法制審議会 民法(遺言関係)部会 第12回会議 議事録 第1 日 時  令和7年9月30日(火) 自 午後1時30分                      至 午後5時16分 第2 場 所  最高検察庁大会議室(20階) 第3 議 題  1 参考人ヒアリング         2 民法(遺言関係)等の改正に関する論点の補充的検討 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会民法(遺言関係)部会の第12回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。   まず、前回の部会以後、人事異動等の関係で委員等に異動が生じておりますので、御紹介をいたします。入江誠委員、松井信憲委員、笹井朋昭幹事、そして宮村開人関係官が今回から新たに出席されることになりました。松井委員は第3回会議まで法務省大臣官房審議官として参加されていましたが、今後は法務省民事局長として会議に参加されることとなります。また、これまで幹事として出席されていた竹林審議官は委員に就任しており、竹林審議官の後任として笹井民事法制管理官が幹事に就任されております。   それでは、入江委員、松井委員、笹井幹事、そして宮村関係官におかれましては、今のお名前を申し上げた順番で簡単な自己紹介をお願いいたします。 (委員等の自己紹介につき省略) ○大村部会長 それでは、本日の審議に入りますが、その前に配布資料と本日の進行についての説明を事務当局の方からお願いをいたします。 ○齊藤幹事 配布資料として、まず部会資料12「民法(遺言関係)等の改正に関する論点の補充的検討」がございます。部会資料の内容につきましては、本日後半の審議で事務当局から御説明をいたします。また、参考人から御提供いただいた資料が2点ございます。こちらについては本日前半のヒアリングにおいて、参考人の皆様から御紹介を頂きたいと思っております。また、席上のタブレットには委員等名簿及び議事次第を格納しております。   本日の進行でございますが、まず参考人ヒアリングとして参考人3名の方に参加をお願いしております。本日御説明を頂く順番に御紹介をいたしますと、一般財団法人全日本ろうあ連盟理事(福祉労働委員会副委員長)の小林泉様、同じく福祉労働委員会委員の河合めぐみ様、社会福祉法人日本視覚障害者団体連合副会長の田中伸明様です。最初に、小林参考人及び河合参考人から御意見を賜り、次に田中参考人から御意見を賜った後に、まとめて質疑応答の時間を設けるという進行を予定しております。ここまででおおむね2時間程度のお時間を頂戴することを考えております。   参考人ヒアリングの実施後は休憩を挟み、部会資料12に基づき、民法(遺言関係)等の改正に関する論点の補充的検討について御審議いただくことを予定しております。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは、本日の審議に入りたいと思います。   ただいま事務当局から御説明がありましたように、まず参考人のヒアリングを行います。   本日、小林参考人、河合参考人、そして田中参考人におかれましては大変お忙しい中、この部会に参加を頂きまして誠にありがとうございます。参考人の皆様から、障害がある方の意思疎通方法の現状あるいは遺言制度の見直しにおいて留意すべき事項等を伺い、今後のこの部会での検討にいかしていきたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。それでは、まず小林参考人及び河合参考人から御説明をお願いいたします。   どうぞよろしくお願いいたします。 ○小林参考人 皆さんこんにちは。ただいま御紹介いただきました、全日本ろうあ連盟の小林と申します。私はろうです。聞こえませんので、手話通訳を介して皆様方に意見を述べたいと思っております。今回、改めましてこの法制審議会の場に我々の団体の発言の機会を頂きましたことを心から御礼を申し上げたいと思っております。ありがとうございます。   さて、私どもの団体でございますが、昭和22年に結成をいたしました。全国47都道府県に各ろうあ団体の組織を持っております。そして、日本唯一の当事者組織という形で長い間、運動を進めてまいりました。ろう者の生活あるいは権利を守るということ、また社会参加を実現するという、そういった目的を持って活動をしております。   まず、皆さんに是非知っていただきたいことは、聞こえない、聞こえにくい人には、本当に様々な人がおられます。一様ではないのです。本当に人によっていろいろな状況があります。例えば、生まれつき聞こえないという人たちもおります。あるいは高熱で聞こえなくなった、様々な原因による失聴があります。また、言葉を覚えた後に聴覚障害になったという方もおられますし、高齢期に入って聞こえづらい状況になったという方もおられ、本当に様々な状況にあります。私どもの団体は、主に生まれつき聞こえない人たちで手話をメインに生活をしている人たち、手話をベースにしたアイデンティティを持った人たちが中心になって活動をしております。   皆様、「ろう」という言葉を御存じでしょうか。これは生まれつき聞こえない人、音のない世界の中で成長しているということ、また、言葉を獲得する前に聞こえなくなった人たちもおります。特に、今の高齢期の方々というのは本当に戦中、戦後の混乱の中で、小さいときから聞こえないという暮らしの不便さを背負って人生を生きてきました。あの当時は人権意識ですとか社会状況の背景の中で、もちろん経済社会の中では本当に障害者というのは厳しい状況に置かれておりました。その中で就学ができなかった、教育を十分受けられなかったという方もろうの高齢者にもたくさんおられます。そういった環境の中で人生を過ごしてきた、つまり学ぶ権利を奪われたような社会環境の中で生きてきた方も多くおられます。   昭和23年に学校教育法が制定されました。それまでの間は、ろうの子供たちというのは十分教育を受ける機会がなかったわけです。制度自体も存在しませんでした。ろう学校で学べるということは、裕福な子弟しかできないという時代もありました。さらに、長い間ろう学校では手話を使うことを厳しく禁止されていたという期間がありました。口の形を読み発声をするという、いわゆる口話教育というものが主流として教育の中心となっておりました。   手話というものを実際に活用できるようになったのは平成に入った近年なのです。一部の学校が手話での教育をやっていたということはありますけれども、ほとんどのろう学校は手話を活用するということは厳しく禁じられました。平成20年頃にようやく手話というものが学校の中でも活用されるようになり、変わってまいりました。いわゆる教育的な歴史、また社会環境の変化というものもあります。   また、聞こえないということから、自分の音声を自分の耳にフィードバックすることができません。ですから、声を自分の耳で確認することができませんので、例えば皆さんの場合には日本語音声というものは耳で聞いて自然に覚えていくということになると思いますが、ろうの子供たちは、聞こえるという経験がありませんので、日本語の音声というのが身に付きづらい、また日本語も獲得しづらいという状況にあります。ですから、特にろう者の場合には読み書きが不得手、苦手な方もいます。耳から情報が入りませんので、その耳からの情報に非常に大きな課題を抱えております。情報アクセシビリティが十分でないという環境にあるわけです。   今回、民法の改正に当たりまして、私どもの団体といたしましては、もちろん改正ということは時流の流れと思いますけれども、しかし、聞こえにくい・聞こえないという人たちにとって、やはり新たな仕組みを入れてほしいと考えております。   まず一つは、この新たな遺言制度として、例えば文章の音声での朗読があります。また、記録というものの条件が課されておりますが、ただ、この読み聞かせ、あるいは朗読というものに、手話による表現というものを組み入れていただきたいです。実際に手話を読み取って、そして記録にするということ、また録画を撮るというようなことも含めてお願いしたいです。公的な機関におきましては、手話による録音ということを実施する場合には、公的な機関から責任を持って手話通訳の準備をお願いしたいと思っています。手話通訳に関しましては、後ほど河合参考人の方から御説明申し上げることになりますが、手話通訳を使うということは聞こえない・聞こえにくい人にとって必要なだけではないのです。当然、聞こえる社会の方も必要とされる、双方向性の通訳制度ということになりますので、是非それを御配慮いただきたいです。   それからもう一つは、更に加えて文字情報にアクセスできない、手話を使って遺言を作るというニーズの方に対しては、録画というものも是非遺言の制度として認めていただきたいと思います。   それから、もう1点ですが、手話通訳者というのは正確性、また誠実性というものが担保される必要がありますので、そのためには手話通訳者を複数人準備するということの御配慮も是非お願いしたいと思っております。   最後になりますが、本部会の審議のポイントにはなりませんので少しそれますが、手話通訳の多くは自治体の登録派遣という形になっております。、これは当然のことではありますけれども、守秘義務ですとか、そういったプライバシーに対する配慮というものは十分持っています。ですから、倫理性の高い、そして専門性の高い通訳です。公証人法第36条第9号の規定の中に盛り込まれている、通訳人に関する個人情報、例えば住所、氏名及び年齢等々の記述、これは派遣元の記載にしていただき、通訳者の個人情報については是非とも御配慮いただきますよう、これは重ねてお願い申し上げるところです。様々な配慮というものが必要ですが、本来、直接第三者である手話通訳者に対して、例えば証人という形での役割も御遠慮いただきたく、御配慮をお願いしたいと思います。また加えて、派遣された手話通訳者につきましては、繰り返し申し上げますが、中立性を担保するという役割にありますので、証人という役割ではないということも御認識いただければ幸いです。   現在はICT、科学技術もかなり進歩しております。その中で手話通訳がアプリ化するような、例えばAIを用いたようなことも議論に出されますが、これはなかなか現実的ではなく、また、技術もまだまだ進んでおりません。例えば、手話の単語レベルであればICTレベルでも表現はできますけれども、実際に聞こえない人が手話で話をすると、そういう文脈をAIが読み取って翻訳するというところまでAIはまだ発展しておりませんし、その技術もまだまだ道半ばということになりますので、是非その辺も御配慮いただければと思っております。   では、河合参考人の方から、よろしくお願いします。 ○河合参考人 ただいま御紹介いただきました全日本ろうあ連盟の福祉労働委員をしております河合と申します。ふだんは私、埼玉県にあります埼玉聴覚障害者福祉会といいまして、埼玉県内では唯一、聴覚障害の方を専門的にお預かりして福祉サービスを提供している社会福祉法人で勤務をしております。そこでは特別養護老人ホームだったりとか、あと障害者支援施設、入所型の施設を運営しているところの中で、様々な聞こえない人との関わりを通じて、いろいろな課題を抱えている方と日々暮らしている、そんな事業所になりますけれども、遺言に関しては個別性も非常に高くて、私どもの事業所だったりとか、また、手話通訳としても私は活動しておりますので、そういった中で見聞きしたり発言する機会というのはなかなか得られない部分になりますので、今回この貴重な機会を頂きまして本当に感謝しております。   先ほど小林がお話ししましたように、手話は今、小林も手話でお話をされて、同時通訳で手話通訳が皆さんに手話が伝わるように日本語に返していますけれども、本当に個別性の高いものになっています。特に80歳以上の聞こえない方々は未就学、又は就学猶予といった時代を経験しておるものですから、ふだん私たちも手話通訳として活動している中で見る機会がないような、うちの中でしか伝わらないようなサインで表出される方も非常に多くいらっしゃいます。そういった方々の遺言を正確性をもって伝えるというのは、手話通訳の中でも非常に技術の高い部分になりますので、是非そういった部分については手話通訳を複数名、手話通訳といっても手話通訳者ではなくて手話通訳士といった専門性の高い通訳者が配置されてもなかなか難しい部分もありますので、そういった方々を現場に配置をして、是非対応していただければと考えています。   それと、手話通訳に関してですけれども、先ほど小林もお話ししたように、手話は言語として認められていますけれども、手話通訳としては今現在も福祉サービスの一環として派遣されている状況になります。ですので、行政の方で予算が尽きれば派遣されないといった状況も起きるかと思いますので、是非合理的配慮の観点からもそういったことがないように、今回の審議とはまた別物になるかと思いますけれども、是非そういったことも御議論の中に加えていただいて対応いただければと思います。   この後、日本視覚障害者団体連合の方からも重複障害の方の御意見があるかと思います。私どもの団体の方でも、見えなくて聞こえない方、ですので全く音声言語でのコミュニケーションがとれない方も利用者の中にはいらっしゃいますし、そういった方々も含めて一般市民と同じようにアクセスしやすいような遺言の制度になることを期待したいと思っています。   それと、最後になりますけれども、先ほどもお話ししたように、手話をAIで読み取ってというものが、単語レベルでは実際にはありますし、今デフリンピックのサポーターとしてもKIKIというAIの手話通訳というかアナウンサーが、ネットで検索していただければ見る機会も得られるかと思うのですが、今現在、本当に手話を音声言語だけではなくてAIで読み書きのできる日本語に換えるという技術はまだまだ発展していません。というのは、手話というものはこの手先だけの表現ではなくて、先ほど小林さんがお話ししていたときに見ていただけたかと思うのですけれども、表情だったりとか目の動き、それから上半身の動きも含めて表現されるものになっていますので、なかなかそういった情報機器を通じての手話通訳というのはまだまだ先のことになるかなと思いますので、是非録画等の活用も認めていただければと思っています。   私からの発言は以上になります。 ○大村部会長 小林参考人、そして河合参考人、どうもありがとうございました。 ○小林参考人 ありがとうございました。小林です。少し付け加えてよろしいでしょうか。   私の方から最後に一つだけ申し上げたいのですが、皆様御承知のことと存じますが、先般6月25日になります、手話施策推進法が施行されました。その中に、第10条になりますが、国及び地方自治体の責務という項目がございます。国及び地方自治体は、手話を使う人たちが地域においていつでも日常生活及び社会生活を円滑に営むことができる環境整備が図られるよう必要な施策を講ずるという文言があります。その計画について施策推進法の中で盛り込まれておりますので、これは責務という形になります。是非とも皆さん、その第10条を念頭に置いて議論していただければ幸いに存じます。   以上です。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございました。   それでは、続きまして田中参考人、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 ○田中参考人 それでは、日本視覚障害者団体連合で副会長を務めております田中伸明と申します。本日はこのようなヒアリングの場を設けていただきまして、そして発言の機会を作っていただけましたことに心から感謝を申し上げます。私の方からは視覚障害者の立場で意見を申し上げたいと思います。   日本視覚障害者団体連合は、全国の都道府県と、それから政令都市に各1団体ずつ組織がありまして、その全国組織ということで活動をしております。視覚障害者の場合も聴覚障害の方と同様でして、先天的に見えない方もおられれば、人生を送る中で、中途で病気や事故等で視覚障害を負うという方もおられます。それから、見え方も様々でして、いわゆる全盲といわれる方はもう全く光も感じないという方から、少し見えるとか弱視といわれる方もおられます。私の場合は視野の95%を失っているという状態になりますが、様々な状況で視覚障害を背負っておられる方がおられます。   現在の意思疎通方法あるいはデジタル機器の活用方法の現状について、少し御説明をしたいと思います。視覚障害の場合は、やはり視覚からの情報が入ってきませんので、点字にするとか、あるいはテキストデータの提供を頂いたりワードデータで提供いただくと、スクリーンリーダーといわれるソフトがありまして、そのソフトをかませることによってパソコンの音源で読み上げをしてもらえる、そういうシステムを使っております。したがって、パソコンの音声を聞きながら情報を獲得するということが増えてきております。少し前までは、やはり点字というものが主流だったのですけれども、点字というのは指先を使って点を触って情報を得ていきますので、中途失明の方の場合にはなかなか素早く点字を読めなくて情報が得られないということもありました。そういう場合には、やはり音声による情報の取得ということが主流になります。ボランティアの方に読み上げていただくということもありましたが、最近はテキストデータやワードデータをスクリーンリーダーで読み上げて耳から情報を獲得するという方法が増えてきていると思います。   オンライン会議というものもかなり最近、増えてまいりました。視覚障害者の場合、当連合ではZoomを使うことが多いと思います。会議で用いる資料等の提供については、テキストデータやワードデータ、それからメール本文に重要なところを貼り付ける、あるいはPDFを希望する弱視の方もおられます。これは、スマートフォン等ではPDFの方が開きやすいと、そういうニーズにこたえるものです。そのような様々なニーズがありますので、媒体としては複数のものを準備して、それぞれの障害特性に応じて使いやすいものを選択していただくという工夫をしております。   次に、視覚障害者が遺言を行う場合の現状について御報告したいと思います。現在の民法の中で視覚障害者がどのような形で遺言を作成しているかというところを当連合で正式に統計を取ったりした経験はございませんが、おおむね公正証書遺言を作成することで対応していると考えられます。公正証書遺言の場合は現行民法の第969条の中に、署名することができない場合には公証人がその事情を付記して署名に代えることができるという規定がございます。このような規定がありますので、視覚障害者で自分の名前を署名することができない場合でも、この規定でもって作成が可能になるということがあります。ですので、恐らく公正証書遺言を作成することが多いのではないかと考えております。   では次に、現在の出されました中間試案の甲案から丙案について、当連合の意見を申し上げたいと思います。いずれの案に対しましても、当連合としましては賛成の意見を持っております。これは、様々な障害特性がありますので、それぞれの特性に応じて利用しやすい制度を選択するという形がとれることが望ましいと思っておりますので、甲案から丙案までのどれかに絞るということではなくて、様々な制度が準備されて、使いやすいものを使えるような形にしてもらえればという考え方であります。特に、視覚障害のほかにも聴覚障害を背負っておられる方もおられますし、そういう様々な特性の方が、やはり自分の意思で遺言を作るということができるような制度設計をお願いしたいと、このように思っております。   具体的に、各案に対する意見を要点を絞って申し上げたいと思います。まず、甲1案についてです。中間試案を見ていきますと、電子署名の方式も検討されているという記載がございました。この電子署名の方式を検討いただく場合には是非、視覚障害があっても自分の力で電子署名を行える、そういうシステムを導入していただきたいという希望を持っております。といいますのも、視覚障害者は視覚情報がありませんので、オンライン上であるとか、あるいはウェブ上での操作は音声のガイドがないと行うことができません。マウス操作もできませんし、タッチパネルも使えないということになります。やはりキーボード操作というものがどうしても必要になってまいります。電子署名の制度を導入する場合であっても、このキーボードによる操作が可能なシステムの導入を求めたいと、是非検討いただきたいと思っております。   次に、甲1案の方式を見ていきますと、遺言の全文の口述というものが求められていますが、(注)を見ていきますと、遺言の趣旨の口述で全文の口述に代えることができるということも検討されているとなっております。この点は是非積極的に御検討いただきたいと思っております。といいますのも、電磁的記録というのは画面に映し出されているわけですけれども、視覚障害者はこれを目で確認することができません。したがって、全文を読み上げるということは困難を伴います。点字が使える方であれば、恐らく点字で遺言の原案を作っていますので、それを自分の指で触って読み上げることで画面の情報と同じものを読み上げることができますけれども、点字が読めない方もおられますので、遺言の趣旨の口述でもって遺言全文の口述に代えるという制度は非常に視覚障害者にとっては有益でございます。是非検討に際しましては積極的な御検討をお願いしたいと思います。   甲1案の3点目ですけれども、(注5)というところを見ますと、口述については、通訳により申述すること又は遺言者若しくは証人が入力する文字情報を電子計算機を用いて同時に音声に変換することにより口述に代えることができるということも検討されていると記載されております。これは、視覚障害のほかに聴覚障害をお持ちの方にとっては非常に有益な検討のテーマになります。この点も是非積極的な御検討をお願いしたいと考えております。   次に、甲2案について申し上げたいと思います。甲2案についても賛成の立場ですけれども、要望事項としては三つ挙げました。1点目は電子署名に関することですので、先ほどの説明に譲りたいと思います。   2点目ですが、これも甲2案では全文の口述というものが求められています。甲2案の場合は甲1案と違いまして、遺言の趣旨というものを全文の口述に代えるというところは想定されておりません。そうなりますと、やはり全文の口述の方法というものについては、視覚障害者が点字で作った原案を読み上げる方法であるとか、あるいは音声ソフトによって読み上げた音声を自分の耳で聞いて復唱するという方法によって全文口述に代えるというような方法を認めていただくような制度にしていただきたいと思います。これは、やはり画面が見えないというところを何とかクリアするための方策となります。是非積極的な御検討をお願いしたいと思います。   それから、甲2案の3点目ですが、これは録音及び録画も同時に行うという方式になっておりまして、(注)などを見ていきますと民間事業者が関わることも想定されていると理解しております。民間事業者が関わる場合には、是非この民間事業者が提供するサービスについては、視覚障害者が独力でサービス内容を把握して契約できるような形をとっていただきたいと思います。ここが独力でやり取りできない、あるいはサービス内容を理解できないということになりますと、この民間事業者が関わるということが障壁になってしまいまして、利用控えということが起きかねません。この点は是非御検討をお願いしたいと思います。   次に、乙案について申し上げます。乙案につきましても3点、要望事項を記載しております。賛成の立場での意見ですが、3点要望事項を申し上げたいと思います。1点目は同じく電子署名の要望ですので、これは甲1案の説明に譲りたいと思います。   次に、乙案の2点目の要望事項ですが、これはオンラインの方法によって公的機関に対して様々な情報を提供して保管するという制度になっております。この提供の方法ですけれども、様々な情報を公的機関が準備したシステムにアップロードするとか、そういったことが想定されるかと思います。この場合、アップロードの方法とか情報の提供の方法については、やはり準備するオンラインのシステムであったりウェブのシステムがアクセシブルなものでないと視覚障害者が利用できないということになります。やはりキーボードによる操作というものが可能なシステムの導入を是非検討いただきたいと、このように考えております。   それから、3点目ですけれども、乙案につきましても遺言の全文の口述というものが求められています。これにつきましては、甲2案でも説明しましたとおり、点字の原文を読み上げるとか、あるいはパソコンの音声を復唱するような形での全文口述の方法を認めていただきたいというところは甲2案と同じなのですけれども、この全文口述に代えて宣誓という制度も検討されるという記載になっております。これは、是非積極的に検討いただきたいと考えています。これは、全文口述が難しいという視覚障害者の立場からの意見となります。   ただ、宣誓に際しましては1点お願いしたいところがあります。通常、障害のない方がこの宣誓を行う場合には、やはり自分が公的機関に提出した遺言の原文を目で見て、間違いないということで宣誓を行うということになります。視覚障害者の場合は、目で見て確認するという作業ができませんので、果たして宣誓の対象としている遺言が自分が提出した遺言かどうかの同一性を確認するというところに困難を抱えるということになります。ですので、宣誓を行う場合に、自分が提出した遺言との同一性を確保するための何らかの方策を検討していただきたいと思います。公的機関の担当官の方に少しお手伝いを頂くということも一案かと思いますが、立場上そういった方策が難しいということもあろうかと思いますが、何らかの同一性確保の方策を御検討いただきたいと思っております。   次に、丙案について御説明いたします。丙案については4点あります。   まず1点目ですけれども、丙案については電磁的記録で作成した遺言をプリントアウトして公的機関に提出するということが想定されております。この場合、プリントアウトした書面を提出するということに加えて、視覚障害者が点字で作成した点字の文書を提出するということを認めていただきたいという要望になります。その際、提出した点字というものを文字情報、我々は墨字といいますけれども、通常の書面化して保管することも併せてお願いしたいという要望事項となります。これは、なぜこのような要望事項を記載したかと申し上げますと、やはり実は視覚障害者の中には、点字というものをずっと使ってきているので点字による遺言の作成を認めてほしいという要望が団体の中でもかなりございます。これは、本人が間違いなく作ったものかどうかという判断が難しくなるという点もありますので、困難を抱えているというところはありますけれども、公的機関に点字で作った書面というものを視覚障害者御自身が提出するということも含めて認めていただけると、視覚障害者にとっては大変有り難い制度となろうかと思いますので、検討の一つの項目としてお願いできればと、このように思っております。   2点目は、署名についてです。丙案では、プリントアウトした書面に署名をするということになっていますが、視覚障害者の場合、署名が困難な場合もあります。障害を背負った時期によっては、全く手の感覚だけで署名を行うことができる方もおられますが、画数が多かったり、署名ができないという方もおられます。こういった場合には、一定の要件の下とはなるかと思いますが、代筆による署名ということも検討いただきたいと、このように思います。   3点目ですけれども、これは丙案においても全文口述というものが求められております。これは甲2案、乙案でも御説明したとおり、目で確認できませんので、全文口述が難しいというところがあります。これは甲2案、乙案でも御説明しましたとおり、点字での原文読み上げであったり、あるいはパソコンの音源を復唱することによる読み上げ等、視覚障害者でも対応可能な方式を御検討いただきたいと考えております。   丙案の四つ目ですが、これも宣誓に関するものです。こちらも乙案の場合と同様でして、宣誓をする場合、その宣誓の対象となっている遺言が自分が作成した遺言だというところを目で確認できないものですから、その点の同一性を担保する何らかの方策を考えていただけたらと思っております。こちらの意見としましては、公的機関の担当官の全文読み上げというところまで記載しておりますが、これは必ずしも全文読み上げまでは必要ではないかと思います。ポイントとなりますのは、やはり自分が作った遺言を間違いなく公的機関に提出しているのだという確認を目でできないがゆえに、公的機関の方で何らかの方策をとっていただきたいというところになります。   甲案から丙案につきましての御説明は以上となります。以上で私の発言を終わります。ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございました。それでは、ただいま頂きました3人の参考人の方々からの御説明につきまして、御質問を伺いたいと思います。御質問のある方は挙手をお願いいたします。なお、小林参考人及び河合参考人からの御意見に関連する質疑応答につきましては、通訳人の通訳を介して行われることになりますので、御質問をする際はなるべくゆっくりと、短い文に区切って御質問を頂ければと思います。それでは、どなたからでも結構ですので、お願いをいたします。いかがでしょうか。 ○萩原委員 萩原でございます。小林参考人にお伺いしたいと思います。私は公証人を務めております。ですから、頂きました御意見の中の公証人法の規定での通訳人の職業はともかく、住所、氏名、年齢、そういった個人が特定されるような記載、これに対する配慮が欲しいという点、今回の改正の中でも、どこら辺まで住所とかそういう個人情報を載せるか、もらうかという問題と関係しますので、お伺いしたいと思っております。   まず、実際に今まで私ども、公正証書で通訳人の方の御住所や氏名を記載させていただいているわけですけれども、そういうことで今までトラブルに巻き込まれるような方がおられたかどうか、また、そういうおそれがあるので通訳は控えたいと言われた方というのがおられるのか、そういうことがあるとすると、やはり遺言を通訳していただくということについて大変支障になると思いますので、その辺りのところを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。では、河合参考人、どうぞ。 ○河合参考人 御質問ありがとうございます。実は、聞こえない方が公証役場で遺言を作成する際に、通訳人の個人情報の記載があると分かった時点で、手話通訳者がトラブルに巻き込まれる可能性があるので手話通訳の派遣を見合わせた事例が実際にありました。大阪での事例と聞いています。実際にその後どのような対応をしたのか、結果については私どもも把握はしておりませんけれども、当然ですけれども、聞こえない方にも遺言を作成する権利もあるし、御自身も作成をしたかったと思うのですが、どうしても今現在は派遣元といって、手話通訳は都道府県だったり市町村単位での派遣事務所に登録をした手話通訳者が派遣される形になっていますので、先だってお伺いしたところによると、派遣元の住所地や派遣元の事業所名を記載する形は構わない、けれども通訳人の氏名は記載する必要があるというお話は伺っているので、そういったところはこちらとしてもある程度協力をする必要があるのですが、実際にトラブルが起きたかどうかについてはこちらでも把握はできていませんけれども、派遣をしなかったという事例は確かに届いていますので、その辺りをどのように検討されるのかというのは十分に御判断いただければと思っています。 ○萩原委員 ありがとうございます。 ○小林参考人 小林です。先ほど河合参考人の方から、派遣を控えたというお話をさせていただきました。私としては一つ、手話通訳人に対しての悪口、また悪い評価になる事例もあるということを申し上げたいと思います。実際にその申請された方と手話通訳との関係性は、基本的には中立です。にもかかわらず、一般的な見方をいたしますと、中立ではなく、かなり親密なように見えるということも多うございます。手話通訳という仕事に対してなかなか理解されないことが理由になっているというもので、それに起因して問題が起きやすいということです。申し上げたいことは以上となります。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほか、質問はいかがでしょうか。 ○隂山委員 本日はありがとうございます。司法書士の隂山と申します。両参考人にお伺いをさせていただきたいと存じます。   聴覚障害や視覚障害をお持ちの方の中には、中途障害であることなどから手話や点字を覚えることが難しい方がいらっしゃるというお話がございました。こういった手話や点字を覚えることが困難な方が御自身の意思表示を行うに際して有益なツールなどがあれば、御教示を頂けたらと存じます。また、行政機関などでの手続を行う際に何かしらのデジタルツールなどを実際に活用しておられるかについても、御教示を頂けたらと存じます。お願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。それはお三方にお尋ねですね。 ○隂山委員 お三方にお願いいたします。 ○大村部会長 では、小林参考人、河合参考人の方からまず何かあれば、お答えを頂きまして、続きまして田中参考人にお願いをしたいと思います。 ○小林参考人 小林です。中途失聴者の場合、ほとんどの方は日本語を獲得した後に失聴しているという方が多いです。ですので、日本語で自分で言いたいことは話ができるという方が多いです。聞くことはできませんが、しゃべれます。そして、文章を読むということもできる、そういう方が多いと思います。ですので、手話とはまた別な、文字による情報できちんと情報が保障されない限りはきちんと情報は獲得できない、文字による情報保障で理解ができるということになります。中途失聴の場合です。 ○大村部会長 河合参考人、もし何か補足があれば。 ○河合参考人 河合です。中途の方であれば、小林さんがお話ししたように、文字情報が十分有益な方がいらっしゃいますので、音声認識のソフトですとかアプリとかで代用することは可能なのですけれども、やはり音声認識もある程度の精度がないと、なかなか非常に難しい。精度がないと難しいというのは、読み手側の日本語の獲得力も非常に必要になってきますので、ふだん、中途失聴の方が利用されているのは要約筆記で、手話通訳と同等で、意思疎通支援事業は福祉サービスの一環になりますけれども、要約筆記者の手書きの派遣が手話通訳と同様にありますので、そういった形で先方、第三者、日本語のお話ができる方が言った内容を文字に書き起こして相手に伝えるといったものもありますので、そういったものも併用するという形であれば有益かと思いますが、ただ、要約筆記ですので全文を記載するのが非常に難しい。なので、要約をするときの要約の仕方によっては、ポイントがずれたりすることもあるので、時間を掛けていただければとは思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。それでは、田中参考人の方からも何かありましたら、お願いいたします。 ○田中参考人 御質問ありがとうございます。日本視覚障害者団体連合の田中でございます。中途失明の方の意思表明の方法ですけれども、自らの意思につきましては自らの言葉で語るということができます。一方で、意思決定の判断材料となる情報をどう獲得するかというところが少し難しいことになります。中途失明の方の場合、点字も使える方もいますが、なかなか幼少期から点字を触っていないと点字を触って情報を得るということが難しくなります。ですので多くの方は、パソコンが使える方はやはりスクリーンリーダー等でテキストデータを読ませて、その音を聞いて情報を得るということになりますし、あとは読み上げてもらう、ボランティアの方に、音声訳といいますが、読み上げてもらって情報を得るということになってくると思います。   それから、市役所の窓口等で記載が求められるというような場合には、これは同行援護事業などが準備されていますので、同行援護事業を利用して、そのヘルパーの方に代筆をしていただく場合もありますし、公的機関の窓口の職員の方からの合理的配慮として、署名の代筆、あるいは簡単な説明文であれば代読をしていただくということも考えられると思います。 ○大村部会長 よろしいですか。 ○隂山委員 ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほか、質問いかがでしょうか。 ○相原委員 今日はどうもありがとうございます。2点ございます。   まず最初に、手話での遺言の意思表示を録画したものを遺言とするという御要望があったかと思います。この会議で過去に、遺言自体として録音とか録画で残すことはどうなのだろうというのも検討されたことはありました。ただ、録音とか録画というのが、どうしても最近のフェイクニュースなどをみていると、なりすましみたいなことが割と簡単にできてしまう、AIとかそういう生成の流れの中で、本当にそれだけで完結してよいのか、誰かにそういう録画を作られてしまうのではないかという指摘がありました。そのため、補強の材料として録音・録画をほかのものとのセットにするということでどうだろうというような検討がされてきた経緯があると私は認識しております。そういう観点から今回の御要望を聞いたときに、手話を用いる場面というのは、そういうフェイクに対抗できるのか、そこら辺、もし材料があれば教えていただきたい、それが1点でございます。   それから2点目が、私は高齢者や障害者支援の委員会所属として弁護士会からこちらに出ているので、障害をお持ちの方々からの遺言を作る選択肢を、特に新しいツールを用いて広げていくということには基本的に賛成したいと思っております。ただ、一方で職業柄、消費者被害の視点から心配しています。つまり、それを用いて第三者が本人になりすますとか、簡単に、特に高齢者に近くなってきて能力が落ちてきているところを、何か作られてしまうという心配があります。安全性ですね、真意性・真正性といいまして、本人が本当に作ったのか、それから、間違いなくそれが改ざんされていないかどうかとかいうことのチェックをどうするかというのが非常に問題だと思います。そういう観点から、今回の御提案で消費者被害的な問題、つまり、障害をお持ちのところをほかの方が簡単にそれに付け入るようなことのケアとして、何か御希望なり御要望なりがありますか。また、危惧されることがあれば教えてください。少し漠然とした質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 では、どうぞ、小林参考人。 ○小林参考人 小林です。フェイクニュースのほとんどは音声によるものだと考えておりますけれども、今のところフェイクニュースの中に手話を使っているものがあるのかどうかは確認はできていない状況です。ただ、録画したものを、本人かどうか、正しいかどうかは、今お答えすることはなかなか難しいと思います。ただ、今は手話でのフェイクニュースというものは聞いたことがないことだけはお答えしたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。遺言の簡易化に伴って生ずる弊害について、何かお考えあるいは御懸念はないかという、もう一つの御質問がありましたが、こちらはいかがでしょうか。 ○河合参考人 ありがとうございます。河合です。どうしても聞こえない方は、同じ障害を持っている聞こえない人のことをかなり信用しやすい部分がありまして、それは、例えば聞こえない方の場合ですと必ず、聞こえない人に会ったときに、どこの学校を卒業したのかとか、例えば東京に住んでいる、では東京の誰々は知っているかとかというような形で、かなり聞こえない人同士のことを信用してしまって高齢の方がだまされてしまうようなことは結構、ケースではよくあることなのです。   ですので、例えば手話ができる聞こえる人であったりとか、同じ聞こえない方が、「君の財産について、こういうようなところでこのようにすると遺言が作れる、そのときにはこういうように言ったら」というようなことを御本人に言って、公正証書役場に行った御本人がそのとおりにしてしまって、結果的に御本人の意に沿わない遺言を作成するようなケースは、もしかしたら起き得るかもしれないとは思います。   ただ、聴覚障害を持たれている相談員というものが全国にいらっしゃいまして、その中で遺言に関するようなトラブル、そういった聞こえない人が聞こえない人をトラブルに巻き込むようなケースは今のところは聞いていないのですけれども、実際に遺言以外のところで被害に遭う聞こえない方は一定数いらっしゃるとは思いますので、委員が心配されている部分には値するのかなと思いまして、発言させていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。今の二つ目の質問につきましては、田中参考人からももし何かあれば是非伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。 ○田中参考人 日本視覚障害者団体連合の田中でございます。御質問ありがとうございます。明確な回答を持っているわけではございませんが、やはり特に乙案、丙案では宣誓という制度が検討されているところですけれども、その場合に確かに自分の作ったものが提出されているという同一性の確保を担保するような工夫は、是非お願いしたいと考えております。遺言の内容が自分の意思ではなくて他の第三者の意向に影響されないようにするための何か工夫はということになりますと、なかなか直ちに私も具体案が思い浮かぶわけではありませんけれども、やはりこの甲案から丙案まで拝見いたしますと、甲1案では遺言の趣旨を口述することになっていますし、甲2案、乙案、丙案におきましては全文口述というところが求められておりますので、その限りで自分の意思とその遺言の内容が一致しているという確認をとることしかないのかなと、そのように考えております。 ○大村部会長 よろしいですか。ありがとうございました。   そのほかにはいかがでしょうか。 ○倉持幹事 本日はありがとうございます。お伺いしたいのが、昨今、行政のデジタル化ということで行政手続をオンラインでできるようになってきたという中で、実際にそれが活用できているのかというのをお聞きしたくて、私の勝手なイメージですけれども、ろうあの方は視覚情報を得られるので、それなりに利用できるものがあるのではないかと勝手に想像をしているのですけれども、逆に視覚障害がある方は、視覚で情報を得られないので、なかなかオンラインで活用できるものはないのではないかと思っているのですが、行政手続のオンラインをどれだけ実際に利用できるのか、できていないのかについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。これもお三方に順次お答えいただければと思いますので、小林参考人あるいは河合参考人の方から、まずお願いをいたします。 ○小林参考人 小林です。行政によるデジタル化の手続につきまして、御質問ありがとうございます。確かにデジタル化は進んでおります。でも、ろう者には日本語の苦手な方もいるということに御配慮いただきたいと思います。例えば、これを読んだ上で、手話通訳がこういう意味ですよというような説明、あるいはろうあ者相談員がそこに同席してきちんとその文面の意味を説明する、そして初めて対象者のろう者、遺言者が分かるというようなことも重要ですので、その辺の御配慮も御検討いただければ幸いです。 ○大村部会長 河合参考人、何かありますか。 ○河合参考人 ありがとうございます。小林も言ったように、オンラインを活用される方、若い方は結構そういったものも活用ができているのですけれども、やはり中年以上というか、70代以上の方々というのは非常に不得手でして、今、手話通訳もオンラインを活用して、電話リレーサービスだったりとか遠隔手話通訳といったオンラインのサービスが導入されてはいるのですけれども、高齢の方ほど使い手が少ない、それから、重度の障害の方ですと、この操作性が分からないといったところで、非常に使いにくいことがあります。それと、言ったように日本語が非常に不十分、不勉強な方も非常に多く、言い方は失礼ですけれども、いらっしゃるので、例えば先だっての後見人の制度の会議の際にも、聞こえない弁護士である田門先生に御同席いただいて出させていただいた例になりますが、振込みをする、この振込みをするという用語、これをそのままでは理解できない聞こえない方がいらっしゃいます。銀行に行って、通帳を持って行って、その通帳を機械に入れて、相手先にお金を入れるのだというような、かみ砕いた説明をして初めて、振込みをするという用語が認識できる方もいらっしゃるので、日本語の認識力によってはオンラインの手続が全くできない方も一定数いるということは御理解いただければと思います。 ○小林参考人 小林です。もう1点、付け加えさせていただきたい。コロナ感染が拡大したときに、中高年のろう者ですが、手話通訳が同席できず、遠隔手話通訳という方法をとったという例があります。しかし、なかなか映像の中の手話通訳と意思疎通が図れなかったということです。画面に自分の手話を表して、そして手話通訳の手話を見る、そうすると画面の範囲の中での話になりますので、どうしてもいつもどおりの手話での思いが伝わらないというような画面の制約というものが出てきます。ですから、思いどおりの意思疎通が図れない、なかなか厳しい状況だったということが多々あります。手話通訳者も読み取りが、逆に画面上では制約があるというような状況が発生しております。ですから、例えば、その中で医療が受けられなかった、権利が保障されなかったという例が多々あります。その辺の御配慮も是非お願いしたいと思います。結果的に、コロナ禍の中で防護服を着て実際に通訳で同行したという例もあるわけです。ですので、そういう現状も御理解いただければ幸いに存じます。よろしくお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。ただいまの倉持幹事からの行政手続のオンライン化、どの程度利用されているかという御質問につきましては、田中参考人にも是非御意見を伺いたいと思いますので、田中参考人、お願いいたします。 ○田中参考人 ありがとうございます。日本視覚障害者団体連合の田中でございます。委員御指摘のとおり、行政窓口あるいは行政手続でかなりオンライン化が、IT技術を導入したシステムがかなり入ってきております。やはり視覚障害者はタッチパネルは使えませんし、マウス操作もできませんので、その点で苦労するところは多々ございます。これは一つの大きな課題となっていまして、やはり社会全体のIT化が進んでいく中で視覚障害者が取り残されてしまうのではないかというところは当団体でも大きな課題として考えているところです。   行政機関につきましては総務省の方で、みんなの公共サイト運用ガイドラインというのがありまして、これはJIS Xと呼ばれる基準の8341-3になりますが、そのAAは目標とするという記載があります。これはキーボード操作が可能であることというところも含まれてまいりますので、こういったところで行政機関は御努力を頂きたいと、そういう希望を持っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかはいかがでございましょうか。 ○萩原委員 それでは、これは小林参考人と河合参考人にお話を伺いたいと思います。本日は貴重なお話を頂きましてありがとうございます。ただいま出ました画面上の手話通訳という、ここが非常に気になったものですから、御意見を伺いたいと思っています。   まず、この度のリモートによる、例えば公的機関に遺言を預ける場合でも、公的機関のところへ出て行かずに画面で意思を表示して、そして遺言を作る、あるいは証人の立会いの下にという場合でもそういうことがあるかもしれませんけれども、先ほどのお話ですと、画面を介した手話というのが、これは非常に問題があるような、正確性をどこまで捉えられるか、そこが非常に気になりまして、河合参考人のお話の中では、特に手の動きだけではなく目の動きや表情や、そういう総合的なもので正確な手話通訳を行うのだということでありましたので、例えば、画面を通して別々のところで手話を行う、手話で語り掛ける遺言者の方と、そして、それを別の画面の向こうで見て、そして通訳する手話通訳者、そういうような事態もあり得るのかと。それはやはり、かなり正確性という観点からすると問題があって、むしろ手話通訳を行う方は必ず遺言者のそばで通訳をした方がいいということなのかということが質問です。   少し関連してお話ししますと、公正証書も10月1日からリモート化がされるようになります。もう明日からですから、私どもが実際にそれをやるわけです。その場合に通訳人もリモートでの参加が可能になるわけです。そうしますと、今のお話を伺いますと、別々のところからそういうように複数のTeamsの画面で、そして手話で遺言者が語り、それを通訳する方がまた別の画面におられ、それを公証人が見て、というような事態もあり得るものですから、それはやはり少し正確性という観点からすると危険性があるのかどうかという問題とも関係するので、聞かせていただいた次第です。すみません、長い質問でございますが、よろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。画面上の手話通訳に伴う問題というか困難ということをお尋ねになったと思いますので、お願いします。 ○小林参考人 ありがとうございます。小林です。運用上の問題もあろうかと思いますけれども、基本的に手話通訳は、ろう者のもちろん近くにいた方が一番いいという、想定はあります。例えば公正証書の公証役場での確認というのも必要ですか、お互いの環境の確認というのが前提著して必要になります。公証人の方々に手話通訳は付くのか、あるいは複数の配置をどのように考えられるか、その辺も事前の打合せということで最善の策を練ることが重要かと思います。   また、相手との関係で、どこまで視認ができるか、視覚的に確認できるかということなのですけれども、手話通訳を付けることによって円滑に遺言作成ができるということの前提条件について、きちんと配慮が必要だと思います。その辺りは運用面の問題になろうかとは思いますけれども、いかがでしょうか。万が一非常に手話が分かりにくいという場合に、それをお互いに確認できるような仕組みというものも作れば、特に問題はないと思います。 ○大村部会長 よろしいですか、特に何か。 ○河合参考人 ありがとうございます。今日も小林さんの手話が恐らくオンラインでも映っていると思うのですが、先ほど言われたように本当に運用上の問題かと思うのです。対面であれば特段問題なく見えているけれども、オンライン上になった途端に電波等、様々な環境の弊害があるかと思います。比較的音声の方は届きやすいのですが、映像に関しては、特に先ほどから見ていますとコマ送りのような形になると、手話もコマ送りというか細切れになりますので、どうしても手話通訳をする立場で言うと、御本人の手話が非常に見えにくい、文章で読み取れない、それから、手話も平面上になってしまうので、通常表す手話を若干奥行きが見えるような形で表出をするですとか、ということを対象の方が分かって表出をしていただければいいのですが、私も手話通訳をしているのですが、奥行きが手話通訳者にはなかなか見えにくいので、手話の読み取りが発生する等もあるかと思うので、できるだけ対象者の近くで読み取りができる、コミュニケーションできるのが望ましいのですが、一方、遠隔地にいらっしゃる方もいるので、オンラインは有効だと思います。あとは運用の課題かなと考えました。 ○萩原委員 どうもありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   引き続き御質問いただきたいと思います。 ○宮本幹事 ありがとうございます。小林参考人と河合参考人に2点お伺いします。   1点目は、手話通訳者の多くは自治体に登録された者ということですけれども、自治体に登録された者に限定することについてです。外国法では、登録された者に手話通訳者を限定しているという国も複数あります。しかし、日本では手話通訳者に限定はありません。仮に登録した者に限定すると、通訳の正確性や誠実性を今よりも担保することはできるようになると思います。他方で、先ほどの御説明を伺っていますと手話には多様性があり、サイン的な表現をする者も多くいるということです。そうすると、登録された者では通訳が難しいという場面もあるのかもしれません。登録された者に限定するということについて、何か御意見があればお伺いしたいと思います。   次に、2点目です。通訳者に欠格事由を求める必要はあるかについて、お伺いしたいと思います。民法第974条では、相続人や受遺者、その家族は証人や立会人にはなれないと定められています。しかし、ここに通訳人は含まれておりません。よって、相続人や受遺者であっても通訳人になることができます。そうすると、遺言する人が実はそう思っていないにもかかわらず、悪意のある通訳者が出てきてわざと誤った通訳をし、例えば、全財産をこの通訳者にあげると言いましたと通訳することも起こり得るわけです。このような問題が起こり得ることから、欠格事由に通訳者を含める必要があるかについて御意見を伺えたら有り難く思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございました。2点につきまして、小林参考人、河合参考人宛てに御質問がありましたので、お答えをお願いできればと思います。 ○河合参考人 ありがとうございます。まず1点目についてですが、登録手話通訳者の制限ができるようにすることについてですけれども、先ほどどなたのお話でしたか、少しうろ覚えになってしまいますけれども、日本では登録の手話通訳以外にも手話通訳者というのは結構民間業者の中にもいらっしゃいますし、それは様々になっているかと思います。自治体に登録している手話通訳者であれば、ホームサイン的な表出をする聞こえない方ともふだんから関わりというか、派遣の現場で会う機会も多いので、そういった方も含めて対応が可能ですので、限定することは非常によいことなのかなと思います。   1点目の限定をすることによって、2点目の欠格事由のところにも影響が生じてくるのかなと思います。ですので、自治体に登録している手話通訳者、私も含めてですけれども、手話通訳者が勝手に聞こえない方のところに派遣されるわけではなくて、あくまでも自治体の中にコーディネーターがいて、手話通訳の依頼があったときにはコーディネーターが調整をした上で手話通訳が現場に赴くものですから、例えば、依頼があった方の親族や関係者というものが分かっていた場合には、コーディネーターの方でそういったコーディネートはしないことにもなりますので、2番の危険性については回避できるかと思います。公的な派遣を使っていただくことによって、先ほどお話ししたような、聞こえない方を安易にだましてしまうような例も回避ができるのではないかとは思うので、そういったところは議論の中心にはなっていくのかなと思います。お答え、よろしいでしょうか。 ○宮本幹事 勉強になりました。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。少し私の方から今のお答えに対して追加の質問をさせていただきたいのですけれども、通訳を限定するという考え方をとれば2番目の問題は生じないのではないかというお答えだったかと思いますけれども、仮にそういう限定をしないと考えたときには、やはり欠格事由というのは必要だとお考えでしょうか。 ○河合参考人 河合です。そうですね、いろいろな危険性ははらんでくるのかなと思います。特に、聞こえない方の親族の中には手話ができる方、手話通訳ができる方も当然いらっしゃるわけですから、そういった方が現場に赴いたときに、御本人がそう言っていなくても、通訳人の意向で、このように言っているといった偽証ができるわけですね。当然、口述をして、口述はどなたかが読まれたものを手話で聞こえない者に伝えるときにも、本人が言った言葉で手話を置き換えて話をすることができてしまう、手話通訳が一番その場での強い立場になってしまうわけですね。   ですので、公的な派遣を必ず使っていただくということは非常にふさわしいことだと思いますが、自治体の手話通訳の中には一定数、手話通訳士といった専門性の高い手話通訳ができる通訳者がいますので、そういった方を限定して使っていただく、単純なコミュニティ通訳ができる、日常会話ができる通訳者ではなくて、専門性の高い手話通訳者を是非そういった場面には派遣していただくように、そういった自治体にはなっているかと思うのですが、そういったところも含めて、入れていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。宮本幹事、いいですか。ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。御質問があれば伺いますが。 ○日比野委員 本日はどうもありがとうございました。小林参考人と河合参考人に1点、お伺いさせてください。意見書の2番目、文字情報なく手話を用いて遺言内容を表示したときに、その録画物自体を遺言と認めることという、この御意見に関する御質問です。   私は、金融機関の立場からここに参加しております。つまり、遺言の執行を通常受ける立場になります。この録画物自体が遺言ということで一つ完成したとしても、例えば銀行とか証券会社、あるいは法務局などで遺言を執行するに当たっては、録画物があったとしても、執行の段階ではこれが文字化されたものを提示していただくということにならないと、なかなか現実的な執行というのが円滑に行かないのかなと考えておりました。   もし今の前提を、それはそうだろうと御理解いただくとしますと、録画で遺言ができたので、これでよかったと思ったのですけれども、その遺言を文字化する過程で、本当に御自身の思いが文字化されたものになっているかどうかがはっきりしないような事態が生じるのではないか、もしそうだとすると、やはり文字化されたものを御自身で何らかの形で確認をして、その文字化されたものが遺言になる、したがってこれで執行してもらえれば安心であると思われる可能性もあるのかなと思った次第です。   このような考え方、つまり、録画物自体が遺言と認められるということは、簡便に遺言を作るということでは利点があるだろうと思いますが、執行の場面まで考えたときには、やはり文字化したものの方が、自分の意思がこの内容で執行されるのだということの安心感も得られるのかなという気もしまして、このような考え方についてどのように思われるかを教えていただきたいということになります。 ○小林参考人 小林です。御意見、御質問ありがとうございます。一つの方法として、銀行の方で手話通訳者を用意して読み取ってもらうという方法もあろうかと思います。そこもやはり運用面の問題だと思います。手話も言語であるという考え方によりますと、手話で表されたものをきちんと音声で読み取れる人、3番目の意見書の方にも記載がありますけれども、複数の通訳人を配置するということの配置、配慮も必要になってくると考えます。 ○大村部会長 よろしいですか、日比野委員。 ○日比野委員 ありがとうございました。 ○石綿幹事 石綿と申します。ありがとうございました。今の日比野委員の質問に関連してです。先ほど、オンラインの会議などで手話通訳を読み取ることが難しいようなことがあったというお話があったと思いますし、また、手話は個別性が高いというお話もありました。意見書の1番ないし2番で、手話を録画するという御提案がありますが、それは死後、手話をした人がいなくなった後でも必ず手話通訳者の方は読み取れるものでしょうか。要するに、今の日比野委員の御質問とも関連しますが、生きていらっしゃる間であればコミュニケーションしながら真意を聴くということができるわけですが、亡くなってしまうと残された映像だけで推測をすることになることによる困難というものはないでしょうか。 ○小林参考人 小林です。生きているうちは確認できればいいということですよね、でも、死後ということになれば、なかなかそこは難しくなってまいりますよね、その方に見ていただくということもできない。録画されているものが、その範囲できちんと読み取られていれば、大丈夫だと思います。例えば、自筆証書遺言書でも字がきちんと読めないという場合もあるのではないでしょうか、読み切れない。それに関しても同じではないかなと思います。個人的な意見、思いですけれども。 ○大村部会長 よろしいですか。ありがとうございました。   そのほかには御質問いかがでしょうか。 ○入江委員 本日は本当にありがとうございます。これは小林参考人と河合参考人にお聞きしたいのですけれども、先ほど複数人の通訳人というのが有効であるというお話がございました。私もそう思うのですけれども、この複数の通訳人の間で、内容であるとか、あるいは御本人の方の示そうと思っていらっしゃることのニュアンスであるとかが異なった場合には、どういう形で最終的な通訳がなされるのかという、実務のところでどういうことが起こっているのかを教えていただければと思います。 ○河合参考人 御質問ありがとうございます。手話通訳の場合には、どうしてもメインでというか主に読み取る、主に表出をする、今日も2名ですけれども、大体時間交代で通訳というのは行うのです。基本的に一人がメインで行う。もう一人は待機というか、様子を見ていたりするので、メインで行っているときというのはかなり緊張度だったりも大きいので、読み取れる範囲というのが限られてくる場合もあります。それから、表出をしている場合でも、何を言っているのか、どこが話の意図なのかをつかんで表出をするので、かなり緊張度も高いので、その様子をもう一方の手話通訳者が見ていて、表出が違う又は読み取りのニュアンスが違うといったものを補完して手話通訳を行うのです、特に対面で行う場合。舞台上ではなかなか補完ができないので、一方にお任せになる部分も多いのですが。ですので、入江委員がおっしゃったように、基本的には一人が行うのですが、一人だけではニュアンスが異なる、また表出の曖昧さが補完ができない場合に備えてもう一方の視点が要るといった意味で、複数の派遣を是非お願いしたいと思います。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。   そのほかはいかがでしょうか。 ○小粥委員 小粥と申します。田中参考人に伺いたいことが一つございます。   本日の頂戴している資料の中で、要望事項の中で繰り返し出てくる、電子署名の導入を検討する場合には視覚障害者が単独で電子計算機を操作して行うことができるシステムの導入を求めるという記述がございました。この中で、単独ということの意味合いについて伺いたいのです。つまり、補助者を頼んで、あるいは合理的な配慮というような形で人間が介在するのではなくて、単独でということは、つまり機械のサポートは受けるけれども人間のサポートは受けないということなのか、そして、それがどうして人間のサポートは受けないけれども機械のサポートだったら受けてよいのか、その違い、なぜそういう違いが出てくるのか、あるいは違いはないのだということであればそれで構わないのですが、少し質問の趣旨がはっきりしていなくて申し訳ないのですが、単独でということの意味合いを伺いたいということであります。 ○田中参考人 日本視覚障害者団体連合の田中です。御質問ありがとうございます。様々なシステムが導入された場合、委員御指摘のとおり、補助者のサポートを受ければ操作できるというようなことであればよいのではないかという御意見も確かにあります。しかし、そうなると必ず誰かのサポートを得なければならないということにもなります。それがもう本当にどこへ行っても必ず補助者のサポートがあるのだという状態であれば問題ないのですけれども、やはり地域によったり公的機関によってはそういうお手伝いはできないというようなことも考えられるわけです。   やはり当連合としては、障害のない方は当然お一人で操作できるわけですけれども、そういう環境が視覚障害当事者一人でもできる、そういう環境を作っていただきたいという意味で、電子署名については単独でという言葉を付けました。単独でできるというシステムが導入されると、いざ使おうというときに心理的な抵抗感というのがない、自分さえ行けば必ずできる、誰かに頼まなければできないということではなくて、自分がその意思を持って操作しに行けばできるということが非常に障壁のない、利用控えが起こらない状態だろうと、このように考えておりますので、あえて単独でという言葉を使わせていただいているところでございます。 ○小粥委員 ありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございました。   そのほかはいかがでございましょうか。 ○戸田委員 戸田と申します。今日はありがとうございます。田中参考人に1点お伺いしたいのですけれども、スクリーンリーダーが正確に読んでいるかどうかという確認ですね、例えば、ワードの文章の中にスクリーンリーダーの読み取りを回避するような仕組みが埋め込まれていて偽造の文書が作られたとか、そういった例というのは過去にはなかったでしょうか。 ○大村部会長 田中参考人、何かもしあれば、お願いします。 ○田中参考人 御質問ありがとうございます。田中でございます。スクリーンリーダーの読み上げについては、一般の読み方と違う読み上げ方をするという場合は時々ありますが、最近はかなり正確にはなってきています。しかし、これが100%かと言われると、そこまで正確ではない部分もあると思います。ただ、遺言を作るという場合には、同音異義語の誤変換というところはチェックし切れないところはあるかもしれませんが、読み間違いで自分の意図した内容と異なってしまうというところまでは、ないのではないかと考えております。 ○戸田委員 質問させていただいた趣旨としては、過去にそういった損害賠償に至るような事件が偽造によって起きてはいないか、そういった事例を御存じでしょうか、ということの確認だったのです。 ○田中参考人 大変失礼しました。 ○戸田委員 もしお分かりなればで結構でございます。 ○田中参考人 そういった例は把握できておりません。なかったと思います。 ○戸田委員 承知しました。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかに御質問等はございませんでしょうか。   よろしいでしょうか。ありがとうございました。   それでは、質問は尽きたようでございますので、参考人ヒアリングは以上とさせていただきます。   小林参考人、河合参考人、田中参考人におかれましては、当部会の調査審議に御協力を頂きまして誠にありがとうございました。ここで終了といたしますので、御退席をお願いいたします。   部会の方は、ここで休息を取らせていただければと思います。現在3時12分ですので、25分に再開ということにさせていただきます。それまで休憩いたします。           (休     憩) ○大村部会長 それでは、審議を再開したいと思います。   この後は部会資料についての議論に入りたいと思います。   その前に、今月23日まで実施しておりましたパブリック・コメントの結果につきまして、現在事務当局の方で集計中であると伺っておりますが、現時点での簡単な御報告をお願いしたいと思います。   では、よろしくお願いいたします。 ○大野関係官 事務局から、7月29日から9月23日までの間実施されました民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案に対するパブリック・コメントについて、その結果の集計作業の状況を御報告いたします。   パブリック・コメントの手続において寄せられた意見につきましては、現在集計中でございまして、本日の部会におきましては速報として、その状況を口頭でお伝えすることとさせていただきますことにつき御理解いただければと存じます。   寄せられた意見の件数は、現在集計中ではございますけれども、団体、個人を含め49件の意見が寄せられたものと承知しております。その内訳は、個人からの意見が22件、団体からの意見が27件でございます。   寄せられた意見の概要を簡潔に御紹介しますと、全般にわたるものとしましては、高齢社会やデジタル社会の到来といった社会構造の変化を踏まえ、遺言者に新たな選択肢を提供するものであるとして肯定的な評価を示す意見も見受けられた一方で、デジタル技術を活用した新たな方式につき、AIやディープフェイク技術を用いたなりすましに対する懸念があるといった意見も見受けられたところでございます。   その上で、普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな方式につきましては、公的機関における保管を含まず、証人の立会い又はデジタル技術の活用によって対応する甲案につき、賛成する意見、懸念事項等を指摘する意見、反対する意見が見られる一方で、公的機関における保管を前提とする乙案につき、賛成か、又は条件を付した上で賛成する意見が多数であり、書面を公的機関において保管する丙案につき賛成する意見が比較的多い一方、反対意見も一部見られるところでございます。   そのほか、中間試案に記載された全項目にわたって、中間試案に記載された案や考え方に対する賛成、反対の意見にとどまらず、具体的に検討が必要となると思われる事項や要望等についての意見も頂戴したものと承知しており、今後の検討にとって非常に有益な幅広い意見を頂戴したものと認識しております。   集計作業に今しばらくお時間を頂戴できればと存じますが、次回の第13回会議において、寄せられた意見をまとめた資料を作成し、委員、幹事の皆様にお示ししたいと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございました。ただいま御説明の中にあったとおり、次回改めてパブリック・コメントの詳細については御報告を頂き、それを基に御議論等をお願いしたいと思っております。   ということで、本日は部会資料12についての御議論を残りの時間でお願いしたいと思います。まず第1の部分につきまして、事務当局から部会資料の説明をお願いいたします。 ○小川関係官 関係官の小川です。部会資料12の第1について御説明をいたします。   資料冒頭に記載しておりますとおり、現時点での補充的、技術的な整理を行っているということでして、各案の採否については今回の資料の対象外とさせていただいております。甲2案についても、次回以降の御議論のために引き続き検討するとされていた論点について整理を行っているものになります。   まず第1ですけれども、遺言者の口述の際の遺言者の周囲に遺言者以外の者が立ち会わない状況において口述がされたことを明らかにする措置と、遺言者以外の者が口述をすることができないようにする措置について、これまでの部会でも御指摘のありましたデジタル技術や、それに対する法規制の状況を踏まえた具体的な方策を提案しているものです。飽くまでも現在の技術水準、法規制の状況を前提とするものですけれども、立法を行っていくという以上、ある時点で利用可能なデジタル技術等を念頭に置かざるを得ないと考えられたことから、現時点で実現可能な具体的な方策を提示するものということになります。   4ページの補足説明の関係の2ですけれども、遺言者の周囲に遺言者以外の者が立ち会わない状況において口述がされたことを明らかにする措置については、現状の技術水準を前提とする限り、民間事業者の従業員等がウェブカメラ越しで遺言者の周囲の状況を確認するといったことが必要になってくるかと思います。その上で、そういった方策を設ける方向でよいのかといったことについて御意見を頂ければと思っているところです。   次に、遺言者以外の者が口述をすることができないようにする措置についてですけれども、公的個人認証法の第38条の2第1項等の定めに従うと、マイナンバーカードに記録等された写真により識別される者と遺言者が同一であることを、これは機器を用いて撮影された遺言者の画像と対比することで確認することが可能であると考えられまして、例えば、これを利用して口述の開始時点でこの方法による顔貌認証を行うことで、遺言者以外の者が口述することができないようにする措置というのを実現することが可能であると考えられます。他方で、より高度な本人確認認証技術を実現するということになりますと、別途法令上満たすべき技術水準を定立をし、これを満たすものを認定する仕組みというのを設けることが必要になってくると考えられます。これらを踏まえて、どのような措置をとることが必要かについて改めて御意見を頂ければと思っているところです。   次に、本文2ですけれども、事後的な改変等を防止するための措置として、遺言に係る電磁的記録と口述の状況を録音・録画により記録した電磁的記録の保管について、中心に検討しているというところです。α、β、γとありますとおり、現時点で考えられる案というのを併記した上でメリット、デメリットを整理しておりますので、各案の当否について御意見を頂ければと思います。   概要を申しますと、αは、遺言者自身が遺言に係る電磁的記録等を、そのものを保管するという考え方、βは、民間事業者が保管するという考え方。γは、遺言に係る電磁的記録等は遺言者自身が保管するということを前提に、改ざんがなかったことを事後的に確認できるようにするために、それらの電磁的記録等のハッシュ値というものを民間事業者で保管をしたり、あるいは公的機関で保管したりするという考え方を記載しているところです。今後の整理に向けて御意見を頂戴できればという趣旨になります。   最後に、本文3についてですけれども、民間事業者を認定し、あるいは監督するための仕組みの要否や内容について整理をしているところです。まず、民間事業者の提供するサービスがデジタル技術に関する技術水準を満たしているかという観点から、認定制度を設ける必要があるかということが問題になると思われます。また、それとは別に、民間事業者が事業の継続性を維持することができる体制を備えているか、あるいは遺言の作成に当たって必要とされる事務を遂行する体制を備えているかという観点からの認定、監督制度を設ける必要があるかという点が問題になるかと思います。前者の技術水準を満たしているかという観点からの認定に関しては、1で記載しておりますとおり、一部を公的個人認証法の枠組みを用いることで、独自の認定制度は設けないというふうな形も考えられるかと思います。そういったところを踏まえまして、認定制度の要否やその内容について御意見を頂ければと考えているところです。   第1の説明は以上となります。 ○大村部会長 ありがとうございます。冒頭に御説明がありましたように、今回のこの資料は現時点での補充的、技術的な整理を試みるというものであって、中間試案に掲げられた各案の採否等について直接に検討するものではないということを、まず確認しておきたいと思います。   中間試案には、第1の部分ですけれども、甲、乙、丙、3案併記で掲げたわけでございます。皆さんそれぞれについて賛否の御意見はあるけれども、この3案を中間試案に掲げてパブリック・コメントを行うということで、このようにしたわけです。また、先ほど概要についてお話がありましたが、甲、乙、丙に対してのパブリック・コメントの結果というのも同一ではなくて、濃淡があると理解しておりますが、それらにつきましては、より詳しくパブリック・コメントの結果を御報告いただいた上で、事務局の方で新たにまとめていただいた資料に基づき、次回議論したいと考えておりますので、繰り返しになりますが、どの案を採るかということとは独立に、主として技術的な問題について検討をしておくということで、御質問、御意見等を頂ければと思います。   第1の部分につきまして御質問、御意見がありましたら、区別いたしませんので、どちらでも結構ですので、御発言を頂ければと思います。どなたからでも結構ですので、お願いを申し上げます。 ○相原委員 相原でございます。今回、甲2案に対する技術的な面からの検討をお示しいただいたかと思います。甲2案では結局、録音・録画とかそういう観点から含めて、民間事業者の認定の問題と、どういう認定の視点が必要かというようなところが検討されていると、拝見して認識いたしました。そのことを事前に日弁連の高齢者の委員会等々で協議している最中ですが、そのときに指摘された問題があります。それは、この遺言作成自体に関わる民間事業者の問題ではないのですが、高齢者に関わる現状で指摘されている問題として、高齢者に関する高齢者サポート事業者との関係です。令和5年8月に総務省の行政評価局が作成しました身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査の結果報告書というのが総務省行政評価局からホームページ等で開示されています。   それを見ますと、身元保証等高齢者サポート事業者というのは、高齢者問題において、いわゆる利用者が財産を贈与する場合もあるでしょうけれども遺贈ですね、それについて肯定的に受け取るという回答をしているところが約7割近くいるというのが数字として出ております。むしろそれを運営に関して当てにしている、つまり高齢者の遺産が自分のところの運営に入れていただけるといいという認識を持っているところも、一部ではあるのです。もちろん、受け取らないということを明示している、そういう業者もあるというところのようですが。   当事者が70代、80代以上になって、そういう施設とか死後事務委任とかそういう業者、特に介護施設に入るような場合のときには、そういう遺贈をしなくてはならない状況に追い込まれるとか、知らないところでそのような内容を作らされてしまうということに関する手当てをすべきだろうと思います。そういう点で、日弁連はこの結果報告書が出たときに、ただ、本人が世話になった介護施設に遺贈したいという真意を持っているときには、それを否定することはなく、当然、御本人の意思をいかすべきだと思うのですが、公正証書でやるべきであるというような意見を出しております。   そういうことを考えたときに、民間事業者がそういう認識を持っていて、一方で新たな遺言で民間事業者を使うとなったときに、法定相続人がいて法的紛争という面はあるし、それが判例とかに出てくるのでしょうけれども、前にも申し上げましたように、法定相続人がいないケースというのも今後かなり増えるわけで、そうなると、それというのはほとんど見えないところの世界になって、一度形式的に作られてしまってそれが執行されたときに、それにストップを掛けるというのはもう無理な話なわけです。   そうだとすると、現在検討している甲2案、これがどうなるのか、最終的にはまたいろいろ御意見いただくところでしょうけれども、きちんと民間事業者がどういうことをやるべきか、それから監督はどこがするのかとかは重要だと思います。先ほどのサービス事業者に関しても厚生労働省が関わっているところではあるのですが、どうも監督できるというところは半分で、残りの半分ぐらいはなかなか実際上はできないというところもあるようなのです。民間事業者がまた高齢者問題に関わるというときには、やはりその視点は必要であろうと思います。   自分の実務的な感覚からも、先ほど障害をお持ちの団体の御報告がありましたけれども、高齢者というのは本当に目が見えにくくなり、聞こえにくくなるという、一種の両方が判断能力とともに減退していく、そういう中で遺言書を作るときに、その問題をなくして進められるのは非常に危険であろうと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございました。高齢者が遺言を作成するときにあり得るリスクについての御発言だったかと思いますが、それとの関係で、民間事業者の関与については慎重な対応が望まれるという御意見として承りました。ありがとうございます。 ○戸田委員 ありがとうございます。相原先生のおっしゃるとおりだと思っていまして、死後事務委任でいろいろなトラブルがあるのですが、なかなかそれを監督しようというスキームが出来上がらず、総務省で統計だけ取っているような状況だと思うので、そういったところはきっちりと穴埋めをしていく必要があるのではないかとは思います。   この案に関してなのですけれども、まず甲2案については、誰がどういったものをどういう過程で作ったかということを記録できることが他の案と大きく違う点でありまして、そういった方式をもう少し洗練させて、乙案、丙案にもこういった技術をいかすことで、全体の質を上げるということはできるのではないかと思います。   まず、ここの課題提起でありました、作成開始時に本人確認を厳格にやるというような、あるいは撮影することを要件化するかどうかというようなお話があるのですけれども、撮影開始当初だけやっても、途中から他者の介入があり得ます。オンラインの環境があるわけですから、それをいかして最初から最後まで監視を続けるという仕組みは、やはりあった方がいいのではないかと思います。実際、現行の技術、例えば先ほど御紹介のありました公的個人認証法ですと、顔認証も使えるという技術が確立されたものがあります。そういった技術を断続的に利用し、他者が本人と入れ替わる隙をなくす、あるいは他者の映り込みをチェックすることは、顔認証を連続的に行うことで可能になります。したがって、そうした技術で、最初から最後まで他者の介入がない、あるいは偽造の余地をなくすといったことが必要なのではないかと思います。   実際にこういった仕組みはオンラインの試験などでよく使われていまして、試験では単にデジタル技術だけで不正を回避するのが難しいので、今日の部会資料にも一部書かれておりますけれども、事業者の方で監視を行います。実際には人間による監視が行われていますけれども、一般にはプロクターと呼ばれているような監督者を置いて、少し怪しそうなところがあればその場所を映してくださいと受験者に指示します。特に、最近ですと骨伝導スピーカーというものを使って介入するケースが非常に増えていますので、耳たぶの後ろを映してください、といったことを人間が指示することで、いろいろな不正の穴を塞いでいくといったことができるので、そういったものを組み合わせるのもいいのではないかと思います。   視線のチェックであるとか、不審な動作がないとか、あるいは異音がしていないかといったものは、センサーで取ることはできて、AIで総合的に判断して不審がないかどうかをかなりチェックできるようにはなってきているのですけれども、まだまだ人間の方が優秀だというところはありますので、技術進化はあるにしても、ある程度人間の介入があった方が、より安全ではないかと思います。   次に、保管についてなのですけれども、α案は個人での保管ということが前提になっています。その場合、せっかく甲2案の作業過程でかなり厳格に不正を排除したにもかかわらず、オンラインの監視のない中で偽造が可能になってしまいますので、効果が減じられてしまうのかなという懸念がございますのと、やはり高齢者が継続的に将来にわたって保全措置を講じるというのは、なかなか厳しいだろうと思います。   β案については、民間事業者が保管するということなのですけれども、これは民間事業者に倒産リスクがあるということで、こういったものをいろいろ法的に縛るということは可能だと思うのですけれども、最終的に民間事業者が倒産してデータの引受け手がどこにもないといったときには、やはり公的機関でそれを保全するといったような対策というのはどうしても必要になるのではないかと思います。それを考えますと、乙案で作るインフラと変わらなくなるのではないかと思いまして、そういった意味では、甲2案と乙案を組み合わせる方が合理的ではないかと思います。   それから、γ案についてなのですけれども、これは保管するデータを削減するという意味では有効ではあるのですけれども、原本自体は本人が保管しなければいけないということで、ハッシュ値だけを預けているのに原本をなくして遺言が無効になってしまうということがあります。ハッシュ値からは遺言本文を復元できませんので、そういったことも起こり得るということで、望ましいのは、やはり乙案ベースで保管ということではないかと思います。   ただ、甲案と乙案を組み合わせると、動画のデータも保管するということになるので、非常にデータ量が多くなるといったような課題はあります。乙案、丙案で全くオンラインの監視のない中で偽造が可能な状況をよしとするのであればそれでいいのですけれども、しかし、それを甲2案と同じレベルに引き上げるということになってくると、乙案、丙案でも同じようなデータ容量が必要になってくるということがございます。ただ、先ほどの手話ですと全動画が必要になると思うのですけれども、そうではない場合には動画のサンプリングをして重要なところだけ、あるいは異常を少し検知したところについては生データを入れるとか、開始と終了のところは声紋を取る意味でも固定的に撮る、といったことで、撮る部分を限定すればデータ自体は減らせるのではないかと思います。これにより現実解に近いということで、甲2案と乙案の組み合わせも実際にはあり得るのではないかと思います。   最後に、こういったことを法で全て規定するというのはなかなか難しいことでありますし、それから技術進歩も著しいというところもありますので、法律には抽象的に書いておいて、主務省令あるいは業者の認定基準、こういったところで細かなところを記述すればよろしいのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。戸田委員からは、甲2案を積極的にいかしていくという方向で3点御指摘いただいたのかと思っております。一つ目は、継続的な監視システムというのが重要で、これは甲2案だけではなくて他の問題についても及ぼすような形で考えるべきではないか、また、現状を考えると監督者というものを置くということも一つ考えられるのではないかという御指摘を頂きました。それから2番目に、保管については乙案のようなものと組み合わせて、やはり公的な機関でやるというのがよろしいのではないか、データの問題はあるけれども、それについては一定の対応ができるのではないかという御意見だったかと理解をします。3点目が、法律にどこまで書くかということで、これは一般的な問題としてこれまでにも話題になりましたけれども、ここでも出てくる問題だということで受け止めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。   ほかはいかがでしょうか。 ○隂山委員 隂山でございます。第1の1と2につきまして発言をさせていただきます。   まず、第1の1(1)ですが、甲2案につきましては証人の立会いを不要とし、これに相当する措置を講ずることが前提となっているところ、民間事業者が提供するサービスなどを活用することによって、より利便性の高い制度を検討することが出発点であると捉えています。その上で、民間事業者の従業員の関与の義務付けや専用ブースの利用ということになりますと、現状の自筆証書遺言や甲1案よりも負担が大きくなり得るのではないかと感じます。また、第三者が立ち会っていないということを要件にした場合、遺言の効力が争われたときには遺言の有効性を主張する側において第三者が立ち会っていなかったことを立証しなければならないようにも思われますが、第三者が立ち会っていなかったことを民間事業者の技術によってどのように証明していくのかといった点も論点になるのではないかと考えています。遺言者や遺言の有効性を主張する方、民間事業者のいずれにとっても負担が大きくなる可能性があるとも思われますので、パブリック・コメントの結果なども確認しつつ検討していく必要があるように考えています。   (2)について、5ページのイで記載されているバックグラウンド認証の実施が現実のものとなりますと、当初の認証が適切であり、かつ、遺言作成者の振る舞いなどを学習しているのであれば、なりすましリスクを大幅に減少させることができるものと捉えています。ただ、バックグラウンド認証を行うこととする場合、部会資料12の16ページ15行目以下での御説明のとおり、かなり大掛かりな整備が必要になるのではないかと思われます。後日遺言の有効性に疑義が生じた際、民間事業者が実施したバックグラウンド認証の正当性についても争点に上がるようにも思われます。民間事業者がどの程度のデータを保持しておかなければならないかといった点も含めた検討が必要ではないかと考えています。また、バックグラウンド認証を可能とするための設備を整えるためにどの程度の費用を要するかに関しても、調査をしておかなければならないと感じています。民間事業者のコストが増加した場合には、遺言作成者が負担しなければならない利用料などにも跳ね返ることが考えられますので、重要な事項であると捉えています。   次に、第1の2でございます。αからγについて、αでは、電子証明書の有効期間が経過する前に再度、電子署名を行う方策が挙げられています。例えばマイナンバーカードによる電子署名を考えた場合に、初回の電子署名が令和7年9月30日であり有効期間が令和8年3月31日であったときに、令和8年3月31日が来る前にもう一度同じマイナンバーカードで電子署名を行うことが想定されているように読めました。この場合、令和8年3月31日が到来すると、初回の電子証明書及び重ね掛けをした電子証明書のいずれも失効してしまうということになりますので、この点をどのように考えるかにつきましては引き続き検討が要るのではないかと考えています。   この点、電子証明書の機能に着目し、有効期間内であれば改ざんリスクが極めて低いという評価のもと、例えばマイナンバーカードの有効期間内である令和8年3月31日までに次のマイナンバーカードへの更新を行い、新たなマイナンバーカードで電子署名を行うことによって改変防止措置を施したという説明も可能ではないかとは考えています。   また、電子署名の重ね掛けを要求した際に、電子署名の重ね掛けを失念することも考えられますが、その場合、部会資料12の11ページ29行目以下でも御説明いただいているとおり、遺言の効力に何らかの影響があると考えることとなるのかについても議論しておく必要がありそうに感じております。さらに、電子署名を重ねて行った場合における遺言の成立日につきましても、最初に電子署名を行った日であるのか、重ね掛けの電子署名は飽くまでも改ざん防止措置としての電子署名であるとの理解のもと、重ねて電子署名を行った日に新たに遺言が作成されたという考えではないという整理になるのかなども論点として挙がるのではないかと感じています。   なお、14ページの(注1)で長期署名に関して御説明を頂いております。長期署名を行うことによって、電子署名時点の検証に必要な失効情報等をタイムスタンプで封印するということになりますので、アーカイブタイムスタンプによる更新等、適切な運営を前提とすると、当初の電子署名に係る電子証明書の有効性に係る情報を高い確度で検証することができるものと思われます。ただし、説明にて御記載いただいておりますとおり、国民一般が使用している手法であるとは言い難いことや、長期署名を求めることとなると民間事業者のサービスの枠組みで長期署名を活用することになると考えられるため、ハードルが高くなるとも思われます。   次に、β案について、民間事業者の継続性の観点からの検討が不可欠になるものと考えています。民間事業者がサービスを停止した場合や倒産等によって消滅した場合の取扱いを適切に定めておかなければ不測の事態に陥ることがあるため、慎重な検討を要するものと考えています。   γ案について、ハッシュ値のみを保管するという案でございますが、第4回部会の参考人ヒアリングで、ローカル環境で何の手当てもされていないまま古い技術で電子署名されたものが残り続けることになるので、ハッシュ値を変えないまま改ざんされるということが、暗号化技術が古くなれば起こり得るといった御指摘がございました。そのため、遺言の効力が発生した時点でハッシュ値の突合を行った際に、同一のハッシュ値であるものの内容が改ざんされているリスクが含まれているように感じています。   また、γ-2案について、公的機関にて保管するということになった場合には、乙案との違いをどのように周知していくのかといった点も検討が必要であるように考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。御指摘は、第1の1と第1の2のそれぞれについてということで、第1の1につきましては、民間事業者の負担というのはかなり高いものになるということが想定されるが、それをどう考えるか、それは費用に反映することになるけれどもといった御指摘があったかと思います。それから、第1の2についてはα、β、γのそれぞれに伴う問題点を御指摘いただいたと受け止めました。αについては、基本的なことになるのだろうと思いますけれども、遺言の成立日が結局どうなるのかとか、電子証明書が失効したときには遺言の効力はどうなるのかといったような問題について考えておかなければいけないという御指摘を頂戴したと理解をいたしました。ありがとうございます。   ほかはいかがでしょうか。 ○入江委員 入江でございます。若干総論的な意見で恐縮ですけれども、遺言の特性を踏まえますと、これはそもそも論ですけれども、遺言者本人の意思によるものであるということと、遺言者以外の者の不当な影響を避けるということについては、可能な限り、やはり重視すべきだと思います。それが相続人間のトラブルの防止、ひいては円滑な相続手続ということにつながると考えております。少なくとも、先ほども御意見でありましたような、なりすましであるとか不当な影響というものについて、ある程度やむを得ないというような間違ったメッセージが伝わるというようなことは、やはり望ましくないのかなと思います。今のは第1の1に関する意見です。   第1の2につきましては、隂山委員からもありましたように、やはり改変等の防止がまず重要ということで、特にγ案については、改変があったことは検知できるかもしれませんけれども、そもそも電磁的記録が改変されてしまうというリスクは残りますので、ここはやはり十分とはいえないのではないかと思います。一方で、こういった措置がなされるということを執行時点で執行手続の相手方である金融機関等が確認するとなると、これは相続人と金融機関双方にとって、やはり負担が大きいのではないかと、こういう意見はかねてから本部会でも出ていたかと思います。この点につきましては、例えば家庭裁判所での検認の在り方を見直すということで、ある程度そういった負担を抑えるということは可能かもしれませんけれども、こちらについても現在の裁判実務との整合等の観点から難しい面があると理解をしております。   いずれにしましても、甲2案については今申し上げたようなことをやはりバランスをとるということが重要ですけれども、なかなか難しい面もあるのかなということで、ここは引き続き慎重な議論が必要なのかなと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。入江委員からは、やはり第1の1と2について、1については総論的なお話がありましたけれども、なりすましについてある程度仕方がないというようなメッセージを送ってはいけないのだという御意見を頂きました。それから2については、γについて問題があるという御指摘がありましたが、全体としては一体誰が確認するのかということが問題として残るのではないか、そうしたことを考えると、甲2案は全体としてはやや難しいのではないか、慎重な検討を要するのではないかという御意見を頂いたと受け止めております。 ○萩原委員 萩原でございます。今までお話しいただいた皆様からはごもっともな意見を頂きまして、私はそれと重なるかもしれませんが、この中での民間事業者の関与というものについて申し上げたいと思います。恐らく今まで私自身がいろいろと関係するところから話を聞いてみますと、特に民間事業者の問題に関しまして、非常に悪質な業者が関与したり、さらには今までお話に出たとおりその民間事業者が消滅してしまう可能性とか、こういうものを指摘する声が多く、多分、今回のパブコメでもそういう意見を出された団体、個人は結構おられるのではないかと推察しております。   民間事業者がどういう形で関与するかというのは、今回の説明の中で一番、保管の問題ですね、これは当然ですけれども、また、第1の1の、要するに本人確認技術等を用いた、そういう、甲2案で作成する場合は、恐らくそういった技術を有する、これは民間事業者の協力を得ないと、これは普通の人にはできない話であるので、作成と保管ということになると思います。いずれに関してもかなり問題はありますけれども、甲2案で法案を作るとなると、なかなか具体的に法文に書くのは難しい。ただ、言えることは、実際にこれが遺言の作成の段階において、民間事業者がどういうサービス、つまりどういう技術を持ってどういうことをすればよろしいのか、それが明確になること、それから保管となると、やはりこれは民間事業者の信用の問題、信頼できる事業者なのかと、そういう意味で、先ほど戸田委員も言われたように、公的機関が保管するのが一番という、これはもっともだと思っております。そういった民間事業者の技術、それからその資格、これをどのように、法律あるいは規則できちんと定めて、そしてその認定と、そしてまた、その後の取消しを含めた、そういった措置をとれるかと。ですから、3番の認定制度の要否というところをきちんと定められた上での運用が必要であると思います。   ですから、今回の法改正でそこまで突っ込んだところができるのかどうか、あるいは今回そこは難しければ、やはり仮に枠を作るとして、それでは将来的にどういうレベルに達した場合はこういう認定制度と、それに基づく民間事業者によるサービスの提供と、これができるのか、やはりそこら辺は議論を詰めていく必要がありまして、それ次第で甲2案というのが本当に現実的に法文に書けるのかと思っておりまして、これが今後の議論の重要なところだと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。萩原委員からは民間事業者の関与に関わる問題点の御指摘を頂きました。甲2案を実現するためには、作成、保管ともに本人がやるということでは難しかろう、そう考えると、作成も保管も民間事業者の関与を求めるということになると、技術の問題、資格の問題というのが出てくるけれども、それを果たしてクリアすることができるのかどうかというところは慎重に検討する必要があると、こういう御意見として承りました。ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○柿本委員 柿本でございます。説明ありがとうございました。私は、相原委員と大変重なるところがございます。民間事業者の関与に関してですが、少し話は外れますけれども、主に高齢者が利用しているリースバックで起きている問題があります。先日、借家人協会が実施した賃料値上げトラブル110番では、リースバックをされている方から更新時に賃料が倍に値上がってしまって、もう住むところがなくなってしまうという相談があったと伺いしました。敷衍していくと、やはり高齢者サポート事業者の実体からも分かるように、認定には非常に慎重に取り組んでいくべきと考えます。特に作成などは、不慣れな者が民間事業者を頼り、いいなりに作成してしまうということが想像できます。なので、丁寧に進めていくべきではないかと考えます。 ○大村部会長 ありがとうございました。柿本委員からも、民間事業者の関与については慎重な検討が必要だといった御発言を頂いたところであります。 ○冨田委員 冨田でございます。私からは個別の論点というよりは、第1全体を通じて感じたことを一言申し上げさせていただきたいと思います。   これまでも繰り返し申し上げてまいりましたが、今回の様々な制度設計においては、やはり簡便で国民が利用しやすい制度を作るという原点が大事にされるべきであり、方式は複雑にしないことが大事ではないかと考えてございます。現行の自筆証書遺言では一人で遺言を作成することができますので、今回、甲2案について技術的な検討を加えたという補足説明の中にも、自筆においては要件としていないものについて要件とする必要があるのかどうかといったような点が幾つかの項目において記載をされておりますけれども、やはり自筆証書遺言で求められている以上の要件が大幅に付加されること、これは原点に立ち返れば、余り望ましくないという意見を持っていることを申し上げておきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。冨田委員からは、方式は複雑なものにしないということが望ましいだろうと。そう考えると、自筆証書遺言で求められているのにプラスの要件というのはできるだけ避けた方がいいと、こういう御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。 ○小池(泰)委員 九州大学の小池です。部会資料12の第1の1(1)ですかね、甲2案について確認をしたいのですけれども、甲2案の④というのが部会資料12の2ページの下の方に枠囲みで入っていまして、甲2案の④というのが、遺言者の周囲に遺言者以外の者が立ち会わない状況の下においてされたことを明らかにする措置をとれと書いてあるのですが、これの意味なのですけれども、他人がその場にいたらもう即、方式違反になるのだという趣旨なのか、民法が要求する方式としてはもう少し具体的に書いて、遺言者が口述をするときにその部屋全体をくまなく映しておくと、そこまで書いて、それを満たしていれば方式はOKだと、その上で他人が何か影響を与えていたのだったら、それはまた別の問題として処理をするという趣旨なのかというのを確認したいので、お願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。書き方の問題ということにも関わると思いますけれども、事務当局の方で何かありましたら、お願いいたします。 ○齊藤幹事 今の御質問に関しては、中間試案と補足説明とに記載がされた限度での具体化がされているのが甲2案ということなので、そこから先にどこまで求めるかは、今、委員がおっしゃったようなことは両方、範囲としては含み得るのかなと考えており、その上でどこがふさわしいかについては、更に御意見があれば伺って、絞り込んでいくということかと思いました。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。 ○宇田川幹事 最高裁家庭局の宇田川でございます。第1の1の関係で少し発言させていただきたいと思っております。   中間試案の本文④の措置の関係でございますけれども、ただ、これは遺言全文の朗読に係る電子データにも係る問題かなと思っていますけれども、これらの方式要件の部分について、まず、事後的にその方式に従っているかどうかを確認するために、また当該遺言の電子データに係るものであるということの結び付きを示すためにも、一体として最終的にはこれらのものがデータとして保管されている必要があるのではないかとも考えられるところなのですけれども、ここについて何か事務当局において現時点でのお考えがあれば、少しお聞きしたいと考えているところではございます。   これが質問に係る部分なのですけれども、一体として保管される必要があると考えているところで、それはなぜかといいますと、甲2案では、この遺言全体を検認手続の対象とするということが考えられていますので、そういった意味で、裁判所において検認手続をするというときに、検認手続が事後的に偽造変造を防止して、その状態を保全するという性質を持った手続であることからすれば、一体として保管されたものを同じように電磁的記録で保存するということが考えられるところでございます。   そこで特に懸念点として考えているところは、各措置についての電磁的な記録というところを考えた場合に、そのファイル形式であるとか容量というのはいろいろ考えられるところで、特に技術の進歩もあるところですし、場合によっては外国で使われているソフトを使ってのデータの作成ということも考えられるところで、そういったところについて何らかの手当てをしないと、なかなか遺言の執行という場合も含めて問題が生じるのではないかとも考えているところでございまして、主務省令において、そういった事後的に確認ができるようにファイル形式を指定したり、通常想定される容量を定めるなど、そういったことが必要になるのではないかと考えているところでございまして、その点の指摘も併せてさせていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。質問と御指摘等あったのかと思いますけれども、特に執行との関係でということで、一体として保管するということが必要なのではないかという御指摘ないし御質問、これは前に多少話題になったこともあるように思いますけれども、事務当局の方から改めてお答えを頂きたいと思います。それと、ファイルの形式とか容量等について、何か決めておく必要があるのではないかという御指摘も頂いたと受け止めました。御質問に係る部分について、お願いします。 ○齊藤幹事 今回の資料では、本文の④の措置、それから、そこに関してぶら下がっている(注)の5、6、7について少し深掘りをさせていただいたというところです。その上で、御指摘を頂いた点についてはその先、一旦出来上がった後にどうやって検認の手続に乗せるのか、あるいは、そしてそれを執行、実現していくのかという問題に関わると思います。そして、その点については特に今回、項目立てをして作成はしておりませんけれども、やはり適正に検認の手続に乗せ、その中で①から④の要件に関する事実関係が可能な範囲で検証できる必要があるということは考えておりますので、そういった意味では御指摘のとおりかなと思っております。その上で、それを更に一体のものとしてというようなところにどこまでの意味を持たせるかは、また別途、問題があると思いますが、要件を満たしたものであることが記録上も残っているということは当然必要なのかと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。 ○宇田川幹事 現時点でのお考えとして分かりました。ありがとうございます。 ○大村部会長 そのほか、御発言はいかがでしょうか。 ○石綿幹事 石綿です。第1の本文の1(1)遺言者以外の者が立ち会わない状況について、質問と意見をそれぞれさせてください。   まず質問ですが、これを要件にするかということについては、技術的に可能かということがもう一つの考慮要素になるかと思います。23ページの方に不動産登記の登記簿の附属書類の閲覧について、第三者が同席しないことを確認するのだということがあるのですが、これはもし何か具体的にどのような方策がとられているかということが分かるようでしたら、御教示いただきたいというのが質問です。   それから、意見ですが、その上で様々考慮した上で、この要件をどうしていくかという検討の方向性として、今様々な考慮要素が挙がっていますが、入江委員が御指摘になったなりすましとか不当な影響を避けるということは必須で、メッセージというようなことも大事だということですが、他方で今ある制度との比較ということも重要であろうかと思います。この点は今の資料でも検討されていることですが、自筆証書遺言でも周囲に誰かがいるということが排除されていないということとの関係で、今の資料にない視点としては、自筆証書遺言では自分で書くということで真意性・真正性が担保されている、デジタルの方は遺言者の意思を反映して遺言を作成して、本人が口述するということで真意性・真正性を担保するという枠組みなのだと思いますが、そこが仮に同じなのだとしたら、第三者が周りにいても差し支えないだろうという価値判断もあるのだろうと思います。なかなか定量化することが難しいのだと思いますが、自分で書くということとデジタルで作成して口述するということの真意性・真正性の確実性の比較というような視点も入れるということが最終的には大事かなと思って、述べさせていただきます。 ○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事から第1の1(1)について、御質問と御意見を頂きました。質問は、現在行われているものの実情について、何かあればということだったかと思います。それから御意見の方は、これは先ほど冨田委員の御発言がありましたけれども、自筆証書遺言並びで考えるというときに、どこを並びで考えるのかということで、人がいないということは求められていないと考えれば、要らないということになるのだけれども、書くということと口述するということの間に質の違いがあるので、口述する場合にはより強く影響を排除しなければいけない、そういう観点も必要だろうという御指摘だと思いました。質問の方について、何かありましたら。 ○齊藤幹事 不動産登記におけるウェブ会議による登記簿の附属書類の閲覧については、23ページ以降に若干情報を提供させていただいており、後ほどまた若干御説明をいたします。その上で、本日この場で詳細な手続の有りようを御紹介する御用意がないのですが、基本的にはデジタル技術で周囲に人がいないことを確認するということではなくて、やはりウェブ会議で登記所、法務局の担当者が対応しながら本人確認を行い、周囲にそれ以外の方がいないとか、そういう状況を確認しているものと現状では認識をしています。 ○大村部会長 ありがとうございました。   そのほか、御発言はいかがでございましょうか。第1についてということで、御質問や御意見を頂ければと思います。 ○中原幹事 今回の部会資料12では、作成された遺言の口述段階での措置について、個別的に技術的な検討がされていて、それ自体重要なことでありまして、部会資料のそれぞれの記述は、納得するところが多かったところです。ただ、やはり問題は、それぞれの措置について選択した結果として出来上がる全体の仕組みが適切であると総合的に評価することができるかということなのではないかと思います。その際は、今回は取り上げられなかったのですけれども、遺言者による口述の録音で足りるとするのか、それとも録画をも要求するのかという中間試案でペンディングとされた事柄、あるいは、今回取り上げられている事後的な改変等を防止するための措置も全て併せて、総合的な評価が必要なのではないかと思います。   例えば、最も制度設計上簡便な組合せとしては、遺言者による口述に当たって遺言者以外の者の立会いを封じる措置は特に要求しない、遺言者本人による口述であることの確認は口述開始時点のマイナンバーカードによる顔貌認証で済ませる、しかも口述の音声のみ記録すればよいとする、さらに、改変防止策としては、第三者による保管の仕組みは設けないというような組合せになろうかと思うのですけれども、これらをいざつなげてみると、全体としてこれでよいのだろうかということは、かなり疑問があるように思われます。   より具体的に申し上げますと、一方で真意性の確保という観点から言えば、そもそも今回のデジタル方式の遺言は、遺言それ自体を書き起こす段階での第三者の事実的な関与は黙認せざるを得ない。そこでは確かに公正証書よりも真意性の確保の点では劣るけれども、自筆証書遺言も実はそうであったと割り切る。ここまではよしとするにしても、遺言者が電磁的記録としての文面を作ったけれども、その遺言をすること自体を本当は迷っているというような状況が仮にあったとして、いや実際にあると思うのですけれども、言わば最終意思の確認プロセスである口述においてまで第三者の同席を黙認してよいのか、しかも手続の適正性の事後的な確認方法が専ら音声の記録でよいのかというのは、証人がいない手続であるだけに、慎重に検討する必要があるように思います。   他方で、遺言者の意思の実現という観点からは、死後発見してもらえるように保管する、しかも第三者に改変されないように保管する、それだけではなく、改変が疑われないように電子署名を継続的に付与しなければならない、そうでないと遺言が無効になるかもしれないというのでは、およそ簡便とはいえないでしょうし、作成段階の口述の手続について、たとえ方式要件を形式的に満たしたとしても、それが簡素なものであるがゆえに、意思能力の有無や第三者の不当な介入の有無などが法律行為の一般法のレベルで事後的に問題とされることがあるとすれば、あるいは少なくともそういう契機となり得るのだとすれば、やはり遺言の方式として不安定にすぎるように思われます。   この甲2案については、パブリック・コメントの結果を踏まえて改めて採否を含めた審議をすることになると理解しておりますけれども、その際には各措置についての選択肢を組み合わせた制度の具体像を示した上で、真意性・真正性の確保、さらには紛争の防止など、これまでこの部会で中核的に論じられてきた基本問題が全体として、個々の丸バツというのではなく全体として、様々なリスクが許容可能な程度にクリアされていることを改めて丁寧に検討する必要があるのではないかと思います。   民間事業者の認定制度の要否、内容についても、部会資料に書かれていることに基本的に異存はないのですけれども、そこで前提とされているように、何をどこまで民間事業者が担うかというのが問題でありまして、今申し上げたような制度の具体像に左右されることになりますので、現時点で何か結論を出すということは難しいように思います。民間事業者に保管を担わせるか、あるいは任意の保管サービスの提供を認めるか、更に何を保管の対象とするかということが特に重要だと思われますので、甲2案の具体的検討を続ける場合には、その点に特に留意した具体的な制度設計の提示が必要であると思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。中原幹事からは、甲2案について今回検討されているそれぞれの項目ごとの対応策については理解ができる、しかし全体としての評価が必要なのではないかという御指摘があったと受け止めました。組合せはいろいろあるけれども、最も簡便な組合せというのを考えたときには、それは皆さんが不安に思うのではないか、逆にいろいろなリスクを考えて備えをすると、それは簡便とはいえなくなるということもある、また、そういうものを作ったとしてもなお問題が残るところもあるといった御指摘を頂きました。次回以降検討するときに、全体を見ながらということが必要なのではないかということだったかと思います。民間事業者について、もう一つ併せて御指摘も頂いたと受け止めました。   ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。オンラインの方々もよろしいですか。   それでは、第1については御意見を伺ったということにさせていただきまして、続きまして部会資料12の第2について御審議を頂きたいと思います。この部分につきまして、事務当局の方から御説明をお願いいたします。 ○戸取関係官 部会資料12の第2について御説明いたします。17ページを御参照ください。   本文1では、中間試案において、普通の方式における新たな遺言の方式に係る乙案又は丙案では、「相当と認めるとき」にウェブ会議の利用が認められるものとされているところ、具体的にどのような場合にウェブ会議の利用を認めるべきかについて、二つの考え方を記載しております。   すなわち、αとして、ウェブ会議の利用を広く認めつつ、特にウェブ会議の利用が相当でない限定された場合についてはその利用を認めないものとする考え方と、βとして、ウェブ会議の利用を認める必要性があり、かつウェブ会議の利用が相当でない一定の要件に該当しないことを要件とする考え方を記載しておりますが、その他の考え方を含め、ウェブ会議の利用を認める場面等について御意見を頂ければと存じます。   本文2では、乙案及び丙案の方式による遺言、公正証書遺言並びに死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言の新たな方式による遺言において、成年被後見人がする遺言における医師の立会い及び口がきけない者がする遺言における通訳人の通訳がされる場合に、ウェブ会議の利用を認めるか否かについて御意見を頂ければと存じます。   補足説明として、21ページの1では、検討の必要性について記載し、22ページの2では、他の制度におけるウェブ会議の利用に関する規律として、公正証書遺言等におけるウェブ会議に関する規律や通達の内容、不動産登記におけるウェブ会議における登記簿の附属書類の閲覧に関する規律等を記載しております。それらを前提として、26ページの(3)では、公正証書においては嘱託人の本人確認のほか、真意に基づくものであることや判断能力についても確認するという実質的な審査を行う観点からウェブ会議の利用について厳格な要件とされていると考えられること、他方で、不動産登記における附属書類の閲覧については、本人確認及び閲覧請求権者以外の者による閲覧の防止という観点の限度でウェブ会議の利用の可否が整理されていると記載しております。こうした整理を踏まえ、乙案及び丙案においては、ウェブ会議を利用して、本人確認のほか、遺言者が遺言の全文を口述することによる意思の外形的な確認を行うものとされていることから、この趣旨が害されない限度でウェブ会議の利用を認めることとすれば足りるとも考えられること、他方で、利害関係人による不当な影響を排除する必要性や紛争が生じる可能性をも考慮する場合には、公正証書遺言におけるほどには厳格としないとしても、出頭を原則としつつ一定程度厳格な要件の下で利用を認めることも考えられることを記載しております。   26ページの3では、そうした考え方の一つを具体化したものとして、αという考え方を記載しております。これは、対面での審査をしなければ保管の適否について判断することができない場面が多いとはいえないと考えられることから、広くウェブ会議の方法を認めることに原則として支障はないとの考え方に基づくものです。27ページの(2)では、基本的な考え方として、ウェブ会議を利用する場合であっても適切に本人確認等を行うことができると考えられること、公正証書遺言の場合と異なり、公的機関の職員が遺言者の自宅等へ出張することは困難であることを踏まえ、ウェブ会議を認める必要性も高いとも考えられることなどを記載しております。28ページの(3)では、ウェブ会議の利用を認めない場合として、機器の故障や通信障害等により遺言の全文の口述自体や本人確認を適切に行うことができない場合を想定していることなどを記載しております。   28ページの4では、他人が遺言者になりすますおそれや、利害関係者等が遺言者に不当な働き掛けをするおそれ等を重視したβという考え方を記載しております。29ページの(2)では、基本的な考え方として、遺言者の心身の状況等に鑑み公的機関に出向くことが困難な場合をウェブ会議の利用を相当と認めるための要件として規律を設けることが考えられること、さらに、高齢者の場合などウェブ会議の利用を認めるべきでない要件を定め、その要件に該当するかどうかを外形的、画一的に判断することが考えられる旨記載しております。もっとも、こうした考え方については、特定の外形的な事情に該当することをもって一律にウェブ会議が認められないとすることの合理性や、その事情を公的機関において実質的に審査することは困難であるとも考えられることなどの指摘も考えられる旨記載しております。   また、30ページの(3)では、利害関係者からの不当な働き掛けを排除するとの観点について、遺言者が口述する際に遺言者以外の者がいない環境を設ける必要性があるとの考え方と、必ずしもその必要性がないとして、同席者の有無についての特段の規律を設けないとする考え方のほか、同席者の本人確認をしてその記録を保存するという考え方、その場合の同席者についてウェブ会議に係る機器の操作を補助する者等に限るとする考え方などを記載しております。   31ページの5では、成年被後見人の遺言における医師の立会い及び通訳人の通訳について、ウェブ会議の利用を認めることの当否等について記載しております。   (1)では、検討を要する方式の範囲として、中間試案では、自筆証書遺言、秘密証書遺言、隔絶地遺言及び在船者遺言について、ウェブ会議を利用した新たな方式を設けることとされていないことから、検討の対象としていないこと、普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式である甲1案について、ウェブ会議の方法により証人が立ち会うことができるものとすることについて引き続き検討するとされていることなどを踏まえ、検討の対象としていない旨記載しております。   32ページの(2)では、成年被後見人の遺言における医師の立会いについて記載しております。民法第973条の趣旨を踏まえ、事理弁識能力の有無を極めて慎重に確認する必要があり、成年被後見人の状態を対面で確認する必要があると考えられることを前提として、乙案又は丙案の方式による遺言においては、医師と遺言者との間でウェブ会議の利用を認めることは相当でないと考えられること、他方で、医師が遺言者とは対面である一方で、遺言者とともに公的機関との間でウェブ会議を利用することを認める必要性が生じる場面があり得るため、その観点からウェブ会議を利用することにより医師を立ち会わせることができる旨の規律を設けることが考えられること、死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言の新たな方式による遺言についてはウェブ会議の利用を認める旨の規律を設ける必要性はないと考えられること、公正証書遺言について公証人においても遺言者と対面する必要があることなどからその旨の規律を設ける必要性は高くないと考えられることを記載しております。   33ページの(3)では、通訳人の通訳について、乙案及び丙案の方式による遺言においては公証人法と同様の規律を設けること、死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言の新たな方式の遺言においては特に制約なくウェブ会議で通訳人の通訳を認める旨の規律を設けることが考えられることを記載しております。   部会資料12の第2についての御説明は以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。デジタル技術に関わる問題として、先ほど御議論いただいた第1の問題と並んで、第2の乙案、丙案においてウェブ会議をどの範囲でどのように認めるかという問題があるだろうということで、今のような御説明を頂いたと理解をしております。1は、どの範囲で認めるのかという一般的な議論であり、同席者等についてどうするかという御指摘もあったかと思います。2は医師の立会い、通訳人の立会いということについてでありまして、場面を分けて考える必要があるといった御指摘もあったと受け止めました。   質問、それから御意見、双方あろうかと思いますが、ここでも区別をいたしませんので、どちらでも結構ですので、御発言を頂ければと思います。どなたからでも結構ですので、お願いをいたします。 ○小池(泰)委員 17ページの第2の1のウェブ会議の利用についてα、βの考え方が書かれているのですけれども、少し確認したいのですが、ウェブ会議の利用ということで、資料でいうと22ページから23ページ以下ですかね、公正証書でウェブ会議をやるときに留意すべき事項を定めた令和7年通達というのがあるということなのですが、このウェブ会議の利用のルールについてある程度細かく省令とか通達で定めたものを用意するという前提で、こういうα、βを分けているのか、それは取りあえず置いておいて、皆さんがそれなりに考えているウェブ会議の内容を前提にとにかくしゃべってくれという話なのかで大分違うと思うのです。実際に24ページを見ると、ウェブ会議の許容性についてという項目があって、こういう場合は慎重に判断すると書いてあるので、ウェブ会議の利用についての細則みたいなものがあるのとないのとで状況がかなり変わるような気がします。   そうすると、このウェブ会議の利用をどうするかということを判断するときにも、そのウェブ会議の中身とは何なのだというところまで踏み込まないと、原則広くやっていいよね、あるいは例外としてしか認められないよというのは議論できない気がするので、このウェブ会議の利用について令和7年通達的なことまで定めることを前提にこういう議論をするのか、取りあえず皆さんが念頭に置いたウェブ会議の内容で議論していいのかという、ここだけ少し確認させてください。 ○大村部会長 ありがとうございます。御質問ということなので、事務当局の方からお答えを頂ければと思います。お願いします。 ○齊藤幹事 仮に新たな方式について保管の仕組みを法務局で行うということになれば、ウェブ会議をどういう場合に利用するかについては何か実務上の指針なりは必要になるかと思います。その上で、今回御紹介した令和7年通達と同じように通達で定めることになるのかどうかは、現時点では何とも申し上げられませんが、そういうこともあり得るということは考えております。   補足しますと、中間試案では、相当と認める場合にウェブ会議の利用を認めるということを本文、つまり法律に対応するレベルとして提示がされたような理解でおります。そうすると、法律では相当と認めるときと定めておいて、その相当と認めるときについて、具体的内容は何なのかということになりましたら、例えば省令で定めることもあり得るかもしれませんし、更にもっと具体的に通達で定めることもあり得るかもしれない。いずれにせよ相当と認めるときの中身について、仮に法律には記載しないとしても、相当と認めるときとはこういうことが考えられるのだということの実質を御議論いただき、方向をお示しいただく必要はあるのかなと思って今回、第2を掲げたつもりです。 ○小池(泰)委員 どうもありがとうございました。 ○大村部会長 一応御質問にはお答えいただいたということで、進みたいと思いますけれども、相当と認めるときと中間試案に書いたということなのですが、そこには幅があるので、その幅はαの方向で考えるのかβの方向で考えるのか、それによって細目も違ってくるという整理なのかと思って今伺っておりました。   ほかに御質問、御意見は。 ○萩原委員 萩原でございます。令和7年通達で公正証書に関するリモートについて一種の基準を定めていただいたわけですが、今回はこれを紹介していただきましたので、私の方からお話しさせていただきます。実際にウェブ会議による公正証書の作成が明日以降始まるわけでありまして、現時点ではその経験に基づく発言をするわけではないと、そういう前提で聞いていただく必要があると思います。   このウェブ会議ですけれども、法文上は相当と認めるときという、これ以上の書き方をどうするかというと、なかなか難しいということになります。ではそれでいいのかというと、実際に法務局の職員の方々が乙案に基づいてウェブで面談するとなりますと、やはりそれなりの規律というか、それを具体的に規則であれ通達であれ、通達ですかね、とにかく定める必要があると思います。そうでないと、かなりばらばらになってしまうこともあり得るのだろうと思います。   特にこのウェブ会議の利用については、公正証書の場合ですけれども、法律が出来上がったときの専門家会議でも、特に遺言について慎重にと言われたものでございます。それはなぜかというと、結局、遺言は、特に高齢者ですよね、言ってみれば判断能力とか、あるいは年をとって周りの方々、家族を含めたそういう意見に左右されやすいというか、そういう方々が特に利用するものであり、しかも法的な効果としては財産の処分行為なのですね、その遺言が有効であれば、もうあとは遺留分で争う以外に相続人が不服を申し立てることはできなくなる。遺言無効が認められない限りですね。そうしますと、実際に公正証書遺言と自筆証書遺言、公正証書はより慎重なものでうんぬんとも言われますけれども、考えてみますと法的な効果としてはどこが違うのだというと、一緒なのですね。そうしますと、公正証書だから厳しい規律をしてもいいのだ、では自筆証書は、このリモートに限って言う話であっても、緩めていいのだと軽々に言うことはできないと思っています。   なお、この中で不動産登記規則の附属書類の閲覧の問題を挙げておられますけれども、率直なところ、この附属書類の閲覧と遺言の作成とでは、発生する法的効果の違いが大きいものですから、ざっくばらんに言って、不動産登記規則のこれをベースに、こういうものをひとつということでリモートの基準というものを定めるのは、私はおかしいと思っています。これは飽くまでも一つの参考情報にしかならないのではないかと思っております。ですから、厳しいかもしれませんけれども、公正証書に関する令和7年通達、これを一つの参考にしていただければと思うのが1点です。   それから、今までウェブ会議、私ども公証人は定款の認証の面談をウェブ会議でやっております。今日少し参考人のお話にも出ましたけれども、ウェブの画面ですけれども、これは電波の具合、さらにはパソコンの機種、そういったものによって画面で相対した人の顔とか、顔はまだともかく、画面に示される身分証明書の写真や、そこに書いてある住所その他、これがはっきり読み取れる場合ばかりかというと、そうではないです。ですから、定款認証でも、また今度の公正証書の遺言のウェブ会議でも、必ず事前に顔写真付き身分証明書とか、そういった本人確認資料を送ってもらって、PDFでも構いませんけれども、それを十分確認して、そして画面に示されたものと対比して、そうでないと、画面に示される身分証明書、あるいは画面に映っている人が本当にその人なのかと、なりすましということがあり得るものですから、乙案でこういう遺言を残すのだということで申出をされてきた、そしてウェブ会議で法務局の職員が面談をした場合、これは本当に大丈夫なのかと。悪用する者はいるという前提でお話を申し上げますと、やはりそれは防止しなければならない。ですから、画面に映った顔写真付き身分証明書は、それが十分読み取れないのであれば、ウェブ会議はやめていただいて、直接窓口においでくださいと言っていただくような必要もあるのではないかと。一とおり今思っているところを申し上げましたけれども、ウェブの利用に関してはそういう観点での議論が必要ではないかと思いまして、申し上げました。 ○大村部会長 ありがとうございます。萩原委員からは、直前に小池委員から御指摘があった規則や通達などをどうするのかということとの関連で、やはりそういうものは必要であろうという御発言があった上で、ではその中身をどうするのかということになったときに、遺言については重要な効果が生ずる、それを意思の面で不安定な高齢者が行うということに鑑みると、慎重な扱いが必要であると。考えるに当たっては公正証書並びで考えるべきであって、不動産登記規則並びで考えるべきではないという方向性をお示しいただいたかと思います。また、画面で本人確認をする際の本人確認資料というのはなかなか確認しにくいものであるという御指摘もいただき、それをきちんと確認できないようであればウェブ利用はやはり避けた方がいいのではないかという御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。   ほかはいかがでしょうか。 ○戸田委員 今の萩原先生のお話はそのとおりだと思いますけれども、自筆証書遺言と同じレベルでいいと割り切れば、ウェブ会議はこのままでもいいような気がするのです。しかし、やはりいろいろな脅威を考えると対策を打たなければいけない。特に、老人ホーム等の方の利便性を図るとなると、あらかじめ偽造したものを法務局に送っておいて、あとは画面を読めばいいということなので、認知機能がかなり低下した方でも通り抜けてしまうということがあり得るので、心配といえば心配ということなのです。ただ、少し付け加えて申しますと、通常のウェブ会議のシステムだと、いろいろな脅威を考えると全く不十分です。画面を通じた会議というのは当然あるので、立ち上げた画面から一切ウェブ会議の画面以外のものを映らないようにする措置とか、あるいはコピペができないとか、あるいは、テレビドラマでよくありましたけれども、耳から指示して介入ということもあるので、画面にいらっしゃる方の耳に骨伝導スピーカーが付いていないとか、それから、いろいろなIT機器を使ったカンニングツールを使って介入するということも可能なので、そういったものも全部排除するための措置というのが必要になってくると。かなりシステム的にも複雑になるし、検知や介入措置のための監督を行う方の技量も必要になってくるということになってきて、結構、規定をしようとすると大変ではないかとは思います。参考事例としては、現在のウェブ方式での資格認定試験みたいなものがあるので、そこでやっている運用は参照できるとは思いますけれども、どこまで行っても完全というのはない世界かなとは思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。ウェブ会議についての懸念というのを払拭するために、一定程度は技術的なもので対応できるのではないかということを御指摘いただいたのだろうと思いますけれども、しかしそれもなかなか大変なところもあるかもしれないという留保をした上での御意見と承りました。ありがとうございます。   そのほかにはいかがでしょうか。 ○倉持幹事 第2の1の相当と認めるときということですけれども、もちろん省令や通達で具体的に定める必要があるし、遺言ということは重大な効力を生ずるというのは、それはそのとおりだとは思うのですけれども、余りここで厳格な要件を設け、やはり出頭しなくてはいけないということになると、現行の自筆証書遺言の保管制度とどう違うのだということになり、それであれば、公正証書遺言がデジタル化されるので、そちらのウェブ会議を使った方がいいのではないかと流れていって、乙案の存在意義というか、これが新たな方式とは言い難いものになるのではないかということからすると、やはり乙案を設けるのであれば、α案のとおり、全文を口述することができるかどうかという要件にプラスアルファする程度の簡略なものにして、できるだけウェブができる方向にするというのが新たな制度としては望ましいのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。いろいろな懸念を示されているけれども、それに対して対応すると乙案の存在意義というのが失われていくということになるのではないか、存在意義との見合いで考えていく必要があるのではないかと、こういう御指摘だと承りました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○相原委員 ありがとうございます。倉持幹事からαでという意見が出たのですけれども、弁護士の中でもいろいろな意見がございます。ウェブ会議ということに関して、先ほどから出ていますように、最近の技術の進展を考えたときに、それこそスマホとか本当に画面の問題からして、ほかの人が操作するとか、それからイヤホンを使って誘導するとか、かなり簡単に誘導されることが考えられます。そこで、、ウェブでの利用というのに対して危機意識、かなりリスクがあるので、できるだけ、用いるのであれば、全否定はできないにしても、かなり範囲は狭くすべきではないかという意見も強くございます。   結局ウェブでやるとすれば、乙案だけでなくて丙案ということもあるのですけれども、やはり関わっている対象の人の様子を見たときに、ウェブがどれだけ信用できるのかということであって、それについてはやはりかなりリスクを感じて、それを想定すべきではないかという意見も強くありました。なかなか先ほどから、簡易にやれるというところを重要視するのか、それこそ問題のある遺言書を作成、特になりすましみたいな、若しくは、特に高齢者の場合は誘導的若しくは言われるまま言ってしまうということに対する配慮は最善にすべきだという意見も強くあります。   それから、少し話は戻るのですけれども、周りに人がいるかもしれないけれども自筆で書くことのハードルは非常に高くて、やはりそこは尊重すべきところで、真正性・真意性に関してはそこの担保は大きいのだという意見も結構強くありました。そこのところは私も、同じ意見です。弁護士会でもいろいろな意見があるということで繰り返しになりますが、御紹介いたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。ウェブの利用については絞る方向の意見も多いという御紹介と、それから、自筆並びというのだけれども、書くということの意味は大きい、これは先ほど石綿幹事が触れられた点とも関わってくるわけですけれども、本人が書くということと同等のものをやはり確保する必要があるのではないかという御意見だったかと思います。 ○隂山委員 隂山でございます。ウェブ会議をどのように実施をしていくのかという点につきまして、公的機関の役割という点も検討しなければならないと考えています。資料でも御記載を頂いておりますが、公的機関では、外形的な確認を行うことが前提になっているかと存じます。必要性、相当性の判断となってまいりますと、公的機関において実質的な側面に踏み込まざるを得ない場面が出てくる可能性などもございますので、この辺りをどのように判断していくのかといった論点が出てくるのではないかとも考えています。公的機関の役割として外形的な基準で判断するという前提に立つとするのであれば、α案のような、ある程度広くウェブ会議による方法を認める案をベースに検討することも考えられると感じております。   先ほどの「画面に映された本人確認資料」につきましては、資料の10ページなどでも御記載いただいているとおり、犯罪収益移転防止法でICチップを読み取らなければならないといった仕組みなども考えられるところ、運転免許証やマイナンバーカード、あるいはパスポートなどにつきましてはICチップが格納されておりますし、国が発行しているアプリケーションなどを活用することによってICチップに格納された券面情報も表示をすることができる仕組みなどもございます。本人確認を行う際、どこまでを求めるのかにつきましては今後の議論に委ねられると考えておりますが、ある程度広めにウェブ会議による方法を認めることによる利便性の観点なども検討する必要性があるのではないかと考えています。 ○大村部会長 ありがとうございます。隂山委員からは、ある程度広く認める方がいいのではないか、利便性ということもありましたけれども、その前に、公的機関が判断するということになると外形的な基準でないと判断できないのではないかというお話だったかと思います。それとの関係で、通達等でどのぐらい書いていくのかということも出てくるのだと思います。何かチェックをするということになっても、窓口でやるということになると、かなり具体的な基準がないと、それはもたないということになりますので、そこはもうおっしゃるとおり、外形的な判断ができるということを考えていく必要があるのかと思って伺っておりました。   ほかはいかがでしょうか。 ○内海幹事 幹事の内海です。直感的にはαかβかということでは、どちらを出発点にしてもある程度のところにいずれは落ち着いていくのではないかという予感がしております。ただ選ぶための前提として確認しておいた方がいいのではないかと思いますのは、例えば、相当でないものを誤って相当と判断してしまったからといって、保管や遺言の効力に影響はないということが共有された前提になっているのかということがあるかと思います。逆に効力に影響があるという可能性が残るようですと、いずれ書かれざる方式要件が解釈上積み上がるということへの道が否定はされていないということにもなりかねません。それが絶対悪いかどうかもよく分からないような気もするのですが、いずれにしても、効力に影響がない前提での選択肢であると承っていいかどうかというのは、一度確認しておいた方がよろしいのではないかと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。どのような要件を定めるかはこれから議論することになりますが、その要件を満たさないという場合にどうなるのかということについて、認識を擦り合わせておくという必要があるのではないかということで、御質問ですかね。 ○内海幹事 そうですね。 ○齊藤幹事 まずは乙案、丙案に基づいて遺言を作成するという営みは、同時に行政機関に対する手続でもありますので、まずはそれを念頭に、相当なときというだけでは中身が具体化できないので、そこを御議論いただくということを念頭に置いて資料を作成しました。その上で、それを後から評価して、実は該当していなかったとかしていたとかで争うことができるのかどうかは、資料作成上の経緯からすると、個人的に余りそこは念頭に置いていなくて、恐らく相当と認めるときに該当すると判断したということであれば、そこはもう前提にされるのかなとは思っておりました。他方で、それも遺言の効力に事後の評価規範、裁判規範として関わるのであれば、そこも争点にできるという考え方もあり得るのかなということは気付いたということで、そこから先、こうですというお答えを今言うのは少し難しいという状況です。 ○大村部会長 問題の御指摘を頂いたということで、必要に応じて考えていきたいということかと思います。   ほかにはいかがでしょうか。御発言があれば。 ○石綿幹事 幹事の石綿です。αかβかというところは悩ましいところではあるかと思いますが、隂山委員がおっしゃったように、そもそも公的機関が何をするところなのか、真意性を公証人と同じレベルで確認する人なのかということが問題になるかと思います。あるいは今日の資料の26ページなどでは、本人確認や意思の外形的な確認を行うことが念頭におかれているかと思います。そうだとするとβというのは、公的機関に課されている役割との兼ね合いで厳しすぎるのかもしれないということを感じておりますが、他方で内海幹事がおっしゃったように、最終的にはどちらで行っても同じようなところに落ち着くのかもしれないと思っております。   それに関連して、30ページ、4(3)のところで利害関係者からの不当な働き掛けの排除の可能性について様々御指摘がありますが、これはウェブ会議だけに限られる話なのか、仮に窓口だとしても、これぐらいのことを窓口においても確認する、あるいは求めるということを想定なさっているのかということも、もしあれば教えていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。1点目、やはり公的機関であるということを考えるべきだということで、2点目は、働き掛けの問題は窓口についてもあるのではないかと、何か考えておられるかという御質問だったかと思います。 ○齊藤幹事 御指摘の働き掛けの問題は、窓口の場合にも当然、場面というか想定としては出てくるということだと思いますので、同じように考えていかなければならないということだと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○日比野委員 αなのかβなのかというところに関してですけれども、27ページの3行目辺りで、遺言者の遺言能力等は公的機関の審査の範囲に含まれずという記載があり、おそらくこのことを基礎としてα、βといった考え方が示されているのだろうと思うのですけれども、既にいろいろな方から御発言があったところに少し加えるような話ですが、現実的にはそのように簡単に割り切るということがなかなか難しいのではないかという印象を持っております。   例えば、銀行の窓口で高額の払戻しや振込み、あるいは親族等に代理権を付与したいということで高齢の方が来店いただいたのですけれども、実際には会話をしても要を得ない、あるいは親族だと思われる、あるいは親族と主張される方が同席しているのだけれども、どうもその人の言いなりになっているなと感じるケースというのは実際にはそれなりにございます。そのようなケースですと、御本人との会話を通じて更に真意を確認していく、あるいは同席者に外れてもらって更に話をしていく、それでもやはり難しければ、今日の段階ではこの手続は難しいというような結論になる、こういったことは現実的にあり得るということかと思います。   遺言においてもその要件、乙案であれば口述ですけれども、口述が形式的にできていれば、今言ったような不安な要素があってもそれで足りるのだというようなコンセンサスが本当にとれるのであろうか、特に、現時点では法務局が想定されていると思うのですけれども、公的機関がそのような状況に対峙したときに、形式要件なのだから口述ができればそれでいいのだといった割り切りが本当にできるのかとなると、結構難しいのではないかと思います。   そうしますと、これまで出ていたように、通達などで一定の考え方を示すことにより、全国のどこの公的機関であっても一定の水準の応対ができることが必要になるのかなと思うのですけれども、そこを考える上では今申し上げたような点を考慮していただくことが、遺言の信頼性や安定的な制度運用にも資することになるのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。αかβかということで議論をしていますけれども、その中間に落ち着くのではないかといった御指摘も既に出ているところであります。今の日比野委員の御意見は、やはりαということにしてしまうと外形的な判断でいいのだということになりはしまいかということで、果たしてそれでよいだろうか、具体的に挙げていただいたような場合にどうするのかということを考えて、それを含めて対応できるようなものにする必要があるのではないかと、こういう御意見として承りました。 ○冨田委員 冨田でございます。私からもウェブ会議の利用について1点、意見を申し上げたいと思います。   何度も繰り返しているようで恐縮なのですけれども、今回の目的は、中間試案の審議の経過などにも書かれておりますとおり、現行の自筆証書遺言と同程度の信頼性が確保される遺言を簡便に作成できるような新たな方式を設けることが目的だとするならば、やはりウェブ会議の利用はなるべく広く認めていくことが適当ではないかと考えてございます。その点からしますと、26ページの26行目以降に書かれているように、皆様方からも御指摘もありますが、乙案と丙案につきましては、本人確認と口述により意思の外形的な確認を行うものとされているのであれば、ウェブ会議の利用については広く認めていっても原則的に問題はないのではないかと考えておりますので、こうした観点から御検討いただけると幸いでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。冨田委員からは、簡便さを重視するという観点からはウェブ会議を広く認めるという方向で検討すべきではないかという御意見を頂戴いたしました。   ほかに御発言はいかがでしょうか。 ○中原幹事 既にいろいろ御指摘があったように、乙案、丙案の口述においてウェブ会議をどれだけ認めるかというのは、両案に基づく遺言の方式の簡便性、利便性を左右する重要な問題であり、その意味で、この段階で議論しておくことは有益だと思うのですけれども、αかβかという問題の立て方であるとか、ここでの公的機関の役割は公正証書遺言における公証人の役割とは違うのだという論法には、やや違和感を覚えるというか、拙速な感じがいたしました。   乙案、丙案というのは、中間試案の補足説明で述べられていますように、「保管申請時の本人確認に加え、遺言者が自ら保管申請を行った上で遺言の全文を口述することにより真意性・真正性の担保等が図られるとの考え方に基づく」ものであることからすると、ウェブ会議でその趣旨が全うされるのかということが根本的に重要なのではないかと思います。その意味では、簡便性に優れるαの考え方の正当化が可能かというのはまず真剣に考えてみましょうと、それが無理ならβの考え方で行けないかを考えようと、それも無理だったら、中間試案から変更することになるけれども、本人出頭を要求せざるを得ませんねというような構造なのではないかと思います。   その観点から気になっているのが甲2案との比較でありまして、乙案、丙案でウェブ会議の利用を認めた場合、遺言の電磁的記録を作成して、それを機械に向かって読み上げるという点では甲2案と非常に近くなる、しかも公的機関の職員が行い得るのは遺言者の本人確認及び口述の有無の外形的な確認に限られるということを強調するのであれば、甲2案で民間事業者が行うことと同じである、あるいはむしろもっと簡素であるというようなことになりそうでありまして、そうすると、仮に甲2案が真意性・真正性の担保の観点から足りないということになった場合には、乙案、丙案で広くウェブ会議の利用を認めること、αのような考え方ですけれども、それをどう正当化するかというような問題が顕在化してくるのではないかと思います。乙案、丙案では、自ら公的機関に保管申請をするというプロセスが存在するというのが一つ、決定的な相違点としてありますけれども、そこでの本人確認も簡素だとすると正当化の材料にはならず、やはり真意性・真正性を担保するためのエクストラの手続として、基本的には本人出頭まで要求する、その上でβのような例外、つまり高齢者や障害者への配慮に基づく例外を認めてよいかを議論するということになるのではないかと思います。   今回は取り上げないとされていますけれども、甲1案におけるウェブ会議の可否について考える際にも同様の比較の視点が重要になってくるかと思います。   αかβかという問いに正面から答えておらず恐縮ですけれども、本来の趣旨である真意性・真正性との関係で複数の案を並行して検討する場合には、この問題はある程度横断的に見る必要があるのではないかということを感じましたので、発言した次第です。 ○大村部会長 ありがとうございました。中原幹事からは議論の仕方についての御指摘を頂いたかと思います。αかβかというような議論、あるいは公証人と違うのか、同じなのかというのではなくて、乙案、丙案でウェブを認めるというのは、本人が出頭する場合と同等の状況というものを確保するということなので、それとの関係で考えていくというのが筋ではないかと。それから、甲2案を仮に採用するのだとすると、甲2案とのバランスというのも考えて、甲2案よりも言わば軽くなるというのはバランスが悪いのではないかといった御指摘を頂いたと思います。これの議論の仕方ということで、御注意ということで受け止めさせていただきたいと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○戸田委員 中原先生の発言に関してなのですけれども、平仄を合わせて各案を比較しなければいけない、それはおっしゃるとおりだと思います。甲2案とほかの案と決定的に違うのが、遺言作成から作業終了まで、これは乙案に接続すれば保管まで一連のオンライン完結でできて、要はその間で偽造の介入する余地が非常に狭まっているというのが決定的に違うところだと思います。乙案、丙案の場合には、あらかじめ偽造したものを送り付けておいて読ませればいいという話になりますし、甲1案の場合は、証人と共謀することを防ぐ手立てがなければ同じことが起きてしまうということになります。このため、どのレベルに合わせるのかというのは統一的に決めていった方がいいのではないか思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。戸田委員は最初の方の御発言でも、甲2案についての考え方を示されて、それを延長させて乙案、丙案を考えていくべきではないかという御指摘をされていたかと思いますけれども、今おっしゃったのは中原幹事の御議論との関連で言うと、そうした考え方で一貫性を図ると、そういう方向をおっしゃったと理解をしておりますが、よろしいですね。ありがとうございます。   ほかはいかがでしょうか。 ○入江委員 私も皆様がおっしゃっているように、今の段階でα、βで決めるというのは少し難しいのかなと思っております。そういう中で、今回拝見しました令和7年通達の考え方というのは、やはりこれは遺言についてウェブ会議を認めるかということから示されているものだとすれば、参考にはなるのかなと思いまして、特に25ページの(1)ウですが、公的機関等の中立的な第三者の協力を得て利害関係者が立ち入ることのできない場所を確保し、その場所でウェブ会議を行う方法と、これについては相当と認める、許容されるということかと思いますが、こういった考え方というのも参考になると思いました。また、この公的機関等の等のところに、例えば甲2案で出てきました認定事業者、監督を受けるような立場の認定事業者というのが関与して中立的な第三者として協力するという形もとり得るのではないかと思いましたので、意見として述べさせていただきます。 ○大村部会長 ありがとうございました。入江委員からは、先ほど御紹介がありました令和7年の公正証書についての通達の中に含まれている考え方というのを利用して考えていくということができるのではないかということで、25ページに挙がっている具体例との関係で御意見を頂戴したということかと思います。   ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、第2についても皆様の御意見は伺ったということにさせていただきたいと思います。   それで、本日はこの程度までということにさせていただき、次回の議事日程等について事務当局の方から御説明を頂きたいと思います。 ○齊藤幹事 本日も熱心に御議論を頂きありがとうございました。   次回の日程は令和7年10月21日火曜日、午後1時30分から午後5時30分までとなります。場所は未定ですので、追ってお知らせをいたします。次回はパブリック・コメントの結果等を踏まえ、今後の議論の方向性について検討項目全般について御議論を頂きたいと考えており、そのため、資料としてはパブリック・コメントの意見の概要の資料、それから、今後の議論の方向性に関する資料を準備させていただく予定で考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます   それでは、法制審議会民法(遺言関係)部会の第12回会議、これで閉会させていただきます。   本日は熱心な御審議を賜りましてありがとうございました。閉会いたします。 -了- -18-