法制審議会 民法(遺言関係)部会 第15回会議 議事録 第1 日 時  令和7年12月09日(火) 自 午後1時30分                       至 午後4時43分 第2 場 所  法務省大会議室(地下1階) 第3 議 題  民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案のたたき台⑵ 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会民法(遺言関係)部会の第15回会議を開会いたします。   本日は御多忙の中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。   それでは、本日の審議に入ります前に、配布資料について事務当局の方から御説明をお願いいたします。 ○石川関係官 配布資料として部会資料15「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案のたたき台(2)」がございます。また、席上のタブレットには委員等名簿及び議事次第を格納しております。   本日の配布資料は以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   それでは、本日の審議に入りたいと思います。本日は、前回に続きまして要綱案のたたき台について御審議をお願いしたいと存じます。部会資料15の第1から第5までございますが、基本的にはこの第1、第2という項目ごとに検討を進めていきたいと思います。   まず、部会資料15の「第1 普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式等の創設」、この部分につきまして御審議を頂きたいと思います。まず、事務当局の方から御説明をお願いいたします。 ○戸取関係官 部会資料15は要綱案のたたき台(2)としており、本文について前回の部会資料14-1のたたき台(1)から実質的な変更がある部分に下線を引いております。   本文の第1の1では「普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式等の創設」として、新たな遺言の方式に関する規律について記載しております。それでは、部会資料14-1からの主な変更点を御説明いたします。   まず、本文1(1)の(注1)として、保管証書の定義を定める規律を設けるものとし、その内容を記載しております。前回会議で、保管証書という文言について別の表現が望ましいのではないかとの御指摘を頂いたところですが、5ページの補足説明に記載しているとおり、保管という文言がその証書の性質を示すものであるといえること、保管という文言を用いることによって、有効な遺言となるために保管が必要であることが示され、自筆証書遺言と新たな方式による遺言との関係性を示す上でも保管という文言を用いることが有用であると考えられることなどを踏まえ、定義規定を設けた上で保管証書という文言を用いている旨記載しております。   次に、本文1(2)ア(ア)②及びウについて、遺言者が遺言の全文を口述することとした上で、遺言書保管官が財産目録を遺言者に閲覧させることその他の法務省令で定める措置を講ずるときは財産目録の口述を要しない旨規律を設けるものとしております。前回会議で、遺言者が別紙として添付された財産目録の内容を認識した上で遺言の全文を口述する必要があるとの考え方に賛成する意見が複数あったことを踏まえまして、法律の規律としてもその旨明確化する必要があると考え、その観点から本文を修正しています。   本文1(2)エでは、分かりやすさの観点から、(ア)から(エ)に表題を付けて整理した上で、前回会議での御議論を踏まえ、(イ)として、外国語で記載等がされた遺言書を保管証書遺言の対象とし、その遺言の全文の日本語による翻訳文の提供及び口述の通訳をさせる措置その他の当該口述がされたことを遺言書保管官において確認するために必要な措置として、法務省令で定めるものを講じなければならない旨の規律を設けるものとしております。   本文1(2)エ(ウ)③の(注6)では、前回会議での御議論を踏まえ、遺言書保管官において、遺言者の周囲に介助者等以外の他人がいないことを求め、遺言者の周囲に他人が存在することなどがうかがわれる場合にはウェブ会議の利用を中止し、遺言者に出頭をさせるものとする運用を想定している旨記載しております。その運用の在り方として、補足説明の10ページでは、介助者等については、推定相続人や受遺者等証人及び立会人の欠格事由に該当する者は認めないことが望ましく、他に適切な者がいない場合にのみ介助者等として同席を認めることが相当と考えられる旨記載しております。   本文1(2)エ(エ)②の(注7)では、遺言書保管ファイルに記録する事項の具体例のほか、政令又は法務省令において、相続人等が遺言書保管ファイルに記録されない申請書の添付書類等の閲覧又は謄本の交付請求等をすることができる旨を定めることを想定している旨記載しております。前回会議では、遺言書保管官において一定の事項を記録化すべきであるとの指摘を複数頂いたところですが、10ページ以下の補足説明に記載しておりますように、遺言の方式要件等によって適正に遺言がされ、及び保管されたものであることを確認するため、具体的な本人確認の方法等について記録する必要があると考えられますので、それらの事項については遺言書保管ファイル又はその他の方法によって記録化し、一定の場合には相続人等が閲覧等を請求することができることを前提に記載しております。   続いて、11ページ以下の「2 保管証書遺言書の保管制度の規律」についてですが、部会資料14-1から実質的な変更はございません。補足説明において、書面をもって作成された保管証書遺言書の取扱いについての考え方を記載しております。   13ページ以下の「3 保管証書遺言書の保管の申請の撤回に関する規律」について、前回会議での御指摘を踏まえ、(3)として、閉鎖遺言書保管ファイルに記録する情報として、その他法務省令で定める情報を追記し、その具体例としては保管の申請の撤回がされた年月日等が考えられることから、その旨を(注)に記載しております。   部会資料15の第1についての御説明は以上です。 ○大村部会長 ありがとうございました。前回御議論いただいたところを踏まえまして、それを反映していただいたということかと思います。主として1ページの財産目録の部分と、それから2ページの外国語関係の部分、そして、御議論があったところについて(注)という形でそれを掲げるという形で対応を頂いたものと考えております。   これらにつきまして御質問、御意見をお伺いしたいと思います。御質問、御意見、どちらでも結構ですので、挙手の上で御発言を頂ければと思います。どなたからでも結構です。よろしくお願いいたします。 ○隂山委員 ありがとうございます。隂山でございます。3点ほど意見を申し上げさせていただいた上で、1点御質問を差し上げたいと思います。   まず、第1の1(2)ア(ア)②で、全文を口述することとされており、ウで相続財産の目録の特則が入っています。この点、財産目録の合綴は実務的にも多く見られる形式であると思われますが、財産目録につき多くの不動産や有価証券等を所有している場合、その全てを口述しなければならないとすると遺言者にとってかなりの負担になります。登記事項証明書や通帳の写しなどが合綴されているようなケースで全文の口述が求められるとすると、どの部分まで口述すればよいか分からないといった事態も考えられます。そのため、御提案の内容の方向性に賛成です。   なお、本部会での議論の対象外になることは承知しておりますが、今後全ての財産を妻に相続させるといった趣旨の遺言が多くなった場合、近時は相続財産の中にデジタル資産なども多く含まれてくるようになってきており、取り分け、アンホステッドウォレットなどで管理をしているようなケースでは、承継させるべき財産がどこに存在するのか、また事実上の承継が可能であるかなど、様々な課題が生じるように思われます。今般の議論を踏まえて、遺言者の意思を適切に残し、遺言の未発見リスクを低減させることに成功した後の課題になると存じますが、希望に応じて遺言者が有する相続財産を適切に把握できる仕組みなどについても継続的な検討が必要であるように捉えています。   2点目といたしまして、ウェブ会議の点でございます。2ページ(ウ)②の相当と認めるときについて、どのような場合に相当と認めることができるのか、相当と認めることができないときとはどのような場面なのかを一問一答などでお示しくださいますと、今後の実務においての指針になると思われます。   また、3ページ(注6)では、介助者、機器の操作補助者以外の他人がいないことを確認すると記載されており、介助者や操作補助者以外の他人が存在するような場合には、ウェブ会議を中止し遺言者を出頭させるという考えが示されています。介助者や操作補助者以外の他人という書きぶりから、介助者や操作補助者であると認められた者がウェブ会議の途中において不当な働き掛けを行っていると認められるような場合でもウェブ会議が続行されるのではないかといった誤解が生じないような説明などがあると、安心感が増すのではないかと考えています。   3点目が、相続人等に対する通知でございます。こちらも今後の運用の問題となりますが、信頼性の高い安全な通信経路による相続人等への通知についても、今後の技術の進展を見据えつつ、偽サイトへの誘導を防止する観点等からも、整理をしていく必要があると考えています。例えば、マイナポータルなどを活用することによってフィッシング詐欺などを行うことができないような仕組みを検討することにより、相続人等が安心して通知を受けることができる環境とすることも重要ではないかと思われます。   最後に、御質問といたしまして、本文2(2)エでは、保管証書遺言書に係る情報等を証明した書面の交付又は電磁的記録の提供を請求できるとありますが、保管証書遺言書原本が書面の場合であっても電磁的記録の提供を求めることができ、また、保管証書遺言書原本が電磁的記録の場合であっても書面の交付を求めることができるという理解でよろしいでしょうか。 ○大村部会長 ありがとうございます。隂山委員からは3点の御意見と1点質問を頂きました。御意見の方は、目録の件については基本的な方向に賛成ということであったかと思います。また、ウェブ会議の件、それから相続人等への通知の件につきましては、これはここのゴシックの部分の問題ではありませんけれども、より明確な説明、あるいはより安全な方法の探求を今後更に進めていくべきだという御意見を頂戴いたしました。その他、財産の探索などについても今後の課題として御指摘を頂きました。1点、御質問がありましたので、それについてお答えをお願いします。 ○齊藤幹事 御質問の点につきましては、御理解のとおりかと考えております。文言で申しますと12ページの上から5行目、エの1行目、アの保管証書遺言というところにつきましては、電磁的記録と書面とを含むということになるかと思いますので、書面によって又はデータによって証明等を行うということになるかと思います。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。   そのほか、御発言いかがでしょうか。 ○倉持幹事 まず、これは御質問なのですけれども、保管申請書の申請があった際に作る遺言書保管ファイルと、それと別に添付書類などがあると思うのですが、例えば外国語で出されたものについて、その反訳文などを添付書類として保管するということなのですが、若干危惧が出たのが、その保管期間が何年なのかということで、添付書類は今の省令などを見ると10年と短い期間になってしまうのではないかと。実際に遺言の効力が生じて執行する段階で添付書類が残っていないとすると、それはそれで問題なのではないかということで、要するに、ここで記録をデータ化するという話が出ていますけれども、結局それがいつまで保管されるのかというのをもう少し丁寧に種類別に、遺言書保管ファイルは何年ですだとか、添付書類は何年ですだとか、その辺を少し明確にしていただきたいというのが御質問の一つです。   あと、新しい保管証書の位置付けなのですけれども、従前の議論では、新しい制度というのは自筆証書遺言と並んでその真意性・真正性が確保できる制度かどうかということで検討してきたのでありますけれども、結局今目指しているところで言うと、自筆証書を保管するだけではなくて、その際に全文読み上げるということで、いわゆる公的機関である法務局が預かってしっかり作成されたということだとすると、自筆証書よりもかなり信頼性が高いのかな、公正証書までは行かないけれども、多分その中間という位置付けになるような気もしています。そのため、保管証書の位置付けを、公正証書や自筆証書といったほかの遺言書との関係でどのように位置付けを考えているのかというのも、やはりここの説明の中で盛り込んだ方がいいのではないかということで、これは質問なのか意見なのか分からなくなってきましたけれども、質問としては、この保管証書の位置付けをどう法務省の方で考えていらっしゃるのかということになります。 ○大村部会長 ありがとうございます。御意見も含みつつ、2点について質問という形でお尋ねいただいたかと思いますので、事務当局の方からお願いします。 ○齊藤幹事 保管期間についても細目が重要ではないかという御意見、御質問と承りましたので、少しそこは現行の制度も踏まえながら、必要な範囲で御説明できるようにしたいと思います。   それから、自筆証書、公正証書との関係での位置付けというお話ですが、基本的にはこれまでの御議論の成果物が今ある保管証書であって、その方式を自筆証書と比較するとどういうことがいえるか、公正証書と比較するとどういうことがいえるかということは、おおむね御指摘のとおりかという気がいたします。ですので、そこをどう正面から表現するかについては、御指摘を踏まえて検討したいと思います。 ○倉持幹事 保管期間についてせっかく調べていただいた方がいるので、具体的に申し上げると、法務局における遺言書の保管等に関する省令の第4条第1号で、遺言書保管申請書等つづり込み帳は受付の日から10年間とあるので、これになってしまうとかなり短くて、余り役に立たないのではないかという指摘がございましたので、それを踏まえていただければと思います。 ○大村部会長 よろしいですか。今の点も含めまして御検討いただきたいと思います。   そのほか、いかがでございましょうか。 ○小粥委員 委員の小粥です。細かいことで、ゴシックには関係ないこと三つです。   一つ目は今、倉持幹事がおっしゃったことと関係するのですけれども、遺言書保管官に提供する情報というのがあって、この提供する情報がゴシックのところのどこで受けて預かるというか保管するということを書かれているのかというのが分からなくて、現行法だと提示はあるけれども提供はないのではないかという気がしていて、その提供をゴシックでどこか受けているのか、あるいはそこではなくても読み取れることがあるのかということが一つ目、これはお尋ねですかね。   二つ目は、説明のところでいうと5ページの29行目以下のところに関わるのですけれども、かねてから隂山委員が御指摘の自筆証書遺言と保管証書遺言の関係のところでございます。これは何回か前のこの会の審議だと、自筆証書遺言の基準日というのは実際に作成された日で、保管証書遺言の場合は遺言書保管官の前で口述が行われたときだと。そうすると、その作成の時期がずれているので、一般論としては後の方の遺言が生き残るのかなという気もするのですが、しかし内容が同じなので、その二つの関係が本当にどうなるのかというのは、少し調べてみたのですけれども、よく分からないところがあるのです。その両者の関係を問題にしているということは、基準時点が異なる二つの遺言について、両方併存しているという理解を前提にされているのかどうか、それで本当にいいのかどうかということが分からなかったものですから、これもお尋ねということで恐縮ですが、お尋ねを申し上げます。   それから、三つ目ですけれども、保管証書遺言の本文と目録との関係でして、現在のゴシックの書き方は、現行の自筆証書遺言の本文と目録の関係をパラレルに移したようなものに思われるわけです。しかし、これが保管証書遺言という形で電子的に行われる場合には、かねてから相原委員が御指摘のとおり、本文と目録との関係が、つながりが切れかねないというような危惧があるわけで、そのつながりを担保するようなことを実体法に明記する必要はないのかなというような気がしたものですから、少し言ってみたというだけで、これも事務当局の御感触を伺えればと思う次第です。   以上、三つでございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。小粥委員から3点ありましたけれども、いずれも質問という形になっていたかと思いますので、これも可能な範囲で今の時点でのお考えをお願いします。 ○齊藤幹事 1点目の御質問は、御趣旨をきちんと理解できているかどうか自信がないのですが、2ページの上から9行目、①の保管の申請をしようとする遺言者は、省令で定めるところにより遺言書、申請情報、添付情報を保管官に提供する、こういうふうにして情報が提供されるというところを表現しているつもりでございます。それ以上にまだお答えになっていない点があれば、更に御質問いただければと思います。   それから、2点目につきましては、5ページから6ページに掛けて記載をしております。一応ここに記載したこととしましては、5ページの下から4行目辺りで、手書きのものが保管証書遺言として保管された場合、自筆証書としての効力と保管証書としての効力を有することとなるところ、保管の申請について撤回された場合には保管証書としては撤回されるというような整理をしたつもりです。これも更なる御質問があれば、また頂きたいと思います。   それから、最後の3点目に関しましては、目録に関しましては今回1ページの一番下の方、31行目辺りで規律を更に具体化したというところで、この目録に当たるかどうかについては、その記載の中身から判断されるということになるので、一応文言としてはここで表現できているのではないかと考えておりますが、この点もお答えになっていなければ、更に御質問いただければと思います。 ○大村部会長 小粥委員、追加の質問が多分あるのではないかと思います。どうぞ。 ○小粥委員 すみません。1点目は、申請者が提供するということは確かに書かれているのですけれども、その提供されたものを遺言書保管官がその後どうするのかという規律はどうなっているのかというお尋ねだったつもりです。 ○齊藤幹事 それにつきましては、3ページの(エ)保管の手続のところに一定程度対応があるのかと考えておりますが。 ○小粥委員 係る情報の管理というところに、提供されたものも含まれるということでしょうか。いや、こだわるものではなくて、そこに関する、提供されたものを遺言書保管官がどう扱うかについて御検討いただけばというか。 ○齊藤幹事 承知しました。現行法に基づきながら2ページ、3ページ辺りのゴシックを検討してきたところでございます。ただ、他方で政省令に委任されている部分等もありますので、そこがゴシックにした場合には表現できていないというか、法律事項に当たらないので記載されていない部分とかがあるという可能性もございます。今の御質問を精査して、現状の書き方でいいのかどうかは検討したいと思います。 ○大村部会長 小粥委員、1点目は、ここで想定されている手続を受けるような文言というか、その条文というものが、法律なのか下位規範なのかは分からないけれども、きちんと整っているかどうかを確認しておく必要があるという御指摘ですね。 ○小粥委員 そのとおりでございます。 ○大村部会長 お答えも多分、それを精査するというお答えだったと思いますので、それはそのようにお願いできればと思います。2点目、3点目も、更に多分質問があるのではないかと思って、先ほど伺いました。 ○小粥委員 余りここで掘り下げたいという趣旨でもないのですけれども、基準時が異なる二つの同一内容の遺言が効力を有した状態で併存するというのは、よく考えてみたら少し、それで大丈夫かなという気がしたものですから、そうすると、それを前提に説明が書かれているわけですけれども、本当にそれで大丈夫だろうかということを申し上げて、終わりにしたいと思います。   第3点目については、相原委員らが御指摘の御懸念に対応する実体法上の何がしかの手掛かりを民法の中に残すと、つまり、本文の全文を口述するという書き方にしたわけですけれども、その本文の全文を口述するというときに、財産目録との関連性を担保するような、担保されていなかった場合は遺言無効の判断をできる、その手掛かりとなるような何がしかの実体法のルールを設けるということは考えられないだろうかという気持ちも持っておるのです。 ○大村部会長 3点目については、先ほどの齊藤幹事の答えは、実質的に見て財産目録といえるかどうかを判断するという御趣旨だったと私は理解したのだけれども、それを何かより形式的なというか、あるいは物理的なというか分かりませんけれども、そういう形で確保するという必要があるという指摘がなされているのではないかと受け止めました。 ○小粥委員 はい。ですから、そうでない意見もあり得るし、あるいはそれは下位法令で担保するということでもよいのですけれども、そもそもどちらなのかというか、私自身は民法でその手掛かりを設けてもいいのではないかという気がするけれども、どうかということでした。これも意見ということで、以上で結構でございます。 ○大村部会長 少し御検討いただくということにしたいと思うのですけれども、齊藤幹事、御趣旨の方はよろしいですか。 ○齊藤幹事 私の理解が追い付いていなければ大変申し訳ないのですが、小粥委員がおっしゃるのは、1ページの24行目辺り、全文の口述をすることという表現の中に、本文部分と目録に当たる部分とが交じって全体として表現されているけれども、ここをむしろ区別するような表現も検討し得るのではないかという御趣旨でしょうか。 ○小粥委員 私が分かっていないのかもしれないですけれども、ここの遺言の全文を口述するというのはどういう意味だったでしょうか。 ○齊藤幹事 24行目の全文を口述というのは、括弧書きで何かを除くということが表現されていませんので、財産の特定に関する記載も一旦は含んだ形で全文という表現になっているという理解だと思います。 ○大村部会長 小粥委員は今、ゴシックとの関係で御質問になったわけなのですけれども、ゴシックは口述をするかどうかという観点から書かれていて、全文口述が原則なのだけれども、しかし例外的な扱いがされることがある、これがここに直接書かれてあることかと思いますが、その前提として、財産目録と遺言書本体との関連付けを図る必要があるという指摘がされているのではないかとお尋ねになっていると私は理解したのですけれども、そういう理解でよろしかったでしょうか。 ○小粥委員 結構でございます。 ○大村部会長 むしろそちらの問題なのではないかと。 ○齊藤幹事 関連付けとおっしゃるのは。 ○大村部会長 自筆証書の場合には、自筆で書かれているものと、例えば例外的に自筆でなくていいものということで種類が違うということになって、それは別のものなので何らかの形で結合しなければいけないということになるけれども、この場合の財産目録というのは、その他の部分と性質上は違わないのだろうと思うのです。そうすると、財産目録というものが本文と別のファイルになっていたとしても、それは本文が二つのファイルに分かれているという場合と性質としては同じ問題になるのではないかと思うのです。 ○小粥委員 なるほど。 ○大村部会長 多分、齊藤幹事がおっしゃっているのはそこですよね。齊藤幹事の側から反論しようとすると、そういうことになりませんか。特に、ここで問題になっていることは財産目録に固有の問題としてはないのではないか、そういう答えになるのではないかと感じました。少し御指摘も踏まえて、また御検討いただくということでよろしいですか。   あとは、2問目ですが。 ○齊藤幹事 2問目につきましては余り、蛇足になるかもしれませんけれども、二つのものが有効にあるというときに、成立時点が別々ということで本当にいいのかどうかという重ねての御質問だと理解しました。現状5ページ辺りで記載していることを理解すれば、そのとおりになるのかと思い、ただ、成立時点が異なる二つのものの併存というのはやはり避けるべきという整理があるとすれば、例えばその場で考えれば、保管証書として保管がされている場合には、そして撤回がされていない場合には、そちらで成立するということが、上書きというか手続を重ねた上でされているので、そちらの証書で遺言として効力を有するという整理も他方ではあり得るのかなとは感じました。ただ、併存するという説明をとる場合には、成立時点が自筆の場合には記載して完成させた時点、保管の場合には保管時点ということで異なってしまうというのは、記載のとおりという気がいたします。二つ目の整理があり得るのかどうかは、少しまた検討を要することかなという気がいたします。 ○戸取関係官 若干補足いたします。二つの方式の効力を有するという点について、現行法につきましても、全文手書きした自筆証書遺言書を中に入れて秘密証書遺言をするという場合は秘密証書遺言として成立しながら自筆証書遺言としての効力を有するという考え方もあり得るところで、現行法にも似たような立て付けの仕組みはあるのかなと理解しているところでございます。 ○大村部会長 差し当たり、よろしいですか。ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○相原委員 相原でございます。今の小粥委員と齊藤幹事の応答から少し確認させてください。自筆証書遺言の場合には、目録について実体法の中で相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については自書することを要しないと明文化されているわけです。これが新しく保管官の前で口述する場合についてどういう書き方になるのかの確認です。私自身全文口述まではしないで、保管官が法務省令等々に従った丁寧な確認の方向を明確にしておくということで致し方ないと認識しています。当初は全文口述もいいのではないかという意見も申し上げましたけれども、現段階では現在の案を否定するものではありません。ただ、一部は口述しなくてもよいみたいな、そういう書き方をするのか、そこは書かないで後の運用とか、いわゆる下位のところで書くという認識でよろしいのでしょうかというのが1点です。   それともう一つ、これは少し意見にもなりますが、前回も申し上げたことで大変恐縮ですが、財産目録の全文を口述しないことと、ウェブを用いた場合の両方の問題点として、保管官が閲覧させるなどしてというふうなマニュアルだけであるとすれば、ウェブで画面に財産目録を見せて、それを閲覧させたみたいな形では適当ではないと思います。高齢者で小さい文字とかが見えにくくなっている人も多い状況なので、そこら辺のところはQ&Aなど、先ほど隂山委員もおっしゃっていましたけれども、適切丁寧なフォローをしてほしいと思います。   最初が質問と、後半が意見でございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。御質問と御意見を頂きました。御意見の方は、財産目録について全文口述が必要でない、閲覧だということになったときに、ウェブで閲覧ということになると十分に目視して確認できないというようなことが生じ得るので、それに対する対応策というのを考えていただく必要があるのではないかということですね。 ○相原委員 はい、そうです。 ○大村部会長 その前の前提は、今のゴシックの部分の作りについての御理解を確認するという趣旨の御質問だったかと思いますが、それは、事務当局のほうでお願いします。 ○齊藤幹事 今の点は、1ページの21行目以下、②の部分で、まず全文の口述、またその前提として①で遺言の全文が記載され、というものがございまして、そこで全文という範囲は特定をされて、そこには除外部分はないのが①、②の記載かと思います。そこにぶら下がるような形で31行目のウの部分、目録の特則ということで、ア(ア)②、それからイの場合は障害者ですが、それに関して例外を設けて、①、②で出てきた全文という部分の一部分、財産目録に当たる部分についてはウの特則が適用されると、こういう仕組みの記載ぶりです。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。 ○相原委員 それ以上は少し難しいかなとは私も思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○萩原委員 前回の会議でも申し述べさせていただいた点に関して、例えば今の別紙の目録の確認の問題、それから外国人の遺言の場合の通訳とか翻訳文の添付、さらには今回、読み上げ、面談、特にウェブの際の周囲に人がいるかどうかということ、誰か介助者以外の者がいないのかどうかとか、そういった点がかなり整理されてきていると思いますので、今回の御提案について私の意見としては異論はございません。   そこで、本日の議論の中で出た全文と別紙目録の関係について申し上げたいと思いますが、自筆証書遺言ですと自ら手で書かれるわけです。ですから、手で書かれる本文と、それからいろいろと財産の目録などがある、それはどういう形であれ、パソコンで打った書類を別紙に付けるということで、かなり明確ですけれども、こういうパソコンで打った手書きではない書類となりますと、私どもは今、公正証書を作成しておりますと、本文それから別紙、これをきっちり分けているのと、別紙の財産の目録自体に、それを本文の中に入れてしまう、パソコンで打って作るものですから、そういうものもあります。その場合に、全文の口述といった場合に、別紙の目録に入れているであろうと想定される財産関係が本文に書いてあれば、そこはやはり全部読んでいただくということになるのか、つまり、遺言書保管官がどこまで全文の読み上げをやっていただくのかという場合に、そういうデジタル遺言が出てきた場合の取扱いというのは、これは少しやはり困惑するのかなと。   ですから、いろいろな例を含めて、物理的に別紙と本文が分けられている、そういう非常に分かりやすいものは本文部分を読み上げ、別紙の部分は目をずっと通してもらって、これでいいでしょうかと確認するだけでよろしいと、これは分かりやすいのですけれども、それが全部本文の中に組み入れられていた場合は、これはもうきっちり読んでいただくということなのか、そういった点も含めて、これは法律の問題とは違うわけですけれども、その他の規則、特に通達でしょうか、そういうところできちんと整理していただいた方がよろしいかと、ここは私の意見でございます。   同様に、法律の内容としては大分詰まっており、今後は規則や通達の話になると思いますけれども、今、例えばウェブの場合でも、私どもは電子公正証書でウェブ会議の導入を、公証人法では基本的に抽象的というか、ウェブで行えるという規定になって、規則でかなり具体的な記載にはされていますけれども、例えば本日出ましたような、隂山先生から相当性の判断基準一問一答という御意見も頂きましたが、そういう相当性の判断基準というのはかなり詳しく通達で定めていただくなどしております。やはり規則、通達でそういう具体的なところを今後更に明確にしていただくようにお願いしたい。恐らく、対応する遺言書保管官サイドとしてはそこら辺は強く求めてくるであろうと思いますので、その点、特に法務当局の方でお願いしたいと思います。それは、先ほどの読み上げの際の同席の取扱いとかいうところとも通じる、全てに通じると思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。萩原委員からは、前回議論したものが組み込まれた形になっているので、この方向性に賛成であるという御意見を頂戴いたしました。先ほどから話題になっている全文と目録の関係については、整理をしていただく必要があるのではないかという御指摘があったかと思います。本文中に目録であると思えるようなものが入っているときに読むのか読まないのかということについて、今もしかするとこの中でお考えが一致していないところもあるようにも思いますので、方針を明らかにするということが望ましいのではないかというお話だったかと思います。その他、規則、通達で定めることが多いであろうという御指摘を頂戴いたしました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○戸田委員 先ほど倉持先生からの質問で、この位置付けを明文化するかどうかについても齊藤様の方で検討されるという話だったと思うのですけれども、デジタルになると、口述が必要となると、少し面倒だと感じる人は恐らく多いと思うので、具体的な法的効果にはどのようなものがあるのかということをやはり明示していただいた方がいいのではないかと思いました。   それと、これは質問なのですけれども、デジタル化のメリットについてですけれども、実際に現状の自筆証書遺言書保管制度だと、遺言書保管官の方が大体1時間ぐらいかけて内容をチェックされています。その間、申請者はどこかで待つしかないという状況がありますが、こういったものはデジタルであれば、補正すべき内容について自動的に瞬時に処理して、来られた方を待たせずに、口述が終わったらすぐに手続き終了、ということもできるのではないかと思います。また、実際には、予約制になるでしょうから、一遺言者当たりどのくらいの時間を想定するかというのはあらかじめ検討した上で予約管理をされると思います。デジタル技術によって短時間化できると予約も取りやすくなると思うので、そういった検討というのはされているでしょうかというのが質問でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。戸田委員から2点ありましたけれども、1点目は、新しい保管証書による遺言というものの位置付けということで、先ほども御発言があったところですが、条文にはそれはなかなか書きにくいだろうと思いますけれども、何らかの形で整理をしてもらう、一問一答などでといった話もありましたけれども、今度できるものがどういう位置付けになるのかということをどこかで整理していただくということが望ましいのかと思って伺いました。それから、2問目は、待ち時間等についてのお話があって、それが技術的なものによって短縮できるといったことはないだろうかと、これは御質問ですか、御意見ですか。 ○戸田委員 質問です。 ○大村部会長 では、御質問ということで。 ○齊藤幹事 今の点につきましては、法が施行されて実施されるまでにおける検討課題と、そしてまた、その時点、時点における技術的な進展の状況、あるいは法務局側の体制や設備等の問題との兼ね合いで、委員が御指摘のとおりに待ち時間等が利用のネックになるということも考えられますので、そういったことができるだけ低減できるように対応を検討していくという課題かと感じました。現状で何か具体的にこういうことを想定しますというところがあるわけではございません。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほか、いかがでしょうか。 ○内海幹事 幹事の内海です。私も議論を伺っていて、1ページに書かれていることの相互関係が、実質的には理解できたような気はするのですけれども、なお少し読みにくいところがありそうだなという気がしましたので、一応御指摘だけさせていただこうという趣旨で発言いたします。保管証書と一体のものとして記載され又は記録されている目録という表現が、現行の自筆証書遺言に関する民法第968条第2項でいうところの、一体のものとして添付される目録というものと表現がどう対応しているのかというところです。萩原先生のお話もそういうところに一部関わってくるかと思うのですけれども、遺言と目録は別ファイルになっていて、一体性はある種の評価の概念なのだという整理もあり得るし、一つのファイルの中で一体となっているものこそが一体だという意味、一つの記録の中で一体となっているというのがここでの一体なのだという読み方もあり得るように感じました。どちらもあり得る考え方ではあると思いますが、前者のような読み方をする場合には、では目録は保管証書なのか、ということが論理的にはさらに問題になり得るかと思います。現在の第968条第3項が、自筆証書に目録が含まれますというある種の注意書きを入れなければいけなくなっているのは、証書と目録を区別する読み方があり得るからだという気もするところです。ここでもそこまで書き込む必要があるかどうかはわかりませんが、目録が証書と別に存在するという読み方のもとでは、目録を保管する根拠は何かということも厳密には必要になってくるという気がしますので、その辺りの論理をもう少し整理する必要があるのではないでしょうか。自筆証書の場合は多分、これも萩原先生がおっしゃいましたように、手書きの遺言書と何らかのプリントアウトされている目録というのは別の紙であるということがよくあるかと思いますので、それを前提としたような書きぶりになっているのかなというところがあるのかもしれません。電磁的記録の場合にはその前提はあまりあてはまらないのかもしれないので、同じ書き振りにしなければならないかはわかりませんが、基本的には表現の問題と思いますけれども、整理の余地がありそうだということで、御参考になればと思って発言いたしました。 ○大村部会長 ありがとうございます。今、本文と目録の関係について、自筆証書と対比しつつ整理が必要ではないかという御指摘を頂きました。多分、小粥委員の問いも今の点に関わっているところかと思いますので、併せて少し整理をしていただければと思います。ありがとうございます。   そのほか、いかがでしょうか。   よろしいでしょうか。この第1の部分につきましては、これまでもかなり議論をしてまいりましたし、また、前回御指摘いただいたものも踏まえまして、今回それを取り込んだ形で書き直していただいているということだったかと思います。皆様の御意見は、基本的にはこの方向でよいという御意見だと理解をいたしました。細部につきまして、ゴシックの部分で法律になる形で書いておくべきことは何であり、その余の事柄は何であるのか、その余の事柄についてこの先どうするのかということについて確認しておくべきことがあるのではないか、こういう御指摘を頂いたと思っております。ということで、ここの部分につきましては、現在のものを基本的に維持するということにさせていただきたいと思います。   続きまして、部会資料15の第2と、それから第3を併せて御審議いただきたいと思います。第2と申しますのは「自筆証書遺言の方式要件の在り方」、第3は「秘密証書遺言の方式要件の在り方」でございますけれども、この二つを併せて御審議を頂きたいと思います。まず、事務当局の方から御説明をお願いいたします。 ○石川関係官 部会資料15の14ページ以下を御覧ください。「第2 自筆証書遺言の方式要件の在り方」について、本文では前回の部会資料と同様に、自筆証書遺言における押印要件を廃止することを提案しています。もっとも前回会議では、押印が不要となるものの、引き続き遺言書の完成の確保が重要であることを条文上明確にするため、民法第968条第1項につき条文の構成を改めるべきではないかとの御指摘があったことから、補足説明ではこの点について検討しています。押印要件を廃止することに伴い、氏名の自書要件に関する解釈を意図して変更することは想定していないことから、現行法の条文の構成等を基本的に維持することが望ましいと考えられること、また、参考となる先例も見当たらないことから、本部会資料では、押印要件を廃止した後も引き続き遺言書の完成の確保が重要であることについて適切に周知等を行うこととして、第968条第1項の条文の構成を維持することを提案しています。   他方で、氏名の自書は署名と同じ意味合いであるものの、署名についてはその文言上、氏名の自書に比べ、文書の完成の確保のために末尾にすべきものとのイメージを抱きやすいとも考えられることなどから、第968条第1項につき、氏名の自書に代えて署名の文言を用いることが考えられます。ただ、このように文言を改めた場合には、現行法における自書要件に実質的な変更をもたらすものではないにもかかわらず、その変更がされたとの誤解を生じさせるおそれがあるとも考えられます。この点についてどのように考えるかにつき、御意見を頂戴できればと思います。   続けて、15ページ以下を御覧ください。「第3 秘密証書遺言の方式要件の在り方」について、本文では前回の部会資料と同様に、秘密証書遺言における遺言者及び証人の押印要件を廃止することを提案しています。その上で補足説明では、前回会議において御指摘のあった、秘密証書遺言における封印要件等を廃止することに伴い、封印のある遺言書は家庭裁判所において相続人又はその代理人の立ち会いがなければ開封することができないと定める第1004条第3項の規定を見直す必要があるかどうかを検討し、結論としては同項の規律は見直さないとすることが考えられることを記載しています。 ○大村部会長 ありがとうございます。第2、第3につきましてはゴシックの部分については変更がないと理解をいたしました。ただ、第2につきましては、氏名の自書という言葉を署名と置き換えるかどうかということについて御検討いただいた、そして第3については、封印の問題について御検討いただいたということだったかと思います。   それらの問題についても含めまして、全般にわたりまして御質問、御意見を頂戴できればと思います。どちらでも結構ですので、お願いを致します。 ○隂山委員 隂山でございます。第2につきまして、現在の御提案に関し特段の異論があるわけではございませんが、確認といたしまして、本文の書きぶりと15ページの書きぶりの場合で実質的な変更をもたらすものではないという御説明を頂いております。感覚となってしまい恐縮ではございますが、本文は並列的な書きぶりであるのに対し、15ページでは自書し、これに署名をしなければならないとされていることから、15ページの御記載の場合、全文及び日付を自書した後に署名を行うといった時的要素も含み得るのではないかと感じました。自筆証書遺言の完成につきまして、これまでは押印がその役割を果たしてきたとも考えられるところ、署名によって自筆証書遺言が完成したと見ることに重きを置くのだとすれば、これに署名をしなければならないといった振り合いにおける副次的効果なども考えられるのではないかと捉えています。 ○大村部会長 ありがとうございます。隂山委員は今の御意見は、第2について反対ではないけれども、補足説明で御説明いただいているような考え方もよいかもしれないというニュアンスですね。ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○石綿幹事 幹事の石綿です。私も第2の点につきまして、補足説明に記載いただいているように氏名の自書を署名という文言に変えることもあり得るのではないかという意見を述べさせていただきたいと思います。理由は3点です。   1点目は、過去の部会資料でも御整理いただいていますが、民法の他の部分では氏名の自書ではなく署名という言葉が用いられていることとの整合性という意味でもこの機会にそろえるということは一つあり得るのだろうと思います。   2点目は、隂山委員の御指摘とも共通しますが、氏名の自書についての解釈は変わらないのだとしても、期待される機能というのは今回、押印要件を廃止することで実質的に変わってきている、特に完成を担保するという役割が実質的に期待されるようになっている中で、よりイメージがしやすい、国民にとって分かりやすい表現に変えるということは十分に説明し得るのではないか、よりイメージしやすい形にした方が、遺言の執行等における紛争の抑止にもなるのではないかということです。   3点目が、御懸念が示されている誤解を生じさせるおそれということですが、まず遺言作成者との関係では、今後はできるだけ、一般にイメージされるように文末に署名がなされることの方が望ましいということなのであれば、そのようなよい意味での誤解が生じることはかえって望ましいのではないかと思います。多分問題は、文末ではないところに氏名が自書されていたときの遺言の有効性をどう解釈するかということですが、その点に関しては、最終的には裁判所の判断ということになるかと思いますが、補足説明等で、解釈が変わる趣旨ではないということを記載をしておくということは一つの方法かとも思います。   長くなりましたが、以上です。 ○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事からも第2につきまして、補足説明で書かれているものを検討する余地があるのではないか、三つ理由を挙げていただいて、むしろ積極的に署名に変えるのがよいのではないかという方向の御意見を頂いたと理解をいたしました。ありがとうございます。   そのほか、いかがでございましょうか。 ○萩原委員 萩原でございます。私は第3の秘密証書遺言の方式要件の在り方について、本来なら前回申し上げればよかったと思うところがありましたけれども、そのときは準備ができていなかったので、実際に公証人が秘密証書遺言をどのように作っているかということを少し御紹介しながら、お話をさせていただこうと思っております。   現在、秘密証書遺言、これは私が作った秘密証書遺言ですけれども、秘密遺言証書という表題、これは個人情報は隠しているものですけれども、遺言者誰々は、本公証人及び証人誰々、誰々の面前に本封書を提出し、在中の文書は自己の遺言書で、自らパソコンで作成したものである旨申述したと、そういう本文を、これで言いますと民法第970条第1項第3号、第4号のところですね、そういった遺言者の申述をこのように記載し、そして、本旨外要件と称して、遺言者、証人の住所、氏名、年齢、そしてその後、遺言者及び証人は次に署名、押印すると、押印がなくなるとすれば、ここは次に署名するということで、遺言者、両証人に署名していただき、最後に本公証人は次に署名、押印するということで、公証人が署名、押印をすると、大体こういう書類を作りまして、それで、こういう無地の封筒に、ただいまの秘密遺言証書という、これ自体を封紙という形にしてここ自体に印刷するか、それともその紙をここに貼り付けると。封筒の中に本封書という、つまり遺言書ですね、遺言者が封印した、中身は私ももちろん分かりません、それを入れて、それでその後に、これは本物のコピーなのですけれども、公証人、書記、証人が徹底的にこれに封印しているのです。   ですから、一つは、これは飽くまでも公証人の現在の取扱いということですから、今回の法改正によって幾つか変わるところがあると思います。そこで第970条を見ますと、まず第1項第1号で、「遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと」とありますが、印がなくなると、署名すること。そして第2号では、「遺言者が、その証書を封じ」ること、つまり、「証書に用いた印章をもってこれに封印すること」、これがなくなるということになるのだろうと。それで第3号で、「遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること」、ここは変わらないと思います。第4号で、「公証人がその証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し」と、印を押すことがなくなるか、あるいは公証人だけは押印を残すということになると思います。   こういうことでございますので、そういう理解で行きますと、秘密証書遺言はこういう形で印のない形での封紙を作ると、その後、やはり提出された封書と、それから秘密証書遺言、その封紙が別々のものに、ばらばらになってしまうといけませんので、こういう形で恐らくこの封筒の中に頂いた遺言書を中に入れて、それで、これを少なくとも糊付けをすると、これに今まで行っていたような公証人、遺言者、証人がこういうべたべたとした印鑑の徹底的な封印ですね、そこまではしなくていいのかなと思う次第です。   こういう取扱いをしているという前提で、御意見のある方から意見を伺いたいと思いますし、私としては、今申し上げたような形で秘密証書遺言の第970条の規定は変わるのかと、その場合、例えば公証人が秘密証書遺言の第970条第1項第4号の封紙というのをこういう封筒と、あるいはこのペーパーを使って表現しているわけですけれども、仮にこの封紙に印鑑を押したとしても、要するに封印を仮にしたとしても、これは遺言書自体の封印ではないと思いますので、そうしますと第1004条第3号の検認の際に相続人の立会いは必要な場合には当たらないと、こういう理解でいいのか、そういった検認の際の取扱いの規定との関係でも問題というか疑義が生じることのないように、やはり法律を作る必要があると思いますので、そこのところをそれでいいのかどうかという趣旨で、これは少し質問も含めてですけれども、意見を述べさせていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。現行の秘密証書遺言がどういう形で作られているのかということを具体的にイメージできるような形でお示しいただいたということかと思います。特に、条文にないものとして、遺言書を封入したものを閉じて印鑑を押すということを行っているが、押印不要ということになると、そういうものもなくなっていくということが想定される、そうした一連のことをどのように評価するのかということを検討しておいた方がいいのではないかと、こういう御趣旨の御発言と承りました。ありがとうございます。   もし何か御意見があれば、是非この後の御発言の中で触れていただければと思います。事務当局への御質問などはありますか。 ○萩原委員 事務当局の方から、民法第970条の規定との関係で、先ほど私が申し上げたような理解でいいのかどうかと、あとは今のを直ちに御意見いただけるかどうか分かりませんけれども、第1004条の検認の際の相続人の立会いという、それとの関係で、先ほど私が申し上げたような理解でよろしいのかどうか。これは今回でなくても、次回でも聞かせていただければと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。では、何かあれば。 ○齊藤幹事 今、萩原委員に御説明いただいたものを私の方で理解したところでは、まず、条文でいうと第970条第1項第2号にあるような、遺言者がまず遺言を封じて封印する一つ目の封筒ができていると、これが公証役場に持ち込まれると。そこに関して公証人におかれては、第3号、第4号に記載があるような申述を別の紙に記載して、もっと大きな封筒に貼り付けた上で、遺言者が持ち込まれた小さいサイズの元々の本体の封がされたものを中に入れてとじ込んで、これを封緘した上で、大きな封筒を更にまた封印をして、四隅に判子を押すということをお示しいただいたと理解しました。その上で、当方の理解としては、第970条につきましては押印の要件を、公証人が行う押印部分を除いてこれを不要とするという整理にするほかは、方式要件としては何も変わらないという理解でおります。   その上で、最後に第1004条第3項との関係がございましたが、第1004条第3項には、封印のある遺言書は家庭裁判所において相続人又は代理人の立会いがなければ開封することができないという規定があることとの関係で、この適用は現状どうなっているのか、あるいは改正後どうなるのかというような御質問かと理解しました。   まず、現行においては今、萩原委員がおっしゃったような封印に当たるものは2回あって、つまり、遺言者御本人がしてくる封印、それから、公証役場において大きな封筒に全部入れた後に更に上からする大きな封筒の方の封印というのがあると理解しました。その上で第1004条第3項の、封印のある遺言書は家庭裁判所においてうんぬんという先ほどの規定は、この封印の意義について文献等を確認した限り、直接何か記載があるものというのを現時点では挙げることができない状況です。少なくとも第1004条第3項の封印というのは中身の方の、元々御本人がして持ち込まれた封印について、これは第1004条第3項は適用されるのだろうと。それに対して、外側の公証役場においてされている封印というのは、元々第970条そのものの要件として行われているわけではないという理解だと思いますので、そして第1004条第3項の封印というのが、御本人以外の第三者がしたような更に上からする封印にも適用されるのかどうかというような御質問だと思いますので、そこは基本的には御本人がした封印なのかなと理解しておりましたが、現状ではそれ以上、お答えとしては難しいところです。 ○萩原委員 少しよろしいでしょうか、今のお話の中で、御本人がした封印というのであれば、実は遺言者にもこの大きな封筒に封印していただいているのです。ですから、もしも封印要件が飽くまでも遺言者自身がした自身の遺言書のみであるというようなことで理解するのであれば、少なくとも遺言者に外側の大きな封筒に印を押していただくと、それこそ第1005条の関係で誤解をされるようなおそれもあるのかもしれませんけれども、むしろそれは公証人としてはやらない取扱いをした方がいいのかなと思った次第です。ですから、理解としては私も今、齊藤幹事から御説明いただいたとおりでよろしいのではないかと思っております。 ○石川関係官 石川でございます。方式要件を見直した後については、方式要件としての遺言者による封印要件は廃止されますので、それがなかったとしても効力には影響が生じないということになります。その上で、公証役場の方で更に大きな封筒に遺言者御自身が封印をすることによって後々の変造等の防止をするということは、妨げられないものかなと思います。   それとの関係で、第1004条第3項について、「封印のある遺言書」の封印が誰がしたものなのかというのを明確に書いてある文献は見当たってはいないのですが、元々遺言者の意思の尊重という趣旨で明治の時代に規定が置かれたものと承知しております。また、自筆証書など他の遺言でも同様なのですけれども、第三者が勝手に遺言をした後に封印をしてしまうとそれだけで開封手続が必要となるというのは、やはり少し違うのかなと思っているところでもありまして、基本的には、精査が必要ですが、遺言者がした封印に当たるものであれば方式要件であるかどうかを問わず第1004条第3項や第1005条の対象にはなってくるのかなと理解をしております。 ○萩原委員 ありがとうございます。少し今の点でよろしいでしょうか。そこのところで確認ですが、封印要件、要するに押印要件がなくなったと。ただ、遺言者の中には従前どおり糊付けして、そして自身の遺言書に封印をしてくる方が仮にいたとして、その場合はやはり第1004条第3項の封印のある遺言書と、この部分が改正されないとすれば、やはり相続人又はその代理人の立会いの下で家庭裁判所で開封すると、そういうことになるということですね。 ○齊藤幹事 その御理解です。つまり、方式要件としての「封印」がなくなったとしても、任意に封をして印をするということは十分あり得ることですし、それを行った場合には、御本人がその意思でしたものであれば第1004条第3項の適用の対象になるのではないかと考えております。 ○萩原委員 ただいまのところですが、そうしますといわゆる封緘をしたと、それだけの書類と、それから、封印をした遺言書で、少なくとも第1004条に関してはそれだけの法的な効果の違いが起こるわけですけれども、極端に言うと、押印要件というものを廃止していくということであれば、封印という、それがそこまで意味のある規定なのかと、ここはもう封印のある遺言書という、今後押印要件がなくなるわけですけれども、義務でもないのにたまたま印鑑が遺言者によって押されたと、それについては、特に第1004条第3項のような、相続人又はその代理人の立会いがなければ開封することができないという、そこまでの規定を置く意味はあるのかなと、むしろ逆にそのように思った次第です。ここは少し私の感想ですが。 ○大村部会長 ありがとうございます。第1004条について押印廃止後にどうなるのかということが前回から持ち越しの議題になっていたかと思いますが、事務当局の御説明は、押印要件が廃止されたとしても、本人の封印がある場合にはなお従前の例による、規定については修正を加えないということでよいのではないかいうことでありましたけれども、萩原委員からは、押印要件を廃止するのであれば、ここだけ押印に意味を持たせるという必要があるかどうかということを更に検討すべきではないかと、こういう御指摘を頂いたという整理でよろしいでしょうか。ありがとうございます。その点は引き取らせていただいて検討をしていただくということで、お願いをしたいと思います。 ○柿本委員 柿本でございます。少し前に戻りますけれど市民の立場から、第2のところで意見を申し述べます。   氏名の自書と署名という問題でございますが、14ページの34行のところに書いてございますが、正にこの言葉のとおりでございまして、自筆証書に押印がなくなった場合に、主婦連にて会員からヒヤリングしたところによると、名前は書いてあるけれど、押印がなかったために、認められなかったという遺言が散見されました。また、名前も自書より、署名としていただくと、市民には身近な表現なので、理解しやすいと考えます。 ○大村部会長 ありがとうございます。柿本委員も、先ほどの第2に戻って、二人の方から御意見がありましたけれども、署名と改めた方が分かりやすいのではないかという御意見を頂戴いたしました。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○小粥委員 委員の小粥です。第2についてです。前回私が申し上げた意見を取り上げて検討してくださったことをお礼を申し上げます。一つ、前回からも出ていることですけれども、自書要件に関する解釈を変更することは想定していないと説明の中で書いてくださっているわけですけれども、今まで四つあった要件が三つになるということで、重みも変わりますし相互関係も変わるので、余りこれを強調するということはなかなか難しいことなのではないかという気がいたしております。ゴシックのところについて意見があるというわけではないのですけれども、やはり押印要件がなくなりますと行為規範としては変化せざるを得ないと思っております。そうだとすると、条文の形を変えるという方がよいのではないかということを前回に続いて申し上げたわけです。   先例がないと御説明の中でありますけれども、例えば一定の書類について書くべき事項を号ごとに書き分けるという民法の規定は、似たようなものでそのものではありませんけれども、第465条の6第2項では号で書き分けるというようなこともやってあると思いますので、全く先例がないとは、ぴったりの先例はもちろんないわけですけれども、いろいろまだ検討の余地はあるのではないかと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。小粥委員からは、自書の対象になるものを書き分けてはどうかという御提案が前回ありましたけれども、それについてもなお検討の余地があるのではないかという御意見を頂戴いたしました。前の三人の方から出ている、自書を署名に改めるという案についてはいかがですか。 ○小粥委員 特に強い意見はありませんけれども、しかし行為規範が変わるということを明示するという意味では、その意見はむしろ賛成の方です。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○宮本幹事 ありがとうございます。第2の自筆証書遺言の点ですけれども、押印要件が廃止されることに伴って氏名の自書の意味はやはり変わるのだと思います。ほかの委員の先生方がおっしゃっていることに賛同いたします。   それに若干関連することといたしまして、第3の秘密証書遺言につきましては、現行法では第1号で印を押す、第2号で証書に用いた印章をもってこれに封印するとなっているところ、この押印要件を廃止しようというのが御提案です。御提案には賛同いたしますが、第2号では第1号に用いた印章を用いて封印することとなっており、これがもし証書にした印と封書にした印を一致させることによって何らかの役割を果たしているのだとすると、第2号の押印要件をなくしたときにはその役割を果たすものがなくなることになるのではないかと少し危惧いたします。自筆証書遺言の方では、押印要件をなくすことに伴って署名要件、氏名を自書するという要件が代わりの役割を果たし得るのに対して、第970条第1項第2号の方は代わるものがないので、それでよいのか、あるいは第2号に、押印要件を廃止する代わりに封書への署名を求める方がいいのかというのを考えないといけないかなと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。宮本幹事の御意見は、まず、第2の方については氏名の自書の意味というのがこの先に向けては変わっていくということだろうということで、意見としては、何人かの方がおっしゃった、署名に変えるという方向に賛成されるという理解でよろしいですか。 ○宮本幹事 はい。 ○大村部会長 ありがとうございます。その上で第3の問題について、押印を廃止するというのは結構だけれども、そうしたら押印に代わるものとして求められる自書というものを使って機能を代替する必要があるのではないかと、こういう御意見等をして承りました。ありがとうございます。 ○中原幹事 自筆証書遺言における「氏名の自書」を「署名」とすることについては、これまで出た御意見と反対のことを言うのですけれども、「氏名の自書」のままでよいという考え方もあり得ると思います。幾つか問題がありまして、第1に、民法上、「署名」という語が使われている規定が幾つかありますけれども、いずれにおける「署名」も「氏名の自書」の意味であると思われ、その観点からは確かに「署名」に変えることに障害はありません。   しかし、第2に、民法規定上の他の「署名」は、証書作成者でない者の氏名の自書も含んでおり、完成確保というニュアンスを含まない中立的な概念であると思います。ここでの「署名」に証書作成者による完成確保のニュアンスを込めるというのは、異質の要素、しかも日常的な感覚を忍び込ませるものであり、望ましくないように思います。   それから、第3に、真正性・真意性の確保というのが遺言の方式そのものによって達成されなければならない要請であるのと異なり、完成確保は、本来、遺言者が気を付けるべき事柄なのであって、条文で誘導する必要性は低く、遺言者の注意を促すための周知をすれば足りるように思われます。   それから、第4に、「署名」という文言に変えることで、より完成確保の機能が発揮されることが期待されるとしても、日常的な感覚で言うなら、「署名」とすることで、簡略化されたサインであるとか、あるいは通称であるとか、氏のみであるとか、名のみであるとか、そういう記載で自分は「署名」したのだと考える人が出てきそうなところであり、かえって危険である、「氏名の自書」ときちんと書いた方がよいように思います。もちろん現行法上、氏名要件は厳格に解されているわけではなく、本人が特定できればよいとされていると理解していますけれども、紛争の種はなるべく生じない方がよいともいえるかと思います。   したがって、冒頭で述べましたように、あえて現行の条文を変える必要はないという意見も成り立ち得るかと思います。しかし、他の先生方がおっしゃることも十分に理解できるところでありまして、この機会に「署名」とした上で、署名というのは氏名の自書を意味するのだということを括弧書きで書くとか、そのようなことができないだろうかとも思ったりもします。 ○大村部会長 ありがとうございます。中原幹事からは、第一次的には氏名の自書のままでよいのではないかという御意見を頂戴いたしました。それを署名とすることに伴う副作用もあるのではないか等々の理由によるということでしたが、第二次的に、その副作用に対応するような措置をとって署名とするということも考えられるという御意見を頂戴いたしました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○相原委員 氏名の自書と署名のところについてほかの弁護士の意見を募ったところ、やはり意外と深い問題で、両論ございました。署名ということにして、その完成度といいますか、普通受け止めるということのような機能もあるであろうという意見もある一方で、氏名の自書、先ほど中原幹事がおっしゃった、氏と名前をきちんと書くというところの明確性からして従前と特段変える必要はないのではないかという意見もかなりございました。そこは個人的には両方ともそれなりに説得力があるなというところで、なかなか明確な個人の意見は言いにくいのですが、氏名の自書ということで、従前のほかの法律の条文とか、それとのバランスからして、特段変えなくても、むしろ通常のアナウンスなり広報なりでそこのところをきちんと図るだけで、むしろ氏と名前を自ら書くというところが明記されていること自体はそれなりに尊重されてしかるべきではないかという意見も強くありました。両論があったと、現状維持という意見もかなりあったということを御紹介させていただきます。 ○大村部会長 ありがとうございます。両論あるだろうということですね。 ○相原委員 すみません。 ○大村部会長 ありがとうございました。   ほかには何か付け加えられる御発言はありますでしょうか。 ○日比野委員 ありがとうございます。同じく署名のところなのですけれども、実は当初思っていたことは、ゴシックではない補足説明の部分の内容は、遺言書の完成の確保に力点を置いた上で、15ページの4行目ですか、このような記載とするのはどうかとしつつ、現行法における自書要件の解釈は変えないのだということになっているものと思います。ただ、本文中に氏名が出てくるのだけれども、全く完成の確保といった観点では書かれていない、という遺言も現状、有効だと理解されていると思うのですけれども、仮にこの内容で立法化されたときに本当に現行法の解釈のまま、というのが本当に通用するのかという点は、やや疑問かなという気がいたします。そうなると、結局そのような説明は、正に中原先生がおっしゃったとおり紛争の種になるというだけになってしまうのではないかと思われまして、恐らくどちらの整理もあり得るのですけれども、現行を維持するか、遺言の完成の確保という観点を重視するのであれば、正にそこで発生するような不確実とか紛争になりそうな要素というのをできるだけ抑えるような形で整理していただくか、どちらかなのだろうと理解をしておりました。 ○大村部会長 ありがとうございます。おっしゃっていることをうまく言い直せるかどうか分からないのですけれども、今までの皆さんの御議論と、それから今の日比野委員の御意見を併せて考えますと、ここで議論されていることは2種類あるのだと思うのです。一つは、実質としてこの先どうするのかという問題で、従来は遺言書の末尾に書かれていない氏名についても、自書されていればそれでよいという扱いがされていた、従来の考え方はそういうものだった。従来の考え方が誤っていたということはないわけで、その意味で従来の在り方についての解釈は変わらないだろうと思いますが、将来に向けて考えたときに、押印がなくなったときに途中で書かれている名前について従来の考え方を維持してよいのだろうかというと、かつてはそうだったかもしれないけれどもこの先は違うのではないかという御意見が複数の方から出ているのだろうと思います。そこをどう考えるのかという実質的な整理の問題と、そこについて考えを明らかにした上で、ではその考え方を体現するためにはどちらの表現がいいのかという表現の問題を考える必要があると、こういうことをおっしゃったということでよろしいですか。 ○日比野委員 ありがとうございます。 ○大村部会長 それで、日比野委員はどうなのでしょうか、従来は途中に名前が書いてあってもよかった、今後はそういうのは望ましくないという方向で変わっていくべきだ、何人かの方がそうおっしゃっていたのですけれども、そこについて何か御意見は。 ○日比野委員 どちらがよいかということを申し上げづらい立場なので、そこを少し控えておったのですけれども、署名と変えていくべきだという御意見自体は、すごくよく分かるものだと思っております。ただ、そうなると、例えば本文中ではなくて、末尾でないと駄目なのかとか、そういう議論が出てきまして、執行を受ける側の立場からしますと、ここは非常に争いやすい要件になるのかなと思います。なので、このように変えるのであれば、その有効性の解釈指針がしっかりと何かしらの形で、一問一答のようなものでよいのかもしれませんけれども、そこで示されることが、紛争防止という観点では大切と思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。最後はおそらく解釈に委ねざるを得ないというところがあるのだろうと思いますけれども、従来二つの要件でカバーしていた、その片方が十分でないとしても救済されていた、しかし要件が一つになったときには、従来と同じ範囲で救済がされるかというと、それはそうではないかもしれないというのが何人かの方の御意見、御感触だったのではないかと思うのです。では全く救済されないのか、末尾ではなくて、本文でもないのだけれども、例えば欄外の冒頭に書いてあるという場合はどうかといった解釈論上の問題は、やはり残るのではないかと思うところがありますけれども、その上で、条文上は氏名の自書と書いておくのか署名と改めるのかという言葉の問題を考える。こう改めたらこんな運用になるのではないかということで、実質と表現とを見合わせて、どうするのかということを考えていくということかと思います。ではどう考えるかというところについては、まだ少し御意見にばらつきがあるということなのかと今伺いました。第2のままでよいかどうかということについてなお御異論があるということと思って伺いました。   第3についても、これでよいという御意見もある一方で、萩原委員のように、押印を全面的になくしてもいいのかもしれないという御意見、他方、宮本幹事がおっしゃったように、押印はなくしてもいいけれども署名が必要なのではないかといった御意見もありまして、これも第3のゴシックをベースにしつつ、なお御意見が分かれているというところかと思いました。   ほかに何か付け足すべき要素がこの第2、第3にあるということを御指摘いただけるようであれば、御指摘いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。   ありがとうございます。少し難しいですね。小粥委員の御意見もありましたけれども、幾つかの選択肢が第2、第3のそれぞれについてなおあり得るということですので、今日頂いた御意見を踏まえて、なお第2、第3をこのまま維持するのか、それとも頂いた御意見を踏まえた別の案を皆さんにお諮りするのかということを更に検討して、次回改めて御提案するということかと思いますけれども、齊藤幹事の方から何かありますか。よろしいでしょうか。   それでは、第2、第3につきましては今のような形で引き取らせていただきたいと思います。   それでは、今15時7分になりましたので、15時20分まで休憩して、15時20分に再開したいと思います。   休憩いたします。           (休     憩) ○大村部会長 それでは、再開したいと思います。   休憩前に部会資料15の第3まで御議論いただいておりますので、続きまして部会資料15の第4の部分、「特別の方式の遺言の方式要件の在り方」について御議論をお願いしたいと思います。まず、事務当局の方から御説明お願いいたします。 ○大野関係官 部会資料15の16ページ、「第4 特別の方式の遺言の方式要件の在り方」を御覧ください。「1 作成することができる場面の規律」のうち船舶遭難者遺言につきましては、部会資料14-1からの変更はございません。一方で一般隔絶地遺言につきましては、作成場面に関する現行民法第977条の文言の解釈や運用を変更するものではないことなどを考慮し、現行の規律を維持するとの方向性を記載しております。   次に、17ページ36行目以下の「2 作成方法の規律」を御覧ください。(1)現行法の規律と(2)死亡危急時遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式につきましては、部会資料14-1からの変更はございません。   (3)船舶遭難者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式の本文に関しましては、表現を修正したほかは、部会資料14-1からの実質的な変更はございませんが、前回会議において様々御指摘を頂戴した事項につきましては補足説明で検討しております。   19ページの(4)死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式における相続人の欠格事由等の規律につきましては、イ②において、船舶遭難者遺言における新たな遺言の方式に成年被後見人の遺言に関する規律を準用する際の読み替え規定を設ける旨を加筆したほかは、部会資料14-1からの変更はございません。   (5)死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式における検認手続等の規律につきましては、部会資料15で新たに加筆した項目であり、ア①、イ及びウにおいて、遺言の趣旨等が文字情報として記録された電磁的記録は第1004条等の遺言書に該当するものであり、当然に検認手続等の対象となることを整理しつつ、船舶遭難者遺言における口頭で遺言する状況が録音・録画された記録についても検認手続等の対象となることを明らかにするよう規律を改めることを提案しております。また、電磁的記録は複製が容易であることを踏まえ、ア②では、保管者の一人が電磁的記録に記録された遺言の検認を請求したときは、他の保管者は検認義務を負わない旨の規律を設けることを提案しております。   21ページ以下の補足説明につき、1、現行法の規律及び死亡危急時遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式については、部会資料14-1からの変更はございません。   「3 船舶遭難者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式」では、(1)で記載しましたとおり、前回会議の御指摘等を踏まえ、証人の役割や他人に送信するとの方式要件の意義及び役割並びに解釈の在り方などについて整理をしております。(2)では、新たな遺言の方式における証人の役割等につき、現行民法における他の遺言の方式の証人と異なるところはなく、遺言が真実成立したこと、すなわち遺言が遺言者の真意に基づくものであることを証明する者であり、遺言の有効性について紛争が生じた場合には、第三者からの働き掛けの有無等も含めた遺言時における状況や当該録音・録画による記録の内容と自己の記憶する遺言者の口頭の遺言の内容とのそごの有無等を証言することなどが求められるものと整理しております。   23ページの(3)では、他人に送信するとの方式要件の意義及び役割等について整理しており、真正性を担保する機能、真意性を担保する機能、完成した遺言であることを担保する機能、遺言の存在を他人に確知させ確認の審判の申立てを促す機能という四つの意義及び役割があるものと整理しており、その上で、このような意義及び役割に照らしますと、「他人」というのは口頭で遺言する状況が録音・録画された記録を送信する際における当該送信の特定の名宛人を意味するものと整理され、「送信する」とは、口頭で遺言する状況が録音・録画された記録につき他人に伝える意思が外形上明白な行為であって、当該送信の名宛人において、当該記録が遺言者本人から送信されたものであるかを検討し、判断することを可能にする送受信履歴の全部又は一部を当該送信の名宛人の端末から確認することができる行為であると整理することが考えられる旨、記載しております。   このような整理に基づき、例えばメーリングリストやグループLINE等に口頭で遺言する状況が録音・録画された記録を送信することは、他人に送信するとの方式要件に該当すると整理できる一方、自己の管理するクラウド上にアップロードする行為やインターネット上の電子掲示板に投稿するような行為につきましては、他人に送信するには該当しないものと整理しております。このような他人に送信するとの方式要件の意義及び役割に関する考え方や解釈の在り方についてどのように考えるか、御議論いただければと存じます。   30ページの(4)では、その使用する電子計算機を用いて、との方式要件について、遺言者本人が所有する電子計算機を使用する場合のみならず、他人の所有する電子計算機を使用する場合も含まれるものと整理している旨を記載しております。   また、(5)では、確認の審判の申立権者につき、現行規定の証人の一人又は利害関係人に加え、船舶遭難者遺言における新たな遺言の方式の送信を受けた者にも確認の審判の申立権を認めるものとすることを記載しております。   31ページの(6)では、以上の整理に基づき、船舶遭難者遺言における新たな遺言の方式において、遺言者及び証人が遺言を作成するに際し具体的にどのような行為を要するかを記載しております。   33ページの4では、相続人の欠格事由等の規律について、35ページの5では、検認手続等の規律について、それぞれ検討しております。   なお、部会資料15では、検認の対象は遺言書及び船舶遭難者遺言における口頭で遺言する状況が録音・録画された記録としておりまして、死亡危急時遺言における遺言の作成状況が録音・録画された記録については、遺言内容そのものが記録された遺言書ではないため、検認の対象ではないと整理しております。一方で、死亡危急時遺言における遺言の作成状況等が録音・録画された記録につきましても、作成方法を遵守する過程で当然に記録されるものでありますことから、検認を要すると整理することも考え得ると思われます。検認の対象をどのように考えるかにつき御意見を賜れたらと存じます。   最後に、38ページの(3)封印のある遺言書についてでは、いわゆるパスワード設定がされた電磁的記録については、第1004条第3項の封印のある遺言書に該当しないと整理する旨を記載しております。   内容についての御説明は以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。第4について御説明を頂きました。下線部があるところは、16ページの第4の1(2)、一般隔絶地遺言について現行の規律を維持するということでどうかということ、それから20ページの(5)で検認について書き加えていただいたというところかと思います。18ページの死亡危急時遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式の部分につきましては、前回皆様から出た御意見を踏まえて、それに対応することを補足説明に書いていただいたということかと思います。   これらの点を中心に、その他の点も含めまして御意見、御質問を頂ければと思います。どなたからでも結構ですので、お願いを申し上げます。 ○隂山委員 隂山でございます。意見を2点ほど述べさせていただいた上で、1点、御質問を差し上げたいと思います。   まず、他人に送信するという要件に関し、26ページ33行目に名宛人が特定された場合とあるため、他人に記録を送信する場合の要件として特定の者を指定する方式が求められることとなるのか疑義が生じるように感じました。メーリングリストやグループLINEへの送信であっても、特定多数の他人に対する送信という点から有効な他人への送信と見ることができそうに考える一方で、29ページ(注3)では、遺言者においてその範囲が明確に認識できておらず、誰を名宛人としているかが不明であることから、他人に送信するには該当しないとの御説明があるため、単にメーリングリストやグループLINEに電磁的記録を送信するのみでは足りず、メンション等で名宛人を特定しなければ遺言としての要件を満たさないことにもなり得るように思われます。   名宛人の指定が必要になるとした場合、例えば私の妻を名宛人にしたものの、送信したグループに私の妻が入っていないということも考えられます。この場合、遺言としての要件を満たしていると考えることができるかといった論点も生じるように思われます。また、送信したグループの中に私の妻の連絡先を知っている方がいた場合、このような記録が送られてきたとして私の妻に電磁的記録を転送することも考えられます。こうしたケースで、名宛人の指定を行った送信があり、当該名宛人が電磁的記録を直接受信しなければならないことが要件であるとすると、転送されたとしても要件を充足するということは困難であるようにも考えつつも、最終意思のできる限りの実現という観点からは、これを有効な遺言と見ることも重要であると考えられるため、整理しておく必要性があるのではないかと考えています。   2点目といたしまして、フェイク動画対策でございます。部会資料ではフェイク動画への対策として、調査嘱託等の活用が述べられています。フェイク動画であるという主張がされたときに一律、フェイク動画ではないことを証明しなければならないとすると、フォレンジック費用などを含め大きな負担になると思われます。確認や検認手続の中での議論ではないかもしれませんが、今後の実務的な課題といたしまして、調査嘱託等における負担をどのように取り扱うのかといった点についても検討する必要性があるのではないかと考えています。   質問といたしまして、30ページで、他人が所有する端末から送信された場合であっても特段問題がない旨の御説明があります。この点、他人所有の端末から他人に送信する場合、通常は遺言者が送信をしたい者のメールアドレス等を暗記しているとは考え難く、結果、他人の端末に記録されている遺言者が全く知らない第三者に電磁的記録を送信することになると思われます。遺言者が全く知らない第三者に対して電磁的記録が送信された場合であっても、遺言としての要件が満たされていると考えてよろしいでしょうか。 ○大村部会長 ありがとうございます。隂山委員から2点御指摘と、1点御質問を頂きました。1点目は、他人に送信ということについて疑義が生ずるところがあるのではないか、名宛人の指定ということをどう考えるのかということについて問題提起がありました。2点目は、フェイク動画対策について、証明の負担をどうやって軽減することができるのかという問題提起があったと受け止めました。いずれも現在提案されている太字になっている部分との関係で言うと、それをどこか変えるべきだということではなくて、これを前提にした上で、これらの点について詰めておく必要があるという御指摘だと受け止めてよろしいでしょうか。 ○隂山委員 将来的な予見可能性の観点から、整理しておいた方がよろしいのではないかという趣旨で発言させていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。それから、他人所有の端末の場合の御質問がありましたけれども、その点につきまして何かあれば、お願いします。 ○齊藤幹事 御質問の点につきましては特段、御指摘のような特殊な場面があり得るとして、これが該当しないということではないのかなということを考えておりました。つまり、どなたに宛ててかが特定できないようなものについては除外ということである一方、特定ができるということであれば、御本人の直接の知識、面識等が何か実質的に問題になるということではないと考えていた次第です。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほか、いかがでしょうか。 ○小粥委員 委員の小粥です。20ページの過料のところなのですけれども、これは意見でして、過料のサンクションにさらされる範囲が少し広すぎるのではないかという感想を持ちます。つまり、例えばメーリングリスト等に遺言を投稿したような場合には、そのメーリングリストに属している人が皆、過料の脅威にさらされるというか、もちろん誰か一人が検認の手続をすれば免責されるということですけれども、抽象的にではあれ、このような形で広い範囲の人を過料の対象にするということは、ほかの制度とバランスが本当にとれているのだろうかと、もう少し絞る方策はないかという感想を持ちます。 ○大村部会長 ありがとうございます。20ページから21ページに掛けての部分ということですね。御意見ということですね。 ○小粥委員 はい。 ○大村部会長 少し絞る必要があるのではないかという御意見を頂戴いたしました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○石綿幹事 幹事の石綿です。19ページの7行目、第4の2(3)ア②の記録を他人に送信するという文言の部分について、少し意見を述べさせていただきます。記録に関連して28ページの10行目以下で、例えば、動画がこのクラウドにありますとそのリンクを送信するだけでは記録を送信したことには当たらないと書かれています。これは、記録自体の送信ということを重視するのであれば、十分に成り立ち得る解釈だと理解をしました。   他方で、録音・録画のファイルをメール、LINE等で送るというのは、容量との関係で必ずしも難しい場合があったりして、クラウド等にファイルをアップして、ここにありますと、そのリンクの情報を送信するというのはあり得るかと思います。部会資料で、今回丁寧に御整理いただいた他人に送信するという方式要件を置くことで求められていることは、リンクを送るというような形であってもいずれも満たしているとも解し得るのではないかと思いました。リンクを送信するということは、記録自体の送信に当たらないのでこういう方式はもう一切駄目ですとするのか、救い得るようにするのかというのは、記録の表現の仕方ないし解釈論なのかもしれないと思いますが、一つ問題としてあり得るかなと思いました。   ただ、私は技術の面に必ずしも精通しているわけではないので、特にこのようなものは技術的に救う必要がないということであれば、特段こだわるものではありませんが、問題が生ずる可能性はないのかということで若干気になったので、意見を述べさせていただきます。 ○大村部会長 今のは質問ですか。 ○石綿幹事 意見です。 ○大村部会長 分かりました。どこかにそのファイルを、データをアップして、リンクを送るというようなものを一律に排除してしまってよいのかという方向の御意見だということですね。御意見として承りたいと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○宇田川幹事 最高裁家庭局の宇田川でございます。20ページの(5)の検認手続の関係で2点、意見、質問も少し交えたものとして申し上げたいと思います。   部会資料の補足説明のところ、37ページの23行目のところで、検認の対象はあくまで遺言内容が記載又は記録された遺言書又は(3)アの録音・録音された記録であれば足り、それ以外の書面又は記録については検認の対象とはならないと、そういう整理が考えられると記載されていますけれども、同じく部会資料に記載の37ページの35行目で、家事事件手続規則等でこれらの書面又は記録を併せて提出することとする規律を設けることが考えられるというような記載があるのですけれども、検認の対象とされていないもので、見分の対象とならないにもかかわらず、そのような内容の規則を求める根拠がないように思われるところでございます。事務当局において何らかの整理がされていれば、少し御教示いただければと考えているところでございます。   また、38ページ目の冒頭にも、特段の規律は設けないものの、遺言者が任意にこれらの書面、というのは方式要件に係る部分の書面や記録というところですけれども、提出した場合には、裁判官の裁量によって遺言書又は(3)アの録音・録画された記録と併せて保存することも許容されるという、そこの部分についても、裁判官の裁量の行使は法の趣旨や内容を踏まえて行われるものであって、検認の対象とされず、見分の対象とされていない以上、保存する理由もないように思われ、記載のような保存はなかなか考え難いのではないかと思われるところでございます。   また、先ほど事務局の方から、検認の対象をどうするかというところの投げ掛けで、これ以上に拡大するという考え方もあり得るとのところですけれども、その場合にはいかなる立法趣旨に基づくのかとか、あとは遺言書そのものでないところをなぜ検認の対象とするのかという法的な位置付けをどうするのかというところも、現行法との整合性もとれているのかということを含めて整理が必要であると考えられるところでございまして、その上で、その検認の在り方の状況が裁判実務に支障がないかどうかということを裁判所としては検討していく必要があると考えているところでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。検認対象とならないものの取扱いについてということで、まず1点目、これは御質問ということだったでしょうか。 ○宇田川幹事 もし事務局において何か整理があれば、教えていただければと考えているところです。 ○大村部会長 ありがとうございます。2点目は、検認の対象とするものの範囲を増やすということについて、増やすのであればそれなりの理由が必要であろうという御意見だったと承りました。1点目について何かもしあれば、どうぞ。 ○齊藤幹事 御指摘の点につきましては、検認の対象ではないと整理した場合に、いかなる根拠で提出を求め、また保存をするのかという根拠付けについての御指摘と伺いました。実質的な発想としましては、やはり当該遺言の方式要件が満たされているかの確認、検証のために有用な情報ということではありますが、それが検認の対象外とした上で、どういった根拠付けで、どういう整理で提出をさせる、あるいは保存をするということになるのかについては、更なる整理が必要かなと感じました。 ○大村部会長 ありがとうございました。   そのほかはいかがでしょうか。 ○戸田委員 送信をもって有効とするというところ、真意性を担保する上でということだと思いますけれども、もし送信がなくて、送信をしたことによる効果以上の情報がその遺品にあった場合には、これは有効にはならないのでしょうか。 ○大村部会長 御質問ということですね。送信がされなかったけれども、送信がされたのと同じ、あるいはそれ以上の情報が入手できた場合ということですか。 ○戸田委員 そうですね。 ○齊藤幹事 現状では、19ページの上の方、①、②の方式要件を満たすものを遺言として取扱うという整理にしておりますので、実際上これが遺言なのではないか、十分な記録が残っているではないかというところも程度問題、ケース・バイ・ケースになってしまうという問題点もあり得ると思いますので、現状では①、②いずれかに該当するものが遺言として方式を満たすという整理で記載している状況です。 ○大村部会長 よろしいですか。 ○戸田委員 今の点につきまして、これはケース・バイ・ケースということで、生体認証等、より本人性を担保できるような情報があった場合には、検討の余地はあるというようなことで考えておいてよろしいでしょうか。 ○齊藤幹事 基本的には今回の改正で、行うとしたら用意すべき方式のカタログとして①、②を御提案しているというところですので、仮に②が方式要件となった場合には、やはり送信するという要件は要件としては必要ということになるかと思います。 ○戸田委員 分かりました。もう1点なのですけれども、送信で偽造がないということを確認する上では、通常、受信側で偽造するということはあまり考えにくくて、送信側で送信者と送信発信地を偽装して送りつけるというやり方の方が、フェイクを作る側としては安全に作れるので、多分そういう方式をとられると思うのですけれども、この場合に不正を検知する方法としては、通信事業者の記録をもって検証する以外に手立てはないと思うのです。ということで、遅滞なく検認に訪れるということは、通信事業者で通信記録を削除された後に来ることを防ぐという意味合いで書かれていると思うのですけれども、実際にその通信事業者のデータがキーになるということであれば、それを検証することもって有効とするとはっきり書いた方がよろしいのではないかと思ったのですが、それはいかがでしょうか。 ○大村部会長 今おっしゃっているのは、どの要件に代えて、今の通信事業者を位置付けるということになりますか。 ○戸田委員 遅滞なくというところです。遅滞なく持ってくることによって有効とするというのは、通信事業者で記録されているデータが消去される前に持ってくるということを意味していると思うのですけれども、通常数か月で通信事業者のデータというのは消えてしまいますので、検証しようがなくなってしまうわけです。その前に持ってくることによって有効ということであれば、もう実際そのデータがあるということを前提に書かれた方がはっきりするのではないかと。通信事業者の都合で消されたりする可能性もありますので、やはり通信事業者の記録を遺言の成立の要件にした方がはっきりするのではないかと思いました。 ○大村部会長 遅滞なくという文言が今何のために置かれているのかということがまず前提になるのだけれども、それはデータが消されないうちにということだとするのならば、そのことをより端的に書いた方がよろしいのではないかという御意見ですね。何かもしあれば。 ○齊藤幹事 遅滞なくというのは、19ページの19行目、確認の請求を得なければならないのところに遅滞なくという文言がございますけれども、これは現行法の船舶遭難者遺言でも同様の規定があって、やはり緊急の状態で作られた、方式要件としては少し特例で軽めの方式ですので、それと併せて遅滞なく家庭裁判所に確認の請求をするという立て付けがとられていて、この新たな方式についても同じことを想定していると。そうしますと、効果としましては、委員がおっしゃったような通信事業者に通信に係る記録等が残されている期間内に確認等あるいは検認等の審理、判断ができるということにつながるということですので、中身としては一応担保されているといいますか、お考えの方向、通信事業者における記録を資料とすることが期待できるような方式になっているのかと思っております。その上で、ではそれを実際に入手するかどうかという点については、これは裁判手続での審理の中での個別の必要性等によって判断されることですので、直接方式要件に何か取り込むという問題ではないのかなということを一応考えておりました。 ○戸田委員 要は、いろいろな機器の障害等があってデータが全部消えてなくなるケースもあり得るわけですが、そうすると検証しようがなくなるということもあるので、はっきりした方がいいのかなと思った次第です。 ○大村部会長 ありがとうございました。そういうリスクがあるということについては、よく説明をすることが望ましいのだろうと思いますが、しかしまた、それがこれを使おうという人たちにうまく伝わるかどうかという問題はあるのだろうと思いますので、少し悩ましいところではありますけれども、通信データを使うかどうかはケース・バイ・ケースだというのが先ほどの齊藤幹事のお答えなのかと思って伺いました。実質的にはおっしゃっているようなことが実現されることが多いのではないかということかと受け止めさせていただきました。 ○中原幹事 一般隔絶地遺言を作成することができる場面について、デジタル技術を活用した遺言制度について検討した今回の法制審では、危急時遺言について現行法の規律に大きな改正課題が見いだされ、重点的に検討された一方で、隔絶地遺言について現行法の規律に根本的な改正課題は見いだされず、定着した解釈論も含めた現状維持の方針がとられたので、最終的に現行規定をいじらないことにしたというのが17ページの整理だと理解しています。説明としてはそれで成り立つように思いますし、一般隔絶地遺言という方式そのものの是非には踏み込まない点で穏当でありますので、現行規定を維持するための理由付けとしてはこれでよいと思います。   それから、船舶遭難者遺言の「他人に送信する」の意義についてですけれども、当該要件の趣旨に即して検討していただき、大変分かりやすくなったと思います。大筋で異論はないのですけれども、真正性・真意性を担保する機能に関しては、今回の部会資料の目的からこういう記述になっているのだと思うのですが、そもそも船舶遭難等の緊急の状況ゆえにこの程度の真正性・真意性の確保でもよいという話だということは留意する必要があるかと思います。また、「他人に送信する」の趣旨については、後で出てくるように、録音・録画の記録の送信を受けた者が保管者として検認義務を負うということだとすると、遡って「他人に送信する」の意義にも影響を及ぼすことが考えられるので、その点の配慮も必要であれば付け加えた方がよいように思います。具体的には、25ページからの(エ)に加えて、(オ)として検認義務者を画する機能とか、そういうものが必要ないだろうかということです。   その上で、「他人に」と「送信する」のそれぞれの解釈についてですけれども、「他人に」に関しては、こうした簡易な方法を認めてまで遺言者の最終意思の実現をサポートしてやろうとしていたはずなのに、不特定多数宛てだと確認の審判がややこしいから駄目というのは、突如として遺言者に対して冷たくなったような感じがするのでありまして、26ページ27行目からの段落の理由は飽くまで付随的なものとして位置付けるべきなのかと思います。むしろ確認の審判の重要性、つまり遺言は多くの人に影響を及ぼす法律行為だから、確認の審判の申立てが期待できないような態様で表明された遺言というのは緊急の状況であっても保護し得ないということ、20行目から26行目は実質的にそういう話なのではないかと思いますけれども、それが重要なのではないかと思います。   また、「送信する」の方に関しては、28ページ13行目から15行目で、「遺言者が当該記録の保存先のリンクをメール等で他人に送信した場合」は駄目だという理由が、「当該記録そのものを送信したものではない」ということにあるのだという説明が引っ掛かりました。民法第97条第1項の意思表示の「到達」は、判例上、相手方にとって当該意思表示が了知可能な状態に置かれれば認められるとされていることとパラレルに考えると、リンクの送信でも記録そのものが送信されていると評価することは可能であるように思われます。記録そのものについての送受信履歴に当たらないために記録とのひもづけが不十分であるというような理由ならば、そうなのかなと思いますけれども、そうした理由付けの適否も含めて検討する必要があるように思いますし、場合によっては、「これが私の遺言です」ということもきちんと伝えられている限りにおいて、リンクの送信でもよいという結論もあり得るかと思います。石綿幹事も指摘されていたように、録音・録画の記録は容量が大きいので、例えばストレージサービスの利用が駄目だとなると結構な影響があるのではないかと思います。   さらに、28ページ35行目から29ページ4行目でまとめられている内容を、「他人に送信する」という文言だけから読み取るのはやはり不可能なので、括弧書きの形式による定義も含めて、可能な限りの明文化はすべきだと思います。デジタル技術の将来的発展に対応する余地を残すということが指摘されているのですけれども、ここで述べられている「他人に送信する」の定義と、それを支える考慮自体は、技術の発展に影響される性質のものではないのではないかという印象を持ちました。 ○大村部会長 少し長くなったので、整理させてください。幾つか御指摘を頂きましたけれども、まず第4の1(2)については、これでよろしいということでしたね。それで、船舶遭難者遺言の方について御意見を頂いておりますけれども、幾つか御指摘いただきましたが、検認義務や確認との関係での位置付けというのが一つ、もう少し考えるべきではないかということで御指摘を頂いたかと思います。それから、他人への送信ということとの関係で、具体的な問題としては、先ほど石綿幹事がおっしゃったようなリンクを送信するというものについては、もう少し積極的に考えていいのではないかという御指摘を頂きました。それともう一つ、これは多少大きな問題になるのではないかと思いますけれども、他人への送信ということについて今回いろいろな説明をしていただきましたが、それを書き込める限度では書き込んだ方がいいのではないか、括弧書きのような形で書き込んだ方がいいのではないかという御指摘を頂いた、ここまで来たかと思いますが、この後続けて、どうぞお願いします。 ○中原幹事 では、手短にですけれども、船舶遭難者遺言の確認の審判の申立権者について、ゴシック部分の提案、19ページ18行目から20行目それ自体に異論はないのですけれども、補足説明31頁5行目からの段落における説明は、理解に苦しむところがあります。「送信を受ける者」に申立権があるか否かと、その者に申立義務が課されるか否かは全く別の話であり、ここでは申立権があることを確認すれば済むものと思います。確認の審判の申立義務というものは現行法上そもそもなく、それを新たに課すのかみたいな話はあり得るかと思いますけれども、端的に不要な論理かなと思いました。   それからもう1点、検認義務者の範囲についてでありまして、先ほど小粥委員が指摘されていたことに関わりますけれども、民法第1005条の文言がよく分からない。遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで執行し又は家庭裁判所外においてその開封した者はとあって、この「又は」の前の二つがつながっているようなことを前提に部会資料が作られているような気もするのですけれども、単に提出懈怠だけでこの過料が課され得るのか、それとも最終的に検認を経ないで遺言執行することがこの過料を課すために必要なのかということは、整理した方がよいと思います。単に提出懈怠だけで過料を課され得るということであると、この記録が複製・共有されたときに保管者が広がりすぎて妥当な結論を導かないという問題があって、何らかの対応が必要なのではないかと思います。例えば、保管者の概念を区切ったりとか、あるいは提出懈怠についてのみ別の規律としたりとか、そういうことが必要となるように思われますので、民法第1005条の文意について確認、確定する必要があると思いました。   さらに、検認義務違反のサンクションとしては、民法第1005条の過料のみならず、相続人、利害関係人に対する損害賠償責任もあり得るということが、学説上は指摘されています。例えば、遺贈と登記の論点で第177条で優劣が決せられるわけですけれども、検認をしない、遺言の執行をしないということによって負けてしまったというようなことが生じたときの責任とか、そういうことが念頭に置かれているのだと思いますが、仮にその指摘が正しいのだとすれば、複製・共有された記録を持つ者が保管者に当たるかは、もう少し細やかに検討する必要があると思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。あと2点付け加えていただきまして、確認の審判の申立権と申立て義務の関係を整理する必要があるというお話と、検認義務者について、これは小粥委員の御指摘とも関連しますけれども、第1005条の趣旨を確認した上で、その範囲が広すぎないかどうかということを検討する必要がある、併せて損害賠償請求についても考える必要があるのではないかという御指摘を頂きました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○宇田川幹事 最高裁家庭局です。部会資料21ページの関係で、新たな方式における第1024条関係、破棄による撤回等の関係でございます。問題提起でございますけれども、新たな方式の船舶遭難者遺言における録音・録画について、遺言者が故意に破棄した場合には遺言を撤回したものとみなすという考え方が示されておりますけれども、この点についての補足説明は見当たらないように思われたところでございます。ただ、複製が容易であり、パソコン上のごみ箱に移されたという場合なども含めて、いろいろ取扱いはあり得るところでございまして、電磁的記録の遺言が故意に破棄されたといえるのかどうかについての事実認定、判断は難しいものがあるように思われるところでございます。これまで普通方式の甲案のときには、適用を除外するのかどうかといったことで議論があったかと思いますけれども、この特別方式の遺言の場合についても、第1024条の適用がどうなるのかということについては議論をしておいた方がよいのではないかと思われるところでございます。   もう1点ございます。船舶遭難者遺言の関係でございます。証人の役割について今回、非常に重要な役割があるというところで整理をされているところでございます。ただ、証人が自己の氏名を口述することについては方式要件としては位置付けられていないというところでございますけれども、この点については従前、部会においても疑義が示されたところではないかと認識しているところでございます。そういったことからすると、今回整理された証人の役割を踏まえて、改めて証人が自己の氏名を口述するということを方式要件としなくてよいかと、これが実際にどなたかということが分からない事態が生じないようにするためにも、そういったことで方式要件とすることも考えられるように思われるところでございます。改めて御議論いただく必要があるように思われるところだと思っております。   すみません、問題提起をさせていただきました。ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。2点、御意見というか問題提起ということで頂きました。21ページの上から3行目、ウの第1024条関係について検討を十分にしておく必要があるのではないかという御指摘と、そして2番目に、証人の役割について今回、補足説明の方で説明されていますけれども、それを踏まえたときに、自己の氏名の口述は必要なのではないかということをもう一度検討しておいた方がいいのではないかという御指摘を頂戴いたしました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○内海幹事 幹事の内海です。2点ほどありまして、1点目は、送信概念については、言いたいことは分かるのだけれども、「送信する」の解釈にそれだけの意味を読み取るという作業を求めるのはなかなか大変なのではないかというのは中原先生に共感するところで、いろいろと議論の余地がありそうだと思っております。クラウドにリンクを貼って送るというのと直接にファイルを送るということの間の区別が明確なのかというのもよく分からなくて、例えばLINEのようなサービスで動画を送ったりすると、送受信が完了したようでも、実は重たいファイルはサーバーに留まっていて、受信者側がボタンを押して初めてダウンロードが始まるということも多いような気がします。そういうものが送信なのかということを考えると、相手方の端末にファイルが送られているということを送信だということも、考えられる考え方ではありますけれども、日常的な送信感覚と合致しているかというのは、なお難しいところがあるのかなというところです。もっと通信速度の速い回線がスタンダードになるような世界がやってくれば、また話が違うのかもしれませんけれども、現時点ではその辺りは結構あやしいところもあるかなというのが1点です。   もう一つは、確認も検認も、ファイルが送られてきた人の負担としてはなかなか重たいものがあるということです。前回も手続費用の問題を指摘したかと思いますが、もう少し条文をきちんと読みますと、家事事件手続法の第28条第2項に手続費用の負担についての特則がありまして、第3号で、その裁判により直接に利益を受ける者に費用負担をさせるという判断は可能だという立て付けになっております。ただこの概念に受遺者とか相続人を当てはめることがこの文脈で可能なのかというのは、にわかには断言できないように思います。いずれにしても、例えば調査嘱託などのコストが掛かったときに、別に自分に遺産が来るわけでもない人が負担させられるということになるべくならないような立て付けに、現行法でそれが期待できるかということと、もしできないとしたら、その辺りを何らかの形で手当てするようなことも検討には値するかなという気がいたします。過料を予告することで促すというのがどうなのか、という問題意識には私も一部共感するところがありますので、どちらかといえば優しい感じにできないかということを考えていただきたいと、質問というより要望になりますが、お願いいたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。2点とおっしゃっておられましたけれども、その前提として、要件になっている他人に送信という点をもう少し書ければという中原幹事の御意見があったので、その方向に共鳴されるということだったのかと思います。どこまで書けるかという問題はありますけれども、検討してみてはいかがかということかと思います。その上で、送信の中身について、相手方まで届いていることが本当に要求されるのかということについての問題提起と、それから確認、検認の負担ということで、手続費用の負担がどうなるのかということについて確認をし、必要ならば対応措置をとるべきではないかと、こういう御意見を頂きました。   ほかにいかがでしょうか。御発言はよろしいでしょうか。   ありがとうございます。今頂いた御意見の範囲で申しますと、16ページの第4の(2)については御議論はなかったと理解をいたしました。それから、船舶遭難者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式、これは他人に送信という文言をもう少し書き込めないかという表現上の問題が一方にありますが、他方で実質に関しては、送信したということの中身をどう考えるのかということにつきまして複数の委員、幹事から御指摘がありました。例えば、リンクを送るというのは本当に駄目なのかといった御指摘がありましたので、その辺りを更に詰める必要があろうかと思います。さらに、20ページの(5)の検認手続等の規律というものが今回付け加えられたところでありますけれども、これにつきましてはかなりたくさんの御意見を頂きましたので、それらを参酌してもう一度御提案をするということになろうかと思います。   この部分は、今のような形で引き取らせていただきたいと思います。   そこで、更に進ませていただきたいと思いますが、次が第5になりますけれども、その他という部分になります。この部分につきまして、まず事務当局の方から御説明を頂きたいと思います。 ○小川関係官 関係官の小川です。そうしましたら、38ページの第5号の部分について御説明をします。その他の改正項目について記載をしているところです。   1ですけれども、成年被後見人の遺言について記載をしています。本文自体は部会資料14-1から実質的な内容に変更はございません。補足説明において、医師が立ち会う場面について整理をした上で記載をさせていただいているところです。   次に、2ですけれども、遺言の証人及び立会人の欠格事由についてです。前回からの変更点としまして、受遺者の被用者が欠格事由となるというのは、受遺者が推定相続人である場合を除くものとして、推定相続人に対する遺贈に際して遺言の際の証人等の確保が困難になるというような事態を避けるようにしているところです。また、前回会議では受遺者の役員を欠格事由とするということに異論はなかったものの、被用者との要望については、その範囲が不明確ではないかとの御指摘等がございました。そこで頂いた御指摘のとおり、欠格事由の有無という点については、遺言時に明確であるということが必要であるということが考えられます。   この点、補足説明に記載しておりますけれども、被用者の範囲についてですが、最終的には解釈によって定まるということになってこざるを得ないかと思いますけれども、その中でも解釈の方向性というのを明確にできないかという観点から、少し議論を整理させていただいているところです。具体的な基準というのが整理できればと思っておりますし、また、少なくとも解釈に当たっては遺言者が遺言時点で判断できるものであるということが必要になってくると考えておりまして、部会の議論の内容というのを十分に周知、広報することも含めて、重要であると考えているところです。それから、受遺者の被用者を欠格事由とする必要性、立法事実に関わる部分についても、前回の部会での御指摘等も踏まえまして改めて整理をさせていただいております。これらの内容も踏まえて、受遺者の被用者を証人等とすることには慎重になっていただくということを、改正規定を置いた場合ですけれども、明確にする必要があると考えているところです。   それから、3ですけれども、所要の整備として、本文記載のとおり見直しをする場合には、それに伴って一定の整備が必要になると考えられることから、その旨を追記しているところです。その際、自筆証書遺言書を遺言書保管所において保管する場合の保管等の手続についても、遺言者等の利便性を図る観点から、保管証書遺言書に関する手続と併せてウェブ会議の方法による本人確認を認めるなどの規定を設けるものとすることが考えられますので、この点について御意見があれば頂きたいと思っているところです。   なお、46ページ以下の(後注)の部分ですけれども、細則を法務省令で定めることが予定されている規律を整理して記載をさせていただいているところです。   第5についての御説明は以上となります。 ○大村部会長 ありがとうございました。「第5 その他」ということで、1が成年被後見人の遺言ということですけれども、ここはゴシックの本文については修正はないということで、若干説明を整理していただいたということでした。2の遺言の証人及び立会人の欠格事由というところについては、③の受遺者から推定相続人である者を除くということで、推定相続人の場合に証人が得られないというようなことを避けるという趣旨だという御説明がありました。それから、被用者についてはその範囲が明確でないということが指摘されてきていますので、それについて説明をしていただいたということかと思います。3の所要の整備については、従来の遺言書保管法による自筆証書遺言の保管についてもウェブ利用が考えられるけれども、この点についてどうかというお尋ねがあった。最後が46ページの(後注)でございますけれども、今回の立法というのは法律中に定めをする部分と法務省令で定める部分とが分かれます。かなりの部分が法務省令に委ねられるということになりますので、その仕分けがどうなっているのかということについて(後注)という形で整理をしていただいたということかと思います。   以上がその他の内容ということかと思いますけれども、問題提起をしていただいた部分を中心といたしまして、その他の部分も含めて御質問、御意見があれば頂戴したいと思います。どなたからでも。 ○入江委員 信託協会の入江でございます。今事務局から御説明いただいた内容と資料記載のところとも若干重複して恐縮ですけれども、証人又は立会人の欠格事由の拡大のところで、取り分け受遺者が法人である場合の被用者についてになります。こちらは改めてですけれども、範囲の明確化と、遺言者と証人が予見可能な範囲に限定されることが必要であります。それが場合によって困難な場合には、被用者までは拡大しないという考え方もあるのではないかと思います。   といいますのも、実務の観点からは、最近、第三者への遺贈を伴う遺言が増えている印象があって、その遺贈先というのは法人を含めて様々であります。国ですとか地方公共団体、学校法人とか研究機関等々、公益団体も含まれますけれども、こうした傾向は今後も続くのかなと思っております。そうすると、遺言内容に不満のある相続人等、取り分け遺留分のない相続人にとっては、遺言が有効であるか無効であるかというところが大きな問題になってきて、欠格事由の範囲が曖昧であると、遺言が無効であるという主張が当然出てくることが想定されます。そのときに解釈に委ねられて裁判を待たなければ結果が出ないということになりますと、相続手続が止まるといった執行への懸念があります。なので、繰り返しですけれども、明確化と範囲の限定、取り分け被用者についてはそういった規律が求められるのかと思います。   受遺者の範囲につきましても、先ほど一例を挙げましたけれども、法人には、例えばレアケースかもしれませんけれども法人格のある町内会・自治会なども法人に該当するケースもありますので、かなり幅広くなるということがあります。それと、例えば、私どもは信託銀行ですので信託財産に遺贈するというケースもあり得て、その場合はその信託の受託者が受遺者なのか、信託の受益者が受遺者なのかというところも、本来であれば明確にする必要があります。被用者につきましても、これは前回の部会でも議論がありましたが、アルバイト等を含めて範囲が拡大する可能性もありますし、例えば、一般社団法人の社員であるとか日本赤十字社の特別社員であるとかという方が該当するのかどうかといったところも疑問が出てくる可能性はあるのかなと。そうしますと、そういったことをめぐって相続手続が止まるということは今回の民法改正の趣旨とも反するところかなとは思いますので、ここは改めて申し上げたいと思います。   一方で、この資料にも記載してありますような遺言者の真意に反するような遺贈が強要等をされるという事態は防ぐ必要があると思いますけれども、こちらはこの場の議論ではないとは思いますが、そのような行為であるとか事業者を別途取り締まる枠組みも併せて規律されるべきではないかと思いまして、意見を述べさせていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。御意見は、証人及び立会人の欠格事由というところで、前回より問題になっております被用者というものの範囲というのを明確にしないと様々な手続が遅延するであろうという御指摘だったかと思います。その中で、信託財産について受遺者はどちらであるかというのが定まらないというお話がありましたけれども、それはここで決着を付けるという御趣旨ではないですよね。 ○入江委員 そうですね、そういったことが疑問として残ったままですと争いになる余地があるので、そこは立法化されるときには明確化されることが望ましいという趣旨ですので、当たる当たらないをこの場で、どちらでしょうかということではございません。 ○大村部会長 分かりました。いずれにしましても、当たる当たらないが問題になるところに更に被用者がぶら下がっていると不明確な者の範囲が広がるという御趣旨だったと承ります。そして、様々な内容的なものについては他の手段で規制を掛けるということも併せて考えるべきではないかという御指摘を頂いたと受け止めました。 ○相原委員 相原でございます。39ページの③の受遺者(推定相続人である者を除く。)で、その後、並びにと続いているわけなのですが、受遺者が推定相続人である場合の被用者は後述の欠格事由から外すという趣旨かと思うのですけれども、この書き方だと、受遺者(推定相続人である者を除く。)にしてしまうと、例えば、長男に全部を遺贈するといった場合の長男さんは証人とか立会人になれてしまうということなのでしょうか。つまり、長男の配偶者とか直系血族とかも、推定相続人である場合は構わないということに読めてしまうような気がしたものです。   趣旨が、受遺者の被用者、つまり受遺者が推定相続人である場合の被用者に関しては、後の法人である場合とは区別をするという趣旨であれば、その検討として書かれているかと思って、私なりに意見を求めたりしたのですが、なかなか適切な証人を確保できないようなことなどもあるからという40ページの書き方で、欠格事由とすべきかすべきでないかなかなか結論をすっきりとは行かないところなのです。証人というのが客観的に利害関係がない人でないと、余り証人の意味、立会人の意味がないのではないかという趣旨からすると、ここも非常に疑問はあります。ただ、ここはもう決めの問題であって、範囲の問題として法人に限定するという書き方を、むしろここは書いてくださって、維持して書いていただいているのだなと思って、評価したいところであります。   先ほどから、執行の段階の立場からするとそういう問題が発生するというのは非常によく分かりますし、そういう意見もあるかと思っております。なので、これも論理的にどうのこうのというよりは、一種の配慮、どちらに重きを置くべきかという価値評価の問題かと思っております。私自身の意見は、前回も申し上げましたが、執行の段階で各執行機関、金融機関などが大変な思いをされるとかいうのもよく分かるのですが、一方で高齢者の問題におけるサービス事業者、終身サービス事業者というのは本当に増えておりますし、昨日もNHKか何かの特集でも、やはり独居の一人の人がサービス事業者を依頼するというケースが増えていると、そして、その場合にそのサービス事業者が一定の割合は寄附することみたいなことを要件にしているみたいな、そういうことも報道されて、それの悩みを持っていらっしゃる方も多かったというところもあります。私の実務の体験からもやはり被用者、せめて現状の今回御提案いただいたような、受遺者が法人である場合にあっては受遺者の被用者及び役員を欠格者とするということは維持していただきたいと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。御意見は何段階かあるけれども、最低限、受遺者が法人である場合についての受遺者の被用者及び役員というのは維持していただきたいという御意見と、それから、書きぶりとして、先ほど説明があったものとこの書きぶりとの間にそごはないのかという御質問があるということですね。 ○相原委員 はい、そうです。 ○大村部会長 御質問の方について。 ○小川関係官 関係官の小川です。まず、最初の書きぶりのところですけれども、推定相続人である受遺者については②の方で読むということを想定していますので、引き続き、例えば長男に全部遺贈するというケースであった場合は、本人は当然なれませんし、その配偶者及び直系血族もできないというところを想定しているところです。   もう1点、法人に限るというふうなところの御発言があったかもしれませんけれども、③の受遺者(推定相続である者を除く。)の中には個人、自然人である受遺者も含んでいるというところですので、一応そこだけ補足させていただきます。 ○相原委員 個人でも欠格事由になるという理解でよろしいですか。分かりました。ありがとうございました。 ○大村部会長 書きぶりの方についてもよろしいですね、②と書き分けて。 ○相原委員 そこが、そもそもの従前の条文は、推定相続人及び受遺者並びにという書き方で、推定相続人と並びでシンプルになっていたわけです。それがこういう②と③となっていると、通常、相続させるみたいな表現の遺言書と遺贈するという遺言の場合をイメージしてしまうものですから、誤解を生じる可能性があるかなと思ってお伺いいたしました。 ○大村部会長 分かりました。ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○隂山委員 所要の整備につきまして発言させていただきます。   45ページで、現行の自筆証書遺言書保管制度においても、保管証書遺言と同様、ウェブ会議の方法による本人確認や遺言書情報証明書の電磁的記録の提供等を認めるといった方向性が示されており、利便性の点から期待をしています。もっとも、自筆証書遺言書保管制度につきまして、郵送などで遺言書を送付し、ウェブ会議で本人確認が可能となった場合には、保管証書遺言との差異が相当程度薄れてくるのではないかとも考えられます。今後の検討といたしまして、自筆証書遺言書保管制度をどのように位置付けるのかといった視点から整理をしていく必要があるのではないかと考えています。 ○大村部会長 ありがとうございます。所要の整備のところで、自筆証書の場合の手続、ウェブ利用ということについて、結論は反対というわけではないという。 ○隂山委員 所要の整備がされることにより、利便性が高まると考えており、期待をしています。 ○大村部会長 その上で、その仕分けというか、それについて整理が必要ではないかということですね。 ○隂山委員 はい、ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。 ○萩原委員 萩原でございます。前回の会議で、私は被用者という概念が広すぎるのではないか、今までも議論をされているところですので、前回そこの部分は、受遺者が法人である場合の役員というか、そこに限定するという考えに賛成であると結論を述べたと思います。基本的にはそういう考えを持っておりますが、その場合に考えたのが、43ページの上から4行目からにありますとおり、特別方式の遺言に欠格事由が適用されると、そうなると船舶遭難者の遺言、この場合に同じ法人の従業員しか周りにいない場合はもう遺言はできないのかと、こういう問題もあると申し上げました。   ただ、この点はここに書かれましたとおり、証人は遺言書の記載が真実遺言者の意思によるものであり、また真意に基づきされていることを明らかにする点で、特に遺言の内容に利害関係を有しない立場にあることが必要であると考えられる、そうすると死亡危急時遺言等において証人等の欠格事由を緩和することは相当ではなく、また推定相続人以外の者が遺贈を受ける場合には、被用者を通じて遺言の内容に影響を与えないように配慮すべきであるとも考えられると、こういう見解、確かにそういう考えはあると思います。そうするともう、先ほど言ったような船舶遭難者遺言、そういう状況に置かれた場合は仕方がないと、遺言ができないのもやむを得ないということであるとすれば、皆さんの議論でこれはしようがないのだということであれば、被用者というものを入れるということはやむを得ないのかもしれません。   ただ、その場合でも、この被用者の概念は正に法的解釈によって左右されるところがありますので、法文上は難しいかもしれませんけれども、法務省令その他でもう少し具体化をしていただくようにした方がよろしいのではないか。そうでないと、ひょっとすると被用者に当たるのではないかということで、契約関係があるかどうかは調べてみないと分からないところですけれども、例えば、事前にこの人は証人になれるかという相談を受けた場合に、かなり広い範囲で、欠格事由を広めに解釈して、こういう場合は控えた方がいいと、公証人の立場でもそういうようにアドバイスをするというか、そういうことになると思います。それでいいということであればそれまでですけれども、やはり明確性を出していただけるように規則などでも規定していただけないかと思う次第です。 ○大村部会長 ありがとうございます。萩原委員からは2段階の御意見があったかと思いますが、前からおっしゃっていますが、船舶遭難者遺言などの場合に、被用者を入れると証人が得られない場合があるのではないかという懸念があるということでしたけれども、しかしそれは仕方がないという考え方もあるかもしれない、その場合にはもう一つの選択肢の方でやっていただくしかないということもあるかもしれない。2段階目の問題として、それにしても被用者については可能な限り明確化を図っておく必要があるのではないかという御指摘だったかと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○中原幹事 受遺者の被用者を遺言の証人及び立会人の欠格事由とすることについて、結論として被用者を欠格事由として定めた上で、そこでいう「被用者」の意味について、解釈指針によって定型化・類型化の方向性を打ち出して事前判断の容易化を目指すということで、結論としてよいと思うのですけれども、そのこと自体の正当化が現状では不十分であるというか、うまくいっていないと感じました。   41ページ6行目では、この欠格事由ルールの目的が、「受遺者が被用者を通じて遺言者に不当な影響を与えることを防止する」という点に求められていますけれども、これを強調するならば、被用者に当たる者を定型的・類型的に示してしまうと、容易に潜脱されて、ルールの目的が達成されなくなるというジレンマが生じるように思います。43ページ以下の(注2)では、民法第715条の使用者責任との相違が強調されているのですけれども、むしろ使用者責任における「被用者」概念と同様に柔軟に解しておいた方が、遺言者に不当な影響が加わってされた遺言を無効化するためには、よいのではないかというような印象を抱かせてしまうように思います。遺言の欠格事由は事前の行為規範なのだから適用範囲の明確化が必要なのだという論拠についても、事業を行おうとする者は自らが責任を負うリスクを考えて労務管理や業務委託をするのだから、使用者責任でも変わらないでしょうというような反応が返ってきそうなところであります。   ポイントは、欠格事由ルールにどこまで期待してよいか、当該ルールの役割・射程の明確化にあるように思います。欠格事由ルールは、ある者が証人・立会人となった遺言を直ちに無効とするという非常に強力なルールでありまして、便利な反面、危険でもあります。これによって実現してよいのは、せいぜい不当な遺言がされることが定型的・類型的に危惧されるような状況の排除、すなわち当該状況下で作成された遺言の一律の無効化ということにとどまるのであって、そこから先、より個別的な事情に即してする不当な遺言の無効化というのは、42ページ2行目から5行目で示唆されているように、法律行為法によって実現される話だと。ただし、民法だけではなくて不当寄附勧誘防止法も援用されるべきだと思いますし、さらに、法律行為法で対処できない場合には不法行為法も援用されるとか、そのような話も出てきますが、いずれにせよ欠格事由のルールというのは遺言の効力規制の全体像の1コマに位置付けられるものでありまして、その目的は、遺言者が不当な圧力にさらされることが危惧されるような定型的・類型的な状況を排除するということにあるのだから、「被用者」概念というのも明確な類型をもって画されるのだと、具体的には雇用関係など明確な支障があるケースに限定されるのだということなのではないかと思います。   ちなみに、こうした理解をとった場合の使用者責任における「被用者」概念との相違は、適用範囲の明確性の要請の有無によって正当化されるというよりは、ルールの目的・射程の違いによって正当化されるということになります。   また、受遺者が推定相続人であれば、その被用者は証人・立会人たり得るという提案について、42ページ9行目以下で説明がされていますけれども、これも単に証人・立会人になれないと困るという便宜論だけではなくて、今申し上げたような欠格事由ルールの目的・射程の面から正当化が図られるべきだと思います。16行目から20行目に掛けての説明はこういうレベルに位置付けられるのだと思うのですけれども、個人的には、受遺者たる推定相続人に雇われている者であれば、推定相続人でない受遺者に雇われている者について危惧されるのと同じような不当な影響力行使のリスクが定型的・類型的にあるように思われ、しかも16行目から17行目に挙げられているような遺言者の身の回りの世話をする者ならば尚更ではないかという気がして、受遺者たる推定相続の被用者ならばよいのだという提案は腑に落ちていないところがあります。 ○大村部会長 ありがとうございます。中原幹事から2点、御指摘を頂きました。1点目は、受遺者の被用者について御議論があるけれども、最終的には被用者を残して、あとは様々な形で明確化を図るということでよいと思うが、そのときの説明の仕方、正当化の仕方について考える必要があるという御指摘。欠格事由の性質ということを考えるのならば、定型的に排除されるべきもの、遺言を無効に導いてしかるべきものということで、かなり厳格に考えるということになるのではないかという御指摘が一方であり、他方でもう一つ、先ほども出ましたが、推定相続人であるところの受遺者の被用者、これについては結論に問題があるのではないかという御指摘を頂いたということかと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○倉持幹事 ありがとうございます。証人欠格について被用者も含めるということで、私も前回、萩原先生のお話を聞いて、被用者の範囲が曖昧だと実際の公証実務が困るのではないかということで、どうなのだろうと思っていたのですが、ただ、これもいわゆるメッセージ性ですかね、不当な遺言をさせないという意味で、そのメッセージ性を出すことが重要だということで、入れるのがやむを得ないのであるとしたら、それはやはり関係者は証人にしないということで実務上やってくしかないのだとは思います。   あと少し別の観点なのですけれども、第5のその他の2番目と1番目の関係ということなのですが、1番目の被後見人の遺言なのですが、これは別の部会で議論されていて、結局特定補助人という類型が設けられるから、その類型に合わせるほかはないということなのだと思うのですけれども、そうすると実際上は従前の被後見人よりも狭い概念というか範囲になると思うので、事実上遺言の方式要件を緩和する方向になっていて、1と2は若干方向性が違うのではないかという誤解も出るような気もするのですが、ただ、そうなると、例えば施設にいる方が、これまでは被後見人になっている人は医師二人以上の立会いが必要で、そうではなくて保佐、補助の人はそこまで必要ではなかったということだったのが、今後は今ある被後見人の中でも特に鑑定を必要とするようなかなり重い方以外は医師二人以上の立会いは必要ないということで変わっていくという中で、そうだとすると尚更、その規制が掛からない方について不当な遺言がされないようにするために、やはり証人の欠格事由についても広く考える必要があるのではないかということで、1項、2項はそういう意味で関係すると私は理解したのですが、そういう意味で決して矛盾するものではないという理解でよろしいのでしょうかというか、最後、質問も入ってしまったのですが、お願いします。 ○大村部会長 ありがとうございました。2点御発言がありましたけれども、1点目は、被用者を入れるということになると、最後はどうしても曖昧なところが残るので、そうすると、これは事務当局の方からの御発言の中にもありましたけれども、行為規範として危なそうな人は除いてもらうのだということを徹底するということしかないのではないか、あるいは、少なくともそれを併せてやるべきではないかと、こういう御指摘だったかと思います。それから、2点目は興味深い御指摘だと思うのですが、第5の1と2というのは一見すると方向が逆のように見えるけれども、1があるので2という形で網を掛けるというか、制約を課すということが必要になるという説明も成り立つけれどもどうかということだったと思いますが、何かあれば。 ○齊藤幹事 今の点につきましては、「第5 その他」の2、欠格事由の方ですけれども、これは成年被後見人の遺言といったような特定の狭い場面だけではない全般に及ぶ規律ではありますので、そういう意味で、直前の1と直接の関係があってどうこうということではないかなということは考えております。ただ、倉持幹事が御指摘のような関係性は一定程度、説明としてはあり得るかなと感じました。ありがとうございます。 ○倉持幹事 ありがとうございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   ありがとうございます。その他というところについて御意見を頂戴いたしましたけれども、新たに付け加えられた所要の整備については基本的に御異論はなかったと受け止めております。他方で欠格事由につきましては前回同様、受遺者の被用者というものについてどうするのかについて複数の御意見を頂戴いたしました。明確化を図るということで、具体的にはどうするのか、その根拠をどうするのかということを含めて、更に検討させていただくということかと思います。   少し話が戻りますけれども、所要の整備のところで隂山委員から、自筆証書の場合と保管証書の場合の差がなくなるので、これについて整理しておくというか、あるいは説明をしておくということが必要ではないかというお話がありました。最初の方でも、新たにできる保管証書というものをどのように位置付けるのかということについて説明が必要ではないかというお話がありました。新たな制度を作ることによって現在の遺言制度がどう変わって、その中でそれぞれの類型がどのように位置付けられるのかということ、これは条文上の問題ではないのだろうと思いますけれども、どこかで整理をして御理解を頂くということを考えていく必要があるだろうということを、今日の御議論を伺ったといった感想として改めて確認をさせていただきたいと思います。   これで大体、今日の資料について御意見を頂きましたが、よろしいでしょうか、更に御発言があれば頂きますが。   ありがとうございます。それでは、ほかに特に御意見がないようでございますので、本日の審議はこの程度にさせていただきたいと思います。   次回の議事日程等につきまして、事務当局の方から説明をしていただきます。 ○齊藤幹事 本日もお忙しい中、ありがとうございました。   次回の日程は、令和7年12月26日金曜日、午後1時30分からとなっております。場所は同じく地下1階の大会議室となります。   次回は、本日の御議論を踏まえて要綱案(案)というような形で資料を準備させていただき、それを基に御議論いただく方向で考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。年末になって恐縮ですけれども、本日までの御議論を取りまとめた形で要綱案(案)を出していただくということになりますので、それを基に最終段階の御議論を頂ければと考えております。   それでは、法制審議会民法(遺言関係)部会の第15回会議を閉会させていただきます。   本日も熱心な御審議を賜りましてありがとうございました。閉会いたします。 -了- -48-