法制審議会 民法(成年後見等関係)部会 第21回会議 議事録 第1 日 時  令和7年6月10日(火)自 午後1時33分                     至 午後4時49分 第2 場 所  東京地方検察庁 総務部教養課会議室1502号室 第3 議 題  1 民法(成年後見等関係)等の改正に関する中間試案の取りまとめについて         2 現行法の法定後見制度を前提とする民法の規定の検討 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○山野目部会長 定刻を過ぎました。法制審議会民法(成年後見等関係)部会の第21回会議を始めます。   本日も御多用の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。   委員、幹事の出欠について御案内を致します。本日は櫻田委員、小林幹事、杉山幹事及び山下幹事が欠席でいらっしゃいます。羽野幹事が途中参加であり、公務がおありであると聞いております。沖野委員が午後1時50分頃までで退出なさる予定です。久保野委員が午後4時15分頃に退出なさる予定と伺っております。   本日の審議に入ります。配布資料の説明を事務当局から差し上げます。 ○柿部関係官 配布資料について御説明を致します。   本日は新たな部会資料といたしまして、部会資料18-1、18-2及び19を配布しております。資料の内容につきましては、後ほどの御審議の中で事務当局から御説明差し上げますが、御審議に先立ち若干御説明申し上げます。   部会資料18-1は中間試案の案でございまして、この部会で中間試案として取りまとめの対象となる部分でございます。部会資料18-2は本文及び(注)であるゴシック部分につきまして部会資料17から変更した箇所に下線を付し、変更した箇所の説明を付したものでございます。   また、直前となりましたが、参考資料15を配布してございます。この資料は部会資料18-1の本文、(注)、このゴシック部分の説明案でございます。部会資料17-2に記載していた説明を基本としつつ、これまでの部会における御指摘等を踏まえて修正したものです。   部会資料19は、現行法の法定後見制度を前提とする民法の規定について、これまで幾つかの規定は部会資料において取り上げ、中間試案にも記載していますが、それらと基本的には同様に考えることができると思われることなどから、これまでの部会資料において取り上げなかったものについて整理をしたものです。   このほか、青木委員から「民法改正に伴う関連法制の整備について」と題する資料を提出いただいております。   本日の配布資料の説明は以上です。 ○山野目部会長 青木委員におかれては資料の御準備を頂きました。ありがとうございます。青木委員から提出いただきました資料は、民法改正に伴って整備を要すると考えられる関係法令に関するものでございますから、本日の部会におきまして部会資料18に係る審議を了した後、部会資料19について審議する際に御説明をお願いすることといたしたいと存じます。それでよろしいでしょうか。   ありがとうございます。   審議を進めます。本日は、まずは部会資料18の第1から第4までについて御審議をお願いいたします。部会資料18-1と18-2のゴシック部分は同じ内容のものであります。便宜上、部会資料17からの変更について説明を付しておりますものが部会資料18-2でございますから、御発言なさる際、部会資料18-2を用いながら御議論をお願いしたいと考えます。従前からお伝えしておりますとおり、中間試案の補足説明は取りまとめの対象ではなく、事務当局の責任において作成するものでございます。本日中間試案の取りまとめがなされましたならば、その後それの作成に取り掛かることになります。本日、部会参考資料15をお配りしておりまして、必要に応じて触れていただくという扱いでお配りしているものでございます。審議の中心は部会資料18-2で進めたいということは、先ほど御案内を差し上げたとおりでございます。   事務当局から資料の説明を差し上げます。 ○小松原関係官 部会資料18-2の(前注)及び第1から第4までについて御説明いたします。整理を行った項目は部会資料17と同じです。   1ページの(前注)では用語の整理を、1ページからの第1では、法定後見の開始の要件及び効果等を整理しています。   大きな変更点として、2ページの1(1)乙1案につき、部会資料17でゴシックの本文に記載していた、本人が保護者の同意を要する旨の審判をすることについて同意する意思を表示することができない場合は、本人が特定の法律行為をした場合にこれを取り消すことができる旨の審判をするという規律を本文から落とし、(注3)に記載しています。   また、3ページの1(1)乙2案につき、イの事理弁識能力を欠く常況にある者の保護開始の要件として、「必要があるときと認めるとき」との要件を(注)から本文に移しております。そして、第20回の部会で佐久間委員から御指摘のあった、事理弁識能力を欠く常況にある者が保護Aと保護Bを選択的に利用することができるとの考え方については、記載場所は(注1)としたまま、記載の内容をこれまでよりも詳しいものとしております。   次に、11ページからの第2では、法定後見の終了について整理しております。このうち13ページからの第2の2、「法定後見に係る期間」の規律について、第20回部会での御意見を踏まえ、分かりやすさの観点から書きぶりを修正しております。また、15ページからの第3では、保護者に関する検討事項を、23ページからの第4では、法定後見制度に関するその他の検討事項として9項目を整理しております。 ○山野目部会長 ただいま御説明を差し上げた部分について御発言を承ります。いかがでしょうかと声掛けをすると、小澤委員が手を挙げますかね。小澤委員に御発言いただいた後に沖野委員にお声掛けを差し上げて、ただいま御説明を差し上げた部分に限らないで、すなわち、まだ説明を差し上げていない任意後見などの部分も含めまして、何かお気付きのことがありましたならば御発言をお願いしたいというお声掛けをしようと考えております。小澤委員、どうぞ。 ○小澤委員 ありがとうございます。部会資料18でお示しいただいた取りまとめに異論はありません。 ○山野目部会長 承りました。   沖野委員にお声掛けを致します。何か御発言がありますれば頂戴したいと考えます。お願いいたします。 ○沖野委員 ありがとうございます。私も異存はございません。それから、部会資料19の民法の規定の検討につきましても、基本的に結構ではないかと考えております。 ○山野目部会長 どうもありがとうございました。   引き続き、ただいま事務当局から説明を差し上げた部分につきまして御発言を承ります。いかがでしょうか。 ○青木委員 資料18-2でいいますと3ページの乙2案の事理弁識能力を欠く常況にある者について、「必要があるときと認めるとき」というのを付け加えていただいた点についてになります。   前回の議論では、乙1案、乙2案、それぞれいろいろな委員の意見があるけれども、基本的な考え方の違いをコントラストをしっかりとした上で提案しようということであったかと思います。乙2案の中でもいろいろな御意見があるとは思いますけれども、事理弁識能力を欠く常況の方については13条1項及び受領能力等を類型的に付与するというのが基本的な考え方ではないかと思います。「必要があるとき」とするかどうかということについては、先生方によっていろいろな御意見があるということではなかったかと思います。   特に、前回の私と佐久間委員のやり取りの中で、佐久間委員のお考えでは、必要があると認めるときというのは、具体的な必要性ではなくて抽象的な必要性であるというやり取りもあった中で、ここに「必要があると認めるとき」を書いていただきますと、乙1案と乙2案での「必要があると認めるとき」の違いも不明となりまして、その違いが十分に分からないようになってしまうのではないかということを危惧します。   ちなみに、今日の参考資料15の22から23ページにかけまして、今回、乙2案にも必要性を入れたことについての記述があります。22ページの終わりから23ページに例示をしていますのは、正に具体的な必要性に基づく必要性の御説明となっております。これも併せて読みますと、乙2案における必要性というのも乙1案と同じような具体的な必要性のことではないかと理解されるところであります。そうしますと、乙2案の基本的考え方を示す取りまとめとして、この本文が適切なのかということに疑問に感じます。私は資料17-1のとおり、乙2案については、必要があると認めるときというのは(注4)のままに残しておくことが適当なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○山野目部会長 今、青木委員が問題提起をした事項について、この段階でほかの委員、幹事の御意見を伺っておきますけれども、いかがでしょうか。 ○佐久間委員 青木委員がおっしゃったのは一つの考え方であるとは思います。ただ、例えば私が考える「必要があると認めるとき」というのは、乙2案に限らず、仮に乙1案が今後採用された場合でありましても、何度も申し上げてきておりますけれども、事理弁識能力が不十分であるという状況にある方から、本人の同意も含めてですけれども、ある権限付与を求めるという審判の請求がありましたならば、基本的にはその審判をする方向で考えて、よほど明らかに必要がないと認められるときにだけその審判をしない、というものです。   そういたしますと、仮に今、青木委員がおっしゃったところの3ページですかね、「事理弁識能力を欠く常況にある者」のところの、「必要があると認めるときは」というのを落としますと、乙1案についての「必要があると認めるときは」というのを私とは違う考え方でのみ提示するというおそれが出てくるのではないかと思っております。したがって、「必要があると認めるときは」という文言はあるけれども、この中身については、確か前回、部会長も、まだこれから中身は詰めますねとおっしゃったと思いますので、そういう考え方の下で、全ての審判について一律に入れておいていただくことが私は適当ではないかと思います。   参考資料15でしたっけ、申し訳ありません、私は時間がなくて読めておりませんでしたので、もし今、青木委員が御紹介くださったような極めて具体的なことだけが説明としてあるのでしたら、ここまで入っているというのであれば、それでいいですけれども、もし私が申し上げたような考え方がおよそ含まれ得ないというような形になっているのであれば、少しそこは考慮していただいたらいいかなと思っております。 ○山野目部会長 今の点について、ほかに御発言がおありでしょうか。   そういたしましたならば、青木委員に御相談を差し上げます。今の佐久間委員と青木委員の意見交換を中心とする論議というものは実質的には前回済んでいるように感じますけれども、いかがでしょうか。すなわち済んでいるというのは、乙1案の方向で行く場合においても、乙2案の方向で行く場合においても、必要があるときは、という、必要性を確認した上で保護を開始するという考え方を基本にします、ということは、もうこの部会でずっと議論をしてきて、委員、幹事の間にその点に関する限り意見の隔たりがない状態に達していると理解することができます。その理解を背景として、両方に、必要があるときは、と入れており、一方について必要があるときは、を落としますと、必要性を問わないで保護開始を進める意見があるというメッセージを中間試案によって与えるということになります。加えて、いずれの場合であっても、つまり乙1案で行く場合であっても乙2案で行く場合であっても、そこで言っている必要があるときは、の意味については、前回お話したとおり、委員、幹事の間で理解に様々なものがあります。余り図式的に単純化することはよろしくありませんけれども、大きく言えば必要性を具体的に考える考え方と、抽象的に考える考え方があります。それは乙1案と乙2案のいずれを採るかということと直結せず、どちらで行く場合であっても、必要性を抽象的に考える考え方と具体的に考える考え方がありまして、そこの理解の相違、意見分布というものを補足説明の中では案内していく必要があると考えます。   そういった従来のここでしてきた議論を踏まえますと、乙1案と乙2案の両方の、注記ではなくて本体のところに、必要があるときは、という文言を置くという状態を保った上で、どちらかというと部会参考資料15で今与えている説明のところを改良していって、最終的には補足説明として提示するときに、乙1案の方向で行く場合であっても乙2案の方向で行く場合であっても、必要があるときは、の要件の理解について両様、両極、それから、更にその中間にあるかもしれない様々な理解があるでしょう、ということを読み手に分かるようにガイドをするという行き方が、これまでの委員、幹事の御議論を一番漏れなく拾って反映した姿になるのではないかと感ずるところでございますけれども、こういうまとめ方をしていくことで、青木委員におかれて大きな妨げがありますか、いかがでしょうか。 ○青木委員 ありがとうございます。現行法から見直しをして、「必要があると認めるとき」という必要性の要件を独自に明確に入れましょうという議論をしてきたこと自体が、判断能力によって推察される必要性だけではなくて具体的な必要性を加味しましょうということを意味しており、そのことは部会での共通認識になったと理解をしています。そうでなければ、事理弁識能力の欠ける常況という認定の中に必要性が含まれるのだというのが抽象的な必要性のお考えだと思いますので、今回の見直しでわざわざ必要性というものを要件化するということについて、どのような意味付けがなされるのかということがよく分からなくなるのではないかと思いました。 ○山野目部会長 今、青木委員が御疑問でおっしゃったことは、一つ前の佐久間委員の御発言と前回会議の佐久間委員の御発言で既に実質的にはお答えを差し上げていると感じますけれども、佐久間委員から何か補足がおありでしょうか。 ○佐久間委員 事理弁識能力を欠く常況にある者において、必要があると周りの者が判断して請求が出てきたら、基本的には必要があるとは判断されるのであろうと思いますけれども、たとえば、およそ何らの外部から認識できる反応とか発言をされないという方について、取消しによる保護を全面的に図る必要があるかと言われると、私はない場合もあるのではないかと思います。仮に乙2案になった場合は、そのような場合には乙2案の保護Bは発動の必要がないのに対し、保護Aについては、代理の必要はありますので、場合によってはあり得るということだと、私は自分の考えをまとめる中では思っておりました、例えばですけれども。そうだとすると、乙2案の保護Bだからといって、必要性はおよそ事理弁識能力を欠く常況にあるということ以外には考慮する余地はないのだということにはならないと思っています。   それから、「必要があると認めるときは」というのは、今このような文言でこの場所に置かれておりますけれども、条文化されるときには本当に全部このような形で入るかどうかもやはりまだ分からないと思っております。青木委員がおっしゃったのとは少なくとも私は違う理解をしており、そのような理解で前回、ペーパーで私の案はこうですということを示しましたし、それを受けて、全体的に私の示す案で置き換えられているわけではありませんけれども、今日、下線が付されているところは付け加えていただいたのだと思います。もし青木委員以外にもほとんどの方が、いや、保護Bを考えるときには「必要があると認めるときは」を入れるのがおかしいのだということであれば、それは従いますけれども、やはり今の青木委員の御発言を受けても、私は入れていただいた方がいいと思っています。 ○山野目部会長 青木委員において適切に見抜いていただいたとおり、主として医学的な見地からされる判断能力の評価判断と、必要性というものがありますかということについての評価判断の、この二つの観点の距離が、青木委員が御理解の基盤としておられる、一言で言えば具体的な必要性を考える考え方で行ったときには、ほぼ独立した完全に区別された評価判断の観点として二つ相並んで対峙するというものになるものでありまして、それと比較したときに佐久間委員のお考え、理解は、この二つの観点の距離がかなり近しいものになっていて、それはおっしゃっているとおりでしょう。ただし、今再三にわたって佐久間委員に確かめて、前回会議以降お話を伺っていると、この二つの観点の距離は、青木委員の見立て、お立場よりはかなり小さいにしても、完全にイコールではありません。完全にイコールではないということを何度も佐久間委員が強調しておっしゃっていただいており、近しいものではあるけれども区別して考えるという概念立てをした上で、それをゴシックに反映してほしい、中間試案に盛り込んで一つの案として立ててほしいという御希望があるとすると、その余地を全く封じて中間試案から排除しますというわけにはまいりません。もちろん青木委員の御理解を踏まえた乙1案もありますけれども、佐久間委員が力説して、今も確認していただいたところを踏まえた上での乙2案というのもあり得る、論理的に成立可能であるということは、ここの委員、幹事の議論で今まで確認されてきたところでございますから、そういうことを考えると、御発言になった両委員のお考えはそれぞれ大変よく理解するところでありますけれども、出口としては今ゴシックで示している、本日の18-2の資料でお出ししているこの建付けを保って一般の意見を聴いていくことがよいと考えますけれども、青木委員におかれてはこういう理解、進め方に御協力を頂けますかね。どうでしょうか。 ○青木委員 なお釈然としませんので、私としてはいかがなものかと思いますけれども、部会全体としてそれで御了解されるのであれば、補足説明で必要性についての考え方の違いを十分に説明いただくことをお願いしつつ、お進めいただければと思います。 ○山野目部会長 今のこの話についての考え方の分岐は事務当局の方で理解しており、中間試案の補足説明で反映していくことでしょう。この部会ではこれはもう有名な論点になっていますから、整理だってそれほど難解な話ではありません。二つ意見が対峙しているところを、どちらで行きますかという最終的な選択になったら、これはかなり難しいお話になってきますけれども、しかしその議論の状況を描写することができないわけではありませんから、中間試案の補足説明に事務当局において明瞭な記述で反映してもらえると期待します。どうもありがとうございます。 ○沖野委員 要件であることが否定されるわけではないので、要件として入れるのが適切だと思います。もし対比が明確であるなら、必要がないと認めるときを除きとか、ただし書きという形で示すということも考えられるかもしれませんが、現在の資料の形として補足説明で詳述するのがよいのではないかと思います。 ○山野目部会長 ありがとうございます。引き続きほかの委員、幹事のお話を伺います。 ○野村幹事 ありがとうございます。2点申し上げます。   まず1点目ですが、前回の部会において、乙2案について事理弁識能力を欠く常況にある者も保護Bだけではなくて保護Aも選択できるという案について議論されましたが、今回の部会資料では本文には反映されていないかと思います。これは乙1案と乙2案を明確に対比させて提示するためかと思われますが、もしそうであるならば、参考資料15の38ページの27行目に、乙2案の説明として、基本的に1類型としつつ、事理弁識能力を欠く常況にある者についての保護の仕組みを設けるとありますけれども、乙1案との対比という点から言えば、乙2案は2類型と説明した方が分かりやすいのではないかと感じました。   次に、2点目なのですが、細かな指摘になりますけれども、部会資料18-2の18ページ8行目に「保護者がその事務を行うに当たって本人の意思を尊重しなければならないことに関して保護者が取消権を行使するには本人の意思を尊重しなければならないことを明確にすること」とありますが、関しての後に読点を入れた方が、趣旨が伝わりやすくなるのではないかと思います。 ○山野目部会長 ありがとうございます。2点頂いたうちの前の方は、中間試案の補足説明を作成するに当たり参考にいたします。2点目は、推敲の作業の助けになるお話を頂いたと感じますから、推敲の際に検討することにいたします。ありがとうございます。   引き続き御意見を伺います。ほかにいかがでしょうか。 ○佐野委員 ありがとうございます。1点申し上げさせていただきます。   11ページ以降の法定後見の終了のところの末尾、12ページの(後注)の部分に、法定後見の保護者がその地位を有しないこととなる場面が増えることに照らしという前提で、取引の相手方の保護について引き続き検討するように記載いただいております。ここに関しまして、事理弁識能力が不十分な人が取引の申出をするという場面も加えていただきまして、法定後見の保護者がその地位を有しないこととなる場面や、事理弁識能力が不十分な人が取引の申出をする場面が増えることに照らしという旨で追記いただきたいと考えております。   この発言の背景といたしましては、今回の法改正を経まして事理弁識能力が回復せずとも周囲の支援等があれば法定後見を終了できるという制度となりますと、取引の相手方の立場としては、仮に周囲の支援があったとしても、法的な意味合いで御本人との取引の有効性を確保することが難しいと判断して、法定後見が終了した御本人との取引に消極的になってしまう金融機関等が出てくることが懸念されると考えております。これは御本人が不自由なく銀行取引を行って日常生活を行っていただく上でも大きな問題になり得ると考えております。ですので、この論点については今回のパブリック・コメントの期間においても国民の皆様にも御認識いただく必要があると考えております。ですのでこのような追記を御依頼させていただきたいと考えました。 ○山野目部会長 今、佐野委員から問題提起を頂いた点に関して、ほかの委員、幹事の御意見を伺います。いかがでしょうか。 ○佐久間委員 今、佐野委員がおっしゃったのは、12ページの(後注)のところの事理弁識能力が不十分な者との取引が増えることに照らし、という感じでしたよね。増えるのですかね。それが私にはよく分からないというか、現行法の仕組みよりも法定後見の保護者がその地位を有しないこととなる場面は増えるかもしれないと思うのですけれども、事理弁識能力が不十分な方の絶対数が増えるわけではないですし、今回の見直しによって本人取引が増えるということまでは、(後注)の中に含まれていると思います。この(後注)で、具体的にどんな場面をお考えになったのかはよく分かりませんけれども、ただ、今御発言を伺った限りでは御心配は要らないのではないかという気が私はしました。 ○根本幹事 佐野委員のおっしゃられたいことは私なりに理解できるところもあるのですが、恐らくその整理としては、取引における3条の2の意思能力無効の観点も含めたことではないかと思っておりまして、そうなりますと、そもそもこのゴシックや(注)のところでその点に踏み込むのか、若しくは3条の2との関係での取引の相手方の保護ということ自体をここで審議しているということではなくて、飽くまでも後見制度についての、取引の相手方の保護ということではなかろうかと思います。もう一つは、佐野委員が御指摘の懸念というのは生じてきますので、引き続き議論はしなければいけないとは思いますので、説明等を作成いただく際に考慮いただくということはあってよいと思いますが、(注)の中に書くということは少し事柄の性質が違うのではないかという印象は持っております。 ○星野委員 これは福祉的な現実の場面でお話しするのですが、現在、成年後見制度を使っていて代理権が第三者に付いている方であっても、自身でできる方がいらっしゃるという事実があって、ですから、この(注)の中に今のような文言が入ることについては、私としてははっきり言ったら、反対をしたいと思います。というのは、今までの意見にもありましたように、できない方が増えるということではなくて、やはりそれを補うような仕組みができていたり、本来できている方が今まで制限されていたことを解消するための改正議論をしていると理解していますので、私はそれは付けないという意見を申し上げたいと思います。 ○山野目部会長 承りました。ほかにいかがでしょうか。   今、佐野委員から問題提起いただいた点は、佐野委員やその周りにおられる金融機関の皆様が御相談になって御提案になったことであって、それなりの検討の背景があると想像いたします。それを受けて、本日の会議で委員、幹事合わせて3人の方がおっしゃったことも一つ一つ、聴いていて理解をすることができます。そのいずれが相当であるかというような話は、また今後論議を重ねていくことでよろしいことであるとして、佐野委員にお声掛けをして、少し考えていただきたいことがあります。   それは、今差し当たって佐野委員がおっしゃったことを話題としていますけれども、この中間試案の元になる文書全体に言えることとして、委員、幹事の皆さん、それぞれ御覧になっていて、本当はもう少しここを突っ込んで詳しく書いてほしいけれども、というような個所があって、一言で言えば中間試案の記述の細密度というのでしょうか、細かさをもう少し上げてもらうと、自分の思いが伝わるけれども、というふうな情熱をお持ちになる、お感じになるところという個所はそれぞれ、お人によって同じではないとしてもたくさんあると想像します。それは自然に理解することができると同時に、ある事項について具体的に詳細に書き込むと、読み手の方に、大事なことはその具体的に書いたことだけですねという反対方向のメッセージを与えるおそれもあります。   今、佐野委員がお述べになった観点というものは、おっしゃったこと自体は聴いていて論理として理解することができるとともに、それに事実の裏付けがあるかとか、政策として妥当であるかということは、今ここで議論してみて様々な見方があります。それを押し切って、御心配であるというお気持ちは分かるとしても、ここに書き込むと、金融機関が心配である事項は、特出しするとそういうことだけですねというふうな理解で読まれることだって、世の中のたくさんの人が読みますから、あり得ないとも言い切ることができません。ある事項について踏み込んで書きたいというお気持ちを理解するとともに、踏み込んで書くことがいつも賢いことであろうかということについて、ここでこのような議論をしてみて、佐野委員、何かお感じになられることがおありでしょうか。いかがでしょうか。 ○佐野委員 議論いただきありがとうございます。当方といたしましては、やはり法定後見が今まで事理弁識能力が回復しない限りは終了しないというものだったので、単純に事理弁識能力が回復していないのに法定後見の保護を受けない人というのが増えるよねという事実ベースの問題提起として申し上げたまででしたので、今議論いただいた内容で理解はしました。今後、今少し申し上げた部分については、そもそも事理弁識能力が不十分な人が一人でお取引する機会が多くならない仕組みづくりであるとか、そういったところを今後詰めていきたいなという思いがあっての発言になりますので、そこは引き続き中間試案取りまとめ以降のところでも議論させていただければと思います。   ここの文言に追記をしないという点についても、今おっしゃっていただいた内容で理解はしましたので、承知いたしました。ありがとうございます。 ○山野目部会長 ありがとうございます。佐野委員が御懸念を抱いておっしゃっていただいたことは、全ての委員、幹事においてもよく受け止めておりまして、制度改革後に金融機関の窓口が一体どういうふうな様子になっていくだろうということは、今後のことを考えると一大関心事でございますから、この部会においても引き続き御指摘があったことを忘れないで検討していきますし、佐野委員におかれても引き続き御一緒に悩んでいただきたいとお願いいたします。どうもありがとうございました。   引き続き委員、幹事の御意見を伺います。いかがでしょうか。   次の御発言の希望を頂く合間に、青木佳史委員にお声掛けを致します。青木委員におかれては、前回会議もそうですけれども、度々この中間試案の元になる文書の全体にわたって、保護者という言葉でよいということについての持続的な関心を御表明いただいて、有り難いと感じました。これから中間試案を経て更に法文の案を起草していくに当たっては、留意していかなければならない観点であると感じます。どうもありがとうございました。ひとこと、御礼を申上げておきます。   引き続き委員、幹事のお話を伺います。いかがでしょうか。   今、法定後見の全般のところを範囲としてお尋ねしていますけれども、もちろん最終的に久保委員と花俣委員にもお声掛けをしますけれども、委員、幹事からの御発言はほかにはいかがですか。   まだ御発言が出ないようであれば、私からお声掛けを差し上げたいと感じておりまして、河村委員にお声掛けを致します。河村委員におかれましては、現在の規定でいいますと858条が定めている成年後見人の事務の遂行に当たっての、いわゆる意思尊重義務を定めている規定について改良の必要があるということについて、持続的な関心を払っていただいて、節目、節目に重要な問題提起、御助言をしてくださいました。それで本日のこの中間試案の元になる文書の提示に至っております。どうもありがとうございました。こちらも、御礼を申上げておきます。   ほかにいかがでしょうか。   この部分については、このほかに委員、幹事からの御発言はございませんか。それでは、久保委員と花俣委員にこの順番でお声がけをします。   久保委員におかれて、法定後見の部分についての審議がこの段階でひとわたり終わろうとしておりますけれども、お感じになっておられることをお話しいただきたいと望みます。 ○久保委員 ありがとうございます。詳しい難しいことはよく分かってはいないのですけれども、全体的に皆さんが御検討いただいている内容としましては、本当に私たちが今までの成年後見制度を使って使いにくい、後見制度を使いたくないというような会員の声を皆さんにいろいろとお話しさせていただいた、その結果、皆さんが本当にそれに寄り添って、柔軟に使っていけるように、そして、その後見制度自体も、人によって何が使えるか、そして人によってその期間が短かったり、たまたまその方によって長くなってしまったりというような、そういう観点で考えればいいのだということも分かってきましたので、本当に今、詳しいことは全然分からないのですけれども、方向感としてはすごく私たちの気持ちに寄り添っていただいて御議論を頂いたことに感謝したいと思っております。このことを、できたら会員さんの方にも広めつつ、今日の資料の後の方で送っていただいた15ですね、あの辺のところも少し読ましていただいて、そんな気持ちでこの議論を進めてきて、みんなが使いやすいようになってきているのですよということを是非伝えていきたいと今現在は思っております。ありがとうございました。 ○山野目部会長 2点申し上げます。久保委員におかれましては、ここまでの、しばしば法律専門的な議論に付き合っていただき、見守ってくださり、折々に大事な意見をおっしゃってくださいました。今、総体としてお望みとそれほど違わない検討の方向になっていると受け止めていただいたことを有り難いと感じます。これが1点です。もう1点は、これから関係の皆様に部会参考資料15などを用いて、こういうものの受止めを問い合わせていきたいというお話を頂いて、それも有り難いことであると感じますとともに、部会参考資料15というのは、もう何かモンスターみたいに厚い資料になっていて、到底読みやすい資料であるとはいえなくて、これを送るとよく分かるだろうという期待を持った方に多分失望感を与える文書になっていて、これを読まない方が分かったという受止めも、もしかしたらあるかもしれません。法務省事務当局も、中間試案の取りまとめが相なった後、なるべく各方面に分かりやすく、余り分厚い紙でないような仕方で、受け止めてもらえるようなものを準備して広報に努めていこうと考えておりますし、あとは、この部会にお出ましいただいている民法の先生方などに頼めば、民法の先生方は多様な学生や一般の方々の前で話すことに慣れていますから、幾らでも出前してくれると期待します。ですから、いろいろな方をどうぞ使っていただければ、またそれほど悲観する話でもありません。引き続き随時にいろいろな方に御相談いただければと思います。 ○久保委員 ありがとうございます。 ○山野目部会長 ありがとうございます。花俣委員にお声掛けします。 ○花俣委員 ありがとうございます。久保委員の御意見と基本的には同感するところですが、その上で改めて私からも部会長を始めとした全ての委員の皆様方、それから法務省の御担当課の皆様に心から感謝を申し上げたいと思っています。今、部会長からお話のあった資料15がとても分厚くて、読み手の側の身になってできるだけ更なる工夫をというお話を頂きましたが、分厚くなるほどに重厚な議論が重ねられた、むしろ読む側にとって、大変だと思うくらいに深い議論があったという、証明になるのかとさえ思っています。読み手の側は読めるように読み込んでいけばいいのであって、提供される資料は分厚くてもさわりがないのではないかと思っております。   以上になります。 ○山野目部会長 何か今のお言葉を聞いていて涙が出てきそうな話でありまして、そういう温かい励ましのお言葉を掛けていただいて、議事録にするときに花俣委員におっしゃっていただいたところをゴシックにしてもいいくらい、という言葉を思わず漏らしてしまいます。ここまで温かく見守っていただきましたし、今後もまた、しかしそうはいえ、いろいろ批判的な観点から随時に意見を寄せてくださるようにお願いいたします。ありがとうございます。   それでは、法定後見についてお諮りした部分をここまでにいたします。最後にもう一回、まとめるときに全般についてのお声掛けをしようと考えていますから、言い忘れることがあった際はそのときに御遠慮なくおっしゃってください。   部会資料18の第5から第8まで、部会資料18-2で申しますと30ページ以降の部分についての審議をお願いしてまいります。御案内した部分について事務当局から資料の説明を差し上げます。 ○柿部関係官 部会資料18-2の第5から第8までについて御説明いたします。整理を行った項目は部会資料17と同じです。   部会資料18-2の30ページから、「第5 任意後見制度における監督に関する検討事項」では、30ページ35行目、36行目で(注1)と(注2)の順序を入れ替える修正をしております。   31ページからの「第6 任意後見制度と法定後見制度との関係」では、31ページ29行目から始まる(注)の記載について、前回の部会における意見を踏まえまして、任意後見人の権限を停止する規律の要件について、「相当と認めるとき」などの要件も含めて検討する旨の記載に修正をしております。   32ページからの「第7 任意後見制度に関するその他の検討」は、部会資料17からの修正箇所はありません。   33ページからは「第8 その他」の事項として、成年後見制度に関する家事審判の手続についての検討等において、第1の1(1)の乙1案の規律の修正に対応する修正をしたほか、乙2案の保護Aに関する精神の状況に関する鑑定及び意見の聴取について、現行法の補助の仕組みと同様に、保護Aを開始する審判をする場合に医師の意見を聴くものとする修正をしております。   そのほか、全体を通して表現の統一を図る観点から形式面に関する表現の修正をしております。 ○山野目部会長 ただいま説明を差し上げた部分について御意見を承ります。小澤委員、どうぞ。 ○小澤委員 ありがとうございます。部会資料18においてお示しいただいた取りまとめに異論はありません。 ○山野目部会長 御意見を頂きました。   根本幹事、お願いします。 ○根本幹事 2点申し上げたいと思っております。一つは、今回の改正の議論の中で、法定後見に比べると任意後見の改正議論が少し低調ではないかというところに危惧を持っておりまして、中間試案でパブリック・コメント等でどういった御意見があるかということももちろんあるかと思いますけれども、任意後見の改正の議論というところについては、秋以降の後半戦のところでギアを上げていただけるということについて強い期待を持ちたいと思っているというのが、前提としての一つです。   もう一つは、2点目ですけれども、今回、法定後見については、部会の諮問の前提として求められていた点というのが比較的はっきりしていたということかと思いますが、任意後見について、部会の中できちんとコンセンサスがあるのかというところを少し不安に思いましたので、私自身の理解としては、今回の任意後見の改正というのは、任意後見という制度をいかに利用していただきやすくするのか、利用を促進させるのかという観点から、一つ改正を考えるべきではないかと思っておりまして、その際に、いわゆる制度として任意後見制度というものは今の任意後見法で用意をされているわけですけれども、任意後見契約という契約であるから、契約条項に基本的に委ねていけばよいのかといいますと、法政策の観点から言えば、やはり任意規定であっても、できるだけその共通理解になるようなものについては法制上の条文として定めておくという方が制度の利用が促進されるのではないかと考えられると思っています。   あわせて、任意後見契約というのは単なる委任契約とは異なって、公的監督付きということもそうですけれども、同時に契約締結から発効までの間というのが相応の期間が空くというのが一つ、特徴かと思います。また、いわゆる御本人になる方が一定の脆弱性を有されているということもあるかと思います。このような観点から、契約条項にだけ委ねるということでは、やはりその契約の不完備性というのが生じやすいのではないかとも思われるところですので、利用促進の観点も含めて、なお一層その条項を整えていくという作業をすることによって、それが結果的に制度の利用促進につながるのではないかと考えているということになります。   特に今の部会資料18-2との関係で行きますと33ページの(注2)、(注3)という記載のところについて、17以降のところから御変更がないということになるわけですが、果たしてこの(注)の状況で、任意後見をこの部会が改正していきたいと考えているのか、何を議論しているのかというところが、特にこの(注2)、(注3)の部分については、国民の皆さんに伝わるのだろうかというところに強い危惧を持っているということを取りあえず今日は申し上げて、細かいところは、別途、御検討いただければとは思っております。 ○山野目部会長 根本幹事におかれては、多岐にわたる御発言を頂きまして、ありがとうございます。引き続きこれも踏まえて委員、幹事からの御意見も頂いてまいりたいと思います。どうもありがとうございます。   引き続き委員、幹事の御意見を伺います。いかがでしょうか。   任意後見、それから18-2の一番最後の家事事件手続の関係とか、さらにその他として取り上げている事項等につきまして御意見がおありでありますれば、お手を挙げて御発言の希望をお出しください。いかがでしょうか。   皆さんの方から御発言の希望を頂くのが、次にどなたかがお手をお挙げになる前に、今、根本幹事から大事な観点を一所懸命に準備もした上でおっしゃっていただきましたから、私の方から根本幹事に、そのことへのお礼も含め、いくつかお話を差し上げたいと感じます。   三つほど申し上げますと、一つは、根本幹事がおっしゃるとおりであって、任意後見をもう少し国民が使ってみようという気持ちになるような制度に改めていかなければいけないということは、再々申し上げる必要はなく委員、幹事の共通の思いでありまして、その観点から議論を深めてまいりました。それであったとしても、どうしてもここについての議論が足りなくて不十分ではないかという観点から御発言を頂いたと想像します。私も根本幹事と見立てのほとんどの部分を同じにしますけれども、恐らく、漢字3文字でシンボリックに言えば、不十分というよりは未整理と述べる方がむしろその真相をよく表現していて、何か任意後見についてこの論点を落とした議論をされている、全然達していないですね、十分ではないですよ、というようなお話ではなくて、任意後見について気になる事項はもう委員、幹事から十分に、これで完全かどうか分かりませんけれども、相当程度に落ちがなく意見を拾ってここまで来ていて、中間試案の中に言葉としては出ていると思います。ただし、それらがここまでの議論の範囲では、もう少し整然と体系立てて並べた上で中間試案で問うことができればよいかもしれないという必要があるという意味では、未整理であるかもしれません。   それはそうであるかもしれませんけれども、ただし、そうは申しましても委員、幹事が全然ここの議論を怠ってきて、不十分な中間試案に至っているというわけではなくて、ここで議論して整理した限りは、現在18-2でお出ししているものに一旦は集約されているのでありまして、考えてみますと任意後見というのはどうしても世の中一般で法定後見よりも多くの人が接していない部分がありますから、どういう課題があるということをこの部会だけでは完全に把握して議論をすることができるという状況が、法定後見よりも更に難しい領域になっていると感じます。確かに未整理ですけれども、これ以上、部会の内輪の議論を続けても行きつ戻りつが繰り返される予想もいたします。完璧ではないかもしれないけれども、ひとまずこの整理で社会の各方面の意見を聴いてみて、聴いてみると、やはり任意後見のことを熱心にやっていらっしゃる皆さんから思いもよらないヒントとか新しい課題を示してもらえるかもしれなくて、それをヒントに話を進めるということができるのではないかとも想像いたします。そのために与えられる時間は、根本幹事も心配なさったように、それほど潤沢ではないかもしれませんけれども、それはもう法定後見についてもそうでありまして、それは部会、それから事務当局が一所懸命するほかないであろうと感じます。   御懸念をよく理解するとともに、一旦、中間試案をもって社会の意見を問うてみるという手順でしょう、という見通し、見立てを御案内したいというのが1点目でありまして、それから2点目は、任意後見のところがやはり議論しにくい要素が幾つかあって、まだ確かに法制にするところまで達していないのですけれども、法制にしていくのにはあれこれ考えなければいけないことがあります。小澤委員の方で御努力いただいて、任意後見の監督の在り方についてのまとまった提案も頂いているところですけれども、あのお話も若干抽象的な仕方で注記に取り入れているだけですね。それは、部会だけで決めかねる部分があって、政府としての体制整備がどのくらいできるかというような外部の見通しについて、もう少し情勢を見極めないと進まないようなところがありますから、今こういうふうな中間試案における扱いになっていますけれども、そういった課題に代表されるように、少し時が進まないと審議が深化させられない部分もありますから、それはまたパブリック・コメントとは別な意味で、待つほかありません、という御案内をしておきましょう、これが2点目です。   それから3点目は、そういう1点目や2点目のことを申し上げてきたとしても、本日根本幹事から出していただいた意見は、詳しく多岐にわたる論点についての一通りの整理を提示してくださっているものでありまして、これ自体、幹事提出資料としてお出しいただいてもよいくらいの内容のまとまりを持っています。この後、部会で、今日はそういうわけですから、根本幹事に今のような3割の御発言を頂いただけにとどまるかもしれませんけれども、お出しいただいたものを、部会のここに時間が空くところがありますね、という日取りを見定め、さらに整理して述べてもらうことも期待します。後で波多野幹事からも案内がありますけれども、ヒアリングの予定も立てなければいけませんから、確実に第何回会議のここに時間が空きがあるから、根本幹事に改めて幹事提出資料という形で出してもらって審議しますというお約束ができる状況ではありませんけれども、どこかでまた、このおっしゃったことを題材にして、ほかの委員、幹事の意見交換を更に深めましょうというふうな部会運営の工夫も、また根本幹事とも相談しながら進めますけれども、していきたいと感じておりますから、そういった段階も含めて御相談に乗っていただきたいと望みます。根本幹事の方から何かありますれば、御発言ください。 ○根本幹事 御配慮いただきまして本当にありがとうございます。 ○山野目部会長 ありがとうございます。   引き続き任意後見、それから家事事件手続その他の部分について御意見を伺います。いかがでしょうか。   よろしいですか。   事務当局から何かおありでしょうか。よろしいですか。   それでは、今度は花俣委員、次いで久保委員にお声掛けを致します。 ○花俣委員 ありがとうございます。先ほども申し上げたとおり、私たち一般人というか素人をこうした専門性の非常に高い議論の場に参画させていただくことができました。これは、言ってみれば誰一人取り残さないといった視点が重視された、そういう御配慮のお陰かと受け止めています。そうした御配慮におこたえするために、今回の予定されておりますパブリック・コメント、本当に微力ながら、当会としても意見等をまとめてまいりたいと考えております。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。 ○山野目部会長 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。久保委員におかれては、取り分け任意後見の制度につきましては、久保委員や久保委員が御相談なさっておられる皆さんから関心が高いところではないかと想像いたしまして、今以上に任意後見を良い制度、使いやすい制度にしていこうという観点から、これまでも御意見をお寄せいただいてきたところでありますけれども、改めて今後の審議、そして、それによって遂げられていく改革について、こういうところは忘れてもらっては困るというようなお話があれば、重ねて頂くお話でも結構でございますから、御随意にお話しいただければと感じます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○久保委員 ありがとうございます。いろいろと御配慮いただきましてありがとうございます。先ほども申し上げましたように、方向性として私どもの団体としては大変同意するところはたくさんありまして、私たちが心配していることが大まか網羅されて議論されていて、私たちの思っている方向性で進んでいるなということは思っております。   ただ、今、山野目部会長の方からお話がありました任意後見につきましては、知的障害者の場合、任意後見を使っている人は本当にごく少ないわけなのです。ですから、任意後見がどれだけ工夫をされていて使いやすいものなのかということを、言わば法定後見を使う前に任意後見をまずは使いましょうよというような、といいますか、みんながそういう意識を持ってくれたらいいなと思っています。ただ、そこに私どもの方から会員さんの方に伝えるときの材料といいますか、会員さんに伝える分かりやすい、任意後見ってこういうものでとても使いやすいから、まずはここから入ろうということが伝えられる何か、もう少しきゅっと分かりやすくなったものが欲しいなというのが私自身の思いでして、そうしたらもっと会員さんに、任意後見からまず入ろうと、そして、それでもし難しいのであれば法定後見で、そして期間も御本人に合わせて使っていけるという、任意後見の方も含めて地域の中で支えてくれる仕組みはあるのだからというようなことも含めて、会員の皆さんに安心して任意後見も法定後見も使っていけるのだよということが言えたらいいなと思いますので、任意後見に関しては、私自身の不勉強でもあるのですけれども、もう少し分かりやすい、ここから行けばいいのかと思うような分かりやすい版が是非頂けたら有り難いなと思っております。   この上にまだいろいろとお願いをして申し訳ないのですけれども、私自身も会員さんに、まずは任意後見から行ってもらった方が、より身近な感じで後見制度そのものを感じていただけるだろうとも思いますので、そのようなことがもし、我々はいろいろなところで大会もしていますし、そこで研修会もやっていますので、そこでいろいろと後見制度のことはみんな関心を持って、どうなる、どうなると思っていますので、もうそろそろ中間試案も出たから方向性が見えるだろうみたいなことも、大変みんな関心を持って見ていますので、その辺のところで会員にお伝えできるようなことができたらなと思っていますので、またその辺のところを先生方にお知恵をお借りしながら、任意後見から入れるというような分かりやすい版が頂けたらとても有り難いと思っております。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。 ○山野目部会長 任意後見制度は、久保委員個人が不勉強でいらっしゃるというお話ではなくて、世の中全体が不勉強であると思います。そういうこともあって、この部会でも皆さんの努力でいろいろな論点を掘り起こしてまいりまして、先ほど根本幹事にも向き合ってお話をしたように、相当の論点のリストが出来上がってきていますけれども、これから更に整理していかなければなりませんし、今の状態ですと、久保委員が少し悩みをおっしゃったように、周囲の皆さんに任意後見のここが変わるからいいよという話を短いフレーズで伝えるというのは、まだそこまでは行っていなくて、なかなか困難な状況になっていると感じます。今日、部会の会議が始まる前にテレビ局の取材が入りましたけれども、今日の夕方のテレビでこれに割く時間って多分30秒か1分しかないでしょう。そのときどういうテロップで何と伝えるでしょうかね。任意後見については何か分かりやすいことを一言で述べてもらえるというのは今日の段階では無理かもしれないなというふうな気持ちも抱きますから、もっと更に議論を進めていって、世の中の関心を誘うようなものにするよう努めていかなければなりません。引き続き御一緒に悩んでいただきたいと望みます。どうもありがとうございます。 ○久保委員 ありがとうございます。 ○山野目部会長 部会資料18-2について、前半と後半に分けて御意見をお尋ねしてまいりました。途中、お約束いたしましたように、一応18-2の最初から最後までお問合せをしたという形にはなっておりますけれども、改めてこの18-2の最初から最後まで総ざらいしてみて、やはり気になるとか言い漏らしをしたとかいうようなものがおありでありますれば、承る時間を設けると御案内していたとおりでありまして、今お尋ねをしたいと考えます。この点についてどうですかというようなお話があったら承ります。 ○佐保委員 ありがとうございます。全般的な受け止めの話になりますが、ほかの委員の御発言にもありましたように、部会長、事務局におかれましては、これまでの議論で様々な角度から多くの意見があった中、中間試案の取りまとめに当たって大変な御苦労があったことと存じます。今回の中間試案はこれまでの議論を踏まえ、様々な案を示す形でお取りまとめいただいたものとして、異論はございません。今後、中間試案をパブリック・コメントに付すに当たっては、多くの当事者、関係者の方々の意見が頂けるように周知を図っていただければと思います。また、中間試案の説明には障害者権利条約の説明も記載を頂き、感謝申し上げます。多くの当事者の意思が尊重された枠組みとなるよう、今後はパブリック・コメントを踏まえた議論を行っていければと考えております。ありがとうございます。 ○山野目部会長 どうもありがとうございます。   引き続き伺います。いかがでしょうか。   部会資料18-2の全体を通じていかがでしょうか。   よろしゅうございますか。そうしましたならば、ただいまより中間試案取りまとめの議決の手続に進みます。2段階に分けて、御異論があったらお申し出くださいという問い掛けを差し上げます。一つ目は、まず内容そのものについて、部会資料18のゴシックの部分をもって中間試案とするということにする、という提案を差し上げますが、よろしいでしょうか、という声掛けを致します。それについてそのようにしましょうというお話になればの話ですけれども、引き続きまして、この後、中間試案を文書として確定して公表し、パブリック・コメントの対象にしていくに当たって、再び字句の推敲を致します。その際、細かな字句等の手直し、推敲が必要になってくる可能性がございます。そういった際に、実質的な内容の変更にわたらない範囲で表現、字句についての手直しをすることについて御一任を頂きたいという問い掛けもいたします。   これらの2段階のお問い掛けをしていくに当たりまして、会場におられる委員におかれましては、御異論がある際には手を挙げてお知らせをください。それから、遠隔で御参加の委員におかれては、挙手のボタンを操作するか、身振り手振りで意思表明していただくか、あるいはお声を発していただくか、特にこうでなければいけないということを定めませんから、こちらに伝わるようにお話をください。私も確かめますし、事務当局においても確かめるようにいたします。このような手順で議決の手続をとります。   まず、1段目のお問い掛けを致します。部会資料18で御案内しているとおりに、これをもって中間試案とするということをお諮りいたします。御異論がおありでしょうか。   ひとまず御異論がないとお見受けいたしました。先に進めます。   部会資料18をもって中間試案とする際に、ゴシックでお示ししている部分についての表現や字句の推敲の作業を進めた上で確定し、公表いたします。この作業を部会長及び事務当局に御一任いただくというお許しをお願いいたしますけれども、お許しいただくことがかないますでしょうか。   よろしいでしょうか。遠隔の委員で御異論はないですね。   それでは、確かめました。議決の手続を了することにいたします。どうもありがとうございました。いずれの点についても特段の御異議を頂くことがありませんでしたから、部会資料18のとおり中間試案を決定いたします。あわせて、推敲の作業を部会長である私と事務当局において進めることについて御一任を頂いたものとして扱いますから、その作業を進めることといたします。どうもありがとうございました。   それでは、審議の続行をお願いすることにいたします。   続きまして、部会資料19についての審議をお願いいたします。これについて事務当局から資料の説明を差し上げます。 ○小松原関係官 部会資料19について御説明いたします。   これまで部会資料で取り上げていない民法の規律のうち、成年被後見人と時効の完成猶予、成年被後見人の婚姻、認知能力、養子縁組、相続の放棄又は承認をすべき期間及び成年被後見人の遺言の制限の規律に関し、それぞれの規律の趣旨を踏まえ、見直しの要否の検討と、部会資料18の第1-1(1)において法定後見の枠組みに関し甲案、乙1案、乙2案によった場合との対応関係を整理しております。   今先ほど取りまとめていただきました中間試案の案においても、成年後見制度を前提とする民法の規律について取り上げており、その内容については今後、パブリック・コメントの手続で意見を募集することとなります。ここで中間試案の案で示した整理の考え方を踏まえて、基本的にはそれと同様になるのではないかという観点から整理を試みておりまして、その点について御審議をお願いしたいと考えております。 ○山野目部会長 部会資料19について、ただいま差し上げた説明に基づいて委員、幹事の御意見を頂きたいと考えておりますけれども、それに先立ちまして本日は、部会資料19で扱っている事項そのものではありませんけれども、これと関連する課題として、青木委員から「民法改正に伴う関連法制の整備について」という意見書を頂いているところであります。これについて、青木委員から補足の説明等がおありいらっしゃいますれば、承りたいと考えます。青木委員、お願いいたします。 ○青木委員 ありがとうございます。今日お配りしました資料は、法制審議会のこの部会の所管ではないということは承知をしておりますけれども、民法の後見人に付与された包括的な代理権に基づく様々な諸規定を中心として、この25年間で成年後見制度以外の各諸制度に反映をしてしまってきていることです。後見人に包括的代理権を付与したこととは必ずしも同じ趣旨ではないにもかかわらず、他の制度においても機械的に転用されているものが数多くあったということです。この間、訴訟を通じて選挙権については廃止をされ、権利条約の批准に伴って、欠格条項についてはおおむね整理がされてきたところでありますが、そういった転用はその他にも多数存在しておりまして、今後包括的代理権の規定が廃止されるということになれば、全ての点において見直しが必要になると思っております。この検討にはかなり時間が掛かることでもあると思います。それぞれの制度の検討においては、ただ削除をすればいいというだけでは済まないものもあると思いますので、そういう意味で、現段階から関係各省庁において検討を開始していただく必要があるのではないかという問題意識から出しているところです。   そのため成年後見制度利用促進室においては、基本計画の推進の中で各省庁をいろいろな意味で取りまとめていただきながら、関連法制について、早めにそれぞれの部署で検討を開始することについて、専門家会議でも検討いただきながら、対応を進めていただくことをお願いしたいと思っております。   その上で、この間の実務において、なぜ成年後見人や保佐人にその権限や役割を機械的に当てはめるているのか疑問と考えられる3点について、書面では詳しく取り上げております。これについては、後見人や保佐人は除外をしていただいて、必要があれば趣旨に沿った別の制度を作っていただく必要があるのではないかと思っています。それ以外にも様々な省庁にまたがる問題で、事実上、成年後見人や保佐人が代理等をすることになっているものが多くありまして、それがそのままでいいのかについて見直しをしていただく必要があると思っております。   たまたま昨日のことですが、私が後見人をしております知的障害のある方について、グループホームが新しいところに移転したため住民票の異動の届出をする必要があったのですが、施設の職員さんが本人さんから委任状をもらって住民票の異動をしようとしましたところ、成年後見人が就いている以上、成年後見人が届出をしなくてはいけないと断られるということがありました。本人さんは知的障害がありますが、グループホームが移転したので住民票も変わるということは十分に理解ができる方です。その方の委任状があれば、施設の職員さんが手続をしていいのではないかと申しあげましたが、それは総務省の規定によって難しいのであるという回答でした。例えばですが、こういうことが各方面についてございまして、そこも併せて、どのように見直せばいいかをしっかり御検討いただきたいと思っておるところです。   以上、少し長くなりましたが、早めに検討を開始いただきたいという趣旨から提案をさせていただきます。 ○山野目部会長 ありがとうございます。   部会資料19についての審議を進めます。これについて、部会資料19に盛り込んである各事項、多岐にわたる民法の規定に関する課題がそこに登場してまいりますから、これについて事務当局から差し上げた説明を踏まえて皆様の御意見をお出しいただきたいと望みます。民法の先生方は取り分け遠慮なさらずに、この機会にお気付きのことは何なりと御指摘ください。述べるまでもなく民法の先生方に限る必要はなくて、更に委員、幹事の全ての皆さんにおいてお気付きのことの御発言を頂きたいと望みます。   さらに、先ほど青木委員からお出しいただいた意見書に基づいて青木委員からお話しいただいたことについても、御関心がある点はお話をください。青木委員からお出しいただいている意見書に盛り込まれている内容は、青木委員がただいまのお話の中でも自覚しておっしゃっていただいたとおり、そこでお挙げになっている幾つかの項目、それから関連して心配だとおっしゃったいずれの事項についても、この部会で最終的に要綱をまとめる際にそこに取り込むことができる性質の事項ではありません。そうは言っても、ここでこれから民法の見直しをしていく動きと密接に関連する事項であることは間違いがないのでありまして、ここで青木委員におかれてこういう文書としてまとめた形で部会の資料としてとどめ置かれるということになれば、法務省ではなくて、むしろ関係するそのものの府省において、この部会においてこういう意見書の提出まであって御議論があったということを参考にして、その後の検討をしてもらうということに資するでありましょうから、それに関連する御発言もこの後していただいて妨げないものでございます。   それでは、部会資料19についての審議をお願いいたします。いかがでしょうか。 ○小澤委員 ありがとうございます。中間試案での整理を踏まえると、形としてはこの部会資料19のような整理になると考えております。いずれの論点も重要なことだと考えておりますので、司法書士会の中でも引き続き検討していきたいと考えております。 ○佐保委員 まず、1ページから始まる2の成年被後見人と時効の完成猶予についてですが、依然、乙1案で設けないということについて問題はないのか懸念は残るものの、中間試案に向けてまとめていく中での議論の結果として受け止めたいと考えております。   続けて、4ページからの5、成年後見人が成年被後見人を養子とする縁組等についてです。事理弁識能力を欠く常況にある者について保護の仕組みを設けない場合、本条の規律を削除することは他との整合性で必要であることは理解できますが、新しい枠組みにおいても不正行為の防止と当事者の利益保護は必要であり、何らかのチェック体制が必要かどうかについて、他の委員の方の意見も伺って考えたいと思います。   また、5ページからの6、相続の承認又は放棄をすべき期間について、現行の被保佐人のような保護者の同意を得て本人自ら相続の承認又は放棄を行うことが予定されているならば、方向性に問題はないと考えておりますが、これにつきましてもほかの委員の方の意見も伺いたいと思います。   最後に、6ページからの7、成年被後見人の遺言の制限でございます。事理弁識能力を欠く常況にある者について保護の仕組みを設けない場合には、遺言についてどのような保護の在り方が必要か、これにつきましても他の委員の方の意見を伺って考えていきたいと思っております。   以上です。ありがとうございます。 ○野村幹事 ありがとうございます。部会資料19について、実務的には6の相続の承認又は放棄をすべき期間について、乙1案を採ると、事理弁識能力を欠く常況にある者について今まであった保護がなくなる点が一番問題になるかと思います。しかし、裁判所において事理弁識能力を欠く常況にある者であるとの認定がなされないので、部会資料に記載のとおり、規律を設けることは困難であるとの整理になるかと思います。実務では、相続の放棄等が必要な場合は、保全処分の活用や迅速に保護者を選任する運用が求められると思われます。 ○山野目部会長 ありがとうございます。   引き続き、いかがでしょうか。何度も声を掛けますけれども、民法の先生方は遠慮しないで御発言を。 ○加毛幹事 ありがとうございます。山野目部会長のお言葉に意を強くして発言したいと思います。「2 成年被後見人と時効の完成猶予」について、二つのことを申し上げたいと思います。   第1は、民法158条2項に直接関わることです。部会資料19では、中間試案の議論の枠組みのもとで検討すればこのようになるのではないか、という検討内容が示されています。以前の部会において民法158条2項が審議対象となった際に、山野目部会長が、外部関係と内部関係の区別という視点を示されたと記憶しています。中間試案の第4の4では、外部関係に関する民法158条1項について一定の結論が示されているのですが、民法158条2項の規律する内部関係について、果たして外部関係と同様に考えるのがよいのだろうかという疑問を感じます。   民法158条2項は、成年被後見人が成年後見人に対して債権を有する場合についての規定であり、部会資料19に書かれているとおり、権利の行使を期待できないという問題に対処するためのものです。本人が保護者である成年後見人に依存する関係があることから、事実上、権利の行使が難しいことに原因があるのではないかと考えられるところであり、例えば、乙1案を採った場合にも、この規定を削除してしまって良いのだろうかと疑問を感じます。   また、民法158条2項については、古くから準禁治産に類推適用できるのではないかという議論もあるところであり、成年後見類型のみに妥当する規律と理解してよいのかについて、慎重に検討する必要があるのではないかと思います。   付言いたしますと、民法158条2項は、もともとは民法159条と併せて一つの条文でした。親子や夫婦など、ある種の権威的な関係の存在を前提として、権威を有する側に対して権威に服する側・依存する側が債権等を持っているという場合について設けられた規定です。そのような規定は、比較法的には一般的なものでないという指摘も存在したところであり、昭和22年の民法改正では、民法159条については夫婦相互間の権利に適用されるという形で見直しがされました。他方、民法158条2項については見直しがないままに存置されたという事情がありまして、現在において、その規定の趣旨を考え直す必要はないのかという点も含めて、民法158条2項については慎重な検討を要するのではないかと思います。   第2は、民法158条2項に関連する規定として、民法875条1項、876条の5第3項、876条の10第2項についての発言となります。これらの規定は、いずれも親権に関する民法832条を準用しています。832条は「親権を行った者とその子との間に財産の管理について生じた債権は、その管理権が消滅した時から5年間これを行使しないときは、時効によって消滅する」と規定し、時効の起算点に関する特則を設けています。この規定を後見、保佐、補助にも準用することにより、本人と保護者の間の債権債務関係に関する消滅時効制度の特則が設けられているわけです。   第1点との関係で、まず申し上げるべきは、民法832条については、後見のみならず、保佐や補助についても規定が準用されていることです。そのことが、民法158条2項の解釈に跳ね返ってくるところがあるかもしれません。また、民法832条の準用につきましては、本人が保護者に対して権利を有する場合と、保護者が本人に対して権利を有する場合の双方が対象になる相互主義がとられています。ここの点もやはり民法158条2項の規律を見直す際に一つの手がかりになるかもしれません。   そのことを申し上げた上で、民法832条の準用規定との関係で検討すべきと思いますのが、これらの準用規定はいずれも管理権の消滅を時効の起算点としている点です。現行規定では、例えば後見の審判が終了する場合というのは、本人が事理弁識能力を回復し、行為能力の制限を受けなくなる場合や、保佐や補助が開始する場合であることになります。管理権が消滅して、本人が権利行使できるようになったり、あるいは別の保護者が付されたりすることが前提とされています。   これに対して、今回の改正によって事理弁識能力を回復しないままに後見などが終了するのを認めることになりますと、保護者も存在しない場合に、5年という消滅時効期間を適用することが、本人との関係で望ましいことであるのか疑問に思われます。5年という時効期間については、平成29年の民法改正前には短期の時効期間を定めたものであると説明されていたところであり、平成29年改正後の現行規定のもとでも、民法724条2号などとの関係では短期の時効期間を定めていたものと理解できようかと思います。そのような短期の期間制限を、能力を回復せず、保護者も存在しない本人について適用するのが妥当なのかについては、やはり慎重に検討する必要があるように思われます。   先ほど佐保委員から、中間試案の第4の4との関係で、乙1案を採った場合には民法158条1項は不要であるということで議論がまとまったとのお話がございました。乙1案を積極的に支持されている委員・幹事の先生方がそれで良いというのであれば、それで結構なのかもしれません。しかし、現行規定よりも本人の保護を切り下げることになる部分につきましては、やはり慎重な検討を要するように思います。   長くなって申し訳ありません。以上です。 ○山野目部会長 加毛幹事から大事な観点のお知らせを頂きまして、ありがとうございました。密接に相互に関係していますけれども、158条2項についてのお話と、もう一つ、832条関連のお話をしていただきました。832条関連の話は部会資料19に盛り込んでおりませんから、これから今日頂いたお話をヒントにして更なる検討をしていかなければならないと感じます。その点は御礼を申し上げます。   前の方におっしゃった158条2項の関係で、加毛幹事のおっしゃった御意見をよく理解しますとともに、お話を聞いていると悩み始める点は、どういうふうにここを解決していったらよいかということでありまして、もし現段階で加毛幹事に何かアイデアがおありでありますればお教えいただきたいと考え、お問い掛けをするものでありますけれども、例を挙げますと、本人がお金を貸していた人がいて、お金を借りていた債務者が保護者に選任されるというような場面で、それは保護者になる人が弁護士であるとか司法書士であるというときにはまれにしか起こらないかもしれませんけれども、親族がなるような場面に関してはありそうな気もするのですね。そういうときに時効の進行について特段の措置を講じなくてよいかという御懸念は、なるほどそのとおりであると感じましたとともに、保護者に与えられる権限が、本人が貸していたお金は普通の貸金であるとして、保護者に与えられた権限が遺産分割の席に出ていって遺産分割に関与する権限であるということになったときに、貸金と遺産分割の権限ということとの間には当然に必然的な関連はないわけでありまして、そういうところが悩ましいから削除しましょうという方向が示されていますけれども、本当にそれでよいかという加毛幹事の御懸念は、だんだん心配になってきたとも感ずるとともに、どのような事例で、例えば時効の完成直前に保護者が今のような場面で選任されたときには時効の完成を猶予するといったような規律を入れるか、時効完成猶予の規律を仮に維持するとしたときに、その射程といいますか幅といいますか、どういう場面だったらそれを考えていかなくてはいけなくて、こういう場面だったらかなりスポットだから要らないね、とかという話になる場合も状況によってはあるかもしれなくて、その辺の案配のとり方について、何かヒントをお持ちでいらしたならば頂戴したいですけれども、いかがなものでしょうか。 ○加毛幹事 ありがとうございます。山野目部会長に、適切に問題状況をおまとめいただいたと思います。保護者に与えられた権限と関係ない債権についてまで、時効の完成猶予に関する規定が必要であるのかが問題になるのだろうと思います。   一つの考え方としては、本人と保護者の間にある種の支配・依存関係が存在するとすれば、本人が、保護者に貸金債権を請求したりすると、遺産分割について不利益を被ることになるのではないかという懸念を抱くことは考えられるかもしれません。そして、そのような懸念を理由として、本人が貸金債権の行使を委縮する可能性もあるように思われます。このような理解が間違っていないのであれば、従前の債務者が保護者の地位に就いたことにより、保護者である期間中と保護者の地位が終了した後の一定期間について、本人の保護者に対する権利について時効の完成を猶予することにも、それなりに合理性があるのではないかと思われます。他方、消滅時効との関係で不利益を受けることになると、保護者のなり手が減ってしまう、あるいは保護者の責任が重くなりすぎるという御意見が強いのであれば、私の考え方が間違っているのかもしれません。しかし、議論の素材・批判の対象としてでも結構ですので、今申し上げたような考え方があるのではないかということを申し上げておきたいと思います。 ○山野目部会長 ありがとうございます。加毛幹事に問題を深掘りしていただいたお陰で、ここをどういうふうに先々考えていったらいいかということが具体的に見えてきたと感じます。   今の点でもよろしいですし、ほかの点でもよろしいですから、引き続き御意見を承ります。 ○根本幹事 2点申し上げたいと思います。   加毛幹事からもありました、まず158条との関係なのですが、元々158条が平成11年改正時に被保佐人ですとか被補助人を外している趣旨というのは、自ら裁判上の請求による時効の中断の措置をとることが可能であって、民訴31条の訴訟能力者ではないからということが理由にされていたように承知をしています。中間試案の訴訟能力の18-1の22ページを見ますと、乙1案を採った場合でも(3)の(注)のところで、成年被後見人の訴訟能力の規律を設けないとした上で、意思能力を欠く者は訴訟行為をすることができない旨を明確にすることについて引き続き検討するとの考え方があると示されていて、仮にこの考え方を採る場合には、部会資料19の2ページの(4)イのところは、この(注)が生きてくるのではないかと思っています。このリンクをここで張らなくてよいのかというのが一つです。問題意識は加毛幹事と少し共通するところもあるのかもしれませんが、18-1との関係で見ると、そのように言えるのではないかと思ったというのが一つです。   もう一つが、相続の承認又は放棄ですが、917条の元々の趣旨を見ると、適切な権利行使を期待することが困難な者についての規定とされているかと思います。その中身として成年被後見人が挙げられているということになります。乙1案を採った場合でも削除でよいのかと言われますと、個人的には抵抗があって、適切な権利行使を期待することが困難な人なのであれば、保護されていいのではないかと思っています。   例えば、738条婚姻とか780条認知については、結局のところ意思能力の問題は当然問われますので、婚姻能力とか若しくは認知能力は、後見制度とは別に見るということが元々民法が予定されていることだと思いますので、削除されたとしてもそれぞれの能力論は個別に当然見るという整理でいいのではないかと思います。一方で、例えば今申し上げた917条などについては、そのようなロジックで被後見人を規定している規定ではないと思いますので、そこは区別をするべきではないかと思っています。 ○佐久間委員 まず、加毛幹事がおっしゃったことはもっともだと思うところもあるとともに、「依存関係にある場合は」とおっしゃったわけですけれども、依存関係にある場合というのは、例えば一番近いところで言うと任意後見人と本人だって同じですし、この場で議論されていることで言うと、どういう考え方を採るかは分かりませんが、必要性、補充性と言われていたところで、任意の代理でも対応できるのであれば法定後見を開始する必要はないのではないかというお考えもあったと思います。だから、ほかのところと考え合わせなければいけないということが前提にあるのですけれども、そのような場合に、仮に法定後見を劣後させるという考え方を採りますと、例えば、加毛幹事がおっしゃったようなのですと、今の成年被後見人の場合に限らず、新しい保護の本人というようなことで設けるのかもしれませんし、その中で限定も掛かるのかもしれませんが、その場合であっても、たまたまその制度を使うか使わないか、あるいは使えるか使えないかの必要性のところからの話で、そういうところの区別が極めて難しいと思います。加えて、そもそも今回の制度改正の大本にあるのは、事理弁識能力を欠く常況にある人についてはどうかというのは置いておきまして、制度全体で言うと、やはり本人の自立に任せるということで、不利益になる場面であってももう仕方がないという判断はせざるを得ないところがあるのではないかとは思っています。まだ今日、これに関しては1回目ともいえるので、単に思うというところしか申し上げられませんが、そのような感じがしています。   それから、根本幹事がおっしゃった民訴法との関係で言うと、訴訟能力はその訴訟に関しての1回切りのことであるのに対し、158条2項は継続的なものですから、意思無能力をここでぽんと入れてしまうと、受領能力のところで、このままではおかしいのではないかこのままでは困るのではないかとこれまでに私が申し上げてきたようなことが158条2項の場面でも起こってきかねないので、やはりそこは違うのではないかと思っています。   法定の制度の対象となるような方は一定の保護が必要であり、保護の削減には慎重であるべきだというのは、基本的にはそのとおりだと思っているのですけれども、乙1案とか乙2案の保護Aというのは、そこはもう仕方がないというか、本人に不十分ながらも事理弁識能力がなお存在するのであれば、それは本人の判断に委ねるということであり、類型を分けない、あるいは保護Aにするというのは、事理弁識能力を欠く常況にある人についても、周りの者の判断によってになるのかもしれませんけれども、そのような一定の不利益も事理弁識能力が不十分でない人と同じように受け入れた上で、新たな制度の利用をしてもらうということなのではないかと思います。ですから、一律に駄目だということは言いませんけれども、やはり本人の保護が必要だからというだけで進めていくのは、どうかなと思うところがあります。 ○山城幹事 2点ほどお話し申し上げたいことがございます。   1点は、先ほど加毛幹事からお話があった点に関わります。佐久間委員がお話しになったこととおおむね同じことを感じておりますけれども、158条と、832条を準用する規定とは、問題としては境を接しつつも、それぞれ観点の異なる規定ではないかというのがまず出発点です。つまり、158条は権利行使の期待可能性がないときに時効の完成を猶予する規定であるのに対して、832条を準用する各規定は、起算点と時効期間を設定するという位置付けのものであろうと思います。   その上で、158条に関しては、権利行使を期待することができない事情をどのように理解するかによるのだと思いますが、加毛幹事が挙げられたような、保護者と本人の間にある人的な関係に着目してまいりますと、部会長や佐久間委員が挙げられたような例ですとか、あるいはより一般的に、債権者と債務者の間の取引上の関係から、債権者が債務者に対してあえて権利行使に踏み切ることが困難であるといったような状況まで、ある種の依存関係がある場合が広く完成猶予の規律対象に含まれるとみる可能性が、少なくとも原理的には生じてくるのではないかと思います。そうした属人的な事情による権利行使可能性に着目して時効の完成を猶予するという判断ができるかは、時効全般に関わる議論ですから、もう少し検討してみたいと感じました。   もう1点は、決着済みのことかもしれませんが、ここに触れられている以外での問題として、653条と111条の関係で、組合員の脱退についてもそれとパラレルな679条3号があります。恐らく委任や代理と平仄を合わせて解決することになるかと推測はいたしますが、併せて検討の必要があるかと感じました。 ○常岡委員 少し細かいところからスタートになりますけれども、部会資料19の3番の成年被後見人の婚姻について、738条は799条で養子縁組にも準用されていますので、そのことも注意的にここで併せて書いておかれた方が明確でよいかと思いました。   それと、養子縁組については、成年後見人と成年被後見人との縁組で、部会資料19の5番のところになりますけれども、乙1案を採る場合、それから乙2案で保護Aの仕組みを採った場合に、現行法のような規律を設けないものとするということで、これはある意味、この立場を採るのであればあり得るかなと思っています。特に、後の遺言のところにも同様のものが出てきますけれども、養子縁組というのは遺言とまた性質が違って、法律行為ですけれどもいわゆる身分行為に当たるものなので、財産的な損失があるかどうかとは別にして、養親子関係を望んでいるというのが本人の意向であれば、それを尊重していくという考え方は十分、乙1案あるいは乙2の保護Aの場合にあり得ると思いますので、それは考えられるかなと思います。   それに対して遺言の場合ですね、部会資料19の7になりますけれども、966条については、ここは恐らくもう少し違う視点が要るかと思います。つまり財産処分の話が中心になるからということですが、ただ、これも実際には本人が亡くなった後に効果を生じるものですので、遺言については本人が最終の意思としてそれを望むのであれば、これも乙1案や乙2の保護Aを採るのであれば、このような整理でよいのかなと思いました。   それに対して、一番問題になると思ったのは相続の承認、放棄の部分です。特に相続については3か月で法定単純承認になりますし、通常の方であっても3か月で判断ということはかなり困難であって、その間、調査が必要だから期間を伸長するとか、そのような規定の手当てもあります。それを、果たして乙1案や乙2の保護Aの考え方を採ったときに成年被後見人に関する規定を全く設けないで、それでよいのかというところは、少し慎重な考慮が要るように思いました。 ○山野目部会長 ありがとうございます。常岡委員に、余り関連しないかもしれないけれども、ついでにお尋ねですが、認知をする能力のところは特段もう問題がなくて、これは先ほど根本幹事がおっしゃったように、意思能力は常に問われるという、その枠組みに委ねるほかはないし、それでよいでしょう、という受止めがありそうにも思いますけれども、それでよろしいものですか。 ○常岡委員 はい、認知につきまして、もちろん認知することによって扶養義務が発生しますけれども、ただ、身分として父子関係を発生させるという方向を、本人の意思によるそれを重視するのであれば、このような整理でよいのかなと思っています。 ○山野目部会長 分かりました。似たような隣接場面、似ているかどうか分からないけれども、併せて検討しておいてよい場面として、夫でない男性から精子を提供されてする生殖補助医療の場面での夫の同意に関しては、元々現在の規律で夫が成年被後見人だったらどうするかという規定がないですけれども、しかし、常に夫の同意は意思能力があってされたものでなければいけません、という点は言わずもがなの当然の原則として妥当しており、そこも引き続きそういう規律に委ねるから特段の法制上の措置は講じないという理解でよろしゅうございますか。ありがとうございます。 ○竹内(裕)委員 今御指摘いただいた6の相続の承認又は放棄をすべき期間について、乙1を採った場合、乙2案を採った場合の慎重な検討という御意見もあったところですが、ここは民法にとどまらず相続税の申告の期限の関係でも、相続の開始を知ったときということで関連をしてくるので、やはり民法の部分で慎重に今後検討していった方がいいのではないかと考えています。 ○山野目部会長 ありがとうございます。   次第にこの相続の熟慮期間のところについてスポットが集中しつつありますから、そこについての御議論を引き続きいただきたいと考えますし、そのほかの点でもよろしゅうございます。 ○加毛幹事 ありがとうございます。佐久間委員と山城幹事の御発言について、一言申し上げたいと思います。民法159条は、夫婦間の権利について時効の完成猶予を認めていますが、これは夫婦という関係性に着目して権利行使を期待できないという評価がされているのだと思います。昭和22年改正後の規定の趣旨については、そのように説明されているものと思います。それとの対比において、本人と保護者の関係を、どのように理解すべきであるかが問題となるように思います。   民法832条を準用する規定群は、後見、保佐、補助に関する債権について、時効の起算点を後ろにずらしたうえで、時効期間を短くするというものであるわけですが、ここでは後見、保佐、補助に関する権利については、その関係が続いている間は権利行使を期待できないと考えられているのではないかと思います。少なくとも起算点を遅らせるという点については、そのように考えられているのではないでしょうか。   そのことを前提として、民法158条2項については、先ほど山野目部会長が挙げられた事例が当を得たものであるわけですが、後見、保佐、補助に関係ない債権について、どのように考えるべきなのかを議論することが必要になります。私は、後見の実務を詳しく知っているわけではないのですが、仮に、サポーター制度などが充実していく中で、保護者の立場に立つ者が本人に対して支配的な力を行使するようなことはなく、周囲の人たちの支えのもとで、本人に保護者に対する権利行使を期待できるのであれば、民法158条2項は不要であり、残すとしても民法832条の準用規定群くらいであるという考え方もあり得るだろうと思います。他方、保護者が本人に対して支配的な力を行使するような場合が想定されるのであれば、民法158条2項を残しておくことに意義があるのではないかと思われます。   民法158条2項の検討においては、甲案を採るのか乙案を採るのかという観点から演繹的に議論をするのではなく、今申し上げたような本人と保護者の関係が実態としていかなるものであるのかという観点が重要になるように思う次第です。 ○山野目部会長 ありがとうございます。加毛幹事がおっしゃっていることも理解できて、悩みは深くなりますね。 ○佐久間委員 先ほどは申し上げなかったのですが、加毛幹事が159条のことを二度おっしゃったので、少し申し上げようと思うのですけれども、159条の規定について、債権法改正の法制審議会の部会ではありませんけれども、あるときにある場で私は、この159条を廃止してはどうかという提案をしたことがあるのです。ただ、反対される方もありまして、その議論が深まるところまでは行かなかったのです。   なぜそれを申し上げるかというと、私は、159条は一定の夫婦観を前提としており、現代的な夫婦関係においてこのような規定を残しておくことが本当にいいことなのかと個人的には疑問に思ったので、そういう提案をしました。つまり、夫婦であっても互いに独立の存在であって、きちんとした権利主張ができるということを、そういう建前をとるべきではないかというようなことから、私はある場でかつてそういう提案をしたことがあります。山野目部会長も実はそのときおられたはずなのですけれども、それは置いておいて、何が言いたいかというと、159条があって、158条2項もそういう観点から見るとというのは、159条を是とする場合にはそうだと思うのですけれども、私は159条はそのように見るべきではないと考えており、158条2項も、保護者と本人との関係を、832条のような直接の関係がある場合は別にして、全く関係ない債権とか権利について、依存関係にあるからうんぬんかんぬんというふうに人間関係を捉えていくこと自体がいいのかというところに疑問を持っております。もちろんこれから議論が深まるのだと思いますけれども、加毛幹事の御意見に対しては、私のように考える人間も多分世の中で私一人ではないのではないかということから、意見を今日申し上げておきたいと思います。 ○山野目部会長 佐久間委員、あのとき私は佐久間試案に賛成したのでしたっけ、反対したのでしたっけ。その折に私は佐久間試案に賛成しましたか、反対しましたか。 ○佐久間委員 忘れました。ただ、他の場で反対が出たということは、山野目部会長は多分、強力な反対はしなかったのだと。 ○山野目部会長 少し打ち明け話をします。平成29年の民法改正における債権関係規定の大幅な見直しにおける消滅時効の部分というものは、きわめて初期の論議の場面において大きな役割を担ったものが、いわば佐久間試案でした。法制審議会の前の調査研究の段階で、佐久間委員が属する最初は3人のグループで議論をして、それを民法のたくさんの先生方がいる会議に掛けて通ったものが、やがて法制審議会の議事の参考資料にされました。その3人でしている小グループは私と佐久間委員は同じグループでしたから、きっと私も反対しなかったのでしょうね、それで全体に掛けたときに全体で反対が出て、最終的に成案にならなくて、現在の159条が残っています。   この議論を進めていくと、これは家族と言ったらいいでしょうか、差し当たりは夫婦ですけれども、親族の関係をどう理解していくことがよいかというかなり法思想的な問題が後ろに控えていて、きっと見方は分かれます。ヘビーな問題になってきたと感じますけれども、しかしここまで論議をしましたから、少しこの機会に議論しておきたいとも思います。 ○青木委員 理論的なことではないのですけれども、実務的な観点から申し上げますと、158条2項の件につきましては、少なくとも後見人が選任される前に、成年被後見人と成年後見人とに何らかの権利義務関係がある場合には、いわゆる利益相反の問題として、選任の段階でチェックを受けるということになっていると思います。先ほどのような遺産分割と貸金という例は、現行の成年後見人の包括的な代理権を前提とすると適切ではないかもしれませんが、本人との間に何らかの債権債務関係がある人が成年後見人になるべきかどうかについては、慎重な審査がなされまして、それが第三者の候補者であれば当然に除外されるでしょうし、親族がやるということになった場合には、例えば利益相反のおそれあるので監督人を選任するというようなこともされているので、少なくとも選任前であれば、そういった観点からの運用上のチェックによって、規定が廃止された以降も保護に欠けることがないようにする手当てができるのではないかという感覚を実務的には思ったということになります。   それから、相続の放棄・承認に関しましても、現行において、「相続を知ったとき」という解釈は、相続に関する事理弁識能力がないといいますか、相続に関する法的な理解能力がない人の場合には、被相続人の死亡から1年経とうが2年経とうが、その段階で成年後見人を選任してから、選任されたことが知ったときとされますので、後見人が相続放棄の申述をすれば、申述が受理されるということが実務では一般でありまして、おおむねそれで保護が図れるという実務になっておりますので、それでもうまくいかない場合があるのかという観点も含めて御議論いただければと思います。 ○山野目部会長 青木委員に2点にわたっておっしゃっていただいたことをよく理解しました。前半でおっしゃっていただいた利益相反の関係は、ごもっともなお話でしょう。実務はそういうふうに賢明に運用してきたと想像できます。後半のお話も承りましたが、後半の家庭裁判所の相続放棄申述受理審判が許される法的根拠は何ですか。3か月過ぎていたら無理ではありませんか。 ○青木委員 「相続の開始があったことを知った時」の起算点が、いまだ来ていないと考えるわけです。 ○山野目部会長 そうですか、事理弁識能力を欠く常況のときには知ったとはいえないというふうな理解を前提に運用がされているということですね。理解を致しました。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。   今差し当たりなければ、久保野委員にお声掛けを致します。久保野委員におかれては、部会資料19について全般的な御意見がもしおありでしたら、頂戴したいと考えます。お願いいたします。 ○久保野委員 機会を頂きありがとうございます。議論がされている細かい点について特に何か意見があるということはございませんけれども、他の方の議論の中で示唆されておりますとおり、事理弁識能力を欠く常況にある者という類型をあらかじめ設定していない以上、この規定はそのままは存置できないという結論に直結させる発想だけで考えるのではなく、それぞれの規定の趣旨に沿って考えてみるべきとのご意見に賛成いたします。資料を拝見していて、そのような類型を設けないのであればこうなるのだろうと思う面がありつつも、何か落ちてしまうところがあるのではないかという怖さといいますか、慎重に検討する必要を感じております。取り分け民法917条については、起算点の解釈の裁判例がどうなっているかということなども照らし合わせながら、個別に考えていく必要があるのではないかという感を強く持ったところでございます。   また、夫婦間の消滅時効に関わる条文については、家族の間での関係を支配的なものと捉えるかという観点もありますが、法的な構成に着目した場合には、包括的に権限を持つということをどう考えるかということと関係し得るように思ったところです。 以上でございます。ありがとうございました。 ○山野目部会長 御意見をくださいましてありがとうございました。   引き続き御意見を伺ってまいりますけれども、ここで休憩にいたしましょう。           (休     憩) ○山野目部会長 再開いたします。   引き続き部会資料19について御意見を承ります。どうぞ御自由に御発言ください。 ○根本幹事 2点申し上げます。1点目は先ほどの青木委員の御発言との関係ですけれども、相続放棄の申述の実務運用については私も異論がないところではあります。前半の債権関係の部分につきましては、確かに申立て時に家庭裁判所で選任時に考慮はされているとは思うのですが、私の感覚では、その内容や金額若しくは返済の状況等々を総合的に考慮されて、親族後見人に選任されていることもあろうかと理解をしておりますので、全てが入口のところで排斥できているかというと、必ずしもそうでない部分も残るとは思っているというのが一つです。   もう一つが、794条や966条との関係で、どうしても悪用する方というのを懸念する部分もありまして、佐久間委員がおっしゃられるように、今回は御本人の自立という方向性は、私もそのように思うのですが、他方でいわゆる、消費者法制などでの考え方もそうですが、被後見人さんではなくて、後見人の行為規制、一定の地位に基づく行為規制という考え方を残すというのは、乙1、乙2であろうとも、能力論とは別に、考え方としてあってもよい視点ではないかとは思っています。   その上で、794条は家庭裁判所の許可ということになるわけですので、御本人の何らか自立を阻害するということではなくて、判断の慎重を期すという趣旨と構成することができるのではないかと思います。966条についても、無効という効果までを維持するということではないにせよ、例えば後見期間中に、専門職が後見人や保佐に付いているときに御本人が遺言を作成されたいという場合に、我々は裁判所が定めている報酬以外で、遺言作成のお手伝いをした報酬を受け取ってはいけないと家庭裁判所から指導されていますし、そういった事情が発覚した場合には、ケースによっては辞任や追加選任等の対応をとられることになっているように承知をしています。後見の制度期間中に限ってということでいいと思いますが、その地位に基づく行為規制として後見人さんが被後見人からの遺言を受けることを裁判所の許可などで規制をしていく中で、遺言者の意思なども確認頂いて後見人に対する行為規制を検討する余地はあるのではないかと思います。 ○山野目部会長 根本幹事から2点の御意見を頂いたうちの前の方の点の養子縁組の794条は、同条を残しても構わないということをおっしゃったというふうに聞きましたけれども、そういう趣旨ですか。 ○根本幹事 類型に関わらず規律を残すことを前提とした議論をしても構わないと思うのですが、残し方はどうするかを検討するということではなかろうかと思います。 ○山野目部会長 分かりました。それから、遺言の方は保護者の権限の広い狭いにかかわらず、保護者になった人のためには、保護が継続している間、同人を受遺者などにする遺言をしてはならないということになりますか。 ○根本幹事 少し広めに行為規制を掛けるということがあってもいいのではなかろうかと思います。関係性の濫用という言い方になるのかもしれません。許可なので、別に一律制限ではないので遺言者の意思をできるだけ尊重する方向で、併せて関係性の濫用について慎重にするということではないかと思います。 ○山野目部会長 遺言の方は許可ではなくて、効力を否定されるのですよね。 ○根本幹事 現行法はそうですが、類型が廃止された場合に、改正後に効力を否定するのは難しいのではないかと思います。 ○山野目部会長 遺言の方について家庭裁判所の許可に係らしめるということですか。 ○根本幹事 地位にある期間中に許可にかからしめるということです。 ○山野目部会長 遺言をするのに家庭裁判所が許可をする場面というのを、作ればいいでしょうといえば何でも作れますけれども、作りにくいのではないですかね。それで、一つ二つお話を伺っていて悩みを申し上げると、一つは私が今既に申し上げたことであり、保護者になる者の権限の広い狭いにかかわらず、一旦何かの権限を、保護者だから何かの権限を持つわけなのですけれども、保護者になってしまった人に対しては一切遺贈などをすることができないという話になっていくであろうか。家庭裁判所の許可によって可能性が開かれる可能性を設けるかもしれないとしても、何らかの規制が掛かっていくということになりますかというところが1点あります。   それから、法律構成の面で、根本幹事が何度も行為規制とおっしゃいますけれども、御存じのように遺言は単独行為です。死因贈与でしたら、確かに死因贈与の相手方になったら行為規制違反であるとかという議論を立てやすいですけれども、遺言の場合には、遺言者がこの人に遺贈すると単独行為で表示するのに対して、受遺者になる者は別に何かするものではなく、極端に述べると知らない場合もありますし、行為規制と言われても、うまくワークするかというところが心配になってくる側面がありますけれども、ただし、御懸念でおっしゃっていることは受け止めましたから、引き続きまた少し皆さんで検討していけばよろしいと考えます。根本幹事、引き続きどうぞ。 ○根本幹事 運用上の問題になってしまうのかもしれませんけれども、引き続き後見人さんを続けていただくことがよいのか、交代事由なり得るところとして、遺言の効力自体は遺言無効の中で判断していただけばよいと思ってはいます。能力論の中で判断していただければいいと思いますので、交代事由で考えていくということもあるかとは思いました。 ○山野目部会長 多少悩ましいと感ずる点は、遺産分割の協議に参加しなければいけないから、弁護士の先生に保護者になってもらって、その代理権限の行使をお願いしましたという事例において、弁護士の先生は一所懸命自分の意見も聴きながらしてくれている姿を私は拝見していて感謝しています、そこで遺産分割で、もし亡くなった人の遺産の一部がもらえるならば、そのうち何がしかを弁護士の先生に遺贈したいと思いますという遺言をしたい気持ちは分かるような気がしますから、それを、そういう関係があったら一切駄目だという扱いはどうてあろうという感覚が一方であるとともに、でもそれは危ないという見方もちろんあり得るわけであって、悩みますね。 ○佐久間委員 2点ありまして、危ないのに全部対処しようというのは、何というか、よろしくないとしか言いようがないのですけれども、過剰な介入になるので、というのが一つです。   もう一つは、少し根本幹事に伺いたいことがあります。あるいはほかの方もそうなのかもしれないですけれども。今議論しているのは、例えば966条を、乙1案あるいは乙2案の私が前回申し上げたような場合の保護A、事理弁識能力を欠く常況にある人も使えますという場合にしたときに、飽くまで事理弁識能力を欠く常況にある人だけを考えて議論されているのか、それとも新たな制度の保護の対象となる方一般を、つまり今でいうと補助相当、保佐相当の方まで含めておっしゃっているのか、それが一つよく分かりませんでした。もし現在の後見相当の人だけを今後も切り出してということをお考えなのだとすると、それをどうやって切り出すことをお考えになっているのかということを伺いたいと思います。それでないとどう反応していいのかが分からないので、できればお願いします。 ○山野目部会長 今の佐久間委員のお問い掛けに対して、根本幹事、いかがでしょうか。 ○根本幹事 まず、966条の点については、現在の後見相当の人だけを切り出すわけではありません。切り出すとすると、従前から佐久間委員がおっしゃっているように、どうやって区別するのかという問題はあるのだろうと思います。行為規制と申し上げているのは先ほど部会長が言われたようなケースも、私の理解では士業の場合は職業倫理上、受け取れないと思ってはいますので、行為規制に士業はなじむかと思います。ただ、親族の方は非常に悩ましいと思っています。   逆に917条のところは、先ほど申し上げましたように、青木委員のおっしゃるように実務上それほど、知ったときの解釈論で問題はないというところは私も賛同するところなのですが、あとは理論的にどう考えるかという手当てをするかどうかという問題だと考えたときに、切り出し方を変えるということではなかろうかと思っています。結局裁判所がどう判断されるかということに集約されるのかもしれませんけれども、適切な権利行使を期待することが困難というところで切り出すということは、917条については考えられないかと思っているということです。 ○山野目部会長 分かりました。 ○佐久間委員 だとすると、なのですけれども、保護の在り方は、補助相当の方は大きく言うと今後もそれほど変わらないはずなのです。保佐の方はより柔軟な保護、後見の方もそういうことだと思うのですけれども、今の根本幹事のお話だと、966条は「被後見人が」ではなくて、「保護の対象となる本人が」と一般的に書き換えるということですよね。そうすると、新制度において保佐相当の人、後見相当の人が今の補助に相当する制度に流れ込んでくるからといって、どうして補助相当の人についても規律を変えるのかということを、まず根拠付けなければいけないし、仮にそのような立場をとるのだとすると、甲案を採る場合だって変えなければいけないことになるのではないでしょうか。甲案を採る場合だって、「法定後見制度の被保護者は」というのかな、そのようにするのだということで、先ほどの加毛幹事の158条2項関係も同じような御発言だったと思うのですが、現在の規律自体が現在の制度に照らして相当かという話をしなければいけなくなって、いや、相当でないという見方もあるのかもしれないけれども、本当かなと思うということだけ、少しこの段階で申し上げておきます。 ○山野目部会長 出口は決まりませんけれども、どのようなところを悩まなければいけないかが議論を重ねていくことによって明らかになってきています。   引き続きお話を伺います。いかがでしょうか。 ○常岡委員 相続の承認と放棄ですけれども、教えていただきたいのですが、事理弁識能力を欠く常況の人があるときに、現在の場合でも、そういう人が相続放棄をするときには何年経っても915条の自己のために相続の開始があったことを知った時からという、その実務の運用で対応されているのでしょうか。むしろそういう人についてはまず成年後見の申立てをする、もしもまだ成年後見の審判を受けていなかったら、成年後見の審判を受けた後に成年後見人が速やかに対応する、放棄の手続をするというのが本来予定されていることではないか。一体どちらの方が実際の運用として適切なのかということは少し気になりました。   というのは、放棄の効果は絶対的ですから、なので3か月という原則として短期の期間が定められていて、放棄までの間に第三者が入ってきたとしても放棄の効果は絶対的であり、第三者の権利はそこでは保護しないという立場を判例はとってきているところ、917条の規定をもう、なしとしてしまって、その都度本人が相続の開始を知った時ということで対応して、放棄の申述を家裁でしていくということが現実的に適切なのかどうかというのが少し疑問になりましたので、もしもお分かりでしたら教えていただきたいと思います。 ○青木委員 実務としては、「相続の開始があったことを知った時」というのは非常に弾力的に解釈運用をされていまして、ご本人さんが判断能力とは別に、その時の様々な社会的な事情により実際には、相続したことがわかる通知等を受け取っていないときには、その通知等を受け取った時から起算するということは幾らでもありますので、決して3ヶ月の起算点が厳格に解釈されているわけではないというのが1点です。また、判断能力がやや不十分だというだけではなかなか難しいと思いますが、重度の認知症などでご本人さんとしては通知等を受け取ったとしてもその意味が理解ができないという場合には、その後、後見人が選任され、後見人から相続放棄の申述をしたときには、後見人が選任されたときを「知った時」の起点として、3か月以内にすれば申述が受理されているということです。   なお、相続放棄の申述は、事実関係を確定させるものではなく、それを争う利害関係人がある場合は、地裁で申述受理の有効性を争えるということになっていると思いますので、そういった意味では、家庭裁判所における申述受理の判断というのは、要件が満たされているかにつき申述者による疎明資料に基づいて確認できる範囲で認定するという運用がなされていると承知しています。 ○山野目部会長 常岡委員、お続けください。 ○常岡委員 手続としては分かりました。ただ、相続はほかにも相続人がいるケースもありますし、できる限り、放棄者がいるのか、それとも単純承認したのかということが明確に決まることが望ましいと考えられます。917条はそのための一役を買っていると思うのですけれども、もしも乙1案や乙2の保護Aを採ったときには、917条の規定に代わる何か別の仕組み、単に家裁の実務における知った時の認定によるのでなくて、それ以外の何か保護の仕組みというのは別に要しないという立場でいらっしゃるということでよろしいのでしょうか。 ○青木委員 相続放棄の場面では、先ほどから申し上げていることですけれども、遺産分割の協議の必要があるときには、他の相続人の方が当該本人に後見人がついてほしいと思うことになります。その遺産分割については意思能力がない共同相続の一人に対して、見直し後の制度においても相続人の一人が申立権者として申立てをしていただいて、後見人が就いて遺産分割をしていただくということによって、他の共同相続人の遺産分割をまとめたいという利益ははかることができるということになっていると思います。 ○常岡委員 今の遺産分割についてはそうかと思うのですけれども、遺産分割に行く前の、承認か放棄かというのは、その前段階の話になると思います。そこについての手当てというのは何か、それはもう先ほどの、自己のために相続開始があったことを知った時ということで処理をしていけばよいと、そういう理解でよろしいでしょうか。 ○青木委員 はい、遺産分割を前提として単純承認するかどうかということも御本人では判断ができないので、そこについては未確定なので、確定させるために後見人を選任して、それで進めていくという理解だと思っています。 ○常岡委員 そこで後見人を選任した場合の起算点はどこからになるのでしょうか。 ○青木委員 後見人を選任したときからになると、現行法ではそういう理解になると思います。 ○常岡委員 ありがとうございます。 ○山野目部会長 常岡委員、ありがとうございます。   根本幹事は今の話に関連してですか。お願いします。 ○根本幹事 実務的な理解としては、選任されたときは審判確定日だろうとは理解をしています。私は手当てが必要だろうと思っているので、先ほど申し上げた、適切な権利行使を期待することが困難な場合とか、困難な方とか、くくり出しはできるのではないかと思ってはいます。実務は青木委員のおっしゃるとおりの理解ですが、規定は必要ではないかとは思います。 ○山野目部会長 分かりました。   遠藤幹事、お待たせしました。 ○遠藤幹事 今の議論の中で解消された部分もあると思いますが、常岡委員から、いわゆる相続放棄申述受理の実務がどうなのかとお尋ねいただきましたので、若干補足して申し上げますと、知ったときの起算点というのは、結局御本人の判断能力の程度との見合いによるというのは、大前提ということでありまして、その上で実際には、例えば相続税の通知が来るとか、そういったようなところを捉えて、知ったときということで運用しているというのが実情であるというのは、両先生に御紹介いただいたとおりかと思います。その上で事理弁識能力を欠く常況にある方、例えば完全に寝た切りで、全くもう身動きがとれないような方が受理申立てをするような場合というのは、実際実務でそういった例に遭遇する機会というのは少ないのですけれども、これも青木委員ほかが御指摘のとおり事理弁識能力を欠く常況にある方であれば、それは、後見を申し立てていただいて、後見人が就任してから相続放棄の手続なりをしかるべくやっていただくというのが一般的な運用ではないかと思われます。   その上で、この917条が仮に削除されるとなった場合に代替の規定を設ける必要があるかというのは、今のような実務の状況を踏まえて、その必要性を御検討いただければと思っております。 ○山野目部会長 青木委員、根本幹事におっしゃっていただいた家庭裁判所の申述受理の実務について、更に遠藤幹事から念押しのお話を頂いて、大変参考になりました。引き続きその心配があることを皆さんに共に悩んでいただきたいというお願いをしたい点は、家庭裁判所の申述受理の実務は理解することができますし、それは柔軟な頭でされています、外形的に知った時から3か月の経過であっても申述を拒むようなことはせず、知らなかったと認められます、というふうな、一言で言えば柔軟な処理をして、申述を受け取ってもらっていますというところは分かりましたけれども、家庭裁判所が柔軟ですということで話が済み、ここはそれを超えて本人の保護を考える必要がありません、と、話をもうそれで終わりにしてしまって大丈夫かというところで心配が残るところは、やはり常岡委員が繰り返し心配なさったように、法定単純承認が生じた場合ですね、どちらかというと。遅れて持っていった申述書類、遅れてきましたけれども、まだ遅れた扱いでなくて受け取ってもらえますねというところは多分、家庭裁判所が窓口で柔軟な処理をしてくれだと思うのですけれども、事情を知らずに何もしないでいる相続人がいたときに、被相続人が負っていた債務があって、例えば貸金業者からお金を借りていたというような債務があって、それを支払えという訴訟を貸金業者が提起する。家庭裁判所が扱うのではなく、こうなってきますと通常民事訴訟としてワ号事件として通常裁判所が扱うことになりますね。そこで相続人を訴えて、もう法定単純承認が生じています、あなたは債務を承継しました、支払え、という訴訟を起こされたときに、被告側の訴訟代理人が、いや、法定単純承認は成立していません、と陳述をして、先ほどから青木委員や根本幹事がおっしゃっているような法理論ですね、まだ確実に知ったという時から3か月経っていないから、法定単純承認が成り立っているという議論は原告、貸金業者が主張するようには成り立っていません、という主張をしていくであろうと思いますけれども、家庭裁判所の申述受理の処理が柔軟であるという発想とは別に、判決裁判所の通常民事訴訟の法廷でそれをして、そこで支障なく本人の保護が確保されていくであろうかということを考え始めると、いや、法理論として理屈は同じです、というお話になるであろうと思いますけれども、理屈が同じで民法上の規律は要りません、ああ、そうですか、やめましょうとしていくか、もう少し時間を掛けて議論しないと心配が残りますけれども、それは、あなたはそんな心配する必要ないという話ですか。 ○青木委員 実際にそういう訴訟を起こされるケースはよくあるのです。特に保証債務とかの場合によくありまして、おじいさんが抱えていた保証債務について孫が法定相続人になるため請求が来たような場合です。その孫に知的障害があって理解が難しいということがあるのですけれども、そのときには、まずはその訴訟において被告訴訟代理人に就任した上、今から後見開始の申立てをして相続放棄をするのでお待ちくださいとして、次の弁論期日を長めに期間を取っていただいた上で、家庭裁判所に後見開始の申立てをして選任された上で、後見人が相続放棄の申述をし、申述が受理されたら、それを乙号証として地裁の訴訟に提出をするということをします。ほとんどの場合、原告は取下げをされて終わりますし、取り下げされなければ、相続放棄があったということで請求が棄却されるということになると思われます。 ○山野目部会長 そうですか。それは筋は通ったお話ですね。分かりました。   引き続き今の点でもよろしいですし、ほかの点でもよろしいですけれども、いかがでしょうか。 ○加毛幹事 先ほどの佐久間委員の御発言に関して二つのことを申し上げたいと思います。直前の議論とは全く関係ない発言で申し訳ありません。   第1に、民法158条2項に関する私の発言について、現行規定の当否に関する問題提起を含むものなのではないかという御指摘を頂きました。これは全くおっしゃるとおりです。民法158条2項が現在のような形で良いのかという問題意識を有しています。民法158条2項については、根本幹事が挙げられた民法166条とは異なり、やはり本人の保護が重要なポイントであることを押さえておく必要があると思います。   そのことに加えまして、なぜ民法158条2項の見直しの必要性を感じるのかといえば、今回の成年後見制度の改正により、後見類型の利用を制限し、補助類型を積極的に利用することになるとすると、従前、補助類型があまり利用されていないために顕在化していなかった問題が顕在化することになるという事態も想定されます。そのような観点から、果たして民法158条2項が現在の形のままで良いのかという問題意識を持っていることを付言したいと思います。   第2に、民法159条につきまして、立法論として問題があるという債権法改正の際の御議論を御紹介頂きました。私も、検討委員会の末席に連なっておりましたので、佐久間委員がそのような立法提案をされたことを記憶しています。他方、私の問題意識は、自律を促すという言葉の怖さに注意を払った方がいいのではないかという点にあります。自律は、近代私法の中核的な考え方であると思われますが、例えば、近時の消費者法などの文脈において強調されるのは、自律や自己決定というものを、当該個人が置かれている社会的状況や他者との関係性などに基づいて理解すべきであるという理解です。関係的自律という概念も用いられるようになってきています。成年後見制度との関係では、関係的自律は、民法の外側で、例えばサポーター制度の充実などによって達成されることが目指されているのかもしれません。しかし、民法の中にも、それをサポートできるような規定を設けておくことが必要なのではないかと思います。   民法159条に関して、男女の自立を前提とした近代的な夫婦観を強調して、これを削除するという考え方に対しても、夫婦には様々な実態が存在し、ドメスティック・ヴァイオレンスのような事例までいかなくとも、配偶者に対する権利行使を期待できない場合は想定されるため、それをある種の理念で割り切って考えることに危うさを感じます。成年後見についても、実態を知らない立場で申し上げるのは恐縮ですが、やはり保護者が本人に対して支配的な力を行使するような場合もあるように思われます。その意味で、民法158条2項に関する私の問題意識も根幹は同じところにあると言えます。そのことを先ほどの佐久間委員の御発言との関係で、補足として申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。 ○山野目部会長 ありがとうございます。親族をどう考えるかという難しさにまで議論は行き着きました、と私が途中で申し上げた点は、今、加毛幹事がおっしゃっていただいたような見方、思想があるからでありまして、今それを加毛幹事に更に言葉に残す仕方で明瞭に語っていただきましたから、一層よかったと思いますけれども、これは対照的な見方があるということを踏まえて、今後も少し議論を深めていくということになるでしょう。   ほかにいかがでしょうか。   本日これまでの議論を顧みますと、婚姻能力と認知能力のところについては、恐らく大きな問題はないであろうというふうな御意見をたくさん伺ってきたところでありまして、本人を養子にする場合についても、若干検討を続けなければいけない側面がありますけれども、それに近いものであるかもしれません。それに対して、時効の完成猶予と遺言、それから相続の場合の熟慮期間、この三つが比較的大きいでしょうか。やはり何を考えなければいけないかということについて、本日の議論でお諮りしてよかったと感じます。かなり明確になった部分があります。   お話ししているとおり、民法の規定のこういう関連のところについて考え方を整理しないままに話が進むことはよくありません。秋になりますと大変忙しくなります。成年後見の本体のところの法文をきちんと起草していく作業に相当のエネルギーを割かれることになって、こういう関連するところは、そうなってしまうと、もう忙しいから適宜に事務局で考えてもらいましょうみたいな話になってしまいかねませんけれども、それは非常にまずうございます。そういうことがありますから、今日のこの御議論をこの段階でしておいてよかったと考えます。この後、これと同じような時間を取ることは難しいかもしれませんけれども、今日の御議論の記録が残っていれば、あとまた個別の委員、幹事に御意見を伺っていくというようなお願いも事務当局として重ねていくことができる、その取っ掛かりを得ることができました。   部会資料19について大変盛りだくさんの議論をしてくださったことに御礼申し上げます。もう少し委員、幹事にお声掛けをした後、久保委員、花俣委員にこの順番でお声掛けをします。民法の規定の誠に法律家しか分からないような議論をしているというふうな、と申したら、花俣委員が今深くうなずいていますけれども、そういう印象をお持ちでいらっしゃるかもしれませんけれども、実は言葉遣いは専門用語ですから難しいかもしれませんけれども、本人を保護者が養子にすることをどう考えるか、自由に認めてよいか、とか、本人が保護者に対して遺言で財産を与えるというようなことが、あってよいけれども自由に許していいか、とか、それから本人と保護者との間にお金の貸借りがあったようなときに、それについての権利行使が困難だけれども、時効の扱いについて何も手当てをしなくてよいか、とか、そういうふうなことについて議論をお願いしてきました。これは、やはり現場でも時として起こるというか、そういうところを考えましょうねという場面はあるわけでありまして、久保委員や花俣委員におかれて、難しい議論ですから結構ですと、もし今日の段階でお感じになるなら、今日の御発言はそれでも結構ですけれども、絵解きすると今のようなことを議論しているわけですから、そういうのであれば自分の身近な様子を見ていて、見落としてもらっては困る観点がありますというようなことをお話しいただく、今日に限らず、またこの後の審議に際してもお話しいただければ、この後、民法の関係する規定の改正について結論を得る際に大変に参考になりますから、やはりこういう議論にも参画していただきたいとお願いします。またお声掛けをします。   その前に委員、幹事から、この部会資料19について、なお残っているところを伺います。 ○星野委員 直接この19の部会資料ではなくて、青木委員が出された転用問題のところで、社会福祉士の立場で一言発言しておきたいと思います。転用問題ではないところでもいろいろ法改正する必要があるということを少し発言しておきたいと思っています。   といいますのは、今の改正の議論で行きますと、恐らく一番大きく変わらなければならないのが虐待の対応だと思っております。虐待を受けた方が、本人が明確に意思を表出できない場合は、今の改正議論の中で法定後見の方で対応するということもあろうかとは思いますが、明確に本人がそれを否定した場合には、この制度ではどうにも支援ができないということになってくると、これは虐待防止法の改正も含めた、いわゆる虐待を受けている方の保護というところを、今まで成年後見制度に投げているとまでは言いませんが、成年後見制度で何とかしてほしいという実態をたくさん見てきた中で、そうではないやり方を社会福祉の方でしっかりとやらなければならないというところを大きく気付かされておりますので、少し発言させていただきました。 ○山野目部会長 青木委員の御注意いただいた主要な3点に、更に加えて今、星野委員からの御注意を承ったことを記録にとどめることにいたします。   ほかにいかがでしょうか。 ○竹内(裕)委員 感想的なことで、議会資料19の遺言に関してなのですけれども、ここで966条が問題になっているわけですが、翻って973条に言及しますと、遺言の問題を考えたとき、被後見人に当たる方がどの程度の判断能力であるのかにも関わってくるとは思うのですが、973条も遺言の可能性を広げるという側面がある一方で、逆に後見制度を利用することで、方式違背で無効になってしまうリスクを同時に広げてしまうという側面があると思われました。もちろん保護という側面はあるのですけれども、その方の遺言を狭めてしまうのではないかと。結局、被後見人にとっての遺言をどう捉えるかというのは、機会を広げているのか、リスクを逆に広げてしまっているのか、なかなか悩ましい問題だと感想を抱いたところです。 ○山野目部会長 おっしゃるとおり、悩ましいと感じます。ありがとうございます。   ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。   それでは、久保委員、花俣委員にこの順番で御発言を頂きます。 ○久保委員 ありがとうございます。皆さんの議論はなかなか難しいなと思って聞かせていただいていました。例えば親族が後見人になったり、保佐、補助人になったりという場合、本当に正直なところ、よい親族ばかりではないというのが、同じ親族の立場の親でありながら、そういうことはもう身近でたくさん聞きます。そこがネックだと思っておりまして、そこをどうすればいいのかということ、それで、その人から金銭搾取をされているということも多々聞きますので、そういう部分をどう対応していけばいいのかというのは、被後見人をこの場合、守る方法というのを、今度の見直しの中でどういうふうになっていくのかということを、とても関心を持って見ているところではありますけれども、自分なりにもよく分かっていないというのがありまして、親族にきちんとしてほしいということを、私の立場ではないなと思いながら、今までずっと来ましたので、その辺のところをどうこの法律を解釈し、いかしていくのかということがとても重要なことになってくるなと思っています。それは例えて言えば、虐待を受けた場合もそうですし、今ほど御意見があった遺言にあってもそういうことが関連してきて、言えるのだろうと思いますので、その辺のところは少し悩ましくもあり、期待もしたいという思いもあって、お話を聞かせていただいております。 ○山野目部会長 ありがとうございます。悩みとおっしゃったところは誠にごもっともでありまして、本人を保護する措置を何も講じないと危ういな思われる側面が一方にありながら、しかし、危ういものを全部安全なものにしていきましょうという措置を重ねていくと、結局本人ががんじがらめに縛られて何も自由にはできないという状態にされてしまうというおそれもあって、ここのバランスをとっていくということについて、引き続き今日の議論を皮切りとして悩んでまいりますから、久保委員にも見守っていただいて、意見を寄せていただきたいと望みます。どうもありがとうございます。 ○花俣委員 ありがとうございます。先ほどの山野目部会長の絵解きのお陰で、非常に難しい議論が何だったのかというのが少し理解できたと思っています。あわせて、今回の改正の非常に重厚な議論のみならず、法務省にとどまることなく関連する様々な法、省令等々についても、きっといろいろ検討しなければならないことが山積みなのだろうということを改めて感じました。これから、そういった部署においても様々な検討が加えられ、あるいは正すべきところ、改正すべきところがきちんと整えられて、法定後見が有期であったり、スポット利用ができるようになっても権利擁護ということもきちんと担保されるような、仕組みになることにも期待していきたいと思いました。   以上です。 ○山野目部会長 ありがとうございます。花俣委員がおっしゃった、様々なところを関連して直さなければいけないでしょうというお話は、正にその様々というのはおっしゃるとおりでありまして、本当に様々です。今日、青木委員から主なものを三つ、そして、それだけではない、という意見書を出していただいて、星野委員からも更に虐待のお話を頂いたところでありますけれども、民法の改正の姿が見えてきたならば、もちろん他の府省が持っている法令の整合的な整備についても法務省からアナウンスが行って、それぞれのつかさつかさで検討してもらえるだろうと期待しています。それはかなり物理的な分量のある仕事になるであろうと予想しています。   加えて、私が今心配しているのは、まだしも国の法令は見通しが出てくれば法務省からのアナウンスによって各府省、霞が関が一所懸命動いて手直しする法律案を国会に出していくのだと予想しすけれども、地方公共団体の条例の中には先般、弁護士とか司法書士ができなくなるという規定を改正したときの関連の改正がされなくてはいけないような部分も、いまだに手付かずでそのまま残っているようなものが時々あります。まして今回、更に大きな手直しをしたときに、地方公共団体の条例で、国の法令で委任されているものはまだ主務府省から連絡があって調整が進むと予想しすけれども、各地方公共団体が独自のアイデアで定めている条例はいつまでも、例えば、仮に後見が変わるとすると、昔の後見の規定が残っていくというようなことが起こりがちであると心配しておりまして、それはかなり数としては多そうな予感もいたします。どのような対策でそこをきちんと手当てしていくのかということが悩みですけれども、でも、そこも一所懸命に当該各方面に知らせ、してくださいというお願いをしていくほかありません。そのようなところは、花俣委員におかれても折々、お気付きのことを御指摘いただければ有り難いと考えます。どうもありがとうございました。   本日、部会資料18と部会資料19について審議をお願いし、皆様に熱心な審議を頂きました。本日の内容にわたる審議はここまでといたします。   今後の予定につきまして、波多野幹事から御案内を差し上げます。 ○波多野幹事 本日も長時間にわたりまして御審議賜りありがとうございました。今後の予定について御説明いたします。   まず、中間試案の関係でございます。今後、所要の準備、手続を経まして、本日取りまとめていただきました中間試案に加えて、事務当局において補足説明を作成し、これを公表してまいります。その後、パブリック・コメントの実施ということになりますが、できるだけ早期の開始を目指して鋭意、事務当局としては事務作業を行ってまいりたいと思っております。意見募集の期間、パブリック・コメント期間でございますが、2か月程度を見込んでいるところでございます。   それで、この期間における部会の開催につきましては、パブリック・コメントにおいて示している論点について部会で本格的に御議論いただくということは適当ではないという面がございます。他方で、本日の部会資料19について御議論いただきましたように、パブリック・コメントと同時並行で検討を進めていただくことができる論点もあるように思っておりますので、パブリック・コメント期間中も審議をお願いしたいと思っているところでございます。また、関係団体等へのヒアリングも実施をしたいと思っておりまして、どのような方からお話をお聞きすることができるかについて調整中でございます。そのため、今後の当面の予定としましては、6月24日の会議は開催しないということにしたいと思いますけれども、その後予定しております7月8日の会議につきましては予定どおり開催することを考えております。   したがいまして、次回日程は令和7年7月8日火曜日、午後1時30分から午後5時30分まで、場所は法務省地下1階の大会議室でございまして、内容は、ヒアリングの調整ができましたらヒアリングということも考えておりますけれども、ヒアリングの予定等を見ながら、補足的な検討をいただくようであれば、部会資料を事前にお送りして、御議論をお願いするということでお願いしたいと思っております。 ○山野目部会長 ただいま波多野幹事から差し上げた今後の案内を含め、それ以外の点でもよろしゅうございますけれども、何かお尋ねや御意見がおありでしょうか。   よろしいでしょうか。   それでは、これをもちまして民法(成年後見等関係)部会の第21回会議を散会といたします。どうもありがとうございました。 -了-