法制審議会 民法(遺言関係)部会 第14回会議 議事録 第1 日 時  令和7年11月18日(火) 自 午後1時30分                       至 午後5時09分 第2 場 所  東京高等検察庁第2会議室 第3 議 題  1 民法(遺言関係)等の改正の要綱案の取りまとめに向けた個別論点の検          討         2 民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案のたたき台⑴ 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 予定した時刻になりましたので、法制審議会民法(遺言関係)部会の第14回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。   まず、前回の会議以降、冨田委員の後任として小原成朗委員が就任されておりますけれども、前回の会議では機器の不具合によって御発言を頂く機会がございませんでしたので、改めまして小原委員から簡単な自己紹介をお願いしたいと思います。 (委員の自己紹介につき省略) ○大村部会長 それでは、本日の審議に入ります前に、配布資料等につきまして事務当局の方から御説明お願いいたします。 ○戸取関係官 本日の配布資料として、部会資料14-1「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案のたたき台(1)」、部会資料14-2「民法(遺言関係)等の改正の要綱案の取りまとめに向けた個別論点の検討」がございます。また、席上のタブレットには、委員等名簿及び議事次第を格納しております。   本日の配布資料は以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます、御確認を頂きたいと思います。   それでは、本日の審議に入りたいと思います。   今御説明がありましたとおり、本日は部会資料の14-1と14-2の二つの資料がございますけれども、14-2の第1と第2は性質がやや異なるものが含まれております。14-2の第1は、14-1を考えるに当たっての先決問題のような問題を扱っております。それから、14-2の第2は、全体を見た後で通してチェックすべき事柄が挙げられていると、このように理解をしております。   そこで、まず部会資料の14-2の第1につきまして調査審議をお願いし、その次に14-1、最後に14-2の第2と、こういう順番で御検討をお願いしたいと思っております。   まずは、事務当局から部会資料の14-2の「第1 普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式の創設」、これは甲1案の採否に関するものでございますが、これにつきまして御説明を頂きたいと思います。 ○宮村関係官 それでは、部会資料14-2の1ページを御覧ください。   まず、本文第1では、甲1案については、これまでに部会で議論してきた偽造、変造のリスクや遺言を執行する場面における手続上の問題点などを考慮して、採用しないことを提案しております。   同資料の3ページ、補足説明の1を御覧ください。   (1)では、公的機関における手続を要せず、遺言全文を自書ではなく、電子機器を利用して作成することができることや、それにより、視覚障害等を有する者の遺言の方法の選択肢が広がるといった甲1案の基本的な考え方について記載し、(2)において、甲1案について指摘されている課題がある旨記載しております。   3ページから4ページにかけての2においては、甲1案について指摘されている各課題について検討をしております。   具体的には、(1)においては、これまでの部会で議論されてきた新たなデジタル技術などを利用することによる偽造、変造のリスクについて、電子署名を要件とすることも検討の上で、そのリスクを許容することができるかという点について検討しております。次に、(2)においては紛失又は発見されないといったリスクなどについて、(3)においては電磁的記録のファイル形式の点など、録音・録画の特性などに関するリスクについて、それぞれ検討しております。また、(4)においては、前回の部会においても議論された、裁判所における検認の在り方や執行に要する時間などの、遺言の執行についての懸念についての検討をしております。   そして、同資料6ページの3においては、これらのリスクや懸念を総合的に考慮すると、甲1案については課題を一定程度解決した上で、遺言の執行を円滑に行うことができる方法を実現することは、現時点におけるデジタル技術によっては必ずしも容易ではないと考えられることから、甲1案を採用しないことを提案しております。   以上のことから、甲1案の採否について御議論いただければと思います。   説明は以上になります。 ○大村部会長 ありがとうございます。   前回までに、乙、丙両案については、基本的にはこれを維持して検討を進める、甲1案につきましては、今もお話がありました執行等の問題について検討した上で、その採否について決めると、こういうことだったかと思います。そこで、今御説明がありましたが、甲1案につきましては、結論としては採用しないという方向でどうかというのが、今回の御提案になっております。   この点につきまして、御質問、御意見等を頂きたいと思います。   どちらでも結構ですので、御発言ある方は挙手をお願いしたいと思います。 ○隂山委員 隂山でございます。今回の要綱案の取りまとめにおいて、甲1案を採用しないことにつき賛成いたします。   甲1案は、本文御記載のとおり、現状偽造防止措置等が講じられているとは言い難く、また執行手続における課題も多くあるように考えています。それに加え、4ページで御説明されているとおり、発見されないリスクが物理的な紙よりも大きくなることも想定されます。新たな方式による遺言の創設に当たり、遺言者の意思が適切に反映されることは当然として、その意思を相続人が発見することのできる客観的な方策が重要であると思われます。   今後においては、技術の進展や社会への浸透を踏まえ、甲1案のような遺言の方式を検討していくことが好ましいと考えています。 ○大村部会長 ありがとうございます。隂山委員からは、この方向には賛成ということで、幾つか先ほどの御説明の中に理由が挙げられておりましたけれども、取り分け発見されないリスクというのが紙の場合に比べて大きいのではないかということで、今回はこれを見送り、将来において検討することが望ましいという御意見を頂きました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○日比野委員 甲1案につきましては、執行を受ける側の立場として、いろいろな課題があるのではないかということで、これまで発言をさせてきていただいたところです。   今回の部会資料の御説明におかれては、この点に加えて様々な論点、課題を御検討いただいた上で、総合的な判断として、現時点でこの案を導入するのは難しいという御判断になったということだと理解しておりまして、私どもの方としても、この案に賛成いたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。日比野委員からも、現時点での判断としては、これを見送るということについて賛成するという御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。   そのほかの方々、いかがでございましょうか。 ○萩原委員 萩原でございます。私も、今回の甲1案を採用しないという見解に賛成いたします。   前回申し上げたところもありますけれども、遺言書の検認までの間、これは自筆証書遺言と比べましても、自筆証書遺言の場合も同じく、その間に何らかの手が加えられる可能性というか改変される可能性がありますが、あれは筆跡という後から確認できる、そういうものは少なくとも残っているわけでございます、自筆証書遺言の場合はですね。   しかし、今のデジタル技術、これはそういう非常に高度なテクニックを用いて改変されたら、もはやちょっと分からないという、それをチェックできることはちょっと困難ではないかという点がやはり大きく違うと思います。また、今回御指摘いただきましたとおり、発見されないリスクというのは、確かにペーパーよりも、特にパスワードなどがかかっていて、これはもう開きたくても開けないという、こういう事態も考えられますし、そういうせっかくの意思が発見されず反映されないリスクというのは、これはより大きいなと確かに思いますので、今回の提案に賛成いたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。萩原委員からも、結論には賛成であると。改変のリスクということと、先ほど御指摘があった不発見のリスクというのを考えると、これでよいのではないかという御意見を頂戴いたしました。 ○入江委員 信託協会の入江でございます。私も、結論といたしましては、甲1案を採用しないということで賛成でございます。   今回この資料の中で、検認の在り方ですとか審判の在り方にも触れられて御検討いただいた上での判断ということで、やはり紛失、隠匿のリスクであるとか、執行時の手続の懸念が踏まえられているということで、結果として不採用ということで賛成でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。入江委員からも、これまでの検討を踏まえると、この結論でよろしいのではないかという御意見を頂戴いたしました。 ○小原委員 私も、結論としては皆様方と同じなのですけれども、甲1案は公的機関における手続を要しない選択肢として、資料にもありましたけれども、特に視覚や手などに障害があり、自書による遺言作成が難しい方の新たな選択肢としての期待があるのではないかと考えます。ただ、書かれているとおり、遺言の執行を円滑に行うことができる方式を実現することが、現時点では容易ではないということは理解せざるを得ないと考えます。   他方で、資料にもございますけれども、長文の遺言は少ないという意見も示されていることなどから、施行から一定期間経過後に、乙案、丙案の方式や死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言の新たな方式の運用状況などを踏まえて、改めて御検討いただけるようにお願いできればと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。小原委員からも、結論としてはこの提案に賛成するという御発言があった上で、ただ甲1案には、自書ができない人などからの期待というのもあるのではないかということで、その他今回取りまとめる制度の運用状況を見て、更に検討するということにしていただきたいという御要望を頂きました。 ○柿本委員 柿本でございます。私も甲1案を採用しないということに賛成でございます。   一番懸念しておりますのは、やはりディープフェイクなどの技術を使って偽造することが可能と考えられますし、発見されないリスクもございます。見送ることに賛成でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。柿本委員からも、結論には賛成する、偽造、変造の問題や不発見の問題というのはやはりあるだろうといった御指摘を頂きました。 ○相原委員 相原でございます。前回他の弁護士の意見として、両論あると申し上げました。その1点として、いわゆる自己完結でできる遺言書作成の道をできるだけ探るべきではないかという意見を御紹介しました。   ただ今回、この間遺言書が発見されないこととか、ディープフェイクなどいろいろマイナス点を御紹介いただき、それに勝るところまでちょっと現段階では難しいであろうということでした。つまり、先ほど自己完結を探りたい、探るべきではないかという意見を強く発言されていた方も、ここであえて甲1案を残すべきというところまでではないということでしたので、   この法制審で甲1案を今回採用しないという方向で検討するということに関して、異論はございません。 ○大村部会長 ありがとうございます。相原委員からも、結論としてはこの方向で異論がないという御発言を頂きました。   先ほど、甲1案のメリットということについてお話がありました。いろいろな人が利用できるのではないかということと、保管という手続を要さずに、自己完結という言葉を使われましたけれども、遺言を作ることができる。そこには確かに魅力があるけれども、他のデメリットを乗り越えて、今の段階でこれをあえて入れるというところまではどうかという御意見を頂きました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○戸田委員 ありがとうございます。私も採用しないという方向で賛成でございます。   証人要件とか、それを動画で記録して、それをまた結合するとか、いろいろな手続上の使いにくさがあって、果たしてどれだけ使う人がいるのかなという疑問も持っております。これがなくなることでセキュリティー要件も非常にシンプルになって一律にそろうのではないかということで、賛成したという次第でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。戸田委員からも、結論としては賛成であると。証人を求めて録画・録音を残すというのはなかなか大変で、どのくらい需要があるのだろうかという御指摘もいただきました。セキュリティーの点についても、これを取らないと対応が楽になるのではないかという御指摘だったかと思います。   ほかいかがでしょうか。   よろしいでしょうか。   今までいただいた御意見は、結論については御異論がないということだったと認識をいたしました。   他方で、甲1案にはメリットもあるだろうということで、私どももずっとこれまで検討してきたところでもあるわけです。そのメリットが生かせるような状況が整うのであれば、これについて更に検討するという余地はあるのではないかということで、現時点ではこの案は採るには至らないということで取りまとめさせていただいて、先に進みたいと思いますが、よろしいでしょうか。   ありがとうございます。   それでは、資料の14-2の第1につきまして、甲1案については採用しないとするという方向で、この先の検討を進めさせていただきたいと思います。   続きまして、部会資料の14-1に入りますけれども、そのうちの「第1 普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式等の創設」、中間試案の乙案及び丙案の部分について御審議を頂きたいと思います。   まず、事務当局の方から説明をお願いいたします。 ○戸取関係官 部会資料14-1は、要綱案のたたき台について記載しており、本文について、部会資料13から実質的な変更がある部分に下線部を引いております。   本文第1では、普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式等の創設について記載しており、1では新たな遺言の方式に関する規律について記載しております。   部会資料13からの主な変更点としましては、中間試案の乙案及び丙案の両方を含む方式を保管証書による遺言と呼称した上で、民法第967条の規律を改めることを明示したこと、2ページから3ページにかけての(注1)のとおり、書面をもって保管証書を作成する場合に、署名をすることができない者がいる場合を対象とした規律を法務省令に設けることを想定している観点から修文したことでございます。   補足説明の2では、前回会議での御指摘等について、一定の考え方を記載しております。   主な部分について御説明いたしますと、3ページから4ページにかけての(1)では、自筆証書遺言と書面をもって作成する保管証書遺言との関係について記載しております。まず、これまでの部会資料に記載した考え方と同様、遺言の全文、日付及び氏名を自書した遺言書を作成した上で、保管の申請をする遺言者は、自筆証書遺言書としての保管の申請をするのか、保管証書遺言書としての保管の申請をするのかを選択して申請することとなり、後者を選択する場合には、遺言の全文の口述等保管証書遺言書の保管の申請手続を経て保管され、保管証書遺言として有効に成立することとなるとの考え方を記載しております。他方で、自筆証書遺言と書面をもって作成する保管証書遺言との関係を回避する規律の在り方としては、手書きの書面を保管証書遺言の対象から除外する考え方や、保管証書遺言として成立した場合には、保管証書遺言としてのみ効力を有するものと整理し、保管の申請の撤回がされた場合には、当該遺言書を返還しないものとする考え方を記載しておりますが、それぞれ課題もあるところであり、この点について御意見を伺いたいと考えております。   次に、7ページから8ページにかけての(6)では、外国語の遺言書の扱いについて記載しております。外国語の遺言書の場合、遺言の全文の口述は外国語により行われることになると考えられますが、遺言書保管官において、遺言書に記載等がされたとおりに口述がされたかどうかを確認することが困難となると考えられるため、遺言書保管官は申請人に対し、その遺言の全文の日本語による翻訳文を提供させるとともに、通訳人に通訳をさせるものとすることが考えられるとの考え方を記載しております。他方で、その場合、遺言書保管官においては、日本語による翻訳文と通訳人の通訳が整合していることを確認するにすぎないものと考えられることなどを踏まえ、日本語による遺言書のみ保管証書遺言の対象とすることとし、日本語に通じない者の場合は、遺言の全文を通訳人の通訳により申述することを求める旨の考え方を記載しておりますが、この考え方によりますと、外国語の遺言書を保管証書遺言の対象として認めないことになるなどの問題点もあるところであり、この点についてどのように考えるか、御意見を伺いたいと考えております。   9ページから10ページにかけての(7)では、ウェブ会議の利用を認める場面について記載しております。この点につきましては、第12回会議及び前回会議でも様々な御意見を頂いているところですが、ここでは、ウェブ会議を認める場合については、厳格な本人確認が前提となることを改めて確認した上で、保管証書遺言では、遺言者が遺言の全文を口述することにより、遺言の内容を了知し熟慮する機会を与えられているため、真意性の担保等が図られていると考えられることから、遺言者が遺言の全文を口述する際、周囲に他人がいるか否かにかかわらず、遺言者が使用する機器の故障や通信障害等により、遺言者の本人確認や遺言の全文の口述を行うことができないと判断した場合を除いて、ウェブ会議の利用を相当と認めることができるとの考え方と、遺言者が遺言の全文を口述する際に、遺言者以外の者が立ち会う場合には、遺言者が遺言の内容を了知し熟慮する機会を十分に与えられていないと考え、遺言者の周囲に他人がいないことを求める考え方などを記載しておりますが、この点について御意見を伺いたいと考えております。   続いて、11ページ以下の第1の2の保管証書遺言書の保管制度の規律について御説明いたします。部会資料13からの主な変更点としましては、本文(1)として、遺言書保管ファイルの記録の閲覧もウェブ会議で利用できることを明らかにするため追記したこと、(注1)として、出頭、オンライン又は郵送により請求することができることを想定して追記したことでございます。   13ページ以下の第1の3の保管証書遺言書の保管の申請の撤回に関する規律について、字句等の修正をしたほかは、実質的な内容に変更はございません。   部会資料14-1の第1についての御説明は以上です。 ○大村部会長 ありがとうございました。資料14-1の第1について御説明を頂きました。   前回と違うところはアンダーラインを付していただいたところで、合計で4か所だったでしょうか、ございました。   それから、第1の1につきまして、補足説明の中で取り上げている問題の幾つかにつきまして、選択肢を示された上で御意見を頂きたいという御発言があったと理解をいたしました。   1点表記についてですけれども、資料で「保管証書【P】」となっているところがありますけれども、このPは用語についてはペンディングだという、そういう理解でよろしいですね。 ○齊藤幹事 おっしゃるとおり、用語について、現時点ではこのような名称が考えられるということで、ペンディングの意味を含め記載しているところです。 ○大村部会長 ありがとうございました。   今の御説明を踏まえまして、御質問、御意見等を頂戴したいと思います。   これもどちらでも結構でございますので、挙手をお願いいたします。 ○隂山委員 隂山でございます。4点ほど発言をさせていただきます。   保管証書という用語は、供託した際の供託書正本の保管証書という文脈で、法令上多く使用されているかと存じます。また、自筆証書遺言書の保管制度がある関係から、新たな方式の遺言であるか、自筆証書遺言書の保管制度としての遺言であるかが若干分かりにくくなるのではないかとも感じています。妙案を持ち合わせているわけではございませんが、デジタル技術を活用した遺言であることを端的に表すことができる表現がないかを、検討していきたいと考えています。   2点目といたしまして、自筆証書遺言と保管証書遺言の関係です。   前回の部会における発言に対する御説明を頂いたものと理解しており、感謝申し上げます。   自筆証書遺言の押印が廃止された場合、全文、日付及び氏名を自書するため、保管証書遺言としての要件も満たすことになると考えます。そのため、今後自筆証書遺言書保管制度を利用する際、必ず自筆証書遺言の保管であるか保管証書遺言としての保管であるかという選択を行う必要が生じることになると思われるため、御説明のとおり、利用者への周知は不可欠になると考えています。   また、遺言書保管官においても、全文口述を求めるのか、現在の自筆証書遺言の保管と同様の取扱いとしてよいかといった混乱が生じ得るため、配慮しておく必要があるように思われます。   なお、保管証書遺言では、本人確認を行った上で全文口述まで実施しているため、基本的には現在の自筆証書遺言の保管の際の要件を満たしていると思われます。そうすると、保管証書遺言としての性質を持ちつつ、自筆証書遺言としても保管されているという性質を併せ持つことがあるのではないかといった点につき、整理をしておく必要性があるのではないかと考えています。   3点目が、書面の場合における保管です。   第1の1(2)ウ(キ)では、遺言書の保管に関し、書面で作成されている場合は、当該書面を施設内で保管することとされています。この点、11ページの御説明にて、コスト等を踏まえ、必ずしも書面で保管する必要はないとも考えられるとされております。デジタル技術を活用した新たな遺言の方式の創設という局面において、最終的にはデジタルで完結することが好ましいようにも思われるため、遺言書保管官が提出された書面の原本を確認した上で、当該書面をスキャンし、電磁的記録として保管することも検討の余地があるように思われます。   4点目です。   遺言書保管ファイルと閉鎖遺言書保管ファイルにつきまして、13ページの第1の3(3)では、保管証書の撤回があった際の処理が規律されています。ここで言う当該情報には、遺言書に記載又は記録された情報のみではなく、保管申請があった日や実際に保管された日、撤回があった日、閲覧等が行われた日などの付属的な情報も含まれ得ると思われるところ、どのような情報を閉鎖遺言書保管ファイルに記録すれば、よりよい制度となるかについて検討することが求められるように考えています。 ○大村部会長 ありがとうございます。4点御指摘を頂きました。   保管証書という名称をより分かりやすいものに変えられないかというのが1点目。それから、自筆証書と保管証書の関係について、周知、配慮が必要であろう。双方の性質を併せ持つものについてどうするかというのが2点目。3点目が書面での保管ということについて、この先は違う選択肢もあり得るのではないかということ。それから、撤回された後の遺言書について、どのような情報を残すのか、閉鎖遺言書保管ファイルとなっていますが、これに併せて残す情報としてどのようなものを選ぶかという問題があるのではないか、これが4点目だったかと思います。   以上、御指摘を頂きました。ありがとうございます。   そのほかいかがでございましょうか。 ○萩原委員 萩原でございます。私からは、特に遺言書保管官とそして遺言者との間のやり取りというか、それに関して3点、それから、ただいま隂山委員の御指摘のあったスキャン保管の点に関しましての意見を申し上げたいと思います。   まず、最初に申し上げますのは、ちょうど5ページ目のところに挙げられてございます、全文の口述と財産目録との関係でございます。   自筆証書遺言に関しまして、別紙の財産目録、物件目録とか、そういう財産目録に関しましては、これは自筆でなくてもよろしくなったということでございますので、ですから、今回全文の口述の対象は、別紙のそういった目録を除くというのは、流れとしてはもうそうなるのかなと、こう考えております。   ただ、一つの懸念でございますけれども、いろいろな形態の遺言、公正証書などでも作っておりますが、目録の方がメインになっているものがございます。例えば、別紙財産目録1は長男へ、2は次男へ、3は長女へとか、そういうような遺言もあるわけでございます。そうしますと、誰に何を相続あるいは遺贈するかと、これが明確でなければ、それを明確に認識していただくことが大前提ですから、仮にそういうような遺言が出された場合に、本文の部分を読み上げただけでは、それだけでいいのかということです。   こちらの5ページの行数にして17行目からの「そのため」以下ですが、「例えば、遺言者が、「遺言者は、別紙1の財産をAに遺贈する。」との文言を読み上げる場合、遺言書保管官から示されるなどした当該別紙1の財産の内容を認識した上で当該文言を読み上げる必要があると考えられる。」、ここは絶対的に必要だろうと思っております。   例えば、法律ではなく規則の上でこの辺りを明確にして、遺言書保管官は、それではこういう場合に別紙についてどういう取扱いをするのか。遺言者が本文を読み上げた際に、遺言書保管官が、それではこの別紙を御覧くださいと見ていただいて、それで、その際にその内容をどのような形で認識しているかどうかを把握するのかと、この辺がなかなか難しく、場合によっては規則あるいは通達の上でそこら辺を明確にしないと、遺言書保管官としてはどの程度のことを行っていくのかというのは、かなり困惑するのではないかと思っております。別紙の読み上げをしないということでありますれば、こういう遺言書保管官との間のやり取りにおける別紙の確認、そして本人が認識しているかどうかの確認の仕方というのは、これは是非規則あるいは通達などで明らかにしていただきたいと、こう考えております。これが第1点でございます。   第2点として、先ほどの御説明の中でもありました外国語の遺言書でございます。   公正証書の場合は日本語でありますから、日本語の大体一つの、1条あるいは1項ごとに公証人は読み上げまして、それを通訳人が通訳をして、そして、それを外国人の方がそれでいいと、あるいはこれはこうだと、こういうやり取りで公正証書遺言を作っていくわけでございます。大前提として、今の時代に、これからの時代を考えますと、外国文で書かれた保管証書、これはもう一切受け付けないというのが果たしてできるんだろうか。やはりこれは、いずれはそれを受け入れざるを得ないのではないかと、そういう前提で申し上げておりますが、その場合、まだ英語ならともかく、どこの言語か分からないという遺言書が出されると、こういうことがよくあると思うんですね。その場合、遺言書保管官からすると、これはもう大変困惑するであろう。特に、それを後から通訳人に通訳してもらうとしても、その読み上げの段階で、全く意味の分からないことをしゃべっている。そして、それがそこに書かれていること、外国文に書かれていることと同じなのかどうかも分からないという、そういう言語もあると思うんですね。これは非常にやりにくいだろうと思います。   ですから、私としては、先ほど御指摘がありましたけれども、翻訳文を添付する、あるいは日本文も併記するとか、そういうような形で遺言書を出していただき、そして、それを見ながら遺言書保管官も確認し、その上で通訳人をして確認し、それが日本文とも一致していると、こういうような整合性というか、そういうような取扱いをしないと、遺言書保管官としても対応し切れないのではないかと思いますので、ここはそういうような取扱いに、これも規則、通達の議論になると思いますけれども、外国語の遺言書を認めるのであれば、それをお願いしたいと思っております。これが第2点でございます。   第3点は、ウェブ会議の利用を認める場合の、周囲に第三者というか他人がいるかいないかという、その点でございます。   今までの議論の中で、どこら辺まで詰められたかですけれども、ウェブではなく遺言書保管官の前に、例えば法務局の窓口に遺言者が1人でおいでになって、それで全文を読み上げる。これ自体は問題はないんですけれども、高齢の方もいますし、補助するということで親族、あるいは全くの第三者かもしれませんが、そういう方々がおいでになる場合に、遺言書保管官としては、そういう補助する人を、これは駄目ですよとは言えないであろう。ただ、例えば遺言書の親族、受遺者あるいは相続人といった証人としての欠格事由のある方々、そういう方々が同席して、それはいいんだろうか。今までの公正証書遺言の作成なども、そういう方々はもちろん証人にはなれませんけれども、事実上の立会いとしても絶対にお断りしています。裁判所の判決の中には、救済判例として、何もせずそこにその親族が立ち会っていたと、それを救済してくれた判決もございますけれども、それは飽くまでも救済判例でありまして、そうしますと、やはり補助する人は必要かもしれないけれども、そういう欠格事由のある親族や受遺者が立ち会うのは、これはやはりお断りすべきだろう。   そういう観点で言いますと、ウェブ会議の場合も補助する人とか、それはやはり高齢者ですから、ウェブ会議の利用に関して補助者がいないというのはなかなか考えにくいので、他人の立会いというのは認めざるを得ないであろう。ただ、その場合でも、やはりそういった欠格事由のある方々がもしもそこにおられると影響を受ける可能性があり得ると思っております。ですからそれは、そういう方々が同席しているかどうかと、この点はやはり遺言書保管官としてきちっと確認した上で、場合によっては、周りにそういう方々がいないかどうかを確認して、それでウェブ会議を進めていただく、そういう必要があると考えております。   私の3点に関する意見は以上でございます。   もう一点は、先ほど隂山委員から、今までの丙案で出された紙の遺言書、これはスキャンして保存するという、これも一つの考えだと思います。ただ、公正証書の場合について若干申し上げますと、今回の法改正で、例えば附属書類とかそういうものですと、原本を還付した場合、その原本についてはスキャンしてデータで保管することになります。そうすると、紙の保管の負担が減るわけです。ただ、例外的に電子公正証書ではなく紙の公正証書を作る場合、その場合でも、さすがに原本をスキャンしてそのスキャンしたものだけを保管するというのは、さすがにやっておりません。ですから、スキャン保存というのは、将来的には保管というものの扱いとして、これは傾聴すべきものであるし、そういうふうになっていくのではないかと思いますが、一応紙で書かれた遺言書の原本ということでお預かりするということですから、これはちょっとスキャンして原本を保管しないというわけにはまいらないのではないかと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。萩原委員から大きく2点いただきましたが、順序が逆になりますけれども、最後におっしゃったスキャンの点については、附属書類等はいいけれども、原本については、これはやはり紙のまま残す必要があるのではないかという御意見を頂戴したかと思います。   前の方でおっしゃった保管官が何をすべきか、あるいは保管官が保管申請をする人とどのようなコミュニケーションを取るべきかということにつきまして、3点御指摘を頂いたかと思います。いずれも幾つかの前提の下でこうすべきだというお話でしたが、財産目録を読み上げの対象としない場合には、その内容を認識しているかどうかを確認するということが必要ではないか。それから、外国語を認めるということであるとしたら、それは翻訳文ないし日本文の添付が必要ではないか。3番目に、ウェブ会議について同席者を認めるとしても、欠格事由を有するような人についてはこれを除くべきであり、そうした人がいないことを確認すべきこととすべきである。こういう御意見だったかと思います。ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○相原委員 財産目録の点で、前回も私、同じような発言をさせていただいたかと思うんですが、只今の萩原委員とほぼ同意見ではあります。   自筆証書遺言のときに、添付でいい、書かなくていいということになっていることとの関係で、パラレルに考えると、それは口述の対象ではないと、そういう、自筆証書のときにそれを自分で書かなくていいわけだから、こちらも口述の対象でなくてもいいだろうという、そういう流れになるというのは論理的には理解できます。   ただ、実際には、それだけが独り歩きしてしまうことを危惧します。ここの説明の中に、保管官がかなり確認するなり何なり、本人の意思を認識できるようにするというような何らかの方法を採るということが、どんなふうに明記されるのかわからないですけれども、それが必要と思います。本来的には、私としてはもう、やはり全文、目録も口述するというのが一番すっきりするのではないかなと思ってはいます。また、同じような意見を持つほかの弁護士の意見も聞いてみましたところ、そういう意見もありました。   なぜそう思うかといったら、ウェブを利用することとのセットも将来あるわけです。そうなったときに、画面を見て、この別紙目録1でいいでしょうとか、2でいいでしょうとかいうのがあるかもしれません。通常、遺言書を作成するのは高齢者で、やはり老眼になり、小さい字は見えない、ウェブの画面なんかそれほど、80、90でぱっと見られるとかということは、どうしても厳しい状況になるわけです。さらには、耳も遠くなる。ここにいらっしゃる方の通常のパターンではない方が多く作成するという前提で、やはり遺言書は考えるべきではないかなと思います。   成年後見なんかで家庭裁判所から依頼される事件なんていうのは、非常に不明瞭な契約をしているというような案件を、高齢者の問題として依頼されることが多いわけなんですけれども、これが遺言書になってしまうと、もう御本人が亡くなった後なので、その権利擁護というよりは、むしろその遺言書が独り歩きするということが大前提になってしまうわけです。そうだとすると、利便性のためにでしょうが、遺言書の添付される目録の字は、そんな細かいことを読めないことが通常なのです。一番シンプルなのは、全部を誰それにとか、相続分の割合を分かりやすいことを口述で言えるというならともかく、財産目録1、財産目録2は誰それに、財産目録3は誰それにといっても、やはり高齢者は短期記銘に問題がある場合が多く、財産目録1に何書いているかというのが残っていない方が多いと、私は思うんですよね。ここにいらっしゃる方はそんなことないと思いますけれども、80代後半、90代になったら、財産目録1に何を書いているかって、そんなの残っていないと、それがほとんどの方がそうなっていく中で、これだと非常に不安だなと思いましたので、あえて、やはり私の意見としては、先ほどの萩原委員が言われた、保管官が行動規範としてどういうことができるということがある程度きちっとできないのであれば、目録を全部口述してもらいたいと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。財産目録についての御意見を頂きました。   今、最後におっしゃられましたけれども、先ほど萩原委員がおっしゃったようなことで対応ができるのであれば、それは結構だけれども、もしそれが上手く仕組めないようであれば、やはり全文口述がいいのではないかと。高齢者の現状を考えると、それが安心・安全であると、こういう御意見として承りました。ありがとうございます。   そのほかにはいかがでしょうか。 ○戸田委員 3点申し上げたいと思います。一つ目は、以前から申し上げていることですけれども、3ページ目、(注4)の本人確認の際の手続について「顔写真付きの本人確認資料の提示若しくは提供」ということになっています。これだと、券面偽造というローテクで、なりすまされるのを防げず、甲1案、甲2案を否定した理由の一つであるディープフェイクに比べて、更に簡単にできてしまうことを容認してしまい、バランスが取れないのではないかと思いますので、ここはeKYCと同等のレベルでの記載をお願いしたいと思います。なりすまされた後に幾ら口述をしても、偽者の人の真意性確認ということになります。最近、街角のクリニックでも、マイナンバーカードで顔照合する端末があり、それほど費用の掛かることではないと思いますので、是非お願いしたいと思います。   それから、ウェブ会議についての記載が心配になったのですけれども、部会資料14-1の8~9ページは、目視で遺言書保管官の方が不正を検知する前提で書かれております。ウェブ会議だと目視は非常に制限が多くて、確認できるものもできないわけですから、オンラインでの技術的な検知と組み合わせて不正を排除するようにしないと、同等レベルの真正性・真意性の担保はできないのではないかと思います。   少なくともハイレベルな資格試験、オンラインでの資格試験で使われているようないろいろな技術的な措置を、この中にも取り入れる前提でお書きになった方がいいのではないかと思いました。   それから、先ほど来お話がございます、遺言書保管官がどういった発言をするかといったところなんですけれども、これはやはり、萩原先生がおっしゃったように、通達あるいは規則、訓示等で明確に書くべきではないかと思います。例えば、意思能力を欠くことが明白であるような場合には受け付けない、という記載もあったわけですけれども、明白かどうかの判断は認知症に対する知識がある方とない方でかなり変わってまいります。そのため、例えば「今日は何月何日何曜日ですか」とか、「今口述された中で一番大事なものは何ですか」といったことを、全国一律に質問して、それを記録にとっておくといったことをした方が、公平性の観点からもよろしいのではないかと思います。   最近、デジタル技術で認知レベルを判定する技術が急速に進化しておりまして、10数秒の動画、音声で認知機能を判定するアプリも提供されています。今後AIが更に進化することを想定すると、10数秒程度の顔認証をするときの動画記録を取っておくと、後々の争いが起きても、スムーズな解決につながるといったこともあるのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。戸田委員からは、あり得る問題点とか懸念につきまして、3点御指摘を頂きました。   一つは成り済ましの問題で、3ページの(注4)では簡単に偽造されてしまうんではないかという御指摘。それから、二つ目はウェブ会議について、目視で確認というのではやはり限界、制約が大きいのではないか。3番目は保管官が何をすべきかという話があったけれども、意思能力の判断について、一律の基準というのが必要ではないかと。それも、技術的なものによって代替できる部分があるかもしれない、こういう御指摘を頂きました。ありがとうございます。   ほかいかがでしょうか。 ○倉持幹事 まず、自筆証書と保管証書の関係ですが、これは専門家であれば分かるであろう反面、市民の方からすると、その区別がつきづらいのではないかという点を弁護士会内で議論しています。例えば、自筆証書を持っていった場合に、それを自筆証書として保管するのか、保管証書として保管するのかという問題ですけれども、保管申請時にどちらか選択しなくてはならないというのはそれでいいとは思うんですが、一方を選択すると一方の効力がなくなるとしてしまうと、やはり市民の感覚とずれる可能性もあると思われます。そこで、議論の方向性としては、いずれか選択して預けるとして、その保管を撤回して戻したときはやはり自筆証書として返還すべきで、自筆証書として一切返還しない、もう保管証書として預けたではないですか、それで固定しますというのは、ちょっと市民には分かりづらいところだと思います。できれば両者の関係については選択肢を広める方向で、逆に、その意図に反する狭めるような解釈はしない方向で運用した方がいいのではないかと思いました。   それから、全文口述と財産目録の話ですけれども、先ほど相原委員から指摘があって、同意見である一方で、ただ、財産目録の全文ですと、実際上も不動産の全部事項証明書を添付する、それが目録ですって場合もあって、それを全文朗読というのはやはり現実的ではないと思いますので、方向性としては、目録の全文口述ではなくて、やはり目録を認識しながら全部を読んでいるということで、萩原委員から御指摘いただいたとおり、規則、通達で工夫していただくという方向性がよいのではないかなと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。倉持幹事から2点、御指摘、御意見を頂きましたが、1点目は、自筆証書、保管証書の切り分けで、先ほど双方の性質を併せ持つ場合といったお話もありましたけれども、全体として選択肢を広げるというか、あるいは無効になる場合が少なくなるようにするというか、そういう方向で考える必要があるのではないかという御意見を頂戴しました。それから、複数の意見が出ている財産目録についてですけれども、場合によっては、全文を読み上げるのは現実的でないという場合があるので、萩原委員がおっしゃったようなもので対応するという方がよいのではないかと、こういう御意見を頂きました。ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○小原委員 私からは、ウェブ会議の利用を認める場面についてのみ、発言をさせていただきたいと思います。   保管証書遺言において、遺言者が遺言書保管官の前で証書に記載又は記録された遺言の全文を口述する際、遺言保管官が行うのは、遺言者の本人確認及び口述の有無の外形的な確認であることを踏まえ、基本的にはウェブ会議の利用を広く認めていただきたいと考えてございます。   その上で、先ほど御発言もございましたけれども、技術的な確認のサポートも踏まえ、画面に映っている者が申請人であることが確認できないときや、遺言者の周囲に他人が存在するか否かにかかわらず遺言全文の口述が適正に行えないときなどには、ウェブ会議を中止し、申請人に出頭を求める必要があるのではないかと考えます。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。小原委員から、ウェブ会議の利用について、基本的には広く認めるという方向で考えていただきたいけれども、本人と確認できないとか、どういう人がいてどういうことになっているのかということが分からないなど、適切でない場合については、それを除いていくという方向で考えるべきだという御指摘を頂きました。   そのほかいかがでございましょうか。 ○中原幹事 まず、自筆証書遺言と保管証書遺言の関係については、いろいろと区別の方策を講じて無理が生じるよりは、3から4ページ、あるいは14ページにあるように、端的に自筆証書遺言としての効力も保管証書遺言としての効力も持ち、保管申請が撤回された場合には自筆証書遺言としての効力は残るとする方が、結局は簡明でよいのではないかと思います。   なお、保管申請を撤回しても、自筆証書遺言としての効力は残るということの周知については、保管申請時の一般的な周知もさることながら、該当する遺言の撤回をした者への特別の周知が重要であると思います。   それから、外国語の遺言書についてですけれども、外国語の遺言書及びそれと同内容の日本語の翻訳文を提出させ、通訳人を介して遺言者による口述と翻訳文の整合性を確認するのか、日本語の遺言書を提出させ、通訳人を介して遺言者による口述と遺言書の整合性を確認するのかという、問い掛けがされていると理解しました。整合性確認の対象は飽くまで遺言書であるべきだという、後者の考え方は一理あるのですけれども、遺言書原本こそ遺言者の最終意思の体現である以上は、遺言書原本はやはり遺言者の使用言語、すなわち当該外国語で作成される必要があるものと思います。したがって、外国語の遺言書プラス日本語の翻訳文という、7ページ27行目から30行目の考え方を支持したいと思います。   遺言書と翻訳文のずれの問題は確かに抽象的にはあり得るのですけれども、遺言書の内容と異なる翻訳文を提出するメリットは、そもそも遺言者にはないですし、どのみち遺言者の意思とのずれは、通訳された口述内容と翻訳文の不整合によって発見できることがほとんどなのではないかと思います。   なお、遺言書と翻訳文の関係につきまして、翻訳文は口述の補助手段であって、遺言書と翻訳文のずれは口述手続の瑕疵であると見るのか、それとも翻訳文も含めて一つの遺言書なのであって、遺言書と翻訳文がずれていれば保管申請自体が無効であると見るのか、先ほど申し上げたことからすれば前者の方がよいように思いますし、部会資料の記述もその線であると理解しましたけれども、一応問題となる事柄ではあるので明確にした方がよいと思いました。   それから、ウェブ会議による口述については、遺言書を他人が作成し、保管申請も他人が主導し、口述も他人の言いなりになるという事態がなお定型的に危惧されるように思われます。この方式においては、口述が真意性・真正性の確保の要である以上は、多少煩雑であっても、また現状では技術的に限界があるとしても、遺言者の周囲に操作補助者等以外の他人がいないということを求める、10ページ15行目以下の考え方が望ましいと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。中原幹事からは3点、御意見を頂きました。   自筆証書、保管証書の関係につきましては、基本的には先ほどの倉持幹事の方向と同じ方向をお示しになったんだろうと思いますが、周知について、一般的な周知だけではなくて当該関係者についても、その周知を図る必要があるという御指摘を頂きました。それから、外国語の問題については、外国文か日本文、どちらが主なのかという問題について、外国語であろうということと、ずれが生じたときの扱いについては明確化しておいた方がいいのではないかということ。3点目、ウェブ会議につきましては、補助者以外の人がいないということがやはり望まれると、こういう御意見であったかと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○小粥委員 事務局に少し確認というか教えていただきたいんですけれども、この保管証書遺言をする際に、遺言書保管官が申請者との間でやり取りをすると、口述させるとか、あるいは、ウェブの場合はもう少しいろいろなやり取りをすることになると思うんですが、それは、法務局でそのやり取りのデータとかを保存しておくことになるのか、それとも、そういう記録は全く残さないことになるのか。つまり、後から遺言書の有効性が争われたりする場合に、それが出てくる可能性があるのかないのか、どちらを想定しておられるのかということを教えてほしいです。 ○大村部会長 ありがとうございます。   それでは、事務当局の方から。 ○齊藤幹事 今の点に関しましては、例えば、一番重たくするならば、そのやり取りの様子等を全て動画で、記録で残すとかいうところがあり得るのかもしれませんが、現状ではそこまでは御提案していないという認識です。つまり、遺言書保管ファイルという言葉が出てまいりますけれども、そういったところに手続がされたことですとか、その際に提出された添付情報ですとか、そういったことを記録してデータとして残すということではありますが、本人確認の様子ですとか口述の様子自体を残すということは、想定は現状ではしておりません。 ○小粥委員 ありがとうございます。 ○大村部会長 よろしいですか。ありがとうございます。   そのほかはいかがでしょうか。 ○戸田委員 齊藤幹事の今の点を確認したいのですけれども、現状でも券面で本人確認した場合にカラーコピーをお取りになっていますけれども、あれもこの遺言書保管ファイルの中に同時に記録するということでよろしいのでしょうか。 ○齊藤幹事 基本的には、そこまでの細かい点を全てファイルに記録するということは想定していないということなので、適正に本人確認がされたということを、結論部分といいますか、そういった情報が残るということだと思います。例えば、本人確認をしたときの動画とか写真とかキャプチャー画像とかですか、そういったものを保管するという発想ではないという考え方かと思います。 ○戸田委員 そうするとなりすましがあったことが後で全く検証できなくなってしまうので、先ほど申し上げたような何らかの記録を残すとか、電子的に行ってその記録を残すとか、また、紙ベースの運用をされるのであればコピーを取ったものを一緒に保管しておくということをしないと、セキュリティー上よろしくないのではないかと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。今の戸田委員の御指摘を御意見として承って、なお検討していただきたいと思いますが、ほかにはいかがでしょうか。 ○萩原委員 先ほどの小粥先生の御指摘に関連しまして、現在法務省の側としては、遺言書保管官が、例えば保管証書遺言が後日争われたと、そして裁判所でその有効性が問題になったときに証人として呼ばれる可能性とか、それはお考えなのでしょうか。   例えば、公証人の場合ですと、そういう紛争性がありそうな、それについては、例えばメモとかそういうものを残しておいて、後日、要するに記憶から消えてしまいますので、そういうものをできるだけ残しておくと、そういう案件に関しましては。それで、もし裁判所から調査嘱託等があれば、それを出せるようにしておくとか、そういうような取扱いもしているわけですけれども、その辺りはどこら辺までお考えになっているのか教えていただければ。 ○大村部会長 御質問ということですので、事務当局の方で可能な範囲でお願いします。 ○齊藤幹事 現状、公正証書遺言における公証人のような役目を保管官が果たすということではないと考えておりますので、基本的には、証人尋問等というような営みを余り想定したものではないし、証人として法廷にお呼びしたところで、公証人ほどの実質的な事実関係が得られるものではないのかなと考えております。   つまり、審査の範囲としましては、公証人は、やはりやり取りから、口述から書面の作成、それからその手前の、本人の意思能力の確認等を含め手続を主宰され、実質的な要件の審査もされるということだと思います。それに対して、保管官の営みというのは、本人確認をし、本人確認をしたということを情報として残す、それから全文の口述をしてもらうということで、それ以上に中身の実質的判断をする営みとはなっていないので、そういった意味で、公証人とは同列には考えられないのかなとは思っておりました。 ○萩原委員 では、確認ですが、そうしますと、遺言書保管官は、例えば全文読み上げたときの状況とか、それで、遺言書保管官自身がこれはちょっとどうかなと思うような、そういう気付いた点があったとしても、それは遺言書保管ファイルはもちろんですけれども、何かそういうふうに書類あるいは電磁的記録に残して保管しておくという、それも全く想定はしていないということでよろしいでしょうか。 ○齊藤幹事 基本的には、個別の事案に応じて、個別性に基づいて何か注意書きを記載するなどいろいろ営むということは、余り想定していないということになるかと思います。 ○萩原委員 ありがとうございました。 ○大村部会長 ほかにはいかがでしょうか。 ○小池(泰)委員 小池です。今から参加しているので、ちょっと文脈が間違っているかもしれませんけれども、恐らく資料14-1の新たな遺言の方式で、保管証書遺言の話で、遺言書保管官がどんなことをするのかという議論の文脈であることを前提として、今の質問ともちょっと関連するんですが、資料14-1の9ページの27行目、申請人の了承を得てウェブ会議の画像をキャプチャ保存するとか何とかというのは、ウェブ会議の場合にはあり得るということなんですけれども、ウェブ会議に限らず、口述するところを録画で保存をしておくと、これは方式とか要件とかいうことでは全くなくて、後で何か疑義が生じたときに見られるように、資料だけ作っておくとかというのは完全に排除されているのでしょうか。   要は、保管官が本人確認をするというのがちょっと危うい感じがしていて、マイナカードに入っている写真を、保管官が現物の人と目視で確認して本人確認ありってやるんですよね。それミスったときに、後で国賠みたいな問題が出てくるとすると、事前にいろいろと、そういうときでもきちんとやったということを、方式履践したというのは書き留めるか何か多分するんだと思うんですけれども、実際にそれを具体的にどうやったかというのを後で、いいかげんなことしていないよということを言うためにも、何か資料的なものは残した方がいいような気がしているんですが、それも現時点では考えているのかいないのかということのお答えをお願いしたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。小池委員の質問の中に出てきた幾つかのことは、既に話題になったところなのですけれども、今の御質問の中で、ウェブ会議との対比が出てきていますので、その点も含めて、改めてお答えを頂ければと思います。 ○齊藤幹事 小池(泰)委員に御指摘いただいた9ページには、ウェブ会議の利用を認める場合に関する、大きく分けて二通りの考え方があるというところの中身で、場合によっては、画像キャプチャの保存等も例示で掲げられているところでございます。ですので、現時点でこういった在り方までを考えることもあり得るということは記載しておりまして、それは、ウェブ会議を利用する場合のリスク等も踏まえてということで記載しております。   ただ、一方で、今の御指摘の中には、ウェブ会議に限らず、そして一般にどこまで資料を残す必要があるのか、後々のリスクも考えてそこはどうなのかという御質問だと考えましたので、そこまではやりませんということを現時点で何か明確にお答えしているものではなく、そこもこの御審議の場で御意見を伺いながら、次の資料に生かすということになるかと存じます。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。 ○内海幹事 幹事の内海です。証人尋問の話が出ましたので、少しだけ発言いたします。公証人との比較で、実質的な判断をするわけではない、あるいは、法的に能力があるとかないというような判断ができるわけでもないというのはそうだと思います。ただ、証人尋問に呼ばれたときに、聞かれたことに答えなくていいかという話は、それとは1対1には対応することではありません。また遺言書保管ファイル等には担当した遺言書保管官の名前が残ることになるかと思いますので、争いになったときには、遺言書保管官の証人尋問を申請するということは予測される事態ではあるかと思います。そのときに、記憶にございませんという答えになるのはそれはそれで問題でしょうし、他方で、その人と接したのは遺言書保管官しかいないということになりますと、遺言書保管官にどのような権限や能力があるかということは別にして、その証言の影響というのは結構大きいということも予想されるように思います。どういうところであるいはどういう形にするかは別としても、遺言書保管官を守るという意味でも、そういう事態はあるべきものとして、遺言書保管官が申請者と接するときのチェックポイントがどのようなところかということは、少なくとも内部的には検討されておいた方が、法務局の人材採用なんかにもいいのではないかと思います。最後の方は余計なことかもしれませんが、外部的な立て付けはともかく、尋問されたら答えなくてはいけないというのが一応の義務になっているという構造は、前提にされた方がいいのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。公証人との対比でというお話でしたけれども、保管官も証人に呼ばれることはあるだろうということを想定して、対応を講じておく必要があるのではないかという御指摘を頂いたものと理解をいたしました。 ○戸田委員 今のお話、正にそうだと思うのですけれども、空港のセキュリティーチェックはいろいろなものを確認しておりますけれども、あれはチェックした記録だけ残しておいて、実際の安全運行管理についてはチェックした人は責任を負っていないわけでして、それと同じ性質のものではないかなと思いました。ですから、記録だけ取っておけば、非常に有効になるのではないかなと思いました。   その点で、1点お聞きしたいのですけれども、口述のときに、実際の遺言の本文の内容との一致性というのは、どういうふうに記録というかチェックされるのでしょうか。 ○大村部会長 今、御質問ということでしたけれども、その前に、記録さえ取っておけばいいと整理すべきだということで、その上で、その口述の一致というのをどうやってチェックするのかと、具体的なやり方についての御質問ということですね。 ○齊藤幹事 現状では、口述をしてもらうということは人的な対応で、対面又はウェブで述べてもらうということですので、それを文章を目で追いながら確認をするという発想であり、そうやって確認をした上で、口述があったということを遺言書保管ファイルにその旨、結論部分を残すということが簡明かと考えておりました。   ただ、関連して、ちょっと脱線かもしれませんけれども、逆にきちんと記録すべきことを記録して残しておいた方が、リスク管理等の観点からもいいのではないかという御示唆は、今日いただいたところかと思っています。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかはいかがでございましょうか。 ○相原委員 今回採用しないという甲1案の検討に際して、動画で、若しくは本人が話しているところをとにかく記録しておくと、それが要件になるわけではないんですけれども真意性・真正性の担保に資するのではないかが、ずっとこの法制審で議論してきたところで、ただ、動画となると結局重いとか、保管にかなり大変な状況であるというのがネックであったかなと思っております。   一方で、私自身もですが、問題がありそうな案件で、弁護士が関わるものについて、最近は、御本人が語っているところを了承を受けて、動画を撮るみたいなことを考える人も多いかなと思いますし、昔よりも全然楽になっている。ただし、それをどういう形で、クラウドに保管する、どこに永久的に保管できるのかというような話になってしまうというところが問題かなと思って伺っていました。   したがって、結局、結構何らかの記録を取っておく、それが責任問題というよりも、記録にとっておくこと自体を賛成されるというか、前向きに考える方が多いなと思って伺ったんですけれども、その保管なりその後の事後処理のところで、どのぐらいできるのかというところの検討が必要と、聞いていて思いました、以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。記録を残すのにどうするのかと、動画という話も多少出ているけれども、それを保管することができるのかといったことについて、検討する必要があるだろうという御指摘を頂きました。   ほかはいかがでしょうか。 ○日比野委員 すみません、今ずっと話が出ている記録を残すという観点なのですが、外国語の遺言書に翻訳文を提出させるときに、その翻訳文は保管されるという理解でよいのかという点です。   質問の背景としては、現状の自筆証書遺言の制度においては、その訳文を提出させるということになっているという理解ですが、一方で、遺言書情報証明書にはその訳文は記載されず、外国語の遺言書のみが証明書として提示されるという運用になっているとお聞きをしているのですけれども、それとの関連で、この制度においては、翻訳文はどのように示された後、保管されるのか、或いはされないのかという点をお伺いさせていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。   では、何かあれば。 ○齊藤幹事 基本的には、現行の保管制度について言及、御紹介いただいたものと同じような扱いを、まずは想定し、検討しているところです。その上で、訳文自体については保管の対象とするということもあり得るということで、そこは整理があり得るのかなというところです。   ただ、遺言書の情報の証明書、記載内容の証明等にまで、外国語まで掲げるというようなところまでは、現行でもしておりませんし、そこは特段必要ないのかなというところを考えているところです。 ○日比野委員 分かりました。 ○大村部会長 ほかにはいかがでしょうか。 ○入江委員 信託協会、入江でございます。今の翻訳文ですけれども、御説明は理解できましたけれども、やはり執行の局面を想定しますと、例えば、相続人等が請求をして、当初遺言者が保管をしたときに添付された翻訳文が交付される方が、執行手続としては円滑にいくということがあろうかと思いますので、先ほど翻訳文の添付情報としての保管については検討というお話もありましたので、これは保管する方向で御検討いただけると大変有り難いと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。翻訳文については保管の方向で検討していただきたいという御要望、承りました。   ほかはいかがでしょうか。   よろしいでしょうか。   それでは、この第1の1につきまして、自筆証書、保管証書の関係をどうするかとか、それから外国語をどうするかとか、ウェブ利用をどうするかと、こうした事務当局の方からも事前に挙げられた論点につきましては、それほど皆さんの間に大きな意見の対立はなかったのではないかと思っておりますので、今日いただいた意見の方向で整理をしていただければと思っております。   さらに、様々な実施上の問題に関わる御指摘を今日いただいたと受け止めております。財産目録の問題もそうですし、直前に議論がされていました保管官の対応について、記録をどうするかといった問題、それから外国語の翻訳の問題等々につきましては、今回改めてクローズアップされた問題も含まれているかと思いますので、御指摘を頂いたものを踏まえまして、さらに検討をさせていただくということかと思います。   それから、戸田委員から出ている偽造、変造のリスクについての対応の措置などにつきましても、必ずしも十分にこれまで詰められていなかったところが残っているかと思いますので、併せてまた考えさせていただくということかと思って伺いました。   乙案、丙案につきましては、大きくはこの方向でいくということで議論してまいりまして、今残っている問題の中の大きなものについても、おおよそ皆さんの御意見は一致しているということですので、この先の回では、更に実施上で出てくる問題について詰めていくということが、引き続き課題になるかと受け止めさせていただきたいと思います。   ということで先に進ませていただきますが、次が、部会資料の14-1の第2及び第3、自筆証書遺言及び秘密証書遺言の方式要件の在り方についてという部分、これを併せて御検討いただきたいと思います。   事務当局の方から御説明お願いいたします。 ○大野関係官 部会資料14-1の14ページ以下を御覧ください。   「第2 自筆証書遺言の方式要件の在り方」について、前回会議における御意見を踏まえ、押印要件を廃止することを提案しております。   もっとも、前回会議では廃止の方向性で検討すること自体には賛成するものの、現行の方式要件である氏名の自書について、必ずしも遺言書の末尾にされる必要がないとすると、その末尾に氏名の自書も押印もされない事態が生じることから、下書きと完成品との区別が困難になるのではないかとの懸念が示されました。   この点についての検討を、15ページの20行目以下で記載しております。   まず、氏名の自書と民法第970条第1項1号等で用いられています署名とでは、意味に違いはないと解されていることを確認した上で、この氏名の自書については、必ずしも遺言書の末尾にされる必要はないとの指摘があることから、押印要件を廃止すれば、遺言書の末尾に押印はもとより署名もされない事態が生じ得るものの、押印の機会の減少に伴って、押印さらには署名をめぐる慣行ないし法意識に変容が生じつつあり、作成者が末尾に署名することによって文書の作成を完結させるという法意識等が今後浸透すれば、署名が末尾以外の場所にされる事態が生じることは減少していくことが考えられます。   また、遺言者としては、下書きについては適切にそれを廃棄等する一方、完成品についてはその末尾に氏名を自書したり、実印等によって押印をしたりすることなどにより、下書きか完成品かの争いが生じるリスクを軽減しているものと言えます。そうすると、押印は要しないとするものの、引き続き遺言書の完成の確保が重要であることについて、適切に周知等を行うこととして、押印要件を廃止することが考えられることを記載しております。   続けて、17ページ以下を御覧ください。   「第3 秘密証書遺言の方式要件の在り方」について、前回会議における御意見を踏まえ、遺言者及び証人の押印要件を廃止することを提案しております。   なお、領事方式による秘密証書遺言をする場合における遺言者及び証人の押印要件については、令和3年5月に成立し公布された、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律による民法の改正により既に廃止されているところ、その際に追加された規定については削除する必要が生じることから、その点について補足説明の18ページに記載しております。 ○大村部会長 ありがとうございます。   第2、第3について御説明を頂きました。下線部、アンダーラインを引いたところもありますが、中心的な点は、押印要件は廃止するということで、前回意見は一致したものと受け止めておりますけれども、完成を確保するということについて問題は生じないのかという御指摘がありました。それについては、今後の慣行がどうなるかということにも掛かっているわけですけれども、適切な慣行が形成されるような周知をするということで対応できるのではないかと、このような御説明だったかと思います。   この2つの問題、第2、第3を併せてということになりますが、御質問、御意見ありましたらいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。   いかがでしょうか。 ○小粥委員 小粥です。一つだけ。周知ということが強調されているわけですけれども、私の勝手な読み込みですが、条文の作成自体は法制局マターであると。条文は市民には分かりづらいかもしれないので、周知ということを法律の条文とは違う形でやるんだというようなことに読み取れる。ちょっと悪い読み方ですけれども。そうではなくて、私は、その前に条文を分かりやすく、その趣旨が伝わるように条文の形を作るということにも努力をしていただきたいです。 ○大村部会長 ありがとうございます。今の御指摘は、押印要件は廃止するということは、条文上にそれがない形で示されるのだろうと思いますけれども、それに伴って、遺言が完結しているものであるかどうかということを示すことが望まれるということを、条文上何か表現できないだろうかという、そういう御提案ですね。 ○小粥委員 はい。 ○大村部会長 分かりました。何か付け加えることはありますか。 ○小粥委員 例えば、以下の事項について自書することを要すと、1号、2号、3号に、氏名という書き方にすると、何となく今の条文の書き方から、印のところを削るだけよりは分かりやすいのではないかなどと思うということです。 ○大村部会長 なるほど。条文の書き方からして、氏名を遺言本文の後に書くのだということが推奨されているというような書きぶりを工夫できないかと、そういうことですね。 ○小粥委員 さようでございます。 ○大村部会長 分かりました。最終的にどのようにするかというところについては、いろいろな事情を考慮した上で、事務当局の方で御検討いただくということになろうかと思いますけれども、あり得る選択肢というか、御示唆を頂いたという形で受け止めさせていただいて、御検討を頂くということにさせていただきたいと思います。   それでよろしいでしょうか。   ありがとうございます。 ○隂山委員 隂山でございます。今回の第2、第3に直接的に関係するというよりは、派生的な部分になりますが、今般の第2、第3での御提案を踏まえ、自筆証書遺言や秘密証書遺言から押印が廃止された場合、今後は封に入れたとしても、印で封じるのではなく、封じ目に封かんをするといったことも考えられます。   その際、民法第1004条第3項で、封印のある遺言書は、家庭裁判所において立会いがなければ開封することができないとされておりますが、今般の議論の方向性から、民法第1004条第3項にある封印という点を維持すべきか、それとも何らかの改正を考えるべきであるかにつきまして、検討の余地があると考えましたので発言をさせていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。押印廃止との関係で、今の封印の問題も対応しておく必要があるのではないかという御指摘を頂いたということで、受け止めさせていただきたいと思います。   ほかにはいかがでございましょうか。   ありがとうございます。   それでは、第2、第3につきましては、今、小粥委員や隂山委員から御指摘をいただきましたけれども、基本的な方向性については御異論はないということで、考えられるその余の対策等について、更に御検討を頂くということにさせていただきたいと思います。   それでは、次に行こうかと思いますが、次は少し時間が掛かるかもしれませんので、ここで休憩を取らせていただきまして、10分休みまして、15時10分から再開したいと思います。   休憩いたします。           (休     憩) ○大村部会長 それでは、再開させていただきたいと思います。   先ほど、部会資料の14-1の第3までいきましたので、その先に進みたいと思います。   部会資料の14-1の「第4 特別の方式の遺言の方式要件の在り方」、この部分の御審議を頂きたいと思います。   まず事務当局から御説明をお願いいたします。 ○大野関係官 部会資料14-1の18ページ、「第4 特別の方式の遺言の方式要件の在り方」を御覧ください。   「1 作成することができる場面の規律」として、船舶遭難者遺言については、「急迫の危難」との文言の解釈の整理や法制上の観点からの指摘を踏まえて修正をしております。   「急迫の危難」については、天災その他避けることのできない事変から生じていればよく、その種類、対応は問わないことと整理し、当該危難が重大なものに限る趣旨で「重大かつ」との文言を加えております。また、法制上の観点を踏まえた修正に伴い、航空機遭難についてはその他避けることができない事変に含まれるものと整理しております。   一般隔絶遺言については、従前の方向性と同様の記載をするとともに、実際にはほとんど利用されていないと想定され、そのような状況に特に変更を加える必要はないと考えるのであれば、引き続き現行の規定及びその解釈によることとし、特段の文言の見直しを行わないこともなお考えられることから、現行の規定の文言を維持することも考えられる旨を記載しております。   次に、21ページ以下の「2 作成方法の規律」を御覧ください。   (1)現行法の規律と(2)死亡危急時遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式については、部会資料13から特段の変更はありません。   続いて、22ページ以下の(3)船舶相談者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式については、前回会議における御議論等も踏まえ、新たな遺言の方式の案として、従前のB案の方向性を踏まえた本文ア①の、証人1人以上の立会いをもって、口頭で遺言する状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録するとする案、証人の立会いを不要とする本文ア②の、口頭で遺言をする状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録し、その使用する電子計算機を用いてその記録を他人に送信するとする案を提案しております。   23ページの(4)では、死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式における相続人の欠格事由等の規律について記載しております。   現行民法第891条第5号は、遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した場合に相続人となることができない旨を規定しておりますが、新たな方式において記録されることとなる録音・録画による記録を破棄、隠匿等した場合にも、同様の規律が妥当すると考えられますので、本文(4)アではその旨の記述を設けることとしております。   また、本文(4)イでは、加除訂正や成年被後見人の遺言等の規律の準用関係につき、死亡危急時遺言における新たな遺言の方式においては現行の特別の方式の規律と同様、①のとおりいずれの規定も準用することとし、船舶遭難者遺言における新たな遺言の方式については、②のとおり成年被後見人の遺言等の規定を準用することとしつつ、加除訂正の規律は準用しないこととしております。   補足説明では、船舶遭難者遺言における新たな遺言の方式についての検討を中心に記載しております。25ページの15行目以下に記載しておりますとおり、船舶遭難者や天災等に被災した者は、通常予期せずして遭難又は被災すると考えられることから、遺言者の最終意思を尊重すべき要請は高いとも考えられ、極めて緊急性の高い状況下で作成されることを踏まえますと、デジタル機器を用いた遺言作成を認める必要性は高く、その方式も他の特別の方式よりも緩和することが許容されるものとも考えられます。   その上で、現行の船舶遭難者遺言に対する指摘も踏まえつつ、極めて緊急性の高い状況下において方式を履践する現実的可能性を考慮しながら、どの程度の真意性及び真正性の担保を要求することが妥当であるかを検討する必要があるものと考えられます。   現行規定の在り方を見ますと、現行の死亡危急時遺言は証人3人以上の立会いが必要とされており、船舶遭難者遺言においては3人以上の証人を確保することが困難な場合が想定されることを踏まえて、証人2人以上の立会いを要することと記述されています。その上で、本文(3)ア①については、デジタル機器を用いて映像や音声を機械的に録音・録画により記録することにより、遺言者の口頭で遺言する状況を正確に記録することが可能となることを踏まえ、証人1人以上の立会いで足りるものと整理しております。   一方で、証人の立会いを不要とする在り方につきましては、遺言者が口頭で録音・録画により記録するだけで足りるとする在り方も考え得るところ、ディープフェイク技術等による改ざんの有無を確知することは困難であると考えられる上、当該録音・録画による記録について、遺言の趣旨として作成されたものであるかどうかや、記録後に翻意することなく遺言として効力を持たせる意思があったものであるかどうかなどの区別が判然としないとも考えられます。また、その他にも、第三者に文字情報に係る電磁的記録を送信することのみで足りるとする在り方も考え得るとは思われますが、第三者が遺言者に無断で入力して送信することも防げず、かつ、事後的に第三者が送信した事実を確知することも困難であると思われます。   そこで、本文(3)ア②については、口頭で遺言する状況を録音・録画により記録することに加え、その使用する電子計算機を用いて他人に送信することを方式要件としております。他人に送信することを方式要件とすることにより、真正性の担保の観点では客観的な送受信履歴が残されることとなり、受信者の端末には口頭で遺言する状況が録音・録画された記録が添付されたメールやLINE等について、メールアドレスやアカウント名等の発信者の情報が残されることとなり、場合によっては、電気通信事業者への調査嘱託等によって送信に用いられた端末の契約者情報や送信時刻等に関する情報を得ることも可能となると思われます。   また、真意性の担保の観点では、遺言者において当該記録を他人に送信していることから、当該記録内容を他人に伝えて遺言として効力を生じさせる意思があったことが担保されるものと考えられると思われます。また、送信を受ける他人については、単に送信を受ける立場であるにすぎず、遺言の内容に関与するものでないため、証人の欠格事由は適用されないものと整理しております。   インターネット上のウェブページや電子掲示板等に投稿するなどの、不特定多数人に宛てた送信行為についても他人に送信に含めることとするかは、両論あり得るものと考えており、29ページの31行目以下では、不特定多数人を含むとの考え方と、不特定多数には含めず、多数人であってもよいものの、特定の者に対する送信であることが必要であるとの考え方の双方について記載をしております。   これらの観点も踏まえまして、船舶遭難者遺言における新たな方式について御議論いただければと存じます。   31ページの(5)から記載しております、死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言における新たな遺言の方式を前提とした確認の審判の在り方については、従前と同様の事実の調査を行うことが考えられ、家庭裁判所において技術的な知見を持って録音・録画された記録を解析する必要が生じるものではないとも考えられる旨を記載しております。   32ページの(6)では、反訳や遺言の趣旨を明らかにした書面等の取扱いの在り方、33ページの(7)では、船舶遭難者遺言における新たな方式において、普通の方式によって遺言を作成できるようなったときまで生存した場合における特段の規律を設けることの要否等につき記載しております。   33ページの4以降で記載しております相続人の欠格事由等の規律につきましては、本文において御説明したとおりでございます。   内容についての御説明は以上です。 ○大村部会長 ありがとうございました。   第4につきましては、下線が引かれているところがかなり多くなっております。   18ページの第4の1の(1)につきまして文言を修正されておりますが、(2)で加えられた部分、一方で現行の規律を維持することも考えられるということで、現状維持という案がここで一つ選択肢として付け加えられているかと思います。   それから、21ページ以下の作成方法の規律につきましては、22ページの(3)の部分、船舶遭難者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式というところで、証人1人以上の立会いと、それから録音・録画、そしてそれを他人に送信するという、この二つの選択肢があるという形での提案が今回されていると理解をしております。   あとは、23ページの(4)以下で、欠格事由等について整理をしていただいたと理解をしております。   御説明の中では、この船舶遭難者遺言を中心に御議論を頂きたいということでありましたけれども、その他の点も含めまして、御質問、御意見を頂ければと思います。   これも、どちらをと区別をいたしませんので、どなたからでも、どちらでも御発言を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。 ○隂山委員 隂山でございます。船舶遭難者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式につきまして、コメントさせていただきます。   22ページ(3)ア①では、証人1人以上の立会いとされており、御説明にて氏名等の口述は不要であるとされています。この場合、証人はどのような対応であれば立ち会ったと言えるのかが論点になるのではないかと考えています。   例えば、墜落しそうな航空機の中で、遺言者の隣の席に座っている方を証人であるとして録音及び録画を行った場合に、証人とされる方が遺言者の方を見ている程度でも足りるのか、更に積極的な振る舞いが必要なのかといった点なども、詰める必要があるように思われます。   (3)ア②では、録音及び録画を行い、その記録を他人に送信することが要件とされています。他人に送信を行った場合、通信事業者やSNSの運営事業者などが中間的にデータの送信を受けることになると思われますが、このような中間事業者に対する送信につきまして、今般の他人に送信という枠内に入るのか否かという点の確認をする必要があるのではないかと考えています。また、特定多数の場合や不特定多数の場合といった分類について、SNSは一般的に不特定多数の者の閲覧に供するという側面がある一方、特定の者しか見ることができない設定をしている際はどのように考えるかといった問題も生じるように考えています。   併せて論点になり得るのではないかという点で、通信環境が芳しくなく、送信ボタンは押し続けていたものの、遺言者が死亡した時点では送信未了であり、その後、通信環境が復活したため送信が完了するといったこともあり得るのではないかと考えています。この場合、送信完了時刻は遺言者死亡後であるため要件を満たしていないと考えるのか、それとも、最終意思の実現という点から要件を満たしていると考えるのかといった点は、整理をしておく必要があると考えています。   なお、28ページから29ページにかけて、ハッシュ値の比較という御説明がありますが、デジタル署名技術を使用していない場合、内容は同一であったとしても、送信者の端末にあるデジタルデータと中間事業者の領域にあるデジタルデータ、受信者が受信したデジタルデータでは、プロパティ等が異なっていると思われることや、任意の場所に保存することなどによってハッシュ値が異なることも考えられるため、取り扱う際には留意する必要があると考えています。 ○大村部会長 ありがとうございます。船舶遭難者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式のところについて、検討すべき点を御指摘いただき、御質問もいただいたかと思いましたが、詰めるべき点としては、①については証人の立会いというものの立会いは、どこまであれば立会いといえるのかという点を考えるべきであろうと。それから、②の他人についてどう考えるかということで、事業者、中間事業者とおっしゃいましたけれども、これが入るのかという、これは御質問だったでしょうか。 ○隂山委員 御指摘のとおり、確認させていただくことができればという質問の趣旨で発言いたしました。 ○大村部会長 御質問として承りました。   それから、特定多数、不特定多数というので、この切り分けがどうなるのかという話、さらに、通信環境がよくなくて送信が遅れたという場合にどうするのか、そして、ハッシュ値が異なる場合というのが出てくるけれども、それに対する対応が必要である。これらは御指摘として承っております。   ということで1点、他人に事業者を含めて考えるのかというところが御質問だったかと思います。 ○齊藤幹事 現状、元の資料を作成した過程では、やはり他人というのは、他の端末を持っている知人等を想定していたところですので、その中間事業者へは到達しているという状態をもってどう評価するかはちょっと、現状では整理し切れているところではございません。   御指摘を踏まえて、検討を要するところかと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。隂山委員から幾つか御指摘いただきましたけれども、方向性についてはいかがでしょうか。(3)ア①、②というのは、今二つの選択肢を認めるという方向が出ていますけれども、何か御意見がもしあれば、併せて伺えればと思いますが。 ○隂山委員 最終意思の実現をより適切に反映していくことが重要であると考えておりますので、①、②といった方向性を進めていくという点につきましては特段の異論は持っておりません。検討すべき点があるのではないかという趣旨で発言をさせていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございました。そのような趣旨で承りました。   ほかにはいかがでございましょう。 ○戸田委員 22ページ目の(3)ア②に、口頭で遺言をする状況を録音及び録画して他人に送信する、という記載があります。証人を不要にするというのは非常に理にかなった話かとは思うんですが、送信する、というところがちょっと気になっています。実際の航空機にしても船舶にしても、遭難しかかっている状況というのは、例えば、船舶だと浸水、航空機だと最近多い火災ということであるとすると、真っ先にこういった機内のWi-Fiサービスなどは電源喪失してサービスが行われなくなるということがあるでしょうし、辛うじて無線が生き残っていたとしても、救難信号の発信などに使われます。このため、遺言したものを送信できる環境があるということを前提に制度設計してしまうと、形骸化してしまうのではないかという懸念がございます。   それと、ディープフェイク等の御懸念があるというお話だったんですけれども、遺留品がある場合、実際に全く痕跡を残さないで、ディープフェイクで本人のスマホに記録を残すといったことを、危急時にやれるような環境があるとはなかなか考えにくいと思うのと、逆に送信を受けた方では、偽造は幾らでもできるということになってしまいます。特に電気通信事業者の基地局の情報を取れるというお話もあったのですけれども、家裁から命令すればそういった情報は確かに取れるけれども、基地局の情報は大体半年から1年も経つと新しい情報に全部置き換わってしまいます。このため間を置いて持ち込まれた場合には検証しにくいといったことも想定されるので、偽造の懸念を考えるのであれば、送信されたものに対する対策を施した方がいいのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。戸田委員からは、今話題にしております①、②という選択肢のうちの②について御指摘を頂きました。送信が必要だとしているけれども、Wi-Fi環境が失われているという場面がかなり出てくるのではないかという御指摘が一つと、それから、ディープフェイクについては、送信側についてそれほど考える必要はないのではないか。他方、受信側については偽造等の可能性というのはあるので、むしろそちらを塞ぐことを考えるべきではないかと、こういう御指摘を頂きました。ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○小池(泰)委員 今のお二方の質問と同じようなところを聞きますけれども、22ページの下半分のところの(3)ア①、②で、①の場合には、証人が生き残って遺言書を作成して、家裁に確認申請をするというタイプで、ただ、遭難なんで証人も生き残らないケースというのもあるように思いますんで、②というのを新たに設けることについては賛成です。   ただ、先ほど来いろいろと御指摘ありましたけれども、真意性とかを担保するために他人に送信というのがかなり意味が曖昧なので、これをもうちょっと詰めなければいけないなということと、真意性とかを担保するときに、発信ではなくて他人への送信ということなんで、送る作業しただけでは駄目で、送信をして、送信までは要るけれども、他人が受領するところまでは要らないと、そういう話なんですよね。だから、そこら辺をもうちょっと詰めた方がいいなという気がしていて、個人的には送信というか発信すればいいのではないかという気がちょっとしていたんですけれども、先ほどの前半の議論でもちょっと出てきていて、判子の代わりに文書完成を示すものがあるのかというので、ないという話だったんで。ただ、遺言として完成させる文言というのが定型的にもし存在するのであれば、それをしゃべったらそれでいいよねということができるんですけれども、多分それはないので、そうすると他人に送信とか、そういうのがないといけないのかなとは思いました。だから、他人の送信でもいいんだけれども、もうちょっと中身は詰めた方がいいなというような印象を持っていますということです。 ○大村部会長 ありがとうございます。2点御指摘いただきましたが、御意見、御指摘ということでよろしいですか、御質問ではなくて。 ○小池(泰)委員 意見ということでいいです。 ○大村部会長 2点、御意見ということで承るということでよろしいですね。   1点目は、まず全体としては、①に加えて②を設けるということについては賛成であると。その上で、他人に送信という場合の他人については、これまでに話も出ているところですけれども、詰めて考える必要があるだろう。それから、送信については発信でよいという考え方もあるけれども、しかし、完成しているかどうかということについてどうするかという問題もあるので、戻って送信でいいかもしれない。しかし、その中身についてはなお検討を要すると、こういう御意見だったかと思います。ありがとうございます。 ○小原委員 私も同じ場所の船舶遭難者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式について、意見を申し上げます。   皆様方と同じくアの①、②ともに、いずれも提案どおり創設することが適当だと考えます。その上で、課題提起というか、御検討のお願いをしたいのが、今ほどありましたけれども、電気通信事業者への調査委託などにより、送信時刻や位置情報などに関する情報が得られると考えられますので、データを送信できて、受信できた場合なのですけれども、船舶の沈没、飛行機墜落など、遺言する時間的余裕が本当に限られている場合に限定し、その場合であれば、アの①も②も遺言をする余裕がないのではないか、もっと言えば、同じ状況下の第三者が送信に関与することもなかなか難しいのではないか、そういう場面に限定し、他人に文字情報に係る電磁的記録を送信する方法についても、デジタル技術を活用した新たな方式として検討の余地があるのではないかと、本当に若干の課題提起ですけれども、方法の規定の可能性も含めて、御検討いただけると有り難いです。 ○大村部会長 ありがとうございます。①、②と2つを併置するということについては賛成ということで、その上で、3番目に文字情報、録音・録画でないものについても、局面を限った上で認めるということを、なお検討してはいかがかという御提案だったかと思います。   制約なしに文字データを送るというのについては、前回反対意見が多かったと認識をしておりますけれども、何か絞り込むことはできないかという、そういう御提案であったと受け止めております。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○中原幹事 幾つかあるんですけれども、今出た送信の話についてもあるんですが、それ以外から始めますと、一般隔絶地遺言を作成することができる場面につきまして、今回の部会資料では現行規定のままとするという可能性が示唆されています。   しかし、ほとんど利用されていない状態を変える必要がないという理由付けからは、この遺言の方式に対するネガティブな評価が前提とされていることがうかがわれるのですけれども、この部会でそのような評価をこれまで示されてこなかったように思われます。   確かにこの方式の遺言の存在意義は、公正証書遺言を作成することができない状況で、それに代わる方法を提供することにあり、公正証書遺言がウェブ会議を通じて作成することができるようになったことで、存在意義はより小さくなったものと思われますけれども、だからといって、この方式で作られた遺言の効力を否定すべきだということにはならないように思われます。実際上も、天災等で交通及び通信が遮断された状況、しかし、船舶遭難者遺言を作成することができる場面に当たらない状況での利用というのは、抽象的には想定されるように思いますので、伝染病隔離者から広げるとまずいことが起こるのではない限り、伝染病隔離者への文言上の限定を解除する原案の方が筋が通るように思います。   それから、船舶遭難者遺言を作成することができる場面につきまして、前回私が発言した事柄について詳しく検討していただきまして感謝申し上げます。私としてはこれ以上こだわりませんけれども、何に対する障害かが判然としないということは、重大かつ急迫の危難としたところで変わらない、つまり何に対する危難かは判然としないように思われますので、危難が遺言者本人の死亡の危急と区別されるもの、つまり遺言者が置かれた環境を表す概念であるということを、立案担当者による解説等において例示とともに明確にしていただければと思います。   船舶遭難者遺言で他人に送信するという新たな方式について、検討の方向性としては賛成です。ただ、送信について、送信にいかなる役割を持たせるのか、それに照らして、いかなる送信対応であれば許容されると考えるのかについては、なお整理検討が必要であるように感じられました。   送信の役割について言うと、今回の部会資料では、偽造、改変の可及的防止という真正性の観点、本人の確定的な遺言であることの確保という真意性の観点、遺言の存在を認識させて確認の審判に持っていくという手続的な観点が示されていたものと理解しています。また、許容される送信対応については、特定の者に宛てられなければならないか、不特定の者に宛てられたものでもよいかという問題が取り上げられていますが、これまでも御指摘があったように、そもそも他人、すなわち本人以外の人間に宛てられなければならないのか、それとも本人の手から離れれば足りるかという対他人性の要否の問題や、他人に到達する必要があるのか、それとも送信行為をすれば足りるのかという到達の要否の問題も想定できるように思われます。   対他人性の要否の問題については、確かに27ページ7行目から23行目にありますように、本人や誰かのデバイスに記録が残っているだけでは、偽造、改変されたものでないか、確定的な遺言であるかは不明確であると思います。しかし、例えば本人名義のクラウドに遺言の記録が手動でアップロードされた場合には、他人に送信こそされていないものの、他人に送信したのと同程度の真正性・真意性が期待できるようにも思われます。一定の範囲の者との共有が許容されている共有ドライブへのアップロードであれば、やはり文字どおりの他人への送信とは言い難いにせよ、なおさらであるように思います。   クラウドへのアップロードでは駄目な理由は、遺言の存在を直ちに認識して確認請求をする者がいない点に求められると思うんですけれども、そもそも確認請求の現実的可能性というのは必須なのか、どの程度必要なのか、死亡危急時遺言も含め、危急時遺言では速やかな確認請求が必要とされているということの含意は何なのかということに照らして、この論拠は補強される必要があると思います。   到達の要否の問題についても、同じことが言えるように思います。つまり、送信行為は行ったので送信履歴には残っているものの、ファイルサイズが大き過ぎるなどの理由で届かなかった、あるいは相手方のアドレスが変わっていて送信エラーを伝えるメールが返ってきたとかいうような場合には、真正性・真意性の問題はクリアしていると見てよいように思われる一方、直ちに確認請求をすることができる者がいません。だから、対他人制の要否の問題と同じになるというのが一つの考え方でありますけれども、クラウドへのアップロードよりも積極的に他人に伝えようとはしているので、遺言を無効とすべきではないという要請はより強いのではないかとも感じられます。   部会資料の記述では必ずしも明確でないように思われるものの、不特定の者に対する送信では駄目であるという考え方の根拠も、真正性・真意性にはなくて、結局は確認請求のレベルなんだろうと思います。ただ、対他人性の要否の問題や到達の要否の問題とは異なって、遺言の存在を直ちに認識する者はいると。しかし、申立権者の数が多くなることには、制度上の弊害があるかもしれないということなので、問題の質がかなり異なっているように思われます。   結局、真正性・真意性の要請を緩めれば、そのレベルでは様々あり得るパターンの間で有意な差異というのはあんまりなくて、結局は確認請求という遺言の有効確認手続の問題に帰着するのではないかというような印象でありますけれども、先ほど述べたように、それが具体的にどのような要請であって、どれだけ重視すべきものなのかを検討する必要があるように感じられます。それによって、他人に送信というような文言も変わり得ますし、それから、今回の案では遅滞なく確認が得られなければならないとされていますけれども、そのことの具体的な意味も変わってくるのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。中原幹事からは大きく2点だったかと思いますが、第4の1の(1)、(2)について。(1)については、この文言について必ずしも賛同しないけれども、説明をするということで補ってもらえれば、それでも仕方がないと。それから(2)については、現行の記述を維持するというのではなくて、これまで考えてきた案で考えていくというのがよいのではないかと、こういう御意見だったかと思います。   それから2点目は、先ほどから皆さんの御議論が出ている、22ページの(3)ア①、②についてで、①に加えて②を設けるという方向には賛成であるという御意見だったかと思いますけれども、他人に送信という先ほどから話題になっている点についてどう考えるか。それについて、どういう役割を担うものと考えるのか、その上で、どういう態様のものを認めるのかという整理をしていただきましたけれども、最終的には、確認請求の在り方をどのように考えるのかという点がポイントになるのではないかと、こういう御指摘を頂いたと受け止めました。ありがとうございます。 ○中原幹事 そこがポイントになると理解することの当否も含め、検討すべきではないかということであります。 ○大村部会長 ありがとうございました。   ほかいかがでしょうか。   今のところは、主として22ページのアの①、②、特に②について御意見等を頂いているということかと思います。そして、基本的な方向としては、②を認めるという方向について、皆さん大きな御異論は今のところないと。ただし、どのようにこれを組み立てていくのか、他人に送信するということについてどう考えるのかということにつきましては、いろいろな考え方があり得るであろうということで御指摘があり、御意見も分かれているのかもしれない、こんな状況かと思いますが、その状況を踏まえて、さらに御発言があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。   特に、御発言ございませんか。 ○内海幹事 幹事の内海です。やはり②の方式なんですけれども、どこかに書いてあるかもしれませんが、送信したときに、発信元にも遺言の動画が残り、受信者側にも動画が残り、受信者はさらにいろいろなところにこれを拡散するかもしれないわけですけれども、全部それは遺言ということで、利害関係者であれば、どのコピーを持っていっても確認請求が立ち上がるという理解でよろしいのかという辺りをご確認いただければと思うんですけれども。 ○大村部会長 ありがとうございます。   今の点、いかがでしょうか。 ○齊藤幹事 現時点では、データですので、御指摘のとおり複数コピーがされれば、それぞれ誰でも確認請求はなし得る、可能な状態なのかと思います。   あとは確認請求に実際につなげる適切な在り方としては、ちょっと資料には現状まだ表現し切れていないところですけれども、どなたかそのうちの1人が家裁に確認請求をしさえすれば足り、その他の人は確認の請求をする義務というか、営みをしなくていいというような、そういう交通整理をするような在り方も考えられるのかなということは、内部では議論していたところです。 ○大村部会長 ありがとうございます。   その他いかがでしょうか。 ○相原委員 こちらのところについて、発言する材料をあんまり持ち合わせていないんですが、今の(3)アの②については、これまでの議論の中で、やはり証人が不要の場合に書面でというのはそれこそ誰かに作成されてしまうというようなリスク等があるという御指摘があったかと思い、私も同意見でした。   いわゆるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式として、本来の普通方式のときがなかなか厳しいので、とにかくこの危急時において、何らかの新しい方式が御提案されているものと思います。しかも、それの必要性というのが非常に理解できるので、これ自体をやってみるといいますか、何か探っていくということに関しては、拝読していて異論はないというところであります。   その上で、他人に送信するというところで、結局これが非常にレアなケースなのか、そして、それを例えばSNSに発信するとかになると、ものすごく多くの人が見てしまって、今の御時世ですから家裁に持ち込むみたいな、そういう話なのかがわかりません。いわゆるデジタルの送信とか、それがいろいろな人に拡散するとかとなると、ちょっともう想定できない事態であることから、私自身がなかなか発言しにくいところであります。   そして、発信した情報と、それから受け取る情報とかということが、技術的にかなり特定できて安定的なものであるというのであれば、発信というところで確定してしまうということを理解できるんです。しかし、先ほど御意見ありましたように、自分自身の特定のどこかに送信すると、今度はできるだけほかの人に見られないようにしてしまうと、発見されるのかみたいな、その次の問題が出てきてしまいます。一体どの程度のものをどういうふうに作成するのがよいのかというのは、本当にデジタル技術について詳しい方に、ここまでだったら確定できるし安心できるという、そういう御検討をしていただければいいと思います。   ただ、結論として、①、②自体を前向きに検討するということに関しては異論はないという意見でございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。まず、文字のみというのについては、やはり望ましくないだろうという御意見だったかと思います。そして、22ページの(3)アについては①、②を設けるという、基本的な方向性については理解できると。デジタル技術を使う必要性が高いのはここなのではないかということについては理解するということだったのですが、その上で、どういう制度を作るのかというところについて、なかなか制度イメージが湧かないという、そういうことですね。 ○相原委員 はい。発信で他人というのが、SNSであればいいのではないかというのを読んだときに、それって一体、先ほどの確認の義務が誰にあるのか、誰がするのみたいなところで、誰か1人がすれば他の人はしなくてもいいというんですけれども、なかなか作るのは難しいのではないかなと思った次第です。 ○大村部会長 むしろ、先ほど特定、不特定って話ありましたけれども、お気持ちとしては特定の方向でしょうか。 ○相原委員 特定で、その人が必ず確認するといいますか、結局それが発覚しないことのないようにするというのは、やはり制度的な担保としては必要なのではないかなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございました。そういう御意見として承りました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○石綿幹事 幹事の石綿です。重ねて、22ページの(3)のアについて発言させていただければと思います。   基本的に、①、②の方向性につきましては異存ございません。真意性・真正性を担保し得るような適切な御提案かと思いますが、1点気になっていることがございます。結論としては、隂山委員がおっしゃった、①の証人が何をなすべき人か、何をしていることが求められるかということを明確にしていただく必要がやはりあるだろうということになるかと思います。船舶遭難や航空機の墜落のときに、家族にビデオ電話などをして、それを家族の方で録音・録画していた、それが遺言になり得るのかという問題があり得るかと思います。現在の①②の案だと、このような場合は、ビデオ電話の相手である家族が証人欠格に当たるような場合は遺言としては扱えないということになるかと思いますが、家族が録音・録画した映像に証人になり得るような人が映りこんでいたような場合に、①の遺言に該当し得る可能性があるのではないかと思います。それとの関係で、やはり証人が何をしていることが求められるのかというのが、特に大事になってくるかと思いますので、ここはもう少し御検討いただいた方が、今後紛争が生じない、紛争防止のためにもよろしいかなと思う次第です。 ○大村部会長 ありがとうございます。先ほども御指摘があった証人というのが、どういう人で何をするのかということについて、詰めて考える必要があるのではないかという御指摘を頂きました。   その中で、家族に送ったという場合には、証人が必要で、その人が何をするかというのを考えなければいけないというお話あったんですけれども、②の場合についても、家族に送るというのでは何か具合が悪いという、そういう御発言でしたか。 ○石綿幹事 ②の場合はこの案でよろしいかと思います。船舶遭難等の場合に、ビデオ電話で家族に最後のメッセージをしていて、それを家族の方が録画しましたといったような事案などが典型的に考えられるかと思いまして、そういうようなものが、現在の①、②の案だとなかなか救い難いというか、証人欠格に該当する家族と遺言者のやり取りのみでは駄目で、誰か証人適格を有している人がそばにいないと駄目だということが生じそうだなという問題意識です。それゆえ、①について証人のなすべきことをはっきりしていただいて、②についてはこれでよいかなと、個人的には思っております。 ○大村部会長 分かりました。   しかし、今おっしゃった家族に送ったというのについては②の方で処理できる、そういうことになるというお考えですか。 ○石綿幹事 私がイメージしているのは、もう沈みそうな船の中で、家族と最後の電話をしていると、それを、本人側は録画するゆとりもないけれども、家族の方が最後のメッセージを録画していたというものです。そういうものが、遺言として法的効果が生じるかということになると、②との関係では、本人が送信していないので遺言としては認められないだろう、しかし、家族が録画しているということなので、①との関係で、証人がいれば遺言として成立し得ると理解していて、それとの関係で、隂山委員の証人は何をすべきかという問題が出てくるのかと思います。 ○大村部会長 録音・録画をするというのが、①では録音・録画をしたものを送信すると書いていないので、誰が録音・録画してもいいのではないかという、そういう前提ですね。 ○石綿幹事 はい、そうです。部会資料自体がそういう作りになっていると理解していましたが、その前提が誤っていたらすみません。 ○大村部会長 そうであるのに対して、②は本人が、あるいは送信する側で録音・録画して、それを送信しなければいけないということになっていると。そこが違うので、家族に送ったというときに、家族の側が録音・録画したという場合には①の方の問題になって、証人が別途必要になる、こういう仕分けだということですね。分かりました。   それでは、いずれにしても証人というのをどうするかということについて、詰めておく必要があるのではないかというお話だったかと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○倉持幹事 今議論されている(3)アの①、②ですが、これは次のいずれかに該当するとありますが、多分状況として両方に該当するというんですかね、要するに、証人と一緒に映った状態で録音・録画したものを、しかも送信もしたとなると、①も②もを満たすことになるのではないかと。そうしたものが仮に残ったとして、その後確認の審判も出たとして、執行の段階では執行する人の選択で②の録音・録画だけを示す検認の在り方もあり得るし、そうではなくて①の方向でやっていった方が便利なのかどうかとか、この辺の使い分けですかね。   通常、証人というと御存命の前提ではあるんですけれども、船舶遭難遺言の場合だと、証人は一緒に亡くなっているということもあり得ると思うので、その場合は、執行の段階でどんなイメージになるのかというのを、ちょっとお聞きしておきたいと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。①、②、重なる場合があるのではないかということで、それぞれについて執行につきどのように考えているのか、御質問ということですかね。 ○齊藤幹事 ①と②が重なる場合というのは、実際にはあり得ると考えておりますが、いずれかに該当すれば有効ということですので、そういった事象を排除する必要はないと考えました。   その上で、①の方式であっても②の方式であっても、残されるのは録音・録画にかかるデータだと思いますので、そのデータを保管しているどなたかが、家庭裁判所に確認と検認の請求をするということになると考えております。   そして、家庭裁判所では録音・録画に係るデータの性状を確認し、調書等に添付するなどして残すとすると、この場合には、普通の方式における甲1案において行ったような議論、特に文字を起こすとかということを一般化する必要まではないのではないかと考えており、そこについては、何かしらの手当というのは現時点では行っておりません。   その上で、その録音・録画自体を、やはり執行を受ける側でも再生して確認をするということがあり得るのかなというのが、現状での発想でございます。 ○大村部会長 よろしいですか。 ○倉持幹事 はい、ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかいかがでしょうか。 ○小粥委員 齊藤参事官に確認をお願いしたいのですけれども、22ページの(3)のアの①、②関係で、先ほどの石綿幹事の発言と関係するところです。録音・録画する人が誰なのかということ、特に①についてですね。②は、遺言者が録音・録画するかのようですけれども、その使用する電子計算機というところが、どこまで何を意味しているのか。通常使用している端末であるかのように現状読めるわけですけれども、例えば、自分の携帯が壊れていて、たまたま隣にいる人の携帯を使う場合などについて、条文で何か意図を持って書くのか。つまり、録音・録画の主体とある、その使用する電子計算機の意味ですね。この辺りについてお考えがあれば。特になければ、詰めた方がよいという意見になります。 ○大村部会長 ありがとうございます。①と②の双方について、誰が録音・録画するのかということについては確認した方がいいだろうというお話だったかと思います。特に②については、文言との関係で曖昧な点が残るのではないかというお話だったかと思います。   資料の方に多少書かれていたような気もしますが、それも含めてお答えいただければと思います。 ○齊藤幹事 現状、①、②を通じ、録音・録画を誰がするのかについて、何か限定、そこがハードルになるようなことは念頭に置いていない記載にしております。   それから、2点目の使用する電子計算機については、29ページの12行目の(イ)に記載しておりまして、遺言者が記録を送信するためにその場で使用した計算機のことをいうのであって、他人が所有する電子計算機からの送信も排除しないということを、資料の記載では想定しておりました。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。条文が書き上がったときに、それを見て分かるだろうかといったような問題は残るのかもしれませんけれども、現時点での仕分けとしては、お答えいただいたようなことであると受け止めさせていただきたいと思います。   ほかにはいかがでしょうか。   今のところ、(3)のアの①、②双方を認めるということについて、方向性についての御異論はなく、あとは、どのように仕組んでいくのかということについて御意見を頂いているということかと思います。   ただ、前回からこの問題が出てきておりますので、少し時間をかけて問題点を出していただいて、対応を考えた方がいいと思っております。今日はまだ多少時間がありますので、皆さんの方から、こういう点もあるのではないかということがありましたら、是非御指摘を頂ければと思います。 ○小原委員 今、皆様方から、特に石綿幹事から課題の御提起された内容について、私の理解を深めるために、申し訳ありませんが、お時間を頂戴できればと思います。   (3)のアの①は、口述する遺言を録音・録画同時、つまり、送信が前提となっていないと理解していました。その上で、その下にあるイの文章が、これは映像と音声の送受信により相手の状態を相互に、つまり、これはウェブ会議みたいなものを前提とされていますので、ウェブ会議を前提としながら、アの①ですので、録音・録画する人は恐らく遺言者なのであろう。ただ、ウェブ会議であれば、石綿幹事が御指摘されたように受信者、つまり、今の御発言の中では家族も録音・録画することができる、こういうお話だと理解しました。その理解が違うのかどうかを、事務局に確認をさせていただけると有り難いです。よろしくお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。御質問ということですので、齊藤幹事の方からお願いいたします。 ○齊藤幹事 今、小原委員御指摘のとおり、①については、先ほども録音の主体を何か限定することはしていない発想でおりましたと申し上げました。そして、その点を次のイと結び付ければ、証人がウェブ会議の先、テレビ電話等の通話の先の証人であることもあると。そして、その画面に映っている遠隔地の御本人を、ウェブ越しの証人の側で録音・録画することも、①とイとの組合せからすると排除されていない、むしろ、そこも含んで認め得るということを、発想としては考えておりました。  ただ、他方で石綿幹事がおっしゃったような、唯一の相手が家族である場合に、それが証人欠格の問題と結び付き得るという御指摘はそのとおりかという、また別の論点かと理解をいたしました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかにはいかがでしょうか。   一方で、他人に送信というのを厳格に考える必要はないのではないかという御意見がある。しかし、余り多くの人のところに行くというのはいかがなものなのかという、そういう御意見も出ている。これが大きな意見の分かれかと思いますが、他方で、そもそも送信するということが必要なのかという御意見、発信するかということ自体も要らないのではないかという御意見も出ている。その辺りを詰めなければいけないだろうと思いますが、考える上で、ポイントになるようなことにつきまして、御意見あるいは御質問等を更に、何かあればいただければと思いますが。 ○内海幹事 内海です。非常に瑣末な点かもしれませんけれども、やはり22ページの①あるいは②の方法で遺言が残されて、これが確認の手続に回ると、31から32ページの辺りで想定されているようなもの、比較的重い確認の手続の事実の調査といいますか証拠調べといいますか、そういったものが必要になるケースが想定されるかと思います。ある程度はやむを得ないだろうということであるわけですけれども、家事事件手続法上、手続費用の負担の原則は一応当事者負担ということになっておりますので、普段あまり交流がない、それほど親しくしていたわけではないような人から、思いがけず遺言を受信してしまったという人が、家庭裁判所に遺言を持っていって一生懸命調べてもらった結果、確認していただければまだしも、確認してもらえなかったということになると、費用負担だけが残ってしまうのではないかというような心配もないわけではないかと思います。実際に作るのであれば、場合によってはその辺りのことも配慮していただければ有り難いのではないかと存じます。実際にはそこまではちょっと難しいのかもしれませんけれども、少なくとも、誰が申し立てるかによって手続費用を誰が負担するかということが変わってくる可能性があるということは、制度設計上認識した方がよろしいかなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。手続費用の問題も考える必要があるのではないか。広く手続を起こす人というのを考えるのであれば、費用の問題について何か対応するということも考えた方がいいかもしれないと、こういう御意見だったかと思います。   他方、費用を離れて考えると、希薄な関係があるだけの人に手続的な負担を課していいのかということをおっしゃっているということになりますか。 ○内海幹事 遅滞なく確認に回さなければ有効にならないという規律を置いた上で、確認の申立てをしなければ駄目よという義務を課すのであれば、負担としてはやや重いという印象を招くことがある可能性はあるかなと思います。一方で、申立てすることができるという記述の限度では、必ずしも負担とは当然には言えないというようなところがあるかなと思います。そのような場合に義務と理解すべきかどうかというのは、また選択肢といいますか、解釈の余地があるところかなという気がします。 ○大村部会長 分かりました、ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○戸田委員 例えば船舶で、遺言を記録したスマホを防水袋か何かに入れて、それが回収されたときにロックがかかっていた場合、解除しなければいけないのですけれども、実際に業者に解除を依頼すると高額になると思います。ただ、遺族にそのロック解除をやらせようとすると、その間、証拠としての保全措置が取れなくなってしまうので、回収した後、家庭裁判所に即持ち込んでずっと保管しておかなければいけないと思うのですけれども、そういう場合、ロック解除の意思確認を遺族に行って、家庭裁判所の方でやりますということができるのでしょうか。 ○大村部会長 戸田委員の御質問の趣旨は、仮にこれで送信されたことが必要だという制度を作ったとして、受信したものが発信したものと一致しているということを確認する必要があるのではないかという、そういう前提を置いていますね。 ○戸田委員 そうですね、はい。 ○大村部会長 そのときに、その確認というのをどうやってやるのかと、こういう御質問だと捉えていいですか。 ○戸田委員 はい。 ○大村部会長 この前提について、必ずしもそう考えていないんですか。 ○齊藤幹事 ②の案であれば、送信先にデータがあれば、これを家庭裁判所に持ち込んで手続を行うことが可能になると理解しておりました。その上で、遺留された端末もまた見付かったという事案であれば、それはなお、真意性に基づく遺言がありましたということを裏付けやすくなるという関係だとは思いますが、必須のものではないという整理かと思います。   それに対して、①の方は送信が要件にはなっていないので、危難に遭われた御本人と同じ空間に端末が存在し、遺留品となる可能性もあると思います。その場合には、他の端末に同じデータが送信されていない状態も、①の場合にはあると思います。その場合には、結局ロックを解除できなければ、そこに遺言に係るデータが保存されているかどうかも、遺留品を受け取った御家族等からは判断がしにくいということになると思いますので、まずは、送信がされた先でのデータであれば、やはり受け取った側での家庭裁判所の手続につながりやすいという一方で、①の方で遺留された端末があるという場合には、これが中身が見られる、再生可能だということが、やはり前提にはならざるを得ないのかなと考えました。 ○戸田委員 家族がロック解除した上で持ち込むという話になるということでしょうか。 ○齊藤幹事 一体その端末に遺言が保存されているのかどうかの端緒といいますか、取っ掛かりは必要かと思いますので。 ○大村部会長 どこかの端末というか、どこかに保存されていることが必要なわけですね。どこかから出てくればいいわけなんだけれども、出てこないという場合、この端末の中に含まれているのではないかというときには、それを示さないといけないと、そういうことでしょうか。 ○齊藤幹事 はい。部会長の整理のとおりかと思います。 ○戸田委員 多分そうすると、偽造がしやすくなるリスクは高くなってしまうことになろうかとは思います。 ○大村部会長 家族のもとで開かれるということになるとという、そういうことでしょうか。   今のような御指摘いただきましたけれども、ほかには何か御意見、御質問等ございますでしょうか。 ○木村幹事 22ページの今議論になっている(3)アの①について、すでに隂山委員と石綿先生からも御指摘いただいたところなんですが、もう一度確認させていただきたい点があり、質問としてお伺いさせていただきたいと思います。   この①について、証人の立会いというのが要件となっているところですけれども、少なくとも現行法の民法第979条第3項によれば、証人がその遺言の趣旨を筆記して、これに署名して印を押すという行為が必要になっていると定められております。この規定の趣旨については、証人がなされた遺言というものが真意性・真正性を担保する役割が担われているのだと考えられるところです。   この点、今回の提案において、証人の立会いという要件のみが示されているわけですけれども、この証人自体は、録音・録画をされた状況において、現在の第979条に代わり得るような何か明確な行為がどこまで求められているのかについて、事務局がお考えなのかという点をもう一度教えていただければと思います。   というのは、少なくとも部会資料28ページの14行目から示されている、証人は自己の氏名を口述する状況について、それを録音・録画により記録することは方式要件としていないという点については明確な記述があります。これに加えて、例えば証人自身が、本人が遺言をしたということについて確認をしました、との発言のような明確な行為は求められているのか、あるいは、取り分け録画などについて、証人が存在しているという、その画像データさえあれば立会いの事実が認められ、それのみで足りるという理解でこの要件が書かれているのか。この点について、事務局の御趣旨をもう一度確認できればというのが1点目ということになります。   2点目は、②について先ほど中原幹事の方から、例えば自分のクラウドの方に上げたような場合についても検討の余地があるとのご指摘があった点に関するものです。この点については、実際様々な形での送信、発信というものが考えられるため、自分の手から切り離すというのが完成を意味する事柄である真正性・真意性をどこまで担保できるかという観点から、いかなる明確な基準を設けるのかという点が非常に難しいと思われるところです。私自身は、少なくとも他人に送信するという行為自体は明確な要件として定められ得るところから、他人に送信をする、あるいは他人に対して発信をしたという行為自体を、一つの基準として設けるという考え方はあり得るのではないかなと考えているところです。   以上となりますが、少なくとも1点目について、ちょっと私の理解が及んでいないところもあると思いますので、事務局の現在の考え方を踏まえて、この立会い要件の内容についてもう一度御説明いただければと思います。よろしくお願いします。 ○大村部会長 ありがとうございます。①と②について御発言ありましたが、②については、他人に送信ないし発信するという要件にはそれなりの合理性があるのではないかという御意見だったと承りました。①については、証人の立会いということで、具体的に何を考えているのかということで、こちらは御質問という形だったかと思います。   その御質問についてお答えいただく前提になるかもしれませんけれども、先ほどの事務当局の冒頭の御説明にありましたが、船舶遭難者遺言については証人2人以上が必要であるというのが現行の規律である。それを、①は証人1人と、それから録画・録音に置き換えている。この置き換えというのが、一体何をどう置き換えたことになるのかという、そういうことに関わる御質問なのかと思って聞きましたけれども、そうしたことも含めて少し整理を頂ければと思います。 ○齊藤幹事 今の御質問に関しましては、十分深く検討ができているかどうかというところは、なお考える必要があるとかと感じましたが、資料の作成経緯から御説明しますと、既存の方式では証人2人以上ということで、その2人は、必要があれば、これは時間を置かずに家庭裁判所での確認の審判を要するということですから、知覚・記憶・叙述という方法によって証拠方法になるということが、現行の船舶遭難者遺言の証人の意義の一つとしてあるかと思います。   そこについて、アの①の方式においては、証人2人以上というのを1人と録音・録画に置き換えて、証人の1人は、やはり供述等でこの遺言が真意に基づいて実際作成されたものであることを述べ得る立会人として位置付けられると。そして、2人目については、デジタル技術で代替をして、実際に録音・録画が残っていますよねという形で、証人の2人目に代わる機能を担うということを、発想としては考えておりました。   そのことを更に突き詰めれば、1人残った証人は、一体営みとしては何をする必要があるのかということにつきましては、現状では特にこれこれをするという何か行為を特に要件としては掲げていないので、ウェブ又は同じ空間で立ち会う、遺言がされている際に立ち会うということが要件なのかなという発想で作成したつもりです。 ○大村部会長 木村幹事、いかがですか。更に続けて、もし質問があればどうぞ。 ○木村幹事 はい、分かりました。証人について、その証人自身が実際裁判所などに行って確認請求をするような立場であることのほかに、遺言の真意性・真正性などを担保するというような役割もあると理解しておりました。今の御説明も踏まえれば、録音録画データが存在する場合には、証人は遺言作成時に単に空間にさえ存在していればよいということで足りるのか、そういう理解もあり得るのかなとも思います。ありがとうございました。 ○齊藤幹事 重ねて申し訳ございません。もちろん木村幹事がおっしゃったような、真意性・真正性を担保するという意味での証人の立会いの機能というのもあるかと思いますし、それがアの①でなくなっているということではないということですが、だからといって、証人にそれを表すための特定の何か行為を要求していることには、現時点ではしていないということかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございました。現時点ではしていないということで、何か御意見があれば、またそれを参酌して御検討いただくということかと思って伺いました。   ほかにいかがでしょうか。 ○小粥委員 先ほどの件で恐縮です。22ページの(3)アの②の使用する電子計算機のことなんですけれども、29ページの2行目、3行目辺りの説明を拝見しますと、遺言が本人の意思を反映したものであるかどうかを担保するものとして、自分自身の機械を使っている、あるいは自分自身のアカウントを使っているという理由付けが援用されているように思うんですね。そうだとすると、他人の端末を使うということがそれと同じ価値なのかということが、ちょっと疑問に感じられるという問題意識を持っていまして、結論として、どっちがいいかということではなくて、現状、説明としては内部でそごがあるのではないか。そろえて、自分の端末でないといけないとすべきかどうかについては、今の時点で定見はないんですけれども。 ○大村部会長 もし何かあればお答えいただき、検討するということであれば、そのように引き取らせていただくと。 ○齊藤幹事 その使用する端末のところについては、先ほど御説明したとおり、他人のものを借用といえば語弊がありますが、その方法を排除する趣旨ではないというところで一旦検討した状況です。 ○大野関係官 若干補足させていただきます。   先ほど御指摘のありました点につきましては、例えば他人の携帯電話機を使用して、グーグルアカウントなどに、恐らく皆さん御自身のアカウントをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、他人の携帯電話機から自らのアカウントに入り、そのアカウントのメールアドレスを使って送信するといったケースもあり得ると考えているところでございますので、必ずしも他人の携帯電話機を借りたからといって、御本人が送信したことが形跡として残らないかと言われると、そうではないのではないかといった、そういう問題意識で記載したものでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。今の御説明だと、他人の携帯を使って他人のアカウントで発信されたものは除かれるということになりますか。 ○大野関係官 そういった考え方も当然あり得るとは思います。ただ、今回事務局において資料を作成した際には、基本的には、遺言者が送信したことが分かる、形跡の分かる形で送信したことを想定しておりましたので、今部会長の御指摘ございました、いわゆる他人の携帯電話機を使って他人のアカウントで送った場合は、本人が送信したかどうか分かりませんので、果たしてそれを許容していいかどうかは、またちょっと別の話になってくるかなとは考えていたところでございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。小粥委員がおっしゃった最初の理由付けの問題と、今の点が関わるかと思いますけれども、それでいいかどうかという判断は別にして、整合性は一応取れているんではないかと思って、今伺いました。   ほかにはいかがでしょう。   よろしいでしょうか。   それでは、ここの部分については、第4の1についても御意見をいただきましたけれども、主として第4の2の(3)ア①、②についてたくさんの御意見ないし御質問を頂戴いたしました。①につきましては、証人というものをどのように位置付けるかということにつきまして、御質問、御意見がございました。②につきましては、他人に対して送信するということをどのように考えていくのかというところについて、多数の御意見、御質問を頂きました。   御意見をいただいておりますけれども、①、②の基本的な方向性については大きな異論はなかったと受け止めておりますので、この線でいくということで、今出ている様々な御意見を参酌した形で、また次回御検討いただくということにさせていただきたいと思います。   ということで、第4も一応御検討いただいたということにさせていただきまして、部会資料の14-1の最後、「第5 その他の改正項目」の部分の御審議を頂きたいと思います。   この点につきまして、事務当局の方からの御説明をお願いいたします。 ○戸取関係官 34ページ以下を御参照ください。   第5では、その他の改正項目として、成年被後見人の遺言と、遺言の証人及び立会人の欠格事由について記載しております。   1では、成年被後見人の遺言について、成年後見制度の見直しにおける議論を踏まえた上で、医師の押印要件を廃止すること、遺言に係る電磁的記録に署名に代わる措置をとることを可能とすること、保管証書遺言について遺言書保管官と医師との間でウェブ会議の利用を可能とすることを前提とする規律を記載しております。遺言制度の見直しの観点から、このような規律に改めることについて御意見を伺いたいと考えております。   2では、遺言の証人及び立会人の欠格事由について提案しておりますが、前回、「受遺者の取締役その他の役員」としていた点を「受遺者の役員」に改めたほか、変更はありません。前回会議で欠格事由を拡大することについて肯定的な意見が多かったと承知しておりますが、対象となる役員の範囲について、更に御意見を頂戴できればと考えております。また、遺言全般に及ぶことから、欠格事由の拡大が適切な証人を確保する観点から、過大なものにならないかという観点からの懸念についても御意見を伺いたいと考えております。また、この観点からは、欠格事由を拡大する具体的、実務的な必要性についても御紹介いただければ幸いでございます。   説明は以上となります。 ○大村部会長 ありがとうございます。   「第5 その他の改正項目」は、1の成年被後見人の遺言と、それから2の遺言の証人及び立会人の欠格事由と、この2つの項目からなっております。   1の方については随分下線が多く見られますが、特定補助人という言葉も出ておりますけれども、現在他の部会で御検討いただいております成年後見制度の改正案の作成状況も踏まえた形で、御提案を頂いているものと受け止めております。   2につきましては、文言としては役員という言葉のところに下線部がついておりますけれども、欠格事由の拡大ということについて、どのように考えるのかということについて御意見を頂きたいということだったかと思います。   以上の点に限らず、その他の改正項目というところにつきまして、皆様から御質問、御意見を頂戴できればと思います。どなたからでも結構ですので、お願いを申し上げます。 ○萩原委員 萩原です。成年被後見人の遺言に関しては、正に成年後見制度の見直しを別途議論されているところです。そことの絡みがありますので、特に申し上げることはなく、少なくとも医師2名の押印を必要としなくても構わないという部分については、異論はございません。   公正証書の観点で言いますと、現在の制度で言いますと、この成年被後見人の遺言の場合は、医師2名の押印が必要になっておりまして、電子公正証書の場合押印ができないもんですから、現在これで公正証書を作成する場合は、従前とおり紙で作るしかない、こういう保証意思宣明公正証書と同じ問題がございますので、個人的にはこれが電子で作れるようになるという改正の方向について、異論を述べるものではございません。   それで問題は、2の遺言の証人及び立会人の欠格事由については、二つの点を述べます。   一つは、そもそも欠格事由を広げることがいいのかどうかというのが1点、もう一つは、前回もちょっと申し上げましたが、この被用者及び役員、特に被用者というこの概念が果たして明確なのかどうかと、この2点でございます。   まず第974条、これは、公正証書はもちろんですけれども、これまでお話のありました死亡危急時遺言や船舶遭難者遺言の、ここで言う証人に全部当てはまるものでございます。そういう観点で見ますと、例えば遭難者が、それが同一の会社のメンバーだけでも、そこが遭難に遭ったと。そうすると、そこにおられる方々はみんな被用者ということになりますと、みんな証人としての欠格事由者ばかりになると、こういうことになり得るわけですね。死亡危急時というのはいろいろな場合があるかと思いますが、割と同じ法人あるいはそういう雇用関係にある者の、その中で危難が起こるということはあり得ることですので、そうしますと、法人が受遺者であったとか、あるいは使用者が受遺者であると、こういうような場合に遺言を作る場合は、これは欠格事由を有する者だけになってしまいますから、結局遺言は成立しないことになるのではないか。果たしてそういう事態がよろしいのかどうか。   公正証書の場合は、これは受遺者の被用者ということですので、かなり限られた場合ではあります。しかし、それでもやはり、例えばかなり地方の公証役場などで公正証書を作る場合でも、証人を得る場合がなかなか難しいという、こういう実情もございますので、これが公正証書遺言の証人を得るのに困難を来たす場合があるのではないかという、そういう懸念がなくはないということでございます。ちょっとその点の問題を考えなくてはならないということです。   もう一点の被用者という概念ですが、これはネットなどで見ましても、この被用者とはいろいろな意味があって、それではアルバイトの人はどうかと、派遣社員とかそういう場合は、派遣元との関係での被用者だろうと思いますし、派遣先との関係ではないでしょうけれども、例えばアルバイトにしても、いろいろな雇用、契約内容があるわけですので、それによってやはり被用者かどうかという問題が起こりますし、前回も申し上げましたけれども、事前に遺言を作成するような場合に、欠格事由のある人は立ち会わせないようにしておりますが、そうすると、欠格事由というのが明確でないといろいろと事前の説明も困難になりますし、また実際にそういう証人を調達する困難さが出てくるものですから、やはりこの被用者というくくりでの欠格事由というのは果たしてどうなのかと、疑問が残っております。確かに法人の場合の被用者、役員を考えますと、それが利害関係がないとは言えないわけでありますけれども、しかし、今の時代、利害関係というのはいろいろな形で、いろいろな関係で絡んできますので、欠格事由を広げるということは、逆に遺言を作りにくくするような状況になるというのを懸念しております。 ○大村部会長 ありがとうございます。萩原委員からは2点あって、1点目は成年被後見人の遺言について、医師の押印を不要とするというのはいいのではないかという御意見でしたでしょうか。2点目は欠格事由についてということで、欠格事由を広げるというのは、適格な証人が得られないという可能性を広げることになるので、遺言の効力が失われる場合が増えるのではないかという御懸念と、それから、同じく御懸念ですけれども、被用者の範囲が不明確なので、これでは事前に証人を選択するのが難しいということになるのではないか、やはりこれも不安定さをもたらすのではないかと、こういう御意見として伺った、それでよろしかったですかね。 ○萩原委員 はい。特に、欠格事由をこういう形で表記しますと、先ほどの特別方式の遺言の場合の証人、これの場合に特に弊害があるんではないかという、特にその点を強調したいと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。特別方式の場合に、同カテゴリーの人しか周りにいないという場合もあるのではないかという御指摘になりますね。ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○相原委員 相原でございます。今の委員の御意見と反対の意見になろうかと思いますが、まず、特別方式の場合にこれが該当するかどうかというのは、また別の検討の余地があるかと思うのですが、メッセージとして、受遺者が法人である場合の被用者とか役員に関して、証人とか立会人の欠格事由ということを原則にするということに関しては、積極的に検討いただきたいと考えております。   そこを前回から私もそういう発言をさせていただいたんですが、それの根拠ということで、前にもお話ししたかと思うんですが、ほかにも平成30年3月の株式会社日本総合研究所が、厚生労働省の老人保健健康増進等事業等の関係で、いわゆる身寄りのないような高齢者の支援の在り方に関する調査研究事業の報告書を出しております。そこでいわゆる身元保証関係の事業をしていたり、それから死後事務委任とか受けているとか、そういう関係業者の実態を調査しておりまして、現在そういう業者が今非常に多く作られております。   その中で、遺言とか遺贈を受けますかというような調査をされているという中で、その報告書を読んでいただければいいんですけれども、絶対受けませんという回答をされているところも何割かいらっしゃるんですけれども、半分以上が受けますとの回答です。中には、一、二割積極的に寄付してもらいたいというような事業者もあると。そういうところの実態がありまして、今厚生労働省でそういうサービス事業者が団体を作って、一定のルール作りをしていると伺っております。   その中で、そこに加入する事業者の一つのルールとしては、遺贈を受けないとすることが挙げられています。もちろん、一般的な一般寄付というのであれば、通常の市民の一般、クラウドとかそういうファンディングとか、そういう一般のは受ける可能性はありますけれども、特定のいわゆる利用者、契約関係にある当事者に直接自分のところに寄付してもらうかどうかというのは、それは原則受けないと。特別な要件がある場合には受ける、そのときの特別の要件には、遺言書の作成には一切関わらないというような、一つのルール作りをしようとしているというのを、高齢者の方の委員会のそういう厚労省の議論に参加している委員から情報を伺いました。   ただ、厚労省が主導のそういう団体に属さない事業者もあるわけで、そこになると完全に遺贈を受けるということが大前提になります。   先ほどから証人の欠格事由が不明確になるから、そこで問題が生じるかもしれないということで、これは弁護士会のほかの会員の意見を聞いたときも、やはり同じような意見がでています。そこの線引きが難しいから、これをそのまま法律の条項に上げるということに関して、懸念する意見で、それも理解できるところであります。   ただ、先ほどから私が申し上げている案件なんで、どうしても身寄りのない高齢者というのはこれからますます増えるわけで、そういう死後事務委任とか身元保証会社とか、そういうところがかなり関わってくるというのが、もう歴然と見えているわけです。そうなったときに、やはり個人に対しての受遺者のときには、その受遺者の親族とか配偶者とかは欠格事由であるわけですけれども、一旦法人が受遺者になったときのある程度の線引きをきちっと明確にしておく、そのメッセージは必要ではないかと個人的に思っております。   不明確なところは、これから先の判例に委ねたい。それなりの線引きというのはどうしてもどこかに出てくるわけなので、大昔に雇用されていた人とか、それから本当に関係性が薄い人の場合というのもどうなるんだって言われたら、なかなか答えに窮するんですけれども、受遺者の関係者が関わらないということのメッセージは出していただきたいというのが意見でございます。   なので、あと特別方式のときには、環境的にこの条項を例外にするみたいなことというのができないのかなとか、ちょっと思いました。法律作ってしまったときの安定性を考えると、なかなかこの条文であると難しいというような御意見があるというのは重々承知ですが、これから先の身寄りのない高齢者がどんどん増加する実態を見ると、一旦作成されて形式的にオーケーしてしまうと、むしろ法定相続人がいないとなれば、法律の場に、司法の場に出てこない、それで独り歩きしてしまうということを非常に懸念いたします。そこら辺まで配慮して、前向きに考えていただきたいなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。法人等の役員、被用者については、これを欠格事由としないことに伴う弊害というのが大きく、ますますこれからもそれが拡大していくのではないか。それに対しては、そのような在り方が望ましくないというメッセージをはっきりと発するべきではないかということが、御意見の中心だったかと思います。その上で、不明確さというのについては、ある程度はこれを引き受けなければいけないということだったかと思います。   それから、特別方式については、先ほど萩原委員から特にその欠格事由を外しておく必要があるという御指摘がありましたが、何か別途対応できないかといった御意見だったかと思います。ありがとうございます。 ○入江委員 入江でございます。今、相原委員がおっしゃいました、好ましくない者は証人になれないというメッセージを出すということは、私も重要かなと思っております。それは、恐らく真意性の担保をするべき証人が、正にその真意性に問題のある遺言について証人になってしまうということは好ましくないということは、これは全くおっしゃるとおりかなと思います。   一方で、この欠格事由が明確でない、曖昧なところがあることの弊害ということも、これは非常に大きいと思っております。言わずもがなですけれども、該当すれば遺言自体が無効になってしまうので、遺言者と証人が思いもよらない形で、想定していないときに欠格事由に該当してしまうということも、範囲が広過ぎたり、曖昧だったりするとあり得るということで、ここはやはり防がないと、むしろ遺言者の真意が実現しないということになりますので、このバランスを取るということが重要になってくると思います。やはり明確にするということがまず求められますし、遺言者の方もきちんと理解し得る形のルールにして、それを周知することが求められるのかなと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。入江委員からは、欠格事由について、一定のカテゴリーの人がこれに当たるということを示すことは必要である。しかし、基準は明確にするということが必要だという御指摘がありました。曖昧なものではいろいろ問題が生ずるだろうということで、何かより明確な線を引けるかどうかという方向で考えてみるというのが、今おっしゃっていることが出てくる一つの方向なのかと思っておりました。   それから、萩原委員がおっしゃったような特別方式のときにどうするかということも、相原委員からはちょっと難しいのではないかという御指摘もありましたけれども、連動させなければならないというわけでは必ずしもないと考えたときに、では、どうやって切り分けるかということが課題になると、そういうことが今のところ出ている御意見かと思いますが、更に御発言あれば是非伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○倉持幹事 欠格事由について明確にするという意味では、受遺者が法人である場合は役員ということで、その役員というのは飽くまで登記簿上の役員、ここで業務に関与しているかどうかというのは、裁判実務上も名目的取締役とかそういう議論はあるんですけれども、かなり曖昧な概念なので、そういう曖昧なのは払拭して役員、それは登記簿上の役員にするということであれば、ある程度一義的なのかなという気はします。   その関係で、質問にもなるんですけれども、受遺者が法人である場合、欠格者はいないということなのか、その法人の代表者は欠格者になるのかという、前提がよく分からないので、どちらの前提で役員というのを考えたらいいのかというのを、質問させていただきたいというのが一つと、あと被用者の方は、やはり先ほど萩原委員からいろいろ具体例を御指摘いただいたとおり曖昧ですし、業務委託先の個人だとか、あと出向した社員がその子会社にいる場合どうなのかだとか、結構曖昧な場合があるので、なかなか難しいのかなと思います。   あと、そもそもそうやって要件を広げることの当否ですけれども、根本の趣旨としては、やはり不当な遺贈を防ぐということだと思うんですが、証人欠格を厳しくしても、やはりそういうことをする業者というのは、すり抜けるというんですか、あえて別会社の従業員を使うだとかということで容易にできてしまって、そういう不当な遺贈を防ぐというのは、方式要件における証人欠格を厳しくするという方向よりも、やはり行政的な規制を各行政機関においてどう強めていくか、どうガイドラインなどで縛っていくかという、そちらの方向の問題なのかなという気はしております。 ○大村部会長 ありがとうございます。倉持幹事からも欠格の話について御意見がありました。役員は形式的に定めればいいのではないかという御意見で、質問もありましたので質問はまたお答えいただきたいと思います。それから、被用者の方はやはり線引きはなかなか難しい。仮に線引してみても、抜けていくということが簡単にされてしまうのではないかということになると、別途手当てをするということが必要になるのではないかと、こういう御意見だったかと思います。   先ほどのメッセージという観点からすると、抜けられても構わないのでともかく規定を置く。別途御指摘あったような形で、抜けられるというところについてはチェックを加える、そういうこともあり得るのかと思って伺っておりました。   ほかにいかがでしょうか。 ○萩原委員 ただいまいただきました倉持幹事の御意見に賛成の思いを持っております。   法人の役員ということであれば範囲は明確ですし、それによっても受遺者が法人である場合はこれを控えるべきであるというメッセージは、十分法律的には発せられるのかなと思います。また、死亡危急時遺言や船舶遭難者遺言も、その周りに役員しかいない場合は、そういう極端な場合はほとんどないかもしれませんけれども、被用者ということであれば、周りにいる同僚の人たちに証人になってもらうことが可能でございます。そこら辺が、欠格事由を広げるのであればいい線なのではないかと個人的には思っておりますので、賛成いたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。先ほどの倉持幹事の御意見をサポートする御意見を頂戴しました。   倉持幹事から御質問があったんですね。その御質問についてお答えを。 ○齊藤幹事 ちょっと御質問の趣旨を十分把握できておらず、大変恐縮ですが。 ○倉持幹事 現行法だと受遺者は欠格者とありますけれども、法人の場合は、法人なので実際には欠格者は誰もいないということになるのか、法人の場合には、その代表である役員は正にその法人なので欠格者だという理解で今考えられているのか、どちらを前提にして、この役員を入れるかどうかを考えられているのかという質問です。 ○齊藤幹事 今、規定として御提案しているのは、受遺者が法人である場合の、その役員、被用者が証人になれないという関係なんですが、疑義をお持ちなのはどういった場合。 ○倉持幹事 現行法でも、代表者は欠格者なのかというところです。それとも、法人だから欠格者は誰もいないということになるのか。 ○齊藤幹事 現行法では、最終的には文献を確認しなければいけないとは思いますが、代表者とは、人格としては法人とは別ですので、含まれていない前提かというのが検討の過程です。 ○倉持幹事 分かりました、ありがとうございます。 ○大村部会長 今のやり取りが必ずしもよく分からなかったのですが、想定されている場面というのは、受遺者は法人であるというのは、ここでの提案の前提になっていると思うのですけれども、そのときに、代表者が証人になるということは妨げられないのかという、そういう御趣旨だったのですか。 ○倉持幹事 そうですね、はい。 ○大村部会長 それは現行法においてですか。 ○倉持幹事 そう、現行法においてです。 ○齊藤幹事 現行法の第974条の第2号の読み方として、受遺者の代表者は証人欠格事由ではないのかという御質問で、それは、一応そういう理解で検討しているつもりですというお答えをしたところです。   受遺者の代表者は、つまり、受遺者が法人である場合に、その代表者が証人であるからといって、それは直ちに欠格事由に当たるとは、現行規定ではなっていないのではないかということをお答えしたつもりです。 ○倉持幹事 はい、分かりました。 ○大村部会長 よろしいですね。 ○倉持幹事 大丈夫です。そうすると、だから役員と定めると、正に新たに欠格者を増やすということにつながるということで理解いたしました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○相原委員 私の意見としては、先ほどの欠格事由に関して、法人の場合にきちっと定めていただきたいというのが意見です。そして、不明確であるということの御指摘が結構あるというのも十分了解しているところです。   ただ、受遺者が法人であったら欠格事由者がいないというよりは、何らかの手当てをしていただくということで、少なくともメッセージはいただきたいというのが意見です。もちろん、被用者というのが非常に不明確になるからというのは、それも十分そういう意見が出るであろうことは分かってはいるんですが、私の求めるものは、ちょっと安定性の問題からかなりリスクがあるとするのだったら、せめてここまでは駄目というので明確に、法人が受遺者の場合でも、現行よりは何らかの歯止めをかけるというメッセージがほしいなというのが、私の意見です。 ○大村部会長 ありがとうございます。今、御意見いただきましたけれども、先ほどのやり取りで、役員については形式的に判断するということで、これを欠格事由にしてもいいのではないかというところについては、萩原委員もそれはそれでいいのではないかという御意見だったかと思いますので、それは一つ積極的に考えられるかもしれない。   さらに、被用者についてはどうかというところについては、今、多少御意見が分かれているところであって、被用者についても、相原委員は限定されていても入れた方がいいという御意見だろうと思いますが、では、どういう形で限定しておくということが可能なのかということが残っている問題ということかと思います。限定できれば、不明確であるということについては、一定程度まで懸念は払拭されることになる。   あとは、萩原委員がおっしゃったように、人がいなくなってしまうということがないか。その場面について何か対応するか、特別の方式について対応することができるかといった問題が残るというのが、今いただいている御意見かと思って伺っております。今欠格事由のところに御意見が集まっていますが、欠格事由について更に御意見を頂いても結構ですし、あるいは成年被後見人の遺言の方について御意見があれば伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○木村幹事 すみません。私の質問は、欠格事由に関するものではなく、1の成年被後見人の遺言のところについて、事務局にお伺いできればと思います。   アというものが成年後見制度の見直しの議論の中で提案されており、それに関してイ、ウ、エという提案が続いているところです。単に文言を捉えただけの理解としての問題かもしれませんが、アでは「遺言をするには」という形になっているところ、保管証書遺言の場合については、今回の提案において、部会資料1ページによれば、保管証書によって遺言をするには、①という形で遺言の全文が記載されたものについて、それを講じるということ、②で遺言書が遺言書保管官の前で全文などについて口述をするということになっていると思います。   そのうえで、成年被後見人の遺言について、アでは、この遺言をするには「医師二人以上の立会いがなければならない」と書かれており、ウでは、「保管証書による遺言に立ち会った医師は」と書かれております。この点について、保管証書遺言の場合における「遺言をするには」という記述と、このアとウとの関係について、もう一度理解を正しくするためにお伺いしたいというところです。   ここで、保管証書による遺言に立ち会うということが医師において求められているのは、主として②の遺言書保管官の前で口述をする場面を念頭に置かれた記述であるという理解が正しいのか、それとも、①及び②を念頭に置いて遺言をするとか遺言に立ち会ったという理解をすべきなのか、ということです。この点について、事務局がウを提案された趣旨も踏まえて御説明をもう一度いただければと思います。   というのは、少なくとも①について、遺言の全文を作成したのが遺言者かそれ以外の者かについて判別できないことがあると理解していたからです。そのため、保管証書遺言において、遺言に立ち会うという医師が求められている場面は具体的にどのような場面なのかについて、保管証書遺言との関係でもう一度教えていただければという点です。   それとの関係で、7ページにおいて、遺言者の意思能力そのものについては、保管官は形式的審査を前提としているというような説明がなされているところ、そのような説明とウとの関係がどのように理解できれば良いのかについても、事務局の整理の何かあれば教えていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。保管証書による遺言に医師が立ち会うという場合の立会いというのがどういう場面を想定しているのかということが主たる質問で、それとの関係で、意思能力の問題についてはどう整理されるのかということだったかと思います。 ○齊藤幹事 質問の御趣旨にきちんとお答えできていなければ、また重ねて御質問いただければと思いますが、35ページのウ、「立ち会った医師は」という、その立会いはどの場面を保管証書において想定しているのかという御質問と理解いたしました。   現状、念頭にあるものとしては、1ページで言うと、②全文の口述をする、ここは少なくとも不可欠だろうと思います。つまり、医師が立ち会うことは、②については想定していると。   それに対して、①については、両様あり得るのかなとは思いますが、例えば、電子署名等を講ずるという営み自体は事前にしていることもあり得るとすれば、1①の行為自体は、その立会いの対象としては想定していないという整理も十分可能であり、少なくとも、現状では②は少なくとも立会いが必要ではないかということかと考えました。   その上で、7ページの意思能力の確認との関係についての二つ目の御質問ですが、ここは、医師の立場からすると、遺言をしようとする方は、今一時的に事理弁識能力を回復しているということを確認することを、立会人として確認すべき立場にいるということかと思います。   それに対して、遺言書保管官は、立会人となった医師がその確認をしたということを、結論部分において受け取る側にいるので、その遺言者の意思能力の回復の有無等について、保管官が直接何か審査とか確認をするということではないという理解でおりました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   木村幹事、更に、いいですか、何かあれば。 ○木村幹事 大丈夫です。 ○大村部会長 ありがとうございました。   ほかにはいかが。 ○内海幹事 幹事の内海です。先ほどの受遺者の被用者を欠格事由に含めるかという論点なんですけれども、資料の38ページで、公証人法第35条に被用者概念が出てきて、これは昔の「雇人」というものから規定を現代的に改めたという御紹介があるのですけれども、この雇人というのはものすごく古い時代から入っている規定なのかという質問で、また仮にそうなのだとすると、近年の公証人法の改正のときに、これは要らないという話にならなかったのかというようなことについて、何かご存じであれば教えていただければと思います。というのは、民事訴訟法では、証言拒絶権に関する第196条という条文がありまして、その旧規定には、主人として仕える人が刑事上の罰を受けるとか、その人の恥辱に帰すべき事項について証言拒絶権があるというような条文が含まれていたわけですけれども、平成8年改正のときに、現代的ではないという理由でその部分は落ちて、証人本人と一定範囲の親族、後見人だけが対象として残ったという経緯があります。   その話との比較で、雇人が証人になれない理由として、後で都合の悪いことを証言しろと言われたときに証言拒絶ができることになっているからだというような話が仮にあったとすると、現在の民事訴訟法ではそこは関係なくなっている可能性があるのではないかと少し思ったということです。もちろん、そういう話とは全く別に、現代における立法事実として、こういう人を証人しては危ないということはもちろん別途あり得るんだと思うんですけれども、ちょっとこの公証人法の条文から話が来ているということをうかがいまして、もし御存じのところがあればお尋ねしたいという趣旨でございます。 ○大村部会長 何かもしあれば。 ○齊藤幹事 御指摘は問題として検討したいと存じます。現状、公証人法の改正の経緯等について詳しく御説明するほどの用意がないところですので、少し調べてみたいと思います。   問題提起ありがとうございます。 ○大村部会長 ほかにはいかがでしょうか。   よろしいですかね。   先ほども申し上げたところでありますが、欠格事由については、法人の役員については皆さんそれでいいのではないかという御意見で、その先をどうするのかということについては、なお検討するというのが今日のところの御意見かと承りましたので、それを踏まえて、更に次回御議論を頂きたいと思います。   それで、最後が部会資料の14-2の第2の部分ですね。「障害がある者についての特則の横断的検討」という部分になりますけれども、この部分についての御審議をお願いしたいと思います。   事務当局の方からまず説明をお願いいたします。 ○大野関係官 部会資料14-2の7ページ以下の第2では、「障害がある者についての特則の横断的検討」として、本部会で検討されている新たな遺言の方式において、障害を有する者においても不足なく、かつ、各方式において整合的に遺言することが可能な方式になっているかどうかについて横断的に整理する観点から、保管証書遺言、死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言における障害がある者についての特則を抜粋して記載しております。   8ページからの補足説明では、平成11年民法改正の概要等について記載した上で、9ページ以下の3では保管証書遺言の場合について記載しております。言語機能障害を有する者については、通訳人の通訳により申述し、又は自書することで保管証書遺言をすることができること、聴覚障害や視覚障害を有するものについては、必要性がないため特段の規律を設けるものとはしていないこと、手に障害を有する者については、電磁的記録をもって作成する場合には電子署名を行い、書面をもって作成する場合には証書への氏名の記載をするとともに、遺言書保管ファイルにその旨を記録することによって保管証書遺言をすることができることなどを記載しております。   11ページ以下の4では、死亡危急時遺言の場合について記載しております。   遺言者が言語機能障害を有する場合については、通訳人の通訳により申述して口授に代えなければならないこと、聴覚障害を有する場合については、通訳人の通訳により読み聞かせに代えることができること、視覚障害を有する場合や手に障害を有する場合については、必要性がないため特段の規律を設けるものとはしていないことを記載しております。   また、証人が障害を有する場合については、障害の程度も様々であり、証人としての役割を適切に果たしている場合もあり得ることから、個別具体的な事案における遺言の方式の適否の判断に委ねることと整理し、特段の規律を設けるものとはしておりません。   13ページ以下の5では、船舶遭難者遺言の場合について記載しております。   遺言者が言語機能障害を有する場合については、通訳人の通訳により遺言をしなければならないこと、聴覚障害を有する場合、視覚障害を有する場合又は手に障害を有する場合については、必要性がないため特段の規律を設けるものとはしていないことを記載しております。   また、証人が障害をする場合については、死亡危急時遺言と同様、個別具体的な事案における遺言の方式の適否の判断に委ねることと整理し、特段の規律を設けるものとはしておりません。   14ページの6では、障害者団体から複数の通訳者の配置を求める旨の意見等につき、現行の公正証書遺言の在り方等を踏まえ、慎重に検討する必要がある旨を記載しております。   第2についての御説明は以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。障害がある者についての特則がばらばらと出てくるので、整合性が取れているだろうか、過不足がないだろうかということについて、どこかで一度チェックをする必要があるのではないかということで、今回検討していただいたのですが、結論としては、問題なくできているという、そういうことをおっしゃっていただいたものと理解をしています。   この点につきましても、御質問、御意見等があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。   特に御発言等ございませんでしょうか。   では、今日のところは御意見はないということで引き取らせていただきたいと思います。   これは、チェックが必要だということですので、何かお気付きのことがありましたら、また会議の中で、あるいは会議の外でお知らせ頂ければと思います。   これで、本日用意していた議題は終了ということになります。   次回の議事日程等について、事務当局の方から御説明をお願いしたいと思います。 ○齊藤幹事 本日も熱心に御審議を頂き、ありがとうございました。   次回の日程は、12月9日火曜日、午後1時30分から午後5時30分まで、場所は地下1階の法務省大会議室となります。本日の御議論を踏まえ、更に引き続き要綱案のたたき台を御準備させていただき、それを基に御審議いただければと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。12月に入りまして、年内にあと2回予定しておりますけれども、次回は12月9日ということになりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。   それでは、本日法制審議会民法(遺言関係)部会の第14回会議、これで閉会させていただきたいと思います。   本日も熱心な御審議を賜りましてありがとうございました。閉会いたします。 -了- -48-