法制審議会 民法(遺言関係)部会 第16回会議 議事録 第1 日 時  令和7年12月26日(金) 自 午後1時30分                       至 午後3時35分 第2 場 所  法務省大会議室 第3 議 題  民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案(案) 第4 議 事  (次のとおり) 議        事 ○大村部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会民法(遺言関係)部会の第16回会議を開会いたします。   本日は、年末御多忙の中御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。   まず、前回の会議後、幹事に異動が生じておりますので御紹介をさせていただきたいと思います。   宇田川幹事が退任されまして、後任といたしまして北嶋典子幹事が就任されました。北嶋幹事におかれましては、簡単な御自己紹介をお願いしたいと思います。 (幹事の自己紹介につき省略) ○大村部会長 どうぞよろしくお願いいたします。   それでは、本日の審議に入ります前に、配布資料等についての説明を事務当局の方からお願いいたします。 ○宮村関係官 配布資料として、部会資料16-1「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案(案)」、16-2「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案(案)についての補足説明」がございます。また、席上のタブレットには、委員等名簿及び議事次第を格納しております。   本日の配布資料は以上でございます。 ○大村部会長 ありがとうございました。   では、本日の審議に入りたいと思います。   部会資料16-1が要綱案の原案、そして16-2がそれについての補足説明を記載したものと認識しておりますけれども、本日は特に要綱案としてどのようなものを取りまとめるかという観点を中心に御議論を頂きたいと考えております。   そのような観点から申し上げますと、前回の会議では、特に自筆証書及び秘密証書遺言の押印要件等に関する規律、これは第2及び第3に関わります。それから、特別の方式における船舶遭難者遺言における送信要件に関する規律、これは第4の2の(3)アの②というところに関わりますが、及び検認手続に関する規律、これは第4の3の(3)ということになります。そして、証人等の欠格事由に関する規律、これが第5の2ということになりますが、これらにつきまして本文、ゴシック部分につき様々な御意見を頂戴したところでございます。その御意見を踏まえまして、今回事務当局から資料を準備させていただいておりますけれども、今申し上げました点を中心に、またその他の点も含めまして御議論を頂ければと思っております。   その上で、本日も部会資料の最初から順に御意見を頂きたいと考えておりますけれども、説明の便宜上、部会資料16-2の方に基づいて御議論をお願いしたいと考えておりますので、まず16-2の「第1 普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式等の創設」、この部分につきまして事務当局から御説明をお願いいたします。 ○戸取関係官 部会資料16-2の第1では、普通の方式におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式等の創設に関する規律を記載しておりますが、本文について、部会資料15からの実質的な変更点はございません。   その上で、1の新たな遺言の方式に関する規律について、補足説明において、前回会議で頂戴した御指摘についての考え方等を整理して記載しております。   まず、4ページの2(1)では、遺言の全文と財産目録との関係として、本文(ゴシック部分)の規律は修正しておりませんが、遺言の全文の口述が円滑に進むよう、本文と財産目録とを区別した記載等を求めることが相当と考えられることから、法務省令又は通達において、財産目録の口述を省略する場合における保管証書遺言書の様式等として、本文と財産目録とを区別した記載等が求められ、区別されていない場合には、原則どおり遺言の全文について口述する必要がある旨を明らかにすることを想定している旨を記載しております。   5ページの(2)では、介助者等が不当な働き掛けを行っていることが明らかな場合には、ウェブ会議の利用を中止し、出頭を求める旨通達で定めることが考えられることを記載しております。   6ページの(3)では、申請書の添付書類の保存期間について、現状では十年間とされているところ、遺言書に関する紛争を防止する必要性、遺言執行に際して利用する必要性、保管のコスト等を踏まえ、適切かつ合理的な保存期間に伸長することが想定される旨を記載しております。   7ページの(4)では、自筆証書遺言書が保管証書遺言書として保管された場合、それぞれの遺言の方式としての効力を有するとの考え方も否定されないと考えられることを、また(5)では、保管証書遺言を創設する場合の普通の方式の中での位置付けとして、主に利用されている公正証書遺言、自筆証書遺言と対比することができるよう、それぞれの方式のメリットやデメリット等を記載しております。   部会資料16-2の第1についての御説明は以上です。 ○大村部会長 ありがとうございました。16-2の第1の部分につきましては、ゴシックの部分につきましては、前回も特に大きな御異論はなかったと理解をしております。   本日、今回の補足説明につきまして御説明を頂きましたけれども、この補足説明等につきまして、御質問、御意見があればいただきたいと思います。どちらでも結構でございますし、どなたからでも結構ですので、挙手の上で御発言を頂ければと思います。 ○隂山委員 隂山でございます。本文のゴシック部分につきましては特段異論ございません。その上で、確認と周知の視点から、若干発言をさせていただきたいと存じます。   前回部会で小粥先生からも御発言があった保管証書遺言と自筆証書遺言の関係につきまして、7ページ4行目以下からの御説明により、秘密証書遺言と自筆証書遺言の関係性なども踏まえつつ、保管証書遺言としての性質と自筆証書遺言の性質の双方を併せ持つといった整理は、不相当とは言えないという位置付けであると理解をしています。この理解を前提に、自筆証書遺言としての形式要件を満たしつつ、保管証書遺言の性質も併せ持った遺言の効力が発生した場合、保管証書遺言としては検認が不要となる取扱いとなりますが、自筆証書遺言としての性質もあるとするならば、自筆証書遺言の保管制度を利用していない関係上、検認の請求をしなければならないと考える余地が残り得るのではないかと考えています。   この点、自筆証書遺言としての性質を併せ持っていたとしても、保管証書遺言として成立している限り、検認の請求は不要であるという整理でよろしいでしょうか。   周知の点につき、保管証書遺言において、保管の申請の撤回があった場合、遺言者の意識としては、遺言自体の撤回をしたと考える余地がありそうに思われますので、自筆証書遺言としての形式を満たしているような場合には、十分な周知・広報が必要ではないかと考えています。 ○大村部会長 ありがとうございます。新しく作る保管証書遺言とそれから自筆証書遺言の関係につきまして、確認の御質問を頂いたと理解をしております。その上で、周知の必要性についての御発言があったと受け止めました。   確認の部分につきまして、事務当局からお願いします。 ○齊藤幹事 お考えのとおりかと考えておりまして、つまり、保管証書遺言として撤回がされていない状態で相続が開始したということであれば、これは保管証書遺言としての効力が最終的に発生しているわけですので、検認は不要という整理になるのではないかと考えておりました。 ○大村部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。   その他いかがでございましょうか。 ○萩原委員 それでは、いただきましたこの本文の部分に関しましては申し上げることはございません。1点、ウェブ会議につきまして、今後の実務の上での、あるいは御参考となる情報になればと思いまして発言をさせていただきます。   今年の10月から、ウェブ会議による公正証書の作成を始めております。それで一番思いましたのは、今後ウェブ方式でのデジタル遺言の全文の読み上げと本人確認、その本人確認というのはなかなか手間が要ることだと思っております。特に、身分証明書をウェブの画面上にさらして、このとおり私は本人に間違いがございませんと、こういうことは、目で見ればそのように見えるわけですが、身分証明書というのはかなり精巧に偽造することもできるという認識をしております。ですから、画面に映った身分証明書と本人の顔と、これを照らし合わせて、それで簡単に大丈夫かと言えると、なかなか問題があります。今までの議論の中で出ましたとおり、またもう一段階の本人確認方法というのを、特にそれこそ技術的な面で取り入れることがよろしいのではないかと思っております。   ちなみに、私の場合、ウェブ会議を始める場合は必ず予行演習というのをやっております。なぜかといいますと、電子公正証書の場合は、相手方に電子サインをパソコン上にしてもらわなくてはなりませんので、しかも、それが公証人やほかの列席者に見えるように、画面を共有して操作してできるかどうかという、そういう画面操作上、更にはシステムで画面にタッチペンで名前を書ける、そういうパソコンを用意してもらわなければならないとか、そういう制約がありますので必ず練習をするわけですが、そのときに本人確認、更に本番でもということで、複数回の本人確認をできると思っております。本件はそういう操作はないわけですから、いきなり画面で相手方と対峙して、それで本文を読み上げて、これで結構ですと、そこら辺はやはりちょっとリスクがあるのかなと。   もう一つは、御参考までに出たばかりのこの民事月報の80巻9号190ページに法務省民事局の作られたウェブ会議の利用の申出という申出書のひな形がございます。事前にそういう申出書を送ってもらい、そこに電子署名、あるいは、ペーパーで送られる場合は印鑑証明書の実印を押してもらって送ってもらい、そういう形で間接的に本人確認を行うと、こういうことも必要かなと思いますし、そういう意味では、ウェブ会議を導入するということは、遺言書保管官の側からすると負担は相当、面前で行うのに比べてはるかに多くなりますし、事前の準備をどうするかということは必ず大きな問題になると思いますので、この点は是非、今後の規則、通達を考える上でお考えいただきたいと思います。   もう一つ、これは最近電子公正証書の作成が始まってみて思いましたけれども、私は今、東京の霞が関で公証人をしておりますが、依頼が来るところが、北は札幌、西は福岡、鹿児島、ほかの役場では沖縄と、私はまた岐阜の方とも作りましたけれども、公正証書をウェブで作成できるということになりますと遠方の方から、今相談を受けているのはハワイ在住の日本人の方とか、またフランス在住の日本人というのもありましたけれども、それこそ外国人の方もこれは、日本人でなくてもこれが利用できるとすれば、例えば遺言書保管官に海外からデジタル遺言の保管の依頼が来ることもあり得ると思います。   そういうことですので、ウェブが、割と東京に集中しやすい傾向にあるのかなと。ですから、法務局に行って、そして面前で遺言書を保管してもらうとすれば、やはり最寄りの法務局、地方法務局に行くのが当然だろうと思いますけれども、ウェブになればその縛りがなくなりますから、それこそ東京とか大阪とか、そういうところに遺言書保管の依頼が多く集まるのかと、そういう偏在という問題も起こってくるのかなと、そういうふうに思っております。   そういう問題もあり得るということを申し上げまして、今後の御準備、対応していただければと思っております。私からはそういう、自分の経験に基づく意見を述べさせていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。萩原委員からは、ウェブ会議の利用に関わる、言わば注意すべき点につきまして、御経験を交えた形で御意見、そして情報を提供していただきました。この先細かなルールを決めていく際に、事務局の方でも勘案してお考えいただくということになろうかと思います。ありがとうございました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○小粥委員 小粥です。大変細かいところで恐縮なんですけれども、保管証書遺言書という言葉の使い方についてであります。保管証書遺言書というのは、2ページの5行目で初めて出てくるように思うんですけれども、資料16-2について申しますが、1ページの18行目に「記載され、又は記録された証書」という言葉がありまして、それから、1ページの25行目に「当該遺言に係る証書」という言葉がございまして、これらとの関係がちょっと、読んでいるといま一つよく分からないのですね。ちょっとどうなっているのか、今すぐに中身についてどうこうということではありませんが、よく分からないということを申したいと思います。 ○齊藤幹事 1ページから2ページにかけては、まず1ページの13行目、(2)の柱書で「保管証書遺言として」ということを記載しております。その上で、その中には、その5行ほど下、①の括弧の中、つまり「全文(電磁的記録に記録された証書にあっては、遺言の全文及び氏名)」とありますけれども、これらの部分から、保管証書遺言には電磁的記録の場合と書面の場合とが両方含まれるということが読み取れることになっており、そして、保管証書遺言書という言葉自体は、委員が御指摘の2ページの5行目などに出てまいりますが、この保管証書遺言書という言葉も、その書面の場合とデータの場合と両方含むものだということを表現しているつもりでございます。ただ読みづらいという御指摘かと思いましたので、工夫すべき点があるかどうかは検討させていただきたいと思います。 ○大村部会長 いずれにしましても、今の読みづらいのではないかという点も含めて見直していただくという、表現を再検討していただくということにして引き取らせていただきたいと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○戸田委員 まず、要綱案については特に異論ございません。その上で、今後の御検討に関して3点、指摘させていただければと思います。   まず、資料16-2の6ページの申請書の添付書類の保存期間に関してです。保管証書遺言においては、本人確認のログであるとか、あるいは口述の録音・録画、こういった作成プロセスの真正性や、真意性を担保するためのデータというのは、遺言書本文と不可分だと思います。そのため、保存期間の伸張を検討されているという話がございましたが、将来的な省令等において、これら真正性や真意性を担保する証跡のデータを遺言書データと一体的に同期間保存するといった設計思想を、是非盛り込んでいただければと思います。   2点目はその一体的に保存した場合の、その閲覧権限についてです。(注7)のところで、添付書類の閲覧には特別な事由が必要とされているとありますけれども、本人確認情報等の個人の機微にかかる情報や、真正性・真意性の検証に必要な情報といったものは性質が異なります。このため、こういったものを整理・仕分けして、相続人等が必要な検証をスムーズに行える一方でプライバシーを保護するといった、二層的なアクセス権限を設定していただければと思います。   3点目はウェブ会議に関してです。先ほど萩原先生が御指摘されたとおり、ウェブ会議の利用要件としては、遺言書保管官の主観的な裁量に依存することなく、客観的な技術基準で担保されるべきだと思います。具体的にはマイナンバーカードを使った多要素認証や、使用する端末環境の確認、画像や音声の解析技術を使用して周囲の状況を検知あるいは視線を計測するといったことで不正を検知する技術の活用などを、省令等で技術基準として定め、それを継続的に見直す。こういったことによって、不当な介入がない状況や、データとして客観的に記録できるよう、検討を進めていただければと思います。これにより、ウェブ会議が対面の代替ではなく、対面と同等以上の信頼性を持つデジタル完結の手続へと発展していただければと思っています。 ○大村部会長 ありがとうございます。戸田委員からも、今後の実施に向けての具体化について御意見いただきました。3点、いただいたかと思います。添付書類の保存期間の問題、閲覧について情報保護等の種分けが必要なのではないかという御指摘、そしてウェブの本人確認の方法について、客観的な手法が望まれるといった御意見を頂戴いたしました。どうもありがとうございます。   そのほかいかがでございましょうか。 ○隂山委員 先ほど萩原先生から御指摘がございました遺言書保管官の役割、負担という視点から、少し発言をさせていただけたらと存じます。   司法書士や弁護士に遺言書に関する相談をしているようなケースにおいては、自筆証書遺言や保管証書遺言について、それぞれの相違点を含めたアドバイスを受けた上で円滑に手続が進むと思われますが、そのような相談を経ていない場合、遺言者の視点からすると、遺言書保管官に対してどちらの方式がよりよい形式なのかといった質問、問合せがされることも想定されます。   この点、遺言書保管官の役割や負担といった視点などを含めて、利用者に対してどのような内容を教示できるのか、実務が混乱しないような形で通達等による周知を適切に行っていく必要性があろうかと考えています。   ウェブ会議の相当性判断などにつきましても、既に御指摘いただいているとおりではございますが、遺言書保管官における役割と公証人の先生が持つ役割などの相違点なども含めつつ、例えば、遠方であることや身体的理由から法務局に出向くことができないといった一定の理由を必要とするのか、それとも、地理的な問題は特段ないものの、ウェブ会議の方法を求めているといった場合でも可能であるのかなど、ある程度具体的な場面について、実務の導入に当たっての枠組みをお示しくださいますと、実務的な混乱が減少するとともに、遺言書保管官の御負担も減少するのではないかと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。今までも御指摘がありましたけれども、遺言書保管官の負担というのがかなり重くなるかもしれない。それに対する対処の仕方として、問合せがあり得るであろうようなものについては、別途周知を図っていくというようなことが必要ではないかと。特にウェブ利用の相当性といったことについては、ある程度の基準というのをあらかじめ示しておくということが望まれるのではないか、そういう御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○相原委員 相原でございます。要綱の案のところについては特段申し上げるものではありません。ただ、ウェブでの利用に関しましては、先ほどの全国的な利用、それから海外からの利用など、いろいろな多様な場面の利用というものも想定されるとなるとすれば、ここで何回も出てきたことであり、今隂山委員もおっしゃいましたけれども、一体どういう場合に利用できるのかということについての一定の指針というのを出していただきたい。これはここでも何回も出てきていることですけれども、最後ですのでもう一度申し上げたいと思いました。どういう場合にそれが利用できるのかということが、メッセージとしても必要であろうと思います。   そしてもう一つ、これも御意見として出ていましたけれども、新しい機器を用いての操作というのが、アップデートといいますか、どんどんいろいろなものができるようになってくる。そうすると、継続的に見直すことが必要と思います。これを法律に書き込んでしまうということは無理だろうというところから、この話が進んでいるかと思うんですけれども、継続的に見直す、チェックしていくということも、この法律を作るという上においては、是非きちっと残しておいていただきたいなと思いました。どういう場面で利用できるのかということと、それから、それが簡単に利用できるということで、先ほどの偏在という問題も出てくるのはもう十分想定されるんですけれども、簡単にできるというのであれば、それはいいんですけれども、そうであれば、またいろいろな不正なり新しい技術を用いたほかの適切ではない案件というのも出てくる可能性も増えるわけなので、そこのところの基準を作るということ、それから継続的に見直すというところ、これについてよろしくお願いしたいと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。ウェブ利用の相当性という点、隂山委員からも直前に出ましたけれども、その点も含めて、基準を作成し、それを継続的に見直していくということをしっかりやってほしいという御要望を頂きました。   これは先ほど戸田委員もおっしゃっていましたけれども、技術の方も変わっていきますので、法律の中には必ずしも具体的なことを書かずに、その外で対応するということですので、そちらの方をしっかりやっていく、こういう御指摘、御要望と受け止めさせていただきます。ありがとうございます。   そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   資料の第1につきましては、冒頭で申しましたように、ゴシック部分につきましては前回から大きな御異論のないところであったかと思います。本日も、小粥委員からやや技術的な点、チェックが必要ではないかという御指摘いただきましたけれども、特に実質にわたる点ではないと受け止めました。そのほかのことにつきましては、今後の実施に向けての御注意ないし御要望という形で引き取らせていただきたいと思います。   ということで、第1の部分につきましては御意見を頂いたということで、先に進ませていただきたいと思います。   部会資料16-2の第2及び第3、自筆証書遺言及び秘密証書遺言の方式要件に関する規律、これを併せて検討をしたいと思います。   まず、事務局の方からこの部分の説明をお願いいたします。 ○石川関係官 部会資料16-2の10ページ以下を御覧ください。第2、自筆証書遺言の方式要件の在り方の本文について、部会資料15からの実質的な変更点はございません。   補足説明2(1)では、本文の記載を維持した理由について記載しています。これまでの会議では、自筆証書遺言における押印要件を廃止した場合において、完成の担保のために新たな方式要件を条文上又は解釈上追加することになると、方式を複雑化させ、かえって遺言の作成をちゅうちょさせることになりかねないことから、相当ではないとの御指摘があり、新たな方式要件は追加せず、押印以外の方式要件については維持する方向で検討が行われていました。そして、この場合には、現行法における条文の構成及び文言等を基本的に維持することが望ましいことから、第968条第1項について本文記載のとおりとすることが考えられます。   もっとも、(2)に記載しておりますとおり、前回会議等では、押印要件の廃止により、方式要件が一つ減ることに伴って、氏名の自書要件の解釈についても変化が生じると考えるのが自然ではないかとの御指摘がございました。この考え方に沿った場合には、予測可能性を確保するためにも、解釈に変更が生じることを条文上明らかにすることとし、氏名の自書に変えて署名の用語を用いることが考えられます。しかし、このように押印以外の方式要件について変更を生じさせることは、自筆証書遺言の方式を複雑化させ、かえって遺言をちゅうちょさせるおそれがあるとも考えられます。   また、方式要件は主として真意性、真正性の担保のために定められているものであることから、完成性の担保の役割、機能を期待して方式を変更することは相当でない、つまり、完成性の担保については、方式要件の問題ではなく、ほかの文書と同様に文書の成立の問題と整理すべきとの指摘も考えられます。   なお、氏名の自書の解釈の変更を意図するものではないとした上で、文言のみを署名に変えることについては、方式要件を満たすか否かの判断を不安定にしかねないとの懸念もあり得るところであり、相当でないと考えられます。この点についてどのように考えるかにつき、御意見を頂戴できればと思います。   続けて、12ページ以下を御覧ください。第3、秘密証書遺言の方式要件の在り方の本文についても、部会資料15からの実質的な変更点はございません。その上で、補足説明の(注)では、前回会議における御指摘を踏まえた検討を記載しています。具体的には、(注1)において、封印要件に代わる方式要件を定めることの当否等について、(注2)において、開封手続を要する範囲の見直しの要否等について記載しています。 ○大村部会長 ありがとうございます。第2、第3につきましては、ここに出ている資料では、前回のゴシックがそのまま維持されております。ただ、前回、この第2、第3につきましては御意見を頂きましたので、それについて改めて検討していただきまして、その結果を補足説明に書いていただいているということかと思います。特に自書を署名に変えるかどうかというところにつきましては、前回、このままでいいという御意見と、いや、変えた方がいいのではないかという御意見がございましたので、本日も何か御意見、御質問があれば頂戴したいと思います。どなたからでも結構ですのでお願いをいたします。 ○萩原委員 それでは、まず第2の点でございますが、私、前回の議論を聞きまして、確かにこれに署名しなければならないという、そういう表現を入れるのは、これはこれでいいのかなと思いましたけれども、今回御説明いただきましたとおり、少なくとも今回は押印要件をとにかく廃止すると、それ以外は変更はしないと。そういう意味では、文言の変更によりやはり解釈上の疑義が生じるのは現時点では望ましくないのではないかという、今回の御説明も伺いまして、私としては従前とおりの表記でよろしいのではないかということで賛成させていただきます。   もう1点の、前回私の方でむしろちょっと議論を混乱させるようなことがあったかもしれませんけれども、秘密証書遺言の方式要件の関係でございますけれども、まず、国民の意識の中で、押印というのは廃止されるけれども、やはり封印というのは、いまだにそういう意識は残っていて、封印した以上はそれだけ後々の変造偽造防止、特に慎重にという、そういう意識は確かに残っているのかなと思います。そうしますと、封印については、民法第1004条第3項、また、封印を破棄した場合の第1005条、こういう厳しい規定もあるわけですから、特に遺言者本人が封印という、そういう手続を取った場合は、それを酌んで従前どおりの取扱いを維持し、それ以外の場合は封印のない、それこそ封緘、のり付けで封緘されようが何しようが、封印がない以上はそういう縛りを、特にここにありますとおり、行政罰の対象となるような行為を広げかねないような法改正は、確かに適切ではないと考えるようになりましたので、結論的には、第3の秘密証書遺言の方針に関するこの規律に賛成いたします。 ○大村部会長 ありがとうございます。第2の自書か署名かという点、それから第3の封印の点、前回議論ありましたけれども、今回ここで提案されているものに賛成をするという御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○小粥委員 度々すみません。何度か第2の問題について意見を申しましたので、意見を申します。   ゴシックの部分について、このようにすることについては特に意見はなく、賛成です。ただ、私がこれまで、前回、前々回等に申していたことは、押印要件を廃止するということに加えて、多分押印要件の廃止によって、実質的に自筆証書遺言の方式要件が変わる部分があるんだということだったのだと思います。つまり、要件が四つから三つになるということによって。しかし、そのことについては、恐らくこのフロアでコンセンサスはないのかなとも思っております。どうも私は独自の認識に基づいて意見を申していたようで、これ以上は意見を申すべきでないと。つまり、補足説明に書いてあることと私の認識が違っているんですけれども、しかし、ゴシック部分をこのような形でまとめるということについては、これで結構かと思うということでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。小粥委員からは、最終的にはゴシック部分はこれでまとめるということについては、これで結構だという御発言を頂きました。   前回、意見が対立していたと思いますけれども、それは、新たに押印を廃止したときに、その余の要件についての解釈がどうなるのかということについて、複数の考え方があり得るということで、小粥委員はある考え方に基づいて御発言をされている。それと同じ立場の方もほかにもいらしたと理解をしておりますけれども、必ずしもそれがここでの全体的な意見ではないということを前提に、それならばということで、これでも結構だという御発言を頂いたものと理解をいたしました。   この後どのように推移していくことになるのかということについては、なかなか分からないところもあるわけです。要件が四つから三つになって、単に引かれたということだけになるのか、三つになったことに伴って、氏名の自書という要件が従来よりも重く考えられることになるのか、ここはちょっと分からないところがあるように思いますけれども、そのことを含んだ上で、条文としてはこれでも構わないと、こういう御発言と承りました。ありがとうございます。   そのほかにはいかがでしょうか。 ○石綿幹事 幹事の石綿です。私も前回、署名に変えた方がよいのではないかということを申し上げましたが、ゴシックにつきましてこの形でまとめることに異存ございません。   理由は2点です。今日の部会資料に書かれているように、完成性の担保というのを遺言の方式要件によってするものではなく、それは文書の完成の問題と整理し得るということも十分にあり得るのかなと思うというのが1点です。また、前回確か相原委員が御指摘くださったと思いますが、氏名の自書という要件のもとで、フルネームを書くということ自体に意義があるのかもしれないというのが2点目です。署名というのは、氏名を全部書かなくてもいいというような解釈もあり得るということが現行法について注釈書などに書かれていたりもしますので、そういう意味で氏名の自書という文言を維持して正確に記載することを求めることの方がよいという側面もあるかと思いますので、これでよろしいかなと思います。   ただ、小粥委員が示唆されたように、押印要件がなくなることで、今後氏名の自書の解釈が変わっていく可能性というのはあり得るのかなと感じております。 ○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事からも、結論としてはこの原案でよいという御意見を頂戴いたしました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○柿本委員 柿本でございます。私も前回、市民としては署名の方が伝わりやすいということで発言いたしました。石綿幹事がおっしゃるように、やはり署名の印象、私の夫は署名は全て英語表記でしています、いわゆるサインですね、思い至りました。このゴシックでのまとめ方で賛成でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。柿本委員からも、このゴシックの案に賛成するという御発言を頂いております。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○内海幹事 幹事の内海です。ゴシックのところに直接は関係しないかもしれませんけれども、補足説明の11ページの下から5行目のところで、完成性の担保について、文書の成立の問題として整理することも考えられるという記載があります。これはおっしゃるとおり、そのようになっていくこともありうるかなと思いますけれども、このように書くと、末尾にいわゆる署名のない文書というのは成立していないのだという経験則が、今後コンセンサスを得ていくのかもしれず、そのようになれば、結局、署名らしい署名が末尾にないと完成した遺言として認められないという、そういう世界になっていくことも排除しないということを意味することにもなりそうです。そこまで行く可能性も含めて、その解釈というか、今後の推移に委ねるという趣旨に読まれそうだなということを共有しておいた方がいいかなと思いまして、一言だけ申し上げさせていただきました。 ○大村部会長 ありがとうございます。この補足説明が今後の解釈に一定の影響を及ぼすかもしれないという御指摘がありましたけれども、そのことについて、ネガティブな評価をされているというわけではない。 ○内海幹事 必ずしもネガティブな評価というわけではありませんけれども、書き振りを変えませんということから素直に思い描かれるのとは異なる展開になるかもしれないということです。個人的にはそうなることが悪いとは思っているわけではありません。 ○大村部会長 すみません、思い描いた未来というのは……。 ○内海幹事 失礼いたしました。もう少し丁寧に申しますと、冒頭に自書があるだけで、方式要件が満たされており、それで有効な遺言だと判断されるものだというのが、今回の改正の方向性なのだと理解される方もいらっしゃるかもしれませんけれども、他方で、方式を満たしていても、完成していなければこれは遺言ではないのだという理解が成り立つ限度で、完成とは何かという話は残っており、末尾にサインがないようなものは、これは書きかけだと認定するような事実審の裁判官が多い世界がこの後訪れるようなことになりますと、事実上は末尾に署名がないものは有効性が認められない、また認められにくいという世界が待ち受けているかもしれない、ということです。同時に、それはそれであり得る立場なのだろうということでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます、御趣旨はよく分かりました。   大分前に、行為規範としてはそれがよいのではないかといった御発言も、複数あったように記憶をしております。確実に有効な遺言を残すためには、末尾に署名をするということが望ましいのだと。しかし、そのことを条文上は記載していない、それはどこかで説明しておくということになるのかと思って伺っておりました。御指摘ありがとうございました。   ほかはいかがでございましょうか。 ○中原幹事 既に委員、幹事の先生方からいろいろと御発言があったことと重なりますので、発言は必要ないのかもしれませんが、今、行為規範という言葉が出ましたけれども、氏名の自書か署名かの問題に関しては、自筆証書遺言を作成しようとする者にどのような行動を促すかという行為規範の問題と、それから、結果として出来上がった遺言が有効か無効かという評価規範の問題とがあって、評価規範に関して言うと、「署名」とすることによって、本当に、部会資料にあるように、「文書の完成のためにされたことが分かる体裁で氏名を自書する必要がある」という解釈が導かれるのかどうか自体が、現時点では不確実であるように思います。   私自身は、全文と日付、そしてどこかに氏名が書かれていさえすれば、遺言としての効力を認めるに足る真意性、真正性は確保されているように思われ、氏名の記載の体裁に文句がつけられて遺言が無効とされることはない、無効とされるべきではないのではないかと考えています。別の言い方をすれば、完成担保というのが、その真意性、真正性との関係では副次的な機能として位置付けられるということかもしれません。仮にそうだとすると、そういう解釈を先取りして「署名」の文言を採用するということの論拠は乏しいということになろうかと思います。   行為規範に関して言うと、その全文及び日付を自書し、これに署名しなければならないという規定にすれば、確かに遺言の末尾に氏名を書くということが事実上促されて、完成担保に資すると言えそうなんですけれども、きちんと方式を守った遺言書を書こうというときに、法律の条文だけ見て書くという人は、少なくとも普通方式に関する限りは余りおらず、書籍やウェブサイト等で出回っている見本を見る人、あるいは専門家のアドバイスを聞く人が多く、そこでは、氏名の自書は押印とともに末尾にするというのが既に定型とされているように思われますので、「署名」としたところで、完成担保についてそもそも現在からの上積みがあるというわけではなくて、かえって文言変更に伴う副作用が懸念されると思います。   したがって、現行規定の構造・文言のまま、すなわち「氏名の自書」のままがよいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。中原幹事からは、結論としてはこの提案でよいというお話がありました。そこに至るプロセスを御説明いただきましたけれども、特に最後におっしゃった、自書を署名に変えたことによってどうなるのかというところが、必ずしも明らかではないではないかという御指摘もありました。それも踏まえて、これでよいのではないかという御意見として承りました。   ほかにはいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。   今、第2の氏名の自書か、それとも署名かというところにつきまして、おおむねここの提案でよいのではないかという御意見を頂戴しております。第3の封印の点につきましては、萩原委員からこれでよろしいのではないかという御意見を頂戴しておりますけれども、第3の方につきまして、何かもし追加の御発言があるようでしたら伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。   ありがとうございます。それでは、この第2、第3につきましても、ゴシックの部分については、このまま原案を維持するということで、取りまとめをさせていただきたいと思います。   続きまして、部会資料16-2の「第4 特別な方式の遺言の方式要件に関する規律」について御審議を頂きたいと思います。   それでは、この部分につきまして、事務当局から御説明をお願いいたします。 ○宮村関係官 部会資料16-2の13ページ以下を御覧ください。「第4 特別な方式の遺言の方式要件に関する規律」の本文につきましても、これまでの部会資料に記載しておりました見直しの方向性から、実質的な変更点はございません。   その上で、部会資料15から記載を変更した点といたしまして、まず作成場面に関しまして、前回会議において、一般隔絶地遺言の作成場面に関して、現行規定を維持するとの方向性につき、特段の異論がなかったことを踏まえ、一般隔絶地遺言に関する記載を本文中から削除し、「1 船舶遭難者遺言をすることができる場面の規律」と記載しております。   続いて、「2 作成方法の規律」につきまして、14ページの「(3) 船舶遭難者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式」のア②において、前回資料で、その記録を他人に送信すると記載していたところを、その記録を特定の者に送信するとしております。また、15ページの2行目では、船舶遭難者遺言における新たな方式において、送信を受けた者も確認の審判を請求することができることと整理していることに伴い、送信を受けた者において、確認の申立てを却下する審判に対する即時抗告ができることとするよう、家事事件手続法の規律を整備する旨を加筆しております。   「3 新たな遺言の方式を追加することに伴う関連規律の見直し」につきましては、これまでの部会において御議論いただいていた事項を整理して記載したものであり、相続人の欠格事由の規律、普通の方式による遺言の規定の準用の規律、検認手続の規律、過料の規律、遺言書又は遺贈の目的物の破棄に関する規律について記載しております。   15ページ32行目の「(3)検認手続の規律」につきましては、遺言書及び船舶遭難者遺言における録音・録画された記録を検認の対象としております。また、16ページ4行目の②に記載しておりますとおり、死亡危急時遺言における新たな方式において、遺言の趣旨等が電磁的記録に記録された場合や、船舶遭難者遺言における新たな方式の場合にあっては、複数の同一の電磁的記録が存在することが想定されることに伴い、保管者の1人が検認の請求をした場合にあっては、他の保管者は検認義務を負わないこととする規律を設けることとしております。16ページの19行目では、このような整理に伴い、家事事件手続法の規律を整備することを加筆しております。   続けて、補足説明の記載について御説明します。「1 作成することができる場面の規律」では、一般隔絶地遺言の作成場面については、現行規定を維持することとしたことを記載しております。補足説明2の(1)及び(2)につきましては、部会資料15からの変更点はございません。「(3)船舶遭難者遺言におけるデジタル技術を活用した新たな遺言の方式」においては、前回会議において御指摘を頂戴した事項について検討しております。   まず、17ページ、「イ 証人の氏名の口述の要否」につきましては、証人の特定に資するとも考えられる一方で、氏名の口述が録音・録画されなかった場合には、方式違反により無効となるデメリットがあると考えられることなどを踏まえ、方式要件としないとの考え方を記載しております。   次に、ウの「その記録を」との方式要件につきましては、前回会議でも御指摘のありました、口頭で遺言する状況が録音・録画された記録をクラウド上に保存し、そのリンク先を送信した場合をどのように考えるかと関連するところ、この方式要件の趣旨は、遺言者において、遺言として効力を生じさせる意思を有していた記録がどれかを明らかにすること、事後的に送信を受けた者の端末に保存されたメールに添付された当該記録を再生するなどして、改変の有無を確認することを可能にすることにあると記載しております。その上で、リンク先の送信にあっては、仮にクラウド上の保存であっても、変更履歴等が適切に保存される場合も想定されることから、一概に方式要件を満たさないと考えるべきでいないとも思われます。そのため、その記録を特定の者に送信することに該当するか否かにつきましては、その趣旨を踏まえて判断することとし、リンク先の送信においても、一概に方式要件を満たさないとして排除することとはしないものと記載しております。   続いて、18ページ、エの「特定の者に送信する」との方式要件につきましては、解釈の在り方につきましては、部会資料15と同様であるところ、可能な限り解釈を条文上の文言に反映すべきとの御指摘を受け、部会資料15において「他人」と記載していたところを「特定の者」と記載することとしております。一方で「送信する」との記載につきましては、少なくとも典型的な事例として想定されるメールやLINEを用いた送信が含まれることは明らかであること、解釈の在り方を明文化した場合には、かえって分かりにくくなる恐れがあることなどから、「送信する」との記載を維持しております。   係る要件の意義及び役割については、新たな遺言の方式においても、現行の船舶遭難者遺言と同様の位置付けであることを明らかにするため、最低限度の真正性及び真意性を担保するものと記載しております。なお、「特定の者」との文言につきましては、特定の名宛人をいい、その人数を問わないこと、送信を受ける者を明示的に指定する必要はないことを記載しております。   20ページ19行目以下では、送信を受けた者と検認義務を負う保管者との関係について記載しております。送信を受けた者は、仮に遺言の内容に利害関係を有していなかったとしても、遺言者の意思を尊重し、その実現を図る観点からは、保管者に該当すると記載しております。最も検認義務違反や損害賠償責任が生じるか否かについては、送信を受けた者であっても、送信を受けた経緯や利害関係人における当該記録の保管の有無など、その事情は様々であることから、一概に係る責任が広く適用されることにならないのではないかとも考えられる旨を記載しております。   22ページのキでは、反訳書等の取扱いにつき、現行の家事事件手続法等の規律により対応すれば足りる旨を記載しております。   23ページ14行目以下の3では、新たな遺言の方式を追加することに伴う関連規律の見直しに関して記載しております。   25ページ12行目以降の「(6)遺言書又は遺贈の目的物の破棄に関する規律」においては、前回会議において、普通の方式における甲案に対する第1024条前段の適用についての議論を踏まえて、検討すべきとの意見があったことに伴い記載しております。特別な方式の遺言においては、普通の方式の遺言に比して、遺言作成から執行までのタイムラグが大きくないものと考えられ、遺言作成後に翻意した場合には、より死亡の危急に迫っている可能性も否定できず、遺言に係る電磁的記録を保管している証人等に依頼して、電磁的記録を消去させるなど新たな遺言を作成するよりも、簡便な方法で遺言を撤回する予定を認める必要性は否定できないものと考えられることから、死亡危急時遺言及び船舶遭難者遺言における新たな遺言の方式にあっては、第1024条前段を適用することとし、破棄による撤回を認めることを記載しております。   第4についての御説明は以上となります。 ○大村部会長 ありがとうございます。第4につきましては、前回の資料と文言が改められているところが幾つかございます。まず、一般隔絶地遺言をすることができる場面の規律については、現行規定を維持するということにしたために、本文の記載を削除しております。それから、14ページの21行目になりますが、前回の資料では「他人」となっていたところを、今回は「特定の者に」改めるということになっているかと思います。そして3点目に、家事事件手続法上の対応が必要なものについて、所要の整備をするものという(注)が付け加えられて、こんなところかと思います。   また、補足説明の方では、前回、皆様の方から御疑問、御疑念が示された点について、その対応が図られているのではないかと思っております。リンクを送信するのはどうかですとか、過料が科される範囲が広くなり過ぎはしないかといったことについて、一定の解釈の可能性を示していただいたと理解をしております。以上の点も含めまして、御意見、御質問があれば頂戴したいと思います。どなたからでも結構ですので、お願いをいたします。 ○隂山委員 隂山でございます。本文のゴシック部分につきましては、特段異論はございません。その上で、将来的な検討課題になるかと思われる点につき、発言を差し上げたいと存じます。   まず、録音・録画にかかるデータ容量は一般的に重くなると考えられるため、アップロードしたリンクを特定の者に送信した場合についても許容され得るという考えが、18ページ19行目辺りで示されたことは、有り難いと感じております。そして、特定の者に送信するという点ですが、これまでの御説明と同様、20ページ2行目ではその人数を問わないと整理されています。現在私が入っているグループLINEの中で、最も多い人数は166名なのですが、このグループに録音・録画データを送信した場合、複数の者から確認の審判の請求が行われることも考えられるところ、どのような手続となっていくのか、制度化された後の検討課題になると思われます。また、保管者であると捉えられ得る165名の方に対して検認の請求義務が課せられることになった場合、このうち1名が検認の請求をすることによって、他の保管者は検認の請求義務がなくなるという整理であると理解をしておりますが、実務上、誰か1名の方が検認の請求をしたということを、他の保管者が覚知する手段があるのかという課題が残りそうに感じております。過料との関係もあいまって、ある遺言について複数名から検認の請求がなされることも考えられます。これまでは、検認の請求の際の遺言書原本が一通であったことから検討不要であった論点であると存じておりますが、今後複数の方がデジタルデータの遺言を保管していることが想定されますので、家庭裁判所において、どのような取扱いとなるかに関し整理をしておく必要があると考えています。 ○大村部会長 ありがとうございます。隂山委員からは、ゴシックの部分については御異論がないという御発言の後、検討課題を幾つか示しお示しいただいたと理解をしております。特定の者というのが複数である場合に、それに伴う問題が出てくるだろうということで、複数の検認の審判の申立てがされたという場合、あるいは誰かが検認をしたときには検認の義務がなくなるというのだけれども、それをどうやって知り得るのか、そうした問題について対応が必要になるのではないかと、こうした御指摘を頂戴したかと思います。今後の課題として検討するということかと思います。   他はいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。 ○倉持幹事 第4の3の(3)の検認手続の規律の部分なんですけれども、死亡危急時遺言の場合には、あくまで検認対象は文字情報で、録音・録画は含まないとあるんですが、この方針については賛成です。やはりこの場合には確認の手続があるので、ここまでする必要はないと思われますし、もし検認手続で裁判所が見たいという場合には、裁判所の裁量で事実の調査としてできると思いますので、法律上の義務としては文字情報だけでいいとは思っております。ただ、要綱案の第4の2の(2)の死亡危急時遺言の方式という文言を見ると、文字情報は遺言書であるとうかがわれない定め方になっているのかどうか、文言を工夫しないと、死亡危急時遺言の場合には、文字情報が遺言書なんだよとはちょっと読めないかなという、そこの工夫が必要かなと思った次第です。 ○大村部会長 ありがとうございます。倉持幹事からは、検認の対象について、文字情報だけでよいという考え方には賛成だけれども、それと平仄の合う形で、ゴシックの方の文言を整えておく必要があるのではないかという御指摘を頂きました。   それは何かありますか、いいですか。 ○齊藤幹事 今の御指摘は、13ページの(2)のアの①から③の書きぶりというような部分でよろしいでしょうか。   ありがとうございます。現状では、一応②にかかる部分が、遺言の核心部分と言ったら語弊がありますけれども、遺言の部分をなし、それを柱書のアのところで録音・録画も併せてするという記載ぶりにしているので、一応②のところをもって遺言の本文と読めるのではないかと考えておりました。ただ、御指摘もいただきましたので、検討させていただきたいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。紛れがないような表現としてもしよいものが更にあれば、御検討いただくということかと思います。そのように引き取らせていただきたいと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○北嶋幹事 最高裁家庭局の北嶋でございます。部会資料16-2の15ページ以下に、今回検認手続の規律についての御説明が整理されておりますが、この点に関しまして、運用面ですが、死亡危急時遺言と船舶遭難者遺言の新たな方式を創設した場合につきまして、現行法下での検認済証明書という運用を維持することが難しいと思われますことについて、発言をさせていただきます。   現行法下におきましては、家庭裁判所では、遺言書が紙であるということを前提といたしまして、当事者からの申請に基づき、検認の期日の終了時に、遺言書の原本の末尾に、検認済証明書を添付いたしまして、書記官が契印をしました上で申立人に返還するというような運用が一般に行われているものと承知をしております。このような検認済証明書の添付された遺言書が金融機関等に提出されてきたと思われます。   しかしながら、死亡危急時遺言と船舶遭難者遺言の新たな方式におきましては、遺言が電磁的記録となるということも想定されておりますので、その場合には、検認の対象も電磁的記録ということになります。したがいまして、電磁的記録と証明書との間で、契印をするというこれまでのような一体化措置をとることが物理的に不可能となりますので、従前の検認済証明書に関する運用と同様の対応もできないということになってまいります。電磁的記録になりますと、複製が容易であるということになりますので、そのようなことを踏まえまして、検認済証明書に代わるものが必要なのかどうか、また必要とされる場合にどういった対応が可能なのかといった点につきましては、今後検討を要するところでございます。   この点につきましては、従前、新たな普通方式の遺言における甲案に対する意見としてパブリックコメントで申し上げていたところですが、改めまして、死亡危急時遺言と船舶遭難者遺言の新たな方式との関係でも申し上げさせていただきます。 ○大村部会長 ありがとうございます。北嶋幹事からは、従前の検認済証明書を添付するという取扱いがデジタル化によって困難になる、これについて対応していくということが必要になるという御指摘を頂きました。   これは、甲案が議論されているときにも出てきていた問題でありますけれども、それが言わば縮小された形で残ることになるという御指摘だろうかと思います。そのような問題提起として、受け止めさせていただきたいと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○小池(泰)委員 九州大学の小池です。資料の20ページのところに、特定の者に送信の要件についての説明があるんですけれども、確認をしたいんですが、20ページの上から4行目ですかね、配偶者に送信するつもりが、誤って子に送信したというのを例にして、要は意図したのと違う人に送っても、他人にという要件はクリアしているんだという、こういう説明なんですが、何かちょっとこの例だと、それはそうかなと思うんですけれども、要は、配偶者に送るという本文をメールに書いておいて、アドレス帳でアドレス選択をするときに、何か取引先の誰かさんに間違って送り先にしてしまったというときも、もうこの説明ではそれも入るという趣旨なんだと理解して、それはそれでオーケーなのかという確認で、そうすると、その次の保管者の意義も、間違って送信された人も一応保管者だと。ただ、今言ったようなケースだと、そもそも遺言かどうか分からないんで消しちゃったというケースも別に問題はないよねって、そういう整理だよねということをちょっと確認をしたいのがこれが一つ。   もう一つは、とにもかくにも送信は誰かに届いていないと駄目なので、アドレスを入力するときにスペルをミスって誰にも到達しないということとか、それから、容量が大き過ぎて相手のサーバーか何かからリジェクトされちゃったというようなときは、到達をしていないので、とにかく他人に行っていないから、送信の要件をむしろ満たさないということになるのかというのを確認を。それは解釈の問題だという答えもありだと思いますけれども、一応確認をさせてください。 ○大村部会長 ありがとうございます。特定の者に送信するとなりましたけれども、その運用ないし解釈がどうなるのかということについて確認ということで、二つの問題を挙げていただきました。想定していたのと違う人にいってしまった場合と、送信はしたけれども届かないという場合、この二つはどうかということだったかと思います。 ○齊藤幹事 いずれも御指摘の部分は解釈にわたってくる部分かなとは思いますので、現時点で断定できるものかどうか自体も留保があるかと思います。その上で、一応念頭に置いていたこととしては、例えば全く違う人のアドレスに送ってしまったということも、それをもって、では特定の者への送信に当たらないとなるかというと、それは、そこで駄目というほどのものではないのかなということを考えておりました。   それから、後者の送信できない、何らかの原因で送信が、行為者の部分では完結したつもりだけれども、それが最後まで走らなかったという部分については、これもやはり解釈かなとは思いますが、送信が完了しなかったということであれば、場合によってはその送信に当たらないというケースも出てき得るのかなという気はいたします。   現時点でお答えできることは以上です。 ○小池(泰)委員 どうもありがとうございました。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかいかがでございましょうか。 ○内海幹事 幹事の内海です。非常に細かいところかもしれないのですが、22ページの反訳書についての記載のところで、(注1)と(注2)で条文が引用されているのですけれども、民事訴訟規則の第149条第1項というのは、証拠調べの申出をした当事者が名宛人になっております。この民事訴訟規則というのは、基本的には弁論主義の世界、職権証拠調べを想定していない規則であると考えられると思います。そうだとして、家事事件手続としての確認の審判申立てが来て、それで遺言というか、この電磁的記録について証拠調べをする、あるいは事実の調査をするというときに、確認の申立てをしたら、当然それについての証拠申出をしているという理解なんだと読めば、第149条の準用でこれが根拠になるということは理解できそうな気はするのですけれども、ただ、筋としては、申立てと証拠申出は別物ではないかという気がいたします。その辺りについて、もう一言説明を頂けた方が分かりやすいのではないかという気がしますし、実質的にも、民訴規則の準用で賄えますという説明には若干不安が残るなという気もしないでもないところです。質問というか確認というか趣旨がはっきりしなくて申し訳ないのですけれども、とにかく、この説明が成り立つかどうか、もうちょっと気をつけた方がいいのではないかという気がしましたというところでございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。 ○齊藤幹事 記載した考え方の方向性自体は、これでよろしいかと現時点では考えておりますので、説明が十分なものになっているかどうかは少し検討したいと存じます。 ○大村部会長 ありがとうございます。   そのほかはいかがでございましょうか。 ○小粥委員 小粥です、度々恐縮です。過料の範囲が広くなり過ぎるのではないかということを何回か申しました。そのことに関してです。   もうゴシックの部分については、誰か1人が検認の請求をすれば大丈夫だという手当てをしてくださったので、それで満足すべきだと思いますし、それから、裁判所がそういう場面で過酷な過料を命じるようなこともないだろうと思いますので、実質的には問題がないだろうと思っております。   ただ、先ほど隂山委員がおっしゃったような大量の受信者がいるようなケースで、実際にどういうことになるかというと、特に法律をよく知っている人であれば、早く検認をしなければいけないと過料のペナルティーがあるぞと思うわけですけれども、でも、誰か他の人にやってもらった方が、自分が検認の手続をやらなくて済むと。つまり、真面目な人に、ちょっと負担が掛かるかもしれないような制度を設けようとしているわけで、ゴシックを改めてくれという提案ではもはやないのですけれども、例えば偶然受信してしまった法律知識がきちんとある人としては、相続人に転送すれば、もうお前はお役ごめんだというようなふうにしていただけるとか、そういうようなこともあってよかったのかなと思わないでもないんです。ほぼ独り言ですけれども、でも、一定の手当てをしてくださったので、それで結構だということです。 ○大村部会長 ありがとうございます。その特定の者というのが、先ほど100何人のグループというのがあるといった話もありましたけれども、そういうところに送られてしまうということが、どのくらい生ずるのかということとも関わってくるかと思います。そういうところに送られたときに、たくさんいるから誰かやってくれるんだろうと期待する人もいるのかもしれませんが、大勢のところだと誰もやってくれないかもしれないと思うこともあるのかもしれない。これもちょっと、どういうことになるのか分からないところもありますけれども、様々なケースが考えられるかと思います。その上で一定の対応をし、あとは解釈に委ねるというのが、この提案ということだったのではないかと思います。   小粥委員がおっしゃったようなことは、条文に置くことは難しいかもしれませんけれども、運用の中でそのような対応をした人については、過料を科すということはしないとか、あるいは損害賠償の請求の対象にならないといった形で受け止められるのかと思って、今伺っておりました。そんな受け止めをさせていただきたいと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○相原委員 今の特定の者への送信のところです。どうしてもデータの送信というのは、自筆で書いたものを郵送するのと違ってクリック一つなので、誤送信というのが多いんですよね。それで、今回、不特定多数の人への送信は違う、特定の者へということにかなり制約を加えたということかと思います。この場合、配偶者と息子とかそういうのは分かるんですけれども、例えば先ほどのメーリングリストとかLINEの共有しているとか、これは特定はしているのかもしれないんですが、顔も分からない関係の多数になる、ただし不特定ではないかもしれないということになります。これは、解釈の問題になろうかと思います。   したがいまして、例えば、メーリングリストを通じて、私のとこに来たとすれば、恐らく間違いだろうと思って、つまり、普通の人は、顔の知っている人ではない限りは、自分のところに誰かの遺言書が来るなんて普通は思いませんので、検認の義務とかという発想にならないかと思うんですね。やはり特定の人、顔と名前が分かる方からの送信された人が、もしかしたらこの人はどうしたんだろうとか思いますが、そうでなければ、間違いだろうとかいうことになると思います。どうしてもこのデータでの手続というのが、そういうリスクがあって、レアなケースかもしれませんけれども、特に緊急事案とかそういう場面に関しては、不特定多数ではない、特定ではあるかもしれないけれどもかなり広範囲な人に行く、だけれども、その人たちは自分が送信を受けたとは思えないかもしれないというような、そういうリスクがあります。ゴシックの部分、これを変更してほしいというつもりではございませんが、そういうリスクがあったり、今後の運用とかにおいては解釈の面で結構悩ましいところが出てくるのかなと、皆さんの意見を聞いて思いました。先ほどの例の場面がこういう書き方なんですけれども、もう少し、例えば一定のメーリングリストとかそういうところに送信だとすると、弁護士会であれば弁護士が入っているメーリングリストだったら特定ではないかということになるかもしれませんけれども、ちょっとそういうのを分かりやすくしておいていただいた方がいいのかなとは思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。特定の者ということで、人数が多いときに伴う問題についての、事前の対応というか説明というのが必要ではないかという御説明を頂きました。   最後に挙げられた例が必ずしもよく分からなかったんだけれども。 ○相原委員 事前の説明のときに、メーリングリストなんかに送信してしまった場合というのが、特定な者への送信になるでしょうかと質問しました。そうしたら、弁護士という一つの制約があって、そこに登録している人たちであれば、特定の範ちゅうになるのではないか、これは解釈の問題だけれどもというような御説明を受けました。   でも、例えば日弁連のメーリングリストだとすれば、全国的な組織で四国の人とか九州の人とかがはいっています。弁護士ではあるんですけれども顔も名前も分からない方もいたりするんですよね。ただし、不特定多数ではない。一応名簿登載者というか、どこの誰かというのは分かっていますから、特定と言われれば特定かもしれないというような場合です。受けた人はそんな個人的な遺言書が自分のところに来るとは思わないというか、間違ってメールに載せたなって、普通そう思ってしまうわけです。それが、いわゆる検認手続をしなければいけないとか、そういうことになるのかどうかというところが、問題として発生するかなと思いました。   ただ、間違っていても押してしまったら、そちらに送信になるんだということであれば、有効な遺言書になるというきめの問題かなと思いました。そういうことです。 ○大村部会長 分かりました、ありがとうございました。   ほかにはいかがでしょうか。 ○中原幹事 前回、私が申し上げたこととの関係で、2点でありますけれども、第1点として、クラウドの扱いについては、18ページの記載のとおりでよいのではないかと思います。他方、「他人に送信する」の解釈の明文化で、「送信する」の方の明文化の必要性が気になっていたところでありますけれども、仮に現時点での理解を詳しく書き出しても一読了解というわけではありませんので、結論としては、書き下さないということでやむをえないかと思います。ただ、分かりにくい、不意打ちになり得るということは確かだろうと思いますので、立案担当者による解説であるとか新たな遺言方式の周知等に際して、現時点での解釈だということは留保した上で、丁寧に例示することが必要であると思います。   それから、第2点は、先ほど来問題になっています、検認義務者あるいは「保管者」の概念についてでありますけれども、やや雲をつかむような話であるという面がありまして、というのは、民法第1005条の規律、これは現状で余り活用されていない、今後もその状況は多分続くということなのではないかと思いますけれども、その文言が分かりにくいということがあって、同条を卒然と眺めると、提出懈怠だけで過料に処され得ると読めるわけですけれども、ただ、それはそもそも過剰であって、提出懈怠プラス検認を経ない遺言執行、あるいは、提出懈怠プラス家庭裁判所外での開封によって、初めて過料に処され得るというふうに理解するのが、恐らく正当なのではないかと思うところであります。仮にそうであるとすれば、「保管者」の広さが実際上不都合を生じるということはないのだと思いますが、いずれにしても、運用面で不当な結論が出ないようにしてほしい、そのような運用を期待したいと思っております。   それから、損害賠償責任についても前回申し上げましたけれども、部会資料で契約や事務管理が根拠として挙げられていますが、単に送信されてきた場合には、事務管理すら成立せず、遺言者と受信者の間にあらかじめ特別な関係が存在するというような、ごく例外的な場合に、辛うじて不法行為責任とかが問題となり得るにすぎないと思いますので、結論として、こちらも心配する必要はないということなのかと思います。   様々な留保はつきますけれども、以上の前提で、今回の提案ないし本文部分に賛成したいと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。中原幹事からも、結論としては、このゴシックでよいのではないかという御意見を頂戴いたしました。   2点、御発言があったかと思いますが、一つは「送信する」を更に書き下せないか、具体化できないかということですけれども、それはかえって煩雑なことになり、紛れが生ずるという可能性があるということをおっしゃっていただきました。それから、保管者の方の責任については、現行の規定の解釈、あるいは法理の解釈からして、過大な責任が生ずるというおそれは余り考えられないのではないかと、こういう御指摘を頂いたかと思います。   ただ、いずれにしても、新しいルールがどういうものであるかということについて、様々な仕方で周知を図るということが必要ではないかという御指摘、これは本日も、あるいは前回までの議論の中でも、折に触れて御指摘があったところかと思いますけれども、その点も改めて御指摘を頂いたものと理解をいたしました。   ほかにはいかがでございましょうか。 ○小池(泰)委員 意見とか何とかではなくて、単なる感想なんですけれども、ちょっと今の議論を聞いていて、何かフィッシング詐欺に使われそうな気がすごくしてきて、要は、これは遺言です的なメールをある範囲の人たちに大量に送りつけて、添付ファイルを開けさせるという手口が、何かすぐに思い付きそうなので、法律が成立したときの説明のところで、保管をしている人には検認義務がうんたらかんたらというのをあんまり強調すると、それを狙って何かやられそうな気がするんで、周知をするときにはちょっと注意をしていただいた方がいいかなと思いました。感想です。 ○大村部会長 ありがとうございました。周知の内容について、御注意を頂いたと受け止めました。 ○小原委員 先ほどのやりとりで、私の理解が追い付かなくなってきましたので、念のため確認させてください。   委員から、アドレスのスペル誤りがあった際の解釈について御質問があり、時々の解釈によると御答弁されたと理解しました。一方、部会資料16-2の17ページの、「ウ 『その記録を』との方式要件について」には、「事後的に当該記録の改へんの有無を争われた際において、送信を受けた者の端末からメールに添付された記録を再生するなどして改へんの有無を確認することを可能にすると考えられる」と記載されておりますので、遺言は送信先に届かなければ方式要件を満たさないと理解していたのですけれども、念のため、もう一度御答弁いただいて、理解を深めさせていただければと思います。 ○大村部会長 ありがとうございます。先ほど事務局の方からの御質問に対する回答、若干含みのあるお答えだったかと思いますが、そこについての御確認の質問を頂きました。 ○齊藤幹事 御指摘の記載部分は、正にその記載のとおり考えているところですので、そういった意味で申しますと、やはり送信については届く必要があるのではないかという考え方が、十分あり得るのかなというところは考えておりました。 ○大村部会長 ありがとうございます。届かなかったけれども、しかし救済すべき場合はないのかというと、全くないと今の段階では言えない。送信されたのと同視し得ると解釈して救済すべき場合はないだろうかという問いは残るけれども、原則としては、やはりどこかに届いていることが必要だという御理解かと思って伺いました。よろしいでしょうか。ありがとうございます。   ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。   それでは、この第4の部分につきましても、補足説明につきまして御意見を頂きましたけれども、本文についてはこれでいくということで、御賛同を頂いたものと受け止めさせていただきたいと思います。   3時ですけれども、あと少しですので、すみませんが続けさせていただきたいと思います。   部会資料16-2の「第5 その他」に移らせていただきたいと思います。   この部分につきまして、事務当局の方から御説明お願いいたします。 ○小川関係官 要綱案の案の第5、部会資料16-2の26ページ以下を御覧いただければと思います。まず、本文部分についてですけれども、前回会議から変更している点はございません。このうち、2の遺言の証人及び立会人の欠格事由に関する規律についてですけれども、前回会議では、従前から引き続きという形でしたけれども、規律が明確であることを要するのではないかというふうな御意見、その意見を前提として、これに関連して、この規律を設けることの当否についての御意見、それから欠格事由を拡大する理由に関する御意見があったほか、適用範囲に関する御意見、具体的には推定相続人ではない受遺者に限ることの当否に関する御意見がありました。   これを受けて資料を作っているところですけれども、まず、28ページの(2)の部分で、欠格事由を拡大する趣旨及びその適用範囲について検討をしております。前回資料では、受遺者が被用者を通じて遺言の内容に働き掛けるおそれを中心とした立論をしておりましたけれども、欠格事由が、政策的に一定の類型に該当する者を証人等の資格を失わせるというものであることからしますと、一方で、欠格事由を拡大させることの必要性という観点があり、他方で、遺言者にとって遺言がどの程度困難になるかというふうな観点も考慮すべきであり、これらの観点を総合的に考慮して、その範囲を決する必要があるというふうな考え方に立ちまして検討しているというところです。   これを踏まえまして、推定相続人でない受遺者については、欠格事由を拡大する必要性が高く、そのことによる弊害もさほど大きくはないというふうな一方で、推定相続人である受遺者については、内容自体が法定相続分を大きく変更するものではないと、そういった遺言も相当数存在することからしますと、作成手続の適正を図るというために、その全てについて、一律に欠格事由を拡大するほどの必要性が高いとは言えないんではないかと。それから、推定相続人に対する遺贈のみを欠格事由の拡大の対象とすることに、アンバランスな点があるのではないかというふうな点を踏まえまして、推定相続人でない受遺者について、その被用者を欠格事由とすることが相当であると考えまして、前回の資料の案を維持することとしております。   それから、29ページの(3)の部分ですけれども、こちらでは、前回までの御議論を前提に、受遺者の被用者に該当するか否かの明確性について、遺言の作成手続に関する一連の規律の中で、証人等の欠格事由が果たす役割というのを踏まえますと、やはり、遺言の時点でその範囲が明確となる解釈を取られるべきではないかというところで、記載をしているところになります。 ○大村部会長 ありがとうございます。第5のその他の部分につきましては、2の遺言の証人及び立会人の欠格事由に関する規律、この部分につきまして、前回幾つか御意見を賜ったところでございます。今回最終的な御提案としては、ゴシックの部分は変わっておりませんけれども、2点につきまして、補足説明の方で対応しているということで御説明を頂いたものと考えております。欠格事由を広く認めることと制限することと、両方にそれぞれ理由があるわけですけれども、それのバランスを取るという観点から、このような線引きでよいのではないかと、こういう説明だったかと思います。   この点につきましても、御意見があれば、是非頂戴をしたいと思います。いかがでございましょうか。 ○入江委員 信託協会、入江でございます。今お話のありました点ですけれども、公正証書遺言作成の現行実務の観点から、意見を述べさせていただきます。   今回、受遺者が法人である場合の受遺者の被用者を追加するという案につきましては、これは前回申し上げましたが、趣旨は賛成させていただいておりますけれども、この追加する趣旨に鑑みまして、この資料の中にもあります、不当な影響を与えるおそれがないケース、ここは法務省令等で除くといった規定にしていただきたいというお願いでございます。   例えば、公正証書遺言において、公益法人であるとか公益信託、地方公共団体等に遺贈するというもの、それと、遺言による信託の設定がある場合で、受託者が信託業法の適用を受ける者である場合等、こういったケースの当該法人であるとか信託の受託者、これの被用者は欠格事由の対象外にするといったような形が考えられるのではないかと思っております。   補足いたしますと、現状信託銀行等が遺言執行を行う遺言につきましては、その作成の時点で、遺言者の相談に乗って遺言案文の作成をサポートしてきた社員が証人として立ち会うということが、比較的広く行われていると思っております。この場合に、その信託銀行等が受託している公益信託への遺贈があるとかになりますと、社員が証人になることができなくなる可能性があるといった影響があるという、実務上の支障が出る影響があるのかなということが問題意識でございます。   前回も申し上げましたけれども、法人である受遺者の被用者については、これに抵触することによって、遺言者の真意の円滑な実現に支障が出るということは避けるべきだと考えておりますので、過不足なく分かりやすい規定としていただきたいということでございます。ちなみに、公正証書遺言においては、と申し上げましたのは、死亡危急時遺言の方が、問題になりそうな不当な関与のリスクがやはり高いのではないかなと思われましたので、例えばということで、公正証書遺言における先ほど申し上げたようなケースを除外するといった規定が考えられるのではないかということでございます。   それ以外のところについては特には異存はございません。 ○大村部会長 ありがとうございます。入江委員の御意見は、ゴシックの部分についてはこれで結構だと。その上でという御発言でしたか。 ○入江委員 今のままですと、先ほど申し上げた、不当な影響を与えるおそれがないケースというのを除くというのが、ちょっとこのままだと読めないのかなと思いましたので、そこを何らか手当てをしていただければという趣旨でございます。 ○大村部会長 ありがとうございます。何かもしあれば。 ○齊藤幹事 現状で十分なお答えは御用意しておりませんが、おっしゃったようなケースというのは実務上あるというのは十分想定はされるところですので、どういった対応があり得るかはちょっと検討したいと存じます。 ○大村部会長 それでは入江委員の御意見は原則的な考え方はこれでよい、しかし、当該欠格事由の趣旨からして、外す必要がないものについては抜けるような対応をしていただきたい、その抜き方についてはどのようなものでも構わない、こういうことで受け止めさせていただきたいと思います。少し検討をと思います。   ほかにはいかがでしょうか。 ○萩原委員 ただいま公正証書のお話も出ましたので、率直に申し上げます。   今までこの問題については、私としての意見は述べてきたところでございます。受遺者が法人であれ個人であれ、その受遺者の被用者という規定が置かれた場合、これは前回のお話も出ました欠格事由ですから、欠格事由というのは極めて明確でなければいけませんけれども、欠格事由がある人が立ち会ったことによって遺言が無効になると、こういう極めて重大なものですので、公証人の立場で考えるならば、事前に相談を受けた場合に、かりそめにも受遺者の被用者、それが直接の雇用関係かどうかにかかわらず、恐らく関係している者は立ち会っていただかない方がいいですと、それは公正証書は作れませんという、こういう対応をする公証人が恐らくほとんどだろうと思います。   ですから、30ページの1行目にありますとおり、直接の雇用関係がある場合に限られるか否かは今後の解釈に委ねざるを得ないという、この部分はなかなかちょっと、そういう形で言われますと、とにかく広く解さざるを得ないと、こういう対応になると思います。   ですから、先ほど入江委員が言われたような、そういうケースでありましても、これは、証人としてはもちろん、立会いもお断りするということになると思います。それによる弊害、先ほどの担当官からの説明の中で弊害がないようにということですけれども、それがもしも弊害になるとすれば、やはり問題であろうというように思っております。   ですからその点は、受遺者の被用者、これを、趣旨としてはこの中で書かれておりますとおり、正に遺言の内容に不当な影響を及ぼし得ると定型的に考えられるものに当たると、そういうふうに本当に言い切れるのであれば、これはやむを得ないところではありますが、ただ、そうではない場合があって、しかもそれが実際に遺言を作成する上で、実務の上では証人になること、立会人になることが必要な場合があるとすれば、それはやはり除くんだと、欠格事由から除くんだということを分かるような形で法文、あるいは少なくとも規則で、除外的な場合を明示していただかないと、恐らくこれは全て、欠格事由のおそれがある以上は遺言は作れない、こういうことになると思いますので、その辺り、今回御出席いただいている皆さんでの間でも、この遺言の内容に不当な影響を及ぼし得ると定型的に考えられるものに当たるのかどうかという、そういう観点から、この部分について御検討いただければと思っております。 ○大村部会長 ありがとうございます。萩原委員からは、欠格事由について、解釈に委ねるという部分を残さない方向で検討すべきだと、解釈に委ねるということになると、それは広く欠格に当たり得るということで実際には除かれるという運用になるだろうという御指摘があり、それを踏まえて、実質をどうするかということを議論すべきではないかという御意見を頂いたかと思います。   ほかに、今の欠格事由につきまして。 ○相原委員 相原でございます。この点については、私も何度も発言させていただいているところなんですが、今、入江委員、それから萩原委員からは、リスクについての御懸念を示されているところで、非常によく理解できるところではあります。   ただ、私の実務的な経験から申し上げると、今後の高齢者の特に終身サービス事業の件数等々が増加するでしょうから、実態としてかなり被用者が証人等になった場合の、不当と言えるのかどうか分かんないけれども、その体制でやることのリスクをそもそも排除すべきではないか。かなりの割合で、自分のところにという誘導というのがもう潜在的にあるのではないかという危険性を指摘させていただいております。   先ほどからの御質問の公益的なところに対する遺贈等が完成するという、それも重要であろうとは思います。とはいえ、決め方の問題、表現の部分の問題を、これから法務省の方に御検討いただく話になるかと思うんですけれども、ゴシック体の部分は可能な限り維持していただき、それプラス配慮していただきたいと思います。要は、それで、結局証人がそこしかいないから、それを排除しないために被用者を外すという場合の予測される問題と、被用者を証人にしなければ作れないという数と、一方で、実際の現場の大きな分母といいますか、件数を想定して、そのリスクがどちらがより大きいかとかを検討していただきたい。受遺者が法人で被用者を証人としなければいけないケースはそうないかと思われ、むしろ、終身事業者等がこれからどんどん高齢者、身寄りのない高齢者に関わる場合のリスクを比較考慮していただきたい。最終的には決めの問題みたいなところに帰着するのではないかなと思っております。おっしゃるリスクは非常によく分かるんですけれども、そういう実態があるということは、重ねて強く申し上げさせていただきたいと思いました。 ○大村部会長 ありがとうございます。相原委員からは、受遺者が法人である場合に、被用者を除く必要がある場合がやはりあるのだという御指摘があり、その上で、被用者が証人、立会人でないと困るという要請と、どうやってバランスを取るのかということについて、実質的な検討が必要だという御指摘を頂いたかと思います。   弊害というか、問題が生ずる場合もあるのだろうと思いますし、生じない場合もあるのだろうと思いますが、一つはその切り分けがうまくできるのかということと、もう一つは、それを条文上表現できるのかという問題ですね。特に、先ほど入江委員からも御指摘がありましたけれども、民法上の条文にどのように書いておけば、後は細則で処理できるのかという法制上の問題もあるように思いますので、実質と、それからその表現、双方考えなければいけないと、今思って伺いました。ここについては、賛否両論がなおあるという状況かと思いましたが、更に委員、幹事の方々の中で、賛否の御意見があれば御披露いただければと思いますが、いかがでしょうか。 ○小粥委員 意見ではなくて、先ほど入江委員が御発言の中で、法律レベルではなくて、下位のルールのレベルで適用除外のようなものを設けるべきだという御提案をされたと理解していますが、そのことの理由についてもう一度教えていただきたいのです。   つまり、受け止め方は、2種類あり得ると思っていまして。一つは不当な影響を与える恐れがないと定型的に見られる被用者がいるということで、もう一つは、受遺者に当たる人が公益法人であるとか公益信託であるとか、その受遺者の属性によって違うんだというような、二つの可能性が聞こえたものですから、その辺りをもう少し教えていただければと思います。 ○大村部会長 お願いします。 ○入江委員 入江でございます、ありがとうございます。おっしゃるとおりで、まず受遺者の属性に関するところで除外される者もあるのではないかと考えています。   まず、この拡大の趣旨は、相原委員からもありますような、不適切な条件で高齢者サポート事業を提供しようとしている者を、そういった事業者の被用者による関与を防ぐということだと思うのですけれども、まず、遺贈先が公益法人であるとか地方公共団体であるとかであれば、そこをまず除外をするというのが分かりやすいのではないかというところが、あると思っています。   といいますのは、これは、以前の本席でも申し上げましたけれども、公益法人等はその職員の方の数も非常に多いですし、態様も様々になりますので、今度は被用者の定義、範囲の問題も出てきてしまって、結局そうなると、先ほど萩原委員からもお話がありましたように、これは本当に欠格事由に当たるのか当たらないのかというところが、被用者の範囲、定義が曖昧になると出てきてしまうこともありますので、ちょっとでも疑いがあれば、恐らく公証人の先生は、証人として、或いは証人だけでなく、その場にいることも排除するということが出てきてしまいます。また、そのまま遺言が作られてしまって、後で相続が発生したときに、遺言内容に不満のある相続人等から無効であるという申立てが出れば、これは裁判でなければ最終的に決着しない事態になってしまいますので、まず申し上げたかったのが、円滑な執行の実現のためには、そういった作成のときの曖昧さというのを排除していく必要がある。その排除の仕方は、遺贈自体が問題のない遺贈であるということというのが一つあるのかなということで、先ほど公益法人等に対する遺贈を除くと申し上げました。   もう一つは、先ほど詳しい説明は申し上げませんでしたけれども、遺言により設定される信託、これは、実態的には受益者に対する遺贈だと思うのですけれども、ここは受託者が形式的には受遺者に当たるという解釈も当然考えられるところですので、ここもそういう意味では解釈に委ねられる部分が残ってしまうことで、例示として挙げさせていただきました。そういった解釈に委ねられる部分が出るということは、やはり遺言者としては作成時点では極力排除したいと思いますので、極力解釈に委ねられるということがないように、具体的には下位法令で明確にしていただきたいということになります。ちょっとお答えになっているかどうか、あれなんですけれども。 ○大村部会長 よろしいですか。   そのほかいかがでしょうか。 ○小池(泰)委員 直近の御発言とか聞いていると、公益法人に対する遺贈だったら問題がないかのように聞こえましたけれども、不当かどうかというのは、遺言者意思に基づいて不当かどうかを言っているのであって、そうすると遺言者が望みもしないのに公益法人に遺贈するというんだったら、やはりそれは不当になるから、その公益法人の被用者が証人とかになっている、何か見張っているような状況で遺言をするというんだったら、それはやはりまずいとは思いますので、原案のとおりでいいというのが私の意見です。   それとの関連で、29ページの7行目、「これに対し」で始まる文章があるんですけれども、そこの10行目に、「不当な内容の遺言がされるおそれは、推定相続人以外の者に対する遺贈と比べて高いとはいえない」という記述があって、要は、遺言者の推定相続人に対する遺贈というのは、不当な内容の遺言がされるおそれが比較的低いという書き方をしていますけれども、不当かどうかというのは遺言者意思で考えるんで、もらう人が推定相続人で、元々法定相続で何かもらえる部分があるんだから、不当な内容の遺言になりにくいというのが、ちょっと意味がよく分からなかったんで、よく読めば分かるということで別にスルーしていただいてもいいんですけれども、説明をもうちょっとしていただけるのであれば、それをしていただく方が有り難いということです。 ○大村部会長 ありがとうございます。小池委員からは、そもそも不当な遺贈というのは何かという問題意識で御発言があったかと思います。今問題になっている公益法人であっても、当事者の意思に沿ったものかどうかという観点から見ると、それは不当だという場合もあるのではないかという御指摘が一つ。そういう観点から、原案でよいのではないかという御意見だったかと思います。   もう一つは、今のところ余り御意見を頂戴していませんけれども、26ページの36行目、「③受遺者(推定相続人である者を除く。」と、この部分についての説明として、29ページの7行目以下がこれでよいのか、あるいは、これがどういう意味なのかということをもう少し補足していただきたいと、こういうことだったかと思います。   1点目は御意見として承るということにさせていただき、2点目につきまして、もし補足の説明があればお願いをいたします。 ○小川関係官 すみません、御指摘の箇所、内容について、欠格事由の場面で、それが左右すべきものではないというところは御指摘のとおりかと思います。そういった観点で、この記載ぶりが不十分であるということは御指摘として承りましたので、少し説明ぶりは検討したいと思います。   基本的に表現をしたかったことといたしましては、推定相続人に対する遺贈をするというふうなケースというのは、多くの遺言の中で想定がされる状況ですので、それについて、すべて推定相続人である受遺者の被用者を排除するということの、そうすると弊害が大きいという話になるようなところになるかと思います。他方で、相対的に、推定相続人が遺言に働き掛ける事例が少ないということを表現したかったのですが、やはりここの部分の記載というのは余り適切ではなかったと思いますので、修正をさせていただきます。 ○大村部会長 ありがとうございます。御議論を伺っていて思うのは、遺贈の行き先として、そんな人のところに行ってしまっていいのかという問題にまず対処しなければいけない。それについては、皆さん対処が必要だとお考えになっているのだろうと思います。その次は、その人のところに、あるいはその法人に帰属するということ自体は悪いことではないけれども、本人の当初考えていたこととの関係から見て、適切な遺言であったと言えるかどうかということになる。後の場合についても、証人ないし立会人として関与することが不適切な人を、定型的に排除しておくという必要がどの程度あるかということで、こちらは程度問題なのかとも思います。必要性とそれから弊害のバランスを取って、どこで線を引くのか。この線引きについて、今いろいろな御意見を頂いているということなのかと思って伺っております。   ほかにもし何か御発言あればいただきまして、それらを含めて、どのような対応が可能なのかということにつきまして、事務当局の方で少し検討していただくということにしたいと思いますが、追加の御発言等ございますでしょうか。 ○倉持幹事 必ずしも原案に反対という意味ではないんですが、懸念が2点ほどあります。この被用者の要件は、ほかの親族関係は戸籍で確認できるのと違って、確認資料がないという点で欠格事由として若干違和感があるなという点と、もう1点は、受遺者の中で個人を含む、ただ推定相続人は入れないということですけれども、昨今やはり相続人なくしてという方が結構多い。その方は、例えば内縁関係にある配偶者だとか、いとこだとかおい、めいに遺贈するということになるんですけれども、それと推定相続人に遺贈するのと、それほど類型的に危険度に違いがあるのかというと若干疑問がありまして、要するに、今の被用者の立て付けだと、本来意図している不当な結果を防止しようという以上に、広く規制をかけ過ぎではないかという若干懸念があるという、2点を申し上げさせていただきます。 ○大村部会長 ありがとうございます。今日話題になっている2点につきまして、いずれも少し広くなり過ぎはしまいかという、そういう御懸念を示されているということかと思います。   これも御意見を伺っていて、定型的な線を引かなければいけないということで、過不足のない線を引くということはなかなか難しそうだと思いました。そうなった場合に、どこに線を引いたときに、一番メリットが大きく、デメリットが小さいと思われるか、その線を探すということで、対応するということになるかという感じを持って、今伺っておりました。基本的な線を引いて、それにもう一つ、細則を設けるような線を引くことも考えられるのですが、最終的にはやはりどこかで線を引いて割り切るということに伴って、この場合はどうかといった問題は出てくるように思いますので、いただいた御意見を踏まえて、何ができるのか、何がよいのかということについて考えてみるということかと思っていますけれども、齊藤幹事、何かそれについてあれば。いいですか。   ありがとうございます。それでは、この第5につきまして、ほかに御意見等ございますでしょうか。 ○小池(泰)委員 これ、確認なんですけれども、26ページから27ページにかけてのゴシックのところを変更してくれという趣旨ではないんですが、26ページの一番下のところで、括弧書きの中に「以下③において同じ」ってあるんですけれども、受遺者が出てくるのはその後の27ページの1行目の括弧書きの頭の受遺者で、これだけだとすると、受遺者が法人だったら推定相続人であるわけはないので、「以下③において同じ」という26ページの一番下の語句は要るのかどうかというのがちょっと分かんなかったのが一つ。   同じく27ページの今言ったこの括弧書きなんですけれども、この括弧書きは、どの語句に代わるものとしてあるのかちょっと分かんなくて、26ページの最後の「並びに」以下のところが、この括弧書きで変わるということなのか、それとも③自体が、受遺者の法人である場合には、受遺者の被用者と役員が欠格だということなのかがちょっとよく分かんなくて、一応後者の方については、法人が証人、立会人になるということがないという前提を私は採っていたので、そうすると、受遺者が法人の場合は、受遺者が欠格ということを言う必要は全くないので、受遺者の被用者と役員だけ挙げればオーケーなんではないかと思ったと、こういう次第です。 ○大村部会長 ありがとうございます。26ページの③の表現ぶりについて、特に括弧内の表現について、これでよいのかという御質問だと受け止めました。 ○齊藤幹事 1点目の点については、御指摘のお考えも十分あり得るかなと思いますので、文言の対応を要するか検討したいと思います。   それから、二つ目の一番最後の「受遺者が法人である場合にあっては」の括弧書きは、これは被用者と並列して記載しているつもりですが、その上で、委員の御疑問に十分に私がお答えできているかどうかが、ちょっと分からない状況です。 ○小池(泰)委員 受遺者が法人の場合には、受遺者自身はそもそも自然人ではないから証人にも立会人にもなれず、だから受遺者って挙げる必要がなくて、受遺者の被用者と役員だけ挙げておけばよいから、この括弧書きは、言わば③´という形になっている。要は、今のお答えだと、最後の被用者のところに括弧書きがついているだけという話だったんですけれども、何となく全体について、受遺者が法人の場合にはこの人たちだけですよって書いても、全然オーケーなような気がしたということです。 ○齊藤幹事 齊藤でございます。私が不十分な回答をしたために、委員の御指摘が大変よく理解できました。検討したいと存じます。 ○大村部会長 ありがとうございます。今の表現のところについては、持ち帰って検討していただくということにしたいと思います。   その他、第5につきましていかがでございましょうか。よろしいでしょうか。   それでは、第5につきましては、技術的な表現ぶりの問題は別にいたしますと、補足説明の中で触れていただいた二つの点、前回議論になった二つの点について、本日も御意見を頂いたものと理解をいたしました。特に26ページの③につきましては、法人の被用者を一律に欠格とすることにつきまして賛否両論がある。原則としてはこれでよいとしても、例外を何らかの形で切り出すことはできないのだろうかという御意見が出ているということで、これを踏まえまして、何か対応ができるかどうかということを検討するということかと思っております。その余の点については御異議がなかったと受け取らせていただきたいと思います。   ということで、本日の資料の第1から第5についてまで御意見を頂戴いたしました。今直前に申し上げましたけれども、第5につきまして、なお検討課題が多少残りましたけれども、それ以外の点につきましては、このゴシックの部分について御賛同いただいたものと理解をしております。このようにまとめさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。   それでは、次回の議事日程や今後の審議の在り方につきまして、事務当局の方から御説明を頂きたいと思います。 ○齊藤幹事 本日は年末のお忙しい中御議論を頂き、誠にありがとうございました。   次回の日程は、令和8年1月20日火曜日、午後1時30分から、場所は本日と同じ法務省地下1階の大会議室となります。   本日の要綱案(案)の記載ぶりについては、部会長におまとめいただいたとおり、おおむね御了承いただいたところである一方で、若干の検討すべき点もいただきましたので、事務当局において検討させていただき、次回、要綱案の(案)の改訂版という形で御審議いただき、その上でお取りまとめを頂けるかどうか含め、御議論いただければと考えております。 ○大村部会長 ありがとうございます。若干なお検討すべき点は残りましたけれども、次回、改めて要綱案の(案)を出していただき、可能であれば、取りまとめをさせていただきたいと思っているところでございます。   次回もし取りまとめをするということになりますと、補足説明が付いた資料が出るのは次回が最後ということになります。要綱案を取りまとめますと、要綱案には補足説明というものが付かないということになりますので、この点は補足説明の中に是非織り込んでほしいというような御要望、本日もいただきましたけれども、席上いただいた御発言以外で特別なものが何かございましたら、次回の会議の前に事務当局の方にお知らせいただければ、事務当局の方で、それを踏まえて可能な範囲で検討し、盛り込んでいただくということになろうかと思います。その点だけ、お願いをさせていただきたいと思います。   ということで、できれば次回何とかしたいと思っておりますけれども、本日の、法制審議会民法(遺言関係)部会の第16回会議はこれで閉会させていただきたいと思います。   本日は熱心な審議を賜りまして、ありがとうございました。よい年末年始をお迎えいただきまして、また来年もどうぞよろしくお願いを申し上げます。   これで閉会をいたします。 -了- -48-