そのうえで、次の二点について考える必要があるのではないかと思います。   まず、本人の判断能力の有無や程度は、同意や取消しの対象となる法律行為に即して求められるべきであり、それは、審判の開始について同意するための能力とは一致しないのではないかということです。この点に関するただし書の趣旨は、開始時点で一律に能力を判断する以上、開始時の能力を基準とするほかないという考慮にあったかと思います。ただ、本人が同意を得て行為することができるかどうかは、同意の対象となる行為ごとに判断するほかないはずで、規律の趣旨としてはこの点がやはり少し分かりにくいのではないかと感じます。これが1点目です。   2点目は、恐らくより重要な点ですが、乙1案は、障害者権利条約との整合性を追求していきたいという観点から提案されてきたものではないかと思います。ただし書は、同意を得なければ有効な法律行為をすることができない人とは別に、同意を得ても法律行為をすることができない人の存在を認めるという考え方に立つものですが、こうした区別をすることが果たして条約の精神に合致するかについては、乙1案にただし書を付加するという案を支持されるにあたって御一考いただきたいと感じます。   判断能力の低下が著しく、事理弁識能力を欠く常況にあると判断される人について、かりに同意を得て法律行為をすることができるとしましても、本人が同意を得ないでした法律行為は取り消すことができるのですから、取消しに関する規律を同意権に一本化することで不都合が生じることはなく、事理弁識能力を欠く常況にある人を同意権付与の審判の対象から一律に除外する必要はないように思われます。これは、未成年者について、年齢を問わず、同意を得て法律行為をすることができるとされていることと同じではないでしょうか。かえって、本心に服したときは保護者の同意を得て本人自身が行為をするという余地を残しておくことが、少なくとも条約には適合的であろうと思います。   それにもかかわらず、一定の人は同意を得ても法律行為をすることができないのだということを民法において明らかにすることが、乙1案の元来の趣旨と整合するかについては、私はやはり内在的な一貫性を欠いているのではないかという疑念を持っております。乙1案、乙2案とも同意を得ても法律行為をすることができない人を想定することとなりますと、乙1案は一貫性において乙2案に大きく劣ることとなるように思われます。   ですので、私としては、せめてこのただし書は付加しないという案を注記として設けていただくのではどうかと思います。 ○山野目部会長 今のところは大事です。   中間試案という一つのドキュメントを作って国民各層、各方面に意見を問い掛けるという作業を意味のあるものにするためには、もちろん部会で論議を重ねてきて努力した成果として幾つか考え方の分岐があるところを、できるだけ精密にトレースして出していくということは必要であるかもしれませんけれども、それはこの部会の、ある個人である委員、幹事が述べた意見や、そちらに自分だったら多少妥協してこういうところも入れようか、と思っているものも含め、ある人がそう思っているというものを描写していくということではなくて、対照的な考え方を背景にある基本理念まで含めて、一方にはこういう考え方があり、他方にはこういう考え方がありますということをある意味においては抽象的に整理した上で、それを国民に問い掛けていくということをしませんと、意見を求められた国民の方は迷惑であります。こちらは精細を極めていくという誠意を持ってしていることですけれども、読む側にとってみればどんどん複雑になっていって、分からなくなっていってしまうという側面があります。   部会資料17-2の5ページの乙1案の①に今回の資料で下線を引いてあるところは、顧みますと、前回会議において佐久間委員のお問い掛けに対して、青木佳史委員から、このただし書に当たるものが要りますね、という応答があって、これを設けて本日お出ししているという経過があります。青木委員個人がどういうお考えかということ自体も、もちろん丁寧にお問合せをしていかなければいけないですけれども、それとは別に、乙1案と乙2案をきれいな対比にして国民に問い掛けるということもまた、私たちのミッションです。   乙1案の考え方の背景にある基本理念と、ここにただし書を置くということが整合しているか、むしろここには乙1案の基本哲学からいうと異物に当たるものが入っているものではないかという疑いがないでしょうか。乙1案と乙2案の大きな対比、考え方の分かれ目は、ある人に対して時間的な持続性を持って人物描写を与えるということで進むかどうかというところが異なるものでありまして、乙2案は、ある人について事理弁識能力を欠く常況にあるという、正に常況という漢字がそれを示していますけれども、そういう認識をします、ということを元々その要件操作として前提として案が組み立てられています。   それに対して乙1案は、ある人物に対してそのような時間的持続性を要件として交えた人物描写はしないというところから出発しているのでありまして、このただし書を入れると、たまたま審判開始の審理をする際に、その審判そのものについて同意をすることができないという、その段階における判断がされると、その後、場合によっては、およそあなたのした取引は保護者の同意を得るという契機もなく取り消されることになります、というふうな規律が入ってくるということになるものでありまして、この部分が本当に乙1案の基本理念に沿って国民に対する問い掛けをしていくものになるかどうかという点は、いささか考え込んでみる必要があるかもしれないですね。   つまり、その背景には、本日お出しいただいた佐久間委員の意見書の中に、事理弁識能力を欠く常況にある者は、意思無能力で法律行為をしていく蓋然性が高いというフレーズがあって、あれは佐久間委員のお立場からみると、そうなのです。しかし、青木佳史委員のお立場から言えば、そんなことはない、あるいはそういうふうに考えるべきではないということが基本理念であるはずであって、だけれども、ここにただし書を入れるという扱いは、半ばそれに同意したということになりかねない側面があるものでありまして、そこのところは、次回までに余り時間がないですから困るのですけれども、いささか丁寧に、最後のゴール間近のところにあって、考えてみていただいた方がいいかもしれません。 ○青木委員 ありがとうございます。前回の部会で議論する準備にあたり、それぞれの(注)書きへの意見を検討する際に、この(注)についても検討をしました。山城幹事の御指摘のとおりでありますが、権利条約の趣旨からすれば、本人が制度利用につき同意をする意思が表明ができないとしても、その後の何らかの法律行為については、本人さんが同意に基づいて行為できる可能性はあり得ると考えるのが基本だということ、一方で、多くの場合には、やはりその行為についても意思能力がないと評価されることもあるであろうと、その場合には、同意をしたからといって意思能力無効でなくなって有効な法律行為になるのかという、3条2との関係などを悩みました。その結果、(注)記載のように、取り消すことができるだけとすることもやむを得ないかという判断から、前回の発言をしたという経過です。内部でいろいろ議論した際には、悩ましいけれども法制上としては取り消すことができるとすることになるか、ということで申し上げたことになります。部会長がおっしゃったような、乙1案と乙2案につき、それぞれの理念をしっかりクリアに反映させるという意味で言いますと、(注)の記載を本文の原則として示すのは、必ずしも適切ではないということは私も同意いたします。 ○山野目部会長 次回に向けて、ここをもう少し丁寧に検討して、また次回会議において委員、幹事にお諮りをしますけれども、山城幹事が遠慮がちにおっしゃったような仕方ではなくて、①の本文はただし書がないものにしておいて、むしろ注記のところにただし書に当たるものを付するという考え方がある、というふうに出した方が、国民から見ると読みやすいのではないか、それも一つの可能性ではないかとも感じられますから、次回もう1回委員、幹事に御議論をお願いするということにいたしましょう。弁護士会でもまた少し、あとひとつ汗をかいていただければ有り難いです。 ○星野委員 ありがとうございます。私は1点だけ、法定後見に係る期間について発言したいと思います。17-2の資料の50ページのところですが、私たちも社会福祉士会の中で、この法制審議会についての意見を交換するメンバーの中で見たときに、今回17-3が出たことで、乙1案と乙2案というところの違いは17-3の方が確かに分かりやすいと思う反面、こういう意見が出たので、少しお伝えをしておきたいと思いました。   報告のところなのです。乙2案のところで、法定後見の要件の存否に関する報告、これがいわゆる今行われている定期報告とどこが違うのかが、やはり分かりにくい。実務をしている立場で言うと、定期報告の中で、例えば権限を行使したのかどうか、そしてそれは今後も引き続き行使する必要があるのか、新しい書式にはかなりそういったことを記載することが出てきます。それがすなわち必要性の存否に関する報告にはならないのかというのが、多くの社会福祉士から出た意見だったのです。   一つ提案したいと思ったのは、受任をしている実務家として当然ですが、受任をしていない社会福祉関係者もパブリック・コメントを出してほしいと強く思っていますので、見せ方として、乙2案については、例えばですけれども、(注)のところに、現行行われている定期報告を何らかの形で活用するというような意見もあった、ぐらいはあった方が、結局ここで何を意見として求められているのかというところが伝わるのかなと思いましたので、発言します。 ○根本幹事 説明部分についていろいろ言及がありましたので、説明部分についての今までの御意見の関係で幾つか申し上げておきます。まず一つ目は、17-2の36ページの関係で、先ほど竹内裕美委員や青木委員から、この補足をという御意見がありましたので、仮にそこを加えるということであれば、前回、上山委員や私の方から懸念点も申し上げているところではありますので、加えるのであれば同じように懸念点も加えて頂きたいと思います。   二つ目は17-3との関係ですけれども、一つは、星野委員から御指摘があった点は、私の認識では、部会ではむしろ定期報告とは別に報告を求めるべきであるということの意見もそれなりに出ていたように思いますので、(注)にされるかどうかは御判断ですが、説明で書かれる場合には、定期報告とは別だという意見と、星野委員からの意見と、ということをお書きいただくことになるのかなとは思います。(注)に書くかということであれば、説明かなと個人的には思います。書かれるのであればそのような形の、定期報告との関係を説明に書いた方がよいのではというところは私も賛成はいたしますし、ただ、その場合は別なのか同じなのかというところは種々意見があるということかなという理解ではおります。   先ほど青木委員から17-3の関係で(注1)、(注2)、(注3)は乙2案においても妥当するのではないかという御発言がありましたが、乙1の場合には実体法上の代理権の効力を失わせるということとの関係で(注1)、(注2)、(注3)というのが出てくるように思っておりまして、他方で乙2案の場合には手続的に見直す期間ということになりますので、それについて(注1)、(注2)、(注3)というような考え方が出てくるということ自体は否定はされませんが、元々の法的な性質が違うので、裁判所による裁量という部分が実体法上効力を失う場合の裁判所の裁量と、手続的な期間ということを設けた場合における裁判所の裁量というのは、元の法的な性質が異なれば、おのずとその裁量の内容というのも変わってくるのだと思います。全く同じように乙2案で(注1)、(注2)、(注3)を書くというのは、理論的に違うのではないかと思ったというところは申し上げておきたいと思います。 ○波多野幹事 いろいろ御指摘いただきましてありがとうございます。次の資料を作るに当たって少し確認させていただければと思います。   まず最初に、4ページ、5ページから始まります第1の、特にゴシックの部分を中心に確認させていただきながらと思っておりますが、甲案の最初の(注)について、青木委員から、(注)をゴシックとして記載しない方がいいという御指摘を頂いたところではありますけれども、事務当局としては前回、部会資料を別に御準備し、部会での御議論を頂いていたという認識でおりまして、また今日、佐久間委員から取消権の行使をここも入れた方がいいのではないかとか、また前回、小澤委員から、もう少し書き出してもいいのではないかと御示唆を頂いてはいたところでありまして、(注)は残した方がいいのかなと思ってはいるところでございます。その意味では、ここは部会の委員、幹事の御議論というところでございますけれども、事務当局としては、本文の所要の修正をするものとするだけ書かれると、多分読んだほうは分かりにくいのではないかと思っておりますので、(注)は記載を残すのかなと思っているというところでございました。 ○山野目部会長 所要の、という言葉は便利な言葉ですけれども、今、波多野幹事がおっしゃったように、所要の、とだけ書いて何も説明がない扱いは無責任な中間試案の記載であると受け止められるおそれがあります。青木委員の御趣旨は分かりましたけれども、ここを今の注記のフォーメーションは保って、今日、佐久間委員からおっしゃっていただいたアイデアも入れて充実させた上で、補足説明において中間試案の趣旨の説明を添えるということにいたしましょう。 ○波多野幹事 乙1案の①のただし書は、先ほど部会長からおまとめいただいたとおり、次回に向けて少し慎重に検討ということだと思いますので、こちらも次回の資料をどのような形にするかは、なお引き続き検討いたしますが、少し御議論をお願いすることになるのかなと思っております。   その上で、乙2案ですが、今日、佐久間委員から御提案があったこととの関係で、事務当局の理解としましては、今の乙2案の本文に書いてあるもの、いわゆる事理弁識能力を欠く常況にある方は保護B、事理弁識能力を欠く常況ではない方、不十分であるけれどもそこまで至っていない方は保護Aというのを本文に書き、(注1)で両方とも選択的にできるという考え方も書いているという理解でいたところでございます。佐久間委員の御提案は、本文と(注1)との関係を変えた方がいい、その上で今の本文を落としてもいいのではないかという御指摘だったと思いますが、竹内裕美委員の方から変えない方がいいのではないかという御示唆もありつつも、少なくとも今の本文の記載を落としてしまうのはさすがにという御指摘なのかなと思うのですが、この辺り、少しほかの先生方の御意見があれば頂いた方が、次に向けて資料を作る際にどうするのか、本文と(注1)の関係を維持するのか、入れ替えるのかというところについて、少し御議論いただきたいと思ったところでございます。 ○佐久間委員 私のポジションははっきりしておりまして、部会資料にある乙2案の原案は、最終的に採用されてもいいとは思うのですけれども、書かなくても割と想像しやすい世界なのではないかと思うのです。それに対して、本日私が提出した資料で案としたような事理弁識能力を欠く常況にある人も他の不十分な人と同じ制度を使えますなんていう世界は今までなかったので、それについて注記に、こうなるのですということまで書いていただくならばいいかなと思うのですけれども、それすらなかったら、どうなるのかが分かりにくいのではないかと思います。私の作ったものが、これが正しい姿だとまでは言いませんけれども、一つの世界としてはたとえばこういう世界ですというものを示す方が、私はいいのではないかと思っています。ただ、ばっちり類型を、保護Aと保護Bを分けるのだとなると、保護Aの在り方については一応、私が今日ペーパーで出したものにも表れてはいるので、そこで分けて、こちらしか使えないようにするのだという方が理解しやすいのではないかという気はします。   もう1点は、権利条約の観点からしても、本人の自由に対する制限はなるべく少なくするということからしても、軽い類型を使えるとする方がいいと思っていますし、もう一度繰り返しになりますけれども、ピンポイントでこの代理だけでいいのだというときに、どうしてそれができないのかというのは疑問としてすごく大きいということから、私は原則、例外を入れ替えることに是非ともしていただきたいと思っています。支持がなかったらそれまでですが。 ○根本幹事 個人的には乙1案の立場ですけれども、乙2案の今日の佐久間委員からの御提案と竹内裕美委員からの御意見というのは、それを両方乙2案の中に書いていることによって非常に乙2案を分かりにくくしているという印象は率直に持っております。例えば乙2①とか乙2②みたいなことが可能なのであれば、そういったことを御検討いただくことも必要ではないかと思っておりまして、それを一番重く感じているのは、今回の佐久間委員からの御提出いただいた資料を拝見したときに、結局、乙2①なのか、乙2②なのかによって、その後ろのところも影響が出てきますということだと思うのです。これを(注)で後ろのところも全部入れていくということの方が分かりやすいのか、それとも、乙2①、乙2②として、後ろへの跳ねも整理をしていただく方が分かりやすいのかということではないかとは思いました。個人的には、佐久間委員のお立場と竹内委員のお立場は、そういう意味では、乙2として一つでくくるというのは少し違うのではないかとは感じます。 ○波多野幹事 なお引き続き検討いたしますが、先ほど乙1案のところで山野目部会長から、ただし書についても慎重に検討してはどうかとの問題提起がされたこととの関係で、乙1案と乙2案はある程度対比をした方がいいという観点もあったところだと思いますので、その上で、佐久間委員から、7ページの(注1)で書いているところだけでは多分分からないだろうという御示唆もあったところだと思いますので、もしかするとここを膨らませて書くとかという方向もあるように思いました。検討します。 ○山野目部会長 事務当局において、今日の議論を見て検討します。根本幹事のお話を聞いていて、お考えはすごく実感として理解しましたとともに、乙2案の中を更に二つ分ける扱いは、もう乙2の「2」という数字を使ったところで枝番号を一つ使っていますから、枝番号の上の枝番号という表記はもうやめた方がいいでしょう。それは今、波多野幹事がおっしゃったところで、この枠の中でどちらを(注)にしてどちらを本文にするかという幅でしか悩むことはできないと考えますから、お許しください。ただし、はっきりしている点は、事理弁識能力を欠く常況にある者は保護Bを専ら用いるという考え方がある、これは落とさない。けれども、保護Bを専ら用いるとは限らなくて保護Aを使う可能性もあるという意見も入れる、と、ここのところは委員、幹事の間で意見が一致していると理解しますから、あとはレイアウトの問題であると集約することも可能でしょう。レイアウトは事務当局の仕事ですから、頑張っていただくというお願いにして、次回を待つということにいたしましょうか。 ○波多野幹事 50から51ページの法定後見に係る期間ですが、本日の17-3でお示した別案と、今17-1で書いています元の案と、それほど余り、どちらがという決定的な御支持もなかったかのようにも思いますので、ここはそうであれば元のままでもいいのかという気がしているところでございます。その上で、青木委員から頂きました、乙2案で期間のところで少し(注)を足した方がいいというところにつきまして、先ほど根本幹事から御指摘いただきましたけれども、ここはどちらかといいますと、一定の期間を裁判所がそれぞれ決めるというよりは、法律でこの期間、定期的に決めていくというようなことのイメージを元々の案としてお出しいただいていたのかなとも思っていましたので、余り乙1の注記が出てくることはないのかなと思っていたところではございますが、その方向でよろしければ、今の記載ぶりを維持するのかなと思っているというところでございます。 ○小松原関係官 佐久間委員にお尋ねしたいのですけれども、今回御提案いただいた事理弁識能力を欠く常況にある者が保護Aの審判を選択した場合で、このときには乙1案の①とおおむね表現を合わせるものとするということで頂いております。乙1案の①は、特定の法律行為をした場合に取り消すことができる旨の審判をするものとするという規律が加わっておりますが、事理弁識能力を欠く者について保護Aの審判をした場合には、この取消しの審判をする規律を入れるのか、それともそれは入れないという方向性でよろしかったでしょうか。 ○佐久間委員 ただし書に当たるようなものは入れないというか、取消しについては、そこはもちろん議論はあり得るとは思いますけれども、保護Aでは事理弁識能力を欠く常況の人については特定の行為について取り消すなんていうことはそもそも考えないと。ここで、「合わせるものとする」としましたのは、確か乙2案の現状では対象となる行為の範囲が13条1項の範囲に限られるのだというのが入っていなかったのではなかったかと思うのですが、乙2案の①では。入っていないと思うのですよ、特定の行為、日用品などについてうんぬんというのが。そこら辺が違うので、合わせた方がいいのではないかと思ったのです。   合わせるものとするというのは、趣旨だけ申し上げておきますと、同じように表現できるときは同じように表現しておいた方が、読み手にとってどこが違うのかがはっきりして分かりやすいのではないかと思ったということです。例えばですけれども、先ほどの権限の範囲もそうだったと思うのですけれども、「必要があると認めるときは」でしたっけ、その一語の入り方も、乙1案では請求の後、「事理弁識能力が不十分な者については」という文言が挟まっていますが、「請求権者の請求により」が先に来て、「必要があると認めるときは」は後に来ているのに対し、乙2案の原案では、「必要があると認めるときは」というのが先に来ているという、そういう趣旨です。また、5ページの乙1案の①の3行目には、「について」の後、「保護者の同意を要する旨の審判をすることができる」と書いてあるのです。それに対して6ページの③の方は、これも3行目ですかね、「その保護者の同意を得なければならない旨の審判をすることができる」と書いてあって、同じことなのですけれども文言が違う。違うと、何か違うのかなと思うのではないかと思いまして、③にだけ下線を引いてミスリーディングだったかもしれませんが、全体として合わせられるところはとにかく合わせた方がいいという趣旨でした。 ○小松原関係官 ありがとうございます。御趣旨をよく理解いたしました。 ○青木委員 すみません、先ほど波多野幹事のおまとめの関係で、51ページの期間の件を教えていただきたいのですけれども、(注1)と(注2)は、乙2案になった場合には、元々裁判所の裁量だという理解になって、これについては裁判所がどのような期間を設定するのかかも全て裁量なので、そこについて(注)として検討することにはならないということになるのかどうか、そこを教えていただければと思います。 ○波多野幹事 事務当局の乙2案のところの部会での御議論の整理としましては、乙2案は定期的に報告をするということが予定されていたと思っておりまして、その定期的というのは、恐らく法律でこの期間を決めるのだろうという提案をされているのかなと理解をしていたものですから、その期間が1年なのか2年なのかなどは、まだ部会では具体的な数字は出ていなかったものですから、亀甲括弧に入れておりますけれども、個別の事件ごとに裁判所が、この事件は1年で、この事件2年でということではなくて、もう法律で2年なら2年、1年なら1年で決めてしまうということが前提となっている案と理解をしていたものでございました。事務当局の理解はそのようなもので資料はその理解を前提に書いております。 ○青木委員 なるほど。全件について期間ははっきりすることになるので、(注1)とか(注2)という事態が発生しないと、そういう理解ということなのですね。 ○波多野幹事 私どもはそういう理解で資料を作っておりました。 ○青木委員 ありがとうございます。 ○根本幹事 乙2を積極的に発言される立場の先生方からすると、事務当局の理解だと私も思っていますし、それは結局、実体法上の効力を失わせるということは、取引の相手方も含めて第三者への影響が非常に大きいので、(注1)や(注2)というような案が出てきているという理解だと思っています。他方で手続的に見直すということであれば、それを一律に定めて、そこの部分について別に裁判所の裁量を認める必要はないということになるのだろうと思いますので、それが乙1と乙2の元々持っている法的な性格からの違いということで出てくるという理解だと思っています。 ○久保野委員 ありがとうございます。私もこの法定後見に係る期間のところでございまして、前回この違いが分かりにくいのではと申し上げたところ、事務当局におかれましては工夫した案を、資料17-3で示していただいて、ありがとうございました。   申し訳ありませんことに、私が前回区別が分かりにくいと申しましたときは、直近に話題になりました点、つまり裁判所が個別の事案において一定の期間を定めるのか、法定の期間を固定的にあらかじめ用意しておくのかということ自体が一つの論点なのだと誤解しておりまして、そうだとしますと、そこは切り分けて提示し、その上で、一定の期間が満了すれば終わるということにするのか、そうでないのかという論点を別に提示していただいた方が分かりやすいと思っての発言でございました。ところが、今回のこの対比の中では、個別の事案について定めるかどうかというところは論点ではないと理解いたしましたので、17-3のように変えていただかずに、元の案のまま提示するということでよろしいと私も思っております。   その上で、部分的には17-3において変えていただいたところが分かりやすくなっているところもあるように思います。17-3の乙1の①のところで、要するに期間を裁判所が定めるのだということで、それには4種類あるのだとa、b、c、dと並べていただいているところは、元の案に戻す場合でも、そのようにまとめていただいた方が、それ以外の点での対比、つまり、期間満了により終了することを原則と考えるのか、そうでないのかという対比が見やすいのかなとは思いました。   もう一つ、これはまたかえって混乱させるような発言ではございますが、甲案の方で期間は設けないものとすると言っているのと対比させて乙1、乙2が出ているところ、先ほど根本幹事からも御指摘があったように、乙1は終了に導いていく期間を定めるものであるところ、乙2はそういう意味での期間を定めているわけではないというところが、少し分かりにくいのかなとは思いました。具体的な書き方についてはご提案できず、申し訳ありませんけれども、以上です。ありがとうございます。 ○佐野委員 第2の法定後見の終了のところに関して、今繰り広げられている議論とは少しずれてしまうかもしれないのですが、今後の議論という観点のところで1点、取引の相手方の立場から発言させていただきます。   前回の法制審での先生方の議論を踏まえまして、43ページの31行目以降のところの(後注)に、取引の相手方の保護について必要な見直しを実施する旨を記載いただいていると理解しております。こちらについて発言させていただくのですが、まず現状、本人の口座からの出金といった日々の銀行取引の実施に際して都度、保護者の権限の確認のために最新の登記情報を提示いただくといった運用は、少なくとも当行では実施しておりません。当行では、成年後見の手続開始時に銀行宛てに届出を頂いて以降、届出内容に変更があったことを御本人又は保護者から届け出されない限りは成年後見開始時の内容で運用をしております。   今後、法定後見が終われるという前提のものになった場合であっても、都度、保護者の権限の確認のために直近の登記情報を毎度提示いただくといった運用をするということは、保護者であるとか取引の相手方の双方の負担が大きいものになるかと考えております。よって、少なくとも当行としては、法改正後であっても、取引の相手方である銀行が法定後見終了の事実を認識する方法は今と変わらず、旧保護者による銀行への法定後見の終了の届出であるとか連絡になるのではないかと考えております。   この点、法改正後の終われる後見制度の下では、旧保護者による銀行への法定後見の終了の届出とか連絡がなく、かつ本人の状態も変わらずに銀行が無権限者であることを気付かぬまま旧保護者の銀行取引、預金の払戻し等の手続を実施してしまう事態というものが、事理弁識能力の回復のみが終了の要件となっていた現行制度よりも、多発することが見込まれると思っております。   現在、法定後見の終了の方法であるとか期間の定めというところが審議中と理解しておりまして、民法112条の考え方に照らしますと、仮に乙1案となった場合であると、取引の相手方も終了の事態を把握できるのではないかという考え方があるかもしれないのですけれども、結局そこの期日の管理を銀行が続けるというところが、システム改定などの負担もあるので、少し難しいかなと考えているところもありますし、仮に期間を把握していたとしましても、その期間の経過にかかわらず、必要性の喪失によって先に後見の制度が終了することもありますし、家裁の職権で期限を延長するといった考え方もあるという中ですので、結局真に本人が法定後見を終了したものなのかということを銀行が知る方法というのは、旧保護者からの届出であるとか連絡になると考えております。   つきましては、取引の相手方から法定後見の終了について届出とか連絡を受けていない場合に、取引の相手方を保護するための手当てという点については、今も記載いただいておりますけれども、民法112条の改定や新たな規律を設けるといった考え方を含めて、今後引き続き議論させていただければ有り難いと考えております。 ○山野目部会長 佐野委員から大事な御意見を頂きまして、御礼申し上げますとともに、今お寄せいただいた意見に鑑み、この際、佐野委員に3点お願いしておきたいと考えます。1点目は、中間試案におきましては、取引の相手方の状況を考えなければいけないという現在お出ししている文章を含めたところでありまして、これを保った上で中間試案の作成に向かっていくことになるという見通しを御案内申し上げますとともに、中間試案の段階では、これ以上に詳しい記載をするということは、部会における審議の熟度からみて難しいということも御案内しなければなりません。これにつきましては、この部会においてなるべく早い適切な時期において、これまで余りそこについて集中的な検討をしてこなかった経緯を踏まえ、取引の相手方の状況に鑑みての調査審議というものをする機会を設けたいと考えておりますから、引き続きそのような機会の折々において意見をおっしゃっていただきたいと望みます。   2点目は、これから新しい制度に変わってまいります。それを踏まえて、超高齢化社会を迎え、そして障害者の方々が地域においてより良い仕方で暮らしていく社会を実現する中で、金融機関の今までの御努力、運用というものを御紹介いただいて、それは有り難く承りますとともに、新しい制度に即応する仕方で、金融機関においてもこれから何を考えていかなければいけないかということの御工夫もお願いしていかなければなりません。従前の経緯を理解しますとともに、新しい制度の下で何が工夫できるかということも考えを練っていただければ有り難いと考えます。   それから、3点目は佐野委員の今のお言葉の中に当行という言葉を複数回お出しいただいたところでありますけれども、全国銀行協会のお立場からの御意見をおっしゃってくださいという趣旨で佐野委員にお出ましを頂いております。加えて、実は地域福祉の現状に鑑みますと、高齢者や障害者の皆さんにとって日常頻繁に利用する金融機関は様々に多様なものがありまして、佐野委員におかれましては可能な御無理のない範囲で各方面の、全国銀行協会傘下の金融機関に限らず、金融機関が今現場においてどういうことに悩んでおられ、またこれからどういうことを課題として考え、また工夫していこうとしているかということについて把握なさっていただいた上で、この部会の調査審議の更なる充実について御支援を頂くことがかないますれば大変有り難いと考えます。引き続きのお願いということになります。御意見を頂きまして、どうもありがとうございます。   引き続き承ります。いかがでしょうか。   よろしいでしょうか。そうしましたら、今、波多野幹事や関係官から先ほどまで頂いていますけれども、更なるものがあったら頂き、それから、私の方から確かめたい点が2、3ございますから、それをお尋ねし、その上で久保委員、花俣委員にこの順番でお声掛けをするということにいたします。   波多野幹事や関係官の皆さんからまだ聞き漏らしているところがあったらお尋ねしますけれども、いかがですか。 ○波多野幹事 67ページの保護者の職務、義務の本人の意思の尊重、身上配慮のところでございまして、先ほど青木委員から少し御指摘といいましょうか、もう少しゴシックを変える御提案といいましょうか、御意見を頂いたと思っています。今の書きぶりは、本人の意思を尊重し、かつ心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならないものと、こういう規律は維持しつつ、さらに、引き続いて次の点については明確にするということを検討しましょうという書きぶりにしているというものでございました。そういう意味では、これまでの部会での御議論として、アないしイで書いている明確にするということを改めていきましょうという御指摘があったものを書き表しているという認識でいたのですけれども、青木委員の御指摘は、本人の意思を尊重し、かつその心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならないものとするという規律を改めると、そういう御提案になるのではないかという御趣旨なのか、よく分からなくて、そういう意味では書き方の問題なのか、少し御意見の中身が違うのかが、こちらは取り切れなかったので、少しそこが我々の理解と違えば御指摘いただき、御議論いただければと思った次第でございます。 ○青木委員 もちろん現行の27行目の部分を維持するということについては、そうなのですけれども、維持するという言葉のニュアンスの問題かもしれませんが、「本人の意思を尊重する」という文言について、更に詳しく、具体的な手立てや手順を示すような文言を追加することを検討することについて部会で確認したと思っておりまして、これを「引き続き検討するものとする」とされてしまいますと、検討した結果、やはり文言の追加を断念して元の現行の表現のままとなる、ということも含まれると私は受け取ったわけです。そうではなくて、何がしかの形で補充する、詳しくするのだという方向は明確ですよ、何らかの表現で詳しくしますよ、ということで提案しますということが分かる書きぶりにはなっていないのではないかと、そういう趣旨でございます。 ○波多野幹事 御趣旨は分かりましたが、ここは何分、この議論を頂いたときにも少しこちらの方から事務当局の立場として御説明させていただいたとは思うのですが、いわゆる法文の書きぶりになりますと、ある程度こちらの方でいろいろ検討し、どう書けるかというところも含めて検討しなければいけないところもありますので、今の段階でやはり引き続き検討するという書き方は、事務当局としては維持をさせていただきたいと考えているところでございます。御趣旨については当然、説明の中では書いていきたいと思います。 ○山野目部会長 私の方から3、4点ほど、少し確かめておきたいことがございます。一つは、法定後見の期間について本日、部会資料17-3をお出ししたところであります。これについて根本幹事、竹内裕美委員、青木委員、星野委員、そして久保野委員から様々な御指摘を頂きました。17-2に書いてあるものを全部引っこ抜いて17-3に入れ替えようということを提案申し上げているというよりも、なるべく分かりやすいものに整えた上で中間試案を出していこうということが趣意であります。そのようなことですから、この先の作業の進め方として、なるべく分かりやすくしようとして17-3をお出ししましたのから、ひとまずそれをベースにして、ベースにして、という言い方にどれくらい意味があるか分かりませんけれども、ただし、17-2の現在の書きぶりだってよく分かるよ、というお話も幾つかの点において頂きましたから、17-3をベースに書き起こしながら17-2のいいところを残し、17-3について御指摘いただいたところも組み入れて、事務当局の方において少しそこはいろいろな目配りをした作業をしてもらうことになりますけれども、それを次回もう1回見ていただくということでありましょう。このような方向で次回を迎えるということでよろしいですか。   それとあと、星野委員から、定期報告の関係がよく分からないというお話がありまして、定期報告について実態としてこういうものがあって、それをにらみながらこういう提案になっているということを補足説明に入れようと考えます。ゴシックに入れる扱いは無理です。定期報告という概念が現行の法文というか法制概念にありませんし、しかも多分、新しい期間の規律が乙1案になるか乙2案になるか、あるいはその両方を交配したものになるか分かりませんけれども、それが出来上がったときに、また新しい裁判所とのコミュニケーションの実務が形成されてまいります。その中で、また社会福祉士としてどういう仕事をしたらよいであろうかということも議論いただきながらお知恵を頂くことになります。そうだとすると、かえって今まで使っている定期報告という言葉を使ってしまうと、ある部分は今までと同じね、みたいな雰囲気になってもかえって逆効果です。もっとも、今までしてきたそういう実態はおっしゃったとおりですから、そういうものを見ながら作っている提案ですよということが補足説明で分かるようにします。法定後見の期間はそういうことで進めましょう。   次に必要性、保護開始の審判に際して、あるいはその他の審判に際して、必要であるとき、というのが入っているときと入っていないときが不ぞろいであった時期がありました。これは全体を統一して、佐久間委員から、体系的な整合性からいうと、必要であるとき、というものがいずれについても入っているということが重要であって、そういう姿勢で今般改革をしようということがこの委員、幹事の部会における総意として国民に問うていくということが分かった方がよい、その観点からみると、必要があるときは、というのがあったりなかったりするという記述の仕方が誤解を招くことになるから、全てにわたって入れるという扱いが体系的な斉一性の表現としてよいのではないかというお話があり、誠にそのとおりだと感じますから、これはこのようにしてまいりましょう。そういうふうにしたものを次回見ていただくことにいたします。   その上でですが、では体系的にはそれがきれいだとしても、述べられている必要性、必要であるとき、というものは何ですかということを話し出すと大変です。つまり、佐久間委員のお考えになる必要性と、代表的なものとして青木委員のイメージしておられる必要性は、文言は同じですけれども異なります。ざっくり整理すると、具体的必要性説と抽象的必要性説といってもよろしいですけれども、佐久間委員の見立てで行けば、先ほど丁寧に御説明いただいたところをもう繰り返す必要はありませんけれども、事理弁識能力を欠く常況にある人の場合で言いますと、事理弁識能力を欠く常況にあるということと、必要性があるということはニアリーイコールです。佐久間委員がおっしゃったように、特段の事情があるときにそこは一致しないですから、やはり必要があるとき、と入れる必要があるというお話ですけれども、見立てとしてはそういう考えで運用していきましょうという御発想であるのに対して、青木委員のお話は、この部会の初期の議論を顧みますと、必要性と並べて補充性というものも要件としていきましょう、という議論をしていた時代があって、必要であるとき、と言えば、やはり補充性の発想といいますか、その精神のことも考慮してもらえるでしょう、という考えが潜んでいます。補充性というものに相当する文言を入れることが法制的に難しい側面が大きいというお話に御理解を頂いて、今は必要であるときという文言のみになっていますけれども、青木委員の見立てでは、ここで言っている必要であるとき、の中には、かなり心としては補充性が入っています。何というか、その残党が入っているというか、いな、それは残党ではなくて、そここそ大事であるというお話かもしれませんけれども、そこが入っていますから、だから具体的に見ていきますよという必要性になります。必要性とは何かがゴシックの文言では分からないから補足説明に書け、と青木委員がお求めになりますが、書けと述べられても事務当局としては、このうちの一方が正解であるというふうに書くということはできませんから、確かにそれは国民へのガイドとしては説明があった方がよいですけれども、こういうふうな見立てとこういうふうな見立てがあるということを、事務当局においては中立的に御議論の様子を拝見していて描いていくということが仕事になりますから、御理解を頂きたいと望みます。   3点目ですけれども、差し当たって佐久間委員に確認させていただきたいことが一つありまして、この段階になって、という側面もありますけれども、今までの議論を承ると保護Bというのは事理弁識能力を欠く常況にあると認められた人のみが使うということですね。単に事理弁識能力が不十分である者が、煩わしいから保護Bでお願いできますか、というような建付けというのはあり得るものですか。 ○佐久間委員 私の観念では、あり得ないと思っています。 ○山野目部会長 それを本人が望んでも、そういうことはしませんよというお話になりますか。 ○佐久間委員 はい。 ○山野目部会長 分かりました。   それからもう一つ、これが最後ですけれども、やはり佐久間委員へのお尋ねであって、13条1項列挙事項を使って保護Bのようなものを考えていくときに、保護Bの中に13条1項列挙事項と保存行為とその他幾つかのものが並んでいるもののリストにおいて、意思無能力無効を本人に代わって主張して、それに係る原状回復請求などの権利行使をするというのを並べておくというアイデアについては、どのように感じられますか。 ○佐久間委員 それは保存行為には入らないですかね。保存行為は外延が必ずしもはっきりしないということは自覚しておりまして、だからこそいろいろ細かく詰めていって、山野目部会長がおっしゃったように、これはこれはと並べていくことが望ましい面もあるのに対し、保存行為の概念で入りそうなものは全部入っていますという説明でもいいかなと思っていました。ただ、やはりこれは大事だよねというのは外出しした方がいいかと思いますので、今おっしゃったのは本人の権利保護、利益保護のためには不可欠なところですから、特出して明示することはあっていいかなとも思いました。 ○山野目部会長 分かりました。13条1項自体が継続的に検討していきましょうということになっていますから、またその折に御教示を頂きましょう。   私の方から今後の部会資料の取りまとめの観点から、若干確認をさせていただきました。 ○河村委員 ありがとうございます。一つ前の話題に戻るのかもしれませんけれども、17-2の67ページの3の保護者の職務及び責務のところで、先ほど青木委員と波多野幹事とのやり取りのところで、私のコメントといいますか、感じていたことを申し上げます。元々何回か前のところで青木委員がこのように加えてくださいとおっしゃったことに、私は賛成していますと申し上げたときに、パブリック・コメントのときにそのことが選択肢になるようにしてくださいと申し上げたと記憶していますが、多分そのお答えが、選択肢にするのではなくて、今書いてあるような、一つだけの提案の形にするということだったかと思います。私のそのとき申し上げたイメージというのは、現行法の規律のままというのが一つの案で、もう一つが、それを何らか付け加えるなり言葉を変える、つまり青木委員がおっしゃっていた、意思の把握に努めるというような意味を加えた言葉にする、の二つになるというようなものでした。そうすればパブリック・コメントで選択しやすいなと思って申し上げたのですが、次の回でしたか、今あるような書き方にしますというご説明で、それは、この部分について何も変えないという選択肢をとるつもりがないというようなお考えなのだなとそのときは理解しました。しかしその後少し分からなくなってしまいまして、事前説明のときに私、少しざっくばらんな物言いで申し上げたことがあるのですが、何々を明確にすることにつき引き続き検討するとあり、これはどういう意味かということで、明確にするかしないかを検討するのか、あるいはどういうふうに明確にするかの詳細を検討するのか、これらは全然違う意味になるのではないかと。その辺りはこの文書全体として、ざっくりとしている部分があるというようなことなのだと思うのですが、教えていただきたいのは、現行法の規律を維持するものとするという言葉の意味は、現行法の法文を変えないということを意味しているのかということです。もし何か明確にすることが選択肢ではなくて方向性として決まっているのであれば、現行法の考え方を維持しながら明確にしていくことを更に検討するという感じかなと思うのですけれども、現行法の規律を維持するという、この文書の中でたくさん使われていると思うのですけれども、そこはどういう意味なのですかということを質問させてください。例えば、パブコメの後に、ここはより明確にしましょうという話になったとしても、法律としてではなくて何か別の方法で明確にするということもこのイメージの中に入っているのでしょうか。例えばガイドラインとか、法律ではない方法で明確にしていくということも含まれた表現なのかどうかを教えていただけますでしょうか。   私の意見を申し上げますと、法律として、このアに書いてあるようなことが盛り込まれた法文になるというイメージで意見を申し上げています。取りあえず終わります。質問のお答えをお願いできればと思います。 ○山野目部会長 取りあえず文書を作成した事務当局の方のお話を聞きましょう。波多野幹事から、まずお話しください。 ○波多野幹事 現行法の規律を維持するという記載は、私の理解では、現行法の規律という書き方は、基本的には現行法のルールを維持すると、それはそのままにしましょうということですので、今の河村委員がおっしゃっている考え方というものが今のルールと同じであれば、多分私たちも考えていることと同じだと思っています。   その上で、今回の部会の中では、意思の尊重をするということの中身をもう少し具体化して明確化していった方がいいのではないかということの御指摘と、もう一方は、事務を行うの中身として、取消権を行使する際にも意思を尊重するのだということを明確にすべきではないかという御指摘があり、これをもう少し明確にしていった方がいいというお話だったと思います。   法文に書く、いわゆる明文をどう書いていくかというものと、ルールがどうなのかというのは、必ずしも同じではない場合もあり、普通はルールがどうなのかを法文に書くのだと思いますが、法文にどう書いていくかというところにつきましては、なお我々、事務当局の方で法文としてどう書けるかという作業をする、そのときにどう書けるかということを踏まえて、またこの部会での御提案をしながら、いろいろ検討しなければいけないというところがあります。   ルールをどうするのか、いわゆる規律をどうするかということにつきましては、この部会で正面から議論いただけるところなのかなと思っておりまして、その観点からは、現在のルール、基本的なルールは維持しつつも、更にこのルールを明確化していくということはアイデアとして出ています。そこについて引き続き検討していきましょうということをここに資料として書いているというものでございます。 ○河村委員 ありがとうございます。繰り返しになりますけれども、お考えはすごく分かるのですけれども、やはり今のお答えからは、明確にした方がいいという意見があると、そして明確にする仕方はいろいろあると、やはり法律の文章だからそこは検討しなければいけないとも聞こえます。パブコメ対象になる17-2の中間試案の言葉、この部分を読んだ人からは、法律上明確にする方向でその中身を検討するとは余り読めなくて、明確にすることについて、するかしないかを含め、これについてはまた引き続き少し考えましょう、という感じに読めます。そうすると、私が書いてほしかった中間試案の書き方とは違うということをずっと感じていたのですが、先ほど青木委員の御意見を聞いて少し勇気を得まして、言いたいことを言ってもいいのかなと思って申し上げています。私が最初に選択肢として示してくださいと言ったとき思い描いた書き方にはなっていないということです。パブコメを出す人が、書かれた方向性を支持し、このようにしてほしいと、そこにコメントしたりしやすくなるように書かれていたらいいなと思っています。 ○山野目部会長 一つ御案内を添えます。明確にすることという文言の、明確にする場所は、法律の法文です。ここは法制審議会でありまして、民事基本法制をどう改めたらよいかの諮問を受けてしている作業ですから、明確にすると述べていたけれども法律の法文ではなくてガイドラインを見てください、はい、これで明確にしたでしょう、という解決は、法制審議会においてはあり得ません。ほかの役所の審議会はよく使う手でありまして、何とかを明らかにしていくというと、ガイドラインを作ったから、それで当面済ませますという扱いを見かけますけれども、法務省は何とかかんとかガイドラインという解決がありませんから、明確にすることという話は法律の文言を見直すということを考えます、どう見直すかということについて部会で実質的な中味を検討していきます、併せてその法文の書き方について政府の関係方面と丁寧な下打合せをしながら検討していきます、ということを伝えようとしています。どうぞお続けください、というのが乱暴であったとしたら、そのことの御案内を補った上で、河村委員、お続けください。 ○河村委員 今の部会長のお返事はすごく心強いもので、ガイドラインで明確にするようなことはここには存在しないということなのですけれども、それでもなお、明確にするかどうかを引き続き検討するというふうに読めてしまうということは変わりがないという、確認するするかもしれないし、しないかもしれない、明確にするかどうか引き続き法制審で審議いたしますと、そういうふうに読めるということで、そこが気になるということでございます。 ○山野目部会長 明確にするかどうかの、どうかという言葉はありませんよね。 ○河村委員 明確にすることについて検討するということは、明確にすることについて、その内容を検討するというふうには私には読めなかったのです。もし、明確にするかしないかしないかの、しないの選択肢がないのであれば、最初に戻ってしまうのですけれども、もっとそれが分かるような中間試案だったらいいと思います。 ○佐久間委員 私はアとイとあるうちのイは、特出しするのはよくないのではないかと前に申し上げたと思うのですが、アは青木委員が何かペーパーを出されたときに、考え方としては賛成だと申し上げていたとおり、その心は賛成なのです。だけれども、現行法の前提に、本人の意思の尊重の在り方について、必ずこういうふうな、この案ではないにしても、何らか付け加えることをするということになるのかというと、そうなることもあるし、やはりならないこともあるのではないかと私は思っています。特に、文言のことを細かく言いやがってと思われるかもしれませんが、例えば、「努めなければならない」という文言を使わざるを得ないという程度のことになった場合に、民法の858条にその文言を使って本人の意思の尊重の在り方を示しましたとすることについては、先ほど波多野幹事は多分、法制上の問題というふうなことでもおっしゃったかもしれませんけれども、内容としても、私はそれだったら付け加えることをやめた方がいいという意見を持つと思うのです。   そうだからこそ、まず、現行法から後退することはあり得ないということが「維持するもの」ということで示されていて、なお、現行法について見直していくに当たり、アのような観点から見直していくことを正に検討をやはりするのではないか。本人の意思を尊重する在り方に関し何らか明確化するということを法律上の文言も含めて変えていくということをすでに態度決定したかというと、そこまでは行っていないのではないかと私は思っていました。検討することはもう間違いがないところということから、これでいいのではないかと思いましたけれども、それでは足りないのですかね。 ○根本幹事 先ほどの河村委員と波多野幹事とのやり取りの中で少し気になっているのは、規律を維持するというところの御説明の中で、今の現行法の858条の考え方そのものは維持することを前提にという御趣旨の御発言があったと思うのですが、少なくとも私の認識では、この部会の中では、そこも含めて議論があったという認識ではおりまして、つまりそれはどういうことかというと、理念の話に戻ってしまうのかもしれませんけれども、本人の意思というものと保護というものをバランスをとるということをパラダイムシフトさせるかどうかというところから、この部会では議論があったと認識をしております。規律自体を維持するというお考えの先生方ももちろんおられますが、他方で、どの程度かという程度の問題はもちろんあるとは思いますけれども、その程度から見直すということも含めて、今までも部会の中では議論があったのだろうと思います。   最終的には、部会長がおっしゃられたように、法律をどうしていくかということになりますし、文言がどういうふうな形で帰着するのかということの結果、そこから更に解釈論というのが出てくる、その解釈論の中で今申し上げたような立場がいろいろと引き続き議論されていくということだとは思います。少なくとも、現行法を維持したまま今回の改正が行われるということは、私の理解としては、今回諮問されている事項に正面からお答えしたことに必ずしもならないことになってしまうのではないかということも懸念をしますので、どう法文に落とすかは、もちろん技術的な側面や法制局との関係等も含めた議論はあると思っていますが、858条そのものを維持するという結論については、今の時点では賛成しかねるということは明確に申し上げておきたいと思います。 ○山野目部会長 河村委員に引き続きお声掛けを致します。今若干の議論があったところは、初めて議論されたわけではなくて、この部会で従前議論されてきたところでありまして、不一致点を話すよりは、どこまで一致しているかということを確認しますと、858条がこのままでよいと思っている、積極的にそうだと考えている委員、幹事はいません。そのことははっきりしています。その上で、858条を何か改良していくことになると考えたときに、佐久間委員がおっしゃったような、中途半端という言葉は佐久間委員は使わなかったけれども、一言で分かりやすく言えば中途半端な改良になるならば、民事法制としてはむしろやめた方がよいという考え方があり、しかし部会の全体のすう勢は、何らかの文言改良をかなり意欲的にしなければならないと感じている人がたくさんいる、これが今の部会の意見分布の状況なのでありましょう。その上で、それを集約して中間試案で出していくということになって、事務当局が工夫をして出しているものが今の文章です。   河村委員の御懸念を理解するとともに、部会の意見分布がこのようになっているということを見ていただいた上で、ここの文章をもう1回見直して、次回お諮りをすることにいたしましょう。今の文章はこうなっていますね、保護者は、と始まってから、現行法の規律を維持するものとしつつ次の点について引き続き検討するものとするでアとイが並んでいる。維持するという言葉が、もしかしたら今の部会の委員、幹事の意見というか意欲のすう勢の反映として、これを見て意見を書こうとする国民の側にメッセージとしてよく伝わっていない部分がもしかしたらあるかもしれないし、そこの御懸念が河村委員、青木委員、根本幹事において強いと理解します。   現行の規律について次の点を引き続き検討するものとする、とかというふうに中間試案の文言を改良し、幾つかの異なる見方がこの部会にあるということをより良い仕方で表現していく工夫は、今私が申し上げた、現行法の規律について次の点を引き続き検討するということのほかに、この後、事務当局が考え込めば、更に何か工夫の余地があるかもしれませんから、それを次回会議に向けて工夫をして進めていくということにしようと感じますけれども、本日時点での河村委員のお話を伺っておきましょう。お願いいたします。 ○河村委員 ありがとうございます。今部会長がおっしゃっていただいたような方向であって、法律がこのままでいいと思っている人がこの部会にはほとんどいないという状態であるならば、この文章は少しその雰囲気を表していない感じがするので、その雰囲気が表れるような中間試案の言葉遣いを希望します。規律を維持するものとしつつという辺りの工夫をしていただけるのであれば、現状の総論としての雰囲気がもっと伝わるのがいいかなと思います。   何度か言いましたけれども、私が前に選択肢として示してくださいと言ったのは、もっと分かりやすいように、Aは今のまま、この法律のまま、Bはそこを修正してこういう考え方を入れますみたいなのがあれば、Bがいいわと言いやすいなと思ったので、最初から選択肢として入れてくださいと申し上げたのですけれども、そういう形にはならなかったので、部会長が今おっしゃったように、もう少し現時点でのここの部会の考え方が伝わるような文章になったらいいなと思います。 ○山野目部会長 ありがとうございます。本日段階で河村委員に二つお声掛けをしておいて、それでここを区切りにしようと考えます。一つ目は、選択肢にすればいいというお話ですが現行法のままという選択肢を出して、そう思っていて、それを積極的に良いと思っている委員、幹事はいませんし、国民に問うても、現行のままでいいという肢に与し、よし、自分はこちらの方の意見を言おうという人は余り想像することができない気がします。だから、もう何か改めていこうという意欲を示す上でも、現行法のままという選択肢は外し、何か変えていくけれどもどこまで頑張れるか分からないということをしてみようという文章になっています。それから、もう一つお伝えすると、今、河村委員にも引き続き中間試案の最終的な取りまとめを次回会議まで頑張らなければというお声掛けを頂きましたから、次回会議まで事務当局と私が頑張ります。次回会議に向けて委員、幹事も引き続き頑張ってください。よろしくお願いします。では、ここはこれで区切りにします。 ○花俣委員 今の議論も非常に関心深く聞かせていただきました。多分、利用する側の人たちは同様にに感じているだろうなと思います。他方でこの利用促進法が定められて以降様々な議論の場に関わってきた私としては、確かに今、河村委員がおっしゃったとおりではあるのですが、それでもなおここは、単純な議論ではないということを少しは理解できるようになったと感じており、ここはやはり専門家の先生方により深く考えていただいて、最終的には、当初より目指すべき方向であった、利用する本人がメリットを感じられる制度にという最もシンプルな、そこにこそ最終的な落とし所がある、そういうものになっていくと信じて、この場に臨ませていただいています。   今日感じましたことは、要するに法文というか法律の条文の持つ意味合いの広さ、あるいはその深さというものを本当にしみじみと感じながら、当たり前とは言いながら、同時にその解釈についても、それぞれの先生方の御意見を伺っていると、私たちにとっては本当にますます複雑で、こちらの理解が追い付かないということも正直なところです。   ただ、それは現行法を改正することの大変な難しさと、それから、先ほど久保委員の意見書からも読み取れるように、飽くまでも私たち利用する、これは別に私たちに特化するわけではなく、誰もが利用する可能性があるという視点に立ち、利用する側からのの切実な願いという原点を大事にしていただきつつ、ここまでの議論に併せて引き続きこの行方をずっと拝聴していきたい。そんなふうに思いながら期待を持って、引き続きこの場で議論を拝聴したいと思っております。 ○山野目部会長 花俣委員に見抜いていただいたとおり、今し方議論になった858条の改正問題というのは軽い問題ではないし、浅い問題でもありません。おっしゃったとおり、ここのところは肝腎、要の問題です。第15回会議でも申し上げたとおり、人によっては、中間試案の文書が公表されたら、まずここを、あるいはここだけを見る人たちが世の中にたくさんいると想像します。中間試案の段階でそうだと思いますし、一旦法律が施行されたときにも、手続の細かなこととか、そういう類いの民法の規定が福祉の現場で読まれるということは余りないし、そういうことは法律の専門家に任せればよいということになるかもしれませんけれども、新しい858条は、現場の社会福祉士の方々、介護員の方々、日常生活自立支援事業に関わる方々などが読んで、それに基づいて仕事をする可能性があります。法律学者の間で、民法の法文というものが誰が名宛人であるかという難しい論争がありますけれども、そのような論争の如何にかかわらず、実態としては858条というものが行為規範として現実に機能していくことになるということを私たちは覚悟した上で、ここの法文の見直しの作業を進めていかなければいけないということは、もとより委員、幹事の総意として理解していることですけれども、今改めて花俣委員から御注意いただきまして、そのとおりであると感じますから、お話したように、次回に向けてもう一踏ん張りするということにいたしましょう。どうもありがとうございます。           (休     憩) ○山野目部会長 再開します。   ここからは、部会資料17の中で第5から第8まで、部会資料17-2で申しますと143ページ以降の部分について、審議をお願いいたします。お話しした部分について事務当局から資料の説明を差し上げます。 ○柿部関係官 部会資料17-2の第5から第8までについて御説明いたします。整理を行った項目は部会資料16と同じです。   部会資料17-2の143ページからは第5として、任意後見制度における監督に関する検討事項について整理しており、任意後見人の事務の監督に対する本人の意向を整理することができるような制度の在り方について、引き続き検討すべきであるとの考え方を(注)に追記しております。   157ページからは第6として、任意後見制度と法定後見制度との関係について、171ページからは第7として、任意後見制度に関するその他の検討を整理しております。   183ページの第7-2、その他の項に、部会における意見を踏まえ、(注1)として、本人の意思の尊重等に関する規律について法定後見制度の規律と同様の見直しをすること、(注5)として、医的侵襲に関する同意に関する事務を任意後見受任者に委託することができるとの考え方を追記しております。   188ページからは第8として、その他の事項について整理しており、202ページまでは成年後見制度に関する家事審判の手続についての検討等を整理しております。   最後に、204ページにおいて、その他として任意後見制度の見直しに伴い成年後見登記の制度について所要の整備を行うことを追記しております。 ○山野目部会長 ただいま説明を差し上げた部分の中については、本日、小澤委員から意見書を提出していただいておりまして、具体的には任意後見人の事務の監督に関する意見を盛り込んでいただいたものでありますけれども、これについて補足の発言がおありでいらっしゃるならば、まず承った上で、委員、幹事の皆様全員からのお話を伺うという手順でお話を進めたいと考えます。 ○小澤委員 ありがとうございます。発言の機会を頂き感謝申し上げます。任意後見人の監督事務の在り方について御提案したい内容については、提出させていただきました書面に記載したとおりなのですが、少しだけ補足説明をさせていただきます。   今回の御提案は、任意後見監督人の規律として、行政の認可や認証などにより一定の資格付けを受けた法人又は個人を監督人に選任した場合の特例を設ける内容のものとなっております。このような提案をさせていただいたのは、現在の任意後見制度について、特に監督事務に関する規律を現状のまま維持するのであれば任意後見制度の利用を促進していくのは難しいのではないかと考えているからでございます。監督事務の在り方を見直し、私的自治を可能な限り尊重するということで制度を利用しやすくしていくことが今回の御提案の目的でありますので、監督事務の在り方として今回の提案の内容に限られるというものではございません。いずれにせよ今のままでは任意後見制度の利用促進はなされないという問題意識からの御提案でありまして、具体的な内容につきましては今後も司法書士会でも検討させていただきますが、委員の先生の皆様方におかれましても今後のよりよい制度に向けて御検討いただければと考えております。 ○山野目部会長 補足の説明を承りました。   それでは、委員、幹事の皆様から、事務当局より資料説明を差し上げた部分につきまして御随意の御意見を承ります。 ○根本幹事 任意後見について、4点申し上げたいと思います。資料157ページの第6の1乙案の(注)のところです。前回私がこのような形で申し上げて、記載していただいていると思うのですが、2行目のところで、権限の事務について任務に適しない事由があるという形で前回申し上げているかとは思うのですが、解任ですとか辞任ですとか、そういった終了との関係も考慮しますと、文言については、権限の事務について当該代理権を任意後見人が行使することが相当でないときは、家庭裁判所は当該事務について権限の停止をすることができると修正をしていただいた方がより正確ではないかと思っております。   2点目が、164ページの(ウ)の少し手前のところの、解任については職権によることはできないことから、解任の申立権者による申立てが必要となり、現行法を維持する場合には職権により、ということを御記載いただいていまして、これにまつわるところにもなりますし、もし記載していただくとすると、最後の183ページの(注2)や(注3)の書き方にも影響すると思っているのですが、条文で申し上げると、現行法の7条、8条、9条、10条の見直しということを図る必要があるのかどうかという形の、広く申し上げればそのような問題提起になるのではないかと思っております。そもそもこの問題意識の背景にあるのは、任意後見も委任契約ですから、債務不履行解除や合意解除に加えて一方解除が委任契約はできるというのが基本的な理解の前提にあるとは思います。もっとも、一方解除をするに当たっての、御本人がその解除権を行使できるような状況でない場合は、これは任意後見人からしか一方解除は認められないということになってしまい、そこの規律について結局のところ、任意後見監督人が解任権を行使するかどうかに委ねられるということになるのだろうと思います。   具体的には、例えば、限られた代理権で終了するというような場面において、任意後見人自身が一方解除で解除権を行使してくださらない限りは解除で終了するということができないことになり、監督人は横領等、そういった不正の行為があるということでなければわざわざ解任というところにまでも至らないのだろうと思いますので、今申し上げたケースにおいて、任意後見監督人が何らか解除権を行使するということにするのか、若しくは解任事由を、例えばもう少し広げるという形にするのか、それ以外の別の方策を考えていくのかということを議論しなければいけないのではないかという問題意識が今ずっとありまして、いわゆる終了なり、若しくは条文でいえば7条から10条のところ、若しくは任意後見監督人の終了時における権限行使の範囲や在り方として議論を深めていく必要があるのではないかと思っています。   そのこととの関係で、例えば、現行の解任の申立権者は8条のところで親族は四親等内に限らず広げていますけれども、任意後見監督人を必須とするかどうかという論点や、若しくは任意後見監督人の解除権ないし契約に関する監督権限をどのように規律していくのかというところとの関係で、ここも見直しが必要になるのではないかと思います。   先ほど小澤委員からも任意後見促進というお話もありましたし、任意後見契約の私的自治への介入ということとの関係で、どのように規律するのかという話もございました。法定後見と任意後見を並存させていく、若しくはその並存する場面でもできるだけ任意後見契約を維持する方向で考えていくという方向性自体は、これは支持されるべきものではありますが、他方で、終了のところについてどのような規律を見直す必要があるかどうかも含めて、細かい点も含めて議論を続けていくことが必要だと思っています。具体的に申し上げると183ページの(注2)や(注3)は、これは別に維持されたままでもいいのかもしれませんが、法文でいうところの7条ないし10条なのか、若しくは解任、辞任、若しくは監督人の終了時における監督権限を具体的に見直すかどうかについて(注)を変えていただけないかと思っているということになります。具体的なところは、まだ全て練り切れていないところもありますので次回までに具体的に御提案はしたいと思います。   最後になりますが、165ページのゴシックのところで(1)、(2)と御記載いただいているのですけれども、その前の1との関係で、1においては権限が重複する場面、1の乙案の注書きがありますけれども、並存するとした場合でも、その権限重複について引き続き規律を検討するとなっていて、2(2)のところも、任意後見が先なのか法定後見が先なのかというところはいろいろあるかもしれませんが、ここでも権限調整の規律は引き続き検討されなければいけないのだと思いますので、1の乙案の(注)というのは、165ページの2(2)でも(注)として、記載していただく必要があるのではないかということは再度申し上げておきたいと思います。 ○山野目部会長 幾つかの御意見を頂きました。ゴシックについて、(注)も含めて、今、定まった案は持ち合わせていないが検討をよろしくお願いします、私たちも次回までにお出ししますとおっしゃった事項につきましては、次回をお待ちしますから、よろしくお願いします。   引き続きほかの方の御意見をお伺いすることとし、小澤委員、お待たせしました。その次、竹内裕美委員にお願いすることにします。 ○小澤委員 ありがとうございます。部会資料17-2の143ページ、第5の注に提案した内容を記載いただき、ありがとうございます。中間試案のたたき台2の取りまとめに異論はありません。 ○竹内(裕)委員 ゴシックの部分について1点だけです。189ページで、家事審判手続になります。189ページのウの乙2案を採る場合なのですが、アンダーラインのある30行目のところで、アの④の代理権付与審判は今回、加えていただいたのですけれども、ここの②のところに保護Aの開始審判も追加いただく必要があるのではないかと思われました。恐らく開始審判が書いていないのは、保護Aの開始審判は権限付与の審判と必ず同時になされるという立て付けなので、省略されたのかと思うのですけれども、イメージとして持っていたのは、乙2案においては、この開始審判というのが医学上の一定程度の判断能力の低下というのを客観的に認定して、対して権限付与の審判というのは当該行為との関係で必要性を判断するのだと位置付けていまして、となると両審判の考慮対象というか質が違うのではないのかと思ったのです。先ほど、必要性について何かという議論が出ていたのですが、そことも少し関連するような気もしたのでして、例えて言うなら乙2案において、私は、保護Aの開始審判は抽象的な必要性、権限付与の審判は具体的な必要性というようなイメージを持っていましたので、ここに保護Aの開始審判について、入れる必要はなかろうかと思った次第です。 ○野村幹事 ありがとうございます。2点意見を述べさせていただきます。   まず、任意後見の事務の監督の在り方のところですが、説明の部分で、147ページの乙案の(3)は、いわゆる甲案の任意後見監督人の選任を必須とすることについての記載であるかと思いますので、甲案の(3)の後に(4)として記載するべきではないかと考えます。また、同じく乙案の(4)は甲案・乙案双方に係るものであることを明記していただけたらと思います。   2点目は任意後見人の事務の監督の開始に関する検討のところで、149ページの12行目の(注3)ですが、現行法の申立権者である四親等内の親族について、その範囲をより狭くするとの考え方があるという記載があるのですが、この部分については、本人の事理弁識能力が不十分な状況にあるにもかかわらず任意後見人の事務の監督が開始されていないという指摘があることから、申立権者の範囲を広げたいといった方向性からは逆の考えになるかと思います。法定後見の申立ての際には、疎遠な親族からの申立てによって第三者の専門職が選任される問題ですとか、本人の死亡まで専門職への報酬の支払いが続くことなどが問題視されていますけれども、任意後見契約の場合は任意後見の受任者が任意後見人になるので、第三者の専門職が予想外に選任されるのではないのが法定後見との違いかと思います。さらに、本人に事理弁識能力がある場合は、本人は監督人選任の申立てに同意しないことは可能ですので、この(注3)については削除してもよいのではないかと考えております。 ○星野委員 ありがとうございます。第8のその他のところなのですが、189ページの最後のところの法定後見制度に関する事実の調査、証拠調べのところです。こちらにつきましては、前回発言しましたし、根本幹事からも家事事件手続法に具体的に規定をするという御意見も出されていて、そして説明の191ページのところでも、12行目に、いわゆる本人情報シートの作成者からもというのを残していただいて、ありがとうございます。   そこで、少し確認というか意見ですが、この事実の調査及び証拠調べのところで、区市町村等に対して意見を求めることができるという注記を入れていただいたのですが、前回の意見からもありましたように、家事事件手続法の中の規定を検討するということが、(注)で無理であれば説明のところにでも、そういう意見があったということも入れていただきたいという意見です。 ○山野目部会長 星野委員に確かめますけれども、190ページの頭の(注)は、規律を設けるとの考え方というのは法律の規定を設けるという意味です。ですから、今のこの文でお考えの御趣意は表現されていると感じますけれども。 ○星野委員 分かりました。家事事件手続法とか、そういう具体的なのはないのですが。 ○山野目部会長 今日はこの規律という言葉が何回か紛議をもたらしていますが、場所によっていろいろな意味で使われることがあるとしても、おおむね法律に何らかの条を設けたり既存の条を改めたりして法律上のルールを明確にするという作業が、法制審議会の仕事をするときの規律を設けるということの意味です。何度もお話しするように、何とかの方針で行くよと書いておきながら実は法律に何も出てこなくて、ガイドラインとか業務方法書とか何かに書いてあるからいいでしょうという扱いは、それは法制審議会の仕事ではありません。ここでしている仕事は法律に規定を設けるかどうかです。その上で御案内ですが、法律に規定を設けることは大事だということは委員、幹事に御議論いただいて、総意がまとまれば、それは部会が出す要綱案に含めていくことになりますけれども、どの法律を改正するかという論点は法制事項問題ですから、政府が国会に提出するまでに政府部内の調整を経た上で決めることです。通常、法制審議会が出す要綱に何法を改正するという点は書きません。そこも御理解いただければ有り難いです。   引き続きお話を承ります。いかがでしょうか。   お話が出ないようであれば、1点お諮りをします。野村幹事から、149ページの(注3)、任意後見に係る申立権者を四親等内の親族にするという現行の規律を狭くするという考え方があるという注記を削ったらどうかという御提案がありました。いかようにも進めることは考えられますが、これを大事な意見だとおっしゃる委員、幹事がおられるならば、削るのは具合が悪いですし、仮にそういう委員、幹事が個人としておられるかどうかにかかわらず、国民に問うときにこれを一つの論点としておいた方がよいという見方があれば、また考えなければなりませんし、この点について野村幹事以外の委員、幹事の御感触を伺っておきますけれども、いかがでしょうか。 ○根本幹事 私個人の意見ではないのですが、任意後見を利用される方というのは身寄りがない方もいらっしゃる、そのときに親族の在り方というものがいろいろな形があって、場合によっては本当に御本人と疎遠になっているにもかかわらず申立権者とされ、その方に場合によっては連絡が行くということを御本人が望まないということの趣旨も踏まえての御提案だったように記憶をしております。そういう趣旨であるということを伺った上で、中間試案で問うていくということ自体は、必要なことではないかとは思います。 ○山野目部会長 御意見を頂きました。 ○竹内(裕)委員 私も根本幹事の意見に賛成です。そういった趣旨からの(注)であったと思いますし、現に外国法制には血族と姻族で分けて親等を規律している例もございます。家族に対する価値観は様々あり得ると思いますので、(注)として残して国民に問い掛けてみるという意義はあるのではないかと感じました。 ○山野目部会長 ほかにいかがですか、今の点。 ○常岡委員 以前に申し上げたところですけれども、わざわざここで四親等の親族を取り上げて図る必要がこの段階であるのかなという気はいたしております。つまり、民法の家族法上の親族の効果をどう考えるかという問題とつながってきますし、成年後見の申立権者について、四親等内の親族が入っていることによって何か積極的な弊害があるとか、問題が広く認識されているということで、それを是非問わなければいけない状況にあるのかということについては、やはり少し先生方の御認識を確認しておきたいと思っています。   申立権者ですけれども、単に申立てをするだけであって、後見開始等について判断するのは家裁なのであって、広く四親等内の親族という規定を置いたのは、誰も申立てをする人がいないときに放置される状況は避けたいという狙いが元々あったと考えられます。実際的にも四親等内というのは、考えられる範囲としては具体的にはいとこが入ります。いとこぐらいであれば、子供とか兄弟とかは疎遠であっても、同世代のいとこがいて、心配して申立てをしたいということがあり得るのではないか、実生活上の感覚としても、このぐらいは置いておくことはあってよく、そのことにそれほど弊害があって今ここで問わなければいけないほどの論点かというと、それは少しどうか、私はそんな必要はないのではないかと思っています。   ただ、先生方のお考えで、これは是非ここで問うべきであって、中間試案で出てくれば検討するのだという御意見が強ければ、別に残しておいても構いませんけれども、私の感覚としては特にここでこれを取り上げる必要は今はないのではないかと。もっと広く、親族の効果をどういうように考えるのかという民法における親族の在り方について、もっときちんとと言ったら失礼ですけれども、根本的な議論を踏まえて親族の効果をどう考えるかという、そういう議論が、もしもここで四親等内の親族を狭くするのであれば、必要かなとは思っております。 ○山野目部会長 根本幹事と竹内裕美委員にお声掛けですけれども、四親等内の親族と、両先生のお考えでは広いと映るのですが、割と疎遠な人が申し立てるようなことも考えられるではないかというお話ですが、何か立法事実を認識して、その上でのお話ということでしょうか、それとも何か抽象的に考えると、少しそういう心配はあるというお話でしょうか。そこのところを何か御知見があれば教えていただきたいと望みます。 ○久保野委員 少し前提の確認なのですけれども、法定後見の方についても17-2の9ページに同じ(注)がありまして、任意後見については問う必要がないのではないかという問題提起が今あったという理解で、まず、よろしいでしょうか。それについて議論していると理解しておりまして。 ○山野目部会長 今のところそういう情勢になっていますが、もし今御議論いただいているところについて見通しが得られるならば、法定後見と任意後見の問い方が異なってよいかとか、異なっているとすると理由はどう説明するか、という議論に進んでいくことになります。お続けください。 ○久保野委員 分かりました。ありがとうございます。   そういう意味では、今の常岡委員の問題提起は、両方とも不要なのではないかという御意見だったと思いましたので、まず、そこが気になった次第です。私は、法定後見は問い掛け、任意後見は問い掛けないというのは、余りよろしくないという意見を持っています。その理由は、親族の中のある人について後見制度を発動するかどうかの判断をするというか、きっかけを与えることを期待するものとして親族をどの範囲まで想定するかが問われているという意味では、法定後見と任意後見に共通する一般的な問題ではないかと思います。そこで、余り具体的に、その人のためにならない結果が起きるかどうかといった具体的な効果と結び付けて議論する性質のものではないのかなと思います。   その上で、一方で、親族の関わり方に関するより一般的な問題なので、後見の文脈だけで議論するのが適当とは限らないという御指摘は、確かにそのとおりだとも思います。親権喪失にせよ、未成年後見人の選任にせよ、親族の申立ては出てくるわけですので、それらとの対比だけ考えましても、本来もう少し広い文脈で議論すべき問題だと思います。   他方で、説明に書いてあるような、それほど関係性の深くない本人の状況を知るとは限らない親族というものについて、民法が認めている効果が適当かどうか、あるいはその人に申立ての権限を認めることが適当かどうかということ自体は、一般的には指摘されることが多くなっている事柄かと思いますので、ここでまずは問うてみるということには意義があると私は感じまして、残しておく選択も十分にあり得るのかなと思います。 ○常岡委員 今、久保野委員から御指摘がありましたけれども、私自身が先ほど発言しましたのは、法定後見も含めてということでございます。私の方から積極的に、任意後見と法定後見とでこの注書きについて御指摘をしなかったのは、従来の議論の中で申立権を有する親族の範囲を狭めてはどうかという委員の御意見もありましたので、このぐらいの注記であれば問い掛けてみてもいいのではないかという気持ちで、放置と言ったら失礼ですけれども、そのままにしておいてもいいのではないかと考えておりましたけれども、今、根本幹事と竹内裕美委員から御意見が出ましたので、そういうような御意見があるのであれば、私自身としては先ほど申し上げたようなスタンスだということを申し上げたいと思います。 ○佐久間委員 法定後見と任意後見で問い掛けを異にするのは適当でないというのは、私もそう思っています。その観点で、法定後見については、10ページですかね、四親等内の親族について、それを狭くするというのとともに、(注2)に、本人の意思、指定によって、親族に限らず、この人には申立権を与えてほしいというものがある、今回付けたのではなくて、前からあったのですよね、とともに、任意後見についても、これは149ページの(注1)で同じようにあるので、これは多分二つセットの考え方なのではないかと私は理解していました。   つまり、確かに四親等内の親族、いとこ、僕は何十年も会ったことがないとか、そういう家族なのですけれども、そういう人もいれば、非常に密にしている人もいるのだけれども、飽くまでこれは世の中に問うということなので、今の状況に照らして、いとこレベルの人に申立てを当然してもらうというか、する権利があるということをどう考えますか、加えて、そこは狭くするとともに、場合によったらそれとは別に自分でこの人にだったら申立てしてもらってもいいという人を用意することも考えられます、どうですかという形で諮ることは、非常に意味があるのではないかと思います。ここで決め切る話ではないので、世の中一般でどういう受け止められ方を、家族関係も含めて、しているかということで意味があるのではないか。加えて、ほかの制度もそうなのかもしれないけれども、ここは本人の意向によって親族でない者について申立権者に加える可能性はある分野なので、ほかと違って、これが三親等なのか二親等なのか知りませんが、知りませんがというのは、難しいのと違うかなとは思っているのですけれども、それをしかし問い掛けるのは、非常にいい場なのではないかと私は思っています。 ○常岡委員 ここで余り長くこれについて話をしていいかどうか分かりませんけれども、本人の指定した人にも申立てを認めるといった場合、恐らく内縁の配偶者や、事実上の養子、同性カップルといった場合が想定されているのではないかと思いますけれども、重要なのは明確であるかどうかということです。裁判所が明確な基準でこの人が申立権者であると判断できるかどうかというところは、やはり常に問題になってくる、そういう意味では四親等内の親族というのは明確なわけです、戸籍上四親等内だということで明確であるという機能を持っている。ですから、誰か関係性の分からない人が突然、本人から指定されて申立てに来ましたみたいなことになることは防がなければならず、もちろん、本人の指定によって申立人を加えるという方向に行けば、しかるべき制度設計をしてそうならないような規律の仕方を考える必要があると思います。けれども、それも踏まえた上で、余り申立権者を絞るということ自体は、それによりかえって法定後見や任意後見の場面で放置される人たちが生じるようなことは望ましくなく、明確でありかつ従来からの四親等内の親族という規定が民法にあって、それが許容されるものであればそのままでもよいのではないかと、そういう考え方はできるかと思います。 ○山野目部会長 今の話題について、ほかに御発言はおありでしょうか。 ○星野委員 法定後見と任意後見で尋ね方を変えないというのは、それは同意しますが、ただ、法定後見においては今、首長申立てがかなりなされていて、申立人の中での一番になっていると思います。私はどちらがいいということを言いたいわけではなくて、本当にいい機会だと思います。今この段階で国民にこの申立権者の範囲というのをどう捉えるかというのを尋ねるということは、私はあってもいいかなと思いました。 ○山野目部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○根本幹事 個人として縮減させるということについては必ずしも賛成ではないのですが、中間試案で問うということ自体は、それはあってよいのだということで、問うということ自体には賛成ということになります。あわせて、先ほど申し上げましたけれども、8条とか任意後見のほかのところでも四親等内に限る、限らないというところの規律がありますので、併せて議論をしていただきたいとは思います。 ○竹内(裕)委員 今までの議論を聞きまして、やはり残した方がよいと思います。申立権者の範囲については、利害関係人は余りに広すぎて適していないという議論があったと思いますが、四親等内の親族でほとんどご本人と関わりがない方というのは、利害関係人とニアリーイコールみたいなところがございます。立法事実をと部会長から言われたのですが、具体的にはこれというのは申し上げることができないですけれども、立法事実があるのかないのかということを問うためにも、残す意味はあるのではないかと思った次第です。 ○山野目部会長 中間試案は、次回会議で滞りなく行けば、次回会議で委員、幹事の御議論を経た上で決定したいと考えておりますけれども、その上で行われるパブリック・コメントというものの実施の意義や受け止め方について、この際、委員、幹事に共通の認識を持っていただければ有り難いという観点から申し上げます。   パブリック・コメントをすれば、この話題は注目されておりますから、たくさんの意見が出されるだろうと予想します。それを集約して秋口の部会の審議に反映させていくことになりますけれども、誤解があってはならない点は、国民投票をしているものではありません。出てきた結果について多い少ないという多寡の問題ですね、それは全く価値がないということではなくて、多い少ないという意見の分布も考慮に入れなければならない一つの側面ではありますけれども、パブリック・コメントで多かったからこれで決まりであるというような形で秋の部会の審議が進むものではありません。私たちは一回、そのパブリック・コメントで出された意見を、多い少ないはもちろんですけれども、中味とか、その他の意見提出の状況を見た上で、もう一度、委員、幹事の責任においてじっくり考えてもらうということになります。   そういうことですから、今、話題になったこの注記、法定後見と任意後見のところですけれども、更なる手直しがもしかしたら細部についてあるかもしれませんけれども、今の骨格で両方残すということにいたしましょうか。その趣旨は、この機会に法定後見、任意後見の申立権者の範囲について、この注記を置いておけば、ここで問うていることそのものではなくても、申立権者の範囲というものについてこんな問題がありますよと新しい指摘を得る可能性だってあるかもしれません。気持ちとしては四親等を狭くするということだけ提案、示唆しているのではなく、申立権者について何か問題ありませんかと問い掛けているのに等しいわけですが、問題ありませんかと中間試案に書くのは無責任であって、一つ話題になった事項はこういうことで、これで決め打ちではないけれども、ほかの意見も述べてくださいという趣旨で置いておいて、それで様々な意見が出るかもしれません。それが出されてきたところを踏まえ、秋口にする検討は、今、御議論いただいても悩ましいと感ずるところがあって、狭くすることが任意後見なら任意後見という制度についてより適切な方向に働くか、弊害が生ずるかも分からないところがありますし、それから、親族に関してその範囲を限っているほかの法制、民法に限ってもいろいろな場面があって、横並びで見たときに統一のとれた説明ができるようになっているかという観点も、何か改めるのでしたら、新しく変える姿についてそこをよく考えなければいけません。   しかも法制的にも、多分それを更に政府部内でチェックをして、本当に現行の法制を改める立法事実が根拠としてありますかというチェックがされることになります。パブリック・コメントにおいてこの注記を残しておいたからといって、出てきた意見分布を見て、はい、多数決で決まりとなるわけではありませんから、そのことを皆さんにお知らせした上で、本日、野村幹事、常岡委員からおっしゃっていただいた、丁寧、慎重に検討しなければいけません、というお話は、ここに議事にとどめられ、そのことはもちろん忘れないで秋口の審議を進めるということになりますから、そういう心構えの留保を添えた上で、残しておくということで進めるということでいかがかと考えますけれども、どうでしょうか。 ○野村幹事 御議論ありがとうございました。それでは残すということで、一つお願いがあるのですが、154ページの16行目から、申立権者の範囲を狭める考え方の説明がありますので、そこに本日私が申し上げた意見を追記していただけたらと思います。 ○山野目部会長 承りました。ありがとうございます。   今の点の続きがあったらお伺いしますし、ほかの点でもよろしゅうございますが、いかがでしょうか。   事務当局、幹事、関係官の皆さんも途中で遠慮なく尋ねていただきたく望みます。 ○波多野幹事 165ページのところで根本幹事から御指摘いただいたところなのですけれども、157ページの1の(注)を165ページにも出した方がいいのではないかという御指摘を頂いたのかなと思っております。我々事務当局で、前回御指摘いただいた上でここを足さなかったところの理解といいますか前提は、第6の1では法定後見制度、任意後見制度の併存という広い場面を設定して、その併存を認めるのかどうかということについての御議論というものの提案をさせていただいており、そこで併存を認めるとなりますと、この(注)のような問題が出てきますよねという整理を記載しているという認識でございました。   その上で、165ページ2のところは、更にその中の、併存を認める場面のうちの一つであります、任意後見契約があるという場面についての規律に関して更に問うているものという理解をしていたものですから、ここで併存するという場合になると、当然1の規律が掛かるというものなのかなと思っていまして、あえて書いていなかったところでございます。若干それが分かりにくいということなのかなという気もいたしますが、恐らくゴシックだけを読まれた方からしますと、その方がいいのではないかという印象を持っているというところでございます。   もう1点が、188ページ以下の家事の手続の関係で竹内裕美委員から御指摘いただきました、189ページの乙2案の場合なのですけれども、おっしゃるように保護Aの開始については書いていないのです。これは、竹内裕美委員から御指摘いただきますように、代理権付与なのか、要同意事項の同意権付与の審判をするのかという、どちらとセットになっていたからということで書いていないのですが、もう1個の考え方としまして、恐らく今の補助と同じように、補助開始の審判の際にはこのような医師の意見を聴くというようなことでスクリーニングがあり、その後の個別の審判においては特段この医師の意見を聴くという規律は掛からないという整理もあるのかなと思っていたところではございました。   多分、聴くとしたらどちらかでゴシックはそろえた方がいいかなと思った次第で、今は個別の方に寄せたというところなのですが、先ほどの竹内裕美委員の御指摘を踏まえますと、最終的には部会での御議論ではございますけれども、乙2案は補助と同じように、保護Aの開始の審判の際にだけ医学的な知見の資料収集の一定の規律を掛け、それ以外の個別の審判には掛けないというような提案をするというのも一つかなと思っております。そこは少し補足して御意見があれば、御指摘いただきたいなと思った次第でございます。 ○山野目部会長 今お声掛けを波多野幹事から差し上げた件は、何か御意見があったら承っておきます。 ○佐久間委員 私は、波多野幹事が今正におっしゃってくださった方が、乙2案としてはいいと思っています。すみません、部会資料を余りきちんと読んでいなかったので、そうなっていると勝手に思っていました。乙2案の考え方は、個別の権限は付与できる部分もあるけれども、基本的には個別の権限についてうんぬんという話ではないので、波多野幹事がしてくださった整理が私はいいと思います。 ○山野目部会長 今の点、ほかにいかがでしょうか。   よろしいですか。では、それを参考にしてお進めいただくというふうにお願いいたします。   ほかにいかがでしょうか。 ○遠藤幹事 今回の部会資料で新たに加わりました204ページの3、その他の成年後見制度の見直しに伴い成年後見登記の制度について所要の整備を行うという点でございます。この点については、今回の部会資料では、提案の概要として、法定後見制度と任意後見制度の併存の場合の登記の有り様についてのみ記載されているところでございますが、成年後見登記に関しましては、今般の成年後見制度の見直しに併せまして、利用者の皆さんの利便性を向上させるという観点から、さらに、今後後見登記の嘱託手続がオンライン化されるかどうかといったような点も見据えて、登記嘱託手数料の納付方法、これは今現在、申立て時に収入印紙を裁判所に予納していただくということになっているわけですが、こちらについても利用者の皆さんにとってより利用しやすい形で見直すことも考えられるのではないかと思いましたので、もし可能であれば、この提案の概要のところに盛り込んでいただけますと大変有り難いと考えております。 ○山野目部会長 ありがとうございます。今お話しいただいた機会に、遠藤幹事の現時点でのお見立てで結構ですから、少しお話しいただけることがあるのであれば伺っておきたいと考えます。それは、後見登記の裁判所書記官による嘱託の仕組みですけれども、今までも嘱託をする家庭裁判所書記官を始め裁判所の職員の方々に御負担をお願いして執務が行われてきたことですし、嘱託を受ける東京法務局の職員においても、それについて手数を掛けて処理をしてきたところでありますけれども、今般新しい成年後見制度がどのようになるかはこれから見定めていくとしても、大筋の方向として非常に慌ただしく、かつたくさんの人数について保護を開始し、終了し、代理権付与審判をし、そしてそれを取り消すという、法律関係の変動が今よりも頻繁に行われ、それらはほとんど登記事項であるという状況を考えると、しかも、これから裁判所の職員も法務局の職員も劇的に増やすことはできないという現状、制約の下に置かれると考えると、これからはもう全部、徹底してオンラインで嘱託をするという仕組みを推進すると取組をしたことが、強く望まれると感じていたのですけれども、今、遠藤幹事の方から話題にしてくださいましたから、現時点での御感触として、ざっくばらんなところを伺っておきたいと考えます。 ○遠藤幹事 ありがとうございます。大きく言うと、今もおっしゃられたような、当事者の利便性の向上というところと、併せて裁判所及び法務局の事務の合理化、効率化を図ることによって、やはりそういった観点から当事者の利便性を更に向上させると、こういう狙いがあるのだろうと思っております。部会長御指摘のとおり、今の後見登記手数料については、申立て時に予納をしていただく、これは収入印紙の形で予納をしていただくということになります。例えば後見でありますと、後見開始の審判がされますと、裁判所から東京法務局に宛てて嘱託書を送るに当たって、嘱託書に予納を受けた収入印紙を貼付して、これを送るということになります。率直に言って相応の事務負担があるところですし、の、申立人にとっても、後見等開始の申立て時に、申立手数料のほかに登記嘱託手数料を予納してくださいと求められるわけですが、これは制度として必ずしも分かりよいものとはいえないという部分もあるのだろうと思います。   今回、部会長が御指摘いただいたようなオンライン化のような手法も含めて、そういった辺りが全て合理化される中で、嘱託手数料の納付方法の在り方についても併せて見直しがされることによって、今私が申し上げたような隘路が解消されていけばいいなという観点からの御発言ということになります。 ○山野目部会長 ありがとうございます。今おっしゃられたとおりであると強く感じます。お話を申し上げたように、この場であるいは一時で決め切ることができる事項ではなくて、いろいろなところとの相談を経ていかないとなかなかゴールまで行かないお話でありますから、今、遠藤幹事が隘路という言葉を使ってくださいましたけれども、隘路打開のために、ここにおられる皆さん、更に関係の皆さんで隘路打開を頑張っていくことにいたしましょう。どうもありがとうございました。   引き続き、任意後見及びその他の事項について御意見を伺っていきます。いかがでしょうか。 ○佐久間委員 申し上げようかどうか迷ったのですけれども、最後のその他の成年後見登記のことなのですけれども、今は最後の204ページにあるところを、補足説明もこの程度を予定されているということでしょうか。何が言いたいかというと、これは場合によってはすごく大事な問題になると思っていまして、最初の乙1案を採り、今後は個別の権限付与だけをしますという考え方を採ると、今と登記はがらっと変わりますよね、多分。今は後見の登記、保佐の登記、補助の登記があり、補助だったら補助の登記の中に保護者にどういう権限があるかが、ぶら下がっていると言っていいのかどうか分かりませんが、それを見れば分かるということになっているのに対し、その仕組みを採らなかったら、一つ一つの権限が登記の対象になるのではないかと私は思うのですけれども。そのようになることを示した上で、乙1案で行く場合の話ですが、それでいいのかどうか、工夫しなければいけないのかとか、逆にその工夫は難しいが、そのままになることはよくないから、乙1案であっても「何々の開始の審判」をすることにして、それについて登記をし、個別の権限についてはその登記において記録されるというようにすることが考えられるなど、どこまでかは分からないけれども、そういうことが関係しているというのはものすごく大事な問題なので、何か触れてもらいたいなと思いつつ、事務局に投げるのも気の毒かなと思いつつで、どうしようかなと思っていました。部会資料の今の説明だけだと一体どんな所要の整備があるのかというのが分からないし、私は今申し上げたことに一番関心があるのですけれども、ほかのことで関心がある方もいると思うので。すみません、言いたいことは以上です。 ○山野目部会長 佐久間委員に、大変おっしゃりたかったこと我慢しておられたという表情でおっしゃられたことについて、私からお伝えすることもありますけれども、波多野幹事からまずお話しいただくことがあったら、お話しください。 ○波多野幹事 登記の部分は私が直接担当してないところでございますので、当局内の関係部局と調整した上でどこまで記載するかというところを、佐久間委員の問題意識を踏まえ検討させていただきたいと思います。 ○山野目部会長 内容について一つ、説明について一つということで御案内を差し上げますけれども、まず内容は、所要の整備と中間試案の段階では書いてあって、ほかに書きようがありません。それは、実はたった1行で済む薄っぺらい問題ではないかと考えるからそうなのではなくて、佐久間委員に見抜いていただいたとおり、これは極めて大きな問題でありまして、今、政府の後見登記の制度を所掌する部門が部会の秋口の審議がどうなるかを注視しています。それによって後見登記関連の法律、政令、その他の関連する法令のどこまでに波及するかを見極めることになるし、波及するといったとき、その中味がどういうものになるかというところも見定めていくことになりますけれども、しかし、新しい成年後見制度の骨格が決まってこないことには、現段階では所要の整備ということ以外に書きようがありません。中間試案はこれでお許しいただきたいという点が御案内の一つです。   それから、補足説明と言われてきているものについて、委員、幹事にこれを機会に御理解いただきたいことがあります。本日お出ししている部会資料17も、それから次回会議にお出しする部会資料も、補足説明の原案ではありません。これは事務当局の方々が膨大な作業量を抱え込んで、この限られた時間で、とにかく前回の部会資料、中間試案のたたき台からどう変わったかを、その会議に誤解がないように伝えるために作っているものであって、これを見て、あれも言及がないではないか、これも書き足してくれとおっしゃられても、中間試案の補足説明の原案をオンテーブルしているものではありません。会議の途中段階での制作物をお出ししていますから、今後、補足説明を作成するときこういうことに触れてくださいという御要望は承りますけれども、全部、未来形の話として委員、幹事からお話を出していただければ、事務当局にとっても有益であると感じますから、ひとつ御理解をくださるようにお願いいたします。   引き続きお話を伺います。いかがでしょうか。 ○青木委員 その他と関連するか、さらにはもっと外縁の話かもしれないのですけれども、今回、859条の包括的な代理権についての規定を廃止するということが前提になりますと、それに基づき波及していった民法以外の様々な法規や諸制度におかれている後見人や保佐人を前提とする制度についても見直すべきであるということ、これはもちろん部会からパブリック・コメントに付せることではないとは思いますけれども、これに関する部会の委員としての議論や意見、こうした意見も、部会として拘束性のある意見ではないのは承知の上なのですけれども、この辺りの意見交換というのはどの時期にお話をさせていただくことができるのだろうかという質問になります。その辺りはいかがでしょうか。 ○波多野幹事 青木委員がおっしゃっていただいたことは、かなり広がりのあることをおっしゃっていただいているような気がいたしますが、事務当局として、まずは今回見直した部分、ないしは見直しでいわゆる形式的に跳ねるといいましょうか、整備が必要だということは当然、形式的に整備をすることになるのだろうと思っています。青木委員がおっしゃっているのは、形式的な整備よりも広がりも含めた御指摘かなという気がいたしますが、事務当局として、今、何かを御説明できるところではないのかなと思います。他方で、どういう部分について御懸念を持っていらっしゃるのかということを教えていただければ、我々の所管しない部分ですとこの部会での御議論とはならないようにも思われますし、どこまでできるか分かりませんということを留保させていただきつつ、事務当局としてしかるべき対応を検討するというところかと思います。 ○山野目部会長 青木委員からお尋ねがありました、関連諸法制についていつ述べればよいでしょうかというお尋ねに、二つの点の御案内を差し上げます。1点目は、おっしゃったことは全て議事録に残りまして、御案内しているように社会に向けて公表されていて、それは様々なところで参考にしていただけますから、そのような営みに資するという観点からおっしゃっていただくという問題意識でありますれば、いつ述べればいいでしょうかというお話に関しては、いつ述べていただいても結構です。   それから、もう一つ申し上げると、いつ述べていただいても結構ですけれども、述べていただいたことが法制審議会が作成するドキュメントに反映されることはありません。その意味では、いつ述べたらよろしいでしょうかというお話については、いつ述べていただいても困ります。そのことを真に受け止めて法制審議会が法務大臣に提出する文書に入れるという姿はあり得ません。ですから、いつ述べていただいてもよろしいですという御案内と、いつ述べていただいても困りますという御案内の両方の含意を踏まえていただいた上で、あとは青木委員の御判断でおっしゃっていただければと望みます。   申し添えますと、今般、民法や家事事件手続法の大幅な見直し、法制上の変更になっていく可能性が高まってきていますけれども、それを踏まえて、その趣旨の根本に立ち戻って見直さなければならない法制はたくさんあります。それを政府として見直していく仕事は、第一次的にはそれぞれの主務府省において検討することになりますけれども、それを統一的な観点からコントロールするというか提言していく役割というものは、それは法制審議会の役割ではなく、現行の国の諮問機関の建付けで述べますと成年後見制度利用促進専門家会議がする事項であって、あそこで問題提起をしてもらい、民法はこういう方向にもう秋になったら見通しが出てきました、そうするとこの法制とこの法制というものはどのように改まっていくでしょうか、という話をそこでしてもらわなければなりません。あの会議は別に厚生労働省の所管の法制だけを論ずる場所ではなく、法律によって与えられた権限で成年後見制度の今後の在り方全般について調査審議をするということになっていますから、そちらでしてもらう筋合いのことであろうということも、ついでながら申し添えておきたいと考えます。どうも御指摘いただいてありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   よろしいですかというのは、今日頂いた御発言を踏まえて次回の中間試案の取りまとめに進んでいくという手順でよろしいですかという意味でありますけれども、よろしゅうございましょうか。何か述べ忘れたというようなことがおありでしょうか。   花俣委員、この任意後見や、それから今、部会資料全体を見ましたから、今日議論したことを最後のその他の部分も含め、全般についてお気付きのことは、特に制限を致しませんから、御自由にお話しいただければというふうにお願いいたしますから、よろしくお願いします。 ○花俣委員 ありがとうございます。任意後見のメリットというのは正直なところ、なかなかこの議論を聞いていても理解するのがとても難しいというのが率直な感想です。それから、私の立場からこの議論への積極的な意見というのを申し述べることは大変難しいので、先ほども申し上げましたとおり、引き続きこの場の議論をしっかりと聞き続けていくということが私の役目かと思っていますので、各先生方には是非様々な御意見をお届けいただければと思います。 ○山野目部会長 ありがとうございます。見直しを進めていくに当たっては、任意後見がきちんと大事であるという問題意識を忘れずに、そちらの検討は手薄になりましたということにならないように審議しようという心掛けで進めてまいりましたし、幸いにして花俣委員始め委員、幹事皆さんが任意後見の方についても熱心な御議論をしてくださっていますから、これから更なる充実した検討の期待ができると予想します。引き続き花俣委員においても節々で意見をおっしゃっていただきたいとお願いいたします。どうもありがとうございました。 ○花俣委員 ありがとうございました。 ○山野目部会長 次回部会会議の予定等につきまして、波多野幹事から案内を差し上げます。 ○波多野幹事 波多野でございます。次回の議事日程等について御説明いたします。   次回の日程は、令和7年6月10日火曜日午後1時30分から午後5時30分まで。場所は東京地方検察庁の総務部教養課会議室1502号室でございます。   次回は中間試案の案をお示ししまして、御議論をしていただきたいと考えております。 ○山野目部会長 皆さんの方から何かおありでしょうか。よろしいですか。   それでは、これをもちまして民法(成年後見等関係)部会の第20回会議を散会といたします。どうもありがとうございました。 -了-