侮辱罪の施行状況に関する刑事検討会 (第3回) 第1 日 時  令和7年11月4日(火)    自 午前 9時19分                         至 午前11時19分 第2 場 所  法務省5階会議室 第3 議 題  1 ヒアリング         2 意見交換         3 その他 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○猪股参事官 ただ今から侮辱罪の施行状況に関する刑事検討会の第3回会議を開催いたします。 ○橋爪座長 本日は、皆様御多用中のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。   本日、田山委員におかれましては途中で退席される旨伺っております。   まず、事務当局から、本日の配布資料について説明をお願いいたします。 ○猪股参事官 本日は、ヒアリング関係の資料として、ヒアリング出席者名簿とヒアリング出席者の説明資料をお配りしております。   また、第2回会議において、ヒアリング出席者の上沼氏に対し、相談内容の内訳ごとの件数の推移、相談内容の内訳のうち誹謗中傷関係としてのみ計上されている件数について、追加資料の提出を御検討してもらいたいとの御要望がありました。2点目については、上沼氏より、誹謗中傷関係のみで相談のあった件数という形でデータを抽出することが難しく、資料の提出は見送りたいとの御連絡がありました。1点目については、上沼氏より御提出いただきましたので、資料としてお配りしています。 ○橋爪座長 それでは、議事に入りたいと存じます。本日は、第2回会議に引き続きヒアリングを行った上で、意見交換を行いたいと思います。   第1回会議におきまして、委員の方から、実際にインターネット上で誹謗中傷の被害を受けられた方からのヒアリングの御要望があったことを踏まえ、私の方でヒアリング出席者名簿に記載されているお二人を選定いたしました。本日は、このお二人からヒアリングを行うということでよろしいでしょうか。             (一同異議なし) ○橋爪座長 ありがとうございます。前回同様に、ヒアリング出席者名簿に記載の順に、お一人ずつ、20分程度お話を伺った後、20分程度委員の皆様からの御質問にお答えいただくという流れで進行したいと思います。   それでは、始めたいと思います。   まず、お一人目は、松永拓也様です。   松永様、座長を務めている橋爪でございます。本日は、御多用中のところ、ヒアリングに御出席いただきまして誠にありがとうございます。松永様から20分程度お話を伺い、その後20分程度、委員から質問があれば御回答をお願いいたします。   それでは、よろしくお願い申し上げます。 ○松永参考人 ただ今御紹介にあずかりました松永拓也と申します。このような貴重な機会を頂きまして誠にありがとうございます。厳罰化前後の経験から見た評価という形で、意見を述べさせていただきたいと思います。   私は、自分と同じように交通事故で苦しむ人を一人でも減らしたいという思いから活動を続けておりまして、その一環としてSNSを通じて社会に向けて発信を行っています。その中で、これまで数え切れないほどの誹謗中傷を受けてきました。厳罰化前に1件、厳罰化後に2件、侮辱罪で被害届を提出した経験があります。厳罰化前と厳罰化後、どちらの立場も経験した身として、厳罰化に対する評価と今後の課題及び改善の必要性を申し上げたいと思います。             (スライド2枚目)   2022年3月、愛知県在住の23歳の男性が、私が金や反響目当てで闘っている、更には私や事故で亡くなった妻と娘まで侮辱するような内容を繰り返し繰り返し投稿しました。私自身、眠れないほど悩んで、傷ついたのですけれども、被害届が受理されて、結果的に拘留29日という結果になりました。侮辱を受け続けた精神的ダメージですとか、被害者として証拠集めをしたり、何回も警察に赴いて相談した負担などを踏まえると、この処分は被害者としては余りにも軽く、到底納得できるものではありませんでした。私は、こんなにひどい侮辱がたった数週間の拘留で終わってしまうんだという現実に、被害者として深い無力感を覚えました。             (スライド3枚目)   厳罰化後の事案として、2023年11月、SNS上の音声配信機能、スペースと呼ばれるもので、元交通鑑定人及び交通事故遺族の2名から、私に対する侮辱及び私が所属するあいの会代表の小沢に対する名誉毀損が行われました。被害届を提出しまして、略式起訴、その後、罰金刑となりました。当然、素人としてはですけれども、この判断に納得しているわけではありませんが、仮にこの事案が厳罰化前であれば、拘留又は科料という結果にとどまっていたと考えると、厳罰化というのは被害者の尊厳を守る上で必要かつ有効な一歩だったと私は考えております。             (スライド4枚目)   現行刑罰の限界と更なる見直しの提案についてですが、私は、もちろん厳罰化していただいたことは本当に心から感謝しております。しかし、私は、実際に言葉の暴力によって心を深く傷つけられまして、何度も眠れぬ夜を過ごしてきました。人からは、「言葉だけなのに」とか「たかがSNSのやり取りでしょう」と言われることもあったんですが、被害者からすれば、受けた痛みというのは一方的な暴力と変わらないと私は思っています。言葉だから軽い罰、刃物や車ではないから軽い罰、この考え方は現代のネット社会には通用しないと思います。言葉は人を生かす力と同時に、人を狂わせ、死に追いやるほどの力を持っていると思います。そして、予防的観点から考えても、現行の刑罰は十分な抑止になっていないと私は感じます。したがって、私たちあいの会としては、次のような2点の見直しを提案します。   一つ目は、罰金刑の上限を段階的に引き上げてほしいと考えています。30万円、50万円、100万円と、悪質性や再犯回数に応じて増額できる仕組みを検討していただきたいと思います。また、経済力というのは人によって大きな差がありまして、20万円とか30万円程度なら痛くないと感じる人もいます。心身の健康や生活を損なってしまった被害者からすれば、やはり到底納得いくものではない。払いたくないと思える水準にすることこそが再発防止につながるのではないかと思います。   次に、拘禁刑の上限を1年以下から3年以下へ引き上げるという点で、これは一般予防、抑止の点と特別予防、再犯防止の両面で必要な措置だと考えています。また、現行法の侮辱罪の法定刑が1年以下の拘禁刑となっている背景には、名誉毀損罪が3年以下の拘禁刑又は罰金50万円以下となっていることとの比較において、事実を摘示して他人の外部的名誉を害する名誉毀損罪の方が、事実を示さずに侮辱する侮辱罪よりも名誉に対する危険の程度が大きいという考え方があったものだと思われます。しかし、この論理はインターネットやSNSが存在しなかった時代の発想です。現代では匿名又は多人数からの侮辱が一斉に拡散して、被害者が社会的にも心理的にも追い詰められて、最悪の場合、命を絶ってしまう事例すらあります。もはや事実の摘示があるかどうかだけで名誉毀損罪よりも侮辱罪の刑を軽くする理由は成立しないと考えます。現代のネット社会における被害の深刻さを踏まえ、拘禁刑の上限を3年以下とする見直しを強く要望いたします。             (スライド5枚目)   言論の自由との関係について述べます。侮辱罪の厳罰化が審議されていた当時、厳罰化は言論の自由を萎縮させるのではという懸念の声もあったと思います。私は、今もSNSの投稿ボタンを押す前に、いつも、また誹謗中傷されるのではないかという恐怖心に襲われています。投稿をやめることもあります。言論の自由が萎縮させられているのは、むしろ被害を受ける人たちです。また、侮辱罪の厳罰化から3年が経過した現在でも、SNS上では活発な意見交換が行われておりまして、誹謗中傷の被害というのも依然として発生しています。この現状を見る限り、厳罰化によって言論の自由が損なわれたとは到底言えないと思います。むしろ誹謗中傷防止の観点からは、被害者を守るための更なる実効的な対策が求められると感じています。             (スライド6枚目)   警察捜査体制の課題と是正の必要性について述べます。   一つ目の事例ですけれども、警察による誤った説明を受けたということがありました。私がある警察署で被害届を提出したときに、担当者から次のような説明を受けました。「プラットフォーム側は個人からの開示請求には応じるが、警察からの開示請求には基本的に応じてくれない、なので警察は動けません。まず、被害者であるあなたが開示請求をして加害者を特定してください、その後であれば捜査ができるかもしれません。」と。私は、その当時は納得していましたが、後から調べた結果、これは明確に誤りであると分かりました。刑事事件として犯罪の疑いがある場合は、警察や検察は裁判所の令状に基づいて通信記録の開示請求を行うことが可能なはずで、この警察官の説明というのは知識不足か、もしくは業務回避による誤った対応だったのではないかと考えています。それだけではなくて、現場の警察官の認識には一人一人大きなばらつきがあり、その結果、被害者が不要な負担を強いられているという現実があるということを述べたいと思います。             (スライド7枚目)   警察官の専門知識の不足についてです。侮辱罪と名誉毀損罪の違いを警察官の担当の方が理解していなくて、印刷された音声記録の内容を、どれが侮辱罪でどれが名誉毀損なのか、印をつけて提出してくれませんかと言われました。その担当官の方はSNSの仕組みというものもほとんど知らないようで、「Xってどういうものなんですか」とか「スペースって何ですか」とか、本当にフェイスブックとXの違いもよく分からないような方でして、これ自体は仕方がないことかもしれませんが、私は弁護士の協力を得て何とかその警察と対応できたものの、これは一般市民にとっては極めて困難な状況だと思います。被害者が一生懸命予定を空けて警察に赴いても理解の乏しい方が対応してしまうと、被害者としては深い失望を覚えます。ですので、侮辱罪、ネット犯罪の通報や捜査を専門的に扱う担当者を各都道府県警に少なくとも1名は配置してほしいと思っています。あるいは、近隣の署から連携支援を得られる仕組みの構築をしていただきたいと考えています。             (スライド8枚目)   被害者負担の現実について述べます。現状、被害者は次のような作業を自ら担わざるを得ません。一つ目は、スクリーンショットの保存、時刻の記録であり、私は、実際、被害を受けてから何十枚にも及ぶスクリーンショットを日時の記載漏れがないよう細心の注意を払いながら実費で印刷をして、警察に持っていきました。その際に、自分自身に向けられた悪意のある侮辱的な内容を何回も何回も繰り返し見なければならなくて、その精神的苦痛というのは非常に大きいものでした。   二つ目は、警察や検察との度重なる面談であり、私はふだん会社員として働いていますので、仕事を終えた後、何度も何度も警察に赴いて面談を行って、その中でさきに述べたような知識が不足している警察官の方に何回も何回も説明しなければいけなくて、本当に心苦しい作業でした。   三つ目が弁護士への委任であり、警察から自ら開示請求をしてほしいと言われ、私はこれを個人でやっていくのはちょっとしんどい、つらいなと感じ、弁護士に委任することも考えましたが、やはり経済的負担がすごく大きくて、その点は諦めざるを得ませんでした。   四つ目は、自費による開示請求、通信事業者への対応であり、開示請求自体も非常に金銭的、精神的負担が大きく、その後仮に金銭的賠償を受けることができたとしても費用対効果が見込めないという点においても諦めざるを得ませんでした。   このように、被害者というのは多大な時間的、経済的、精神的負担を背負うことになります。このままでは、せっかく侮辱罪が厳罰化されたとしても、被害届を出す気力すら失ってしまって泣き寝入りしてしまう人が多数生まれてしまう危険性があると思います。したがって、被害者の精神的及び金銭的負担を軽減するための捜査、手続の一部を行政や公的機関が支援できる仕組みの整備こそ、侮辱罪厳罰化をより実効性のあるものとすることにつながると考えています。             (スライド9枚目)   「違反講習」で再犯防止する仕組みへというところですが、誹謗中傷の加害者は自分は正しいと思い込むなど、認知のゆがみを抱えている傾向が見られまして、刑罰のみでは再犯防止につながりにくい側面があります。実際、私に侮辱をした方の中には、現在も多数の人物に対して誹謗中傷を繰り返している人もいるそうです。そこで、私が交通事故遺族なので道路交通法を例に出しますが、道路交通法違反における違反者講習のように、SNS上の加害行為に対する教育プログラム、心理教育を導入することを提案いたします。これによって加害者が被害者の痛みというものを理解して、再犯を防ぐきっかけになることが期待されます。   さらに、再発防止の観点からは加害者教育だけでなく、将来世代に対しても言葉の影響力や他者への想像力を育てる教育が必要だと考えます。道徳教育やネットリテラシー教育の中で、他者を傷つけないための発信の在り方を学ぶ機会を増やすことが社会全体の抑止力強化になると考えます。             (スライド10枚目)   死者に対する侮辱について述べたいと思います。現在の刑法では、死者への侮辱や虚偽の情報拡散について刑事罰の対象外とされています。しかし、現実には事件や事故の被害者本人を侮辱する投稿がSNS上で繰り返されていて、その遺族が深く傷つく事例というのが後を絶ちません。私自身、亡くなった妻と娘に対して、「二人は死んで当然の人間だ」、「社会のごみが2匹消えただけ」といった言葉ですとか、「その二人が信号無視をした」とか「スマホを見て自転車のながら運転をしていた」といったような全く虚偽の内容を拡散されてしまいました。そういった事実と異なる中傷が広がる度に、妻と娘の尊厳が踏みにじられて、遺族である私の心も何度も折れそうになりました。このような行為は生きている遺族の声を直接的に踏みにじるものであり、社会的にも到底許されるものではありません。死者への侮辱行為を明確な処罰対象としていただくこと、少なくとも遺族の名誉感情を著しく害する行為として刑法上位置付けることを新たな検討課題として強く求めます。             (スライド11枚目)   まとめとしまして、私はこれまで実際に逮捕、処罰に至った事案だけでも複数の侮辱被害を経験してきました。しかし、警察が動けなかった事案ですとか、被害届の受理に至らなかったケースというのも数え切れないほどあります。誹謗中傷は誰にでも起こり得る社会的課題であると同時に、事件、事故の当事者やその周囲の人々では、より被害が深刻化しやすいという現実があります。だからこそ、社会全体の抑止力を高めるために、より一層の厳罰化の検討が不可欠だと考えています。   侮辱罪の厳罰化は被害者の尊厳を守るための第一歩だったということは間違いありません。しかし、捜査体制、罰則水準、再犯防止策、いずれもまだ十分でないというふうに私は考えています。言葉で人を殺せる時代において、社会全体で被害者を守る、そして被害者をつくらない仕組みを整備することが急務だと考えます。どうか私たちのような現場の声を基に、更なる制度改革をお願いしたいと思っています。   少し話が逸れますが、第4次犯罪基本計画において、インターネット上の誹謗中傷について述べられている部分があります。是非調べていただきたいと思いますが、誹謗中傷に関して、相談体制の充実、誹謗中傷などを行わないための啓発活動の強化ぐらいしか書かれていません。ですので、今作成中の第5次基本計画の中で、告訴状や被害届の積極的な受理に向けて検討するという項目を設けていただきたいと考えております。そちらも、是非御検討のほどをよろしくお願いいたします。   この度は貴重な機会を頂きまして誠にありがとうございました。 ○橋爪座長 松永様、ありがとうございました。   それでは、御質問のある方は挙手をお願いいたします。 ○長戸委員 松永さんは、実際に法定刑の引上げ前と引上げ後に侮辱罪の被害にあった御経験があり、何度も警察に行ったということをおっしゃっていました。そのときの捜査当局の対応、警察に行った回数等々も含めて、改正前と改正後で変化は何かございましたでしょうか。 ○松永参考人 改正前と改正後、回数自体は多分1件当たり4、5回だったので、そんなに回数は変わっていないです。警察官の対応としまして、先ほど述べましたが、やはり現場の方がそもそも侮辱罪、名誉毀損罪についての知識が曖昧であり、SNSのこともよく分かっていない、言葉の節々に、身体犯でないからすごく軽視してしまっているような発言というのがありまして、侮辱罪厳罰化前と厳罰化後で現場の警察官の対応に何か大きな違いがあったかというと、正直余り感じられなかったです。ただ、その警察官が個人的にそういう人だったという可能性もあるので、全体は分かりませんが、私の経験からはそのように感じました。 ○佐藤委員 本日はインターネット上の誹謗中傷のお話をしてくださいましたが、アナログな方法による誹謗中傷を受けた御経験はどのくらいありますでしょうか。 ○松永参考人 アナログでの経験はそんなにはないです。講演とか外部でやることもあって、個人的にそばに寄ってきて言われることはもう何十回もありますが、公然と侮辱を受けたというのは、私の経験としてはないです。圧倒的にSNSが多いです。 ○佐藤委員 ネット上では炎上ということがよく起こると思いますが、松永様の御経験として、炎上の仕方として、同一人物がしつこく書き込むのか、誰かが書き込んだのに反応してほかの人がものすごい数書き込むのか、どちらもあると思うのですけれども、実感としてどちらが多いでしょうか。 ○松永参考人 実感としては、とある人物が事実かどうか調べようがないことについてうそを書いた場合、その人が言ったことを信じる人がやはり一定数出てきて、それをリツイートとか拡散されて、事実であるかのように拡散していくというパターンが圧倒的に私の場合は多かったです。そうすると、結局、全体的にそれが真実かのように炎上してしまうのです。 ○佐藤委員 そうすると、一人の人がしつこく書くというよりは、一人の人が書いたことをきっかけにみんなが乗ってくる形が多いということでしょうか。 ○松永参考人 そういうことになります。 ○柴田委員 1点目は、弁護士の支援を一部受けたとおっしゃっていましたけれども、どの段階でどの程度受けることができたのかということと、その支援を受けられなかったらどうだったかについて、お聞かせいただきたいです。   2点目は、先ほど侮辱罪と名誉毀損罪の法定刑について、名誉毀損罪と同じ法定刑にすべきだというお話がありましたけれども、名誉毀損罪と侮辱罪は違うのだという立場からは名誉毀損罪の方も上げるべきだ、全体的に上げるべきだという意見もあるとは思いますが、そういった意見と今のお気持ちは矛盾するものなのかどうか、意見を聞かせていただけたらと思います。 ○松永参考人 一つ目の質問ですが、私の場合、たまたまこういった遺族団体で活動しておりますので、顧問弁護士の先生もいらっしゃってお付き合いがあるから、個人的な相談というのももちろんできましたし、警察に初めて相談に行くときは同行してくださいました。飽くまで私はそういう立場だから、たまたまそういった支援が受けられました。多分そういった弁護士とのお付き合いがない人が圧倒的多数だと思うので、それがもしなかったとしたら、何も分からず、正直、泣き寝入りしていたと思います。   二つ目の御質問ですが、私としては、現代のSNS社会では誹謗中傷は拡散されてしまうので、事実の摘示に重きを置くというよりは、名誉毀損罪と同列にすべきではないかという意見で述べさせていただきました。ただ、被害者感情として述べさせていただくと、名誉毀損罪、侮辱罪、どちらも正直、軽いなと思っています。可能であるならば、どちらももっと厳罰化していただきたいと被害者の立場としては考えています。 ○趙委員 先ほど民事上の損害賠償などは諦めたという話が少しありましたけれども、何度もこういう誹謗中傷の被害を受けられた中で、民事上の手続をとられたことがあるかどうか、仮にないとしたら、その理由、民事上の手続もいろいろ法改正等があったのですけれども、その前後で、民事上の手続について被害者として感じていることがあれば、教えていただけますか。 ○松永参考人 私に関しては民事上の手続はしたことがなくて、正直な話をしますと、侮辱の被害を受けている最中はかなり経済的に苦しい時期もあって、あと仕事と活動でかなり余裕もなく、そして誹謗中傷の数も多過ぎて、そっちまで手が回らないというのもあって、民事はやらなかったという側面があります。民事上の手続の改正がなされたことはもちろん知っておりまして、2件、今、民事でやろうと考えている事例があって、実際に弁護士先生にお願いをしているところです。 ○田山委員 今、匿名による言論によっての暴力がメインの話題になっているところかと思います。匿名だからこその言論に対する有効な規制の在り方を考えるに当たって参考にさせていただきたいと思ってお伺いするのですが、匿名による言論によって、逆に励まされるであるとか、何か行動を起こすに当たって背中を押してもらえるといった、プラスになるような御経験というのはおありでしょうか。いわゆる炎上するといったようなときには、おつらいものがものすごく多いのかなと想像しておりますが、逆にプラスになるような御経験というのがあるのかどうなのかといったところをお伺いしたいと思います。 ○松永参考人 こういった活動している中で、正直、圧倒的に応援してくださる方の声の方が多かったという現実はあるので、そういったプラスのポジティブな意見というのが圧倒的であり、私の場合、面と向かってはちょっと言いづらいけれども、匿名だから言えましたという方も何人かいらっしゃいました。講演会に来てくださった後に、そのときは声をかけられなかったけれども、どうしても伝えたいことがあって書きましたという方もいらっしゃったのは事実です。 ○嶋矢委員 一つ一つの侮辱が全て犯罪で、許せない被害を生じさせているのかなと思いますが、被害に遭われた方の目線から、その中でも特にこういうものは許せない、悪質だと思うような侮辱というようなものがありましたら、お教えいただけませんでしょうか。 ○松永参考人 本当にいろいろなパターンがあるので、どれがというのが難しいのですが、個人的にはやはり妻と娘のことを言われるのが一番つらいです。妻と娘は言い返せないわけで、言論もできない中で一方的に言われるのはすごくつらかったというのが正直なところです。あと、いろいろありますが、うそを交えて言われるのがすごく多くて、松永は講演会で参加者からお金を徴収しているとか、全くないことを言いふらされてしまって、信じてしまう人も出たりとか、そういった虚偽のことを、その人の中では事実みたいになってしまっているのだと思いますが、平気でばらまく人がいるので、そういったことはやはりすごく嫌でした。真実で、自分が悪いことであれば反省につなげたいので、批判は甘んじて受け入れますが、そういった虚偽で陥れるようなことは本当につらかったです。 ○嶋矢委員 今現在、差し支えない範囲で結構ですが、誹謗中傷の被害というものはどのような状況でしょうか。 ○松永参考人 現在は、侮辱罪とは異なりますが、女子中学生からの殺害予告について、先日審判が終わって、やっと一段落をしました。ほかに民事でやろうとしている件がもう2件ある状態です。刑事罰については正直、ほかにも侮辱とか名誉毀損というのはいっぱいまだありますが、全部対応し切れないので、それ以外は今のところ動いているのはない状態です。 ○嶋矢委員 量的にも質的にも余り変わらず、ずっと同じ状態が続いているということでしょうか。 ○松永参考人 そうですね、もちろん、高齢ドライバーの自動車事故が裁判中のときよりは、やはり時間とともに減ってはいるというのがあって、厳罰化前と厳罰化後の違いというよりは、そういった違いになるのかなとは思うんですが、正直余り変わらない、厳罰化されてもやる人はやるんだなというところが正直あって、だからこそ現在の刑罰では抑止力になっていないのではないかと申し上げたのは、そういった側面から感じているところであります。余り変わっていない、だからこそ、もう少し厳しくしなくてはいけないのではないかというふうに考えています。 ○笹倉委員 今おっしゃった抑止力に関してお尋ねします。現に処罰された人の中には、懲りずにほかの人を誹謗中傷し続けている人もいるというお話がございましたが、松永様が被害に遭われ、その犯人が処罰された事案が報道され世の中に伝わったことによって、他の人が間違っていたとか悪いことをしたと反省を述べてきたり、あるいは謝ってきたというような例はありますか。 ○松永参考人 こちらが、例えば被害届を出しに行きますとか、何か行動に移しますとか言うと、やはり一生懸命謝ってくるんですよね。しかし、実際に裁判とかになると、それは加害者の権利なので、ある程度仕方ないところはあるのですが、やはり悪くない、松永さんに言ったわけではないとか、そういっためちゃくちゃなことを言ってくるわけです。裁判が終わった後に、たまたま誹謗中傷の相手方と会ってお話したときに、当然会ってしまったからだと思うのですが、申し訳ないということは言っていました。ただ、その1週間後とかにまた誹謗中傷しているわけです、もう二度と誹謗中傷しないと言いながらですね。だから、その謝罪というのが自身を守るための謝罪というか、本当に他者に対して申し訳ないと思った上での謝罪のようには、正直感じたことは余りないです。 ○橋爪座長 私からもよろしいでしょうか。先ほど松永様からは、講演会等でも誹謗中傷を受けたと伺いましたが、講演会のような場で、言わばマンツーマンで非公然と誹謗中傷を受けられた御経験と、ネット上で公然と誹謗中傷を受けられた場合では、被害と申しますか、痛みに違いがあるものでしょうか。 ○松永参考人 全然違います。対面であれば、もちろんつらいですけれども、この人はそう思う人なんだなと思えば、ダメージはそこまでではないですが、SNSはやはり拡散性があって、それが広がってしまうと一人一人に説明する機会というのは限られますし、もちろんこれは事実ではないですと改めてSNSで発信することはできたとしても、その投稿をその人たちが見てくれるかどうかはその人たち次第なので、拡散性という意味でダメージが全然違うというふうに私自身は感じています。 ○橋爪座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。   よろしいでしょうか。特に質問がなければ、質疑応答はここまでにしたいと存じます。   松永様、本日は貴重なお話を頂きまして、本当にありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 ○松永参考人 貴重な機会をありがとうございました。 ○橋爪座長 本日伺った内容につきましては、今後の検討に是非活用していきたいと考えております。   それでは、ここで10分ほど休憩したいと思います。再開は10時10分といたします。             (休     憩) ○橋爪座長 それでは、再開いたします。   二人目の方は、木村響子様でございます。   木村様、座長を務めている橋爪と申します。本日は、御多用中のところ、ヒアリングに御参加いただきまして誠にありがとうございます。木村様から20分程度お話を伺い、その後20分程度、委員から質問があれば御回答をお願いいたします。   それでは、よろしくお願い申し上げます。 ○木村参考人 皆さん、こんにちは。リメンバーハナ代表の木村と申します。今日は私のお話を聞いてくださるということですけれども、私はいつもこういった場に有り難く参加させていただいていますが、被害者から聴き取りをしましたという事実だけではなくて、本当に動いていただきたいです。寝ないで準備してきました。3連休全部潰してスライドを作ってきたので、是非皆さんに動いていただきたいと思います。あと、私は一人語りがちょっと苦手なので、皆さんに話しかけたりすると思うんですけれども、温かく答えていただければと思います。   皆さんにお聞きしたいんですけれども、誹謗中傷を受けたことがあるという方はいらっしゃいますか。皆さんの中で、ガスや電気の料金が払えなくて、止まったことがある方はいらっしゃいますか。お金がなくてお米が買えない日があったという方はいらっしゃいますか。私は全部あります。シングルマザーで20歳で子供を産んで育ててきましたので、本当に私、15歳からずっと働き詰めで、いろいろな仕事をして生き抜いてまいりました。ここにいらっしゃる皆さんは、いろいろな専門家の方ばかりだと思いますが、多分皆さん、お仕事の中で人が亡くなられたりとか、そういったことが日常的にあると思うのですけれども、それがお仕事としてあることと自分の身に降りかかるということの違いを本当に感じてほしいなと思います。             (スライド2枚目)   ちょっと前置きが長くなりましたが、私は木村響子と申しまして、私の娘は、プロレスラーだったのですけれども、私が20歳のときにインドネシアの方と恋に落ちて、ミックスのルーツを持って日本で生まれてきました。そして、プロレスラーになってからは、マイノリティーの方や苦しんでいる方、悩んでいる方の力になりたい、試合を通して元気を届けたいと言っていました。女子プロレスを広めるためにリアリティーショーに出演し、そこで悪役を演じて、本当に呪いのような言葉が毎日届いて、今はお空の上に行ってしまいました。私は、2021年に、「リメンバーハナ」というSNSの誹謗中傷を終わらせるために、できる活動は何でもしようという団体を立ち上げまして、やってきましたので、今回は私だけの経験ではなくて、私が今まで相談を受けた方々の分を代表してお話をしたいと思います。             (スライド3枚目)   これは、厳罰化の後に私に飛んできた誹謗中傷と批判のグレーゾーンのようなものです。娘のことがあった直後から、自分としては二度とこういうことを起こしてほしくないという気持ちで取材を受けたり、厳罰化に向けた活動をする中で、ずっと誹謗中傷されてきました。「金目当てで裁判をやっている」とか「目立ちたがりだ」とか「こんな髪型もおかしくて頭もおかしい母親だから娘もおかしい」とか、いろいろな誹謗中傷をされてきました。             (スライド4枚目)   被害者と加害者で、本当にめちゃくちゃギャップがあります。加害者は、本当に気軽に、どこででも加害行為ができるんですね、寝転がりながら指一本でできます。一方、被害者はそれをやめてほしいだけなのに、被害者が全て動かなければいけないのです。実際に私は、一番最初、娘の花が亡くなった次の日に、捜査一課の方に証拠を集めてくださいと言われて、まだお葬式の前で部屋に娘の花が寝ている横で、私はもう御飯も食べられず、眠れず、ずっとスクリーンショットで証拠を撮り続けていたんです、ただ涙だけが流れて。そのときに、もう言葉が読めなくなってしまいました。いろいろな人が心配してメッセージをくれましたが、それをもう理解することもできませんでした。本当に、家から出られなくなるとか、布団から出られない、はってでも取材に行くみたいな日々が続いていました。今5年半経ちますけれども、4年間私は眠れずに、仮眠しか取ることができずに、ちょうど1年ぐらい前ですかね、本当に体調がいよいよおかしくなって、クリニックで睡眠薬を頂いたりして、やっと今眠れるようになりました。   被害者が布団から出られない状態でも証拠を集めて、相談窓口を探して、弁護士も探さなければいけない、お金も集めなければいけない、自分の心のケアもしなければいけない、全て被害者が個人でやらないといけないんですね。警察に被害届を出すにも、「どこの誰がやったのか分からないと被害届は出せません」と言われました。実際にリメンバーハナの事務所を爆破予告されたこともあります。怖くて警察に連絡しましたが、「そんなに具体的な文ではないからいたずらでしょう」と言われました。被害届を出したかったのですけれども、結局海外のサーバーから送られているということで、どこの誰がやっているか分かりませんでした。苦労してお金をかけても加害者が特定できないことがあり、加害者は見つからないことの方が多いのです。被害者が加害者の特定までたどり着くのはすごく大変困難なのです。             (スライド5枚目)   こういうピラミッドを作ってみました。3年間で、90件ぐらい侮辱罪で罰金刑となったと聞きました。それは頂点の本当に一部で、そこまでたどり着くまでに本当にたくさんのハードルがあります。私の場合は娘の花がもういないので、してあげられることがもうないので、本当にそれこそ結婚式のためにみんなでためていたお金とかも全て出して、親に借金とかして、開示請求の裁判をして、全部で900万円ぐらいかかりました。それで刑事で2、3人ですかね、でも、厳罰化の前だったので、科料9,000円という金額で、民事の方でも支払わない人もいたりして、結局、3分の1ぐらいしか戻ってこなかったので、その何百万円と、プラス自分の心が何回も壊れるということがありました。   侮辱罪厳罰化の効果として、被害者救済の強化ということがあったと思いますが、それは本当にピラミッドの頂点の裕福層の人たちだけにしか届いていないと思います。私みたいなケースは本当にまれだと思います。多分本人がいたら、本人の将来のために取っておこうということになって、高額なお金を使えなかったと思います。             (スライド6枚目)   これはよく見かけるイラストですけれども、裁判も、法律も平等なんですね。被害を受けた側にとってはフルマラソンを走った後に、では平等にここがスタートラインだから、ここから100メートルダッシュねと言われて競争させられるような、そんな感じです。決して公平ではないです。ぼろぼろです。加害者は実際に罪に問われること自体がとても少ないので、そうすると、今のSNSは本当に無法地帯で、何のための法律なのか、一部の裕福な人たちだけが使えるような法律なのではないかという思いがあります。そして、声を上げた被害者に対する攻撃というのもすごく多いです。NPO法人もそうですし、女性もそうですし、いろいろな被害を受けた人たちに対しての攻撃が本当にひどいです。             (スライド7枚目)   私たちが被害者救済の対策をいろいろ考えてみました。理想論と言われるかもしれないのですけれども、理想論だからできませんと言うのは簡単だと思うので、できるかできないかではなくて、どうしたらこれに近づけるかを、皆さん、天才の方たちだと思うので、やっていただきたいと思います。   今一番の問題は、誹謗中傷自体が加害者と被害者という個人間の問題にされてしまっていることで、これは個人間だけの問題ではなく社会問題なのです。娘の花のことも、炎上とか過激な演出とかで視聴率を稼ぐような、今ユーチューブとかでもそうですけれども、わざと炎上騒ぎを起こしたり、誰かに対するデマとか攻撃的なことを言うことで視聴回数を稼ぐというすごくゆがんだ利益の生み出し方があり、そこまで人間としての心を捨てられる人たちが多いというのは、それだけみんなが生活に困っているということではないかなと思う部分もあります。   これは性被害でもありますけれど、ワンストップ支援センター、そういったものを是非つくっていただきたいです。警察に行ってもSNSにめちゃくちゃ詳しい人に当たるとは限らないです。その確率は低いですし、相談窓口でもそうです。逆に、私たち被害を受けた側が心を閉ざしてしまうようなアドバイスをされることとかもあるんです。例えば、「見なければいいよ」とか「気にしたら負けだよ」とか、そういった言葉を言われると、本当に自分の苦しみって分かってもらえないんだと思って絶望してしまいます。孤立してしまうということがあります。ワンストップ支援センターの中でSNSに特化したいろいろな職業の方たちが連携して、みんなで問題解決に向かって解決していくという、行政を横断するようなチームが必要なのではないかと思います。   そして、脳の仕組みなどについて、私が今まで経験した中で言うと、誹謗中傷は性加害とか依存症に結構近いものがあるなと感じていて、そのあたりの研究やデータを積み重ねていくこともこれからとても大切になってくる、やっていかなければいけないことではないかなと思います。   また、AIに予習させて誹謗中傷かどうかの判定をしてもらうということも考えられます。人ではなくてAIという心を持たないものが冷静に事実を述べることによって、感情的にならずに受け止めることができるのではないかなと思います。   もう一つ私たちが思っているのは加害者の背景です。やはり攻撃的になってしまう人は、それだけやはり苦しい思いや傷ついたこと、怖い思いをされてきた経験がその背景にあるのではないかと思っていまして、そういったことを少しでも癒やすことができる言葉、場所づくりですね。   一度、私の民事裁判のときに裁判長に和解を勧められて、そのときに私はカウンセラーさんの団体にお願いをして、更生プログラムのようなものをつくっていただきました。それが90分4万5000円と言われました。私は3回で4万5000円だと思い、向こうがお金がないから受けられませんと言ったので、私がお金を出すから受けてくださいというふうにして、そのプログラムを受けるということを条件に和解をしました。そうしたら、カウンセリングということで、加害者の方が自分の話を聞いてもらえると勘違いして来られて、結局そのカウンセリングが不成立になったのです。なぜかというと、女性のカウンセラーさんが3人ぐらいでやってくださいましたが、認知のゆがみというところに向き合わないといけないので、「そのときどんな気持ちだったか」とか、核になることを質問をすると、「言いたくない」とか「答えたくない」とか言って全く成立しなかったんです。しかも、1回の値段が4万5000円だったんです。ですので、私は4万5000円を払って、90分、しかもその方がそこでカウンセラーの方たちに大声でどなり散らかしたということで、本当に御迷惑をおかけしてしまいました。ですので、更生プログラムというのはやはり罰則とつなげてやっても意味がないのかなというのはそのときに感じたことで、また、誹謗中傷の裁判の和解のときに同じ条件を入れて、カウンセリングをちゃんと最後まで受けなかったら更に違約金のようなものが発生するという契約にしたんですけれども、その人は1回も来ずに、違約金のお金だけを振り込んできたということもありました。   ですので、ここはやはり北風より太陽みたいな感じで、その人にいきなり、何でこういうことをしたのとかいうことではなくて、まずその人がちょっと自分の気持ちを吐き出せるような場所とか、ほかのストレス解消方法であったり、ほかの楽しみを見つけられるような場所は必要なのかなと思っています。             (スライド8枚目)   期待された抑止効果について、これは私はあったと感じています。犯罪という認識はすごく広まったと思うのですが、SNS人口も増加していて、ちょっと比較が難しいですけれども、過激なものはちょっと減って、逆にグレーゾーンの巧妙なものが増えてきたかなという印象です。ただ、やはり言われる方としては、「死ね」という言葉も「死ねばいいのに」という言葉も同じだけ傷つくんですよね。   その抑止力の限界というのをやはりすごく感じています。各国のいろいろな国の法律を見てみると、ちゃんと新しい法律がいろいろできています。SNSの年齢制限でしたり、プラットフォームへの結構高額な罰金でしたり。それなのに、なぜ日本ではガイドラインというちょっと優し目のものしかできないのかという疑問があります。             (スライド9枚目)   【木村参考人の補助者がスライド9枚目の内容を読み上げる】 ○木村参考人 これは今、未成年の子たちがSNSでどんどん巻き込まれている犯罪などです。特にこれの話を聞きたいというリクエストはございますか。 ○柴田委員 「危険チャレンジ」は不案内なので御説明をお願いいたします。 ○木村参考人 「危険チャレンジ」というのは、今、海外のインスタグラムというアプリではやっていまして、若い人たちが危険なことにチャレンジすることです。例えば、電車の上に立って動画を撮ったり、あとは、首を絞めて何秒耐えられるかというものなど、本当に危なくて、何十人もの未成年の子が世界で亡くなっています。これが日本に入ってくる可能性もあると危惧しております。   特に未成年の子は、その子が悪いわけではなくても、知らないということだけで犯罪者になってしまうということがあるので、やはり学校での教育、啓発というのはすごく大事だと思いますが、教育の予算が本当に少ないです。そして、リメンバーハナはとても小さくて、まだできたばかりのNPOなので、助成金というのをまだ一度ももらえたことがありません。ですが、依頼してくださる学校や自治体などは、こちらが助成金をもらっているという前提で金額を言われるわけです。私たち二人で伺って、その前に子供たちに匿名でアンケートをとったりして、一回一回、その学校で起きているトラブルに合ったもの、子供たちが知りたいことなどを毎回スライドで作ります。日本語が母国語でない子がいたら、その母国語もちゃんとネイティブの方に見てもらって入れたりして、そういった地味な作業もたくさんあり、赤字です。             (スライド10枚目)   これは皆さん御存じだと思いますが、世界で子供たちを守るためのSNS利用の年齢制限というのがありますが、日本にだけこの年齢制限がないということで、この法律についての議論は必要なのではないかなと思います。             (スライド11枚目)   侮辱罪の改正当時、悪用の可能性がすごく心配されていましたが、言論封殺は特に私が見た限りは見つからなかったのですが、実際にそういうことはあったんでしょうか。   もう一つ、スラップ訴訟で、経済力のある方々や特定の弁護士の方が、わざとちょっと刺激するような言葉を先に言って、それに対して攻撃的に来た人たちを言葉狩りのような形で一斉に大量に開示請求をして、示談をするというような話もよく耳にしたりして、これは本当に深刻な被害を受けている人たちにとっては、救済が更にややこしくなってしまうのではないかと思います。   対策案として、オンブズマン制度のようなものがあればよいと思います。法律を最終的に決めるのは政治家の方になりますが、そうするとやはり身内に甘いという批判が必ずついてきてしまうと思うので、利益関係のない第三者のジャッジというのは効果があるのではないかと思います。     以上となりますが、今日お話しした内容とお配りした資料のうち、プライバシーに関わる部分は非公表としていただきたいです。よろしくお願いします。 ○橋爪座長 木村様、ありがとうございました。   それでは、御質問のある方は挙手をお願いいたします。 ○長戸委員 刑事もそうですけれども、民事も司法の敷居が高いのではないかという観点から、あえて金銭的なことをお伺いしますが、令和4年の衆議院法務委員会で木村さんが参考人として、裁判の総額だけでも1000万円近いお金がかかったとおっしゃっておりましたが、現在までの裁判費用も、1000万円ぐらいでしょうか。 ○木村参考人 私は、大きく分けて2種類の裁判をやっており、テレビ番組の制作会社に対する裁判と誹謗中傷の裁判の合計で1000万円以上で、現在はもっと増えています。誹謗中傷の裁判だけだと、大体900万円弱ぐらいだと思います。 ○長戸委員 御自身のカウンセリングなども受けられたこともあるのではないかと思うのですが、その際の御費用というのは自費ですよね。 ○木村参考人 実は私は、今も半分引きこもりのような状態で、こういうふうに仕事のときは、かちっとスイッチを入れて頑張ることができますが、用事がないときは家か仕事場にいるという感じです。なぜかというと、本当に人が怖くて、お医者さんすらも信じられなかったんですよ、当時。病院に行くことも怖くて、娘のことがあった3年後ぐらいに、何回か電話でカウンセリングを受けましたが、それはやはり自費で、保険もきかないので、1回1万5000円ぐらいでした。しかし、それもやることで結構つらくなってしまったので、私にはまだ早いのだと思って、今やっている裁判が全部終わって一回闘いの区切りがついてから、しっかり自分の悲しみと向き合おうと思っています。 ○佐藤委員 最後に出てきたスラップ訴訟のことでお伺いしたいのですけれども、御趣旨は、侮辱罪の法定刑の引上げによって、かえって被害者に対して絡みのような形で侮辱罪の告訴をするというケースがあるという御懸念ですか。 ○木村参考人 これは侮辱罪厳罰化の前から実は一部であったことですが、ちょっと過激な発言をして、それに怒って何か言ってきた人たちに対して、言葉狩りのような形で、特定の弁護士さんが100件とか大量に開示請求をして、「あなたの言ったのは侮辱罪ですよ」、「今だと罰金幾らですよ、示談しますか、どうしますか」みたいな感じで、それに対して示談金を支払うということが起きているということです。 ○佐藤委員 つまり、侮辱罪の存在を利用して、嫌がらせ的な告訴というか、そういう請求をしてくる方がいらっしゃるということでしょうか。 ○木村参考人 本当に少数ではありますが、いらっしゃいます。 ○佐藤委員 それを踏まえて、本日のお話の全体で受けた印象なのですけれども、被害者支援や加害者対策というのが非常に大事で、侮辱罪の法定刑の引上げの問題に関しては比較的慎重なお立場という理解でよろしいですか、それとも積極的に上げていく立場でしょうか。 ○木村参考人 私個人としては、やはり侮辱罪の罪を重くするよりも、むしろその幅を広げていただきたいと思います。なぜなら、法律的にグレーゾーンであっても傷つく気持ちは一緒です。例えば、娘の花のときにもすごく多かったのが、ダイレクトメッセージによる嫌がらせ、罵詈雑言というのが、侮辱罪の複数の人の前でという要件に当てはまらなくて、やはりそこは新しいSNSの法律が必要なのではないかと思います。やはりSNSのない時代に作られた法律に当てはめていくのは限界があるのではないかなと感じています。 ○柴田委員 被害者の金銭的負担が大きいという指摘がありましたが、弁護士費用が高額ということなのでしょうか。 ○木村参考人 そうです。ある法律事務所のホームページに記載された金額でも、裁判での削除請求の着手金が22万円、解決時の報酬金が22万円となっているので、投稿の削除だけでもこれだけお金がかかるのに、削除されたところで、またすぐアカウントを作られてしまうわけですよね。なぜ電話番号のひもづけができないのかというところですよね。それができれば、すぐに誰がやったか分かりやすいというのがあります。海外のサーバーを経由すれば何もできないというのもすごく歯がゆさを感じていて、それもどうにか対策ができないものなのかなと素人ながら感じています。 ○柴田委員 もう1点、犯罪被害給付制度が侮辱罪の被害者等をきちんとカバーしてくれていないなど、現在の被害者の支援が不十分だとのお考えはありますか。 ○木村参考人 はい。そうですね、本当に亡くなっている方がたくさんいます。自死なので、なかなか難しい部分もあるかもしれないのですけれども、もう明らかにというケースもかなり見受けられるので、自死であっても、その命は追い詰められて奪われているということで、社会のひずみということだと思います。もしそこで、とても裕福なおうちの人だったら、多額のお金を払って犯人の責任を問えるかもしれないのですけれども、お金を持っている、持っていないでも格差があるわけですよね。もう少し被害者支援、被害者だけに重荷があるというのは厳罰化の前からずっと変わらないことなので、刑が引き上げられて、法律に詳しくない方とかは、罰金を被害者がもらえると思っていたりするんですよね。被害者には刑事罰では何ももらえないのに、それを勘違いして、また誹謗中傷されたりということもあります。 ○木村参考人 最後に座長から何か一つ質問をお願いします。 ○橋爪座長 御指名ですので、私からも一つ質問させていただきます。侮辱、ネットの誹謗中傷に対する対応について、これから具体的な検討をしていきたいと考えておりますけれども、先ほど佐藤委員からも質問がございましたが、木村様としては、侮辱罪の法定刑をさらに重くするというよりも、事案に応じて適切な対応ができるように幅を持った形で対応すべきというお考えでしょうか。 ○木村参考人 そうですね、あと優先順位としては、やはり被害者支援を先にしていただきたいです。というのは、どんなに刑事罰を厳しくしていただいても、一般庶民の方は刑事罰を利用できないです。これもデータとかでしっかり取っていただきたいのですけれども、一般市民が被害届を出そうとするよりも、弁護士に提出してもらった方が被害届の受理率がすごく高いらしいです。それは警察のデータで残っているのかどうなのか分かりませんが、私の場合、最初にすごくつらかったときに威圧的な方がいらっしゃって、警察署に行くのが怖くなってしまって、そのときに弁護士にお願いしたら、既にその人一人で開示請求のお金も軽く100万円以上のお金がかかっていたのに、さらに着手金22万円、受理されたら22万円の弁護士費用がかかりました。それなのに、その人には科料9000円だったわけですよね。でも、これが罰金30万円だったらいいか、罰金50万円だったらいいかという問題ではないと思うのですよね。罰金50万円にするよりも、先に被害者支援に50万円を使ってほしいという気持ちです。 ○橋爪座長 重ねてもう1点申し上げますが、刑罰というのは、先ほど木村様もおっしゃいましたように、罰金50万円といっても50万円が被害者のところに来るわけではありません。あくまでも刑罰は、非難や応報であって、その人の行ったことが犯罪であるということを示して本人を厳しく非難するためにあるわけです。他方、民事上は不法行為に対し損害賠償制度がございまして、それには被害者の被害を経済的に回復する機能があります。さらに、それとは別に、国として、インターネット上の誹謗中傷の被害者に対して救済する仕組みを設けるべきという議論があり得るわけでして、つまり国からの救済という仕組みと、民事の損害賠償の充実という観点と、刑事罰の強化という三つの選択肢があるわけです。この三つの選択肢の使い分けが重要な問題になると思うのですが、この点につきまして、もしお考えがありましたら、簡単にお聞かせいただけますと幸いです。 ○木村参考人 裁判をやって思ったのが、本当に心身削って、本当にぼろぼろになって裁判をやって、勝ちました。けれども、相手は負けたって払わないんですよ。おかしくないですか。ガス代を払わなかったらガスを止められるではないですか。それなのに、裁判で負けた人は払わなくても、私の方が差押えをしようと思ったら、またお金がかかるんですよ。銀行一つ調べるのに何万円もかかるんですよ。でも、どこの銀行に口座を持っているかも分からないんですよ。それを全部被害者が負担しなければいけないのはどう考えたって理不尽ではないですか。そう思いませんか。表現の自由はもちろん大事ですけれども、表現の自由の前に、誹謗中傷される人は平和に生活する権利を奪われているんですよ。ただやめてほしい、なぜなら、もうそれ以上されたら生きられないから。だから、生きるために必死になってやっているんですよ。でも、裁判所にお金を取ってきてくださる権限ありませんよね、やはり国が支援しないと、被害者は報われないのではないでしょうか。 ○橋爪座長 御趣旨はよく分かりました。ありがとうございます。   ほかには、よろしいでしょうか。   それでは、ヒアリングについてはこれで終了とさせていただきます。   木村様、本当に本日は貴重なお話を頂きましてありがとうございました。改めて厚く御礼申し上げます。 ○木村参考人 私たちは、日々魂を削って、ぎりぎりになって、全力でいろいろなことを考えています。また、授業や講演で本当にいろいろな人のつらい思いを聴いたりしていますので、皆さんにその声をどこまで伝えられるかが私たちの両肩にかかっていると思うので、是非私達の思いを御理解いただけますようお願いします。 ○橋爪座長 ありがとうございます。本日の内容につきましては、是非今後の議論に活用していきたいと考えています。本日はありがとうございました。 ○木村参考人 是非活用してください。 ○橋爪座長 それでは、ここで10分ほど休憩を入れたいと存じます。再開は11時15分でお願いいたします。             (休     憩) ○橋爪座長 それでは、会議を再開したいと存じます。   次に意見交換を行いたいと存じます。ヒアリングの結果を踏まえて、本検討会における検討事項や今後の議論の進め方につきまして御議論いただきたいと存じます。   本検討会における検討事項につきましては、第1回会議において事務当局から「検討事項(案)」が示されましたが、各論点を議論することの要否あるいは当否や、他に検討すべき論点等につきまして御意見がございましたら、是非お願いいたします。   いかがでしょうか。特に御意見がなければ、今申し上げましたとおり、第1回会議で示しました「検討事項(案)」の「1」から「3」について、これからの検討会で順次検討を進めていくということになるかと存じますが、その点につきまして、何か御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。 ○柴田委員 法定刑引上げの際に、諸外国の法制度ということで、たしかドイツ、フランス、韓国の例は挙げられていたと思いますが、その後この3年ぐらいで、世界の動きがあるのであれば、参考資料として頂きたいと思います。 ○玉本刑事法制管理官 検討させていただきます。 ○橋爪座長 他に御要望や御意見ございましたら、是非お願いいたします。いかがでしょうか。   よろしいでしょうか。それでは、「検討事項(案)」につきましては修正を要する点はないと承りました。今後本検討会で検討すべき論点につきましては、第1回会議でお示しいたしました「検討事項(案)」のとおりとしたいと存じます。その上で、先ほど申し上げましたとおり、本検討会における検討でございますが、次回以降は「検討事項(案)」に沿って順次進めていきたいと存じます。そのような形で進行するということでよろしいでしょうか。             (一同異議なし) ○橋爪座長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。   本日予定しておりました議事につきましては、これで終了いたしました。   次回の予定につきましては、なるべく早く調整の上、確定させまして、事務当局を通じて皆様にお知らせしたいと存じます。   本日の会議の議事につきましては、原則としては発言者名を明らかにした議事録を作成し、公表するとともに、配布資料につきましても公表したいと考えております。もっとも、ヒアリングの際、木村様の御発言や資料のうちプライバシー等に関わる部分につきましては非公表としてもらいたい旨の御要望がございました。また、それ以外の部分につきましても御発言内容を改めて確認した上で、プライバシー保護等の観点から非公表とすべき御発言等がある場合には、該当部分を非公表としたいと考えております。それらの具体的な範囲や議事録等の記載方法につきましては、発言者との調整もございますので、座長である私に御一任をお願いできますでしょうか。             (一同異議なし) ○橋爪座長 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。   本日はこれにて閉会といたします。長時間ありがとうございました。 -了-