法制審議会 民法(遺言関係)部会 第11回会議 議事録 第1 日 時  令和7年7月15日(火) 自 午後1時30分                      至 午後4時06分 第2 場 所  法務省大会議室(地下1階) 第3 議 題  民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案(案) 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは、定刻になっておりますので、法制審議会民法(遺言関係)部会の第11回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。   本日の審議に先立ちまして、部会長代理の指名を行いたいと考えております。令和6年4月の第1回会議におきまして、部会長である私が会議に出席することがかなわない場合に備えまして、部会長代理として既に沖野委員を指名させていただいているところでございます。しかし、沖野委員におかれましては、他の御公務との関係上、近日中にこの部会の委員を退任される御意向とも伺っております。部会長代理につきましては、複数の委員の方にお引き受けいただくということも支障ないと考えられますところから、本日の時点では沖野委員に加えてという形で、小粥委員を部会長代理に指名させていただきたいと思います。小粥委員におかれましては、お引き受けいただけますでしょうか。 ○小粥委員 はい、非力ではございますが務めさせていただきます。 ○大村部会長 ありがとうございます。それでは、以後、小粥委員に部会長代理をお願いするということで進めさせていただきたいと存じます。   それでは、本日の審議に入ります前に、配布資料と本日の進行についての説明を事務当局の方からお願いをいたします。 ○戸取関係官 本日の配布資料として、部会資料11-1「民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案(案)」、同11-2「前回資料からの変更点」、同11-3「民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案(案)の補足説明」がございます。  このうち部会資料11-1は、中間試案の案という表題のとおり、この部会で中間試案として取りまとめの対象となる部分でございます。  部会資料11-2は、部会資料11-1と本文(ゴシック体部分)は同じですが、補足説明として部会資料10から変更した箇所の説明を付したものです。こちらについては、後ほど審議の中で事務当局から御説明いたします。  部会資料11-3は、部会資料11-1、11-2と本文(ゴシック体部分)は同じですが、補足説明として、中間試案として取りまとめた場合に事務当局の責任で付させていただく予定の内容の現時点のものを記載したものです。なお、部会資料11-3の末尾には「自筆証書遺言と新たな遺言の方式(普通の方式)の各案との比較」という一覧表もお付けしております。これは、これまでの会議において、甲、乙、丙の各案の内容を比較した分かりやすい表などがあれば望ましいとの御意見があったことを踏まえて、第9回会議の参考資料9の記載内容を発展させたものでございます。中間試案の取りまとめが行われた場合には、この一覧表を補足説明に含めることが考えられるという位置付けのものでございます。  また、席上のタブレットには、委員等名簿及び議事次第を格納しております。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは、本日の審議に入りたいと思います。事務当局の御説明にあったとおり、部会資料11-1、11-2及び11-3の本文(ゴシック体の部分)は同じ内容のものでありますけれども、便宜上、部会資料10からの変更について説明が付されている部会資料11-2を使って以下、御説明をしていただきたいと思っております。その上で、本文(ゴシック体部分)を中心とした御議論をお願いしつつ、11-3の補足説明の部分につきましても、末尾の一覧表を付けるという点、その他の記載内容も含めまして、特段の御指摘があれば伺いたいと考えております。   本日の進め方でありますけれども、第1の部分、普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式の創設という部分と、それから、第2から第5までの部分、自筆証書遺言の方式要件の在り方、秘密証書遺言の方式要件の在り方、それから特別の方式の遺言の方式要件の在り方及びその他、大きくこの二つに分けて御議論を頂きたいと思っております。議論が尽きました場合には、中間試案の取りまとめというのをさせていただきたいと考えているところでございます。   まず、事務当局の方から部会資料11-2の第1の部分につきまして御説明をお願いしたいと思います。 ○小川関係官 部会資料11-2の1ページから御説明をいたします。変更箇所を中心に御説明いたしますけれども、ゴシック体の下線を引いている部分が前回の部会資料10からの修正あるいは追記をした部分です。それぞれの変更箇所を補足説明に記載しております。以下では、主な修正点について申し上げます。   まず、柱書きの部分ですけれども、ゴシック体の本文は1ページ、補足説明は6ページを御覧ください。前回資料では、各案の位置付けについて甲案及び乙案の方式を創設することを中心としつつ、これに加え丙案の方式も創設することの要否も併せて引き続き検討するとしておりました。しかし、前回会議において、この点について、甲1案と乙案の方式を創設することを中心に検討することについては賛成しつつ、乙案を創設するのであれば、これと共通する丙案も十分に採用し得るとの御意見や、各案に順位を付すのではなく、並列のものとしてパブリック・コメントに付すべきであるとの御意見を頂きました。そこで、その前の資料、部会資料9での表現ぶりに戻す形で、各案を対等に併記し、甲案から丙案までの案の一つ又は複数の規律を設けるものとするという提案に修正をしております。   次に、甲案、乙案、丙案の各見出しの部分ですけれども、前回会議において、各案の特徴を踏まえた分かりやすい見出しにすべきとの意見を頂きました。そこで、それぞれの見出しにつき、甲案を遺言の全文等を電磁的記録により作成し、遺言者による全文等の口述を録音・録画等により記録して遺言する方式とし、乙案を遺言の全文等を電磁的記録により作成し、公的機関で当該電磁的記録を保管する方式と、丙案をプリントアウトするなどして遺言の全文等が記載された書面を作成し、公的機関で当該書面を保管する方式と修正しており、遺言の本文に係る部分が電磁的記録なのか書面なのか、また、真意性、真正性の担保等を図るための中心的な要件は何かを表す見出しとしております。   次に、(前注1)ですけれども、こちらは形式上や表現上の修正をしておりますけれども、実質的な変更はございません。   それから、(前注2)は今回新たに記載を追加したものです。電磁的記録の用語について法令上、電子的方式、磁気的方式、その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものと定義されるものと、電子的方式、磁気的方式、その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録と定義されるものがあることから、それらを踏まえまして、各案における電磁的記録の指すものが明らかになるよう注釈を追記したものになります。具体的な法文の書き方については、引き続き検討させていただきたいと考えております。   次に、甲1案についてですけれども、本文については1ページ、補足説明は7ページ以下を御覧ください。まず本文①、②については、下線部がございますけれども、表現上の修正をしたもので実質的な変更はございません。また、前回会議において本文の(注2)の電子署名を行うことができる主体を遺言者に限るのか、遺言者以外の者も含めるのかを明らかにする必要があるとの御指摘がありました。この点について、本文の(注2)で電子署名を行うものとする理由は、本文①の電磁的記録が遺言者の意思に基づくものであるということを事後的にも明らかにするためであることからしますと、遺言者以外の者が電子署名を行うことは相当でないとも考えられましたので、遺言者が電子署名を行うということを追記しております。もっともこの点については、遺言者が電子署名を行うとした上で、遺言者の意思に基づいていればよいとする考え方もあり得るかとは思います。   さらに、前回会議では甲1案においても、本文①の電磁的記録に電子署名を行うことを要件とすべきとの御意見がありました。この点、甲2案については、本文①で電子署名を行うことを要件としております。甲2案では、民間事業者がその後の口述の記録の場面で関与することになるため、電子署名に係る電子証明書の失効情報を直ちに確認することを容易になし得るのに対し、甲1案では、証人が立ち会うことにはなりますけれども、必ずしも証人がデジタル技術に明るいわけではないということも念頭に置きますと、この失効情報の確認というのを要件として課すことが、遺言をする際に過大な負担になる可能性もあり得ることから、引き続き検討すべき課題であるとして、甲1案の(注2)に記載するにとどめています。   次に、(注6)ですけれども、こちらは(注2)とも関わりますけれども、前回会議での御指摘を受けて、本文①、④の各電磁的記録に電子署名等の改ざん防止措置をとるべきかどうかというのを引き続き検討する旨、記載をしております。   続いて、(注7)ですけれども、遺言書の検認の規定について、甲1案の方式によりされた遺言にも適用される旨、記載をしております。前回会議で、従前甲2案にのみ記載していた遺言執行の際の検討課題というのは甲1案にも妥当する旨の指摘がございましたので、これを追記するとともに、同じく前回会議での御指摘を踏まえまして、現行の検認手続の目的を踏まえた検討が必要であるという旨を追記しているところです。   次に、甲2案についてですけれども、本文については2ページ、補足説明については9ページ以下を御覧ください。まず、本文①についてですけれども、電磁的記録に記載すべき事項に遺言者の氏名を追加するという修正をするとともに、これを踏まえまして本文の(注1)にも同様の修正をしています。また、前回資料では本文①で当該電磁的記録が改変されているかどうかを確認することができる措置その他の当該電磁的記録が遺言者の作成に係るものであることを確実に示すことができる措置を行うとしつつ、(注2)で、この措置として電子署名を想定している旨、記載をしていました。前回会議では、電子署名の中にも様々なものがあるところ、その内容を具体的に検討すべきとの御指摘がありました。この点については引き続き検討すべきかと思いますので、現時点では法文上の定義を置かず、単に電子署名とのみ記載することとしております。(注2)については、このような修正を受けて従前の記載を削除しています。その上で、甲1案の(注2)において御説明した点と関係しますけれども、甲2案では、民間事業者において電子証明書の失効情報の有無を確認することも考えられる旨を追記しています。  さらに、本文②についてですけれども、遺言者が口述すべき対象が①の電磁的記録に記録された遺言の全文であるということを明記する修正をしています。   次に、(注4)です。甲1案や乙案などと同様、できる限り幅広い国民が新たな方式による遺言をする機会を保障するという観点から、甲2案についても口述を要件としておりますので、遺言者が口がきけない者であった場合には通訳人の通訳により口述に代えるものとする旨の規律を設けることが相当であると考えられます。もっとも、その具体的な規律は、本文③の口述をどのような措置の下で行うかを踏まえて検討する必要があることから、その旨を追記しています。   (注5)については、前回会議において前回資料の本文③で記載されていた、遺言者以外の者が関与しない状況の下という要件は、要件として定性的に記載することができる一方で、これを具体化する方策を定めることは容易ではなく、記載するとしても、より具体的に記載すべきとの御指摘がありました。法文上の書き方は今後検討しなければならないと考えておりますけれども、本資料では実質的な内容を明らかにするため、本文③では、遺言者の周囲に遺言者以外の者が立ち会わない状況の下においてされたことを明らかにする措置をとることを明記した上で、本文の(注5)で、その具体的な方策として、口述を開始する時点で遺言者の周囲の状況を撮影した画像を記録することとしたり、民間事業者がウェブカメラ越しでこれを確認したりすることを例示しています。   次に、(注7)ですけれども、前回資料の甲2案の(注)で提案されていたα案に対して、前回会議では、遺言者は民間サービスを利用する時点で当該サービスが技術水準を満たすものであるか否かを判断して遺言をしますけれども、事後的に当該サービスが技術水準を満たしていないと判断された場合には遺言者にとって不測の事態が生じ得るなどの御指摘がありました。そこで、本資料ではα案を削除し、従前のβ案を中心とした記載に修正をしております。   (注8)についても修正をしておりますけれども、修正の趣旨は甲1案について述べたものと同様になります。 ○戸取関係官 続きまして、乙案について前回資料からの変更点を御説明いたします。本文は4ページ、補足説明は11ページ以下の記載となります。  本文①及び②について、前回資料でも、遺言者が遺言に係る電磁的記録に電子署名を行うこととしておりましたが、その点について、丙案との平仄を合わせ、本文②ではなく本文①に記載することとしております。また、本文②から⑤まで及び本文の(注2)から(注4)までについて、前回会議では保管の申請手続の具体的な内容を明らかにすべきとの御指摘があったことを踏まえ、遺言書保管法の申請手続に関する規律等を参照し、表現等を修正しております。この点に関して、前回資料では遺言者が申請情報にも電子署名を行うこととしておりましたが、乙案では公的機関の職員が遺言者と口頭等でのやり取りをしてその真正性等を確認することができることを踏まえ、当該情報に電子署名を行うことまでは求めないこととしております。また、公的機関が遺言に係る電磁的記録を保管する前提として、保管の申請手続が方式要件に従って行われたことが求められることとなると考えられるため、その観点から本文⑤の表現を修正しているほか、前回会議での御指摘を踏まえて、「口授」との表現を「口述」に改めております。さらに、前回会議ではウェブ会議の方法によることの相当性等について今後重点的に議論すべきである旨の御指摘がありましたので、その旨を本文の(注5)に追記しております。   続きまして、丙案については、乙案と同様の趣旨で変更しておりますほか、本文の(注1)について、前回会議では本文①の「全文が記載された遺言書」に、第三者が全文を自書した場合を含むかどうかについて御指摘があったことを踏まえ、そのような場面も含む趣旨を明らかにする観点等から表現を修正しております。   12ページ以下の2では、保管制度の在り方について記載しております。前回会議では、遺言書について、どの範囲で一元的に検索できるのか明らかにすべきである旨の御指摘があったことを踏まえまして、13ページの(注1)において、新たな方式の遺言の保管が法務局で行われる場合には、法務局において保管されている自筆証書遺言と一元的な検索を行うことができること、その検索とともに公証役場で保存されている公正証書遺言等の検索を行うこととなると考えられることを記載しております。   13ページの3では、日付について記載しており、本文(1)の保管制度の対象としない場合の作成日について、その内容を明らかにする観点から、真実遺言が成立した日であると明記する修正を行っております。   14ページの4では、加除その他の変更、撤回について記載しております。(2)の撤回に関し、保管の申請の撤回をしたときでも遺言に係る情報は消去しないものとするC案について、撤回された遺言の情報について誰でも閲覧等をすることができる状態にあるのかどうかを明らかにすべきである旨の御指摘があったことを踏まえ、(注)として、当該情報は特別な事由がある場合に限り閲覧の請求を認めるものとすることが考えられる旨記載しております。   部会資料11-2の第1についての御説明は以上となります。 ○大村部会長 ありがとうございます。前回資料からの変更点について御説明を頂きました。全体については、甲案、乙案、丙案の3案を併記の形に戻していただいたということと、それから、各案の見出しを実質を表すようなものに改めていただいたといったことだったかと思います。各論的な問題につきましては、甲1案、甲2案について中心的な御説明があったかと思いますが、電子署名の扱い、あるいは検認の扱い、それから甲2案で問題になっておりました、周囲に立ち会う人がいないというような部分をどうするか、それと、併記になっていたα案、β案の問題、こうしたところにどのように対応したかといったようなことについて御説明があったものと受け止めました。   第1の部分につきまして、皆様の御意見を伺いたいと思います。御質問も含めまして、御意見のおありの方は挙手をお願いできればと思います。どなたからでも結構でございます。 ○隂山委員 隂山でございます。第1の1での御提案につきまして、前回部会の議論を踏まえ、フラットに意見を問うことにつきまして賛同いたします。   中間試案に向け、記載ぶりについて何点か御意見申し上げます。甲2案の(注2)で、電子証明書の失効情報の有無を確認するという御記載があります。趣旨としては、電子署名に係る電子証明書が失効していないかの確認を行うことであると捉えておりますが、読み方によっては失効情報自体が存在するか否かの確認とも捉えることができるように感じました。そのため、電子証明書が失効していないかを確認するであったり、電子証明書の失効情報の提供を求めるといった記載ぶりも考えられるように思われます。   また、乙案及び丙案の⑤では、保管の申請手続が①から④までに従って、とされておりますが、保管の申請手続自体は②から④までに記載されているようにも思われます。①の要件を満たしている必要があることは大前提ですけれども、①から④までとする場合、保管の申請手続が、という文言が適切であるか否かは検討が必要であるように思われます。あわせて、乙案及び丙案の(注2)では、申請情報とは遺言者の氏名、出生の年月日、住所、本籍等とされておりますが、申請情報についてはこれらの内容を記録又は記載した情報が申請情報になると思われるため、書きぶりについて検討が必要ではないかと感じました。   2点、御質問させていただきたい点といたしまして、乙案及び丙案の③で公的機関における本人確認調査義務を明記いただいておりますが、これは②の保管申請をしたタイミングで行われることが想定されているのか、それとも④の出頭又はウェブ会議の方法によって行うことが想定されているのか、現時点のお考えがございましたら御教示賜れればと存じます。   また、乙案及び丙案の(注2)の申請情報については、遺言書保管法第4条第4項第2号に倣った内容を想定していると理解すればよろしいでしょうか。 ○大村部会長 ありがとうございます。隂山委員からは、3案をフラットに記載するということについて賛成であるということと、書きぶりについての3点の御指摘、そして最後に御質問を2点頂いております。書きぶりについては事務当局の方で御検討いただくということにいたしまして、質問が2点ございましたので、それらについて御回答いただければと思います。 ○齊藤幹事 御質問のうち、本人確認をどのようなタイミング、どういう在り方で行うことが想定されているのかという点については、現状では、別々の機会にということと、口述等の手続と一体としてということと、両様あり得ると考えております。他方で現行の自筆証書遺言書保管制度におきましては、保管の申請の手続、それからその後の一連の手続が一体のものとして行われている状況もございますので、それを踏まえればそれに近い、つまり一体のものとして同じ機会にということが考えられる一方で、現時点でそこまでは絞り込んでいないということと理解しておりました。   それから、今回、乙案、丙案ともに手続の内容を分かりやすく書き下ろしたつもりですが、その際には遺言書保管法の在り方を踏まえてお示ししているという理解でございます。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。 ○隂山委員 はい、ありがとうございます。 ○大村部会長 ほかにはいかがでしょうか。 ○萩原委員 萩原でございます。私は丙案に関する点と、ウェブ会議に関する点、これは乙案に特に関係するかと思いますが、そこを中心に申し上げたいと思います。   前回の会議以降、甲案、乙案、丙案の並列と、方向性について異論を述べるものではございませんが、今回、丙案の中で、前回は電磁的記録、要するに電子計算機等で作成しプリントアウトして、そしてその書面を保管機関の前で遺言者が全文を読み上げて、そして保管に付すということでありましたが、今回は遺言者本人以外の者も含めまして全文を手書きをした、つまり電磁的記録を利用せずに作成した書面、これも丙案の中に入っております。   今回のコンセプトでございますけれども、これは令和4年6月7日の規制改革実施計画、ここで社会のデジタル化の基盤整備に関する規制改革事項の一つということで、この自筆証書遺言制度のデジタル化ということが挙げられて、それで法務省は、国民がデジタル技術を活用して、自筆証書遺言と同程度の信頼性が確保される遺言を簡便に作成できるような措置をとると、これがコンセプトであったわけです。ところが丙案で、本人あるいは本人以外の者がとにかく手書きした書面も受け入れるということになりますと、このデジタル化というそもそもの出発点であるコンセプト、この点でいかがなものであろうかと。丙案というものをどこまで広げるかと、場合によりましては、丙案というのはそもそもどうなのだろうかという指摘を受けかねないように思うところでありますので、この点は慎重に検討する必要があるのではないかというのが1点でございます。   次に、ウェブ会議の方式の活用、例えば乙案で、電磁的記録で作成した遺言書を保管機関に送り、そしてウェブで遺言者がその全文を読み上げるということでございます。そういうことについては基本、問題はない、ウェブ会議を否定することは全くないと思うのですが、ウェブ会議に関しましては、私ども、電子公正証書の作成時に、皆様御案内のとおり、公証実務のデジタル化に関する実務家との協議会で非常に慎重な、つまり、特に高齢になった遺言者がほかからの影響を受けていないかについて、本当に面談せずに、つまり画面の向こう側から確認するだけで本当に大丈夫なのだろうかと、慎重であるべしという意見が出まして、私も実務者の協議会の委員でありましたので、そこの意見は聞いております。必ずしも公正証書と比較するわけではございませんが、このウェブ会議の場合、周りに誰がどういう影響を与えているかというのは、その周りをぐるっと撮影したからといってすぐ分かるのだろうかと、なかなか問題があるところでございます。   そこで、ウェブ会議の相当性の判断を保管機関の職員が判断すると、そうなりますと、やはり相当性を慎重に判断することになるのかどうか、それは可能なのかということでございまして、そこで一つ申し上げますのは、現在、電子公正証書のデジタル化との関係で、ウェブ会議を行うかどうかの相当性の判断におきまして、必要性と相当性と、これが法務省の通達でかなり具体的に記載され公表されると、これは10月よりも前に、夏には通達が恐らく公表されると思うものですから、そういう通達に記載された相当性判断の、そういう基準をひとつ十分参考にして、直接の面談ではなくウェブ会議を行う上での対応というか、それを慎重に検討する必要があると考えております。   取りあえず、私からはその2点を申し上げます。 ○大村部会長 ありがとうございます。萩原委員からは冒頭に、甲案、乙案、丙案の3案を今の段階で併記するということについて異論があるわけではないという御発言の後、具体的な問題として、丙案において手書きのものも含むということでよいのだろうかという御疑問と、それから、ウェブ会議の利用については慎重に考える必要がある、相当性の判断基準というのを具体化するということをこの先考えていくべきではないかという御意見を頂きました。萩原委員に御確認したいのですけれども、ウェブ会議の方はこの先、検討するということでこの資料もできているかと思いますので、今の御発言の内容に照らした形で、またこの後の会議でも具体的な御指摘を頂ければと思っております。丙案につきましては現在、この案がございますけれども、この案としてはこれでよろしいということなのか、この案の段階でやはり修正を加えた方がよいという御意見なのか、その辺りについてはいかがでしょうか。 ○萩原委員 私の意見は後者でございます。少なくともプリントアウト、電磁的記録で作成してプリントアウトしたという、そういうコンセプトは残しておかないと、少し丙案というのは本当にどうなのだろうかと思われてしまうのではないかというのが私の意見でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。何らかの形で電子機器が関わっているということを残しておく方がよいのではないかと、こういう御意見として承りました。   そのほか、いかがでございましょうか。 ○石綿幹事 幹事の石綿です。細かいところでありますが、甲1案の(注1)の部分で、遺言者の指示を受けた者は全文、日付、遺言者の氏名を記録することが許容されると記載されており、ここだけ卒然と読むと、証人の氏名とその他証人を特定するに足りる事項に関しては遺言者が書かなくてはいけないと逆に読めるようにも思います。恐らく補足説明などを見るとそのような趣旨ではないのではない、つまり証人の氏名等も遺言者以外の者が記録可能かと思いますが、私の理解でよいのかということを確認させていただければと思います。 ○大村部会長 まず、御質問ということなので。 ○齊藤幹事 甲1案の(注1)につきまして、特段積極的な意味で、本文の①のうちの証人の氏名その他証人を特定するに足りる事項を除いたという趣旨ではないところですので、今の御指摘は踏まえる必要はあるかと思いますが、現状ですと、(注1)では特に明示して、遺言者の氏名というところまでを書き出しております。 ○大村部会長 よろしいですか。 ○石綿幹事 大丈夫です。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○戸田委員 甲2案の本文①が前回から変わっているところがございまして、その点について少しお聞きしたいと思います。①で本人の身元確認に関して、前回の資料ですと、「遺言者の作成に係るものであることを確実に示すことができる措置」と書かれてあったのですけれども、これが「電子署名を行うこと」という形で、かなり明確な、限定的な形で書かれています。現状においても、こういったオンラインの方式で身元確認を厳格にやる場合、例えば口座開設等の際には、電子署名だけではなくて、電子署名に使うICカードのチップの中に入っている顔画像と顔照合をやるというようなこととか、「右を向いてください」とか、「まばたきしてください」とか、そういったランダムな指示にきちんとこたえているかみたいなところを画像で確認するといったようなことが技術的に使われている状況でございます。このため、電子署名だけで本当に十分なのかというのが一つ疑問にあるところでございます。   さらに、これからいろいろな技術的な脅威がどんどん出てきます。具体的には、既に量子コンピューターが実現されることを想定して、暗号化された文書を集めて、量子コンピューターができたら一気にそれを解読して改ざんするといったようなことを企てている人もいるというような状況です。このような中で、電子署名に限定した形で果たして将来的にも大丈夫かというような疑問も出てこようかと思いますので、これは前回の、より広範に捉えるような書きぶりの方がよかったのではないかと思います。こういった考えがあるのですけれども、こういった形に改変した理由をお聞かせいただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。御意見と併せて、前回と書きぶりが変わっていることについて理由を伺いたいという御質問がありましたので、その御質問の部分についてお答えをお願いいたします。 ○齊藤幹事 甲2案の①につきまして、まず一つ目の、顔貌認証やランダムな動作を交えての確認等、これを行う必要はないのか、そこは含まれていないのかという御質問がございました。この点に関しましては、本文の表現の中でいいますと、①ではなくて③の中の特に後半、遺言者以外の者が②に定める口述をすることができないようにする措置をとること、ここについて(注5)ということで記載もしてありますので、そこには顔貌認証ですとか振る舞い認証というような例示も挙げてありますので、戸田委員がおっしゃる部分は要らなくなったと考えたというよりは、表現のすみ分けの関係で③で表現されているということかと思っております。   それから、措置の内容を具体的にというか、中身を書き下ろした形であったものを電子署名という4文字に改めたことに関しましては、最終的には法制上の文言の書きぶりをどうしていくかという問題かと思っております。つまり、今回の部会資料では分かりやすさを優先して電子署名ということを明示しておりますが、そこに関しましては前回の資料の、「電磁的記録が改変されているかどうかを確認することができる措置その他の当該電磁的記録が遺言者の作成に係るものであることを確実に示すことができる措置」との要素を含むような措置であるということはやはり必要になってくるかと思いますので、御指摘の点は、表現ぶりとしてどちらを選ぶのがいいかということになるのかと思っております。 ○大村部会長 よろしいですか。 ○相原委員 相原でございます。甲2案に関連してです。私は前回のときかその前の書き方について、抽象的には分かるのだけれども、具体的なことが書かれていないのではないかというような意見を申し上げた記憶がございます。そして、今回の書きぶりについて、これ以上は現段階では難しいのかなと感じております。後に出てくる、民間事業者なりが何らかの対応、技術なり何なりを用いてそこを担保するということを想定していることとの合わせ技なのだろうとすると、誰かが立ち会わないというよりも、その本人がきちんと真意を言っているということが担保できるようなサービスないしシステムといいますか、それが構築されるということを暗に含んだのが今回の甲2案であろうと、拝見して思いました。   それとの関係で、質問です。補足説明のところにもあるのですけれども、民間事業者のサービスを主務大臣が認定するという言い方を今回(注)のところで記載されているのですけれども、一方、補足説明ではシステムを認定すると記載されており、この場合、サービスもシステムも同じことを意味しているという認識でよろしいかどうかというのを質問させていただきたい。   それと、あとは民間事業者を特段認定するのではなくて、民間事業者が提示するサービスなりシステムなり、具体的な録音・録画サービスみたいなことになるのかどうか分からないですけれども、そういうことを想定していらっしゃるという認識でよろしいでしょうか。そこを教えてください。 ○大村部会長 ありがとうございます。相原委員の最初の方の御意見は、その前の戸田委員の御意見とも関わりますけれども、今回作られている中間試案(案)というものの書きぶりに関わる話かと思います。具体的に書いて、十分に技術的ではないかもしれないけれどもある程度皆さんにイメージを持ってもらう、そういう要請と、最終的に法文にしたときにどのように書くのかという要請と、両者を調整するような形で書かれておりますので、全てのところが必ずしも同じ考え方で書かれていないというところがあろうかと思いますけれども、中間試案の段階ではこれでよいかどうかということにつきまして、皆様にはお考えを後でまたお聞かせいただければと思います。その上で、全体として民間事業者の適切なサービスなのかシステムなのかというお話がありましたけれども、それに依存するところが大きいという御指摘があり、このサービス、システムに関わる点について御質問を二つ頂いたかと思っております。その御質問のところについて、もし何かあれば。 ○齊藤幹事 御質問のうち、サービスという言葉とシステムという言葉について、特段厳密な使い分けを意識することができていたかというと、そういうことではございませんので、基本的には同じものを指しているという認識の下、文言の揺れがあれば、そこは整えたいと思っております。   それから、民間事業者が提供するサービスのイメージということについては、委員がおっしゃられたような御認識で特に違いはないのかなとお聞きをいたしました。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。   ほかにはいかがでしょうか。 ○小粥委員 私もこのフラットな形で甲案、乙案、丙案を並べて皆様の御意見を伺うという形で、基本的にはよいのではないかと考えております。   丙案につきまして先ほど萩原委員から、デジタル化という大義名分の下でやっているけれども、自筆のものも含まれるということでいかがなものかという疑問の御提示がございました。これが主としてやはりプリントアウト型を想定しているということは、これまでの審議の経過からも明らかだと思いますので、あえて積極的に排除しなくても、そんなことをする人はほとんどいないような気もしますし、案自体はこれで、特段このままでも構わないのではないかと思うというのが、まず第1点でございます。   あと細かいところで三つ、本当に細かいところばかりで恐縮なのですけれども、一つ目は全体の遺言者の口述の範囲に関する疑問でございます。甲1案ですと②、甲2案ですと②、乙案と丙案だと④のところなのですけれども、甲1案の②だけは口述の範囲に氏名が含まれているのですけれども、甲2案と乙案と丙案は口述の範囲に遺言者の氏名が含まれていなくて、これは何か意味があるのか、意味があるとすれば、それはなぜかというのが一つ目でございます。これは太字に関わることなので、細かいながら申し上げたということでございます。   続けて恐縮ですが、二つ目は証人の欠格事由の規定で、これは民法に規定なり準用規定を設けるということだと思うのですけれども、補足説明にはそのことが明示されているのですけれども、明確に規定を設けるないし準用規定を設けるということですと、これを中間試案に正面から掲げなくてよいのかどうかというのが、これは確認のお尋ね、それが2点目でございます。   恐縮ですが三つ目で、これは中間試案の中身に関わるというよりは補足説明の書きぶりに関わることなのですけれども、甲2案で民間事業者というのが出てまいります。すごく単純に甲1案と甲2案の違いを私なりに理解するところによりますと、証人による信用性の担保みたいなものを民間事業者のサービスで代替するということだと思うのです。そのことについては補足説明の冒頭部分で書かれているのだろうと思います。補足説明22ページの22行目から23行目で、それは今私が理解したところの中身を書いておられるのだと思うのです。疑問があるのは民間事業者の提供するサービスの範囲でございまして、補足説明の23ページの16行目では、民間事業者が関与する範囲というのは本文②の口述を記録する際に必要とされるうんぬんとございます。しかし、電子署名の部分も民間事業者のサービスのような気がするわけです。もしそうだとすると、少なくとも信用性担保を代替する手段としては①の電子署名プラス②となるところだと思うのです。しかし、民間事業者のカバーする範囲というのは②のところで、①が含まれていないということになります。更に申しますと、民間というと、証人2人も民間人だと思うので、そうすると、ここであえて民間という言葉を使うということの意味が少し分かりにくくなってきて、それは証人による、人間2人による信用性担保ではなくて、電磁的な技術による信用性担保で代替しようとしているのかというような気もしてまいります。ですので3番目の趣旨というのは、民間事業者が担うサービスの範囲について、②だけと書いてあるけれども①も含まれるのではないか、そしてもう一つは、民間ということの意味が少し分かりにくくて、もしかしたら技術的なということなのかもしれないけれども、少しここを整理するのは難しそうな気がして、しかも補足説明の問題でありますので、ここでは一方的に言いっ放しで結構ということでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。小粥委員からは、先ほど萩原委員から御指摘のあった丙案の対象範囲につきまして、手書きのものが含まれるというのは、周辺的なものとして含まれるということであって、主として対象にしているのはデジタル技術を媒介としたものであるので、現在の案としてはこのままでよいのではないかという御意見だったかと思います。ほかに御質問が3点あって、3点目は補足説明に関わるもので、民間事業者の関与の範囲について整理をする必要があるのではないかという御指摘でしたが、残りの2点がゴシックに関わる御質問だったかと思います。一つは、口述の範囲がそれぞれの案で一致していないのではないかという御指摘、それからもう一つが、証人の欠格について、補足説明には説明があるとしても、中間試案のゴシックに掲げる必要はないのだろうかという御質問だったかと思います。御質問2点について、もし何かあれば。 ○齊藤幹事 1点目の、甲2案、乙案、丙案の口述の範囲に氏名が特に明示しては含まれていないけれども、その点にどういった意味があるのか、ないのかという御質問に関しましては、まず、氏名を甲2案、乙案、丙案では含ませていないということに積極的に何か意図した意味があるかというと、現状ではそうではないと考えております。この点、甲1案と甲2案に関しましてはそろえる方が自然かもしれない一方で、甲1案と比べて甲2案あるいは乙案、丙案というのは、甲2案においては本人を確認するための措置、あるいは乙案、丙案においては公的機関での本人確認の手続という仕組みがしっかり捉えられているので、そういった意味で氏名というのを特段口述の範囲に挙げていないという整理もあり得るかなと今少し考えました。ここは、含ませた方がいいかどうかについては御意見を伺いながら、最終的に整序する必要があるかなと考えた次第です。   それから、2点目の証人の欠格事由につきましては、これは確かに検討の中では既存の民法の規定が適用されるということを前提に議論していますが、それがゴシック体部分に表れていないという気はいたしますので、ここは書き加える方向が、例えば甲1案の(注)に書き加えるような方向があり得るのではないかということを感じた次第です。 ○大村部会長 ありがとうございます。証人の欠格については、書いておいていただいた方がいいのかという気もいたしますので、特に御異論がなければその方向で対応してもらおうかと思います。それから、口述の対象については、どの範囲にするかということ自体がある段階で精査を要することかと思いますが、現時点の案において違いがあるということに積極的な意味を認めるのか、認めないのかというようなところにつきまして、何かもし御意見があれば、後でお聞かせいただきたいと思います。もし特段の御意見がないということであれば、そこについては事務当局の方で精査をしていただいて整理をしていただくということで受け止めさせていただきたいと思いますが、その点、いかがでしょうか。   では、今のところはそのように受け止めさせていただきたいと思います。   そのほかに御発言はありますでしょうか。いかがでしょうか。 ○小池(泰)委員 甲2案の②なのですけれども、全文と日付を口述するということが非常に重要なので、②では、遺言者が全文及び日付を口述し、口述とその状況等を録音などで更に記録するというふうに、きちんと書き分けた方がよいと思います。それが一つです。   乙案の方ですけれども、乙案の⑤なのですが、公的機関が①から④までに従って行われたことを記録し、という書きぶりになっているのですけれども、①から④までやっていることを、それを記録するということではなくて、①から④を履践したことを確認しましたということを記録するということであれば、そういうことがはっきり分かるような書きぶりにした方がいいような気はしました。   それと、これは質問になるのですけれども、甲1案の(注1)で、遺言者自身ではなくて遺言者の指示を受けた者が電磁的記録を作るのもオーケーであると。これは証人を含むのかということで、含む、含まない、どちらかなのだと思うのですけれども、今回、証人の立会いを要件とする案という形で見出しに立てられたので、証人というのが非常にクローズアップされてきていて、これまた少し別の話になりますけれども、第974条の証人欠格がありますけれども、これが現状のままでよいのかという気が少ししていまして、具体的には、高齢者が入居している施設の従業員の方が証人になると、先ほどの質問との関連で行くと、その人が電磁的記録も作成して証人になるということが許されるのかどうかということで、許すというのだったら、それはそれで構いませんけれども、現状でも死亡危急時遺言だと少しその問題が出ているはずなので、それで大丈夫だったらこれでもいいのかという気がしないでもないですが、個人的には少し証人欠格のところも今後検討した方がいいのではないかという気はしました。   あと一つだけ、少し細かいことですけれども、甲1と甲2は基本的にパラレルな構造だということであれば、甲1に付いている(注3)、全文に代えて趣旨の口述で足りるというのを甲2でも入れておいてもいいのかなという気はしました。ただ、一般の方が、全文ではなくて趣旨でいいというとかなり簡略化されたものを想定してしまう気もするので、どこかの説明に、一言一句は不要だけれども遺言の内容のことを意味している、という我々の通常の理解も少し説明に入れておいた方がいいような気はしました。 ○大村部会長 ありがとうございます。小池委員からは、表記や平仄に関わるような御指摘を最初と最後に頂いたかと思います。甲2案の②、乙案の⑤の表現の問題、それから甲1案の(注3)を甲2案にも入れるかという問題です。そのほかに、証人欠格の点について見直す必要があるのではないかという御指摘を頂きました。これは先ほどの、証人欠格のことも中間試案に書いておいた方がよいのではないかということと関わると思いますので、書くときにある程度の含みを持った形で書いていただくということかと思います。証人との関係でもう一つ、甲1案の(注1)について御質問があったかと思いますが、これについてお答えを頂ければと思います。 ○齊藤幹事 甲1案の(注1)に関して、ここに記載されているもの以上のことを検討しているわけではないという理解ですので、積極的に証人が除かれているという理解ではないのが現状です。その上で、委員の御指摘に関しましては、証人の欠格事由について現行規定が適用されるということを書きつつ、その説明の中で、その中にも検討の幅があり得るというようなことを、今、部会長がまとめられたような中で対応することは考えられるかなということを感じました。   それから、文言についても少し触れさせていただきますと、甲2案の②の書きぶりについては、口述し、そのことを録音又は録音・録画すると、区切って正確に表現するということ自体は、その表現の方が適切という気がいたしましたので、そこは修正を検討したいと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○冨田委員 私からは、まず、本文の書きぶりについて何点か意見を申し上げさせていただいて、最後に1点、質問させていただきたいと思います。   まず、何人かの委員の先生方も御指摘をされていましたが、丙案の本文の書き方についてです。丙案は元々、デジタル技術を活用して簡便に遺言を作成できる方式として、ワープロなどで作った遺言をプリントアウトする方法も考えられるという議論を受けてまとめられてきたと理解をしておりますが、現在の丙案には電磁的記録をプリントアウトするといったような文言が入っていないことに危惧をしております。これは、先ほどからありましたとおり、丙案が必ずしも遺言作成時に電磁的に記録されるプロセスを必須としていないからだと思いますが、部会資料11-3の比較表の中では、①番として、「パソコン等を利用して遺言の全文を入力した電磁的記録をプリントアウト等した書面に署名」と書いてあります。今回の諮問がデジタル技術を活用した新たな方式の検討でありますので、本文にも電磁的記録をプリントアウトするといったような文言を入れておく方がよいと思いますので、御検討いただきたいと思います。   2点目は、瑣末な点で大変恐縮なのですけれども、甲案を始め全ての案には、「本方式による遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない」として、①から幾つかの方式が列挙されているかと思います。今後、パブリック・コメントで一般の方がこの一文を読んだ際に、丸数字の方式の全てを満たすのか、いずれかを満たせばいいのか、迷ってしまうのではないかと懸念します。それは、書き出しが遺言者であったり公的機関であったりしていますので、遺言する方は全てを満たすことが必要ということまで思い至らないかなということも少し懸念をしておりますので、例えば、次に掲げる方式全てに従わなければならない、全てを満たさなければならないということが分かるような記載も御検討を頂きたいと思います。   それから、3点目が11-3の、先ほどありました比較表の書きぶりのところなのですが、乙案のデメリットのbのところに、「制度の内容によっては平日の日中における手続を要するなど、公的機関での保管に伴う手続負担や費用負担がある」といったような記載がございます。遺言の作成に関して手続負担があるのは、乙案に限らず他の案でも同じだと思いますけれども、他の案にはその記載がなく、乙案にだけデメリットとして記載がされています。このデメリットの記載が、時間の面での負担があることを指摘したいのではなくて、公的機関での保管手続は公的機関が業務を行っている平日の日中しかできないから一定の時間的拘束が生じるということを仮に指摘したいということでの記載であるならば、直接的にそういうふうに書いていただいた方がよろしいのではないかと思いましたので、御検討いただければと思います。   最後が質問なのですけれども、中間試案の案では、第1の甲案を始めとして特別の方式の中でも証人が関与するものがありますが、この証人の守秘義務についてどういったものになっているかというのを確認させていただきたいと思います。先ほどの11-3の比較表の中では、甲1案のデメリットとして証人に遺言の内容を知られることが挙げられておりますが、そうした事態は死亡危急時遺言ですとか船舶遭難者遺言の各案で証人が必要とされているときにも同じようなことが生じるかと思います。既存の方式でも証人が関与するものはありますが、民法では証人の守秘義務の規定がされているのか、規定がないのであれば、証人が遺言の内容を口外したときにどのような法的な対応が考えられるのか、懸念がございます。多くの遺言者や相続人にとって、遺言の内容や財産の状況を口外されるのは本意ではないと思います。今回の方式で証人の立会いを必須とするならば、証人の守秘義務や知り得た情報を悪用されないための方策についても検討する必要があるのではないかと思っておりますが、事務局の考えをお聞かせいただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。冨田委員から、書きぶりについて3点の指摘と、証人の守秘義務についての御質問を頂きました。書きぶりにつきましては、一つ目、丙案の見出しについての御指摘があったかと思います。これは先ほどからの、萩原委員の御指摘から始まったやり取りとも関わるところでありますけれども、このプリントアウトするなどの「など」を除くか除かないかということとは別に、電子的な機器を使って、そしてプリントアウトをしたものが中心になっているということであれば、それを書くこと自体に特に問題はないようにも思いますので、ほかに問題がないかどうかを精査した上で、手書きのものを含めるかどうかということとは別に、この表記については検討していただくというのがよいかなと思って伺いました。それから、2番目に各案の柱書の表現の問題、3番目に比較表のデメリットの記載の表現の問題というのがございました。できるだけ分かりやすく表現をしていただきたいという御要望だったかと思いますので、可能な範囲でお答えを頂ければと思っております。丙案のプリントアウトするなどの「など」をどうするかということにつきましては、両論ありましたので、後でまた皆さんで最終的にどうするかということについてお諮りをしたいと思っておりますので、そこのところは今の段階ではなお留保させていただきたいと思っております。   ほかはいかがでしょうか。 ○倉持幹事 パブリック・コメントに付す形として現状の案で基本的に構わないと思いまして、ただ、こういう考えもあり得るのではないかという意見を1点と、あともう1点、保管制度について質問させていただきたいと思います。   最初の意見は甲2案の部分で、甲2案の③の措置の部分ですけれども、前回、関与しない状況というのを今回、立ち会わない状況ということに改めていただいたということで、これが実質的な内容を明らかにするということでした。ただ、これだと、補足説明にもありますとおり、介添者、介添人が一緒にいるということまで排除するものではないことと整合しないように思います。ここで措置として定めるものですから、民間事業者に対してこういうアプリを作ってほしいと、全力を挙げて作ってほしいというメッセージ性があると思うのですけれども、ここでは、立ち会わないことをできるように尽くしてほしいというのではなくて、多分、遺言者以外の者が不当な影響を及ぼさないように、そういうアプリを全力を挙げて作ってほしいというメッセージだと思いますので、そのような文言にすることもあり得るのかなと思います。   その観点で、結局ここでは真意性を確保したいということですが、ただ、真意性だと抽象的すぎるということだと思いますけれども、その点で、補足説明の最初の方に真意性の説明が3ページにあって、熟慮性も含めて4点ほど挙げられていますが、ここで意図しているのは最初の部分かと思います。要するに、意思の形成及び表示に他人の影響等が及ぶことを防止すること、ここを目指しているのではないかと思いますので、表現ぶりとしては、例えばですけれども、遺言者以外の者が遺言者の意思の形成及び表示に他人の影響等が及ぶことを防止するための措置という表現ぶりもあり得るのではないかということで、これが絶対にいいというわけではないのですけれども、こういうこともあり得るということを可能であれば補足説明でも入れていただければというのが1点でございます。   それから、もう1点、質問なのですが、保管制度のシステムの問題なのですけれども、保管制度を設ける場合に、現行のペーパーですと各法務局に保管するということになっていると思います。デジタル遺言を保管するという場合、デジタル情報なのでサーバー内に保管するということだと思うのですが、このサーバーというのはやはり各法務局内のサーバーということなのか、若しくは、例えば法務省で一括管理して法務省の有するサーバーという意味なのか、それともここに外部委託も含むという趣旨なのかということを、これは本文というよりも補足説明に入れて、この制度の具体的なイメージに資するために、そういう説明も入れていただいたらどうかということで、可能な範囲でお答えいただければと思います。よろしくお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。倉持幹事からは御意見と御質問という形で、それぞれ御発言を頂きました。まず前提として、パブコメに付すものとしてはこれでよいとおっしゃっていただいた上での御意見と御質問だったかと思います。御意見については、甲2案の③の部分、前回の御指摘を受けて書き直した部分について、別案を出していただいたということで、それについては補足説明に書き加えていただいたらよいではないかということだったかと思います。この部分は、前回の記述が言わば定性的なもので含みの多いものであったということから、逆に絞り込んだ形で具体性を求める形で今回書いておりますけれども、それ以外の言わば中間的な選択肢もあるのではないかという御指摘だったかと思います。この案を更に検討するということになった場合には、ここの部分について更に立ち入った検討が必要になろうかと思いますので、御指摘があったということを補足説明の中に織り込んでいただく方向で、事務当局の方で御検討いただければと思います。   それから、御質問のあった保管制度につきましては、何かお答えがあればお願いいたします。 ○齊藤幹事 現状の保管制度につきましては、法務省のサーバーでデータを保存しているということになると思いますが、仮に新たな方式に保管制度を設けるとしても、それがどこの公的機関で保管されることになるかを含めて、幅のあることかなとは思いますが、御指摘の点は、情報提供としてどの程度のことが可能かは少し検討させていただきたいということでございます。そのため、現状ではここで保管しますということを絞り込んで書くということではないかと思いますが、補足説明で、どのようなことがあり得るか御説明を加えることについて検討したいと思います。 ○倉持幹事 分かりました。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかはいかがでしょうか。   冨田委員から証人の守秘義務について御質問があって、それについてまだお答えを頂いていなかったと思います。事務当局の方でお願いいたします。 ○齊藤幹事 現状の民法の証人の立会いというのは、公正証書遺言、秘密証書遺言、あるいは特別の方式の遺言について証人の規定がございますけれども、守秘義務とかそれに対する違反とかを定めているということはないという認識です。やはり私人、一般の人同士の関係ということですので、ここで何かがあれば、それは一般法において、例えば不法行為とかそういう関係が出てくるかどうかという一般的な処理になるのかなという理解でおりました。 ○大村部会長 証人が民法の中に現れる場合、今回のこの場所に限らないのですけれども、その証人の責任という問題については、特に規定がないということであれば一般法に委ねることになるであろうということであったかと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○谷口委員 谷口です。引き続き検討されると書かれているものについて2点、それから保管について1点、意見がございます。   まず、甲案の方で1案、2案に書かれている遺言の検認の規定のところです。(注7)だったり(注8)だったりすると思いますけれども、ここは新たな確認の方法を作るとかということが今後、引き続き検討されるということだと理解をしておる中ですけれども、実際に遺言の執行を受ける銀行として見ると、もちろん法的に安定するということは大事だと思うのですけれども、相続人や関係者の方々が苦情をたくさん言ってくるとなると、実際には回らないという形になると思います。そういったことも踏まえた新たな確認方法という議論がなされていかないと、もし甲案ができたときに、実際に銀行がそこは全部、相続人の同意を求めるとかという話になってしまうと、結局何をやっているか分からない状態になるということになり得るということで、そういう状態を避けるための新たな確認方法が必要だと思っておりますというのが1個。   それから、あとは乙案を採用した場合のウェブ会議、(注5)について、どの程度という話は、ここも引き続き検討だと思います。ただ、公正証書のときの公証人の確認の義務と法務局の確認の義務とか、ここら辺のところは差もあると思っております。ここら辺のところで、どのような場合にという規定を考えていくときに、そこに差は出るであろうということは私自身は考えておるところでございます。   最後、保管のところです。保管制度の在り方の(3)の死亡されたときの通知のところです。今回、補足説明の方には遺言執行者に当然に通知するという意見もあると記載を頂いているのですけれども、ゴシックの本文の方にはないというところで、もう一度、御意見だけ。ここは元々遺言執行者の、例えば執行の妨害行為の排除ということを、平成30年の相続法の改正のときに、民法でいうと第1013条の妨害行為の禁止のところで第2項、第3項を追加いただいたりして、遺言執行者がきちんと執行できるようにということの御配慮をそのときに言っていただいていることを踏まえますと、結局遺言執行者に通知が来ないと執行が遅れるというか、妨害をしようとする相続人等の関係者の方が先に知ることになるので、不動産の共有名義の登記とか、それをまた善意の第三者に移すとかいうようなことが十分に行われ得る余地を残すということだと思います。ここで遺言執行者を外す意味が何かあるのだろうかと、外さない方が、平成30年の相続法の改正の、遺言執行者の円滑な執行に向けた改正の方も考えると、ここには、指定した者以外に、本当に漏れることがあるので、法務局にその確認もできないので、遺言執行者ということを指定した者と同じように通知の対象として入れていただきたいということでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。御意見をいただきましたが、最初の2点は引き続き検討ということに関わる点で、検認の点とウェブ会議の点ですが、これらはいずれもこの先、検討しなければいけない点かと思います。その際の留意事項を御指摘いただいたと受け止めました。保管の点について、通知先として遺言執行者を入れていただきたいというのは、谷口委員が今まで何度か繰り返しおっしゃっていることかと思います。これも現段階での書きぶりはこうでありますけれども、最終的にどうするかは更に検討するということになろうかと思いますが、御意見は今の段階で入れていただきたいという御要望でしょうか、それとも、更に検討する必要があるという御指摘ということで。 ○谷口委員 更に検討いただければと思っております。 ○大村部会長 遺言執行者にその通知がないとどんな問題が生ずるかということにつきまして、先ほど幾つかお話がありましたけれども、それも含めて更に検討をするということで受け止めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。   そのほか、いかがでしょうか。 ○中原幹事 全体を通じて、原案に基本的に異存はなく、細かい点で2点です。   1点目は、純粋に補足説明に関わることで恐縮なのですけれども、最後に付されている表の中で、甲2案のデメリットとして「e 甲1のfと同じ」とあります。そして、括弧書きで、「民間事業者のサービス内容によっては、リスクは軽減される。」とあります。この括弧書きは、民間事業者が保管のサービスであるとか、それに相当するような紛失等を防ぐ、そういうサービスを提供する場合には、この表の甲1のfで書かれているような紛失等のリスクが軽減され得るという意味だと理解しています。しかし、中間試案の本文にせよ補足説明にせよ、民間事業者による保管サービス等の可能性について明確な言及がないように思われ、やや唐突な印象を受けます。甲1案も同じことだと思いますけれども、出来上がった遺言のデータは、建前としては遺言者自身が保管すると。しかし、特に甲2案では、実際には民間事業者が任意の保管のサービスまで提供することも想定されなくはないと。そう理解しておりますけれども、仮にそうであるならば、そうしたこと、また、更に検討が必要になってくる事柄があるということを、補足説明のどこかで書くべきなのではないかと思います。甲2案については、具体的なイメージがなかなか湧きにくいということが課題としてありますので、その意味でも今申し上げた点は重要かと思う次第です。   それからもう1点は、これは本文に関わるのですが、日付について、「真実遺言が成立した日」を括弧書きで加えるという修正がされています。言わんとすることは、作成日が真実遺言が成立した日であると考えられるので作成日を記録する、つまり、真実遺言が成立した日としての作成日ということなのだと思うのですけれども、卒然と読むと、「真実遺言が成立した日を記録する」という当たり前のこと、これは自筆証書遺言でも妥当することでありますけれども、それを書いているような印象を受けます。「真実遺言が成立した日」というのは評価基準の話でありますし、補足説明を読めば、「作成日が真実遺言が成立した日であると考えられる」ということは分かりますので、あえて本文のゴシックのところに書く必要はないのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。中原幹事からは、全体としてはこの案に賛成だという御発言の後に2点、御指摘を頂きました。1点目は、比較表のデメリットの記載と補足説明の内容というのが一致していないというか、補足説明に対応する説明がないのではないかということで、対応する説明を加えた方がよいのではないかということだったかと思います。もう1点は日付について、資料11-2でいいますと13ページの35行目になりますけれども、作成日の中の括弧書きというのが、これだけを見ると混乱を招くのではないか、むしろ補足説明の方に書かれているので、本文での括弧書きの記載は要らないのではないかということだったかと思います。いずれについても少し検討していただければと思います。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○隂山委員 隂山でございます。先ほどの中原先生からの御意見でございました、民間事業者が遺言を保管することもあり得るのではないかという点につきまして、少しコメントをさせていただきたいと考えています。   現在、第1の2の(注1)のなお書きで、新たな方式の遺言の保管が法務局で行われる場合、既存の自筆証書遺言書保管制度に係るシステムも含め一元的な検索を行うことができるものと考えられるといった御記載を頂いております。この点は、第4回部会でも述べさせていただきましたが、平成29年度法務省調査、我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務11ページでは、自筆証書遺言を作成したことがあるという項目が3.7%、公正証書遺言を作成したことがあるという項目が3.1%という結果となっています。この点から、自筆証書遺言を作成したものの遺言が発見されなかったなどの理由によって、相続手続に活用されなかったものも一定数あると思われます。このような問題意識につきましては、新たな方式の創設を検討するに当たって、部会資料11-3の各所で発見されないおそれやリスクという説明を頂いており、現行の自筆証書遺言及び新たな方式の遺言の双方で克服すべき課題であると捉えています。   そのため、一元的な検索というのは非常に重要であると捉えておりまして、先ほどの中原先生のコメントにありました、民間事業者が遺言を保管するといった制度を含め、仮に甲2案が制度化されるような場合には、法務局による保管ではないものの、当部会において新たな制度設計の検討を行っている段階であることや、一元的な検索等を行い遺言が発見されないおそれ、リスクを回避するという観点からも、適切な検索を行うことができる仕組みについて引き続き検討することも必要であると考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。検索の対象がどこまで確保されるかということについては、これまでも御質問等を頂いておりまして、それは今回の資料11-2で申しますと13ページの(注1)でしょうか、そこで対応されていると考えております。ただ、先ほど中原幹事が言及された民間事業者による保管ということが現実化するのであれば、そこで保管されているということが分かるようなシステムというのを作っていく必要があるのではないかという御指摘だったかと思います。先ほどの中原幹事の御指摘を受けて、現段階で補足説明に民間事業者による保管についてどの程度のことまでを書くのかということにつきましては、事務当局の方で御検討いただくということになろうかと思いますが、それとの関連で、もし具体的な話がそこで進むのであれば今の検索の問題というのも視野に入ってくると、こういう受け止め方をさせていただきたいと思います。 ○中原幹事 ちょうど隂山委員から御反応をいただきましたので、先ほど言わなかったことについて述べさせていただきます。正に隂山委員が指摘された点は、民間事業者が任意であっても保管サービスを提供するという場合に生じてくる問題だと思います。   この段階で外国法の話をするのが適切かどうか分かりませんけれども、フランスでは、自筆証書遺言についてもちろん保管は方式要件ではないのですが、公証人が任意で遺言書の保管を引き受けた上で、公正証書遺言等とともに統一的な遺言探索システムに登録するということが行われています。日本でも、そういうようなシステムがあり得ないのかとかいうことが、任意保管を認めた場合に出てくるのではないかと思います。他方、今回の補足説明の31ページの冒頭では、甲2案によって完成した遺言を公的機関における保管につなげるということも考えられるというような説明がされており、そもそも任意の保管を是とすべきか自体も、1つの前提問題です。さらに、これまで問題となった中では、民間事業者の認定を考えたときに、民間事業者が保管サービスまで提供するということになると、そのコントロールがより重要な課題になってくるのではないかという話もあったと思います。要するに、民間事業者による保管というのは存外厄介な問題でありまして、将来的な検討課題になり得るものと思います。あえてこの段階で深入りしないという選択は、それ自体賢明だと思いますが、しかし民間事業者による保管をにおわせている記述が結構ある気がしますので、大本の認識といいますか、任意で保管ということもあり得るということは、書いておいた方がいいのではないかと思った次第です。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○萩原委員 萩原でございます。この会議が終わりましたら、これはパブリック・コメントに付されるという前提で、これは質問めいたことになりますけれども、今までの皆様の御意見、私もそう思いますけれども、特に甲2案につきまして、全体として漠としていて、どういうことをすれば甲2案として有効な遺言が成立するのかというのは、この文言だけでは分からないとか、また、確かに遺言者以外の者が②に定める口述をすることができないようにする措置をとること、要するに口述をする際に他の者から影響を受けずに全文を読み上げると、そういう保障をどういうふうにしたらできるのか、これが率直に、これを見ているだけでは分からないということで、いずれ法律にする際には、これをどこら辺まで具体化するかというのが重要になってくると思います。   そこで今回、こういう記載の段階でパブリック・コメントに上げるということは、パブリック・コメントにおいて、恐らく甲2案については一番いろいろな意見、中には否定的なものもあれば、あるいは具体的にこういうふうにしたらと、いろいろな意見が出てくる可能性がございます。そういう意見を吸い上げて、それで今後、検討し、つまりパブリック・コメント後に固めていく、そういう検討をしていくと、こういう趣旨で理解してよろしいでしょうか。 ○大村部会長 ありがとうございます。中原幹事の御発言について、後でもう一度触れたいと思いますが、今、萩原委員の方から、今回のこの案の取りまとめ、パブリック・コメントを得た後で、特に甲2案についてどのように検討を進めていくのかということについて御質問がありましたので、事務当局の方から現在の見通しについて何かあれば、お願いをいたします。 ○齊藤幹事 甲2案につきましては現状、ほかの案と比較すると、更なる具体化の必要があるという御意見を複数頂いているという認識です。その上で、やはり仮に中間試案としてお取りまとめいただくことになるのであれば、甲2案につきましては可能な限り分かりやすい表現というか、例えば、中原幹事がおっしゃったような、こんな問題もあればこんな問題が広がり得るというようなことも含めて、補足説明において情報提供をきちんとしながらパブリック・コメントを行う、その上でその結果を踏まえて、また皆様に御議論を頂くという流れになるかと思っております。 ○大村部会長 更に続けてありますか。よろしいですか。   中原幹事から先ほど御発言もありましたが、あるいはその前の隂山委員の御発言もありましたけれども、保管されていないものについてはその存在が分からなくなるという可能性があるではないか、それは現在の自筆証書遺言についても言えるところであるわけですが、甲1案、甲2案はそういう可能性をはらんでいるというか、あるいは広げるような面を持っているということで、そのこと自体をどう評価するのかということも、この中間試案、パブリック・コメントを踏まえて御議論いただくことになるのではないかと思います。それから、公的な保管の方に結び付けていくというようなやり方が望ましいのではないかといった意見もこれまで何度か出ているかと思いますが、そのためにはどういうことが考えられるのかというようなことについても、甲1案、甲2案が残るのであれば、考えていくということになるのかなと受け止めているところでございます。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○木村幹事 京都大学の木村です。先生方の御議論を聞いて、2点、質問も兼ねてお伺いしたいところがあります。   まず1点目ですけれども、皆さんの議論において共通している話ですが、やはり甲2案についてはややイメージがつかみにくいところがあると思います。小粥委員からは、甲1案と甲2案では、前者が証人を、後者については民間事業者のサービスを利用するということにおいて本人確認、真意性、真正性を担保する仕組みが作られていると整理していただきました。実際、補足説明の具体的内容を見れば、甲2案については民間事業者のサービスを利用するということが前提とされているということが理解できると思うのですけれども、まず1点、私が誤解をしていないかということの確認になりますが、甲2案の本文の内容、ゴシックの部分だけを読んだ場合、つまり(注)の部分を除いて読めば、民間事業者のサービスを利用することが必須であるとは直ちには読み取れないようにも思います。甲2案の場合は、電子署名を付すということ、そして口述の仕組みを担保する措置として民間事業者のサービスを利用することが必須であるという理解でよいのかということを改めて確認させていただければと思います。   それとの関係で、比較の一覧表をまとめていただいていると思うのですけれども、甲2案の主なメリットのイのところで、「公的機関や第三者の関与を要せず、(民間事業者のサービスの内容によっては)いつでも作成することができる。」というメリットが挙げられていると思います。この点について、第三者の関与を要せずとなっており、ここでは主に証人のことを指していると思われるのですけれども、他方で、今日頂いた部会資料11-2の3ページの(注5)のところでは、例えば一つあり得る形として、民間事業者がウェブカメラ越しで確認したりすることも考えられるとなっております。これらの点を踏まえると、一覧表における「第三者の関与ということを要せず」という表現が、直ちにそのまま受け取ってよいのかということ、そして、このイの書きぶりで「民間事業者のサービスの内容によっては)というのが、いつでも作成することができるという後半部分のみに係っているように読めるのですけれども、そのような読み方と、その前提として、書きぶりで本来意図していることが示されているのかということが若干疑問に思ったということです。以上の点が1点目になります。   2点目ですけれども、これは私が聞き逃したので確認させていただきたいところなのですが、先ほど小池委員から甲1案について、(注1)において遺言者の指示を受けた者が記録をすることも許容されるとなっている点について、遺言者の指示を受けた者に証人が含まれるのかという御質問があり、それについて、齊藤幹事から、証人が除かれるということはあえて意図していないとの回答があったと理解しました。しかし、甲1案の趣旨からすれば、証人にあり得るべき者と、遺言者の指示を受けて記録をする者というものについては、明確に区別するべき必要があるとの考えもあり得ると思うのですけれども、齊藤幹事の御回答がどういった意味でそのように答えられたのかということについて、改めて確認させていただければと思います。   遺言者の指示を受けた者というのは、飽くまでも遺言者の意思を踏まえて履行補助者的にその内容を書き写すべき必要がある者で、証人というのは、その書き写された内容、あるいは記録された内容について、その真意性、真正性を確認すべき立場にある者だと理解するのであれば、同一人物であるのは適格ではないとの解釈もあり得そうだと思いました。私が誤解している点があるかもしれませんので、この点について改めて確認させていただければと思います。すみません、よろしくお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。木村幹事から2点御質問を頂きました。1点目は、民間事業者のサービスということに関わる問題で、これが必須のものとして想定されているのか、あるいは第三者の関与がないという場合の第三者に含まれるのか、含まれないのかといった御質問だったかと思います。2点目は、先ほど小池委員の証人に関する御質問についてのお答えというのが、それでよかったのかという御趣旨の確認だったかと思います。 ○齊藤幹事 1点目に関しましては、基本的には民間事業者のサービスを利用することによって甲2案の方式を作成するということが想定されていると考えておりますので、そのことを別の観点から言うと、必須というのが適切かどうかは分かりませんが、サービスを利用して初めて作成することができるということを念頭に置いております。その点は、本文と、それから3ページの(注5)、例えばこんな措置が考えられるという記載との一体的な記載により表現しているところと考えております。   それから、2点目の甲1案の(注1)と証人との関係については、先ほどお答えしたものとしては、(注1)については、指示を受けた者というところから、例えば証人は積極的に除かれるというようなところまで現状、表現したものではございません。その点につきましては、説明等の中できちんと情報を提供した上でパブリック・コメントに付する必要があるかなと感じました。 ○大村部会長 あともう1点、比較表の甲2案について。 ○齊藤幹事 比較表の甲2案のメリットの欄のイに記載のある「(民間事業者のサービスの内容によっては)」という部分は、やはり木村幹事御指摘のとおり、後ろのいつでもに係っていくように記載したつもりでございました。そうすると、その直前の第三者の関与を要せずという記載部分と、今ある本文の(注5)の中に民間事業者が第三者のように出てくる場面もあり得るという記載部分との平仄は、御指摘のとおり調整の余地があるかなと感じました。基本的には、この比較表は説明の便宜のためにということで記載しておりますので、御指摘を参考に表の説明の方を整えたいと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。表の方を再度御検討いただくということかと思います。   ほかにはいかがでしょうか。特に追加の御発言はございませんでしょうか。   それでは、第1についてですけれども、これまでのところ頂いた御意見のうちで本文、ゴシック体の実質に関わるものは2点だったかと理解をしております。1点は、証人欠格についての記載を加えた方がいいのではないかという御指摘であり、これについては記載を加えるという方向で対応をするということにさせていただきたいと思っております。   あともう1点は、丙案について手書きのものを含むか含まないかということにつきまして、この点は両論あったと理解をいたしました。両論あることを踏まえて、最初の萩原委員の御指摘は、今回の諮問との関係を考えると遠いものが入っているのではないかというお話だったかと思います。小粥委員からは、しかし、それは周辺的なものとして入っているにすぎないので、よろしいのではないかということだったと思いますが、途中で出てきた御発言で、ここの見出しについて修正をする必要があるのではないかという御意見がございました。この修正を加えますと、この問題が諮問との関係で考えられていて、その周辺にもしかするとさらに一定のものを含むかもしれないという位置付けがよりはっきりするのかと思っております。その上で、最終的に手書きのものを含むかどうかというのは、なおこの後、パブリック・コメント等を踏まえて議論をするということが考えられるのかと思っております。ということで、もしよろしければ、案の見出しの方を直すということで、本文についてはこのまま維持するというのをここで皆さんに修正案としてお諮りしたいと思いますけれども、今のような取扱いということで、萩原委員、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。 ○萩原委員 はい、皆さんがよろしければ。 ○大村部会長 もしそういうことであれば、表現はそうしておいていただいて、御指摘を受けて実質をどうするかということにつきましては、なおこの後議論するという方向で受け止めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。   ほかに、この第1の部分について。 ○内海幹事 幹事の内海です。手続的な面の問題として、検認の方が耐えられるかということに関心を持っているのですが、その関係で、特に甲2案のイメージについて1点だけ確認をさせていただければと思います。どういうものが検認の段階に上がってくるかということに関わってくるのですが、民間事業者が一定のパッケージ化されたサービスみたいなものを提供するということを前提に、そのサービスを使っている途中の過程で、これはおかしいということでレッドランプが付いたら、もうそれは完成させないということになり、検認に持っていけるような遺言が形として残らないように、見た目上完成した記録になることを遮断したりすることができるようになるのかという点です。そういう、遺言の事実上の完成をブロックするような権限を民間事業者というか、そのサービスが持つということが前提となっている、あるいは、少なくともそういうような作り方をすることも排除されていないということでいいのかどうかということを少し確認させていただきたく存じます。先ほど、小粥先生が証人と民間事業者というものを対比されましたが、この文脈では、証人というのは、この遺言はおかしいと思えば、私はそれに協力しないということで、当座は遺言の完成を遮断というか拒否できる、そういう権限を持っているというのが一応前提になると思うのですが、民間事業者は場合によっては人間が関与しない形でサービスを提供することになるとすると、これがおかしいというところを見つけたときには、おかしいですよという何がしかの記録を残すことは最低限できるのだと思うのですけれども、さらに、おかしかったら検認手続に乗せるような遺言書らしきものを作成させないという、そういう立て付けをアーキテクチュアルに作っておくのかどうかが一つのポイントになるかと思います。そういう作りになっていれば、検認の方では、すごく怪しいものはもう上がってこないという前提でスクリーニングの工夫をするという余地もあろうかなと思うのですけれども、他方で、民間事業者は単に技術的基盤を提供しているだけで、遺言の有効無効を勝手に判断する立場にはないでしょうということを強調すると、何の権利があってそんな録音・録画を遮断するのだという話になり得ないわけでもないような気もします。そうすると、事業者側、システム側ではこんなもの無効でしょうという場合でも、それを残しておいて後の審査に委ねる権利ぐらいは作成側にあるのではないかという考え方も一応、全くないではないような気もいたします。その辺りのことについて、特に今回決めないで意見を聴くということであれば、決めないで感触を伺ってということでもいいかなとは思うのですけれども、何の注釈もありませんと、レッドランプが付いたら遺言作成プロセスは一旦終わりになるという、当然にそういうイメージで読む人と、そうでもない人が出てくるかもしれないなと思いまして、その辺の感覚というものを事務局の方でどうお持ちかということについて、確認させていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○齊藤幹事 補足説明等で十分表現できているかどうかは、今の御指摘を踏まえて少し考える必要があるかと感じましたが、基本的には甲2案の発想としましては、定まった方式があって、それに適合するサービスに基づいてスタートして、終えていただき、初めて遺言として成立するというようなことなので、遮断する権限という言葉遣いだと少し強い言い方になってしまいますが、要は要件に適合して最後まで行き着かないと成立しないものという発想だと考えております。そういう意味では、甲2案でいろいろなものが出来上がって、これが検認のときに非常に手間を要するということがないように、基本的には出来上がったものは一応、手続を履践されているという発想で終わっており、検認の手続で何か難渋するということはないのかなという発想で考えておりました。 ○大村部会長 ありがとうございます。今、検認との関係で内海幹事の方から御意見を頂きましたけれども、どこかで小粥委員がおっしゃっていたかもしれませんが、証人に代替するものとしてある種のシステムを置くということだとすると、証人が果たしている機能というのをこのシステムも果たす必要があるということで、証人に、内海幹事がおっしゃったような形で遺言作成の手続に不規則性を認めたときにこれを止めるという機能があるのだと考えるのであれば、同等の機能がどこで確保されるのかという議論というのが、それ自体としてあり得るのかと思いました。そういうことで、甲2案をどうするのかということを議論する際に、更に詰めて議論を要する点の御指摘を頂いたと受け止めております。   ほかにいかがでしょうか。 ○日比野委員 今の内海先生の御質問と質疑を聞いて、少し追加で確認をさせてください。甲2案の③については、②の記録をするに当たっては、ということであって、これが終わったときには検認手続でさほど懸念がないようなものが出来上がるという御説明だったと思うのですけれども、そうしますと②、つまり、全文及び日付の口述がされていることも民間事業者が確認できるということになるのでしょうか。この点をどのように現時点で考えておられるかということを、少し追加で御質問させてください。よろしくお願いいたします。 ○齊藤幹事 特段②と③を大きく区別することを考えて記載しているというところはございませんので、サービスを用いてアプリケーションで手続を履践すれば、②も③もセットになった上で遺言が完成に至るというイメージを考えております。 ○日比野委員 分かりました。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○宮本幹事 第974条、証人、立会人の欠格事由も本文に入れるということになっております。そして、小池先生からの御指摘を受けて、高齢者施設の職員が作成したような場合についても視野に入れつつ、含みを持った形で書くようにするという御説明がございました。それに関連しまして、小池先生の御指摘は遺言者の指示を受けた者ということになると思いますけれども、新たな方式要件の下で通訳人についても欠格事由に入れなくてよいか今後検討することになると思いますので、通訳人についても含みを持った形で書いていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。御指摘は、どこにどのように書けるかということも含めて御検討いただくという形で受け止めさせていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。 ○木村幹事 何度もすみません。修正する点については、大村部会長から2点ということでまとめられたと思うのですけれども、もし可能であればということですが、先ほど小池委員が甲2案の②について、今の文章だと口述を録音により電磁的記録に記録することになっているところ、口述というのが決定的に重要なので、口述をし、とした方がよいのではないかという御意見を示されたと思います。私もこの御意見が説得的であるものと思っております。甲2案についてのみ、口述をするということが単独で文章になっていないため、読み手からすれば口述の重要性が伝わらない。手続のプロセスとして必須であるということ、口述をすることが単独の手続としてあるのだということをもう少し文章表現として分かりやすくすることも一つあるのかなと思ったところです。可能であればという範囲なので、今後御検討いただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。木村幹事が今御指摘の点は、先ほど事務当局の方から、小池委員の御指摘に沿った方向で修文したいというお答えだったかと思います。私はそれについて先ほど2点というところに含めなかったのですけれども、表現上の問題につきましてはほかの委員、幹事からも複数の御発言を頂いておりますので、それらについては可能な範囲で対応するという形で引き取らせていただき、実質に関わる点として、2点についてどうするかということにつき先ほど皆様の御意見を確認させていただいたと、こういう仕切りにさせていただいております。ですから、2点以外の点につきましても、御指摘があった点で表現ぶりに関するものについては検討させていただくという形にさせていただければと思っております。   ほかはいかがでしょうか。   それでは、第1の部分につきましては今申し上げましたように、2点については修正をする、それから、木村幹事御指摘の点も含めまして、表現に係る点については御指摘を踏まえつつ対応するという形で受け止めさせていただきたいと思います。   3時半が近づいておりますので、ちょうど中間なので、ここで休憩しまして、残りの部分につきましては休憩後に御意見を頂戴したいと思います。今15時23分ですので、15時35分まで、約10分ほど休憩したいと思います。   休憩をいたします。           (休     憩) ○大村部会長 それでは、再開したいと思います。   引き続き、部会資料11-2の第2から第5までの部分について審議をしたいと思います。   まず、事務当局の方からこの部分についての御説明をお願いいたします。 ○大野関係官 部会資料11-2の15ページ以下を御覧ください。   まず、「第2 自筆証書遺言の方式要件の在り方」については、従前、本文2の(注2)として記載していた事項、こちらは甲案を採用し押印要件を廃止した場合において押印がされたときの当該押印の機能等についての記載でございましたが、こちらを補足説明の中で記載する変更をしたほかは、部会資料10からの変更点はございません。   次に、「第3 秘密証書遺言の方式要件の在り方」につきましては、形式的な修正を行ったほかは、部会資料10からの変更点はございません。   次に、部会資料11-2の16ページ以下に記載しております「第4 特別の方式の遺言の方式要件の在り方」については、主な変更点は3点ございます。   1点目は、第4の1(1)の(注1)であり、前回資料において、船舶遭難者遺言の方式による作成を認める天災その他避けることのできない事変の場面を限定するため、因果関係を要するとする考え方を記載していた点につきましては、因果関係による作成場面の限定という整理は船舶遭難者遺言の趣旨にそぐわないものであるとの御意見を頂きました。そこで、現時点では具体的な限定の在り方を明示せずに、引き続き検討する旨を記載しております。   2点目は、第4の2(2)アの死亡危急時遺言において、従前丙案としていた案を(後注)としている点です。死亡危急時遺言においては、現行の規定を踏まえてその在り方を録音・録画に移し替えますと、遺言者が遺言の趣旨が録音・録画により記録された電磁的記録の記録内容を再生して確認する必要があるとも考えられます。しかし、死亡の危急に迫っている遺言者にとって負担が大きいと思われるといった指摘も考えられることなどから、(後注)としています。これに対し、船舶遭難者遺言においては、船舶が遭難した場合や天災等に被災した場合に死亡の危急に迫っているといった状況においては、録音・録画により記録された電磁的記録により遺言を作成することも許容される余地があるといった御指摘も踏まえまして、丙案として、すなわち甲案及び乙案と並列するものとして記載しております。   3点目として、現行法との平仄の観点から、第4の2(2)の死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言の各案につき、筆記又は記録する事項として、日付及び遺言者の氏名の記載を削除しております。   その他、文意を明確にするための修文や、従前の部会資料のように本文1と本文2につき個別に補足説明を記載するのではなく、本文1と本文2とを併せて補足説明を記載するといった修正を行っております。   部会資料11-2の20ページでは、その他の論点について記載しております。第5の2の遺言の内容の明確性の確保及び第5の3の成年被後見人の遺言について表現の修正を行ったほかは、部会資料10からの変更点はございません。 ○大村部会長 ありがとうございます。部会資料11-2によりまして、第2から第5まで変更点を中心に御説明を頂きました。第2、第3、第5につきましては、それほど大きな変更点はないと理解をいたしましたが、第4について3点御指摘がありました。そのうちで16ページから17ページに掛けての第4の1(1)の(注1)で、適切な場面を切り取るということについて、前回あった御議論を踏まえて表現を変えているということ、あるいは18ページの29行目、(後注)という部分が、元々は丙案だったものがここでは(後注)となっている、これに対して19ページの方では丙案のままで残っているといった御説明があったと理解をいたしました。   第2から第5まで、特に順番を設けませんので、どの点についてでも結構ですので、御質問を含めて御意見を頂戴できればと思います。どなたからでも結構ですので、お願いを申し上げます。 ○萩原委員 それでは、萩原でございます。これは前回の第10回の会議の場でも指摘された点だと思いますが、第2の自筆証書遺言の方式要件の在り方の(後注)、そして第3の秘密証書遺言の方式要件の在り方の(後注)の、法定する要件という記載でございます。法定する要件、これは遺言者がその意思に基づき遺言したことを担保するための要件と、それを法定する要件とは何なのかと、それを満たせば押印を欠いたとしても効力が妨げられないものとするということであれば、その法定する要件を明示する必要がありますが、その下の・の、「裁判所が、遺言者がその意思に基づき遺言をしたと認める場合」、これは第3の秘密証書遺言の(後注)でも同じ表現がされておりますが、結局裁判所が出てくるのは、後で紛争になり、裁判所が判断をする、その結果として、押印は欠いているけれども、遺言者がその意思に基づき遺言したとほかの諸資料から認定し、言ってみれば救済する、そういう場合だろうと思います。これは結果的に後で裁判所の判断によってということであって、いわゆる法定要件として例示的に挙げるのがどうしても違和感がございます。   やはり今回もそれを同じように、読んでみまして、どうも後から裁判所が判断すれば大丈夫だというのは、これはある意味、どの場面においても救済的な意味合いにおいては使われるものでありますので、法定要件としては、ある程度漠然としたものになるかもしれませんが、こういう一定の正当な理由というか、それがどう挙げたらいいのかというのは今の段階ではすぐ申し上げられませんけれども、やはりここにある、意思に基づき遺言をしたことがこういう他の事情により認められる場合とか、そういうような裁判所を出さないような形での法定要件というのを記載した方がよいのではないかというのが私の意見でございますので、いかがでありましょうか。 ○大村部会長 ありがとうございます。今、第2の2の(後注)、それからもう一つ、第3の2の⑵の(後注)、同じように「上記法定する要件として」という表現についての御意見を頂いたものと理解をしております。その中に出てくる、「裁判所が、遺言者がその意思に基づき遺言をしたと認める場合」という点について、御趣旨はこれに反対ということではなくて、書き方として実質的な要件を書くべきであって、それを裁判所が事後的に判断するのだという書き方、構えにすべきだという御指摘だと考えてよいでしょうか。 ○萩原委員 そのように受け取っていただいて結構でございます。そのとおりでございます。 ○大村部会長 そういう御指摘を頂いているところでございます。これについて、事務当局、何かあれば。 ○齊藤幹事 (後注)の部分に関しましては、これまでの部会の御議論でも、中間的な考え方があり得るのではないかということで御意見を頂いてきた一方で、適切な書き出し方というか表現の仕方が難しいところもあり、現状、今日の資料のような記載になっております。今頂いたような御指摘も含めまして、最終的にどうお示しするのかは、基本的な発想としては、今ある(後注)のような形で中間的なものも一応示した上でパブリック・コメントに進むということで、いかがかと考えております。現時点では、「裁判所」がということをここに明示するのか、削った方がいいのかどうかについては、これまでの御議論の流れを踏まえた上で、今日御議論を頂き、最終的にどういう形にするのかを決める必要があるかと感じました。   現時点では以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。実質について事務当局と萩原委員との間に大きな差異があるのではなく、書き方をどうするかということなのだろうと思うのです。ここで、「裁判所が、遺言者がその意思に基づき遺言したと認める場合」というのが出てきているわけですが、従前からも方式を満たさないけれどもそれを有効としたという判例が幾つかあるわけで、それに限らずそういう場合はほかにもあり得るであろうということを示したい、それがここの趣旨なのだろうと思いますけれども、その書き方として、萩原委員がおっしゃっているような書きぶり、論理的にはそれが正しいような感じもするのですけれども、これまでの議論の経緯との関係で言って、表現したいことが何かということを考えた場合に、これを残した方が今までの皆さんの議論には即していると事務当局は思っておられるのではないかと思って受け止めておりますけれども、こういう受け止め方で、御指摘を踏まえて検討をさせていただくということかと思っていますが、もしこれに関連して何か皆様の方から更に御意見があれば頂いて、それも参酌して検討をするということで引き取らせていただきたいと思っております。いずれにしても、実質について反対という御趣旨ではないと受け止めさせていただいております。   何か皆様の方から補足というか、こういう点について留意すべきだというようなことがあれば御指摘いただければと思いますが、いかがでしょうか。 ○沖野委員 ありがとうございます。今の点なのですけれども、法定の要件というのは確かにやや分かりにくいとも思いますし、御指摘はもっともな面もありますけれども、ただ、他方でこれが、遺言者がその意思に基づき遺言したと認められる場合にはということにしてしまうのと、裁判所が認める場合とするのとでは、やはり意味が違ってくるのではないかと思っております。あるいは違い得ると言った方がいいかもしれません。補足説明の62ページによりますと、どのような類型の訴訟を予定するかですとか、相続人等に過大な手続負担となるということが書かれていまして、ここでの意味もはっきりしないことがありますけれども、実体的に遺言者が意思に基づき遺言をしたと認められるということであれば、様々な場合があるけれども、それが要件なのだという考え方と、それは裁判所が認めるという一種の手続を経て初めて認められるのだという二つがあり得るように思われて、以前から、例えば預金等が関わるときに、遺言者は本当に遺言をする意思を有してこの遺言をしていたのですというような形で持ってこられてもどうかというような御指摘もあり公権的な確定を経る必要の指摘もあったと思います。したがって、裁判所が認めるという記述の有無で内容が変わらないと言えるのかどうかというのはよく分からないところです。実体的な要件と、更に手続を課してということがあり得るのかもしれず、あるいはここでの趣旨はそうでないならば、むしろ裁判所が認めたというのは書かない方がいいようにも思いますけれども、内実がどうであるかというのは二通りあり得るように思われて、もし手続的なところも要求した上でということであるならば、分かりにくさはありますけれども、今の原案の書き方の方がいいのではないかと思ったところです。   いずれにせよ一例ですので、考え方の一つの例として挙げていただくというのがいいと思いますし、それから、例えば一定の手続なり一定の訴訟類型なりというようなことを考えるという、その点についても聴きたいということであれば、それがより明確になるようなゴシックにしておいた方がいいのではないかと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。そもそも最終的にこれが残るかどうかという問題もあるわけなのですけれども、仮に何かこういう中間的な案を我々が採用するということになったときに、どういう書きぶりにするのかということは少し詰めて考える必要はあると思っていますけれども、中間試案をパブコメとの関係でまとめるという観点からどのように書いておくのがよろしいのか、そういう観点から御議論を頂ければと思います。沖野委員の御発言も、今のような観点からの御発言として受け止めさせていただいております。   ほかはいかがでございましょうか。   いずれにしてもここの部分は、ずっと押印の扱いについて議論があったところで、中間的なものをどのように扱うかというのは悩ましい問題である、しかし、それをなしにして二者択一で果たして聴いていいのだろうかということで、3案にするのか、2案プラス(注)にするのかというところから議論があって、今こういう(後注)という形で落ち着いていると理解をしております。(後注)の中に何を書くのかということについても御議論がありましたけれども、例えばこういうものというので一定のイメージを持ってもらうことができるのではないかというようなことだったのではないかと思います。ですから、これが書き方として最適であるかどうかということについては検討の余地がある、ただ、沖野委員から御指摘があったように、違う書き方をすると意図しているのと違う意味になるかもしれないといったようなこともあり、今の段階で例外として何を認めるかというのを正確にフォーミュレートするというのはなかなか難しい、そんな状況にあるのだろうと思いますが、その上でどんな形で取りまとめておくということがよいのかという観点で御議論を頂ければと思いますが、ほかに何かございますでしょうか。   あるいは、萩原委員の御指摘がありましたけれども、「上記法定する要件として」という部分を何か変えるというようなことも考えられますか。 ○萩原委員 そこまでは考えておりません。「裁判所が」という主語が、この要件の中で、これは最後、裁判になって決着を付けるという、そういう場面では裁判所が出てくるのは当然でありますけれども、ただ、裁判所が出てこなくても、それこそ遺言者が一定の場合、それをどこまで特定できるかですけれども、そういう意思に基づいて遺言をしたと諸般の事情から認められるような場合であれば、それは裁判にならなくても、要件を満たしたということで押印が欠けていることが救済される、それはそう取っていいのではないかと。もう押印がない以上、あとは裁判で決着を付ける以外にないと、ここのところがこういう趣旨の要件なのかですね、それはここでいう法定する要件とは少し違うのかなと思えてならないものでございます。 ○大村部会長 沖野委員からは今のところについて、考え方は分かれ得るのではないかという御指摘があったと受け止めました。両様の考え方、萩原委員のようなお考えもあるでしょうし、それでは困るのではないかというような御意見もあったと理解をしております。   ほかにいかがでしょうか。事務当局としては、これはこのまま。 ○齊藤幹事 事務当局としましては、例えばという記載の下で例示をしているところですので、萩原委員の御指摘も含め、説明の点をしっかり工夫をした上で、他の考え方があり得るかも含めて、今後なお検討する必要があるということを説明においてきちんと示していくことで、本文としてはこのままでもいいのかとは考えていた次第です。 ○大村部会長 今の点につきまして、皆さんの方から何かございますでしょうか。 ○石綿幹事 石綿です。特段付け加えるものではありませんが、現状の本文でも補足説明でも、あくまでも、遺言者がその意思に基づき遺言をしたことを担保するための法定の要件の選択肢の一つとして示されているというような書きぶりになっているかと思います。御指摘を踏まえつつ、事務局が整理してくださったように、もう少し補足説明の方で分かりやすくしていただくといったような御対応でよいのかなと感じました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。   なかなか悩ましい問題で、更に議論をしなければいけないということなのだろうと思いますけれども、先ほども申し上げましたけれども、(後注)がどのぐらい残る選択肢なのかという問題とも関わっていて、この方向で何とか行きたいということであるとすると、明確なものを提案して、それについて御意見を頂くということなのですけれども、何か第三の選択肢があるかもしれないということで例示をしている。それについては、それはおかしくないかという御意見も当然出てきましょうし、こういう例がほかにもあるのではないかといったような御指摘も挙がってくるということで、例として挙がっているものが完全に整ったものではないということも、先ほどの齊藤幹事の御説明の中に、例えばということで書かれているのだからという形で出てきていたかと思いますけれども、御確認を頂き、ここの扱いについても複数の考え方があり得るということを補足説明の方で書いていただくということで、引き取らせていただいてよろしいですか。   では、そこは、そのような形で引き取らせていただきたいと思います。   ほかに御意見はいかがでしょうか。   先ほど事務当局の方から、第4の部分について3点ほど前回の議論を踏まえて修正したというような御指摘がありましたが、その点も含めまして御意見等を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。   特にございませんでしょうか。オンラインで参加の方々も、よろしいですか。   それでは、第2から第5につきましては、直前に萩原委員から御指摘があった点につきまして補足説明の方で十分に対応していただくということを留保させていただきまして、その上で、本文については大きな異論はなかったと受け止めさせていただきたいと思います。   ここまでで、中間試案の取りまとめの対象となります部会資料11-1、ゴシックだけの資料でございますけれども、これの各項目について御議論を終えていただいたということになりますが、全体を通じまして、更に補足の御発言等があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。   よろしいでしょうか。それでは、本日のこれまでの御議論を踏まえますと、中間試案といたしましては、先ほど休憩前にまとめさせていただきましたように、2点については修正を加えるとともに、字句について必要な修正をするということで、部会資料11-1で提示している内容を取りまとめるということにさせていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。   ありがとうございます。それでは、本部会における中間試案としては、ただいま申し上げたような内容で取りまとめたいと思います。   本日頂きました字句や表現ぶりについての修正の御意見につきましては、事務当局の方で可能な限り対応させていただきたいと考えておりますけれども、その後の検討の中で、細かい字句の修正等が更に必要になってくるという場合もございます。その場合には、実質的な内容にわたらないという限度におきまして、大変恐縮ではございますけれども、部会長である私と事務当局に御一任を頂いて修正をさせていただくというふうにさせていただければと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。   ありがとうございます。それでは、本日の中間試案は今のような留保の下で取りまとめをさせていただいたと扱わせていただきたいと存じます。   本日、御意見として頂戴した点が幾つかございます。重要な御指摘も含まれていたと思います。検認の問題ですとか、ウェブ会議の取扱いの問題ですとか、あるいは甲2案の表現ぶりの問題ですとか、民間事業者の取扱いの問題ですとか、複数の重要な御指摘を頂いているところかと思います。これらの問題につきましては引き続き検討するということで、中間試案を公表しパブリック・コメントをまとめた後、パブリック・コメントを踏まえつつ更に御議論を頂くということにさせていただきたいと思います。   続きまして、中間試案の補足説明についてでございます。これにつきましては、本日の冒頭でも御説明を頂いたように、事務当局の責任において取りまとめていただき、公表をしていただくということを考えております。本日頂いた御意見も含めまして、これまでの会議において中間試案の補足説明の書き方については様々な御指摘を頂いているところでございますので、事務当局においてはそれらを踏まえて補足説明を作成していただきたいと考えているところでございます。   本日の審議はこのぐらいにさせていただきたいと思っておりますけれども、何か皆様の方から特段の御発言はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、最後に次回の議事日程等につきまして事務当局の方から御説明を頂ければと思います。 ○齊藤幹事 本日も御多忙の中、御熱心に議論を頂き、ありがとうございました。   まず、中間試案の関係につきましては、今後所要の準備、手続を経まして、本日お取りまとめいただきました中間試案に加えて、部会長から御説明があったとおり事務当局において補足説明を作成し、これを公表してまいります。その後、パブリック・コメントの実施に進むこととなりますが、できる限り早期の開始を目指して鋭意事務作業を行ってまいりたいと思っております。意見募集の期間といたしましては、2か月弱程度を見込んでいるところでございます。   また、次回の日程につきましては9月30日を予定しておりますが、次回までにパブリック・コメントで出された意見、これらを全て集計してその確定版をお示しすることは難しいとも考えられますので、次回9月30日におきましては、その集計の暫定版をお示しすることや、パブリック・コメントと同時並行で検討を進めるべき論点について御審議をお願いすることを考えているほか、部会における調査審議に必要な、また有益な関係団体等からのヒアリングなどがあり得るかも含めて現状、検討調整中でございます。   改めまして、次回の日程は9月30日火曜日午後1時30分から午後5時30分まで、場所につきましては現状では未定でございますので、追って御連絡を差し上げたいと存じます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   ただいまの事務当局、齊藤幹事からの御説明について御質問や御意見がありましたら伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。パブリック・コメントのスケジュールや、その後の審議の予定等についての御説明だったかと思いますが、これにつきまして御質問があればと思いますが、よろしいでしょうか。   ありがとうございます。それでは、特に御質問はないということですので、ここまでということにさせていただきます。   法制審議会民法(遺言関係)部会の第11回会議をこれで閉会させていただきます。   本日も熱心な御審議を賜りましてありがとうございました。閉会いたします。 -了- -8-